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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ネオ抗原アジュバント及び維持療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20240912BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 14/15 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/34 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240912BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K48/00
C12N15/861 Z ZNA
C12N15/867 Z
C07K16/28
C12N15/88 Z
C07K14/15
C12N15/34
C12N15/12
A61P37/04
A61K35/76
A61K35/761
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/513
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 G
A61K39/395 U
A61K39/395 E
A61P35/00
A61P1/00
A61K9/51
A61P35/02
A61K39/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516893
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022076678
(87)【国際公開番号】W WO2023044492
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/245,663
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/281,027
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/320,685
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518213307
【氏名又は名称】グリットストーン バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ルソー ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ファーガスン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヨース カリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA65
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC07
4C076CC27
4C076EE51H
4C084AA13
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA38
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA03
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085CC26
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA38
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA20
4H045BA21
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
抗原コード核酸配列及び/または抗原ペプチドを含む組成物を、本明細書で開示する。ベクターを含む、ワクチンとしてのその使用を含む組成物と関連する、ヌクレオチド、細胞、及び方法、ならびに、異種プライム/ブーストワクチン接種戦略に関する方法もまた開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における免疫応答を刺激するための方法であって、
前記対象に、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、前記対象に、チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、を含み、
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物が、プライミング用量として投与され、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物が、1回以上のブースター用量として投与され、前記発現系が、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系及び前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系が、維持療法として投与される、
前記方法。
【請求項2】
前記維持療法が、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、前記化学療法が、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象における免疫応答を刺激するための方法であって、
前記対象に、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、前記対象に、チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、を含み、
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物が、プライミング用量として投与され、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物が、1回以上のブースター用量として投与され、前記発現系が、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系及び前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系が、補助療法として投与される、
前記方法。
【請求項4】
前記補助療法が、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、前記化学療法が、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
対象における免疫応答を刺激するための方法であって、
前記対象に、(1)自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物、または、(2)チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物、のいずれかを投与することを含み、
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系または前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系が、補助療法として投与され、前記発現系が、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記補助療法が、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、前記化学療法が、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む、
前記方法。
【請求項6】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物の1回以上のブースター用量が投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記併用療法が、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記併用療法が、フルオロピリミジン及びベバシズマブを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記併用療法が、フルオロピリミジン、ベバシズマブ、及び、免疫チェックポイント阻害剤療法を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、
(1)抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、(2)抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、及び/または、(3)抗CTLA-4抗体もしくはその抗原結合フラグメント
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント阻害剤療法が、
前記プライミング用量及び前記第1のブースター用量だけを伴う、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合フラグメントの投与
を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗CTLA-4抗体がイピリムマブを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イピリムマブが、30mgの用量で皮下投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫チェックポイント阻害剤療法が、4週毎(Q4W)の、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブまたはニボルマブを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アテゾリズマブが、1680mgの用量で静脈内投与される、または、前記ニボルマブが、480mgの用量で静脈内投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫チェックポイント阻害剤療法が、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または13回の投与を含み、任意で、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与が、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または13回の投与を含む、請求項9~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫チェックポイント阻害剤療法が、少なくとも13回の投与を含み、任意で、前記抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与が、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または13回の投与を含む、請求項9~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、腫瘍及び/もしくはがん組織を取り除くための手術、化学療法、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)、放射線療法、またはこれらの組み合わせを以前に受けている、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
以前の化学療法が、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及び/または、ベバシズマブを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
以前の化学療法が、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及び、ベバシズマブを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
以前の化学療法が、前記維持療法の投与前に最大24週間にわたって投与された、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が結腸直腸癌(CRC)を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記CRCが、ステージIV、マイクロサテライト安定性、かつBRAFwtとして分類される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記CRCが、ステージIIまたはIIIとして分類される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記対象がctDNA陽性として分類される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
2回以上のブースター用量が投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
1、2、3、4、5、6、7、または8回のブースター用量が投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ChAdVベースの発現系が、ブースター用量としてさらに投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ChAdVベースのブースター用量が、単回ブースター用量として投与されるのみである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の140日目、または約140日目に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の20週目、または約20週目に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項33】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の5ヶ月目、または約5ヶ月目に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項34】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の140日目、または140日目よりも後に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項35】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の20週目、または20週目よりも後に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項36】
前記ChAdVベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の5ヶ月目、または5ヶ月目よりも後に、前記ブースター用量として投与される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項37】
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物が、筋肉内(IM)、皮内(ID)、皮下(SC)、または静脈内(IV)投与される、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物が、(IM)投与される、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記IM投与が、別々の注射部位に施される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記別々の注射部位が、対向する三角筋内である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記別々の注射部位が、両側の殿筋または大腿直筋部位内である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物が、筋肉内(IM)、皮内(ID)、皮下(SC)、または静脈内(IV)投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも2回のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも28日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも4週(Q4W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも1ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも56日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも8週(Q8W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも2ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の28及び84日目、または約28及び84日目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の4及び12週目、または約4及び12週目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量後の1及び3ヶ月目、または約1及び3ヶ月目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、少なくとも4回のブースター用量として投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量を基準として、28、84、224、及び308日目に、または、約28、84、224、及び308日目に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量を基準として、4、12、32、及び44週目に、または、約4、12、32、及び44週目に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、前記ChAdVベースの発現系の前記プライミング用量を基準として、1、3、8、及び11ヶ月目に、または、約1、3、8、及び11ヶ月目に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物が、(IM)投与される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記IM投与が、別々の注射部位に施される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記別々の注射部位が、対向する三角筋内である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記別々の注射部位が、両側の殿筋または大腿直筋部位内である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記1回以上のブースター用量の注射部位が、前記プライミング用量の注射部位に可能な限り近い、請求項57~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象のHLAハプロタイプを測定すること、または、測定したことをさらに含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記免疫応答を前記刺激することが、分子応答を刺激することを含む、前記方法または組成物の請求項のいずれか1項。
【請求項64】
前記分子応答が、ctDNAの減少を含む、請求項63に記載の方法または組成物。
【請求項65】
前記ctDNAの減少が、ctDNAの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の減少を含む、請求項64に記載の方法または組成物。
【請求項66】
前記ctDNAの減少が、ctDNAの、少なくとも30%の減少を含む、請求項64に記載の方法または組成物。
【請求項67】
前記ctDNAの減少が、ctDNAの、少なくとも50%の減少を含む、請求項64に記載の方法または組成物。
【請求項68】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、対象特異的ネオ抗原コード核酸配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、20個の対象特異的ネオ抗原コード核酸配列を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物が、
(A)前記自己複製アルファウイルスベースの発現系であって、
(a)(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含むRNAアルファウイルス骨格、ならびに
(b)カセットであって、
(i)a.前記コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含むエピトープコード核酸配列、
b.任意で、5’リンカー配列、および
c.任意で、3’リンカー配列
を含む少なくとも1つの抗原コード核酸配列と、
(ii)任意で、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列と機能的に連結された第2のプロモーターヌクレオチド配列と、
(iii)任意で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、前記第2のポリ(A)配列が、前記アルファウイルスにとって天然のポリ(A)配列または外因性のポリ(A)配列である、前記少なくとも1つの第2のポリ(A)配列と
を含む、前記カセット
を含む1つ以上のベクターを含む、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系と、
(B)前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を封入する、脂質ナノ粒子(LNP)と
を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物のカセットが、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物のカセットと同一である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記用量のそれぞれについて、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための前記組成物のカセットが同一である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記自己複製アルファウイルスベースの発現系が、
ヌクレティス(nucletices)7544及び11175を欠くことを除いて、配列番号3または配列番号5の配列を含む、ベネズエラウマ脳炎ウイルスを含むアルファウイルス骨格
を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記RNAアルファウイルス骨格が、配列番号6または配列番号7に示す配列を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記カセットが、配列番号3または配列番号5の配列に記載される塩基対7544と11175との間の欠失に取って代わるように7544位に挿入されている、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
ChAdVベクターが、
(a)(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含むChAdV骨格、及び
(b)カセットであって、
(i)a.前記コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含むエピトープコード核酸配列、
b.任意で、5’リンカー配列、
c.任意で、3’リンカー配列
を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列
を含む、前記カセット
を含み、
前記カセットが、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列および前記少なくとも1つのポリ(A)配列に機能的に連結されている、
前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ChAdVベースの発現系が、ChAdV68ベクター骨格を含み、
前記ChAdV68ベクター骨格が、
(1)E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、
(2)E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825、及び、
任意で(3)ChAdV68の部分的に欠失されたE4遺伝子に対応する、ヌクレオチド34,916~35,642
を欠くことを除いて、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む、
前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記カセットが、前記E1領域、E3領域、及び/または、前記カセットの組み込みを許容する任意の欠失されたAdV領域において前記ChAdV骨格に挿入される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記エピトープコード核酸配列が、
翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、前記コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルへの結合親和性を増大させる、少なくとも1つの変化
を含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記エピトープコード核酸配列が、
翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、前記コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルへの結合安定性を増大させる、少なくとも1つの変化
を含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記エピトープコード核酸配列が、
翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、前記コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルでの提示の可能性を増大させる、少なくとも1つの変化
を含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの変化が、点変異、フレームシフト変異、非フレームシフト変異、欠失変異、挿入変異、スプライスバリアント、ゲノム再編成、またはプロテアソームにより生成されたスプライス抗原を含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記エピトープコード核酸配列が、がんを有すると知られているまたは疑われる対象において発現することが知られているまたは疑われているエピトープをコードする、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記がんが、固形腫瘍を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記がんが、肺癌、メラノーマ、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、膀胱癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、成人急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも2~10、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列が、異なる抗原コード核酸配列をコードする、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列が、異なる抗原コード核酸配列をコードする、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列が、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含む、前記方法の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記カセットが、前記カセット内の隣接配列によって形成されたジャンクションエピトープ配列を含み、
少なくとも1つのもしくはそれぞれのジャンクションエピトープ配列が、MHCに対して500nMよりも高い親和性を有し、かつ/または、各ジャンクションエピトープ配列が非自己である、
前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記カセットが、翻訳後の野生型核酸配列を含む非治療的なMHCクラスIおよびMHCクラスIIエピトープ核酸配列をコードしておらず、前記非治療的エピトープが前記対象のMHCアレル上に提示されると予測される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記非治療的な予測されたMHCクラスIまたはMHCクラスIIエピトープ配列が、前記カセット内の隣接配列によって形成されたジャンクションエピトープ配列である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記予測が、前記非治療的エピトープの配列を提示モデルに入力することによって生成される提示尤度に基づいたものである、請求項89~91に記載の方法。
【請求項93】
前記ChAdVベースの発現系を送達するための前記組成物が、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中で製剤化される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記エピトープコード核酸配列のうちの1つ以上が、前記対象の腫瘍に由来する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記エピトープコード核酸配列のそれぞれが、前記対象の腫瘍に由来する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記エピトープコード核酸配列のうちの1つ以上が、前記対象の腫瘍に由来しない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記エピトープコード核酸配列のそれぞれが、前記対象の腫瘍に由来しない、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記エピトープコード核酸配列が、配列番号57~29,364からなる群から選択されるエピトープを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的でその全容を参照によって本明細書に援用する2021年9月17日出願の米国特許仮出願第63/245,663号、2021年11月18日出願の同第63/281,027号、及び、2022年3月16日出願の同第63/320,685号の利益を主張するものである。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全容を参照によって本明細書に援用する配列表を含む。前記ASCIIコピーは、XXXに作成され、XXXの名前が付けられており、そのサイズは###,###バイトである。
【背景技術】
【0003】
腫瘍特異的抗原に基づく治療用ワクチンは、次世代の個別化がん免疫療法として極めて有望である。1~3例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)及び黒色腫などの高い変異負荷を有するがんは、比較的ネオ抗原を生成しやすいことからこうした療法に特に適した標的となる。4,5初期のエビデンスは、ネオ抗原ベースのワクチン接種がT細胞応答を誘導し、ネオ抗原を標的とした細胞療法が選択された患者における特定の状況下で腫瘍退縮を引き起こし得ることを示している。
【0004】
ネオ抗原ワクチン設計における疑問の1つは、対象の腫瘍に存在する多くのコーディング変異のうちのどれが、「最良の」治療抗原、例えば、抗腫瘍免疫を誘導し、腫瘍後退を引き起こすことができる抗原を誘導することができるのかということである。
【0005】
候補ネオ抗原ペプチドの、次世代配列決定、RNA遺伝子発現、及び、MHC結合親和性の予測を用いる、変異ベースの分析を組み込む、初期の方法が、提示されている。しかし、提示されたこれらの方法は、遺伝子発現及びMHC結合に加えて、多くのステップ(例えば、TAP輸送、プロテアソーム切断、及び/またはTCR認識)を含有する、エピトープ生成プロセス全体のモデリングに失敗する可能性がある。結果的に、既存の方法は、低い陽性適中率(PPV)の低下を被る可能性が高い。
【0006】
実際、複数の群により実施された腫瘍細胞により提示されるペプチドの分析は、予測されるペプチドの5%未満を、遺伝子発現を用いて提示することができ、MHC結合親和性は、腫瘍表面MHCにて発見することができることを示している。10,11結合予測とMHC提示との、この相関の低さは、チェックポイント阻害剤応答に対する、結合が制限されたネオ抗原の予測精度の改善は、変異の数だけでは改善されないという最近の観察結果によって、さらに強化された。12
【0007】
予測を提示するための既存の方法における、この陽性適中率(PPV)の低さは、ネオ抗原ベースのワクチン設計に対して問題を提起している。PPVが低い予測を用いてワクチンを設計すると、大部分の患者は、治療用ネオ抗原を受ける可能性が低くなり、(提示されたペプチド全てを免疫原性と推定しても)2回以上受ける可能性のある患者は、より少ない。したがって、現行の方法によるネオ抗原ワクチン接種は、腫瘍を有する相当数の対象において、成功する可能性が低い。
【0008】
加えて、以前のアプローチは、cis作用変異のみを用いて候補ネオ抗原を生成しており、複数の腫瘍タイプで生じ、多くの遺伝子の異常なスプライシングをもたらす、スプライシング因子での変異13、及び、プロテアーゼ切断部位を作製または除去する変異を含む、ネオORFのさらなる源を考慮に入れることをほとんど無視してきた。
【0009】
最終的に、腫瘍ゲノム及びトランスクリプトーム分析の標準的なアプローチは、ライブラリー構築、エクソーム及びトランスクリプトーム捕捉、配列決定、またはデータ分析における最適でない条件が原因で、候補ネオ抗原を生じさせる体細胞突然変異を欠く可能性がある。同様に、標準的な腫瘍分析アプローチは、ネオ抗原としての配列アーチファクトまたは生殖細胞系多型を偶然に促進し、それぞれ、ワクチンの能力を十分用いることができないこと、または、自己免疫リスクに繋がる可能性がある。
【0010】
現行のネオ抗原予測法の課題に加えて、多くがヒト由来のものである、ヒトにおけるネオ抗原送達に使用することができる既存のベクター系にもやはり特定の課題が存在する。例えば、多くのヒトは、過去の自然曝露の結果としてヒトウイルスに対する既存の免疫を有しており、この免疫が、がん治療のためにネオ抗原を送達するための組換えヒトウイルスの使用にとって大きな障害となりうる。
【0011】
さらに、変異を有するネオ抗原、加えて、変異を有しない腫瘍抗原(例えば、不適切に発現された腫瘍抗原)の両方の標的化を含む、がんを患う患者間で共有される抗原の標的化は、ワクチン戦略として非常に有望である。共有された抗原ワクチン戦略での課題は、少なくとも上述したものを含む。
【発明の概要】
【0012】
対象における免疫応答を刺激するための方法であって、対象に、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、対象に、チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、を含み、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物はプライミング用量として投与され、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、1回以上のブースター用量として投与され、前記発現系は、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系及び前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系が、維持療法として投与される、前記方法。
【0013】
いくつかの態様では、維持療法は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、化学療法は、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む。
【0014】
本明細書では、対象における免疫応答を刺激するための方法であって、対象に、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、対象に、チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物を投与することと、を含み、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物はプライミング用量として投与され、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、1回以上のブースター用量として投与され、前記発現系は、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系及び前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系が、補助療法として投与される、前記方法も提供される。
【0015】
いくつかの態様では、補助療法は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、化学療法は、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む。
【0016】
本明細書では、対象における免疫応答を刺激するための方法であって、前記対象に、(1)自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物、または、(2)チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための組成物、のいずれかを投与することを含み、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系または前記チンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系は、補助療法として投与され、前記発現系は、少なくとも1つの抗原コード核酸配列をコードし、前記補助療法は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせとの併用療法を含み、任意で、前記化学療法は、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む、前記方法も提供される。
【0017】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物の1回以上のブースター用量が投与される。
【0018】
いくつかの態様では、併用療法は、フルオロピリミジン及び/またはベバシズマブを含む。いくつかの態様では、併用療法は、フルオロピリミジン及びベバシズマブを含む。いくつかの態様では、併用療法は、フルオロピリミジン、ベバシズマブ、及び、免疫チェックポイント阻害剤療法を含む。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、(1)抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、(2)抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、及び/または、(3)抗CTLA-4抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤療法は、プライミング用量及び第1のブースター用量だけを伴う、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含む。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体はイピリムマブを含む。いくつかの態様では、イピリムマブは、30mgの用量で皮下投与される。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤療法は、4週毎(Q4W)の、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブまたはニボルマブを含む。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、1680mgの用量で静脈内投与される、いくつかの態様では、ニボルマブは、480mgの用量で静脈内投与される、
【0019】
いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤療法は、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または13回の投与を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または13回の投与を含む。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤療法は、少なくとも13回の投与を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも13回の投与を含む。
【0020】
いくつかの態様では、対象は以前に手術を受け、腫瘍及び/またはがん組織、化学療法、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)、放射線療法、またはこれらの組み合わせを取り除いた。いくつかの態様では、以前の化学療法は、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及び/または、ベバシズマブを含む。いくつかの態様では、以前の化学療法は、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及びベバシズマブを含む。いくつかの態様では、以前の化学療法は、維持療法の投与前に最大24週間にわたって投与された。
【0021】
対象が結腸直腸癌(CRC)を有する、上記請求項のいずれか1つに記載の方法。いくつかの態様では、CRCは、ステージIV、マイクロサテライト安定性、かつBRAFwtとして分類される。いくつかの態様では、CRCは、ステージIIまたはIIIとして分類される。
【0022】
いくつかの態様では、対象は、ctDNA陽性として分類される。
【0023】
いくつかの態様では、2回以上のブースター用量が投与される。いくつかの態様では、1、2、3、4、5、6、7、または8回のブースター用量が投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ブースター用量としてさらに投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースのブースター用量は、単回ブースター用量として投与されるのみである。
【0024】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目、または約140日目に、ブースター用量として投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の20週目、または約20週目に、ブースター用量として投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の5ヶ月目、または約5ヶ月目に、ブースター用量として投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目、または140日目より後に、ブースター用量として投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の20週目、または20週目より後に、ブースター用量として投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の5ヶ月目、または5ヶ月目より後に、ブースター用量として投与される。
【0025】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物は、筋肉内(IM)、皮内(ID)、皮下(SC)、または静脈内(IV)投与される。いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物は、(IM)投与される。いくつかの態様では、筋肉内(IM)投与は、別々の注射部位に施される。いくつかの態様では、別々の注射部位は対向する三角筋内である。いくつかの態様では、別々の注射部位は両側の殿筋または大腿直筋部位内である。
【0026】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、筋肉内(IM)、皮内(ID)、皮下(SC)、または静脈内(IV)投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、(IM)投与される。
【0027】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2回のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも28日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4週(Q4W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも1ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも56日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも8週(Q8W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与される。
【0028】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の28及び84日目、または約28及び84日目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の4及び12週目、または約4及び12週目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の1及び3ヶ月目、または約1及び3ヶ月目に、少なくとも2回のブースター用量として投与される。
【0029】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4回のブースター用量として投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、28、84、224、及び308日目に、または、約28、84、224、及び308日目に投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、4、12、32、及び44週目に、または、約4、12、32、及び44週目に投与される。いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、1、3、8、及び11ヶ月目に、または、約1、3、8、及び11ヶ月目に投与される。
【0030】
いくつかの態様では、方法は、対象のHLAハプロタイプを測定すること、または、測定したことをさらに含む。
【0031】
いくつかの態様では、免疫応答を刺激することは、分子応答を刺激することを含む。いくつかの態様では、分子応答は、ctDNAの減少を含む。
【0032】
いくつかの態様では、ctDNAの減少は、ctDNAの、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の減少を含む。いくつかの態様では、ctDNAの減少は、ctDNAの、少なくとも30%の減少を含む。いくつかの態様では、ctDNAの減少は、ctDNAの、少なくとも50%の減少を含む。
【0033】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、対象特異的ネオ抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、20個の対象特異的ネオ抗原コード核酸配列を含む。
【0034】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、
(A)自己複製アルファウイルスベースの発現系であって、
(a)(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含む、RNAアルファウイルス骨格;ならびに、
(b)カセットであって、
(i)a.コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含む、エピトープコード核酸配列、
b.任意で、5’リンカー配列、および
c.任意で、3’リンカー配列
を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列と、
(ii)任意で、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列と機能的に連結された第2のプロモーターヌクレオチド配列と、
(iii)任意で、少なくとも1つの第2のポリ(A)配列であって、前記第2のポリ(A)配列が、前記アルファウイルスにとって天然のポリ(A)配列または外因性のポリ(A)配列である、前記少なくとも1つの第2のポリ(A)配列と
を含む、前記カセット
を含む1つ以上のベクターを含む、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系と、
(B)自己複製アルファウイルスベースの発現系を封入する、脂質ナノ粒子(LNP)と
を含む。
【0035】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物は、
(A)自己複製アルファウイルスベースの発現系であって、
(a)RNAアルファウイルス骨格であって、
前記RNAアルファウイルス骨格は、配列番号6で示される核酸配列を含み、
前記RNAアルファウイルス骨格配列は、26Sプロモーターヌクレオチド配列及びポリ(A)配列を含み、
前記26Sプロモーター配列はRNAアルファウイルス骨格に外因性であり、
前記ポリ(A)配列は、前記RNAアルファウイルス骨格に外因性である、
前記RNAアルファウイルス骨格、ならびに
(b)前記26Sプロモーターヌクレオチド配列と前記ポリ(A)配列との間に組み込まれるカセットであって、
前記カセットは、前記26Sプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、
前記カセットは、
a.コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含む、エピトープコード核酸配列、
b.任意で、5’リンカー配列、および
c.任意で、3’リンカー配列
を含む少なくとも1つの抗原コード核酸配列
を含む、
前記カセット
を含む1つ以上のベクターを含む、前記自己複製アルファウイルスベースの発現系と、
(B)前記自己複製アルファウイルスベースの発現系を封入する、脂質ナノ粒子(LNP)と
を含む。
【0036】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物中のカセットの各要素の順序付けられた配列は、5’から3’方向に、P-(L5-N-L3)X-(G5-U-G3を含む式[式中、Pは、前記第2のプロモーターヌクレオチド配列を含み、ただし、a=0または1であり、Nは、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、前記エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、ただしc=1であり、L5は、5’リンカー配列を含み、ただしb=0または1であり、L3は、3’リンカー配列を含み、ただしd=0または1であり、G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしe=0または1であり、G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしg=0または1であり、Uは、前記少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、ただしf=1であり、X=1~400であり、ただし各Xについて、対応するNは、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、Y=0、1、または2であり、ただし各Yについて、対応するUは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列である]で記述される。いくつかの態様では、各Xについて、対応するNは、異なるMHCクラスIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUは、異なるMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、a=0、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=20、Y=2であり、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、前記RNAアルファウイルス骨格により提供される単一の26Sプロモーターヌクレオチド配列であり、前記少なくとも1つのポリアデニル化ポリ(A)配列は、前記RNAアルファウイルス骨格により提供される少なくとも100個の連続したAヌクレオチドのポリ(A)配列であり、前記カセットは、前記26Sプロモーターヌクレオチド配列と前記ポリ(A)配列との間に組み込まれ、前記カセットは、前記26Sプロモーターヌクレオチド配列及び前記26Sプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、各Nは、アミノ酸7~15個の長さのMHCクラスIエピトープをコードし、L5は、前記MHC Iエピトープの天然のN末端アミノ酸配列をコードする天然の5’リンカー配列であり、前記5’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、L3は、前記MHC Iエピトープの天然のC末端アミノ酸配列をコードする天然の3’リンカー配列であり、前記3’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列、及び、破傷風トキソイドMHCクラスII配列のそれぞれであり、前記RNAアルファウイルス骨格は、配列番号6示す配列であり、前記MHCクラスIエピトープコード核酸配列のそれぞれは、長さが13個~25個のアミノ酸であるポリペプチドをコードする。
【0037】
いくつかの態様では、LNPは、イオン性アミノ脂質、ホスファチジルコリン、コレステロール、PEGベースのコート脂質、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される脂質を含む。いくつかの態様では、LNPは、イオン性アミノ脂質、ホスファチジルコリン、コレステロール、及び、PEGベースのコート脂質を含む。いくつかの態様では、イオン化可能なアミノ脂質は、MC3様(ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート)分子を含む。いくつかの態様では、LNP封入発現系は、約100nmの直径を有する。
【0038】
いくつかの態様では、カセットは、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と少なくとも1つのポリ(A)配列との間に組み込まれる。
【0039】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、カセットに機能的に連結されている。
【0040】
いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、1つ以上の+鎖RNAベクターを含む。いくつかの態様では、1つ以上の+鎖RNAベクターは、5’7-メチルグアノシン(m7g)キャップを有する。いくつかの態様では、1つ以上の+鎖RNAベクターは、インビトロ転写によって生成される。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、哺乳動物細胞内で自己複製する。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、ベネズエラウマ脳炎ウイルスの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされた、非構造タンパク質媒介増幅のための配列、26Sプロモーター配列、ポリ(A)配列、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、及びnsP4遺伝子を含む。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、少なくとも、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列によってコードされた、非構造タンパク質媒介増幅のための配列、26Sプロモーター配列、及びポリ(A)配列を含む。いくつかの態様では、非構造タンパク質媒介増幅のための配列は、アルファウイルス5’ UTR、51ntのCSE、24ntのCSE、26Sサブゲノミックプロモーター配列、19ntのCSE、アルファウイルス3’ UTR、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、構造ビリオンタンパク質カプシドE2及びE1をコードしていない。いくつかの態様では、カセットは、アウラウイルス、フォートモルガンウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、またはマヤロウイルスのヌクレオチド配列内の構造ビリオンタンパク質の代わりに挿入される。いくつかの態様では、ベネズエラウマ脳炎ウイルスは、配列番号3または配列番号5の配列を含む。いくつかの態様では、ベネズエラウマ脳炎ウイルスは、さらに塩基対7544と11175との間の欠失を有する配列番号3または配列番号5の配列を含む。いくつかの態様では、RNAアルファウイルス骨格は、配列番号6または配列番号7に示す配列を含む。いくつかの態様では、カセットは、配列番号3または配列番号5の配列に記載される塩基対7544と11175との間の欠失に取って代わるように7544位に挿入されている。いくつかの態様では、前記カセットの挿入は、前記nsP1~4遺伝子及び前記少なくとも1つの核酸配列を含むポリシストロニックRNAの転写をもたらし、前記nsP1~4遺伝子及び前記少なくとも1つの核酸配列は別々のオープンリーディングフレーム内にある。
【0041】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、RNAアルファウイルス骨格によってコードされた天然の26Sプロモーターヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、外因性のRNAプロモーターである。いくつかの態様では、第2のプロモーターヌクレオチド配列は、26Sプロモーターヌクレオチド配列である。いくつかの態様では、第2のプロモーターヌクレオチド配列は、複数の26Sプロモーターヌクレオチド配列を含み、各26Sプロモーターヌクレオチド配列が、別々のオープンリーディングフレームのうちの1つ以上の転写をもたらす。
【0042】
いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、それぞれ少なくとも300ntのサイズである。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、それぞれ少なくとも1kbのサイズである。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、それぞれ2kbのサイズである。いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、それぞれ5kb未満のサイズである。
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、2つ以上の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列が互いに直接連結されている。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は、リンカーをコードする核酸配列によって異なる抗原コード核酸配列と連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列またはMHCクラスIエピトープコード核酸配列を、1個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、(1)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したグリシン残基、(2)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したアラニン残基、(3)2個のアルギニン残基(RR)、(4)アラニン、アラニン、チロシン(AAY)、(5)哺乳動物プロテアーゼによって効率的にプロセシングされる、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さのコンセンサス配列、及び(6)同種由来タンパク質に由来する抗原に隣接し、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または2~20個の長さの1つ以上の天然配列からなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列または1個のMHCクラスII配列を、1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、配列GPGPGを含む。
【0044】
いくつかの態様では、抗原コード核酸配列は、抗原コード核酸配列の発現、安定性、細胞トラフィッキング、プロセシング及び提示、及び/または免疫原性を高める、分離した、または連続した配列に機能的または直接的に連結されている。いくつかの態様において、分離した、または連続した配列は、ユビキチン配列、プロテアソームターゲティング性を高めるように改変されたユビキチン配列(例えば、76位にGlyまたはAla置換を有するユビキチン配列)、免疫グロブリンシグナル配列(例えばIgK)、主要組織適合性クラスI配列、リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)-1、ヒト樹状細胞リソソーム関連膜タンパク質、及び主要組織適合性クラスII配列のうちの少なくとも1つを含み、任意でプロテアソームターゲティング性を高めるように改変された前記ユビキチン配列がA76である。
【0045】
いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも2~10、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列は、異なる抗原コード核酸配列をコードする。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列は、異なる抗原コード核酸配列をコードする。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は少なくとも2~400個の抗原コード核酸配列を含み、前記抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2個は、細胞表面で、MHCクラスIによって提示されるポリペプチド配列またはその一部をコードする。いくつかの態様では、MHCクラスIエピトープの少なくとも2個は、腫瘍細胞表面上のMHCクラスIによって提示される。
【0046】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、少なくとも1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、各抗原コード核酸配列は、アミノ酸8~35個の長さ、任意で、アミノ酸9~17、9~25、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個の長さのポリペプチド配列をコードする。
【0047】
いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、かつ、コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によってコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化を含む、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、各抗原コード核酸配列は、アミノ酸12~20、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20~40個の長さのポリペプチド配列をコードする。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が、少なくとも1つのユニバーサルMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、任意で、少なくとも1つのユニバーサル配列は、破傷風トキソイド及びPADREの少なくとも一方を含む。
【0048】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、非誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、前記骨格に天然に存在するアルファウイルスを含む。いくつかの態様では、少なくともいくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも1つの核酸配列のうちの少なくとも1つと機能的に連結される。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、または少なくとも90個の連続したAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも100個の連続したAヌクレオチドである。
【0049】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、MHCクラスIエピトープコード核酸配列は、(a)腫瘍から、エクソーム、トランスクリプトーム、または、全ゲノム腫瘍ヌクレオチド配列決定データのうちの少なくとも1つを得るステップであって、前記腫瘍ヌクレオチド配列決定データを使用して、エピトープのセットそれぞれのペプチド配列を表すデータが得られる、前記得るステップと、(b)各エピトープのペプチド配列を提示モデルに入力して、エピトープのそれぞれが腫瘍の腫瘍細胞表面において1つ以上のMHCアレルによって提示される数値的尤度のセットを生成するステップであって、前記一連の数値的尤度は、少なくとも、受信した質量分析データに基づき識別されている、前記生成するステップと、(c)前記数値的尤度のセットに基づく前記エピトープのセットのサブセットを選択して、選択されたエピトープのセットを生成するステップであって、これを使用して、前記MHCクラスIエピトープコード核酸配列を生成する、前記生成するステップと、を行うことにより選択される。いくつかの態様では、MHCクラスIエピトープコード核酸配列のそれぞれは、(a)腫瘍から、エクソーム、トランスクリプトーム、または、全ゲノム腫瘍ヌクレオチド配列決定データのうちの少なくとも1つを得るステップであって、前記腫瘍ヌクレオチド配列決定データを使用して、エピトープのセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータが得られる、前記得るステップと、(b)各エピトープのペプチド配列を提示モデルに入力して、エピトープのそれぞれが腫瘍の腫瘍細胞表面において1つ以上のMHCアレルによって提示される数値的尤度のセットを生成するステップであって、前記数値的尤度のセットは、少なくとも、受信した質量分析データに基づき識別されている、前記生成するステップと、(c)前記数値的尤度のセットに基づく前記エピトープのセットのサブセットを選択して、選択されたエピトープのセットを生成するステップであって、これを使用して、少なくとも20個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列を生成する、前記生成するステップと、を行うことにより選択される。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットの数は、2~20である。いくつかの態様では、提示モデルは、(a)前記MHCアレルのうちの特定の1つとペプチド配列の特定の位置の特定のアミノ酸とのペアの存在と、(b)前記ペアの前記MHCアレルのうちの前記特定の1つによる、前記特定の位置に前記特定のアミノ酸を含むそのようなペプチド配列の腫瘍細胞表面上での提示の尤度との間の依存性を表す。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づき、選択されていないエピトープと比較して、腫瘍細胞表面上に提示されている可能性が増大しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づき、選択されていないエピトープと比較して、対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導することができる可能性が増大しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対してプロフェッショナルエピトープ提示細胞(APC)によってナイーブT細胞に対して提示される尤度が増大している抗原を選択することを含み、任意で、APCは樹状細胞(DC)である。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対して中枢性寛容または末梢性寛容によって阻害される尤度が減少しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対して対象に正常組織に対する自己免疫応答を誘導することができる尤度が減少しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、エクソームまたはトランスクリプトームヌクレオチド配列決定データ は、腫瘍組織にて配列決定を行うことで取得される。いくつかの態様では、シークエンシングは、次世代シークエンシング(NGS)または任意の大規模並列処理シークエンシングアプローチである。
【0050】
いくつかの態様では、ChAdVベクターは、
(a)(i)少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と、
(ii)少なくとも1つのポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含む、ChAdV骨格;ならびに、
(b)カセットであって、
(i)a.コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含む、エピトープコード核酸配列、
b.任意で、5’リンカー配列、
c.任意で、3’リンカー配列
を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列
を含む、前記カセット
を含み、
前記カセットは、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列及び前記少なくとも1つのポリ(A)配列に機能的に連結されている。
【0051】
いくつかの態様では、ChAdVベクターは、
(a)ChAdV骨格であって、
(i)配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む修飾ChAdV68配列であって、前記ヌクレオチド2~36,518は、
(1)E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、
(2)E3欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド27,125~31,825、及び、
任意で、(3)部分E4欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド34,916~35,642
を欠く、前記配列と、
(ii)CMVプロモーターヌクレオチド配列と、
(iii)SV40ポリアデニル化(ポリ(A))配列と
を含む、前記ChAdV骨格、ならびに、
(b)カセットであって、
(i)a.コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によりコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化
を任意で含む、エピトープコード核酸配列と、
b.任意で、5’リンカー配列と、
c.任意で、3’リンカー配列と
を含む、少なくとも1つの抗原コード核酸配列
を含む、前記カセット
を含み、
前記カセットは、前記E1欠失内に挿入され、前記カセットは、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列及び前記SV40ポリ(A)配列に機能的に連結されている。
【0052】
いくつかの態様では、前記エピトープコード核酸配列は、細胞の表面上のMHCクラスIによって提示されることが分かっているまたは疑われるエピトープをコードしており、任意で、前記細胞の表面は腫瘍細胞表面または感染細胞表面であり、任意で、前記細胞は前記対象の細胞である。いくつかの態様では、細胞は、肺癌、メラノーマ、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌からなる群から選択される腫瘍細胞であるか、または細胞は、病原体感染細胞、ウイルス感染細胞、細菌感染細胞、真菌感染細胞、及び寄生虫感染細胞からなる群から選択される感染細胞である。いくつかの態様では、ウイルス感染細胞は、HIV感染細胞である。
【0053】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物中のカセットの各要素の順序付けられた配列は、5’から3’方向に、P-(L5-N-L3)X-(G5-U-G3を含む式[式中、Pは、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列の少なくとも1つに機能的に連結された、少なくとも1つのプロモーター配列であり、ただし、a=1であり、Nは、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、前記エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、ただしc=1であり、L5は、5’リンカー配列を含み、ただしb=0または1であり、L3は、3’リンカー配列を含み、ただしd=0または1であり、G5は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしe=0または1であり、G3は、GPGPGアミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしg=0または1であり、Uは、前記少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、ただしf=1であり、X=1~400であり、ただし各Xについて、対応するNは、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、Y=0、1、または2であり、ただし各Yについて、対応するUは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列である]で記述される。いくつかの態様では、各Xについて、対応するNは、異なるMHCクラスIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUは、異なるMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=16、Y=2であり、PはCMVプロモーター配列であり、各Nは、アミノ酸7~15個の長さのMHCクラスIエピトープをコードし、L5は、前記MHC Iエピトープの天然のN末端アミノ酸配列をコードする天然の5’リンカー配列であり、前記5’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、L3は、前記MHC Iエピトープの天然のC末端アミノ酸配列をコードする天然の3’リンカー配列であり、前記3’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列、及び、破傷風トキソイドMHCクラスII配列のそれぞれであり、前記ChAdVベクターは、E1(nt 577~3403)欠失、及びE3(nt 27,125~31,825)欠失を含む配列番号1の配列を含む、修飾ChAdV68配列を含み、前記ネオ抗原カセットは、前記E1欠失内に挿入され、前記MHCクラスI抗原コード核酸配列のそれぞれは、長さが25アミノ酸であるポリペプチドをコードする。
【0054】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系は、ChAdV68ベクター骨格を含み、ChAdV68ベクター骨格は、
(1)E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、
(2)E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825、及び、
任意で(3)ChAdV68の部分的に欠失されたE4遺伝子に対応する、ヌクレオチド34,916~35,642
を欠くことを除いて、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。
【0055】
いくつかの態様では、カセットは、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列と少なくとも1つのポリ(A)配列との間に組み込まれる。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、カセットに機能的に連結されている。
【0056】
いくつかの態様では、ChAdV骨格は、ChAdV68ベクター骨格を含む。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号1に記載される配列を含む。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、ChAdV68ゲノムに関連する、または、配列番号1に示す配列に関連する、アデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子において、機能的欠失を含み、任意で、前記アデノウイルス骨格または修飾ChAdV68配列は、アデノウイルスゲノムに関連する、または、配列番号1に示す配列に関連する、(1)E1A及びE1b、または(2)E1A、E1b、及びE3において完全に欠失されており、または機能的に欠失されており、任意で、E1遺伝子は、配列番号1に示す配列に関連する、少なくともヌクレオチド577~3403のE1欠失によって機能的に欠失されており、任意で、E3遺伝子は、配列番号1に示す配列に関連する、少なくともヌクレオチド27,125~31,825のE3欠失によって機能的に欠失されている。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、ChAdV68ゲノムに関連する、または、配列番号1に示す配列に関連する、1つ以上の遺伝子または調節配列を含み、任意で、1つ以上の遺伝子または調節配列は、チンパンジーアデノウイルス反転末端反復(ITR)、E1A、E1b、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子からなる群から選択される。
【0057】
いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、部分欠失E4遺伝子を含む。いくつかの態様では、部分欠失E4遺伝子は、A.配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列、B.配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~34,942、ヌクレオチド34,952~35,305、配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,302~35,642を欠き、ベクターが、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む、配列番号1に示されるE4遺伝子配列、C.配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,980~35,516を欠き、ベクターが、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む、配列番号1に示されるE4遺伝子配列、D.配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,979~35,642を欠き、ベクターが、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む、配列番号1に示されるE4遺伝子配列、E.E4Orf2の少なくとも部分欠失、完全欠失したE4Orf3、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失のE4欠失、F.E4Orf2の少なくとも部分欠失、E4Orf3の少なくとも部分欠失、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失のE4欠失G.E4Orf1の少なくとも部分欠失、完全欠失したE4Orf2、及びE4Orf3の少なくとも部分欠失のE4欠失、または、H.E4Orf2の少なくとも部分欠失、及びE4Orf3の少なくとも部分欠失のE4欠失を含む。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、少なくともヌクレオチド2~36,518を含む修飾ChAdV68配列を含み、前記ヌクレオチド2~36,518は、(1)E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、(2)E3欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド27,125~31,825、及び、(3)部分E4欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド34,916~35,642を欠き、任意で、前記抗原カセットは、前記E1欠失内に挿入される。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号29369に示す配列を含み、任意で、抗原カセットは、E1欠失内に挿入されている。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、少なくともヌクレオチド2~36,518を含む修飾ChAdV68配列を含み、前記ヌクレオチド2~36,518は、A.E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、B.E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825、C.部分E4欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド34,916~35,642、D.配列番号1に示す配列のヌクレオチド456~3014、E.配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,816~31,333、F.配列番号1に示される配列のヌクレオチド3957~10346、G.配列番号1に示される配列のヌクレオチド21787~23370、H.配列番号1に示される配列のヌクレオチド33486~36193、またはこれらの組み合わせを欠く。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、少なくともヌクレオチド2~36,518を含む修飾ChAdV68配列を含み、前記ヌクレオチド2~36,518は、(1)E1欠失に対応する、配列番号1に示す配列のヌクレオチド577~3403、及び、(2)E3欠失に対応する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠く。
【0058】
いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号1に記載される配列のチンパンジーアデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が配列から完全に欠失されているかまたは機能的に欠失されている点を除いて、配列番号1に記載される配列を含み、任意で、前記配列は、配列番号1に示す配列の(1)E1A及びE1B、(2)E1A、E1B、及びE3、または(3)E1A、E1B、E3、及びE4が完全に欠失されているかまたは機能的に欠失されている。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号1の配列から得られる遺伝子または調節配列を含み、任意で、前記遺伝子は、配列番号1に示す配列のチンパンジーアデノウイルスの末端逆位繰り返し配列(ITR)、E1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子からなる群から選択される。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号1に示す配列の塩基対番号577~3403の間、または塩基対456~3014の間に1つ以上の欠失を含み、任意で、ベクターは、塩基対27,125~31,825の間、または塩基対27,816~31,333の間に1つ以上の欠失をさらに有する。いくつかの態様では、ChAdV68ベクター骨格は、配列番号1に示す配列の塩基対番号3957~10346、塩基対番号21787~23370、及び塩基対番号33486~36193の間に1つ以上の欠失を含む。
【0059】
いくつかの態様では、カセットは、E1領域、E3領域、及び/または、カセットの組み込みを許容する任意の欠失されたAdV領域においてChAdV骨格に挿入される。いくつかの態様では、ChAdV骨格は、第1世代、第2世代、または、ヘルパー依存性アデノウイルスベクターのうちの1つから生成される。
【0060】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、CMV、SV40、EF-1、RSV、PGK、HSA、MCK、及びEBVプロモーター配列からなる群から選択される。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、CMVプロモーター配列である。
【0061】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列の少なくとも1つは、発現し、翻訳される際に、対象の細胞上に、MHCクラスIにより提示されることが可能なエピトープをコードする。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列の少なくとも1つは、発現し、翻訳される際に、対象の細胞上に、MHCクラスIIにより提示されることが可能なエピトープをコードする。
【0062】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、2つ以上の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列が互いに直接連結されている。
【0063】
いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は、リンカーをコードする核酸配列によって異なる抗原コード核酸配列と連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列またはMHCクラスIエピトープコード核酸配列を、1個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、(1)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したグリシン残基、(2)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したアラニン残基、(3)2個のアルギニン残基(RR)、(4)アラニン、アラニン、チロシン(AAY)、(5)哺乳動物プロテアーゼによって効率的にプロセシングされる、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さのコンセンサス配列、及び(6)同種由来タンパク質に由来する抗原に隣接し、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または2~20個の長さの1つ以上の天然配列からなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列または1個のMHCクラスII配列を、1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、配列GPGPGを含む。
【0064】
いくつかの態様では、抗原コード核酸配列は、抗原コード核酸配列の発現、安定性、細胞トラフィッキング、プロセシング及び提示、及び/または免疫原性を高める、分離した、または連続した配列に機能的または直接的に連結されている。いくつかの態様において、分離した、または連続した配列は、ユビキチン配列、プロテアソームターゲティング性を高めるように改変されたユビキチン配列(例えば、76位にGlyまたはAla置換を有するユビキチン配列)、免疫グロブリンシグナル配列(例えばIgK)、主要組織適合性クラスI配列、リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)-1、ヒト樹状細胞リソソーム関連膜タンパク質、及び主要組織適合性クラスII配列のうちの少なくとも1つを含み、任意でプロテアソームターゲティング性を高めるように改変された前記ユビキチン配列がA76である。
【0065】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルへの結合親和性を増大させる、少なくとも1つの変化を含む。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルへの結合安定性を増大させる、少なくとも1つの変化を含む。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、翻訳された、対応する野生型核酸配列と比較して、コードされたエピトープの、その対応するMHCアレルでの提示の可能性を増大させる、少なくとも1つの変化を含む。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの変化は、点変異、フレームシフト変異、非フレームシフト変異、欠失変異、挿入変異、スプライスバリアント、ゲノム再編成、またはプロテアソームにより生成されたスプライス抗原を含む。
【0066】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、がんを有すると知られているまたは疑われる対象において発現することが知られているまたは疑われているエピトープをコードする。いくつかの態様では、がんは、固形腫瘍を含む。いくつかの態様では、がんは、肺癌、メラノーマ、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、膀胱癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、成人急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌からなる群から選択される。
【0067】
いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも2~10、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列は、異なる抗原コード核酸配列をコードする。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含み、任意で、各抗原コード核酸配列は、異なる抗原コード核酸配列をコードする。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、少なくとも11~20、15~20、11~100、11~200、11~300、11~400、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、または最大で400個の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列は少なくとも2~400個の抗原コード核酸配列を含み、前記抗原コード核酸配列のうちの少なくとも2個は、細胞表面で、MHCクラスIによって提示されるポリペプチド配列またはその一部をコードする。いくつかの態様では、MHCクラスIエピトープの少なくとも2個は、腫瘍細胞表面上のMHCクラスIによって提示される。
【0068】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、少なくとも1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、各抗原コード核酸配列は、アミノ酸8~35個の長さ、任意でアミノ酸9~17、9~25、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個の長さの、ポリペプチド配列をコードする。
【0069】
いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在する。いくつかの態様では、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、コードされたエピトープ配列を、野生型核酸配列によってコードされる対応するペプチド配列とは異なるものにする、少なくとも1つの変化を含む、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含む。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、各抗原コード核酸配列は、アミノ酸12~20、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20~40個の長さのポリペプチド配列をコードする。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が存在し、少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列が、少なくとも1つのユニバーサルMHCクラスIIエピトープコード核酸配列を含み、任意で、少なくとも1つのユニバーサル配列は、破傷風トキソイド及びPADREの少なくとも一方を含む。
【0070】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、非誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)SV40ポリA配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、または少なくとも90個の連続したAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも100個の連続したAヌクレオチドである。
【0071】
いくつかの態様では、カセットは、イントロン配列、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子(WPRE)配列、内部リボソーム進入配列(IRES)配列、2A自己切断ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列、フーリン切断部位をコードするヌクレオチド配列、または、少なくとも1つの抗原コード核酸配列のうちの少なくとも1つに機能的に連結された、mRNAの核輸送、安定性、または翻訳効率を向上させることが知られている5’または3’末端の非コード領域内の配列のうちの少なくとも1つをさらに含む。いくつかの態様では、カセットは、緑色蛍光タンパク質(GFP)、GFPバリアント、分泌型アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼバリアント、または検出可能なペプチドもしくはエピトープを含むがこれらに限定されないレポーター遺伝子をさらに含む。いくつかの態様では、検出可能なペプチドまたはエピトープは、HAタグ、Flagタグ、Hisタグ、またはV5タグからなる群から選択される。
【0072】
いくつかの態様では、1つ以上のベクターは、少なくとも1つの免疫調節物質をコードする1つ以上の核酸配列をさらに含む。いくつかの態様では、免疫調節物質は、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、抗4-1BB抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または抗OX-40抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、一本鎖Fv(scFv)、単一特異性抗体もしくは互いに連結された多重特異性抗体としての単一ドメイン抗体(sdAb)(例えば、ラクダ科動物の抗体ドメイン)、または完全長の一本鎖抗体(例えば、柔軟なリンカーによって重鎖と軽鎖が連結された完全長IgG)である。いくつかの態様では、抗体の前記重鎖配列と前記軽鎖配列とは、2AまたはIRESのような自己切断配列によって分離された連続的配列であるか、または抗体の重鎖配列と軽鎖配列とは連続したグリシン残基のような柔軟性リンカーによって連結される。いくつかの態様では、免疫調節物質はサイトカインである。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、もしくはIL-21、またはそれぞれのそのバリアントである。
【0073】
いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、MHCクラスIエピトープコード核酸配列は、(a)腫瘍から、エクソーム、トランスクリプトーム、または、全ゲノム腫瘍ヌクレオチド配列決定データのうちの少なくとも1つを得るステップであって、前記腫瘍ヌクレオチド配列決定データを使用して、エピトープのセットそれぞれのペプチド配列を表すデータが得られる、前記得るステップと、(b)各エピトープのペプチド配列を提示モデルに入力して、エピトープのそれぞれが腫瘍の腫瘍細胞表面において1つ以上のMHCアレルによって提示される数値的尤度のセットを生成するステップであって、前記一連の数値的尤度は、少なくとも、受信した質量分析データに基づき識別されている、前記生成するステップと、(c)前記数値的尤度のセットに基づく前記エピトープのセットのサブセットを選択して、選択されたエピトープのセットを生成するステップであって、これを使用して、前記MHCクラスIエピトープコード核酸配列を生成する、前記生成するステップと、を行うことにより選択される。いくつかの態様では、MHCクラスIエピトープコード核酸配列のそれぞれは、(a)腫瘍から、エクソーム、トランスクリプトーム、または、全ゲノム腫瘍ヌクレオチド配列決定データのうちの少なくとも1つを得るステップであって、前記腫瘍ヌクレオチド配列決定データを使用して、エピトープのセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータが得られる、前記得るステップと、(b)各エピトープのペプチド配列を提示モデルに入力して、エピトープのそれぞれが腫瘍の腫瘍細胞表面において1つ以上のMHCアレルによって提示される数値的尤度のセットを生成するステップであって、前記数値的尤度のセットは、少なくとも、受信した質量分析データに基づき識別されている、前記生成するステップと、(c)前記数値的尤度のセットに基づく前記エピトープのセットのサブセットを選択して、選択されたエピトープのセットを生成するステップであって、これを使用して、少なくとも20個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列を生成する、前記生成するステップと、を行うことにより選択される。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットの数は、2~20である。いくつかの態様では、提示モデルは、(a)前記MHCアレルのうちの特定の1つとペプチド配列の特定の位置の特定のアミノ酸とのペアの存在と、(b)前記ペアの前記MHCアレルのうちの前記特定の1つによる、前記特定の位置に前記特定のアミノ酸を含むそのようなペプチド配列の腫瘍細胞表面上での提示の尤度との間の依存性を表す。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づき、選択されていないエピトープと比較して、腫瘍細胞表面上に提示されている可能性が増大しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づき、選択されていないエピトープと比較して、対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導することができる可能性が増大しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対してプロフェッショナルエピトープ提示細胞(APC)によってナイーブT細胞に対して提示される尤度が増大している抗原を選択することを含み、任意で、APCは樹状細胞(DC)である。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対して中枢性寛容または末梢性寛容によって阻害される尤度が減少しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、前記選択されたエピトープのセットを選択することは、提示モデルに基づいて選択されないエピトープに対して対象に正常組織に対する自己免疫応答を誘導することができる尤度が減少しているエピトープを選択することを含む。いくつかの態様では、エクソームまたはトランスクリプトームヌクレオチド配列決定データ は、腫瘍組織にて配列決定を行うことで取得される。いくつかの態様では、シークエンシングは、次世代シークエンシング(NGS)または任意の大規模並列処理シークエンシングアプローチである。
【0074】
いくつかの態様では、カセットは、カセット内の隣接配列によって形成されたジャンクションエピトープ配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのまたはそれぞれのジャンクションエピトープ配列は、MHCに対して500nMよりも高い親和性を有する。いくつかの態様では、各ジャンクションエピトープ配列は、非自己である。
【0075】
いくつかの態様では、カセットは、翻訳後の野生型核酸配列を含む非治療的なMHCクラスIおよびMHCクラスIIエピトープ核酸配列をコードしておらず、非治療的エピトープが対象のMHCアレル上に提示されると予測される。いくつかの態様では、非治療的な予測されたMHCクラスIまたはMHCクラスIIエピトープ配列は、カセット内の隣接配列によって形成されたジャンクションエピトープ配列である。いくつかの態様では、予測は、前記非治療的エピトープの配列を提示モデルに入力することによって生成される提示尤度に基づいたものである。いくつかの態様では、カセット内における抗原コード核酸配列の順序は、(a)前記抗原コード核酸配列の異なる順序に対応した候補カセット配列のセットを生成する工程と、(b)前記各候補カセット配列について、候補カセット配列内の非治療的エピトープの提示に基づいた提示スコアを決定する工程と、(c)所定の閾値を下回る提示スコアに関連する候補カセット配列を、ワクチン用のカセット配列として選択する工程と、を含む一連の工程によって決定される。
【0076】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中で製剤化される。
【0077】
いくつかの態様では、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つ以上が、前記対象の腫瘍に由来する。いくつかの態様では、前記エピトープコード核酸配列のそれぞれが、前記対象の腫瘍に由来する。いくつかの態様では、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つ以上が、前記対象の腫瘍に由来しない。いくつかの態様では、前記エピトープコード核酸配列のそれぞれが、前記対象の腫瘍に由来しない。いくつかの態様では、エピトープコード核酸配列は、配列番号57~29,364からなる群から選択されるエピトープを含む。
【0078】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物のカセットは、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物のカセットと同一である。いくつかの態様では、用量のそれぞれについて、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物のカセットは同一である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、及び添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【0080】
図1】維持療法の臨床上の方法を示す概略図を表す。
【0081】
図2】補助療法の臨床上の方法を示す概略図を表す。
【0082】
図3】臨床維持療法投与レジメンを表す。STS=研究治療ステージ。VPS=ワクチン生産ステージ。SOC=標準的なケア
【発明を実施するための形態】
【0083】
詳細な説明
I.定義
一般に、特許請求の範囲及び明細書において使用される用語は、当業者により理解される通常の意味を有するものとして解釈されるものとする。特定の用語を、さらなる明確性を与えるために下記に定義する。通常の意味と与えられる定義との間に矛盾が存在する場合、与えられる定義が用いられるものとする。
【0084】
本明細書で使用するところの「抗原」という用語は、免疫反応を刺激する物質のことである。抗原は、ネオ抗原であってよい。抗原は、特定の集団、例えば、がん患者の特定の集団間にみられる抗原である「共有抗原」であってよい。
【0085】
本明細書で使用するところの「ネオ抗原」なる用語は、例えば、腫瘍細胞の変異、または腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾によって、抗原を対応する野生型抗原とは異なるものにする、少なくとも1つの変化を有する抗原のことである。ネオ抗原は、ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列を含んでよい。変異は、フレームシフトもしくは非フレームシフトインデル、ミスセンスもしくはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、または、新生ORFを生じる任意のゲノム変化もしくは発現変化を含むことができる。変異はまた、スプライスバリアントも含むことができる。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾は、異常リン酸化を含むことができる。腫瘍細胞に特異的な翻訳後修飾はまた、プロテアソームによって生成されるスプライス抗原も含むことができる。Liepe et al.,A large fraction of HLAclass I ligands are proteasome- generated spliced peptides;Science.2016 Oct 21;354(6310):354-358を参照されたい。例示的な、共有された抗原を、表A、及び、AACR GENIE結果(配列番号10,755-29,357)に示し、各抗原に対応するHLAアレル(複数可)もまた示す。このような、共有されたネオ抗原は、投与により、対象において免疫応答を誘導するのに有用である。投与を行うための対象は、様々な診断方法、例えば、下記でさらに述べる患者選択方法の使用により特定することができる。
【0086】
本明細書で使用するところの「腫瘍抗原」という用語は、対象の腫瘍細胞もしくは組織中に存在するが、対象の対応する正常細胞もしくは組織中には存在しない抗原、または正常細胞もしくは組織と比較して腫瘍細胞もしくはがん性組織中で発現が変化していることが知られているかまたは見出されているポリペプチドに由来する抗原である。
【0087】
本明細書において使用するところの「抗原ベースワクチン」という用語は、1つ以上の抗原、例えば複数の抗原に基づいたワクチン組成物のことである。ワクチンは、ヌクレオチドベース(例えば、ウイルスベース、RNAベース、またはDNAベース)、タンパク質ベース(例えば、ペプチドベース)、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0088】
本明細書において使用するところの「候補抗原」という用語は、抗原を表しうる配列を生じる変異または他の異常のことである。
【0089】
本明細書において使用するところの「コード領域」という用語は、タンパク質をコードする遺伝子の部分(複数可)のことである。
【0090】
本明細書において使用するところの「コード変異」という用語は、コード領域で生じる変異のことである。
【0091】
本明細書において使用するところの「ORF」という用語は、オープンリーディングフレームを意味する。
【0092】
本明細書において使用するところの「新生ORF」なる用語は、変異またはスプライシングなどの他の異常により生じる腫瘍特異的なORFのことである。
【0093】
本明細書において使用するところの「ミスセンス変異」という用語は、1つのアミノ酸から別のアミノ酸への置換を引き起こす変異である。
【0094】
本明細書において使用される場合、「ナンセンス変異」という用語は、アミノ酸から終止コドンへの置換を引き起こすか、またはカノニカル開始コドンの除去を引き起こす変異である。
【0095】
本明細書において使用される場合、「フレームシフト変異」という用語は、タンパク質のフレームに変更を引き起こす変異である。
【0096】
本明細書において使用される場合、「インデル」という用語は、1つ以上の核酸の挿入または欠失である。
【0097】
本明細書において使用される場合、2つ以上の核酸またはポリペプチドの配列との関連での「同一率」(%)という用語は、下記の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTN、または当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを用いて、または目視検査により測定される、最大の一致について比較し、整列させた場合に、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定の比率(%)が同じである2つ以上の配列または部分配列のことを指す。用途に応じて、「同一率」(%)は、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在するか、あるいは、比較される2つの配列の完全長にわたって存在することができる。
【0098】
配列比較では、一般的に、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要な場合には部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムのパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムが、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一率(%)を算出する。あるいは、配列の類似性または相違性は、選択された配列位置(例えば、配列モチーフ)における特定のヌクレオチドの、または翻訳後の配列ではアミノ酸の有無の組み合わせによって確立することもできる。
【0099】
比較を行うための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性の探索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ処理による実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によって、または目視検査によって実施することができる(一般的には、下記のAusubel et al.を参照)。
【0100】
配列同一率(%)及び配列類似率(%)を決定するのに適したアルゴリズムの1つの例として、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されるBLASTアルゴリズムがある。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公に入手可能である。
【0101】
本明細書において使用される場合、「ノンストップまたはリードスルー」という用語は、天然の終止コドンの除去を引き起こす変異のことである。
【0102】
本明細書において使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体が一般的に結合する、抗原の特異的な部分のことである。
【0103】
本明細書において使用される場合、「免疫原性」という用語は、例えば、T細胞、B細胞、またはその両方を介して免疫応答を刺激する能力のことである。
【0104】
本明細書において使用される場合、「HLA結合親和性」、「MHC結合親和性」という用語は、特異的な抗原と特異的なHLAまたはMHCアレルとの結合の親和性を意味する。
【0105】
本明細書において使用される場合、「ベイト」という用語は、DNAまたはRNAの特定の配列を試料から濃縮するために使用される核酸プローブのことである。
【0106】
本明細書において使用される場合、「変異」という用語は、対象の核酸と、対照として使用される参照ヒトゲノムとの差である。
【0107】
本明細書において使用される場合、「変異コール」という用語は、典型的にはシークエンシングからの、変異の存在のアルゴリズム的決定である。
【0108】
本明細書において使用される場合、「多型」という用語は、生殖細胞系列変異、すなわち、個体のすべてのDNA保有細胞において見出される変異である。
【0109】
本明細書において使用される場合、「体細胞変異」という用語は、個体の非生殖系列細胞において生じる変異である。
【0110】
本明細書において使用される場合、「アレル」という用語は、遺伝子の1つのバージョンまたは遺伝子配列の1つのバージョンまたはタンパク質の1つのバージョンのことである。
【0111】
本明細書において使用される場合、「HLA型」という用語は、HLA遺伝子アレルの相補体のことである。
【0112】
本明細書において使用される場合、「ナンセンス変異依存分解機構」または「NMD」という用語は、未成熟な終止コドンに起因する細胞によるmRNAの分解のことである。
【0113】
本明細書において使用される場合、「トランカル変異(truncal mutation)」という用語は、腫瘍の発生の初期に生じ、腫瘍の細胞の大部分に存在する変異である。
【0114】
本明細書において使用される場合、「サブクローナル変異」という用語は、腫瘍の発生において後期に生じ、腫瘍の細胞の一部のみに存在する変異である。
【0115】
本明細書において使用される場合、「エクソーム」という用語は、タンパク質をコードするゲノムのサブセットである。エクソームは、ゲノムの集合的なエクソンでありうる。
【0116】
本明細書において使用される場合、「ロジスティック回帰」という用語は、従属変数が1に等しい確率のロジットが従属変数の線形関数としてモデル化される、統計からのバイナリデータ用の回帰モデルである。
【0117】
本明細書において使用される場合、「ニューラルネットワーク」という用語は、多層の線形変換に続いて一般的に確率的勾配降下法及び逆伝搬により訓練された要素ごとの非線形変換を行うことからなる分類または回帰のための機械学習モデルである。
【0118】
本明細書において使用される場合、「プロテオーム」という用語は、細胞、細胞の群、または個体によって発現される、及び/または翻訳されるすべてのタンパク質のセットのことである。
【0119】
本明細書において使用される場合、「ペプチドーム」という用語は、細胞表面上のMHC-IまたはMHC-IIによって提示されるすべてのペプチドのセットのことである。ペプチドームは、細胞または細胞の集合の性質を指す場合もある(例えば、腫瘍ペプチドームは、腫瘍に含まれるすべての細胞ペプチドームの集合を意味する)。
【0120】
本明細書において使用される場合、「ELISpot」という用語は、ヒト及び動物において免疫応答を観察するための一般的な方法である、酵素結合免疫吸着スポットアッセイを意味する。
【0121】
本明細書において使用される場合、「デキサトラマー」という用語は、フローサイトメトリーにおいて抗原特異的T細胞染色に使用される、デキストランベースのペプチド-MHCマルチマーである。
【0122】
本明細書において使用される場合、「寛容または免疫寛容」という用語は、1つ以上の抗原、例えば、自己抗原に対する免疫不応答の状態のことである。
【0123】
本明細書において使用される場合、「中枢性寛容」という用語は、自己反応性T細胞クローンを欠失させること、または自己反応性T細胞クローンの免疫抑制性制御性T細胞(Treg)への分化を促進することのいずれかにより、胸腺において与えられる寛容である。
【0124】
本明細書において使用される場合、「末梢性寛容」という用語は、中枢性寛容を生き延びた自己反応性T細胞を下方制御もしくはアネルギー化すること、またはこれらのT細胞のTregへの分化を促進することにより、末梢系において与えられる寛容である。
【0125】
「試料」という用語は、静脈穿刺、排泄、射精、マッサージ、生検、針吸引、洗浄試料、擦過、外科的切開、もしくは介入、または当技術分野において公知の他の手段を含む手段によって対象から採取された、単一細胞、または複数の細胞、または細胞の断片、または体液のアリコートを含むことができる。
【0126】
「対象」という用語は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロ、雄または雌のいずれかの、細胞、組織、または生物体、ヒトまたは非ヒトを包含する。対象という用語は、ヒトを含む哺乳動物を含める。
【0127】
「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒトの両方を包含し、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含むが、それらに限定されない。
【0128】
「臨床的因子」という用語は、対象の状態、例えば、疾患の活性または重症度の測定を指す。「臨床的因子」は、非試料マーカーを含む、対象の健康状態のすべてのマーカー、ならびに/または、非限定的に年齢及び性別などの、対象の他の特徴を包含する。臨床的因子は、対象または所定の条件下の対象由来の試料(または試料の集団)の評定から取得され得るスコア、値、または値のセットであることができる。臨床的因子はまた、マーカー、及び/または遺伝子発現代替物などの他のパラメータによっても予測することができる。臨床的因子は、腫瘍のタイプ、腫瘍のサブタイプ、及び喫煙歴を含むことができる。
【0129】
「腫瘍由来の抗原コード核酸配列」とは、例えばRT-PCRによって腫瘍から得られた核酸配列、または、腫瘍をシークエンシングした後、例えば当該技術分野では周知の様々な合成法もしくはPCRに基づく方法によりシークエンシングデータを利用して核酸配列を合成することによって得られた配列データのことを指す。得られる配列は、腫瘍から得られた対応する天然の核酸配列と同じポリペプチド配列をコードする、配列最適化された核酸配列バリアント(例えば、コドン最適化及び/または他の形で発現が最適化された)などの核酸配列バリアントを含み得る。
【0130】
「アルファウイルス」という用語は、トガウイルス科のメンバーのことを指し、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。アルファウイルスは、一般的に、シンドビス、ロスリバー、マヤロ、チクングニア、及びセムリキ森林ウイルスなどの旧世界型、または、東部ウマ脳炎ウイルス、アウラ、フォートモルガン、もしくはベネズエラウマ脳炎ウイルス及びその誘導株TC-83などの新世界型に分類される。アルファウイルスは一般的には自己複製RNAウイルスである。
【0131】
「アルファウイルス骨格」という用語は、ウイルスゲノムの自己複製を可能とするアルファウイルスの最小配列(複数可)のことを指す。最小配列としては、非構造タンパク質媒介増幅用の保存配列、非構造タンパク質1(nsP1)遺伝子、nsP2遺伝子、nsP3遺伝子、nsP4遺伝子、及びポリA配列、ならびに、サブゲノミック(例えば、26S)プロモーター因子をはじめとするサブゲノミックウイルスRNAの発現用の配列を挙げることができる。
【0132】
「非構造タンパク質媒介増幅用の保存配列」という用語には、当該技術分野では周知のアルファウイルス保存配列因子(CSE)が含まれる。CSEとしては、これらに限定されるものではないが、アルファウイルス5’UTR、51-nt CSE、24-nt CSE、サブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)、19-nt CSE、及びアルファウイルス3’UTRが挙げられる。「RNAポリメラーゼ」という用語には、DNA鋳型からのRNAポリヌクレオチドの生成を触媒するポリメラーゼが含まれる。RNAポリメラーゼとしては、これらに限定されるものではないが、T3、T7、及びSP6を含むバクテリオファージ由来ポリメラーゼが挙げられる。
【0133】
「脂質」という用語には、疎水性及び/または両親媒性分子が含まれる。脂質は、カチオン性、アニオン性、または中性であってよい。脂質は、合成または天然由来のものであってよく、特定の例では生分解性であってよい。脂質は、コレステロール、リン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)複合体(PEG化脂質)を含む(ただしこれに限定されない)脂質複合体、ワックス、油類、グリセリド、脂肪、及び脂溶性ビタミンを含みうる。脂質には、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(MC3)及びMC3様分子も含まれうる。
【0134】
「脂質ナノ粒子」または「LNP」という用語には、リポソームとも呼ばれる、水性の内部を包囲する脂質含有膜を用いて形成された小胞様構造が含まれる。脂質ナノ粒子は、界面活性剤により安定化された固体脂質コアを有する脂質ベースの組成物を含む。コア脂質は、脂肪酸、アシルグリセロール、ワックス、及びこれらの界面活性剤の混合物であってよい。リン脂質、スフィンゴミエリン、胆汁酸(タウロコール酸)、及びステロール類(コレステロール)のような生体膜脂質を安定化剤として用いることができる。脂質ナノ粒子は、1種類以上のカチオン性、アニオン性、または中性脂質の規定の比率を含む(ただし、これに限定されない)、規定の比率の異なる脂質分子を用いて形成することができる。脂質ナノ粒子は、外膜シェル内に分子を封入することができ、その後、標的細胞と接触させて封入分子を宿主細胞のサイトゾルに送達することができる。脂質ナノ粒子は、それらの表面などを非脂質分子で修飾または官能化することができる。脂質ナノ粒子は、単一層(単層)または多層(複層)とすることができる。脂質ナノ粒子は、核酸と複合体化することができる。単層脂質ナノ粒子を核酸と複合体化することができ、その場合、核酸は水性の内部となる。複層脂質ナノ粒子を核酸と複合体化することができ、その場合、核酸は水性の内部となるか、またはその間を形成するかまたはその間に挟まれる。
【0135】
「薬学的に有効な量」という用語は、細胞に、十分なレベルのタンパク質、タンパク質発現、及び/または細胞シグナル伝達活性(例えば、アジュバント媒介活性化)を付与し、ワクチンの効果、即ち、ある程度測定可能なレベルの免疫を付与するのに、投与経路中で有効な、ワクチン構成成分(ペプチド、組換えベクター、及び/またはアジュバント)の量である。
【0136】
略語:MHC:主要組織適合性複合体;HLA:ヒト白血球抗原、またはヒトMHC遺伝子座;NGS:次世代シークエンシング;PPV:陽性適中率;TSNA:腫瘍特異的ネオ抗原;FFPE:ホルマリン固定パラフィン包埋;NMD:ナンセンス変異依存分解機構;NSCLC:非小細胞肺癌;DC:樹状細胞。
【0137】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によってそうでない旨が明示されない限り、複数の指示物を含む点に留意されたい。
【0138】
特に断らない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書において使用される「約」という用語は、例えば、平均から標準偏差2つ分以内など、当該技術分野における公称公差の範囲内にあるものとして理解される。「約」は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解することができる。文脈から明らかでない限り、本明細書に示される全ての数値は「約」という語によって修飾されている。
【0139】
本明細書において直接定義されていない用語は、本発明の技術分野の範囲内で理解されるような、一般的にそれらに付随する意味を有するものとして理解されるべきである。本発明の態様の組成物、装置、方法など、ならびにそれらの製造または使用法を説明するうえで実施者にさらなる手引きを与える目的で特定の用語が本明細書で検討される。同じものについて複数の言い方がなされうる点は認識されるであろう。したがって、代替的な語及び同義語が、本明細書で検討される用語の任意の1つ以上について用いられる場合がある。本明細書においてある用語が詳述または検討されているか否かに重きが置かれるべきではない。いくつかの同義語または代用可能な方法、材料などが提供される。1つまたは数個の同義語または均等物の記載は、明確に述べられない限り、他の同義語または均等物の使用を除外しない。用語の例を含む例の使用は、あくまで説明を目的としたものにすぎず、本明細書における発明の態様の範囲及び意味を限定しない。
【0140】
本明細書の本文において引用されるすべての参照文献、発行特許、及び特許出願は、あらゆる目的でそれらの全容を参照により本明細書に援用するものである。
【0141】
II.抗原の特定
腫瘍の及び正常なエクソーム及びトランスクリプトームのNGS解析の研究モデルについては、これまでに記載されており、抗原特定空間で適用される。6,14,15臨床状況における抗原特定の感度及び特異性を高めるための特定の最適化を考慮することができる。これらの最適化は、実験室プロセスに関連するものと、NGSデータ解析に関連するものの2つの領域に分類することができる。記載される研究法は、感染症生物、対象の感染症、または対象の感染細胞からの特定など、他の状況での抗原の特定にも適用することができる。最適化の例は当業者には周知のものであり、例えば、そのような方法が、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1号、米国特許出願第16/606,577号、及び国際特許出願公開第WO2020181240A1号、同第WO/2018/195357号及び同第WO2018/208856号により詳細に記載されている。
【0142】
共有された抗原(例えば、ネオ抗原)を特定するための方法は、樹状細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞を含む、腫瘍もしくは免疫細胞の上面に提示される可能性が高い、及び/または、免疫原性である可能性が高い、対象の腫瘍に由来する抗原を特定することを含む。例として、かかる方法の1つは、対象の腫瘍細胞からエクソーム、トランスクリプトーム、または全ゲノムの腫瘍ヌクレオチドシークエンシング及び/または発現データのうちの少なくとも1つを取得する工程であって、前記腫瘍ヌクレオチドシークエンシングデータ及び/または発現データを用いて抗原(例えば、各ネオ抗原のペプチド配列が、対応する野生型ペプチド配列と異なるものにする少なくとも1つの変化を含むネオ抗原の場合、または、ペプチドが、通常の細胞もしくは組織と比較して、腫瘍細胞もしくはがん性組織において、変化した発現を有することが知られている、もしくは有することが発見されている任意のポリペプチドに由来する変異を有しない、共有された抗原の場合)のセットのそれぞれのペプチド配列を表すデータが得られる、前記工程と、各抗原のペプチド配列を1つ以上の提示モデルに入力して抗原のそれぞれが、対象の腫瘍細胞または腫瘍に存在する細胞の腫瘍細胞表面の1つ以上のMHCアレルによって提示される数値的尤度のセットを生成する工程であって、前記数値的尤度のセットが、受け取られた質量分析データに少なくとも基づいて特定されたものである、前記工程と、前記数値的尤度のセットに基づいて抗原のセットのサブセットを選択して、選択された抗原のセットを生成する工程と、を含むことができる。
【0143】
III.ネオ抗原の腫瘍特異的変異の特定
本明細書では、特定の変異(例えば、がん細胞に存在するバリアントまたはアレル)を特定するための方法も開示する。詳細には、これらの変異は、がんを有する対象のがん細胞のゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはエクソーム内に存在し得るが、対象からの正常組織には存在しない。腫瘍に特異的な共有ネオ抗原を含むネオ抗原を特定するための具体的な方法は当業者には周知のものであり、これらの方法は例えば、あらゆる目的で本明細書に参照によりそれらの全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、及び同第WO/2018/208856号により詳細に記載されている。腫瘍に特異的な共有ネオ抗原の例は、あらゆる目的で本明細書にその全容を援用するところの国際特許出願公開第WO2019226941A1号により詳細に記載されている。
【0144】
腫瘍の遺伝子変異は、こうした変異が、腫瘍においてのみタンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらす場合に腫瘍の免疫学的ターゲティングに有用と考えられる。有用な変異としては、(1)タンパク質内に異なるアミノ酸を生じる非同義変異、(2)C末端に新規な腫瘍特異的配列を有するより長いタンパク質の翻訳を生じる、終止コドンが改変または欠失されたリードスルー変異、(3)成熟mRNAへのイントロンの導入、それによる固有の腫瘍特異的タンパク質配列を生じるスプライス部位変異、(4)2個のタンパク質の接合部に腫瘍特異的配列を有するキメラタンパク質を生じる染色体再編成(すなわち、遺伝子融合)、(5)新規な腫瘍特異的タンパク質配列を有する新たなオープンリーディングフレームを生じるフレームシフト変異または欠失が挙げられる。変異には、非フレームシフトインデル、ミスセンスまたはナンセンス置換、スプライス部位変化、ゲノム再編成もしくは遺伝子融合、または新生ORFを生じる任意のゲノムもしくは発現変化のうちの1つ以上も含まれる。
【0145】
例えば、腫瘍細胞のスプライス部位、フレームシフト、リードスルー、または遺伝子融合変異から生じる変異を有するペプチドまたは変異ポリペプチドは、正常細胞に対して腫瘍のDNA、RNA、またはタンパク質をシークエンシングすることにより特定することができる。
【0146】
また、変異は、以前に特定されている腫瘍特異的変異も含み得る。既知の腫瘍変異は、COSMIC(Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)データベースで見つけることができる。
【0147】
個人のDNAまたはRNAの特定の変異またはアレルの存在を検出するための各種の方法が利用可能である。この分野での進歩により、正確で容易な、かつ低費用の大規模SNP遺伝子型判定が可能となっている。例えば、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイダイアゴナルゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、ならびにAffymetrixのSNPチップのような様々なDNA「チップ」技術を含むいくつかの手法がこれまでに記載されている。これらの方法は、一般的にはPCRによる標的遺伝子領域の増幅を利用したものである。侵襲的切断による小さなシグナル分子の生成に続き、質量分析または固定化したパッドロックプローブ及びローリングサークル増幅を行うことに基づくさらに他の方法もある。特定の変異を検出するための、当該技術分野では周知の方法のいくつかを下記に要約する。
【0148】
PCRベースの検出手段は、複数のマーカーの同時の多重増幅を含むことができる。例えば、サイズがオーバーラップせず、同時に解析することができるPCR産物を生成するようにPCRプライマーを選択することは、当該技術分野では周知である。あるいは、差次的に標識され、したがって、それぞれを差次的に検出することができるプライマーで異なるマーカーを増幅することも可能である。ハイブリダイゼーションベースの検出手段によれば、試料中の複数のPCR産物の差次的な検出が可能になる点は言うまでもない。複数のマーカーの多重分析を可能とする他の手法も当該技術分野で知られている。
【0149】
ゲノムDNAまたは細胞RNAの単一ヌクレオチド多型の分析を容易にするためのいくつかの方法が開発されている。例えば、一塩基多型は、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)において開示されるような、特殊なエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチドを用いることによって検出することができる。この方法によれば、多型部位のすぐ3’側のアレル配列と相補的なプライマーを、特定の動物またはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズさせる。標的分子上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオチド誘導体と相補的であるヌクレオチドを含んでいる場合、その誘導体は、ハイブリダイズしたプライマーの末端に組み込まれる。このような組み込みにより、プライマーはエキソヌクレアーゼに対して抵抗性となるため、その検出が可能となる。試料のエキソヌクレアーゼ抵抗性誘導体の性質は分かっているため、プライマーがエキソヌクレアーゼに対して抵抗性になったという事実によって、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチド(複数可)が、反応に用いられたヌクレオチド誘導体のヌクレオチドと相補的であることが示される。この方法は、大量の外来性配列データの決定を必要としないという利点を有する。
【0150】
多型部位のヌクレオチドの種類を決定するために、溶液ベースの方法を使用することができる(Cohen,D.et al.(フランス国特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/02087号)。米国特許第4,656,127号のMundyの方法におけるように、多型部位のすぐ3’側のアレル配列に対して相補的であるプライマーが使用される。この方法は、多型部位のヌクレオチドに対して相補的である場合にプライマーの末端に組み込まれる標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体を使用してその部位のヌクレオチドの性質を決定するものである。
【0151】
遺伝子ビット分析(Genetic Bit Analysis)またはGBAとして知られる代替的な方法が、Goelet,P.et al.(PCT出願第92/15712号)により記載されている。Goelet,P.et al.の方法では、標識ターミネーターと、多型部位の3’側の配列に対して相補的であるプライマーとの混合物を使用する。したがって、組み込まれた標識ターミネーターは、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドによって決定され、これらのヌクレオチドと相補的である。Cohen et al.(フランス国特許第2,650,840号;PCT出願第WO91/02087号)の方法に対して、Goelet,P.et al.の方法は、プライマーまたは標的分子が固相に固定化される、不均一相アッセイとすることができる。
【0152】
DNA内の多型部位をアッセイするためのいくつかのプライマーガイドヌクレオチド取り込み法がこれまでに記載されている(Komher,J.S.et al.,Nucl.Acids.Res.17:7779-7784(1989);Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990);Syvanen,A.-C.,et al.,Genomics 8:684-692(1990);Kuppuswamy,M.N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.) 88:1143-1147(1991);Prezant,T.R.et al.,Hum.Mutat.1:159-164(1992);Ugozzoli,L.et al.,GATA 9:107-112(1992);Nyren,P.et al.,Anal.Biochem.208:171-175(1993))。これらの方法は、多型部位の塩基間で区別するために標識デオキシヌクレオチドの組み込みを用いている点でGBAとは異なる。かかるフォーマットでは、シグナルが組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同じヌクレオチドの複数のランに生じる多型は、ランの長さに比例したシグナルを生じ得る(Syvanen,A.-C.,et al.,Amer.J.Hum.Genet.52:46-59(1993))。
【0153】
多くの手法が、DNAまたはRNAの数百万の個別の分子から並行して直接配列情報を得ている。逐次合成によるリアルタイムな単一分子シークエンシング(Real-time single molecule sequencing-by-synthesis)技術は、シークエンシングされる鋳型に相補的なDNAの新生鎖に蛍光ヌクレオチドが取り込まれることから蛍光ヌクレオチドの検出に基づいている。1つの方法では、30~50塩基の長さのオリゴヌクレオチドの5’末端がカバーグラスに共有結合によって固定される。これらの固定された鎖は2つの機能を果たす。第1に、これらの固定された鎖は、鋳型鎖が、表面に結合されたオリゴヌクレオチドに相補的な捕捉テールを有するように構成されている場合に標的鋳型鎖の捕捉鎖として機能する。これらは、配列読取りの基礎をなす鋳型誘導プライマー伸長のプライマーとしても機能する。捕捉プライマーは、色素リンカーの合成、検出、及び色素を除去するための化学的切断の複数のサイクルを用いた配列決定における固定位置部位として機能する。各サイクルは、ポリメラーゼ/標識ヌクレオチド混合物の添加、洗浄、イメージング、及び色素の切断を含む。別の方法では、ポリメラーゼを蛍光ドナー分子で修飾してカバーグラス上に固定する一方で、各ヌクレオチドを、γ位リン酸に結合されたアクセプター蛍光部分で色コード化する。このシステムは、蛍光標識されたポリメラーゼと蛍光修飾されたヌクレオチドとの相互作用を、ヌクレオチドが新生鎖に取り込まれる際に検出する。他の逐次合成によるシークエンシング技術も存在する。
【0154】
任意の適当な逐次合成によるシークエンシングプラットフォームを用いて変異を特定することができる。上記に述べたように、Roche/454 Life Sciencesより提供されるGenome Sequencer、Illumina/Solexaより提供される1G Analyzer、Applied BioSystemsより提供されるSOLiDシステム、及びHelicos Biosciencesより提供されるHeliscopeシステムの4つの主要な逐次合成によるシークエンシングプラットフォームが現在、利用可能である。逐次合成によるシークエンシングのプラットフォームは、Pacific BioSciences及びVisiGen Biotechnologiesによっても記載されている。いくつかの実施形態では、シークエンシングする複数の核酸分子を支持体(固体支持体)に結合させる。核酸を支持体上に固定するため、捕捉配列/ユニバーサルプライミング部位を鋳型の3’及び/または5’末端に付加することができる。核酸は、支持体に共有結合により結合させた相補的配列に捕捉配列をハイブリダイズさせることによって支持体に結合させることができる。捕捉配列(ユニバーサル捕捉配列とも呼ばれる)は、ユニバーサルプライマーとして二重に機能することができる、支持体に結合された配列に相補的な核酸配列である。
【0155】
捕捉配列に代わるものとして、カップリングペア(例えば、米国特許出願第2006/0252077号に記載されるような、抗体/抗原、受容体/リガンド、またはアビジン/ビオチンのペア)のメンバーを、そのカップリングペアの対応する第2のメンバーでコーティングした表面上に捕捉させようとする各フラグメントと結合させることができる。
【0156】
捕捉後、配列を例えば、鋳型依存型の逐次合成によるシークエンシングを含む、実施例及び/または米国特許第7,283,337号に記載されるような単一分子検出/シークエンシングによって分析することができる。逐次合成によるシークエンシングでは、表面に結合させた分子を、ポリメラーゼの存在下で複数の標識ヌクレオチド三リン酸に曝露する。鋳型の配列は、成長する鎖の3’末端に取り込まれた標識ヌクレオチドの順序によって決定される。これは、リアルタイムで行うことができ、また、ステップ・アンド・リピートモードで行うことができる。リアルタイム分析では、各ヌクレオチドに対する異なる光学標識を取り込ませ、複数のレーザーを取り込まれたヌクレオチドの刺激に用いることができる。
【0157】
シークエンシングは、他の大規模並行シークエンシングまたは次世代シークエンシング(NGS)技術及びプラットフォームを含んでもよい。大規模並行シークエンシング技術及びプラットフォームのさらなる例としては、Illumina HiSeqまたはMiSeq、Thermo PGMまたはProton、Pac Bio RS IIまたはSequel、QiagenのGene Reader、及びOxford Nanopore MinIONがある。さらなる同様の現在の大規模並行シークエンシング技術、ならびにこれらの技術の将来的世代のものを用いることができる。
【0158】
任意の細胞タイプまたは組織を用いて本明細書に記載される方法で使用するための核酸試料を得ることができる。例えば、DNAまたはRNA試料は、腫瘍または既知の方法(例えば、静脈穿刺)によって得られた血液もしくは唾液などの体液から得ることができる。あるいは、乾燥試料(例えば、毛髪または皮膚)で核酸試験を行ってもよい。さらに、シークエンシング用の試料を腫瘍から得ることができ、その腫瘍と同じ組織タイプの正常組織から別の試料をシークエンシング用に得ることもできる。シークエンシング用の試料を腫瘍から得ることができ、その腫瘍とは異なる組織タイプの正常組織から別の試料をシークエンシング用に得ることもできる。
【0159】
腫瘍は、肺癌、メラノーマ、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳癌、B細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、及びT細胞リンパ性白血病、非小細胞肺癌、及び小細胞肺癌のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0160】
あるいは、タンパク質質量分析を用いて、腫瘍細胞上のMHCタンパク質に結合した変異ペプチドの存在を特定または検証することもできる。ペプチドは、腫瘍細胞から、または腫瘍から免疫沈降したHLA分子から酸溶出し、その後、質量分析を用いて特定することができる。
【0161】
IV.抗原
抗原は、ヌクレオチドまたはポリペプチドを含みうる。例えば、抗原は、ポリペプチド配列をコードするRNA配列であってよい。したがって、ワクチンにおいて有用な抗原には、ヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が含まれる。共有されたネオ抗原を、表A(配列番号10,755~21,015を参照されたい)、及び、AACR GENIE結果(配列番号21,016~29.357)に示す。共有された抗原を、表1.2(配列番号57~10,754を参照されたい)に示す。
【0162】
本明細書では、本明細書に開示される方法によって特定された腫瘍特異的変異を含む単離されたペプチド、既知の腫瘍特異的変異を含むペプチド、及び本明細書に開示される方法によって特定された変異体ポリペプチドまたはそのフラグメントが開示される。ネオ抗原ペプチドはそれらのコード配列に関して記述することができ、ネオ抗原は関連するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)を含む。
【0163】
本明細書はまた、正常細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん性組織中で発現が変化していることが知られているかまたは見出されている任意のポリペプチド、例えば、正常細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん性組織中で異常に発現することが知られているかまたは見出されている任意のポリペプチドに由来するペプチドも開示する。抗原性ペプチドが由来しうる適当なポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースに見出すことができる。COSMICは、ヒトのがんにおける体細胞変異に関する包括的な情報をキュレートしたものである。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含む。腫瘍抗原(例えば、共有された腫瘍抗原及び腫瘍ネオ抗原)としては、これらに限定されるものではないが、あらゆる目的で本明細書に参照により援用する米国特許出願第17/058,128号に記載されるものが挙げられる。抗原ペプチドはそれらのコード配列に関して記述することができ、抗原は関連するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、DNAまたはRNA)を含む。腫瘍細胞、または樹状細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞を含む免疫細胞などの細胞の細胞表面上に提示されることが予測される抗原を選択することができる。免疫原性を有することが予測される抗原を選択することができる。
【0164】
抗原ヌクレオチド配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドは、以下のうちの少なくとも1つを含むことができる:1000nM未満のIC50値でのMHCとの結合親和性、MHCクラスIペプチドについてはアミノ酸8~15、8、9、10、11、12、13、14、または15個の長さ、プロテアソーム切断を促進するペプチド内またはその近くの配列モチーフの存在、及び、TAP輸送を促進する配列モチーフの存在、MHCクラスIIのポリペプチドについてはアミノ酸6~30、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18,19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個の長さ、細胞外もしくはリソソームプロテアーゼ(例えば、カテプシン)によるペプチド促進切断部位またはHLA-DMにより触媒されるHLA結合部位内またはその近くの配列モチーフの存在。
【0165】
1つ以上の抗原は、腫瘍の表面上に存在することができる。
【0166】
1つ以上の抗原が、腫瘍を有する対象で免疫原性でありうる(例えば、対象のT細胞応答及び/またはB細胞応答を刺激することができる)。1つ以上の抗原が、1つ以上の抗原を認識する抗体(例えば、腫瘍を認識する抗体)の産生などのB細胞応答を刺激することが可能な場合がある。抗体は、直鎖状ポリペプチド配列を認識するか、または二次及び三次構造を認識することができる。したがって、B細胞の抗原としては、これらに限定されるものではないが、完全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン、または二次及び三次構造を有することが知られているかもしくは予測される任意のポリペプチドを含む直鎖状ポリペプチド配列または二次及び三次構造を有するポリペプチドを挙げることができる。腫瘍に対するB細胞応答を刺激することができる抗原は、腫瘍細胞の表面に見出される抗原でありうる。腫瘍に対するB細胞応答を誘導することができる抗原は、腫瘍で発現される細胞内ネオ抗原でありうる。
【0167】
1つ以上の抗原は、T細胞応答を刺激することができる抗原(例えば、予測されるT細胞エピトープ配列を含むペプチド)と、B細胞応答を刺激することができる異なる抗原(例えば、完全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン)との組み合わせを含むことができる。
【0168】
対象において自己免疫応答を刺激する1つ以上の抗原は、対象のためのワクチン生成との関連において考察から除外することができる。
【0169】
少なくとも1つの抗原性ペプチド分子(例えば、エピトープ配列)のサイズは、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約26個、約27個、約28個、約29個、約30個、約31個、約32個、約33個、約34個、約35個、約36個、約37個、約38個、約39個、約40個、約41個、約42個、約43個、約44個、約45個、約46個、約47個、約48個、約49個、約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個、またはそれよりも多いアミノ分子残基、及びこれらの範囲から導出される任意の範囲を含むことができるが、それらに限定されない。具体的な実施形態において、抗原性ペプチド分子は、アミノ酸50個以下である。
【0170】
抗原性ペプチド及びポリペプチドは、MHCクラスIについては長さが15残基以下で、通常約8~約11残基の間からなり、特に9または10残基であることができ;MHCクラスIIについては、6~30残基であることができる。
【0171】
望ましい場合、より長いペプチドを、いくつかのやり方において設計することができる。1つの例において、HLAアレル上のペプチドの提示尤度が予測されるかまたは公知である場合、より長いペプチドは、(1)各々の対応する遺伝子産物のN末端及びC末端に向かって2~5アミノ酸の伸長を有する個々の提示されるペプチド;(2)各々について伸長した配列を有する、提示されるペプチドのいくつかまたはすべての連鎖のいずれかからなることができる。別の場合では、シークエンシングによって腫瘍内の長い(10個よりも多い残基)ネオエピトープ配列の存在が判明した場合(例えば、新規なペプチド配列をもたらすフレームシフト、リードスルー、またはイントロン導入による)、より長いペプチドは、(3)新規な腫瘍特異的アミノ酸のストレッチ全体からなる(これにより、最も強くHLA提示されるより短いペプチドを計算またはインビトロ試験選択に基づいて選択する必要がない)。いずれの場合も、より長いペプチドは、患者細胞による内因性プロセシングを可能とし、より効果的な抗原提示及びT細胞応答の刺激をもたらし得る。より長いペプチドは、腫瘍で発現されるものなど、ペプチドの完全長タンパク質、タンパク質サブユニット、タンパク質ドメイン、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。B細胞応答を刺激するためにより長いペプチド(例えば、完全長タンパク質、タンパク質サブユニット、またはタンパク質ドメイン)及びそれらの組み合わせが含まれてもよい。
【0172】
抗原性ペプチド及びポリペプチドは、HLAタンパク質上に提示されることができる。いくつかの態様において、抗原性ペプチドまたはポリペプチドは、野生型ペプチドよりも高い親和性でHLAタンパク質上に提示される。いくつかの態様において、抗原性ペプチドまたはポリペプチドは、少なくとも5000nM未満、少なくとも1000nM未満、少なくとも500nM未満、少なくとも250nM未満、少なくとも200nM未満、少なくとも150nM未満、少なくとも100nM未満、少なくとも50nM未満、またはそれよりも小さいIC50を有することができる。
【0173】
いくつかの態様において、抗原性ペプチド及びポリペプチドは、対象に投与された場合に、自己免疫応答を誘導せず、及び/または免疫寛容を引き起こさない。
【0174】
少なくとも2つ以上の抗原性ペプチドを含む組成物も提供される。いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも2つの異なるペプチドを含む。少なくとも2つの異なるペプチドは同じポリペプチドに由来するものであってよい。異なるペプチドとは、ペプチドが、長さ、アミノ酸配列、またはその両方において異なることを意味する。ペプチドは、腫瘍特異的変異を含み得る。腫瘍特異的ペプチドは、正常細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん性組織中で発現が変化していることが知られているかまたは見出されている任意のポリペプチド、例えば、正常細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん性組織中で異常に発現することが知られているかまたは見出されている任意のポリペプチドに由来する腫瘍特異的変異またはペプチドを含むことが知られているかまたは見出されている任意のポリペプチドに由来するものとすることができる。ペプチドは、感染症生物に関連することが知られているもしくは疑われる任意のポリペプチドに由来するものとするか、またはペプチドは、正常細胞または組織と比較して感染細胞で発現が変化していることが知られているかもしくは見出されている任意のポリペプチド(例えば、宿主細胞に発現が制限されている感染症ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む感染症ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)に由来するものとすることができる。抗原性ペプチドが由来しうる適当なポリペプチドは、例えば、COSMICデータベースまたはAACR GENIE(Genomics Evidence Neoplasia Information Exchange)データベースに見出すことができる。COSMICは、ヒトのがんにおける体細胞変異に関する包括的な情報をキュレートしたものである。AACR GENIEは、数万人のがん患者からの臨床成績を用いた臨床グレードのがんゲノムデータを集約及びリンクしたものである。いくつかの態様では、腫瘍特異的変異は、特定のがんのタイプのドライバー変異である。
【0175】
望ましい活性または性質を有する抗原性ペプチド及びポリペプチドは、望ましいMHC分子に結合して適切なT細胞を活性化する非改変ペプチドの生物学的活性を増大させるかまたは実質的にそのすべてを少なくとも保持しつつ、特定の望ましい属性、例えば、改善された薬理学的特徴を与えるように改変することができる。例として、抗原性ペプチド及びポリペプチドを、保存的または非保存的のいずれかの置換などの、種々の改変にさらに供することができ、そのような改変は、改善されたMHC結合、安定性、または提示などの、それらの使用におけるある特定の利点を提供し得る。保存的置換とは、アミノ酸残基を、生物学的及び/または化学的に類似している別のもので、例えば、1つの疎水性残基を別の疎水性残基、または1つの極性残基を別の極性残基で置き換えることを意味する。置換は、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyrなどの組み合わせを含む。単一アミノ酸置換の効果はまた、D-アミノ酸を用いて探査してもよい。そのような改変は、例えば、Merrifield,Science 232:341-347(1986),Barany & Merrifield,The Peptides,Gross & Meienhofer,eds.(N.Y.,Academic Press),pp.1-284(1979);及びStewart & Young,Solid Phase Peptide Synthesis,(Rockford,Ill.,Pierce),2d Ed.(1984)に記載されているように、周知のペプチド合成手順を用いて行うことができる。
【0176】
種々のアミノ酸模倣物または非天然アミノ酸でのペプチド及びポリペプチドの改変は、インビボでのペプチド及びポリペプチドの安定性の増大に特に有用である場合がある。安定性は多くの方法でアッセイすることができる。例として、ペプチダーゼ、ならびに、ヒト血漿及び血清などの種々の生物学的媒質が、安定性を試験するために使用されている。例えば、Verhoef et al.,Eur.J.Drug Metab Pharmacokin.11:291-302(1986)を参照されたい。ペプチドの半減期は、25%ヒト血清(v/v)アッセイを用いて好都合に決定することができる。プロトコールは、概して以下のようなものである。プールしたヒト血清(タイプAB、非熱不活性化)を、使用前に遠心分離によって脱脂する。次いで、血清を、RPMI組織培養培地で25%に希釈し、ペプチド安定性を試験するために使用する。あらかじめ決定された時間間隔で、少量の反応溶液を取り出して、6%水性トリクロロ酢酸またはエタノールのいずれかに添加する。濁った反応試料を15分間冷却(4℃)し、次いで、スピンして沈降血清タンパク質を沈殿させる。次いで、ペプチドの存在を、安定性特異的クロマトグラフィー条件を用いた逆相HPLCによって決定する。
【0177】
ペプチド及びポリペプチドを、改善された血清半減期以外の望ましい属性を提供するために修飾することができる。例として、CTL活性を刺激するペプチドの能力を、Tヘルパー細胞応答を刺激することができる少なくとも1つのエピトープを含有する配列への連結によって増強することができる。免疫原性ペプチド/Tヘルパーコンジュゲートは、スペーサー分子によって連結することができる。スペーサーは、典型的には、生理学的条件下で実質的に無電荷である、アミノ酸またはアミノ酸模倣物などの相対的に小さな中性分子から構成される。スペーサーは、典型的には、例えば、Ala、Gly、または、非極性アミノ酸もしくは中性極性アミノ酸の他の中性スペーサーから選択される。任意で存在するスペーサーは、同じ残基から構成される必要はなく、したがって、ヘテロオリゴマーまたはホモオリゴマーであり得ることが、理解されるであろう。存在する場合、スペーサーは、通常、少なくとも1または2残基、より通常は、3~6残基であろう。あるいは、ペプチドを、スペーサーなしでTヘルパーペプチドに連結することができる。
【0178】
抗原性ペプチドは、ペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかで、直接またはスペーサーを介してのいずれかでTヘルパーペプチドに連結することができる。抗原性ペプチドまたはTヘルパーペプチドのいずれかのアミノ末端を、アシル化することができる。例示的なTヘルパーペプチドは、破傷風トキソイドの830~843、インフルエンザの307~319、マラリアスポロゾイトの周囲382~398及び378~389を含む。
【0179】
タンパク質またはペプチドは、標準的な分子生物学的技法を通したタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの発現、天然由来源からのタンパク質もしくはペプチドの単離、またはタンパク質もしくはペプチドの化学合成を含む、当業者に公知の任意の技法によって作製することができる。種々の遺伝子に対応する、ヌクレオチドならびにタンパク質、ポリペプチド及びペプチドの配列は、以前に開示されており、当業者に公知のコンピュータ処理されたデータベースで見出すことができる。1つのそのようなデータベースは、National Institutes of Healthのウェブサイトに位置する、National Center for Biotechnology InformationのGenbank及びGenPeptデータベースである。公知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示する技法を用いて、または当業者に公知であるように、増幅及び/または発現させることができる。あるいは、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドの種々の商業的調製物が、当業者に公知である。
【0180】
さらなる態様において、抗原は、抗原性ペプチドまたはその一部をコードする核酸(例えば、ポリヌクレオチド)を含む。ポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNA(例えば、mRNA)、例えば、ホスホロチオアートバックボーンを有するポリヌクレオチドなどの、ポリヌクレオチドの一本鎖及び/もしくは二本鎖、または天然形態もしくは安定化形態のいずれか、または、それらの組み合わせであることができ、イントロンを含有してもよく、または含有しなくてもよい。抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、転写、翻訳、転写後プロセシング、及び/またはRNA安定性を改善することなどにより、発現を改善するために配列最適化することができる。例えば、抗原をコードするポリヌクレオチド配列はコドン最適化することができる。本明細書では「コドン最適化」とは、特定の生物のコドンバイアスに関して、低頻度で用いられるコドンを高頻度で用いられる同義コドンに置換することを指す。ポリヌクレオチド配列は、転写後プロセシングを改善するために最適化することができ、例えば、好ましいスプライシング事象にバイアスするように、スプライシングモチーフ(例えば、カノニカル及び/またはクリプティック/非カノニカルスプライスドナー、ブランチ、及び/またはアクセプター配列)の除去、及び/または外因性スプライシングモチーフ(スプライスドナー、ブランチ、及び/またはアクセプター配列)の導入などにより、意図しないスプライシングを減少させるように最適化することができる。外因性イントロン配列としては、これらに限定されるものではないが、SV40に由来するもの(例えば、SV40ミニイントロン)及び/または免疫グロブリンに由来するもの(例えば、ヒトβ-グロブリン遺伝子)が挙げられる。外因性イントロン配列は、プロモーター/エンハンサー配列と抗原(複数可)配列との間に組み込むことができる。発現ベクターで使用するための外因性イントロン配列は、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用するCallendret et al.(Virology.2007 Jul 5;363(2): 288-302)により詳細に記載されている。ポリヌクレオチド配列は、例えば、RNA安定性モチーフ(例えば、AUリッチエレメント及び/または3’UTRモチーフ)及び/または反復ヌクレオチド配列の除去により転写物安定性を改善するように最適化することができる。ポリヌクレオチド配列は、例えば、クリプティックな転写イニシエーター及び/またはターミネーターの除去によって正確な転写を改善するように最適化することができる。ポリヌクレオチド配列は、例えば、クリプティックなAUG開始コドン、未成熟ポリA配列、及び/または二次構造モチーフの除去によって翻訳及び翻訳精度を改善するように最適化することができる。ポリヌクレオチド配列は、構成的輸送エレメント(CTE)、RNA輸送エレメント(RTE)、またはウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)の付加などによって、転写物の核外輸送を改善するように最適化することができる。発現ベクターで使用するための核外輸送シグナルは、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用するCallendret et al.(Virology.2007 Jul 5;363(2): 288-302)により詳細に記載されている。ポリヌクレオチド配列は、例えば、特定の生物の平均GC含量を反映するように、GC含量に関して最適化することができる。配列最適化によって、転写、翻訳、転写後プロセシング、及び/またはRNA安定性などの1つ以上の配列特性のバランスをとることができる。配列最適化によって、転写、翻訳、転写後プロセシング、及びRNA安定性のそれぞれのバランスをとる最適配列を生成することができる。配列最適化アルゴリズムは、GeneArt(Thermo Fisher)、Codon Optimization Tool (IDT)、Cool Tool(University of Singapore)、SGI-DNA(La Jolla California)などの当業者には周知のものである。抗原コードタンパク質の1つ以上の領域を別々に配列最適化することができる。
【0181】
またさらなる態様は、ポリペプチドまたはその一部を発現することができる発現ベクターを提供する。様々な細胞タイプ用の発現ベクターが、当技術分野において周知であり、過度の実験なしで選択することができる。概して、DNAを、プラスミドなどの発現ベクター中に、発現のための適正な方向及び正確なリーディングフレームで挿入する。必要な場合は、DNAを、望ましい宿主によって認識される適切な転写及び翻訳調節性制御ヌクレオチド配列に連結することができるが、そのような制御は、概して発現ベクターにおいて利用可能である。次いで、ベクターを、標準的な技法を通して宿主中に導入する。手引きは、例えば、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.において見出すことができる。
【0182】
V.ワクチン組成物
また、特異的な免疫応答、例えば、腫瘍特異的な免疫応答を生じることができる免疫原性組成物、例えば、ワクチン組成物も、本明細書に開示する。ワクチン組成物は、典型的に、本明細書に記載される、または、表A、表1.2、もしくはAACR GENIE結果に記載されるとおりの方法を用いて選択された1つまたは複数の抗原を含む。ワクチン組成物はワクチンと呼ぶこともできる。
【0183】
ワクチンは、1~30個のペプチド、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30個の異なるペプチド、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14個の異なるペプチド、または12、13、もしくは14個の異なるペプチドを含むことができる。ペプチドは、翻訳後修飾を有してもよい。ワクチンは、1~100個以上のヌクレオチド配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100個、もしくはそれよりも多くの異なるヌクレオチド配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14個の異なる抗原コード核酸配列、または12、13もしくは14個の異なる抗原コード核酸配列を含むことができる。ワクチンは、1~30個の抗原配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100個、もしくはそれよりも多くの異なる抗原配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14個の異なる抗原配列、または12、13もしくは14個の異なる抗原配列を含むことができる。
【0184】
ワクチンは、1~30個の抗原コード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100個、もしくはそれよりも多くの異なる抗原コード核酸配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14個の異なる抗原コード核酸配列、または12、13もしくは14個の異なる抗原コード核酸配列を含むことができる。抗原コード核酸配列は、「抗原カセット」の抗原コード部分を指す場合もある。抗原カセットの特性について本明細書でより詳細に説明する。抗原コード核酸配列は、1つ以上のエピトープコード核酸配列(例えば、連結されたT細胞エピトープをコードした抗原コード核酸配列)を含むことができる。
【0185】
ワクチンは、1~30個の異なるエピトープコード核酸配列、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94,95、96、97、98、99、100個、もしくはそれよりも多くの異なるエピトープコード核酸配列、6、7、8、9、10 11、12、13、もしくは14個の異なるエピトープコード核酸配列、または12、13もしくは14個の異なるエピトープコード核酸配列を含むことができる。エピトープコード核酸配列とは、連結されたT細胞エピトープコード核酸配列をコードする抗原コード核酸配列中のT細胞エピトープのそれぞれなど、個別のエピトープ配列の配列を指す場合もある。
【0186】
ワクチンは、エピトープコード核酸配列の少なくとも2回の繰り返しを含むことができる。本明細書で使用される「繰り返し」(または互換的に「反復」)とは、抗原コード核酸配列内の2個以上の同じ核酸エピトープコード核酸配列(本明細書に記載される任意の5’リンカー配列及び/または任意の3’リンカー配列を含む)を指す。1つの例では、カセットの抗原コード核酸配列部分は、エピトープコード核酸配列の少なくとも2回の繰り返しをコードする。さらなる非限定的な例では、カセットの抗原コード核酸配列部分は複数の異なるエピトープをコードし、異なるエピトープのうちの少なくとも1つは、異なるエピトープをコードした核酸配列の少なくとも2回の繰り返し(すなわち、少なくとも2個の異なるエピトープコード核酸配列)によってコードされる。例示的な非限定例では、抗原コード核酸配列は、エピトープコード核酸配列A(E)、エピトープコード配列B(E)、及びエピトープコード配列C(E)によってコードされるエピトープA、B、及びCをコードし、異なるエピトープのうちの少なくとも1つの繰り返しを有する例示的な抗原コード核酸配列は、これらに限定されるものではないが、下式によって示される。
-1つの異なるエピトープの繰り返し(エピトープAの繰り返し):
-E-E-E、または
-E-E-E
-複数の異なるエピトープの繰り返し(エピトープA、B、及びCの繰り返し):
-E-E-E-E-E、または
-E-E-E-E-E
-複数の異なるエピトープの複数の繰り返し(エピトープA、B、及びCの繰り返し):
-E-E-E-E-E-E-E-E、または
-E-E-E-E-E-E-E-E
【0187】
上記の例は限定的なものではなく、異なるエピトープのうちの少なくとも1つの繰り返しを有する抗原コード核酸配列は、異なるエピトープのそれぞれを任意の順序または頻度でコードすることができる。例えば、順序及び頻度は、例えば式E-E-E-E-E-E-E-E-E-E-E-EによるエピトープA、B、及びCを有する例におけるように、異なるエピトープのランダムな配置とすることができる。
【0188】
本明細書では、5’から3’方向に、次式によって記述される少なくとも1つの抗原コード核酸配列を有する抗原コードカセットが提供される。
(E-(E )z
式中、Eは、異なるエピトープコード核酸配列を含むヌクレオチド配列を表し、
nは、別個の異なるエピトープコード核酸配列の数を表しかつ、0を含む任意の整数であり、
は、それぞれの対応するnで別個の異なるエピトープコード核酸配列を含むヌクレオチド配列を表し、
zの各繰り返しについて、各nについてx=0または1、y=0または1であり、xまたはyの少なくとも一方は1であり、
z=2以上であり、抗原コード核酸配列は、E、所与のE、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つの2回の繰り返しを含む。
【0189】
各EまたはEは、本明細書に記載されるエピトープコード核酸配列(例えば、感染症T細胞エピトープ及び/またはネオ抗原エピトープをコードするペプチド)を独立して含むことができる。例えば、各EまたはEは、5’から3’方向に、式(L5-Nc-L3)によって記述されるヌクレオチド配列を独立して含むことができ、式中、Nは、各EまたはEに関連付けられた異なるエピトープコード核酸配列を含み、ただしc=1であり、L5は5’リンカー配列を含み、ただしb=0または1であり、L3は3’リンカー配列を含み、ただしd=0または1である。使用することができるエピトープ及びリンカーについては本明細書でさらに述べる。
【0190】
エピトープコード核酸配列(任意の5’リンカー配列及び/または任意の3’リンカー配列を含む)の繰り返しは互いに直接連結されてもよい(例えば、上記に示したように、E-E-…)。エピトープコード核酸配列の繰り返しは、1つ以上のさらなるヌクレオチド配列によって分離されてもよい。一般的に、エピトープコード核酸配列の繰り返しは、本明細書に記載される組成物に適用可能な任意のサイズのヌクレオチド配列によって分離されうる。1つの例では、エピトープコード核酸配列の繰り返しは、別個の異なるエピトープコード核酸配列によって分離されうる(例えば、上記に示したように、E-E-E-E…)。繰り返しが単一の別個の異なるエピトープコード核酸配列によって分離されており、各エピトープコード核酸配列(任意の5’リンカー配列及び/または任意の3’リンカー配列を含む)がアミノ酸25個の長さのペプチドをコードする例では、繰り返しは、例えばE-E-E…(EAは75個のヌクレオチドによって分離されている)により表される抗原コード核酸におけるように75個のヌクレオチドによって分離されうる。例示的な1つの例では、25マーの抗原Trp1(VTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQ)[配列番号86]及びTrp2(TQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDT)[配列番号87]の繰り返しをコードした配列VTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQTQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDTVTNTEMFVTAPDNLGYMYEVQWPGQTQPQIANCSVYDFFVWLHYYSVRDT(配列番号85)を有する抗原コード核酸であり、Trp1の繰り返しが25マーのTrp2によって分離されており、したがって、Trp1エピトープコード核酸配列の繰り返しは、ヌクレオチド75個のTrp2エピトープコード核酸配列によって分離される。繰り返しが2、3、4、5、6、7、8、または9個の別個の異なるエピトープコード核酸配列によって分離されており、各エピトープコード核酸配列(任意の5’リンカー配列及び/または任意の3’リンカー配列を含む)がアミノ酸25個の長さのペプチドをコードする例では、繰り返しは、それぞれ、150、225、300、375、450、525、600、または675個のヌクレオチドによって分離されうる。
【0191】
場合によって、さらなる抗原及び/またはエピトープをコードするカセット内の抗原またはエピトープは、コードされた他のエピトープに対して免疫優性なエピトープであってよい。一般的に、免疫優性とは、1個または数個のみの特定の免疫原性ペプチドに対する免疫応答の偏りである。免疫優性は、免疫モニタリングのプロトコールの一環として評価することができる。例えば、免疫優性は、コードされた抗原に対するT細胞及び/またはB細胞応答を評価することにより評価することができる。
【0192】
場合によっては、免疫優性なエピトープを含むワクチン組成物は避けることが望ましい場合もある。例えば、免疫優性なエピトープをコードしたワクチンカセットの設計は避けることが望ましい場合もある。理論に束縛されることを望むものではないが、免疫優性なエピトープをさらなるエピトープと一緒に投与及び/またはコードすると、さらなるエピトープに対する免疫応答が低下する場合があり、さらなるエピトープに対するワクチン有効性が最終的に低下する可能性がある。例示的な非限定例として、TP53関連ネオエピトープを含むワクチン組成物は、ワクチン組成物中の他の抗原またはエピトープに負の影響を及ぼすようにTP53関連ネオエピトープの方向に偏った免疫応答、例えばT細胞応答を有し得る。
【0193】
一実施形態では、異なるペプチド及び/もしくはポリペプチド、またはそれらをコードするヌクレオチド配列は、ペプチド及び/またはポリペプチドが、異なるMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子などの異なるMHC分子と結合することができるように選択される。いくつかの態様において、1つのワクチン組成物は、最も頻繁に存在するMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子と結合することができるペプチド及び/またはポリペプチドのコード配列を含む。したがって、ワクチン組成物は、少なくとも2種類の好ましい、少なくとも3種類の好ましい、または少なくとも4種類の好ましいMHCクラスI分子及び/または異なるMHCクラスII分子と結合することができる異なる断片を含むことができる。
【0194】
ワクチン組成物は、特異的な細胞傷害性T細胞応答、及び/または特異的なヘルパーT細胞応答を刺激することができる。ワクチン組成物は、特異的な細胞傷害性T細胞応答、及び特異的なヘルパーT細胞応答を刺激することができる。
【0195】
ワクチン組成物は、特異的B細胞応答(例えば、抗体応答)を刺激することができる。
【0196】
ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答、特異的ヘルパーT細胞応答、及び/または特異的B細胞応答(例えば、抗体応答)を刺激することができる。ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答及び特異的B細胞応答を刺激することができる。ワクチン組成物は、特異的ヘルパーT細胞応答及び特異的B細胞応答を刺激することができる。ワクチン組成物は、特異的細胞傷害性T細胞応答、特異的ヘルパーT細胞応答、及び特異的B細胞応答を刺激することができる。
【0197】
ワクチン組成物は、アジュバント及び/または担体をさらに含むことができる。有用なアジュバント及び担体の例を本明細書で以下に示す。組成物は、例えば、タンパク質、またはペプチドをT細胞に提示することができる樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞などの担体を伴ってもよい。
【0198】
アジュバントは、ワクチン組成物に混合することで抗原に対する免疫応答を増大または他の形で改変する任意の物質である。担体は、抗原が会合することができる、例えばポリペプチドまたは多糖類などのスカフォールド構造であってよい。任意で、アジュバントは共有結合または非共有結合により結合される。
【0199】
アジュバントが抗原に対する免疫応答を増大させる能力は、免疫介在反応の有意なもしくは大幅な増大、または疾患症状の低減として一般的に現れる。例えば、体液性免疫の増大は、抗原に対して生成された抗体の力価の有意な増大として一般的に現れ、T細胞活性の増大は細胞増殖、または細胞傷害性、またはサイトカイン分泌の増大として一般的に現れる。アジュバントはまた、例えば、主として体液性またはTh応答を主として細胞性またはTh応答に変化させることにより、免疫応答も変化させることができる。
【0200】
適当なアジュバントとしては、これらに限定されるものではないが、1018 ISS、ミョウバン、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリル脂質A、Montanide IMS 1312、Montanide ISA206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA-51、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTelベクターシステム、PLG微小粒子、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF-17D、VEGFトラップ、R848、β-グルカン、Pam3Cys、サポニンから誘導されるAquila’s QS21スティミュロン(Aquila Biotech,Worcester,Mass.,USA)、マイコバクテリウム抽出物及び合成細菌壁模倣体、ならびにRibi’s Detox. QuilまたはSuperfosなどの他の特許取得アジュバントが挙げられる。不完全フロイントまたはGM-CSFなどのアジュバントが有用である。樹状細胞に対して特異的ないくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)及びそれらの製剤がこれまでに記載されている(Dupuis M,et al.,Cell Immunol.1998;186(1):18-27;Allison A C;Dev Biol Stand.1998;92:3-11)。サイトカインを用いることもできる。いくつかのサイトカインが、リンパ組織への樹状細胞の遊走に影響を及ぼし(例えば、TNF-α)、Tリンパ球に対する効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を加速させ(例えば、GM-CSF、IL-1及びIL-4) (参照によって本明細書にその全容を具体的に援用する米国特許第5,849,589号)、免疫アジュバントとして作用する(例えば、IL-12) (Gabrilovich D I, et al., J Immunother Emphasis Tumor Immunol. 1996 (6):414-418)ことに直接的な関連が示されている。
【0201】
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドも、ワクチン環境におけるアジュバントの効果を高めることが報告されている。RNA結合TLR 7、TLR 8及び/またはTLR 9のような他のTLR結合分子を使用することもできる。
【0202】
有用なアジュバントの他の例としては、これらに限定されるものではないが、化学修飾CpG(例えば、CpR、Idera)、Poly(I:C)(例えば、polyi:CI2U)、非CpG細菌性DNAまたはRNA、ならびに、治療作用を有するか、及び/またはアジュバントとして作用しうる、シクロフォスファミド、スニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX-4016、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ソラフィニブ、XL-999、CP-547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリムマブ、及びSC58175などの免疫活性小分子及び抗体が挙げられる。アジュバント及び添加剤の量ならびに濃度は、当業者によれば不要な実験を行うことなく容易に決定することが可能である。さらなるアジュバントとしては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、サルグラモスティム)などのコロニー刺激因子が挙げられる。
【0203】
ワクチン組成物は、複数の異なるアジュバントを含むことができる。さらに、治療組成物は、上記のいずれかまたはそれらの組み合わせを含む、任意のアジュバント物質を含むことができる。ワクチンとアジュバントは、一緒に投与してもよく、または任意の適当な順序で別々に投与することもできる。
【0204】
担体(または賦形剤)がアジュバントとは独立して存在してもよい。担体の機能は、例えば特定の変異体の分子量を増やすことによって、活性もしくは免疫原性を高める、安定性を付与する、生物活性を高める、または血清半減期を延ばすことであってよい。さらに、担体は、T細胞へのペプチドの提示を助けることができる。担体は、例えば、タンパク質または抗原提示細胞などの当業者には周知の任意の適当な担体であってよい。担体タンパク質は、これらに限定されるものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン;トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、チログロブリンまたはオボアルブミンなどの血清タンパク質、免疫グロブリン;インスリンまたはパルミチン酸などのホルモンであってよい。ヒトの免疫化においては、担体は一般的に、ヒトに許容される、安全な生理学的に許容される担体である。しかしながら、破傷風トキソイド及び/またはジフテリアトキソイドは適当な担体である。あるいは、担体は、デキストラン、例えばセファロースであってもよい。
【0205】
細胞傷害性T細胞(CTL)は、インタクトな外来抗原自体ではなく、MHC分子に結合したペプチドの形の抗原を認識する。MHC分子自体は、抗原提示細胞の細胞表面に位置している。したがって、CTLの活性化は、ペプチド抗原、MHC分子及びAPCの三量体複合体が存在する場合に可能となる。これに対応して、CTLは、ペプチドのみがCTLの活性化に用いられる場合でなく、対応するMHC分子を有するAPCがさらに加えられる場合に免疫応答を増強することができる。したがって、特定の実施形態では、ワクチン組成物は少なくとも1つの抗原提示細胞をさらに含む。
【0206】
抗原は、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照)、または、第2、第3、またはハイブリッド第2/第3世代レンチウイルス及び特定の細胞タイプまたは受容体をターゲティングするように設計された任意の世代の組換えレンチウイルス(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45-61,Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18,Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690,Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照)などのウイルスベクターに基づいたワクチンプラットフォームに含まれるようにしてもよい。上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング能力に依存して、このアプローチは、1つ以上の抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、変異が導入されていない配列を隣接させてもよく、リンカーによって分離されてもよく、または細胞内区画をターゲティングする1つ以上の配列がその前に配置されてもよい(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen-specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016)22(4):433-8,Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor-derived T cell receptor repertoires,Science.(2016)352(6291):1337-41,Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014)20(13):3401-10を参照)。宿主中への導入時に、感染した細胞は、抗原を発現し、それにより、ペプチドに対する宿主免疫(例えば、CTL)応答を刺激する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記載されている。抗原の治療的投与または免疫化に有用な、多種多様の他のワクチンベクター、例えば、チフス菌(Salmonella typhi)ベクターなどが、本明細書における記載から当業者に明らかであろう。
【0207】
V.A.抗原カセット
1つ以上の抗原の選択に用いられる方法、「抗原カセット」のクローニング及び構築、ならびにウイルスベクターへのその挿入は本明細書に与えられる教示を考慮すれば当該技術分野の範囲内である。「抗原カセット」または「カセット」とは、選択された抗原または複数の抗原(例えば、抗原コード核酸配列)と、この抗原(複数可)を転写し、転写産物を発現するために必要とされる他の調節エレメントとの組み合わせを意味する。選択された抗原または複数の抗原とは、異なるエピトープ配列を指す場合がある(例えば、カセット内の抗原コード核酸配列は、エピトープが転写されて発現されるようにエピトープコード核酸配列(または複数のエピトープコード核酸配列)をコードすることができる)。抗原または複数の抗原は、転写を可能とするような形で調節要素と機能的に連結することができる。かかる要素としては、ウイルスベクターをトランスフェクトした細胞内で抗原(複数可)の発現を誘導することができる従来の調節エレメントが挙げられる。したがって、抗原カセットは、抗原(複数可)に連結され、組換えベクターの選択されたウイルス配列内に他の任意選択的な調節エレメントとともに配置された選択されたプロモーターも含むことができる。カセットは、表A及び/またはAACR GENIE結果に示す1つ以上のネオ抗原、及び/または、表1.2に示す1つ以上の抗原を含むことができる。
【0208】
カセットは、それぞれが独立して別個のプロモーターに機能的に連結されるか、及び/または、2Aリボソームスキッピング配列エレメント(例えば、E2A、P2A、F2A、またはT2A配列)または内部リボソーム進入部位(IRES)配列エレメントなどの他のマルチシストロニックシステムを用いて互いに連結された複数の抗原コード核酸配列を含むカセットなどの1つ以上の抗原コード核酸配列を有することができる。リンカーは、TEVまたはフーリン切断部位のような切断部位を有することもできる。切断部位を有するリンカーを、マルチシストロニックシステム内のエレメントなど、他のエレメントと組み合わせることもできる。非限定的な例示的な例では、フリンプロテアーゼ切断部位を2Aリボソームスキッピング配列エレメントと組み合わせて使用して、翻訳後の2A配列の除去を促進するようにフリンプロテアーゼ切断部位を構成することができる。複数の抗原コード核酸配列を含むカセットにおいて、各抗原コード核酸配列は、1つ以上のエピトープコード核酸配列(例えば、連結されたT細胞エピトープをコードした抗原コード核酸配列)を含むことができる。
【0209】
有用なプロモーターは、構成性プロモーター、または発現させる抗原(複数可)の量を制御することが可能な調節された(誘導性)プロモーターであってよい。例えば、望ましいプロモーターとして、サイトメガロウイルス最初期プロモーター/エンハンサーのものがある[例えば、Boshart et al,Cell,41:521-530(1985)を参照]。別の望ましいプロモーターとしては、ラウス肉腫ウイルスLTRプロモーター/エンハンサーが挙げられる。さらに別のプロモーター/エンハンサー配列は、ニワトリβアクチンプロモーターである[T.A.Kost et al,Nucl.Acids Res.,11(23):8287(1983)]。当業者であれば、他の適当な、または望ましいプロモーターも選択することができる。
【0210】
抗原カセットは、転写産物の効率的なポリアデニル化(ポリ(A)、ポリAまたはpA)のためのシグナルを与える配列ならびに機能的スプライスドナー及びアクセプター部位を含むイントロンを含む、ウイルスベクター配列に対して異種の核酸配列も含みうる。本明細書の例示的なベクターに用いられる一般的なポリA配列は、パポバウイルスSV-40由来のものである。ポリA配列は、抗原ベースの配列の後で、ウイルスベクター配列の前にカセットに挿入することができる。一般的なイントロン配列もまたSV-40由来のものでよく、SV-40Tイントロン配列と呼ばれる。抗原カセットは、プロモーター/エンハンサー配列と抗原(複数可)との間に位置するイントロンを含んでもよい。これら及び他の一般的なベクターエレメントの選択は従来のものであり[例えば、Sambrook et al,“Molecular Cloning.A Laboratory Manual.”,2d edit.,Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1989)及び本明細書に引用される参照文献を参照]、多くのかかる配列が商業的及び産業的供給元、ならびにGenbankより入手可能である。
【0211】
抗原カセットは1つ以上の抗原を有することができる。例えば、特定のカセットは、1~10、1~20、1~30、10~20、15~25、15~20、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれよりも多くの抗原を含むことができる。抗原は互いに直接連結されてもよい。抗原はリンカーによって互いに連結されてもよい。抗原は、N~CまたはC~Nを含む、互いに対して任意の方向とすることができる。
【0212】
本明細書の他の箇所で述べたように、抗原カセットは、選択することができるものの中でもとりわけ、例えば、VEE骨格の欠失した構造タンパク質またはChAd-ベースベクターのE1遺伝子領域の欠失またはE3遺伝子領域の欠失の部位などのウイルスベクター内の任意の選択された欠失部位内に配置することができる。
【0213】
抗原カセットは、5’から3’方向に各要素の順序付けられた配列を記述する次式を用いて記述することができる。すなわち、
(P-(L5-N-L3-(P2-(G5-U-G3
[式中、P及びP2は、プロモーターヌクレオチド配列を含み、Nは、MHCクラスIエピトープコード核酸配列を含み、L5は、5’リンカー配列を含み、L3は、3’リンカー配列を含み、G5は、アミノ酸リンカーをコードする核酸配列を含み、G3は、アミノ酸リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、Uは、MHCクラスII抗原コード核酸配列を含み、ただし、各Xについて、対応するNcは、エピトープコード核酸配列であり、各Yについて、対応するUfは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列(例えば、ユニバーサルなMHCクラスIIエピトープコード核酸配列)である。ユニバーサル配列は、破傷風トキソイド及びPADREの少なくとも一方を含むことができる。ユニバーサル配列は、破傷風トキソイドペプチドを含むことができる。ユニバーサル配列は、PADREペプチドを含むことができる。ユニバーサル配列は、破傷風トキソイド及びPADREペプチドを含むことができる。]。組成物及び順序付けられた配列は、存在する要素の数を選択することによってさらに定義することができ、例えば、a=0または1である場合、b=0または1である場合、c=1である場合、d=0または1である場合、e=0または1である場合、f=1である場合、g=0または1である場合、h=0または1である場合、X=1~400であり、Y=0、1、2、3、4または5であり、Z=1~400であり、かつW=0、1、2、3、4または5である。
【0214】
1つの例では、存在する要素は、a=0、b=1、d=1、e=1、g=1、h=0、X=10、Y=2、Z=1、かつW=1であり、さらなるプロモーターが存在しない場合が記述される場合(例えば、RNAアルファウイルス骨格などのベクター骨格によって与えられるプロモーターヌクレオチド配列のみが存在する)、10個のMHCクラスIエピトープが存在し、各Nで5’リンカーが存在し、各Nで3’リンカーが存在し、2個のMHCクラスIIエピトープが存在し、2個のMHCクラスIIエピトープを連結するリンカーが存在し、2個のMHCクラスIIエピトープの5’末端を最後のMHCクラスIエピトープの3’リンカーに連結するリンカーが存在し、2個のMHCクラスIIエピトープの3’末端をベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)に連結するリンカーが存在する。抗原カセットの3’末端の、ベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)との連結の例としては、3’の19ntのCSEのような、ベクター骨格によって与えられる3’UTR要素に直接連結することが挙げられる。抗原カセットの5’末端の、ベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)との連結の例としては、サブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)、アルファウイルスの5’UTR、51ntのCSE、または24ntのCSEなどのベクター骨格のプロモーターまたは5’UTRエレメントに直接連結することが挙げられる。
【0215】
他の例としては、a=1であり、ベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)によって与えられるプロモーターヌクレオチド配列以外のプロモーターが存在する場合が記述される場合;a=1かつZが1よりも大きく、それぞれが1つ以上の異なるMHCクラスIエピトープコード核酸配列の発現をもたらす、ベクター骨格によって与えられるプロモーターヌクレオチド配列以外の複数のプロモーターが存在する場合;h=1であり、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列の発現をもたらす別のプロモーターが存在することが記述される場合;及び、g=0であり、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列(存在する場合)がベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)に直接連結される場合などが挙げられる。
【0216】
他の例としては、存在する各MHCクラスIエピトープが、5’リンカーを有する、3’リンカーを有する、どちらも有さない、または両方を有する場合が挙げられる。複数のMHCクラスIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する例では、一部のMHCクラスIエピトープが5’リンカー及び3’リンカーの両方を有してよく、他のMHCクラスIエピトープが、5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。複数のMHCクラスIエピトープが同じ抗原カセット内に存在するその他の例では、一部のMHCクラスIエピトープが5’リンカーまたは3’リンカーのどちらかを有してよく、他のMHCクラスIエピトープが5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。
【0217】
複数のMHCクラスIIエピトープが同じ抗原カセット内に存在する例では、一部のMHCクラスIIエピトープが5’リンカー及び3’リンカーの両方を有してよく、他のMHCクラスIIエピトープが5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。複数のMHCクラスIIエピトープが同じ抗原カセット内に存在するその他の例では、一部のMHCクラスIIエピトープが5’リンカーまたは3’リンカーのどちらかを有してよく、他のMHCクラスIIエピトープが5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。
【0218】
他の例としては、存在する各抗原が、5’リンカーを有する、3’リンカーを有する、どちらも有さない、または両方を有する場合が挙げられる。複数の抗原が同じ抗原カセット内に存在する例では、一部の抗原が5’リンカー及び3’リンカーの両方を有してよく、他の抗原が、5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。複数の抗原が同じ抗原カセット内に存在するその他の例では、一部の抗原が5’リンカーまたは3’リンカーのどちらかを有してよく、他の抗原が5’リンカーまたは3’リンカーを有するか、またはどちらも有さなくてもよい。
【0219】
プロモーターヌクレオチド配列P及び/またはP2は、RNAアルファウイルス骨格などのベクター骨格によって与えられるプロモーターヌクレオチド配列と同じであってよい。例えば、ベクター骨格によって与えられるプロモーター配列であるPn及びP2が、それぞれサブゲノミックプロモーター配列(例えば、26Sサブゲノミックプロモーター配列)またはCMVプロモーターを含むことができる。プロモーターヌクレオチド配列P及び/またはP2は、ベクター骨格(例えば、RNAアルファウイルス骨格)によって与えられるプロモーターヌクレオチド配列と異なっていてもよく、また、互いと異なっていてもよい。
【0220】
5’リンカーL5は、天然配列または非天然配列であってよい。非天然配列としては、これらに限定されるものではないが、AAY、RR、及びDPPが挙げられる。3’リンカーL3もまた、天然配列または非天然配列であってよい。さらに、L5及びL3は、いずれも天然配列であってよく、いずれも非天然配列であってよく、または一方が天然で他方が非天然であってもよい。各Xについて、アミノ酸リンカーは、アミノ酸2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、またはそれ以上の長さであってよい。各Xについて、アミノ酸リンカーはまた、アミノ酸が少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、または少なくとも30個の長さであってもよい。
【0221】
各Yについて、アミノ酸リンカーG5は、アミノ酸2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、またはそれ以上の長さであってよい。各Yについて、アミノ酸リンカーはまた、アミノ酸が少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、または少なくとも30個の長さであってもよい。
【0222】
アミノ酸リンカーG3は、アミノ酸2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、またはそれ以上の長さであってよい。G3はまた、アミノ酸が少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、または少なくとも30個の長さであってもよい。
【0223】
各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、B細胞応答を刺激することができるエピトープ/抗原、またはこれらの組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープ、MHCクラスIIエピトープ、及びB細胞応答を刺激することができるエピトープ/抗原の組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープとMHCクラスIIエピトープとの組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIエピトープとB細胞応答を刺激することができるエピトープ/抗原との組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIIエピトープとB細胞応答を刺激することができるエピトープ/抗原との組み合わせをコードすることができる。各Xについて、各Nは、MHCクラスIIエピトープをコードすることができる。各Xについて、各Nは、B細胞応答を刺激することができるエピトープ/抗原をコードすることができる。各Xについて、各Nは、アミノ酸7~15個の長さのMHCクラスIエピトープをコードすることができる。各Xについて、各Nは、アミノ酸5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個の長さのMHCクラスIエピトープをコードしてもよい。各Xについて、各Nはまた、アミノ酸が少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、または少なくとも30個の長さのMHCクラスIエピトープをコードしてもよい。
【0224】
1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよい。1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよく、2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる(例えば、免疫原性ポリペプチドをコードする2個の異なる感染症または腫瘍由来核酸配列をコードする)。1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよく、少なくとも2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよく、3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよく、少なくとも3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、700ヌクレオチド以下であってよく、1~10個、1~5個、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多い抗原を含むことができる。
【0225】
1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよい。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよく、2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる(例えば、免疫原性ポリペプチドをコードする2個の異なる感染症または腫瘍由来の核酸配列をコードする)。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよく、少なくとも2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよく、3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよく、少なくとも3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~700ヌクレオチドの長さであってよく、1~10個、1~5個、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多い抗原を含むことができる。
【0226】
1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよい。1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよく、2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよく、少なくとも2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよく、3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよく、少なくとも3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、600、500、400、300、200、または100ヌクレオチド以下の長さであってよく、1~10個、1~5個、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多い抗原を含むことができる。
【0227】
1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよい。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよく、2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよく、少なくとも2個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよく、3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよく、少なくとも3個の異なるエピトープコード核酸配列をコードすることができる。1つ以上の抗原をコードするカセットは、375~600、375~500、または375~400ヌクレオチドの長さであってよく、1~10個、1~5個、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多い抗原を含むことができる。
【0228】
場合によって、さらなる抗原及び/またはエピトープをコードするカセット内の抗原またはエピトープは、コードされた他のエピトープに対して免疫優性なエピトープであってよい。一般的に、免疫優性とは、1個または数個のみの特定の免疫原性ペプチドに対する免疫応答の偏りである。免疫優性は、免疫モニタリングのプロトコールの一環として評価することができる。例えば、免疫優性は、コードされた抗原に対するT細胞及び/またはB細胞応答を評価することにより評価することができる。
【0229】
免疫優性は、免疫優性抗原の存在が、1つ以上の他の抗原に対する免疫応答に与える影響として評価することができる。例えば、免疫優性抗原及びその対応する免疫応答(例えば、免疫優性MHCクラスIエピトープ)は、別の抗原の免疫応答を、免疫優性抗原の非存在下での免疫応答と比較して減少させ得る。この減少は、免疫優性抗原の存在下での免疫応答が治療的に有効な応答とみなされないようなものでありうる。例えば、MHCクラスIエピトープは、他の抗原に対するT細胞応答が、免疫優性なMHCクラスIエピトープの非存在下で誘導される応答と比較して治療的に有効な応答とはみなされなくなった場合に一般的に免疫優性とみなされる。免疫応答は、免疫優性抗原の非存在下での応答と比較して検出限界未満または検出限界近くまで減少されてもよい。例えば、MHCクラスIエピトープは、他の抗原に対するT細胞応答が、免疫優性なMHCクラスIエピトープの非存在下で誘導される応答と比較して検出限界以下である場合に一般的に免疫優性とみなされる。一般的に、免疫優性の評価は、それぞれ各エピトープを提示することが分かっているかまたは予測されている同種MHCアレルを保有する対象に投与されるワクチン組成物中の、どちらも免疫応答を刺激することができる2つの抗原間、例えば、2つのT細胞エピトープ間で行われる。免疫優性は、疑われる免疫優性抗原の存在下及び非存在下での他の抗原に対する相対免疫優性により評価することができる。
【0230】
免疫優性は、2つ以上の抗原間の免疫応答の相対差として評価することができる。免疫優性は、同じカセット内にコードされた別の抗原に対して、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍の特定の抗原の免疫応答を指し得る。免疫優性は、同じカセット内にコードされた別の抗原に対して、100倍、200倍、300倍、400倍、または500倍の特定の抗原の免疫応答を指し得る。免疫優性は、同じカセット内にコードされた別の抗原に対して、100倍、200倍、300倍、400倍、または500倍の特定の抗原の免疫応答を指し得る。免疫優性は、同じカセット内にコードされた別の抗原に対して、10,000倍の特定の抗原の免疫応答を指し得る。
【0231】
場合によっては、免疫優性なエピトープを含むワクチン組成物は避けることが望ましい場合もある。例えば、免疫優性なエピトープをコードしたワクチンカセットの設計は避けることが望ましい場合もある。理論に束縛されることを望むものではないが、免疫優性なエピトープをさらなるエピトープと一緒に投与及び/またはコードすると、さらなるエピトープに対する免疫応答が低下する場合があり、さらなるエピトープに対するワクチン有効性が最終的に低下する可能性がある。例示的な非限定例として、TP53関連ネオエピトープを含むワクチン組成物は、ワクチン組成物中の他の抗原またはエピトープ(例えば、配列番号75~82に示されるKRAS関連MHCクラスIネオエピトープのいずれかなどのワクチン組成物中の1つ以上のKRAS関連ネオエピトープ)に負の影響を及ぼすようにTP53関連ネオエピトープの方向に偏った(例えば、免疫応答が治療的に有効な応答でなくなるところまで、及び/または検出限界未満まで免疫応答を低下させる)免疫応答、例えばT細胞応答を有し得る。したがって、ワクチン組成物を、免疫優性なエピトープをコードしないワクチンカセット(例えば、(新生)抗原コードカセット)を設計するなど、免疫優性なエピトープを含まないように設計することができる。例えば、カセットは、免疫優性なMHCクラスIエピトープの非存在下で他のエピトープが投与された場合の免疫応答と比較して、ワクチン組成物中で対象に投与された場合にカセット内にコードされた別のエピトープに対する免疫応答を低下させるエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、免疫優性なMHCクラスIエピトープの非存在下で他のエピトープが投与された場合の免疫応答と比較して、ワクチン組成物中で対象に投与された場合にカセット内にコードされた別のエピトープに対する免疫応答を検出限界未満まで低下させるエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、免疫優性なMHCクラスIエピトープの非存在下で他のエピトープが投与された場合の免疫応答と比較して、ワクチン組成物中で対象に投与された場合にカセット内にコードされた別のエピトープに対する免疫応答を、免疫応答が治療的に有効でなくなるところまで低下させるエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、各抗原が対象の免疫応答を刺激することができる場合にワクチン組成物中で対象に投与される同じカセット内にコードされた別のエピトープに対して5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、または50倍、またはそれ以上高い免疫応答を刺激するエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、各抗原が対象の免疫応答を刺激することができる場合にワクチン組成物中で対象に投与される同じカセット内にコードされた別のエピトープに対して100倍、200倍、300倍、400倍、または500倍、またはそれ以上高い免疫応答を刺激するエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、各抗原が対象の免疫応答を刺激することができる場合にワクチン組成物中で対象に投与される同じカセット内にコードされた別のエピトープに対して1000倍、2000倍、3000倍、4000倍、または5000倍、またはそれ以上高い免疫応答を刺激するエピトープをコードしない。別の例では、カセットは、各抗原が対象の免疫応答を刺激することができる場合にワクチン組成物中で対象に投与される同じカセット内にコードされた別のエピトープに対して10,000倍、またはそれ以上高い免疫応答をもたらすエピトープをコードしない。
【0232】
V.B.免疫調節因子
本明細書に記載されるベクター、例えば本明細書に記載されるC68ベクター、または本明細書に記載されるアルファウイルスベクターは少なくとも1つの抗原をコードする核酸を含むことができ、また、同じまたは別のベクターが、少なくとも1つの免疫調節因子をコードする核酸を含むことができる。免疫調節因子は、免疫チェックポイント分子に結合してその活性を遮断する結合分子(例えばscFvなどの抗体)を含むことができる。免疫調節因子は、IL-2、IL-7、IL-12(IL-12 p35、p40、p70、及び/またはp70融合コンストラクトを含む)、IL-15、またはIL-21などのサイトカインを含むことができる。免疫調節因子は、修飾サイトカイン(例えば、pegIL-2)を含むことができる。ベクターは、抗原カセットと、免疫調節因子をコードする1つ以上の核酸分子とを含むことができる。
【0233】
遮断または阻害するための標的となりうる例示的な免疫チェックポイント分子としては、これらに限定されるものではないが、CTLA-4、4-1BB (CD137)、4-1BBL (CD137L)、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、すべてのNK(γδ)及びメモリーCD8+(αβ)T細胞で発現する)、CD160(BY55とも呼ばれる)、及びCGEN-15049が挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤には、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、及びCGEN-15049の1つ以上に結合してその活性を遮断または阻害する抗体、またはその抗原結合フラグメント、または他の結合タンパク質が挙げられる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、イピリムマブ、MK-3475(PD-1blocker)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、セミプリマブ(抗PD1抗体)、CT-011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS-936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A/アテゾリズマブ(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)、及びヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。抗体をコードする配列は、当該技術分野における通常の技能を用いてベクターに操作により組み込むことができる。例示的な方法の1つが、あらゆる目的で参照により本明細書に援用する、Fang et al.,Stable antibody expression at therapeutic levels using the 2A peptide. Nat Biotechnol.2005 May;23(5):584-90.Epub 2005 Apr 17に記載されている。
【0234】
V.C.ワクチン設計及び製造のさらなる考慮事項
V.C.1すべての腫瘍サブクローンをカバーするペプチドのセットの決定
すべてまたは大部分の腫瘍サブクローンによって提示されるペプチドを意味する躯幹ペプチド(truncal peptide)を、ワクチンに含めるために優先順位付けすることができる。53任意で、高確率で提示され、免疫原性であると予測される躯幹ペプチドが存在しない場合、または高確率で提示され、免疫原性であると予測される躯幹ペプチドの数が、さらなる非躯幹ペプチドをワクチンに含めることができるだけ充分に小さい場合、ワクチンによって包含される腫瘍サブクローンの数が最大となるように腫瘍サブクローンの数及び種類を推定し、ペプチドを選択することによってさらなるペプチドを順位付けすることができる。54
【0235】
V.C.2.抗原の優先順位決定
上記の抗原フィルターのすべてが適用された後、ワクチン技術が対応できるよりも多くの候補抗原が、ワクチン包含になおも利用可能である可能性がある。追加的に、抗原解析の種々の態様についての不確定度が残っている可能性があり、候補ワクチン抗原の様々な性状の間にトレードオフが存在する可能性がある。したがって、選択プロセスの各段階でのあらかじめ決定されたフィルターの代わりに、少なくとも以下の軸を有する空間に候補抗原を置き、積分アプローチを用いて選択を最適化する、積分多次元モデルを考えることができる。
1.自己免疫または寛容のリスク(生殖細胞系列のリスク)(より低い自己免疫のリスクが、典型的に好ましい)
2.シークエンシングアーチファクトの確率(より低いアーチファクトの確率が、典型的に好ましい)
3.免疫原性の確率(より高い免疫原性の確率が、典型的に好ましい)
4.提示の確率(より高い提示の確率が、典型的に好ましい)
5.遺伝子発現(より高い発現が、典型的に好ましい)
6.HLA遺伝子のカバレッジ(抗原のセットの提示に関与する、より多い数のHLA分子は、腫瘍が、HLA分子の下方制御または変異を介して免疫攻撃を回避するであろう確率を低くする可能性がある)
7.HLAクラスのカバレッジ(HLA-I及びHLA-IIの両方をカバーすることで、治療応答の確率が高まり、腫瘍の回避の確率が低くなる可能性がある)
【0236】
さらに、場合によっては、抗原が、患者の腫瘍のすべてまたは一部において喪失するかまたは不活性化されたHLAアレルによって提示されることが予想される場合には、抗原のワクチン接種における優先順位を下げる(例えば除外)することができる。HLAアレルの喪失は、体細胞変異、ヘテロ接合性の喪失、または遺伝子座のホモ接合欠失のいずれかによって生じうる。HLAアレルの体細胞変異の検出方法は当該技術分野では周知のものである(例えば、Shukla et al.,2015)。体細胞LOH及びホモ接合欠失(HLA遺伝子座を含む)の検出方法についても同様に述べられている(Carter et al.,2012;McGranahan et al.,2017;Van Loo et al.,2010)。抗原は、質量分析データが、予測された抗原が予測されたHLAアレルによって提示されないことを示す場合には優先順位付けを外してもよい。
【0237】
V.D.アルファウイルス
V.D.1.アルファウイルスの生物学
アルファウイルスは、トガウイルス科のメンバーであり、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。メンバーは、一般的に、シンドビス、ロスリバー、マヤロ、チクングニア、及びセムリキ森林ウイルスなどの旧世界型、または、東部ウマ脳炎ウイルス、アウラ、フォートモルガン、もしくはベネズエラウマ脳炎ウイルス及びその誘導株TC-83などの新世界型に分類される(Strauss Microbial Review 1994)。天然のアルファウイルスゲノムは、通常、長さ約12kbであり、その最初の2/3は、ウイルスゲノムを自己複製するためのRNA複製複合体を形成する非構造タンパク質(nsP)をコードする遺伝子を含んでおり、最後の1/3は、ビリオンを産生するための構造タンパク質をコードするサブゲノム発現カセットを含んでいる(Frolov RNA 2001)。
【0238】
アルファウイルスのモデル生活環は、複数の異なるステップを含む(Strauss Microbial Review 1994,Jose Future Microbiol 2009)。宿主細胞にウイルスが吸着した後、ビリオンが細胞内区画内の膜と融合し、最終的にゲノムRNAをサイトゾル中に放出する。プラス鎖の向きを有し、5’末端のメチルグアニル酸キャップ及び3’末端のポリAテールを有するゲノムRNAは、翻訳されて非構造タンパク質nsP1-4を生成し、これが複製複合体を形成する。感染初期には、プラス鎖はこの複合体によってマイナス鎖の鋳型に複製される。現在のモデルでは、複製複合体は感染が進行するにつれてさらにプロセシングされ、生じたプロセス後の複合体はマイナス鎖の完全長プラス鎖ゲノムRNA及び構造遺伝子を含む26Sのサブゲノムプラス鎖RNAへの転写に切り替わる。アルファウイルスのいくつかの保存配列エレメント(CSE)が、マイナス鎖鋳型からのプラス鎖RNAの複製における5’UTRの相補体、ゲノム鋳型からのマイナス鎖合成の複製における51ntのCSE、マイナス鎖からのサブゲノムRNAの転写におけるnsPと26S RNAとのジャンクション領域内の24ntのCSE、及び、プラス鎖鋳型からのマイナス鎖合成における3’末端の19ntのCSEを含む様々なRNA合成ステップにおいて潜在的に一定の役割を担っているものとして同定されている。
【0239】
ウイルスの自然の生活環では、異なるRNA種の複製後、ウイルス粒子が通常、アセンブルされる。26S RNAは翻訳され、生じたタンパク質はさらにプロセシングされて、カプシドタンパク質、糖タンパク質E1及びE2、ならびに2種類の小ポリペプチドE3及び6Kを含む構造タンパク質を生成する(Strauss 1994)。ウイルス粒子のカプシド形成が生じ、通常はゲノムRNAのみに特異的なカプシドタンパク質がパッケージングされた後、ビリオンがアセンブルされ、膜表面に出芽する。
【0240】
V.D.2.送達ベクターとしてのアルファウイルス
アルファウイルス(アルファウイルス配列、特徴、及び、他の要素)を使用してアルファウイルスベースの送達ベクター(アルファウイルスベクター、アルファウイルスウイルスベクター、アルファウイルスワクチンベクター、自己複製RNA(srRNA)ベクター、または自己増幅mRNA(SAM)ベクターもしくはsamRNAベクターとも称される)を作製することができる。アルファウイルスは、発現ベクター系として使用するために従来、遺伝子操作がなされている(Pushko 1997,Rheme 2004)。アルファウイルスは、異種抗原の発現が望ましい場合があるワクチン設定においていくつかの長所を有する。アルファウイルスは、宿主のサイトゾル中で自己複製するその能力のため、細胞内の発現カセットの高いコピー数を一般的に得ることができることから、高いレベルの異種抗原の産生を実現することができる。さらに、ベクターは一般的に一過性であるため、バイオセーフティーが高く、ベクターに対する免疫寛容の誘導は低い。また、一般公衆は、一般的にヒトアデノウイルスのような他の標準的ウイルスベクターと比較してアルファウイルスに対する既存の免疫を有していない。アルファウイルスに基づくベクターはまた、感染細胞に対する細胞傷害性反応を一般的に生じる。細胞傷害性は、発現された異種抗原に対する免疫応答を適性に刺激するためにワクチン設定においてある程度の重要性を有しうる。しかしながら、所望の細胞傷害性の程度はバランスの問題であり、そのため、VEEのTC-83株をはじめとするいくつかの弱毒化されたアルファウイルスが開発されている。したがって、本明細書に記載される抗原発現ベクターの一例では、高いレベルの抗原発現を可能とし、抗原に対する強い免疫応答を刺激し、ベクター自体に対する免疫応答は刺激せず、安全に使用することができるアルファウイルス骨格を用いることができる。さらに、抗原発現カセットは、ベクターが、VEEまたはその弱毒化誘導株TC-83に由来する配列を含む(ただしこれらに限定されない)どのアルファウイルス配列を用いるかを最適化することを通じて異なるレベルの免疫応答を刺激するように設計することができる。
【0241】
アルファウイルス配列を用いたいくつかの発現ベクターの設計戦略が開発されている(Pushko 1997)。1つの戦略では、アルファウイルスベクターの設計は、構造タンパク質遺伝子の下流に26Sプロモーター配列因子の第2のコピーを挿入した後、異種遺伝子を挿入することを含む(Frolov 1993)。これにより、天然の非構造及び構造タンパク質以外に、さらなる異種タンパク質を発現するサブゲノムRNAが産生される。このシステムでは、感染性ビリオンを産生するためのすべての因子が存在し、したがって、非感染細胞において発現ベクターの繰り返しの感染のラウンドが行われうる。
【0242】
別の発現ベクターの設計では、ヘルパーウイルスシステムを利用する(Pushko 1997)。この戦略では、構造タンパク質は異種遺伝子によって置換される。したがって、依然としてインタクトな非構造遺伝子によって媒介されるウイルスRNAの自己複製の後、26SサブゲノムRNAが異種タンパク質の発現をもたらす。従来、構造タンパク質を発現するさらなるベクターが、例えば、細胞株の同時トランスフェクションなどによってイン・トランスで与えられることで感染性ウイルスを生じる。1つのシステムが米国特許第8,093,021号に記載されており、当該特許の全容をあらゆる目的で参照によって本明細書に援用する。ヘルパーベクターシステムは、感染性粒子を形成する可能性を制限するという長所をもたらし、したがってバイオセーフティーを改善する。さらに、ヘルパーベクターシステムは、全ベクター長を短縮し、複製及び発現の効率を改善する可能性がある。したがって、本明細書に記載される抗原発現ベクターの一例では、構造タンパク質が抗原カセットで置換されたアルファウイルス骨格を用いることができ、得られるベクターはバイオセーフティーの問題が低減されるのと同時に全体的な発現ベクターのサイズの減少により、効率的な発現を促進する。
【0243】
V.D.3.インビトロでのアルファウイルスの生成
アルファウイルス送達ベクターは一般的に、プラスセンスRNAポリヌクレオチドである。RNA生成のための当該技術分野では周知の従来の方法として、インビトロ翻訳(IVT)がある。この方法では、所望のベクターのDNA鋳型が、クローニング、制限消化、ライゲーション、遺伝子合成(例えば、化学的及び/または酵素的合成)、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの標準的な分子生物学的方法を含む当該技術分野では周知の方法によって最初に生成される。このDNA鋳型は、RNAに転写されることが望ましい配列の5’末端にRNAポリメラーゼのプロモーターを有している。プロモーターとしては、これらに限定されるものではないが、T3、T7、またはSP6などのバクテリオファージポリメラーゼのプロモーターが挙げられる。次に、DNA鋳型は、適当なRNAポリメラーゼ酵素、バッファー剤、及びヌクレオチド(NTP)とインキュベートされる。得られたRNAポリヌクレオチドは、7-メチルグアノシンまたは関連する構造などの5’キャップ構造の付加、及びポリアデニル化(ポリA)テールを有するように3’末端を任意で改変することを含む(ただしこれらに限定されない)方法によって、任意でさらに改変することができる。次に、RNAをフェノールクロロホルム抽出またはカラム精製(例えば、クロマトグラフィーベースの精製)などの当該技術分野では周知の方法を用いて精製することができる。
【0244】
V.D.4.脂質ナノ粒子による送達
ワクチンベクターの設計において考慮すべき重要な側面の1つとして、ベクター自体に対する免疫がある(Riley 2017)。これは、例えば特定のヒトアデノウイルス系などのベクター自体に対する既存の免疫の形である場合もあり、またはワクチンの投与後に生じるベクターに対する免疫の形である場合もある。後者は、例えば別々のプライミング及びブースター投与のように同じワクチンの複数回の投与が行われる場合、または異なる抗原カセットを送達するために同じワクチンベクターシステムが用いられるような場合に重要な考慮事項となる。
【0245】
アルファウイルスベクターの場合では、標準的な送達方法は、カプシド、E1、及びE2タンパク質をイン・トランスで与えることによって感染性のウイルス粒子を生じる上記に述べたヘルパーウイルスシステムである。しかしながら、E1及びE2タンパク質は、しばしば中和抗体の主要な標的である点に留意することが重要である(Strauss 1994)。したがって、対象とする抗原を標的細胞に送達するためにアルファウイルスベクターを使用することの有効性は、感染性粒子が中和抗体の標的とされる場合に低下する可能性がある。
【0246】
ウイルス粒子を媒介とした遺伝子送達の代替的手法として、ナノ粒子を用いた発現ベクターの送達がある(Riley 2017)。重要な点として、ナノ材料担体は、非免疫原性材料で形成することができ、送達ベクター自体に対する免疫の誘導を一般的に回避することができる。これらの材料としては、これらに限定されるものではないが、脂質、無機ナノ材料、及び他のポリマー材料を挙げることができる。脂質は、カチオン性、アニオン性、または中性であってよい。かかる材料は、合成または天然由来のものであってよく、特定の例では生分解性であってよい。脂質は、脂肪、コレステロール、リン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)複合体(PEG化脂質)を含む(ただしこれに限定されない)脂質複合体、ワックス、油類、グリセリド、及び脂溶性ビタミンを含みうる。
【0247】
脂質ナノ粒子(LNP)は、膜及び小胞状構造の形成を可能とする脂質の両親媒性の性質のために魅力的な送達システムである(Riley 2017)。一般的にこれらの小胞は、標的細胞の膜内に吸収され、サイトゾル中に核酸を放出することによって発現ベクターを送達する。さらに、LNPは特定の細胞種のターゲティングを促すようにさらに改変または官能化することができる。LNPの設計における別の考慮事項は、ターゲティングの効率と細胞傷害性との間のバランスである。脂質の組成は一般的に、カチオン性、中性、アニオン性、及び両親媒性脂質の規定の混合物を含む。いくつかの例では、LNPの凝集を防止するか、脂質の酸化を防止するか、またはさらなる部分の付着を促す化学官能基を与えるために特定の脂質が含まれる。脂質の組成は、全体のLNPのサイズ及び安定性に影響しうる。1つの例では、脂質の組成は、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(MC3)またはMC3様分子を含む。MC3及びMC3様脂質の組成物は、例えばPEGまたはPEG複合化脂質、ステロール、または中性脂質などの1種類以上の他の脂質を含むように製剤化することができる。
【0248】
血清に直接曝露された発現ベクターなどの核酸ベクターは、血清中のヌクレアーゼによる核酸の分解、または遊離核酸による免疫系のオフターゲットの刺激を含むいくつかの望ましくない影響を有しうる。したがって、アルファウイルスベクターの封入を利用して分解を防止する一方で、潜在的なオフターゲット効果も防止することができる。特定の例では、アルファウイルスベクターは、LNPの水性の内部など、送達担体内に完全に封入される。LNP内へのアルファウイルスベクターの封入は、微小流体液滴生成装置で行われる微小流体混合及び液滴生成などの当該技術分野では周知の方法によって実施することができる。かかる装置としては、これらに限定されるものではないが、標準的なTジャンクション装置またはフローフォーカシング装置が挙げられる。1つの例では、MC3またはMC3様分子含有組成物などの所望の脂質製剤を、アルファウイルス送達ベクター及び他の所望の物質と並行して液滴生成装置に供給することで、送達ベクター及び所望の物質がMC3またはMC3様分子ベースのLNPの内部に完全に封入される。1つの例では、液滴生成装置は、生成されたLNPの粒径範囲及び粒度分布を制御することができる。例えば、LNPは、直径1~1000nmの範囲の粒径、例えば、1、10、50、100、500、または1000nmの粒径を有することができる。液滴生成の後、発現ベクターを封入した送達ベクターを、投与に備えてさらに処理または改変することができる。
【0249】
V.E.チンパンジーアデノウイルス(ChAd)
V.E.1.チンパンジーアデノウイルスによるウイルス送達
(例えば、表A及び/またはAACR GENIE結果に示す1つ以上のネオ抗原、及び/または、表1.2に示す1つ以上の抗原を含む抗原カセットにより)1つ以上の抗原を送達するためのワクチン組成物は、チンパンジー由来のアデノウイルスヌクレオチド配列、各種の新規ベクター、及びチンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する細胞株を与えることにより作出することができる。チンパンジーC68アデノウイルス(本明細書ではChAdV68とも呼ぶ)のヌクレオチド配列を、抗原を送達するためのワクチン組成物中に使用することができる(配列番号1を参照)。C68アデノウイルス由来ベクターの使用については米国特許第6,083,716号にさらに詳細に記載されており、当該特許の全容をあらゆる目的で参照によって本明細書に援用する。ChAdV68ベースのベクター及び送達システムは、あらゆる目的で本明細書に参照によりそれぞれ援用するところの米国特許出願公開第US20200197500A1号及び国際特許出願公開第WO2020243719A1に詳細に記載されている。
【0250】
さらなる態様において、本明細書では、C68などのチンパンジーアデノウイルスのDNA配列と、発現を誘導する調節配列に機能的に連結された抗原カセットとを含む組換えアデノウイルスが提供される。この組換えウイルスは、哺乳動物、好ましくはヒトの細胞に感染させることが可能であり、細胞内でネオ抗原カセットの産物を発現することが可能である。このベクターでは、天然のチンパンジーE1遺伝子、及び/またはE3遺伝子、及び/またはE4遺伝子を欠失させることができる。抗原カセットを、これらの遺伝子欠失部位のいずれに挿入することもできる。抗原カセットは、それに対するプライミングされた免疫応答が望ましい抗原を含むことができる。
【0251】
別の態様において、本明細書では、C68などのチンパンジーアデノウイルスを感染させた哺乳動物細胞が提供される。
【0252】
さらなる別の態様では、チンパンジーアデノウイルス遺伝子(例えばC68由来の)またはその機能的フラグメントを発現する新規な哺乳動物細胞株が提供される。
【0253】
いっそうさらなる態様において、本明細書では、哺乳動物細胞内に抗原カセットを送達するための方法であって、細胞内に、抗原カセットを発現するように操作された、有効量のC68などのチンパンジーアデノウイルスを導入する工程を含む方法が提供される。
【0254】
さらなる別の態様は、がんを治療するために哺乳動物宿主に免疫応答を刺激する方法を提供する。この方法は、免疫応答が標的とする腫瘍に由来する1種類以上の抗原をコードする抗原カセットを含む、有効量のC68などの組換えチンパンジーアデノウイルスを宿主に投与する工程を含むことができる。
【0255】
さらなる別の態様は、哺乳動物宿主に免疫応答を刺激して、対象の疾患を治療または予防するための方法を提供する。この方法は、免疫応答が標的とする疾患に由来する抗原などの1つ以上の抗原をコードする抗原カセットを含む、有効量のC68などの組換えチンパンジーアデノウイルスを宿主に投与する工程を含むことができる。
【0256】
さらに、配列番号1の配列から得られるチンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する非サル哺乳動物細胞も開示される。この遺伝子は、配列番号1のアデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5からなる群から選択することができる。
【0257】
さらに、配列番号1の配列から得られる遺伝子を含むチンパンジーアデノウイルスのDNA配列を含む核酸分子も開示される。この遺伝子は、配列番号1の前記チンパンジーアデノウイルスE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子からなる群から選択することができる。いくつかの態様において、核酸分子は、配列番号1を含む。いくつかの態様において、核酸分子は、配列番号1のE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子が欠失した、配列番号1の配列を含む。
【0258】
さらに、配列番号1から得られるチンパンジーアデノウイルスDNA配列と、異種宿主細胞内でカセットの発現を誘導する1つ以上の調節配列に機能的に連結された抗原カセットとを含むベクターであって、任意で、チンパンジーアデノウイルスDNA配列が、複製及びカプシド形成に必要とされる少なくともシスエレメントを含み、シスエレメントが抗原カセット及び調節配列に隣接している、ベクターも開示される。いくつかの態様において、チンパンジーアデノウイルスDNA配列は、配列番号1のE1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4及びL5遺伝子配列から選択される遺伝子を含む。いくつかの態様において、ベクターは、E1A及び/またはE1B遺伝子を欠失していてもよい。
【0259】
本明細書では、欠失または部分欠失E4orf2領域及び欠失または部分欠失E4orf3領域、及び任意で、欠失または部分欠失E4orf4領域を含む、部分欠失E4遺伝子を含むアデノウイルスベクターも開示される。部分欠失E4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642のE4欠失を含むことができ、ベクターは、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分欠失E4は、配列番号1に示される配列のヌクレオチド34,916~34,942の少なくとも部分欠失、配列番号1に示される配列のヌクレオチド34,952~35,305の少なくとも部分欠失、及び配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,302~35,642の少なくとも部分欠失のE4欠失を含むことができ、ベクターは、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分欠失E4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,980~36,516のE4欠失を含むことができ、ベクターは、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分欠失E4は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,979~35,642のE4欠失を含むことができ、ベクターは、配列番号1に記載される配列の少なくともヌクレオチド2~36,518を含む。部分欠失E4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失、完全欠失したE4Orf3、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失のE4欠失を含むことができる。部分欠失E4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失、E4Orf3の少なくとも部分欠失、及びE4Orf4の少なくとも部分欠失のE4欠失を含むことができる。部分欠失E4は、E4Orf1の少なくとも部分欠失、完全欠失したE4Orf2、及びE4Orf3の少なくとも部分欠失のE4欠失を含むことができる。部分欠失E4は、E4Orf2の少なくとも部分欠失及びE4Orf3の少なくとも部分欠失のE4欠失を含むことができる。部分欠失E4は、E4Orf1の開始部位からE4Orf5の開始部位までのE4欠失を含むことができる。部分欠失E4は、E4Orf1の開始部位に隣接したE4欠失であってよい。部分欠失E4は、E4Orf2の開始部位に隣接したE4欠失であってよい。部分欠失E4は、E4Orf3の開始部位に隣接したE4欠失であってよい。部分欠失E4は、E4Orf4の開始部位に隣接したE4欠失であってよい。E4欠失は、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000、少なくとも1100、少なくとも1200、少なくとも1300、少なくとも1400、少なくとも1500、少なくとも1600、少なくとも1700、少なくとも1800、少なくとも1900、または少なくとも2000ヌクレオチドであることができる。E4欠失は、少なくとも700ヌクレオチドであってよい。E4欠失は、少なくとも1500ヌクレオチドであってよい。E4欠失は、50以下、100以下、200以下、300以下、400以下、500以下、600以下、700以下、800以下、900以下、1000以下、1100以下、1200以下、1300以下、1400以下、1500以下、1600以下、1700以下、1800以下、1900以下、または2000ヌクレオチド以下であってよい。E4欠失は、750ヌクレオチド以下であってよい。E4欠失は、少なくとも1550ヌクレオチドまたはそれ以下であってよい。
【0260】
部分欠失E4遺伝子は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であってよい。部分欠失E4遺伝子は、配列番号1に示されるE4遺伝子配列を欠き、かつ、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~34,942、ヌクレオチド34,952~35,305、及び配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,302~35,642を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であってよい。部分欠失E4遺伝子は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,980~36,516を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であってよい。部分欠失E4遺伝子は、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,979~35,642を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であってよい。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、カセットを含むことができ、カセットは少なくとも1つのペイロード核酸配列を含み、さらにカセットは、少なくとも1つのペイロード核酸配列に機能的に連結された少なくとも1つのプロモーター配列を含む。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示されるChAdV68配列の1つ以上の遺伝子または調節配列を有することができ、任意で、1つ以上の遺伝子または調節配列は、配列番号1に示される配列のチンパンジーアデノウイルス末端逆位反復配列(ITR)、E1A、E1B、E2A、E2B、E3、E4、L1、L2、L3、L4、及びL5遺伝子のうちの少なくとも1つを含む。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,915を有することができ、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,915の3’末端であり、任意でヌクレオチド2~34,915は、E1欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403をさらに欠き、及び/またはE3欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠く。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド35,643~36,518を有することができ、部分欠失E4遺伝子はヌクレオチド35,643~36,518の5’末端である。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,916を有することができ、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’末端であり、ヌクレオチド2~34,916は、E1欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403をさらに欠き、かつE3欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠く。部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,915を有することができ、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,916の3’末端であり、ヌクレオチド2~34,915は、E1欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403をさらに欠き、かつE3欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠き、かつ配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,643~36,518を有し、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド35,643~36,518の5’末端である。
【0261】
部分欠失E4遺伝子を有するアデノウイルスベクターは、配列番号1に示される配列の少なくともヌクレオチド34,916~35,642、配列番号1に示される配列のヌクレオチド2~34,915を欠く、配列番号1に示されるE4遺伝子配列であってよく、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド2~34,915の3’末端であり、ヌクレオチド2~34,915は、E1欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド577~3403をさらに欠き、かつE3欠失に相当する、配列番号1に示される配列のヌクレオチド27,125~31,825を欠き、かつ配列番号1に示される配列のヌクレオチド35,643~36,518を有し、部分欠失E4遺伝子は、ヌクレオチド35,643~36,518の5’末端である。
【0262】
さらに、抗原カセットを発現するように操作されたC68ベクターなどの本明細書に開示されるベクターをトランスフェクトした宿主細胞も開示される。さらに、細胞内に本明細書に開示されるベクターを導入することによって細胞内に導入された選択された遺伝子を発現するヒト細胞も開示される。
【0263】
さらに、哺乳動物細胞に抗原カセットを送達するための方法であって、前記細胞内に、抗原カセットを発現するように操作された有効量のChAdベクターまたは自己複製RNAベクターなどの本明細書に開示されるベクターを導入することを含む方法も提供される。
【0264】
さらに、哺乳動物細胞内に本明細書に開示されるベクターを導入することと、適当な条件下で細胞を培養することと、抗原を産生することと、を含む、抗原を産生するための方法も開示される。
【0265】
V.E.2.E1を発現する相補性細胞株
本明細書に記載される遺伝子のいずれかにおいて欠失を有する組換えチンパンジーアデノウイルス(Ad)を作製するため、欠失させた遺伝子領域の機能(ウイルスの複製及び感染性に不可欠である場合)をヘルパーウイルスまたは細胞株(すなわち、相補性またはパッケージング細胞株)によって組換えウイルスに供給することができる。例えば、複製欠損チンパンジーアデノウイルスベクターを作製するには、ヒトまたはチンパンジーアデノウイルスのE1遺伝子産物を発現する細胞株を使用することができ、そのような細胞株にはHEK293またはそのバリアントが含まれうる。チンパンジーE1遺伝子を発現する細胞株の作製のプロトコール(米国特許第6,083,716号の実施例3及び4)にしたがって任意の選択されたチンパンジーアデノウイルス遺伝子を発現する細胞株を作製することができる。
【0266】
AAV強化アッセイを用いてチンパンジーアデノウイルスE1発現細胞株を同定することができる。このアッセイは、他の特性評価されていないアデノウイルス(例えば他の種由来)のE1遺伝子を使用して作製された細胞株においてE1の機能を同定するうえで有用である。このアッセイは米国特許第6,083,716号の実施例4Bに記載されている。
【0267】
選択されたチンパンジーアデノウイルス遺伝子(例えばE1)は、選択された親細胞株で発現するためのプロモーターの転写制御下にある可能性がある。この目的で誘導性または構成性プロモーターを用いることができる。誘導性プロモーターには、亜鉛によって誘導されるヒツジメタロチオニンプロモーター、または糖質コルチコイド、特にデキサメタゾンによって誘導されるマウス哺乳動物腫瘍ウイルス(MMTV)がある。本明細書に参照により援用するところの国際出願第WO95/13392号において特定されるものなどの他の誘導性プロモーターもパッケージング細胞株の作製に使用することができる。チンパンジーアデノウイルス遺伝子の発現を制御する構成性プロモーターも用いることができる。
【0268】
任意の所望のC68遺伝子を発現する新規な細胞株を作製するために親細胞を選択することができる。限定されることなく、かかる親細胞株は、HeLa[ATCC寄託番号CCL2]、A549[ATCC寄託番号CCL185]、KB[CCL17]、Detroit[例えばDetroit510、CCL72]、及びWI-38[CCL75]細胞であってよい。他の適当な親細胞株を他の供給元から入手することができる。親細胞株としては、CHO、HEK293またはそのバリアント、911、HeLa、A549、LP-293、PER.C6、またはAE1-2aを挙げることができる。
【0269】
E1発現細胞株は、組換えチンパンジーアデノウイルスE1欠失ベクターの作製において有用となりうる。1つ以上の他のチンパンジーアデノウイルス遺伝子産物を発現する基本的に同じ手順を用いて構築された細胞株は、これらの産物をコードする遺伝子に欠失を有する組換えチンパンジーアデノウイルスベクターの作製において有用である。さらに、他のヒトAd E1遺伝子産物を発現する細胞株も、チンパンジー組換えAdを作製するうえで有用である。
【0270】
V.E.3.ベクターとしての組換えウイルス粒子
本明細書に開示される組成物は、少なくとも1種類の抗原を細胞に送達するウイルスベクターを含むことができる。かかるベクターは、C68のようなチンパンジーアデノウイルスDNA配列と、カセットを直接発現するための調節配列に機能的に連結された抗原カセットとを含む。C68ベクターは、感染した哺乳動物細胞内でカセットを発現することが可能である。C68ベクターは1つ以上のウイルス遺伝子に機能的欠失を有することができる。抗原カセットは、プロモーターなどの1つ以上の調節配列の制御下にある少なくとも1つの抗原を含む。任意選択的なヘルパーウイルス及び/またはパッケージング細胞株によって、チンパンジーウイルスベクターに、欠失させたアデノウイルス遺伝子の任意の必要な産物を供給することができる。
【0271】
「機能的に欠失された」という用語は、その遺伝子領域の充分な量が除去または例えば変異もしくは改変により他の形で変化させられていることにより、その遺伝子領域が遺伝子発現の1つ以上の機能的産物を産生できなくなっていることを意味する。機能的欠失につながりうる変異または改変としては、これらに限定されるものではないが、未成熟終止コドンの導入及び基準及び非基準開始コドンの除去のようなナンセンス変異、mRNAスプライシングまたは他の転写プロセシングを変化させる変異、またはこれらの組み合わせが挙げられる。必要な場合、遺伝子領域全体を除去することができる。
【0272】
配列の欠失、挿入、及び他の変異を含む、本明細書に開示されるベクターを形成する核酸配列の改変は、標準的な分子生物学的手法を用いて生成することができるものであり、本明細書の範囲内である。
【0273】
V.E.4.ウイルスプラスミドベクターの構築
本発明で有用なチンパンジーアデノウイルスC68ベクターには、組換え欠損アデノウイルス、すなわち、E1aまたはE1b遺伝子に機能的欠失を有し、例えば温度感受性変異または他の遺伝子における欠失などの他の変異を任意で有する、チンパンジーアデノウイルス配列が含まれる。これらのチンパンジー配列は、他のアデノウイルス及び/またはアデノ随伴ウイルス配列からハイブリッドベクターを形成するうえでも有用であると予想される。ヒトアデノウイルスから調製された同種アデノウイルスベクターについては、刊行文献に記載されている[例えば、上記に引用のKozarsky I及びII、ならびに同文献に引用された参照文献、米国特許第5,240,846号を参照]。
【0274】
抗原カセットをヒト(または他の哺乳動物)細胞に送達するための有用なチンパンジーアデノウイルスC68ベクターの構築において、広範囲のアデノウイルス核酸配列をベクターに用いることができる。最小のチンパンジーC68アデノウイルス配列を含むベクターをヘルパーウイルスとともに使用して感染性の組換えウイルス粒子を作製することができる。ヘルパーウイルスは、最小のチンパンジーアデノウイルスベクターのウイルス感染性及び増殖に必要な基本的な遺伝子産物を提供する。チンパンジーアデノウイルス遺伝子の1つ以上の選択された欠失のみが、欠失がなければ機能性のウイルスベクターに導入される場合、欠失された遺伝子産物は、欠失された遺伝子機能をイン・トランスで与えるウイルスを選択されたパッケージング細胞株内で増殖させることによるウイルスベクター作製プロセスで供給することができる。
【0275】
V.E.5.組換え最小アデノウイルス
最小チンパンジーAd C68ウイルスとしては、複製及びビリオンのカプシド形成に必要なアデノウイルスのシスエレメントのみを含むウイルス粒子がある。すなわち、このベクターは、アデノウイルスのシス作用性の5’及び3’の末端逆位繰り返し配列(ITR)(複製起点として機能する)と、天然の5’パッケージング/エンハンサードメイン(直鎖状のAdのゲノム及びE1プロモーターのエンハンサーエレメントをパッケージングするために必要な配列を含む)とを含む。例えば、国際出願第WO96/13597号において「最小」ヒトAdベクターの調製について述べられ、本明細書に参照によって援用する方法を参照されたい。
【0276】
V.E.6.他の欠損アデノウイルス
組換え複製不全アデノウイルスは、最小チンパンジーアデノウイルス配列以上のものを含んでもよい。これらの他のAdベクターは、ウイルスの遺伝子領域の異なる部分の欠失、ならびに、必要に応じたヘルパーウイルス及び/またはパッケージング細胞株の使用によって形成される感染性ウイルス粒子によって特徴づけることができる。
【0277】
1つの例として、適当なベクターは、C68アデノウイルスの最初期遺伝子E1a及び後初期遺伝子E1bの全体または充分な部分を欠失させることにより、それらの正常な生物学的機能を失わせることによって形成することができる。複製不全E1欠失ウイルスは、対応する遺伝子産物をイン・トランスで与える機能的アデノウイルスE1a及びE1b遺伝子を含むチンパンジーのアデノウイルス形質転換相補性細胞株で増殖させた場合に感染性のウイルスを複製及び生成することが可能である。既知のアデノウイルス配列に対する相同性に基づけば、得られる組換えチンパンジーアデノウイルスは、当該技術分野のヒト組換えE1欠失アデノウイルスでそうであるように多くの細胞種に感染することが可能であり、抗原(複数可)を発現することができるが、チンパンジーE1領域DNAを有していない多くの細胞では、細胞が極めて高い感染多重度で感染していないかぎりは複製できないものと予想される。
【0278】
別の例として、C68アデノウイルス後初期遺伝子E3の全体または一部を、組換えウイルスの一部を形成するチンパンジーアデノウイルス配列から除去することができる。
【0279】
チンパンジーアデノウイルスC68ベクターは、E4遺伝子の欠失を有するように構築することもできる。さらに別のベクターは、後初期遺伝子E2aに欠失を有することができる。
【0280】
欠失は、チンパンジーC68アデノウイルスゲノムの後期遺伝子L1~L5のいずれに導入することもできる。同様に、中期遺伝子IX及びIVa2内の欠失も特定の目的では有用となりうる。他の欠失を他の構造または非構造アデノウイルス遺伝子に導入することもできる。
【0281】
上記に述べた欠失は、個々に用いることもできる。すなわち、アデノウイルス配列はE1のみの欠失を有してもよい。また、それらの生物学的活性を破壊または低減するうえで効果的な遺伝子全体またはその一部を任意の組み合わせで用いることもできる。例えば、1つの例示的なベクターでは、アデノウイルスC68配列は、E1遺伝子及びE4遺伝子、またはE1、E2a、及びE3遺伝子、またはE1及びE3遺伝子、または、E3の欠失をともなうかまたはともなわない、E1、E2a、及びE4遺伝子の欠失を有することができる。上記に述べたように、かかる欠失は、所望の結果を得るために温度感受性変異などの他の変異と組み合わせて用いることができる。
【0282】
抗原(複数可)を含むカセットを、任意でチンパンジーC68Adウイルスの任意の欠失領域に挿入する。また、必要に応じて既存の遺伝子領域内にカセットを挿入することでその領域の機能を破壊することもできる。
【0283】
V.E.7.ヘルパーウイルス
抗原カセットを送達するために用いられるウイルスベクターのチンパンジーアデノウイルス遺伝子の含量に応じて、ヘルパーアデノウイルスまたは非複製ウイルスフラグメントを用いて、カセットを含む感染性の組換えウイルス粒子を生成するのに充分なチンパンジーアデノウイルス遺伝子配列を与えることができる。
【0284】
有用なヘルパーウイルスは、アデノウイルスベクターコンストラクト中に存在しない、及び/またはベクターをトランスフェクトしたパッケージング細胞株によって発現されない選択されたアデノウイルス遺伝子配列を含む。ヘルパーウイルスは複製不全であってよく、上記に述べた配列以外の様々なアデノウイルス遺伝子を含むことができる。ヘルパーウイルスは、本明細書に記載されるE1発現細胞株と組み合わせて用いることができる。
【0285】
C68では、「ヘルパー」ウイルスは、C68ゲノムのC末端を、ウイルスの左端から約1300bpを除去するSspIによって短縮することによって形成されるフラグメントとすることができる。次に、この短縮されたウイルスをプラスミドDNAとともにE1発現細胞株内に同時トランスフェクトすることにより、プラスミド内のC68配列との相同組み換えによって組換えウイルスを形成する。
【0286】
ヘルパーウイルスは、Wu et al,J.Biol.Chem.,264:16985-16987 (1989);K.J.Fisher and J.M.Wilson,Biochem.J.,299:49(Apr.1,1994)に記載されるようなポリカチオン複合体として形成することもできる。ヘルパーウイルスは、任意でレポーター遺伝子を含んでもよい。多くのかかるレポーター遺伝子が当該技術分野で知られている。アデノウイルスベクター上の抗原カセットとは異なるヘルパーウイルス上のレポーター遺伝子の存在によって、Adベクターとヘルパーウイルスを独立して観察することが可能となる。この第2のレポーター遺伝子を用いることで、精製時に得られた組換えウイルスとヘルパーウイルスとを分離することが可能である。
【0287】
V.E.8.ウイルス粒子のアセンブリと細胞株の感染
アデノウイルス、抗原カセット、及び他のベクター因子の選択されたDNA配列の様々な中間プラスミド及びシャトルベクターへのアセンブリ、ならびに組換えウイルス粒子を作製するためのプラスミド及びシャトルベクターの使用は、従来の手法を用いてすべて実現することができる。かかる手法としては、従来のcDNAのクローニング法、インビトロ組換え法(例えば、ギブソンアセンブリ)、アデノウイルスゲノムの重複するオリゴヌクレオチド配列の使用、ポリメラーゼ連鎖反応、及び所望のヌクレオチド配列を与える任意の適当な方法が挙げられる。標準的なトランスフェクション及び同時トランスフェクションの手法、例えば、CaPO4沈殿法またはリポフェクタミンなどのリポソーム媒介トランスフェクション法が用いられる。用いられる他の従来の方法としては、ウイルスゲノムの相同組み換え、アガーオーバーレイ中でのウイルスのプラーク形成、シグナル発生測定の方法などが挙げられる。
【0288】
例えば、所望の抗原を含むウイルスベクターの構築及びアセンブリの後、ベクターをインビトロでヘルパーウイルスの存在下でパッケージング細胞株にトランスフェクトすることができる。ヘルパーとベクター配列との間で相同組み換えが起こり、これによりベクター内のアデノウイルス-抗原配列が複製されてビリオンカプシド内にパッケージングされ、組換えウイルスベクター粒子が得られる。
【0289】
得られた組換えチンパンジーC68アデノウイルスは、抗原カセットを選択された細胞に導入するうえで有用である。パッケージング細胞株内で増殖させた組換えウイルスを用いたインビボ実験において、E1欠失組換えチンパンジーアデノウイルスが、カセットを非チンパンジー細胞、好ましくはヒト細胞に導入するうえで実用性を有することが実証されている。
【0290】
V.E.9.組換えウイルスベクターの使用
したがって、抗原カセットを含む得られた組換えチンパンジーC68アデノウイルス(上記に述べたようなアデノウイルスベクターとヘルパーウイルス、またはアデノウイルスベクターとパッケージング細胞株の組み込みにより作製される)は、抗原(複数可)をインビボまたはエクスビボで対象に送達することができる効率的な遺伝子導入担体を与えるものである。
【0291】
上記に述べた組換えベクターは、遺伝子治療について公開されている方法にしたがってヒトに投与される。抗原カセットを有するチンパンジーウイルスベクターは、好ましくは生体適合性溶液または薬学的に許容される送達溶媒中に懸濁させて患者に投与することができる。適当な溶媒としては滅菌生理食塩水が挙げられる。薬学的に許容される担体として知られ、当業者には周知のものである他の水性及び非水性等張滅菌注射溶液、ならびに水性及び非水性滅菌懸濁液をこの目的で使用することもできる。
【0292】
チンパンジーアデノウイルスベクターは、ヒト細胞を形質転換し、医療分野の当業者によって判定することが可能な有害作用をともなわずに、または医学的に許容される生理学的作用をともなって、治療効果を与えるうえで充分なレベルの抗原の導入及び発現をもたらすのに充分な量で投与される。従来の薬学的に許容される投与経路としては、これらに限定されるものではないが、肝臓、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、及び他の非経口の投与経路が挙げられる。投与経路は必要に応じて組み合わせることができる。
【0293】
ウイルスベクターの用量は、治療される状態、患者の年齢、体重、及び健康状態などの因子に主として依存し、したがって患者間で異なりうる。用量は、あらゆる副作用に対して治療効果のバランスが取れるように調節され、かかる用量は、組換えベクターが用いられる治療用途に応じて異なりうる。抗原(複数可)の発現レベルを観察することにより、投与頻度を決定することができる。
【0294】
組換え複製不全アデノウイルスは、「薬学的有効量」、すなわち、所望の細胞をトランスフェクトし、ワクチン効果、すなわち一定の測定可能なレベルの防御免疫をもたらすような選択された遺伝子の充分な発現レベルを与えるのにある投与経路で有効な組換えアデノウイルスの量で投与することができる。抗原を含むC68ベクターは、アジュバントと同時投与することができる。アジュバントは、ベクターとは別のモノマーのであってもよく(例えばミョウバン)または特にアジュバントがタンパク質である場合にはベクター内にコードされてもよい。アジュバントは当該技術分野では周知のものである。
【0295】
従来の薬学的に許容される投与経路としては、これらに限定されるものではないが、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、直腸内、経口、及び他の非経口の投与経路が挙げられる。投与経路は必要に応じて組み合わせるか、または免疫原もしくは疾患に応じて調節することができる。例えば、狂犬病の予防では、皮下、気管内、及び鼻腔内経路が好ましい。投与経路は、主として治療される疾患の性質によって決められる。
【0296】
抗原(複数可)の発現レベルを観察することにより、ブースターの必要性(ある場合)を決定することができる。例えば、血清中の抗体力価の評価の後、必要に応じてブースター免疫が望ましい場合がある。
【0297】
VI.治療及び製造方法
本明細書に開示する方法を用いて特定された複数の抗原などの1つ以上の抗原を対象に投与することにより、対象の腫瘍特異的な免疫応答を刺激し、腫瘍に対するワクチン接種を行い、対象のがんを治療 並びに 又はその症状を緩和する方法も提供される。
【0298】
いくつかの実施形態では、対象は、がんと診断されているかまたはがんを発症するリスクを有する。対象は、以前にがん治療を受けている場合がある、例えば、以前に手術を受け、腫瘍及び/またはがん組織、化学療法、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)、放射線療法、またはこれらの組み合わせを取り除いている場合がある。対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、または腫瘍特異的な免疫応答が望ましい任意の動物とすることができる。腫瘍は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、腎臓癌、胃癌、結腸癌、精巣癌、頭頸部腫瘍、膵臓癌、脳腫瘍、黒色腫、及び他の組織臓器の腫瘍などの任意の固形腫瘍、ならびに、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、及びB細胞リンパ腫を含むリンパ腫及び白血病などの血液腫瘍でありうる。
【0299】
抗原は、CTL応答を刺激するのに充分な量で投与することができる。抗原は、T細胞応答を刺激するのに充分な量で投与することができる。抗原は、B細胞応答を刺激するのに充分な量で投与することができる。抗原は、T細胞応答及びB細胞応答の両方を刺激するのに充分な量で投与することができる。
【0300】
抗原は、単独で、または他の治療薬と併用して投与することができる。治療剤とは、例えば、化学療法剤、放射線、または免疫療法である。特定のがんに対する、任意の好適な治療的処置を、投与することができる。治療に有効な量の治療剤を投与することができる。単独では一般的に、治療に有効な量と考えられないが、本明細書に記載する組成物のいずれかと同時投与する際には、有益な性質を示す、ある量の治療剤を投与することができる。
【0301】
さらに、対象に、チェックポイント阻害剤などの抗免疫抑制/免疫刺激剤をさらに投与することができる。例えば、対象に、抗CTLA抗体または抗PD-1または抗PD-L1をさらに投与することができる。CTLA4またはPD-L1の遮断は、患者のがん性細胞に対する免疫応答を高めることができる。詳細には、CTLA4の遮断は、ワクチン接種プロトコールに従った場合に効果的であることが示されている。
【0302】
ワクチン組成物中に含まれる各抗原の最適量及び最適な投与レジメンを決定することができる。例えば、抗原またはそのバリアントは、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内 (i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射用に製剤化することができる。注射の方法としては、皮下(s.c.)、皮内(i.d.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、及び静脈内(i.v.)が挙げられる。DNAまたはRNAの注射方法としては、皮内(i.d.)、筋肉内(i.m.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)及び静脈内(i.v.)が挙げられる。ワクチン組成物の他の投与方法は、当業者には周知のものである。
【0303】
ワクチンは、組成物中に存在する抗原の選択、数、及び/または量が、組織、がん、及び/または患者に特異的であるように適合することができる。例えば、ペプチドの正確な選択は、特定の親タンパク質の発現パターンによって導くか、または患者の変異状態によって導くことができる。この選択は、特定のがんのタイプ、疾患の状態、初期の治療レジメン、患者の免疫状態、及び、言うまでもなく、患者のHLAハロタイプに依存しうる。さらに、ワクチンは、特定の患者の個人的ニーズにしたがって、個別化された成分を含むことができる。例としては、特定の患者における抗原の発現にしたがって抗原の選択を変えること、または治療の第1ラウンドもしくはスキーム後の二次的治療を調整することが挙げられる。
【0304】
抗原ワクチンの投与を行うための患者は、様々な診断方法、例えば、下記でさらに述べる患者選択方法の使用により特定することができる。患者選択では、1つ以上の遺伝子の変異または発現パターンを特定することを行うことができる。場合によって、患者選択では、患者のハプロタイプを特定することを行う。様々な患者選択方法を並行して行うことができ、例えば、シークエンシング診断によって患者の変異及びハプロタイプの両方を特定することができる。様々な患者選択方法を順次行うこともでき、例えば、1つの診断検査で変異を特定し、別の診断検査で患者のハプロタイプを特定し、その場合、各検査は、同じ(例えば、両方ともハイスループットシークエンシング)か、または異なる(例えば、一方がハイスループットシークエンシングで他方がサンガーシークエンシング)診断方法であってよい。
【0305】
組成物ががんのワクチンとして使用されるためには、正常組織で高量で発現される類似の正常な自己ペプチドを含む抗原が、本明細書に記載される組成物中で避けられるかまたは低量で存在してもよい。これに対して、患者の腫瘍が特定の抗原を高量で発現していることが分かっている場合、このがんの治療用のそれぞれの医薬組成物を高量で存在させることができ、及び/またはこの特定の抗原またはこの抗原の経路に対して特異的な複数の抗原が含まれてもよい。
【0306】
抗原を含む組成物を、既にがんに罹患している個人に投与することができる。治療用途では、組成物は、腫瘍抗原に対する効果的なCTLを刺激するなど、免疫応答を刺激する、症状及び/または合併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するうえで充分な量で対象に投与される。免疫応答は、腫瘍サイズまたは体積の低減を含むことができる。腫瘍サイズまたは体積の低減は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の低減を含むことができる。腫瘍サイズまたは体積の低減は、少なくとも15%の低減を含むことができる。腫瘍サイズまたは体積の低減は、少なくとも20%の低減を含むことができる。免疫応答は、腫瘍サイズまたは体積の安定化を含むことができる。免疫応答は、(例えば、臨床研究で説明される基準により調査されるように)完全奏功(CR)、部分奏功(PR)、または、安定した疾患(SD)などの、対象の疾患の回復をもたらすことができる。これを実現するのに適した量は、「治療有効用量」として定義される。この目的で有効な量は、例えば、組成物、投与形態、治療される疾患のステージ及び重症度、患者の体重及び一般的状態、ならびに処方医師の判断によって決められる。組成物は、特に、がんが転移している場合に、重篤な病状、すなわち命に関わる、または潜在的に命に関わる状況で一般的に用いることができることに留意すべきである。そのような場合、外来物質及び抗原の相対的非毒性特性の最小化を考慮すると、治療にあたる医師によってこれらの組成物の大幅な過剰量を投与することが可能であり、望ましいと感じられるものと考えられる。
【0307】
治療用途では、投与は、腫瘍の検出もしくは外科的除去時に開始することができる。これに続いて、少なくとも症状が実質的に消失し、その後の所定の期間、または免疫が得られたとみなされる(例えば、メモリーB細胞もしくはT細胞集団、または抗原特異的B細胞もしくは抗体が産生される)まで、ブースター用量を投与することができる。
【0308】
抗原を含む組成物(例えば、本明細書に記載する自己複製アルファウイルスベースの発現系またはチンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための、任意の組成物)を、補助療法として、一次療法を既に受けている対象に投与することができる。抗原を含む組成物を、一次療法の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日後、または、一次療法の1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10週以上後に投与することができる。例えば、抗原を含む組成物を、手術の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日後、または、手術の1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10週以上後を含む、腫瘍及び/またはがん組織を取り除く手術の後に、補助療法として投与することができる。
【0309】
抗原を含む組成物(例えば、本明細書に記載する自己複製アルファウイルスベースの発現系またはチンパンジーアデノウイルス(ChAdV)ベースの発現系を送達するための、任意の組成物)を、維持療法として、対象のがんが、一次療法後に寛解(例えば、完全寛解)しているなどの、一次療法を既に受けている対象に投与することができる。
【0310】
一次療法としては、腫瘍及び/もしくはがん組織を取り除くための手術、化学療法、免疫療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)、放射線療法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。一次療法としては、手術を挙げることができる。一次療法としては、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及び/またはベバシズマブなどの化学療法を挙げることができる。一次療法としては、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、及びベバシズマブの併用療法を挙げることができる。
【0311】
抗原を含む組成物を、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法、放射線療法、またはこれらの組み合わせと組み合わせて投与されるなどの、追加療法との併用療法としての、アジュバント療法または維持療法として投与することができる。併用療法は、フルオロピリミジン、ベバシズマブ、及び/または、免疫チェックポイント阻害剤療法を含むことができる。併用療法は、フルオロピリミジン及びベバシズマブを含むことができる。併用療法は、フルオロピリミジン、ベバシズマブ、及び免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD-1または抗PD-L1抗体)を含むことができる。
【0312】
免疫チェックポイント阻害剤としては、(1)抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、(2)抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、及び/または、(3)抗CTLA-4抗体もしくはその抗原結合フラグメントを挙げることができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、プライミング用量及び第1のブースター用量だけを伴う、抗CTLA-4抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、抗CTLA-4抗体のイピリムマブを含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、30mgの用量で皮下投与されるイピリムマブを含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、4週毎(Q4W)の、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブまたはニボルマブを含むことができる。アテゾリズマブは、1680mgの用量で静脈内投与することができる。ニボルマブは、480mgの用量で静脈内投与することができる。
【0313】
免疫チェックポイント阻害剤療法は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13回の個別投与、例えば、28日毎または約28日毎(あるいは、4週毎または約4週毎、及び/あるいは1ヶ月毎または約1ヶ月毎)の、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13回の個別投与を含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、例えば、28日毎または約28日毎(あるいは、4週毎または約4週毎、及び/あるいは1ヶ月毎または約1ヶ月毎)の、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13回の投与を含む、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を含むことができる。免疫チェックポイント阻害剤療法は、例えば、28日毎または約28日毎(あるいは、4週毎または約4週毎、及び/あるいは1ヶ月毎または約1ヶ月毎)の、少なくとも13回の個別投与を含むことができる。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、例えば、28日毎または約28日毎(あるいは、4週毎または約4週毎、及び/あるいは1ヶ月毎または約1ヶ月毎)の、少なくとも13回の投与を含む。
【0314】
ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目、または約140日目に、ブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の20週目、または約20週目に、ブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の5ヶ月目、または約5ヶ月目に、ブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目、または140日目より後に、ブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の20週目、または20週目より後に、ブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の5ヶ月目、または5ヶ月目より後に、ブースター用量として投与することができる。
【0315】
自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも28日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4週(Q4W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも1ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも56日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも8週(Q8W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。
【0316】
自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の28及び84日目、または約28及び84日目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の4及び12週目、または約4及び12週目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の1及び3ヶ月目、または約1及び3ヶ月目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。
【0317】
自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4回のブースター用量として投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、28、84、224、及び308日目に、または、約28、84、224、及び308日目に投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、4、12、32、及び44週目に、または、約4、12、32、及び44週目に投与することができる。自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、1、3、8、及び11ヶ月目に、または、約1、3、8、及び11ヶ月目に投与することができる。
【0318】
ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも28日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4週(Q4W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも1ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも56日の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも8週(Q8W)の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも2ヶ月の間隔を空けて、少なくとも2回以上のブースター用量として投与することができる。
【0319】
ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の28及び84日目、または約28及び84日目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の4及び12週目、または約4及び12週目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の1及び3ヶ月目、または約1及び3ヶ月目に、少なくとも2回のブースター用量として投与することができる。
【0320】
ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、少なくとも4回のブースター用量として投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、28、84、224、及び308日目に、または、約28、84、224、及び308日目に投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、4、12、32、及び44週目に、または、約4、12、32、及び44週目に投与することができる。ChAdVベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量後の140日目または約140日目、または140日目より後(あるいは、20週目または約20週目、または20週目より後、及び/あるいは、5ヶ月目または約5ヶ月目、または5ヶ月目より後)に、ブースター用量として投与することができ、自己複製アルファウイルスベースの発現系は、ChAdVベースの発現系のプライミング用量を基準として、1、3、8、及び11ヶ月目に、または、約1、3、8、及び11ヶ月目に投与することができる。
【0321】
治療処置用の医薬組成物(例えば、ワクチン組成物)は、非経口、局所(topical)、経鼻、経口、局所(local)投与を意図している。医薬組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内投与することができる。組成物は、腫瘍に対する局所的免疫応答を刺激するために外科的切除の部位に投与することができる。組成物は、対象の特定の組織、臓器、及び/または細胞を標的として投与することができる。本明細書では、抗原の溶液を含む非経口投与用の組成物を開示し、ワクチン組成物は許容される担体、例えば水性担体中に溶解または懸濁される。例えば、水、緩衝された水、0.9%生理食潜水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などの様々な水性担体を使用することができる。これらの組成物は従来の周知の滅菌法によって滅菌するか、または滅菌濾過することができる。得られた水溶液はそのまま使用されるようにパッケージングされてもよく、または凍結乾燥し、凍結乾燥した製剤を投与に先立って滅菌溶液と加え合わせることができる。組成物は、pH調整及び緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤等、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリル酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン等の、生理学的条件に近づけるために必要な製薬上許容できる補助物質を含有してよい。
【0322】
抗原は、リンパ系組織などの特定の細胞組織に抗原をターゲティングするリポソームによって投与することもできる。リポソームは、半減期を増大させるうえでも有用である。リポソームとしては、エマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単分子膜、液晶、リン脂質分散液、ラメラ層などが挙げられる。これらの製剤中では、送達させようとする抗原を、単独で、または例えばCD45抗原に結合するモノクローナル抗体などのリンパ系細胞に多くみられる受容体に結合する分子、または他の治療用もしくは免疫原性組成物と共にリポソームの一部として取り込ませる。したがって、所望の抗原で充填されたリポソームをリンパ系細胞の部位に誘導することができ、そこでリポソームは選択された治療用/免疫原性組成物を送達する。リポソームは、一般的に中性及び負に帯電したリン脂質とコレステロールのようなステロールとを含む標準的な小胞形成脂質から形成することができる。脂質の選択は、例えば、リポソームのサイズ、酸不安定性、及び血流中でのリポソームの安定性を考慮して一般的に導かれる。例えば、Szoka et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9;467 (1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、及び同第5,019,369号に記載されるようなリポソームを調製するための様々な方法がある。
【0323】
免疫細胞にターゲティングするため、リポソームに組み込むリガンドは、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定因子に特異的な抗体またはそのフラグメントを含むことができる。リポソーム懸濁液を、とりわけ、投与方法、送達されるペプチド、及び治療される疾患のステージに応じて異なる用量で静脈内、局所的(locally)、局所的(topically)といった要領で投与することができる。
【0324】
治療または免疫化の目的では、ペプチド及び任意で本明細書に記載されるペプチドの1つ以上をコードする核酸患者に投与してもよい。核酸を患者に投与するための多くの方法が便宜よく用いられる。例えば、核酸は「ネイキッドDNA」として直接投与することができる。このアプローチは、例えば、Wolff et al.,Science 247:1465-1468 (1990)、ならびに米国特許第5,580,859号及び同第5,589,466号に記載されている。核酸は、例えば、米国特許第5,204,253号に記載されるような弾道送達を用いて投与することもできる。DNAのみで構成された粒子を投与することもできる。あるいは、DNAを金粒子のような粒子に付着させてもよい。核酸配列を送達するためのアプローチとしては、エレクトロポレーションを伴う、または伴わないウイルスベクター、mRNAベクター、及びDNAベクターが挙げられる。
【0325】
核酸は、カチオン性脂質などのカチオン性化合物と複合体化して送達させることもできる。脂質により媒介される遺伝子送達法は、例えば、9618372WOAWO 96/18372、9324640WOAWO 93/24640、Mannino & Gould-Fogerite,BioTechniques 6(7): 682-691(1988)、米国特許第5,279,833号Rose米国特許第5,279,833号、9106309WOAWO 91/06309、及びFelgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7414(1987)に記載されている。
【0326】
抗原は、ワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照)、または、第2、第3、またはハイブリッド第2/第3世代レンチウイルス及び特定の細胞タイプまたは受容体をターゲティングするように設計された任意の世代の組換えレンチウイルス(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases,Immunol Rev.(2011)239(1):45-61,Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18,Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690,Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In Vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照)などのウイルスベクターに基づいたワクチンプラットフォームに含まれるようにしてもよい。上述のウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング能力に依存して、このアプローチは、1つ以上の抗原ペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を送達することができる。配列は、変異が導入されていない配列を隣接させてもよく、リンカーによって分離されてもよく、または細胞内区画をターゲティングする1つ以上の配列がその前に配置されてもよい(例えば、Gros et al.,Prospective identification of neoantigen-specific lymphocytes in the peripheral blood of melanoma patients,Nat Med.(2016)22(4):433-8,Stronen et al.,Targeting of cancer neoantigens with donor-derived T cell receptor repertoires,Science.(2016)352(6291):1337-41,Lu et al.,Efficient identification of mutated cancer antigens recognized by T cells associated with durable tumor regressions,Clin Cancer Res.(2014)20(13):3401-10を参照)。宿主中への導入時に、感染した細胞は、抗原を発現し、それにより、ペプチドに対する宿主免疫(例えば、CTL)応答を刺激する。免疫化プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460(1991))に記載されている。抗原の治療的投与または免疫化に有用な、多種多様の他のワクチンベクター、例えば、チフス菌(Salmonella typhi)ベクターなどが、本明細書における記載から当業者に明らかであろう。
【0327】
核酸を投与する手段の1つは、1つまたは複数のエピトープコード核酸配列をコードしたミニジーンコンストラクトを使用することである。ヒト細胞で発現させるための選択されたCTLエピトープをコードしたDNA配列(ミニジーン)を作製するには、エピトープのアミノ酸配列を逆翻訳する。ヒトのコドン使用表を用いて各アミノ酸のコドン選択の手引きとする。これらのエピトープコードDNA配列を直接連結して、連続したポリペプチド配列を作製する。発現及び/または免疫原性を最適化するため、さらなるエレメントをミニジーンの設計に組み込むことができる。逆翻訳してミニジーン配列に組み込むことができるアミノ酸配列の例としては、ヘルパーTリンパ球、エピトープ、リーダー(シグナル)配列、及び小胞体保留シグナルが挙げられる。さらに、CTLエピトープのMHCによる提示は、合成(例えば、ポリアラニン)または天然のフランキング配列をCTLエピトープに隣接して組み込むことによって向上させることができる。ミニジーン配列は、ミニジーンの+鎖と-鎖をコードしたオリゴヌクレオチドをアセンブルすることによりDNAに変換される。重複するオリゴヌクレオチド(30~100塩基の長さ)を周知の方法を用いて合成、リン酸化、精製し、適当な条件下でアニールする。オリゴヌクレオチドの末端同士を、T4 DNAリガーゼを用いてつなげる。次いで、CTLエピトープポリペプチドをコードしたこの合成ミニジーンを所望の発現ベクターにクローニングする。
【0328】
精製したプラスミドDNAは、様々な製剤を用いて注射用に調製することができる。これらのうちで最も簡単なものは、凍結乾燥したDNAを無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で戻すことである。様々な方法がこれまでに記載されており、新たな技術も利用可能となる可能性がある。上記に述べたように、核酸はカチオン性脂質と便宜よく配合される。さらに、糖脂質、膜融合性リポソーム、ペプチド及びPINC(protective,interactive,non-condensing、保護的、相互作用性、非凝縮性)と総称される化合物を、精製したプラスミドDNAと複合体化することで安定性、筋肉内の分散性、または特定の臓器もしくは細胞タイプへのトラフィッキングなどの変数に影響を及ぼすこともできる。
【0329】
本明細書に開示される方法の各工程を実行することと、複数の抗原または複数の抗原のサブセットを含むワクチン、例えば、腫瘍ワクチンを生産することとを含む、ワクチン、例えば、腫瘍ワクチンを製造する方法も開示される。
【0330】
本明細書に開示される抗原は、当該技術分野における周知の方法を用いて製造することができる。例えば、本明細書に開示される抗原またはベクター(例えば、1つ以上の抗原をコードする少なくとも1つの配列を含むベクター)の製造方法は、抗原またはベクターをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、抗原またはベクターを発現するのに適した条件下で培養することと、抗原またはベクターを精製することと、を含むことができる。標準的な精製方法としては、クロマトグラフィー法、電気泳動法、免疫学的方法、沈殿、透析、濾過、濃縮、及びクロマト分画法が挙げられる。
【0331】
宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、酵母、またはHEK293細胞を含みうる。宿主細胞は、本明細書に開示される抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドで形質転換することができ、任意で、単離されたポリヌクレオチドは、抗原またはベクターをコードする少なくとも1つの核酸配列に機能的に連結されたプロモーター配列を含む。特定の実施形態では、単離されたポリペプチドはcDNAであってよい。
【0332】
VII.抗原の使用及び投与
ワクチン接種プロトコールを用いて対象に1つ以上の抗原を投与することができる。使用することが可能なワクチン接種法、プロトコール、及びスケジュールとしては、これらに限定されるものではないが、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用するところの国際出願公開第WO2021092095号に記載されるものが挙げられる。
【0333】
プライミングワクチンは、C68(例えば、配列番号1または2に示される配列)またはSamRNA(例えば、配列番号3または4に示される配列)に基づいたものとすることができる。ブースターワクチンも、C68(例えば、配列番号1または2に示される配列)またはSamRNA(例えば、配列番号3または4に示される配列)に基づいたものとすることができる。
【0334】
プライム/ブースト計画における各ベクターは、通常、抗原を含むカセットを含んでいる。カセットは、各抗原を通常取り囲む天然の配列、またはAAYなどの他の非天然のスペーサー配列などのスペーサーによって分離された約1~50個の抗原を含むことができる。カセットは、約20個のネオ抗原、例えば、20個の、対象及び/または腫瘍特異的抗原を含むことができる。カセットは、破傷風トキソイド抗原などのMHCII抗原、及び普遍的なクラスII抗原とみなされるPADRE抗原を含んでもよい。カセットは、ユビキチンターゲティング配列などのターゲティング配列を含んでもよい。さらに、各ワクチン用量は、免疫調節因子と組み合わせて(例えば、同時、その前、またはその後で)対象に投与することができる。各ワクチン用量は、チェックポイント阻害剤(CPI)と組み合わせて(例えば、同時、その前、またはその後で)対象に投与することができる。CPIは、抗体またはその抗原結合部分など、CTLA4、PD1、及び/またはPDL1を阻害するものを含むことができる。かかる抗体としては、アテゾリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、トレメリムマブまたはデュルバルマブを挙げることができる。各ワクチン用量は、IL-2、IL-7、IL-12(IL-12 p35、p40、p70、及び/またはp70融合コンストラクトを含む)、IL-15、またはIL-21などのサイトカインと組み合わせて(例えば、同時、その前、またはその後で)対象に投与することができる。各ワクチン用量は、修飾サイトカイン(例えば、pegIL-2)と組み合わせて(例えば、同時、その前、またはその後で)対象に投与することができる。
【0335】
プライミングワクチンは、対象に注射(例えば筋肉内に)することができる。用量ごとに両側性注射を用いることができる。例えば、ChAdV68(C68)の1回以上の注射を用いることができ(例えば、総用量1×1012個のウイルス粒子)、0.001~1ugのRNAの範囲から選択される低ワクチン用量、詳細には0.1もしくは1ugのsamRNAベクターの1回以上の注射を用いることができ、または、1~1000ugのRNAの範囲から選択される高ワクチン用量、詳細には30μg、100μg、もしくは300μgのRNAの1回以上の注射を用いることができる。ChAdV68プライミングに対しては、1×1012個以下のウイルス粒子を投与することができる。ChAdV68プライミングに対しては、3×1011個以下のウイルス粒子を投与することができる。ChAdV68プライミングに対しては、少なくとも1×1011個のウイルス粒子を投与することができる。ChAdV68プライミングに対しては、1×1011個~1×1012個、3×1011~1×1012個、または、1×1011個~3×1011個のウイルス粒子を投与することができる。ChAdV68プライミングに対しては、1×1011個、3×1011個、または1×1012個のウイルス粒子を投与することができる。ChAdV68プライミングに対しては、ウイルス粒子は、5×1011vp/mLの濃度であることができる。
【0336】
プライムワクチン接種後に、ワクチンブースト(ブースターワクチン)を注射(例えば筋肉内に)することができる。ブースターワクチンは、プライム後の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間ごと、例えば、4週間ごと、及び/または8週間ごとに投与することができる。用量ごとに両側性注射を用いることができる。例えば、ChAdV68(C68)の1回以上の注射を用いることができ(例えば、総用量1×1012個のウイルス粒子)、0.001~1ugのRNAの範囲から選択される低ワクチン用量、詳細には0.1もしくは1ugのsamRNAベクターの1回以上の注射を用いることができ、または、1~100μgのRNAの範囲から選択される高ワクチン用量、詳細には10もしくは100ugのSAMベクターの1回以上の注射を用いることができる。10~30μg、10~100μg、10~300μg、30~100μg、30~300μg、または100~300μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。10-500μg、10-1000μg、30-500μg、30-1000μg、または500-1000μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。少なくとも400μg、少なくとも500μg、少なくとも600μg、少なくとも700μg、少なくとも800μg、少なくとも900μg、少なくとも1000μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。10μg、30μg、100μg、または300μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。300μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。100μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。30μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。10μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。少なくとも300μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。少なくとも100μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。少なくとも30μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。少なくとも10μgのRNAの、SAMブースターを、投与することができる。300μg以下のRNAの、SAMブースターを、投与することができる。
【0337】
抗CTLA-4(例えばトレメリムマブ)を対象に投与することもできる。例えば、抗CTLA4を筋肉内ワクチン注射(ChAdV68プライムまたはSamRNA低用量)の部位の近くに皮下投与することで同じリンパ節内に確実に送り込むことができる。トレメリムマブは、CTLA-4の選択的ヒトIgG2mAb阻害剤である。標的抗CTLA-4(トレメリムマブ)皮下用量は、通常、70~75mg(詳細には75mg)であり、例えば、1~100mgまたは5~420mgの用量範囲である。
【0338】
特定の場合では、デュルバルマブ(MEDI4736)などの抗PD-L1抗体を使用することができる。デュルバルマブは、PD-1及びCD80へのPD-L1の結合を阻害する選択的な高親和性のヒトIgG1 mAbである。デュルバルマブは一般的に4週間ごとに20mg/kgが静脈内投与される。
【0339】
免疫モニタリングを、ワクチン投与の前、その間、及び/またはその後に行うことができる。かかるモニタリングは、他のパラメータの中でもとりわけ、安全性及び有効性についての情報を与えることができる。
【0340】
免疫モニタリングを行うには、PBMCが一般的に用いられる。PBMCは、プライムワクチン接種の前、及びプライムワクチン接種の後(例えば、4週間及び8週間)に単離することができる。PBMCは、ブーストワクチン接種の直前、及び各ブーストワクチン接種の後(例えば、4週間及び8週間)に採取することができる。
【0341】
T細胞応答及びB細胞応答などの免疫応答を、免疫モニタリングプロトコールの一環として評価することができる。例えば、本明細書に記載されるワクチン組成物が免疫応答を刺激する能力を監視及び/または評価することができる。本明細書で使用する「免疫応答を刺激する」とは、免疫応答を開始させること(例えば、ナイーブな対象において免疫応答の開始を刺激するプライミングワクチン)、または免疫応答の増強(例えば、プライミングワクチンにより開始された既存の免疫応答などの抗原に対する既存の免疫応答を有する対象における免疫応答の増強を刺激するブースターワクチン)などの免疫応答のあらゆる増加を指す。T細胞応答は、ELISpot、細胞内サイトカイン染色、サイトカイン分泌、及び細胞表面捕捉、T細胞増殖、MHCマルチマー染色、または細胞傷害性アッセイなどの当業者には周知の1つ以上の方法を用いて測定することができる。ワクチンにコードされたエピトープに対するT細胞応答は、ELISpotアッセイを用いて、IFN-γなどのサイトカインの誘導を測定することによりPBMCから監視することができる。ワクチンにコードされたエピトープに対する特異的なCD4またはCD8 T細胞応答は、フローサイトメトリーを用いて、IFN-γなどの細胞内または細胞外で捕捉されたサイトカインの誘導を測定することによりPBMCから監視することができる。ワクチンにコードされたエピトープに対する特異的なCD4またはCD8 T細胞応答は、MHCマルチマー染色を用い、エピトープ/MHCクラスI複合体に対して特異的なT細胞受容体を発現するT細胞集団を測定することによりPBMCから監視することができる。ワクチンにコードされたエピトープに対する特異的なCD4またはCD8 T細胞応答は、3Hチミジン、ブロモデオキシウリジン、及びカルボキシフルオロセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)の取り込み後に、T細胞集団のエクスビボ増殖を測定することによりPBMCから監視することができる。ワクチンにコードされたエピトープに特異的なPBMC由来T細胞の抗原認識能及び溶解活性は、クロム放出アッセイまたは代替的な比色細胞傷害性アッセイにより機能的に評価することができる。
【0342】
B細胞応答は、B細胞の分化(例えば、形質細胞への分化)、B細胞または形質細胞の増殖、B細胞または形質細胞の活性化(例えば、CD80またはCD86などの共刺激マーカーの増加)、抗体のクラススイッチ、及び/または抗体産生(例えば、ELISA)を判定するために用いられるアッセイなど、当該技術分野では周知の1つ以上の方法を用いて測定することができる。抗体は、機能について評価することもできる。
【0343】
対象の病状を、本明細書に記載されるワクチン組成物のいずれかの投与後にモニタリングすることができる。例えば、病状は、対象から単離された無細胞DNA(cfDNA)(環状腫瘍DNA「ctDNA」ともまた呼ばれる)を使用してモニタリングすることができる。さらに、ワクチン療法の有効性を、対象から単離されたcfDNAを使用してモニタリングすることができる。cfDNAモニタリングは、a.対象からcfDNAを単離するかまたは既に単離している工程と、b.単離されたcfDNAをシークエンシングするかまたは既にシークエンシングしている工程と、c.対象の野生型生殖系列核酸配列に対するcfDNAの1つ以上の変異の頻度を決定するかまたは既に決定している工程と、d.工程(c)から対象の疾患の状態を評価するかまたは既に評価している工程と、を含むことができる。方法は、上記工程(c)に続いて、d.特定の対象について工程(a)~(c)を複数回繰り返して行い、複数回の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度を比較する工程と、f.対象の疾患の状態を工程(d)から評価するかまたは既に評価されている工程を含んでもよい。複数回の繰り返しは、ワクチン組成物の投与の前に行われる工程(a)~(c)の1回目の繰り返し、及びワクチン組成物の投与の後に行われる工程(a)~(c)の2回目の繰り返しなどの異なる時点で行うことができる。工程(c)は、複数回の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度を比較するか、または1回目の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度を、2回目の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度と比較することを含むことができる。後続の繰り返しまたは2回目の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度の増加は、疾患の進行として評価することができる。後続の繰り返しまたは2回目の繰り返しで決定された1つ以上の変異の頻度の減少は、奏功として評価することができる。いくつかの態様では、応答は、完全奏功(CR)または部分奏功(PR)である。療法は、cfDNAの1つ以上の変異の頻度の評価が、対象が疾患を有していることを示す場合など、評価工程の後で対象に投与することができる。cfDNAの単離工程では、遠心分離を用いて細胞及び細胞破片からcfDNAを分離することができる。cfDNAは、血漿層、バフィーコート、赤血を分離することなどにより、全血から単離することができる。cfDNAのシークエンシングでは、次世代シークエンシング(NGS)、サンガーシークエンシング、デュプレックスシークエンシング、全エクソームシークエンシング、全ゲノムシークエンシング、デノボ・シークエンシング、フェーズド・シークエンシング、標的化アンプリコンシークエンシング、ショットガンシークエンシング、またはこれらの組み合わせを使用することができ、シークエンシングに先立ってcfDNAを1つ以上の目的のポリヌクレオチド領域(例えば、1つ以上の変異をコードすることが知られているまたは疑われるポリヌクレオチド、コード領域、及び/または腫瘍エクソームのポリヌクレオチド)について濃縮することができる。cfDNAの濃縮は、修飾する(例えば、ビオチン化する)ことができる1つ以上のポリヌクレオチドプローブを、1つ以上の目的のポリヌクレオチド領域にハイブリダイズさせることを含み得る。一般的に、任意の数の変異を同時に、または並行してモニタリングすることができる。
【0344】
治療への応答(即ち、治療応答)は、例えば、例えば、Zhang et al.Cancer Discov.2020;10:1842-1853,Parikh et al.Clin Cancer Res.2020;26:1877-1885,and Vega et al.JCO Precision Oncology 2022;6:e2100372に記載されているように、ネオ抗原ctDNA(例えば、バリアントアレル頻度「VAF」)、または、例えば、Palmer et al.Nat.Med.2022;28:1619-1629 and Chabon et al.Nature 2020;580(7802): 245-251に記載されている、ネオ抗原変異半数体ゲノム等価物(変異hGE)を監視することによる、放射線医学調査及び/または分子応答により、測定することができる。分子応答は、基準ctDNAに対するctDNAの減少、例えば、基準ctDNAに対する、ctDNAの、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または95%以上の減少として定義することができる。いくつかの実施形態では、分子応答は、基準ctDNAに対する、ctDNAの30%以上の減少として定義される。いくつかの実施形態では、分子応答は、基準ctDNAに対する、ctDNAの30%以上の減少として定義され、ctDNAの減少は、治療から24ヶ月までに、18ヶ月までに、12ヶ月までに、または、6ヶ月までに生じる。いくつかの実施形態では、分子応答は、基準ctDNAに対する、ctDNAの30%以上の減少として定義され、ctDNAの減少は、治療から12週、8週、4週、または2週までに生じる。他の実施形態では、基準ctDNAに対する、ctDNAの50%以上の減少として定義され、ctDNAの減少は、治療から24ヶ月までに、18ヶ月までに、12ヶ月までに、または、6ヶ月までに生じる。他の実施形態では、基準ctDNAに対する、ctDNAの50%以上の減少として定義される。いくつかの実施形態では、分子応答は、基準ctDNAに対する、ctDNAの50%以上の減少として定義され、ctDNAの減少は、治療から12週、8週、4週、または2週までに生じる。分子応答は、初期治療中の放射線医学的に安定した疾患(SD)の間に、及び/または、放射線医学的に進行性の疾患(PD)を有する患者において、観察することができる。
【0345】
VIII.抗原の特定
VIII.A 抗原候補の特定
腫瘍の及び正常なエクソーム及びトランスクリプトームのNGS解析の研究モデルについては、これまでに記載されており、抗原特定空間で適用される。6,14,15臨床状況における抗原特定の感度及び特異性を高めるための特定の最適化を考慮することができる。これらの最適化は、実験室プロセスに関連するものと、NGSデータ解析に関連するものの2つの領域に分類することができる。最適化の例は当業者には周知のものであり、例えば、そのような方法が、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する国際特許出願公開第WO/2017/106638号、同第WO/2018/195357号及び同第WO2018/208856号により詳細に記載されている。
【0346】
VIII.B HLAペプチドの単離及び検出
HLAペプチド分子の単離を、組織試料の溶解及び可溶化後に古典的な免疫沈降(IP)法を用いて行った(55~58)。清澄化したライセートをHLA特異的IPに使用した。
【0347】
免疫沈降を、抗体がHLA分子に特異的である、ビーズにカップリングした抗体を用いて行った。汎クラスI HLA免疫沈降のためには、汎クラスI CR抗体を使用し、クラスII HLA-DRのためには、HLA-DR抗体を使用する。抗体を、一晩インキュベーション中に、NHS-セファロースビーズに共有結合で付着させる。共有結合性の付着後、ビーズを洗浄して、IPのために等分した(59,60)。免疫沈降は、ビーズに共有結合されていない抗体を用いて行うこともできる。一般的に、これは、抗体をカラムに保持するためにProteinA及び/またはProteinGでコーティングしたセファロースまたは磁気ビーズを使用して行われる。MHC/ペプチド複合体を選択的に濃縮するために使用することができるいくつかの抗体を下記に示す。
【0348】
清澄化した組織溶解物を、免疫沈降のために抗体ビーズに添加する。免疫沈降後、ビーズを溶解物から除去し、追加的なIPを含む追加的な実験のために、溶解物を保存する。標準的な技法を用いて、IPビーズを洗浄して非特異的結合を除去し、HLA/ペプチド複合体をビーズから溶出する。分子量スピンカラムまたはC18分画を用いて、タンパク質構成要素をペプチドから除去する。結果として生じたペプチドを、SpeedVac蒸発によって乾燥させ、いくつかの場合には、MS解析の前に-20℃で保存する。HLA IPもまた、フィルター底を含有するプレートを用いて、96ウェルプレート内で行うことができる。プレートを用いることで、複数のIPをタンデムに実施することができることとなる。
【0349】
乾燥したペプチドを、逆相クロマトグラフィーに適しているHPLC緩衝液において再構成し、Fusion Lumos質量分析計(Thermo)における勾配溶出のために、C-18マイクロキャピラリーHPLCカラム上にロードする。ペプチド質量/電荷(m/z)のMS1スペクトルを、Orbitrap検出器において高解像度で収集し、その後、MS2低解像度スキャンを、選択イオンのHCDフラグメンテーション後にイオントラップ検出器において収集した。追加的に、MS2スペクトルは、CIDもしくはETDフラグメンテーション法、または、ペプチドのより大きなアミノ酸カバレッジを獲得するための3つの技法の任意の組み合わせのいずれかを用いて、取得することができる。MS2スペクトルはまた、並行反応モニタリング(parallel reaction monitoring;PRM)として知られる標的化方法により、Orbitrap検出器において高解像度質量精度で測定することもできる。標的化PRMでは、特定のペプチド前駆体イオンがOrbitrap検出器内で単離され、得られたすべてのHCDフラグメンテーションイオンがペプチドピークの溶出全体にわたってスキャンされる。これにより、同時に注入される安定な同位体標識されたペプチド標準の存在下で、内因性ペプチドのペプチド同定及び定量化の両方が可能となる。
【0350】
各解析由来のMS2スペクトルを、Comet(61,62)を用いてタンパク質データベースに対して検索し、ペプチド同定を、Percolator(63~65)を用いてスコア化する。PEAKS studio(Bioinformatics Solutions Inc.)及び他のサーチエンジンを用いてさらなるシークエンシングを行うか、またはスペクトルマッチング及びデノボシークエンシング(97)を含むシークエンシング法を用いることができる。
【0351】
VIII.B.1.包括的HLAペプチドシークエンシングを支持するMS検出限界試験
ペプチドYVYVADVAAK(配列番号29364)を使用し、LCカラムにロードした異なる量のペプチドを用いて検出限界を決定した。試験したペプチドの量は、1pmol、100fmol、10fmol、1fmol、及び100amolとした。(表1)これらの結果は、最低検出限界(LoD)がアトモル範囲(10-18)内にあること、ダイナミックレンジは5桁にわたること、及び信号対雑音比が低フェムトモル範囲(10-15)でのシークエンシングに充分と考えられることを示している。
【0352】
【表1】
【0353】
IX.提示モデル
提示モデルを用いて、患者におけるペプチド提示の尤度を特定することができる。異なる提示モデルは当業者には周知のものであり、例えば、そのような提示モデルは、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1号及び同第US20110293637、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、同第WO/2018/208856号、及び同第WO2016187508号により詳細に記載されている。
【0354】
X.訓練モジュール
訓練モジュールを用いて、ペプチド配列がそのペプチド配列に関連したMHCアレルによって提示される尤度を生成する1つ以上の提示モデルを訓練データセットに基づいて構築することができる。様々な訓練モジュールが当業者には周知であり、例えば、そのような提示モデルは、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、及び同第WO/2018/208856号により詳細に記載されている。訓練モジュールは、アレル毎ベースでペプチドの提示尤度を予測するための予測モデルを構築することができる。訓練モジュールは、2つ以上のMHCアレルが存在する複数アレル場面においてペプチドの提示尤度を予測するための提示モデルも構築することができる。
【0355】
XI.予測モジュール
予測モジュールを用いて配列データを受け取り、提示モデルを用いて配列データ中の候補抗原を選択することができる。具体的には、配列データは、患者の腫瘍組織細胞から抽出されたDNA配列、RNA配列、及び/またはタンパク質配列であってよい。予測モジュールは、患者の正常組織の細胞から抽出された配列データを、患者の腫瘍組織細胞から抽出された配列データと比較して1つ以上の変異を含む部分を特定することにより、変異したペプチド配列である候補ネオ抗原を特定することができる。予測モジュールは、患者の正常組織の細胞から抽出された配列データを、患者の腫瘍組織の細胞から抽出された配列データと比較して不適切に発現されている候補抗原を特定することにより、正常細胞または組織と比較して腫瘍細胞またはがん組織で発現が変化している候補抗原を特定することができる。
【0356】
提示モジュールは、1つ以上の提示モデルを処理されたペプチド配列に適用してペプチド配列の提示尤度を推定することができる。具体的には、予測モジュールは、提示モデルを候補抗原に適用することによって、腫瘍のHLA分子上に提示される可能性が高い1つ以上の候補抗原ペプチド配列を選択することができる。一実現形態では、提示モジュールは、あらかじめ決定された閾値を上回る推定提示尤度を有する候補抗原配列を選択する。別の実現形態では、提示モデルは、最も高い推定提示尤度を有するN個の候補抗原配列を選択する(Nは、一般的に、ワクチン中で送達することができるエピトープの最大数である)。特定の患者について選択された候補抗原を含むワクチンを対象に注射して免疫応答を刺激することができる。
【0357】
XI.B.カセット設計モジュール
XI.B.1 概要
カセット設計モジュールを用いて、患者に注射するために選択された候補ペプチドに基づいてワクチンカセット配列を生成することができる。様々なカセット設計モジュールが当業者には周知であり、例えば、そのようなカセット設計訓練モジュールが、あらゆる目的で本明細書に参照によりそれらの全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、及び同第WO/2018/208856号により詳細に記載されている。
【0358】
治療エピトープのセットは、所定の閾値を上回る提示尤度(提示尤度は、提示モデルにより決定される)に関連付けられた予測モジュールによって決定された選択されたペプチドに基づいて生成することができる。しかしながら、他の実施形態では、治療エピトープのセットは、多くの方法の任意の1つ以上(単独または組み合わせ)に基づいて、例えば、患者のHLAクラスIまたはHLAクラスIIアレルに対する結合親和性もしくは予測される結合親和性、患者のHLAクラスIまたはHLAクラスIIアレルに対する結合安定性もしくは予測される結合安定性、ランダムサンプリングなどに基づいて、生成することができる。
【0359】
治療エピトープはそれ自体が選択されたペプチドに相当してもよい。治療エピトープは、選択されたペプチド以外にC及び/またはN末端フランキング配列を含むこともできる。N及びC末端フランキング配列は、その由来源タンパク質との関連において治療ワクチンエピトープの天然のN及びC末端フランキング配列であってよい。治療エピトープは固定長のエピトープを表してもよい。治療エピトープは、可変長のエピトープを表してもよく、エピトープの長さは例えばCまたはN末端フランキング配列の長さによって異なりうる。例えば、C末端フランキング配列及びN末端フランキング配列は、それぞれ2~5残基の異なる長さを有してよく、これによりエピトープの16種類の可能な選択肢が与えられる。
【0360】
カセット設計モジュールは、カセット内の2個の治療エピトープ間の連結部にまたがるジャンクションエピトープの提示を考慮することによってカセット配列を生成することもできる。ジャンクションエピトープは、カセット内で治療エピトープ及びリンカー配列を連結するプロセスによってカセット内に生じる新規な非自己であるが無関係なエピトープ配列である。ジャンクションエピトープの新規な配列は、カセットの治療エピトープ自体とは異なる。
【0361】
カセット設計モジュールは、ジャンクションエピトープがその患者において提示される尤度を低下させるカセット配列を生成することができる。具体的には、カセットが患者に注射される際、ジャンクションエピトープは、患者のHLAクラスIまたはHLAクラスIIアレルによって提示される可能性を有し、それぞれCD8またはCD4 T細胞応答を刺激する。かかる応答は、ジャンクションエピトープに対する反応性を有するT細胞は治療効果を有さないことから望ましくなく、抗原競合によりカセット内の選択された治療エピトープに対する免疫応答を消失させる可能性がある76
【0362】
カセット設計モジュールは、1つ以上の候補カセットについて繰り返し処理を行って、そのカセット配列に関連付けられたジャンクションエピトープの提示スコアが数値閾値を下回るカセット配列を決定することができる。ジャンクションエピトープ提示スコアは、カセット内のジャンクションエピトープの提示尤度に関連付けられた量であり、ジャンクションエピトープ提示スコアの値が高いほど、カセットのジャンクションエピトープがHLAクラスIまたはHLAクラスIIまたはその両方によって提示されやすいことを示す。
【0363】
一実施形態では、カセット設計モジュールは、候補カセット配列間で最も低いジャンクションエピトープ提示スコアに関連付けられたカセット配列を決定することができる。
【0364】
カセット設計モジュールは、1つ以上の候補カセット配列について繰り返し処理を行い、各候補カセットのジャンクションエピトープ提示スコアを決定し、閾値を下回るジャンクションエピトープ提示スコアに関連付けられた最適なカセット配列を特定することができる。
【0365】
カセット設計モジュールは、候補カセット配列内のジャンクションエピトープのいずれかが、ワクチンを設計しようとする特定の患者の自己エピトープであるかどうかを識別するために1つ以上の候補カセット配列をさらに確認することができる。これを行うには、カセット設計モジュールは、BLASTなどの既知のデータベースに対してジャンクションエピトープを確認する。一実施形態では、カセット設計モジュールは、ジャンクション自己エピトープを防止するカセットを設計するように構成することができる。
【0366】
カセット設計モジュールは、ブルートフォースアプローチを実行して、すべての、または大部分の可能な候補カセット配列について繰り返し処理を行うことで最小のジャンクションエピトープ提示スコアを有する配列を選択することができる。しかしながら、かかる候補カセットの数は、ワクチンの容量が大きくなるにしたがって途方もなく大きくなりうる。例えば、20個のエピトープのワクチン容量では、カセット設計モジュールは、最小のエピトープ提示スコアを有するカセットを決定するために約1018個の可能な候補カセットについて繰り返し処理を行わなければならない。この決定は、カセット設計モジュールが妥当な長さの時間内で患者に対するワクチンを生成するには計算の負荷(必要とされる計算処理リソースの点で)が大きくなり、時として処理不能となりうる。さらに、各候補カセットについて可能なジャンクションエピトープを処理することはよりいっそうの負荷となりうる。したがって、カセット設計モジュールは、ブルートフォースアプローチにおける候補カセット配列の数よりも大幅に小さい候補カセット配列の数について繰り返し処理を行う方法に基づいてカセット配列を選択することができる。
【0367】
カセット設計モジュールは、ランダムに、または少なくとも疑似ランダムに生成された候補カセットを生成し、所定の閾値を下回るジャンクションエピトープ提示スコアに関連付けられた候補カセットをカセット配列として選択することができる。さらに、カセット設計モジュールは、最小のジャンクションエピトープ提示スコアを有するサブセットからの候補カセットをカセット配列として選択することができる。例えば、カセット設計モジュールは、20個の選択されたエピトープのセットについて約100万の候補カセットのサブセットを生成し、最小のジャンクションエピトープ提示スコアを有する候補カセットを選択することができる。ランダムカセット配列のサブセットを生成し、このサブセットからジャンクションエピトープ提示スコアの低いカセット配列を選択することはブルートフォースアプローチと比べて最適とはいえないが、これは、必要な計算リソースが大幅に少なく、そのため、その実施が技術的に可能である。さらに、このより効率的な手法に対してブルートフォース法を行うことは、ジャンクションエピトープ提示スコアのわずかな、またはさらには無視される程度の改善しかもたらされない可能性があるため、リソースの配分の観点からはあまり価値がない。カセット設計モジュールは、カセットのエピトープ配列を非対称巡回セールスマン問題(TSP)として定式化することにより、改善されたカセット構成を決定することができる。ノードのリスト、及び各ノードのペア間の距離が与えられた場合、TSPは、各ノードをちょうど1回ずつ訪問して元のノードに戻るための最小の総距離に関連付けられたノードの配列を決定する。例えば、互いの間の距離が既知である都市A、B、及びCが与えられた場合、TSPの解は、可能な巡回路のうちで各都市をちょうど1回ずつ訪問するのに移動する総距離が最小となるような都市の閉じた配列を生成する。TSPの非対称バージョンは、ノードのペア間の距離が非対象である場合の最適なノードの配列を決定する。例えば、ノードAからノードBに移動するための「距離」は、ノードBからノードAに移動するための「距離」と異なる場合がある。非対称TSPを用いて改善された最適カセットについて解くことにより、カセット設計モジュールは、カセットの各エピトープ間のジャンクションにわたって低い提示スコアを与えるカセット配列を見つけることができる。非対称TSPの解は、カセットの各ジャンクションにわたったジャンクションエピトープ提示スコアを最小とするために各エピトープが連結されなければならない順序に対応した治療エピトープの配列を示す。このアプローチによって決定されたカセット配列は、ジャンクションエピトープの提示が大幅に低い配列を与える一方で、特に生成される候補カセット配列の数が大きい場合に、必要とされる計算リソースがランダムサンプリングアプローチよりも大幅に少なくなる可能性がある。異なる計算手法及び最適化カセット設計の比較の例示的な例が、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1、ならびに国際特許出願公開第WO/2018/195357号、及び同第WO/2018/208856号により詳細に記載されている。
【0368】
XI.B.2 共有された抗原ワクチン配列選択
共有抗原ワクチンに含めるための共有抗原の配列及びかかるワクチンによる治療に適当な患者は、本明細書で提供する詳細の開示を用いて、当業者が選択することができる。例えば、表:A、1.2、追加のMS認証ネオ抗原、または、AACR GENIE結果を、配列選択のために使用することができる。ある特定の場合において、(例えば、それぞれが対象に存在していることを示す所与の対象から入手可能な、配列決定データに基づき、)特定の変異、及び、HLAアレルの組み合わせが、好ましい可能性があり、続いて、これらを共に、組み合わせて使用し、ワクチンに含めるために、表A、追加のMS認証ネオ抗原、またはAACR GENIE結果を用いて、共有ネオ抗原配列を識別することができる。
【0369】
XIII.例示的なコンピュータ
本明細書に記載される計算方法のいずれにおいてもコンピュータを使用することができる。当業者には、コンピュータは異なるアーキテクチャを有し得る点が認識されよう。当業者には周知のコンピュータの例は、例えば、あらゆる目的で本明細書に参照によりその全容をそれぞれ援用する、米国特許第10,055,540号、米国特許出願公開第US20200010849A1号、ならびに国際特許出願公開第WO/2017/106638号、同第WO/2018/195357号、及び同第WO/2018/208856号により詳細に記載されている。
【0370】
XIV.補助及び維持療法におけるネオ抗原ワクチンの臨床評価
(本明細書を通して記載する)ネオエピトープカセットをコードする、個別化されたがんワクチンを、進行癌を有する患者において、免疫チェックポイント遮断薬と組み合わせて投与する。異種プライム/ブーストワクチンレジメンは、(1)プライムワクチン接種として使用されるChAdV、及び、(2)ChAdVベクターの後にワクチン接種をブーストするために用いられる、LNP中で製剤化されるSAMを伴う。ChAdV及びSAMベクターは共に、各対象に対して特異的な、同一の個別化されたネオエピトープカセットをコードし、これはまた、2つのユニバーサルCD4 T細胞エピトープ(PADRE及び破傷風トキソイド)もコードする。対象を含めるために、腫瘍を、全エクソーム及びトランスクリプトームシーケンシングに用いて体細胞突然変異を検出し、血液を、HLAタイピングに用いる。
【0371】
ChAdVベクターは、サブグループEのアデノウイルスである、チンパンジーアデノウイルス68(C68、68/SAdV-25、元々、Pan9として示されていた)に基づく、複製欠損型E1、E3、E4オープンリーディングフレーム2-4(ORF2-4)欠失アデノウイルスベクターである[ChAdV68-Empty-E4deleted;E1欠失(577~3403)、E3欠失(27,125~31,825)、及び部分的E4欠失スパニングORF2-4(34,916~35,642)を有する配列番号1を表す、配列番号29365を参照されたい]。ChAdVベクターは、5×1011vp/mLで溶液中にて製剤化され、1.0mLを、それぞれ、反対の三角筋における2つの両側ワクチン注射部位にてIM注射する(三角筋が好ましく、臀筋[背面もしくは腹面]、またはそれぞれの側の大腿直筋を使用してよい)。
【0372】
SAMベクター(GRT-R902)はアルファウイルスに由来する。SAMベクターは、ウイルス性タンパク質、ならびに、RNA増幅に必要な5’及び3’RNA配列をコードするが、構造タンパク質はコードしなかった。SAMベクターを、4種類の脂質:イオン性アミノ脂質、ホスファチジルコリン、コレステロール、及び、PEGベースのコート脂質で構成されるLNP中で製剤化し、SAMを封入させて、LNPを形成する。SAMベクターは、ChAdVベクターで用いるのと同じネオ抗原発現カセットを含有する。SAMベクターは、mg/mLで溶液中にて製剤化され、それぞれ、反対の三角筋における2つの両側ワクチン注射部位にてIM注射する(三角筋が好ましく、臀筋[背面もしくは腹面]、またはそれぞれの側の大腿直筋を使用してよい)。ブースターワクチン接種部位は、できる限りプライムワクチン接種部位に近づける。注射量は、投与される用量に基づく。用量レベル量とは、SAMベクターの量を明示的に指す、即ち、LNPなどの他の構成成分を指すものではない。LNP:SAMの比率は、およそ24:1である。
【0373】
イピリムマブは、細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)に結合する、ヒトモノクローナルIgG1抗体である。イピリムマブは、5mg/mLで溶液中にて製剤化され、両側のワクチン接種部位のそれぞれに、SCに近接して(約2cm以内)注射される。イピリムマブのSC経路は、認可されたIV投与経路とは異なる。イピリムマブは、以下に示す2つの方法のうちの一方で、30mgの用量にて投与される:
1.両側のワクチン接種部位のそれぞれにおいて、ワクチン排出LNに近い、4回の1.5mL(7.5mg)の注射(即ち、各三角筋、腰部の腹側臀筋、臀部の背側臀筋、または大腿直筋の、それぞれの両側の、ワクチン接種部位の下に1.5mL、及び、ワクチン接種部位の上に1.5mL[三角筋が好ましいが、臨床部位及び患者の好みに依存する])。
2.両側のワクチン接種部位のそれぞれにおいて、ワクチン排出LNに近い、6回の1mL(5mg)の注射(即ち、各三角筋、腰部の腹側臀筋、臀部の背側臀筋、または大腿直筋の、それぞれの両側の、ワクチン接種部位の下に1mL、ワクチン接種部位の横に1mL、及び、ワクチン接種部位の下に1.5mL、及び、ワクチン接種部位の上に1.5mL[三角筋が好ましいが、臨床部位及び患者の好みに依存する])。
【0374】
ニボルマブは、PD-1と、そのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との相互作用を遮断する、ヒトモノクローナルIgG4抗体である。ニボルマブは、10mg/mLで溶液中で製剤化され、0.2ミクロン~1.2ミクロンの孔径、低タンパク結合のインラインフィルターを通して、プロトコールにより規定される用量で、IV輸液として投与される。これは、IVプッシュまたはボーラス注射としては投与されない。用量が固定される(例えば、240mgの平坦用量)とき、ニボルマブ注射は未希釈のまま、または希釈されて輸液され、合計の輸液体積が160mLを超えないようにする。ニボルマブ輸液の後、直ちに希釈液を一流しし、ラインをきれいにする。ニボルマブは、同日中にイピリムマブと共に、または、イピリムマブなしで、各ワクチン接種(即ち、SAMまたはChAdVワクチンのそれぞれ)の後に投与される。ニボルマブの用量及び経路は、食品医薬品局が認可した用量及び経路に基づく。ニボルマブの用量は、参加者がどれだけ十分に治療に耐えるかに応じて、中断する、遅らせる、または、中止することができる。投与訪問は飛ばされず、遅らせるのみである。研究員及びスポンサーが、ニボルマブなしでSAMベクターを用いて治療することが、患者にとって最も関心あることと考えない限り、ワクチン接種は、ニボルマブなしでは行われない。例えば、メーカーの指示、及び/または、当業者により認識されている、測定された適切な用量に従い、アテゾリズマブまたはセミプリマブを、ニボルマブの代わりに投与することができる。他のPD1及び/またはPD-L1チェックポイント阻害剤を、代わりに用いてよい。例えば、アテゾリズマブを、4週毎に1680mgの用量で、静脈内注射により投与することができる。
【0375】
第2相研究を実施し、循環腫瘍(ct)RNAにおける変化によって評価される、フルオロピリミジン/ベバシズマブと、フルオロピリミジン/ベバシズマブのみに加えて、チェックポイント阻害剤と組み合わせた、GRT-C901/GRT-R902による維持療法の臨床活性を特性決定する。第3相研究を実施して、無増悪生存期間により評価される、治療方式の臨床的有効度を実証する。非同義デオキシリボ核酸(DNA)変異を有する腫瘍は、腫瘍細胞表面上に、ヒト白血球抗原(HLA)の文脈で、自己抗原としてこれらの変異を含有するペプチドを提示することができる。変異したペプチドの画分は、排他的に腫瘍細胞を標的にする、T細胞応答を生成可能なネオ抗原をもたらす。これらの変異を選択的に検出することによって、各患者の腫瘍に特有のネオ抗原が、これらのネオ抗原を標的にする個別化されたがんワクチンに含まれることを識別することが可能となる。このワクチンレジメンは、免疫応答を刺激するために、異種プライム/ブーストアプローチとして、2つのワクチンベクター(最初GRT-C901、続いて、GRT-C902)を用いる。本研究は、フルオロピリミジン/ベバシズマブに加えて、チェックポイント阻害剤と組み合わせた、この患者特異的免疫療法の抗腫瘍活性を探求する。研究群を表2に示す。維持及び補助療法を示す概略図をそれぞれ、図1及び図2に示す。
【0376】
研究には2つのステージがある。ワクチン製造ステージでは、患者が、FOLFOX/bev誘導療法を受けながら、腫瘍生検、及びGritstone社のEDGE(商標)ネオ抗原生産モデルを用いて、ネオ抗原予測を実施する。ワクチン群に無作為化された患者に関しては、上位20個の、予測されたネオ抗原を、ワクチンベクターに含める。オキサリプラチンの完了後、患者は研究治療ステージに突入する。対照群の患者は、維持療法を続ける一方で、ワクチン群の患者は、維持療法にワクチンレジメンを加える。ワクチンレジメンは、GRT-C901/GRT-R902、加えて、SCイピリムマブ(30mg)、及びIVアテゾリズマブ(1680mg)で構成される。処置の最初の1年にわたり、6回のワクチン接種が生じる。イピリムマブは、第1用量のGRT-C901及びGRT-R902と共に、SC投与される。アテゾリズマブは、最大2年間、4週毎に投与される。
【0377】
包含基準:
-ベバシズマブと組み合わせて、フルオロピリミジン及びオキサリプラチンによる転移設定において、第一線の処置を1サイクル以下受ける予定の、または既に受けた、組織学的に確認された転移性結腸直腸癌(CRC)を有する患者
-RECIST v1.1に従い測定可能な、かつ切除不能な疾患
-ホルマリン固定パラフィン埋包(FFPE)腫瘍被検査物が入手可能であること。
-12~17歳の患者に対して、0もしくは1、またはこれに等しい、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)性能ステータス
-患者が、研究員の意見では十分な臓器機能を有すること
-妊娠可能な女性(WCBP)の場合、妊娠試験を受ける意志がなければならず、治療期間の間、及び、最後の治験研究処置後、5ヶ月間は、少なくとも1回、非常に効果的な避妊法を用いることに同意すること。
【0378】
除外基準:
-マイクロサテライト不安定性-高疾患を有する患者
-患者が、1非同義置換/百万塩基未満の、既知の腫瘍変異負荷を有する
-既知のDNAポリメラーゼε変異
-既知のBRAFV600E変異を有する患者
-出血性疾患、または、IM注射もしくは輸血後の、顕著な紫斑もしくは出血歴
-研究処置時に予想される免疫抑制
-同種異系組織/固形臓器移植の病歴
-自己免疫疾患または免疫欠損が活性である、または病歴がある
-患者が、症候性、もしくは活性的に進行している中枢神経系(CNS)転移、がん腫髄膜炎を有する、または、全脳照射で処置されている
-2年以内の、他のがんの病歴、ただし、潜在的な治癒療法を受けた腫瘍を除く
-研究員の判断により、現行の研究に対して患者が不適切となる、任意の深刻な、同時の非がん疾患
-活性の結核もしくは最近(2週間未満)の、臨床的に有意な感染症、活性B型肝炎もしくはC型肝炎の証拠;または、HIVに対して陽性試験の既知の病歴
-処置のために全身ステロイドが必要な、肺炎の病歴(フィールド内照射肺炎で以前に回復したものを除く)
-過去3ヶ月以内に、もしくは治療処置前に、心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な制御不能の心不整脈、心筋炎の病歴、またはうっ血性心不全
-妊娠している、妊娠する予定がある、または看護されている。
【0379】
【表2】
【0380】
XV.大腸癌を有する患者に対する、免疫チェックポイント遮断薬と組み合わせた、ネオ抗原ワクチンの臨床評価
非同義デオキシリボ核酸(DNA)変異を有する腫瘍は、腫瘍細胞表面上に、ヒト白血球抗原(HLA)の文脈で、自己抗原としてこれらの変異を含有するペプチドを提示する。変異したペプチドの画分は、排他的に腫瘍細胞を標的にする、T細胞応答を生成可能なネオ抗原をもたらす。これらの変異を選択的に検出することによって、各患者の腫瘍に特有のネオ抗原が、これらのネオ抗原を標的にする個別化されたがんワクチンに含まれることを識別することが可能となる。
【0381】
2つのワクチンベクターを、異種プライム/ブーストアプローチ(プライミングとしてGRT-C901、及び、ブースターとしてGRT-R902)を使用して、免疫応答を刺激するワクチンレジメンを、評価する。本研究は、チェックポイント阻害剤と組み合わせた、本患者特異的免疫療法の抗腫瘍活性を探求する。本研究は、分子応答に基づき、チェックポイント阻害剤と組み合わせた、一般的にGRANITEと呼ばれるワクチンレジメン(GRT-C901/GRT-R902)による補助処置の抗腫瘍活性を評価し、特性決定し、手術による切除の後に、循環腫瘍デオキシリボ核酸(ctDNA)陽性の、大腸癌を有する患者におけるチェックポイント遮断薬と組み合わせた、GRT-C901/GRT-R902の安全性及び忍容性を評価する。
【0382】
(本明細書を通して記載する)ネオエピトープカセットをコードする、個別化されたがんワクチンを、進行癌を有する患者において、免疫チェックポイント遮断薬と組み合わせて投与する。異種プライム/ブーストワクチンレジメンは、(1)プライムワクチン接種として使用されるChAdV、及び、(2)ChAdVベクターの後にワクチン接種をブーストするために用いられる、LNP中で製剤化されるSAMを伴う。ChAdV及びSAMベクターは共に、各対象に対して特異的な、同一の個別化されたネオエピトープカセットをコードし、これはまた、2つのユニバーサルCD4 T細胞エピトープ(PADRE及び破傷風トキソイド)もコードする。対象を含めるために、腫瘍を、全エクソーム及びトランスクリプトームシーケンシングに用いて体細胞突然変異を検出し、血液を、HLAタイピングに用いる。
【0383】
ChAdVベクターは、サブグループEのアデノウイルスである、チンパンジーアデノウイルス68(C68、68/SAdV-25、元々、Pan9として示されていた)に基づく、複製欠損型E1、E3、E4オープンリーディングフレーム2-4(ORF2-4)欠失アデノウイルスベクターである[ChAdV68-Empty-E4deleted;E1欠失(577~3403)、E3欠失(27,125~31,825)、及び部分的E4欠失スパニングORF2-4(34,916~35,642)を有する配列番号1を表す、配列番号29365を参照されたい]。ChAdVベクターは、5×1011vp/mLで溶液中にて製剤化され、1.0mLを、それぞれ、反対の三角筋における2つの両側ワクチン注射部位にてIM注射する(三角筋が好ましく、臀筋[背面もしくは腹面]、またはそれぞれの側の大腿直筋を使用してよい)。
【0384】
SAMベクター(GRT-R902)はアルファウイルスに由来する。SAMベクターは、ウイルス性タンパク質、ならびに、RNA増幅に必要な5’及び3’RNA配列をコードするが、構造タンパク質はコードしなかった。SAMベクターを、4種類の脂質:イオン性アミノ脂質、ホスファチジルコリン、コレステロール、及び、PEGベースのコート脂質で構成されるLNP中で製剤化し、SAMを封入させて、LNPを形成する。SAMベクターは、ChAdVベクターで用いるのと同じネオ抗原発現カセットを含有する。SAMベクターは、mg/mLで溶液中にて製剤化され、それぞれ、反対の三角筋における2つの両側ワクチン注射部位にてIM注射する(三角筋が好ましく、臀筋[背面もしくは腹面]、またはそれぞれの側の大腿直筋を使用してよい)。ブースターワクチン接種部位は、できる限りプライムワクチン接種部位に近づける。注射量は、投与される用量に基づく。用量レベル量とは、SAMベクターの量を明示的に指す、即ち、LNPなどの他の構成成分を指すものではない。LNP:SAMの比率は、およそ24:1である。
【0385】
イピリムマブは、細胞毒性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)に結合する、ヒトモノクローナルIgG1抗体である。イピリムマブは、5mg/mLで溶液中にて製剤化され、両側のワクチン接種部位のそれぞれに、SCに近接して(約2cm以内)注射される。イピリムマブのSC経路は、認可されたIV投与経路とは異なる。イピリムマブは、以下に示す2つの方法のうちの一方で、30mgの用量にて投与される:
1.両側のワクチン接種部位のそれぞれにおいて、ワクチン排出LNに近い、4回の1.5mL(7.5mg)の注射(即ち、各三角筋、腰部の腹側臀筋、臀部の背側臀筋、または大腿直筋の、それぞれの両側の、ワクチン接種部位の下に1.5mL、及び、ワクチン接種部位の上に1.5mL[三角筋が好ましいが、臨床部位及び患者の好みに依存する])。
2.両側のワクチン接種部位のそれぞれにおいて、ワクチン排出LNに近い、6回の1mL(5mg)の注射(即ち、各三角筋、腰部の腹側臀筋、臀部の背側臀筋、または大腿直筋の、それぞれの両側の、ワクチン接種部位の下に1mL、ワクチン接種部位の横に1mL、及び、ワクチン接種部位の下に1.5mL、及び、ワクチン接種部位の上に1.5mL[三角筋が好ましいが、臨床部位及び患者の好みに依存する])。
【0386】
ニボルマブは、PD-1と、そのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との相互作用を遮断する、ヒトモノクローナルIgG4抗体である。ニボルマブは、10mg/mLで溶液中で製剤化され、0.2ミクロン~1.2ミクロンの孔径、低タンパク結合のインラインフィルターを通して、プロトコールにより規定される用量で、IV輸液として投与される。これは、IVプッシュまたはボーラス注射としては投与されない。用量が固定される(例えば、240mgの平坦用量)とき、ニボルマブ注射は未希釈のまま、または希釈されて輸液され、合計の輸液体積が160mLを超えないようにする。ニボルマブ輸液の後、直ちに希釈液を一流しし、ラインをきれいにする。ニボルマブは、同日中にイピリムマブと共に、または、イピリムマブなしで、各ワクチン接種(即ち、SAMまたはChAdVワクチンのそれぞれ)の後に投与される。ニボルマブの用量及び経路は、食品医薬品局が認可した用量及び経路に基づく。ニボルマブの用量は、参加者がどれだけ十分に治療に耐えるかに応じて、中断する、遅らせる、または、中止することができる。投与訪問は飛ばされず、遅らせるのみである。研究員及びスポンサーが、ニボルマブなしでSAMベクターを用いて治療することが、患者にとって最も関心あることと考えない限り、ワクチン接種は、ニボルマブなしでは行われない。例えば、メーカーの指示、及び/または、当業者により認識されている、測定された適切な用量に従い、アテゾリズマブまたはセミプリマブを、ニボルマブの代わりに投与することができる。他のPD1及び/またはPD-L1チェックポイント阻害剤を、代わりに用いてよい。例えば、アテゾリズマブを、4週毎に1680mgの用量で、静脈内注射により投与することができる。
【0387】
第2相研究を実施して、チェックポイント阻害剤と組み合わせた、GRT-C901/GRT-R902による補助化学療法の臨床活性を特性決定する。研究群を表3に示す。
【0388】
ルーチンの化学療法を既に受けた、CRC、胃癌、または肺癌を有する患者を、表3に示すように、第1/2相First in Human研究で処置した。ワクチンレジメンは、ニボルマブ(IV 480mg Q4W)及びイピリムマブ(SC 30mg)と組み合わせた、20個の患者特異的ネオ抗原を含有する、連続したチンパンジーアデノウイルス及び自己増幅mRNAベクターを含んだ。図3を参照されたい。
【0389】
処置を受けた29名のうち、13名がCRCを有した。RECIST v1.1によると、13名のうち6名は安定した疾患(SD)を有し、7名は進行性疾患(PD)を有した。6名の患者は、ctDNAの-30%以上の減少として定義される、分子応答(MR)を達成した。分子応答を有しない患者と比較して、MRを有する患者は、全生存期間(OS)が長くなった(表4を参照されたい)。分子応答を有する患者は、原発腫瘍の位置、肝臓転移、KRAS変異に関して有利ではなく、より高い腫瘍変異負荷(TMB)、PD-L1、または、T細胞炎症性遺伝子発現(GEP)に対して強化されず、同様の基準ctDNA値(p値=0.18)を有した(表4を参照されたい)。
【0390】
【表4】
【0391】
主要アウトカム指標:
1.循環腫瘍デオキシリボ核酸(ctDNA)における、基準から50%以上の減少を有する患者の割合(%)[時間枠:基準、及び最大約24ヶ月]
2.有害事象(AE)、免疫関連AE、処置関連AE、深刻なAE、死をもたらすAE、投与遅延をもたらすAE、アメリカ国立がんセンター(NCI)共通の用語を用いる、研究処置の中止をもたらすAEの発生[時間枠:最後の研究処置(最大62週)の後、最大約100日]
【0392】
副次アウトカム指標:
3.研究員により評価される、充実性腫瘍(RECIST)v1.1における応答評価基準による、無再発生存期間(RFS)[時間枠:無作為化のときから、同じがんの最初の再発、または死亡まで(最大約72ヶ月)]
4.無病生存時間(DFS)[時間枠:無作為化のときから、何らかのがんの最初の再発、または死亡まで(最大約72ヶ月)]
5.全生存期間(OS)[時間枠:最大72ヶ月]
6.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースアッセイにより評価した、基準においてctDNAを有する患者の、検出不可能なctDNAを有する患者への転換[時間枠:基準、及び最大約24ヶ月]
7.基準からのctDNA減少の、分子応答の最長期間[時間枠:基準、及び最大約24ヶ月]
8.ワクチン製造の成功;ワクチン生産を保証するのに十分なネオ抗原を有する患者の数により測定される、ワクチン製造の成功[時間枠:研究薬物投与1日目の前から、最大28日]
9.末梢血単核球細胞(PBMC)を有するT細胞応答[時間枠:最大24ヶ月]
【0393】
ワクチン生産ステージの包含基準:
-以下の基準のいずれかを満たすものとして定義される、ハイリスクステージII大腸癌を含む、ハイリスクステージIIまたはステージIII大腸癌を有する患者:T4腫瘍、等級3以上、腸閉塞もしくは穿孔、血管またはリンパまたは神経周囲侵襲の組織学的徴候の、臨床的提示、及び、12個未満の結節の調査
-患者が、ctDNAの存在に基づき、補助化学療法(ACT)の開始前に、微小残存病変(MRD)の証拠を有する
-患者が、およそ6週間未満のACTを受けていた。
-切除における、周辺陰性(R0)の病状
-ホルマリン固定パラフィン埋包(FFPE)腫瘍被検査物が入手できること
-12~17歳の患者に対して、0~1、またはこれに等しい、米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)性能ステータス
-患者が、以下により定義される十分な臓器機能を有する:3000/mm以上の、末梢白血球(WBC)数、800/mm以上の、絶対リンパ球数(ALC)、1500/mm以上の、絶対好中球数(ANC)、100,000/mm以上の血小板、9g/dL以上のヘモグロビン、3g/dL以上のアルブミン、Cockcroft-Gaultの式を用いて計算される、50mL/分を超えるクレアチニンクリアランス、アラニントランスアミナーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦3×正常下限(ULN)、全血清ビリルビン≦1.5×ULN、または直接ビリルビン≦1×ULN、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PT)、または部分的トロンボプラスチン時間(PTT)≦1.5×ULN、ただし、患者が抗凝固剤療法を受けない限りであり、受ける場合、患者は、PT及びPTTが、抗凝固剤の使用目的の治療域にあり、癌胎児性抗原レベルが≦1.5×ULNである場合に適格となる。
-妊娠可能な女性(WCBP)は、妊娠試験を受ける意志がなければならず、治療期間の間、及び、最後の治験研究処置後、5ヶ月間は、少なくとも1回、非常に効果的な避妊法を用いることに同意する。
【0394】
研究処置ステージの包含基準:
-ハイリスクステージIIまたはステージIIIの、マイクロサテライト安定(MSS)大腸癌の診断が確認されており、手術により腫瘍が切除されており、標準的なACTを完了し、X線写真により疾患の証拠がなく、ACT後のctDNA検出に基づくと、MRDの証拠がある
-12~17歳の患者に対して、0~1、またはこれに等しい、ECOG性能ステータス
-2000/mm以上の末梢WBC数、500/mm以上のALC、1000/mm以上のANC、75,000/mm以上の血小板、9g/dL以上のヘモグロビン、3g/dL以上のアルブミン、Cockcroft-Gaultの式を用いて計算される、40mL/分を超えるクレアチニンクリアランス、ALT及びAST≦3×ULN、全血清ビリルビン≦1.5×ULN、または直接ビリルビン≦1×ULN、及び、INR、PT、またはPTT≦1.5×ULNの、十分な臓器機能を有する
-WCBPの場合、妊娠試験を受ける意志がなければならず、治療期間の間、及び、最後の治験研究処置後、5ヶ月間は、少なくとも1回、非常に効果的な避妊法を用いることに同意すること。
-男性、及び、WCBPで性的に活性である場合、治療期間の間、及び、最後の治験研究処置後、5ヶ月間は、ラテックスコンドームなどの、非常に効果的な避妊を用い、加えて、パートナーが、非常に効果的な避妊法を用いることに同意する必要がある。
【0395】
ワクチン生産ステージの除外基準:
-マイクロサテライト不安定(MSI)高疾患を有する患者
-1非同義置換/百万塩基未満の、既知の腫瘍変異負荷(TMB)を有する患者
-既知のDNAポリメラーゼε変異を有する患者
-過去6ヶ月以内に、チンパンジーアデノウイルス(ChAd)に曝露されたことが知られており、この先6ヶ月間、ChAdベースワクチンを受ける計画がある、及び/または、ワクチン接種に対する反応において病歴またはアナフィラキシーがある
-出血性疾患、または、筋肉内(IM)注射もしくは輸血後の、顕著な紫斑もしくは出血歴
-研究処置時に予想される免疫抑制
-患者が、抗細胞毒性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4)、抗プログラム細胞死1受容体(PD-1)、抗プログラム死リガンド1(PD-L1)、または、T細胞の同時刺激もしくはチェックポイント経路を特異的に標的にする、任意の他の抗体もしくは薬剤で構成される療法を以前に受けている
-同種異系組織/固形臓器移植の病歴
-自己免疫疾患または免疫欠損が活性である、または病歴がある
-2年以内の、他のがんの病歴
-活性の結核もしくは最近(2週間未満)の、臨床的に有意な感染症、もしくは、活性B型肝炎もしくはC型肝炎の証拠;またはCD4+ T細胞数が、200cell/マイクロリットル以下である場合に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して陽性試験の既知の病歴
-処置のために全身ステロイドが必要な、肺炎の病歴(フィールド内照射肺炎で以前に回復したものを除く)
-3ヶ月以内に、もしくは治療処置前に、心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な制御不能の心不整脈、心筋炎の病歴、またはうっ血性心不全
-妊娠している、妊娠する予定がある、または看護されている。
【0396】
研究処置ステージの除外基準:
-患者が、治験中の製品及び/または他の抗がん療法による処置を受けている。
-過去6ヶ月以内にChAdに曝露されたことが知られており、この先6ヶ月間、ChAdベースワクチンを受ける計画がある、及び/または、ワクチン接種に対する反応において病歴またはアナフィラキシーがある
-全身コルチコステロイドもしくは他の免疫抑制投薬、もしくは、低ガンマグロブリン血症などの状態、または放射線照射による、同時の、最近(4週間以内)の、または、予定の処置による、免疫抑制
-以前に、がん治療誘発AEから回復していない患者
-任意の深刻な、同時の非がん疾患
-活性の結核もしくは最近(2週間未満)の、臨床的に有意な感染症、活性B型肝炎もしくはC型肝炎の証拠;またはCD4+ T細胞数が、200cell/マイクロリットル以下である場合に、HIVに対して陽性試験の既知の病歴
-処置のために全身ステロイドが必要な、肺炎の病歴
-研究処置を始める6ヶ月以内に、心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な制御不能の心不整脈、心筋炎の病歴、またはうっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会[NYHA]グレード3及び4)。
-妊娠している、妊娠する予定がある、または看護されている。
【0397】
【表3】
【0398】
本発明は、好ましい実施形態、及び様々な代替の実施形態を参照して具体的に示され記載されているものの、形態及び詳細の様々な変化が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしにその中で可能であることが当業者により理解されるであろう。
【0399】
配列
表A
配列表の、配列番号10,755~21,015を参照されたい。明確性のため、EDGEスコアが>0.001の、HLAアレルを有する、所与のHLAアレルペプチドと関連することが予測される、各ペプチドに、固有の配列番号を割り当てる。上記配列識別子のそれぞれは、ペプチドのアミノ酸配列、HLA亜型、ペプチドに対応する遺伝子名、ペプチドと関連する変異、及び、ペプチド:HLAペアの普及が、0.1%(「1」と示す)、または、0.1%未満(「0」と示す)であるか否かと関連している。
【0400】
表Aは、その全容を参照によって本明細書に援用する、2021年9月17日に出願された、米国仮出願第63/245,663号に、その全体が開示されている。
【0401】
AACR GENIE結果
配列表の、配列番号21,016~29,357を参照されたい。明確性のため、EDGEスコアが>0.001の、及び、普及が>0.1%の、HLAアレルを有する、所与のHLAアレルペプチドと関連することが予測される、各ペプチドに、固有の配列番号を割り当てる。上記配列識別子のそれぞれは、ペプチドに対応する遺伝子名及び変異、HLA亜型、ならびに、ペプチドのアミノ酸配列と関連している。AACR Genie結果は、その全容を参照によって本明細書に援用する、2021年9月17日に出願された、米国仮出願第63/245,663号に、その全体が開示されている。
【0402】
表1.2
配列表の、配列番号57~10,754を参照されたい。がん症例の少なくとも0.98%で、少なくとも10TPMのレベルで発現した遺伝子と関連する、予測される共有抗原上記配列識別子のそれぞれは、遺伝子名、ペプチドのアミノ酸配列、Ensembl ID、及び、対応するHLAアレル(複数可)と関連する。
【0403】
特定の配列
本明細書で参照されるベクター、カセット、及び抗体を以下に記載し、配列番号で参照する。
【0404】
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図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
いくつかの態様では、自己複製アルファウイルスベースの発現系を送達するための組成物中のカセットの各要素の順序付けられた配列は、5’から3’方向に、P-(L5-N-L3)X-(G5-U-G3を含む式[式中、Pは、前記第2のプロモーターヌクレオチド配列を含み、ただし、a=0または1であり、Nは、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、前記エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、ただしc=1であり、L5は、5’リンカー配列を含み、ただしb=0または1であり、L3は、3’リンカー配列を含み、ただしd=0または1であり、G5は、GPGPG(配列番号29524)アミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしe=0または1であり、G3は、GPGPG(配列番号29524)アミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしg=0または1であり、Uは、前記少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、ただしf=1であり、X=1~400であり、ただし各Xについて、対応するNは、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、Y=0、1、または2であり、ただし各Yについて、対応するUは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列である]で記述される。いくつかの態様では、各Xについて、対応するNは、異なるMHCクラスIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUは、異なるMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、a=0、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=20、Y=2であり、前記少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、前記RNAアルファウイルス骨格により提供される単一の26Sプロモーターヌクレオチド配列であり、前記少なくとも1つのポリアデニル化ポリ(A)配列は、前記RNAアルファウイルス骨格により提供される少なくとも100個の連続したAヌクレオチド(配列番号29527)のポリ(A)配列であり、前記カセットは、前記26Sプロモーターヌクレオチド配列と前記ポリ(A)配列との間に組み込まれ、前記カセットは、前記26Sプロモーターヌクレオチド配列及び前記26Sプロモーターヌクレオチド配列に機能的に連結されており、各Nは、アミノ酸7~15個の長さのMHCクラスIエピトープをコードし、L5は、前記MHC Iエピトープの天然のN末端アミノ酸配列をコードする天然の5’リンカー配列であり、前記5’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、L3は、前記MHC Iエピトープの天然のC末端アミノ酸配列をコードする天然の3’リンカー配列であり、前記3’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列、及び、破傷風トキソイドMHCクラスII配列のそれぞれであり、前記RNAアルファウイルス骨格は、配列番号6示す配列であり、前記MHCクラスIエピトープコード核酸配列のそれぞれは、長さが13個~25個のアミノ酸であるポリペプチドをコードする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも1つの抗原コード核酸配列は、2つ以上の抗原コード核酸配列を含む。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列が互いに直接連結されている。いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は、リンカーをコードする核酸配列によって異なる抗原コード核酸配列と連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列またはMHCクラスIエピトープコード核酸配列を、1個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、(1)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したグリシン残基(配列番号29525)、(2)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したアラニン残基(配列番号29526)、(3)2個のアルギニン残基(RR)、(4)アラニン、アラニン、チロシン(AAY)、(5)哺乳動物プロテアーゼによって効率的にプロセシングされる、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さのコンセンサス配列、及び(6)同種由来タンパク質に由来する抗原に隣接し、少なくともアミノ酸残基2、3、46、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または2~20個の長さの1つ以上の天然配列からなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列または1個のMHCクラスII配列を、1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、配列GPGPG(配列番号29524)を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列または第2のプロモーターヌクレオチド配列は、非誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、前記骨格に天然に存在するアルファウイルスを含む。いくつかの態様では、少なくともいくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも1つの核酸配列のうちの少なくとも1つと機能的に連結される。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、または少なくとも90個の連続したAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも100個の連続したAヌクレオチド(配列番号29527)である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
いくつかの態様では、ChAdVベースの発現系を送達するための組成物中のカセットの各要素の順序付けられた配列は、5’から3’方向に、P-(L5-N-L3)X-(G5-U-G3を含む式[式中、Pは、前記少なくとも1つの抗原コード核酸配列の少なくとも1つに機能的に連結された、少なくとも1つのプロモーター配列であり、ただし、a=1であり、Nは、前記エピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、前記エピトープコード核酸配列は、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、ただしc=1であり、L5は、5’リンカー配列を含み、ただしb=0または1であり、L3は、3’リンカー配列を含み、ただしd=0または1であり、G5は、GPGPG(配列番号29524)アミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしe=0または1であり、G3は、GPGPG(配列番号29524)アミノ酸リンカーをコードする前記少なくとも1つの核酸配列のうちの1つを含み、ただしg=0または1であり、Uは、前記少なくとも1つのMHCクラスIIエピトープコード核酸配列のうちの1つを含み、ただしf=1であり、X=1~400であり、ただし各Xについて、対応するNは、MHCクラスIエピトープコード核酸配列であり、Y=0、1、または2であり、ただし各Yについて、対応するUは、MHCクラスIIエピトープコード核酸配列である]で記述される。いくつかの態様では、各Xについて、対応するNは、異なるMHCクラスIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、各Yについて、対応するUは、異なるMHCクラスIIエピトープコード核酸配列である。いくつかの態様では、b=1、d=1、e=1、g=1、h=1、X=16、Y=2であり、PはCMVプロモーター配列であり、各Nは、アミノ酸7~15個の長さのMHCクラスIエピトープをコードし、L5は、前記MHC Iエピトープの天然のN末端アミノ酸配列をコードする天然の5’リンカー配列であり、前記5’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、L3は、前記MHC Iエピトープの天然のC末端アミノ酸配列をコードする天然の3’リンカー配列であり、前記3’リンカー配列は、少なくともアミノ酸3個の長さのペプチドをコードし、Uは、PADREクラスII配列、及び、破傷風トキソイドMHCクラスII配列のそれぞれであり、前記ChAdVベクターは、E1(nt 577~3403)欠失、及びE3(nt 27,125~31,825)欠失を含む配列番号1の配列を含む、修飾ChAdV68配列を含み、前記ネオ抗原カセットは、前記E1欠失内に挿入され、前記MHCクラスI抗原コード核酸配列のそれぞれは、長さが25アミノ酸であるポリペプチドをコードする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
いくつかの態様では、各抗原コード核酸配列は、リンカーをコードする核酸配列によって異なる抗原コード核酸配列と連結されている。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列またはMHCクラスIエピトープコード核酸配列を、1個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、(1)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したグリシン残基(配列番号29525)、(2)少なくとも残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さの連続したアラニン残基(配列番号29526)、(3)2個のアルギニン残基(RR)、(4)アラニン、アラニン、チロシン(AAY)、(5)哺乳動物プロテアーゼによって効率的にプロセシングされる、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の長さのコンセンサス配列、及び(6)同種由来タンパク質に由来する抗原に隣接し、少なくともアミノ酸残基2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または2~20個の長さの1つ以上の天然配列からなる群から選択される。いくつかの態様では、リンカーは、2個のMHCクラスIIエピトープコード核酸配列または1個のMHCクラスII配列を、1個のMHCクラスIエピトープコード核酸配列と連結する。いくつかの態様では、リンカーは、配列GPGPG(配列番号29524)を含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのプロモーターヌクレオチド配列は、非誘導性である。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)SV40ポリA配列を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、または少なくとも90個の連続したAヌクレオチドである。いくつかの態様では、少なくとも1つのポリ(A)配列は、少なくとも100個の連続したAヌクレオチド(配列番号29527)である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024534442000001.xml
【国際調査報告】