(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ステントシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/844 20130101AFI20240912BHJP
A61F 2/94 20130101ALI20240912BHJP
A61F 2/90 20130101ALN20240912BHJP
【FI】
A61F2/844
A61F2/94
A61F2/90
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516921
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022043100
(87)【国際公開番号】W WO2023043680
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】チュー、モーガン
(72)【発明者】
【氏名】グレイ、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ エリザベス
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA44
4C267AA51
4C267AA52
4C267AA53
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB12
4C267BB40
4C267CC08
4C267FF05
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG24
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
ステントシステムは、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部を有し、かつ展開形態において本体部分の遠位端から遠位に延在する第1の脚部と、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部を有し、かつ展開形態において本体部分の遠位端から遠位に延在する第2の脚部とを含むステントを含み得る。第2の脚部は、送達形態において、本体部分の遠位端から近位に延在し得る。ステントシステムは、分岐型送達シースと、2つのステントを同時に送達するための2つのガイドワイヤとを含み得る。体管腔を治療する方法は、体管腔内にステントを移植しながら、抗ガス剤を含む造影剤を供給するステップを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントシステムであって、
送達形態と展開形態との間で移行するように構成されたステントを備え、前記ステントは、
近位端および遠位端を有する本体部分と、
前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第1の脚部であって、前記第1の脚部は、前記展開形態において前記本体部分の前記遠位端から遠位に延在する、前記第1の脚部と、
前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第2の脚部であって、前記第2の脚部は、前記展開形態において前記本体部分の前記遠位端から遠位に延在する、前記第2の脚部と、を含んでおり、
前記第2の脚部は、前記送達形態において、前記本体部分の前記遠位端から近位に延在する、ステントシステム。
【請求項2】
前記第2の脚部は、前記送達形態において、前記第2の脚部が前記本体部分内で前記本体部分の前記遠位端から近位に延在するように、前記本体部分内に反転されている、請求項1に記載のステントシステム。
【請求項3】
内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトをさらに備え、
前記ステントは、前記送達形態において前記ルーメン内に配置可能であり、前記ステントは、前記ステントが前記ルーメンの外側に配置されたとき、前記送達形態から前記展開形態に移行するように構成されている、請求項1または2に記載のステントシステム。
【請求項4】
前記ルーメン内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、
前記第1のマンドレルと並んで前記ルーメン内に摺動可能に配置された第2のマンドレルと、をさらに備え、
前記第1のマンドレルは、前記第1の脚部内に少なくとも部分的に配置されており、前記第2のマンドレルは、前記第2の脚部内に少なくとも部分的に配置されている、請求項3に記載のステントシステム。
【請求項5】
第1のガイドワイヤが、前記第1のマンドレル内に延在する第1のルーメン内に摺動可能に配置されている、請求項4に記載のステントシステム。
【請求項6】
第2のガイドワイヤが、前記第2のマンドレル内に延在する第2のルーメン内に摺動可能に配置されている、請求項4または5に記載のステントシステム。
【請求項7】
前記第2のマンドレルは、前記ステントを前記送達形態から前記展開形態に向かって移行させるように構成される、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のステントシステム。
【請求項8】
前記第2のマンドレルは、前記第2のマンドレルの遠位への前進によって前記第2の脚部が裏返って、前記ステントが前記展開形態に向かって移行するように、前記送達形態において前記第2の脚部の前記第2の端部に係合するように構成された遠位に面する肩部を含む、請求項7に記載のステントシステム。
【請求項9】
前記第1のマンドレルの遠位部分は、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第2のマンドレルの遠位部分は、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第1の平坦な側面は、前記長尺状のシャフトのルーメン内で前記第2の平坦な側面に面している、請求項4乃至8のいずれか1項に記載のステントシステム。
【請求項10】
ステントシステムであって、
近位端および遠位端を有する本体部分と、前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第1の脚部と、前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第2の脚部とを含む送達シースと、
前記送達シースの前記第1の脚部内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、
前記送達シースの前記第2の脚部内に摺動可能に配置された第2のマンドレルと、
前記第1のマンドレル内に摺動可能に配置された第1のガイドワイヤと、
前記第2のマンドレル内に摺動可能に配置された第2のガイドワイヤと、を備えるステントシステム。
【請求項11】
前記送達シースは、前記本体部分の前記近位端から前記第1の脚部の前記第2の端部まで延在する第1のルーメンと、前記本体部分の前記近位端から前記第2の脚部の前記第2の端部まで延在する第2のルーメンとを含んでおり、
前記第1のルーメンは、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第2のルーメンは、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、
前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンは、前記第1の平坦な側面および前記第2の平坦な側面の両方を画定する共通壁を共有している、請求項10に記載のステントシステム。
【請求項12】
前記第1の脚部は平坦な側面を有しており、前記第2の脚部は前記第1の脚部の前記平坦な側面に面する平坦な側面を有している、請求項11に記載のステントシステム。
【請求項13】
内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトをさらに備え、
前記送達シースは、前記長尺状のシャフトの前記ルーメン内に配置可能であるとともに、前記長尺状のシャフトに対して軸方向に摺動可能であり、
前記第1の脚部および前記第2の脚部が、前記長尺状のシャフトの前記ルーメン内に配置されるとき、前記第1の脚部の前記平坦な側面は、前記第2の脚部の前記平坦な側面に嵌合的に係合する、請求項12に記載のステントシステム。
【請求項14】
前記第1のマンドレルよりも遠位で前記第1の脚部内に配置可能な第1のステントと、
前記第2のマンドレルよりも遠位で前記第2の脚部内に配置可能な第2のステントと、をさらに備え、
前記第1のマンドレルは、前記第1の脚部に対する前記第1のマンドレルの軸方向移動を介して、前記第1のステントを前記第1の脚部から押し出すように構成されており、
前記第2のマンドレルは、前記第2の脚部に対する前記第2のマンドレルの軸方向移動を介して、前記第2のステントを前記第2の脚部から押し出すように構成されている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のステントシステム。
【請求項15】
ステントシステムであって、
患者の体管腔にアクセスするように構成された長尺状のシャフトであって、内部にルーメンが延在する前記長尺状のシャフトと、
前記ルーメン内に摺動可能に配置された送達デバイスであって、ステントを前記体管腔に送達するように構成される前記送達デバイスと、
前記体管腔への送達のために、前記長尺状のシャフトと流体連通する造影剤の供給源と、を備え、
前記造影剤は、抗ガス剤を含んでいる、ステントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、並びに医療デバイスを製造および/または使用する方法に関する。より詳細には、本開示は、体内プロテーゼまたはステントの改良された設計に関する。
【背景技術】
【0002】
現在における編組されるか、または編まれた自己拡張型ステントは、設計およびデバイスの長さに起因して、長手方向に大きな柔軟性を示し得る。これは、特に、より蛇行した解剖学的領域におけるデバイス送達の目的のために有利であり得、かつ典型的には標的管腔への外傷が少ないと考えられている送達後の管腔直線化の軽減のために有利であり得る。被覆されていない金属製の体内プロテーゼまたはステントは、慢性疾患のために留置されることもあるが、一般的には取り外し可能ではない。プラスチック製の体内プロテーゼまたはステントは、繰り返しの処置(1回または複数回)を必要とし得る閉塞を起こしやすく、時には、罹患した体管腔(例えば、胆管、膵管など)の閉塞を最初に引き起こした狭窄を開くことができないことがある。加えて、胆道系には、いくつかの分岐、分岐部、および/または隣接する管腔がある。分岐部内にまたは分岐部を横断して体内プロテーゼまたはステントを留置することは、追加のおよび/または異なる課題を提示し得る。従来、体内プロテーゼまたはステントを分岐部に留置することは、いくつかのステップ、デバイス、器具の導入、取り外し、および/または交換、流体管理デバイスによる接続および/または接続解除等を必要とし得る。場合によっては、気泡が、手術器具、ツール、および/または処置中の体管腔内に導入され得る。気泡は、医師の視界を遮る可能性があり、かつ/または患者にリスクをもたらす可能性があるため、望ましくない。代替的な体内プロテーゼまたはステントシステム、並びに体内プロテーゼまたはステントシステムを製造および使用するための代替的な方法を提供することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一つの例では、ステントシステムは、送達形態と展開形態との間で移行するように構成されたステントを備え得、ステントは、近位端および遠位端を有する本体部分と、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および第1の端部とは反対側の第2の端部を有し、展開形態において本体部分の遠位端から遠位に延在する第1の脚部と、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および第1の端部とは反対側の第2の端部を有し、展開形態において本体部分の遠位端から遠位に延在する第2の脚部とを備える。第2の脚部は、送達形態において、本体部分の遠位端から近位に延在する。
【0004】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第2の脚部は、送達形態において、第2の脚部が本体部分内で本体部分の遠位端から近位に延在するように、本体部分内に反転されている。
【0005】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトを備え得る。ステントは、送達形態においてルーメン内に配置可能であり得る。ステントは、ステントがルーメンの外側に配置されたとき、送達形態から展開形態に移行するように構成され得る。
【0006】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、ルーメン内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、第1のマンドレルと並んでルーメン内に摺動可能に配置された第2のマンドレルとを備え得る。第1のマンドレルは、第1の脚部内に少なくとも部分的に配置されており、第2のマンドレルは、第2の脚部内に少なくとも部分的に配置されている。
【0007】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1のガイドワイヤが、第1のマンドレル内に延在する第1のルーメン内に摺動可能に配置されている。
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第2のガイドワイヤが、第2のマンドレル内に延在する第2のルーメン内に摺動可能に配置されている。
【0008】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第2のマンドレルは、ステントを送達形態から展開形態に向かって移行させるように構成されている。
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第2のマンドレルは、第2のマンドレルの遠位への前進によって第2の脚部が裏返って、ステントが展開形態に向かって移行するように、送達形態において第2の脚部の第2の端部に係合するように構成された遠位に面する肩部を含む。
【0009】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1のマンドレルの遠位部分は、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、第2のマンドレルの遠位部分は、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、第1の平坦な側面は、長尺状のシャフトのルーメン内で第2の平坦な側面に面している。
【0010】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1の脚部は、第1の端部から第2の端部に向かって半径方向内側にテーパ状である。
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第2の脚部は、第1の端部から第2の端部に向かって半径方向内側にテーパ状である。
【0011】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、近位端および遠位端を有する本体部分と、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第1の脚部と、本体部分の遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第2の脚部とを含む送達シースと、送達シースの第1の脚部内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、送達シースの第2の脚部内に摺動可能に配置された第2のマンドレルと、第1のマンドレル内に摺動可能に配置された第1のガイドワイヤと、第2のマンドレル内に摺動可能に配置された第2のガイドワイヤとを備え得る。
【0012】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、送達シースは、本体部分の近位端から第1の脚部の第2の端部まで延在する第1のルーメンと、本体部分の近位端から第2の脚部の第2の端部まで延在する第2のルーメンとを含む。
【0013】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1のルーメンは、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、第2のルーメンは、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有している。
【0014】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1のルーメンおよび第2のルーメンは、第1の平坦な側面および第2の平坦な側面の両方を画定する共通壁を共有している。
【0015】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1の脚部は平坦な側面を有しており、第2の脚部は第1の脚部の平坦な側面に面する平坦な側面を有している。
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトを備え得る。送達シースは、長尺状のシャフトのルーメン内に配置可能であるとともに、長尺状のシャフトに対して軸方向に摺動可能であり得る。第1の脚部および第2の脚部が長尺状のシャフトのルーメン内に配置されるとき、第1の脚部の平坦な側面は、第2の脚部の平坦な側面に嵌合的に係合する。
【0016】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、第1のマンドレルよりも遠位で第1の脚部内に配置可能な第1のステントと、第2のマンドレルよりも遠位で第2の脚部内に配置可能な第2のステントとを備え得る。第1のマンドレルは、第1の脚部に対する第1のマンドレルの軸方向移動を介して、第1のステントを第1の脚部から押し出すように構成されている。第2のマンドレルは、第2の脚部に対する第2のマンドレルの軸方向移動を介して、第2のステントを第2の脚部から押し出すように構成されている。
【0017】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、第1の脚部の第2の端部および第2の脚部の第2の端部は、本体部分の長手方向軸に対して横方向に互いに離れるように偏位される。
【0018】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、ステントシステムは、患者の体管腔にアクセスするように構成され、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトと、ルーメン内に摺動可能に配置され、ステントを体管腔に送達するように構成された送達デバイスと、体管腔への送達のために長尺状のシャフトと流体連通する造影剤の供給源とを備え得る。造影剤は、抗ガス剤を含み得る。
【0019】
本明細書で説明される例に追加的にまたは代替的に、体管腔を治療する方法は、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトを用いて患者の体管腔にアクセスするステップと、長尺状のシャフトのルーメン内に、ステントを体管腔に送達するように構成された送達デバイスを挿入するステップと、ステントを体管腔内に移植する間に、抗ガス剤を含む造影剤を供給するステップとを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態、態様および/または例の上記概要は、本開示の各開示する実施形態またはすべての実施態様を記載するようには意図されていない。以下の図面および詳細な説明(発明を実施するための形態)は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解することができる。
【
図3】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図4】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図5】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図6】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図7】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図8】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図9】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図11】
図10のステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図12】
図10のステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図13】
図10のステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図14】
図10のステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図15】
図10のステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示す図である。
【
図16】ステントシステムおよびステントシステムを使用する方法の態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の態様は、さまざまな変形形態および代替形態が可能であるが、その特定のものについて、図面に例として示すとともに、以下詳細に説明する。しかしながら、その意図は、本開示の態様を記載する特定の実施形態に限定することではないことが理解されるべきである。逆に、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更形態、均等物および代替形態を包含することを意図している。
【0023】
以下の説明は、必ずしも正確な縮尺ではない図面を参照して読むべきであり、図面では、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の要素を示している。詳細な説明および図面は、本開示を限定するのではなく例示するように意図されている。当業者であれば、記載および/または図示するさまざまな要素は、本開示の範囲から逸脱することなくさまざまな組合せおよび構成で配置され得ることを理解するであろう。詳細な説明および図面は、本開示の実施形態例を例示する。
【0024】
以下の定義する用語について、特許請求の範囲または本明細書の他の場所において異なる定義がなされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、明示的に示されているか否かに関わらず、すべての数値は、「約」という用語によって修飾されているものと想定する。数値の文脈における「約」という用語は、概して、当業者が列挙された値に等価であるとみなす(例えば、同じ機能または結果を有する)数字の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含む可能性がある。(例えば、数値以外の文脈における)「約」という用語の他の使用は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解されかつ文脈に一貫するような、それらの通常の慣習的な定義を有するものと想定され得る。
【0025】
端点による数値範囲の記述は、それら端点を含むその範囲内のすべての数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
さまざまな構成要素、特徴および/または仕様に関するいくつかの好適な寸法、範囲および/または値を開示するが、本開示によって示唆を受ける当業者は、所望の寸法、範囲および/または値が明示的に開示されているものから外れる場合があることを理解するであろう。
【0026】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合の単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、内容に別段明白な指示がない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合の「または」と言う用語は、内容に別段明白な指示がない限り、概して、「および/または」を含む意味で採用されている。理解を容易にするために、本開示のいくつかの特徴は、開示する実施形態内で複数であるかまたは繰返し発生する場合があっても、単数で記載されている場合があることに留意されたい。特徴の各事例は、明確に特段の記載がない限り、単数形の開示を含みかつ/または単数形の開示に包含され得る。簡単のためにかつ明確にするために、本開示の全ての要素が、必ずしも各図に示されているかまたは以下に詳細に考察されているとは限らない。しかしながら、以下の考察は、明確に特段の記載がない限り、2つ以上が存在する構成要素のうちの任意のものおよび/またはすべてに等しく適用され得ることが理解されよう。さらに、明確にするために、各図には、いくつかの要素または特徴のすべての事例が示されていない場合がある。
【0027】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形等の相対的な用語は、概して、装置の使用者/操作者/操縦者に対するさまざまな要素の位置決め、方向および/または動作に関して考慮され得るものであり、「近位」および「後退」は、使用者に近い方または向かうことを示すかまたは指し、「遠位」および「前進」は、使用者から遠い方または離れることを示すかまたは指す。場合により、「近位」および「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられる可能性があり、こうした場合は、当業者には容易に明らかとなろう。「上流」、「下流」、「流入」および「流出」等の他の相対的な用語は、体管腔、血管等の管腔内、または装置内の流体流の方向を指す。「軸方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」および/またはそれらの変形等のさらに他の相対的な用語は、概して、開示する構造または装置の中心長手方向軸線に対する方向および/または向きを指す。
【0028】
「範囲」という用語は、当該範囲または寸法の前に、述べられているかまたは特定されている寸法の最小測定値を意味するように理解され得る「最小」があるか、または当該範囲または寸法が「最小」として特定されていない限り、述べられているかまたは特定されている寸法の最大測定値を意味するように理解することができる。例えば、「外側範囲」は、外寸を意味すると理解することができ、「半径方向範囲」は、半径方向の寸法を意味すると理解することができ、「長手方向範囲」は、長手方向の寸法を意味すると理解することができる、等である。ある「範囲」は事例ごとに異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向等)、個々の使用の文脈から当業者には明らかとなろう。概して、ある「範囲」は、意図された使用に従って測定されるあり得る最大寸法とみなすことができ、「最小範囲」は、意図された使用に従って測定されるあり得る最小寸法とみなすことができる。事例により、ある「範囲」は、概して、平面および/または断面内で対角線方向に測定される場合があるが、特定の文脈から明らかであるように、異なるように(限定されないが、斜めに、半径方向に、周方向に(例えば、弧に沿って)等)測定される場合もある。
【0029】
「モノリシック」および「一体」という用語は、概して、単一の構造または基本ユニット/要素から作製されるかまたはそうしたものからなる1つの要素または複数の要素を指すものとする。モノリシックおよび/または一体の要素は、複数の別個の構造または要素を合わせて組み立てるかまたは他の方法で接合することによって作製される構造および/または特徴を排除するものとする。
【0030】
明細書中の「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載する実施形態が特定の特徴、構造または特性を含むことができるが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造または特性を必ずしも含むとは限らないことを示すことに留意されたい。さらに、こうした言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造または測定について一実施形態に関連して記載する場合、明確に特段の記載がない限り、明示的に記載されているか否かに関わらず、その特定の特徴、構造または特性を他の実施形態に関連して実施することが、当業者の知識の範囲内にある。すなわち、後述するさまざまな個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていない場合であっても、当業者には理解されるように、他の追加の実施形態を形成するかまたは記載する実施形態を捕捉および/または拡充するように、互いに組合せ可能または配置可能であるものとして想定されている。
【0031】
明確にする目的で、明細書および特許請求の範囲を通して、ある特定の識別するための数値的命名法(例えば、第1の、第2の、第3の、第4の等)を使用して、さまざまな記載するかつ/または請求項に係る特徴を命名および/または識別する場合がある。この数値的命名法は、限定的であるようには意図されておらず、単に例示的であることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、簡潔かつ明確であるために、それより前に使用された数値的命名法から変更され、外れる場合もある。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴が、後に「第2の」要素、「第3の」要素等と称される場合があり、若しくは完全に省略される場合があり、かつ/または、異なる特徴が「第1の」要素と称される場合がある。各事例における意味および/または指定は、当業者には明らかとなろう。
【0032】
図は、体内プロテーゼまたはステントシステムの選択された構成要素および/または配置を示す。任意の所与の図において、体内プロテーゼまたはステントシステムのいくつかの特徴は、説明を簡単にするために、示されていない場合があり、または概略的に示されている場合があることが留意されるべきである。体内プロテーゼまたはステントシステムの構成要素のうちのいくつかに関する追加の詳細は、他の図においてより詳細に示されている場合がある。理解を容易にするために、本開示のいくつかの特徴は、開示する実施形態内で複数であるかまたは繰返し発生する場合があっても、単数で記載されている場合があることに留意されたい。特徴の各事例は、明確に特段の記載がない限り、単数形の開示を含みかつ/または単数形の開示に包含され得る。例えば、「フィラメント」、「セル」または他の特徴に対する言及は、前記特徴のもの以外のすべての事例および量を等しく指す場合がある。従って、以下の考察は、明示的に特段の記載がない限り、体内プロテーゼまたはステントシステム内に複数存在する構成要素のうちの任意のものおよび/またはすべてに等しく適用され得ることが理解されよう。さらに、明確にするために、各図にはいくつかの要素または特徴のすべての事例が示されていない場合がある。
【0033】
以下の開示は、ステントシステムの態様を説明する。明確性および/または簡潔性のために、用語「ステント」が本明細書で使用されるものとし、用語「ステント」は、「体内プロテーゼ」等の他の類似の専門用語を限定されるものではないが含むものとし、かつ/または包含するものとする。本開示はまた、体管腔、特に、分岐部および/または隣接する分岐を有する体管腔の治療にも言及する。簡潔にするために、「体管腔」という用語は、胆管、肝管、胆嚢管、総胆管、膵管、気管支などの特定の体管腔を含むが、これらに限定されない。このシステムは、他の体管腔における使用のためにも企図される。
【0034】
図1は、拡張可能なフレームワークを含むステント100を示す。ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、半径方向に収縮した送達形態と半径方向に拡張した展開形態との間で移行するように構成され得る。送達形態は、展開形態と比較して、ステント100が軸方向に伸張され、かつ/または半径方向に縮小もしくは圧縮されている形態であり得る。展開形態は、送達形態と比較して、ステント100が軸方向に短縮され、かつ/または半径方向に拡張されている形態であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、自己拡張可能であり得る。例えば、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、ニチノールなどの形状記憶材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、機械的に拡張可能であり得る。例えば、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、膨張可能なバルーンを使用して、作動部材を使用して、または他の適切な手段を使用して、拡張可能であり得る。治療部位への送達中、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、送達形態で長尺状のシャフト(例えば、
図3)のルーメン内に配置され得る。長尺状のシャフトのルーメンから放出されると、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、送達形態から展開形態に移行し得、かつ/または移行され得る。
【0035】
拡張可能なフレームワークは、複数のセルを含み、かつ/または複数のセルで形成され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、ステント100および/または拡張可能なフレームワークを形成するために織り込まれた1つまたは複数のフィラメントを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、1つまたは複数のフィラメントは、複数のセルを形成し、かつ/または画定し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、1つまたは複数のフィラメントから編組され、編まれ、または織られ得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のフィラメントは、ワイヤ、糸、ストランド等であり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のフィラメントの隣接フィラメントは、拡張可能なフレームワークの壁を貫通するセル(即ち、開口部または間隙)を画定し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、単一の円筒状のレーザ切断されたニッケル-チタン(例えば、ニチノール)管状部材などの円筒状の管状部材から形成されたモノリシック構造であり得、管状部材の残りの(例えば、未除去の)部分は、セル(即ち、開口部または隙間)が内部に画定されたステント100および/または拡張可能なフレームワークを形成する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、ステントおよび/または拡張可能なフレームワークが送達形態においてそれ自体の上または内部で反転すること、および/または折り曲がることを可能にするのに十分な可撓性を有し得る。従って、ステント100および/または拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、送達形態において反転可能であり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、近位端112および遠位端114を有する本体部分110を含み得る。いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、本体部分110から延在する第1の脚部120および第2の脚部130を含む分岐型ステント(bifurcated stent)であり得る。例えば、第1の脚部120は、本体部分110の遠位端114に固定的に取り付けられた第1の端部122と、第1の端部122とは反対側の第2の端部124とを有し得る。第1の脚部120は、展開形態において、本体部分110の遠位端114から遠位に延在し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1の脚部120は、送達形態において、本体部分110の遠位端114から遠位に延在し得る。第2の脚部130は、本体部分110の遠位端114に固定的に取り付けられた第1の端部132と、第1の端部132とは反対側の第2の端部134とを有し得る。第2の脚部130は、展開形態において、本体部分110の遠位端114から遠位に延在し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第2の脚部130は、送達形態において、本体部分110の遠位端114から近位に延在し得る。いくつかの実施形態では、
図2から分かるように、第2の脚部130は、第2の脚部130が送達形態において本体部分110の遠位端114から近位に本体部分110内に延在するように、本体部分110内で反転可能であり得、かつ/または本体部分110内で反転され得る。
【0038】
いくつかの代替実施形態では、第1の脚部120は、送達形態において、本体部分110の遠位端114から近位に延在し得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部120は、第1の脚部120が送達形態において本体部分110の遠位端114から近位に本体部分110内に延在するように、本体部分110内で反転可能であり得、かつ/または本体部分110内で反転され得る。
【0039】
いくつかの代替実施形態では、第1の脚部120および第2の脚部130は両方とも、送達形態において、本体部分110の遠位端114から近位に延在し得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部120および第2の脚部130は、両方とも反転可能であり得、かつ/または第1の脚部120および第2の脚部130が両方とも送達形態において本体部分110の遠位端114から近位に本体部分110内に延在するように、両方とも本体部分110内で反転され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク、本体部分110、第1の脚部120、および/または第2の脚部130は、実質的に管状であり得、かつ/またはその中に軸方向に延在する少なくとも1つのルーメンを含み得、かつ/または画定し得る。例えば、第1の脚部120は、第1の脚部120を貫通して延在するルーメンを含み得、第2の脚部130は、第2の脚部130を貫通して延在するルーメンを含み得る。第1の脚部120のルーメンは、第1の脚部120および第2の脚部130のルーメンが、本体部分110の遠位端114において本体部分110のルーメンと合流するように、本体部分110の遠位端114において第2の脚部130のルーメンと収束し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、約25ミリメートル~約250ミリメートル、約40ミリメートル~約225ミリメートル、約60ミリメートル~約200ミリメートル、約80ミリメートル~約175ミリメートル、約100ミリメートル~約150ミリメートル、または別の適切な範囲の軸方向長さを有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、約3ミリメートル~約30ミリメートル、約5ミリメートル~約25ミリメートル、約6ミリメートル~約20ミリメートル、約8ミリメートル~約15ミリメートル、または別の適切な範囲の半径方向外側寸法または半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部120は、第1の半径方向外側寸法を有し得、第2の脚部130は、第2の半径方向外側寸法を有し得、本体部分110は、第1の半径方向外側寸法および/または第2の半径方向外側寸法よりも大きい第3の半径方向外側寸法を有し得る。他の構成も企図される。ステント100、拡張可能なフレームワーク、および/またはその構成要素もしくは要素のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料および/またはポリマー材料が以下に説明される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の脚部120の第1の半径方向外側寸法は、送達形態および/または展開形態において、第1の脚部120の第1の端部122から第1の脚部120の第2の端部124に向かって、および/または第1の脚部120の第2の端部124まで半径方向内側にテーパ状であり得る。いくつかの実施形態では、第2の脚部130の第2の半径方向外側寸法は、送達形態および/または展開形態において、第2の脚部130の第1の端部132から第2の脚部130の第2の端部134に向かって、および/または第2の脚部130の第2の端部134まで半径方向内側にテーパ状であり得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部120は、送達形態および/または展開形態において、第1の脚部120の第1の端部122から第1の脚部120の第2の端部124に向かって、および/または第1の脚部120の第2の端部124まで半径方向内側にテーパ状であり得、第2の脚部130は、第2の脚部130の第1の端部132から第2の脚部130の第2の端部134に向かって、および/または第2の脚部130の第2の端部134まで半径方向内側にテーパ状であり得る。いくつかの実施形態では、本体部分110の第3の半径方向外側寸法は、送達形態および/または展開形態において、近位端112から遠位端114まで実質的に一定であり得る。いくつかの実施形態では、本体部分110は、送達形態および/または展開形態において、本体部分110の近位端112から本体部分110の遠位端114に向かって、および/または本体部分110の遠位端114まで半径方向内側にテーパ状であり得る。他の構成も企図される。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、体管腔の開存性を維持し、かつ/または再確立するために、狭窄を通って延在する体管腔内に配置され得る。いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、展開形態において体管腔の少なくとも一部を拡張するように構成され得る。例えば、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、体管腔の壁に、および/または体管腔内に形成された狭窄に対して、半径方向外向きの力を及ぼすように構成され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、ステント100および/または拡張可能なフレームワークは、本体部分110の近位端112に近接するフレア部分を含み得る。フレア部分は、近位端112から遠位端114に向かって延在し得る。いくつかの実施形態では、フレア部分は、フレア部分の長さに沿って略一定の外径を有し得る。フレア部分に沿った一定のテーパを含むがこれに限定されない他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、フレア部分の外径は、本体部分110の第3の半径方向外側寸法よりも大きくてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ステント100は、拡張可能なフレームワークの少なくとも一部(例えば、本体部分110、第1の脚部120、第2の脚部130等)の上に、および/またはそれを覆うように配置されるポリマーカバー(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバーは、拡張可能なフレームワークの外面上におよび/または外面に沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークは、ポリマーカバーに埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバーは、拡張可能なフレームワークに固定的にまたは解放可能に固定され、接合され、または他の方法で取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバーは、流体、破片、医療器具などに対して不透過性であり得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワークの1つまたは複数の部分は、ポリマーカバーが設けられていない場合がある。ポリマーカバーのための適切であるが非限定的ないくつかの材料が以下に説明される。
【0045】
いくつかの実施形態では、ステント100を体管腔内に位置決めするのを補助するために、ステント100は、拡張可能なフレームワーク上におよび/または拡張可能なフレームワークに沿って配置された少なくとも1つの放射線不透過性マーカーを含み得る。少なくとも1つの放射線不透過性マーカーのためのいくつかの適切であるが非限定的な材料が以下に説明される。
【0046】
使用時に、ステント100がステント100および/または拡張可能なフレームワークの展開形態において体管腔内に配置されると、拡張可能なフレームワーク上におよび/または拡張可能なフレームワークを覆うように配置されたポリマーカバーは、ステント100および/または拡張可能なフレームワークのルーメンと、ポリマーカバーの半径方向外側に配置された体管腔の壁との間に、密封界面などのバリアを形成し得る。ポリマーカバーは、ステント100のルーメンおよび/または拡張可能なフレームワークを体管腔の壁から隔離し得る。ポリマーカバーは、ステント100のルーメンおよび/または拡張可能なフレームワークへの組織の内部成長を防止し、それによって、ステント100および/または拡張可能なフレームワークの体管腔からの取り外しを可能にし、かつ/または補助し得る。
【0047】
いくつかの代替実施形態および/または使用では、ステント100の移植は恒久的であり得、および/または取り外されることを意図していない場合がある。いくつかのそのような実施形態および/または使用では、拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、組織の内部成長を促進し、それによって体管腔内でのステント100の移動を防止するように、ポリマーカバーが設けられなくてもよい。
【0048】
図3~
図9は、体管腔10内で使用されるステントシステムの態様を示す。
図3から分かるように、体管腔10は、Y接合部において体管腔10に流体的に接続された第1の分岐管腔20および第2の分岐管腔30を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の分岐管腔20および第2の分岐管腔30は、体管腔10の分岐部を形成し、かつ/または画定し得る。
【0049】
ステントシステムは、想像線で示されるステント100を含み得る。いくつかの実施形態では、ステントシステムは、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフト200を含み得る。ステント100は、使い捨てであり得、かつ/または
図3に示されるように、送達形態でルーメン内に配置され得る。ステント100は、ステント100が長尺状のシャフト200のルーメンよりも外側に配置されたとき、および/またはステント100が長尺状のシャフト200によってもはや拘束されなくなったとき、送達形態から展開形態に移行するように構成され得る。
【0050】
ステントシステムは、長尺状のシャフト200のルーメン内に摺動可能に配置された第1のマンドレル210をさらに含み得る。ステントシステムは、第1のマンドレル210と並んで長尺状のシャフト200のルーメン内に摺動可能に配置された第2のマンドレル220をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル210および/または第2のマンドレル220は、使用者によって操作されるように、長尺状のシャフト200の近位端まで近位に延在し得る。いくつかの代替実施形態では、第1のマンドレル210および/または第2のマンドレル220は、長尺状のシャフト200の近位端に近接して配置される作動機構まで延在し得、作動機構は、第1のマンドレル210および/または第2のマンドレル220を長尺状のシャフト200に対して軸方向に移動させるように構成される。
【0051】
第1のマンドレル210は、本体部分110内に少なくとも部分的に配置されるとともに、送達形態においてステント100の第1の脚部120内に延在し得る。第2のマンドレル220は、本体部分110内に(例えば、第1のマンドレル210と並んで)少なくとも部分的に配置されるとともに、送達形態においてステント100の第2の脚部130内に延在し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第2のマンドレル220は、第2の脚部130がステント100の本体部分110内で反転されるとき、ステント100の第2の脚部130内に少なくとも部分的に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル210は、第1の脚部120がステント100の本体部分110内で反転されると、ステント100の第1の脚部120内に少なくとも部分的に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル210は、ステント100の第1の脚部120の遠位に延在し得る。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル220は、ステント100の第2の脚部130の遠位に延在し得る。
【0052】
図3から分かるように、第1のマンドレル210の遠位部分は、第1の平坦な側面212を有するD字形断面を有し得、第2のマンドレル220の遠位部分は、第2の平坦な側面222を有するD字形断面を有し得る。第1の平坦な側面212は、長尺状のシャフト200のルーメン内で、かつ/または第1のマンドレル210の遠位部分および第2のマンドレル220の遠位部分が両方とも長尺状のシャフト200のルーメン内に配置されているときに、第2の平坦な側面222に面し得る。いくつかの実施形態では、第1の平坦な側面212は、第1のマンドレル210の実質的に全長に沿って延在し得る。いくつかの実施形態では、第1の平坦な側面212は、第1のマンドレル210の遠位端から第1のマンドレル210の中間部分まで近位に延在し得、第1の平坦な側面212は、第1の平坦な側面212がステント100の近位の第1のマンドレル210の外側表面で終端し、かつ/または実質的に消失するまで、第1のマンドレル210の中心軸から外側に向かって広がり(taper)得る。いくつかの実施形態では、第2の平坦な側面222は、第2のマンドレル220の実質的に全長に沿って延在し得る。いくつかの実施形態では、第2の平坦な側面222は、第2のマンドレル220の遠位端から第2のマンドレル220の中間部分まで近位に延在し得、第2の平坦な側面222は、第2の平坦な側面222がステント100の近位の第2のマンドレル220の外側表面で終端し、かつ/または効果的に消失するまで、第2のマンドレル220の中心軸から外側に向かって広がり得る。第1のマンドレル210の遠位部分上の第1の平坦な側面212および第2のマンドレル220の遠位部分上の第2の平坦な側面222は、第1のマンドレル210および第2のマンドレル220が、長尺状のシャフト200の遠位端の近位の長尺状のシャフト200のルーメン内でより少ない組み合わせられた空間を占有することを可能にし得、従って、長尺状のシャフト200のルーメンは、サイズの任意の増加内で、および/または長尺状のシャフト200上の遠位にフレア状になった端部を伴わずに、その中にステント100を収容し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ステント100の第1の脚部120は、第1のマンドレル210の遠位部分の外側形状および/または外形に適合し得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部120は、第1のマンドレル210の遠位部分の周囲で伸張するように構成され得、かつ/または第1のマンドレル210と同様の形状(例えば、D字形断面)をとるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ステント100の第2の脚部130は、第2のマンドレル220の遠位部分の外側形状および/または外形に適合し得る。いくつかの実施形態では、第2の脚部130は、第2のマンドレル220の遠位部分の周囲で伸張するように構成され得、かつ/または第2のマンドレル220と同様の形状(例えば、D字形断面)をとるように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、ステントシステムは、第1のマンドレル210内に延在する第1のルーメン内に摺動可能に配置される第1のガイドワイヤ230を含み得る。第1のマンドレル210は、体管腔10内で第1のガイドワイヤ230に沿って摺動し、かつ/または第1のガイドワイヤ230上を追従するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤ230は、第1のマンドレル210の第1のルーメンから延出されて、第1の分岐管腔20内に前進させられ得る。その後、第1のマンドレル210および長尺状のシャフト200(およびその中に配置されたステント100)は、
図4に示されるように、第1のガイドワイヤ230上を第1の分岐管腔20内へと前進および/または追従され得る。
【0055】
図3に一時的に戻ると、いくつかの実施形態では、ステントシステムは、第2のマンドレル220内に延在する第2のルーメン内に摺動可能に配置される第2のガイドワイヤ240を含み得る。第2のガイドワイヤ240は、医師が第2のガイドワイヤ240を使用する準備ができるまで、第2のマンドレル220の第2のルーメン内の実質的に一定の位置に保持および/または維持され得る。
【0056】
第1のマンドレル210および長尺状のシャフト200を第1の分岐管腔20内に追従させた後、
図5から分かるように、長尺状のシャフト200(およびその中に第2のマンドレル220が配置されている)が近位に引き出されてステント100の第1の脚部120を第1の分岐管腔20内に露出させる際に、第1のマンドレル210が一定の位置に保持され得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル210は、ステント100の本体部分110の近位端112に係合するように構成された遠位に面する肩部を含み得る。第1のマンドレル210の遠位に面する肩部は、第1のマンドレル210に対するステント100の近位移動を防止するように、かつ/または長尺状のシャフト200が第1のマンドレル210に対して近位に移動させられ、かつ/または引き出される際に、長尺状のシャフト200のルーメンからステント100を押し出すように構成され得る。いくつかの実施形態では、ステント100の第1の脚部120は、第1の脚部120が長尺状のシャフト200のルーメンから露出された後、展開形態に向かって半径方向に拡張し始め得る。
【0057】
次に、
図6に示すように、第2のガイドワイヤ240を第2のマンドレル220の第2のルーメンから延出させて、第2の分岐管腔30内に前進させることができる。その後、
図7および
図8に示すように、第2のマンドレル220を第2のガイドワイヤ240上で第2の分岐管腔30内に前進させ、かつ/または追従させて、ステント100の第2の脚部130を第2の分岐管腔30内で裏返し得る。第2のマンドレル220は、ステント100の第2の脚部130を裏返すことによって、ステント100を送達形態から展開形態に向かって移行させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル220は、第2のマンドレル220の遠位部分に沿った遠位に面する肩部228を含み得る。第2のマンドレル220の遠位に面する肩部228は、ステント100の本体部分110に対する第2のマンドレル220の遠位前進が、第2の脚部130を裏返らせ、ステント100を展開形態に向かって移行させるように、送達形態でステント100の第2の脚部130の第2の端部134に係合するように構成され得る。従って、第2のマンドレル220がステント100の本体部分110および/または長尺状のシャフト200に対して遠位に前進させられる際に、遠位に面する肩部228は、反転された第2の脚部130をステント100の本体部分110の内側から第2の分岐管腔30の中へ遠位に押し出し、それによって、第2の脚部130を裏返す。
【0058】
図8から分かるように、D字形断面を有する第2のマンドレル220の遠位部分は、第1の部分と、第1の部分の近位に配置された第2の部分とを含み得る。遠位に面する肩部228は、第2の部分の遠位端および/または第1の部分の近位端に配置され得る。第2の部分は、遠位に面する肩部228がステント100の本体部分110の近位端112に係合することを容易にするために、第1の部分よりも大きい断面積を有し得る。
【0059】
次に、長尺状のシャフト200をステント100に対して近位に移動させ、かつ/または引き出して、ステント100を完全に解放して、ステント100が完全拡張形態に移行することができるようにし得る。いくつかの実施形態では、少なくとも第1のマンドレル210は、ステント100が長尺状のシャフト200とともに近位に並進することを防止するために、長尺状のシャフト200がステント100に対して近位に移動および/または引き出される際に一定の位置に保持され得る。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル220は、第1のマンドレル210の遠位に面する表面と同様に、ステント100の本体部分110の近位端112に係合するように構成された第2の遠位に面する表面を含み得る。
【0060】
ステント100が半径方向に拡張して、体管腔10、第1の分岐管腔20、および第2の分岐管腔30の壁に係合した後、
図9に示すように、第1のマンドレル210、第2のマンドレル220、第1のガイドワイヤ230、および第2のガイドワイヤ240を、長尺状のシャフト200のルーメン内に引き込むことができる。その後、長尺状のシャフト200(およびその中に配置された構成要素)は、体管腔10から引き出され、かつ/または取り外されて、ステント100を分岐部の適所に留置し得る。
【0061】
図10は、送達シース300を備えるステントシステムの選択された態様を示し、送達シース300は、近位端312および遠位端314を有する本体部分310と、本体部分310の遠位端314に固定的に取り付けられた第1の端部322と、第1の端部322とは反対側の第2の端部324とを有する第1の脚部320と、本体部分310の遠位端314に固定的に取り付けられた第1の端部332と、第1の端部332とは反対側の第2の端部334とを有する第2の脚部330とを含む。いくつかの実施形態では、送達シース300は、分割シースまたは分岐シースと見なされ得、かつ/またはそのように呼ばれ得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の脚部320の第2の端部324および第2の脚部330の第2の端部334は、本体部分310の長手方向軸に対して離間して偏位され、かつ/または横方向に互いに離れるように偏位され得る。いくつかの実施形態では、第1の脚部320の第2の端部324および第2の脚部330の第2の端部334は、本体部分310の長手方向軸に対して離間して自己偏位され(self-biased)、かつ/または横方向に互いから離れるように自己偏位され得る。他の構成も企図される。
【0063】
いくつかの実施形態では、送達シース300は、送達シース300の第1の脚部320内に摺動可能に配置された第1のマンドレル340を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル340は、送達シース300の第1の脚部320および送達シース300の本体部分310内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、送達シース300は、送達シース300の第2の脚部330内に摺動可能に配置された第2のマンドレル350を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル350は、送達シース300の第2の脚部330および送達シース300の本体部分310内に摺動可能に配置され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、送達シース300は、第1のマンドレル340および/または送達シース300の第1の脚部320内に摺動可能に配置される第1のガイドワイヤ360を含み得る。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤ360は、第1のマンドレル340および送達シース300の第1の脚部320および/または本体部分310内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、送達シース300は、第2のマンドレル350および/または送達シース300の第2の脚部330内に摺動可能に配置される第2のガイドワイヤ370を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のガイドワイヤ370は、第2のマンドレル350および送達シース300の第2の脚部330および/または本体部分310内に摺動可能に配置され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、送達シース300は、本体部分310の近位端312から第1の脚部320の第2の端部324まで延在する第1のルーメン302と、本体部分310の近位端312から第2の脚部330の第2の端部334まで延在する第2のルーメン304とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のルーメン302は、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有する。いくつかの実施形態では、第2のルーメン304は、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のマンドレル340は、第1の平坦な側面342を有するD字形断面を有する。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル350は、第2の平坦な側面352を有するD字形断面を有する。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル340の第1の平坦な側面342は、第2のマンドレル350の第2の平坦な側面352に面し得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル340の第1の平坦な側面342は、第1のルーメン302の第1の平坦な側面に面し、かつ/または整列し得る。いくつかの実施形態では、第1のマンドレル340の第1の平坦な側面342および第1のルーメン302の第1の平坦な側面は、第1のルーメン302内の第1のマンドレル340の相対的回転を阻止する一方、第1のルーメン302内の第1のマンドレル340の軸方向移動および/または摺動を可能にする。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル350の第2の平坦な側面352は、第2のルーメン304の第2の平坦な側面に面し、かつ/または整列し得る。いくつかの実施形態では、第2のマンドレル350の第2の平坦な側面352および第2のルーメン304の第2の平坦な側面は、第2のルーメン304内の第2のマンドレル350の相対的回転を阻止する一方、第2のルーメン304内の第2のマンドレル350の軸方向移動および/または摺動を可能にする。いくつかの実施形態では、第1のルーメン302の少なくとも一部分および第2のルーメン304の少なくとも一部分は、
図10Aから分かるように、第1の平坦な側面および第2の平坦な側面の両方を画定する共通壁を共有している。いくつかの実施形態では、第1のルーメン302の少なくとも一部および第2のルーメン304の少なくとも一部は、送達シース300の本体部分310内の第1の平坦な側面および第2の平坦な側面の両方を画定する共通壁を共有している。明瞭にするために、第1のガイドワイヤ360および第2のガイドワイヤ370は、
図10Aに示されていない。
【0067】
図10に戻ると、送達シース300の第1の脚部320は、平坦な側面326を含み得、送達シース300の第2の脚部330は、第1の脚部320の平坦な側面326に面する平坦な側面336を含み得る。第1の脚部320の平坦な側面326および第2の脚部330の平坦な側面336は、相補的であり得、かつ/または送達シース300を収容するために要求されるルーメンの全断面を低減させるために、第1の脚部320および第2の脚部330がルーメン内に拘束されるとき、相互に嵌合的に係合する(matingly engage)ように構成され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、ステントシステムは、第1のマンドレル340よりも遠位の第1の脚部320および/または第1のルーメン302内に配置可能な第1のステント380を含み得る。第1のマンドレル340は、第1のステント380と係合するように構成された第1の遠位面を含み得る。第1のマンドレル340は、第1の脚部320に対する第1のマンドレル340の軸方向移動を介して、第1のステント380を第1の脚部320および/または第1のルーメン302から押し出すように構成され得る。一つの例では、送達シース300は、第1のマンドレル340が第1のルーメン302および/または第1の脚部320内で遠位に前進させられる間、実質的に一定の位置に保持され得る。別の例では、第1のマンドレル340は、送達シース300が第1のマンドレル340上で近位に引き込まれる間、実質的に一定の位置に保持され得る。それらの組合せを含む他の例も企図される。
【0069】
いくつかの実施形態では、ステントシステムは、第2のマンドレル350よりも遠位の第2の脚部330内に配置可能な第2のステント390を含み得る。第2のマンドレル350は、第2のステント390と係合するように構成された第2の遠位面を含み得る。第2のマンドレル350は、第2の脚部330に対する第2のマンドレル350の軸方向移動を介して、第2のステント390を第2の脚部330および/または第2のルーメン304から押し出すように構成され得る。一つの例では、送達シース300は、第2のマンドレル350が第2のルーメン304および/または第2の脚部330内で遠位に前進させられる間、実質的に一定の位置に保持され得る。別の例では、第2のマンドレル350は、送達シース300が第2のマンドレル350上で近位に引き込まれる間、実質的に一定の位置に保持され得る。それらの組合せを含む他の例も企図される。
【0070】
図11では、体管腔10内に存在するステントシステムが示されている。
図11から分かるように、ステントシステムは、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフト400を含み得る。送達シース300は、使い捨てであり得、かつ/または長尺状のシャフト400のルーメン内に配置されるとともに、長尺状のシャフト400に対して、および/または長尺状のシャフト400のルーメン内で軸方向に摺動可能である。使用時、ステントシステムは、体管腔10の分岐部またはY接合部に向かって、体管腔10の内に、かつ/またはその中で前進させられ得る。図示されるように、第1のガイドワイヤ360は、第1の分岐管腔20内に前進および/または配置され得、および/または第2のガイドワイヤ370は、第2の分岐管腔30内に前進および/または配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤ360および第2のガイドワイヤ370は、順番に前進および/または配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤ360および第2のガイドワイヤ370は、同時に前進および/または配置され得る。ステントシステムは、単一のアクセスポイントおよび/またはアクセスデバイスを使用して、第1のガイドワイヤ360および第2のガイドワイヤ370の両方の配置を可能にし、それによって、患者、体管腔10、および/またはステントシステム(および/またはその構成要素)への気泡の混入の機会を減少させる。いくつかの実施形態では、第1のガイドワイヤ360および第2のガイドワイヤ370は、第1の分岐管腔20および第2の分岐管腔30内にそれぞれ初期配置された後、患者内に配置され得るとともに、第1および第2のマンドレル、第1および第2の脚部等を同時に案内および/または追従させるために使用可能であり得る。
【0071】
第1のガイドワイヤ360を第1の分岐管腔20内に配置し、第2のガイドワイヤ370を第2の分岐管腔30内に配置した後、
図12~
図13に示すように、第1の脚部320が第1のガイドワイヤ360上を前進して第1の分岐管腔20内に入り、第2の脚部330が第2のガイドワイヤ370上を前進して第2の分岐管腔30内に入るように、送達シース300が長尺状のシャフト400のルーメンから出て体管腔10内で遠位に前進され得る。第1のステント380は、第1の脚部320内に配置され得、第2のステント390は、第2の脚部330内に配置され得る。このように、第1のステント380は、第1の脚部320と共に第1の分岐管腔20内に前進させられ、第2のステント390は、第2の脚部330と共に第2の分岐管腔30内に前進させられる。送達シース300が長尺状のシャフト400のルーメンから遠位に前進させられる際に、第1の脚部320および第2の脚部330は、離間して偏位され、かつ/または横方向に互いに離れるように偏位され得、これにより、第1の脚部320が第1のガイドワイヤ360上を追従して第1の分岐管腔20内に入り、第2の脚部330が第2のガイドワイヤ370上を追従して第2の分岐管腔30内に入ることがより容易になる。長尺状のシャフト400と送達シース300との間の相対的移動および/または軸方向移動は、第1の脚部320および第2の脚部330の広がりを制御するために使用され得る。例えば、送達シース300(例えば、第1の脚部320および第2の脚部330)のより多くが、長尺状のシャフト400から露出され、かつ/または長尺状のシャフト400に対して遠位に前進される際に、第1の脚部320および第2の脚部330は、横方向にさらに離れるように広がり得る。
【0072】
その後、第1のマンドレル340および第2のマンドレル350を実質的に一定の位置に保持しながら、送達シース300および/または長尺状のシャフト400が第1のマンドレル340および第2のマンドレル350に対して近位に引き出されて、第1のステント380を第1の脚部320および/または第1のルーメン302から遠位に押し出して第1の分岐管腔20および/または体管腔10に入れ、第2のステント390を第2の脚部330および/または第2のルーメン304から遠位に押し出して第2の分岐管腔30および/または体管腔10に入れて、第1のステント380および第2のステント390が展開される。いくつかの実施形態では、
図14に示すように、第1のステント380は、第1の分岐管腔20内に部分的に配置されるとともに、体管腔10内に部分的に配置され得、第2のステント390は、第1のステント380と並んで、第2の分岐管腔30内に部分的に配置されるとともに、体管腔10内に部分的に配置され得る。いくつかの実施形態では、
図15から分かるように、第1のステント380は、第1の分岐管腔20内に完全に配置され得、第2のステント390は、第2の分岐管腔30内に完全に配置され得る。他の構成および/または位置決めも企図される。
【0073】
ステントシステムおよび送達シース300は、第1のステント380および第2のステント390を、体管腔10における分岐部において、分岐部を横断して、かつ/または分岐部に隣接して同時に展開するのに有用であり得る。必要な要素の全てを単一のデバイスまたはシステムに導入することによって、交換の回数が少なくて済み、かつ/またはシステム、患者、体管腔10等内への気泡の導入の機会が減少し、それによって、医師の視認性および患者の安全性が向上する。
【0074】
図16は、体管腔の中に導入される空気またはガスの気泡を減少させるように構成されたステントシステムの選択された態様を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、ステントシステムは、患者の体管腔にアクセスするように構成された長尺状のシャフトを含み得る。長尺状のシャフトは、ルーメンが内部に延在し得る。いくつかの実施形態では、長尺状のシャフトは、内部に少なくとも1つのルーメンが配置された内視鏡または内視鏡デバイスであり得る。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、ステントシステムは、長尺状のシャフトのルーメン内に摺動可能に配置された送達デバイスを含み得る。送達デバイスは、ステントを体管腔に送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、送達デバイスは、分岐型ステントを体管腔および/または体管腔の分岐部に送達するように構成され得る。ステントシステムは、体管腔への造影剤の供給のために、長尺状のシャフトのルーメンと流体連通する造影剤の供給源を含み得る。造影剤は、当技術分野で知られているように、ステントの送達および/または配置を補助するために使用され得る。少なくともいくつかの実施形態では、造影剤は、限定ではないが、シメチコン等の抗ガス剤を含み得る。他の抗ガス剤も企図される。
【0075】
いくつかの実施形態では、抗ガス剤は、任意選択的に、体管腔に直接供給され得、かつ/または長尺状のシャフトおよび/または長尺状のシャフトのルーメンを通して体管腔に供給され得る。いくつかの実施形態では、抗ガス剤は、任意選択的に、体管腔に直接供給され得、かつ/または送達デバイスを通して体管腔に供給され得る。いくつかの実施形態では、造影剤の供給源は、任意選択的に、長尺状のシャフトのルーメンの代わりに、送達デバイスと流体連通し得る。そのような実施形態では、造影剤は、長尺状のシャフトの代わりに送達デバイスによって体管腔に供給され得る。
【0076】
体管腔を治療する方法は、内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトを用いて、患者の体管腔にアクセスするステップを含み得る。本明細書で説明されるように、いくつかの実施形態では、長尺状のシャフトは、内視鏡または内視鏡デバイスであり得る。他の構成および/またはデバイスも企図される。本方法は、長尺状のシャフトのルーメン内に、限定ではないが、本明細書に説明されるデバイスのいずれか等の送達デバイスを挿入するステップを含み得る。送達デバイスは、ステントを体管腔に送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、送達デバイスは、分岐型ステントを体管腔または体管腔の分岐部に送達するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、本方法は体管腔内にステントを移植する間に、抗ガス剤を含む造影剤を長尺状のシャフト、送達デバイス、および/または体管腔内に供給するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、体管腔内および/または体管腔の分岐部もしくは分岐部内に分岐型ステントを移植する間に、抗ガス剤を含む造影剤を供給するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、造影剤を体管腔に供給する前に、抗ガス剤を造影剤に注入するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、造影剤が体管腔に供給される際に、抗ガス剤を造影剤に注入するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、抗ガス剤は、造影剤に混入および/または造影剤と混合され得る。いくつかの実施形態では、抗ガス剤は、造影剤に溶解され得る。
【0077】
本明細書に開示するステントシステムおよびそのさまざまな要素のさまざまな構成要素に使用し得る材料としては、一般に医療デバイスに関連するものを挙げ得る。簡単にする目的で、以下の説明は、システムに言及する。しかしながら、これは、本明細書に記載するデバイスおよび方法を限定するようには意図されておらず、それは、この説明が、限定されないが、長尺状のシャフト、マンドレル(単数または複数)、ガイドワイヤ(単数または複数)、ポリマーカバー他、および/またはその要素若しくは構成要素等、本明細書に開示する他の要素、部材、構成要素または装置に適用され得るためである。
【0078】
いくつかの実施形態では、ステントシステムおよび/またはその構成要素は、金属、合金、ポリマー(そのいくつかの例を後に開示する)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組合せ等、または他の好適な材料から作製し得る。
【0079】
好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリング・プラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはデュポン社(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)またはエルフ・アトケム社(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、例えば、商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(MARLEX)高密度ポリエチレン、マーレックス(MARLEX)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニルデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、エイオーテック・バイオマテリアル社(AorTech Biomaterials)のエラストエオン(Elast-Eon)(登録商標)またはアドバンソース・バイオマテリアルズ社(AdvanSource Biomaterials)のクロノシル(ChronoSil)(登録商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料またはこれらの混合物、組合せ、コポリマー、およびポリマー/金属複合材等を挙げ得る。いくつかの実施形態では、シースを液晶ポリマー(LCP)と混合し得る。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含有し得る。
【0080】
好適な金属および合金のいくつかの例としては、304V、304L、316LVステンレス鋼等のステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/若しくは超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625等のUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金等のUNS:N10276)、ニッケル銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイ(ALLOY)B2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン若しくはタングステン合金等の他のニッケル合金;コバルトクロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)等のUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;これらの組合せ等;または任意の他の適切な材料を挙げ得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金では、ニッケルが約50~約60重量パーセントの範囲であり、残りは本質的にチタンであり得る。いくつかの実施形態では、組成物において、ニッケルは約54~約57重量パーセントの範囲である。好適なニッケル-チタン合金の1つの例は、神奈川県の古河テクノマテリアル株式会社から市販されているFHP-NT合金である。他の好適な材料としては、(ネオ-メトリックス社(Neo-Metrics)から入手可能なウルタニウム(ULTANIUM)(商標)と、(トヨタから入手可能な)ゴムメタル(GUM METAL)(商標)とを挙げ得る。他のいくつかの実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を達成し得る。
【0082】
少なくともいくつかの実施形態では、ステントシステムの一部若しくは全ておよび/またはその構成要素は、放射線不透過性材料でドープするか、放射線不透過性材料から作製するか、または他の方法で放射線不透過性材料を含むこともできる。放射線不透過性材料は、医療処置中にX線透視画面または別の撮像技法で比較的明るい画像を生成し得る材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、システムおよび/またはその構成要素の使用者がその位置を決定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等を挙げ得る。さらに、同じ結果を達成するために、システムおよび/またはその構成要素の設計に、他の放射線不透過性マーカバンドおよび/またはコイルも組み込み得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したシステムおよび/または他の要素に、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が与えられる。例えば、システムおよび/またはその構成要素若しくは一部は、実質的に画像を歪めずかつ実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)をもたらさない材料から作製し得る。例えば、ある種の強磁性材料は、MRI画像においてアーチファクトをもたらす可能性があるため、適していない場合がある。システムまたはその一部は、MRI装置が撮像し得る材料から作製することも可能である。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニチノール等が挙げられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したシステムおよび/または他の要素は、構造の上にまたは中に配置された布(fabric)材料を含み得る。布材料は、組織の内部成長を促進するように適合された、ポリマー材料または生体材料等の生体適合性材料から構成し得る。いくつかの実施形態では、布材料は、生体吸収性材料を含み得る。好適な布材料のいくつかの例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン材料、ポリエステル、ポリウレタン、および/またはそれらの混合物若しくは組合せを挙げ得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したシステムおよび/または他の要素は、織物(textile)材料を含み、かつ/または織物材料から形成し得る。好適な織物材料のいくつかの例としては、平坦な、成形された、撚られた、織られた、防縮加工したまたは未収縮であり得る合繊糸を挙げ得る。本開示での使用に適した合成生体適合性糸としては、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然シルクおよびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。さらに、合繊糸の少なくとも1つは、金属糸、またはガラス若しくはセラミック糸若しくは繊維であり得る。有用な金属糸としては、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタルまたはNi-Co-Cr基合金から作製された、またはそれらを含む糸が挙げられる。糸は、さらに炭素、ガラスまたはセラミック繊維を含み得る。望ましくは、糸は、限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレン等を含む熱可塑性材料から作製される。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメントまたはスパンタイプのものであり得る。選ばれる糸のタイプおよびデニールは、生体適合性かつ移植可能なプロテーゼ、より詳細には、望ましい特性を有する血管構造を形成するように選択し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示したシステムおよび/または他の要素は、好適な治療薬を含み、かつ/または好適な治療薬で処理し得る。好適な治療薬のいくつかの例としては、抗血栓薬(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼおよびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)等);抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻害し得るモノクローナル抗体、ヒルジンおよびアセチルサリチル酸等);抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジンおよびメサラミン等);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチンおよびチミジンキナーゼ阻害剤等);麻酔薬(リドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン等);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤およびダニ抗血小板ペプチド);血管細胞成長促進剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写活性化因子および翻訳促進剤等);血管細胞成長阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害因子、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素とからなる二官能性分子、抗体と細胞毒素とからなる二官能性分子);コレステロール低下薬;血管拡張剤;内因性血管作用機序を妨害する薬剤を挙げ得る。
【0087】
本開示は、多くの点で、単に例示的であることが理解されるべきである。本開示の範囲を越えることなく、詳細において、特に形状、サイズ、およびステップの配置の事項に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、使用されている1つの実施形態例の特徴のうちの任意ものを他の実施形態で使用することを含み得る。本開示の範囲は、当然ながら、添付の請求項が表現される文言で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントシステムであって、
送達形態と展開形態との間で移行するように構成されたステントを備え、前記ステントは、
近位端および遠位端を有する本体部分と、
前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第1の脚部であって、前記第1の脚部は、前記展開形態において前記本体部分の前記遠位端から遠位に延在する、前記第1の脚部と、
前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第2の脚部であって、前記第2の脚部は、前記展開形態において前記本体部分の前記遠位端から遠位に延在する、前記第2の脚部と、を含んでおり、
前記第2の脚部は、前記送達形態において、前記本体部分の前記遠位端から近位に延在する、ステントシステム。
【請求項2】
前記第2の脚部は、前記送達形態において、前記第2の脚部が前記本体部分内で前記本体部分の前記遠位端から近位に延在するように、前記本体部分内に反転されている、請求項1に記載のステントシステム。
【請求項3】
内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトをさらに備え、
前記ステントは、前記送達形態において前記ルーメン内に配置可能であり、前記ステントは、前記ステントが前記ルーメンの外側に配置されたとき、前記送達形態から前記展開形態に移行するように構成されている、請求項1または2に記載のステントシステム。
【請求項4】
前記ルーメン内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、
前記第1のマンドレルと並んで前記ルーメン内に摺動可能に配置された第2のマンドレルと、をさらに備え、
前記第1のマンドレルは、前記第1の脚部内に少なくとも部分的に配置されており、前記第2のマンドレルは、前記第2の脚部内に少なくとも部分的に配置されている、請求項3に記載のステントシステム。
【請求項5】
第1のガイドワイヤが、前記第1のマンドレル内に延在する第1のルーメン内に摺動可能に配置されている、請求項4に記載のステントシステム。
【請求項6】
第2のガイドワイヤが、前記第2のマンドレル内に延在する第2のルーメン内に摺動可能に配置されている、請求
項5に記載のステントシステム。
【請求項7】
前記第2のマンドレルは、前記ステントを前記送達形態から前記展開形態に向かって移行させるように構成される、請求項
4に記載のステントシステム。
【請求項8】
前記第2のマンドレルは、前記第2のマンドレルの遠位への前進によって前記第2の脚部が裏返って、前記ステントが前記展開形態に向かって移行するように、前記送達形態において前記第2の脚部の前記第2の端部に係合するように構成された遠位に面する肩部を含む、請求項7に記載のステントシステム。
【請求項9】
前記第1のマンドレルの遠位部分は、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第2のマンドレルの遠位部分は、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第1の平坦な側面は、前記長尺状のシャフトのルーメン内で前記第2の平坦な側面に面している、請求項
4に記載のステントシステム。
【請求項10】
ステントシステムであって、
近位端および遠位端を有する本体部分と、前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第1の脚部と、前記本体部分の前記遠位端に固定的に取り付けられた第1の端部および前記第1の端部とは反対側の第2の端部を有する第2の脚部とを含む送達シースと、
前記送達シースの前記第1の脚部内に摺動可能に配置された第1のマンドレルと、
前記送達シースの前記第2の脚部内に摺動可能に配置された第2のマンドレルと、
前記第1のマンドレル内に摺動可能に配置された第1のガイドワイヤと、
前記第2のマンドレル内に摺動可能に配置された第2のガイドワイヤと、を備えるステントシステム。
【請求項11】
前記送達シースは、前記本体部分の前記近位端から前記第1の脚部の前記第2の端部まで延在する第1のルーメンと、前記本体部分の前記近位端から前記第2の脚部の前記第2の端部まで延在する第2のルーメンとを含んでおり、
前記第1のルーメンは、第1の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、前記第2のルーメンは、第2の平坦な側面を有するD字形断面を有しており、
前記第1のルーメンおよび前記第2のルーメンは、前記第1の平坦な側面および前記第2の平坦な側面の両方を画定する共通壁を共有している、請求項10に記載のステントシステム。
【請求項12】
前記第1の脚部は平坦な側面を有しており、前記第2の脚部は前記第1の脚部の前記平坦な側面に面する平坦な側面を有している、請求項11に記載のステントシステム。
【請求項13】
内部にルーメンが延在する長尺状のシャフトをさらに備え、
前記送達シースは、前記長尺状のシャフトの前記ルーメン内に配置可能であるとともに、前記長尺状のシャフトに対して軸方向に摺動可能であり、
前記第1の脚部および前記第2の脚部が、前記長尺状のシャフトの前記ルーメン内に配置されるとき、前記第1の脚部の前記平坦な側面は、前記第2の脚部の前記平坦な側面に嵌合的に係合する、請求項12に記載のステントシステム。
【請求項14】
前記第1のマンドレルよりも遠位で前記第1の脚部内に配置可能な第1のステントと、
前記第2のマンドレルよりも遠位で前記第2の脚部内に配置可能な第2のステントと、をさらに備え、
前記第1のマンドレルは、前記第1の脚部に対する前記第1のマンドレルの軸方向移動を介して、前記第1のステントを前記第1の脚部から押し出すように構成されており、
前記第2のマンドレルは、前記第2の脚部に対する前記第2のマンドレルの軸方向移動を介して、前記第2のステントを前記第2の脚部から押し出すように構成されている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載のステントシステム。
【請求項15】
ステントシステムであって、
患者の体管腔にアクセスするように構成された長尺状のシャフトであって、内部にルーメンが延在する前記長尺状のシャフトと、
前記ルーメン内に摺動可能に配置された送達デバイスであって、ステントを前記体管腔に送達するように構成される前記送達デバイスと、
前記体管腔への送達のために、前記長尺状のシャフトと流体連通する造影剤の供給源と、を備え、
前記造影剤は、抗ガス剤を含んでいる、ステントシステム。
【国際調査報告】