(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】分析物センサ用生物活性放出膜
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61B5/1473
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516939
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022043641
(87)【国際公開番号】W WO2023043908
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャンガー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】マヘーンダー・ナート・アビュラ
(72)【発明者】
【氏名】クリス・ドリング
(72)【発明者】
【氏名】テッド・タン・リー
(72)【発明者】
【氏名】シアンユ・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・リチャード・パーネル
(72)【発明者】
【氏名】ジオン・ジョウ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY11
(57)【要約】
本開示は、概して、生体試料中の分析物濃度を検出するためのデバイスなどの埋め込み型デバイスとともに利用される生物活性放出膜に関する。より詳細には、本開示は、新規な生物活性放出膜、これらの膜を含むデバイス及び埋め込み型デバイス、埋め込み型デバイス上又はその周囲に生物活性放出膜を形成するための方法、並びに埋め込み型分析物検出デバイスを使用して生体液試料中の分析物レベルを監視するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物の濃度の測定のためのデバイスであって、
近位端から分離された遠位端と、前記遠位端と前記近位端との間に位置決めされた少なくとも1つのセンサ部分と、を備える、センサ基板であって、前記センサ部分が、前記分析物の前記濃度と関連付けられた信号を生成するように構成された、センサ基板と、
前記センサ基板に隣接する生物活性放出膜であって、前記生物活性放出膜が、対象の組織応答を改変することが可能である少なくとも1つの放出可能な生物活性剤を含む、生物活性放出膜と、を備える、デバイス。
【請求項2】
前記遠位端が、外側表面を有し、前記生物活性放出膜が、前記外側表面上に位置決めされている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記生物活性放出膜が、前記遠位端にのみ位置決めされている、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記生物活性放出膜が、抵抗膜に直接隣接し、前記生物活性放出膜が、電極膜に直接隣接するか、又は前記生物活性放出膜が、干渉膜に直接隣接する、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記生物活性放出膜に隣接する溶解性コーティングを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記溶解性コーティングが、放出可能な生物活性剤を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの放出可能な生物活性剤が、第1の放出可能な生物活性剤であり、前記溶解性コーティングが、第2の放出可能な生物活性剤を更に含み、前記第1の放出可能な生物活性剤が、前記第2の放出可能な生物活性剤と同じであるか、又は異なる、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記溶解性コーティングが、1つ以上の抗炎症剤を含むナノ粒子と組み合わせて前記第2の放出可能な生物活性剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記溶解性コーティングが、前記第2の放出可能な生物活性剤及び前記ナノ粒子の両方のボーラス放出を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記溶解性コーティングが、親水性である、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記溶解性コーティングが、分析物拡散性である、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記生物活性放出膜に隣接する拡散調節膜を更に備え、前記拡散調節膜が、前記生物活性放出膜とは異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記拡散調節膜が、前記生物活性放出膜に直接隣接する、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記拡散調節膜が、ブロックコポリマーである、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記拡散調節膜が、セグメント化されたブロックコポリマーである、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記拡散調節膜が、マルチブロックコポリマーである、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記拡散調節膜が、アニールされている、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記アニールされた拡散調節膜が、安定分離相を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記安定分離相が、前記少なくとも1つの放出可能な生物活性剤のための拡散チャネルを提供する、請求項1~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記生物活性放出膜が、ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記生物活性放出膜が、2つ以上の異なるポリマーセグメントを含む多成分ソフトセグメントを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記多成分ソフトセグメントが、ポリシロキサン、ポリアルキルカーボネート、及びポリカーボネートのうちの少なくとも1つと、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステルとの組み合わせの疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ソフトセグメントが、ポリシロキサン、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、及びポリシロキサン-ポリアルキルエーテルセグメント化ブロックのうちの1つ以上の組み合わせを含み、前記ハードセグメントが、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,3-フェニレンジイソシネート(MPDI)、トランス-1,3-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6XDI)、ビシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トランス-1,4-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシネート(CHDI)、1,4-フェニレンジイソシネート(PPDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、及び1,6-ヘキサメチレンジイソシネート(HDI)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記生物活性放出膜が、鎖延長剤を更に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記生物活性放出膜が、ポリウレタン尿素である、請求項1~24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記生物活性放出膜が、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%のポリシロキサン及び約10重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、40重量%~60重量%のハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントを含み、任意の残りの重量%が鎖延長剤である、請求項1~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記ポリアルキルエーテルが、式(I):-(R
5-O)-の繰り返し単位によって表現され、式中、R
5が、炭素数2~6個の直鎖又は分岐鎖アルキル基である、請求項1~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記生物活性放出膜が、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、約20重量%~30重量%のポリシロキサン、約20重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、及び約40重量%~60重量%のハードセグメントを含み、任意の残りの重量%が鎖延長剤である、請求項1~27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記生物活性放出膜が、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%の前記ポリシロキサン、約10重量%~30重量%の前記ポリアルキルエーテル、及び約0重量%~10重量%の前記鎖延長剤を含むソフトセグメントを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記生物活性放出膜が、1重量%~4重量%の平衡状態において水取り込みを有する、請求項1~29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記生物活性放出膜が、平衡状態において3重量%未満の水取り込みを有する、請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記生物活性放出膜が、前記少なくとも1つの放出可能な生物活性剤の賦形剤である、請求項1~31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記生物活性放出膜が、疎水性ソフトセグメントと、少なくとも1つの親水性ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記生物活性放出膜が、ハードセグメント及びソフトセグメントを含み、前記ハードセグメントが、前記ソフトセグメントよりも前記少なくとも1つの放出可能な生物活性剤に近似したヒルデブランド溶解度パラメータを有する、請求項1~33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記基板の前記遠位端が、ワイヤ単体化、平面単体化、又は実質的な平面単体化を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える、請求項1~35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記電気絶縁エンドキャップが、疎水性コーティングである、請求項1~36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記電気絶縁エンドキャップが、電気化学的活性種に対して非透過性である、請求項1~37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記分析物に対して非透過性である、請求項1~38のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から長手方向に延在する、請求項1~39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から前記センサ部分まで延在する、請求項1~40のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項42】
前記電気絶縁エンドキャップが、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、又はそれらの組み合わせである、請求項1~41のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項43】
対象の組織における免疫応答を低減させるか又は遅延させる方法であって、
(i)連続分析物感知デバイスを提供することであって、前記デバイスが、
挿入不可能部分に動作可能に結合された挿入可能部分であって、前記組織に挿入されるように構成された感知部分を備え、挿入可能表面積及び挿入可能体積を有する、挿入可能部分と、
前記挿入可能表面積の一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、前記生物活性放出膜が、前記感知部分から空間的に分離されており、前記少なくとも1つの生物活性放出膜が、少なくとも1つの生物活性剤を含む、少なくとも1つの生物活性放出膜と、を備える、
提供することと、
(ii)前記挿入可能部分を挿入することによって前記組織内に組織挿入体積を形成することであって、前記組織挿入体積が、前記挿入可能体積以上である、形成することと、
(iii)約0.1μg/日~約5μg/日の平均放出速度で、前記少なくとも1つの生物活性剤を、前記少なくとも1つの生物活性放出膜から前記組織挿入体積に放出することと、
(iv)前記組織における前記免疫応答を低減させるか又は遅延させることと、を含む、方法。
【請求項44】
前記生物活性放出膜が、前記感知部分から空間的に分離されている、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記生物活性放出膜活性が、放出不可能な生物活性剤を更に含む、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記生物活性放出膜が、ポリマーを含み、前記少なくとも1つの生物活性剤対前記ポリマーの重量/重量比が、約0.1~約2である、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
異物反応によって引き起こされた連続分析物感知デバイスにおける信号ノイズを低減する方法であって、
連続分析物感知デバイスを提供することであって、
前記デバイスが、
挿入不可能部分に動作可能に結合された挿入可能部分を備える、基板であって、前記挿入可能部分が、遠位端を有する、基板と、
前記遠位端から近位に位置決めされた少なくとも1つの感知部分と、
前記遠位端の少なくとも一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、前記生物活性放出膜が、異物反応を減衰させることが可能である少なくとも1つの生物活性剤を含む、少なくとも1つの生物活性放出膜と、を備える、
提供することと、
前記連続分析物感知デバイスの使用中に前記信号ノイズを低減させることと、
を含む、方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの生物活性剤を組織に放出すること、又は曝露することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記遠位端に近接して前記異物反応を減衰させることを更に含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記分析物が、グルコースであり、前記信号ノイズが、少なくとも10日間、4mg/dL未満で維持される、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記分析物が、グルコースであり、前記信号ノイズが、少なくとも15日間、4mg/dL未満で維持される、請求項49~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記分析物が、グルコースであり、前記信号ノイズが、少なくとも21日間、4mg/dL未満で維持される、請求項49~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記挿入可能部分が、挿入可能表面積及び挿入可能体積を含む、請求項49~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1つの生物活性放出膜が、前記挿入可能な表面積の一部分上に配置され、前記少なくとも1つの生物活性放出膜が、前記挿入可能な表面積以下の生物活性放出膜表面積のうちの少なくとも1つを有する、請求項49~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つの生物活性放出膜が、ポリマーを含み、前記ポリマー対前記生物活性剤のうちの少なくとも1つの総量の重量比が、約0.1~約2である、請求項49~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む、請求項49~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記挿入可能部分及び挿入不可能部分が、前記基板上に配置され、前記基板が、ワイヤ、平面基板、又は実質的に平面基板であり、前記遠位端が、単体化を更に含む、請求項49~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える、請求項49~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記電気絶縁エンドキャップが、疎水性コーティングである、請求項49~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から長手方向に延在する、請求項49~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記電気絶縁エンドキャップが、電気化学的活性種に対して不透過性である、請求項49~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記分析物に対して非透過性である、請求項49~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から前記センサ部分まで延在する、請求項49~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記電気絶縁エンドキャップが、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、又はそれらの組み合わせである、請求項49~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
使用中の組織における異物反応によって引き起こされた連続分析物感知デバイスの感度損失の開始を低減させる方法であって、
連続分析物感知デバイスを提供することであって、
前記デバイスが、
挿入不可能部分に動作可能に結合された遠位端を有する挿入可能部分を備える、基板と、
遠位端から近位に、かつ挿入不可能部分から遠位に位置決めされた少なくとも1つの感知部分と、
前記遠位端の一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、前記少なくとも1つの生物活性放出膜が、異物反応を減衰させることが可能である少なくとも1つの生物活性剤を含む、少なくとも1つの生物活性放出膜と、
を備える、
提供することと、
使用中の前記連続分析物感知デバイスの感度損失の前記開始を低減させることと、
を含む、方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの生物活性剤を前記組織に放出すること、又は曝露することを更に含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記感度損失の前記開始を前記低減させることが、少なくとも14日間である、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記感度損失の前記開始を前記低減させることが、少なくとも20日間である、請求項68~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記感度損失の前記開始を前記低減させることが、少なくとも30日間である、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記基板が、ワイヤ、平面基板、又は実質的に平面基板であり、前記遠位端が、単体化を更に含む、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記生物活性放出膜とは異なる、請求項68~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記電気絶縁エンドキャップが、疎水性コーティングである、請求項68~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から長手方向に延在する、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記電気絶縁エンドキャップが、電気化学的活性種に対して不透過性である、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記分析物に対して非透過性である、請求項68~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記電気絶縁エンドキャップが、前記遠位端から前記センサ部分まで長手方向に延在する、請求項68~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記電気絶縁エンドキャップが、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、又はそれらの組み合わせである、請求項68~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む、請求項68~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む、請求項68~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
分析物の濃度の測定のためのデバイスであって、
前記分析物の前記濃度と関連付けられた信号を生成するように構成されたセンサ部分と、
前記センサ部分に近接する生物活性放出膜であって、前記生物活性放出膜が、少なくとも1つの生物活性剤と複合体を形成するように構成され、前記少なくとも1つの生物活性剤が、前記生物活性放出膜から放出されて、対象の組織応答を改変するように構成されている、生物活性放出膜と、を備える、デバイス。
【請求項85】
前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体が、共有結合又は非共有結合である、請求項84に記載のデバイス。
【請求項86】
前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体が、イオン性である、請求項84又は85に記載のデバイス。
【請求項87】
前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体が、生物活性剤コンジュゲートを提供する、請求項84~86のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項88】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む、請求項84~87のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項89】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む、請求項84~88のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項90】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、一酸化窒素放出分子、ポリマー、又はオリゴマーである、請求項84~89のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項91】
前記一酸化窒素放出分子が、N-ジアゼニウムジオレート及びS-ニトロソチオールから選択される、請求項84~90のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項92】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、共有結合したH因子である、請求項84~91のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項93】
前記複合体が、ホウ酸エステル又はボロン酸塩を含む生物活性剤コンジュゲートである、請求項84~92のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項94】
前記複合体が、皮下刺激によって切断可能である少なくとも1つの切断可能なリンカーを含む生物活性剤コンジュゲートである、請求項84~93のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項95】
前記皮下刺激が、マトリックスメタロペプチダーゼ又はプロテアーゼ攻撃である、請求項84~94のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項96】
前記生物活性放出膜が、親水性ヒドロゲルを含み、前記親水性ヒドロゲルが、少なくとも部分的に架橋されており、生体液中で溶解可能である、請求項84~95のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項97】
前記親水性ヒドロゲルが、ジビニルスルホン又はポリエチレングリコールジビニルスルホンによって架橋されたヒアルロン酸を含む、請求項84~96のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項98】
前記生物活性放出膜が、銀ナノ粒子を含む、請求項84~97のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項99】
前記生物活性放出膜が、前記少なくとも1つの生物活性剤を含む、PLA、PLGA、PCL、PVL、PLLA、PDLA、PEO-b-PLAブロックコポリマー、ポリホスホエステル、又はPEO-b-ポリペプチドから選択されるポリマーナノ粒子を含む、請求項84~98のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項100】
前記生物活性放出膜が、有機ゲル担体及び/又は無機ゲル担体を含む、請求項84~99のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項101】
前記生物活性放出膜が、
前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体を形成するように構成されており、
前記生物活性放出膜内に封入された前記少なくとも1つの生物活性剤と、前記生物活性放出膜に共有結合した前記少なくとも1つの生物活性剤と、の組み合わせを含む、
請求項84~100のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項102】
前記生物活性放出膜が、前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体を形成するように構成されており、前記少なくとも1つの生物活性剤の空間的に遠位の薬物デポを含む、請求項84~101のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項103】
前記生物活性放出膜が、前記少なくとも1つの生物活性剤との前記複合体を形成するように構成されており、前記少なくとも1つの生物活性剤を含む加水分解で分解可能なバイオポリマーを含む、請求項84~102のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項104】
前記加水分解で分解可能なバイオポリマーが、サリチル酸ポリ無水物エステルを含む、請求項84~103のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項105】
前記生物活性放出膜が、ポリウレタンセグメント及び/又はポリ尿素セグメントを含み、前記ポリウレタンセグメント及び/又は前記ポリ尿素セグメントが、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、約15重量%~約75重量%である、請求項84~104のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項106】
前記生物活性放出膜が、少なくとも1つのポリマーセグメントを含み、前記少なくとも1つのポリマーセグメントが、エポキシド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリピリジン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項84~105のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項107】
前記生物活性放出膜が、ポリエチレンオキシドセグメントを含む、請求項84~106のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項108】
前記ポリエチレンオキシドセグメントが、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、約5重量%~約60重量%である、請求項84~107のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項109】
前記生物活性放出膜のベースポリマーが、約10kDa~約500kDaの平均分子量を有する、請求項84~108のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項110】
前記生物活性放出膜のベースポリマーが、1~約10の多分散性指数を有する、請求項84~109のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項111】
前記生物活性放出膜のベースポリマーが、約90°~約160°の接触角を有する、請求項84~110のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項112】
分析物の濃度の測定のためのデバイスであって、
前記分析物の前記濃度と関連付けられた信号を生成するように構成されたセンサ部分と、
前記センサ部分に近接する生物活性放出膜であって、前記生物活性放出膜が、少なくとも1つの生物活性剤と複合体化された1つ以上の双性イオン性繰り返し単位を含み、前記少なくとも1つの生物活性剤が、前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位から放出されて、対象の組織応答を改変するように構成されている、生物活性放出膜と、
を備える、デバイス。
【請求項113】
前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位が、ベタイン化合物又はその誘導体を含む、請求項112に記載のデバイス。
【請求項114】
前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位が、ベタイン化合物又はその前駆体を含む、請求項112又は113に記載のデバイス。
【請求項115】
前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位が、カルボキシルベタイン、スルホベタイン、ホスファーベタイン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項112~114のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項116】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む、請求項112~115のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項117】
前記少なくとも1つの生物活性剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む、請求項112~116のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項118】
前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位が、以下からなる群から選択されるモノマーに由来し、
【化1】
式中、Zは、分岐鎖若しくは直鎖アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R1は、H、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R2、R3、及びR4は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択され、R
1、R
2、R
3、R
4、及びZのうちの1つ以上が、重合基で置換される、請求項112~117のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項119】
前記重合基が、アルケン、アルキン、エポキシド、ラクトン、アミン、ヒドロキシル、イソシアネート、カルボン酸、無水物、シラン、ハライド、アルデヒド、カルボジイミド、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項112~118のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項120】
前記1つ以上の双性イオン性繰り返し単位が、前記生物活性放出膜の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%である、請求項112~119のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項121】
前記生物活性放出膜が、コカミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オクチルスルホベタイン、カプリリルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、パルミチルスルホベタイン、ステアリルスルホベタイン、ベタイン(トリメチルグリシン)、オクチルベタイン、ホスファチジルコリン、グリシンベタイン、ポリ(カルボキシベタイン)、ポリ(スルホベタイン)、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上の双性イオンを更に含む、請求項112~120のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項122】
前記生物活性放出膜が、ポリマー鎖を含み、前記ポリマー鎖の端部において、及び前記ポリマー鎖に沿って双性イオン基を有する、請求項112~121のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項123】
前記生物活性放出膜が、親水性領域及び疎水性領域の両方を有するポリマー鎖を含み、1つ以上の双性イオン性化合物が、前記ポリマー鎖の端部に存在し、前記生物活性放出膜は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリアクリル、ポリメタクリル、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリピリジン、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又はそれらのコポリマー若しくはブレンドから選択されるベースポリマーを含む、請求項112~122のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項124】
前記生物活性放出膜の前記ベースポリマーが、約10kDa~約500kDaの平均分子量を有する、請求項112~123のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項125】
前記生物活性放出膜の前記ベースポリマーが、約1~約10の多分散性指数を有する、請求項112~124のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項126】
前記生物活性放出膜の前記ベースポリマーが、約90°~約160°の動的接触角を有する、請求項112~125のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,644号の優先権及び利益を主張し、本出願はまた、2022年3月11日に出願された米国仮特許出願第63/318,901号の優先権及び利益を主張するものであり、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、生体試料中の分析物濃度の検出のためのデバイスなどの埋め込み型デバイスとともに利用される生物活性放出若しくは溶出層又は膜に関する。より詳細には、本開示は、新規の生物活性放出膜、これらの膜を含むデバイス及び埋め込み型デバイス、埋め込み型デバイス上又はその周囲に生物活性放出膜を形成するための方法、センサ寿命を改善及び/又は延長する方法、並びに埋め込み型分析物検出デバイスを使用して生体液試料中の1つ以上の分析物レベルを監視するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最も熱心に研究されている分析物感知デバイスのうちの1つは、糖尿病を有するホストにおけるグルコースレベルを検出するための埋め込み型グルコースデバイスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糖尿病と診断される個人の数の増加及び埋め込み型グルコース監視デバイスの分野における最近の進歩にもかかわらず、現在使用されているデバイスは、局所的な組織応答に起因して、ある期間にわたって安全かつ確実にデータを提供することができない。例として、2つの一般的に使用されるタイプの皮下埋め込み型グルコース感知デバイスがある。これらのタイプは、経皮的な埋め込み型のもの、及び完全埋め込み型のものを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、分析物の濃度の測定のためのデバイスが提供され、このデバイスは、近位端から分離された遠位端と、遠位端と近位端との間に位置決めされた少なくとも1つのセンサ部分と、を備える、センサ基板であって、センサ部分が、分析物の濃度と関連付けられた信号を生成するように構成された、センサ基板と、センサ基板に隣接する生物活性放出膜であって、対象の組織応答を改変することが可能である少なくとも1つの放出可能な生物活性剤を含む、生物活性放出膜と、を備える。
【0006】
一態様では、遠位端は、外側表面を有し、生物活性放出膜は、外側表面上に位置決めされる。
【0007】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、遠位端にのみ位置決めされる。
【0008】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、抵抗膜に直接隣接する。
【0009】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、干渉膜に直接隣接する。
【0010】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、電極膜に直接隣接する。
【0011】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、デバイスは、生物活性放出膜に隣接する溶解性コーティングを更に備える。
【0012】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、溶解性コーティングは、放出可能な生物活性剤を更に含む。
【0013】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの放出可能な生物活性剤は、第1の放出可能な生物活性剤であり、溶解性コーティングは、第2の放出可能な生物活性剤を更に含み、第1の放出可能な生物活性剤は、第2の放出可能な生物活性剤と同じであるか、又は異なる。
【0014】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、溶解性コーティングは、1つ以上の抗炎症剤を含むナノ粒子と組み合わせて第2の放出可能な生物活性剤を含む。
【0015】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、溶解性コーティングは、第2の放出可能な生物活性剤及びナノ粒子の両方のボーラス放出を提供する。
【0016】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、溶解性コーティングは、親水性である。
【0017】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、溶解性コーティングは、分析物拡散性である。
【0018】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、デバイスは、生物活性放出膜に隣接する拡散調節膜を更に備え、拡散調節膜は、生物活性放出膜とは異なる。
【0019】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、拡散調節膜は、生物活性放出膜に直接隣接する。
【0020】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、拡散調節膜は、ブロックコポリマーである。
【0021】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、拡散調節膜は、セグメント化されたブロックコポリマーである。
【0022】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、拡散調節膜は、マルチブロックコポリマーである。
【0023】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、拡散調節膜は、アニールされる。
【0024】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、アニールされた拡散調節膜は、安定分離相を含む。
【0025】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、安定分離相は、少なくとも1つの放出可能な生物活性剤のための拡散チャネルを提供する。
【0026】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む。
【0027】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、ソフトセグメントは、2つ以上の異なるポリマーセグメントである。
【0028】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、ソフトセグメントは、疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む。
【0029】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、2つ以上の異なるポリマーセグメントを含む多成分ソフトセグメントを含む。
【0030】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、多成分ソフトセグメントは、ポリシロキサン、ポリアルキルカーボネート、及びポリカーボネートのうちの少なくとも1つと、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステルとの組み合わせの疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む。
【0031】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、ソフトセグメントは、ポリシロキサン、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、及びポリシロキサン-ポリアルキルエーテルセグメント化ブロックのうちの1つ以上の組み合わせを含み、ハードセグメントは、ノルボルナンジイソシアネート(norbornane diisocyanate、NBDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocynate、IPDI)、トリレンジイソシアネート(tolylene diisocynate、TDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート(1,3-phenylene diisocyanate、MPDI)、トランス-1,3-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(trans-1,3-bis(isocynatomethyl)cyclohexane、1,3-H6XDI)、ビシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(bicyclohexylmethane-4,4’-diisocynate、HMDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-Diphenylmethane diisocynate、MDI)、トランス-1,4-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(trans-1,4-bis(isocynatomethyl)cyclohexane、1,4-H6XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(1,4-cyclohexyl diisocynate、CHDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート(1,4-phenylene diisocynate、PPDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(3,3’-Dimethyl-4,4’-biphenyldiisocyanate、TODI)、及び1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-hexamethylene diisocyanate、HDI)のうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、ソフトセグメントは、ポリシロキサン、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、又はポリシロキサン-ポリアルキルエーテルセグメント化ブロックを含む。
【0033】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、鎖延長剤を更に含む。
【0034】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリウレタン尿素である。
【0035】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%のポリシロキサン及び約10重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、40重量%~60重量%のハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントを含み、残りの重量%が鎖延長剤である。
【0036】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約20重量%~30重量%のポリシロキサン、約20重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、及び約40重量%~60重量%のハードセグメントを含み、任意の残りの重量%が鎖延長剤である。
【0037】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%のポリシロキサン、約10重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、及び約0重量%~10重量%の鎖延長剤を含むソフトセグメントを含む。
【0038】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、ポリアルキルエーテルは、式(I):-(R5-O)-の繰り返し単位によって表され、式中、R5は、炭素数2~6個の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0039】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、平衡状態で1重量%~4重量%の水取り込みを有する。
【0040】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、平衡状態で3重量%未満の水取り込みを有する。
【0041】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、少なくとも1つの放出可能な生物活性剤の賦形剤である。
【0042】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、疎水性ソフトセグメントと、少なくとも1つの親水性ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む。
【0043】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ハードセグメント及びソフトセグメントを含み、ハードセグメントは、ソフトセグメントよりも少なくとも1つの放出可能な生物活性剤に近似したヒルデブランド溶解度パラメータを有する。
【0044】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、基板の遠位端は、ワイヤ単体化、平面単体化、又は実質的に平面単体化を含む。
【0045】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、デバイスは、遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える。
【0046】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、疎水性コーティングである。
【0047】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、電気化学的活性種に対して非透過性である。
【0048】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、分析物に対して非透過性である。
【0049】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端から長手方向に延在する。
【0050】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端からセンサ部分まで延在する。
【0051】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、又はそれらの組み合わせである。
【0052】
別の例では、対象の組織における免疫応答を低減させるか又は遅延させる方法が提供され、方法は、(i)連続分析物感知デバイスを提供することであって、デバイスが、挿入不可能部分に動作可能に結合された挿入可能部分であって、組織に挿入されるように構成された感知部分を備え、挿入可能表面積及び挿入可能体積を有する、挿入可能部分と、挿入可能表面積の一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、生物活性放出膜が、感知部分から空間的に分離されており、少なくとも1つの生物活性放出膜が、少なくとも1つの生物活性剤を含む、少なくとも1つの生物活性放出膜と、を備える、提供することと、(ii)挿入可能部分を挿入することによって組織内に組織挿入体積を形成することであって、組織挿入体積が、挿入可能体積以上である、形成することと、(iii)約0.1μg/日~約5μg/日の平均放出速度で、少なくとも1つの生物活性剤を少なくとも1つの生物活性放出膜から組織挿入体積に放出することと、(iv)組織における免疫応答を低減させるか又は遅延させることと、を含む。
【0053】
一態様では、生物活性放出膜は、感知部分から空間的に分離される。
【0054】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜活性は、放出不可能な生物活性剤を更に含む。
【0055】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリマーを含み、少なくとも1つの生物活性剤対ポリマーの重量/重量比は、約0.1~約2であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0056】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む。
【0057】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む。
【0058】
別の例では、異物反応によって引き起こされる連続分析物感知デバイス内の信号ノイズを低減させる方法が提供され、方法は、連続分析物感知デバイスを提供することであって、デバイスが、挿入不可能部分に動作可能に結合された挿入可能部分を備える基板であって、挿入可能部分が遠位端を有する、基板と、遠位端から近位に位置決めされた少なくとも1つの感知部分と、遠位端の少なくとも一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、生物活性放出膜が、異物反応を減衰させることが可能である少なくとも1つの生物活性剤を含む、生物活性放出膜と、を備える、提供することと、連続分析物感知デバイスの使用中に信号ノイズを低減させることと、を含む。
【0059】
一態様では、方法は、少なくとも1つの生物活性剤を組織に放出すること、又は曝露することを更に含む。
【0060】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、方法は、遠位端に近接する異物反応を減衰させることを更に含む。
【0061】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、分析物は、グルコースであり、信号ノイズは、少なくとも10日間、4mg/dL未満で維持される。
【0062】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、分析物は、グルコースであり、信号ノイズは、少なくとも15日間、4mg/dL未満で維持される。
【0063】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、分析物は、グルコースであり、信号ノイズは、少なくとも21日間、4mg/dL未満で維持される。
【0064】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、挿入可能部分は、挿入可能表面積及び挿入可能体積を含む。
【0065】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性放出膜は、挿入可能表面積の一部分上に配置され、少なくとも1つの生物活性放出膜は、挿入可能表面積以下の生物活性放出膜表面積のうちの少なくとも1つを有する。
【0066】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性放出膜は、ポリマーを含み、ポリマー対生物活性剤のうちの少なくとも1つの総量の重量比は、約0.1~約2である。
【0067】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、抗炎症性化合物か、又は組織応答改変剤を含む。
【0068】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾンアセテート、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾンアセテートとデキサメタゾンとの組み合わせを含む。
【0069】
一態様では、単独で又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、挿入可能部分及び挿入不可能部分は、基板上に配置され、基板は、ワイヤであり、一態様では、単独で又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、平面基板又は実質的に平面基板、及び遠位端は、単体化を更に含む。
【0070】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、方法は、遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える。
【0071】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、疎水性コーティングである。
【0072】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端から長手方向に延在する。
【0073】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、電気化学的活性種に対して非透過性である。
【0074】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、分析物に対して非透過性である。
【0075】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端からセンサ部分まで延在する。
【0076】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、又はそれらの組み合わせである。
【0077】
更に別の例では、使用中の組織における異物反応によって引き起こされる連続分析物感知デバイスの感度損失の開始を低減させる方法が提供され、方法は、連続分析物感知デバイスを提供することであって、デバイスが、挿入不可能部分に動作可能に結合された遠位端を有する挿入可能部分を備える基板と、遠位端から近位に、かつ挿入不可能部分から遠位に位置決めされた少なくとも1つの感知部分と、遠位端の一部分上に配置された少なくとも1つの生物活性放出膜であって、少なくとも1つの生物活性放出膜が、異物反応を減衰させることが可能である少なくとも1つの生物活性剤を含む、少なくとも1つの生物活性放出膜と、を備える、提供することと、使用中の連続分析物感知デバイスの感度損失の開始を低減させることと、を含む。
【0078】
一態様では、方法は、少なくとも1つの生物活性剤を組織に放出すること、又は曝露することを更に含む。
【0079】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、感度損失の開始を低減させることは、少なくとも14日間である。
【0080】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、感度損失の開始を低減させることは、少なくとも20日間である。
【0081】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、感度損失の開始を低減させることは、少なくとも30日間である。
【0082】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、基板は、ワイヤ、平面基板、又は実質的に平面の基板であり、遠位端は、単体化を更に含む。
【0083】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、方法は、遠位端に隣接する電気絶縁エンドキャップを更に備える。
【0084】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、生物活性放出膜とは異なる。
【0085】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、疎水性コーティングである。
【0086】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端から長手方向に延在する。
【0087】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、電気化学的活性種に対して非透過性である。
【0088】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、分析物に対して非透過性である。
【0089】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、遠位端からセンサ部分まで長手方向に延在する。
【0090】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、電気絶縁エンドキャップは、熱可塑性シリコーンポリカーボネートポリウレタン、ポリアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエン変性ウレタン、ポリエチレンビニルアセテート、シリコーン、又はそれらの組み合わせである。
【0091】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む。
【0092】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾンアセテート、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾンアセテートとデキサメタゾンとの組み合わせを含む。
【0093】
更に別の例では、分析物の濃度を測定するためのデバイスが提供され、デバイスは、分析物の濃度と関連付けられた信号を生成するように構成されたセンサ部分と、センサ部分に近接する生物活性放出膜であって、少なくとも1つの生物活性剤と複合体を形成するように構成され、少なくとも1つの生物活性剤が、生物活性放出膜から放出されて、対象の組織応答を改変するように構成された、生物活性放出膜と、を備える。
【0094】
一態様では、少なくとも1つの生物活性剤との複合体は、共有結合又は非共有結合である。
【0095】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤との複合体は、イオン性である。
【0096】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、複合体は、少なくとも1つの生物活性剤を有し、生物活性剤コンジュゲートである。
【0097】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む。
【0098】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む。
【0099】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、一酸化窒素放出分子、ポリマー、又はオリゴマーである。
【0100】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、一酸化窒素放出分子は、N-ジアゼニウムジオレート及びS-ニトロソチオールから選択される。
【0101】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、共有結合されたH因子である。
【0102】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、複合体は、ボレートエステル又はボロネートを含む生物活性剤コンジュゲートである。
【0103】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、複合体は、皮下刺激によって切断可能な少なくとも1つの切断可能なリンカーを含む生物活性剤コンジュゲートである。
【0104】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、皮下刺激は、マトリックスメタロペプチダーゼ又はプロテアーゼ攻撃である。
【0105】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、親水性ヒドロゲルを含み、親水性ヒドロゲルは、少なくとも部分的に架橋されており、生体液中で溶解可能である。
【0106】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、親水性ヒドロゲルは、ジビニルスルホン又はポリエチレングリコールジビニルスルホンによって架橋されたヒアルロン酸を含む。
【0107】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、銀ナノ粒子を含む。
【0108】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、少なくとも1つの生物活性剤を含む、PLA、PLGA、PCL、PVL、PLLA、PDLA、PEO-b-PLAブロックコポリマー、ポリホスホエステル、又はPEO-b-ポリペプチドから選択される生分解性ポリマーナノ粒子を含む。
【0109】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、有機ゲル担体及び/又は無機ゲル担体を含む。
【0110】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤との複合体を形成するように構成された生物活性放出膜は、生物活性放出膜内に封入された少なくとも1つの生物活性剤と、生物活性放出膜に共有結合された少なくとも1つの生物活性剤との組み合わせを含む。
【0111】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤との複合体を形成するように構成された生物活性放出膜は、少なくとも1つの生物活性剤の空間的に遠位な薬物デポを含む。
【0112】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤との複合体を形成するように構成された生物活性放出膜は、少なくとも1つの生物活性剤を含む、加水分解で分解可能なバイオポリマーを含む。
【0113】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、加水分解で分解可能なバイオポリマーは、サリチル酸ポリ無水物エステルを含む。
【0114】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリウレタンセグメント及び/又はポリ尿素セグメントを含み、ポリウレタンセグメント及び/又はポリ尿素セグメントは、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約15重量%~約75重量%であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0115】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、少なくとも1つのポリマーセグメントを含み、少なくとも1つのセグメントは、エポキシド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリピリジン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0116】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリエチレンオキシドセグメントを含む。
【0117】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、ポリエチレンオキシドセグメントは、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約5重量%~約60重量%である。
【0118】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜のベースポリマーは、約10kDa~約500kDaの平均分子量を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0119】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、1~約10の多分散性指数を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0120】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、約90°~約160°の接触角を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0121】
更に別の例では、分析物の濃度を測定するためのデバイスが提供され、デバイスは、分析物の濃度と関連付けられた信号を生成するように構成されたセンサ部分と、センサ部分に近接する生物活性放出膜であって、少なくとも1つの生物活性剤と複合体化された1つ以上の双性イオン性繰り返し単位を含み、少なくとも1つの生物活性剤が、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位から放出されて、対象の組織応答を改変するように構成された、生物活性放出膜と、を備える。
【0122】
一態様では、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、ベタイン化合物又はその誘導体を含む。
【0123】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、ベタイン化合物又はその前駆体を含む。
【0124】
一態様では、単独で又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、カルボキシルベタイン、スルホベタイン、ホスファーベタイン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。
【0125】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む。
【0126】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、少なくとも1つの生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体若しくはデキサメタゾン酢酸エステルとデキサメタゾンとの組み合わせを含む。
【0127】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、以下からなる群から選択されるモノマーに由来する。
【0128】
【化1】
式中、Zは、分岐鎖若しくは直鎖アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R1は、H、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R2、R3、及びR4は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択され、R1、R2、R3、R4、及びZのうちの1つ以上が、重合基で置換される。
【0129】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、重合基は、アルケン、アルキン、エポキシド、ラクトン、アミン、ヒドロキシル、イソシアネート、カルボン酸、無水物、シラン、ハライド、アルデヒド、カルボジイミド又はそれらの組み合わせから選択される。
【0130】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%である。
【0131】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、コカミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オクチルスルホベタイン、カプリリルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、パルミチルスルホベタイン、ステアリルスルホベタイン、ベタイン(トリメチルグリシン)、オクチルベタイン、ホスファチジルコリン、グリシンベタイン、ポリ(カルボキシベタイン)、ポリ(スルホベタイン)、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上の双性イオンを更に含む。
【0132】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリマー鎖の端部で、及びポリマー鎖に沿って双性イオン基を有するポリマー鎖を含む。
【0133】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、親水性及び疎水性領域の両方を有するポリマー鎖を含み、1つ以上の双性イオン性化合物は、ポリマー鎖の端部に存在し、生物活性放出膜は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリアクリル、ポリメタクリル、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリピリジン、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、又はそれらのコポリマー若しくはブレンドから選択されるベースポリマーを含む。
【0134】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜のベースポリマーは、約10kDa~約500kDaの平均分子量を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0135】
一態様では、単独で、又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜のベースポリマーは、約1~約10の多分散性指数を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0136】
一態様では、単独で又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜のベースポリマーは、約90°~約160°の動的接触角を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1A】連続分析物感知デバイスの例示的な実施例の断面図である。
【
図1B】連続分析物感知デバイスの例示的な実施例の断面図である。
【
図2A】本明細書に開示されかつ説明される、例示的な連続分析物感知デバイスの斜視図である。
【
図2C】例示的な生物活性放出層を示す、
図2Aの切断線B-Bに沿って
図2Aの連続分析物感知デバイスを通る断面図である。
【
図2D】本明細書に開示されかつ説明される、例示的な生物活性放出膜を示す、
図2Aの線D-D上で
図2Aの連続分析物感知デバイスを通る断面図である。
【
図2E】本明細書に開示されかつ説明される、別の例示的な生物活性放出膜を示す、
図2Aの線D-D上で
図2Aの連続分析物感知デバイスを通る断面図である。
【
図2F】本明細書に開示されかつ説明される、例示的な連続分析物感知デバイスのインビボ部分を例解する斜視概略図である。
【
図2G】本明細書に開示されかつ説明される、
図2Fの例示的なセンサのインビボ部分を例解する側面概略図である。
【
図2H】一実施例において本明細書に開示されかつ説明されるような連続分析物感知デバイスの断面平面図である。
【
図2I】本明細書において開示されかつ説明されるような一実施例における連続分析物感知デバイスの断面図である。
【
図2J】本明細書において開示されかつ説明されるような一実施例における連続分析物感知デバイスの断面図である。
【
図3A】本明細書において開示されかつ説明されるような一実施例における経皮連続分析物感知デバイスの側面概略図である。
【
図3B】本明細書において開示されかつ説明されるような代替例における経皮連続分析物感知デバイスの側面概略図である。
【
図3C】一実施例における埋め込み型連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3D】代替的な実施例における埋め込み型分析物センサの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3E】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3F】ホストの皮膚上の機能的に有用な距離内の電子機器ユニットに誘導結合された、連続分析物感知デバイスの一実施例の側面図である。
【
図3G】機能的に有用な距離でホストの組織内に埋め込まれた電子機器ユニットに誘導結合された、連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の一実施例の側面図である。
【
図3H】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3I】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の断面図である。
【
図3J】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の断面図である。
【
図3K】連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3L】代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3M】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3N】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能な部分の側面概略図である。
【
図3O】別の代替的な実施例における連続分析物感知デバイスの埋め込み可能部分の側面概略図である。
【
図3P】本明細書に開示されかつ説明されるように、生物活性放出膜からのインビボ生物活性剤放出の経時的なグラフ表現である。
【
図3Q】本明細書に開示されかつ説明されるように、生物活性放出膜からのインビボ生物活性剤放出の経時的なグラフ表現である。
【
図4A】本明細書に開示され記載されるハード-ソフトセグメント化ポリマーの概略図である。
【
図4B】3D体積4Cを示す例示的な膜を通る断面図である。
【
図5A】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜からの生物活性剤の累積放出速度の経時的なグラフ表現である。
【
図5B】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜からの生物活性剤の累積放出速度の経時的なグラフ表現である。
【
図5C】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜からの生物活性剤の累積放出速度の経時的なグラフ表現である。
【
図6A】本明細書に開示されかつ説明される、異なる生物活性放出膜からの生物活性剤放出のそれらの水取り込みに関するグラフ表現である。
【
図6B】本明細書に開示されかつ説明される、18日間にわたる、生物活性放出膜を有する及び有しないセンサの正規化された感度のグラフ表現である。
【
図6C】本明細書に開示されかつ説明される、30日間にわたる、生物活性放出膜を有する及び有しないセンサの正規化された感度のグラフ表現である。
【
図6D】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜を有する及び有しないセンサの正規化された感度の生存プロット表現である。
【
図6E】本明細書に開示されかつ説明される、異なる生物活性放出膜を有するセンサの正規化された感度の生存プロット表現である。
【
図7A】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜を有するセンサからの平均絶対ノイズの経時的なグラフ表現である。
【
図7B】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜を有する及び有しないセンサの平均絶対ノイズの生存プロット表現である。
【
図7C】本明細書に開示されかつ説明される、異なる生物活性放出膜を有するセンサの平均絶対ノイズの生存プロット表現である。
【
図8A】生物活性放出膜を有しないセンサからの異物反応の組織学的画像である。
【
図8B】本明細書に開示されかつ説明される、生物活性放出膜を有するセンサからの異物反応の組織学的画像である。
【発明を実施するための形態】
【0138】
以下の記載及び実施例は、本開示の好ましい実施例を詳細に例示する。当業者は、本開示の範囲によって包含される本発明の多くの変化形及び修正形があることを認識するであろう。したがって、実施例の記載を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0139】
(定義)
開示された実施例の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、値又は範囲の変動性の程度、例えば、記載された値又は範囲の記載された限界の10%以内、5%以内、又は1%以内を許容することを指し、正確に記載された値又は範囲を含むが、これに限定されない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、又は少なくとも約99.999%以上、又は100%のような大多数又は大部分を指す。本明細書において使用される場合、「実質的に含まない」という語句は、存在する材料の量が、材料を含む組成物の材料特性に影響を与えないように、材料を有しないか、又は取るに足らない量を有することを意味することができ、組成物の約0重量%~約5重量%が材料であるか、又は約0重量%~約1重量%、又は約5重量%以下、又は約4.5重量%以下、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.01、又は約0.001重量%以下、又は約0重量%である。
【0141】
本明細書で使用される場合、「粘着する」及び「付着する」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、例えば、接着、結合、把持、相互透過、又は融合によって、保持、結合、又は固着することを指すが、これに限定されない。
【0142】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、分析されることができる生体液(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、尿、汗、唾液など)中の物質又は化学成分を指すが、これに限定されない。分析物には、自然発生物質、人工物質、代謝物、及び/又は反応生成物が含まれ得る。いくつかの実施例では、感知領域、デバイス、及び方法によって測定される分析物は、グルコースである。しかしながら、他の分析物も同様に企図され、アカルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;アルファ-フェトプロテイン;アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドレノステンジオン;アンチピリン;アラビニトールエナンチオマー;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビリルビン、ビオチニダーゼ;ビオプテリン;c-反応性タンパク質;カルニチン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;ケノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;コンジュゲートされた1-βヒドロキシ-コール酸;コルチゾール;クレアチン;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMイソ酵素;クレアチニン;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;脱エチルクロロキン;硫酸デヒドロエピアンドロステロン;DNA(アセチル化多型、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルファ1-アンチトリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、ベータ-サラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーベル遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジンレダクターゼ;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(free thyroxine、FT4);遊離トリヨードサイロニン(free tri-iodothyronine、FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/gal-1-リン酸塩;ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタミシン;グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペリオキシダーゼ;グリセロール;グリココール酸;グリコシル化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球カルボニックアンヒドラーゼI;17-アルファ-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;ベータ-ヒドロキシ酪酸;ケトン;ラクテート;鉛;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルマイシン;酸素;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;カリウム、ナトリウム、及び/又は他の血液電解質;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;キニーネ;リバーストリヨードサイロニン(reverse tri-iodothyronine、rT3);セレン;血清膵臓リパーゼ;シソマイシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、反ゼータ抗体、アルボウイルス、仮性狂犬病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、単包条虫、赤痢アメーバ、エンテロウイルス、ジアルジア症、ヘリコバクターピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、ドノバンリーシュマニア、レプトスピラ菌、はしか/流行性耳下腺炎/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸器合胞体ウイルス、リケッチア(恙虫病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、クルーズトリパノソーマ/ランジェリ、水疱性口内炎ウイルス、バンクロフト糸状虫、黄熱ウイルス);特異性抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;チロトロピン(TSH);チロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;尿酸;ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ;ビタミンA;白血球;及び亜鉛プロトポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。血液又は間質液中に天然に存在する塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、及びホルモンもまた、特定の実施例では分析物を構成することができる。分析物は、生体液中に天然に存在し得るか、又は内因性、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体などであり得る。代替的に、分析物は、体内に導入されることができるか、又は外因性であることができ、例えば、画像化のための造影剤、放射性同位体、化学薬剤、フッ化炭素ベースの合成血液、又は薬物若しくは薬学的組成物であり、これらとしては、インスリン;エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);刺激剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、RITALIN(登録商標)、CYLERT(登録商標)、PRELUDIN(登録商標)、DIDREX(登録商標)、PRESTATE(登録商標)、VORANIL(登録商標)、SANDREX(登録商標)、PLEGINE(登録商標));抗うつ剤(バルビツール剤、メタカロン、VALIUM(登録商標)、LIBRIUM(登録商標)、MILTOWN(登録商標)、SERAX(登録商標)、EQUANIL(登録商標)、TRANXENE(登録商標)などの精神安定剤);幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、プシロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、PERCOCET(登録商標)、PERCODAN(登録商標)、TUSSIONEX(登録商標)、フェンタニル、DARVON(登録商標)、TALWIN、LOMOTIL(登録商標));合成麻薬(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンシクリジンの類似体、例えば、エクスタシー);アナボリックステロイド;並びにニコチンが挙げられるが、これらに限定されない。薬物及び薬学的組成物の代謝産物もまた、企図される分析物である。例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3-methoxytyramine、3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(3,4-dihydroxyphenylacetic acid、DOPAC)、ホモバニリン酸(homovanillic acid、HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine、5HT)、5-ヒドロキシインドール酢酸(5-hydroxyindoleacetic acid、FHIAA)、及びヒスタミンなどの、神経化学物質及び体内で生成される他の化学物質などの分析物もまた、分析することができる。
【0143】
本明細書において使用される場合、「分析物測定デバイス」、「分析物監視デバイス」、「分析物感知デバイス」、「連続分析物感知デバイス」、「連続分析物センサデバイス」及び/又は「マルチ分析物センサデバイス」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、特定の分析物又は分析物の組み合わせの検出又はそれらと関連付けられた信号の変換を担う分析物装置及び/又はシステムを指すが、これに限定されない。例えば、これらの語句は、特定の分析物又は分析物の組み合わせの検出を担う機器を指し得るが、これらに限定されない。一実施例では、機器は、ハウジング内に配置された回路に結合され、分析物濃度と関連付けられた信号を処理して情報にするように構成されたセンサを含む。一実施例では、かかる装置及び/又はシステムは、変換及び/又は検出素子と組み合わされた生体認識素子を使用して、特定の定量的、半定量的、定性的、及び/又は半定性的分析情報を提供することが可能である。
【0144】
本明細書で使用される場合、「バリア細胞層」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、埋め込み型デバイスへの分子及び他の物質の輸送を実質的に遮断する細胞(例えば、マクロファージ及び異物巨細胞)の凝集性単層を形成する異物反応の一部を指すが、これに限定されない。
【0145】
本明細書において使用される場合、「生物活性剤」及び「生物活性」という語句及び用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、生体組織に対して効果を有するか、又は生体組織からの応答を誘発する任意の物質、例えば、薬物、生物製剤、反応脱酸素剤(reactive oxygen scavenger、ROS)、及び金属イオンを指すが、これらに限定されない。
【0146】
本明細書で互換的に使用される場合、「生体界面膜」、「生体界面ドメイン」及び「生体界面層」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ホスト組織と埋め込み型デバイスとの間の生体防御界面として機能する透過性膜(複数のドメインを含むことができる)又は層を指すが、これに限定されない。「生体界面」及び「生体防御」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0147】
本明細書において使用される場合、「バイオセンサ」及び/又は「センサ」という用語は、広義の用語であり、当業者に通常の慣習的な意味を与えられるものであり(特別な又はカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、特定の分析物又は分析物の組み合わせの検出又はそれに関連付けられた信号の変換を担う分析物測定デバイス、分析物監視デバイス、分析物感知デバイス、連続分析物感知デバイス、連続分析物感知デバイス、及び/又はマルチ分析物感知デバイスの一部を指すが、これに限定されない。実施例では、バイオセンサ又はセンサは、概して、本体と、本体に結合され、電気化学的反応中に信号を提供するように構成される表面を形成する、作用電極、参照電極、及び/又は対電極と、を備える。1つ以上の膜を本体に付着させ、電気化学反応性表面を覆うことができる。実施例では、かかるバイオセンサ及び/又はセンサは、検出及び/又は変換素子と組み合わされた生体認識素子を使用して、特定の定量的、半定量的、定性的、半定性的分析信号を提供することが可能である。
【0148】
本明細書で使用される場合、「生体安定性」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、インビボで遭遇するプロセスによる分解に対して比較的抵抗力がある材料を指すが、これに限定されない。
【0149】
本明細書で使用される場合、「細胞突起」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、細胞の仮足を指すが、これに限定されない。
【0150】
本明細書で使用される場合、「細胞付着」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、分子レベルでの材料への細胞及び/若しくは細胞突起の粘着、並びに/又はマイクロポーラス材料表面若しくはマクロポーラス材料表面への細胞及び/若しくは細胞突起の付着を指すが、これに限定されない。多孔性表面への細胞付着を促進する先行技術において使用される材料の一実施例は、Millipore(Bedford,MA)によって市販されているBIOPORE(商標)細胞培養支持体であり、Braukerらの米国特許第5,741,330号に記載された。
【0151】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0152】
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ポリマーなどの担体又はナノ担体(例えば、生物活性放出膜若しくは生体界面層)にリンカーを通じて共有結合された生物活性剤を指すが、これに限定されず、リンカーは、皮下若しくは経皮環境などの生体環境に曝露されるか又は提示されたときに、担体からの薬物の分離を可能にすることができるように、生物学的に活性である。本明細書中で使用される場合、コンジュゲートは、薬物放出層-生物活性剤コンジュゲート、及びナノ粒子ポリマー-生物活性剤コンジュゲートを包括する。好適な担体/ナノ担体は、PEG及びN-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(N-(2-hydroxypropyl)methacrylamide、HPMA)、ポリグルタミン酸(polyglutamic acid、PGA)及びそれらのコポリマーを含む。本明細書中で使用される場合、コンジュゲートは、薬物放出層-生物活性剤コンジュゲート、及び薬物放出層中に存在するナノ粒子ポリマー-生物活性剤コンジュゲートを包括する。実施例では、生物活性放出膜は、薬物放出-生物活性剤コンジュゲートを有するドメインと、生物活性剤デポを有するドメインと、を含み、当該ドメインは、空間的に垂直又は水平に配列することができる。
【0153】
本明細書で使用される場合、「連続的」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、中断されない又は切れ目ない部分、ドメイン、コーティング、又は層を指すが、これに限定されない。
【0154】
本明細書で使用される場合、「連続(的)分析物感知」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、分析物濃度の監視を連続的、継続的、及び/又は間欠的(但し、定期的)、例えば、約5秒以下から約10分以上までごとで実行される期間を指すが、これに限定されない。更なる実施例では、分析物濃度の監視は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60秒~約1.25、1.50、1.75、2.00、2.25、2.50、2.75、3.00、3.25、3.50、3.75、4.00、4.25、4.50、4.75、5.00、5.25、5.50、5.75、6.00、6.25、6.50、6.75、7.00、7.25、7.50、7.75、8.00、8.25、8.50、8.75、9.00、9.25、9.50、又は9.75分ごとで実行される。
【0155】
本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、電気的、機械的、熱的、動作可能、化学的、又は別様に少なくとも1つに付着されるように構成されている2つ以上のシステム要素又は構成要素を指すが、これに限定されない。同様に、本明細書で使用される場合、「動作可能に接続された」、「動作可能に連結された」、及び「動作可能に結合された」という語句は、構成要素間の少なくとも1つの信号の伝送を容易にする様式で別の構成要素に連結された1つ以上の構成要素を指し得る。いくつかの実施例では、構成要素は、同じ構造の一部であり、かつ/又は互いに一体化されている(すなわち、「直接結合されている」)。他の実施例では、構成要素は、遠隔手段を介して接続されている。例えば、1つ以上の電極を使用して、試料内の分析物を検出し、その情報を信号に変換することができ、次いで、信号は、電子回路に伝送されることができる。本実施例では、電極は、電子回路に「動作可能に連結されて」いる。本明細書で使用される場合、「取り外し可能に結合された」という語句は、結合された素子又は構成要素のいずれも損傷することなく、電気的に、機械的に、熱的に、動作可能に、化学的に、若しくは別様に付着され、取り外されるように構成されるか、又はそのように構成されている、2つ以上のシステム要素又は構成要素を指し得る。本明細書で使用される場合、「永久的に結合された」という語句は、電気的に、機械的に、熱的に、動作可能に、化学的に、又は別様に付着されるように構成されるか又は付着されているが、結合された要素又は構成要素のうちの少なくとも1つを損傷することなく切り離すことができない、2つ以上のシステム要素又は構成要素を指し得る。
【0156】
本明細書で使用される場合、「画定された縁部」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、層、ドメイン、コーティング、又は部分の間の突然の、別個の縁部又は境界を指すが、これに限定されない。「画定された縁部」は、層、ドメイン、コーティング、又は部分の間の漸進的な遷移とは対照的である。
【0157】
本明細書で使用される場合、「不連続な」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、切断された、中断された、又は分離された部分、層、コーティング、又はドメインを指すが、これに限定されない。
【0158】
本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、原点又は付着点などの参照点から比較的遠くに間隔を空けた領域を指すが、これに限定されない。
【0159】
本明細書で使用される場合、「ドメイン」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、層、均一若しくは不均一勾配(例えば、膜の異方性領域)、又は1つ、2つ、若しくはそれ以上の分析物を感知することが可能である膜の一部分であり得る膜システムの領域を指すが、これに限定されない。本明細書で論じられるドメインは、単一層として、2つ以上の層として、二重層の対として、又はそれらの組み合わせとして形成されることができる。
【0160】
本明細書で使用される場合、「ドリフト」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、例えばホストの食後グルコース濃度のようなホスト全身分析物濃度の変化とは無関係な、経時的な信号の漸進的な増加又は減少を指すが、これに限定されない。理論に束縛されることを望むものではないが、ドリフトは、例えば、異物カプセル(foreign body capsule、FBC)の形成による、センサへのグルコース輸送の局所的減少の結果であり得ると考えられる。また、センサを取り囲む間質液の量が不十分であると、センサへの酸素及び/又はグルコースの輸送が減少し得ると考えられる。一実施例では、局所的な間質液の増加は、ドリフトを減速又は低減させ、したがって、センサ性能を改善し得る。ドリフトはまた、センサ電子機器、又はマイクロアンペア範囲、ピコアンペア範囲、ナノアンペア範囲、及びフェムトアンペア範囲を含む範囲内の電気信号とともに生じ得るノイズ若しくは他の異常を補償するために使用されるアルゴリズムモデルの結果であり得る。
【0161】
「生物活性放出膜」、「薬物放出層」、「生物活性放出ドメイン」及び「生物活性剤放出膜」という語句は、本明細書において互換的に使用され、各々広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、1つ以上の生物活性剤に対して透過性である透過性又は半透過性膜を指すが、これに限定されない。実施例では、「生物活性放出膜」、「薬物放出層」、「生物活性放出ドメイン」及び「生物活性剤放出膜」は、2つ以上のドメインを含むことができ、典型的には、数ミクロン以上の厚さである。実施例では、生物活性放出膜及び/又は生物活性放出膜及び/又は生物活性剤放出膜及び/又は生物活性剤放出膜は、生体界面層及び/又は生体界面膜と実質的に同じである。別の実施例では、生物活性放出膜及び/又は生物活性放出膜及び/又は生物活性剤放出膜及び/又は生物活性剤放出膜は、生体界面層及び/又は生体界面膜とは異なる。
【0162】
本明細書で使用される場合、「電気化学反応性表面」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、電気化学反応が起こる電極の表面を指すが、これに限定されない。実施例では、反応が検出される分析物の酵素触媒反応によって生成された過酸化水素は、測定可能な電子電流を作成することができる。例えば、グルコースの検出では、グルコースオキシダーゼは、副産物として過酸化水素(H2O2)を生成する。H2O2は、作用電極の表面と反応して、2つのプロトン(2H+)、2つの電子(2e-)、及び1つの酸素分子(O2)を生成し、これが、検出される電子電流を生成する。対電極では、還元可能な種、例えば、O2が電極表面で還元されて、作用電極によって生成される電流のバランスをとる。別の実施例では、電子伝達は、変換素子及び分析物の還元-酸化(レドックス)中にメディエータ又は「ワイヤード酵素(wired enzyme)」を使用して提供される。
【0163】
本明細書において使用される場合、「ハードセグメント」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、抵抗特性、例えば、湾曲又はねじれに対する抵抗を付与する、ポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、又はポリウレタン尿素コポリマーなどのコポリマーの要素を指すが、これに限定されない。「ハードセグメント」という用語は、典型的には周囲温度を上回る動的走査熱量測定(「Tg」)によって判定されるガラス転移温度を有する結晶性、半結晶性、又はガラス状材料として更に特徴付けることができ、典型的には、鎖延長剤を有する又は有しないジイソシアネートから作製される。
【0164】
本明細書で使用される場合、「ホスト」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が示されるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、哺乳類、例えばヒトを指すが、これらに限定されない。
【0165】
本明細書で使用される場合、「埋め込まれた」又は「埋め込み型」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、皮下に(すなわち、皮膚と筋肉との間の脂肪層内に)又は経皮的に(すなわち、無傷の皮膚を貫通、進入、又は通過)挿入される物体(例えば、センサ)を指し、これは、インビボ部分及びエクスビボ部分を有するセンサをもたらし得るが、これに限定されない。
【0166】
本明細書で使用される場合、「挿入可能表面積」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、本明細書で記載された分析物センサで利用される平坦な(実質的平面状)基板及び/又はワイヤ基板の表面積を含む、分析物センサの挿入可能部分の表面積を指すが、これに限定されない。
【0167】
本明細書で使用される場合、「挿入可能体積」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、本明細書で記載されるような、分析物センサの挿入可能部分の挿入経路の前方及び側方の体積、並びに分析物センサの挿入可能部分を挿入するために皮膚に作られた切開部を指すが、これに限定されない。挿入可能体積はまた、挿入経路の前方及び側方の体積に対して半径方向又は垂直方向に5mmまでを含む。
【0168】
本明細書で使用される場合、「干渉物質」及び「干渉種」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、センサにおける関心対象の分析物の測定に干渉して、分析物測定を正確に表さない信号を生成する効果及び/又は種を指すが、これに限定されない。電気化学センサの実施例では、干渉種は、測定される分析物又は1つ以上のメディエータと重複する酸化電位を有する化合物である。
【0169】
本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ホストの生体内への挿入及び/又は生体内での存在に適合されたデバイス(例えば、センサ)の部分を包括するが、これに限定されない。
【0170】
本明細書で使用される場合、「エクスビボ」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ホストの生体の外部に留まる及び/又は存在するように適合されたデバイス(例えば、センサ)の一部分を包括するが、これに限定されない。
【0171】
本明細書で使用される場合、「膜」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、生体環境からの露出電極表面の保護、分析物の拡散抵抗(制限)、酵素反応を可能にするための触媒のマトリックスとしての機能、干渉種の制限又は遮断、センサインターフェースの電気化学反応性表面における親水性の提供、ホスト組織と埋め込み型デバイスとの間のインターフェースとしての機能、薬物(又は他の物質)放出によるホスト組織応答の調節、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない機能を果たすように構成された構造を指すが、これらに限定されない。本明細書中で使用されるときに、「膜」及び「マトリックス」という用語は、交換可能であることを意味する。
【0172】
本明細書で使用される場合、「膜システム」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、2つ以上のドメイン、層、又はドメイン内の層から構成することができ、典型的には厚さ数ミクロン以上の材料から構成され、酸素に対して透過性であり、任意選択で、例えばグルコース又は別の分析物に対して透過性である透過性又は半透過性膜を指すが、これに限定されない。実施例では、膜システムは、グルコースと酸素との間で反応が起こることを可能にし、それによってグルコース濃度を測定することができる、固定化グルコースオキシダーゼ酵素を含む。
【0173】
本明細書で使用される場合、「マイクロ」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、拡大しなければ視認できないおおよそ10-6mの小さな物体又はスケールを指すが、これに限定されない。「マイクロ」という用語は、拡大せずに見ることができる大きな物体を指す「マクロ」という用語とは対照的である。同様に、「ナノ」という用語は、おおよそ10-9mの小さな物体又はスケールを指す。
【0174】
本明細書で使用される場合、「ノイズ」という用語は、広義語であり、その通常の意味で使用され、分析物濃度とは無関係であり、センサ性能の低下をもたらし得る、センサ又はセンサ電子機器によって検出される信号を含むが、これに限定されない。あるタイプのノイズは、センサ挿入後の数時間(例えば、約2時間~約24時間)の間に観察される。最初の24時間後、ノイズは、消失又は減少し得るが、いくつかのホストでは、ノイズは、約3日間~4日間存続し得る。いくつかの場合では、ノイズは、予測モデリング、人工知能、及び/又はアルゴリズム手段を使用して低減されることができる。他の場合では、ノイズは、少なくとも1つの生物活性剤を有する生物活性放出膜を使用するなど、埋め込まれたセンサの存在と関連付けられた免疫応答因子に対処することによって低減され得る。例えば、本開示のような1つ以上の例示的なバイオセンサのノイズは、判定され、次いで定性的又は定量的に比較されることができる。実施例として、固定サンプリング間隔(ピコアンペア(picoampere、pA)単位)で生信号時系列を取得することによって、生信号時系列の平滑化されたバージョンは、例えば、三次ローパスデジタルチェビシェフタイプIIフィルタを適用することによって取得されることができる。他の平滑化アルゴリズムを使用することもできる。各サンプリング間隔で、pA単位の絶対差を計算して、平滑化された時系列を提供することができる。この平滑化された時系列は、pA/mg/dLの単位のグルコース感受性時系列を使用して、mg/dLの単位(「ノイズ」の単位)に変換されることができ、グルコース感受性時系列は、生信号と基準血糖測定値(例えば、血糖計から得られる)との間の数学モデルを使用することによって導出される。任意選択で、時系列は、所望に応じて、例えば、時間又は日ごとに集約されることができる。本開示の生物活性放出膜及び1つ以上の生物活性剤を有する異なる例示的バイオセンサ間の対応する時系列の比較は、ノイズの改善の定性的又は定量的判定を提供する。
【0175】
本明細書で使用される場合、「任意選択の」又は「任意選択で」という用語は、広義語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、その後に記載された事象又は状況が起こり得る又は起こり得ないこと、並びにその記載が、事象又は状況が起こる場合及び起こらない場合を含むことを意味するが、これに限定されない。
【0176】
本明細書で使用される場合、「両性高分子電解質ポリマー」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、カチオン性基及びアニオン性基の両方を含むポリマーを指すが、これに限定されない。そのようなポリマーは、ほぼ等しい数の正電荷及び負電荷を有するように調製されることができ、したがって、そのようなポリマーの表面は、ほぼ正味中性に荷電されることができる。代替的に、そのようなポリマーは、過剰の正電荷又は負電荷のいずれかを有するように調製されることができ、したがって、そのようなポリマーの表面は、それぞれ正味正電荷又は正味負電荷であることができる。「両性高分子電解質ポリマー」は、ポリ両性ポリマーを包括する。
【0177】
本明細書で使用される場合、「重合基」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ホモポリマーを形成するためにモノマーのそれ自体との重合を許容する官能基、又はコポリマーを形成するために異なるモノマーと一緒に重合を許容する官能基を指すが、これに限定されない。用いられる重合方法のタイプに応じて、重合基は、アルケン、アルキン、エポキシド、ラクトン、アミン、ヒドロキシル、イソシアネート、カルボン酸、無水物、シラン、ハロゲン化物、アルデヒド、及びカルボジイミドから選択されることができる。
【0178】
本明細書で使用される場合、「ポリ双性イオン」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、ポリマー鎖の繰り返し単位が双性イオン部分であるポリマーを指すが、これに限定されない。ポリ双性イオンはまた、ポリベタインとして公知である。ポリ双性イオンは、カチオン性基及びアニオン性基の両方を有するので、それらは、ポリ両性ポリマーの一種である。しかしながら、カチオン性基及びアニオン性基が両方とも同じ繰り返し単位の一部であり、これは、ポリ双性イオンが同じ数のカチオン性基及びアニオン性基を有するのに対して、他のポリ両性ポリマーが一方のイオン性基を他方よりも多く有することができることを意味するので、それらは、独特である。また、ポリ双性イオンは、繰り返し単位の一部としてカチオン性基及びアニオン性基を有する。ポリ両性ポリマーは、アニオン性基に結合されたカチオン性基を有する必要はなく、それらは、異なる繰り返し単位上に存在することができ、したがって、ランダムな間隔で互いに離れて分布され得るか、又は1つのイオン基が他のイオン基よりも数が多くてもよい。
【0179】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、特定の参照点と比較した様々な要素間の空間的関係を指すが、これに限定されない。例えば、デバイスのいくつかの実施例は、生体界面層及び酵素層を有する膜システムを含む。センサが基準点であるとみなされ、酵素層が生体界面層よりもセンサの近くに位置決めされる場合、酵素層は、生体界面層よりもセンサにより近位である。
【0180】
本明細書で使用される場合、「プロセッサモジュール」及び「マイクロプロセッサ」という語句及び用語は、各々広義の語句及び用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、コンピュータを駆動する基本命令に応答して処理する論理回路を使用して算術又は論理演算を実行するように設計されたコンピュータシステム、ステートマシン、プロセッサ、又は同様のものを指すが、これらに限定されない。
【0181】
本明細書で使用される場合、「半連続的」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、1つ以上の連続的及び非連続的な部分、コーティング、ドメイン、又は層を含む部分、コーティング、ドメイン、又は層を指すが、これに限定されない。例えば、感知領域の周りに配置されるが感知領域については配置されないコーティングは、「半連続」である。
【0182】
本明細書において使用される場合、「感知部分」、「感知膜」、「感知領域」、「感知ドメイン」、及び/又は「感知機構」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、特定の分析物又は分析物の組み合わせに関連付けられた信号の検出又は変換を担うバイオセンサ及び/又はセンサを指すが、これに限定されない。実施例では、感知部分、感知膜、及び/又は感知機構は、概して、電気化学反応性表面を覆う1つ以上の膜との電気化学反応中に信号を提供するように構成された電極を備える。実施例では、かかる感知部分、感知膜、及び/又は感知機構は、検出及び/又は変換素子と組み合わせた生体認識素子を使用する、特定の定量的、半定量的、定性的、半定性的分析信号を提供することが可能である。
【0183】
分析物測定デバイス、バイオセンサ、センサ、感知領域、感知部分、又は感知機構の一般的な動作中、生体試料、例えば血液若しくは間質液、又はそれらの成分は、直接的に、又は1つ以上の膜を通過した後に、酵素、例えばグルコースオキシダーゼ、又はタンパク質、例えば1つ以上の分析物結合領域を有する1つ以上の周辺質結合タンパク質(periplasmic binding protein、PBP)若しくはその変異体若しくは融合タンパク質と接触し、各領域は少なくとも1つの分析物に特異的かつ可逆的に結合することが可能である。生体試料又はその成分と、分析物測定デバイス、バイオセンサ、センサ、感知領域、感知部分、又は感知機構との相互作用は、生体試料中の分析物レベル、例えばグルコースの定性的、半定性的、定量的、又は半定性的判定を可能にする信号の変換をもたらす。
【0184】
実施例では、感知領域又は感知部分は、導電性基板の少なくとも一部分、又は導電性表面の少なくとも一部分、例えば、ワイヤ若しくは導電性トレース、又は実質的に平面状のトレースを含む実質的に平面状の基板、及び膜を備えることができる。実施例では、感知領域又は感知部分は、非導電性本体と、本体上の1つの場所において電気化学反応性表面を形成し、本体上の別の場所において電子接続を形成する作用電極、参照電極、及び対電極(任意選択)と、本体に貼付され、電気化学反応性表面を覆う感知膜と、を備えることができる。いくつかの実施例では、感知膜は、酵素ドメイン、例えば酵素層と、電解質相、例えば以下で更に記載された電解質含有流体を含む自由流動液相とを更に含む。これらの用語は、デバイス全体、又はその感知部分のみ(又はその間の何か)を含むのに十分に広義である。
【0185】
別の実施例では、感知領域は、1つ以上の分析物結合領域を有する1つ以上の周辺質結合タンパク質(PBP)又はその変異体若しくは融合タンパク質を含むことができ、各領域は、少なくとも1つの分析物に特異的かつ可逆的に結合することが可能である。PBPの変異は、タンパク質を特別な封入マトリックス、膜若しくはポリマーに結合させるために、又は結合領域の変化を示すために検出可能なレポーター基若しくは「標識」を付着させるために、結合定数、熱安定性を含むタンパク質の延長された安定性の1つ以上に寄与するか、又はそれを変化させることができる。結合領域の変化の具体的実施例は、疎水性/親水性の環境変化、三次元立体構造的変化、タンパク質の結合領域におけるアミノ酸側鎖の配向の変化、及び結合領域の酸化還元状態を含むが、これに限定されない。結合領域に対するそのような変化は、生体液中に存在する1つ以上の分析物に対応する検出可能な信号の変換を提供する。
【0186】
実施例では、感知領域は、測定されなければならない分析物のみが検出可能な信号をもたらす(変換する)ように、1つ以上の分析物間の選択性を判定する。本選択は、分析物の化学組成が変化しない場合、又は分析物の化学組成を変化させる分析物の反応を感知領域が引き起こすか又は触媒する場合、感知領域による分析物の任意の化学的又は物理的認識に基づき得る。
【0187】
感知領域は、分析物の認識を半定量的又は定量的信号に変換する。したがって、本明細書で使用される場合、「変換すること」又は「変換」及びそれらの文法的等価物は、光学的、電気化学的、音響的/機械的、又は比色的な技術及び方法を包含する。電気化学的特性は、電流及び/又は電圧、キャパシタンス、並びに電位を含む。光学特性は、吸光度、蛍光/燐光、波長シフト、位相変調、生物/化学発光、反射率、光散乱、及び屈折率を含む。
【0188】
本明細書で使用される場合、「感度」という用語は、広義の用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、測定された分析物の所定量(単位)によって生成される信号の量(例えば、電流及び/又は電圧の形態における)を指すが、これに限定されない。例えば、センサは、1mg/dLのグルコース分析物ごとに約1ピコアンペア~約100ピコアンペアの電流の感度(又は勾配)を有する。
【0189】
本明細書で使用される場合、「小径センサ」、「小型構造化センサ」、及び「マイクロセンサ」という語句及び用語は、広義の語句及び用語であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、少なくとも1つの寸法が約2mm未満である感知機構を指すが、これに限定されない。更なる実施例では、感知機構は、少なくとも1つの寸法が約1mm未満である。いくつかの実施例では、感知機構(センサ)は、約0.95、0.9、0.85、0.8、0.75、0.7、0.65、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1mm未満である。いくつかの実施例では、感知機構の独立して測定された長さ、幅、直径、厚さ、又は円周の最大寸法は、約2mmを超えない。いくつかの実施例では、感知機構は、直径が約1mm未満である針型センサであり、例えば、Wardらの米国特許第6,613,379号、及びBristerらの米国特許第7,497,827号を参照されたく、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの代替的実施例では、感知機構は、実質的平面状基板上に堆積された電極を含み、埋め込み型部分の厚さは、約1mm未満であり、例えば、Sayらの米国特許第6,175,752号、及びMastrototaroらの米国特許第5,779,665号を参照されたく、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書において論じられるセンサ(センサ電極レイアウト及び膜)並びにセンサシステムを形成する方法の例は、現在係属中のBoockらの米国特許出願公開第2019/0307371号において見出され得、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0190】
本明細書において使用される場合、「ソフトセグメント」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、鎖に可撓性を付与する、例えば、ポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、又はポリウレタン尿素コポリマーなどのコポリマーの要素を指すが、これに限定されない。「ソフトセグメント」という語句は、低Tg、例えば、典型的には周囲温度又は正常な哺乳動物体温よりも高くないTgを有する非晶質材料として更に特徴付けることができる。
【0191】
本明細書で使用される場合、「固体部分」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、空洞、空隙、又は他の非固体部分を区画する機械的構造を有する膜の材料の部分を指すが、これに限定されない。
【0192】
本明細書で使用される場合、「双性イオン」及び「双性イオン化合物」という用語及び語句は、各々広義の用語及び語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、化合物の中性分子が分子内の異なる位置に単位正電荷及び単位負電荷を有する化合物を指すが、これに限定されない。そのような化合物は、双極性化合物の一種であり、「内塩」と称されることもある。
【0193】
本明細書で使用される場合、「双性イオン前駆体」又は「双性イオン化合物前駆体」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、それ自体は双性イオンではないが、化学反応によって最終又は遷移状態で双性イオンになることができる任意の化合物を指すが、これに限定されない。本明細書に記載されたいくつかの実施例では、デバイスは、デバイスのインビボ埋め込み前に双性イオンに変換されることができる双性イオン前駆体を含む。代替的に、本明細書に記載されたいくつかの実施例では、デバイスは、デバイスのインビボ埋め込み後に生じるいくつかの化学反応によって双性イオンに変換されることができる双性イオン前駆体を含む。そのような反応は、当業者に公知であり、開環反応、マイケル(Michael)付加などの付加反応を含む。本方法は、ベタイン含有モノマーの重合が、分子量及び機械的強度のような所望の物理的特性を達成するためのベタインモノマーの溶解性などの技術的課題のために困難であるときに、特に有用である。ベタイン前駆体の重合後修飾又は変換は、所望のポリマー構造体及び組成を達成するための実用的な方法であることができる。そのような前駆体の実施例は、三級アミン、四級アミン、ピリジン、及び本明細書に詳述される他のものを含む。
【0194】
本明細書で使用される場合、「双性イオン誘導体」又は「双性イオン化合物誘導体」という語句は、広義の語句であり、当業者に対するその通常の、かつ慣例的な意味が与えられるものであり(かつ特別な、又はカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、それ自体が双性イオンではなく、むしろ双性イオンが非双性イオンに変換される化学反応の生成物である任意の化合物を指すが、これに限定されない。そのような反応は、特定の条件下で双性イオン誘導体が双性イオン前駆体として作用することができるように、可逆的であることができる。例えば、双性イオン性ベタインから形成される加水分解性ベタインエステルは、適切な条件下で加水分解を受けて双性イオン性ベタインに戻ることが可能であるカチオン性双性イオン誘導体である。
【0195】
皮下組織に経皮的に挿入又は埋め込まれるデバイス及びプローブは、従来、異物反応(foreign body response、FBR)を誘発し、これは、異物の導入に対する身体の応答の一部として、最終的に異物カプセル(FBC)を形成する炎症細胞の侵入を含む。本明細書で論じられる連続監視システムは、1つ、2つ、又はそれ以上の分析物を同時に、順次に、及び/又はランダムに(ピコ秒、ナノ秒、ミリ秒、秒、又は分単位で独立して起こることができる事象を包括する)監視して、健康関連事象及び健康システム性能(例えば、循環器、呼吸器、消化器、若しくは他の系、又は器官若しくは系の組み合わせなどの人体の系の現在及び将来の性能)を予測するように構成された連続分析物監視システムを含む。実施例では、デバイス、例えば、グルコース感知デバイスの挿入又は埋め込みは、上で詳細に説明されたように、線維性組織の同時構築を伴う慢性炎症に消散する急性炎症反応をもたらし得る。最終的に、ある期間にわたって、主に収縮性線維組織を含む成熟FBCは、デバイスの周囲に形成される。Shanker及びGreisler、Inflammation and Biomaterials in Greco RS, ed.,「Implantation Biology: The Host Response and Biomedical Devices」pp 68-80, CRC Press (1994)を参照されたい。従来の埋め込まれたデバイスを取り囲むFBCは、デバイス-組織界面を横切る分析物の輸送を妨害又は遮断することが示されている。したがって、インビボでの連続的に延長された寿命の分析物輸送(例えば、最初の数日を超えて)は、従来、信頼できないか又は不可能であると考えられてきた。
【0196】
いくつかの実施例では、最初の数日におけるFBRの特定の態様は、ノイズにおいて役割を果たし得る。いくつかのセンサは、挿入後の最初の数時間の間、それらが後に機能するよりも不十分に機能することが観察されている。これは、挿入後の最初の数時間(例えば、約2~約24時間)の間の信号のノイズ及び/又は抑制によって例示される。これらの異常は、しばしば自然に解消し、その後、センサは、ノイズが少なくなり、感度が改善され、初期よりも正確になる。いくつかの経皮センサ及び完全埋め込み型センサは、ホストへの適用(すなわち、経皮的に挿入されたか、又は皮膚の下に完全に埋め込まれた)後、ある期間にわたってノイズを受けることが観察されている。
【0197】
センサが最初に皮下組織に挿入又は埋め込まれたときに、センサは、多種多様な可能な組織構造と接触する。異なるホストにおける皮下組織は、非常に運動能力の高い人々の場合には比較的脂肪を含み得ず、又は大多数の人々において大部分が脂肪から構成され得る。脂肪は、非常に白いふんわりした脂肪から非常に密度の高い線維質の脂肪まで、幅広い質感がある。いくつかの脂肪は、非常に黄色であり、濃く見え、いくつかは、非常に透明で、ふわふわしており、白く見えるが、他の場合には、それは、より赤色又は茶色である。脂肪は、数インチの厚さであるか、又はわずか1cmの厚さであり得る。それは、非常に脈管性であるか、又は比較的非脈管性であり得る。糖尿病を有する多くのホストは、長年のインスリンポンプ使用又はインスリン注射に起因して、いくらかの皮下瘢痕組織を有する。時には、挿入の間、センサは、そのような瘢痕領域内で静止し得る。皮下組織は、所与のホストの腹部における1つの場所から別の場所まで大きく変化することさえあり得る。更に、偶然に、センサは、所与のホストのより密に血管新生された領域の近くで、又はより血管新生されていない領域で静止し得る。理論に束縛されることを望むものではないが、センサを取り囲む流体ポケットの形成を含む、センサ表面と周囲の細胞との間の空間の生成は、センサ性能を増強し得ると考えられる。したがって、本明細書で論じられる連続分析物監視システムは、精度を損なうことなく延長された寿命を提供し、これはまた、ホストの経験を改善することができる。
【0198】
図1Aは、挿入された経皮センサ又は埋め込まれたセンサ34と接触する脂肪細胞の側面概略図である。この場合では、センサ34は、脂肪細胞が表面に対して押し付けられた状態で小さな空間にしっかりと挿入されている。脂肪細胞とセンサとの密接な関連性はまた、例えば、センサの表面が疎水性である場合、起こることができる。例えば、脂肪細胞200及び/若しくは炎症細胞、並びに/又は真皮、筋膜、及び/若しくは結合組織などの他の組織タイプは、センサの表面及び/又は作用電極38へのアクセスを物理的に遮断することができる活性代謝界面を生成し得る。
【0199】
典型的には、脂肪細胞は、直径が約120ミクロンであることができ、典型的には小さな毛細血管205によって供給される。センサが脂肪組織に対して押し付けられるときに、非常に少ない毛細血管が、実際にセンサの表面近くに来ることができる。これは、例えば、セロファンなどの不透過性材料でセンサの表面を覆うことに類似し得る。セロファンにいくつかの小さな穴があったとしても、センサの機能は、損なわれる可能性が高いであろう。追加的に、周囲の組織は、低い代謝率を有し、したがって多量のグルコース及び酸素を必要としない。理論に束縛されることを望むものではないが、この初期期間中、センサの信号はノイズが多い可能性があり、センサ表面と脂肪細胞との密接な関連、並びに物理的-機械的理由及び生理学的理由の両方のための酸素及びグルコースの利用可能性の減少により、信号が抑制され得ると考えられる。
【0200】
ここで、センサの拡張された機能を参照すると、埋め込みの数日又は数週間後、これらのデバイスは、典型的には、それらの機能を失う。一部の用途では、細胞の攻撃又はセンサへの細胞の移動は、特に埋め込みの初日の後に、デバイスの感度及び/又は機能の低下を引き起こす可能性がある。また、例えば、米国特許第5,791,344号及びGrossら及び「Performance Evaluation of the MiniMed Continuous Monitoring System During Host home Use」、Diabetes Technology and Therapeutics,(2000)2(1):49-56を参照されたく、これらは、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)によってヒトにおける使用について承認されたグルコースオキシダーゼベースのデバイスを報告しており、このデバイスは、埋め込み後数日間は良好に機能するが、数日(例えば、数日~約14日まで)後には急速に機能を失う。
【0201】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、デバイス機能のこの性能低下は、埋め込み後の最初の数日間にセンサ部位に移動する多形核細胞及び単球などの細胞による可能性が最も高いと考えられる。これらの細胞は、とりわけ、局所的なグルコース及び酸素を消費する。そのような細胞が過剰に存在する場合、それらは、デバイス酵素層に到達することができる前にグルコース及び/又は酸素を枯渇させ、それによって、デバイスの感度を低下させるか、又はそれを機能しなくする可能性がある。デバイス機能の更なる阻害は、炎症細胞、例えば、マクロファージに起因し得、炎症細胞は、例えば、界面において、埋め込み型デバイス及び隣接する組織と関連付けられ、例えば、バリア細胞層の形成によって、デバイスへのグルコースの輸送/流動を物理的に遮断及び/又は減衰する。追加的に、これらの炎症細胞は、多くの人工生体材料(その一部は、最近まで非生分解性であると考えられていた)を生分解することができる。異物によって活性化されるときに、組織マクロファージは、脱顆粒し、次亜塩素酸塩(漂白剤)及び他の酸化種、酵素、スーパーペルオキシドアニオン、様々なポリマーを分解することが公知であるヒドロキシルイオン/ラジカル生成部分を放出する。
【0202】
図1Bは、例示的な一実施例における、挿入された経皮センサ又は埋め込まれたセンサの生体界面膜の側面概略図である。この図では、生体界面膜68は、センサ34を取り囲み、作用電極38を覆っている。一実施例では、生体界面膜68は、生物活性放出膜70と組み合わせて使用され、生物活性放出膜は、生体界面膜68の一部分に隣接するか、又は少なくとも部分的に生体界面膜68の一部分を覆う。別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面膜68によって少なくとも部分的に覆われる。別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面膜68なしで使用される。
【0203】
したがって、例えば、多孔質生体界面材料、メッシュケージなどを含むがこれらに限定されない生体界面(これらの全てが、他の箇所でより詳細に記載されている)を含むセンサを用いて、センサ機能を改善することができる(例えば、最初の数時間~数日)。
【0204】
いくつかの状況では、例えば、拡張センサでは、異物反応は、埋め込まれたデバイスの拡張された埋め込みを取り囲む主要な事象であり、分析物輸送を妨害又は遮断するのではなく支持するように管理又は操作されることができると考えられる。別の態様では、センサの寿命を延ばすために、一実施例は、例えば多孔質生体界面膜内で、血管新生された組織内方成長を促進する材料を用いる。例えば、拡張センサを取り囲む多孔質生体界面材料への組織内方成長は、長期間(例えば、数週間、数ヶ月、又は数年)にわたってセンサ機能を促進し得る。組織床の内方成長及び形成は、3週間までかかる可能性があることが観察されている。組織内方成長及び組織床形成は、異物反応の一部であると考えられる。本明細書で論じられるように、異物反応は、センサを取り囲み、経時的に組織及び微小血管系の内方成長を促進する、多孔質生体界面材料の使用によって操作されることができる。
【0205】
(感知機構)
一般に、本開示の分析物センサは、少なくともその一部分に、小型構造体(例えば、小型構造化センサ、マイクロセンサ、又は小径センサ)、例えば、針型センサを有する感知機構36を含む。本明細書で使用される場合、「小型構造体」は、好ましくは、少なくとも1つの寸法が約1mm未満であるアーキテクチャを指す。小型構造化感知機構は、ワイヤベース基板、基板ベース、又は任意の他のアーキテクチャとすることができる。いくつかの代替的実施例では、「小型構造体」という用語はまた、約1mmよりも大きい最小寸法を有するものなど、わずかに大型の構造体を指すことができるが、アーキテクチャ(例えば、質量又はサイズ)は、サイズ及び/又は質量による異物反応を最小限に抑えるように設計されている。一実施例では、生体界面膜は、以下により詳細に記載されるように、感知機構36上に形成されている。別の実施例では、生物活性放出膜70は、作用電極38に隣接して感知機構36上に形成される。別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面層68と組み合わせて使用される。別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面層68なしで使用される。
【0206】
図2Aは、経皮分析物センサ又は針型センサとも称される連続分析物センサ34の例示的な実施例の拡大図であり、特に感知機構36を示している。好ましくは、感知機構は、本明細書で定義されるような小型構造を備え、ホストの皮膚の下に挿入するように適合されており、センサの残りの本体(例えば、電子機器など)は、エクスビボに存在することができる。図示された実施例では、連続分析物センサ34は、2つの電極、すなわち、作用電極38と、対電極及び/又は参照電極30として機能し得る少なくとも1つの追加の電極、以下、参照電極30と称されるもの、とを含む。
【0207】
いくつかの例示的な実施例では、各電極は、例えば、約0.001インチ以下から約0.010インチ以上までの直径を有する細いワイヤから形成され、例えば、めっき絶縁体、めっきワイヤ、又はバルク導電性材料から形成されている。例示された電極構成及び関連する本文は、経皮センサを形成する1つの好ましい方法を記載するが、様々な公知の経皮センサ構成は、Wardらの米国特許第6,695,860号、Sayらの米国特許第6,565,509号、Causey IIIらの米国特許第6,248,067号、及びHellerらの米国特許第6,514,718号に記載されているように、本開示の経皮分析物センサシステムとともに用いられることができる。
【0208】
実施例では、作用電極は、白金、白金-イリジウム、パラジウム、グラファイト、金、炭素、導電性ポリマー、合金などの導電性材料から形成されたワイヤを備える。電極は、種々の製造技術(バルク金属処理、基板上への金属の堆積など)によって形成することができるが、めっきワイヤ(例えば、スチールワイヤ上の白金)又はバルク金属(例えば、白金ワイヤ)から電極を形成することが有利であり得る。バルク金属ワイヤから形成された電極は、(例えば、堆積された電極とは対照的に)アッセイの安定性の増大、製造性の単純化、(例えば、堆積プロセスにおいて導入され得る)汚染に対する抵抗、及び剥離又は層間剥離のない(例えば、材料の純度に起因する)表面反応の改善を含む、優れた性能を提供すると考えられる。
【0209】
作用電極38は、1つ以上の分析物の濃度を測定するように構成されている。例えば、グルコースを検出するための酵素電気化学センサでは、作用電極は、検出される分析物の酵素触媒反応によって産生される過酸化水素を測定し、測定可能な電子電流を生成する。例えば、グルコースオキシダーゼが副生成物として過酸化水素を生成するグルコースの検出では、過酸化水素は、作用電極の表面と反応して、2つのプロトン(2H+)、2つの電子(2e-)及び1つの酸素分子(O2)を生成し、これが検出される電子電流を生成する。
【0210】
作用電極38は、絶縁材料、例えば非導電性ポリマーで覆われている。浸漬コーティング、スプレーコーティング、蒸着、又は他のコーティング若しくは堆積技術は、絶縁材料を作用電極上に堆積させるために使用され得る。一実施例では、絶縁材料は、パリレンを含み、パリレンは、その強度、潤滑性、及び電気絶縁特性のために有利なポリマーコーティングであることができる。概して、パリレンは、パラキシリレン(又はその置換誘導体)の蒸着及び重合によって産生されている。しかしながら、任意の好適な絶縁材料は、例えば、フッ素化ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミド、他の非導電性ポリマーなどが使用され得る。ガラス又はセラミック材料もまた、用いられることができる。使用に好適な他の材料は、ペンシルバニア州ベラフォンテのAdvanced Materials Components Expressによって商品名AMC18、AMC148、AMC141、及びAMC321で市販されているような表面エネルギー改質コーティングシステムを含む。しかしながら、いくつかの代替的実施例では、作用電極は、絶縁体のコーティングを必要としなくてもよい。
【0211】
好ましくは、参照電極単独として、又は二重参照電極及び対電極として機能し得る、参照電極30は、銀、銀/塩化銀などから形成される。好ましくは、電極は、互いに並置され、かつ/又は互いに、若しくは互いの周りにねじられるが、他の構成も可能である。一実施例では、参照電極30は、
図1Bに図示されるように、作用電極38の周りに螺旋状に巻かれている。次いで、ワイヤのアセンブリが、絶縁付着(例えば、作用電極及び参照電極を一緒に固定すること)を提供するために、上述と同様の絶縁材料と一緒に任意選択でコーティングされ得る。
【0212】
外側絶縁体35が配置されている実施例では、コーティングされたアセンブリ構造体の一部分は、電気化学活性表面を露出させるために、例えば、手、エキシマレーザ、化学エッチング、レーザアブレーション、グリットブラスト(例えば、重炭酸ナトリウム、固体二酸化炭素、若しくは他の好適なグリットで)などによって、剥離されるか、又は別様に除去され得る。代替的に、電極の一部分は、露出された電気化学活性表面積を維持するために、絶縁体を堆積する前にマスキングされ得る。例示的な一実施例では、グリットブラストは、好ましくは、ポリマー材料をアブレーションするのに十分に硬いが、下にある金属電極(例えば、白金電極)への損傷を最小限に抑えるか又は回避するように十分に柔らかいグリット材料を利用して、電気化学活性表面を露出させるために実装されている。様々な「グリット」材料(例えば、砂、タルク、クルミ殻、粉砕プラスチック、海塩、固体二酸化炭素など)が使用されることができるが、いくつかの一実施例では、重炭酸ナトリウムは、例えば、下にある白金導体を損傷することなく、例えば、パリレンコーティングをアブレーションするのに十分に硬いので、有利なグリット材料である。重炭酸ナトリウムブラストの1つの追加の利点は、それがポリマー層を剥離する際に金属上でのその研磨作用を含み、それによって、別様に必要であり得る洗浄ステップが排除される。
【0213】
いくつかの実施例では、半径方向窓は、作用電極の周方向の電気化学活性表面を露出させるために、絶縁材料を通して形成される。加えて、参照電極の電気化学活性表面のセクションは、露出される。例えば、電気化学活性表面のセクションは、外側絶縁層の堆積中にマスキングすることができるか、又は外側絶縁層の堆積後にエッチングすることができる。
【0214】
一部の用途では、細胞の攻撃又はセンサへの細胞の移動は、特に埋め込みの初日の後に、デバイスの感度及び/又は機能の低下を引き起こす可能性がある。しかしながら、露出電気活性表面がセンサの周りに周方向に分布しているときに(例えば、半径方向窓のように)、反応に利用可能な表面積は、センサ信号に対するセンサの局所的な細胞侵入の影響を最小限に抑えるように十分に分布させることができる。代替的に、接線方向に露出した電気化学的に活性な窓は、例えば、コーティングされたアセンブリ構造の片側のみを剥離することによって形成され得る。他の代替的な実施例では、窓は、電気化学活性表面がセンサの先端で露出されるように、コーティングされたアセンブリ構造体の先端に提供され得る。また、電気化学活性表面を露出させるための他の方法及び構成を用いることができる。
【0215】
好ましくは、上で例示されたセンサは、約0.020インチ(約0.51mm)以下、より好ましくは、約0.018インチ(約0.46mm)以下、最も好ましくは、約0.016インチ(0.41mm)以下の全径を有する。いくつかの実施例では、作用電極は、約0.001インチ以下から約0.010インチ以上まで、好ましくは、約0.002インチ~約0.008インチ、より好ましくは、約0.004インチ~約0.005インチの直径を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。窓の長さは、約0.1mm(約0.004インチ)以下から約2mm(約0.078インチ)以上まで、好ましくは、約0.5mm(約0.02インチ)~約0.75mm(0.03インチ)であり得、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。かかる実施例では、作用電極の露出表面積は、好ましくは、約0.000013in2(0.0000839cm2)以下から約0.0025in2(0.016129cm2)以上までであり(直径が、約0.001インチ~約0.010インチであり、長さが約0.004インチ~約0.078インチであると仮定する)、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。作用電極の露出表面積は、本明細書の他の箇所でより詳細に記載されるように、フェムトアンペア範囲、ピコアンペア範囲、ナノアンペア範囲、又はマイクロアンペア範囲の電流を有する分析物信号を生成するように選択されている。しかしながら、ピコアンペア範囲以下の電流は、様々な要因、例えば、電子回路設計(例えば、サンプルレート、電流引き込み、A/D変換器ビット分解能など)、膜システム(例えば、膜システムを通る分析物の透過性)、及び作用電極の露出表面積に依存することができる。したがって、露出した電気化学的に活性な作用電極表面積は、膜システム及び/又は電子回路内の変更を考慮して、上述の範囲よりも大きい値又は上述の範囲未満の値を有するように選択することができる。グルコースセンサの実施例では、高グルコース濃度範囲及び低グルコース濃度範囲の両方においてセンサ性能を維持しながら、信号対ノイズ比を最適化するために、グルコースの拡散率を最大にしながら、作用電極の表面積を最小限に抑えることが有利であり得る。
【0216】
いくつかの代替的実施例では、作用(及び/又は他の)電極の露出表面積は、電極自体の断面を変更することによって増加させることができる。例えば、いくつかの実施例では、作用電極の断面は、十字形、星形、クローバーリーフ形、リブ形、くぼみ形、隆起形、不規則形、又は他の非円形構成によって画定されることができ、したがって、電極の任意の所定の長さについて、(円形断面によって達成される面積と比較して)特定の増加した表面積を達成することができる。作用電極の表面積を増加させることは、分析物濃度に応答して増加した信号を提供するのに有利であり得、これは次に、例えば、信号対ノイズ比を改善するのに役立つことができる。
【0217】
いくつかの代替的実施例では、追加の電極、例えば、3電極システム(作用電極、参照電極、及び対電極)及び/又は追加の作用電極(例えば、酸素を生成するために使用されることができる電極、ベースライン減算電極として構成される電極、又は追加の分析物を測定するために構成される電極)がアセンブリ内に含まれることができる。2004年12月7日に出願された、米国特許第7,081,195号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR IMPROVING ELECTROCHEMICAL ANALYTE SENSORS」、及び2004年12月3日に出願された、米国特許第7,715,893号、表題「CALIBRATION TECHNIQUES FOR A CONTINUOUS ANALYTE SENSOR」は、追加の作用電極、対電極、及び/又は参照電極を実装及び使用するためのいくつかのシステム及び方法を記載する。センサが2つの作用電極を備える一実装形態では、2つの作用電極は、並置され(例えば、互いに平行に延在し)、その周りに参照電極が配置されている(例えば、螺旋状に巻かれている)。2つ以上の作用電極が提供されるいくつかの実施例では、作用電極は、センサの長さに沿って(例えば、参照電極、絶縁ロッド、又は他の支持構造体を取り囲む)、二重、三重、四重などの螺旋構成で形成されることができる。結果として得られる電極システムは、適切な膜システムを用いて構成することができ、第1の作用電極は、グルコース及びベースラインを含む第1の信号を測定するように構成されており、追加の作用電極は、ベースラインのみからなるベースライン信号を測定するように構成されている(例えば、酵素が配置されていない第1の作用電極と実質的に同様に構成されている)。このようにして、ベースライン信号は、第1の信号から減算されて、信号上のベースライン種及び/又は干渉種の変動を実質的に受けないグルコースのみの信号を生成することができる。したがって、上述の寸法は、必要どおりに変更することができる。本開示は、別のバルク金属ワイヤの周りに螺旋状に巻かれた1つのバルク金属ワイヤを含む1つの電極構成を開示するが、他の電極構成も企図されている。代替的実施例では、作用電極は、その間に絶縁体を含む、内部に配置又はコイル状にされた参照電極を有する管を備える。代替的に、参照電極は、その間に絶縁体を含む、内部に配置又はコイル状にされた作用電極を有する管を備える。別の代替的実施例では、ポリマー(例えば、絶縁)ロッドが提供され、電極がその上に堆積されている(例えば、電気めっきされる)。更に別の代替的実施例では、絶縁材料でコーティングされた金属(例えば、スチール)ロッドが提供され、その上に作用電極及び参照電極が堆積されている。更に別の代替的実施例では、1つ以上の作用電極が、参照電極の周りに螺旋状に巻かれている。
【0218】
本開示の方法は、小型構造化センサ、マイクロセンサ、又は小径センサとともに使用するのに特に適しているが、本方法は、より大きな直径のセンサ、例えば直径が1mm~約2mm以上のセンサとともに使用するのに好適であることができる。
【0219】
いくつかの代替的実施例では、感知機構は、平面状基板上に堆積された電極を含み、埋め込み型部分の厚さは、約1mm未満であり、例えば、Sayらの米国特許第6,175,752号、及びMastrototaroらの米国特許第5,779,665号を参照されたく、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0220】
(感知膜)
実施例では、感知膜32は、連続分析物センサ34の電気化学活性表面上に配置されており、1つ以上のドメイン又は層を含む。一般に、感知膜は、例えば、そこを通る生体液の流動を制御するように、かつ/又は生体液による汚染からセンサの感受性領域を保護するように機能する。いくつかの従来の電気化学酵素ベースの分析物センサは、概して、例えば、測定される分析物の流動を制御し、生体液の汚染から電極を保護し、かつ/又は分析物と補因子との反応を触媒する酵素を提供する感知膜を含む。例えば、2004年5月3日に出願された、米国特許出願公開第2005/0245799号、表題「IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR」)及び2005年3月10日出願された、米国特許第7,497,827号、表題「TRANSCUTANEOUS ANALYTE SENSOR」を参照されたく、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0221】
本開示の感知膜は、任意の分析物センサ(上でより詳細に記載されたような)とともに使用するのに好適な任意の膜構成を含むことができる。一般に、本開示の感知膜は、1つ以上のドメインを含み、当業者によって理解されるように、その全て又はいくつかは、分析物センサに粘着又は堆積されることができる。実施例では、感知膜は、概して、上記で参照された米国特許公開物に記載されているような、以下の機能、1)露出された電極表面の生体環境からの保護、2)分析物の拡散抵抗(制限)、3)酵素反応を可能にするための触媒、4)干渉種の制限又は遮断、及び5)センサ界面の電気化学反応性表面での親水性、のうちの1つ以上を提供する。
【0222】
(電極ドメイン)
いくつかの実施例では、膜システムは、任意選択の電極ドメインを備える電極膜を備える。電極ドメインは、電気化学反応が作用電極の電気化学活性表面と参照電極との間で発生することを確実にするために提供され、したがって電極ドメインは、好ましくは、酵素ドメインよりも電気化学活性表面により近位に置かれている。好ましくは、電極ドメインは、センサの電気化学反応性表面に水の層を維持する半透過性コーティングを含み、例えば、結合剤材料中の湿潤剤を電極ドメインとして用いられることができ、これは、水性環境におけるイオンの完全な輸送を可能にする。電極ドメインはまた、不十分な電解質によって引き起こされる電極の起動及びドリフトの問題を克服することによって、センサの動作を安定させるのを助けることができる。電極ドメインを形成する材料はまた、電極の電気化学的活性による大きなpH勾配の形成に起因し得るpH媒介損傷から保護することができる。
【0223】
実施例では、電極ドメインは、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上まで、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5~約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は19.5ミクロン、より好ましくは、約2、2.5、又は3ミクロン~約3.5、4、4.5、又は5ミクロンの「ドライフィルム」厚さを有する、可撓性で、水膨潤性のヒドロゲルフィルムを含み、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。「ドライフィルム」厚さは、標準的なコーティング技術によってコーティング製剤から流延された硬化フィルムの厚さを指す。
【0224】
特定の実施例では、電極ドメインは、ウレタンポリマーと親水性ポリマーとの硬化性混合物から形成されている。特に好ましいコーティングは、カルボキシレート官能基及び非イオン性親水性ポリエーテルセグメントを有するポリウレタンポリマーから形成され、ここで、ポリウレタンポリマーは、ポリビニルピロリドンの存在下で水溶性カルボジイミド(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide、EDC))で架橋され、約50℃の適度な温度で硬化される。
【0225】
好ましくは、電極ドメインは、センサの電気化学活性表面をスプレー又は浸漬コーティングすることによって堆積されている。より好ましくは、電極ドメインは、電気化学活性表面を電極溶液中に浸漬コーティングし、約40℃~約55℃の温度で、約15分~約30分間ドメインを硬化させることによって形成され、(及び真空(例えば、20mmHg~30mmHg)下で達成され得)、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。浸漬コーティングが電極ドメインを堆積させるために使用される実施例では、約1インチ/分~約3インチ/分の好ましい挿入速度、約0.5分~約2分の好ましい滞留時間、及び約0.25インチ/分~約2インチ/分の好ましい引き出し速度が、機能性コーティングを提供し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。しかしながら、上記の値以外の値は、例えば、当業者によって理解されるように、粘度及び表面張力に応じて、許容可能であるか、又は特定の実施例では望ましい場合さえあることができる。一実施例では、電極システムの電気化学活性表面は、1回(1層)浸漬コーティングされ、真空下で50℃で20分間硬化される。
【0226】
独立した電極ドメインが本明細書において説明されるが、いくつかの実施例では、十分な親水性が、干渉ドメイン及び/又は酵素ドメイン(電気化学活性表面に隣接するドメイン)に提供され得、(例えば、別個の電極ドメインなしで)水性環境におけるイオンの完全な輸送を提供することができる。
【0227】
(干渉ドメイン)
いくつかの実施例では、任意選択の干渉ドメインが提供され、これは概して、1つ以上の干渉物質の流れを制限するポリマードメインを含む。いくつかの実施例では、干渉ドメインは、電極によって測定される分析物及び他の物質を通過させるが、アスコルベート及び尿素などの干渉物質を含む他の物質の通過を防止する分子ふるいとして機能する(Shultsの米国特許第6,001,067号を参照されたい)。グルコースオキシダーゼベースの電気化学センサのためのいくつかの既知の干渉物質は、アセトアミノフェン、アスコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフェン、L-ドーパ、メチルドーパ、サリチル酸、テトラサイクリン、トラザミド、トルブタミド、トリグリセリド、及び尿酸を含む。
【0228】
干渉ドメインのためのベース材料として利用されることができるいくつかのポリマータイプは、例えば、ポリウレタン、ペンダントイオン基を有するポリマー、及び制御された孔径を有するポリマーを含む。一実施例では、干渉ドメインは、非膨潤性であり、低分子量種の拡散を制限する薄い疎水性膜を含む。干渉ドメインは、過酸化水素のような比較的低分子量の物質に対して透過性であるが、グルコース及びアスコルビン酸を含むより高分子量の物質の通過を制限する。本開示の膜システムに適用することができる干渉種を低減するか又は排除するための他のシステム及び方法は、2004年7月21日に出願された、米国特許第7,074,307号、表題「ELECTRODE SYSTEMS FOR ELECTROCHEMICAL SENSORS」、2004年11月16日に出願された、米国特許出願公開第2005/0176136号、表題「AFFINITY DOMAIN FOR AN ANALYTE SENSOR」、2004年12月7日に出願された、米国特許第7,081,195号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR IMPROVING ELECTROCHEMICAL ANALYTE SENSORS」、及び2004年12月3日に出願された、米国特許第7,715,893号、表題「CALIBRATION TECHNIQUES FOR A CONTINUOUS ANALYTE SENSOR」において説明される。いくつかの代替的実施例では、別個の干渉ドメインは、含まれていない。
【0229】
実施例では、干渉ドメインは、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上まで、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5~約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は19.5ミクロン、より好ましくは、約2、2.5、又は3ミクロン~約3.5、4、4.5、又は5ミクロンのドメイン厚で、電極ドメイン上に(又は別個の電極ドメインが含まれないときに、電気化学活性表面上に直接)堆積され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。より厚い膜はまた、有用であることができるが、より薄い膜は、酵素膜から電極への過酸化水素の拡散速度に対する影響がより小さいので、概して好ましい。残念なことに、従来使用された干渉ドメインの薄い厚さは、膜システム処理において変動性を導入することができる。例えば、膜システム内に組み込まれる干渉ドメインが多すぎたり少なすぎたりすると、膜の性能は、悪影響を受ける可能性がある。
【0230】
(酵素ドメイン)
一実施例では、膜システムは、干渉ドメイン(又は別個の干渉が含まれないとき、電極ドメイン)よりも電気化学活性表面からより遠位に配置された酵素ドメインを更に含む。いくつかの実施例では、酵素ドメインは、(電極又は干渉ドメインにいずれも含まれないとき)電気化学活性表面上に直接堆積されている。一実施例では、酵素ドメインは、以下により詳細に記載されるように、分析物及びその共反応物の反応を触媒する酵素を提供する。好ましくは、酵素ドメインは、グルコースオキシダーゼを含むが、しかしながら、他のオキシダーゼ、例えば、ガラクトースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、又はウリカーゼオキシダーゼもまた使用され得る。
【0231】
酵素ベースの電気化学グルコースセンサが良好に機能するためには、センサの応答は、酵素活性によっても共反応物濃度によっても制限されないことが好ましい。グルコースオキシダーゼを含む酵素は、周囲条件においてさえ時間の関数として不活性化を受けるので、この挙動は、酵素ドメインを形成することにおいて補償されている。好ましくは、酵素ドメインは、酵素を含むコロイド状ポリウレタンポリマーの水性分散液から構成されている。しかしながら、代替的実施例では、酵素ドメインは、一過性虚血の間に過剰な酸素の供給を提供するために、酸素増強材料、例えば、シリコーン又はフッ化炭素から構築される。好ましくは、酵素は、ドメイン内に固定化される。2004年7月21日に出願された米国特許第7,379,765号、表題「Oxygen Enhancing Membrane Systems for Implantable Device」を参照されたい。
【0232】
実施例では、酵素ドメインは、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上まで、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5~約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は19.5ミクロン、より好ましくは、約2、2.5、又は3ミクロン~約3.5、4、4.5、又は5ミクロンのドメイン厚で、干渉ドメイン上に堆積され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。しかしながら、いくつかの実施例では、酵素ドメインは、電極ドメイン上に、又は電気化学活性表面上に直接堆積されている。好ましくは、酵素ドメインは、スプレーコーティング又は浸漬コーティングによって堆積されている。より好ましくは、酵素ドメインは、電極ドメインを酵素ドメイン溶液に浸漬コーティングし、ドメインを約40~約55℃の温度で、約15~約30分間硬化させることによって形成され、(及び真空(例えば、20mmHg~30mmHg)下で達成され得)、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。浸漬コーティングが室温で酵素ドメインを堆積させるために使用される実施例では、約1インチ/分~約3インチ/分の好ましい挿入速度、約0.5分~約2分の好ましい滞留時間、及び約0.25インチ/分~約2インチ/分の好ましい引き出し速度が、機能性コーティングを提供し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。しかしながら、上記の値以外の値は、例えば、当業者によって理解されるように、粘度及び表面張力に応じて、許容可能であるか、又は特定の実施例では望ましい場合さえあることができる。一実施例では、酵素ドメインは、コーティング溶液中に2回浸漬コーティングし(すなわち、2層を形成し)、真空下、50℃で20分間硬化させることによって形成されている。しかしながら、いくつかの実施例では、酵素ドメインは、コーティング溶液の所定の濃度、挿入速度、滞留時間、引き出し速度、及び/又は所望の厚さで、1つ以上の層を浸漬コーティング及び/又はスプレーコーティングすることによって形成されることができる。
【0233】
(抵抗ドメイン)
一実施例では、膜システムは、酵素ドメインよりも電気化学活性表面からより遠位に配置された抵抗ドメインを含む。以下の記載は、グルコースセンサのための抵抗ドメインに向けられているが、抵抗ドメインは、他の分析物及び共反応物についても同様に改変され得る。
【0234】
血液中の酸素の量に対してグルコースのモル過剰が存在する、すなわち、細胞外液中の各遊離酸素分子に対して、典型的には100を超えるグルコース分子が存在する(Updikeら、Diabetes Care 5:207-21(1982)を参照されたい)。しかしながら、共反応物として酸素を用いる固定化酵素ベースのグルコースセンサは、センサがグルコース濃度の変化に線形的に応答するが、酸素濃度の変化には応答しないようにするために、好ましくは、非律速過剰の酸素が供給されている。具体的には、グルコース監視反応が酸素制限されているときに、線形性は、グルコースの最小濃度を超えると達成されない。グルコース及び酸素の流動を制御する酵素ドメイン上に置かれた半透過性膜がない場合、グルコースレベルに対する線形応答は、約40mg/dLまでのグルコース濃度についてのみ取得され得る。しかしながら、臨床設定では、グルコースレベルに対する線形応答は、少なくとも約400mg/dLまでが望ましい。
【0235】
抵抗ドメインは、下にある酵素ドメインへの酸素及びグルコースの流動を制御し、好ましくは、酸素を非律速過剰にする半透過性膜を含む。その結果、グルコース測定の線形性の上限は、抵抗ドメインなしで達成されるものよりもはるかに高い値に拡張される。実施例では、抵抗ドメインは、約50:1以下から約400:1以上まで、好ましくは、約200:1の酸素対グルコースの透過性比を呈し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。結果として、一次元反応物拡散は、皮下マトリックスにおいて見出される全ての妥当なグルコース及び酸素濃度で過剰な酸素を提供するのに十分である(Rhodes et al.,Anal.Chem.,66:1520-1529(1994)を参照されたい)。
【0236】
代替的実施例では、グルコースに対する酸素量のより低い比率は、酵素ドメインへの酸素の供給/輸送を増強するために、高酸素溶解度ドメイン(例えば、シリコーン若しくはフッ化炭素ベースの材料又はドメイン)を使用することによって、過剰酸素を提供するのに十分であることができる。また、より多くの酸素が酵素に供給される場合、酸素律速過剰を生じることなく、より多くのグルコースを酵素に供給することができる。代替的な実施例では、抵抗ドメインは、2003年10月28日に出願された、米国特許公開第2005/0090607号、表題「SILICONE COMPOSITION FOR BIOCOMPATIBLE MEMBRANE」に記載されているようなシリコーン組成物から形成される。
【0237】
好ましい実施例では、抵抗ドメインは、分析物センサへのグルコース及び酸素の拡散を制御するための親水性領域及び疎水性領域の両方を有するポリウレタン膜を含み、この膜は、市販の材料から容易かつ再現可能に製造される。好適な疎水性ポリマー成分は、ポリウレタン、又はポリエーテルウレタン尿素である。ポリウレタンは、ジイソシアネートと二官能性ヒドロキシル含有材料との縮合反応によって産生されるポリマーである。ポリウレタン尿素は、ジイソシアネートと二官能性アミン含有材料との縮合反応によって産生されるポリマーである。いくつかの実施例では、ジイソシアネートの例としては、約4~約8つのメチレン単位を含む脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環式部分を含むジイソシアネートも、本開示の膜のポリマー及びコポリマー成分の調製に有用であることができる。抵抗ドメインの疎水性マトリックスのベースを形成する材料は、連続分析物センサデバイスの膜として使用するのに適しているとして、かつ関連する化合物がそれを通過可能とするのに十分な透過性、例えば、活性酵素又は電気化学電極に到達するために被検試料から酸素分子が膜を通過可能とするのに十分な透過性を有するものとして、当該技術分野で公知の任意のものであり得る。非ポリウレタンタイプの膜を作製するために使用できる材料の例としては、ビニルポリマー、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー、ポリエーテル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリアルキルエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン及びポリカルボシロキサンなどの無機ポリマー、セルロース系及びタンパク質系材料などの天然ポリマー、並びにそれらの混合物又は組み合わせが挙げられる。
【0238】
好ましい実施例では、抵抗ドメインの親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキシドである。例えば、1つの有用な疎水性-親水性コポリマー成分は、約20%の親水性ポリエチレンオキシドを含むポリウレタンポリマーである。コポリマーのポリエチレンオキシド部分は、熱力学的に駆動されて、コポリマーの疎水性部分及び疎水性ポリマー成分から分離する。最終的なブレンドを形成するのに使用されるコポリマーの20%のポリエチレンオキシド系のソフトセグメント部分は、吸水性とそれに続く膜のグルコース透過性に影響を与える。
【0239】
実施例では、抵抗ドメインは、約0.05ミクロン以下から約20ミクロン以上まで、より好ましくは、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5~約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は19.5ミクロン、より好ましくは、約2、2.5、又は3ミクロン~約3.5、4、4.5、又は5ミクロンのドメイン厚で、ドメインを得るために酵素ドメイン上に堆積され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。好ましくは、抵抗ドメインは、スプレーコーティング又は浸漬コーティングによって酵素ドメイン上に堆積されている。特定の実施例では、スプレーコーティングが好ましい堆積技術である。噴霧プロセスは溶液を霧化及びミスト化するため、コーティング材料が下層ドメインに定着する前に溶媒のほとんど又は全てが蒸発し、それによって溶媒と酵素の接触は最小限に抑えられる。本開示に記載されるように抵抗ドメインをスプレーコーティングする1つの追加の利点は、アスコルベート(過酸化水素測定グルコースセンサにおける公知の電気化学的干渉物質)を実質的に遮断又は抵抗する膜システムの形成を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示に記載されるような抵抗ドメインを堆積させるプロセスの間に、アスコルベートが実質的に透過しないことを特徴とする構造形態が形成されると考えられる。
【0240】
実施例では、抵抗ドメインは、約1重量%~約5重量%のポリマー及び約95重量%~約99重量%の溶媒の溶液をスプレーコーティングすることによって酵素ドメイン上に堆積され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。溶媒を含む抵抗ドメイン材料の溶液を酵素ドメイン上に噴霧する際、酵素ドメインの基礎となる酵素を不活性化することができる噴霧溶液中の任意の溶媒の酵素との任意の接触を軽減するか、又は実質的に低減することが望ましい。テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran、THF)は、噴霧時に酵素ドメインの酵素に最小限又は無視できる程度の影響しか与えない1つの溶媒である。他の溶媒はまた、当業者に理解されるように、使用に好適であり得る。
【0241】
様々な噴霧又は堆積技術を使用することができるが、抵抗ドメイン材料を噴霧し、センサを少なくとも1回180°回転させることは、抵抗ドメインによって十分な被覆を提供することができる。抵抗ドメイン材料を噴霧し、センサを少なくとも2回120°回転させることは、更に大きな被覆(360°被覆の1つの層)を提供し、それによって、上でより詳細に記載されたように、グルコースに対する抵抗性を確保する。
【0242】
実施例では、抵抗ドメインは、スプレーコーティングされ、その後、約15分~約90分間、約40~約60℃の温度で硬化され(真空下(例えば、20mmHg~30mmHg)で達成することができ)、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。約90分以上までの硬化時間は、抵抗ドメインの完全な乾燥を確実にするために有利であることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、抵抗ドメインの完全な乾燥は、グルコースセンサ信号の感度を安定化するのに役立つと考えられる。それは、経時的な信号感度のドリフトを低減し、完全な乾燥は、より低い酸素環境におけるグルコースセンサ信号の性能を安定化させると考えられる。
【0243】
実施例では、抵抗ドメインは、少なくとも6つの層でスプレーコーティングし(すなわち、360°被覆の少なくとも6つの層についてセンサを120°だけ17回回転させ)、真空下50℃で60分間硬化させることによって形成される。しかしながら、抵抗ドメインは、溶液の濃度、挿入速度、滞留時間、引き出し速度、及び/又は得られるフィルムの所望の厚さに応じて、任意の層又は複数の層を浸漬コーティング又はスプレーコーティングすることによって形成されることができる。
【0244】
有利なことに、電極ドメイン及び/又は干渉ドメイン、酵素ドメイン、並びに抵抗ドメインを含む、本開示の膜システムを有するセンサは、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む、約40mg/dL~約400mg/dLのグルコースレベルの増加に対する安定した信号応答、並びに低酸素レベル(例えば、約0.6mg/LO2)であっても持続的な機能(少なくとも90%の信号強度)を提供する。理論に束縛されることを望むものではないが、抵抗ドメインが十分な抵抗率を提供するか、又は酵素ドメインが十分な酵素を提供して、従来技術のセンサと比較してはるかに低い酸素濃度で酸素制限が見られると考えられる。
【0245】
実施例では、ピコアンペア範囲以下の電流を有するセンサ信号が、提供され、これは、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。しかしながら、ピコアンペア範囲の電流を伴う信号を生成する能力は、電子回路設計(例えば、A/D変換器、ビット分解能など)、膜システム(例えば、抵抗ドメインを通る分析物の透過性、酵素濃度、及び/又は電極における電気化学反応に対する電解質利用可能性)、並びに作用電極の露出表面積を含む、要因の組み合わせに依存されることができる。例えば、抵抗ドメインは、電子回路、膜システム、及び/又は作用電極の露出された電気化学活性表面積の設計に依存して、分析物に対して多かれ少なかれ制限的であるように設計され得る。
【0246】
したがって、実施例では、膜システムは、約1pA/mg/dL~約100pA/mg/dL、好ましくは、約5pA/mg/dL~25pA/mg/dL、より好ましくは、約4pA/mg/dL~約7pA/mg/dLの感度で設計され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、好ましい範囲における感度で設計された膜システムは、低分析物及び/又は低酸素状況における分析物信号の測定を可能にすると考えられる。すなわち、従来の分析物センサは、センサに対する分析物の利用可能性が低いために低分析物範囲において測定精度の低下が示され、及び/又は測定される分析物の量と反応するのに必要な酸素が不十分であるために高分析物範囲において信号ノイズの増加が示された。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示の膜システムは、電子回路設計及び露出された電気化学反応性表面積設計と組み合わせて、ピコアンペア範囲以下の分析物の測定を支援し、これは、従来技術では見られなかった低分析物範囲及び高分析物範囲の両方における分解能及び精度のレベルの改善を可能になると考えられる。
【0247】
本明細書に記載されたいくつかの実施例のセンサは、1つ以上の干渉物質を遮断又は低減するために任意選択の干渉ドメインを含むが、電極ドメイン、酵素ドメイン、及び抵抗ドメインを含む本開示の膜システムを有するセンサは、追加の干渉ドメインなしでアスコルベートを阻害することが示されている。すなわち、電極ドメイン、酵素ドメイン、及び抵抗ドメインを含む本開示の膜システムは、生理学的に許容可能範囲においてアスコルベートに対して実質的に非応答性であることが示されている。理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載されたスプレーコーティングによって抵抗ドメインを堆積させるプロセスは、アスコルベートに対して実質的に耐性である構造形態をもたらすと考えられる。
【0248】
(干渉ドメインのない膜システム)
一般に、適切な溶媒及び/又は堆積方法は、干渉物質が実質的に透過しないように、1つ以上の遷移ドメインを形成する膜システムの1つ以上のドメインに対して選択されることができると考えられる。したがって、センサは、干渉物質に対して非応答性である別個の、又は堆積された干渉ドメインなしに構築されることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、単純化された多層膜システム、より堅牢な多層製造プロセス、並びに堆積されたミクロン薄干渉ドメインの厚さ並びに関連する酸素及びグルコース感受性(感度)によって引き起こされる変動性の低減が提供されることができると考えられる。追加的に、通常、過酸化水素の拡散を阻害する任意選択のポリマーベースの干渉ドメインは、排除されており、それによって、膜システムを通過する過酸化水素の量を増強する。
【0249】
(酸素導管)
上述したように、特定のセンサは、ホストの体液が通過し、体液中の分析物(例えば、グルコース)が共反応物(例えば、酸素)の存在下で反応して生成物を生成する、膜システム内の酵素に依存する。次いで、本生成物は、電気化学的方法を使用して測定され、したがって、電極システムの出力は、分析物の測定値として機能する。例えば、センサがグルコースオキシダーゼベースのグルコースセンサであるとき、作用電極で測定される種は、H2O2である。グルコースオキシダーゼという酵素は、以下の反応、グルコース+O2 ->グルコン酸+H2O2に従って、酸素及びグルコースの過酸化水素及びグルコン酸への変換を触媒する。
【0250】
反応した各グルコース分子について、生成物、H2O2に比例した変化があるため、グルコース濃度を判定するためにH2O2における変化を監視することができる。作用電極によるH2O2の酸化は、周囲酸素、酵素によって生成されたH2O2及び、例えば、対電極における他の還元可能な種の還元によってバランスがとられる。Fraser, D. M.、「An Introduction to In vivo Biosensing: Progress and Problems」を参照されたい。”Biosensors and the Body,”D. M. Fraser, ed.,1997,pp.1-56 John Wiley and Sons,New York))を参照されたい。
【0251】
インビボでは、グルコース濃度は、概して、酸素濃度の約100倍以上である。その結果、酸素は、電気化学反応における制限反応物であり、センサは、センサに供給される酸素が不十分であるときに、グルコース濃度を正確に測定することが不可能である。したがって、低下したセンサ機能又は不正確さは、酵素及び/又は電気化学活性表面への酸素の利用可能性における問題の結果であると考えられる。
【0252】
したがって、代替的な実施例では、センサのエクスビボ部分からセンサのインビボ部分まで延在する酸素導管(例えば、シリコーン又はフルオロケミカルから形成される高酸素溶解度ドメイン)が提供されて、酵素に対する酸素の利用可能性を増加させる。酸素導管は、コーティング(絶縁)材料の一部として形成されることができるか、又はセンサを形成するワイヤのアセンブリと関連付けられた別個の導管であることができる。
【0253】
図2Bは、感知膜32によって取り囲まれた少なくとも作用電極38の露出された電気化学活性表面を有するコア39を示す、
図2Aのセンサの線B-Bにおける断面図である。コア39は、多軸曲げのために構成されており、ステンレススチール、チタン、タンタル、又はポリマーであることができる。概して、本開示の感知膜は、複数のドメイン又は層、例えば、干渉ドメイン44、酵素ドメイン46、及び抵抗ドメイン48を含み、以下でより詳細に、及び/又は上記で引用された米国特許公開物に記載されているように、電極ドメイン、細胞不透過性ドメイン(図示せず)、酸素ドメイン(図示せず)、生物活性放出膜70、及び/又は生体界面膜68(図示せず)などの追加のドメインを含み得る。しかしながら、例えば、より少ない又は追加のドメインを含むことによって、他のセンサのために修正された感知膜は、本開示の範囲内であることが理解される。
【0254】
(膜システム)
いくつかの実施例では、感知膜の1つ以上のドメインは、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-co-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ホモポリマー、コポリマー、ポリウレタンのターポリマー又はポリエチレン尿素コポリマー、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate、PMMA)、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、ポリウレタン、セルロース系ポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)並びにそれらのコポリマー及びブレンド、ポリスルホン及びそれらのブロックコポリマー、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダム、及びグラフトコポリマーなどを含む、などの材料から形成されている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0245799号は、本開示のセンサに適用され得る生体界面並びに感知膜構成及び材料を説明する。
【0255】
感知膜は、公知の薄フィルム又は厚フィルム技術(例えば、噴霧、電着、浸漬など)を用いて、電極材料の電気化学活性表面上に堆積されることができる。作用電極を取り囲む感知膜は、参照電極などを取り囲む感知膜と同じ構造である必要はないことに留意されたい。例えば、作用電極上に堆積された酵素ドメインは、必ずしも参照電極及び/又は対電極上に堆積される必要はない。
【0256】
図示された実施例では、センサは、酵素ベースの電気化学センサであり、作用電極38は、電子電流を測定し、例えば、グルコースオキシダーゼを利用するグルコースの検出は、副生成物として過酸化水素を生成し、H2O2は、作用電極の表面と反応して、2つのプロトン(2H+)、2つの電子(2e-)、及び検出される電子電流を生成する1つの酸素分子(O2)を生成するか、又は酸化還元系、例えば、上でより詳細に記載され、当業者によって理解されるような「ワイヤード酵素」システムの直接電子移動を介して生成する。1つ以上の定電位電解装置(potentiostat)は、作用電極の電気化学活性表面における電気化学反応を監視するために用いられる。定電位電解装置は、定電位を作用電極及びその関連する参照電極に印加して、作用電極で産生される電流を判定する。作用電極で生成される(及び回路を通って対電極に流れる)電流は、ワイヤード酵素システムにおける電子移動を容易にする作用電極又は分析物に拡散するH2O2の量に実質的に比例する。出力信号は、典型的には、例えば、ホストにおける測定された分析物濃度の有用な値をホスト又は医師に提供するために使用される生データストリームである。
【0257】
本開示のシステム及び方法から利益を得ることができるいくつかの代替的な分析物センサは、例えば、Wardらの米国特許第5,711,861号、Vachonらの米国特許第6,642,015号、Sayらの米国特許第6,654,625号、Sayらの米国特許第6,565,509号、Hellerの米国特許第6,514,718号、Essenpreisらの米国特許第6,465,066号、Offenbacherらの米国特許第6,214,185号、Cunninghamらの米国特許第5,310,469号、Shafferらの米国特許第5,683,562号、Bonnecazeらの米国特許第6,579,690号、Sayらの米国特許第6,484,046号、Colvinらの米国特許第6,512,939号、Mastrototaroらの米国特許第6,424,847号、Mastrototaroらの米国特許第6,424,847号を含む。上記特許の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、全ての適用可能な分析物センサを包括するものではないが、一般に、開示される実施例は、様々な分析物センサ構成に適用可能であることを理解されたい。
【0258】
(例示的なセンサ構成)
図2Cは、
図2Aのセンサの線B-Bに沿った断面図であり、複数のドメイン又は層、例えば、干渉ドメイン44、酵素ドメイン46、及び抵抗ドメイン48を含む感知膜によって取り囲まれた少なくとも作用電極38の露出していない電気化学活性表面を示し、以下でより詳細に記載されるように、電極ドメイン、細胞不透過性ドメイン(図示せず)、酸素ドメイン(図示せず)、生物活性放出膜70、及び/又は生体界面膜68(図示せず)などの追加のドメイン/膜を含む。生物活性放出膜70は、作用電極38表面に隣接して位置決めされ、作用電極38、又は作用電極表面に隣接する感知膜32の複数のドメイン若しくは層、例えば、干渉ドメイン44、酵素ドメイン46、及び抵抗ドメイン48を覆わない。一実施例では、生物活性放出膜70は、センサ34の遠位端37に位置決めされている。別の実施例では、生物活性放出膜70は、作用電極38の電気化学活性部分にまたがり、作用電極38と関連付けられた感知膜32を覆わない。
【0259】
図2Dは、センサ34の例示的な生物活性放出膜堆積の線D-D上の
図2Aのセンサを通る断面図であり、ここで、生物活性放出膜70は、抵抗ドメイン48及び/又は生体界面ドメイン68よりも電極38からより遠位にあり、酵素ドメイン46又は変換素子及び/又は干渉ドメイン44、及び/又は感知領域若しくは感知領域の電気化学活性表面に隣接しているが、それらを覆っていない。生物活性放出膜70は、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、又は浸漬コーティング法のうちの1つ以上を使用して、
図2Dに示すようにセンサ34上に配列され得る。
【0260】
図2Eは、別の例示的な生物活性放出膜堆積の線B-B上の
図2Aのセンサを通る断面図であり、ここで、生物活性放出膜70は、抵抗層48及び/又は生体界面層68よりも電極38からより遠位にあり、酵素ドメイン46又は変換素子及び/又は干渉ドメイン44、及び/又は感知領域若しくは感知領域の電気化学活性表面に接近し、かつそれらに隣接するが、それらを覆っていない、センサ34の先端又は遠位端37のみに隣接しており、かつ概してそれらを覆っている。生物活性放出膜70は、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、又は浸漬コーティング法のうちの1つ以上を使用して、
図2Eに示されるようにセンサ34上に配置することができる。
【0261】
図2Fは、2つ以上の追加の層が追加されて1つ以上の追加の電極を形成するという点で、
図2Aに描画されるような一般的な構造上に構築されると考えられることができる。また、2つ以上の電極を形成するために2つ以上の窓を選択的に除去する方法も用いられることができる。例えば、参照電極層30の下に別の導電層38b及び絶縁層35bを追加することによって、2つの電極(第1及び(任意選択の)第2の作用電極など)は、形成されることができ、二重電極センサ又は多重電極センサが得られる。同じ概念は、例えば、対電極、追加の分析物(例えば、酸素)を測定するための電極などを生成するために適用されることができる。
図2Gは、追加の電極38bを有するセンサを図示し、窓は、選択的に除去されて、参照電極(複数のセグメントを含む)30の間の作用電極38a、38bが露出され、少量の絶縁体35a、35bがその間に露出されている。
【0262】
本明細書のいくつかの図は、同軸コア及び円形又は楕円形断面を有し得るセンサを図示するが、生物活性放出膜を含むセンサシステムの他の実施例では、センサは、
図2Hの図示目的のための断面において示されるように、実質的に平面状センサであり得る。例えば、
図2Hに示されるように、連続分析物感知デバイス100は、実質的平面状基板142、並びに1つ以上の作用電極を有する実質的平面状基板142の周囲に実質的平面状様式で配置された干渉ドメイン144、酵素ドメイン146、抵抗ドメイン148、並びに生体界面/生体防御ドメイン168及び/又は生物活性放出ドメイン170を含むことができる。
図2G~
図2Hを参照すると、いくつかの実施例では、参照電極30は、絶縁材料35の少なくとも一部上に適用された銀含有材料を含む。いくつかの実施例では、銀含有材料は、本明細書の他の箇所において説明されるように、浸漬、噴霧、印刷、電着、蒸着、スピンコーティング、及びスパッタ堆積などであるがこれらに限定されない薄膜及び/又は厚膜技術を使用して適用される。例えば、銀又は塩化銀含有塗料(又は同様の配合物)が、例として、絶縁導電性コアのリールに適用される。別の実施例では、絶縁された細長い本体(又はコア)のリールは、単一ユニット片に切断され(例えば、「単体化」され)、銀含有インクがその上にパッド印刷される。更に他の実施例では、銀含有材料は、銀箔として適用される。例えば、絶縁された細長い本体に接着剤が適用され得、次いでその周りに銀箔を巻き付けることができる。代替的に、センサは、Ag/AgC1粒子内に巻かれ得、そのため粒子が参照電極として機能するために、十分な量の銀が接着剤に付着し、及び/又は埋め込まれ、及び/又は別の方法で接着する。いくつかの実施例では、センサの参照電極は、センサが少なくとも3日間分析物を測定及び/又は検出するのに十分な量の塩化銀を含む。
【0263】
いくつかの実施例では、センサは、
図2Gに示されるような細長い本体33(例えば、細長い導電性本体)から形成され、細長い本体は、コア39、第1の層38a、絶縁体35a、及び銀含有材料の層30を含む。
図2Hに示されるようないくつかの実施例では、細長い本体の電気化学活性表面(例えば、第1の層38aの(電気活性)表面も)は、銀含有材料及び絶縁体の両方を通る窓31の形成によって露出される。1つの例示的な実施例では、
図2Gの細長い本体は、長さ(例えば、0.5、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、又は24インチ未満、又はそれより長い長さ)を有し、選択されたセンサ構成に適した複数の片に単体化されるリール上の延長された長さとして提供される。例えば、経皮埋め込み用に構成された第1のセンサは、2.5インチの長さを用いることができ、経皮埋め込み用に構成された第2のセンサは、3インチの長さを用いることができる。別の実施例では、成人ホストの末梢静脈への埋め込みのために構成された第1のセンサは、3インチの長さを用いることができ、一方で成人ホストの中心静脈への埋め込みのために構成された第2のセンサは、12インチの長さを用いることができる。窓は、白金表面(例えば、「作用電極」の電気化学活性表面)が露出されるように、銀含有材料及び絶縁体を通して半径方向窓を削り取る及び又はエッチングすることなどによって、各センサ上に形成される。いくつかの実施例では、細長い本体のリールが、単体化され、次いで窓が形成される。他の実施例では、窓は、細長い本体のリールの長さに沿って形成され、その後、単体化される。更なる実施例では、単体化の前に追加の製造ステップが実行される。感知膜32は、窓の縁部によって画定される露出した電気化学活性表面(例えば、作用電極)に適用され、そのため、電気化学活性表面は、(例えば、センサがホストの試料と接触しているとき)センサの作用電極として機能して、分析物と関連付けられた信号を生成することができる。
図2Hに示される構成を有するセンサを生成するために、限定されるものではないが、絶縁体及び銀含有材料の適用前に細長い本体(又はコア)の一部分をマスキングすることなどの代替的な製造技術及び/又は一連のステップを使用することができる。
【0264】
図2Gは、切り取られた層を示す図であるが、製造プロセスにおいて、典型的に得られる材料は、先端で終わる全ての層を有する。層30及び30を除去するステップは、窓を形成するように実行され得る。
図2Iは、この除去/切り取りプロセスの結果を、側面図/断面図で図示する。除去プロセスは、既に説明された方法又は当技術分野で公知の他の方法によって達成することができる。一実施例では、除去ステップは、例えば、レーザスカイビングによって行われ、連続ストランドに対してリールツーリールプロセスで行うことができる。除去される領域は、例えば、異なる長さ分だけ異なる層を除去することによって、階段状にすることができる(
図2I)。連続ストランドを伴うかかる製作方法では、センサは、単体化29(
図7A~
図7C)を作成する除去ステップの後に、単体化することができる。いくつかの実施例では、コアが金属である場合、例えば、浸漬、噴霧、収縮管、圧着ラッピングなどによって、先端上に絶縁又は他の隔離材料のエンドキャップが採用されてもよい。コアがポリマー(例えば、疎水性材料)である場合、エンドキャップは、必要でない場合がある。例えば、
図2Iに描画されるセンサでは、(例えば、ポリマー又は絶縁材料の)エンドキャップ40又は他の構造が、(例えば、コア39が絶縁性でない場合)、コアを覆って提供され得る。
【0265】
図2Jは、2つ以上の追加の層が追加されて、1つ以上の追加の電極を作成するという点で、
図2Gに描画されるような一般的な構造上に構築されると考えられ得る。また、2つ以上の電極を形成するために2つ以上の窓を選択的に除去する方法も用いられることができる。例えば、参照電極層30の下に別の導電層38b及び絶縁層35bを追加することによって、2つの電極(第1及び第2の作用電極)が、形成され得、二重電極センサが得られる。同じ概念は、例えば、対電極、追加の分析物(例えば、酸素)を測定するための電極などを生成するために適用されることができる。
【0266】
図2Kは、(
図2G~
図2Iと比較すると)追加の電極38bを有するセンサを図示し、窓は、選択的に除去されて、参照電極(複数のセグメントを含む)30の間の作用電極38a、38bが露出され、少量の絶縁体35a、35bがその間に露出されている。
図2Lは、様々な層の選択的除去が、細長い本体の長さに沿って電極38a、38b及び絶縁体35a、35bを露出させるように段階的に行われる別の例を図示する。
【0267】
図2Jは、代替的なセンサ構成を通る断面図であり、複数のドメイン又は層、例えば、干渉ドメイン44、酵素ドメイン46、及び抵抗ドメイン48を含む感知膜32によって取り囲まれた少なくとも作用電極38の露出していない電気化学活性表面を示し、以下でより詳細に記載されるように、電極ドメイン、細胞不透過性ドメイン(図示せず)、酸素ドメイン(図示せず)、生物活性放出膜70、及び/又は生体界面膜68(図示せず)などの追加のドメイン/膜を含む。生物活性放出膜70は、作用電極38表面に隣接して位置決めされ、作用電極38、又は作用電極と関連付けられた感知膜32の複数のドメイン若しくは層、例えば、干渉ドメイン44、酵素ドメイン46、及び抵抗ドメイン48を覆わない。
図2Jに示されるように、生物活性拡散調節膜73が、生物活性放出膜70に隣接して提供される。一実施例では、拡散調節膜73は、生物活性放出膜70に直接隣接している。別の実施例では、拡散調節膜73は、生物活性放出膜70とは化学的、構造的又は機能的に異なる。別の実施例では、拡散調節膜73は、ブロックコポリマー、例えば、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するポリウレタンブロックポリマーであり、ソフトセグメントは、疎水性部分、親水性部分、又は疎水性/親水性部分の組み合わせを含むことができる。疎水性/親水性部分の各々は、独立して、異なる平均分子量又は鎖長のものであり得る。別の実施例では、拡散調節膜73は、ポリオール(ポリエチレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン又はポリテトラメチレンオキシド、ポリエーテル、ポリシロキサン、ポリアミン、ポリシロキサンアミン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート)などの疎水性/親水性部分と、1つ以上の独立したハードセグメント、例えば、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート(MPDI)、トランス-1,3-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6XDI)、ビシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トランス-1,4-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はそれらの組み合わせなどの脂肪族又は芳香族ジイソシアネートとの組み合わせを含む、ソフトセグメントのセグメント化ブロックコポリマーである。
【0268】
別の実施例では、拡散調節膜73は、マルチブロックコポリマーである。別の実施例では、拡散調節膜は、アニールされて、生物活性剤を放出するための安定な分離相及び/又は拡散チャネルを提供する。実施例では、拡散調節膜73は、生物活性放出膜70上に連続的に、半連続的に、又は分節的に(ランダムに若しくはパターンで)適用される。
【0269】
いくつかの実施例では、銀含有材料は、本明細書の他の箇所に記載されているような実質的に連続的なプロセスでセンサ(例えば、絶縁導電性コア)に適用される。したがって、いくつかの実施例では、銀含有材料は、完全自動化プロセスにおいて適用される。他の実施例では、銀含有材料は、半自動プロセスで適用される。
【0270】
本開示の方法は、小型構造化センサ、マイクロセンサ、又は小径センサとともに使用するのに特に適しているが、本方法は、より大きな直径のセンサ、例えば直径が1mm~約2mm以上のセンサとともに使用するのに好適であることができる。
【0271】
図3Aは、一実施例における経皮分析物センサ50の側面概略図である。センサ50は、ホストの皮膚に搭載するために適合された搭載ユニット52と、ホストの皮膚を通して経皮挿入するように適合された(本明細書で定義されるような)小型(径)構造体センサ34と、センサと好ましくは搭載ユニット52内に収容された電子機器との間に確実な電気的接触を提供するように構成された電気接続とを含む。一般に、搭載ユニット52は、搭載ユニット、ホスト、及び/又はセンサの間の運動の並進を低減又は排除するように、ホストにおけるセンサの完全性を維持するように設計されている。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2005年3月10日に出願された、米国特許公開第2006/0020187号、表題「TRANSCUTANEOUS ANALYTE SENSOR」を参照されたい。一実施例では、生物活性放出膜は、以下でより詳細に説明されるように、感知機構36上で形成される。
【0272】
図3Bは、代替的実施例における経皮分析物センサ54の側面概略図である。経皮分析物センサ54は、搭載ユニット52を含み、感知機構36は、本明細書で定義されるような小型構造体を備え、ケーブル56を介して搭載ユニット52に係留されている(代替的に、無線接続は、利用されることができる)。搭載ユニットは、ホストの皮膚に搭載するために適合されており、ホストの皮膚を通して経皮挿入、及びその中の分析物の測定のために適合された小型構造化センサ34に、テザーなどを介して動作可能に接続されており、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Causey IIIらの米国特許第6,558,330号を参照されたい。一実施例では、生物活性放出膜70は、以下により詳細に説明されるように、感知機構36の少なくとも一部の上に形成される。
【0273】
本開示のセンサは、腹部、大腿部、上腕、及び首又は耳の後ろなど、ホストの身体上の様々な位置に挿入され得る。本開示は、腹部領域を通した挿入を示唆し得るが、本明細書に記載されたシステム及び方法は、腹部挿入にも皮下挿入にも限定されない。当業者は、これらのシステム及び方法が、他の挿入部位のために実装及び/又は修正され得、分析物センサのタイプ、構成、及び寸法に依存し得ることを理解する。
【0274】
経皮連続分析物センサは、様々な長さの時間にわたってインビボで使用されることができる。例えば、本デバイスは、ホストにおける分析物を測定するためのセンサ、センサの少なくとも一部分を覆う多孔性の生体適合性マトリックス、及びホストの皮膚を通してセンサを挿入するためのアプリケータを含む。いくつかの実施例では、センサは、少なくとも1つの寸法が約1mm未満のアーキテクチャを有する。そのような構造体の実施例は、本明細書の他の場所で記載されるように、
図3A及び
図3Bに示されている。しかしながら、当業者は、例えば、挿入の意図された位置などの要因に応じて、代替的な構成が可能であり、望ましい場合があることを認識するであろう。センサは、ホストの皮膚を通して、軟組織又は脂肪組織などの下層組織に挿入されている。
【0275】
挿入後、流体は、スペーサ、例えば、生物活性放出膜70及び/又は生体界面膜68などの生体適合性マトリックス又は膜に移動し、その中に流体充填ポケットを作成する。このプロセスは、直ちに起こり得、又は挿入後数分若しくは数時間などの期間にわたって起こり得る。センサからの信号は、次いで、例えば、ホストの皮膚の表面上の搭載ユニット内に位置するセンサ電子機器ユニットによって、検出されている。一般に、センサは、1~7日間、14日間、又は21日間など、数日間の期間にわたって連続的に使用され得る。使用後、センサは、ホストの皮膚から簡単に除去される。一実施例では、ホストは、所望の回数だけ挿入及び検出ステップを繰り返し得る。いくつかの実装形態では、センサは、約3日後に除去され得、次いで、別のセンサが挿入され得る、等々である。同様に、他の実装形態では、センサは、約3、5、7、10、又は14日後に除去され、新しいセンサの挿入に続く、等々である。
【0276】
経皮分析物センサのいくつかの実施例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Braukerらの米国特許第8,133,178号、並びに各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Simpsonらの米国特許第8,828,201号、Simpsonらの米国特許第9,131,885号、Simpsonらの米国特許第9,237,864号、及びSimpsonらの米国特許第9,763,608号に記載されている。一般に、経皮分析物センサは、センサと、それに関連する電子機器を有する搭載ユニットとを備える。
【0277】
一般に、搭載ユニットは、ホストの皮膚に搭載するために適合されたベースと、ホストの皮膚を通した経皮挿入のために適合されたセンサと、センサとセンサ電子機器との間に確実な電気的接触を提供するように構成された1つ以上の接点とを含む。搭載ユニットは、搭載ユニット、ホスト、及び/又はセンサの間の運動の並進を低減又は排除するように、ホストにおけるセンサの完全性を維持するように設計されている。ベースは、様々な硬質材料又は軟質材料から形成されることができ、好ましくは、使用中にホストからのデバイスの突出を最小限に抑えるための薄型外形を備える。いくつかの実施例では、ベースは、少なくとも部分的に可撓性材料から形成されており、これは、従来の経皮センサを超える非常に多くの利点を提供すると考えられるが、残念なことに、ホストがデバイスを使用しているときに、ホストの動きと関連付けられる運動に関するアーチファクトの影響を受ける可能性がある。例えば、経皮分析物センサがホストに挿入されるときに、センサの様々な動き(例えば、インビボ部分とエクスビボ部分との間の相対的な動き、皮膚の動き、及び/又はホスト(真皮又は皮下)内の動き)が、デバイスに応力を生じさせ、センサ信号にノイズを生成することができる。皮膚の小さな動きであっても、不快感及び/又は動きに関連するアーチファクトに変換することができ、これは、可撓性又は関節式ベースによって低減又は除去されることができると考えられる。したがって、ホストの皮膚に対するデバイスの可撓性及び/又は関節運動を提供することによって、ホストの通常の使用及び移動に対するセンサシステムのより良好な適合性を、達成することができる。可撓性又は関節運動は、皮膚上への搭載ユニットの粘着(粘着パッドの使用での)を増加させ、それによって、ホストの運動から別様に変換されることができる運動関連アーチファクト及び低減されたセンサ性能を減少させると考えられる。
【0278】
特定の実施例では、搭載ユニットは、粘着パッドで提供され、好ましくは搭載ユニットの裏面に配置され、好ましくは剥離可能な裏張り層を含む。したがって、裏張り層を除去して、搭載ユニットのベース部分をホストの皮膚上に押し付けることにより、搭載ユニットがホストの皮膚へ粘着する。追加的に、又は代替的に、粘着パッドは、センサ挿入が完了した後に、粘着を確実にし、また任意選択で、創傷した出口部位(又はセンサ挿入部位)の周りの気密シール又は水密シールを確実にするために、センサシステムの一部又は、全てを覆って位置付けされることができる。適切な粘着パッドは、その領域(例えば、ホストの皮膚)に合わせて伸張する、延伸する、追随する、及び/又はその領域を曝気するように選択及び設計されることができる。
【0279】
実施例では、粘着パッドは、スパンレース、連続気泡若しくは独立気泡発泡体、及び/又は不織布繊維から形成され、その上に配置された粘着剤を含むが、ホストの皮膚への粘着に適した様々な粘着パッドは、医療用粘着パッドの当業者によって理解されるように、使用されることができる。いくつかの実施例では、両面粘着パッドは、搭載ユニットをホストの皮膚に粘着するために使用されている。他の実施例では、粘着パッドは、発泡体層、例えば、発泡体が粘着パッドの側縁部間に配置され、衝撃吸収材として作用する層を含む。
【0280】
いくつかの実施例では、粘着パッドの表面積は、搭載ユニットの裏面の表面積よりも大きい。代替的に、粘着パッドは、ベース部分の裏面と実質的に同じ表面積を有する大きさにすることができる。好ましくは、粘着パッドは、搭載ユニットベースの裏面の表面積の約1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、又は2.5倍よりも大きい、ホストの皮膚上に搭載される側の表面積を有する。そのようなより大きい表面積は、搭載ユニットとホストの皮膚との間の粘着を増加させ、搭載ユニットとホストの皮膚との間の移動を最小限に抑え、及び/又は創傷出口部位(センサ挿入部位)を環境及び/又は生物学的汚染から保護することができる。しかしながら、いくつかの代替的実施例では、粘着パッドは、十分な粘着が達成されることができると仮定して、裏面よりも表面積を小さくすることができる。
【0281】
いくつかの実施例では、粘着パッドは、ベースの裏面と実質的に同じ形状であるが、他の形状はまた、例えば、蝶形、丸型、正方形、又は矩形が有利に用いられることができる。粘着パッド裏張りは、2段階剥離、例えば、粘着パッドの一部分のみが最初に露出されてデバイスの調節可能な位置決めを可能にする一次剥離と、及び残りの粘着パッドが後に露出されて、一旦適切に位置決めされるとデバイスをホストの皮膚にしっかりと確実に粘着する二次剥離と、のために設計されることができる。粘着パッドは、好ましくは防水性である。好ましくは、伸張剥離粘着パッドは、センサの使用可能な寿命末期にホストの皮膚から容易に剥離することが可能であるように、ベース部分の裏面に設けられている。
【0282】
いくつかの状況では、粘着パッドと搭載ユニットとの間の従来の結合は、例えば、搭載ユニットからの粘着パッドの剥離を引き起こすことができる湿度のために、十分でない場合があることが分かっている。したがって、いくつかの実施例では、粘着パッドは、紫外線硬化、音響硬化、高周波硬化、又は湿気硬化によって活性化又は促進される結合剤を使用して結合されることができる。いくつかの実施例では、第1及び第2の複合材料の共晶結合は、強い粘着を形成することができる。いくつかの実施例では、搭載ユニットの表面は、表面の結合性を増強するために、オゾン、プラズマ、化学物質などを利用して前処理されることができる。
【0283】
生物活性剤は、好ましくは、センサ挿入の前又は間に挿入部位で局所的に適用されている。好適な生物活性剤は、細菌増殖及び感染を阻止又は防止することが公知であるもの、例えば、抗炎症剤、抗菌剤、抗生物質などを含む。生物活性剤の拡散又は存在は、出口部位に隣接する細菌の予防又は排除を補助することができると考えられる。追加的に又は代替的に、生物活性剤は、粘着パッドと一体化されることができ、若しくは粘着パッド上にコーティングされることができ、又は生物活性剤が全く用いられないことができる。
【0284】
いくつかの実施例では、アプリケータは、針の助けを借りて適切な挿入角度でホストの皮膚を通してセンサを挿入するため、またその後、連続的な押し引き動作を使用して針の除去のために提供されている。好ましくは、アプリケータは、アプリケータを案内するアプリケータ本体を備え、センサのホストへの挿入中に搭載ユニットと嵌合するように構成されたアプリケータ本体ベースを含む。アプリケータ本体ベースと搭載ユニットとの間の嵌合は、使用中の分離を防止するために、任意の公知の嵌合構成、例えば、スナップ嵌め、圧入、締まり嵌めなどを使用することができる。1つ以上の解放ラッチは、例えば、アプリケータ本体ベースが搭載ユニット内にスナップ嵌めされるときに、アプリケータ本体ベースの解放を可能にする。
【0285】
センサ電子機器は、センサを介して分析物のレベルの測定を可能にするハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含む。例えば、センサ電子機器は、定電位電解装置、センサに電力を提供するための電源、信号処理に有用な他の構成要素、及び好ましくは、センサ電子機器から受信機にデータを伝送するためのRFモジュールを備えることができる。電子機器は、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)などに固定することができ、様々な形態をとることができる。例えば、電子機器は、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit、ASIC)、マイクロコントローラ、及び/又はプロセッサなどの集積回路(integrated circuit、IC)の形態をとることができる。好ましくは、センサ電子機器は、センサ分析物データを処理するためのシステム及び方法を含む。センサ分析物データを処理するためのシステム及び方法の実施例は、以下に、及び2003年8月1日に出願された米国特許第7,778,680号、表題「SYSTEM AND METHODS FOR PROCESSING ANALYTE SENSOR DATA」においてより詳細に記載されている。
【0286】
本実施例では、アプリケータを使用するセンサの挿入、その後の搭載ユニットからのアプリケータの解放の後、センサ電子機器は、搭載ユニットと解放可能に嵌合するように構成されている。実施例では、電子機器は、搭載ユニットに最初に挿入されるたびに、及び/又はセンサと最初に通信するたびに、例えば初期化、較正リセット、故障試験などのプログラミングで構成される。
【0287】
(センサ電子機器)
センサに関連付けられた電子機器の以下の記載は、非侵襲性、最小侵襲性、及び/又は侵襲性(例えば、経皮的及び完全埋め込み型)センサなどの様々な連続分析物センサに適用可能である。例えば、以下に説明されるセンサ電子機器及びデータ処理並びに受信機電子機器及びデータ処理は、2004年5月3日に出願された、米国特許出願公開第2005/0245799号、表題「IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR」及び2004年7月6日に出願された米国特許出願公開第2006/0015020号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR MANUFACTURE OF AN ANALYTE-MEASURING DEVICE INCLUDING A MEMBRANE SYSTEM」に開示される完全埋め込み型グルコースセンサに組み込まれ得る。
【0288】
一実施例では、(上述したような)電極システムに動作可能に接続された定電位電解装置は、電極に電圧を提供し、これは、センサにバイアスをかけて、ホスト(アナログ部分とも称される)における分析物濃度を示す電流信号の測定を可能にする。いくつかの実施例では、定電位電解装置は、電流を電圧に変換する抵抗器を含む。いくつかの代替的実施例では、例えば、電荷計数デバイスを使用して、測定された電流を連続的に積分するように構成される、電流-周波数変換器が提供される。A/D変換器は、アナログ信号を、処理のための「カウント」とも称されるデジタル信号にデジタル化する。したがって、生センサデータとも称される、結果として得られるカウント単位の生データストリームは、定電位電解装置によって測定された電流に直接関連する。
【0289】
プロセッサモジュールは、センサ電子機器の処理を制御する中央制御ユニットを含む。いくつかの実施例では、プロセッサモジュールは、マイクロプロセッサを含むが、マイクロプロセッサ以外のコンピュータシステムは、本明細書に記載されるようにデータを処理するために使用されることができ、例えば、ASICは、センサの中央処理の一部又は全部のために使用されることができる。プロセッサは、典型的には、データの半永久的記憶、例えば、センサ識別子(identifier、ID)のようなデータの記憶、及びデータストリームを処理するためのプログラミング(例えば、2003年8月22日に出願された、米国特許第8,010,174号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR REPLACING SIGNAL ARTIFACTS IN A GLUCOSE SENSOR DATA STREAM」に記載されているような、データ平滑化及び/又は信号アーチファクトの置換のためのプログラミング)を提供する。プロセッサは、追加的に、システムのキャッシュメモリのために、例えば最近のセンサデータを一時的に記憶するために使用されることができる。いくつかの実施例では、プロセッサモジュールは、ROM、RAM、ダイナミックRAM、スタティックRAM、非スタティックRAM、EEPROM、書き換え可能ROM、フラッシュメモリなどのメモリ記憶構成要素を備える。
【0290】
いくつかの実施例では、プロセッサモジュールは、A/D変換器からの生データストリームを平滑化するように構成されたデジタルフィルタ、例えば、IIR又はFIRフィルタを備える。概して、デジタルフィルタは、所定の時間間隔(サンプルレートとも称される)でサンプリングされたデータをフィルタリングするようにプログラムされている。いくつかの実施例では、定電位電解装置は、離散時間間隔で分析物を測定するように構成されており、これらの時間間隔は、デジタルフィルタのサンプルレートを判定する。定電位電解装置が、例えば、上述のような電流-周波数変換器を使用して、分析物を連続的に測定するように構成される、いくつかの代替的実施例では、プロセッサモジュールは、取得時間とも称される、所定の時間間隔で、A/D変換器からデジタル値を要求するようにプログラムされることができる。これらの代替的実施例では、プロセッサによって取得された値は、有利には、電流測定の連続性に起因して取得時間にわたって平均化されている。したがって、取得時間は、デジタルフィルタのサンプルレートを判定する。一実施例では、プロセッサモジュールは、プログラム可能な取得時間で、すなわち、A/D変換器からデジタル値を要求するための所定の時間間隔が、プロセッサモジュールのデジタル回路内でユーザによってプログラム可能であるように構成されている。約2秒~約512秒の取得時間は、好ましく、しかしながら、任意の取得時間は、プロセッサモジュールにプログラムされることができる。プログラム可能な取得時間は、ノイズフィルタリング、タイムラグ、及び処理/バッテリ電力を最適化するのに有利である。
【0291】
好ましくは、プロセッサモジュールは、外部ソースへの伝送、例えば、以下でより詳細に記載するような受信機へのRF伝送のためのデータパケットを構築するように構成されている。概して、データパケットは、センサIDコード、生データ、フィルタリングされたデータ、及び/又はエラー検出若しくは訂正を含むことができる複数のビットを備える。プロセッサモジュールは、生データ及び/又はフィルタリングされたデータの任意の組み合わせを伝送するように構成されることができる。
【0292】
いくつかの実施例では、プロセッサモジュールは、受信機へのセンサデータの伝送間隔を判定する送信機部分などを更に備える。いくつかの実施例では、伝送の間隔を判定する送信機部分は、プログラム可能であるように構成されている。そのような一実施例では、係数を選択することができ(例えば、約1~約100、又はそれ以上の数)、係数は、データパケットの伝送間隔を定義するために、上述したような取得時間(又はサンプリングレート)によって乗算される。したがって、いくつかの実施例では、伝送間隔は、約2秒~約850分、より好ましくは、約30秒~5分の間でプログラム可能であるが、任意の伝送間隔は、プロセッサモジュールにプログラム可能であるか、又はプログラムされることができる。しかしながら、プログラム可能な伝送間隔を提供するための様々な代替システム及び方法はまた、用いられることができる。プログラム可能な伝送間隔を提供することによって、データ伝送は、様々な設計基準(例えば、低減されたバッテリ消費、センサ値を報告する適時性など)を満たすようにカスタマイズされることができる。
【0293】
従来のグルコースセンサは、ナノアンペア範囲の電流を測定する。従来のグルコースセンサとは対照的に、本開示のセンサは、ピコアンペア範囲、いくつかの実施例では、フェムトアンペアの電流を測定するように構成されている。すなわち、測定されたグルコースの単位(mg/dL)ごとに、少なくとも1ピコアンペアの電流が、測定されている。好ましくは、A/D変換器のアナログ部分は、作用電極で流れる電流を連続的に測定し、電流測定値を、電流を表すデジタル値に変換するように構成されている。実施例では、電流の流れは、電荷計数デバイス(例えば、キャパシタ)によって測定される。したがって、信号が提供され、それによって、高感度は、最小量の測定された過酸化水素によって受信される信号を最大化し(例えば、低グルコース範囲においてさえ精度を犠牲にすることがない最小限のグルコース要件)、(例えば、酸素依存性グルコースセンサにおいて)インビボでの酸素制限に対する感度を低減する。
【0294】
バッテリは、センサ電子機器に動作可能に接続されており、センサに電力を供給する。実施例では、バッテリは、リチウム二酸化マンガンバッテリであるが、任意の適切なサイズ及び電力のバッテリ(例えば、単4(AAA)、ニッケル-カドミウム、亜鉛-炭素、アルカリ、リチウム、ニッケル水素(nickel-metal hydride)、リチウムイオン、亜鉛-空気、亜鉛-酸化水銀、銀-亜鉛、及び/又は密封型)を使用することができる。いくつかの実施例では、バッテリは、再充電可能であり、かつ/又は複数のバッテリは、システムに電力を供給するために使用されることができる。センサは、例えば、誘導結合を介して経皮的に電力供給されることができる。いくつかの実施例では、水晶振動子は、プロセッサに動作可能に接続されており、例えばプロセッサモジュール内のプログラム可能な取得時間の間、コンピュータシステム全体のシステム時間を維持する。
【0295】
任意選択の温度プローブが提供されることができ、温度プローブは、電子機器アセンブリ又はグルコースセンサ自体に位置する。温度プローブは、グルコースセンサ付近の周囲温度を測定するために使用されることができる。この温度測定は、計算されたグルコース値に温度補償を加えるために使用されることができる。
【0296】
RFモジュールは、プロセッサに動作可能に接続されており、センサからのセンサデータを、アンテナを介して無線伝送内の受信機に伝送する。いくつかの実施例では、第2の水晶振動子は、RF送受信機からのデータ伝送に使用されるRF搬送周波数の時間基準を提供する。しかしながら、いくつかの代替的実施例では、光、赤外線(infrared radiation、IR)、超音波などの他の機構を使用して、データを伝送及び/又は受信することができる。
【0297】
本開示のRF遠隔測定モジュールでは、ハードウェア及びソフトウェアは、完全埋め込み型センサ(例えば、約1メートル~10メートル以上の距離)に対してインビボ環境からエクスビボ環境への最大RF透過率でデバイスの寿命を増加させる(例えば、約3ヶ月~約24ヶ月、又はそれ以上の寿命を可能にする)ために、低電力要件用に設計されている。好ましくは、約402MHz~約433MHzの高周波搬送波信号は、より低い電力要件を維持するために用いられている。追加的に、完全埋め込み型デバイスでは、搬送周波数は、生理学的減衰レベルに適合されており、これは、埋め込み後のRF機能を確実にするために、シミュレートされたインビボ環境においてRFモジュールを同調させることによって達成され、したがって、好ましいグルコースセンサは、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、又は24ヶ月以上の間、センサ機能を持続することができる。
【0298】
いくつかの実施例では、(センサ電子機器からの)出力信号は、受信機(例えば、コンピュータ又は他の通信局)に送信されている。出力信号は、典型的には、例えば、測定された分析物濃度の有用な値を患者又は医師に提供するために使用される生データストリームである。いくつかの実施例では、生データストリームは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2003年8月1日に出願された、米国特許第6,931,327号、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR REPLACING SIGNAL ARTIFACTS IN A GLUCOSE SENSOR DATA STREAM」に記載されているような、例えば、信号ノイズ又は他の信号アーチファクトに起因して、分析物濃度を正確に表さない範囲外の点を減少させるように、連続的又は周期的にアルゴリズム的に平滑化又は別様に変性され得る。
【0299】
センサが最初にホスト組織に埋め込まれるときに、センサ及び受信機は、初期化される。これは、起動モードと称されることができ、任意選択でセンサデータをリセットし、センサを較正することを含む。選択された実施例では、電子機器ユニットを搭載ユニットに嵌合することは、起動モードをトリガする。他の実施例では、起動モードは、受信機によってトリガされる。
【0300】
(受信機)
いくつかの実施例では、センサ電子機器は、一方向又は双方向RF伝送などを介して受信機に無線で接続されている。しかしながら、有線接続も、企図されている。受信機は、センサデータの処理及び表示の多くを提供し、ホストの都合に合わせて選択的に装着及び/又は除去されることができる。したがって、センサシステムは、目立たないように装着されることができ、センサデータの処理及び表示の多くを提供する受信機は、ホストの都合に合わせて選択的に装着及び/又は除去されることができる。特に、受信機は、2003年8月1日に出願された、米国特許第7,778,680号、表題「SYSTEM AND METHODS FOR PROCESSING ANALYTE SENSOR DATA」を参照してより詳細に記載されているような、遡及的及び/又は予測的に較正を開始し、センサデータを変換し、較正を更新し、受信された基準及びセンサデータを評価し、分析物センサの較正を評価するためのプログラミングを含む。
【0301】
図3Cは、一実施例における完全埋め込み型分析物センサ53の側面概略図である。センサは、皮下埋め込みに好適なセンサ本体60を含み、本明細書で定義される小型構造化センサ34を含む。Braukerらの米国特許出願公開第2004/0199059号は、センサ本体60に好適なシステム及び方法を記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施例では、生体界面膜68は、本明細書の他の箇所でより詳細に記載されるように、感知機構36上に形成されている。センサ本体60は、センサ電子機器を含み、好ましくは、上記でより詳細に記載されたように、受信機と通信する。
図3Cに示されるように、生物活性放出膜70は、生体界面膜68及び/又は感知膜32の少なくとも一部分の上に配置される。
【0302】
図3Dは、代替的実施例における完全埋め込み型分析物センサ62の側面概略図である。完全埋め込み型分析物センサ62は、センサ本体60と、本明細書で定義されるような小型構造化センサ34とを含む。センサ本体60は、センサ電子機器を含み、好ましくは、上記でより詳細に記載されたように、受信機と通信する。
【0303】
一実施例では、生体界面膜68は、本明細書の他の箇所でより詳細に記載されるように、感知機構36上に形成されている。別の実施例では、生物活性放出膜70は、感知機構36の少なくとも一部分上に形成されている。別の実施例では、生物活性放出膜70は、感知機構36の別個の分離された部分上に形成されている。更に別の実施例では、生体界面膜68は、生物活性放出膜70の少なくとも一部分の上に形成されている。更に別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面膜68の少なくとも一部分の上に形成されている。一実施例では、マトリックス又はフレームワーク64は、例えば、組織を感知機構36ではなくフレームワーク64に対して、又はその周囲に圧縮させることによって、いくつかの異物突起からセンサを保護するために感知機構36を取り囲む。
【0304】
一般に、任意選択の保護フレームワーク64は、二次元又は三次元の可撓性、半剛性、又は剛性マトリックス(例えば、メッシュ)から形成されており、分析物が通過することができる空間又は孔を含む。いくつかの実施例では、フレームワークは、生体界面膜の一部として組み込まれているが、別個のフレームワークは、提供されることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、フレームワーク64は、インビボで生成される機械的な力から小型構造化感知機構を保護すると考えられる。
【0305】
図3Eは、別の代替的実施例における完全埋め込み型分析物センサ66の側面概略図である。センサ66は、センサ本体60と、本明細書の他の場所でより詳細に記載されるような生体界面膜68及び/又は生物活性放出膜70を有する、本明細書で定義されるような小型構造化センサ34と、を含む。好ましくは、フレームワーク64は、上でより詳細に記載したような感知機構36を保護する。センサ本体60は、センサ電子機器を含み、好ましくは、上記でより詳細に記載されたように、受信機と通信する。
【0306】
特定の実施例では、皮膚の下の軟組織などのホスト内に完全に埋め込まれるように適合されている感知デバイスは、例えば、ホストの腹部などの皮下に埋め込まれている。当業者であれば、センサのサイズが小さいために利用可能な様々な好適な埋め込み部位を理解するであろう。いくつかの実施例では、センサアーキテクチャは、少なくとも1つの寸法が約0.5mm未満であり、例えば、約0.5mm未満の直径を有するワイヤベースのセンサである。別の例示的な実施例では、例えば、センサは、細い基板、針、ワイヤ、ロッド、シート、又はポケットの可能性がある、厚さ0.5mm、長さ3mm、幅2cmであり得る。別の例示的な実施例では、幅約1mm、長さ約5mmの複数のワイヤは、それらの第1の端部で接続されて、フォーク型センサ構造体を生成することができる。更に別の実施例では、1mm幅のセンサは、コイル状に巻かれて、平面状の渦巻き状センサ構造体を生成することができる。いくつかの実施例が上で引用されているが、多数の他の有用な実施例は、当業者によって理解されるように、本開示によって企図されている。
【0307】
埋め込み後、生体界面内での組織の内方成長のために、一定期間が与えられる。組織内方成長に要求された時間の長さは、約1週間~約3週間など、ホストごとに異なるが、他の期間も可能である。一度血管新生組織の成熟床が生体界面に成長すると、本明細書の他の箇所及びその全体が本明細書に組み込まれる、Braukerらの米国特許出願公開第2005/0245799号、表題「IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR」に記載されているように、センサから信号を検出することができる。長期センサは、上述の特許出願に記載されているように、埋め込まれたままであり、数ヶ月~数年のグルコース信号情報を生成することができる。
【0308】
特定の実施例では、デバイスは、感知ユニットが、
図3Bに図示されたものと同様の、テザー若しくはケーブル、又は類似構造体によって、電子機器ユニットから分離されるように構成されている。当業者であれば、センサを電子機器に係留するために、様々な公知の有用な手段が使用され得ることを認識するであろう。理論に束縛されることを望むものではないが、電子機器ユニット単独へのFBRは、例えば、電子機器ユニットのより大きな質量に起因して、感知ユニット単独へのFBRよりも大きくなり得ると考えられる。したがって、感知ユニットと電子機器ユニットとの分離は、感知ユニットへのFBRを効果的に低減し、デバイス機能の改善をもたらす。本明細書の他の箇所で記載されるように、感知ユニットのアーキテクチャ及び/又は組成(例えば、ある生物活性剤を有する生物活性放出膜の包含)は、係留された感知ユニットに対する異物反応を更に低減させるように実装されることができる。
【0309】
別の実施例では、分析物センサは、別個の電子機器及び感知ユニットを用いて設計されており、感知ユニットは、電子機器ユニットに誘導結合されている。本実施例では、電子機器ユニットは、感知ユニットに電力を提供し、及び/又はそれらの間のデータの通信を可能にする。
図3F及び
図3Gは、電子機器ユニット52と感知ユニット58との間の誘導結合を用いる例示的なシステムを図示する。
【0310】
図3Fは、ホストの皮膚上の機能的に有用な距離内の電子機器ユニットに誘導結合された、埋め込まれたセンサの一実施例の側面図である。
図3Fは、感知機構36と、センサ34の遠位端37にある生体界面膜68及び生物活性放出膜70と、ホストの組織210内でホストの皮膚212の下に埋め込まれた小型電子機器チップ216とを含む感知ユニット58を図示する。本実施例では、センサに関連付けられた電子機器の大多数は、ホストの皮膚に好適に近接して位置する電子機器ユニット52(搭載ユニットとも称される)内に収容されている。電子機器ユニット52は、感知ユニット58上の小型電子機器チップ216に誘導結合されており、それによって、例えば、電力をセンサに伝送し、及び/又はデータを収集する。感知ユニット58に結合された小型電子機器チップ216は、センサにバイアス電位を提供し、信号出力を測定するために必要な電子機器、及び/又は感知ユニット58の機構が機能することを可能にする他の必要な要件を提供する(例えば、チップ216は、ASIC(特定用途向け集積回路)、アンテナ、及び当業者によって理解される他の必要な構成要素を含むことができる)。
【0311】
更に別の実施例では、埋め込まれたセンサは、追加的に、デバイス機能に必要な電力を供給するためのコンデンサを含む。携帯型スキャナ(例えば、ワンドのようなデバイス)は、回路に記憶されたデータを収集するため、及び/又はデバイスを再充電するために使用されている。
【0312】
一般に、本明細書で記載されるように、誘導結合は、連続電力供給、再充電などのために電力がセンサに伝送されることを可能にする。追加的に、誘導結合は、電力(例えば、電流)及び/又はデータ通信をそれらの間で効率的に伝送/受信するように、感知ユニット及び電子機器ユニット上で適切に離間及び配向されたアンテナ(例えば、コイル)を利用する。感知及び電子機器ユニットの各々における1つ以上のコイルは、必要な電力誘導及び/又はデータ伝送を提供することができる。
【0313】
この実施例では、感知機構は、例えば、
図2A及び
図2Bを参照してより詳細に説明されるような、並びに米国特許出願公開第2006/0020187号において記載されるようなワイヤベースのセンサ、又はSayらの米国特許第6,175,752号及びMastrototaroらの米国特許第5,779,665号において記載されるような平面基板ベースのセンサであり得、これらの全てが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。生体界面膜68は、例えば、多孔質生体界面膜材料の層、メッシュケージなど、本明細書の他の場所でより詳細に記載されるような任意の好適な生体界面であることができる。例示的な一実施例では、生体界面膜68は、感知機構36が中に組み込まれている、ePTFEのような多孔質膜材料の単層又は多層シート(例えば、ポケット)である。
【0314】
図3Gは、機能的に有用な距離でホストの組織に埋め込まれた電子機器ユニットに誘導結合された、埋め込まれたセンサのオン実施例の側面図である。
図3Gは、上記の
図3Fを参照して記載したものと同様の感知ユニット58及び電子機器ユニット52を図示するが、両方ともホストの皮膚の下に好適に近接して埋め込まれている。
【0315】
一般に、埋め込み型デバイスの質量の大多数を担持する電子機器ユニット52が感知ユニット58から分離しているときに、(例えば、より大きな質量のデバイス、例えば、特定の電子機器及び/又は電源を含むデバイスと比較して)感知ユニットを取り囲む、より小さな異物反応が生じると考えられる。したがって、生体界面膜及び/又は生物活性放出膜を含む、感知ユニットの構成は、例えば、他の場所でより詳細に説明されるように、最小質量で、ホストの組織応答を最小限に抑える、及び/又は修正するように最適化することができる。
【0316】
(生体界面膜/層)
一実施例では、センサは、そのいくらかの部分の上に配置された多孔質材料を含み、これは、センサに対するホストの組織応答を修正する。いくつかの実施例では、センサを取り囲む多孔質材料は、有利には、センサへの細胞移動、及びセンサがインビボ環境に直接曝露された場合に細胞侵入によって引き起こされるであろう関連する分解を減速又は低減することによって、センサの性能及び寿命を増強及び延長する。代替的に、多孔質材料は、長期にわたる多孔質材料への組織の内方成長を介してセンサの安定化を提供することができる。好適な多孔質材料は、2004年5月10日出願された、米国特許第7,875,293号、表題「BIOINTERFACE MEMBRANES INCORPORATING BIOACTIVE AGENTS」、及び2003年8月22日出願された、米国特許第7,192,450号、表題「POROUS MEMBRANES FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES」に記載されているように、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-co-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ホモポリマー、コポリマー、ポリウレタンのターポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレタン尿素コポリマー、セルロース系ポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)並びにそれらのコポリマー及びブレンド、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダム及びグラフトコポリマーを含む、ポリスルホン及びそのブロックコポリマー、並びに金属、セラミック、セルロース、ヒドロゲルポリマー、ポリエチレンビニルアセテート(polyethylene vinyl acetate、EVA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(poly(2-hydroxyethyl methacrylate、pHEMA)、ヒドロキシエチルメタクリレート、(hydroxyethyl methacrylate、HEMA)、ポリアクリロニトリル-ポリ塩化ビニル(polyacrylonitrile-polyvinyl chloride、PAN-PVC)、高密度ポリエチレン、アクリルコポリマー、ナイロン、ポリフッ化ビニル、ポリ無水物、ポリ(L-リジン)、ポリ(L-乳酸)、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシアペプタイト、アルミナ、ジルコニア、炭素繊維、アルミニウム、カルシウムホスフェート、チタン、チタン合金、ニンチノール、ステンレス鋼、並びにCoCr合金などを含む。
【0317】
いくつかの実施例では、センサを取り囲む多孔質材料は、センサの性能及び寿命を増強及び延長させるために使用されることができる、(例えば、1~14日)インビボで固有の利点を提供する。しかしながら、そのような材料はまた、長期(例えば、14日を超える)においても利点を提供することができる。特に、センサのインビボ部分(ホストの組織に埋め込まれるセンサの部分)は、多孔質材料に(部分的に又は完全に)包まれている。多孔質材料は、(例えば、多孔質材料をセンサの周りに巻き付けることによって、又はセンサを受容するように寸法決めされた多孔質材料のセクションにセンサを挿入することによって)センサの周りに巻き付けられることができる。あるいは、多孔質材料は、(例えば、その上に直接ポリマーを電界紡糸することによって)センサ上に堆積され得る。更に他の代替的実施例では、センサは、多孔質生体材料の選択されたセクションに挿入されている。センサのインビボ部分を多孔質材料で取り囲むための他の方法はまた、当業者には理解されるように使用され得る。
【0318】
センサを取り囲む多孔質材料は、有利には、センサへの細胞移動、及びセンサがインビボ環境に直接曝露された場合に細胞侵入によって引き起こされるであろう関連する分解を遅延させるか又は低減する。すなわち、多孔質材料は、センサに向かう細胞の移動をより蛇行させ、したがってセンサに向かう細胞の移動をより遅くするバリアを提供する。これは、経時的に通常観察される感度損失を低減又は遅くすると考えられる。
【0319】
多孔質材料が多孔質シリコーンなどの高酸素溶解度材料である実施例では、高酸素溶解度多孔質材料は、センサのインビボ部分の一部又は全体を取り囲む。いくつかの実施例では、グルコースに対する酸素量のより低い比率は、酵素膜及び/又は電気活性表面への酸素の供給/輸送を増強するために、高酸素可溶性ドメイン(例えば、シリコーン又はフッ化炭素ベースの材料)を使用することによって、過剰酸素を提供するのに十分であることができる。従来のセンサによって通常見られるいくつかの信号ノイズは、酸素不足に起因し得ると考えられる。シリコーンは、高い酸素透過性を有するため、酵素層への酸素輸送を促進する。シリコーン組成物の使用を通して酸素供給を増強することによって、例えば、グルコース濃度が制限因子ではなくなる可能性がある。換言すれば、より多くの酸素が酵素及び/又は電気化学活性表面に供給される場合、より多くのグルコースがまた、酸素律速過剰を生じることなく、酵素に供給され得る。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、シリコーン材料は、ポリウレタンなどの他のポリマー材料と比較して、増強された生体安定性を提供すると考えられる。
【0320】
別の実施例では、多孔質材料は、挿入時に放出される生物活性剤を更に含む。実施例では、多孔質構造体は、生物活性剤放出/溶出を可能にしながら、グルコース透過のためのアクセスを提供する。実施例では、生物活性剤が多孔質構造体から放出/溶出するにつれて、グルコース輸送は、例えば、前述の免疫応答因子からのグルコース輸送の任意の減衰を相殺するように増加し得る。
【0321】
本明細書中で使用されるときに、「膜」及び「マトリックス」という用語は、交換可能であることを意味する。これらの実施例では、前述の多孔質材料は、例えば、流体ポケットを形成すること、血管新生された組織内方成長を促進すること、下方組織拘縮を破壊すること、デバイスに隣接する線維組織成長に抵抗すること、及び/又はバリア細胞形成を妨げることによって、ホストの組織応答を改変する、空洞サイズ、構成、及び/又は全体の厚さを含むアーキテクチャを含む第1のドメインを備える生体界面膜である。生体界面膜は、実施例では、少なくともセンサの感知機構を覆い、感知機構又はセンサを均一に、非対称に、又は軸対称に覆うこと、又は取り囲むことを含む、任意の形状又はサイズであり得る。
【0322】
細胞及び/又は細胞突起に対して不透過性である生体界面膜の第2のドメインが、任意選択で提供される。第1のドメイン、第2のドメイン、感知膜、又は埋め込み型デバイスの他の部分のうちの少なくとも1つに組み込まれる生物活性剤は、任意選択で提供され、生物活性剤は、ホスト組織応答を修正するように構成されている。実施例では、生体界面は、生物活性剤を含み、生物活性剤は、生体界面膜の第1及び第2のドメインのうちの少なくとも1つに、又はデバイスに組み込まれ、膜に対するホストの組織応答を修正するために、第1及び/又は第2のドメインを通して拡散するように適合される。
【0323】
本開示のセンサ(感知機構)の寸法が小さいため、多孔質膜形成及び/又は多孔質膜粘着のいくつかの従来の方法は、本明細書に記載されるようなセンサ上への生体界面膜の形成には不適切である。したがって、以下の実施例は、本明細書で定義されるような小型構造化センサ上に生体界面膜を形成及び/又は粘着するためのシステム及び方法を例示する。例えば、本開示の生体界面膜又は放出膜は、電界紡糸、成形、製織、直接描画、凍結乾燥、ラッピングなどの技術を使用してセンサ上に形成されることができる。
【0324】
生体界面がセンサ上に直接書き込まれる実施例では、ディスペンサは、例えば、米国特許出願公開第2004/0253365号に記載されているように、弁などを有するノズルを使用してポリマー溶液を分注する。一般に、生体界面膜の織布又は不織布繊維を形成するために、様々なノズル及び/又はディスペンサがポリマー材料を分注するのに用いられ得る。
【0325】
(生物活性放出膜/層-炎症反応制御)
一般に、生体材料インプラントに対する炎症反応は、2つの段階に分けられることができる。第1の段階は、肥満細胞の動員、次いで主に多形核(polymorphonuclear、PMN)細胞の浸潤からなる。この段階は、急性炎症段階と呼ばれている。数日~数週間にわたって、炎症の第2の段階を含む慢性細胞型がPMNを置換する。マクロファージ及びリンパ球細胞は、この段階の間に優勢である。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、血管拡張の制限及び/又は炎症促進性信号伝達の遮断、血管新生の短期刺激、又は瘢痕形成若しくはバリア細胞層形成の短期阻害は、瘢痕組織形成からの保護を提供し、及び/又は急性炎症を低減し、それによって、例えば、変化した異物反応の持続的維持のための安定なプラットフォームを提供すると考えられる。
【0326】
したがって、生物活性介入は、異物カプセル形成の初期の数週間における異物反応を改変し、異物カプセルの長期挙動を変化させることができる。追加的に、いくつかの状況では、本開示の生体界面膜は、生物活性介入から利益を得て、インプラント処置、インプラントの動き、又は他の要因に対する膜の感度を克服することができ、別様に炎症、瘢痕形成を引き起こし、インビボでデバイス機能を妨げることが公知であると考えられる。
【0327】
一般に、組織応答を改変すると考えられる生物活性剤は、抗炎症剤、抗感染剤、抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、麻酔剤、炎症剤、成長因子、血管新生(成長)因子、アジュバント、免疫抑制剤、抗血小板剤、抗凝固剤、ACE阻害剤、細胞毒性剤、抗バリア細胞化合物、血管新生化合物、アンチセンス分子などを含む。いくつかの実施例では、好ましい生物活性剤は、S1P(スフィンゴシン-1-リン酸)、モノブチリン、シクロスポリンA、抗トロンボスポンジン-2、ラパマイシン(及びその誘導体)、MCC950などのNLRP3インフラマソーム阻害剤、及びデキサメタゾンを含む。しかしながら、他の生物活性剤、生物学的材料(例えば、タンパク質)、又は非生物活性物質でさえも、本開示の膜に組み込まれることができる。
【0328】
本開示における使用に好適な生物活性剤は、大まかに2つの群、抗バリア細胞剤及び血管新生剤に体系づけられる。これらの名称は、本開示のセンサの1つ以上の膜を通じた短期の溶質輸送を提供し、追加的に、健康な血管床の寿命を延ばし、したがって、1つ以上の膜を通じた溶質輸送をインビボで長期に延ばすと考えられる機能を反映している。しかしながら、全ての生物活性剤が上記の群の一方又は他方に明確に分類されることができるわけではなく、むしろ、生物活性剤は、概して、組織応答を改変するための1つ以上の様々な機構を備え、概して、上記の引用されたカテゴリーの一方又は両方に分類されることができる。
【0329】
(抗バリア細胞剤)
概して、抗バリア細胞剤は、マクロファージ及び異物巨細胞(foreign body giant cell、FBGC)に対して効果を示す化合物を含む。抗バリア細胞剤は、FBC成熟中にデバイス-組織界面でマクロファージ及びFBGCによって提示される溶質輸送に対するバリアの閉鎖を防止すると考えられる。
【0330】
抗バリア細胞剤は、概して、異物巨細胞及び/又は閉塞性細胞層を阻害する機構を含む。例えば、スーパーオキシドディスムターゼ(Super Oxide Dismutase、SOD)模倣体は、ポルフィリン様分子内のマンガン触媒中心を利用して、天然のSODを模倣し、そして長期間にわたってスーパーオキシドを効果的に除去し、それによって、インビボでの生体材料の表面でのFBGC形成を阻害するものであり、好ましい実施例の生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。
【0331】
抗バリア細胞剤は、初期FBC形成に影響を与える抗炎症及び/又は免疫抑制機構を含むことができる。生体材料の周囲で非常に高いレベルの新血管新生を刺激するシクロスポリンは、生体界面膜(Martinsonらの米国特許第5,569,462号を参照されたい)、又は好ましい実施例の放出膜に組み込まれ得る。
【0332】
実施例では、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特に、例えば、デバイス-組織界面でのFBC応答の強度を弱めるデキサメタゾン酢酸エステルは、生物活性放出膜70に組み込まれている。別の実施例では、デキサメタゾンとデキサメタゾン酢酸エステルとの組み合わせは、生物活性放出膜70に組み込まれている。別の実施例では、1つ以上の他の抗炎症剤及び/又は免疫抑制剤と組み合わせたデキサメタゾン及び/又はデキサメタゾン酢酸エステルは、生物活性放出膜70に組み込まれている。代替的に、いくつかのマクロファージ炎症機能の強力な特異的阻害剤であるラパマイシンは、単独で、又はデキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステルと組み合わせて、放出膜に組み込まれることができる。
【0333】
他の好適な薬剤、薬学的組成物、治療剤、又は他の望ましい物質は、本開示の生物活性放出膜70に組み込まれることができ、これらとしては、抗炎症剤、抗感染剤、壊死剤、及び麻酔剤を含むが、これらに限定されない。
【0334】
概して、抗炎症剤は、FBCカプセルの形成を減少させてバリア細胞層形成を低減又は防止するために、インプラントに隣接する急性及び/又は慢性炎症を低減させる。好適な抗炎症剤は、例えば、アセトメタフェン、アミノサリチル酸、アスピリン、セレコキシブ、トリサリチル酸コリンマグネシウム、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インターロイキン(interleukin、IL)-10、IL-6ムテイン、抗IL-6 iNOS阻害剤(例えば、L-NAME又はL-NMDA)、インターフェロン、ケトプロフェン、ケトロラク、レフルノミド、メレナミン酸、ミコフェノール酸、ミゾリビン、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、サルサレート、スリンダク、及びトルメチンなどの非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drug、NSAID)、並びにコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベタメテゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、パクリタキセル、タクロリムス、トラニラスト、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ベタメタゾン・バレレート、デソニド、デソキシメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸クロベタゾール、MCC950などのNLRP3インフラマソーム阻害剤、デキサメタゾン、及びデキサメタゾン酢酸エステルなどの副腎皮質ステロイドを含むが、これらに限定されない。
【0335】
概して、免疫抑制剤及び/又は免疫調節剤は、炎症反応における異なる細胞要素の関与に必要ないくつかの重要な機構に直接干渉する。好適な免疫抑制剤及び/又は免疫調節剤は、抗増殖剤、細胞周期阻害剤、(例えば、パクリタキソール(例えば、シロリムス)、サイトカラシンD、インフィキシマブ)、タキソール、アクチノマイシン、マイトマイシン、トスプロモート(thospromote)VEGF、エストラジオール、NOドナー、QP-2、タクロリムス、トラニラスト、アクチノマイシン、エベロリムス、メトトレキサート、ミコフェノール酸、アンジオペプチン、ビンクリスチン、マイトマイシン、スタチン、C MYCアンチセンス、シロリムス(及びアナログ)、レステナーゼ、2-クロロデオキシアデノシン、PCNAリボザイム、バチムスタット、プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤、PPARγリガンド(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、ハロフギノン、C-プロテイナーゼ阻害剤、プロブコール、BCP671、EPC抗体、キャッチン、糖化剤、エンドセリン阻害剤(例えば、アンブリセンタン、テソセンタン、ボセンタン)、スタチン(例えば、セリバスタチン)、大腸菌熱傷性エンテロトキシン、並びに高度コーティングを含む。
【0336】
概して、抗感染剤は、感染因子の拡散を阻害することによって、又は感染因子を完全に死滅させることによって、感染に対して作用することが可能である物質であり、これは、埋め込み部位での炎症反応を伴わずに免疫応答を減少させる働きをすることができる。抗感染剤は、駆虫薬(メベンダゾール)アミノ配糖体を含む抗生物質(ゲンタミシン、ネオマイシン、トブラマイシン)、抗真菌抗生物質(アンホテリシンb、フルコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ナイスタチン、ミカチン、トルナフタート)、セファロスポリン類(セファクロル、セファゾリン、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン)、ベータ-ラクタム抗生物質(セフォテタン、メロペネム)、クロラムフェニコール、マクロライド系抗生物質(アジトロマイシン、クラリスロマイシン、エリトロマイシン)、ペニシリン系抗生物質(ペニシリンGナトリウム塩、アモキシリン、アンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、バシトラシン;クリンダマイシン;コリスチンメタナトリウム;硫酸ポリミキシンb;バンコマイシン;アシクロビル、アマンタジン、ジダノシン、エファビレンツ、ホスカルネット、ガンシクロビル、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、銀、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジンを含む抗ウイルス薬;キノロン系抗菌薬(シプロフロキサシン、レボフロキサシン);スルホンアミド類(スルファジアジン、スルフイソキサゾール);スルホン類(ダプソン);フラゾリドン;メトロニダゾール;ペンタミジン;スルファニルアミダムクリスタリナム(sulfanilamidum crystallinum);ガチフロキサシン;及びスルファメトキサゾール/トリメトプリムを含むが、これらに限定されない。
【0337】
概して、壊死剤は、組織壊死又は細胞死を引き起こす任意の薬物である。壊死剤は、シスプラチン、BCNU、タキソール又はタキソール誘導体を含む。
【0338】
(血管新生剤)
概して、血管新生剤は、直接的又は間接的な血管新生特性を有する物質を含む。いくつかの場合では、血管新生剤は、インビボでのバリア細胞の形成に追加的に影響を与え得る。間接的な血管新生とは、血管新生が炎症又は免疫刺激経路を介して媒介される可能性があることを意味する。局所血管新生を誘導する薬剤が、どのようにしてバリア細胞形成を間接的に阻害するかは完全には知られておらず、しかしながら、いくつかのバリア細胞効果は、血管新生剤の効果から間接的に生じることができると考えられる。
【0339】
血管新生剤は、膜の周囲の新血管新生を促進し、かつ/又はデバイス-組織界面に近い血管新生を増加させることによって虚血期間を最小限に抑える機構を含む。スフィンゴシン-1-リン酸(Sphingosine-1-Phosphate、S1P)は、強力な血管新生活性を有するリン脂質であり、好ましい実施例の生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。脂肪細胞の強力な血管拡張薬及び血管新生脂質産物であるモノブチリンは、好ましい実施例の生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。別の実施例では、血管新生を増加させるアンチセンス分子(例えば、トロンボスポンジン-2アンチセンス)は、生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。
【0340】
血管新生剤は、炎症を促進する機構を含むことができ、これはインビボで新血管新生の加速を引き起こすと考えられる。一実施例では、異種担体、例えば、ウシコラーゲンは、その外来性によって免疫応答を引き起こし、新血管新生を刺激し、本開示の生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。別の実施例では、強力な免疫刺激剤であるリポ多糖は、生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。別の実施例では、タンパク質、例えば、組織における骨治癒を調節することが公知である骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein、BMP)は、好ましい実施例の生体界面膜又は放出膜に組み込まれている。
【0341】
概して、血管形成剤は、新血管新生を刺激することができる物質であり、これは、デバイス-組織界面での血管新生された組織床の発達を加速及び持続することができる。血管新生剤は、銅イオン、鉄イオン、塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩基性線維芽細胞成長因子(Basic Fibroblast Growth Factor、bFGF)、(ヘパリン結合成長因子II及び線維芽細胞成長因子IIとしても知られる)、酸性線維芽細胞成長因子(Acidic Fibroblast Growth Factor、aFGF)、(ヘパリン結合成長因子-I及び線維芽細胞成長因子-Iとしても知られる)、血管内皮成長因子(Vascular Endothelial Growth Factor、VEGF)、血小板由来内皮細胞成長因子BB(Platelet Derived Endothelial Cell Growth Factor BB、PDEGF-BB)、アンジオポエチン-1、トランスフォーミング成長因子ベータ(Transforming Growth Factor Beta、TGF-ベータ)、トランスフォーミング成長因子アルファ(Transforming Growth Factor Alpha、TGF-アルファ)、肝細胞成長因子、腫瘍壊死因子アルファ(Tumor Necrosis Factor-Alpha、TNF-アルファ)、胎盤成長因子(Placental Growth Factor、PLGF)、アンジオジェニン、インターロイキン-8(IL-8)、低酸素誘導因子-I(Hypoxia Inducible Factor-I、HIF-1)、アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin-Converting Enzyme、ACE)阻害剤キナプリラト、アンジオトロピン、トロンボスポンジン、ペプチドKGHK、低酸素緊張、乳酸、インスリン、硫酸銅、エストラジオール、プロスタグランジン、コックス阻害剤、内皮細胞結合剤(例えば、デコリン又はビメンチン)、グレニピン、過酸化水素、ニコチン、並びに成長ホルモンを含むが、これらに限定されない。
【0342】
概して、炎症促進剤は、ホスト組織における免疫応答を刺激することが可能である物質であり、これは、成熟した血管新生された組織床の形成を加速又は持続することができる。例えば、炎症促進剤は、概して、埋め込み部位で慢性炎症及び慢性顆粒応答を誘導する刺激物又は他の物質である。理論に束縛されることを望むものではないが、高度な組織肉芽の形成は、血管を誘導し、それが十分な又は豊富な分析物の供給をデバイス-組織界面に供給すると考えられる。炎症促進剤は、異種担体、リポ多糖類、黄色ブドウ球菌ペプチドグリカン、及びタンパク質を含むが、これらに限定されない。
【0343】
本開示の膜に組み込まれることができる他の物質は、様々な薬剤、賦形剤、及び医薬製剤の技術分野で周知の他の物質を含む。
【0344】
いくつかの実施例における生物活性剤は、生体界面膜又は放出膜及び/又は埋め込み型デバイスに組み込まれているが、いくつかの実施例では、生物活性剤は、デバイスの埋め込みと同時に、その前に、又はその後に、例えば経口投与によって全身的に、又は例えば埋め込み部位付近への皮下注射によって局所的に投与されることができる。生体界面膜に組み込まれた生物活性剤と、局所的及び/又は全身的な生物活性剤投与との組み合わせは、特定の実施例では好ましいとされることができる。
【0345】
一実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面膜として機能する。別の実施例では、生物活性放出膜70は、生体界面膜68とは化学的に別個であるか、又は生体界面膜68は、使用されない。そのような実施例では、1つ以上の生物活性剤は、生物活性放出膜70、又は生体界面膜68及び生物活性放出膜70の両方に組み込まれている。
【0346】
概して、多数の変数は、生物活性剤放出の薬物動態に影響を与えることができる。本開示の生物活性剤は、短期放出及び/又は延長放出に最適化することができる。いくつかの実施例では、本開示の生物活性剤は、異物反応の短期効果(例えば、急性炎症)に関連付けられた因子を補助又は克服するように設計されており、これは、埋め込み時と同じくらい早く開始し、埋め込み後約1ヶ月まで延長することができる。いくつかの実施例では、本開示の生物活性剤は、長期効果、例えば、慢性炎症、バリア細胞層形成、又は異物反応の線維性組織の構築に関連する因子を補助又は克服するように設計されており、これは、埋め込み後約1週間という早期に開始し、インプラントの寿命にわたって、例えば、数ヶ月から数年にわたって延長することができる。いくつかの実施例では、本開示の生物活性剤は、短期放出と延長放出とを組み合わせて、両方の利点を活用する。Shultsらの米国特許出願公開第2005/0031689号は、生物活性剤の放出のための様々なシステム及び方法を開示する。
【0347】
放出膜への生物活性剤の添加量は、様々な因子に依存することができる。例えば、生物活性剤の投与量及び持続時間は、放出膜の意図された用途、例えば、細胞移植、分析物測定デバイスなど、生物活性剤の有効投与量におけるホスト間の差異、生物活性剤を添加する場所及び方法、並びに生物活性剤に関連付けられた放出速度、並びに任意選択でそれらの化学組成及び/又は生物活性剤添加量によって変化し得る。したがって、当業者は、少なくとも上述の理由のために、1つ以上の生物活性剤の再現可能かつ制御された放出を達成する変動性を理解するであろう。Shultsらの米国特許出願公開第2005/0031689号は、生物活性剤を添加するための様々なシステム及び方法を開示する。
【0348】
実施例では、生物活性放出膜の複数の層又は個別若しくは半個別のリング若しくはバンドを用いて、意図された生物の感知に合わせて生物活性剤の放出を特異的に調整する。したがって、実施例では、多層生物活性放出膜の2つ以上の層は、例えば、疎水性/親水性含量又はソフト-ハードセグメント化ポリマー若しくはコポリマーのセグメントの比、各層における2つ以上の異なるポリマー若しくはコポリマー、又は異なるポリマー及び/若しくはコポリマーのブレンドの組成構成又は重量パーセント、又は1つ以上の層におけるそれらの垂直方向若しくは水平分布、各層における生物活性剤の添加量及び/又は分布(コーティングされた膜内で垂直方向又は長手方向)、各層の膜厚、2つ以上の別個の生物活性剤(例えば、生物活性剤の中性、誘導体及び/若しくは塩形態、又は一次形態及び誘導体形態)の組成物及び添加量、個々の生物活性放出膜層を流延又は堆積又は浸漬コーティングするために使用される溶媒系、及びセンサの長さに沿った生物活性放出膜層の相対位置(連続的、半連続的又は非連続的位置決め)の、1つ以上の態様において異なる。
【0349】
(センサ上への生物活性放出膜/層形成)
本明細書に開示された膜システムは、生体液と接触する埋め込み型デバイスでの使用に好適である。例えば、膜システムは、生体液中の分析物レベルを監視及び判定するためのデバイス、例えば、糖尿病を有する個人についてグルコースレベルを監視するためのデバイスのような埋め込み型デバイスとともに利用されることができる。いくつかの実施例では、分析物測定デバイスは、連続デバイスである。分析物測定デバイスは、酵素、化学、物理、電気化学、分光光度、旋光分析、電位差測定、熱量測定、放射測定、免疫化学などの要素を含むがこれらに限定されない、生信号を提供するための任意の好適な感知要素を用いることができる。
【0350】
以下の記載のいくつかは、記載された膜システム及びそれらの使用方法を含むグルコース測定デバイスに向けられているが、これらの膜システムは、グルコースを測定又は監視するデバイスにおける使用に限定されていない。これらの膜システムは、例えば、生体液中に存在する他の分析物(例えば、コレステロール、アミノ酸、アルコール、ガラクトース、及び乳酸)を検出及び定量するデバイス、細胞移植デバイス(例えば、米国特許第6,015,572号、米国特許第5,964,745号、及び米国特許第6,083,523号を参照されたい)、薬物送達デバイス(例えば、米国特許第5,458,631号、米国特許第5,820,589号、及び米国特許第5,972,369号を参照されたい)などを含む様々なデバイスのいずれかにおける使用に好適であり、これらは、膜システムの教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0351】
好適な生物活性放出膜は、センサの挿入から始まり、センサの寿命を通じて、生物活性剤の治療的有効量及び放出速度を提供する膜である。一実施例では、ある量の生物活性剤と組み合わせた生物活性放出膜は、生物活性剤を含まない同等のセンサ生物活性放出膜と比較した(又は生物活性放出膜及び生物活性剤が存在しない場合と比較した)ときに、センサの有用な寿命の延長を提供する。本明細書で使用される場合、生物活性剤の治療的有効量は、意図される治療効果を誘導することが可能である量である。意図される治療効果は、従来の診断方法を使用して容易に判定されることができるものである。例えば、意図される治療効果は、炎症及び/又は線維性被膜形成を含むがこれらに限定されない、インプラント(異物)に対する望ましくない異物反応を抑制することを包含する。
【0352】
いくつかの実施例では、膜の湿潤特性(及び、ひいてはセンサによって示されるセンサドリフトの程度)は、表面活性基含有ポリマー、官能基含有ポリマー、双性イオン基を有するポリマー(又はその前駆体若しくは誘導体)、及びそれらの組み合わせの間に共有結合架橋を生成することによって調整及び/又は制御されることができる。架橋は、フィルム構造体上に実質的効果を有することができ、これは、次にフィルムの表面湿潤特性に影響を与えることができる。架橋はまた、フィルムの引張強度、機械的強度、吸水速度及び他の特性に影響を与えることができる。
【0353】
架橋ポリマーは、異なる架橋密度を有することができる。特定の実施例では、架橋剤は、層間の架橋を促進するために使用されている。他の実施例では、上述の架橋技術の代わりに(又はそれに加えて)、熱は、架橋を形成するために使用されている。例えば、いくつかの実施例では、イミド結合及びアミド結合は、高温の結果として2つのポリマー間に形成されることができる。いくつかの実施例では、光架橋は、実行されて、ポリカチオン層とポリアニオン層との間に共有結合を形成する。光架橋の1つの主要な利点は、パターニングの可能性を提供することである。特定の実施例では、光架橋を使用するパターニングは、フィルム構造体を改変し、したがって膜の湿潤特性を調節するために実行されている。
【0354】
架橋を可能にするように官能化されたドメイン又はセグメントを有するポリマーは、当技術分野で公知の方法によって作製されることができる。例えば、求電子性官能基(例えば、カルボニル基、アルデヒド基、無水物基、エステル基、アミド基、イソシアノ基、エポキシ基、アリル基、又はハロ基)を有する芳香族セグメント又は脂肪族セグメントを有するポリウレタン尿素ポリマーは、複数の求核性基(例えば、ヒドロキシル基、アミン基、尿素基、ウレタン基、又はチオ基)を有する架橋剤で架橋されることができる。更なる実施例では、求核性官能基を有する芳香族セグメント又は脂肪族セグメントを有するポリウレタン尿素ポリマーは、複数の求電子性基を有する架橋剤で架橋されることができる。更に、求核性官能基又は求電子性官能基を有する親水性セグメントを有するポリウレタン尿素ポリマーは、複数の求電子性基又は求核性基を有する架橋剤で架橋されることができる。ポリウレタン尿素上の不飽和官能基はまた、多価フリーラジカル剤と反応させることによって架橋のために使用されることができる。好適な架橋剤の非限定的な実施例は、イソシアネート、カルボジイミド、グルタルアルデヒド、アジリジン、シラン、若しくは他のアルデヒド、エポキシ、アクリレート、フリーラジカルベースの薬剤、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether、EGDE)、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(poly(ethylene glycol)diglycidyl ether、PEGDE)、又はジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide、DCP)を含む。実施例では、約0.1w/w%~約15%w/wの架橋剤は、成分をブレンドするときに添加される架橋剤及びポリマーの総乾燥重量に対して添加され(実施例では、約1%~約10%)、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。硬化プロセスの間、実質的に全ての架橋剤は、反応して、最終フィルム中に検出可能な未反応架橋剤を実質的に残さないと考えられる。
【0355】
本明細書に開示されたポリマーは、当技術分野で公知の任意の方法(例えば、噴霧、塗布、浸漬コーティング、蒸着、成型、3D印刷、リソグラフィ技術(例えば、フォトリソグラフィ)、マイクロ及びナノピペッティング印刷技術、シルクスクリーン印刷など)を使用して、フィルムに延伸される、又は表面に適用されることができる混合物に製剤化されることができる。次いで、混合物は、高温(例えば、50℃~150℃)下で硬化されることができる。他の好適な硬化方法は、例えば、紫外線又はガンマ線を含むことができる。
【0356】
一実施例では、センサに関連付けられた生物活性剤の重量は、1~120μL、2~110μL、3~100μL、4~90μL、5~80μL、6~70μL、7~60μL、8~50μL、9~40μL、又は10~30μLである。別の実施例では、センサに関連付けられた2つ以上の生物活性剤の重量は、独立して又は集合的に、1~120μL、2~110μL、3~100μL、4~90μL、5~80μL、6~70μL、7~60μL、8~50μL、9~40μL、又は10~30μLである。
【0357】
一実施例では、生物活性放出膜70における生物活性剤の重量パーセント添加量は、約10重量パーセント~約90重量パーセントである。実施例では、生物活性放出膜70中の生物活性剤の重量パーセント添加量は、生物活性放出膜+生物活性剤(センサ上の堆積膜として)の総重量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。実施例では、生物活性放出膜70中の生物活性剤の重量パーセント添加量は、生物活性放出膜+生物活性剤(センサ上の堆積膜として)の総重量の30%、40%、50%、又は60%である。生物活性放出膜の性質、例えば、疎水性/親水性ソフトセグメントの比率に応じて、生物活性剤の重量パーセントは、生物活性放出膜及びセンサ上に生物活性放出膜及び生物活性剤を分注するために使用される任意の溶媒又は溶媒系との生物活性剤の溶解度/混和性/分散に基づいて、選択される。特定の生物活性放出膜における生物活性剤の添加量が高すぎることは、生物活性剤の沈殿及び/又はコーティング品質の低下をもたらす可能性がある。生物活性放出膜における生物活性剤の添加量が低すぎることは、センサの意図された寿命にわたって非効率的な治療効果がもたらされる可能性があり、これは、とりわけ、初期及び/又はセンサの設計された寿命の前の不十分な信号対ノイズ、挿入直後及び/又はセンサの設計された寿命の前の標的分析物に対するセンサの感度の低下又は変動として現れる可能性がある。
【0358】
実施例では、生物活性放出膜は、重量パーセントで、挿入後、センサの寿命末期まで、生物活性剤の初期添加量の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%を含む最大100%で、放出するように構成されている。実施例では、生物活性放出膜は、挿入後、センサの寿命末期まで、生物活性剤の60~90重量パーセントを放出するように構成されている。別の実施例では、生物活性放出膜は、挿入後、センサの寿命末期まで、生物活性剤の75重量パーセント~85重量パーセントを放出するように構成されている。
【0359】
一実施例では、本開示の生物活性放出膜は、生物活性剤のボーラス量に見合った生物活性放出膜からの生物活性剤の放出を提供する。別の実施例では、本開示の生物活性放出膜は、生物活性剤の治療的有効量に見合った生物活性放出膜からの生物活性剤の放出を提供する。実施例では、本開示の生物活性放出膜は、非治療的有効量に見合った生物活性放出膜からの生物活性剤の放出を提供し、非治療的有効量は、生物活性剤のボーラス量又は治療量の放出のうちの1つ以上に続く。
【0360】
実施例では、本開示の生物活性放出膜は、第1の期間又は範囲(例えば、数分、数時間、数日、数週間など)の間、センサの挿入時に本質的に直ちに、生物活性剤のボーラス放出を提供し、第1の期間又は範囲は、対象の軟組織への第1の時点(例えば、1秒以下)で開始される。実施例では、本開示の生物活性放出膜は、第1の時点で開始される第1の期間の間、センサの挿入時に本質的に直ちに、対象の軟組織へのボーラス量の生物活性剤の放出を提供し、その後、第2の期間の間、第2の時点で開始する治療的有効量の生物活性剤の放出が続き、第2の期間は、第1の期間と重複するか、又はその後である。実施例では、第2の時点は、第1の時点から少なくとも10秒、30秒、1分、5分、10分以上後である。一実施例では、本開示の生物活性放出膜は、第1の期間で開始される第1の期間の間、センサの挿入時に本質的に直ちに、対象の軟組織へのボーラス量の生物活性剤の放出を提供し、その後、第1の期間と重複するか又はそれに続く第2の期間の間、第2の時点で開始する第2の期間の治療的有効量の生物活性剤の放出が続き、その後、第2の期間と重複するか又はそれに続く第3の期間の間、第3の時点で開始する第3の期間の非治療的有効量の生物活性剤の放出が続く。実施例では、第3の時点は、第2の時点から少なくとも10秒、30秒、1分、5分、10分以上後である。
【0361】
実施例では、生物活性のボーラス放出は、センサの体積の存在によって組織内に作成される環境を改変するように、親水性物質(双性イオン種、ヒドロゲル粒子又は球)などの非活性薬学的成分(非API)の放出と組み合わせられる。理論に束縛されることを望むものではないが、親水性物質は、流体を環境に引き寄せ、生物付着を軽減し、生物活性の代謝分解を遅らせ、かつ/又は生物活性の細胞への取り込みを増加させることができると考えられる。かかる非APIの放出は、他の利点の中でもとりわけ、異物反応の遅延を促進し、及び/又は生物活性放出膜からの生物活性物質の放出を促進し得る。
【0362】
前述の第1、第2又は第3の期間のいずれかにおける生物活性剤の放出速度は、同じであっても異なっていてもよい。前述の第1、第2、又は第3の期間のいずれかにおける生物活性剤の放出速度は、例えば、膜化学、構造体、及び/又は形態、生物活性剤添加量、生物活性剤化学のうちの1つ以上を改変することによって、実質的に一定速度又は可変速度(断続的、周期的、及び/又はランダム)で生じるように構成されることができる。前述の期間のいずれかにおける生物活性剤の放出速度(経時的に放出される生物活性剤の濃度又は量)は、例えば、膜化学、構造体、及び/又は形態、生物活性剤添加量、生物活性剤化学のうちの1つ以上を改変することによって、埋め込み後に経時的に変化するように構成されることができる。
【0363】
一実施例では、初期又は第1の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度は、初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きい。一実施例では、初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度は、初期又は第3の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きい。一実施例では、初期又は第1の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度は、初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きく、及び初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度は、初期第3の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きい。
【0364】
生物活性剤の前述の放出速度及び放出量が可能である本開示の好適な生物活性放出膜は、シリコーンポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-co-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリウレタン及びコポリマー並びにそのブレンド、ポリウレタン尿素ポリマー及びコポリマー並びにそのブレンド、セルロースポリマー及びコポリマー並びにそのブレンド、ポリ(エチレンオキシド)及びコポリマー並びにそのブレンド、ポリ(プロピレンオキシド)及びコポリマー並びにそのブレンド、例えば、ジブロック、トリブロック、交互、ランダム及びグラフトコポリマーセルロースを含む、ポリスルホン及びそのブロックコポリマー、ヒドロゲルポリマー、ポリ(2-ヒドロキシルエチルメタクリレート、pHEMA)及びコポリマー並びにそのブレンド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及びコポリマー並びにそのブレンド、ポリアクリロニトリル-ポリ塩化ビニル(PAN-PVC)及びコポリマー並びにそのブレンド、アクリルコポリマー及びコポリマー並びにそのブレンド、ナイロン及びコポリマー並びにそのブレンド、ポリビニルジフルオリド、ポリ無水物、ポリ(l-リジン)、ポリ(L-乳酸)、ヒドロキシエチルメタクリレート及びコポリマー並びにそのブレンド、ヒドロキシアペプタイト及びコポリマー並びにそのブレンドから選択され得る。
【0365】
好適な生物活性放出膜は、ポリウレタン、又はポリエーテルウレタン尿素である。ポリウレタンは、ジイソシアネートと二官能性ヒドロキシル含有材料との縮合反応によって産生されるポリマーである。ポリウレタン尿素は、ジイソシアネートと二官能性アミン含有材料との縮合反応によって産生されるポリマーである。例示的なジイソシアネートは、約4~約8つのメチレン単位を含む脂肪族ジイソシアネートを含む。脂環式部分を含むジイソシアネートはまた、本開示の生物活性放出膜のポリマー及びコポリマー成分の調製に有用であり得る。生物活性放出膜又はそのドメインの疎水性マトリックスの基礎を形成する材料は、連続分析物感知デバイスにおける膜としての使用に適切であるような当該分野で公知の任意のものであり得る。一実施例では、生物活性放出膜は、例えば、グルコース分子が膜を通過することを可能にするために、生物活性放出膜が関連化合物に対するその透過性においてあまり十分でないという点で、センサシステムの他の膜とは異なる。
【0366】
非ポリウレタンタイプの生物活性放出膜を作製するために使用され得る他の材料の実施例は、ビニルポリマー、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンビニルアセテートコポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアミド、ポリシリコーン、ポリ(ジアルキルシロキサン)、ポリ(アルキルアリールシロキサン)、ポリ(ジアリールシロキサン)、ポリカルボシロキサン、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、セルロース系及びタンパク質系材料などの天然ポリマー、並びに前述のポリウレタン又はポリエーテルウレタン尿素ポリマーを含む若しくは含まないそれらの混合物、コポリマー、又は組み合わせを含む。
【0367】
実施例では、生物活性放出膜は、ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む。ソフトセグメントは、2つ以上の異なるポリマーセグメントであり得る。ソフトセグメントは、疎水性ブロック及び親水性ブロックを含むことができる。ソフトセグメントは、ポリシロキサン、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、又はポリシロキサン-ポリアルキルエーテルセグメント化ブロックを含むことができる。
【0368】
実施例では、ソフトセグメントは、独立して、疎水性/親水性部分の組み合わせ、例えば、ポリオール(ポリエチレンオキシド「PEO」、ポリエチレンプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン又はポリテトラメチレンオキシド、ポリエーテル、ポリシロキサン、ポリアミン、ポリシロキサンアミン、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、及び1つ以上の独立したハードセグメント、例えば、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート(MPDI)、トランス-1,3-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6XDI)、ビシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トランス-1,4-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はそれらの組み合わせなどの、脂肪族又は芳香族ジイソシアネートを含む。
【0369】
実施例では、生物活性放出膜は、鎖延長剤を更に含むことができる。鎖延長剤は、例えば、ジオール、ジアミン、水素化ケイ素、又は多官能性エポキシドであり得る。例示的なジオールとしては、脂肪族又は芳香族低分子量ジオール、例えば、グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、及び1,4-ブタンジオールが挙げられ、他の例示的な鎖延長剤としては、ジアルキルアミン、例えば、エチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、トリエチレンジアミン、プトレシン、及びジアミノプロパン、又はヒドロキシルアミンが挙げられる。
【0370】
他の実施例では、生物活性放出膜は、コカミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オクチルスルホベタイン、カプリリルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、パルミチルスルホベタイン、ステアリルスルホベタイン、ベタイン(トリメチルグリシン)、オクチルベタイン、ホスファチジルコリン、グリシンベタイン、ポリ(カルボキシベタイン)、ポリ(スルホベタイン)、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上の双性イオン性繰り返し単位を更に含む。別の態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリマー鎖の端部にのみ双性イオン基を含まない。
【0371】
実施例では、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、以下からなる群から選択されるモノマーに由来している。
【0372】
【0373】
式中、Zは、分岐鎖若しくは直鎖アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R1は、H、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり、R2、R3、及びR4は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールから選択され、ここで、R1、R2、R3、R4、及びZのうちの1つ以上が重合基で置換されているものは、生物活性放出膜の少なくとも一部分として使用されている。
【0374】
実施例では、重合基は、アルケン、アルキン、エポキシド、ラクトン、アミン、ヒドロキシル、イソシアネート、カルボン酸、無水物、シラン、ハロゲン化物、アルデヒド、及びカルボジイミドから選択される。別の実施例では、1つ以上の双性イオン性繰り返し単位は、ポリマーの総重量に基づいて少なくとも約1重量%である。
【0375】
一実施例では、最小の1つの生物活性剤は、生物活性放出膜と共有結合で関連付けられている。別の実施例では、少なくとも1つの生物活性剤は、生物活性放出膜とイオン結合により関連付けられている。別の実施例では、生物活性剤は、コンジュゲートである。
【0376】
別の実施例では、少なくとも1つの生物活性剤は、一酸化窒素(nitric oxide、NO)放出分子、ポリマー、又はオリゴマーである。別の態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、一酸化窒素放出分子は、N-ジアゼニウムジオレート及びS-ニトロソチオールから選択される。実施例では、一酸化窒素放出分子は、ポリマー又はオリゴマーに共有結合又は非共有結合されている。実施例では、N-ジアゼニウムジオレートは、構造体:RR’N-N2O2であり、式中、R及びR’は、独立して、アルキル、アリール、フェニル、アルキルアリール、アルキルフェニル、又は官能化N-アルキルアミノトリアルコキシシランである。実施例では、構造体:RR’N-N2O2のN-ジアゼニウムジオレートのR基及びR’基のうちの少なくとも1つは、挿入部位に一酸化窒素の供給源を提供しながら、生物活性放出膜の疎水性領域に留まるのに十分に親油性である。実施例では、R及びR’のうちの少なくとも1つは、挿入部位に一酸化窒素の供給源を提供しながら、生物活性放出膜と結合するように十分に官能化されている。実施例では、S-ニトロソチオールは、S-ニトロソ-グルタチオン(S-nitroso-glutathione、GSNO)又はペニシラミンのS-ニトロソチオール誘導体である。
【0377】
別の実施例では、生物活性剤は、ホウ酸エステル又はボロン酸塩である。一実施例では、生物活性剤-ホウ酸エステル又はボラネートは、生物活性放出膜に共有結合されている。別の実施例では、生物活性剤-ホウ酸エステル又はボラネートは、生物活性放出膜に非共有結合されている。一実施例では、生物活性剤-ホウ酸エステル又はボラネートは、生物活性剤に共有結合されており、生物活性放出膜に共有結合されている。別の実施例では、生物活性剤-ホウ酸エステル又はボラネートは、生物活性剤に共有結合されており、生物活性放出膜に非共有結合されている。別の実施例では、生物活性剤は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の、ホウ酸エステル又はボロン酸塩である。
【0378】
別の実施例では、生物活性剤は、皮下刺激による少なくとも1つの切断可能なリンカーを含むコンジュゲートである。別の実施例では、生物活性剤は、皮下刺激によって少なくとも1つの切断可能なリンカーを含む、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の、コンジュゲートである。例えば、少なくとも1つの切断可能なリンカーを含む生物活性剤コンジュゲートは、分析物センサをホストの皮下ドメインに挿入した後に、皮下刺激によって切断される。一実施例では、皮下刺激は、メトジンシンスーパーファミリーの1つ以上のメンバー、マトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase、MMP)、又はマトリックスメタロペプチダーゼ若しくはマトリキシン、又は任意の他のプロテアーゼによる化学的攻撃である。実施例では、MMPは、カルシウム又は亜鉛依存性エンドペプチダーゼ、アダリシン、アスタシン、又はセラリシンである。
【0379】
別の実施例では、生物活性剤(単独で、又はコンジュゲートとして、若しくは生物活性放出膜と関連付けられて)を含む生物活性放出膜は、親水性ヒドロゲルを含み、親水性ヒドロゲルは、少なくとも部分的に架橋されており、生体液中で溶解可能である。別の実施例では、生物活性剤(単独で、又はコンジュゲートとして)を含む生物活性放出膜は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩と関連付け又は結合した親水性ヒドロゲルを含み、親水性ヒドロゲルは、少なくとも部分的に架橋され、生体液中で溶解可能であり、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の放出を提供する。
【0380】
実施例では、親水性ヒドロゲルは、6時間、12時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、7日またはそれ以上の時間以内に生体液中で少なくとも部分的に溶解し、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の連続的、半連続的、又はボーラス放出を提供する。実施例では、親水性ヒドロゲルは、ジビニルスルホン又はポリエチレングリコールジビニルスルホンによって架橋されたヒアルロン酸(hyaluronic acid、HA)を含む。実施例では、親水性ヒドロゲルは、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の、ヒドロゲルコンジュゲートを含む。
【0381】
別の態様では、生物活性放出膜は、銀ナノ粒子又はナノゲルを生物活性剤として単独で、又はデキサメタゾン、デキサメタゾン塩、若しくはデキサメタゾン誘導体、若しくはそれらの混合物、特にデキサメタゾン酢酸エステル、若しくはデキサメタゾン酢酸塩と組み合わせて含む。一実施例では、ナノ粒子は、生分解性である。例えば、生分解性ポリマーナノ粒子は、少なくとも1つの生物活性剤を含む、PLA、PLGA、PCL、PVL、PLLA、PDLA、PEO-b-PLAブロックコポリマー、ポリホスホエステル、又はPEO-b-ポリペプチドを含む。実施例では、生物活性放出膜は、生物活性剤として、銅及び/若しくは亜鉛のナノ粒子又はナノゲルを含む。銀、銅又は亜鉛のナノ粒子/ナノゲルは、生物活性放出膜全体にわたって空間的に分布又は分散されることができ、空間分布又は分散は、均一若しくは不均一であることができ、及び/又は勾配で垂直及び/若しくは水平に変化することができる。
【0382】
実施例では、銀、亜鉛、又は銅の自己組織化ナノ粒子/ナノゲルを有するバクテリアセルロースが、生物活性放出膜として使用されており、単独で、又は本明細書に開示されたポリウレタン/ポリウレタン尿素膜のいずれか1つとともに、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の放出を提供する。別の実施例では、キトサンオリゴ糖/ポリ(ビニルアルコール)ナノ粒子/ナノゲル又は銀、亜鉛、若しくは銅のナノファイバーは、生物活性放出膜として使用されており、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の放出を提供する。
【0383】
実施例では、生物活性放出膜は、PLA、PLGA、PCL、PVL、PLLA、PDLA、PEO-b-PLAブロックコポリマー、ポリホスホエステル、PEO-b-ポリペプチドから選択される生分解性ポリマーナノ粒子を含み、ポリマーナノ粒子/ナノゲルは、共有結合又は非共有結合で関連するデキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩を含む。
【0384】
別の実施例では、生物活性放出膜は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、又はデキサメタゾン誘導体、特にデキサメタゾン酢酸エステル、又はデキサメタゾン酢酸塩の放出を提供する、有機及び/若しくは無機ゾル-ゲル、又は有機-無機ハイブリッドゾル-ゲル、又はポロキサマーベースの担体を含む。別の実施例では、生物活性放出膜は、感熱性制御放出ヒドロゲル又はポロキサマー、例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)-ポリ(エチレングリコール)-ポリ(ε-カプロラクトン)ヒドロゲルを含む。
【0385】
一実施例における前述の生物活性放出膜は、生物活性放出膜に封入された少なくとも1つの生物活性剤と、生物活性放出膜に共有結合された少なくとも1つの生物活性剤との組み合わせを含む。別の実施例では、生物活性放出膜は、コンジュゲートとして、又は本明細書に開示される生物活性放出膜と関連付けられた、少なくとも1つの生物活性剤の空間的に遠位な薬物デポを含む。
【0386】
別の実施例では、生物活性放出膜は、少なくとも1つの生物活性剤を含む加水分解的に分解可能なバイオポリマーを含む。一実施例では、加水分解的に分解可能なバイオポリマーは、サリチル酸及びアジピン酸に加水分解することが可能であるサリチル酸ポリ無水物エステル(構造体I)を含む。
【0387】
【0388】
一実施例では、好適な生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリマーである。
図4Aを参照すると、結晶性又は結晶様構造体を提供するポリマーセグメントの密接な関連性が存在するハードセグメント72と、非晶質又は非晶質様構造体を提供するソフトセグメント74と、を有する例示的なハード-ソフトセグメント化コポリマーが描画される。一実施例では、本開示の生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化コポリマー71であり、ソフトセグメント74は、親水性ポリマー又は親水性ポリマーセグメントを含む。一実施例では、本開示の生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化コポリマー71であり、ソフトセグメント74は、疎水性ポリマー又は疎水性ポリマーセグメントと組み合わせた親水性ポリマー又は親水性ポリマーセグメントを含む。
図4B、
図4Cを参照すると、ソフトセグメント74が疎水性ポリマー又は疎水性ポリマーセグメントと組み合わせた親水性ポリマー又は親水性ポリマーセグメントを含む、ハード-ソフトセグメント化コポリマーが、疎水性ドメイン76及び親水性ドメイン78の配置を描画する、感知膜32の生物活性放出膜70の三次元体積4Cとして概略的に示されている。疎水性ドメイン及び親水性ドメインの様々な確認及び分布は、各ドメインの相対濃度、及び各ドメインの非化学量論量又は化学量論量が存在するかどうかに依存して想定されている。実施例では、生物活性放出膜70のソフトセグメントは、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメントと、ゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントと、を含む。
【0389】
一実施例では、生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタンコポリマーを含む。別の実施例では、生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン尿素コポリマーを含む。実施例では、本開示の生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーであり、ソフトセグメント74は、親水性ポリマー、又は疎水性ポリマー若しくは疎水性ポリマーセグメントと組み合わせた親水性ポリマーセグメントを含む。実施例では、本開示の生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーブレンドであり、ポリマーブレンドの個々のポリマーの少なくとも1つは、疎水性ポリマー又は疎水性ポリマーセグメントと組み合わせた親水性ポリマー又は親水性ポリマーセグメントを含むソフトセグメント74を備える。実施例では、本開示の生物活性放出膜70は、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーブレンドであり、ポリマーブレンドの個々のポリマーの少なくとも1つは、親水性ポリマーセグメントのみを含むソフトセグメント74を含み、ポリマーブレンドの少なくとも1つのポリマーは、疎水性ポリマー又は疎水性ポリマーセグメントと組み合わせた親水性ポリマーセグメントを含むソフトセグメントを含む。
【0390】
実施例では、生物活性放出膜70は、薬学的な量の生物活性剤を含み、放出プロファイル(ボーラス、ボーラスに次いで制御された放出など)を有する生物活性の放出を提供する、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタンコポリマー又はポリウレタン-尿素コポリマーを含む。生物活性は、デキサメタゾン((11β,16α)-9-フルオロ-11,17,21-トリヒドロキシ-16-メチルプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、デキサメタゾン塩(例えば、リン酸ナトリウム)、又はデキサメタゾン誘導体(又は類似体)、特に、デキサメタゾン酢酸エステル;デキサメタゾン酢酸エステル;デキサメタゾン17-プロピオネート;デキサメタゾンエノール-ピルビルアルデヒド;(Z)-2-((8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R)-9-フルオロ-11-ヒドロキシ-10,13,16-トリメチル-3-オキソ-3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16-ドデカヒドロ-17H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イリデン)-2-ヒドロキシアセトアルデヒド;2-((10R,13S,16S,17R)-11,17-ジヒドロキシ-10,13,16-トリメチル-4,9,10,11,12,13,14,15,16,17-デカヒドロスピロ[シクロペンタ[a]フェナントレン-3,2’-[1,3]ジオキソラン]-17-イル)-2-オキソエチルアセテート;(8S,9R,10R,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-1,11,17-トリヒドロキシ-17-(2-ヒドロキシアセチル)-10,13,16-トリメチル-1,2,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オン;デキサメタゾングリオキサール;又は2-((8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)-9-フルオロ-11,17-ジヒドロキシ-10,13,16-トリメチル-3-オキソ-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソ酢酸であり得る。
【0391】
いくつかの実施例では、コポリマーのハードセグメントは、約160ダルトン(DA)~約10,000DA、又は約200DA~約2,000DAの平均又は数平均分子量を有し得、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。いくつかの実施例では、ソフトセグメントの平均分子量又は数平均分子量は、約200DA~約100,000DA、又は約500DA~約500,000DA、又は約5,000DA~約20,000DAであり得、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0392】
いくつかの実施例では、生物活性放出膜のベースポリマーは、約200DA~約10,000DA、約10,000DA~約50,000DA、約50,000DA~約100,000DA、約100,000DA~約150,000DA、約150,000DA~約250,000DA、又は約250,000DA~約500,000DAの平均分子量又は数平均分子量を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0393】
実施例では、脂肪族又は芳香族ジイソシアネートを使用して、生物活性放出膜70のハードセグメント72を調製する。実施例では、生物活性放出膜70のハードセグメント72を提供するために使用される脂肪族又は芳香族ジイソシアネートは、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート(MPDI)、トランス-1,3-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6XDI)、ビシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トランス-1,4-ビス(イソシナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はそれらの組み合わせである。
【0394】
実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリシロキサン又はそのコポリマーを含む。実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリ(ジアルキル)シロキサン、ポリ(ジフェニル)シロキサン、ポリ(アルキルフェニル)シロキサン又はそれらのコポリマーを含む。実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリ(アルキル)オキシポリマー、ポリ(アルキレン)オキシド、又はそれらのコポリマーを含む。実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリ(アルキル)オキシド、ポリ(エチレン)オキシド、ポリ(プロピレン)オキシド、ポリ(エチレン-プロピレン)オキシド、ポリ(テトラアルキレン)オキシド、ポリ(テトラメチレン)オキシドポリマー又はそれらのコポリマー若しくはブレンドを含む。ソフトセグメントは、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリンなどの親水性及び/又は疎水性オリゴマーから構成され得る。
【0395】
実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリシロキサン又はそのコポリマーと、ポリ(アルキレン)オキシポリマー又はそのコポリマーと、を含む。実施例では、ハード-ソフトセグメント化ポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのソフトセグメント74は、ポリ(ジアルキル)シロキサン、ポリ(ジフェニル)シロキサン、ポリ(アルキルフェニル)シロキサン又はコポリマー、及びポリ(アルキル)オキシド、ポリ(エチレン)オキシド、ポリ(プロピレン)オキシド、ポリ(エチレン-プロピレン)オキシド、ポリ(テトラアルキレン)オキシド、ポリ(テトラメチレン)オキシドポリマー又はそれらのコポリマー若しくはブレンドを含む。
【0396】
一実施例では、生物活性放出膜70は、90度よりも大きい静的接触角を有する親水性セグメントを有する。一実施例では、生物活性放出膜70は、90度未満の静的接触角を有する疎水性セグメントを有する。90度以上の静的接触角を提供するように、生物活性放出膜70のソフトセグメントの少なくとも一部分に好適な親水性ポリマーの実施例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、タンパク質、セルロース、ポリエーテル、ポリエーテルイミンを含むが、これらに限定されない。90度未満の静的接触角を提供するように生物活性放出膜70のソフトセグメントの少なくとも一部分に好適な疎水性ポリマーの実施例は、ポリウレタン、シリコーン、ポリウレタン尿素、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、及びそれらのコポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0397】
生体界面/生物活性放出膜の表面の少なくとも一部分は、接触角によって測定されるように疎水性であり得る。例えば、生体界面/生物活性放出膜は、約90°~約160°、約95°~約155°、約100°~約150°、約105°~約145°、約110°~約140°、少なくとも約100°、少なくとも約110°、又は少なくとも約120°の接触角を有することができ、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約100°~約150°の前進接触角を有する。別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約105°~約130°、又は110°~約120°の前進接触角を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。更に別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約40°~約80°の後退接触角を有する。別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約45°~約75°の後退接触角を有する。更に別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約50°~約70°の後退接触角を有する。いくつかの実施例では、分析物センサ上への配置後及び滅菌後の生物活性放出膜上の動的接触角測定及び表面粗さ測定(接触角ヒステリシスに相関し、これは、表面の化学的及びトポグラフィー的不均一性、表面に吸収される溶液不純物、又は溶媒による表面の膨潤、再配列、若しくは改変から生じる)は、Sigma 701力張力計を使用して、並びに前進接触角測定、後退接触角測定、ヒステリシス測定、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を実行して、実施されることができる。力張力計は、天秤に影響を与える質量を測定し、天秤によって測定される唯一の残りの力が湿潤力であるように、浮力及びプローブの重量の影響を計算し、自動的に差し引く。
【0398】
実施例では、生物活性放出膜70は、70A-55Dデュロメータの硬度を達成するように、約20%~60%、30%~50%、又は35%~45%のハードセグメントの重量パーセント含有量を有する。別の実施例では、生物活性放出膜70は、目標弾性率を達成するように、約20%~60%、30%~50%、又は35%~45%のハードセグメントの重量パーセント含有量を有する。一実施例では、生物活性放出膜70のデュロメータ及び/又は弾性率は、単一のコポリマー又はコポリマーのブレンドによって提供される。
【0399】
一実施例では、生物活性放出膜70は、ゼロ重量パーセントを含まない、70重量パーセント未満のソフトセグメントを含むソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含む。一実施例では、放出膜は、ゼロ重量パーセントを含まない70重量パーセント未満のソフトセグメントを含むソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーを含むソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含む。
【0400】
一実施例では、生物活性放出膜は、その疎水性セグメントの重量パーセントよりも大きい親水性セグメントの重量パーセントを含む、ソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含む。実施例では、放出膜は、その疎水性セグメントの重量パーセントよりも大きい親水性セグメントの重量パーセントのソフトセグメント-ハードセグメントを含むソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーを含む。
【0401】
一実施例では、ソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーの親水性セグメントの重量パーセントは、その疎水性セグメントの重量パーセント未満である。一実施例では、ソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーの親水性セグメントの重量パーセントは、その疎水性セグメントの重量パーセント未満である。
【0402】
一実施例では、生物活性放出膜は、異なるソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーのブレンドであるソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含む。一実施例では、生物活性放出膜は、異なるソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーのブレンドであるソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーを含む。
【0403】
一実施例では、生物活性放出膜は、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメントと、ゼロ重量パーセントを含む、疎水性セグメントと、を含む第1のソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーが、疎水性セグメントの重量パーセントよりも大きい親水性セグメントの重量パーセントを含む別の第2のソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーとブレンドされた、異なるソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーのブレンドを含む。一実施例では、生物活性放出膜は、疎水性セグメントの重量パーセントよりも大きい親水性セグメントの重量パーセントを備える、別のソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーとブレンドされた、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメントと、ゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントと、を含む第1のソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーと、を含む、異なるソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーのブレンドを含む。
【0404】
一実施例では、生物活性放出膜は、疎水性セグメントの重量パーセント未満の親水性セグメントの重量パーセントを含む別のソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーとブレンドされた、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメントと、ゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントとを含むソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーと、を含む。一実施例では、生物活性放出膜は、疎水性セグメントの重量パーセント未満の親水性セグメントの重量パーセントを含む別のソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーとブレンドされた、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメントと、ゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントを含むソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーと、を含む。
【0405】
一実施例では、生物活性放出膜は、ソフトセグメント-ハードセグメントコポリマー及びソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含み、各々が、ゼロ重量パーセントを含まない70重量パーセント未満のソフトセグメントを含み、各々が、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメント及びゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントを含む。一実施例では、生物活性放出膜は、ソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマー、及び別の異なるソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーを含み、各々が、ゼロ重量パーセントを含まない70重量パーセント未満のソフトセグメントを含み、各々が、ゼロ重量パーセントを含まない親水性セグメント及びゼロ重量パーセントを含む疎水性セグメントを含む。
【0406】
一実施例では、生物活性放出膜は、疎水性ポリマー及び/又は親水性ポリマーとブレンドされたソフトセグメント-ハードセグメントコポリマーを含む。一実施例では、生物活性放出膜は、疎水性ポリマー及び/又は親水性ポリマーとブレンドされたソフトセグメント-ハードセグメントポリウレタン又はポリウレタン尿素コポリマーを含む。
【0407】
一実施例では、生物活性放出膜70は、それを通る分析物輸送に対して実質的に不透過性である。別の実施例では、生物活性放出膜70は、感知膜32の干渉膜44よりも分析物に対する透過性が低い。かかる実施例では、生物活性放出膜70は、センサの電気化学活性部分に隣接するが、それを覆わないセンサの部分上に堆積される。
【0408】
一実施例では、生物活性放出膜70は、センサ34及び/又はセンサ膜32上に堆積する前に、生物活性剤が添加される。一実施例では、生物活性剤は、生物活性放出膜70と混和性である1つ以上の溶媒中に溶解されている。穏やかな加熱は、生物活性放出膜70における生物活性剤の溶解、分布、又は分散を促進するために使用されることができる。好適な溶媒は、THF、アルコール、ケトン、エーテル、アセテート、NMP、塩化メチレン、ヘプタン、ヘキサン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0409】
一実施例では、生物活性放出膜70は、感知膜32の少なくとも一部分の上に堆積されている。別の実施例では、生物活性放出膜70は、感知膜32に隣接して堆積されるが、感知膜32上に直接堆積されない。実施例では、生物活性放出膜は、約0.05ミクロン以上~約50ミクロン以下の膜厚を提供するように堆積されており、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、生物活性放出膜は、約0.5~50ミクロン、1~50ミクロン、2~50ミクロン、3~50ミクロン、4~50ミクロン、5~50ミクロン、6~50ミクロン、7~50ミクロン、8~50ミクロン、9~50ミクロン、10~50ミクロン、10~40ミクロン、10~30ミクロン、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ミクロンの膜厚を提供するように堆積されており、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0410】
実施例では、生物活性放出膜70は、スプレーコーティング、ブラシコーティング、パッド印刷、又は浸漬コーティングによって酵素ドメイン上に堆積されている。特定の実施例では、生物活性放出膜70は、スプレーコーティング及び/又は浸漬コーティングを使用して堆積されている。実施例では、生物活性放出膜70は、約1重量%~約80重量%のポリマー/薬物の組み合わせと、約20重量%~約99重量%の溶媒との混合物をパッド印刷することによって、感知膜32上に堆積されており、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0411】
溶媒を含む生物活性放出膜72の溶液を感知膜上に接触させることにおいて、酵素ドメインの下にある酵素を不活性化することができるパッド印刷混合物中の任意の溶媒の酵素との任意の接触を軽減又は実質的に減少させることが望ましい。テトラヒドロフラン(THF)は、単独で、又は1つ以上のアルコールと組み合わせて、噴霧時に酵素ドメインの酵素に最小限又は無視できる程度の影響しか与えない1つの溶媒である。他の溶媒もまた、当業者に理解されるように、使用に好適であり得る。
【0412】
実施例では、生物活性放出膜70は、約1重量%~約50重量%のポリマー及び約50重量%~約99重量%の溶媒の溶液をスプレーコーティングすることによって感知膜32上に堆積されており、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。溶媒を含む生物活性放出膜72の溶液を感知膜上に噴霧することにおいて、酵素ドメインの下にある酵素を不活性化することができる噴霧溶液中の任意の溶媒の酵素との任意の接触を軽減又は実質的に減少させることが望ましい。テトラヒドロフラン(THF)は、単独で、又は1つ以上のアルコールと組み合わせて、噴霧時に酵素ドメインの酵素に最小限又は無視できる程度の影響しか与えない1つの溶媒である。他の溶媒もまた、当業者に理解されるように、使用に好適であり得る。
【0413】
(生物活性放出膜/層組成物-生物活性剤放出プロファイル)
本開示は、生物活性放出膜からの生物活性剤の放出の制御、又は放出プロファイルを提供することを提供する。実施例として、例示的な生物活性剤/生物活性放出膜システム、例えば、デキサメタゾン及び/又はデキサメタゾン酢酸塩/ソフトセグメント-ハードセグメントのポリウレタン尿素コポリマー又はブレンドが使用されるが、生物活性剤及び生物活性放出膜の他の組み合わせが想定される。
【0414】
図5Aを参照すると、デキサメタゾン酢酸エステルについての例示的なインビトロ生物活性放出プロファイルが、例示的な生物活性放出膜70を使用して示されている。デキサメタゾン酢酸エステルのパーセント累積放出は、HPLCを使用して、例えば、254nm UV検出器で25℃に保持されたPhenomenex Kinetex 5μEVO C18 100Å、50×3.0mmカラム、及びA:0.1%蟻酸を含む水/B:0.1%蟻酸を含むアセトニトリル(体積/体積)の溶出勾配を使用して判定されることができ、ここで、時間0~2分の勾配は、90%A/10%Bであり、2~5分の勾配は、10%A/90%Bであり、5分の勾配は、90%A/10%Bである。デキサメタゾン酢酸エステル及びデキサメタゾンHPLC標準は、約0.1~20ug/mLの濃度で調製されている。
【0415】
図5Aは、本開示のシステムのインビボデータを近似するためのインビトロデータの実行可能性を実証する、15日間にわたる、本開示の生物活性放出膜70におけるデキサメタゾン酢酸塩のインビトロ77放出とインビボ79放出との間の相関を示す。
【0416】
図5Bを参照すると、初期又は第1の期間中の生物活性放出膜70からの生物活性剤(デキサメタゾン酢酸エステル)の放出速度が、初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きく、初期又は第2の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度が、初期又は第3の期間中の生物活性放出膜からの生物活性剤の放出速度よりも大きい実験データが、示されている。
【0417】
したがって、
図5Bは、
図5Aの例示的なインビトロ生物活性放出プロファイルを示し、センサ挿入に関連し、おおよそ2日以上に及ぶ期間(例えば、ボーラス)に対応するものとして示される第1の放出速度と、それに続く、例えば、センサ挿入後、約2日でおおよそ開始し、15日以上に及ぶ時間(治療範囲内の量、又は「持続的な治療量」)に関連する第2の期間に対応するものとして示される第2の放出速度と、を有する。治療量未満の量、例えば、非治療量の放出は、センサ挿入後おおよそ18日以上の時間の間、センサの寿命末期まで続く(データは図示せず)。
図5Bのグラフデータから分かるように、第1の放出速度は、おおよそ2日間にわたるデキサメタゾン酢酸エステルの初期添加量のおおよそ50%のボーラス放出に対応し、その後、続く第2の放出速度は、約13日間にわたるデキサメタゾン酢酸エステルの初期添加量のおおよそ40%の放出に対応する。16~35日の期間にわたるデキサメタゾン酢酸エステルの残りの量(おおよそ10%)の放出に対応する第3の放出速度が続く。
【0418】
したがって、例えば、1日当たりの治療的有効量以上の放出が目標とされる場合、50μg~100μgデキサメタゾン酢酸エステル(dexamethasone acetate、DexAc)/センサの初期添加量で、本開示の生物活性放出膜70は、挿入直後にある量のDexAcのボーラス治療放出(おおよそ3~20μg/センサ/日、4~18μg/センサ/日、5~16μg/センサ/日、6~14μg/センサ/日)を提供することができ、その後のある期間、ある量のDexAcの延長治療放出(おおよそ0.5~10μg/センサ/日、0.6~9μg/センサ/日、0.4~7μg/センサ/日、0.5~8μg/センサ/日)が続き、その後、センサの寿命末期まで、ある量のDexAcの延長非治療放出(おおよそ0.5μg/センサ/日未満)が続く。
【0419】
図5Cを参照すると、異なる生物活性放出膜を用いた初期及び持続生物活性放出速度が提示される。示されるように、ソフトセグメント中に約10重量%~約40重量%の範囲の種々の量のポリシロキサン成分を有し、実施例の各々が40~55重量%のハードセグメントを有するポリウレタンポリマー膜の実施例は、以下に要約されるように、初期の10時間~48時間の期間にわたるデキサメタゾン酢酸エステルの独特の放出速度、並びに最大15日の長期間にわたる異なる総放出量を実証した:試料120-10重量%ポリシロキサン:50重量%ハードセグメント試料121-22重量%ポリシロキサン:55重量%ハードセグメント、試料122-25重量%ポリシロキサン:50重量%ハードセグメント、試料123-27重量%ポリシロキサン:45重量%ハードセグメント、試料124-30重量%ポリシロキサン:40重量%ハードセグメント、試料125-30重量%ポリシロキサン:45重量%ハードセグメント、試料126-30重量%ポリシロキサン:50重量%ハードセグメント、試料127-40重量%ポリシロキサン:40重量%ハードセグメント。例えば、10重量%ポリシロキサン含有膜は、より直線的な放出速度及び持続的な低い総放出速度を提供する、35重量%ポリシロキサン含有膜とは対照的に、迅速な初期放出速度及び持続的な高い総放出速度を提供した。
図5Cのデータは、ポリシロキサン含有膜と組み合わせたハードセグメント重量%が、生物活性放出速度を初期及び持続時間に合わせて調整する効果を更に実証する。したがって、生物活性治療レジメンに相応する所望の又は標的化された生物活性放出プロファイルは、生物活性放出膜70の化学的構成の改変によって取得可能である。
【0420】
図6Aを参照すると、生物活性放出に対する生物活性物質放出膜70の化学作用の効果は、膜の水の取り込みと相関している。一実施例では、生物活性放出膜70の少なくとも一部分(例えば、ハードセグメント)は、生物活性放出膜の別の部分(例えば、ソフトセグメント)よりも放出可能な生物活性剤に近似したヒルデブランド溶解度パラメータを有する。例えば、生物活性放出膜70は、疎水性ソフトセグメントと、少なくとも1つの親水性ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含むことができ、そのハードセグメントは、ソフトセグメント部分のいずれかよりも放出可能な生物活性剤に近似したヒルデブランド溶解度パラメータを有する。
図6Aは、異なるハードセグメント部分(及び異なる重量%範囲)並びに様々な重量%範囲を有する疎水性ソフトセグメント及び親水性ソフトセグメント部分を有する生物活性放出膜70の様々な試料を示す。したがって、40重量%~60重量%のハードセグメント(例えば、環状イソホロンジイソシアネート(IPDI))、10重量%~30重量%の疎水性ソフトセグメント部分(例えば、ポリシロキサン)及び20重量%~50重量%の親水性ソフトセグメント部分(例えば、ポリアルキルエーテル)を有するポリウレタンブロックポリマーを含む試料130、136及び137は、選択された生物活性(例えば、デキサメタゾン酢酸エステル)について所望の放出速度を表示した。対照的に、40重量%~60重量%のハードセグメント(例えば、直鎖状1,6-ヘキサメチレンジイソシネート(HDI))、10重量%~30重量%の疎水性ソフトセグメント部分(例えば、ポリシロキサン)及び0重量%~50重量%の親水性ソフトセグメント部分(例えば、ポリアルキルエーテル)を有するポリウレタンブロックポリマーを含む試料131、132、133、134及び135は、選択された生物活性(例えば、デキサメタゾン酢酸エステル)について迅速な放出を表示した。このデータは、生物活性放出層の水取り込み、例えば、放出可能な生物活性に類似しているハードセグメント溶解度と、生物活性の水取り込みとの相関が生物活性の放出速度/プロファイルを調整するために用いられ得ることを実証する。
【0421】
実施例では、生物活性放出膜70の化学的性質は、ソフトセグメントと、ハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントと、を含む。ソフトセグメントは、2つ以上の異なるポリマーセグメントである。ソフトセグメントは、疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む。ソフトセグメントは、ポリシロキサン、ポリアルキルエーテル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、又はポリシロキサン-ポリアルキルエーテルセグメント化ブロックを含む。
【0422】
実施例では、生物活性放出膜70の化学物質は、鎖延長剤を更に含む。鎖延長剤は、ジオール、ジアミン、水素化ケイ素、又は多官能性エポキシドを含む。
【0423】
実施例では、生物活性放出膜70の化学物質は、ポリウレタン尿素である。
【0424】
実施例では、生物活性放出膜70の化学物質は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%のポリシロキサン及び約10重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、40重量%~60重量%のハードセグメントであって、ウレタン基、尿素基、又はウレタン基と尿素基との組み合わせを含む、ハードセグメントを含み、任意の残りの重量%が鎖延長剤である。
【0425】
実施例では、生物活性放出膜70の化学物質は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約20重量%~30重量%のポリシロキサン、約20重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、及び約40重量%~60重量%のハードセグメントを含み、任意の残りの重量%が鎖延長剤である。
【0426】
実施例では、生物活性放出膜70の化学物質は、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約10重量%~30重量%のポリシロキサン、約10重量%~30重量%のポリアルキルエーテル、及び約0重量%~10重量%の鎖延長剤を含むソフトセグメントを含む。
【0427】
実施例では、ポリアルキルエーテルは、式(I):-(R5-O)-の繰り返し単位によって表現され、式中、R5は、炭素数2~6個の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0428】
図6Bを参照すると、有効量のデキサメタゾン酢酸エステル(DexAc)(例えば、おおよそ40重量パーセント~50重量パーセントの添加量:生物活性放出膜)を有する本開示の生物活性放出膜70を備える例示的な実験センサ82と、DexAcを含まない膜70を有する対照センサ84と、を15日間にわたって比較した生体ホストの研究感度データにおける研究が提示される。示されるように、実験センサ82は、挿入後15日間にわたって一貫した正規化感度持続可能性を提供したが、対照センサ84は、挿入後おおよそ10日後に正規化感度の減少を示した。
【0429】
図6Cを参照すると、有効量のデキサメタゾン酢酸エステル(DexAc)(例えば、おおよそ40重量パーセント~50重量パーセントの添加量:生物活性放出膜)を有する本開示の生物活性放出膜70を備える例示的な実験センサ83と、DexAcを含まない対照センサ85とを30日間にわたって比較した生体ホストの研究感度データにおける研究が提示されている。示されるように、実験センサ83は、挿入後30日間にわたって60%を上回る改善された正規化感度持続可能性を提供したが、対照センサ84は、挿入後おおよそ20日後に正規化感度において60%を下回る減少を示した。
【0430】
いくつかの実施形態では、感度損失は、寿命の終了を示し得る。感度損失は、センサの寿命の終了に向かって、生理学的創傷治癒、及びセンサの周囲の異物機構、又は参照電極容量、酵素枯渇、膜変化などを含む他の機構に起因して発生し得る。
【0431】
いくつかの実施形態では、センサ感度は、(例えば、生又はフィルタリングされた)未較正センサデータの分析を使用して計算され得る。実施例では、生カウントの遅い移動平均又は中央値が負の傾向を示し始め、センサは感度を失っている可能性がある。感度の損失は、センサ出力の短期(例えば、約6時間~8時間)平均(又は中央値)を計算し、それを予想される長期(48時間)平均センサ感度によって正規化することによって計算することができる。短期感度対長期感度の比が70%よりも小さい場合、センサが感度を失うリスクがあり得る。感度の損失は、例えば、前記比が約70%になるまでは約1の値であり、50%では0.5に、及び25%では<0.1に低減する、寿命末期リスク因子値に変換され得る。
【0432】
いくつかの実施形態では、センサ感度は、センサデータ(例えば、較正されたセンサデータ)を基準血糖と比較することによって計算され得る。例えば、較正アルゴリズムは、センサと基準血糖との間の系統的バイアスに基づいて、グルコース推定値を調整する。寿命末期アルゴリズムは、較正時誤差又は下方ドリフトと呼ばれる、このバイアスを使用して、寿命末期症状を定量化するか又は認定し得る。較正時の誤差は、不規則な較正時間を考慮するために正規化され得、最近のデータにより多くの重みを与えるために平滑化され得る(例えば、移動平均又は指数平滑化)。いくつかの実施形態では、寿命末期リスク因子値は、較正時に得られた平滑化誤差に基づいて、判定される。かかる実施形態では、寿命末期リスク因子値は、較正>-0.3における誤差の全ての値に対して1であり、較正=-0.4における誤差で0.5に低減し、較正=-0.6における誤差に対して<0.1に低減する。いくつかの実施例では、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許出願公開第2021/0209497号に開示されているように、経時的なセンサ感度の下方へのドリフト、非対称の非定常ノイズの量、及びノイズの持続時間のうちの1つ以上が、用いられる可能性がある。
【0433】
いくつかの実施形態では、センサ感度は、(例えば、生又はフィルタリングされた)未較正センサデータの分析を使用して計算され得る。実施例では、生カウントの遅い移動平均又は中央値が負の傾向を示し始め、センサは感度を失っている可能性がある。感度の損失は、センサ出力の短期(例えば、約6~8時間)平均(又は中央値)を計算し、それを予想される長期(48時間)平均センサ感度によって正規化することによって計算することができる。短期感度対長期感度の比が70%よりも小さい場合、センサが感度を失うリスクがあり得る。感度の損失は、比が約70%になるまでは約1の値であり、50%では0.5%に、及び25%では<0.1に低減する、寿命末期リスク因子値に変換され得る。
【0434】
図6Cを参照すると、対照91(膜なし)及びセンサ92(膜を有するが、生物活性が存在しない)に対する連続分析物センサ90(生物活性放出膜70を有する)の生存プロットが示されている。図示されるように、生物活性放出膜70を有するセンサは、少なくとも5日間、対照及び膜のみを有するセンサよりも性能が優れており、80%未満の感度は、顕著な寿命末期(end of life、EOL)を示す。
【0435】
図6Dの生存プロットを参照すると、任意のボーラス放出又はボーラス放出の不在を含む、生物活性の速い放出、中程度の放出、又は遅い放出として概して特徴付けられる、生物活性放出膜70からの生物活性の放出速度を変化させるように、生物活性放出膜化学物質に対する改変、例えば、ハードセグメント、ソフトセグメントの重量パーセント、ソフトセグメントの疎水性部分の重量パーセントなどを調整することによって、感度の保持に対する改善が実証された。したがって、
図6Dは、14日後に80%未満の感度保持を有する生物活性(デキサメタゾン酢酸エステルによって例示される)の遅い放出速度の膜93、18日後に80%未満の感度保持を有する対照94(膜なし)、19日後に80%未満の感度保持を有する中程度の放出速度の膜95、及び20日後に80%未満の感度保持を有する速い放出速度の膜96を示す。
【0436】
図7Aを参照すると、有効量のデキサメタゾン酢酸エステル(DexAc)(例えば、おおよそ40重量パーセント~50重量パーセントの添加量:生物活性放出膜)を有する本開示の生物活性放出膜70を備える例示的な実験センサ86と、DexAcを含まない対照センサ84とを22日間にわたって、及びデキサメタゾン酢酸エステルを含まない生物活性放出膜70を有する比較センサ87と比較した、平均絶対ノイズデータの生存ホストにおける研究が提示されている。示されるように、実験センサ86は、挿入後22日間にわたって比較的一貫した平均絶対ノイズ持続可能性を提供したが、対照センサ88及び比較センサ87は、挿入後おおよそ8日後~10日後に平均絶対ノイズにおける増加を示した。このデータは、本開示の生物活性放出膜と生物活性剤との組み合わせが、長期間にわたって埋め込み型センサのノイズの増加を最小限に抑える能力を例示する。
【0437】
図7Bを参照すると、連続分析物センサ90(生物活性放出膜70を有する)に対する対照91(膜なし)及びセンサ92(膜を有するが生物活性は存在しない)の生存プロットが提示されている。示されるように、生物活性放出膜70を有するセンサは、少なくとも10日間、対照及び膜のみを有するセンサよりも性能が優れており、80%未満のノイズは、顕著な寿命末期(EOL)を示す。
【0438】
図7Cの生存プロットを参照すると、
図6Dで前述したように、任意のボーラス放出又はボーラス放出の不在を含む、生物活性の速い放出、中程度の放出、又は遅い放出として概して特徴付けられる、生物活性放出膜70からの生物活性の放出速度を変化させるように、生物活性放出膜化学物質に対する改変、例えば、ハードセグメント、ソフトセグメントの重量パーセント、ソフトセグメントの疎水性部分の重量パーセントなどを調整することによって、ノイズの増加を最小限に抑える改善が実証された。したがって、
図7Cは、5日後に80%を超えるノイズ増加を有する生物活性(デキサメタゾン酢酸エステルによって例示される)の遅い放出速度の膜93、4日後に80%を超えるノイズ増加を有する対照94(膜なし)、8日後に80%を超えるノイズ増加を有する中程度の放出速度の膜95、及び8日後に80%を超えるノイズ増加を有する速い放出速度の膜96を示す。このデータは、本開示の生物活性放出膜と生物活性剤との組み合わせが、対照又は非生物活性膜に対して、長期間にわたって埋め込み型センサのノイズの増加を最小限に抑える能力を例示する。
【0439】
追加的な実験は、異なる生物活性放出膜の組み合わせにおいてデキサメタゾン塩を使用して実施された。例えば、水溶性セルロース系ポリマー中のリン酸デキサメタゾンナトリウムは、ボーラス放出プロファイルを提供した。本明細書に開示されるような生体界面ポリマー膜に組み込まれたリン酸デキサメタゾンは、約2日間の持続放出を提供した。ゼロ重量パーセントの疎水性ソフトセグメントを有するハード-ソフトセグメント化ポリウレタン尿素コポリマー中のデキサメタゾン酢酸エステルは、約5日間の持続放出を提供した。おおよそ等しい重量パーセンテージの疎水性/親水性セグメントを有するハード-ソフトセグメント化ポリウレタン尿素コポリマー中のデキサメタゾン酢酸エステルは、おおよそ15日間の持続放出を提供した。親水性ソフトセグメントの重量パーセントよりも大きい疎水性ソフトセグメントの重量パーセントを有するハード-ソフトセグメント化ポリウレタン尿素コポリマー中のデキサメタゾン酢酸エステルは、15日を超える遅い持続放出を提供した。セルロースポリマー中のデキサメタゾン酢酸エステルは、15日を超える遅い持続(連続又は半連続)放出を提供した。前述の生物活性放出膜の組み合わせを使用して、生物活性剤の放出速度及び/又は放出プロファイルは、特定のセンサ及びその意図された寿命末期に特異的に調整されることができ、一方で、持続された感度及び低ノイズ性能を提供する。
【0440】
このデータは、本開示の生物活性放出膜/生物活性剤の組み合わせが、長期間にわたって埋め込み型センサの感度の減衰/減少を最小限に抑える能力を例示する。本開示の生物活性放出膜/生物活性剤の組み合わせは、光学ベースのセンサシステムのような電気化学ベースのセンサシステム以外の他のセンサプラットフォーム、並びにその後に対象から除去される必要がある長期埋め込みを意図した他の医療デバイスのために構成され得る。
【0441】
図3Hに示されるように、連続分析物感知デバイス100は、挿入不可能部分104に動作可能に結合された挿入可能部分102を有する分析物センサを含み、連続分析物感知デバイス100は、挿入可能部分102を展開するように構成される。挿入可能部分102は、挿入可能表面積及び挿入可能体積のうちの少なくとも1つを有する。少なくとも1つの感知ドメイン112は、挿入可能部分102(挿入可能表面積及び/又は挿入可能体積など)の周りに少なくとも部分的に位置決めされる。挿入可能部分102はまた、挿入可能部分102の上に形成された生物活性放出膜70を含む。
【0442】
実施例では、挿入可能部分102は、約1mm~約20mmの長さを有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、挿入可能部分102は、約2mm~約14mmの長さを有する。更なる実施例では、挿入可能部分102は、約4mm~約12mmの長さを有する。例えば、挿入可能部分102は、少なくとも以下:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び19mm、及び/又は最大で約20、19、18、17、16、15、4、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、及び2mm(例えば、約1~15mm、約5~18mmなど)のうちのいずれかの長さを有する。
【0443】
図3Iに示されるように、挿入可能部分は、生物活性放出膜70を含む。一実施例では、生物活性放出膜70は、挿入可能部分102の一部分(結果として、挿入可能表面積及び/又は挿入可能体積の一部分)の上に配置された少なくとも1つのポリマー層を含む。生物活性放出膜70は、生物活性放出膜中に分散された少なくとも1つの生物活性剤110を含む。一実施例では、生物活性放出膜70は、少なくとも1つの生物活性剤110と関連付ける及び/又は少なくとも1つの生物活性剤110を放出するように構成される。少なくとも1つの生物活性剤110は、生物活性放出膜から放出不可能であり、対象の組織応答を修正するように構成することができる。少なくとも1つの生物活性剤110は、独立して、いくつかの形態で放出不可能であるように、並びに生物活性剤放出膜から放出可能であり、対象の組織応答を改変するように構成され得る。
【0444】
生物活性放出膜70の少なくとも1つのポリマー層は、本明細書で前述した任意の好適なポリマー材料を含むことができる。実施例では、生物活性放出膜70の少なくとも1つのポリマー層は、1つ以上のエポキシド、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリビニルピリジン、ポリビニル-co-ポリスチレン、ポリビニルイミダゾール、ポリエステル、ポリアルキルエステル、ポリアルキルカーボネート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリビニルアルコール、及びそれらのコポリマー又はブレンドを含む。別の実施例では、生物活性放出膜70の少なくとも1つのポリマー層は、少なくとも1つの生物活性剤と関連付けられた1つ以上の双性イオン性反復単位を含み、少なくとも1つの生物活性剤は、1つ以上の双性イオン性反復単位から放出されて、対象の組織応答を改変するように構成される。
【0445】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、ポリエチレンオキシドセグメントを含む。
【0446】
一態様では、単独で又は先の態様のいずれか1つと組み合わせて、ポリエチレンオキシドセグメントは、生物活性放出膜の総重量に基づいて、約5重量%~約60重量%であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0447】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜のベースポリマーは、約10kDa~約500kDaの平均分子量を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0448】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、1~約10の多分散性指数を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0449】
一態様では、単独で、又は先の態様のうちのいずれか1つと組み合わせて、生物活性放出膜は、約90°~約160°の接触角を有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0450】
少なくとも1つの生物活性剤110は、本明細書で前述した任意の好適な生物活性剤を含む。実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、抗炎症性化合物又は組織応答改変剤を含む。例えば、実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、デキサメタゾン、デキサメタゾン塩、デキサメタゾン誘導体、デキサメタゾン酢酸エステル、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0451】
実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、約0.1~約2の薬物/ポリマー重量/重量比で、生物活性剤放出膜70の少なくとも1つのポリマー層(及び、結果として、ポリマー層体積)中に分散され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、約0.1~約0.3の薬物/ポリマー重量/重量比で、生物活性放出膜70の少なくとも1つのポリマー層(及び、結果として、ポリマー層体積)中に分散される。更なる実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、約0.3~約0.5の薬物/ポリマー重量/重量比で、生物活性放出膜70の少なくとも1つのポリマー層(及び、結果として、ポリマー層体積)中に分散される。例えば、少なくとも1つの生物活性剤110は、少なくとも以下:0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、及び0.49及び/又は最大で約0.5、0.49、0.48、0.47、0.46、0.45、0.44、0.43、0.42、0.41、0.4、0.39、0.38、0.37、0.36、0.35、0.34、0.33、0.32、0.31、0.29、0.28、0.27、0.26、0.25、0.24、0.23、0.22、0.21、0.2、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、及び0.02(例えば、約0.19~0.49、約0.01~0.3など)のうちのいずれかからの薬物/ポリマー重量/重量比で、生物活性剤放出膜70の少なくとも1つのポリマー層内に分散される。更なる実施例では、少なくとも1つの生物活性剤は、約0.1:2μg/mm3~約0.2:1μg/mm3の薬物/ポリマー重量/体積比でポリマー層体積中に分散され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0452】
別の実施例では、少なくとも1つの生物活性剤は、約0.2μg/mm3~約1μg/mm3の薬物/ポリマー重量/体積比で、生物活性剤放出膜70体積中に分散され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、少なくとも1つの生物活性剤は、約1:10μg/mm3~約2:1μg/mm3の薬物/ポリマー重量/体積比でポリマー層体積中に分散される。例えば、少なくとも1つの生物活性剤は、少なくとも以下:約1:10、2:10(すなわち1:5)、3:10、4:10(すなわち2:5)、5:10(すなわち1:2)、6:10(すなわち3:5)、7:10、8:10(すなわち4:5)、9:10、10:10(すなわち1:1)、11:10、12:10(すなわち6:5)、13:10、14:10(すなわち7:5)、15:10(すなわち3:2)、16:10(すなわち8:5)、17:10、18:10(すなわち9:5)、及び19:10μg/mm3及び/又は最大で約20:10(すなわち2:1)、19:10、18:10(すなわち9:5)、17:10、16:10(すなわち8:5)、15:10(すなわち3:2)、14:10(すなわち7:5)、13:10、12:10(6:5)、11:10、10:10(すなわち1:1)、9:10、8:10(すなわち4:5)、7:10、6:10(すなわち3:5)、5:10(すなわち1:2)、4:10(すなわち2:5)、3:10、及び2:10(すなわち1:5)μg/mm3(例えば、約1:10~19:10、約7:10~17:10など)のうちのいずれかからの薬物/ポリマー重量/体積比でポリマー層体積中に分散され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。少なくとも1つの生物活性剤110の添加量は、本明細書において先により詳細に考察されている。
【0453】
別の実施例では、
図3Jに示されるように、挿入可能部分コーティングは、少なくとも1つのポリマー層を含み得る生物活性放出膜70であり、少なくとも1つの生物活性剤110が、膜70内に含まれる。この実施例では、生物活性放出膜70は、感知膜32に隣接し得、任意の干渉膜/ドメイン、抵抗膜/ドメイン、生体界面膜/ドメイン、及び電極膜/ドメインに隣接していることを含む。本開示において企図されるような他の特徴の中でも、生物活性放出膜70のための様々な化学的性質、それらの構造、生物活性添加量は、本明細書において前述されている。
【0454】
本明細書において前述されるように、本明細書のいくつかの図(
図3I及び
図3J)は、同軸コア及び円形又は楕円形断面を有し得るセンサを図示するが、生体界面/生物活性放出層を含むセンサシステムの他の実施例では、センサは、
図2Hの図示目的のための断面に示されるように、実質的に平面状センサであり得る。例えば、
図2Hに示されるように、連続分析物感知デバイスは、実質的平面状基板142、並びに平面上、又は実質的平面状基板142の周囲に実質的平面状様式で配置された干渉ドメイン144、酵素ドメイン146、抵抗ドメイン148、並びに生体界面/生体防御ドメイン168及び/又は生物活性放出ドメイン170を含むことができる。
【0455】
図3K及び
図3Lに示されるように、いくつかの実施例では、生物活性放出膜70は、生物活性放出膜70が少なくとも1つの感知ドメイン112と重なり合わないような距離だけ、又は別様に、1つ以上の分析物の量又は存在に対応する測定可能な信号の生成と関連付けられた1つ以上の分析物又は他の物質の拡散経路を妨害しないような距離だけ、少なくとも1つの感知ドメイン112から空間的に分離される。このようにして、生物活性放出膜70は、少なくとも1つの感知ドメイン112の感知能力を妨害しない。実施例では、距離は、約1μm以下~約250μmであり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、距離は、約1μm以下~約50μmである。更に別の実施例では、距離は、約15μm~約200μmである。更に別の実施例では、距離は、約50μm~約100μmである。例えば、距離は、少なくとも以下:1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、及び245μm及び/又は最大で約250、245、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、及び5μm(例えば、約5~220μm、約45~250など)のうちのいずれかからである。
【0456】
実施例では、
図3Kに図示されるように、生物活性放出膜70は、挿入可能部分表面(結果として、挿入可能部分表面積)上に配置され、少なくとも1つの感知ドメイン112と接触していない。いくつかの実施例では、生物活性放出膜70は、少なくとも1つの感知ドメイン112と接触する領域以外の挿入可能部分102の全長まで延在する。別の実施例では、
図3Lに図示されるように、生物活性放出膜70は、挿入可能部分102の遠位端109にのみ配置される(例えば、挿入可能部分102は、少なくとも1つの感知ドメイン112、挿入可能部分102の近位端107、挿入可能部分102の残りの部分などに配置されないか、又は接触しない)。
図3Lに更に示されるように、挿入可能部分102は、遠位端109を有し、示されるような一実施例では、遠位端109は、少なくとも1つの感知ドメイン112から空間的に分離される。
【0457】
図3Kにも示されるように、一実施例では、挿入可能部分102は、不連続であるか、又はセグメント化されており、例えば、感知ドメイン112にまたがっている。別の実施例では、
図3Lに図示されるように、挿入可能部分102は、連続的である。当業者によって理解されるように、挿入可能部分をコーティングするために好適な任意の形状が、連続的及び/又は不連続的のいずれかで使用され得る(例えば、挿入可能部分コーティングは、連続的、不連続的、又は半連続的であり得る)。例示的なコーティング形状としては、1つ以上の円筒形、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、菱形、涙形、螺旋形、渦巻形、ローブ形状(例えば、クローバー、花、蝶、ハート形など)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0458】
挿入可能部分102は、挿入可能表面積及び/又は挿入可能体積を有し、生物活性放出膜70は、表面積及び/又は体積を有する。一実施例では、生物活性放出膜70の表面積は、挿入可能な表面積以下である。更なる実施例では、生物活性放出膜70の体積は、挿入可能な体積と同じであるか、又は異なる(例えば、挿入可能な体積以下である)。
【0459】
図3M、
図3N、及び
図3Oを参照すると、
図3K、
図3Lに描画されたものと同様のセンサが提示されており、感知ドメイン112の感知膜32(例えば、電極、干渉、抵抗、生体界面膜/ドメインを含む)を覆うことなく、センサ基板の遠位先端に近位の生物活性放出膜70の関係を示している。
図3Mは、ワイヤ又は平面又は実質的に平面の基板の単体化29を覆わない、遠位先端の周りの生物活性放出膜70を示す。
図3Nは、単体化29に直接隣接するエンドキャップ40を覆う生物活性放出膜70を有する代替的な構造を示す。
図3Oは、エンドキャップ40が単体化29に直接隣接し、生物活性放出膜70がエンドキャップ40を覆うことなく挿入可能部分102の遠位先端の周りに位置決めされる別の構成を描画する。
【0460】
図3P及び
図3Qを参照すると、遠位先端に位置する生物活性放出膜70を有するセンサ(例えば、「先端がコーティングされた」生物活性放出膜センサ)の生物活性放出は、生物活性放出プロファイル、並びに、例えば、14日、21日、30日、又はそれ以上の長期使用本明細書に記載の他の本開示の構築物と同等の感度保持及びノイズ低減における改善を提供する。生物活性を有する先端がコーティングされた生物活性放出膜を有するセンサは、他の利点の中でもとりわけ、製造の容易さ、必要とされる総生物活性の低減、及び外傷点における生物活性の標的化送達、例えば、初期挿入部位におけるセンサの挿入時の生物活性の本質的に即時の提示、必要とされる場所、すなわち、感知領域に最も近いAPIの送達、先端破損からの更なる物理的保護、及び/又は針先端とセンサ先端との間の空間によって生成される創傷体積に最も近いAPIの送達を提供する。その先端コーティングの自然表面張力は、穿刺損傷からの組織の保護をもたらす丸みを帯びた表面を形成し、全体的な湾曲形状は、生体適合性に役立つと考えられる。先端がコーティングされた生物活性放出膜は、センサ全体の機械的特性を大きく変化させることなく、センサに加えることができる。先端がコーティングされた生物活性放出膜を有するセンサの製造は、迅速かつ安価な製造ステップであり得る浸漬コーティングによって達成され得る。センサの挿入可能部分102の組織写真の例が
図8A及び
図8Bに示されており、
図8Aでは、長時間後のセンサの挿入可能部分102が免疫系の異物反応をもたらした後の、ホストの組織の皮下切片を描画する染色組織写真のミクロトーム切片である。脂肪組織150及び線維組織152が、線維性被包154及び場合によっては細胞進入156とともに描画される。対照的に、
図8Bは、本開示の生物活性を有する生物活性放出層を含む、長期間にわたってホストの組織に挿入されたセンサの挿入可能部分102の染色組織写真のミクロトーム切片を描画する。脂肪組織150及び線維組織152は、線維性被包又は細胞進入の同様の観察可能な徴候を伴わずに描画される。
【0461】
理論に束縛されることを望まないが、センサの端部に位置する組織は、センサ挿入に起因して、最も大きな程度の組織外傷を被ると考えられる。センサの先端に生物活性剤を提供することによって、生物活性剤の局在化濃度がこの周囲環境において最大であるため、センサ先端に近接する組織における異物反応が低減される。これはまた、より少ない生物活性剤が生物活性放出膜70内で使用されることを可能にする。生物活性放出膜が先端から近位に配置された場合に生じるであろう、組織を通した生物活性剤の輸送に起因する時間の遅れは、最小限に抑えられる。また、センサの先端を生物活性放出膜70でコーティングすることによって、センサ及び生物活性剤の全体的な挿入深さは、センサ先端の近くに生物活性剤の塊を配置することと比較して低減される。センサ先端付近の生物活性剤の塊は、挿入前又は挿入後にセンサ先端から不注意に分離され、治療効果の損失をもたらし得る。一実施例では、生物活性を有する生物活性放出膜70は、感知デバイスの挿入可能先端部分の外側表面上に存在する感知膜に直接接触し、それをコーティングしている。一実施例では、生物活性剤を有する生物活性放出膜70は、挿入可能部分のセンサの外側表面上にのみ存在する。外側表面は、先に開示された電極ドメイン、干渉膜、抵抗膜、及び酵素膜のいずれか及び全てを含むことができ、生物活性剤を有する生物活性放出膜70は、これらのドメイン又は膜のいずれよりも電極表面からより遠位であり得る。一実施例では、生物活性剤を有する生物活性放出膜70は、電極ドメイン、干渉膜、抵抗膜、及び酵素膜よりも電極表面から最も遠位にある。一実施例では、拡散調節膜73は、生物活性剤を有する拡散生物活性放出膜70からより遠位にある。一実施例では、生物活性剤を有する生物活性放出膜70は、
図2E、
図3H~
図3Oに示されるように、挿入可能部分102の遠位端109に直接隣接する挿入可能部分のセンサ、例えば、先端コーティングされたセンサの外側表面上にのみ存在する。
【0462】
実施例では、挿入可能な表面積は、約2mm2~約200mm2であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、挿入可能表面積は、約5mm2~約150mm2である。更なる実施例では、挿入可能な表面積は、約25mm2~約100mm2である。例えば、挿入可能な表面積は、少なくとも以下:2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、及び198mm2及び/又は最大で約200、198、196、194、192、190、188、186、184、182、180、178、176、174、172、170、168、166、164、162、160、158、156、154、152、150、148、146、144、142、140、138、136、134、132、130、128、126、124、122、120、118、116、114、112、110、108、106、104、102、100、98、96、94、92、90、88、86、84、82、80、78、76、74、72、70、68、66、64、62、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、4mm2(例えば、約30~172mm2、約2~198mm2など)のうちのいずれかからである。
【0463】
実施例では、挿入可能体積は、約5mm3~約500mm3であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、挿入可能体積は、約10mm3~約250mm3である。更なる実施例では、挿入可能体積は、約25mm3~約150mm3である。例えば、挿入可能な体積は、少なくとも以下:5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495mm3及び/又は最大で約500、495、490、485、480、475、470、465、460、455、450、445、440、435、430、425、420、415、410、405、400、395、390、385、380、375、370、365、360、355、350、345、340、335、330、325、320、315、310、305、300、295、290、285、280、275、270、265、260、255、250、245、240、235、230、225、220、215、210、205、200、195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、及び10mm3(例えば、約20mm3~420mm3、約10mm3~500mm3など)のうちのいずれかからである。上記範囲は、約5mmの最大挿入可能部分コーティング厚を想定する。
【0464】
実施例では、ポリマー層表面積対挿入可能表面積の比は、約0.1~約1であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、ポリマー層表面積対挿入可能表面積の比は、約0.2~約0.8である。更なる実施例では、ポリマー層表面積対挿入可能表面積の比は、約0.3~約0.7である。例えば、ポリマー層表面積対挿入可能表面積の比は、少なくとも以下:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、及び0.9及び/又は最大で約1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、及び0.2(例えば、約0.2~0.9、約0.5~0.8など)のうちのいずれかからである。上記の範囲は、センサの活性領域が挿入可能部分の少なくとも10%であると仮定している。
【0465】
実施例では、生物活性放出膜70のポリマー層体積対挿入可能体積の比は、約1:100~約20:100(すなわち、1:5)であり、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、生物活性放出膜70のポリマー層体積対挿入可能体積の比は、約1:50~約15:75(すなわち、1:5)である。更なる実施例では、ポリマー層体積対挿入可能体積の比は、約5:50(すなわち、1:10)~約10:80(すなわち、1:8)である。例えば、ポリマー層体積対挿入可能体積の比は、少なくとも以下:1:100、2:100(すなわち1:50)、3:100、4:100(すなわち1:25)、5:100(すなわち1:20)、6:100(すなわち3:50)、7:100、8:100(すなわち2:25)、9:100、10:100(すなわち1:10)、11:100、12:100(すなわち3:25)、13:100、14:100(すなわち7:50)、15:100(すなわち3:20)、16:100(すなわち4:25)、17:100、18:100(すなわち9:50)、及び19:100、並びに/又は最大約20:100(すなわち1:5)、19:100、18:100(すなわち9:50)、17:100、16:100(すなわち4:25)、15:100(すなわち3:20)、14:100(すなわち7:50)、13:100、12:100(すなわち3:25)、11:100、10:100(すなわち1:10)、9:100、8:100(すなわち2:25)、7:100、6:100(すなわち3:50)、5:100(すなわち1:20)、4:100(すなわち1:25)、3:100、及び2:100(すなわち1:50)(例えば、約7:100~19:100、約3:100~17:100など)のうちのいずれかからである。
【0466】
上述の連続分析物感知デバイスは、連続分析物感知デバイスを提供することと、少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの生物活性剤を含む挿入可能部分コーティング組成物を挿入可能部分に適用して、本明細書に記載の挿入可能部分コーティングを提供することと、によって形成される。実施例では、挿入可能部分に適用されるような挿入可能部分コーティング組成物は、生物活性添加量あり又はなしで、約10cP~約350cPの粘度を有する。別の実施例では、挿入可能部分に適用されるような挿入可能部分コーティング組成物は、生物活性添加量あり又はなしで、約20cP~約200cPの粘度を有する。更に別の実施例では、挿入可能部分に適用される挿入可能部分コーティング組成物は、生物活性添加量あり又はなしで、約30cP~約300cPの粘度を有する。
【0467】
本明細書において前述されるように、実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜70の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約105°~約130°、又は110°~約120°の前進接触角を有する。更に別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約40°~約80°の後退接触角を有する。別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜70の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約45°~約75°の後退接触角を有する。更に別の実施例では、動的接触角、すなわち、生体界面/生物活性放出膜70の表面の湿潤(前進角)又は脱湿潤(後退角)の過程で生じる接触角は、約50°~約70°の後退接触角を有する。いくつかの実施例では、分析物センサ上への配置後及び滅菌後の生物活性放出膜70上の動的接触角測定及び表面粗さは、Sigma 701力張力計を使用して、及び前進接触角測定、後退接触角測定、ヒステリシス測定、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を実行して実施することができる。
【0468】
加えて、実施例では、得られた生物活性放出膜70は、約20μm~約40μmの厚さを有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。特定の実施例では、生物活性放出膜70の挿入可能部分コーティングの厚さは、約0.1、約0.5、約1、約2、約4、約6、約8μm以下から約10、約15、約20、約30、約40、約50、約75、約100、約125、約150、約175、約200又は約250μm以上までであり得る。これらの実施例のいくつかにおいて、挿入可能部分コーティングの厚さは、時には約1~約5μm、時には約2~約7μmであり得る。他の実施例では、挿入可能部分コーティングは、約20又は約25μm~約50、約55、又は約60μmの厚さであり得る。
【0469】
別の実施例では、生物活性放出膜70の得られた挿入可能部分コーティングは、約1mm~約20mmの長さを有し、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。別の実施例では、挿入可能部分コーティングは、約2mm~約14mmの長さを有する。更なる実施例では、挿入可能部分コーティングは、約4mm~約12mmの長さを有する。例えば、挿入可能部分コーティングは、少なくとも以下:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、及び19mm及び/又は最大で約20、19、18、17、16、15、4、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、及び2mm(例えば、約1~15mm、約5~18mmなど)のうちのいずれかの長さを有する。
【0470】
生物活性放出膜70は、スプレーコーティング、パッド印刷、ファウンテンコーティング、バブルフィルムコーティング、液滴コーティング、浸漬及び洗浄、反転浸漬及び洗浄、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを使用して適用される。例えば、浸漬コーティングを洗浄と組み合わせて使用する場合、得られる挿入可能部分及び挿入可能部分コーティングの断面は、
図2C、
図3I、及び
図3Jに図示されるように、画定された縁部又は境界を有する複数の同心円を含む。対照的に、結果として得られるデバイスが浸漬されない場合、断面は、明確な画定された縁部又は境界を含まないが、代わりに、層間の漸進的な遷移を示す。
【0471】
生物活性放出膜70は、挿入可能部分が挿入される組織における対象の免疫応答(例えば、局所的な組織応答)を低減させること又は遅延させることを含む治療上の利益を提供する。
【0472】
同様に、免疫応答を低減させること又は遅延させることは、本明細書に開示される連続分析物感知デバイスの感度を改善する。例えば、
図6B~
図6Eに示されるように、対照センサは、生物活性剤添加センサと比較して著しく大きい感度低下を実証し、挿入可能部分の遠位端上に挿入可能部分コーティングを含むものとして本明細書に記載される連続分析物感知デバイスのセンサは、感度低下の最も遅い開始を実証した。実際に、
図6Dに図示された試験結果では、挿入後15日目に、対照センサは、53%の感度残存率を有し、生物活性剤添加センサは、78%の感度残存率を有し、挿入可能部分の遠位端上に挿入可能部分コーティングのみを含む生物活性剤添加センサは、94%の感度残存率を有した。
【0473】
免疫応答を低減させるか又は遅延させるための方法は、(i)挿入可能部分102を展開するように構成された上述の連続分析物感知デバイス100を提供することと、(ii)挿入可能部分102の展開時に対象内に組織挿入体積の形成(例えば、発達又は創出)を引き起こすことと、(iii)少なくとも1つの生物活性剤110を生物活性放出膜70から組織挿入体積に放出することと、結果として、(iv)(iii)少なくとも1つの生物活性剤の放出に応答して、組織挿入体積に関する免疫応答を低減させるか又は遅延させることと、を含む。本明細書で前述したように、組織挿入体積は、皮下又は皮内の脂肪又は筋肉組織を含み、組織挿入体積の組成は、挿入部位に基づいて変化する。実施例では、組織挿入体積は、挿入可能体積以上である。更なる実施例では、少なくとも1つの生物活性剤110は、1日当たり約0.1μg~約5μgの平均放出速度で生物活性放出膜70から放出され、それらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。
【0474】
本明細書において説明される方法の結果として、実施例では、免疫応答は、少なくとも7日間低減されるか又は遅延される。別の実施例では、免疫応答は、少なくとも10日間低減されるか又は遅延される。更なる実施例では、免疫応答は、少なくとも14日間低減されるか又は遅延される。更に別の実施例では、免疫応答は、少なくとも21日間低減されるか又は遅延される。したがって、本明細書において説明される方法は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は21日間、それ以上ではないとしても、免疫応答を低減させる。結果として、本明細書に開示される連続分析物感知デバイスは、挿入後少なくとも15日間にわたって生物活性放出が可能である。
【0475】
公開及び未公開の出願、特許、及び参考文献を含むがこれらに限定されない、本明細書に引用される全ての参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とされる。参照により組み込まれた刊行物及び特許又は特許出願が、本明細書に含まれる本開示と矛盾する範囲では、本明細書は、かかるいかなる矛盾する材料に取って代わり、かつ/又はそれに優先することが意図されている。
【0476】
本明細書で使用される成分、反応条件などの数量を表す全ての数字は、全ての場合において「約(about)」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、本明細書に記載された数値パラメータは、取得することが求められていた所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。最低限でも、本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効桁数及び通常の丸め手法を考慮して解釈されるべきである。
【0477】
上記の記載は、本開示の様々な方法及び材料を開示する。本開示は、方法及び材料における修正、並びに製作方法及び機器における変更を受け入れ易い。そのような修正は、本開示の考慮又は本明細書に開示された本開示の実施から、当業者に明らかになる。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、本開示の真の範囲及び趣旨内に入る全ての修正及び代替案を包含するものとする。
【0478】
本開示の特定の実施例が、要素の特定の組み合わせを参照して例示されているが、本開示の教示から逸脱することなく、様々な他の組み合わせも提供され得る。したがって、本開示は、本明細書で記載され、図に例示された特定の例示的な実施例に限定されるものとして解釈されるべきではなく、様々な図示された実施例及びその態様の要素の組み合わせも包含し得る。
【国際調査報告】