(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ポリカルボジイミド硬化ポリマーの製造のためのワンポットプロセス
(51)【国際特許分類】
C08G 73/00 20060101AFI20240912BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20240912BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20240912BHJP
C09D 175/06 20060101ALI20240912BHJP
C09D 175/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08G73/00
C09J175/06
C09J175/08
C09D175/06
C09D175/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516952
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022075159
(87)【国際公開番号】W WO2023041443
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/119070
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】シャオ・ユ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・リャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・シ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ハイ・シェン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】リ・チャオ・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジア・ユエ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ジョン・ツァイ
【テーマコード(参考)】
4J038
4J040
4J043
【Fターム(参考)】
4J038DG031
4J038DG111
4J038DG131
4J038DG302
4J038KA06
4J038KA09
4J038NA04
4J038PB07
4J038PC06
4J040EF031
4J040EF111
4J040EF131
4J040EF332
4J040HB22
4J040HC16
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4J040KA38
4J040NA15
4J043PA04
4J043PA08
4J043QB64
4J043RA11
4J043RA17
4J043SA21
4J043TA11
4J043TB01
4J043XA03
4J043XA08
4J043ZA33
4J043ZA34
4J043ZB01
4J043ZB03
(57)【要約】
本発明は、(a)少なくとも1つのポリカルボジイミドと、1分子当たり2以上のカルボジイミド官能基との反応、(b)少なくとも1つのポリオールと、1分子当たり2以上のヒドロキシル官能基との反応、および(c)少なくとも1つの環状カルボン酸無水物の反応を含む、ポリカルボジイミド硬化ポリマーを製造するためのワンポットプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルボジイミド硬化ポリマーを製造するためのワンポットプロセスであって、前記プロセスが、
(a)1分子当たり2以上のカルボジイミド官能基を有する少なくとも1つのポリカルボジイミド、
(b)1分子当たり2以上のヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つのポリオール、
(c)少なくとも1つの環状カルボン酸無水物
の反応を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ポリカルボジイミドが、式(I)で表される構造:
-[-N=C=N-R-]
n- (I)
(式中、
Rは、1から20個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC
1-C
20アルキレン基、C
3-C
10シクロアルキレン基、C
2-C
20アルケニレン基、またはC
6-C
16アリーレン基から選択され、
nは、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6であり;
Rは、1つのポリカルボジイミド分子中の同一または異なる基である)
を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ポリカルボジイミドが、式(Ia)で表される構造:
-[-N=C=N-R
a-]
a-[-N=C=N-R
b-]
b- (Ia)
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ1から20個の炭素原子を有する異なる二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC
1-C
20アルキレン基、C
3-C
10シクロアルキレン基、C
2-C
20アルケニレン基またはC
6-C
16アリーレン基から選択され、
a>0、b>0、a+bは2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6である)
を含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ポリカルボジイミドが、3~15質量%、好ましくは5~10質量%のNCN含有量を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびモノマーポリオールからなる群から選択され、好ましくは前記ポリエーテルポリオールがポリテトラヒドロフランである、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオールおよび前記ポリエステルポリオールの数平均分子量が、200~10000、好ましくは1000~5000、より好ましくは1500~3000である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記環状カルボン酸無水物が、式(II)
【化1】
{式中、R
1は、1から5個の炭素原子を有するアルキレン基、2から5個の炭素原子を有するアルケニレン基、5から10個の炭素原子を有するモノシクロアルカン-ジイル基、7から12個の炭素原子を有するビシクロアルカン-ジイル基、5から10個の炭素原子を有するモノシクロアルケン-ジイル基、7から12個の炭素原子を有するビシクロアルケン-ジイル基、フェニレン基、または、式-CH
2-(CH
2)
n1-O-(CH
2)
n2-CH
2-(式中、n1およびn2は1以上であり、n1+n2は2~4)のアルキレン基であり、好ましくは2から5個の炭素原子を有するアルケニレン基であり;好ましくは、R
1は、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基、好ましくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換されている}で表される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記環状カルボン酸無水物が、o-フタル酸無水物、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ヒム酸無水物、コハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、クロレンド酸無水物およびテトラブロモフタル酸無水物、好ましくは無水マレイン酸および無水コハク酸からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ポリカルボジイミド中のカルボジイミド官能基、前記ポリオール中のヒドロキシル官能基、および前記環状カルボン酸無水物中の環状カルボン酸無水物官能基のモル比が、(1.2:1:1)~(1:1.2:1.2)、好ましくは(1.1:1:1)~(1:1.1:1.1)である、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応が、
(d)任意選択的に、ルイス酸およびルイス塩基からなる群から選択される触媒、および/または
(e)任意選択的に、ヒドロキシル基、およびアミノ基およびカルボン酸基から選択される2以上の官能基、好ましくは2つの官能基を有する鎖延長剤、および/または
(f)任意選択的に、溶媒
の存在下で行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記鎖延長剤が、C
2-C
20、好ましくはC
2-C
12アルカンジオール、C
3-C
10シクロアルカンジオールおよびC
6-C
16アリーレンジオールからなる群から選択される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒が、チタンブトキシド、DABCO 33LV、DBUおよびDMAPからなる群から選択され、かつ/または前記鎖延長剤がBDOである、請求項10または11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応が、次のステップ:
(i)前記ポリカルボジイミド、前記ポリオール、前記環状カルボン酸無水物、任意の触媒、任意の鎖延長剤および任意の溶媒を一緒に混合し、反応混合物を形成するステップであって、好ましくは、前記ポリオールを前記環状カルボン酸無水物と最初に混合するステップと;
(ii)前記反応を進行させてポリカルボジイミド硬化ポリマー生成物を得るステップと
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(ii)における前記反応が、25℃~150℃、好ましくは40℃~100℃で行われる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセスから得られるポリカルボジイミド硬化ポリマー。
【請求項16】
弾性ポリマーである、請求項15に記載のポリカルボジイミド硬化ポリマー。
【請求項17】
接着剤、木材コーティングまたは防水コーティングにおける、請求項15または16に記載の前記ポリカルボジイミド硬化ポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボジイミド硬化ポリマーを製造するためのワンポットプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンプロセスは、ポリマー、特に弾性または剛性ポリマーを製造するために使用されてきた。そのようなプロセスでは、各分子上に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが、各分子上に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールと重縮合を介して反応し、ポリイソシアネート単位またはセグメントとポリオール単位またはセグメントとが交互に並ぶポリマーを形成する。ポリウレタンは、高反発フォーム、硬質フォーム、マイクロセルラーフォーム、スプレーフォームなどの製造に使用される。ポリウレタンは、シーティング、断熱パネル、シールおよびガスケット、耐久性のあるエラストマー製ホイールおよびタイヤ、例えばローラーコースター、エスカレーター、ショッピングカート、エレベーターおよびスケートボードなどのホイールおよびタイヤなど、自動車用サスペンションブッシング、電気ポッティング・コンパウンド、高性能接着剤、表面コーティングおよびシーラント、合成繊維、カーペットの下敷き、電子楽器用などの硬質プラスチック部品、コンドーム、およびホースなどの製造に有用である。
【0003】
しかしながら、このようなプロセスは、イソシアネートが通常揮発性で毒性であるという点で不利である。イソシアネートは危険物質に分類される。すべてのジイソシアネートは、非常に反応性の高い化学物質であり、ヒトに有害な可能性がある。これらは、蒸気およびエアロゾルミストを吸入すると有害であり、眼、呼吸器系および皮膚を刺激し、吸入および皮膚接触によって感作を引き起こす可能性のあるものもある。曝露の可能性は蒸気圧に依存する。モノマーおよびポリマーのメチレンジフェニルジイソシアネートは「有害」と表示されている。トルエンジイソシアネートは「非常に毒性」と表示されており、注意して取り扱う必要がある。
【0004】
このような欠点を克服するために特別な措置が講じられてきた。例えば、トルエンジイソシアネートおよびメチレンジフェニルジイソシアネートは、その揮発性および毒性を低減するために、それらをポリオールと部分的に反応させるか、または他の材料を導入することによって修飾されることが多い。このような修飾はまた、凝固点を低下させ、取り扱いを容易にしたり、最終ポリマーの特性を改善したりする。しかしながら、これは最終製品の製造に追加の労力およびコストがかかることも意味する。
【0005】
さらに、ポリウレタンは可燃性固体であり、裸火にさらされると点火する可能性があり、一酸化炭素、シアン化水素、窒素酸化物、イソシアネート、および他の有毒な生成物を生成する。したがって、最終製品に難燃剤を導入する必要がある。しかしながら、多くの難燃剤も有害であると考えられている。
【0006】
さらに、このようなプロセスはまた、ポリウレタン樹脂が加熱されたときの揮発性小分子の発生によって引き起こされる泡立ちの問題も抱えている。そのような状況下では、イソシアネートはH2Oと反応してガス状CO2を発生させ、これはPUフィルム内に小さな気泡を形成する。これにより、ポリウレタンフィルムのピンホールなど、最終製品に目に見える欠陥が生じる。
【0007】
別のプロセスとして、ポリカルボジイミドをポリカルボン酸と反応させて弾性ポリマーを生成する。このようなプロセスは、ポリカルボジイミドが非毒性樹脂であり、泡立ちの問題がないという点で有利である。
【化1】
【0008】
しかしながら、カルボジイミド基とカルボン酸基との反応は非常に速く進行し、制御が困難である。実際、カルボジイミドとカルボン酸との間の迅速な反応こそが、カルボジイミドをエステル系ポリマーの酸捕捉剤および加水分解安定剤として使用することができる理由であり、この場合、酸および水の濃度は非常に低くなり得るので、反応速度定数が高いことが望ましい。
【0009】
高い反応速度定数はまた、ポリカルボン酸の選択を制限する。単にプロセス制御の目的で、ポリカルボジイミドとの反応を遅らせるために、より低い反応活性を有するポリカルボン酸のみを使用することができる。選択が制限されるということは、弾性ポリマーなどの生成物の特性も制限されることを意味する。
【0010】
さらに、ポリカルボン酸の商業的入手可能性も限られている。例えば、ポリテトラヒドロフランセグメントは弾性ポリマーの調製に有用であるが、現在、2つ以上のカルボン酸官能基を有するポリテトラヒドロフランは市販されていない。そのようなポリテトラヒドロフランを合成することができるが、そのような合成およびその後の分離および精製は追加のプロセスステップをもたらし、最終生成物のコストをより高くする。
【0011】
ポリウレタン化学(一般にポリイソシアネートおよびポリオールを含む)からポリカルボジイミド化学(ポリカルボジイミドおよびポリカルボン酸を含む)に移行することも、ポリウレタン化学に関する知識があまり役に立たなくなるという点で不利である。例えば、ポリウレタンの特性は、ポリウレタン製造に使用されるイソシアネートおよびポリオールの種類によって大きく影響されることが容易に知られている。一般に、ポリオールが寄与する長い柔軟なセグメントは、柔らかく弾性のあるポリマーを与える。多量の架橋は、強靭または硬いポリマーを与える。長鎖で架橋が少ないと、非常に伸縮性のあるポリマーを与え、短鎖で架橋が多いと、硬質なポリマーを生成する。一方、長鎖および中間架橋は、発泡体の製造に有用なポリマーを与える。これらに基づいて、最終製品の特性を実際のニーズに合わせて正確に調整する方法について、膨大な量の知識が蓄積されている。しかしながら、分子内にポリオール構造がなければ、このような知見は不必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】中国特許第106164123A号明細書
【特許文献2】中国特許第107428902A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、反応プロセスの制御を容易にし、ポリカルボン酸に由来するセグメントの選択を広げるために、ポリカルボジイミドとポリカルボン酸との反応の代わりに、ポリカルボジイミドとポリオールおよび環状カルボン酸無水物との反応を使用してポリマー、特に弾性ポリマーを製造するプロセスを見出す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、ポリカルボジイミドとポリオールおよび環状カルボン酸無水物とをワンポットプロセスで反応させる。さらに、反応開始時に、反応物のポリカルボジイミド、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物は、好ましくは反応容器に一度に添加される。
【0015】
反応物の反応活性が低いという制限は、広範囲のポリオールおよび環状カルボン酸無水物によって満たすことができるため、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の反応物は、広範囲の材料から選択することができる。ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の選択の幅が広がることは、生成されるポリマーのより広い範囲の特性の利用可能性にも貢献する。
【0016】
反応は穏やかに進行し、制御が容易である。
【0017】
本発明のプロセスによって製造されたポリカルボジイミド硬化ポリマーは、接着剤、木材コーティングおよび防水コーティングに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ポリカルボジイミド
本発明において有用なポリカルボジイミドは、ポリマーポリカルボジイミドなど、1分子当たり2以上のカルボジイミド官能基を有するあらゆる化合物であってよく、最終製品の用途に依存する。ポリカルボジイミドは、本発明において適用される条件下でカルボン酸基と反応性である。
【0019】
本発明において有用なポリカルボジイミドは、ポリマーおよびモノマーであり得る。ポリマーポリカルボジイミドはオリゴマーであってもよい。本発明の文脈における「オリゴマー」という用語は、重合度の低いポリマーを指す。例えば、オリゴマーポリカルボジイミドの重合度は、2~20、好ましくは2~10、より好ましくは2~5、またはさらに2~3であってよい。
【0020】
ポリマーポリカルボジイミドの場合、カルボジイミド官能基は、例えば、ポリマーの主鎖内の繰り返し単位として、および/またはポリマー鎖をキャップする末端基として、および/またはポリマーの主鎖に結合した側鎖内のペンダント基として存在することができる。
【0021】
ポリカルボジイミドのカルボジイミド官能基に加えて残りの構造は、脂肪族、脂環式または芳香族であってよく、芳香族構造が好ましい。
【0022】
従来、カルボジイミド官能基は、例えば、触媒の存在下、二酸化炭素分子の除去を伴う2つのイソシアネート基の縮合から誘導することができる。
2-N=C=O→-N=C=N-+CO2
【0023】
触媒および反応条件は当業者に公知である。
【0024】
さらに、ポリイソシアネートを重合すると、ポリマーの主鎖内にカルボジイミド官能基を有するポリカルボジイミドを得ることができる。
n O=C=N-R-N=C=O→-(N=C=N-R)n-+n CO2
【0025】
上記の反応スキームにおいて、Rは、反応中に不活性である任意の基であってよい。したがって、Rは、好ましくは、1から20個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC1-C20アルキレン基、C3-C10シクロアルキレン基、C2-C20アルケニレン基またはC6-C16アリーレン基から選択される。
【0026】
本発明の一実施形態では、Rは、1から10個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC1-C10アルキレン基、C4-C7シクロアルキレン基、C2-C10アルケニレン基またはC6-C10アリーレン基から選択される。
【0027】
したがって、ポリカルボジイミドは、トルエンジイソシアネート(TDI)およびその異性体、モノマーメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびその異性体、ポリ(メチレンジフェニルジイソシアネート)およびその異性体、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリス(4-カルボジイミドフェニル)メタン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの対称および非対称三量体、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの三量体、および1,1-メチレンビス(4-ジイソシアナトシクロヘキサン)からなる群から選択され得る従来のポリイソシアネートの縮合から調製されたものであり得る。例えば、2,4-トルエンジイソシアネートの場合、ポリカルボジイミドは、以下の反応スキームに従って合成することができる。
【化2】
【0028】
中国特許第106164123A号明細書に記載されているように、ポリカルボジイミドは、前駆体化合物およびカルボジイミド化触媒の存在下、ジイソシアネートから調製することもできる。前記前駆体化合物は、カルボジイミド化合物、ウレタン化合物、チオウレタン化合物または尿素化合物を含む。例えば、前駆体化合物がカルボジイミド化合物を含む場合、前記カルボジイミドはジフェニルカルボジイミドであり得、これはフェニルイソシアネートから得ることができる。
【化3】
【0029】
前駆体化合物は、分子量およびその分布が調節されるように、ポリイソシアネートを重合することによって形成されるポリカルボジイミドを末端封鎖する。例えば、ポリカルボジイミドがジフェニルカルボジイミドの存在下で2,4-TDIから調製される場合、ポリカルボジイミドは以下の構造を有するであろう。
【化4】
【0030】
1分子当たり2つ以上のカルボジイミド官能基を有する他の種類の化合物を使用することが可能である。例えば、中国特許第107428902A号明細書に記載されているように、ポリカルボジイミド-ポリウレタンハイブリッドを使用することが可能である。ポリカルボジイミド-ポリウレタンハイブリッドは、トルエンジイソシアネートのイソシアネート転化率約10%への部分カルボジイミド化、続いてポリオールとカルボジイミド基との反応によって調製することができる。あるいは、トルエンジイソシアネートをポリオールと反応させて、過剰なイソシアネート基を有するポリイソシアネートを形成し、続いてイソシアネート基をカルボジイミド化することも可能である。ポリカルボジイミド-ポリウレタンハイブリッドの例を以下に示す。
【化5】
【0031】
したがって、本発明で有用なポリカルボジイミドは、式(I)で表される構造:
-[-N=C=N-R-]n- (I)
(式中、
Rは、1から20個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC1-C20アルキレン基、C3-C10シクロアルキレン基、C2-C20アルケニレン基、またはC6-C16アリーレン基から選択され、
nは、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6である)
を含む。
【0032】
本発明の一実施形態では、Rは、1から10個の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換されているC1-C10アルキレン基、C4-C7シクロアルキレン基、C2-C10アルケニレン基またはC6-C10アリーレン基から選択される。
【0033】
Rは、1つのポリカルボジイミド分子中の同じまたは異なる基であり得ることに留意されたい。例えば、2つの異なるR基が存在する場合、式(I)は、以下の式(Ia):
-[-N=C=N-Ra-]a-[-N=C=N-Rb-]b- (Ia)
(式中、RaおよびRbは、それぞれ1から20個の炭素原子を有する異なる二価のヒドロカルビル基であり、好ましくは、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基で任意選択的に置換された、C1-C20アルキレン基、C3-C10シクロアルキレン基、C2-C20アルケニレン基またはC6-C16アリーレン基から選択され、
a>0、b>0、a+bは2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6である)に変換される。
【0034】
ポリマーポリカルボジイミドの分子量は、特に限定されない。例えば、ポリカルボジイミドは、250~5000、好ましくは500~3000の分子量を有するものであり得る。
【0035】
本発明において有用なポリカルボジイミドは、化合物中のNCNの含有量によって特徴付けることができる。本発明の一実施形態では、有用なポリカルボジイミドは、3~15質量%、好ましくは5~10質量%のNCN含有量を有する。
【0036】
本発明において有用なポリカルボジイミドは、例えば、日本の日清紡ケミカル株式会社からカルボジライトSV-02、V-02-L2、V-02、E-02、E-03Aとして、またはドイツのBASFからBaltanex W01として、またはドイツのランクセスからStabaxol P-200として市販されている。
【0037】
ポリオール
本発明において有用なポリオールは、1分子当たり2以上のヒドロキシル基を有する化合物であり得る。
【0038】
ポリオールは、モノマーであってもポリマーであってもよい。ポリマーポリオールはオリゴマーであってもよい。
【0039】
ポリオールがポリマーである場合、ヒドロキシル基は、ポリマー鎖の末端基として存在するか、または側鎖の一部としてペンダント基として存在することができる。
【0040】
例えば、ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびモノマーポリオールからなる群から選択されるものなど、ポリウレタンの調製において従来使用される任意のポリオールであり得る。
【0041】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリマーポリオールの分子量は特に限定されない。例えば、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールの数平均分子量は、200~10000、好ましくは1000~5000、より好ましくは1500~3000であり得る。
【0042】
本発明において有用な特別なポリオールは、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、およびポリスルフィドポリオールなどのポリウレタンの調製に使用される他のまたは特定のポリオールであり得る。これらのポリオール、その調製物および特性は、当業者に公知である。
【0043】
ポリエーテルポリオール
一例では、ポリオールは、スターターとも呼ばれる開始剤と、環状エーテルとも呼ばれるアルキレンオキシドとの反応から誘導されるポリエーテルポリオールであり得る。
【0044】
開始剤は、好ましくは、アルキレンオキシドと反応してポリエーテル鎖を形成することができる少なくとも2つの活性水素を有する化合物であり、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、ブテンジオール、ブチンジオール、キシレングリコール、1,4-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、1,3-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、ビス-(ヒドロキシ-メチル-シクロヘキサン)、チオジグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、α-メチルグルコシド、ペンタエリスリトールおよびソルビトール;アニリン、o-クロロアニリン、p-アミノアニリン、1,5-ジアミノナフタレン、メチレンジアニリン、アニリンとホルムアルデヒドの縮合生成物、2,3-、2,6-、3,4-、2,5-および2,4-ジアミノトルエンおよび異性体混合物、メチルアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサレンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、3,3’-ジクロロベンジジンおよび3,3’-ジニトロベンジジンなどのアミン類;エタノールアミン、アミノプロピルアルコール、2,2-ジメチルプロパノールアミン、3-アミノシクロヘキシルアルコール、p-アミノベンジルアルコール等のアルカノールアミン類;およびそれらの組み合わせなどのモノマーポリオールからなる群から選択され得る。
【0045】
アルキレンオキシドは、開環重合によってポリエーテル鎖を形成することができる環状化合物であることが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと他のアルキレンオキシドとの混合物、エピハロヒドリン、アラルキレンオキシド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。より好ましくは、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせから選択される。
【0046】
ポリエーテルポリオールは、例えば、ドイツのBASFからLupranol L2048として市販されている。
【0047】
特に好ましいポリエーテルポリオールは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールとも呼ばれるポリテトラヒドロフランであり、テトラヒドロフランの重合によって調製することができ、高性能コーティング、湿潤およびエラストマー用途に広く使用されている。ポリテトラヒドロフランは、ドイツのBASFからPolyTHFとして市販されている。
【0048】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、200~10000、好ましくは1000~5000の数平均分子量を有する。
【0049】
好ましくは、本発明で使用されるポリエーテルポリオールは、ポリテトラヒドロフラン、特に数平均分子量が500~5000、好ましくは1000~3000、特に2000のものから選択することができる。
【0050】
当業者は、他の合成経路を介してポリエーテルポリオールを調製することも可能であることを理解するであろう。例えば、1,4-ブタンジオールの分子内縮合により、ポリテトラヒドロフランを生成することが可能である。
【0051】
ポリエステルポリオール
別の例では、ポリオールは、多官能性カルボン酸、好ましくはジカルボン酸とポリヒドロキシル化合物、好ましくはグリコールの重縮合から誘導されるポリエステルポリオールであり得る。
【0052】
ジカルボン酸は、好ましくは、2から12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸、好ましくは4から6個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびそれらの混合物からなる群から選択されるものである。対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1から4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、またはジカルボン酸の無水物を使用することも可能である。
【0053】
グリコールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、ブテンジオール、ブチンジオール、キシリレングリコール、アミレングリコール、1,4-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、1,3-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、ビス-(ヒドロキシメチル-シクロヘキサン)、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族ジオール、芳香族ジオールまたはそれらの組み合わせであり、好ましくは、2から8個の炭素原子を有し、より好ましくは2から6個の炭素原子を有する。
【0054】
ポリエステルポリオールを調製するための条件(触媒を含む)は、当業者に公知である。
【0055】
他の合成経路を介してポリエステルポリオールを調製することも可能である。例えば、リサイクルされたポリ(エチレンテレフタラート)またはジメチルテレフタラートの蒸留塔底液とジエチレングリコールなどのグリコールとのエステル交換によって、再生原料に基づくポリエステルポリオールを製造することが可能である。
【0056】
好ましくは、ポリエステルポリオールは、200~10000、好ましくは1000~5000の数平均分子量を有する。
【0057】
ポリエーテルポリオールは、例えば、ドイツのBASFからLupraphenとして市販されている。
【0058】
モノマーポリオール
モノマーポリオールは、任意の低分子量多価アルコール、例えば、C2-C20、好ましくはC2-C12アルカンジオール、C3-C10シクロアルカンジオールおよびC6-C16アリーレンジオールからなる群から選択されるものであり得る。好ましくは、モノマーポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、ブテンジオール、ブチンジオール、キシリレングリコール、アミレングリコール、1,4-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、1,3-フェニレン-ビス-βヒドロキシエチルエーテルおよびビス-(ヒドロキシ-メチル-シクロヘキサン)からなる群から選択され得る。
【0059】
モノマーポリオールはまた、3以上のヒドロキシル官能基を有する低分子量の多価アルコールであってもよい。例えば、そのようなポリオールは、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトールなどからなる群から選択され得る。
【0060】
環状カルボン酸無水物
本発明において有用な環状カルボン酸無水物は、環状構造の一部として無水物部分を有するカルボン酸無水物である。それは、任意の多官能性カルボン酸の分子内脱水生成物であり得るが、それらは当業者に公知の様々な代替経路によって調製することができ、通常は調製される。例えば、無水マレイン酸は、マレイン酸水溶液の脱水に加えて、ベンゼンまたはn-ブタンなどのC4炭化水素の接触酸化によって調製することができる。別の例では、無水コハク酸は、コハク酸水溶液の脱水に加えて、無水マレイン酸の水素化によって調製することができる。最後の例では、o-フタル酸無水物は通常、o-キシレンまたはナフタレンの気相酸化によって調製される。
【0061】
本発明において有用な環状カルボン酸無水物は、以下の式(II)、
【化6】
{式中、R
1は、1から5個の炭素原子を有するアルキレン基、2から5個の炭素原子を有するアルケニレン基、5から10個の炭素原子を有するモノシクロアルカン-ジイル基、7から12個の炭素原子を有するビシクロアルカン-ジイル基、5から10個の炭素原子を有するモノシクロアルケン-ジイル基、7から12個の炭素原子を有するビシクロアルケン-ジイル基、フェニレン基、または、式-CH
2-(CH
2)
n1-O-(CH
2)
n2-CH
2-(式中、n1およびn2は1以上であり、n1+n2は2~4、好ましくは2から5個の炭素原子を有するアルケニレン基である)のアルキレン基である}
で表すことができる。
【0062】
R1は、シアナト、イソシアナト、ハロゲン、アミド、カルボキサミド、アミノ、イミド、イミノおよびシリル基から選択される少なくとも1つの官能基、好ましくは少なくとも1つのハロゲン原子で置換することができる。
【0063】
好ましくは、本発明で使用される環状カルボン酸無水物は、o-フタル酸無水物、無水トリメリット酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロフタル酸無水物、ピロメリット酸二無水物、ヒム酸無水物、コハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、クロレンド酸無水物およびテトラブロモフタル酸無水物からなる群から選択することができる。
【0064】
最も好ましくは、環状カルボン酸無水物は無水マレイン酸および無水コハク酸、特に無水マレイン酸である。
【0065】
添加剤
本発明のプロセスは、好ましくは、触媒および鎖延長剤などの添加剤の存在下で実施される。本発明のプロセスから製造されたポリマーの物理化学的特性の改善を達成するために、任意の追加の添加剤を適用することは確かに可能である。
【0066】
触媒
本発明のプロセスは、好ましくは、ルイス酸およびルイス塩基からなる群から選択され得る触媒の存在下で、それらの存在が重大な副反応を引き起こさない限り、実施される。
【0067】
ルイス酸触媒は、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ハロゲン化スズ(IV)、塩化第一スズ、臭化第一スズ、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、およびそれらの混合物などの金属ハロゲン化物からなる群から選択され得る。金属ハロゲン化物は、エーテル錯体およびアミン錯体、例えば三フッ化ホウ素-ピペリジンおよび三フッ化ホウ素-モノエチルアミン錯体などの錯体の形態で使用することもできる。そのような場合、金属ハロゲン化物は、温度の上昇による錯体の解離などによって放出されるまで、実質的に不活性のままであると考えられる。
【0068】
ルイス酸触媒はまた、スズ(IV)またはスズ(II)と、C1-C12カルボン酸(オクタン酸など)、ジカルボン酸または芳香族カルボン酸(置換および非置換の安息香酸および桂皮酸など)との塩、RがC1-C12アルキル基である式Sb(OR)3を有する化合物、例えば、トリ-N-ブチルアンチモナイト、RがC1-C12アルキル基である化合物Ti(OR)4、RがC1-C12アルキル基であるAl(OR)3、ジブチルスズジクロライド、ブチルスズオキシドなどからなる群から選択されることもできる。
【0069】
ルイス酸触媒は、HCl、H2SO4、H3PO4、HF、HNO3などの無機酸;酢酸、プロピオン酸、クロロ酢酸などの有機カルボン酸;トリメチルボラン、トリエチルボラン(trietbylborane)などのトリアルキルボラン類から選択されることもできる。
【0070】
ルイス塩基触媒は、メチル-、エチル-、イソプロピル-およびオクチルアミン、ジメチル-、ジイソアミル-およびジイソブチルアミン、メチルエチルアミン、トリメチル-およびトリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリイソブチル-およびトリデシルアミン、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、n,n,n,n’-テトラメチルエチレンジアミン、n-ペンタメチルジエチレントリアミン、p-フェニレンジアミン、o-トルイデン、アニリン、1-ナフチル-および2-ナフチルアミン、p-トルイジン、ベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジメチルアニリン、ビス-(1,8)-ジメチルアミノナフタレン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジンおよびN-メチルピペリジン、3-フェニルピペリジン、ピリジンおよび2-メチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2-ドデシルピリジン、2-アミノピリジン、2-(ジメチルアミノ)ピリジン、キノリン、2-(ジメチルアミノ)-6-メトキシキノリン、ピリミジン、1,8-フェナントロリン、ピペラジン、N-メチル-およびN-エチルピペラジン、2,2’-ビピリジルおよびアルキル-置換2,2’-ビピリジル、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチレンテトラアミン、プリン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジ-N-プロパナールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンからなる群から選択され得る。
【0071】
ルイス塩基触媒はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシド、例えばリチウムまたはナトリウム、バリウム、ストロンチウムアルカノレートまたはアルミニウム低級アルカノレート、アルカリ金属シアニド、例えばシアン化カリウム、強四級アンモニウムヒドロキシド、例えばベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選択することができる。
【0072】
最も好ましい触媒は、テトラブチルチタネートとも呼ばれるチタンブトキシド、ドイツのEvonikより入手可能なジプロピレングリコール中のトリエチレンジアミンの1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン溶液であるDABCO 33LV、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンであるDBU、および、4-(ジメチルアミノ)ピリジンであるDMAPを例示することができる。
【0073】
鎖延長剤
鎖延長剤は、ポリカルボジイミド、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の反応によって形成されたポリマー鎖を結合して、最終製品の機械的特性を改変するために、本発明のプロセスに存在することができる。鎖延長剤は2以上の官能基、好ましくは2つの官能基を有する。官能基はポリマー鎖の反応性官能基と反応し、ポリマーの分子量が増大するように、例えば2倍になるようにそれらを連結する。ポリマーの分子量の増加の効果は、当業者に公知である。例えば、典型的には、そのような分子量の増加により、ポリマー材料の引張強度が増加する。
【0074】
鎖延長剤は、ポリオール、ポリアミンまたはポリカルボン酸、好ましくはジオール、ジアミンまたはジカルボン酸であり得る。
【0075】
ポリオール鎖延長剤は、そのヒドロキシル基が最初にカルボン酸無水物官能基と反応し、次いでカルボジイミド官能基と反応する任意のポリオール、特にジオールであり得る。ポリオール鎖延長剤は、上記のモノマーポリオールから選択されるものを含む、任意のジオールであり得る。したがって、好ましいジオール鎖延長剤は、C2-C20、好ましくはC2-C12アルカンジオール、C3-C10シクロアルカンジオールおよびC6-C16アリーレンジオールからなる群から選択されることができ、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、ブテンジオール、ブチンジオール、キシリレングリコール、アミレングリコール、1,4-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテル、1,3-フェニレン-ビス-β-ヒドロキシエチルエーテルおよびビス-(ヒドロキシメチル-シクロヘキサン)からなる群から選択することができる。
【0076】
鎖延長剤はまた、そのアミン基がカルボジイミド基と反応する任意のポリアミン、特にジアミンであってもよい。好ましいジアミン鎖延長剤は、1-メチル-3,5-トリメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-トリメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリメチル-2,6-ジアミノベンゼン,または 3,5,3’,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’,6,6’-テトライソプロピル-4,4’-メチレンビスアニリンなどの芳香族ジアミン;1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノベンゼン;1-メチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノベンゼン;1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、トルエンジアミンおよび、2,4-トルエンジアミンなどのアルキル化トルエンジアミン;2,6-トルエンジアミン;3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン;3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン;2,4,6-トリエチル-m-フェニレンジアミン;3,5-ジイソプロピル-2,4-ジアミノトルエン;3,5-ジ-sec-ブチル-2,6-ジアミノトルエン;3-エチル-5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン;4,6-ジイソプロピル-m-フェニレンジアミン;4,6-ジ-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン;4,6-ジエチル-m-フェニレンジアミン;3-イソプロピル-2,6-ジアミノトルエン;5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン;4-イソプロピル-6-メチル-m-フェニレンジアミン;4-イソプロピル-6-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン;4-エチル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン;4-メチル-6-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン;4,6-ジ-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン;4-エチル-6-tertブチル-m-フェニレンジアミン;4-エチル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン;4-エチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン;4-イソプロピル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン;4-イソプロピル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン;4-tert-ブチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン;4-シクロペンチル-6-エチル-m-フェニレンジアミン;4-シクロヘキシル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン;および4,6-ジシクロペンチル-m-フェニレンジアミン;ならびに
【0077】
N,N’-ビス(t-ブチル)エチレンジアミン、シス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、m-キシレンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン、メタンジアミン、または1,4-ジアミノ-メチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、2,4-ジエチル-6-メチル-1,3-シクロヘキサンジアミン、4,6-ジエチル-2-メチル-1,3-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、イソホロンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,8-ジアミノ-p-メンタン、または3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、N,N’-ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,2-ジアミノプロパン、N,N’-ジ(2-ブテニル)-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジ(1-シクロプロピルエチル)-1,5-ジアミノペンタン、N,N’-ジ(3,3-ジメチル-2-ブチル)-1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,6-ジアミノヘキサン、N,N’-ジ(3-ペンチル)-2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、N,N’-ジ(4-ヘキシル)-1,2-ジアミノシクロヘキサン、N,N’-ジシクロヘキシル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、N,N’-ジ(1-シクロブチルエチル)-1,4-ジアミノシクロヘキサン、N,N’-ジ(2,4-ジメチル-3-ペンチル)-1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N’-ジ(1-ペンテン-3-イル)-1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N’-ジイソプロピル-1,7-ジアミノヘプタン、N,N’-ジ-sec-ブチル-1,8-ジアミノオクタン、N,N’-ジ(2-ペンチル)-1,10-ジアミノデカン、N,N’-ジ(3-ヘキシル)-1,12-ジアミノドデカン、N,N’-ジ(3-メチル-2-シクロヘキセニル)-1,2-ジアミノプロパン、N,N’-ジ(2,5-ジメチルシクロペンチル)-1,4-ジアミノブタン、N,N’-ジ(イソホリル(isophoryl))-1,5-ジアミノペンタン、N,N’-ジ(メンチル)-2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、N,N’-ジ(ウンデシル)-1,2-ジアミノシクロヘキサン、N,N’-ジ-2-(4-メチルペンチル)-イソホロンジアミン,または N,N’-ジ(5-ノニル)-イソホロンジアミンなどの脂肪族または脂環式ジアミンからなる群から選択され得る。
【0078】
鎖延長剤はまた、そのカルボン酸基がカルボジイミド基と反応する任意のポリカルボン酸、特にジカルボン酸であってもよい。好ましいジカルボン酸鎖延長剤は、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、および脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、シュウ酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレン酸、マレイン酸およびフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸およびイタコン酸からなる群から選択される任意のジカルボン酸であり得る。
【0079】
溶媒
反応混合物の粘度が高くなる可能性があるため、特にポリオールの粘度が高くなるため、本発明のプロセスは任意選択的に溶媒の存在下で実施される。しかしながら、生成されたポリマーから溶媒を除去する必要があり得るので、溶媒の存在はあまり好ましくない。
【0080】
溶媒は、反応系において非反応性であり、出発反応物を溶解することができるあらゆる化合物であり得る。溶媒は、従来の工業用溶媒、例えば、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、アセトンまたはブタノンなどのケトン、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンなどの脂肪族炭化水素、ならびに、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、およびエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類から選択することができる。
【0081】
溶媒の量は、実際の必要性に応じて当業者が決定することができる。
【0082】
その他の添加剤
ポリマー生成物の調製中に他の添加剤を添加することができる。例えば、界面活性剤を添加して、発泡ポリマーと非発泡ポリマーの両方の特性を改変することができる。界面活性剤は、通常、ポリジメチルシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体、シリコーン油、ノニルフェノールエトキシレートおよび他の有機化合物などのポリウレタンの調製に典型的に使用されるものから選択することができる。フォームでは、液体成分を乳化し、細胞サイズを調整し、細胞構造を安定化させて崩壊および表面下空隙を防止するために使用される。非発泡用途では、脱泡剤、消泡剤、湿潤剤として使用され、ピンホール、オレンジピール、ひけなどの表面欠陥を除去するために使用される。
【0083】
反応プロセスおよび条件
本発明のプロセスはワンポットプロセスである。これは、反応手順の開始時に実質的にすべての必須反応物を反応器に加えることであり、好ましくは反応が完了するまで中間生成物または副生成物を反応器から除去しない反応手順をさす。
【0084】
本発明の文脈において、「必須反応物」という表現は、本発明において反応物として使用されるポリオール、環状カルボン酸無水物およびポリカルボジイミドを示す。「実質的にすべての必須反応物」という表現は、各必須反応物の少なくとも60%重量、好ましくは75%重量、より好ましくは90%重量、さらにより好ましくは95%重量、最も好ましくは100%重量を意味する。
【0085】
本発明の文脈において、上に列挙したか否かにかかわらず、反応手順の開始時に添加剤を反応容器に添加する必要はないことに留意されたい。例えば、本発明が触媒の存在下で実施される場合、i)反応手順の開始時にすべての触媒を反応容器に添加する、またはii)反応手順の開始時に触媒の一部のみを反応容器に添加し、反応中に触媒の残りを添加する、またはiii)反応中にすべての触媒を反応容器に添加する、のいずれかが可能である。
【0086】
本発明のプロセスを実施するために、ポリカルボジイミド、ポリオール、環状カルボン酸無水物、随意の触媒、随意の鎖延長剤および随意の溶媒を含む、反応混合物のすべての成分は、適切な反応容器中で混合される。そのような反応中、ポリオールの粘度が高いことを考慮して、混合を容易にするために随意の溶媒を添加することが可能である。
【0087】
当業者は、2以上のポリカルボジイミド、ポリオールおよび/または環状カルボン酸無水物をそれぞれ使用して本発明を実施することが可能であることを理解するであろう。そのような場合、それらは混合物として添加してもよいし、別々に添加してもよい。
【0088】
好ましくは、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物を高温で反応容器に添加して均質な混合物を形成し、その後、反応プロセスの開始時に、ポリカルボジイミドおよび触媒などの添加剤を含む他のすべての化学物質を添加することができる。
【0089】
好ましくは、反応は溶媒の非存在下で行われる。
【0090】
ポリカルボキシジイミド中のカルボジイミド官能基、ポリオール中のヒドロキシル官能基、および環状カルボン酸無水物中の環状カルボン酸無水物官能基のモル比は、(1.2:1:1)~(1:1.2:1.2)、好ましくは(1.1:1:1)~(1:1.1:1.1)であり得る。
【0091】
触媒の量は、実際の必要性に応じて当業者が決定することができる。典型的には、ルイス酸またはルイス塩基の量は、本発明のワンポットプロセスの反応混合物の総重量に基づいて、約0.01%~約5重量%、より好ましくは約0.05~約2重量%;最も好ましくは約0.1~1重量%である。
【0092】
鎖延長剤の量は、本発明のワンポットプロセスの反応混合物の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは1~5重量%であり得る。
【0093】
温度および反応時間などの反応条件は、実際の必要性に応じて当業者が選択することができる。本発明の一実施形態では、反応は高温および周囲圧力下で長時間行われた。反応の実際の温度および持続時間は、実際の必要性に応じて当業者が決定することができる。例えば、反応は、25℃~150℃、好ましくは40℃~100℃で行うことができる。
【0094】
温度および反応時間などの条件を変えて段階的に反応を行うことも可能である。例えば、25℃で12時間、次いで70℃で3日間、または25℃で12時間、次いで120℃で3日間反応させることができる。
【0095】
生成されたポリマーおよび技術的利点
ポリカルボジイミドベースのプロセスとして、本発明のプロセスは、それが毒性のあるイソシアネート原料および分解生成物を含まないという点で、ポリウレタンベースのプロセスよりも本質的に有利である。
【0096】
さらに、当業者は、生成されるポリマーの特性が、ポリカルボジイミド、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の選択に依存することを理解するであろう。したがって、ポリカルボジイミド、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の選択をより広い範囲で行うことができるため、生成されるポリマーは、広範囲の特性を有することができる。
【0097】
本発明は、反応速度が適度であるため、反応を容易に制御できる点でも有利である。
【0098】
本発明はまた、ポリカルボジイミド、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物の反応は低温で行われ、特別な触媒の使用を回避するが、ポリカルボジイミドとポリオールの反応は高温で行われ、特別な触媒を必要とするという点でも有利である。
【0099】
本明細書および添付される特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、単数と複数の両方の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「ポリカルボジイミド」への言及には、1つのポリカルボジイミド、2以上のポリカルボジイミドの混合物などが含まれる。
【0100】
実施例
原料
実施例では、以下の材料が使用された。
【0101】
ポリカルボジイミド:
Baltanex W01:ドイツのBASFより入手可能な芳香族ポリマーカルボジイミド、NCN%=6.33%
Stabaxol P-200:ドイツのLanxessより入手可能な脂肪族ポリマーカルボジイミド、NCN%=6.0%
【0102】
ポリオール:
PolyTHF2000:2つのヒドロキシル基でエンドキャップされたポリテトラヒドロフランポリマーで、Mnは約2000。PolyTHF2000はドイツのBASFより入手し、そのまま使用した。
デュラノールT5651:ジオール成分として1,6-ヘキサンジオールと1,5-ペンタンジオールを有するポリカーボネートジオール、水酸基価111 mgKOH/g、数平均分子量約1000。デュラノールT5651は日本の旭化成ケミカルズ株式会社より入手し、そのまま使用した。
PolyTHF650:2つのヒドロキシル基でエンドキャップされたポリテトラヒドロフランポリマーで、Mnは約650。生成物は、11~19℃の融点を有する液体であった。PolyTHF650はドイツのBASFより入手し、そのまま使用した。
PolyTHF2900:2つのヒドロキシル基でエンドキャップされたポリテトラヒドロフランポリマーで、Mnは約2900。PolyTHF2900はドイツのBASFより入手し、そのまま使用した。
【0103】
環状カルボン酸無水物:
MA:無水マレイン酸、CAS番号108-31-6、純度99%。MAはSigma-Aldrichより入手し、そのまま使用した。
【0104】
触媒:
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン、CAS番号1122-58-3、GCによる純度>99%。DMAPはSigna-Aldrichより入手し、そのまま使用した。
DABCO 33LV:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール中33重量%溶液。DABCO 33LVはドイツのEvonikより入手し、そのまま使用した。
DBU:ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、純度98%。DBUはSigna-Aldrichから入手し、そのまま使用した。
【0105】
鎖延長剤:
BDO:1,4-ブタンジオール、CAS番号:110-63-4は、ドイツのBASFより入手し、そのまま使用した。
【0106】
測定方法:
引張強度および破断点伸び
引張強度および破断点伸びは、Zwick Roell Instrument&Technology Co.,Ltd.より入手可能なZwick/Roell試験機を使用して、試験規格DIN 53504に従って測定される。
【0107】
実施例1
この実施例は、ポリカルボジイミド、ポリエーテルポリオールおよび環状カルボン酸無水物をワンポットプロセスで反応させる本発明の一般的なプロセスを実証する。
【0108】
5 Lの反応器に、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物を添加し、75℃に加熱し、固体が完全に溶解するまでSpeedMixerで混合した。ポリカルボジイミドおよび触媒を添加し、さらにSpeedMixerで1500 rpmで2分間混合した。次いで、混合物を型に注ぎ、表面を平滑化した。生成物を室温で12時間硬化させた後、指定された条件下、オーブンで硬化させた。反応物およびその量、ならびに硬化条件を表1に列挙する。
【0109】
得られた生成物は、透明な弾性ポリマーである。作製した弾性ポリマーの引張強度および破断点伸びを測定し、その結果を表1にまとめた。
【0110】
【0111】
実施例2
この実施例は、触媒およびジオール鎖延長剤の存在下でポリカルボジイミド、ポリエーテルポリオールおよび環状カルボン酸無水物をワンポットプロセスで反応させる、鎖延長剤の存在下での本発明のプロセスを実証し、鎖延長剤が機械的性質に及ぼす影響を示す。
【0112】
5 Lの反応器に、ポリオールおよび環状カルボン酸無水物を添加し、75℃に加熱し、固体が完全に溶解するまでSpeedMixerで混合した。ポリカルボジイミド、触媒および鎖延長剤を添加し、1500 rpmで2分間さらに混合した。次いで、混合物を型に注ぎ、表面を平滑化する。生成物を室温で12時間硬化させた後、指定された条件下、オーブンで硬化させた。反応物およびその量、ならびに硬化条件を表2に列挙する。
【0113】
得られた生成物は、透明な弾性ポリマーである。作製した弾性ポリマーの引張強度および伸びを測定し、その結果を表2にまとめた。上記の実施例1.3の結果も参考として表2に含まれる。
【0114】
鎖延長剤の存在量が増加すると、引張強度が大幅に改善されることが分かる。この特定の例では、硬化ポリマーの破断点伸びも増加する。
【0115】
【0116】
実施例3
この実施例は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含む、様々なポリオールを使用する本発明のプロセスの実施を示す。
【0117】
表3に列挙した反応物およびその量ならびに特定の条件を使用したことを除いて、実施例2の手順を繰り返した。
【0118】
得られた生成物は、透明な弾性ポリマーである。作製した弾性ポリマーの引張強度および伸びを測定し、その結果を表3にまとめた。
【0119】
鎖延長剤の存在量が増加すると、引張強度が大幅に改善されることが分かる。また、様々な用途の要件を満たすようにポリマー製品の物理的特性をカスタマイズするために、ポリオールなどの反応物および鎖延長剤とそれらのそれぞれの量を選択できることも明らかである。
【0120】
【0121】
実施例4
この実施例は、本発明のワンポットプロセスが、芳香族ポリマーカルボジイミドと脂肪族ポリマーカルボジイミドの両方を使用して実施され得ることを実証している。
【0122】
表4に列挙した反応物およびその量ならびに特定の条件を使用したことを除いて、実施例2の手順を繰り返した。得られた生成物は、透明な弾性ポリマーである。作製した弾性ポリマーの引張強度および伸びを測定し、その結果を表4にまとめた。
【0123】
この実施例は、芳香族ポリマー性カルボジイミドおよび脂肪族ポリマー性カルボジイミドの両方を使用して、本発明のワンポットプロセスを実施することができ、得られたポリマーの特性が類似していることを明確に示している。
【0124】
【国際調査報告】