(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】重水素化イミダゾキノリンとの併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20240912BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240912BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517003
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 IB2022000522
(87)【国際公開番号】W WO2023041982
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517071025
【氏名又は名称】バーディー バイオファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、ペイ-ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】チウ、イ-ツイ
(72)【発明者】
【氏名】シエン、フ-タン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG06
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB07
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書は、併用療法を使用してがんを治療するための治療的な組み合わせおよび方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わせであって、
(a)有効量のがんに対する標的治療薬と、
(b)有効量の免疫治療薬であって、式(I):
【化1】
の構造を有する免疫治療薬、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
R
1、R
2、およびR
3の各々が、独立して、-CH
3、-CH
2D、-CHD
2、または-CD
3であり、
Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bの各々が、独立して、水素または重水素であり、かつ、
R
1、R
2、およびR
3の各々が-CH
3である場合、Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bのうちの少なくとも1つが重水素である、免疫治療薬またはその薬学的に許容可能な塩と、
を含む、組み合わせ。
【請求項2】
R
1、R
2、およびR
3の各々が、独立して、-CH
3または-CD
3である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
R
1が、-CD
3である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項4】
R
1が、-CH
3である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項5】
R
2およびR
3の各々が、-CD
3である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項6】
R
2およびR
3の各々が、-CH
3である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項7】
Y
1aおよびY
1bが同じであり、Y
2aおよびY
2bが同じであり、かつY
3aおよびY
3bが同じである、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項8】
R
1が、-CD
3であり、かつY
1aおよびY
1bの各々が、重水素である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項9】
R
2およびR
3の各々が、-CD
3であり、かつY
3aおよびY
3bの各々が、重水素である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項10】
前記免疫治療薬が、
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項11】
前記免疫治療薬が、
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項10に記載の組み合わせ。
【請求項12】
前記免疫治療薬が、
【化16】
【化17】
またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項10に記載の組み合わせ。
【請求項13】
前記標的治療薬が、非腫瘍細胞と比較して、特異的にまたは好ましくは腫瘍細胞に結合する能力を有する、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項14】
前記腫瘍細胞が、がん腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系がんの腫瘍細胞である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項15】
前記標的治療薬が、非腫瘍抗原と比較して、特異的にまたは好ましくは腫瘍抗原に結合する能力を有する、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項16】
前記腫瘍抗原が、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαv、インテグリンαvβ、KIR、LAG3、Lewis Y、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PD-L1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、TIGIT,ILT2、ILT4、SIRPα、TROP2、クローディン18.2、CEACAM5、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD73、CD79、CD133、CD137、CD206、およびそのバリアントからなる群から選択される請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項17】
前記標的治療薬が、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項18】
前記標的治療薬が、抗体またはその機能的断片を含む、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項19】
前記標的治療薬が、Fab、Fab′、F(ab′)2、シングルドメイン抗体、TおよびAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線形抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つ以上のCDRを含む抗体類似体を含む、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項20】
腫瘍または異常な細胞増殖の治療を必要とする対象において腫瘍または異常な細胞増殖を治療するための方法であって、前記対象に請求項1~19の何れか1項に記載の組み合わせを投与することを含む、方法。
【請求項21】
前記異常な細胞増殖が、前がん病変を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記異常な細胞増殖が、がん細胞の異常な細胞増殖である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記がんが、乳がん、結腸直腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜がん、濾胞性リンパ腫、胃がん、グリア芽腫、頭頸部がん、肝細胞がん、肺がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、および腎細胞がんからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象に、約0.0005mg/kgから、0.0006mg/kgから、0.0007mg/kgから、0.0008mg/kgから、0.0009mg/kgから、0.001mg/kgから、0.002mg/kgから、0.003mg/kgから、0.004mg/kgから、0.005mg/kgから、0.006mg/kgから、0.007mg/kgから、0.008mg/kgから、0.009mg/kgから、0.01mg/kgから、0.02mg/kgから、0.025mg/kgから、0.05mg/kgから、0.075mg/kgから、0.1mg/kgから、0.125mg/kgから、0.15mg/kgから、0.175mg/kgから、0.2mg/kgから、0.215mg/kgから、0.25mg/kgから、0.5mg/kgから、0.75mg/kgから、1mg/kgから、1.25mg/kgから、1.5mg/kgから、1.75mg/kgから、2mg/kgから、または2.25mg/kgから、約2.5mg/kgまでの間(すべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記対象に、約0.0005mg/kgから、約0.0006mg/kgまで、0.0007mg/kgまで、0.0008mg/kgまで、0.0009mg/kgまで、0.001mg/kgまで、0.002mg/kgまで、0.003mg/kgまで、0.004mg/kgまで、0.005mg/kgまで、0.006mg/kgまで、0.007mg/kgまで、0.008mg/kgまで、0.009mg/kgまで、0.01mg/kgまで、0.02mg/kgまで、0.025mg/kgまで、0.05mg/kgまで、0.075mg/kgまで、0.1mg/kgまで、0.125mg/kgまで、0.15mg/kgまで、0.175mg/kgまで、0.2mg/kgまで、0.215mg/kgまで、0.25mg/kgまで、0.5mg/kgまで、0.75mg/kgまで、1mg/kgまで、1.25mg/kgまで、1.5mg/kgまで、1.75mg/kgまで、2mg/kgまで、2.25mg/kgまで、または2.5mg/kgまでの間(すべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記対象に、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.075mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.175mg/kg、0.2mg/kg、0.215mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、または2.5mg/kg以下の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が、経口、舌下、静脈内、筋肉内、皮下、または腫瘍内である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記対象内の前記免疫治療薬が、約0.005μg/ml~約12μg/mlの局所濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記対象内の前記免疫治療薬が、約0.05μg/mlから、0.1μg/mlから、0.15μg/mlから、0.2μg/mlから、0.3μg/mlから、または0.4μg/mlから、約0.5μg/mlまでの間の局所濃度を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
請求項1に記載の組み合わせを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月17日に出願された米国仮特許出願第63/245,694号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、併用免疫療法、および治療抗体薬物と組み合わせて重水素化イミダゾキノリンを使用することによってがんを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
イミダゾキノリン化合物に属するレシキモド(R-848)は、免疫応答調節因子として作用するトール様受容体7および/または8(TLR7/8)作動薬であり、また抗ウイルス活性および抗腫瘍活性を有することが報告されている。また、レシキモドは、日光角化症(AK)などのウイルス性皮膚病変および皮膚がんのための局所薬物として使用された(Meyer et al. (2013), Expert Opin Investig Drugs, 22(1):149-159)。レシキモドは、その用量が限定された毒性のため、商業的使用のためには未だ承認されていない。薬物の急速な代謝の問題を解決するために、いくつかの重水素化したレシキモドの類似体が開発され、そして薬物動態特性の改善を呈した(米国特許出願公開第2020/0207757号明細書)。しかしながら、これらの重水素化類似体は、それらの治療効果について依然として不確実性を有する。
【0004】
治療抗体薬物は、過去10年間、前臨床試験および臨床試験で迅速に開発されてきた。これらの中でも、異なる腫瘍抗原または表面分子を標的とするいくつかの抗体薬物、例えば、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ)などのPD-1特異的抗体、またはHerceptin(登録商標)(トラスツズマブ)などのHer2特異的抗体が承認されている。しかしながら、長期間の使用の薬剤耐性または耐性は、これらの抗体療法についての主要な臨床問題である。例えば、抵抗性に起因して連続的な抗PD-1/PD-L1療法から恩恵を得ることができない一部の患者が報告されている(Lei et al. (2020), Frontiers in Cell and Developmental Biology, 8:672)。したがって、有効性の改善および長期間の効果を有するがんを治療するための新しい療法を開発に対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概して、本開示は、がんの治療のための治療的な組み合わせ、医薬組成物、および方法を対象とする。
【0006】
一態様では、本開示は、
(a)有効量のがんに対する標的治療薬と、
(b)有効量の免疫治療薬であって、式(I):
【化1】
の構造を有する免疫治療薬、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
R
1、R
2、およびR
3の各々が独立して、-CH
3、-CH
2D、-CHD
2、および-CD
3から選択され、
Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bの各々が、独立して、水素および重水素から選択され、かつ
R
1、R
2、およびR
3の各々が-CH
3である場合、Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bのうちの少なくとも1つが重水素である、免疫治療薬またはその薬学的に許容可能な塩と、を含む組み合わせに関する。
【0007】
一部の実施形態では、当該標的治療薬は、非腫瘍抗原と比較して、特異的にまたは好ましくは(preferably、「選択的に」)腫瘍抗原に結合する能力を有し、当該腫瘍抗原は、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαv、インテグリンαvβ、KIR、LAG3、Lewis Y、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PD-L1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、TIGIT,ILT2、ILT4、SIRPα、TROP2、クローディン18.2、CEACAM5、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD73、CD79、CD133、CD137、CD206、およびそのバリアントからなる群から選択される。
【0008】
別の態様では、本開示は、上記の組み合わせおよび薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
【0009】
別の態様では、本開示は、こうした治療を必要とする対象における腫瘍または異常な細胞増殖を治療する方法に関し、当該方法は、上記の組み合わせ、または上記の組み合わせを含む医薬組成物を当該対象に投与することを含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、上記の組み合わせを含むキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、抗PD-1抗体と組み合わせた異なる重水素化化合物1~3を用いて治療された、または未治療の各動物群における腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図2】
図2は、化合物1と抗PD-1抗体との組み合わせ、またはプロト-レシキモドと抗PD-1抗体との組み合わせで治療された、または未治療の各動物群における腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図3】
図3は、様々な治療的な抗体と組み合わせた、化合物1で治療された、または未治療の各動物群における腫瘍サイズを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、以下の定義は、本開示を記述するために使用される様々な用語の意味および範囲を例証および定義するために記載される。
【0013】
定義
単独で使用されるか、または語句もしくは別の用語の一部として使用されるかにかかわらず、ある特定の用語を以下に定義する。
【0014】
冠詞「a」および「an」は、1つまたは2つ以上の文法的な冠詞の対象を指す。
【0015】
測定値に関連する数値は、それらの精度に制限を課す測定誤差の対象となる。この理由から、本明細書に提供されるすべての数値は、別段の指示がない限り、約という用語によって修飾されることが理解される。その結果、本明細書に提供される数値の最後の桁は、その精度の程度を示す。他の誤差マージンが与えられていない場合、最大マージンは、切り捨ての慣例を最後の桁に、または所与の数値に桁が存在しない場合、最後の有効数字に適用することによって確認される。
【0016】
「改善」という用語は、状態または疾患の1つ以上の指標の進行の遅延または減速など、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の低下を意味する。指標の重症度は、当業者に公知の主観的または客観的尺度によって決定されてもよい。
【0017】
「組成物」および「医薬組成物」という用語は、本明細書に記述される少なくとも1つの化合物と薬学的に許容可能な担体との混合物を指す。医薬組成物は、患者または対象への化合物の投与を容易にする。化合物を投与する複数の技法が存在し、静脈内、経口、エアロゾル、非経口、点眼、肺内、および局所投与が挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
本開示の化合物を指す場合、「化合物」という用語は、分子の構成原子間に同位体変動がある場合があることを除いて、同一の化学構造を有する分子の集合を指す。それ故に、示される重水素原子を含有する特定の化学構造によって表される化合物は、その構造中の指定された重水素位置のうちの1つ以上に水素原子を有する同位体置換体をより少ない量しか含有しないことになることも当業者には明らかであろう。本開示の化合物中のこうした同位体置換体の相対量は、化合物を作製するために使用される重水素化試薬の同位体純度、および化合物を調製するために使用される様々な合成工程における重水素の組み込みの効率を含む、数多くの因子に依存する。しかしながら、上記したように、こうした同位体置換体の相対量は合計で、化合物の49.9%未満であることになる。他の実施形態では、こうした同位体置換体の相対量は合計で、化合物の47.5%未満、40%未満、32.5%未満、25%未満、17.5%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、または0.5%未満である。
【0019】
「有効量」および「治療有効量」という用語は、単回用量として、または一連の用量の一部としてのいずれかで対象に投与される、本明細書に記述される化合物などの治療的な化合物の量を指し、これは所望の治療効果を生じさせるために有効である。一般に、治療有効量は、細胞培養アッセイまたは哺乳動物モデル(例えば、非ヒト霊長類、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタ)のいずれかで最初に推定することができる。適切な濃度範囲および投与経路を決定するために、動物モデルを使用してもよい。次いで、こうした情報を使用して、非ヒト対象およびヒト対象における投与のための有用な用量および経路を決定することができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「同位体濃縮係数」という用語は、同位体の存在量と特定の同位体の天然存在量との間の比を意味する。様々な実施形態では、本開示の化合物は、各指定された重水素原子に対して少なくとも3340(各指定された重水素原子において50.1%の重水素取り込み)、少なくとも3500(52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%重水素の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)、または少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0021】
「同位体置換体」という用語は、本開示の特定の化合物と、その同位体組成物においてのみ異なる種を指す。
【0022】
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、化合物がその意図される機能を実施し得るように、本明細書に記述される少なくとも1つの化合物を患者内にまたは患者に運ぶ、または輸送することに関与する、液体充填剤、固体充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、または封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物、または担体を意味する。所与の担体は、本明細書に記述される化合物を含む特定の製剤のその他の成分と適合性があり、かつ患者に損傷を与えないという意味で、「許容可能」である必要がある。本明細書に記述される医薬組成物に含まれる場合がある他の成分は、当技術分野で知られており、また、例えば、『Remington’s Pharmaceutical Sciences』(Genaro (Ed.), Mack Publishing Co., 1985)に記述されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、親化合物が、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩は、従来の化学的方法によって塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、こうした塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、水中、もしくは有機溶媒中、または二つの溶媒の混合物中で化学量論的量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができる。好適な塩のリストは、『Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use』(P. Henrich Stahl & Camille G. Wermuth (Eds.), VHCA & Wiley-VCH, 2002)に見出され、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
「難治性疾患」という用語は、本明細書に提供される化合物以外の薬学的な成分を用いた治療中に進行し続ける疾患、その他の治療に部分的に応答する疾患、またはその他の治療に一時的に応答する疾患を指す。この用語は、本明細書で言及される疾患の各々に適用される場合がある。
【0025】
「置換」という用語は、置き換え置換基としての原子または原子の群による別の基に結合した水素の置き換えを指し、各置換基は独立して選択される。
【0026】
「治療」または「治療する」という用語は、疾患の改善のために使用される1つ以上の特定の手順の適用を指す。「予防治療」とは、治療される疾患もしくは状態の進行速度を低減させること、その疾患もしくは状態の発症を遅延させること、またはその発症の重症度を低下させることを指す。
【0027】
本明細書の値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に収まる各別個の値に個別に言及する簡便な方法として機能することが意図される。本明細書に別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈上矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に記述される主題をより良好に明らかにすることを意図しており、また別の方法で特許請求される主題の範囲に制限を提起しない。本明細書中のいかなる文言も、記述される主題を実施するために不可欠ないずれかの特許請求の範囲にない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0028】
本開示の代替的な要素または実施形態のグループ化は、制限として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、または本明細書に見出されるグループの他のメンバーもしくは他の要素との任意の組み合わせで参照されてもよく、また特許請求されてもよい。さらに、グループの列挙されたメンバーは、利便性または特許性のために、別の列挙されたグループに含まれてもよく、または除外されてもよい。任意のこうした包含または除外が生じた場合、本明細書は、修正されたものとしてグループを含有すると見なされ、それ故に、添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による記述を満たす。
【0029】
本明細書全体を通して特許および印刷された刊行物に対して参照がなされ、その各々は参照によりその全体が本明細書に個別に組み込まれる。
【0030】
本開示の実施形態は例示的であることが理解されるべきである。したがって、本開示は、正確に示され、かつ記述されるようなものに限定されない。
【0031】
合成に使用される化学物質の起源に応じて、合成された化合物において天然同位体存在量の何らかの変動が発生することが認識されるであろう。それ故に、合成された化合物は、本質的に少量の重水素化同位体置換体を含有することになる。本開示の化合物では、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定同位体を表すことを意味する。別段の定めのない限り、位置が「H」または「水素」として具体的に指定される場合、位置は、その天然存在量の同位体組成物において水素を有すると理解される。別段の定めのない限り、位置が具体的に「D」または「重水素」と指定される場合、位置は、0.015%(すなわち、重水素の少なくとも50.1%の取り込み)である重水素の天然存在量より少なくとも3340倍大きい存在量で重水素を有すると理解される。
【0032】
一般に、本開示は、がんの治療のための治療的な組み合わせ、医薬組成物、および方法を提供する。
【0033】
一態様では、本開示は、
(a)有効量のがんに対する標的治療薬と、
(b)有効量の、TLR7および/または8作動薬である免疫治療薬であって、式(I):
【化2】
の構造を有する免疫治療薬、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
R
1、R
2、およびR
3の各々が独立して、-CH
3、-CH
2D、-CHD
2、および-CD
3から選択され、
Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bの各々が、独立して、水素および重水素から選択され、かつ
R
1、R
2、およびR
3の各々が-CH
3である場合、Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bのうちの少なくとも1つが重水素である、免疫治療薬またはその薬学的に許容可能な塩と、を含む組み合わせに関する。
【0034】
具体的には、重水素を含有するとして指定される各位置は、その位置において少なくとも50.1%の重水素取り込みを有する。
【0035】
本開示の一実施形態では、R1、R2、およびR3の各々は、独立して、-CH3および-CD3から選択される。一部の実施形態では、R1は、-CD3である。一部の実施形態では、R1は、-CH3である。一部の実施形態では、R2は、-CD3である。一部の実施形態では、R2は、-CH3である。一部の実施形態では、R3は、-CD3である。一部の実施形態では、R3は、-CH3である。
【0036】
別の実施形態では、R2およびR3の各々は-CD3であり、またはR2およびR3の各々は-CH3である。
【0037】
一部の実施形態では、Y1aおよびY1bは同じであり、Y2aおよびY2bは同じであり、Y3aおよびY3bは同じである。
【0038】
一部の実施形態では、R1は、-CD3であり、Y1aおよびY1bの各々は、重水素である。
【0039】
一部の実施形態では、R2およびR3の各々は、-CD3であり、Y3aおよびY3bの各々は、重水素である。
【0040】
一部の実施形態では、Y
1aおよびY
1bは同じであり、Y
2aおよびY
2bは同じであり、Y
3aおよびY
3bは同じであり、またR
1、R
2、R
3、Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bの値は、下記の表1に列挙される値から選択される。表1に列挙される式(I)の変数の値によって定義される化合物について、D(重水素)と指定されていない任意の原子は、その天然同位体存在量で存在する。
【表1-1】
【表1-2】
【0041】
別の実施形態では、式(I)の免疫治療薬は、
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
からなる群、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0042】
別の実施形態では、式(I)の免疫治療薬は、
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
からなる群、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0043】
別の実施形態では、式(I)の免疫治療薬は、
【化17】
【化18】
からなる群、またはその薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0044】
一実施形態では、免疫治療薬は、
【化19】
またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0045】
一実施形態では、免疫治療薬は、
【化20】
からなる群、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0046】
一実施形態では、免疫治療薬は、
【化21】
またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0047】
式(I)の免疫治療薬は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2020/0207757号明細書に記述されるような製造方法に従って合成することができる。以下の実施例1で使用される例示的な化合物1~3はまた、上記の特許に記載される製造方法に従っても合成される。
【0048】
一実施形態では、標的治療薬は、非腫瘍細胞と比較して特異的に、または好ましくは腫瘍細胞に結合する能力を有し、当該腫瘍細胞は、がん腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系がんのものである。
【0049】
一実施形態では、標的治療薬は、非腫瘍抗原と比較して、特異的にまたは好ましくは腫瘍抗原に結合する能力を有し、当該腫瘍抗原は、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED-B、ErbB1(HER1/EGFR)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαv、インテグリンαvβ、KIR、LAG3、Lewis Y、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PD-L1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、TIGIT,ILT2、ILT4、SIRPα、TROP2、クローディン18.2、CEACAM5、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD73、CD79、CD133、CD137、CD206、およびそのバリアントからなる群から選択される。
【0050】
別の実施形態では、腫瘍抗原は、PD-1、PD-L1、CTLA4、ErbB1、ErbB2、TIGIT、OX40、LAG3、CD47、CD137、およびそれらのバリアントからなる群から選択される。
【0051】
別の実施形態では、標的治療薬は、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む。
【0052】
別の実施形態では、標的治療薬は、抗体またはその機能的断片を含む。
【0053】
一部の実施形態では、抗体は、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ)、Opdivo(登録商標)(ニボルマブ)、Libtayo(登録商標)(セミプリマブ)、Jemperli(登録商標)(ドスタルリマブ)、Tecentriq(登録商標)(アテゾリズマブ)、Imfinzi(登録商標)(デュルバルマブ)、Bavencio(登録商標)(アベルマブ)、Yervoy(登録商標)(イピリムマブ)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Tagrisso(登録商標)(オシメルチニブ)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Vizimpro(登録商標)(ダコミチニブ)、Tykerb(登録商標)(ラパチニブ)、Portrazza(登録商標)(ネシツムマブ)、Caprelsa(登録商標)(バンデタニブ)、Nerlynx(登録商標)(ネラチニブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Tukysa(登録商標)(ツカチニブ)、Perjeta(登録商標)(ペルツズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Arzerra(登録商標)(オファツムマブ)、Benlysta(登録商標)(ベリムマブ)、トレメリムマブ、ダセツズマブ、ウレルマブ、MPDL3280A、ランブロリズマブ、およびブリナツモマブ、CT-011、BMS-936559、MPDL3280A、MED14736、MSB0010718C、チラゴルマブ、PF-04518600、BMS-986178、MEDI6469、レラトリマブ(BMS-986016)、AK117、IBI188、STI-6643、LVGN6051、ウレルマブ(BMS-663513)、FS222、FS120からなる群から選択される。
【0054】
別の実施形態では、標的治療薬は、Fab、Fab′、F(ab′)2、シングルドメイン抗体、TおよびAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線形抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つ以上のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0055】
別の態様では、本開示はまた、
a.本開示による組み合わせと、
b.薬学的に許容可能な担体/添加剤と、を含む医薬組成物にも関する。
【0056】
医薬組成物は、経皮、経粘膜、鼻咽頭、肺、もしくは直接注射、または全身(例えば、非経口)もしくは局所(例えば、腫瘍内もしくは病巣内注射)投与に好適な腸溶性または非経口剤形であってもよい。非経口注射は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、または真皮内経路を介してもよい。
【0057】
「組み合わせ」または「治療的な組み合わせ」という用語は、治療効果を有する1つ以上の活性原薬の組み合わせを指す。標的治療薬と免疫治療薬との両方を一緒に投与することができるように、治療的な組み合わせは、単一の医薬組成物で提供されてもよい。代替的な実施形態では、治療的な組み合わせは、2つ以上の医薬組成物を使用して提供されてもよい。こうした実施形態では、標的治療薬は、1つの医薬組成物で提供されてもよく、また免疫治療薬は、2つの化合物が、例えば、異なる時点で、異なる投与経路によって、およびこれに類するものなど、別個に投与されることができるように、第2の医薬組成物で提供されてもよい。それ故に、標的治療薬および免疫治療薬を異なる投与レジメンで提供することも可能である場合がある。
【0058】
「薬学的に許容可能な担体/添加剤」という用語は、当業者に知られているであろうように、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、およびそれらの組み合わせを含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289-1329を参照のこと)。任意の従来の担体が活性成分と非相溶である場合を除き、治療的な組成物または医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0059】
別の態様では、本開示は、こうした治療を必要とする対象における腫瘍または異常な細胞増殖を治療するための方法にも関し、この方法は、本開示の組み合わせを当該対象に投与することを含む。
【0060】
一部の実施形態では、1つ以上のさらなる治療薬と組み合わせた投与は、同時投与および任意の順序での連続投与を含む。
【0061】
例えば、活性成分、例えば、免疫治療薬および標的治療薬を含有する組み合わせは、(1)両方とも単一のエンティティまたは用量の形態で患者に同時に投与される、または(2)同時にまたは逐次的にのいずれかで別個のエンティティとして患者に投与される。こうした投与は、患者の体内の治療有効量の活性成分を提供する。
【0062】
一部の実施形態では、各活性成分の投与は、効果的な治療を提供するように、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、腫瘍内経路、皮下経路、または真皮内経路から独立して選択することができる。
【0063】
一実施形態では、異常な細胞増殖は、前がん病変を含む。別の実施形態では、異常な増殖は、がん細胞のものである。
【0064】
一実施形態では、がんは、胆管がん、乳がん、結腸直腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜がん、濾胞性リンパ腫、胃がん、グリア芽腫、頭頸部がん、肝細胞がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣がん、子宮頸がん、膵がん、前立腺がん、および腎細胞がんからなる群から選択される。
【0065】
別の実施形態では、治療する方法は、当該対象に、約0.0005mg/kg~、0.0006mg/kg~、0.0007mg/kg~、0.0008mg/kg~、0.0009mg/kg~、0.001mg/kg~、0.002mg/kg~、0.003mg/kg~、0.004mg/kg~、0.005mg/kg~、0.006mg/kg~、0.007mg/kg~、0.008mg/kg~、0.009mg/kg~、0.01mg/kg~、0.02mg/kg~、0.025mg/kg~、0.05mg/kg~、0.075mg/kg~、0.1mg/kg~、0.125mg/kg~、0.15mg/kg~、0.175mg/kg~、0.2mg/kg~、0.215mg/kg~、0.25mg/kg~、0.5mg/kg~、0.75mg/kg~、1mg/kg~、1.25mg/kg~、1.5mg/kg~、1.75mg/kg~、2mg/kg~、2.25mg/kg、~約2.5mg/kg(端点および範囲内のすべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回当該免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む。
【0066】
別の実施形態では、治療する方法は、当該対象に、約0.0005mg/kg、~約0.0006mg/kg、~0.0007mg/kg、~0.0008mg/kg、~0.0009mg/kg、~0.001mg/kg、~0.002mg/kg、~0.003mg/kg、~0.004mg/kg、~0.005mg/kg、~0.006mg/kg、~0.007mg/kg、~0.008mg/kg、~0.009mg/kg、~0.01mg/kg、~0.02mg/kg、~0.025mg/kg、~0.05mg/kg、~0.075mg/kg、~0.1mg/kg、~0.125mg/kg、~0.15mg/kg、~0.175mg/kg、~0.2mg/kg、~0.215mg/kg、~0.25mg/kg、~0.5mg/kg、~0.75mg/kg、~1mg/kg、~1.25mg/kg、~1.5mg/kg、~1.75mg/kg、~2mg/kg、~2.25mg/kg、または~2.5mg/kg(端点および範囲内のすべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回当該免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む。
【0067】
別の実施形態では、治療する方法は、当該対象に、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.075mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.175mg/kg、0.2mg/kg、0.215mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、または2.5mg/kg以下の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回当該免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む。
【0068】
別の実施形態では、当該対象内の免疫治療薬は、約0.005μg/ml~約12μg/mlの局所濃度を有する。
【0069】
別の実施形態では、当該対象内の当該免疫治療薬は、約0.05μg/ml~、0.1μg/ml~、0.15μg/ml~、0.2μg/ml~、0.3μg/ml~、または0.4μg/ml~、約0.5μg/mlの局所濃度を有する。
【0070】
別の態様では、本開示は、本明細書に提供される治療的な組み合わせ、および治療的な組み合わせを使用のための指示書を含むキットを提供する。キットはまた、容器、および任意選択で1つ以上のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、またはシリンジも含んでもよい。キットの他の形式は、当業者には明らかであり、また本開示の範囲内である。
【0071】
(実施例)
以下の非限定的な実施例は、ここで企図される代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために、例証的な目的のためにのみ提供される。これらの実施例は、本明細書に記述される実施形態のうちのいずれかを限定すると解釈するべきではない。
【0072】
抗体
本明細書で使用される抗体は、Bio X Cell, Inc.から購入し、抗-PD-1抗体(カタログ番号BE0146)抗-CD137抗体(カタログ番号BE0239)、抗TIGIT抗体(カタログ番号BE0274)、抗-OX40抗体(カタログ番号BE0031)、抗-LAG3抗体(カタログ番号BE0174)、および抗-CD47抗体(カタログ番号BE0270)を含む。
【0073】
実施例1:CT26動物モデルにおける抗-PD-1抗体と組み合わせた異なる重水素化化合物のインビボ有効性解析。
メスのBALB/cマウス(5~6週齢)を、(1)プラセボ(PBS;皮下)、(2)抗-PD-1抗体(50μg;腹腔内)、(3)化合物1および抗-PD-1抗体、(4)化合物2および抗-PD-1抗体、(5)化合物3および抗-PD-1抗体を含む、5つの群(群当たりn=5)に無作為に分けた。
【0074】
マウスにチャレンジするために、CT26腫瘍細胞(0.1mL中1×106)を0日目に皮下注射した。次いで、各群のマウスは、プラセボ、抗-PD-1抗体、または示された併用療法の合計で3回の投与を、6日目、9日目、および12日目に受容した。併用療法の各用量において、1.6μgのTLR7/8作動薬(化合物1、2、または3)を皮下で与え、かつ50μgの抗-PD-1抗体(mAb)を腹腔内で与えた。すべてのマウスを28日目に屠殺した。腫瘍サイズは、下記の修正された楕円の式に基づいてキャリパー測定値を乗算することによって週に2回決定した。腫瘍体積=1/2(長さ×幅2)。2cmを超える腫瘍長さを有するマウスは死んだと見なされ、そして測定可能または触診可能な腫瘍塊を有しないマウスは腫瘍がないと見なされた。すべての比較の有意性は、t検定を使用して計算され、そして結果は、p<0.05の場合、有意であると見なされた。
【0075】
図1は、抗PD-1抗体と組み合わせた異なる重水素化化合物1~3を用いて治療された各動物群における腫瘍サイズを示す。結果は、抗-PD-1抗体が、CT26腫瘍モデルにおいて腫瘍サイズを中程度に低減することを可能にすること、および重水素化化合物(化合物1、2、または3)と抗-PD-1抗体の組み合わせがすべて、プラセボ群と比較して(p<0.05)、また抗抗-PD-1抗体単独群と比較してさえも(p<0.05)腫瘍サイズを有意に減少させることを可能にすることを示す。その中でも、化合物1と抗-PD-1抗体との組み合わせは、実験期間全体を通して腫瘍サイズをほぼ完全に抑制した。加えて、抗-PD-1抗体との組み合わせでは、化合物1は驚くべきことに、化合物2または3より優れた、そして有意な腫瘍阻害効果を示した(各比較についてp<0.05)。抗-PD-1抗体と組み合わせた化合物2または3の群における腫瘍は、当初良好に制御されたが、最後の週ではわずかに増殖した。結果は、本開示の併用療法が腫瘍増殖を効果的に抑制することができることを示す。特に、治療的な抗体(例えば、抗-PD-1抗体)と組み合わせた化合物1は、予想外の抗腫瘍効果を示した。
【0076】
実施例2:CT26動物モデルにおける抗-PD-1抗体と組み合わせた化合物1またはプロト-レシキモドのインビボ有効性解析。
メスのBALB/cマウス(5~6週齢)を、(1)プラセボ(PBS;腹腔内)、(2)抗-PD-1抗体(50μg;腹腔内)、(3)化合物1(1.6μg;皮下)および抗-PD-1抗体(50μg;腹腔内)、(4)プロト-レシキモド(1.6μg;皮下)および抗-PD-1抗体(50μg;腹腔内)を含む4つの群(群当たりn=5)へと無作為に分けた。
【0077】
マウスにチャレンジするために、CT26腫瘍細胞(0.1mL中1×106)を0日目に皮下注射した。次いで、各群のマウスは、プラセボ、抗-PD-1抗体、または示された併用療法の合計で3回の投与を、受容した。プラセボ群では、マウスは、PBS(皮下)を7日目、14日目、および21日目に受容した。抗-PD-1抗体単独群では、マウスは、50μgの抗-PD-1抗体(腹腔内)を7日目、10日目、および14日目に受容した。各併用療法群では、マウスは、1.6μgのTLR7/8作動薬(化合物1またはプロト-レシキモド)(皮下)を7日目、14日目、および21日目に受容し、また50μgの抗-PD-1抗体(腹腔内)を7日目、10日目、および14日目に投与された。すべてのマウスを28日目に屠殺した。実施例1に記述したのと同じ方法を使用することによって、腫瘍サイズを決定し、そしてすべての比較の有意性を計算した。
【0078】
図2は、抗PD-1抗体と組み合わせた化合物1またはプロト-レシキモドを用いて治療された各動物群における腫瘍サイズを示す。結果は、抗-PD-1抗体単独は腫瘍サイズの抑制において限定的な効果を有し、プロト-レシキモドと抗-PD-1抗体の組み合わせは腫瘍サイズを中程度に抑制することが可能であり、そして化合物1と抗-PD-1抗体の組み合わせは実験期間全体にわたって腫瘍サイズを驚くべきことに強力に阻害することが可能であることを示す。一方で、特に抗-PD-1抗体との組み合わせでは、化合物1が、プロトレシキモドよりも有意な腫瘍阻害効果を呈した(p<0.05)。
【0079】
実施例3:TC-1動物モデルにおける様々な治療的な抗体と組み合わせた化合物1のインビボ有効性解析。
メスのC57BL/6マウス(5~6週齢)を、(1)プラセボ(PBS;腹腔内)、(2)化合物1(1.6μg;皮下)、(3)化合物1および抗-CD137抗体、(4)化合物1および抗-TIGIT抗体、(5)化合物1および抗-OX40抗体を、(6)化合物1および抗-LAG3抗体、(7)化合物1および抗-CD47抗体を含む、7つの群(群当たりn=5)に無作為に分けた。
【0080】
チャレンジするために、各マウスに、1×106 TC-1細胞を0.1mLの体積で0日目に左脇腹に皮下注射した。次いで、各群のマウスは、プラセボ、化合物1、または示された併用療法の合計で5回の投与を、9日目、12日目、15日目、18日目、および21日目に受容した。併用療法の各用量において、1.6μgの化合物1を皮下で与え、そして200μgの治療的な抗体(抗CD137、抗TIGIT、抗-OX40, 抗-LAG3、または抗-CD47抗体)を腹腔内で与えた。すべてのマウスを34日目に屠殺した。実施例1に記述したのと同じ方法を使用することによって、腫瘍サイズを決定し、そしてすべての比較の有意性を計算した。
【0081】
図3は、様々な治療的な抗体と組み合わせた、化合物1で治療された各動物群における腫瘍サイズを示す。結果は、抗-CD137、抗-TIGIT、抗-OX40、抗-LAG3、または抗-CD47抗体を含む各治療的な抗体と組み合わせた化合物1はすべて、プラセボ群(p<0.05)または化合物1単独群(p<0.05)と比較して、TC-1腫瘍モデルにおいて腫瘍サイズを有意に抑制することが可能であることを示した。本開示の併用療法はすべて、腫瘍増殖の抑制において強力な効果を示した。
【0082】
(付記)
(付記1)
組み合わせであって、
(a)有効量のがんに対する標的治療薬と、
(b)有効量の免疫治療薬であって、式(I):
【化22】
の構造を有する免疫治療薬、またはその薬学的に許容可能な塩であって、
式中、
R
1、R
2、およびR
3の各々が、独立して、-CH
3、-CH
2D、-CHD
2、または-CD
3であり、
Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bの各々が、独立して、水素または重水素であり、かつ、
R
1、R
2、およびR
3の各々が-CH
3である場合、Y
1a、Y
1b、Y
2a、Y
2b、Y
3a、およびY
3bのうちの少なくとも1つが重水素である、免疫治療薬またはその薬学的に許容可能な塩と、
を含む、組み合わせ。
【0083】
(付記2)
R1、R2、およびR3の各々が、独立して、-CH3または-CD3である、付記1に記載の組み合わせ。
【0084】
(付記3)
R1が、-CD3である、付記1に記載の組み合わせ。
【0085】
(付記4)
R1が、-CH3である、付記1に記載の組み合わせ。
【0086】
(付記5)
R2およびR3の各々が、-CD3である、付記1に記載の組み合わせ。
【0087】
(付記6)
R2およびR3の各々が、-CH3である、付記1に記載の組み合わせ。
【0088】
(付記7)
Y1aおよびY1bが同じであり、Y2aおよびY2bが同じであり、かつY3aおよびY3bが同じである、付記1に記載の組み合わせ。
【0089】
(付記8)
R1が、-CD3であり、かつY1aおよびY1bの各々が、重水素である、付記1に記載の組み合わせ。
【0090】
(付記9)
R2およびR3の各々が、-CD3であり、かつY3aおよびY3bの各々が、重水素である、付記1に記載の組み合わせ。
【0091】
(付記10)
前記免疫治療薬が、
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
またはその薬学的に許容可能な塩である、付記1に記載の組み合わせ。
【0092】
(付記11)
前記免疫治療薬が、
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
またはその薬学的に許容可能な塩である、付記10に記載の組み合わせ。
【0093】
(付記12)
前記免疫治療薬が、
【化37】
【化38】
またはその薬学的に許容可能な塩である、付記10に記載の組み合わせ。
【0094】
(付記13)
前記標的治療薬が、非腫瘍細胞と比較して、特異的にまたは好ましくは腫瘍細胞に結合する能力を有する、付記1に記載の組み合わせ。
【0095】
(付記14)
前記腫瘍細胞が、がん腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系がんの腫瘍細胞である、付記1に記載の組み合わせ。
【0096】
(付記15)
前記標的治療薬が、非腫瘍抗原と比較して、特異的にまたは好ましくは腫瘍抗原に結合する能力を有する、付記1に記載の組み合わせ。
【0097】
(付記16)
前記腫瘍抗原が、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、がん胎児性抗原、CTLA4、クリプト(Cripto)、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαv、インテグリンαvβ、KIR、LAG3、Lewis Y、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PD-L1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、TIGIT,ILT2、ILT4、SIRPα、TROP2、クローディン18.2、CEACAM5、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD73、CD79、CD133、CD137、CD206、およびそのバリアントからなる群から選択される付記1に記載の組み合わせ。
【0098】
(付記17)
前記標的治療薬が、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む、付記1に記載の組み合わせ。
【0099】
(付記18)
前記標的治療薬が、抗体またはその機能的断片を含む、付記1に記載の組み合わせ。
【0100】
(付記19)
前記標的治療薬が、Fab、Fab′、F(ab′)2、シングルドメイン抗体、TおよびAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線形抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つ以上のCDRを含む抗体類似体を含む、付記1に記載の組み合わせ。
【0101】
(付記20)
腫瘍または異常な細胞増殖の治療を必要とする対象において腫瘍または異常な細胞増殖を治療するための方法であって、前記対象に付記1~19の何れか1つに記載の組み合わせを投与することを含む、方法。
【0102】
(付記21)
前記異常な細胞増殖が、前がん病変を含む、付記20に記載の方法。
【0103】
(付記22)
前記異常な細胞増殖が、がん細胞の異常な細胞増殖である、付記21に記載の方法。
【0104】
(付記23)
前記がんが、乳がん、結腸直腸がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜がん、濾胞性リンパ腫、胃がん、グリア芽腫、頭頸部がん、肝細胞がん、肺がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、および腎細胞がんからなる群から選択される、付記22に記載の方法。
【0105】
(付記24)
前記対象に、約0.0005mg/kgから、0.0006mg/kgから、0.0007mg/kgから、0.0008mg/kgから、0.0009mg/kgから、0.001mg/kgから、0.002mg/kgから、0.003mg/kgから、0.004mg/kgから、0.005mg/kgから、0.006mg/kgから、0.007mg/kgから、0.008mg/kgから、0.009mg/kgから、0.01mg/kgから、0.02mg/kgから、0.025mg/kgから、0.05mg/kgから、0.075mg/kgから、0.1mg/kgから、0.125mg/kgから、0.15mg/kgから、0.175mg/kgから、0.2mg/kgから、0.215mg/kgから、0.25mg/kgから、0.5mg/kgから、0.75mg/kgから、1mg/kgから、1.25mg/kgから、1.5mg/kgから、1.75mg/kgから、2mg/kgから、または2.25mg/kgから、約2.5mg/kgまでの間(すべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、付記20に記載の方法。
【0106】
(付記25)
前記対象に、約0.0005mg/kgから、約0.0006mg/kgまで、0.0007mg/kgまで、0.0008mg/kgまで、0.0009mg/kgまで、0.001mg/kgまで、0.002mg/kgまで、0.003mg/kgまで、0.004mg/kgまで、0.005mg/kgまで、0.006mg/kgまで、0.007mg/kgまで、0.008mg/kgまで、0.009mg/kgまで、0.01mg/kgまで、0.02mg/kgまで、0.025mg/kgまで、0.05mg/kgまで、0.075mg/kgまで、0.1mg/kgまで、0.125mg/kgまで、0.15mg/kgまで、0.175mg/kgまで、0.2mg/kgまで、0.215mg/kgまで、0.25mg/kgまで、0.5mg/kgまで、0.75mg/kgまで、1mg/kgまで、1.25mg/kgまで、1.5mg/kgまで、1.75mg/kgまで、2mg/kgまで、2.25mg/kgまで、または2.5mg/kgまでの間(すべての値を含む)の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、付記20に記載の方法。
【0107】
(付記26)
前記対象に、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.05mg/kg、0.075mg/kg、0.1mg/kg、0.125mg/kg、0.15mg/kg、0.175mg/kg、0.2mg/kg、0.215mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、1.25mg/kg、1.5mg/kg、1.75mg/kg、2mg/kg、2.25mg/kg、または2.5mg/kg以下の用量で、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、もしくは6日に1回、または週に1回、週に2回、もしくは週に3回、前記免疫治療薬を含む製剤を投与することを含む、付記20に記載の方法。
【0108】
(付記27)
前記投与が、経口、舌下、静脈内、筋肉内、皮下、または腫瘍内である、付記20に記載の方法。
【0109】
(付記28)
前記対象内の前記免疫治療薬が、約0.005μg/ml~約12μg/mlの局所濃度を有する、付記20に記載の方法。
【0110】
(付記29)
前記対象内の前記免疫治療薬が、約0.05μg/mlから、0.1μg/mlから、0.15μg/mlから、0.2μg/mlから、0.3μg/mlから、または0.4μg/mlから、約0.5μg/mlまでの間の局所濃度を有する、付記20に記載の方法。
【0111】
(付記30)
付記1に記載の組み合わせを含む、キット。
【国際調査報告】