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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】使い捨て分離チップ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240912BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517076
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2022015675
(87)【国際公開番号】W WO2023068684
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0138208
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524102176
【氏名又は名称】ジェノバイオ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、チュ ヒョン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA09
4B029BB11
4B029FA03
4B029HA10
(57)【要約】
本発明は、混合溶液中に存在する磁性ビーズを磁力を用いて分離する際に用いられる使い捨て分離チップに関する。本発明は放物線状のワイヤパターンが形成された下側チップと、前記下側チップから分離可能な分離チップとを含む使い捨て分離チップであって、前記分離チップはチュービングに結合された結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合された第1部材と、を含み、前記結合部は前記上側プレートと一体的に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに連結される、使い捨て分離チップを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺から他辺へ放物線状のワイヤパターンが形成される下側チップと、
前記下側チップから分離可能な分離チップと、
を備え、
前記分離チップは、チュービングに結合される結合部が形成される上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合される第1部材と、を含み、
前記結合部は、前記上側プレートと一体に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに連結されている、
使い捨て分離チップ。
【請求項2】
前記結合部は、
上側プレートの上面に形成された凹部と、
前記凹部内に配置され、前記チュービングに挿入されるパイプ部と、
前記パイプ部の内周面が前記チャンネルに接続されるように前記パイプ部の内周面が延在するように接続する接続部と、を備える。
請求項1に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項3】
前記パイプ部は、前記上側プレートの上面に対して鋭角をなしている、
請求項2に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項4】
前記パイプ部の外周面には、前記チュービングが所定の深さで挿入されるように、前記チュービングと同じかそれよりも大きい直径を有するストッパ部が形成されている、
請求項2に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項5】
一辺から他辺へ放物線状のワイヤパターンが形成される下側チップと、
延期下側チップから分離可能な分離チップと、
を備え、
前記分離チップは、チュービングに結合される結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合される第1部材と、を含み、
前記結合部は、前記上側プレートと一体に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに連結され、
前記上側プレートの下部に溝形状のチャンネルが形成されている、
使い捨て分離チップ。
【請求項6】
前記上側プレートの下面は曲率半径が500~1000mmの曲面形状に形成され、中央部の厚さは対向する側面の厚さより厚い、
請求項5に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項7】
前記上側プレートの対向部位面の上端及び下端には、前記分離チップを前記下側チップに向けて押圧するための押圧手段が設けられている、
請求項6に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項8】
前記チャンネルは、
第1のチャンネルと、
前記第1のチャンネルに接続され、複数に分岐され、第1の部分と前記第1の部分に接続される第2の部分とを有する、第2のチャンネルと、を含み、
前記第1の部分の幅は前記第2の部分に向かって徐々に増加し、
前記第2の部分の幅は、前記第2のチャンネルに接続される第3のチャンネルに向かって徐々に減少する、
請求項5に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項9】
前記チャンネルは、
第1のチャンネルと、
前記第1のチャンネルに接続され、複数に分岐された第2のチャンネルと、を含み、
前記第2のチャンネルは、円弧状に形成されている、
請求項5に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項10】
前記チャンネルは、
第1のチャンネルと、
前記第1のチャンネルに接続され、複数に分岐された第2のチャンネルと、を含み、
前記第1のチャンネルまたは前記第2のチャンネルには、複数の突起部が配置されている、
請求項5に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項11】
前記突起部は、第1の突起部と、前記第1の突起部の下または側面に位置する第2の突起部とを備える、請求項10に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項12】
フィルタが前記チャンネルの上に配置されている、
請求項5に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項13】
前記フィルタは、前記チャンネルに接続され、所定の空間を有している、
請求項12に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項14】
一辺から他辺へ放物線状のワイヤパターンが形成される下側チップと、
前記下側チップから分離可能な分離チップと、
を備え、
前記分離チップは、チュービングに結合される結合部が形成される上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合される第1部材と、を含み、
前記結合部は、前記上側プレートと一体的に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに連結されるように形成され、前記上側プレートの下部に溝形状のチャンネルが形成され、
前記下側チップ及び前記分離チップはプラスチックから成る、
使い捨て分離チップ。
【請求項15】
前記プラスチックは透明ポリカーボネートである、請求項14に記載の使い捨て分離チップ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の使い捨て分離チップを含む、マイクロ流体に基づく診断システム。
【請求項17】
緩衝液またはマイクロ流体を供給するための流体供給部と、
前記流体供給部から供給される流体に含まれる気泡を除去するためのバブルトラップと、
前記バブルトラップを通過する流体を混合または分離するための使い捨て分離チップと、

前記分離チップを通過する前記マイクロ流体を分析するための診断手段と、
診断システムを制御するための診断システム制御装置と、を備える。
請求項16に記載のマイクロ流体に基づく診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て分離チップに関し、より詳細には、混合溶液中に存在する磁性ビーズを、磁力を用いて分離するために使用される使い捨て分離チップに関する。
【背景技術】
【0002】
血液はヒトまたは動物の血管を通って循環し、肺から組織細胞に酸素を輸送し、組織から肺に二酸化炭素を輸送し、外部に二酸化炭素を放出する。また、血液は消化管から吸収された栄養素を内臓や組織細胞に輸送し、組織の分解産物である体内の不要な物質を腎臓に輸送して体外に放出し、さらに、内分泌腺から分泌されたホルモンを作用臓器や組織に輸送する。
【0003】
一方、循環腫瘍細胞とは、癌患者の末梢血に存在する癌細胞を総称し、原発巣や転移巣から脱落した癌細胞である。これらの循環腫瘍細胞は、癌診断、治療的予後の分析、および微小転移の分析における強力なバイオマーカーであることが期待される。また、循環腫瘍細胞解析は従来の癌診断法に比べて非侵襲的な方法であるという利点があり、今後の癌診断法として非常に有望である。
【0004】
しかし、血液中に分布する循環腫瘍細胞の割合は、総細胞10億個あたり癌細胞1個、または白血球106~107個あたり癌細胞1個という非常に低いレベルであるため、正確な分析は非常に困難であり、非常に精巧な分析方法が必要である。
【0005】
現在、癌診断や血球分析に用いられている細胞分離法の最大の課題は生産性と効率である。すなわち、分離速度が速く、分離効率が高いことが求められる。
【0006】
生産性の問題を満たすために、従来の技術は主に、機械的構造を介して細胞を濾過する方法を使用した。一方、電界や密度などを利用して細胞を分離する方法が開示されているが、大部分の方法では生産性の問題が満たされないという限界がある。また、機械的構造を用いると、細胞が付着したり、分離した細胞を抽出することが困難になるという問題がある。このため、分離速度は速いが、分離効率が低下するという問題がある。
【0007】
機械的構造を用いた細胞分離方法の課題を解決するために、磁性を用いた細胞分離方法が開示されている。
【0008】
まず、癌細胞に特異的に反応する抗体と結合した磁性ナノ粒子(磁性ビーズと呼ぶ)と、検査対象の血液とを混合し、磁性ナノ粒子が結合した癌細胞を含む混合溶液を調製する。チャンネルが形成されたチップに混合液と緩衝液(例えば蒸留水)を流し、磁石を駆動して血液中の流体の粘度に応じて各流量を制御し、血液中の癌細胞を血液から分離する従来技術のうち、ワイヤパターンを用いた技術(先行文献1)は以下の通りである。
【0009】
すなわち、先行文献1によれば、強磁性ワイヤは、分離のためにマイクロ流体チャンネル(流路)のチャンネル表面から離間するように構成される。先行文献1は、磁性体構造として強磁性細線を用いた下側チップ構成である。なお、強磁性細線合金としては、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)の組み合わせが用いられる。マイクロ流体チャンネルパターンは、上部チップ上に形成される。上チップは、強磁性細線を含む下側チップにUV接着またはプラズマ接着を用いて一体的に取り付けられ、磁束を用いて微粒子を分離して捕捉する装置が完成する。
【0010】
しかしながら、先行文献1の場合、次のような問題がある。
【0011】
1)先行文献1で用いられているチップには、半導体技術が基本的に適用されたワイヤパターンが用いられている。
【0012】
すなわち、フォトレジストが除去され、エポキシ系接着剤が塗布され、表面が平坦化される、すなわち、磁性構造体として強磁性細線を含む下側チップの製造工程が含まれるため、チップの製造コストが非常に高い。
【0013】
2)一度使用したチップを洗浄してリサイクルする工程では、チップ内部をワイヤパターンにダメージを与えて洗浄する際や、洗浄後の残渣の存在が問題となる。
【0014】
3)チップを洗浄する過程でチップ内部に残留する残留物は、磁気ビーズを分離する際の障害となる。
【0015】
4)半導体技術やMEMS技術は上位チップの製造に用いられるため、工程が複雑であり、製造コストが高い。
【0016】
5)上チップと下側チップとは、UV接着やプラズマ接着などの方法で一体的に取り付けられているため、上チップと下側チップとを分離することが困難である。
【0017】
したがって、これらの問題を改善するための新しい分離チップが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】大韓民国公開特許10-2015-0058955号
【特許文献2】大韓民国登録特許10-1700228号
【特許文献3】大韓民国登録特許10-1667351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明は、チップの製造コストが低く、経済的な使い捨て分離チップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明は一側面から他側面に放物線状のワイヤパターンが形成された下側チップと、前記下側チップから分離可能な分離チップと、を備え、前記分離チップはチュービング(配管)に結合された結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合された第1部材と、を含み、前記結合部は前記上側プレートと一体に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに結合されることを特徴とする使い捨て分離チップを提供する。
【0021】
一実施形態において、前記連結部は前記上側プレートの上面に形成された凹部と、前記凹部の内側に位置し、前記チュービングに挿入されるパイプ部と、前記パイプ部の内周面が前記チャンネルに接続されるように延在する接続部と、を含むことができる。
【0022】
一実施形態では、パイプ部分が上側プレートの上面に対して鋭角を形成してもよい。
【0023】
一実施形態において、前記管部の外周面には前記管部と同等以上の直径を有するストッパ部が形成され、前記管部は所定の深さで挿入されることができる。
【0024】
別の態様において、本発明は放物線状のワイヤパターンが形成された下側チップと、前記下側チップから分離可能な分離チップとを含む使い捨て分離チップであって、前記分離チップはチュービングに結合された結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合された第1部材と、を含み、前記結合部は前記上側プレートと一体的に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通して形成され、前記チャンネルに結合され、前記上側プレートの下部に溝状のチャンネルが形成されることを特徴とする使い捨て分離チップを提供する。
【0025】
一実施形態において、前記上側プレートの下面は曲率半径が500~1000mmであり、中央部の厚さが反対側の側面より厚い湾曲形状に形成されることができる。
【0026】
一実施形態では、押圧手段が上側プレートの対向する部位表面の上端および下端に含まれてもよい。
【0027】
一実施形態ではチャンネルが第1のチャンネルと、第1のチャンネルに接続され、複数に分岐され、第1の部分と、第1の部分に接続される第2の部分とを含む第2のチャンネルとを含むことができ、第1の部分の幅は第2の部分に向かって徐々に増加し、第2の部分の幅は第2のチャンネルに接続される第3のチャンネルに向かって徐々に減少する。
【0028】
一実施形態ではチャンネルが第1のチャンネルと、第1のチャンネルに接続され、複数に分岐される第2のチャンネルとを含むことができ、第2のチャンネルは円弧形状で形成される。
【0029】
一実施形態では、チャンネルが第1のチャンネルと、第1のチャンネルに接続され、複数に分岐される第2のチャンネルとを含むことができ、複数の突出部が第1のチャンネルまたは第2のチャンネル上に配置される。
【0030】
一実施形態では、突出部が第1の突出部と、第1の突出部の下方または側部に位置する第2の突出部とを含むことができる。
【0031】
一実施形態では、フィルタをチャンネル上に配置することができる。
【0032】
一実施形態では、フィルタがチャンネルに接続され、所定の空間を有することができる。
【0033】
また、本発明は一面から他面に放物線状のワイヤパターンが形成された下側チップと、前記下側チップから分離可能な分離チップと、を含む使い捨て分離チップであって、前記分離チップはチュービングに結合される結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下に配置され、前記上側プレートの下面に結合された第1部材と、を含み、前記結合部は前記上側プレートと一体に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに連結されるように形成され、前記上側プレートの下部に溝状のチャンネルが形成され、前記下側チップ及び前記分離チップはプラスチックで製造されることを特徴とする使い捨て分離チップを提供する。
【0034】
一実施形態では、プラスチックは透明ポリカーボネートであってもよい。
【0035】
さらに別の態様では、本発明が使い捨て分離チップを含むマイクロ流体ベースの診断システムを提供する。
【0036】
一実施形態において、前記マイクロ流体診断システムは、緩衝液またはマイクロ流体を供給する流体供給部と、前記流体供給部から供給された前記流体に含まれる気泡を除去するマイクロ流体バブルトラップと、前記マイクロ流体バブルトラップを通過した前記流体を混合または分離する分離チップと、前記分離チップを通過した前記マイクロ流体を分析する診断手段と、前記診断システムを制御する診断システム制御装置とを含むことができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明による使い捨て分離チップは、以下の利点を有する。
【0038】
(1)上チップと下側チップは分割可能であるため、検査終了後に上チップのみを廃棄するため、洗浄工程は不要である。
【0039】
(2)上チップは半導体技術やMEMS技術以外の比較的簡単な方法で製造することができるので、製造コストが節減され、大量生産が容易であり、経済的である。
【0040】
(3)分離チップは、1回の使用後に廃棄されるため、残渣による検査ミスの問題は生じない。
【0041】
(4)大量生産が可能であり、したがって、本発明による使い捨て分離チップの一定の品質が保証され得る。
【0042】
(5)流体は上部チップに形成されたパイプを通ってチャンネルに流入し、チャンネルへの流体注入は安定であり、したがって、管の乱流は、流体の流れに影響しない。
【0043】
(6)上部チップのパイプに角度が形成され、チップの耐久性が向上する。
【0044】
(7)チュービングの挿入部分は、一体的に形成され、結合部分において起こり得る細胞の損失を最小限に抑えることができる。
【0045】
(8)チャンネルが上側プレートに一体的に形成されるので、製造コストを節約することができ、チャンネルを形成するために使用される部材の接着不足による分離チップの欠陥を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の一実施形態による分離チップ構造を示す。
図2図2は、本発明の一実施形態による分離チップ構造の上面図を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る連結部の形状を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る使い捨て分離チップ及び下側チップを示す平面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態による下側チップの平面図を示す。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る使い捨て分離チップのチャンネルが拡張された場合の平面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態による使い捨て分離チップのチャンネルが複数の分岐チャンネルを含む場合の平面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態による使い捨て分離チップのチャンネルが複数の分岐チャンネルを含む場合の平面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態による使い捨て分離チップのチャンネルが複数の分岐チャンネルを含む場合の平面図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る使い捨て分離チップのフィルタが形成される場合の平面図及び断面図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る診断システムの構成を概略的に示す。
図12図12は、本発明の一実施形態による分離チップの形状を示す。
図13図13は、本発明の一実施形態による分離チップの形状を示す。
図14図14は、本発明の一実施形態による分離チップの形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明の説明において、関連技術の詳細な説明は、本発明の本質を不明瞭にする可能性があると判断される場合には省略する。本明細書全体を通して、ある部分が特定の構成要素を「含む」と記載される場合、それは、特に明記しない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを示す。
【0048】
本発明は、様々な変更および多数の実施形態を可能にするので、特定の実施形態が詳細な説明において図示され、詳細に説明される。ただし、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の思想及び技術的範囲に含まれる全ての変更、均等物、及び代替物を含むことを理解されたい。
【0049】
本発明は、図示した実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実施することができる。ただし、ここで紹介した実施の形態は開示された内容が十分かつ完全であるように提供されるものであり、本技術の技術的思想を当業者に十分に伝えることができる。なお、図面において、各装置の構成要素を明確に表現するために、上記構成要素の幅や厚さ等の寸法を多少誇張している場合がある。図面は観察者の観点から説明され、要素が別の要素上に位置すると言及されるとき、1つの要素が他の要素上に直接位置すること、または追加の要素が要素間に介在し得ることの両方を含む。また、当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱することなく、他の様々な形態で本発明の思想を実施することができる。また、複数の図面において、同一の参照番号は実質的に同一の要素を示す。
【0050】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではない。単数形は文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。本発明において、「含む(include)」または「有する(have)」という用語は本明細書に記載された特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在を示すが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせの存在または追加の可能性を排除するものではないことを理解されたい。
【0051】
一方、本明細書に記載された用語の意味は、以下のように理解されるべきである。「第1の」または「第2の」という用語はある構成要素を別の構成要素から区別するために使用されるので、権利の範囲はこれらの用語によって限定されるべきではない。例えば、第1の成分を第2の成分と呼ぶことができ、同様に、第2の成分を第1の成分と呼ぶこともできる。
【0052】
本明細書で使用される場合、単数形は文脈が明らかにそわないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。加えて、単数形は文脈が明らかにそわないことを示さない限り、複数の指示対象を含み、用語「含む」または「有する」は記載された特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組合せの存在を指定することを意図するが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらの組合せの存在または追加の可能性を排除しないことを理解されたい。さらに、方法または製造方法を実施する際に、特定の順序が文脈において明確に記載されていない限り、方法からなるそれぞれのステップは、指定された順序とは異なる順序で生じ得る。言い換えれば、各ステップは具体的に説明したのと同じ順序で行われてもよいし、実質的に同時に行われてもよいし、逆の順序で行われてもよい。
【0053】
本明細書において、「および/または」という用語は、記載された複数の項目と、記載された複数の項目のいずれか1つとの組み合わせを含む。本明細書において、「AまたはB」は、「A」、「B」、または「AとBの両方」を含むことができる。
【0054】
本発明は放物線状の線状パターンが形成された下側チップと、前記下側チップから分離可能な分離チップと、を備え、前記分離チップはチュービングに結合される結合部が形成された上側プレートと、前記上側プレートの下面に配置され、前記上側プレートの下面に結合される第1部材と、を備え、前記結合部は前記上側プレートと一体に形成され、前記上側プレートの上面及び下面を貫通してチャンネルに接続されることを特徴とする使い捨て分離チップに関する。
【0055】
第1に、使い捨て分離チップは、上側プレート100及び第1部材110を含むことができる。
【0056】
上側プレート100は、低高さの矩形ボードと同様に製造されてもよい。
【0057】
第1部材110は、その長さおよび幅と比較して非常に薄い厚さで形成されたプレートと同様であってもよく、フィルムまたはテープで製造されてもよい。
【0058】
第1部材110は、上側プレート100の下部に結合されることができる。より具体的には、第1部材110が上側プレート100の下面に配置された接着剤を用いて上側プレート100に結合され得る。この場合、上側プレート100の下面にチャンネル150が形成されるので、上側プレート100の下面のチャンネル150以外の部分にのみ接着剤が塗布され、チャンネル150の下面が第1部材110によって形成されることができる。
【0059】
チャンネル150は、上側プレート100の下面が凹んだ凹形状に形成されてもよい。この場合、チャンネルは上側プレート100を製造する際に、上側プレート100の対応する位置に凹形状の型に形成されたエンボス形状を介して形成されてもよいし、上側プレート100の下面を平坦にした後、下面を機械加工または化学エッチングすることによって形成されてもよい。この場合、チャンネル150は、その目的に応じて多様な形状に形成されることができる。
【0060】
連結部170は上側プレート上に位置し、チュービングと連結されて、チュービングから供給される緩衝液またはマイクロ流体(微小流体、microfluid)をチャンネル150に供給する役割を果たすことができる。従来の連結部は、上側プレートの上部及び下部を貫通する形状に形成された後、管材が管材の露出面に連結されて使用されるように管材が挿入される。しかしながら、この場合、チャンネルにマイクロ流体を供給するために、3段の配管貫通部(tubing-pipe-penetration portion)を通す必要があるという欠点がある。公知のように、マイクロ流体によって供給されるセルの損失は、各構成要素の接続部分の数が増加することにつれて増加する。本発明の場合、接続のために管結合部分の2つのステップのみを使用することによって、セルの損失を最小限に抑えることが可能である。
【0061】
このために、前記連結部は、前記上側プレートの上面に形成された凹部と、前記凹部の内側に位置して前記チュービングに挿入されるパイプ部と、前記パイプ部の内周面が前記チャンネルに連結されるように連結する連結部と、を含むことができる。
【0062】
凹部171は外部に突出するパイプ部172が形成される場所であり、分離チップの上側プレート100の一部が窪んだ形状に形成されてもよい。これにより、パイプ部172は短い長さを有するように形成され、それによって、分離されたチップ部の製造及び運搬がその積層及び貯蔵のために容易であるように、外部に突出することによる損傷を防止することができる。
【0063】
パイプ部172は凹部171(図2参照)の内側の最下点から上方に延びるように設置され、上述したように、最上端の高さが上側プレート100の上面に等しいか、または上面よりも低くなるように形成されることが好ましい。この場合、パイプ部172は、上側プレートの上面に対して鋭角をなすことが好ましく、その利点は以下の通りである。
【0064】
(1)チップ自体の耐久性が向上する。
【0065】
すなわち、従来のチップの場合、チュービング用のシリンジ等を用いてチャンネルに溶液を注入すると、注入孔とシリンジとの角度は直角または直角に近い角度となる。
【0066】
このため、溶液を注入する際には、溶液の圧力が大きく作用し、上側プレートを構成する部材、例えば、上側プレートに連結された部材の間に溶液が浸透する。
【0067】
しかしながら、本発明の分離チップによれば、分離チップ内に溶液を注入する際に、溶液の圧力が上側プレート、下板、または第1部材に大きく作用しないように、溶液を斜めに注入することにより、チップ自体の耐久性を向上させることができる。
【0068】
(2)チャンネル内の溶液の滑らかな流れが可能である。
【0069】
従来、溶液がチャンネルにスムーズに流入せず、注入孔付近に溶液がホバリングする現象が発生する場合があった。
【0070】
本発明の分離チップによれば、溶液が斜めに注入されてチャンネルを流れるので、溶液がチャンネルを円滑に流れるように溶液注入の方向性を確保することができる。
【0071】
(3)チップ内の溶液流の観察は容易である
【0072】
従来のチップは、噴孔または出口を介して上下方向にチュービングを行うため、次のような問題があった。
【0073】
第1に、レンズが注入孔または出口を密接に観察するように移動するとき、チュービングとの干渉が生じる。
【0074】
より詳細に説明すると、チュービングは、一般にチャンネルに接続されるPDMS(ポリジメチルシロキサン、一種の合成ゴム材料)材料から形成され、レンズが注入孔または出口に移動すると、レンズとチュービングとの間の干渉が生じる。
【0075】
第2に、レンズとチュービングとの間の干渉は最終的に、チュービング内の溶液の流れを変化させるかまたは妨害するか、またはチュービングが注入孔または出口から逸脱する可能性を増加させ得る。
【0076】
一方、本発明の分離チップにおけるチュービングは、上側プレートの上面と鋭角をなすパイプに嵌合する。
【0077】
そのため、噴孔や吹出口での観察が容易であり、レンズが噴孔や吹出口に位置する場合には、チュービングとの干渉が生じず、溶液の流れを容易に観察することができる。
【0078】
(4)血液腫瘍細胞(CTC)またはビードなどの細胞の残存確率が低下する。
【0079】
従来技術によれば、噴孔近傍や噴孔の後方(後方)のセルの残存確率が高い。
【0080】
これは、鉛直方向に注入された溶液がチップ内の注入圧力によって生じる隙間に流入することによって生じる現象である。
【0081】
本発明の分離チップによれば、溶液を注入する際に垂直方向の圧力が作用しにくい。
【0082】
また、溶液を注入する際のチップ内部の圧力による隙間の発生をなくすことができるため、チップ内部のセルの残存確率が大幅に低下する。
【0083】
接続部173はパイプ部172から供給される流体がチャンネルに供給されるように、パイプ部172の内周面がチャンネル150に接続されるように接続するための部分である。したがって、連結部173の内部形状はパイプ部の内周面とチャンネル部とが円滑に連結されるように構成されてもよく、これにより、パイプ部から供給される流体(緩衝液または微細液体)をチャンネル方向に供給する際の抵抗を最小限に抑えることができる(図3参照)。
【0084】
また、パイプ部172の上端は、上側プレート100(図3参照)の上面と同じ角度で切断されることができる。すなわち、パイプ部172の上面は、パイプ部の中心に垂直な方向に切断されるのではなく、上面に対して水平な方向に切断されるため、パイプ部の上面とパイプ部の中心とは鋭角をなすことができる。これにより、チュービング(配管)の内周面に接触するチュービングの外表面積を大きくすることで、チュービングをスムーズに挿入することができ、チュービングに流体を供給する際の流体圧力によるチュービングの逸脱を防止することができる。
【0085】
パイプ部の外周面には、チュービングと同等以上の直径を有するストッパ部174が形成され、所定の深さでチュービングを挿入することができる。上述のように、パイプ部172は、チュービングの内部に挿入されてもよい。この場合、パイプ部172の下面は凹部171と接触しているので、パイプ部172の下面は鋭角をなす形状で凹部と接触していてもよい。この場合、前記チュービングが挿入されると、前記チュービングの一側が前記凹部の表面に最初に接触し、他側が前記パイプ部172の中央に位置することができる。その結果、チュービングが挿入されるとき、チュービングの挿入深さは一定でなく、チュービングに供給される流体の圧力差につながる可能性がある。したがって、パイプ部の外周面にストッパ部174を形成することにより、チュービングの挿入深さを常に維持し、一定の条件下で実験を行うことができる。この場合、ストッパ部174はチュービングの外周面以上の直径を有することができ、パイプ部の中心に対して垂直に形成されることが好ましい。
【0086】
また、パイプ部172を含む連結部170は、上側プレートと一体に形成されてもよい。従来の分離チップの場合、上側プレートは、上側プレートの製造後に別個に製造される金属パイプ部分と結合することによって製造される。この場合、パイプ部は、上側プレートに形成された孔に挿入され、チャンネル方向に流体を供給する。
【0087】
すなわち、穴にパイプが挿入された従来の使い捨て分離チップでは、挿入されたパイプと穴との間に隙間が生じることがあり、サンプルや緩衝液が漏れないようにパイプと穴との間に防水処理を施す必要がある。さらに、穴に挿入されるパイプは別個に製造され、これは使い捨て分離チップの単位コストおよび製造コストを増加させる要因として作用し得る。
【0088】
しかしながら、本発明の場合、金型を製造する際に上側プレートと連結部とが一体的に製造され、使い捨て分離チップの部品点数及び単位コストが低減され、連結部及び使い捨て分離チップの個数が減少することにつれて、分離効率が向上する(連結部が多くなるほど、セルロスが多くなる)。特に、精密金型を用いて使い捨て分離チップの上側プレートを製造する場合、穴、パイプ、チャンネルなどの試料が通過する全ての経路の表面粗さを大きくすることで、分離チップの安定した性能を向上させることができる。
【0089】
使い捨て分離チップはチャンネルを含む上側プレート100及び第1部材110を含み、第1部材110は、上側プレート100の下端面に結合され得る。
【0090】
上側プレート100は低い高さを有する長方形プレートと同様の形状に製造されてもよく、第1部材110は長さ及び幅と比較して非常に薄い厚さを有するシート又はフィルムの形状に製造されてもよく、使用又は条件に応じて、PEN、PET、PCなどの様々な材料で製造されてもよい。
【0091】
本発明による使い捨て分離チップは、プラスチックで製造することができる。具体的には、上側プレートがプラスチックで製造されてもよい。第1部材および下側プレートはまた、プラスチックから製造されてもよい。
【0092】
本発明では、ポリカーボネート(PC)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)と呼ばれる種類のプラスチック材料が使用される。上側プレートをプラスチック材料で製造する本発明は、以下の利点を有する。
【0093】
(1)微粒子を分離または捕捉するための従来のチップは、MEMS技術の製造方法に依存する。
【0094】
しかしながら、本発明は、プラスチック材料を用いた一般的な製造方法であるため、製造工程が簡単である。
【0095】
(2)従来のMEMS技術の製造方法と比較して、量産が可能であり、プラスチック(樹脂)シリーズの様々な材料を使用することができる。
【0096】
(3)大量生産が可能であるだけでなく、品質の一貫性が促進され得る。
【0097】
(4)プラスチック(樹脂)系材料を使用するため、取り扱いが比較的容易である。
【0098】
上側プレートと第1部材は、(1)高周波溶接(2)超音波溶接(3)熱融着などの多様な方法で結合することができる。
【0099】
分離チップに配置される結合部について、実施形態に基づいて以下に説明する。
【0100】
まず、上側プレートの一側に、混合溶液が注入される混合溶液注入孔と、生理食塩水などの緩衝溶液が注入される緩衝溶液注入孔とが位置する。また、本発明の分離チップに位置する連結部において、上側プレートの他方側には、磁気ビーズが排出される磁気ビーズ排出孔と、他の粒子が排出される他の粒子排出孔とが位置している。前記複数の連結部は前記チャンネルに連結されるように形成され、前記連結部は前記上側プレートと一体的に製造されることができる。
【0101】
上側プレートの一側には、試料(血液を含むマイクロ流体)を注入するための孔220aと、生理食塩水等の緩衝液を注入するための孔220bとが設けられている。
【0102】
上側プレート450の他方側には、分離された試料が吐出される孔220cと、他の試料を含む緩衝液が吐出される孔220d、220eとが設けられている。
【0103】
複数の孔220a~220eはチャンネルに接続されるように形成されており、チュービング170は、孔220a~220eに一体的に配置されている。
【0104】
また、配線パターンチップと位置合わせするための孔として、配線パターンをチャンネル150の特定の位置に配置してもよい。
【0105】
前記配線パターンは、前記下側チップの一側から他側に向かって放物線状に形成される。
【0106】
具体的には、ワイヤパターンは、細胞分離が行われるチャンネルの一部である第3のチャンネルに位置する。
【0107】
ワイヤパターンは下側チップの一方側から他方側に放物線状に形成された第3のチャンネルの始点から終点にかけて位置し、すなわち、ワイヤパターンの頂点が第3のチャンネルの終点に近接して形成されていると言える。
【0108】
以下、本発明のチャンネルについて説明する。
【0109】
本発明による使い捨て分離チップは上側プレート100の下面に形成されたチャンネル150を含み、チャンネル150は、上側プレートの下面を凹状に彫刻(engraving)して形成することができる。
【0110】
既存のチャンネルは、上側プレートの下面をチャンネル状に平坦化・削除した後、側にチャンネル状に彫刻された部材を取り付けることにより形成される。しかしながら、この場合、部材の取り付け位置によっては不具合が発生することがあり、上側プレートと部材とを接続する部分にリークが発生したり、セルが取り付けられて紛失したりする現象が発生することがある。この点において、本発明は第1部材を、チャンネル形状の凹版が形成される上側プレートの下面に結合することによってのみ、チャンネルの形成を可能にし、それによって、基本的に、セルの損失または漏れを防止する。
【0111】
しかしながら、本発明のように上側プレートの下面にチャンネルを形成する場合、チャンネルの漏れは、第1部材と下板との間の結合力に応じて決定され得る。従来の発明の場合、上側プレートが平面状に製造されているため、上側プレートと下板とを連結する際に、中央部の連結力が低下し、漏れが発生する場合があった。
【0112】
本発明の場合、上側プレートの下面は曲率半径が500~1000mmの曲面として製造されるので、中央部の厚さは両側面の厚さより厚いので、上側プレートと第2板とを連結するための縁部を押圧する際に、チャンネルが形成された中央部が押圧され、漏れによる欠陥を最小限に抑えることができる。
【0113】
曲率半径が500mm未満であると、上側プレートの中央部が両側面に比べて突出し過ぎるため、押圧時に側面部の結合が完全でなくなるおそれがあり、1000mmを超えると、中央部と側面部の高さの差が小さくなり、押圧の効果が低下するおそれがある。
【0114】
また、プレスによる変形の場合、中央に位置するチャンネルも変形することがあり、これを考慮すると、チャンネルを形成する際には、チャンネルの中央部を浅く形成することが好ましい。
【0115】
前記上側プレートの両側面の上端及び下端には、前記分離チップを前記下側チップの方向に押圧するための押圧手段が含まれてもよい。押圧手段は、上側プレートを下板の方向に押圧する。上側プレートが上下板の間にチャンネルが形成される曲面として形成される場合、押圧手段は上側プレートを下板の方向に押圧すると同時に、上側プレートの下面を上側プレートの側面部よりもチャンネル部を押圧する直線状とする。押圧手段は上側プレートを押圧して下板を連結するものであれば特に限定されず、好ましくはボルト・ナット、クランプ、または上側プレートの上面を下向きに押圧する押圧等であってもよい。
【0116】
以下、本発明をチャンネルに基づいて説明する。
【0117】
本発明の実施の形態1に係る分離チップにおいて、上側プレートの下側に形成されるチャンネルは、以下のように形成されていてもよい(図6参照)。
【0118】
まず、噴孔220aに連結された第1チャンネル151は上側プレート100の幅方向を基準に上側プレート100の中央に位置し、上側プレート100の長さ方向を基準に上側プレート100の一側に形成される。
【0119】
この場合、前記第1チャンネルの一側面151aは注入結合部220aに連結されることができる。
【0120】
第2チャンネル152は複数の分岐チャンネルを含み、上側プレートの幅方向に基づいて上側に位置する分岐チャンネルについて、以下に説明する。
【0121】
第1に、第2のチャンネル152は、第1の部分152aおよび第2の部分152bを含み得る。第2のチャンネル152の第1の部分152aは、第1のチャンネル151の右側で上方に所定の長さを有するように延長されてもよい。第2のチャンネル152の第2の部分152bは、第2のチャンネル152の第1の部分152aに接続され、第2のチャンネルの第1の部分152aの他方の側の右側で下方に延びて所定の長さを有することができる。
【0122】
一方、第2チャンネルの第1部分152aは、第2チャンネル152の第2部分152bに近づくにつれて、その幅が徐々に増加するように形成されることができる。一方、第2チャンネルの第2部分152bは、第2チャンネルの第2部分152bに連結された第3チャンネル153に近づくにつれて、その幅が徐々に減少するように形成されることができる。
【0123】
すなわち、第1の部分152aの他側が第2のチャンネルの第2の部分152bの一側に接続され、チャンネルが曲がって溶液の流れを変化させることができる部分でチャンネルを拡張する際に、渦現象を利用して、溶液中の細胞が全体として広く行き渡る再分配効果を図ることができる。
【0124】
第2のチャンネル152の幅が一定に維持されると、第2のチャンネルの第1の部分152aの他側と第2のチャンネルの第2の部分152aの一側とが連結された部分、すなわち、チャンネルが屈曲された部分を通過した後に、セルがチャンネルの一方の壁にのみ移動するので、再分配効果が現れないか、または低減され得る。
【0125】
本発明の実施の形態2に係る分離チップは、上側プレートの下側にチャンネルが形成されているので、以下のようにして形成することができる(図7参照)。
【0126】
まず、噴孔220aに連結される第1チャンネル151は上側プレート100の幅方向を基準に上側プレート100の中央に位置し、上側プレート100の長さ方向を基準に上側プレート100の一側に形成される。参考までに、第1のチャンネル151は、第2のチャンネル152よりも短く形成されていることが好ましい。
【0127】
第1のチャンネル151に接続される第2のチャンネル152は、複数の分岐チャンネルを含む。この場合、第2チャンネル152は、図示されたように円弧状に形成されることができる。また、第2チャンネル152は上側プレート100の幅方向に基づいて上側プレート100の中心の上下に位置し、複数のチャンネルに分岐されてもよい。
【0128】
この場合、上側プレート100の幅の中央から見て、2つ以上の分岐チャンネルが上側に設けられ、2つ以上の分岐チャンネルが下側に設けられてもよい。
【0129】
本発明の実施の形態3に係る分離チップは、上側プレートの片面にチャンネルが形成されているので、以下のようにして形成することができる(図8図9参照)。
【0130】
第2のチャンネル152を形成する複数の分岐チャンネルはいくつかの分岐チャンネルが第3のチャンネル153に接続される前に、1つに組み合わされてもよい。すなわち、第2チャンネルは上側プレート100の幅方向を基準として上側プレート100の中心の上下に位置する場合を基準として説明するが、この場合、上側プレートの幅の中心から見て、2つの分岐チャンネルが上側に設けられ、さらに2つの分岐チャンネルが下側に設けられている。
【0131】
以下、分岐した第2チャンネル152を2-1チャンネル1521~2-4チャンネル1524と称する。
【0132】
まず、2-1チャンネル1521の一部と2-2チャンネル1522の一部とを組み合わせてから、2-2チャンネル1522を第3チャンネル153に接続し、1つのチャンネルを形成する。
【0133】
具体的には、2-1チャンネルの一部とは2-1チャンネルのうち、第3チャンネルに隣接する部分を意味する。同様に、2-2チャンネルの一部1522bは2-2チャンネル1522のうち、第3チャンネル153に隣接する部分を意味する。
【0134】
このように、2-1チャンネルの一部1521bと2-2チャンネルの一部1522bとが一つに結合され、第3チャンネル153に連結される。
【0135】
本発明による分離チップ10は、チャンネル150上に配置され得るフィルタを含む。
【0136】
本発明の実施形態によれば、フィルタは、第1のチャンネル151または第2のチャンネル152上に配置することができる。例えば、複数のフィルタは第2のチャンネル152上に位置してもよく、具体的にはフィルタがそれぞれ、第2のチャンネルの第1の部分152aおよび第2のチャンネルの第2の部分152b上に位置してもよい。もちろん、1つまたは複数のフィルタが、第1のチャンネル151上に配置されてもよい。
【0137】
本発明に係る使い捨て分離チップ10において、フィルタは、チャンネル150に接続され、所定の空間を有する。
【0138】
この場合、フィルタは次の役割を実行する。
【0139】
注入された溶液がフィルタを通過する際に、溶液に含まれる気体(空気)が除去されてもよい。すなわち、溶液とガスとの比重に基づく除去方法が選択される。
【0140】
ガスを含む溶液がフィルタを通過する際の比重の違いにより溶液の上方に位置するガスは、チャンネルに接続され、所定の空間を有するフィルタに捕捉されて、溶液に含まれるガスが除去される。したがって、本発明に係る使い捨て分離チップ10の断面視において、フィルタは、チャンネル150の上部に位置することが好ましい。
【0141】
突起180は、本発明の分離チップ10(図10参照)内に配置され得る。
【0142】
本発明の分離チップ10に形成されたチャンネル150は、第1チャンネル151を含むことができる。また、チャンネル150は、第1チャンネル151に連結され、複数に分岐された第2チャンネル152を含むことができる。この場合、複数の突出部180は、第1チャンネル151又は第2チャンネル152上に位置することができる。
【0143】
以下、第1チャンネル151上に突起180が形成される場合について説明する。
【0144】
突起180は、チャンネル150が形成された上側プレートの下部に位置することができる。つまり、上側プレートの下部にチャンネル150を形成するために、上側プレートの一部に凹溝を形成してもよい。
【0145】
この場合、溝部150に突起部180を形成するために、第1溝部151の幅において、突起部180を除く残りの部分に凹溝を形成することができる。このとき、凸部の場合であっても、凸部の一部を切り欠いて下部に流体が流通可能な溝を形成するが、上部に凸部を形成した形状に製造してもよい。
【0146】
突起180の役割は、以下の通りである。本発明は、第1のチャンネル151に複数の突起180が形成されている場合について説明する。
【0147】
一方の突起部と他方の隣接する突起部との間の距離は、溶液中に混合される空気粒子のサイズよりも小さく形成されてもよい。
【0148】
このように、一方の突出部と他方の隣接する突出部との間の距離が空気粒子の大きさよりも小さく形成されると、溶液をチャンネル150に注入する際に、溶液に混入した空気粒子がチャンネル150に流入することを防止することができる。特に、本発明の場合、突起がチャンネルの上部に位置することにより、比重の違いにより上部に位置する空気粒子を効果的に除去することができる。
【0149】
本発明の分離チップ10において、上述した突起180は、空気粒子を濾過することができる範囲内で、長方形、円形、菱形などの多様な形状を有することができる。
【0150】
また、第1チャンネル151または第2チャンネル152に位置する突起180は、1列だけでなく、2列以上の列を有するように形成されてもよい。すなわち、突起180は、第1突起と、第1突起の下または側面に位置する第2突起とを含むことができる。
【0151】
本発明はさらに、使い捨て分離チップを含むマイクロ流体に基づく診断システムを提供する。
【0152】
前記マイクロ流体診断システムは、緩衝液またはマイクロ流体を供給する流体供給部と、前記流体供給部から供給された流体に含まれる気泡(バブル)を除去するマイクロ流体バブルトラップと、前記マイクロ流体バブルトラップを通過した流体を混合または分離する使い捨て分離チップと、前記分離チップを通過したマイクロ流体を分析する診断手段と、前記診断システムを制御する診断システム制御装置とを含むことができる。
【0153】
流体供給部1000は、マイクロ流体を供給するためのポンプと、流体を輸送するためのチューブ及びバルブとを備え、適切な流量制御によって安定した流体供給を行うことができる。
【0154】
バブルトラップ2000はバブルトラップ本体、入口及び出口を備え、流体供給部1000から導入されたマイクロバブルをバブルトラップ内部に捕捉することにより、マイクロバブルがチャンネルに流入することを防止することができる。
【0155】
分離チップ3000は、プラスチックやプラスチック、ガラス(セラミック)などの材料から製造され、流体が導入される導入口、排出口、微細チャンネルなどから構成され、分離、測定、インキュベーション、分析を行うことができる。
【0156】
診断手段4000は、蛍光系と高性能カメラとを含む光学系を備え、蛍光分析、単細胞分析、タンパク質分析等を行ってもよい。
【0157】
診断システム制御装置5000はCPU(central processing unit)及び入出力装置(例えば、流量センサ、ピンチバルブ、タッチインターフェースなど)を含むハードウェアを備え、各入出力装置間の通信及び調整を制御し、診断手段4000から収集されたデータを分析することができる。
【0158】
本発明のマイクロ流体に基づく診断システムは、分離チップ3000を含むことができる。上述のように、マイクロ流体に基づく診断システムの精度は、マイクロ流体中の気泡の有無によって大きく影響され得る。そこで、本発明では、バブルトラップ2000を用いて流体の気泡を除去し、分離チップ3000に供給することで、診断システムの信頼性を大幅に向上させることができる(図11参照)。
【0159】
以上、本発明を特定の部分について詳細に説明したが、この特定の技術は好ましい実施形態に過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されると言える。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】