IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヴィデント・カナダ・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-534482複数のプロファイルのための非破壊検査適応性ヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】複数のプロファイルのための非破壊検査適応性ヘッド
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20240912BHJP
   G01N 27/9013 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
G01N29/265
G01N27/9013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517133
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 CA2022051378
(87)【国際公開番号】W WO2023039674
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/261,327
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522343027
【氏名又は名称】エヴィデント・カナダ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・トラヒ-クラウティア
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ガニョン-ラシャンス
【テーマコード(参考)】
2G047
2G053
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB02
2G047AC09
2G047BC07
2G047GA03
2G047GA06
2G047GB02
2G053AA11
2G053AB21
2G053BA03
2G053BA13
2G053DB14
2G053DB19
(57)【要約】
適応性検査器具構成は、非破壊試験(NDT)をサポートするために使用することができる。かかる適応性は、バー又は他の構造を検査するための様々な異なる断面プロファイルの検査を可能にするための複数の利用可能な機械的自由度とともに、2つ以上の別個の検査プローブアセンブリの使用を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊検査試験ヘッドであって、
第1の部分と、
前記第1の部分に対して少なくとも2つの機械的自由度をサポートするように前記第1の部分と機械的に結合された第2の部分であって、前記第2の部分が、
互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、
前記少なくとも2つの第1の挟持部材に対して直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、前記試験中の物品と、前記第1のNDTトランスデューサアセンブリに対して直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、を備える、第2の部分と、を備え、
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の部分に対して受動的に再配向されるように構成されている、非破壊検査試験ヘッド。
【請求項2】
前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記少なくとも2つの第1の挟持部材が、前記試験ヘッド又は前記試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるように構成されている、請求項1に記載の試験ヘッド。
【請求項3】
前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記試験ヘッド又は前記物品のうちの少なくとも1つが、前記第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングされたままである、請求項2に記載の試験ヘッド。
【請求項4】
前記少なくとも2つの第1の挟持部材が、ローラを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項5】
前記少なくとも2つの第1の挟持部材が、互いに向かって付勢される、請求項1~4のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも2つの第1の挟持部材の間で少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させるように構成されたアクチュエータを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項7】
前記アクチュエータが、少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて、前記物品の挿入を容易にするように構成されている、請求項6に記載の試験ヘッド。
【請求項8】
前記少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項9】
前記少なくとも2つの機械的自由度が、前記第1の回転自由度に直交して確立された第2の回転自由度を含む、請求項8に記載の試験ヘッド。
【請求項10】
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記物品のプロファイルの変化に倣うように、前記第1の回転自由度及び前記第2の回転自由度の両方の周りに前記第1の部分に対して回転するように構成されている、請求項9に記載の試験ヘッド。
【請求項11】
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つと機械的に結合された第3の部分であって、線形自由度をサポートする、第3の部分を備える、請求項9又は10に記載の試験ヘッド。
【請求項12】
前記第1の回転自由度が、第1の軸の周りに確立され、
前記第2の回転自由度が、第2の軸の周りに確立され、
前記線形自由度が、前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つが前記第1の軸及び前記第2の軸のうちの少なくとも1つに直交して配向された線に沿って前記第3の部分に対して進行するための自由を含む、請求項11に記載の試験ヘッド。
【請求項13】
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の回転自由度、前記第2の回転自由度、及び前記線形自由度を介して再配向されるように構成されている、請求項11又は12に記載の試験ヘッド。
【請求項14】
前記第3の部分が、付勢又はアクチュエータのうちの少なくとも1つを備えるか、又はそれに結合されており、前記付勢又はアクチュエータが、前記試験ヘッドへの重力に対抗するように構成されており、前記重力に前記対抗することが、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、受動的再配向を容易にする、請求項12又は13に記載の試験ヘッド。
【請求項15】
前記第3の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つを備えるか、又はそれに機械的に結合されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項16】
前記第1の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つと機械的に結合されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項17】
前記第2の部分が、湾曲した試験中の物品に沿って受動的に再配向されるように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項18】
第2の部分が、前記試験中の物品に沿って変化する前記試験中の物品のプロファイルに倣うことを含む、前記試験中の物品に沿って受動的に再配向されるように構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項19】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び前記第2のNDTトランスデューサアセンブリが、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項20】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は前記第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、音響トランスデューサの線形アレイを備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項21】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は前記第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、渦電流(EC)トランスデューサを備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項22】
前記試験ヘッドの少なくとも一部分を浸漬可能である、カプラント媒体を収容するように構成された槽を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項23】
前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリがカプラント媒体中に浸漬されたときに、前記試験中の物品と前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を抑制するように構成されたポートを備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項24】
試験ヘッドを介して試験中の物品を非破壊検査するための方法であって、前記方法が、
前記試験中の物品を、
互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、
前記少なくとも2つの第1の挟持部材に対して直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、前記試験中の物品と、前記第1のNDTトランスデューサアセンブリに対して直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、の間で挟持するステップと、
前記試験中の物品を、その長さに沿って、かつ前記少なくとも2つの第1の挟持部材及び前記少なくとも2つの第2の挟持部材に対して平行移動させるステップと、
前記平行移動中に、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の部分に対して及び少なくとも2つの機械的自由度の周りで、前記少なくとも2つの第1の挟持部材及び前記少なくとも2つの第2の挟持部材を収容する第2の部分を受動的に再配向するステップと、を含む、方法。
【請求項25】
前記平行移動中に、前記少なくとも2つの第1の挟持部材を介して、前記第2の部分として、前記試験ヘッド又は前記試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記平行移動中に、前記試験ヘッド又は前記物品のうちの少なくとも1つを前記第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングするステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
アクチュエータを介して、前記少なくとも2つの第1の挟持部材の間の少なくとも1つの挟持部材の直線位置を確立又は調整するステップを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの機械的自由度が、前記第1の回転自由度に直交して確立された第2の回転自由度を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の部分を、前記平行移動中に、前記物品のプロファイルの変化に倣うように、前記第1の回転自由度及び前記第2の回転自由度の両方の周りを前記第1の部分に対して回転させるステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの線形自由度の周りに第3の部分に対して受動的に再配向するステップを含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記平行移動中に、前記試験ヘッドへの重力に対抗して、前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つの前記受動的再配向のうちの少なくとも1つを容易にするステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記試験ヘッドをカプラント流体中に浸漬するステップを含む、請求項24~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記試験ヘッドの前記浸漬中に、前記試験中の物品と前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を、流体ポートを介して抑制するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
非破壊検査試験ヘッドであって、
第1の部分と、
少なくとも1つの非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリを含む第2の部分であって、第1の軸に関して配設された第1の枢軸点及び前記第1の軸に直交する第2の軸に関して配設された第2の枢軸点を介して、前記第1の部分に対して回転させるように構成されている、第2の部分と、
前記第2の部分に結合された2つ以上の挟持部材であって、互いに向かって、かつ前記第2の部分を通って延在している挿入チャネルに向かって力を印加するように配設されている、挟持部材と、を備え、
前記挟持部材が、前記挿入チャネルを通過する試験物体との間に指定されたスタンドオフ距離を維持するように構成されており、
前記第2の部分が、前記挿入チャネルを通過する試験中の物品の曲率の変化に倣うように、前記第1の枢軸点及び前記第2の枢軸点の両方を介して、前記第1の部分に対して受動的に回転するように構成されている、非破壊検査試験ヘッド。
【請求項36】
前記2つ以上の挟持部材が、前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記試験ヘッド又は前記試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるように構成されている、請求項35に記載の試験ヘッド。
【請求項37】
前記2つ以上の第1の挟持部材が、ローラを含む、請求項35又は36に記載の試験ヘッド。
【請求項38】
前記2つ以上の第1の挟持部材が、互いに向かって付勢される、請求項35~37のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項39】
前記2つ以上の挟持部材の間で少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させるように構成されたアクチュエータを備える、請求項35~38のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項40】
前記アクチュエータが、前記少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて、前記物品の挿入を容易にするように構成されている、請求項39に記載の試験ヘッド。
【請求項41】
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つに取り付けられた線形拡張具であって、前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つが前記第1の軸及び前記第2の軸のうちの少なくとも1つに直交する線に沿って進行することを可能にするように構成された少なくとも1つの摺動機構を含む、線形拡張具を備え、
前記第2の部分が、前記第1の軸及び前記第2の軸の周りを前記第1の部分に対して受動的に回転するように構成されており、前記第2の部分が、前記挿入チャネルを通過する前記試験中の物品の曲率に倣うように、前記第1の軸及び前記第2の軸両方に直交する前記線に沿って受動的に進行するように構成されている、請求項35~40のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項42】
前記第1の軸及び前記第2の軸両方に直交する前記線に沿って前記試験ヘッドの少なくとも一部分に力を提供するように構成された少なくとも1つのアクチュエータであって、前記力が、前記試験ヘッドへの重力に対抗するように、かつ前記挿入チャネルを通過する試験物体のプロファイル形状の変化に倣うように前記線に沿った自由な進行を可能にするフレームを懸架するように選択される、少なくとも1つのアクチュエータを備える、請求項41に記載の試験ヘッド。
【請求項43】
前記第1の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つと機械的に結合されている、請求項35~42のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項44】
前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリが、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを備える、請求項35~43のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項45】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は前記第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、音響トランスデューサの線形アレイを備える、請求項35~44のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項46】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は前記第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、渦電流(EC)トランスデューサを備える、請求項35~45のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項47】
前記試験ヘッドの少なくとも一部分を浸漬可能である、カプラント媒体を収容するように構成された槽を含む、請求項35~46のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項48】
前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリがカプラント媒体中に浸漬されたときに、前記試験中の物品と前記第1のトランスデューサアセンブリ及び前記第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を抑制するように構成されたポートを備える、請求項35~47のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年9月17日に出願された米国仮特許出願第63/261,327号に対する優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、その優先権の利益が本明細書で特許請求される。
【0002】
本文書は、限定するものではないが、概して、渦電流又は音響検査を容易にすることなどの、非破壊検査のための装置及び技術に関係するものであり、より具体的には、それらの長さに沿ってサイズ、形状、配向、又は曲率、のうちの1つ以上が変化し得るバー又はレール構造などの、異なる材料プロファイルに適応できる機械的固定に関するものである。
【背景技術】
【0003】
非破壊試験(NDT)は、物体上又は物体内の領域を検査するための、例えば、被検査物体にキズ又は欠陥が存在するかどうかを確認するための、又は別様に被検査物体を特徴付けるための、1つ以上の異なる技術の使用に関連し得る。非破壊試験手法の例としては、物体に電磁エネルギーを印加して、結果として生じた物体上又は物体内の誘導電流を検出する渦電流試験手法の使用を挙げることができ、検出した電流(又は関連するインピーダンス)の値が、亀裂、空隙、小孔、又は他の不均質性の存在などの、試験中の物体の構造の指標を提供する。
【0004】
NDTの別の手法としては、1つ以上の電気音響トランスデューサを使用して試験中の物体上又は物体内の領域に超音波照射して、散乱又は反射した音響エネルギーを検出して処理することができるような、音響検査技術の使用を挙げることができる。かかる散乱又は反射されたエネルギーは、音響エコー信号と称することができる。概して、かかる音響検査スキームは、例解的な例として、例えば、数百キロヘルツ~数十メガヘルツの値を含み得る指定された範囲のエネルギーを有するパルスなどを含む、超音波周波数範囲の音響周波数の使用を含む。
【発明の概要】
【0005】
本主題は、概して、渦電流又は音響検査技術などを含む、非破壊試験(NDT)を容易にすることができる装置及び技術を含む。例えば、音響技術は、位相アレイ(PA)又は単一要素の音響トランスデューサ構造の使用を含むことができる。音響検査は、トランスデューサと試験中の物体との間の音響エネルギーの結合を容易にするためにカプラントを採用し得る。1つの手法では、プローブの表面と試験物体との間に薄層状の様式で介在させるなどして、水などの超音波結合媒体を提供することができる。別の手法では、結合媒体を収容したタンク又はリザーバを使用して検査を実行することによって、音響結合媒体を提供することができる。プローブヘッド及び試験物体の少なくとも一部分は、結合媒体中に浸漬することができる。
【0006】
本明細書に記載されるように、様々な構成を使用して、長さ(例えば、縦方向範囲)、横方向範囲、又はプロファイルのうちの1つが変化する試験物体の表面又は体積の検査を容易にすることができる。固定具によって画定した経路を介するなどして、手動で又は自動的に調整して試験中の物体の一部分への検査アクセスを提供するなどの、複数のプローブを提供することができる。細長い試験物体は、物体の縦方向範囲に沿って連続的に又は様々な別個の位置で検査を行うことを可能にするように、(例えば、物体を固定具に対して移動させるか、又はその逆に移動させることによって)経路に対して移動させることができる。上述したように、かかる手法は、静止固定具を通して細長い試験物体を引っ張ることによって、又は静止した試験物体の長さに沿って固定具を引っ張ることによって、又はこれらの組み合わせによって実行することができる。プローブから取得した情報は、プロセッサによって受信及び解析して、画像化、寸法特性を示すデータ、又は他の特性などの検査結果を提供することができる。
【0007】
検査中に試験中の物品に対して固定具を平行移動させるように、試験ヘッド固定具を操作することなどで、スループットを高めることができ、又は他の手法と比較してフットプリントが低減されたNDT検査システムを提供することができる。例えば、NDT検査器具は、ロボットアーム又はガントリのエンドエフェクタとして機能することができ、細長い試験物体に沿って移動させることができる。本明細書に図示及び説明されるような装置及び技術は、異なるジオメトリを有する試験中の物体をガイドする、回転させる、又は位置決めするために別様に使用され得るシステムの複雑さを低減するなどの、ロボット的に操作することができる適応性検査構成を使用することにより、サイズ又は形状が変化し得る細長い試験物体に対応することによって、かかるスループットを少なくとも部分的に高めることができる。
【0008】
本発明者らは、とりわけ、かかる適応性固定具が、概して、プロファイル、曲率、厚さ、及び材料が変化する試験物体、並びにそれらの全長にわたって不均一なプロファイルを有する物体を正確かつ効率的に検査することができることを認識した。更に、本発明者らは、かかる固定具が、ただ1つのプローブ固定具を使用してスループットを高める又は別様に多種多様な試験物体の検査を可能にする動的なプローブの位置決めを提供するような、複数のNDT検査プローブを含むことができることを認識した。
【0009】
順次検査される複数の試験物体などのいくつかの細長い試験物体は、サイズ又は形状などが互いに変化し得、また、それらのそれぞれの長さに沿って異なる曲率を含み得る。概して、これらの細長い試験物体は、手動で検査し、また、複数回のパスを含むなどしなければならない。これは、各プローブと細長い試験物体との間の正確な位置、距離、及び角度を確立することの重要性に起因する。
【0010】
本発明者らは、細長い試験物体のNDT検査のスループットを高めるためのデバイス及び技術を考案した。例えば、1つ以上のNDT検査プローブを担持する試験ヘッド固定具は、再配向すること、例えば細長い試験物体の長さに沿った角度又は曲率の変化に対応させることを可能にしながら、細長い試験物体の形状及びサイズの変化に一致させることができる。そのようにすることで、プローブを試験物体から指定されたスタンドオフ距離に維持することができ、プローブを再位置決めして異なるプロファイルに一致させることなどを含む、ユーザインタラクションを最小化する。試験ヘッドはまた、例えば単一の細長い試験物体に沿った寸法の段階的な変化に適合させることもできる。試験ヘッド固定具は、ロボット又はガントリに装着して、試験中の物品の全長に沿って移動させることができる。また、試験ヘッド固定具は、静止状態であり得、試験中の物品は、試験ヘッド固定具を通して送給するなど、試験ヘッド固定具に対して移動させることができる。
【0011】
本文書は、第1の部分と、第1の部分に対して少なくとも2つの機械的自由度をサポートするように第1の部分と機械的に結合された第2の部分と、を含む、非破壊検査試験ヘッドを説明する。第2の部分は、互いに向かって力を印加するために、少なくとも2つの第1の挟持部材を含むことができるか、又は使用することができる。少なくとも2つの第1の挟持部材は、それぞれの反力を介して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に第1の指定されたスタンドオフ距離を確立することができる。例えば、少なくとも2つの第2の挟持部材を少なくとも2つの第1の挟持部材に直交して配向することができる。互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第2のNDTトランスデューサアセンブリとの間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するなどのために、少なくとも2つの第2の挟持部材を含むことができる。ここで、第2のNDTトランスデューサアセンブリは、第1のNDTトランスデューサアセンブリに直交して配向することができる。
【0012】
第2の部分は、第2の部分を試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行することができるときに、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、第1の部分に対する受動的再配向を受けることができる。例えば、2つの第1の挟持部材は、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、試験ヘッド又は試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるのを補助することができる。また、第2の部分を物品に沿って平行移動させることができるときに、試験ヘッド又は物品のうちの少なくとも1つを、指定されたスタンドオフ距離の維持を介して、第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングすることができる。一実施例では、少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて物品の挿入を容易にするなどのために、アクチュエータを含むことができる。
【0013】
少なくとも2つの機械的自由度は、第1の回転自由度と、第2の回転自由度と、を含む。例えば、第2の回転自由度は、第1の回転自由度に直交して確立することができる。ここで、第2の部分は、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、物品のプロファイルの変化に倣うように、第1の回転自由度及び第2の回転自由度の両方の周りを第1の部分に対して回転することができる。また、試験ヘッドは、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つと機械的に結合された第3の部分であって、線形自由度をサポートする、第3の部分を含むことができる。例えば、第3の部分は、試験ヘッドへの重力に対抗するなどのために含まれたリニアアクチュエータを含むことができるか、又はそれに結合することができ、重力に対抗することは、第2の部分を試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行することができるときに、受動的再配向を容易にする。
【0014】
本明細書に記載された非限定的な実施例の各々は、単独で成立させること、又は他の実施例うちの1つ以上との様々な順列若しくは組み合わせで組み合わせることができる。
【0015】
本概要は、本特許出願の主題の概説を提供することを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することを意図していない。詳細な説明は、更なる情報を提供するために含まれる。
【0016】
必ずしも原寸に比例して描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図面において同様の構成要素を説明することができる。異なる文字接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なるインスタンスを表すことができる。図面は、限定するものではないが、概して、本文書で考察される様々な実施形態を一例として例解する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】試験ヘッド固定具の一実施例の斜視図を表す。
図1B】試験ヘッド固定具の一実施例の側面図を描示する。
図1C】試験ヘッド固定具の一実施例の正面図を描示する。
図1D】試験ヘッド固定具の一実施例の上面図を描示する。
図1E】試験ヘッド固定具の一実施例の底面図を描示する。
図2A図2Bに示されるNDTシステムの詳細図を描示する。
図2B】NDTシステムにおいて使用中の試験ヘッド固定具の一実施例を描示する。
図3A】試験中の物品のプロファイルに一致する試験ヘッド固定具の一実施例を描示する。
図3B】試験中の物品に対するトランスデューサの配向を示す、試験ヘッド固定具の一実施例の部分図を描示する。
図4】試験ヘッド固定具を使用して試験中の物品のNDTを実行する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上述したように、非破壊試験(NDT)は、指定されたプロファイルを有するバー又は他の構造などの物体を検査するために使用することができる。バー又は他の構造は、例解的な例として、押し出し、圧延、曲げ、切断、打ち抜き、又は溶接、のうちの1つ以上を使用して製造された、金属又は複合材料を含み得る。バー又は他の細長い構造は、連続構造として形成されるか、又は別個の指定された長さを有するなど、長手方向に延在し得る。検査されるバー又は他の細長い構造は、サイズ又は形状(又は両方)が変化し得るか、又は任意の特定の点においてその長さ(曲線)に沿って配向角の変化を画定し得る。角度及び曲率半径は、部分ごとに変化し得る。検査される複数の異なる寸法及びポケットを画定するなどの、プロファイルの複雑さのため、かかる複雑なプロファイルを有するバー又は他の構造は、通常は、手動で検査され、かつ長さに沿った複数回のパスを伴う。かかる検査は、概して、熟練した操作者が手動でプローブを適切な位置、スタンドオフ距離、及び角度に配置すること含み、これは、所望の検査に対して重要であり得る。
【0019】
本発明者らは、とりわけ、バー構造又は他の試験中の構造のための所望の検査カバレッジを維持しながら、検査によって費やされる期間を低減することができる試験ヘッド構成を考案した。試験ヘッド構成は、様々な試験中の構造の形状及びサイズに自動的に一致する一方でまた、バーの長さに沿った角度の変化に対応する(例えば、曲率に対応する)ように追跡する(例えば、回転させる)こともできる、特徴を含むことができる。試験ヘッドは、試験対称の構造が試験ヘッドを(又はその逆に)通過するときの再配置を低減又は最小化するそれぞれの位置にプローブを含むことができる。試験構造は、例えば音響検査、渦電流検査、又は画像化を使用して検査することができる材料などの、任意の材料から作製することができる。試験ヘッドは、試験中の構造のプロファイルの指定された外部寸法(又は、特徴)に一致させることなどによって、自動的に適合させることができる。例えば、試験ヘッドは、検査のために検査プローブを好適な配向に自動的に配向するなどの、試験される構造のプロファイルの指定された全体的な寸法に対応するように、ローラ又は他の特徴(ガイドとして作用するスライド又はプレートなど)を含むことができる。試験ヘッドはまた、試験中のバー又は他の構造の最大で全長を横断するときに、寸法の段階的な変化にも適合させることができる。試験ヘッドは、指定された(例えば、最小の)曲率半径及び指定された(例えば、最大の)角度に基づいて適合させるなどの、指定された枢軸点を含むことができる。検査ヘッドは、試験中の構造に沿って試験ヘッドを移動させるように、ロボット又はガントリに装着することができる。代替的又は追加的に、試験ヘッドを静止したままにすることができ、試験中の構造を試験ヘッドに対して移動させることができる。試験ヘッドは、任意のプロファイル及び寸法に適合するように修正することができる。音響検査のために、例えば、試験中の構造は、タンク内に浸漬して、試験ヘッドと試験中の構造との間にカプラント境界面を提供することができ、又はカプラント循環(例えば、噴出装置又は他のノズル)によって、若しくは別様に試験ヘッドのカプラント境界面領域内にカプラントを保持することによって、カプラントを提供することができる。
【0020】
図1A図1B図1C図1D、及び図1Eは、非破壊検査試験ヘッドの様々な図を描示する。図1Aの斜視図に示されるように、試験中の物品102は、挿入チャネル104で又はその近くなどで、検査試験ヘッドに対して平行移動させることができる。例えば、物品102は、試験ヘッド100の第1の端部に送給して、「X」方向に試験ヘッド100の第2の端部から送り出すことができる。試験ヘッド100は、第1の部分110と、第1の部分110に対して少なくとも2つの機械的自由度をサポートするように第1の部分110と機械的に結合された第2の部分120と、を含むことができる。試験ヘッド100はまた、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリ106との間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するなどのために含まれる、少なくとも2つの第1の挟持部材130も含むことができる。例えば、第1のNDTトランスデューサアセンブリ106は、試験ヘッド内に、例えば第2の部分120内に埋め込むことができる。例えば、少なくとも2つの第1の挟持部材130は、それぞれ、「Z」方向に向かって、及びその反対に互いに力を印加することができる。また、少なくとも2つの第1の挟持部材130のうちの1つは、対応する挟持部材130の反対側に固定したままにして、反力を及ぼさずにそこから印加された力を受容することができる。
【0021】
非破壊検査試験ヘッド100はまた、少なくとも2つの第1の挟持部材130に直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材140も含むことができる。少なくとも2つの第2の挟持部材140は、互いに向かって力を印加して試験中の物品と第2のNDTトランスデューサアセンブリ108との間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように作用することができ、第2のNDTトランスデューサアセンブリ108は、(図3Bに描示されるように)第2の部分内に、例えば、第1のNDTトランスデューサアセンブリ106に直交して配設することができる。第2の部分120は、第2の部分120を試験中の物品102に沿って平行移動させてNDT検査を実行することができるときに、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するなどのために、検査中に第1の部分110に対する受動的再配向を受ける。一実施例では、第1の指定されたスタンドオフ距離又は第2の指定されたスタンドオフ距離のいずれかは、約3mm~約10mmであり得る。例えば、第1のスタンドオフ距離及び第2のスタンドオフ距離は、約4mm~約8mmであり得る。
【0022】
一実施例では、少なくとも2つの第1の挟持部材130、少なくとも2つの第2の挟持部材140、又は両方が、ローラを含むことができる。例えば、ローラは、少なくとも2つの挟持部材130、140が試験中の物品102を均一に挟持することを確実にするなどのために、検査される試験中の物品102の外径と実質的に等しい内径を含む。ローラは、試験中の物品102の一貫した挟持を提供するのを支援するなどのために、テクスチャ加工のパターン又は把持材料を含む外面を含むことができる。少なくとも2つの第1の挟持部材130はまた、互いに向かって付勢することもできる。例えば、1つ以上の戻しばねが、少なくとも2つの第1の挟持部材130を互いに向かって付勢することができる。また、付勢は、モータ又は空気圧シリンダ又は油圧シリンダなどの1つ以上のアクチュエータ112によって印加することができる。第1の挟持部材130を付勢することは、1つ以上の第1の挟持部材130が第1のスタンドオフ距離から外れるのを防止することができるように、第1のスタンドオフ距離が第1のNDTトランスデューサアセンブリ106と試験中の物品102との間に一貫して提供されることを確実にすることができる。
【0023】
一実施例では、非破壊検査試験ヘッド100は、少なくとも2つの第1の挟持部材130の間で又は少なくとも2つの第2の挟持部材140の間で対応する挟持部材を制御可能に移動させるために、1つ以上のアクチュエータ112を含むことができる。一実施例では、少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて物品102の挿入を容易にするなどのために、アクチュエータを含むことができる。ここで、2つの対向する対応する挟持部材は、第1の端部において物品102を挿入する前に、互いから離れるように移動させることができる。挿入に続いて、1つ以上のアクチュエータ112を介するなどして、2つの対向する対応する挟持部材を互いに向かって移動させて、物品102を挟持又は把持することなどができる。一実施例では、(少なくとも2つの第1の挟持部材130の間又は少なくとも2つの第2の挟持部材140の間などの)2つの対向する対応する挟持部材は、物品102に力を及ぼすことができ、この力は、約1N~約500Nである。例えば、物品102に及ぼされる力は、約20N~約200Nであり得る。一実施例では、2つの対向する対応する挟持部材を移動させて物品102の挿入を容易にすることの代替として、又はそれに加えて、試験ヘッドの第1の端部にばね付勢の又はテーパ付きの端部などの入口特徴を含めることができる。例えば、入口特徴は、そこへの挿入時に、物品102の受け取り又はガイドを補助することができる。入口特徴は、物品102のプロファイルに一致するように入口特徴を変位させるなどのために、挿入に応じて物品102によってそこに印加される力を受け取ることができる。入口特徴は、物品を試験ヘッド100のどちら側にも挿入することを可能にするなどのために、試験ヘッド100の両側に含めることができる。
【0024】
図2A及び図2Bは、NDTシステムにおいて使用中の試験ヘッド固定具の一実施例を描示する。一実施例では、試験ヘッド固定具100は、ユーザインターフェースなどにおいてユーザによって制御又は起動することができるガントリ又はロボットマニピュレータなどのマニピュレータ200と機械的に結合することができる。図2Bに描示されるように、試験ヘッド100を、物品102に対してカプラント槽202に沿って、例えば「X」方向に移動させるときに、試験ヘッド100は、その長さに沿って変化する物品102のプロファイルに倣うなどのために、第2の部分120を受動的に再配向することができる。例えば、試験ヘッドは、かかる曲率を能動的に検出又はプログラムすることを必要とせずに、図2Bに示される試験物体の曲率に受動的に倣うことができる。カプラント槽202は、例えば水又は油又はいくつかの他のカプラント流体などのカプラントを少なくとも部分的に充填することができ、カプラント流体は、カプラント槽202に沿って流すなどのように供給することができる。かかる用途の場合、試験ヘッド100の少なくとも一部分を浸漬可能であり得る。例えば、試験ヘッドは、防水処理した材料、真空ジャケット材料、又は非湿潤性材料などの、カプラント流体がそこを通って流れることを可能にすることができる材料で形成された試験ヘッド100の少なくとも1つの一部分を有することなどによって、少なくとも部分的に防水処理され得る。また、非破壊検査試験ヘッド100はまた、第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリがカプラント媒体中に浸漬され得る場合に、試験中の物品と第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を抑制するなどのために、ポートも含むことができる。
【0025】
概して、試験ヘッド100は、1つ以上のNDTトランスデューサアセンブリを物品102のプロファイルの指定された寸法に自己センタリングすることができる。試験ヘッドは、曲率半径又はバーの角度(又は両方)に基づく枢動位置を含むなどの、物品の長さ(例えば、長寸法)に沿った配向角の変化に自動的に倣うことができる。試験ヘッド100は、音響検査(例えば、超音波(UT))、渦電流検査、又は別の検査プロセス(例えば、画像化)用に構成することができる。試験ヘッドに対する試験中の構造の位置又は相対運動は、固定エンコーダ又は外部エンコーダ使用するなどして追跡することができる(例えば、運動追跡を伴うガントリ又はロボットを使用することができる)。
【0026】
図2Aは、図2Bに示されるNDTシステムの詳細図を描示する。一実施例では、試験ヘッド100は、マニピュレータ200に対して少なくとも2つの機械的自由度を含むことができるか、又は使用することができる。一実施例では、少なくとも2つの機械的自由度は、第1のピボットa(「Z」軸など)の周りの第1の回転自由度、及び第2のピボットb(「Y」軸など)の周りの第2の回転自由度であり得る。一実施例では、第2の部分120を物品に沿って平行移動させることができるときに、第1の回転自由度及び第2の回転自由度の一方又は両方の回転自由度の周りを第1の部分110に対して回転させて、物品のプロファイルの変化に倣うなどのために、第2の部分120を含むことができる。したがって、試験ヘッド100の第2の部分120は、試験ヘッド100の角度が(図1A図1Eに描示されるように)第1の挟持部材130と第2の挟持部材140との間の2つの挟持位置によってそれぞれ画定された曲線の接線を示すような方法で、物品102のプロファイルに基づいてその配向角を変化させるなどのために、第1のピボットaの周り又は第2のピボットbの周りを受動的に回転することができる。第1の挟持部材又は第2の挟持部材の挟持アクションはまた、試験ヘッド100を物品102の長さに沿ってガイドするのを補助することもでき、また、物品102を試験ヘッド100の中央面cに対してセンタリングするのも補助することができる。例えば、第2の部分120を物品102に沿って平行移動させるときに、少なくとも2つの第1の挟持部材が、試験ヘッド100、物品102、又は両方を変位させる。
【0027】
一実施例では、試験ヘッド100はまた、第1の部分110又は第2の部分120のうちの少なくとも1つと機械的に結合された第3の部分も含むことができる。ここで、第3の部分は、「Y」軸に沿うなどの線形自由度をサポートすることができる。例えば、試験ヘッド100は、線形拡張具240を含むことができるか、又はそれに取り付けること、例えば、第1の部分110又は第2の部分120のうちの少なくとも1つに取り付けることができる。線形拡張具240は、第1の部分110又は第2の部分120のうちの少なくとも1つが第1の軸a及び第2の軸bのうちの少なくとも1つに直交する線に沿って、例えば「Y」軸に沿って受動的に進行することを可能にするように、少なくとも1つの摺動機構を含むことができるか、又は使用することができる。例えば、第1の部分110又は第2の部分120のうちの少なくとも1つは、少なくとも3つの機械的自由度、すなわち、第1のピボットaの周りの第1の回転自由度、第1のピボットbの周りの第2の回転自由度、及び「Y」軸に沿った線形自由度を介して、例えば線形拡張具を介して、受動的に再配向することができる。また、試験ヘッド100は、付勢、例えばばね、又はアクチュエータ、例えば線形若しくはロータリアクチュエータ、の少なくとも1つを含むことができるか、又はそれに結合することができ、測定された力又は所定の重力に対抗するように選択された力を試験ヘッド100に印加する。ここで、重力に対抗することは、第2の部分120を物品102に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、受動的再配向を容易にするのを補助することができる。
【0028】
図3Aは、試験中の物品のプロファイルに一致する試験ヘッド固定具の一実施例の正面図を描示する。図3Aに示されるように、挟持部材130及び140を介して、少なくとも2つの挟持点を物品102に提供することができる。例えば、第1の挟持点を提供するなどのために、少なくとも2つの対向する対応する第2の挟持部材140A及び140Bを互いに向かって付勢することができる。また、第2の挟持点を提供するなどのために、少なくとも2つの対向する対応する第2の挟持部材130A及び130B(代替的又は追加的に、130C及び130D)を互いに向かって付勢することができる。ここで、第2の挟持点は、第1の挟持点の方向に直交する方向に、物品102に力を提供することができる。上で画定した第1の挟持点及び第2の挟持点は、曲線の長さに沿って特定の曲率(例えば、複数の異なる軸上に複数の曲率を含む)に倣うように使用することができる。一実施例では、試験ヘッド固定具は、複数組の第2の挟持部材140及び複数組の第1の挟持部材130を含むことができるか、又は使用することができ、上で画定したものと同様に少なくとも3つの挟持点を確立し、例えば、少なくとも3つの挟持点を介して曲率に倣うのを補助する。
【0029】
図3Bは、試験中の物品に対するトランスデューサの配向を描示する、試験ヘッド固定具の一実施例の部分図を表す。示されるように、少なくとも2つのNDTトランスデューサアセンブリ106及び108は、物品102の周りに配設することができ、第1のトランスデューサアセンブリ106は、第2のトランスデューサアセンブリ108に直交して配設することができる。また、3つ以上のトランスデューサアセンブリ106A、106B、及び108Aは、試験ヘッド100の第2の部分内に含めることができる。
【0030】
一実施例では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ106及び第2のNDTトランスデューサアセンブリ108は、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを含むことができる。一実施例では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つは、音響トランスデューサの線形アレイを含む。一実施例では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つは、渦電流(EC)トランスデューサを含む。図3Bは、第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び第2のNDTトランスデューサアセンブリを描示しているが、2つを超える又は2つ未満のNDTトランスデューサアセンブリが存在し得る。一実施例では、トランスデューサアセンブリは、図3Bに示されるように実装することができる。すなわち、106A及び106Bなどの少なくとも2つのトランスデューサアセンブリが、互いに向かい合って、試験物体102の実質的に両側に位置し得る。
【0031】
図4は、試験ヘッド固定具を使用して試験中の物品のNDTを実行する方法を説明するフローチャートである。一実施例では、410で、本方法は、試験中の物品を少なくとも2つの第1の挟持部材と少なくとも2つの第2の挟持部材との間で挟持することを含むことができる。例えば、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するなどのために、少なくとも2つの第1の挟持部材を提供する又は得ることができる。一実施例では、少なくとも2つの第1の挟持部材に直交して配向するなどのために、少なくとも2つの第2の挟持部材を配設することができる。また、本方法は、少なくとも2つの第2の挟持部材を介して互いに向かって力を印加して、試験中の物品と、第1のNDTトランスデューサアセンブリに直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立することができる。
【0032】
420で、本方法は、試験中の物品を、その長さに沿って、かつ少なくとも2つの第1の挟持部材及び少なくとも2つの第2の挟持部材に対して平行移動させることを含むことができる。
【0033】
430で、本方法は、平行移動中に、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、第1の部分に対して及び少なくとも2つの機械的自由度の周りで、少なくとも2つの第1の挟持部材及び少なくとも2つの第2の挟持部材を収容する、第2の部分を受動的に再配向することを含むことができる。
【0034】
例えば、受動的に再配向することは、平行移動中に、少なくとも2つの第1の挟持部材を介して、第2の部分として、試験ヘッド又は試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させることを含むことができる。また、受動的に再配向することは、平行移動中に、試験ヘッド又は物品のうちの少なくとも1つを第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングすることを含むことができる。
【0035】
本方法は、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの線形自由度の周りに、試験ヘッドの第3の部分に対して受動的に再配向することを含むことができる。また、本方法は、平行移動中に、試験ヘッドへの重力に対抗して、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つの受動的再配向のうちの少なくとも1つを容易にすることを含むことができる。
【0036】
本方法は、アクチュエータを介して、少なくとも2つの第1の挟持部材の間の少なくとも1つの挟持部材の直線位置を確立又は調整することを含むことができる。本方法は、第2の部分を、平行移動中に、物品のプロファイルの変化に倣うように、第1の回転自由度及び第2回転自由度の両方の周りを第1の部分に対して回転させることを含むことができる。
【0037】
注記及び実施例
以下の非限定的な実施例は、とりわけ、課題を解決して本明細書で考察される利点を提供するための本主題の特定の態様を詳述する。
【0038】
態様1は、非破壊検査試験ヘッドであって、第1の部分と、第1の部分に対して少なくとも2つの機械的自由度をサポートするように第1の部分と機械的に結合された第2の部分であって、第2の部分が、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、少なくとも2つの第1の挟持部材に直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と、第1のNDTトランスデューサアセンブリに直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、を備える、少なくとも2つの第2の部分と、を備え、第2の部分が、第2の部分を試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、第1の部分に対して受動的に再配向されるように構成されている、非破壊検査試験ヘッドである。
【0039】
態様2では、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、少なくとも2つの第1の挟持部材が、試験ヘッド又は試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるように構成されている、態様1に記載の主題。
【0040】
態様3では、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、試験ヘッド又は物品のうちの少なくとも1つが、第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングされたままである、態様2に記載の主題。
【0041】
態様4では、少なくとも2つの第1の挟持部材が、ローラを含む、態様1~3のいずれか1つに記載の主題。
【0042】
態様5では、少なくとも2つの第1の挟持部材が、互いに向かって付勢される、態様1~4のいずれか1つに記載の主題。
【0043】
態様6では、少なくとも2つの第1の挟持部材の間で少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させるように構成されたアクチュエータを備える、態様1~5のいずれか1つに記載の主題。
【0044】
態様7では、アクチュエータが、少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて、物品の挿入を容易にするように構成されている、態様6に記載の主題。
【0045】
態様8では、少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の主題。
【0046】
態様9では、少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度に直交して確立された第2の回転自由度を含む、態様8に記載の主題。
【0047】
態様10では、第2の部分が、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、物品のプロファイルの変化に倣うように、第1の回転自由度及び第2の回転自由度の両方の周りを第1の部分に対して回転するように構成されている、態様9に記載の主題。
【0048】
態様11では、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つと機械的に結合された第3の部分であって、線形自由度をサポートする、第3の部分を備える、態様9又は10に記載の主題。
【0049】
態様12では、第1の回転自由度が、第1の軸の周りに確立され、第2の回転自由度が、第2の軸の周りに確立され、線形自由度が、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つが第1の軸及び第2の軸のうちの少なくとも1つに直交して配向された線に沿って第3の部分に対して進行するための自由を含む、態様11に記載の主題。
【0050】
態様13では、第2の部分が、第2の部分を試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、第1の回転自由度、第2の回転自由度、及び線形自由度を介して再配向されるように構成されている、態様11又は12に記載の主題。
【0051】
態様14では、第3の部分が、試験ヘッドへの重力に対抗するように構成されたリニアアクチュエータを備えるか、又はそれに結合されており、重力に対抗することが、第2の部分を試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに受動的再配向を容易にする、態様12又は13に記載の主題。
【0052】
態様15では、第3の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つを備えるか、又はそれに機械的に結合されている、態様12~14のいずれか1つに記載の主題。
【0053】
態様16では、第1の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つと機械的に結合されている、態様1~15のいずれか1つに記載の主題。
【0054】
態様17では、第2の部分が、湾曲した試験中の物品に沿って受動的に再配向されるように構成されている、態様1~16のいずれか1つに記載の主題。
【0055】
態様18では、第2の部分が、試験中の物品に沿って変化する試験中の物品のプロファイルに倣うことを含む、試験中の物品に沿って受動的に再配向されるように構成されている、態様1~17のいずれか1つに記載の主題。
【0056】
態様19では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び第2のNDTトランスデューサアセンブリが、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを備える、態様1~18のいずれか1つに記載の主題。
【0057】
態様20では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、音響トランスデューサの線形アレイを備える、態様1~19のいずれか1つに記載の主題。
【0058】
態様21では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、渦電流(EC)トランスデューサを備える、態様1~20のいずれか1つに記載の主題。
【0059】
態様22では、試験ヘッドの少なくとも一部分を浸漬可能である、カプラント媒体を収容するように構成された槽を含む、態様1~21のいずれか1つに記載の主題。
【0060】
態様23では、第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリがカプラント媒体中に浸漬されたときに、試験中の物品と第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を抑制するように構成されたポートを備える、態様1~22のいずれか1つに記載の主題。
【0061】
態様24は、試験ヘッドを介して試験中の物品を非破壊検査するための方法であって、当該方法が、試験中の物品を、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、少なくとも2つの第1の挟持部材に直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、試験中の物品と、第1のNDTトランスデューサアセンブリに直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、の間で挟持するステップと、試験中の物品を、その長さに沿って、かつ少なくとも2つの第1の挟持部材及び少なくとも2つの第2の挟持部材に対して平行移動させるステップと、平行移動中に、第1の指定されたスタンドオフ距離及び第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、第1の部分に対して及び少なくとも2つの機械的自由度の周りで、少なくとも2つの第1の挟持部材及び少なくとも2つの第2の挟持部材を収容する第2の部分を受動的に再配向するステップと、を含む、方法である。
【0062】
態様25では、平行移動中に、少なくとも2つの第1の挟持部材を介して、第2の部分として、試験ヘッド又は試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるステップを含む、態様24に記載の主題。
【0063】
態様26では、平行移動中に、試験ヘッド又は物品のうちの少なくとも1つを第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングするステップを含む、態様25に記載の主題。
【0064】
態様27では、アクチュエータを介して、少なくとも2つの第1の挟持部材の間の少なくとも1つの挟持部材の直線位置を確立又は調整するステップを含む、態様24~26のいずれか1つに記載の主題。
【0065】
態様28では、少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度を含む、態様24~27のいずれか1つに記載の主題。
【0066】
態様29では、少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度に直交して確立された第2の回転自由度を含む、態様28に記載の主題。
【0067】
態様30では、第2の部分を、平行移動中に、物品のプロファイルの変化に倣うように、第1の回転自由度及び第2の回転自由度の両方の周りを第1の部分に対して回転させるステップを含む、態様29に記載の主題。
【0068】
態様31では、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの線形自由度の周りに第3の部分に対して受動的に再配向するステップを含む、態様29又は30に記載の主題。
【0069】
態様32では、平行移動中に、試験ヘッドへの重力に対抗して、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つの受動的再配向のうちの少なくとも1つを容易にするステップを含む、態様31に記載の主題。
【0070】
態様33では、試験ヘッドをカプラント流体中に浸漬するステップを含む、態様24~32のいずれか1つに記載の主題。
【0071】
態様34では、試験ヘッドの浸漬中に、試験中の物品と第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を、流体ポートを介して抑制するステップを含む、態様33に記載の主題。
【0072】
態様35は、非破壊検査試験ヘッドであって、第1の部分と、少なくとも1つの非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリを含む第2の部分であって、第1の軸に関して配設された第1の枢軸点及び第1の軸に直交する第2の軸に関して配設された第2の枢軸点を介して、第1の部分に対して回転させるように構成されている、第2の部分と、第2の部分に結合された2つ以上の挟持部材であって、互いに向かって、かつ第2の部分を通って延在している挿入チャネルに向かって力を印加するように配設されている、挟持部材と、を備え、挟持部材が、挿入チャネルを通過する試験物体との間に指定されたスタンドオフ距離を維持するように構成されており、第2の部分が、挿入チャネルを通過する試験中の物品の曲率の変化に倣うように、第1の枢軸点及び第2の枢軸点の両方を介して、第1の部分に対して受動的に回転するように構成されている、非破壊検査試験ヘッドである。
【0073】
態様36では、2つ以上の挟持部材が、第2の部分を物品に沿って平行移動させるときに、試験ヘッド又は試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるように構成されている、態様35に記載の主題。
【0074】
態様37では、2つ以上の第1の挟持部材が、ローラを含む、態様35又は36に記載の主題。
【0075】
態様38では、2つ以上の第1の挟持部材が、互いに向かって付勢される、態様35~37のいずれか1つに記載の主題。
【0076】
態様39で、2つ以上の挟持部材の間で少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させるように構成されたアクチュエータを備える、態様35~38のいずれか1つに記載の主題。
【0077】
態様40では、アクチュエータが、少なくとも1つの挟持部材を制御可能に移動させて、物品の挿入を容易にするように構成されている、態様39に記載の主題。
【0078】
態様41では、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つに取り付けられた線形拡張具であって、第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも1つが第1の軸及び第2の軸のうちの少なくとも1つに直交する線に沿って進行することを可能にするように構成された少なくとも1つの摺動機構を含む、線形拡張具を備え、第2の部分が、第1の軸及び第2の軸の周りを第1の部分に対して受動的に回転するように構成されており、第2の部分が、挿入チャネルを通過する試験中の物品の曲率に倣うように、第1の軸及び第2の軸両方に直交する線に沿って受動的に進行するように構成されている、態様35~40のいずれか1つに記載の主題。
【0079】
態様42では、第1の軸及び第2の軸両方に直交する線に沿って試験ヘッドの少なくとも一部分に力を提供するように構成された少なくとも1つのアクチュエータであって、この力が、試験ヘッドへの重力に対抗するように、かつ挿入チャネルを通過する試験物体のプロファイル形状の変化に倣うように線に沿った自由な進行を可能にするフレームを懸架するように選択される、少なくとも1つのアクチュエータを備える、態様41に記載の主題。
【0080】
態様43では、第1の部分が、ガントリ又はロボットマニピュレータのうちの少なくとも1つと機械的に結合されている、態様35~42のいずれか1つに記載の主題。
【0081】
態様44では、第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリが、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを備える、態様35~43のいずれか1つに記載の主題。
【0082】
態様45では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、音響トランスデューサの線形アレイを備える、態様35~44のいずれか1つに記載の主題。
【0083】
態様46では、第1のNDTトランスデューサアセンブリ又は第2のNDTトランスデューサアセンブリのうちの少なくとも1つが、渦電流(EC)トランスデューサを備える、態様35~45のいずれか1つに記載の主題。
【0084】
態様47では、試験ヘッドの少なくとも一部分を浸漬可能である、カプラント媒体を収容するように構成された槽を含む、態様35~46のいずれか1つに記載の主題。
【0085】
態様48では、第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリがカプラント媒体中に浸漬されたときに、試験中の物品と第1のトランスデューサアセンブリ及び第2のトランスデューサアセンブリとの間の領域における気泡の形成を抑制するように構成されたポートを備える、態様35~47のいずれか1つに記載の主題。
【0086】
態様49は、処理回路によって実行された場合に、処理回路に態様1~48のいずれかを実装するための動作を実行させる命令を含む少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0087】
態様50は、態様1~48のいずれかの実装手段を備える装置である。
【0088】
態様51は、態様1~48のいずれかを実装するシステムである。
【0089】
態様52は、態様1~48のいずれかを実装する方法である。
【0090】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面の参照を含むことができる。図面は、例解として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも称される。そのような例は、図示又は説明されるものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示又は説明される要素のみが提供される実施例も企図する。更に、本発明者らは、本明細書に図示又は説明される特定の実施例(若しくはその1つ以上の態様)に関して又は他の実施例(若しくはその1つ以上の態様)に関して図示又は説明されるそれらの要素(若しくはその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用する実施例も想到する。
【0091】
本文書と、そのように参照により組み込まれた任意の文書と、の間で使用法が矛盾している場合は、本文書の使用法が優先される。本文書において、「含む(including)」及び「それに(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、限定されておらず、すなわち、特許請求項のそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含み得るシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然として、その特許請求項の範囲内にあるとみなされる。
【0092】
本文書において、「a」又は「an」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の事例又は使用法とは無関係に、1つ以上を含むように使用される。本文書において、「又は」という用語は、別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含み得るように、非排他的論理和を指すために使用される。本文書において、「含む(including)」及び「それに(in which)」という用語は、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、限定されておらず、すなわち、特許請求項のそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含み得るシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然として、その特許請求項の範囲内にあるとみなされる。更に、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語などは、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数値的要件を課すことを意図するものではない。
【0093】
上記の説明は、例解的であり、限定的ではないことが意図される。例えば、上で説明される例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実施形態を使用することができ、例えば、上記の説明を見直す際に当業者によって使用することができる。要約書は、読者が技術開示の性質を迅速に確認することを可能にするように提供される。特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の「発明を実施するための形態」では、様々な特徴を一緒にグループ化して、本開示を合理化することができる。これは、請求されていない開示された特徴が任意の特許請求項に不可欠であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあり得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、実施例又は実施形態として本明細書の「発明を実施するための形態」に組み込まれており、各請求項は、別個の実施形態として単独で成立しており、かかる実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができることが想到される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非破壊検査試験ヘッドであって、
第1の部分と、
前記第1の部分に対して少なくとも2つの機械的自由度をサポートするように前記第1の部分と機械的に結合された第2の部分であって、前記第2の部分が、
互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、
前記少なくとも2つの第1の挟持部材に対して直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、前記試験中の物品と、前記第1のNDTトランスデューサアセンブリに対して直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、を備える、第2の部分と、を備え非破壊検査試験ヘッド。
【請求項2】
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の部分に対して受動的に再配向されるように構成されている、請求項1に記載の試験ヘッド
【請求項3】
前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記少なくとも2つの第1の挟持部材が、前記試験ヘッド又は前記試験中の物品のうちの少なくとも1つを変位させるように構成されている、請求項1に記載の試験ヘッド。
【請求項4】
前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記試験ヘッド又は前記物品のうちの少なくとも1つが、前記第2の部分の少なくとも1つの中央面に対してセンタリングされたままである、請求項に記載の試験ヘッド。
【請求項5】
前記少なくとも2つの第1の挟持部材が、互いに向かって付勢される、請求項1~4のいずれか一項に記載の試験ヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも2つの機械的自由度が、第1の回転自由度と、前記第1の回転自由度に直交して確立された第2の回転自由度と、を含む、請求項に記載の試験ヘッド。
【請求項7】
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記物品に沿って平行移動させるときに、前記物品のプロファイルの変化に倣うように、前記第1の回転自由度及び前記第2の回転自由度の両方の周りに前記第1の部分に対して回転するように構成されている、請求項に記載の試験ヘッド。
【請求項8】
前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つと機械的に結合された第3の部分であって、線形自由度をサポートする、第3の部分を備える、請求項又はに記載の試験ヘッド。
【請求項9】
前記第1の回転自由度が、第1の軸の周りに確立され、
前記第2の回転自由度が、第2の軸の周りに確立され、
前記線形自由度が、前記第1の部分又は前記第2の部分のうちの少なくとも1つが前記第1の軸及び前記第2の軸のうちの少なくとも1つに直交して配向された線に沿って前記第3の部分に対して進行するための自由を含む、請求項に記載の試験ヘッド。
【請求項10】
前記第2の部分が、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の回転自由度、前記第2の回転自由度、及び前記線形自由度を介して再配向されるように構成されている、請求項に記載の試験ヘッド。
【請求項11】
前記第3の部分が、付勢又はアクチュエータのうちの少なくとも1つを備えるか、又はそれに結合されており、前記付勢又はアクチュエータが、前記試験ヘッドへの重力に対抗するように構成されており、前記重力に前記対抗することが、前記第2の部分を前記試験中の物品に沿って平行移動させてNDT検査を実行するときに、受動的再配向を容易にする、請求項又は10に記載の試験ヘッド。
【請求項12】
第2の部分が、前記試験中の物品に沿って変化する前記試験中の物品のプロファイルに倣うことを含む、前記試験中の物品に沿って受動的に再配向されるように構成されている、請求項1に記載の試験ヘッド。
【請求項13】
前記第1のNDTトランスデューサアセンブリ及び前記第2のNDTトランスデューサアセンブリが、音響トランスデューサの線形アレイ又は渦電流(EC)トランスデューサのうちの少なくとも1つを含む、それぞれの音響トランスデューサアセンブリを備える、請求項1に記載の試験ヘッド。
【請求項14】
試験ヘッドを介して試験中の物品を非破壊検査するための方法であって、前記方法が、
前記試験中の物品を、
互いに向かって力を印加して、試験中の物品と第1の非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリとの間に指定された第1のスタンドオフ距離を確立するように構成された少なくとも2つの第1の挟持部材と、
前記少なくとも2つの第1の挟持部材に対して直交して配向された少なくとも2つの第2の挟持部材であって、互いに向かって力を印加して、前記試験中の物品と、前記第1のNDTトランスデューサアセンブリに対して直交して配向された第2のNDTトランスデューサアセンブリと、の間に指定された第2のスタンドオフ距離を確立するように構成された、少なくとも2つの第2の挟持部材と、の間で挟持するステップと、
前記試験中の物品を、その長さに沿って、かつ前記少なくとも2つの第1の挟持部材及び前記少なくとも2つの第2の挟持部材に対して平行移動させるステップと、
前記平行移動中に、前記第1の指定されたスタンドオフ距離及び前記第2の指定されたスタンドオフ距離を維持するために、前記第1の部分に対して及び少なくとも2つの機械的自由度の周りで、前記少なくとも2つの第1の挟持部材及び前記少なくとも2つの第2の挟持部材を収容する第2の部分を受動的に再配向するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
非破壊検査試験ヘッドであって、
第1の部分と、
少なくとも1つの非破壊試験(NDT)トランスデューサアセンブリを含む第2の部分であって、第1の軸に関して配設された第1の枢軸点及び前記第1の軸に直交する第2の軸に関して配設された第2の枢軸点を介して、前記第1の部分に対して回転させるように構成されている、第2の部分と、
前記第2の部分に結合された2つ以上の挟持部材であって、互いに向かって、かつ前記第2の部分を通って延在している挿入チャネルに向かって力を印加するように配設されている、挟持部材と、を備え、
前記挟持部材が、前記挿入チャネルを通過する試験物体との間に指定されたスタンドオフ距離を維持するように構成されており、
前記第2の部分が、前記挿入チャネルを通過する試験中の物品の曲率の変化に倣うように、前記第1の枢軸点及び前記第2の枢軸点の両方を介して、前記第1の部分に対して受動的に回転するように構成されている、非破壊検査試験ヘッド。
【国際調査報告】