(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒系および重合方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20240912BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F210/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517460
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 IB2022058783
(87)【国際公開番号】W WO2023042155
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モリソン、ダリル
(72)【発明者】
【氏名】チウ、フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ゴエッテル、ジェイムズ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、シャオリャン
(72)【発明者】
【氏名】スマイリー、ジャネール
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA04Q
4J100AA16Q
4J100AA19Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA19
4J100FA10
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100FA30
4J128AA01
4J128AC10
4J128AC20
4J128AD08
4J128AD11
4J128AD13
4J128AD16
4J128AE05
4J128BA02A
4J128BB01A
4J128BC12A
4J128BC12B
4J128BC13A
4J128BC14A
4J128BC15A
4J128BC25A
4J128EA02
4J128EC02
4J128ED01
4J128ED02
4J128ED03
4J128ED04
4J128EF02
4J128FA02
4J128FA07
4J128GA01
4J128GA06
4J128GA16
4J128GB01
(57)【要約】
オレフィン重合方法は、予備重合触媒と、ホウ素系触媒活性化剤と、アルキルアルミノキサン助触媒と、ヒンダードフェノール化合物とを含む触媒系の存在下で行われる。予備重合触媒は、チタン錯体であり、インデノインドリル配位子がシリル基を介してフェノキシ配位子に架橋されている。触媒系は、高温での溶液相重合方法においてエチレンをアルファ-オレフィンと重合するのに有効であり、高分子量および高いアルファ-オレフィン取り込み度を有するエチレンコポリマーを生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化1】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含むオレフィン重合触媒系の存在下で、エチレンを任意選択で1つまたは2つ以上のC
3~C
12アルファ-オレフィンと重合することを含む重合方法。
【請求項2】
エチレンを1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルファ-オレフィンと重合することを含む、請求項1に記載の重合方法。
【請求項3】
エチレンを1-オクテンと重合することを含む、請求項1に記載の重合方法。
【請求項4】
溶媒中で行われる溶液相重合方法である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項5】
溶媒中で行われる連続溶液相重合方法である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項6】
前記連続溶液相重合方法が少なくとも1つの連続撹拌槽型反応器で行われる、請求項5に記載の重合方法。
【請求項7】
前記連続溶液相重合方法が少なくとも160℃の温度で行われる、請求項5に記載の重合方法。
【請求項8】
R
1A、R
2A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
11A、R
1B、R
2B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9BおよびR
11Bが水素である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項9】
R
3AおよびR
3Bがヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項10】
R
3AおよびR
3Bがアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項11】
R
3AおよびR
3Bがメチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項12】
R
10AおよびR
10Bがヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項13】
R
10AおよびR
10Bがアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項14】
R
10AおよびR
10Bがメチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項15】
R
10AおよびR
10Bがヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項16】
R
10AおよびR
10Bがアルコキシ基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項17】
R
10AおよびR
10Bがメトキシ基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項18】
R
12AおよびR
12Bがヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項19】
R
12AおよびR
12Bがアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項20】
R
12AおよびR
12Bがtert-ブチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項21】
R
12AおよびR
12Bが1-アダマンチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項22】
R
13AおよびR
13Bがヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項23】
R
13AおよびR
13Bがアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項24】
R
13AおよびR
13Bがメチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項25】
R
13AおよびR
13Bがn-ペンチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項26】
R
13AおよびR
13Bがアリールアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項27】
R
13AおよびR
13Bが3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項28】
各R
14Aおよび各R
14Bがヒドロカルビル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項29】
各R
14Aおよび各R
14Bがアルキル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項30】
各R
14Aおよび各R
14Bがエチル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項31】
各R
14Aおよび各R
14Bがアリール基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項32】
各R
14Aおよび各R
14Bがフェニル基または置換フェニル基である、請求項1に記載の重合方法。
【請求項33】
各Xがメチルまたはクロリドである、請求項1に記載の重合方法。
【請求項34】
前記ホウ素系触媒活性化剤が、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me
2NHPh][B(C
6F
5)
4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph
3C][B(C
6F
5)
4]」)からなる群から選択される、請求項1に記載の重合方法。
【請求項35】
前記ヒンダードフェノール化合物が2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールである、請求項1に記載の重合方法。
【請求項36】
i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化2】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含むオレフィン重合触媒系。
【請求項37】
R
1A、R
2A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
11A、R
1B、R
2B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9BおよびR
11Bが水素である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項38】
R
3AおよびR
3Bがヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項39】
R
3AおよびR
3Bがアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項40】
R
3AおよびR
3Bがメチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項41】
R
10AおよびR
10Bがヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項42】
R
10AおよびR
10Bがアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項43】
R
10AおよびR
10Bがメチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項44】
R
10AおよびR
10Bがヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項45】
R
10AおよびR
10Bがアルコキシ基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項46】
R
10AおよびR
10Bがメトキシ基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項47】
R
12AおよびR
12Bがヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項48】
R
12AおよびR
12Bがアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項49】
R
12AおよびR
12Bがtert-ブチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項50】
R
12AおよびR
12Bが1-アダマンチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項51】
R
13AおよびR
13Bがヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項52】
R
13AおよびR
13Bがアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項53】
R
13AおよびR
13Bがメチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項54】
R
13AおよびR
13Bがn-ペンチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項55】
R
13AおよびR
13Bがアリールアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項56】
R
13AおよびR
13Bが3,5-ジ-tert-ブチル-フェニル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項57】
各R
14Aおよび各R
14Bがヒドロカルビル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項58】
各R
14Aおよび各R
14Bがアルキル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項59】
各R
14Aおよび各R
14Bがエチル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項60】
各R
14Aおよび各R
14Bがアリール基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項61】
各R
14Aおよび各R
14Bがフェニル基または置換フェニル基である、請求項36に記載の重合方法。
【請求項62】
各Xがメチルまたはクロリドである、請求項36に記載の重合方法。
【請求項63】
前記ホウ素系触媒活性化剤が、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me
2NHPh][B(C
6F
5)
4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph
3C][B(C
6F
5)
4]」)からなる群から選択される、請求項36に記載の重合方法。
【請求項64】
前記ヒンダードフェノール化合物が2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールである、請求項36に記載の重合方法。
【請求項65】
式VI:
【化3】
を有する有機金属錯体を作製する方法であって、
単一反応容器内で以下の反応:
(i)式V:
【化4】
を有するシクロペンタジエニル含有化合物または前記式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物の二重結合異性体を塩基と合わせ、引き続いて、式VII:
【化5】
によって表される化合物を添加すること;
(ii)任意選択で過剰のトリアルキルアミン化合物、(R
F)
3Nの存在下で、少なくとも2モル当量のアルキルリチウム試薬、(R
E)Liを添加すること;
(iii)式TiCl
2(X
ε)
2(D)
nを有する第IV族遷移金属化合物を添加すること;
(iv)任意選択で、式Cl
xSi(R
ε)
4-x(式中、各R
ε基は独立して、C
1~20アルキル基である)を有するシラン化合物を添加すること;
(v)任意選択で、式(R
G)M、(R
G)(R
H)Mgまたは(R
G)
2Znを有するアルキル化剤を添加すること;
(vi)任意選択で、前の工程のいずれかの間で反応溶媒を切り替えること
を順次に行うことを含む方法
(式中、R
A、R
B、R
CおよびR
Dはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
A、R
B、R
CおよびR
Dからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
9、R
10、R
11およびR
12はそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
9、R
10、R
11およびR
12からなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
各R
14は独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子であり;
X
εは、ハライド、C
1~20アルコキシ基または式-NR’
2(式中、R’基は独立して、C
1~30アルキル基またはC
6~10アリール基である)を有するアミド基であり;
R
EはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
FはC
1~10アルキル基であり;
R
GはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
Hは、C
1~20ヒドロカルビル基、ハライドまたはC
1~20アルコキシ基であり;
Mは、Li、NaまたはKであり、;
Dは電子供与体化合物であり;
n=1または2である)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オレフィン重合触媒系は、エチレンをアルファ-オレフィンと重合して、高分子量および高度の短鎖分岐を有するエチレンコポリマーを生成する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの重合を行うために、多種多様なシングルサイト触媒が開発されている。例えば、インデノインドリル配位子によって担持されたメタロセン重合触媒が知られている。いわゆる「ハーフサンドイッチ型」錯体である、フェノキシ型配位子に結合したインデノインドリル配位子を含むシクロペンタジエニル型配位子を有する重合触媒も知られている。
【0003】
溶液相オレフィン重合などの高温オレフィン重合方法で使用するためのシングルサイト触媒の性能を高めることが引き続き望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らはここで、配位子誘導体化を特定の活性化戦略と組み合わせて、溶液相中、高温で、エチレンを任意選択でアルファ-オレフィンと重合するための触媒活性を改善するオレフィン重合触媒系を報告する。
【0005】
ある実施形態は、
i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化1】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含むオレフィン重合触媒系である。
【0006】
ある実施形態は、
i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化2】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含む重合触媒系の存在下で、エチレンを任意選択で1つまたは2つ以上のC
3~C
12アルファ-オレフィンと重合することを含む重合方法である。
【0007】
ある実施形態では、重合方法は、エチレンを1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルファ-オレフィンと重合することを含む。
【0008】
ある実施形態では、重合方法は、エチレンを1-オクテンと重合することを含む。
【0009】
ある実施形態では、重合方法は、溶媒中で行われる溶液相重合方法である。
【0010】
ある実施形態では、重合方法は、溶媒中で行われる連続溶液相重合方法である。
【0011】
ある実施形態では、連続溶液相重合方法は少なくとも1つの連続撹拌槽型反応器で行われる。
【0012】
ある実施形態では、連続溶液相重合方法は少なくとも160℃の温度で行われる。
【0013】
ある実施形態では、R1A、R2A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R11A、R1B、R2B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9BおよびR11Bは水素である。
【0014】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはヒドロカルビル基である。
【0015】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアルキル基である。
【0016】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはヒドロカルビル基である。
【0017】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアルキル基である。
【0018】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0019】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアルコキシ基である。
【0020】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはヒドロカルビル基である。
【0021】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアルキル基である。
【0022】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはヒドロカルビル基である。
【0023】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアルキル基である。
【0024】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアリールアルキル基である。
【0025】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはヒドロカルビル基である。
【0026】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアルキル基である。
【0027】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアリール基である。
【0028】
ある実施形態では、各Xはメチルまたはクロリドである。
【0029】
ある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)からなる群から選択される。
【0030】
ある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤はトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)である。
【0031】
ある実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールである。
【0032】
ある実施形態は、式VI:
【化3】
を有する有機金属錯体を作製する方法であって、
単一反応容器内で以下の反応:
(i)式V:
【化4】
を有するシクロペンタジエニル含有化合物または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物の二重結合異性体を塩基と合わせ、引き続いて、式VII:
【化5】
によって表される化合物を添加すること;
(ii)任意選択で過剰のトリアルキルアミン化合物、(R
F)
3Nの存在下で、少なくとも2モル当量のアルキルリチウム試薬、(R
E)Liを添加すること;
(iii)式TiCl
2(X
ε)
2(D)
nを有する第IV族遷移金属化合物を添加すること;
(iv)任意選択で、式Cl
xSi(R
ε)
4-x(式中、各R
ε基は独立して、C
1~20アルキル基である)を有するシラン化合物を添加すること;
(v)任意選択で、式(R
G)M、(R
G)(R
H)Mgまたは(R
G)
2Znを有するアルキル化剤を添加すること;
(vi)任意選択で、前の工程のいずれかの間で反応溶媒を切り替えること
を順次に行うことを含む方法
(式中、R
A、R
B、R
CおよびR
Dはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
A、R
B、R
CおよびR
Dからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
9、R
10、R
11およびR
12はそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
9、R
10、R
11およびR
12からなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
各R
14は独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子であり;
X
εは、ハライド、C
1~20アルコキシ基または式-NR’
2(式中、R’基は独立して、C
1~30アルキル基またはC
6~10アリール基である)を有するアミド基であり;
R
EはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
FはC
1~10アルキル基であり;
R
GはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
Hは、C
1~20ヒドロカルビル基、ハライドまたはC
1~20アルコキシ基であり;
Mは、Li、NaまたはKであり、;
Dは電子供与体化合物であり;
n=1または2である)である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の有機金属錯体、発明例28のオークリッジ熱楕円体プロット(Oak Ridge Thermal Ellipsoid Plot)(ORTEP)を示す図である。ORTEPは、X線回折によって決定される本開示の有機金属錯体の分子構造の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、化学的に反応し、かつそれ自体または他のモノマーと化学的に結合した状態になってポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」または「アルファ-オレフィン」という用語は、鎖の一方の末端に二重結合を有する、3~20個の炭素原子を含有する直鎖炭化水素鎖を有するモノマーを記載するために使用される。等価な用語は「直鎖α-オレフィン」である。本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」または「エチレンポリマー」という用語は、エチレンポリマーを作製するために使用される特定の触媒または特定の方法に関係なく、エチレンモノマーと任意選択で1つまたは複数の追加のモノマーから作製された高分子を指す。ポリエチレン分野では、1つまたは複数の追加のモノマーは「コモノマー」と呼ばれ、多くの場合、α-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、1種類のみのモノマーを含有するポリマーを指す。「エチレンホモポリマー」は、重合性モノマーとしてエチレンのみを使用して作製される。「コポリマー」という用語は、2種類以上のモノマーを含有するポリマーを指す。「エチレンコポリマー」は、エチレンと1つまたは複数の他の種類の重合性モノマーを使用して作製される。一般的なポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultralow density polyethylene、ULDPE)、プラストマーおよびエラストマーが挙げられる。ポリエチレンという用語はまた、エチレンに加え、2つ以上のコモノマーを含み得るポリエチレンターポリマーも含む。ポリエチレンという用語はまた、上記ポリエチレンの組合せまたはブレンドも含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビルラジカル」または「ヒドロカルビル基」という用語は、水素および炭素を含み、水素が1つ欠けている、直鎖または分岐の脂肪族ラジカル、オレフィンラジカル、アセチレンラジカルおよびアリール(芳香族)ラジカルを指す。「環状ヒドロカルビル基」という用語は、環状部分を含み、1つもしくは2つ以上の環状芳香族環、および/または1つもしくは2つ以上の非芳香族環を有し得るヒドロカルビル基を暗示する。「非環式ヒドロカルビル基」という用語は、その中に存在する芳香族環構造または非芳香族環構造などの環状部分を有さないヒドロカルビル基を暗示する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という語句は、炭素および炭素に結合し得る水素以外の任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有」または「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基」という用語は、1個または2個以上の非炭素原子がヒドロカルビル基中に存在し得ることを意味する。ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基中に存在し得る非炭素原子のいくつかの非限定的な例はN、O、S、PおよびSi、ならびにハライド、例えばBrおよび金属、例えばSnである。ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基のいくつかの非限定的な例としては、例えば、アリールオキシ基、アルコキシ基、アルキルアリールオキシ基およびアリールアルコキシ基が挙げられる。ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基のさらなる非限定的な例としては、一般に、例えばイミン、アミン部分、オキシド部分、ホスフィン部分、エーテル、ケトン、複素環、オキサゾリン、チオエーテルなどが挙げられる。
【0038】
本開示のある実施形態では、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含有するヒドロカルビル基である。
【0039】
「環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」または「複素環式」という用語は、例えばホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子をさらに含む炭素骨格を有する環系を指す。
【0040】
本開示のある実施形態では、環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基は、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素および硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含有する環状ヒドロカルビル基である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「アルキルラジカル」または「アルキル基」は、水素ラジカルが1つ欠けている直鎖、分岐および環状パラフィンラジカルを含む。非限定的な例としては、メチル(-CH3)およびエチル(-CH2CH3)ラジカルが挙げられる。「アルケニルラジカル」または「アルケニル基」という用語は、水素ラジカルが1つ欠けている炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含有する直鎖、分岐および環状炭化水素を指す。「アルキニルラジカル」または「アルキニル基」という用語は、水素ラジカルが1つ欠けている炭素-炭素三重結合を少なくとも1つ含有する直鎖、分岐および環状炭化水素を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アリールラジカル」または「アリール基」という用語は、フェニルラジカル、ナフチルラジカル、ピリジルラジカルおよび他のラジカルを含むが、これらのラジカルの分子は、芳香族環構造を有する。非限定的な例としては、ナフタレン、フェナントレンおよびアントラセンが挙げられる。「アルキルアリール」基は、そこからぶら下がっているアリール基を有するアルキル基である。非限定的な例としては、ベンジル、フェネチルおよびトリルメチルが挙げられる。「アリールアルキル」は、そこからぶら下がっている1つまたは複数のアルキル基を有するアリール基である。非限定的な例としては、トリル、キシリル、メシチルおよびクミルが挙げられる。
【0043】
「アルコキシ基」は、そこからぶら下がっているアルキル基を有するオキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。「アルキルアリールオキシ基」は、そこからぶら下がっているアルキルアリール基を有するオキシ基である(明確にするために、アルキル部分はオキシ部分に結合しており、アリール基はアルキル部分に結合している)。
【0044】
「アリールオキシ」基は、そこからぶら下がっているアリール基を有するオキシ基であり、例えばフェノキシ基などが挙げられる。「アリールアルキルオキシ基」は、そこからぶら下がっているアリールアルキル基を有するオキシ基である(明確にするために、アリール部分はオキシ部分に結合しており、アルキル基はアリール部分に結合している)。
【0045】
本開示において、ヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基は、非置換であるかまたは置換されているとしてさらに具体的に定義され得る。本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、水素ラジカルが非置換という用語によって言及される分子基に結合されていることを意味する。「置換」という用語は、この用語によって言及される基が、基内の任意の位置で1つまたは複数の水素ラジカルと置換される1つまたは複数の部分を有することを意味する。部分の非限定的な例としては、ハロゲンラジカル(F、Cl、Br)、アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミド基、シリル基またはゲルマニル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、フェニル基、ナフチル基、C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基およびそれらの組合せが挙げられる。
【0046】
本開示の実施形態では、任意のヒドロカルビル基および/または任意のヘテロ原子含有ヒドロカルビル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0047】
本明細書に記載される重合触媒または錯体は、オレフィンからポリマーを提供するために、1つまたは複数の助触媒種または触媒活性化剤種による活性化を必要とする。したがって、活性化されていない重合触媒または錯体は、「予備重合触媒」(“pre-polymerization catalyst”:プレ重合触媒)として記載され得る。
【0048】
実施形態では、本開示に記載され、使用される予備重合触媒は、ホウ素系触媒活性化剤、アルキルアルミノキサン助触媒およびヒンダードフェノール化合物と組み合わせた場合に、活性が改善される。
【0049】
したがって、本開示のある実施形態は、i)予備重合触媒と;ii)ホウ素系触媒活性化剤と;iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;iv)ヒンダードフェノール化合物とを含むオレフィン重合触媒系である。
【0050】
本開示の別の実施形態は、i)予備重合触媒と;ii)ホウ素系触媒活性化剤と;iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;iv)ヒンダードフェノール化合物とを含むオレフィン重合触媒系の存在下で、エチレンを任意選択で1つまたは2つ以上のC3~C12アルファ-オレフィンと重合することを含む重合方法である。
【0051】
予備重合触媒
本開示で使用される予備重合触媒は、一般に、いわゆる「シングルサイト触媒」と見なされ得るが、「シングルサイト触媒」という用語は、本明細書において、当該重合触媒をチーグラー・ナッタ触媒またはクロム系触媒などの伝統的なマルチサイト重合触媒と見なされる重合触媒と区別するために使用される。当業者であれば、例えば、メタロセン触媒、拘束幾何触媒、およびホスフィンイミン触媒が全て一般に「シングルサイト触媒」と見なされるが、これらの「シングルサイト触媒」の各々が、ある特定の条件下で、マルチサイト触媒挙動と見なされ得る挙動も示し得ることを理解するであろう。これは、本開示で使用される予備重合触媒にも当てはまるため、「シングルサイト触媒」という用語は、マルチサイト挙動の態様を示し得る予備重合触媒を排除することを意味しない。
【0052】
本開示のある実施形態では、予備重合触媒は、構造IまたはII:
【化6】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく(すなわち、2つのR
14A基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく(すなわち、2つのR
14B基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各Xは活性化可能配位子である)を有する。
【0053】
ある実施形態では、R1AおよびR1Bは水素である。
【0054】
ある実施形態では、R2AおよびR2Bは水素である。
【0055】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bは水素である。
【0056】
ある実施形態では、R4AおよびR4Bは水素である。
【0057】
ある実施形態では、R5AおよびR5Bは水素である。
【0058】
ある実施形態では、R6AおよびR6Bは水素である。
【0059】
ある実施形態では、R7AおよびR7Bは水素である。
【0060】
ある実施形態では、R8AおよびR8Bは水素である。
【0061】
ある実施形態では、R9AおよびR9Bは水素である。
【0062】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bは水素である。
【0063】
ある実施形態では、R11AおよびR11Bは水素である。
【0064】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bは水素である。
【0065】
ある実施形態では、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R10A、R11A、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9B、R10BおよびR11Bは水素である。
【0066】
ある実施形態では、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R11A、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9BおよびR11Bは水素である。
【0067】
ある実施形態では、R1A、R2A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R10A、R11A、R1B、R2B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9B、R10BおよびR11Bは水素である。
【0068】
ある実施形態では、R1A、R2A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R11A、R1B、R2B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9BおよびR11Bは水素である。
【0069】
本開示のある実施形態では、予備重合触媒は、構造IIIまたはIV:
【化7】
(式中、
R
3A、R
10AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
3B、R
10BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく(すなわち、2つのR
14A基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく(すなわち、2つのR
14B基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各Xは活性化可能配位子である)を有する。
【0070】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはヒドロカルビル基である。
【0071】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアルキル基である。
【0072】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアリール基である。
【0073】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bは、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0074】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bは、3~20個の炭素原子を有する分岐アルキル基である。
【0075】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルからなる群から選択される。
【0076】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはメチル基である。
【0077】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアルキルアリール基である。
【0078】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアリールアルキル基である。
【0079】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0080】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアルコキシ基である。
【0081】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはアリールオキシ基である。
【0082】
ある実施形態では、R3AおよびR3Bはメトキシ基である。
【0083】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはヒドロカルビル基である。
【0084】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアルキル基である。
【0085】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアリール基である。
【0086】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bは、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0087】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bは、3~20個の炭素原子を有する分岐アルキル基である。
【0088】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルからなる群から選択される。
【0089】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはメチル基である。
【0090】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアルキルアリール基である。
【0091】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアリールアルキル基である。
【0092】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0093】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアルコキシ基である。
【0094】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはアリールオキシ基である。
【0095】
ある実施形態では、R10AおよびR10Bはメトキシ基である。
【0096】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはヒドロカルビル基である。
【0097】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアルキル基である。
【0098】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアリール基である。
【0099】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bは、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0100】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bは、3~20個の炭素原子を有する分岐アルキル基である。
【0101】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルからなる群から選択される。
【0102】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはメチル基である。
【0103】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはtert-ブチル基である。
【0104】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bは1-アダマンチル基である。
【0105】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアルキルアリール基である。
【0106】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアリールアルキル基である。
【0107】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0108】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアルコキシ基である。
【0109】
ある実施形態では、R12AおよびR12Bはアリールオキシ基である。
【0110】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはヒドロカルビル基である。
【0111】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアルキル基である。
【0112】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアリール基である。
【0113】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bは、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0114】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bは、3~20個の炭素原子を有する分岐アルキル基である。
【0115】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルからなる群から選択される。
【0116】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはメチル基である。
【0117】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアルケニル基である。
【0118】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアルキルアリール基である。
【0119】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはアリールアルキル基である。
【0120】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bは3,5-ジ-tert-ブチル-フェニル基である。
【0121】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはn-ペンチル基である。
【0122】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはn-ペンテニル基(-CH2CH2CH2CH=CH2)である。
【0123】
ある実施形態では、R13AおよびR13Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0124】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはヒドロカルビル基である。
【0125】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアルキル基である。
【0126】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bは、2~12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0127】
ある実施形態では、R14AおよびR14Bは、3~20個の炭素原子を有する分岐アルキル基である。
【0128】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルおよびn-オクチルからなる群から選択される。
【0129】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはエチルである。
【0130】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアルキルアリール基である。
【0131】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bは置換または非置換ベンジル基である。
【0132】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアリールアルキル基である。
【0133】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはアリール基である。
【0134】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bは置換または非置換フェニル基である。
【0135】
ある実施形態では、一方のR14Aおよび一方のR14Bは水素であり、他方のR14Aおよび他方のR14Bはヒドロカルビル基である。ある実施形態では、一方のR14Aおよび一方のR14Bは水素であり、他方のR14Aおよび他方のR14Bはアルキル基である。ある実施形態では、一方のR14Aおよび一方のR14Bは水素であり、他方のR14Aおよび他方のR14Bはアリール基である。ある実施形態では、一方のR14Aおよび一方のR14Bは水素であり、他方のR14Aおよび他方のR14Bはアルキルアリール基である。ある実施形態では、一方のR14Aおよび一方のR14Bは水素であり、他方のR14Aおよび他方のR14Bはアリールアルキル基である。
【0136】
ある実施形態では、各R14Aおよび各R14Bはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である。
【0137】
ある実施形態では、2つのR14A基は互いに結合して環を形成し、2つのR14B基は互いに結合して環を形成する(すなわち、2つのR14A基は環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成し、2つのR14B基は環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成する)。
【0138】
当業者であれば、金属中心を含む対称面が存在しない場合、シクロペンタジエニル部分のどの面が金属中心に配位しているかに応じて、2つのエナンチオマー形態(エナンチオマー異性体)または2つのジアステレオマー形態(ジアステレオマー異性体)が利用可能であり得ることを知っているだろう。2つの異性体形態が互いに重ね合わせることができない鏡像である場合、それらは互いにエナンチオマーである。2つの異性体形態が重ね合わせることができず、互いに鏡像ではない場合、それらは互いにジアステレオマーである。
【0139】
本開示において、シクロペンタジエニル部分は金属中心に対して鏡面対称ではないので、当業者であれば、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R10A、R11A、R12A、R13A、R14A、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9B、R10B、R11B、R12B、R13B、R14B基の性質に応じて、構造Iまたは構造IIに示される触媒が2つのエナンチオマー形態または2つのジアステレオマー形態で存在し得ることを認識するだろう。
【0140】
例えば、シリル架橋部分上に異なる置換基が存在する場合、または配位子骨格上のどこか(例えば、R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R10A、R11A、R12A、R13A、R14A、R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9B、R10B、R11B、R12B、R13B、R14B基位置のうちの1つまたは複数)に位置する1つもしくは2つ以上のキラル基が存在する場合、シクロペンタジエニル部分のどの面が金属中心に配位しているかに応じて、触媒の2つのジアステレオマー形態(2つのジアステレオマー異性体)が利用可能である。
【0141】
本開示では、1つのエナンチオマー形態のみ、または1つのジアステレオマー形態のみが、例示される構造IまたはII(または構造IIIまたはIV)によって表され得るが、本開示は、2つの可能なエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態のいずれかを含むことを意味する。例えば、R
14A基が構造Iにおいて異なる場合、またはR
14B基が構造IIにおいて異なる場合、または2つのR
14A基が一緒になって金属中心を含む鏡面対称性のない環を形成する場合、または2つのR
14B基が一緒になって金属中心を含む鏡面対称性のない環を形成する場合、または配位子骨格上のどこか(例えば、R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11A、R
12A、R
13A、R
14A、R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11B、R
12B、R
13B、R
14B基位置のうちの1つまたは複数)に位置するキラル基が金属中心を含む鏡面対称性を乱す場合、2つのジアステレオマー形態(2つのジアステレオマー異性体)が利用可能である。明確にするために、構造Iの2つの可能なエナンチオマー形態(エナンチオマー異性体)またはジアステレオマー形態(ジアステレオマー異性体)は、シクロペンタジエニル部分の異なる面が金属中心に配位している構造IAおよびIBによって表され得る:
【化8】
【0142】
同様に、構造IIの2つの可能なエナンチオマー形態(エナンチオマー異性体)またはジアステレオマー形態(ジアステレオマー異性体)は、シクロペンタジエニル部分の異なる面が金属中心に配位している構造IIAおよびIIBによって表され得る:
【化9】
【0143】
本開示では、「活性化可能配位子」という用語は、配位子Xがそれぞれ、プロトン化反応を介して金属中心(チタン、Ti)から切断され得るか、または、好適な酸性もしくは求電子性触媒活性化剤化合物(「助触媒」化合物としても知られている)によって金属中心から引き抜かれ得ることを意味し、その例は以下に説明される。活性化可能配位子Xはまた、金属中心から切断される、または金属中心から引き抜かれる別の配位子に変換されてもよい(例えば、ハライドはアルキル基に転換されてもよい)。いかなる単一の理論にも束縛されることを望むものではないが、プロトン化反応または引き抜き反応は、オレフィンを重合し得る活性「カチオン性」金属中心を生成する。
【0144】
本開示の実施形態では、活性化可能配位子Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、およびC6~20アリールまたはアリールオキシ基からなる群から独立して選択され;ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールまたはアリールオキシド基の各々は非置換であってもよく、またはさらに置換されていてもよい。2つのX配位子はまた、互いに接合され、例えば置換もしくは非置換ジエン配位子(すなわち、1,3-ブタジエン)またはアセタート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成してもよい。
【0145】
本開示のある実施形態では、各Xは、ハライド原子、C1~4アルキルラジカルおよびベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。
【0146】
ある実施形態では、各Xは、ハロゲン原子(例えば、クロリド)またはヒドロカルビル基(例えば、メチル基、ベンジル基)である。
【0147】
ある実施形態では、各Xはクロリドまたはメチドである。
【0148】
ある実施形態では、各Xはクロリドである。
【0149】
ある実施形態では、各Xはベンジル基である。
【0150】
ある実施形態では、各Xはメチドである。
【0151】
有機金属錯体(予備重合触媒)を作製する方法
本開示のある実施形態は、単一反応容器を使用して有機金属錯体(予備重合触媒)を作製する方法である。
【0152】
本開示のある実施形態は、式VI:
【化10】
を有する有機金属錯体(予備重合触媒)を作製する方法であって、
単一反応容器内で以下の反応:
(i)式V:
【化11】
を有するシクロペンタジエニル含有化合物または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物の二重結合異性体を塩基と合わせ、引き続いて、式VII:
【化12】
によって表される化合物を添加すること;
(ii)任意選択で過剰のトリアルキルアミン化合物、(R
F)
3Nの存在下で、少なくとも2モル当量のアルキルリチウム試薬、(R
E)Liを添加すること;
(iii)式TiCl
2(X
ε)
2(D)
nを有する第IV族遷移金属化合物を添加すること;
(iv)任意選択で、式Cl
xSi(R
ε)
4-x(式中、各R
ε基は独立して、C
1~20アルキル基である)を有するシラン化合物を添加すること;
(v)任意選択で、式(R
G)M、(R
G)(R
H)Mgまたは(R
G)
2Znを有するアルキル化剤を添加すること;
(vi)任意選択で、前の工程のいずれかの間で反応溶媒を切り替えること
を順次に行うことを含む方法
(式中、R
A、R
B、R
CおよびR
Dはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
A、R
B、R
CおよびR
Dからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
9、R
10、R
11およびR
12はそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
9、R
10、R
11およびR
12からなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
各R
14は独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14基が任意選択で結合して環を形成してもよく(すなわち、2つのR
14A基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各Xは活性化可能配位子であり;
X
εは、ハライド、C
1~20アルコキシ基または式-NR’
2(式中、R’基は独立して、C
1~30アルキル基またはC
6~10アリール基である)を有するアミド基であり;
R
EはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
FはC
1~10アルキル基であり;
R
GはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
Hは、R
Gと同じもしくは異なるC
1~20ヒドロカルビル基、ハライドまたはC
1~20アルコキシ基であり;
Mは、Li、NaまたはKであり、;
Dは電子供与体化合物であり;
n=1または2である)である。
【0153】
電子供与体化合物は当業者に周知であり、本開示のある実施形態では、Dはエーテル化合物、例えばテトラヒドロフラン、またはジエチルエーテルであり得る。
【0154】
実施形態では、有機金属錯体の製造に使用され得る塩基は、有機アルカリ金属化合物、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウムおよびアリルリチウムなどの有機リチウム化合物を含む。
【0155】
実施形態では、使用される塩基の量は、式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物またはその二重結合異性体1モル当たり0.5~5モルの範囲の塩基であり得る。さらなる実施形態では、使用される塩基の量は、式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物もしくはその二重結合異性体1モル当たり1.0~3.0モルの範囲の塩基であり得る;または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物もしくはその二重結合異性体1モル当たり1.5~2.5モルの範囲の塩基であり得る;または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物もしくはその二重結合異性体1モル当たり1.8~2.3モルの範囲の塩基であり得る;または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物もしくはその二重結合異性体1モル当たり約2モルの塩基であり得る。
【0156】
一部の実施形態では、塩基は、アミン化合物と組み合わせて使用され得る。このようなアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-オクチルアミン、n-デシルアミン、アニリンおよびエチレンジアミンなどの第一級アミン化合物、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジ-n-デシルアミン、ピロリジン、ヘキサメチルジシラザンおよびジフェニルアミンなどの第二級アミン化合物、ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-デシルアミン、トリフェニルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N-メチルピロリジンおよび4-ジメチルアミノピリジンなどの第三級アミン化合物が挙げられる。
【0157】
このようなアミン化合物の使用量は、本開示の実施形態では、塩基1モル当たり10モル以下、0.5~10モル、または1~3モルの範囲のアミン化合物である。
【0158】
金属化反応、工程(iii)は、一般に不活性溶媒中で行われる。実施形態では、このような溶媒としては、非プロトン性溶媒、例えば、ベンゼンまたはトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒、ヘキサンまたはヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたは1,4-ジオキサンなどのエーテル溶媒、ヘキサメチルリン酸アミドまたはジメチルホルムアミドなどのアミド溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノンなどの極性溶媒、ならびにクロロベンゼンまたはジクロロベンゼンなどのハロゲン化溶媒が挙げられる。実施形態では、これらの溶媒は、単独で、またはそれらの2つ以上の混合物として使用され得る。
【0159】
実施形態では、有機金属錯体は、従来の方法を使用して反応混合物から得ることができる、例えば、生成した沈殿を濾別するか、または溶媒を真空下で除去して、有機金属錯体を生成物として得て、これを任意選択で溶媒で洗浄することができる。
【0160】
実施形態では、活性化可能配位子Xは、水素原子、ハロゲン原子、C1~20ヒドロカルビル基、C1~20アルコキシ基、およびC6~20アリールまたはアリールオキシ基からなる群から独立して選択され;ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールまたはアリールオキシド基の各々は非置換であってもよく、またはさらに置換されていてもよい。2つのX配位子はまた、互いに接合され、例えば置換もしくは非置換ジエン配位子(すなわち、1,3-ブタジエン)またはアセタート基などの非局在化ヘテロ原子含有基を形成してもよい。
【0161】
ある実施形態では、各Xは、ハライド原子、C1~4アルキルラジカルおよびベンジルラジカルからなる群から独立して選択される。
【0162】
ある実施形態では、各Xは、ハロゲン原子(例えば、クロリド)またはヒドロカルビル基(例えば、メチル基、ベンジル基)である。
【0163】
ある実施形態では、各Xはクロリドまたはメチドである。
【0164】
ある実施形態では、各Xはクロリドである。
【0165】
ある実施形態では、各Xはベンジル基である。
【0166】
ある実施形態では、各Xはメチドである。
【0167】
触媒活性化剤および助触媒
本開示のある実施形態では、予備重合触媒は、オレフィン重合のための活性重合触媒系を形成するために、ホウ素系触媒活性化剤およびアルキルアルミノキサン助触媒と組み合わせて使用される。「イオン性活性化剤」としても知られるホウ素系触媒活性化剤は、当業者に周知である。アルキルアルミノキサンも同様に当業者に周知である。
【0168】
本開示のある実施形態では、重合触媒系は、予備重合触媒に加えて、少なくとも1つのホウ素系触媒活性化剤と、少なくとも1つのアルキルアルミノキサン助触媒とを含む。
【0169】
本開示のある実施形態では、重合触媒系は、予備重合触媒に加えて、ホウ素系触媒活性化剤と、アルキルアルミノキサン助触媒とを含む。
【0170】
本開示の一部の実施形態では、重合触媒系は、助触媒として有機アルミニウム化合物をさらに含み得る。
【0171】
理論に束縛されることを望むものではないが、アルキルアルミノキサンおよび有機アルミニウム化合物などのアルミニウム系助触媒種は、それ自体触媒活性化剤として(したがって、「触媒活性化剤」とも見なされ得る)、および/またはアルキル化剤として、および/または捕捉化合物として(例えば、チタン系触媒錯体の重合活性に悪影響を及ぼし、重合反応器内に存在し得る種と反応する)作用し得る。
【0172】
アルキルアルミノキサン
理論に束縛されることを望むものではないが、本開示で使用されるアルキルアルミノキサンは、式:R2Al1O(RAl1O)mAl1R2(式中、各RはC1~20ヒドロカルビルラジカルからなる群から独立して選択され、mは3~50である)の複合アルミニウム化合物である。
【0173】
本開示のある実施形態では、アルキルアルミノキサンのRはメチルラジカルであり、mは10~40である。
【0174】
アルキルアルミノキサンは、典型的には、シングルサイト触媒(例えば、予備重合触媒)中の第4族遷移金属の量と比較して実質的にモル過剰で使用される。実施形態では、Al1:第4族遷移金属のモル比は、約5:1~約10,000:1、または約10:1~約1000:1、または約30:1~約500:1であり得る。
【0175】
本開示のある実施形態では、アルキルアルミノキサン助触媒はメチルアルミノキサン(MAO)である。
【0176】
本開示のある実施形態では、アルキルアルミノキサン助触媒は修飾メチルアルミノキサン(MMAO)である。
【0177】
アルキルアルミノキサンは、触媒アルキル化剤、触媒活性化剤、およびスカベンジャーとして複数の役割を果たすことができることが当技術分野で周知である。したがって、アルキルアルミノキサン活性化剤は、多くの場合、ハロゲンなどの活性化可能配位子と組み合わせて使用される。
【0178】
ホウ素系触媒活性化剤
ホウ素系触媒活性化剤(一部の実施形態では「イオン性活性化剤」としても知られる)は、(i)式[R1]+[B(R2)4]-(式中、Bはホウ素原子であり、R1は環状C5~7芳香族カチオンまたはトリフェニルメチルカチオンであり、各R2は、非置換であるか、またはフッ素原子、非置換であるかもしくはフッ素原子によって置換されているC1~4アルキルもしくはアルコキシラジカルからなる群から選択される3~5個の置換基で置換されているフェニルラジカル;および式--Si--(R*)3(式中、各R*は、水素原子およびC1~4アルキルラジカルからなる群から独立して選択される)のシリルラジカルからなる群から独立して選択される)の化合物;および(ii)式[(R3)tZH]+[B(R2)4]-(式中、Bはホウ素原子であり、Hは水素原子であり、Zは窒素原子またはリン原子であり、tは2または3であり、R3は、C1~30アルキルラジカル、非置換であるかもしくは最大3個のC1~4アルキルラジカルによって置換されているフェニルラジカルからなる群から選択されるか、または1つのR3が窒素原子と一緒になってアニリニウムラジカルを形成してもよく、R2は上に定義される通りである)の化合物;および(iii)式B(R2)3(式中、R2は上に定義される通りである)の化合物からなる群から選択され得る。
【0179】
一部の実施形態では、上記化合物において、好ましくは、R2はペンタフルオロフェニルラジカルであり、R1はトリフェニルメチルカチオンであり、Zは窒素原子であり、R3はC1~4アルキルラジカルであるか、または1つのR3が窒素原子と一緒になってアニリニウムラジカル(例えば、2つのR3ラジカル、例えば2つのC1~4アルキルラジカルで置換されているPhR3
2NH+)を形成する。
【0180】
シングルサイト触媒(例えば、予備重合触媒)をイオン化することができ、本開示の実施形態で使用され得るホウ素系触媒活性化剤化合物の例としては、以下が挙げられる:トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ボロン、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルボロン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トロピリウムフェニルトリス-ペンタフルオロフェニルボラート、トリフェニルメチリウムフェニル-トリスペンタフルオロフェニルボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)フェニルトリスペンタフルオロフェニルボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トロフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラートおよびベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5テトラフルオロフェニル)ボラート。
【0181】
シングルサイト触媒(例えば、予備重合触媒)をイオン化することができ、本開示の実施形態で使用され得るホウ素系触媒活性化剤化合物のさらなる具体的な例は、米国特許第5,919,983号明細書、同第6,121,185号明細書、同第10,730,964号明細書および同第11,041,031号明細書に開示されている。
【0182】
本開示のある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)またはトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)および/またはトリスペンタフルオロフェニルボロンを含む。
【0183】
本開示のある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)またはトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)またはトリスペンタフルオロフェニルボロンを含む。
【0184】
本開示のある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤は、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)からなる群から選択されるイオン性活性化剤を含む。
【0185】
本開示のある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤はN,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)である。
【0186】
本開示のある実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤はトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)である。
【0187】
実施形態では、ホウ素系触媒活性化剤は、約1:0.5~約1:10、または約1:1~約1:6となる第4族遷移金属(すなわち、予備重合触媒中のチタン)対ホウ素のモル比を提供する量で使用され得る。
【0188】
有機アルミニウム化合物
任意選択で、本開示の実施形態では、重合触媒系は、式:
Al2(R4)m(OR5)n(X*)p
(式中、R4およびR5はそれぞれ独立して、C1~C20ヒドロカルビル基であり;X*はハライドであり;m+n+p=3であり;m≧1である)
によって定義される有機アルミニウム化合物をさらに含み得る。
【0189】
本開示のある実施形態では、使用される有機アルミニウム化合物は、式:
Al3R6
x(OR7)y
(式中、xは1~3であり、x+y=3であり、R6はC1~C10ヒドロカルビル基であり、R7はアルキルまたはアリール基である)
によって定義される。
【0190】
特定の実施形態では、有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムおよびジエチルアルミニウムエトキシドを含む。
【0191】
ヒンダードフェノール化合物
本開示の実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、予備重合触媒、ホウ素系触媒活性化剤およびアルキルアルミノキサン助触媒と組み合わせて使用されて、オレフィン重合触媒系を提供する。
【0192】
一般に、ヒンダードフェノール化合物(または「立体障害」フェノール化合物)は、立体的にかさ高いヒドロカルビル基(その非限定的な例としては、tert-ブチル基および1-アダマンチル基が挙げられる)などの1つまたは複数のかさ高い置換基を有するフェノールである。
【0193】
本開示の実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、ヒドロキシ基に結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方または両方に立体的にかさ高いヒドロカルビル基を有する(例えば、かさ高いヒドロカルビル基は、ヒンダードフェノール部分の2位および6位の一方または両方に位置する)。
【0194】
本開示の実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、2,6-ジヒドロカルビル基置換ヒンダードフェノール部分を含む。
【0195】
本開示の実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、2,6-ジヒドロカルビル基置換ヒンダードフェノール部分を含み、この部分は、3位、4位および5位のうちの1つまたは複数で、ヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基でさらに任意選択で置換されている。
【0196】
本開示の実施形態で使用され得るヒンダードフェノール化合物の非限定的な例としては、ブチル化フェノール抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナートが挙げられる。
【0197】
実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、約1:1~約10:1または約2:1~約5:1のアルキルアルミノキサン助触媒のアルミニウム対ヒンダードフェノール化合物のモル比(すなわち、Al1:ヒンダードフェノール化合物の比)を提供する量で存在する。
【0198】
任意選択で、実施形態では、ヒンダードフェノール化合物は、アルキルアルミノキサンをオレフィン重合触媒系(例えば、予備重合触媒)の1つまたは複数の他の成分と接触させる前に、アルキルアルミノキサン助触媒に添加される。
【0199】
重合方法
本開示のオレフィン重合触媒系は、気相重合、スラリー相重合または溶液相重合などの任意の従来のオレフィン重合方法で使用され得る。「不均一化」触媒系の使用は、気相およびスラリー相重合での使用に好ましいが、均一触媒は、溶液相重合での使用に好ましい。不均一化触媒系は、予備重合触媒を、任意選択でホウ素系触媒活性化剤、アルキルアルミノキサンおよびヒンダードフェノール化合物と共に、担体、例えばシリカ担体上に担持させることによって形成され得る。シリカ担体材料ならびに適切な代替の担体材料は、当業者に周知である。
【0200】
本開示のある実施形態では、重合方法は、エチレンを任意選択で1つまたは2つ以上のC3~C12アルファ-オレフィンと重合することを含む。
【0201】
本開示のある実施形態では、重合方法は、エチレンを1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルファ-オレフィンの1つまたは複数と重合することを含む。
【0202】
本開示のある実施形態では、重合方法は、エチレンを1-オクテンと重合することを含む。
【0203】
気相重合が使用される場合、様々な実施形態では、使用される圧力は、1~1000psi、または50~400psi、または100~300psiの範囲であり得るが;様々な実施形態では、使用される温度は、30℃~130℃または65℃~110℃の範囲であり得る。気相重合方法のために、撹拌床または流動床気相反応器系が本開示の実施形態で使用され得る。このような気相方法は、文献(例えば、米国特許第4,543,399号明細書、同第4,588,790号明細書、同第5,028,670号明細書、同第5,317,036号明細書、同第5,352,749号明細書、同第5,405,922号明細書、同第5,436,304号明細書、同第5,453,471号明細書、同第5,462,999号明細書、同第5,616,661号明細書および同第5,668,228号明細書参照)に広く記載されている。1つまたは複数の反応器が使用されてもよく、互いに直列に構成されてもよい。
【0204】
一般に、流動床気相重合反応器は、モノマー、コモノマーおよび少なくとも部分的に気体である他の任意選択の成分の流れによって流動化されるポリマーおよび触媒の「床」を使用する。熱は、床を通って流れるモノマー(およびコモノマー)の重合のエンタルピーによって生成される。未反応モノマー、コモノマーおよび他の任意選択の気体成分は、流動床を出て、冷却システムと接触してこの熱を除去する。次いで、モノマー、コモノマーおよび任意選択の他の成分(凝縮性液体など)を含む冷却ガス流は、「メイクアップ」(“make-up”:補充)モノマー(およびコモノマー)と共に重合ゾーンを通って再循環されて、前のパスで重合されたものに取って代わる。同時に、ポリマー生成物は反応器から取り出される。当業者によって理解されるように、重合床の「流動化」性質は、反応の熱を均一に分配/混合し、それによって、局所的な温度勾配の形成を最小限に抑えるのに役立つ。
【0205】
重合は、一般に、実質的に触媒毒の非存在下で行われる。有機アルミニウム化合物などの有機金属化合物は、触媒活性を高めるために毒の捕捉剤として使用され得る。捕捉剤の一部の具体的な非限定的な例は、トリイソブチルアルミニウムなどのアルミニウムアルキルを含む金属アルキルである。所望のポリオレフィンを形成する際の重合触媒の動作を妨げない限り、従来の補助剤が方法に含まれてもよい。例えば、水素または金属もしくは非金属水素化物(例えば、シリルヒドリド)が、方法において連鎖移動剤として使用され得る。水素は、全モノマー供給1モル当たり最大約10モルの量の水素で使用され得る。
【0206】
スラリー相重合方法の詳細な説明は、特許文献に広く報告されている。「粒子形態重合」としても知られている、温度がポリマーが溶液に入る温度未満に維持されるスラリー相重合方法は、米国特許第3,248,179号明細書に記載されている。スラリープロセスには、ループ反応器を使用するもの、および単一撹拌反応器または直列、並列、もしくはそれらの組み合わせの複数の撹拌反応器を利用するものが含まれる。スラリー相重合方法の非限定的な例としては、連続ループまたは撹拌槽方法が挙げられる。スラリー相重合方法のさらなる例は、米国特許第4,613,484号明細書に記載されている。
【0207】
スラリープロセスは、アルカン(イソアルカンを含む)、芳香族またはシクロアルカンなどの炭化水素希釈剤の存在下で行われる。希釈剤はまた、共重合に使用されるアルファオレフィンコモノマーであってもよい。アルカン希釈剤には、プロパン、ブタン(すなわち、ノルマルブタンおよび/またはイソブタン)、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンが含まれる。モノマーは、希釈剤に可溶性(または混和性)であり得るが、ポリマーは可溶性ではない(重合条件下)。ある実施形態では、重合温度は約5℃~約200℃であり得る。さらなる実施形態では、重合温度は、約120℃未満、または10℃~約100℃である。スラリー相重合反応温度は、ポリマー(例えば、エチレンコポリマー)が固体粒子形態で生成されるように選択される。反応圧力は、希釈剤および反応温度の選択によって影響を受ける。例えば、実施形態では、圧力は、イソブタンが希釈剤として使用される場合、15~45気圧(約220~660psiまたは約1500~約4600kPa)の範囲であり得、プロパンが使用される場合、そのおよそ2倍の30~90気圧(約440~1300psiまたは約3000~9100kPa)の範囲であり得る(例えば、米国特許第5,684,097号明細書参照)。スラリー相重合方法における圧力は、一般に、重合性モノマー(例えば、エチレン)の少なくとも一部を液相に保つのに十分高く維持される。
【0208】
ある実施形態では、スラリー相重合反応は、内部撹拌機(例えば、インペラ)を有し、少なくとも1つの沈殿レグ(settling leg)をさらに含有するジャケット付き閉ループ反応器内で行われる。重合触媒成分(懸濁または非懸濁)、モノマーおよび希釈剤は、液体または懸濁液としてスラリー相重合反応器に供給され得る。スラリーはループ反応器を通って循環し、ジャケットは反応器の温度を制御するために使用される。スラリーは、一連のレットダウンバルブを通して、沈殿レグに入り、次いで、希釈剤および未反応モノマーをフラッシュし、一般にサイクロン内で生成物ポリマーを回収するために圧力が下げられる。希釈剤および未反応モノマーは回収され、反応器に再循環される。
【0209】
本開示のある実施形態では、重合方法は、溶媒中で行われる溶液相重合方法である。
【0210】
本開示のある実施形態では、重合方法は、溶媒中で行われる連続溶液相重合方法である。
【0211】
エチレンの単独重合またはエチレンと1つもしくは2つ以上のアルファ-オレフィンの共重合の溶液重合方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,372,864号明細書および同第6,777,509号明細書参照)。これらの方法は、不活性炭化水素溶媒、典型的には、非置換であってもC1~4アルキル基によって置換されていてもよいC5~12炭化水素、例えばペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよび水素化ナフサの存在下で行われる。市販されている適切な溶媒の例は、「Isopar E」(C8~12脂肪族溶媒、Exxon Chemical Co.)である。
【0212】
従来の溶液相方法における重合温度は約80℃~約300℃であり得る。本開示のある実施形態では、溶液相重合方法における重合温度は約120℃~約250℃である。さらなる実施形態では、溶液相重合方法は、少なくとも140℃、または少なくとも160℃、または少なくとも170℃、または少なくとも180℃、または少なくとも190℃の温度で行われる。
【0213】
溶液相重合方法における重合圧力は、「中間圧力プロセス」であってもよい。これは、反応器内の圧力が約6,000psi(約42,000キロパスカルまたはkPa)未満であることを意味する。本開示の実施形態では、溶液相重合方法における重合圧力は、約10,000~約40,000kPa、または約14,000~約22,000kPa(すなわち、約2,000psi~約3,000psi)であり得る。
【0214】
エチレンとの共重合に好適なモノマーとしては、C3~20アルファ-オレフィン(モノオレフィンおよびジオレフィンを含む)が挙げられる。本開示の実施形態でエチレンと共重合され得るコモノマーの一部の非限定的な例としては、非置換であるか、または最大2個のC1~6アルキルラジカルによって置換されているC3~12アルファ-オレフィン;非置換であるか、またはC1~4アルキルラジカルからなる群から選択される最大2個の置換基によって置換されているC8~12ビニル芳香族モノマー;および非置換であるか、またはC1~4アルキルラジカルによって置換されているC4~12直鎖もしくは環状ジオレフィンが挙げられる。このようなアルファ-オレフィンの例示的な非限定的な例は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセン、スチレン、アルファメチルスチレンならびにシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエンノルボルネン、アルキル置換ノルボルネン、アルケニル置換ノルボルネンなど(例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよびビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン)などの束縛環状オレフィンのうちの1つまたは複数である。
【0215】
溶液重合では、モノマーは、反応器に供給される前に溶媒に溶解/分散される(またはガス状のモノマーについては、モノマーは重合反応混合物に溶解されるように、反応器に供給され得る)。混合前に、溶媒およびモノマーは、水、酸素または金属不純物などの潜在的な触媒毒を除去するために一般には精製される。供給原料の精製は、例えば、全て重合性モノマーの精製に有用であることが知られているモレキュラーシーブ、アルミナ床および酸素除去触媒の使用などの当技術分野における標準的な周知の慣行を使用することができる。溶媒(例えば、メチルペンタン、シクロヘキサン、ヘキサンまたはトルエン)自体もまた、潜在的な触媒毒を除去するために同様に処理され得る。
【0216】
供給原料モノマーまたは他の溶液プロセス成分(例えば、溶媒)は、溶液相重合反応器に供給する前に加熱または冷却され得る。
【0217】
本開示の実施形態では、オレフィン重合触媒系成分(例えば、予備重合触媒、ホウ素系触媒活性化剤、アルキルアルミノキサンおよびヒンダードフェノール化合物)は、重合反応に使用される溶媒中で予備混合され得るか、または別々の流れとして重合反応器に供給され得る。一部の実施形態では、重合反応ゾーン(例えば、重合反応器)に入る前にオレフィン重合触媒系成分の反応時間を提供するために、予備混合が望ましい場合がある。このような「インライン混合」技術の例は、米国特許第5,589,555号明細書などのいくつかの特許に記載されている。
【0218】
本開示のある実施形態では、溶液相重合方法は連続プロセスである。「連続プロセス」という用語は、重合プロセス流(例えば、溶媒、エチレン、任意選択のアルファ-オレフィンコモノマー、オレフィン重合触媒系成分等)が重合ゾーン(例えば、重合反応器)に連続的に供給され、そこでポリマー(例えば、エチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマー)が形成され、そこからポリマーがプロセス流流出蒸気を介して連続的に除去されることを意味する。
【0219】
本開示のある実施形態では、溶液相重合方法は少なくとも1つの連続撹拌槽型反応器(「CSTR」)で行われる。
【0220】
本開示のある実施形態では、溶液相重合方法は、少なくとも2つの連続的に配置された連続撹拌槽型反応器で行われる(プロセス流は第1の上流CSTR反応器から第2の下流CSTRに移される)。
【0221】
一部の実施形態では、連続溶液相重合方法は、約100℃~約140℃の平均反応器温度を有する第1の撹拌槽型重合反応器と、第1の反応器の平均反応器温度よりも少なくとも約20℃高い平均温度を有する第2の撹拌槽型重合反応器とを含む。
【0222】
本開示のある実施形態では、溶液相重合方法は少なくとも1つの管型反応器で行われる。
【0223】
本開示のある実施形態では、溶液相重合方法は、順次配置された2つの連続撹拌槽型反応器と、第2の連続撹拌槽型反応器からプロセス流を受け取る管型反応器とで行われる。
【0224】
溶液相重合方法では、一般に、反応器は、反応物質の完全な混合を達成する条件下で運転され、反応器内のオレフィン重合触媒(例えば、活性化シングルサイト触媒錯体)の滞留時間(あるいは、「ホールドアップ時間」)は、反応器の設計および容量に依存する。
【0225】
実施形態では、所与の反応器内のオレフィン重合触媒(例えば、活性化シングルサイト触媒錯体)の滞留時間は、数秒~約20分となる。さらなる実施形態では、所与の反応器内のオレフィン重合触媒(例えば、活性化シングルサイト触媒錯体)の滞留時間は、約10分未満、または約5分未満、または約3分未満となる。
【0226】
本開示の実施形態では、CSTR反応器に供給されるエチレンの少なくとも60重量パーセント(重量%)は、オレフィン重合触媒系によってエチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマーに重合される。さらなる実施形態では、CSTR反応器に供給されるエチレンの少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%は、オレフィン重合触媒系によってエチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマーに重合される。
【0227】
2つ以上のCSTRが使用される場合、各反応器内の高いポリマー生成速度を維持するために、オレフィン重合触媒系成分をCSTRの各々に添加することができる。
【0228】
2つ以上のCSTRが使用される場合、各CSTRで使用されるオレフィン重合触媒は、同じ種類の重合触媒をベースにしていてもよく、または異なる種類の重合触媒をベースにしていてもよい。
【0229】
本開示のある実施形態では、同じ種類のオレフィン重合触媒が、2つ以上のCSTR反応器の各CSTRで使用される。
【0230】
ある実施形態では、1つのオレフィン重合触媒がシングルサイト触媒(例えば、本開示に従って記載されるオレフィン重合触媒系)であり、1つのオレフィン重合触媒がチーグラー・ナッタ触媒であり、シングルサイト触媒が第1のCSTRで使用され、チーグラー・ナッタ触媒が第2のCSTRで使用される、混合触媒系が使用される。
【0231】
「管型反応器」という用語は、その従来の意味、すなわちCSTRとは異なり、一般にインペラ、撹拌機などを使用して撹拌されない単純な管を伝えることを意味する。実施形態では、管型反応器は、少なくとも10/1の長さ/直径(L/D)比を有する。実施形態では、管型反応器は断熱的に運転される。一般的な非限定的な説明として、理論に束縛されることを望むものではないが、管型反応器においては、重合反応が進行するにつれて、モノマー(例えば、エチレン)および/またはコモノマー(例えば、アルファ-オレフィン)がますます消費され、溶液の温度が管の長さに沿って上昇する(これは、未反応コモノマーをポリマー溶液から分離する効率を改善し得る)。実施形態では、管型反応器の長さに沿った温度上昇は約3℃超であり得る。実施形態では、管型反応器はCSTRの下流に配置され、管型反応器からの排出温度は、CSTR(そこからプロセス流が管型反応器に供給される)からの排出温度より少なくとも約3℃高くなり得る。
【0232】
実施形態では、管型反応器は、さらなる重合触媒系成分、例えば、シングルサイト予備重合触媒、チーグラー・ナッタ触媒成分、触媒活性化剤、助触媒およびヒンダードフェノール化合物を添加するための、またはモノマー、コモノマー、水素等を添加するための供給ポートを有し得る。代替実施形態では、さらなる重合触媒成分は、管型反応器に添加されない。
【0233】
ある実施形態では、少なくとも1つのCSTRと組み合わせて使用される管型反応器の総体積は、少なくとも1つのCSTRの体積の少なくとも約10体積パーセント(体積%)、または少なくとも1つのCSTRの約30体積%~約200体積%である(明確にするために、少なくとも1つのCSTRの体積が1000リットルである場合、管型反応器の体積は少なくとも約100リットル、または約300~2000リットルである)。
【0234】
実施形態では、反応器系を離れたら、非反応性成分は除去され(および任意選択で回収され)てもよく、得られたポリマー(例えば、エチレンコポリマーまたはエチレンホモポリマー)は、従来の方法で仕上げられてもよい(例えば、揮発分除去プロセスを使用)。ある実施形態では、重合方法の溶媒からポリマー組成物を回収するために、2段階の揮発分除去プロセスを使用することができる。
【0235】
以下の例は、本開示の選択された実施形態を例示する目的のために提示されており、提示されている例は提示されている特許請求の範囲を制限するものではないことが理解される。
【実施例】
【0236】
例
全般的事項
例全般についての実験方法
空気および/または湿度感受性化合物を伴う全ての反応は、標準的なシュレンクおよびグローブボックス技術を使用して窒素下で行った。反応溶媒は、Grubbsら(Pangborn,A.B.;Giardello,M.A.;Grubbs,R.H.;Rosen R.K.;Timmers,F.J.Organometallics 1996、15、1518~1520)によって記載された方法に実質的に従って、市販の溶媒精製システムを使用して精製し、次いで、不活性雰囲気グローブボックス中の活性化モレキュラーシーブ上で保存した。
【0237】
テトラキス(ジメチルアミド)チタン(IV)はStrem Chemicalsから購入し、受け取ったまま使用した。MMAO-7(Isopar-E中7重量%溶液)およびTIBAL(ヘキサン中25重量%溶液)は、Akzo Nobel/Nouryonから購入し、受け取ったまま使用した。トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートは、Albemarle Corp.から購入し、受け取ったまま使用した。5,5,8,8-テトラメチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オンは、Ambeed,Inc.から購入し、受け取ったまま使用した。他の全ての材料はAldrichから購入し、受け取ったまま使用した。重水素化溶媒はSigma Aldrichから購入し(トルエン-d8、CD2Cl2、CDCl3)、使用前に4Åモレキュラーシーブ上で保存した。NMRスペクトルはBruker 400MHz分光計(400.1MHzでの1H NMR)で記録した。
【0238】
ビス(ジメチルアミド)ジクロロチタン(IV)、Ti(NMe2)2Cl2は、実質的にBenzing,E.およびKornicker,W.、Chem.Ber.1961、94、2263~2267によって記載されるように調製した。したがって、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(10.19g、45.0mmol)を200mLシュレンクフラスコ中でトルエン(80mL)に溶解し、15分間0℃に冷却した。塩化チタン(IV)(8.54g、45.0mmol)のトルエン(20mL)中明るい橙色溶液を添加すると、赤色懸濁液が得られた。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、濾過した。濾液が無色になるまで、濾過ケークをトルエンでさらに抽出した。合わせた濾液を減圧下で除去した。残渣をペンタン(100mL)中で10分間スラリー化し、濾過した。濾過ケークを減圧下で乾燥させて、所望の生成物を赤レンガ色粉末(17.56g、収率94%)として得た。1H NMR(400MHz、トルエン-d8)δ 3.02(s,12H,NMe2)。
【0239】
セミバッチ共重合実験からのコポリマー試料を、3つのGPCカラムを備えたPolymer Char GPC-IR4装置を使用して分析して、ポリマーMwを迅速に決定した。したがって、ポリマー試料(5~7mg)を試料バイアルに秤量し、オートサンプラに充填した。バイアルに1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)6mlを充填し、160分間振盪しながら160℃に加熱した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を250ppmの濃度でTCBに添加した。試料溶液を、濃度検出器としてInfrared IR4を備えた、TCBを移動相として1.0mL/分の流量で使用する3つのGPCカラム(例えば、PL混合B)を搭載したPolymer Char GPC-IR4クロマトグラフィーユニットにて、140℃でクロマトグラフィーにかけた。酸化劣化からSECカラムを保護するため、BHTを、250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。Excelスプレッドシートを使用してSEC生データを処理した。狭い分布のポリスチレン標準でSECカラムを較正した。ASTM標準試験法D6474に記載されるように、Mark-Houwinkの式を使用し、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に転換した。
【0240】
連続溶液共重合実験の分子量(GPC-RI Mw、MnおよびMz(g/mol))および分子量分布(GPC-RI Mw/Mn)データを、従来のサイズ排除(ゲル浸透)クロマトグラフィー(SEC、またはGPC)を使用して得た。したがって、ポリマー試料溶液(1~2mg/mL)を、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中でポリマーを加熱し、150℃のオーブンで4時間、ホイール上で回転させることによって調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、抗酸化剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、濃度検出器として示差屈折率(DRI)検出器を備えた、TCBを移動相として1.0mL/分の流量で使用する4つのSHODEX(登録商標)カラム(HT803、HT804、HT805およびHT806)を搭載したPL 220高温クロマトグラフィーユニットにて、140℃でクロマトグラフィーにかけた。酸化劣化からSECカラムを保護するため、BHTを、250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。SEC生データをCIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理した。狭い分布のポリスチレン標準でSECカラムを較正した。ASTM標準試験法D6474に記載されるように、Mark-Houwinkの式を使用し、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に転換した。
【0241】
ポリマーのメルトインデックスを、ASTM D1238(2013年8月1日)を使用して決定した。メルトインデックスI2、I6、I10およびI21を、2.16kg、6.48kg、10kgおよび21.6kgの重量をそれぞれ使用し、190℃で測定した。本開示では、メルトインデックスは、グラム/10分(gram/10minutes)またはg/10分(g/10min)またはdg/分(dg/minutes)またはdg/分(dg/min)の単位を使用して表した。これらの単位は等価である。
【0242】
FTIR分岐頻度(CH3/1000C)を、ASTM標準試験法D6645に記載される方法を使用して、Thermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計でポリマープラークから決定した。ポリマープラークは、ASTM標準試験法D1928(現在はD4703に置き換えられている)に基づいて圧縮成形装置(Wabash-Genesis Seriesプレス)を使用して調製する。
【0243】
チタン予備重合触媒錯体(本発明)
【化13-1】
【化13-2】
チタン予備重合触媒錯体(比較)
【化14】
チタン錯体(予備重合触媒)
チタン予備重合触媒を、以下に記載する方法を使用して調製した。
例1
【化15】
8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化16】
この物質は、実質的にGrandini,C.ら、Organometallics、2004、23、344~360によって記載されるように調製した。1-インダノン(5.02g、38.0mmol)、p-トリルヒドラジン塩酸塩(6.03g、38.0mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(0.3g)を、250mL丸底フラスコ中でi-PrOH(150mol)に懸濁した。冷却器を取り付け、混合物を45分間還流し、その間に反応混合物は黄橙色懸濁液になった。反応混合物を15分間0℃に冷却し、濾過した。濾液が無色になるまで、濾過ケークをi-PrOHですすいだ。残留揮発性物質を減圧下で除去して、所望の生成物を白色固体(7.45g、収率89%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.01(br,1H,NH),7.37(d,1H,ArH),7.28(m,2H,ArH),7.20-7.09(m,3H,ArH),7.05(t,1H,ArH),6.85(d,1H,ArH),3.54(s,2H,インデン-CH
2),2.31(s,3H,ArCH
3)。
【0244】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化17】
8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.73g、7.88mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(885mg、7.88mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(60mL)に溶解し、半透明黄色溶液を1時間撹拌した。ヨードメタン(0.49mL、1.12g、7.88mmol)を、シリンジを通して添加すると、白色沈殿が直ちに形成された。30分後、反応混合物を飽和NH
4Cl水溶液(100mL)に注ぎ入れ、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。有機抽出物を水(2×50mL)、ブライン(50mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で除去して淡黄色固体を得た。粗生成物を熱ヘプタンからの再結晶によって精製して、所望の生成物を灰白色固体(1.64g、再結晶収率89%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.66(d,1H,ArH),7.55(d,1H,ArH),7.45(s,1H,ArH),7.36(t,1H,ArH),7.31-7.20(m,1H,ArH),7.08(d,1H,ArH),4.04(s,3H,NCH
3),3.70(s,2H,インデン-CH
2),2.51(s,3H,ArCH
3)。
【0245】
2-ブロモ-6-(tert-ブチル)-4-メチルフェノール:
【化18】
この物質は、実質的にKatayama,H.ら(Sumitomo)のPCT出願である国際公開第97/03992号パンフレット、1997に記載されるように調製した。2-(tert-ブチル)-4-メチルフェノール(26.58g、161.8mmol)を500mL丸底フラスコ中でアセトニトリル(300mL)に溶解して、淡黄色溶液を得た。フラスコを15分間0℃に冷却し、その後、N-ブロモスクシンイミド(31.68g、178.0mmol)を分割して添加した。反応混合物を一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去して、黄色粘着性残渣を得た。残渣をジエチルエーテル(200mL)で抽出し、H
2O(4×200mL)、ブライン(20mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過して山吹色濾液を得た。揮発性物質を蒸発させると、所望の生成物が濃厚な黄色油として得られる。(37.89g、収率96%)。減圧下で蒸留すると無色油が得られるが、粗生成物はNMRによると分光学的に純粋であり、さらに精製することなく使用することができた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.29(s,1H,ArH),7.12(s,1H,ArH),5.73(m,1H,ArOH),2.37(3H,s,ArCH
3),1.51(s,9H,t-Bu).
【0246】
2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メチルベンゼン:
【化19】
この物質は、実質的にHanaoka,H.ら、J.Organomet.Chem.2007、692、4059~4066によって記載されるように調製した。2-ブロモ-6-(tert-ブチル)-4-メチルフェノール(9.93g、40.83mmol)、炭酸カリウム(約10g)、アセトン(100mL)および臭化アリル(4.24mL、49mmol)を、撹拌棒を備えた250mL丸底フラスコに装入した。冷却器を取り付け、反応混合物を一晩還流した。反応混合物である白色懸濁液を減圧下で濃縮し、ペンタンで抽出し、濾過して無色透明濾液を得た。蒸発させると、所望の生成物が濃厚な無色油(11.40g、収率99%)として得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.28(m,1H,ArH),7.10(m,1H,ArH),6.28(m,1H,O-アリル),5.52(dq,1H,O-アリル),5.32(dq,1H,O-アリル),4.60(m,2H,O-アリル),2.30(s,3H,ArCH
3),1.42(s,9H,Ar-t-Bu)。
【0247】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン:
【化20】
この物質は、実質的にSenda,T.ら、Macromolecules 2009、42、8006~8009によって記載されるように調製した。2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メチルベンゼン(0.94g、3.3mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(50mL)に溶解した。フラスコを-78℃に冷却し、トルエンすすぎ(3×3mL)により、カニューレを介してn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.27mL、3.63mmol)を定量的に添加した。反応混合物を撹拌させ、徐々に加温し、混合物を-15℃未満に維持した。2時間後、透明淡黄色溶液である反応混合物を-78℃に冷却し、Et
2SiCl
2(1.555g、9.9mmol)を添加した。反応混合物を2時間かけて周囲温度に加温させ、次いで、1時間50℃に加熱した。揮発性物質を減圧下で除去し、油状残渣をペンタンで抽出し、Celiteを通して濾過し、無色透明濾液を得た。揮発性物質を除去して、所望の生成物を濃厚な無色油(0.85g、収率79%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.53(d,1H,ArH),7.25(d,1H,ArH),5.85(m,1H,O-アリル),5.50(dq,1H,O-アリル),5.15(dq,1H,O-アリル),4.32(m,2H,O-アリル),2.19(s,3H,ArCH
3),1.42(s,9H,Ar-t-Bu),1.30-1.05(m,10H,SiEt
2)。
【0248】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化21】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.64g、7.04mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(30mL)に溶解した。激しく撹拌しながら、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、4.62mL、7.39mmol)を添加し、暗赤色反応混合物を1時間撹拌した。ゆっくりした発泡(ブタン)が最初に観察されたが、経時的に収まった。1時間後、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(2.29g、7.04mmol)を添加して、暗橙赤色溶液を得た。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、揮発性物質を減圧下で除去すると、粘着性黄色固体が得られた。粗物質をペンタン(20mL)中でスラリー化し、-30℃に冷却した。次いで、固体を焼結ガラス漏斗上で回収し、減圧下で乾燥させた(2.20g、収率60%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.52(m,2H,ArH),7.35(m,1H,ArH),7.27(t,1H,ArH),7.18-7.00(m,4H,ArH),6.73(s,1H,ArH),5.85(m,1H,アリル-H),5.58(dq,1H,アリル-H),5.18(dq,1H,アリル-H),4.49(s,1H,Si-CH),4.34(qd,1H,アリル-H),3.45(s,3H,NCH
3),2.44(s,3H,ArCH
3),2.20(s,3H,ArCH
3),1.51(s,9H,t-Bu),1.49-0.70(m,10H,SiEt
2)。
【0249】
例1:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(2.20g、4.216mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(40mL)に溶解し、15分間-78℃に冷却した。NEt3(2.64mL、1.92g、18.97mmol)およびn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、5.93mL、9.49mmol)を連続的に添加した。淡黄色溶液を周囲温度に加温させ、さらに2時間撹拌し、その後、反応混合物をもう一度15分間-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(1.05g、5.06mmol)をトルエン中スラリーとして添加し、反応混合物を10分かけて周囲温度に加温し、引き続いて3時間90℃に加熱して暗赤褐色溶液を得た。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して暗褐色濾液を得た。濾液が無色になるまで抽出を続け、次いで、合わせた抽出物を、ヘッドスペースを真空にした100mLフラスコに密封した。クロロトリメチルシラン(1.07mL、0.92g、8.43mmol)を、シリンジを介して添加し、混合物を5時間85℃に加熱した。揮発性物質を除去し、残渣を熱ヘプタンから再結晶させて、所望の生成物を暗赤褐色固体として得た。(1.96g、再結晶収率78%)。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.93(d,1H,ArH),7.79(d,1H,ArH),7.48(s,1H,ArH),7.40-7.20(m,3H,ArH),7.05(m,1H,ArH),6.83(d,1H,ArH),6.47(s,1H,ArH),3.62(s,3H,NCH3),2.44(s,3H,ArCH3),2.13(s,3H,ArCH3),1.70-1.30(m,4H,SiEt2),1.20-1.00(m,15H,SiEt2+t-Bu)。
【0250】
例2
【化22】
例2:
例1(1.05g、1.75mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(35mL)に溶解した。MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、1.28mL、3.85mmol)を添加し、得られた赤褐色溶液を2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過した。明るい橙色濾液を回収し、減圧下で濃縮して非晶質橙色残渣を得た。これをペンタンに再溶解し、減圧下で濃縮して、所望の生成物を明るい橙色粉末(806mg、収率83%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.91(d,1H,ArH),7.79(d,1H,ArH),7.45(s,1H,ArH),7.32(s,1H,ArH),7.30-6.90(m,3H,ArH),6.80(d,1H,ArH),6.55(s,1H,ArH),3.57(s,3H,NCH
3),2.45(s,3H,ArCH
3),2.12(s,3H,ArCH
3),1.31(s,9H,t-Bu),1.30-1.05(m,10H,SiEt
2),0.23(s,3H,TiCH
3),0.03(s,3H,TiCH
3)。
【0251】
例3:
【化23】
2-メチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール:
【化24】
この物質は、実質的にGrandini,C.ら、Organometallics、2004、23、344~360によって記載されるように調製した。2-インダノン(5.95g、45.0mmol)およびp-トリルヒドラジン塩酸塩(7.14g、45.0mmol)を、500mL丸底フラスコ中、i-PrOH(300mL)中でスラリー化した。Vigreuxカラムを取り付け、反応混合物を2時間還流し、次いで、飽和NaHCO
3水溶液(300mL)に注ぎ入れた。沈殿を焼結ガラス漏斗上で回収し、i-PrOHおよび水ですすいだ。粗物質をCH
2Cl
2(200mL)に溶解し、ブライン(50mL)と振盪し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の生成物(7.76g、収率79%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.20(br s,1H,NH),7.70-7.60(m,2H,ArH),7.43(d,1H,ArH),7.35(t,1H,ArH),7.28(m,1H,ArH),7.09(t,1H,ArH),7.04(d,1H,ArH),3.72(s,2H,インデン-CH
2),2.52(s,3H,ArCH
3)。
【0252】
2,5-ジメチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール:
【化25】
2-メチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール(7.76g、35.4mmol)を250mL丸底フラスコ中でTHF(150mL)に溶解した。カリウムtert-ブトキシド(3.97g、35.4mmol)を添加すると、暗緑色から暗赤色への色変化が生じた。1時間撹拌した後、フラスコを水浴に浸漬し、ヨードメタン(2.20mL、5.02g、35.4mmol)をゆっくり添加すると、穏やかな発熱および褐色懸濁液が得られた。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、NH
4Cl水溶液(水300mL中57g)に注ぎ入れ、懸濁沈殿を得た。スラリーを30分間撹拌し、次いで、固体を焼結ガラス漏斗上で回収し、水ですすいだ。この物質をCH
2Cl
2(200mL)に溶解し、ブライン(50mL)と振盪し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、暗緑色がかった褐色固体(7.63g、収率93%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.70-7.60(m,2H,ArH),7.45(d,1H,ArH),7.35(t,1H,ArH),7.25(m,1H,ArH),7.10-7.02(m,2H,ArH),3.81(s,3H,NCH
3),3.72(s,2H,インデン-CH
2),2.53(s,3H,ArCH
3)。
【0253】
6-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-2,5-ジメチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール:
【化26】
2,5-ジメチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール(467mg、2.0mmol)を100mLシュレンクフラスコに秤量し、THF(40mL)に溶解した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、1.38mL、2.2mmol)を、シリンジを介して添加し、反応混合物を2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテル(40mL)に再溶解した。(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(650mg、2.0mmol)をバイアルに秤量し、ジエチルエーテルすすぎ(3×3mL)を介して定量的に添加し、沈殿を得た。褐色懸濁液を一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、濾過して透明暗褐色濾液を得た。濾液を減圧下で濃縮し、ペンタンを用いて粉砕し、次いで、再び濃縮して、生成物を褐色ガラス状残渣(1.04g、収率99%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.90-6.90(m,9H,ArH),5.85(m,1H,アリル-H),5.55(d,1H,アリル-H),5.19(d,1H,アリル-H),4.28(m,2H,アリル-H),4.19(s,1H,Si-CH),3.00(s,3H,NCH
3),2.55(s,3H,ArCH
3),2.17(s,3H,ArCH
3),1.46(s,9H,Ar-t-Bu),1.10-0.50(m,10H,SiEt
2)。
【0254】
例3:
6-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-2,5-ジメチル-5,6-ジヒドロインデノ[2,1-b]インドール(1.08g、1.99mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(20mL)に溶解した。トリエチルアミン(1.25mL、8.943mmol、4.5当量)をフラスコに添加し、反応混合物を15分間-78℃に冷却した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.79mL、4.47mmol、2.25当量)を、トルエンすすぎ(3×3mL)を介してHypo-Vialから定量的に添加し、反応混合物を撹拌させ、2時間かけて周囲温度に加温させた。反応混合物を15分間-78℃に冷却し、Ti(NMe2)2Cl2(493mg、2.38mmol、1.2当量)をトルエン中溶液(10mL)として添加した。冷浴を30分後に除去し、油浴と交換した。反応混合物を3時間90℃に加熱して、暗赤褐色混合物を得た。揮発性物質を除去し、残渣をペンタンで抽出し、濾過して透明暗褐色濾液を得た。揮発性物質を濾液から除去し、残渣をトルエン(30mL)に再溶解した。クロロトリメチルシラン(0.51mL、3.974mmol、2当量)を添加し、混合物を一晩80℃に加熱した。揮発性物質を暗赤褐色溶液から除去し、粘着性残渣を、ペンタンを用いて粉砕した。残渣を、熱ヘプタンからの再結晶を介して精製して、所望の生成物を赤褐色結晶性粉末(580mg、収率49%)として得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 8.06(d,1H,ArH),7.95(s,1H,ArH),7.59(d,1H,ArH),7.34(s,1H,ArH),7.28(s,1H,ArH),7.20-6.80(m,4H,ArH),3.27(s,3H,NCH3),2.39(s,3H,ArCH3),2.36(s,3H,ArCH3),1.45(m,2H,SiCH2CH3),1.33(s,9H,Ar-t-Bu),1.12(t,3H,SiCH2CH3),1.05(t,3H,SiCH2CH3),0.95(m,2H,SiCH2CH3)。
【0255】
例4
【化27】
例4:
例3(461mg、0.770mmol)をバイアル中でトルエン(5mL)に溶解した。MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、0.54mL、1.618mmol)を撹拌しながら添加すると、暗赤褐色から暗黄褐色への色変化が生じた。2時間後、揮発性物質を除去し、残渣をトルエンで抽出し、濾過して暗黄褐色濾液を得た。揮発性物質を除去し、残渣を、ペンタンを用いて粉砕し、もう一度濃縮して、所望の生成物を黄褐色粉末(355mg、収率83%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 8.06(d,1H,ArH),7.89(s,1H,ArH),7.80(d,1H,ArH),7.30-7.00(m,5H,ArH),6.72(d,1H,ArH),2.91(s,3H,NCH
3),2.48(s,3H,ArCH
3),2.36(s,3H,ArCH
3),1.51(s,9H,Ar-t-Bu),1.40-0.90(m,10H,SiEt
2),0.30(s,3H,TiCH
3),0.21(s,3H,TiCH
3)。
【0256】
例5
【化28】
5-ペンチル-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]-インドール:
【化29】
8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(3.00g、13.7mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(14.4g、13.7mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(35mL)に溶解し、不透明橙色溶液を1時間撹拌した。脱気した1-ブロモペンタン(1.87mL、15.1mmol)を、シリンジを介して添加した。反応物を80℃で18時間還流した。周囲温度に冷却した後、反応混合物を水(100mL)に注ぎ入れ、CH
2Cl
2(100mL)で抽出した。有機抽出物を水(2×50mL)、ブライン(50mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色固体(2.66g、収率67%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.55(t,2H,ArH),7.43(t,1H,ArH),7.35(s,tH,ArH),7.24(t,1H,ArH),7.04(m,1H,ArH),4.39(t,1H,ペンタン-H),3.74(s,3H,CH
2),2.48(s,3H,CH
3),1.91(m,2H,ペンタン-H),1.37(m,5H,ペンタン-H),0.90(t,3H,ペンタン-H)。
【0257】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5-ペンチル-8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化30】
5-ペンチル-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]-インドール(0.89g、3.06mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(30mL)に溶解した。撹拌しながら、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.3mL、3.67mmol)を添加すると、発泡および明赤色が得られた。24時間後、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(0.994g、3.06mmol)を添加した。暗橙色溶液を一晩撹拌すると、白色沈殿が形成された。揮発性物質を減圧下で除去し、褐色油を、トルエンを用いて粉砕し、Celiteを通して濾過し、再び褐色油まで濃縮した。得られた粗物質をその後の工程に直接使用した。
【0258】
例5:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5-ペンチル-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(0.850g、1.47mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解し、15分間-78℃に冷却した。トリエチルアミン(0.92mL、6.61mmol)およびn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.10mL、3.31mmol)を連続的に添加した。淡黄色溶液を周囲温度に加温させ、さらに2時間撹拌し、その後、反応混合物をもう一度15分間-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(0.367g、1.76mmol)をトルエン中スラリーとして添加し、反応混合物を10分かけて周囲温度に加温させ、次いで、3時間90℃に加熱して暗赤褐色溶液を得た。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して暗褐色濾液を得た。濾液が無色になるまで抽出を続け、合わせた濾液を、ヘッドスペースを真空にした100mLフラスコに密封した。クロロトリメチルシラン(0.373mL、0.319g、2.94mmol)を、シリンジを介して添加し、混合物を一晩85℃に加熱した。揮発性物質を除去し、残渣を冷ペンタン中でスラリー化し、濾過した。黒色固体をフィルタから回収した。(0.336g、収率35%)。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.93(t,2H,ArH),7.45(s,1H,ArH),7.31(m,3H,ArH),6.49(s,1H,ArH),4.45(dq,2H,NCH2),2.41(s,3H,ArCH3),1.59(m,4H,SiEt3),1.36(m,4H,SiEt2),1.08(s,12H,ArCH3+tBu),1.01(t,3H,CH3),1.50-0.73(m,6H,ペンチル-CH2)。
【0259】
例6
【化31】
例6:
例5(0.336g、0.50mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(10mL)に溶解し、MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、0.60mL、1.80mmol)を添加した。赤褐色溶液を2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過した。明赤色濾液を回収し、減圧下で濃縮して、赤色粘着性固体(186mg、収率61%)を得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.99(d,1H,ArH),7.97(d,1H,ArH),7.40(d,1H,ArH),7.24(d,1H,ArH),7.18(dt,2H,ArH),6.96(s,1H,ArH
2),6.93(s,1H,ArH),6.59(s,1H,ArH)4.21(dq,2H,NCH
2),2.42(s,3H,ArCH
3),1.68(m,2H,ペンチル-CH
2),1.31(s,9H,tBuCH),1.20-1.06(m,15H,ペンチル-CH
2+SiEt
2),0.77(t,3H,ペンチル-CH
3),0.24(s,3H,TiCH
3),0.07(s,3H,TiCH
3)。
【0260】
例7
【化32】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジフェニルシラン:
【化33】
2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メチルベンゼン(5.04g、17.8mmol)を100mLフラスコに秤量し、脱水トルエン50mLを添加した。この溶液を-78℃に冷却し、n-BuLi溶液(12.2mL、19.5mmol、1.6M、ヘキサン)を滴加した。混合物を2時間かけて-15℃にゆっくり加温させ、その温度で30分間維持した。溶液を-78℃に冷却し、ニートPh
2SiCl
2(12.6mL、12.37mmol)を混合物に迅速に注入した。フラスコを一晩周囲温度に加温させた。揮発性物質を40℃に加熱しながら減圧下で除去して、濃厚なわずかに橙色の液体を得た。ペンタンを添加し、混合物を、Celiteプラグを通して濾過した。揮発性物質を除去し、混合物を動的真空下120℃で蒸留した。濃厚な灰白色液体を得た(4.50g、収率60%、NMRによる純度約90%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.78(m,4H,ArH),7.60(m,1H,ArH),7.48(m,2H,ArH),7.27(d,1H,ArH),7.12(d,4H,ArH),5.36(m,1H,アリル-H),4.97(dq,1H,アリル-H),4.80(dq,1H,アリル-H),4.16(m,2H,アリル-H)1.46(s,3H,CH
3),1.39(s,9H,C(CH
3)
3。
【0261】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジフェニルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化34】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.00g、4.31mmol)をTHF(30mL)に溶解し、冷凍庫に入れて-30℃に冷却した。1時間後、n-BuLi溶液(2.8mL、1.6M、4.5mmol、1.05当量)を滴加すると、直ちに暗橙色溶液が形成された。周囲温度で3時間撹拌した後、溶液を再び冷凍庫に入れ、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジフェニルシラン(1.85g、4.4mmol)をTHF(20mL)に溶解し、また冷凍庫に入れた。1時間後、クロロシラン溶液をリチウム化インデノインドリル前駆体に滴加し、混合物を周囲温度で48時間撹拌した。揮発性物質を動的真空下で除去し、生成物をヘプタンで抽出し、Celiteプラグを通して濾過し、揮発性物質を除去すると、淡黄色~橙色の泡沫状固体物質2.4gが残り、これをさらに精製することなく使用した。
【0262】
例7:
粗10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジフェニルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(2.40g、3.88mmol)をトルエン(40mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.45mL、15.5mmol)をフラスコに添加した。フラスコを-78℃に冷却し、n-BuLi溶液(5.5mL、1.6Mヘキサン、8.8mmol)を、シリンジを介してゆっくり添加した。混合物を1時間かけて周囲温度にゆっくり加温し、さらに1時間放置した。次いで、混合物を-78℃に冷却し、トルエン(20mL)中Ti(NMe2)2Cl2(964mg、4.66mmol)を、カニューレを介して添加し、さらに2アリコート(aliquot:一定分量/分割量)のトルエン(各5mL)ですすいだ。混合物を-78℃で10分間撹拌し、次いで、周囲温度に加温させ、次いで、2時間90℃に加熱して黒色混合物を得た。揮発性物質を45℃に加熱しながら減圧下で除去し、トルエン50mLを添加した。混合物を、Celiteを通して濾過した後、溶液を静的真空下に置き、クロロトリメチルシラン(1.5mL、11.6mmol、3当量)をフラスコに注入し、混合物を一晩80℃に加熱した。揮発性物質を動的真空下で除去し、ヘプタンを添加し、フラスコを90℃に加熱し、溶液をHypo-Vialに移し、次いで、これを冷凍庫に入れた。濾過すると、緑色結晶性化合物(1.11g、収率41.3%)が得られた。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.98(m,2H,ArH),7.86(m,2H,ArH),7.71(d,1H,ArH),7.52(s,1H,ArH),7.26(m,ArH,3H),7.20(m,4H,ArH),7.05(d,1H,ArH),6.91(dd,2H,ArH),6.84(d,2H,ArH),6.56(s,1H,ArH),3.63(s,3H,CH3),2.15(s,3H,CH3),1.94(s,3H,CH3),1.18(s,9H,C(CH3)3)。
【0263】
例8
【化35】
例8:
例7(932mg)をトルエン(20mL)に溶解し、急速に撹拌しながら、MeMgBr溶液(0.95mL、ジエチルエーテル中3M、2.1当量)を溶液に注入した。混合物を周囲温度で一晩撹拌させた。揮発性物質を動的真空下で除去し、トルエンを添加し(20mL)、揮発性物質をもう一度真空下で除去した。トルエンを添加し、混合物を加温し、次いで、Celiteを通して濾過した。揮発性物質を除去し、橙色粉末を得た(745mg)。冷ペンタンから再結晶させると、橙色半結晶性粉末(430mg、0.66mmol、収率49%)が得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.98(m,2H,ArH),7.92(m,2H,ArH),7.83(d,1H,ArH),7.45(d,1H,ArH),7.27(d,1H,ArH),7.16(m,4H,ArH),7.12(m,2H,ArH),7.05(m,2H,ArH),6.95(d,1H,ArH),6.82(d,1H,ArH),6.78(m,1H,ArH),6.36(s,1H,ArH),3.58(s,3H,CH
3),2.17(s,3H,CH
3),1.94(s,3H,CH
3),1.39(s,9H,C(CH
3)
3),0.09(s,3H,TiCH
3),0.05(s,3H,CH
3)。
【0264】
例9
【化36】
2-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-6-ブロモ-4-メチルフェノール:
【化37】
2-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-4-メチルフェノール(2.0g、8.25mmol)を250mL丸底フラスコ中アセトニトリル(100mL)中でスラリー化し、15分間0℃に冷却した。N-ブロモスクシンイミド(1.62g、9.08mmol)を添加した。淡黄色反応混合物を撹拌し、一晩周囲温度に加温させると、淡黄色懸濁液が得られた。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をCH
2Cl
2と水(それぞれ150mL)に分配した。有機層を回収し、水層のさらなるCH
2Cl
2抽出物(2×100mL)と合わせ、水(2×100mL)、ブライン(50mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色固体(2.63g、8.20mmol、収率99%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.15(d,1H,ArH),6.95(d,1H,ArH),5.63(s,1H,ArOH),2.25(s,3H,ArCH
3),2.15-2.01(br,9H,AdH),1.77(br s,6H,AdH).
【0265】
(3r,5r,7r)-1-(2-(アリルオキシ)-3-ブロモ-5-メチルフェニル)アダマンタン:
【化38】
2-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-6-ブロモ-4-メチルフェノール(2.63g、8.20mmol)、炭酸カリウム(4.53g、16.39mmol)およびアセトン(70mL)を100mL丸底フラスコ中で合わせ、冷却器に取り付けた。混合物を10分間撹拌し、次いで、臭化アリル(2.84mL、16.39mmol)を添加した。反応混合物を5時間還流し、周囲温度に冷却し、Celiteを通して濾過した。透明黄色濾液を濃縮乾固し、ペンタンを用いて粉砕し、もう一度濃縮して、灰白色粉末(2.80g、収率95%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.25(m,1H,ArH),7.03(d,1H,ArH),6.14(m,1H,アリル-H),5.54(dq,1H,アリル-H),5.32(dq,1H,アリル-H),4.59(m,1H,アリル-H),2.28(3H,ArCH
3),2.07(br,9H,AdH),1.76(br,6H,AdH)。
【0266】
(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-2-(アリルオキシ)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン:
【化39】
(3r,5r,7r)-1-(2-(アリルオキシ)-3-ブロモ-5-メチルフェニル)アダマンタン(1.40g、3.88mmol)を脱水ジエチルエーテル(80mL)に溶解した。反応混合物を15分間-78℃に冷却し、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.54mL、4.07mmol)を添加した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌し、その後、ジクロロジエチルシラン(1.52g、9.69mmol)を添加した。反応混合物を一晩周囲温度に加温すると、黄褐色懸濁液が得られた。揮発性物質を除去し、残渣をペンタンで抽出し、Celiteを通して濾過して褐色溶液を得た。揮発性物質を除去して、粗生成物を濃厚な油として得て、これをさらに精製することなく使用した(1.28g、収率82%、NMRによる純度約90%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8,)δ 7.50(d,1H,ArH),7.18(d,1H,ArH),5.80(m,1H,アリル-H),5.53(dq,1H,アリル-H),5.13(dq,1H,アリル-H),4.31(m,2H,アリル-H),2.19(s,3H,ArCH
3),2.07(br m,6H,AdH),2.01(br,3H,AdH),1.74(br,6H,AdH),1.23-1.03(m,10H,SiEt
2)。
【0267】
10-((3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-2-(アリルオキシ)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化40】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(0.74g、3.18mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(30mL)に溶解した。撹拌しながら、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.09mL、3.34mmol)を添加すると、発泡および明赤色が得られた。30分後、(3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-2-(アリルオキシ)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(1.28g、3.18mmol)のTHF溶液(10mL)を、カニューレを介して添加した。暗橙色溶液を一晩撹拌した後、揮発性物質を減圧下で除去し、泡沫状残渣を、ペンタンを用いて粉砕し、減圧下で濃縮して灰白色粉末を得た。これをトルエンで抽出し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、9:1ヘプタン:酢酸エチル)を介して精製すると、粘着性淡黄色固体(1.39g、収率73%)が得られた。このように単離した物質をさらに精製することなく使用した。
【0268】
例9:
10-((3-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-2-(アリルオキシ)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.39g、2.32mmol)をトルエン(30mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.46mL、10.46mmol)で処理して、黄色懸濁液を得た。フラスコを15分間-78℃に冷却し、次いで、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、3.27mL、5.23mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度に加温し、1時間撹拌して透明橙色溶液を得た。フラスコをもう一度15分間-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(577mg、2.79mmol)をトルエン溶液として添加すると、反応混合物は暗褐色であった。冷浴を除去し、混合物を3時間90℃に加熱した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して暗赤褐色溶液から暗色固体を除去した。濾液を、静的真空下、密封フラスコ中でクロロトリメチルシラン(0.59mL、4.65mmol)と共に一晩加熱した。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を熱ヘプタン(20mL)と撹拌し、得られたスラリーをグローブボックス冷凍庫で冷却した。冷混合物をデカントし、得られた固体を単離し、減圧下で乾燥させて、暗緑色粉末(768mg、収率49%)を得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.88(d,1H,ArH),7.73(d,1H,ArH),7.45(m,1H,ArH),7.31(m,1H,ArH),7.24(m,1H,ArH),7.19(m,1H,ArH),6.81(d,1H,ArH),6.44(s,1H,ArH),3.59(s,3H,NCH3),2.46(s,3H,ArCH3),2.11(s,3H,ArCH3),1.76(m,12H,AdH+ArCH3),1.54(m,3H,AdH),1.40-0.83(m,10H,SiEt2)。
【0269】
例10
【化41】
例10:
例9(768mg、1.135mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解し、MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、0.83mL、2.50mmol)を添加した。初期の色変化は観察されなかった。混合物を一晩撹拌して、暗緑色がかった褐色懸濁液を得た。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をヘプタンで抽出し、Celiteを通して濾過して鈍い橙緑色濾液から暗色固体を除去し、濾液を減圧下で濃縮して暗緑色-黒色固体を得た。ペンタンを用いて粉砕すると、所望の生成物が赤褐色粉末(533mg、0.838mmol、74%)として得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.86(d,1H,ArH),7.74(d,1H,ArH),7.39(m,1H,ArH),7.23-7.11(m,3H,ArH),6.94(d,1H,ArH),6.78(d,1H,ArH),6.57(s,1H,ArH),3.54(s,3H,NCH
3),2.45(s,3H,ArCH
3),2.15-2.09(m,6H,ArCH
3+AdH),2.00-1.86(m,6H,AdH),1.79-1.59(m,6H,AdH),1.30-1.01(m,10H,SiEt
2),0.20(s,3H,TiCH
3),0.01(s,3H,TiCH
3)。
【0270】
例11
【化42】
2-ブロモ-6-(tert-ブチル)-4-メトキシフェノール:
【化43】
2-(tert-ブチル)-4-メトキシフェノール(1.80g、10mmol)を250mL丸底フラスコ中でCH
2Cl
2(100mL)に溶解して、無色透明溶液を得た。溶液を氷水浴に15分間浸漬した。激しく撹拌ながら、N-ブロモスクシンイミド(1.87g、10.5mmol)のCH
2Cl
2(約50mL)中スラリーを滴加して、Br
2濃度を制御した。NBSの全体を添加したら(CH
2Cl
2すすぎを用いて)、淡黄色溶液を周囲温度に加温させた。2時間後、反応混合物を飽和Na
2S
2O
3水溶液(50mL)、水(3×50mL)、ブライン(50mL)ですすぎ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。乾燥した有機相を濾過した。透明淡黄色濾液を減圧下で濃縮して、生成物を濃厚な琥珀色油(2.23g、8.59mmol、収率86%、NMRによる純度約95%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 6.91(m,2H,ArH),5.51(s,1H,ArOH),3.77(s,3H,ArOMe),1.43(s,9H,t-Bu).
【0271】
2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メトキシベンゼン:
【化44】
NaH(144mg、6.0mmol)をシュレンクフラスコ中THF(50mL)中でスラリー化した。激しく撹拌しながら、2-ブロモ-6-(tert-ブチル)-4-メトキシフェノール(1.04g、4.0mmol)をTHF中溶液(5mL)として滴加すると、発泡および暗黄緑色懸濁液が得られた。反応混合物を1時間撹拌し、その後、臭化アリル(0.52mL、6mmol)を、シリンジを介して添加した。暗黄緑色反応混合物を3日間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、ペンタン(50mL)中でスラリー化し、飽和NH
4Cl水溶液(50mL)の滴加によって中和し、有機層をブライン(10mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させた。乾燥した抽出物を濾過し、減圧下で濃縮して琥珀色油(787mg、2.63mmol、収率66%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 6.96(d,1H,ArH),6.86(d,1H,ArH),6.13(m,1H,アリル-H),5.49(dq,1H,アリル-H),5.30(dq,1H,アリル-H),4.55(dt,2H,アリル-H),3.76(s,3H,OMe),1.38(s,9H,t-Bu)。
【0272】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メトキシフェニル)クロロジエチルシラン:
【化45】
2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メトキシベンゼン(5.39g、18mmol)をシュレンクフラスコ中Et
2O(50mL)で希釈した。フラスコを15分間-78℃に冷却し、その後、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、11.8mL、18.9)を添加すると、最初に暗緑色着色が得られ、その後、添加が完了すると黄色懸濁液が得られた。反応混合物を1時間撹拌し、その後、Et
2SiCl
2(7.07g、45mmol)を添加して、鈍い黄色懸濁液を得た。これを撹拌し、2時間かけて周囲温度に加温した。揮発性物質を減圧下で除去した。黄色残渣をペンタンで抽出し、Celiteを通して濾過して透明黄色濾液から白色固体を除去した。濾液を蒸発させて、生成物を濃厚な琥珀色油(5.77g、16.92mmol、収率94%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.23(d,1H,ArH),7.06(d,1H,ArH),5.79(m,1H,アリル-H),5.47(dq,1H,アリル-H),5.11(dq,1H,アリル-H),4.26(m,2H,アリル-H),3.43(s,3H,OMe),1.35(s,9H,t-Bu),1.20-0.98(m,10H,SiEt
2)。
【0273】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メトキシフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化46】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(5.87g、25.17mmol)をTHF(100mL)に溶解した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、16.5mL、26.43mmol)を添加し、暗赤色混合物を1時間撹拌した。(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メトキシフェニル)クロロジエチルシラン(8.58g、25.17mmol)を添加して、橙褐色懸濁液を得た。揮発性物質を1.5時間後に蒸発させた。残渣を、ペンタンを用いて粉砕し、もう一度蒸発させた。物質をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して、暗琥珀色濾液を得た。濾液を減圧下で濃縮した後、残渣をヘプタンに分散させ、次いで、再び黄色ケークまで濃縮した。熱ヘプタンから再結晶させると、純粋な生成物が淡黄色粉末(4.80g、8.92mmol、再結晶収率35%)として得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.51(d,1H,ArH),7.46(d,1H,ArH),7.22(t,1H,ArH),7.12(m,1H,ArH),7.09(td,1H,ArH),7.02(m,2H,ArH),6.91(s,1H,ArH),6.64(d,1H,ArH),5.78(m,1H,アリル-H),5.56(dq,1H,アリル-H),5.15(dq,1H,アリル-H),4.40(s,1H,SiCH),4.23(m,2H,アリル-H),3.38(s,3H,OMe),3.29(s,3H,NMe),2.44(s,3H,ArMe),1.42(s,9H,t-Bu),1.22-0.70(m,10H,SiEt
2)。
【0274】
例11:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メトキシフェニル)ジエチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(965mg、1.79mmol)をトルエン(30mL)に溶解して黄色溶液にした。NEt3(1.13mL、8.07mmol)を、シリンジを介して添加したところ、観察可能な変化は得られなかった。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.52mL、4.04mmol)を、シリンジを介して添加すると、溶液が最初に黄橙色に暗くなり、引き続いて沈殿が形成された。明るい黄色懸濁液を1時間撹拌した。Ti(NMe2)2Cl2(445mg、2.15mmol)をトルエンに溶解して赤褐色溶液にし、黄色反応混合物に添加して暗褐色懸濁液を得た。これを3時間90℃に加熱し、その後、クロロトリメチルシラン(0.57mL、4.49mmol)を添加し、反応混合物を80℃で一晩維持した。揮発性物質を減圧下で除去した。褐色残渣を、高温ヘプタンを用いて分散させ、溶液を再び濃縮した。次いで、残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して褐色濾液から暗色固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を最小限の高温ヘプタン中、90℃で15分間スラリー化し、その後、スラリーを2時間-35℃に冷やした。固体を中程度の多孔性フリット上で回収し、最小限のペンタンですすぎ、減圧下で乾燥させて、生成物を暗赤褐色固体(874mg、1.42mmol、再結晶収率79%)として得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.90(d,1H,ArH),7.76(d,1H,ArH),7.32(t,1H,ArH),7.22(m,2H,ArH),7.08(d,1H,ArH),7.00(m,1H,ArH),6.80(d,1H,ArH),6.50(s,1H,ArH),3.60(s,3H,OMe),3.59(s,3H,NMe),2.12(m,3H,ArMe),1.64-1.05(m,10H,SiEt2),1.04(s,9H,t-Bu)。
【0275】
例12
【化47】
例11(1.82g、2.96mmol)をトルエン(80mL)に溶解して暗褐色溶液を得た。激しく撹拌しながら、MeMgBr溶液(Et
2O中3.0M、2.17mL、6.52mmol)を、シリンジを介して添加すると、すぐに橙褐色に着色した。これを30分間撹拌し、その後、反応混合物を減圧下で蒸発させた。残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過し、もう一度濃縮した。残渣をヘプタン中でスラリー化し、もう一度蒸発させて、生成物を橙色粉末(1.47g、2.65mmol、収率87%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.87(m,1H,ArH),7.73(m,1H,ArH),7.22-7.10(m,4H,ArH),6.94(d,1H,ArH),6.76(d,1H,ArH),6.55(s,1H,ArH),3.62(s,3H,OMe),3.52(s,3H,NMe),2.09(s,3H,ArMe),12.5(s,9H,t-Bu),1.24-1.00(m,10H,SiEt
2),0.17(s,3H,TiMe),-0.03(s,3H,TiMe
2)。
【0276】
例13
【化48】
3,5-ジ-tert-ブチルヨードベンゼン:
【化49】
78℃の1-ブロモ-3,5-ジ-tert-ブチルベンゼン(5.39g、20mmol)のTHF溶液(50mL)に、カニューレを介してn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、13.12mL、21mmol)を10分間かけて滴加した。白色沈殿が形成され、反応混合物を-78℃で1時間激しく撹拌した。得られたスラリーに、-78℃で、ヨウ素(5.33g、20mmol)のTHF溶液(50mL)を20分間かけてゆっくり添加した。添加の終わり近くで、ヨウ素の色は持続した。冷浴を除去し、溶液を周囲温度で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、次いで、蒸留水(約50mL)をフラスコに添加した。飽和Na
2S
2O
3水溶液(50mL)をヨウ素の色が消失するまでフラスコに滴加した。合わせた水性混合物をジエチルエーテルで抽出し、有機層を無水MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、次いで、減圧下で濃縮した。粗生成物をペンタンに溶解し、追加のペンタンを数回流しながら活性化中性アルミナのカラムに通した。ペンタン溶液を蒸発乾固させ、無色結晶性固体(6.124g)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.49(s,1H,ArH),7.28(s,2H,ArH),1.56(s,18H,tBu).
【0277】
5-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化50】
3,5-ジ-tert-ブチルヨードベンゼン(2.0g、6.32mmol)、8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.39g、6.32mmol)、リン酸カリウム(4.0g,18.96mmol、ヨウ化銅(I)(1.58g、1.58mmol)、N,N’-ジメチルエチレンジアミン(500mg)およびトルエン(50mL)をグローブボックス中で厚壁ロングKontesフラスコに装入した。フラスコを密封し、撹拌した混合物を130℃で48時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却した後、生成物混合物を濾過し、濾過ケークをトルエン(3×10mL)ですすいだ。合わせた濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)で洗浄し、次いで、無水MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。固体をジエチルエーテルに再溶解し、溶液を活性化中性アルミナのカラムに通し、さらなるジエチルエーテルで洗浄した。ジエチルエーテル溶液を減圧下で約20mLまで濃縮すると、生成物が結晶化し始めた。混合物を一晩-20℃に冷却した後、結晶性固体をデカンテーションによって単離し、減圧下で乾燥させて物質1.68gを得た。母液を蒸発乾固させて、純粋な生成物さらに120mgを得た。合わせた収量は1.80g(70%)であった。
1H NMR(400MHz,CD
2Cl
2)δ:7.55-7.51(m,2H,ArH),7.48-7.45(m,1H,ArH),7.41(d,J=2Hz,2H,ArH),7.30(d,J=8.4Hz,1H,ArH),7.19-7.14(m,2H,ArH),7.19-7.09(m,1H,ArH),7.00(dd,J=8.5Hz,J=2Hz,1H,ArH),3.78(s,2H,インデノ-H),2.47(s,3H,ArCH
3),1.40(s,18H,tBu)。
【0278】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化51】
5-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.32g、3.24mol)のTHF溶液(30mL)に、-35℃で、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.10mL、3.36mmol)を添加した。溶液の色は明るい橙赤色になった。溶液を周囲温度で3時間撹拌し、次いで、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(1.052g、3.24mmol)のTHF溶液(5mL)を添加した。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、60℃で6時間さらに撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をペンタン(40mL)に再溶解し、ペンタンのさらなる部分ですすぎながら活性化中性アルミナのカラムに通した。合わせたペンタン溶離液の体積を約5mLに減少させ、溶液を一晩-35℃に冷却した。無色固体を濾過によって単離し、冷ペンタンで洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させて物質1.67g(74%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD
2Cl
2)δ:7.50(t,J=2Hz,1H,ArH),7.40-7.35(m,1H,ArH),7.33(d,J=2Hz,2H,ArH),7.25(d,J=8Hz,1H,ArH),7.12-7.04(m,2H,ArH),6.94-6.87(m,2H,ArH),6.45(s,1H,ArH),6.08-6.97(m,1H,アリルH),5.55(dq,1H,アリルH),5.28(dq,1H,アリルH),4.48(s,1H),4.29(qm,2H,アリルH),2.29(s,3H,ArCH
3),2.22(s,3H,ArCH
3),1.42(s,9H,tBu),1.38(s,18H,tBu),1.34-0.50(m,10H,SiEt
2)。
【0279】
例13:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-5-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-8-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(0.81g、1.16mmol)およびトリエチルアミン(0.6g、4.5倍超過剰)をトルエン(30mL)に溶解し、得られた溶液を0.5時間-35℃に冷却した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、2.52mL、2.41mmol)を撹拌しながら溶液に添加し、混合物を周囲温度に加温させ、2.5時間撹拌した。反応混合物を-35℃に冷却し、次いで、固体Ti(NMe2)2Cl2(240mg、1.16mmol)を添加し、引き続いて定量的添加を確実にするために少量のトルエンを添加した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、90℃でさらに3時間加熱した。赤橙色溶液を濾過し、濾液を別のフラスコに回収した。クロロトリメチルシラン(350mg)を添加し、密封フラスコを80℃で一晩加熱した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタン(30mL)に溶解した。緑褐色固体が結晶化し始め、フラスコを4時間-35℃に冷却した。沈殿を濾過によって単離し、回収した固体を冷(-35℃)ペンタンで数回洗浄した。固体を回収し、減圧下で乾燥させて、生成物を緑褐色固体(0.574g、64%)として得た。1H NMR(400MHz,CD2Cl2)δ:8.14(br.s,1H,ArH),7.93(d,J=8.7Hz,1H,ArH),7.67(d,J=8Hz,1H,ArH),7.60(s,1H,ArH),7.55(t,J=7.7Hz,1H,ArH),7.50-7.40(m,2H,ArH),7.30(s,1H,ArH),7.24(s,1H,ArH),7.22(s,1H,ArH),7.12(d,1H,ArH),6.34(s,1H,ArH),2.53(s,3H,ArCH3),2.08(s,3H,ArCH3),1.41(br.s,18H,tBu),1.35-1.01(m,10H,SiEt2),0.79(s,9H,tBu)。
【0280】
例14
【化52】
例14:
例13(0.574g、0.743mol)をトルエン(30mL)に溶解し、MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、0.75ml、2.25mmol)を添加した。混合物を一晩撹拌し、次いで、減圧下で蒸発乾固させた。残渣をペンタンに溶解し、濾過し、濾液を蒸発乾固させて橙色固体を得た。固体を再びペンタンに溶解し、溶液を濾過してごく少量の固体を除去した。濾液を蒸発乾固させ、純粋な橙色結晶性固体(489mg、90%)を得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.83(d,J=8.5Hz,1H,ArH),7.78(d,J=8.5Hz,1H,ArH),7.75-7.61(br.s,1H,ArH),7.59(m,1H,ArH),7.44(m,1H,ArH),7.40(d,J=8.5Hz,1H,ArH),7.32(s,1H,ArH),7.13-7.06(m,1H,ArH),6.96-7.03(m,1H,ArH),6.91(d,J=8Hz,1H,ArH),6.76(s,1H,ArH),2.43(s,3H,ArCH
3),2.09(s,3H,ArCH
3),1.37(s,9H,tBu),1.30(s,18H,tBu),1.28-1.04(m,10H,SiEt
2),0.37(s,3H,TiMe),0.24(s,3H,TiMe)。
【0281】
例15
【化53】
ジクロロジプロピルシラン:
粉砕したマグネシウム削り状(1.58g、65mmol)をグローブボックス中で250mLフラスコに秤量し、THF(5mL)を添加した。少量の1-ブロモプロパン(合計5.534g、45mmolから約0.5mL)を撹拌しながら滴加し、数分以内に反応を開始した。1-ブロモプロパンの残りを連続的に添加しながら、反応混合物を追加のTHFでさらに希釈して、およそ1時間かけて穏やかな還流を維持した。さらに1時間撹拌した後、フラスコをセプタムで密封し、一晩撹拌した。得られた混合物を濾過し、過剰のマグネシウム削り状を少量のTHFで洗浄した。合わせた濾液を四塩化ケイ素(3.822g、22.5mmol)のTHF溶液(100mL)に-78℃で1時間かけて滴加した。冷浴(CO
2/EtOH)を周囲温度にゆっくり加温させながら、得られたスラリーを一晩撹拌した。反応混合物を1時間45℃に加熱し、次いで、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をペンタン中に取り込み、1,4-ジオキサン(約1.5mL)を添加し、得られた混合物を1時間撹拌して残留ハロゲン化マグネシウム塩を沈殿させた。混合物を濾過し、得られた溶液を減圧下で慎重に濃縮し、次いで、静的真空下で分画蒸留して(ヘッド温度:32℃、浴温度:45~50℃)、生成物を透明油(3.1g、74%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 1.43-1.30(m,2H),0.83(t,J=7Hz,3H),0.79-0.73(m,2H)。
【0282】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジプロピルシラン:
【化54】
-78℃に冷却した2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メチルベンゼン(1.415g、5mmol)のEt
2O(40mL)中溶液に、カニューレを介してn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、3.27mL、5.2mmol)を5分間かけて滴加した。数分後、反応溶液が濁り、白色スラリーが形成された。混合物を-78℃で2時間撹拌し、次いで、温度を-78℃に維持しながら、ジクロロジプロピルシラン(2.31g、12.5mmol)のEt
2O(5mL)中溶液を5分間かけて滴加した。冷浴(CO
2/EtOH)を周囲温度にゆっくり加温させながら、反応物を一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタンに溶解した。混合物を、Celiteパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、生成物を淡橙色油(1.79g、約100%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.53(dd,J=2Hzおよび1Hz,1H),7.22(dd,J=2Hzおよび1Hz,1H),5.87-5.76(m,1H),5.50(dq,1H),5.29(dq,1H),4.30(m,2H),2.166(s,3H),1.60-1.48(m,4H),1.387(s,9H),1.25-1.10(m,4H),0.97(t,6H)。
【0283】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジプロピルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化55】
-35℃に冷却した5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.157g、4.96mmol)のTHF溶液(35mL)に、n-BuLi(ヘキサン中1.6M、3.10mL、4.96mmol)のヘキサン中溶液を添加した。得られた溶液を、周囲温度に加温させながら1時間撹拌した。(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジプロピルシラン(1.75g、4.96mmol)のTHF溶液(10mL)を数分かけて滴加し、反応混合物を一晩撹拌した。得られた淡褐色混合物を1時間55℃に加熱し、次いで、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をペンタン(約30mL)に溶解し、次いで、焼成中性アルミナプラグ(500℃で一晩焼成し、不活性雰囲気下で保存)に通し、次いで、さらに15~20mLのペンタンでこれをすすいだ。ペンタン溶液をおよそ5~6mLの体積まで濃縮すると、黄色固体が結晶化し始めた。一晩-35℃に冷却した後、固体物質を濾過によって単離し、少量の冷ペンタンですすぎ、次いで真空下で乾燥させて、生成物を黄色結晶性固体(1.85g、収率67%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.52(d,J=7Hz,1H),7.47(d,J=7Hz,1H),7.30(d,J=2Hz,1H),7.22(t,J=7Hz,1H),7.09(td,J=7Hzおよび1Hz,1H),7.06(d,J=2Hz,1H),7.00(d,J=1Hz,2H),6.71(s,1H),5.87-5.76(m,1H),5.55(dq,1H),5.15(dq,1H),4.45(s,1H),4.30(qq,2H),3.42(s,3H),2.41(s,3H),2.17(s,3H),1.47(s,9H),1.35-1.13(m,6H),1.05-0.85(m,8H)。
【0284】
例15:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジプロピルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.850g、3.364mmol)、トリエチルアミン(2.12mL、1.53g、15.1mmol)およびトルエン(30mL)を200mL Kontesフラスコ中で合わせた。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、4.33mL、6.93mmol)を、周囲温度で撹拌しながら滴加した。得られた橙色溶液を2時間撹拌すると、その後、スラリーが形成された。このスラリーに、Ti(NMe2)2Cl2(0.696g、3.364mmol)のトルエン溶液(約50mL)を添加した。混合物を60℃で一晩、次いで、90℃でさらに3時間撹拌した。暗橙色溶液を、Celiteパッドを通して濾過し、濾液にクロロトリメチルシラン(2.60g、23.9mmol)を添加した。混合物のヘッドスペースを短時間真空にした後、フラスコを密封し、反応物を80℃で一晩撹拌した。得られた緑褐色溶液を減圧下で蒸発乾固させ、固体をペンタンで数回洗浄した。固体を真空下で乾燥させて、生成物を緑褐色固体(1.53g、72%)として得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.97(d,J=8Hz,1H),7.77(d,J=8Hz,1H),7.51(s,1H),7.33-7.27(m,2H),6.99(d,J=7Hz,1H),7.01(d,J=7Hz,1H),6.79(d,J=7Hz,1H),6.46(s,1H),3.60(s,3H),2.41(s,3H),2.07(t,3H),1.75-1.18(m,8H),0.96(t,J=7Hz,3H),0.87(t,J=7Hz,3H)。
【0285】
例16
【化56】
例16:
例15(1.534g、2.38mmol)のトルエン(25mL)中溶液に、周囲温度で、MeMgBr溶液(Et
2O中3.0M、4.0mL、12mmol)を添加した。得られた混合物を一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣をペンタン(60mL)中にスラリー化し、2時間撹拌し、濾過し、固体ケークをさらなるペンタンで複数回洗浄した(5×10mL)。合わせた濾液を減圧下で体積を約10mLまで減少させ、明るい橙色結晶性固体を堆積させ、デカンテーションによって単離し、冷ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させた。母液を減圧下で濃縮し、グローブボックス中で-35℃の冷凍庫に一晩入れ、そこで固体の第2の収穫物を堆積させ、単離し、冷ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させた。
1H NMRによる物質の両収穫物の分析は、95%超の純度を示した。合わせた生成物を明るい橙色固体として単離した(0.90g、63%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.88(dd,J=7Hzおよび1Hz,1H),7.83(dd,J=7Hzおよび1Hz,1H),7.46(d,J=2Hz,1H),7.29(d,J=2Hz,1H),7.21-7.12(m,2H),6.95(d,J=8Hz,1H),6.77(d,J=8Hz,1H),6.54(s,1H),3.54(s,3H),2.43(s,3H),2.08(s,3H),1.68-1.42(m,4H),1.40-1.29(m,4H),1.28(s,9H),0.94(t,J=7Hz,3H),0.92(t,J=7Hz,3H),0.22(s,3H),0.002(s,3H)。
【0286】
例17
【化57】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジメチルシラン:
【化58】
この物質は、実質的にSenda,T.ら、Macromolecules 2009、42、8006~8009によって記載されるように調製した。2-(アリルオキシ)-1-ブロモ-3-(tert-ブチル)-5-メチルベンゼン(17.706g、60mmol)を、窒素入口およびゴムセプタムを備えた2Lの2つ口丸底フラスコ中でジエチルエーテル(400mL)に溶解した。フラスコを-78℃に冷却し、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、40mL、64mmol)を、カニューレを介してゆっくり添加した。反応混合物を-78℃で2時間撹拌し、その間に微細な白色固体が沈殿した。シリンジを使用して、Me
2SiCl
2(25.7g、180mmol)を迅速に添加した。反応混合物を一晩周囲温度に加温させた。揮発性物質を減圧下で除去し、油状残渣をペンタンで抽出し、Celiteを通して濾過し、無色透明濾液を得た。揮発性物質を除去して、所望の生成物をワックス状結晶性固体(17.71g、収率99%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.40(d,1H,ArH),7.22(d,1H,ArH),5.80(m,1H,O-アリル),5.48(dq,1H,O-アリル),5.11(dq,1H,O-アリル),4.34(m,2H,O-アリル),2.14(s,3H,ArCH
3),1.38(s,9H,Ar-t-Bu),0.66(s,6H,SiMe
2)。
【0287】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジメチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化59】
5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(2.510g、10.76mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でTHF(60mL)に溶解した。激しく撹拌しながら、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、7.0mL、11mmol)を添加し、暗赤色反応混合物を1時間撹拌した。ゆっくりした発泡(ブタン)が最初に観察されたが、経時的に収まった。4時間後、溶液を-78℃に冷却し、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジメチルシラン(3.401g、11.45mmol)のトルエン(50mL)中溶液を添加して、暗橙赤色溶液を得た。反応混合物を一晩加温させ、次いで、揮発性物質を減圧下で除去すると、粘着性褐色油が得られた。粗物質をトルエンに溶解し、Celiteプラグに通した。揮発性物質を減圧下で除去し、固体を熱ヘプタンに溶解した。冷却すると、黄色結晶性固体が沈殿し、次いで、焼結ガラス漏斗上で回収し、減圧下で乾燥させた(3.727g、収率67%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.71(d,1H,ArH),7.36(d,1H,ArH),7.30(m,1H,ArH),7.30(t,1H,ArH),7.10(dt,1H,ArH)7.05(d,1H,ArH),6.98(dd,1H,ArH),6.46(s,1H,ArH)6.08(m,1H,アリル-H),5.58(dq,1H,アリル-H),5.32(dq,1H,アリル-H),4.45(qd,1H,アリル-H),4.34(s,1H,Si-CH),4.06(s,3H,NCH
3),2.33(s,3H,ArCH
3),2.31(s,3H,ArCH
3),1.49(s,9H,t-Bu),0.13(s,3H,SiMe),0.02(s,3H,SiMe)。
【0288】
例17:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジメチルシリル)-5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(3.727g、7.14mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(60mL)に溶解し、15分間-78℃に冷却した。トリエチルアミン(3.2mL、2.3g、23mmol)およびn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、9.2mL、14.7mmol)を連続的に添加した。淡黄色溶液を周囲温度に加温させ、2時間撹拌し、その後、反応混合物をもう一度15分間-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(1.700g、8.21mmol)をトルエン中スラリーとして添加し、反応混合物を30分かけて周囲温度に加温し、引き続いて30分間90℃に加熱して暗赤褐色スラリーを得た。混合物を80℃に冷却し、クロロトリメチルシラン(2.3mL、2.0g、18mmol)を、シリンジを介して添加し、混合物を一晩80℃に加熱した。揮発性物質のおよそ1/5を減圧下で除去し、混合物を、Celiteパッドを通して濾過した。濾液から揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を熱ヘプタンから再結晶させて純粋な生成物の少量の収穫物を得た。濾過ケークを熱トルエン(合計約500mL)および次いでジクロロメタン(60mL)でさらに洗浄し、引き続いて濾液を合わせ、減圧下で濃縮し、得られた固体を熱ヘプタンで再結晶/粉砕し、濾過によって固体を単離し、次いで、減圧下で乾燥させることによってさらなる純粋な生成物を得て、純粋な生成物を緑色結晶性固体(合計1.57g、再結晶収率37%)として得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.82(d,1H,ArH),7.73(d,1H,ArH),7.41(d,1H,ArH),7.29-7.15(m,3H,ArH),6.99(d,1H,ArH),6.78(d,1H,ArH),6.46(s,1H,ArH),3.58(s,3H,NCH3),2.38(s,3H,ArCH3),2.05(s,3H,ArCH3),1.03(s,9H,t-Bu),0.81(s,3H,SiMe),0.65(s,3H,SiMe)。
【0289】
例18
【化60】
例18:
例17(1.234g、2.16mmol)のトルエン溶液(20mL)に、MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、1.50mL、4.5mmol)を添加すると、直ちに明るい橙色溶液が得られた。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、Celiteパッドを通して濾過した。明るい橙色濾液を回収し、減圧下で濃縮して非晶質橙色残渣を得た。残渣をペンタンに溶解し、減圧下で濃縮して、所望の生成物を明るい橙色粉末(1.05g、収率92%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.85(d,1H,ArH),7.69(d,1H,ArH),7.39(s,1H,ArH),7.25(s,1H,ArH),7.19-7.10(m,2H,ArH),6.95(d,1H,ArH),6.77(d,1H,ArH),6.59(s,1H,ArH),3.53(s,3H,NCH
3),2.39(s,3H,ArCH
3),2.07(s,3H,ArCH
3),1.28(s,9H,t-Bu),0.70(s,1H,SiMe),0.63(s,1H,SiMe),0.17(s,3H,TiCH
3),0.01(s,3H,TiCH
3)。
【0290】
例19
【化61】
1,3,8-トリメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化62】
4,6-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(2.288g、14.28mmol)を丸底フラスコ中でイソプロパノール(200mL)に溶解して、透明黄色溶液を得た。パラ-トルエンスルホン酸一水和物(82mg、0.428mmol)およびp-トリルヒドラジン塩酸塩(2.265g、14.28mmol)を添加し、冷却器をフラスコに取り付けた。反応混合物を2時間85℃に加熱し、次いで、減圧下で濃縮し、-33℃に冷却した。沈殿を焼結ガラスフリット上で回収し、最小量の冷イソプロパノールですすぎ、残留揮発性物質を減圧下で除去して、所望の生成物を白色固体(1.82g、7.36mmol、再結晶収率52%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.25(br,1H,NH),7.43(s,1H,ArH),7.36(d,1H,ArH),7.21(s,1H,ArH),7.00(m,1H,ArH),6.95(s,1H,ArH),3.67(s,2H,CH
2),2.63(s,3H,ArMe),2.49(s,3H,ArMe),2.41(s,3H,ArMe).
【0291】
1,3,5,8-テトラメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化63】
1,3,8-トリメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.820g、7.358mmol)をTHF(100mL)中でスラリー化して、淡黄色の濁った混合物を得た。THF(20mL)中ナトリウムtert-ブトキシド(743mg、7.726mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌した。ヨードメタン(0.48mL、7.726mmol)を、シリンジを介して滴加し、混合物を一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で黄色懸濁液から除去した。残渣をCH
2Cl
2(100mL)に溶解し、水(100mL)で洗浄した。水層をさらなるCH
2Cl
2(2×50mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL)ですすぎ、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、透明黄色濾液を蒸発乾固させた。熱ヘプタンから再結晶させると、所望の生成物が白色固体(1.013g、3.876mmol、再結晶収率53%)として得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.40(s,1H,ArH),7.27(d,1H,ArH),7.21(s,1H,ArH),7.04(d,1H,ArH),6.96(s,1H,ArH),4.09(s,3H,NMe),3.64(s,2H,CH
2),2.77(s,3H,ArMe),2.49(s,3H,ArMe),2.39(s,3H,ArMe).
【0292】
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1,2,5,8-テトラメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化64】
1,3,5,8-テトラメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.013g、3.876mmol)をTHF(50mL)に溶解した。激しく撹拌しながら、n-BuLi(ヘキサン中1.6M、2.54mL、4.070mmol)を添加すると、暗赤色溶液が得られた。1時間後、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(1.260g、3.876mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をペンタンで抽出し、Celiteパッドを通して濾過した。透明琥珀色濾液を蒸発させて、所望の生成物を黄色粘着性固体(1.942g、3.532mmol)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.30(d,1H,ArH),7.17(s,1H,ArH),7.04(m,2H,ArH),6.97(d,1H,ArH),6.83(m,2H,ArH),5.83(m,1H,アリル-H),5.59(dq,1H,アリル-H),5.16(dq,1H,アリル-H),4.43(s,SiCH),4.32(m,2H,アリル-H),3.51(s,3H,NMe),2.51(s,3H,ArMe),2.42(s,3H,ArMe),2.31(s,3H,ArMe),2.16(s,3H,ArMe),1.48(s,9H,t-Bu),1.16-0.68(m,10H,SiEt
2)。
【0293】
例19:
10-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1,3,5,8-テトラメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(1.942g、3.532mmol)を200mLシュレンクフラスコ中でトルエン(80mL)に溶解して、透明黄色溶液を得た。激しく撹拌しながら、NEt3(2.22mL、15.89mmol)およびn-BuLi(ヘキサン中1.6M、4.97mL、7.947mmol)を連続的に添加した。2時間後、Ti(NMe2)2Cl2(877mg、4.238mmol)をトルエン(20mL)中赤褐色溶液として添加した。暗褐色溶液をフラスコに密封し、ヘッドスペースを短時間真空にし、反応混合物を3時間90℃に加熱した。クロロトリメチルシラン(0.90mL、7.064mmol)を暗褐色溶液に注入し、反応混合物を一晩80℃に加熱した。揮発性物質を減圧下で除去し、暗緑色固体残渣をトルエンで抽出し、Celiteパッドを通して濾過し、濾液が無色になるまでさらなるトルエンで数回洗浄した。合わせた暗緑色-褐色抽出物を蒸発乾固させ、熱ヘプタン中でスラリー化し、-33℃の冷凍庫で一晩保存した。固体を中程度の多孔性フリット上で回収し、最小限の冷ペンタンですすぎ、真空下で乾燥させて、所望の生成物を暗緑色固体(1.271g、2.029mmol、収率56%)として得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.62(s,1H,ArH),7.47(s,1H,ArH),7.28(s,1H,ArH),7.00(m,1H,ArH),6.90(s,1H,ArH),6.82(d,1H,ArH),6.55(m,1H,ArH),3.63(s,3H,NMe),2.72(s,3H,ArMe),2.41(s,3H,ArMe),2.36(s,3H,ArMe),2.08(s,3H,ArMe),1.71-1.05(m,10H,SiEt2),1.04(s,9H,t-Bu)。
【0294】
例20
【化65】
例20:
例19(850mg、1.357mmol)をトルエン(50mL)に溶解して、暗緑色がかった褐色溶液を得た。MeMgBr溶液(Et
2O中3.0M、0.97mL、2.910mmol)を、シリンジを介して添加し、得られた暗橙褐色溶液を2時間撹拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、残渣を、ヘプタンを用いて粉砕し、もう一度蒸発させて残留Et
2Oを除去した。乾燥残渣をトルエンで抽出し、Celiteパッドを通して濾過した。透明橙色濾液を蒸発乾固させて、明るい橙色粉末(677mg、1.156mmol、収率85%)を得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.55(s,1H,ArH),7.41(m,1H,ArH),7.28(d,1H,ArH),6.96(m,1H,ArH),6.86(s,1H,ArH),6.81(d,1H,ArH),6.65(s,1H,ArH),3.58(s,3H,NMe),2.71(s,3H,ArMe),2.42(s,3H,ArMe),2.30(s,3H,ArMe),2.11(m,3H,ArMe),1.45-1.04(m,19H,SiEt
2およびt-Bu),0.21(s,3H,TiMe),0.05(s,3H,TiMe)。
【0295】
例21~28
【化66】
8-ブロモ-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化67】
パラ-トルエンスルホン酸一水和物(522mg、3mmol)、p-ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩(16.92g、76mmol)および1-インダノン(10.01g、76mmol)、引き続いてイソプロパノール(155mL)を500mLフラスコに装入した。懸濁液が混合されるといくらかの穏やかな発熱が観察された、明るい黄色が形成された。混合物を一晩84℃に加熱すると、その後、混合物は暗褐色になり、灰白色固体の懸濁液が形成された。混合物を周囲温度に冷却し、NaOH水溶液(100mL中約2g)を混合物にゆっくり添加すると、さらなる結晶性沈殿が形成された。混合物を、焼結ガラスフリットを通して濾過し、フリット上に回収された褐色がかった固体を水(20mL)で洗浄した。次いで、この固体を酢酸エチルに溶解し、ガラスフリットを通して濾過し、濾液を無水MgSO
4上で乾燥させた。乾燥した溶液を濾過し、揮発性物質を動的真空下で除去して灰白色固体を得た。固体を真空下で乾燥させて、粗生成物16.5gを得た。熱ヘプタンから再結晶させ、引き続いて濾過し、真空下で乾燥させると、純粋な生成物が灰白色自由流動性固体(15.48g、収率72%)として得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.39(s,1H,NH),7.77(s,1H,ArH),7.56(d,1H,ArH),7.49(d,1H,ArH),7.35(t,1H,ArH),7.31(d,1H,ArH),7.24(d,1H,ArH),3.71(s,2H,CH
2).
【0296】
8-ブロモ-5-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化68】
8-ブロモ-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(12.80g、45mmol)のTHF(100mL)中の撹拌暗褐色溶液に、周囲温度で、カニューレを介してNaOtBu(4.34g、45mmol)のTHF(100mL)中溶液を添加した。2時間急速に撹拌した後、ヨードメタン(2.8mL、45mmol)を、シリンジを介して滴加し、混合物をさらに3時間撹拌させた。揮発性物質を動的真空下45℃で除去し、残渣を取り出し、ジクロロメタン(200mL)、脱イオン水(150mL)および飽和NH
4Cl水溶液(50mL)に分配した。有機層を分離し、水層をさらなるジクロロメタンで複数回洗浄した(2×50mL)。揮発性物質を、減圧を使用して除去し、得られた固体を真空下で乾燥させた。ヘプタンと酢酸エチルの混合物(約3:1)から再結晶させ、引き続いて濾過し、真空下で固体を乾燥させると、純粋な生成物が灰白色固体(11.67g、87%)として得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.75(s,1H,ArH),7.67(d,1H,ArH),7.55(d,1H,ArH),7.35(t,1H,ArH),7.28(m,1H,ArH),7.25(m,2H,ArH),4.05(s,3H,NCH
3),3.68(s,2H,CH
2).
【0297】
5-メチル-8-(ピロリジン-1-イル)-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール:
【化69】
8-ブロモ-5-メチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(7.79g、26mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(3.76g、39.16mmol)、およびピロリジン(5mL、61mmol)を、不活性雰囲気下、200mLシュレンク容器中で合わせた。次いで、酢酸パラジウム(123mg、0.5mmol)およびトリ-tert-ブチルホスフィン(211mg、1mmol)のトルエン100mL中溶液を、カニューレを介してフラスコに移し、次いで、これを急速に撹拌しながら一晩80℃に加熱した。温度を100℃に上昇させ、混合物を20時間撹拌した。揮発性物質を動的真空下で除去して、褐色固体を得た。さらなるトルエンを添加し、混合物を撹拌して褐色固体を部分的に溶解させた。溶液を中性アルミナのプラグに通し、揮発性物質を動的真空下で除去すると、粗生成物5.61gが残った。さらなるトルエンをアルミナプラグに通し、揮発性物質を除去すると、さらなる固体が残った。粗物質を還流ヘプタンに溶解し、引き続いて周囲温度に冷却することによって再結晶させて、無色針状結晶を得て、これをデカンテーションによって単離し、真空下で乾燥させた(4.82g、64%)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.65(s,1H,ArH),7.55(d,1H,ArH),7.35(t,2H,ArH),7.23(m,2H,ArH),6.74(m,H,ArH),4.04(s,3H,NCH
3),3.70(s,2H,CH
2),3.39(s,4H,N(CH
2)
2),2.08(s,4H,(CH
2)
2).
【0298】
2,7,7,10,10-ペンタメチル-5,7,8,9,10,12-ヘキサヒドロベンゾ[5,6]インデノ[1,2-b]インドール:
【化70】
パラ-トリルヒドラジン塩酸塩(793mg、5.0mmol)、5,5,8,8-テトラメチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[b]ナフタレン-1-オン(1.212g、5.0mmol)、パラ-トルエンスルホン酸一水和物(48mg、0.25mmol)およびイソプロパノール(50mL)をフラスコ中で合わせ、混合物を窒素不活性雰囲気下で一晩還流した。混合物を周囲温度に冷却し、揮発性物質を減圧下で除去した。黄褐色残渣を酢酸エチル(100mL)と水(50mL)に分配した。有機層を水(2×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで、濾過した後、減圧下で蒸発乾固させて、生成物を黄色/褐色結晶性固体(1.53g、4.66mmol、93%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.25(1H,s,NH),7.49(1H,s,ArH),7.46-7.37(m,2H,ArH),7.31(d,1H,ArH),6.99(d,1H,ArH),3.66(s,2H,インデノ-CH
2),2.48(s,3H,ArCH
3),2.06(s,4H,CH
2CH
2),1.37(s,6H,CMe
2),1.36(s,6H,CMe
2)。
【0299】
2,5,7,7,10,10-ヘキサメチル-5,7,8,9,10,12-ヘキサヒドロベンゾ[5,6]インデノ[1,2-b]インドール:
【化71】
2,7,7,10,10-ペンタメチル-5,7,8,9,10,12-ヘキサヒドロベンゾ[5,6]インデノ[1,2-b]インドール(1.53g、4.66mmol)のTHF溶液(40mL)に、周囲温度(水浴)で撹拌しながら、ナトリウムtert-ブトキシド(470mg、4.89mmol)のTHF溶液(20mL)を添加して、暗赤褐色溶液を得た。30分後、ヨードメタン(0.938g、4.89mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をジエチルエーテルと水(それぞれ40mL)に分配した。有機層を、ブライン(20mL)を用いて振盪し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、濾液を蒸発乾固させて、生成物を褐色固体(1.28g、3.74mmol、80%)として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.58(s,1H,ArH),7.49(s,1H,ArH),7.42(br.s,1H,ArH),7.26(d,1H,ArH),7.03(d,1H,ArH),4.04(s,3H,NMe),3.64(s,2H,インデノ-CH2),2.49(s,3H,ArMe),1.76(s,4H,CH
2CH
2),1.40(s,6H,CMe
2),1.36(s,6H,CMe
2)。
【0300】
例21、23、25および27の1ポット調製の一般的手順:
以下の合成工程は、機械的撹拌をしながら、250mLのステンレス鋼製のジャケット付き反応器を備えたChemspeed Technologies製の自動反応器プラットフォームを使用して、不活性窒素雰囲気下で行った。必要なインデノ[1,2-b]インドール前駆体溶液(2.9mmolをもたらすためTHF溶液の25.2mLアリコート)を反応器に添加し、引き続いてさらなるTHF(20mL)を添加した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、1.91mL、3mmol)を撹拌しながら添加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。次いで、必要なクロロシラン前駆体溶液(3mmolをもたらすためTHF溶液の17.4mLアリコート)を反応器に添加し、反応混合物を一晩撹拌した。揮発性物質を動的真空下で反応器から除去し、次いで、トルエン(50mL)を添加した。1時間撹拌した後、トリエチルアミン(2mL、4当量超)、引き続いてn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、3.82mL、6.11mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌し、次いで、0℃に冷却し、Ti(NMe2)Cl2溶液(3.5mmolをもたらすためトルエン溶液の9mLアリコート)を添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、3時間90℃に加熱した。次いで、これを30℃に冷却し、クロロトリメチルシラン(7.3mmol、1.5mL)を添加した。反応器を密封し、14時間85℃に加熱した。揮発性物質を動的真空下50℃で除去した。トルエン(50mL)を反応器に添加し、撹拌しながら50℃に加熱した。
【0301】
以下の操作を、グローブボックス中、不活性窒素雰囲気下で、手動で行った。反応混合物を、Celiteを通して濾過し、100mLシュレンクフラスコに入れた。揮発性物質を動的真空下で除去し、ヘプタン(30mL)を添加し、反応混合物を撹拌しながら80℃に加熱し、次いで、室温に冷却させた。固体を濾過によって回収し、ペンタンですすぎ、次いで、動的真空下で乾燥させて、生成物を暗緑色固体として得た。
【0302】
例21:
収量:0.56g、29%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.88(d,1H,ArH),7.77(d,1H,ArH),7.40(s,1H,ArH),7.30(m,1H,ArH),7.20(m,1H,ArH),7.18(d,1H,ArH),6.87(d,1H,ArH),6.60(s,1H,ArH),6.25(s,1H,ArH),3.64(s,3H,NCH3),2.75(m,4H,N(CH2)2),2.34(s,3H,ArCH3),1.63(m,4H,N(CH2)2(CH2)2),1.57-1.20(m,6H,SiEt2),1.10(s,9H,t-Bu),1.09-1.05(m,4H,SiEt2)。
【0303】
例23:
収量:1.32g、68%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.87(d,1H,ArH),7.78(d,1H,ArH),7.40(s,1H,ArH),7.31(m,1H,ArH),7.21(m,1H,ArH),7.17(d,1H,ArH),6.88(d,1H,ArH),6.62(dd,1H,ArH),6.27(s,1H,ArH),3.64(s,3H,NCH3),3.57(s,3H,ArOCH3),2.81(m,4H,N(CH2)2),1.64(m,4H,N(CH2)2(CH2)2),1.59-1.20(m,6H,SiEt2),1.09(s,9H,t-Bu),1.09-1.05(m,4H,SiEt2)。
【0304】
例25:
収量:0.93g、45%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 8.08(d,2H,ArH),7.45(s,1H,ArH),7.28(s,1H,ArH),7.00(d,1H,ArH),6.80(d,1H,ArH),6.46(s,1H,ArH),3.73(s,3H,NCH3),2.40(s,3H,ArCH3),2.07(s,3H,ArCH3),1.80-1.60(m,6H,SiEt2),1.54(s,3H,CCH3),1.42(s,3H,CCH3),1.40(s,3H,CCH3),1.35(s,3H,CCH3),1.26(m,2H,CH2),1.18-1.09(m,6H,SiEt2+CH2),1.06(s,9H,t-Bu)。
【0305】
例27:
収量:0.66g、32%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 8.07(d,2H,ArH),7.23(s,1H,ArH),7.08(s,H,ArH),7.00(d,1H,ArH),6.80(d,1H,ArH),6.53(s,1H,ArH),3.73(s,3H,NCH3),2.60(s,3H,ArOCH3),2.11(s,3H,ArCH3),1.80-1.60(m,6H,SiEt2),1.54(s,3H,CCH3),1.42(s,3H,CCH3),1.41(s,3H,CCH3),1.35(s,3H,CCH3),1.26(m,2H,CH2),1.17-1.08(m,6H,SiEt2+CH2),1.05(s,9H,t-Bu)。
【0306】
例22、24、26および28を調製するための一般的手順:
適切なジクロリド錯体のトルエン溶液(約10mL)に、MeMgBr溶液(Et2O中3.0M溶液の必要量、2.2当量)を添加した。30分間撹拌した後、揮発性物質を動的真空下で除去した。残渣を、トルエンとヘプタンの混合物を使用して抽出し、Celiteプラグを通して濾過した。次いで、揮発性物質を動的真空下で除去して、ジメチル錯体を明るい橙色~赤色の粉末として得た。
【0307】
例22:
収量:0.91g、82%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.89(m,1H,ArH),7.77(d,1H,ArH),7.35(d,1H,ArH),7.20(d,1H,ArH),7.17(m,2H,ArH),6.86(d,1H,ArH),6.58(dd,1H,ArH),6.25(s,1H,ArH),3.60(s,3H,NCH3),2.77(m,4H,N(CH2)2),2.37(s,3H,ArCH3),1.63(m,4H,N(CH2)2(CH2)2),1.32(s,9H,t-Bu),1.29-1.02(m,10H,SiEt2),0.20(s,3H,TiCH3),0.03(s,3H,TiCH3)。
【0308】
例24:
収量:0.40g、85%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.90(m,1H,ArH),7.75(m,1H,ArH),7.17(m,2H,ArH),7.12(d,1H,ArH),7.03(d,1H,ArH),6.87(d,1H,ArH),6.59(dd,1H,ArH),6.27(s,1H,ArH),3.61(s,3H,NCH3),3.60(s,3H,ArOCH3),2.82(m,4H,N(CH2)2),1.64(m,4H,N(CH2)2(CH2)2),1.31(s,9H,t-Bu),1.30-1.05(m,10H,SiEt2),0.18(s,3H,TiCH3),0.02(s,3H,TiCH3)。
【0309】
例26:
収量:0.67g、85%。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 8.12(s,1H,ArH),7.89(s,1H,ArH),7.41(d,1H,ArH),7.28(d,1H,ArH),6.95(d,1H,ArH),6.79(d,1H,ArH),6.57(s,1H,ArH),3.67(s,3H,NCH3),2.41(s,3H,ArCH3),2.09(s,3H,ArCH3),1.80-1.60(m,4H,SiEt2),1.48(s,3H,CCH3),1.42-1.31(m,2H,CH2),1.37(s,3H,CCH3),1.35(s,3H,CCH3),1.32(s,3H,CCH3),1.31-1.28(m,2H,CH2),1.29(s,9H,t-Bu),1.18-1.09(m,6H,SiEt2+CH2),0.13(s,3H,TiCH3),0.01(s,3H,TiCH3)。
【0310】
例28:
収量:0.34g、61%。トルエン/ヘプタン混合物から再結晶させると、単結晶X線回折に適した暗赤色結晶が得られた(
図1および表1参照)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 8.12(s,1H,ArH),7.88(s,1H,ArH),7.18(d,1H,ArH),7.11(d,1H,ArH),6.95(d,1H,ArH),6.79(d,1H,ArH),6.62(s,1H,ArH),3.67(s,3H,NCH
3),3.63(s,3H,ArOCH
3),2.11(s,3H,ArCH
3),1.80-1.60(m,4H,SiEt
2),1.48(s,3H,CCH
3),1.42-1.31(m,2H,CH
2),1.37(s,3H,CCH
3)1.35(s,3H,CCH
3)1.32(s,3H,CCH
3),1.31-1.28(m,2H,CH
2),1.28(s,9H,t-Bu),1.20-1.09(m,6H,SiEt
2+CH
2),0.11(s,3H,TiCH
3),0.01(s,3H,TiCH
3)。
図1は、原子標識スキームを示すチタン錯体例28の側面図を示す。無秩序のジエチルシリル基の主要な(80%)配向のみが示されている。非水素原子は、30%の確率水準でガウス楕円体によって表される。水素原子は示されていない。
【表1-1】
【表1-2】
【0311】
比較例1
【化72】
この物質は、実質的にSenda,T.、Oda,Y.ら、Macromolecules 2010、43、2299~2306によって記載されるように調製した。
【0312】
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)(2,7-ジ-tert-ブチル-9H-フルオレン-9-イル)ジエチルシラン:
【化73】
2,7-ジ-tert-ブチルフルオレン(1.67g、6.0mmol)をTHF(40mL)に溶解した。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、4.13mL、6.6mmol)を、シリンジを介して添加すると、穏やかな発泡および明るい橙色の着色が得られた。30分間撹拌した後、揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテル(10mL)に再溶解した。(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシランをジエチルエーテル中溶液(40mL)として添加すると、沈殿が得られた。反応混合物を一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮して泡状物質を得た。残渣をペンタンに抽出し、濾過して透明黄色濾液から白色固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮して、所望の生成物を泡状物質として、最終的には粘着性油(3.41g、収率100%)として得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.76(d,2H,ArH),7.40-7.30(m,6H,ArH),5.88(m,1H,アリル-H),5.58(dq,1H,アリル-H),5.19(dq,1H,アリル-H),4.55(s,1H,フルオレン-9H),4.39(q,2H,アリル-H),2.30(s,3H,ArH),1.52(s,9H,t-Bu),1.34(s,18H,,t-Bu),1.05-0.70(m,10H,SiEt
2)。
【0313】
比較例1:
(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)(2,7-ジ-tert-ブチル-9H-フルオレン-9-イル)ジエチルシラン(3.41g、6.0mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解した。フラスコを15分間-78℃に冷却し、トリエチルアミン(3.76mL、2.73g、27.0mmol)およびn-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、8.44mL、13.5mmol)を連続的に添加した。黄色溶液を2時間かけて周囲温度に加温させ、さらに30分間撹拌した後、もう一度-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(1.49g、7.2mmol)をトルエン中スラリーとして添加すると、暗赤色反応混合物が得られた。冷浴を油浴に置き換え、反応混合物を3時間90℃に加熱した。揮発性物質を減圧下で除去して、黒色タールを得た。残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過して、暗褐色-黒色濾液から暗色不溶性物質を除去した。濾液が淡褐色になるまで濾過ケークをトルエンですすいだ。合わせたトルエン抽出物を50mLに濃縮し、クロロトリメチルシラン(1.52mL、1.30g、12.0mmol)を添加した。ヘッドスペースを短時間真空にし、反応混合物を一晩80℃に加熱した。揮発性物質を除去して粗生成物を得た。熱ヘプタンから再結晶させると、所望の生成物が褐色固体(2.01g、収率52%)として得られた。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 8.00(d,2H,ArH),7.79(s,2H,ArH),7.46(d,2H,ArH),7.39(s,1H,ArH),7.24(s,1H,ArH),2.33(s,3H,ArCH3),1.37(s,9H,t-Bu),1.23(s,18H,t-Bu),1.17-0.80(m,10H,SiEt2)。
【0314】
比較例2:
【化74】
比較例2:
比較例1(2.01g、3.12mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(50mL)に溶解した。MeMgBr溶液(2.19mL、ジエチルエーテル中3.0M、6.56mmol)を添加すると、暗褐色から鈍い緑色に変色した。2時間撹拌した後、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をヘプタンで抽出し、Celiteを通して濾過して透明黄緑色濾液を得た。濾液を減圧下で濃縮して、泡状物質を得た。熱ヘプタンから再結晶させると、所望の生成物が黄緑色粉末(1.36g、収率72%)として得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 8.03(d,2H,ArH),7.51(s,2H,ArH),7.38(dd,2H,ArH),7.35(d,1H,ArH),7.28(d,1H,ArH),2.37(s,3H,ArCH
3),1.55(s,9H,t-Bu),1.40-1.25(m,4H,SiEt
2),1.20(s,18H,t-Bu),1.15(t,6H,SiEt
2),0.16(s,6H,TiMe
2)。
【0315】
比較例3
【化75】
この物質は、実質的にHanaoka,H.の米国特許第7,141,690号明細書で既知のMe
2Si架橋類似体について記載されるように調製した。
【0316】
1-(1H-インデン-3-イル)ピロリジン:
【化76】
1-インダノン(5.42g、41.0mmol)、ピロリジン(3.70mL、45.0mmol)およびトルエン(200mL)を、ディーンスターク装置の500mL丸底フラスコ中、N
2下で4日間130℃に加熱して、暗褐色反応混合物を得た。揮発性物質を減圧下で除去して、固体を含む黒色油からなる残渣を得た。残渣を真空蒸留によって精製して透明黄色液体を得て、これを窒素下で保存した(5.25g、収率69%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.54(d,1H,ArH),7.28(d,1H,ArH),7.20(t,1H,ArH),7.12(t,1H,ArH),4.98(t,1H,インデン-2-イルCH),3.23(d,2H,インデン-1-イルCH
2),3.18(m,4H,NCH
2),1.58(m,4H,NCH
2CH
2)。
【0317】
1-(1-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1H-インデン-3-イル)ピロリジン:
【化77】
1-(1H-インデン-3-イル)ピロリジン(1.30g、7.0mmol)を、100mLシュレンクフラスコ中でTHF(30mL)に希釈して淡黄色溶液を得た。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、4.81mL、7.7mmol)を添加すると、発泡および暗黄色着色が得られた。30分後、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(2.28g、7.0mmol)のTHF溶液(10mL)を添加すると、暗緑色が得られた。1時間撹拌した後、揮発性物質を減圧下で除去して、赤褐色シロップを得た。これを、ペンタンを用いて粉砕し、減圧下で濃縮し、もう一度ペンタンで抽出した後、Celiteを通して濾過して、赤褐色濾液からベージュ色固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮すると、所望の生成物が濃厚な赤褐色油(3.37g、収率100%)として得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.63(d,1H,ArH),7.36(d,1H,ArH),7.26-7.15(m,3H,ArH),7.09(d,1H,ArH),5.85(m,1H,アリル-H),5.56(dq,1H,アリル-H),5.36(d,1H,インデン-2-イル CH),5.11(dq,1H,アリル-H),4.36(m,2H,アリル-H),4.00(d,1H,インデン-1-イル CH),3.21(m,4H,NCH
2),2.22(s,3H,ArCH
3),1.62(m,4H,NCH
2CH
2),1.47(s,9H,t-Bu),1.01-0.77(m,10H,SiEt
2)。
【0318】
比較例3:
1-(1-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1H-インデン-3-イル)ピロリジン(3.32g、7.0mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解した。NEt3(4.39mL、31.5mmol)を紫褐色溶液に添加した。フラスコを15分間-78℃に冷却し、その後、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、9.84mL、15.75mmol)を、カニューレを介して添加した。反応混合物を2時間かけて周囲温度に加温し、もう一度15分間-78℃に冷却した。Ti(NMe2)2Cl2(1.74g、8.4mmol)のトルエン(20mL)中溶液を、カニューレを介して添加し、反応混合物を徐々に90℃に加温し、3時間保持した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンで抽出し、濾液が無色になるまでCeliteを通して濾過した。合わせたトルエン抽出物をフラスコに密封し、ヘッドスペースを真空にした。
【0319】
クロロトリメチルシラン(2.67mL、21.0mmol)を添加し、反応混合物を一晩80℃に加熱した。暗褐色反応混合物を減圧下で濃縮した。褐色-黒色残渣を熱ヘプタン(40mL)中でスラリー化し、20分間撹拌し、その後、懸濁液をグローブボックス冷凍庫で一晩冷却した。固体をフリット上で単離し、最小限の冷ペンタンですすぎ、真空下で乾燥させて、トルエン溶液中暗赤褐色である暗緑色~黒色の固体(3.11g、収率81%)を得た。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.73(m,1H,ArH),7.43(m,1H,ArH),7.29(d,2H,ArH),7.06-6.98(m,2H,ArH),5.45(s,1H,インデン-2-イルCH),3.52-3.25(m,4H,NCH2),2.31(s,3H,ArCH3),1.49(s,9H,t-Bu),1-49-1.45(m,4H,NCH2NCH2),1.31-0.95(m,10H,SiEt2)。
【0320】
比較例4
【化78】
比較例4:
比較例3(1.50g、2.72mmol)をトルエン(40mL)に溶解した。MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、2.00mL、6.00mmol)を鈍い褐色-黒色混合物に激しく撹拌しながら滴加し、暗赤褐色溶液を得た。これを一晩撹拌し、減圧下で濃縮して暗赤褐色残渣を得た。残渣をトルエンで抽出し、Celiteを通して濾過し、暗赤褐色濾液から黒色固体を除去した。濾液を減圧下で除去して粘着性ペーストにした。ペンタンを用いて粉砕すると、赤色粉末が得られた。(1.11g、収率80%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.73(d,1H,ArH),7.25(d,2H,ArH),6.91(d,1H,ArH),6.85(m,1H,ArH),6.55(m,1H,ArH),5.60(s,1H,インデン-2-イルCH),3.40(m,4H,NCH
2),2.32(s,3H,ArCH
3),1.61(s,9H,t-Bu),1.56(m,4H,NCH
2CH
2),1.17-0.85(m,13H,SiEt
2+TiCH
3),0.24(TiCH
3)。
【0321】
比較例5:
【化79】
1-(1H-インデン-2-イル)ピロリジン:
【化80】
この物質は、実質的にBlomquistら、J.Org.Chem.1961、26、10、3761~3769によって記載されるように調製した。2-インダノン(3.70g、28.0mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解した。ピロリジン(2.46mL、30mmol)を、シリンジを介して添加し、フラスコをN
2流下でディーンスターク装置に取り付けた。混合物を130℃に加熱すると、最初に発泡が生じた。2時間の加熱を停止した後、ディーンスターク装置を取り外し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を、ペンタンを用いて粉砕し、引き続いて減圧下で濃縮すると、所望の生成物がベージュ色粉末(4.78g、収率92%)として得られた。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.26-7.12(m,3H,ArH),6.93(td,1H,ArH),5.21(s,1H,インデン-3-イルCH),2.96(s,2H,インデン-1-イルCH
2),2.78(m,4H,NCH
2),1.48(m,4H,NCH
2CH
2)。
【0322】
1-(1-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1H-インデン-2-イル)ピロリジン:
【化81】
1-(1H-インデン-2-イル)ピロリジン(2.04g、11.0mmol)を200mLシュレンクフラスコ中でTHF(100mL)に溶解して暗褐色溶液とした。n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、7.56ml、12.1mmol)を、シリンジを介して添加し、混合物を2時間撹拌した。2時間後、暗褐色反応混合物を15分間-78℃に冷却し、(2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)クロロジエチルシラン(3.58g、11.0mmol)のTHF(10mL)中溶液を、カニューレを介して添加した。混合物を一晩撹拌させ、周囲温度に加温させた。次いで、揮発性物質を減圧下で除去して、褐色泡状物質を得た。この残渣を、ペンタンを用いて粉砕し、もう一度減圧下で濃縮して残留THFを除去した。残渣をペンタンで抽出し、濾過した。暗褐色濾液を減圧下で濃縮してベージュ色懸濁液を得て、次いで、揮発性物質を完全に除去すると淡ベージュ色粘着性固体が得られた。この物質をペンタン(50mL)に懸濁し、濾過して、焼結ガラスフリット上で固体を回収した。固体を単離し、真空下で乾燥させた。母液をグローブボックス冷凍庫で冷却することによって、固体物質のさらなる収穫物を得た(合わせた収量:3.12g、収率60%)。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.24-6.94(m,6H,ArH),6.87(td,1H,ArH),5.87(m,1H,アリル-H),5.56(dq,1H,アリル-H),5.56(s,1H,インデン-1-イルCH),5.14(dq,1H,アリル-H),4.32(qq,2H,アリル-H),3.92(s,1H,インデン-3-イルCH),2.85(m,4H,NCH
2),2.18(3H,s,ArCH
3),1.50(m,4H,NCH
2CH
2),1.44(s,9H,t-Bu),1.09-0.73(m,10H,SiEt
2)。
【0323】
比較例5:
1-(1-((2-(アリルオキシ)-3-(tert-ブチル)-5-メチルフェニル)ジエチルシリル)-1H-インデン-2-イル)ピロリジン(1.89g、3.98mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(30mL)に溶解して、橙褐色溶液を得た。トリエチルアミン(2.50mL、17.93mmol)を、シリンジを介して添加した。反応混合物を15分間-78℃に冷却し、次いで、n-BuLi溶液(ヘキサン中1.6M、5.60mL、8.97mmol)を、カニューレを介して添加した。反応混合物を撹拌し、2時間かけて周囲温度に加温させて、淡褐色懸濁液を得た。これをもう一度15分間-78℃に冷却し、次いで、Ti(NMe2)2Cl2(989mg、4.78mmol)のトルエン溶液(15mL)を添加し、混合物を周囲温度に加温し、3時間90℃に加熱した。反応混合物は暗褐色-黒色溶液であった。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をトルエンに抽出し、Celiteを通して濾過して、暗褐色溶液から暗色固体を除去した。濾液を、撹拌棒を備えた100mLシュレンクフラスコに回収し、フラスコをセプタムで密封し、ヘッドスペースを短時間真空にした。クロロトリメチルシラン(1.00mL、7.97mmol)を、シリンジを介してセプタムを通して注入し、反応混合物を5時間80℃に加熱した。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を熱ヘプタン/トルエン(約50:50)から再結晶させると、所望の生成物が暗赤褐色結晶性固体(1.42g、収率65%)として得られた。1H NMR(400MHz,トルエン-d8)δ 7.53(d,1H,ArH),7.41(d,1H,ArH),7.20(m,2H,ArH),6.91(t,1H,ArH),6.80(t,1H,ArH),6.11(s,1H,インデン-1-イルCH),3.05(m,4H,NCH2),2.27(s,3H,ArCH3),1.38(s,9H,t-Bu),1.37-0.83(m,14H,SiEt2+NCH2CH2)。
【0324】
比較例6
【化82】
比較例6:
比較例5(800mg、1.45mmol)を100mLシュレンクフラスコ中でトルエン(50mL)に溶解した。撹拌しながら、MeMgBr溶液(ジエチルエーテル中3.0M、1.07mL、3.20mmol)を、シリンジを介して赤褐色溶液に滴加して、暗緑色-褐色懸濁液を得た。これを3時間撹拌し、その後、反応混合物を減圧下で濃縮した。緑色粉末状残渣をペンタン(3×50mL)で抽出し、Celiteを通して濾過した。透明な明るい黄色濾液を減圧下で濃縮して、固体泡状物質および最終的に黄色粉末(490mg、収率66%)を得た。
1H NMR(400MHz,トルエン-d
8)δ 7.54(t,2H,ArH),7.27-6.92(m,4H,ArH),5.96(s,1H,インデン-1-イルCH),2.78(m,4H,NCH
2),2.26(s,3H,ArCH
3),1.64(s,9H,t-Bu),1.31-0.74(m,17H,SiEt
2+NCH
2CH
2+TiCH
3),0.16(s,3H,TiCH
3)。
【0325】
溶液相重合:140℃でのセミバッチ共重合実験
セミバッチエチレン/1-オクテン共重合実験は、液体中のガス分散を最大化するために、中空インペラシャフトを通るガス巻込みを有するピッチブレードインペラを備えたChemspeed Technologies製の1L反応器の自動化アレイで行った。乱流を増強し、反応器内での良好な混合を確実にするために、バッフルを反応器内に設置した。反応器の加熱は、反応器ジャケット付き電気ヒータで制御した。反応器の冷却は、反応器ジャケット内を循環するシリコーンオイル熱伝達流体で制御した。反応器はそれぞれ、反応器ヘッドに固定された2つの触媒注入容器を備え、ソレノイド式遮断弁を備える。触媒の取り扱いおよび重合プロセス中に酸素および水分不足環境を維持するために、系全体を窒素雰囲気下、MBraunグローブボックス内に収容する。反応器は、プロセス制御の方法として、ソフトウェアによるプログラマブルロジックコントロール(PLC)システムを使用する。
【0326】
反応器にシクロヘキサン(500mL)および1-オクテン(4mL)を装入した後、反応器を加熱し、触媒注入チャンバに触媒および活性化剤溶液を装入した。アルミニウム系助触媒(例えば、有機アルミニウム化合物またはアルキルアルミノキサン)添加方法(表2に列挙される)に応じて、アルミニウム系助触媒溶液のアリコートを異なる方法で反応器に添加した:アリコートを加熱前に反応器に直接添加した(「方法a」);アリコートの90%を加熱前に反応器に添加し、アリコートの10%を注入前に注入容器中で予備重合触媒溶液と予備混合した(「方法b」);または、目標反応器温度に達したら、アリコートを、高圧供給容器を介して反応器に添加した(「方法c」)。
【0327】
助触媒がアルキルアルミノキサンである一部の例では、ヒンダードフェノール化合物(BHEB)も使用した。2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール(BHEB;0.28g、1.2mmol)をMMAO-7(Isopar-E中0.4mmol/mL溶液1.54g;AkzoNobel/Nouryon)のシクロヘキサン溶液(10mL)に添加することによって、MMAO-7/BHEB助触媒溶液を調製した。助触媒がTIBALなどの有機アルミニウム化合物である例では、TIBAL(ヘキサン中25重量%溶液;AkzoNobel/Nouryon)をシクロヘキサンで希釈することによって調製した溶液の適切なアリコート体積および目標Al/Tiモル比を添加した。
【0328】
第1の触媒注入容器に、本発明のまたは比較の予備重合触媒錯体(1μM反応器濃度の目標のために0.0005mmol)のトルエン溶液(5mL)を装入し、第2の触媒注入容器に、ホウ素系触媒活性化剤であるトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(表中の「トリチルボラート」もしくは「TB」)のキシレン溶液(5mL)またはジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(表中の「アニリニウムボラート」もしくは「AnB」)のトルエン/1,2-ジクロロエタン溶液(1:1、合計5mL)を適切なモル比で装入した。
【0329】
反応器をエチレンで2.5baraまで予備加圧し、10分間平衡化させ、次いで、目標温度まで加熱した。次いで、反応器の圧力を8.6baraに設定し、インペラ速度を触媒注入の直前に1000rpmに設定した。反応を開始するために、予備重合触媒の溶液およびホウ素系触媒活性化剤の溶液を、触媒注入容器内の窒素の過圧を使用して反応器に同時に注入した。触媒注入に関連する反応器圧力のわずかな上昇は、反応が進行するにつれて急速に低下し、その後、反応器圧力は、エチレンを要求に応じて供給しながら、実験期間中、反応器温度も目標温度付近に制御することによって、反応全体を通して目標圧力に維持された。反応は発熱性であり、しばしば制御温度をわずかに超えるので、平均温度を計算し、表3中に「温度-平均」として列挙した。
【0330】
108秒後、CO
2の過圧を加えることによって反応を停止させ、次いで、反応器を冷却した。クエンチした反応器の内容物を反応器から回収し、Genevac HT-12遠心真空オーブン中で乾燥させた。次いで、乾燥したポリマーを秤量した。
【表2】
【表3】
【0331】
例B1~B6は、本発明の予備重合触媒錯体(ジクロリドまたはジメチル活性化可能配位子のいずれかを有する)、触媒活性化剤としてのTB、およびヒンダードフェノール(例えば、BHEB)で修飾されたMMAO-7助触媒に基づく重合触媒系が高い活性を有し、これらの重合条件下で高分子量コポリマーを生成することを実証している(表1および表2参照)。錯体およびボラートの加熱および注入の前にMMAO-7/BHEBを反応器に添加することによって、または最初に注入の前にMMAO-7/BHEBの一部(10%)を例1の錯体と予備混合し、加熱および注入の前にMMAO-7/BHEBの他の90%を反応器に添加することによって、例1の錯体(ジクロリド)を使用して同様の結果が得られた(B2をB1と比較)。これは、MMAO-7/BHEBが本発明のジクロリド錯体のための堅牢で適合性のある助触媒であることを示唆している。例2の錯体(ジメチル)は、例1の錯体(ジクロリド)と同様の結果を与えたが、例2の錯体での活性および分子量Mwは、これらの条件下で幾分低かった(B3をB1と比較)。例4および例10からの他の本発明のチタン錯体もまた、これらの条件下でホウ素系活性化剤(例えば、TB)およびMMAO-7/BHEBで活性化した場合に、高い活性触媒をもたらし、高いMwを有するコポリマーを生成した(B5およびB6をB3と比較)。
【0332】
ヒンダードフェノール化合物(例えば、BHEB)を含まない、チタン予備重合触媒、ホウ素系活性化剤およびアルミニウム系助触媒の他の組合せは、これらの重合条件下でより低い活性を有する重合触媒をもたらした。BHEBを除去し、例2の錯体をTBおよびMMAO-7で活性化すると、重合活性はこれらの重合条件下で約10%低下した(B7をB4と比較)。この結果は、連続溶液重合実験中にBHEBを除去した場合の触媒活性に対するより深刻な影響を予測した(以下参照)。ホウ素系触媒活性化剤およびBHEBを共に除去した(すなわち、例2の錯体およびMMAO-7のみを使用した)場合、重合に対する活性は観察されなかった(例B8を例B4と比較)。この結果は、関連する予備重合触媒錯体がMMAO-7のみで活性化された場合に活性であることが示されたCN112,876,519およびCN112,778,376に例示されるバッチ反応器における140℃でのエチレン/1-オレフィン共重合実験とは対照的である。
【0333】
AnBおよびTIBALを使用して本発明の予備重合触媒例2を活性化し、国際公開第2003/066641号パンフレット、国際公開第2006/080475号パンフレットおよび国際公開第2006/080479号パンフレットに関連触媒について開示されるような触媒/助触媒比(Al/Ti=500、AnB/Ti=6)を使用すると、TBおよびMMAO-7/BHEB(Al/Ti=500、TB/Ti=1.2)で活性化された触媒と比較して、はるかに低い触媒活性が得られた(例B9を例B4と比較)。
【0334】
本発明のチタン予備重合触媒例2、4および10から誘導された重合触媒系は、以前開示された予備重合触媒錯体比較例2および4から誘導された重合触媒系よりも性能が高かった。シクロペンタジエニル成分として2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基(国際公開第2006/080479号パンフレットに開示される配位子)を有する比較例2の予備重合触媒錯体は、同じ方法で活性化した場合、本発明の予備重合触媒錯体よりも有意に低い活性を与えた(例B10を例B3、B5およびB6と比較)。MMAO-7/BHEBまたはTIBALのいずれかを目標温度で、チタン予備重合触媒およびホウ素系触媒活性化剤を注入する直前に反応器に添加して、助触媒材料が反応器内容物の加熱中に分解しないことを確実にした場合、比較例2から誘導された触媒の活性は本発明の触媒よりも依然として低かった(例B11を例B10と比較、ならびに例B12を例B4およびB9と比較)。シクロペンタジエニル成分として3-ピロリジニル-インデニル基(Me2Si架橋の代わりにEt2Si架橋を有することを除いて、国際公開第2003/066641号パンフレットに開示されるものと同様の配位子)を有する比較例4の予備重合触媒錯体は、同じ方法で活性化した場合、例2の予備重合触媒錯体よりもはるかに低い活性を与えた(例B13を例B3と比較)。これは、発明例2の予備重合触媒錯体を使用する重合触媒系の良好な重合性能が、インデノインドリルフラグメント(断片)を有する配位子の構造によって強く影響され、単なる3-ピロリジニル-インデニルフラグメントのような窒素置換の存在の結果ではないことを示唆している。
【0335】
発明例ならびに比較例B2、B5およびB10からのコポリマーの分岐頻度(コポリマーへの1-オクテンコモノマーの組み込みの程度を示す)は、ほぼ同じであり、炭素1000個当たり20~23個の短鎖分岐の範囲であることに留意することは有益である。したがって、当業者であれば、1-オクテン含有量について補正するのではなく、コポリマー分子量を直接比較することが合理的であることを理解するであろう。ほとんどの場合、2連または3連の実験を行い、触媒活性およびコポリマーMwについてパーセント相対標準偏差(%RSD)を計算した。触媒活性は7~27%の間のRSDを有し、コポリマーMwは1~19%の間のRSDを有していた。このデータは、再現性が非常に良好であり、上に論じられる重合性能の差がこれらの実験における実行間変動から有意に外れていたことを示している。
【0336】
溶液相重合:連続エチレン/1-オクテン共重合
連続溶液相重合は、溶媒としてシクロヘキサンを使用し、140℃、160℃、190℃、200℃または210℃で運転される撹拌71.5mL反応器を使用して、連続重合ユニット(CPU)で行った。20mL体積を有する上流混合反応器を、重合反応器より5℃低い温度で運転した。混合反応器を使用して、エチレン、オクテンおよびメイクアップ溶媒流を予熱した。触媒供給(チタン予備重合触媒錯体のオルト-キシレンまたはシクロヘキサン溶液)、ホウ素系触媒活性化剤、(Ph3C)[B(C6F5)4](TB)、アルミニウム系助触媒(MMAO-7またはTIBAL)、ヒンダードフェノール(例えば、BHEB)、およびさらなるシクロヘキサン溶媒流を連続プロセスで重合反応器に直接添加するか、または以下に記載されるように組み合わせた。アルミニウム助触媒溶液を重合反応器に直接添加するか(表4、表6、および表8の「反応器内」構成)、または重合反応器に注入する前にチタン予備重合触媒錯体の溶液とインラインで組み合わせた(表4、表6、および表8の「インライン」構成)。ヒンダードフェノールBHEBを使用した場合、MMAO-7の溶液とBHEBの溶液を、反応器の上流で(「反応器内」構成)またはチタン予備重合触媒錯体の溶液との混合点の上流で(「インライン」構成)組み合わせた。ホウ素系触媒活性化剤の溶液を反応器に直接添加したか(表4、表6、および表8の「反応器内」構成)、またはアルミニウム助触媒の溶液と組み合わせる直前にチタン予備重合触媒錯体の溶液と合わせた(表4、表6、および表8の「インライン」構成)。重合反応器への27mL/分の全連続流量を維持した。表に特に記載のない限り、B/Tiモル比は1.2であった。
【0337】
アルミニウム系助触媒を添加するための2つの異なる戦略を実験で使用した。「一定濃度」(表4、表6および表8で「一定濃度」として列挙される)の場合、不純物を捕捉する目的で反応器内の一定濃度20μMのアルミニウムを維持するように流れを調整し、したがって、Al/Tiモル比は、反応器へのチタン予備重合触媒の流れに基づいて変動した。「比」制御の場合、Al/Tiを最初に最小のAl/Ti比で最高のQを達成するように最適化し、次いで、他の重合触媒系成分の流れを調整する場合にそのAl/Ti比を維持した。最適なAl/Ti比を表に列挙する。ヒンダードフェノール、BHEBを使用した場合、Al/Ti比の最適化中、BHEB/Alモル比を0.30に維持した。最適なAl/Ti比が見つかったら、BHEB/Al比を変化させて、最高の活性を与える比を見つけた。最適なBHEB/Al比を表に列挙する。
【0338】
エチレン/1-オクテンコポリマーを0.30の1-オクテン/エチレン重量比で作製した。反応器の温度に応じて異なる速度でエチレンを供給した:140℃で2.10g/分、160℃で2.70g/分、190℃で3.50g/分、200℃で3.80g/分、または210℃で4.10g/分。CPUシステムは10.5MPaの圧力で運転した。溶媒流、モノマー流およびコモノマー流は全て、反応器に供給される前に精製トレインによって精製した。重合活性k
p(mM
-1・分
-1で表される)は、以下のように定義される:
【数1】
(式中、Qはエチレン変換率(%)(オンラインNIR検出器を使用して測定される)であり、[Ti]は反応器内の触媒濃度(μM)であり、HUTは反応器内の滞留時間(2.6分)である)。特に明記しない限り、コポリマー試料を90±1%エチレン変換率(Q)で回収し、真空オーブン中で乾燥させ、次いで、分析前に粉砕および均質化した。共重合条件を表4、表6および表8に列挙し、共重合結果およびコポリマー特性を表5、表7および表9に列挙する。
【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】
【表5-2】
【0339】
140℃で行われた連続共重合実験では、ホウ素系触媒活性化剤(TB)および助触媒としてのMMAO-7を用いて、ならびに修飾剤としてヒンダードフェノール(BHEB)を使用して活性化されたチタン予備重合触媒錯体(ジクロリドまたはジメチル活性化可能配位子)からの本発明の触媒組成物は全て、90%のエチレン変換率(Q)で高い活性を示し、高い1-オクテン含有量を有する高分子量コポリマーを生成した(表4および表5の重合実行番号C1~C19参照)。重合触媒系成分をどのように組み合わせても(反応器内、またはインライン)、高い活性および高分子量が得られた(重合実行番号C1、C2およびC3を比較;ならびに重合実行番号C4、C5およびC6を比較)。
【0340】
本発明のTi予備重合触媒錯体とホウ素系活性化剤、アルキルアルミノキサンおよびヒンダードフェノールの組合せは、高温連続溶液相プロセスにおける高い触媒活性のために必要であった。他の触媒流は一定に維持しながら、例1の錯体(ジクロリド前駆体)から誘導された触媒系組成物からBHEBを除去すると、Qは90%から51%に低下した(重合実行番号C20をC1と比較)。例4の錯体(ジメチル前駆体)から誘導された触媒系からBHEBを除去し、反応器の前に触媒成分をインラインで組み合わせた場合、Qは6%低下し(重合実行番号C24をC8と比較)、触媒流は90%Qを達成するためにほぼ3倍増加させる必要があり、kpははるかに低くなった(重合実行番号C25をC8と比較)。本発明の予備重合触媒ジメチル前駆体例8、10、12および14から誘導された触媒系組成物からBHEBを除去した場合においても同様の効果が観察された(重合実行番号C27、C28、C29およびC30をそれぞれ重合実行番号C10、C11、C12およびC13と比較)。全ての場合で、BHEBなしで90%Qを達成するのに必要な結果として得られた触媒錯体担持レベルは高く、kpによって表される活性は、触媒系組成物中にヒンダードフェノール化合物が存在する場合よりもはるかに低かった。例4の予備重合触媒から誘導された触媒系組成物からBHEBとTBの両方を除去した場合(すなわち、MMAO-7のみによる活性化)、エチレン変換率は10%未満に低下した(重合実行番号C26をC8と比較)。この結果もまた、バッチ反応器実験において関連する予備重合触媒錯体がMMAO-7のみで活性化された場合に活性であることが示されたCN112,876,519およびCN112,778,376に例示されるエチレン/1-オレフィン共重合実験とは対照的である。
【0341】
国際公開第2006/080479号パンフレットにおいて関連する触媒系について開示されるように、TBおよびTIBALを使用した代替触媒活性化は、TBおよびMMAO-7/BHEBで活性化された系よりもはるかに低い触媒活性をもたらし、90%Qの目標エチレン変換率を達成することができなかった。国際公開第2006/080479号パンフレットでは、ボラート活性化剤TBおよびAnBが、130℃でのバッチ反応器実験においてTIBALと組み合わせた場合に同様の触媒活性をもたらすことが示されたが、TBはより高い溶解度を有し、したがって、連続溶液プロセスで使用するためにより実用的である。反応器内で全ての成分を組み合わせた、TBおよびTIBAL成分と組み合わせた錯体例1から誘導された触媒系組成物は、同じ触媒流を用いたTBおよびMMAO-7/BHEB活性化系よりもはるかに低い活性を与えた(重合実行番号C21をC1と比較)。例1/TB/TIBAL系における触媒流およびAl/Ti比の増加は、90%Qを達成するのに十分に活性な重合触媒系をもたらさなかった(重合実行番号C22をC21およびC1と比較)。反応器前にインラインで錯体例1をTIBALと予備接触して実験を繰り返しても、重合活性は改善されなかった(重合実行番号C23をC21と比較)。
【0342】
本発明のチタン予備重合触媒(例えば、例1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および26)から誘導された重合触媒系は、高温連続重合方法において、以前開示された予備重合触媒錯体の比較例1、2および4ならびに関連する比較例6から誘導された重合触媒系よりもはるかに性能が高かった。シクロペンタジエニル成分として2,7-ジ-tert-ブチルフルオレニル基(国際公開第2006/080479号パンフレットに開示された配位子)を有する、比較例1(ジクロリド)および比較例2(ジメチル)の予備重合触媒錯体を使用する触媒系は、有意に低い活性を有し、同じ方法で活性化した場合に本発明の触媒系よりも90%Qを達成するために必要な触媒濃度がはるかに高かった(重合実行番号C31をC3と比較、ならびに重合実行番号C32をC4およびC7と比較)。比較例2を使用するがBHEBを使用しない重合実行番号C32の繰り返しは、活性を有意に変化させず、低いままであった。シクロペンタジエニル成分として3-ピロリジニル-インデニル基を有する比較例4から誘導された触媒系は、シリル架橋と同じ相対位置にN-置換を有するインデノ[1,2-b]インドリルフラグメントを有する、例2から誘導された触媒系よりもはるかに低い活性を与えた(重合実行番号C34をC6と比較)。触媒系組成物からBHEBを除去すると、有意に低い活性が得られ、90%Qを達成することができなかった(重合実行番号C35をC34と比較)。2-ピロリジニル-インデニル基を有する比較例6を使用して、同じ相対位置にN-置換を有するインデノ[2,1-b]インドリルフラグメントを有する発明例4と比較しても、同様の結果が得られた(重合実行番号C36およびC37を重合実行番号C8と比較)。これらの結果は、本発明の予備重合触媒錯体から誘導された重合触媒系の良好な重合性能がインデノインドリルフラグメントによって強く影響され、単なる全炭素含有シクロペンタジエニル様フラグメントまたは特定の位置に窒素置換を有するシクロペンタジエニル様フラグメントの結果ではないことを示唆している。
【0343】
当業者であれば、表4および表5に列挙される全ての例が、1-オクテンコモノマーの高い組み込みを有する高分子量コポリマーを生成したが、発明例のみが、商業的に関連する高い触媒活性を有するこれらのタイプのコポリマーを生成したことに気付くであろう。
【表6】
【表7】
【0344】
160℃で行われた連続共重合実験では、本発明のチタン予備重合触媒(ジクロリドまたはジメチル活性化可能配位子を有する)、ホウ素系触媒活性化剤(TB)、アルキルアルミノキサン(MMAO-7)、およびヒンダードフェノール化合物(BHEB)を含む重合触媒系は全て、90%のエチレン変換率(Q)で高い活性を示し、高い1-オクテン含有量を有する高分子量コポリマーを生成した(表6および表7の重合実行番号C38~C55参照)。重合触媒系成分をどのように組み合わせても(反応器内、またはインライン)、高い活性および高分子量が得られた。
【0345】
比較チタン予備重合触媒(比較例1、2、6)から誘導された重合触媒系は、90%Qを達成することができたが、活性は発明例よりもはるかに低くかった。例えば、重合実行番号C56をC38およびC39(ジクロリド物錯体)と比較;重合実行番号C57をC40およびC43(一定のAl濃度を有するジメチル錯体)と比較;重合実行番号C58をC44(ジメチル錯体)と比較。他の本発明の錯体はジアルキルシリル(Et
2Siまたはn-Pr
2Si)架橋基を有する一方で、ジフェニルシリル(Ph
2Si)架橋基を有する本発明の錯体例8から誘導された重合触媒系は、他の本発明の触媒系よりも低いk
pを有したが、比較予備重合触媒を使用する触媒系よりも依然として高い活性を有した(発明重合実行番号C46を比較重合実行番号C56、C57およびC58と比較)。
【表8-1】
【表8-2】
【表9-1】
【表9-2】
【0346】
190℃および90%Qのより要求の厳しい条件下で行われた連続溶液相共重合実験では、重合触媒系がチタン予備重合触媒、ホウ素系触媒活性化剤(例えば、TB)、アルキルアルミノキサン助触媒(例えば、MMAO-7)、およびヒンダードフェノール化合物(例えば、BHEB)を含む場合に、各本発明の重合触媒系の最適な触媒活性が達成された(表8および表9参照)。全ての本発明の重合触媒系は、100mM-1・分-1を超えるkpで90±1%Qを達成することができた(重合実行番号C59~C63およびC66~C78参照)。例2の本発明のチタン予備重合触媒から誘導された重合触媒系はまた、200℃および210℃で有意な重合活性および分子量を維持した(重合実行番号C64およびC65参照)。
【0347】
190℃および90%Qでの高い活性のためにはヒンダードフェノール化合物(例えば、BHEB)が必要である。本発明のチタン予備重合錯体(例2、4、10、12、14、16、18、20)から誘導された触媒を使用する全ての例では、触媒組成物からBHEBを除去すると、有意に低い活性が得られた(重合実行番号C79をC62と比較;実行番号C80をC66と比較;実行番号C81をC69と比較;実行番号C82をC70と比較;実行番号C83をC71と比較;実行番号C84をC72と比較;実行番号C85をC73と比較;および実行番号C86をC74と比較)。
【0348】
同等の関連するチタン錯体(比較例1、2、4、6)から誘導され、ホウ素系活性化剤としてのTB、助触媒としてのMMAO-7およびヒンダードフェノール化合物(例えば、BHEB)の組合せを使用する重合触媒系は、低い活性を有し、90±1%Qを達成することができなかった、および/またはkp<100mM-1・分-1を有していた(重合実行番号C87~C91を本発明の触媒を用いた実行番号と比較)。
【0349】
当業者であれば、表9に列挙される全ての例が、1-オクテンコモノマーの高い組み込みを有する高分子量コポリマーを生成したが、発明例のみが、商業的に関連する触媒活性を有するこれらのタイプのコポリマーを生成したことに気付くであろう。
【0350】
本開示の非限定的な実施形態は以下を含む:
実施形態A.
i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化83】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含むオレフィン重合触媒系の存在下で、エチレンを任意選択で1つまたは2つ以上のC
3~C
12アルファ-オレフィンと重合することを含む重合方法。
【0351】
実施形態B.エチレンを1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルファ-オレフィンと重合することを含む、実施形態Aに記載の重合方法。
【0352】
実施形態C.エチレンを1-オクテンと重合することを含む、実施形態Aに記載の重合方法。
【0353】
実施形態D.溶媒中で行われる溶液相重合方法である、実施形態A、BまたはCに記載の重合方法。
【0354】
実施形態E.溶媒中で行われる連続溶液相重合方法である、実施形態A、B、Cに記載の重合方法。
【0355】
実施形態F.連続溶液相重合方法が少なくとも1つの連続撹拌槽型反応器で行われる、実施形態Eに記載の重合方法。
【0356】
実施形態G.連続溶液相重合方法が少なくとも160℃の温度で行われる、実施形態EまたはFに記載の重合方法。
【0357】
実施形態H.R1A、R2A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R11A、R1B、R2B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9BおよびR11Bが水素である、実施形態A、B、C、D、E、FまたはGに記載の重合方法。
【0358】
実施形態I.R3AおよびR3Bがヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、GまたはHに記載の重合方法。
【0359】
実施形態J.R3AおよびR3Bがアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、GまたはHに記載の重合方法。
【0360】
実施形態K.R3AおよびR3Bがメチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、GまたはHに記載の重合方法。
【0361】
実施形態L.R10AおよびR10Bがヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0362】
実施形態M.R10AおよびR10Bがアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0363】
実施形態N.R10AおよびR10Bがメチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0364】
実施形態O.R10AおよびR10Bがヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0365】
実施形態P.R10AおよびR10Bがアルコキシ基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0366】
実施形態Q.R10AおよびR10Bがメトキシ基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、JまたはKに記載の重合方法。
【0367】
実施形態R.R12AおよびR12Bがヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQに記載の重合方法。
【0368】
実施形態S.R12AおよびR12Bがアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQに記載の重合方法。
【0369】
実施形態T.R12AおよびR12Bがtert-ブチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQに記載の重合方法。
【0370】
実施形態U.R12AおよびR12Bが1-アダマンチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、PまたはQに記載の重合方法。
【0371】
実施形態V.R13AおよびR13Bがヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0372】
実施形態W.R13AおよびR13Bがアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0373】
実施形態X.R13AおよびR13Bがメチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0374】
実施形態Y.R13AおよびR13Bがn-ペンチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0375】
実施形態Z.R13AおよびR13Bがアリールアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0376】
実施形態AA.R13AおよびR13Bが3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、TまたはUに記載の重合方法。
【0377】
実施形態BB.各R14Aおよび各R14Bがヒドロカルビル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAに記載の重合方法。
【0378】
実施形態CC.各R14Aおよび各R14Bがアルキル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAに記載の重合方法。
【0379】
実施形態DD.各R14Aおよび各R14Bがエチル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAに記載の重合方法。
【0380】
実施形態EE.各R14Aおよび各R14Bがアリール基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAに記載の重合方法。
【0381】
実施形態FF.各R14Aおよび各R14Bがフェニル基または置換フェニル基である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、ZまたはAAに記載の重合方法。
【0382】
実施形態GG.各Xがメチルまたはクロリドである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EEまたはFFに記載の重合方法。
【0383】
実施形態HH.ホウ素系触媒活性化剤が、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)からなる群から選択される、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FFまたはGGに記載の重合方法。
【0384】
実施形態II.ヒンダードフェノール化合物が2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FFまたはGGに記載の重合方法。
【0385】
実施形態JJ.i)構造IまたはIIを有する予備重合触媒:
【化84】
(式中、
R
1A、R
2A、R
3A、R
4A、R
5A、R
6A、R
7A、R
8A、R
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1A、R
2A、R
3AおよびR
4Aからなる群、またはR
5A、R
6A、R
7AおよびR
8Aからなる群、またはR
9A、R
10A、R
11AおよびR
12Aからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
1B、R
2B、R
3B、R
4B、R
5B、R
6B、R
7B、R
8B、R
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
1B、R
2B、R
3BおよびR
4Bからなる群、またはR
5B、R
6B、R
7BおよびR
8Bからなる群、またはR
9B、R
10B、R
11BおよびR
12Bからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
13Aはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
R
13Bはヒドロカルビル基またはヘテロ原子含有ヒドロカルビル基であり;
各R
14Aは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14A基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各R
14Bは独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14B基が任意選択で結合して環を形成してもよく;
各Xは活性化可能配位子である)と;
ii)ホウ素系触媒活性化剤と;
iii)アルキルアルミノキサン助触媒と;
iv)ヒンダードフェノール化合物と
を含むオレフィン重合触媒系。
【0386】
実施形態KK.R1A、R2A、R4A、R5A、R6A、R7A、R8A、R9A、R11A、R1B、R2B、R4B、R5B、R6B、R7B、R8B、R9BおよびR11Bが水素である、実施形態JJに記載の重合方法。
【0387】
実施形態LL.R3AおよびR3Bがヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKKに記載の重合方法。
【0388】
実施形態MM.R3AおよびR3Bがアルキル基である、実施形態JJまたはKKに記載の重合方法。
【0389】
実施形態NN.R3AおよびR3Bがメチル基である、実施形態JJまたはKKに記載の重合方法。
【0390】
実施形態OO.R10AおよびR10Bがヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0391】
実施形態PP.R10AおよびR10Bがアルキル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0392】
実施形態QQ.R10AおよびR10Bがメチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0393】
実施形態RR.R10AおよびR10Bがヘテロ原子含有ヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0394】
実施形態SS.R10AおよびR10Bがアルコキシ基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0395】
実施形態TT.R10AおよびR10Bがメトキシ基である、実施形態JJまたはKK、LL、MMまたはNNに記載の重合方法。
【0396】
実施形態UU.R12AおよびR12Bがヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SSまたはTTに記載の重合方法。
【0397】
実施形態VV.R12AおよびR12Bがアルキル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SSまたはTTに記載の重合方法。
【0398】
実施形態WW.R12AおよびR12Bがtert-ブチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SSまたはTTに記載の重合方法。
【0399】
実施形態XX.R12AおよびR12Bが1-アダマンチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SSまたはTTに記載の重合方法。
【0400】
実施形態YY.R13AおよびR13Bがヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0401】
実施形態ZZ.R13AおよびR13Bがアルキル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0402】
実施形態AAA.R13AおよびR13Bがメチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0403】
実施形態BBB.R13AおよびR13Bがn-ペンチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0404】
実施形態CCC.R13AおよびR13Bがアリールアルキル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0405】
実施形態DDD.R13AおよびR13Bが3,5-ジ-tert-ブチル-フェニル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WWまたはXXに記載の重合方法。
【0406】
実施形態EEE.各R14Aおよび各R14Bがヒドロカルビル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCCまたはDDDに記載の重合方法。
【0407】
実施形態FFF.各R14Aおよび各R14Bがアルキル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCCまたはDDDに記載の重合方法。
【0408】
実施形態GGG.各R14Aおよび各R14Bがエチル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCCまたはDDDに記載の重合方法。
【0409】
実施形態HHH.各R14Aおよび各R14Bがアリール基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCCまたはDDDに記載の重合方法。
【0410】
実施形態III.各R14Aおよび各R14Bがフェニル基または置換フェニル基である、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCCまたはDDDに記載の重合方法。
【0411】
実施形態JJJ.各Xがメチルまたはクロリドである、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCC、DDD、EEE、FFF、GGG、HHHまたはIIIに記載の重合方法。
【0412】
実施形態KKK.ホウ素系触媒活性化剤が、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Me2NHPh][B(C6F5)4]」)およびトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート(「[Ph3C][B(C6F5)4]」)からなる群から選択される、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCC、DDD、EEE、FFF、GGG、HHH、IIIまたはJJJに記載の重合方法。
【0413】
実施形態LLL.ヒンダードフェノール化合物が2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールである、実施形態JJまたはKK、LL、MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、CCC、DDD、EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJまたはKKKに記載の重合方法。
【0414】
実施形態MMM.式VI:
【化85】
を有する有機金属錯体を作製する方法であって、
単一反応容器内で以下の反応:
(i)式V:
【化86】
を有するシクロペンタジエニル含有化合物または式Vを有するシクロペンタジエニル含有化合物の二重結合異性体を塩基と合わせ、引き続いて、式VII:
【化87】
によって表される化合物を添加すること;
(ii)任意選択で過剰のトリアルキルアミン化合物、(R
F)
3Nの存在下で、少なくとも2モル当量のアルキルリチウム試薬、(R
E)Liを添加すること;
(iii)式TiCl
2(X
ε)
2(D)
nを有する第IV族遷移金属化合物を添加すること;
(iv)任意選択で、式Cl
xSi(R
ε)
4-x(式中、各R
ε基は独立して、C
1~20アルキル基である)を有するシラン化合物を添加すること;
(v)任意選択で、式(R
G)M、(R
G)(R
H)Mgまたは(R
G)
2Znを有するアルキル化剤を添加すること;
(vi)任意選択で、前の工程のいずれかの間で反応溶媒を切り替えること
を順次に行うことを含む方法
(式中、R
A、R
B、R
CおよびR
Dはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
A、R
B、R
CおよびR
Dからなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
R
9、R
10、R
11およびR
12はそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基、ハロゲンまたは水素であり;R
9、R
10、R
11およびR
12からなる群内の隣接基は、任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく;
各R
14は独立して、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基または水素であり;2つのR
14基が任意選択で結合して環を形成してもよく(例えば、2つのR
14A基が任意選択で環状ヒドロカルビル基または環状ヘテロ原子含有ヒドロカルビル基を形成してもよく);
各Xは活性化可能配位子であり;
X
εは、ハライド、C
1~20アルコキシ基または式-NR’
2(式中、R’基は独立して、C
1~30アルキル基またはC
6~10アリール基である)を有するアミド基であり;
R
EはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
FはC
1~10アルキル基であり;
R
GはC
1~20ヒドロカルビル基であり;
R
HはC
1~20ヒドロカルビル基、ハライドまたはC
1~20アルコキシ基であり;
Mは、Li、NaまたはKであり、;
Dは電子供与体化合物であり;
n=1または2である)。
【産業上の利用可能性】
【0415】
エチレンをアルファ-オレフィンと重合して、高分子量および高度の短鎖分岐を有するエチレンコポリマーを生成するオレフィン重合触媒系が提供される。オレフィン重合触媒系は、高められた温度での連続溶液相重合方法に使用され得る。
【国際調査報告】