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特表2024-534519角膜組織の健康状態をモニタリングする方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】角膜組織の健康状態をモニタリングする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240912BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/107
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024517486
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022043982
(87)【国際公開番号】W WO2023044105
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/246,219
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/276,221
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/388,094
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(71)【出願人】
【識別番号】508280195
【氏名又は名称】ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン ブイ.バラジ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ホタ.デ ラ クルス
(72)【発明者】
【氏名】セオドア シー.フレック
(72)【発明者】
【氏名】ジェネビーブ エム.グルクゼンスキ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ビー.シュミーデル
(72)【発明者】
【氏名】エセン ケー.アクペク
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA24
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB11
4C316FB21
4C316FC12
4C316FZ03
(57)【要約】
角膜組織の健康状態をモニタリングするための方法、装置、及びシステムが開示される。このシステムは、第一の期間中の角膜組織の領域の組織不透明度又は密度である第一の健康状態指標と、前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の組織不透明度又は密度である第二の健康状態指標とを測定するように構成された角膜測定デバイスを含む。システムは、前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニットをさらに含み、前記健康マップは、角膜の前記領域における前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜組織の健康状態をモニタリングする方法であって、前記方法は、
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定すること、
前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定すること、及び、
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織不透明度であり、
前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織不透明度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、
方法。
【請求項2】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の期間及び第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、
前記方法は、前記健康マップを生成するために、前記第一の断面画像のセットと前記第二の断面画像のセットとを比較することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
角膜の前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算することをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定することをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の時点において、前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定すること、をさらに含み、
前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記少なくとも1つのサブ領域を前記健康マップ上に重ねて表示することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域の診断を決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記診断及び前記健康マップを表示すること、
をさらに含み、
前記診断はメモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとしてユーザインターフェース上に表示すること、
をさらに含み、
前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信し、受信したユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織の損失を経験しているという通知を表示すること、
をさらに含み、
前記第一の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定し、前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定するように構成された角膜測定デバイス、及び、
前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニット、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織密度であり、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織密度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される、前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項16】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項17】
前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、
前記処理ユニットはさらに、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して健康マップを生成するように構成されている、請求項16記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項18】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項15~17のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項18記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項20】
前記処理ユニットは、前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算するようにさらに構成されている、請求項15~19のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項21】
前記処理ユニットは、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定するようにさらに構成されている、請求項20記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項22】
前記角膜測定デバイスは、前記第一の期間と前記第二の期間との間の前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定するようにさらに構成されており、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項15~21のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項23】
前記処理ユニットは、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力するようにさらに構成されている、請求項22記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項24】
前記処理ユニットは、前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定するようにさらに構成され、
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記健康マップ上に重ねて前記少なくとも1つのサブ領域を表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項25】
角膜疾患のリストを格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記処理ユニットはさらに、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域に関する診断を決定するように構成されており、前記診断は前記メモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能であり、そして
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、診断及び健康マップを表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~24のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項26】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとして表示し、ユーザ入力を受信し、受信されたユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されているユーザインターフェースをさらに含む、請求項25記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項27】
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザ入力の検出に応答して、前記追加情報を表示する新しいウィンドウを開くようにさらに構成され、前記追加情報は、ユーザインタラクティブマップ上のユーザが選択した前記領域の断面画像である、請求項26記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項28】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項15~27のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項29】
ユーザインターフェースをさらに含み、前記処理ユニットは、
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェースに表示すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項30】
(a)第一の期間中の角膜組織の領域の第一の厚さ、
(b)前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の厚さ、及び、
(c)前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の中間時点における前記領域の1つ以上の中間の厚さ、
を測定するように構成された光干渉断層撮影(OCT)装置、
前記OCT装置から前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さを受信し、前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さに基づいて前記領域のトポグラフィーマップを生成するように構成されている処理ユニット、
を含み、
前記トポグラフィーマップは、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定された、前記領域の第一の厚さと第二の厚さとの間の時間変数変化の指標である、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月20日に出願された米国仮出願第63/246,219号、2021年11月5日に出願された米国仮出願第63/276,221号、及び2022年7月11日に出願された米国仮出願第63/388,094号に対する優先権を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、目の角膜の健康状態モニタリングなどの健康状態モニタリングのための装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、角膜に関するトポグラフィーマップを生成するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
角膜は、動物又は人間の目の前面にある透明な外層で、動物又は人間がはっきりと見えるように目が光を集中させるのに役立つ。角膜は、目の適切な機能を妨げる可能性のある多くの角膜状態の影響を受けやすい可能性がある。例えば、角膜の擦り傷又は引掻き傷は角膜瘢痕を引き起こし、視力の問題につながる可能性がある。また、花粉などのアレルゲンによって引き起こされるアレルギー反応は目を刺激し、結膜炎を引き起こす可能性がある。他のタイプの状態としては、感染症又は角膜内の液体の蓄積によって引き起こされる角膜の炎症又は腫れを特徴とする角膜炎又は角膜浮腫、ならびに眼組織の外層が弱くなり、薄くなり、目の内部の圧力が弱った組織を押し出し、円錐状の形状を形成する、進行性の角膜疾患である円錐角膜が挙げられる。この病気は、組織が薄くなり続け、眼内に圧力がかかると組織が膨張するため、時間の経過とともに進行する。症状には視力障害、さらに進行した場合には視力喪失が挙げられる。
【0004】
角膜炎、角膜浮腫及び円錐角膜を診断するための幾つかの方法は、角膜の表面を山の地形のように特性化する角膜トポグラフィーを使用する。急なピッチは、特徴的な円錐角膜の円錐形を識別することで円錐角膜のリスクを示し、角膜トポグラフィーの腫れの兆候は、角膜炎又は角膜浮腫の潜在的なリスクを識別できる。しかしながら、そのような兆候は一般に疾患が十分に進行した後にのみ一貫して認識されるため、角膜トポグラフィーの測定のみに基づいて個人におけるそのような疾患の初期兆候を特定することは困難な場合がある。人の目は人それぞれ異なるため、医者又は医師は、追加の試験又は検査を行わずに、そのような病気の初期兆候を簡単に見落とす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
要旨
角膜組織の健康状態をモニタリングするための方法、装置及びシステムが開示される。角膜測定デバイスは、第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定し、第一の期間後の第二の期間中にその領域の第二の健康状態指標を測定するために使用される。処理ユニットは、角膜測定デバイスから第一の健康状態指標及び第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを自動的に生成することができる。生成された健康マップは、角膜の領域における第一の期間から第二の期間まで測定された第一の健康状態指標と第二の健康状態指標との間の変化を示すことができ、前記健康状態指標は、組織不透明度又は組織密度のうちの1つ以上を含むことができる。
【0006】
1つの例(「例1」)によれば、角膜組織の健康状態をモニタリングする方法は、第一の健康状態指標が角膜組織の領域の第一の組織不透明度であるような、前記角膜組織の前記領域の第一の健康状態指標を第一の期間中に測定すること、第二の健康状態指標が前記領域の第二の組織不透明度であるような、前記領域の第二の健康状態指標を第一の期間後の第二の期間中に測定すること、及び、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づく前記領域の健康マップを生成すること、ここで、前記健康マップは、角膜の前記領域における第一の期間から第二の期間までに測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、を含む。
【0007】
例1に加えて、1つの例(「例2」)によれば、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間で角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される。
【0008】
例2に加えて、1つの例(「例3」)によれば、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセットを含む。この方法は、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して健康マップを生成することをさらに含む。
【0009】
上記のいずれかの例に加えて、1つの例(「例4」)によれば、前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は少なくとも1つの副層に関連している。
【0010】
例4に加えて、1つの例(「例5」)によれば、前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層、又は、外部副層と内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む。
【0011】
上記のいずれかの例に加えて、1つの例(「例6」)によれば、方法は、角膜の前記領域の健康マップに基づいて、前記第一の期間からの前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算することを含む。
【0012】
例6に加えて、1つの例(「例7」)によれば、方法は、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間の後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定することをさらに含む。
【0013】
上記のいずれかの例に加えて、1つの例(「例8」)によれば、方法は、前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の時点で、前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定することをさらに含み、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す。
【0014】
例8に加えて、1つの例(「例9」)によれば、方法は、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を、時間に対するグラフとして出力することをさらに含む。
【0015】
上記のいずれかの例に加えて、1つの例(「例10」)によれば、方法は、前記健康マップ上で、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化が閾値範囲を超えることを示す、角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定すること、及び、前記健康マップ上に重ねて前記少なくとも1つのサブ領域をユーザインターフェース上に表示することをさらに含む。
【0016】
例1~9のいずれか1つに加えて、1つの例(「例11」)によれば、方法は、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域の診断を決定すること、ここで、前記診断はメモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能である、及び、ユーザインターフェース上に前記診断及び前記健康マップを表示することをさらに含む。
【0017】
例1~例9のいずれか1つに加えて、1つの例(「例12」)によれば、前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとしてユーザインターフェース上に表示し、前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信して、その受信したユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されている。
【0018】
上記のいずれかの例に加えて、1つの例(「例13」)によれば、前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである。
【0019】
例1に加えて、1つの例(「例14」)によれば、方法は、前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、ここで、前記第一の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の組織健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、前記変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェース上に表示することをさらに含む。
【0020】
1つの例(「例15」)によれば、角膜組織健康状態モニタリングシステムは、第一の期間中の角膜組織の領域の第一の健康状態指標、及び、前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の健康状態を測定するように構成された角膜測定デバイス、ここで、前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織密度であり、そして前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織密度である、及び、前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニットを含み、前記健康マップは、角膜の前記領域における前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す。
【0021】
例15に加えて、1つの例(「例16」)によれば、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標が測定される。
【0022】
例16に加えて、1つの例(「例17」)によれば、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセットを含む。処理ユニットは、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して、健康マップを生成する。
【0023】
例15~17のいずれか1つに加えて、1つの例(「例18」)によれば、前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は前記少なくとも1つの副層に関連付けられている。
【0024】
例18に加えて、1つの例(「例19」)によれば、前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層、又は外部副層と内部副層の間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む。
【0025】
例15~19のいずれかの例に加えて、1つの例(「例20」)によれば、前記処理ユニットは、前記領域の健康マップに基づいて、前記第一の期間から前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算するようにさらに構成されている。
【0026】
例20に加えて、1つの例(「例21」)によれば、前記処理ユニットは、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定するようにさらに構成されている。
【0027】
例15~例21のいずれか1つに加えて、1つの例(「例22」)によれば、前記角膜測定デバイスは、前記第一の期間と前記第二の期間との間の前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定するようにさらに構成され、ここで、前記健康マップは、前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を示す。
【0028】
例22に加えて、1つの例(「例23」)によれば、前記処理ユニットは、時間に対するグラフとして、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を出力するようにさらに構成されている。
【0029】
例15~23のいずれか1つにさらに加えて、1つの例(「例24」)によれば、前記処理ユニットは、前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域の位置を特定するようにさらに構成されており、前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記少なくとも1つのサブ領域を前記健康マップ上に重ねて表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む。
【0030】
例15~24のいずれか1つの例に加えて、1つの例(「例25」)によれば、前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、角膜疾患のリストを格納するように構成されたメモリユニットを含む。前記処理ユニットは、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域に対する診断を決定するようにさらに構成されており、前記診断は前記メモリユニットに格納されている角膜疾患のリストから選択可能である。角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記診断及び前記健康マップを表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む。
【0031】
例25に加えて、1つの例(「例26」)によれば、前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、ユーザインタラクティブマップとして、前記領域の健康マップを表示し、ユーザ入力を受信し、そして受信されたユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されたユーザインターフェースを含む。
【0032】
例26に加えて、1つの例(「例27」)によれば、前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力の検出に応答して追加情報を表示する新しいウィンドウを開くようにさらに構成されており、前記追加情報は、ユーザインタラクティブマップ上でユーザが選択した前記領域の断面画像である。
【0033】
例15~27のいずれか1つに加えて、1つの例(「例28」)によれば、前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである。
【0034】
例15に加えて、1つの例(「例29」)によれば、前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、ユーザインターフェースをさらに含む。前記処理ユニットは、前記領域の第一の健康状態指標と前記領域の第二の健康状態指標との間の%変化率を計算し、ここで、前記第一の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定し、そして、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェース上に表示するように構成されている。
【0035】
1つの例(「例30」)によれば、角膜組織健康状態モニタリングシステムは、(a)第一の期間中の角膜組織の領域の第一の厚さ、b)前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の厚さ、及び(c)前記第一の期間と前記第二の期間の間の1つ以上の中間時点での前記領域の1つ以上の中間の厚さを測定するように構成された光干渉断層撮影(OCT)装置を含む。角膜組織健康状態モニタリングシステムは、OCT装置から前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さを受信し、前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さに基づいて、前記領域のトポグラフィーマップを生成するように構成された処理ユニットも含み、ここで、前記トポグラフィーマップは前記第一の期間から前記第二の期間まで測定されたとおりに前記領域の前記第一の厚さと前記第二の厚さの間の時間変数変化を示す。
【0036】
上述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするように解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面の簡単な説明
この特許又は出願ファイルは、2022年7月11日に出願された米国仮出願第 63/388,094号を引用し、優先権を主張している。この仮出願には、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。
【0038】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0039】
図1図1は、本明細書に開示される実施形態による、接続された電子デバイスのネットワークを実装する角膜健康状態モニタリングシステムの概略図である。
【0040】
図2図2は、本明細書に開示される実施形態による、角膜の健康状態のモニタリングに使用される電子デバイスのうちの1つの概略図である。
【0041】
図3図3は、本明細書に開示される実施形態による、角膜組織及びシステムによってモニタリングされる健康状態測定装置によってスキャンされる領域に焦点を合わせた眼の断面図である。
【0042】
図4A図4Aは、本明細書に開示される実施形態によるシステムによってモニタリングされる、角膜インプラント周囲の角膜組織に焦点を合わせた眼の部分断面図である。
【0043】
図4B図4Bは、本明細書に開示される実施形態によるシステムによってモニタリングされる、レーシック手術後の領域の周囲の角膜組織に焦点を合わせた眼の部分断面図である。
【0044】
図5図5は、本明細書に開示される実施形態による角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
【0045】
図6図6は、本明細書に開示される実施形態による、角膜の健康状態のモニタリングに使用される電子デバイスの1つに実装されるユーザインターフェース及びディスプレイモニターの図である。
【0046】
図7図7は、本明細書に開示される実施形態によるシステムによってモニタリングされる角膜の健康状態に関する複数のサンプルデータの比較グラフである。
【0047】
図8図8は、本明細書に開示される実施形態による健康マップを生成することによって角膜の健康状態をモニタリングする方法のフローチャートである。
【0048】
図9図9は、本明細書に開示される実施形態による、角膜の健康状態の将来の状態を予測することによって角膜の健康状態をモニタリングする方法のフローチャートである。
【0049】
図10図10は、本明細書に開示される実施形態による、出力される健康状態指標の複数の連続測定を行うことによって角膜の健康状態をモニタリングする方法のフローチャートである。
【0050】
図11A図11Aは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図11B図11Bは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図11C図11Cは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図11D図11Dは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図11E図11Eは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図11F図11Fは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
【0051】
図11G図11Gは、図11A図11Fに基づく、角膜インプラントのインプラント処置後の角膜組織体積の変化を示すグラフである。
【0052】
図12A図12Aは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図12B図12Bは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図12C図12Cは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図12D図12Dは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図12E図12Eは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
図12F図12Fは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
【0053】
図12G図12Gは、図12A図12Fに基づいて、角膜インプラントのインプラント処置後の角膜組織体積の変化を示すグラフである。
【0054】
図13A-F】図13A~13Fは、本明細書に開示される実施形態による、角膜インプラントのインプラント処置後の異なる期間で角膜健康状態モニタリングシステムによって生成された健康マップである。
【0055】
図13G図13Gは、図13A図13Fに基づいて、角膜インプラントのインプラント処置後の角膜組織体積の変化を示すグラフである。
【0056】
図14図14は、図11G図12G及び図13Gの角膜組織体積の変化の比較グラフである。
【0057】
図15図15は、本明細書に開示される実施形態による、様々な角膜インプラントのインプラント処置後の角膜の健康状態をモニタリングし、組織体積の損失を検出する方法のフローチャートである。
【0058】
図16図16は、本明細書に開示される実施形態に従ってモニタリングすることができる、副層を示す目の角膜の断面画像である。そして
【0059】
図17図17は、本明細書に開示される実施形態による、様々な角膜インプラントのインプラント処置後の角膜の健康状態をモニタリングし、組織体積の損失を検出する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
定義と用語
本開示は、限定的に解釈されることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がそのような用語に帰する意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0061】
不正確さの用語に関しては、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された測定値を含む測定値、及び、記載された測定値に合理的に近い測定値も含む測定値を指すために相互互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断される場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0062】
物体の「厚さ」という用語は、物体の外面と内面の間で測定された距離を指すために使用される。物体は、本明細書で説明されるように、角膜又は角膜の一部であることができる。
【0063】
物体の「体積」という用語は、物体又は物体の一部が占める空間の量を指すために使用される。物体は、本明細書で説明されるように角膜の一部であることができ、角膜の体積は、特定の角度から見たときの測定領域内に占める総体積である。
【0064】
角膜の「不透明度」という用語は、角膜又は角膜の一部を角膜の一方の側からもう一方の側まで通過することが観察される光の量又はパーセンテージを指すために使用される。
【0065】
角膜の「密度」という用語は、測定される特定の領域における角膜の内皮細胞密度を指すために使用される。内皮細胞密度が臨界下限値を下回ると、角膜機能が不可逆的に悪化する可能性があり、内皮細胞密度は、幾つかの場合に、角膜の不透明度に関係する。
【0066】
様々な実施形態の説明
図1は、幾つかの実施形態による、角膜組織健康状態モニタリングシステム100を示す。システム100は、本明細書では患者とも呼ばれる人物Xの角膜の健康状態を測定するために使用される健康状態測定装置102を含む。システム100はまた、装置102に動作可能に結合され、本明細書に開示されるような患者の医師又は医者又は患者自身である場合もある人物Aによって評価又は検討される装置102からのデータを制御し及び/又は受信するモニタリングデバイス104を含む。モニタリングデバイス104は、ネットワーク106、例えばクラウドコンピューティングネットワーク又はインターネット通信ネットワークにさらに接続され、モニタリングデバイス104をリモートサーバ108、別の人物Bによりアクセス可能なモバイルデバイス110、又は、別の人物Cによりアクセス可能な別のモニタリングデバイス112のうちの少なくとも1つと動作可能に接続する。これらのモニタリングデバイス104及び112又はモバイルデバイス110のいずれか1つは、ユーザ端末と呼ばれることがある。人物B及び人物Cは、患者、医師/医者、又は人物Xの角膜の健康状態に関するデータにアクセスする権限を与えられたその他の人物、例えば、患者の家族、医師が診断に対するセカンドオピニオンを取得するために連絡した専門家、又はその他の権限のある人物又は団体であることができる。
【0067】
本明細書に開示される例において、装置102は、角膜の健康状態についての任意の適切な指標を測定する任意の適切なデバイスであることができる。例えば、装置102は、画像を作成するために音を利用する超音波と同様の方法で、光を使用して目の写真を撮ることによってOCTイメージングを実行する光干渉断層撮影(OCT)デバイスであることができる。OCTイメージングは、中心線を瞳孔に合わせて目の360度スイープで目の画像「スライス」を作成する。各スライスの組織領域を組み合わせて厚さ又は体積の測定値を作成し、医師は患者の来院ごとにこれらの値を比較して組織体積を経時的にモニタリングできる。この組織の薄化速度は、円錐角膜の診断及び治療の確立における重要な要素であると考えられる。あるいは、他の例において、装置102は、例えば、本明細書でさらに説明する分析に適したデータを提供できる、任意の適切な共焦点撮像装置、レーザ走査型顕微鏡装置、又は厚度測定装置であることができる。
【0068】
システム100において、装置102を使用して取得されたデータは、モニタリングデバイス104、サーバ108、モバイルデバイス110又は追加のモニタリングデバイス112のうちの1つ以上を使用して分析されることができ、それらのそれぞれは、取得したデータのデータ処理又は分析を行うことができる少なくとも1つの処理ユニットを含むことができる。
【0069】
図2は、幾つかの実施形態による、そのようなデータ処理及び分析を実行できるモニタリングデバイス104を示す。デバイス104は、メモリユニット202、ディスプレイ及び/又はユーザインターフェース204、入力モジュール又は受信機206、及び、出力モジュール又は送信機208に結合された処理ユニット200を含む。処理ユニット200は、測定装置制御ユニット210及び画像生成又は処理ユニット212を含む。入力モジュール206及び出力モジュール208は、測定装置102ならびにネットワーク106に接続することができ、ネットワーク106を介してデータ分析が分配され、他の情報が格納及び/又は通信されることができる。
【0070】
装置102は、ユーザインターフェース204及び制御ユニット210を使用してユーザによって制御される。特に、ユーザは、角膜組織の健康状態モニタリングを実行するための命令を入力することができ、これは制御ユニット210によって受信され、その後、適切な制御信号に変換されて、出力モジュール208を介して装置102に出力され、装置102を動作させる。引き換えに、入力モジュール206は、装置102によって生成されたデータを受信し、そのデータは、画像生成又は処理ユニット212を使用して処理され、その後、得られた画像はユーザがユーザインターフェース204でレビューするために表示されうる。ユーザインターフェース204は、ディスプレイモニタ又はユーザインターフェースとディスプレイの両方として動作するタッチスクリーンなどのディスプレイデバイスを含むことができる。
【0071】
ユーザは、装置102を使用して、ある期間にわたって人物Xの角膜の健康状態指標の測定を行って、その結果、装置102は、例えば、複数の日、週又は月など、異なる期間の健康状態指標を取得することができる。したがって、健康状態指標の各測定値には、その日のタイムスタンプが付けられ、幾つかの例において、測定が行われた特定の時刻も付けられる。幾つかの例において、装置102は、医院ではなく、人物Xの自宅に設置され、その結果、その人物Xは快適な自宅又は他の場所から自分の角膜の頻繁な測定を行うことができる。次いで、測定の分析結果は、モニタリングデバイス104(この場合は人物Xのパーソナルコンピュータ(例えば、PDA、デスクトップ、ラップトップ、タブレット又は他のデバイス)であることができる)から医院に設置された遠隔のモニタリングデバイス112に送信されうる。そこで医師又は人物Cは、人物Xの自宅を訪問したり、人物Xに医院を訪問させたり、あるいはさもなければモニタリングデバイス104の近くにいたりする必要なく、結果を検討することができる。幾つかの例において、人物Aは人物Xと同じであることができる。
【0072】
メモリユニット202は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ又は他の媒体などの任意の適切なタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であることができ、装置102によって生成されたデータを格納することができる。メモリユニット202は、処理ユニット200によって実行されると、画像生成又は処理ユニット212に、メモリユニット202に格納されたデータに基づいて健康マップを生成させるプログラムコードを格納することもできる。健康マップは、第一の期間から前記第一の期間に続く第二の期間までの健康状態指標の変化を示し、ここで、この変化は測定された角膜の同じ領域又はエリアに関する。したがって、健康マップは、異なる期間中に測定された少なくとも2つの健康状態指標間の変化を効果的に示すために、少なくとも2つの異なる期間中に角膜の同じ領域又はエリアの少なくとも2つの測定を必要とする。誤解を避けるため、本明細書で使用されるときに、「同じ領域又はエリア」という語句は、データが取得されるサンプル領域の実質的なオーバーラップを示すことが意図されるが、サンプル領域の絶対的なオーバーラップを要求することは意図されない。
【0073】
幾つかの例において、分析は人工知能(AI)、又は、より具体的には、とりわけ、人工ニューラルネットワーク(ANN)などの機械学習インフラストラクチャを使用して実行され、AIを活用したセグメント化モデルをトレーニング及び操作し、ここで、モデルは目の画像の関連部分をセグメント化し、測定値取得時にどの部分に焦点を合わせるかを決定する。例えば、独自の計算を使用してカバーされるエリアを決定することができ、そのエリアを、例えばそのような目的のために開発されたウェブアプリケーションを通じてオンライン配信される。ウェブアプリケーションは、AIを活用した分析を実行できる任意の適切な電子デバイスにインストールして操作できる。AIを活用したセグメント化モデルは、アルゴリズムが関連部分を自動的にセグメント化する方法を学習するまで、OCTスキャン及び厚さ/体積測定などの一連のスキャン画像を使用してトレーニングされうる。次いで、このアルゴリズムは、OCT画像データなどの新しい画像セットに対して続いて使用され、そこから自動組織厚さ/体積推定において組織厚さ/体積測定値を出力する。
【0074】
AIを活用した分析を実装する幾つかの例において、機械学習インフラストラクチャにより、OCT画像データに基づいた角膜組織の診断が容易になることができる。例えば、以前に提供されたOCT画像データに基づいて、機械学習モデルのアルゴリズムをトレーニングして、例えば円錐角膜又は角膜浮腫にとっての角膜の高リスク領域などの角膜組織の状態に関するトレーニングデータにおけるパターンを認識することができる。このアルゴリズムは、ユーザ(例えば、AIが生成した結果及び診断を検討する医師)がモデルの出力にどのように反応又は関与するかをキャプチャするフィードバックループを実装することができる。ユーザが機械生成された診断で誤りに気づいた場合に、フィードバック ループにより、機械学習モデルの精度を向上させるための最適化プロセスの一部として、将来のモデル反復でそのような誤りの修正が容易になる。したがって、幾つかの例において、機械学習モデルが医師又は人物Aなどのレビュー担当者に取って代わって診断結果を生成することができる。幾つかの例において、機械学習モデルは、例えばユーザに通知を送信することによって、又は角膜の自動治療デバイスによって実施される治療計画に関する指示を出力することによって、診断に基づいて提案された治療計画をさらに出力することができる。
【0075】
図3は、本明細書に開示される実施形態による、AIを活用したセグメント化モデルによって標的とされる目の領域300の例を示す。領域300は、目(又はその少なくとも一部)の断面画像が瞳孔の中心と角膜の中心によって規定される中心線に関して360度取られるように、虹彩の中心から、より具体的には瞳孔の中心から、例えば約0.25mm~1mmの所定の距離によって規定される。この距離は、モニタリングされる角膜の特定の領域に応じて増減することがある。図3に示されるように、角膜全体をモニタリングする場合には、距離は、角膜が虹彩に対して前方に突出する位置の間の距離を少なくともカバーするように調整される。
【0076】
図4Aは、セグメント化の標的となる目の領域300の別の例を示す。この例において、角膜をモニタリングする目的は、角膜インプラント400を角膜内に設置することによって生じる角膜の異常を判定することである。インプラント400は、角膜組織に切開を入れて「ポケット」を形成し、その中にインプラント400の一部を挿入してインプラントを所定の位置に保持するように設置することができる。この場合に、インプラントを取り巻く組織、すなわち角膜の支持部分402(前組織とも呼ばれる)が最も重要である。角膜の支持部分402とインプラント400との間の、円でマークされたとおりの接触部分404もモニタリングされる。支持部分402は、サポート幅「Wsupport」及びサポート厚さ「Tsupport」によって規定され、サポート幅Wsupportはモニタリング領域300の最小距離を決定し、サポート厚さTsupportは測定装置102を使用してモニタリングされることになる。支持部分402の組織の体積は、測定されたとおりのサポート幅Wsupport及びサポート厚さTsupportに基づいて計算することができる。サポート厚さTsupportは、例えば組織の弱体化又は炎症が存在するかどうかに応じて、例えば約0.1mm~0.5mmであることができる。サポート幅Wsupportは、インプラントを取り巻く角膜組織に関して医師がモニタリングすることを決定した範囲に応じて、例えば約0.5mm~1.5mmであることができる。サポート幅及び厚さについての他の任意の適切な範囲を実施できることを理解されたい。
【0077】
インプラント400は、インプラント400の外面が角膜の外面406及び内面408と比較的に同じ高さになるように、角膜の外面406及び内面408に対して配置されうる。インプラント400は、材料が生体統合又は生体適合することができ、その周囲の角膜組織に低くしか炎症を引き起こさず、また感染を防ぐために組織内の上皮の良好な健康状態を促進するような、角膜に適した任意のインプラント可能な準安定デバイスであることができる。幾つかの例において、インプラントは、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマーなどのフルオロポリマーを含む生体適合性材料から作られる。幾つかの例において、インプラントに使用される生体適合性材料としては、限定するわけではないが、ポリエチレン及び膨張ポリエチレンを挙げることができる。
【0078】
特定の例において、縫合糸などの追加の構成要素は、限定するわけではないが、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、別の生体適合性ポリマー又はそれらの組み合わせなどの材料から形成されうる。幾つかの例において、生体再吸収性又は生体吸収性材料、例えば生体再吸収性又は生体吸収性ポリマーはインプラント及び/又は縫合糸に使用されうる。幾つかの例において、縫合糸は、ダクロン、ポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース布帛、ポリウレタン、又は他の織布、不織布もしくはフィルムエラストマーを含むことができる。前述したようなモニタリングデバイスは、インプラント設置後の角膜組織の状態を診断するため、及び/又はインプラント周囲の組織の健康状態をインプラントの寿命期間中などの期間にわたり追跡するための診断補助として使用することができる。
【0079】
図4Bは、セグメント化の標的となる目の領域300の別の例を示す。この例において、角膜をモニタリングする目的は、角膜の外面406から内面408に向かって延在する切開マーク410によって示されるように、角膜内で行われたレーシック手術の結果として生じる角膜の異常を判定することである。したがって、領域300は、レーシック手術の前、手術中及び手術後の角膜組織の状態、及び手術によって最も影響を受ける可能性が高い領域内の角膜組織の状態をモニタリングするのに十分なサイズとすることができる。
【0080】
図5は、幾つかの実施形態による、角膜組織データマップ500を示す。角膜組織データマップ500は、時間の関数として角膜の組織厚さの変化を示す健康マップであることができ、これにより、医師がある期間にわたって人物Xの角膜の健康状態をモニタリングすることを可能にし、何らかの異常が観察されるかどうかを判断することができ、又は、手術後又は処置後のモニタリングの場合には、治療の進行状況及び有効性を判断することを可能にする。図示のように、データマップ500は、領域300の所定の距離に関連する直径「D」と、瞳孔の中心(又は医師が選好する場合は角膜上の他の場所)に位置する中心「C」を有する。データマップ500は、モニタリングされる角膜組織の領域のトポグラフィーマップであることができる。
【0081】
データマップ500は、第一の測定から第二の測定までに角膜組織の厚さにおいて観察されるパーセント変化を規定する凡例を含み、2つの測定は、例えば1ヶ月などの指定された期間ごとに取られる。幾つかの例におけるデータマップは、各色が異なるパーセント値を表すように色分けされうる。例えば、赤は2つの測定間で組織厚さの50%(すなわち、組織厚さが減少又は薄くなった)であり、青は組織厚さの150%(すなわち、組織の厚さが増加又は膨張した)であり、そしてオレンジ、黄色、緑などの他の中間色はそれらの間の異なる値を規定する。
【0082】
幾つかの例によれば、示される白黒データマップ500において、網掛け領域(506)は、組織厚が最も増加する領域、すなわち元の厚さの少なくとも約130%である領域を画定する。左下から右上への斜線のハッチング線を有する領域(508)は、組織厚さのより少ない増加の領域、すなわち、元の厚さの約110%~130%である領域を画定する。白い領域(510)は、組織の厚さの増加又は減少が最も少ない領域、すなわち、元の厚さの約90%~110%である領域を画定する。左上から右下への斜線のハッチング線を有する領域(512)は、より大きな組織厚さの減少、すなわち元の厚さの約70%~90%である領域を画定する。より暗いシェードの領域(514)は、組織厚さが最も大きく減少した領域、すなわち、元の厚さの約70%以下である領域を画定する。
【0083】
図示の例において、1つのサブ領域502が組織厚さのより大きなパーセント増加を経験した部分を含むことが観察できる。例えば、示されているように、最終的な組織の厚さは、初期の組織の厚さの約130%~150%であるのに対し、別のサブ領域504の厚さは比較的同じ(約100%)ままであるか、又は幾つかの部分では、初期の厚さの約80%に減少し(左上から右下への斜線のハッチング線の領域で観察されるとおり)、又はさらには、初期の厚さの約50%(暗いシェードの領域で観察されるとおり)であることができる。
【0084】
幾つかの例において、画像生成又は処理ユニット212は、生成された画像又はデータマップ500を分析して、角膜疾患を発症するリスクがより高いデータマップ内の部分又はサブ領域を決定することができる。例えば、処理ユニット212は、データマップ500上で、パーセント変化が上限閾値を上回る(「濃い点」)又は下限閾値を下回る(「薄い点」)サブ領域のそれぞれにフラグを立てることができる。すなわち、サブ領域の厚さが、初期の厚さと比較して、例えば、約130%、140%もしくは150%、又はそれらの間の任意の値などの閾値よりも大きく増加した場合に、処理ユニット212は、1つ以上の厚い点があり、角膜炎又は角膜浮腫を発症するリスクが高いものと判断することができる。サブ領域の厚みが、初期の厚さと比較して、例えば、約70%、60%もしくは50%、あるいはそれらの間の任意の値などの閾値未満まで減少した場合に、処理ユニット212は、1つ以上の薄い点があり、円錐角膜のリスクが高くと判定することができる。
【0085】
次に、処理ユニット212は、ユーザインターフェース上のデータマップ500上に高リスクサブ領域を表示するか、又はそのようなサブ領域を示すためにデータマップ500上に1つのマーカーを重ね合わせることができる。幾つかの例において、処理ユニット212は、データマップ500の分析に基づいて角膜組織の診断を提供することもでき、この場合に、処理ユニット212は、メモリユニットに格納されている角膜疾患のリストから診断を選択し、選択した診断をユーザのレビューのために表示することができる。
【0086】
図6は、処理ユニット200だけでなく、ディスプレイ204A(すなわち、ディスプレイモニタ)及びユーザインターフェース204B(すなわち、キーボード)を別個に含む例示的なモニタリングデバイス104を示す。キーボード204Bにより、ユーザはデータマップ500と対話できるようになり、この場合には、ディスプレイモニタ204A上に示されるユーザインタラクティブマップである。キーボード204Bを使用して、ユーザは、データマップ500内のサブ領域602を選択することができ、これに応答して、処理ユニット200は、データマップ500上に重ね合わせることができる追加情報600を表示モニタ204Aに示させる又は表示させることができ、又は、データマップ500上にある又はその近くにある新規のポップアップウィンドーに示されることができる。追加情報600は、ユーザが選択したサブ領域602に関する任意の適切な情報、例えば、装置102によって生成された角膜組織の領域の元の断面画像、時間の関数としてサブ領域の厚さの変化を示すグラフ、本明細書で述べたようにシステム100によって生成される可能な診断などであることができる。追加情報600は、処理ユニット200、より具体的には画像生成もしくは処理ユニット212がユーザのレビューのために情報を表示することを決定するまでメモリユニット202に格納されうる。
【0087】
幾つかの例において、データマップ500はまた、ユーザが関心のある期間をユーザが調整するための、スクロールバー又はプルダウンメニュー、又は任意の他の適切なユーザ入力機能などの時間調整機能604を含むこともできる。例えば、図6のデータマップ500は、時刻t0で測定された第一の厚さから時刻t3で測定された第二の厚さまでの角膜組織の厚さの変化を示すが、ユーザは、時刻t3の代わりに、時刻t2又は時刻t1を選択するように時間調整機能604を使用することができる。この場合には、t0から選択されたt2又はt1のいずれか一方までの角膜組織の厚さの変化を示す異なるデータマップが表示される。時刻t0で測定された組織の厚さ又は体積などの健康状態指標は、変化が計算されるベースライン指標と考えられる。これは、例えば、人物Xによって取られた最も古い測定値、又は、人物Xの角膜の健康状態のモニタリングを開始するために医師が選択した時刻であることができる。
【0088】
図7は、別々に収集された6つのサンプルデータの比較グラフ700を示しており、ユーザ入力に応答して追加情報600としてディスプレイモニタ204A上に表示されうる。幾つかの例において、システム100は複数の健康状態測定装置102をネットワーク106に動作可能に接続することができ、その結果、医師は自分のモニタリングデバイス104、110又は112からの複数の装置102から取得されたデータのいずれか1つ以上にアクセスして、一定期間にわたる組織体積の変化(例えば、mmで測定)を比較することができ、ここで、各時計時間は、1日、1週間、1か月又は以前又は以降の時計時刻とは異なる何らかの他の期間であることができる。幾つかの例において、各連続測定間のデータ値を内挿して、時計時刻が1のときに取得された最初のサンプルから時計時刻が12のときに取得された最後のサンプルまでの各サンプルデータの連続的な変化を示すことができる。図示されるように、内挿は線形内挿であることができ、ここで、連続したデータポイントは線を使用して接続される。幾つかの例において、スプライン内挿又は多項式内挿などの他の形式の内挿が実行されてもよい。
【0089】
図8は、ユーザに表示するための健康マップを取得するためにシステム100によって使用される例示的な方法800を示す。工程802において、角膜組織の領域の第一の健康状態指標は第一の期間中に測定される。工程804において、角膜組織の同じ領域の第二の健康状態指標は第二の期間中に測定される。工程806において、領域の健康マップは生成され、この健康マップは、第一の健康状態指標から第二の健康状態指標への変化を示す。本明細書に開示されるように、健康マップの生成は、限定するわけではないが、第一の健康状態指標と第二の健康状態指標との間の差異を時間の関数として比較することによって角膜組織の領域のトポグラフィーマップを作成するAIを活用したセグメント化モデルを含む、任意の適切なアルゴリズムを使用して実行することができる。工程808において、健康マップは、ユーザのモニタリングデバイス又はモバイルデバイスのディスプレイモニタなどのユーザ端末に表示される。
【0090】
図9は、健康状態に関する測定情報を利用して角膜の健康状態に関する予測を提供するためにシステム100によって使用される例示的な方法900を示す。方法800の工程806に続く工程902において、システム100は、第一の健康状態指標から第二の健康状態指標までの変化率を計算する。この変化率に基づいて、システム100は、測定が行われた第一の期間及び第二の期間の両方の後の第三の期間中の角膜組織の同領域の予測健康状態指標を計算する。したがって、システム100は、過去の測定から得られた変化率を計算することによって、将来の健康状態指標の測定値を予測することができる。この予測は、例えば医師であることができるユーザが疾患の重症度をよりよく理解するための追加情報600として表示されうる。
【0091】
図10は、健康マップ生成のために2つを超える測定を実行するためにシステム100によって使用される例示的な方法1000、及び追加の測定情報がどのように利用されうるかを示す。第一の健康状態指標が測定される工程802に続く工程1002において、第一の期間と第二の期間との間の同領域で1つ以上の中間健康状態指標が測定されうる。続いて、工程1002に続く工程804において、第二の健康状態指標が測定され、ここで、第二の健康状態指標は、工程802における第一の指標から始まる一連の指標において測定される最後の指標であるため、最終健康状態指標とも呼ばれる。したがって、指標に関する一連のデータは、角膜組織疾患の進行を示すことができ、幾つかの例において、罹患領域又は罹患の可能性がある領域を医師によるレビューのために視覚的にマークすることもできる。
【0092】
工程806で第一の健康状態指標及び最終健康状態指標に基づいて健康マップが生成された後に、工程1004において、第一の健康状態指標、中間健康状態指標及び最終(又は第二の)健康状態指標の間の連続的な変化は時間に対するグラフとして出力される。すなわち、健康状態指標の各測定値はグラフにプロットされ、健康状態指標がある期間から別の期間にどのように変動するかを時間変数表示で示す。
【0093】
方法800、900及び1000の工程に関して、健康状態指標は、測定される角膜の領域の組織の厚さ、組織の体積又は組織の不透明度(又は密度)、別の指標のうちのいずれか1つ又は前述の指標のいずれかの組み合わせであることができることが理解されるべきである。幾つかの例において、健康状態指標は、異なる期間で角膜組織の領域の断面画像を取得することによって測定される。断面画像は、第一の期間で撮影された角膜組織の領域の第一の断面画像のセットと、第一の期間の後の第二の期間で撮影された同領域の第二の断面画像のセットを含むことができる。その後、第一のセットと第二のセットを相互に比較し、第一のセットから第二のセットへの変化が決定され、続いて健康マップが生成される。
【0094】
幾つかの例において、分析及び/又は診断は、単一期間に取得された単一セットの健康状態指標測定値を使用して実行されうる。すなわち、2つのセットの断面画像を比較する代わりに、システムは、単一のセットの断面画像のみから濃い点及び薄い点を決定することができる場合がある。例えば、角膜組織の厚さが健康であると考えられる典型的な厚さの範囲を超えている場合には、システムは医師に瞬時又はほぼ瞬時に警告を発し、人物Xの角膜組織に問題がある可能性があることを知らせることができる。このシステムはさらに、単一セットの断面画像に基づいて診断を提供し、又は、病気のリスクがまだ存在するかどうかを確認するために、その後の期間の測定を行うことができる。
【0095】
前述の方法のいずれか及びシステムを使用して生成された健康マップは、診断、モニタリングそして治療の有効性を評価するために使用されうる。医師は、角膜組織の厚さ又は体積の変化とトポグラフィーイメージングを組み合わせて得られる健康マップを検討することで、有効性をより適切に判断できる。これにより、医院への患者の各来院からスキャンされた組織の体積を手動で追跡する必要がなく、診断に追加の視覚的補助が提供されて、現在の組織の状態を、1つ以上の以前のスキャンから提供される以前の組織の状態と比較する。このような健康マップの生成を自動化すると、レビュー用の画像データの頻度と規則性及び手動計算の両方において誤差の範囲が減少することができる。
【0096】
幾つかの例において、ユーザ又は人物Xは、OCT機器及びデバイスを使用するために医院に行く必要がなく、自宅のOCTデバイス(すなわち、装置102)を利用して、必要に応じて頻繁に角膜を画像化する。複数回の来院が減れば、患者にとって、特に角膜疾患のより重篤な症状があり、移動能力が限られている患者にとって、OCTスキャンがより利用しやすくなる可能性がある。患者が頻繁に移動できない場合には、データ分析の頻度も減るため、OCTデバイスへのアクセス性がこのように向上すると、よりタイムリーな患者スキャンデータの生成が容易になり、治療効果の分析も迅速化される。治療の有効性又は成功をより迅速又は早期に分析することで、治療が成功したと考えられない場合に医師が必要に応じて調整を行うことができることがある。
【0097】
画像は、人物Xのモニタリングデバイス104を使用して分析することもできるし、あるいは、匿名化して分析のためにクラウドネットワーク106に送信することもでき、この場合に、例えばサーバ108が分析を実行することができる。サーバ108によって実行されるアルゴリズムは、OCT画像をインポートして管理可能なデータセットに変換し、経時的に角膜組織の体積を測定することができる。各体積計算をベースライン組織体積と比較して、時間の経過に伴う体積の変化を計算することができる。分析は、医師がデジタルインターフェース(すなわち、デバイス104、110及び112のいずれか1つ)で検討できるように、トポグラフィーマップ及びグラフ形式の両方でプロットすることができる。幾つかの例において、体積測定値は、角膜の配向角とOCT座標系との間の差異に関して分析される。
【0098】
当該技術分野で知られているように、OCTデバイスは、サンプルの表面を透過し、サンプル内の物質から赤外光を反射する赤外光を使用して、OCT画像を一度に1列ずつ形成する。OCTデバイスは、干渉原理を使用して、赤外光の光子がサンプル内でどの深さから反射されたかを決定する。光子の反射の深さを測定し、それを画像列に集約し、ビームを横方向に走査することにより、隣接する列が集約されて2D画像にまとめられる。この2D画像は、スキャンされたサンプルの断面画像を表す。このようにして取得された複数の2D画像を集約して編集することにより、OCTデバイスはサンプルの3D表現を構築できる。ミリメートルの分解能で数センチメートルの組織内を見ることができる超音波を使用するスキャンデバイスとは異なり、OCTデバイスはマイクロメートルレベルの解像度で数ミリメートルの組織内を見ることができるため、OCTは角膜組織の異常をスキャンする好ましい方法となるが、他の既知の走査方法を利用して同様の結果を得ることができる。
【0099】
幾つかの例において、本明細書でさらに開示されるように、インターフェースにより、医師がトポグラフィーマップの焦点領域をクリックして生の(又は分析前の)OCT画像データをレビューし、アルゴリズム分析を検証できるため、医師は分析に対してさらなる自信を持つことになる。したがって、このシステム100は、治療及び療法の有効性をより良く知らせるための診断ツールを医師に提供する。この改善された患者モニタリングにより、医師は治療をテーラーメイドし、有効性を迅速に理解し、追加の来院を必要とせずに必要に応じて治療又は療法を調整し、高リスク患者に対して追加の遠隔医療の機会を創出することができる。さらに、ソフトウェアのクラウド特性により、システム100を使用する企業は、患者同意データを収集して、ソフトウェアの改善、将来の製品提供、及び治療結果に関する定量的データを知らせることができる見識を生成することができる。
【0100】
健康マップは、図5~7に関して上述した技術に従って生成することができる角膜組織の厚さ及び角膜組織の体積を表現したものである。角膜の厚さ又は体積のこれらの健康マップ表現は、角膜の周囲の様々な位置での厚さ又は体積の異なる値を表す色を有するカラー画像として、又は、図11A~11F、12A~12F及び13A~13Fに示すように白黒又はグレースケール画像として提示することができ、ここで、明るい領域は、組織厚さの変化の割合が小さい(すなわち、元の厚さの100%から約20%に留まる)領域を表す。理解できるように、色付きの健康マップ表現は、白黒形式などの他の形式で提示することもでき、この場合に、様々な色は、図5に示すようなクロスハッチング又は点描の使用などで白黒画像で意味を伝える適切な画像によって代替的に表現される。また、理解されるように、別の形式は、厚さ又は体積の数値が、通常は色が表示される健康マップ画像上及びその周囲に表示される小さな数字によって表される数値形式とすることができ、それによって厚さ及び体積のデータを、様々な場所の海の深さを示すために水域の本体の画像の周囲に海洋深度の値が分布するマップと同様に表すことができる。
【0101】
図11A~11Fは、図4Aに示される角膜インプラント400などの角膜インプラントのインプラント処置後の角膜領域における組織炎症又は組織損失の進行を示す健康マップを示す。組織の厚さは、角膜組織がインプラント(例えば、支持部分402)と接触する接触部分(例えば、接触部分404)付近で測定され、したがって、図に示すように、所定の幅を有するリングを形成する。
【0102】
角膜インプラントを対象の角膜に適用すると、処置後の一定期間、インプラントを取り巻く組織の炎症及び肥厚が生じる可能性がある。インプラントが対象の角膜に安全に組み込まれると、時間の経過とともに炎症(及び組織の厚さ)は治まって安定すると予想され、それによって組織の体積又は厚さが減少し、インプラントが適用される前に存在したのとほぼ同じ体積及び厚さに戻る。しかしながら、幾つかの場合には、角膜組織の組織の体積又は厚さは元の体積又は厚さを超えてさらに減少することがあり、これは緊急の医師の診察が必要でありうる重篤な病状を示している。このような場合には、角膜組織の体積又は厚さの損失は、インプラントの欠陥の結果である可能性があり、又は未治療のまま放置すると角膜に永久的な損傷を与える可能性がある対象の病状によるものである可能性がある。したがって、インプラント処置後の角膜組織の体積又は厚さをモニタリングすることは、インプラント手術又はインプラントの存在によって引き起こされる又は悪化する可能性がある問題、又は未知の外部要因によって引き起こされる可能性のある問題を予防又は軽減する上で、また、インプラント又は未知の外部要因が組織損失に影響を与える要因であるかどうかを判断する際に医師又は医者を支援するのに重要である。
【0103】
示される図において、図11Aは、インプラント処置の1ヶ月後に生成された健康マップであり、図11Bは、インプラント処置の2ヶ月後に生成された健康マップであり、図11Cは、インプラント処置の3ヶ月後に生成された健康マップであり、図11Dは、インプラント処置の4か月後に生成された健康マップであり、図11Eは、インプラント処置の5ヶ月後に生成された健康マップであり、図11Fは、インプラント処置の6か月後に生成された健康マップである。健康マップは1か月増分単位で生成されるが、手順に適したものとして、より短い又はより長い他の任意の増分を使用できることを理解されたい。提供された凡例によると、健康マップがカラーで生成される幾つかの例において、赤色領域は元の組織の厚さの約50%での実質的な組織の損失を示し、緑色領域は組織の厚さの比較的小さな変化(元の組織の厚さの約100%)を示し、青色領域は、元の組織の厚さの約150%で、実質的な組織の炎症を示していることができる。このような健康マップの白黒又はグレースケール表現では、より暗い領域は組織厚さの増加と減少の両方を表し、一方、より明るい領域は元の測定値に対する小さな変化(増加又は減少)を表すことができる。図11Aは、健康マップのより暗い領域によって示されるように、組織炎症を有する領域1100を示し、図11Bは、元の組織とほぼ同じ厚さの組織厚を有する領域1102を示し、図11Eは、元の厚さと比較して組織損失を有する領域1104を示す。本明細書で使用されるときに、角膜組織の「元の」厚さ又は体積は、角膜インプラントがインプラント処置される前に測定された角膜組織の厚さ又は体積であり、これにより、角膜組織のためのインプラント処置前とインプラント処置後の健康状態の正確な比較が容易になる。
【0104】
図11Gは、図11A図11Fに関連付けられて示されるデータから導出された初期手術前の角膜体積に基づく平均角膜体積をパーセントとして表示するグラフであり、さらに、6ヶ月の期間中に異なる増分で測定した総角膜組織体積1106を示す。組織の総体積は、任意の適切な方法を使用して計算できる。例えば、組織の総体積は、十分な数の角膜厚さ測定値と、それらの厚さ測定値が関連付けられる眼の表面積とを組み合わせることによって計算され、角膜組織体積が得られる。別の例において、平均角膜厚さは、図11A図11Fに例示される角膜健康マップから生成されるデータから決定されることができ、そして、その健康マップに関連する角膜表面積を使用して、平均角膜体積値を計算することができる。さらに別の例において、組織の総体積は、角膜のより小さい領域の組織体積を測定し、次に測定されたすべての体積を加算して角膜の全領域をカバーすることによって計算することができる。図11Aにおいて、θ度の増分が使用されて、θ度の円弧によってカバーされる健康マップの面積が計算され、その後、円弧によって画定される領域内で測定された平均厚さと乗算されてθ度の円弧内の体積が生成される。その後、360度の範囲全体の「スイープ」が完了するまで、円弧は時計回り(又は必要に応じて反時計回り)に回転される。次に、この方法又は上述の他の方法を使用して決定された組織の総体積を、インプラント処置前の組織の総体積と比較して、組織の総体積の変化率を決定することができ、その値を、図11Gに示すように、各時間増分についてグラフ上にプロットする。θの値は、限定するわけではないが、360の約数(すなわち、例えば、1、2、3、4、5、6、8、9、10、12、15、18、20、24、30、36、40、45、60、72、90、120、180、360度など)のうちの1つを含む、任意の適切な値であることができる。度に基づくシステムの代替として、角膜厚測定の位置又は表示データで観察される特徴の位置は、12時の位置と称される時計の最上部又は0度の位置及び時計の文字盤のよく知られている位置に基づく残りの位置を用いた一般的な時計の文字盤に基づくことができる。同様に、角膜厚測定の位置又は表示データで観察される特徴の位置はよく知られたコンパスの方向に基づくことができ、北方向が前述の0度又は12時の方向と一致する。
【0105】
図11Eにおいて、組織の損失は主にリングの9時の方向で観察され(赤色領域1104で示すとおり)、一方、図11Fにおいて、赤色領域は10時方向にも広がっており、局所的に見ると角膜組織の劣化を示していることができるが、図11Gに示されるように、角膜組織の全体積は5か月測定(図11E)から6か月測定(図11F)まで増加しており、これは角膜組織の状態が5か月測定から6か月測定まで改善していることを示していることができ、これは、角膜組織の炎症が安定化しつつあり、観察される組織損失の量が少なく、局所的であり、臨床的に許容できることを示している。したがって、医師又は医者は、角膜に組織損失があるかどうかだけでなく、組織損失の位置、罹患している目の領域、及び組織損失が全体として角膜の健康にどの程度影響するかにも関心があることがある。このため、インプラント処置の全体としての成功又は失敗に関する決定を下すときに、又は追加の治療が必要であると決定するときに、局所的な組織の厚さの測定値だけでなく、総組織体積の変化率も考慮することが有益であることができる。
【0106】
同様に、図12A~12Fは、それぞれ、異なる対象についてインプラント処置後の1ヶ月から6ヶ月の期間中に生成された健康マップを示す。本明細書で使用されるときに、「対象」は、角膜インプラント治療又は他の同様の角膜処置を受けるヒト又は動物(例えば、哺乳動物)などの任意の適切な患者を指すことができる。これらの図において、赤色領域1104はどこにも観察されず、したがって、インプラント処置後の角膜組織損失のリスクが低く、存在も低いことを示している。6か月間に測定された図12Gの角膜組織の総体積1200は、6か月のモニタリング期間にわたって総組織体積が徐々に減少していること、及びこの期間中常に組織体積が100%を超えていることを示しており、これにより角膜組織が安定する傾向にあり、角膜インプラント処置が成功しているようであることを示す。
【0107】
同様に、図13A~13Fは、それぞれ、さらに別の異なる対象について、インプラント処置後の1~6ヶ月の期間中に生成された健康マップを示す。図13Fではわずかに赤い領域1104があるが、図13Gの角膜組織総体積に示されるとおりの全体としての角膜組織総体積は、元の体積を下回るまで減少しておらず、これは、この対象についても角膜組織が安定化している傾向があることを示している。
【0108】
図14は、同じグラフ上にそれぞれプロットされた図11G、12G及び13Gからの角膜組織総体積1106、1200、及び1300の変化を比較し、例えば、同じタイプの角膜インプラントを用いて治療を受けた3人の異なる対象の同じ期間にわたる角膜の総組織体積の変化の違いを示している。幾つかの例において、そのような比較は、複数の患者にわたる同じ角膜インプラントの全体的な有効性を決定するために、複数の患者にわたるインプラント処置の成功を評価するために、又は幾つかの点で互いに異なる同等の角膜インプラントの性能を評価するために、複数の対象に対して実行されうる。経時的な角膜組織体積の統計的平均変化(又は変動)及び分析されるサンプルデータの標準偏差など、当該技術分野で知られている任意の適切な統計分析方法を適用して、角膜組織の体積に関する収集されたデータに基づいて推定されうるパターン又は傾向を決定することができる。決定されたパターン又は傾向に基づいて、医師又は医者は、使用されている角膜インプラントの安全性及び有効性に関して決定を下すことができる。
【0109】
幾つかの例において、健康マップは、インプラント処置後の初期期間の後であっても、一貫したペースで生成されうる。例えば、健康マップは、治癒期間中の対象の角膜の健康状態を継続的にモニタリングするために、定期的な健康診断の要素として毎年の目の健康状態をモニタリングする継続的な検査プロトコルの一部として、又は矯正治療が必要な患者を特定するために角膜の健康状態をモニタリングする技術として、所定の時間増分ごとに生成されうる。図15は、この点に関してユーザに警告するために健康マップを分析するシステム100によって使用される例示的な方法1500を示す。工程1502において、本明細書に開示されるとおりの任意の適切な方法を使用して、対象の角膜の領域の健康マップは生成される。生成された健康マップを使用して、工程1504で角膜組織の総体積が計算され、その結果、ある期間中の領域の総組織体積が、所定の時間増分で計算され、(例えば、メモリデバイスに)格納され、それにより、組織体積データの継続的な記録が生成され、分析のために保存される。
【0110】
工程1506において、元のインプラント処置前の組織体積と比較した、インプラント処置後の総組織体積の変化率を計算することなどによって、一定期間の総組織体積の減少が検出される。幾つかの例において、総組織体積の代わりに平均組織体積を使用することができ、この場合に、平均組織体積は、領域又は健康マップの総面積で総体積を除算することによって計算されうる。工程1508において、適宜に角膜の組織損失をユーザに警告する通知が生成される。幾つかの例において、通知は、角膜の測定領域の第一の組織体積とその領域の第二の組織体積との間の変化率の計算に応答して生成され、第一の組織体積は角膜インプラント処置前に関連付けられ、第二の組織体積は角膜インプラント処置後に関連付けられる。変化率が所定の閾値を下回ると判定されたときに、角膜インプラント処置後に角膜の領域に組織損失を経験していることを示す通知が表示されうる。幾つかの例において、このような変化率を計算せずに、人工角膜インプラント処置後の角膜における組織損失の検出に応答して、通知が生成されてもよい。
【0111】
図16は、例えば光学的クリアランス断層撮影法などの任意の適切な方法を使用して取得されうる目の角膜の断面画像である。この画像は、角膜の健康状態をモニタリングできる副層を示している。例として、角膜は異なる副層に分離されることができ、各副層は所定の位置で角膜の全厚の一部を画定する。例えば、外部副層1601(又は最外副層)は、外気及びまぶたと直接接触する角膜の領域である角膜の外面1600を含む副層として規定されうる。内部副層1605(又は最内副層)は、目の虹彩(図3に示すとおり)に最も近い角膜の領域である角膜の内面1606を含む副層として規定されうる。中間副層1603は、外部副層1601及び内部副層1605との間に配置される副層として規定されうる。幾つかの例において、モニタリングされうる複数の中間副層1603が存在しうる。幾つかの例において、角膜の健康状態を判定するために、1つ以上の副層をモニタリングすることができる。幾つかの例において、モニタリングされる副層は、外部副層、内部副層及び中間副層のうちの任意の1つ(又は1つ以上)が同時にかつ独立してモニタリングされうるように、特定の副層を除外することができる。
【0112】
幾つかの例において、副層は、角膜に対して行われる処置又は手術の結果として形成される。例えば、角膜組織になされた切開(図4Bの切開マーク410など)は、2つの別個の副層間の境界を画定することができ、この切開は、医師及び医者が角膜が問題なく回復していることを確認することができるように、処置後にモニタリングされうる。例えば、副層1601と1603を分離する境界線1602、並びに副層1603と1605を分離する境界線1604は、角膜組織になされた切開の結果として形成されうる。切開部のいずれかの側の副層の健康状態が組織損失を示している場合(例えば、切開部のいずれかの側の副層の厚さが時間の経過とともに減少している場合)には、それは角膜組織の潜在的な問題の兆候であると考えられる。
【0113】
上記を考慮すると、幾つかの状況において、各副層の健康状態を他の副層とは別個に独立して考慮することが重要であり、これにより、健康状態の変化(幾つかの例において、厚さ、体積、不透明度又はそれらの任意の組み合わせの変化などであることができる)を早期に検出し、フラグを立てることができる。幾つかの例において、中間副層1603は、図4Aの角膜インプラント400などのインプラントであることができ、この場合には、外部副層1601及び内部副層1605のみがモニタリングされ、したがって健康状態の測定からインプラントは無視される。このような例において、境界線1602及び1604は、角膜インプラントの2つの対向する表面を画定する。
【0114】
図17は、幾つかの実施形態による、図16に関して上で説明したような、角膜組織の健康状態を副層レベルで分析するためにシステム100によって使用される例示的な方法1700を示す。例えば、工程1702において、健康状態指標(例えば、厚さ、体積、不透明度又はそれらの任意の適切な組み合わせ)は、第一の時刻t1における角膜内の複数の副層について決定され、工程1704において、健康状態指標は、第二の時刻t2で副層に対して決定される。工程1706において、健康状態指標の変化(例えば、角膜組織の劣化を示す)が、t1とt2の間、又はt1~t2まで検出される。この変化は、限定するわけではないが、角膜組織から得られた断面断層撮影画像の視覚的分析を実行すること、又は光ビームが角膜組織を通過する際の光ビームのビーム反射率及び信号強度のコヒーレンスを比較することを含む、任意の適切な方法を使用して検出することができる。変化が検出された後に、工程1708において、適宜に角膜内の組織損失(又は可能な組織損失)をユーザに警告する通知が生成される。
【0115】
このような副層に基づく解析は、例えば、ある副層の厚さ又は体積が減少し、別の副層の厚さ又は体積が増加して全体の厚さ又は体積が比較的に同じままである場合に有利となりうる。したがって、全体の厚さ又は体積が比較的一定のままであっても、各副層が互いに独立して個別にモニタリング及び分析されれば、副層の組織損失を検出することが可能である。
【0116】
健康マップの生成時に組織損失が検出又は判定された場合、又は角膜組織の総体積の変化率が特定のしきい値を超えている場合に(例えば、100%基本値を規定する元の組織体積と比較して、約97%、95%、92%、90%、85%、80%又はそれらの間の任意の他の適切な値未満)、コンピューティングデバイス(例えば、プロセッサ)は、ユーザに対して警告又は通知を生成することができ、ユーザは、対象、又は対象の角膜の健康状態をモニタリングする責任を負う医師/医者のいずれかであることができる。通知がユーザに送信される場合に、通知には直ちに医師の診察を受けるようにというメッセージが含まれることがある。通知が医師又は医者に送信される場合に、診断プロセスを容易にするために、通知には、対象の角膜の組織損失がいつ、どこで検出された可能性があるかに関する詳細な説明が含まれることがある。
【0117】
理解できるように、医師は、このデータを見出し、このデータの提示は目の健康及び病気の状態を診断及びモニタリングするのに役立つ。1つの例において、これらの技術を使用する医師は、患者が治癒過程又は薬物療法を受けている間に、角膜組織の健康状態を毎月モニタリングすることが可能になり、厚さの突然の減少が認められた場合には、医師は患者の目の患部をさらに詳しく検査し、患者及び目の組織の回復を助けるために直ちに治療法を処方することができる。別の例において、インプラント処置後の急性期において、観察された経時的な組織体積の変化は、インプラント処置後の期間中の創傷治癒の状態を示すことができる。浮腫組織の体積は縮小することが観察され、その後予想される創傷治癒とともに正常な体積に戻り、その後に、インプラント処置前の体積に達することができる。慢性的なデバイスの寿命段階において、組織体積と経時的な組織体積の変化を定期的にモニタリングすることで、通常は組織損失を安定化させるために行われる第二回目の介入手術を行わずに、インプラントの損失又は機能不全につながる可能性がある初期の組織損失を特定することができる。
【0118】
前述の例及び実施は、角膜の異常な薄化及び目に永久的な損傷を引き起こす可能性がある視力を脅かす状態である角膜拡張症などの追加又は代替の状態を検出するために適用することができる。角膜拡張症の考えられる原因としては、円錐角膜、透明辺縁変性、球状角膜及びレーザ眼科手術(限定するわけではないが、レーシック手術を含む)が挙げられる。拡張症は、すでにリスクにさらされている角膜、又は生まれつき平均よりも薄いためにリスクにさらされている角膜で発生する。平均的な角膜の厚さは中心部で約540ミクロンである。拡張症は、レーシック手術で形成されたフラップが過剰に多くの角膜組織を除去し、残っている角膜組織が弱くなり、薄くなった場合に発生する。医師は、典型的に、角膜拡張症のリスクがある患者を特定するためにレーシック手術の候補者を事前にスクリーニングする。そのプロセスは、角膜拡張症の潜在的なリスクを判断するために患者の病歴と組み合わせたOCTイメージングによるトポグラフィー及び厚さ測定を含む。医師は角膜の異常を特定し、拡張症のリスクがある領域として角膜内の最も薄い箇所に特に注意を払う。レーシック後のスクリーニングでは、OCT画像を利用して薄化領域の角膜体積及び拡張症の兆候をモニタリングすることもできる。円錐角膜と同様に、レーシック前後のモニタリングは、角膜トポグラフィーと組織体積の計算を手動で関係付けるという課題と、これらの計算を経時的に追跡するために医師が行う手動分析により困難を伴う。したがって、本明細書に開示されるとおりの自動健康マップ生成は、より正確かつ徹底した組織の厚さ又は体積の計算という利点を提供し、その結果をトポグラフィーマップ上に提供して、医師の検査のために角膜拡張症の最もリスクの高い領域を視覚的に表示することができる。
【0119】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0120】
本明細書に開示される図に示されるデバイス、方法及びシステムは、デバイス、方法及びシステムの様々な特徴の例として提供されるものであり、これらの例示される特徴の組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、これらの例及びそれらの特徴は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない特徴、追加の特徴、又は図に示されるそれらの特徴の1つ以上に対する代替特徴に限定されることを提案することが意図されるものではない。例えば、様々な実施形態において、図8に示される方法は、図9又は10を参照して説明した他の工程、ならびに他の図を参照して説明した追加又は代替のプロセスを含むことができる。また、その逆も同様であることを理解すべきである。
【0121】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な変更及び付加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本開示の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び、記載された特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含まれる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべての代替、変更及び変形形態を、そのすべての均等とともに包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A-F】
図11G
図12A-F】
図12G
図13A-F】
図13G
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜組織の健康状態をモニタリングする方法であって、前記方法は、
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定すること、
前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定すること、及び、
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織不透明度であり、
前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織不透明度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、
方法。
【請求項2】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の期間及び第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、前記方法は、前記健康マップを生成するために、前記第一の断面画像のセットと前記第二の断面画像のセットとを比較することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
角膜の前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算することをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定することをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の時点において、前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定すること、をさらに含み、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記少なくとも1つのサブ領域を前記健康マップ上に重ねて表示することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域の診断を決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記診断及び前記健康マップを表示すること、
をさらに含み、
前記診断はメモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとしてユーザインターフェース上に表示すること、
をさらに含み、
前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信し、受信したユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織の損失を経験しているという通知を表示することをさらに含み、
前記第一の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定し、前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定するように構成された角膜測定デバイス、及び、
前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニット、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織密度であり、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織密度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される、前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項16】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項17】
前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、
前記処理ユニットはさらに、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して健康マップを生成するように構成されている、請求項16記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項18】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項15~17のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項18記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項20】
前記処理ユニットは、前記領域の前記健康状態マップに基づいて、前記第一の期間から第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算するようにさらに構成されている、請求項15~19のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項21】
前記処理ユニットは、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定するようにさらに構成されている、請求項20記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項22】
前記角膜測定デバイスは、前記第一の期間と前記第二の期間との間の前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定するようにさらに構成されており、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項15~21のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項23】
前記処理ユニットは、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力するようにさらに構成されている、請求項22記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項24】
前記処理ユニットは、前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定するようにさらに構成され、
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記健康マップ上に重ねて前記少なくとも1つのサブ領域を表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項25】
角膜疾患のリストを格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記処理ユニットはさらに、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域に関する診断を決定するように構成されており、前記診断は前記メモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能であり、そして
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、診断及び健康マップを表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~24のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項26】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとして表示し、ユーザ入力を受信し、受信されたユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されているユーザインターフェースをさらに含む、請求項25記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項27】
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザ入力の検出に応答して、前記追加情報を表示する新しいウィンドウを開くようにさらに構成され、前記追加情報は、ユーザインタラクティブマップ上のユーザが選択した前記領域の断面画像である、請求項26記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項28】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項15~27のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項29】
ユーザインターフェースをさらに含み、前記処理ユニットは、
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェースに表示すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項30】
(a)第一の期間中の角膜組織の領域の第一の厚さ、
(b)前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の厚さ、及び、
(c)前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の中間時点における前記領域の1つ以上の中間の厚さ、
を測定するように構成された光干渉断層撮影(OCT)装置、
前記OCT装置から前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さを受信し、前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さに基づいて前記領域のトポグラフィーマップを生成するように構成されている処理ユニット、
を含み、
前記トポグラフィーマップは、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定された、前記領域の第一の厚さと第二の厚さとの間の時間変数変化の指標である、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項31】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項34】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、請求項15~29のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項35】
前記OCT装置は、前記第一の期間中に前記領域の第一の体積を測定し、前記第二の期間中に前記領域の第二の体積を測定するようにさらに構成されている、請求項30記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な変更及び付加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本開示の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び、記載された特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含まれる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべての代替、変更及び変形形態を、そのすべての均等とともに包含することを意図している。
(態様)
(態様1)
角膜組織の健康状態をモニタリングする方法であって、前記方法は、
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定すること、
前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定すること、及び、
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織不透明度であり、
前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織不透明度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、方法。
(態様2)
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、態様1記載の方法。
(態様3)
前記第一の期間及び第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、前記方法は、前記健康マップを生成するために、前記第一の断面画像のセットと前記第二の断面画像のセットとを比較することをさらに含む、態様2記載の方法。
(態様4)
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、態様1~3のいずれか1項記載の方法。
(態様5)
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、態様4記載の方法。
(態様6)
角膜の前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算することをさらに含む、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様7)
前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定することをさらに含む、態様6記載の方法。
(態様8)
前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の時点において、前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定すること、をさらに含み、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、態様1~7のいずれか1項記載の方法。
(態様9)
前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力することをさらに含む、態様8記載の方法。
(態様10)
前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記少なくとも1つのサブ領域を前記健康マップ上に重ねて表示することをさらに含む、態様1~9のいずれか1項記載の方法。
(態様11)
前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域の診断を決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記診断及び前記健康マップを表示すること、
をさらに含み、
前記診断はメモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能である、態様1~9のいずれか1項記載の方法。
(態様12)
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとしてユーザインターフェース上に表示すること、をさらに含み、
前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信し、受信したユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されている、態様1~9のいずれか1項記載の方法。
(態様13)
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、態様1~12のいずれか1項記載の方法。
(態様14)
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織の損失を経験しているという通知を表示することをさらに含み、
前記第一の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、態様1記載の方法。
(態様15)
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定し、前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定するように構成された角膜測定デバイス、及び、
前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニット、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織密度であり、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織密度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される、前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、
角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様16)
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、態様15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様17)
前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、
前記処理ユニットはさらに、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して健康マップを生成するように構成されている、態様16記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様18)
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、態様15~17のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様19)
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、態様18記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様20)
前記処理ユニットは、前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算するようにさらに構成されている、態様15~19のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様21)
前記処理ユニットは、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定するようにさらに構成されている、態様20記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様22)
前記角膜測定デバイスは、前記第一の期間と前記第二の期間との間の前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定するようにさらに構成されており、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、態様15~21のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様23)
前記処理ユニットは、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力するようにさらに構成されている、態様22記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様24)
前記処理ユニットは、前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定するようにさらに構成され、
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記健康マップ上に重ねて前記少なくとも1つのサブ領域を表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、態様15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様25)
角膜疾患のリストを格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記処理ユニットはさらに、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域に関する診断を決定するように構成されており、前記診断は前記メモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能であり、そして
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、診断及び健康マップを表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、態様15~24のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様26)
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとして表示し、ユーザ入力を受信し、受信されたユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されているユーザインターフェースをさらに含む、態様25記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様27)
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザ入力の検出に応答して、前記追加情報を表示する新しいウィンドウを開くようにさらに構成され、前記追加情報は、ユーザインタラクティブマップ上のユーザが選択した前記領域の断面画像である、態様26記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様28)
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、態様15~27のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様29)
ユーザインターフェースをさらに含み、前記処理ユニットは、
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェースに表示すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、態様15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様30)
(a)第一の期間中の角膜組織の領域の第一の厚さ、
(b)前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の厚さ、及び、
(c)前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の中間時点における前記領域の1つ以上の中間の厚さ、
を測定するように構成された光干渉断層撮影(OCT)装置、
前記OCT装置から前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さを受信し、前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さに基づいて前記領域のトポグラフィーマップを生成するように構成されている処理ユニット、
を含み、
前記トポグラフィーマップは、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定された、前記領域の第一の厚さと第二の厚さとの間の時間変数変化の指標である、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様31)
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、態様1~14のいずれか1項記載の方法。
(態様32)
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、態様1~14のいずれか1項記載の方法。
(態様33)
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、態様15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様34)
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、態様15~29のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
(態様35)
前記OCT装置は、前記第一の期間中に前記領域の第一の体積を測定し、前記第二の期間中に前記領域の第二の体積を測定するようにさらに構成されている、態様30記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜組織の健康状態をモニタリングする方法であって、前記方法は、
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定すること、
前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定すること、及び、
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織不透明度であり、
前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織不透明度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、方法。
【請求項2】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の期間及び第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、前記方法は、前記健康マップを生成するために、前記第一の断面画像のセットと前記第二の断面画像のセットとを比較することをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
角膜の前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から前記第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定することをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の時点において、前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定すること、をさらに含み、
前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記少なくとも1つのサブ領域を前記健康マップ上に重ねて表示することをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域の診断を決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、前記診断及び前記健康マップを表示すること、
をさらに含み、
前記診断はメモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能である、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとしてユーザインターフェース上に表示すること、
をさらに含み、
前記ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信し、受信したユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
ユーザインターフェース上に、角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織の損失を経験しているという通知を表示すること、
をさらに含み、
前記第一の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は、角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
第一の期間中に角膜組織の領域の第一の健康状態指標を測定し、前記第一の期間後の第二の期間中に前記領域の第二の健康状態指標を測定するように構成された角膜測定デバイス、及び、
前記角膜測定デバイスから前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標を受信し、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標に基づいて前記領域の健康マップを生成するように構成された処理ユニット、
を含み、
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織密度であり、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織密度であり、
前記健康マップは、角膜の前記領域において前記第一の期間から前記第二の期間まで測定される、前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化を示す、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項16】
前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は、前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像を取得することによって測定される、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項17】
前記第一の期間及び前記第二の期間における角膜組織の前記領域の断面画像は、
(a)前記第一の期間に撮影された前記領域の第一の断面画像のセット、及び、
(b)前記第二の期間に撮影された前記領域の第二の断面画像のセット、
を含み、
前記処理ユニットはさらに、前記第一の断面画像のセットを前記第二の断面画像のセットと比較して健康マップを生成するように構成されている、請求項16記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項18】
前記領域は、モニタリングされている角膜組織の少なくとも1つの副層を含み、前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標は前記少なくとも1つの副層に関連付けられる、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの副層は、外部副層、内部副層又は前記外部副層と前記内部副層との間に配置された中間副層のうちの1つ以上を含む、請求項18記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項20】
前記処理ユニットは、前記領域の前記健康マップに基づいて、前記第一の期間から第二の期間までの前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化率を計算するようにさらに構成されている、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項21】
前記処理ユニットは、前記領域の前記第二の健康状態指標及び前記変化率に基づいて、前記第二の期間後の第三の期間中の前記領域の予測健康状態指標を決定するようにさらに構成されている、請求項20記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項22】
前記角膜測定デバイスは、前記第一の期間と前記第二の期間との間の前記領域の1つ以上の中間健康状態指標を測定するようにさらに構成されており、前記健康マップは、前記中間健康状態指標間の連続的な変化を示す、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項23】
前記処理ユニットは、前記第一の健康状態指標、前記第二の健康状態指標及び前記中間健康状態指標の間の連続的な変化を時間に対するグラフとして出力するようにさらに構成されている、請求項22記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項24】
前記処理ユニットは、前記健康マップ上で、閾値範囲を超える前記第一の健康状態指標及び前記第二の健康状態指標の変化を示す角膜の前記領域内の少なくとも1つのサブ領域を特定するようにさらに構成され、
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、前記健康マップ上に重ねて前記少なくとも1つのサブ領域を表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項25】
角膜疾患のリストを格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記処理ユニットはさらに、前記健康マップ及び前記第一の健康状態指標と前記第二の健康状態指標との間の変化に基づいて、角膜組織の前記領域に関する診断を決定するように構成されており、前記診断は前記メモリユニットに格納された角膜疾患のリストから選択可能であり、そして
前記角膜組織健康状態モニタリングシステムは、診断及び健康マップを表示するように構成されたユーザインターフェースをさらに含む、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項26】
前記領域の健康マップをユーザインタラクティブマップとして表示し、ユーザ入力を受信し、受信されたユーザ入力に対応する追加情報を表示するように構成されているユーザインターフェースをさらに含む、請求項25記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項27】
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザ入力の検出に応答して、前記追加情報を表示する新しいウィンドウを開くようにさらに構成され、前記追加情報は、ユーザインタラクティブマップ上のユーザが選択した前記領域の断面画像である、請求項26記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項28】
前記健康マップは、前記領域のトポグラフィーマップである、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項29】
ユーザインターフェースをさらに含み、前記処理ユニットは、
前記領域の前記第一の健康状態指標と前記領域の前記第二の健康状態指標との間の%変化率を計算すること、
前記%変化率が所定の閾値を下回っていると決定すること、及び、
角膜インプラント処置後に角膜の前記領域が組織損失を経験しているという通知をユーザインターフェースに表示すること、
を含み、
前記第一の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置される前の第一の期間に関連付けられ、前記第二の健康状態指標は角膜インプラントがインプラント処置された後の第二の期間に関連付けられる、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項30】
(a)第一の期間中の角膜組織の領域の第一の厚さ、
(b)前記第一の期間後の第二の期間中の前記領域の第二の厚さ、及び、
(c)前記第一の期間と前記第二の期間との間の1つ以上の中間時点における前記領域の1つ以上の中間の厚さ、
を測定するように構成された光干渉断層撮影(OCT)装置、
前記OCT装置から前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さを受信し、前記領域の第一の厚さ、第二の厚さ及び中間の厚さに基づいて前記領域のトポグラフィーマップを生成するように構成されている処理ユニット、
を含み、
前記トポグラフィーマップは、前記第一の期間から前記第二の期間まで測定された、前記領域の第一の厚さと第二の厚さとの間の時間変数変化の指標である、角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項31】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の厚さをさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の厚さをさらに含む、請求項15記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項34】
前記第一の健康状態指標は前記領域の第一の組織の体積をさらに含み、前記第二の健康状態指標は前記領域の第二の組織の体積をさらに含む、請求項15~23のいずれか1項記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【請求項35】
前記OCT装置は、前記第一の期間中に前記領域の第一の体積を測定し、前記第二の期間中に前記領域の第二の体積を測定するようにさらに構成されている、請求項30記載の角膜組織健康状態モニタリングシステム。
【国際調査報告】