(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フロースルーオリゴヌクレオチド合成のプロセス及びシステム
(51)【国際特許分類】
C07H 21/02 20060101AFI20240912BHJP
C07H 1/00 20060101ALI20240912BHJP
C07H 21/04 20060101ALI20240912BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C07H21/02
C07H1/00
C07H21/04 Z
C07H21/04 A
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517489
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 SE2022050812
(87)【国際公開番号】W WO2023043359
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368031
【氏名又は名称】ペプティシステムズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホルムバーグ,ラース-オーケ
(72)【発明者】
【氏名】テデバーク,ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】シラード,ランナー
【テーマコード(参考)】
4B029
4C057
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4C057AA30
4C057BB02
4C057DD03
4C057MM01
4C057MM02
4C057MM04
4C057MM08
(57)【要約】
本発明は、フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのプロセス及びシステムに関する。本プロセスは、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングのステップを含む。本プロセスは、脱トリチル化ステップの後に行われる合成樹脂を再圧密化する少なくとも1つのステップを含む。合成樹脂を再圧密化するステップは、最初の流動化ステップと、それに続く再充填ステップを含む。流動化ステップでは溶媒はカラムの底部から頂部へ流れ、再充填ステップでは溶媒はカラムの頂部から底部へ流れる。
【選択図】
図1A、
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学結合を介して合成樹脂に結合された第1のヒドロキシル保護配列単位がカラム内に提供される、固相オリゴヌクレオチド合成のためのフロースループロセスであって、サイクルとして少なくとも1回繰り返される以下のステップ(i)~(iii):
i. 脱トリチル化により、合成樹脂に結合した第1の配列単位の前記ヒドロキシル基を脱保護するステップ:
ii. 少なくとも1つの第2の配列単位を含む液体反応溶液を提供するステップ;
iii. 少なくとも1つの第1の配列単位が結合した前記合成樹脂上に反応溶液を通過させ、それによって少なくとも1つの第2の配列単位が前記樹脂に結合した前記第1の配列単位に結合し、前記反応溶液が、ステップ(i)で提供されるカラムにおいて、前記樹脂をより密な状態に圧密化するステップ、
を含み、
そのプロセス内で、合成樹脂に結合した前記第1の配列単位から保護基を除去する前記ステップが酸性溶液中で行われ、
前記プロセスは、前記樹脂を再圧密化する少なくとも1つのステップを含む、
前記プロセス。
【請求項2】
前記第1の配列単位及び前記第2の配列単位がヌクレオチドまたはヌクレオシドに基づく、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記合成樹脂を再圧密化するステップがカップリングステップの前に行われる、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記再圧密化のステップが、前記樹脂を流動化することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
脱トリチル化ステップで使用される前記酸性溶液のpKaが0.2~3である、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記配列単位が、別個に画定された混合チャンバ内で活性化される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第2の配列単位が、前記システムの前記チューブ内で活性化される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応溶液が、前記反応溶液中の少なくとも1つの第2配列単位が前記固定化された配列単位(複数可)のうちの少なくとも99%と接触することを可能にする流速及び体積で前記樹脂上を通過する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記合成樹脂上を通過する前に、前記液体反応溶液中に含まれる少なくとも1つの第2の配列単位に加熱が適用される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第2の配列単位が、前記合成樹脂上を通過する前に少なくとも1℃加熱される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスの少なくとも1つのステップの進行が、少なくとも2つの検出器によってモニターされる、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記プロセスの進行が連続的にモニターされる、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記プロセスの進行が、分光法、好ましくは近赤外(NIR)分光法によってモニターされる、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記プロセスが直線的に拡張可能である、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記プロセスが、重要品質特性(CQA)に影響を及ぼす重要工程パラメータ(CPP)を測定するためにプロセス解析工学(PAT)の使用を可能にするソフトウェア制御のリアルタイム条件付きモニタリングを使用する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステム(100)であって、前記システム(100)が、合成樹脂で充填されるように配置された少なくとも1つのカラム(101)と;少なくとも第1のポンプ(102a)と;モノマー及び試薬のための少なくとも第1のリザーバ(104a)と;少なくとも1つの検出器(106)と、少なくとも1つのプロセッサ(114)と、を含み、チューブ(108)が前記第1のリザーバ(104a)を前記カラム(101)に接続し、前記第1のポンプ(102a)及びバルブ(109a~d)が、前記システム(100)内の流れを導くように配置され、前記プロセッサ(114)が、少なくとも前記第1のポンプ(102a)、前記バルブ(109a~d)、及び前記検出器(114)と通信接続し、前記システム(100)が、溶媒が前記カラムの底部(101’)から頂部(101’’)に前記カラム(101)を通過するように、溶媒の流れを前記第1のリザーバ(104a)から前記カラムの底部(101’)に導くように配置された流動化流路(200)を提供するように配置され、前記システム(100)が、溶媒が前記カラムの頂部(101’’)から底部(101’)に前記カラム(101)を通過するように、溶媒の流れを前記第1のリザーバ(104a)から前記カラムの頂部(101’’)に導くように配置された再充填経路(210)を提供するように配置され、前記システム(100)が、1回の合成サイクルにおいて、最初に前記流動化流路(200)に溶媒を流し、続いて前記再充填流路(210)に溶媒を流すように配置される、前記システム(100)。
【請求項17】
溶媒が前記カラムの底部(101’)から前記頂部(101’’)に通過するとき、前記第3のバルブ(109c)が廃液出口を提供するように配置され、溶媒が前記カラムの頂部(101’’)から前記底部(101’)に通過するとき、前記第4のバルブ(109d)が廃液出口を提供するように配置される、請求項16に記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記流動化流路(200)及び前記再充填流路(210)が前記チューブ(108)によって実現される、請求項16または17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記システム(100)が、再循環流路(220)を提供するようにさらに配置され、前記再循環流路(220)は、前記カラム(101)上を溶媒、試薬などを再循環させるように配置される、請求項16~18のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記システム(100)が、前記カラム(101)の上流及び前記少なくとも第1のリザーバ(104a)の下流に配置された温度調節装置(103)と、前記カラム(101)の上流及び前記温度調節装置(103)の下流に配置された第1の温度センサー(105a)と、前記カラム(101)の下流に配置された第2の温度センサー(105b)と、を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項21】
前記システム(100)が、前記少なくとも第1のリザーバ(104a)と流体連通して配置された別個に画定された混合チャンバ(113)と、前記別個に画定された混合チャンバ(113)の上流に配置される気泡検出器(107)とをさらに備える、請求項16~20のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項22】
フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステム(100)を使用してフロースルー固相オリゴヌクレオチド合成を行うための方法(300)であって、前記システム(100)が、合成樹脂で充填されるように配置された少なくとも1つのカラム(101)と;少なくとも第1のポンプ(102a)と;モノマー及び試薬のための少なくとも第1のリザーバ(104a)と;少なくとも1つの検出器(106)と、少なくとも1つのプロセッサ(114)とを含み、チューブ(108)が前記第1のリザーバ(104a)を前記カラム(101)に接続し、前記第1のポンプ(102a)及びバルブ(109a~d)が、前記システム(100)内の流れを導くように配置され、前記プロセッサ(114)が、少なくとも前記第1のポンプ(102a)、前記バルブ(109a~d)、及び前記検出器(106)と通信接続し、合成樹脂が前記カラム(101)内に配置され、第1の配列単位が化学結合を介して前記合成樹脂に結合され、前記方法(300)が、前記システム(100)が、流動化ステップ(303’)において前記流動化流路(200)を介して前記カラムの底部(101’)から前記頂部(101’’)に溶媒を流すことによって、前記カラム(101)内に配置された前記合成樹脂を最初に流動化するように構成され、前記流動化ステップ(303’)に続いて、前記システム(100)が前記再充填流路(210)を用いて前記カラムの頂部(101’’)から前記底部(101’)に溶媒を流して、前記カラム(101)内に配置された前記合成樹脂を再充填する再充填ステップ(303’’)が行われる、少なくとも1つの再圧密化ステップ(303)を含む、前記方法(300)。
【請求項23】
前記方法(300)が、以下のステップを含む、請求項22に記載の方法(300):
脱トリチル化ステップ(301):前記システム100が、少なくとも第1のバルブ(109a)、第2のバルブ(109b)、及び第3のバルブ(109c)を開くことによって、脱トリチル化剤を含む酸性溶液を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置される;
第1の洗浄ステップ(302):前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、溶媒を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置される;
第1の再圧密化ステップ(303):前記システム(100)が、流動化ステップ(303’)において前記流動化流路(200)を介して前記カラムの底部(101’)から前記頂部(101’’)に溶媒を流すことによって、前記カラム(101)内に配置された前記合成樹脂を最初に流動化するように構成され、前記流動化ステップ(303’)に続いて、前記システム(100)が前記再充填流路(210)を用いて前記カラムの頂部(101’’)から前記底部(101’)に溶媒を流して、前記カラム(101)内に配置された前記合成樹脂を再充填する再充填ステップ(303’’)を行う;
反応ステップ(320):前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、少なくとも1つの配列単位を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置され、その後、第2の洗浄ステップ(305)があり、前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、溶媒を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置され;
酸化/チオール化ステップ(330):前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、酸化剤またはチオール化剤を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置され、その後、第3の洗浄ステップ(307)があり、前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、溶媒を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置され;
キャッピングステップ(309):前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、キャッピング剤を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置され、その後、第4の洗浄ステップ(307)があり、前記システム(100)が、少なくとも前記第1のバルブ(109a)、前記第2のバルブ(109b)、及び前記第3のバルブ(109c)を開くことによって、溶媒を前記チューブ(108)を通して前記第1のリザーバ(104a)から前記カラム(101)に流すように配置される。
【請求項24】
前記方法(300)に従って行われる合成の進行が、前記カラム(101)の下流に配置された少なくとも1つの検出器(106)によってモニターされる、請求項22または23に記載の方法(300)。
【請求項25】
前記流動化ステップ(303’)中の流速が25~75cm/hであり、前記流動化ステップ(303’)が0.25~1カラム体積の間継続され、前記再充填ステップ(303’’)中の流速が100~200cm/hであり、前記再充填ステップ(303’’)が0.25~1カラム体積の間継続される、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項26】
前記方法(300)が、前記反応ステップ(320)の前に活性化のステップを含み、前記活性化のステップ中に、前記システム(100)が前記少なくとも1つの配列単位に活性化剤を提供することによって、前記少なくとも1つの配列単位を活性化するように構成されている、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項27】
前記システム(100)が、前記活性化剤と前記少なくとも1つの配列単位を前記システム(100)の前記チューブ(108)を通して同時に流すことによって、前記システム(100)の前記チューブ(108)内の前記少なくとも1つの配列単位を活性化するように構成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの配列単位が、別個に画定された混合チャンバ(113)内で活性化される、請求項26に記載の方法(300)。
【請求項29】
前記別個に画定された混合チャンバ(113)を出る前記活性化された少なくとも1つの配列単位が気泡検出器(107)によってモニターされる、請求項28に記載の方法(300)。
【請求項30】
前記方法(300)が、前記反応ステップ(320)の前に追加のステップを含み、少なくとも1つの第2の配列単位を含む前記溶液が、前記カラム(101)に入る前に加熱され、前記加熱ステップは、前記システム(100)が、前記カラム(101)の上流に配置された温度調節装置(103)を通して、前記少なくとも1つの第2の配列単位を含む前記溶液を通過させるように構成される、請求項22~29のいずれか1項に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相オリゴヌクレオチド合成のためのプロセス、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然界のオリゴヌクレオチドはDNAまたはRNA分子である。それらは、創薬、治療法、分子診断などでの使用により大きな関心を集めている。現在までに10を超えるFDA承認のオリゴヌクレオチド薬物があり、それらのほとんどは2016年以降に承認されている。オリゴヌクレオチドは、溶液中で、または合成樹脂がカラムに提供されるフロースループロセスで合成することができる。保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチドは、リンカーを介して樹脂に結合される。反応の第1のステップでは、保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチドが脱保護剤によって脱保護される。溶媒に溶解した第2のヌクレオチドをカラムに加えて、第2のヌクレオチドを第1のヌクレオチドまたはヌクレオシドに結合させる。これらのステップを繰り返して、オリゴヌクレオチド鎖または配列を生成することができる。所望のオリゴヌクレオチド配列が合成された後、オリゴヌクレオチドは樹脂から分離される。
【0003】
合成樹脂は、樹脂の種類、成長するオリゴヌクレオチドの量に対する樹脂の量の比率、及びプロセスで使用される溶媒に応じて、プロセス中に収縮及び膨張する可能性がある。樹脂の膨張及び収縮は、オリゴヌクレオチド合成中に樹脂の相不均一性を増加させる可能性がある。相不均一性は、樹脂を通る非最適な流れをもたらす可能性がある。すなわち、例えば、前部がカラム壁に対して水平または垂直ではなく、したがって流れが樹脂全体で均一ではない可能性がある。これは、結果として、合成及び合成されたオリゴマーの品質に悪影響を及ぼす。
【0004】
US5,641,459は、多数の異なる単量体のそれぞれ及び合成プロセスで使用される他の流体に接続するための個々のモジュラスを有するオリゴヌクレオチドを合成するための機械を開示している。
【0005】
US6,469,157B1は、ポリヌクレオチド合成のために官能化された固定化固体支持体を含むカラムを含む反応器内の固体支持体上でポリヌクレオチドを調製するための装置を開示している。
【0006】
EP3650455A1は、固相核酸合成方法における脱保護ステップにおいてトルエンの代替として使用できる新規溶媒、及び保護されたヌクレオシドホスホラミダイトからの保護基の除去をpKa0.2~0.8の酸とアセトニトリルを含む溶液中で行う方法を開示している。
【0007】
先行技術では、先行技術の問題を克服する、オリゴヌクレオチド合成のための改善されたプロセス及びシステムが必要とされている。また、樹脂の相不均一性の悪影響を防止または最小限に抑えるオリゴヌクレオチド合成のプロセス及びシステムも必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、先行技術のシステム及びプロセスの欠点を克服するオリゴヌクレオチド合成のためのプロセス及びシステムを提供することである。これは、請求項1に定義されたプロセス、請求項16に定義されたシステム、及び請求項22に定義された方法によって達成される。
【0009】
本発明の一態様によれば、化学結合を介して合成樹脂に結合した第1のヒドロキシル保護配列単位がカラムに提供される、固相オリゴヌクレオチド合成のためのフロースループロセスが存在する。本プロセスは、サイクルとして少なくとも1回繰り返される以下のステップ(i)~(iii):
i. 脱トリチル化により、合成樹脂に結合した第1の配列単位のヒドロキシル基を脱保護するステップ:
ii. 少なくとも1つの第2の配列単位を含む液体反応溶液を提供するステップ;
iii. 少なくとも1つの第1の配列単位が結合した合成樹脂上に反応溶液を通過させ、それによって少なくとも1つの第2の配列単位が樹脂に結合した第1の配列単位に結合し、反応溶液が、ステップ(i)で提供されるカラムにおいて、樹脂をより密な状態に圧密化するステップ、
を含み、
そのプロセス内で、合成樹脂に結合した第1の配列単位から保護基を除去するステップが酸性溶液中で行われ、そのプロセスは、樹脂を再圧密化する少なくとも1つのステップを含む。
【0010】
本発明の一態様では、フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステムが存在する。本システムは、合成樹脂を充填するように配置された少なくとも1つのカラムと;少なくとも第1のポンプと;単量体及び試薬のための少なくとも第1のリザーバと;少なくとも1つの検出器と、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。チューブは第1のリザーバをカラムに接続し、第1のポンプとバルブはシステム内の流れを導くように配置されている。プロセッサは、少なくとも第1のポンプ、バルブ、及び検出器と通信接続している。システムは、溶媒の流れを第1のリザーバからカラムの底部に導くように構成された流動化流路を提供するように配置され、溶媒がカラムの底部から頂部にカラムを通過するようにする。システムは、溶媒の流れを第1のリザーバからカラムの頂部に導くように構成された再充填流路を提供するように配置され、溶媒がカラムの頂部からカラムを通過するようにする。システムは、1回の合成サイクルにおいて、最初に流動化流路に溶媒を流し、続いて再充填流路に溶媒を流すように配置される。
【0011】
本発明の一態様では、フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステムを使用してフロースルー固相オリゴヌクレオチド合成を実施するための方法が存在する。本システムは、合成樹脂を充填するように配置された少なくとも1つのカラムと;少なくとも第1のポンプと;単量体及び試薬のための少なくとも第1のリザーバと;少なくとも1つの検出器と、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。チューブは、第1のリザーバをカラムに接続する。第1のポンプとバルブは、システム内の流れを導くように配置されている。プロセッサは、少なくとも第1のポンプ、バルブ、及び検出器と通信接続している。合成樹脂がカラム内に配置され、第1の配列単位が化学結合を介して合成樹脂に結合される。本方法は、再圧密化の少なくとも1つのステップを含み、その間、システムは、流動化ステップにおいて流動化流路を介してカラムの底部から頂部に溶媒を流すことによって、カラム内に配置された合成樹脂を最初に流動化するように構成される。流動化ステップに続いて、システムが再充填流路を用いてカラムの頂部から底部に溶媒を流して、カラム内に配置された合成樹脂を再充填する再充填ステップを行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明によるプロセスのフローチャートである。
【
図1B】本発明によるプロセスのフローチャートである。
【
図6A】本発明による実施例からのHPLCクロマトグラムである。
【
図6B】比較例からのHPLCクロマトグラムである。
【0013】
定義
本明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、当該技術分野における通常の意味を有する。
【0014】
「フロースルー」という用語は、試薬、及び/または溶媒、及び/または添加剤などを含む溶液がカラム上を/カラムを通って通過するプロセスを記述するために使用され、この用語には、シングルパス(すなわち、溶液(複数可)がカラム上を1回通過する)と再循環(すなわち、溶液(複数可)がシステムを通って再循環され、少なくとももう一回カラムを通過する)との両方が含まれる。
【0015】
「配列単位」という用語は、配列中の単位として使用される化合物を指す。配列単位は、情報を格納/運ぶことができる。配列単位の例としては、ヌクレオシド(複数可)、ヌクレオチド、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、二環式/三環式ヌクレオシド、及びLNA、cEt、ENA、GNA、TNA、FNAなどのヌクレオチド類似体が挙げられる。配列の例としては、例えばDNA、RNA、及びMOE、OMe、Fなどの2’修飾の類似体が挙げられる。配列単位はまた、DNA、RNA、またはそれらの類似体と一緒の配列中の任意の非ヌクレオチド、非ヌクレオシドベースの化合物であってもよい。第1の配列単位もユニバーサルサポートの一部であり得る。
【0016】
「ヌクレオチド」という用語は、核酸サブユニットを指し、ヌクレオチドは、糖基、塩基、及びリン酸基、またはホスホロチオエートが最も一般的なものの1つである任意の他のリン酸類似体を含む。
【0017】
「ヌクレオシド」という用語は、糖及び塩基を含む化合物を指す。
【0018】
「塩基」という用語は、窒素含有塩基を指す。使用できるさまざまな塩基が多数存在する。DNA及びRNAに最も一般的な5つは、アデニン、シトシン、グアニン、及びチミン/ウラシル(A、C、G、及びT/Uと略される)である。他の例は、メチルウラシル(MeU)及びメチルシトシン(MeC)、または基本構造に結合または置換/含まれる任意の他の官能基(複数可)である。
【0019】
「核酸」という用語は、DNAとRNAの両方、及びDNAとRNAの類似体を含む。類似体は、DNAやRNAとは骨格の構造が異なる。
【0020】
「合成樹脂」という用語は、有機化合物またはカラム内で充填床を形成できる固相を含み、合成樹脂は、例えば、ポリスチレンまたはジビニルベンゼンに基づくポリマー材料だけでなく、任意の程度の架橋または細孔構造を有する他の固相または固相の組み合わせも含む。
【0021】
「試薬」という用語は、フロースルーシステムにおいて成長するヌクレオチド配列の生成に使用される任意の化合物、配列単位、試薬、溶媒を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%、または±5%、または±1%の変動を包含すると理解されるべきである。
【0023】
「流動化」という用語は、合成樹脂の底面の約1%超がカラムの底部と接触しなくなったときを指す。この段階は、例えばカラムを底部または頂部からの流れを適用することによって得ることができる。
【0024】
本明細書を通して、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、及び「オリゴマー」という用語は交換可能に使用され、直鎖状または分枝鎖状の配列単位の鎖または配列、すなわち配列、例えば、DNA/RNAまたはその類似体などの核酸を指す。
【0025】
本明細書において、特に断りのない限り、「ヌクレオシド(複数可)」、「ヌクレオチド(複数可)」、「オリゴヌクレオチド(複数可)」、及び「ポリヌクレオチド(複数可)」などの「配列単位」は、適切な場合、活性化基及び/または保護基を有するものを指す。
【0026】
「脱トリチル化すること」または「脱トリチル化」という用語は、追加の配列単位の付加を可能にする保護基(複数可)の除去を指す。脱トリチル化には、ジメトキシトリチルまたはモノメトキシトリチルまたは任意の他の保護基を除去して、追加の配列単位の付加及びカップリングを可能にすることが含まれる。
【0027】
「直線的に拡張可能」という用語は、より小さなスケールまたはより大きなスケールの合成条件が、類似または同一の合成結果をもたらす代替サイズのスケールに移すことができる合成プロセスという意味を有する。
【0028】
「条件付き閾値」という用語は、前のステップ(複数可)を終了させ、次のステップを開始させるために、制御ソフトウェアに設定された少なくとも1つのパラメータの事前定義された値という意味で使用される。
【0029】
「ACN」は、アセトニトリルの略語であり、当該技術分野ではその標準的な意味で使用される。
【0030】
「DCA」及び「TCA」は、それぞれジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の略語であり、当該技術分野においてその標準的な意味で使用される。
【0031】
「PAT」は、プロセス解析工学(Process Analytical Technology)の略語であり、当該技術分野においてその標準的な意味で使用される。
【0032】
「CPP」は、重要工程パラメータ(Critical Process Parameters)の略語であり、当該技術分野においてその標準的な意味で使用される。
【0033】
「CQA」は、重要品質特性(Critical Quality Attributes)の略語であり、当該技術分野においてその標準的な意味で使用される。
【0034】
「NIR」は近赤外線(Near Infrared)の略語であり、当該技術分野ではその標準的な意味で使用される。
【0035】
「UV/Vis」は、紫外/可視(Ultraviolet/Visible)の略語であり、当該技術分野ではその標準的な意味で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」などの用語は、図面に示される本発明の実施形態の幾何学的形状を参照するためにのみ使用され、いかなる形でも本発明を限定することを意図するものではない。
【0037】
オリゴヌクレオチドを合成するための方法及びプロセスとしては、ホスホラミダイト、ホスホトリエステル、及びH-ホスホネート法、ならびに他の同様の方法が挙げられ、これらはすべて当該技術分野で一般的に知られている。本明細書に記載のシステム及びプロセスは、ホスホラミダイト法に関連して記載されているが、プロセス及びシステムは他の合成方法を使用しても利用できることを理解されたい。
【0038】
背景技術で論じたように、オリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、成長するオリゴヌクレオチドがカラムに配置された樹脂上に固定化されるフロースループロセスで合成することができる。フロースルーシステムは、チューブを使用して互いに流体連通するカラム(複数可)、バルブ(複数可)、及びポンプ(複数可)をすべて含む。ポンプ(複数可)は、システムを介してカラム上に液体を圧送するように配置されている。合成を開始する前に、共有結合を介して直接的に、またはユニバーサル支持体とも呼ばれるリンカーユニットを介して、最初のヌクレオチドまたはヌクレオシドが結合している樹脂をカラムに充填する。リンカー単位は、切断後に樹脂に残る配列単位であってもよく、したがって、切断後の最終配列単位の一部ではない。
【0039】
本発明の第1の態様では、化学結合を介して合成樹脂に結合した第1のヒドロキシル保護配列単位がカラムに提供される、固相オリゴヌクレオチド合成のためのフロースループロセスが存在する。本プロセスは、サイクルとして少なくとも1回繰り返される以下のステップ(i)~(iii):
i. 脱トリチル化により、合成樹脂に結合した第1の配列単位のヒドロキシル基を脱保護するステップ:
ii. 少なくとも1つの第2の配列単位を含む液体反応溶液を提供するステップ;
iii. 少なくとも1つの第1の配列単位が結合した合成樹脂上に反応溶液を通過させ、それによって少なくとも1つの第2の配列単位が樹脂に結合した第1の配列単位に結合し、反応溶液が、ステップ(i)で提供されるカラムにおいて、樹脂をより密な状態に圧密化するステップ、
を含む。
【0040】
第2の配列単位は、合成樹脂に結合した第1の配列単位に結合される。合成樹脂に結合した第1配列単位から保護基を除去するステップ、すなわち脱トリチル化ステップは、酸性溶液中で実施される。本プロセスは、合成樹脂を再圧密化する少なくとも1つのステップを含む。
【0041】
当業者が理解するように、循環プロセスの場合、「第1の配列単位」という用語は、最後に追加された配列単位を指す。
【0042】
「反応溶液」という用語は、成長する配列に必要な任意の試薬、複数の試薬、配列単位(複数可)、溶媒、添加剤などを包含する。
【0043】
合成樹脂を再圧密化するステップは、溶媒をカラムの底部から上方または向流方向に流すことによって合成樹脂を流動化させ、合成樹脂を再充填するステップを含む。樹脂を再充填するステップは、合成樹脂を流動化するステップの後に続く。合成樹脂の再充填ステップでは、溶媒をカラムの頂部から流下、すなわち流れ方向に流す。
【0044】
換言すると、本発明の第1の態様では、第1のヒドロキシル保護配列単位が化学結合を介して樹脂に結合される、固相オリゴヌクレオチド合成のためのフロースループロセスが存在する。本プロセスは、サイクルとして少なくとも1回繰り返される以下のステップ(i)~(iii):
i. 脱トリチル化により、合成樹脂に結合した第1の配列単位のヒドロキシル基を脱保護するステップ:
ii. 少なくとも1つの第2の配列単位を含む液体反応溶液を提供するステップ;
iii. 少なくとも1つの第1の配列単位が結合した合成樹脂上に反応溶液を通過させ、それによって少なくとも1つの第2の配列単位が樹脂に結合した第1の配列単位に結合し、反応溶液が、ステップ(i)で提供されるカラムにおいて、樹脂をより密な状態に圧密化するステップ、
を含む。
【0045】
第2の配列単位は、合成樹脂に結合した第1の配列単位に結合される。合成樹脂に結合した第1配列単位から保護基を除去するステップ、すなわち脱トリチル化ステップは、酸性溶液中で実施される。本プロセスは、溶媒をカラムの底部から上方または向流方向に流すことによって樹脂を流動化させ、その後樹脂を再充填する少なくとも1つのステップを含む。樹脂の再充填ステップでは、溶媒をカラムの頂部から流下、すなわち流れ方向に流す。
【0046】
本発明の一実施形態では、再圧密化のステップは、樹脂を流動化することを含む。
【0047】
本発明の一実施形態では、配列単位はヌクレオチド(複数可)またはヌクレオシド(複数可)である。
【0048】
第1の態様による方法は、オリゴヌクレオチド、オリゴマー、DNA分子、RNA分子、DNA/RNAの類似体、または配列単位、例えば核酸の配列もしくは鎖を含む任意の他の巨大分子を合成するために使用され得る。本明細書に記載のすべての実施形態、態様、及び変形は、上記のすべてのタイプの巨大分子に関連し得る。
【0049】
オリゴヌクレオチド合成を開始する前に、合成樹脂がカラムに提供される。上記のように、第1の配列単位、または核酸、またはモノマーは、直接またはリンカーユニットを介して合成樹脂に結合される。合成樹脂は、異なる程度の細孔構造が発達した粒子状の外観を有し、典型的には、70%以下、または50%以下、または30%以下、または10%以下などの、ある程度の架橋を有するポリマーまたはポリマー材料である。合成樹脂は、当該技術分野で使用される任意のタイプの合成樹脂、例えば、ポリスチレン(PS)、ジビニルベンゼン(DVB)、またはPS-DVBなどの混合物であってよい。合成樹脂は、板状、粒子状、繊維状などの任意の形状または形態を有してもよい。一実施形態では、樹脂は架橋ポリスチレン、例えば、NittoPhaseまたはPrimer Support 5Gまたは同様のものである。合成樹脂は、オリゴヌクレオチドの合成またはプロセスなどのさまざまな溶媒と接触すると、膨張及び/または収縮し得る。カラム内に配置された合成樹脂の膨張及び収縮は、カラム内の不均一な樹脂領域の形成、または樹脂内の不均一性の形成をもたらす可能性がある。樹脂の不均一性は、他の方法でも発生する可能性がある。また、他のタイプの樹脂、例えばポリマーと別の材料の混合物は、オリゴヌクレオチド合成プロセスにおいて不均一性を経験する可能性がある。
【0050】
本発明による一般的なオリゴヌクレオチドプロセスまたは合成のフローチャートを
図1aに示す。第1のステップにおいて、第1の配列単位は、脱トリチル化301によって脱保護される。脱トリチル化ステップ301では、5’-ジメトキシトリチル保護基が第1の配列単位から除去される。その結果、水酸基がカップリングに利用できるようになる。第1の配列単位が2つ以上の配列単位である場合(すなわち、鎖または配列が樹脂に結合している場合)、例えば配列中の最後の配列単位のヒドロキシル基がカップリングに利用可能になる。場合によっては、ヒドロキシル、アミンなどのさらなる官能化の準備ができている官能基は、最後の配列単位以外の任意の位置で利用可能であり得、例えば、分岐オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド誘導体、他の配列、他の配列単位、他の高分子を可能にすることができる。
【0051】
脱トリチル化に続いて、第1の洗浄ステップ302があり、その間に溶媒がカラムを通過する。必要な洗浄量は、カラムの長さ及び直径、床高、拡散などの物理的パラメータに依存し、当業者によって決定され得る。必要な洗浄量は、当業者によって決定される条件付き閾値を満たすことによって決定することもできる。
【0052】
脱トリチル化ステップ301の後、カラム中の合成樹脂は、上記のように、収縮する及び/または不均一になる及び/または不均一性を含む可能性がある。したがって、第1の洗浄ステップ302に続いて、第1の再圧密化ステップ303がある。第1の再圧密化303ステップは、樹脂を流動化する第1のステップ303’とそれに続く樹脂を再充填するステップ303’’の2つのステップを含む。流動化ステップ303’では、例えばACNなどの溶媒を最初に向流または逆流方向で、すなわちカラムの底部から上に向かってカラムに通す。溶媒は、合成樹脂または樹脂床が流動化するまでカラムを向流方向に通過させる。したがって、カラム内に流動床が形成されるまでである。流動床が形成されると、再充填ステップ303’’が続く。再充填ステップ303’’では、溶媒は反対方向、すなわち流れの方向、またはカラムの頂部から底部にカラムを通過する。
【0053】
オリゴヌクレオチドのプロセスまたは合成は、
図1bに示されるように、任意選択の再圧密化ステップ303’’’をさらに含んでもよい。そのような任意選択の再圧密化ステップ303’’’は、脱トリチル化ステップ301の前に実施される。任意選択の再圧密化ステップ303’’’は、流動化ステップ303’とそれに続く再充填ステップ303’’、すなわち上記の再圧密化ステップ303を含む。
【0054】
一実施形態では、合成樹脂を再圧密化する第1のステップ303は、脱トリチル化301の後に実施される。上記のように、第1の再圧密化ステップ303は、樹脂を流動化する第1のステップ303’を含み、ここで溶媒はカラムの底部から頂部へと通過し、その後、樹脂を再充填するステップ303’’が続き、その間に溶媒がカラムの頂部から底部へ通過する。第2の再圧密化ステップは、以下で論じる第4の洗浄ステップ309の後に実施してもよい。合成における洗浄ステップ302;305;307;309のいずれかの後に、追加の再圧密化ステップを実施することができる(すべての洗浄ステップは、さらに下で論じる)。
【0055】
第1の再圧密化ステップ303に続いて、反応ステップ320がある。反応ステップ320は、カップリングステップ304とそれに続く第2の洗浄ステップ305を含む。カップリングステップ304では、少なくとも1つの第2の配列単位が樹脂上を通過する(カラムを通過する)。第2の洗浄ステップ305の間、溶媒、例えばアセトニトリル(ACN)、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、続いてACN、または試薬、副生成物、過剰な配列単位、添加物などの除去を促進するのに適した任意の他の溶媒または溶媒の組み合わせ(複数可)などをカラムに通す。少なくとも1つの第2のヌクレオチドまたはヌクレオシドを樹脂上で再循環させることができるように、カップリングステップ304を1回または数回繰り返すことができる。カップリング304の前に、少なくとも1つの第2のヌクレオチドまたはヌクレオシドは、活性化剤、例えば、BTT、ETT、活性化剤42によって活性化され得る。カップリングステップ304において、第2の配列単位中のリンは、樹脂結合の第1の配列単位中のヒドロキシル基と共有結合を形成する。カップリングステップ304の間、無水反応条件を有することは有利である。無水条件は、形成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーのより高い収率及び/またはより高い純度をもたらし得る。
【0056】
酸化/チオール化330は、反応ステップ320に続く。酸化/チオール化ステップ330は、酸化ステップ306及び第3の洗浄ステップ307を含む。酸化ステップ306では、酸化剤/チオール化剤/硫化剤がカラム304に添加される。酸化剤/チオール化剤/硫化剤は、新たに形成された三価リンを五価リン(例えば、ホスホロチオエート、ホスホジエステル)に変換する。第2に、残りの酸化剤/チオール化剤/硫化剤は、第3の洗浄ステップ307で洗い流される。第3の洗浄ステップ307では、溶媒がカラムを通過する。
【0057】
酸化剤/チオール化剤/硫化剤が洗い流された後、フルキャッピングステップ340が続く。フルキャッピングステップ340は、キャッピングステップ308及び第4の洗浄ステップ309を含む。キャッピングステップ308では、キャッピング剤がカラムに添加される。キャッピング剤は、未反応のヒドロキシル基をブロックし、次のステップでの反応を防ぐ。キャッピング剤の導入に続いて、第4の洗浄ステップ309が行われる。第4の洗浄ステップ309では、溶媒がカラムを通過する。キャッピングステップは任意選択であってよい。キャッピングステップはまた、酸化/チオール化ステップに含まれてもよい。
【0058】
所望の核酸配列を含むオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが合成されるまで、脱トリチル化301、再圧密化303、反応320、酸化/チオール化330、及びフルキャッピング340のステップが繰り返される。所望の配列が合成された後、新たに形成された配列(例えば、新たに形成されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)は、切断ステップ310において樹脂から除去される。所望の配列は、利用可能な任意の標準的な技術によって樹脂から除去することができる。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、最大25個、または最大40~50個、または上の70~80個、または最大100個以上の配列単位、またはヌクレオチドもしくはヌクレオシドを含み得る。
【0059】
例示的なオリゴヌクレオチド合成サイクルは、上記のステップ、すなわち、脱トリチル化301、第1の洗浄ステップ302、第1の再圧密化303、反応320、酸化330、及びキャッピング340の繰り返しを含む。所望の配列が合成された後、それは切断ステップ310で樹脂から除去される。樹脂からの除去前、除去中、または除去直後に、オリゴマーまたはオリゴヌクレオチドから任意の保護基または複数の保護基を切断することもできる。
【0060】
ガラス(または任意の他の適切な透明材料)カラムを使用することにより、第1の再圧密化ステップをモニターし、カラムに配置された樹脂を視覚的にモニターすることが可能である。第1の再圧密化ステップ303が成功した後、樹脂はカラム内でより均一または均一に見える。一実施形態では、第1の再圧密化ステップ303は、流動化ステップ中の流速が25~75cm/hとなるように実施され、流動化ステップは、0.25~0.75、または0.25~1のカラム体積の間継続され、再充填ステップの間の流速は、100~200cm/hで、再充填は0.25~0.75、または0.25~1またはそれ以上のカラム体積の間継続される。
【0061】
2回以上の合成サイクルと、フルキャッピング340の後(または第4の洗浄ステップ309の後)に実施される第2の再圧密化ステップを含む本明細書に記載のプロセスでは、次の/後に続く脱トリチル化ステップ301で形成される赤色前線を追跡することによって、第2の再圧密化ステップをモニターすることが可能である。適切な第2の再圧密化ステップの場合、脱トリチル化ステップ301の間に形成される赤色前線または線は、塔壁に対して垂直なほぼ直線として現れる。これは、第2の再圧密化ステップ303が実施されなかった場合とは対照的であり、その場合、線は直線でないか、または垂直でないか、または前線が線を形成しない。
【0062】
上記のように、ヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)は、反応ステップ320の前に活性化される。一実施形態では、配列単位(複数可)(例えば、ヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可))は、別個に画定された混合チャンバ内で活性化される。一実施形態では、配列単位(複数可)(例えば、ヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可))は、システムのチューブ内で活性化される。システムのチューブ内のヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)の活性化は、インライン活性化と呼ばれることがある。インライン活性化は、カラムに到達する前またはカラム内で発生し得る。
【0063】
本明細書に記載のプロセスでは、任意の適切な溶媒または複数の溶媒を使用することができる。一般に、アセトニトリル(ACN)は洗浄ステップ302;305;307;309で溶媒として使用され、酸性溶液は脱トリチル化ステップ301で使用され、保護基は樹脂に結合した第1のヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)から除去される。一実施形態では、脱トリチル化ステップで使用される酸性溶液のpKaは、保護基を放出できるような値であり、例えば、ジメトキシトリチルに対するDCAまたはTCAのpKa値は、例えば、DCAについて1.35、TCAについて0.66である。一実施形態では、脱トリチル化ステップで使用される酸性溶液のpKaは、0.2~3、または0.2~2、または0.2~1.5、または0.2~0.8である。
【0064】
一実施形態では、反応溶液は、反応溶液中の第2の配列単位が固定化された配列単位のうちの少なくとも99%、または98%、または97%、または96%、または95%、または90%と接触することを可能にする流速及び体積で樹脂上を通過する。
【0065】
本明細書に記載のオリゴマーまたはオリゴヌクレオチドの固相合成のためのフロースルー法では、第2の配列単位を含む溶液は、少なくとも1つの固定化された第1の配列単位を含むカラムに通過する。溶液は、1回カラムを通過してもよいし、再循環して複数回、例えば2回、または3回、またはそれ以上カラムを通過してもよい。再循環の場合、再循環される溶液に異なる試薬及び/または添加剤を添加することができる。当業者は、合成されるオリゴヌクレオチドのタイプ、所望の結果、試薬のタイプなどに応じて、適切なサイクル数を決定することができる。
【0066】
一実施形態では、合成樹脂の上を通過する前に、少なくとも1つの第2の配列単位に加熱が加えられる。少なくとも1つの第2の配列単位は、合成樹脂上を通過する前に少なくとも1℃加熱することができる。
【0067】
この文脈において、加熱は、1℃、または3℃、または5℃以上の加熱を指し得る。当業者は、反応、配列単位(複数可)のタイプ(複数可)、または核酸(複数可)/ヌクレオチド(複数可)/ヌクレオシド(複数可)、試薬のタイプ(複数可)などに応じて加熱レベルを決定することができる。配列単位(複数可)またはヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)、及びキャッピング剤(複数可)、酸化剤(複数可)などの可能な他の試薬を加熱すると、反応速度を高める可能性があるという点で利点がある。オリゴヌクレオチド合成のプロセスで加熱を使用して、1つまたは複数の反応ステップの反応速度を高めることができる。
【0068】
本明細書に記載のプロセスの異なるステップは、1つ、2つ、またはいくつかの検出器を使用してモニターすることができる。一実施形態では、プロセスの少なくとも1つのステップの進行は、少なくとも2つの検出器によってモニターされる。一実施形態では、プロセスの進行は継続的にモニターされる。一実施形態では、プロセスの進行は、分光法、好ましくは近赤外(NIR)分光法によってモニターされる。
【0069】
上記のように、本明細書に記載のプロセスの1つ、いくつか、またはすべての部分/ステップは、連続的または非連続的な方法でモニターすることができる。したがって、脱トリチル化301、第1の再圧密化303、反応ステップ320、酸化/チオール化ステップ330、フルキャッピングステップ340、及び/または異なる洗浄ステップ302;305;307;309をモニターすることができる。検出器は、NIR及び/またはUV/Vis検出器であり得る。継続的なモニタリングは、脱トリチル化301、再圧密化303、カップリング304、酸化306、キャッピング308、異なる洗浄ステップ302;305;307;309などのさまざまなステップの進行に関する情報を提供できる。そのような情報は、例えば、現在進行中のステップが終了し、次のステップが開始されるとき、すなわち条件付き閾値に到達するときなどである。モニタリングからの情報は、連続モニタリングからの出力に応じて合成プロトコールを変更するためにも使用できる。プロセスは、インライン、オンライン、またはその両方など、さまざまな方法でモニターできる。プロセスは、継続的なモニターを可能にする方法でモニターすることができる。
【0070】
上記のように、配列単位(複数可)またはヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)の活性化は、別個に画定された混合チャンバ内で実施され得る。そのような場合、溶媒による希釈を使用してサイクル間で混合チャンバを空にして洗浄することができ、洗浄の進行をUV/Vis検出器またはNIR検出器などの検出器、または当業者によって適切であると決定されるような任意の他のタイプの検出器を使用してモニターすることができる。混合チャンバを空にして洗浄することは、カラム内の樹脂を洗浄している間に、2つのプロセスを独立して同時に実施するか、または洗浄溶媒を最初にこれらのユニットの1つに通し、次に他のユニットに通す(すなわち、最初に混合チャンバ、次いでカラム上を通す、またはその逆)ことによって行うことができる。
【0071】
混合チャンバの洗浄は、例えばACNなどの洗浄溶媒を、最初に混合チャンバに、その後カラムに順次通すことにより、カラムの洗浄と組み合わせることができる。
【0072】
別の実施形態では、混合チャンバの流出は、気泡検出器を使用してモニターすることができる。
【0073】
異なる洗浄ステップ302;305;307;309は、置換技術を使用して実施することができる。カラムの洗浄は、インライン及びリアルタイムでモニターでき、条件付き閾値に達するまで継続できる。そのような閾値は、当業者によって決定される。モニターは、UV/VisまたはNIRモニター/検出器、または任意の他の適切な種類の検出器であり得る。
【0074】
一実施形態では、本プロセスは、ソフトウェア制御のリアルタイム条件付きモニタリングを使用し、重要品質特性(CQA)に影響を及ぼす重要工程パラメータ(CPP)を測定するためにプロセス解析工学(PAT)の使用を可能にする。
【0075】
プロセス解析工学(PAT)は、バイオテクノロジー及び医薬品製造業界における品質保証のための重要なツールである。PATは、例えば米国食品医薬品局(FDA)などのさまざまな規制機関の要件を満たすために重要であるため、プロセスがPATを有効にすることは利点である。UV/Vis及び/またはNIR分光法を使用して、反応のさまざまなステップをモニターすると、PATの使用が可能になり得る。
【0076】
PATの使用により、ユーザーは、時間、特定の波長での光の吸光度、温度、特定の中間体、副産物などの存在または非存在またはその両方などのパラメータを選択でき、これはプロセスを制御する。定義されたパラメータは、21 CFR part 11準拠に従って、文書化され、制御ソフトウェアに記録され得る。
【0077】
一実施形態では、プロセスは直線的に拡張可能である。本明細書に記載のプロセスは、直線的に拡張可能であり、すなわち、カラム内の液体流速(cm/h)は、カラムのサイズ/比率に関係なく同じであり、したがって、例えば、μmol、mmol、molなどの、すべてのスケールで同じ直線流速を使用することができる。これは、本明細書に記載のプロセスが、同じ相対的過剰の配列単位(複数可)またはヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)を、さまざまなステップで同じ線形液体流量を使用するため、より大きいスケール(例えば、mmol)と同様により小さいスケール(例えば、μmol)で使用してスケールアップ(またはスケールダウン)、またはその逆(すなわち、より大きなスケールからより小さなスケールへの条件の移行)にできることを意味する。したがって、スケールアップまたはスケールダウンする前にプロセスを小規模に最適化することができ、時間、試薬、溶媒のすべてを節約し、無駄を減らすことができる。本プロセスは、パラメータが最適化されたスケールと同様に、スケーリングされたバージョンでも、類似または同一の結果、例えば収率及び純度をもたらし得る。プロセスが直線的に拡張可能であると当業者によって理解されるように、すべてのプロセスパラメータ(例えば、圧力、温度など)及びすべての合成成分(例えば、添加剤、溶媒など)が、異なる合成スケール間で線形関係を有さなければならないわけではない。
【0078】
本発明の第2の態様では、フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステム100が存在する。システム100は、合成樹脂を充填するように配置された少なくとも1つのカラム101、少なくとも第1のポンプ102a、溶媒及び試薬用の少なくとも第1のリザーバ104a、少なくとも1つの検出器106、及び少なくとも1つのプロセッサ114を含む。チューブ108は、第1のリザーバ104aをカラム101に接続する。第1のポンプ102aとバルブ109a~dは、システム100内の流れを導くように配置されている。プロセッサ114は、少なくとも第1のポンプ102a、バルブ109a~d、及び検出器106と通信接続している。システム100は、溶媒の流れを第1のリザーバ104aからカラムの底部101’に導き、溶媒がカラムの底部101’から頂部101’’へとカラム101を通過するように配置された流動化流路200を提供するように配置され、溶媒の流れを第1のリザーバ104aからカラムの頂部101’’に導き、溶媒が頂部101’’から底部101’へとカラム101を通過するように配置された再充填流路210を提供するように配置される。システム100は、1回の合成サイクルにおいて、最初に流動化流路200に溶媒を流し、続いて再充填流路210に溶媒を流すように配置される。このようなシステムは、
図2aに概略的に示されている。
【0079】
一実施形態では、溶媒がカラムの底部101’から頂部101’’へと通過するとき、第3のバルブ109cが配置され、廃液出口を提供する、すなわちシステム100から廃液を排出するように配置される。同様に、溶媒がカラムの頂部101’’から底部101’へと通過するとき、第4のバルブ109dが配置され、廃液出口を提供する、すなわちシステム100から廃液を排出するように配置される。
【0080】
一実施形態では、
図2aに示すように、第2のバルブ109bは、第1のリザーバ104aの下流でカラム101の上流に配置される。第2のバルブ109bは、流れがカラム101に頂部101’または底部101’’のいずれかから入るように導くように配置されてもよい。このようにして、第2のバルブ109bは、流れを方向付けることによって、流動化流路200及び再充填流路210を促進することができる。
【0081】
一実施形態では、
図2aに示されるように、第1のバルブ109aは、第1のリザーバ104aの下流で第1のポンプ102aの上流に配置される。そのような構成では、特に第1のリザーバ104aが複数のリザーバによって実現される場合、第1のバルブ109aは、第1のリザーバ104aからシステム100及び第1のポンプ102aに入る液体のタイプを選択するように配置されてもよい。他の実施形態では、液体のタイプを選択する機能は、第1のポンプ109aが第1のリザーバ104aによって実現されるかまたは組み込まれるように、第1のリザーバ104aによって実現される。
【0082】
一実施形態では、システム100は、再循環流路220を提供するように配置される。再循環流路220は、カラム101上で、システム100を通して溶媒(複数可)、試薬などを再循環させるように配置される。このようなシステム100は、
図2bに概略的に示されている。他の実施形態では、再循環流路220は、チューブ108及び/または流動化流路200と、再充填流路210とによって実現され得る。第2のポンプ102bは、
図2bに示すように、再循環流路220と流体連通するように配置することができる。そのような構成では、第2のポンプ102bは、再循環流路220内の流れを調節するように配置され得る。
【0083】
本発明によるシステム100で使用される構成要素は、当該技術分野で使用される標準的な構成要素であり、したがって当業者によく知られている。
【0084】
カラム101は、ガラスカラム、ステンレス鋼から製造されたカラムなど、任意のタイプのカラムであってもよい。カラム101は、システム100内で重力方向に実質的に真っ直ぐに配置され、それによりカラム上部101’’が実質的に上向き(空に向かって)に面して配置され、カラム底部101’が実質的に下向き(地球に向かって)に面して配置される。このようにして、カラム101’’の上部から底部101’への液体の流れは重力方向に流れる。カラム101には合成樹脂が充填されるように配置されている。
【0085】
システム100は、
図2~4に示されるように、2つのリザーバ(第1の104a及び第2の104b)など、2つ以上のリザーバ104aを備えることができる。そのような場合、第1のリザーバ104aは、溶媒(複数可)、脱トリチル化剤(複数可)、及びキャッピング剤(複数可)を含むことができ、第2のリザーバ104bは、溶媒(複数可)、配列単位または核酸(複数可)、及びキャッピング剤(複数可)を含むことができるか、またはその逆で、または任意の他の組み合わせで含むことができる。
【0086】
システム100は、
図2~4に示されるように、第1のポンプ102a及び第2のポンプ102bの2つ、またはそれ以上のポンプなど、2つ以上のポンプ102aを備えることができる。それぞれのポンプ102a、102bは、
図2~4に示すように、システム100内のリザーバ104(複数可)のうちの少なくとも1つと流体連通することができ、第1のポンプ102aが下流に配置され、第1のリザーバ104aと流体連通し、第2のポンプ102bは下流に配置され、第2のリザーバ104bと流体連通する。ポンプ(複数可)102は、システム100内の液体の流れを駆動するために使用できる任意のデバイス、例えば、油圧ポンプ(複数可)、空気圧ポンプ(複数可)などであってもよい。
【0087】
一実施形態では、流動化流路200及び再充填流路210はチューブ108によって実現されるため、余分なチューブは必要ない。代替的に、システム100は、チューブ108を使用して、最初にカラムの底部101’からカラムの頂部101’’へ、または逆流方向で液体を流し、続いてカラムの頂部101’から底部101’’へ液体を流すように配置される。さらに、再循環流路220もチューブ108によって実現することができる。このようなシステムは、
図3に概略的に示されている。
【0088】
システム100は、チューブ108及びカラム101と流体連通して配置されたカラムバイパス112をさらに含んでもよい。カラムバイパス112は、
図4のシステム100に概略的に示されている。溶媒入口及び廃液出口は、カラム101及び流体バイパス112と流体連通して配置され得る。溶媒入口はカラム101の上流に配置することができ、廃液出口はカラム101の下流に配置することができ、逆もまた同様である。カラムバイパス112は、例えば活性化、洗浄などの間、カラム101を通過することなくシステム100内の液体(複数可)を再循環させるように配置され得る。
【0089】
図2~4のいずれかに示されるシステム100は、下流に配置され、リザーバ(複数可)104a;104bと流体連通する圧力センサ(複数可)111a;111bをさらに備えることができる。システム100は、第1のポンプ102a及び第2のポンプ102bと流体連通する流れ方向転換バルブ120a;120bをさらに備えることができる。流れ方向転換バルブ120a;120bは、流れをそれぞれのポンプ102a;102bに出し入れするように導くように配置することができる。流れ方向転換バルブ120a;120bは、ロータリーバルブ、またはソレノイドバルブ、または別の適切なタイプのバルブであり得る。
【0090】
圧力は、例えば、異なる流速、樹脂の膨張、特定の溶媒の使用、チューブなどの機器構成要素のサイズなどにより、合成プロセス中に変化する可能性がある。液体の流速は、システム100の使用中にプロセッサ114と通信接続するポンプ102a;102bによって調整及び調節されるように配置されている。システム100内の圧力が所定の制限内に保たれるように、調節は(他の調節パラメータに加えて)圧力に基づくことができる。そのような所定の制限は、プロセス及びシステム100の構成要素に依存し、当業者によって決定されるべきである。
【0091】
システム100は、例えば入口フィルタ(複数可)121及びインラインフィルタ(複数可)122の形態のフィルタをさらに備えてもよい。入口121及びインライン122のフィルタは、
図4に概略的に示すように配置することができるが、他の配置も可能である。望ましくない粒子などがシステム100に入るのを防ぐために、システム100への入口(複数可)の先端(複数可)に入口フィルタ121を配置することができる。インラインフィルタ(複数可)122は、プロセス中に形成された沈殿物などの望ましくない成分を濾去するように配置されてもよい。インラインフィルタ122は、例えば、ポンプ(複数可)102a;102bの上流または下流に、またはカラムバイパス112に、またはシステム100の任意の他の適切な位置に配置することができる。
【0092】
バルブ109a~fは、当業者がフロースルーオリゴヌクレオチド合成システムに適していると考える任意のタイプのバルブであり得、例えば、ロータリーバルブ、またはソレノイドバルブ、または別の適切なタイプのバルブであり得る。
【0093】
システム100内のバルブ109a~f及び/または流れ方向転換バルブ120a~bは、システム100内の流れを方向付けるように配置され、チューブ108及びリザーバ(複数可)104a;104bと流体連通している。バルブ109a~f及び/または流れ方向転換バルブ120a~bは、プロセッサ114によって制御され、プロセッサ114と通信可能に通信する。システム100内のバルブ109a~f及び/または流れ方向転換バルブ120a~bはそれぞれ、プロセッサ114によって自動化及び制御されるように配置される。モニターからのシステム100へのフィードバックに応じて、バルブ109a~f及び/または流れ方向転換バルブ120a~bを調節することができる。そのような調節は、例えばシステム100と通信接続しているコンピュータ内のプロセッサ114によって提供される。
【0094】
検出器106は、UV/Vis検出器、蛍光検出器、NIR検出器などの任意のタイプの検出器であってもよい。一実施形態では、検出器106は分光検出器、好ましくはNIR検出器である。検出器106は、カラム101の下流に配置される。検出器106は、プロセッサ114と通信可能に通信する。システム100は、2つ以上の検出器106を含み得る。
【0095】
システム100は、2つ以上のカラム101、例えば並列に接続できる少なくとも2つのカラム101を含むことができる。2つ以上のカラム101の使用は、他の配列の自動化連続合成、異なるスケールでの合成、プロセス開発のためのパラメータの最適化などを促進する。
【0096】
2つのリザーバ(複数可)104a;104bが
図2~4に示されているが、例えばそれぞれが異なるタイプの溶媒、配列単位、モノマー、核酸(複数可)、異なる薬剤、試薬などを含む複数のリザーバが代わりに使用できることが理解されるべきである。検出器106、気泡検出器107、ポンプ102a;102b、温度装置103などのシステム100の異なる構成要素は、システム100の異なる位置に配置され得ることがさらに理解されるべきである。
図2~4は、システム100内の構成要素の可能な構成のいくつかの例を単に示していることに留意されたい。
【0097】
本発明の一実施形態では、システム100はさらに、
- カラム101の上流及び少なくとも第1のリザーバ104aの下流に配置された温度調節装置103と;
- 第1の温度センサー105aと;
- 第2の温度センサー105bと、
を含む。
【0098】
図2~4に示すように、第1の温度センサー105aはカラム101の上流で温度調節装置103の下流に配置され、第2の温度センサー105bはカラム101の下流に配置される。
【0099】
温度調節装置103は、システム100内の液体、液体混合物または合成液体混合物などを加熱または冷却するか、またはその両方を行うように配置することができる。液体は、溶媒(複数可)、及び/または試薬、及び/または核酸(複数可)、及び/またはキャッピング剤などを含んでもよい。温度調節デバイス103は、カラム101の上流及びリザーバ104a;104bの下流に配置され、液体がカラム101に到達する前に加熱できるようにする。
【0100】
システム100は、システム100を通ってカラム101上に異なる温度を有する液体を流すように配置されたチューブによって実現される1つ以上の流路(図示せず)をさらに含んでもよい。そのような流路は、少なくとも温度調節装置103、カラム101、及びリザーバ(複数可)104a~bと流体連通している。
【0101】
本発明の一実施形態では、システム100は、
図4に概略的に示すように、温度調節装置バイパス123をさらに備える。温度調節装置バイパス123は、温度調節装置103と流体連通して配置される。温度調節装置バイパス123は、合成液が温度調節装置103を通過しないように、温度調節装置103から合成液をバイパスするように配置されてもよい。
【0102】
本発明の一実施形態では、システム100は、
図2~
図4に示すように、少なくとも第1のリザーバ104aと流体連通して配置された別個に画定された混合チャンバ113と、別個に画定された混合チャンバ113の上流に配置された気泡検出器107とをさらに備える。
【0103】
別個に画定された混合チャンバ113は、システム100内のヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)を活性化するために使用され得る。それは、システム100がヌクレオシド(複数可)またはヌクレオチド(複数可)及び少なくとも1つの活性化剤(複数可)を少なくとも第1のリザーバ104aから少なくとも第1のバルブ109a及び第5のバルブ109eを開くことによって、別個に画定された混合チャンバ113へと流すように配置され得るように少なくとも第1のリザーバ104aと流体連通して配置される。
【0104】
気泡検出器107は、別個に画定された混合チャンバ113の上流に配置され得る。気泡検出器107は、プロセッサ114と通信可能に通信する。気泡検出器107は、混合チャンバが空に近づいているかまたは空になっていることを示すものとして、気泡の存在を検出するように配置され得る。気泡検出器107は、別個に画定された混合チャンバ113の上流、及びシステム100の残りの部分と流体連通する第2の第5のバルブ109e’の下流に配置され得る。
【0105】
本発明の一実施形態では、検出器106は、例えばUV/Vis光検出器、蛍光検出器、及びNIR検出器から選択される。システム100は、システム100の使用中に、オリゴヌクレオチド合成プロセスの進行を継続的にモニターするか、または特定の時点などで特定の反応ステップをモニターするように配置され得る。
【0106】
第3の態様では、フロースルー固相オリゴヌクレオチド合成のためのシステム100を使用してフロースルー固相オリゴヌクレオチド合成300を実施するための方法が存在する。システム100は、合成樹脂を充填するように配置された少なくとも1つのカラム101、少なくとも第1のポンプ102a、モノマー及び試薬用の少なくとも第1のリザーバ104a、少なくとも1つの検出器106、及び少なくとも1つのプロセッサ114を含み、チューブ108が第1のリザーバ104aをカラム101に接続する。第1のポンプ102aとバルブ109a~dは、システム100内の流れを導くように配置されている。プロセッサ114は、少なくとも第1のポンプ102a、バルブ109a~d、及び検出器114と通信接続している。合成樹脂がカラム101内に配置され、第1の配列単位が化学結合を介して合成樹脂に結合される。本方法300は、再圧密化303の少なくとも1つのステップを含み、その間、システム100は、流動化ステップ303’において流動化流路200を介してカラムの底部101’から頂部101’’に溶媒を流すことによって、カラム101内に配置された合成樹脂を最初に流動化するように構成される。流動化ステップ303’に続いて、システム100が再充填流路210を用いてカラムの頂部101’’から底部101’に溶媒を流して、カラム101内に配置された合成樹脂を再充填する再充填ステップ303’’を行う。
【0107】
本発明の一実施形態では、フロースルーオリゴヌクレオチド合成のためのシステム100を使用してフロースルー固相オリゴヌクレオチド合成を実施するための方法300が存在する。方法300は、以下のステップを含む:
- 脱トリチル化ステップ301:システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、脱トリチル化剤を含む酸性溶液をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される;
- 第1の洗浄ステップ302:システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、溶媒をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される;
- 第1の再圧密化ステップ303: システム100が、流動化ステップ303’において流動化流路200を介してカラムの底部101’から頂部101’’に溶媒を流すことによって、カラム101内に配置された合成樹脂を最初に流動化するように構成される。流動化ステップ303’に続いて、システム100が再充填流路210を用いてカラムの頂部101’’から底部101’に溶媒を流して、カラム101内に配置された合成樹脂を再充填する再充填ステップ303’’を行う;
- 反応ステップ320:システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、少なくとも1つの配列単位をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される。反応ステップ320の第2の部分は第2の洗浄ステップ305であり、システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、溶媒をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される;
- 酸化/チオール化ステップ330:システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、酸化剤またはチオール化剤をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される。酸化/チオール化の第1の部分に第3の洗浄ステップ307が続き、システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、溶媒をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置され;
- フルキャッピングステップ309:システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、キャッピング剤をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される。キャッピングステップ309の第1の部分に第4の洗浄ステップ307が続き、システム100が、少なくとも第1のバルブ109a、第2のバルブ109b、及び第3のバルブ109cを開くことによって、溶媒をチューブ108を通して第1のリザーバ104aからカラム101に流すように配置される。
【0108】
上記のように、システム100は、
図2~4に示されるように、2つのリザーバ104a;104bなど、2つ以上のリザーバ104aを有することができる。そのような場合、本明細書に記載の方法300のすべてのステップにおいて、第1のリザーバ104aを第2のリザーバ104bと交換する(またはその逆)ことができる。
【0109】
一実施形態では、キャッピング340の後(または第4の洗浄ステップ309の後)に、第2の再圧密化ステップが行われる。本発明による方法300では、例えば、洗浄ステップ302;305;307;309のいずれかの後に、追加の再圧密化ステップをいつでも実施することができる。
【0110】
本発明の一実施形態では、流動化ステップ303’中の流速は25~75cm/hであり、流動化ステップ303’は0.25~0.75、または0.25~1、またはそれ以上のカラム体積の間継続される。本発明の一実施形態では、再充填ステップ303’’中の流速は100~200cm/hであり、再充填ステップ303’’は0.25~0.75、または0.25~1、またはそれ以上のカラム体積の間継続される。
【0111】
再圧密化ステップ303の流速及び時間は、反応のタイプ、及び/または所望の結果、及び/またはカラム101のサイズ(長さ及び直径)または体積及びタイプなどに依存する。本発明による方法300では、システム100は、上記のパラメータに基づいて決定されたプロセッサ114によって提供される所定の流量を使用して、所定の期間再圧密化ステップ303を実行するように構成される。
【0112】
本発明の一実施形態では、方法300の進行は、カラム101の下流に配置された少なくとも1つの検出器106によってモニターされる。
【0113】
本発明の一実施形態では、方法300は、反応ステップ320の前の活性化ステップを含む。活性化ステップにおいて、システム100は、活性化剤を少なくとも1つの配列単位に提供することによって、少なくとも1つのヌクレオチドまたはヌクレオシドを活性化するように構成される。活性化は、システム100のチューブ108内で、または別個に画定された混合チャンバ113内で実施することができる。別個に画定された混合チャンバ113は、第1のリザーバ104aと流体連通して配置される。一実施形態では、システム100は、別個に画定された混合チャンバ113の上流に配置された気泡検出器107を使用して、活性化された少なくとも1つの配列単位が別個に画定された混合チャンバ113から離れることをモニターするように構成される。
【0114】
本発明の一実施形態では、方法300は、反応ステップ320の前に追加のステップを含み、ここで、少なくとも1つの第2の配列単位、またはヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む溶液は、カラム101に入る前に加熱される。加熱ステップにおいて、システム100は、温度調節装置103を通して、少なくとも1つの第2の配列単位、またはヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む溶液を流すように配置される。温度調節装置103はカラム101の上流及び第1のリザーバ104aの下流に配置される。
【0115】
本発明によるシステム100を使用する典型的なフロースルーオリゴヌクレオチド合成は、
図5のブロックスキーム及び
図1aのフローチャートに示されている。前述のように、合成は次のステップに分けることができる:
- 脱トリチル化301 合成は、少なくとも第1のバルブ109a及び第1のポンプ102aを使用して、少なくとも1つの脱トリチル化剤を第1のリザーバ104aからカラム101に提供するようにシステム100を配置することによって開始される。例えば、検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、脱トリチル化ステップ301が終了した後、脱トリチル化ステップ301からのすべての残留物を洗い流すために、溶媒がシステム100を通過する。システム100は、少なくとも第1のバルブ109a及び第1のポンプ102aを使用することによって、第1のリザーバ104a(または第2のリザーバ104b)から溶媒を提供するように構成される。例えば検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、第1の洗浄ステップ302が終了した後、再圧密化ステップ303が続く。
【0116】
- 再圧密化303 再圧密化ステップ303において、溶媒は最初にカラム101を向流方向に、すなわちカラムの底部101’’から頂部101’に通過する。合成樹脂または樹脂床が少なくとも部分的に流動化するまで、例えば90%、または95%、または99%流動化するか、または樹脂の少なくとも1%がカラム101’’の底部と接触しなくなるまで、溶媒がカラム101を向流方向に、すなわちカラムの頂部101’から底部101’’に通過する。樹脂がカラムの底部101’’と接触していない場合、合成樹脂は流動化され、したがって、合成樹脂とカラムの底部101’’との間に樹脂で充填されていない空間(例えば1%を超えるギャップ)がある場合、樹脂は流動化されている。したがって、カラム101内に流動床が配置されるまでである。換言すれば、再圧密化ステップ303において、システム100は、最初に流動化流路200を使用し、続いて再充填流路210を使用して、第1のリザーバ104aからカラム101に溶媒を提供するように配置される。再圧密化ステップ303が終了した後、樹脂はカラム101に均一に充填される。システム100で透明カラム101が使用される場合、これは視覚的に観察することができる。
【0117】
- 反応ステップ320 反応ステップは、カップリングステップ304とそれに続く第2の洗浄ステップ305を含む。カップリングステップ304において、システム100は、少なくとも第7のバルブ109g及び第2のポンプ102bを使用することによって、少なくとも1つの配列単位、またはヌクレオシドもしくはヌクレオチドを第2のリザーバ104bからカラム101にカラム101を通過させるように配置される。例えば検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、カップリングステップ304が終了した後、第2の洗浄ステップ305が続く。第2の洗浄ステップ305の間、カップリング304からすべての残留物を洗い流すために、溶媒がシステム100を通過する。システム100は、少なくとも第7のバルブ109g(または第1のバルブ109a)及び第2のポンプ102b(または第1のポンプ102a)を使用することによって、第2のリザーバ104a(または第1のリザーバ104a)から溶媒を提供するように構成される。例えば検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、第2の洗浄ステップ305が終了した後、酸化ステップ330が続く。カップリングステップ304は、少なくとも1つの配列単位、またはヌクレオチドまたはヌクレオシドがカラム101を通して再循環され得るように、1回または数回繰り返され得る。
【0118】
- 酸化/チオール化ステップ330 酸化またはチオール化ステップ330は、カップリングステップ320に続く。システム100は、少なくとも第1のバルブ109a及び第1のポンプ102aを使用することによって、酸化剤/チオール化剤を第1のリザーバ104aからカラム101に提供するように構成される。例えば、検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、酸化ステップ306が終了した後、第3の洗浄ステップ307において酸化からのすべての残留物を洗い流すために、溶媒がシステム100を通過する。システム100は、少なくとも第1のバルブ109a(または第7のバルブ109g)及び第1のポンプ102a(または第2のポンプ102b)を使用することによって、第1のリザーバ104a(または第2のリザーバ104b)から溶媒を提供するように構成される。例えば検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、第3の洗浄ステップ307が終了した後、キャッピングステップ340が続く。
【0119】
- キャッピング340 キャッピングステップ340において、システム100は、少なくとも第7のバルブ109g及び第2のポンプ102bを使用することによって、第2のリザーバ104bからカラム101にキャッピング剤を提供するように構成される。例えば、検出器106によって検出された条件付き閾値によって決定されるように、キャッピングステップ308が終了した後、キャッピングステップ308からのすべての残留物を洗い流すために、第4の洗浄ステップ309において溶媒がシステム100を通過する。システム100は、少なくとも第1のバルブ109a(または第7のバルブ109g)及び第1のポンプ102a(または第2のポンプ102b)を使用することによって、第1のリザーバ104a(または第2のリザーバ104b)から溶媒を提供するように構成される。
【0120】
本発明の一実施形態では、反応ステップ320の前に活性化ステップがある。活性化ステップ中、システム100は、活性化剤を提供することによって少なくとも1つのヌクレオシドまたはヌクレオチドを活性化するように構成される。一実施形態では、システム100は、システム100のチューブ108内の少なくとも1つの配列ユニット、またはヌクレオシドもしくはヌクレオチドを、活性化剤と少なくとも1つの配列ユニット、またはヌクレオシドまたはヌクレオチドとをシステム100のチューブ108を通して同時に流すことによって活性化するように構成される。一実施形態では、システム100は、別個に画定された混合チャンバ113内の少なくとも1つの配列単位、またはヌクレオシドもしくはヌクレオチドを活性化するように構成され、そのような活性化は検出器によってモニターされ得る。すでに活性化された配列単位、またはヌクレオシド(複数可)またはヌクレオシド(複数可)もまた、本発明による方法300で使用することができ、そのような場合、活性化ステップは必要ない。
【0121】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。さまざまな代替、修正、及び均等物を使用することができる。したがって、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、すべての実施形態、態様、及び実施例は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができる。
【実施例】
【0122】
HPLC分析方法及び条件。カラム:Phenomenex Aeris Peptide XB-C18、2.6μm、100Å、150×2.1mm。移動相緩衝液A:100mMの酢酸ヘキシルアンモニウム、pH7、緩衝液B:A中50%アセトニトリル。勾配:0%Bで4分間、2分間で0~30%B、30分間で30~80%B、2分間で80~100%B、100%Bで2分間。流速0.25ml/min。カラム温度:50℃。UV吸光度は260nmで記録した。
【0123】
実施例1:カップリングステップの前の再圧密化を実施
オリゴヌクレオチド合成は、Tで事前に誘導体化されている市販のポリスチレン/DVB架橋樹脂を用いて、Test-13オリゴヌクレオチド配列のホスホラミダイト標準合成条件(S.L. Beaucage, M.H. Caruthers, Tetrahedron Lett, Vol 22, Issue 20, pp 1859-1862, 1981)を用いて実施した。カップリングステップの前に、再圧密化(流動化及び再充填)ステップを行った。
【0124】
特定の条件:
- 「アミダイト」の1.25当量
- カップリング時間2分間
結果:
- 重量増加に基づく総収率(十分な乾燥後)、84%。
- 総収率(樹脂からの部分切断及び脱保護、A260単位に基づく)、77%。
- HPLCによる純度、84%。
- 得られた配列のHPLCクロマトグラムを
図6aに示す。
【0125】
実施例2:再圧密なしで実施(比較例)
オリゴヌクレオチド合成は、Tで事前に誘導体化されている市販のポリスチレン/DVB架橋樹脂を用いて、Test-13オリゴヌクレオチド配列のホスホラミダイト標準合成条件(S.L. Beaucage, M.H. Caruthers, Tetrahedron Lett, Vol 22, Issue 20, pp 1859-1862, 1981)を用いて実施した。カップリングステップの前に、再圧密化ステップを行っていない。
【0126】
特定の条件:
- 「アミダイト」の1.25当量
- カップリング時間2分間
結果:
- 重量増加に基づく総収率(十分な乾燥後)、66%。
- HPLCによる純度、84%。
- 得られた配列のHPLCクロマトグラムを
図6bに示す。
【国際調査報告】