IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2024-534522軌道に軌道処理器具を位置決めする装置
<>
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図1
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図2
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図3
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図4
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図5
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図6
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図7
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図8
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図9
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図10
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図11
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図12
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図13
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図14
  • 特表-軌道に軌道処理器具を位置決めする装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】軌道に軌道処理器具を位置決めする装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/16 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
E01B27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517490
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022074210
(87)【国際公開番号】W WO2023046430
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】A50741/2021
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オーベルンフーバー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バウムベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス マッツィンガー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB24
2D057CB04
(57)【要約】
軌道に軌道処理器具(2)を位置決めする装置(3)が、少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を備えており、支持モジュール(29,30)はそれぞれ、少なくとも1つの軌道処理器具(2)を支持するための少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)と、少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)を水平方向(33a)に沿って変位させるための水平方向位置決め装置(32)であって、水平方向位置決め装置(32)に少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)が取り付けられている水平方向位置決め装置(32)と、を有しており、少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を回転式に変位させるための回転装置(24)を備えており、回転装置(24)は、少なくとも2つの支持モジュール(29,30)をそれぞれ互いに別個に独立して回転式に変位させるための少なくとも2つの回転ユニット(25,26)を有しており、さらに、少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を水平方向(33a,33b,33c)に沿って、かつ軌道(4)の長手方向(9)に対して少なくとも45°の角度で直線的に変位させるための第1の横方向位置決め装置(16)を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(4,46)に軌道処理器具(2)を位置決めする装置(3)であって、
1.1.少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を備えており、該支持モジュール(29,30)はそれぞれ
1.1.1.少なくとも1つの軌道処理器具(2)を支持するための少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)と、
1.1.2.前記少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)を水平方向(33a,33b,33c)に沿って変位させるための水平方向位置決め装置(32)であって、該水平方向位置決め装置(32)に前記少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)が取り付けられている水平方向位置決め装置(32)と、
を有しており、
1.2.前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を回転式に変位させるための回転装置(24)を備えており、
1.2.1.該回転装置(24)は、前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)をそれぞれ互いに別個に独立して回転式に変位させるための少なくとも2つの回転ユニット(25,26)を有しており、
1.3.前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を水平方向(33a,33b,33c)に沿って、かつ前記軌道(4)の長手方向(9)に対して少なくとも45°の角度で直線的に変位させるための第1の横方向位置決め装置(16)を備えている、
軌道(4,46)に軌道処理器具(2)を位置決めする装置(3)。
【請求項2】
前記第1の横方向位置決め装置(16)が、前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)をそれぞれ互いに別個に独立して直線的に変位させるための少なくとも2つの横方向位置決めユニット(19,20)を有することを特徴とする、請求項1記載の装置(3)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を水平方向(33a,33b,33c)に沿って、かつ前記軌道(4,46)に対して斜めに、直線的に変位させるための第2の横方向位置決め装置(17)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置(3)。
【請求項4】
前記回転装置(24)が、前記第1の横方向位置決め装置(16)および/または前記第2の横方向位置決め装置(17)に取り付けられており、これにより前記回転装置(24)が、水平方向(33a,33b,33c)に沿って、かつ前記軌道(4,46)に対して斜めに、直線的に変位可能であることを特徴とする、請求項3記載の装置(3)。
【請求項5】
前記第1の横方向位置決め装置(16)が、前記第2の横方向位置決め装置(17)に取り付けられており、これにより前記第1の横方向位置決め装置(16)が、水平方向(33a,33b,33c)に沿って、かつ前記軌道(4,46)に対して斜めに、直線的に変位可能であることを特徴とする、請求項3または4記載の装置(3)。
【請求項6】
前記第1の横方向位置決め装置(16)と前記第2の横方向位置決め装置(17)とが、前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を平行な方向に変位させるために、平行に方向付けられていることを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項7】
前記第1の横方向位置決め装置(16)および/または前記第2の横方向位置決め装置(17)が、前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を前記軌道(4,46)に対して直角に変位させるように形成されていることを特徴とする、請求項3から6までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項8】
前記第1の横方向位置決め装置(16)および/または前記第2の横方向位置決め装置(17)が、前記支持モジュール(29,30)の少なくとも1つを少なくとも160cmの横方向作動行程にわたって変位させるように形成されていることを特徴とする、請求項3から7までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項9】
前記第1の横方向位置決め装置(16)および/または前記第2の横方向位置決め装置(17)を用いた変位の際に前記少なくとも2つの支持モジュール(29,30)を支持するための支持装置(37)が設けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項10】
前記回転装置(24)および/または前記第1の横方向位置決め装置(16)および/または前記第2の横方向位置決め装置(17)を運搬位置に可逆式に係止するための運搬安全装置(41a,41b)が設けられていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項11】
レール(6,45)を走行するための走行車(12)が設けられており、該走行車(12)に前記回転装置(24)が間接的または直接的に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(3)。
【請求項12】
軌道処理システム(1)であって、
12.1.請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(3)と、
12.2.少なくとも1つの器具キャリヤ(31a,31b)に取り付けられている、少なくとも1つの軌道処理器具(2)と、
を有する、軌道処理システム(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの軌道処理器具(2)が、タンピングユニットおよび/またはねじ締めユニットであることを特徴とする、請求項12記載の軌道処理システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道に軌道処理器具を位置決めする装置に関する。さらに本発明は、このような装置を備えた軌道処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2016/149469号に基づき、軌道にタンピングユニットを位置決めする装置が公知である。この装置は、軌道処理器具を支持するための器具キャリヤを備えた2つの支持モジュールと、各1つの垂直な回転軸線を中心として両支持モジュールを回転式に変位させるための1つの回転装置と、を含む。この装置の設計に基づき、軌道に対する軌道処理器具の変位可能性には制限が加えられている。このことは、軌道処理器具の使用領域や軌道処理の経済性に対して、相応する制限作用を及ぼす。
【0003】
軌道に軌道処理器具を位置決めする装置は、さらに独国特許出願公開第4001488号明細書、独国特許出願公告第2023964号明細書および独国特許出願公開第4313300号明細書に基づき公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、軌道に軌道処理器具を位置決めする装置を改良して、特にとりわけフレキシブルに使用可能で、かつ作動の点で経済的である装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する装置によって解決される。少なくとも2つの支持モジュールと、これら少なくとも2つの支持モジュールを回転式に変位させるための1つの回転装置とを備えた、軌道に軌道処理器具を位置決めする装置は、回転装置が、少なくとも2つの支持モジュールをそれぞれ互いに別個に独立して回転式に変位させるための少なくとも2つの回転ユニットを有していると、特にフレキシブルに使用可能で、かつ作動の点で経済的となることが判った。好ましくは、少なくとも2つの回転ユニットは、回転装置によって、それぞれ互いに別個に独立して互いに対して、かつ/または軌道に対して、回転式に変位可能である。回転装置は、好ましくは、各1つの回転軸線を中心にして少なくとも2つの支持モジュールを回転式に変位させるために形成されている。これらの回転軸線は、好ましくは平行に、特に垂直に方向付けられている。これらの回転軸線は、互いに対して間隔を置いて配置されていてよい。代替的には、少なくとも2つの支持モジュールが、同一の回転軸線を中心にして回転式に変位可能であってよい。支持モジュールが互いに別個に独立して回転可能であることに基づき、少なくとも1つの軌道処理器具を、特にフレキシブルに軌道に位置決めすることができる。特に、少なくとも2つの支持モジュールの器具キャリヤを、互いに別個に独立して、軌道の処理のために特に役立つ方向付けに相応して位置調整することができる。これにより、処理器具をフレキシブルに軌道に位置決め可能となり、これにより、特に分岐器の領域において、軌道処理を特に時間効率良く、かつ経済的に実施可能となる。
【0006】
このような装置は、少なくとも2つの支持モジュール、特に軌道処理器具を特にフレキシブルに位置決めすることを可能にする。第1の横方向位置決め装置は、好ましくは、少なくとも2つの支持モジュールをそれぞれ1つの第1の横方向位置決め方向に沿って直線的に変位させるために形成されている。第1の横方向位置決め装置を用いた少なくとも2つの支持モジュールの変位は、好ましくはすべての支持モジュールに対して、同一の第1の横方向位置決め方向に沿って、特に同一の第1の横方向位置決め方向に行われる。代替的には、少なくとも2つの支持モジュールは、互いに異なる横方向位置決め方向に変位可能であってよい。互いに異なる横方向位置決め方向の間には、好ましくは0°~90°、特に1°~75°、特に5°~45°、特に10°~30°、特に15°~20°の範囲内の角度が存在する。第1の横方向位置決め方向は、軌道に対して斜めに方向付けられていて、しかも軌道の長手方向に対して少なくとも30°、特に少なくとも45°、特に少なくとも60°、特に少なくとも75°、特に少なくとも85°、特に直角の角度に、特に鋭角の角度に、方向付けられている。鋭角の角度は、最大90°であり、特に90°よりも小さい。少なくとも2つの支持モジュールは、好ましくは第1の横方向位置決め装置によって30cm~150cm、特に50cm~100cmの範囲内の作動行程にわたって変位可能である。
【0007】
第1の横方向位置決め装置は、好ましくは、特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向を中心にして相対回動しないように、かつ/または特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向に並進運動しないように、レールを走行するための走行車、特に走行車キャリヤに結合されている。第1の横方向位置決め装置は、回転および/または並進運動に関して剛性的に走行車、特に走行車キャリヤに結合されていてよい。これにより、軌道処理器具の位置決めを特に精密に行うことができる。
【0008】
「対象物を直線的に変位させる」とは、好ましくは、対象物を、特に直線に沿って、純然たる並進運動によって変位させることであると解される。対象物を直線的に変位させるために、リニアガイドおよび/またはリニア駆動装置が設けられていてよい。リニア駆動装置は、好ましくはハイドロリック式の駆動装置、特にハイドロリックシリンダである。
【0009】
回転ユニットは、好ましくは、少なくとも±5°、特に少なくとも±7°、特に少なくとも±10°、特に少なくとも±20°、特に少なくとも±45°、特に少なくとも±90°、および/または最大±180°、特に最大±90°、特に最大±45°、特に最大±20°の角度範囲にわたって各支持モジュールを回転式に変位させる、特に旋回させるために形成されている。水平方向位置決め装置は、各回転ユニットによって好ましくは、軌道の長手方向に対して斜め、特に直角の方向で、少なくとも1つの器具キャリヤの変位を行うことができるように方向付け可能である。好ましくは、前で挙げた角度範囲は、ニュートラル位置、すなわち水平方向位置決め装置が少なくとも1つの器具キャリヤを、軌道の長手方向に対して直角な方向に変位させることのできる位置を起点に測定される。これにより、器具キャリヤを、特にフレキシブルに、かつ精密に軌道に沿って位置調整することができる。
【0010】
「水平方向」とは、水平平面に対して最大25°、特に最大10°、特に最大5°、特に最大2°の角度を有する方向であると解される。
【0011】
水平方向位置決め装置は、好ましくは、この水平方向位置決め装置が、30cm~120cm、特に50cm~100cmの範囲内の作動行程にわたって少なくとも1つの器具キャリヤの変位を保証するように形成されている。両支持モジュールの水平方向位置決め装置は、好ましくは互いに別個に独立して形成されているので、各支持モジュールの少なくとも1つの器具キャリヤは、別の支持モジュールの少なくとも1つの器具キャリヤとは別個に独立して水平方向に変位可能となる。これにより、器具キャリヤが特にフレキシブルに軌道に位置決め可能になるので有利である。
【0012】
本発明の1つの観点によれば、各支持モジュールは少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つの器具キャリヤを有している。好ましくは、各支持モジュールはちょうど2つの支持キャリヤを含む。各支持キャリヤは、好ましくは、少なくとも1つ、特に少なくとも2つの処理器具を支持するために形成されている。これにより、軌道処理を特に効率良く、かつ経済的に行うことができる。
【0013】
本発明の別の観点によれば、少なくとも1つの器具キャリヤ、特にすべての器具キャリヤは、軌道処理器具を、特に実質的に垂直な方向に、直線的に変位させるための垂直方向位置決め装置を有している。特に、垂直方向位置決め装置は、軌道処理器具、特にタンピングユニットのタンピングピッケル、を軌道のバラスト道床内に侵入させるように形成されていてよい。
【0014】
「垂直方向」とは、好ましくは、正確に垂直に方向付けられているのではなく、実質的に垂直に方向付けられていて、特に垂直に方向付けられた軸線に対して最大15°、特に最大10°、特に最大5°、特に最大2°、特に最大1°の角度を有する方向をも含む。
【0015】
本発明のさらに別の観点によれば、回転装置、特に回転軸受および/または回転駆動装置は、水平方向位置決め装置、特に水平方向ガイドおよび/または水平方向位置決め駆動装置に、水平方向において少なくとも所定の区分でオーバラップしている。これにより、装置の特に小さな構成高さを得ることができる。
【0016】
「特定の方向におけるオーバラップおよび/または特定の方向に沿ったオーバラップ」とは、特定の方向に対して直角に方向付けられた投影平面に対する正射影に存在するオーバラップであると解される。
【0017】
本発明のさらに別の観点によれば、装置は少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つの支持モジュールを有している。好ましくは、装置はちょうど2つの支持モジュールを含む。
【0018】
好ましくは、装置は、この装置を、特にレール車両に取り付けるための接続手段を含む。この接続手段は、好ましくは、可逆式に解離可能な結合を提供するように形成されている。このために、接続手段が、摩擦接続式結合、特にねじ結合および/または形状接続式結合を形成するように形成されていてよい。
【0019】
本発明の1つの観点によれば、装置は、少なくとも2つの支持モジュールを、レール長手方向に対して特に実質的に平行に、直線的に変位させるための長手方向位置決め装置を有している。好ましくは、第1の横方向位置決め装置は、長手方向位置決め装置に取り付けられているので、第1の横方向位置決め装置はレール長手方向に沿って直線的に変位可能となる。
【0020】
「2つの方向が互いに平行に方向付けられている」とは、2つの方向の間に最大15°、特に最大10°、特に最大5°、特に最大2°、特に最大1°の角度が存在するように2つの方向が互いに方向付けられていることであるとも解される。
【0021】
長手方向位置決め装置は、好ましくは相対回動しないように、特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向を中心にして相対回動しないように、かつ/または並進運動しないように、特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向に並進運動しないように、レールを走行するための走行車、特に走行車キャリヤ、に結合されている。長手方向位置決め装置は、走行車、特に走行車キャリヤ、に完全に剛性的に結合されていてよい。これにより、軌道処理器具の位置決めを、特に精密に行うことができる。
【0022】
請求項2に記載の装置により、少なくとも2つの軌道処理器具を特にフレキシブルに位置決めすることが可能となる。両支持モジュールは、第1の横方向位置決め装置によって、好ましくは互いに対して、かつ/または軌道に対して、直線的に変位可能となる。第1の横方向位置決め装置は、好ましくは横方位置決めキャリヤを含み、この横方向位置決めキャリヤには、少なくとも2つの横方向位置決めユニットが直線的に移動可能に取り付けられている。好ましくは、第1の横方向位置決め装置はテレスコープ式ガイドを含む。したがって、装置は、特に横方向に、特別に配置可能であり、ひいては運搬が簡単となり、フレキシブルに使用可能となる。
【0023】
請求項3に記載の装置により、少なくとも2つの軌道処理器具を特にフレキシブルに位置決めすることが可能となる。第2の横方向位置決め装置は、好ましくは、少なくとも2つの支持モジュールをそれぞれ第2の横方向位置決め方向に沿って直線的に変位させるために形成されている。横方向位置決め方向は、互いに平行または斜めに方向付けられていてよい。好ましくは、第2の横方向位置決め方向は、第1の横方向位置決め方向に対して平行に、特に軌道の長手方向に対して直角に、方向付けられている。好ましくは、第2の横方位置決め装置はテレスコープ式ガイドを含む。これにより、第2の横方向位置決め装置は特に構成スペース節約的に配置可能となる。第2の横方向位置決め装置は、30cm~150cm、特に50cm~100cmの範囲内の作動行程に沿って少なくとも2つの支持モジュールを変位させるように形成されていてよい。
【0024】
第2の横方向位置決め装置は、好ましくは相対回動しないように、特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向を中心にして相対回動しないように、かつ/または並進運動しないように、特に垂直方向および/またはレール長手方向および/またはレール横方向に並進運動しないように、レールを走行するための走行車、特に走行車キャリヤに結合されている。第2の横方向位置決め装置は、走行車、特に走行車キャリヤに完全に剛性的に結合されていてよい。これにより、軌道処理器具の位置決めを、特に精密に行うことができる。
【0025】
好ましくは、第2の横方向位置決め装置は長手方向位置決め装置に取り付けられているので、第2の横方向位置決め装置はレール長手方向に沿って直線的に変位可能となる。
【0026】
第1の横方向位置決め装置と第2の横方向位置決め装置とは、好ましくは軌道の長手方向に対して直角に少なくとも2つの支持モジュールを変位させるように形成されている。これにより、軌道の、軌道処理器具によって処理可能となる領域は特に大きくなり、これにより、装置は特に広い使用領域を有している。
【0027】
請求項4に記載の装置により、少なくとも2つの軌道処理器具を特にフレキシブルに位置決めすることが保証される。少なくとも2つの回転ユニットは、第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置によって互いに同期的に、特に互いに対して固定の間隔を持って、特に剛性的に互いに結合されていてよく、かつ/または、それぞれ互いに別個に独立して、特に互いに対して、かつ/または軌道に対して、変位可能であってよい。好ましくは、第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置は、少なくとも2つの回転ユニットの回転軸線の間の間隔が可変となるように形成されている。
【0028】
請求項5に記載の装置は、特にユーザフレンドリで、かつ作動の点で頑丈である。この装置は好ましくは、少なくとも2つの支持モジュールが第2の横方向位置決め装置によって同期的に変位可能になるように形成されている。第1の横方向位置決め装置が第2の横方向位置決め装置に取り付けられていることに基づき、特に第1の横方向位置決め装置が少なくとも2つの横方向位置決めユニットを有しており、これらの横方向位置決めユニットに特にそれぞれ1つの回転ユニットが取り付けられていると、少なくとも2つの支持モジュールを、第2の横方向位置決め装置によって同期的に変位させることができる。
【0029】
請求項6に記載の装置は、特に小さな重量を有しており、特にコンパクトに配置可能であり、かつ軌道処理のための特に大きな処理空間へのアクセスを可能にする。好ましくは、第1の横方向位置決め装置と第2の横方向位置決め装置、特に横方向ガイドおよび/または横方向位置決め駆動装置は、少なくとも所定の区分で水平方向および/または垂直方向において互いにオーバラップしている。第1の横方向位置決め装置と第2の横方向位置決め装置とは、各横方向位置決め方向に対して直角に、特に横方向位置決め方向に沿ったその延在長さの少なくとも30%、特に少なくとも50%にわたって、互いにオーバラップしていてよい。特に第1の横方向位置決め装置と第2の横方向位置決め装置とは、少なくとも所定の区分において互いに内外にテレスコープ式に嵌合可能に形成されていてよい。より好適には、第1の横方向位置決め装置のリニアガイドと、第2の横方向位置決め装置のリニアガイドとが、水平方向で、特に横方向位置決め方向に対して直角に、互いに対して間隔を置いて配置されている。
【0030】
請求項7に記載の装置により、軌道の側方で軌道処理器具を位置決めするための特に大きな到達距離が保証される。「軌道に対して直角に変位させる」とは、軌道の長手方向延在長さに対して直角に、特に水平方向に、変位させることであると解される。好ましくは、第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置および/または水平方向位置決め装置は、それらの作動行程が、少なくとも1つの器具キャリヤを変位させるために少なくとも所定の割合で、特に完全に、合算されるように形成されている。これにより、軌道処理器具は、軌道の長手方向延在長さに対して直角な方向で特に大きく変位可能となる。
【0031】
請求項8に記載の装置は、軌道の側方で軌道処理器具を位置決めするための特に高い到達距離を有している。このような装置は、特にフレキシブルに、かつ経済的に使用可能となる。横方向作動行程は、好ましくは少なくとも160cm、特に少なくとも180cm、特に少なくとも200cm、特に少なくとも220cmである。
【0032】
請求項9に記載の装置は、特に軽量で、かつコンパクトに形成可能である。支持装置は、好ましくは、第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置によって軌道に対して斜めに変位可能な少なくとも1つの支持モジュールを、垂直な方向および/または軌道の長手方向で支持するために形成されている。「支持する」とは、支持モジュールに作用する重量力の少なくとも一部および/または軌道処理時に支持モジュールに作用する反動力が、支持装置を介して除去されることであると解される。支持装置は、好ましくはリニアガイドを含み、このリニアガイドは、第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置と一緒に変位可能、特に引出し可能である。
【0033】
好ましくは、支持装置は第1の支持部分、特に少なくとも1つの支持キャリヤと、直線的に変位可能に第1の支持部分に取り付けられた第2の支持部分、特に少なくとも1つのテレスコープ式キャリヤとを含む。第2の支持部分は、少なくとも1つの支持モジュールに、好ましくは可逆式に結合可能である。好ましくは、支持装置は、支持モジュールのうちの唯一つの自由に選択可能な支持モジュールが可逆式に支持可能になるように制御可能である。特に、支持装置は、軌道に対して横方向に、特に直角に、かつ/または水平方向に引出し可能である。
【0034】
請求項10に記載の装置は、作動の点で特に安全である。運搬安全装置は、摩擦接続式結合部として、特にクランプ結合部として、かつ/または形状接続式結合部として、特にロック結合部として、形成されていてよい。好ましくは、運搬安全装置は代替的または付加的に、水平方向位置決め装置および/または垂直方向位置決め装置を係止するために形成されている。運搬位置は、好ましくは装置の所定の位置、つまり装置が軌道の長手方向に対して横方向に最小寸法を有するような位置によって規定されている。運搬位置では、装置は、好ましくは完全に、許容可能な車両接触限界の内側に配置されている。装置を、作業現場への移動走行(Ueberstellfahrt)のために運搬位置に配置することができる。
【0035】
請求項11に記載の装置により、軌道処理器具を軌道に特にフレキシブルに位置決めすることが保証される。走行車は、付随車として、自車の走行駆動装置なしに、または走行駆動装置を備えて形成されていてよい。走行駆動装置は、作業現場への移動走行のために走行車を移動させるために、かつ/または軌道処理時に走行車を移動させるために形成されていてよい。
【0036】
好ましくは、装置は、走行駆動装置および/または回転装置および/または水平方向位置決め装置および/または第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置および/または垂直方向位置決め装置および/または少なくとも1つの軌道処理器具を制御するための制御ユニットを含む。これにより、各変位運動を互いに調整することができるので有利である。
【0037】
回転装置および/または水平方向位置決め装置および/または第1の横方向位置決め装置および/または第2の横方向位置決め装置および/または垂直方向位置決め装置は、好ましくは少なくとも1つの駆動装置を有している。この駆動装置は、好ましくは制御ユニットに信号接続されている。この駆動装置は、流体式のアクチュエータ、特にピストン-シリンダユニット、特にハイドロリックシリンダを有していてよい。
【0038】
走行車は、好ましくは走行車キャリヤを有している。好ましくは、回転装置は走行車キャリヤに結合されている。第2の横方向位置決め装置は、走行車キャリヤに、特に剛性的に取り付けられていてよく、特に着脱不能に、かつ/または可逆式に着脱可能に取り付けられていてよい。
【0039】
本発明の1つの観点によれば、少なくとも1つの器具キャリヤは、水平方向位置決め装置に取り付けられている。水平方向位置決め装置は、各支持モジュールに取り付けられていてよい。各支持モジュールは、回転装置のそれぞれ1つの回転ユニットに取り付けられていてよい。回転装置は、好ましくは第1の横方向位置決め装置に取り付けられている。第1の横方向位置決め装置は、第2の横方向位置決め装置に取り付けられていてよい。第2の横方向位置決め装置は、走行車キャリヤに取り付けられていてよい。好ましくは、各器具キャリヤが垂直方向位置決め装置を有している。
【0040】
本発明の別の課題は、特にとりわけフレキシブルに使用可能で、かつ作動の点で経済的である、改善された軌道処理システムを提供することである。
【0041】
この課題は、請求項12に記載の特徴を有する軌道処理システムによって解決される。軌道処理システムの利点は、前で説明した装置の利点に相当する。軌道処理システムは、好ましくは、前で装置に関連して説明した複数の特徴のうちの少なくとも1つによって改良されている。軌道処理システムは、好ましくは少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、特に少なくとも6つ、特に少なくとも8つの軌道処理器具を有している。
【0042】
本発明の1つの観点によれば、この装置は、少なくとも1つの軌道処理器具を、垂直の軌道中心平面から少なくとも250cmの間隔を有する作業位置へ変位させるように形成されていてよい。このような軌道処理システムは、大きな使用領域を有しており、かつ特に経済的に使用可能である。「垂直の軌道中心平面」とは、好ましくは、垂直で、かつ軌道の長手方向に対して平行に方向付けられていて、レール間の真ん中に配置されている平面であると解される。作業位置は、少なくとも1つの処理器具により処理可能な領域の外側輪郭によって画定されていてよい。垂直の軌道中心平面と、少なくとも1つの処理器具により処理可能な領域の外側輪郭との間の間隔は、好ましくは少なくとも250cm、特に少なくとも275cm、特に少なくとも300cm、特に少なくとも325cm、特に350cmであり、かつ/または最大400cm、特に最大350cm、特に最大325cmである。
【0043】
請求項13に記載の軌道処理システムは、作動の点で特に経済的である。少なくとも1つの軌道処理器具は、タンピングユニットとして、かつ/または結合ユニットとして、特にねじ締めユニットとして、かつ/または溶接ユニットとして、かつ/またはグラインディング削正ユニットとして、特にレールグラインディング削正ユニットとして、かつ/またはクリーニングユニットとして形成されていてよい。軌道処理器具は、前で挙げた同一のタイプの軌道処理器具だけを有しているか、または前で挙げた様々なタイプの軌道処理器具を有していてよい。
【0044】
本発明のさらに別の特徴、詳細および利点は、以下で図面に基づき説明する実施例から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】レールを走行するための、軌道上に配置された走行車を備えた、軌道に少なくとも2つの軌道処理器具を位置決めする装置の側面図である。
図2図1に示した装置と、この装置に取り付けられた、タンピングユニットとして形成されている2つの軌道処理器具とを備えた軌道処理システムの斜視図である。
図3図2のIIIで示した部分の拡大図である。
図4図2に示した軌道処理システムを部分的に示す側面図である。
図5図2に示した軌道処理システムを部分的に示す平面図である。
図6図2に示した軌道処理システムの背面図である。
図7図2に示した軌道処理システムの第1の回転ユニットと第1の横方向位置決めユニットと第1の支持モジュールとを示す斜視図である。
図8図2に示した軌道処理システムの器具キャリヤを示す斜視図である。
図9図2に示した軌道処理システム、特に軌道処理器具を支持するための器具キャリヤを部分的に示す側面図である。
図10】それぞれ1つの器具キャリヤに取り付けられている合計4つの軌道処理器具を備えた、図2に示した軌道処理システムを、器具キャリヤが運搬位置に配置されている状態で示す背面図である。
図11図10に示した軌道処理システムを、器具キャリヤが第1の作業位置に配置されている状態で示す背面図である。
図12図10に示した軌道処理システムを、器具キャリヤが第2の作業位置に配置されている状態で示す背面図である。
図13図9のXIII-XIII線に沿って断面した断面図である。
図14図2に示した軌道処理システムを運搬位置で示す平面図である。
図15図2に示した軌道処理システムの運搬位置における配置と、第1の作業位置における配置と、第2の作業位置における配置とを互いにオーバラップさせて示す、軌道処理システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1図15に基づき、軌道処理システム1の第1実施例を説明する。軌道処理システム1は、少なくとも1つの軌道処理器具2と、軌道4にこの少なくとも1つの軌道処理器具2を位置決めする装置3とを含む。軌道処理器具2は、装置3に着脱可能に取り付けられている。特に、装置3は、変動する個数の軌道処理器具2、特に少なくとも1つの軌道処理器具2を支持するように形成されている。図1図6には、装置3に取り付けられた2つの軌道処理器具2を備えた軌道処理システム1が示されている。図10図12では、4つの軌道処理器具2が装置3に取り付けられている。装置3は、最大8つの軌道処理器具2を支持し、かつ位置決めするように形成されている。
【0047】
軌道処理器具2は、それぞれ軌道4のバラスト道床5を突き固めるためのタンピングユニットとして形成されている。代替的な別の実施形態(図示しない)では、これらの軌道処理器具のうちの少なくとも1つが、特にねじ結合、特にレール6を固定するためのねじ結合の締付けおよび緩めのためのねじ締めユニットとして、かつ/または特にレール6を溶接するための溶接ユニットとして、かつ/または特にレール6をグラインディング式に削正するためのグラインディング削正ユニットとして、かつ/または特に軌道4をクリーニングするためのクリーニングユニットとして形成されていてよい。
【0048】
タンピングユニット2は、突き固めの際にバラスト道床内に可逆式に侵入するためのそれぞれ少なくとも2つ、特に4つのタンピングピッケル7を有している。タンピングピッケル7は、バラストを各軌道まくらぎ8の下へ搬送するために、これらのタンピングピッケル7が軌道まくらぎ8の両側からバラスト道床5内へ侵入することができるように、ペアになって配置されている。このために、ペアになって配置されたタンピングピッケル7が、レール6の長手方向9で互いに対して間隔を置いて配置されている。
【0049】
長手方向9は、レール6に対して平行に方向付けられている。横方向10は、水平に、かつ長手方向9に対して直角に方向付けられている。垂直方向11は、長手方向9および横方向10に対して直角に方向付けられている。
【0050】
装置3は、レール6を走行するための走行車12を有している。走行車12は、2つのボギー台車13を備えており、走行駆動装置なしの付随車として形成されている。代替的に、走行車12が、駆動されてレール6を走行するための走行モータを有していてよい。
【0051】
走行車12は、走行車キャリヤ14を有しており、この走行車キャリヤ14は、各ボギー台車13に支持するための第1の載置部15aと第2の載置部15bとを備えている。
【0052】
装置3は、第1の横方向位置決め装置16と第2の横方向位置決め装置17とを有している。第2の横方向位置決め装置17は、互いに対して直線的に変位可能な2つの横方向位置決め部分18a,18bを有している。さらに、第2の横方向位置決め装置17は、横方向位置決め部分18a,18bを互いに対して直線的に駆動するための横方向位置決め駆動装置18cを含む。第1の横方向位置決め部分18aは、走行車キャリヤ14に、特に剛性的に取り付けられている。第2の横方向位置決め部分18bは、第1の横方向位置決め部分18aに対して第2の横方向位置決め方向18dに沿って変位可能である。第2の横方向位置決め方向18dは、軌道4に対して斜めに、特に軌道4に対して直角に、かつ水平に、特に横方向10に対して平行に、方向付けられている。
【0053】
第1の横方向位置決め装置16は、第2の横方向位置決め装置17に取り付けられており、この場合、第1の横方向位置決め装置16は、軌道4に対して斜めに、特に軌道4に対して直角に、かつ水平に、特に横方向10に沿って、直線的に変位可能である。第1の横方向位置決め装置16は、2つの横方向位置決めユニット19,20を有している。両横方向位置決めユニット19,20は、同一に形成されている。さらに、第1の横方向位置決め装置16は、1つの横方向位置決めキャリヤ21と、2つの横方向位置決めユニット駆動装置22a,22bとを含む。横方向位置決めキャリヤ21は、第2の横方向位置決め装置17の第2の横方向位置決め部分18bに、特に剛性的に取り付けられている。各横方向位置決めユニット駆動装置22a,22bは、一方の横方向位置決めユニット19,20を、他方の横方向位置決めユニット19,20とは別個に独立して第1の横方向位置決め方向23に沿って変位させるために形成されている。第1の横方向位置決め方向23は、第2の横方向位置決め方向18dと横方向10とに対して平行に方向付けられている。
【0054】
装置3は、2つの回転ユニット25,26を備えた回転装置24を有している。第1の回転ユニット25は、第1の横方向位置決めユニット19に取り付けられている。第2の回転ユニット26は、第2の横方向位置決めユニット20に取り付けられている。特に、回転装置24は、第1の横方向位置決め装置16と第2の横方向位置決め装置17とに結合されており、この場合、回転装置24は、軌道4に対して斜めに、特に直角に、かつ水平に、特に横方向10に、直線的に変位可能となる。
【0055】
第1の回転ユニット25は、互いに対して回転可能な2つの回転部分27a,27bを有している。第2の回転ユニット26は、互いに対して回転可能な2つの回転部分28a,28bを有している。両回転ユニット25,26は、それぞれ1つの回転駆動装置27c,28cを有している。回転駆動装置27c,28cは、各1つの回転軸線27d,28dを中心にして第2の回転部分27b,28bに対して各第1の回転部分27a,28aを回転駆動するために、特に旋回させるために形成されている。第1の回転ユニット25、特にその第1の回転部分27aは、第1の横方向位置決めユニット19に取り付けられている。第2の回転ユニット26、特にその第1の回転部分28aは、第2の横方向位置決めユニット20に取り付けられている。両回転軸線27d,28dは、垂直に、特に垂直方向11に対して平行に方向付けられている。
【0056】
装置3は、2つの支持モジュール29,30を有している。第1の支持モジュールは、第1の回転ユニット25に、特に第2の回転部分27bに取り付けられている。第2の支持モジュール30は、第2の回転ユニット26に、特に第2の回転部分28bに取り付けられている。支持モジュール29,30は、同一に形成されている。支持モジュール29,30は、それぞれ少なくとも1つの軌道処理器具2を支持するためのそれぞれ2つの器具キャリヤ31a,31bと、器具キャリヤ31a,31bを水平方向33a,33b,33cに変位させるための水平方向位置決め装置32と、を含む。さらに、水平方向位置決め装置32は、水平方向33a,33b,33cに沿って器具キャリヤ31a,31bを変位させるための水平方向位置決め駆動装置34a,34bを含む。
【0057】
支持モジュール29,30、特に器具キャリヤ31a,31bは、軌道処理器具2を垂直方向11に沿って変位させるための各1つの垂直方向位置決め装置35を有している。垂直方向位置決め装置35は、自動化された変位のために垂直方向位置決め駆動装置36a,36bを含む。
【0058】
好ましくは、前で説明した駆動装置18c,22a,22b,27c,28c,34a,34b,36a,36bのすべては、流体式の駆動装置、特にピストン-シリンダアクチュエータ、特にハイドロリックシリンダ、として形成されている。
【0059】
装置3は、両支持モジュール29,30を垂直方向11に、特に長手方向9に支持するための支持装置37を有している。この支持装置37は、互いに対して直線的に変位可能な2つの支持部分38a,38bを含む。第1の支持部分38aは、特に剛性的に走行車キャリヤ14に取り付けられている。第2の支持部分38bは、可逆式に第1の支持モジュール29または第2の支持モジュール30に取付け可能である。第1の支持部分38aは、2つの支持キャリヤ39a,39bを含む。第2の支持部分38bは、支持キャリヤ39a,39bのそれぞれ一方に直線的に変位可能に収容された2つのテレスコープ式キャリヤ40a,40bを含む。
【0060】
装置3は、第1の横方向位置決め装置16と第2の横方向位置決め装置17とを運搬位置に可逆式に係止するための運搬安全装置41a,41bを有している。
【0061】
運搬位置では、軌道処理システム1、特に装置3と軌道処理器具2とが、完全に軌道4の所定の車両接触限界42の内側に配置されている。
【0062】
垂直の軌道中心平面43は、長手方向9と垂直方向11とに対して平行に方向付けられていて、横方向10で見てレール6の間の真ん中に、かつ/または装置3、特に運搬位置に配置された装置3の真ん中を貫いて延びている。横方向10に沿った、垂直の軌道中心平面43と第1の器具キャリヤ31a、特に第1の器具キャリヤ31aの中心点との間の間隔xT1は、運搬位置において800mmである。間隔xT1は、作業位置においては最大2600mmである。すなわち、第1の器具キャリヤ31aは、特に横方向位置決め装置16,17と水平方向位置決め装置32とによって、横方向10に沿って1800mmだけ変位可能である。
【0063】
垂直の軌道中心平面43と第2の器具キャリヤ31bとの間の間隔xT2は、650mmである。第2の器具キャリヤ31bは、同じく横方向10に沿って1800mmだけ変位可能である。
【0064】
垂直の軌道中心平面43と、バラスト道床5の、タンピングピッケル7によって処理可能な領域の外側輪郭との間の間隔xは、運搬位置において1300mmである。作業位置では、この間隔xは最大3100mmである。
【0065】
回転装置24と、第1の横方向位置決め装置16および/または第2の横方向位置決め装置17および/または水平方向位置決め装置32とは、水平方向において少なくとも所定の区分で互いにオーバラップしている。これにより、装置3の特に低い全構成高さHを得ることができる。
【0066】
軌道処理システム1、特に装置3の機能様式は、以下の通りである:
走行車12は、軌道4上に配置されている。軌道タンピングユニット2は、器具キャリヤ31a,31bに、特に各垂直方向位置決め装置35に取り付けられている。器具キャリヤ31a,31bは、各支持モジュール29,30の水平方向位置決め装置32に取り付けられている。支持モジュール29,30は、回転装置24のそれぞれ1つの回転ユニット25,26に取り付けられている。回転ユニット25,26は、第1の横方向位置決め装置16のそれぞれ1つの横方向位置決めユニット19,20に取り付けられている。第1の横方向位置決め装置16は、第2の横方向位置決め装置17に取り付けられており、この第2の横方向位置決め装置17は、走行車12の走行車キャリヤ14に取り付けられている。装置3は、運搬位置に位置しており、すなわち完全に車両接触限界42の内側に位置している。軌道処理システム1、特に装置3は、特に図10に運搬位置で示されている。横方向位置決め装置16,17は、運搬安全装置41a,41bによって運搬位置に係止されている。
【0067】
けん引車(図示しない)によって、走行車12は、軌道4の処理されるべき区分に運搬される。運搬安全装置41a,41bは解除され、軌道処理器具2はその処理タスク、この場合にはバラスト道床5の突き固めに相応して、軌道4に配置される。
【0068】
図11には、軌道処理システム、特に装置3が、第1の作業位置で示されている。第1の横方向位置決め装置16および回転装置24の各作動状態は、運搬位置に対して変えられていない。横方向位置決め駆動装置18cによって、第2の横方向位置決め部分18bは、第2の横方向位置決め方向18dに沿って、第1の横方向位置決め部分18aに対して変位させられている。第2の横方向位置決め装置17によって、すべての軌道処理器具2、特に両支持モジュール29,30に結合された軌道処理器具2は、同期的に変位可能となるので、軌道カーブにおける軌道処理器具2の位置決めは、特に簡単に、特に簡単に制御できる形で可能となる。水平方向位置決め装置32によって、軌道処理器具2は、各水平方向33aに沿って少しだけ変位させられている。垂直方向位置決め装置35によって、軌道処理器具2は、運搬位置に対して垂直な方向で見て下方へ変位させられている。
【0069】
図12には、軌道処理システム1、特に装置3が、第2の作業位置で示されている。運搬位置に対して、かつ第1の作業位置に対して、横方向位置決め装置16,17および回転装置24の作動状態は変えられている。
【0070】
さらに、軌道処理器具2は、水平方向位置決め装置32によってさらに外方へ、つまり垂直の軌道中心平面43に対してさらに間隔を広げられて、引き出されている。特に、垂直の軌道中心平面43と、軌道4の処理可能な領域の外側輪郭または器具キャリヤ31aの中心との間の間隔xおよびxT1は、最大となる。このために、横方向位置決め装置16,17と水平方向位置決め装置32とが、最大に、特に横方向10に沿って引き出されている。
【0071】
軌道処理システム1は、分岐器44の領域に配置されている。走行車12、特にボギー台車13が配置されているレール6に並んで、図12には、隣接した軌道46のレール45が示されている。レール45の長手方向47は、レール6の長手方向9に対して斜めに方向付けられている。
【0072】
隣接した軌道46のレール45を処理するために、軌道処理器具2を、特に走行車12に対して、横方向10に変位させる。第1の横方向位置決め装置16と水平方向位置決め装置32とによって、両支持モジュール29,30を、互いに別個に独立して横方向10に沿って変位させることができる。これにより、第1の支持モジュール29に取り付けられている軌道処理器具2を、隣接した軌道46を処理するために位置決めすることができる。この場合、第2の支持モジュール30に取り付けられている軌道処理器具2を、軌道4を処理するために使用することができる。
【0073】
回転装置24は、各回転軸線27d,28dを中心にして横方向10に対してα=±7°の角度範囲にわたり両支持モジュール29,30を互いに別個に独立して回転式に変位させるために形成されている。これにより、各支持モジュール29,30の軌道処理器具2を、互いに別個に独立して各軌道4,46の方向付け、特に各長手方向9,47に適合させることができるとともに、特に各長手方向9,47に相応して位置調整することができる。特に、第1の支持モジュール29を、隣接した軌道46の長手方向47に相応して方向付けすることができる。第2の支持モジュール30を、特に走行車12に対して、いわゆる割線ずれ(Sekantenversatz)に基づいて変化することができる、軌道4の局所的な長手方向9に適合させることができる。両支持モジュール29,30が、互いに別個に独立して軌道4,46の各長手方向9,47に適合可能であることに基づき、軌道処理システム1は、使用の点で特に時間およびエネルギに関して効率良く、したがって作動の点で特に経済的である。
【0074】
第2の横方向位置決め装置17によって、すべての軌道処理器具2を横方向10に沿って同期的に変位させることができる。軌道処理器具2の、相応して同期的な横方向変位は、単独の軌道4を処理するために特に適している。特にカーブの領域では、軌道処理器具2を信頼性良く一緒に変位させることができる。これにより、軌道処理システム1は作動の点で特に頑丈となり、簡単に制御可能で、かつハンドリングの点でユーザフレンドリとなる。
【0075】
装置3が第1の横方向位置決め装置16、第2の横方向位置決め装置17および/または水平方向位置決め装置32を有することに基づき、器具キャリヤ31a,31b、特に軌道処理器具2を、作業位置においては横方向10に、垂直の軌道中心平面43から特に大きく遠ざけて位置決めすることができる。しかし、運搬位置においては、軌道処理システム1、特に装置3は、所定の車両接触限界42を越えて突出しない。装置3は、軌道4,46を特に時間効率良く、かつフレキシブルに処理することを保証する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】