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特表2024-534527避妊剤を送達するための再充填可能な埋め込み型デバイス
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  • 特表-避妊剤を送達するための再充填可能な埋め込み型デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】避妊剤を送達するための再充填可能な埋め込み型デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240912BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M37/00 560
A61J1/05 310
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517521
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022044077
(87)【国際公開番号】W WO2023049093
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,844
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/305,772
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520433115
【氏名又は名称】セラニーズ・イーブイエイ・パフォーマンス・ポリマーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ギャナニ,ビジャイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー,キース
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,ケビン
【テーマコード(参考)】
4C047
4C267
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047CC04
4C047DD02
4C047DD03
4C047DD22
4C047DD35
4C047GG09
4C267AA75
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB32
4C267BB34
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC25
4C267HH08
(57)【要約】
避妊剤を送達するための埋め込み型で再充填可能なデバイスが提供される。デバイスは、避妊剤をその中に保持することができるリザーバーを含み、リザーバーは、第1の表面および第1の表面に対向する第2の表面を画定する。疎水性ポリマーを含む放出構造は、リザーバーの少なくとも一部分を取り囲む。放出構造は、避妊剤がリザーバーから放出構造を通り抜けることができるようにリザーバーに連通している。セプタムが、リザーバーの第1の表面に隣接して配置されており、裏打ち層が、リザーバーの第2の表面に隣接して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避妊剤を送達するための埋め込み型で再充填可能なデバイスであって、
前記避妊剤をその中に保持することができるリザーバーであって、第1の表面および前記第1の表面に対向する第2の表面を画定するリザーバー、
疎水性ポリマーを含み、前記リザーバーの少なくとも一部分を取り囲む放出構造であって、前記避妊剤が前記リザーバーから前記放出構造を通り抜けることができるように前記リザーバーに連通している放出構造、
前記リザーバーの前記第1の表面に隣接して配置されたセプタム、ならびに
前記リザーバーの前記第2の表面に隣接して配置された裏打ち層
を含む埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、概して円形の断面を有する、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項3】
前記リザーバーが、約0.5~約5ミリリットルの体積を有する、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが円盤の形態をとる、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項5】
前記疎水性ポリマーが、半結晶質オレフィンコポリマーを含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項6】
前記半結晶質コポリマーが、少なくとも1つのオレフィンモノマーおよび少なくとも1つの極性モノマーに由来する、請求項5に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項7】
前記オレフィンモノマーがエチレンを含む、請求項6に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項8】
前記極性モノマーが、酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、またはこれらの組合せを含む、請求項6に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項9】
前記極性モノマーが、前記コポリマーの約10wt%~約45wt%を構成する、請求項6に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項10】
前記オレフィンコポリマーが、エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、請求項5に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項11】
前記疎水性ポリマーが、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238-13に従って決定すると、約0.2~約100グラム/10分のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項12】
前記放出構造が、親水性化合物を更に含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項13】
前記親水性化合物が、親水性ポリマーを含む、請求項12に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項14】
前記親水性化合物が、前記放出構造内に分散されている複数の水溶性粒子を含む、請求項12に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項15】
前記セプタムが、約40以下のショアA硬さを示す物質を含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項16】
前記セプタムが、ニトリルゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、シリコーンエラストマー、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項17】
前記セプタムが、複数の層を含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項18】
前記裏打ち層が、ポリマー物質、金属、セラミック、またはこれらの組合せを含む耐穿刺性物質を含む、請求項1に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項19】
前記裏打ち層が、生体適合性繊維を含む、請求項18に記載の埋め込み型で再充填可能なデバイス。
【請求項20】
避妊方法であって、独立請求項1に記載のデバイスを患者に埋め込み、前記リザーバーを避妊剤で充填するステップを含む方法。
【請求項21】
前記リザーバーを充填する方法が、
前記セプタムから針を挿入するステップ、
前記避妊剤を前記リザーバーに前記針を通して注入するステップ、および
前記針を前記セプタムから引っ込めるステップ
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記避妊剤が、プロゲストゲンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記避妊剤が、エストロゲンを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記避妊剤が前記放出構造を横断する期間の後に、前記リザーバーを再充填するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記デバイスが、子宮内埋入物または皮下埋入物として埋め込まれる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
[0001]本出願は、米国特許仮出願第63/246,844号(出願日2021年9月22日)および米国特許仮出願第63/305,772号(出願日2022年2月2日)に基づき、これらの優先権を主張するものであり、これらが参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]埋め込み型医療デバイスを使用して、長期可逆的避妊を実現してきた。残念なことに、多くの埋め込み型デバイスは、特に持続的な期間にわたって制御可能に送達することが従来から困難であった避妊剤では投薬過誤を含めてリスクおよび合併症を伴うおそれがある。長期間にわたって制御される避妊剤送達のために再充填可能な埋め込み型送達デバイスを作製することが試みられてきた。これには、デバイスのリザーバーを再充填するのに使用されるポートシステムから生じる感染、および複数のデバイス再充填サイクルが必要であるために一貫していない薬剤送達速度を含めて様々な困難も伴った。したがって、避妊剤を持続的な期間にわたって送達することができる埋め込み型で再充填可能な送達デバイスが求められ続けている。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本開示の1つの実施形態によると、埋め込み型で再充填可能なデバイスが開示される。デバイスは、避妊剤をその中に保持することができるリザーバーを含み、リザーバーは、第1の表面および第1の表面に対向する第2の表面を画定する。疎水性ポリマーを含む放出構造は、リザーバーの少なくとも一部分を取り囲む。放出構造は、避妊剤がリザーバーから放出構造を通り抜けることができるようにリザーバーに連通している。更に、セプタムが、リザーバーの第1の表面に隣接して配置されており、裏打ち層が、リザーバーの第2の表面に隣接して配置されている。
【0004】
[0004]本開示の他の特徴および態様は、より詳細に以下に記載される。
【0005】
[0005]当業者を対象とする、本開示の完全および可能な開示はその最適な様式を含めて、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分により特定的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]本開示の埋め込み型医療デバイスの1つの実施形態の斜視図である。
図2】[0007]図1の埋め込み型医療デバイスの断面図である。
図3】[0008]本開示の埋め込み型医療デバイスの別の実施形態の斜視図である。
図4】[0009]図3の埋め込み型医療デバイスの断面図である。
図5】[0010]本明細書に開示されるデバイスに含まれうる多層セプタムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0011]本明細書および図において繰り返し使用される参照符合は、本開示の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
【0008】
[0012]本考察は例示的な実施形態のみを記載しており、本開示のより広い態様を制限することを意図しないことが、当業者に理解されるべきである。
【0009】
[0013]一般的に言えば、本開示は、避妊剤(例えば、避妊薬)を患者(例えば、ヒト、愛玩動物、家畜など)に持続的な期間にわたって送達して、患者の状態、疾患、および/または美容状態の抑制および/または治療を助けることができる埋め込み型デバイスを対象にする。デバイスは、避妊剤がその中に保持されうるリザーバーおよび避妊剤がリザーバーから放出構造を通り抜けることができるようにリザーバーに連通している放出構造を含む。デバイスは、デバイスのリザーバーを再充填するのに使用することができるセプタム、およびセプタムに向かい合って、再充填の際に針がデバイスを貫通するのを抑制することができる裏打ち層も含む。
【0010】
[0014]埋め込み型デバイスは、様々な異なる幾何学的形状、例えば、円形または卵形円盤形、円筒形(ロッド)、リング、ドーナッツ形、螺旋形、楕円形、三角形、卵形などを有することができる。1つの実施形態において、例えば、デバイスは、構造全体が円盤またはロッドの形態になるように、概して円形の断面形状を有していてもよい。そのような実施形態において、デバイスは、典型的には、約0.5~約3センチメートル、例えば約0.75~約2センチメートル、いくつかの実施形態では約0.8~約1.5センチメートルの直径を有する。デバイスの高さは変動しうるが、典型的には、約0.25~約1.5センチメートルの範囲である。いくつかの実施形態では、デバイスのリザーバーは、約0.05~約5ミリリットル、例えば約1~約4ミリリットルの体積を画定することができる。特定のサイズまたは形状にかかわりなく、デバイスは、リザーバーに隣接しており、1つ以上の避妊剤が通過することができる放出構造を含む。
【0011】
[0015]例えば、図1および図2を参照すると、概して円形の断面形状を有するリザーバー40を含み、かつ本質的に概して円盤状である埋め込み型デバイス10の1つの実施形態が示されている。放出構造20も同様に、リザーバー40の少なくとも一部分、場合によってはリザーバー40全体を取り囲む。デバイスは、リザーバー40の第1の表面(例えば、上面)に隣接して配置されているセプタム21、およびリザーバー40の対向する第2の表面(例えば、下面)に隣接して配置されている裏打ち層22も含む。示されるように、放出構造20は、セプタム21の少なくとも一部分および/または裏打ち層22の少なくとも一部分も取り囲むことができる。デバイス10の使用の際に、避妊剤は、デバイスの外面23から出るようにリザーバー40から放出構造20を通過することによって放出されうる。デバイスを再充填することが望ましい場合、針41は、セプタムを貫通することができ、裏打ち層22によってリザーバーを完全に通って出ていく過貫通および通過が抑制されうる。したがって、避妊剤は、再充填のためにリザーバーに注入されうる。
【0012】
[0016]当然、他の実施形態において、放出構造は、複数の層を含有することができる。例えば、図1および図2のデバイスでは、1つ以上の追加の層(示されず)が層20の上に配置されて、避妊剤の放出を更に制御することを助けることができる。
【0013】
[0017]デバイスは、裏打ち層が放出構造内に保持され、あるいはデバイスの外側表面を形成するように構成されうる。例えば、図3および図4を参照すると、得られたデバイスが本質的に概して円盤状であるように概して円形の断面形状および高さを有するリザーバー140を含む埋め込み型デバイス100の1つの実施形態が示されている。リザーバー140は、セプタム121に付着している上縁161および裏打ち層122に付着している下縁163を有する放出構造120によって取り囲まれる。示されるように、セプタム121および裏打ち層122は、概して円形の断面形状を有し、デバイス100の上下面を形成することができる。望ましい場合、放出構造120の一部分が、セプタム121の下面の下方にも、裏打ち層122の上面に沿っても広がることができ、物質間のシールが改善され、リザーバー140の内容物の制御されないいかなる漏出も予防されうる。デバイス100の使用の際に、避妊剤は、デバイスから出るようにリザーバー140から放出構造120を通って放出されうる。当然、望ましい場合に、1つ以上の追加の層(示されず)が放出構造120上に配置されて、避妊剤の放出を更に制御することを助けることもできる。
【0014】
[0018]デバイスの放出構造、セプタムおよび/または裏打ち層、ならびに他の態様の特定の性質に及ぶ選択的制御によって、得られたデバイスが、1つ以上の避妊剤の長期間にわたる持続放出に有効でありうると思われる。例えば、リザーバーの一回充填後に、埋め込み型デバイスは、約5日以上、いくつかの実施形態では約10日以上、いくつかの実施形態では約20日~約60日、いくつかの実施形態では約25日~約50日(例えば、約30日)、またはいくつかの実施形態では更に長い期間、避妊剤を放出することができる。例えば、デバイスは、月の時間尺度で、例えば1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、6か月に1回、またはそれ以上に1回再充填されるだけでよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、1年に1回、またはそれ以上に1回再充填されるように設計されうる。
【0015】
[0019]リザーバーの再充填によって、埋め込み型デバイスは、いくつかの実施形態では避妊剤を数週間~数か月間放出することができる。例えば、使用の経過全体(すなわち、デバイスの再充填を含む)にわたって有効な薬剤送達期間は、約3か月~複数年、例えば約6か月~約6年;約6か月~約5年;または約1年~約4年の範囲、例えばいくつかの実施形態では約18か月とすることができる。更に、避妊剤は、放出期間にわたって制御的な方法(例えば、ゼロ次またはほぼゼロ次)でも放出されうる。更に、デバイスを形成する際に使用される放出構造、セプタム、および/またはバッキング物質の特定の性質に及ぶ選択的制御によって、デバイスは、望ましい放出特性の損失なしに複数回再充填されうる。
【0016】
[0020]ここで本開示の様々な実施形態をより詳細に記載する。
【0017】
I. 放出構造
[0021]上記に示されたように、デバイスは、放出構造を含み、避妊剤が、それを通り抜けてリザーバーから周囲領域に、例えば放出構造を通り抜ける受動拡散を介して送達されうる。放出構造は、一般に哺乳動物の身体などの水性環境に設置された場合にある特定の期間にわたって構造整合性を保持できるように、および使用前に長期間にわたって保存するのに十分に安定でありうるように、一般に本質的に疎水性である少なくとも1つのポリマーから形成された高分子マトリックスを含む。この目的に適切な疎水性ポリマーの例には、例えば、シリコーンポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリスルホン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、ポリウレタン、シリコーンポリエーテル-ウレタン、ポリカーボネート-ウレタン、シリコーンポリカーボネート-ウレタンなど、ならびにこれらの組合せが含まれてもよい。当然のことながら、疎水性ポリマーでコートされている、そうでなければカプセル化されている親水性ポリマーも、放出構造ポリマーマトリックスにおける使用に適している。典型的には、疎水性ポリマーのメルトフローインデックスは、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238-20に従って決定すると、約0.2~約100g/10分、いくつかの実施形態では約5~約90g/10分、いくつかの実施形態では約10~約80g/10分、いくつかの実施形態では約30~約70g/10分の範囲である。
【0018】
[0022]ある特定の実施形態において、放出構造は、半結晶オレフィンコポリマーを含有してもよい。そのようなオレフィンコポリマーの溶融温度は、ASTM D3418-15に従って決定すると、例えば、約40℃~約140℃、いくつかの実施形態では約50℃~約125℃、いくつかの実施形態では約60℃~約120℃の範囲でありうる。そのようなコポリマーは、一般に、少なくとも1つのオレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレンなど)、ならびにポリマー主鎖にグラフトされている、および/またはポリマーの構成成分として組み込まれている(例えば、ブロックもしくはランダムコポリマー)少なくとも1つの極性ポリマーに由来する。適切な極性モノマーには、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸など)、(メタ)アクリレート(例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなど)等々が含まれる。多種多様なそのようなコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン(メタ)アクリル酸ポリマー(例えば、エチレンアクリル酸コポリマーおよびこれらのコポリマーの部分中和イオノマー、エチレンメタクリル酸コポリマーおよびこれらのコポリマーの部分中和イオノマーなど)、エチレン(メタ)アクリレートポリマー(例えば、エチレンアクリル酸メチルコポリマー、エチレンアクリル酸エチルコポリマー、エチレンアクリル酸ブチルコポリマーなど)等々を一般にポリマー組成物に用いることができる。選択される特定のモノマーにかかわらず、コポリマーのある特定の態様を選択的に制御して、望ましい放出特性の達成を助けることができる。例えば、コポリマーの極性モノマー含有量を、約10wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約20wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約25wt%~約50wt%の範囲内で選択的に制御することができる。逆に、コポリマーのオレフィンモノマー含有量も同様に、約40wt%~約90wt%、いくつかの実施形態では約40wt%~約80wt%、いくつかの実施形態では約50wt%~約75wt%の範囲内でありうる。
【0019】
[0023]1つの特定の実施形態において、例えば、放出構造は、少なくとも1つのエチレン酢酸ビニルポリマーを含有してもよく、これは、少なくとも1つのエチレンモノマーおよび少なくとも1つの酢酸ビニルモノマーに由来するコポリマーである。ある特定の場合に、本発明者たちは、コポリマーのある特定の態様を選択的に制御して、望ましい放出特性の達成を助けることができることを発見した。例えば、コポリマーの酢酸ビニル含有量を、コポリマーの約10wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約20wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約25wt%~約50wt%、いくつかの実施形態では約30wt%~約48wt%、いくつかの実施形態では約35wt%~約45wt%の範囲内で選択的に制御することができる。逆に、コポリマーのエチレン含有量も同様に、約40wt%~約90wt%、いくつかの実施形態では約40wt%~約80wt%、いくつかの実施形態では約50wt%~約75wt%、いくつかの実施形態では約50wt%~約80wt%、いくつかの実施形態では約52wt%~約70wt%、いくつかの実施形態では約55wt%~約65wt%の範囲内でありうる。またエチレン酢酸ビニルコポリマーおよび得られたポリマーマトリックスのメルトフローインデックスは、190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238-20に従って決定すると、約0.2~約400g/10分、いくつかの実施形態では約1~約200g/10分、いくつかの実施形態では約5~約90g/10分、いくつかの実施形態では約10~約80g/10分、いくつかの実施形態では約30~約70g/10分の範囲でありうる。またエチレン酢酸ビニルコポリマーの密度は、ASTM D1505-18に従って決定すると、約0.900~約1.00グラム/立方センチメートル(g/cm)、いくつかの実施形態では約0.910~約0.980g/cm、いくつかの実施形態では約0.940~約0.970g/cmの範囲でありうる。用いてもよいエチレン酢酸ビニルコポリマーの特に適切な例には、名称ATEVA(登録商標)(例えば、ATEVA(登録商標) 4030AC)でCelanese社から、名称ELVAX(登録商標) (例えば、ELVAX(登録商標) 40W)でDow社から、および名称EVATANE(登録商標)(例えば、EVATANE 40-55)でArkema社から入手可能なものが含まれる。実施形態において、放出構造ポリマーマトリックスにおけるエチレン酢酸ビニルコポリマーは、約20wt%~約90wt%、例えば約30wt%~約80wt%、例えば約40wt%~約70wt%である。
【0020】
[0024]様々な技術のいずれかを一般に使用して、当該技術において公知であるように望ましい特性を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーを形成することができる。1つの実施形態において、ポリマーは、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーを高圧反応で共重合させることにより生成される。酢酸ビニルは、ブタンを酸化して無水酢酸およびアセトアルデヒドを生じ、これらを一緒に反応させることができ、二酢酸エチリデンを形成することによって生成されうる。次いで、二酢酸エチリデンを酸触媒の存在下で熱分解して、酢酸ビニルモノマーを形成することができる。適切な酸触媒の例には、芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸)、硫酸、ならびに米国特許第2,425,389号、Oxleyら;同第2,859,241号、Schnizer;および同第4,843,170号、Isshikiらに記載されたものなどのアルカンスルホン酸が含まれる。酢酸ビニルモノマーは、アセトアルデヒドの代わりに触媒の存在下で無水酢酸を水素と反応させることによっても生成されうる。この方法は、二酢酸エチリデンを生成する必要なく、無水酢酸および水素から酢酸ビニルを直接変換する。なお別の実施形態において、酢酸ビニルモノマーは、ペルフルオロスルホン酸樹脂またはゼオライトなどの適切な固体触媒の存在下で、アセトアルデヒドとケテンの反応によって生成されうる。
【0021】
[0025]ある特定の実施形態において、ブレンド全体および放出構造が以上に示された範囲内の融解温度および/またはメルトフローインデックスを有するように、エチレン酢酸ビニルコポリマーおよび別の疎水性ポリマーのブレンドを用いるのが望ましいこともある。例えば、放出構造は、第1のエチレン酢酸ビニルコポリマーおよび第1のコポリマーの融解温度より高い融解温度を有する第2のエチレン酢酸ビニルコポリマーを含有することができる。第2のコポリマーも同様に、第1のコポリマーの対応するメルトフローインデックスと同じ、それより低い、または高いメルトフローインデックスを有することができる。第1のコポリマーは、例えば、ASTM D3418-15に従って決定するなどして、約20℃~約60℃、いくつかの実施形態では約25℃~約55℃、いくつかの実施形態では約30℃~約50℃の融解温度、ならびに/または190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238-20に従って決定すると、約40~約900g/10分、いくつかの実施形態では約50~約500g/10分、いくつかの実施形態では約55~約250g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。第2のコポリマーは同様に、ASTM D3418-15に従って決定するなどして、約50℃~約100℃、いくつかの実施形態では約55℃~約90℃、いくつかの実施形態では約60℃~約80℃の融解温度、ならびに/または190℃の温度および2.16キログラムの荷重でASTM D1238-20に従って決定すると、約0.2~約55g/10分、いくつかの実施形態では約0.5~約50g/10分、いくつかの実施形態では約1~約40g/10分のメルトフローインデックスを有することができる。第1のコポリマーは、ポリマーマトリックスの約20wt%~約80wt%、いくつかの実施形態では約30wt%~約70wt%、いくつかの実施形態では約40wt%~約60wt%を構成してもよく、第2のコポリマーも同様に、放出構造の約20wt%~約80wt%、いくつかの実施形態では約30wt%~約70wt%、いくつかの実施形態では約40wt%~約60wt%を構成してもよい。
【0022】
[0026]ある特定の場合に、エチレン酢酸ビニルコポリマーが、放出構造の全疎水性ポリマー含有量を構成する。しかし、他の場合に、他の疎水性ポリマーなど他のポリマーを含むのが望ましいことがある。用いられる場合、そのような他の疎水性ポリマーは、放出構造ポリマーマトリックスの疎水性ポリマー含有量の約0.001wt%~約30wt%、いくつかの実施形態では約0.01wt%~約20wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%~約10wt%を構成することが一般に望ましい。そのような場合に、エチレン酢酸ビニルコポリマーは、放出構造の疎水性ポリマー含有量の約約70wt%~約99.999wt%、いくつかの実施形態では約80wt%~約99.99wt%、いくつかの実施形態では約90wt%~約99.9wt%を構成してもよい。
【0023】
[0027]多重放出構造層を用いる場合、各層は疎水性ポリマーを含むポリマーマトリックスを含有することが、典型的に望ましい。例えば、第1の放出構造層は、第1のポリマーマトリックスを含有することができ、第2の放出構造層は、第2のポリマーマトリックスを含有することができる。そのような実施形態において、第1および第2のポリマーマトリックスは、それぞれ同じでも異なってもよい疎水性ポリマーを含有する。1つの実施形態において、例えば、放出構造層のすべてが、同じ疎水性ポリマー(例えば、α-オレフィンコポリマー)を用いる。更に他の実施形態において、放出構造層は、異なる疎水性ポリマーを用いてもよく、例えば第1の放出構造層は、第2の放出構造層において用いられたポリマーより低いメルトフローインデックスを有する疎水性ポリマー(例えば、α-オレフィンコポリマー)を用いてもよい。とりわけ、このことは、デバイスからの避妊剤の放出の制御を更に助けることができる。
【0024】
[0028]放出構造は、任意選択で以上に記載された1つ以上の賦形剤、例えば、造影剤、増量剤、可塑剤、界面活性剤、架橋剤、フローエイド、着色剤(例えば、クロロフィル、メチレンブルーなど)、抗酸化剤、安定剤、滑沢剤、他の種類の抗微生物剤、防腐剤などを含有して、特性および加工性を向上させることもできる。用いられる場合、任意選択の賦形剤は、典型的には、放出構造層の約0.01wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約0.05wt%~約50wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%~約40wt%を構成する。
【0025】
[0029]埋め込み型医療デバイスからの放出速度を制御することを助けるために、水に可溶性および/または膨潤性である親水性化合物も、放出構造に組み込むことができる。放出構造内の疎水性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマーの親水性化合物に対する重量比は、約0.25~約200、いくつかの実施形態では約0.4~約80、いくつかの実施形態では約0.8~約20、いくつかの実施形態では約1~約16、いくつかの実施形態では約1.2~約10の範囲であってよい。そのような親水性化合物は、例えば、ポリマーマトリックスの約1wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約2wt%~約50wt%、いくつかの実施形態では約5wt%~約40wt%を構成してもよく、疎水性ポリマーは、典型的には、放出構造層の約40wt%~約99wt%、いくつかの実施形態では約50wt%~約98wt%、いくつかの実施形態では約60wt%~約95wt%を構成する。
【0026】
[0030]適切な親水性化合物として、例えば、ポリマー、非ポリマー物質(例えば、グリセリン、糖、糖アルコール、塩など)などを挙げることができる。適切な親水性ポリマーの例には、例えば、アルギン酸ナトリウム、カリウムおよびカルシウム、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)、コラーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、ポリ-1-カプロラクトン、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、多糖、親水性ポリウレタン、ポリヒドロキシアクリレート、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、タンパク質、エチレンビニルアルコールコポリマー、水溶性ポリシランおよびシリコーン、水溶性ポリウレタンなど、ならびにこれらの組合せが含まれる。特に適切な親水性ポリマーは、ポリアルキレングリコール、例えば、1モル当たり約100~500,000グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約500~200,000グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約1,000~約100,000グラムの分子量を有するものである。そのようなポリアルキレングリコールの具体例には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエピクロロヒドリンなどが含まれる。
【0027】
[0031]任意選択で、放出構造は、ポリマーマトリックス内に分散されている複数の水溶性粒子を含むことができる。水溶性粒子の粒径は、望ましい送達速度の達成を助けるように制御されうる。例えば、粒子の中位径(D50)は、レーザー散乱粒径分布分析機器(例えば、Horiba社のLA-960)を使用して決定するなどして、約100マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約80マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約60マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約1~約40マイクロメートルでありうる。粒子は、粒子の90体積%(D90)以上が以上に示された範囲内の直径を有するような狭い粒径分布も有することができる。粒径を制御することに加えて、水溶性粒子を形成するために用いられる物質は、望ましい放出プロファイルも達成するように選択されうる。更に詳細には、水溶性粒子は、一般に、ポリマーでないヒドロキシ官能性化合物を含有する。用語「ヒドロキシ官能性」は一般に、化合物が少なくとも1個のヒドロキシル基、ある特定の場合には2個以上など複数のヒドロキシル基、いくつかの実施形態では3個以上、いくつかの実施形態では4~20個、いくつかの実施形態では5~16個のヒドロキシル基を含有することを意味する。用語「非ポリマー」も同様に、一般に、化合物が、かなりの数の繰り返し単位、例えば、10個以下の繰り返し単位、いくつかの実施形態では5個以下の繰り返し単位、いくつかの実施形態では3個以下の繰り返し単位、いくつかの実施形態では2個以下の繰り返し単位を含有しないことを意味する。場合によっては、そのような化合物には、いずれの繰り返し単位もない。したがって、そのような非ポリマー化合物は、1モル当たり約1~約650グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約5~約600グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約10~約550グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約50~約500グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約80~約450グラム、いくつかの実施形態では1モル当たり約100~約400グラムなど比較的低い分子量を有する。本開示において用いてもよい特に適切な非ポリマーヒドロキシ官能性化合物としては、例えば糖およびこれらの誘導体、例えば単糖(例えば、デキストロース、フルクトース、ガラクトース、リボース、デオキシリボースなど);二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトースなど);糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、エリトリトール、ガラクチトール、イソマルト、イノシトール、ラクチトールなど)など、ならびにこれらの組合せなどが含まれる。水溶性粒子が利用される場合、それらは、典型的には、放出構造層の約1wt%~約50wt%、いくつかの実施形態では約2wt%~約45wt%、いくつかの実施形態では約4wt%~約40wt%、いくつかの実施形態では約5wt%~約30wt%を構成する。
【0028】
[0032]1つ以上の非イオン性、陰イオン性、および/または両性界面活性剤を用いて、放出構造において均一な物質の分散体を作り出すことを助けることもできる。用いられる場合、そのような界面活性剤は、典型的には、放出構造層の約0.05wt%~約8wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%~約6wt%、いくつかの実施形態では約0.5wt%~約3wt%を構成する。典型的には、疎水性基部(例えば、長鎖アルキル基またはアルキル化アリール基)および親水性鎖(例えば、エトキシおよび/またはプロポキシ部分を含む鎖)を有する非イオン界面活性剤が特に好適である。使用することができるいくつかの適切な非イオン界面活性剤には、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化およびプロポキシ化脂肪アルコール、メチルグルコースのポリエチレングリコールエーテル、ソルビトールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、脂肪(C~C18)酸のエトキシ化エステル、エチレンオキシドと長鎖アミンまたはアミドとの縮合生成物、エチレンオキシドとアルコールとの縮合生成物、脂肪酸エステル、長鎖アルコールのモノグリセリドまたはジグリセリド、ならびにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特に適切な非イオン界面活性剤には、脂肪アルコールのエチレンオキシド縮合物、脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、およびソルビタン脂肪酸エステルなどが含まれうる。そのような乳化剤を形成するために使用される脂肪成分は、飽和でも不飽和でも、置換でも非置換でもよく、6~22個の炭素原子、いくつかの実施形態では8~18個の炭素原子、いくつかの実施形態では12~14個の炭素原子を含有することができる。ポリオキシエチレンで修飾されているソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノエステル、ジエステル、トリエステルなど)が、非イオン界面活性剤の特に有用な一群である。これらの物質は、典型的には、エチレンオキシドの1,4-ソルビタンエステルへの付加によって調製される。ポリオキシエチレンの付加によって、親油性ソルビタンエステル界面活性剤が、一般に水に可溶性または分散性である親水性界面活性剤に変換される。そのような物質は、名称TWEEN(登録商標)(例えば、TWEEN(登録商標) 80、またはポリエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)で市販されている。
【0029】
[0033]用いられる特定の成分にかかわりなく、放出構造は、様々な既知の技術、例えば、ホットメルト押出、射出成形、溶液流延、ディップコーティング、スプレーコーティング、マイクロ押出成形、コアセルベーション、圧縮成形(例えば、真空圧縮成形)などを介して形成されうる。1つの実施形態において、ホットメルト押出技術を用いることができる。ホットメルト押出は一般に無溶媒法であり、高分子マトリックスの成分(例えば、疎水性ポリマー、親水性化合物、任意選択の賦形剤など)を溶融ブレンドし、連続製造過程で任意選択に造形して、高い処理率で一貫した出力品質を可能にすることができる。この技術は、オレフィンコポリマーなどの様々な種類の疎水性ポリマーに特に好適である。すなわち、そのようなコポリマーは、典型的には、広い分子量分布を伴って比較的高い程度の長鎖分枝を示す。この特質の組合せは、押出過程の際にコポリマーの剪断減粘をもたらして、ホットメルト押出の促進を助けることができる。更に、極性コモノマー単位(例えば、酢酸ビニル)は、オレフィン鎖セグメントの結晶化を抑制することによって「内部」可塑剤として機能することができる。このことが、オレフィンコポリマーの低い融点をもたらすことがあり、得られる物質の全体的な柔軟性を改善し、多種多様な形状およびサイズのデバイスに形成される能力を向上させる。
【0030】
[0034]ホットメルト押出法の際に、溶融ブレンドは、約20℃~約200℃、いくつかの実施形態では約30℃~約150℃、いくつかの実施形態では約40℃~約100℃、いくつかの実施形態では約100℃~約120℃の温度範囲で行われて、ポリマー組成物を形成することができる。様々な溶融ブレンド技術のいずれかを一般に用いることができる。例えば、成分を別々にまたは組み合わせて、バレル(例えば、円筒バレル)内に回転可能に装填および収容されている少なくとも1本のスクリューを含む押出機に供給することができる。押出機は、一軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機でありうる。例えば、一軸スクリュー押出機の1つの実施形態は、ハウジングまたはバレル、ならびに適切な駆動機(典型的には、モーターおよびギアボックスを含む)により一端が回転的に駆動されるスクリューを含むことができる。望ましい場合、別々の2本のスクリューを含む二軸スクリュー押出機を用いてもよい。スクリューの構成は特に重要ではなく、任意の数および/または方向のねじ山および溝を含んでもよく、このことは当該技術において公知である。例えば、スクリューは、典型的には、スクリューのコアの周囲に遠心方向に伸びる概して螺旋状の溝を形成するねじ山を含む。供給セクションおよび溶融セクションが、スクリューの長さに沿って画定されうる。供給セクションはバレルの投入部分であり、そこにオレフィンコポリマーおよび/または避妊剤が添加される。溶融セクションは相変化セクションであり、そこではコポリマーが固体から液体様状態に変化する。押出機が製造されるときに、これらのセクションに正確に画定された線引きはないが、供給セクション、および固体から液体への相変化が発生する溶融セクションを確実に確認することは、十分に当業者の通常の技能の範囲内である。必ずしも必要ではないが、押出機は、バレルの押出端に隣接し、溶融セクションの下流に配置されている混合セクションを有することもできる。望ましい場合、1つ以上の分配および/または分散混合要素を、押出機の混合および/または溶融セクション内に用いてもよい。一軸スクリュー押出機に適した分配ミキサーには、例えば、Saxon、Dulmage、Cavity Transferミキサーなどが含まれうる。同様に、適切な分散ミキサーには、Blisterリング、Leroy/Maddock、CRDミキサーなどが含まれうる。当該技術において周知のように、混合は、ポリマー溶融物の折り畳みおよび再配向を作り出すバレル内のピンを使用することによって更に改善することができ、例えば、Buss Kneader押出機、Cavity TransferミキサーおよびVortex Intermeshing Pinミキサーに使用されているものである。
【0031】
[0035]望ましい場合、スクリューの長さ(「L」)と直径(「D」)の比を選択して、成分の処理量とブレンドの最適なバランスを達成することができる。L/D値は、例えば、約10~約50、いくつかの実施形態では約15~約45、いくつかの実施形態では約20~約40の範囲でありうる。スクリューの長さは、例えば、約0.1~約5メートル、いくつかの実施形態では約0.4~約4メートル、いくつかの実施形態では約0.5~約2メートルの範囲でありうる。同様にスクリューの直径は、約5~約150ミリメートル、いくつかの実施形態では約10~約120ミリメートル、いくつかの実施形態では約20~約80ミリメートルでありうる。長さおよび直径に加えて、押出機の他の態様を選択して、望ましい程度のブレンドを達成することを助けることもできる。例えば、スクリューの速度を選択して、望ましい滞留時間、剪断速度、溶融加工温度などを達成することができる。例えば、スクリュー速度は、約10~約800毎分回転数(「rpm」)、いくつかの実施形態では約20~約500rpm、いくつかの実施形態では約30~約400rpmの範囲でありうる。また溶融ブレンドの際の見掛け剪断速度は、約100秒-1~約10,000秒-1、いくつかの実施形態では約500秒-1~約5000秒-1、いくつかの実施形態では約800秒-1~約1200秒-1の範囲でありうる。見掛け剪断速度は、4Q/πRに等しく、ここで、Qはポリマー溶融物の体積流量(「m/s」)であり、Rは溶融ポリマーが流れるダイ(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である。
【0032】
[0036]一緒に溶融ブレンドされると、得られたポリマー組成物は、ペレット、シート、ファイバー、フィラメントなどの形態であってもよく、これらを、様々な既知の技術、例えば、射出成形、圧縮成形、ナノモールディング、オーバーモールディング、ブロー成形、三次元印刷などを使用して望ましい形状(例えば、シリンダー、サックなど)に造形することができる。射出成形は、例えば、2つの主要な段階、すなわち、射出段階および保持段階を生じることがある。射出段階では、成形型キャビティを溶融ポリマー組成物で充填する。保持段階は、射出段階が終了した後に開始され、保持圧力を制御して、追加の物質をキャビティに詰め、冷却の際に生じる体積収縮を補う。ショットを造った後、次いでこれを冷却することができる。冷却が完了すると、成形型を開け、例えば成形型内の排出ピンの助けを借りながら、部品を排出させて、成形サイクルを完了させる。任意の適切な射出成形機器を一般に本開示に用いることができる。1つの実施形態において、リザーバーの形状を有する成形型キャビティを一緒に画定する第1の成形型ベースおよび第2の成形型ベースを含む、射出成形装置を用いることができる。成形装置は、第1の成形型の半分の外側外表面からスプルーを通って成形型キャビティまで伸びている樹脂流路を含む。ポリマー組成物を、様々な技術を使用して樹脂流路に供給することができる。例えば、組成物を、回転スクリュー(示されず)を含有する押出機バレルに取り付けられた供給ホッパーに(例えば、ペレットの形態で)供給することができる。スクリューが回転すると、ペレットは前進して、圧力および摩擦を受け、そのことが熱を発生してペレットを溶融させる。冷却機構を備えて、樹脂を成形型キャビティ内で望ましいコア形状(例えば、円盤形状、円筒形状など)に凝固させることもできる。例えば、成形型ベースは、1つ以上の冷却ラインを含んでもよく、冷却媒体がその中を流れて、溶融物質の凝固のために望ましい成形型温度を成形型ベースの表面に付与する。成形型温度(例えば、成形型の表面の温度)は、約30℃~約120℃、いくつかの実施形態では約60℃~約110℃、いくつかの実施形態では約30℃~約60℃の範囲でありうる。
【0033】
[0037]圧縮成形(例えば、真空圧縮成形)も用いることができる。そのような方法では、ポリマー組成物を加熱し、真空下で望ましい形状に圧縮することによって、デバイスの層を形成することができる。更に詳細には、方法は、ポリマー組成物を、圧縮成形型のチャンバ内に収まる前駆体に形成し、前駆体を加熱し、前駆体を加熱しながら前駆体を望ましい層に圧縮成形するステップを含むことができる。ポリマー組成物は、乾式粉体混合、押出などの様々な技術によって前駆体に形成されうる。圧縮の際の温度は、約50℃~約120℃、いくつかの実施形態では約60℃~約110℃、いくつかの実施形態では約70℃~約90℃の範囲でありうる。真空源は、成形の際に前駆体に陰圧も加えて、正確な形状の保持を確実にすることを助けることができる。そのような圧縮成形技術の例は、例えば、米国特許第10,625,444号、Trefferらに記載されている。
【0034】
II. セプタム
[0038]上記に示されたように、埋め込み型デバイスは、埋め込み後にデバイスを再充填するためのセプタムを含むことができる。セプタムは、そこで針によって穴が形成されると閉まることができるように充分な特性を有する「セルフシーリング」物質を含むことができる。例えば、セプタムを形成するために使用される物質は、弾力があってよく、いくらかの弾性を示すことができるが、一般に、触診によって皮膚の真下にあるデバイスの検出を可能にするのに十分なほど堅い。言い換えれば、物質は柔軟であってよく、約1ミリメートル以上の厚さでセルフシーリング性を示すように充分な程度の硬度を過度の剛性なしに有することができる。1つの実施形態において、セプタムは、医療用シリコーンポリマーを含むことができる。代替実施形態において、セプタムは、当該技術において公知であるように他の医療用エラストマーまたはゴム、ならびに物質の組合せを含むことができる。適切なセルフシーリング物質としては、ニトリルゴム、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリウレタン、またはそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、セルフシーリング物質は、ASTM D2240-15(2021)に従って決定すると、約40以下、いくつかの実施形態では約10~約30、いくつかの実施形態では約10~約20のショアA硬さなど比較的低い硬度を示すことができる。ジメチルまたはジメチル-ジフェニルシリコーンエラストマーなどのシリコーンエラストマーは、単層または多層セプタムを形成する際に使用することができる。
【0035】
[0039]図3および図4に示すある特定の実施形態において、セプタム121を、包囲するリテーナリング130の形態をした周辺クランプまたはファスナーに固定することができ、セプタム121に半径方向圧力をかけ、物質のセルフシーリング特性を向上させることができる。セプタム121の有効性は、リテーナリング130によってセプタム121に加えられる半径方向圧縮力によって改善することができる。一般に、セプタム121に加えられる半径方向圧縮力が大きいほど、セプタム121のセルフシーリング有効性が高くなる。リテーナリングは、望ましい圧縮強度をかけることができる生体適合性で埋め込み可能な任意の物質、例えば、ステンレス鋼、チタンなどで形成されうる。そのような実施形態では、セプタム121は、固定を可能にする特徴を含むことができる。そのような特徴としては、当該技術において公知であるタブ、凸部、凹部、または他の適切な任意の固定特徴を挙げることができる。いくつかの実施形態において、セプタム121とリテーナリング130の間の固定は、生体適合性接着剤、超音波溶接、または物質と固定方法の組合せの利用によって行うことができる。いくつかの実施形態では、放出構造ポリマー層120を、セプタム121にクランプまたはリテーナリング130と組み合わせて固定することができる。例として、クランプ(例えば、リテーナリング130)を使用して、放出構造ポリマー120をセプタム121に対して圧縮および固定し、ならびに半径方向圧力をセプタム121にかけることができる。
【0036】
[0040]セプタム121は、単一の物質層または互いに隣接して置かれた複数の物質層も含むことができる。図5は、複数の物質層を含むセプタム221の1つの実施形態の断面図を示す。例えば、セプタム221は、2つのセルフシーリングエラストマー層230、233の間に入っている中間体シリコーンゲル層などの内部層231を含むことができる。シリコーンゲル層231は、セプタム221が、貫通針によって形成された穴を封止し、流体のリザーバーからの制御不能の放出を妨げるのを援助することができる。
【0037】
[0041]セプタム121、221は、ポリマー層、例えば、エラストマー層230内に統合または包埋されうる、図5に示すようなメッシュ層235などの追加の層を任意選択で含むことができる。メッシュ層235は、ポリマー層のセルフシーリング特性を向上させることができ、セプタムに強度をかけることができ、操作、針の挿入、および周囲の環境の他の要素(例えば、患者の身体の内部の他の部分、または患者の身体の外から及ぼされた力)との接触の際にデバイスが望ましい形状を維持することが可能になる。いくつかの実施形態では、メッシュ層235は、ゲル層231と組み合わせて働いて、セプタム221のセルフシーリング特性を向上させることができる。例えば、針によってセプタム221に空隙が作り出された後、ゲル層231は、流体がセプタム221を横断する直接経路を得るのを妨げることができ、メッシュ層235は、ゲル層231のこの特性を、リザーバー内の流体によってかけられた圧力下におけるゲルの膨張を物理的に制約することによって向上させることができる。存在する場合、メッシュ層235を形成する際に使用される物質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、およびそれらの組合せ、ならびに同等の構造を生成することができる他の任意の物質を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0038】
III. 裏打ち層
[0042]以上で指摘したように、デバイスは、セプタム21、121に向かい合って、流体リザーバー40、140の部分を横切って広がる裏打ち層22、122も含むことができる。裏打ち層22、122は、放出構造ポリマー20(図1および図2に示す)の内側に配置することができ、またはデバイス(図3および図4に示す)の外面を形成することができる。裏打ち層22、122を、接着剤、超音波溶接などの利用によってポリマー放出構造20、120の一部分に接合させることができ、または取付け機構、例えば、フック、タブなど、もしくはそれらの何らかの組合せの利用によってポリマー放出構造20、120に取り付けることができる。裏打ち層22、122は、円盤形状を有することができ、例えば放出構造ポリマー20、120が柔軟である実施形態においてデバイスの一端に構造を与えることができる。
【0039】
[0043]典型的には、裏打ち層を「耐穿刺性」物質から形成して、リザーバーを再充填する場合に注射器用針の過貫通を回避する。耐穿刺性物質は、針によって接触された場合に変形することができるが、裏打ち層を通過するために必要とされるエネルギーは大きい可能性がある。針の使用によってリザーバーを再充填する人は、抵抗の増加に気づき、針の先端がセプタムに向かい合ってリザーバーの側面に接触したことを認識する。適切な耐穿刺性物質の例としては、例えば、ポリマー物質、金属、セラミックス、またはそれらの組合せを挙げることができる。適切なポリマー物質としては同様に、ポリオレフィン、ポリイミド、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、シリコーン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、エポキシ、ゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイソプレン、ポリスルホン、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)などを挙げることができる。いくつかの実施形態では、裏打ち層22、122としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、石英繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維(例えば、KEVLAR(登録商標))などの繊維の形態であるポリマー物質を挙げることができる。繊維は、そのような繊維から形成されたテキスタイル物質(例えば、織布、メッシュ、マット、不織布ウェブなど)の形態をとってもよい。金属は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、または他の金属などの生体適合性で埋め込み可能な金属とすることができる。金属としては、針(例えば、24ゲージの針)が通過することができないほどに充分小さいメッシュ寸法を有する金属メッシュ物質を挙げることができる。
【0040】
[0044]ある特定の実施形態において、リザーバーの追加の部分(例えば、側壁)も、裏打ち層に関して記載されたものと同じ物質から形成することができる。例えば、リザーバーは、セプタムを除外して、本明細書の以上に開示された「耐穿刺性」物質のいずれからでも形成することができる。ある特定の実施形態において、リザーバーおよび裏打ち層は、記載された金属メッシュ物質など同じ金属物質から形成することができる。
【0041】
[0045]いくつかの実施形態では、デバイスの構成要素、例えば、裏打ち層は、デバイスの埋め込み後にその厳密な皮下部位を確認するために利用することができる造影剤、例えば、硫酸バリウムを含むことができる。
【0042】
IV. 避妊剤
[0046]避妊剤としては、任意の避妊剤を挙げることができ、患者の状態、疾患および/または美容状態を抑制および/または治療することができうる。避妊剤は、全身的にまたは局所的に、予防的、治療的および/または美容的に活性でありうる。送達される避妊剤の投与量レベルは、用いられる特定の化合物およびその放出が意図される期間に応じて変動する。投与量レベルは、望ましい治療結果をもたらす避妊剤の治療的に有効量を提供するため、例えば、薬剤化合物が投与される状態の症状を低減または緩和させるのに有効なレベルまたは量を提供するために、一般に十分に高いものである。必要とされる正確な量は、数ある要因の中で、治療される対象、避妊剤が送達される対象の年齢および全身状態、対象の免疫系の能力、望ましい効果の程度、治療される状態の重症度、選択される特定の化合物、ならびに組成物の投与様式に応じて変動する。適切な有効量は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、有効量は、典型的には、約5μg~約200mg、いくつかの実施形態では1日当たり約5μg~約100mg、いくつかの実施形態では1日当たり送達される避妊剤の約10μg~約1mgの範囲である。
【0043】
[0047]避妊剤は、天然に生じうる、または当該技術に既知の任意の方法により人工的に製造されうる。典型的には、避妊剤は、形成、輸送、保存の際に、および送達より前にデバイスのリザーバーへの挿入後に、望ましい活性を保持することができるように、高温で安定していることも望ましい。例えば、避妊剤は、典型的には、約20℃~約100℃、いくつかの実施形態では約30℃~約80℃、いくつかの実施形態では約50℃~約70℃の温度で安定した状態を維持する。
【0044】
[0048]避妊剤としては、プロゲストゲンを挙げることができる。埋め込み型で再充填可能なデバイスを使用して投与することができる適切なプロゲストゲンとしては、プロゲステロンそれ自体、すなわち、天然の活性プロゲストゲンを挙げることができ、黄体、胎盤、および副腎皮質に見られる。埋め込み型デバイスを使用して避妊剤として効果的に投与することができる他のプロゲストゲンとしては、他の天然プロゲストゲン、合成プロゲストゲン、および半合成プロゲストゲンが挙げられる。合成プロゲストゲンおよび半合成プロゲストゲンは、一般に、当該技術において「プロゲスチン」として公知である。デバイスと組み合わせて有用なプロゲストゲンの具体例には、21-アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、アナゲストン(17α-ヒドロキシ-6α-メチルプレグナ-4-エン-20-オン)、アナゲストン17α-アセテート、クロルマジノン、クロルマジノン17α-アセテート、クロロエチニルノルゲストレル、シプロテロン、シプロテロン17α-アセテート、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジメチステロン(6α,21-ジメチルエチステロン)、ドロスピレノン(1,2-ジヒドロスピロレノン)、エチステロン(17α-エチニルテストステロンまたはプレグネニノロン)、エチネロン、エチノジオールジアセテート(ノルエチンドロールジアセテート)、エトノゲストレル(11-メチレン-levo-ノルゲストレル;3-ケト-デソゲストレル)、ゲストデン、ヒドロキシプロゲステロン(17α-ヒドロキシプロゲステロン)、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、ヒドロキシプロゲステロンアセテート、ヒドロキシプロゲステロンヘプタノエート、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン(6,17α-ジメチル-6-デヒドロプロゲステロン)、メドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロール、メゲストロールアセテート、セゲステロンアセテート、ノメゲストロール、ノメゲストロールアセテート、ノルエチンドロン(ノルエチステロン;19-ノル-17α-エチニルテストステロン)、ノルエルゲストロミン(17-デアセチルノルゲスチメート)、ノルエチノドレル、ノルゲストリエノン、プロゲステロン、およびレトロプロゲステロンを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プロゲストゲンとしては、単に例示として、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、エチステロン、エトノゲストレル、ゲストデン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、ノルゲスチメート、または化合物のエステル化が可能な場合の上記のいずれかのエステル(例えば、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ノルエチンドロンアセテートなど)を挙げることができる。
【0045】
[0049]避妊剤としては、プロゲストゲンおよび追加の避妊剤の組合せ、例えば、混合物を挙げることができる。追加の避妊剤は、エストロゲン、すなわち、エストロゲン化合物とすることができる。例えば、プロゲストゲンのエストロゲンに対する比は、投与様式にかかわらず、当該技術において公知である市販の二重ホルモン避妊薬製品のプロゲストゲンとエストロゲンの比に相当しうる。適切なエストロゲン化合物は、当業者に公知であり、文献に記載されており、それらとしては、合成および天然エストロゲン、例えばエストラジオール(すなわち、1,3,5-エストラトリエン-3,17β-ジオールまたは「17β-エストラジオール」)およびそのエステル(例えば、エストラジオールベンゾエート、バレレート、シピオネート、ヘプタノエート、デカノエート、アセテートおよびジアセテート)、17α-エストラジオール、エチニルエストラジオール(すなわち、17α-エチニルエストラジオール)ならびにそのエステルおよびエーテル(例えば、エチニルエストラジオール3-アセテートおよびエチニルエストラジオール3-ベンゾエート、エストリオールおよびエストリオールスクシネート)、ポリエストロールホスフェート、エストロンならびにそのエステルおよび誘導体(例えば、エストロンアセテート、エストロンスルフェート、およびピペラジンエストロンスルフェート)、キネストロール、メストラノール、ならびに結合型ウマエストロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
[0050]プロゲストゲンおよびエストロゲンの誘導体および類似体は、本明細書に包含される。例えば、用語「シプロテロン」を本明細書において使用する場合、言及された作用剤は、シプロテロンそれ自体またはシプロテロンエステル、例えばシプロテロン17α-アセテートとすることができ、用語「メドロキシプロゲステロン」を使用する場合、言及された作用剤は、メドロキシプロゲステロンそれ自体またはメドロキシプロゲステロンエステル、例えばメドロキシプロゲステロンアセテートなどとすることができる。
【0047】
[0051]望ましい場合、避妊剤を、溶液、分散体、懸濁液、乳濁液などの組成物の形態で、ならびに送達より前に液体の形態に再構成することができる粉末の形態で提供することができる。そのような組成物における使用のために適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを挙げることができる。典型的には、避妊剤は、組成物の約5wt%~約60wt%、いくつかの実施形態では約10wt%~約50wt%、いくつかの実施形態では約15wt%~約45wt%を構成し、水および他の任意選択の成分は、組成物の約40wt%~約95wt%、いくつかの実施形態では約50wt%~約90wt%、いくつかの実施形態では約55wt%~約85wt%を構成することができる。組成物は、1つ以上の賦形剤を任意選択で含有することが望ましい場合、例えば、造影剤、放出改質剤、増量剤、可塑剤、界面活性剤、フローエイド、着色剤(例えば、クロロフィル、メチレンブルーなど)、抗酸化剤、安定剤、滑沢剤、他の種類の抗微生物剤、防腐剤など1つ以上の賦形剤を任意選択で含有して、特性および加工性を向上させることもできる。用いられる場合、任意選択の賦形剤は、典型的には、組成物の約0.01wt%~約20wt%、いくつかの実施形態では約0.05wt%~約15wt%、いくつかの実施形態では約0.1wt%~約10wt%を構成する。抗微生物剤および/または防腐剤、例えば、金属化合物(例えば、銀、銅、または亜鉛)、金属塩、第四級アンモニウム化合物などを用いて、例えば、細菌の表面増殖および付着を妨げるのを助けることができる。組成物は、活性成分の有効性を向上させることができる、少量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などを含有することができる。例えば、レシチンなどのコーティング物質の使用、分散体の場合に必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。組成物は、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むのが望ましいこともある。
【0048】
V. デバイスの使用
[0052]埋め込み型デバイスを様々な形で使用して、患者における状態、疾患、または美容的状態を抑制および/または治療することができる。本明細書では、用語「埋め込み型デバイス」は、様々な使用方法を含むように意図される。例えば、埋め込み型デバイスを身体(例えば、皮下)に埋め込むことができ、または埋め込み型デバイスを身体(例えば、腟内)に挿入することができる。デバイスは、標準技術を使用して埋め込むことができる。送達経路は、肺内、経胃腸、皮下、筋肉内、腟内、子宮内、または他の任意の適切な送達経路とすることができる。デバイスは、送達の標的である身体の領域の中、その上、それに隣接して、またはその近くで患者の組織部位に配置されうる。デバイスを、現在の全身性活性成分と共に用いることもできる。デバイスを、治療後の症状または副作用を改善するために患者が療法で治療された後でも用いることができる。1つの特定の実施形態において、デバイスは、避妊剤を送達するのに利用されうる。例えば、デバイスは、極めて効果的および可逆的な避妊を必要とする対象に極めて効果的および可逆的な避妊をもたらすために子宮内または皮下埋入物として埋め込まれうる。1つの実施形態において、皮下埋入物は、他の埋め込み型避妊デバイスで公知のように女性の利き側でない腕の内側に皮下挿入されうる。埋め込み型デバイスは、様々な形態、例えば埋入物(例えば、皮下埋入物)、子宮内システム(IUS)(例えば、子宮内デバイス)、螺旋状コイル、バネ、ロッド、シリンダー、および/または腟内リングをとることができる。例えば、放出構造、セプタムおよび裏打ち層を含む単一のデバイスは、リザーバーが同様にリングの形態であるようなリングの形態をとることができる。
【0049】
[0053]本開示の上記その他の修正および変形は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者が実施することができる。更に、様々な実施形態の態様は、全体としてでも、一部としてでも交換できることを理解すべきである。更に、当業者は、上記の説明が例示にすぎず、本開示を限定することを意図するものではなく、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されていることを理解する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】