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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】抗KLB抗体及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240912BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P1/16
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/06
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517530
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2022120887
(87)【国際公開番号】W WO2023046071
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111110895.0
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519352757
【氏名又は名称】江▲蘇▼恒瑞医▲薬▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI PHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.7 KUNLUNSHAN ROAD, ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, LIANYUNGANG, JIANGSU 222047, CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】516174208
【氏名又は名称】上海恒瑞医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 279 WENJING ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 玲
(72)【発明者】
【氏名】▲應▼ ▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 明喜
(72)【発明者】
【氏名】金 薪盛
(72)【発明者】
【氏名】陶 ▲維▼康
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC02
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA23
4H045EA27
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
抗KLB抗体及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗KLB抗体であって、
i)前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号40~48中の何れか1つの配列のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号34中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又は前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号2中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号3中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、或いは
ii)前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号49中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号56~68中の何れか1つの配列のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又は前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号5中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、或いは
iii)前記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号18中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含む、
抗KLB抗体。
【請求項2】
i)前記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37、38、39若しくは7のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、或いは
ii)前記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号69、15、70、71、72、73若しくは74のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号75若しくは16のアミノ酸配列を含み、及びLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含み、或いは
iii)前記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号24のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号25のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号26のアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号27のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号28のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号29のアミノ酸配列を含み、
好ましくは、
i)前記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、或いは
ii)前記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号69のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号75のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の抗KLB抗体。
【請求項3】
マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である、請求項1又は2に記載の抗KLB抗体。
【請求項4】
i)前記重鎖可変領域は配列番号40、30、31、32、41、42、43、44、45、46、47若しくは48、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号34、33、35若しくは36、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
ii)前記重鎖可変領域は配列番号49、50若しくは51、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号57、52、53、54、55、56、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67若しくは68、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
iii)前記重鎖可変領域は配列番号18、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号19、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
iv)前記重鎖可変領域は配列番号2、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号3、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
v)前記重鎖可変領域は配列番号4、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号5、又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項1~3の何れか一項に記載の抗KLB抗体。
【請求項5】
i)前記重鎖可変領域は配列番号40又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号34又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、好ましくは、前記重鎖可変領域はそのフレームワーク領域に1E、24T、44G、71S及び91F(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、且つ前記軽鎖可変領域はそのフレームワーク領域に2V、4I、36F、38E、43T、44N及び58I(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、
ii)前記重鎖可変領域は配列番号49又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号57又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、好ましくは、前記重鎖可変領域はそのフレームワーク領域に1E、24G、48I、67A、69V、71V及び73K(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸変異が含まれ、及び/又は前記軽鎖可変領域はそのフレームワーク領域に2N、45K、47W、49Y、58V及び71Y(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、或いは
iii)前記重鎖可変領域は配列番号18又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域は配列番号19又はそれに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項1~4の何れか一項に記載の抗KLB抗体。
【請求項6】
重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含み、
好ましくは、前記重鎖定常領域はヒトIgG1重鎖定常領域であり、前記軽鎖定常領域はヒトκ軽鎖定常領域であり、
より好ましくは、前記重鎖定常領域は配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖定常領域は配列番号23のアミノ酸配列を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の抗KLB抗体。
【請求項7】
重鎖及び軽鎖を含み、そのうち、
i)前記重鎖は配列番号78に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号79に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
ii)前記重鎖は配列番号80に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号81に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
iii)前記重鎖は配列番号20に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号21に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項6に記載の抗KLB抗体。
【請求項8】
重鎖及び軽鎖を含み、そのうち、
i)前記重鎖は配列番号78のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号79のアミノ酸配列を含み、
ii)前記重鎖は配列番号80のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号81のアミノ酸配列を含み、或いは
iii)前記重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖は配列番号21のアミノ酸配列を含む、
請求項6に記載の抗KLB抗体。
【請求項9】
ヒトKLB又はサルKLBに対して請求項1~8の何れか一項に記載の抗KLB抗体と競合的に結合する、単離した抗KLB抗体。
【請求項10】
A.前記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR1cを発現する細胞に活性化活性を有し、好ましくは、前記抗KLB抗体のCHOK1-hKLB&hFGFR1cへの活性化倍数は10を超え、及び/又は前記抗KLB抗体のHEK293T-hKLB&hFGFR1c細胞への活性化倍数は2を超えること、
B.前記抗KLB抗体はhFGFR1cを発現する組換え細胞への活性化活性が弱く、好ましくは、前記抗KLB抗体のHEK293-hFGFR1c細胞への活性化倍数は1未満であること、
C.前記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及び/又はhKLB&hFGFR4を発現する細胞への活性化活性が弱く、好ましくは、前記抗KLB抗体のL6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4への活性化倍数は2未満であること、
D.前記抗KLB抗体はヒトKLBにもサルKLBにも結合することができ、好ましくは、前記抗KLB抗体は、2.0 E-9 M以下のEC50値でヒトKLB及びサルKLBに結合することができ、前記EC50値はフローサイトメトリー法により検出されること、及び
E.前記抗KLB抗体はヒトKLBに結合することができ、好ましくは、前記抗体は、3.0 E-9 M未満のKD値でヒトKLBに結合することができ、前記KD値はBiacore法によって検出されること、
という特徴の1つ以上を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の抗KLB抗体。
【請求項11】
医薬組成物であって、
治療有効量の請求項1~10の何れか一項に記載の抗KLB抗体と、1種以上の薬学的に許容されるベクター、希釈剤、緩衝剤又は賦形剤とを含み、
好ましくは、少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含む、
医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載の抗KLB抗体をコードする、単離した核酸。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項14】
疾患を治療する方法であって、必要とする対象に治療有効量の請求項1~10の何れか一項に記載の抗KLB抗体又は請求項11に記載の医薬組成物を投与するステップを含み、
好ましくは、前記疾患はFGF21及び/又はFGF19に関連する疾患であり、
より好ましくは、前記疾患は、NASH、2型糖尿病、肥満症、脂質異常症、心臓血管疾患及びメタボリック症候群から選ばれる、
方法。
【請求項15】
FGF21及び/又はFGF19シグナル伝達を誘導する方法であって、KLBとFGFRを発現する細胞を請求項1~10の何れか一項に記載の抗KLB抗体と接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はバイオテクノロジー分野に属し、より具体的に、本開示は抗KLB抗体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでの記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供し、必ずしも従来技術を構成するものではない。
【0003】
KLB(Klotho-beta、β-Klotho)は、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインからなるKlothoタンパク質ファミリーのメンバーの1つである。KLBは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1-4及びその可変切断体、例えば、FGFR1c、FGFR2c、FGFR3cを含むFGFR)と一緒に、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、略称FGF、例えば、FGF19及びFGF21)の共通受容体として複合物を形成する。KLBは、FGF21/FGF19に対する細胞応答の決定基として、肝臓、脂肪細胞及び膵臓において高発現される(Kurosu,H. et al.(2007)J Biol Chem『生化学雑誌』282,26687-95)。線維芽細胞増殖因子受容体は、細胞内チロシンキナーゼドメインを含み、当該ドメインは、リガンドに結合すると活性化されて、MAPK(Erk1/2)、RAF1、AKT1及びSTATなどを産生し、下流シグナル伝達経路を活性化する(Kharitonenkov,A. et al.(2008)BioDrugs『生物薬剤』22:37-44)。
【0004】
線維芽細胞増殖因子21(fibroblast growth factor 21、FGF21)は、線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバーの1つであり、肝臓及び膵臓において高発現される(Itoh et al.,(2004)Trend Genet. 20:563-69)。FGF21は、C末端を介してKLBに結合され、N末端がFGFRに結合して受容体-リガンド複合物を形成することで、FGFRの下流のシグナル伝達経路を活性化する。様々な代謝関連標的器官(例えば、肝臓、脂肪組織、膵臓、CNSにおける副腎など)で研究した結果、FGF21は、KLB&FGFR1c、KLB&FGFR2c及びKLB&FGFR3cと複合物を形成することで、糖代謝、脂質代謝及びエネルギー消費を調節する役割を果たすことが示された。FGF21を過剰発現するトランスジェニックマウスは、低インスリン、低コレステロール及び低トリグリセリドを示し、インスリン感受性が向上して、高脂質食物による体重増加を抑制する(Kharitonenkov et al.,(2005)J Clin Invest115:1627-35)。FGF21類似体(例えばAKR001で、WO2010129503A1中の配列番号47を参照)は、肝臓脂肪を顕著に低減し、NASH resolutionを向上させ、線維症を改善することなどができることが臨床実験において十分に確認された。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域と、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗KLB抗体を構築し、そのうち、
(i)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3は、それぞれ配列番号40~48中の何れか1つの配列のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号34のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又は上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号2中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号3中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、或いは
(ii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号49中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号56~68中の何れか1つの配列のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又は上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号4中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号5中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、或いは
(iii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号18中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0006】
幾つかの実施形態において、i)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号40中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号34中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又はii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号49中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号57中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含み、又はiii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号18中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号19中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3はそれぞれ配列番号40中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はそれぞれ配列番号34中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、Kabat、IMGT、Chothia、AbM及びContactから選ばれる同じ番号付け規則によって定義される。幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はKabat番号付け規則によって定義され、幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はIMGT番号付け規則によって定義され、幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はChothia番号付け規則によって定義され、幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はAbM番号付け規則によって定義され、幾つかの実施形態において、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3はContact番号付け規則によって定義される。
【0008】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、
i)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37、38、39若しくは7のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、或いは
ii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号15、69、70、71、72、73若しくは74のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号16若しくは75のアミノ酸配列を含み、及びLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含み、或いは
iii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号24のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号25のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号26のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号27のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号28のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号29のアミノ酸配列を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、
i)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、或いは
ii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号69のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号75のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3及び軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3は、Kabat番号付け規則によって定義される。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗KLB抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。幾つかの実施形態において、上記抗体はヒト抗体である。幾つかの実施形態において、上記抗体は完全ヒト抗体である。
【0012】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、(i)上記重鎖可変領域は配列番号40、30、31、32、41、42、43、44、45、46、47若しくは48、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は配列番号34、33、35若しくは36、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(ii)上記重鎖可変領域は配列番号49、50若しくは51、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は配列番号57、52、53、54、55、56、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67若しくは68、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iii)上記重鎖可変領域は配列番号18、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は配列番号19、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iv)上記重鎖可変領域は配列番号2、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は配列番号3、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(v)上記重鎖可変領域は配列番号4、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は配列番号5、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域には、1、24、44、71及び91番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、軽鎖可変領域のフレームワーク領域には、2、4、36、38、43、44及び58番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。幾つかの実施形態において、上記の抗KLB抗体であって、そのうち、上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37、38、39若しくは7のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域には、1E、24T、44G、71S及び91F(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、及び/又は上記軽鎖可変領域のフレームワーク領域には、2V、4I、36F、38E、43T、44N及び58I(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域には、1、24、48、67、69、71及び73番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸変異が含まれ、軽鎖可変領域のフレームワーク領域には、2、45、47、49、58及び71番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。幾つかの実施形態において、上記の抗KLB抗体であって、そのうち、上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号15、69、70、71、72、73若しくは74のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号16若しくは75のアミノ酸配列を含み、及びLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含み、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域には、1E、24G、48I、67A、69V、71V及び73K(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸変異が含まれ、及び/又は上記軽鎖可変領域のフレームワーク領域には、2N、45K、47W、49Y、58V及び71Y(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。上記変異位点は、Kabat番号付け規則によって番号付けされ、例えば、「2N」は2番目(Kabat番号付け規則に応じて番号付けされる)の残基が「N」であることを示す。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、
(i)上記重鎖可変領域は、配列番号40、30、31、32、41、42、43、44、45、46、47若しくは48の何れか1つの配列、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号34、33、35若しくは36の何れか1つの配列、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(ii)上記重鎖可変領域は、配列番号49、50若しくは51の何れか1つの配列、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号57、52、53、54、55、56、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67若しくは68の何れか1つの配列、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iii)上記重鎖可変領域は、配列番号18、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号19、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iv)上記重鎖可変領域は、配列番号2、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号3、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(v)上記重鎖可変領域は、配列番号4、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号5、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、
(i)上記重鎖可変領域は、配列番号40、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号34、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(ii)上記重鎖可変領域は、配列番号49、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号57、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iii)上記重鎖可変領域は、配列番号18、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号19、又はそれに対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、そのうち、上記重鎖可変領域は、配列番号40のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖可変領域は、配列番号34のアミノ酸配列を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、それは重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含み、幾つかの実施形態において、上記重鎖定常領域はヒトIgG重鎖定常領域であり、幾つかの実施形態において、上記重鎖定常領域はヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4重鎖定常領域であり、幾つかの実施形態において、上記軽鎖定常領域はヒトλ、κ軽鎖定常領域であり、幾つかの実施形態において、上記重鎖定常領域はヒトIgG1重鎖定常領域であり、上記軽鎖定常領域はヒトκ軽鎖定常領域であり、幾つかの実施形態において、上記重鎖定常領域のFc領域は、Fc領域とFc受容体の結合を低下させることができる1つ以上のアミノ酸置換を有する。幾つかの実施形態において、上記Fc領域は、L234A、L235A変異、S228P変異及び/又はYTE変異(M252Y、S254T及びT256E)を有し、上記変異は、EUインデックスによって番号付けされる。幾つかの実施形態において、上記重鎖定常領域は配列番号22のアミノ酸配列を含み、上記軽鎖定常領域は配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0019】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗KLB抗体は重鎖及び軽鎖を含み、そのうち、
(i)上記重鎖は、配列番号78に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は、配列番号79に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(ii)上記重鎖は、配列番号80に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は、配列番号81に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、或いは
(iii)上記重鎖は、配列番号20に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は、配列番号21に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗KLB抗体は重鎖及び軽鎖を含み、そのうち、(i)上記重鎖は配列番号78のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は配列番号79のアミノ酸配列を含み、(ii)上記重鎖は配列番号80のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は配列番号81のアミノ酸配列を含み、又は(iii)上記重鎖は配列番号20のアミノ酸配列を含み、且つ上記軽鎖は配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗KLB抗体は抗原結合断片であり、幾つかの実施形態において、上記抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fd、Fv、dsFv、scFv、Fab及び二重抗体から選ばれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、本開示は、ヒト及び/又はサルKLBに対して上記何れか1つに記載の抗KLB抗体と競合的に結合する、単離した抗KLB抗体を提供し、幾つかの実施形態において、本開示は、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体と同じ抗原エピトープに結合する、単離した抗KLB抗体を提供する。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗KLB抗体は、
A.上記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR1cを発現する細胞に活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR1cを発現する細胞に高い活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現するCHOK1細胞への活性化倍数が10を超え、及び/又は上記抗KLB抗体は、HEK293T-hKLB&hFGFR1c細胞への活性化倍数が2を超え、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は、本開示の試験例4、5の方法により検出されること、
B.上記抗KLB抗体は、hFGFR1cを発現する組換え細胞(hFGFR1cのみで、hKLBを発現しない)への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、HEK293-hFGFR1c細胞への活性化倍数が1未満であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は本開示の試験例6の方法により検出されること、
C.上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及びhKLB&hFGFR4を発現する細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2cとL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、L6-hKLB&hFGFR3c細胞への活性化倍数が5未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c細胞への活性化倍数が1.4未満であり、L6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が1.6未満であり、L6-hKLB&hFGFR3c細胞への活性化倍数が5未満であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は本開示の試験例7の方法により検出されること、
D.上記抗KLB抗体はヒトKLBにもサルKLBにも結合することができ、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は2.0 E-9 M未満のEC50値でヒト及び/又はサルKLBに結合することができ、上記EC50値はフローサイトメトリー法により検出されること、及び
E.上記抗KLB抗体は高親和性でヒトKLBに結合することができ、幾つかの実施形態において、上記抗体は3.0 E-9 M未満のKD値でヒトKLBに結合することができ、上記KD値はBiacore方法により検出されること、
という特徴の1つ以上を有する。
【0024】
幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現する細胞に高い活性化活性を有し、hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及びhKLB&hFGFR4を発現する細胞に弱い活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現するCHOK1細胞への活性化倍数が10を超え、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数である。
【0025】
別の態様において、本開示は、治療有効量の上記の抗KLB抗体と、1種以上の薬学的に許容されるベクター、希釈剤、緩衝剤又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0026】
別の態様において、本開示は、上記の抗KLB抗体をコードする、単離した核酸を提供する。
【0027】
別の態様において、本開示は、上記の核酸分子を含むベクターを提供する。
【0028】
別の態様において、本開示は、上記の核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0029】
別の態様において、本開示は、疾患を治療する方法を提供し、上記方法は、対象に上記の抗KLB抗体又は医薬組成物を投与するステップを含む。
【0030】
別の態様において、本開示は、疾患を治療する薬剤の調製における上記の抗KLB抗体又は医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0031】
別の態様において、本開示は、薬剤として用いられる上記の抗KLB抗体又は医薬組成物をさらに提供し、幾つかの実施形態において、上記薬剤は疾患の治療に用いられる。
【0032】
幾つかの実施形態において、本開示は、ヒトFGF21及び/又はヒトFGF19に関連する疾患、病状又は病態を治療する方法を提供し、上記方法は、対象(例えば、患者)に治療有効量の上記の抗KLB抗体又は医薬組成物を与えることを含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、上記の疾患は、FGF21及び/又はFGF19に関連する病状である。幾つかの実施形態において、上記病状は、代謝性病状、内分泌病状及び心臓血管病状から選ばれる。幾つかの実施形態において、上記病状は、肥満、糖尿病(1型糖尿病、2型糖尿病)、膵臓炎、脂質異常症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、インスリン抵抗性、高インスリン血症、耐糖能異常、高血糖、メタボリック症候群、急性心筋梗塞、高血圧、アテローム性動脈硬化、末梢動脈疾患、脳卒中、心不全、冠動脈性心疾患、腎臓疾患、糖尿病合併症、神経系の疾患及び胃不全麻痺から選ばれる。幾つかの実施形態において、上記疾患は、2型糖尿病、肥満症、脂質異常症、NASH、心臓血管疾患及びメタボリック症候群からなる群から選ばれる。幾つかの実施形態において、上記疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎である。
【0034】
別の態様において、本開示は、FGF21及び/又はFGF19シグナル伝達を誘導する方法をさらに提供し、上記方法は、KLBとFGFRを発現する細胞を上記の抗KLB抗体と接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0035】
用語
本開示がさらに容易に理解されるように、以下、幾つかの技術・科学用語を説明する。本明細書で特に明確な定義のない限り、本明細書に使用される技術・科学用語の全ては、当業者に一般的に理解された意味と同じ意味を持っている。
【0036】
明細書及び特許請求の範囲に用いられる単数形である「1つ」、「1種」及び「上記」は、文脈でそうではないと明記しない限り、複数の指示対象を含む。
【0037】
文脈で特に明記のない限り、特許の明細書と特許請求の範囲において、「含有する」、「有する」、「含む」という言葉などは、排他的又は網羅的な意味ではなく、「含むが、これらに限定されない」という意味として理解すべきである。
【0038】
「及び/又は」という用語は、「及び」と「又は」という2つの意味を含むことを指す。例えば、「A、B及び/又はC」という語句は、A、BとC、A、B又はC、A又はC、A又はB、B又はC、AとC、AとB、BとC、A(単独)、B(単独)、及びC(単独)のうちの何れか1つをカバーすることを意図する。
【0039】
本開示に用いられるアミノ酸の3文字コード及び1文字コードは、J.biol.chem,243,p3558(1968)に記載された通りである。
【0040】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸と合成したアミノ酸、及び天然に存在するアミノ酸と同じように作用するアミノ酸類似体とアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コドンによってコードされるアミノ酸、及び後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸とO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造(即ち、水素、カルボキシ基、アミノ基及びR基に結合したα炭素)を有する化合物を指し、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じように作用する化学化合物を指す。
【0041】
「アミノ酸変異」という用語は、アミノ酸置換(アミノ酸置き換えともいう)、欠失、挿入と修飾を含む。最終構築体がFc受容体への結合を低減するなどの所望の特性を有すれば、置換、欠失、挿入と修飾の任意の組み合わせを行うことにより、最終構築体を実現することができる。アミノ酸配列の欠失及び挿入は、ポリペプチド鎖のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端での欠失と挿入を含む。具体的なアミノ酸変異は、アミノ酸置換であってもよい。一実施形態において、アミノ酸変異は、非保存的アミノ酸置換であり、即ち、1つのアミノ酸を異なる構造及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換える。アミノ酸置換は、天然に存在しないアミノ酸又は20種の天然アミノ酸の誘導体(例えば、4-ヒドロキシプロリン、3-メチルヒスチジン、オルニチン、ホモセリン、5-ヒドロキシリジン)による置き換えを含む。アミノ酸変異は、この分野で公知の遺伝学的又は化学的方法により生成することができる。遺伝学的方法は、部位特異的変異導入、PCR、遺伝子合成などを含んでもよい。遺伝子工学以外のアミノ酸側鎖基を改変する方法、例えば、化学修飾も利用可能であろうと予測される。本明細書では、様々な名称で同一のアミノ酸変異を示すことができる。本明細書では、位置+アミノ酸残基という方式で特定の部位でのアミノ酸残基を示すことができ、例えば、366Wは、366部位でのアミノ酸残基がWであることを示す。T366Wは、366番目の部位でのアミノ酸残基が元のTからWへ変異したことを示す。
【0042】
「抗体」という用語は、所望の抗原結合活性を示せば、最も広い意味で使用され、且つ種々の抗体構造をカバーしており、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、全長抗体と抗体断片(又は抗原結合断片、又は抗原結合部分)を含むが、これらに限定されない。「天然抗体」とは、天然に存在する免疫グロブリン分子である。例えば、天然IgG抗体は、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、ジスルフィド結合で結合した2本の同じ軽鎖と2本の同じ重鎖から構成される。N末端からC末端へ、それぞれの重鎖には、可変重鎖ドメイン、重鎖可変領域とも呼ばれる可変領域(VH)が1つあり、その次は重鎖定常領域(CH)であり、天然IgG重鎖定常領域は、一般的に3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を含む。同様に、N末端からC末端へ、それぞれの軽鎖には、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)が1つあり、その次は1つの定常軽鎖ドメイン(軽鎖定常領域、CL)である。「全長抗体」、「完全抗体」と「全抗体」という用語は、本明細書で入れ替えて使用されてもよく、天然抗体の構造とほぼ類似の構造を有し、又は本明細書に限定されるようなFc領域の重鎖を有する抗体を指す。天然完全抗体の軽鎖は、軽鎖可変領域VL及び定常領域CLを含み、VLは軽鎖のアミノ末端にあり、軽鎖定常領域はκ鎖及びλ鎖を含み、重鎖は可変領域VH及び定常領域(CH1、CH2及びCH3)を含み、VHは重鎖のアミノ末端(N末端ともいう)にあり、定常領域はカルボキシ末端(C末端ともいう)にあり、そのうち、CH3はポリペプチドのカルボキシ末端に最も近く、重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1とIgA2サブタイプを含む)、IgM及びIgEを含む任意のアイソタイプに属してもよい。
【0043】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体における抗原に結合するドメインを指す。本明細書において、重鎖可変領域VHと軽鎖可変領域VLは、4つの保存的なフレームワーク領域(FR)及び3つの相補性決定領域(CDR)をそれぞれ含む。「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、可変ドメインにおける抗原との結合を主に促進する領域を指し、「フレームワーク」又は「FR」は、CDR残基を除く可変ドメイン残基を指す。VHは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3という3つのCDR領域を含み、VLは、LCDR1、LCDR2及びLCDR3という3つのCDR領域を含む。それぞれのVH及びVLは、アミノ末端(N末端ともいう)からカルボキシ末端(C末端ともいう)へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順に配列された3つのCDRと4つのFRとからなる。それぞれのVH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順に配列された3つのCDRと4つのFRとからなる。抗体によっては、単一のVH又はVLは、抗原結合特異性を十分に付与することが可能である。
【0044】
CDRのアミノ酸配列の境界は、様々な公知の方案、例えば、「Kabat」番号付け規則(Kabat et al.(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5th ed.、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MDを参照)、「Chothia」番号付け規則、「ABM」番号付け規則、「contact」番号付け規則(Martin、ACR. Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains[J].2001を参照)及びImMunoGenTics(IMGT)番号付け規則(Lefranc、M.P.et al.、Dev. Comp. Immunol.、27、55-77(2003)、Front Immunol. 2018 Oct 16、9:2278)などによって決定することができ、様々な番号付けシステム間の対応関係は当業者によく知られているものであり、例示的に、下記の表1に示す通りである。
【0045】
【表1】
【0046】
「抗体断片」又は「抗原結合断片」という用語は、完全抗体とは異なる分子を指し、完全抗体の結合する抗原に結合する、完全抗体の一部を含む。抗体断片の実例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、単一ドメイン抗体、単鎖Fab(scFab)、二重抗体、線形抗体、単鎖抗体(scFv)、及び抗体断片からなる多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0047】
「Fc領域」又は「断片結晶化可能領域」という用語は、抗体重鎖のC末端領域を定義するためであり、天然Fc領域及び改変されたFc領域を含む。幾つかの実施形態において、Fc領域は、同一又は異なる2つのサブユニットを含む。幾つかの実施形態において、ヒトIgG重鎖のFc領域は、Cys226位置でのアミノ酸残基から、又はPro230からそのカルボキシ末端へ延びると定義される。本明細書に記載される抗体に用いられる好適なFc領域は、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3とIgG4のFc領域を含む。幾つかの実施形態において、Fc領域の境界は変えてもよく、例えば、Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによる残基447)の欠失、又はFc領域のC末端グリシンとリジン(EU番号付けシステムによる残基446と447)の欠失である。特に説明のない限り、Fc領域の番号付け規則はEU番号付けシステムであり、EUインデックスとも呼ばれる。
【0048】
「キメラ」抗体という用語は、抗体における重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の供給源又は種から誘導されるが、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分が他の異なる供給源又は種から誘導される抗体を指す。
【0049】
「ヒト化」抗体という用語は、非ヒト抗体の反応性を保持するとともに、ヒトにおいて比較的低い免疫原性を有する抗体である。例えば、非ヒトCDR領域を保持し、そのヒト対応物(即ち、定常領域及び可変領域のフレームワーク領域部分)で抗体の残りの部分を置き換えることにより達成してもよい。
【0050】
「ヒト抗体」、「ヒト化抗体」、「全ヒト抗体」、「完全ヒト抗体」という用語は入れ替えて使用されてもよく、可変領域及び定常領域がヒト配列である抗体を指す。当該用語は、ヒト遺伝子に由来するが、例えば、可能性のある免疫原性の低減、親和性の増加、望ましくないフォールディングを引き起こし得るシステイン又はグリコシル化部位の除去などを有する、配列が変化した抗体をカバーしている。当該用語は、非ヒト細胞(ヒト細胞の特徴を有しないグリコシル化を付与し得る)において組換えて産生されるような抗体をカバーしている。当該用語は、幾つか又は全てのヒト免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖遺伝子座を含むトランスジェニックマウスで既に飼育された抗体もカバーしている。ヒト抗体の定義には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体が明確に除外されている。
【0051】
「親和性」という用語は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合リガンド(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の全強度を指す。特に明記のない限り、本明細書に使用されるように、結合「親和性」は、内部結合親和性を指し、結合ペア(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する。分子XによるそのリガンドYへの親和性は、一般的に、解離定数(KD)で示すことができる。親和性は、当該分野で既知の通常の方法(本明細書に記載されるような方法を含む)により測定することができる。
【0052】
本明細書に使用されるように、「kassoc」又は「ka」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指し、「kdis」又は「kd」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。「KD」という用語は解離定数を指し、kdとkaの比率(即ち、kd/ka)から得られ、且つモル濃度(M)で示される。この分野で公知の方法により抗体のKD値を測定することができる。例えば、表面プラズモン共鳴をシステムなどのバイオセンシングシステムによって測定し、又は溶液平衡滴定法(SET)によって溶液中の親和性を測定する。幾つかの実施形態において、KD値は、Biacoreにより検出される。
【0053】
「エフェクター機能」という用語は、抗体Fc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列が変異したFc領域)によるものとすることができるとともに、抗体のアイソタイプによって変えられる生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合と補体依存性細胞傷害性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、及びB細胞の活性化を含むが、これらに限定されない。
【0054】
「抗体依存性細胞の細胞傷害性」、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」又は「ADCC」という用語は、細胞死を誘導するメカニズムであり、当該メカニズムは、抗体で被覆した標的細胞と溶解活性を有するエフェクター細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球、マクロファージ細胞及び好中球)との、エフェクター細胞に発現されたFcγ受容体(FcγR)により発生された相互作用に依存する。例えば、NK細胞はFcγRIIIaを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIaを発現する。本明細書により提供される抗体のADCC活性は、インビトロ測定により、抗原を発現した細胞を標的細胞として、NK細胞をエフェクター細胞として利用して評価することができる。溶解した細胞から放出された標識(例えば、放射性基質、蛍光染料又は天然細胞内タンパク質)によって細胞溶解を検出する。
【0055】
「抗体依存性細胞貪食作用」(「ADCP」)という用語は、貪食細胞(例えば、マクロファージ細胞又は樹状細胞)のエンドサイトーシスによって、抗体で被覆した標的細胞を除去するメカニズムを指す。
【0056】
「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」という用語は、細胞死を誘導するメカニズムを指し、ここで、標的結合抗体のFcエフェクタードメインが補体成分C1qに結合して活性化し、C1qがさらに補体カスケードを活性化することにより、標的細胞の死亡を引き起こす。補体の活性化により、補体成分の標的細胞表面における堆積を引き起こすこともでき、これらの補体成分は、白血球における補体受容体(例えば、CR3)に結合することによりCDCを促進する。
【0057】
「モノクローナル抗体」という用語は、基本的に均質な抗体の群を指し、即ち、当該群に含まれる抗体分子のアミノ酸配列は、少量に存在可能な天然変異を除き、同じである。それに対して、ポリクローナル抗体製剤は通常、その可変ドメインにおいて、一般的に異なるエピトープに特異的である異なるアミノ酸配列を有する複数の異なる抗体を含む。「モノクローナル」は、基本的に均質な抗体群から得られる抗体の特徴を表し、任意の特定の方法により抗体を産生しなければならないと解釈すべきではない。幾つかの実施形態において、本開示により提供される抗体は、モノクローナル抗体である。
【0058】
「抗原」という用語は、例えば抗原結合タンパク質(例えば、抗体を含む)などの選択的結合剤によって結合することができ、さらに、当該抗原に結合可能な抗体が産生されるように動物に使用することができる分子又は分子部分を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質(例えば、抗体)と相互作用することができる1つ又は複数のエピトープを有してもよい。
【0059】
「エピトープ」という用語は、抗体又はその抗原結合断片と特異的に結合可能な抗原上の領域(area又はregion)を指す。エピトープは、連続的なアミノ酸列(線状エピトープ)によって形成され、又は、例えば抗原のフォールディング(即ち、タンパク質の性質による抗原の三次フォールディング)により空間的に近接した非連続的なアミノ酸(配座エピトープ)を含んでもよい。配座エピトープと線状エピトープは、変性溶媒の存在で、抗体の配座エピトープへの結合が失われるという点で異なっている。エピトープは、独特な空間配座にある少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、又は8~10個のアミノ酸を含む。特定のエピトープに結合する抗体(即ち、同じエピトープに結合するようなもの)のスクリーニングは、この分野における通常の方法により行うことができ、例えば、アラニンスキャンニング、ペプチドブロット、ペプチド切断解析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学修飾(Prot. Sci. 9(2000)487-496を参照)及び交差阻害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
「特異的に結合可能」、「特異的に結合」又は「結合」という用語は、他の抗原又はエピトープに比べて、抗体(例えば、抗KLB抗体)がより高い親和性で、ある抗原又は当該抗原内のエピトープに結合することができることを指す。一般的に、抗体は、約1×10-7 M以下(例えば、約1×10-8 M以下)の平衡解離定数(KD)で抗原又は抗原内のエピトープに結合する。幾つかの実施形態において、抗体の抗原に結合するKDは、当該抗体の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に結合するKDの10%以下(例えば、1%)である。KDは、既知の方法により測定することができ、例えば、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴測定法により測定される。しかし、抗原又は抗原内のエピトープに特異的に結合する抗体は、他の関連する抗原に交差反応性を有する可能性があり、例えば、他の種(ホモ)(例えば、ヒト、又はカニクイザル(Macaca fascicularis)(cynomolgus、cyno)、チンパンジー(Pan troglodytes)(chimpanzee、chimp)などのサル)又はマーモセット(Callithrix jacchus)(commonmarmoset、marmoset)由来の対応する抗原に対して交差反応性を有する。
【0061】
「核酸」という用語は、本明細書において「ポリヌクレオチド」という用語と入れ替えて使用されてもよく、且つ単鎖若しくは二本鎖の形態を呈するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びそのポリマーを指す。上記用語は、既知のヌクレオシド類似体又は修飾した骨格残基若しくはリンカーを含む核酸をカバーし、上記核酸は合成した、天然に存在する、及び天然に存在しないものであり、参照核酸と類似の結合特性を有するとともに、参照ヌクレオシドと類似する方式で代謝される。このような類似体の実例は、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスフェート、キラル-メチルホスフェート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)を含むが、これらに限定されない。「単離した」核酸は、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離した核酸は、下記の細胞に含まれる核酸分子を含み、上記細胞は一般的に当該核酸分子を含むが、当該核酸分子は染色体外に存在し、又はその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。抗KLB抗体をコードする単離した核酸は、抗KLB抗体をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクターにある1つ以上の核酸分子と、宿主細胞における1つ以上の位置に存在する1つ以上の核酸分子とを含む。特に説明のない限り、特定の核酸配列は、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)と相補配列、及び明記した配列も暗黙的にカバーしている。具体的に、以下詳述するように、縮重コドン置換は、1つ又は複数の選ばれた(又は全ての)コドンの3番目が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を産生することにより得ることができる。
【0062】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書で入れ替えて使用されてもよく、アミノ酸残基のポリマーを指す。当該用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、及び天然に存在するアミノ酸ポリマーと天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用可能である。特に説明のない限り、特定のポリペプチド配列は、その保存的に修飾された変異体をさらに暗黙的にカバーしている。
【0063】
配列「同一性」という用語は、2つの配列に対して最適アラインメントを行う場合、最大の配列同一性の百分率が得られるように、必要に応じてギャップを導入し、且つ何れの保存的置換も配列同一性の一部とは見なさず、2つの配列のアミノ酸/核酸が等価位置で同じ程度(百分率)であることを指す。配列同一性の百分率を測定するために、アラインメントは、この分野の技術で知られている技術、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に取得可能なコンピュータソフトウェアにより、実現することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、測定アラインメントに適用されるパラメータを決定することができる。
【0064】
「融合」又は「連結」という用語は、要素(例えば、Fv中のVHとVL)が直接的に、或いは1つ又は複数のリンカーを介して共有結合で連結されることを指す。
【0065】
「ベクター」という用語は、それに連結された別のポリヌクレオチドを輸送可能なポリヌクレオチド分子を指す。1種類のベクターは「プラスミド」であり、付加されたDNAセグメントに連結可能な環状二本鎖DNA環を指す。もう1種類のベクターはウィルスベクターであり、例えば、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV又はAAV2)であり、その中で、別のDNAセグメントがウィルスゲノムに連結可能である。あるベクターは、それらが導入された宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーマル哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーマル哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入された後、宿主細胞のゲノムに整合されることで、宿主ゲノムとともに複製することができる。「発現ベクター」又は「発現構築体」という用語は、宿主細胞を形質転換することができ、且つ(宿主細胞とともに)それと操作可能に連結された1つ又は複数のヘテロコード領域の発現を指導及び/又は制御する核酸配列を含むベクターを指す。発現構築物は、転写、翻訳を影響又は制御し、且つイントロンの存在下でそれに操作可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングを影響する配列を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0066】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」と「宿主細胞培養物」という用語は、入れ替えて使用されてもよく、且つ外因性核酸が導入された細胞を指し、このような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、継代数を考慮せず、初代の形質転換された細胞及びそれより誘導された子孫を含む。子孫は、核酸内容物において親細胞と全く同じではなくてもよいが、変異を含んでもよい。本明細書において、初期形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体の子孫を含む。宿主細胞は、原核及び真核宿主細胞を含み、そのうち、真核宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞株の植物細胞及び真菌細胞を含むが、これらに限定されない。哺乳動物宿主細胞は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマとハムスター細胞を含み、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞がん細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、3T3細胞とHEK-293細胞を含むが、これらに限定されない。真菌細胞は、酵母と糸状菌細胞を含み、例えば、ピチアパストリス(Pichiapastoris)、ピチア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピチア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピチア・コクラメ(Pichia koclamae)、ピチア・メンブラネファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピチア・ミヌタ(Pichia minuta)(Ogataea minuta、Pichia lindneri)、ピチアオプンチエ(Pichiaopuntiae)、ピチア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピチア・サリクタリア(Pichia salictaria)、Pichia guercuum、ピチア・ピエペリ(Pichia pijperi)、ピチア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア属、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomycescerevisiae)、サッカロミセス属、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クライベロミセス属、クライベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・レーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ルックノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、フザリウム属(Fusarium sp.)、フザリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ピキア属、任意のサッカロミセス属、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、任意のクライベロミセス属、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、任意のアスペルギルス属、トリコデルマ・レーゼイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ラクノウエンス(Chrysosporium lucknowense)、任意のフザリウム属、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)及びアカパンカビ(Neurospora crassa)を含む。
【0067】
本願に使用されるように、「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」という表現は、入れ替えて使用されてもよく、且つこのような名称の全ては子孫を含む。従って、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」という用語は、継代数にかかわらず、初代対象細胞及びそれに由来する培養物を含む。さらに、意図的又は非意図的な変異のために、何れの子孫も完全に同じDNA内容物を有するわけではないと理解すべきである。それをスクリーニングした初期形質転換細胞と同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫を含む。
【0068】
「任意選択的」又は「任意選択的に」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、必ずしも生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。
【0069】
「医薬組成物」という用語は、1種又は複数種の本明細書に記載の抗KLB抗体と他の化学成分とを含む混合物を示し、上記他の成分は、例えば、生理学的/薬学的に許容されるベクター及び賦形剤である。
【0070】
「薬学的に許容されるベクター」という用語は、薬学的配合剤において活性成分とは異なり、対象に無毒な成分を指す。薬学的に許容されるベクターは、緩衝剤、賦形剤、安定剤又は防腐剤を含むが、これらに限定されない。
【0071】
「対象」又は「個体」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を含む。非ヒト動物は、全ての脊椎動物(例えば、哺乳動物及び非哺乳動物)、例えば、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類及び爬虫類動物を含む。指摘のない限り、「患者」又は「対象」という上記用語は、本明細書において入れ替えて使用されてもよい。本明細書に使用するように、「カニクイザル(cyno)」又は「カニクイザル(cynomolgus)」という用語は、カニクイザル(Macaca fascicularis)を指す。ある実施形態において、個体又は対象はヒトである。
【0072】
「投与」又は「与える」は、動物、ヒト、実験の対象、細胞、組織、臓器や生体流体に適用される場合に、外因性薬物、治療剤、診断薬又は組成物と動物、ヒト、対象、細胞、組織、臓器や生体流体との接触を指す。
【0073】
「試料」という用語は、対象から単離された流体、細胞又は組織と類似する採取物、及び対象の体内に存在する流体、細胞又は組織を指す。例示的な試料は生体流体であり、例えば、血液、血清と漿膜液、血漿、リンパ液、尿液、唾液、嚢胞液、涙液、排せつ物、痰、分泌組織と臓器の粘膜分泌物、膣分泌物、腹水、胸膜、心膜、腹膜、腹腔と他の体腔の流体、気管支洗浄液から収集された流体、滑液、対象若しくは生体源に接触した液体溶液、例えば、細胞と臓器培地(細胞又は臓器馴化培地を含む)、洗浄液など、組織生検試料、細針吸引組織、手術で切除した組織、臓器培養物又は細胞培養物である。
【0074】
「治療(treatment又はtreat)」及び「処理」(及びその文法的変形)は、治療される個体の自然過程の変更を図る臨床的介入を指し、且つ予防のために、又は臨床病理学的プロセスにおいて実施することができる。治療の所望の効果は、疾患の発生又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の軽減/減少、転移の予防、疾患進行速度の低下、疾患状態の改善又は軽減、及び予後の退縮又は改善を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、本開示の抗体を使用することで、疾患の形成を遅延させるか、又は疾患の進行を遅延させる。幾つかの実施形態において、本開示の抗KLB抗体(ヒト及び/又はカニクイザルKLBに結合する抗体を含む)は、FGF21及び/又はFGF19のインビボでの作用を模倣し、FGF21様シグナル伝達及び/又はFGF19様シグナル伝達を誘導するユニークな特性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗体は、FGF21の天然生物学的機能に一致する活性を示す。このような特性により、抗KLB抗体は、FGF21及び/又はFGF19に関連する代謝疾患、例えば、2型糖尿病、肥満症、脂質異常症、NASH、心臓血管疾患、メタボリック症候群の治療への適用、並びにFGF19及び/又はFGF21のインビボでの作用を模倣又は増強する必要のある任意の疾患、病状又は病態の治療への適用が可能になる。
【0075】
「有効量」は、一般的に、症状の重症度及び/又は頻度の低減、これらの症状及び/又は潜在的な原因の排除、症状及び/又はその潜在的な原因の出現の予防、及び/又は疾患状態によるか若しくはそれに関連する損傷(例えば、肺疾患)の改良若しくは改善に十分な量である。幾つかの実施例において、有効量は、治療有効量又は予防有効量である。「治療有効量」は、疾患の状態若しくは症状、特に当該疾患の状態に関連する状態若しくは症状の治療、又は他の方式による当該疾患の状態若しくは当該疾患に関連する任意の他の望ましくない症状の進行の予防、阻害、遅延若しくは逆転に十分な量である。「予防有効量」は、対象に与えると、当該疾患状態の発症(又は再発)の予防若しくは遅延、又は当該疾患状態若しくは関連症状の発症(又は再発)可能性の低減などの所定の予防効果が付与される量である。完全治療又は予防効果は必ずしも1つの用量が与えられると生じるわけではなく、一連の用量が与えられた後に生じる可能性がある。従って、治療又は予防有効量は、1回又は複数回与える方式で投与することができる。「治療有効量」及び「予防有効量」は、例えば、個体の疾患状態、年齢、性別と体重、及び治療剤又は治療剤の組み合わせが個体において所望の応答を引き起こす能力のような様々な要因によって変化することができる。有効治療剤又は治療剤の組み合わせの例示的な指標は、例えば、患者の改善された健康状態を含む。
本開示の抗KLB抗体
【0076】
一態様において、本開示は、大量の実験によってKLBに特異的に結合する抗体を得た。幾つかの実施形態において、本開示の抗KLB抗体は、多くの有利な特性、例えば、高親和性で抗原に結合すること、ヒトとサルの交差反応活性、hKLB&hFGFR1c細胞に強い活性化活性を有するが、hFGFR1c組換え細胞に弱い活性化活性を有すること、hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c、及びhKLB&hFGFR4細胞に対して選択性を有すること、薬物動態特性及び/又は創薬可能性などを有する。
【0077】
幾つかの実施形態において、本開示は、KLBに特異的に結合する抗体を提供し、幾つかの実施形態において、上記抗体は、全長抗体又はその抗原結合断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、単鎖Fab(scFab)、二重抗体、線形抗体、単鎖抗体(scFv))であり、幾つかの実施形態において、それは、
A.上記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR1cを発現する細胞に活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体はhKLB&hFGFR1cを発現する細胞に高い活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現するCHOK1細胞への活性化倍数が10を超え、及び/又は上記抗KLB抗体は、HEK293T-hKLB&hFGFR1c細胞への活性化倍数が2を超え、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は、本開示の試験例4、5の方法により検出されること、
B.上記抗KLB抗体は、hFGFR1cを発現する組換え細胞(hFGFR1cのみで、hKLBを発現しない)への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、HEK293-hFGFR1c細胞への活性化倍数が1未満であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は本開示の試験例6の方法により検出されること、
C.上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及びhKLB&hFGFR4を発現する細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化活性が弱く、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2cとL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、L6-hKLB&hFGFR3c細胞への活性化倍数が5未満であり、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c細胞への活性化倍数が1.4未満であり、L6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が1.6未満であり、L6-hKLB&hFGFR3c細胞への活性化倍数が5未満であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数であり、幾つかの実施形態において、上記活性化倍数は本開示の試験例7の方法により検出されること、
D.上記抗KLB抗体はヒトKLBにもサルKLBにも結合することができ、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は2.0 E-9 M未満のEC50値でヒト及び/又はサルKLBに結合することができ、上記EC50値はフローサイトメトリー法により検出されること、及び
E.上記抗KLB抗体は高親和性でヒトKLBに結合することができ、幾つかの実施形態において、上記抗体は3.0 E-9 M未満のKD値でヒトKLBに結合することができ、上記KD値はBiacore方法により検出されること、
という特徴の1つ以上を有する。
【0078】
幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現する細胞に高い活性化活性を有し、hKLB&hFGFR2c、hKLB&hFGFR3c及びhKLB&hFGFR4を発現する細胞に弱い活性化活性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体は、hKLB&hFGFR1cを発現するCHOK1細胞への活性化倍数が10を超え、上記抗KLB抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c及び/又はL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化倍数が2未満であり、上記活性化倍数はブランク対照に対する抗体の活性化倍数である。
【0079】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、それは重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、そのうち、i)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列はそれぞれ配列番号40~48中の何れか1つの配列のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列と同じであり、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の配列はそれぞれ配列番号34中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列と同じであり、又は上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列はそれぞれ配列番号2中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と同じであり、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の配列はそれぞれ配列番号3中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列と同じであり、或いは
ii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列はそれぞれ配列番号49中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と同じであり、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の配列はそれぞれ配列番号56~68中の何れか1つの配列のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列と同じであり、又は上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列はそれぞれ配列番号4中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と同じであり、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の配列はそれぞれ配列番号5中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列と同じであり、或いは
iii)上記重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3の配列はそれぞれ配列番号18中のHCDR1、HCDR2及びHCDR3のアミノ酸配列と同じであり、且つ上記軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3の配列はそれぞれ配列番号19中のLCDR1、LCDR2及びLCDR3のアミノ酸配列と同じである。
【0080】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記CDRは、Kabat、IMGT、Chothia、AbM及びContactから選ばれる番号付け規則によって定義される。幾つかの実施形態において、
i)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6で示され、HCDR2が配列番号37、38、39又は7で示され、且つHCDR3が配列番号8で示され、及び
上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9で示され、LCDR2が配列番号10で示され、且つLCDR3が配列番号11で示され、又は
ii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12で示され、HCDR2が配列番号13で示され、且つHCDR3が配列番号14で示され、及び
上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号15、69、70、71、72、73若しくは74で示され、LCDR2が配列番号16若しくは75で示され、且つLCDR3が配列番号17で示され、又は
iii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号24で示され、HCDR2が配列番号25で示され、且つHCDR3が配列番号26で示され、及び
上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号27で示され、LCDR2が配列番号28で示され、且つLCDR3が配列番号29で示される。
【0081】
好ましくは、
i)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6で示され、HCDR2が配列番号37で示され、且つHCDR3が配列番号8で示され、及び
上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9で示され、LCDR2が配列番号10で示され、且つLCDR3が配列番号11で示され、又は
ii)上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12で示され、HCDR2が配列番号13で示され、且つHCDR3が配列番号14で示され、及び
上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号69で示され、LCDR2が配列番号75で示され、且つLCDR3が配列番号17で示される。
【0082】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGHV1-3*01/IGHJ6*01重鎖フレームワーク領域に1、24、44、71及び91番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれ、軽鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGKV1-39*01/IGKJ4*01軽鎖フレームワーク領域に2、4、36、38、43、44及び58番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。幾つかの実施形態において、上記抗KLB抗体であって、そのうち、上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号6のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号37、38、39若しくは7のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号9のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号10のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号11のアミノ酸配列を含み、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGHV1-3*01/IGHJ6*01重鎖フレームワーク領域に1E、24T、44G、71S及び91F(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異がさらに含まれ、及び/又は上記軽鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGKV1-39*01/IGKJ4*01軽鎖フレームワーク領域に2V、4I、36F、38E、43T、44N及び58I(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。
【0083】
幾つかの実施形態において、上記何れか1つに記載の抗KLB抗体であって、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGHV1-3*01/IGHJ6*01重鎖フレームワーク領域に1、24、48、67、69、71及び73番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸変異が含まれ、軽鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGKV6-21*02/JGKJ2*01又はIGKV3-20*02/JGKJ2*01軽鎖フレームワーク領域に2、45、47、49、58及び71番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。幾つかの実施形態において、上記の抗KLB抗体であって、そのうち、上記重鎖可変領域は、HCDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、HCDR2が配列番号13のアミノ酸配列を含み、且つHCDR3が配列番号14のアミノ酸配列を含み、及び上記軽鎖可変領域は、LCDR1が配列番号15、69、70、71、72、73若しくは74のアミノ酸配列を含み、LCDR2が配列番号16若しくは75のアミノ酸配列を含み、且つLCDR3が配列番号17のアミノ酸配列を含み、上記抗体の重鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGHV1-3*01/IGHJ6*01重鎖フレームワーク領域に1E、24G、48I、67A、69V、71V及び73K(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸変異が含まれ、及び/又は上記軽鎖可変領域のフレームワーク領域は、IGKV6-21*02/JGKJ2*01又はIGKV3-20*02/JGKJ2*01軽鎖フレームワーク領域に2N、45K、47W、49Y、58V及び71Y(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)から選ばれる1つ以上のアミノ酸復帰変異が含まれる。上記変異位点は、Kabat番号付け規則によって番号付けされ、例えば、「2N」は2番目(Kabat番号付け規則に応じて番号付けされる)の残基が「N」であることを示す。
抗KLB抗体変異体
【0084】
ある実施形態において、本明細書により提供される抗KLB抗体のアミノ酸配列変異体をカーバーする。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれる。抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することにより、又はペプチド合成により、抗体のアミノ酸配列変異体を調製することができる。このような修飾は、例えば、抗KLB抗体のアミノ酸配列における残基の削除、及び/又は挿入、及び/又は置換を含む。最終的な構築体が抗原結合特性などの所望の特性を有すれば、最終的な構築体は、削除、挿入及び置換の任意の組み合わせを行うことで得られる。
変異体の置換、挿入及び削除
【0085】
ある実施形態において、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗KLB抗体変異体を提供する。置換変異誘発の関心部位は、CDR及びFRを含む。保存的置換は表2において、「好ましい置換」という見出しの下に示されている。より実質的な変化は表2において、「例示的な置換」という見出しの下に提供され、且つ以下アミノ酸側鎖分類を参照してさらに記載される通りである。アミノ酸置換を関心抗体に導入し、生成物について、例えば、保持/改善された抗原結合、低下した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCなどの所望の活性をスクリーニングすることができる。
【0086】
【表2】
【0087】
一般的な側鎖の特性によって、アミノ酸は、以下のように群分けすることができる:
(1)疎水性のもの:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性、親水性のもの:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性のもの:Asp、Glu、
(4)塩基性のもの:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro、
(6)芳香族のもの:Trp、Tyr、Phe。
【0088】
非保存的置換には、これらの分類の1つにおけるメンバーで別の分類におけるメンバーを置き換える必要がある。
【0089】
1種類の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の1つ又は複数のCDR残基の置換に関わる。一般的に、さらなる研究のために選択して得られた変異体は、親抗体に対してある生物学的特性(例えば、向上した親和性、低下した免疫原性)に変化(例えば、改善)を有し、及び/又は親抗体のある生物学的特性を基本的に保持する。1つの例示的な置換変異体は親和性成熟抗体であり、例えば、ファージディスプレイに基づく親和性成熟技術(例えば、本明細書に記載されるような技術)により、上記抗体を容易に産生することができる。要するに、1つ又は複数のCDR残基を変異させ、変異抗体をファージ上にディスプレイし、それについて特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)をスクリーニングする。例えば抗体親和性を向上させるために、CDRに変化(例えば、置換)を加えることができる。CDR「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異されたコドンによってコードされた残基、及び/又は抗原に接触する残基に対して、このような変化を行うとともに、得られた変異体VH又はVLに対して結合親和性を試験することができる。親和性成熟の幾つかの実施形態において、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド特異的変異誘発)の何れかにより、多様性を成熟のために選択された可変遺伝子に導入する。次に、二次ライブラリーを作成する。さらに、所望の親和性を有する任意の抗体変異体を同定するために、ライブラリーをスクリーニングする。多様性を導入する別の方法は、数個のCDR残基(例えば、1回に4~6個の残基)をランダム化する、CDRを標的とする方法に関する。例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングにより、抗原結合に関わるCDR残基を同定することができる。特に、HCDR3及びLCDR3がよく標的とされる。
【0090】
ある実施形態において、このような変化が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、置換、挿入又は欠失は、1つ又は複数のCDRにおいて行われてもよい。例えば、CDRに対して、結合親和性を実質的に低下させない保存的変化(例えば、本明細書に提供されたような保存的置換)を行うことができる。このような変化は、例えば、CDRにおける抗原接触残基の外部にあってもよい。
【0091】
抗体における変異誘発の標的部位となり得る残基又は領域を同定するために使用できる方法は、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、1つの残基又は標的残基群(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluのような電荷を持つ残基)を同定し、且つ中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、Ala又はポリアラニン)で置換することで、当該抗体と抗原との相互作用が影響を受けたか否かを確認する。初期置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置に、さらなる置換を導入することができる。また、抗原-抗体複合物の結晶構造を調べることにより、抗体と抗原との接触点を同定することができる。これらの接触残基及び隣接残基は、置換候補として標的化又は除去されてもよい。所望の特性が含まれるか否かを確認するために変異体をスクリーニングしてもよい。
【0092】
アミノ酸配列挿入は、長さの範囲が1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドのアミノ基及び/又はカルボキシ末端融合と、単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入とを含む。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN又はC末端と、酵素又は抗体の血清半減期を延長するポリペプチドとの融合体を含む。
Fc領域の改変
【0093】
一態様において、本開示の抗KLB抗体のFc領域は1つ又は複数のアミノ酸置換を含み、上記1つ又は複数のアミノ酸置換は、そのFc受容体への結合、例えば、そのFcγ受容体への結合を低減し、且つエフェクター機能を低減又は除去する。天然のIgG Fc領域は、具体的にIgG Fc領域又はIgG Fc領域であり、本開示に係る抗KLB抗体が、抗原を発現した細胞ではなく、Fc受容体を発現した細胞を標的とするようにする可能性がある。本開示に係る改変したFc領域は、Fc受容体への低減された結合親和性及び/又は低減されたエフェクター機能を示す。幾つかの実施形態において、改変したFc領域は天然Fc領域に比べて、Fc受容体への結合親和性が50%、80%、90%又は95%以上低減される。幾つかの実施形態において、上記Fc受容体はFcγ受容体である。幾つかの実施形態において、上記Fc受容体はヒトFcγ受容体、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIB、FcγRIIIaである。幾つかの実施形態において、改変したFc領域は天然Fc領域に比べて、C1qなどの補体への結合親和性も低減される。幾つかの実施形態において、改変したFc領域は天然Fc領域に比べて、新生児Fc受容体(FcRn)への結合親和性が低減されていない。幾つかの実施例において、改変したFc領域は、低減されたエフェクター機能を有し、上記低減されたエフェクター機能は、低減された補体依存性細胞傷害性(CDC)、低減された抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、低減された抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)、減少されたサイトカインの分泌、減少された免疫複合体媒介性の抗原提示細胞の抗原摂取、減少されたNK細胞との結合、減少されたマクロファージ細胞との結合、減少された単球との結合、減少された多形核細胞との結合、減少された直接シグナル伝達誘導性の細胞アポトーシス、低減された樹状細胞の成熟又は減少されたT細胞による誘発のうちの1つ又は複数を含んでもよいが、これらに限定されない。IgG Fc領域について、238、265、269、270、297、327及び329などの位置でのアミノ酸残基置換により、エフェクター機能を低減することができる。幾つかの実施形態において、上記Fc領域はヒトIgG Fc領域であり、且つ234と235位置でのアミノ酸残基はAであり、番号がEUインデックスに従って付けられる。IgG Fc領域について、228などの位置でのアミノ酸残基置換により、エフェクター機能を低減することができる。
【0094】
抗KLB抗体は、ジスルフィド結合改変、例えば、第1のサブユニットの354C及び第2のサブユニットの349Cをさらに含んでもよい。
【0095】
抗KLB抗体は、Fc領域の2つのサブユニットに融合する異なる抗原結合モジュールを含めるので、望ましくないホモ二量化を引き起こす可能性がある。収率と純度を向上させるために、本開示に係る抗KLB抗体のFc領域にヘテロ二量化を促進する修飾を導入することは有利である。幾つかの実施形態において、本開示のFc領域は、ノブ・イン・ホール(knob-into-hole、KIH)技術による改変を含み、当該方法は、一方のサブユニットの界面にノブ構造(knob)を導入し、且つ他方のサブユニットの界面にホール構造(hole)を導入することに関する。これにより、上記ノブ構造をホール構造に位置決めし、ヘテロ二量体の形成を促進してホモ二量体の産生を阻害することができる。ノブ構造は、比較的大きい側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)で一方のサブユニットの界面からの小さいアミノ酸側鎖を置換することにより構築される。一方、ホール構造は、比較的小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)で大きいアミノ酸側鎖を置換することにより他方のサブユニットの界面において構築される。ノブ構造及びホール構造は、ポリペプチドをコードする核酸を変更することにより調製され、選択可能なアミノ酸置換は、下記の表3に示す通りである。
【0096】
【表3】
【0097】
ノブ・イン・ホール技術を除き、ヘテロ二量化が実現されるように多重特異性抗体の重鎖のCH3ドメインを修飾するための他の技術も、この分野で知られているものであり、例えば、WO96/27011、WO98/050431、EP1870459、WO2007/110205、WO007/147901、WO2009/089004、WO2010/129304、WO2011/90754、WO2011/143545、WO2012/058768、WO2013/157954及びWO013/096291である。
【0098】
Fc領域のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であってもよく、短縮されたC末端であってもよく、例えば、上記短縮されたC末端には、1つ又は2つのC末端アミノ酸残基が既に除去されている。一好ましい態様において、重鎖のC末端は、PGで終わる短縮されたC末端である。従って、幾つかの実施形態において、完全抗体の組成物は、あらゆるK447残基及び/又はG446+K447残基を除去した抗体群を含んでもよい。幾つかの実施形態において、完全抗体の組成物は、K447残基及び/又はG446+K447残基を除去していない抗体群を含んでもよい。幾つかの実施形態において、完全抗体の組成物は、K447残基及び/又はG446+K447残基を持つ、及び持たない抗体混合物の抗体群を有する。
組換え法
【0099】
抗KLB抗体(例えば、抗体)は、組換え法により産生することができる。これらの方法に対して、抗KLB抗体をコードする1つ以上の単離した核酸を提供する。
【0100】
一実施形態において、本開示は、上記のような抗KLB抗体をコードする単離した核酸を提供する。このような核酸は、それぞれ独立的に上記何れか1つのポリペプチド鎖をコードすることができる。別の態様において、本開示は、このような核酸を含む1種又は複数種のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。別の態様において、本開示は、このような核酸を含む宿主細胞を提供する。一実施形態において、抗KLB抗体を調製する方法を提供し、そのうち、上記方法は、上記に提供されるように、発現に適する条件で、上記抗KLB抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することと、任意選択的に宿主細胞(又は宿主細胞培地)から上記抗KLB抗体を回収することとを含む。
【0101】
組換えて抗KLB抗体を産生するために、タンパク質をコードする核酸を単離して1つ以上のベクターに挿入し、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/又は発現に用いる。このような核酸は、通常の手順で容易に単離とシークエンシングすることができ、或いは組換え法により産生され、又は化学合成により得られる。
【0102】
抗KLB抗体をコードするベクターをクローニング又は発現するための適切な宿主細胞は、本明細書に記載される原核又は真核細胞を含む。例えば、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が不要な場合に、細菌において産生することができる。発現した後、可溶性画分において細菌細胞のペースト状物から単離することができ、且つさらに精製することができる。
【0103】
原核生物の他に、糸状菌や酵母などの真核微生物も、抗KLB抗体をコードするためのベクターに好適なクローン又は発現宿主であり、真菌と酵母菌株を含む。抗KLB抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物体(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来してもよく、無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫細胞を含む。多くのバキュロウイルス株が既に同定されており、それらは、昆虫細胞と併用され、特にツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに用いられてもよく、また、例えばUS5959177、US6040498、US6420548、US7125978及びUS6417429のように、植物細胞培養物を宿主として利用してもよく、脊椎動物細胞、例えば、懸濁液における成長に適する哺乳動物細胞株を宿主として利用してもよい。好適な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CVl株(COS-7)、ヒト胎児腎臓株(293又は293T細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ(sertoli)細胞(TM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット(buffalo rat)肝細胞(BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、TRI細胞、MRC5細胞及びFS4細胞である。他の好適な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、及びY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体の産生に適する幾つかの哺乳動物宿主細胞株についての概説は、例えば、Yazaki,P.及びWu,A.M.,Methods in Molecular Biology,Vol.248,Lo,B.K.C.(編集),Humana Press,Totowa,NJ(2004),255~268ページを参照する。
検出及び診断
【0104】
本明細書に提供される抗KLB抗体は、この分野で既知の種々の測定法により、その物理的/化学的特徴及び/又は生物学的活性を同定、スクリーニング又は特徴付けることができる。一態様において、ELISA、ウェスタンブロッティングなどの既知の方法により、本開示に係る抗KLB抗体の活性を試験する。
【0105】
ある実施形態において、本開示により提供される抗KLB抗体は、生物学的試料におけるKLBの存在を検出するために使用可能である。本明細書に使用する場合、「検出」という用語は、定量的又は定性的検出をカバーする。ある実施形態において、生物学的試料は、細胞又は腫瘍組織などの組織を含む。
【0106】
一実施形態において、診断又は検出方法に使用される抗KLB抗体を提供する。一態様において、生物学的試料におけるKLBの存在を検出する方法を提供する。ある実施形態において、当該方法は、適切な条件で生物学的試料を抗KLB抗体と接触させ、且つ検出試薬と抗原との間で複合物が形成されたか否かを検出することを含む。このような方法は、インビトロ方法又はインビボ方法であってもよい。一実施形態において、抗KLB抗体を使用して治療に適する対象を選択し、例えば、KLBは、対象を選択するためのバイオマーカーである。
【0107】
本開示の抗KLB抗体により診断可能な例示的な疾患は、例えば、糖尿病、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、高血圧、血栓塞栓性疾患又は脂質異常症であり、特に非アルコール性脂肪性肝炎、糖尿病である。
【0108】
ある実施形態において、標識された抗KLB抗体を提供する。標識は、直接的に検出された標識又はモジュール(例えば、蛍光、発色、高電子密度、化学発光と放射性標識)、及び間接的に検出されたモジュール(例えば、酵素反応又は分子相互作用により間接的に検出されたモジュール、例えば、酵素又はリガンド)を含むが、これらに限定されない。
治療方法及び投与経路
【0109】
本明細書に提供される任意の抗KLB抗体(例えば、抗体)も、治療方法に使用することができる。別の態様において、本開示は、薬剤の製造又は調製における抗KLB抗体の使用を提供する。幾つかの実施形態において、上記疾患は、KLBに関連する疾患又は病状である。幾つかの実施形態において、上記疾患は、糖尿病、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、高血圧、血栓塞栓性疾患又は脂質異常症から選ばれ、特に非アルコール性脂肪性肝炎、糖尿病である。このような実施形態の1つにおいて、上記使用は、対象に有効量の少なくとも1種の別の治療剤(例えば、1種、2種、3種、4種、5種又は6種の別の治療剤)を投与することをさらに含む。任意の上記実施形態による「対象」は、ヒトであってもよい。幾つかの実施形態において、本開示の抗KLB抗体(ヒト及び/又はカニクイザルKLBに結合する抗体を含む)は、FGF21及び/又はFGF19のインビボでの作用を模倣し、FGF21様シグナル伝達及び/又はFGF19様シグナル伝達を誘導するユニークな特性を有し、幾つかの実施形態において、上記抗体は、FGF21の天然生物学的機能に一致する活性を示す。このような特性により、本開示の抗KLB抗体は、FGF21及び/又はFGF19に関連する代謝疾患、例えば、2型糖尿病、肥満症、脂質異常症、NASH、心臓血管疾患、メタボリック症候群の治療、並びにFGF19及び/又はFGF21のインビボでの作用を模倣又は増強する必要のある任意の疾患、病状又は病態の治療への適用が可能になる。
【0110】
さらなる態様において、例えば、上記任意の製薬的使用又は治療方法に使用される、上記抗KLB抗体の医薬組成物を提供する。一実施形態において、医薬組成物は、本明細書に提供される任意の抗KLB抗体と、薬学的に許容されるベクターとを含む。別の実施形態において、医薬組成物は、少なくとも1種の別の治療剤をさらに含む。
【0111】
本開示の抗KLB抗体は、治療のために、単独で使用したり、他の試薬と併用したりすることができる。例えば、本開示に係る抗体は、少なくとも1種の別の治療剤とともに投与することができる。
【0112】
本開示に係る抗KLB抗体(及び任意の別の治療剤)は、非経口投与、肺内投与及び鼻内投与を含む任意の適切な手段により投与されてもよく、且つ局所治療が必要な場合、病巣内に投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内又は皮下投与を含む。投与は、任意の適切な経路により、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射により行うことができ、これは部分的に、投与が短期間か長期間かによって決められる。本明細書では、様々な投与スケジュールが考慮されており、単回投与又は複数の時点での複数回投与、ボーラス投与及びパルス注入を含むが、これらに限定されない。
【0113】
本開示の抗KLB抗体は、良好な医療行為に適合するように調製、投薬及び投与される。この背景で考えられる要因は、治療される具体的な病状、治療される具体的な哺乳動物、個体患者の臨床状況、病状の起因、試薬の送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医療従事者に知られている他の要因を含む。抗KLB抗体は、現在上記病状の予防又は治療に用いられる1種又は複数種の試薬とともに調製したりしなかったりすることができる。このような他の試薬の有効量は、医薬組成物に存在する量、病状又は治療の種類及び他の要因によって決められる。これらは、一般的に、本明細書の記載と同じ用量及び投与経路で使用され、又は本明細書に記載される用量の約1%~99%で使用され、又は別の用量で使用され、且つ経験的/臨床的に適切と決定された任意の経路で使用される。
【0114】
疾患を予防又は治療するために、本開示に係る抗KLB抗体(単独で使用されるか又は1種若しくは複数種の別の治療剤と併用される場合)の好適な用量は、治療すべき疾患の種類、治療分子の種類、疾患の重症度及び疾患の経過、投与が予防のためか治療のためか、過去の治療、患者の臨床病歴及び治療分子に対する応答、及び主治医の判断によって決められる。治療分子は、適当に1回又は一連の治療で患者に投与される。例えば、毎日の用量は、約1 μg/kg~100 mg/kgであり得るが、これは具体的に、上述した要因によって決定される。
製品
【0115】
本開示の別の態様において、上記病状の治療、予防及び/又は診断に適用可能な材料を含む製品を提供する。当該製品は、容器と、容器上若しくは容器と組み合わせたラベル又は添付文書(package insert)とを含む。好適な容器は、例えば、瓶、バイアル、注射器、IV溶液バッグなどを含む。容器は、例えば、ガラスやプラスチックのような種々の材料から形成されてもよい。容器には、単独で又は別の組成物と組み合わせて疾患を効果的に治療、予防及び/又は診断する組成物が入っているとともに、滅菌した出入り口があってもよい(例えば、容器は、皮下注射針が刺し通せるプラグを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい)。組成物の中の少なくとも1種の活性試薬は、本開示の抗KLB抗体である。ラベル又は添付文書は、当該組成物が、選択された病態を治療するために使用されることを示す。また、製品は、(a)本開示に係る抗KLB抗体を含む組成物が収容された第1の容器と、(b)別の細胞傷害剤又はその他の治療剤を含む組成物が収容された第2の容器とを含んでもよい。本開示の当該実施形態における製品は、添付文書をさらに含んでもよく、上記添付文書は、上記組成物が特定の病態の治療に適用可能なことを示す。選択的に、又はさらに、製品は、薬学的に許容される緩衝液を含む第2(又は第3)の容器をさらに含んでもよい。ビジネス及びユーザーの観点から、それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、注射針及び注射器を含む必要な他の材料をさらに含んでもよい。
実施例及び試験例
【0116】
以下、実施例及び試験例に合わせて本開示をさらに説明するが、これらの実施例及び試験例は、本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例及び試験例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に、例えば冷泉港の抗体技術実験マニュアル、分子クローニングマニュアルなどの通常の条件、又は原料や商品のメーカーにより推薦された条件に従う。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販される通常の試薬である。
実施例1. 組換え細胞株の構築
【0117】
ヒトKLB&FGFR1cを発現する複合物(ヒトKLBの配列はUniprot ID:Q86Z14を参照し、ヒトFGFR1cの配列はUniprot ID:P11362を参照する)、カニクイザルKLB&FGFR1c複合物(カニクイザルKLBの配列はGenebank ID:EHH53620.1を参照し、カニクイザルFGFR1cの配列は配列番号1を参照する)、マウスKLB&FGFR1c複合物(マウスKLBの配列はUniprot Q99N32を参照し、マウスFGFR1cの配列はUniprot ID:P16092を参照する)、及びヒトFGFR1cを単独で発現する細胞株を構築した。
【0118】
方法:ヒトKLB、サルKLB、マウスKLB、ヒトFGFR1c、サルFGFR1c及びマウスFGFR1cの全長遺伝子をそれぞれレンチウィルス発現ベクターpCDH(System bioscience、01. SBI. CD514B-1)にクローニングし、ここで、KLBのウィルス発現ベクターとFGFR1cのウィルス発現ベクターは異なる耐性遺伝子を有し、それぞれ異なる種属のKLBとFGFR1cウィルスをパッケージングし、pVSV-G、pCMV-dR8.91、pCDH-KLB又はpCDH-FGFR1cという3つのプラスミドをともに用いてHEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268)にコトランスフェクションしてウィルスをパッケージングした。複合物過剰発現細胞株の構築のために、KLB及びFGFR1c遺伝子を含むパッケージング済みのウイルスを一定の割合でCHOK1細胞(ATCC、CCL-61)又はHEK293細胞(ATCC、CRL-1573)株に感染した。ヒトFGFR1c過剰発現細胞株の構築のために、FGFR1c遺伝子を含むウイルスのみをCHOK1又はHEK293細胞株に感染した。48時間感染後にウイルスを含む培養上清を除去し、対応する抗生物質を加えて5日間加圧スクリーニングした後、流動選別によりKLB&FGFR1c複合物又はFGFR1cを高発現するCHOK1又はHEK293モノクローナル細胞を得た。最後に、CHOK1-hKLB&hFGFR1c、CHOK1-mKLB&mFGFR1c、CHOK1-hFGFR1c、CHOK1-hKLB、HEK293-hKLB、HEK293T-hKLB&hFGFR1cなどの組換え細胞を得た。
【0119】
カニクイザルFGFR1cのアミノ酸配列:
MWSWKCLLFWAVLVTATLCTARPSPTLPEQDALPSSEDDDDDDDSSSEEKETDNTKPNRMPVAPYWTSPEKMEKKLHAVPAAKTVKFKCPSSGTPNPTLRWLKNGKEFKPDHRIGGYKVRYATWSIIMDSVVPSDKGNYTCIVENEYGSINHTYQLDVVERSPHRPILQAGLPANKTVALGSNVEFMCKVYSDPQPHIQWLKHIEVNGSKIGPDNLPYVQILKTAGVNTTDKEMEVLHLRNVSFEDAGEYTCLAGNSIGLSHHSAWLTVLEALEERPAVMTSPLYLEIIIYCTGAFLISCMVGSVIVYKMKSGTKKSDFHSQMAVHKLAKSIPLRRQVTVSADSSASMNSGVLLVRPSRLSSSGTPMLAGVSEYELPEDPRWELPRDRLVLGKPLGEGCFGQVVLAEAIGLDKDKPNRVTKVAVKMLKSDATEKDLSDLISEMEMMKMIGKHKNIINLLGACTQDGPLYVIVEYASKGNLREYLQARRPPGLEYCYNPSHNPEEQLSSKDLVSCAYQVARGMEYLASKKCIHRDLAARNVLVTEDNVMKIADFGLARDIHHIDYYKKTTNGRLPVKWMAPEALFDRIYTHQSDVWSFGVLLWEIFTLGGSPYPGVPVEELFKLLKEGHRMDKPSNCTNELYMMMRDCWHAVPSQRPTFKQLVEDLDRIVALTSNQEYLDLSMPLDQYSPSFPDTRSSTCSSGEDSVFSHEPLPEEPCLPRHPAQLANGGLKRR
配列番号1
注記:上記配列においては、順にシグナルペプチド(一重下線部分)+細胞外領域部分(下線なし部分)+膜貫通領域部分(二重下線部分)細胞質領域部分(点線部分)である
ヒトFGF21のアミノ酸配列:
HHHHHHHPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGNKSPHRDPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGPSQGRSPSYAS
配列番号76
ヒトFGF19のアミノ酸配列:
HHHHHHLAFSDAGPHVHYGWGDPIRLRHLYTSGPHGLSSCFLRIRADGVVDCARGQSAHSLLEIKAVALRTVAIKGVHSVRYLCMGADGKMQGLLQYSEEDCAFEEEIRPDGYNVYRSEKHRLPVSLSSAKQRQLYKNRGFLPLSHFLPMLPMVPEEPEDLRGHLESDMFSSPLETDSMDPFGLVTGLEAVRSPSFEK
配列番号77
実施例2. 抗ヒトβ-klotho(KLB)ハイブリドーマモノクローナル抗体の調製
【0120】
1. マウスの免疫及びハイブリドーマの融合
本開示の実施例1で構築されたヒトKLB&FGFR1c複合物を発現した組換え細胞株CHOK1-hKLB&hFGFR1c及びマウスKLB&FGFR1c複合物を過剰発現した組換え細胞株CHOK1-mKLB&mFGFR1cをSJL又はBalb/Cマウスに混合又は交差免疫し、腹腔内注射により、力価が所望の値に達するまで複数回連続的に免疫した後、血清中抗体価の高いマウスを脾細胞融合のために選択し、CHOK1-hKLB&hFGFR1c組換え細胞株に特異的に結合するが、ヒトFGFR1c組換え細胞株CHOK1-hFGFR1cに結合しないクローンをスクリーニングした。活性の良いハイブリドーマ細胞株であるmAb-99及びmAb-18をスクリーニングにより得て、それらの配列を増幅し、対数増殖期のハイブリドーマ細胞を収集し、Trizol(Invitrogen、Cat No. 15596-018)を用いて試薬キットの取扱説明書での手順に従ってRNAを抽出し、PrimeScript(登録商標)逆転写試薬キット(Takara、Cat No. 2680A)を用いて逆転写した。逆転写して得たcDNAをマウスIg-Primer Set(Novagen、TB326 Rev.B 0503)によりPCR増幅した後、シークエンシング会社に送ってシークエンシングしてもらったところ、ハイブリドーマクローンマウス抗体mAb-99、mAb-18の可変領域の配列は、以下の通りである:
>mAb-99重鎖可変領域のアミノ酸配列
EVQLQQSGAELVRPGSSVKMSCKTSGYTFTNYGINWVKQRPRQGLEWIGYIYIGNGDIEYNAKFKGKATLTSDTSSSTAYMQLSSLTSEDSAIYFCARGRGLGHFDVWGTGTTVTVSS
配列番号2
>mAb-99軽鎖可変領域のアミノ酸配列
DVQITQSPSYLAASPGETITINCRASKSISKFLAWFQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGSGTDFTLTISGLEPEDFAMYYCQQHNEYPWTFGGGTKLEIK
配列番号3
>mAb-18重鎖可変領域のアミノ酸配列
QVQLQQSGPELVRPGVSVKISCKGSGYTFTDYAMHWVKQTHAKSLEWIGVISTYSGTTNYNQNFKGKATVTVDKSSSTAYMELARLTSEDSAIYYCARSGPLDYWGQGTSLTVSS
配列番号4
>mAb-18軽鎖可変領域のアミノ酸配列
ENVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRASSSVSSSYLHWYQQKSGASPKLWIYSTSNLASGVPERFSGSGSGTSYSLTISSVEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGSGTKLEIK
配列番号5
マウス抗体mAb-99及びmAb-18のCDR配列は、表4に示されている:
【0121】
【表4】
【0122】
備考:表中、CDRのアミノ酸残基は、Kabat番号付けシステムによって決定されて注釈されている。
【0123】
2. ヒト天然ファージライブラリースクリーニング
ヒトPBMC、脾臓、リンパ節組織を利用してB細胞を単離し、RNAを抽出して、天然単鎖ファージ抗体ライブラリーを構築した。構築した天然単鎖ファージ抗体ライブラリーをパッケージングしてファージ粒子を形成した後、ヒトKLBを過剰発現した組換え細胞株によりパニングし、CHOK1-hKLB(実施例1参照)とHEK293T-hKLB(実施例1参照)の組換え細胞を用いてクロスパニングした。パニングを3回行うことで、モノクローナルコロニーを選択してファージの単鎖抗体になるようにパッケージングし、ELISAでファージのヒトKLBタンパク質に対する結合活性を試験した。陽性クローンを選択し、その軽重鎖可変領域をそれぞれ抗体の重/軽鎖定常領域(重鎖定常領域は配列番号22で示され、軽鎖定常領域は配列番号23で示される)と融合して、IgG形態の抗体を構築した。抗体のCHOK1-hKLB&FGFR1c、CHOK1-cynoKLB&FGFR1c及びCHOK1-hFGFR1cに対する結合活性を検出し、最後にスクリーニングして良好な生物学的活性を有する完全ヒト抗体hAb-23を得て、具体的な配列は以下の通りである:
>hAb-23重鎖可変領域のアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARELVSYYYGMDVWGQGTMVTVSS
配列番号18
>hAb-23軽鎖可変領域のアミノ酸配列
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIK
配列番号19
>hAb-23重鎖のアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARELVSYYYGMDVWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号20
>hAb-23軽鎖のアミノ酸配列
DIVMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYDASNLETGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDNLPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号21
>ヒトIgG1重鎖定常領域(L234A、L235A変異を含む)のアミノ酸配列
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号22
>ヒトκ軽鎖定常領域のアミノ酸配列
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号23
ヒト抗体hAb-23のCDRは、表5に示されている:
【0124】
【表5】
【0125】
備考:表中、抗体CDRのアミノ酸残基は、Kabat番号付けシステムによって決定されて注釈されている。
実施例3. 抗ヒトKLBマウス抗体のヒト化
【0126】
ヒト抗体重軽鎖可変領域生殖細胞系遺伝子データベースとのアラインメント及びMOEソフトウェアにより、相同性の高い重軽鎖可変領域生殖細胞系遺伝子をそれぞれテンプレートとして選択し、マウス抗体のCDRを対応するヒトテンプレートにそれぞれグラフト(graft)して、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という順の可変領域配列を形成し、そして可変領域配列をヒト定常領域配列と融合し、ヒト化抗体を得た。以下、mAb-99及びmAb-18マウス抗体のヒト化を例示的に記載する:
1. mAb-99のヒト化
mAb-99抗体のヒト化重鎖のテンプレートとしては、IGHV1-3*01/IGHJ6*01を選択し、即ち、ヒト生殖細胞系重鎖IGHV1-3*01のFR1、FR2、FR3及びIGHJ6*01のJH6領域(FR4として)をヒト化抗体重鎖フレームワーク領域として選択し、軽鎖のテンプレートとしては、IGKV1-39*01/IGKJ4*01を選択し、即ち、ヒト生殖細胞系軽鎖IGKV1-39*01のFR1、FR2、FR3及びIGKJ4*01のJK4領域(FR4として)をヒト化抗体軽鎖フレームワーク領域として選択した。まず、マウス抗体mAb-99のCDR領域を選択されたヒト化テンプレートに移植し、ヒトテンプレートのCDR領域を置換してmAb-99のヒト化抗体の可変領域配列を得た。その後、ヒト化抗体の重鎖可変領域における1、24、44、71及び/又は91番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)のアミノ酸残基に復帰変異を行い、軽鎖可変領域における2、4、36、38、43、44及び/又は58番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)のアミノ酸残基に復帰変異を行い、ヒト化抗体の重/軽鎖可変領域を得て、具体的な配列は以下の通りである:
>hAb99VH1のアミノ酸配列(Graft+Q1E、R71S)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQRLEWMGYIYIGNGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号30
>hAb99VH2のアミノ酸配列(Graft+Q1E、R44G、R71S)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号31
>hAb99VH3のアミノ酸配列(Graft+Q1E、A24T、R44G、R71S、Y91F)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKTSGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号32
>hAb99VL1のアミノ酸配列(Graft+P44N)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSISKFLAWYQQKPGKANKLLIYSGSTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEYPWTFGGGTKVEIK
配列番号33
>hAb99VL2のアミノ酸配列(Graft+Y36F、A43T、P44N)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSISKFLAWFQQKPGKTNKLLIYSGSTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEYPWTFGGGTKVEIK
配列番号34
>hAb99VL3のアミノ酸配列(Graft+I2V、M4I、Y36F、A43T、P44N)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSISKFLAWFQQKPGKTNKLLIYSGSTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEYPWTFGGGTKVEIK
配列番号35
>hAb99VL4のアミノ酸配列(Graft+I2V、M4I、Y36F、Q38E、A43T、P44N、V58I)
DVQITQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSISKFLAWFQEKPGKTNKLLIYSGSTLQSGIPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEYPWTFGGGTKVEIK
配列番号36
【0127】
さらに、抗体重鎖可変領域のHCDR2(YIYIGNGDIEYNAKFKG)の6及び7番目のアミノ酸残基にNGからNV、NL又はQGへの変異を行い、新たなヒト化抗体の可変領域配列を得て、具体的に以下の通りである:
>hAb99VH1-NVのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQRLEWMGYIYIGNVDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号40
>hAb99VH2-NVのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNVDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号41
>hAb99VH3-NVのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKTSGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNVDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号42
>hAb99VH1-NLのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQRLEWMGYIYIGNLDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号43
>hAb99VH2-NLのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNLDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号44
>hAb99VH3-NLのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKTSGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGNLDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号45
>hAb99VH1-QGのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQRLEWMGYIYIGQGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号46
>hAb99VH2-QGのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGQGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号47
>hAb99VH3-QGのアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKTSGYTFTNYGINWVRQAPGQGLEWMGYIYIGQGDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYFCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSS
配列番号48
hAb99重鎖可変領域のHCDR2変異配列は、下記の表6に示す通りである:
【0128】
【表6】
【0129】
上記重鎖可変領域を重鎖定常領域(配列番号22で示される)と融合し、軽鎖可変領域を軽鎖定常領域(配列番号23で示される)と融合して、抗KLB抗体を構築し、得られた抗体のCHOK1-hKLBに対する結合活性を検出し(実験の方法は本開示の試験例2を参照する)、実験の結果を表7に示す。
【0130】
【表7】
【0131】
備考:mAb99-hIgG1は、重鎖定常領域が配列番号22で示され、軽鎖定常領域が配列番号23で示されるmAb99のキメラ抗体である。
【0132】
例示的に、hAb99-13抗体の軽鎖、重鎖配列は以下の通りである:
>hAb99-13抗体の重鎖のアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGINWVRQAPGQRLEWMGYIYIGNVDIEYNAKFKGRVTITSDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGRGLGHFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号78
>hAb99-13抗体の軽鎖のアミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSISKFLAWFQQKPGKTNKLLIYSGSTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQHNEYPWTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号79
【0133】
2. mAb-18のヒト化
mAb-18抗体ヒト化重鎖のテンプレートは、IGHV1-3*01/IGHJ6*01であり、即ち、ヒト生殖細胞系重鎖IGHV1-3*01のFR1、FR2、FR3及びIGHJ6*01のJH6領域(FR4)をヒト化抗体重鎖フレームワーク領域として選択し、軽鎖テンプレートはIGKV6-21*02/JGKJ2*01又はIGKV3-20*02/JGKJ2*01であり、即ち、ヒト生殖細胞系軽鎖IGKV6-21*02又はIGKV3-20*02のFR1、FR2、FR3及びJGKJ2*01のJK2領域(FR4として)をヒト化抗体軽鎖フレームワーク領域として選択した。まず、マウス抗体mAb-18のCDR領域を選択されたヒト化テンプレートに移植し、ヒトテンプレートのCDR領域を置換してmAb-18のヒト化抗体の可変領域配列を得た。さらに、ヒト化抗体の重鎖可変領域における24、48、67、69、71及び/又は73番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)のアミノ酸残基に復帰変異を行い、また1番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)のアミノ酸残基に変異を行ってもよく、軽鎖可変領域の2、45、47、49、58及び/又は71番目(Kabat番号付けシステムによって番号付けされる)のアミノ酸残基に復帰変異を行い、ヒト化抗体の可変領域配列を得て、具体的な配列は以下の通りである:
>hAb18VH1のアミノ酸配列(Graft+Q1E、R71V、T73K)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGVISTYSGTTNYNQNFKGRVTITVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSGPLDYWGQGTTVTVSS
配列番号49
>hAb18VH2のアミノ酸配列(Graft+Q1E、A24G、I69V、R71V、T73K)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKGSGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGVISTYSGTTNYNQNFKGRVTVTVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSGPLDYWGQGTTVTVSS
配列番号50
>hAb18VH3のアミノ酸配列(Graft+Q1E、A24G、M48I、V67A、I69V、R71V、T73K)
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKGSGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWIGVISTYSGTTNYNQNFKGRATVTVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSGPLDYWGQGTTVTVSS
配列番号51
>hAb18VL1のアミノ酸配列(Graft(IGKV6-21*02/JGKJ2*01)+L47W、K49Y)
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号52
>hAb18VL2のアミノ酸配列(Graft(IGKV6-21*02/JGKJ2*01)+I2N、L47W、K49Y、F71Y)
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号53
>hAb18VL3のアミノ酸配列(Graft(IGKV3-20*02/JGKJ2*01)+R45K、L47W、I58V)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSSSYLHWYQQKPGQAPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号54
>hAb18VL4のアミノ酸配列(Graft(IGKV3-20*02/JGKJ2*01)+I2N、R45K、L47W、I58V、F71Y)
ENVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSSVSSSYLHWYQQKPGQAPKLWIYSTSNLASGVPARFSGSGSGTDYTLTISRLEPEDFAVYQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号55
【0134】
さらに、hAb18VL2軽鎖可変領域のLCDR1(RASSSVSSSYLH(配列番号15))の2、3、5、6、7、8番目のアミノ酸残基及びLCDR2(STSNLAS(配列番号16))の4番目のアミノ酸残基を変異させて、新たなヒト化抗体の軽鎖可変領域配列を得て、具体的な配列は以下の通りである:
>hAb18VL2-1のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号56
>hAb18VL2-2のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRATSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号57
>hAb18VL2-3のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRVSSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号58
>hAb18VL2-4のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVSTSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号59
>hAb18VL2-5のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVTSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号60
>hAb18VL2-6のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSLSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号61
>hAb18VL2-7のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSNVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号62
>hAb18VL2-8のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRATSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号63
>hAb18VL2-9のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRVSSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号64
>hAb18VL2-10のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVSTSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号65
>hAb18VL2-11のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSVTSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号66
>hAb18VL2-12のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSSLSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号67
>hAb18VL2-13のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRASSNVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSNLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIK
配列番号68
hAb18VL2軽鎖可変領域変異配列のCDRは、下記の表8に示す通りである:
【0135】
【表8】
【0136】
上記重鎖可変領域を重鎖定常領域(配列番号22で示される)と融合し、軽鎖可変領域を軽鎖定常領域(配列番号23で示される)と融合して、抗KLB抗体を構築し、得られた抗体のCHOK1-hKLBに対する結合活性を検出し(実験の方法は本開示の試験例2を参照する)、実験の結果を表9に示す:
【0137】
【表9】
【0138】
備考:mAb18-hIgG1は、重鎖定常領域が配列番号22で示され、軽鎖定常領域が配列番号23で示されるmAb18のキメラ抗体である。
【0139】
例示的に、hAb18-8抗体の軽・重鎖配列は以下の通りである:
>hAb18-8抗体の重鎖のアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTDYAMHWVRQAPGQRLEWMGVISTYSGTTNYNQNFKGRVTITVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSGPLDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号80
>hAb18-8抗体の軽鎖のアミノ酸配列
ENVLTQSPDFQSVTPKEKVTITCRATSSVSSSYLHWYQQKPDQSPKLWIYSTSQLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTINSLEAEDAATYYCQQYSGYPLTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号81
【0140】
実施例4. 抗体の調製
1. 抗体の分子クローン
設計された抗体配列を、コドン最適化した後、ヒトコドンバイアスのコード遺伝子配列を産生し、プライマーPCRを設計して各抗体VH/VK遺伝子断片を構築し、さらに発現ベクターpHr(シグナルペプチド及び定常領域遺伝子(CH1-FC/CL)断片)と相同組換えを行い、抗体全長発現プラスミドVH-CH1-FC-pHr/VK-CL-pHrを構築した。
【0141】
2. 抗体の発現及び精製
抗体重軽鎖を発現したプラスミドをそれぞれ1:1.5の割合でHEK293E細胞にトランスフェクションし、6日後に発現上清を収集し、高速遠心分離により不純物を除去し、Protein Aカラムで精製した。A280読取値が基線に低減されるまで、PBSでカラムを濯いだ。100 mMの酢酸pH3.0で目的タンパク質を溶離し、1 MのTris-HCl pH8.0で中和した。溶離試料を適当に濃縮した後、PBSで平衡されたゲルクロマトグラフィーSuperdex200(GE)によりさらに精製することで、量体を除去し、単体ピークを収集し、分注して使用に備えた。
【0142】
以下、生化学的試験方法により本開示の抗体の技術的効果を検証する
試験例1. Biacoreによる抗hKLB抗体の親和性検出実験
Protein Aバイオセンサーチップ(Cat. #29127556、GE)で抗体を親和的に捕捉した後、チップ表面で一定濃度のhKLB(R&D、製品番号:5889-KB)を流し、Biacore T200機器により反応シグナルをリアルタイムで検出して結合と解離曲線を得た。各試験サイクルの解離が完了した後、Glycine1.5(Cat. #BR-1003-54、GE)によりバイオセンサーチップを洗浄して再生した。1:1モデルを用いてデータをフィッティングし、抗体親和性データを取得し、具体的な実験の結果を下記の表10に示す。
【0143】
【表10】
【0144】
実験の結果から明らかなように、本開示の抗体は、ヒトKLBに対して良好な結合機能を有する。
【0145】
試験例2. フローサイトメトリーによる抗体の細胞膜表面KLBに対する結合検出実験
フローサイトメトリー法により、ヒトKLBとサルKLBを過剰発現したCHOK1細胞株CHOK1-hKLB、CHOK1-cynoKLB(具体的な調製は実施例1を参照する)に対する抗体の結合能力を検出した。具体的に、上記細胞を10%FBSのIMDMの培地に培養し、37℃、5%COのインキュベーターに置き、2日間培養し、1×10細胞/ウェルで細胞を細胞プレートに加え、300 gで5分間遠心分離し、1%のBSAで1回洗浄した。勾配希釈した抗体を加え、100 μL/ウェルで細胞プレートに加え、4℃で1時間インキュベートし、1%のBSAで1回洗浄し、各ウェルに100 μLのAPC-ヒツジ抗ヒトIgG Fc蛍光二次抗体希釈液(1:400)を加え、4℃で1時間インキュベートした。1%のBSAでプレートを3回洗浄し、各ウェルに100 μLのPBSを加えてプレートを読み取った。実験の結果は、下記の表11に示す通りである。
【0146】
【表11】
【0147】
実験の結果から示されるように、本開示の抗体hAb99-13、hAb18-8及びhAb-23は、何れも強い結合能力で細胞膜表面のヒトKLB及びサルKLBに結合することができる。
【0148】
試験例3. KLBに対する抗体とFGF19/FGF21の競合的結合実験
Bio-FGF21/Bio-FGF19(FGF21は配列番号76で示され、FGF19は配列番号77で示され、それぞれBiotin Labeling Kit-NH2(DOJINDO Molecular technologies Inc.から購入、LK03)によりFGF21とFGF19をBiotinで標識することで得られた)を2 μg/mLの濃度でSAセンサー(80秒間インキュベート)に固定化した後、センサーを、KLB(R&D、5889-KB-1 mg)を含むか又はKLB+抗体予備混合物(予め少なくとも15分間インキュベートしておいた)を含む試料ウェルに移し、180秒間結合させた。ForteBio OCTET HTX機器により反応シグナルをリアルタイムで検出し、結合曲線を得た。実験の結果は、下記の表12に示す通りである。
【0149】
【表12】
【0150】
備考:単独KLBタンパク質のBio-FGF21又はBio-FGF19への結合シグナルを100%と定義した
実験の結果から明らかなように、本開示のhAb99-13、hAb18-8及びhAb-23は、何れもKLBに対してFGF21又はFGF19と競合的に結合しない。
【0151】
試験例4. 組換え細胞株CHOK1-hKLB&hFGFR1cに対する抗体のアゴニスト活性検出実験
以下、インビトロ細胞実験により被験抗体の組換え細胞株CHOK1-hKLB&hFGFR1c(実施例1参照)への活性化作用を測定し、GAL4結合要素(GAL4 binding element)により調節されるLuciferaseレポーター遺伝子及びGAL4-Elk1融合タンパク質遺伝子を組換え細胞株に一過性導入し、その活性化活性をEC50値で示す。実験の方法は、以下の通りである:
実験初日に、10%のFBS、10 μg/mLのpuromycin及び800 μg/mLのG418を含むDME/F12培地を用いて、CHOK1-hKLB&hFGFR1c細胞を15,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Corning、#3903)に接種し、1ウェルあたり100 μLの細胞懸濁液であり、96ウェルプレートの外周に100 μLのPBSのみを加えた。37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて一晩培養した。翌日、培地を捨て、各ウェルに50 μLの飢餓培地(FBSフリーのDME/F12)を加えた。Lipofectamine 3000によりpFA2-Elk1及びpFR-Lucを1:6の割合で細胞にトランスフェクションし、各ウェルにプラスミドとLipofectamine 3000の混合物10 μLを加えた。トランスフェクションした後、ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベーターに24時間置いた。3日目に、各ウェルに、飢餓培地で勾配希釈した測定待ちの抗体60 μLを加え、抗体の最終濃度が200 nMから4倍勾配希釈した9つの濃度ポイントとされ、飢餓培地をブランク対照ウェルとして設定し、ウェルプレートを37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて24時間培養した。4日目に、96ウェル細胞培養プレートを取り出し、各ウェルにOne-glo Luciferase Assay System(シグナル活性化蛍光アッセイ試薬、Promega、E6120)55 μLを加え、多機能マイクロプレートリーダー(EnVision2015、PerkinElmer)により発光シグナル値を読み取った。GraphPad Prismにより、抗体の対数濃度及びシグナル値からカーブフィッティングを行い、EC50値を算出した。活性化倍数=試料の最大シグナル値/ブランク対照のシグナル値であり、抗体の最高濃度で、抗体のKLB&FGFR1c受容体への活性化程度については、活性化倍数が大きいほど、活性化程度が大きくなることが示される。実験においてMK3655(WO2015112886A2中の抗KLB抗体h5H23を参照)を対照として加え、実験の結果は、下記の表13に示す通りである。
【0152】
【表13】
【0153】
実験の結果から示されるように、本開示の抗体は、CHOK1-hKLB&hFGFR1c細胞に対して明らかな活性化活性を有するとともに、活性化程度が対照分子よりも強い。
【0154】
試験例5. ヒトKLB及びヒトFGFR1cを発現するHEK293Tに対する抗体のアゴニスト活性検出実験
以下、インビトロ細胞実験により、ヒトKLBとヒトFGFR1cを一過性発現したHEK293T細胞HEK293T-hKLB&hFGFR1c(実施例1参照)に対する被験抗体の活性化作用を測定し、ヒトKLB、ヒトFGFR1c及びリン酸化Elkにより調節されるLuciferaseレポーター遺伝子を細胞株に一過性導入し、その活性化活性をEC50値で示す。具体的な方法は、以下の通りである:
実験初日に、10%のFBSを含むDMEM/HIGH GLUCOSE培地を用いて、HEK293T細胞を40000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Corning BioCoat、#356692)に接種し、1ウェルあたり100 μLの細胞懸濁液であり、96ウェルプレートの外周に100 μLのPBSのみを加えた。ウェルプレートを37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて一晩培養した。翌日、元の培地を捨て、各ウェルに50 μLの飢餓培地(FBSフリーのDMEM/HIGH GLUCOSE)を加えた。Lipofectamine 3000により、SRE-Luc2P(Promega、E1340)、hKLB(配列がUniprot ID:Q86Z14を参照)及びhFGFR1c(配列がUniprot ID:P11362を参照)を30:9:1の割合で細胞にトランスフェクションした。各ウェルにプラスミドとLipofectamine 3000の混合物10 μLを加えた。トランスフェクションした後、ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベーターに24時間置いた。3日目に、各ウェルに、飢餓培地で勾配希釈した測定待ちの抗体60 μLを加え、抗体の最終濃度が200 nMから4倍勾配希釈した9つの濃度ポイントとされ、飢餓培地をブランク対照ウェルとして設定し、ウェルプレートを37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて24時間培養した。4日目に、96ウェル細胞培養プレートを取り出し、各ウェルにOne-glo Luciferase Assay System(Promega、E6120)60 μLを加え、多機能マイクロプレートリーダー(EnVision2015、PerkinElmer)により発光シグナル値を読み取った。GraphPad Prismにより、抗体の対数濃度及びシグナル値からカーブフィッティングを行い、EC50値を算出した。活性化倍数=試料の最大シグナル値/ブランク対照のシグナル値であり、抗体の最高濃度で、抗体のKLB&FGFR1c受容体への活性化程度については、活性化倍数が大きいほど、活性化程度が大きくなることが示される。実験の結果は、表14に示されている。
【0155】
【表14】
【0156】
実験の結果から示されるように、本開示の抗体は、HEK293T-hKLB&hFGFR1cに対して明らかなアゴニスト活性を有するとともに、対照分子よりも強い。
【0157】
試験例6. 抗体の組換え細胞株HEK293-hFGFR1cへの活性化作用検出実験
抗体のヒトKLBとヒトFGFR1c安定細胞株への活性化がヒトKLBに依存することを検証するために、本試験例は、ヒトFGFR1c(配列がUniprot ID:P11362を参照)を安定的に発現したHEK293(ATCC、CRL-1573)細胞HEK293-hFGFR1cに対する被験抗体の活性化作用を測定した。具体的な方法は、以下の通りである:
実験初日に、10%のFBSを含むDMEM/HIGH GLUCOSE培地を用いて、HEK293-hFGFR1c細胞を25000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Corning、#3903)に接種し、1ウェルあたり100 μLの細胞懸濁液であり、96ウェルプレートの外周に100 μLのPBSのみを加えた。ウェルプレートを37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて一晩培養した。翌日、Lipofectamine 3000によりSRE-Luc2Pを細胞にトランスフェクションし、各ウェルにプラスミドとLipofectamine 3000の混合物10 μLを加えた。トランスフェクションした後、ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベーターに24時間置いた。3日目に、各ウェルに、播種培地で勾配希釈した測定待ちの抗体10 μLを加え、抗体の最終濃度が200 nMから4倍勾配希釈した9つ目の濃度ポイントとされ、播種培地をブランク対照ウェルとして設定し、ウェルプレートを37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて16時間培養した。4日目に、96ウェル細胞培養プレートを取り出し、各ウェルにOne-glo Luciferase Assay System(シグナル活性化蛍光アッセイ試薬、Promega、E6120)60 μLを加え、多機能マイクロプレートリーダー(EnVision2015、PerkinElmer)により発光シグナル値を読み取った。測定待ちの抗体のシグナル値とブランク対照の読取値との比率は、抗体のFGFR1cへの活性化活性を示し、活性化倍数=試料の最大シグナル値/ブランク対照のシグナル値であり、試料の最高濃度で、抗体のHEK293-hFGFR1cへの活性化程度については、活性化倍数が大きいほど、活性化程度が大きくなることが示される。実験においてFGF2(Sino Biological、10014-HNAE)を対照として加えた。実験の結果は、表15に示されている。
【0158】
【表15】
【0159】
実験の結果から明らかなように、本開示の抗体は、HEK293-hFGFR1cに対して活性化活性が弱いので、本開示の抗体のヒトKLB及びヒトFGFR1c安定細胞株に対する活性化はヒトKLBに依存することが示される。
【0160】
試験例7. 抗体によるFGFR2c/FGFR3c/FGFR4を発現したL6/hKLB細胞のERKリン酸化レベルの測定
以下、インビトロ細胞実験により、ヒトFGFR2c、FGFR3c又はFGFR4を発現したL6/hKLB細胞株のERKリン酸化レベルの向上に対する被験抗体の作用を測定することにより、抗体のFGFR2c、FGFR3c又はFGFR4に対する選択性を測定した。具体的な方法は、以下の通りである:
まず、レンチウィルス感染法により、ヒトKLB(配列がUniprot ID:Q86Z14を参照)を安定的に発現するL6-hKLBモノクローナル細胞株(L6細胞がATCC、CRL-1458に由来)を構築した後、レンチウィルス感染法により、ヒトFGFR2c(human FGF receptor 2c)、ヒトFGFR3c(human FGF receptor 3c)及びヒトFGFR4(human FGF receptor 4)を安定的に発現するL6-hKLB&hFGFR2c、L6-hKLB&hFGFR3c及びL6-hKLB&hFGFR4細胞をそれぞれ構築した。実験初日に、10%のFBS(Gibco、10099-141C)を含むDMEM/HIGH GLUCOSE培地(GE、SH30243.01)を用いて、L6-hKLB&hFGFR2c、L6-hKLB&hFGFR3c及びL6-hKLB&hFGFR4細胞をそれぞれ25000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに接種し、各ウェルに100 μLの細胞懸濁液を加え、37℃、5%COの細胞インキュベーターに置いて一晩培養した。翌日、ウェルプレートにおける完全培地を廃棄し、0.1%のFatty-free BSA(Sangon Biotech、A602448)を含むDMEM/HIGH GLUCOSE培地90 μLを各ウェルに加え、37℃、5%COのインキュベーターに置いて1時間インキュベートした。各ウェルに、PBSで勾配希釈した測定待ちの抗体10 μLを加え、抗体の最終濃度が50又は500 nMから4倍勾配希釈した9つの濃度ポイントとされ、抗体を含まないブランク対照細胞ウェルを設定し、ウェルプレートを37℃、5%COのインキュベーターに置いて15分間インキュベートした。Advanced ERK phospho-T202/Y204 kit(Cisbio、64AERPEH)及びERK total Kit(Cisbio、64NRKPEH)を利用し、取扱説明書の操作手順に従って細胞溶解液におけるpERKとtotal ERKのレベルを検出した。PHERAstar多機能プレートリーダー(BMG Labtech)により、337 nmの波長で励起し、665 nmと620 nmの波長で発光した蛍光値を読み取った。比率=シグナル値665nm/シグナル値620nmという式によって化合物の各濃度に対応するpERKのtotal ERKに対する比率をそれぞれ算出した。抗体の最高濃度でのpERK/total ERKの比率をブランク対照ウェルの比率で割ることで、S/N値、即ち、活性化倍数を算出し、活性化倍数が大きいほど、活性化程度が大きくなることが示される。本開示の抗体のERKリン酸化レベルに対する活性化活性は上記分析から得られ、実験においてAKR001(WO2010129503A1中の配列番号47のFGF21類似体を参照)を対照として加えた。実験の結果は、下記の表16に示す通りである:
【0161】
【表16】
【0162】
実験の結果から示されるように、本開示の抗体は、L6-hKLB&hFGFR2c、L6-hKLB&hFGFR3c及びL6-hKLB&hFGFR4細胞への活性化作用が対照分子AKR001よりも弱い。
【0163】
試験例8. 抗体のインビボ薬効実験
本実験は、アカゲザル種から自発された非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルを選択し、MRIイメージング技術と肝生検技術により、抗体による肝臓における脂肪含有量、NAS(NAFLD Activity Score)スコア、体重、BMI(Body Mass Index)、腹囲及び糖・脂質代謝への影響を評価した。
【0164】
実験の方法:NASHアカゲザルを35日間馴化飼育し、その間にアカゲザルの糖・脂質代謝指標を検定し、超音波ガイド下の肝生検病理検査を行い、MRI(GE、3T)により肝内脂肪含有量を定量的に分析し、肝内脂肪含有量指標が安定したアカゲザルをスクリーニングして、hAb99-13群(13 mg/kg)、hAb18-8群(13 mg/kg)及びプラセボ群(溶媒対照群、10 mMの氷酢酸、9%のスクロース、pH5.2)という3群に等分した。各群には、静脈内注射で2週間ごとに1回、合計5回投与した。投与後に、MRI(GE、3T)により肝内脂肪含有量を定量的に分析し、GE超音波ガイド下で肝生検を行い、投与前後のアカゲザルの座高及び腹囲を調べ、アカゲザルの糖・脂質代謝、肝機能指標及び体重を定期的に検出し、その平均値を算出した。実験の結果は表17-1~表17-10に示されており、ここで、
肝内脂肪含有量についての実験結果は表17-1に示され、実験の結果から示されるように、プラセボ群は投与前及び投与後60日目(D60)に、ROI(Region of interest)パーセンテージに明らかな変化が認められいが、hAb99-13群は投与後60日目に、ROI%値が投与前(D0)の8.4%から6.6%へと明らかに低減されている(P<0.05)。
【0165】
【表17】
【0166】
注:表中、変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のROI(%)であり、現在値は検出待ちの時点(D60)でのROI(%)である
肝組織生検の病理学的分析の結果は表17-2に示され、実験の結果から示されるように、プラセボ群は、投与前後の肝組織の病理学的結果に明らかな改善が認められいが、hAb99-13投与群は、投与前と比較して、投与後の65日目に平均NASスコアが3.7から2.7に低減され、脂肪変化スコアも明らかに低下している。
【0167】
【表18】
【0168】
注:D0は投与前の測定値であり、D65は初回投与後の65日目の測定値である。
【0169】
抗体の膵島機能への影響についての実験結果は、表17-3及び表17-4に示されている。実験の結果から示されるように、各実験群のAUCIns0~30 minは何れも低減され、hAb99-13及びhAb18-8は50%を超える程度低減され、hAb99-13群及びhAb18-8群は投与後に、HOMA-IR(インスリン抵抗性レベルの評価に用いられ、インスリン抵抗性レベルの上昇につれて上昇する恒常性モデル評価-インスリン抵抗性指数)が比較的大幅に低減されている。
【0170】
【表19】
【0171】
備考:変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のAUCIns0~30 min(U*min/L)であり、現在値は検出待ちの時点(D65)でのAUCIns0~30 min(U*min/L)である
【0172】
【表20】
【0173】
備考:HOMA-IR変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のHOMA-IRであり、現在値は投与後の検出待ちの時点でのHOMA-IRである。
【0174】
抗体によるNASHアカゲザルの空腹時血糖(FPG)及び空腹時インスリン(FPI)への影響についての実験結果は、表17-5及び表17-6に示されている。実験の結果から示されるように、プラセボ群は、投与前後に動物のFPG及びFPIに明らかな変化が認められないが、抗体投与群は、FPGとFPIが両方とも明らかに低減されている。
【0175】
【表21】
【0176】
備考:D0は投与前、D7は初回投与後の7日目であり、FPG変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のFPG値であり、現在値は投与後の検出待ちの時点でのFPG値である。
【0177】
【表22】
【0178】
備考:D0は投与前、D7は初回投与後の7日目であり、変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のFPI値であり、現在値は投与後の検出待ちの時点でのFPI値である。
【0179】
抗体によるNASHアカゲザルTGへの影響についての実験結果は、表17-7に示されている。実験の結果から示されるように、プラセボ群はTGに明らかな変化が認められないが、hAb99-13投与群はTGが若干低下している。
【0180】
【表23】
【0181】
備考:D0は投与前、D7は初回投与後の7日目であり、変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のTG値であり、現在値は投与後の検出待ちの時点でのTG値である。
【0182】
抗体によるNASHアカゲザルのアディポネクチン(Adiponectin)への影響についての実験結果は表17-8に示され、実験の結果から示されるように、プラセボ群は、動物のアディポネクチンが減少する傾向があり、本開示の抗体投与群は、アディポネクチンが若干上昇している。
【0183】
【表24】
【0184】
備考:D0は投与前、D7は初回投与後の7日目であり、変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前のAdiponectin値であり、現在値は投与後の検出待ちの時点でのAdiponectin値である。
【0185】
抗体によるアカゲザルの腹囲及びBMIへの影響についての実験結果は、表17-9及び表17-10に示されている。実験の結果から明らかなように、プラセボ群は、動物の腹囲及びBMIに明らかな変化が認められないが、本開示の抗体投与群は、腹囲及びBMIが両方とも明らかに低減されている。
【0186】
【表25】
【0187】
備考:変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前の検出値であり、現在値は投与後の検出待ちの時点(D60)での検出値である。
【0188】
【表26】
【0189】
備考:BMI=体重/座高、変化率=(現在値-ベースライン値)/ベースライン値*100%であり、ここで、ベースライン値は投与前の検出値であり、現在値は投与後の検出待ち時点(D60)の検出値である。
【0190】
明らかに理解されるように、図面と実例によって上記発明を詳しく説明したが、説明と実例は、本開示を制限する範囲として解釈すべきではない。本明細書に引用された全ての特許と科学文献の開示内容は、引用により完全且つ明らかに組み込まれている。
【配列表】
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【国際調査報告】