(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】対象物、好ましくは1つまたは複数の自動車本体部品をコーティングするための塗布方法
(51)【国際特許分類】
B05D 1/02 20060101AFI20240912BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240912BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240912BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240912BHJP
B05D 1/04 20060101ALI20240912BHJP
B05D 1/34 20060101ALI20240912BHJP
B05D 7/14 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
B05D1/02 D
B05C11/10
B05C5/00 101
B05B12/00 A
B05D1/04 B
B05D1/34
B05D7/14 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517569
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2022075680
(87)【国際公開番号】W WO2023041666
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021124196.0
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、ハンス-ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーア、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァリー、ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ブベック、モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ベイル、ティモ
(72)【発明者】
【氏名】タンドラー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ハラー、ペーター
【テーマコード(参考)】
4D075
4F035
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AA37
4D075AA85
4D075CA48
4D075DA23
4D075DC11
4F035AA03
4F035BA11
4F035BA22
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4F041AA07
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA34
4F041BA42
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA15
4F042BA16
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB27
(57)【要約】
本発明は、対象物(10)、好ましくは1つ以上の自動車車体部品の異なる、好ましくは異なる急峻な部分領域(T1、T2、T3)を、塗布器(1)でコーティングする塗布方法であって、塗布器(1)は、第1の塗布剤(A)と第2の塗布剤(B)の混合物(AB)を部分領域(T1、T2、T3)に塗布し、混合物(AB)の混合比は、部分領域(T1、T2、T3)のコーティング工程中に、および/または部分領域(T1、T2、T3)の異なる傾斜に応じて変化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(10)、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品の、異なる、好ましくは異なる急峻な部分領域(T1、T2、T3)をコーティングするための塗布方法であって、
第1の塗布剤(A)と第2の塗布剤(B)との混合物(AB)を、部分領域(T1、T2、T3)に塗布する塗布器(1)であって、前記混合物(AB)の混合比が、前記部分領域(T1、T2、T3)のコーティング工程中に、および/または前記部分領域(T1、T2、T3)の異なる傾斜に応じて変更される前記塗布器(1)により実行される、
塗布方法。
【請求項2】
前記部分領域(T1、T2、T3)の傾斜の違いに応じて前記混合比を変更し、傾斜の小さい部分領域(T1)では、傾斜の大きい部分領域(T2、T3)よりも低い粘度の混合比である、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記部分領域(T1、T2、T3)は、少なくとも1つの実質的に水平な部分領域および/または少なくとも1つの実質的に垂直な部分領域からなる、
請求項1または2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記部分領域(T1、T2、T3)は、少なくとも1つの傾斜した部分領域と、異なる傾斜を有する少なくとも1つの湾曲した部分領域とからなる、
請求項1から3の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記部分領域(T1、T2、T3)は、
傾斜の異なる傾斜した部分領域、および/または
傾斜の異なる湾曲した部分領域からなる
請求項1から4の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項6】
前記部分領域(T1、T2、T3)は、第1の部分領域(T1)と、少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)とからなり、前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、前記第1の部分領域(T1)よりも大きな傾斜からなる、
請求項1から5の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項7】
前記第1の塗布剤(A)は前記第2の塗布剤(B)よりも低い粘度からなる、
請求項1から6の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項8】
第1の混合比を有する混合物(AB)および/または前記第1の塗布剤(A)のみが前記第1の部分領域(T1)に塗布され、
第2の混合比を有する混合物(AB)および/または前記第2の塗布剤(B)のみが、前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)に塗布され、
前記第1の混合比および/または前記第1の塗布剤(A)は、前記第2の混合比および/または前記第2の塗布剤(B)よりも低い粘度からなる、
請求項6または7に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記部分領域(T1、T2、T3)および/または第1の部分領域(T1)および少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、自動車車体ルーフの一部、自動車車体フードの一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、自動車車体フェンダの一部、または自動車車体ドアの一部である、
請求項1から8の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項10】
前記第1の部分領域(T1)は、自動車車体ルーフの一部および/または自動車車体フードの一部であり、
前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体フェンダの一部および/または自動車車体のドアの一部である、
請求項6から9の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項11】
前記部分領域(T1、T2、T3)は、前記混合物(AB)で部分的にコーティングされ、前記第1の塗布剤(A)のみで部分的にコーティングされ、および/または前記第2の塗布剤(B)のみで部分的にコーティングされる、
請求項1から10の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項12】
前記混合比は、
突然変更され、および/または
無段階または連続的に変更され、および/または
一度、あるいは数回変更される、
請求項1から11の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項13】
前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)は、前記対象物(10)上の1つまたは複数の予め定義された目標位置に、前倒しの時間で供給されることで、
前記第1の塗布剤(A)から前記第2の塗布剤(B)への変更、またはその逆の変更、および/または
前記混合比の変化が起きる、
請求項1から12の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項14】
前記前倒しの時間は、
前記第1の塗装剤(A)および/または前記第2の塗装剤(B)の経路距離、および/または
前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)の流速または体積流量、および/または
前記対象物(10)の移動速度、および/または
前記塗布器(1)の移動速度、
の少なくとも1つにより計算された、または計算される、
請求項13に記載の塗布方法。
【請求項15】
制御装置は前記前倒しの時間を計算し、または前記前倒しの時間が前記制御装置に記憶され、好ましくは前記制御装置が前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)の供給を制御する、
請求項13または14に記載の塗布方法。
【請求項16】
前記第1の塗布剤(A)および前記第2の塗布剤(B)がミキサ(2)に供給され、前記ミキサ(2)によって混合される、
請求項1から15の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項17】
前記ミキサ(2)は、前記塗布器(1)に一体化されているか、または前記塗布器(1)の外部に配置されている、
請求項16に記載の塗布方法。
【請求項18】
前記第1の塗布剤(A)は、混合多成分コーティング剤であり、その成分(A1、A2)は前記第1の塗布剤(A)に割り当てられたプレミキサ(5)で混合され、および/または
前記第2の塗布剤(B)は、混合多成分コーティング剤であり、その成分(B1、B2)は前記第2の塗布剤(B)に割り当てられたプレミキサ(6)で混合される、
請求項1から17の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項19】
前記第1の塗布剤(A)に割り当てられた前記プレミキサ(5)および/または前記第2の塗布剤(B)に割り当てられた前記プレミキサ(6)が、前記ミキサ(2)の前の上流側に配置されている、
請求項18に記載の塗布方法。
【請求項20】
前記第1の塗布剤(A)は、第1の供給ラインを介して前記ミキサ(2)に供給され、
前記第2の塗布剤(B)は、第2の供給ラインを介して前記ミキサ(2)に供給される、
請求項16から19の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項21】
前記第1の供給ラインは、前記第1の塗布剤(A)を交換することができる塗布剤交換器(3)を備え、および/または
前記第2の供給ラインは、前記第2の塗布剤(B)を交換することができる塗布剤交換器(4)を備える、
請求項20に記載の塗布方法。
【請求項22】
前記第1の供給ラインは、前記第1の塗布剤(A)を供給するための供給装置からなるか、または多成分コーティング剤の成分(A1、A2)を供給するための少なくとも2つの供給装置からなる、および/または
前記第2の供給ラインは、前記第2の塗布剤(B)を供給するための供給装置からなるか、または多成分コーティング剤の成分(B1、B2)を供給するための少なくとも2つの供給装置からなる、
請求項20または21に記載の塗布方法。
【請求項23】
第1の塗布剤(A)、第2の塗布剤(B)および混合物(AB)が、ミキサ(2)から共通の供給ラインを介して塗布器(1)に供給される、
請求項16から22の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項24】
前記混合物(AB)の混合比が、前記部分領域(T1、T2、T3)のコーティング工程中、すなわち塗布器(1)による塗布中または塗布器(1)による塗布の中断中に変更される、
請求項1から23の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項25】
前記塗布器(1)または前記対象物(10)がマニピュレータ(20)によって移動され、前記混合物(AB)の混合比が少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラムからのコマンドに応じて変更される、
請求項1から24の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項26】
前記塗布器(1)は、
噴霧器、または
特に前記対象物(10)のオーバースプレーなしまたは霧化なしのコーティングのための、複数の塗布剤開口部を有するプリントヘッド、または
好ましくは前記塗布器(1)と前記対象物(10)との間で液滴に分解するか、または連続塗布剤ジェットとして前記対象物(10)に衝突する連続塗布剤ジェットを出力する塗布器、または
塗布剤の液滴ジェットを出力する塗布器である、
請求項1から25の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項27】
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は、異なる粘度からなり、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は塗料であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は光沢塗料であり、前記第2の塗布剤(B)はつや消し塗料であり、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、無色、透明または透明に着色され、前記第2の塗布剤(B)は、非透明または不透明な塗布剤であるか、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、無色であり、前記第2の塗布剤(B)は、透明に着色された塗布剤(B)であるか、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、ベースコーティング剤であり、前記第2の塗布剤は、改良された添加剤組成物を有する塗布剤であるか、またはその逆であり、これらは好ましくはベースコーティング剤の特性を変えるために混合され、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は、同一または異なる色からなり、好ましくは不透明顔料であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は互いに反応し、その反応により前記混合物(AB)の混合比に応じて異なる塗膜特性が得られ、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は互いに反応し、その反応により前記混合物(AB)の混合比に依存する非相溶性の結果として、異なる顕著なコーティング表面をもたらす、
請求項1から26の何れか1項に記載の塗布方法。
【請求項28】
対象物(10)、例えば1つまたは複数の自動車車体部品の、異なる、好ましくは異なる急峻な部分領域(T1、T2、T3)をコーティングするための塗布装置、好ましくは請求項1から27の何れか1項に記載の塗布方法を実行するための塗布装置であって、
第1の塗布剤(A)と第2の塗布剤(B)との混合物(AB)を前記部分領域(T1、T2、T3)に塗布するように構成された塗布器(1)と、
制御プログラムを含む制御装置であって、前記制御プログラムが実行されると、請求項1から27の何れか1項に記載の塗布方法を実行する制御装置と、を備える、
塗布装置。
【請求項29】
前記塗布器(1)または前記対象物(10)を移動させるためのマニピュレータ(20)を備え、
前記混合物(AB)の混合比が少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラムからのコマンドに応じて変更される、
請求項28に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の塗布剤(例えば水平塗布剤、特に水平塗料)と第2の塗布剤(例えば垂直塗布剤、特に垂直塗料)との混合物を対象物、特に部分領域に塗布する塗布装置を用いて、対象物、例えば1つまたは複数の自動車車体部品の異なる部分領域、好ましくは異なる急峻な部分領域をコーティングする塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、塗布剤を霧化させることなく、特にオーバースプレーを発生させることなく、自動車車体部品上の対象領域に塗布することが技術的に可能な塗布装置が知られている。この目的のために、例えば塗料、接着剤、シーラント、前処理剤などの特殊な塗布剤を使用することができる。塗布剤は霧化されずに塗布されるので、塗布剤層の組成は、まだ塗布されていない塗布剤の組成に対応する。塗布剤の流動特性に応じて、対象領域の向きに適合した塗布剤レシピの塗布剤バリエーションを製造する必要がある場合がある。例えば、対象物上に、主に水平方向の領域と主に垂直方向の領域がコーティングされる場合、当技術分野では、特に、粘度が異なる2つの異なる塗布剤がこのために使用される。自動化された塗装工場では、通常、いわゆるカラー交換機によって塗布剤の変更が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物の領域、特に自動車車体部品(ルーフ、ドア、側壁など)は、正確に水平や垂直を向いていることはほとんどない。
【0005】
それでも、通常は、水平領域用に最適化された比較的粘度の低い塗布剤(以下、「水平用塗布剤」という)と、垂直領域用に最適化された比較的粘度の高い塗布剤(以下、「垂直用塗布剤」という)を使用することで、垂直領域で塗布剤が流れないようにしている。しかしながら、粘度が高いほど塗布剤の流れが悪くなる。例えば、水平面に対して45°傾斜した領域でのコーティング結果は、視覚的に(特に流動特性について)絶対に必要以上に悪くなる。水平用塗布剤は例えば45°の傾斜には適さず、従って垂直用塗布剤を使用しなければならないが、この垂直用塗布剤も45°の傾斜には最適ではない。欠点は、例えば、垂直用塗布剤の粘度が高いため、塗布結果が悪くなること、特に、塗布剤の流動性が悪くなることである。また、例えば、水平用塗布剤から垂直用塗布剤への、またはその逆の塗布剤変更が、時間と材料の損失を伴うことも欠点である。さらに、自動車本体のようなコーティング対象物には、傾斜の異なる部分領域が2つ以上存在する。例えば、ルーフは主に水平とみなされ、ドアは主に垂直とみなされ、Aピラーは通常、例えば約35°傾斜している。場合によっては、エンジンフードのような自動車車体部品は、わずかに傾斜した部分領域(例えば最大20°)と、ほぼ垂直に配向した部分領域の両方を有する。複数の部分領域および/または対象物が1つの塗装ブースでコーティングされる場合、前述の場合に理想的に必要とされる、2つ以上の異なる塗布剤の使用は、通常、経済的ではない。場合によっては、異なる車体形状を有する異なる車両モデルも1つのコーティングブースでコーティングされる。異なる車種では、コーティングする部分の傾斜が異なる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、対象物、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品、の異なる部分領域、好ましくは異なる急峻な部分領域をコーティングするための改良されたおよび/または代替の塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項の特徴によって解決することができる。有利な更なる展開は、従属請求項に開示されているか、または本発明の好ましい実施形態の以下の説明から得られる。
【0008】
本発明は、対象物、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品(例えば、自動車車体ルーフ、自動車車体フード(例えば、トランクおよび/またはエンジンフード)、自動車車体側壁、自動車車体フェンダ、自動車車体ドア、自動車車体ルーフストラットおよび/または自動車車体ピラー(例えば、A、B、Cおよび/またはDピラー))の異なる部分領域、好ましくは異なる急峻な部分領域を(例えば部分的にまたは完全に)コーティングするための塗布方法に関する。
【0009】
塗布方法の文脈において、第1の塗布剤と第2の塗布剤との混合物(例えばミキサで混合されたもの)を部分領域に塗布する塗布器が提供される。
【0010】
混合物の混合比が、例えば部分領域の異なる傾斜に応じて、有利に変更されることが可能である。代替的または付加的に、混合物の混合比が、例えば、部分領域のコーティング工程中に有利に変更されることが可能である。
【0011】
第1の塗布剤と第2の塗布剤は、好ましくは異なる粘度からなる。
【0012】
第1の塗布剤は、好ましくは、実質的に水平方向の部分領域への塗布に最適化された塗布剤とすることができる。
【0013】
第2の塗布剤は、好ましくは、実質的に垂直方向の部分領域への塗布に最適化された塗布剤とすることができる。
【0014】
本発明の文脈において、混合比は、特に、部分領域の異なる傾斜に応じて、および/または部分領域のコーティング工程中に変更されることが可能であり、好ましくは、混合比は、実質的に異なる傾斜の部分領域に適合され、特に最適化され得るようにされる。
【0015】
混合比は、例えば、部分領域の異なる勾配に応じて、例えば、勾配の大きい部分領域よりも勾配の小さい部分領域の方が低い粘度を構成するように、変更することができる。
【0016】
部分領域は、例えば、少なくとも1つの実質的に水平な部分領域および/または少なくとも1つの実質的に垂直な部分領域から構成されることができる。
【0017】
しかしながら、部分領域が、少なくとも1つの傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域と、少なくとも1つの異なる傾斜を有する(例えば一軸方向または多軸方向に)湾曲した部分領域とからなることも可能である。
【0018】
部分領域は、例えば、異なる傾斜を有する異なる傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域、および/または異なる傾斜を有し(例えば一軸方向または多軸方向に)湾曲した部分領域から構成されることもできる。
【0019】
部分領域は、好ましくは、第1の部分領域、例えば少なくとも1つの実質的に水平な部分領域、少なくとも1つのわずかに(便宜上一軸または多軸に)湾曲した部分領域、および/または少なくとも1つのわずかに傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域等から構成され得る。
【0020】
部分領域は、好ましくは、少なくとも1つの更なる部分領域、例えば、少なくとも1つの実質的に垂直な部分領域、少なくとも1つの大きく(便宜上一軸または多軸に)湾曲した部分領域および/または少なくとも1つの大きく傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域等から構成され得る。
【0021】
少なくとも1つの更なる部分領域は、例えば、第1の部分領域よりも大きな傾斜を有し、したがって、特に第1の部分領域よりも急峻である。
【0022】
第1の塗布剤は、好ましくは、第2の塗布剤よりも低い粘度からなる。言い換えれば、第2の塗布剤は、好ましくは、第1の塗布剤よりも高い粘度からなる。
【0023】
第1の混合比を有する混合物および/または第1の塗布剤のみが、第1の部分領域に塗布されることが可能である。代替的にまたは付加的に、例えば、第2の混合比を有する混合物および/または第2の塗布剤のみが、少なくとも1つの更なる部分領域に塗布されることが可能である。
【0024】
好ましい実施形態では、第1の混合比および/または第1の塗布剤は、第2の混合比および/または第2の塗布剤よりも低い粘度からなる。
【0025】
部分領域および/または第1の部分領域および少なくとも1つの更なる部分領域は、例えば、自動車車体ルーフの一部、自動車車体フード(例えば、エンジンフードまたはトランクフード)の一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、自動車車体フェンダの一部、または自動車車体ドアの一部とすることができる。
【0026】
したがって、第1の部分領域と少なくとも1つの更なる部分領域は、例えば、1つの同じ自動車車体部分の一部とすることができ、しかしながら、これらの部分領域は、例えば、異なる急峻な領域から構成されていてもよい。
【0027】
しかしながら、例えば、第1の部分領域が、例えば、自動車車体ルーフの一部、および/または自動車車体フード(例えば、エンジンフードまたはトランクフード)の一部であることも可能であり、これらは、通常(好都合には少なくとも部分的に)実質的に水平に向けられ、および/または(好都合には少なくとも部分的に)比較的小さな傾斜を構成する。
【0028】
少なくとも1つの更なる部分領域は、例えば、自動車車体ドアの一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体フェンダの一部、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、および/または自動車車体ドアの一部とすることができ、これらは、通常(好都合なことに少なくとも部分的に)実質的に垂直に配向され、および/または(好都合なことに少なくとも部分的に)比較的大きな傾斜を構成する。
【0029】
したがって、第1の部分領域と少なくとも1つの更なる部分領域は、特に、異なる急峻な領域から構成され得る、異なる自動車車体部分の一部とすることができる。
【0030】
部分的な領域は、例えば、混合物で部分的にコーティングされ、第1の塗布剤でのみ部分的に、および/または第2の塗布剤のみで部分的にコーティングされ得る。
【0031】
混合比は、例えば、実質的に突然(例えば、不規則にまたは断続的に)、連続的におよび/または無段階に変化させることができる。
【0032】
混合物、特にその混合比の変更は、例えば、対象物ごとに1回または数回、第1の部分領域について1回または数回、および/または少なくとも1つの更なる部分領域について1回または数回可能である。
【0033】
第1の塗布剤と第2の塗布剤を混合するためにミキサを設けることができる。
【0034】
第1の塗布剤と第2の塗布剤は、好ましくは、ミキサによって好都合に混合できるように、互いに別個の供給ラインを介してミキサに供給することができる。
【0035】
ミキサは、例えば、塗布器に統合することができ、塗布器は、特に、第1の塗布剤および第2の塗布剤のための2つの別個の供給部、好ましくは、第1の塗布剤のための供給部および第2の塗布剤のための供給部から構成され得る。
【0036】
しかしながら、ミキサは塗布器の外側、例えば塗布器用のマニピュレータ上に、特にマニピュレータと一緒に動くように配置することもできる。
【0037】
第1の塗布剤は、特にその供給装置(例えば、容量調節式または圧力調節式、特に投与ポンプまたはピストン投与装置)からミキサを経由して塗布器までの経路距離をカバーする。代替的または付加的に、第2の塗布剤は、特にその供給装置(例えば、容量調節式または圧力調節式、特に投与ポンプまたはピストン投与装置)からミキサを経由して塗布器までの経路距離をカバーする。
【0038】
このことから、例えば、第1の塗布剤および/または第2の塗布剤の供給量の変化は、対象物上の時間オフセット、ひいてはコーティング結果において顕著であることがわかる。
【0039】
第1の塗布剤および/または第2の塗布剤が、それらの供給装置(例えば、投与装置)によって、都合よく時間的に前倒しして供給され、それにより、対象物上の1つ以上の予め定義された目標位置において、第1の塗布剤から第2の塗布剤への変更、またはその逆が行われ、および/または混合比の変更が行われることが可能である。
【0040】
前倒しの時間は、例えば、以下の少なくとも1つに応じて、計算されているか、または計算することができる。
-第1の塗布剤の経路距離(例えば、その供給装置からミキサを経由して塗布器まで、任意に対象物まで)、および/または
-第2の塗布剤の経路距離(例えば、その供給装置からミキサを経由して塗布器まで、任意に対象物まで)、および/または
-第1の塗布剤および/または第2の塗布剤の流速および/または体積流量、および/または
-対象物の移動速度、および/または
-塗布器の移動速度。
【0041】
混合比の変更は、好ましくは何度でも行うことができる。
【0042】
例えば、マニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット、または直線運動機械(好都合にはX-Y-Z直線ユニットまたは走行レール))が、対象物を移動させるために提供され得る。代替的または付加的に、マニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット、または直線移動機械(好都合にはX-Y-Z直線ユニット))が、塗布器を移動させるために提供され得る。したがって、例えば、対象物がコーティング中に定められた位置に留まるか、または塗布器がコーティング中に定められた位置に留まる実施形態が可能であるが、例えば、対象物と塗布器が互いに相対的に移動する実施形態も可能である。
【0043】
制御装置、特に電子制御装置を設けることも可能である。
【0044】
制御装置が、例えば、前倒しの時間を計算し、および/または前倒しの時間が制御装置に記憶(例えば、保存)されることが可能である。
【0045】
代替的または付加的に、コーティングプログラム(例えば塗装プログラム)を制御装置に保存することができ、例えば、適切な混合物、特に適切な混合比を、コーティングプログラムの開始前または実行中に定義することができる。このために、便宜上プログラマがあらかじめ定義した1つまたは複数のコマンドまたはパラメータをコーティングプログラムで使用することができる。
【0046】
第1の塗布剤が第1の供給ラインを介してミキサに供給され、および/または第2の塗布剤が第2の供給ラインを介してミキサに供給されることが可能である。従って、第1の塗布剤と第2の塗布剤は、別々の供給手段を介して有利にミキサに供給することができる。
【0047】
第1の塗布剤は、混合多成分コーティング剤とすることができ、その成分は、第1の塗布剤に割り当てられたプレミキサで混合され、代替的または付加的に、第2の塗布剤は、混合多成分コーティング剤とすることができ、その成分は、第2の塗布剤に割り当てられたプレミキサで混合される。
【0048】
第1の塗布剤に割り当てられたプレミキサが、ミキサよりも上流の第1の塗布剤の第1供給ラインに好都合に配置されることが可能である。
【0049】
また、第2の塗布剤に割り当てられたプレミキサが、ミキサよりも上流の第2の塗布剤の第2の供給ラインに好都合に配置されることも可能である。
【0050】
第1の塗布剤は、例えば、第1の供給ラインを介してミキサに供給することができ、ここで、第1の供給ラインは、好ましくは、塗布剤交換機を備え、この塗布剤交換機によって、第1の塗布剤を、例えば、同じ色、異なる粘度および/または異なる材料特性を有するように変更することができる。代替的または付加的に、第2の塗布剤は、第2の供給ラインを介してミキサに供給することができ、第2の供給ラインは、好ましくは、塗布剤交換機を備え、この塗布剤交換機によって、第2の塗布剤は、例えば、同じ色、異なる粘度、および/または異なる材料特性を有するように、変更することができる。
【0051】
塗布器がマニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット)によって移動され、および/または対象物がマニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット)によって移動されることが可能である。
【0052】
混合物の混合比は、例えば、少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラム(特に、塗布器用マニピュレータおよび/または対象物用マニピュレータ)からの指令に応じて、変更することができる。
【0053】
ミキサは、好ましくは、第1の供給ラインの塗布剤交換器から、50cm未満、20cm未満、または10cm未満下流に配置することができる。代替的または付加的に、ミキサは、好ましくは、第2の供給ラインの塗布剤交換器から、50cm未満、20cm未満、または10cm未満下流に配置することができる。
【0054】
塗布剤交換機は、例えば、いわゆるカラー交換機として構成することができ、この場合、塗布剤は、色の代わりに変更することができる。したがって、例えば、同じ色であるが、特に、異なる粘度、および/または異なる材料特性からなる。
【0055】
第1の供給ラインは、第1の塗布剤を供給するための供給装置からなるか、または多成分塗装剤用成分を供給するための少なくとも2つの供給装置(例えば、それぞれ塗布剤用の供給装置)からなり、および/または第2の供給ラインは、第2の塗布剤を供給するための供給装置からなるか、または多成分塗装剤用成分を供給するための少なくとも2つの供給装置(例えば、それぞれ成分用の供給装置)からなることが可能である。
【0056】
供給装置は特に、適宜上、圧力調整式または容量調整式の投与装置とすることができる。
【0057】
第1の塗布剤、第2の塗布剤、および混合物が、共通の供給ラインを介してミキサから塗布器に供給されることも可能である。
【0058】
第1の塗布剤と第2の塗布剤は、例えば、以下の塗布剤のバリエーションの1つ以上とすることができる。
-第1の塗布剤は、第2の塗布剤よりも低い粘度を有し、および/または
-第1の塗布剤と第2の塗布剤は、好ましくは同じ色の塗料であり、および/または
-第1の塗布剤は光沢性(例えば高光沢性)、特に光沢塗料(例えば高光沢塗料)であり、第2の塗布剤はつや消し(例えばつや消し塗料)であり、またはその逆であり、および/または
-第1の塗布剤が無色、透明、および/または透明に着色され、第2の塗布剤が非透明、および/または不透明な塗布剤であるか、またはその逆であり、および/または
-第1の塗布剤(A)が無色であり、第2の塗布剤(B)が透明に着色された塗布剤(B)であるか、またはその逆であり、および/または
-第1の塗布剤および第2の塗布剤は、同じ色または異なる色からなり、好ましくは不透明顔料であり、および/または
-第1の塗布剤はベースコーティング剤(例えばベース塗料)であり、第2の塗布剤は改良された添加剤組成物(例えばシンナーまたは増粘剤)を有する塗布剤、またはその逆であり、これらは好ましくはベースコーティング剤の特性を改変するために混合され、および/または
-第1の塗布剤と第2の塗布剤とは互いに反応し、その反応により、混合物の混合比に応じて異なる塗膜特性(例えば、構造、光沢および/または色効果)がもたらされ、および/または
-第1の塗布剤と第2の塗布剤とは互いに反応し、その反応により、混合物の混合比に依存する非相溶性の結果として、異なる顕著なコーティング表面(例えば、構造、光沢および/または色効果)が生じる。
【0059】
本発明はまた、対象物、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品の異なる部分、好ましくは異なる急峻な部分領域をコーティングするための塗装装置、例えば塗装ブースからなる。
【0060】
塗装装置は、特に、本明細書に開示する塗装方法の実行および/または実現のために使用される。
【0061】
塗布装置は、第1の塗布剤と第2の塗布剤との混合物を部分領域に塗布するように構成された塗布器と、制御プログラムを構成する(例えば電子)制御装置とを備え、制御プログラムが実行されると、本明細書に開示される塗布方法が好ましくはプログラム制御された態様で実行され得る。
【0062】
従って、特に、混合物の混合比が、例えば、部分領域の異なる傾斜に応じて、および/または部分領域のコーティング工程中に、制御プログラムの実行によって有利に変更されることが可能である。
【0063】
塗布装置は、塗布器を移動させるためのマニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット)、および/または対象物を移動させるためのマニピュレータ(例えばロボット、特に多関節アームロボット)を備えることが可能である。
【0064】
制御装置は、少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラム(特に、塗布器用マニピュレータおよび/または対象物用マニピュレータ)からのコマンドに応じて、混合物の混合比を変更するように構成することができる。
【0065】
従って、混合比または比率は、好ましくは、塗布器用マニピュレータの経路プログラム中、および/または対象物用マニピュレータの経路プログラム中の1つまたは複数のコマンドによって定義することができ、例えば、制御装置によって読み取られ、実行される(好ましくは、プログラム制御される)。
【0066】
制御装置は、例えば、少なくとも1つの演算装置および/または少なくとも1つのプロセッサから構成されることができる。
【0067】
制御装置は、例えば、制御ソフトウェア(例えば、制御プログラム、少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラム等)、および/または制御ロジックが記憶される記憶ユニットを備えることができ、この記憶ユニットに従って、塗布方法を実行することができる。
【0068】
本発明の文脈では、例えば、制御装置は、その機能を中央制御ユニット、または複数の異なるハードウェア構成要素および/または制御ユニットに分散させることが可能である。
【0069】
ミキサは、例えば静的ミキサまたは動的ミキサであってもよい。
【0070】
プレミキサも、例えば、静的ミキサまたは動的ミキサとすることができる。
【0071】
マニピュレータは、例えば、ロボット、特に多関節アームロボットとすることができ、ミキサは、例えば、多関節アーム上(例えば、ロボットの「アーム1」または「アーム2」上)、ロボットベース上、または並進移動軸(例えば、ロボットの「軸7」)上、例えば、キャビンの壁上などに好都合に設置することができる。
【0072】
ミキサは、好ましくは塗布器から50cm未満、20cm未満または10cm未満、特に上流に配置される。
【0073】
塗布器は、例えば、噴霧器(例えば、回転式噴霧器または空気噴霧器)であってもよい。
【0074】
塗布器は、例えば、複数の塗布剤開口部を有するプリントヘッド(例えば、ピエゾまたはインクジェットプリントヘッド)であり得、特に、対象物のオーバースプレーを発生させないためおよび/または非噴霧コーティングのためのものである。
【0075】
塗布器はまた、例えば、連続的な塗布剤ジェットを出力する塗布器(例えば、複数の塗布剤開口部を有するプリントヘッド)であることができ、この塗布剤は、好ましくは、塗布器と対象物との間で液滴に分解されるか、または連続的な塗布剤ジェットとして対象物に衝突する。
【0076】
塗布器は、例えば、塗布剤液滴が対象物に衝突するように、塗布剤液滴ジェットを出力する塗布器(例えば、複数の塗布剤開口部を有するプリントヘッド)であることもできる。
【0077】
本発明の文脈において、適宜最適化された塗布剤レシピ(例えば、第1の塗布剤、第2の塗布剤および/または第1の塗布剤と第2の塗布剤の混合物)を用いて、異なる配向、特に、異なる急峻な部分領域をコーティングすることが特に可能である。
【0078】
このために、例えば、2つの塗布剤、すなわち、主に水平方向に向いた領域への塗布に最適化された第1の塗布剤と、主に垂直方向または非常に急峻な方向に向いた領域への塗布に最適化された第2の塗布剤を使用することができる。
【0079】
第1の塗布剤と第2の塗布剤は、(例えば、平坦、水平、垂直、傾斜および/または湾曲した)コーティング表面の急峻および/または傾斜に応じて、予め定められた混合比で一緒に混合することができ、有利にコーティング表面に理想的に適合させることができる。
【0080】
特に、コーティング工程中の製品変更(時間と材料ロス)の回避、ロスのない十分柔軟なコーティング材料の適応、および/または材料ロス、時間ロス、および/またはすすぎ剤の必要量の削減、という利点がある。
【0081】
混合物の混合比は、好ましくは、部分領域のコーティング工程中に(例えば、突然、無段階に、または連続的に、および/または1回または数回)、例えば塗布器による塗布中に、または塗布器による塗布の中断中に(例えば部分領域の間に)変更することができる。後者の場合、例えば、塗布器による塗布を中断し(特に短時間)、中断中に混合比を変更し、その後、対象物、特に部分領域をさらにコーティングすることができる。
【0082】
従って、例えば、塗布器による塗布を都合よく中断し、その後混合物を交換し、さらに塗布することが可能である。
【0083】
塗布方法は、好ましくは対象物の外部コーティングのための塗布方法であり、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品の外部コーティングのための塗布方法であることを言及すべきである。
【0084】
対象物、したがって、例えば、1つまたは複数の自動車車体部品は、好ましくは、金属および/またはプラスチックから構成することができる。
【0085】
対象物は、例えば、(例えば、実質的に完全な)自動車車体とすることができる。
【0086】
また、1つまたは複数の自動車車体部品は、例えば、1つまたは複数の自動車車体付加部品とすることもでき、また、1つまたは複数の自動車車体付加部品を含むこともできる。
【0087】
本発明の文脈において、対象物、部分領域、第1の部分領域および/または少なくとも1つの更なる部分領域は、好都合なことに、完全にまたは部分的にのみコーティングされ得ることも言及されるべきである。
【0088】
混合物は、例えば、2つ以上の異なる塗布剤、例えば、第1の塗布剤、第2の塗布剤および少なくとも1つの更なる塗布剤からなることができ、これらの塗布剤は、好ましくは、例えば、更なる供給ラインを介してまたは少なくとも1つの塗布剤交換器を介してミキサに供給することができる、ことも言及されるべきである。
【0089】
混合物、特にその混合比は、好ましくは自由に選択可能であり、例えば、1つまたは複数のコマンドまたはパラメータによりコーティングプログラム(例えば、塗装プログラム)で定義することができる。
【0090】
第1の塗布剤および/または第2の塗布剤の塗布剤供給は、好ましくは、例えば、割り当てられた投与ポンプ(特に、容量調節式)または割り当てられたピストン投与装置によって、圧力調節または容量調節することができる。
【0091】
自動車本体ピラーは、例えば、Aピラー、Bピラー、Cピラー、および/またはルーフアーチ(AピラーとCピラーとの間の便宜的な接続部)から構成されることができる。
【0092】
前倒しの時間は、例えば、基本設定で制御装置に保存することができ、好ましくは、例えば、それぞれの条件に適合した補正係数によって変更することができる。補正係数の1つは、例えば、制御装置によって、第1の塗布剤および/または第2の塗布剤の体積流量に応じて計算することができる。例えば、コーティングプログラムおよび/または制御プログラム(特にマニピュレータ経路プログラム)において、体積流量が経路点で変更される場合、制御装置はこれを予め考慮することができる。
【0093】
上述した本発明の好ましい実施形態および特徴は、互いに好都合に組み合わせることができる。本発明の他の有利な展開は、従属請求項に開示されているか、または添付の図と組み合わせた本発明の好ましい実施形態の以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】本発明の実施形態による塗布方法を示す図である。
【
図2】本発明による塗布方法によってコーティングすることができる例示的な対象物の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による塗布方法を示す図であり、第1塗布剤と第2塗布剤との混合比は、例えば50%対50%である。
【
図4】本発明の実施形態による塗布方法を示す図であり、第1の塗布剤と第2の塗布剤との混合比は、例えば10%対90%である。
【
図5】本発明の実施形態による塗布方法を示す図であり、第2の塗布剤のみが塗布される。
【
図6】本発明の実施形態による塗布方法を示す図であり、第1の塗布剤は多成分コーティング剤であり、第2の塗布剤は多成分コーティング剤である。
【
図7】本発明による塗布方法によってコーティングされ得る例示的な対象物の概略図である。
【
図8】本発明による塗布方法によってコーティングされ得る別の例示的な対象物の概略図を示す。
【
図9】本発明による塗布方法によってコーティングされ得る別の例示的な対象物の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図を参照して説明する本発明の好ましい実施形態は、部分的に対応しており、類似または同一の部分には同一の参照符号を付し、それらの説明については、繰り返しを避けるために他の実施形態の説明も参照することができる。
【0096】
図1は、本発明の実施形態による塗布方法を示す図であり、特に、
図1および
図2に概略的にのみ示す対象物10、好ましくは1つ以上の自動車車体部分、例えば自動車車体ルーフ、自動車車体フード、自動車車体ルーフストラット、自動車車体ピラー、自動車車体側壁、自動車車体フェンダおよび/または自動車車体ドアの、異なる、特に、異なる急峻な部分領域T1、T2を、例えば、部分的にまたは実質的に完全にコーティングするための塗布方法を示す。
【0097】
コーティングは、塗布器1によって行われ、この塗布器1は、第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bとの混合物ABを、特に異なる急峻な部分領域T1、T2に塗布する。第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bは、好ましくは互いに分離した供給ラインを介して、ミキサ2に供給することができ、ミキサ2によって好都合に混合することができる。
【0098】
第1の塗布剤Aおよび第2の塗布剤Bは、好ましくは塗料、特に同色の塗料であり、第2の塗布剤Bは第1の塗布剤Aよりも高い粘度からなる。
【0099】
塗布器1は、概略的に示されたマニピュレータ20によって移動され、マニピュレータ20は、例えばロボット、特に多関節アームロボットであり得る。代替的または付加的に、対象物10もロボットまたは走行レールのようなマニピュレータによって移動させることが可能である。
【0100】
図2を参照すると、第1の部分領域T1は、実質的に水平であるか、ごくわずかに傾斜しているだけである。更なる部分領域T2は、第1の部分領域T1よりも急峻であり、したがって第1の部分領域T1よりも大きな傾斜を構成する。例示的に平坦に示された部分領域T1、T2の少なくとも一方は、例えば、一軸方向または多軸方向に湾曲していることもできる。
【0101】
第1の塗布剤Aは、実質的に水平方向の領域への塗布に最適化された塗布剤であることが好都合である。
【0102】
第2の塗布剤Bは、実質的に垂直または非常に急峻な向きの領域に塗布するために最適化された塗布剤であることが好都合である。
【0103】
したがって、第1の塗布剤Aは、好ましくは、第2の塗布剤Bよりも、低い粘度を有する。言い換えれば、前述したように、第2の塗布剤Bは第1の塗布剤Aよりも高い粘度を有する。
【0104】
本発明の文脈において、混合物ABの混合比が、異なる傾斜に応じて、特に異なる急峻な部分領域T1、T2に応じて、好ましくは異なる急峻な部分領域T1、T2に実質的に適合するように、特に最適化されるように、混合比が変更されることが可能である。
【0105】
代替的または付加的に、混合物ABの混合比が、部分領域T1、T2のコーティング工程中に、例えば塗布器1による塗布中または塗布器1による塗布の中断中に変更されることが、本発明の文脈において可能である。
【0106】
混合物ABの混合比は、例えば、部分領域T1、T2のコーティング工程中、特に、塗布の中断中に変更することができる。したがって、有利には、塗布を中断することができ、中断中に混合比を変更することができ、その後、対象物10をさらにコーティングすることができる。これには、例えば、塗布器1による塗布が中断され、その後、混合物ABが変更され、その後、対象物10がさらにコーティングされる実施形態が含まれる。
【0107】
例えば、第1の混合比を有する混合物ABおよび/または第1の塗布剤Aのみを第1の部分領域T1に塗布することができる。第2の混合比を有する混合物ABおよび/または第2の塗布剤Bのみを、更なる部分領域T2に塗布することができる。ここで、第1の混合比および/または第1の塗布剤Aは、第2の混合比ABおよび/または第2の塗布剤Bよりも低い粘度を構成することができる。
【0108】
混合物AB、したがってその混合比は、例えば、塗布中に、好都合に突然、無段階に、および/または連続的に変更することができる。
【0109】
対象物10、特に部分領域T1、T2は、特に傾斜に適応した混合物ABで好都合に部分的にコーティングされ、任意に第1の塗布剤Aのみで部分的にコーティングされ、および/または任意に第2の塗布剤Bのみで部分的にコーティングされ得る。
【0110】
第1の塗布剤Aは、特に、図示しないその供給装置(例えば好ましくは圧力調節または容量調節された投与装置、便宜上、投与ポンプまたはピストン投与装置)からミキサ2を経由して塗布器1まで、ある経路距離を移動する。第2の塗布剤Bもまた、特に、図示しないその供給装置(例えば好ましくは圧力調節または容量調節された投与装置、便宜上、投与ポンプまたはピストン投与装置)からミキサ2を経由して塗布器1まで、ある経路距離を移動する。
【0111】
従って、第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bの供給量の変化は、不利なことに、対象物10上で、従ってコーティング結果において、時間オフセットによってのみ顕著となる。
【0112】
従って、第1の塗布剤Aおよび第2の塗布剤Bは、例えば、時間を前倒しして、それらの関連する供給装置によって供給することができ、それにより、対象物10上の1つ以上の予め定義された目標位置、特に部分領域T1、T2において、第1の塗布剤Aから第2の塗布剤Bへの変更またはその逆の変更が行われ、代替的にまたは付加的に混合比の変更が行われる。
【0113】
前倒しの時間は、例えば、第1の塗布剤Aの経路距離(例えば、ミキサ2を介したその供給装置から塗布器1まで、および任意に対象物10まで)、第2の塗布剤Bの経路距離(例えば、ミキサ2を介したその供給装置から塗布器1まで、および任意に対象物10まで)、第1の塗布剤Aおよび第2の塗布剤Bの流速および/または体積流量、対象物10の移動速度および/または塗布器1の移動速度、というパラメータの1つ以上により計算されるか、または計算されていてもよい。
【0114】
例えば、前倒しの時間は、電子制御装置において計算することができ、あるいは電子制御装置に記憶させることができ、これにより、制御装置は、特に前倒しの時間を考慮して、第1の塗布剤Aおよび第2の塗布剤Bの供給を制御することができる。
【0115】
前倒しの時間は、特に基本設定において制御装置に保存することができ、好ましくは補正係数によって変更することができ、特にそれぞれの条件に適合させることができる。補正係数の1つは、例えば、第1の塗布剤Aおよび/または第2の塗布剤Bの体積流量に応じて制御装置によって計算することができる。(例えば、コーティングプログラムにおいて)体積流量が経路点で変更される場合、制御装置はこれを予め考慮することができる。
【0116】
図1は、第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bが、互いに別個の供給ラインを介してミキサ2に供給され、第1の塗布剤A、第2の塗布剤Bおよび混合物ABが、共通の供給ラインを介してミキサ2から塗布器1に供給されることを示している。
図1では、ミキサ2は、塗布器1の外側に配置されているが、ミキサ2を塗布器1の内側に配置することも可能である。
【0117】
第1の塗布剤Aは、例えば、第1の供給ラインを介してミキサ2に供給され、第1の供給ラインは、任意に、塗布剤交換器3を構成することができ、この塗布剤交換器3に通じる矢印によって概略的に示されているように、この塗布剤交換器3によって、第1の塗布剤Aを交換することができる。それによって、例えば同じ色であるが、好ましくは異なる粘度および/または異なる材料特性を有する、異なる第1の塗布剤Aを供給することが可能である。
【0118】
代替的にまたは付加的に、第2の塗布剤Bは、第2の供給ラインを介してミキサ2に供給することができ、第2の供給ラインは、好ましくは、塗布剤交換器4を構成することができ、この塗布剤交換器4に通じる矢印によって概略的に示されているように、この塗布剤交換器4によって、第2の塗布剤Bを交換することができる。それにより、例えば同じ色であるが、好ましくは異なる粘度および/または異なる材料特性を有する、異なる第2の塗布剤Bを供給することが可能である。
【0119】
塗布剤交換器3および4は、例えば、いわゆるカラー交換機のように、色の代わりに塗布剤を変更することができるように、構造的に構成することができることを述べておく。
【0120】
図3は、第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bの混合比が50%対50%の混合物ABを用いた実施形態を示す。
【0121】
図4は、第1の塗布剤Aと第2の塗布剤Bの混合比が10%対90%の混合物ABを用いた実施形態を示す。
【0122】
図5は、第2の塗布剤Bのみが塗布される本発明の実施形態を示す。
【0123】
例えば、自動車本体ルーフは、第1の塗布剤Aのみでコーティングすることが可能である。したがって、第1の部分領域T1は、自動車車体ルーフを含むことができる。
【0124】
例えば、自動車車体ルーフストラットおよび/または自動車車体Aピラーが、例えば50%の塗布剤Aおよび50%の塗布剤Bの混合比を有する混合物ABでコーティングすることが可能である。従って、更なる部分領域T2は、自動車車体ルーフストラットおよび/または自動車車体Aピラーを含むことが可能である。
【0125】
例えば、自動車本体ドアは、第2の塗布剤Bのみでコーティング可能である。したがって、更なる部分領域T2は、自動車本体ドアを含むことができる。
【0126】
しかしながら、部分領域T1およびT2は、特に、自動車車体部品がコーティングされるべき異なる急峻な領域からなる場合、1つの同じ自動車車体部品の一部とすることもできる。
【0127】
図6は、本発明の実施形態を示す図であり、第1の塗布剤Aは、混合多成分コーティング剤であり、その成分A1、A2は、第1の塗布剤Aに割り当てられたプレミキサ5で混合される。第2の塗布剤Bは、混合多成分コーティング剤であり、その成分B1、B2は、第2の塗布剤Bに割り当てられたプレミキサ6で混合される。
【0128】
プレミキサ5は、第1の塗布剤Aの供給ラインに組み込まれ、プレミキサ6は、第2の塗布剤Bの供給ラインに組み込まれる。
【0129】
図7は、本発明による塗布方法によってコーティングされ得る例示的な対象物10の概略図である。
図2の実施形態とは対照的に、
図7の対象物10は、第1の部分領域T1に加えて、複数の更なる部分領域T2およびT3を有し、部分領域T1、T2、T3は、異なる急峻に形成され、したがって異なる傾斜からなる。
【0130】
混合物AB、特にその混合比の変更は、対象物10ごとに1回または数回、および/または部分領域T1、T2および/またはT3ごとに1回または数回可能である。
【0131】
図8は、本発明による塗布方法によってコーティングされ得る例示的な対象物10の概略図である。ここで、第1の部分領域T1は、例えば、自動車車体ルーフの一部とすることができ、更なる部分領域T2は、例えば、自動車車体ドアおよび/または自動車車体側壁の一部とすることができる。
【0132】
図2、
図7および
図8に概略的に示す部分領域T1、T2、およびT3は、実質的に平坦な領域のみであってもよいが、そうである必要はない。部分領域T1、T2および/またはT3の1つ、いくつかまたは全部は、例えば、実質的に平坦であってもよく、および/または、例えば、通常の自動車車体部品のように、一軸方向または多軸方向に湾曲させてもよい。
【0133】
対象物10および/または部分領域T1、T2、T3は、例えば、完全にコーティングすることも、部分的にのみコーティングすることもできる。
【0134】
図9は、本発明による塗布方法によってコーティングすることができる別の例示的な対象物10を示す図である。
図9は、特に、自動車車体の一部を示し、自動車車体ルーフ、自動車車体ドア、自動車車体ルーフストラットおよび自動車車体ピラーを示す。
【0135】
自動車車体ルーフは、異なる急峻の部分領域、例えば比較的傾斜の小さい部分領域T1と比較的傾斜の大きい部分領域T2から構成される。
【0136】
自動車車体ドア、自動車車体ルーフストラット、自動車車体ピラーも、比較的大きな傾斜を有する部分領域T2、T3から構成される。
【0137】
部分領域T1は、例えば、比較的低い粘度を有する混合比で、および/または第1の塗布剤Aのみでコーティングすることができる。
【0138】
更なる部分領域T2およびT3は、例えば、比較的高い粘度を有する混合比で、および/または第2の塗布剤Bのみでコーティングすることができる。
【0139】
(便宜上、異なる向きの、好ましくは異なる急峻の)部分領域T1、T2、T3は、例えば、少なくとも1つの実質的に水平な部分領域、少なくとも1つの実質的に垂直な部分領域、少なくとも1つの大きく湾曲した部分領域、少なくとも1つの小さく湾曲した部分領域、少なくとも1つの大きく傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域および/または少なくとも1つの小さく傾斜した(例えば実質的に平坦な)部分領域等から構成することができる。
【0140】
第1の塗布剤Aおよび第2の塗布剤Bは、(例えば平面、水平、垂直、傾斜および/または湾曲した)コーティング領域、特に部分領域T1、T2、T3の傾斜(例えば急峻)に応じて、予め定義された混合比で好都合に一緒に混合することができるので、それらの混合比を有利にコーティング領域に理想的に適合させることができる。
【0141】
本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明の概念を利用する複数の変形例および変更例も可能であり、したがって保護範囲に入る。さらに、本発明は、言及された特徴および特許請求の範囲とは独立して、主題および従属項の特徴の保護も請求する。
【0142】
(付記)
(付記1)
対象物(10)、好ましくは1つまたは複数の自動車車体部品の、異なる、好ましくは異なる急峻な部分領域(T1、T2、T3)をコーティングするための塗布方法であって、
第1の塗布剤(A)と第2の塗布剤(B)との混合物(AB)を、部分領域(T1、T2、T3)に塗布する塗布器(1)であって、前記混合物(AB)の混合比が、前記部分領域(T1、T2、T3)のコーティング工程中に、および/または前記部分領域(T1、T2、T3)の異なる傾斜に応じて変更される前記塗布器(1)により実行される、
塗布方法。
【0143】
(付記2)
前記部分領域(T1、T2、T3)の傾斜の違いに応じて前記混合比を変更し、傾斜の小さい部分領域(T1)では、傾斜の大きい部分領域(T2、T3)よりも低い粘度の混合比である、
付記1に記載の塗布方法。
【0144】
(付記3)
前記部分領域(T1、T2、T3)は、少なくとも1つの実質的に水平な部分領域および/または少なくとも1つの実質的に垂直な部分領域からなる、
付記1または2に記載の塗布方法。
【0145】
(付記4)
前記部分領域(T1、T2、T3)は、少なくとも1つの傾斜した部分領域と、異なる傾斜を有する少なくとも1つの湾曲した部分領域とからなる、
付記1から3の何れか1つに記載の塗布方法。
【0146】
(付記5)
前記部分領域(T1、T2、T3)は、
傾斜の異なる傾斜した部分領域、および/または
傾斜の異なる湾曲した部分領域からなる
付記1から4の何れか1つに記載の塗布方法。
【0147】
(付記6)
前記部分領域(T1、T2、T3)は、第1の部分領域(T1)と、少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)とからなり、前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、前記第1の部分領域(T1)よりも大きな傾斜からなる、
付記1から5の何れか1つに記載の塗布方法。
【0148】
(付記7)
前記第1の塗布剤(A)は前記第2の塗布剤(B)よりも低い粘度からなる、
付記1から6の何れか1つに記載の塗布方法。
【0149】
(付記8)
第1の混合比を有する混合物(AB)および/または前記第1の塗布剤(A)のみが前記第1の部分領域(T1)に塗布され、
第2の混合比を有する混合物(AB)および/または前記第2の塗布剤(B)のみが、前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)に塗布され、
前記第1の混合比および/または前記第1の塗布剤(A)は、前記第2の混合比および/または前記第2の塗布剤(B)よりも低い粘度からなる、
付記6または7に記載の塗布方法。
【0150】
(付記9)
前記部分領域(T1、T2、T3)および/または第1の部分領域(T1)および少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、自動車車体ルーフの一部、自動車車体フードの一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、自動車車体フェンダの一部、または自動車車体ドアの一部である、
付記1から8の何れか1つに記載の塗布方法。
【0151】
(付記10)
前記第1の部分領域(T1)は、自動車車体ルーフの一部および/または自動車車体フードの一部であり、
前記少なくとも1つの更なる部分領域(T2、T3)は、自動車車体ルーフストラットの一部、自動車車体ピラーの一部、自動車車体側壁の一部、自動車車体フェンダの一部および/または自動車車体のドアの一部である、
付記6から9の何れか1つに記載の塗布方法。
【0152】
(付記11)
前記部分領域(T1、T2、T3)は、前記混合物(AB)で部分的にコーティングされ、前記第1の塗布剤(A)のみで部分的にコーティングされ、および/または前記第2の塗布剤(B)のみで部分的にコーティングされる、
付記1から10の何れか1つに記載の塗布方法。
【0153】
(付記12)
前記混合比は、
突然変更され、および/または
無段階または連続的に変更され、および/または
一度、あるいは数回変更される、
付記1から11の何れか1つに記載の塗布方法。
【0154】
(付記13)
前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)は、前記対象物(10)上の1つまたは複数の予め定義された目標位置に、前倒しの時間で供給されることで、
前記第1の塗布剤(A)から前記第2の塗布剤(B)への変更、またはその逆の変更、および/または
前記混合比の変化が起きる、
付記1から12の何れか1つに記載の塗布方法。
【0155】
(付記14)
前記前倒しの時間は、
前記第1の塗装剤(A)および/または前記第2の塗装剤(B)の経路距離、および/または
前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)の流速または体積流量、および/または
前記対象物(10)の移動速度、および/または
前記塗布器(1)の移動速度、
の少なくとも1つにより計算された、または計算される、
付記13に記載の塗布方法。
【0156】
(付記15)
制御装置は前記前倒しの時間を計算し、または前記前倒しの時間が前記制御装置に記憶され、好ましくは前記制御装置が前記第1の塗布剤(A)および/または前記第2の塗布剤(B)の供給を制御する、
付記13または14に記載の塗布方法。
【0157】
(付記16)
前記第1の塗布剤(A)および前記第2の塗布剤(B)がミキサ(2)に供給され、前記ミキサ(2)によって混合される、
付記1から15の何れか1つに記載の塗布方法。
【0158】
(付記17)
前記ミキサ(2)は、前記塗布器(1)に一体化されているか、または前記塗布器(1)の外部に配置されている、
付記16に記載の塗布方法。
【0159】
(付記18)
前記第1の塗布剤(A)は、混合多成分コーティング剤であり、その成分(A1、A2)は前記第1の塗布剤(A)に割り当てられたプレミキサ(5)で混合され、および/または
前記第2の塗布剤(B)は、混合多成分コーティング剤であり、その成分(B1、B2)は前記第2の塗布剤(B)に割り当てられたプレミキサ(6)で混合される、
付記1から17の何れか1つに記載の塗布方法。
【0160】
(付記19)
前記第1の塗布剤(A)に割り当てられた前記プレミキサ(5)および/または前記第2の塗布剤(B)に割り当てられた前記プレミキサ(6)が、前記ミキサ(2)の前の上流側に配置されている、
付記18に記載の塗布方法。
【0161】
(付記20)
前記第1の塗布剤(A)は、第1の供給ラインを介して前記ミキサ(2)に供給され、
前記第2の塗布剤(B)は、第2の供給ラインを介して前記ミキサ(2)に供給される、
付記16から19の何れか1つに記載の塗布方法。
【0162】
(付記21)
前記第1の供給ラインは、前記第1の塗布剤(A)を交換することができる塗布剤交換器(3)を備え、および/または
前記第2の供給ラインは、前記第2の塗布剤(B)を交換することができる塗布剤交換器(4)を備える、
付記20に記載の塗布方法。
【0163】
(付記22)
前記第1の供給ラインは、前記第1の塗布剤(A)を供給するための供給装置からなるか、または多成分コーティング剤の成分(A1、A2)を供給するための少なくとも2つの供給装置からなる、および/または
前記第2の供給ラインは、前記第2の塗布剤(B)を供給するための供給装置からなるか、または多成分コーティング剤の成分(B1、B2)を供給するための少なくとも2つの供給装置からなる、
付記20または21に記載の塗布方法。
【0164】
(付記23)
第1の塗布剤(A)、第2の塗布剤(B)および混合物(AB)が、ミキサ(2)から共通の供給ラインを介して塗布器(1)に供給される、
付記16から22の何れか1つに記載の塗布方法。
【0165】
(付記24)
前記混合物(AB)の混合比が、前記部分領域(T1、T2、T3)のコーティング工程中、すなわち塗布器(1)による塗布中または塗布器(1)による塗布の中断中に変更される、
付記1から23の何れか1つに記載の塗布方法。
【0166】
(付記25)
前記塗布器(1)または前記対象物(10)がマニピュレータ(20)によって移動され、前記混合物(AB)の混合比が少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラムからのコマンドに応じて変更される、
付記1から24の何れか1つに記載の塗布方法。
【0167】
(付記26)
前記塗布器(1)は、
噴霧器、または
特に前記対象物(10)のオーバースプレーなしまたは霧化なしのコーティングのための、複数の塗布剤開口部を有するプリントヘッド、または
好ましくは前記塗布器(1)と前記対象物(10)との間で液滴に分解するか、または連続塗布剤ジェットとして前記対象物(10)に衝突する連続塗布剤ジェットを出力する塗布器、または
塗布剤の液滴ジェットを出力する塗布器である、
付記1から25の何れか1つに記載の塗布方法。
【0168】
(付記27)
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は、異なる粘度からなり、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は塗料であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は光沢塗料であり、前記第2の塗布剤(B)はつや消し塗料であり、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、無色、透明または透明に着色され、前記第2の塗布剤(B)は、非透明または不透明な塗布剤であるか、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、無色であり、前記第2の塗布剤(B)は、透明に着色された塗布剤(B)であるか、またはその逆であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)は、ベースコーティング剤であり、前記第2の塗布剤は、改良された添加剤組成物を有する塗布剤であるか、またはその逆であり、これらは好ましくはベースコーティング剤の特性を変えるために混合され、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は、同一または異なる色からなり、好ましくは不透明顔料であり、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は互いに反応し、その反応により前記混合物(AB)の混合比に応じて異なる塗膜特性が得られ、および/または
前記第1の塗布剤(A)と前記第2の塗布剤(B)は互いに反応し、その反応により前記混合物(AB)の混合比に依存する非相溶性の結果として、異なる顕著なコーティング表面をもたらす、
付記1から26の何れか1つに記載の塗布方法。
【0169】
(付記28)
対象物(10)、例えば1つまたは複数の自動車車体部品の、異なる、好ましくは異なる急峻な部分領域(T1、T2、T3)をコーティングするための塗布装置、好ましくは付記1から27の何れか1つに記載の塗布方法を実行するための塗布装置であって、
第1の塗布剤(A)と第2の塗布剤(B)との混合物(AB)を前記部分領域(T1、T2、T3)に塗布するように構成された塗布器(1)と、
制御プログラムを含む制御装置であって、前記制御プログラムが実行されると、付記1から27の何れか1つに記載の塗布方法を実行する制御装置と、を備える、
塗布装置。
【0170】
(付記29)
前記塗布器(1)または前記対象物(10)を移動させるためのマニピュレータ(20)を備え、
前記混合物(AB)の混合比が少なくとも1つのマニピュレータ経路プログラムからのコマンドに応じて変更される、
付記28に記載の塗布装置。
【符号の説明】
【0171】
1 塗布器
2 ミキサ
3 塗装剤交換器
4 塗装剤交換器
5 プレミキサ
6 プレミキサ
10 対象物
T1 部分領域
T2 (特に少なくとも1つの更なる)部分領域
T3 (特に少なくとも1つの更なる)部分領域
20 マニピュレータ(好ましくはロボット)
A 第1の塗布剤(好ましくは低粘度)
B 第2の塗布剤(好ましくは高粘度)
AB 混合物
A1 成分
A2 成分
B1 成分
B2 成分
【国際調査報告】