(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】吸入器許可装置及びそのような装置を含む吸入器
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240912BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M11/00 D
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518119
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022044218
(87)【国際公開番号】W WO2023049160
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520448463
【氏名又は名称】キンデーバ ドラッグ デリバリー リミティド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー.バンティング
(57)【要約】
吸入器(100)は、吸入のために物質を選択的に放出するために容器(110)と相互作用するように構成されたアクチュエータ(118)を有する。コントローラ(112)が設けられ、吸入器をロック済み状態とロック解除状態との間で切り替えるように構成されている。モーションセンサー(114)は、吸入器に取り付けられる。コントローラ(112)は、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成され、モーションセンサーによって所定のモーションシーケンスが検出されると、コントローラは、吸入器をロック済み状態からロック解除状態に切り替えるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療物質を送達するための吸入器であって、
容器と相互作用して、吸入のために前記治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、
前記吸入器を、
前記容器からの前記物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、
前記容器からの前記物質の放出が、許可されるか、又は前記少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、
の間で切り替えるように構成されたコントローラと、
前記吸入器に取り付けられたモーションセンサーと、
を備え、
前記コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成され、
前記モーションセンサーによって前記所定のモーションシーケンスが検出されると、前記コントローラは、前記吸入器を前記ロック済み状態から前記ロック解除状態に切り替えるように構成された、吸入器。
【請求項2】
前記モーションセンサーが、少なくとも2方向のモーションを感知するように構成された、請求項1に記載の吸入器。
【請求項3】
前記モーションセンサーが、3方向のモーションを感知するように構成された、請求項2に記載の吸入器。
【請求項4】
前記モーションセンサーによって検出され、前記コントローラによって記録及び記憶される前記所定のモーションシーケンスで前記ユーザーが前記吸入器を動かす、ユーザーアクセス可能な構成モードを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項5】
前記所定のモーションシーケンスを記録するために、前記ユーザーが、前記吸入器を前記所定のモーションシーケンスで少なくとも2回動かさなければならない、請求項4に記載の吸入器。
【請求項6】
前記コントローラが、少なくとも1つの所定の基準に対して、入力された前記所定のモーションシーケンスを評価するように構成され、前記入力された所定のモーションシーケンスが前記少なくとも1つの所定の基準を満たさない場合、拒絶される、請求項4又は5に記載の吸入器。
【請求項7】
前記少なくとも1つの所定の基準が、少なくとも2次元モーションを含む、請求項6に記載の吸入器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの所定の基準が、3次元モーションを含む、請求項7に記載の吸入器。
【請求項9】
前記所定のモーションシーケンスが、
各方向における方向反転の最小数、
最小持続時間であること、
最大持続時間を超えないこと、又は
時間とともに特定の様式で変化すること、
のうちの1つ以上を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項10】
前記ロック済み状態では、前記容器からの前記物質の放出が阻止され、
前記ロック解除状態では、前記容器からの前記物質の放出が許可される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項11】
前記ロック済み状態では、前記容器からの前記物質の放出が阻止され、
前記ロック解除状態では、前記容器からの前記物質の放出が少なくとも1つのロック解除された制約内で許可される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項12】
前記ロック済み状態では、前記容器からの前記物質の放出が少なくとも1つのロックされた制約内で阻止され、
前記ロック解除状態では、前記容器からの前記物質の放出が、前記少なくとも1つのロックされた制約よりも制限的でない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可される、
請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項13】
前記アクチュエータが、吸入のために前記物質を選択的に放出するように電力供給され、前記コントローラが、前記ロック済み状態と前記ロック解除状態との間で切り替えるときに前記アクチュエータを電子的に制御する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項14】
吸入のために前記物質を選択的に放出する前記アクチュエータの作動を阻止するように構成されたロックを備え、前記コントローラが、前記ロック済み状態と前記ロック解除状態との間で切り替えるときに前記ロックを電子的に制御する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入器。
【請求項15】
治療物質を送達するための吸入器を使用する方法であって、
容器と相互作用して、吸入のために前記治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、
前記吸入器を、
前記容器からの前記物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、
前記容器からの前記物質の放出が、許可されるか、又は前記少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、
の間で切り替えるように構成されたコントローラと、
前記吸入器に取り付けられたモーションセンサーと、
を備える、吸入器を提供することであって、
前記コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成された、提供することと、
前記吸入器をモーションシーケンスで移動させることと、
前記コントローラによって、前記モーションシーケンスが前記所定のモーションシーケンスと一致するかどうかを判定することと、
前記モーションシーケンスが前記所定のモーションシーケンスと一致する場合、前記吸入器を前記ロック済み状態から前記ロック解除状態に切り替えることと、
を含む、方法。
【請求項16】
治療物質を送達するための吸入器を使用する方法であって、
容器と相互作用して、吸入のために前記治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、
前記吸入器を、
前記容器からの前記物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、
前記容器からの前記物質の放出が、許可されるか、又は前記少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、
の間で切り替えるように構成されたコントローラと、
前記吸入器に取り付けられたモーションセンサーと、
を備える、吸入器を提供することであって、
前記コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成された、提供することと、
前記吸入器をモーションシーケンスで移動させることと、
前記コントローラを使用して前記モーションシーケンスを記録することと、
前記モーションシーケンスを所定のモーションシーケンスとして記憶することと、
前記吸入器が前記所定のモーションシーケンスで移動すると、前記吸入器を前記ロック済み状態から前記ロック解除状態に切り替えることと、
を含む、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの所定の基準に対して、入力された前記モーションシーケンスを評価することと、
前記入力されたモーションシーケンスが前記少なくとも1つの所定の基準を満たさない場合、前記入力されたモーションシーケンスを拒否することと、
を含む、請求項16に記載の吸入器を使用する方法。
【請求項18】
前記モーションシーケンスで前記吸入器を2度目に移動させることと、
前記コントローラを使用して第2の前記モーションシーケンスを記録することと、
入力された第1の前記モーションシーケンスに対して、入力された前記第2のモーションシーケンスを評価することと、
前記入力された第1のモーションシーケンスと前記入力された第2のモーションシーケンスとが一致しない場合、前記入力された第1のモーションシーケンス及び前記入力された第2のモーションシーケンスを拒否することと、
を含む、請求項17に記載の吸入器を使用する方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの所定の基準が、少なくとも2次元モーションを含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの所定の基準が、3次元モーションを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記所定のモーションシーケンスが、
各方向における方向反転の最小数、
最小持続時間であること、
最大持続時間を超えないこと、又は
時間とともに特定の様式で変化すること、
のうちの1つ以上を含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器の分野に関する。より具体的には、本開示は、認可されたユーザーに薬剤を分注するために吸入器の使用を認可するための装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、吸入器は、典型的には吸入動作を伴う、ユーザーの口又は鼻への同伴のためのある用量のエアロゾル化された物質を生成するように構成されたデバイスである。典型的には、しかし排他的ではなく、吸入器は、医療用吸入器、すなわち、喘息又はCOPDなどの様々な状態の治療のためにエアロゾル化された薬剤を分注するように構成された吸入器である。他のタイプの治療用吸入器、例えば、代替薬剤及び天然成分を含有するものが利用可能であるが、重要な原則は、治療用吸入器がヒト又は動物の身体に利益を提供することである。
【0003】
吸入器は、乾燥粉末吸入器(DPI)及び加圧定量吸入器(pMDI)などの多くの形態で提供される。過去において、そのような吸入器は、薬剤のための容器と、ユーザーによる吸入のためにある用量の薬剤を放出することができるアクチュエータ/投薬機構と、を備えていた。
【0004】
より最近では、吸入器の有効性及び使用可能性の両方を高めるための技術が吸入器に導入されている。例えば、電動作動は、用量カウンタなどの電子機能と同様に、より一般的になってきている。
【0005】
吸入器の無許可の使用を防止することが望ましい。例えば、子供による薬剤への許可されていないアクセスは非常に望ましくない。吸入器はまた、オピオイドなどの誤用されやすい規制物質を含む場合がある。
【0006】
国際公開第2019/157208号は、電子定量吸入器(MDI)システムを記載している。セキュリティ機能は、ユーザーのアイデンティティを検証するために、関連付けられたモバイルアプリを使用してユーザーを検証する。アプリ及び吸入器は無線で通信する。吸入器は加速度計を含み、加速度計は、薬剤分注が許可される前に吸入器が適切に振盪された(及び内容物が適切に撹拌された)ことを確認する。このシステムは、適切なアプリがインストールされたモバイルデバイスの存在、バッテリー状態、及びモバイルデバイスとの通信に依存する。
【0007】
国際公開第2011/114355号は、アクチュエータをロックするためのロック手段を有するMDIを記載している。アクチュエータは、デバイスを振盪する際にロック解除することができ、MDIが均質にされた薬剤を送達することを可能にする。このデバイスは、内容物が投与前に適切に均質化されることを確実にすることを意図している。
【0008】
国際公開第2020/102229号は、溶液が適切に振盪されるまでキャニスタの作動がブロックされ得るデバイスを記載している。加速度計は、デバイスがどれだけ激しく振盪されたかを決定する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、限定することなく、以下の条項を含む。
【0010】
条項1:治療物質を送達するための吸入器であって、容器と相互作用して、吸入のために治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、吸入器を、容器からの物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、容器からの物質の放出が、許可されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、の間で切り替えるように構成されたコントローラと、を含む、吸入器。吸入器は、吸入器に取り付けられたモーションセンサーを更に含む。コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成されている。更に、モーションセンサーによって所定のモーションシーケンスが検出されると、コントローラは、吸入器をロック済み状態からロック解除状態に切り替えるように構成されている。
【0011】
有利なことに、本開示の1つ以上の実施形態は、キーボード又は指紋スキャナなどの外部デバイス又は複雑な機器を必要としない、セキュリティ目的のためのユーザー入力を可能にする方法を提供することができる。
【0012】
条項2:モーションセンサーが、少なくとも2方向のモーションを感知するように構成された、条項1に記載の吸入器。「方向」とは、同じ軸に沿って順方向及び逆方向ではなく、互いに対してある角度をなす異なる軸に沿っていることを意味する。
【0013】
条項3:モーションセンサーが、3方向のモーションを感知するように構成された、条項2に記載の吸入器。
【0014】
条項4:モーションセンサーによって検出され、コントローラによって記録及び記憶される所定のモーションシーケンスでユーザーが吸入器を動かす、ユーザーアクセス可能な構成モードを有する、条項1~3のいずれか一項に記載の吸入器。
【0015】
条項5:所定のモーションシーケンスを記録するために、ユーザーが、吸入器を所定のモーションシーケンスで少なくとも2回動かさなければならない、条項4に記載の吸入器。
【0016】
条項6:コントローラが、少なくとも1つの所定の基準に対して、入力された所定のモーションシーケンスを評価するように構成され、入力された所定のモーションシーケンスが少なくとも1つの所定の基準を満たさない場合、拒絶される、条項4又は5に記載の吸入器。
【0017】
条項7:少なくとも1つの所定の基準が、少なくとも2次元モーションを含む、条項6に記載の吸入器。
【0018】
条項8:少なくとも1つの所定の基準が、3次元モーションを含む、条項7に記載の吸入器。
【0019】
条項9:所定のモーションシーケンスが、各方向における方向反転の最小数、最小持続時間であること、最大持続時間を超えないこと、又は時間とともに特定の様式で変化すること、のうちの1つ以上を含む、条項1~8のいずれか一項に記載の吸入器。「時間とともに特定の様式で変化する」とは、吸入器の移動速度及び/又は移動間の時間間隔がモーションセンシングに含まれることを意味する。
【0020】
条項10:ロック済み状態では、容器からの物質の放出が阻止され、ロック解除状態では、容器からの物質の放出が許可される、条項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【0021】
条項11:ロック済み状態では、容器からの物質の放出が阻止され、ロック解除状態では、容器からの物質の放出が少なくとも1つのロック解除された制約内で許可される、条項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【0022】
条項12:ロック済み状態では、容器からの物質の放出が少なくとも1つのロックされた制約内で阻止され、ロック解除状態では、容器からの物質の放出が、少なくとも1つのロックされた制約よりも制限的でない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可される、条項1~9のいずれか一項に記載の吸入器。
【0023】
条項13:アクチュエータが、吸入のために物質を選択的に放出するように電力供給され、コントローラが、ロック済み状態とロック解除状態との間で切り替えるときにアクチュエータを電子的に制御する、条項1~12のいずれか一項に記載の吸入器。
【0024】
条項14:吸入のために物質を選択的に放出するアクチュエータの作動を阻止するように構成されたロックを含み、コントローラが、ロック済み状態とロック解除状態との間で切り替えるときにロックを電子的に制御する、条項1~12のいずれか一項に記載の吸入器。
【0025】
条項15:治療物質を送達するための吸入器を使用する方法であって、容器と相互作用して、吸入のために治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、吸入器を、容器からの物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、容器からの物質の放出が、許可されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、の間で切り替えるように構成されたコントローラと、を含む、吸入器を提供することを含む、方法。吸入器は、吸入器に取り付けられたモーションセンサーを更に含む。コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成されている。本方法は、吸入器をモーションシーケンスで移動させることと、コントローラによって、モーションシーケンスが所定のモーションシーケンスと一致するかどうかを判定することと、モーションシーケンスが所定のモーションシーケンスと一致する場合、吸入器をロック済み状態からロック解除状態に切り替えることと、を含む。
【0026】
条項16:治療物質を送達するための吸入器を使用する方法であって、容器と相互作用して、吸入のために治療物質を選択的に放出するように構成されたアクチュエータと、吸入器を、容器からの物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可されるロック済み状態と、容器からの物質の放出が、許可されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可されるロック解除状態と、の間で切り替えるように構成されたコントローラと、を含む、吸入器を提供することを含む、方法。吸入器は、吸入器に取り付けられたモーションセンサーを更に含む。コントローラは、所定のモーションシーケンスを記憶するように構成されている。本方法は、吸入器をモーションシーケンスで移動させることと、コントローラを使用してモーションシーケンスを記録することと、モーションシーケンスを所定のモーションシーケンスとして記憶することと、吸入器が所定のモーションシーケンスで移動すると、吸入器をロック済み状態からロック解除状態に切り替えることと、を含む。
【0027】
条項17:少なくとも1つの所定の基準に対して、入力されたモーションシーケンスを評価することと、入力されたモーションシーケンスが少なくとも1つの所定の基準を満たさない場合、入力されたモーションシーケンスを拒否することと、を含む、条項16に記載の吸入器を使用する方法。
【0028】
条項18:モーションシーケンスで吸入器を2度目に移動させることと、コントローラを使用して第2のモーションシーケンスを記録することと、入力された第1のモーションシーケンスに対して、入力された第2のモーションシーケンスを評価することと、入力された第1のモーションシーケンスと入力された第2のモーションシーケンスとが一致しない場合、入力された第1のモーションシーケンス及び入力された第2のモーションシーケンスを拒否すること、を含む、条項17に記載の吸入器を使用する方法。
【0029】
条項19:少なくとも1つの所定の基準が、少なくとも2次元モーションを含む、条項17又は18に記載の方法。
【0030】
条項20:少なくとも1つの所定の基準が、3次元モーションを含む、条項19に記載の方法。
【0031】
条項21:所定のモーションシーケンスが、各方向における方向反転の最小数、最小持続時間であること、最大持続時間を超えないこと、又は時間とともに特定の様式で変化すること、のうちの1つ以上を含む、条項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、本開示の実施形態を、以下の図面を参照して説明する。
【
図2a】本開示によるセットアップシーケンスのフロー図である。
【
図2b】本開示による使用シーケンスのフロー図である。
【
図3】本開示において言及される軸を示す吸入器の側面図及び正面図を示す。
【
図4a】モーションシーケンスの概略図であり、正及び負のZ方向におけるモーションの概略図である。
【
図4b】モーションシーケンスの概略図であり、正及び負のX、Y、及びZ方向におけるモーションの概略図である。
【
図4c】モーションシーケンスの概略図であり、8の字のモーションの概略図である。
【
図4d】モーションシーケンスの概略図であり、ある人のイニシャルのパターンにおけるモーションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1の実施形態の説明
構成
図1を参照すると、加圧定量吸入器(pMDI)100は、キャニスタ収容部分104を有する本体102と、出口オリフィス108を有するマウスピース106と、を含む。本実施形態における本体102は、成形プラスチック材料から構成されているが、他の材料も可能である。
【0034】
pMDI100の本体102は、加圧キャニスタ(すなわち、容器)110、コントローラ112、動きセンサー114、ロック機構(例えば、ロック)116、アクチュエータ118、及びユーザーディスプレイ119を含む。
【0035】
キャニスタ110は、加圧された薬剤(すなわち、治療物質)及び噴射剤を含み、バルブ出口122とキャニスタ110の内部との間に選択的な流体連通を提供する計量バルブ120を含む。計量バルブ120は、連通が許容されない閉状態と、所定量の薬剤がバルブ出口122に放出される開状態とを有する。
【0036】
コントローラ112は、メモリ、プロセッサ、入力/出力モジュール、及び電源(例えば、バッテリー)を含むことができる。
【0037】
動きセンサー114は、pMDI100の3つのデカルト軸(
図3に示すX、Y、Z)における動きを検出するように構成された3軸加速度計であり得る。
【0038】
アクチュエータ118は、容器110と相互作用して、吸入のために治療物質を選択的に放出するように構成され得る。1つ以上の実施形態では、アクチュエータ118は、バルブ120を受容し、容器110内からある用量の治療物質を選択的に放出するように構成されている。ロック機構116は、容器110とアクチュエータ118との間に位置付けられ、バルブ120の作動を可能にするか、又は阻止して、ある用量の治療物質をオリフィス108に放出するように構成されている。任意の好適な技術を利用して、用量を選択的に放出することができる。1つ以上の実施形態では、アクチュエータ118は、吸入のために治療物質を選択的に放出するように電力供給され得る。1つ以上の実施形態では、コントローラ112は、ロック済み状態とロック解除状態との間で切り替えるときにアクチュエータ118を電子的に制御するように構成され得る。
【0039】
本実施形態におけるユーザーディスプレイ119は、ユーザーに短いメッセージを表示することができる小さな画面である。
【0040】
コントローラ112は、動きセンサー114、ロック機構116(例えば、ロック)、及びユーザーディスプレイ119と通信する。コントローラ112は、動きセンサー114からモーション入力を受信し、モーション入力を分析し、分析の出力に応じてロック機構116をロック済み状態からロック解除状態に切り替えるように構成されている。コントローラ112はまた、ディスプレイ119を介して提供されるメッセージを制御するように構成されている。ロック済み状態では、容器110からの物質の放出が、阻止されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約内で許可される。例えば、1つ以上の実施形態では、ロックされた制約は投薬プロトコルを含むことができ、ここで、最後の用量が投与されてから十分な期間が経過しない限り、ロック機構116はロック済み状態からロック解除状態に切り替えられない。更に、ロック解除状態では、容器からの物質の放出が、許可されるか、又は少なくとも1つのロックされた制約よりも制限が少ない少なくとも1つのロック解除された制約内で許可される。例えば、1つ以上の実施形態では、ロック解除された制約は、吸入器がロック解除されたときに特定の期間に使用されなければならないタイムアウト機能を含むことができる。
使用
【0041】
図2aを参照すると、pMDI100のセットアップ/構成方法の一実施形態が示されている。ステップS200では、許可されたユーザーがpMDI100を受け取る。この段階では、コントローラ112によって制御されるロック/ロック解除プロトコルは無効にされる。
【0042】
ステップS202では、ユーザーは、ボタンなどの電源オン制御(図示せず)を押すことによって吸入器を作動させる。
【0043】
ステップS204では、ユーザーアクセス可能な構成モードが起動され、ユーザーは、ディスプレイ119によって動きシーケンスを記録するようにプロンプトされる。プロンプトに応じて、ステップS206では、ユーザーは、吸入器を所望のシーケンスで少なくとも1つの方向に移動させる。
図3を参照すると、pMDI100のデカルト座標が示されている。
図4a及び
図4bは、少なくとも1つの方向における前後モーションを含む単純な動きパターンの2つの例を示す。
図4aは、正及び負のZ方向のみにおける単純な3段階の動きを示し、
図4bは、正及び負のX、Y、Z方向における単純な3段階の動きを示す。
【0044】
図4c及び
図4dは、少なくとも2つの方向への同時の(すなわち、2次元又は3次元空間における)動きを含む、より複雑な動きを示す。
図4cは、ZY平面における「8の字」モーション経路200の形態のモーションシーケンスを示す。
図4dは、ユーザーのイニシャル「jb」を記述するZY平面内のモーション経路202の形態のモーションシーケンスを示す。ユーザーは、以下のモーション経路の非網羅的なリスト及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を入力することを選択し得ることが理解されるであろう。
●記号
●文字
●写真
【0045】
3次元空間におけるモーションシーケンスを記録するのと同様に、コントローラ112は、シーケンスのタイミングを記録することもできる。例えば、ユーザーは、以下の時間依存特性のうちの1つ以上をモーションシーケンスに追加することができる。
●頻度の調整
●休止
●速さの変化
●所定のリズム(例えば、記憶している曲に合わせたもの)
【0046】
ステップS208では、コントローラ112は、所定のモーションシーケンスを提供するために、モーションシーケンスが少なくとも1つの所定の基準を満たすかどうかを判定するように構成されている。基準は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る。
●モーションシーケンスが、十分に複雑であり、例えば、
○少なくとも2つの方向(X、Y、Z)のモーションを含む、
○各軸における方向反転の最小数を含む、
○最小持続時間である、又は
○最大持続時間を超えない。
●モーションシーケンスが、内容物を撹拌及び/又は均質化するのに十分である。例えば、モーションシーケンスは、Z方向における所定数の反転を含むことができる。
【0047】
ステップS210に移り、ステップS208ではモーションシーケンスが所定の基準を満たす場合、コントローラ112は、ユーザーがシーケンスを繰り返すべきであるという指示を、ディスプレイ119を介してユーザーに提供する。モーションシーケンスが基準を満たさない場合、コントローラ112は、ユーザーが新しいシーケンスを入力することを要求する、すなわち、入力モーションシーケンスは拒否される。
【0048】
1つ以上の実施形態では、コントローラ112は、所定のモーションシーケンスを記録するために、ユーザーが吸入器を所定のモーションシーケンスで少なくとも2回移動させることを要求することができる。例えば、ステップS210では、ユーザーは、モーションシーケンスを2回目以降に繰り返す。コントローラ112は、第2のモーションシーケンスを記録することができる。ステップS212では、コントローラ112は、モーションシーケンスが成功裏に繰り返されたかどうかを判定するように構成されている。1つ以上の実施形態では、コントローラ112は、第1の入力モーションが第2の入力モーションと一致する場合に、モーションシーケンスが成功裏に繰り返されたかどうかを判定するように構成され得る。第1の入力モーションと第2の入力モーションとが一致しない場合、コントローラ112は、第1の入力モーションシーケンス及び第2の入力モーションシーケンスを拒否するように構成され得る。第1の入力モーションと第2の入力モーションとが一致する場合、ステップS214では、所定のモーションシーケンスが記憶され、ユーザーはディスプレイ119を介して入力が成功したことを知らされる。
【0049】
図2bを参照すると、pMDI100の使用方法の一実施形態が示されている。ステップS300では、ユーザーは、モーションシーケンスにおいて吸入器100を移動させる。ステップS302では、コントローラ112は、
図2aからの記憶された所定のモーションシーケンスに対してモーションシーケンスをチェックする。入力モーションシーケンスが記憶された所定のモーションシーケンスと一致する場合、ステップS304では、吸入器100は、コントローラ112によってロック済み状態からロック解除状態に切り替えられ、吸入器を使用することができる。そうでない場合、ユーザーにエラーメッセージが提示され、ステップS300に戻って再試行する。
【0050】
ステップS306では、デバイスが作動され、この作動がコントローラ112によって検出され、ステップS308では、デバイスがもう一度ロックされる。
変形形態
【0051】
本明細書に記載の実施形態に対する以下の変形形態は、本開示の範囲内に含まれる。
【0052】
ユーザーディスプレイ119は、単純な照明、複雑なディスプレイであってもよく、又は、例えば、Bluetooth(登録商標)を介して吸入器100と通信する別個のデバイス(例えば、携帯電話などのモバイルデバイス)上に提供されてもよい。
【0053】
「マスタ」シーケンスは、コントローラ112内に記憶されてもよく、ユーザーがそのモーションシーケンスを忘れた場合に、吸入器100がリセットされることを可能にする。
【0054】
吸入器100は、ロック解除される必要なく、所定数の用量、又は期間(例えば、時間又は日)当たりの用量を可能にするように構成されてもよい。例えば、1時間当たり1回の用量が許可されてもよく、その後、吸入器100はロックされ、上記のモーションシーケンスによってのみロック解除され得る。
【0055】
吸入器100は、ステップS308において、使用されていない場合に所定の期間(例えば、1分)後にロックされる「タイムアウト」機能を備えることができる。タイムアウトは、単回使用、所定の使用回数によって無効にされ得るか、又は所定の期間中に無制限の複数回投与を可能にし得る。
【0056】
吸入器100は、一体化された用量カウンタが所定の限界に達すると、例えば、最大用量を超えようとしている場合、又は用量カウンタが、キャニスタが消耗したことを示す場合、使用を禁止することができる。
【0057】
吸入器100は、モーションシーケンスをモバイルデバイスに通信することができ、モバイルデバイスにおいて、モーションシーケンスは、ユーザーへのリマインダとして視覚化され得る(
図4c及び
図4dと同様)。
【0058】
本開示は、加圧定量吸入器(pMDI)以外のタイプの吸入器に実装されてもよい。
【0059】
ロック機構116の代わりに、吸入器100は、正しいモーションシーケンスによってロック解除された(すなわち、電子的にロックされている)ときにのみ起動され得る電子制御作動機構を備えることができる。
【0060】
本明細書で引用される全ての参考文献及び刊行物は、それらが本開示と直接矛盾し得る範囲を除いて、参照によりその全体が本開示に明示的に組み込まれる。本明細書では特定の実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、図示及び説明した特定の実施形態を様々な代替及び/又は等価な実装形態で置き換えることができることを理解するであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、そのような実施例及び実施形態は、本明細書に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本開示の範囲とともに、例としてのみ提示されることを理解されたい。
【国際調査報告】