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特表2024-534558重水素化NMDA正調節化合物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】重水素化NMDA正調節化合物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07J 9/00 20060101AFI20240912BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07J9/00 CSP
A61P25/00
A61P25/22
A61P25/28
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/04
A61P25/08
A61P9/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P27/16
A61K31/575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518199
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022044447
(87)【国際公開番号】W WO2023049295
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,052
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514058913
【氏名又は名称】セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ-ピヤド, マリア-ヘスス
【テーマコード(参考)】
4C086
4C091
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA34
4C086ZA36
4C091AA01
4C091BB06
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091EE04
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB04
4C091QQ01
(57)【要約】
式(I)による重水素化化合物:式(I)及びそれらの薬学的に許容される塩、並びにそれらの薬学的組成物が提供される。これらの化合物は、様々なCNS関連状態の予防及び治療に有用であると企図される。一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化40】
又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化41】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物:
【化42】
又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化43】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式(Ia)の化合物が、式(II)の化合物:
【化44】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記式(Ia)の化合物が、式(III)の化合物:
【化45】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
3a、R18、R19、R20a、若しくはR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルであるか、又はR2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つが、重水素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1a及びR1bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項7】
2a及びR2bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
4a及びR4bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、重水素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項11】
及びR6aの各々が、独立して、重水素である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項12】
6a及びR6bの各々が、独立して、重水素である、請求項1又は3~11のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項13】
7a又はR7bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項14】
11a及びR11bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項15】
12a及びR12bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項16】
15a及びR15bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項17】
16a及びR16bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項18】
17が、重水素である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項19】
18が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
19が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
20aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項22】
20bが、重水素である、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項23】
21a及びR21bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項24】
23a及びR23bの各々が、独立して、重水素である、請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項25】
24aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項26】
前記式(I)の化合物が、式(IV)の化合物
【化46】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
前記式(IV)の化合物が、化合物A~Jのうちのいずれか1つ、
【表4】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、請求項26に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記式(I)の化合物が、式(V)の化合物
【化47】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記式(V)の化合物が、化合物K~Xのうちのいずれか1つ、
【表5】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項31】
対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項30に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項32】
前記CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項30に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項34】
対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、請求項34に記載の使用のための化合物、その薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物。
【請求項36】
対象における鎮静又は麻酔の誘導における使用のための、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項30に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項38】
前記CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、請求項37に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月22日に出願された米国特許仮出願第63/247,052号の優先権及び利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
NMDA受容体は、NR1、NR2、及び/又はNR3のサブユニットからなるヘテロマー複合体であり、外因性リガンド及び内因性リガンドについての明確に異なる認識部位を保有する。これらの認識部位には、グリシンの結合部位、並びにグルタミン酸アゴニスト及び調節因子が含まれる。NMDA受容体は、末梢組織及びCNSにおいて発現され、末梢組織及びCNSにおいて、これらは、興奮性シナプス伝達に関与する。これらの受容体を活性化することは、いくつかの状況ではシナプス可塑性に寄与し、他の状況では興奮毒性に寄与する。これらの受容体は、グルタミン酸及びグリシンの結合後にCa2+を受け入れるリガンド開口型イオンチャネルであり、興奮性神経伝達及び正常CNS機能に必須である。正調節因子は、向知性薬としての潜在的な臨床的使用を有する治療薬として有用であり得、グルタミン酸作動性伝達が低減されている又は欠損している精神障害の治療において有用であり得る(例えば、Horak et al.,J.of Neuroscience,2004,24(46),10318-10325を参照されたい)。
NMDA機能に関連する状態の予防及び治療のための、NMDA受容体の正アロステリック調節因子である新しい化合物の必要性がある。本明細書に記載される化合物、組成物、及び方法は、この目的に向けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Horak et al.,J.of Neuroscience,2004,24(46),10318-10325
【発明の概要】
【0004】
例えば、NMDA正アロステリック調節因子として作用するように設計された化合物が、本明細書で提供される。式(I)の化合物は、天然発生レベル超の重水素レベルを含む化合物である。いくつかの実施形態において、そのような化合物は、CNS関連障害を治療するための治療薬として有用であることが想定される。
【0005】
一態様において、本開示は、式(I)の化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化2】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物 式(Ia)の化合物:
【化3】
又はその薬学的に許容される塩、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化4】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする。
【0007】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(II)の化合物:
【化5】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0008】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(III)の化合物:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(I)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(Ia)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(II)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(III)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(IV)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(Ia)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(II)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(III)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(IV)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(V)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態において、R3a、R18、R19、R20a、若しくはR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルであるか、又はR2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つは、重水素である。いくつかの実施形態において、R3a、R18、R19、R20a、又はR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0011】
いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、水素である。
【0012】
いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、水素である。
【0013】
いくつかの実施形態において、Rは、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHである。いくつかの実施形態において、Rは、-CDである。
【0014】
いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、水素である。
【0015】
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、水素である。
【0016】
いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、水素である。
【0017】
いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、水素である。
【0018】
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0019】
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0020】
いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、水素である。
【0021】
いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、水素である。
【0022】
いくつかの実施形態において、R14は、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R14は、重水素である。いくつかの実施形態において、R14は、水素である。
【0023】
いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、水素である。
【0024】
いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、水素である。
【0025】
いくつかの実施形態において、R17は、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R17は、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R17は、重水素である。いくつかの実施形態において、R17は、水素である。
【0026】
いくつかの実施形態において、R18は、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R18は、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R18は、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R18は、-CDである。いくつかの実施形態において、R18は、-CHである。
【0027】
いくつかの実施形態において、R19は、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R19は、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R19は、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R19は、-CDである。いくつかの実施形態において、R19は、-CHである。
【0028】
いくつかの実施形態において、R20aは、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R20aは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R20aは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R20aは、-CDである。いくつかの実施形態において、R20aは、-CHである。いくつかの実施形態において、R20bは、重水素である。いくつかの実施形態において、R20bは、水素である。
【0029】
いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、水素である。
【0030】
いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、水素である。
【0031】
いくつかの実施形態において、R24aは、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R24aは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R24aは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R24aは、-CDである。いくつかの実施形態において、R24aは、-CHである。
【0032】
一態様において、本開示は、本開示による化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、本開示による化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、本開示による化合物の薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0033】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、対象に、有効量の本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0035】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0036】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔の誘導の使用のための、本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔の誘導の使用のための、本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔の誘導の使用のための、本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0037】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の使用を提供する。
【0038】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導するための医薬品の製造のための、本開示による化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は本開示による薬学的組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本開示による化合物、又は本開示による化合物を含む薬学的組成物の使用を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本開示による化合物の薬学的に許容される塩、又は本開示による化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の使用を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態において、CNS関連状態は、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示は、NMDA正アロステリック調節因子化合物を提供する。本開示の化合物は、CNS関連状態を治療するための治療薬として有用であり、CNS関連状態は、適応障害、不安症、認知障害、解離症、摂食障害、気分障害、統合失調症又は他の精神病性障害、睡眠障害、物質関連障害、パーソナリティ障害、自閉症スペクトラム症、神経発達症、疼痛、医学的状態の二次性脳症、発作性障害、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害、及び耳鳴を含むが、これらに限定されない。
【0041】
一般的な定義
「本明細書」という用語は、本出願全体を意味する。
【0042】
別途本明細書で定義されない限り、本出願で使用される科学及び技術用語は、本開示が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。概して、本明細書に記載される化合物、組成物、及び方法に関連して使用される命名法は、当該技術分野で周知であり一般的に使用されるものである。
【0043】
本開示の異なる態様及び本明細書の異なる部分の下に記載されるものを含む(実施例にのみ記載される実施形態を含む)、本明細書に記載される実施形態のいずれも、明示的に否認されない限り、又は不適切でない限り、本開示の1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。実施形態の組み合わせは、多数項従属クレームを介して特許請求される具体的な組み合わせに限定されない。例えば、別の特許請求の範囲に従属する任意の特許請求の範囲は、同じ基本特許請求の範囲に従属する任意の他の特許請求の範囲に見出される1つ以上の制限を含むように修正され得る。要素がリストとして提示される場合、例えば、Markush群フォーマットで、要素の各サブグループも開示され、任意の要素(複数可)をグループから削除することができる。一般に、本発明、又は本発明の態様が特定の要素及び/又は特徴を含むと称される場合、本発明のある特定の実施形態又は本発明の態様は、そのような要素及び/又は特徴からなるか、又は本質的になることが理解されるべきである。簡潔さを目的として、それらの実施形態は、本明細書で具体的に逐語的には記載されていない。
【0044】
本明細書全体にわたって、「含む(including)」と同義語である「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形、「含有する」、あるいは「特徴とする」という語句は、記載される要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)又は要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)の群を含むことを意味するが、いずれもの他の要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)又は要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)の群を排除することを意味しないことが理解される。「含むこと」及び「含有すること」という用語は、開放的であるように意図され、追加の要素又はステップの包含を許容することもまた留意されたい。
【0045】
本明細書全体にわたって、組成物が、具体的な構成要素を有する、含む(including)、又は含む(comprising)(又はそれらの変形)として記載される場合、組成物はまた、列挙される構成要素から本質的になってもよく、又はそれらからなってもよいことが企図される。同様に、方法又はプロセスが、具体的なプロセスステップを有する、含む(including)、又は含む(comprising)として記載される場合、プロセスはまた、列挙される加工ステップから本質的になってもよく、又はそれらからなってもよい。更に、ステップの順序、又はある特定の行為を実行するための順序は、本明細書に記載される組成物及び方法が依然として動作可能である限り、重要でないことを理解されたい。また、2つ以上のステップ又は行為が、同時に行われ得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」を意味する。「含む」及び「含むが、これらに限定されない」は、互換的に使用される。したがって、これらの用語は、記載される要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)又は要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)の群を含むことを意味するが、いずれもの他の要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)又は要素(integer)(又は構成要素、要素(element)、若しくは方法)の群を排除することを意味しないことが理解される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」とは、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差範囲内であることを意味し、許容誤差範囲は、どのようにこの値が測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存する。
【0048】
要素を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」という用語、並びに同様の指示物の使用は、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。例として、「類似体」は、1つの類似体又は2つ以上の類似体を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、別途文脈により明らかに指示されない限り、「及び/又は」を意味すると理解されるべきである。
【0050】
本明細書における値の範囲の言及は、本明細書中に別段の指示がない限り、単に、範囲に含まれる終点を含む各別の値を個々に参照する簡略方法として機能することを意図しており、各別の値は本明細書に個別に言及されているかのように、本明細書に組み入れられる。本明細書に記載される全ての方法は、別途本明細書で指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、いずれかの好適な順序で実行され得る。本明細書で提供されるあらゆる例又は例示的な術語(例えば、「など」)の使用は、単に実施形態をより良好に説明することが意図されており、別途記載されない限り、特許請求の範囲の範囲を限定しない。本明細書におけるいずれもの術語は、いずれもの特許請求されない要素を必須であると示すとして解釈されるべきでない。
【0051】
本出願において参照される刊行物、特許、及び特許出願公開の全ては、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。矛盾する場合には、本明細書が、その具体的な定義を含めて優先される。更に、先行技術に該当する本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちの任意の1つ以上から明示的に除外され得る。そのような実施形態は、当業者に既知であるとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記載されていない場合でも除外され得る。本開示の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、いかなる理由でも、任意の請求項から除外され得る。
【0052】
化学物質定義
具体的な官能基及び化学用語の定義は、より詳細に以下に記載される。化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.,内表紙に従って特定され、具体的な官能基は、概して、それに記載されているように定義される。加えて、有機化学の一般的な原理、並びに具体的な官能性部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001、Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989、及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0053】
本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物、例えば、式(I)の化合物)は、重水素濃縮されている。
【0054】
重水素(D又は2H)は、水素の安定した非放射性同位体であり、2.0144の原子量を有する。水素は、同位体1H(水素又はプロチウム)、D(2H又は重水素)、及びT(3H又はトリチウム)の混合物として天然に発生する。重水素の天然存在量は、0.015%である。H原子を有する全ての化合物において、H原子は、実際には、H及びDの混合物を表し、約0.015%が、Dであることが、当業者には認識される。したがって、濃縮された重水素のレベルが0.015%のその天然存在量よりも大きい化合物は、非天然であると考えられるべきであり、結果として、それらの非濃縮対応物よりも新規である。
【0055】
化合物の代謝特性への重水素修飾の効果は、重水素原子が既知の代謝部位において組み込まれているときにも、予測可能でない。重水素化化合物を実際に調製及び試験することによってのみ、代謝速度がその非重水素化対応物のものと異なるか、かつどのようにそれらが異なるかが決定され得る。例えば、Fukuto et al.(J.Med.Chem.1991,34,2871-76)を参照されたい。多くの化合物は、代謝が可能である複数の部位を有する。重水素置換が必要とされる部位(複数可)、及び代謝への効果を見出すために必要な重水素化の程度は、存在する場合、各化合物について異なる。
【0056】
別途記載されない限り、位置が、「H」又は「水素」として具体的に指定されるときに、位置は、水素(すなわち、1H)をその天然存在量同位体組成で有すると理解される。また、別途記載されない限り、位置が、「D」又は「重水素」として具体的に指定されるときに、位置は、重水素(すなわち、2H)を、0.015%である重水素の天然存在量よりも少なくとも3000倍大きい存在量で有する(すなわち、「D」又は「重水素」という用語は、重水素の少なくとも45%の組み込みを示す)と理解される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「同位体濃縮係数」という用語は、本発明の化合物における特定の位置におけるDの同位体存在量と、この同位体の天然発生存在量との間の比を意味する。化合物(例えば、式(I)の化合物)中に存在する重水素の量を増加させることは、「重水素濃縮」と称され、そのような化合物は、「重水素濃縮された」化合物と称される。具体的に記載されない場合、濃縮の百分率とは、化合物中に存在する重水素の百分率を指す。
【0058】
他の実施形態において、本発明の化合物は、少なくとも3500(52.5.%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の、化合物上の重水素化の潜在的な部位において指定される部位において存在する各重水素についての同位体濃縮係数を有する。重水素化の部位として指定される部位において存在する各重水素の同位体濃縮係数は、他の重水素化された部位に依存しないことが理解される。例えば、重水素化の2つの部位が化合物上にある場合、一方の部位は、52.5%で重水素化され得、他方の部位は、75%で重水素化され得る。得られた化合物は、同位体濃縮係数が少なくとも3500(52.5%)である化合物であると考えられる。
【0059】
重水素の天然存在量は約0.015%であるため、本明細書に記載される化合物、例えば、式(I)の化合物中の水素の6,667個の天然発生部位ごとにおよそ1つは、重水素が存在することが予想される。
【0060】
存在する重水素の量について与えられる全ての百分率は、モル百分率である。
【0061】
研究室において、100%の重水素化を、研究室規模の量(例えば、ミリグラム以上)の化合物のいずれか1つの部位において達成することは困難であり得る。100%の重水素化が列挙されるときに、又は重水素原子が構造において具体的に示されるときに、小さい百分率の水素が依然として存在し得ると想定される。重水素濃縮された状態は、プロトンを重水素と交換すること、又は分子を濃縮された出発材料と合成することのいずれかによって達成され得る。
【0062】
また、式(I)の重水素濃縮された化合物の単離又は精製が、本明細書に記載される。単離又は精製された式(I)の重水素濃縮された化合物。
【0063】
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含有することができ、したがって、様々な異性体形態、例えば、鏡像異性体及び/又はジアステレオマーで存在することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは幾何異性体の形態であってもよく、あるいはラセミ混合物及び1つ以上の立体異性体が豊富な混合物を含む立体異性体の混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に既知の方法によって、混合物から単離されてよく、又は好ましい異性体は、非対称合成によって調製されてもよい。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、追加的に、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、かつ代替的に、様々な異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を包含する。
【0064】
異性体、例えば、立体異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に既知の方法によって、混合物から単離され得るか、又は好ましい異性体は、非対称合成によって調製され得る。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、追加的に、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、かつ代替的に、様々な異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を包含する。
【0065】
本明細書で使用される場合、純粋なエナンチオマー化合物は、化合物の他のエナンチオマー又は立体異性体を実質的に含まない(すなわち、エナンチオマー過剰にある)。言い換えれば、化合物の「S」形態は、化合物の「R」形態を実質的に含まず、したがって、「R」形態の鏡像異性体過剰である。「鏡像異性体的に純粋な」又は「純粋な鏡像異性体」という用語は、化合物が鏡像異性体の75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、98.5重量%超、99重量%超、99.2重量%超、99.5重量%超、99.6重量%超、99.7重量%超、99.8重量%超、又は99.9重量%超を含むことを意味する。特定の実施形態では、重量は、化合物の全ての鏡像異性体又は立体異性体の総重量に基づいている。
【0066】
本明細書に提供される組成物において、鏡像異性体的に純粋な化合物は、他の活性成分又は不活性成分とともに存在することができる。例えば、エナンチオマー的に純粋なR-化合物を含む薬学的組成物は、例えば、約90%の賦形剤と、約10%のエナンチオマー的に純粋なR-化合物と、を含むことができる。実施形態では、そのような組成物中の鏡像異性体的に純粋なR-化合物は、例えば、化合物の総重量で、少なくとも約95重量%のR-化合物、及び最大で約5重量%のS-化合物を含むことができる。例えば、鏡像異性体的に純粋なS-化合物を含む薬学的組成物は、例えば、約90%の賦形剤及び約10%の鏡像異性体的に純粋なS-化合物を含むことができる。実施形態では、そのような組成物中の鏡像異性体的に純粋なS-化合物は、例えば、化合物の総重量で、少なくとも約95重量%のS-化合物、及び最大で約5重量%のR-化合物を含むことができる。特定の実施形態では、活性成分は、ほとんど又はまったく賦形剤又は担体を用いず製剤化することができる。
【0067】
「ジアステレオマー的に純粋な」という用語は、化合物が、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、98.5重量%超、99重量%超、99.2重量%超、99.5重量%超、99.6重量%超、99.7重量%超、99.8重量%超、又は99.9重量%超の単一ジアステレオマーを含むことを指す。ジアステレオ異性及び鏡像異性純度を決定する方法は、当該技術分野において周知である。ジアステレオ異性純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など、化合物とそのジアステレオ異性体とを定量的に区別することができる任意の分析方法によって決定することができる。
【0068】
値の範囲が列挙されている場合、範囲内の各値及びサブ範囲を包含することが意図される。例えば、「C1~3アルキル」は、C1、C2、C3、C1~3、C1~2、及びC2~3を包含することが意図されている。
【0069】
以下の用語は、以下に提示される意味を有するように意図され、本発明の説明及び意図される範囲を理解するのに有用である。
【0070】
「アルキル」とは、直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基のラジカルを指す。
【0071】
「対イオン」又は「アニオン性対イオン」は、電子中性を維持するためにカチオン性四級アミノ基と会合した、負に荷電した基である。例示的な対イオンは、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO-、ClO-、OH-、HPO-、HSO-、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、10-カンファースルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホン酸、及びエタン-1-スルホン酸-2-スルホン酸など)、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸、エタン酸、プロパン酸、安息香酸、グリセリン酸、乳酸、酒石酸、及びグリコール酸など)を含む。
【0072】
これら及び他の例示的な置換基は、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲に更に詳細に記載されている。本発明は、上の例示的な置換基の列挙によって、いかなる様式においても限定されるように意図されるものではない。
【0073】
他の定義
本明細書で使用される場合、「正調節」又は「正アロステリック調節」という用語は、NMDA受容体機能の増強を指す。「正調節因子」又は「正アロステリック調節因子」(例えば、調節因子化合物)は、例えば、NMDA受容体のアゴニスト、部分的アゴニストであり得る。
【0074】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制機関、又は米国以外の国における対応する機関によって承認されている若しくは承認可能であること、又は米国薬局方若しくは他の一般に認識された薬局方において、動物における、特に、ヒトにおける使用のために列挙されていることを意味する。
【0075】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理活性を保有する、本発明の化合物の塩を指す。特に、そのような塩は、無毒性である無機又は有機酸付加塩及び塩基付加塩であり得る。具体的には、そのような塩としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成されるか;又は有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸と形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオンで置き換えられるか;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位する場合に形成される塩が挙げられる。塩は、例としてのみ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びテトラアルキルアンモニウムなどを含み、化合物が塩基性官能性を含有するときに、無毒性の有機酸又は無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩及びシュウ酸塩などを更に含む。「薬学的に許容されるカチオン」という用語は、酸性官能基の許容されるカチオン対イオンを指す。そのようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びテトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例示される。例えば、Berge,et al.,J.Pharm.Sci.(1977)66(1):1-79を参照されたい。
【0076】
「溶媒和物」とは、溶媒又は水と、通常、加溶媒分解反応によって会合した化合物の形態(「水和物」とも称される)を指す。この物理的会合は、水素結合を含む。従来の溶媒は、水、エタノール、及び酢酸などを含む。本発明の化合物は、例えば、結晶形態において調製され得、溶媒和又は水和し得る。好適な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物、例えば、水和物を含み、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方を更に含む。ある特定の事例において、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子内に組み込まれているときに単離可能である。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物は、水和物、エタノレート、及びメタノレートを含む。
【0077】
「立体異性体」:また同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列又は空間におけるそれらの原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれることを理解されたい。空間中の原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いの鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と称され、互いの非重畳性鏡像である立体異性体は、「鏡像異性体」と称される。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、4つの異なる基に結合され、一対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、Cahn及びPrelogのR-及びS-配列決定規則、又は分子が偏光平面を回転させ、右旋性又は左旋性として指定される様式(すなわち、それぞれ、(+)又は、(-)-異性体として)によって記載される。キラル化合物は、個々の鏡像異性体又はその混合物のいずれかとして存在することができる。等しい割合の鏡像異性体を含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれている。
【0078】
「互変異性体」は、特定の化合物構造の交換可能な形態であり、水素原子及び電子の置換で変化する化合物を指す。したがって、2つの構造は、π電子及び原子(通常はH)の移動を通じて平衡状態にあり得る。例えば、エノール及びケトンは、酸又は塩基のいずれかでの処理によって急速に相互変換されるため、互変異性体である。互変異性の別の例は、同様に酸又は塩基での処理によって形成されるアシ形態及びニトロ形態のフェニルニトロメタンである。互変異性形態は、目的の化合物の最適な化学反応性及び生物活性の達成に関連し得る。
【0079】
投与が企図される「対象」としては、ヒト対象(すなわち、任意の年齢群の雄又は雌、例えば、小児対象(例えば、乳児、子供、青年)若しくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人若しくは高齢成人))、及び/又は非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ、及び/若しくはイヌなどの哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。特定の実施形態では、対象は、非ヒト動物である。「ヒト」、「患者」、及び「対象」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0080】
疾患、障害、及び状態は、本明細書では同義的に使用される。
【0081】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、若しくは「治療」という用語、又はそれらの変形は、状態の症状、臨床徴候、及び基礎病態を、対象の状態を改善又は安定化する様式で逆転させる、低減する、又は停止することを含む。「治療」は、対象が、特定の疾患、障害、又は状態に患っている間に発生する行為であって、疾患、障害、若しくは状態の重症度を低減させるか、又は疾患、障害、若しくは状態の進行を遅らせる若しくは遅くする、行為を企図する。本明細書で使用され、当該技術分野で周知であるように、「治療」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。有益な又は所望の臨床結果は、検出可能であるか検出不可能であるかにかかわらず、状態に関連する1つ以上の症状若しくは状態の緩和、改善、重症度の軽減、又は進行の遅延、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患の進行の遅延又は減速、病状の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は完全)を含み得るが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けていない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することを意味し得る。例示的な有益な臨床結果が本明細書に記載される。
【0082】
一般に、化合物の「有効量」は、例えば、CNS関連障害を治療するために、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指し、麻酔又は鎮静を誘導するのに十分である。当業者によって理解されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療されている疾患、投与様式、並びに対象の年齢、体重、健康、及び状態などの因子に応じて変化し得る。
【0083】
「薬学的有効量」、「治療有効量」、又は「治療有効用量」という用語は、患者における疾患を治療するのに十分な量、例えば、疾患を患う患者の健康における有益なかつ/又は望ましい変化をもたらすのに十分な量、生理学的応答又は状態を治療する、治癒する、阻害する、又は寛解させるのに十分な量、疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を遅延させる又は最小化するのに十分な量などを指す。完全な治療効果は、必ずしも1回用量の投与によって発生するわけではなく、一連の用量を投与した後にのみ発生する場合もある。したがって、治療有効量は、1つ以上の投与で投与してもよい。対象に必要な正確な有効量は、例えば、対象のサイズ、健康及び年齢、疾患の性質及び程度、投与のために選択される治療薬又は治療薬の組み合わせ、並びに投与様式に依存するであろう。当業者は、慣例的な実験によって、所与の状況に対する有効量を容易に決定することができる。「薬学的有効量」、「治療有効量」、又は「治療有効用量」という用語は、患者の臨床症状を改善するのに必要な量も指す。化合物の治療有効量はまた、単独で、又は他の療法と組み合わせて、疾患、障害又は状態の治療において治療上の利点をもたらす治療薬の量を指す。「治療有効量」という用語は、全体的な療法を改善する量、疾患若しくは状態の症状若しくは原因を低減若しくは回避する量、又は別の治療薬の治療有効性を増強する量を包含することができる。
【0084】
代替的な実施形態において、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは薬学的に許容される組成物はまた、「予防有効量」で投与され得る。本明細書で使用される場合、及び別段の指定がない限り、化合物の「予防有効量」は、疾患、障害若しくは状態、又は疾患、障害若しくは状態に関連する1つ以上の症状を予防するのに十分な量、又はその再発を予防するのに十分な量である。予防有効量の化合物は、疾患、障害又は状態の予防における予防的利点をもたらす、単独で又は他の薬剤と組み合わせた治療薬の量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を改善するか、又は別の予防薬の予防有効性を増強する量を包含することができる。
【0085】
本明細書で使用される場合、及び別段の指定がない限り、「薬物動態」は、薬物の体内吸収、分布、代謝、及び排泄の研究として定義され得る。「薬物動態」はまた、薬物と身体との、その吸収、分布、代謝、及び排泄の観点からの特徴的な相互作用、又は薬物が身体に取り込まれ、移動し、及び身体から排除される方法に関する薬理学の分岐として定義することもできる。
【0086】
物質、化合物又は薬剤を対象へ「投与すること」又はそれら「の投与」は、当業者に既知の様々な方法のうちの1つを使用して実施され得る。例えば、化合物又は薬剤は、静脈内、動脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、眼内、舌下、経口(摂取により)、鼻腔内(吸入により)、脊髄内、大脳内、及び経皮(吸収により、例えば、皮膚ダクトを介して)で投与され得る。化合物又は薬剤はまた、化合物又は薬剤の延長放出、遅延放出又は制御放出を提供する、再充電可能又は生分解性の高分子デバイス又は他のデバイス、例えば、パッチ及びポンプ、又は製剤によって適切に導入され得る。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間にわたって実行され得る。いくつかの実施形態において、投与は、自己投与を含む直接投与、及び薬物を処方する行為を含む間接投与の両方を含む。例えば、本明細書で使用される場合、患者に薬物を自己投与するように指示する、又は別の者によって薬物を投与させる、及び/又は薬物の処方箋を患者に提供する医師が、患者に薬物を投与する。方法が1つを超える薬剤又は治療様式を伴う治療レジメンの一部である場合、本開示は、薬剤が同じ又は異なる時間に、同じ又は異なる投与経路を介して投与され得ることを企図する。物質、化合物、又は薬剤を対象に投与する適切な方法は、例えば、対象の年齢、投与時に対象が活動的であるか非活動的であるか、投与時に対象に認知障害があるか、機能障害の程度、化合物又は薬剤の化学的及び生物学的特性(例えば、溶解性、消化性、生物学的利用能、安定性、及び毒性)にも依存するであろう。
【0087】
本明細書に概して記載されるように、本開示は、広範囲の障害を予防及び/又は治療するために有用な化合物を提供し、障害は、NMDA媒介性障害を含むが、これらに限定されない。これらの化合物は、他の化合物と比較して改善されたインビボ力価、薬物動態(PK)特性、経口バイオアベイラビリティ、製剤化可能性(formulatability)、安定性、及び/又は安全性を示すと予想される。
【0088】
化合物
一態様において、本開示は、式(I)の化合物:
【化7】
又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化8】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物 式(Ia)の化合物:
【化9】
又はその薬学的に許容される塩、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化10】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする。
【0090】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(II)の化合物:
【化11】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0091】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(III)の化合物:
【化12】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0092】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物:
【化13】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0093】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(V)の化合物
【化14】
又はその薬学的に許容される塩である。
【0094】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(I)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(Ia)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(II)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(III)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(IV)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(V)の化合物を提供する。
【0095】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に開示される化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(Ia)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(II)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(III)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(IV)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、式(V)の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。
【0096】
いくつかの実施形態において、R、R18、R19、R20a、及びR24aの各々は、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、R1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、R20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々は、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つは、重水素であることを条件とする。
【0097】
いくつかの実施形態において、R、R18、R19、R20a、及びR24aの各々は、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、R1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々は、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つは、重水素であることを条件とする。
【0098】
ある特定の実施形態において、R3a、R18、R19、R20a、若しくはR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルであるか、又はR2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つは、重水素である。いくつかの実施形態において、R3a、R18、R19、R20a、又はR24aのうちの少なくとも1つは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つは、重水素である。
【0099】
基R1a、R1b、R2a、R2b、R4a、及びR4b
いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの各々は、独立して、水素である。
【0100】
いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、重水素又は水素である。いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は、独立して、水素である。
【0101】
いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R4a及びR4bの各々は、独立して、水素である。
【0102】
基R
いくつかの実施形態において、Rは、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CHである。いくつかの実施形態において、Rは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、Rは、-CDである。
【0103】
基R、R6a、R6b、R7a、及びR7b
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。ある特定の実施形態において、Rは、水素である。
【0104】
いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R及びR6aの各々は、独立して、水素である。
【0105】
いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R6a及びR6bの各々は、独立して、水素である。
【0106】
いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R7a又はR7bの各々は、独立して、水素である。
【0107】
基R、R、及びR14
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0108】
いくつかの実施形態において、Rは、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、重水素である。いくつかの実施形態において、Rは、水素である。
【0109】
いくつかの実施形態において、R14は、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R14は、重水素である。いくつかの実施形態において、R14は、水素である。
【0110】
基R11a、R11b、R12a、及びR12b
いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R11a及びR11bの各々は、独立して、水素である。いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R12a及びR12bの各々は、独立して、水素である。
【0111】
基R15a、R15b、R16a、R16b、及びR17
いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R15a及びR15bの各々は、独立して、水素である。
【0112】
いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R16a及びR16bの各々は、独立して、水素である。
【0113】
いくつかの実施形態において、R17は、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R17は、重水素である。いくつかの実施形態において、R17は、水素である。
【0114】
基R18及びR19
いくつかの実施形態において、R18は、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。ある特定の実施形態において、R18は、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。ある特定の実施形態において、R18は、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R18は、-CDである。いくつかの実施形態において、R18は-CHである。
【0115】
いくつかの実施形態において、R19は、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R19は、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R19は、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R19は、-CDである。いくつかの実施形態において、R19は、-CHである。
【0116】
基R20a及びR20b
いくつかの実施形態において、R20aは、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R20aは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R20aは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R20aは、-CDである。いくつかの実施形態において、R20aは、-CHである。
【0117】
いくつかの実施形態において、R20bは、重水素である。いくつかの実施形態において、R20bは、水素である。
【0118】
【0119】
基R21a、R21b、R23a、R23b、及びR24a
いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R21a及びR21bの各々は、独立して、水素である。
【0120】
いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、水素又は重水素である。いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、重水素である。いくつかの実施形態において、R23a及びR23bの各々は、独立して、水素である。
【0121】
いくつかの実施形態において、R24aは、C1~3アルキルである 1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されている。いくつかの実施形態において、R24aは、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである。いくつかの実施形態において、R24aは、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである。いくつかの実施形態において、R24aは、-CDである。いくつかの実施形態において、R24aは、-CHである。
【0122】
いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物は、化合物A~Jのうちのいずれか1つ、
【表2】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、重水素として標識されていないいずれかの原子は、その天然同位体存在量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物は、化合物A~Jのうちのいずれか1つからなる群から選択される式(IV)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、化合物A~Jのうちのいずれか1つからなる群から選択される式(IV)の化合物の薬学的に許容される塩である。
【0123】
いくつかの実施形態において、式(V)の化合物は、化合物K~Xのうちのいずれか1つ、
【表3】
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、重水素として標識されていないいずれかの原子は、その天然同位体存在量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物は、化合物K~Xのうちのいずれか1つからなる群から選択される式(V)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、化合物K~Xのうちのいずれか1つからなる群から選択される式(V)の化合物の薬学的に許容される塩である。
【0124】
いくつかの実施形態において、化合物は、表1における化合物のうちのいずれか1つから選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【0125】
本発明の例示的な化合物は、以下の既知の出発材料から、当業者に既知の方法又はある特定の参照文献、例えば、U.S.10,227,375を使用して合成され得、この参照文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【化15】
【0126】
代替的な実施形態
代替的な実施形態において、本明細書に記載される化合物はまた、水素以外の原子の1つ以上の同位体置換を含み得る。例えば、炭素は、例えば、13C又は14Cであり得、酸素は、例えば、18Oであり得、窒素は、例えば、15Nであり得る。他の実施形態において、特定の同位体(例えば、13C、14C、18O、又は15N)は、化合物の具体的な部位を占める元素の総同位体存在量の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少なくとも99.9%を表すことができる。
【0127】
薬学的組成物
別の態様において、本開示は、薬学的に許容される担体と、有効量の本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本開示は、薬学的に許容される担体と、有効量の本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物)と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物を提供する。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、有効量で薬学的組成物中に提供される。ある特定の実施形態において、本発明の化合物は、治療有効量で提供される。
【0128】
特定の実施形態では、薬学的組成物は、有効量の活性成分を含む。特定の実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の活性成分を含む。
【0129】
本明細書で提供される薬学的組成物は、様々な経路によって投与され得、経路は、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、髄腔内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、及び鼻腔内投与を含むが、これらに限定されない。
【0130】
本開示はまた、医薬又は医薬品としての使用のための本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的組成物)に関する。
【0131】
概して、本明細書で提供される化合物は、治療有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、医師によって、関連状況に鑑みて決定され、関連状況は、治療される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、並びに患者の症状の重症度などを含む。
【0132】
CNS障害の発症を防止するために使用される場合、本明細書に提供される化合物は、典型的には、上記の投薬量レベルで、医師の助言及び監督の下に、状態を発症するリスクのある対象に投与される。特定の状態を発症するリスクのある対象には、概して、その状態の家族歴を有する対象、又は遺伝子検査若しくはスクリーニングによって特にその状態を発症しやすいと識別された対象が含まれる。
【0133】
本明細書に提供される薬学的組成物は、慢性的にも投与され得る(「慢性投与」)。慢性投与は、化合物又はその薬学的組成物を、例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって投与することを指すか、又は例えば、対象の生涯にわたって無期限に継続し得る。特定の実施形態では、慢性投与は、血液中の化合物の一定レベルを、例えば、長期間にわたって治療ウィンドウ内に提供することが意図される。
【0134】
本発明の薬学的組成物は、様々な投与方法を使用して更に送達され得る。例えば、ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、ボーラスとして、例えば、血液中の化合物の濃度を有効レベルに上昇させるために与えられ得る。ボーラス用量の選定は、体全体にわたる所望される活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内又は皮下ボーラス用量は、活性成分の徐放を可能にし、静脈に(例えば、IV点滴を介して)直接送達されるボーラスは、はるかにより速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルに迅速に上昇させる。他の実施形態では、薬学的組成物は、対象の体内の活性成分の定常状態濃度の維持を提供するために、連続注入として、例えば、IV点滴によって投与され得る。更に、なお更に他の実施形態において、薬学的組成物は、最初に、ボーラス用量として投与され得、続いて、連続注入によって投与され得る。
【0135】
経口投与のための組成物は、バルク液体溶液若しくは懸濁液、又はバルク粉末の形態を有することができる。しかしながら、より一般的には、組成物は、正確な投与を容易にするために、単位剤形で提示される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投薬量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果をもたらすように、好適な薬学的賦形剤と関連して計算された所定の量の活性材料を含有する。典型的な単位剤形は、液体組成物の予め充填及び予め測定されたアンプル若しくはシリンジ、又は固体組成物の場合、丸剤、錠剤、若しくはカプセル剤などを含む。そのような組成物において、化合物は、通常、少量構成要素(約0.1~約50重量%、又は好ましくは、約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投与形態の形成を助長する様々なビヒクル又は賦形剤、及び加工助剤である。
【0136】
経口投与では、1日に1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与が代表的なレジメンである。これらの投与パターンを使用して、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明に提供される化合物を提供し、好ましい用量は、各々約0.1~約10mg/kg、特に約1~約5mg/kgを提供する。
【0137】
経皮用量は、一般に、注射用量を使用して達成されるものよりも同様又はより低い血中レベルを提供するように選択され、一般に、約0.01~約20重量%、好ましくは約0.1~約20重量%、好ましくは約0.1~約10重量%、より好ましくは約0.5~約15重量%の範囲の量である。
【0138】
注射用量レベルは、約0.1mg/kg/時間~少なくとも20mg/kg/時間の範囲であり、全て約1~約120時間、特に24~96時間である。約0.1mg/kg~約10mg/kg又はそれより大きいプレローディングボーラスも投与して、適切な定常状態レベルを達成し得る。最大総用量は、40~80kgのヒト患者の場合、約5g/日を超えることは予想されない。
【0139】
経口投与に好適な液体形態は、緩衝剤、懸濁剤及び分注剤、着色剤、香料などを有する好適な水性又は非水性ビヒクルを含んでよい。固体形態としては、例えば、以下の成分若しくは同様の性質を有する化合物のうちのいずれか:微結晶性セルロース、トラガカントガム若しくはゼラチンなどの結合剤;デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、若しくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ香料などの香味剤を挙げることができる。
【0140】
注射可能な組成物は、典型的には、注射用滅菌生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水又は当該技術分野において既知の他の注射可能な賦形剤に基づく。前述のように、そのような組成物中の活性化合物は、典型的には、約0.05~10重量%であることが多く、残りは、注射可能な賦形剤などである。
【0141】
経皮組成物は、典型的には、活性成分(複数可)を含有する局所軟膏又はクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化されたときに、活性成分は、典型的には、パラフィン系又は水混和性軟膏ベースのいずれかと組み合わされる。代替的に、活性成分は、例えば、水中油型クリームベースを有するクリーム中に製剤化され得る。そのような経皮製剤は、当該技術分野で周知であり、一般に、活性成分又は製剤の安定性の皮膚浸透を高めるための追加の成分を含む。そのような既知の経皮製剤及び成分は全て、本明細書に提供される範囲内に含まれる。
【0142】
本明細書に提供される化合物は、経皮デバイスによっても投与され得る。したがって、経皮投与は、リザーバタイプ若しくは多孔質膜タイプのいずれか、又は固体マトリックス品種のパッチを使用して達成することができる。
【0143】
経口投与可能な、注射可能な、又は局所投与可能な組成物についての上記の構成要素は、単に代表的なものである。他の材料及び加工技法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart 8に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
本発明の化合物は、徐放性形態で、又は徐放性薬物送達系から投与することもできる。代表的な徐放性材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0145】
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的に許容される酸付加塩に関する。薬学的に許容される塩を調製するために使用され得る酸は、無毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容されるアニオンを含有する塩を形成するもの、例えば、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、重硫酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、及びパラ-トルエンスルホン酸などである。
【0146】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容される賦形剤、例えば、静脈内(IV)投与などの注射に好適な組成物を含む薬学的組成物を提供する。
【0147】
薬学的に許容される賦形剤としては、所望の特定の剤形、例えば注射剤に好適な、任意の及び全ての希釈剤若しくは他の液体ビヒクル、分散助剤若しくは懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、保存剤、潤滑剤などが挙げられる。薬学的組成物剤の製剤化及び/又は製造における一般的な考慮事項を、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)、及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition(Lippincott Williams&Wilkins,2005)に見出すことができる。
【0148】
例えば、滅菌注射可能な水性懸濁液などの注射可能な調製物は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。使用することができる例示的な賦形剤としては、水、滅菌生理食塩水若しくはリン酸緩衝生理食塩水、又はリンガー溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、シクロデキストリン誘導体を更に含む。最も一般的なシクロデキストリンは、α-、β-、及びγ-シクロデキストリンであり、α-、β-、及びγ-シクロデキストリンは、それぞれ、6、7、及び8つのα-1,4結合グルコース単位からなり、任意選択で、1つ以上の置換基を結合糖部分上に含み、これらは、置換された又は非置換のメチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化、及びスルホアルキルエーテル置換を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリン、例えば、CAPTISOL(登録商標)としても知られるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。例えば、U.S.5,376,645を参照されたい。ある特定の実施形態において、組成物は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリンを含む。より特定の実施形態において、組成物は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(水中10~50%)を含む。
【0150】
注射可能な組成物は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することにより、又は使用前に滅菌水又は他の滅菌注射可能な媒体に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0151】
概して、本明細書で提供される化合物は、有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、治療される状態、選択される投与経路、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症状の重症度などを含む関連する状況に照らして、医師によって決定される。
【0152】
組成物は、正確な投与を容易にするために、単位剤形で提示される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投薬量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果をもたらすように、好適な薬学的賦形剤と関連して計算された所定の量の活性材料を含有する。典型的な単位剤形としては、事前に充填された、事前に測定された液体組成物のアンプル又はシリンジが挙げられる。そのような組成物において、本化合物は、通常、軽微な成分であり(約0.1重量%~約50重量%、好ましくは約1重量%~約40重量%)、残りは、所望の投与形態を形成するのに役立つ様々なビヒクル又は担体及び加工助剤である。
【0153】
本明細書に提供される化合物は、単独の活性剤として投与され得るか、又は他の活性剤と組み合わせて投与され得る。一態様において、本発明は、本発明の化合物と、別の薬理活性剤との組み合わせを提供する。組み合わせた投与は、例えば、分離、逐次、同時、及び交互の投与を含む、当業者に明らかな任意の技術によって進めることができる。
【0154】
本明細書に提供される薬学的組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適である薬学的組成物を対象とするが、かかる組成物が一般に、あらゆる種類の動物への投与に好適であることが当業者によって理解されるであろう。ヒトへの投与に好適な薬学的組成物を、組成物を様々な動物への投与に好適であるようにするために修正することは、十分に理解されており、通常の技能の獣医学薬理学者は、そのような修正を通常の実験で設計及び/又は実行することができる。薬学的組成物の製剤及び/又は製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005に見出すことができる。
【0155】
一態様において、式(I)の化合物を含む組成物(例えば、固体組成物)を含む、キットが提供される。
【0156】
一態様において、本開示は、(a)本明細書に開示される化合物と、(b)抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片と、(c)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブ、及びそれらの抗原結合断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブ又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブ又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブ又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブ又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブ又はその抗原結合断片である。
【0158】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、又はアデュカヌマブのうちのいずれか1つが結合する、アミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)が結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブが結合するアミロイドベータの同じ立体構造エピトープに結合する。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのバピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、又はアデュカヌマブのうちのいずれか1つの結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのバピヌズマブの結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのソラネズマブの結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのガンテネルマブの結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのポネズマブの結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのレカネマブ(BAN2401)の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータへのアデュカヌマブの結合を競合的に阻害する。
【0160】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、Kabat、Chothia又はIMTG命名法によって決定される、本明細書に開示される抗アミロイドベータ抗体のうちのいずれか1つの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)の6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブの6つのCDRを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、
(a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、
(b)(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、
(c)(i)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号24のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、
(d)(i)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号32のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号33のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号36のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、
(e)(i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号43のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号44のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、
(f)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号54のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号56のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)、又は
(g)(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、重鎖可変ドメイン(VH)、並びに(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号66のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号3のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号11のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号16のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号24のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号32のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号33のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号36のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号41のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号42のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号43のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号44のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号53のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号54のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号55のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号56のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)重鎖可変ドメイン(VH)であって、(i)配列番号61のアミノ酸配列を含むHCDR1、(ii)配列番号62のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び(iii)配列番号63のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む、VHと、(b)軽鎖可変ドメイン(VL)であって、(i)配列番号64のアミノ酸配列を含むLCDR1、(ii)配列番号65のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び(iii)配列番号66のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、VLと、を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される抗アミロイドベータ抗体のうちのいずれか1つの重鎖可変ドメイン(VH)及び/又は軽鎖可変ドメイン(VL)ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つのVHドメインを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブのVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)のVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブのVHドメインを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブのVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)のVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブのVLドメインを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つのVH及びVHドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブのVH及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブのVH及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブのVH及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブのVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブのVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)のVHドメイン及びVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブのVHドメイン及びVLドメインを含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号7のアミノ酸配列、(b)配列番号17のアミノ酸配列、(c)配列番号27のアミノ酸配列、(d)配列番号37のアミノ酸配列、(e)配列番号47のアミノ酸配列、(f)配列番号57のアミノ酸配列、又は(g)配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号8のアミノ酸配列、(b)配列番号18のアミノ酸配列、(c)配列番号28のアミノ酸配列、(d)配列番号38のアミノ酸配列、(e)配列番号48のアミノ酸配列、(f)配列番号58のアミノ酸配列、又は(g)配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)と、を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)、及び配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1定常領域を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片である。
【0186】
いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、一本鎖抗体、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、一本鎖Fv分子(scFv)、二重特異性一本鎖Fv二量体、ダイアボディ、ドメイン欠失抗体、又は単一ドメイン抗体(dAb)である。
【0187】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される抗アミロイドベータ抗体のうちのいずれか1つの重鎖及び/又は軽鎖を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブの重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)の重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブの重鎖を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブの軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)の軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブの軽鎖を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブ、ソラネズマブ、ガンテネルマブ、クレネズマブ、ポネズマブ、レカネマブ(BAN2401)、アデュカヌマブのうちのいずれか1つの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、バピヌズマブの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ソラネズマブの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ガンテネルマブの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、クレネズマブの重鎖及び軽鎖ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ポネズマブの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、レカネマブ(BAN2401)の重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アデュカヌマブの重鎖及び軽鎖ドメインを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、アデュカヌマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータは、バピネオズマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体は、ソラネズマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体は、ガンテネルマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体は、クレネズマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体は、ポネズマブである。いくつかの実施形態において、抗アミロイドベータ抗体は、レカネマブ(BAN2401)である。
【0199】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータプラーク、実質アミロイド、脳血管アミロイド、又はびまん性アミロイドベータ沈着物に結合する。
【0200】
本明細書に開示される組成物において有用な抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、表A~Gに記載の相補性決定領域(CDR)(すなわち、HCDR、LCDR)、VH、VL、重鎖又は軽鎖配列のうちのいずれかを含み得る。表A~Gは、VH、VL、及び様々な抗アミロイドベータ抗体の詳細を提供する。
【表A】
【表B】
【表C】
【表D】
【表E】
【表F】
【表G】
【0201】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG1定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG2定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG3定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトIgG4定常領域を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片である。
【0203】
いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、一本鎖抗体、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、一本鎖Fv分子(scFv)、二重特異性一本鎖Fv二量体、ダイアボディ、ドメイン欠失抗体、又は単一ドメイン抗体(dAb)である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、全抗体である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、一本鎖抗体である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、scFvである。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、Fabである。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、F(ab’)である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、Fvである。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、Fdである。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、二重特異性一本鎖Fv二量体である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、ダイアボディである。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、単一ドメイン抗体(dAb)である。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、二重特異性抗体である。
【0204】
いくつかの実施形態では、本開示の抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、ヒトである。いくつかの実施形態では、ヒト抗アミロイドベータ又はその抗原結合断片は、ヒトIgH鎖及びヒトIgκ鎖を含む。いくつかの実施形態では、ヒト抗アミロイドベータ又はその抗原結合断片は、ヒトIgH鎖及びヒトIgλ鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体のアイソタイプは、IgM、IgD、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4など)、IgA、及びIgEから選択される。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体のアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4から選択される。
【0205】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、FcγR、FcεR、及びFcαRから選択されるFc受容体(FcR)に結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体は、そのアイソフォームを含む、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD16)から選択されるFcγRに結合する。いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体のFc領域は、特定のFcγRに優先的に結合するように変異を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片は、アミロイドベータプラーク、実質アミロイド、脳血管アミロイド、又はびまん性アミロイドベータ沈着物に結合する。
【0207】
以下の製剤例は、本開示により調製され得る代表的な薬学的組成物を例示する。しかしながら、本開示は、以下の薬学的組成物に限定されない。
【0208】
例示的な製剤1-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、240~270mgの錠剤(1錠剤当たり80~90mgの活性化合物)に形成される。
【0209】
例示的な製剤2-カプセル:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、デンプン希釈剤と、およそ1:1の重量比で混合され得る。250mgのカプセル(1カプセル当たり125mgの活性化合物)が、混合物で充填される。
【0210】
例示的な製剤3-液体:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)(125mg)が、スクロース(1.75g)及びキサンタンガム(4mg)と混合され得、得られた混合物は、ブレンドされ得、10メッシュ米国ふるいに通され得、次いで、水中の微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)の事前に作製された溶液と混合され得る。安息香酸ナトリウム(10mg)、香料、及び着色剤が、水で希釈され、撹拌されながら添加される。次いで、十分な水が、添加されて、5mLの総量を生成し得る。
【0211】
例示的な製剤4-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、450~900mgの錠剤(150~300mgの活性化合物)に形成される。
【0212】
例示的な製剤5-注射:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、緩衝滅菌生理食塩水注射可能水性媒体中に溶解されるか又は懸濁して、およそ5mg/mLの濃度にされ得る。
【0213】
例示的な製剤6-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、90~150mgの錠剤(1錠剤当たり30~50mgの活性化合物)に形成される。
【0214】
例示的な製剤7-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、30~90mgの錠剤(1錠剤当たり10~30mgの活性化合物)に形成される。
【0215】
例示的な製剤8-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、0.3~30mgの錠剤(1錠剤当たり0.1~10mgの活性化合物)に形成される。
【0216】
例示的な製剤9-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、150~240mgの錠剤(1錠剤当たり50~80mgの活性化合物)に形成される。
【0217】
例示的な製剤10-錠剤:本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩)が、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と、およそ1:2の重量比で混合され得る。少量のステアリン酸マグネシウムが、潤滑剤として添加される。混合物は、打錠機において、270~450mgの錠剤(1錠剤当たり90~150mgの活性化合物)に形成される。
【0218】
注射用量レベルは、約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲であり、全ては、約1~約120時間、特に、24~96時間である。約0.1mg/kg~約10mg/kg又はそれより大きいプレローディングボーラスも投与して、適切な定常状態レベルを達成し得る。最大総用量は、40~80kgのヒト患者について、約2g/日を超えることは予想されない。
【0219】
長期状態の予防及び/又は治療のために、治療のためのレジメンは、通常、多月又は多年にわたり、このため、経口投与が、患者の利便性及び寛容性のために好ましい。経口投与では、1日に1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与が代表的なレジメンである。これらの投与パターンを使用して、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明に提供される化合物を提供し、好ましい用量は、各々約0.1~約10mg/kg、特に約1~約5mg/kgを提供する。
【0220】
経皮用量は、概して、注射用量を使用して達成されるものと同様の血中レベル又はそれよりも低い血中レベルを提供するように選択される。
【0221】
CNS障害の発症を防止するために使用される場合、本明細書に提供される化合物は、典型的には、上記の投薬量レベルで、医師の助言及び監督の下に、状態を発症するリスクのある対象に投与される。特定の状態を発症するリスクのある対象には、概して、その状態の家族歴を有する対象、又は遺伝子検査若しくはスクリーニングによって特にその状態を発症しやすいと識別された対象が含まれる。
【0222】
治療及び使用の方法
本明細書に記載されるように、本開示の化合物(例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩)は、概して、NMDA機能の正アロステリック調節因子であるように設計されており、したがって、例えば、対象におけるCNS関連状態の治療及び予防に有用である。
【0223】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩)は、概して、血液脳関門を浸透するように設計されている(例えば、血液脳関門をわたって輸送されるように設計されている)。ある特定の実施形態において、本開示、例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、NMDAの正アロステリック調節因子(PAM)として作用し得、NMDA受容体機能を増強し得る。
【0224】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0225】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0226】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態を予防するための方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0227】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を予防するための方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0228】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導するための方法であって、対象に、有効量の本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0229】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態の治療における使用のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を提供する。
【0230】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を提供する。
【0231】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態の予防における使用のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を提供する。
【0232】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態の予防における使用のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を提供する。
【0233】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔の誘導における使用のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物を提供する。
【0234】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態を治療するための医薬品の製造のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物の使用を提供する。
【0235】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物使用を提供する。
【0236】
一態様において、本開示は、対象における正アロステリックNMDA調節を必要とする疾患、障害、又は状態を予防するための医薬品の製造のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物の使用を提供する。
【0237】
一態様において、本開示は、対象におけるCNS関連状態を予防するための医薬品の製造のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物使用を提供する。
【0238】
一態様において、本開示は、対象における鎮静又は麻酔を誘導するための医薬品の製造のための、本明細書に開示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は薬学的組成物の使用を提供する。
【0239】
いくつかの実施形態において、疾患、障害、又は状態を治療する方法は、本開示の化合物を、a)抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片との組み合わせで投与することを含む。いくつかの実施形態において、疾患、障害、又は状態を予防する方法は、本開示の化合物を、a)抗アミロイドベータ抗体又はその抗原結合断片との組み合わせで投与することを含む。
【0240】
いくつかの実施形態において、障害は、がんである。いくつかの実施形態において、障害は、糖尿病である。いくつかの実施形態において、障害は、ステロール合成障害である。いくつかの実施形態において、障害は、胃腸(GI)障害、例えば、便秘、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、GIに影響する器質的障害、肛門障害(例えば、痔核、内痔核、外痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、痔瘻)、結腸ポリープ、がん、大腸炎である。いくつかの実施形態において、障害は、炎症性腸疾患である。
【0241】
いくつかの実施形態において、障害は、スミス-レムリ-オピッツ症候群(SLOS)である。いくつかの実施形態において、障害は、デスモステロローシスである。いくつかの実施形態において、障害は、シトステロール血症である。いくつかの実施形態において、障害は、脳腱黄色腫症(CTX)である。いくつかの実施形態において、障害は、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD)である。いくつかの実施形態において、障害は、SC4MOL遺伝子変異(SMO欠損症)である。いくつかの実施形態において、障害は、ニーマン-ピック病である。いくつかの実施形態において、障害は、自閉症スペクトラム症(ASD)である。いくつかの実施形態において、障害は、フェニルケトン尿症に関連する。
【0242】
NMDA正調節に関連する例示的な状態は、胃腸(GI)障害、例えば、便秘、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、GIに影響する器質的障害、肛門障害(例えば、痔核、内痔核、外痔核、裂肛、肛門周囲膿瘍、痔瘻)、結腸ポリープ、がん、大腸炎、及びCNS状態、例えば、本明細書に記載されるものを含むが、これらに限定されない。
【0243】
NMDA正調節に関連する例示的なCNS状態は、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、社会恐怖、全般不安症を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症(例えば、前頭側頭型認知症)を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ(例えば、分娩後うつ病)、双極性障害、気分変調性障害、自殺傾向を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質乱用関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群(例えば、Shank3)の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群を含む)、多発性硬化症、ステロール合成障害、疼痛(急性及び慢性疼痛;頭痛、例えば、片頭痛を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症、及び結節性硬化症(TSC)を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴を含むが、これらに限定されない。
【0244】
ある特定の実施形態において、本開示の化合物、例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、鎮静又は麻酔を誘導するために使用され得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩)は、適応障害、不安症、認知障害、解離症、摂食障害、気分障害、統合失調症又は他の精神病性障害、睡眠障害、物質関連障害、パーソナリティ障害、自閉症スペクトラム症、神経発達症、ステロール合成障害、疼痛、発作性障害、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害、並びに視覚機能障害、難聴、及び耳鳴の治療又は予防において有用である。ある特定の実施形態において、障害は、ハンチントン病である。ある特定の実施形態において、障害は、パーキンソン病である。いくつかの実施形態において、障害は、炎症性疾患(例えば、ループス)である。
【0245】
別の態様において、脳興奮性に関連する状態になりやすい又はそれに罹患した対象における脳興奮性を治療又は予防する方法であって、対象に、有効量の本開示の化合物、例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。
【0246】
更に別の態様において、本開示は、本開示の化合物、例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、別の薬理学的活性剤との組み合わせを提供する。本明細書に提供される化合物は、単独の活性剤として投与することも、他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。組み合わせた投与は、例えば、分離、逐次、同時、及び交互の投与を含む、当業者に明らかな任意の技術によって進めることができる。
【0247】
疾患及び障害
運動障害
運動障害の治療方法もまた、本明細書に記載される。本明細書で使用される場合、「運動障害」は、活動過多運動障害及び筋肉制御における関連する異常と関連付けられた様々な疾患及び障害を指す。例示的な運動障害は、パーキンソン病及びパーキンソニズム(特に、動作緩慢によって定義される)、ジストニア、舞踏病及びハンチントン病、運動失調、振戦(例えば、本態性振戦)、ミオクローヌス及び驚愕、チック及びトゥレット症候群、レストレスレッグス症候群、全身硬直症候群、並びに歩行障害を含むが、これらに限定されない。
【0248】
振戦は、不随意的な、時には律動的な筋肉の収縮及び弛緩であり、1つ以上の身体部位(例えば、手、腕、目、顔、頭部、声帯ひだ、体幹、脚)の振動又はれん縮を伴い得る。振戦としては、それぞれ、ウィルソン病、パーキンソン病、及び本態性振戦などの遺伝性、変性性、及び特発性障害;代謝性疾患(例えば、甲状腺副甲状腺疾患、肝疾患及び低血糖症);末梢神経障害(シャルコー・マリー・トゥース、ルーシー・レビー、糖尿病、複合局所性疼痛症候群に関連する);毒素(ニコチン、水銀、鉛、CO、マンガン、ヒ素、トルエン);薬剤誘発性障害(ナルコレプシー、三環系、リチウム、コカイン、アルコール、アドレナリン、気管支拡張剤、テオフィリン、カフェイン、ステロイド、バルプロエート、アミオダロン、甲状腺ホルモン、ビンクリスチン);並びに精神障害が挙げられる。臨床的振戦は、生理的振戦、強化生理的振戦、本態性振戦症候群(古典的本態性振戦、一次起立性振戦、及びタスク及び体位特異的振戦を含む)、ジストニア性振戦、パーキンソン振戦、小脳性振戦、ホルムズ振戦(すなわち、赤核性振戦)、口蓋振戦、神経障害性振戦、毒性又は薬物誘発性振戦、及び心因性振戦に分類することができる。他の形態の振戦は、小脳性振戦若しくは意図振戦、ジストニア性振戦、本態性振戦、起立性振戦、パーキンソン振戦、生理的振戦、心因性振戦、又は赤核性振戦を含む。
【0249】
小脳性振戦又は意図振戦は、意図的な動きの後に生じる四肢のゆっくりとした広範囲の振戦である。小脳性振戦は、例えば、腫瘍、脳卒中、疾患(例えば、多発性硬化症、遺伝性変性障害)に起因する小脳の病変又は損傷によって引き起こされる。
【0250】
ジストニア性振戦は、持続的な不随意の筋肉収縮が、ねじれや反復運動、及び/又は苦痛かつ異常な姿勢若しくは体位を引き起こす運動障害であるジストニアの影響を受ける個人において起こる。ジストニア性振戦は、体内のあらゆる筋肉に影響を及ぼす可能性がある。ジストニア性振戦は不規則に起こり、多くの場合、完全な安静によって緩和することができる。
【0251】
本態性振戦又は良性本態性振戦が最も一般的な振戦である。本態性振戦は、軽度で進行しない場合もあり、ゆっくりと進行する場合もあり、身体の片側から開始するが、3年以内に両側に影響を及ぼす。手はほとんどの場合影響を受けるが、頭部、声、舌、脚、体幹も関与している可能性がある。振戦頻度は加齢に伴い減少することがあるが、重症度は増加することがある。感情の高まり、ストレス、発熱、肉体的疲労、又は低血糖は、振戦を引き起こし、及び/又は重症度を増加させる場合がある。症状は、一般に経時的に進行し、発症後には目に見えるものと持続するものの両方がある。
【0252】
起立性振戦は、立ち上がった直後に脚及び胴体に生じる速い(例えば、12Hzを超える)律動性筋収縮を特徴とする。太股及び脚にけいれんが感じられ、一ヶ所に立つように求められたときに患者が制御不能に揺れることがある。起立性振戦は、本態性振戦を有する患者において発生し得る。
【0253】
パーキンソン振戦は、運動を制御する脳内の構造物の損傷によって引き起こされる。パーキンソン振戦は、多くの場合、パーキンソン病の前兆であり、典型的には、手の「丸剤作成様」運動として見られ、顎、唇、脚、及び体幹にも影響を及ぼす可能性がある。パーキンソン振戦の発症は、典型的には60歳以降に始まる。動きは、片方の手足又は身体の片側から始まり、反対側を含むように進行し得る。
【0254】
生理的振戦は、正常な個人で起こり得、臨床的意義はない。全ての随意筋群で見ることができる。生理的振戦は、ある特定の薬物、アルコール離脱、又は甲状腺の過活動及び低血糖を含む医学的状態によって引き起こされ得る。振戦は、古典的に約10Hzの周波数を有する。
【0255】
心因性振戦又はヒステリー性振戦は、安静時又は身体動揺若しくは運動動作中に生じ得る。心因性振戦を有する患者は、転換性障害又は別の精神疾患を有し得る。
【0256】
赤核性振戦は、安静時、姿勢時、及び意図的に存在し得る粗大なゆっくりとした振戦を特徴とする。振戦は、古典的な異常な脳卒中である中脳の赤核に影響を及ぼす状態と関連付けられる。
【0257】
パーキンソン病は、ドーパミンを産生する脳内の神経細胞に影響する。症状としては、筋肉の剛性、振戦、言語及び歩行の変化が挙げられる。パーキンソニズムは、振戦、徐脈、剛性、及び姿勢の不安定性を特徴とする。パーキンソニズムは、パーキンソン病において見出される症状を共有するが、進行性神経変性疾患ではなく、症状群である。
【0258】
ジストニアは、異常な、しばしば反復的な動き又は姿勢を引き起こす、持続的又は断続的な筋肉収縮を特徴とする運動障害である。ジストニア運動は、パターン化され、ねじれであり得、また震えであり得る。ジストニアは、多くの場合、自発的な行動によって開始又は悪化し、オーバーフロー筋肉活性化と関連付けられる。
【0259】
舞踏病は、典型的には肩、腰、及び顔に影響を及ぼすけいれん的な不随意運動を特徴とする神経障害である。
【0260】
ハンチントン病は、脳の神経細胞を衰弱させる遺伝性疾患である。症状としては、制御不能な動き、不器用さ、及び平衡問題が挙げられる。ハンチントン病は、歩行、会話、及び嚥下を妨げる可能性がある。
【0261】
運動失調は、身体の動きを完全に制御できなくなることを指し、指、手、腕、脚、身体、発話、及び目の動きに影響を与える可能性がある。
【0262】
ミオクローヌス及び驚愕は、突然の予想されない刺激への応答であり、刺激は、聴覚、触覚、視覚、又は前庭であり得る。
【0263】
チックは、通常、突然に発症する不随意運動であり、短時間で、反復的であるが、律動的ではなく、典型的には正常な行動を模倣しており、多くの場合、正常な活動の背景から発生する。チックは、運動性又は音声性として分類することができ、運動性チックは運動と関連付けられ、音声性チックは、音と関連付けられる。チックは、単純又は複合として特徴付けられる。例えば、単純運動性チックは、特定の体部位に制限された一部の筋肉のみに関係する。
【0264】
トゥレット症候群は、小児期に発症する遺伝性神経精神疾患であり、複数の運動性チック及び少なくとも1つの音声性チックを特徴とする。
【0265】
レストレスレッグス症候群は、安静時に脚を動かす圧倒的な衝動を特徴とする神経感覚運動障害である。
【0266】
スティフパーソン症候群は、進行性の運動障害であり、通常は腰及び脚を伴う不随意の痛みを伴うけいれん及び筋肉の剛性を特徴とする。腰部の脊柱前弯過度が誇張された硬直脚の歩行が、典型的な結果である。傍脊柱軸筋の連続運動単位活動を伴うEMG記録の特徴的な異常が、典型的に観察される。変異型には、典型的に遠位脚及び足に影響を及ぼす限局性硬直を生じる「硬直肢症候群」が含まれる。
【0267】
歩行障害は、神経筋、関節炎、又は他の身体の変化に起因する歩行の様式又はスタイルの異常を指す。歩行は、異常運動の原因となるシステムに従って分類され、半麻痺性歩行、二麻痺性歩行、神経障害性歩行、ミオパチー性歩行、パーキンソン病様歩行、舞踏病様歩行、運動失調性歩行、及び感覚歩行が挙げられる。
【0268】
気分障害
また、気分障害を治療するための方法が、本明細書で提供され、気分障害は、例えば、臨床的うつ病、産後うつ病若しくは分娩後うつ病、周産期うつ病、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、精神病性大うつ病、カチオン型うつ病、季節性情動障害、気分変調症、二重うつ病、抑うつ性パーソナリティ障害、反復性短期うつ病、小うつ病性障害、双極性障害若しくは躁うつ病性障害、慢性医学的状態によって引き起こされるうつ、治療抵抗性うつ病、難治性うつ病、自殺傾向、自殺念慮、又は自殺行動である。
【0269】
臨床的うつ病は、大うつ病、大うつ病性障害(MDD)、重度のうつ病、単極性うつ病、単極性障害、及び再発性うつ病としても知られており、低い自尊心及び通常楽しい活動への関心又は快感の喪失を伴う広範囲かつ持続的な低い気分を特徴とする精神障害を指す。臨床的うつ病を有する人の中には、睡眠障害があり、体重が減少し、一般的に興奮してイライラする人がいる。臨床的うつ病は、個人の感情、思考、行動に影響を与え、様々な感情的及び身体的問題につながる可能性がある。臨床的うつ病を有する個人は、日々の活動を行うことに問題があり、人生を生きる価値がないと感じさせる可能性がある。
【0270】
産後うつ病(postnatal depression、PND)は、産後うつ病(postpartum depression、PPD)とも称され、出産後の女性に影響を及ぼす臨床的うつ病の一種を指す。症状としては、悲しみ、疲労、睡眠及び食事習慣の変化、性的欲求の低下、泣くエピソード、不安、並びにイライラを挙げることができる。いくつかの実施形態において、PNDは、治療抵抗性うつ病(例えば、本明細書に記載の治療抵抗性うつ病)である。いくつかの実施形態において、PNDは、難治性うつ病(例えば、本明細書に記載の難治性うつ病)である。
【0271】
いくつかの実施形態において、PNDを有する対象はまた、妊娠中にうつ病、又はうつ病の症状を経験した。このうつ病を本明細書では)周産期うつ病という。ある実施形態において、周産期うつ病を経験する対象は、PNDを経験するリスクが増加する。
【0272】
非定型うつ病(AD)は、気分反応性(例えば、奇異性快感消失)及び積極性、著しい体重増加又は食欲増加を特徴とする。ADに罹患している患者はまた、過度の睡眠又は眠気(過眠症)、四肢の重さの感覚、及び知覚される対人的拒絶感覚に対する過敏の結果として重大な社会的障害を有する場合がある。
【0273】
メランコリー型うつ病は、ほとんど又は全ての活動における快楽の喪失(快感消失)、快楽的刺激への反応の失敗、悲しみ若しくは喪失よりも顕著な抑うつ気分、過度の体重減少、又は過度の罪悪感を特徴とする。
【0274】
精神病性大うつ病(PMD)又は精神病性うつ病は、個人が妄想及び幻覚などの精神病症状を経験する、特にメランコリックな性質の大うつ病エピソードを指す。
【0275】
カタトニック性うつ病は、運動行動の障害及び他の症状を伴う大うつ病を指す。個人は沈黙及び昏迷し、動かなくなるか、又は目的のない、若しくは奇妙な動きを示すことがある。
【0276】
季節性情動障害(SAD)は、個人が秋又は冬に発生するうつ病エピソードの季節的パターンを有する、季節性うつ病のタイプを指す。
【0277】
気分変調は、身体的及び認知的に同じ問題が顕在化する、単極性うつ病に関連する状態を指す。これらはそれほど重篤ではなく、より長く持続する傾向がある(例えば、少なくとも2年)。
【0278】
二重うつ病は、少なくとも2年間続くかなりの抑うつ気分(気分変調)を指し、大うつ病の期間によって中断される。
【0279】
抑うつ性パーソナリティ障害(DPD)は、抑うつ的特徴を有するパーソナリティ障害を指す。
【0280】
反復性短期うつ病(RBD)は、個人が1ヶ月に1回程度のうつ病エピソードを有し、それぞれのエピソードが2週間以下、又は典型的には2~3日未満続く状態を指す。
【0281】
軽度のうつ病性障害又は軽度のうつ病は、少なくとも2つの症状が2週間にわたって存在するうつ病を指す。
【0282】
双極性障害又は躁うつ病性障害は、感情の高揚(躁病又は軽躁病)及び低下(うつ病)を含む極端な気分変動を引き起こす。躁病の期間中、その個人は異常に幸せ、エネルギー、又はイライラを感じるか、又は行動することがある。多くの場合、彼らは、結果をほとんど考慮せずに、十分な検討を経ていない決定を下す。通常、睡眠の必要性は低減する。うつ病の期間中は、泣き、他人とあまり視線を合わさず、ネガティブな人生観を有する可能性がある。障害のある人の自殺リスクは、20年間で6%を超えるほど高く、自傷は30~40%で発生する。不安障害及び物質使用障害などの他の精神保健問題は、一般的に双極性障害と関連している。
【0283】
慢性的な医学的状態によって引き起こされるうつ病は、がん又は慢性的な疼痛、化学療法、慢性的なストレスなどの慢性的な医学的状態によって引き起こされるうつ病を指す。
【0284】
治療抵抗性うつ病は、個人がうつ病の治療を受けたが、症状が改善しない状態を指す。例えば、抗うつ薬又は心理学的カウンセリング(心理療法)は、治療抵抗性うつ病を有する個人についてのうつ症状を緩和しない。場合によっては、治療抵抗性のうつ病を有する個人は、症状を改善するが、戻ってくる。難治性うつ病は、三環系抗うつ薬、MAOI、SSRI、並びに二重及び三重取り込み阻害剤及び/又は抗不安薬、並びに非薬理学的治療(例えば、心理療法、電気けいれん療法、迷走神経刺激及び/又は経頭蓋磁気刺激)を含む標準的な薬理学的治療に耐性であるうつ病を患う患者において起こる。
【0285】
自殺傾向、自殺念慮、自殺行動は、個人が自殺を図る傾向を指す。自殺念慮は、自殺に対する思考又は異常な没頭に関係する。自殺念慮の範囲は、例えば、瞬間の思考から広範な思考、詳細な計画、ロールプレイ、不完全な試みまで様々である。症状としては、自殺について話すこと、自殺を図る手段を得ること、社会的接触から離脱すること、死に夢中になること、ある状況に囚われているか絶望を感じること、アルコール又は薬物の使用を増やすこと、危険なこと又は自己破壊的なことを行うこと、二度と会えないかのように人々に別れを告げることが挙げられる。
【0286】
うつの症状は、持続性不安又は悲嘆感、無力感、無希望、悲観主義、無価値、低エネルギー、不穏、困難睡眠、不眠(sleeplessness)、易刺激性、疲労、運動問題、快感活動又は趣味における興味喪失、集中喪失、エネルギー喪失、乏しい自尊心、肯定的思考又は計画の欠如、過剰睡眠、過食、食欲喪失、不眠(insomnia)、自傷行為、自殺念慮、及び自殺企図を含む。症状の有無、重症度、頻度、及び期間は、症例によって異なる場合がある。うつ病の症状、及びその緩和は、医師又は心理学者によって(例えば、精神状態検査によって)確認され得る。
【0287】
不安障害
不安症を治療するための方法が、本明細書で提供される。
【0288】
不安障害は、異常及び病的な恐怖及び不安のいくつかの異なる形態をカバーする包括的用語である。現在の精神医学的診断基準は、多種多様な不安障害を認識している。
【0289】
全般性不安障害は、いかなる1つの物体又は状況にも焦点を当てていない長期不安を特徴とする一般的な慢性疾患である。全般性不安に悩まされている人は、非特異的な持続的恐怖及び心配を経験し、日常の出来事に過度に関心を持つようになる。全般性不安障害は、高齢者に影響を与える最も一般的な不安障害である。
【0290】
パニック障害において、人は激しい恐怖及び不安の短時間の発作に悩まされ、多くの場合、震え、揺れ、混乱、めまい、吐き気、呼吸困難を特徴とする。これらのパニック発作は、APAによって、突然生じて10分未満でピークに達する恐怖又は不快感として定義されているが、数時間持続することがあり、ストレス、恐怖、又は運動によっても引き起こされることがある。但し、具体的な原因は必ずしも明らかではない。予期せぬパニック発作の繰り返しに加えて、パニック障害の診断には、当該発作の潜在的な影響を心配するか、将来の攻撃に対する継続的な恐怖、又は攻撃に関連する行動の著しい変化のいずれかの慢性的な結果があることも必要とする。したがって、パニック障害を患っている人は、特定のパニックエピソード以外でも症状を経験する。多くの場合、心拍の正常な変化はパニック患者に気付かれ、心臓に何か問題があると思わせるか、又は再びパニック発作が起こりそうであると思わせる。場合によっては、パニック発作の間に身体機能の意識の高まり(過剰警戒)が起こり、そこで知覚される生理学的変化は、生命を脅かす可能性のある疾病(すなわち、極度の心気症)として解釈される。
【0291】
強迫性障害は、主に反復的な強迫観念(苦痛、持続的、侵入思考又は画像)及び衝動強迫(特定の行為又は儀式を行うための衝動)を特徴とする不安障害の一種である。OCD思考パターンは、実際には存在しない因果関係への信念を伴う限り、迷信に例えられることがある。多くの場合、このプロセスは完全に論理的ではなく、例えば、ある特定のパターンで歩くという衝動強迫は、差し迫った危害の強迫観念を緩和するために用いられ得る。また多くの場合、衝動強迫は、緊張によって引き起こされる儀式を完了したいというまったく不可解な単なる衝動である。少数の症例において、OCDの患者は、明らかな衝動強迫を伴わずに、強迫観念のみを経験することができ、はるかに少ない数の患者は、衝動強迫のみを経験する。
【0292】
不安障害の単一の最大のカテゴリーは、恐怖症のカテゴリーであり、特定の刺激又は状況によって恐怖及び不安が引き起こされる全ての症例を含む。患者は、典型的に、恐怖の対象物(動物から場所、体液までどんなものでも)に遭遇することから恐ろしい結果を予想する。
【0293】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、心的外傷体験から生じる不安障害である。心的外傷後ストレスは、戦闘、レイプ、人質の状況、又は更には重大な事故などの極限状況から生じる可能性がある。また、個々の戦闘に耐えながらも継続的な戦闘には対応することができない兵士など、長期的(慢性的)に激しいストレッサーにさらされることからも生じる可能性がある。一般的な症状としては、フラッシュバック、回避行動、及びうつ病が挙げられる。
【0294】
てんかん
てんかんは、経時的に発作を繰り返すことを特徴とする脳障害である。てんかんの種類としては、全般性てんかん、例えば、小児期欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、覚醒時の大発作を伴うてんかん、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、部分てんかん、例えば、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、小児期の良性限局性てんかんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0295】
てんかん発生
てんかん発生は、正常な脳がてんかん(発作が起こる慢性状態)を発症する段階的なプロセスである。てんかん発生は、初期の侵襲(例えば、てんかん重積状態)によって沈殿した神経細胞の損傷からもたらされる。
【0296】
てんかん重積状態(SE)
てんかん重積状態(SE)は、例えば、けいれん性てんかん重積状態、例えば、早期てんかん重積状態、確立されたてんかん重積状態、難治性てんかん重積状態、超難治性てんかん重積状態;非けいれん性てんかん重積状態、例えば、全般性てんかん重積状態、複雑な部分てんかん重積状態;全般性周期的てんかん様排出;及び周期的な側方化てんかん様排出が挙げられる。けいれん性てんかん重積状態は、けいれん性てんかん発作状態の存在を特徴とし、早期てんかん重積状態、確立されたてんかん重積状態、難治性てんかん重積状態、超難治性てんかん重積状態を含むことができる。早期てんかん重積状態は、第一選択療法で治療される。確立されたてんかん重積状態は、第一選択療法による治療にもかかわらず持続するてんかん発作状態を特徴とし、第二選択療法が投与される。難治性てんかん重積状態は、第一選択及び第二選択療法にもかかわらず持続するてんかん発作状態を特徴とし、一般に全身麻酔薬が投与される。超難治性てんかん重積状態は、第一選択療法、第二選択療法、全身麻酔薬による24時間又はそれより大きい治療にもかかわらず持続するてんかん発作状態を特徴とする。
【0297】
非けいれん性てんかん重積状態は、例えば、限局性非けいれん性てんかん重積状態、例えば、複雑部分非けいれん性てんかん重積状態、単純部分非けいれん性てんかん重積状態、微細非けいれん性てんかん重積状態、全般性非けいれん性てんかん重積状態、例えば、後期発症欠神非けいれん性てんかん重積状態、非定型欠神非けいれん性てんかん重積状態、又は典型的な欠神非けいれん性てんかん重積状態を含むことができる。
【0298】
発作
発作とは、脳の異常な電気活動のエピソードの後に起こる身体的所見又は行動の変化である。「発作」という用語は、多くの場合「けいれん」と互換的に使用される。けいれんは、人の身体が急速かつ制御不能に揺れることである。けいれんの間、人の筋肉が収縮及び弛緩を繰り返す。
【0299】
行動の種類及び脳活動に基づいて、発作は、全般性及び部分(局所性又は限局性とも呼ばれる)の2つの大まかなカテゴリーに分類される。発作の種類を分類することは、患者がてんかんを患っているかどうかを医師が診断するのに役立つ。
【0300】
全般性発作は、脳全体からの電気的インパルスによって生じるが、部分発作は、脳の比較的小さな部分での電気的インパルスによって(少なくとも初期に)生じる。発作を発生させる脳の部分は、焦点と呼ばれることがある。
【0301】
全般性発作には6つのタイプがある。最も一般的で劇的な、したがって最もよく知られているのは、大発作とも呼ばれる全般性けいれんである。この種の発作では、患者は意識を失い、通常は倒れる。意識喪失の後、30~60秒間の全身硬直(発作の「強直」フェーズと呼ばれる)が続き、その後、30~60秒間の激しいジャーキング(「間代」フェーズ)が続き、その後、患者は深い睡眠(「事後」又は発作後フェーズ)に入る。大発作中には、舌噛み及び尿失禁などの怪我及び事故が発生することがある。
【0302】
欠神発作は、ほとんど又はまったく症状のない短い意識喪失(わずか数秒)を引き起こす。患者は、ほとんどの場合、子供であり、典型的には活動を中断し、ぼんやりとした視線を向ける。これらの発作は突然始まって終わり、1日に数回起こることがある。患者は通常、発作を起こしていることを認識していないが、「時間を失う」ことを認識している可能性がある。
【0303】
ミオクローヌス発作は、通常は身体の両側での散発的なジャークからなる。患者は、ジャークを短時間の電気ショックと表現することがある。激しい場合、これらの発作により、物体を落とすか、又は不随意に投げる場合がある。
【0304】
クローン性発作は、身体の両側を同時に巻き込む反復的かつ律動的なジャークである。
【0305】
強直性発作は、筋肉の硬直を特徴とする。
【0306】
弛緩性発作は、特に腕及び脚の筋肉の強直の突然の全般的な喪失からなり、多くの場合、転倒を引き起こす。
【0307】
本明細書に記載の発作としては、てんかん発作;急性反復発作;クラスター発作;連続発作;不連続発作;長時間発作;再発発作;てんかん重積状態の発作、例えば、難治性けいれん性てんかん重積状態、非けいれん性てんかん重積状態の発作;難治性発作;ミオクローヌス発作;強直性発作;強直間代発作;単純部分発作;複雑部分発作;二次的全般性発作;非定型欠神発作;欠神発作;弛緩性発作;良性ローランド発作;発熱発作;情動発作;限局性発作;笑い発作;全般性発作;乳幼児けいれん;ジャクソン型発作;大規模な両側ミオクローヌス発作;多発性発作;新生児発症性発作;夜間発作;後頭葉発作;外傷後発作;微細発作、シルヴァン発作;視覚反射発作;又は離脱発作を挙げることができる。いくつかの実施形態において、発作は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結核性硬化症複合体、レット症候群、又はPCDH19女児てんかんと関連した全般性発作である。
【0308】
ステロール合成障害
一実施形態において、ステロール合成障害を治療するための方法が、本明細書に記載される。コレステロールは、成長及び発達における不可欠な規則を有する。コレステロールは、膜脂質であり、細胞成長及び分化、タンパク質グリコシル化、並びにシグナル伝達経路における重要な役割を果たす多くの分子の前駆体である。コレステロールの生合成は、いくつかの酵素及び中間体に関係する。コレステロール生合成に関与する酵素のうちのいずれかにおける欠損からもたらされる障害は、中間体の蓄積、及び生体分子における不均衡をもたらし、これらは、障害をもたらし、障害は、先天性骨格奇形、異形顔面特徴、精神運動発達遅滞、及び成長障害を含む。一実施形態において、ステロール合成障害又はステロール合成障害の症状は、ステロール合成障害を患う対象に、本明細書に記載される化合物、例えば、本明細書に記載されるNMDA受容体正調節化合物を投与することによって治療され得る。追加の障害は、以下に記載される。
【0309】
スミス-レムリ-オピッツ症候群
一実施形態において、スミス-レムリ-オピッツ症候群(又はSLOS、又は7-デヒドロコレステロール還元酵素欠損症)を治療するための方法が、本明細書に記載される。SLOSは、先天性コレステロール合成異常である。小頭症、中程度から重度の知的障害、感覚性過敏症、常同行動、異形顔面特徴、及び第二/第三趾の合指症に加えて、疾患の特徴は、低減されたセレブロステロール(24(S)-ヒドロキシコレステロール)レベルである。SLOSは、コレステロール合成経路の最後の酵素における欠損からもたらされる常染色体潜性遺伝状態であり、低い血漿コレステロールレベル又は低い正常血漿コレステロールレベル、並びに増加した7-及び8-デヒドロコレステロール(DHC;7DHC及び8DHC)レベルを引き起こす。現在使用されている一般的な療法は、食物性コレステロール補給、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A還元酵素阻害剤(スタチンとしても既知のHMG CoA還元酵素阻害剤)での治療、並びにコレステロール産生及び/又は癒着を増強する薬剤での治療、並びにコレステロールの潜在的に毒性前駆体である7DHC及び8DHCの蓄積の減少を含む。
【0310】
デスモステロローシス
デスモステロローシスは、デスモステロール還元酵素における欠損であり、SLOSと同様の表現型を有する。一実施形態において、デスモステロローシスを本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。
【0311】
シトステロール血症
シトステロール血症は、2つのATP結合カセット(ABC)トランスポーター遺伝子(ABCG5及びABCG8)における変異によって引き起こされる希少常染色体潜性障害である。シトステロール血症は、植物ステロール及びコレステロールの腸からの吸収を増強する。患者は、典型的には、腱及び結節性黄色腫、並びに早期冠動脈疾患を呈する。一実施形態において、シトステロール血症を本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。
【0312】
脳腱黄色腫症(CTX)
一実施形態において、脳腱黄色腫症(脳コレステローシス又はVan Bogaert-Scherer-Epstein症候群とも称される)を本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。CTXは、ステロール27-ヒドロキシラーゼ酵素を産生するCYP27A1遺伝子における変異によって引き起こされ得る。ステロール27-ヒドロキシラーゼは、コレステロールを代謝して、腸内の脂肪の吸収において重要である胆汁酸(例えば、ケノデオキシコール酸)にする。酵素機能障害は、組織内のコレステロール蓄積をもたらし得る。CTXは、小児期下痢、白内障、腱黄色腫、低減された精神的能力、及び成人における異常運動によって特徴付けられる。
【0313】
メバロン酸キナーゼ欠損症症候群(MKD)
メバロン酸キナーゼ欠損症(メバロン酸尿症(より重症型のMKD)、又は高IgD症候群(HIDS又は高グロブリンD血症)及び周期熱症候群(より良性型のMKD)とも称される)は、メバロン酸キナーゼの不十分な活性の結果として、尿中のメバロン酸の蓄積を引き起こす。MKDは、発達遅延、筋緊張低下、貧血、肝脾腫、異形特徴、精神遅滞、及び全体的な成長障害をもたらし得る。メバロン酸尿症は、身体的及び精神発達の遅延、成長障害、嘔吐及び下痢を伴う発熱の反復性エピソード、肝腫大、脾腫及びリンパ節腫大、小頭症(小さい頭部サイズ)、白内障、低筋緊張、低法規、特徴的な顔面特徴、運動失調、並びに貧血によって特徴付けられる。HIDSは、リンパ腺肥大に関連する発熱の反復性エピソード、関節痛、胃腸問題、及び皮疹によって特徴付けられる。一実施形態において、MKDを本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。
【0314】
SC4MOL遺伝子変異(SMO欠損症)
SC4MOL遺伝子欠損症は、コレステロール生合成経路における遺伝性障害(例えば、新規ステロールオキシダーゼをコードするSC4MOL遺伝子における変異)である。SC$MOL欠損症は、血液、皮屑、又は一次皮膚線維芽細胞において検出され得るジメチル及びモノメチルステロールの蓄積によって特徴付けられる。一実施形態において、SMO欠損症を本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。
【0315】
ニーマン-ピック病
ニーマン-ピック病は、代謝に影響する遺伝子変異からもたらされるリソソーム蓄積症である。ニーマン-ピック病は、コレステロール及び他の脂肪物質(脂質)の異常な蓄積を、身体が物質を輸送することができないことに起因してもたらす。蓄積は、患部を損傷する。
【0316】
自閉症
一実施形態において、自閉症スペクトラム症又は自閉症を治療するための方法が、本明細書に記載される。自閉症スペクトラム症(ASD)及び自閉症とは、脳発達の複合障害の群を指す。自閉症は、典型的には、例えば、社会的相互作用困難、例えば、言語及び非言語コミュニケーション困難によって特徴付けられる。多くの場合反復性行動もまた、自閉症を有する個人において見出される。自閉症は、知的障害、運動協調及び注意困難、並びに身体的健康問題、例えば、睡眠及び胃腸障害と関連し得る。自閉症を有する個人はまた、視覚技能、音楽、数学、及び芸術に優れ得る。自閉症とは、自閉症性障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、及びアスペルガー症候群を指し得る。自閉症とはまた、単生原因の自閉症、例えば、シナプス変性症、例えば、レット症候群、脆弱X症候群、アンジェルマン症候群を指す。
【0317】
フェニルケトン尿症に関連する障害
一実施形態において、フェニルケトン尿症に関連する障害(例えば、認知障害)を本明細書に記載される化合物で治療するための方法が、本明細書に記載される。フェニルケトン尿症は、低コレステロール血症及び低下したビタミンD状態をもたらし得る。総及び低密度コレステロール及び25-ヒドロキシビタミンDが、フェニルケトン尿症を患う対象において、フェニルケトン尿症を患わない対象と比較して減少していることが見出されている(Clin.Chim.Acta 2013,416:54-59)。24S-ヒドロキシコレステロール及び27S-ヒドロキシコレステロール、並びに7α-ヒドロキシコレステロール(例えば、それぞれ、末梢及び肝臓コレステロール排除を表す)は、フェニルケトン尿症を患う対象において有意に減少しており、7β-ヒドロキシコレステロール(例えば、酸化ストレスを反映する)は、フェニルケトン尿症を患う対象において有意に増加していることが示されている。フェニルケトン尿症を患う対象において、24S-OHC及び7β-ヒドロキシコレステロールのレベルにおける変化は、フェニルアラニンレベルと相関し、27S-ヒドロキシコレステロールレベルは、25-ヒドロキシビタミンDレベルと相関し得る。
【実施例
【0318】
本明細書に記載の開示がより完全に理解されるように、以下の実施例を記載する。本出願に記載される合成及び生物学的実施例は、本明細書に提供される化合物、薬学的組成物、及び方法を例示するために提供され、それらの範囲を制限するものとしていかなる形でも解釈されるべきではない。
【0319】
材料及び方法
本明細書に提供される化合物は、以下の一般的な方法及び手順を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製され得る。典型的又は好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられている場合、特に明記しない限り、他のプロセス条件も使用できることが理解されよう。最適な反応条件は、使用される特定の反応体又は溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、日常的な最適化によって当業者により決定することができる。
【0320】
加えて、当業者に明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防止するために、従来の保護基が必要であり得る。特定の官能基に対する好適な保護基の選択、並びに保護及び脱保護のための好適な条件は、当該技術分野で周知である。例えば、多数の保護基、及びそれらの導入及び除去は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991に記載されており、その中で引用されている参考文献である。
【0321】
本明細書に提供される化合物は、既知の標準的な手順によって単離及び精製され得る。そのような手順としては、再結晶化、カラムクロマトグラフィー、HPLC、又は超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)が挙げられるが、これらに限定されない。以下のスキームを、本明細書に列挙されている代表的な化合物の調製に関して詳細に提示する。本明細書に提供される化合物は、有機合成の当業者によって、既知又は市販の出発物質及び試薬から調製され得る。本明細書で提供するエナンチオマー/ジアステレオマーの分離/精製に使用できる例示的なキラルカラムとしては、CHIRALPAK(登録商標)AD-10、CHIRALCEL(登録商標)OB、CHIRALCEL(登録商標)OB-H、CHIRALCEL(登録商標)OD、CHIRALCEL(登録商標)OD-H、CHIRALCEL(登録商標)OF、CHIRALCEL(登録商標)OG、CHIRALCEL(登録商標)OJ、及びCHIRALCEL(登録商標)OKが挙げられるが、これらに限定されない。
【0322】
本明細書に報告される1H-NMR(例えば、約0.5~約4ppmのδ(ppm)間の領域について)は、化合物のNMRスペクトル(例えば、例示的なピーク積分)の例示的な解釈であると理解される。
【0323】
分取HPLCのための例示的な一般的な方法:カラム:Waters RBridge prep 10μm C18、19×250mm。移動相:アセトニトリル、水(NH4HCO3)(30Lの水、24gのNH4HCO3、30mLのNH3.H2O)。流速:25mL/分。
【0324】
分析HPLCのための例示的な一般的な方法:移動相:A:水(10mMのNH4HCO3)、B:アセトニトリル勾配:1.6又は2分における5%~95%のB 流速:1.8又は2mL/分;カラム:XBridge C18、4.6×50mm、45Cで3.5μm。
【0325】
LC-ELSD/MS移動相:水(溶媒A)中の1.5mL/4L TFA及びアセトニトリル(溶媒B)中の0.75mL/4L TFA。溶出勾配30%~90%(溶媒B)を0.9分間にわたって使用し、1.2mL/分の流速で0.6分間、90%で保持した;カラム:Xtimate C18 2.1×30mm、3μm;カラム温度:50℃;PDA波長:220nmのUV;MSイオン化:ESI及びELSD。
【0326】
SFCのための例示的な一般的な方法:カラム:CHIRALPAK(登録商標)AD CSP(250mm×30mm、10μm)、勾配:45%のB、A=NH3H2O、B=MeOH、流速:60mL/分。例えば、AD_3_EtOH_DEA_5_40_25MLは、「カラム:Chiralpak AD-3 150×4.6mmのI.D.、3um 移動相:A:CO2 B:エタノール(0.05%のDEA)勾配:5分における5%~40%のB及び2.5分間40%を保持、次いで、2.5分間5%のB 流速:2.5mL/分 カラム温度:35℃を示す。
【0327】
HRMS機器:Agilent G230B LCMS-TOF 移動相:水中の0.1%のFA(溶媒A)及びACN(溶媒B);溶出勾配:3分間にわたって5%~95%の(溶媒B)及び95%で1分間1mL/分の流速で保持;カラム:Xbridge Shield RP 18 5μm、2.1×50mm;イオン源:AJS ESI源;イオンモード:正;噴霧ガス:窒素;乾燥ガス(N2)流速:8L/分;噴霧器圧力:35psig;ガス温度:325℃;シースガス温度:350℃;シースガス流速:11L/分;キャピラリー電圧:3.5KV;フラグメンタ電圧:175V。
【0328】
略語
PE:石油エーテル;TLC:薄層クロマトグラフィー;石油エーテル;EtOAc:酢酸エチル;THF:テトラヒドロフラン;PCC:クロロクロム酸ピリジニウム;t-BuOK:カリウムtert-ブトキシド;9-BBN:9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、Pd(t-BuP):ビス(トリ-三級ブチルホスフィン)パラジウム(0)、AcCl:塩化アセチル、i-PrMgCl:イソプロピルマグネシウムクロリド;TBSCl:tert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン;(i-PrO)4Ti:チタンテトライソプロポキシド;Me:メチル;i-Pr:イソプロピル;t-Bu:tert-ブチル;Ph:フェニル;Et:エチル;Bz:ベンゾイル;BzCl:塩化ベンゾイル;CsF:フッ化セシウム;DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM:ジクロロメタン;DMAP:4-ジメチルアミノピリジン、DMP:デス-マーチンペルヨージナン;EtMgBr:エチルマグネシウムブロミド;TEA:トリエチルアミン;AlaOH:アラニン;Boc:t-ブトキシカルボニル。Py:ピリジン、TBAF:テトラ-n-ブチルアンモニウムフッ化物、THF:テトラヒドロフラン、TBS:t-ブチルジメチルシリル、TMS:トリメチルシリル、TMSCF:(トリフルオロメチル)トリメチルシラン、Ts:p-トルエンスルホニル、Bu:ブチル、Ti(OiPr):テトライソプロポキシチタン、LAH:水素化アルミニウムリチウム;LDA:リチウムジイソプロピルアミド;LiOH.HO:水酸化リチウム水和物;MAD:メチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド);NBS:N-ブロモスクシンイミド、NaSO:硫酸ナトリウム、Na:チオ硫酸ナトリウム、MeCN:アセトニトリル、MeOH:メタノール、Boc:t-ブトキシカルボニル、MTBE:メチル三級ブチルエーテル、K-セレクトリド:水素化ホウ素トリ(s-ブチル)カリウム;PPh:トリフェニルホスフィン;PPhO:トリフェニルホスフィンオキシド;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;BHT:2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(ブチルヒドロキシトルエン);n-BuLi:ノルマル-ブチルリチウム;TsCl:4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド。
【0329】
実施例1:(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-3-(メチル-d3)-17-((2R,5S)-6,6,6-トリフルオロ-5-ヒドロキシ-5-メチルヘキサン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール(1)の合成
【化16】
1.1、1.2、1.3、1.4、及び1.5を、WO2017/173358に記載されているように、かつ以下に簡単に記載されるように調製した。
【0330】
1.1の合成
THF(3000mL)中のPPhMeBr(2.13kg、5.97mol)の懸濁液に、t-BuOK(688g、6.14mol)を、20℃で添加した。50℃で1時間撹拌した後に、プレグネノロン(630g、2.05mol)を、50℃で添加し、反応混合物を、50℃で2時間撹拌した。20℃に冷却した後に、混合物を、NHCl(10%の水溶液、5L)及びヘプタン(3.5L)で処理し、15分間撹拌した。有機層を、分離し、真空中で濃縮して、粗材料を、濃い油として得て、これを、MTBE(10L)中に活発に撹拌しながら注ぎ、室温で16時間撹拌させた。得られた生成物を、濾過によって収集し、MTBE(3L)で洗浄した。組み合わされた濾液を、MeOH(10L)と混合し、真空中で6Lに濃縮した。得られた生成物を、濾過によって収集し、MeOH(3L)で洗浄し、風乾して、700gの湿潤生成物を得た。組み合わされたMeOH濾液を、真空中で濃縮して、濃い油を得た。油を、MTBE(3L)中に活発に撹拌しながら注ぎ、混合物を、3時間撹拌させた。得られた生成物を、濾過によって収集し、MTBE(1L)で洗浄した。組み合わされた濾液を、MeOH(3L)と混合し、真空中で1.5Lに濃縮した。得られた生成物を、濾過によって収集し、MeOH(500mL)で洗浄し、風乾して、150gの生成物を得た。上記の700g及び150gのバッチを、組み合わせ、真空乾燥させて、1.1(552g、88%)を得た。H NMR(400 MHz,CDCl)δ 5.40-5.30(m,1H),4.85(s,1H),4.71(s,1H),3.60-3.50(m,1H),2.36-2.18(m,2H),2.08-1.96(m,2H),1.92-1.78(m,3H),1.76(s,3H),1.73-1.48(m,9H),1.38-1.03(m,4H),1.01(s,3H),1.00-0.91(m,1H),0.58(s,3H).
【0331】
1.2の合成
DCM(30L)中の1.1(4kg、12.7mol)の溶液に、イミダゾール(1.72kg、25.4mol)及びTBSCl(2.86kg、19.0mol)を、25℃で添加した。25℃で16時間撹拌した後に、水(10L)を添加し、有機相を、分離し濃縮して、残渣を得、これを、MeOH(15L)で還流下で粉砕して、1.2(5.02kg、92%)を得た。H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.38-5.28(m,1H),4.85(s,1H),4.71(s,1H),3.57-3.41(m,1H),2.33-2.11(m,2H),2.10-1.94(m,2H),1.90-1.61(m,8H),1.60-1.38(m,6H),1.28-1.03(m,4H),1.00(s,3H),0.98-0.91(m,1H),0.89(s,9H),0.58(s,3H),0.06(s,6H).
【0332】
1.3の合成
THF(8L)中の1.2(1.69kg、3.94mol)の溶液に、9-BBN二量体(671g、2.75mol)を添加し、得られた混合物を、25℃でN下で1時間撹拌した(沈殿物の形成を観察した)。エタノール(2.26L、39.4mol)及びNaOH(3.94L、5M、19.7mol)を添加し、得られた透明の溶液を、H(3.94L、10M、39.4mol)で25℃で滴下処理した(内部温度を上昇させて還流した)。添加が完了した後に、混合物を、25℃に冷却し、16時間撹拌し、続いて、Na(2.5L、20%の水溶液)及び水(5L)を、25℃で添加した。1時間撹拌した後に、混合物を沈降させて、透明の下層及び懸濁液上層を得た。懸濁液上層を、収集し、水(20L)で処理した。混合物を、15分間撹拌し、濾過した。生成物を、水で、9未満のpHまで洗浄して、湿潤生成物を得、これを、別の合成からの2つの他のバッチの生成物と組み合わせた。湿潤生成物を、DCM(100L)中に溶解し、有機層を、分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、20Lに濃縮した。残渣を、次のステップにおいて直接使用した。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.40-5.23(m,1H),3.70-3.60(m,1H),3.55-3.42(m,1H),3.41-3.31(m,1H),2.31-2.20(m,1H),2.20-2.11(m,1H),2.06-1.91(m,2H),1.89-1.67(m,3H),1.65-1.39(m,7H),1.38-1.08(m,6H),1.05(d,J = 6.4 Hz,3H),1.00(s,3H),0.99-0.91(m,2H),0.88(s,9H),0.70(s,3H),0.05(s,6H).
【0333】
1.4の合成
DCM(15L)中の1.3(理論質量:5.2kg、11.6mol)の溶液に、N-メチル-イミダゾール(1.37L、17.4mol)及びTEA(3.2L、23.2mol)を、25℃で添加した。TsCl(2.53kg、13.3mol)を、上記の溶液に少量ずつ添加し、内部温度を、25~30℃で維持した。反応混合物を、25℃で1時間撹拌した。混合物に、水(10L)、クエン酸(20%、1L)、及びHCl(1M)を添加して、pHを約3に調整した。有機層を、分離し、水(2×10L)、NaHCO(飽和水溶液、5L)、及びブライン(5L)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、1.4(6.63kg、2つのステップについて95%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 7.78(d,J = 8.4 Hz,2H),7.34(d,J = 8.0 Hz,2H),5.37-5.25(m,1H),3.96(dd,J = 2.8,9.2 Hz,1H),3.79(dd,J = 6.4,9.2 Hz,1H),3.53-3.41(m,1H),2.45(s,3H),2.32-2.20(m,1H),2.20-2.11(m,1H),2.01-1.88(m,2H),1.84-1.61(m,4H),1.56-1.31(m,6H),1.23-1.02(m,5H),1.02-0.95(m,7H),0.93-0.90(m,1H),0.88(s,9H),0.63(s,3H),0.05(s,6H).
【0334】
1.5の合成
DMF(25L)中の1.4(2.69kg、4.47mol)の懸濁液に、KI(1.48g、8.94mol)を、70℃で添加し、混合物を、70℃で1時間撹拌した。PhSONa(2.19kg、13.4mol)を添加し、撹拌を、70℃で1時間継続した。混合物を、水(50L)中に注ぎ、濾過した。濾過ケークを、水(2×10L)で洗浄して、湿潤生成物を得、これを、上記の合成からの2つの他のバッチと組み合わせた。湿潤生成物の半分を、MeCN(20L)で80℃で粉砕し、30℃に冷却した。加熱及び冷却プロセスを、更に2回繰り返し、残渣を、濾過によって収集し、MeCN/トルエン(20L、10:1)で80℃で更に粉砕し、濾過し、MeCN(3×5L)で洗浄し、真空中で乾燥させて、1.5(2.21kg)を得た。湿潤生成物の別の半分を、MeCN(20L)で80℃で粉砕し、50℃に冷却した。加熱及び冷却プロセスを、更に2回繰り返し、沈殿物を、濾過によって収集して、1.5(1.92kg)を得た。合計4.13kgの生成物を得た(収率67%)。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 8.00-7.82(m,2H),7.69-7.61(m,1H),7.60-7.49(m,2H),5.37-5.20(m,1H),3.57-3.39(m,1H),3.14(d,J = 14.0 Hz,1H),2.85(dd,J = 9.6,14.0 Hz,1H),2.35-2.05(m,3H),2.02-1.88(m,2H),1.85-1.62(m,3H),1.61-1.32(m,7H),1.29-0.91(m,12H),0.88(s,9H),0.65(s,3H),0.05(s,6H).
【0335】
1.6の合成
【化17】
1.6B:THF(1L)中のLiAlH(45.3g、1.26mol)の懸濁液に、THF(500mL)中の1.6A(100g、632mmol)の溶液を、0℃で滴加し、得られた混合物を、70℃で16時間撹拌した。混合物を、HCl(1L、3Mの水溶液)で、pH=2までクエンチし、MTBE(3×500mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下(40℃未満)で濃縮して、1.6B(92g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 3.96-3.92(m,1H),3.58-3.53(m,1H),3.08(s,1H),1.98-1.89(m,1H),1.38(s,3H).
【0336】
1.6: ピリジン(300mL)中の1.6B(50g、346mmol)の溶液に、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(98.9g、519mmol)を、5分間にわたって0℃で少量ずつ添加し、得られた溶液を、20℃で16時間撹拌した。反応混合物を、2NのHCl(400mL)で0℃で、pH=1~2までクエンチした。内部温度を、30℃未満で維持し、混合物を、MTBE(3×200mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~10%のEtOAc)によって精製して、1.6(93g、90%、99.42%のee)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 7.79(d,J = 7.6 Hz,2H),7.37(d,J = 8.0 Hz,2H),4.13-4.03(m,2H),2.99(s,1H),2.46(s,3H),1.37(s,3H).
【0337】
1.7の合成
下で-70℃でのTHF(10mL)中のn-BuLi(6.27mL、15.7mmol、2.5M)の溶液に、THF(30mL)中の1.5(3.60g、6.30mmol)の懸濁液を添加した。-70℃で30分間撹拌した後に、THF(10mL)中の1.6(2.25g、7.56mmol)の溶液を添加した。反応物を、-70℃で10分間撹拌し、25℃で16時間撹拌した。反応物を、飽和NHCl(400mL)でクエンチし、EtOAc(3×600mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮し、4.80gの1.7を得、これを、次のステップのために直接使用した。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ7.91(d,J = 7.6 Hz,2H),7.75-7.68(m,1H),7.66-7.57(m,2H),5.27(m,1H),4.95(s,1H),3.51-3.39(m,1H),3.29(d,J = 7.6 Hz,1H),2.58(dd,J = 8.4,16.4 Hz,1H),2.29-2.18(m,1H),2.18-2.09(m,1H),1.97-1.82(m,6H),1.80-1.24(m,14H),1.16-0.80(m,17H),0.45-0.37(m,4H),0.04(s,6H).
【0338】
1.8の合成
THF(10mL)中の1.7(4.80g、6.88mmol)の溶液に、TBAF(27.5mmol、27.5mL、THF中の1.0M)を、15℃で添加した。反応混合物を、15℃で16時間撹拌した。反応混合物を、65℃で1時間撹拌した。反応混合物を、真空下で濃縮して、残渣を得、これを、MeOH(20mL)中に溶解した。MeOH溶液に、水(200mL)を滴加した。生成物を、濾過し、水(5×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、1.8(3.93g)を得た。
【0339】
1.9の合成
乾燥MeOH(100mL)及びTHF(50mL)中の1.8(3.70g、6.34mmol)及びNiCl(204mg、1.58mmol)の溶液に、Mg削り状(3.84g、158mol)(0.5%のHCl水溶液、水、乾燥エタノール、及びMTBEで活性化される)を、N下で、50℃で撹拌しながら添加して、連続水素生成を開始した。反応混合物を、60℃で1時間撹拌した。反応混合物を、2MのHCl(100mL)で10℃で、固体が溶解されるまでクエンチした。混合物をEtOAc(2×150mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、飽和NaHCO(300mL)、ブライン(300mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、1.9(2.85g)を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1)によって精製して、1.9(2.05g、68%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.40-5.30(m,1H),3.60-3.46(m,1H),2.34-2.16(m,2H),2.06-1.91(m,2H),1.90-1.77(m,4H),1.75-1.38(m,11H),1.35-1.22(m,5H),1.21-0.76(m,12H),0.68(s,3H).
【0340】
1.10の合成
DCM(10mL)中の1.9(500mg、1.12mmol)の溶液に、DMP(2.37g、5.60mmol)を、25℃で少量ずつ添加した。水(40mg)を添加し、混合物を、25℃で30分間撹拌した。混合物を、NaHCO(2×20mL、飽和水溶液)及びNa(20mL、飽和水溶液)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で30℃未満で濃縮して、1.10(0.49g、99%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.38-5.30(m,1H),3.28(dd,J = 2.8 Hz,J = 16.4 Hz,1H),2.82(dd,J = 2.0 Hz,J = 16.4 Hz,1H),2.58-2.42(m,1H),2.36-2.25(m,1H),2.09-1.96(m,3H),1.90-0.98(m,25H),0.95(d,J = 6.8 Hz,3H),0.71(s,3H).
【0341】
1の合成
トルエン(10mL)中のBHT(2.44g、11.1mmol)の溶液に、AlMe(2.77mL、トルエン中の2M、5.55mmol)を、10℃で滴加した。混合物を、新たに調製されたMAD溶液として、15℃で1時間撹拌した。新たに調製されたMAD溶液に、トルエン(10mL)中の1.10(0.490g、1.11mmol)の溶液を、-70℃でN下で滴加した。混合物を、-70℃で1時間撹拌した。CDMgI(15mLのEtO中の11.1mmol)の溶液を、上記の混合物に-70℃で滴加した。混合物を、-70℃で更に1時間撹拌した。混合物を、クエン酸(10mL、10%の水溶液)中に少量ずつ注いだ。ガスを発生させた。混合物を、EtOAc(2×20mL)で抽出し、組み合わされた有機層を、真空中で濃縮した。残渣を、石油エーテル(50mL)から粉砕し、シリカゲルカラム(石油エーテル:EtOAc=15:1~10:1)及びSFC(カラム:AD(250mm×30mm、5um);条件:塩基-MeOH;開始B:30%;終了B: 30%;勾配時間(分):10;流速(mL/分):60mL/分;注入:120)によって精製して、1(32.8mg、6%、重水素化比:99.5%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.35-5.26(m,1H),2.48-2.35(m,1H),2.05-0.92(m,35H),0.68(s,3H). LCMS Rt=2.0分のクロマトグラフィーにおける1.250分、30~90AB、純度100%、MS ESI C2740[M+H-HO]に対する計算値442、実測値442。
HRMS MS C2740[M+H-HO]に対する計算値442.3371、実測値442.3380。
【0342】
実施例2:(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-3,10,13-トリメチル-17-((2R,5S)-6,6,6-トリフルオロ-5-ヒドロキシ-5-(メチル-d3)ヘキサン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール(2)の合成
【化18】
【0343】
2.1の合成
THF(4.5L)中のMePPhBr(1.28kg、3.6mol)の混合物に、t-BuOK(404g、3.6mol)を、15℃でN下で添加し、得られた混合物を、50℃で30分間撹拌した。プレグネノロン(950g、2.9mol)を、少量ずつ添加して、内部温度を、65℃未満で保持し、反応混合物を、50℃で1時間撹拌した。混合物を、飽和NHCl水溶液(1L)で15℃でクエンチし、THF層を分離した。水層を、EtOAc(2×2L)で抽出し、組み合わされた有機層を、真空下で濃縮した。残渣を、MeOH/HO(1:1、15L)で還流下で粉砕することによって精製して、2.1(940g、99%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.40-5.32(m,1H),4.85(s,1H),4.71(s,1H),3.58-3.46(m,1H),2.36-2.16(m,2H),2.08-1.94(m,2H),1.92-1.62(m,9H),1.61-1.39(m,6H),1.29-1.03(m,4H),1.01(s,3H),0.99-0.91(m,1H),0.59(s,3H).
【0344】
2.2の合成
DCM(8L)中の2.1(800g、2.54mol)の溶液に、DMP(2.14kg、5.08mol)を、35℃で少量ずつ添加し、得られた混合物を、20分間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過されたケークを、DCM(3×1L)で洗浄した。組み合わされた有機層を、飽和Na/NaHCO水溶液(3:1、2×1.5L)、ブライン(1.5L)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、2.2(794g)を得、これを、次のステップにおいて直接使用した。
【0345】
2.3の合成
トルエン(1L)中のBHT(1.97kg、8.94mol)の溶液に、AlMe(2.14L、トルエン中の2.0M、4.28mol)を滴加して、内部温度を、N雰囲気下で25℃未満で保持した。得られた混合物を、25℃で1時間撹拌した。DCM(3L)中の2.2(794g、2.16mol)を、-70℃で添加し、混合物を、1時間撹拌した。MeMgBr(862mL、ジエチルエーテル中の3.0M、2.59mol)を、-70℃で添加し、反応混合物を、10分間撹拌した。混合物を、飽和クリティック酸水溶液(3L)でクエンチし、EtOAc(2×2L)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2L)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、残渣を得、これを、MeCN(3L)から25℃で粉砕して、2.3(340g、43%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.34-5.26(m,1H),4.85(s,1H),4.71(s,1H),2.50-2.35(m,1H),2.07-1.94(m,3H),1.91-1.84(m,1H),1.83-1.63(m,8H),1.58-1.33(m,6H),1.27-1.05(m,7H),1.02(s,3H),1.00-0.92(m,1H),0.58(s,3H).
【0346】
2.4の合成
2.3(149g、453mmol)及び9-BBN二量体(127g、520mmol)の混合物に、THF(1L)を、15℃でN下で添加し、得られた混合物を、60℃で1時間撹拌した。混合物を、15℃に冷却し、EtOH(208g、4.53mol)を添加した。NaOH水溶液(906mL、5M、4.53mol)を、15℃で滴加し、続いて、H(514g、30%、4.53mol)を、15℃で滴加した。混合物を、60℃で1時間撹拌した。固体を、エタノール(200mL)で洗浄して、残渣を得、これを、EtOH(2.3L)で還流下で、かつ水(2.5L)で80℃で順次粉砕して、2.4(131g、84%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.35-5.24(m,1H),3.67-3.61(m,1H),3.42-3.33(m,1H),2.50-2.35(m,1H),2.07-1.92(m,3H),1.88-1.65(m,3H),1.60-1.38(m,8H),1.37-1.26(m,1H),1.26-1.08(m,8H),1.05(d,J = 6.8 Hz,3H),1.01(s,3H),1.00-0.91(m,2H),0.70(s,3H).
【0347】
2.5の合成
CHCl(600mL)及びピリジン(420mL)中の2.4(131g、378mmol)の溶液に、TsCl(187g、982mmol)を、15℃で添加し、得られた混合物を、2時間撹拌した。反応混合物を、真空下で濃縮して、CHClの大部分を除去した。水(3L)を添加し、沈殿物を濾過した。沈殿物を、水(6×4L)で洗浄し、DCM(3.5L)中に溶解し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、2.5(177g、94%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 7.78(d,J = 8.4 Hz,2H),7.34(d,J=8.0 Hz,2H),5.34-5.25(m,1H),3.96(dd,J = 3.2,9.6 Hz,1H),3.79(dd,J = 6.4,9.2 Hz,1H),2.45(s,3H),2.50-2.35(m,1H),2.02-1.88(m,3H),1.81-1.61(m,4H),1.58-1.33(m,7H),1.24-1.11(m,8H),1.09-0.86(m,8H),0.64(s,3H).
【0348】
2.6の合成
DMF(1.8L)中の2.5(177g、353mmol)の溶液に、KI(281g、1694mmol)を、15℃で添加し、得られた混合物を、60℃で1時間撹拌した。PhSONa(211g、1.06mol)を添加し、混合物を、60℃で2時間撹拌した。反応混合物を、25℃に冷却し、混合物を、水(20L)中に注ぎ、濾過した。濾過されたケークを、水(3×2L)で洗浄し、DCM(5L)中に溶解した。濾液を、水(2×1L)、ブライン(2×1L)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、残渣を得、これを、トルエン(2.5L)から再結晶化して、2.6(121g、73%)を得た。再結晶化濾液を、真空下で濃縮して、2.6(20g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 7.91(d,J = 7.6 Hz,2H),7.69-7.61(m,1H),7.61-7.53(m,2H),5.31-5.24(m,1H),3.14(d,J = 14 Hz,1H),2.85(dd,J = 9.2,14 Hz,1H),2.50-2.35(m,1H),2.16-2.03(m,1H),2.01-1.88(m,3H),1.80-1.64(m,3H),1.56-1.34(m,6H),1.20(d,J = 6.8 Hz,3H),1.17-1.11(m,3H),1.10(s,3H),1.08-1.01(m,2H),1.00(s,4H),0.98-0.87(m,2H),0.65(s,3H).
【0349】
2.7の合成
【化19】
2.7B:無水DCM(30mL)中の2.7A(2g、3.65mmol)の溶液に、窒素下、MeOH(30mL)中の酢酸コバルト(II)(775mg、4.38mmol)の溶液を、窒素下で20℃で添加し、得られた混合物を、30分間20℃で撹拌し、0℃で1時間撹拌した。沈殿物を濾過し、冷MeOH(2×30mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、2.7B(1.6g、73%)を得た。
【化20】
【0350】
2.7: トルエン(30mL)中の2.7B(1.07g、1.78mmol)の溶液に、AcOH(1.12g、18.7mmol)を添加し、得られた混合物を、20℃で30分間撹拌した。溶液を、真空中で濃縮した。得られた触媒残渣を、2-(トリフルオロメチル)オキシラン(100g、892mmol)中に20℃で溶解し、反応混合物を、0℃に冷却し、水(8.82g、490mmol)を滴加した。混合物を、20℃に加温し、48時間撹拌した。2.7(44g)を、蒸留によって反応混合物から単離した。 H NMR(400 MHz,DMSO-d6) δ 3.96(s,1H),3.11-2.98(m,2H).
【0351】
2.8の合成
THF(800mL)中のジイソプロピルアミン(26.8g、265mmol)の溶液に、BuLi(93.2mL、ヘキサン中の2.5M、233mmol)を、N下で-70℃で滴加した。混合物を、0℃に加温し、THF(300mL)中の2.6(50g、106mmol)の懸濁液を添加した。混合物を、-70℃で30分間撹拌し、THF(100mL)中の2.7(17.8g、159mmol)の溶液を添加した。混合物を、-70℃で30分間撹拌し、次いで、15℃に加温し、24時間撹拌した。反応混合物を、600mLの飽和NHCl水溶液を15℃で添加することによってクエンチした。有機層を分離し、水相を、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮した。残渣を、EtOAc(600mL)中に溶解し、ブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~40%のEtOAc)によって精製して、2.8(53g、86%)を得、これを、次のステップにおいて直接使用した。
【0352】
2.9の合成
MeOH(800mL)中の2.8(53g、90.9mmol)の溶液に、Mg粉末(25g、1.02mol)を、65℃で30分間にわたって少量ずつ添加し、得られた混合物を、65℃で1時間撹拌した。クエン酸(20%の水溶液、1000mL)を添加し、続いて、HCl(2N、200mL)を添加した。混合物を、PE/EtOAc(1:1、1000mL+200mL)で抽出し、組み合わされた有機層を、ブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE:EtOAc=12:1~8:1)によって精製し、MeOH(250mL)から再結晶化して、2.9(10.94g、27%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.35-5.25(m,1H),3.95-3.80(m,1H),2.48-2.37(m,1H),2.08-1.91(m,4H),1.90-1.42(m,13H),1.39-0.90(m,18H),0.69(s,3H). 19F NMR(376.5 MHz,CDCl) δ 80.03(s). LCMS Rt=2.0分のクロマトグラフィーにおける1.240分、30~90AB、純度100%(ELSD)、MS ESI C2640O[M+H-HO]に対する計算値425、実測値425。SFC Rt=10.0分のクロマトグラフィーにおける4.543分、AD_3_MeOH_DEA_5_40_25ML、純度100%(210nmのUV)。
【0353】
2.10の合成
DCM(200mL)中の2.9(15g、33.8mmol)の溶液に、DMP(28.6g、67.6mmol)を、25℃で添加し、得られた混合物を、1時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO水溶液(200mL)で、水層のpHが7になるまでクエンチした。飽和Na水溶液(200mL)を添加し、混合物を、25℃で1時間撹拌した。混合物を、DCM(2×300mL)で抽出し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮した。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、10%~15%)によって精製して、2.10(9g、61%)を得、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、15%~20%)によって更に3回精製して、2.10(7.1g)を得た。2.10(7g)を、n-ヘキサン(80mL)で25℃で3回粉砕して、2.10(4013.1mg)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ 5.34-5.26(m,1H),3.18-2.54(m,2H),2.47-2.36(m,1H),2.03-1.92(m,3H),1.90-1.58(m,4H),1.57-1.24(m,10H),1.22-0.90(m,15H),0.68(s,3H). MS C2640[M-HO+H]に対する423、実測値423。
【0354】
2.11の合成
CDMgI(6mLのエーテル中の5.99mmol)の溶液を、THF(5mL)中の2.10(530mg、1.20mmol)の溶液と0℃で反応させ、得られた混合物を、20℃で16時間撹拌した。混合物を、飽和NHCl水溶液(20mL)中に0℃で注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~30%のEtOAc)によって精製して、2.11(184mg、33.3%)を得た。
【0355】
2.11(184mg)を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm*30mm、10um);条件: 0.1%のNH.HO MeOH;開始B:25%;終了B: 25%;勾配時間(分):60;流速(ml/分):80;注入:80)によって分離して、2(55mg、30.0%)を得た。2(46mg、0.100mmol)を凍結乾燥させて、2(31mg、67.5%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.34-5.28(m,1H),2.46-2.38(m,1H),2.03-1.58(m,11H),1.53-1.21(m,9H),1.20-1.13(m,3H),1.11(s,3H),1.10-1.02(m,2H),1.01(s,3H),1.00-0.96(m,1H),0.94(d,J = 6.4 Hz,3H),0.68(s,3H); 19F NMR(376 MHz,CDCl) δ -83.16(s); LC-ELSD/MS 30-90AB_2min_E,purity>99%,MS ESI calcd. for C2739O [M-HO+H]442.3,found 442.3.
【0356】
実施例3:2を調製するための代替的な方法を、以下に提供する。
【化21】
【0357】
実施例4:(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-3,10,13-トリメチル-17-((2R,5S)-6,6,6-トリフルオロ-5-ヒドロキシ-5-メチルヘキサン-2-イル-1,1,1-d)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール(3)の合成
【化22】
3.1を、WO2013/36835に記載されているように調製した。
【0358】
3.2の合成
エーテル(20mL)中のMg(5.11g、212mmol)及びI(34.7mg、0.137mmol)の懸濁液に、エーテル(80mL)中のCDI(10g、68.9mmol)の溶液を、N下で25℃で滴加し、内部温度を、35℃に上昇させた。35℃で2時間撹拌した後に、混合物を、THF(60mL)中の3.1(5g、15.7mmol)と0℃で反応させ、混合物を、3時間撹拌した。混合物を、飽和NHCl水溶液(80mL)中に0℃で注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、3.2(5.5g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.33-5.27(m,1H),3.82-3.62(m,1H),2.47-2.37(m,1H),2.14-1.68(m,7H),1.57-1.13(m,14H),1.11(s,3H),1.03-1.01(m,3H),0.79-0.66(m,3H).
【0359】
3.3の合成
DCM(20mL)中の3.2(1.2g)の溶液に、NaHCO(4.5g、53.5mmol)及びデス-マーチンペルヨージナン(4.5g、10.7mmol)を、25℃で添加し、得られた混合物を、20分間撹拌した。混合物を、飽和Na水溶液(40mL)でクエンチし、DCM(2×50mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(2×10mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~25%のEtOAc)によって精製して、3.3(350mg、29.4%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.38-5.29(m,1H),2.56-2.49(m,1H),2.45-2.40(m,1H),1.76-1.53(m,19H),1.12(s,3H),1.01(s,3H),0.63(s,3H).
【0360】
3.4の合成
THF(15mL)中のMePPhBr(2.99g、8.37mmol)の懸濁液に、n-BuLi(2.98mL、7.47mmol、2.5M)を、25℃でN下で添加し、得られた混合物を、30分間撹拌した。THF(10mL)中の3.3(1g、9.59mmol)を、1分間にわたって25℃で添加した。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(20ml)で20℃でクエンチし、水層を、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わされた有機層を濃縮し、残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、3.4(580mg、58.5%)を得た。 HRMS showed D% = 98.4%; H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.36-5.25(m,1H),4.89-4.61(m,2H),2.48-2.38(m,1H),2.12-1.66(m,9H),1.57-1.13(m,10H),1.12(s,3H),1.02(s,3H),1.00-0.92(m,1H),0.59(s,3H).
【0361】
3.5の合成
THF(15mL)中の3.4(1.15g、3.46mmol)の溶液に、9-BBN(1.68g、6.92mmol)を添加し、得られた混合物を、25℃で16時間撹拌した。エタノール(2.43mL、41.5mmol)を添加し、続いて、NaOH水溶液(8.30mL、5.0M、41.5mmol)を添加した。H(4.56mL、10M、5.01g)を添加し、反応混合物を、25℃で1時間撹拌した。混合物を、Na(50mL、飽和水溶液)でクエンチし、EtOAc(3×30mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、飽和Na水溶液(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~30%のEtOAc)によって精製して、3.5(1.2g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.32-5.28(m,1H),3.64(dd,J = 3.2,10.4 Hz,1H),3.37(dd,J = 6.8,10.4 Hz,1H),2.46-2.39(m,1H),2.04-1.93(m,3H),1.72-1.17(m,19H),1.11(s,3H),1.02(s,3H),0.70(s,3H).
【0362】
3.6の合成
DCM(20mL)中の3.5(1.2g、3.43mmol)の溶液に、1-メチル-1H-イミダゾール(1.12g、13.7mmol)及びTsCl(1.3g、6.86mmol)を、20℃で添加し、得られた混合物を、1時間撹拌した。混合物を、HO(20mL)中に注ぎ、DCM(3×10mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、飽和HCl(1M、20mL)及びNaHCO(飽和水溶液、20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、3.6(1.5g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ7.78(d,J = 8.4 Hz,2H),7.34(d,J = 8.0 Hz,2H),5.30-5.27(m,1H),4.17-3.72(m,2H),2.45(s,3H),2.44-2.37(m,1H),2.02-1.77(m,4H),1.69-1.30(m,13H),1.28-1.12(m,4H),1.11(s,3H),1.00(s,3H),0.69-0.60(m,3H).
【0363】
3.7の合成
DMF(10mL)中の3.6(1.5g、2.97mmol)の溶液に、KI(2.45g、14.8mmol)を添加し、得られた混合物を、60℃で1時間撹拌した。PhSONa(1.46g、8.91mmol)を添加し、混合物を、60℃で12時間撹拌した。混合物を、20℃に冷却し、10%のNHCl水溶液(50mL)でクエンチした。混合物を、EtOAc(3×80mL)で抽出し、組み合わされた有機層を、3%のLiCl水溶液(2×50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~20%のEA)によって精製して、3.7(1.2g)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ7.96-7.89(m,2H),7.67-7.62(m,1H),7.59-7.54(m,2H),5.30-5.26(m,1H),3.17-3.09(m,1H),2.89-2.78(m,1H),2.45-2.35(m,1H),2.14-1.88(m,4H),1.78-1.65(m,3H),1.55-1.14(m,10H),1.10(s,3H),1.07-1.00(m,2H),0.99(s,3H),0.96-0.74(m,2H),0.65(s,3H).
【0364】
3.8の合成
3.8を、実施例1の1.7について記載される手順を使用して、3.7から調製する。
【0365】
3の合成
Li(0.35g、49.8mmol)を、液体NH(50mL)に-70℃でN下で添加し、得られた混合物を、1時間撹拌した。THF(40mL)中の3.8(860mg、1.43mmol)及びt-BuOH(211mg、2.86mmol)の溶液を添加し、反応物を、-70℃で1時間撹拌した。反応物を、NHCl(5g)で-70℃でクエンチし、混合物を、25℃に加温した。反応混合物を、水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮した。混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の15~25%のEtOAc)によって精製し、凍結乾燥させて、3(224.2mg、34%)を得た。 H NMR(400 MHz,CDCl) δ5.37-5.25(m,1H),2.49-2.36(m,1H),2.05-1.54(m,13H),1.51-1.34(m,7H),1.32(s,3H),1.28-1.12(m,4H),1.11(s,3H),1.10-1.05(m,1H),1.01(s,3H),0.99-0.94(m,1H),0.68(s,3H). 19F NMR(400 MHz,CDCl) δ -83.13(s). LC-ELSD/MS 30~90AB_2分_E、純度99%超;MS ESI C2739O[M+H-HO]に対する計算値442.4、実測値442.4。
【0366】
実施例5:(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-3,10,13-トリメチル-17-((2R,5S)-6,6,6-トリフルオロ-5-ヒドロキシ-5-メチルヘキサン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-7,7-d-3-オール(4)の合成
【化23】
4.1を、WO2018/075699 A1に記載されているように調製した、
【0367】
4.2の合成
THF(5mL)中の4.1(500mg、1.09mmol)の溶液に、BH.DMS(1.09mL、10M、10.9mmol)を添加し、得られた混合物を、25℃で16時間撹拌した。エタノール(1.92mL、32.6mmol)を添加し、続いて、NaOH水溶液(6.52mL、5.0M、32.6mmol)を添加した。H(3.26mL、10M、32.6mmol)を、25℃で添加し、混合物を、60℃で1時間撹拌した。混合物を、飽和Na水溶液(40mL)でクエンチし、EtOAc(3×40mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、飽和Na水溶液(2×40mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、4.2(560mg、C-5及びC-6異性体混合物)を得た。
【0368】
4.3a及び4.3bの合成
DCM(10mL)中の4.2(500mg、0.1053mmol)の溶液に、デス-マーチンペルヨージナン(1.78g、4.20mmol)を、25℃で添加し、得られた混合物を、1時間撹拌した。混合物を、飽和NaHCO水溶液(20mL)でクエンチした。DCM相を、分離し、飽和NaHCO/Na水溶液(1:1、2×20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の15~30%のEtOAc)によって精製して、4.3a(280mg、56.4%)及び4.3b(40mg、8.06%)を得た。 4.3a --H NMR(400 MHz,CDCl) δ2.42(dd,J = 3.6,13.2 Hz,1H),2.16(dd,J = 3.6,13.6 Hz,1H),2.12-1.56(m,11H),1.55-1.30(m,11H),1.28(s,3H),1.23(s,3H),1.20-1.00(m,4H),0.92(d,J = 6.4 Hz,3H),0.84(s,3H),0.63(s,3H). 19F NMR(400 MHz,CDCl) δ-82.98.
【0369】
4.4の合成
THF(6mL)中の4.3a及び4.3b(290mg、0.6135mmol)の溶液に、NaOD(4.2mL、DO中の0.1M、0.42mmol)及びCDOD(0.5mL)を、50℃でN下で添加し、得られた混合物を、16時間撹拌した。反応混合物を、AcOD(DO中の0.1M)でpH=7に調整し、NaCl(200mg)及びEtOAc(10mL)を添加した。混合物を、5分間撹拌し、有機層を、分離し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、4.4(280mg、C-5異性体混合物)を得た。
【0370】
4.5の合成
DCM(4mL)中の4.4(280mg、0.8737mmol)の溶液に、DMAP(106mg、0.8737mmol)、TEA(175mg、1.74mmol)、及び酢酸アセチル(177mg、0.163mL、1.74mmol)を添加し、得られた混合物を、25℃で16時間撹拌した。残渣を、10%のNaHCO水溶液(10mL)中に注ぎ、10分間撹拌した。水相を、DCM(2×5mL)で抽出し、組み合わされた有機層を、ブライン(2×5mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、4.5(320mg、C-5異性体混合物)を得た。
【0371】
4.6の合成
MeOH(10mL)中の4.5(320mg、0.5717mmol)の溶液に、NaBH(216mg、5.71mmol)を、0℃でN下で添加し、得られた混合物を、25℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(50mL)で20℃でクエンチし、水層を、EtOAc(2×50mL)で抽出した。組み合わされた有機層を濃縮して、4.6(280mg、3つ超のステップで81.2%、C-5異性体混合物)を得た。
【0372】
4.7の合成
ピリジン(4mL)中の4.6(200mg、0.3560mmol)の溶液に、POCl(0.496mL、5.33mmol)を、0℃でN下で添加し、得られた混合物を、40℃で16時間撹拌した。混合物を、HO(20mL)で0℃で緩徐にクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。組み合わされた有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮して、4.7(200mg)を得、これを、次のステップにおいて直接使用した。
【0373】
4の合成
MeOH(2mL)及びTHF(2mL)中の4.7(260mg、0.4790mmol)の溶液に、LiOH・HO(499mg、11.9mmol)を、25℃で添加し、得られた混合物を、18時間撹拌した。混合物を、水(10mL)中に注ぎ、濾過し、無水NaSO上で乾燥させ、濾過し濃縮した。混合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE中の0~12%のEtOAc)によって精製し、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK AD(250mm*30mm、10um);条件:0.1%のNH.HO EtOH;開始B:20%;終了B: 20%;勾配時間(分):45;流速(ml/分):70;注入:120)によって分離し、凍結乾燥させて、4(30.2mg、13.7%、D0:1.6%、D1:6.2%、D2:91.4%)を得た。 HNMR(400 MHz,CDCl) δ5.36-5.23(m,1H),2.48-2.36(m,1H),2.06-1.94(m,2H),1.91-1.56(m,8H),1.54-1.33(m,7H),1.32(s,3H),1.31-1.12(m,5H),1.11(s,3H),1.10-1.04(m,1H),1.01(s,3H),1.00-0.96(m,1H),0.94(d,J = 6.8 Hz,3H),0.68(s,3H). 19F NMR(400 MHz,CDCl) δ-83.13. LC-ELSD/MS 30~90AB_2分_E、純度99%超、MS ESI C2740O[M-HO+H]に対する計算値441.3、実測値441.3。
【0374】
実施例6
アッセイ方法
本開示の化合物を、文献に記載されている様々なインビトロ及びインビボアッセイを使用して評価することができ、それらの実施例を、以下に記載する。
【0375】
以下の実施例は、本明細書で提供される化合物、薬学的組成物、及び方法の生物学的活性を例示するために提供され、それらの範囲を限定するとしてなんら解釈されるべきでない。
【0376】
NMDA調節
哺乳類細胞の全細胞パッチクランプ(Syncropatch 384i(Nanion Technologies))
全細胞パッチクランプ電気生理学を使用して、哺乳類細胞において発現されるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体であるGluN1/GluN2Aへの化合物の効果を調査する。
【0377】
細胞培養
組換えヒトGluN1/GluN2A受容体をテトラサイクリン誘導性発現系の制御下で発現するヒト胚性腎臓(HEK293)細胞を使用する。細胞を、1%のグルタミン、10%のテトラサイクリン系承認済みウシ胎児血清(FBS)、及びNMDA阻害剤を有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で維持する。細胞を、加湿された5%のCOのインキュベーターにおいて37℃で培養する。細胞を、試験の18~24時間前に、50ng/mlのテトラサイクリンで誘導した。チャネル遮断薬のカクテルを、細胞死を防止するために培地に添加する。
【0378】
細胞は、採取時に、60~80%コンフルエントである。細胞を、フラスコTrypLE Enzyme Express(Thermo Fisher)から37℃で脱離させ、次いで、冷細胞外溶液を、フラスコに添加し、続いて、4℃でインキュベートし、次いで、細胞を粉砕する。次いで、細胞溶液を、Syncropatchプラットフォーム上の振盪機上に、10℃で最小200rpmの振盪速度で少なくとも30分間置き、その後、試験した。
【0379】
溶液
細胞外(EC)溶液(mM単位)-140のNaCl、4のKCl、5のCaCl、10のHEPES、5のグルコース、NaOHでのpH7.4。全ての外溶液は、実験全体にわたって、0.2%のDMSO及び0.01%のKolliphor(登録商標)EL(C5135、Sigma)を含有する。
【0380】
細胞内(IC)溶液(mM単位)-120のCsF、10mMのEGTA、10のNaCl、10のHEPES、4のNaATP、2のMgCl、CsOHでのpH7.2
【0381】
プレート調製
最初に、DMSOマスタープレートを調製し、DMSOマスタープレートにおいて、各試験化合物のDMSOストックを、100%のDMSO中で段階希釈して、1000倍の最終アッセイ濃度にする。アッセイ試験の直前に、溶液を、DMSOマストプレートから、EC溶液で予め充填された中間プレートに、Biomek FX自動液体ハンドリングシステムを使用して移すことによって、化合物を、1:100で希釈する。次いで、化合物を、細胞外溶液で更に希釈して、2つのプレインキュベーションプレートに移す。1)中間プレートからの化合物を、EC溶液と1:5の希釈で混合して、2倍の化合物プレインキュベーションプレートを作製し、これを、Syncropatchに添加するときに1:2で更に希釈して、初期化合物プレインキュベーションを行う。かつ、2)中間プレートからの化合物を、EC溶液と1:10の希釈で混合して、1倍の化合物プレインキュベーションプレートを作製し、これを使用して、後続の化合物プレインキュベーションを行う。最後に、化合物+アゴニストプレートを、2倍の化合物プレインキュベーションプレートからの化合物を2倍の濃度のコアゴニストと1:1の比で混合することによって調製する。
【0382】
電圧プロトコル
各実験は、細胞捕獲、密封、全細胞形成、液体適用、記録、及びデータ取得を順次含む。全細胞パッチクランプ記録を、SyncroPatch 384i(Nanion Technologies)上の多孔高抵抗チップを使用して実行する。-80mVでの定常状態電圧パルスを、アッセイ全体にわたって印加し、10秒間の記録ウィンドウを、コアゴニストの適用の約1秒前にトリガーする。電流を、リーク補正し、5kHzでサンプリングする。
【0383】
適用プロトコル
高速適用を使用し、高速適用において、5μlのコアゴニストを、30μl/秒の速度で迅速に適用し、次いで、ウェルから迅速に除去する。調節因子活性について試験するために、コアゴニストグルタミン酸(1μM)及びグリシン(100μM)を、3回適用して、活性化再現性を示し、続いて、試験化合物単独の120秒間のプレインキュベーションを行う。次いで、試験化合物を、コアゴニストの存在下で2回再適用する。これに続いて、アゴニスト単独を適用するが、試験化合物は、このステップの前に、ウェルから完全に洗浄されていないことがある。最後に、飽和濃度のコアゴニスト(100μMのグルタミン酸/100μMのグリシン)を適用する。
【0384】
分析
電圧プロトコル生成データ収集及び分析を、PatchControll384及びDataControll384において実行する。試験された各濃度について、倍率ピーク振幅増加を、以下の式:(Icomp/Icontrol)-1を使用してもたらし、式中、Icompは、2つの化合物/コアゴニスト適用からの試験化合物及びコアゴニストの存在下での平均電流ピーク振幅であり、Icontrolは、第2及び第3のコアゴニスト適用からのアゴニスト単独の存在下での平均電流ピーク振幅である。試験化合物を、8つの濃度において、1濃度当たり少なくとも2つのレプリケートウェルで評価する。次いで、全ての濃度の効果を、4パラメータロジスティック曲線フィットで、最小二乗回帰を使用してフィットさせ、EC50及びEmaxを計算する。(GraphPad Prism)。複数のアッセイにおいて試験された化合物については、EC50の幾何平均及びEmaxの算術平均を、各個々のアッセイにおける曲線フィットから導出されたパラメータを使用して計算する。
【0385】
均等物
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多くの等価物を、日常的な実験のみを使用して認識するか、又は確認することができるであろう。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されるものである。以下の特許請求の範囲に定義されるように、この説明への様々な変化及び修正は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われ得ることが当業者に明らかとなるであろう。
【0386】
他の実施形態
本開示はまた、番号付けされた以下の段落を含む。
1. 式(I)の化合物:
【化24】
又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化25】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
2. 式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物:
【化26】
又はその薬学的に許容される塩であり、
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化27】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、段落1に記載の化合物。
3. 式(Ia)の化合物が、式(II)の化合物:
【化28】
又はその薬学的に許容される塩である、段落2に記載の化合物;
4. 式(Ia)の化合物が、式(III)の化合物:
【化29】
又はその薬学的に許容される塩である、段落2に記載の化合物。
5. R3a、R18、R19、R20a、若しくはR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルであるか、又はR2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つが、重水素である、段落1~3のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
6. R3a、R18、R19、R20a、又はR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~4のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
7. R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つが、重水素である、段落1~4のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
8. R1a及びR1bの各々が、独立して、重水素である、段落1~7のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
9. R1a及びR1bの各々が、独立して、水素である、段落1~7のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
10. R2a及びR2bの各々が、独立して、重水素である、段落1~9のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
11. R2a及びR2bの各々が、独立して、水素である、段落1~9のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
12. Rが、-CHである、段落1~11のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
13. Rが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~11のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
14. Rが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
15. Rが、-CDである、段落14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
16. R4a及びR4bの各々が、独立して、重水素である、段落1~15のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
17. R4a及びR4bの各々が、独立して、水素である、段落1~15のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
18. Rが、重水素である、段落1~17のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
19. Rが、水素である、段落1~17のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
20. R及びR6aの各々が、独立して、重水素である、段落1~17のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
21. R及びR6aの各々が、独立して、水素である、段落1~17のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
22. R6a及びR6bの各々が、独立して、重水素である、段落1~19のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
23. R6a及びR6bの各々が、独立して、水素である、段落1~19のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
24. R7a又はR7bの各々が、独立して、重水素である、段落1~23のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
25. R7a又はR7bの各々が、独立して、水素である、段落1~23のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
26. R11a及びR11bの各々が、独立して、重水素である、段落1~25のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
27. R11a及びR11bの各々が、独立して、水素である、段落1~25のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
28. R12a及びR12bの各々が、独立して、重水素である、段落1~27のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
29. R12a及びR12bの各々が、独立して、水素である、段落1~27のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
30. R15a及びR15bの各々が、独立して、重水素である、段落1~29のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
31. R15a及びR15bの各々が、独立して、水素である、段落1~29のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
32. R16a及びR16bの各々が、独立して、重水素である、段落1~31のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
33. R16a及びR16bの各々が、独立して、水素である、段落1~31のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
34. R17が、重水素である、段落1~33のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
35. R17が、水素である、段落1~33のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
36. R18が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~35のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
37. R18が、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落36に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
38. R18が、-CDである、段落37に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
39. R18が、-CHである、段落1~35のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
40. R19が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~39のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
41. R19が、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落40に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
42. R19が、-CDである、段落41に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
43. R19が、-CHである、段落1~39のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
44. R20aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~43のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
45. R20aが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落44に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
46. R20aが、-CDである、段落45に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
47. R20aが、-CHである、段落1~43のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
48. R20bが、重水素である、段落1~47のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
49. R20bが、水素である、段落1~47のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
50. R21a及びR21bの各々が、独立して、重水素である、段落1~49のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
51. R21a及びR21bの各々が、独立して、水素である、段落1~49のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
52. R23a及びR23bの各々が、独立して、重水素である、段落1~51のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
53. R23a及びR23bの各々が、独立して、水素である、段落1~51のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
54. R24aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落1~53のうちのいずれか1つに記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
55. R24aが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落54に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
56. R24aが、-CDである、段落55に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
57. R24aが、-CHである、段落1~53のうちのいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
58. 式(I)の化合物が、式(IV)の化合物
【化30】
又はその薬学的に許容される塩である、段落1に記載の化合物。
59. 式(IV)の化合物が、化合物A~Jのうちのいずれか1つ
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、段落58に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
60. 式(I)の化合物が、式(V)の化合物
【化31】
又はその薬学的に許容される塩である、段落1に記載の化合物。
61. 式(V)の化合物が、化合物K~Xのうちのいずれか1つ
又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択され、重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、段落60に記載の化合物。
62 段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
63. 対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落62に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
64. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落63に記載の方法。
65. 対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、対象に、有効量の段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落62に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
66. 対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落62に記載の薬学的組成物。
67. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落66に記載の使用のための化合物又は薬学的組成物。
68. 対象における鎮静又は麻酔の誘導の使用のための、段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落62に記載の薬学的組成物。
69. 対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、段落1~61のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落62に記載の薬学的組成物の使用。
70. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落69に記載の使用。
71. 式(I)の化合物であって、
【化32】
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R、R、R11a、R11b、R12a、R12b、R14、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化33】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、式(I)の化合物。
72. 式(I)の化合物が、式(Ia)の化合物であり、
【化34】
式中、
、R18、R19、R20a、及びR24aの各々が、独立して、1つ以上の独立した出現の重水素で任意選択で置換されたC1~3アルキルであり、
1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bの各々が、独立して、水素及び重水素からなる群から選択され、
但し、R、R18、R19、R20a、及びR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されているか、又はR1a、R1b、R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R11a、R11b、R12a、R12b、R15a、R15b、R16a、R16b、R17、20b、R21a、R21b、R23a、及びR23bのうちの少なくとも1つが、重水素であることを条件とし、
【化35】
が、単結合又は二重結合を表し、但し、C5とC6との間の結合が単結合である場合、Rが、アルファ配置であることを条件とする、段落71に記載の化合物。
73. 式(Ia)の化合物が、式(II)の化合物である、段落72に記載の化合物。
【化36】
74. 式(Ia)の化合物が、式(III)の化合物である、段落72に記載の化合物。
【化37】
75. R3a、R18、R19、R20a、若しくはR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルであるか、又はR2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つが、重水素である、段落71~74のうちのいずれか1つに記載の化合物。
76. R3a、R18、R19、R20a、又はR24aのうちの少なくとも1つが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、実施形態71~74のいずれか1つに記載の化合物。
77. R2a、R2b、R4a、R4b、R、R6a、R7a、R7b、R11a、R11b、R15a、及びR15bのうちの少なくとも1つが、重水素である、段落71~74のうちのいずれか1つに記載の化合物。
78. R1a及びR1bの各々が、独立して、重水素である、段落71~77のうちのいずれか1つに記載の化合物。
79. R1a及びR1bの各々が、独立して、水素である、段落71~77のうちのいずれか1つに記載の化合物。
80. R2a及びR2bの各々が、独立して、重水素である、段落71~79のうちのいずれか1つに記載の化合物。
81. R2a及びR2bの各々が、独立して、水素である、段落71~79のうちのいずれか1つに記載の化合物。
82. Rが、-CHである、段落71~81のうちのいずれか1つに記載の化合物。
83. Rが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落71~81のうちのいずれか1つに記載の化合物。
84. Rが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落83に記載の化合物。
85. Rが、-CDである、段落84に記載の化合物。
86. R4a及びR4bの各々が、独立して、重水素である、段落71~85のうちのいずれか1つに記載の化合物。
87. R4a及びR4bの各々が、独立して、水素である、段落71~85のうちのいずれか1つに記載の化合物。
88. Rが、重水素である、段落71~87のうちのいずれか1つに記載の化合物。
89. Rが、水素である、段落71~87のうちのいずれか1つに記載の化合物。
90. R及びR6aの各々が、独立して、重水素である、段落71~87のうちのいずれか1つに記載の化合物。
91. R及びR6aが、独立して、水素である、段落71~87のうちのいずれか1つに記載の化合物。
92. R6a及びR6bの各々が、独立して、重水素である、段落71~89のうちのいずれか1つに記載の化合物。
93. R6a及びR6bの各々が、独立して、水素である、段落71~89のうちのいずれか1つに記載の化合物。
94. R7a又はR7bの各々が、独立して、重水素である、段落71~93のうちのいずれか1つに記載の化合物。
95. R7a又はR7bの各々が、独立して、水素である、段落71~93のうちのいずれか1つに記載の化合物。
96. R11a及びR11bの各々が、独立して、重水素である、段落71~95のうちのいずれか1つに記載の化合物。
97. R11a及びR11bの各々が、独立して、水素である、段落71~95のうちのいずれか1つに記載の化合物。
98. R12a及びR12bの各々が、独立して、重水素である、段落71~97のうちのいずれか1つに記載の化合物。
99. R12a及びR12bの各々が、独立して、水素である、段落71~97のうちのいずれか1つに記載の化合物。
100. R15a及びR15bの各々が、独立して、重水素である、段落71~99のうちのいずれか1つに記載の化合物。
101. R15a及びR15bの各々が、独立して、水素である、段落71~99のうちのいずれか1つに記載の化合物。
102. R16a及びR16bの各々が、独立して、重水素である、段落71~101のうちのいずれか1つに記載の化合物。
103. R16a及びR16bの各々が、独立して、水素である、段落71~101のうちのいずれか1つに記載の化合物。
104. R17が、重水素である、段落71~103のうちのいずれか1つに記載の化合物。
105. R17が、水素である、段落71~103のうちのいずれか1つに記載の化合物。
106. R18が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落71~105のうちのいずれか1つに記載の化合物。
107. R18が、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落106に記載の化合物。
108. R18が、-CDである、段落107に記載の化合物。
109. R18が、-CHである、段落71~105のうちのいずれか1つに記載の化合物。
110. R19が、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落71~109のうちのいずれか1つに記載の化合物。
111. R19が、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落110に記載の化合物。
112. R19が、-CDである、段落111に記載の化合物。
113. R19が、-CHである、段落71~109のうちのいずれか1つに記載の化合物。
114. R20aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落71~113のうちのいずれか1つに記載の化合物。
115. R20aが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落114に記載の化合物。
116. R20aが、-CDである、段落115に記載の化合物。
117. R20aが、-CHである、段落71~113のうちのいずれか1つに記載の化合物。
118. R20bが、重水素である、段落71~117のうちのいずれか1つに記載の化合物。
119. R20bが、水素である、段落71~117のうちのいずれか1つに記載の化合物。
120. R21a及びR21bの各々が、独立して、重水素である、段落71~119のうちのいずれか1つに記載の化合物。
121. R21a及びR21bの各々が、独立して、水素である、段落71~119のうちのいずれか1つに記載の化合物。
122. R23a及びR23bの各々が、独立して、重水素である、段落71~121のうちのいずれか1つに記載の化合物。
123. R23a及びR23bの各々が、独立して、水素である、段落71~121のうちのいずれか1つに記載の化合物。
124. R24aが、1つ以上の独立した出現の重水素で置換されたC1~3アルキルである、段落71~123のうちのいずれか1つに記載の化合物。
125. R24aが、1~3つの独立した出現の重水素で置換されたメチルである、段落124に記載の化合物。
126. R24aが、-CDである、段落125に記載の化合物。
127. R24aが、-CHである、段落71~123のうちのいずれか1つに記載の化合物。
128. 式(I)の化合物が、式(IV)の化合物である、段落71に記載の化合物。
【化38】
129. 式(IV)の化合物が、化合物A~Jのうちのいずれか1つからなる群から選択され、
重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、段落128に記載の化合物。
130. 式(I)の化合物が、式(V)の化合物である、段落71に記載の化合物。
【化39】
131. 式(V)の化合物が、化合物K~Xのうちのいずれか1つからなる群から選択され、
重水素として標識されていないいずれかの原子が、その天然同位体存在量で存在する、段落130に記載の化合物。
132. 段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
133. 対象におけるCNS関連状態を治療するための方法であって、対象に、有効量の段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落132に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
134. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落133に記載の方法。
135. 対象における鎮静又は麻酔を誘導する方法であって、対象に、有効量の段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落132に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
136. 対象におけるCNS関連状態の治療における使用のための、段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落132に記載の薬学的組成物。
137. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落135に記載の使用のための化合物又は薬学的組成物。
138. 対象における鎮静又は麻酔の誘導の使用のための、段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落132に記載の薬学的組成物。
139. 対象におけるCNS関連状態を治療するための医薬品の製造のための、段落71~131のうちのいずれか1つに記載の化合物又は段落132に記載の薬学的組成物の使用。
140. CNS関連状態が、適応障害、不安症(強迫症、外傷後ストレス障害、及び社会恐怖を含む)、認知障害(アルツハイマー病及び他の型の認知症を含む)、解離症、摂食障害、気分障害(うつ、双極性障害、及び気分変調性障害を含む)、統合失調症又は他の精神病性障害(統合失調感情障害を含む)、睡眠障害(不眠を含む)、物質関連障害、パーソナリティ障害(強迫性パーソナリティ障害を含む)、自閉症スペクトラム症(Shankタンパク質群の変異に関係するものを含む)、神経発達症(レット症候群、結節性硬化症を含む)、疼痛(急性及び慢性疼痛を含む)、医学的状態の二次性脳症(肝性脳症及び抗NMDA受容体脳炎を含む)、発作性障害(てんかん重積、及び一遺伝子型てんかん、例えば、ドラベ症を含む)、脳卒中、外傷性脳損傷、運動障害(ハンチントン病及びパーキンソン病を含む)、及び耳鳴からなる群から選択される、段落139に記載の使用。
【国際調査報告】