(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】医療用注射デバイスを製造する方法およびそのようにして得られた医療用注射デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61M5/31 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518430
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2022059127
(87)【国際公開番号】W WO2023047375
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021000024574
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102022000003761
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517363403
【氏名又は名称】ステバナト・グループ・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】STEVANATO GROUP S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Molinella,17,I-35017 Piombino Dese,PADOVA,ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シヨン、アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】キネッラート、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】パトリ、パオロ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066PP02
(57)【要約】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)を備える医療用注射デバイス(1)を製造する方法であって、シリンダ(2)は、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、a)室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する92重量%以上の量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、b)コーティング組成物を100℃~150℃の温度に加熱する工程;およびc)前記温度に加熱されたコーティング組成物をシリンダ(2)の内面(3)上に塗布して、光反射率測定によって測定して100~250nmの平均厚さSを有するコーティング層(4)を内面(3)上に形成する工程、を含み、シリンダ(2)の内面(3)のコーティング層(4)が、90nm以下の厚さ標準偏差を有する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダを備える医療用注射デバイス(1)を製造する方法であって、シリンダ(2)が、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、前記方法が、
a)室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有する92重量%以上、好ましくは95重量%超、より好ましくは98重量%超、更により好ましくは約100重量%に等しい量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、
b)前記コーティング組成物を100℃~150℃、好ましくは120℃~150℃の温度に加熱する工程、
c)前記温度に加熱された前記コーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に塗布して、前記内面(3)上に、光反射率測定によって測定して100~250nm、好ましくは100~200nmの平均厚さSを有するコーティング層(4)を形成する工程、
を含み、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、90nm以下、好ましくは70nm以下、更により好ましくは50nm以下の厚さ標準偏差を有する、方法。
【請求項2】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダを備える医療用注射デバイス(1)を製造する方法であって、シリンダ(2)が、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、前記方法が、
a)室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有する92重量%以上、好ましくは95重量%超、より好ましくは98重量%超、更により好ましくは約100重量%に等しい量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、
b)前記コーティング組成物を100℃~150℃、好ましくは120℃~150℃の温度に加熱する工程、
c)前記温度に加熱された前記コーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に塗布して、前記内面(3)上に、光反射率測定によって測定して100~250nm、好ましくは100~200nmの平均厚さを有するコーティング層(4)を形成する工程、
を含み、
10個のシリンダ(2)の各バッチについて、前記コーティング層(4)の前記厚さのバッチ平均標準偏差SDが、70nm以下、好ましくは60nm以下、更により好ましくは50nm以下の値を有し、
前記バッチ平均標準偏差SDが、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開された前記バッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点において前記コーティング層(4)の厚さS
piを測定すること、
ii)前記バッチの前記第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
S
ni=(Σ
p=1,6 S
pi)/6
によって平均厚さS
niを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
S
nL=(Σ
i=1,10 S
ni)/10
によって前記部分nのバッチ平均厚さS
nLを計算すること、
iv)前記バッチの前記10個のシリンジについて、前記部分nの前記バッチ平均厚さS
nLに関して標準偏差SD
nを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σ
i=1,N SD
n)/N
(式中、Nは、前記バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、前記厚さ標準偏差SD
nの前記値から前記バッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる、方法。
【請求項3】
前記コーティング組成物を提供する前記工程a)が、前記コーティング組成物を貯蔵タンク(11)に保管することを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング組成物を加熱する前記工程b)が、前記コーティング組成物を100℃~150℃の前記温度にするように前記貯蔵タンク(11)を加熱することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記貯蔵タンク(11)に保管された前記加熱されたコーティング組成物を、5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、好ましくは10psi(0.69バール)~30psi(2.07バール)、更により好ましくは10psi(0.69バール)~15psi(1.03バール)の圧力に維持する工程d)を更に含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱されたコーティング組成物を、少なくとも1つの吐出ノズルが設けられた吐出ヘッド(14)に供給する工程e)を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱されたコーティング組成物を前記吐出ヘッド(14)に供給する前記工程e)が、前記吐出ヘッド(14)の上流に配置された循環ポンプ(12)によって実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、前記吐出ヘッド(14)を介して前記コーティング組成物を吐出することによって実行される、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング組成物を加熱する前記工程b)が、前記コーティング組成物を100℃~150℃の前記温度にするか、または前記温度に維持するように、前記吐出ヘッド(14)および/または前記ポンプ(12)を加熱することを含む、請求項7または8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記貯蔵タンク(11)、前記ポンプ(12)および前記吐出ヘッド(14)が、管(13、15)によって流体連通しており、前記コーティング組成物を加熱する前記工程b)が、前記コーティング組成物を100℃~150℃の前記温度にするか、または前記温度に維持するように前記管(13、15)を加熱することを含む、請求項3または4および7に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、前記加熱されたコーティング組成物を5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、好ましくは6psi(0.41バール)~10psi(0.69バール)の圧力で吐出することによって実行される、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、5psi(0.34bar)~150psi(10.34bar)、好ましくは6psi(0.41bar)~10psi(0.69bar)の圧力を有する吐出ガスを前記吐出ヘッド(14)に供給することを含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、前記加熱されたコーティング組成物を吐出する間、前記吐出ヘッド(14)と前記シリンダ(2)との間に相対運動を付与することを含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に塗布する前記工程c)が、前記吐出ヘッド(14)の前記シリンダ(2)内への相対的な挿入運動中に、前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に吐出することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シリンダ(2)の前記内面(3)上への前記加熱されたコーティング組成物の前記吐出時間が、0.3秒~1秒、好ましくは0.4秒~0.7秒である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、0.1μL/s~5μL/s、好ましくは約0.5μL/sに等しい流量で前記加熱されたコーティング組成物を吐出することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布する前記工程c)が、0.2~0.4μg/mm
2の加熱されたコーティング組成物の単位面積当たりの量を前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に塗布する工程c)の後に、前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に形成された前記コーティング層(4)を前記ポリジメチルシロキサンの部分架橋処理に供する工程f)を更に含み、前記部分架橋処理が、好ましくは照射によって実行される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記照射処理が、プラズマ照射処理、好ましくはアルゴン流による大気圧でのプラズマトーチによる照射処理である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記照射処理が、極値を含めて0.2秒~1秒、好ましくは0.2秒~0.6秒、より好ましくは0.2秒~0.5秒の時間にわたって行われる、請求項18~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に形成された前記コーティング層(4)を照射処理に供する前記工程f)が、前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に前記加熱されたコーティング組成物を塗布する工程c)の後に、少なくとも15分、好ましくは15~20分の時間距離で行われる、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記加熱されたコーティング組成物を前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に塗布する工程c)の前に、前記シリンダ(2)の前記内面(3)を前処理に供して、前記内面(3)に対する前記コーティング層(4)の接着を改善する工程g)を更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記前処理が、前記シリンダ(2)の前記内面(3)上に、接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記シリンダ(2)に注入可能な液体医薬組成物を充填する工程h)を更に含み、前記工程h)が、前記シリンダ(2)の前記内面(3)に形成された前記コーティング層(4)を室温に冷却した後に実行される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)を備える医療用注射デバイスを製造するための装置(10)であって、前記シリンダ(2)が、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、前記装置が、
-保管されたコーティング組成物を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素が設けられた前記コーティング組成物の貯蔵タンク(11)、
-前記加熱されたコーティング組成物を吐出するように構成され、少なくとも1つの吐出ノズルが設けられた少なくとも1つの吐出ヘッド(14)であって、前記吐出ヘッド(14)には、ノズルによって吐出された前記コーティング組成物を加熱するように構成されたそれぞれの加熱要素が設けられている、少なくとも1つの吐出ヘッド(14)、
-前記吐出ヘッド(14)の上流に配置された循環ポンプ(12)、
-それぞれの医療用注射デバイス(1)の1つ以上のシリンダ(2)の支持フレーム、
を備え、
前記少なくとも1つの吐出ヘッド(14)および前記支持フレームが、前記少なくとも1つの吐出ヘッド(14)の前記ノズルを前記1つ以上のシリンダ(2)のそれぞれのシリンダ(2)内に挿入する/引き抜くために互いに対して移動可能である、装置(10)。
【請求項26】
前記循環ポンプ(12)が、前記ポンプ(12)の送出ヘッドを加熱するように構成されたそれぞれの加熱要素を備える、請求項25に記載の装置(10)。
【請求項27】
前記貯蔵タンク(11)、前記ポンプ(12)、および前記吐出ヘッド(14)が、管(13、15)によって互いに流体連通しており、前記管(13、15)が、それぞれの加熱要素と熱交換関係にある、請求項25または26のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項28】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)を備える医療用注射デバイス(1)であって、前記シリンダ(2)が、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nm、好ましくは100~200nmの平均厚さを有し、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、90nm以下、好ましくは70nm以下、更により好ましくは50nm以下の厚さ標準偏差を有する、医療用注射デバイス(1)。
【請求項29】
コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)を備える医療用注射デバイス(1)であって、前記シリンダ(2)が、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成され、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nm、好ましくは100~200nmのバッチ平均厚さを有し、
10個のシリンダ(2)の各バッチについて、前記コーティング層(4)の厚さのバッチ平均標準偏差SDが、70nm以下、好ましくは60nm以下、更により好ましくは50nm以下の値を有し、
前記バッチ平均標準偏差SDが、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開された前記バッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点において前記コーティング層(4)の厚さS
piを測定すること、
ii)前記バッチの前記第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
S
ni=(Σ
p=1,6 S
pi)/6
によって平均厚さS
niを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
S
nL=(Σ
i=1,10 S
ni)/10
によって前記部分nのバッチ平均厚さS
nLを計算すること、
iv)前記バッチの前記10個のシリンジについて、前記部分nの前記バッチ平均厚さS
nLに関して標準偏差SD
nを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σ
i=1,N SD
n)/N
(式中、Nは、前記バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、前記厚さ標準偏差SD
nの前記値から前記バッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる、医療用注射デバイス(1)。
【請求項30】
軸方向長さ1.0mmを有する、平面に展開された前記シリンダ(2)の各任意の部分において、前記コーティング層(4)によって覆われた面積と前記部分の総面積に対応する総測定面積との間の比として定義される被覆率が、少なくとも90%に等しい、請求項28または29のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項31】
室温で公称容量1mLの空のシリンダ(2)で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、2N~3Nである、請求項28~30のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項32】
室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1N~3Nである、請求項28~31のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項33】
-40℃で7日間保管した後、公称容量1mLの空のシリンダ(2)で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~3Nである、請求項28~32のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項34】
公称容量1mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~2.5Nである、請求項28~33のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項35】
室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1N~2Nである、請求項28~34のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項36】
-40℃で7日間保管した後、公称容量1mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~2.5Nである、請求項28~33のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項37】
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、好ましくは照射処理によって、更により好ましくはプラズマ照射処理によって部分的に架橋されている、請求項28~36のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項38】
前記シリンダ(2)の前記内面(3)に塗布された接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を更に備える、請求項28~37のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項39】
-40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値の60%以下である、請求項28~38のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項40】
-40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の部分的に架橋されたコーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787による前記LO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値の10%以下である、請求項37~39のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項41】
+5℃または+25℃または+40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の部分的に架橋されたコーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP789による前記LO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値以下である、請求項37~40のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項42】
前記シリンダ(2)と摺動係合するプランジャ(5)を更に備える、請求項28~41のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項43】
前記シリンダ(2)内にあり、その前記内面(3)と接触している注入可能な液体医薬組成物(7)を更に含む、請求項28~42のいずれか一項に記載の医療用注射デバイス(1)。
【請求項44】
前記注入可能な液体医薬組成物(7)が、適合する限りにおいて、アレルゲン特異的免疫療法組成物、オリゴヌクレオチド、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNAiアンチセンスオリゴヌクレオチド、生物学的応答修飾物質、血液誘導体、酵素、モノクローナル抗体、特にコンジュゲート化モノクローナル抗体および二重特異性モノクローナル抗体、腫瘍溶解性ウイルス、ペプチド、特に組換えペプチドおよび合成ペプチド、多糖、タンパク質、特に組換えタンパク質および融合タンパク質、ワクチン、特にコンジュゲートワクチン、DNAワクチン、不活性化ワクチン、mRNAワクチン、組換えベクターワクチン、サブユニットワクチン、またはそれらの組み合わせの1つ以上から選択される注射に適した形態の薬物および/または有効成分を含む、請求項43に記載の医療用デバイス(1)。
【請求項45】
注射に適した形態の前記薬物および/または有効成分が、適合する限りにおいて、以下から選択される、請求項43または44に記載の医療用注射デバイス(1):
GEN-3009、(ヒトインスリンアナログA21G+プラムリンチド)、(AZD-5069+デュルバルマブ)、(フツキシマブ+モドツキシマブ)、[225Ac]-FPI-1434、111In-CP04、14-F7、212 Pb-TCMC-トラスツズマブ、2141 V-11、3BNC-117LS、3K3A-APC、8H-9、9MW-0211、A-166、A-319、AADvac-1、AB-002、AB-011、AB-022、AB-023、AB-154、AB-16B5、AB-729、ABBV-011、ABBV-0805、ABBV-085、ABBV-151、ABBV-154、ABBV-155、ABBV-184、ABBV-3373、ABBV-368、ABBV-927、アベラシマブ、AbGn-107、AbGn-168H、ABL-001、ABvac-40、ABY-035,アセチルシステイン+ブロメライン、ACI-24、ACI-35、ACP-014、ACP-015、ACT-101、アクチマブ-A、アクチマブ-M、AD-214、アダボセルチブ+デュルバルマブ、ADCT-602、ADG-106、ADG-116、ADM-03820、AdVince、AEX-6003、アフリベルセプトバイオシミラー、AFM-13、AGEN-1181、AGEN-2373、AGLE-177、AGT-181、AIC-649、AIMab-7195、AK-101、AK-102、AK-104、AK-109、AK-111、AK-112、AK-119、AK-120、AL-002、AL-003、AL-101、アルダフェルミン、アルデスロイキン、ALG-010133、ALM-201、ALMB-0168、ALNAAT-02、ALNAGT-01、ALN-HSD、ALPN-101、ALT-801、ALTP-1、ALTP-7、ALX-0141、ALX-148、ALXN-1720、AM-101、アマツキシマブ、AMC-303、アメリムマブ、AMG-160、AMG-199、AMG-224、AMG-256、AMG-301、AMG-330、AMG-404、AMG-420、AMG-427、AMG-509、AMG-673、AMG-701、AMG-714、AMG-757、AMG-820、AMRS-001、AMV-564、AMY-109、AMZ-002、アナルゲシン(Analgecine)、アンクロッド、アンデカリキシマブ、アネツマブコリキセタン(Anetumab corixetan)、アネツマブラブタンシン(Anetumab ravtansine)、ANK-700、蛇毒に対する抗体、
炭疽病に対する抗体、コロナウイルス病2019(COVID-19)に対する抗体、破傷風に対する抗体、1型糖尿病に対する抗体、固形腫瘍に対するOX40アゴニストに対する抗体、抗血友病因子(組換え)、固形腫瘍および卵巣癌に対するEPHA2を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドRNAi、ANX-007、ANX-009、AP-101、アピテグロマブ、APL-501、APL-501、APN-01、APS-001+フルシトシン、APSA-01、APT-102、APVAC-1、APVAC-2、APVO-436、APX-003、APX-005M、ARCT-810、ARGX-109、ARGX-117、AROANG-3、AROAPOC-3、AROHIF-2、ARO-HSD、アスクリンバクマブ、ASLAN-004、ASP-1235、ASP-1650、ASP-9801、AST-008、アステゴリマブ、アスネルセプト、AT-1501、アタシセプト、ATI-355、ATL-101、ATOR-1015、ATOR-1017、ATP-128、ATRC-101、アトロサブ(Atrosab)、ATX-101、ATXGD-59、ATXMS-1467、ATYR-1923、AU-011、リツキシマブ(コンジュゲート化)(Aurixim(登録商標))、AV-1、AVB-500、アブトラリマブ(Avdoralimab)、AVE-1642、AVI-3207、AVID-100、AVID-200、アビスクミン、アビザキマブ、アキサチリマブ、B-001、B-002、バルシバン、BAT-1306、BAT-4306、BAT-4406F、BAT-5906、BAT-8003、バトロキソビン、BAY-1905254、BAY-2315497、BAY-2701439、BB-1701、BBT-015、BCD-096、BCD-131、BCD-217、BCT-100、ベマリツズマブ、ベプラネマブ、ベルメキマブ、ベルチリムマブ、
ベタルチン、ベバシズマブ、ベクマリリマブ、BG-00010、BGBA-445、BHQ-880、BI-1206、BI-1361849、BI-456906、BI-655064、BI-655088、BI-754091、BI-754111、BI-836858、BI-836880、BI-905677、BI-905711、BIIB-059、BIIB-076、BIIB-101、BIL-06v、ビマグルマブ、BIO89-100、コロナウイルス病2019(COVID-19)、尿路感染症、人工関節およびアシネトバクター感染症に対する生物学的応答修飾物質、不特定適応症に対する生物学的応答修飾物質、糖尿病性黄斑浮腫および滲出型黄斑変性症に対する二重特異性モノクローナル抗体1、HIV感染症に対するHIV 1 Envを阻害する二重特異性モノクローナル抗体、腫瘍学に対するGD2およびCD3を検出する二重特異性モノクローナル抗体、膵管腺癌に対するPD-L1およびCTLA4を検出する二重特異性モノクローナル抗体、BIVV-020、ブレセルマブ、BM-32、BMS-986012、BMS-986148、BMS-986156、BMS-986178、BMS-986179、BMS-986207、BMS-986218、BMS-986226、BMS-986253、BMS-986258、BMS-986258、BMS-986263、
BNC-101、BNT-111、BNT-112、BNT-113、BNT-114、BNT-121、BOS-580、ボツリヌス毒素、BP-1002、BPI-3016 BrevaRex MAb-AR 20.5、ブリボリジド、ブロメライン、BT-063、BT-1718、BT-200、BT-5528、BT-588、BT-8009、BTI-322、BTRC-4017A、ブジガリマブ、BXQ-350、C1エステラーゼ阻害剤(ヒト)、カビラリズマブ、カミダンルマブテシリン、カナルパツレブ、カバタック(Cavatak)、CBA-1205、CBP-201、CBP-501、CC-1、CC-90002、CC-90006、CC-93269、CC-99712、
CCW-702、CDX-0159、CDX-301、CDX-527、セリビル(Celyvir)、セムジシラン、センダキマブ、CERC-002、CERC-007、セボスタマブ、シビサタマブ、CIGB-128、CIGB-258、CIGB-300、CIGB-500、CIGB-552、CIGB-814、CIGB-845、シンパネマブ、cinrebafuspアルファ、CIS-43、CiVi-007、CJM-112、CKD-702、Clustoid ヤケヒョウヒダニ(D.pteronyssinus)、CM-310、CMK-389、CMP-001、CNTO-6785、CNTO-6785、CNV-NT、凝固第VIII因子(組換え)、コボマーセン、コドリツズマブ、コフェツズマブペリドチン、COR-001、コシベリマブ、コシベリマブ、コタデュチド、CPI-006、CRX-100、CSJ-137、CSL-311、
CSL-324、CSL-346、CSL-730、CSL-889、CTB-006、CTI-1601、CTP-27、CTX-471、CUE-101、クサツズマブ、CV-301、CVBT-141、CX-2009、CX-2029、CYN-102、CyPep-1、CYT-107、CYT-6091、抗サイトメガロウイルス免疫グロブリン(ヒト)、ダブラフェニブメシラート+パニツムマブ+トラメチニブジメチルスルホキシド、DAC-002、ダルシノナコグアルファ、ダロツズマブ、ダンバチルセン+デュルバルマブ、ダピグルチド、ダックスジリマブ、DB-001、DCRA-1AT、デカビル、デパツキシズマブ、デスモプレッシン、DF-1001、DF-6002、ダイアミド、ジルパシマブ、ジリダブマブ、DK-001、DKN-01、DM-101、DM-199、DMX-101、DNL-310、DNP-001、DNX-2440、ドマグロズマブ、ドナネマブ、ドニダロールセンナトリウム、DP-303c、DS-1055a、DS-2741、DS-6157、DS-7300、DS-8273、デュルバルマブ+モナリズマブ、デュルバルマブ+オレクルマブ、デュルバルマブ+オポルツズマブモナトックス、デュルバルマブ+硫酸セルメチニブ、DX-126262、DXP-593、DXP-604、DZIF-10c、E-2814、E-3112、EBI-031、イットリウム-90標識エトレオチドエファバロイキンアルファ、エフペグソマトロピン、エフルキシフェルミン、エフチラギモドアルファ、エフトザネルミンアルファ、EG-ミロチン、エレザヌマブ、エリポビマブ、エマアクチュズマブ、エナデノツシレブ、
Engedi-1000、エンシツキシマブ、EO-2401、エプコリタマブ、ERY-974、エチグリマブ、エトキマブ、Evitar、EVX-02、エキセナチド、F-0002ADC、F-520、F-598、F-652、ファリシマブ、FAZ-053、FB-704A、FB-825、FF-21101、フィブリノーゲン濃縮物(ヒト)、フィクラツズマブ、フロテツズマブ、FLYSYN、FmAb-2、FNS-007、FOL-005、FOR-46、ホラルマブ、Foxy-5、FPP-003、FR-104、フレソリムマブ、FS-102、FS-118、FS-120、FS-1502、FSH-GEX、アレルギー性喘息に対する融合タンパク質、特発性血小板減少性紫斑病に対するトロンボポエチン受容体に拮抗する融合タンパク質、多形性膠芽腫および悪性神経膠腫に対するEGFRに拮抗する融合タンパク質、腫瘍学に対するCD25を阻害する融合タンパク質、腫瘍学に対するメソテリンを標的とする融合タンパク質、大腸炎、高血圧および潰瘍性大腸炎のための融合タンパク質、FX-06、G-035201、G-207、G-3215、ガレトスマブ、ガチポツズマブ、GB-223、GBB-101、GC-1118A、GC-5131A、GEM-103、GEM-333、GEM-3PSCA、ゲミボツリヌムトキシンA、GEN-0101、GEN-1046、Gensci-048、ゲンツキシマブ、ゲボキズマブ、グレゾシマブ、グロフィタマブ、グルカゴン、GM-101、GMA-102、GMA-301、GNR-051、GNR-055、GNR-084、GNX-102、酢酸ゴセレリン、ゴスラネマブ、gp-ASIT、GR-007、GR-1401、GR-1405、GR-1501、GRF-6019、GRF-6021、GS-1423、GS-2872、GS-5423、GSK-1070806、GSK-2241658A、GSK-2330811、GSK-2831781、GSK-3174998、GSK-3511294、GSK-3537142、GT-02037-、GT-103、GTX-102、GW-003、GWN-323、GX-301、GXG-3、GXP-1、H-11B6、HAB-21、HALMPE-1、HB-0021、HBM-4003、HDIT-101、HER-902、HFB-30132A、HH-003、HL-06、HLX-06、HLX-07、HLX-20、
HLX-22、HM-15211、HM-15912、HM-3、HPN-217、HPN-328、HPN-424、HPN-536、HPV-19、hRESCAP、HS-214、HS-628、HS-630、HS-636、HSV-1716、HTD-4010、HTI-1066、Hu8F4、HUB-1023、hVEGF-26104、HX-009、ヒアルロニダーゼ(組換え)、IBI-101、IBI-110、IBI-112、IBI-188、IBI-302、IBI-318、IBI-322、IBI-939、IC-14、ICON-1、ICT-01、イエラミリマブ、イファボツズマブ、IGEM-F、IGM-2323、IGM-8444、IGN-002、IMA-950、IMA-970A、IMC-002、IMCF-106C、IMCY-0098、IMGN-632、IMM-005、IMM-01、IMM-201、免疫グロブリン(ヒト)、イムシドリマブ、INA-03、INBRX-101、INBRX-105、INBRX-105、INCAGN-1876、INCAGN-1949、INCAGN-2385、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2b、INVAC-1、IO-102、IO-103、IO-112、IO-202、ION-224、ION-251、ION-464、ION-537、ION-541、ION-859、IONIS-AGTLRx、IONISAR-2.5Rx、IONIS-C9Rx、IONIS-FB-LRx、IONIS-FXILRx、IONIS-FXIRx、IONIS-GCGRRx、IONIS-HBVLRx、IONIS-HBVRx、IONIS-MAPTRx、IONIS-PKKRx、IONISTMPRSS-6LRx、IPN-59011、IPP-204106、
Ir-CPI、IRL-201104、IRL-201805、ISA-101、ISB-1302、ISB-1342、ISB-830、イスカリマブ、ISU-104、IT-1208、ITF-2984、IXTM-200、JBH-492、JK-07、JMT-101、JMT-103、JNJ-0839、JNJ-3657、JNJ-3989、JNJ-4500、JNJ-67571244、JNJ-75348780、JNJ-9178、JS-003、JS-004、JS-005、JSP-191、JTX-4014、JY-025、JZB-30、JZB-34、K-170、K-193、KAN-101、KD-033、KER-050、KH-903、KHK-4083、KHK-6640、EDV小児、KLA-167、KLA-167、KLT-1101、KMRC-011、KN-026、KPL-404、KSI-301、KTN-0216、KTP-001、KUR-113、KY-1005、KY-1044、ラベツズマブゴビテカン、
ラノツズマブ、ラクトマブ、ラジラツズマブベドチン、ラロニダーゼ、LBL-007、LDOS-47、レトリズマブ、酢酸リュープロリド、LEVI-04、LH-021、リアテルミン、リリルマブ、LIS-1、LKA-651、LLF-580、LMB-100、LNA-043、LOAd-703、ロダポリマブ、ロルカフスプアルファ、LP-002、LT-1001、LT-1001、LT-1001、LT-3001、LT-3001、LTI-01、LTX-315、LuAF-82422、LuAF-87908、ルリズマブペゴール、LVGN-6051、LY-3016859、LY-3022855、LY-3041658、LY-3305677、LY-3372993、LY-3375880、LY-3434172、LY-3454738、LY-3561774、LZM-009、M-032、M-1095、M-254、M-6495、M-701、M-802、M-9241、MAG-Tn3、MAU-868、MB-108、MBS-301、MCLA-117、MCLA-145、MCLA-158、MDNA-55、
MDX-1097、MEDI-0457、MEDI-0618、MEDI-1191、MEDI-1341、MEDI-1814、MEDI-3506、MEDI-3617+トレメリムマブ、MEDI-5117、MEDI-5395、MEDI-570、MEDI-5752、MEDI-5884、MEDI-6012、MEDI-6570、MEDI-7352、MEDI-9090、MEN-1112、メプラズマブ、メザギタマブ、MG-021、MG-1113A、MGC-018、MIL-62、MIL-77、MIL-86、ミタザリマブ、MK-1654、MK-3655、MK-4166、MK-4280、MK-4621、MK-5890、モルグラモスチム、腫瘍学に対するCD276を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、腫瘍学に対するCD45を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、非小細胞肺癌および転移性結腸直腸癌に対するCEACAM5を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、転移性結腸直腸癌に対するムチン1を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、前立腺癌に対するPSMAを標的とするコンジュゲート化モノクローナル抗体、デング熱に対するモノクローナル抗体、セリアック病に対するIL-2Rβに拮抗するモノクローナル抗体、腫瘍学および熱帯性痙性不全対麻痺、関節リウマチに対するインターロイキン-6受容体に拮抗するモノクローナル抗体、腫瘍学に対するPD1に拮抗するモノクローナル抗体、固形腫瘍に対するPD1に拮抗するモノクローナル抗体、HIV-1に対するCD4を阻害するモノクローナル抗体、腫瘍学に対するGD2を阻害するモノクローナル抗体、狂犬病に対する糖タンパク質を阻害するモノクローナル抗体、自己免疫性および筋骨格障害に対するIL17を阻害するモノクローナル抗体、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するIL5を阻害するモノクローナル抗体、固形腫瘍に対するPD-L1を阻害するモノクローナル抗体、強直性脊椎炎、乾癬および関節リウマチに対するTNF-αを阻害するモノクローナル抗体、デュピュイトラン拘縮に対するTNF-αを阻害するモノクローナル抗体、糖尿病性黄斑浮腫および滲出型加齢黄斑変性に対するVEGFを阻害するモノクローナル抗体、腫瘍学および眼科に対するVEGFを阻害するためのモノクローナル抗体、転移性結腸直腸癌および非小細胞肺癌に対するVEGFAを阻害するモノクローナル抗体、血液癌および代謝障害に対するCD66bを標的とするモノクローナル抗体、HIV感染症に対するGP41を標的とするモノクローナル抗体、MORAb-202、モルテム(Motrem)、MP-0250、MP-0274、MP-0310、MP-0420、MRG-001、MRG-002、MRG-003、MRG-110、mRNA-2416、mRNA-2752、mRNA-3927、MSB-0254、MSB-2311、MSC-1、MT-1001、MT-1002、MT-2990、MT-3724、MT-3921、MTX-102、ムレンタマブ、MVT-5873、MVXONCO-1、MW-11、MW-33、NA-704、ナミルマブ、ナラツキシマブエムタンシン、ナバシズマブ、NBE-002、NBF-006、NC-318、NC-410、ネムバルキンアルファ、NEOPV-01、NG-348、NG-350a、NG-641、NGM-120、NGM-395、NGM-621、NI-006、NI-0801、ニダニリマブ、ニマシマブ、NIS-793、NIZ-985、NJA-730、NJH-395、NKTR-255、NKTR-358、NMIL-121、NN-9215、NN-9499、NN-9775、NN-9838、NN-9931、NNC-03850434、NP-024、NP-025、NP-137、NPC-21、NPT-088、NPT-189、NRP-2945、NStride APS、NVG-111、NXT-007、
NZV-930、OBI-888、OBI-999、OBT-076、OC-001、酢酸オクトレオチド、酢酸オクトレオチドCR、酢酸オクトレオチドミクロスフェア、オドロネクスタマブ、オドロネクスタマブ、OH-2、オラムキセプト、オレクルマブ、オリンバシマブ、オルパシラン、オルビムロジェンナノバシレプベク(olvimulogene nanivacirepvec)、OMS-906、オナボツリヌムトキシンA、ONC-392、ONCase-PEG、ヒトパピローマウイルス関連癌、ヒトパピローマウイルス感染症およびコロナウイルス病2019(COVID-19)に対する腫瘍溶解性ウイルス、転移性乳癌に対する腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対する腫瘍溶解性ウイルス、再発性前立腺癌および転移性膵臓癌に対するIL-12を活性化する腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対するチミジンキナーゼを活性化する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するPD1に拮抗する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するCD155/NECL5を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対するCD46およびSLC5A5を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連固形腫瘍に対するE6およびE7を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するMAGE-A3を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、ONCOS-102、
ONCR-177、オンゲリシマブ、ONO-4685、オンバチリマブ、OPK-88005、OPT-302、ORCA-010、OrienX-010、オリラノリマブ、オルチスマブ、OS-2966、OSE-127、オソシマブ、オテリキシズマブ、OTO-413、OTSA-101、OXS-1550、OXS-3550、P-28R、P-2G12、パクミリマブ、パノバクマブ、パルボリックス、パシレオチド、パソツキシズマブ、PC-mAb、PD-01、PD-0360324、PD-1+アンタゴニストロペグインターフェロンアルファ-2b、ペグベルフェルミン、ペグインターフェロンラムダ-1a、ペラレープ、ペラレープ、ペムジビプタジル、PEN-221、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペピネマブ、ペピネマブ、コロナウイルス病2019(COVID-19)に対するペプチド、固形腫瘍に対するペプチド、ペルツズマブバイオベッター、
ペキサスチモジンデバシレプベク、PF-04518600、PF-06480605、PF-06730512、PF-06755347、PF-06804103、PF-06817024、PF-06823859、PF-06835375、PF-06863135、PF-06940434、PF-07209326、PF-655、PHN-013、PHN-014、PHN-015、ピジリズマブ、PIN-2、プラモタマブ、プラスミノーゲン(ヒト)1、プレキサリス、PM-8001、PNT-001、Pollinex Quattro Tree、PolyCAb、Poly-ICLC、PolyPEPI-1018、ポンセグロマブ、PP-1420、PR-15、PR-200、プラシネズマブ、プレキシゲベルセン、PRL3-ZUMAB、糖尿病性足潰瘍および脳出血に対するタンパク質、変形性関節症および喘息に対するタンパク質、感染症および腫瘍学に対するIL12を活性化するタンパク質、PRS-060、PRTX-100、PRV-300、PRV-3279、PRX-004、PSB-205、PT-101、PT-320、PTR-01、PTX-35、PTX-9908、PTX-9908、PTZ-329、PTZ-522、PVX-108、QBECO-SSI、QBKPN-SSI、QL-1105、QL-1203、QL-1207、QL-1604、QPI-1007、QPI-1007、クアボンリマブ、ケトモリマブ、QX-002N、QX-005N、ラドスフェリン、ラニビズマブ、ランピルナーゼ、ラバガリマブ、次世代ラブリズマブ、RC-28、RC-402、RC-88、RD-001、REC-0438、メトトレキサート毒性に対する組換えカルボキシペプチダーゼG2、有機リン系神経剤中毒に対する組換え酵素、心血管、中枢神経系、筋骨格および代謝障害に対するGHRHを刺激する組換えペプチド、感染性疾患に対する組換え血漿ゲルゾリン代替物、炎症性腸疾患、多発性硬化症および乾癬に対する組換えタンパク質、腫瘍学に対する組換えタンパク質、腫瘍学に対するIFNAR1およびIFNAR2を刺激する組換えタンパク質、化学療法誘発性胃腸粘膜炎および口腔粘膜炎に対するKGFRを刺激する組換えタンパク質、特発性血小板減少性紫斑病に対するトロンボポエチン受容体を刺激する組換えタンパク質、リンパ腫および固形腫瘍に対するCD13を阻害する組換えタンパク質、血友病Aおよび血友病Bに対する凝固第XIV因子を阻害する組換えタンパク質、急性高尿酸血症に対する組換え尿酸オキシダーゼ代替物、トリフルオロ酢酸レダセムチド、REGN-1908 1909、REGN-3048、REGN-3051、REGN-3500、REGN-4018、REGN-4461、REGN-5093、REGN-5458、REGN-5459、REGN-5678、REGN-5713、REGN-5714、REGN-5715、REGN-6569、REGN-7075、REGN-7257、レムラルセン、レナパリン、REP-2139、REP-2165、レテプラーゼ、RG-6139、
RG-6147、RG-6173、RG-6290、RG-6292、RG-6346、RG-70240、RG-70240、RG-7826、RG-7835、RG-7861、RG-7880、RG-7992、RGLS-4326リグビル、リリモジェンガルバシレプベク(rilimogene galvacirepvec)、リステガニブ、リツキシマブ、RMC-035、RO-7121661、RO-7227166、RO-7284755、RO-7293583、RO-7297089、ロミルキマブ、ロポカンプチド、ロジバフスプアルファ、RPH-203、RPV-001、rQNestin-34.5v.2、RSLV-132、RV-001、RXI-109、RZ-358、SAB-176、SAB-185、SAB-301、SAIT-301、SAL-003、SAL-015、SAL-016、サングイネート(Sanguinate)、SAR-439459、SAR-440234、SAR-440894、SAR-441236、SAR-441344、SAR-442085、SAR-442257、SB-11285、SBT-6050、SCB-313、SCIB-1、SCO-094、SCT-200、SCTA-01、SD-101、SEA-BCMA、SEA-CD40、SelectAte、セレクレルマブ、SelK-2、セモリネマブ、セルクルタマブタリリン、
セリバントマブ、セトルスマブ、セブパリンナトリウム、SFR-1882、SFR-9213、SFR-9216、SFR-9314、SG-001、SGNB-6A、SGNCD-228A、SGN-TGT、SHR-1209、SHR-1222、SHR-1501、SHR-1603、SHR-1701、SHR-1702、SHR-1802、SHRA-1201、SHRA-1811、SIB-001、SIB-003、simlukafuspアルファ、シプリズマブ、シルクマブ、SKB-264、SL-172154、SL-279252、SL-701、SOC-101、SOJB、ソマトロピンSR、ソタテルセプト、スピフェルミン、SRF-617、SRP-5051、SSS-06、SSS-07、ST-266、STA-551、STI-1499、STI-6129、STK-001、STP-705、STR-324、STRO-001、STRO-002、STT-5058、SubQ-8、スリツズマブ、スブラトキスマブ、SVV-001、SY-005、SYD-1875、Sym-015、Sym-021、Sym-022、Sym-023、SYN-004、SYN-125、B型肝炎および2型糖尿病に対するSLC10A1を阻害する合成ペプチド、慢性腎臓疾患に対するGHSRを調節する合成ペプチド、甲状腺髄様癌に対するCCKBRを標的とする合成ペプチド、神経内分泌胃腸膵管腫瘍に対するソマトスタチンレセプターを標的とする合成ペプチド、T-3011、T-3011、TA-46、TAB-014、TAB-014、タフォキシパリンナトリウム、TAK-101、TAK-169、TAK-573、TAK-611、TAK-671、タルケタマブ、タサデノツレブ、TBio-6517、TBX.OncV NSC、テボテリマブ、テクリスタマブ、テイソツズマブベドチン、テロメリシン、テメリマブ、テネクテプラーゼ、テシドルマブ、テベレリクス、TF-2、TG-1801、
TG-4050、TG-6002、TG-6002、T-Guard、THOR-707、THR-149、THR-317、トロンボソーム、チマルファシン、チラボネマブ、TILT-123、チルベスタマブ、チヌリマブ、チパキノゲンソバチベック、チプレレスタット、TM-123、TMB-365、TNB-383B、TNM-002、TNX-1300、トマラリマブ、トムゾツキシマブ、トナバカーゼ、トラレシニダーゼアルファ、トレバナニブ、トレボグルマブ、TRK-950、TRPH-222、TRS-005、TST-001、TTHX-1114、TTI-621、TTI-622、TTX-030、TVT-058、TX-250、TY-101、チジブマブ、U-31402、
UB-221、UB-311、UB-421、UB-621、UBP-1213、UC-961、UCB-6114、UCHT-1、UCPVax、ウロクプルマブ、UNEX-42、UNI-EPO-Fc、ウレルマブ、UV-1、V-938、急性リンパ性白血病に対するワクチン、B細胞非ホジキンリンパ腫に対するワクチン、慢性リンパ性白血病に対するワクチン、神経膠腫に対するワクチン、ホルモン感受性前立腺癌に対するワクチン、メラノーマに対するワクチン、非筋肉浸潤性膀胱癌に対するワクチン、卵巣癌に対するワクチン、腫瘍学に対するBrachyuryおよびHER2を標的とするワクチン、腫瘍学に対するBrachyuryを標的とするワクチン、B細胞非ホジキンリンパ腫に対するCCL20を標的とするワクチン、結腸直腸癌に対するCEAを標的とするワクチン、代謝障害、免疫学、感染症および筋骨格障害に対するIFN-アルファを標的とするワクチン、VAL-201、バンチクマブ、バヌシズマブ、バルリルマブ、Vas-01、
VAX-014、VB-10NEO、VCN-01、ビベコタマブ、ビボストリマブ、VIR-2218、VIR-2482、VIR-3434、VIS-410、VIS-649、ビクサレリマブ、VLS-101、ボファタマブ、ボラギデマブ、ボプラテリマブ、Voyager-V1、VRC-01、VRC-01LS、VRC-07523LS、VTP-800、ブナキズマブ、ブパノルセンナトリウム、Vx-001、Vx-006、W-0101、WBP-3425、XAV-19、キセンツズマブ、XmAb-20717、XmAb-22841、XmAb-23104、XmAb-24306、XMT-1536、XoGlo、XOMA-213、XW-003、Y-14、Y-242、YH-003、YH-14618、YS-110、YYB-101、ザゴテネマブ、ザリフレリマブ、ザンピリマブ、ザニダタマブ、ザニダタマブ、ザンセシマブ、ゼノクツズマブ、ZG-001、ZK-001、ZL-1201、ゾフィン、またはそれらの組み合わせ。
【請求項46】
医療用注射デバイス(1)を組み立てるための部品キットであって、無菌パッケージ内に以下の別個の構成要素:
-コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)であって、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成された、ガラスシリンダ(2)、
-前記シリンダ(2)内で摺動係合するように構成されたプランジャ(5)、
を備え、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nm、好ましくは100~200nmの平均厚さを有し、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、90nm以下、好ましくは70nm以下、更により好ましくは50nm以下の厚さ標準偏差を有する、部品キット。
【請求項47】
医療用注射デバイス(1)を組み立てるための部品キットであって、無菌パッケージ内に以下の別個の構成要素:
-コーティング層(4)でコーティングされた内面(3)を有するガラスシリンダ(2)であって、摺動係合によってプランジャ(5)を受け入れるように構成された、ガラスシリンダ(2)、
-前記シリンダ(2)内で摺動係合するように構成されたプランジャ(5)、
を備え、
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、室温で11500cSt(115cm
2/s)~13500cSt(135cm
2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nm、好ましくは100~200nmのバッチ平均厚さを有し、
10個のシリンダ(2)の各バッチについて、前記コーティング層(4)の厚さのバッチ平均標準偏差SDが、70nm以下、好ましくは60nm以下、更により好ましくは50nm以下の値を有し、
前記バッチ平均標準偏差SDが、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開された前記バッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点において前記コーティング層(4)の厚さS
piを測定すること、
ii)前記バッチの前記第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
S
ni=(Σ
p=1,6 S
pi)/6
によって平均厚さS
niを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
S
nL=(Σ
i=1,10 S
ni)/10
によって前記部分nのバッチ平均厚さS
nLを計算すること、
iv)前記バッチの10個のシリンジについて、前記部分nのバッチ平均厚さS
nLに関して標準偏差SD
nを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σ
i=1,N SD
n)/N
(式中、Nは、前記バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、前記厚さ標準偏差SD
nの値から前記バッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる、部品キット。
【請求項48】
軸方向長さ1.0mmを有する、平面に展開された前記シリンダ(2)の各任意の部分において、前記部分の総面積に対応する、シリコーンで覆われた面積と総測定面積との間の比として定義される被覆率が、少なくとも90%に等しい、請求項46または47のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項49】
室温で公称容量1mLの空のシリンダ(2)で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、2N~3Nである、請求項46~48のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項50】
室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1N~3Nである、請求項46~49のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項51】
-40℃で7日間保管した後、公称容量1mLの空のシリンダ(2)で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~3Nである、請求項46~50のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項52】
公称容量1mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~2.5Nである、請求項46~51のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項53】
室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダ(2)で室温で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1N~2Nである、請求項46~52のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項54】
-40℃で7日間保管した後、1mLの公称容量の空のシリンダ(2)で測定された、前記シリンダ(2)内の前記プランジャ(5)の動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値が、1.5N~2.5Nである、請求項46~53のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項55】
前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)が、好ましくは照射処理によって、更により好ましくはプラズマ照射処理によって部分的に架橋されている、請求項46~54のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項56】
前記シリンダ(2)が、その内面(3)に塗布された接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を更に備える、請求項46~55のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項57】
-40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値の60%以下である、請求項46~56のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項58】
-40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の部分的に架橋されたコーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値の10%以下である、請求項55~57のいずれか一項に記載の部品キット。
【請求項59】
+5℃または+25℃または+40℃の温度で3ヶ月保管した後、前記シリンダ(2)の前記内面(3)の前記コーティング層(4)から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP789によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値が、前記規格による限界値以下である、請求項55~58のいずれか一項に記載の部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング層でコーティングされた内面を有し、摺動係合によってプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダを備える医療用注射デバイスを製造する方法、当該方法によって得られた医療用注射デバイス、および前述の医療用デバイスを組み立てるためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、一般に、患者への注射によって薬物を吐出するために容器内で摺動係合する封止プランジャを備える注射デバイスが医療分野で広く使用されている。
【0003】
そのような注射デバイスには、シリンジ、カートリッジだけでなく、薬物の皮下および/または静脈内投与に使用される自己注射器または自動注射器も含まれる。
【0004】
このタイプのデバイスでは、最初に満たす必要があるのは、注射デバイスのシリンダ内、例えばシリンジのシリンダ内のプランジャの(静止摩擦および動摩擦に関して)最適な摺動特性を有することである。この目的のため、典型的にはシリコーンオイルに基づく潤滑物質を使用して、シリンジの本体およびプランジャの両方の内面をコーティングする。特に、使用される潤滑物質の目的は、プランジャの摺動特性を最適化することであり、特に、静止摩擦を克服するのに必要な力(摺動降伏応力)および動摩擦を克服するプランジャを摺動させるのに必要な力(平均摺動応力)の低い値を得ることである。
【0005】
特に薬物が予め充填された注射デバイス、例えばシリンジの場合、特にプランジャの摺動特性を経時的に可能な限り一定に維持する必要性が特に感じられる。
【0006】
実際、一方では、プレフィルド注射デバイスの使用が、薬物の投与のより容易さおよび管理の柔軟性を保証する場合、他方では、注射デバイスが、場合によっては、例えばタンパク質型薬物またはワクチンの場合のように、薬物の安定性およびより長い貯蔵寿命を保証するために、非常に低い温度でも、数週間または数ヶ月程度のかなり長い時間充填後に保管されなければならないことを必要とする。
【0007】
しかしながら、シリコーン系コーティングの存在は、固有の構造感受性に関連すると考えられる不安定性である生物工学薬物、特に組換えタンパク質の不安定性の原因の1つとして特定されている。シリコーンオイルは、実際には、内在性粒子として分類される文献では、溶液中に分離して粒子を形成することができ、その上にタンパク質をシリコーン-水界面レベルで吸着することができ、このタンパク質は、構造的変性および凝集を受けて、粒子自体の凝集をもたらし得る。凝集の現象は、治療処置の有効性の喪失の可能性および免疫原性のリスクの増加をもたらすことから、重要である。
【0008】
したがって、プレフィルド注射デバイスの場合、さらなる重要な必要性、すなわち、コーティングの最適な摺動特性だけでなく、医薬製剤内のシリコーン粒子の低放出の特性も経時的に維持する必要性が生じる。
【発明の概要】
【0009】
本出願人は、これらのニーズを満たすために医療用注射デバイスを製造するいくつかの方法が提案されているが、これらの方法は、管理または複雑さの問題、したがってコストの問題を引き起こし、これまで解決されていないことに留意した。
【0010】
場合によっては、他の物質が添加された可能性がある、異なる種類のシリコーンオイルの混合物が使用されている。この点に関して、本出願人は、純粋なシリコーン(すなわち、非混合または無添加)から遠ざかるにつれて、その特性および挙動を経時的に一定に維持することがより困難になることに留意した。
【0011】
シリコーンを少なくとも部分的に架橋するために、シリンジの内面に堆積したシリコーン層を照射することも提案されており、これは、粒子放出の低い値を達成するのに有益であることが証明されている。そのような照射は、UV、IR、ガンマ線、イオンボンバードによるものであってもよく、またはトーチもしくはコロナ効果型の真空下もしくは大気圧でのプラズマ処理によるものであってもよい。
【0012】
場合によっては、照射に供される可能性があるシリコーンのいくつかの連続層の堆積が提案されている。
【0013】
照射処理を含む可能性がある、添加剤を含むシリコーン混合シリコーンを用いるそのようなプロセスの例は、米国特許出願公開第20020012741号A1、欧州特許第3378514号A1、米国特許第7648487号B2、米国特許第9662450号B2、米国特許第10066182号B2、欧州特許第2387502号B1、米国特許第7553529号B2、米国特許出願公開第20110276005号A1、欧州特許第2081615号B1、米国特許第5338312号A、米国特許第4844986号A、米国特許第4822632号Aおよび米国特許出願公開第20080071228号A1に記載されている。
【0014】
良好な摺動および低放出の2つの要件を満たすシリンジを得ることを目的とした方法であって、両方とも経時的に一定である(また、経時的に厚さを一定に維持する)方法は、国際公開第2013045571号A1にも記載されている。この文献は、900~1200cStの動粘度を有するシリコーンをシリンジの内面に噴霧し、続いてプラズマ処理してシリコーンを安定で低放出にすることを開示している。この文献は、シリコーン表面のプラズマ処理における低放出の理由を示している。
【0015】
同様の開示は、国際公開第2009053947号A2および国際公開第2015136037号A1の文献によって提供されている。
【0016】
これらの文献はすべて、上記の問題を解決するための最良の組み合わせとして、照射処理、特にプラズマ処理と組み合わせた、かなり低い動粘度(約1000cSt)を有するシリコーンの使用を示している。
【0017】
中空円筒体の内部シリコーン処理のための方法は、ドイツ特許第100 00 505号からも知られており、好ましくは350~20,000cStの動粘度を有するシリコーンオイルが体腔の内壁に堆積される。シリコーンオイルは、特に、インクジェット印刷で使用され、一実施形態では加熱することができるタイプのヘッドによる噴霧によって堆積される。
【0018】
しかしながら、本出願人は、上述の先行技術によって開示された製造方法が、医療用注射デバイスの製造時間の望ましくない延長および方法自体の管理の複雑さの増大を暗示することに加えて、光学的に検出可能な粒子の形態の欠陥および外因性汚染物質の不在を判定するために、先行技術によって特定されておらず、薬物が一旦充填されると医療用注射デバイスの目視検査を実施する必要性に関連するさらなる問題を引き起こすことを観察した。
【0019】
この検査は、以前は手動で行われていたが、光学取得システムから得られた画像の分析技術に基づいて自動化された機器に委譲される。医療用注射デバイスに含まれる溶液に要求される純度が絶えず増加していることは、液体中に存在する非常に小さな不純物さえも強調することができるだけでなく、不純物を構成しない容器の表面欠陥と区別することができる制御を必要とし、したがって、そのように誤って分類された場合、医療用注射デバイスの拒絶につながる。
【0020】
この点に関して、本出願人は、特にプラズマ照射によって得られた、医療用注射デバイスのシリンダの内面に塗布されたシリコーンオイルの層の部分的架橋が、自動光学検査システムを誤らせる可能性があるより不規則であるがより安定した表面構造を生成し、表面の不規則性を不純物として誤って分類し、したがって存在する理由のない生産廃棄物を生成し、結果として経済的損害をもたらすことを観察した。
【0021】
したがって、本出願人は、注射デバイスのシリンダ内のプランジャの最適な摺動特性(静止摩擦および動摩擦に関して)および粒子の低放出の最適な特性を有するという前述のニーズを満たすことを可能にするだけでなく、医療用注射デバイスの目視検査デバイスによって誤って検出され得る誤った欠陥に関連する問題を低減することもできる医療用注射デバイスを製造する方法を開発する必要があることを認識した。
【0022】
本出願人は、これらの所望の特徴のすべてが、先行技術によって示唆されているものと比較して、コーティング組成物のレオロジー特性、および医療用注射デバイスのシリンダの内面をコーティングするために使用されるコーティング組成物の塗布方法に作用することによって達成され得ることを理解している。
【0023】
特に、本出願人は、従来技術によって提案されたシリコーンオイルよりもはるかに高い室温での動粘度を有する単一のタイプのシリコーンオイルによってほぼ全体にわたって実質的に構成されたコーティング組成物を医療用注射デバイスのシリンダの内面をコーティングするために使用することにより、またこのシリコーンオイルをシリンダの内面に加熱塗布することにより、この表面に塗布されたコーティング層の冷却後に、
-所望の最適な摺動特性および低粒子放出特性(両方とも経時的に実質的に一定)、ならびに
-医療用注射デバイスの目視検査デバイスが誤って誘導されないような、コーティング層の表面規則性の最適な特性、を同時に得ることが可能であることを実験的に検証した。
【0024】
特に、コーティング層の表面規則性の前述の特性は、従来技術の、低い動粘度を有するが高い粒子放出を有するシリコーンオイルを使用することによって得られた非架橋コーティング層の特性と実験的に同等であった。これは、室温で著しく高い動粘度を有するシリコーンオイルの使用にもかかわらず、および塗布されたコーティング層が100~250nm程度の非常に低い平均厚さを有するという事実にもかかわらずである。
【0025】
しかしながら、コーティング層の表面規則性の前述の特徴は、低動粘度シリコーンオイルを使用することによって得られた従来技術の部分架橋コーティング層と比較して実験的に改善された。
【0026】
さらに、本出願人は、先行技術によって提案されたシリコーンオイルよりもはるかに高い室温での動粘度を有する単一タイプのシリコーンオイルによってほぼ全体にわたって実質的に構成される前述のコーティング組成物を医療用注射デバイスのシリンダの内面をコーティングするために使用することにより、またこのシリコーンオイルをシリンダの内面に加熱塗布することにより、大規模な工業生産において要求されるプロセス再現性の高い塗布均一性の特性を得ることができることを実験的に検証した。
【0027】
したがって、本発明は、その第1の態様において、請求項1および2に定義されるように、コーティング層でコーティングされた内面を有し、摺動係合を有するプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダを備える医療用注射デバイスを製造する方法に関する。
【0028】
特に、その第1の実施形態では、本発明による医療用注射デバイスを製造する方法は、
a)室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する92重量%以上の量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、
b)コーティング組成物を100℃~150℃の温度に加熱する工程、
c)当該温度に加熱されたコーティング組成物をシリンダの当該内面上に塗布して、内面上に、光反射率測定によって測定して100~250nmの平均厚さSを有するコーティング層を形成する工程、
を含み、
シリンダの内面のコーティング層は、90nm以下の厚さ標準偏差を有する。
【0029】
さらに、その第2の実施形態では、本発明による医療用注射デバイスを製造する方法は、
a)室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する92重量%以上の量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、
b)コーティング組成物を100℃~150℃の温度に加熱する工程、
c)当該温度に加熱されたコーティング組成物をシリンダの当該内面上に塗布して、内面上に、光反射率測定によって測定して100~250nmの平均厚さを有するコーティング層を形成する工程、
を含み、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層(4)の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【0030】
本出願人は、以下により詳細に説明されるように、高粘度のポリジメチルシロキサンに基づく前述のコーティング組成物を室温で加熱塗布することによって、より低い粘度の油の塗布および分配に関して同じ効果を有するコーティング層をシリンダの内面に形成することが可能であることを実験的に見出した。
【0031】
本出願人はまた、冷却後およびその粘度特性が室温で存在する粘度特性に戻った後のコーティング層が、先行技術によって記載される部分架橋に供されるか否かにかかわらず、より低い粘度を有するコーティング層と比較して一連の有利な改善された特性を達成することを実験的に見出した。
【0032】
第1に、本出願人は、本発明の方法が、医薬品業界および化粧品業界によって必要とされる低い厚さ値だけでなく、シリンダの内面および各部分に沿った非常に均一な分布も有するコーティング層を形成することを有利に可能にすることを実験的に観察した。
【0033】
特に、本出願人は、本発明の方法が、先行技術によって提案された低粘度シリコーンオイルを使用して得られるものに完全に匹敵する厚さ値を有するコーティング層をシリンダの内面に塗布することを有利に可能にすることを実験的に観察した。
【0034】
本出願人は、シリンダの内面に塗布されたコーティング層の粘度が、室温でその値に戻ると、より低い粘度(述べたように、約1000cSt程度)を有し、部分架橋を受けていないシリコーンオイルによって形成されたコーティング層のすべての欠点を克服することを可能にするような安定性特性を層に与えることを実験的に観察した。
【0035】
特に、本発明の方法は、先行技術の非架橋コーティング層の以下の欠点を克服するコーティング層を形成することを有利に可能にする:
-直立位置での保管中にシリコーンの重力によるシリンダ本体の下部への移動に起因して、シリコーン層が医療用注射デバイス、例えばシリンジ、のシリンダの軸に沿った分布の不均一性を経時的に発現する傾向、
-医療用注射デバイス、例えばシリンジ、が使用されるときのプランジャの摺動抵抗の結果としての不均一性、
-結果として、医療用注射デバイス、例えばシリンジ、のシリンダが構成されている材料(ガラス)と薬物との直接相互作用、および表面から溶液中へのコーティング層の部分の分離の可能性がより高くなること、ならびに
-特に、撹拌などの機械的応力と組み合わせた場合、またはプランジャをスライドさせることによって生じるシリンダ内に存在する液体を吐出している間に、変性およびタンパク質凝集現象を引き起こす可能性。
【0036】
したがって、本発明の方法は、有利には、シリンダ内のプランジャの最適な摺動特性を達成することを可能にする厚さ、均一性、および安定性特性を有するコーティング層を形成することを可能にするが、この層は、上述の先行技術文献によって示唆されたものよりもはるかに高い粘度を有するシリコーンオイルによって形成される。
【0037】
第2に、本出願人は、本発明の方法が、医療用注射デバイスの目視検査デバイス、特に自動化されたタイプの目視検査デバイスが誤って導かれないように、高い表面規則性および高いカバレッジ均一性を有するコーティング層を形成することを有利に可能にすることを実験的に観察した。
【0038】
特に、本発明の方法は、有利には、90nm以下の光反射率測定(または分解能に応じた光干渉測定)によって測定される厚さ標準偏差を有する非常に均一な厚さを有するシリンダの内面上のコーティング層を得ることを可能にする。
【0039】
このようにして、コーティング層は、誤った欠陥の問題を引き起こさず、したがって従来技術の部分架橋シリコーンコーティングで観察される問題を解決する。
【0040】
有利には、本発明の方法はまた、そのようなコーティング層が高い動粘度を有するシリコーン材料によって構成されるという事実にもかかわらず、医薬品業界および化粧品業界の要求に完全に一致する平均厚さを有するシリンダの内面上にコーティング層を得ることを可能にする。
【0041】
第3に、本出願人は、本発明の方法が、有利には、コーティング層の室温での粘度値に関連するその安定性特性のために、医療用注射デバイスのシリンダ内に保管された溶液中の低粒子放出の特性を有するコーティング層を形成することを可能にすることを実験的に観察した。
【0042】
本出願人によって実施された試験によれば、低粒子放出のこれらの特性は、それにもかかわらず上述の誤った欠陥の問題を引き起こす先行技術の部分架橋シリコーンコーティング層の特性と比較して、完全に同等または改善されている。
【0043】
第4に、本出願人は、プランジャの最適な摺動およびシリンダ内に保管された溶液中の低粒子放出の前述の特性が、室温または室温を超える貯蔵の場合、および低温の貯蔵の場合の両方において、医薬品業界および化粧品業界の別の重要な要求を満たすように、経時的に実質的に一定のままであることを実験的に観察した。
【0044】
第5に、本出願人は、コーティング層の平均厚さの均一性の前述の特性が、医療用デバイスの異なる製造バッチ内で非常に再現可能な方法で、医薬品業界および化粧品業界に典型的な大規模製造内で非常に望ましい特性で得られることを実験的に観察した。そして、これは、このコーティング層は、高い動粘度を有するシリコーン材料によって構成されているという事実にもかかわらずである。
【0045】
そのさらなる態様では、本発明は、コーティング層でコーティングされた内面を有し、請求項25に記載の摺動係合を有するプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダを備える医療用注射デバイスを製造するための装置に関する。
【0046】
特に、本発明による医療用注射デバイスを製造するための装置は、
-保管されたコーティング組成物を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を備えたコーティング組成物の貯蔵タンク、
-加熱されたコーティング組成物を吐出するように構成され、少なくとも1つの吐出ノズルが設けられた少なくとも1つの吐出ヘッドであって、吐出ヘッドには、ノズルによって吐出されたコーティング組成物を加熱するように構成されたそれぞれの加熱要素が設けられている、少なくとも1つの吐出ヘッド、
-吐出ヘッドの上流に配置された循環ポンプ、
-それぞれの医療用注射デバイスの1つ以上のシリンダの支持フレーム、
を備え、
当該少なくとも1つの吐出ヘッドおよび支持フレームが、当該少なくとも1つの吐出ヘッドのノズルを当該1つ以上のシリンダのそれぞれのシリンダ内に挿入/引き抜くために互いに対して移動可能である。
【0047】
さらなる態様では、本発明は、添付の請求項28および29に定義される医療用注射デバイスに関する。
【0048】
特に、第1の実施形態によれば、本発明による医療用注射デバイスは、コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダを備え、シリンダは、摺動係合を有するプランジャを受け入れるように構成され、
シリンダの内面の当該コーティング層は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
シリンダの内面のコーティング層は、90nm以下の厚さ標準偏差を有する。
【0049】
さらに、第2の実施形態によれば、本発明による医療用注射デバイスは、コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダを備え、シリンダは、摺動係合を有するプランジャを受け入れるように構成され、
シリンダの内面の当該コーティング層が、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは、70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層(4)の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)シリンダの各n個の部分について、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【0050】
有利には、前述の注射デバイスは、その製造方法に関連して、シリンダの内面のコーティング層によって達成される特性に関連して上述した有利な技術的特性を達成する。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、添付の請求項46および47に定義される医療用注射デバイスを組み立てるための部品キットに関する。
【0052】
特に、第1の実施形態によれば、本発明による部品キットは、無菌パッケージ内に以下の別個の構成要素:
-コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダであって、摺動係合によってプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダ、
-当該シリンダ内で摺動係合するように構成されたプランジャ、
を備え、
シリンダの内面の当該コーティング層は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
シリンダの内面のコーティング層は、光反射率測定により測定される厚さ標準偏差90nm以下を有する。
【0053】
さらに、第2の実施形態によれば、本発明による部品キットは、無菌パッケージ内に以下の別個の構成要素:
-コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダであって、摺動係合によってプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダ、
-当該シリンダ内で摺動係合するように構成されたプランジャ、
を備え、
シリンダの内面の当該コーティング層は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層(4)の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【0054】
有利には、前述の部品キットは、無菌様式で保管および輸送し、その後、本明細書に開示される注射デバイスを組み立てることを可能にする。
【0055】
定義
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、「室温」(RT)という用語は、60%の相対湿度で測定して25℃±2℃の温度を示す。
【0056】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、すべてのパーセンテージは、具体的に示されている場合、重量%として理解される。
【0057】
明細書および後続の特許請求の範囲の文脈において、「平均値」という用語は、考慮される特定の実体の値の算術平均を指す。
【0058】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、すべての圧力値は、相対圧力値として理解されるべきである。言い換えれば、本明細書に示される圧力値は、別段の指定がない限り、大気の重量の圧力を含まない。
【0059】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、量、パラメータ、パーセンテージなどを示すすべての数値エンティティは、特に明記しない限り、すべての状況において「約」という用語が先行すると理解されるべきである。また、数値エンティティのすべての範囲は、以下に具体的に示されるものに加えて、最大および最小数値のすべての可能な組み合わせ、ならびにすべての可能な中間範囲を含む。
【0060】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、ポリジメチルシロキサンの動粘度は、TGAおよびDSC熱重量分析技術によって測定された。
【0061】
熱重量分析(TG)または熱重量分析(TGA)は、より広範な熱分析ファミリーに含まれる材料を特徴付けるための実験技術である。この技術は、制御された雰囲気条件下で、時間(等温線)または温度(加熱/冷却勾配)の関数としての材料サンプルの質量変化の経時的な連続測定からなる。
【0062】
DSC技術は、どの温度または温度範囲で任意の遷移が起こるか(例えば、融解または結晶化プロセス)を決定し、それに関連するエネルギーを定量的に測定することを可能にする。DSC分析は、実際には、サンプルが制御された方法で加熱/冷却(動的条件)または一定温度(等温条件)に維持されたときにサンプルに生じる熱流を測定する。
【0063】
これらの2つの技術を組み合わせることにより、シリコーン材料の動粘度を、標準的なシリコーンオイルで得られた熱曲線を既知の粘度と相関させることによって決定することが可能である。
【0064】
このようにして、粘度値(ポリマー鎖の長さに関連する)を異なる温度で観察される熱現象(重量損失)と相関させることができる検量線を使用してシリコーン材料の動粘度を決定することが可能である。
【0065】
コーティング層中に存在するポリジメチルシロキサンをジクロロメタンの複数のアリコートで抽出し、これを分析前に蒸発させた。
【0066】
TGA分析は、TGA 4000熱重量分析装置(PerkinElmer)を使用して実施し、DSC分析は、DSC 204 F1示差走査熱量計(Netzsch)を使用して実施した。
【0067】
TGA分析に従う熱サイクルは、10℃/分の加熱勾配で30℃~500℃であった。
【0068】
DSC分析に従う熱サイクルは、10℃/分の加熱勾配で-80℃~30℃であった。
【0069】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、注射デバイスのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の厚さは、分析サンプルに衝突する光放射(白色光またはレーザによる特定の波長の光)の放射に基づく光学技術によって測定されると理解されるものとする。
【0070】
例えば光反射計などの機器は、1つは注射デバイスのシリンダの材料(ガラス)によって反射され、1つはコーティング層によって反射される2つの光ビームの反射波長の差を検出する。この差により、層の厚さを、分析されるサンプルの屈折率および幾何学的形状を知ることによって決定することが可能になる。分析中に白色光が光源として使用される場合、機器は80nmの最小厚さを検出し得る。特定のコリメートされた波長(レーザ)、例えば630~680nmのコリメートされた波長を使用することによって、分解能は20nmまで増加することができ、この場合、干渉技術を使用することができる。
【0071】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、コーティング層の平均厚さSは、特に、好ましくは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたシリンダの各任意の部分nの少なくとも6点においてコーティング層の厚さSpを測定すること、
ii)シリンダの前述のn個の部分の各々の平均厚さSnを計算することであって、Sn=(Σp=1,6 Sp)/6である、平均厚さSnを計算すること、
iii)シリンダのコーティング層(4)の平均厚さSを計算することであって、S=(Σn=1,N Sn)/N(Nはシリンダの部分の総数nである)である、平均厚さSを計算すること、
によって得られる。
【0072】
一般に、本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、エンティティ「x」の「標準偏差」または「平均二乗偏差」という用語、例えば、N個の統計単位の集団で検出される、注射デバイスのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の厚さは、以下のように定義される:
【数1】
(式中、
【数2】
は、エンティティ「x」の算術平均である)。
【0073】
特に好ましくは、注射デバイスのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の厚さ標準偏差は、上記で言及した点i)~iii)および
iv)シリンダのコーティング層の平均厚さSに対するシリンダの前述のn個の部分の平均厚さSnの標準偏差SDを計算することに従ってコーティング層の平均厚さSを決定することによって得られる。
【0074】
本発明の実施形態の枠組み内で、所定数のシリンダ、例えば10個のバッチの各シリンダの内面に塗布されたコーティング層の平均厚さ、およびコーティング層のバッチ標準偏差が上記のように得られる。
【0075】
本発明の実施形態の枠組み内で、「コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SD」は、上記のようにして得られた厚さ標準偏差SDnの算術平均を意味する。上記のように、このパラメータは、様々な製造バッチ間のプロセス再現性を示す。
【0076】
本発明のすべての実施形態の枠組み内で、Nで示される、1.0mmの軸方向長さを有し、注射デバイスシリンダの平面内に展開されるn個の部分の総数は、シリンダ自体のサイズの関数として変化する。
【0077】
したがって、例えば、注射デバイスのn個の部分の総数Nは、公称容量0.5mLのシリンジの場合は40、公称容量1.0mLのシリンジの場合は45、公称容量3.0mLのシリンジの場合は90に等しい。
【0078】
本開示の枠組み内および後続の特許請求の範囲において、0.5mL、1mL長または3mLの公称容量を有するシリンジの指定は、規格ISO11040-4(2015)に従って意図される。
【0079】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、「軸方向」という用語および「軸方向に」という対応する用語は、そのシリンダの長手方向に対応する医療用注射デバイスの長手方向を指すために使用され、「径方向」という用語および「径方向に」という対応する用語は、前述の長手方向に垂直な任意の方向を指すために使用される。
【0080】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、「周方向」という用語および「周方向に」という対応する用語は、シリンダ自体の長手方向に垂直な平面における医療用注射デバイスのシリンダの内面の展開方向を指すために使用される。
【0081】
本発明は、前述の態様の1つ以上において、以下に記載される1つ以上の好ましい特徴を有することができ、これらは、用途の要件に応じて互いに所望に応じて組み合わせることができる。
【0082】
好ましい実施形態では、工程a)は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する95重量%以上、より好ましくは98重量%以上の量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供することを含む。
【0083】
更により好ましくは、工程a)は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する約100重量%に等しい量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供することを含む。
【0084】
このようにして、有利には、異なる密度および/または粘度を有するシリコーン材料を混合した後にコーティング組成物のレオロジー特性を一定に維持することの困難さに関連する問題を最小限に抑えるかまたは完全に排除することによって、特に単純かつ反復可能な方法で実施することができる製造方法を有することが可能である。
【0085】
有利には、製造方法は、シリコーン材料に添加剤を添加することなく実施することもできる。
【0086】
好ましい実施形態では、コーティング組成物を提供する工程a)は、当該コーティング組成物を貯蔵タンクに保管することを含む。
【0087】
このようにして、有利には、本方法の実施に利用可能なコーティング組成物の所望の量を常に有することが可能である。
【0088】
好ましくは、タンクは、シリコーンコーティング組成物を含有するのに適した材料、例えばステンレス鋼で作られる。
【0089】
好ましくは、工程b)は、コーティング組成物を120℃~150℃の温度に加熱することを提供する。
【0090】
このようにして、有利には、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面上に塗布する後続の工程c)を最適化することが可能であり、それによって内面上の非常に均一なコーティング層の形成を容易にする。
【0091】
好ましい実施形態では、コーティング組成物を加熱する工程b)は、コーティング組成物を100℃~150℃、より好ましくは120℃~150℃の当該温度にするように前述の貯蔵タンクを加熱することを含む。
【0092】
この目的のため、コーティング組成物の貯蔵タンクには、保管されたコーティング組成物を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素が設けられる。
【0093】
本発明の目的のため、タンクの加熱要素は、熱エネルギーを放出するように構成され、貯蔵タンクに保管されたコーティング組成物と熱交換関係に選択的に配置された任意の要素であり得る。
【0094】
単なる例として、加熱要素は、タンクの内側に配置された加熱コイル(例えば、適切な加熱流体が循環する電気抵抗器または管)、または1つ以上の電気抵抗器が配置されるか、または適切な加熱流体が循環するタンクの外側のジャケットであってもよい。
【0095】
好ましい実施形態では、方法は、貯蔵タンクに保管された加熱されたコーティング組成物を、5psi(0.34bar)~150psi(10.34bar)、好ましくは10psi(0.69bar)~30psi(2.07bar)、更により好ましくは10psi(0.69bar)~15psi(1.03bar)の圧力に維持する工程d)を更に含んでもよい。
【0096】
このようにして、有利には、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面上に塗布する後続の工程c)を最適化することが可能であり、それによって内面上の非常に均一なコーティング層の形成を容易にする。
【0097】
好ましい実施形態では、方法は、加熱されたコーティング組成物を、少なくとも1つの吐出ノズルが設けられた吐出ヘッドに供給する工程e)を更に含む。
【0098】
このようにして、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布して、内面に非常に均一なコーティング層を形成することが有利に可能である。
【0099】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物の吐出ヘッドには、ノズルによって吐出されたコーティング組成物を加熱するように構成されたそれぞれの加熱要素が設けられる。
【0100】
本発明の目的のために、ノズルの加熱要素は、ノズル自体によって吐出されるコーティング組成物と熱交換関係に選択的に配置された熱エネルギーを放出するように構成された任意の要素であってもよい。
【0101】
単なる一例として、加熱要素は、吐出ノズルと熱交換関係にある電気抵抗器であってもよく、例えば、吐出ノズルに関連付けられた例えば円筒形のケーシングに組み込まれてもよい。
【0102】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物を吐出ヘッドに供給する工程e)は、吐出ヘッドの上流に配置された循環ポンプによって行われる。
【0103】
このようにして、有利には、製造ニーズに応じてコーティング組成物の吐出ヘッドを適切に供給することが可能である。
【0104】
好ましい実施形態では、循環ポンプは、ポンプの送出ヘッドを加熱するように構成されたそれぞれの加熱要素を備える。
【0105】
本発明の目的のために、ポンプの送出ヘッドの加熱要素は、送出ヘッド自体によって吐出されるコーティング組成物と熱交換関係に選択的に配置された熱エネルギーを放出するように構成された任意の要素であってもよい。
【0106】
単なる例として、加熱要素は、例えば、送出ヘッドに関連付けられた例えば円筒形のそれぞれのケーシングに組み込まれた、ポンプの送出ヘッドと熱交換関係にある1つ以上の電気抵抗器を備えてもよい。
【0107】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、吐出ヘッドを介してコーティング組成物を吐出することによって行われる。
【0108】
このようにして、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に非常に均一に塗布することが有利に可能である。
【0109】
好ましい実施形態では、コーティング組成物を加熱する工程b)は、コーティング組成物を100℃~150℃の当該温度にするまたは維持するために、吐出ヘッドおよび/またはポンプ、より好ましくはポンプの送出ヘッドを加熱することを含む。
【0110】
このようにして、ポンプの運転および保守コストの利益のために、ポンプの動力吸収および摩耗を低減することが有利に可能である。
【0111】
好ましい実施形態では、吐出ヘッドおよびポンプは、上述のように加熱されてもよい。
【0112】
好ましい実施形態では、製造方法は、ポンプの送出ヘッドを50℃~60℃の温度に加熱することを提供する。
【0113】
好ましい実施形態では、コーティング組成物の貯蔵タンク、循環ポンプおよび吐出ヘッドは、管を介して互いに流体連通している。
【0114】
好ましくは、管は、それぞれの加熱要素、例えば適切な加熱流体が循環する管の電気抵抗器または外側ジャケットと熱交換関係にある。
【0115】
好ましくは、前述の管は、ステンレス鋼などの耐熱性材料で作られ、断熱されているか、または断熱性、金属もしくはプラスチック材料で作られている。
【0116】
本出願人は、コーティング組成物の貯蔵タンク、循環ポンプ、吐出ヘッドおよびそれぞれの接続管のうちの1つ以上の加熱を行うことによって、有利には、コーティング組成物がシリンダの内面に吐出される前にコーティング組成物の粘度を等しくすることが可能であり、その結果、吐出時間の有利な短縮およびシリンダの内面上のコーティング組成物のより大きな分布均一性が得られることを実験的に観察した。
【0117】
この好ましい実施形態に関連して、コーティング組成物を加熱する工程b)は、好ましくは、コーティング組成物を100℃~150℃の前述の温度にするかまたは維持するように前述の管を加熱することを含む。
【0118】
本出願人は、コーティング組成物を150℃を超える温度に加熱すると、シリコーン材料の特性が変化し得、これにより、より低い温度で通常保持される物質の望ましくない粒子放出および/または放出の増加をもたらし得ることを実験的に観察した。
【0119】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、加熱されたコーティング組成物を5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、より好ましくは6psi(0.41バール)~10psi(0.69バール)の圧力で吐出することによって行われる。
【0120】
このようにして、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に非常に均一に塗布することが有利に可能である。
【0121】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、5psi(0.34bar)~150psi(10.34bar)、好ましくは6psi(0.41bar)~10psi(0.69bar)の圧力を有する吐出ガス(例えば空気)を吐出ヘッドに供給することを含む。
【0122】
このようにして、好都合なことに、加熱されたコーティング組成物を非常に均一に吐出して、シリンダの内面に均一にコーティング層を塗布することが可能である。
【0123】
好ましい実施形態では、方法は、コーティング組成物の貯蔵タンクを吐出ヘッドの吐出ノズルの圧力より高い圧力に維持することを含む。
【0124】
このようにして、好都合なことに、加熱されたコーティング組成物を非常に均一に吐出して、シリンダの内面に均一にコーティング層を塗布することが可能である。
【0125】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、加熱されたコーティング組成物を吐出しながら吐出ヘッドとシリンダとの間に相対運動を付与することを含む。
【0126】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、吐出ヘッドのシリンダ内への相対的な挿入運動中に、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に吐出することを含む。
【0127】
好ましい実施形態では、それぞれの医療用注射デバイスの1つ以上のシリンダは、加熱されたコーティング組成物の1つ以上のそれぞれの吐出ヘッドに対して可動支持フレームによって支持されてもよい。
【0128】
したがって、このようにして、当該1つ以上のシリンダのそれぞれのシリンダに吐出ヘッド(複数可)のノズルを挿入する/引き抜くことが可能である。
【0129】
好ましくは、吐出ヘッド(複数可)は固定され、当該1つ以上のシリンダの支持フレームは、吐出ヘッド(複数可)とシリンダ(複数可)との間の相対移動の実施を容易にするように吐出ヘッド(複数可)に向かっておよび吐出ヘッド(複数可)から移動可能である。
【0130】
代替的な好ましい実施形態では、吐出ヘッド(複数可)は移動可能であってもよく、当該1つ以上のシリンダの支持フレームは固定されてもよく、または同様に吐出ヘッド(複数可)および支持フレームは両方とも移動可能であってもよい。
【0131】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、シリンダ(複数可)をそれぞれの吐出ヘッド(複数可)に向かって移動させながら、吐出ヘッドのノズルによってコーティング組成物を吐出することを含む。
【0132】
このようにして、シリンダの内面に非常に均一なコーティング層を塗布することが有利に可能である。
【0133】
好ましい実施形態では、シリンダの内面上への加熱されたコーティング組成物の吐出時間は、0.3秒~1秒、より好ましくは0.4秒~0.7秒である。
【0134】
このようにして、有利には、シリンダへの吐出ヘッドの挿入およびシリンダからの吐出ヘッドの引き抜きの時間の合計によって与えられるいわゆる「総サイクル時間」または「噴霧時間」を、産業生産ラインの通常のサイクル時間に適合すると考えられる約3秒未満の値に制限することが可能である。
【0135】
これに関して、本出願人は、加熱されたコーティング組成物の前述の吐出時間が、貯蔵タンクを加熱する工程、吐出ヘッドを加熱する工程、吐出ヘッドまたは当該ポンプの部品(例えば、好ましくは、ポンプの送出ヘッド)の上流に配置された循環ポンプを加熱する工程、ならびに貯蔵タンク、ポンプおよび吐出ヘッドの間の流体連通を確実にする接続管を加熱する工程のうちの1つ以上を実施することによって有利かつ好都合に達成され得ることを実験的に観察した。
【0136】
特に好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物の上記吐出時間は、貯蔵タンク、ポンプ、吐出ヘッドおよび関連する接続管を加熱する工程を実施することによって有利かつ好都合に達成される。
【0137】
上記で説明したように、本出願人は、実際に、このように操作することにより、コーティング組成物がシリンダの内面に吐出される前にコーティング組成物の粘度を等しくすることが可能であり、その結果、吐出時間の有利な短縮およびシリンダの内面上のコーティング組成物のより大きな分布均一性が得られることを実験的に観察した。
【0138】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、加熱されたコーティング組成物を0.1μL/s~5μL/s、より好ましくは約0.5μL/sに等しい流量で吐出することを含む。
【0139】
このようにして、シリンダの内面に非常に薄いコーティング層を塗布することが有利に可能である。
【0140】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、0.2~0.4μg/mm2の加熱されたコーティング組成物の単位面積当たりの量をシリンダの内面に塗布することを含む。
【0141】
この場合も、シリンダの内面に非常に薄いコーティング層を塗布することが有利に可能である。
【0142】
好ましい実施形態では、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)は、シリンダの内面に形成されたコーティング層が、光反射率測定によって測定して、100~200nmの平均厚さを有するように実行される。
【0143】
有利には、上記で説明したように、シリンダの内面上に形成されたコーティング層のこの平均厚さは、コーティング層が高い動粘度を有するシリコーン材料で構成されているという事実にもかかわらず、医薬品業界および化粧品業界の要求と完全に一致する。
【0144】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、70nm以下、更により好ましくは50nm以下の光反射率測定(または分解能に応じた光干渉測定)によって測定される厚さ標準偏差を有する非常に均一な厚さを有するシリンダの内面上に形成されたコーティング層を得ることを可能にする。
【0145】
このようにして、表面規則性の最適な特性を有し、医療用注射デバイスの目視検査デバイス、特に自動化されたタイプの目視検査デバイスが誤って導かれないようなコーティング層を得ることが有利に可能である。
【0146】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、10個のシリンダの各バッチについて、非常に均一な厚さを有し、上で定義したコーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDが60nm以下、更により好ましくは50nm以下の値を有するようにシリンダの内面に形成されたコーティング層を得ることを可能にする。
【0147】
このようにして、有利には、大規模工業生産において必要とされるように、バッチのいくつかのシリンダ上で非常に再現可能な方法で表面規則性の最適な特性を有するコーティング層を得ることが可能である。
【0148】
好ましい実施形態では、本発明による医療用注射デバイスを製造する方法は、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)の後に、シリンダの内面に形成されたコーティング層をポリジメチルシロキサンの部分架橋処理に供する工程f)を更に含み得る。
【0149】
部分架橋処理は、照射により行うことが好ましい。
【0150】
好ましくは、コーティング層の照射処理は、プラズマ照射処理、好ましくは99%を超える(例えば99.999%)純度を有するアルゴン流を用いた大気圧でのプラズマトーチによる照射処理である。
【0151】
このようにして、特定の用途による所望に応じて、コーティング層の低粒子放出の特性を更に改善することが有利に可能である。
【0152】
有利には、本出願人は、コーティング層の潤滑特性が不利にならないように部分架橋処理を行うことができることを実験的に見出した。
【0153】
この目的のため、好ましい実施形態では、当該照射処理は、0.2秒~1秒、好ましくは0.2秒~0.6秒、より好ましくは0.2秒~0.5秒の時間、両端を含めて実行され、更により好ましくは約0.3秒に等しい。
【0154】
本出願人は、以下により詳細に説明するように、照射時間をこの値の範囲に制限することによって、有利には、注射デバイスのシリンダ内のプランジャの最適な摺動特性(静止摩擦および動摩擦に関して)と、同時に、両方とも経時的に一定である、低粒子放出の最適な特性とを有するコーティング層を得ることが可能であることを実験的に見出した。
【0155】
有利には、この好ましい実施形態に従って得られた部分架橋コーティング層は、その表面規則性のために、医療用注射デバイスの目視検査デバイス、特に自動化されたタイプの目視検査デバイスによって誤って検出され得る誤った欠陥に関連する問題を実質的に低減することが依然として可能である。
【0156】
いかなる解釈理論にも束縛されることを望むものではないが、本出願人は、前述の値の範囲内にある照射時間がコーティング層の圧密化に有利に作用して粒子放出を更に減少させるが、コーティング層の表面規則性に大きな影響を及ぼすことなく、シリンダ内のプランジャの静止摩擦および動的摺動摩擦の平均値に大きな変化を引き起こすこともないと考える。
【0157】
特に、本出願人は、本発明のこの好ましい実施形態による照射処理で得られた粒子放出値が、先行技術の非架橋低粘度シリコーン材料を使用するコーティングと比較した場合に有意に低く、照射処理を受けたコーティングの値に匹敵することを実験的に観察した。
【0158】
有利には、本出願人によって実施された実験を参照して以下により詳細に記載されるように、低粒子放出のこの特性はまた、室温または室温を超える温度でシリンダを保管すること、および低温、例えば-5℃~-40℃の範囲の温度でシリンダを保管することの両方によって経時的に実質的に一定である。
【0159】
この特徴は、貯蔵期間が長く、および/または低温で保管する必要がある医薬品で充填される医療用注射デバイス、例えばシリンジの場合に特に理解される。
【0160】
また、本出願人は、以下により詳細に示されるように、照射時間が前述の値の範囲内にあることが、平均して少なくとも約90%維持されるシリンダの内面のコーティング率に悪影響を及ぼさないことを実験的に見出した。
【0161】
好ましい実施形態では、シリンダの内面上に形成されたコーティング層を照射処理に供する工程f)は、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面上に塗布する工程c)の後に、少なくとも15分、好ましくは15~20分の時間距離で行われる。
【0162】
このようにして、有利には、シリンダの内面上に吐出されたシリコーン材料の液滴を互いに融着させて、この表面の少なくとも90%の被覆率を達成することが可能である。
【0163】
この点に関して、本出願人は、15分未満の待機時間が、シリンダ内に保管された注入可能な液体医薬組成物とその内側ガラス表面との間により大きな望ましくない相互作用を引き起こすように、シリンダの内面の被覆率を形成することを観察した。
【0164】
本出願人はまた、20分を超える待機時間は、生産時間の大幅な増加に対して有意な改善をもたらさなかったことに留意した。
【0165】
好ましい実施形態では、本発明の製造方法は、加熱されたコーティング組成物をシリンダの内面に塗布する工程c)の前に、シリンダの内面を前処理に供して、内面へのコーティング層の接着を改善する工程g)を更に含んでもよい。
【0166】
特に好ましい実施形態では、この前処理は、シリンダの内面上に接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を形成することを含む。
【0167】
好ましくは、前述の前処理は、
g1)シリンダの内面に、好ましくは超音波静的ノズルを用いて、イソプロピルアルコール中の[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランの溶液、好ましくは2.2重量%溶液を噴霧する工程、および
g2)ガラスの表面上に存在するイソプロピルアルコールが蒸発し、ガラスと接着促進剤層との間の化学結合の形成のための熱エネルギーが提供されるまで、このように処理されたシリンダを、好ましくはオーブン内で加熱する工程、
によって実行される。
【0168】
代替的な好ましい実施形態では、前述の前処理は、
g1’)シリンダを、好ましくはオーブン内で所定の温度に加熱する工程、および
g2’)好ましくは超音波静的ノズルによって、イソプロピルアルコール中の[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランの溶液、好ましくは2.2重量%の溶液を、加熱されたシリンダの内面に噴霧する工程、
によって実行することができる。
【0169】
この場合、シリンダは、その後噴霧溶液のイソプロピルアルコールを蒸発させ、ガラスと接着促進剤の層との間の化学結合の形成に十分な熱エネルギーを提供するのに適した温度に加熱される。
【0170】
好ましくは、シリンダを加熱する工程g2)およびg1’)は、好ましくは120℃~145℃、より好ましくは約140℃に等しい温度に加熱されたオーブン内で14~25分、より好ましくは約20分に等しい時間行われる。
【0171】
好ましくは、シリンダの内面に噴霧されるイソプロピルアルコール中の[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランの溶液の量は、7~50μL、より好ましくは7~22μLである。
【0172】
本発明の好ましい実施形態では、-40℃の温度で3ヶ月間保管した後、シリンダの内面のコーティング層から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値は、当該規格による限界値の60%以下である。
【0173】
特に、25μm以上の平均直径を有する粒子の場合、この平均値は、当該規格による限界値の5%以下である。
【0174】
好ましい実施形態では、-40℃の温度で3ヶ月間保管した後、例えばシリンダの内面の照射処理、好ましくはプラズマ照射処理によって部分架橋コーティング層から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP787によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値は、当該規格による限界値の10%以下である。
【0175】
特に、25μm以上の平均直径を有する粒子の場合、この平均値は、当該規格による限界値の1%以下である。
【0176】
これらの好ましい実施形態は両方とも、温度感受性有効成分、例えば組換えタンパク質またはmRNAワクチンを含有するいわゆる生物工学薬物を含有する注入可能な医薬組成物の場合に特に有利である。これらの好ましい実施形態は、実際に、この種の医薬組成物に必要とされる低温での長期間の保管後であっても、医療用注射デバイスのシリンダに保管された医薬組成物中に放出される粒子の量の有意な減少を達成することを可能にする。
【0177】
好ましい実施形態では、+5℃または+25℃または+40℃の温度で3ヶ月間保管した後、例えばシリンダの内面の照射処理、好ましくはプラズマ照射処理によって部分架橋コーティング層から試験溶液中に放出され、米国薬局方44-NF39(2021)に記載される米国規格USP789によるLO(光遮蔽)法によって決定される、10μm以上または25μm以上の平均直径を有する粒子の正規化された濃度の平均値は、当該規格による限界値以下である。
【0178】
この好ましい実施形態は、米国規格USP789が、この種の医薬組成物に必要な貯蔵温度で長期間保管した後でさえ、医療用注射デバイスのシリンダに保管された医薬組成物中の許容可能な粒子の最大量に関して非常に厳しい制限を提供する眼科分野で使用される注入可能な医薬組成物の場合に特に有利である。
【0179】
上記に示されたものに関連して、説明および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、「正規化」という用語は、考慮される標準の限界値または粒子カウントの最大値に関して正規化された値を指す。
【0180】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、医療用注射デバイスのシリンダに注入可能な液体医薬組成物を充填する工程h)を更に含み、当該工程h)は、シリンダの内面に形成されたコーティング層を室温に冷却した後に実行される。
【0181】
このようにして、有利には、所定量の注入可能な液体医薬組成物で予め充填され、すぐに使用できる医療用デバイス、例えばシリンジを得ることが可能である。
【0182】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、1.0mmの軸方向長さを有し、平面に展開されたシリンダの各任意の部分において、当該部分の総面積に対応する、コーティング層によって覆われた面積と総測定面積との間の比として定義される被覆率は、少なくとも90%に等しい。
【0183】
このようにして、有利に
-注射デバイスのシリンダ内に保管された注入可能な液体医薬組成物とシリンダの内側ガラス表面との間の望ましくない接触のリスクの低減、
-注射デバイスのシリンダ内のプランジャの最適な摺動特性(静止摩擦および動摩擦に関して)、および
-医療用注射デバイスの目視検査デバイスによって誤って検出され得る誤った欠陥に関連する問題を実質的に低減するなど、コーティング層の表面規則性の最適な特性、
を有することが可能である。
【0184】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、室温で1mLの公称容量の空のシリンダで測定された、シリンダ内のプランジャの静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、2N~3Nである。
【0185】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダで室温で測定された、シリンダ内のプランジャの静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、1N~3Nである。
【0186】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、-40℃で7日間保管した後、1mLの公称容量の空のシリンダで測定された、シリンダ内のプランジャの静的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、1.5N~3Nである。
【0187】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、室温で1mLの公称容量の空のシリンダで測定された、シリンダ内のプランジャの動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、1.5N~2.5Nである。
【0188】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、室温で3ヶ月間保管した後、公称容量0.5mLの空のシリンダで室温で測定された、シリンダ内のプランジャの動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、1N~2Nである。
【0189】
本発明による医療用注射デバイスの好ましい実施形態では、-40℃で7日間保管した後、1mLの公称容量の空のシリンダで測定された、シリンダ内のプランジャの動的摺動摩擦力の少なくとも30回の測定の平均値は、1.5N~2.5Nである。
【0190】
有利には、シリンダ内のプランジャの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の上述の平均値は、医薬品業界および化粧品業界によって要求されるもの、一般に静的摺動摩擦力については2~6N、動的摺動摩擦力については1~3Nと完全に一致する。
【0191】
好ましくは、シリンダ内のプランジャの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値は、以下の試験方法によって測定される。
【0192】
プランジャは、公称容量1mL長または0.5mLの空のシリンダ内に取り付けられ、その位置決めから24時間以内に、ゼロプリロードから開始して、公称容量1mL長のシリンダでは240mm/分に等しく、公称容量0.5mLのシリンダでは100mm/分に等しい一定の摺動速度がプランジャに加えられ、これはプランジャを運動状態に維持し、動力計によって、最初に静止摩擦力を測定し、次に摺動中の同じプランジャの動摩擦力を測定するように適合されている。
【0193】
この試験方法のさらなる詳細は、例において以下に提供される。
【0194】
好ましい実施形態では、製造方法に関連して上記で説明したように、本発明による医療用注射デバイスは、好ましくは照射処理によって、更により好ましくは上記のプラズマ照射処理によって、シリンダの内面の部分架橋コーティング層を含む。
【0195】
好ましい実施形態では、製造方法に関連して上述したように、本発明による医療用注射デバイスは、シリンダの内面に塗布された接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を更に備えてもよい。
【0196】
好ましい実施形態では、製造方法に関連して上述したように、本発明による医療用注射デバイスは、シリンダ内に装着され、シリンダと摺動係合するプランジャを更に備える。
【0197】
好ましい実施形態では、製造方法に関連して上述したように、本発明による医療用注射デバイスは、シリンダ内に、その内面と接触する注入可能な液体医薬組成物を更に含んでもよい。
【0198】
好ましい実施形態では、注入可能な液体医薬組成物は、適合する限りにおいて、アレルゲン特異的免疫療法組成物、オリゴヌクレオチド、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびRNAiアンチセンスオリゴヌクレオチド、生物学的応答修飾物質、血液誘導体、酵素、モノクローナル抗体、特にコンジュゲート化モノクローナル抗体および二重特異性モノクローナル抗体、腫瘍溶解性ウイルス、ペプチド、特に組換えペプチドおよび合成ペプチド、多糖、タンパク質、特に組換えタンパク質および融合タンパク質、ワクチン、特にコンジュゲートワクチン、DNAワクチン、不活性化ワクチン、mRNAワクチン、組換えベクターワクチン、サブユニットワクチン、またはそれらの組み合わせの1つ以上から選択される注射に適した形態の薬物および/または有効成分を含む。
【0199】
より好ましくは、注射に適した形態の当該薬物および/または有効成分は、適合する限りにおいて、以下から選択される:
GEN-3009、(ヒトインスリンアナログA21G+プラムリンチド)、(AZD-5069+デュルバルマブ)、(フツキシマブ+モドツキシマブ)、[225Ac]-FPI-1434、111In-CP04、14-F7、212 Pb-TCMC-トラスツズマブ、2141 V-11、3BNC-117LS、3K3A-APC、8H-9、9MW-0211、A-166、A-319、AADvac-1、AB-002、AB-011、AB-022、AB-023、AB-154、AB-16B5、AB-729、ABBV-011、ABBV-0805、ABBV-085、ABBV-151、ABBV-154、ABBV-155、ABBV-184、ABBV-3373、ABBV-368、ABBV-927、アベラシマブ、AbGn-107、AbGn-168H、ABL-001、ABvac-40、ABY-035,アセチルシステイン+ブロメライン、ACI-24、ACI-35、ACP-014、ACP-015、ACT-101、アクチマブ-A、アクチマブ-M、AD-214、アダボセルチブ+デュルバルマブ、ADCT-602、ADG-106、ADG-116、ADM-03820、AdVince、AEX-6003、アフリベルセプトバイオシミラー、AFM-13、AGEN-1181、AGEN-2373、AGLE-177、AGT-181、AIC-649、AIMab-7195、AK-101、AK-102、AK-104、AK-109、AK-111、AK-112、AK-119、AK-120、AL-002、AL-003、AL-101,アルダフェルミン、アルデスロイキン、ALG-010133、ALM-201、ALMB-0168、ALNAAT-02、ALNAGT-01、ALN-HSD、ALPN-101、ALT-801、ALTP-1、ALTP-7、ALX-0141、ALX-148、ALXN-1720、AM-101、アマツキシマブ、AMC-303、アメリムマブ、AMG-160、AMG-199、AMG-224、AMG-256、AMG-301、AMG-330、AMG-404、AMG-420、AMG-427、AMG-509、AMG-673、AMG-701、AMG-714、AMG-757、AMG-820、AMRS-001、AMV-564、AMY-109、AMZ-002、アナルゲシン(Analgecine)、アンクロッド、アンデカリキシマブ、アネツマブコリキセタン(Anetumab corixetan)、アネツマブラブタンシン(Anetumab ravtansine)、ANK-700、蛇毒に対する抗体、
炭疽病に対する抗体、コロナウイルス病2019(COVID-19)に対する抗体、破傷風に対する抗体、1型糖尿病に対する抗体、固形腫瘍に対するOX40アゴニストに対する抗体、抗血友病因子(組換え)、固形腫瘍および卵巣癌の場合にEPHA2を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドRNAi、ANX-007、ANX-009、AP-101、アピテグロマブ、APL-501、APL-501、APN-01、APS-001+フルシトシン、APSA-01、APT-102、APVAC-1、APVAC-2、APVO-436、APX-003、APX-005M、ARCT-810、ARGX-109、ARGX-117、AROANG-3、AROAPOC-3、AROHIF-2、ARO-HSD、アスクリンバクマブ、ASLAN-004、ASP-1235、
ASP-1650、ASP-9801、AST-008、アステゴリマブ、アスネルセプト、AT-1501、アタシセプト、ATI-355、ATL-101、ATOR-1015、ATOR-1017、ATP-128、ATRC-101、アトロサブ(Atrosab)、ATX-101、ATXGD-59、ATXMS-1467、ATYR-1923、AU-011、リツキシマブ(コンジュゲート化)(Aurixim(登録商標))、AV-1、AVB-500、アブトラリマブ(Avdoralimab)、AVE-1642、AVI-3207、AVID-100、AVID-200、アビスクミン、アビザキマブ、アキサチリマブ、B-001、B-002、バルシバン、BAT-1306、BAT-4306、BAT-4406F、BAT-5906、BAT-8003、バトロキソビン、BAY-1905254、BAY-2315497、BAY-2701439、BB-1701、BBT-015、BCD-096、BCD-131、BCD-217、BCT-100、ベマリツズマブ、ベプラネマブ、ベルメキマブ、ベルチリムマブ、
ベタルチン、ベバシズマブ、ベクマリリマブ、BG-00010、BGBA-445、BHQ-880、BI-1206、BI-1361849、BI-456906、BI-655064、BI-655088、BI-754091、BI-754111、BI-836858、BI-836880、BI-905677、BI-905711、BIIB-059、BIIB-076、BIIB-101、BIL-06v、ビマグルマブ、BIO89-100、コロナウイルス病2019(COVID-19)、尿路感染症、人工関節およびアシネトバクター感染症に対する生物学的応答修飾物質、不特定適応症に対する生物学的応答修飾物質、糖尿病性黄斑浮腫および滲出型黄斑変性症に対する二重特異性モノクローナル抗体1、HIV感染症に対するHIV 1 Envを阻害する二重特異性モノクローナル抗体、腫瘍学に対するGD2およびCD3を検出する二重特異性モノクローナル抗体、膵管腺癌に対するPD-L1およびCTLA4を検出する二重特異性モノクローナル抗体、BIVV-020、ブレセルマブ、BM-32、BMS-986012、BMS-986148、BMS-986156、BMS-986178、BMS-986179、BMS-986207、BMS-986218、BMS-986226、BMS-986253、BMS-986258、BMS-986258、BMS-986263、
BNC-101、BNT-111、BNT-112、BNT-113、BNT-114、BNT-121、BOS-580、ボツリヌス毒素、BP-1002、BPI-3016、BrevaRex MAb-AR20.5、ブリボリジド、ブロメライン、BT-063、BT-1718、BT-200、BT-5528、BT-588、BT-8009、BTI-322、BTRC-4017A、ブジカリマブ、BXQ-350、C1エステラーゼ阻害剤(ヒト)、カビラリズマブ、カミダンルマブテシリン、カナルパツレブ、カバタック(Cavatak)、CBA-1205、CBP-201、CBP-501、CC-1、CC-90002、CC-90006、CC-93269、CC-99712、CCW-702、CDX-0159、CDX-301、CDX-527、セリビル(Celyvir)、セムジシラン、センダキマブ、CERC-002、CERC-007、セボスタマブ、シビサタマブ、CIGB-128、CIGB-258、CIGB-300、CIGB-500、CIGB-552、CIGB-814、CIGB-845、シンパネマブ、cinrebafuspアルファ、CIS-43、CiVi-007、CJM-112、CKD-702、Clustoid ヤケヒョウヒダニ(D.pteronyssinus)、CM-310、CMK-389、CMP-001、CNTO-6785、CNTO-6785、CNV-NT、凝固第VIII因子(組換え)、コボマーセン、コドリツズマブ、コフェツズマブペリドチン、COR-001、コシベリマブ、コシベリマブ、
コタデュチド、CPI-006、CRX-100、CSJ-137、CSL-311、CSL-324、CSL-346、CSL-730、CSL-889、CTB-006、CTI-1601、CTP-27、CTX-471、CUE-101、クサツズマブ、CV-301、CVBT-141、CX-2009、CX-2029、CYN-102、CyPep-1、CYT-107、CYT-6091抗サイトメガロウイルス免疫グロブリン(ヒト)、ダブラフェニブメシラート+パニツムマブ+トラメチニブジメチルスルホキシド、DAC-002、ダルシノナコグアルファ、ダロツズマブ、ダンバチルセン+デュルバルマブ、ダピグルチド、ダックスジリマブ、DB-001、DCRA-1AT、デカビル、デパツキシズマブ、デスモプレッシン、DF-1001、DF-6002、ダイアミド、ジルパシマブ、ジリダブマブ、DK-001、DKN-01、DM-101、DM-199、DMX-101、DNL-310、DNP-001、DNX-2440、ドマグロズマブ、ドナネマブ、ドニダロールセンナトリウム、DP-303c、DS-1055a、DS-2741、DS-6157、DS-7300、DS-8273、デュルバルマブ+モナリズマブ、デュルバルマブ+オレクルマブ、デュルバルマブ+オポルツズマブモナトックス、デュルバルマブ+硫酸セルメチニブ、DX-126262、DXP-593、DXP-604、DZIF-10c、E-2814、E-3112、EBI-031、
イットリウム-90標識エトレオチドエファバロイキンアルファ、エフペグソマトロピン、エフルキシフェルミン、エフチラギモドアルファ、エフトザネルミンアルファ、EG-ミロチン、エレザヌマブ、エリポビマブ、エマアクチュズマブ、エナデノツシレブ、Engedi-1000、エンシツキシマブ、EO-2401、エプコリタマブ、ERY-974、エチグリマブ、エトキマブ、Evitar、EVX-02、エキセナチド、F-0002ADC、F-520、F-598、F-652、ファリシマブ、FAZ-053、
FB-704A、FB-825、FF-21101、フィブリノーゲン濃縮物(ヒト)、フィクラツズマブ、フロテツズマブ、FLYSYN、FmAb-2、FNS-007、FOL-005、FOR-46、ホラルマブ、Foxy-5、FPP-003、FR-104、フレソリムマブ、FS-102、FS-118、FS-120、FS-1502、FSH-GEX、アレルギー性喘息に対する融合タンパク質、特発性血小板減少性紫斑病に対するトロンボポエチン受容体に拮抗する融合タンパク質、多形性膠芽腫および悪性神経膠腫に対するEGFRに拮抗する融合タンパク質、腫瘍学に対するCD25を阻害する融合タンパク質、腫瘍学に対するメソテリンを標的とする融合タンパク質、大腸炎、高血圧および潰瘍性大腸炎のための融合タンパク質、FX-06、G-035201、G-207、G-3215、ガレトスマブ、ガチポツズマブ、GB-223、GBB-101、GC-1118A、GC-5131A、GEM-103、GEM-333、GEM-3PSCA、ゲミボツリヌムトキシンA、GEN-0101、GEN-1046、Gensci-048、ゲンツキシマブ、ゲボキズマブ、グレゾシマブ、グロフィタマブ、グルカゴン、GM-101、GMA-102、GMA-301、GNR-051、GNR-055、
GNR-084、GNX-102、酢酸ゴセレリン、ゴスラネマブ、gp-ASIT、GR-007、GR-1401、GR-1405、GR-1501、GRF-6019、GRF-6021、GS-1423、GS-2872、GS-5423、GSK-1070806、GSK-2241658A、GSK-2330811、GSK-2831781、GSK-3174998、GSK-3511294、GSK-3537142、GT-02037-、GT-103、GTX-102、GW-003、GWN-323、GX-301、GXG-3、GXP-1、H-11B6、HAB-21、HALMPE-1、HB-0021、HBM-4003、HDIT-101、HER-902、HFB-30132A、HH-003、HL-06、HLX-06、HLX-07、HLX-20、HLX-22、HM-15211、HM-15912、HM-3、HPN-217、HPN-328、HPN-424、HPN-536、HPV-19、hRESCAP、HS-214、HS-628、HS-630、HS-636、HSV-1716、HTD-4010、HTI-1066、Hu8F4、HUB-1023、hVEGF-26104、HX-009、ヒアルロニダーゼ(組換え)、IBI-101、IBI-110、IBI-112、IBI-188、IBI-302、IBI-318、IBI-322、IBI-939、IC-14、ICON-1、ICT-01、イエラミリマブ、イファボツズマブ、IGEM-F、IGM-2323、IGM-8444、IGN-002、IMA-950、
IMA-970A、IMC-002、IMCF-106C、IMCY-0098、IMGN-632、IMM-005、IMM-01、IMM-201、免疫グロブリン(ヒト)、イムシドリマブ、INA-03、INBRX-101、INBRX-105、INBRX-105、INCAGN-1876、INCAGN-1949、INCAGN-2385、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2b、INVAC-1、IO-102、IO-103、IO-112、IO-202、ION-224、ION-251、ION-464、ION-537、ION-541、ION-859、IONIS-AGTLRx、IONISAR-2.5Rx、IONIS-C9Rx、IONIS-FB-LRx、IONIS-FXILRx、IONIS-FXIRx、IONIS-GCGRRx、IONIS-HBVLRx、IONIS-HBVRx、IONIS-MAPTRx、IONIS-PKKRx、
IONISTMPRSS-6LRx、IPN-59011、IPP-204106、Ir-CPI、IRL-201104、IRL-201805、ISA-101、ISB-1302、ISB-1342、ISB-830、イスカリマブ、ISU-104、IT-1208、ITF-2984、IXTM-200、JBH-492、JK-07、JMT-101、JMT-103、JNJ-0839、JNJ-3657、JNJ-3989、JNJ-4500、JNJ-67571244、JNJ-75348780、JNJ-9178、JS-003、JS-004、JS-005、JSP-191、JTX-4014、JY-025、JZB-30、JZB-34、K-170、K-193、KAN-101、KD-033、KER-050、KH-903、KHK-4083、KHK-6640、EDV小児、KLA-167、KLA-167、KLT-1101、KMRC-011、KN-026、KPL-404、KSI-301、KTN-0216、KTP-001、KUR-113、KY-1005、KY-1044、ラベツズマブゴビテカン、ラノツズマブ、ラクトマブ、ラジラツズマブベドチン、ラロニダーゼ、LBL-007、LDOS-47、レトリズマブ、酢酸リュープロリド、LEVI-04、LH-021、リアテルミン、リリルマブ、LIS-1、LKA-651、LLF-580、LMB-100、LNA-043、LOAd-703、ロダポリマブ、ロルカフスプアルファ、LP-002、LT-1001、LT-1001、LT-1001、LT-3001、LT-3001、LTI-01、LTX-315、LuAF-82422、LuAF-87908、
ルリズマブペゴール、LVGN-6051、LY-3016859、LY-3022855、LY-3041658、LY-3305677、LY-3372993、LY-3375880、LY-3434172、LY-3454738、LY-3561774、LZM-009、M-032、M-1095、M-254、M-6495、M-701、M-802、M-9241、MAG-Tn3、MAU-868、MB-108、MBS-301、MCLA-117、MCLA-145、MCLA-158、MDNA-55、MDX-1097、MEDI-0457、MEDI-0618、MEDI-1191、MEDI-1341、MEDI-1814,MEDI-3506、MEDI-3617+トレメリムマブ、MEDI-5117、MEDI-5395、MEDI-570、MEDI-5752、MEDI-5884、MEDI-6012、MEDI-6570、MEDI-7352、MEDI-9090、MEN-1112、メプラズマブ、メザギタマブ、MG-021、MG-1113A、MGC-018、MIL-62、MIL-77、MIL-86、ミタザリマブ、MK-1654、MK-3655、MK-4166、MK-4280、MK-4621、MK-5890、モルグラモスチム、腫瘍学に対するCD276を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、腫瘍学に対するCD45を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、非小細胞肺癌および転移性結腸直腸癌に対するCEACAM5を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、転移性結腸直腸癌に対するムチン1を識別するコンジュゲート化モノクローナル抗体、前立腺癌に対するPSMAを標的とするコンジュゲート化モノクローナル抗体、デング熱に対するモノクローナル抗体、セリアック病に対するIL-2Rβに拮抗するモノクローナル抗体、腫瘍学および熱帯性痙性不全対麻痺、関節リウマチに対するインターロイキン-6受容体に拮抗するモノクローナル抗体、腫瘍学に対するPD1に拮抗するモノクローナル抗体、固形腫瘍に対するPD1に拮抗するモノクローナル抗体、HIV-1に対するCD4を阻害するモノクローナル抗体、腫瘍学に対するGD2を阻害するモノクローナル抗体、狂犬病に対する糖タンパク質を阻害するモノクローナル抗体、自己免疫性および筋骨格障害に対するIL17を阻害するモノクローナル抗体、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するIL5を阻害するモノクローナル抗体、固形腫瘍に対するPD-L1を阻害するモノクローナル抗体、強直性脊椎炎、乾癬および関節リウマチに対するTNF-αを阻害するモノクローナル抗体、デュピュイトラン拘縮に対するTNF-αを阻害するモノクローナル抗体、糖尿病性黄斑浮腫および滲出型加齢黄斑変性に対するVEGFを阻害するモノクローナル抗体、
腫瘍学および眼科に対するVEGFを阻害するためのモノクローナル抗体、転移性結腸直腸癌および非小細胞肺癌に対するVEGFAを阻害するモノクローナル抗体、血液癌および代謝障害に対するCD66bを標的とするモノクローナル抗体、HIV感染症に対するGP41を標的とするモノクローナル抗体、MORAb-202、モルテム(Motrem)、MP-0250、MP-0274、MP-0310、MP-0420、MRG-001、MRG-002、MRG-003、MRG-110、mRNA-2416、mRNA-2752、mRNA-3927、MSB-0254、MSB-2311、MSC-1、MT-1001、MT-1002、MT-2990、MT-3724、MT-3921、MTX-102、ムレンタマブ、MVT-5873、MVXONCO-1、MW-11、MW-33、NA-704、ナミルマブ、ナラツキシマブエムタンシン、ナバシズマブ、NBE-002、NBF-006、NC-318、NC-410、ネムバルキンアルファ、NEOPV-01、NG-348、NG-350a、NG-641、NGM-120、NGM-395、NGM-621、NI-006、NI-0801、ニダニリマブ、ニマシマブ、NIS-793、NIZ-985、NJA-730、NJH-395、NKTR-255、NKTR-358、NMIL-121、NN-9215、NN-9499、
NN-9775、NN-9838、NN-9931、NNC-03850434、NP-024、NP-025、NP-137、NPC-21、NPT-088、NPT-189、NRP-2945、NStride APS、NVG-111、NXT-007、NZV-930、OBI-888、OBI-999、OBT-076、OC-001、酢酸オクトレオチド、酢酸オクトレオチドCR、酢酸オクトレオチドミクロスフェア、オドロネクスタマブ、オドロネクスタマブ、OH-2、オラムキセプト、オレクルマブ、オリンバシマブ、オルパシラン、オルビムロジェンナノバシレプベク(olvimulogene nanivacirepvec)、OMS-906、オナボツリヌムトキシンA、ONC-392、ONCase-PEG、ヒトパピローマウイルス関連癌、ヒトパピローマウイルス感染症およびコロナウイルス病2019(COVID-19)に対する腫瘍溶解性ウイルス、転移性乳癌に対する腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対する腫瘍溶解性ウイルス、再発性前立腺癌および転移性膵臓癌に対するIL-12を活性化する腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対するチミジンキナーゼを活性化する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するPD1に拮抗する腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するCD155/NECL5を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍学に対するCD46およびSLC5A5を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連固形腫瘍に対するE6およびE7を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、固形腫瘍に対するMAGE-A3を標的とする腫瘍溶解性ウイルス、ONCOS-102、ONCR-177、オンゲリシマブ、ONO-4685、オンバチリマブ、OPK-88005、OPT-302、ORCA-010、OrienX-010、オリラノリマブ、オルチスマブ、OS-2966、OSE-127、オソシマブ、オテリキシズマブ、OTO-413、OTSA-101、OXS-1550、OXS-3550、P-28R、P-2G12、パクミリマブ、パノバクマブ、パルボリックス、パシレオチド、パソツキシズマブ、PC-mAb、PD-01、PD-0360324、PD-1+アンタゴニストロペグインターフェロンアルファ-2b、ペグベルフェルミン、ペグインターフェロンラムダ-1a、ペラレープ、ペラレープ、ペムジビプタジル、PEN-221、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペピネマブ、ペピネマブ、コロナウイルス病2019(COVID-19)に対するペプチド、固形腫瘍に対するペプチド、ペルツズマブバイオベッター、ペキサスチモジンデバシレプベク、PF-04518600、PF-06480605、PF-06730512、PF-06755347、PF-06804103、PF-06817024、PF-06823859、PF-06835375、PF-06863135、PF-06940434、PF-07209326、PF-655、PHN-013、PHN-014、PHN-015、ピジリズマブ、PIN-2、プラモタマブ、プラスミノーゲン(ヒト)1、プレキサリス、PM-8001、PNT-001、Pollinex Quattro Tree、PolyCAb、Poly-ICLC、PolyPEPI-1018、ポンセグロマブ、PP-1420、PR-15、PR-200、プラシネズマブ、プレキシゲベルセン、PRL3-ZUMAB、糖尿病性足潰瘍および脳出血に対するタンパク質、変形性関節症および喘息に対するタンパク質、感染症および腫瘍学に対するIL12を活性化するタンパク質、PRS-060、PRTX-100、PRV-300、PRV-3279、PRX-004、PSB-205、PT-101、PT-320、PTR-01、PTX-35、PTX-9908、PTX-9908、PTZ-329、PTZ-522、PVX-108、QBECO-SSI、QBKPN-SSI、QL-1105、QL-1203、QL-1207、QL-1604、QPI-1007、
QPI-1007、クアボンリマブ、ケトモリマブ、QX-002N、QX-005N、ラドスフェリン、ラニビズマブ、ランピルナーゼ、ラバガリマブ、次世代ラブリズマブ、RC-28、RC-402、RC-88、RD-001、REC-0438、メトトレキサート毒性に対する組換えカルボキシペプチダーゼG2、有機リン系神経剤中毒に対する組換え酵素、心血管、中枢神経系、筋骨格および代謝障害に対するGHRHを刺激する組換えペプチド、感染性疾患に対する組換え血漿ゲルゾリン代替物、炎症性腸疾患、多発性硬化症および乾癬に対する組換えタンパク質、腫瘍学に対する組換えタンパク質、腫瘍学に対するIFNAR1およびIFNAR2を刺激する組換えタンパク質、化学療法誘発性胃腸粘膜炎および口腔粘膜炎に対するKGFRを刺激する組換えタンパク質、特発性血小板減少性紫斑病に対するトロンボポエチン受容体を刺激する組換えタンパク質、リンパ腫および固形腫瘍に対するCD13を阻害する組換えタンパク質、血友病Aおよび血友病Bに対する凝固第XIV因子を阻害する組換えタンパク質、急性高尿酸血症に対する組換え尿酸オキシダーゼ代替物、トリフルオロ酢酸レダセムチド、REGN-1908 1909、REGN-3048、REGN-3051、REGN-3500、REGN-4018、REGN-4461、REGN-5093、REGN-5458、REGN-5459、REGN-5678、REGN-5713、REGN-5714、REGN-5715、REGN-6569、REGN-7075、REGN-7257、レムラルセン、レナパリン、REP-2139、REP-2165、レテプラーゼ、RG-6139、RG-6147、RG-6173、RG-6290、RG-6292、RG-6346、RG-70240、RG-70240、RG-7826、RG-7835、RG-7861、
RG-7880、RG-7992、RGLS-4326リグビル、リリモジェンガルバシレプベク(rilimogene galvacirepvec)、リステガニブ、リツキシマブ、RMC-035、RO-7121661、RO-7227166、RO-7284755、RO-7293583、RO-7297089、ロミルキマブ、ロポカンプチド、ロジバフスプアルファ、RPH-203、RPV-001、rQNestin-34.5v.2、RSLV-132、RV-001、RXI-109、RZ-358、SAB-176、SAB-185、SAB-301、SAIT-301、SAL-003、SAL-015、SAL-016、サングイネート(Sanguinate)、SAR-439459、SAR-440234、SAR-440894、SAR-441236、SAR-441344、SAR-442085、SAR-442257、SB-11285、SBT-6050、SCB-313、SCIB-1、SCO-094、SCT-200、SCTA-01、SD-101、SEA-BCMA、SEA-CD40、SelectAte、セレクレルマブ、SelK-2、セモリネマブ、セルクルタマブタリリン、セリバントマブ、セトルスマブ、セブパリンナトリウム、SFR-1882、SFR-9213、SFR-9216、SFR-9314、SG-001、SGNB-6A、SGNCD-228A、SGN-TGT、SHR-1209、SHR-1222、SHR-1501、SHR-1603、SHR-1701、SHR-1702、SHR-1802、SHRA-1201、SHRA-1811、SIB-001、SIB-003、simlukafuspアルファ、シプリズマブ、シルクマブ、SKB-264、SL-172154、
SL-279252、SL-701、SOC-101、SOJB、ソマトロピンSR、ソタテルセプト、スピフェルミン、SRF-617、SRP-5051、SSS-06、SSS-07、ST-266、STA-551、STI-1499、STI-6129、STK-001、STP-705、STR-324、STRO-001、STRO-002、STT-5058、SubQ-8、スリツズマブ、スブラトキスマブ、SVV-001、SY-005、SYD-1875、Sym-015、Sym-021、Sym-022、Sym-023、SYN-004、SYN-125、B型肝炎および2型糖尿病に対するSLC10A1を阻害する合成ペプチド、慢性腎臓疾患に対するGHSRを調節する合成ペプチド、甲状腺髄様癌に対するCCKBRを標的とする合成ペプチド、神経内分泌胃腸膵管腫瘍に対するソマトスタチンレセプターを標的とする合成ペプチド、T-3011、T-3011、TA-46、TAB-014、TAB-014、タフォキシパリンナトリウム、TAK-101、TAK-169、TAK-573、TAK-611、TAK-671、タルケタマブ、タサデノツレブ、TBio-6517、TBX.OncV NSC、テボテリマブ、テクリスタマブ、テイソツズマブベドチン、テロメリシン、テメリマブ、テネクテプラーゼ、テシドルマブ、テベレリクス、TF-2、TG-1801、TG-4050、TG-6002、TG-6002、T-Guard、THOR-707、THR-149、THR-317、トロンボソーム、チマルファシン、チラボネマブ、TILT-123、チルベスタマブ、チヌリマブ、チパキノゲンソバチベック、チプレレスタット、TM-123、TMB-365、TNB-383B、TNM-002、TNX-1300、トマラリマブ、トムゾツキシマブ、トナバカーゼ、トラレシニダーゼアルファ、
トレバナニブ、トレボグルマブ、TRK-950、TRPH-222、TRS-005、TST-001、TTHX-1114、TTI-621、TTI-622、TTX-030、TVT-058、TX-250、TY-101、チジブマブ、U-31402、UB-221、UB-311、UB-421、UB-621、UBP-1213、UC-961、UCB-6114、UCHT-1、UCPVax、ウロクプルマブ、UNEX-42、UNI-EPO-Fc、ウレルマブ、UV-1、V-938、急性リンパ性白血病に対するワクチン、B細胞非ホジキンリンパ腫に対するワクチン、慢性リンパ性白血病に対するワクチン、神経膠腫に対するワクチン、ホルモン感受性前立腺癌に対するワクチン、メラノーマに対するワクチン、非筋肉浸潤性膀胱癌に対するワクチン、卵巣癌に対するワクチン、腫瘍学に対するBrachyuryおよびHER2を標的とするワクチン、腫瘍学に対するBrachyuryを標的とするワクチン、B細胞非ホジキンリンパ腫に対するCCL20を標的とするワクチン、結腸直腸癌に対するCEAを標的とするワクチン、代謝障害、免疫学、感染症および筋骨格障害に対するIFN-アルファを標的とするワクチン、VAL-201、バンチクマブ、バヌシズマブ、バルリルマブ、Vas-01、VAX-014、VB-10NEO、VCN-01、ビベコタマブ、ビボストリマブ、VIR-2218、VIR-2482、VIR-3434、VIS-410、VIS-649、
ビクサレリマブ、VLS-101、ボファタマブ、ボラギデマブ、ボプラテリマブ、Voyager-V1、VRC-01、VRC-01LS、VRC-07523LS、VTP-800、ブナキズマブ、ブパノルセンナトリウム、Vx-001、Vx-006、W-0101、WBP-3425、XAV-19、キセンツズマブ、XmAb-20717、XmAb-22841、XmAb-23104、XmAb-24306、XMT-1536、XoGlo、XOMA-213、XW-003、Y-14、Y-242、YH-003、YH-14618、YS-110、YYB-101、ザゴテネマブ、ザリフレリマブ、ザンピリマブ、ザニダタマブ、ザニダタマブ、ザンセシマブ、ゼノクツズマブ、ZG-001、ZK-001、ZL-1201、ゾフィン、またはそれらの組み合わせ。
【0200】
好ましい実施形態では、本発明による医療用注射デバイスを組み立てるための部品キットは、適用可能な限り、上述の医療用デバイスの好ましい特徴を含む。
【0201】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として以下に与えられるその好ましい実施形態のいくつかの以下の説明からより容易に明らかになるであろう。
【0202】
図中、以下の通りである:
【図面の簡単な説明】
【0203】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態による医療用注射デバイス、特にシリンジを部分縦断面で示す。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態による医療用注射デバイスを製造するための装置を概略的に示すブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層の厚さの公称容量1mLおよびそれぞれ3mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿ったプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図4】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層の厚さの公称容量1mLおよびそれぞれ3mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿ったプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図5】
図5は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図6】
図6は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図7】
図7は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図8】
図8は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図9】
図9は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図10】
図10は、本発明の好ましい実施形態による、および従来技術による、コーティング層の塗布および冷却直後(t0)ならびに室温での3ヶ月間の保管後(t3)に室温で測定された厚さの、公称容量0.5mLの医療用注射デバイスのシリンダの軸方向展開に沿った、シリンダの内面に塗布された例示的なコーティング層のプロファイルを示す同数のグラフを示す。
【
図11】
図11は、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の公称容量1mLを有する空のシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を異なる時点で示す図である。
【
図12】
図12は、異なる時点における、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の公称容量1mLを有する空のシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す図である。
【
図13】
図13は、異なる時点における、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、1mPa・sの動粘度を有する試験溶液で充填された、公称容量1mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図14】
図14は、異なる時点における、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、1mPa・sの動粘度を有する試験溶液で充填された、公称容量1mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図15】
図15は、異なる温度での7日間の貯蔵時間後の本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量1mLのシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図16】
図16は、異なる温度での7日間の貯蔵時間後の、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量1mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図17】
図17は、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、-40℃の温度で2および7日間の貯蔵時間後の、試験溶液で充填された公称容量1mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図18】
図18は、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、-40℃の温度で2および7日間の貯蔵時間後の、試験溶液で充填された公称容量1mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図19】
図19は、異なる時点での、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の室温で公称容量0.5mLを有する空のシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す図である。
【
図20】
図20は、異なる時点での、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の室温で公称容量0.5mLを有する空のシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す図である。
【
図21】
図21は、-40℃の貯蔵温度を使用した異なる時点における、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図22】
図22は、異なる時点における、-40℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図23】
図23は、異なる時点における、+5℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図24】
図24は、異なる時点における、+5℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図25】
図25は、異なる時点における、+25℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図26】
図26は、異なる時点における、+25℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図27】
図27は、異なる時点における、+40℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図28】
図28は、異なる時点における、+40℃の貯蔵温度を使用した、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスのいくつかの例の、試験溶液で充填された公称容量0.5mLのシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を示す。
【
図29】
図29は、異なる温度での3ヶ月間の保管後の、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、
図21~
図28に示す試験溶液で充填された公称容量0.5mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの静的摺動摩擦力の平均値を要約する。
【
図30】
図30は、異なる温度での3ヶ月間の保管後の、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、
図21~
図28に示す試験溶液で充填された公称容量0.5mLを有するシリンダに取り付けられたプランジャの動的摺動摩擦力の平均値を要約する。
【
図31】
図31は、本発明による、および従来技術による、室温で測定された、3.0mLの公称充填量を有するシリンダを有し、3.3mLの水性試験溶液で充填され、自動撹拌(サンプルの360°回転)を受けた医療用注射デバイスの例の10μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図32】
図32は、本発明による、および従来技術による、室温で測定された、3.0mLの公称充填量を有するシリンダを有し、3.3mLの水性試験溶液で充填され、自動撹拌(サンプルの360°回転)を受けた医療用注射デバイスの例の25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図33】
図33は、本発明による、および従来技術による、0.25mLの水性試験溶液で充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する医療用注射デバイスの例の、時間0および6ヶ月間の保管後の3つの異なる温度条件で測定された10μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図34】
図34は、本発明による、および従来技術による、0.25mLの水性試験溶液で充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する医療用注射デバイスの例の、時間0および6ヶ月間の保管後の3つの異なる温度条件で測定された10μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図35】
図35は、本発明による、および従来技術による、0.25mLの水性試験溶液で充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する医療用注射デバイスの例の、時間0および6ヶ月間の保管後の3つの異なる温度条件で測定された10μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図36】
図36は、-40℃の温度で異なる貯蔵時間で測定されたMFI試験によって決定された、公称充填量1.0mLを有するシリンダを有し、0.55mLの水性試験溶液で充填された、本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図37】
図37は、-40℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図38】
図38は、-40℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図39】
図39は、-40℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図40】
図40は、-40℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図41】
図41は、+5℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図42】
図42は、+5℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図43】
図43は、+5℃の温度で測定され、コーティングがプラズマ照射処理された、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図44】
図44は、+5℃の温度で測定され、コーティングがプラズマ照射処理された、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図45】
図45は、+5℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図46】
図46は、+5℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図47】
図47は、+25℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図48】
図48は、+25℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図49】
図49は、+25℃の温度で測定された、500μLの水性試験溶液が充填され、コーティングがプラズマ照射処理された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図50】
図50は、+25℃の温度で測定された、500μLの水性試験溶液が充填され、コーティングがプラズマ照射処理された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図51】
図51は、+25℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図52】
図52は、+25℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図53】
図53は、+40℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図54】
図54は、+40℃の温度で測定され、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図55】
図55は、+40℃の温度で測定され、コーティングがプラズマ照射処理された、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図56】
図56は、+40℃の温度で測定され、コーティングがプラズマ照射処理された、500μLの水性試験溶液が充填された、公称充填量0.5mLを有するシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を示す。
【
図57】
図57は、+40℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図58】
図58は、+40℃の温度で異なる貯蔵時間においてMFI試験によって測定された、500μLの水性試験溶液が充填された公称充填量0.5mLのシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の粒子放出値を示す。
【
図59】
図59は、異なる温度で3ヶ月保管した後に、コーティングがプラズマ照射処理に供された、0.5mLの公称充填量を有し、500μLの水性試験溶液で充填されたシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を要約する。
【
図60】
図60は、異なる温度で3ヶ月保管した後に、コーティングがプラズマ照射処理に供された、0.5mLの公称充填量を有し、500μLの水性試験溶液で充填されたシリンダを有する本発明によるおよび従来技術による医療用注射デバイスの例の、10μm以上およびそれぞれ25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を要約する。
【
図61】
図61は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図62】
図62は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図63】
図63は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図64】
図64は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図65】
図65は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図66】
図66は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【
図67】
図67は、医療用注射デバイスのシリンダの様々な領域における様々な照射時間でのプラズマ照射による部分架橋に供された本発明によるおよび従来技術によるシリコーン材料のコーティング層の光学顕微鏡によって作製された同数の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0204】
本発明の好ましい実施形態による医療用注射デバイス、特にシリンジは、
図1において参照番号1で全体的に示されている。
【0205】
本明細書で使用される「シリンジ」という用語は、機能性シリンジを提供するために1つ以上の他の構成要素と組み立てられるように適合されたカートリッジ、注入「ペン」および他のタイプのバレルまたはリザーバを含むために広く定義される。
【0206】
「シリンジ」という用語はまた、内容物を吐出するための機構を提供する自己注射器などの関連物品を含む。
【0207】
シリンジ1は、実質的に円錐形の端部2bが設けられた実質的に円筒形の本体2aを有するガラス製のシリンジシリンダ2を備える。
【0208】
シリンダ2は、コーティング層4でコーティングされた内面3を有する。
【0209】
シリンダ2はまた、摺動係合によってプランジャ5を受け入れるように構成される。
【0210】
従来の方法それ自体は、プランジャ5は、駆動ステム6の一端に関連付けられる。
【0211】
図1に示す好ましい実施形態では、シリンジ1は、シリンダ2内に、その内面3と接触する注入可能な液体7、例えば液体医薬組成物を更に含む。
【0212】
シリンジ1にはまた、安全な状態で注入可能な液体7の輸送を可能にするように、シリンダ2の端部2bの閉鎖キャップ8が設けられている。
【0213】
好ましい実施形態では、コーティング層4は、室温で約12500cSt(125cm2/s)に等しい動粘度を有する約100重量%のポリジメチルシロキサン、例えば、Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)の名称で市販されているポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。
【0214】
図1に示すシリンジ1のコーティング層4は、上記の説明に示され、本明細書で参照される特徴の1つ以上を含む。
【0215】
好ましい実施形態では、シリンジ1は、
図2に概略的に示す装置10によって製造され得る。
【0216】
装置10は、保管されたコーティング組成物を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素が設けられたコーティング組成物を保管するための、好ましくはステンレス鋼製の貯蔵タンク11を備える。
【0217】
例えば、タンク11の加熱要素は、適切な加熱流体が循環する電気抵抗器または管であってもよく、タンク11自体の内部に配置されてもよく、または適切な加熱流体が循環するタンク11の外側ジャケットであってもよい。
【0218】
タンク11は、それ自体既知の方法で適切に絶縁された、好ましくはステンレス鋼製の管13によって、コーティング組成物の循環ポンプ12と流体連通している。
【0219】
好ましい実施形態では、ポンプ12は、同じく図示されていないポンプ12の送出ヘッドを加熱するように構成された、
図2にはよく示されていないそれぞれの加熱要素を備える。
【0220】
単なる例として、ポンプ12の送出ヘッドの加熱要素は、例えば、送出ヘッドに関連付けられた例えば円筒形のそれぞれのケーシングに組み込まれた、ポンプの送出ヘッド12と熱交換関係にある1つ以上の電気抵抗器を備えてもよい。
【0221】
ポンプ12は、それ自体既知の方法で適切に絶縁された、好ましくはステンレス鋼製の管15を介してコーティング組成物を吐出するように構成された吐出ヘッド14と流体連通している。
【0222】
吐出ヘッド14には、シリンジ1のシリンダ2の内面3上にコーティング組成物を噴霧するように構成された少なくとも1つの吐出ノズル(
図2にはよく示されていない)が設けられている。
【0223】
吐出ヘッド14には、ノズルによって吐出されたコーティング組成物を加熱するように構成された、それぞれの加熱要素(これらも
図2にはよく示されていない)が設けられている。
【0224】
単なる一例として、この加熱要素は、吐出ノズルと熱交換関係にある電気抵抗器であってもよく、例えば、吐出ノズルに関連付けられた例えば円筒形のケーシングに組み込まれてもよい。
【0225】
したがって、装置10のこの好ましい実施形態では、貯蔵タンク11、ポンプ12、および吐出ヘッド14は、管13、15を介して互いに流体連通している。
【0226】
特に好ましい実施形態では、管13、15は、それぞれの加熱要素、例えば、適切な加熱流体が循環する管の電気抵抗器または外側ジャケットと熱交換関係にある。
【0227】
それ自体既知の方法で、吐出ヘッド14のノズル(複数可)は、管17を介して適切な吐出ガス、例えば圧縮空気の供給源16と流体連通している。
【0228】
好ましくは、供給源16は、5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、より好ましくは約30psi(2.07バール)に等しい圧力で圧縮空気を吐出する。
【0229】
図2にはよく示されていないそれ自体既知の方法で、装置10は、それぞれのシリンジ1の複数のシリンダ2の可動支持フレームを備え、そのうちの1つが
図2に概略的に示されている。
【0230】
コーティング組成物の吐出ヘッド14およびシリンジ1のシリンダ2の支持フレームは、吐出ヘッド14の各ノズルを当該複数のシリンダ2のそれぞれのシリンダ2に挿入する/引き抜くために互いに対して移動可能である。
【0231】
好ましい実施形態では、吐出ヘッド14とシリンダ2の支持フレームとの間の相対移動は、固定された吐出ヘッド14に対して後者を移動させることによって行われる。
【0232】
医療用注射デバイス、例えば上述のシリンジ1を製造する方法の好ましい実施形態は、好ましくは
図2に示す装置10によって行われる以下の工程を含む。
【0233】
第1の工程は、例えば、約12500cSt(125cm2/s)に等しい室温での公称動粘度を有する約100重量%の量のポリジメチルシロキサンLiveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)を含む、ポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供することを含む。
【0234】
好ましくは、コーティング組成物を提供するこの工程は、コーティング組成物を貯蔵タンク11に保管することを含む。
【0235】
好ましくは、貯蔵タンク11に保管されたコーティング組成物は、タンク11に関連付けられた加熱要素によって、100℃~150℃、例えば約120℃に等しい温度に加熱される。
【0236】
好ましくは、貯蔵タンク11に保管された加熱されたコーティング組成物は、5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、好ましくは10psi(0.69バール)~30psi(2.07バール)、更により好ましくは10psi(0.69バール)~15psi(1.03バール)の圧力に維持される。
【0237】
次の工程では、加熱されたコーティング組成物は、ポンプ12を介して、少なくとも1つのノズル、好ましくは内面3上にコーティング層4を形成するようにシリンダ2の当該内面3上に加熱されたコーティング組成物を吐出する複数の吐出ノズルを備えた吐出ヘッド14に送られる。
【0238】
上記で説明したように、シリンダ2の内面3上への加熱されたコーティング組成物の吐出時間は、0.3秒~1秒、好ましくは0.4秒~0.7秒である。
【0239】
この方法は、貯蔵タンク11から前述の温度でコーティング組成物を吐出する吐出ヘッド14のノズルへの移動中に、コーティング組成物を100℃~150℃、例えば約120℃に等しい前述の温度に維持するように、吐出ヘッド14、より好ましくはポンプ12の送出ヘッドならびに管13および15も加熱することを含む。
【0240】
好ましくは、前述の温度で加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、より好ましくは6psi(0.41バール)~10psi(0.69バール)の圧力で加熱されたコーティング組成物を吐出することによって行われる。
【0241】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物のこの吐出は、供給源16から来て5psi(0.34バール)~150psi(10.34バール)、好ましくは6psi(0.41バール)~10psi(0.69バール)の圧力を有する吐出空気(ガス)を吐出ヘッド14に供給することを含む。
【0242】
好ましくは、コーティング組成物の貯蔵タンク11は、加熱されたコーティング組成物の吐出を最適化するように、吐出ヘッド14のノズル(複数可)の圧力よりも高い圧力に維持される。
【0243】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、加熱されたコーティング組成物を吐出する間、吐出ヘッド14とシリンダ2との間に相対運動を付与することを含む。
【0244】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、吐出ヘッド14のシリンダ2内への相対的な挿入運動中に、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に吐出することを含む。
【0245】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、加熱されたコーティング組成物を0.1μL/s~5μL/sの流量、例えば約0.5μL/sの流量で吐出することを含む。
【0246】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、0.2~0.4μg/mm2の加熱されたコーティング組成物の単位面積当たりの量を当該内面3上に塗布することを含む。
【0247】
好ましくは、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3上に塗布する工程は、内面3上に形成されたコーティング層4が、光反射率測定によって測定して、100~250nm、より好ましくは100~200nmの平均厚さを有するように行われる。
【0248】
好ましい実施形態では、シリンダの内面上に形成されたコーティング層4は、光反射率測定によって測定して、90nm以下、好ましくは70nm以下、更により好ましくは50nm以下の厚さ標準偏差を有する。
【0249】
好ましい実施形態では、10個のシリンダ2の各バッチについて、上述のようにして得られたコーティング層4の厚さのバッチ平均標準偏差SDは、70nm以下、好ましくは60nm以下、更に好ましくは50nm以下の値を有する。
【0250】
所望であれば、シリンダ2の内面3上に加熱されたコーティング組成物を塗布する工程の後、シリンダ2の内面3上に形成されたコーティング層4をポリジメチルシロキサンの部分架橋処理に供するさらなる工程を行うことが可能であり、例えば、アルゴン流を伴う大気圧のプラズマトーチによる照射によって行われる。
【0251】
好ましくは、照射処理は、極値を含めて0.2秒~1秒、より好ましくは0.2秒~0.6秒、更により好ましくは0.2秒~0.5秒の時間にわたって行われる。
【0252】
好ましくは、照射処理は、シリンダ2の内面3上に加熱されたコーティング組成物を塗布する工程の後、少なくとも15分、好ましくは15~20分の時間距離で行われる。
【0253】
必要に応じて、加熱されたコーティング組成物をシリンダ2の内面3に塗布する工程の前に、シリンダ2の内面3に前処理を施して、内面2に対するコーティング層4の接着性を改善するさらなる工程を行うことができる。
【0254】
特に好ましい実施形態では、この前処理は、シリンダ2の内面3上に接着促進剤の層、好ましくは[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランを含む接着促進剤の層を形成することを含む。
【0255】
図1に例として示されているもののようなプレフィルドシリンジを製造することが望ましい場合、シリンダ2の内面3に形成されたコーティング層4を室温に冷却した後に、シリンダ2に注入可能な液体7を充填するさらなる工程を行うことが可能である。
【0256】
最後に、
図1に示すプレフィルドシリンジ1を製造することが望ましい場合、キャップ8をシリンダ2の端部2bに関連付けてシリンジ1の内容物を密封するさらなる工程を行うことが可能である。
【0257】
ここで、例示的かつ非限定的な目的のために理解されるように、本発明をそのいくつかの例によって説明する。
【0258】
やはり例示であって限定ではないが、以下の例では、本発明による方法に従って製造され、ISO 11040-4規格(2015)に従って0.5mL、1mL長または3mLの公称充填量を有する医療用注射デバイス(シリンジ)は、シリンダ2の内面3上に加熱されたコーティング組成物の以下の塗布条件を提供することによって製造された。
【0259】
公称充填量0.5mLのシリンジ
各シリンダ2内の各吐出ヘッド14の総ストローク:最大75mm
吐出ヘッド14の速度:35mm/s
総サイクル時間(吐出ヘッド14の挿入/吐出時間+引き抜き時間):2.1秒
加熱されたコーティング組成物の吐出流量:0.30μL/s
吐出されたコーティング組成物の量:0.30μL
加熱されたコーティング組成物の吐出時間:1秒。
【0260】
公称充填量1mLのシリンジ
各シリンダ2内の各吐出ヘッド14の総ストローク:最大80mm
吐出ヘッド14の速度:52mm/s
総サイクル時間(吐出ヘッド14の挿入/吐出時間+引き抜き時間):1.5秒
加熱されたコーティング組成物の吐出流量:0.63μL/s
吐出されたコーティング組成物の体積:0.63μL
加熱されたコーティング組成物の吐出時間:1秒。
【0261】
例1~2(本発明)
医療用注射デバイスのシリンダの製造ならびにシリンダの内面に形成されたコーティング層の厚さおよび均一性の評価-公称充填量1mLまたは3mLのシリンジ
上記の方法および装置によって、約120℃に加熱され、室温で約12500cSt(125cm2/s)の公称動粘度を有するPDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)からなるコーティング組成物を、公称充填量1mL(例1)または3mL(例2)のシリンジのシリンダの内面に塗布した。
【0262】
貯蔵タンクを120℃に、ポンプの送出ヘッドを約50℃に、吐出ヘッドのノズルを約120℃に維持した。
【0263】
シリコーンオイルの堆積量は約0.2μg/mm2であった。
【0264】
このようにして、光反射率測定法によって測定されるように、シリンジのシリンダの本体の軸方向延在部全体にわたって一定の非常に薄い厚さを特徴とするコーティング層がシリンダの内面に形成された。
【0265】
特に、コーティング層の厚さは一定のままであり、平均して200nm未満、好ましくは平均して150nm未満であり、シリンダの軸方向全長の平均値は120~160nmであった。
【0266】
図3および
図4は、それぞれ1mLおよび3mLの公称充填量のシリンジのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の厚さのプロファイルを示す、実行された測定から得られたグラフを報告する。
【0267】
前述の図から分かるように、シリンダの内面のコーティング層は、公称容量3mLのシリンジの場合(
図4)は30nm未満であり、公称容量1mLのシリンジの場合(
図3)は20nm未満である厚さ標準偏差の低い値によって示される顕著な表面規則性を有する。
【0268】
目視、場合によっては自動化された検査試験に供した場合、両方のシリンジは評価エラーを誘発しなかった。
【0269】
例A~G
本発明によるシリンジおよび比較用シリンジの製造
上記の方法および装置によって、室温で約12500cSt(125cm2/s)の公称動粘度を有するPDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)からなる加熱されたコーティング組成物を、1mL(A-B-C-D)および3mL(E-F-G)の公称充填量のシリンジのシリンダの内面に塗布した。
【0270】
従来の方法および従来の装置によって、室温で約1000cSt(10cm2/s)の公称動粘度を有するPDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)からなるコーティング組成物を、同じタイプのシリンジのシリンダの内面に塗布した。
【0271】
貯蔵タンク、ポンプの送出ヘッドおよび吐出ヘッドのノズルの温度、ならびに堆積したシリコーンオイルの量を以下の表1に報告する。
【0272】
このようにして、光反射率測定法によって測定されるように、シリンジのシリンダの本体の軸方向延在部全体にわたって一定の非常に薄い厚さを特徴とするコーティング層がシリンダの内面に形成された。
【0273】
得られたコーティング層を、場合によっては、可変照射時間および以下の条件下で行われる大気圧でのプラズマトーチによる照射によって部分架橋に供した:
最大出力:100W
使用ガス:純度99%超のアルゴン
アルゴン流量:7SLM
【0274】
シリンジのシリンダの製造パラメータを以下の表1に報告する。
【表1】
公称動粘度12500cSt(125cm
2/s)を有する本発明によるシリコーン材料:PDMS Liveo(商標)Medical Fluid(DuPont)
公称動粘度1000cSt(10cm
2/s)を有する比較シリコーン材料:PDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid 1000 cSt。
【0275】
以下のパラメータを決定した:
-塗布されたコーティング層の平均厚さS、ならびに層の堆積後および冷却後(t0)に測定されたそれぞれの標準偏差;
-10個のシリンジのバッチのコーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SD。
【0276】
【0277】
存在する場合、シリンジのシリンダの内面の前処理は、
g1)シリンダの内面に、イソプロピルアルコール中の[(ビシクロヘプテニル)エチル]トリメトキシシランの2.2重量%溶液を、シリンダのサイズに応じて5~80μLの溶液量で、超音波静的ノズルによって噴霧する工程、および
g2)このように処理されたシリンダを140℃の温度のオーブン中で20分間加熱する工程
によって行われた。
【0278】
上記の表2のデータから分かるように、本発明によるシリンジの場合、コーティング層の平均厚さSは常に180nm未満の値に維持され、厚さ標準偏差は70nm以下であり、堆積の非常に高い規則性を確認した。
【0279】
10個のシリンジのバッチについて計算されたコーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDのデータは、60nm未満であり、本発明によるシリンジを製造する方法の高い再現性も確認する。
【0280】
このようにして製造されたシリンジをいくつかの試験に供して、得られたコーティングの静止摩擦力および動摩擦力、粒子の放出ならびに形態学的特性を評価した。これらの試験の結果を以下に報告する。
【0281】
例H~O
本発明によるシリンジおよび比較用シリンジの製造
上記の方法および装置によって、約120℃に加熱され、室温で約12500cSt(125cm2/s)の公称動粘度を有するPDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)からなるコーティング組成物を、公称充填量0.5mLのシリンジのシリンダの内面に塗布した。
【0282】
従来の方法および従来の装置によって、室温で約1000cSt(10cm2/s)の公称動粘度を有するPDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid(DuPont)からなる比較コーティング組成物を、同じタイプのシリンジのシリンダの内面に塗布した。
【0283】
貯蔵タンク、ポンプの送出ヘッドおよび吐出ヘッドのノズルの温度、ならびに堆積したシリコーンオイルの量を以下の表3に報告する。
【0284】
このようにして、光反射率測定法によって測定される、シリンジのシリンダの本体の軸方向延在部全体にわたって一定の非常に薄い厚さを特徴とするコーティング層がシリンダの内面に形成された。
【0285】
得られたコーティング層は、場合によっては、例A~Gで言及した条件下で可変照射時間で実施した大気圧でのプラズマトーチによる照射によって部分架橋を受けた。
【0286】
シリンジのシリンダの製造パラメータを以下の表3に報告する。
【表3】
公称動粘度12500cSt(125cm
2/s)を有する本発明によるシリコーン材料:PDMS Liveo(商標)Medical Fluid(DuPont)
公称動粘度1000cSt(10cm
2/s)を有する比較シリコーン材料:PDMS Liveo(商標)360 Medical Fluid 1000 cSt。
【0287】
例H、I、K(本発明)およびM、NおよびO(比較)について、層を堆積後および冷却した後(t0)、ならびに室温で3ヶ月間保管した後(t3)、以下のパラメータを決定した:
-塗布されたコーティング層の平均厚さSおよびそれぞれの厚さ標準偏差;
-10個のシリンジのバッチのコーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SD
【0288】
【0289】
さらに、例H、I、K(本発明)の塗布されたコーティング層の厚さの最大バッチ標準偏差は常に70nm未満の値に維持されていることが実験的に観察された。
【0290】
シリンジのシリンダの内面の前処理は、存在する場合、例A~Gを参照して上述したのと同じ方法によって行った。
【0291】
このようにして製造されたシリンジをいくつかの試験に供して、得られたコーティングの静止摩擦力および動摩擦力、粒子放出ならびに形態学的特性を評価した。これらの試験の結果を以下に報告する。
【0292】
コーティング層の厚さの評価
図5~
図10は、実施された測定から得られ、堆積および室温への冷却後(t0)および室温で3ヶ月保管した後(t3)の公称充填量0.5mLのシリンジのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の厚さのプロファイルを示すグラフを報告する。
【0293】
前述の表4のデータおよび前述の図から分かるように、本発明によるシリンジの場合、シリンダの内面のコーティング層は、顕著な表面規則性を有する低い平均厚さを有する。
【0294】
実際、コーティング層の平均厚さは常に230nm未満の値に維持されており、厚さ標準偏差は50nm未満であり、コーティング層の厚さの非常に高い規則性が確認された。
【0295】
特に、表4に示すように、本発明によるシリンジをプラズマ処理なしの従来技術によるシリンジと比較すること(例H対例M)によって、厚さ標準偏差が50%を超えて減少したことが実験的に見出され、使用されるシリコーン材料のはるかに高い動粘度にもかかわらず、コーティング層の堆積の規則性の顕著な改善が確認された。
【0296】
10個のシリンジのバッチについて計算されたコーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDの値は、50nm未満であり、本発明による医療用注射デバイスを製造する方法の高い再現性も確認する。
【0297】
自動目視検査試験に供した場合、本発明によるシリンジは評価誤差を誘発しなかった。
【0298】
室温で保管された空のシリンジでの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価
例AおよびB(本発明)、ならびにCおよびD(比較)のシリンジを一連の比較試験に供して、空のシリンダについて行った静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値を評価した。
【0299】
シリンジはすべて1.0mLの公称充填量を有し、摩擦力を、時間0ならびに室温で6ヶ月の貯蔵時間後に室温で測定した。
【0300】
摩擦力の測定を、ZwickiLine Z2.5(Zwick Roell)動力計を用いて、以下の方法で行った。
・シリンジを動力計の適切な支持体に配置する
・ロードセル力をリセットする(加圧下ではない)
・240mm/分の定速変形、0.5Nのプリロード、および30Nの予め設定された力でのエンドストップを設定する。
・試験を開始し(30サンプル/例)、得られた力を測定する。
【0301】
動力計から得られた曲線を分析することにより、静止摩擦力は第1の初期ピークに対応する力として特定され、動摩擦力は第1の初期ピークとエンドストップピークとの間のゾーンの値の平均として特定された。
【0302】
30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を
図11および
図12にそれぞれ報告する。
【0303】
前述の図から分かるように、様々な照射時間に供されたシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例Aおよび例B)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、完全に許容可能であり、医薬品業界および化粧品業界によって要求される以前に示された限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内に収まる。
【0304】
シリンダのコーティング層の最大許容照射時間は1秒程度であることにも留意されたい。
【0305】
室温で充填および保管されたシリンジの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価-公称充填量1mL長の空のシリンジ
例Aおよび例B(本発明)ならびに例Cおよび例D(比較)のシリンジをさらなる一連の比較試験に供して、医薬品の挙動をシミュレートする1mPa・s(1cP)の動粘度を達成するために、水およびグリセロール(0.02%体積~0.04%体積のグリセロールの体積分率)を含む水性試験溶液(注入可能な液体)で充填された公称充填量1.0mLを有するシリンダに対して実施された静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値を評価した。
【0306】
試験は、空のシリンジと同じ条件下で実施され、
図13および
図14にそれぞれ報告された30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を与えた。
【0307】
この場合も、様々な照射時間を受けたシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例Aおよび例B)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は依然として許容可能であった(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)。
【0308】
この場合も、シリンダコーティング層の最大許容照射時間は1秒程度であることが分かった。
【0309】
異なる温度で7日間保管した後の充填されたシリンジの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価-公称充填量1mLのシリンジ
例Eおよび例F(本発明)ならびに例D(比較)のシリンジを一連の比較試験に供して、以下の組成を有する試験水溶液(注入可能な液体)0.55mLを充填した公称充填量1.0mLのシリンダに対して行った静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値を評価した:
・トロメタミン0.34mg
・トロメタミン塩酸塩1.30mg
・酢酸0.047mg
・酢酸ナトリウム0.132mg
・スクロース47.85mg
・注射剤用の水、0.55mLまでバランスアップ。
【0310】
摩擦力を、7日間の貯蔵時間後に、室温(RT)ならびに-20℃および-40℃の温度で上記のように測定した。
【0311】
30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を
図15および
図16にそれぞれ報告する。
【0312】
前述の図から分かるように、照射に供されないか(例E)または0.3秒間照射に供される(例F)シリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例EおよびF)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、既知のタイプのコーティング層(公称動粘度約1000cStを有するシリコーン材料)が設けられた比較シリンジ(例D)のものと同等である。
【0313】
さらに、本発明によるシリンジ(例EおよびF)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、製薬業界および化粧品業界によって以前に要求された指定の限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内に完全に収まる。
【0314】
-40℃の温度で2日間および7日間保管した後の充填されたシリンジの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価-公称充填量1mLを有するシリンジ
例Eおよび例F(本発明)ならびに例D(比較)のシリンジをさらなる一連の比較試験に供して、以下の組成を有する試験水溶液(注入可能な液体)0.55mLを充填した公称充填量1.0mLを有するシリンダに対して行った静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値を評価した:
・トロメタミン0.34mg
・トロメタミン塩酸塩1.30mg
・酢酸0.047mg
・酢酸ナトリウム0.132mg
・スクロース47.85mg
・注射剤用の水、0.55mLまでバランスアップ。
【0315】
摩擦力は、-40℃で2日間および7日間の貯蔵時間後に上記のように測定した。
【0316】
30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を
図17および
図18にそれぞれ報告する。
【0317】
前述の図から分かるように、照射に供されないか(例E)または0.3秒間照射に供される(例F)シリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例EおよびF)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、既知のタイプのコーティング層(公称動粘度約1000cStを有するシリコーン材料)が設けられた比較シリンジ(例D)のものと同等である。
【0318】
さらに、本発明によるシリンジ(例EおよびF)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、実質的に安定であり、例えば、製薬業界および化粧品業界によって以前に要求された指定の限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内に完全に収まるものであった。
【0319】
室温で保管された空のシリンジでの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価-公称充填量0.5mL長の空のシリンジ
例H、I、J、KおよびL(本発明)、ならびにM、NおよびO(比較)のシリンジを一連の比較試験に供して、空のシリンダについて行った静的および動的摺動摩擦の力の平均値を評価した。
【0320】
シリンジはすべて0.5mLの公称充填量を有し、摩擦力を、時間0ならびに室温で1ヶ月および3ヶ月の貯蔵時間後に室温で測定した。
【0321】
摩擦力の測定を、ZwickiLine Z2.5(Zwick Roell)動力計を用いて、以下の方法で行った。
・シリンジを動力計の適切な支持体に配置する
・ロードセル力をリセットする(加圧下ではない)
・プリロードおよびストップエンドを予め設定された30Nの力に設定せずに、100mm/分の一定速度で変形を設定する
・試験を開始し(30サンプル/例)、得られた力を測定する。
【0322】
動力計から得られた曲線を分析することにより、静止摩擦力は第1の初期ピークに対応する力として特定され、動摩擦力は第1の初期ピークとエンドストップピークとの間のゾーンの値の平均として特定された。
【0323】
30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を
図19および
図20にそれぞれ報告する。
【0324】
前述の図から分かるように、照射を受けていないか(例H)、または様々な照射時間(例I、J、KおよびL)を受けたシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例H、I、J、KおよびL)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、完全に許容可能であり、医薬品業界および化粧品業界によって以前に要求された限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内である。
【0325】
-40℃、+5℃、+25℃および+40℃の温度で保管した充填シリンジの静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値の評価-公称充填量0.5mLのシリンジ
例H、I、J、KおよびL(本発明)ならびに例M、NおよびO(比較)のシリンジをさらなる一連の比較試験に供して、以下の組成を有する試験水溶液(注入可能な液体)500μLを充填した公称充填量0.5mLのシリンダに対して実施した静的摺動摩擦力および動的摺動摩擦力の平均値を評価した:
・10mMリン酸ナトリウム
・40mM塩化ナトリウム
・0.03%(v/v)ポリソルベート20
・5%(w/v)スクロース
・注射用調製物のための水(0.22μmのフィルタ径で濾過されたMilliQ水溶液)で0.5mLおよびpH6.2までバランスアップ。
【0326】
摩擦力を、コーティング層の堆積および冷却後(t0)ならびに以下の温度:-40℃、+5℃、+25℃および+40℃で1ヶ月(t1)および3ヶ月(t3)の貯蔵時間後に上記のように測定した。
【0327】
30個のシリンジのバッチで測定された静止摩擦力および動摩擦力の平均値を
図21~
図28に報告する。
【0328】
前述の図から分かるように、照射に供されないか(例H)、または0.3秒もしくは0.5秒の時間(例K、I、JおよびL)の照射に供されたシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例H、I、J、KおよびL)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、既知のタイプのコーティング層(公称動粘度約1000cStを有するシリコーン材料)が設けられた比較シリンジ(例M、NおよびO)のものと同等である。
【0329】
さらに、本発明によるシリンジ(例H、I、J、KおよびL)の静止摩擦力および動摩擦力の平均値は、実質的に安定であり、例えば、製薬業界および化粧品業界によって以前に要求された指定の限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内に完全に収まるものであった。
【0330】
-40℃、+5℃、+25℃および+40℃の前述の温度で3ヶ月間保管した後の本発明によるおよび従来技術によるシリンジのプランジャの静止摩擦力および動摩擦力の平均値を、
図29および
図30の比較として更に報告する。
【0331】
前述の図から分かるように、様々な温度で3ヶ月間保管した後、本発明によるシリンジの静止摩擦力および動摩擦力の平均値(例H、I、J、KおよびL)は、既知のタイプのコーティング層が設けられ、医薬品業界および化粧品業界で必要とされる以前に示された限界値(静的摺動摩擦力については6N、動的摺動摩擦力については3N)内に完全に収まる比較シリンジ(例M、NおよびO)と同等である。
【0332】
室温での充填シリンジに対する粒子放出の評価
例E(本発明)ならびに例Cおよび例G(比較)のシリンジを、試験水溶液(注入可能な液体)中の粒子の放出を評価するために一連の比較試験に供した。
【0333】
シリンジはいずれも、3.0mLの公称充填量を有し、以下の組成を有する3.3mLの試験水溶液(注入可能な液体)で充填された:
・10mMリン酸ナトリウム(リン酸を用いてpH7.0に調整)
・0.9%(w/v)塩化ナトリウム
・0.02%(w/v)ポリソルベート80
・注射用調製物のための水で3.3mLまでバランスアップ。
【0334】
粒子分析の試験のためのサンプルの調製
・シリンジシリンダに試験溶液を充填し、シリンダをプランジャで閉じる
・保管(試験によって想定される場合)
・マルチラック撹拌機によるシリンジの30rpmの回転速度での3時間にわたる転倒回転(すなわち、シリンダの長手方向軸に垂直な軸を中心とした回転)
・シリンジのシリンダから水性試験溶液の吐出:動力計を介して自動化
【0335】
試験液は、特別な容器に収集される。
【0336】
粒子分析を実施するための少なくとも6mLの液体の体積を有するサンプル溶液のアリコート(プール)を得た(例えば、3.30mLで充填された2つのシリンジは、1つのプール=粒子分析用の1つのサンプルをもたらす)。
【0337】
試験溶液中に放出された粒子の濃度の測定を、以下の方法で行った。
【0338】
試験溶液中に放出された粒子の分析-例A~例G
光遮蔽(LO)法
上記で得られた試験溶液プールを、サブビジブル粒径およびカウントを決定するために光遮蔽装置(KL 04A、RION)によって分析した。
【0339】
この機器は、米国薬局方44-NF39(2021)に記載されているように、米国規格(787-788-789)に従って分析溶液中で粒子計数を行う。
【0340】
特に、溶液は、特別な針によって機器から吸引され、レーザ光源を通過する。溶液中の粒子は、レーザ光のビームの妨害を誘発し、したがってセンサに送られる信号を誘発し、粒子のサイズは、不明瞭な光の量によって与えられる。
【0341】
機器によって決定することができる寸法範囲は、1.3~100μmの範囲である。
【0342】
30個のシリンジから始まる15個の測定プールで得られた10μm以上および25μm以上のサイズを有する粒子の、室温でシリンジの回転直後に測定された濃度の正規化された値を
図31および
図32にそれぞれ報告する。
【0343】
上記の図から分かるように、照射を受けていないシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例E)は、それぞれ0.3秒間照射を受けた(比較例C)または照射を受けていない(比較例G)シリンダのコーティング層を有する比較シリンジ(例Cおよび例G)と比較して、改善された粒子放出挙動を示した。
【0344】
保管なしおよび保管ありの充填シリンジにおける異なる温度での粒子の放出の評価
例A(本発明)および例C(比較)のシリンジを、試験水溶液(注入可能な液体)中の粒子の放出を評価するために一連の比較試験に供した。
【0345】
シリンジはいずれも、0.5mLの公称充填量を有し、以下の組成を有する0.25mLの試験水溶液(注入可能な液体)で充填された:
・10mMリン酸ナトリウム
・40mM塩化ナトリウム
・0.03%(w/v)ポリソルベート20
・スクロース5%(w/v)
・注射用調製物のための水(0.22μmのフィルタ径を有する濾過されたMilliQ水溶液)で0.5mLおよびpH6.2までバランスアップ。
【0346】
粒子分析試験用サンプルの調製
・シリンジシリンダに試験溶液を充填し、シリンダをプランジャで閉じる
・保管
・マルチラック撹拌機によるシリンジの30rpmの回転速度での3時間にわたる転倒回転(すなわち、シリンダの長手方向軸に垂直な軸を中心とした回転)
・シリンジのシリンダからの試験水溶液の吐出:層流フード下で手動
【0347】
試験溶液中に放出された粒子濃度の測定を、以下の方法で行った。
【0348】
試験溶液中に放出された粒子の分析
LO(光遮蔽)
12個のプール(合計24個のシリンジから手動で吐出された溶液を2つずつグループ化することによって調製)で得られた10μm以上のサイズを有する粒子の、調製後の時間0ならびに5℃±3℃、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHの温度で6ヶ月間保管した後に測定された濃度の正規化された値を、それぞれ
図33、
図34および
図35に報告する。
【0349】
前述の図から分かるように、0.3秒間照射されたシリンダのコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例A)は、0.3秒間照射されたシリンダのコーティング層を有する比較シリンジ(比較例C)に対しても明らかに改善された粒子放出挙動を示した。
【0350】
図33~
図35に示す粒子放出値はまた、本発明によるシリンジが、比較シリンジに対して様々な温度で保管した後、経時的に改善された放出安定性を示すことを示している。
【0351】
低温保管を伴う充填シリンジに対する粒子の放出の評価
例E(本発明)および例D(比較)のシリンジを、試験水溶液(注入可能な液体)中の粒子の放出を評価するために一連の比較試験に供した。
【0352】
シリンジはすべて、1.0mLの公称充填量を有し、以下の組成を有する0.55mLの水溶液(注入可能な試験流体)で充填した:
試験用水溶液(注入可能な液体)の組成は以下の通りであった:
・トロメタミン0.34mg
・トロメタミン塩酸塩1.30mg
・酢酸0.047mg
・酢酸ナトリウム0.132mg
・スクロース47.85mg
・注射剤用の水、0.55mLまでバランスアップ。
【0353】
粒子分析試験用サンプルの調製
・シリンジシリンダに試験溶液を充填し、シリンダをプランジャで閉じる
・保管
・シリンジのシリンダから水性試験溶液を吐出する:動力計を介して自動化
【0354】
試験溶液中に放出された粒子の測定を、以下の方法で行った。
【0355】
試験溶液中に放出された粒子の分析
MFI(マイクロフローイメージング)
上記で得られた各プール1mLを、円形度および光強度などの特定のパラメータに基づいて異なる種類の粒子(シリコーン材料の粒子と相ではない粒子)を識別することができる機器の光学系により、流動イメージング分析装置(MFI(商標)マイクロフローイメージング、MFI 5200、ProteinSimple)によって分析して、溶液中の粒子の形態を評価した。
【0356】
シリコーン材料の粒子を識別するために使用した特定のパラメータは、以下の通りであった:
・アスペクト比≧0.83(すなわち、粒子の同じ二次モーメントを有する楕円の長軸の長さに対する短軸の長さの比);
・強度STD≧185(すなわち、粒子を表すすべてのピクセルの強度の標準偏差);
・ECD 10~25μmおよび25~100μm(すなわち、粒子と同じ面積を占める円の直径)。
【0357】
機器によって決定することができる寸法範囲は、10μmを超えるサイズを有する粒子の画像の良好な解像度で2~70μmである。
【0358】
-40℃で2日間および7日間の保管後に測定され、15の測定プール(合計30個のシリンジの動力計で吐出された溶液を2つずつグループ化することによって調製された)で得られた5~70μmのサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を
図36に報告する。
【0359】
上記の図から分かるように、照射を受けていないシリンダコーティング層を有する本発明によるシリンジ(例E)は、照射を受けていないシリンダコーティング層を有する比較シリンジ(例D)と比較して、同等の(2日間の保管後)または明らかに改善された(7日間の保管後)粒子放出挙動を示した。
【0360】
図36に示す粒子放出値はまた、本発明によるシリンジが、比較シリンジに対して低温保管した後、経時的に改善された放出安定性を示すことを示している。
【0361】
様々な温度で保管した充填シリンジに対する粒子の放出の評価-公称充填量0.5mLのシリンジ-例H~例O
例H、I、J、KおよびL(本発明)ならびに例M、NおよびO(比較)のシリンジを一連の比較試験に供して、試験水溶液(注入可能な液体)中の粒子の放出を評価した。
【0362】
シリンジはいずれも、0.5mLの公称充填量を有し、以下の組成を有する試験水溶液(注入可能な液体)500μLで充填された:
・10mMリン酸ナトリウム
・40mM塩化ナトリウム
・0.03%(v/v)ポリソルベート20
・5%(w/v)スクロース
・注射用調製物のための水(0.22μmのフィルタ径を有する濾過されたMilliQ水溶液)で0.5mLおよびpH6.2までバランスアップ。
【0363】
粒子分析試験用サンプルの調製
・シリンジのシリンダへの試験溶液の充填およびプランジャによるシリンダの閉鎖(プランジャ 4023/50 Grey Flurotec、Westar)
・異なる温度での保管
o 5℃±3℃
o 25℃/60% RH
o 40℃/75% RH
o -40℃
・-40℃で保管したシリンジについては、溶液を吐出する前に室温で1時間、転倒回転なしで解凍を行った。これは、一般にこの温度で保管される製品、すなわち温度に非常に敏感なバイオテック薬の実際の使用状況をシミュレートするために行われた。
・マルチラック撹拌気によるシリンジの30rpmに等しい回転速度での3時間にわたる転倒回転(すなわち、シリンダの長手方向軸に垂直な軸を中心とした回転)
・シリンジのシリンダからの試験水溶液の吐出:層流フードの下で手動で、合計12個のシリンジの溶液をグループ化する。
【0364】
試験溶液中に放出された粒子の濃度の測定を、以下の方法で行った。
【0365】
試験溶液中に放出された粒子の分析
LO(光遮蔽)
10個のプールのそれぞれ5mL(合計12個のシリンジの手動で吐出された溶液をプールすることによって調製)を粒子カウント分析装置(光遮蔽粒子計数器KL-04 A、Rion Co.,LTD.)によって分析した。
【0366】
この装置は、非経口溶液のサブビジブル粒子数分析の場合、米国薬局方44-NF39(2021)(2021)およびPh.Eur.2.9.19(第10版、2021)に記載されているように、USP<787>、<788>、<789>に従って動作することを可能にする。
【0367】
分析された粒子のサイズは、粒子がレーザビームを通過するときに粒子自体によって隠された光源のレーザ光の量によって決定され、したがって、センサによって検出される電圧変動を生成する。
【0368】
装置によって分析することができる粒子のサイズ範囲は、1.3~100μmである。
【0369】
-40℃、5℃±3℃、25℃/60%RH、40℃/75%RHの温度で調製後の時間0ならびに1ヶ月および3ヶ月間保管した後、10個のプールで得られた10μm以上および25μm以上のサイズを有する粒子の濃度の正規化された値を、
図37、
図38、
図41~
図44、
図47~
図50、
図53~
図56および
図59~
図60に報告する。
【0370】
前述の図から分かるように、すべての検出時間(t0、t1およびt3)およびすべての貯蔵温度で、本発明によるシリンジ(例H、I、J、KおよびL)は、特に-40℃の貯蔵温度を使用し、
図37および
図38によりよく示されているように、比較シリンジ(例M、NおよびO)に対して明らかに改善された粒子放出挙動を示した。
【0371】
特に、上記の図に示すように、本発明によるシリンジと従来技術によるシリンジとを同じプロセス条件下で比較することによって、すなわち、シリンジのシリンダの内面へのコーティング層の接着を改善するためのプラズマ処理の有無および前処理の有無によって、
-プラズマで処理されていないコーティング層および接着前処理に供されていないシリンジの場合、粒子放出が約70%減少した(例H対例M);
-コーティング層をプラズマで0.3秒間処理し、シリンジを接着前処理に供しなかった場合、粒子放出が約86%減少した(例I対例N);
-コーティング層をプラズマで0.3秒間処理し、シリンジを接着前処理に供した場合、粒子放出が約90%減少した(例K対例O)。
【0372】
さらに、
図41~
図44、
図47~
図50、および
図53~
図56によりよく示されているように、本発明によるシリンジを、前処理の有無にかかわらずプラズマ処理が施されたコーティング層(例I、J、KおよびL)と、同じ処理を施した先行技術によるコーティング層(例NおよびO)と比較することによって、本発明によるすべてのシリンジは、試験したすべての温度および貯蔵時間で眼科用途のためのUSP789規格の厳しい粒子放出要件を満たすことが実験的に見出されたが、その結果は、10μm以上のサイズの粒子に関する限り、従来のシリンジの場合には起こらない(
図41、
図43、
図47、
図49、
図53、
図55および
図59を参照)。
【0373】
逆に、25μm以上のサイズの粒子に関して、前処理(例I、J、KおよびL)の有無にかかわらず、コーティング層にプラズマ処理が施された本発明によるすべてのシリンジは、試験されたすべての温度および貯蔵時間でUSP789規格の粒子放出要件を満たし、その結果は従来技術によるシリンジでは一部の場合にのみ生じる(例NおよびO)。特に、3ヶ月の貯蔵時間後、比較例Nのシリンジは、5℃および40℃の貯蔵温度でのみ規格USP789の粒子放出要件を満たすが、比較例Oのシリンジは、いずれの貯蔵温度(
図42、
図44、
図48、
図50、
図54、
図56および
図60を参照)でも規格USP789の粒子放出要件を満たさない。
【0374】
MFI(マイクロフローイメージング)
0.5mLシリンジについて上記で得られた各プール1mLをフローイメージング装置(MFI(商標)マイクロフローイメージング、MFI 5200、ProteinSimple)によって分析して、上記のように溶液中の粒子の形態を評価した。
【0375】
10個のサンプル(上記のように調製した各プールから1mLの溶液を採取することによって得られた)で得られた、調製後の時間0ならびに-40℃、+5℃±3℃、+25℃/60%RHおよび+40℃/75%RHの温度で1ヶ月および3ヶ月間保管した後に測定されたサイズ10~25μmの粒子の濃度のパーセント値(例内で計算)を
図45~
図46、
図51~
図52および
図57~
図58に報告する。
【0376】
前述の図から分かるように、本発明によるシリンジ(例H、I、J、KおよびL)は、すべての温度およびすべての試験検出時間(t0、t1およびt3)で、比較シリンジ(例M、NおよびO)と比較してシリコーン粒子の放出を劇的に減少させることができた。
【0377】
空のシリンジのシリンダの内面に塗布されたコーティング層の形態学的特性の評価
本発明および従来技術に従って得られたコーティング層の異なる照射時間で起こり得るコーティング層の形態に対する効果を評価するために、光学顕微鏡によっていくつかの画像を取得した。
【0378】
一般に、コーティング層の表面が均質であるほど、または非常に微細な粒度を有するほど、形態学的観点から良好に見え、したがって、コーティング層の表面不規則性に起因して偽陽性の問題を発生させる自動光学検査システムを誤って導く傾向が低くなる。
【0379】
これに関連して、上記で説明したように、本出願人は、例えば、プラズマ処理における照射時間に関連する部分架橋の程度が、医療用注射デバイスのシリンダに保管された溶液中に存在する不純物として自動化された光学検査システムによって誤って「読み取り」され得るストリークおよび剥離を生成する限り、重要であることを観察した。
【0380】
本出願人は、これらのストリークおよび剥離が、最初にシリンジシリンダシリンダの円錐形部分(針が配置されている端部に最も近い)の領域に生じ、次いで円筒形部分に向かって伝播する傾向があることを観察した。
【0381】
図61は、本発明による例Bに従って得られたコーティング層に対して1秒の閾値を超える時間にわたって行われた照射の効果を示す画像を報告する。
【0382】
前述の図から分かるように、溝またはコーティング自体の浮きに匹敵する数ミリメートルまで延びる不均一性が見られる。明らかに、非常に薄い(塗布されるシリコーン材料の限られた量に関連する)コーティング層の使用は、この効果の発生を強調する。
【0383】
図62は、本発明による例Aに従って得られたコーティング層上で行われた0.3秒に等しい照射の効果を示す画像を報告する。
【0384】
前述の図から分かるように、コーティング層の表面は、マイクロメートルサイズのピークおよび谷を有するコーティングの分布におけるはるかに微細な不均一性によって特徴付けられ、
図61で検出可能な欠陥を有さない。
【0385】
図63は、
図620による同じシリンジのシリンダの円錐形端部付近のゾーンを示す画像を報告する。
【0386】
図63から分かるように、コーティング層の表面は実質的に均一であり、欠陥が実質的にない。
【0387】
図64および
図65は、比較例Cに従って得られたコーティング層に対して行われた0.3秒に等しい照射の効果を示す画像を報告する。
【0388】
前述の図から分かるように、円筒形部分およびそれぞれシリンダの隣接する円錐形端部で取られた場合、コーティング層の表面は、先の
図62および
図63による本発明によるシリンジ(例A)よりも大きい粒度を特徴とする。
【0389】
図66および
図67は、シリンジシリンダの円筒形部分と円錐形部分との間の接続ゾーンにおいて、本発明による例Aおよび比較例Cに従って得られたコーティング層に対して行われた1秒間の限界に近い照射の効果を示す画像を報告する。
【0390】
図66および
図67から分かるように、本発明による例Aに従って得られたコーティング層のプラズマ照射を実施することによって(
図66)、画像の右側のゾーン(シリンダの円錐形部分)において、それほど顕著ではなくてもストリークの存在を観察することができる。
【0391】
しかしながら、
図67に示すように、比較例Cに従って得られたコーティング層の場合に実施することによって、同じ放射条件で、ストリークがはるかに顕著に現れる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
さらに、その第2の実施形態では、本発明による医療用注射デバイスを製造する方法は、
a)室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有する92重量%以上の量のポリジメチルシロキサンを含むコーティング組成物を提供する工程、
b)コーティング組成物を100℃~150℃の温度に加熱する工程、
c)当該温度に加熱されたコーティング組成物をシリンダの当該内面上に塗布して、内面上に、光反射率測定によって測定して100~250nmの平均厚さを有するコーティング層を形成する工程、
を含み、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
さらに、第2の実施形態によれば、本発明による医療用注射デバイスは、コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダを備え、シリンダは、摺動係合を有するプランジャを受け入れるように構成され、
シリンダの内面の当該コーティング層が、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは、70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)シリンダの各n個の部分について、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
さらに、第2の実施形態によれば、本発明による部品キットは、無菌パッケージ内に以下の別個の構成要素:
-コーティング層でコーティングされた内面を有するガラスシリンダであって、摺動係合によってプランジャを受け入れるように構成されたガラスシリンダ、
-当該シリンダ内で摺動係合するように構成されたプランジャ、
を備え、
シリンダの内面の当該コーティング層は、室温で11500cSt(115cm2/s)~13500cSt(135cm2/s)の動粘度を有するポリジメチルシロキサンから実質的に作製され、100~250nmの平均厚さを有し、
10個のシリンダの各バッチについて、コーティング層の厚さのバッチ平均標準偏差SDは70nm以下の値を有し、
バッチ平均標準偏差SDは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたバッチの第iのシリンダの各任意の部分niの少なくとも6点においてコーティング層の厚さSpiを測定すること、
ii)バッチの第iのシリンダの前述の部分niの各々について、および各第iのシリンダについて、式
Sni=(Σp=1,6 Spi)/6
によって平均厚さSniを計算すること、
iii)各シリンダ部分nについて、式
SnL=(Σi=1,10 Sni)/10
によって部分nのバッチ平均厚さSnLを計算すること、
iv)バッチの10個のシリンジについて、部分nのバッチ平均厚さSnLに関して標準偏差SDnを計算すること、ならびに
v)式
SD=(Σi=1,N SDn)/N
(式中、Nは、バッチの各シリンダの部分の総数nである)
によって、厚さ標準偏差SDnの値からバッチ平均標準偏差SDを計算すること
によって得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
本明細書および後続の特許請求の範囲の枠組み内で、コーティング層の平均厚さSは、特に、好ましくは、
i)軸方向長さ1.0mmを有し、平面に展開されたシリンダの各任意の部分nの少なくとも6点においてコーティング層の厚さSpを測定すること、
ii)シリンダの前述のn個の部分の各々の平均厚さSnを計算することであって、Sn=(Σp=1,6 Sp)/6である、平均厚さSnを計算すること、
iii)シリンダのコーティング層の平均厚さSを計算することであって、S=(Σn=1,N Sn)/N(Nはシリンダの部分の総数nである)である、平均厚さSを計算すること、
によって得られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0352
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0352】
シリンジはすべて、1.0mLの公称充填量を有し、以下の組成を有する0.55mLの水溶液(注入可能な試験流体)で充填した:
・トロメタミン0.34mg
・トロメタミン塩酸塩1.30mg
・酢酸0.047mg
・酢酸ナトリウム0.132mg
・スクロース47.85mg
・注射剤用の水、0.55mLまでバランスアップ。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0366
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0366】
この装置は、非経口溶液のサブビジブル粒子数分析の場合、米国薬局方44-NF39(2021)およびPh.Eur.2.9.19(第10版、2021)に記載されているように、USP<787>、<788>、<789>に従って動作することを可能にする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0385
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0385】
図63は、図
62による同じシリンジのシリンダの円錐形端部付近のゾーンを示す画像を報告する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0391
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0391】
しかしながら、
図67に示すように、比較例Cに従って得られたコーティング層の場
合、同じ放射条件で、ストリークがはるかに顕著に現れる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】