IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノビオン ファーマシューティカルズ インクの特許一覧

<>
  • 特表-代謝障害を処置する方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】代謝障害を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/381 20060101AFI20240912BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K31/381
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/22
A61P3/10
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518431
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022076747
(87)【国際公開番号】W WO2023049721
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/261,515
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/362,003
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500114922
【氏名又は名称】サノビオン ファーマシューティカルズ インク
【氏名又は名称原語表記】Sunovion Pharmaceuticals Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ブリストウ,リンダ ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】デディック,ニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ハヨーシュ-コルショク,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,セス キャボット
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,フィリップ グリン
(72)【発明者】
【氏名】コブラン,ケネス エス
(72)【発明者】
【氏名】ミラノヴィチ,スネジャナ
(72)【発明者】
【氏名】サイナン,コリーン マリー
(72)【発明者】
【氏名】ション,クアンナン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA05
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA70
4C086ZC35
(57)【要約】
ここに提供されるのは、化合物、医薬組成物ならびに代謝障害および代謝障害を伴う精神障害ならびに疾患を処置する方法を含む、その使用方法である。例えば、ここに提供されるのは、化合物1:
またはその薬学的に許容される塩および医薬組成物および代謝障害ならびに代謝障害を伴う精神障害を処置する方法を含む、その使用方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【請求項2】
処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【請求項3】
2型糖尿病を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法。
【請求項4】
BMI≧25により定義される過剰肥満度指数(BMI)を有する処置を必要とするヒト対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項5】
糖尿病またはメタボリック症候群を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項6】
肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法ヒト対象であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項7】
インスリン抵抗性、インスリン非感受性、耐糖能障害および血糖値上昇から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項8】
処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、該ヒト対象が胃内容物の排出遅延をさらに必要とし、該対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項9】
処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、該ヒト対象に食事摂取状態で治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【請求項10】
朝および晩の服薬が同一または異なり、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の化合物1の平均ピーク血漿濃度を朝および晩ならびに約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の化合物1の平均トラフ血漿濃度を朝および晩に提供するのに十分である、請求項1、2または3の何れかの方法。
【請求項11】
朝の服薬が約12.5mg~約150mgである、請求項1、2または3の何れかの方法。
【請求項12】
晩の服薬が約12.5mg~約125mgである、請求項1、2または3の何れかの方法。
【請求項13】
化合物1が1日1回投与される、請求項4-9の何れかの方法。
【請求項14】
対象がBMI≧25、27.5または30kg/mにより定義される、過剰BMIである、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項15】
対象がBMI≧25、27.5または30kg/mにより定義される過剰BMIを有し、統合失調症、うつ病または不安診断前BMI<25kg/mの経歴を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項16】
対象が化合物1での治療開始前定型または非定型抗精神病剤で治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項17】
対象が化合物1での治療開始前リスペリドン、オランザピン、クエチアピンまたはアリピプラゾールで治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項18】
対象がBMI≧30kg/mにより定義される過剰BMIを有し、統合失調症、うつ病または不安診断前BMI<25kg/mの経歴を有し、対象が定型または非定型抗精神病剤で治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項19】
対象が定型または非定型抗精神病剤により誘発された過剰BMIを有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項20】
対象が糖尿病を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項21】
対象が糖尿病の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項22】
対象がメタボリック症候群を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項23】
対象がメタボリック症候群の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項24】
対象が肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する、請求項1~6、8または9の何れかの方法。
【請求項25】
対象がインスリン抵抗性を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項26】
対象がインスリン抵抗性の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項27】
対象がインスリン非感受性を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項28】
対象が糖出現率、糖消失率および/またはグリセロール出現率に基づくインスリン感受性を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項29】
対象がインスリン非感受性の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項30】
対象が耐糖能障害を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項31】
対象が食事に対する患者のインスリン、C-ペプチドおよび/またはグルコース反応に基づき耐糖能障害を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項32】
対象がグルコース、c-ペプチド、インスリン、グルカゴン、レプチン、GLP-1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される多重の代謝バイオマーカーに基づく耐糖能障害を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項33】
対象がβ細胞機能およびインクレチンのマーカーに基づき耐糖能障害を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項34】
対象が耐糖能障害の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項35】
対象の血糖値が高い、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項36】
対象が高い血糖値の薬物治療中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項37】
対象が食後の対象の充足感、空腹感および/または満腹感に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項38】
対象が統合失調症診断または抗精神病剤治療開始後のBMI増加に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項39】
対象が13Cスピルリナ呼気試験(GEBT)に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項40】
化合物1が食事摂取状態で投与される、請求項1~8の何れかの方法。
【請求項41】
対象が統合失調症の処置が必要である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項42】
対象が統合失調症の処置が必要であり、対象がCGI-Sスコア≦4(正常乃至が中等度の精神疾患)、SASスコア<2、AIMSスコア<3およびBARSスコア<3を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項43】
対象が統合失調症の処置が必要であり、対象が陽性および陰性症状スケール(PANSS)総スコア≦80を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項44】
対象がうつ病の処置が必要である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項45】
対象がaMDDの処置が必要である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項46】
対象が不安の処置が必要である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項47】
対象がGADの処置が必要である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項48】
対象が腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm)を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項49】
対象がトリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)を有するまたは現在トリグリセリド低下薬で処置中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項50】
対象が(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)を有するまたは(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項51】
対象が空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L)を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項52】
対象が(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgを有するまたは(ii)現在降圧薬で処置中である、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項53】
対象が次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する:
a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);
b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;
c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;
d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および
e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項54】
対象が5.7%≦HbA1c≦6.4%により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項55】
対象が空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項56】
対象が次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する:
a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);
b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;
c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;
d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および
e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中;および
さらに対象が5.7%≦HbA1c≦6.4%により証明される血糖由来インスリン抵抗性または空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22を有する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項57】
食事摂取および空腹状態の化合物1および化合物1のN-デスメチル代謝物のCmaxおよびAUC0-∞比が90を超えるまたは95%を超える、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項58】
化合物1またはその薬学的に許容される塩の1日用量が約12.5mg~約150mgである、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項59】
化合物1またはその薬学的に許容される塩の1日用量が約25mg~約100mgである、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項60】
化合物1またはその薬学的に許容される塩の1日用量が約12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mg、75mg、87.5mg、100mg、112.5mgまたは125mgである、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項61】
対象の血糖コントロールが化合物1が投与されないときと比較して改善される、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項62】
対象の満腹感が化合物1が投与されないときと比較して増加する、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項63】
対象の食欲が化合物1が投与されないときと比較して減少する、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項64】
対象の糖変動が化合物1が投与されないときと比較して減少する、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項65】
対象のインスリン取り込みが化合物1が投与されないときと比較して改善される、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項66】
対象の体脂肪が化合物1が投与されないときと比較して減少する、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項67】
化合物1が薬学的に許容される塩である、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項68】
化合物1が塩酸塩である、請求項1~60の何れかの方法。
【請求項69】
化合物1が結晶塩酸塩である、請求項1~60の何れかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月23日出願の米国仮出願U.S.S.N. 63/261,515および2022年3月28日出願のU.S.S.N. 63/362,003に基づく優先権を主張し、これらの全内容がここに記載されているかのように、引用により本明細書に包含させる。
【0002】
分野
本発明は、化合物、医薬組成物ならびに代謝障害を処置する方法および代謝障害を伴う精神障害および疾患を処置する方法を含むそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
代謝障害は、肥満[メタボリック症候群、異脂肪血症、III型異脂肪血症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)、冠動脈疾患および心不全を含むが、これらに限定されない肥満併存症を含む];過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病[1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM)を含む糖尿病関連障害を含む];糖尿病性合併症(アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患、腎症、高血圧、ニューロパチーおよび腎症を含むが、これらに限定されない);耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症を含む、ますます広がっている障害のカテゴリーである。メタボリック症候群単独でも、北米人の約25%に影響を及ぼしている。Mottillo et al. JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF CARDIOLOGY 54(14), 1113-32 (2010)。多様な因子が代謝障害の発症に役割を有し得る。特定の神経または精神疾患および障害のための医薬処置(例えば、統合失調症処置のための抗精神病剤)は、体重増加、脂質異常およびグルコース調節不全などの代謝障害と関連している。Pillinger et al. LANCET PSYCHIATRY 7, 64-77 (2020)。したがって、神経および精神疾患および障害ならびにその処置と関連する代謝障害を含む代謝障害を処置するための新規治療剤が必要である。
【発明の概要】
【0004】
概要
ここに提供されるのは、化合物1:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を使用する、定型および非定型抗精神病剤での処置により引き起こされるものを含む代謝障害を処置する方法である。ある実施態様において、代謝障害は神経または精神疾患または障害を伴う。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は統合失調症である。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は大うつ病補助療法(adjunctive major depressive disorder)(aMDD)である。
【0005】
ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は全般不安症(GAD)である。
【0006】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0007】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0008】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0009】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0010】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法に関する。
【0011】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法に関する。
【0012】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0013】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0014】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0015】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0016】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における体重を減少する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、体重の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0017】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における体重を減少する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、体重の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0018】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、インスリン分泌効率増加により2型糖尿病を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率(insulin secretion efficiency)を改善する、方法に関する。
【0019】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、インスリン分泌効率増加により2型糖尿病を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法に関する。
【0020】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法を提供する。
【0021】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法を提供する。
【0022】
他の実施態様において、本発明は、2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
a)対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
b)対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法を提供する。
【0023】
他の実施態様において、本発明は、BMI≧25により定義される過剰肥満度指数(BMI)を有する処置を必要とするヒト対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
他の実施態様は、糖尿病またはメタボリック症候群を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0025】
ある実施態様は、肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0026】
ある実施態様において、本発明は、インスリン抵抗性、インスリン非感受性、耐糖能障害および血糖値上昇から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0027】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、ヒト対象は胃内容物の排出遅延をさらに必要とし、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0028】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に摂食状態で治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0029】
ある実施態様において、本発明は、化合物1の薬学的に許容される塩が塩酸塩である、ここに記載する方法に関する。他の実施態様において、塩酸塩は結晶である。前記実施態様において、化合物1を朝食の前または朝食と共に投与してよいおよび/または晩の服薬を夕食の前または夕食と共に投与してよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ヒト臨床試験における種々の代謝パラメータに対する化合物1の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な記載
実施態様の記載が続く。
【0032】
定義
ここに提供されるのは、本発明の解釈を助ける定義である。適切である限り、単数表現で使用される用語は複数もまた含む。文脈から明らかに異なることが示されない限り、ここで使用する用語は次の意味を有する。
【0033】
ここに記載する全方法は、ここで特に断らない限りまたは文脈に明らかに反しない限り、任意の適当な順番で実施できる。ここに提供される任意および全ての例または例示的用語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図し、他に明示されている本発明の範囲に限定を付すものではない。
【0034】
特に断らない限り、用語「含む」(またはそのあらゆる変形、例えば、「含み」、「含んで」など)はオープンエンドであることが意図される。例えば、「ここで使用する用語「非経腸」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または点滴技術を含み、非経腸が、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または点滴技術を含むが、これらに限定されないことを意味する。
【0035】
本明細書をとおして1以上の範囲が引用されるとき、各範囲は、範囲を規定する終点を含む範囲内の各別個の点を、それらがここに完全に示されるのと同様に包含すると理解される。
【0036】
「抗精神病剤」は一般に「定型」および「非定型」抗精神病剤として認識される。一般に、定型抗精神病剤薬物は、ドーパミン作動系に作用し、ドーパミン2型(D2)受容体に作用する。非定型抗精神病剤は、ドーパミン作動性受容体に対する低親和性および占有率を有し、セロトニン作動性5-HT2A受容体に高い程度の占有率を有する。一般に処方される定型抗精神病剤は、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフロペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンを含む。一般に処方される非定型抗精神病剤は、アリピプラゾール、クロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、クエチアピンおよびオランザピンを含む。
【0037】
化合物1のN-デスメチル代謝物はChen YL et al., J. Pharm. Biomed. Anal. 2021;207により報告され、次の化学構造:
【化2】
を有する。
【0038】
ここで使用する用語「対象」および「患者」は、相互交換可能に使用される。「患者」または「対象」は、特に断らない限り、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物を含む。故に、方法は、ヒト治療および動物治療の両方に適用可能である。ある実施態様において、患者は哺乳動物、例えば、霊長類である。ある実施態様において、患者はヒトである。
【0039】
ここで使用する用語「処置」および「処置する」は、ここに記載する疾患または障害またはその1以上の症状の回復、軽減、発症遅延または進行阻止をいう。ある実施態様において、処置は、1以上の症状が発症した後に投与され得る。他の実施態様において、処置は、症状がなくて投与され得る。例えば、処置は、症状発症前に、感受性の個体に投与され得る(例えば、症状の病歴に照らして、診断に照らしておよび/または遺伝または他の感受性因子に照らして)。処置はまた、例えば再発の予防または遅延のために、症状が消退した後も継続され得る。
【0040】
用語「薬学的に許容される」は、その用語が修飾する物質または組成物が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答などがなくヒトおよび非ヒト動物の組織と接触して使用するのに適し、合理的な利益/リスク比を有することを意味する。物質が組成物または製剤の一部であるならば、該物質はまた組成物または製剤の他の成分と化学的および/または毒性学的に適合性でなければならない。
【0041】
特に断らない限り、用語「本発明の化合物」は、ここに記載する任意の構造式の化合物(例えば、化合物1、式Iの化合物)ならびにその異性体、例えば立体異性体(ジアステレオ異性体、エナンチオマーおよびラセミ体を含む)、幾何異性体、立体配座異性体(回転異性体およびアトロプ異性体を含む)、互変異性体、同位体標識された化合物(重水素置換を含む)および不可避的に形成される構造体(例えば、多形体および/または水和物などのその溶媒和物)をいう。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせられない鏡像である立体異性体のペアをいう。エナンチオマーのペアの1:1混合物は「ラセミ」混合物である。1:1以外のエナンチオマーのペアの混合物は、「中間」混合物である。「ラセミ体」または「ラセミ」は、適切である限り、ラセミ混合物をいうために使用する。塩を形成できる部分が存在するならば、塩、特に、薬学的に許容される塩も同様に包含される。ある実施態様において、「化合物」の記載は、遊離化合物およびその薬学的に許容される塩両方を包含することを意図する。慣習として、用語「またはその薬学的に許容される塩」は、化合物の構造式が明示的に引用されるとき、明示的に引用されるが、それにより薬学的に許容される塩の包含または除外における差異は意図されない。特定の実施態様において、用語「化合物」は、化合物またはその薬学的に許容される塩をいう。
【0042】
ここで化合物1の投与が言及されるとき、化合物1がその遊離形態として定義されていない限り、化合物1またはその薬学的に許容される塩が投与され得ることは理解される。化合物1の用量が、何らかの塩形態の記載なく示されるとき、化合物1を遊離形態または塩として投与でき、用量は化合物1の遊離形態またはその塩の重量に基づき得ることは理解される。同様に、用量が化合物1またはその塩について示されるとき、用量は化合物1の遊離形態またはその塩の重量に基づき得ることは理解される。
【0043】
本発明の化合物は不斉中心、キラル軸およびキラル平面を有し得て(例えば、E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereo-chemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pages 1119-1190に記載のとおり)、ラセミ混合物、個々の異性体(例えば、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体、立体配座異性体(回転異性体およびアトロプ異性体を含む))、互変異性体および中間混合物として生じ、その全ての可能な異性体および混合物は本発明に包含される。
【0044】
組成物の「エナンチオマー過剰」または「%エナンチオマー過剰」は、下に示す式に従い計算できる。下に示す例において、組成物は、一方のエナンチオマー、例えば、Sエナンチオマーを90%および他方のエナンチオマー、例えば、Rエナンチオマーを10%含む。この例において、%ee=(90-10)/100=80%である。
【0045】
故に、一方のエナンチオマー90%および他方のエナンチオマーを10%含む組成物は、80%のエナンチオマー過剰という。ここに記載する一部組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%または99%エナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。換言すると、組成物は、Rエナンチオマーよりもエナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。他の実施態様において、ここに記載する一部組成物は、少なくとも約50%、75%、90%、95%または99%エナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。換言すると、組成物は、Sエナンチオマーよりもエナンチオマー過剰のRエナンチオマーを含む。
【0046】
例えば、異性体/エナンチオマーは、ある実施態様において、実質的に対応するエナンチオマーを含まず提供でき、ここで相互交換可能に使用される「光学的に富化」、「エナンチオマー的に富化」、「エナンチオマー的に純粋」および「非ラセミ」ということもできる。これらの用語は、一方のエナンチオマーの重量パーセントが、ラセミ組成物の対照混合物におけるその一方のエナンチオマーの量より多い、組成物をいう(例えば、重量で1:1より多い)。例えば、Sエナンチオマーのエナンチオマー的に富化された製剤は、Rエナンチオマーに対してSエナンチオマーが約50重量%より多い、例えば少なくとも約75重量%、さらに例えば少なくとも約80重量%である、化合物の製剤をいう。ある実施態様において、富化は約80重量%よりはるかに多く、「実質的にエナンチオマー的に富化」、「実質的にエナンチオマー的に純粋」または「実質的に非ラセミ」製剤を提供し、これは、他方のエナンチオマーに対して一方のエナンチオマーが少なくとも約85重量%、例えば少なくとも約90重量%、さらに例えば少なくとも95重量%である組成物の製剤をいう。ある実施態様において、ここで提供する化合物は、少なくとも約90重量%の一方のエナンチオマーからなる。他の実施態様において、化合物は少なくとも約95%、98%または99重量%の一方のエナンチオマーからなる。
【0047】
ある実施態様において、化合物は、(S)-および(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、ここに提供されるのは、混合物の個々の化合物が主に(S)-または(R)-異性体配置で存在する、化合物の混合物である。例えば、化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%またはそれ以上の(S)-エナンチオマー過剰である。他の実施態様において、化合物混合物は、約55%~約99.5%を超える、約60%~約99.5%を超える、約65%~約99.5%を超える、約70%~約99.5%を超える、約75%~約99.5%を超える、約80%~約99.5%を超える、約85%~約99.5%を超える、約90%~約99.5%を超える、約95%~約99.5%を超える、約96%~約99.5%を超える、約97%~約99.5%を超える、約98%~約99.5%を超える、約99%~約99.5%を超えるまたはそれ以上のお(S)-エナンチオマー過剰である。
【0048】
他の実施態様において、化合物混合物は、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%またはそれ以上の(R)-エナンチオマー純度である。ある他の実施態様において、化合物混合物は、約55%~約99.5%を超える、約60%~約99.5%を超える、約65%~約99.5%を超える、約70%~約99.5%を超える、約75%~約99.5%を超える、約80%~約99.5%を超える、約85%~約99.5%を超える、約90%~約99.5%を超える、約95%~約99.5%を超える、約96%~約99.5%を超える、約97%~約99.5%を超える、約98%~約99.5%を超える、約99%~約99.5%を超えるまたはそれ以上の(R)-エナンチオマー過剰である。
【0049】
他の実施態様において、化合物混合物は、立体化学配向以外同一化学物質、すなわち(S)-または(R)-異性体を含む。例えば、ここに記載開示する化合物が--CH(R)--単位を有し、Rが水素以外ならば、--CH(R)--は同一化学物質の各々で(S)-または(R)-立体化学配向である。ある実施態様において、同一化学物質の混合物は(S)-および(R)-異性体のラセミ混合物である。他の実施態様において、同一化学物質(立体化学配向以外)の混合物は、主に(S)-異性体または主に(R)-異性体を含む。例えば、同一化学物質の混合物の(S)-異性体は、(R)-異性体に対し約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%またはそれ以上で存在する。ある実施態様において、同一化学物質の混合物の(S)-異性体は、約55%~約99.5%を超える、約60%~約99.5%を超える、約65%~約99.5%を超える、約70%~約99.5%を超える、約75%~約99.5%を超える、約80%~約99.5%を超える、約85%~約99.5%を超える、約90%~約99.5%を超える、約95%~約99.5%を超える、約96%~約99.5%を超える、約97%~約99.5%を超える、約98%~約99.5%を超える、約99%~約99.5%を超えるまたはそれ以上の(S)-エナンチオマー過剰で存在する。
【0050】
他の実施態様において、同一化学物質(立体化学配向以外)の混合物における(R)-異性体は、(S)-異性体に対し約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%またはそれ以上で存在する。ある実施態様において、同一化学物質(立体化学配向以外)の混合物中の(R)-異性体は、約55%~約99.5%を超える、約60%~約99.5%を超える、約65%~約99.5%を超える、約70%~約99.5%を超える、約75%~約99.5%を超える、約80%~約99.5%を超える、約85%~約99.5%を超える、約90%~約99.5%を超える、約95%~約99.5%を超える、約96%~約99.5%を超える、約97%~約99.5%を超える、約98%~約99.5%を超える、約99%~約99.5%を超えるまたはそれ以上の(R)-エナンチオマー過剰で存在する。
【0051】
幾何異性体は、化合物が二重結合または分子にある程度の構造的硬直性をもたらすある他の特性を有するとき、生ずる。化合物が二重結合を含むならば、二重結合はE-またはZ-配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを有するならば、シクロアルキル置換基はcis-またはtrans-配置であり得る。
【0052】
立体配座異性体(または配座異性体)は、1以上の結合に対する回転が異なり得る異性体である。回転異性体は、単結合に対しての回転が異なる配座異性体である。
【0053】
ここで使用する用語「アトロプ異性体」は、分子における回転の制限に起因する軸または平面キラリティーに基づく構造異性体をいう。
【0054】
光学活性(R)-および(S)-異性体はキラルシントンまたはキラル試薬を使用して製造でき、慣用法(例えば、DAICEL Corp.から入手可能なChiralpak(登録商標)およびChiralcel(登録商標)カラムなどのキラルFCまたはHPLCクロマトグラフィーカラムまたは他の等価なカラムでの、適当な分離を達成するための適切な溶媒または溶媒混合物を使用する分離)を使用して分離できる。
【0055】
本発明の化合物は光学活性またはラセミ体で単離できる。光学活性形態は、ラセミ体の分割または光学活性出発物質からの合成により、製造され得る。本発明の化合物の製造に使用した全過程およびそこで製造された中間体は本発明の一部と考えられる。エナンチオマーまたはジアステレオマー生成物が製造されたとき、慣用方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶により分離され得る。
【0056】
工程条件により、本発明の最終生成物は(遊離)または塩形態で得られ得る。これら最終生成物の遊離形態および両方が本発明の範囲内である。所望により、ある形態の化合物を、他の形態に変換し得る。遊離塩基または酸を塩に変換し得る;塩を遊離化合物または他の塩に変換し得る;本発明の化合物の異性体混合物を個々の異性体に分離し得る。
【0057】
薬学的に許容される塩が好ましい。しかしながら、他の塩は、例えば、製造中に用いられ得る単離または精製工程で有用である可能性があり、故に、本発明の範囲内であることが意図される。
【0058】
ここで使用する「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適し、合理的な利益/リスク比を有する、適当な無機および有機酸および塩基に由来する塩をいう。
【0059】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と形成され得る。塩が由来し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩が由来し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などを含む。薬学的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロロテオフィリン酸塩、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩/ヒドロキシマロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩を含むが、これらに限定されない。ある実施態様において、化合物1の薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0060】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基と形成され得る。塩が由来し得る無機塩基は、例えば、アンモニウム塩および周期表のI~XII列の金属を含む。ある実施態様において、塩はナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛または銅に由来する;特に適当な塩はアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩を含む。塩が由来し得る有機塩基は、例えば、1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む。有機アミンの例は、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリナート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンを含むが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、慣用の化学方法により合成できる。一般に、このような塩は、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物と、化学量論量の適切な塩基または酸を、水または有機溶媒またはこの2者の混合物中で反応させることにより製造でき;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。適当な塩の一覧は、関連する記載を全体として引用により本明細書に包含させるAllen, L.V., Jr., ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd Edition, Pharmaceutical Press, London, UK (2012)に見ることができる。
【0062】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用できる基を含む本発明の化合物は、適当な共結晶形成剤と共結晶を形成できる。これらの共結晶は、既知共結晶形成手順により、本発明の化合物から製造され得る。このような手順は、製粉、加熱、共昇華、共溶融または溶液中で本発明の化合物と共結晶形成剤を、結晶化条件下接触させ、それにより形成された共結晶を単離することを含む。適当な共結晶形成剤はWO2004/078163に記載のものを含む。故に、本発明はさらに本発明の化合物と共結晶形成剤を含む共結晶を提供する。
【0063】
ここに示す何れかの式は、化合物の標識されていない形態および同位体標識された形態を表すことも意図される。同位体標識された化合物は、1以上の原子が選択した原子質量または質量数を有る原子に置き換え得られている以外、ここに示す式により表される構造を有する。本発明の化合物に取り込み得る同位の例は、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124Iおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体を含む。本発明は、ここに定義する種々の同位体標識された化合物、例えばHおよび14Cなどの放射性同位体またはHおよび13Cなどの非放射性同位体が存在するものを含む。このような同位体標識された化合物は代謝研究(14Cで)、反応速度論研究(例えばHまたはHで)、薬物または基質組織分布アッセイを含む陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの検出または造影技術または患者の放射性処置に有用である。特に、18Fまたは標識化合物は、PETまたはSPECT研究に特に望ましい。
【0064】
さらに、重い同位体、特に重水素(すなわち、HまたはD)での置換は、大きな代謝安定性、例えば、インビボ半減期延長または治療指数改善に起因するある治療的利点を提供し得る。この状況での重水素は、本発明の化合物の置換基として見なされることは理解される。このような重い同位体、特に重水素の濃度は、同位体富化係数により定義され得る。ここで使用する用語「同位体富化係数」は、特定の同位体の同位体存在度と天然存在度の比を意味する。本発明の化合物の置換基が重水素とされるならば、このような化合物は、各指定された重水素原子の少なくとも3500(各指定された重水素原子で52.5%重水素取り込み)、少なくとも4000(60%重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%重水素取り込み)、少なくとも5000(75%重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%重水素取り込み)、少なくとも6000(90%重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%重水素取り込み)、少なくとも6600(99%重水素取り込み)または少なくとも6633.3(99.5%重水素取り込み)の同位体富化係数を有する。
【0065】
同位体標識された本発明の化合物は、一般に当業者に知られる慣用の技術によりまたはスキームもしくは下記例および製造に開示の方法(または下記のものに類似する方法)により、他で用いる非同位体標識された試薬に代えて、適切なまたは容易に入手可能な同位体標識された試薬を使用することにより、製造され得る。このような化合物は、例えば、潜在的医薬化合物が標的タンパク質または受容体に結合する能力を決定するための標品および試薬としてまたはインビボまたはインビトロで生物学的受容体に結合する本発明の化合物の造影のために、多様な用途の可能性がある。
【0066】
各々引用により全体として本明細書に包含させる国際特許公開WO2011/069063(および対応する米国特許8,710,245)、WO2019/161238(および対応する米国特許10,815,249)およびWO2018/151861(および対応する米国特許11,129,807)は、式I:
【化3】
〔式中、
XおよびYの一方はOであり、他方はCHであるか;またはXおよびYの両方はCHであり;
、ZおよびZの1個はSであり;(i)Z、ZおよびZの2個はCであるか;または(ii)Z、ZおよびZの1個はCであり、Z、ZおよびZの1個はNであり;
およびRは互いに独立して、(i)水素、アルキル、アルコキシル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルであり、各々所望により置換されているか;または(ii)-(CH)-Rであり、ここで、RはSOアルキルまたはSOアリールであり、その各々は所望により置換されているか;または(iii)RおよびRはそれらが結合している窒素原子と一体となって所望により置換されているヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し;
およびRは各々独立して、(i)水素、アルキル、アルコキシル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルであり、その各々は所望により置換されているか;または(ii)-(CH)-Rであり、ここで、RはCF、CN、ニトロ、アミノ、ヒドロキシルまたはシクロアルコキシルであり、その各々は所望により置換されているか;または(iii)RおよびRはそれらが結合している炭素原子と一体となって所望により置換されているシクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成するか;または(iv)RおよびRはそれらが結合している原子と一体となって所望により置換されているヘテロシクリルを形成し、Rは(i)または(ii)であるか;または(v)RおよびRは一体となって二重結合を形成し、結合しているRおよび/またはRおよび原子と一体となって、所望により置換されているヘテロアリール(例えば、イミダゾリルまたはチアゾリル)を形成し;
は(i)水素、アルキル、アルコキシル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルであり、その各々は所望により置換されているか;または(ii)-(CH)-R10であり、ここで、R10はCF、CN、ニトロ、アミノ、ヒドロキシルまたはシクロアルコキシルであり、その各々は所望により置換されているか;または(iii)RおよびRはそれらが結合している原子と一体となって所望により置換されているヘテロシクリルを形成し;
およびRは互いに独立して(i)水素、ハロ、アルキル、アルコキシル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールまたはアラルキルであり、その各々は所望により置換されているか;または(ii)-(CH)-R11であり、ここで、R11はCF、CN、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、シクロアルコキシル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、その各々は所望により置換されているか;または(iii)RおよびRはそれらが結合している原子と一体となって所望により置換されているアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリル環を形成し;ただし、Z、ZおよびZの1個がNであるならば、Rは存在せず;
mは0、1または2であり;
nは0、1または2であり;そして
pは各場合独立して0、1または2である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩およびその製造方法を記載する。
【0067】
国際特許公開WO2011/069063(および対応する米国特許8,710,245)、WO2019/161238(および対応する米国特許10,815,249)、WO2018/151861(および対応する米国特許11,129,807)、WO2019/161236、WO2020/118032および国際特許出願PCT/US2021/026953は、化合物1:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩、化合物1を使用して精神障害を処置する方法およびその製造方法を記載する。
【0068】
ここに記載する精神障害、特に統合失調症、うつ病および不安の処置に化合物1を使用する方法は、WO2020/118032(Hopkins SC, Methods of Treating Neurological and Psychiatric Disorders)およびDedic N. et al., SEP-363856, a Novel Psychotropic Agent with a Unique, Non-D2 Receptor Mechanism of Action, J Pharmacol Exp Ther 371:1-14, October 2019に記載される。
【0069】
化合物1の化学名は(S)-(4,5-ジヒドロ-7H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン(「(S)-TPMA」と略され得る)またはその薬学的に許容される塩である。当業者は、化合物の多様な命名法を認識している。したがって、化合物1はまた(S)-1-(4,7-ジヒドロ-5H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミン、(S)-1-(5,7-ジヒドロ-4H-チエノ[2,3-c]ピラン-7-イル)-N-メチルメタンアミンまたはその他またはその薬学的に許容される塩としても同定され得る。例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩はSEP-0363856またはSEP-856またはウロタロントとしても知られる。
【0070】
化合物1は、ここに記載する方法に遊離塩基または薬学的に許容される塩の形態で用いられ得る。ある実施態様において、化合物1の塩酸(HCl)塩がここに記載する方法に使用される。
【0071】
化合物1またはその薬学的に許容される塩は、非晶質または結晶形態であり得る。ある実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の結晶形態がここに記載する方法において使用される。ある実施態様において、化合物1のHCl塩の結晶形態Aがここに記載する方法に使用される。
【0072】
ある実施態様において、化合物1のHCl塩の結晶形態Aは、2シータの条件で、9.6±0.2°、14.9±0.2°、20.5±0.2°および25.1±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられ、ある実施態様において、さらに20.2±0.2°および20.8±0.2°にピークを含み、ある実施態様において、さらに20.2±0.2°および20.8±0.2°にピークおよび17.9±0.2°、24.8±0.2°および27.1±0.2°の2以上にピークを含む。
【0073】
ある実施態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は実質的にエナンチオマー的に純粋である。ある例において、化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、組成物中の化合物1およびその(R)-エナンチオマーの量に対して、約90%、95%、97%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の化合物1を含む。ある実施態様において、実質的にエナンチオマー的に純粋な化合物1のHCl塩の結晶形態Aをここに記載する方法に使用する。
【0074】
方法
2013年にアメリカ精神医学会により出版された精神障害の診断と統計マニュアル、第五版(「DSM-5」)および改定または補遺は、当業者が種々の疾患および障害の診断のために頼る標準診断体系を提供し、引用により全体として本明細書に包含させる。DSM-5は、亜症候群性混合症状(Subsyndromal mixed symptoms)を有する患者の大部分を、混合指示子の包含により捕捉しようと試みている。さらに、疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステム(International Statistical Classification of Diseases; ICD 11)は、特異診断(例えば、米国では費用請求目的で)を伝えるシステムとして認識され、引用によりその全体として本明細書に包含させる。例えば、ICD 11のChapter 5は、内分泌、栄養または代謝疾患のコードに関し、ICD 11のChapter6は精神、行動または神経発達障害のコードに関する。
【0075】
本発明の方法は、代謝障害の処置または重症度低減ならびに代謝障害を併発する患者における精神障害および統合失調症、うつ病および不安などの疾患の処置のための、ここに開示する化合物および組成物の使用に関する。ある実施態様において、代謝障害は、疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムのChapter 5に記載される。ある実施態様において、代謝障害は、内分泌、栄養または代謝障害の一つとして疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムのChapter 5に記載される。
【0076】
ある実施態様において、本発明は、代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に有効量のここに開示する化合物1またはその薬学的に許容される塩または医薬組成物を経口投与することを含む、方法に関する。
【0077】
ある実施態様において、本発明は、代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に有効量のここに開示する化合物1またはその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、方法に関する。
【0078】
ある実施態様において、本発明は、代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に化合物1またはその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、方法に関する。ある実施態様において、方法は、代謝障害が肥満[メタボリック症候群、異脂肪血症、III型異脂肪血症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)、冠動脈疾患および心不全を含むが、これらに限定されない肥満併存症を含む];過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病[1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM)を含む糖尿病関連障害を含む];糖尿病性合併症(アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患、腎症、高血圧、ニューロパチーおよび腎症を含むが、これらに限定されない);耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症であるものに関する。
【0079】
代謝障害は種々の基準または基準の組み合わせに基づき得る。ある実施態様において、対象の、腹囲は、男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm)である。他の実施態様において、対象はトリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)を有するかまたは現在トリグリセリド低下薬で処置中である。他の実施態様において、対象は(i)HDL-コレステロール濃度が男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)であるかまたは(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である。他の実施態様において、対象の空腹時血糖値は≧100mg/dL(5.6mmol/L)である。ある実施態様において、対象は、(i)立位または臥位血圧が≧130/85mmHgであるかまたは(ii)現在降圧薬で処置中である。
【0080】
ある実施態様において、対象は次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する: (a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);(b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;(c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;(d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および(e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中。
【0081】
ある実施態様において、対象は、5.7%≦HbA1c≦6.4%により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する。ある実施態様において、対象は、空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する。
【0082】
ある実施態様において、対象は次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する: (a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);(b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;(c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;(d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および(e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中;そしてさらにここで対象は、5.7%≦HbA1c≦6.4%または空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する。
【0083】
ある実施態様において、対象は糖尿病を有する。他の実施態様において、対象は糖尿病の薬物治療中である。ある実施態様において、対象はメタボリック症候群を有する。ある実施態様において、対象はメタボリック症候群の薬物治療中である。ある実施態様において、対象はインスリン抵抗性を有する。ある実施態様において、対象はインスリン抵抗性の薬物治療中である。ある実施態様において、対象はインスリン非感受性を有する。ある実施態様において、対象は糖出現率、糖消失率および/またはグリセロール出現率に基づくインスリン感受性を有する。他の実施態様において、対象はインスリン非感受性の薬物治療中である。ある実施態様において、対象は耐糖能障害を有する。他の実施態様において、対象は食事に対する患者のインスリン、C-ペプチドおよび/またはグルコース反応に基づき耐糖能障害を有する。他の実施態様において、対象はグルコース、cペプチド、インスリン、グルカゴン、レプチン、GLP-1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される多重の代謝バイオマーカーに基づく耐糖能障害を有する。ある実施態様において、対象はβ細胞機能のマーカーおよびインクレチンに基づく耐糖能障害を有する。ある実施態様において、対象は耐糖能障害の薬物治療中である。ある実施態様において、対象の血糖値は高い。ある実施態様において、対象は高い血糖値の薬物治療中である。ある実施態様において、代謝障害は神経または精神疾患または障害を伴う。他の実施態様において、精神疾患または障害は代謝障害を伴う。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は統合失調症である。ある実施態様において、精神疾患または障害はうつ病である。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は大うつ病補助療法(aMDD)である。ある実施態様において、精神疾患または障害は不安である。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は全般不安症(GAD)である。
【0084】
化合物1を、統合失調症の処置に、典型的に、就寝時1日1回投与で使用することは知られている。就寝時投与後の化合物1の濃度は、夜間のピーク濃度および日中のトラフ濃度により特徴づけられる。50mg就寝時投与でのピーク濃度は典型的に100ng/mLを超え、一方トラフ濃度は典型的に100ng/mLを下回る。化合物1の朝の時間の投与は日中の濃度を増加させる。朝の服薬は12.5mgから開始し、2日毎に2倍、朝の服薬が50mgになるまで増加させる。標的ピーク-トラフ濃度は、就寝時50mgおよび朝に50mg投与したとき、定常状態で200~100ng/mLである。朝の投与は用量調節される。用量調節スケジュールは、12.5mgで投薬を開始し、50mgの用量に到達するまで2日毎に2倍増加させる。より緩やかなまたは攻撃的用量調節スケジュールが、所望であれば、使用され得る。
【0085】
化合物1が、ラットおよびマウスにおけるいくつかの前臨床試験ならびにヒトにおける臨床試験により示されるとおり、代謝障害の処置および代謝障害を伴う精神障害および疾患の処置に有用であることが判明した(実施例参照)。
【0086】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0087】
ある実施態様において、朝の服薬は約12.5mg~約150mgである。ある実施態様において、朝の服薬は約12.5mg~約25mgまたは約12.5mg~約37.5mgまたは約12.5mg~約50mgまたは約12.5mg~約75mgまたは約12.5mg~約100mgまたは約12.5mg~約125mgである。ある実施態様において、朝の服薬は約12.5mgまたは約25mgまたは約37.5mgまたは約50mgまたは約75mgまたは約100mgまたは約125mgである。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0088】
ある実施態様において、晩の服薬は約12.5mg~150mgである。ある実施態様において、晩の服薬は約12.5mg~約25mgまたは約12.5mg~約37.5mgまたは約12.5mg~約50mgまたは約12.5mg~約75mgまたは約12.5mg~約100mgまたは約12.5mg~約125mgである。ある実施態様において、晩の服薬は約12.5mgまたは約25mgまたは約37.5mgまたは約50mgまたは約75mgまたは約100mgまたは約125mgである。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0089】
ある実施態様において、朝の服薬または晩の服薬の一方が約12.5mgであり、朝の服薬または晩の服薬の他方が約50mgである。ある実施態様において、朝の服薬または晩の服薬の一方が約25mgであり、朝の服薬または晩の服薬の他方が約50mgである。ある実施態様において、朝の服薬または晩の服薬の一方が約37.5mgであり、朝の服薬または晩の服薬の他方が約50mgである。ある実施態様において、朝の服薬または晩の服薬の一方が約50mgであり、朝の服薬または晩の服薬の他方が約50mgである。ある実施態様において、晩の服薬が約50mgであり、朝の服薬が約50mgまたは約37.5mgまたは約25mgまたは約12.5mgである。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0090】
ある実施態様において、総1日用量は約150mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約125mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約100mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約87.5mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約75mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約67.5mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約50mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約37.5mgを超えない。ある実施態様において、総1日用量は約25mgを超えない。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0091】
ある実施態様において、朝の服薬は食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される。ある実施態様において、朝の服薬は食事の4時間前までに投与される。ある実施態様において、朝の服薬は食事と共に投与される。ある実施態様において、晩の服薬は食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される。ある実施態様において、晩の服薬は食事の4時間前までに投与される。ある実施態様において、晩の服薬は食事と共に投与される。
【0092】
ある実施態様において、朝の服薬および晩の服薬の各々は食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される。ある実施態様において、朝の服薬および晩の服薬の各々は食事の4時間前までに投与される。ある実施態様において、朝の服薬および晩の服薬の各々は食事と共に投与される。ある実施態様において、朝の服薬および晩の服薬の一方は食事の4時間前までに投与され、朝の服薬および晩の服薬の他方は食事と共に投与される。
【0093】
ある実施態様において、投与量は1日1回投与される。実際、1日2回投与を用いるここに記載する方法のいずれも、ここに記載する用量に基づき、同様に1日1回投与を使用して実施され得ることは理解される。
【0094】
ある実施態様において、投与量は、食事摂取状態で投与される。ある実施態様において、食事摂取および空腹状態の化合物1および化合物1のN-デスメチル代謝物のCmaxおよびAUC0-∞比は90を超えるまたは95%を超える。
【0095】
本発明の方法を実施したとき、治療利益が早ければ4週後には観察でき、治療を8週以上、12週以上、26週以上または52週以上継続できることは理解される。
【0096】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0097】
ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約100ng/mL~約400ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約100ng/mL~約350ng/mLまたは約100ng/mL~約300ng/mLまたは約100ng/mL~約250ng/mLまたは約100ng/mL~約200ng/mLまたは約100ng/mL~約150ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約150ng/mL~約400ng/mLまたは約150ng/mL~約350ng/mLまたは約150ng/mL~約300ng/mLまたは約150ng/mL~約250ng/mLまたは約150ng/mL~約200ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約200ng/mL~約400ng/mLまたは約200ng/mL~約350ng/mLまたは約200ng/mL~約300ng/mLまたは約200ng/mL~約250ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約250ng/mL~約400ng/mLまたは約250ng/mL~約350ng/mLまたは約250ng/mL~約300ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は、約300ng/mL~約400ng/mLまたは約300ng/mL~約350ng/mLの範囲である。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0098】
ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約25ng/mL~約200ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約25ng/mL~約150ng/mLまたは約25ng/mL~約100ng/mLまたは約25ng/mL~約75ng/mLまたは約25ng/mL~約50ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約50ng/mL~約200ng/mLまたは約50ng/mL~約150ng/mLまたは約50ng/mL~約100ng/mLまたは約50ng/mL~約75ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約75ng/mL~約200ng/mLまたは約75ng/mL~約150ng/mLまたは約75ng/mL~約100ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約100ng/mL~約200ng/mLまたは約100ng/mL~約150ng/mLの範囲である。ある実施態様において、平均トラフ血漿濃度は、約150ng/mL~約200ng/mLの範囲である。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0099】
ある実施態様において、最大ピーク血漿濃度は約400ng/mLであり、最大トラフ血漿濃度は約200ng/mLである。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0100】
ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は約150ng/mL~約250ng/mLであり、平均トラフ濃度は約25ng/mL~125ng/mLである。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は約175ng/mL~約225ng/mLであり、平均トラフ濃度は約25ng/mL~100ng/mLである。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は約150ng/mL~約225ng/mLであり、平均トラフ濃度は約50ng/mL~100ng/mLである。ある実施態様において、平均ピーク血漿濃度は約225ng/mLであり、平均トラフ濃度は約90ng/mLである。
【0101】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0102】
ある実施態様において、対象の体重は、化合物1の投与約4~52週後に減少する。ある実施態様において、対象の体重は、化合物1の投与約4~26週後に減少する。ある実施態様において、対象の体重は、化合物1の投与約4週または約6週または約8週または約10週または約12週後に減少する。ある実施態様において、対象の体重は、化合物1の投与約14週または約16週または約18週または約20週後に減少する。ある実施態様において、対象の体重は、化合物1の投与約22週または約24週または約26週後に減少する。ある実施態様において、対象の体重は、約20~52週または約4~26週または約12~26週または約36~52週または約8~32週または約44~52週または約4~12週後に減少する。これらの範囲は、ここに開示する他の実施態様を説明するためにも使用され得る。
【0103】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0104】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法に関する。
【0105】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法に関する。
【0106】
故に、本発明は、ここに記載する方法を使用する、統合失調症および2型糖尿病両方を有する患者における、統合失調症および糖尿病を処置する方法に関する。
【0107】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0108】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0109】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0110】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法に関する。
【0111】
ある実施態様において、本発明は、ヒト対象における体重を減少する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0112】
ある実施態様において、本発明は、ヒト対象における体重を減少する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法に関する。
【0113】
ある実施態様において、本発明は、ヒト対象における2型糖尿病を処置する方法であって、
(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、インスリン分泌の効率を改善させる、方法に関する。
【0114】
ある実施態様において、本発明は、ヒト対象における2型糖尿病を処置する方法であって、
(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして
(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、インスリン分泌の効率を改善させる、方法に関する。
【0115】
他の実施態様において、BMI≧25により定義される過剰肥満度指数(BMI)を有する処置を必要とするヒト対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法が提供される。
【0116】
ある実施態様において、糖尿病またはメタボリック症候群を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法が提供される。
【0117】
他の実施態様は、肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0118】
他の実施態様において、インスリン抵抗性、インスリン非感受性、耐糖能障害および血糖値上昇から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法が提供される。
【0119】
他の実施態様は、処置を必要とする対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、ヒト対象は胃内容物の排出遅延をさらに必要とし、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0120】
他の実施態様は、処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に摂食状態で治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法を提供する。
【0121】
ある実施態様において、対象の血糖コントロールは、化合物1が投与されないときと比較して、改善される。ある実施態様において、対象の糖耐性は、化合物1が投与されないときと比較して、改善される。ある実施態様において、対象の満腹感は、化合物1が投与されないときと比較して、増加する。ある実施態様において、対象の食欲は、化合物1が投与されないときと比較して、減少する。ある実施態様において、対象の糖変動は、化合物1が投与されないときと比較して、減少する。ある実施態様において、対象のインスリン取り込みは、化合物1が投与されないときと比較して、改善される。ある実施態様において、対象の体脂肪は、化合物1が投与されないときと比較して、減少する。ある実施態様において、対象の腹部体脂肪は、化合物1が投与されないときと比較して、減少する。
【0122】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における、ここに記載する化合物1で統合失調症を処置する方法を提供する。
【0123】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における、ここに記載する化合物1で大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法を提供する。
【0124】
ある実施態様において、本発明は、処置を必要とするヒト対象における、ここに記載する化合物1で全般不安症(GAD)を処置する方法を提供する。
【0125】
ここで使用する代謝障害の分類の非限定的例は、先に記載したものに加えて次のものを含む。
【0126】
ICD 11に特定される内分泌疾患
甲状腺または甲状腺ホルモン系の障害;糖尿病;グルコース調節または膵臓内分泌の他の障害;副甲状腺または副甲状腺ホルモン系の障害;下垂体ホルモン系の障害;副腎または副腎ホルモン系の障害;性腺ホルモン系の障害;思春期の特定の障害;多腺機能不全;いずれにも分類されない内分泌障害;内分泌系の新生物;内分泌腫瘍。
【0127】
ICD 11に特定される栄養障害
低栄養;過体重、肥満または特定の栄養過剰;神経系の栄養または毒性障害;他の特定の栄養障害;特定不能の栄養障害。
【0128】
ICD 11に特定される代謝疾患
代謝の先天異常;代謝物吸収または輸送の障害;体液、電解質または酸-塩基バランスの障害;リポタンパク質代謝の障害またはある特定の高脂血症;代謝または輸送の肝疾患;他の代謝障害;嚢胞性線維症;流産、子宮外または奇胎妊娠後の代謝障害;特定不能の代謝障害。
【0129】
ある実施態様において、ここに提供されるのは、代謝障害を処置する方法であって、ここで、代謝障害が肥満[メタボリック症候群、異脂肪血症、III型異脂肪血症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病(1型および2型糖尿病を含む)、冠動脈疾患および心不全を含むが、これらに限定されない肥満併存症を含む];過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病[1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM)を含む糖尿病関連障害を含む];糖尿病性合併症(アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患、腎症、高血圧、ニューロパチーおよび腎症を含むが、これらに限定されない);耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症である、方法である。ある実施態様において、ここに提供されるのは、代謝障害を処置する方法であって、代謝障害がメタボリック症候群である、方法である。
【0130】
体重増加(体重の増加)は、非定型抗精神病剤の最も認識されている代謝副作用であるが、程度は薬剤により変わる。過剰の体重増加が、オランザピンおよびクロザピンでの処置後に顕著に観察され、いくつかの他の非定型および定型抗精神病剤と関連する。さらに、体重増加は、高血糖および糖尿病のリスクを高め、ひいては心血管疾患リスクおよび死亡率の増加に至る。
【0131】
胃内容排出およびGI運動性は、食欲およびエネルギー消費に顕著に影響する。胃内容排出の阻害および/または遅延は満腹感を増加させ、それにより食物摂取量を減少させる(Cifuentes et al., 2021)。肥満は、食物摂取量および食欲増加をもたらし得る、急速な胃内容排出および大きな空腹時胃体積を含む多数の代謝異常が関連する。2型糖尿病の処置および慢性体重管理に使用されるGLP-1受容体アゴニスト(例えば、セマグルチドおよびリラグルチド)は、前臨床種およびヒトで胃内容排出を遅延することが示されている(J van Can et al., 2014)。
【0132】
胃内容排出の遅延は、化合物1での糖耐性改善を担う機構の一つである。さらに、化合物1はまたエネルギーバランスおよび摂食を支配する恒常性および快楽神経回路も調節する。
【0133】
ある実施態様において、対象は、食後の対象の充足感、空腹感および/または満腹感に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある。ある実施態様において、対象は、統合失調症診断または抗精神病剤治療開始後のBMI増加に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある。ある実施態様において、対象は、13Cスピルリナ呼気試験(GEBT)に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある。
【0134】
ある実施態様において、ここに記載開示する化合物は、代謝障害または個体における体脂肪率増加;除脂肪体重割合減少;高い血圧(高血圧)、心血管疾患、高血糖、高尿酸血症および多嚢胞性卵巣症候群などのそれらの症状の処置に使用され得る。
【0135】
メタボリック症候群(メタボリック症候群Xまたは症候群Xとしても知られる)は、心血管疾患のリスクを高める医学的障害の組み合わせである。Mottillo et al. JOURNAL OF THE AMERICAN COLLEGE OF CARジオールOGY 54(14), 1113-32 (2010)およびSaof-Ali et al. DIABETOLOGY & METABOLIC SYNDROME 12(67) (2020)に記載のとおり、メタボリック症候群の診断には、次の基準の少なくとも3個が必要である(米国コレステロール教育プログラム(NCEP)、2001および改定NCEP、2004):
1)中心性肥満(腹囲:男性>102cm(約40インチ);女性>88cm(約35インチ));
2)トリグリセリド上昇(≧150mg/dl);
3)高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール減少(男性<40mg/dl;女性<50mg/dl);
4)全身性高血圧(血圧上昇)(収縮期≧130/拡張期≧85mm Hg);
5)空腹時グルコース上昇(≧110mg/dl)[rNCEP空腹時グルコース上昇(≧100mg/dl)]。
【0136】
しかしながら、肥満度指数(例えば、BMI>30kg/m)などのさらなる基準が、メタボリック症候群または代謝障害の診断を支持し得る。メタボリック症候群はまた総コレステロール上昇とも関連し得る。LDLコレステロール上昇は、約100mg/dL、約130mg/dL、約160mg/dLまたは約200mg/dLを超えるレベルにより示される。メタボリック症候群は総コレステロール上昇と関連し得る。グルコース不耐性障害は、75g経口糖負荷試験で約140~約199mg/dL(7.8~11.0mmol)の2時間グルコースレベル(糖血症)として定義される(WHOおよびADAによる)。約200mg/dl以上の糖血症は糖尿病とみなされる。高血糖または高い血糖は、約7mmol/L、約10mmol/L、約15mmol/Lまたは約20mmol/Lより高い血糖値として定義され得る。低血糖または低い血糖は、約4mmol/Lまたは約6mmol/L(72~108mg/dl)より低い食前血糖値または約5mmol/Lまたは約8mmol/L(90~144mg/dl)より低い2時間食後血糖値として定義され得る。インスリン抵抗性は、正常量のインスリンが正常以下の生物学的応答をもたらす状態として定義される。インスリン抵抗性は、高インスリン正常血糖クランプ技術、恒常性モデルアセスメント(HOMA)または定量的インスリン感受性検査指数(QUICKI)により測定され得る。高尿酸血症は、血中尿酸値が異常に高い、例えば、女性360μmol/L(6mg/dL)および男性400μmol/L(6.8mg/dL)を超える。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、希発排卵、無排卵、アンドロゲン過剰および/または多嚢胞性卵巣と関連する。メタボリック症候群はまた黒色表皮腫とも関連し得る。メタボリック症候群はまた炎症促進性状態(例えば、血中C反応性タンパク質レベル上昇、例えば、10mg/L以上)および微量アルブミン尿(尿アルブミン排泄比≧20mg/分またはアルブミン:クレアチニン比≧30mg/g)とも関連し得る。
【0137】
ある実施態様において、ここに記載する化合物を脂肪肝疾患またはそれと関連する状態の処置に使用し得る。脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、単純脂肪肝(脂肪肝)、硬変、肝炎、肝線維症または脂肪壊死を処置する方法であり得る。脂肪肝疾患は、肝臓酵素試験(ALT、AST)、肝臓超音波、FibroTest(登録商標)、SteatoTest(登録商標)、国際標準化比(INR)を含む凝固検査ならびにM30-Apoptosense ELISA、赤血球沈降速度、グルコース、アルブミンおよび腎機能を含む血液検査を含む、当分野で知られる診断方法により評価され得る。脂肪肝疾患はまた炎症促進性状態(例えば、血中C反応性タンパク質レベル上昇、例えば、10mg/Lを超える)ならびに肝細胞癌とも関連し得る。脂肪肝疾患はまた無ベータリポタンパク血症、糖原病、ウェーバー・クリスチャン病、ウォルマン病、妊娠性急性脂肪肝、リポジストロフィー、炎症性腸疾患、HIVおよびC型肝炎(特に遺伝子型3)およびアルファ1-抗トリプシン欠乏とも関連し得る。
【0138】
ある実施態様において、ここに記載する化合物を、体脂肪率の減少、除脂肪体重割合の増加または肥満(ならびに関連する状態)の処置に使用できる。ある実施態様において、ここに記載する化合物を、クラスI肥満、クラスII肥満、クラスIII肥満、体重上昇、肥満度指数(BMI)上昇、ボディ体積指数(BVI)上昇、体脂肪率上昇、脂肪対筋肉比上昇、腹囲上昇またはウェスト対ヒップ比上昇の処置に使用し得る。クラスI肥満は、約30~約35のBMIにより特徴づけられ、クラスII肥満(重度肥満)は約35~約40のBMIにより特徴づけられ、クラスIII肥満(病的肥満)は40以上のBMIにより特徴づけられる。約45または50以上のBMIは、超肥満と定義される。体重上昇は、年齢、性別、身長、骨組みおよび/または民族性を考慮して、評価され得る。ウェスト対ヒップ比上昇は、男性約0.9以上および女性約0.7以上として定義される。
【0139】
ある実施態様において、対象は、BMI≧25、27.5または30により定義される、過剰BMIである。他の実施態様において、対象は、BMI≧25、27.5または30および統合失調症、うつ病または不安診断前はBMI<25kg/mの履歴により定義される、過剰BMIである。他の実施態様において、対象はBMI≧30により定義される過剰BMIを有し、統合失調症、うつ病または不安診断前はBMI<25kg/mの履歴を有し、対象は定型または非定型抗精神病剤処置中である。他の実施態様において、対象は、定型または非定型抗精神病剤により誘発される、BMI≧25、27.5または30を有する。
【0140】
代謝障害は相互に関係し、種々の系にまたがる障害をもたらし得る。コア代謝障害の対処は、例えば:例えば、虚血性心臓疾患、狭心症および心筋梗塞、うっ血性心不全、高血圧、異常コレステロールレベル、深部静脈血栓症および肺塞栓を含む心血管障害;例えば、卒中、異常感覚性大腿痛、片頭痛、特発性および頭蓋内高血圧、うつ病(特に女性)および社会的スティグマティズムを含む神経障害;例えば、痛風、低可動性、骨関節症および腰痛を含むリウマチおよび整形外科障害;例えば、線状皮膚萎縮、黒色表皮腫、リンパ浮腫および蜂巣炎を含む皮膚科障害;例えば、胃食道逆流症(GERD)および胆石症(胆石)を含む消化器障害;例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、肥満低換気症候群、喘息および全身麻酔中の合併症増加を含む呼吸器障害;例えば、勃起不全、尿失禁、慢性腎不全および性腺機能低下症を含む泌尿器および腎臓障害を含む、患者における関連状態の重症度を低減し得る。
【0141】
ある実施態様において、代謝障害は神経または精神疾患または障害を伴う。ある実施態様において、神経または精神疾患または障害は、DSM-5、改定または補遺または疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムに記載される。抗精神病剤は、神経または精神疾患または障害を含むいくつかの疾患と関連する精神病の処置に使用され、化合物1も類似の目的で使用され得る。
【0142】
神経または精神疾患または障害の分類の非限定的例は、運動障害、認知障害、疼痛、神経発達障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;双極性および関連障害;うつ病性障害;不安障害;強迫性および関連障害;外傷およびストレッサー関連障害;解離性障害;身体症状および関連障害;食行動および摂食障害;排泄障害;睡眠・覚醒障害;性的機能不全;ジェンダー違和感;分裂的、衝動制御および行為障害;物質関連および耽溺性障害;神経認知障害;人格障害;パラフィリア障害;他の精神障害;および医薬品誘発性運動障害および他の医薬品有害作用を含む。
【0143】
神経または精神疾患または障害の分類の非限定的例は次のものを含む:
【0144】
運動障害
振戦;ジスキネジア;ジストニア;チック;発声障害;運動失調(例えば、脊髄小脳運動失調);ミオクローヌス;本態性振戦;てんかん;遅発性ジスキネジア;むずむず脚症候群;トゥーレット症候群;多系統萎縮症(MSA);多発性硬化症;ハンチントン病;パーキンソン病;パーキンソン病;非定型パーキンソン病(例えば、パーキンソン病振戦を含む);ウィルソン病;卒中。無動および無動・筋強剛型症候群の例は、パーキンソン病、薬剤誘発性パーキンソン病、脳炎後パーキンソン病、二次性パーキンソン病、パーキンソンプラス症候群、非定型パーキンソン病、特発性パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病-ALS認知症複合および基底核石灰化、医薬品誘発性パーキンソン病(例えば神経遮断剤誘発パーキンソン病、神経遮断剤悪性症候群、神経遮断剤誘発急性ジストニア、神経遮断剤誘発急性アカシジア、神経遮断剤誘発遅発性ジスキネジアおよび医薬品誘発性姿勢振戦)、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、てんかん、筋肉痙攣および振戦を含む筋肉痙縮または脱力と関連する障害を含む。ジスキネジアの例は、薬物(例えば、L-DOPA)誘発ジスキネジア振戦(例えば安静時振戦、姿勢振戦、企図振戦)、舞踏病(例えばシデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有棘赤血球症、症候性舞踏病、薬剤誘発性舞踏病および片側バリズム)、ミオクローヌス(全身性ミオクローヌスおよび限局性ミオクローヌスを含む)、チック(単純チック、複合チックおよび症候性チックを含む)を含む。ジストニアの例は、全身性ジストニア、特発性ジストニア、薬剤誘発性ジストニア、症候性ジストニア、発作性ジストニア、顎口腔ジストニア、痙攣性発声障害、痙攣性斜頸、軸ジストニア、ジストニア書痙および片麻痺ジストニアを含む。運動疾患または障害の他の例は、常同性運動障害、永続性(慢性)運動障害、医薬品誘発性運動障害、心因性運動障害、物質/医薬品誘発性運動障害、錐体外路運動障害、多動運動障害、運動低下性運動障害、交互性片麻痺、アンジェルマン症候群、ハラーフォルデン・スパッツ病、運動失調、小脳歯状運動失調、運動失調毛細血管拡張症(ルイ・バー症候群)、フリードライヒ運動失調、遺伝性脊髄運動失調、遺伝性脊髄硬化症、マシャド・ジョセフ病、脊髄小脳運動失調、進行性ミオクローヌス運動失調、アテトーゼ、バリスムス、眼瞼痙攣(眼単攣縮)、脳麻痺、遅発性ジストニア、遅発性ジスキネジア、特発性捻転ジストニア、捻転ジストニア、限局性ジストニア、特発性家族性ジストニア、特発性非家族性ジストニア、頸部ジストニア(痙攣性斜頸)、原発性ジストニア、口腔顔面ジストニア、発達性協調障害、球脊髄型筋萎縮(ケニディ病)、シャイ・ドレーガー症候群およびスティッフパーソン(スティッフマン)症候群を含む。ある実施態様において、本発明は、腹部てんかん、欠神発作、後天性てんかん、後天性てんかん様失語症、アイカルディ症候群、アルパーズ病、アルパーズ・フッテンロッヒャー症候群、アンジェルマン症候群、良性限局性てんかん、小児良性限局性てんかん、良性頭蓋内高血圧、良性ローランドてんかん(BRE)、CDKL5障害、小児欠神てんかん、小脳歯状運動失調、ドゥーゼ症候群、ドラベ症候群、認知障害性限局性発作、痙攣大発作を伴うてんかん、ミオクロニー欠神を伴うてんかん、てんかん性片麻痺、熱性発作、限局性発作、前頭葉てんかん、全身性強直間代発作、遺伝性てんかん、Glut1欠乏症候群、視床下部過誤腫、特発性てんかん、特発性全身性てんかん、特発性局在関連てんかん、特発性部分てんかん、特発性発作、若年性欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、ラフォラ病、ラフォラ進行性ミオクローヌスてんかん、ランドウ・クレフナー症候群、ラシュール・グラハム・リトル症候群、レノックス症候群、レノックス・ガストー症候群、医学的難治性てんかん、側頭葉内側硬化症、ミオクローヌス発作、新生児てんかん、後頭葉てんかん、大田原症候群、パナイトポーラス症候群、頭頂葉てんかん、PCDH19てんかん、光感受性てんかん、進行性ミオクローヌスてんかん、ラスムッセン脳炎、ラスムッセン症候群、難治性てんかん、発作障害、てんかん重積、スタージ・ウェーバー症候群、症候性全身性てんかん、症候性部分てんかん、TBCK関連ID症候群、側頭葉てんかん、側頭葉発作、強直間代発作、ウエスト症候群、振戦、小脳振戦、小脳流出振戦、企図振戦、本態性振戦、良性本態性振戦、パーキンソン病様振戦および医薬品誘発性姿勢振戦を含むてんかんおよび/または発作の1以上の症状を処置する方法を提供する。
【0145】
認知障害
アルツハイマー病;認知機能障害;認知症(例えば、意味性認知症;前頭側頭骨性認知症;うつ病特徴を有する認知症;持続性、皮質下認知症;レヴィ小体型認知症;パーキンソン病-ALS認知症複合;アルツハイマー病を含む他の疾患または障害と関連する認知症;虚血;多発梗塞性認知症;外傷;血管問題;卒中;HIV疾患;パーキンソン病;ハンチントン病;ダウン症候群;ピック病;クロイツフェルト・ヤコブ病;出生時低酸素症または物質濫用を含む)、せん妄;健忘性障害;または年齢関連認知低下。認知障害は、認知機能または認知ドメイン、例えば、作業記憶、注意および覚醒状態、言語学習および記憶、視覚学習および記憶、論理的思考および問題解決(例えば、実行機能、処理速度および/または社会的認知)の低下を含む。特に、認知機能障害は、注意欠損、支離滅裂な思考、思考緩徐、理解困難、集中力低下、問題解決の機能障害、記憶力低下、考えを表すのが困難および/または考え、感情および行動をまとめるのが困難または無関係な考えを消すのが困難であることを示し得る。認知障害は、認知障害として現れ得る(DSM-5により定義される認知ドメインは、複合注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚運動、社会的認知である);そしてドーパミンシグナル伝達の欠如と関連することがある;そして基底核機能不全と関連することがある;そして自発運動調節異常と関連することがある;そして前頭前皮質の機能障害と関連することがある。
【0146】
疼痛
線維筋痛症;神経障害性疼痛(例えば、ヘルペス後(または帯状疱疹後)神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー/灼熱痛または神経外傷、幻肢痛、手根管症候群および末梢ニューロパチー(例えば糖尿病性ニューロパチーまたは慢性アルコール使用に起因するニューロパチー));感作に伴う神経障害性疼痛;炎症性疼痛;急性疼痛;侵害受容性疼痛;関節炎疼痛;関節リウマチ;骨関節症;関節痛;筋骨格痛;背部痛;背痛;椎間板膨隆;股関節痛;内臓痛;頭痛;緊張型頭痛;急性緊張型頭痛;慢性緊張型頭痛;慢性群発頭痛;普通型片頭痛;古典的片頭痛;群発頭痛;混合型頭痛;外傷後頭痛;眼精疲労性頭痛;短期間片側性神経痛様(SUNCT)頭痛;SUNCT症候群;ヘルペス;急性帯状疱疹;帯状疱疹;ヘルペス後神経痛(帯状疱疹);灼熱痛;中枢性疼痛;中枢性疼痛症候群;慢性背部痛;神経痛;神経障害性疼痛症候群;ニューロパチー;糖尿病性ニューロパチー;糖尿病関連ニューロパチー;糖尿病関連神経疼痛;結合織炎;化学療法により引き起こされる末梢ニューロパチー;末梢神経疾患;末梢ニューロパチー;神経疼痛;神経外傷;感作に伴う神経障害性疼痛;複合領域性疼痛症候群;圧迫ニューロパチー;頭蓋顔面疼痛;慢性関節痛;慢性膝痛;慢性疼痛症候群;癌疼痛;三叉神経痛;有痛性チック;反射性交感神経性灼熱痛;有痛性末梢ニューロパチー;脊髄神経傷害;クモ膜炎;脊髄疼痛;ベルンハルト・ロート症候群(異常感覚性大腿痛);手根管症候群;脳脊髄液症候群;シャルコ・マリ・トゥース病;遺伝性運動および感覚ニューロパチー;腓骨筋肉萎縮;群発性チック症候群;尾骨疼痛症候群;コンパートメント症候群;変性円板疾患;脊椎手術後疼痛症候群;性器・骨盤疼痛/挿入障害;痛風;炎症性疼痛;腰部神経根症;神経腫(有痛性瘢痕);多発性硬化症と関連する疼痛;骨盤底障害;幻肢痛;梨状筋症候群;心因性疼痛;小根疼痛症候群;レーダー症候群;関連痛;反射性交感神経性ジストロフィー症候群;坐骨神経痛;坐骨神経痛疼痛:脊椎側彎症;椎間板ヘルニア;身体痛;脊髄狭窄;スティッフパーソン症候群/スティッフマン症候群;断端痛;交感神経依存性疼痛;トロサ・ハント症候群;むち打ち症;ライム病と関連する疼痛。
【0147】
神経発達障害
知的能力障害(知的発達障害);全般的発達遅延;特定不能の知的能力障害(知的発達障害);言語障害;言語音障害;小児発症流暢障害(吃音);社会(実用的)コミュニケーション障害;特定不能のコミュニケーション障害;自閉症スペクトラム障害(例えば、アスペルガー症候群;広汎性発達障害;レット症候群;および脆弱X症候群を含む);注意欠損/多動障害;他の特定の注意欠損/多動障害;特定不能の注意欠損/多動障害;限局性学習障害;小児学習障害;発達性協調障害;常同性運動障害;チック障害;他の特定のチック障害;特定不能のチック障害;他の特定の神経発達障害;特定不能の神経発達障害。
【0148】
統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害
統合失調型(人格)障害;妄想障害;短期精神病性障害;共有精神病性障害統合失調症様障害;統合失調症(妄想性、解体型、緊張性または未分化型);統合失調感情性障害;物質/医薬品誘発性精神病性障害;他の医学的状態による精神病性障害;他の精神障害と関連する緊張病(緊張病指示子);他の医学的状態による緊張性障害;特定不能の緊張病;他の特定の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;特定不能の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害。統合失調症は、通常最初に成人早期に出現し、精神病性症状、相性進行および進展および/または社会行動および専門能力の悪化などの顕著な特徴により顕著な未知起源の障害である。特徴的精神病性症状は、思考内容(例えば、複数の、断片的、支離滅裂な、非現実的または単なる妄想的内容または被害念慮)および知性(例えば、関連性の喪失、想像力の飛躍、不可解なまでの矛盾)の障害ならびに知覚性(例えば、幻覚)、感情(例えば、表面的または不適切な感情)、自己認知、意図、衝動および/または人間対人間の関係の障害および精神運動障害(例えば、緊張病)である。他の症状もこの障害と関連する。統合失調症は、サブグループに分類される:妄想および幻覚ならびに思考障害、解体した行動および感情平板化の欠如を特徴とする妄想型;思考障害および平坦な情動が一緒に存在する「破瓜型統合失調症」とも称される解体型;顕著な精神運動障害が明白であり、症状は緊張性知覚麻痺および蝋屈症であり得る緊張型;および精神病性症状は存在するが、妄想型、解体型または緊張型基準は満たさない未分化型。統合失調症の症状は、通常それ自体3つの広いカテゴリー:陽性、陰性および認知症状で顕在化する。陽性症状は、幻覚および妄想などの「過剰」な日常経験を示すものである。陰性症状は、快感消失および社会的相互作用喪失などの日常経験の喪失に苦しむ対象のものである。認知症状は、持続した注意の欠如および決断できないなどの統合失調症患者における認知機能障害に関する。
【0149】
ある実施態様において、対象は統合失調症の処置が必要である。他の実施態様において、対象は統合失調症の処置が必要であり、対象はCGI-Sスコア≦4(正常乃至は中等度の精神疾患)、SASスコア<2、AIMSスコア<3およびBARSスコア<3を有する。ある実施態様において、対象は統合失調症の処置が必要であり、対象は陽性および陰性症状スケール(PANSS)総スコア≦80を有する。
【0150】
双極性および関連障害
双極性I障害;双極性II障害;気分循環性障害;物質/医薬品誘発性双極性および関連障害;他の医学的状態による双極性および関連障害;他の特定の双極性および関連障害;特定不能の双極性および関連障害;双極性および関連障害の指示子。双極性障害(双極性Iおよび双極性II両方を含む)は、有病率が集団の約2%であり、両方の性別に同様に影響する重篤な精神障害である。高揚した気分(すなわち、躁)と憂鬱な気分の循環により特徴づけられる再発-寛解状態があり、それにより、大うつ病性障害および統合失調症などの他の障害と区別される。双極性Iは、完全躁エピソードの発生により定義されるが、大部分の個体は顕著なうつ病を経験する。躁病の症状は、高揚したまたはイライラした気分、多動、誇大的態度、必要な睡眠の減少、めくるめく思いおよびある場合、精神病を含む。うつ病性エピソードは、快感消失、悲しい気分、無希望、低い自尊心、集中力減少および無気力により特徴づけられる。双極性IIは、大うつ病性エピソードおよび軽躁病(重症度が低い躁病)エピソードの発生として定義されるが、対象は、かなり長い時間うつ病状態で過ごす。他の関連状態は、気分循環性障害を含む。
【0151】
うつ病性障害
うつ病;分裂的気分調節不全障害;大うつ病性障害(MDD)(単極性うつ病);大うつ病補助療法(aMDD)、永続性うつ病性障害(気分変調症);月経前不快気分障害;物質/医薬品誘発性うつ病性障害;処置抵抗性うつ病;他の医学的状態によるうつ病性障害;他の特定のうつ病性障害;特定不能のうつ病性障害。
【0152】
不安障害
不安;分離不安障害;選択的無言症;限局性恐怖症;社会不安障害(社会恐怖症);パニック障害;パニック発作指示子;広場恐怖症;全般的(または一般)不安障害;物質/医薬品誘発性不安障害;他の医学的状態による不安障害;他の特定の不安障害;特定不能の不安障害。不安障害は、通常、状況に対する過剰反応として一般化し、焦点の定まらない恐怖、心配、不安を特徴とする。不安障害は、恐怖、不安または回避行動を誘発する状況または対象のタイプおよび付随する認知観念化により異なる。不安は認知される将来の脅威に対する感情的応答であるのに対し、恐怖は認知されるまたは実際の即時の脅威を伴う点で、不安と恐怖は異なる。付随する思考または信念の内容によってもっ異なる。不安障害の例は、分離不安障害、選択的無言症、限局性恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作指示子、広場恐怖症、全般不安症、物質/医薬品誘発性不安障害、他の医学的状態による不安障害、病気不安障害、社会(実用的)コミュニケーション障害、他の特定の不安障害および特定不能の不安障害;反応性アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害および適応障害を含むストレッサー関連障害を含む。
【0153】
強迫性および関連障害
強迫性障害;身体醜形障害;貯蔵障害;抜毛症(髪の毛を抜く障害);剥脱(皮膚むしり)障害;物質/医薬品誘発性強迫性および関連障害;他の医学的状態による強迫性および関連障害;他の特定の強迫性および関連障害;特定不能の強迫性および関連障害。
【0154】
外傷およびストレッサー関連障害
反応性アタッチメント障害;脱抑制型対人交流障害;外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;適応障害;他の特定の外傷およびストレッサー関連障害;特定不能の外傷およびストレッサー関連障害。
【0155】
解離性障害
解離性同一性障害;解離性健忘症;離人/現実感消失障害;他の特定の解離性障害;特定不能の解離性障害。
【0156】
身体症状および関連障害
身体症状障害;病気不安障害;転換性障害(機能的神経学症状障害);他の医学的状態に影響する心理学的因子;作為障害;他の特定の身体症状および関連障害;特定不能の身体症状および関連障害。
【0157】
食行動および摂食障害
異食症;反芻性障害;回避制限性食物摂取症;拒食症;神経性過食症;無茶食い障害;他の特定の食行動および摂食障害;特定不能の食行動および摂食障害。
【0158】
排泄障害
遺尿症;遺糞症;他の特定の排泄障害;特定不能の排泄障害。
【0159】
睡眠・覚醒障害
不眠症障害;過眠障害;ナルコレプシー;閉塞性睡眠時無呼吸呼吸低下;中枢性睡眠時無呼吸;睡眠関連低換気;サーカディアン・リズム睡眠・覚醒障害;ノンレム睡眠覚醒障害;悪夢障害;レム(REM)睡眠行動障害;下肢静止不能症候群;物質/医薬品誘発性睡眠障害;他の特定の不眠症障害;特定不能の不眠症障害;他の特定の過眠障害;特定不能の過眠障害;他の特定の睡眠・覚醒障害;特定不能の睡眠・覚醒障害。
【0160】
性的機能不全
遅漏;勃起障害;女性のオーガズム障害;女性の性的興味/覚醒障害;性器・骨盤疼痛/挿入障害;男性の性欲低下障害;早(早期)漏;物質/医薬品誘発性性的機能不全;他の特定の性的機能不全;特定不能の性的機能不全。
【0161】
ジェンダー違和感
ジェンダー違和感;他の特定のジェンダー違和感;特定不能のジェンダー違和感。
【0162】
分裂的、衝動制御および行為障害
社会障害;反抗的行為障害;間欠性爆発性障害;行為障害;反社会性人格障害;放火癖;窃盗癖;他の特定の分裂的、衝動制御および行為障害;特定不能の分裂的;衝動制御および行為障害。
【0163】
物質関連および耽溺性障害
耽溺;アルコール使用障害;アルコール中毒;禁酒;特定不能のアルコール関連障害;胎児アルコール症候群;カフェイン中毒;カフェイン離脱;特定不能なカフェイン関連障害;大麻使用障害;大麻中毒;大麻離脱;特定不能の大麻関連障害;フェンシクリジン使用障害;他の幻覚剤使用障害;フェンシクリジン中毒;他の幻覚剤中毒;幻覚剤持続性知覚障害;特定不能のフェンシクリジン関連障害;特定不能の幻覚剤関連障害;吸入剤使用障害;吸入剤中毒;特定不能の吸入剤関連障害;オピオイド使用障害;オピオイド中毒;オピオイド離脱;特定不能のオピオイド関連障害;鎮静剤、睡眠剤または抗不安剤使用障害;鎮静剤、睡眠剤または抗不安剤中毒;鎮静剤、睡眠剤または抗不安剤離脱;特定不能の鎮静剤、睡眠剤または抗不安剤関連障害;興奮剤使用障害;興奮剤中毒;興奮剤離脱;特定不能の興奮剤関連障害;タバコ使用障害;禁煙;特定不能のタバコ関連障害;他の(または未知)物質使用障害;他の(または未知)物質中毒;他の(または未知)物質離脱;特定不能の他の(または未知)物質関連障害;ギャンブル障害。
【0164】
神経認知障害
せん妄;他の特定のせん妄;特定不能のせん妄;重度および軽度神経認知障害;アルツハイマー病による重度または軽度神経認知障害;重度または軽度前頭側頭神経認知障害;重度または軽度レヴィ小体型神経認知障;重度または軽度血管神経認知障害;外傷性脳傷害による重度または軽度神経認知障害;物質/医薬品誘発性重度または軽度神経認知障害;HIV感染による重度または軽度神経認知障害;プリオン病による重度または軽度神経認知障害;パーキンソン病による重度または軽度神経認知障害;ハンチントン病による重度または軽度神経認知障害;他の医学的状態による重度または軽度神経認知障害;多数の病因による重度または軽度神経認知障害;特定不能の神経認知障害。
【0165】
人格障害
人格障害の次元モデル;一般的人格障害;妄想性人格障害;統合失調症的人格障害;統合失調型人格障害;反社会性人格障害;境界型人格障害;演技性人格障害;自己陶酔的人格障害;回避的人格障害;依存性人格障害;強迫性人格障害;他の医学的状態による人格変化;他の特定の人格障害;特定不能の人格障害。
【0166】
パラフィリア障害
窃視障害;露出障害;窃触障害;性的マゾヒズム障害;性的サディズム障害;小児性愛障害;フェティシズム障害;異性装障害;他の特定のパラフィリア障害;特定不能のパラフィリア障害。
【0167】
他の精神障害
他の医学的状態による他の特定の精神障害;他の医学的状態による特定不能の精神障害;他の特定の精神障害;特定不能の精神障害。
【0168】
医薬品誘発性運動障害および他の医薬品有害作用
神経遮断剤誘発パーキンソン病他の医薬品誘発性パーキンソン病;神経遮断剤悪性症候群;医薬品誘発性急性ジストニア;医薬品誘発性急性アカシジア;遅発性ジスキネジア;遅発性ジストニア遅発性アカシジア;医薬品誘発性姿勢振戦;他の医薬品誘発性運動障害;抗うつ剤中止症候群;医薬の他の有害作用。
【0169】
神経または精神疾患および障害の症状
神経または精神疾患または障害は、多様な症状として顕在化し得る。神経または精神疾患または障害の症状の非限定的例は、アパシー、うつ病、不安、認知機能障害、精神病、攻撃行動、興奮、衝動抑制障害、睡眠障害、高揚したまたはイライラした気分、多動、誇大的態度、必要な睡眠の減少、めくるめく思いおよびある場合、精神病、快感消失、悲しい気分、無希望、低い自尊心、集中力減少および無気力、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、進行性筋肉萎縮、進行性延髄(萎縮)麻痺、仮性球麻痺脊髄筋肉萎縮疾患(例えば、SMAI型、別名ウェルドニッヒ・ホフマン病、SMAII型、SMAIII型、別名クーゲルベルグ・ヴェランダー病およびケネディ病、別名進行性脊髄延髄筋肉萎縮)、ハラーフォルデン・スパッツ病、ザイテルベルガー病(小児神経軸索ジストロフィー)、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、常染色体優性小脳運動失調(ADCA)、純粋自律神経不全症(ブラッドバリー・エグルストン症候群)、カダシル症候群およびバッテン病(スピルマイヤー・フォークト・シェーグレン)などの神経セロイドリポフスチン障害);老人性認知症、早期発症アルツハイマー病、アルツハイマー型認知症、認知、記憶喪失、健忘症/健忘性症候群、意識障害、昏睡、注意力低下、発話障害、失認、失語、失行、軽度認知機能障害(MCI)、良性健忘、軽度神経認知障害、認知症、疾患(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、プリオン病、外傷性脳傷害、HIVまたはAIDS)による神経認知障害、ビンスワンガー病(皮質下白質脳症)およびカプグラ症候群;またはここに開示する神経または精神疾患または障害に付随するあらゆる他の症状などの症状を含む。
【0170】
医薬組成物
ある実施態様において、ここに提供されるのは、ここに記載する化合物および薬学的に許容される添加物または担体を含む、組成物(例えば、医薬組成物)である。ある実施態様において、ここに提供されるのは、処置を必要とする対象における代謝障害を処置する方法であって、有効量のここに記載する化合物または医薬組成物を投与することを含む、方法である。担体および添加物の例は当業者に周知であり、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004; Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000;およびRowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005に詳述されている。製剤はまた1以上の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、処理助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、風味剤、希釈剤および薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)の外見を洗練されたものとするためのまたは医薬品(すなわち、医薬)の製造の補助となる他の既知添加剤も含み得る。
【0171】
本発明の組成物は、経口、非経腸的、吸入、局所的、直腸、経鼻、頬側、舌下、膣または埋め込まれたリザーバーを介して投与され得る。ここで使用する用語「非経腸」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または点滴技術を含む。好ましくは、組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。本発明の組成物の無菌注射用形態は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当分野で既知の技術により製剤化され得る。無菌注射用調製物はまた、非毒性非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中、例えば1,3-ブタンジオールなどの溶液としての無菌注射用溶液または懸濁液であり得る。とりわけ用い得る許容される媒体および溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌、固定油も溶媒または懸濁媒体として慣用的に用いられる。本発明の薬学的に許容される組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含む、何らかの経口で許容される剤型で経口投与され得る。
【0172】
単一剤型の組成物を製造するために担体物質と合わせ得る本発明の化合物の量は、処置する宿主および特定の投与方法を含む、多様な因子により変わる。任意の特定の対象のための特定の投与量および処置レジメンは、用いる特定の化合物の活性;対象の年齢、体重、全般的健康状態、性別および/または食習慣;投与時間、排泄速度、薬物組み合わせおよび処置医の判断および処置する特定の疾患の重症度を含む、多様な因子により変わることも理解される。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の特定の化合物にもよる。
【0173】
本発明の化合物および組成物は、好ましくは投与の容易さおよび投与量均一性のために、投与量単位形態として製剤化される。ここで使用する表現「投与量単位形態」は、処置する対象に適する物理的に隔離された薬剤の単位をいう。しかしながら、本発明の化合物および組成物の総一日利用量は、健全な医学的判断の範囲内で処置医により決定されることも理解される。
【0174】
組み合わせ治療
ある実施態様において、ここに記載開示する化合物は、ここに記載開示する化合物を、それを必要とする患者に1以上の治療と共に投与することを含む、ここに記載する代謝障害を処置する方法を提供する。ある実施態様において、1以上の処置は、患者の食習慣の調節、患者の運動習慣の調節または薬剤である。
【0175】
ある実施態様において、ここに記載開示する化合物は、ここに記載開示する化合物を、それを必要とする患者に1以上の薬剤と共に投与することを含む、ここに記載する代謝障害を処置する方法を提供する。本発明の化合物と組み合わせて使用し得る適当な薬剤は、抗肥満剤(食欲抑制剤を含む)、抗糖尿病剤、抗高血糖剤、脂質低下剤、抗高血圧剤、抗パーキンソン薬物、抗アルツハイマー薬物、抗うつ剤、抗精神病剤、抗虚血剤、CNS抑制剤、抗コリン剤、ヌートロピクス、てんかん医薬、注意(例えば、ADD/ADHD)医薬、睡眠促進医薬、覚醒促進医薬および疼痛医薬を含む。
【0176】
本発明の化合物と共に使用し得る適当な脂質低下剤は、胆汁酸捕捉剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、アシルコエンザイムA-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、CETP阻害剤、スクアレンシンターゼ阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、FXR受容体モジュレーター、LXR受容体モジュレーター、リポタンパク質合成阻害剤、レニン-アンギオテンシン系阻害剤、PPAR-デルタ部分アゴニスト、胆汁酸再吸収阻害剤、PPAR-ガンマアゴニスト、トリグリセリド合成阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤、転写モジュレーター、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポタンパク質受容体誘導剤、血小板凝集阻害剤、5-LOまたはFLAP阻害剤、ナイアシンおよびナイアシン結合クロムを含むが、これらに限定されない。
【0177】
本発明の化合物と共に使用し得る適当な抗高血圧剤は、利尿剤、ベータ-アドレナリンブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、血管拡張剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アルファ/ベータアドレナリンブロッカー、アルファ1ブロッカー、アルファ2アゴニスト、アルドステロン阻害剤、鉱質コルチコイド受容体阻害剤、レニン阻害剤およびアンギオポエチン2結合剤を含むが、これらに限定されない。
【0178】
本発明の化合物と共に使用し得る適当な抗糖尿病剤は、他のアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、DGAT-1阻害剤、AZD7687、LCQ908、DGAT-2阻害剤、モノアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ阻害剤、PDE-10阻害剤、AMPKアクティベーター、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ジアビネース、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、ブリミピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド、トラザミド、トルブタミド)、メグリチナイド、アルファ-アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタット、トレアスタチン、AL-3688)、アルファ-グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン-Q、サルボスタチン)、PPAR-ガンマアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、PPAR-アルファ/ガンマアゴニスト(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767、SB-219994)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン、ブフォルミン)、GLP-1モジュレーター(エキセンディン-3、エキセンディン-4)、リラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド(Byetta)、タスポグルチド、リキセナチド、ドゥラグルチド、セマグルチド、N,N-9924、TTP-054、PTP-1B阻害剤(トロズスクエミン、ヒルチオサール抽出物)、SIRT-1阻害剤(例えば、レスベラトロール、GSK2245840、GSK184072)、DPP-IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチン、サクサグリプチン)、インスリン分泌促進物剤、脂肪酸酸化阻害剤、A2アンタゴニスト、JNK阻害剤、グルコキナーゼアクティベーター(例えば、TTP-399、TTP-355、TTP-547、AZD1656、ARRY403、MK-0599、TAK-329、AZD5658、GKM-001)、インスリン、インスリン模倣体、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(例えば、GSK1362885)、VPAC2受容体アゴニスト、SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、BI-10733、トホグリフロジン、ASP-1941、THR1474、TS-071、ISIS388626、LX4211)、グルカゴン受容体モジュレーター、GPR119モジュレーター(例えば、MBX-2982、GSK1292263、APD597、PSN821)、FGF21誘導体、TGR5(GPBAR)受容体アゴニスト(例えば、INT777)、GPR0アゴニスト(例えば、TAK-875)、GPR120アゴニスト、ニコチン酸受容体(HM74A)アクティベーター、SGLT1阻害剤(例えば、GSK1614235)、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素阻害剤、フルクトース1,6-ジホスファターゼ阻害剤、アルドースレダクターゼ阻害剤、鉱質コルチコイド受容体阻害剤、TORC2阻害剤、CCR2阻害剤、CCR5阻害剤、PKC(例えば、PKC-アルファ、PKC-ベータ、PKC-ガンマ)阻害剤、脂肪酸シンターゼ阻害剤、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ阻害剤、GPR81モジュレーター、GPR39モジュレーター、GPR43モジュレーター、GPR41モジュレーター、GPR105モジュレーター、Kv1.3阻害剤、レチノール結合タンパク質4阻害剤、グルココルチコイド受容体モジュレーター、ソマトスタチン受容体(例えば、SSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR5)阻害剤、PDHK2阻害剤、PDHK4阻害剤、MAP4K4阻害剤、IL1-ベータモジュレーターおよびRXR-アルファモジュレーターを含むが、これらに限定されない。
【0179】
適当な抗肥満剤は、11-ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、ステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD-1)阻害剤、MCR-4アゴニスト、CCK-Aアゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤(例えば、シブトラミン)、交感神経刺激剤、ベータ-3-アドレナリン受容体アゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンおよびそのアナログ、5-HT2Cアゴニスト(例えば、ロルカセリン/Belviq)、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプチン、レプチンアナログ、レプチンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン/オルリスタット)、食欲減退剤(例えば、ボンベシンアゴニスト)、NPYアンタゴニスト(例えば、ベルネペリット)、PYY3-36(およびそのアナログ)、BRS3モジュレーター、オピオイド受容体混合型アンタゴニスト、甲状腺ホルモン様活性剤、デヒドロエピアンドロステロン、グルココルチコイドアゴニストまたはアンタゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、GLP-1アゴニスト、毛様体神経栄養因子(例えば、Axokine)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害剤、H3アンタゴニストまたは逆アゴニスト、ニューロメジンUアゴニスト、MTP/ApoB阻害剤(例えば、ジルロタピド、JTT130、Usistapide、SLX4090などの腸選択的MTP阻害剤)、MetAp2阻害剤(例えば、ZGN-433)、グルカゴン、GIPおよびGLP1受容体の2以上に混合調節活性を有する薬剤(例えば、MAR-701、ZP2929)、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、CB1受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト、グレリンアゴニストまたはアンタゴニスト、オキシントモジュリンおよびそのアナログ、モノアミン取り込み阻害剤(例えば、テソフェンシン)および組み合わせ剤(例えば、ブプロピオン+ゾニサミド(Empatic)、プラムレニチド+メトレレプチン、ブプロピオン+ナルトレキソン(Contrave)、フェンテルミン+トピラマート(Qsymia)を含むが、これらに限定されない。
【0180】
ある実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて使用する抗肥満剤は、腸選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピド、インプリタピド、R56918)、CCK-Aアゴニスト、5-HT2Cアゴニスト(例えば、ロルカセリン/Belviq)、MCR4アゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3-36(アナログおよびそのペグ化アナログを含む)、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン)、オレオイルエストロン、オビネピチド、プラムレニチド、テソフェンシン、レプチン、ブロモクリプチン、オルリスタット、AOD-9604およびシブトラミンから選択される。
【0181】
適当な抗パーキンソン薬物は、ドーパミン補充療法(例えば、L-DOPA、カルビドパ、エンタカポンまたはトルカポンなどのCOMT阻害剤)、ドーパミンアゴニスト(例えば、D1アゴニスト、D2アゴニスト、混合型D1/D2アゴニスト、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリン、ロピニロール、プラミペキソール、ピリベジルまたはドンペリドンと組み合わせたアポモルヒネ)、ヒスタミンH2アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えばセレジリン、ラサギリン、サフィナミドおよびトラニルシプロミン)、ピマベンセリンなどのある非定型抗精神病剤(非ドーパミン作動性非定型抗精神病剤およびセロトニン5-HT2A受容体の逆アゴニスト)およびアマンタジンを含む。
【0182】
ある実施態様において、本発明の化合物を、レボドパ(カルビドパまたはベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と併用してまたはせずに)、ビペリデン(所望によりその塩酸塩または乳酸塩として)およびトリヘキシフェニジル(ベンズヘキシル)塩酸塩などの抗コリン剤、エンタカポンまたはトルカポンなどのCOMT阻害剤、MAO A/B阻害剤、抗酸化剤、A2aアデノシン受容体アンタゴニスト、コリン作動性アゴニスト、NMDA受容体アンタゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニストならびにアレンテモル、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリドおよびプラミペキソールなどのドーパミン受容体アゴニストと組み合わせて使用できる。ドーパミンアゴニストは、薬学的に許容される塩の形態、例えば、アレンテモル臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩、フェノルドパムメシル酸塩、ナキサゴリド塩酸塩およびペルゴリドメシル酸塩であり得ることは認識される。リスリドおよびプラミペキソールは、一般に非塩形態で使用される。
【0183】
適当な抗アルツハイマー薬物は、ベータ-セクレターゼ阻害剤、ガンマ-セクレターゼ阻害剤、ドネペジル、ガランタミンまたはリバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、イブプロフェンを含むNSAID、ビタミンEおよび抗アミロイド抗体を含む。ある実施態様において、抗アルツハイマー薬物はメマンチンである。
【0184】
適当な抗うつ剤および抗不安剤は、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(三環系3級アミンおよび三環系2級アミンを含む)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆性阻害剤ofモノアミンオキシダーゼ(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α-アドレナリン受容体アンタゴニスト、ニューロキニン-1受容体アンタゴニスト、非定型抗うつ剤、ベンゾジアゼピン、5-HT1Aアゴニストまたはアンタゴニスト、特に5-HT1A部分アゴニストおよび副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストを含む。
【0185】
特に適当な抗うつ剤および抗不安剤は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン;アモキサピン、デシプラミン、シタロプラム、エスシタロプラム、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン;フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン;イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレジリン;モクロベミド:ベンラフェキシン;デスベンラフェキシン、デュロキセチン;アプレピタント;ブプロピオン、ビラゾドン、ミルタザピン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジン;アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸(chlorazepate)、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム;ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロンおよびイプサピロン、レボキセチン、ボルチオキセチン、クロラゼペートおよびケタミンおよびその薬学的に許容される塩を含む。ある実施態様において、適当な抗うつ剤および抗不安剤は、チアネプチンまたはその薬学的に許容される塩である。
【0186】
適当な抗精神病剤および気分安定化剤は、D2アンタゴニスト、5HT2Aアンタゴニスト、非定型抗精神病剤、リチウムおよび抗痙攣剤を含む。
【0187】
特に適当な抗精神病剤および気分安定化剤は、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、アミスルプリド、ペルフェナジン、チオリダジン、トリフロペラジン、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、オランザピン、パリペリドン、ブレキシピプラゾール、パリペリドン、カリプラジン、ピマベンセリン、イロペリドン、ルマテペロン、MIN-101、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、ルラシドン、フルペンチキソール、レボメプロマジン、ペリシャジン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、ズクロペンチキソール、オランザピンおよびフルオキセチン、リチウム、カルバマゼピン、ラモトリジン、バルプロ酸、イロペリドン、チオチキセン、ギャバペンチン、チアギャビンおよびその薬学的に許容される塩を含む。
【0188】
適当なてんかん医薬は、レベチラセタム、オクスカルボアゼピン、クロバザム、レチガビン、ゾニサミド、フェルバメート、エスクリカルボアゼピン酢酸塩、ラコサミド、カルバマゼピン、チアギャビン、メトスキシミド、プロガビド、バルプロ酸、ラモトリジン、ブリバラセタム、ルフィナミド、トピラマートおよびペラマネルを含む。
【0189】
適当な注意医薬は、メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン、D-アンフェタミン、リスデキサンフェタミン、メチルアンフェタミンおよびクロニジンを含む。
【0190】
適当な睡眠促進医薬は、ラメルテオン、トリアゾラム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム、テマゼパムおよびトラゾドンを含む。
【0191】
適当な覚醒促進医薬は、モダフィニル、D-アンフェタミン、カフェインおよびアルモダフィニルを含む。
【0192】
適当な疼痛医薬は、デキストロメトルファン、タペンタドール、ブプレノルフィン、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルヒネ、ナロキセゴル、オキシコドン、トラマドール、ガバペンチル、ジフルプレドナート、プレガバリン、アセチルサリチル酸、ブロムフェナック、ジクロフェナク、ジフルニサル、インドメタシン、ケトロラク、メオキシカンおよびナプロキセンを含む。
【0193】
ある実施態様において、ここに開示する化合物および組成物を他の治療と組み合わせて使用し得る。適当な治療は、心理療法、認知行動療法、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激、迷走神経刺激および脳深部刺激を含む。
【0194】
化合物1は、抗精神病剤である。抗精神病剤を、統合失調症、統合失調感情性障害、双極性障害、妄想障害、統合失調症スペクトラム障害、統合失調症陰性症状、減弱精神病症候群、前駆統合失調症、妄想障害、精神病、精神病性障害および大うつ病を含む精神病の処置に使用できることは知られる。抗精神病剤をまた精神病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、認知低下、記憶喪失、健忘症/健忘性症候群、てんかん、意識障害、昏睡、注意力低下、発話障害、レノックス症候群、多動症候群、老人性認知症、アルツハイマー型認知症および神経発達障害に付随する妄想、幻覚、攻撃行動、興奮およびせん妄興奮を含む神経精神症状の軽減にも投与し得る。化合物1を、D2受容体に作用する定型または非定型抗精神病剤により処置される状態または症状の処置のために投与し得る。化合物1は、これら定型および非定型抗精神病剤に付随する有害事象を引き起こさないとの利点を有する。
【0195】
化合物1を投与して、望まない体重増加および2型糖尿病を含むグルコースレベル上昇などの定型および非定型抗精神病剤の投与により引き起こされる有害代謝事象を軽減し、同時に精神病性状態を処置し得る。
【実施例
【0196】
本発明の化合物を、ここにおよび国際特許公開WO2011/069063(および対応する米国特許8,710,245)、WO2019/161238(および対応する米国特許10,815,249)、WO2018/151861(および対応する米国特許11,129,807)、WO2019/161236、WO2020/118032および国際特許出願PCT/US2021/026953(その各々を引用により全体として本明細書に包含させる)に提供される方法、反応スキームおよび実施例に関しては、有機合成の分野の当業者には知られるいくつかの方法により製造できる。
【0197】
本発明の化合物を、当業者には認識されるとおり、合成有機化学で知られる合成方法と共に下記方法を使用してまたはその変法により、合成できる。好ましい方法は、ここに記載のおよび/または引用のものを含むが、これらに限定されない。反応は、用いる試薬および物質に適するおよび行う変換に適する溶媒または溶媒混合物中で実施する。分子に存在する官能基は、提案される変換と適合しなければならないことは、有機合成の当業者には理解される。これは、所望の本発明の化合物を得るために、合成工程の順序の修飾または他の特定の工程スキームよりある一つの工程スキームを選択する判断を必要とすることがある。実施例は、特記しない限り、相対的立体化学で記載する。
【0198】
出発物質は、一般にSigma Aldrichまたは他の商業ベンダーなどの商業的供給源から入手可能であるかまたは本明細書に記載のとおりまたは引用のとおり製造されるかまたは当業者に周知の方法を利用して、容易に製造される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, New York (1967-1999 ed.), Larock, R.C., Comprehensive Organic Transformations, 2nd ed., Wiley-VCH Weinheim, Germany (1999)または補遺を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(Beilstein online databaseからの利用可能)に記載の方法により製造)。
【0199】
説明の目的で、ここに記載または引用する反応スキームは、本発明の化合物の合成の可能性のある経路および重要な中間体を提供する。当業者は、本発明の化合物の合成に他の合成経路を使用し得ることを認識する。具体的出発物質および試薬がスキームに記載されているが、多様な誘導体および/または反応条件を提供するために、他の出発物質および試薬に容易に置き換え得る。さらに、ここに記載するまたは引用する方法により製造した化合物の多くの、当業者に周知の慣用の化学を使用して、本開示に鑑み、さらに修飾できる。
【0200】
非臨床的/臨床試験
ここに開示する例示的化合物を、非臨床的動物モデルおよびヒト臨床試験で試験した。
【0201】
実施例1:経口糖負荷試験(oGGT)研究
実施例1.1:痩せた雄C57BL/6Jマウスの糖耐性に対する化合物1の影響
化合物1を検討して、痩せた雄C57BL/6Jマウスにおけるグルコース調節に対する化合物1の投与の効果を調べた。急性経口糖負荷試験(oGTT)を、一夜絶食後実施し、グルコース負荷30分前に化合物1を4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)を投与した。試験設計に媒体群を含めた。さらに、GLP 1受容体アゴニスト、エキセンディン-4(1μg/kg ip)を陽性対照として使用し、この群はグルコース負荷10分前に投与した。血液サンプルを試験中種々の時点で採り、その後血漿グルコースおよびインスリン含量を評価した。
【0202】
材料および方法
動物および動物管理:62匹の痩せた雄C57BL/6J JAXマウス(2匹スペア;10週齢;22~27g;できる限り25gに近い)を、Charles River, UK, Limitedから購入した。マウスを入手日体重測定し(木曜日)、通常の12時間明暗サイクル(07:00点灯)のポリプロピレンケージに、入手してから試験の間、単独で飼育した。ケージは、21±4℃の温度で、おがくず、赤色アクリル小屋、赤色アクリルトンネル、sizzlenestおよびnestletを含んだ。入手時、マウスの体重を測定し、練餌を与えて輸送からの回復を助けた。マウスを翌日および翌週月曜日に体重測定した。相対湿度(RH)は、イギリスの行為準則(UK Code of Practice)に詳述のとおり、典型的に55±15%であり、長期の40%未満のRHまたは70%を超えるRHを避けた。処置室の低RH(平均35.91%以上)が、順化期中の4日記録され、大部分外的条件により引き起こされ、試験に影響したとは考えられなかった。動物は、特に断らない限り、試験中、標準維持餌(Envigo Teklad 2018)および水道水を自由に摂取できた。
【0203】
実験手順:動物は、入手後5日に開始する3日の手技期を経た。手技最終日、マウスに媒体を1回経口投与した。手技期開始時、動物の体重測定し(電子上皿秤を使用して、最も近い0.1gまで)、統計担当者より6個の体重マッチ処置群に割り当てた。ベースライン投薬時、マウスを、16:45に開始して時間設定したスケジュールまで約16時間絶食させた。マウスを、水は自由に摂取できるが、餌は摂取できない個々の清潔なケージに入れた。翌朝、マウスを、同じ環境条件に維持された別の部屋に移し、OGTTを行った。試験群は:群A - 媒体(n=10);群B - エキセンディン-4(1μg/kg ip)(n=10);群C - 化合物1(0.3mg/kg po)(n=10);群D - 化合物1(1mg/kg po)(n=10);群E - 化合物1(3mg/kg po)(n=10);群F -化合物1 (10mg/kg po)(n=10)であった。
【0204】
一夜絶食後、ベースライン血液サンプル(B1;30μl)を、媒体または薬物処置前全動物から採った。5分後、群A、C、D、EおよびFのマウスに経口経路で投与した(グルコース30分前)。20分後(グルコース負荷10分前)、群Bのマウスにエキセンディン-4を腹腔内経路で投与した。全マウスに、2.0g/kg(400mg/mL溶液;用量体積5mL/kg)の用量のD-グルコースの経口グルコース負荷を与えた。さらに血液サンプル(30μl)を、グルコース投与(B2)3分前ならびにグルコース投与後15分(20μl)、30分(20μl)、60分(25μl)および120分(25μl)に採った。全血液サンプルをリチウムヘパリン処理チューブ(Sarstedt Microvette CB300LH)に集め、血漿の単一アリコートを産生するために血漿を遠心分離により分離し、それを凍結し(-80℃)、その後グルコース(Thermoelectron infinity glucose reagent, TR15421)およびインスリン(Alpco mouse ultrasensitive insulin kit 80 INSMSU-E10)についてアッセイした。
【0205】
OGTT完了後、全動物をスケジュール1方法により人道的に屠殺した(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。最終血液サンプルを、群A、C、D、EおよびFから心臓穿刺によってのみリチウムヘパリン被覆チューブ(Sarstedt CB300LH)に採り、血漿を遠心分離により分離した。単一血漿アリコート(約100μl)を凍結したまま貯蔵し、その後化合物をCharles River Laboratories, USAに輸送した。
【0206】
結果
全動物は試験を通して良好な状態であり、プロトコールのどの段階でも有害事象はなかった。血漿グルコースはグルコース負荷30分後ベースライン(B1)濃度の6.2mMから24mMでピークとなり、その後媒体対照動物でグルコース120分後10mMまで減少した(表1.1.1)。グルコース負荷10分前のエキセンディン-4(1μg/kg ip)処置は、媒体処置対照動物と比較して、グルコース後全時点で血漿グルコースを統計的に有意に(p<0.01)減少させ、同様に全体的AUCおよびAUCB2(0~60および0~120分)を減少させた(表1.1.1、表1.1.2、表1.1.3)。グルコース負荷30分前に投与した化合物1の4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)は、グルコース投与15分および30分後血漿グルコースを有意かつ用量依存的に(p<0.001、参照媒体対照)減少させた(表1.1.1)。10mg/kg用量のみが、対照と比較して60分時点で血漿グルコースを有意に(p<0.01)減少させ、120分時点で媒体処置動物と比較した血漿グルコースの増加が、10mg/kgおよび3mg/kg po用量(p<0.01)両方で観察された(表1.1.1)。化合物1により誘導されるこれら血漿グルコース減少は、AUCおよびAUCB2の統計的に有意(p<0.05)かつ用量依存的減少をもたらした(両方0~60;表1.1.2、表1.1.3)。120分時点で血漿グルコース増加の傾向が観察されたため、化合物1の最高用量のみ(10mg/kg po)が、総AUC(0~120分)で有意な効果(減少;p<0.01)を有した(表1.1.2、表1.1.3)。
【0207】
化合物1は、血漿インスリンに対しても血漿グルコースと類似したプロファイルを有した。特に、試験用量で、血漿インスリンは、媒体処置対照カウンターパートと比較して、有意(p<0.05)かつ用量依存的にグルコース負荷15分後および全(総0~120における傾向)AUC計算値両方を減少させた(表1.1.4、表1.1.5、表1.1.6)。グルコースで観察されたほど顕著ではないが(および統計的に有意ではない)、120分時点で対照レベルを超えて血漿インスリンが上昇する傾向があった(表1.1.4)。
【表1】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0208】
【表2】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン1日目体重および1日目処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。**p<0.01、***p<0.001。
【0209】
【表3】


平均を、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0210】
【表4】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0211】
【表5】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0212】
【表6】


平均を採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、***p<0.001。
【0213】
実施例1.2:糖尿病性db/dbマウスの糖耐性に対する化合物1の効果
化合物1を検討して、雄db/dbマウスにおけるグルコース調節に対する化合物1の投与の効果を調べた。急性経口糖負荷試験(OGTT)を、一夜絶食後実施し、グルコース負荷30分前に化合物1を4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)投与した。試験設計に媒体群を含めた。さらに、GLP 1受容体アゴニスト、エキセンディン-4(300μg/kg ip)を陽性対照として使用し、この群はグルコース負荷10分前に投与した。血液サンプルを試験中種々の時点で採り、その後血漿グルコースおよびインスリン含量を評価した。
材料および方法
【0214】
動物および動物管理:62匹の雄db/dbマウス(2匹スペア;6~7週齢)を、Charles River, Italy, Limitedから購入した。マウスを入手日体重測定し(木曜日)、標準の12時間明暗サイクル(07:00点灯)のポリプロピレンケージに群飼育した。ケージは、24±2℃の温度で、おがくず、赤色小屋、赤色トンネル、Sizzlenestおよびnestletを含んだ。入手時、マウスの体重測定し、練餌を与えて輸送からの回復を助けた。マウスを翌日および翌週月曜日に体重測定した。相対湿度(RH)は55±15%であった。動物は、特に断らない限り、試験中、標準維持餌(Envigo Teklad 2018)および水道水を自由に摂取できた。
【0215】
実験手順:動物は、到着後5日に開始する3日取扱期を経た。手技最終日、マウスに媒体を1回経口投与した。手技開始時、動物の体重測定し(電子上皿秤を使用して、最も近い0.1gまで)、統計担当者により、6個の体重マッチ処置群に割り当てた。ベースライン投薬時、マウスを、16:45に開始して時間設定したスケジュールまで約16時間絶食させた。マウスを、水は自由に摂取できるが、餌は摂取できない個々の清潔なケージに入れた。翌朝、マウスを、同じ環境条件に維持された別の部屋に移し、OGTTを行った。試験群は:群A - 媒体(n=10);群B - エキセンディン-4(1μg/kg ip)(n=10);群C - 化合物1(0.3mg/kg po)(n=10);群D - 化合物1(1mg/kg po)(n=10);群E - 化合物1(3mg/kg po)(n=10);群F -化合物1 (10mg/kg po)(n=10)であった。
【0216】
一夜絶食後、ベースライン血液サンプル(B1;30μl)を、媒体または薬物処置前全動物から採った。5分後、群A、C、D、EおよびFのマウスに経口経路で投与した(グルコース30分前)。20分後(グルコース負荷10分前)、群Bのマウスにエキセンディン-4を腹腔内経路で投与した。全マウスに、2.0g/kg(400mg/mL溶液;用量体積5mL/kg)の用量のD-グルコースの経口グルコース負荷を与えた。さらに血液サンプル(30μl)を、グルコース投与(B2)3分前ならびにグルコース投与後15分(20μl)、30分(20μl)、60分(25μl)および120分(25μl)に採った。全血液サンプルをリチウムヘパリン処理チューブ(Sarstedt Microvette CB300LH)に集め、血漿の単一アリコートを作製するために血漿を遠心分離により分離し、それを凍結し(-80℃)、その後グルコース(Thermoelectron infinity glucose reagent, TR15421)およびインスリン(Alpco mouse ultrasensitive insulin kit 80 INSMSU-E10)についてアッセイした。
【0217】
OGTT完了後、全動物をスケジュール1方法により人道的に屠殺した(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。最終血液サンプルを、群A、C、D、EおよびFから心臓穿刺によってのみリチウムヘパリン被覆チューブ(Sarstedt CB300LH)に採り、血漿を遠心分離により分離した。単一血漿アリコート(約100μl)を凍結したまま貯蔵し、その後化合物をCharles River Laboratories, USAに輸送した。
結果
【0218】
全動物は試験を通して良好な状態であり、プロトコールのどの段階でも有害事象はなかった。血漿グルコースは、媒体対照動物でベースライン(B1)濃度の9.42mMからグルコース負荷30分後54.93mMでピークとなり、その後グルコース120分後20.44mMに減少した(表1.2.1)。グルコース負荷10分前のエキセンディン-4(300μg/kg ip)処置は、媒体処置対照動物と比較して、グルコース後全時点で血漿グルコースを統計的に有意に(p<0.001)減少させ、同様に全体的AUCおよびAUCB2(0~60および0~120分)を減少させた(表1.2.1、表1.2.2、表1.2.3)。
【0219】
グルコース負荷30分前に投与した化合物1の3用量(1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)は、15分で血漿グルコースを有意に(p<0.001、参照媒体対照)減少させ、化合物1の4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)は、グルコース投与30分後血漿グルコースを減少させた(p<0.01、参照媒体対照)(表1.2.1)。血漿グルコースが増加するその後のリバウンドが、媒体処置動物と比較して、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po用量(p<0.001)で120分時点で観察された(表1.2.1)。化合物1により誘導されるこれら血漿グルコース減少は、統計的に有意な(p<0.05)AUCおよびAUCB2の減少をもたらした(両方0~60;表1.2.2、表1.2.3)。
【0220】
化合物1は、血漿インスリンに対しても血漿グルコースと類似したプロファイルを有した。特に、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg poで、媒体処置対照カウンターパートと比較して、グルコース負荷15分および60分後両方で、血漿インスリンは有意(p<0.01)かつ用量依存的に減少し、グルコース負荷30分後、10mg/kg po(p<0.05)によってもであった。AUC計算値において、3mg/kgおよび10mg/kg poの用量は、有意(p<0.01)かつ用量依存的に減少した(表1.2.4、表1.2.5)。1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po用量のAUCB2で、血漿インスリンは、0-60分、3mg/kgおよび10mg/kg po用量の場合、グルコース負荷60~120分後、で媒体処置対照カウンターパートと比較して有意に(p<0.05)減少した(表1.2.6)。
【0221】
【表7】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。**p<0.01、***p<0.001。
【0222】
【表8】

平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および1日目処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、***p<0.001。
【表9】


平均を、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、***p<0.001。
【0223】
【表10】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0224】
【表11】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0225】
【表12】


平均を採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05,**p<0.01。
【0226】
実施例2:体重増加のオランザピン誘導モデル
実施例2.1:雌Sprague Dawleyラットの体重に対する化合物1およびオランザピンの効果
化合物1を検討するため、高脂肪粉末餌で飼育した雌Sprague Dawleyラットに対する、化合物1の最大15日間、1日1回投与の効果を調べた。体重ならびに餌および水の摂取を毎日評価した。オランザピンを参照比較として含めた。このモデルは、体重に対するオランザピンの効果に感受性である。
【0227】
材料および方法
動物:74匹(2匹スペア)の雌Sprague Dawleyラット(体重範囲200~300g)を、Charles River, Margate, Kentから取り寄せた。ラットを、21±2℃の環境温度でおがくずの寝床およびエンリッチメントを有するケージに個別に飼育した。入手時(木曜日)、ラットの体重測定し、練餌を与えて輸送からの回復を助けた。ラットを翌日および翌週月曜日に体重測定した。動物を、逆明暗サイクル(10:00~18:00まで8時間消灯)に維持し、その間、部屋は赤色光で照らした。ラットを、金曜日および翌週の月曜日に体重測定した。相対湿度は、イギリスの行為準則に詳述のとおり、典型的に55±15%であり、長期の40%未満のRHまたは70%を超えるRHを避けた。12匹の動物(群F)以外、全動物は、高脂肪粉末餌(VRF1+20%ラード)を自由に摂取できた。群Fの12匹の動物は、粉末形態のEnvigo Teklad 2018維持餌を与えられた。全ラットは、いつでも濾過水を摂取できた。餌を、アルミニウムの蓋があるガラス給餌ジャーに入れた(Solmedia Laboratory Suppliers. Romford. Essex)。各蓋には3~4cmの穴を開け、餌の利用を可能とした。動物を、実験前少なくとも2週間これらの条件に順化させた。
【0228】
実験手順:動物は、3日間ベースライン慣らし期間を経て、その間、全ラットは1日1回媒体を投与された。投薬をおよそ08:45に開始するよう時間設定して、中間点がほぼ消灯時間となるようにした。動物、餌および水を、投薬時に重量を測った。ベースライン期間が終了する少し前、動物の体重測定し(電子上皿秤を使用して、最も近い0.1gまで)、統計担当者により割り当てた。スペア動物を、人道的に試験から除いた。その後、ラットに次のとおり1日1回投与した:群A - 媒体(3mL/kg po (n=12);群B - オランザピン(3mg/kg po)(n=12);群C - 化合物1(1mg/kg po)(n=12);群D - 化合物1(3mg/kg po)(n=12);群E - 化合物1(10mg/kg po)(n=12);群F - 媒体(維持餌)(n=12)。
【0229】
投薬(順番は無作為)を各日およそ08:45に開始し(0時)、すなわち、投薬の中間点はほぼ消灯時間であった。体重、餌および水摂取を、投薬時に毎日記録した。全ラットを投薬前後で観察し、状態について、適宜記録した。14日目の午後(およそ16:00)、動物を、時間設定したスケジュールまで絶食させた。実験を、15日目の翌朝終了した。15日目の朝、16時間絶食後、最終測定を行った(すなわち、体重測定)。次いで、動物に投与した(記載のとおり)。4時間後、血液サンプル(1mL)を、側方尾静脈からリチウムヘパリン含有チューブに採った。血液を2,400gで5分間、4℃で遠心分離して、5等分した血漿を得て、それをSygnature Discovery Ltdでのオプション血漿分析のために凍結貯蔵した(グルコース、インスリン、トリグリセリド、コレステロール(HDL、LDL、総)およびNEFA)。次いで、動物をスケジュール1方法で屠殺した(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。最終血液サンプル(約4mL)をEDTA被覆チューブに採り、単一血漿アリコート(約1mL)を、清潔なアリコートチューブで凍結貯蔵した(約-80℃)。肝臓を摘出し、尾状葉を除いた。尾状葉および残りの肝臓両方の重さを測り、別々に凍結貯蔵した(ドライアイス上、次いで約-80℃の冷凍庫に移した)。尾状葉は、肝臓トリグリセリドのオプションのさらなる分析を実施した。
【0230】
結果
オランザピン(3mg/kg/日、po)は、媒体処置ラットと比較して、体重(表2.1.1)および食物摂取量(表2.1.2)を有意に増加させた。最初の効果は、処置1~2日後早くも観察された。対照的に、化合物1(1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg/日、po)は、媒体処置と比較して、体重および食物摂取量を有意かつ用量依存的に減少させた。重要なことに、最初の減少後(1~4日目)、体重および食物摂取量は、処置期間の残りを通して維持された。さらに、体組成分析は、化合物1で処置した動物の体脂肪率の有意かつ用量依存的減少を明らかにした(表2.1.3)。これらの予備的結果は、非定型抗精神病剤と比較して化合物1の体重増加プロファイルが異なることを示唆した。可能性としては体重減少の結果として、肝臓トリグリセリドレベルは化合物1で改善した(すなわち、媒体と比較した用量依存的減少、表2.1.4)。オランザピンで、統計的に有意な肝臓トリグリセリドに対する効果は観察されなかった。
【表13】


平均を、ベースライン(1日目)の処置群間の差異で調節した。平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。多重比較はウィリアムズ検定により化合物1対媒体を比較し、多重t検定はオランザピン対媒体を比較した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【表14】


平均を、ベースライン(-2~0日目の平均)の処置群間の差異で調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
多重比較はウィリアムズ検定により化合物1対媒体を比較し、多重t検定はオランザピン対媒体を比較した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【表15】


平均を、処置群間の1日目体重差異で調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
多重比較はウィリアムズ検定により化合物1対媒体を比較し、多重t検定はオランザピン対媒体を比較した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【表16】


平均を逆変換し、採血順および処置群間の1日目体重差異で調節した。平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。多重比較はウィリアムズ検定により化合物1対媒体を比較し、多重t検定はオランザピン対媒体を比較した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
【0231】
実施例2.2:先にオランザピンで処置した雌Sprague Dawleyラットの体重に対する化合物1の効果
化合物1を検討して、試験化合物投与が対照レベルまでまたはそれを超えて体重を回復させるか否かを含む、先にオランザピンで処置したラットの体重および代謝パラメータに対する化合物1の投与の効果を調べた。動物は、7日間媒体またはオランザピンを1日1回投与された。オランザピンを投与された動物の体重の、媒体処置動物と比較した増加が示された。その後、8日目以降、オランザピン処置動物は、オランザピンの投与を続けるか、媒体にスイッチするかまたは化合物1(0.3、1および3mg/kg、po)にスイッチした。
材料および方法
【0232】
動物:74匹(2匹スペア)の雌Sprague Dawleyラット(体重範囲200~250g)を、Charles River, Margate, Kentから取り寄せた。ラットを、21±2℃の環境温度でおがくずの寝床およびエンリッチメントを有するケージに個別に飼育した。入手時(木曜日)、ラットの体重測定し、練餌を与えて輸送からの回復を助けた。ラットを翌日および翌週の月曜日に体重測定した。動物を、逆明暗サイクル(10:00~18:00まで8時間消灯)に維持し、その間、部屋は赤色光で照らした。ラットを、金曜日および翌週の月曜日に体重測定した。相対湿度は、イギリスの行為準則に詳述のとおり、典型的に55±15%であり、長期の40%未満のRHまたは70%を超えるRHを避けた。全動物は、高脂肪粉末餌(VRF1+20%ラード)を自由に摂取できたおよび全ラットは、いつでも濾過水を摂取できた。餌を、アルミニウムの蓋があるガラス給餌ジャーに入れた(Solmedia Laboratory Suppliers, Romford, Essex)。各蓋には3~4cmの穴を開け、餌の利用を可能とした。動物を、実験前少なくとも2週間これらの条件に順化させた。
【0233】
実験手順:動物は、3日間ベースライン慣らし期間を経て、その間、全ラットは1日1回媒体を投与された。投薬をおよそ08:45に開始するよう時間設定して、中間点がほぼ消灯時間となるようにした。動物、餌および水を、投薬時に重量を測った。ベースライン期間が終了する少し前、動物の体重測定し(電子上皿秤を使用して、最も近い0.1gまで)、統計担当者により2個の体重マッチ処置群に割り当てた。その後、ラットに次のとおり1日1回投与した:処置1(po)1~4日目または1~7日目:群A - 媒体(3mL/kg)(n=12);群B~F - オランザピン(3mg/kg)(n=62)。
【0234】
オランザピン(3mg/kg po)は、このモデルで体重を4~6%増加させることが、社内で以前示されている。投薬を各日およそ08:45に開始し(0時)、すなわち、投薬の中間点はほぼ消灯時間であった。食物摂取量に対する薬物の影響を最大限にするために、この戦略を採った。投薬を連続7日間続け、ラットを、毎日0時に体重測定した(最も近い0.1gまで)。各投薬セッション前および完了時、動物を試験し、あらゆる明白な行動/生理学的効果または動物の状態に関連する他の関連所見を手動で記録した。4日目以降、体重データを分析して、高脂肪餌で飼育した媒体処置対照と比較して、オランザピンで体重の統計的に有意な増加があるか否かを評価した。これが統計的有意に達したとき、群B~Fのラットを、さらに、統計担当者により、次のとおり、入手可能なデータに基づき割り当てた:処置2:群A - 媒体(水性メチルセルロース、1%、3mL/kg po)(n=12);群B - オランザピン(3mg/kg po)(n=12);群C - 化合物1(0.3mg/kg po)(n=12);群D - 化合物1(1mg/kg po)(n=12);群E - 化合物1(3mg/kg po)(n=12);群F - 媒体(水、3mL/kg)(n=12)。その後、8日目以降、動物は、オランザピンの投与を続けるか、媒体にスイッチするかまたは化合物1(0.3、1および3mg/kg、po)にスイッチした。体重(Body intake)および食物摂取量を毎日評価した。
【0235】
投薬を各日およそ08:45に開始し(0時)、すなわち、投薬の中間点はほぼ消灯時間であった。体重、餌および水摂取を、投薬時に毎日記録した。全ラットを投薬前後観察し、状態について、適宜注記した。14日目の午後(およそ16:00)、動物を、時間設定したスケジュールまで絶食させた。実験を、15日目の翌朝終了した。15日目の朝、16時間絶食後、最終測定を行った(すなわち、体重測定)。次いで、動物に投与した(記載のとおり)。4時間後、2個の血液サンプル(20μLおよび1mL)を、側方尾静脈からリチウムヘパリン含有チューブに採った。20μLサンプルを凍結貯蔵し(全血)、その後HbA1cを決定した(Roche Tina-quant A2c Gen 3, Cobas C111)。多い方の血液サンプルを2,400gで5分間、4℃で遠心分離して、5等分した血漿を得て、それをSygnature Discovery Ltdでのオプション血漿分析のために凍結貯蔵した(グルコース、インスリン、トリグリセリド、コレステロール(HDL、LDL、総)およびNEFA)。次いで、動物をスケジュール1方法で屠殺した(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。最終血液サンプル(約4mL)をEDTA被覆チューブに採り、単一血漿アリコート(約1mL)を、清潔なアリコートチューブで凍結貯蔵した(約-80℃)。肝臓を摘出し、尾状葉を除いた。尾状葉および残りの肝臓両方の重さを測り、別々に凍結貯蔵した(ドライアイス上、次いで約-80℃の冷凍庫に移した)。尾状葉は、肝臓トリグリセリドのさらなる分析をした。死体を、体組成分析する可能性のために、凍結貯蔵した(約-20℃)。空腹時グルコースおよびインスリンレベル、肝臓トリグリセリドおよび体脂肪組成を含む代謝パラメータを、試験終了時に決定した。
【0236】
結果
先の刊行物に一致して、オランザピン(3mg/kg/日、po)は、媒体処置ラットと比較して体重(表2.2.1)および食物摂取量(表2.2.2)を有意に増加させた。最初の効果は、投薬後2~3日後に早くも観察された。8日目、動物は、オランザピンの投与を続けるか、媒体または化合物1処置にスイッチした。化合物1処置へのスイッチは、試験した全用量(0.3、1および3mg/kg、po)で、オランザピン誘導体重増加および食物摂取量を回復させた。重要なことに、媒体と比較して、オランザピン誘導体重増加の回復が、化合物1処置にスイッチしたラットで見られた。さらに、体組成分析は、オランザピンを継続して投与されているラットと比較して、化合物1処置にスイッチした動物におけるパーセント脂肪の有意な減少を明らかにした(表2.2.3)。肝臓トリグリセリドレベルは化合物1で減少したが、減少は統計的有意には達しなかった(表2.2.4)。これらの予備的結果は、化合物1が先の抗精神病剤薬物処置に付随する体重増加を軽減することを示唆する。
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0237】
実施例2.3:雌Sprague Dawleyラットのオランザピン誘導体重増加に対する化合物1の効果
化合物1を調査して、高脂肪粉末餌で飼育した雌Sprague Dawleyラットに対する、化合物1の最大15日間、1日1回投与の効果を探索している。化合物の効果を、単独およびオランザピン存在下両方で評価する。シブトラミンを参照比較として含める。このモデルは、体重に対するオランザピンの効果に感受性である。試験の目的は、試験化合物の投与がオランザピン誘導体重増加に影響するか、試験用量で、化合物が単独で投与したとき体重ならびに餌および水摂取に如何なる影響があるかを調べることである。
【0238】
材料および方法
動物:74匹(2匹スペア)の雌Sprague Dawleyラット(体重範囲200~300g)を、Charles River, Margate, Kentから取り寄せる。ラットを、21±2℃の環境温度で、おがくず寝床およびエンリッチメントを有するケージに個別に飼育する。入手時(木曜日)、ラットの体重測定し、練餌を与えて輸送からの回復を助ける。ラットを翌日および翌週月曜日に体重測定する。動物を、逆明暗サイクル(10:00~18:00まで8時間消灯)に維持し、その間、部屋は赤色光で照らす。ラットを、金曜日および翌週の月曜日に体重測定する。相対湿度は、イギリスの行為準則に詳述のとおり、典型的に55±15%であり、長期の40%未満のRHまたは70%を超えるRHを避ける。全動物は、高脂肪粉末餌(VRF1+20%ラード)を自由に摂取でき、全ラットは常に濾過水を自由に摂取できる。餌を、アルミニウムの蓋があるガラス給餌ジャーに入れる(Solmedia Laboratory Suppliers, Romford, Essex)。各蓋には3~4cmの穴を開け、餌の利用を可能とする。動物を、実験前少なくとも2週間これらの条件に順化させる。シブトラミンを対比薬剤として使用する。
【0239】
実験手順:動物は、3日間ベースライン慣らし期間を経て、その間、全ラットは1日1回媒体を投与される。投薬をおよそ08:45に開始するよう時間設定して、中間点がほぼ消灯時間となるようにする。動物、餌および水を、投薬時間に重量測定する。ベースライン期間が終了する少し前、動物の体重を測り(電子上皿秤を使用して、最も近い0.1gまで)、統計担当者により割り当てた(下表参照)。スペア動物を人道的に試験から除く。その後、ラットに次のとおり1日1回投与する:処置1:群A - 媒体(5mL/kg po)(n=12);群B -媒体(5mg/kg po)(n=12);群C - 化合物1(po)(n=12);群D - 化合物1(po)(n=12);群E -シブトラミン(po)(n=12);群F -シブトラミン(po)(n=12);処置2:群A - 媒体(5mL/kg po)(n=12);群B - オランザピン(3mg/kg po)(n=12);群C -媒体(3mg/kg po)(n=12);群D - オランザピン(3mg/kg po)(n=12);群E -媒体(5mL/kg po)(n=12);群F - オランザピン(3mg/kg)(n=12)。
【0240】
投薬を各日およそ08:45(0時)に開始し、すなわち、投薬の中間点がほぼ消灯時間である。処置2を、処置1後できるだけすぐに投与する。体重、餌および水摂取を、投薬時に毎日記録する。全ラットを投薬前後観察し、状態について、適宜記録する。
【0241】
14日目の午後(およそ16:00)、動物を時間設定したスケジュールまで絶食させる。実験は、15日目の翌朝に終了した。15日目の朝、16時間絶食後、最終測定を行う(すなわち、体重測定)。次いで、動物に投与する(記載のとおり)。4時間後、血液サンプル(1mL)を、側方尾静脈からリチウムヘパリン含有チューブに採る。血液を2,400gで5分間、4℃で遠心分離して、5等分した血漿を得て、それをSygnature Discovery Ltdでのオプション血漿分析のために凍結貯蔵(グルコース、インスリン、トリグリセリド、コレステロール(HDL、LDL、総)およびNEFA)。次いで、動物をスケジュール1の方法で屠殺する(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。最終血液サンプル(約4mL)をリチウムヘパリン被覆チューブに採り、単一血漿アリコート(約1mL)を、清潔なアリコートチューブで凍結貯蔵する(約-80℃)。死体を、体組成分析する可能性のために、凍結貯蔵する(約-20℃)。
【0242】
実施例3:食餌性肥満(DIO)マウスモデル
食餌性肥満(DIO)マウスモデルにおける化合物1の効果
食餌性肥満(DIO)マウスは、増加した脂肪症、インスリン抵抗性およびグルコース不耐性を示す肥満のよく特徴付けられたモデルである(Kleinert et al., 2018)。この試験の目的は、高脂肪餌(45%kcalが脂肪由来)の長期摂取により肥満を示す雄マウスにおける、35日間1日1回経口投与した化合物1の効果の測定であった。GLP1受容体アゴニスト、リラグルチドを陽性比較対照として使用した。化合物1の1日1回経口投与の効果を、35日間、体重、餌および水摂取で毎日評価した。さらに、空腹時血漿グルコースおよびインスリンを15日目に測定し、経口糖負荷試験(OGTT)を28日目に実施した。体組成を25日目にDEXAにより分析した。
【0243】
材料および方法
動物:75匹(72匹主試験;3匹スペア)の雄C57Bl/6Jマウスを、7~8週齢でCharles River UK (Margate, Kent UK)から取り寄せた。入手時、動物を、通常の明/暗サイクル(点灯:07:00~19:00)で、高脂肪餌(D12451餌、脂肪として45%kcal;Research Diets, New Jersey, USA)および濾過水道水を自由に摂取する群飼育した。少なくとも14週の高脂肪餌暴露後、動物を、逆明/暗サイクル(9:30~17:30まで8時間消灯)で個別に飼育し、試験期間中、高脂肪餌(D12451;20%タンパク質、35%炭水化物および45%脂肪;Research Diets, New Jersey, USA)および濾過水を自由に摂取させた。動物を、ベースライン期の開始まで毎週体重測定した;その後、毎日体重測定した。
【0244】
実験手順:実験手順は、試験におけるストレス関連効果の発生を低減した(例えば、慢性試験において、ベースライン投薬に対する体重応答はより安定である)。この手技/馴化期を、7日間1日1回続けた(週末を回避)。この手技期に続いて、動物は、経路および皮下経路で1日1回媒体を投与される、7日間ベースライン期を経た。全投薬を、朝の投薬の中間点がほぼ午前09:30になるように、各日およそ08:30に開始した。ベースラインおよび薬物処置期の間、体重、餌および水摂取を、投薬時間に毎日記録した。全マウスを投薬前後観察し、状態について、適宜注記した。マウスを、体重、餌および水摂取に基づき、統計担当者により6群に割り当てた:群A - 媒体(脱イオン水 po)(n=12);群B - 化合物1(0.3mg/kg po)(n=12);群C - 化合物1(1mg/kg po)(n=12);群D - 化合物1(3mg/kg po)(n=12);群E - 化合物1(10mg/kg po)(n=12);群F - リラグルチド(0.2mg/kg 皮下)(n=12)。スペア動物を、統計担当者の裁量により、人道的に試験から除くかまたは群に含めた。
【0245】
1日目以降、全マウスに媒体、化合物1またはリラグルチドを1日1回投与した。全投薬を各日およそ08:30に開始し、ほぼ09:30の中間点で経路または皮下(sc)経路を介する。体重、餌および水摂取を、朝の投薬時間に毎日記録した。全マウスを、各投薬期間の前後に観察し、状態について、適宜記録した。皮下注射について、部位を、針が窄刺部位での刺激の可能性を最小限とするため、毎日ローテーションした。投薬を、15日目の血液サンプル採取まで続けた
【0246】
15日目血液サンプリング(グルコースおよびインスリン):15日目動物を、時間設定したスケジュールで4時間餌から離した。絶食3時間後、各マウスに投与した(同様に時間設定したスケジュール)。30分後、単一血液サンプル(30μl)を側方尾静脈からリチウムヘパリン被覆チューブ(Sarstedt CB300LH)に採り、遠心機でできるだけすぐに回転させた。血漿を清潔なアリコートチューブに分配し、すぐにドライアイスで凍結させた。血漿サンプルを、血漿グルコース(Thermoelectron Infinity glucose reagent TR15421)およびインスリン(Alpco mouse ultrasensitive insulin kit 80 INSMSU-E10)の決定まで凍結貯蔵した(約-80℃)。投薬を、25日目に実施するDEXAまで続けた。
【0247】
25日目DEXA:25日目、体組成分析を、Lunar PIXImus Densitometerを使用して、イソフルランで麻酔したマウスのDEXAにより実施した(読み取りを投与後であるが、時間設定したスケジュールではなく、行った)。マウスの分析は、頭部を除くため、定義した注目画像領域(ROI)で行った。故に、結果を、頭部を含めおよび含めずに、取得した。サンプル重量(g)、除脂肪体重(g)、脂肪質量(g)、脂肪質量(%)、BMC(骨塩含量)およびBMD(骨密度)の結果を記録した。マウスに投与し、体重、餌および水摂取はすべて前日測定する。DEXA走査は、投薬に関連した時間設定したスケジュールで実施しなかった。試験を経口糖負荷試験(OGTT)まで続けた。
【0248】
29日目OGTT:28日目、マウスおよそ16:00に開始して時間設定したスケジュールまで、絶食させた(餌の重量測定をする)。OGTTを、一夜絶食した後翌朝(約16時間絶食後)、実施した。OGTTは通常の明/暗サイクルの部屋で実施した。動物を、一般照明下に維持した別の部屋に移した。マウスに、グルコース負荷(2.0g/kg po)30分前の時間設定したスケジュールまで投与した。血液サンプルを、投薬直前(B1、30μl)、グルコース投与直前(B2、30μl)ならびにグルコース投与15分(30μl)、30分(30μl)、60分(30μl)および120分(30μl)後採った。全血液サンプルをリチウムヘパリン被覆チューブ(Sarstedt CB300LH)に採り、遠心機でできるだけすぐに回転させた。血漿サンプルを、血漿グルコース(Thermoelectron Infinity glucose reagent TR15421)およびインスリン(Alpco mouse ultrasensitive insulin kit 80 INSMSU-E10)の決定まで凍結貯蔵した(約-80℃)。OGTT終了時、マウスは、重量測定した戻された餌を摂取しており、通常の処置室に戻した。投薬を35日目まで続ける。
【0249】
35日目終了:35日目、全マウスに投与し、投薬30分後マウスをスケジュール1方法により人道的に屠殺した(暴露するCOの濃度を増加させ、頚椎脱臼により死亡を確認した)。検死後血液サンプル(約0.6mL)を心臓穿刺により採った。2個の血液サンプルを集めた;200μlの一方はEDTA被覆チューブ(生物分析用)、他方はリチウムヘパリン被覆チューブ。血漿サンプルを、生物分析またはトリグリセリド、NEFAおよびコレステロールのアッセイまで貯蔵した(約-80℃)。血液サンプリング直後、肝臓を摘出し、重量測定した。右葉を切断し、一部(80~129mg、重量測定)をクライオバイアル(3.6mL)に保管し、残りの右葉を、スクリューキャップマイクロチューブ(CP5915, Alpha laboratories)に貯蔵した。サンプルをすぐにドライアイスで凍結させ、その後約-80℃で貯蔵した。これらのサンプルを肝臓トリグリセリド(TRIGL: Cat. 04657594 190)、コレステロールおよびNEFAの分析に使用し得る。
【0250】
結果:化合物1(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg、po)の35日間の1日1回投与は、用量依存的にDIOマウスの体重を減少させ(表3.1)、7.5%の最大は10mg/kg用量であった。体重減少は食物摂取量への顕著な影響なく起こり(表3.2)、一方水摂取は用量依存的に増加し(表3.3)、エネルギー消費に対する良い効果を示唆する可能性がある。体組成分析を25日目にDEXAで実施した(表3.4)。決定された総脂肪質量は、その日に観察された中程度の体重減少に一致して、10mg/kg用量でわずかに減少した。15日目、4時間絶食後、動物に投与し、血漿サンプルを30分後集めた。化合物1は、DIOマウスで空腹時グルコース上昇およびインスリンレベルを用量依存的に減少させ、インスリン感受性の改善が示唆された(表3.5)。血漿グルコースおよびインスリン低下は、16時間絶食後、28日目に実施したoGTTでも観察された(表3.6~3.11)。これは、ナイーブおよび糖尿病性db/dbマウスでの先の結果に一致し、化合物1処置後のインスリン感受性改善および/または胃内容排出に対する効果を反映する。化合物1はまた肝臓重量を用量依存的に減少させ、肝臓トリグリセリドの減少が観察される傾向にあった(表3.12および3.13)。血漿脂質パラメータは化合物1により有意に変化しなかった。全体として、化合物1はDIOマウスモデルで体重を減らし、血糖コントロールを改善する。
【表22】


平均を、ベースライン(1日目)の処置群間の差異で調節した
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算する。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表23】


平均をベースラインの処置群間の差異で調節する(-6~0日目の平均)
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算する。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表24】


平均をベースラインの処置群間の差異で調節する(-6~0日目の平均)
平均の標準誤差(SEM)を、統計モデルの剰余から計算する。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.00
【表25】


平均を1日目の体重の処置群間の差および走査順で調節する。TTM=総質量。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表26】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表27】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表28】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。**p<0.01、***p<0.001
【表29】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。
【表30】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。**p<0.01、***p<0.001
【表31】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001
【表32】


平均を採血順および1日目の体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。**p<0.01、***p<0.001
【表33】


平均を1日目体重の処置群間の差で調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。*p<0.05、***p<0.001
【表34】


平均を逆変換し、1日目の体重の処置群間の差で調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
媒体に対する比較は、化合物1はウィリアムズ検定およびリラグルチドは多重t検定であった。***p<0.001
【0251】
実施例4:痩せたC57BL/6Jマウスの胃内容排出
化合物1の痩せたC57BL/6Jマウスの胃内容排出に対する効果
この試験の目的は、痩せた雄C57BL6/JRjマウスにおけるアセトアミノフェン吸収試験を使用する胃内容排出速度に対する化合物1経口投与の効果の試験であった。このアッセイは、胃内容排出評価の臨床的に確立された方法である。
【0252】
材料および方法
動物:60匹雄C57BL/6JRjマウス(体重範囲23~25g)を、Janvier, Franceから取り寄せた
【0253】
実験手順:Chowを与えた雄C57BL/6JRjマウス(8週齢)を、試験開始6日前順化させた。試験-1日目、動物を、体重に基づき6処置群(n=10/群)に無作為化し、平均食物摂取量の50%を与えて半絶食させた。翌朝(1日目、t=-30分)、動物に媒体または化合物1(0.3、1、3または10mg/kg)をPO投与した。セマグルチド(10nmol/kg)を1群にSC投与し、陽性アッセイ対照として使用した。t=0分、アセトアミノフェン溶液(160mg/kg、PO)を投与した。アセトアミノフェン決定のための血液サンプルをt=10分、30分、60分および120分に集めた。
【0254】
結果
媒体と比較して、化合物1は、アセトアミノフェン投薬10分、30分および60分後、用量依存的様式で胃内容排出を阻害した。化合物1の全4用量、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび1mg/kgは、媒体と比較して有意に低い血清アセトアミノフェン(AUC0-120分)を示した。セマグルチド(10nmol/kg)は、アセトアミノフェン投薬10分、30分および60分後、胃内容排出を阻害し、媒体と比較して血清アセトアミノフェンAUC0-120が低かった。結論として、化合物1は、痩せたマウスにおける胃内容排出に対する阻害効果を示した。これは、本TAAR1アゴニスト、化合物1の急性投薬が経口グルコース負荷に対する応答の糖変動を減少させる機構の一つを表す。結果を下表4.1に示す。
【0255】
【表35】


値はn=10の平均+SEMとして表した。ダネット検定一因子線形モデル。媒体と比較して**:P<0.01、***:P<0.001。
【0256】
実施例5:統合失調症を有するヒト対象におけるECG間隔および代謝効果に対する化合物1の朝の服薬の効果
この試験の目的は、統合失調症を有する成人対象における心電図(ECG)間隔に対する化合物1の単回経口投与の効果を試験であった。主要目的は、心拍数に対して補正したQT間隔(QTc)の効果を評価することであり、一方副次目的は、心電図効果の評価であり、これらいずれもプラセボに対して比較し、活性対照としてのモキシフロキサシンを使用した。最終目標は、統合失調症を有する成人における化合物1の単回投与の安全性および忍容性の評価ならびに代謝効果の評価であった。
【0257】
方法:これは、統合失調症を有する対象におけるECG間隔に対する150mgの化合物1の効果のフェーズ1、無作為化、単回投与、活性およびプラセボ対照、3期間クロスオーバー試験であった。化合物1および適合しているプラセボを二重盲検形式で利用した。モキシフロキサシンをオープンラベル形式で活性対照として利用した。
【0258】
期間1の投薬前、対象を、1日目にダブル・ウィリアムズ・デザインにより、化合物1 150mg(盲検)、プラセボ(盲検)およびモキシフロキサシン400mg(オープンラベル)が、期間1~期間3まで種々の順番で投与される、6シーケンスの一つに無作為に割り当てた。5日間ウォッシュアウト期間を、2つの投与の間の何れでも設けた。
【0259】
対象:18~65歳(両端を含む)の任意の人種の18.0~35.0kg/m(両端を含む)の肥満度指数(BMI)を有する男性または女性対象をこの試験に登録した。対象は、臨床的面接により確立される、統合失調症の一次診断について精神障害の診断と統計マニュアル基準を満たさなければならなかった。68名の対象が登録され、60名の対象が試験を完了した。
【0260】
実験手順:化合物1および適合しているプラセボを、二重盲検様式で投与した。化合物1(150mg)または適合プラセボまたはモキシフロキサシン400mgを、朝に1回経口投与した。連続的12誘導ECGホルターモニタリング、安全性評価のための標準デジタル12誘導ECGおよび血液サンプルからのデータを集めた。
【0261】
結果
化合物1は、150mgで、心拍数または心臓伝導、すなわち、PR間隔およびQRS時間に臨床的に関連する効果はなかった。-2日目、ベースライン、ベースライン後およびフォローアップ来院でのC-SSRSに陽性所見はなかった。死亡例はなかった。全体として、大部分のAEは、治験医により重症度は軽度または中程度と評価された:化合物1を受けた32名(50.8%)の対象は70のAEを経験し、モキシフロキサシンを受けた8名(12.7%)の対象は8のAEを経験し、プラセボを受けた2名(3.2%)の対象は3のAEを経験した。化合物1を受けた対象における最も一般的(≧5%対象)なAEは、悪心および眠気(各16名[25.4%]の対象)、めまいおよび嘔吐(各7名[11.1%]の対象)および下痢(4名[6.3%]の対象)であった。1名の対象における1SAE(低血圧)が重度かつ化合物1と関連すると評価され、モキシフロキサシンを受けた1名の対象は重度統合失調症を経験した(治験医用語:統合失調症に二次性の精神病の悪化)。化合物1は、150mgで、一般にこの試験で統合失調症を有する成人で忍容性が良好であった。
【0262】
化合物1の代謝効果を調査した。図1は、食事に応答した化合物1の代謝効果を説明する。0時、150mgの化合物1をヒト対象に投与した。対象は一夜絶食し、さらに4時間絶食後、朝の投薬をされた(すなわち、図1で影を付けた領域)。血漿での化合物1の中央ピーク濃度は、中央時間投与後3.60時間で起こる468ng/mL(平均Cmax)であった。血漿サンプルを、C-ペプチド、インスリン、グルカゴンおよびGLP-1を測定するためのMultiplexing(U-plex MSD)アッセイを使用して、グルコースを測定するための別々のオキシダーゼアッセイを使用して、そしてソマトスタチンを測定するための別々のELISAアッセイを使用して、分析した。化合物1およびプラセボを受けた各対象は、5日間の中間期ウォッシュアウトがあった。
【0263】
食事投与後、化合物1は、プラセボと比較してインスリンおよびC-ペプチドレベルを有意に低下させ、グルコース反応を減衰させ、摂食に応答した血糖コントロールに対する化合物1の効果を示す(図1に見ることができる)。化合物1はまた食事摂取8時間後のGLP-1およびグルカゴンレベルにも影響した。ソマトスタチンレベルに効果は検出されなかった。
【0264】
実施例6:静脈内糖負荷試験(IVGGT)試験
痩せた雄CD1マウスの糖耐性に対する化合物1の効果
この試験は、痩せた、絶食、雄CD1マウスのグルコース調節に対する化合物1投与の効果の評価を目的とした。急性静脈内糖負荷試験(IVGTT)を、一夜絶食後実施し、グルコース負荷30分前に化合物1を4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)投与した。試験設計に媒体群を含めた。さらに、GLP-1受容体アゴニスト、エキセンディン-4(40μg/kg iv)を陽性対照として利用し、この群はグルコース負荷と同時に投与した。血液サンプルを試験中種々の時点で採り、その後血漿グルコースおよびインスリン含量を評価した。
【0265】
材料および方法
動物および動物管理:64匹の痩せた、雄CD-1マウス(4匹スペア;20~25g)を、Charles River, UK, Limited(Margate, Kent)から購入した。動物管理は、一般に実施例1.1に上記のとおりであった。
【0266】
実験手順:実験手順を、糖負荷試験がoGTTではなくIVGTTであった以外、一般に実施例1.1に上記したとおり、実施した。試験群は:群A - 媒体(n=10、po);群B - エキセンディン-4(40μg/kg、ip)(n=10);群C - 化合物1(0.3mg/kg、po)(n=10);化合物1(1mg/kg、po)(n=10);化合物1(3mg/kg、po)(n=10);化合物1(10mg/kg、po)(n=10)。
【0267】
一夜絶食後、動物は、静脈内経路を介する糖負荷試験(IVGTT)を受けた。側方尾静脈から、ベースライン血液サンプル(B1;30μl)を、媒体または薬物処置前全動物から採った。5分後、マウスに経口経路により詳述された処置1を投与した(上表参照;グルコース約30分前)。30分後、マウスに、静脈内経路(側方尾静脈による)で処置2を投与した。血液サンプルを、グルコース負荷5分(20μl)、10分(20μl)、30分(20μl)および60分(20μl)後に採った(18gマウスで概算;サンプルは大型動物で増やした)。B2サンプル(30μl)をグルコース投与直前にも採った。全血液サンプル(尾静脈から)を、リチウムヘパリン処理チューブ(Sarstedt Microvette CB300LH)に集め、血漿の単一アリコートを産生するために血漿を遠心分離により分離し、それを凍結し(約-80℃)、その後、単一複製としてグルコース(Thermoelectron infinity glucose reagent, TR15421)およびインスリン(Alpco Ultrasensitive mouse insulin ELISA)をアッセイした。
【0268】
結果
全動物は試験を通して良好な状態であり、プロトコールのどの段階でも有害事象はなかった。血漿グルコースは、媒体処置対照動物でベースライン(B1)濃度の6.12mMからグルコース負荷5分後30.69mMのピークとなり、その後グルコース60分後11.01mMに減少した。エキセンディン-4(40μg/kg iv)は、媒体と比較して処置対照動物で、グルコース30分および60分後血漿グルコースの統計的に有意な(p<0.05)減少をもたらし、同様に全体的AUCおよびAUCB2(0-60分を減少させた(表6.1~6.3)。
【0269】
グルコース負荷30分前に投与した化合物1の4用量(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg poは、グルコース負荷後どの時点でもグルコースレベルに有意な効果はなかった。
【0270】
エキセンディン-4は、グルコース負荷5分、10分(いずれもp<0.001)および30分(p<0.05)後、血漿インスリンの統計学的に有意な増加をもたらした。血漿インスリンは、0.17ng/mLのベースライン平均値から、グルコース負荷5分後1.99ng/mLのピークまで増加した。エキセンディン-4処置動物の平均血漿インスリンレベルは、グルコース負荷60分後まで媒体処置動物と有意に異ならなかった。
【0271】
化合物1は、血漿インスリンに対しても血漿グルコースと類似したプロファイルを有した。特に、試験用量で、血漿インスリンは、グルコース負荷後および全AUC計算で媒体処置対照カウンターパートと比較して有意に減少しなかった(表6.4~6.6)。
【0272】
予想どおり、静脈内エキセンディン-4は動物でグルコース調節を改善し、これは、グルコース刺激インスリン分泌を促進する分子の既知効果に一致して、血漿インスリンの一過性増加を伴った。化合物1の経口投与は、静脈内グルコース投与後、血漿グルコースまたはインスリンに統計的に有意な効果はなかった。
【0273】
化合物1(0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kg po)での急性処置は、静脈内グルコース負荷後60分間にわたり、媒体処置対照と比較して、血漿グルコースおよびインスリン可動域に有意な効果はなかった。GLP-1受容体アゴニスト、エキセンディン-4(40μg/kg iv)は、グルコースと共投与したとき、媒体処置対照マウスと比較して、血漿グルコースを有意に減少させ、血漿インスリンを増加させた。
【0274】
ivGTT中の糖変動に対して化合物1の効果がないことは、oGTTにおけるグルコース耐容性改善(上記実施例1.1.参照)が胃内容排出遅延により介在されることをさらに確認する。
【表36】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差を調節した。平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、***p<0.001。
【表37】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差を調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。***p<0.001。
【表38】


平均を、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)グルコースで処置群間の差を調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。**p<0.01。
【表39】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。*p<0.05、***p<0.001。
【表40】


平均を逆変換し、採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節した。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、対数変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。***p<0.001。
【表41】


平均を採血順、ベースライン体重および処置前ベースライン(B1)インスリンで処置群間の差異を調節する。
平均の標準誤差(SEM)は統計モデルの剰余から計算した。
分析は、非変換データのロバスト回帰によった。
媒体との比較は、エキセンディン-4については多重t検定、化合物1についてはウィリアムズ検定によった。***p<0.001。
【0275】
実施例7:ヒトにおける胃内容停滞および排出に対するフェーズ1試験
胃内容排出速度の無作為化、オープンラベル、単回投与、クロスオーバー試験:統合失調症を有する対象における化合物1対先の抗精神病剤(PA)標準治療
この試験の目的は、代謝調節不全を有する統合失調症を有する対象の胃内容停滞および排出に対する化合物1の効果の試験およびグルコース調節に対する化合物1の効果の可能性のある機序の説明の提供である。
【0276】
試験設計:これは、2処置シーケンスの無作為化、オープンラベル、単回投与2期間クロスオーバー試験である。各処置シーケンスについて、対象は、無作為の順番で化合物1の単回投与および先の抗精神病剤(PA)標準治療を受ける。
【0277】
対象:18~65歳(両端を含む)の任意の人種の、統合失調症診断前にBMI≦25kg/mの経歴の男性または女性対象が本試験に適格である。対象は、参考としてDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-5)を使用して確立され、Structured Clinical Interview for DSM 5, Clinical Trials Version[SCID-CT])を使用して確認された、臨床的面接により確立された統合失調症の一次診断のDSM-5基準を満たしていなければならず、スクリーニング時、統合失調症の処置としてリスペリドン、オランザピン、クエチアピンまたはアリピプラゾールを受けていなければならない。対象はまたスクリーニング時CGI-Sスコア≦4(正常乃至は中等度の精神疾患)を有し、スクリーニング時SAS(<2)、AIMS(<3)およびBARS(<3)の個々の項目全て正常乃至軽度症状でなければならない。
【0278】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準1を満たさなければならない:
対象は次のメタボリック症候群基準の何れか3つを有さなければならない:
a)腹囲:
男性≧40インチ(101.6cm)
女性≧35インチ(88.9cm)
b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)
または現在トリグリセリド低下薬で処置中
c)HDL-コレステロール濃度:
男性<40mg/dL(1.03mmol/L)
女性<50mg/dL(1.29mmol/L)
または現在コレステロール低下薬で処置中である
d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L)
e)立位または臥位血圧≧130/85mmHg
または現在降圧薬で処置中。
【0279】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準2を満たさなければならない:
対象は次の基準の一つにより証明される血糖由来インスリン抵抗性を示さなければならない:
a)5.7%≦HbA1c≦6.4%
b)空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22
【0280】
実験手順:
【0281】
スクリーニング評価後、対象は臨床研究ユニットにチェックインする。ベースライン評価後、各コホートの対象を化合物1またはPA継続に無作為化する。経口向精神性医薬(または向精神性傾向を有する何らかの他の医薬)のウォッシュアウトを、化合物1に無作為化された対象で-16日目~-1日目(抗精神病剤医薬半減期に依存)に行う。
a. 最初の投薬日、一夜絶食および朝の検査/評価後、対象に、無作為化により化合物1またはPA医薬を投与し、99mTc標識食を与え、食後4時間にわたり連続的γカメラ評価する。次いで、対象はウォッシュアウト期間を経る。
b. 第二の投薬日、一夜絶食および朝の検査/評価後、対象は第二期間処置を投与される:第一処置期間で化合物1を投与された対象はPAを投与され、第一処置期間でPAを投与された対象は化合物1を投与される。99mTc標識食摂取後、対象に、4時間にわたる連続的γカメラ評価をする。対象を安定化させ(臨床評価/必要に応じて最大6日)、退院させる。フォローアップ来院が退院から7±2日に必要である。
【0282】
胃内容排出T1/2および4時間での胃内容停滞のプライマリーエンドポイントならびに2時間での胃内容停滞でのセカンダリーエンドポイントを測定する。有害事象発生率、臨床検査評価変化、バイタルサイン、12誘導ECGパラメータならびにC-SSRSに基づく自殺念慮および自殺行動の頻度および重症度を安全性エンドポイントとして観察する。
【0283】
実施例8:ヒトにおける体重関連パラメータに対するフェーズ1試験
体重関連パラメータの二重盲検式、無作為化、多回投与試験:代謝調節不全を有する統合失調症を有する対象における化合物1対オーバーカプセル化した先の抗精神病剤(PA)標準治療
この試験の目的は、代謝調節不全を有する統合失調症を有する対象におけるインスリン感受性(糖出現率、糖消失率およびグリセロール出現率)および体組成(総体脂肪、腹部脂肪および皮下脂肪症)に対する化合物1の効果の試験である。試験のその他の目的は、1)代謝効果のバイオマーカー;2)空腹時血清脂質、トリグリセリド/HDL比、HbA1C、腹囲および体重;および3)PK/バイオマーカーに対する化合物1の効果の評価を含む。
【0284】
試験設計:これは、統合失調症を有する男性および女性成人対象における二重盲検式、無作為化、多回投与試験である。48名の対象を、4週間の先の抗精神病剤(PA)の適当なウォッシュアウト期間後、経口化合物1(総1日用量最大100mg[最大50mgを1日2回])に1:1比で無作為化する。総100mg/日用量までの用量調節を、忍容性改善のために含める。この試験は1日2回投薬レジメンを利用する(食事と共に晩の投薬および食事と共に朝の投薬)。
【0285】
対象:18~65歳(両端を含む)の任意の人種の統合失調症診断前にBMI≦25kg/mの経歴の男性または女性対象が本試験に適格である。対象は、参考としてDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-5)を使用して確立され、Structured Clinical Interview for DSM 5, Clinical Trials Version[SCID-CT])を使用して確認された、臨床的面接により確立された統合失調症の一次診断のDSM-5基準を満たしていなければならず、スクリーニング時、統合失調症の処置としてリスペリドン、オランザピン、クエチアピンまたはアリピプラゾールを受けていなければならない。対象はまたスクリーニング時CGI-Sスコア≦4(正常乃至は中等度の精神疾患)を有し、スクリーニング時SAS(<2)、AIMS(<3)およびBARS(<3)の個々の項目全て正常乃至軽度症状でなければならない。
【0286】
対象またスクリーニング時陽性および陰性症状スケール(PANSS)総スコア≦80およびスクリーニング時次のPANSS項目:P7(敵意)およびG8(非協力的)で≦4のスコアを有さなければならない。
【0287】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準1を満たさなければならない:
対象は次のメタボリック症候群基準の何れか3つを有さなければならない:
a)腹囲:
男性≧40インチ(101.6cm)
女性≧35インチ(88.9cm)
b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)
または現在トリグリセリド低下薬で処置中
c)HDL-コレステロール濃度:
男性<40mg/dL(1.03mmol/L)
女性<50mg/dL(1.29mmol/L)
または現在コレステロール低下薬で処置中である
a)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L)
b)立位または臥位血圧≧130/85mmHg
または現在降圧薬で処置中。
【0288】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準2を満たさなければならない:
対象は次の基準の一つにより証明される血糖由来インスリン抵抗性を示さなければならない:
5.7%≦HbA1c≦6.4%
空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22。
【0289】
実験手順:ベースライン評価後、対象は、構造的MRI走査ならびにグルコースクランプ、続いて無作為化を受ける。化合物1に無作為化された対象は、盲検化ウォッシュアウト(期間は薬物の半減期に依存)および続く最大16日の化合物1用量調節を受ける。安定な、忍容性が良好な化合物1暴露に達したら、対象は15日間同じ化合物1投薬レジメンを続ける。先の抗精神病剤(PA)に無作為化された対象は、現在のPA盲検化(オーバーカプセル化)処置を続ける。PAに無作為化された対象には、盲検化された偽のウォッシュアウト/用量調節期間がある。
【0290】
MRI走査ならびにグルコースクランプを、処置期の最後に実施する。PAに無作為化された対象は、盲検化された外来患者用オーバーカプセル化抗精神病剤を投与され続け、一方化合物1に無作為化された対象は、先のPAへの盲検化された安定化がある。
【0291】
プライマリーエンドポイント:
【0292】
ベースラインから処置終了時までの低用量高インスリン血症正常血糖クランプ(HEC)の定常状態中のグルコース消失率におけるインスリン刺激変化。
【0293】
ベースラインから処置終了時までの高用量HEC定常状態中のグルコース消失率におけるインスリン刺激変化。
【0294】
PAのベースラインから処置終了時までの腹部皮下脂肪組織、内臓脂肪組織、肝臓プロトン密度脂肪分画(PDFF)、興味のある筋肉および臓器の変化。
【0295】
安全性エンドポイント
【0296】
全体的有害事象(AE)、重篤なAE(SAE)および中止に至るAE(またはSAE)の発生率。
【0297】
臨床検査評価、バイタルサイン、12誘導ECGパラメータの各計画来院時の観察値およびPAのベースラインからの変化。
【0298】
C-SSRSに基づく自殺念慮および自殺行動の頻度および重症度。
【0299】
他のエンドポイント:
【0300】
PAのベースラインから各ベースライン後時点までの複合代謝バイオマーカーグルコース、c-ペプチド、インスリンおよび他の潜在的バイオマーカー(グルカゴン、GLP1を含むが、これらに限定されない)の変化。
【0301】
PAのベースラインから処置終了時までの空腹時血清脂質(VLDL)、トリグリセリド/HDL比、HbA1C、腹囲および体重の変化。
【0302】
7点グルコース測定の曲線下面積(AUC)の変化。
【0303】
実施例9:ヒトにおけるグルコースおよびインスリン関連パラメータに対するフェーズ1試験
グルコースおよびインスリン関連パラメータのオープンラベル、固定順序、多回投与試験:代謝調節不全を有する統合失調症を有する対象における化合物1対先の抗精神病剤(PA)標準治療
この試験の目的は、代謝調節不全を伴う統合失調症の患者集団における糖耐性およびβ細胞機能およびインクレチンのマーカーならびに胃内容排出に対する化合物1の効果の試験である。試験のその他の目的は、化合物1の胃内容排出に対する効果および充足感、空腹感および満腹感の視覚的アナログ尺度に対する効果の評価を含む。この試験は、代謝効果のバイオマーカーの調節が起こる、化合物1の個別の対象暴露を定義する。
【0304】
主要目的
糖耐性に対する化合物1の効果の評価。
【0305】
β細胞機能およびインクレチンのマーカーに対する化合物1の効果の評価。
【0306】
副次目的
化合物1の胃内容排出に対する効果の評価。
【0307】
化合物1の充足感、空腹感および満腹感の視覚的アナログ尺度に対する効果の評価。
【0308】
安全性目的
化合物1の安全性および忍容性の評価。
【0309】
他の目的
インスリン抵抗性(HOMA-IR)値の恒常性モデルアセスメントに対する化合物1の効果の測定。
【0310】
プライマリーエンドポイント
oGTTにおけるグルコース、インスリン、cペプチドのoGTT由来血漿AUC0-120分のベースライン(PA)から安定用量(化合物1)期間評価までの変化。
【0311】
グルコース、インスリン、cペプチドおよびβ細胞応答性指数の混合食事負荷試験(MMTT)由来血漿AUC0-240分におけるベースライン(PA)から安定用量(化合物1)期間評価までの変化。
【0312】
セカンダリーエンドポイント
アセトアミノフェンレベルの血漿AUC0-240分およびCmaxにおけるベースライン(PA)から安定用量(化合物1)期間評価までの変化。
【0313】
ベースラインから安定用量(化合物1)期間評価までの胃内容排出最終排泄半減期(T1/2)、kPCDおよび遅延時間の変化。
【0314】
充足感、空腹感および満腹感、ベースラインの視覚的アナログ尺度(VAS)の変化- 全時点の反復試験(PAベースラインから化合物1安定用量期間評価)。
【0315】
安全性エンドポイント
全体的AE、重篤なAE(SAE)および中止に至るAE(またはSAE)の発生率。
【0316】
臨床検査評価、バイタルサイン、12誘導ECGパラメータの観察値およびベースライン(PA)からの変化。
【0317】
C-SSRSに基づく自殺念慮および自殺行動の頻度および重症度。
【0318】
他のエンドポイント
各計画来院のHOMA-IRにおける観察値およびベースラインからの変化。
【0319】
試験設計:これは、男性および女性成人統合失調症を有する対象におけるオープンラベル、固定順序、多回投与設計試験である。24名の対象は、約2週間化合物1(総1日用量最大100mg[最大50mgを1日2回])の錠剤を経口投与される。総100mg/日用量までの用量調節が忍容性改善のために含まれる。この試験は1日2回投薬レジメンを利用する(食事と共に晩の投薬および食事と共に朝の投薬)。
【0320】
対象:18~65歳(両端を含む)の任意の人種の統合失調症診断前にBMI≦25kg/mの経歴の男性または女性対象が本試験に適格である。対象は、参考としてDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-5)を使用して確立され、Structured Clinical Interview for DSM 5, Clinical Trials Version[SCID-CT])を使用して確認された、臨床的面接により確立された統合失調症の一次診断のDSM-5基準を満たしていなければならず、スクリーニング時、統合失調症の処置としてリスペリドン、オランザピン、クエチアピンまたはアリピプラゾールを受けていなければならない。対象はまたスクリーニング時CGI-Sスコア≦4(正常乃至は中等度の精神疾患)を有し、スクリーニング時SAS(<2)、AIMS(<3)およびBARS(<3)の個々の項目全て正常乃至軽度症状でなければならない。
【0321】
対象はまたスクリーニング時陽性および陰性症状スケール(PANSS)総スコア≦80およびスクリーニング時次のPANSS項目:P7(敵意)およびG8(非協力的)で≦4のスコアを有さなければならない。
【0322】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準1を満たさなければならない:
対象は次のメタボリック症候群基準の何れか3つを有さなければならない:
d)腹囲:
男性≧40インチ(101.6cm)
女性≧35インチ(88.9cm)
e)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)
または現在トリグリセリド低下薬で処置中
f)HDL-コレステロール濃度:
男性<40mg/dL(1.03mmol/L)
女性<50mg/dL(1.29mmol/L)
または現在コレステロール低下薬で処置中である
c)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L)
d)立位または臥位血圧≧130/85mmHg
または現在降圧薬で処置中。
【0323】
スクリーニング時、対象は代謝適格性基準2を満たさなければならない:
対象は次の基準の一つにより証明される血糖由来インスリン抵抗性を示さなければならない:
5.7%≦HbA1c≦6.4%
空腹時HOMA-IR([インスリンUiu/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22。
【0324】
実験手順:ベースライン評価後、対象は、経口糖負荷試験(oGTT)、混合食負荷試験(MMTT)およびスピルリナ呼気試験(GEBT)、続いてPAウォッシュアウト(期間は薬物の半減期に依存)および続く最大16日の化合物1用量調節を経る。安定な、忍容性が良好な化合物1暴露に達したら、対象は、同じ化合物1投薬レジメンを5~8日間続ける;この間、対象はoGTT、MMTTおよびGEBT試験を受ける。oGTTおよびMMTTは、>10時間の一夜絶食後朝に実施する。
【0325】
化合物1対象の用量調節期(期間:最大16日):
(50mgを晩+12.5mgを朝)×2日(用量レベル1)
(50mgを晩+25mgを朝)×2日(用量レベル2)
(50mgを晩+37.5mgを朝)×2日(用量レベル3)
(50mgを晩+50mgを朝)×2日(用量レベル4)。
【0326】
各用量レベルでの投薬2日後、有害事象(AE)、バイタルサインおよび選択バイオマーカーを含むが、これに限定されないものを、次レベルに用量増加する前にレビューする。用量調節期宙に投与される用量は、概説される評価の組み合わせに基づき、増加、維持または減少であり得る。治験医は、医学的モニターおよび責任医師に、用量調節のガイダンスについて相談してよい。
【0327】
用量増加が十分忍容性であるならば(各レベルで2日後増加)、用量調節は用量調節期間の(晩および朝の投薬の)8日目に終わり、続いて試験評価収集のために化合物1安定用量期間において5~8日間同じ標的暴露する(用量レベル4)。より遅い用量調節(1以上の用量レベルで2日を超える)が必要な対象は、標的暴露(用量レベル4)または対象の個々の最高認容用量レベルに達するまで最大16日であり、続いて化合物1安定用量期間において5~8日間同じ投薬スケジュールである。標的暴露までの用量増加に認容でない対象は、個々の最高認容用量で5~8日間化合物1安定用量期間を続ける。
【0328】
75g経口糖負荷試験(oGTT)は、グルコース不耐性および2型糖尿病の定義されたカテゴリーの診断のための基準法である:
【表42】


略語:PK=薬物動態;t=0はグルコース溶液を最初に飲んだときを意味する
a. 付加的代謝効果のバイオマーカーを集める
b. サンプルを経口グルコース溶液摂取直後t=0に集める
【0329】
混合食負荷試験(MMTT)は、β細胞がグルコースに加えてあるアミノ酸および脂肪酸に応答するため、インスリン分泌の包括的生理学的刺激である。典型的に、MMTTは液体食で実施する。典型的主要栄養素組成は、約25~30%脂肪;約15~20%タンパク質;約50~55%炭水化物である。対象は、過度に急ぐことなく食事全体を10分以内に摂取するよう指示される。食事摂取勅語、1500mgの液体アセトアミノフェンを、胃内容排出速度評価のために与える。
【表43】


略語:PK=薬物動態;t=0は標準食試験を最初に摂取したときを意味する;VAS=充足感、空腹感、満腹感、予測食料消費量の視覚的アナログ尺度。
a. 付加的代謝効果のバイオマーカーを集める(SOA下脚注n参照)
b. サンプルを最初に噛んだ/飲んだ直後t=0に集める。
【0330】
充足感、空腹感および満腹感の視覚的アナログ尺度(VAS):満腹感、充足感、空腹感および予測食料消費量測定は、自己管理100mm 視覚的アナログ尺度(VAS)である。VASは、アンカーは、「全くない」(それぞれ充足感、満腹感、空腹感、興味)からそれぞれ「完全に充足」、「完全に満腹」、「これ以上空腹になったことはない」および「たくさん」と表示される。
【0331】
13Cスピルリナ呼気試験(GEBT):GEBTを次の4工程で実施する:食前呼気サンプル収集、提供されたGEBT食消費、食後呼気サンプル収集(45分、90分、120分、150分、180分、240分)および研究室へのGEBTサンプルの提出。GEBT試験結果は、典型的に計量「kPCD」を使用して報告される。任意の測定時間tで、kPCD(t)=1000×[1分あたり抽出された(13COとして)試験食におけるパーセント炭素-13用量(PCD)]である。kPCD値が大きいほど、13CO排泄速度が速いことを意味し、これは速い胃内容排出速度に比例する。
【0332】
陽性・陰性症状評価尺度(PANSS):PANSSスコアをスクリーニング時、チェックインおよび化合物1用量調節期間の最終日に集める。
【0333】
PANSSは、精神病性障害を有する成人における精神病理の重症度の、問診ベースの評価基準である。評価基準は30項目および3スケール含む:陽性スケールは幻覚、妄想および関連症状を評価する;陰性スケールは感情的離脱、意欲欠如および類似症状を評価する;そして一般精神病理学スケールは、不安、心気的傾向および失見当などの他の症状に対処する。1~7の固定されたリッカートスケール(ここで、2以上の値は徐々に重度になる症状の存在を示す)を使用して、各項目の採点をする。次いで、個々の項目を合算して、3スケールならびに総スコアのスコアを決定する。合成尺度スコア(陽性スケールスコア-陰性スケールスコア)も、陽性および陰性症状の相対的誘意性を示すために計算できる。PANSS問診および採点に必要な総時間は約30~40分である(Kay 1994, Opler 1992;Perkins 2000)。PANSS評価者は、この試験の評価の有資格となる前に、特定のトレーニングおよび教育基準を満たす必要がある。PANSSは情報提供者(例えば、介護人、親族、友人、ケースワーカー)からのインプットを必要とする。
【0334】
臨床全般印象尺度-重症度スケール(CGI-S):CGI-Sスコアは、スクリーニング時集める。CGI-Sは、7点スケールでの対象の現在の病気状態の臨床医評価であり、スコアが高いほど、関連する病気の重症度が重い。臨床的面接後、CGI-Sを1~2分で完了できる。CGI-Sを、その場の権限を有する評価者が施行する。
【0335】
シンプソン・アンガススケール(SAS):SASは、スクリーニング時集める。SASは、10項目からなる神経遮断剤誘発パーキンソン病の臨床医評価である。項目は、アンカーベースであり、重症度の5点スケールで評価し、硬直性、歩様(動作緩慢)、振戦、アカシジア、肩ゆすり、眉間叩打および流涎に対処する(Siddiqui 2009;Simpson 1970)。SASを、その場の権限を有する評価者が施行する。
【0336】
バーンズアカシジア評定尺度スケール(BARS):BARSは、スクリーニング時集める。BARSは、神経遮断剤誘発アカシジアの評価のための評価尺度であるが、他の薬物に付随するアカシジアの測定にも同様に使用できる。BARSは、客観的落ち着きのなさを評価する1項目、主観的落ち着きのなさ(覚醒および関連苦悩)をターゲティングする2項目および1総合臨床評価項目を含4項目からなる。全項目は固定され、4点スケールを利用するが、6点スケールである総合評価は例外である(アカシジア無しから重度アカシジア)。主観的および客観的項目を合算して、総スコアを得る。BARSは約10分で施行できる(Barnes 1989;Barnes 2003)。BARSを、その場の権限を有する評価者が施行する。
【0337】
異常不随意運動スケール(AIMS):AIMSは、スクリーニング時集める。AIMSは、安静時(靴は脱ぐ)の対象の非関与的な観察および対象に対するいくつかの質問または指示からなる異常運動の臨床医評価である。0(無し)~4(重度)の範囲の重症度スケールを使用して、臨床医は、顔面領域、四肢および胴体を含む体の数か所のジスキネジアを評価する。口腔状態に関連する2項目ならびに全体的重症度、能力喪失および異常運動の対象の自覚を評価する3全般印象項目がある(Guy 1976;Munetz 1988)。AIMS評価者は、は、この試験の評価の有資格となる前に、特定の資格および教育基準を満たす必要がある。AIMSを、その場の権限を有する評価者が施行する。
【0338】
実施例10:健常ヒト対象における化合物1錠剤製剤の薬物動態に対する食事の影響
目的:錠剤形態化合物1の薬物動態(PK)に対する食事共投与の影響を決定した。
【0339】
方法:試験は、20名の健常ボランティアにおけるオープンラベル無作為化2期間クロスオーバー設計を使用した。対象を一夜絶食させ、次いで無作為に2投薬シーケンス、A→BまたはB→Aに割り当て、ここで、Aは絶食状態であり、Bは摂食状態であった。各期間、50mg 化合物1の錠剤を経口投与した。摂食および絶食投薬期間を1週間話した。各期間からの連続血漿サンプルをPK分析のために集めた。
【0340】
PK血漿サンプルを、有効なLC-MS/MS方法を使用して、化合物1濃度およびそのN-デスメチル(活性)代謝物を分析した。サンプル浄化に固相抽出を使用した。安定な同位体標識内部標準を対応する検体のために使用した。非コンパートメントPKパラメータをPhoenix WinNonlin(登録商標)ソフトウェアを使用して、計算した。
【0341】
結果:幾何平均化合物1 Cmaxは摂食条件下157.89ng/mLおよび絶食条件下157.95ng/mLであった。Cmaxの幾何平均比は99.96%であり、94.48~105.77%の90%CIであった。幾何平均化合物1 AUC0-∞は摂食条件下1584.2ng*h/mLおよび絶食条件下1589.2ng*h/mLであった。AUC0-∞の幾何平均比は99.69%であり、95.02~104.58%の90%CIであった。絶食状態と比較して、摂食状態でtmaxの遅延(中央差1.47時間)があり、摂食条件下の胃内容排出遅延により引き起こされた可能性があった。代謝物について、摂食/絶食のCmax比は94.77%であり、AUC0-∞比は98.29%であった。
【0342】
結論:50mg錠剤形態の化合物1に対する食事の影響の試験は、摂食または空腹時状態で化合物1 CmaxおよびAUC0-∞に差はなく、食事と共に投与したとき、食事の間の胃内容物の排出遅延による可能性があるtmaxの僅かな増加があった。摂食対絶食投薬条件下、N-デスメチル活性代謝物対親化合物1比に変化はなかった。
【0343】
ここに引用する全特許、出願公開および参考文献の教示は、全体として引用により本明細書に包含させる。
【0344】
本発明の種々の好ましい実施態様[A]~[CZ]を下に記載する:
【0345】
[実施態様A]代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に有効量のここに開示する化合物またはその薬学的に許容される塩または医薬組成物を経口投与することを含む、方法。
【0346】
[実施態様B]代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に有効量のここに開示する式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、方法。
【0347】
[実施態様C]代謝障害を処置するここに記載する方法であって、ここに開示する化合物を1以上の薬剤と共に投与することを含む、方法。
【0348】
[実施態様D]代謝障害を有する患者を処置する方法であって、患者に化合物1
【化5】
またはその薬学的に許容される塩を経口投与することを含む、方法。
【0349】
[実施態様E]代謝障害が肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症である、上記実施態様[A]~[D]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0350】
[実施態様F]代謝障害が神経または精神疾患または障害を伴う、上記実施態様[A]~[E]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0351】
[実施態様G]神経または精神疾患または障害が運動障害;認知障害;疼痛;神経発達障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;双極性および関連障害;うつ病性障害;不安障害;強迫性および関連障害;外傷およびストレッサー関連障害;解離性障害;身体症状および関連障害;食行動および摂食障害;排泄障害;睡眠・覚醒障害;性的機能不全;ジェンダー違和感;分裂的、衝動制御および行為障害;物質関連および耽溺性障害;神経認知障害;人格障害;パラフィリア障害;他の精神障害;または医薬品誘発性運動障害および他の医薬品有害作用である、上記実施態様[F]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0352】
[実施態様H]統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害が統合失調型(人格)障害;妄想障害;短期精神病性障害;共有精神病性障害統合失調症様障害;統合失調症(妄想性、解体型、緊張性または未分化型);統合失調感情性障害;物質/医薬品誘発性精神病性障害;他の医学的状態による精神病性障害;他の精神障害と関連する緊張病(緊張病指示子);他の医学的状態による緊張性障害;特定不能の緊張病;他の特定の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;または特定不能の統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害である、上記実施態様[G]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0353】
[実施態様I]化合物、式Iの化合物または化合物1が薬学的に許容される塩である、上記実施態様[A]~[H]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0354】
[実施態様J]化合物1の薬学的に許容される塩がHCl塩である、上記実施態様[D]~[I]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0355】
[実施態様K]化合物1が結晶である、上記実施態様[D]~[J]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0356】
[実施態様L]患者に10mg~250mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、上記実施態様[D]~[K]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0357】
[実施態様M]患者に25mg~100mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、上記実施態様[D]~[L]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0358】
[実施態様N]治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩および治療有効量の1以上の他の治療剤を投与することを含む、上記実施態様[A]~[M]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0359】
[実施態様O]代謝障害が疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムの5章に記載されている、上記実施態様[A]~[N]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0360】
[実施態様P]代謝障害が内分泌、栄養または代謝障害の一つとして疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムのChapter 5に記載されている、上記実施態様[A]~[O]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0361】
[実施態様Q]神経または精神疾患または障害がDSM-5、改定または補遺または疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD 11)コーディングシステムに記載される、上記実施態様[F]~[P]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0362】
[実施態様R]ここに開示する化合物および組成物を他の治療と組み合わせて使用し得る、上記実施態様[A]~[Q]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0363】
[実施態様S]他の治療剤が心理療法、認知行動療法、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激、迷走神経刺激および脳深部刺激である、上記実施態様[A]~[R]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0364】
[実施態様T]処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0365】
[実施態様U]処置を必要とするヒト対象における統合失調症を処置する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0366】
[実施態様V]処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【0367】
[実施態様W]処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症を処置する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【0368】
[実施態様X]処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法。
【0369】
[実施態様Y]処置を必要とする2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法。
【0370】
[実施態様Z]処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0371】
[実施態様AA]処置を必要とする対象における、大うつ病補助療法(aMDD)を処置する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0372】
[実施態様AB]処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0373】
[実施態様AC]処置を必要とする対象における、全般不安症(GAD)を処置する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0374】
[実施態様AD]処置を必要とするヒト対象における体重を減少する方法であって、(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【0375】
[実施態様AE]処置を必要とするヒト対象における体重を減少する方法であって、(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【0376】
[実施態様AF]処置を必要とするヒト対象における2型糖尿病を処置する方法であって:(a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、インスリン分泌の効率を改善する、方法。
【0377】
[実施態様AG]処置を必要とするヒト対象における2型糖尿病を処置する方法であって:(a)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そして(b)該対象に、約150ng/mL~約400ng/mLの範囲の平均ピーク血漿濃度および約25ng/mL~約200ng/mLの範囲の平均トラフ血漿濃度を提供するのに十分な量で化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、インスリン分泌の効率を改善する、方法。
【0378】
[実施態様AH]処置を必要とする対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そしてb)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含む、方法。
【0379】
[実施態様AI]処置を必要とする対象における、体重を減らしながら統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そしてb)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与する
ことを含み、対象の体重が化合物1の投与約4~52週後に減少する、方法。
【0380】
[実施態様AJ]2型糖尿病性ヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置し、インスリン分泌効率を改善する方法であって、a)該対象に治療有効量の化合物1を対象の就寝時(「晩の服薬」)に投与し;そしてb)該対象に治療有効量の化合物1を朝(「朝の服薬」)に投与することを含み、対象のインスリン分泌効率を改善する、方法。
【0381】
[実施態様AK]BMI≧25により定義される過剰肥満度指数(BMI)を有する処置を必要とするヒト対象における、統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0382】
[実施態様AL]糖尿病またはメタボリック症候群を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0383】
[実施態様AM]肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法ヒト対象であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0384】
[実施態様AN]インスリン抵抗性、インスリン非感受性、耐糖能障害および血糖値上昇から選択される代謝障害を有する処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0385】
[実施態様AO]処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、該ヒト対象が胃内容物の排出遅延をさらに必要とし、該対象に治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0386】
[実施態様AP]処置を必要とするヒト対象における統合失調症、うつ病または不安を処置する方法であって、対象に摂食状態で治療有効量の化合物1を投与することを含む、方法。
【0387】
[実施態様AQ]朝の服薬が約12.5mg~125mgである、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0388】
[実施態様AR]晩の服薬が約12.5mg~125mgである、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0389】
[実施態様AS]朝の服薬が食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0390】
[実施態様AT]晩の服薬が食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0391】
[実施態様AU]朝の服薬および晩の服薬の各々が食事の前最大4時間にまたは食事と共に投与される、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0392】
[実施態様AV]朝の服薬および晩の服薬の各々が食事と共に投与される、上記実施態様[T]~[AJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0393】
[実施態様AW]化合物1が1日1回投与される、上記実施態様[AH]~[AP]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0394】
[実施態様AX]対象がBMI≧25、27.5または30kg/mにより定義される、過剰BMIである、上記実施態様[T]~[AW]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0395】
[実施態様AY]対象がBMI≧25、27.5または30kg/mにより定義される過剰BMIを有し、統合失調症、うつ病または不安診断前BMI<25kg/mの履歴を有する、上記実施態様[T]~[AX]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0396】
[実施態様AZ]対象が定型または非定型抗精神病剤で治療中である、上記実施態様[T]~[AY]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0397】
[実施態様BA]対象が化合物1での治療開始前リスペリドン、オランザピン、クエチアピンまたはアリピプラゾールで治療中である、上記実施態様[T]~[AZ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0398】
[実施態様BB]対象がBMI≧30kg/mにより定義される過剰BMIを有し、統合失調症、うつ病または不安診断前BMI<25kg/mの履歴を有し、対象が定型または非定型抗精神病剤処置中である、上記実施態様[T]~[BA]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0399】
[実施態様BC]対象が定型または非定型抗精神病剤により誘発された過剰BMIを有する、上記実施態様[T]~[BB]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0400】
[実施態様BD]対象が糖尿病を有する、上記実施態様[T]~[BC]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0401】
[実施態様BE]対象が糖尿病の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BD]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0402】
[実施態様BF]対象がメタボリック症候群を有する、上記実施態様[T]~[BE]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0403】
[実施態様BG]対象がメタボリック症候群の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BF]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0404】
[実施態様BH]対象が肥満;過体重または体重増加;肥満度指数増加;メタボリック症候群;糖尿病または糖尿病関連障害(1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDDM)および2型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病、NIDDM));糖尿病性合併症;耐糖能障害;血糖値上昇;インスリン抵抗性;インスリン非感受性;高血糖;脂肪肝疾患;非アルコール性脂肪肝疾患;肝臓インスリン抵抗性;糖尿;血中トリグリセリド増加;食欲増加;または異脂肪血症から選択される代謝障害を有する、上記実施態様[T]~[AL]および[AN]~[BG]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0405】
[実施態様BI]対象がインスリン抵抗性を有する、上記実施態様[T]~[BH]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0406】
[実施態様BJ]対象がインスリン抵抗性の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BI]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0407】
[実施態様BK]対象がインスリン非感受性を有する、上記実施態様[T]~[BJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0408】
[実施態様BL]対象が糖出現率、糖消失率および/またはグリセロール出現率に基づくインスリン感受性を有する、上記実施態様[T]~[BK]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0409】
[実施態様BM]対象がインスリン非感受性の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BL]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0410】
[実施態様BN]対象が耐糖能障害を有する、上記実施態様[T]~[BM]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0411】
[実施態様BO]対象が食事に対する患者のインスリン、C-ペプチドおよび/またはグルコース反応に基づき耐糖能障害を有する、上記実施態様[T]~[BN]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0412】
[実施態様BP]対象がグルコース、cペプチド、インスリン、グルカゴン、レプチン、GLP-1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される多重の代謝バイオマーカーに基づく耐糖能障害を有する、上記実施態様[T]~[BO]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0413】
[実施態様BQ]対象がβ細胞機能のマーカーおよびインクレチンに基づく耐糖能障害を有する、上記実施態様[T]~[BP]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0414】
[実施態様BR]対象が耐糖能障害の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BQ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0415】
[実施態様BS]対象の血糖値が高い、上記実施態様[T]~[BR]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0416】
[実施態様BT]対象が高い血糖値の薬物治療中である、上記実施態様[T]~[BS]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0417】
[実施態様BU]対象が食後の対象の充足感、空腹感および/または満腹感に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、上記実施態様[T]~[BT]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0418】
[実施態様BV]対象が統合失調症診断または抗精神病剤治療開始後のBMI増加に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、上記実施態様[T]~[BU]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0419】
[実施態様BW]対象が13Cスピルリナ呼気試験(GEBT)に基づき、胃内容物の排出遅延の必要がある、上記実施態様[T]~[BV]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0420】
[実施態様BX]化合物1が食事摂取状態で投与される、上記実施態様[T]~[BW]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0421】
[実施態様BY]対象が統合失調症の処置が必要である、上記実施態様[T]~[BX]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0422】
[実施態様BZ]対象が統合失調症の処置が必要であり、対象がCGI-Sスコア≦4(正常乃至が中等度の精神疾患)、SASスコア<2、AIMSスコア<3およびBARSスコア<3を有する、上記実施態様[T]~[BY]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0423】
[実施態様CA]対象が統合失調症の処置が必要であり、対象が陽性および陰性症状スケール(PANSS)総スコア≦80を有する、上記実施態様[T]~[BZ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0424】
[実施態様CB]対象がうつ病の処置が必要である、上記実施態様[T]~[CA]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0425】
[実施態様CC]対象がaMDDの処置が必要である、上記実施態様[T]~[CB]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0426】
[実施態様CD]対象が不安の処置が必要である、上記実施態様[T]~[CC]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0427】
[実施態様CE]対象がGADの処置が必要である、上記実施態様[T]~[CD]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0428】
[実施態様CF]対象の、腹囲が男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm)である、上記実施態様[T]~[CE]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0429】
[実施態様CG]対象がトリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)を有するかまたは現在トリグリセリド低下薬で処置中である、上記実施態様[T]~[CF]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0430】
[実施態様CH]対象が(i)HDL-コレステロール濃度が男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)であるかまたは(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である、上記実施態様[T]~[CG]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0431】
[実施態様CI]対象の空腹時血糖値が≧100mg/dL(5.6mmol/L)である、上記実施態様[T]~[CH]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0432】
[実施態様CJ]対象が(i)立位または臥位血圧が≧130/85mmHgであるかまたは(ii)現在降圧薬で処置中である、上記実施態様[T]~[CI]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0433】
[実施態様CK]対象が次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する:(a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);(b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;(c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;(d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および(e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中、上記実施態様[T]~[CJ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0434】
[実施態様CL]対象が5.7%≦HbA1c≦6.4%により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する、上記実施態様[T]~[CK]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0435】
[実施態様CM]対象が空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する、上記実施態様[T]~[CL]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0436】
[実施態様CN]対象が次の基準(a)~(e)の3個、4個または5個を有する:(a)腹囲男性≧40インチ(101.6cm)または女性≧35インチ(88.9cm);(b)トリグリセリド濃度≧150mg/dL(1.69mmol/L)または現在トリグリセリド低下薬で処置中;(c)(i)HDL-コレステロール濃度男性<40mg/dL(1.03mmol/L)または女性<50mg/dL(1.29mmol/L)または(ii)現在コレステロール低下薬で処置中である;(d)空腹時血糖値≧100mg/dL(5.6mmol/L);および(e)(i)立位または臥位血圧≧130/85mmHgまたは(ii)現在降圧薬で処置中;そしてさらにここで対象が5.7%≦HbA1c≦6.4%または空腹時HOMA-IR([インスリンuIU/ml×グルコースmg/dl]/405)≧2.22により証明される血糖由来インスリン抵抗性を有する、上記実施態様[T]~[CM]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0437】
[実施態様CO]食事摂取および空腹状態の化合物1および化合物1のN-デスメチル代謝物のCmaxおよびAUC0-∞比が90を超えるまたは95%を超える、上記実施態様[T]~[CN]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0438】
[実施態様CP]化合物1の1日用量が約12.5mg~約150mgである、上記実施態様[AK]~[AP]および[AW]~[CO]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0439】
[実施態様CQ]化合物1の1日用量が約25mg~約100mgである、上記実施態様[AK]~[AP]および[AW]~[CO]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0440】
[実施態様CR]化合物1の1日用量が約12.5mg、25mg、37.5mg、50mg、62.5mg、75mg、87.5mg、100mg、112.5mgまたは125mgである、上記実施態様[AK]~[AP]および[AW]~[CO]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0441】
[実施態様CS]対象の血糖コントロールが化合物1が投与されないときと比較して改善される、上記実施態様[T]~[CR]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0442】
[実施態様CT]対象の満腹感が化合物1が投与されないときと比較して増加する、上記実施態様[T]~[CS]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0443】
[実施態様CU]対象の食欲が化合物1が投与されないときと比較して減少する、上記実施態様[T]~[CT]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0444】
[実施態様CV]対象の糖変動が化合物1が投与されないときと比較して減少する、上記実施態様[T]~[CU]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0445】
[実施態様CW]対象のインスリン取り込みが化合物1が投与されないときと比較して改善される、上記実施態様[T]~[CV]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0446】
[実施態様CX]対象の体脂肪が化合物1が投与されないときと比較して減少する、上記実施態様[T]~[CW]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0447】
[実施態様CY]化合物1が薬学的に許容される塩である、上記実施態様[T]~[CX]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0448】
[実施態様CZ]化合物1の薬学的に許容される塩が塩酸塩である、上記実施態様[T]~[CY]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0449】
[実施態様DA]化合物1が結晶である、上記実施態様[T]~[CZ]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0450】
[実施態様DB]化合物1が結晶塩酸塩である、上記実施態様[T]~[DA]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0451】
[実施態様DC]治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩および治療有効量の1以上の他の治療剤を投与することを含む、上記実施態様[T]~[DB]の何れかまたは本発明の他の実施態様の方法。
【0452】
実施態様例を具体的に示しかつ記載しているが、添付する特許請求の範囲に包含される実施態様の範囲から逸脱することなく、その形式および詳細を種々の変化させ得ることは当業者に理解され得る。
図1
【国際調査報告】