(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】二次電池および当該二次電池を含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20240912BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240912BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/531
H01M50/548 301
H01M50/383
H01M50/188
H01M50/184 C
H01M50/211
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518485
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 KR2022016497
(87)【国際公開番号】W WO2023090680
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159972
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギヨン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スハン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンイル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユハン・ノ
(72)【発明者】
【氏名】ドンウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンファン・クォン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011EE04
5H011FF02
5H011KK03
5H012AA03
5H012BB04
5H012JJ02
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS05
5H040AS07
5H040AT04
5H040NN03
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA08
5H043DA02
5H043EA06
(57)【要約】
本発明の一実施例による二次電池は、電極組立体、および前記電極組立体が組み込まれており、互いに熱融着される上部ケースおよび下部ケースを含むパウチ型ケースを含み、前記パウチ型ケースは、前記パウチ型ケースの縁の少なくとも一部に沿って形成され、前記上部ケースと前記下部ケースが熱融着されて形成されるシーリング部を含み、前記電極組立体と連結された電極リードが前記パウチ型ケースの一辺から突出し、前記シーリング部は前記電極リードが突出した前記一辺のいずれか一つの端部に形成されたノッチ部を含み、前記ノッチ部は前記パウチ型ケースの内側に向かって凹状となる曲率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体;および
前記電極組立体が組み込まれており、互いに熱融着された上部ケースおよび下部ケースを含むパウチ型ケース;
を含む二次電池であって、
前記パウチ型ケースは、前記上部ケースと前記下部ケースとが熱融着されて、前記パウチ型ケースの縁の少なくとも一部に沿って形成されたシーリング部を含み、
前記電極組立体と連結された電極リードが、前記パウチ型ケースの一辺から突出し、
前記シーリング部は、前記電極リードが突出した前記一辺のいずれか一つの端部に形成されたノッチ部を含み、
前記ノッチ部は、前記パウチ型ケースの内側に向かって凹状となる曲率を有する、二次電池。
【請求項2】
前記ノッチ部が形成された端部の反対側に位置する他端部には、前記ノッチ部が形成されず、前記電極リードが、前記端部と前記他端部との間に挿置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ノッチ部の幅は、前記シーリング部から前記ノッチ部を除いた他の部分の幅と同一または前記幅より小さい、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電極リードは前記パウチ型ケースの長手方向の両側辺からそれぞれ突出する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極リードが突出した前記両側辺において、前記電極リードを基準として同じ方向の端部にそれぞれノッチ部を含む、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ノッチ部の曲率半径は2mm以下である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記ノッチ部と前記パウチ型ケースの縁の間に、前記上部ケースと前記下部ケースとが熱融着されていない部分が配置されている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記上部ケースと前記下部ケースとは折り曲げ線を挟んで一体に形成され、
前記ノッチ部は前記折り曲げ線に隣接して配置される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の二次電池を複数含む、電池モジュール。
【請求項10】
複数の前記二次電池で、前記ノッチ部はすべて同じ方向に向かって配列される、請求項9に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年11月19日付韓国の特許出願第10-2021-0159972号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国の特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は二次電池および当該二次電池を含む電池モジュールに関し、より具体的には安全性を向上させたパウチ形態の二次電池および当該二次電池を含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要の増加によりエネルギ源としての二次電池の需要が急激に増加している。このような増加に伴い、多様な要求に応えるための二次電池に対する多くの研究が進められている。
【0004】
二次電池は携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコンなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギ源としても多くの関心を集めている。
【0005】
携帯電話、カメラなどの小型デバイスには一つの電池セルがパッキングされている小型電池パックが使われるが、ノートパソコン、電気自動車などの中大型デバイスには二つ以上の電池セルを並列および/または直列に連結した電池パックがパッキングされている中型または大型の電池パックが使用されている。
【0006】
二次電池は形状面においては薄い厚さで携帯電話などのような製品に適用できる角型二次電池とパウチ型二次電池に対する需要が高い。角型リチウム二次電池の場合は、電極組立体を外部衝撃から保護するのに有利であり、注液工程が容易であることに対して、形状が固定されていて体積を減らすことに困難性がある。反面、パウチ型リチウム二次電池の場合は、形状および大きさに制約がないため、薄い厚さのセル製作に適し、熱融着による組み立てが容易であり、異常挙動の発生時に気体や液体を排出する効果が容易であるため安全性が高い長所がある。
【0007】
しかし、このようなパウチ型二次電池は過充電、高温への露出、内部短絡などの要因により電解質の分解が起こり得、そのため、多量のガスの発生または内部発火により内部圧力が増加する場合がある。
図1は従来のパウチ型二次電池の電極リード部分を示す図である。
図1に示すように、従来の二次電池10では、電極組立体20から延びたリード部21がパウチ型ケースの外側に突出され、パウチ型ケースの縁に沿ってシーリング部34が形成されている。この時、シーリング部34が全体縁にわたって同一に形成されており、さらにリード部21を基準として対称である形状にシーリング部34が形成される。この場合、内部圧力が増加すると、電池全体が急激に炎に包まれ得、特にリード部21に対応する部分でベンティングが発生する場合がたびたびあるが、このようにリード部21でベンティングが発生すると、電池全体がより急激に炎に包まれ得るという問題がある。したがって、電池内部でガスや火炎が発生しても、これを適宜制御して熱伝播を遅延させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施例はパウチ型の二次電池において、内部で多量のガスが発生しても意図した方向に安全にガスを排出して爆発を防止できる二次電池を提供する。
【0009】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれた技術的思想の範囲で多様に拡張することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による二次電池は、電極組立体、および前記電極組立体が組み込まれており、互いに熱融着される上部ケースおよび下部ケースを含むパウチ型ケースを含み、前記パウチ型ケースは、前記パウチ型ケースの縁の少なくとも一部に沿って形成され、前記上部ケースと前記下部ケースが熱融着されて形成されるシーリング部を含み、前記電極組立体と連結された電極リードが前記パウチ型ケースの一辺から突出し、前記シーリング部は前記電極リードが突出した前記一辺のいずれか一つの端部に形成されたノッチ部を含み、前記ノッチ部は前記パウチ型ケースの内側に向かって凹状となる曲率を有する。
【0011】
前記ノッチ部が形成された端部の反対側に位置する他端部には、前記ノッチ部が形成されておらず、前記電極リードが、前記端部と前記他端部との間に挿置されてもよい。
【0012】
前記ノッチ部の幅は、前記シーリング部から前記ノッチ部を除いた他の部分の幅と同一または前記幅より小さくてもよい。
【0013】
前記電極リードは前記パウチ型ケースの長手方向の両側辺からそれぞれ突出し得る。
【0014】
前記電極リードが突出した前記両側辺において、前記電極リードを基準として同じ方向の端部にそれぞれノッチ部を含み得る。
【0015】
前記ノッチ部の曲率半径は2mm以下であり得る。
【0016】
前記ノッチ部と前記パウチ型ケースの縁の間に、前記上部ケースと前記下部ケースが熱融着されていない部分が配置され得る。
【0017】
前記上部ケースと前記下部ケースとは折り曲げ線を挟んで一体に形成され、前記ノッチ部は前記折り曲げ線に隣接して配置され得る。
【0018】
本発明の他の一実施例による電池モジュールは前記で説明した二次電池を複数含み得る。
【0019】
複数の前記二次電池で、前記ノッチ部はすべて同じ方向に向かって配列され得る。
【発明の効果】
【0020】
実施例によれば、パウチ型の二次電池において、内部で多量のガスが発生しても意図した方向に安全にガスを排出できるように誘導して爆発を防止できるため、安全性が向上した二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来のパウチ型二次電池の電極リード部分を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による二次電池を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1の二次電池を組み立てた状態を示す図である。
【
図4】
図3の一方の電極リード部分を示す図である。
【
図5】本発明の第1変形例による二次電池を示す図である。
【
図6】本発明の第2変形例による二次電池を示す図である。
【
図7】本発明の第3変形例による二次電池を示す図である。
【
図8】本発明の実施例および比較例による二次電池のテスト時の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付する図面を参照して本発明の様々な実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限られない。
【0023】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。
【0024】
また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜上任意に示したので、本発明は必ずしも示されたところに限られない。図面では複数の層および領域を明確に表現するために厚さを誇張して示した。そして図面では、説明の便宜上、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0025】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」または「の上に」あるという時、これは他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「すぐ上に」あるという時には中間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分「上に」または「の上に」あるというのは基準になる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の逆方向に向かって「上に」または「の上に」位置することを意味するものではない。
【0026】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0027】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0028】
以下では、
図2ないし
図4を参照して、本発明の実施例による二次電池について説明する。
【0029】
図2は本発明の一実施例による二次電池を示す分解斜視図であり、
図3は
図1の二次電池を組み立てた状態を示す図であり、
図4は
図3の一方の電極リード部分を示す図である。
【0030】
図2ないし
図4を参照すると、本発明の一実施例による二次電池100は、電極組立体200および電極組立体200を収納するパウチ型ケース300を含む。パウチ型ケース300は上部ケース310と下部ケース320を含む。
図2では上部ケース310と下部ケース320が分離されて形成された場合を示しているが、これらが互いに連結されて一体に形成されていてもよい。パウチ型ケース300の形状は
図2に例示した場合に限定されず、電極組立体200を収納して密封できる形状であればいかなる形状を有してもよい。
【0031】
電極組立体200は正極板および負極板が分離膜を挟んで配置された形態で構成されることができる。この時、電極組立体200は一つの正極板および一つの負極板が分離膜を挟んで巻き取られた構造を有するか、多数の正極板および多数の負極板が分離膜を挟んで積層された構造を有することができる。このような正極板と負極板はそれぞれ電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造として形成され得るが、スラリーは、溶媒が添加された状態で通常活物質、導電材、バインダおよび可塑剤などが攪拌されて形成される。
【0032】
電極組立体200には、電極板にスラリーが塗布されていない無地部が存在し得、このような無地部にはそれぞれの電極板に対応する電極タブが形成されることができる。すなわち、電極組立体200に含まれた多数の正極および多数の負極それぞれは、正極タブおよび負極タブを含み得、電極リード210,220が連結される。具体的には、電極リード210,220は正極リード210および負極リード220を含む。このように電極組立体200と連結された電極リード210,220はパウチ型ケース300の両端部から突出し、パウチ型ケース300の外部に露出される。なお、本実施例では正極リード210と負極リード220が互いに対向する方向に突出する場合を示しているが、突出する方向に特に制限はない。すなわち、二次電池100の一側から互いに同じ方向に正極リード210と負極リード220が共に露出することもできる。
【0033】
パウチ型ケース300は、互いに熱融着される上部ケース310および下部ケース320を含む。具体的に示していないが、上部ケース310と下部ケース320を含むパウチ型ケース300は樹脂層と金属層を含むラミネートシートであり得る。具体的には、上部ケース310と下部ケース320それぞれは、密封のための内側樹脂層、物質の貫通を防止する金属層および最も外側の外側樹脂層を含むことができる。
【0034】
前記外側樹脂層は外部から二次電池100を保護するために厚さに比べて優れた引張強度と耐候性を有し、電気的絶縁性を帯びることができる。このような外側樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthylene Terephthalate,PET)樹脂またはナイロン(nylon)樹脂を含むことができる。金属層は空気、湿気などが二次電池100の内部に流入することを防止することができる。このような金属層はアルミニウム(Al)を含むことができる。内側樹脂層は電極組立体200を内蔵した状態で印加された熱と圧力によって互いに熱融着されることができる。このような内側樹脂層は、無延伸ポリプロピレン(Casted PolyPropylene,CPP)またはポリプロピレン(PolyPropylene,PP)のような熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0035】
上部ケース310と下部ケース320それぞれに電極組立体200が安着できる凹んだ形状の収納部300STが形成されることができる。上部ケース310と下部ケース320それぞれに対して収納部300STの外周に沿ってシーリング部340が形成される領域を含むリム部300S1,300S2が設けられる。上部ケース310のリム部300S1と下部ケース320のリム部300S2が互いに接触した状態でシーリング部340に対応する領域が熱融着されてシーリング部340を形成することによって、パウチ型ケース300が密封されることができる。
【0036】
シーリング部340は、電極リード210,220がパウチ型ケース300の外側に突出された一辺のいずれか一つの端部に形成されたノッチ部330を含む。ノッチ部330は、パウチ型ケース300の内側に陥没した形状を有する。すなわち、
図2ないし
図4に図示のようにノッチ部330はパウチ型ケース300の内側に向かって凹状となる曲率を有する形状を有する。
【0037】
この時、ノッチ部330は、電極リード210,220が突出した一辺においていずれか一方の端部にのみ形成され、反対側に位置する他端部には形成されない。例えば、
図4で、電極リード210が突出したパウチ型ケース300の一辺は、x軸方向と並んで、この時、x軸方向の+方向側の端部、すなわち、図面上の下側端部にはノッチ部330が形成され、-方向側の端部、すなわち、図面上の上側端部にはノッチ部330が形成されない。このような構成により、パウチ型ケース300の内部で発火して温度が上昇してガスが発生する場合、圧力により電極リード210,220側のシーリング部340が破損する前に、ノッチ部330を介して火炎およびガスがベントされるように誘導されることができる。すなわち、ノッチ部330が形成されない場合、火炎およびガスがベントされる位置を予測しにくく、特に電極リード210,220が配置された部分は、他の部分に比べてシーリングが多少弱い場合もあり、この部分を介して火炎がベントされる場合、電極リード210,220と隣接して連結された他の部品などが急激に炎に包まれ、これにより、二次電池100および二次電池100が含まれている電池モジュール全体も炎に包まれ得る。しかし、本実施例のように、電極リード210,220が形成された位置を基準としていずれか一方にのみノッチ部330を形成することによって、火炎およびガスのベントをノッチ部330が形成された特定の位置に誘導できるので、熱伝播を遅延させることができる。
【0038】
ノッチ部330の形状は、
図2ないし
図4に示すように内側に向かって凹状となる曲率を有するようにすることによって前述した効果を誘導することができる。すなわち、単に角部分の傾斜をより急激にしたり、他のシーリング部340の幅より薄くするなどの変更だけでは火炎およびガスのベントを誘導することは困難である。この時、ノッチ部330の曲率半径は2mm以下であり得る。曲率半径が2mmより大きい場合、ノッチ部330が十分に形成されないので、ノッチ部330が形成されていない他の部分でベンティングが発生し得る。また、ノッチ部330の幅は、シーリング部340の他の部分の幅、すなわちノッチ部330を除いたシーリング部340の残り部分の幅と比較して、当該幅と同一または当該幅より小さい幅を有することができる。さらに、ノッチ部330の形状は、パウチ型ケース300の縁に沿って延びたシーリング部340が、内側に陥没した形状であるが、概ね直角形状を有するように陥没すると同時に、直角形状の頂点部分の曲率半径が2mm以下になるように形成されることができる。すなわち、例えば、
図4で、y軸の-方向に沿って内側に延び、続いてx軸の+方向に沿って延びて概ね直角形状を有するが、最も内側部分である頂点部分は2mm以下の曲率半径を有する曲線形状に形成することができる。さらに、このような形状において、各軸に沿って内側に延びた部分の長さはそれぞれ約7mm以上約13mm以下であり得るが、これに限定されず、シーリング部340およびリム部300S1,300S2の幅と形状によって適宜変形することができる。
【0039】
このように、電極リード210,220が突出した辺のいずれか一方の端部にのみパウチ型ケース300の内側に向かって凹状となる曲率を有するノッチ部330を備えることによって、パウチ型ケース300の内部でガスが発生するか、内部の発火により圧力が増加する場合、ノッチ部330を介してベントが行われるように誘導できるため、急激な火炎の伝播を防止して熱伝播を遅延させることができる。
【0040】
次に、
図5ないし
図7を参照して本発明の一実施例の第1変形例ないし第3変形例について説明する。
【0041】
図5は本発明の第1変形例による二次電池を示す図であり、
図6は本発明の第2変形例による二次電池を示す図であり、
図7は本発明の第3変形例による二次電池を示す図である。
【0042】
図5を参照すると、本発明の第1変形例による二次電池は、ノッチ部330が形成された部分のパウチ型ケース300の縁部分がノッチ部330の形状に沿って切断されていない。すなわち、熱融着による密封工程によりシーリング部340が完成され、この時、ノッチ部330の形状に沿って熱融着を行うことによってシーリング部340にノッチ部330を形成することができる。したがって、熱融着されていないパウチ型ケース300の残り部分は、そのまま残っている。すなわち、ノッチ部330の形状が切断または切り取りなどの変形より得られる構成でなく、熱融着により得られるシーリング部340の一部の形状であるため、追加の成形工程がなくとも簡単にノッチ部330を備えることが可能である。
【0043】
図6を参照すると、本発明の第2変形例による二次電池は、パウチ型ケース300の上部ケース310と下部ケース320が互いに分離された構成でなく連結された構成を有する。すなわち、上部ケース310と下部ケース320のいずれか一方を折り曲げる(folding)ことによってパウチ型ケース300を完成することができ、この場合、折り曲げる部分はシーリング部340がなくても密封が可能になるため、
図6に示すようにシーリング部340がパウチ型ケース300の三辺に沿って形成される。そのため、ノッチ部330は折り曲げ線(
図6の最も下部を構成する線)に隣接して形成されることができ、この場合、
図6に示すように電極リード210からより遠い位置にあるノッチ部330の端部は、折り曲げ線と当接するように形成されることができる。
【0044】
図7を参照すると、本発明の第3変形例による二次電池は、ノッチ部330を二次電池100の長手方向の両側端部の両方に含むことができる。すなわち、電極リード210,220が突出した両側端部にそれぞれのノッチ部330を含み得、この時にも、電極リード210,220を基準としていずれか一方にのみノッチ部330を形成することによってベント位置を制御することができる。例えば、
図7でx軸+方向の端部の角のみノッチ部330を形成することができる。このように構成することによって、複数の二次電池100を立てて積層して電池モジュールを構成する場合、ノッチ部330が形成された部分を一括して下側に配置するようにすることによって、熱暴走が発生すると、ベント方向をモジュールの下側に制御できるようになるため、急激な火炎の電波を防止して熱伝播を遅延させることができる。
【0045】
次に、
図8を参照して、ノッチ部の形状によるベント誘導効果をテストした結果について説明する。
【0046】
図8の(a)および(b)はそれぞれ本発明の実施例および比較例による二次電池のテスト時の状態を説明するための図である。
【0047】
図8の(a)および(b)における角部分はいずれも第2変形例、すなわち
図6に示す例に従った。
【0048】
図8の(a)に示すように、実施例では、ノッチ部330が曲率半径を有するように設計し、この時、各部分の幅a、b、cを異なるように設定して実験を行った。さらに、
図8の(b)に示すように、比較例では、電極リード21と隣接する角部分でシーリング部34に傾斜が生じるように形成し、この時、傾斜部分の幅(b)を異なるようにして実験を行った。
【0049】
各実施例および比較例で二次電池内部の温度を上昇させて内圧が上昇した場合、ノッチ部330またはノッチ部330に対応する位置で先にベントが起こる場合、通過と判断し、ノッチ部330またはノッチ部330に対応する位置でない、電極リードに対応する位置など他の部分で先にベントが起こる場合は失敗と判断した。各実施例および比較例において各部分の寸法、ベント時の圧力およびテスト結果を下記表1に示す。
【0050】
【0051】
前記表1に示すように、実施例1-4のように曲率を有するノッチ部330が形成された場合、シーリング部およびノッチ部の幅と関係なく他の部分のベントが起こる前にノッチ部330を介したベントが先に起こることを確認した。これに対して、比較例1、2に示すように、角部分(傾斜部分)へのベントを誘導するために該当部分の幅(b)をシーリング部34の幅(c)より小さくなるように変形しても該当部分へのベントが起こる前に他の部分で先にベントが起こってベント誘導効果がないことを確認した。
【0052】
なお、本発明の実施例によるパウチ型二次電池は、複数が集まって電池モジュールを構成することができる。この時、電池モジュール内で、二次電池に含まれたノッチ部を同一の一つの方向に整列して配置することによって(例えば、電池モジュールの下部側)熱暴走の発生時にベント方向を一定の方向に制御できるようになるので、急激な火炎の伝播を防止して熱伝播を遅延させることができる。
【0053】
さらに、一つまたは複数のこのような電池モジュールがパックケース内にパッケージされて電池パックを形成することができる。
【0054】
前述した電池モジュールおよび当該電池モジュールを含む電池パックは多様なデバイスに適用することができる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよび当該電池モジュールを含む電池パックを使用できる多様なデバイスに適用することが可能であり、これもまた本発明の権利範囲に属する。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0056】
10 二次電池
20 電極組立体
21 電極リード(リード部)
34 シーリング部
100 二次電池
200 電極組立体
210 電極リード(正極リード)
220 電極リード(負極リード)
300 パウチ型ケース
300S1 リム部
300S2 リム部
300ST 収納部
310 上部ケース
320 下部ケース
330 ノッチ部
340 シーリング部
a 幅
b 幅
c 幅
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】