(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】PCSK9を標的とするポリ核酸分子およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240912BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240912BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240912BHJP
A61K 47/56 20170101ALI20240912BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240912BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240912BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C12N15/113 130Z
C12N15/113 ZNA
A61K31/7088
A61K31/7125
A61K31/7115
A61K31/712
A61K47/54
A61K47/56
A61K47/64
A61P3/06
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518572
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022044444
(87)【国際公開番号】W WO2023049294
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110296
【氏名又は名称】シリウス セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドショー,カート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
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4C086NA14
4C086ZC33
(57)【要約】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)の発現を抑制するためのsiRNA二本鎖、医薬組成物、および方法が本明細書に開示される。いくつかの態様では、ポリ核酸分子は一本鎖核酸分子である。いくつかの例では、一本鎖核酸分子は、1つ、2つ、3つ、4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列に相補的な少なくとも14個、15個、16個、17個、18個の連続するヌクレオチドを含む。他の例では、一本鎖核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的な配列を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、1つ、2つ、3つ、4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列に相補的な少なくとも16個、17個、または18個の連続するヌクレオチドを含む、ポリ核酸分子。
【請求項2】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列に少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的な配列を含む、ポリ核酸分子。
【請求項3】
センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二重鎖核酸分子である、請求項1または2に記載のポリ核酸分子。
【請求項4】
前記センス鎖は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む、請求項3に記載のポリ核酸分子。
【請求項5】
前記アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む、請求項3に記載のポリ核酸分子。
【請求項6】
前記センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列の少なくとも16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項7】
前記アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列の少なくとも16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む、請求項3~6のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項8】
前記センス鎖は、配列番号1、3、5、7、9のうちの1つを含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10のうちの1つを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項9】
(1)2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、(2)2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、または(3)修飾ヌクレオチド間結合を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項10】
5’末端に少なくとも2つの連続する修飾ヌクレオチド間結合を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項11】
修飾ヌクレオチド間結合で置換された3’末端の3つのヌクレオチド間結合のうち少なくとも2つのヌクレオチド間結合を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項12】
前記センス鎖は、‘5-NfsnsNfnNfnNfnNfNfNfnNfnNfnNfnNfnNf-3’を含み、前記アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsnNfnNfnNfnNfnnnNfnNfnNfnNfnsnsn-3’を含み、「Nf」は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項13】
前記センス鎖は、‘5-nsnsnnnnNfnNfNfNfnnnnnnnnnn-3’を含み、前記アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsnnnNfnNfNfnnnnNfnNfnnnnnsnsn-3’を含み、「Nf」は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項14】
前記センス鎖は、‘5-nsnsnnnnnnNfnNfnnnnnnnnnn-3’を含み、前記アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsnnnnnnnnnNfnNfnnnnnnnsnsn-3’を含み、「Nf」は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項15】
前記センス鎖は、‘5-nsnsnnnnNfnNfnNfnnnnnnnnnn-3’を含み、前記アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsnnnnnnnnnNfnNfnNfnnnnnsnsn-3’を含み、「Nf」は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項16】
前記修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である、請求項9~15のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項17】
前記ホスホロチオエート結合は、立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合である、請求項16に記載のポリ核酸分子。
【請求項18】
前記立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、S
pキラルヌクレオチド間ホスホロチオエート結合である、請求項17に記載のポリ核酸分子。
【請求項19】
ポリ核酸が複数の修飾ヌクレオチド間結合を含み、前記複数の修飾ヌクレオチド間結合のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つは、立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合である、請求項9~15のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項20】
前記立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、R異性体およびS異性体の両方を含む、請求項19に記載のポリ核酸分子。
【請求項21】
前記立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、前記センス鎖または前記アンチセンス鎖の5’または3’終端ヌクレオシドのうちの2つである2つの連続するヌクレオシドの間に配置される、請求項17~20のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項22】
ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシド置換を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項23】
前記ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシド置換は、イノシン置換である、請求項22に記載のポリ核酸分子。
【請求項24】
前記イノシン置換は、前記アンチセンス鎖のシード領域内にある、請求項23に記載のポリ核酸分子。
【請求項25】
前記イノシン置換は、前記アンチセンス鎖の5’末端から7ヌクレオチド以内にある、請求項23に記載のポリ核酸分子。
【請求項26】
脱塩基置換を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項27】
前記脱塩基置換は、5’末端から5番目または7番目のヌクレオチドにある、請求項26に記載のポリ核酸分子。
【請求項28】
未修飾ポリ核酸と比較して、前記ポリ核酸分子の細胞毒性は減少する、請求項9~27のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項29】
前記センス鎖は、配列番号13、15、17、19、および21から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である核酸配列を含む、請求項9~28のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項30】
前記センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号13、15、17、19、および21から選択される配列の少なくとも15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む、請求項9~28のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項31】
前記アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、および22から選択される配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である核酸配列を含む、請求項9~30のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項32】
前記アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号14、16、18、20、および22から選択される配列の少なくとも15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む、請求項9~30のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項33】
前記センス鎖は、配列番号13、15、17、19、および21の核酸配列から選択される配列を含み、前記アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、および22の核酸配列から選択される配列を含む、請求項9~32のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項34】
一本鎖核酸分子である、請求項1に記載のポリ核酸分子。
【請求項35】
長さが16~30塩基対である、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項36】
長さが19~25塩基対または21~23塩基対である、請求項1~34のいずれか一項に記載のポリ核酸分子。
【請求項37】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、
(a)usUfsacaaaagcaAfaAfcAfggucusasg(配列番号14)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖およびasgsaccuGfuUfuUfgcuuuuguaa(配列番号13)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖、または
(b)usUfsucaaguuacAfaAfaGfcaaaascsa(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖およびususuugcUfuUfuGfuaacuugaaa(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖
を含み、
ここで、小文字の「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「f」が後に続く大文字(すなわち、「Nf」)は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【請求項38】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子コンジュゲートであって、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子およびアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含む、ポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項39】
前記ポリ核酸分子および前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、リンカーによって結合される、請求項38に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項40】
前記リンカーは、以下の式(IV)
【化1】
を含み、
式中、Y1およびY2のうちの少なくとも1つは、前記ポリ核酸分子中のヌクレオチドである、
請求項39に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項41】
前記Y1は、前記ポリ核酸分子のセンス鎖の3’終端上の最後のヌクレオチドである、請求項40に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項42】
前記Y1およびY2は、前記ポリ核酸分子中の2つの連続するヌクレオチドである、請求項40に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項43】
前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む、請求項38~42のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項44】
前記ポリ核酸分子のセンス鎖の3’終端上の最後のヌクレオチドを有する、前記リンカーおよび前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、式(V’)
【化2】
に示され、
式中、式(V’)中のZは、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチルであり、式(V’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、またはその他のものである、請求項39~43のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート。
【請求項45】
請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子または請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項46】
ナノ粒子製剤として製剤化される、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
非経口投与用、経口投与用、鼻腔内投与用、頬側投与用、直腸内投与用、経皮投与用、静脈内投与用、皮下投与用、または髄腔内投与用に製剤化される、請求項45または46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
対象におけるプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節する方法であって、前記対象に、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子、請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または請求項45~47に記載の医薬組成物を投与することで、前記対象における前記PCSK9遺伝子の発現を調節する工程を含む、方法。
【請求項49】
調節を必要とする対象における低密度リポタンパク質(LDL)を調節する方法であって、前記対象に、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子、請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または請求項45~47に記載の医薬組成物を投与する工程を含み、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子、請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または請求項45~47に記載の医薬組成物は、前記対象における前記PCSK9遺伝子の発現を減少させる、方法。
【請求項50】
前記調節を必要とする対象は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、または他の高コレステロール関連疾患に罹患している、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
調節を必要とする対象におけるコレステロールを調節する方法であって、前記対象に、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子、請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または請求項45~47に記載の医薬組成物を投与する工程を含み、請求項1~37のいずれか一項に記載のポリ核酸分子、請求項38~44のいずれか一項に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または請求項45~47に記載の医薬組成物は、前記対象における前記PCSK9遺伝子の発現を減少させる、方法。
【請求項52】
前記調節を必要とする対象は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、または他の高コレステロール関連疾患に罹患している、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年9月23日出願の米国仮出願第63/247,677号、および2022年5月3日出願の米国仮出願第63/337,958号の利益を主張し、これらの出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
mRNAを選択的に分解する細胞機構としてのRNA干渉(RNAi)の発見は、細胞培養における細胞表現型の標的操作および指向性治療法(directed therapeutics)の開発の可能性の両方を可能にする(Behlke,2006,Mol.Ther.13,644-670;Xieらによる、2006,Drug Discov.Today 11,67~73頁)。別のRNA治療法として、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)がRNA処理に含まれ、かつタンパク質発現を調節する(Rinaldi & Wood,2018,Nature Reviews Neurology volume 14,9~21頁)。
【0003】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子は、セリンプロテアーゼの哺乳類ファミリーの9番目のメンバーである。PCSK9は、低密度リポタンパク質(LDL)の代謝、ならびに神経炎症、アルツハイマー病、アルコール使用障害(AUD)、脳卒中などを含む神経疾患の発生および進行において重要な役割を果たす。したがって、細胞毒性を持たない有効なPCSK9阻害剤の開発への需要が存在する。ポリ核酸分子、そのコンジュゲート、および本明細書に記載の方法は、この需要を満たし、かつ関連する利点をもたらす。
【0004】
参照による援用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、個々の公報、特許、または特許出願がそれぞれ参照によって援用されるように個別に示されるのと同程度に、参照によって本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0005】
特定の態様では、PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子が本明細書に開示され、このポリ核酸分子は、表1、表2、および表3の核酸配列を含む。
【0006】
いくつかの態様では、ポリ核酸分子は一本鎖核酸分子である。いくつかの例では、一本鎖核酸分子は、1つ、2つ、3つ、4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列に相補的である少なくとも14個、15個、16個、17個、18個の連続するヌクレオチドを含む。他の例では、一本鎖核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的である配列を含む。いくつかの例では、一本鎖核酸分子は、1つ、2つ、3つ、4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列に相補的である少なくとも14個、15個、16個、17個、18個の連続するヌクレオチドを含む。他の例では、一本鎖核酸分子は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的である配列を含む。
【0007】
いくつかの態様では、ポリ核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子である。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。いくつかの例では、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。いくつかの例では、センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つを含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。いくつかの例では、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。いくつかの例では、センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つを含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含む。
【0008】
いくつかの例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列と少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。いくつかの例では、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列と少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む。他の例では、センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、センス鎖は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つを含み、アンチセンス鎖は、2、4、6、8、および10のうちの1つを含む。
【0009】
いくつかの態様では、ポリ核酸分子は、(1)2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、(2)2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、または(3)修飾ヌクレオチド間結合を含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、5’末端に少なくとも2つの連続する修飾ヌクレオチド間結合を含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、修飾ヌクレオチド間結合で置換された3つのヌクレオチド間結合のうちの少なくとも2つのヌクレオチド間結合を3’末端に含む。
【0010】
いくつかの例では、センス鎖は、‘5-NfsnsNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfn-3’を含み、アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnsn-3’を含み、「Nf」は2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は3’-ホスホロチオエートを意味する。他の例では、センス鎖は、‘5-nsnsnnnNfnNfnNfnNfnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖は、‘5-nsNfsnnnNfnNfnnnnnnn-3’を含み、「Nf」は2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は3’-ホスホロチオエートを意味する。他の例では、センス鎖は、‘5-nsnsnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖は、‘5-nsnsnnnnnnnnnnn-3’を含み、「Nf」は2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は3’-ホスホロチオエートを意味する。他の例では、センス鎖は、‘5-nsnsnnnnNfnNfnNfnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖は、‘5-nsnsnnnnnnnnnnnn-3’を含み、「Nf」は2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」は2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は3’-ホスホロチオエートを意味する。
【0011】
いくつかの例では、修飾ヌクレオチド間結合はホスホロチオエート結合である。いくつかの例では、修飾ヌクレオチド間結合は、立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。いくつかの例では、修飾ヌクレオチド間結合は、SPキラルヌクレオチド間結合である。いくつかの例では、ポリ核酸は、複数の修飾ヌクレオチド間結合を含み、複数の修飾ヌクレオチド間結合のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つは、立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合である。いくつかの例では、立体化学的に富化されたホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、R異性体およびS異性体の両方を含む。いくつかの例では、少なくとも1つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、センス鎖またはアンチセンス鎖の6つの5’または3’終端ヌクレオシドのうちの2つである2つの連続するヌクレオシドの間に配置される。
【0012】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシド置換を含む。いくつかの例では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシド置換は、イノシン置換である。いくつかの例では、イノシン置換は、アンチセンス鎖のシード領域内にある。いくつかの例では、イノシン置換は、アンチセンス鎖の5’末端から7ヌクレオチド以内である。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、脱塩基置換を含む。いくつかの例では、脱塩基置換は、5’末端から5番目または7番目のヌクレオチドにある。
【0013】
いくつかの例では、非修飾ポリ核酸と比較して、ポリ核酸分子の細胞毒性は減少する。
【0014】
いくつかの例では、センス鎖は、配列番号13、15、17、19、21、および128~230から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号13、15、17、19、21、および128~230から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、22、および334~436から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号14、16、18、20、22、および334~436から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号13、15、17、19、21、および128~230の核酸配列から選択される配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、22、および334~436の核酸配列から選択される配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号13、15、17、19、および21から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号13、15、17、19、および21から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、および22から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の同一性を含む核酸配列を含む。他の例では、アンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号14、16、18、20、および22から選択される配列の少なくとも14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の連続するヌクレオチドを含む核酸配列を含む。いくつかの例では、センス鎖は、配列番号13、15、17、19、および21の核酸配列から選択される配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号14、16、18、20、および22の核酸配列から選択される配列を含む。
【0015】
いくつかの例では、ポリ核酸分子は、長さが19~25塩基対である。いくつかの例では、ポリ核酸分子は、長さが16~30塩基対である。他の例では、ポリ核酸分子は、長さが21~23塩基対である。他の例では、ポリ核酸分子は、長さが19~25塩基対である。
【0016】
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、(a)usUfsacaaaagcaAfaAfcAfggucusasg(配列番号14)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖およびasgsaccuGfuUfuUfgcuuuuguaa(配列番号13)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖、または(b)usUfsucaaguuacAfaAfaGfcaaaascsa(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖およびususuugcUfuUfuGfuaacuugaaa(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖を含み、ここで、小文字の「n」は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、「f」が後に続く大文字(すなわち、「Nf」)は、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【0017】
いくつかの態様では、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子コンジュゲートであって、本明細書に記載のポリ核酸分子およびアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含む、ポリ核酸分子コンジュゲート、が本明細書に開示される。いくつかの例では、ポリ核酸分子およびアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、リンカーによって結合される。いくつかの例では、リンカーは、以下の式(IV)
【0018】
【化1】
を含み、
式中、Y1およびY2のうちの少なくとも1つは、ポリ核酸分子中のヌクレオチドである。いくつかの例では、Y1は、ポリ核酸分子のセンス鎖の3’終端上の最後のヌクレオチドである。他の例では、Y1およびY2は、ポリ核酸分子中の2つの連続するヌクレオチドである。いくつかの例では、アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む。いくつかの例では、ポリ核酸分子のセンス鎖の3’終端上の最後のヌクレオチドを有するリンカーおよびアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分は、式(V’)
【0019】
【化2】
に示され、
式中、式(V’)中のZは、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチルであり、式(V’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、またはその他のものである。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子または本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物、が本明細書に提供される。いくつかの例では、医薬組成物は、ナノ粒子製剤として製剤化される。いくつかの例では、医薬組成物は、非経口投与用、経口投与用、鼻腔内投与用、頬側投与用、直腸内投与用、経皮投与用、静脈内投与用、皮下投与用、または髄腔内投与用に製剤化される。
【0021】
いくつかの態様では、対象におけるプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節する方法であって、対象に、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を投与することで、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を調節する工程を含む、方法、が本明細書に提供される。
【0022】
他の態様では、調節を必要とする対象における低密度リポタンパク質(LDL)を調節する方法であって、対象に、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を含み、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物は、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を減少させる、方法、が本明細書に提供される。いくつかの例では、調節を必要とする対象は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、または他の高コレステロールに関連する疾患に罹患している。
【0023】
いくつかの態様では、調節を必要とする対象におけるコレステロールを調節する方法であって、対象に、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を含み、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物は、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を減少させる、方法、が本明細書に提供される。いくつかの例では、調節を必要とする対象は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、または他の高コレステロールに関連する疾患に罹患している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の様々な態様は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載される。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な態様を記載する以下の詳細な説明、および以下の添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【
図1A】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1B】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1C】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1D】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1E】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1F】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1G】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1H】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1I】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【
図1J】
図1A~
図1Jは、非ヒト霊長類におけるPCSK9レベル、LDL-cレベル、トリグリセリド(TG)レベル、HDL-cレベル、および総コレステロール(T-Chol)レベルに対する複数のsiRNAの効果を示す。
【0025】
発明の詳細な説明
PCSK9は、不活性な分泌前駆体を生物活性タンパク質およびペプチドに切断するタンパク質転換酵素の群であるセリンプロテイナーゼの哺乳類ファミリーの9番目のメンバーである。ヒトPCSK9遺伝子は、染色体1p32.3上に位置し、小胞体において82kDaチモーゲンに翻訳される(Abifadelらによる、2003,Nat.Genet.34,154~156頁;Piperらによる、2007,Structure 15,545~552頁を参照)。PCSK9は、主に肝細胞によって血流中に分泌され、血漿中に存在する。
【0026】
PCSK9は、LDL-コレステロール(LDL-C)の分解およびその後の状態の高コレステロール血症に関与することが示されている(Abifadelらによる2003,Nat.Genet.34,154~156頁を参照)。高コレステロール血症は、高脂肪食、不活動の結果として生じ、特定の遺伝的危険因子と組み合わされる。高レベルのLDLは、周知のリスク因子である。高コレステロール血症に関連する例示的な遺伝的危険因子には、血液中のLDLのレベルに影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子の突然変異が含まれる。例えば、PCSK9をコードする遺伝子における機能獲得型突然変異は、高コレステロール血症に関連する。PCSK9がLDLRに結合すると、LDLRは分解を受け、その結果、血流からのLDL-Cの取り込みを減少させ、それによって高コレステロール血症をもたらす。したがって、PCSK9の阻害は、高コレステロール血症、特に家族性高コレステロール血症および他のコレステロール関連疾患を処置するための潜在的な治療戦略と見なされる。
【0027】
肝臓の他に、PCSK9は、小腸、腎臓、および脳で発現される。具体的には、PCSK9は神経炎症に関与している(Apaijaiらによる、2019,J.Am.Heart Assoc.8:e010838を参照)。さらに、PCSK9はアルツハイマー病の病因と関連している。脳剖検は、対照と比較して後期発症AD患者の前頭皮質におけるPCSK9 mRNAおよびタンパク質レベルの上昇を明らかにする(Picardらによる、2019,PLoS One 14:e0220254を参照)。さらに、PCSK9はAUDに関与し、AUDを有する患者のCSF中のPCSK9レベルが対照と比較して有意に高いという観察結果を有する(Chenらによる、2014,Lipids 49,445~455頁を参照)。さらに、虚血性脳卒中は、血漿LDL-Cの増加を引き起こすPCSK9遺伝子におけるいくつかの機能獲得型突然変異に関連する(Rousseletらによる、2011,J.Lipid Res.52,1383~1391頁を参照)。したがって、PCSK9を標的とする治療薬の開発は、上述の神経障害にとって有用であり得る。
【0028】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、表1、表2、および表3の核酸配列を含むポリ核酸分子、が本明細書に記載される。したがって、本明細書に記載のポリ核酸分子がハイブリダイズするヒトPCSK9 mRNAの様々な標的領域が本明細書に提供される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子の配列が本明細書に提供される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子の可能な修飾が本明細書に提供される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子の可能なコンジュゲートが本明細書に提供される。
【0029】
対象におけるプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型セリンプロテアーゼ(PCSK9)遺伝子の発現を調節する方法が本明細書にさらに記載される。調節を必要とする対象におけるLDLおよび/またはコレステロールを調節する方法が本明細書にさらに記載される。
【0030】
ポリ核酸分子
ポリ核酸分子の標的領域
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子が本明細書に記載される。いくつかの態様では、ポリ核酸分子は、mRNAの特定の領域にハイブリダイズする一本鎖核酸分子である。いくつかの態様では、ポリ核酸分子は二本鎖核酸分子である。いくつかの例では、ポリ核酸分子はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖はPCSK9 mRNAの特定の領域にハイブリダイズする。
【0031】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトPCSK9 mRNAの特定の領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、非ヒトPCSK9 mRNAの特定の領域にハイブリダイズする。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトPCSK9 mRNAの5’UTR領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトPCSK9 mRNAのコード領域にハイブリダイズする。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトPCSK9 mRNAの3’UTR領域にハイブリダイズする。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、ヒトPCSK9 mRNAの3’UTRのサブセット(NCBI参照配列:NM_174936.3)に、2342~2441、2442~2541、2542~2641、2642~2741、2742~2841、2842~2941、2942~3041、3042~3141、3142~3241、3242~3341、3342~3441、3442~3541、3542~3641、3642~3731の転写開始部位の範囲でハイブリダイズする。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子がハイブリダイズする標的領域は、最大PCSK9サイレンシング有効性および可能な限り低いオフターゲット効果を予測するアルゴリズムによって決定される。いくつかの特定の実施形態では、アルゴリズムは、Heらによる、2017,Scientific Reports,7,44836に開示されている。いくつかの特定の実施形態では、アルゴリズムは、Hanらによる、2018,BMC Genomics 19,669に開示されている。いくつかの特定の実施形態では、アルゴリズムは、siRNArules、siRNA-Finder、siRNA Wizard、siDirect、siRNA Wizard、Dharmacon siRNA設計ツール、White head siRNA設計ツール、またはGenscript siRNAソフトウェアである。
【0034】
単鎖核酸分子の構造
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子が本明細書に記載され、ポリ核酸分子の一本鎖核酸分子は、上記PCSK9 mRNAの標的領域に逆相補的である。
【0035】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して100%相補的ではない。したがって、いくつかの例では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約95%相補的である。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約90%相補的である。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約85%相補的である。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約80%相補的である。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約75%相補的である。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約70%相補的である。
【0036】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、表1、表2、および表3の核酸配列を含む。他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、表1、表2、および表3の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの例では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的である。いくつかの例では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的である。
【0037】
さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の核酸配列に相補的な22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。
【0038】
特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の核酸配列に相補的な22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。
【0039】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約15~30、16~30、17~30、18~30、18~27、18~25、18~23、19~23、20~23、または21~23ヌクレオチド長を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約15、16、17、18、19、20ヌクレオチド長を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約21、22、23、24、25ヌクレオチド長を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約26、27、28、29、30ヌクレオチド長を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、19ヌクレオチド長を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、21ヌクレオチド長を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、23ヌクレオチド長を含む。
【0040】
二本鎖核酸分子
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子が本明細書に記載され、ポリ核酸分子は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖分子であり、アンチセンス鎖は、上記PCSK9 mRNAの標的領域に逆相補的である。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して100%相補的である。いくつかの態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して100%相補的でない。したがって、いくつかの例では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約95%相補的である。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約90%相補的である。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約85%相補的である。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約80%相補的である。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約75%相補的である。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、PCSK9 mRNAの標的領域に対して約70%相補的である。
【0042】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、表1、表2、および表3の核酸配列を含む。他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、表1、表2、および表3の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの例では、本明細書に記載のセンス鎖は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である。いくつかの例では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である。いくつかの例では、本明細書に記載のセンス鎖は、配列番号1、3、5、7、および9から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である。いくつかの例では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%同一である。
【0043】
さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの14個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の14個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の14個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1、2、3、または4以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうち21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。さらに他の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する表1、表2、および表3の配列のうちの22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539の22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、10、および231~333の22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。
【0044】
特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の14個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の14個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の15個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の16個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の17個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の18個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の19個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の20個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の21個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号1、3、5、7、および9の22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。特定の態様では、本明細書に記載のアンチセンス鎖は、1つ、2つ、または3つ以下のミスマッチを有する配列番号2、4、6、8、および10の22個の連続するヌクレオチドである核酸配列を含む。
【0045】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約15~30、16~30、17~30、18~30、18~27、18~25、18~23、19~23、20~23、または21~23ヌクレオチド長のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約15、16、17、18、19、20ヌクレオチド長のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約21、22、23、24、25ヌクレオチド長のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、約26、27、28、29、30ヌクレオチド長のセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、19ヌクレオチド長のセンス鎖および約21ヌクレオチド長のアンチセンス鎖を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、21ヌクレオチド長のセンス鎖および約23ヌクレオチド長のアンチセンス鎖を含む。
【0046】
いくつかの態様では、本明細書に記載のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、互いに逆相補的であり、かつアンチセンス鎖上に3’オーバーハングを有する二本鎖を形成する。いくつかの態様では、本明細書に記載のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、互いに逆相補的であり、かつアンチセンス鎖上の5’オーバーハングを有する二本鎖を形成する。いくつかの態様では、本明細書に記載のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、互いに逆相補的であり、かつセンス鎖上に3’オーバーハングを有する二本鎖を形成する。いくつかの態様では、本明細書に記載のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、互いに逆相補的であり、かつセンス鎖上に5’オーバーハングを有する二本鎖を形成する。
【0047】
ポリ核酸分子の修飾
いくつかの態様では、修飾を有する本明細書に記載のポリ核酸分子が本明細書に記載される。いくつかの態様では、本明細書に記載の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド酸分子の1つ以上の異なる構造(例えば、糖環、骨格、塩基の修飾)で生じる。いくつかの態様では、本明細書に記載の修飾は、本明細書に記載のポリ核酸分子における1つ以上のヌクレオチドの置換を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子の異なるパーセンテージは、本明細書に記載の修飾を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子の異なる位置は、本明細書に記載の修飾を含む。WO/2018/035380は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0048】
修飾の種類
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド酸分子は、1つ以上の糖修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである。いくつかの例では、糖修飾ヌクレオチドは、リボース部分の2’ヒドロキシル基に修飾を含む。いくつかの例では、糖修飾ヌクレオチドは、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCNによる修飾を含み、ここで、Rはアルキル部分である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドまたは2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド(例えば、2’-メトキシ修飾ヌクレオチド)である。いくつかの例では、2’ヒドロキシル基修飾は、2’-デオキシ、2’-デオキシ-2’-フルオロ、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)、2’-O-ジメチルアミノエチル(2’-O-DMAOE)、2’-O-ジメチルアミノプロピル(2’-O-DMAP)、2’-O-ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’-O-DMAEOE)、または2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)を含む。いくつかの例では、アルキル部分はヘテロ置換を含む。いくつかの例では、複素環式基の炭素は、窒素、酸素、または硫黄によって置換される。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-アミノ修飾ヌクレオチドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-アジド修飾ヌクレオチドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-デオキシ修飾ヌクレオチドである。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-O-メトキシチル(2’-MOE)である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドはロックド核酸(LNA)である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドはエチレン架橋核酸(ENA)である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、(S)拘束エチル(cEt)である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドはトリシクロDNA(tcDNA)である。いくつかの態様では、糖修飾ヌクレオチドは、2’-NH2核酸である。
【0049】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド酸分子は、1つ以上の糖リン酸修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、修飾された糖リン酸は、ホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)である。いくつかの態様では、修飾された糖リン酸は、ホスホラミデートである。いくつかの例では、複素環置換は、イミダゾールおよびピロリジノを含む。いくつかの態様では、修飾された糖リン酸は、チオホスホルアミデートである。いくつかの態様では、修飾された糖リン酸は、ペプチド核酸(PNA)である。
【0050】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド酸分子は、1つ以上の骨格修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの特定の態様では、修飾骨格はメチルホスホネートである。いくつかの特定の態様では、修飾骨格はホスホロチオエートである。いくつかの特定の態様では、修飾骨格はグアニジノプロピルホスホルアミダートである。いくつかの特定の態様では、修飾された骨格はメシル-ホスホルアミダート(MsPA)結合である。いくつかの例では、修飾された骨格は、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、5’-メチルホスホネート、3’-アルキレンホスホネート、ボロントリフルオロデート、3’-5’結合または2’-5’結合のボラノリン酸エステルおよびセレノリン酸エステル、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル、水素ホスホネート結合、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、アリールホスホノチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロアミデートのうちの1つ以上を含む。
【0051】
いくつかの態様では、修飾ヌクレオチドは、修飾グアニン(例えば、イノシン)または任意の型の非天然核酸の1つ以上を含む。
【0052】
いくつかの特定の態様では、修飾された骨格はホスホロチオエートであり、ホスホロチオエートは立体化学的に富化されたホスホロチオエートである。ある特定の態様では、鎖は、少なくとも1つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートを含有する。いくつかの態様では、鎖は、少なくとも1つ、2つ、3つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートを含む。いくつかの態様では、鎖は、1つ、2つ、3つ、または4つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートのみを含む。さらなる態様では、少なくとも1つ(例えば、1つまたは2つ)の立体化学的に富化されたホスホロチオエートが、鎖の6つの5’終端ヌクレオシドのうちの2つである2つの連続するヌクレオシド間に配置される。なおさらなる態様では、少なくとも1つ(例えば、1つまたは2つ)の立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、鎖の6つの3’終端ヌクレオシドのうちの2つである2つの連続するヌクレオシド間に配置される。なおさらなる態様では、1つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、鎖内の5’末端から第1のヌクレオシドおよび第2のヌクレオシドに共有結合される。いくつかの態様では、1つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、鎖内の5’末端から20個の第1のヌクレオシドおよび20個の第2のヌクレオシドに共有結合される。ある特定の態様では、1つの立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、鎖内の5’末端から20個の第2のヌクレオシドおよび20個の第3のヌクレオシドに共有結合される。特定の態様では、立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、RP立体化学的同一性を含む。ある特定の態様では、立体化学的に富化されたホスホロチオエートは、SP立体化学的同一性を含む。
【0053】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、1つ以上の(例えば、1~20、1~10、または1~5の)立体化学的に富化された(例えば、ヌクレオシド間)ホスホロチオエート(例えば、P-ステレオジェン中心(P-stereogenic center)について、少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%、例えば、最大約99%のジアステレオマー過剰率を有する)を含む。本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、1つ以上の(例えば、1~20、1~10、または1~5の、例えば、ヌクレオシド間結合)ホスホロジチオエートを含む。ホスホロジチオエートは、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子において非P-ステレオジェニック(non-P-stereogenic)であり得る。ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートは、血清のエキソヌクレアーゼ活性に対する本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の安定性を増強し得る。非P-ステレオジェニックホスホロジチオエートは、可能なジアステレオマーの数を減少させることによって、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の合成を単純化し得る。典型的には、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートは、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の6つの3’終端ヌクレオシドおよび6つの5’終端ヌクレオシド内の2つの連続するヌクレオシドを接続し得る。いくつかの態様では、立体化学的に富化されたホスホロチオエート(例えば、RP富化ホスホロチオエート)は、アンチセンス鎖の5’末端から第1のヌクレオシド(例えば、第1のヌクレオシドの3’炭素原子)および第2のヌクレオシド(例えば、第2のヌクレオシドの5’-炭素原子)に共有結合され得る。さらにまたはあるいは、立体化学的に富化されたホスホロチオエート(例えば、SP富化されたホスホロチオエート)は、アンチセンス鎖の5’末端から21番目のヌクレオシド(例えば、21番目のヌクレオシドの3’炭素原子)および22番目のヌクレオシド(例えば、第22ヌクレオシドの5’炭素原子)に共有結合され得る。さらに、付加的または代替的に、立体化学的に富化されたホスホロチオエート(例えばSP富化ホスホロチオエート)は、アンチセンス鎖の5’末端から22番目のヌクレオシド(例えば、第22ヌクレオシドの3’炭素原子)および23番目のヌクレオシド(例えば、23番目のヌクレオシドの5’炭素原子)に共有結合され得る。5’末端からの第1のヌクレオシド(例えば、第1のヌクレオシドの3’-炭素原子)および第2のヌクレオシド(例えば、第2のヌクレオシドの5’-炭素原子)に共有結合した5’RP-富化したホスホロチオエート(例えば、RP富化ホスホロチオエート)と3’SP-富化したホスホロチオエート(例えば、SP-)との組合せアンチセンス鎖の5’末端から21番目のヌクレオシド(例えば、21番目のヌクレオシドの3’炭素原子)および22番目のヌクレオシド(例えば、22番目のヌクレオシドの5’炭素原子)に共有結合した富化ホスホロチオエートは、優れた有効性および/または作用持続時間をもたらすことができる。例えば、5’RP富化ホスホロチオエートおよび3’SP富化ホスホロチオエートの組合せを欠く参照ガイド鎖に対する標的の活性の低下によって測定される。
【0054】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、1つ以上のプリン修飾を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のプリン修飾は2,6-ジアミノプリンである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のプリン修飾は3-デアザ-アデニンである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のプリン修飾は7-デアザ-グアニンである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のプリン修飾は8-アジド-アデニンである。
【0055】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、1つ以上のピリミジン修飾を含む。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のピリミジン修飾は、2-チオ-チミジンである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のピリミジン修飾は、5-カルボキサミド-ウラシルである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のピリミジン修飾は、5-メチル-シトシンである。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載のピリミジン修飾は、5-エチニルウラシルである。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、脱塩基置換を含む。ハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物がsiRNAとしての使用を企図する場合、miRNA様オフターゲット効果の低減が望ましい。脱塩基置換は、塩基対合相互作用に関与し、立体障害を軽減することができる核酸塩基を欠くので、ハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物に1つ以上(例えば、1つまたは2つ)の脱塩基置換を含めることは、miRNA様オフターゲット効果を低減またはさらには排除し得る。したがって、本明細書に開示されるポリヌクレオチド分子は、1つ以上(例えば、1つまたは2つ)の脱塩基置換を含み得る。特定の態様では、脱塩基置換は、本明細書に記載のアンチセンス鎖の5’末端から5番目のヌクレオチドにある。特定の態様では、脱塩基置換は、本明細書に記載のアンチセンス鎖の5’末端から7番目のヌクレオチドにある。
【0057】
本明細書に開示されるポリヌクレオチド分子が2つ以上の脱塩基置換を含む場合、それらの構造は同じであっても異なっていてもよい。ある態様では、センス鎖は、1つの脱塩基置換(例えば、アンチセンス鎖は、脱塩基置換を含まなくてもよい)を含有する。他の態様では、アンチセンス鎖は、1つの脱塩基置換(例えば、センス鎖は、脱塩基置換を含まなくてもよい)を含有する。さらに他の態様では、アンチセンス鎖は1つの脱塩基置換を含有し、センス鎖は1つの脱塩基置換を含有する。さらなる態様では、センス鎖は、ヌクレオシド数(x)とヌクレオシド数(x+1)との間の脱塩基置換を含み、ここでxは2~7の整数である。なおさらなる態様では、アンチセンス鎖は、ヌクレオシド数(x)とヌクレオシド数(x+1)との間の脱塩基置換を含み、ここでxは2~7の整数である。
【0058】
脱塩基置換は、式(III)
【0059】
【化3】
に記載のものであり得、
式中、
Lは、糖アナログ(sugar analogue)であるか、A、U、C、Gからのヘテロアシルで置換されているか、任意の他の置換された核酸(例えば、ロックドまたはアンロックド核酸、グリコール核酸など)であり、
各X
4は独立して、OまたはSであり、
各X
5は独立して、O、S、NH、または結合であり、
各R
9は独立して、H、任意選択で置換されたC
1-6アルキル、任意選択で置換されたC
2-6アルケニル、任意選択で置換されたC
2-6アルキニル、任意選択で置換された(C
1-9ヘテロシクリル)-C
1-6-アルキル、任意選択で置換された(C
6-10アリール)-C
1-6-アルキル、任意選択で置換された(C
3-8シクロアルキル)-C
1-6-アルキル、-LinkA(-T)
p、または共役部分(conjugation moiety)であり、
各LinkAは独立して、多価リンカー(例えば、-C(O)-N(H)-を含む)であり、
各Tは独立して、補助部分であり、
R
10は、鎖中のヌクレオシド(x)の3’-炭素原子への結合であり、
R
11は、鎖中のヌクレオシド(x+1)の5’-酸素原子への結合であり、
Pは、1~6の整数であり、および
Tは、1~6の整数である。
【0060】
いくつかの態様では、本明細書に記載の脱塩基置換は、本明細書に記載のポリ核酸分子のアンチセンス鎖に結合される。特定の態様では、脱塩基置換(例えば、tが1である式(III)のヌクレオチド間脱塩基スペーサー)は、本明細書に記載のアンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖のシード領域内である)に含まれ得る。いくつかの態様では、脱塩基置換(例えば、tが1である式(III)のヌクレオチド間脱塩基スペーサー)は、本明細書に記載されるアンチセンス鎖の5’末端から2番目、3番目、4番目、または5番目のヌクレオシドの3’炭素原子に結合され得る。特定の態様では、脱塩基置換(例えば、tが1である式(III)のヌクレオチド間脱塩基スペーサー)は、本明細書に記載のアンチセンス鎖の5’末端から13番目、14番目、15番目、または16番目のヌクレオシドの3’炭素原子に結合され得る。いくつかの態様では、脱塩基置換は、本明細書に記載のアンチセンス鎖の5’末端からの第4、第5、第6、第7、第8、および/または第9のヌクレオシドである。
【0061】
本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシド(例えば、イノシン)を含むシード領域を含む鎖を含有し得る。
【0062】
特定の態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖の5’末端から2番目のヌクレオシドである。さらなる態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖の5’末端から3番目のヌクレオシドである。なおさらなる態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖の5’末端から4番目のヌクレオシドである。なおさらなる態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖の5’末端から5番目のヌクレオシドである。特定の態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖中の第6のヌクレオシドである。特定の態様では、ヒポキサンチン核酸塩基含有ヌクレオシドは、鎖中の第7のヌクレオシドである。
【0063】
修飾の量および位置
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、上記の1つ以上の型の修飾を含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約10%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約20%が、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約30%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約40%が、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約50%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約60%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約70%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約80%が、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの約90%は、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。他の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子由来のヌクレオチドの100%が、上記の1つ以上の型の修飾で修飾される。
【0064】
いくつかの態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子内の異なる位置で生じる。特定の態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子内のシード領域で生じる。特定の態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の3’終端で生じる。特定の態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の5’終端で生じる。特定の態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子内に分散して生じる。特定の態様では、本明細書に記載の1つ以上の型の修飾は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子内のクラスターで生じる。
【0065】
特定の修飾パターン
いくつかの態様では、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子であるポリ核酸分子の特異的修飾パターンが本明細書に記載され、センス鎖は約12個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約9個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖は約9個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約14個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。
【0066】
いくつかの態様では、センス鎖が完全に修飾され、12個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、9個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が完全に修飾され、9個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、および14個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0067】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-NfnNfnNfnNfnNfNfnNfnNfnNfnNfnNf-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNnn-3’を含み、ここで、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0068】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-NfnNfnNfnNfnNfNfnNfnNfnNfnNfnNfn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-NfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNnn-3’を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が1つ以上のホスホロチオエート結合を含み、ここで、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。他の態様では、センス鎖が‘5-NfnNfnNfnNfnNfNfnNfnNfnNfnNfn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-NfnNfnNfnNfnNfnNfnNfnNfn-3’を含み、センス鎖が2つのホスホロチオエート結合を含み、アンチセンスが4つのホスホロチオエート結合を含み、ここで、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0069】
いくつかの態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が表4のI型として修飾されている特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0070】
【0071】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含む。他の態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるI型修飾パターンで修飾される。いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含む。他の態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるI型修飾パターンで修飾される。
【0072】
いくつかの態様では、センス鎖が約4個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約17個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が約6個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約17個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0073】
いくつかの態様では、センス鎖が4つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、17個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まず、アンチセンス鎖が6つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび17個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まない、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0074】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnNfnNfnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnnn-3’を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0075】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnNfnNfNfnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnNfnNfnnnnnnn-3’を含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖が1つ以上のホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。他の態様では、センス鎖が‘5-nnnnnNfnNfnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnn-3’を含み、センスが2つのホスホロチオエート結合を含み、アンチセンスが4つのホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0076】
いくつかの態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が表4のII型として修飾されている特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0077】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つを含むセンス鎖、ならびに/または配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含むアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるII型修飾パターンで修飾される。他の態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つを含むセンス鎖、ならびに/または配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含むアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるII型修飾パターンで修飾される。
【0078】
いくつかの態様では、センス鎖が約2個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約19個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が約3個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約20個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0079】
いくつかの態様では、センス鎖が2つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、19個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まず、アンチセンス鎖が3つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび20個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まない、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0080】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnnn-3’を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0081】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnnn-3’を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が1つ以上のホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。他の態様では、センス鎖が‘5-nnnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnn-3’を含み、センスが2つのホスホロチオエート結合を含み、アンチセンスが4つのホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0082】
いくつかの態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が表4のIII型として修飾されている特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0083】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるIII型修飾パターンで修飾される。他の態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つからのセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるIII型修飾パターンで修飾される。
【0084】
いくつかの態様では、センス鎖が約3個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約18個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が約4個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび約19個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0085】
いくつかの態様では、センス鎖が3つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、18個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まず、アンチセンス鎖が4つの2’-フルオロ修飾ヌクレオチドおよび19個の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含み、他のヌクレオチドを含まない、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0086】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnnnn-3’を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを表し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを表す、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0087】
いくつかの態様では、センス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnnnn-3’を含み、センスおよび/またはアンチセンス鎖が1つ以上のホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。他の態様では、センス鎖が‘5-nnnnnNfnNfnnnnnnn-3’を含み、アンチセンス鎖が‘5-nnnnnnnnnnnnn-3’を含み、センス鎖が2つのホスホロチオエート結合を含み、アンチセンス鎖が4つのホスホロチオエート結合を含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味する、特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0088】
いくつかの態様では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖が表4のIV型として修飾されている特異的修飾パターンが本明細書に記載される。
【0089】
いくつかの態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、9、25~127、および437~539のうちの1つを含むセンス鎖、ならびに/または配列番号2、4、6、8、10、および231~333のうちの1つを含むアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、表4において特定されるIV型修飾パターンで修飾される。他の態様では、本明細書に提供されるポリヌクレオチド分子は、配列番号1、3、5、7、および9のうちの1つを含むセンス鎖、ならびに/または配列番号2、4、6、8、および10のうちの1つを含むアンチセンス鎖を含み、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、表4に指定されるIV型修飾パターンで修飾される。
【0090】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、usUfsacaaaagcaAfaAfcAfgguusasg(配列番号14)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖と、asgsaccuGfuUfuUfgcuuuuuaa(配列番号13)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、および「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【0091】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、usUfsucaaguuacAfaAfaGfcaaaascsa(配列番号16)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖と、ususuugcUfuUfuGfuaacuugaaa(配列番号15)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、および「s」は、3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【0092】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、asAfsuaucuucaaGfuUfaCfaaaaagscsa(配列番号18)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖と、csuuuugUfaAfcUfugaagauauu(配列番号17)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、および「s」が3’-ホスホロチオエートを意味する。
【0093】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、asUfsuaauaaaaaUfgCfuAfuAfuaaaaascsc(配列番号20)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖と、ususuuuuAfgCfaUfuuuuauuaau(配列番号19)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、および「s」が3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【0094】
PCSK9遺伝子の発現を調節するためのポリ核酸分子であって、asUfsauuaauaaaaaaafaUfgCfuacaasa(配列番号22)のヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖と、ususguagCfaUfuUfuuauuauauau(配列番号21)のヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み、「Nf」が2’-フルオロ修飾ヌクレオチドを意味し、「n」が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを意味し、および「s」が3’-ホスホロチオエートを意味する、ポリ核酸分子。
【0095】
コンジュゲーション
結合部分
ある特定の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、1つ以上の標的化部分とカップリングまたはコンジュゲートされて、ポリヌクレオチド-標的化部分コンジュゲート分子を形成する。いくつかの例では、標的化部分は、本明細書に記載のコンジュゲート分子を所望の細胞集団、組織、または器官に選択的にまたは好ましくは標的化するその能力に基づいて選択される。いくつかの例では、標的化部分は、標的化部分の対応する結合パートナー(例えば、対応する受容体またはリガンドのいずれかである)を発現する細胞、組織、または器官を標的化する。例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、標的化部分としてN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含有する標的化部分を選択することによって、アシアロ糖タンパク質(ASGP-R)を発現する肝細胞に標的化され得る。細胞内の所望の部位(例えば、小胞体、ゴルジ体、核、またはミトコンドリア)を標的とする標的化部分(すなわち、細胞内標的化部分)は、本明細書に開示されるハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物に含まれ得る。細胞内標的化部分の非限定的な例は、WO2015/069932およびWO2015/188197で提供され、WO2015/069932およびWO2015/188197における細胞内標的化部分の開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0096】
したがって、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、細胞内標的化部分、細胞外標的化部分、およびこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の標的化部分を含み得る。したがって、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子における1つ以上の標的化部分(例えば、葉酸、マンノース、N-アセチルガラクトサミン、および前立腺特異的膜抗原からなる群から独立して選択される標的化部分を含む細胞外標的化部分)および1つ以上の細胞内標的化部分(例えば、小胞体、ゴルジ体、核、またはミトコンドリアを標的とする部分)の包含は、特定の細胞集団内の特定の部位へのポリヌクレオチドの送達を促進することができる。いくつかの態様では、標的化部分は、1つ以上のマンノース炭水化物を含有する。マンノースはマンノース受容体を標的とし、これは、類洞肝細胞および抗原提示細胞(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)上で発現される175KDaの膜関連受容体である。これは、マンノシル化病原体およびタンパク質に結合し、内部移行する非常に有効なエンドサイトーシス/リサイクリング受容体である(Lennartzらによる、J.Biol.Chem.262:9942-9944,1987 1;J.Biol.Chem.265:12156-62,1990)。
【0097】
標的化部分のいくつかが本明細書に記載されている。いくつかの態様では、標的化部分は、インスリン、インスリン様成長因子受容体1(IGF1R)、IGF2R、インスリン様成長因子(IGF、例えば、IGF1またはIGF2)、間葉系上皮移行因子受容体(c-met、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)としても知られている)、肝細胞増殖因子(HGF)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮増殖因子(EGF)、ヘレグリン、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子(VEGF)、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、TNF-β、葉酸受容体(FOLR)、葉酸、トランスフェリン、トランスフェリン受容体(TfR)、メソテリン、Fc受容体、c-kit受容体、c-kit、インテグリン(例えば、α4インテグリンまたはβ-1インテグリン)、P-セレクチン、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体-1(S1PR)、ヒアルロン酸受容体、白血球機能抗原-1(LFA-1)、CD4、CD11、CD18、CD20、CD25、CD27、CD52、CD70、CD80、CD85、CD95(Fas受容体)、CD106(血管細胞接着分子1(VCAM1))、CD166(活性化白血球細胞接着分子(ALCAM))、CD178(Fasリガンド)、CD253(TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL))、ICOSリガンド、CCR2、CXCR3、CCR5、CXCL12(間質細胞由来因子1(SDF-1))、インターロイキン1(IL-1)、IL-1ra、IL-2、IL-3、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、CTLA-4、MART-1、gp100、MAGE-1、エフリン(Eph)受容体、粘膜アドレッシング細胞接着分子1(MAdCAM-1)、癌胎児性抗原(CEA)、LewisY、MUC-1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、癌抗原125(CA125)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、TAG-72抗原、およびそのフラグメントを含む群から選択されるタンパク質を含むか、またはそれに特異的に結合する。さらなる態様では、標的化部分は、赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ(ErbB)受容体(例えば、ErbB1受容体、ErbB2受容体、ErbB3受容体、およびErbB4受容体)を含む。いくつかの態様では、標的化部分は、1つ以上(例えば、1つ~6つ)のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含有する。ある特定の態様では、標的化部分は、1つ以上(例えば、1つ~6つ)のマンノースを含有する。他の態様では、標的化部分は葉酸リガンドを含有する。葉酸配位子は、以下の構造を有する。
【0098】
【化4】
ある特定の標的化部分としては、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチドが挙げられ得、腫瘍ペプチジル標的化部分もまた、標的化部分において使用され得、例えば、ステロイド、炭水化物、ビタミン、およびレクチンが挙げられ得る。いくつかの標的化部分は、ポリペプチド、例えば、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体(例えば、オクトレオチドまたはランレオチド)、ボンベシン、または抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含み得る。抗体は、任意の認識されたクラスまたはサブクラス、例えば、IgG、IgA、IgM、IgD、またはIgEのものであり得る。典型的なものは、IgGクラスに入る抗体である。抗体は、当技術分野で公知の技術に従って任意の種に由来することができる。しかし、典型的には、抗体は、ヒト、マウス、またはウサギ起源のものである。さらに、抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよいが、典型的にはモノクローナルである。ヒトまたはキメラ(例えば、ヒト化)抗体は、標的化部分において使用され得る。標的化部分は、抗体の抗原結合フラグメントを含み得る。このような抗体フラグメントには、例えば、Fab’、F(ab’)2、Fv、もしくはFabフラグメント、単一ドメイン抗体、ScFv、または他の抗原結合フラグメントが含まれ得る。Fcフラグメントはまた、標的化部分において使用され得る。このような抗体フラグメントは、例えば、タンパク質分解酵素消化、例えば、ペプシンもしくはパパイン消化、還元的アルキル化、または組換え技術によって調製することができる。抗体フラグメントを調製するための材料および方法は、当業者に周知である。例えば、Parham,J.Immunology,131:2895,1983;Lamoyiらによる、J.Immunological Methods,56:235,1983を参照されたい。
【0099】
本明細書に記載のポリヌクレオチド分子における標的化補助部分として使用するための他のペプチドは、KiSSペプチドおよび類似体、ウロテンシンIIペプチドおよび類似体、GnRH IおよびIIペプチドおよび類似体、デプレオチド、バプレオチド、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、コレシストキニン(CCK)、RGD含有ペプチド、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、グルタチオン、YIGSR(血小板因子-4のヘパリン結合領域(PF-4)およびリジンリッチ配列を含有する白血球反応性ペプチド、例えば、P483H)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β-アミロイドペプチド、δ-オピオイドアンタゴニスト(ITIPP(psi)など)、アネキシン-V、エンドセリン、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド(例えば、N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニン-リシン(fMLFK))、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト(例えば、DMP444)、ヒト好中球エラスターゼ阻害剤(EPI-HNE-2およびEPI-HNE-4)、プラスミン阻害剤、抗微生物ペプチド、アプタイド(P280およびP274)、トロンボスポンジン受容体(TP-1300などの類似体を含む)、ビチスタチン、下垂体アデニリルシクラーゼI型受容体(PAC1)、フィブリンα鎖、ファージディスプレイライブラリー由来のペプチド、ならびにその保存的置換から選択可能である。
【0100】
1つ以上(例えば、1つ~6つ)の標的化部分は、-LinkA-を介して、式(V’、V’’、またはV’’’)中のMOIETYまたはX2に連結され得る。
【0101】
いくつかの態様では、標的化部分は、1つ以上(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)のアシアロ糖タンパク質受容体リガンド(例えば、GalNAc)を含む。いくつかの態様では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンド(例えば、GalNAc)リガンドは、アノマー炭素(例えば、ここで、アノマー炭素は、アセタールまたはヘミアミナール中の炭素原子である)を介して-LinkA-に結合される。いくつかの態様では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンド(例えば、GalNAc)は、3価、4価、5価、または6価のリンカーに結合したアノマー炭素を含み、アノマー炭素はヘミアミナール基の一部である。ヘミアミナールを介してリンカーに結合されるアシアロ糖タンパク質受容体リガンド(例えば、GalNAc)は、アセタールを介してリンカーに結合されるアシアロ糖タンパク質受容体リガンド(例えば、GalNAc)を有するハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物と比較して、遺伝子サイレンシングにおいて優れた有効性を有するハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物を生成し得る。
【0102】
いくつかの態様では、リンカーおよび3つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分(それぞれGalNAcを含む)は、式(V)に示される通りである。場合によっては、本明細書に記載のコンジュゲートは、1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分のみを含み、したがって、コンジュゲートは、任意の2つの標的化部分が除去された式(V)の構造を含む。場合によっては、本明細書に記載のコンジュゲートは、2つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分のみを含み、したがって、本明細書に記載のコンジュゲートは、標的化部分のいずれか1つが除去された式(V)の構造を含む。
【0103】
【化5】
式中、Y1およびY2の一方はヌクレオチドであるか、またはY1およびY2の両方はヌクレオチドであり、Y1およびY2は、本明細書に記載のポリ核酸分子由来の連続するヌクレオチドまたは隣接するヌクレオチドである)。
【0104】
いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーおよび標的化部分は、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(V’))。いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーおよび標的化部分は、センス鎖の5’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(V’’)または(V’’’)に示す通り)。いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーおよび標的化部分は、アンチセンス鎖(例えば、式(V’))の3’末端にコンジュゲートされる。いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーおよび標的化部分は、アンチセンス鎖の5’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(V’’)または(V’’’)に示す通り)。
【0105】
【化6】
式中、
式(V’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾の1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチル)に対応し、式(V’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、またはその他である。
【0106】
【化7】
式中、
式(V’’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾の1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチル)に対応する部分であり、式(V’’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、またはその他である。
【0107】
【化8】
式中、
式(V’’’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾の1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチルである)に対応する部分であり、式(V’’’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、またはその他である。
【0108】
いくつかの例では、表1、表2、または表3からのパッセンジャー/センス鎖の3’末端は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)または(V’)を参照)。いくつかの例では、表1、表2、または表3からのパッセンジャー/センス鎖の5’末端は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)、(V’’)、または(V’’’)を参照)。いくつかの例では、表1、表2、または表3のパッセンジャー/センス鎖(5’末端または3’末端ではない)内の核酸は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)を参照)。いくつかの例では、表1、表2、または表3からのガイド/アンチセンス鎖の3’末端は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)または(V’)を参照)。いくつかの例では、表1、表2、または表3からのガイド/アンチセンス鎖の5’末端は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)、(V’’)、または(V’’’)を参照)。いくつかの例では、表1、表2、または表3のガイド/アンチセンス鎖(5’末端または3’末端ではない)内の核酸は、X2-GalNAcとコンジュゲートされる(式(V)を参照)。
【0109】
1つ以上(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)のエンドソームエスケープ部分は、補助部分として本明細書に開示されるポリヌクレオチド構築物またはハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物に結合され得る。例示的なエンドソームエスケープ部分としては、化学療法剤(例えば、クロロキンなどのキノロン);融合性脂質(例えば、ジオレオイルホスファチジル-エタノールアミン(DOPE));およびポリエチレンイミン(PEI)などのポリマー;ポリ(β-アミノエステル);ポリアルギニン(例えば、オクタアルギニン)およびポリリジン(例えば、オクタリシン)などのポリペプチド;プロトンスポンジ、ウイルスカプシド、および本明細書に記載されるペプチド形質導入ドメインなどが挙げられる。例えば、融合ペプチドは、A型インフルエンザウイルスのM2タンパク質;インフルエンザウイルス血球凝集素のペプチド類似体;C型インフルエンザウイルスのHEFタンパク質;フィロウイルスの膜貫通糖タンパク質;狂犬病ウイルスの膜貫通糖タンパク質;水疱性口内炎ウイルスの膜貫通糖タンパク質(G);センダイウイルスの融合タンパク質; Semliki forestウイルスの膜貫通糖タンパク質;ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の融合タンパク質;麻疹ウイルスの融合タンパク質; ニューカッスル病ウイルスの融合タンパク質;ビスナウイルスの融合タンパク質;マウス白血病ウイルスの融合タンパク質;HTLウイルスの融合タンパク質;およびサル免疫不全ウイルス(SIV)の融合タンパク質などに由来してもよい。エンドソーム脱出を促進するために用いることができる他の部分は、Dominskaらによる、Journal of Cell Science,123(8):1183~1189頁,2010に記載されている。本明細書に開示されるハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物へのコンジュゲーションに適した部分を含むエンドソームエスケープ部分の特定の例は、例えば、WO2015/188197において提供され、これらのエンドソームエスケープ部分の開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0110】
1つ以上のエンドソームエスケープ部分(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)は、本明細書に記載されるように、-LinkA-を介して、式(V’、V’’、またはV’’’)中のMOIETYまたはX2に結合され得る。
【0111】
1つ以上(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)の細胞透過性ペプチド(CPP)は、補助部分として本明細書に開示されるポリヌクレオチド構築物またはハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物に結合され得る。CPPは、本明細書に開示されるように、ジスルフィド結合を介してハイブリダイズされたポリヌクレオチドに生物可逆的に連結されることができる。したがって、細胞に送達されると、CPPは、例えば細胞内酵素(例えば、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、チオレドキシン、またはチオエステラーゼ)によって細胞内で切断され、それによってポリヌクレオチドを放出することができる。
【0112】
CPPは、当技術分野において公知である(例えば、TATまたはArg8)(Snyder and Dowdy,2005,Expert Opin.Drug Deliv.2,43~51頁)。本明細書に開示されるハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物へのコンジュゲーションに適した部分を含むCPPの具体例は、例えば、WO2015/188197において提供され、これらのCPPの開示は、参照によって本明細書に援用される。
【0113】
CPPは、細胞への生物学的カーゴの送達を促進することができる正に荷電したペプチドである。CPPのカチオン電荷は、それらの機能に必須であると考えられる。さらに、これらのタンパク質の形質導入は、細胞型によって影響されないようであり、これらのタンパク質は、明らかな毒性を伴わずに、培養物中のほぼ全ての細胞を効率的に形質導入することができる(Nagaharaらによる、Nat.Med.4:1449-52,1998)。全長タンパク質に加えて、CPPはまた、DNA(Abu-Amer、上記)、アンチセンスポリヌクレオチド(Astriab-Fisherらによる、Pharm.Res,19:744-54,2002)、小分子(Polyakovらによる、Bioconjug.Chem.11:762-71,2000)、および無機40nm鉄粒子(Doddらによる、J.Immunol.Methods 256:89-105,2001;Wunderbaldingerらによる、Bioconjug.Chem.13:264-8,2002;Lewinらによる、Nat.Biotechnol.18:410-4,2000;Josephsonらによる、Bioconjug.Chem.10:186-91,1999)の細胞内取り込みを誘導するために首尾よく使用されており、このプロセスにおいて粒径にかなりの柔軟性があることを示唆している。
【0114】
一実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物において有用なCPPは、実質的なアルファヘリシティーを特徴とするペプチドを含む。CPPが有意なアルファヘリシティーを示す場合、遺伝子導入が最適化されることが発見された。別の実施形態では、CPPは、ペプチドの少なくとも1つの面に沿って実質的に整列した塩基性アミノ酸残基を含む配列を含む。本明細書に記載のCPPは、天然に存在するペプチドまたは合成ペプチドであり得る。
【0115】
1つ以上(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)の細胞透過性ペプチドは、本明細書に記載されるように、-LinkA-を介して、式(V’、V’’、またはV’’’)中のMOIETYまたはX2に結合され得る。
【0116】
本明細書に開示されるポリヌクレオチド構築物およびハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物はまた、共有結合した中性ポリマーベースの補助部分を含み得る。中性ポリマーとしては、ポリ(C1-6アルキレンオキシド)、例えば、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)ならびにそのコポリマー、例えば、ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが挙げられる。ポリマーの他の例としては、エステル化ポリ(アクリル酸)、エステル化ポリ(グルタミン酸)、エステル化ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン-コ-ビニルアルコール)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-アルキルアクリルアミド)、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(カプロラクトン)、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリウレタン、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、およびポリ(N,N-ジアルキルアクリルアミド)が挙げられる。例示的なポリマー補助部分は、100Da、300Da、500Da、1000Da、または5000Da未満(例えば、100Da超)の分子量を有し得る。他のポリマーは、当技術分野において公知である。
【0117】
1つ以上(例えば、1つ~6つまたは1つ~3つ)のポリマーは、本明細書に記載されるように、-LinkA-を介して、式(V’、V’’、またはV’’’)中のMOIETYまたはX2に結合され得る。
【0118】
コンジュゲーションリンカー
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、式(I)
【0119】
【化9】
の少なくとも1つの基、またはその塩、もしくはその立体異性体に結合されるセンス鎖あるいはアンチセンス鎖を含み、
式中、
各X
1は独立して、OまたはSであり、
各X
2は独立して、O、S、NH、または結合であり、
MOIETYは、任意選択で置換されたC
2-10アルカン-テトライル、または-M
1-M
2-M
3-である基であり、ここで、各M
1および各M
3は独立して、存在しないか、任意選択で置換されたC
1-6アルキレンであり、M
2は、任意選択で置換されたC
3-9ヘテロ環-テトライル、任意選択で置換されたC
6-10アレーン-テトライル、または任意選択で置換されたC
3-8シクロアルカン-テトライルであり、
各R
1および各R
2は独立して、少なくとも1つのR
1または少なくとも1つのR
2がコンジュゲーション部分または-LinkA(-T)
pであるならば、H、任意選択で置換されたC
1-16アルキル、任意選択で置換されたC
2-16ヘテロアルキル、コンジュゲーション部分、または-LinkA(-T)
pであり、
各R
3は独立して、H、任意選択で置換されたC
1-16アルキル、任意選択で置換されたC
2-16ヘテロアルキル、任意選択で置換されたC
2-16アルケニル、任意選択で置換されたC
2-16アルキニル、任意選択で置換された(C
1-9ヘテロシクリル)-C
1-6-アルキル任意選択で置換された(C
6-10アリール)-C
1-6-アルキル、任意選択で置換された(C
3-8シクロアルキル)-C
1-6-アルキル、コンジュゲーション部分、または-LinkA(-T)
pであり、
R
4は、H、任意選択で置換されたC
1-6アルキル、-LinkA(-T)
p、または-Solであり、
各LinkAは独立して、多価リンカー(例えば、-C(O)-N(H)-を含む(例えば、Tに結合された-C(O)-N(H)-を含む少なくとも1つの多価リンカー))であり、
各Tは独立して、補助部分であり
Solは固体支持体であり、
mは1~6の整数であり、
各nは独立して、0または1であり、
各pは独立して、1~6の整数であり
qは0~3の整数であり、
式(I)の少なくとも1つの基は、ポリヌクレオチドの5’終端、3’終端、ヌクレオシド間リン酸塩、ヌクレオシド間ホスホロチオエート、またはヌクレオシド間ホスホロジチオエートに結合されることができる。式(I)の少なくとも1つの基がヌクレオシド間リン酸、ヌクレオシド間ホスホロチオエート、またはヌクレオシド間ホスホロジチオエートに結合される場合、qは0である。ポリヌクレオチド構築物は、1つ以下のSolを含有する。
【0120】
基-LinkA-は、0~3つの多価モノマー(例えば、任意選択で置換されたC1-6アルカン-トリイル、任意選択で置換されたC1-6アルカン-テトライル、または3価の窒素原子)および1つ以上(例えば、1つ~40個)の二価モノマーを含むことができ、各二価モノマーは独立して、任意選択で置換されたC1~6アルキレンであり、任意選択で置換されたC2~6アルケニレン、任意選択で置換されたC2~6アルキニレン、任意選択で置換されたC3~8シクロアルキレン、任意選択で置換されたC3~8シクロアルケニレン、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロアリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロシクリレン、イミノ、任意選択で置換されたN、O、またはS(O)m(式中、mは、0、1、または2である)である。いくつかの態様では、各モノマーは独立して、任意選択で置換されたC1~6アルキレンであり、任意選択で置換されたC3~8シクロアルキレン、任意選択で置換されたC3~8シクロアルケニレン、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロアリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロシクリレン、イミノ、任意選択で置換されたN、O、またはS(O)m(式中、mは0、1または2である(例えば、mは2である))。特定の態様では、各モノマーは独立して、任意選択で置換されたC1~6アルキレンであり、任意選択で置換されたC3~8シクロアルキレン、任意選択で置換されたC3~8シクロアルケニレン、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロアリーレン、N、OおよびSから選択される1つ~4つのヘテロ原子を有する任意選択で置換されたC1~9ヘテロシクリレン、任意選択で置換されたN、O、またはS(O)mであり、ここで、mは0、1または2である(例えば、mは2である)。補助部分をコンジュゲート部分またはその反応生成物に接続する非生体可逆性リンカーは、2~500(例えば、2~300または2~200である)のそのようなモノマーを含むことができる。グループ-LinkA-は、ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(トリメチレンオキシド)、ポリブチレンオキシド、ポリ(テトラメチレンオキシド)、およびそのジブロックまたはトリブロックコポリマー)を含み得る。いくつかの態様では、非生体可逆性リンカーはポリエチレンオキシド(例えば、1kDa未満の分子量を有するポリ(エチレンオキシド))を含む。
【0121】
式(I)中の基-LinkA(-T)pは、以下の欄に記載のプロセスで調製され得る。いくつかの例では、-LinkA(-T)pは、式(II)
【0122】
【化10】
であり、
式中、
各sは独立して、0~20(例えば、0~10)の整数であり、ここで、反復単位は、同じであるか異なる、
Q
1は、コンジュゲーションリンカー(例えば、[-Q
3-Q
4-Q
5]
s-Q
C-、ここで、Q
Cは任意選択で置換されたC
2-12ヘテロアルキレン(例えば、-C(O)-N(H)-、-N(H)-C(O)-、-S(O)
2-N(H)-、または-N(H)-S(O)
2-を含有するヘテロアルキレン)、任意選択で置換されたC
1-12 チオヘテロシクリレン(例えば、
【0123】
【化11】
)、任意選択で置換されたC
1-12ヘテロシクリレン(例えば、1,2,3-トリアゾール-1,4-ジイルまたは
【0124】
【化12】
)、cyclobut-3-ene-1,2-dione-3,4-diyl、or pyrid-2-yl hydrazone)であり、
Q
2は、pが1の場合、線形基(例えば、[-Q
3-Q
4-Q
5]
s-)であり、pが2~6の整数である場合、分岐基(例えば、[-Q
3-Q
4-Q
5]
s-Q
7([-Q
3-Q
4-Q
5]
s-(Q
7)
p1)
p2であり、ここで、p1は0または1、p2は0、1、2、または3である)であり、
各Q
3および各Q
6は独立して、存在しないか、-CO-、-NH-、-O-、-S-、-SO
2-、-OC(O)-、-COO-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-CH
2-、-CH
2NH-、-NHCH
2-、-CH
2O-、または-OCH
2-であり、
各Q
4は独立して、存在しないか、任意選択で置換されたC
1-12アルキレン、任意選択で置換されたC
2-12アルケニレン、任意選択で置換されたC
2-12アルキニレン、任意選択で置換されたC
2-12ヘテロアルキレン、任意選択で置換されたC
6-10アリーレン、任意選択で置換されたC
1-9ヘテロアリリン(heteroarylene)または任意選択で置換されたC
1-9ヘテロシクリレンであり、
各Q
5は独立して、存在しないか、-CO-、-NH-、-O-、-S-、-SO
2-、-CH
2-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)NH-、-NH-C(O)-、-NH-CH(R
a)-C(O)-、または-C(O)-CH(R
a)-NH-であり、
各Q
7は独立して、任意選択で置換されたC
1-6アルカン-トリイル、任意選択で置換されたC
1-6アルカン-テトライル、任意選択で置換されたC
2-6ヘテロアルカン-トリイル、または任意選択で置換されたC
2-6ヘテロアルカン-テトライル、ならびに
各R
aは独立して、Q
3、Q
4、およびQ
5の少なくとも1つが存在するのであれば、Hまたはアミノ酸側鎖である。
【0125】
いくつかの態様では、各Q4は独立して、存在しないか、任意選択で置換されたC1-12アルキレン、任意選択で置換されたC2-12アルケニレン、任意選択で置換されたC2-12アルキニレン、任意選択で置換されたC2-12ヘテロアルキレン、または任意選択で置換されたC1-9ヘテロシクリレンである。特定の態様では、sは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20である。
【0126】
したがって、式(II)において、LinkAは、各p1が0である場合、単一の分岐点、または少なくとも1つのp1が1である場合、複数の分岐点を含み得る。
【0127】
式(II)において、Q1は-O-QL-QC-であってもよく、ここで、QLは任意選択で置換されたC2-12ヘテロアルキレン、任意選択で置換されたC1-12アルキレン、または-(任意選択で置換されたC1-6アルキレン)-(任意選択で置換されたC6-10アリーレン)-である。いくつかの態様では、QLは、任意選択で置換されたC2-12ヘテロアルキレンまたは任意選択で置換されたC1-12アルキレンである。式(II)において、QCは、
【0128】
【0129】
式(II)において、Q2は、式[-Q3-Q4-Q5]s-の線形基であってもよく、式中、Q3、Q4、およびQ5は、式(II)に関して定義される。代替的には、Q2は、[-Q3-Q4-Q5]s-Q7([-Q3-Q4-Q5]s-(Q7)p1)p2である分岐基であってもよく、式中、各Q7は独立して、任意選択で置換されたC1-6アルカン-トリイル、任意選択で置換されたC1-6アルカン-テトライル、任意選択で置換されたC2-6ヘテロアルカン-トリイル、または任意選択で置換されたC2-6ヘテリアルカン-テトライルであり、
式中、
p1は0または1であり、
p2は、0、1、2、または3であり
ここで、p1が0の場合、LinkAは3価または4価のリンカーであり、p1が1の場合、LinkAは4価、5価または6価のリンカーである。特定の態様では、p1は0である。いくつかの態様では、Q7は、
【0130】
【0131】
式(I)中の基-LinkA(-T)pの調製に使用され得る化合物は、本明細書、ならびにWO2015/188197に記載される。-LinkAの非限定的な例は、
【0132】
【0133】
【0134】
【化15-3】
式中、
R
18は、MOIETYへの結合であり、
各R
19は独立して、補助部分への結合であり、
各m5は独立して、1~20の整数であり、
各m6は独立して、1~10の整数であり、
m7は、1~6の整数であり、および
各X
6は独立して、OまたはSである。
式(II)において、式[-Q
3-Q
4-Q
5]
s-Q
C-,-Q
2([-Q
3-Q
4-Q
5]
s-Q
6-T)
pのコンジュゲーションリンカーは、
【0135】
【0136】
【化16-2】
式中、
R
20は、Q
1中のQ
Cへの結合であり、
各R
19は独立して、補助部分への結合であり、
各m5は独立して、1~20の整数であり、
各m6は独立して、1~10の整数であり、
m7は、1~6の整数であり、および
各X
6は独立して、OまたはSである。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーは切断可能性である。いくつかの態様では、本明細書に記載のリンカーは切断不可能性である。
【0138】
いくつかの態様では、本明細書に記載のポリ核酸分子は、式(IV)
【0139】
【化17】
の少なくとも1つの基に結合されるセンス鎖またはアンチセンス鎖を含み、
式中、
Y1またはY2の少なくとも1つは、このポリ核酸分子からのヌクレオチドである。
【0140】
いくつかの例では、Y1は、ポリ核酸分子の鎖のうちの1つの、3’終端上の最後のヌクレオチドか、5’終端上の最初のヌクレオチドである。いくつかの例では、Y1は、ポリ核酸分子のセンス鎖の、3’終端上の最後のヌクレオチドか、5’終端上の最初のヌクレオチドである。いくつかの例では、Y1は、ポリ核酸分子のセンス鎖の、3’終端上の最後のヌクレオチドか、5’終端上の最初のヌクレオチドであり、Y2は、3-ヒドロキシ-プロポキシ基である。いくつかの例では、Y2は、ポリ核酸分子の鎖のうちの1つの、5’終端上の最初のヌクレオチドか、3’終端上の最後のヌクレオチドである。いくつかの例では、Y2は、ポリ核酸分子のセンス鎖の、5’終端上の最初のヌクレオチドか、3’終端上の最後のヌクレオチドである。いくつかの例では、Y2は、ポリ核酸分子のセンス鎖の、5’終端上の最初のヌクレオチドか、3’終端上の最後のヌクレオチドであり、Y1は、3-ヒドロキシ-プロポキシ基である。他の例では、Y1およびY2は、ポリ核酸分子の鎖のうちの1つにおける2つの連続するヌクレオチドである。
【0141】
いくつかの態様では、本明細書に記載の標的化部分は、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(IV’))。いくつかの態様では、本明細書に記載の標的化部分は、センス鎖の5’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(IV’’)または式(IV’’’))。いくつかの態様では、本明細書に記載の標的化部分は、アンチセンス鎖の3’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(IV’))。いくつかの態様では、本明細書に記載の標的化部分は、アンチセンス鎖の5’末端にコンジュゲートされる(例えば、式(IV’’)または式(IV’’’))。
【0142】
【化18】
式中、
式(IV’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾のうちの1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチル)に対応する部分であり、式(IV’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、または他のものである。
【0143】
【化19】
式中、
式(IV’’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾のうちの1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチル)に対応する部分であり、式(IV’’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、または他のものである。
【0144】
【化20】
式中、
式(IV’’’)中のZは、本明細書に記載の糖修飾のうちの1つ(例えば、-H、-OH、-O-メチル、-F、または-O-メトキシエチル)に対応する部分であり、式(IV’’’)中のRは、アデニン、ウラシル、グアニン、シトシン、チミン、脱塩基、または他のものである。
【0145】
医薬組成物
本明細書に記載のポリヌクレオチド分子の送達は、様々な方法を用いて細胞を構築物と接触させることによって達成することができる。特定の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子は、本明細書の他の箇所により完全に説明されるように、様々な賦形剤、ビヒクル、および担体と共に製剤化される。
【0146】
本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に開示されるハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物を、担体、賦形剤、およびビヒクルを使用して対象に投与するのに適した形態に含むように調製することができる。頻繁に使用される賦形剤には、マグネシウムカルボネート、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよび他の糖、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、ビタミン、セルロースおよびその誘導体、動物油および植物油、ポリエチレングリコール、ならびに、滅菌水、アルコール、グリセロール、および多価アルコールなどの溶媒が含まれる。静脈内ビヒクルは、流体および栄養補充物を含む。保存剤には、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスが含まれる。他の薬学的に許容可能なビヒクルには、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Gennaro,Ed.,Lippencott Williams & Wilkins(2005)、および2013年発行のThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 36 NF31)に記載されるように、水溶液、塩、防腐剤、緩衝剤などを含む非毒性賦形剤が含まれる。医薬組成物の様々な成分のpHおよび正確な濃度は、当技術分野における日常的な技能に従って調整される。GoodmanおよびGilmanらによる、The Pharmacological Basis for Therapeuticsを参照されたい。
【0147】
本明細書に記載の医薬組成物は、局所的または全身的に投与され得る。治療有効量は、対象における感染の程度、個体の年齢、性別、および体重などの因子に従って変動する。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与することができ、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減少させることができる。
【0148】
医薬組成物は、注射(例えば、皮下、静脈内、眼窩内など)、経口投与、眼適用、吸入、局所適用、または直腸投与などの好都合な方法で投与することができる。投与経路に応じて、薬学的組成物は、酵素、酸、および薬学的組成物を不活性化し得る他の自然条件の作用から薬学的組成物を保護するための材料でコーティングされ得る。医薬組成物は、非経口または腹腔内に投与することもできる。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、ならびに油中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有し得る。
【0149】
注射用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。組成物は、典型的には無菌であり、容易な注射可能性が存在する程度に流動性である。典型的には、組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。ビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムが組成物に使用される。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0150】
滅菌注射用溶液は、必要量の医薬組成物を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散剤は、塩基性分散媒および上に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に医薬組成物を組み込むことによって調製される。
【0151】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、処置される対象のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し、所定の量の医薬組成物を含有する各単位は、必要な医薬ビヒクルと関連して所望の治療効果をもたらすように計算される。単位剤形の仕様は、医薬組成物の特性および達成すべき特定の治療効果に関連する。主要な医薬組成物は、有効量で便利かつ有効な投与のために、適切な薬学的に許容可能なビヒクルと共に許容可能な投与単位に配合される。補助的な活性成分を含有する組成物の場合、投与量は、成分の通常の用量および投与様式を参照して決定される。
【0152】
医薬組成物は、例えば担体中で、例えば腸溶コーティングされた単位剤形で経口投与することができる。医薬組成物および他の成分はまた、硬質もしくは軟質シェルゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤に圧縮することができる。経口治療投与のために、医薬組成物は、賦形剤と共に組み込むことができ、摂取可能な錠剤、トローチ、カプセル、丸薬、ウエハースなどの形態で使用することができる。このような組成物および調製物は、少なくとも1重量%の活性化合物を含有するべきである。組成物および調製物のパーセンテージは、当然ながら変えることができ、好都合には単位の重量の約5%~約80%であり得る。錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、以下のものを含有することもできる:トラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えばスクロース、ラクトースもしくはサッカリン、または香味剤、例えばペパーミント、ウィンターグリーンの油、またはチェリー香味剤。投薬単位形態がカプセルである場合、投薬単位形態は、上記のタイプの材料に加えて、液体担体を含有し得る。様々な他の材料が、コーティングとして、または投薬単位の物理的形態を別様に改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはその両方でコーティングすることができる。シロップ剤またはエリキシル剤は、薬剤、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、染料、ならびにチェリーまたはオレンジフレーバーなどのフレーバー剤を含有することができる。任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に許容可能な純度であり、使用される量において実質的に無毒であるべきである。加えて、医薬組成物は、徐放性調製物および製剤に組み込むことができる。
【0153】
本明細書に記載の医薬組成物は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子のバイオアベイラビリティを促進する1つ以上の透過促進剤を含み得る。WO2000/67798,Muranishi,1990,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier S ystems,7,1,Leeらによる、1991,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Systems,8,91は、参照によってその全体が本明細書に援用される。いくつかの態様では、透過促進剤は腸内投与用である。いくつかの態様では、透過促進剤は経皮投与用である。いくつかの態様では、透過促進剤は、脳血液関門の通過を促進するものである。いくつかの態様では、透過促進剤は、経口、鼻、口腔、肺、膣、または角膜送達モデルにおける透過性を改善する。いくつかの態様では、透過促進剤は脂肪酸またはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤は、界面活性剤またはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤は胆汁酸塩またはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤はキレート剤またはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤は、非キレート性非界面活性剤またはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤はエステルまたはその誘導体である。いくつかの態様では、透過促進剤はエーテルまたはその誘導体である。いくつかの特定の態様では、透過促進剤は、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプリン酸、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリド、またはその薬学的に許容可能な塩である。ある特定の態様では、透過促進剤はカプリン酸ナトリウム(C10)である。いくつかの特定の態様では、透過促進剤は、ケノデオキシコール酸(CDCA)、ウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ナトリウムタウロ-24,25-ジヒドロ-フシデートまたはグリコジヒドロフシデートナトリウムである。いくつかの特定の態様では、透過促進剤はポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテルまたはポリオキシエチレン-20-セチルエーテルである。
【0154】
本明細書に記載のポリヌクレオチド分子について、適切な薬学的に許容可能な塩としては、(i)ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウムなどのカチオン、スペルミンおよびスペルミジンなどのポリアミンと形成される塩;(ii)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、りん酸などと形成される酸付加塩;(iii)有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などと形成される塩が挙げられる。
【0155】
本明細書に記載のハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物は、標的細胞への送達のための賦形剤の使用を必要としない場合があるが、賦形剤の使用は、いくつかの態様では有利であり得る。したがって、標的細胞への送達のために、本明細書に記載のハイブリダイズされたポリヌクレオチド分子は、賦形剤に非共有結合して複合体を形成することができる。賦形剤は、送達後の生体内分布を変化させるため、取り込みを増強するため、ハイブリダイズされたポリヌクレオチド構築物中の鎖の半減期もしくは安定性を増加させるため(例えば、ヌクレアーゼ耐性を改善するため)、および/または特定の細胞もしくは組織型への標的化を増加させるために使用することができる。
【0156】
規格としては、例えば、縮合剤(例えば、イオンまたは静電相互作用を介して核酸を誘引または結合することができる薬剤);融合剤(例えば、細胞膜を融合および/または輸送することができる薬剤);特定の細胞または組織型を標的とするタンパク質(例えば、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントプロテインA、または任意の他のタンパク質);脂質;リポ多糖類;脂質ミセルまたはリポソーム(例えば、ホスホチジルコリンなどのリン脂質、脂肪酸、糖脂質、セラミド、グリセリド、コレステロール、またはこれらの任意の組合せから形成される);ナノ粒子(例えば、シリカ、脂質、炭水化物、または他の薬学的に許容可能なポリマーナノ粒子);カチオン性ポリマーおよびアニオン性剤(例えば、CRO)から形成されるポリプレックスであって、例示的なカチオン性ポリマーは、ポリアミン(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアミドアミン、およびポリエチレンイミン)を含む、ポリプレックス;コレステロール;aデンドリマー(例えば、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー);血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)または低密度リポタンパク質(LDL));炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、またはヒアルロン酸);脂質;合成ポリマー、(例えば、ポリリジン(PLL)、ポリエチレンイミン、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコール酸)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、プソイドペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、またはポリアミン);カチオン性部分(例えば、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはαらせんペプチド);多価糖(例えば、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、または多価フコース);aビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、葉酸、ビタミンB12、リボフラビン、ビオチン、またはピリドキサール);補因子;または細胞骨格を破壊して取り込みを増加させる薬物(例えば、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビン)などが挙げられる。
【0157】
本明細書に記載の他の治療剤は、本明細書に記載のポリヌクレオチド分子と組み合わせて、本明細書に記載の医薬組成物に含まれ得る。
【0158】
処置方法
いくつかの態様では、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を調節する方法が本明細書に記載され、この方法は、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することで、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を調節する工程を含む。
【0159】
いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも10%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも20%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも30%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも40%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも50%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも60%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも70%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも80%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約または少なくとも90%減少させる。いくつかの具体的な態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を約100%減少させる。
【0160】
いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約5nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約10nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約15nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約20nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約25nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約30nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約35nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約40nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約45nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約50nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約55nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約60nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約65nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約70nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約75nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約80nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約85nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約90nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約95nMのIC50値を達成する。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、約100nMのIC50値を達成する。
【0161】
いくつかの態様では、調節を必要とする対象におけるLDLを調節する方法が本明細書に記載され、この方法は、対象に、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を含み、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物は、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を減少させる。
【0162】
いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも10%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも20%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも30%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも40%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも50%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも60%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも70%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも80%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約または少なくとも90%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるLDLレベルを約100%減少させる。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、高コレステロール血症に罹患している。いくつかの具体的な実施態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、家族性高コレステロール血症に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、他の高コレステロール関連疾患に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、神経炎症に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、アルツハイマー病に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、AUDに罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、脳卒中に罹患している。
【0164】
いくつかの態様では、調節を必要とする対象におけるコレステロールを調節する方法が本明細書に記載され、この方法は、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与する工程を含み、本明細書に記載のポリ核酸分子、本明細書に記載のポリ核酸分子コンジュゲート、または本明細書に記載の医薬組成物は、対象におけるPCSK9遺伝子の発現を減少させる。
【0165】
いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも10%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも20%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも30%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも40%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも50%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも60%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも70%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも80%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約または少なくとも90%減少させる。いくつかの特定の態様では、本明細書に記載の方法は、陰性対照と比較して、対象におけるコレステロールレベルを約100%減少させる。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、高コレステロール血症に罹患している。いくつかの具体的な実施態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、家族性高コレステロール血症に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、他の高コレステロール関連疾患に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、神経炎症に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、アルツハイマー病に罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、AUDに罹患している。他の態様では、本明細書に記載の方法を受ける対象は、脳卒中に罹患している。
【実施例】
【0167】
以下の実施例は、例示的な目的でのみ提供され、本明細書に提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【0168】
実施例1-非ヒト霊長類におけるPCSK9 siRNAの試験
非ヒト霊長類試験において、PCSK9を標的とする既知のsiRNA(表1で「SRS-006」として示す)をベンチマークとして使用して、5つのPCSK9 siRNA(表1からの「SRS-001」~「SRS-005」として示す)を試験した。
【0169】
【0170】
図1A~
図1Jに示すように、SRS-006を対照として用いてSRS-001~SRS-005を試験し、血清PCSK9発現レベル、LDL-cレベル、総コレステロールレベル、トリグリセリドレベル、およびHDL-cレベルをモニタリングして、投与前のレベルと比較して定量化した。他の臨床マーカー(例えば、体重、食物摂取量、総エネルギー摂取量、臨床化学、全血球計算(CBC)、動物訓練、ケージサイド観察、および臨床挙動の確認など)もモニタリングした。具体的には、以下のパラメータ:GLU、INS、Cr、BUN、AST、ALT、ALB、BIL、Ca、PHOS、ALP、GGT、TP、CO2、CK、Na、K、CL、GLB、およびA/Gを用いて臨床化学をプロファイリングした。WBC、RBC、HGB、HCT、MCV、MCH、MCHC、PLT、RDW-CV、MPV、NEUT、NEUT%、LYMP、LYMP%、MONO、MONO%、EO、EO%、BASO、およびBASO%に対して、CBCを行った。臨床挙動の確認における例示的な項目は、全身の様子、呼吸の状態、尿の状態、歯の状態、眼の状態、消化系の状態、陰部および会陰部の状態、皮膚および毛の状態、挙動および神経学的徴候、口腔の状態、口の状態、耳の状態、鼻の状態、摂食の状態、筋肉の状態、背部の状態、関節の状態、骨の状態、ならびに四肢の状態を含んだ。血清PCSK9タンパク質レベル、LDL-cレベル、および総コレステロールレベルの減少が観察された。具体的には、SRS-001およびSRS-002は、PCSK9タンパク質レベル、LDL-cレベル、および総コレステロールレベルを効果的に減少させた。
【0171】
実施例2-PCSK9を標的とするsiRNAのIn vitro有効性
BioreclamationIVTからの初代非ヒト肝細胞を解凍して、コラーゲンでコーティングされた96ウェルプレート上に、1ウェルあたり5.4×105個の細胞の密度で蒔いた。コンジュゲートされたsiRNAを用いて、遺伝子導入試薬のない状態で肝細胞を処置した((自由取り込み(free uptake))。10nM、100nM、または500nMの濃度のsiRNAで細胞を処置した。細胞を37℃、5% CO2で48時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、細胞を溶解し、mRNAを単離し、さらに、qPCRを用いて標的遺伝子の発現を測定して、標準プロトコルを使用してハウスキーピング遺伝子に対して正規化した。
【0172】
試験したsiRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の修飾を表2に列挙する。siRNAのin-vitro効力を表3に列挙する。
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
本開示の好ましい態様を本明細書に記載してきたが、これらの態様が例としてのみ提供されることは、当業者にとって明らかである。多数の変形、変化、および置換は、本開示から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載する本開示の態様に対する様々な代替物が本開示を実施するにあたって使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内の方法および構成は、それによって包含されることが、意図される。
【配列表】
【国際調査報告】