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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】多発性骨髄腫を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240912BHJP
   A61K 31/417 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240912BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
A61K39/395 H
A61K31/417
A61P35/00
A61K31/573
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518659
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022076694
(87)【国際公開番号】W WO2023049694
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,637
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507154181
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521444387
【氏名又は名称】スプリングワークス、セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPRINGWORKS THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ホー フェニックス
(72)【発明者】
【氏名】バン エップス ヘザー アラーヌ
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル メアリー
(72)【発明者】
【氏名】キム エイミー
(72)【発明者】
【氏名】チェン シンタ
(72)【発明者】
【氏名】シェアラー トッド
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB31
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA53
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
抗B細胞遊走抗原(BCMA)抗体およびニロガセスタットならびに任意でデキサメタゾンの特定用量を使用して多発性骨髄腫(MM)を処置する方法が、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、該対象に、(i)B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量と(ii)ニロガセスタットの1つまたは複数の用量とを投与する工程を含み、
該抗体またはその抗原結合断片の該1つまたは複数の用量が、該対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与され、
ニロガセスタットの該1つまたは複数の用量が、該対象に、約80mg~約120mgのニロガセスタットで独立に投与される、
方法。
【請求項2】
抗体またはその抗原結合断片が、非フコシル化抗体またはその抗原結合断片である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
抗体またはその抗原結合断片を含む組成物が対象に投与され、該組成物中の該抗体またはその抗原結合断片の約95%、97%、98%もしくは99%または少なくとも95%、97%、98%もしくは99%が脱フコシル化されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
抗体またはその抗原結合断片が、
SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、
SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインと
を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:4に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:4に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
抗体またはその抗原結合断片が、ヒト化されている、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
抗体が、IgG1抗体である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
抗体またはその抗原結合断片が、二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、キメラ抗原受容体(CAR)、および抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにこれらの一部ではない、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片~約1600mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片~約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約400mgの抗体またはその抗原結合断片~約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約400mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約800mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約1,200mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約1,400mgの抗体またはその抗原結合断片~約1,800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約400mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片で投与される、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
抗体またはその抗原結合断片の単一用量が、対象に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に独立に投与される、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、週に1回~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、週に約1回の頻度で独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、2週間毎に約1回の頻度で独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項28】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、3週間毎に約1回の頻度で独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項29】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項30】
抗体またはその抗原結合断片の各用量が、約100mgの該抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項31】
抗体またはその抗原結合断片の各用量が、約200mgの該抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項32】
抗体またはその抗原結合断片の各用量が、約400mgの該抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項33】
抗体またはその抗原結合断片の各用量が、約800mgの該抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項34】
抗体またはその抗原結合断片の各用量が、約1600mgの該抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される、請求項24記載の方法。
【請求項35】
抗体またはその抗原結合断片の個別用量が、対象に、28日サイクルの1日目および15日目に独立に投与される、請求項30~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
抗体またはその抗原結合断片の個別用量が、対象に、28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される、請求項30~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
抗体またはその抗原結合断片の個別用量が、対象に、複数回の28日サイクルで独立に投与される、請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、(1)導入期中に対象に独立に投与される1つまたは複数の導入用量と、(2)導入期後の維持期中に該対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量とを含む、請求項24記載の方法。
【請求項39】
単一の導入用量が、対象に投与される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
2つ以上の導入用量が、対象に独立に投与される、請求項38記載の方法。
【請求項41】
2つ以上の導入用量の各々が、対象に、約1~10週間にわたって週に約1回独立に投与される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
2つ以上の導入用量の各々が、対象に、8週間にわたって週に1回独立に投与される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
導入用量が、対象に、1回の28日サイクル内で4回独立に投与される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
導入用量が、対象に、2回の28日サイクル内で8回独立に投与される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
個別の導入用量が、対象に、2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
導入用量の各々が、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項38~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
各導入用量が、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
各導入用量が、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
単一の維持用量が、対象に投与される、請求項38~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
2つ以上の維持用量が、対象に独立に投与される、請求項38~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
2つ以上の維持用量の各々が、対象に、1~4週間毎に1回独立に投与される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
2つ以上の維持用量の各々が、対象に、2週間毎に1回独立に投与される、請求項50記載の方法。
【請求項53】
個別の維持用量が、対象に、28日サイクルの1日目および15日目に独立に投与される、請求項50記載の方法。
【請求項54】
各維持用量が、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項49~53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
各維持用量が、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
各維持用量が、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項54記載の方法。
【請求項57】
抗体またはその抗原結合断片が、導入期中に合計8つの導入期用量でq1wkで投薬され、維持期中にq2wkで投薬される、請求項40~48および50~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
各導入用量が、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;
各維持用量が、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;
個別の導入用量が、対象に、導入期中に合計8つの導入用量で2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与され;かつ
個別の維持用量が、対象に、1回または複数回の後続の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に独立に投与される、
請求項50記載の方法。
【請求項59】
各導入用量および各維持用量が、約800または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
各導入用量および各維持用量が、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項58記載の方法。
【請求項61】
抗体またはその抗原結合断片の用量が、対象に静脈内投与される、請求項1~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
ニロガセスタットの単一用量が、対象に投与される、請求項1~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に独立に投与される、請求項1~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
ニロガセスタットの各用量が、約100mgのニロガセスタットを含む、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に、1日に約1回~1日に約4回の頻度で独立に投与される、請求項63または64記載の方法。
【請求項66】
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に、1日に約2回の頻度で独立に投与される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、約100mgのニロガセスタットを含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に、1回または複数回の28日サイクルの各日に、1日に約2回の頻度で独立に投与される、請求項63記載の方法。
【請求項68】
ニロガセスタットの用量が、対象に経口投与される、請求項1~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
デキサメタゾンの1つまたは複数の用量を対象に独立に投与する工程をさらに含む、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
デキサメタゾンの単一用量を対象に投与する工程を含む、請求項69記載の方法。
【請求項71】
デキサメタゾンの2つ以上の用量を対象に独立に投与する工程を含む、請求項69記載の方法。
【請求項72】
デキサメタゾンの2つ以上の用量が、対象に、週に約1回の頻度で独立に投与される、請求項71記載の方法。
【請求項73】
デキサメタゾンの各用量が、約30mg~約50mgのデキサメタゾンを含む、請求項70~72のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
デキサメタゾンの各用量が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項73記載の方法。
【請求項75】
デキサメタゾンの各用量が、対象に静脈内投与される、請求項70~74のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
デキサメタゾンの用量と抗体またはその抗原結合断片の用量が同日に対象に投与される場合、デキサメタゾンの用量が、該抗体またはその抗原結合断片の用量が対象に投与される約1~約3時間前に該対象に投与される、請求項69~75のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;
ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、該対象に、1日に1回~1日に約4回の頻度で独立に投与され;かつ
デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、該対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される、
請求項71記載の方法。
【請求項78】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、対象に、2週間毎に約1回独立に投与され;
ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、該対象に、1日2回独立に投与され;かつ
デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、該対象に、週に約1回独立に投与される、
請求項77記載の方法。
【請求項79】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;
ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、該対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ
デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、該対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される、
請求項77記載の方法。
【請求項80】
抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、約400~約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項79記載の方法。
【請求項81】
抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、約400mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項80記載の方法。
【請求項82】
抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、約800mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項80記載の方法。
【請求項83】
抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々が、約1,600mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々が、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項80記載の方法。
【請求項84】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、導入期中に週に約1回の頻度で独立に投与され、かつ、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、後続の維持期中に2週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に1日に約2回の頻度で独立に投与され;かつ
デキサメタゾンの2つ以上の用量が、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に週に約1回の頻度で独立に投与される、
請求項77記載の方法。
【請求項85】
導入期が、約8週間である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に、次いで、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ
デキサメタゾンの2つ以上の用量が、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される、
請求項84または85記載の方法。
【請求項87】
導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約100mg、約200mg、約400mg、約800mgまたは約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;
後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約100、約200、約400、約800、または約1600mgを含み;
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量が、約80mg~約120mgのニロガセスタットを含み;そして
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量が、約20mg~約60mgのデキサメタゾンを含む、
請求項86記載の方法。
【請求項88】
導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項87記載の方法。
【請求項89】
導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項87記載の方法。
【請求項90】
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量が、約100mgのニロガセスタットを含む、請求項87~89のいずれか一項記載の方法。
【請求項91】
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量が、約20mgのデキサメタゾンを含む、請求項87~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量が、約40mgのデキサメタゾンを含む、請求項87~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;
後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約1600mgを含み;
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に1日2回独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量が、約100mgのニロガセスタットを含み;そして
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量が、約40mgのデキサメタゾンを含む、
請求項87記載の方法。
【請求項94】
導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;
後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量が、約800mgを含み;
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に1日2回独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量が、約100mgのニロガセスタットを含み;そして
導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量が、約40mgのデキサメタゾンを含む、
請求項87記載の方法。
【請求項95】
デキサメタゾンの2つ以上の用量が、静脈内投与によって対象に投与される、請求項87~94のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、静脈内投与によって対象に投与される、請求項87~95のいずれか一項記載の方法。
【請求項97】
抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の少なくとも初回用量が、段階的注入を用いて対象に投与される、請求項87~96のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
段階的注入が、約50mg/時間~約400mg/時間の注入速度を使用して行われる、請求項97記載の方法。
【請求項99】
段階的注入の間、注入速度を30分間毎に上昇させる、請求項98記載の方法。
【請求項100】
段階的注入の間、注入速度を30分間毎に2倍以内で上昇させる、請求項99記載の方法。
【請求項101】
ニロガセスタットの2つ以上の用量が、経口投与によって対象に投与される、請求項87~100のいずれか一項記載の方法。
【請求項102】
対象が、ヒト対象である、請求項1~101のいずれか一項記載の方法。
【請求項103】
対象が、多発性骨髄腫を有すると以前に診断されている、請求項102記載の方法。
【請求項104】
対象が、再発性または難治性の多発性骨髄腫を有する、請求項1~103のいずれか一項記載の方法。
【請求項105】
対象が、多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置を以前に投与されていた、請求項1~104のいずれか一項記載の方法。
【請求項106】
以前に投与された多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置が、成功しなかった、請求項105記載の方法。
【請求項107】
対象が、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体のうちの少なくとも1つを以前に投与されているか、または前述のいずれも忍容できない、請求項106記載の方法。
【請求項108】
対象が、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体の3つすべてを含む治療剤を以前に投与されているか、または前述のいずれも忍容できない、請求項107記載の方法。
【請求項109】
対象が、少なくとも3種の前治療ラインの抗多発性骨髄腫療法を以前に施されており、かつ、以下のクラス:プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体の各々のうちの少なくとも1つの治療剤に対して難治性である、請求項107記載の方法。
【請求項110】
対象が、前記抗体またはその抗原結合断片以外のBCMA指向型骨髄腫療法を以前に施されている、請求項107記載の方法。
【請求項111】
対象が、処置を開始する前に以下の基準:(1)血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、(2)血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dL、および/または(3)異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ遊離軽鎖比のうちの1つ、2つまたは3つすべてを満たしている、請求項1~110のいずれか一項記載の方法。
【請求項112】
約1μg/mL~約200μg/mLの、対象血清における抗体またはその抗原結合断片の定常状態濃度をもたらす、請求項1~111のいずれか一項記載の方法。
【請求項113】
50mg/dL未満の、対象血清における遊離軽鎖(FLC)の定常状態濃度をもたらす、請求項1~112のいずれか一項記載の方法。
【請求項114】
対象が、少なくとも2種の前治療ラインの抗多発性骨髄腫療法を受けており、かつ/または、2種の前治療ラインの抗骨髄腫療法終了時もしくは終了後60日以内にIMWG(国際骨髄腫ワーキンググループ)に基づく増悪を記録したことがある、請求項1~113のいずれか一項記載の方法。
【請求項115】
対象における1つまたは複数の治療効果が、抗体またはその抗原結合断片の用量、ニロガセスタットの用量、および任意でデキサメタゾンの用量の投与後、ベースラインと比べて向上する、請求項1~114のいずれか一項記載の方法。
【請求項116】
1つまたは複数の治療効果が、対象の客観的奏効率、完全奏効率、奏効期間、完全奏効期間、奏効までの時間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、請求項115記載の方法。
【請求項117】
客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項116記載の方法。
【請求項118】
対象が、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無増悪生存期間を示す、請求項117記載の方法。
【請求項119】
対象が、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の全生存期間を示す、請求項118記載の方法。
【請求項120】
投与に対する奏効期間または完全奏効期間が、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間である、請求項119記載の方法。
【請求項121】
(a)B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量であって、該抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む、前記薬学的組成物の1つまたは複数の用量と;
(b)請求項1~120のいずれか一項記載の方法を実施するための説明書と
を含む、キット。
【請求項122】
ニロガセスタットを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量をさらに含む、請求項121記載のキット。
【請求項123】
デキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量をさらに含む、請求項121または122記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年9月23日に出願された米国仮出願第63/247,637号の恩典を主張するものである。先行出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、「49223-0060WO1_SL_ST26.XML」という名称のXMLファイルとして電子提出されている配列表を含む。2022年9月13日に作成されたXMLファイルは、19,519バイトサイズである。XMLファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄、末梢血または他の髄外部におけるクローン増殖形質細胞の腫瘍性疾患である。悪性形質細胞は、骨髄微小環境および隣接する骨格骨に直接的な病理学的作用を及ぼし、貧血、溶骨性骨病変および過カルシウム血へと導く。ほとんどの場合、悪性形質細胞はまた、Mタンパクとして知られる異常な単クローン性免疫グロブリンを産生するが、少数の対象では、骨髄腫細胞は、単クローン性遊離軽鎖(FLC)のみ産生する。MタンパクまたはFLCのいずれかの異常なレベルは、腎不全および感染に対する感受性増加を含む疾患の臨床スペクトルに寄与し得る(Kumar et al., Nat. Rev. Dis. Primers 3:17046, 2017(非特許文献1);Palumbo et al., N. Engl. J. Med. 364(11):1046-1060, 2011(非特許文献2);Rollig et al., Lancet 385(9983):2197-2208, 2015(非特許文献3))
【0004】
MMに対する標準処置としては、ボルテゾミブおよびカルフィルゾミブ、およびイキサゾミブなどのプロテアソーム阻害剤(PI)、ならびに/またはレナリドミドおよびポマリドミドなどの免疫調節薬(IMiD)を含有する、併用化学療法レジメンが挙げられる。また、メルファランおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤も、MMにおいて活性である。重大な合併症がなく適格と認められる患者は、骨髄機能廃絶化学療法および/または放射線とそれに続く自家幹細胞移植(ASCT)によって処置されることが多い(Rollig et al., Lancet. 385(9983):2197-208, 2015(非特許文献3);およびRajkumar et al., Mayo Clin Proc. 91(1):101-19, 2016(非特許文献4))。さらに最近では、CD38抗原を標的とするモノクローナル抗体のダラツムマブが、第4次療法における単剤療法としてRRMMの処置に承認された。
【0005】
現在まで、多発性骨髄腫は、一般的にその後再発する度に疾患制御期間がより短くなる逐次的治療でしか管理されない難病とされている(Kumar et al., Mayo Clin. Proc. 79(7):867-874, 2004(非特許文献5))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kumar et al., Nat. Rev. Dis. Primers 3:17046, 2017
【非特許文献2】Palumbo et al., N. Engl. J. Med. 364(11):1046-1060, 2011
【非特許文献3】Rollig et al., Lancet 385(9983):2197-2208, 2015
【非特許文献4】Rajkumar et al., Mayo Clin Proc. 91(1):101-19, 2016
【非特許文献5】Kumar et al., Mayo Clin. Proc. 79(7):867-874, 2004
【発明の概要】
【0007】
概要
本出願は、BCMA抗体(非フコシル化抗体を含む)などのある特定のBCMA治療剤とMMなどのがんを処置するための様々な他の治療薬との併用の有効性を示す証拠に基づくものである。そのようなBCMA薬剤(例えば、非フコシル化抗体)との併用が成功すると認められる治療薬としては、ニロガセスタットおよび/またはデキサメタゾンが挙げられる。
【0008】
別の局面では、本出願は、ニロガセスタットおよび/またはデキサメタゾンとの併用を含め、併用療法において治療上有効であることが示されている標準および強化投薬レジメン(以下により詳しく定義される)をはじめとする、様々なBCMA抗体投薬レジメンの特定に一部基づくものである。これらの結果は、本明細書に記載される通りのBCMA抗体の比較的高いレベルを、BCMA抗体が併用療法の一部として投与される場合も含め、管理可能な安全性プロファイルを維持したまま投与できると考えると、予想外のことであった。
【0009】
したがって、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、対象に、(i)B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量と(ii)ニロガセスタットの1つまたは複数の用量とを投与する工程を含み、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与され、ニロガセスタットの1つまたは複数の用量が、対象に、約80mg~約120mgのニロガセスタットで独立に投与される方法が、本明細書に提供される。
【0010】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、非フコシル化抗体またはその抗原結合断片である。
【0011】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片を含む組成物が対象に投与され、組成物中の抗体またはその抗原結合断片の約95%、97%、98%もしくは99%または少なくとも95%、97%、98%もしくは99%が脱フコシル化されている。
【0012】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0013】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0014】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0015】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0016】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化されている。
【0017】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体は、IgG1抗体である。
【0018】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、キメラ抗原受容体(CAR)、および抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにこれらの一部ではない。
【0019】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片~約1600mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0020】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片~約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0021】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約400mgの抗体またはその抗原結合断片~約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0022】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約400mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0023】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約800mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0024】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約1,200mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0025】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約1,400mgの抗体またはその抗原結合断片~約1,800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0026】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0027】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約200mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0028】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約400mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0029】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約800mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与される。
【0030】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片で投与される。
【0031】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の単一用量が、対象に投与される。
【0032】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量が、対象に独立に投与される。
【0033】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、週に1回~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0034】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、週に約1回の頻度で独立に投与される。
【0035】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、2週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0036】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、3週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0037】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0038】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約100mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0039】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約200mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0040】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約400mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0041】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0042】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0043】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、28日サイクルの1日目および15日目に独立に投与される。
【0044】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される。
【0045】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、複数回の28日サイクルで独立に投与される。
【0046】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、(1)導入期中に対象に独立に投与される1つまたは複数の導入用量と、(2)導入期後の維持期中に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量とを含む。
【0047】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、単一の導入用量が、対象に投与される。
【0048】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の導入用量が、対象に独立に投与される。
【0049】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の導入用量の各々は、対象に、約1~10週間にわたって週に約1回独立に投与される。
【0050】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の導入用量の各々は、対象に、8週間にわたって週に1回独立に投与される。
【0051】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入用量は、対象に、1回の28日サイクル内で4回独立に投与される。
【0052】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入用量は、対象に、2回の28日サイクル内で8回独立に投与される。
【0053】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、個別の導入用量は、対象に、2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される。
【0054】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入用量の各々は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0055】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0056】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0057】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、単一の維持用量が、対象に投与される。
【0058】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の維持用量が、対象に独立に投与される。
【0059】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の維持用量の各々は、対象に、1~4週間毎に1回独立に投与される。
【0060】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上の維持用量の各々は、対象に、2週間毎に1回独立に投与される。
【0061】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、個別の維持用量は、対象に、28日サイクルの1日目および15日目に独立に投与される。
【0062】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各維持用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0063】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各維持用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0064】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各維持用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0065】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、導入期中に合計8つの導入期用量でq1wkで投薬され、維持期中にq2wkで投薬される。
【0066】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;各維持用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;個別の導入用量は、対象に、導入期中に合計8つの導入用量で2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与され;かつ、個別の維持用量は、対象に、1回または複数回の後続の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に独立に投与される。
【0067】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量および各維持用量は、約800または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0068】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量および各維持用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0069】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の用量は、対象に静脈内投与される。
【0070】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの単一用量が、対象に投与される。
【0071】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に独立に投与される。
【0072】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含む。
【0073】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1日に約1回~1日に約4回の頻度で独立に投与される。
【0074】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1日に約2回の頻度で独立に投与される。
【0075】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、約100mgのニロガセスタットを含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの各日に、1日に約2回の頻度で独立に投与される。
【0076】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの用量は、対象に経口投与される。
【0077】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、本方法はさらに、デキサメタゾンの1つまたは複数の用量を対象に独立に投与する工程を含む。
【0078】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、本方法は、デキサメタゾンの単一用量を対象に投与する工程を含む。
【0079】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、本方法はさらに、デキサメタゾンの2つ以上の用量を対象に独立に投与する工程を含む。
【0080】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、対象に、週に約1回の頻度で独立に投与される。
【0081】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの各用量は、約30mg~約50mgのデキサメタゾンを含む。
【0082】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの各用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0083】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの各用量は、対象に静脈内投与される。
【0084】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの用量と抗体またはその抗原結合断片の用量が同日に対象に投与される場合、デキサメタゾンの用量は、抗体またはその抗原結合断片の用量が対象に投与される約1~約3時間前に対象に投与される。
【0085】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、対象に、1日に1回~1日に約4回の頻度で独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0086】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、対象に、2週間毎に約1回独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、対象に、1日2回独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、対象に、週に約1回独立に投与される。
【0087】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される。
【0088】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、約400~約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0089】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、約400mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0090】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、約800mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0091】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、約1,600mgの抗体または抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量の各々は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量の各々は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0092】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、導入期中に週に約1回の頻度で独立に投与され、かつ、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、後続の維持期中に2週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に1日に約2回の頻度で独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に週に約1回の頻度で独立に投与される。
【0093】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期は、約8週間である。
【0094】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に、次いで、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される。
【0095】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約100mg、約200mg、約400mg、約800mgまたは約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgを含み;導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約80mg~約120mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約20mg~約60mgのデキサメタゾンを含む。
【0096】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0097】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0098】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含む。
【0099】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約20mgのデキサメタゾンを含む。
【0100】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0101】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1600mgを含み;導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に1日2回独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0102】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgを含み;導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に1日2回独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0103】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、静脈内投与によって対象に投与される。
【0104】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、静脈内投与によって対象に投与される。
【0105】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の少なくとも初回用量は、段階的注入を用いて対象に投与される。
【0106】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、段階的注入は、約50mg/時間~約400mg/時間の注入速度を使用して行われる。
【0107】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、段階的注入の間、注入速度は、30分間毎に上昇させる。
【0108】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、段階的注入の間、注入速度は、30分間毎に2倍以内で上昇させる。
【0109】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、経口投与によって対象に投与される。
【0110】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、ヒト対象である。
【0111】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、多発性骨髄腫を有すると以前に診断されている。
【0112】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、再発性または難治性の多発性骨髄腫を有する。
【0113】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置を以前に投与されていた。
【0114】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、以前に投与された多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置は、成功しなかった。
【0115】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体のうちの少なくとも1つを以前に投与されているか、または前述のいずれも忍容できない。
【0116】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体の3つすべてを含む治療剤を以前に投与されているか、または前述のいずれも忍容できない。
【0117】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、少なくとも3種の前治療ラインの抗多発性骨髄腫療法を以前に施されており、かつ、以下のクラス:プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体の各々のうちの少なくとも1つの治療剤に対して難治性である。
【0118】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、該抗体またはその抗原結合断片以外のBCMA指向型骨髄腫療法を以前に施されている。
【0119】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、処置を開始する前に以下の基準:(1)血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、(2)血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dL、および/または(3)異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ遊離軽鎖比のうちの1つ、2つまたは3つすべてを満たしている。
【0120】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、本方法は、約1μg/mL~約200μg/mLの、対象血清における抗体またはその抗原結合断片の定常状態濃度をもたらす。
【0121】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、本方法は、50mg/dL未満の、対象血清における遊離軽鎖(FLC)の定常状態濃度をもたらす。
【0122】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、少なくとも2種の前治療ラインの抗多発性骨髄腫療法を受けており、かつ/または、2種の前治療ラインの抗骨髄腫療法終了時もしくは終了後60日以内にIMWG(国際骨髄腫ワーキンググループ)に基づく増悪を記録したことがある。
【0123】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象における1つまたは複数の治療効果は、抗体またはその抗原結合断片の用量、ニロガセスタットの用量、および任意でデキサメタゾンの用量の投与後、ベースラインと比べて向上する。
【0124】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、対象の客観的奏効率、完全奏効率、奏効期間、完全奏効期間、奏効までの時間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される。
【0125】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。
【0126】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無増悪生存期間を示す。
【0127】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、対象は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の全生存期間を示す。
【0128】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、投与に対する奏効期間または完全奏効期間は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間である。
【0129】
また、(a)B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量であって、抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む、前記薬学的組成物の1つまたは複数の用量と;(b)本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための説明書とを含む、キットも提供され得る。
【0130】
本明細書に記載されるキットのいずれかのいくつかの態様では、キットはさらに、ニロガセスタットを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量を含む。本明細書に記載されるキットのいずれかのいくつかの態様では、キットはさらに、デキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量を含む。
【0131】
別途定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。方法および材料が、本発明における使用のために本明細書に記載されるが、当技術分野において公知の他の好適な方法および材料を使用することもできる。材料、方法、および例は、ただの例証でしかなく、限定することを意図するものではない。すべての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、および本明細書において言及される他の参考文献は、参照によりその全体が組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含め本明細書が優先される。
【0132】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0133】
図面の説明
図1】ニロガセスタットによる処置の継続または中止を示している模式図である。
図2図2A. NCI-H929細胞は、DAPT処理を受けて増加したBCMA発現を呈した。薄い灰色:アイソタイプ対照;中間の灰色:未処理細胞;濃い灰色:DAPT処理細胞。図2B. Molp-8細胞は、DAPT処理を受けて増加したBCMA発現を呈した。薄い灰色:アイソタイプ対照;中間の灰色:未処理細胞;濃い灰色:DAPT処理細胞。図2C. FcγRIII会合に起因するNFATシグナル伝達のバックグラウンドに対する倍率。DAPT(GSI)処理NCI-H929細胞と未処理細胞との比較(N=3)。図2D. FcγRIII会合に起因するNFATシグナル伝達のバックグラウンドに対する倍率。DAPT(GSI)処理Molp-8細胞と未処理細胞との比較(N=3)。
図3図3A. 多発性骨髄腫細胞のニロガセスタットによる一晩処理は、標的細胞においてBCMA発現を誘導した。図3B. 単離した初代ナチュラルキラー(NK)細胞(高親和性FcγRIII V/V遺伝子型ドナー細胞とインキュベートしたMOLP-8細胞、および低親和性FcγRIII V/F遺伝子型ドナー細胞とインキュベートしたU266細胞)によって媒介される多発性骨髄腫標的細胞溶解の増加。
図4A】Molp-8細胞は、ニロガセスタット処理を受けて増加したBCMA発現を呈した。濃い灰色:アイソタイプ対照;中間の灰色:未処理細胞;薄い灰色:ニロガセスタット処理細胞。
図4B】未処理細胞と比較したニロガセスタット処理細胞の最大標的細胞溶解率(N=3)。hIgG1kは、非結合抗体対照である。
図5】ニロガセスタットの存在下または非存在下、APRILによる処理および未処理、SEA-BCMAと結合および未結合の場合の、NCI-H929細胞のp65活性化。
【発明を実施するための形態】
【0134】
詳細な説明
(i)B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量と(ii)ニロガセスタットの1つまたは複数の用量とを対象に投与する工程を含む、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法であって、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約2,000mgの抗体またはその抗原結合断片で独立に投与され、ニロガセスタットの1つまたは複数の用量が、対象に、約80mg~約120mgのニロガセスタットで独立に投与される方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、本方法はさらに、デキサメタゾンの1つまたは複数の用量を投与する工程を含む。
【0135】
いくつかの態様では、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの態様では、抗体は、脱フコシル化された抗体である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む。いくつかの態様では、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、800mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の約1~2つの導入用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与され、続いて、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、800mgの抗体またはその抗原結合断片の約1~2つの導入用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与され、続いて、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。
【0136】
いくつかの態様では、多発性骨髄腫は、再発性または難治性の多発性骨髄腫(RRMM)である。いくつかの態様では、対象は、多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置を以前に投与されていた。以前に受けた1つまたは複数の多発性骨髄腫の治療剤または処置としては、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、対象は、ADC、CAR-T細胞療法および二重特異性抗体からなる群より選択される少なくとも1つのBCMA指向型骨髄腫療法を以前に受けていた。いくつかの態様では、以前に受けた1つまたは複数の治療剤または処置は、多発性骨髄腫の処置において効果がなかった。いくつかの態様では、対象は、血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dLおよび/または異常な血清免疫グロブリンカッパ対ラムダ遊離軽鎖比の1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、または4つ)を有する。
【0137】
いくつかの態様では、これらの方法は、例えば、対象血清における抗BCMA抗体の治療上望ましい定常状態濃度、対象血清における遊離軽鎖の治療上望ましい定常状態レベルの低下、および対象におけるBCMAの治療上望ましい飽和の1つまたは複数をもたらす。
【0138】
本明細書に記載されるSEA-BCMA抗体などの脱フコシル化された抗BCMA抗体を用いて実施した臨床試験の初期結果は、SEA-BCMA抗体が、忍容可能な安全性プロファイルを維持したまま、高用量(例えば、1用量当たり800mgまたは1600mg)で投与できることを示す。これらの初期結果は、そのような抗体が、標準または強化投薬レジメンを含めたフレキシブルな投薬レジメンで投与できる可能性があることを示している。また、高いレベルで投薬できることは、この抗体が、例えばニロガセスタットおよび/またはデキサメタゾンを含む他の治療剤と併用した投薬のための良好な候補となることも示している。
【0139】
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄、末梢血または他の髄外部におけるクローン増殖形質細胞の腫瘍性疾患である。全身療法を必要とするMMの診断は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)2014基準(Kumar 2016)によって定義される。悪性形質細胞は、骨髄微小環境および隣接する骨格骨に直接的な病理学的作用を及ぼし、貧血、溶骨性骨病変および過カルシウム血へと導く。ほとんどの場合、悪性形質細胞はまた、Mタンパクとして知られる異常な単クローン性免疫グロブリンを産生するが、少数の患者では、骨髄腫細胞は、単クローン性遊離軽鎖(FLC)のみ産生する。MタンパクまたはFLCのいずれかの異常なレベルは、腎不全および感染に対する感受性増加を含む疾患の臨床スペクトルに寄与し得る。
【0140】
多発性骨髄腫に対する標準処置としては、ボルテゾミブおよびカルフィルゾミブなどのプロテアソーム阻害剤(PI)、ならびに/またはレナリドミドおよびポマリドミドなどの免疫調節薬(IMiD)を副腎皮質ステロイドと一緒に含有する、併用化学療法レジメンが挙げられる。また、メルファランおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤も、多発性骨髄腫において活性である。重大な合併症がなく適格と認められる患者は、骨髄機能廃絶化学療法および/または放射線によって処置されることが多い。さらに最近では、CD38抗原を標的とするモノクローナル抗体のダラツムマブが、RRMMの処置に対して、第4次療法における単剤療法として、そして、早期治療ラインでのボルテゾミブ、レナリドミドまたはポマリドミド+デキサメタゾンとの併用において有意な臨床有効性に基づき承認された。その後、2018年~2019年に、ダラツムマブは、新たに診断された多発性骨髄腫を有する対象について、いくつかの標準治療(SOC)レジメン(移植非適応患者に対するボルテゾミブ+メルファラン+プレドニゾン、およびレナリドミド+デキサメタゾン、ならびに移植適応患者におけるボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン)との併用で米国食品医薬品局の承認を取得した。
【0141】
併用化学療法レジメンなどの多発性骨髄腫(MM)の従来療法は、根治的ではなく、結局のところ患者の多くで進行が認められる。加えて、幾人かの患者は、初期の処置に応答しない。
【0142】
初期の疾患応答期間は、依然として、MMにおいて、とりわけ自家幹細胞移植(ASCT)後の最も強い予後因子の1つである。アップフロントASCT後の早期再発(<24ヶ月)は、より低い全生存期間(OS)を強く予測し、ここ20年間のあらゆる進展にもかかわらず、この疾患の自然歴は、依然ほとんど変化なく、早期再発の割合は35~38%前後で安定している(Kumar et al., Leukemia 32:986-95, 2018を参照のこと)。これらの再発は通常、劇症型で、難治性疾患から同様の不良な結果をもたらし、処置下または処置休止後60日以内の進行として定義される。早期再発はまた、初期の処置からの適切な患者の回復を不可能にし、処置の選択肢を大幅に制限し得る。
【0143】
全てではないとしてもほとんど全てで、骨髄腫患者は、最終的には再発するが、早期再発は通常、劇症型かつ不良である一方で、後期再発(>24ヶ月)は、一般により緩慢な経過をたどる。加えて、患者は、通常、回復に時間がかかるだろうが、前の介入からの残留毒性がほとんどなく、より積極的なアプローチが可能になる。後期治療ラインにおいては、未だ満たされていない特別なニーズがある。満たされていないニーズは、事前投与されたPI、IMiDおよび抗CD38抗体の処置に対して難治性である患者(「トリプルクラス」難治性の対象)において顕著である。
【0144】
多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法が本明細書に提供される。いくつかの態様では、多発性骨髄腫は、骨髄腫前駆体、カッパ型の軽鎖および/またはラムダ型の軽鎖を産生する多発性骨髄腫がん、劇症型多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、ならびに薬剤耐性多発性骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの態様では、多発性骨髄腫は、再発または難治性多発性骨髄腫(RRMM)である。いくつかの態様では、対象は、血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dL、および/または異常な血清免疫グロブリンカッパ対ラムダ遊離軽鎖比の1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、または4つ)を有する。
【0145】
多発性骨髄腫を有する対象における処置の有効性を評価するための方法としては、対象における遊離軽鎖、Mタンパク、過カルシウム血のレベルおよび骨髄腫細胞の相対数の測定が挙げられる。
【0146】
BCMA
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)としても知られているB細胞成熟抗原(BCMAまたはBCM)は、ヒトではTNFRSF17遺伝子によってコードされるタンパク質である。BCMAは、細胞の増殖および生存を媒介する、確立された形質芽球および形質細胞に特異的なタンパク質である。BCMAは、MM患者の腫瘍細胞の大部分で中~低レベルで発現される(Novak et al., Blood 103(2):689-694, 2004;Seckinger et al., Cancer Cell 31(3):396-410, 2017)。リガンドのAPRILおよびBAFFは、BCMAに結合し、生存促進性の細胞シグナルを媒介する(Moreaux et al., Blood 103(8):3148-3157, 2004;Novak et al., Blood 103(2):689-694, 2004;O'Connor et al., J. Exp. Med. 199(1):91-8, 2004)。
【0147】
別途指示しない限り、BCMAは、ヒトBCMAを意味する。野生型ヒトBCMAタンパク質および野生型ヒトBCMA cDNAについての例示的な配列を以下に示す。
【0148】
野生型成熟ヒトBCMAタンパク質(SEQ ID NO:9)
【0149】
野生型ヒトBCMA cDNA(SEQ ID NO:10)
【0150】
別途文脈から明らかでない限り、BMCAへの言及は、少なくともBCMAタンパク質の細胞外ドメインを意味する。ヒトBCMAタンパク質の例示的な細胞外ドメインは、SEQ ID NO:9のアミノ酸1~54を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片は、がん細胞(例えば、骨髄腫細胞)の表面に発現されるBCMAに特異的に結合することができる。
【0151】
抗体および抗原結合断片
「抗体」という用語は、本明細書においてその最も広い意味で使用され、抗原またはエピトープに特異的に結合する1つまたは複数の抗原結合ドメインを含むタンパク質(例えば、単鎖ポリペプチドまたは多鎖ポリペプチド)を含む。無傷抗体は、通常、4つのポリペプチド、すなわち、「Y」状分子を形成するように接続された2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。「Y」の先端のアミノ酸配列は、異なる抗体間で大きく変動する。この可変領域(例えば、110~130アミノ酸から構成される)は、抗原に結合するための特異性を抗体に与える。可変領域は、軽鎖および重鎖の端部を含む。抗体をプロテアーゼで処理するとこの領域を切断でき、抗体の可変端部を含むFabまたは抗原結合断片が生じる。抗原の表面の一部と直接接触する可変領域中のその領域は、相補性決定領域(CDR)である。軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)は各々、3つのCDR、すなわちCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。定常領域は、抗原を破壊するために用いられる機序を決める。抗体は、その定常領域構造および免疫機能に基づいて、5つの主要なクラスIgM、IgG、IgA、IgDおよびIgEに分類される。
【0152】
いくつかの態様では、抗体は、具体的には、例えば、無傷抗体(例えば、無傷免疫グロブリン、例えば、ヒトIgG(例えば、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4))および抗原結合抗体断片を含む。いくつかの態様では、抗体は、ヒト化IgG1抗体である。抗原結合ドメインの一例は、VH-VL二量体によって形成される抗原結合ドメインである。抗体のさらなる例は、本明細書に記載される。抗体のさらなる例は、当技術分野において公知である。
【0153】
本明細書において使用される場合、「抗原結合ドメイン」または「抗原結合断片」という用語は、1つまたは複数の異なる抗原に特異的に結合可能な1つまたは複数のタンパク質ドメイン(例えば、単一のポリペプチドからのアミノ酸から形成されるまたは2つ以上のポリペプチド(例えば、同じまたは異なるポリペプチド)からのアミノ酸から形成される)である。いくつかの例では、抗原結合ドメインは、天然に存在する抗体のものと同様の特異性および親和性で、抗原またはエピトープに結合することができる。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、代替スキャフォールドを含むことができる。抗原結合ドメインの非限定的な例は、本明細書に記載される。抗原結合ドメインのさらなる例は、当技術分野において公知である。いくつかの例では、抗原結合ドメインは、単一の抗原に結合することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法において使用される抗体または抗原結合断片は、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する。
【0154】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、単一のポリペプチドであることができるか、または、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個の(同じまたは異なる)ポリペプチドを含むことができる。抗体またはその抗原結合断片が単一のポリペプチドであるいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、単一の抗原結合ドメインまたは2つの抗原結合ドメインを含むことができる。抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであり、2つの抗原結合ドメインを含むいくつかの態様では、第1および第2の抗原結合ドメインは、互いに同一または異なることができる(かつ、同じまたは異なる抗原またはエピトープに特異的に結合することができる)。
【0155】
抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであるいくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメイン(存在するなら)は各々、VHドメイン、VHHドメイン、VNARドメイン、およびscFvの群より独立に選択することができる。抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであるいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、BiTe、(scFv)2、ナノボディ、ナノボディ-HSA、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、scFv-CH-CL-scFv、HSAbody、scダイアボディ-HAS、タンデム-scFv、アドネクチン、DARPin、フィブロネクチン、およびDEPコンジュゲートであることができる。抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドである場合に使用できる抗原結合ドメインのさらなる例は、当技術分野において公知である。
【0156】
VHHドメインは、ラクダ科動物において見られ得る単一の単量体可変抗体ドメインである。VNARドメインは、軟骨魚類において見られ得る単一の単量体可変抗体ドメインである。VHHドメインおよびVNARドメインの非限定的な局面は、例えば、Cromie et al., Curr. Top. Med. Chem. 15:2543-2557, 2016;De Genst et al., Dev. Comp. Immunol. 30:187-198, 2006;De Meyer et al., Trends Biotechnol. 32:263-270, 2014;Kijanka et al., Nanomedicine 10:161-174, 2015;Kovaleva et al., Expert. Opin. Biol. Ther. 14:1527-1539, 2014;Krah et al., Immunopharmacol. Immunotoxicol. 38:21-28, 2016;Mujic-Delic et al., Trends Pharmacol. Sci. 35:247-255, 2014;Muyldermans, J. Biotechnol. 74:277-302, 2001;Muyldermans et al., Trends Biochem. Sci. 26:230-235, 2001;Muyldermans, Ann. Rev. Biochem. 82:775-797, 2013;Rahbarizadeh et al., Immunol. Invest. 40:299-338, 2011;Van Audenhove et al., EBioMedicine 8:40-48, 2016;Van Bockstaele et al., Curr. Opin. Investig. Drugs 10:1212-1224, 2009;Vincke et al., Methods Mol. Biol. 911:15-26, 2012;および Wesolowski et al., Med. Microbiol. Immunol. 198:157-174, 2009に記載されている。
【0157】
抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであり、2つの抗原結合ドメインを含むいくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは共に、VHHドメインであることができるか、または、少なくとも1つの抗原結合ドメインがVHHドメインであることができる。抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであり、2つの抗原結合ドメインを含むいくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは共に、VNARドメインであるか、または、少なくとも1つの抗原結合ドメインがVNARドメインである。抗体または抗原結合ドメインが単一のポリペプチドであるいくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、scFvドメインである。抗体または抗原結合断片が単一のポリペプチドであり、2つの抗原結合ドメインを含むいくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインおよび第2の抗原結合ドメインは共に、scFvドメインであることができるか、または、少なくとも1つの抗原結合ドメインがscFvドメインであることができる。
【0158】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、2つ以上のポリペプチド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のポリペプチド)を含むことができる。抗体または抗原結合断片が2つ以上のポリペプチドを含むいくつかの態様では、2つ以上のポリペプチドのポリペプチドの2、3、4、5または6つは、同一であることができる。
【0159】
抗体または抗原結合断片が2つ以上のポリペプチド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のポリペプチド)を含むいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片のポリペプチドの2つ以上は、アセンブル(例えば、非共有的にアセンブル)して、1つまたは複数の抗原結合ドメイン、例えば、抗体の抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される抗体の抗原結合断片のいずれか)、VHH-scAb、VHH-Fab、デュアルscFab、F(ab')2、ダイアボディ、crossMab、DAF(ツーインワン)、DAF(フォーインワン)、DutaMab、DT-IgG、ノブインホール共通軽鎖、ノブインホールアセンブリ、チャージペア、Fabアーム交換、SEEDボディ、LUZ-Y、Fcab、κλ-ボディ、オルソゴナルFab、DVD-IgG、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、Zyボディ、DVI-IgG、ダイアボディ-CH3、トリプルボディ、ミニ抗体、ミニボディ、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、F(ab')2-scFv2、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scダイアボディ-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、VHH-Fc、タンデムVHH-Fc、VHH-Fc KiH、Fab-VHH-Fc、イントラボディ、ドックアンドロック、ImmTAC、IgG-IgGコンジュゲート、Cov-X-ボディ、scFv1-PEG-scFv2、アドネクチン、DARPin、フィブロネクチン、およびDEPコンジュゲートを形成することができる。例えば、Spiess et al., Mol. Immunol. 67:95-106, 2015を参照されたく、これらの要素の説明のため、その全体が本明細書と共に組み入れられる。抗体の抗原結合断片の非限定的な例としては、Fv断片、Fab断片、F(ab')2断片、およびFab'断片が挙げられる。抗体の抗原結合断片のさらなる例は、IgGの抗原結合断片(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の抗原結合断片)(例えば、ヒトまたはヒト化IgG、例えば、ヒトまたはヒト化IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の抗原結合断片);IgAの抗原結合断片(例えば、IgA1またはIgA2の抗原結合断片)(例えば、ヒトまたはヒト化IgA、例えば、ヒトまたはヒト化IgA1またはIgA2の抗原結合断片);IgDの抗原結合断片(例えば、ヒトまたはヒト化IgDの抗原結合断片);IgEの抗原結合断片(例えば、ヒトまたはヒト化IgEの抗原結合断片);またはIgMの抗原結合断片(例えば、ヒトまたはヒト化IgMの抗原結合断片)である。
【0160】
「Fv」断片は、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの非共有的に連結された二量体を含む。
【0161】
「Fab」断片は、Fv断片の重鎖および軽鎖可変ドメインに加え、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。
【0162】
「F(ab')2」断片は、ヒンジ領域の近くでジスルフィド結合によって接続された2つのFab断片を含む。
【0163】
「デュアル可変ドメイン免疫グロブリン」または「DVD-Ig」は、例えば、DiGiammarino et al., Methods Mol. Biol. 899:145-156, 2012;Jakob et al., MABs 5:358-363, 2013;ならびに米国特許第7,612,181号;第8,258,268号;第8,586,714号;第8,716,450号;第8,722,855号;第8,735,546号;および第8,822,645号(それらの各々は、参照によりその全体が組み入れられる)に記載されているような、多価および多重特異性結合タンパク質のことを指す。
【0164】
DARTは、例えば、Garber, Nature Reviews Drug Discovery 13:799-801, 2014に記載されている。
【0165】
脱フコシル化または非フコシル化されたモノクローナル抗体は、抗体のFc領域中のオリゴ糖がいかなるフコース糖単位も有さないように操作されたモノクローナル抗体のことである。いくつかの態様では、抗体の脱フコシル化は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)などの作用を増加させる。以下により詳しく記載しているように、いくつかの態様では、本明細書に記載される方法において使用される抗体は、脱フコシル化された抗体である。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体は、IgG1(例えば、ヒトまたはヒト化IgG1)、IgG2(例えば、ヒトまたはヒト化IgG2)、IgG3(例えば、ヒトまたはヒト化IgG3)、IgG4(例えば、ヒトまたはヒト化IgG4)、IgA1(例えば、ヒトまたはヒト化IgA1)、IgA2(例えば、ヒトまたはヒト化IgA2)、IgD(例えば、ヒトまたはヒト化IgD)、IgE(例えば、ヒトまたはヒト化IgE)、またはIgM(例えば、ヒトまたはヒト化IgM)であることができる。
【0167】
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体由来のCDRがヒト「アクセプター」抗体配列にグラフトされた遺伝子操作された抗体である(例えば、Queenの米国特許第5,530,101号および第5,585,089号;Winterの米国特許第5,225,539号;Carterの米国特許第6,407,213号;Adairの米国特許第5,859,205号;ならびにFooteの米国特許第6,881,557号を参照のこと)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合物、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖細胞系列領域配列であることができる。ヒト化のため、重鎖についての例示的なアクセプター配列は、生殖細胞系列VHエクソンVH1-2であり、Jエクソン(JH)に関しては、エクソンJH-3である。軽鎖について、例示的なアクセプター配列は、エクソンVL1-12およびJエクソンJK5である。
【0168】
したがって、ヒト化抗体は、非ヒトドナー抗体ならびに可変領域フレームワーク配列および定常領域に全体的または実質的に由来する、存在するなら、ヒト抗体配列に全体的または実質的に由来する、少なくとも4つのCDRを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、ドナー抗体重鎖、ならびに重鎖可変領域フレームワーク配列および重鎖定常領域に全体的または実質的に由来する、存在するなら、ヒト重鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する、少なくとも2つおよび通常は3つすべてのCDRを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、ドナー抗体軽鎖、ならびに軽鎖可変領域フレームワーク配列および軽鎖定常領域に全体的または実質的に由来する、存在するなら、ヒト軽鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する、少なくとも2つおよび通常は3つすべてのCDRを有する。ナノボディおよびdAb以外に、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体またはヒト抗体中のCDRは、対応する残基(Kabatによって定義されるように)の少なくとも60%、85%、90%、95%または100%がそれぞれのCDR間で同一である場合、非ヒト抗体中の対応するCDRに実質的に由来するかまたはそれと実質的に同一である。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatによって定義される対応する残基の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%または100%が同一である場合、それぞれ、ヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に実質的に由来する。
【0169】
ヒト化抗体は、マウス抗体由来の6つすべてのCDR(Kabatによって定義されるように)を組み込むことが多いが、これらは、マウス抗体由来の全てに満たないCDR(例えば、少なくとも4または5つのCDR)と共に作製することもできる(例えば、Pascalis et al., J. Immunol. 169:3076, 2002;Vajdos et al., J. Mol. Biol. 320:415-428, 2002;Iwahashi et al., Mol. Immunol. 36:1079-1091, 1999;Tamura et al., J. Immunol. 164:1432-1441, 2000)。
【0170】
ヒト可変領域フレームワーク残基由来のある特定のアミノ酸を、CDRの立体配置および/または抗原への結合に対するそれらの考えられる影響に基づいて、置換のために選択することができる。そのような考えられる影響の調査は、モデル化、特定の位置でのアミノ酸の特徴の検査、または特定のアミノ酸の置換もしくは変異誘発の効果の経験的観察によるものである。
【0171】
例えば、アミノ酸が、マウス可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基との間で異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、そのアミノ酸が以下であると合理的に想定される場合に、マウス抗体由来の同等のフレームワークアミノ酸によって置換することができる:
(1)抗原に直接非共有結合する、
(2)CDR領域に隣接する、
(3)それ以外の方法でCDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6Å以内である);または
(4)重鎖と軽鎖との間の相互作用を媒介する。
【0172】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、DYYIH(SEQ ID NO:1)を含むCDR1、YINPNSGYTNYAQKFQG(SEQ ID NO:2)を含むCDR2、およびYMWERVTGFFDF(SEQ ID NO:3)を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、LASEDISDDLA(SEQ ID NO:5)を含むCDR1、TTSSLQS(SEQ ID NO:6)を含むCDR2、およびQQTYKFPPT(SEQ ID NO:7)を含むCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むことができる。
【0173】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む重鎖可変領域、および/または、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む軽鎖可変ドメインを含むことができる。
【0174】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:11に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む核酸によってコードされる重鎖可変領域、および/または、SEQ ID NO:12に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む核酸によってコードされる軽鎖可変ドメインを含むことができる。
【0175】
例示的な重鎖可変ドメイン(SEQ ID NO:4)
【0176】
例示的な重鎖可変ドメインをコードするDNA(SEQ ID NO:11)
【0177】
例示的な軽鎖可変ドメイン(SEQ ID NO:8)
【0178】
例示的な軽鎖可変ドメインをコードするDNA(SEQ ID NO:12)
【0179】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:13に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む重鎖、および/または、SEQ ID NO:15に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む軽鎖を含むことができる。
【0180】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:14に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む核酸によってコードされる重鎖、および/または、SEQ ID NO:16に対して少なくとも80%同一(例えば、少なくとも82%同一、少なくとも84%同一、少なくとも86%同一、少なくとも88%同一、少なくとも90%同一、少なくとも92%同一、少なくとも94%同一、少なくとも96%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一、または100%同一)である配列を含む核酸によってコードされる軽鎖を含むことができる。
【0181】
例示的な重鎖(SEQ ID NO:13)
【0182】
例示的な重鎖をコードするDNA(SEQ ID NO:14)
【0183】
例示的な軽鎖(SEQ ID NO:15)
【0184】
例示的な軽鎖をコードするDNA(SEQ ID NO:16)
【0185】
本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかのいくつかの態様では、抗体は、US 2017/0233484(WO 2017/143069も参照のこと)に記載されているようなものである。そのような一態様では、抗体または抗原結合断片には、US 2017/0233484およびWO 2017/143069に列記されているようなSEQ ID NO:60~62にそれぞれ対応するCDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域と、US 2017/0233484およびWO 2017/143069に列記されているようなSEQ ID NO:90~92にそれぞれ対応するCDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む、hSG16.17 VH3抗体が含まれる。hSG16.17 VH3のVHおよびVLドメインは、US 2017/0233484およびWO 2017/143069に列記されているようなSEQ ID NO:13および19にそれぞれ対応する。
【0186】
ヒト化抗体の重鎖および軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも一部に連結させることができる。定常領域の選択は、抗体依存性細胞媒介細胞傷害、抗体依存性細胞貪食および/または補体依存性細胞傷害が望まれるかどうかに一部依存する。例えば、ヒトアイソトープIgG1およびIgG3は、強い補体依存性細胞傷害を有し、ヒトアイソタイプIgG2は、弱い補体依存性細胞傷害を有し、ヒトIgG4は、補体依存性細胞傷害を欠いている。ヒトIgG1およびIgG3はまた、ヒトIgG2およびIgG4よりも強い細胞媒介エフェクター機能を誘導する。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであることができる。抗体は、2本の軽鎖および2本の重鎖を含有する四量体として、別個の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFvとして、または重鎖および軽鎖可変ドメインがスペーサーを通じて連結された単鎖抗体として発現され得る。
【0187】
重鎖のC末端リジンなどの軽鎖および/または重鎖のアミノまたはカルボキシ末端の1個または数個のアミノ酸は、分子の一部または全部を欠いていても、または誘導体化されてもよい。置換は、補体媒介細胞傷害またはADCCなどのエフェクター機能を低減または増加させるために(例えば、Winterらの米国特許第5,624,821号;Tsoらの米国特許第5,834,597号;およびLazar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103:4005, 2006を参照のこと)、またはヒトでの半減期を延長するために(例えば、Hinton et al., J. Biol. Chem. 279:6213, 2004を参照のこと)定常領域において行うことができる。
【0188】
例示的な置換には、アミノ酸位置234、235、237、239、267、298、299、326、330または332での天然アミノ酸からシステイン残基への置換、好ましくはヒトIgG1重鎖におけるS239C変異が含まれる(付番は、EUインデックス(Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991)に従う;参照により本明細書に組み入れられるUS 20100158909を参照のこと)。重鎖は、C末端リジンを伴うおよび伴わないS239C置換を含むことができる。追加のシステイン残基の存在は、鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。そのような鎖間ジスルフィド結合の形成は、立体障害を引き起こし、それによりFc領域-FcγR結合相互作用の親和性を低減させ得る。IgG定常領域のFc領域に導入されたまたはそれに近接するシステイン残基も、治療剤へのコンジュゲーション(すなわち、薬物のマレイミド誘導体などのチオール特異的試薬を使用した細胞傷害薬のカップリング)のための部位として役立つことができる。治療剤の存在は、立体障害を引き起こし、それによりFc領域-FcγR結合相互作用の親和性をさらに低減させる。重鎖アミノ酸位置234、235、236および/または237のいずれかでの他の置換は、Fcγ受容体、とりわけFcγRI受容体に対する親和性を低減させる(例えば、米国特許第6,624,821号、米国特許第5,624,821号を参照のこと)。重鎖アミノ酸置換の好ましい組み合わせは、S239D、A330Lおよび1332Eであり、これは、FcγRIIIAに対するFcドメインの親和性を増加させ、その結果としてADCCを増加させる。
【0189】
抗体のインビボ半減期もまた、そのエフェクター機能に影響を及ぼし得る。その治療活性を改変するために抗体の半減期を増加または減少させることができる。FcRnは、β2-ミクログロブリンと非共有的に会合するMHCクラスI抗原と構造が似た受容体である。FcRnは、IgGの異化および組織を横断するそれらのトランスサイトーシスを調節する(Ghetie and Ward, Annu. Rev. Immunol. 18:739-766, 2000;Ghetie and Ward, Immunol. Res. 25:97-113, 2002)。IgG-FcRn相互作用は、pH 6.0(細胞内小胞のpH)で起こるがpH 7.4(血液のpH)では起こらない;この相互作用は、IgGが循環に戻って再利用されることを可能にする(Ghetie and Ward, Ann. Rev. Immunol. 18:739-766, 2000;Ghetie and Ward, Immunol. Res. 25:97-113, 2002)。FcRn結合に関与するヒトIgG1上の領域は、マッピングされている(Shields et al., J. Biol. Chem. 276:6591-604, 2001)。ヒトIgG1の重鎖アミノ酸位置Pro238、Thr256、Thr307、Gln311、Asp312、Glu380、Glu382、またはAsn434でのアラニン置換は、FcRn結合を増強する(Shields et al., J. Biol. Chem. 276:6591-604, 2001)。これらの置換を保有するIgG1分子は、より長い血清半減期を有する。その結果として、これらの修飾されたIgG1分子は、それらのエフェクター機能を遂行できるので、未修飾IgG1と比較してより長期間にわたってそれらの治療効果を発揮し得る。FcRnへの結合を増加させるための重鎖における他の例示的な置換には、アミノ酸位置250でのGlnおよび/またはアミノ酸位置428でのLeuの導入が含まれる。EU付番は、定常領域におけるすべての位置に使用される。
【0190】
保存されたAsn297に共有付着されたオリゴ糖は、IgGのFc領域がFcγRに結合する能力に関与する(Lund et al., J. Immunol. 157:4963-69, 1996;Wright and Morrison, Trends Biotechnol. 15:26-31, 1997)。IgG上のこの糖鎖構造の操作は、IgG媒介ADCCを顕著に改善することができる。この糖鎖構造へのバイセクティングN-アセチルグルコサミン修飾の付加(Umana et al., Nat. Biotechnol. 17:176-180, 1999;Davies et al., Biotech. Bioeng. 74:288-94, 2001)またはこの糖鎖構造からのフコースの除去(Shields et al., J. Biol. Chem. 277:26733-40, 2002;Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278:6591-604, 2003;Niwa et al., Cancer Res. 64:2127-33, 2004)が、IgG FcとFcγRとの間の結合を改善することによりIg媒介ADCC活性を増強するIgG Fc操作の2つの例である。
【0191】
ヒトIgG1 Fc領域の溶媒曝露アミノ酸の系統的置換は、FcγR結合親和性が変化したIgGバリアントを生成させた(Shields et al., J. Biol. Chem. 276:6591-604, 2001)。親IgG1と比較して、Thr256/Ser298、Ser298/Glu333、Ser298/Lys334、またはSer298/Glu333/Lys334でのAlaへの置換を伴うこれらのバリアントのサブセットは、FcγRに対する結合親和性とADCC活性の両方において増加を示す(Shields et al., J. Biol. Chem. 276:6591-604, 2001;Okazaki et al., J. Mol. Biol. 336:1239-49, 2004)。
【0192】
抗体の補体結合活性(C1q結合とCDC活性の両方)は、Lys326およびGlu333での置換によって改善することができる(Idusogie et al., J. Immunol. 166:2571-2575, 2001)。ヒトIgG2骨格上での同じ置換は、C1qへの結合が乏しく補体活性化活性が大幅に欠損した抗体アイソタイプを、C1qに結合することもCDCを媒介することもできるものへと変換することができる(Idusogie et al., J. Immunol. 166:2571-75, 2001)。また、いくつかの他の方法が、抗体の補体結合活性を改善するために適用されてきた。例えば、IgMの18アミノ酸カルボキシル末端尾片をIgGのカルボキシル末端にグラフティングすると、そのCDC活性が大きく増強される。これは、検出可能なCDC活性を通常有さないIgG4であっても観察される(Smith et al., J. Immunol. 154:2226-36, 1995)。また、IgG1重鎖のカルボキシ末端近くに位置するSer444をCysで置換すると、CDC活性が単量体IgG1よりも200倍増加したIgG1の尾-尾二量体化が誘導された(Shopes et al., J. Immunol. 148:2918-22, 1992)。加えて、C1qに対して特異性を有する二重特異性ダイアボディ構築物もまた、CDC活性を付与する(Kontermann et al., Nat. Biotech. 15:629-31, 1997)。
【0193】
補体活性は、重鎖のアミノ酸残基318、320、および322の少なくとも1つをAlaなどの異なる側鎖を有する残基に変異させることによって低減させることができる。また、3つの残基のいずれか1つの代わりに、Gly、Ile、LeuもしくはValなどの他のアルキル置換非イオン性残基、またはPhe、Tyr、TrpおよびProなどの芳香族非極性残基も、C1q結合を低減または無効にする。Ser、Thr、Cys、およびMetを、残基318ではなく、320および322で使用して、C1q結合活性を低減または無効にすることができる。318(Glu)残基を極性残基によって置き換えると、C1q結合活性を改変できるが無効にはできない。残基297(Asn)をAlaで置き換えると、溶解活性の除去をもたらすが、C1qに対する親和性をわずかに低減(約3倍弱く)するにすぎない。この変更は、グリコシル化部位、および補体活性化に必要とされる炭水化物の存在を破壊する。この部位での任意の他の置換も、グリコシル化部位を破壊する。以下の重鎖置換およびその任意の組み合わせもC1q結合を低減する:D270A、K322A、P329A、およびP311S(WO 06/036291を参照のこと)。
【0194】
ヒト定常領域への言及には、任意の天然アロタイプまたは天然アロタイプにおける多型位置を占有している残基の任意の順列を有する定常領域が含まれる。また、Fcγ受容体結合を低減させるまたはFcRNへの結合を増加させるために、上に示したような変異が天然ヒト定常領域と比べて1、2、5、または10個まで存在してもよい。
【0195】
非フコシル化抗体または抗原結合断片
いくつかの態様では、本明細書に記載されるような任意の抗体または抗原結合断片は、低減されたフコシル化を有するかまたは非フコシル化されており、提供される方法において利用することができる。例えば、いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、低減されたコアフコシル化を有する。「コアフコシル化」は、N連結グリカンの還元末端でのN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)へのフコースの付加(「フコシル化」)のことを指す。
【0196】
「複合N-グリコシド連結糖鎖」は、典型的には、アスパラギン297(Kabatの番号に従う)に結合される。本明細書において使用される場合、複合N-グリコシド連結糖鎖は、主に以下の構造:
を有する二分岐複合糖鎖を有し、式中、±は、糖分子が存在しても存在しなくてもよいことを示し、数字は、糖分子間の連結の位置を示す。上記構造において、アスパラギンに結合する糖鎖末端は、還元末端(右記)と呼ばれ、反対側は、非還元末端と呼ばれる。フコースは、通常、還元末端のN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)に、典型的にはα1,6結合(GlcNAcの6位がフコースの1位に連結される)によって結合される。「Gal」は、ガラクトースのことを指し、「Man」は、マンノースのことを指す。
【0197】
「複合N-グリコシド連結糖鎖」には、1)コア構造の非還元末端側が1つまたは複数のガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも称される)分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側が任意でシアル酸、バイセクティングN-アセチルグルコサミンなどを有する、複合型;または2)コア構造の非還元末端側が高マンノースN-グリコシド連結糖鎖と複合N-グリコシド連結糖鎖の両方の分岐を有する、ハイブリッド型が含まれる。いくつかの態様では、「複合N-グリコシド連結糖鎖」には、コア構造の非還元末端側がゼロ、1つまたは複数のガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも称される)分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側が任意でシアル酸、バイセクティングN-アセチルグルコサミンなどの構造をさらに有する、複合型が含まれる。
【0198】
ある特定の態様では、典型的には、少量のフコースのみが、本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の複合N-グリコシド連結糖鎖に組み込まれる。例えば、様々な態様では、抗体の分子の約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満が、フコースによるコアフコシル化を有する。いくつかの態様では、抗体の分子の約2%が、フコースによるコアフコシル化を有する。
【0199】
いくつかの態様では、少量のフコース類似体(またはフコース類似体の代謝物もしくは産物)のみが、複合N-グリコシド連結糖鎖に組み込まれる。例えば、様々な態様では、抗体または抗原結合断片の約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満が、フコース類似体またはフコース類似体の代謝物もしくは産物によるコアフコシル化を有する。いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の約2%が、フコース類似体またはフコース類似体の代謝物もしくは産物によるコアフコシル化を有する。
【0200】
本明細書に開示される態様のいずれかのいくつかでは、抗体は、脱フコシル化された抗体であり、これは、N297位(EU付番)で抗体がフコースを含有しないか、またはそのような抗体の集団がまとめてこの位置でフコースを全く有さないか、もしくは非常に低いレベルのフコシル化しか有さないことを意味する。例えば、ある特定の態様では、抗体は、>90%、または>95%脱フコシル化されている。いくつかの態様では、抗体は、少なくとも95~98%脱フコシル化されているか、または少なくとも98~99%脱フコシル化されている。
【0201】
抗体産生細胞をフコース類似体とインキュベートすることによる非フコシル化抗体を作製する方法が、例えば、WO2009/135181に記載されている。簡潔に述べると、抗体または抗原結合断片を発現するように操作されている細胞が、フコース類似体またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物の存在下でインキュベートされる。細胞内代謝物は、例えば、GDP修飾類似体または完全もしくは部分的に脱エステル化された類似体であることができる。産物は、例えば、完全または部分的に脱エステル化された類似体であることができる。いくつかの態様では、フコース類似体は、フコースサルベージ経路において酵素を阻害することができる。例えば、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコキナーゼ、またはGDP-フコース-ピロホスホリラーゼの活性を阻害することができる。いくつかの態様では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコシルトランスフェラーゼ(好ましくは、1,6-フコシルトランスフェラーゼ、例えば、FUT8タンパク質)を阻害する。いくつかの態様では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコースのデノボ合成経路において酵素の活性を阻害することができる。例えば、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、GDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼまたは/またはGDP-フコースシンセターゼの活性を阻害することができる。いくつかの態様では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコーストランスポーター(例えば、GDP-フコーストランスポーター)を阻害することができる。
【0202】
ある特定の態様では、フコース類似体は、2-フルロフコース(flurofucose)である。成長培地中でフコース類似体を使用する方法および他のフコース類似体が、例えば、WO/2009/135181に記載されている。
【0203】
コアフコシル化を低減するために細胞株を操作するための他の方法は、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックインおよびRNA干渉(RNAi)を含んでいた。遺伝子ノックアウトでは、FUT8(アルファ 1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素)をコードする遺伝子が不活化される。FUT8は、GDP-フコースからN-グリカンのAsn連結(N連結)GlcNacの6位へのフコシル残基の移動を触媒する。FUT8は、Asn297でN連結二分岐炭水化物へのフコース付加を担う唯一の酵素であると報告されている。遺伝子ノックインは、GNTIIIまたはゴルジアルファマンノシダーゼIIなどの酵素をコードする遺伝子を付加する。細胞内のこのような酵素のレベルの増大は、モノクローナル抗体をフコシル化経路からそらし(減少したコアフコシル化を導く)、バイセクティングN-アセチルグルコサミンの量を増大させる。RNAiも、典型的にはFUT8遺伝子発現を標的とし、減少したmRNA転写レベルを導くかまたは遺伝子発現を完全にノックアウトする。これらの方法のいずれかを使用して、非フコシル化抗体を産生できるであろう細胞株を生成させることができる。
【0204】
抗体上のフコシル化の量を決定するために多くの方法が利用可能である。方法としては、例えば、PLRP-Sクロマトグラフィーを介したLC-MS、およびエレクトロスプレーイオン化四重極TOF MSが挙げられる。
【0205】
抗体および抗原結合断片の産生
抗体および抗原結合断片は、典型的には、組換え発現によって産生される。組換えポリヌクレオチド構築物は、典型的には、天然に関連するまたは異種のプロモーター領域を含む、抗体鎖のコード配列に機能的に連結された発現制御配列を含む。好ましくは、発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換またはトランスフェクト可能なベクター中の真核生物プロモーター系である。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、ならびに産生された抗体または抗原結合断片の収集および精製に適した条件下で維持される。
【0206】
哺乳動物細胞が、抗体および抗原結合断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現させるための好ましい宿主である。Winnacker, From Genes to Clones, (VCH Publishers, NY, 1987)を参照のこと。無傷の異種タンパク質を分泌可能な多数の好適な宿主細胞株が当技術分野において開発されており、CHO細胞株(例えば、DG44)、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、HEK293細胞、L細胞、ならびにSp2/0およびNS0を含む非抗体産生骨髄腫が含まれる。好ましくは、細胞は、非ヒトである。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば、複製起点、プロモーター、エンハンサー(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49, 1986)、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写ターミネータ配列などの必要なプロセシング情報部位を含むことができる。好ましい発現制御配列は、内因性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149, 1992を参照のこと。
【0207】
発現されたら、抗体および抗原結合断片は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当技術分野の標準的な手順に従って精製することができる(一般に、Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag, NY, 1982)を参照のこと)。
【0208】
ニロガセスタット
ニロガセスタットは、γ-セクレターゼの選択的で可逆的な非競合的阻害剤である。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタット((S)-2-(((S)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-N-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-lH-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)(PF-03084014)は、化合物I:
で示される構造またはその薬学的に許容される塩を有する。いくつかの態様では、薬学的に許容される塩は、臭化水素酸塩(例えば、ニロガセスタット臭化水素酸塩)である。他の態様では、薬学的に許容される塩は、二臭化水素酸塩(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩)である。公知の担体、例えば、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンを、崩壊剤(例えば、デンプン(例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン))、メチルセルロース、アルギン酸、およびある種の複合ケイ酸塩、顆粒結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、およびアカシア)、平滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク)と一緒にニロガセスタットの経口投与用の製剤中に含めることができる。いくつかの態様では、ニロガセスタットは、様々な甘味剤および/または着香剤、着色染料と組み合わされる。
【0209】
薬学的組成物
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用される薬学的組成物は、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される例示的な抗体または抗原結合断片のいずれか)および/またはデキサメタゾンを含む。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用される他の薬学的組成物は、ニロガセスタットを含む。
【0210】
抗体もしくは抗原結合断片および/またはデキサメタゾンを含む薬学的組成物は、全身(例えば、静脈内)投与用に製剤化することができる。ニロガセスタットを含む薬学的組成物は、経口投与用に製剤化することができる。
【0211】
薬学的組成物を生成する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed., 2005;および the books in the series Drugs and the Pharmaceutical Sciences: a Series of Textbooks and Monographs(Dekker, NY)を参照のこと。例えば、非経口(例えば、静脈内)、皮内または皮下適用に使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩;ならびに浸透圧の調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調整することができる。非経口調製物を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ、または複数用量バイアルに封入することができる。
【0212】
注射使用に適した薬学的組成物は、無菌水性液剤(水溶性の場合)または分散剤、および無菌の注射用液剤または分散剤の即時調製用の無菌粉剤を含むことができる。静脈内投与では、好適な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF, Parsippany, NJ)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。いくつかの態様では、薬学的に許容される担体は、塩化ナトリウム溶液である。いずれの場合も、組成物は、無菌でなければならない。組成物は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。いくつかの態様では、組成物は、組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0213】
無菌の注射用液剤は、必要とされる量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて、上に挙げた成分の1つまたは組み合わせと共に組み入れ、続いて濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散剤は、基礎となる分散媒と上に挙げたものから必要とされるその他の成分とを含有する滅菌ビヒクルの中に活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌の注射用液剤の調製用の滅菌粉末の場合、調製の方法は、予め滅菌濾過したその溶液から任意の追加の望ましい成分を加えた活性成分の粉末をもたらす真空乾燥法および凍結乾燥法の使用を含むことができる。
【0214】
いくつかの態様では、治療用化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化した送達系を含む、放出制御製剤などの、体内からの急速な排除から治療用化合物を保護する担体を用いて調製される。生体分解性の生体適合性高分子、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を用いることができる。そのような製剤は、標準技術を使用して調製することができるか、または、例えば、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁剤(細胞抗原に対するモノクローナル抗体と共に選択された細胞に標的指向されるリポソームを含む)も薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法に従って、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているように調製することができる。
【0215】
薬学的組成物は、容器、パック、またはディスペンサー内に、投与のための説明書と共に含めることができる。
【0216】
ニロガセスタット((S)-2-(((S)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-N-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-lH-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)(PF-03084014)を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、経口投与用に製剤化することができる(例えば、本明細書に記載されるまたは当技術分野において公知のニロガセスタットの薬学的に許容される塩形態のいずれか、例えば、ニロガセスタット臭化水素酸塩またはニロガセスタット二臭化水素酸塩)。いくつかの態様では、ニロガセスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、錠剤、カプセル剤、または水性懸濁剤として製剤化される。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる担体の非限定例としては、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、およびグリシンが挙げられる。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる崩壊剤の非限定例としては、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、メチルセルロース、アルギン酸、およびある種の複合ケイ酸塩が挙げられる。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる顆粒結合剤の非限定例としては、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、およびアカシアが挙げられる。ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの平滑剤が、しばしば錠剤化のために有用である。また、類似のタイプの固体組成物をゼラチンカプセル中に充填剤として用いてもよい。この関連での好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤が経口投与に所望される場合、有効成分を、水、エタノール、グリセリンおよびそれらの様々な同様の組み合わせなどの希釈剤と一緒に、様々な甘味剤または着香剤、着色物質または染料と、そして、所望される場合、乳化剤および/または懸濁化剤とも組み合わせてよい。
【0217】
処置の方法
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される例示的な抗体または抗原結合断片のいずれか)の1つまたは複数の用量とニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量とを対象に投与する工程を含む、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法が本明細書に提供される。
【0218】
また、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される例示的な抗体または抗原結合断片のいずれか)の1つまたは複数の用量と、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩、ニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量と、デキサメタゾンの1つまたは複数の用量とを対象に投与する工程を含む、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法も本明細書に提供される。
【0219】
本明細書において使用される場合、「対象」は、典型的には、多発性骨髄腫(MM)を有するヒト対象、例えばヒト患者のことを指す。いくつかの態様では、対象は、骨髄腫前駆体、カッパ型の軽鎖および/もしくはラムダ型の軽鎖を産生する多発性骨髄腫がん、劇症型多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、または薬剤耐性多発性骨髄腫を有すると特定または診断されている。いくつかの態様では、対象は、再発性または難治性の多発性骨髄腫(RRMM)を有すると特定または診断されている。全身療法を必要とするMMの診断は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)2014基準(Rajkumar, et al. (2014) Lancet Oncol, 15(12):e538-48)によって定義される。
【0220】
いくつかの態様では、対象は、対象がFcγRIIおよび/またはFcγRIIIの小ヌクレオチド多型を有するかどうかを判定するために評価される。いくつかの態様では、FcγRIIおよびFcγRIIIの小ヌクレオチド多型は、例えば、FCGRIIIA-158V/Fおよび/またはFCGRIIA-131H/Rの多型の検査によって決定されてよい。したがって、いくつかの態様では、対象は、FcγRIIおよび/またはFcγRIIIの小ヌクレオチド多型を有する。
【0221】
いくつかの態様では、対象は、多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置を以前に投与されていた。以前に受けた1つまたは複数の多発性骨髄腫の治療剤または処置としては、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、以前に受けた1つまたは複数(例えば、1つ、2つまたは3つ)の治療剤または処置(例えば、PI、IMiD、および抗CD38抗体の1つまたは複数)は、対象における多発性骨髄腫の処置において効果がなかった。いくつかの態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体のうちの少なくとも1つ以外のBCMA指向型骨髄腫療法を以前に施されているか、または前述のいずれも忍容できない。いくつかの態様では、対象は、ヒトBCMAを標的としたADC、CAR-T細胞療法および二重特異性抗体からなる群より選択される少なくとも1つのBCMA指向型骨髄腫療法を以前に受けていた。
【0222】
いくつかの態様では、対象は、血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、血清免疫グロブリン遊離軽鎖レベル≧10mg/dL、および/または異常な血清免疫グロブリンカッパ対ラムダ遊離軽鎖比の1つまたは複数を有する。
【0223】
いくつかの態様では、MMを有する対象中のがん細胞は、タンパク質レベル(例えば、例示された抗体の1つを使用したイムノアッセイによる)またはmRNAレベルのいずれかで測定された検出可能なBCMAレベルを示す。いくつかの態様では、MMを有する対象中のがん細胞は、同じタイプの非がん性組織(例えば、同じまたは類似の患者からの)と比べて上昇したBCMAレベルを示す。がん細胞上の例示的なBCMAレベルは、1細胞当たり5000~150000個のBCMA分子であることができる。任意で、対象由来のがん細胞中のBCMAレベルは、処置を施行する前に測定することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法はさらに、多発性骨髄腫を有する対象を選択する工程を含むことができる。いくつかの態様では、特定の基準が対象の選択に適用される(例えば、本明細書に記載される選択基準のいずれか)。そのような基準には、年齢、性別、疾患の種類および病期、前治療歴、ならびに他の医学的状態などの対象の特徴が含まれる。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法はさらに、対象の状態により処置を終了すること(例えば、本明細書に記載される終了基準のいずれかを使用して)を含むことができる。
【0224】
A. ニロガセスタットとの併用療法
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される例示的な抗体または抗原結合断片のいずれか)の1つまたは複数の用量とニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量とを対象に投与する工程を含む、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法が本明細書に提供される。
【0225】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、非フコシル化抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片が対象に投与され、組成物中の抗体またはその抗原結合断片の約95%、97%、98%もしくは99%または少なくとも95%、97%、98%もしくは99%が脱フコシル化されている。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0226】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0227】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、SEQ ID NO:8に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む。
【0228】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化されている。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体は、IgG1抗体である。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、キメラ抗原受容体(CAR)、および抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにこれらの一部ではない。
【0229】
BCMA抗体またはその抗原断片およびニロガセスタットの一般的投薬
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgの抗体またはその抗原結合断片~約2000mgの抗体またはその抗原結合断片(例えば、約100mg~約1800mg、約100mg~約1600mg、約100mg~約1400mg、約100mg~約1200mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約600mg、約100mg~約400mg、約100mg~約200mg、約200mg~約2000mg、約200mg~約1800mg、約200mg~約1600mg、約200mg~約1400mg、約200mg~約1200mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約800mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約400mg~約2000mg、約400mg~約1800mg、約400mg~約1600mg、約400mg~約1400mg、約400mg~約1200mg、約400mg~約1000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約600mg、約600mg~約2000mg、約600mg~約1800mg、約600mg~約1600mg、約600mg~約1400mg、約600mg~約1200mg、約600mg~約1000mg、約600mg~約800mg、約800mg~約2000mg、約800mg~約1800mg、約800mg~約1600mg、約800mg~約1400mg、約800mg~約1200mg、約800mg~約1000mg、約1000mg~約2000mg、約1000mg~約1800mg、約1000mg~約1600mg、約1000mg~約1400mg、約1000mg~約1200mg、約1200mg~約2000mg、約1200mg~約1800mg、約1200mg~約1600mg、約1200mg~約1400mg、約1400mg~約2000mg、約1400mg~約1800mg、約1400mg~約1600mg、約1600mg~約2000mg、約1600mg~約1800mg、約1800mg~約2000mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、約1500mg、約1600mg、約1700mg、約1800mg、約1900mg、または約2000mg)で独立に投与される。
【0230】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgの抗体または抗原結合断片~約2,000mgの抗体または抗原結合断片(例えば、約100mg~約1,950mg、約100mg~約1,900mg、約100mg~約1,850mg、約100mg~約1,800mg、約100mg~約1,750mg、約100mg~約1,700mg、約100mg~約1,650mg、約100mg~約1,600mg、約100mg~約1,550mg、約100mg~約1,500mg、約100mg~約1,450mg、約100mg~約1,400mg、約100mg~約1,350mg、約100mg~約1,300mg、約100mg~約1,250mg、約100mg~約1,200mg、約100mg~約1,150mg、約100mg~約1,100mg、約100mg~約1,050mg、約100mg~約1,050mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約950mg、約100mg~約900mg、約100mg~約850mg、約100mg~約800mg、約100mg~約750mg、約100mg~約700mg、約100mg~約650mg、約100mg~約600mg、約100mg~約550mg、約100mg~約500mg、約100mg~約450mg、約100mg~約400mg、約100mg~約350mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、約100mg~約150mg、約200mg~約2,000mg、約200mg~約1,950mg、約200mg~約1,900mg、約200mg~約1,850mg、約200mg~約1,800mg、約200mg~約1,750mg、約200mg~約1,700mg、約200mg~約1,650mg、約200mg~約1,600mg、約200mg~約1,550mg、約200mg~約1,500mg、約200mg~約1,450mg、約200mg~約1,400mg、約200mg~約1,350mg、約200mg~約1,300mg、約200mg~約1,250mg、約200mg~約1,200mg、約200mg~約1,150mg、約200mg~約1,100mg、約200mg~約1,050mg、約200mg~約1,050mg、約200mg~約1000mg、約200mg~約950mg、約200mg~約900mg、約200mg~約850mg、約200mg~約800mg、約200mg~約750mg、約200mg~約700mg、約200mg~約650mg、約200mg~約600mg、約200mg~約550mg、約200mg~約500mg、約200mg~約450mg、約200mg~約400mg、約200mg~約350mg、約200mg~約300mg、約200mg~約250mg、約300mg~約2,000mg、約300mg~約1,950mg、約300mg~約1,900mg、約300mg~約1,850mg、約300mg~約1,800mg、約300mg~約1,750mg、約300mg~約1,700mg、約300mg~約1,650mg、約300mg~約1,600mg、約300mg~約1,550mg、約300mg~約1,500mg、約300mg~約1,450mg、約300mg~約1,400mg、約300mg~約1,350mg、約300mg~約1,300mg、約300mg~約1,250mg、約300mg~約1,200mg、約300mg~約1,150mg、約300mg~約1,100mg、約300mg~約1,050mg、約300mg~約1,050mg、約300mg~約1000mg、約300mg~約950mg、約300mg~約900mg、約300mg~約850mg、約300mg~約800mg、約300mg~約750mg、約300mg~約700mg、約300mg~約650mg、約300mg~約600mg、約300mg~約550mg、約300mg~約500mg、約300mg~約450mg、約300mg~約400mg、約300mg~約350mg、約400mg~約2,000mg、約400mg~約1,950mg、約400mg~約1,900mg、約400mg~約1,850mg、約400mg~約1,800mg、約400mg~約1,750mg、約400mg~約1,700mg、約400mg~約1,650mg、約400mg~約1,600mg、約400mg~約1,550mg、約400mg~約1,500mg、約400mg~約1,450mg、約400mg~約1,400mg、約400mg~約1,350mg、約400mg~約1,300mg、約400mg~約1,250mg、約400mg~約1,200mg、約400mg~約1,150mg、約400mg~約1,100mg、約400mg~約1,050mg、約400mg~約1,000mg、約400mg~約950mg、約400mg~約900mg、約400mg~約900mg、約400mg~約850mg、約400mg~約800mg、約400mg~約750mg、約400mg~約700mg、約400mg~約650mg、約400mg~約600mg、約400mg~約550mg、約400mg~約500mg、約400mg~約450mg、約500mg~約2,000mg、約500mg~約1,950mg、約500mg~約1,900mg、約500mg~約1,850mg、約500mg~約1,800mg、約500mg~約1,750mg、約500mg~約1,700mg、約500mg~約1,650mg、約500mg~約1,600mg、約500mg~約1,550mg、約500mg~約1,500mg、約500mg~約1,450mg、約500mg~約1,400mg、約500mg~約1,350mg、約500mg~約1,300mg、約500mg~約1,250mg、約500mg~約1,200mg、約500mg~約1,150mg、約500mg~約1,100mg、約500mg~約1,050mg、約500mg~約1,000mg、約500mg~約950mg、約500mg~約900mg、約500mg~約900mg、約500mg~約850mg、約500mg~約800mg、約500mg~約750mg、約500mg~約700mg、約500mg~約650mg、約500mg~約600mg、約500mg~約550mg、約600mg~約2,000mg、約600mg~約1,950mg、約600mg~約1,900mg、約600mg~約1,850mg、約600mg~約1,800mg、約600mg~約1,750mg、約600mg~約1,700mg、約600mg~約1,650mg、約600mg~約1,600mg、約600mg~約1,550mg、約600mg~約1,500mg、約600mg~約1,450mg、約600mg~約1,400mg、約600mg~約1,350mg、約600mg~約1,300mg、約600mg~約1,250mg、約600mg~約1,200mg、約600mg~約1,150mg、約600mg~約1,100mg、約600mg~約1,050mg、約600mg~約1,000mg、約600mg~約950mg、約600mg~約900mg、約600mg~約900mg、約600mg~約850mg、約600mg~約800mg、約600mg~約750mg、約600mg~約700mg、約600mg~約650mg、約700mg~約2,000mg、約700mg~約1,950mg、約700mg~約1,900mg、約700mg~約1,850mg、約700mg~約1,800mg、約700mg~約1,750mg、約700mg~約1,700mg、約700mg~約1,650mg、約700mg~約1,600mg、約700mg~約1,550mg、約700mg~約1,500mg、約700mg~約1,450mg、約700mg~約1,400mg、約700mg~約1,350mg、約700mg~約1,300mg、約700mg~約1,250mg、約700mg~約1,200mg、約700mg~約1,150mg、約700mg~約1,100mg、約700mg~約1,050mg、約700mg~約1,000mg、約700mg~約950mg、約700mg~約900mg、約700mg~約900mg、約700mg~約850mg、約700mg~約800mg、約700mg~約750mg、約800mg~約2,000mg、約800mg~約1,950mg、約800mg~約1,900mg、約800mg~約1,850mg、約800mg~約1,800mg、約800mg~約1,750mg、約800mg~約1,700mg、約800mg~約1,650mg、約800mg~約1,600mg、約800mg~約1,550mg、約800mg~約1,500mg、約800mg~約1,450mg、約800mg~約1,400mg、約800mg~約1,350mg、約800mg~約1,300mg、約800mg~約1,250mg、約800mg~約1,200mg、約800mg~約1,150mg、約800mg~約1,100mg、約800mg~約1,050mg、約800mg~約1,000mg、約800mg~約950mg、約800mg~約900mg、約800mg~約900mg、約800mg~約850mg、約900mg~約2,000mg、約900mg~約1,950mg、約900mg~約1,900mg、約900mg~約1,850mg、約900mg~約1,800mg、約900mg~約1,750mg、約900mg~約1,700mg、約900mg~約1,650mg、約900mg~約1,600mg、約900mg~約1,550mg、約900mg~約1,500mg、約900mg~約1,450mg、約900mg~約1,400mg、約900mg~約1,350mg、約900mg~約1,300mg、約900mg~約1,250mg、約900mg~約1,200mg、約900mg~約1,150mg、約900mg~約1,100mg、約900mg~約1,050mg、約900mg~約1,000mg、約900mg~約950mg、約1,000mg~約2,000mg、約1,000mg~約1,950mg、約1,000mg~約1,900mg、約1,000mg~約1,850mg、約1,000mg~約1,800mg、約1,000mg~約1,750mg、約1,000mg~約1,700mg、約1,000mg~約1,650mg、約1,000mg~約1,600mg、約1,000mg~約1,550mg、約1,000mg~約1,500mg、約1,000mg~約1,450mg、約1,000mg~約1,400mg、約1,000mg~約1,350mg、約1,000mg~約1,300mg、約1,000mg~約1,250mg、約1,000mg~約1,200mg、約1,000mg~約1,150mg、約1,000mg~約1,100mg、約1,000mg~約1,050mg、約1,100mg~約2,000mg、約1,100mg~約1,950mg、約1,100mg~約1,900mg、約1,100mg~約1,850mg、約1,100mg~約1,800mg、約1,100mg~約1,750mg、約1,100mg~約1,700mg、約1,100mg~約1,650mg、約1,100mg~約1,600mg、約1,100mg~約1,550mg、約1,100mg~約1,500mg、約1,100mg~約1,450mg、約1,100mg~約1,400mg、約1,100mg~約1,350mg、約1,100mg~約1,300mg、約1,100mg~約1,250mg、約1,100mg~約1,200mg、約1,100mg~約1,150mg、約1,200mg~約2,000mg、約1,200mg~約1,950mg、約1,200mg~約1,900mg、約1,200mg~約1,850mg、約1,200mg~約1,800mg、約1,200mg~約1,750mg、約1,200mg~約1,700mg、約1,200mg~約1,650mg、約1,200mg~約1,600mg、約1,200mg~約1,550mg、約1,200mg~約1,500mg、約1,200mg~約1,450mg、約1,200mg~約1,400mg、約1,200mg~約1,350mg、約1,200mg~約1,300mg、約1,200mg~約1,250mg、約1,300mg~約2,000mg、約1,300mg~約1,950mg、約1,300mg~約1,900mg、約1,300mg~約1,850mg、約1,300mg~約1,800mg、約1,300mg~約1,750mg、約1,300mg~約1,700mg、約1,300mg~約1,650mg、約1,300mg~約1,600mg、約1,300mg~約1,550mg、約1,300mg~約1,500mg、約1,300mg~約1,450mg、約1,300mg~約1,400mg、約1,300mg~約1,350mg、約1,400mg~約2,000mg、約1,400mg~約1,950mg、約1,400mg~約1,900mg、約1,400mg~約1,850mg、約1,400mg~約1,800mg、約1,400mg~約1,750mg、約1,400mg~約1,700mg、約1,400mg~約1,650mg、約1,400mg~約1,600mg、約1,400mg~約1,550mg、約1,400mg~約1,500mg、約1,400mg~約1,450mg、約1,500mg~約2,000mg、約1,500mg~約1,950mg、約1,500mg~約1,900mg、約1,500mg~約1,850mg、約1,500mg~約1,800mg、約1,500mg~約1,750mg、約1,500mg~約1,700mg、約1,500mg~約1,650mg、約1,500mg~約1,600mg、約1,500mg~約1,550mg、約1,600mg~約2,000mg、約1,600mg~約1,950mg、約1,600mg~約1,900mg、約1,600mg~約1,850mg、約1,600mg~約1,800mg、約1,600mg~約1,750mg、約1,600mg~約1,700mg、約1,600mg~約1,650mg、約1,700mg~約2,000mg、約1,700mg~約1,950mg、約1,700mg~約1,900mg、約1,700mg~約1,850mg、約1,700mg~約1,800mg、約1,700mg~約1,750mg、約1,800mg~約2,000mg、約1,800mg~約1,950mg、約1,800mg~約1,900mg、約1,800mg~約1,850mg、約1,900mg~約2,000mg、または約1,900mg~約1,950mg)で独立に投与される。
【0231】
いくつかの態様では、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量は、対象に、約80mg~約120mgのニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)(例えば、約80mg~約100mg、約80mg~約90mg、約90mg~約120mg、約90mg~約100mg、約100mg~約120mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、または約120mg)で独立に投与される。いくつかの態様では、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgのニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)で独立に投与される。いくつかの態様では、約100mgのニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の2つ以上の用量は、対象に1日2回独立に投与される(例えば、経口投与される)。
【0232】
BCMA抗体およびその抗原結合断片ならびにニロガセスタットの導入投薬および維持投薬
いくつかの態様では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の1つまたは複数の導入用量を対象に投与する工程を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法はさらに、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量を対象に投与する工程を含む。
【0233】
いくつかの態様では、1つまたは複数の導入用量は、対象に、約100、200、400、800、または1600mgの抗体または抗原結合断片で独立に投与され、ニロガセスタットの各用量は、対象に、約100mgのニロガセスタットで投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の導入用量は、800mgの抗体または抗原結合断片であり、ニロガセスタットの各用量は、対象に、約100mgのニロガセスタットで投与される。さらなる態様では、1つまたは複数の導入用量は、1600mgの抗体または抗原結合断片であり、ニロガセスタットの各用量は、対象に、約100mgのニロガセスタットで投与される。
【0234】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、週に1回~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、週に約1回の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、2週間毎に約1回、3週間毎に約1回、または4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0235】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、かつ対象に、週に約1回または2週間毎に約1回独立に投与される。
【0236】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、28日サイクルの1日目および15日目に独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の個別用量は、対象に、複数回の28日サイクルで独立に投与される。
【0237】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、(1)導入期中に対象に独立に投与される1つまたは複数の導入用量と、(2)導入期後の維持期中に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量とを含む。いくつかの態様では、単一の導入用量が、対象に投与される。いくつかの態様では、2つ以上の導入用量が、対象に独立に投与される。いくつかの態様では、2つ以上の導入用量の各々は、対象に、約1~10週間にわたって週に約1回独立に投与される。いくつかの態様では、2つ以上の導入用量の各々は、対象に、8週間にわたって週に1回独立に投与される。いくつかの態様では、導入用量は、対象に、1回の28日サイクル内で4回独立に投与される。
【0238】
いくつかの態様では、導入用量は、対象に、2回の28日サイクル内で8回独立に投与される。いくつかの態様では、個別の導入用量は、対象に、2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目に独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0239】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、各導入用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;各維持用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;個別の導入用量は、対象に、導入期中に合計8つの導入用量で2回の28日サイクルの各々について1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与され;かつ、個別の維持用量は、対象に、1回または複数回の後続の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に独立に投与される。
【0240】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の用量は、対象に静脈内投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの単一用量が、対象に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量が、対象に独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含む。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1日に約1回~1日に約4回の頻度で独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1日に約2回の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含み、ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、1回の28日サイクルの各日に、1日に約2回の頻度で独立に投与される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、ニロガセスタットの用量は、対象に経口投与される。
【0241】
B. ニロガセスタットおよびデキサメタゾンとの併用療法
また、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される例示的な抗体または抗原結合断片のいずれか)の1つまたは複数の用量と、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩、ニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量と、デキサメタゾンの1つまたは複数の用量とを対象に投与する工程を含む、多発性骨髄腫(MM)を有する対象を処置する方法も本明細書に提供される。
【0242】
BCMA抗体またはその抗原断片、ニロガセスタットおよびデキサメタゾンの一般的投薬
いくつかの態様では、1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgの抗体または抗原結合断片~約2,000mgの抗体または抗原結合断片(例えば、約100mg~約2,000mg、約100mg~約1,950mg、約100mg~約1,900mg、約100mg~約1,850mg、約100mg~約1,800mg、約100mg~約1,750mg、約100mg~約1,700mg、約100mg~約1,650mg、約100mg~約1,600mg、約100mg~約1,550mg、約100mg~約1,500mg、約100mg~約1,450mg、約100mg~約1,400mg、約100mg~約1,350mg、約100mg~約1,300mg、約100mg~約1,250mg、約100mg~約1,200mg、約100mg~約1,150mg、約100mg~約1,100mg、約100mg~約1,050mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約950mg、約100mg~約900mg、約100mg~約850mg、約100mg~約800mg、約100mg~約750mg、約100mg~約700mg、約100mg~約650mg、約100mg~約600mg、約100mg~約550mg、約100mg~約500mg、約100mg~約450mg、約100mg~約400mg、約100mg~約350mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、約100mg~約150mg、約200mg~約2,000mg、約200mg~約1,950mg、約200mg~約1,900mg、約200mg~約1,850mg、約200mg~約1,800mg、約200mg~約1,750mg、約200mg~約1,700mg、約200mg~約1,650mg、約200mg~約1,600mg、約200mg~約1,550mg、約200mg~約1,500mg、約200mg~約1,450mg、約200mg~約1,400mg、約200mg~約1,350mg、約200mg~約1,300mg、約200mg~約1,250mg、約200mg~約1,200mg、約200mg~約1,150mg、約200mg~約1,100mg、約200mg~約1,050mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約950mg、約200mg~約900mg、約200mg~約850mg、約200mg~約800mg、約200mg~約750mg、約200mg~約700mg、約200mg~約650mg、約200mg~約600mg、約200mg~約550mg、約200mg~約500mg、約200mg~約450mg、約200mg~約400mg、約200mg~約350mg、約200mg~約300mg、約200mg~約250mg、約300mg~約2,000mg、約300mg~約1,950mg、約300mg~約1,900mg、約300mg~約1,850mg、約300mg~約1,800mg、約300mg~約1,750mg、約300mg~約1,700mg、約300mg~約1,650mg、約300mg~約1,600mg、約300mg~約1,550mg、約300mg~約1,500mg、約300mg~約1,450mg、約300mg~約1,400mg、約300mg~約1,350mg、約300mg~約1,300mg、約300mg~約1,250mg、約300mg~約1,200mg、約300mg~約1,150mg、約300mg~約1,100mg、約300mg~約1,050mg、約300mg~約1,000mg、約300mg~約950mg、約300mg~約900mg、約300mg~約850mg、約300mg~約800mg、約300mg~約750mg、約300mg~約700mg、約300mg~約650mg、約300mg~約600mg、約300mg~約550mg、約300mg~約500mg、約300mg~約450mg、約300mg~約400mg、約300mg~約350mg、約400mg~約2,000mg、約400mg~約1,950mg、約400mg~約1,900mg、約400mg~約1,850mg、約400mg~約1,800mg、約400mg~約1,750mg、約400mg~約1,700mg、約400mg~約1,650mg、約400mg~約1,600mg、約400mg~約1,550mg、約400mg~約1,500mg、約400mg~約1,450mg、約400mg~約1,400mg、約400mg~約1,350mg、約400mg~約1,300mg、約400mg~約1,250mg、約400mg~約1,200mg、約400mg~約1,150mg、約400mg~約1,100mg、約400mg~約1,050mg、約400mg~約1,000mg、約400mg~約950mg、約400mg~約900mg、約400mg~約900mg、約400mg~約850mg、約400mg~約800mg、約400mg~約750mg、約400mg~約700mg、約400mg~約650mg、約400mg~約600mg、約400mg~約550mg、約400mg~約500mg、約400mg~約450mg、約500mg~約2,000mg、約500mg~約1,950mg、約500mg~約1,900mg、約500mg~約1,850mg、約500mg~約1,800mg、約500mg~約1,750mg、約500mg~約1,700mg、約500mg~約1,650mg、約500mg~約1,600mg、約500mg~約1,550mg、約500mg~約1,500mg、約500mg~約1,450mg、約500mg~約1,400mg、約500mg~約1,350mg、約500mg~約1,300mg、約500mg~約1,250mg、約500mg~約1,200mg、約500mg~約1,150mg、約500mg~約1,100mg、約500mg~約1,050mg、約500mg~約1,000mg、約500mg~約950mg、約500mg~約900mg、約500mg~約900mg、約500mg~約850mg、約500mg~約800mg、約500mg~約750mg、約500mg~約700mg、約500mg~約650mg、約500mg~約600mg、約500mg~約550mg、約600mg~約2,000mg、約600mg~約1,950mg、約600mg~約1,900mg、約600mg~約1,850mg、約600mg~約1,800mg、約600mg~約1,750mg、約600mg~約1,700mg、約600mg~約1,650mg、約600mg~約1,600mg、約600mg~約1,550mg、約600mg~約1,500mg、約600mg~約1,450mg、約600mg~約1,400mg、約600mg~約1,350mg、約600mg~約1,300mg、約600mg~約1,250mg、約600mg~約1,200mg、約600mg~約1,150mg、約600mg~約1,100mg、約600mg~約1,050mg、約600mg~約1,000mg、約600mg~約950mg、約600mg~約900mg、約600mg~約900mg、約600mg~約850mg、約600mg~約800mg、約600mg~約750mg、約600mg~約700mg、約600mg~約650mg、約700mg~約2,000mg、約700mg~約1,950mg、約700mg~約1,900mg、約700mg~約1,850mg、約700mg~約1,800mg、約700mg~約1,750mg、約700mg~約1,700mg、約700mg~約1,650mg、約700mg~約1,600mg、約700mg~約1,550mg、約700mg~約1,500mg、約700mg~約1,450mg、約700mg~約1,400mg、約700mg~約1,350mg、約700mg~約1,300mg、約700mg~約1,250mg、約700mg~約1,200mg、約700mg~約1,150mg、約700mg~約1,100mg、約700mg~約1,050mg、約700mg~約1,000mg、約700mg~約950mg、約700mg~約900mg、約700mg~約900mg、約700mg~約850mg、約700mg~約800mg、約700mg~約750mg、約800mg~約2,000mg、約800mg~約1,950mg、約800mg~約1,900mg、約800mg~約1,850mg、約800mg~約1,800mg、約800mg~約1,750mg、約800mg~約1,700mg、約800mg~約1,650mg、約800mg~約1,600mg、約800mg~約1,550mg、約800mg~約1,500mg、約800mg~約1,450mg、約800mg~約1,400mg、約800mg~約1,350mg、約800mg~約1,300mg、約800mg~約1,250mg、約800mg~約1,200mg、約800mg~約1,150mg、約800mg~約1,100mg、約800mg~約1,050mg、約800mg~約1,000mg、約800mg~約950mg、約800mg~約900mg、約800mg~約900mg、約800mg~約850mg、約900mg~約2,000mg、約900mg~約1,950mg、約900mg~約1,900mg、約900mg~約1,850mg、約900mg~約1,800mg、約900mg~約1,750mg、約900mg~約1,700mg、約900mg~約1,650mg、約900mg~約1,600mg、約900mg~約1,550mg、約900mg~約1,500mg、約900mg~約1,450mg、約900mg~約1,400mg、約900mg~約1,350mg、約900mg~約1,300mg、約900mg~約1,250mg、約900mg~約1,200mg、約900mg~約1,150mg、約900mg~約1,100mg、約900mg~約1,050mg、約900mg~約1,000mg、約900mg~約950mg、約1,000mg~約2,000mg、約1,000mg~約1,950mg、約1,000mg~約1,900mg、約1,000mg~約1,850mg、約1,000mg~約1,800mg、約1,000mg~約1,750mg、約1,000mg~約1,700mg、約1,000mg~約1,650mg、約1,000mg~約1,600mg、約1,000mg~約1,550mg、約1,000mg~約1,500mg、約1,000mg~約1,450mg、約1,000mg~約1,400mg、約1,000mg~約1,350mg、約1,000mg~約1,300mg、約1,000mg~約1,250mg、約1,000mg~約1,200mg、約1,000mg~約1,150mg、約1,000mg~約1,100mg、約1,000mg~約1,050mg、約1,100mg~約2,000mg、約1,100mg~約1,950mg、約1,100mg~約1,900mg、約1,100mg~約1,850mg、約1,100mg~約1,800mg、約1,100mg~約1,750mg、約1,100mg~約1,700mg、約1,100mg~約1,650mg、約1,100mg~約1,600mg、約1,100mg~約1,550mg、約1,100mg~約1,500mg、約1,100mg~約1,450mg、約1,100mg~約1,400mg、約1,100mg~約1,350mg、約1,100mg~約1,300mg、約1,100mg~約1,250mg、約1,100mg~約1,200mg、約1,100mg~約1,150mg、約1,200mg~約2,000mg、約1,200mg~約1,950mg、約1,200mg~約1,900mg、約1,200mg~約1,850mg、約1,200mg~約1,800mg、約1,200mg~約1,750mg、約1,200mg~約1,700mg、約1,200mg~約1,650mg、約1,200mg~約1,600mg、約1,200mg~約1,550mg、約1,200mg~約1,500mg、約1,200mg~約1,450mg、約1,200mg~約1,400mg、約1,200mg~約1,350mg、約1,200mg~約1,300mg、約1,200mg~約1,250mg、約1,300mg~約2,000mg、約1,300mg~約1,950mg、約1,300mg~約1,900mg、約1,300mg~約1,850mg、約1,300mg~約1,800mg、約1,300mg~約1,750mg、約1,300mg~約1,700mg、約1,300mg~約1,650mg、約1,300mg~約1,600mg、約1,300mg~約1,550mg、約1,300mg~約1,500mg、約1,300mg~約1,450mg、約1,300mg~約1,400mg、約1,300mg~約1,350mg、約1,400mg~約2,000mg、約1,400mg~約1,950mg、約1,400mg~約1,900mg、約1,400mg~約1,850mg、約1,400mg~約1,800mg、約1,400mg~約1,750mg、約1,400mg~約1,700mg、約1,400mg~約1,650mg、約1,400mg~約1,600mg、約1,400mg~約1,550mg、約1,400mg~約1,500mg、約1,400mg~約1,450mg、約1,500mg~約2,000mg、約1,500mg~約1,950mg、約1,500mg~約1,900mg、約1,500mg~約1,850mg、約1,500mg~約1,800mg、約1,500mg~約1,750mg、約1,500mg~約1,700mg、約1,500mg~約1,650mg、約1,500mg~約1,600mg、約1,500mg~約1,550mg、約1,600mg~約2,000mg、約1,600mg~約1,950mg、約1,600mg~約1,900mg、約1,600mg~約1,850mg、約1,600mg~約1,800mg、約1,600mg~約1,750mg、約1,600mg~約1,700mg、約1,600mg~約1,650mg、約1,700mg~約2,000mg、約1,700mg~約1,950mg、約1,700mg~約1,900mg、約1,700mg~約1,850mg、約1,700mg~約1,800mg、約1,700mg~約1,750mg、約1,800mg~約2,000mg、約1,800mg~約1,950mg、約1,800mg~約1,900mg、約1,800mg~約1,850mg、約1,900mg~約2,000mg、または約1,900mg~約1,950mg)で独立に投与される。
【0243】
いくつかの態様では、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量は、対象に、約80mg~約120mg(例えば、約80mg~約100mg、約80mg~約90mg、約90mg~約120mg、約90mg~約100mg、約100mg~約120mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、または約120mg)のニロガセスタットで独立に投与される。いくつかの態様では、ニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の1つまたは複数の用量は、対象に、約100mgのニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)で独立に投与される。いくつかの態様では、約100mgのニロガセスタット(例えば、ニロガセスタット二臭化水素酸塩またはニロガセスタット臭化水素酸塩)の2つ以上の用量は、対象に1日2回独立に投与される(例えば、経口投与される)。
【0244】
いくつかの態様では、デキサメタゾンの1つまたは複数の用量は、対象に、約5mg~約200mg(例えば、約5mg~約150mg、約5mg~約100mg、約5mg~約90mg、約5mg~約80mg、約5mg~約70mg、約5mg~約60mg、約5mg~約50mg、約5mg~約40mg、約5mg~約30mg、約5mg~約20mg、約10mg~約200mg、約10mg~約150mg、約10mg~約100mg、約10mg~約90mg、約10mg~約80mg、約10mg~約70mg、約10mg~約60mg、約10mg~約50mg、約10mg~約40mg、約10mg~約30mg、約10mg~約20mg、約20mg~約200mg、約20mg~約150mg、約20mg~約100mg、約20mg~約90mg、約20mg~約80mg、約20mg~約70mg、約20mg~約60mg、約20mg~約50mg、約20mg~約40mg、約20mg~約30mg、約30mg~約200mg、約30mg~約150mg、約30mg~約100mg、約30mg~約90mg、約30mg~約80mg、約30mg~約70mg、約30mg~約60mg、約30mg~約50mg、約30mg~約40mg、約40mg~約200mg、約40mg~約150mg、約40mg~約100mg、約40mg~約80mg、約40mg~約60mg、約40mg~約50mg、約50mg~約200mg、約50mg~約150mg、約50mg~約100mg、約50mg~約90mg、約50mg~約80mg、約50mg~約70mg、約50mg~約60mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約115mg、約120mg、約140mg、約150mg、約170mg、約180mg、または約200mg)で独立に投与される。
【0245】
BCMA抗体およびその抗原結合断片、ニロガセスタットならびにデキサメタゾンの導入投薬および維持投薬
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量の各々は、対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;ニロガセスタットの各用量は、対象に、1日に1回~1日に約4回の頻度で独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの各用量は、対象に、1~4週間毎に約1回の頻度で独立に投与される。
【0246】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、対象に、2週間毎に約1回独立に投与され;ニロガセスタットの各用量は、対象に、1日2回独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの各用量は、対象に、週に約1回独立に投与される。
【0247】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の各用量は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;ニロガセスタットの各用量は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの各用量は、対象に、1回または複数回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される。
【0248】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、約400~1600mg(または本明細書に記載されるこの範囲の部分範囲のいずれか)の抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの各用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0249】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、約400mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの各用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0250】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの各用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0251】
いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み、ニロガセスタットの各用量は、約100mgのニロガセスタットを含み、かつ、デキサメタゾンの各用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0252】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、導入期中に週に約1回の頻度で独立に投与され、かつ、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、後続の維持期中に2週間毎に約1回の頻度で独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に1日に約2回の頻度で独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、対象に、導入期と維持期の一方または両方の際に週に約1回の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、導入期は、約8週間である。
【0253】
いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に、次いで、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目の各日に独立に投与され;ニロガセスタットの2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に独立に投与され;かつ、デキサメタゾンの2つ以上の用量は、対象に、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に独立に投与される。
【0254】
いくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約100mg、約200mg、約400mg、約800mg、または約1600mgの抗体またはその抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗原または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約100、約200、約400、約800、または約1600mgを含み;導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約80mg~約120mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約20mg~約60mgのデキサメタゾンを含む。
【0255】
いくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0256】
いくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体またはその抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1,600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0257】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含む。
【0258】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約20mgのデキサメタゾンを含む。
【0259】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0260】
いくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1600mgの抗体または抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約1600mgを含み;導入期の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0261】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、導入期の2回の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgの抗体または抗原結合断片を含み;後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目および15日目の各日に対象に独立に投与される抗体または抗原結合断片の2つ以上の用量は、約800mgを含み;導入期の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目~28日目の各日に対象に独立に投与されるニロガセスタットの2つ以上の用量は、約100mgのニロガセスタットを含み;そして、導入期の2回の28日サイクルの各々および後続の維持期の28日サイクルの各々の1日目、8日目、15日目および22日目の各日に対象に独立に投与されるデキサメタゾンの2つ以上の用量は、約40mgのデキサメタゾンを含む。
【0262】
いくつかの態様では、デキサメタゾンは、本明細書に記載される薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む)の各用量の投与の約10分~約5時間(例えば、約5分~約4.5時間、約5分~約4時間、約5分~約3.5時間、約5分~約3時間、約5分~約2.5時間、約5分~約2時間、約5分~約1.5時間、約5分~約1時間、約5分~約45分、約5分~約40分、約5分~約35分、約5分~約30分、約5分~約25分、約5分~約20分、約5分~約15分、約5分~約10分、約30分~約5時間、約30分~約4.5時間、約30分~約4時間、約30分~約3.5時間、約30分~約3時間、約30分~約2.5時間、約30分~約2時間、約30分~約1.5時間、約30分~約1時間、約30分~約45分、約1時間~約5時間、約1時間~約4.5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3.5時間、約1時間~約3時間、約1時間~約2.5時間、約1時間~約2時間、約1時間~約1.5時間)前に対象に投与される。
【0263】
いくつかの態様では、デキサメタゾンは、本明細書に記載される薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む)の各用量の投与の約10分~約5時間(例えば、約5分~約4.5時間、約5分~約4時間、約5分~約3.5時間、約5分~約3時間、約5分~約2.5時間、約5分~約2時間、約5分~約1.5時間、約5分~約1時間、約5分~約45分、約5分~約40分、約5分~約35分、約5分~約30分、約5分~約25分、約5分~約20分、約5分~約15分、約5分~約10分、約30分~約5時間、約30分~約4.5時間、約30分~約4時間、約30分~約3.5時間、約30分~約3時間、約30分~約2.5時間、約30分~約2時間、約30分~約1.5時間、約30分~約1時間、約30分~約45分、約1時間~約5時間、約1時間~約4.5時間、約1時間~約4時間、約1時間~約3.5時間、約1時間~約3時間、約1時間~約2.5時間、約1時間~約2時間、約1時間~約1.5時間)後に対象に投与される。
【0264】
いくつかの態様では、約40mgのデキサメタゾンの用量が、本明細書に記載される薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む)の各用量の約1~約3時間前に対象に投与される。
【0265】
C. 処置期間
いくつかの態様では、処置期間は、約1週間~約5年間(例えば、約1週間~約4.5年間、約1週間~約4年間、約1週間~約3.5年間、約1週間~約3年間、約1週間~約2.5年間、約1週間~約2年間、約1週間~約1.5年間、約1週間~約1年間、約1週間~約10ヶ月間、約1週間~約8ヶ月間、約1週間~約6ヶ月間、約1週間~約4ヶ月間、約1週間~約2ヶ月間、約1週間~約1ヶ月間、約1週間~約2週間、約2週間~約5年間、約2週間~約4.5年間、約2週間~約4年間、約2週間~約3.5年間、約2週間~約3年間、約2週間~約2.5年間、約2週間~約2年間、約2週間~約1.5年間、約2週間~約1年間、約2週間~約10ヶ月間、約2週間~約8ヶ月間、約2週間~約6ヶ月間、約2週間~約4ヶ月間、約2週間~約2ヶ月間、約2週間~約1ヶ月間、約1ヶ月間~約5年間、約1ヶ月間~約4.5年間、約1ヶ月間~約4年間、約1ヶ月間~約3.5年間、約1ヶ月間~約3年間、約1ヶ月間~約2.5年間、約1ヶ月間~約2年間、約1ヶ月間~約1.5年間、約1ヶ月間~約1年間、約1ヶ月間~約10ヶ月間、約1ヶ月間~約8ヶ月間、約1ヶ月間~約6ヶ月間、約1ヶ月間~約4ヶ月間、約1ヶ月間~約2ヶ月間、約2ヶ月間~約5年間、約2ヶ月間~約4.5年間、約2ヶ月間~約4年間、約2ヶ月間~約3.5年間、約2ヶ月間~約3年間、約2ヶ月間~約2.5年間、約2ヶ月間~約2年間、約2ヶ月間~約1.5年間、約2ヶ月間~約1年間、約2ヶ月間~約10ヶ月間、約2ヶ月間~約8ヶ月間、約2ヶ月間~約6ヶ月間、約2ヶ月間~約4ヶ月間、約4ヶ月間~約5年間、約4ヶ月間~約4.5年間、約4ヶ月間~約4年間、約4ヶ月間~約3.5年間、約4ヶ月間~約3年間、約4ヶ月間~約2.5年間、約4ヶ月間~約2年間、約4ヶ月間~約1.5年間、約4ヶ月間~約1年間、約4ヶ月間~約10ヶ月間、約4ヶ月間~約8ヶ月間、約4ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約5年間、約6ヶ月間~約4.5年間、約6ヶ月間~約4年間、約6ヶ月間~約3.5年間、約6ヶ月間~約3年間、約6ヶ月間~約2.5年間、約6ヶ月間~約2年間、約6ヶ月間~約1.5年間、約6ヶ月間~約1年間、約6ヶ月間~約10ヶ月間、約6ヶ月間~約8ヶ月間、約8ヶ月間~約5年間、約8ヶ月間~約4.5年間、約8ヶ月間~約4年間、約8ヶ月間~約3.5年間、約8ヶ月間~約3年間、約8ヶ月間~約2.5年間、約8ヶ月間~約2年間、約8ヶ月間~約1.5年間、約8ヶ月間~約1年間、約8ヶ月間~約10ヶ月間、約10ヶ月間~約5年間、約10ヶ月間~約4.5年間、約10ヶ月間~約4年間、約10ヶ月間~約3.5年間、約10ヶ月間~約3年間、約10ヶ月間~約2.5年間、約10ヶ月間~約2年間、約10ヶ月間~約1.5年間、約10ヶ月間~約1年間、約1年間~約5年間、約1年間~約4.5年間、約1年間~約4年間、約1年間~約3.5年間、約1年間~約3年間、約1年間~約2.5年間、約1年間~約2年間、約1年間~約1.5年間、約1.5年間~約5年間、約1.5年間~約4.5年間、約1.5年間~約4年間、約1.5年間~約3.5年間、約1.5年間~約3年間、約1.5年間~約2.5年間、約1.5年間~約2年間、約2年間~約5年間、約2年間~約4.5年間、約2年間~約4年間、約2年間~約3.5年間、約2年間~約3年間、約2年間~約2.5年間、約2.5年間~約5年間、約2.5年間~約4.5年間、約2.5年間~約4年間、約2/5年間~約3.5年間、約2.5年間~約3年間、約3年間~約5年間、約3年間~約4.5年間、約3年間~約4年間、約3年間~約3.5年間、約3.5年間~約5年間、約3.5年間~約4.5年間、約3.5年間~約4年間、約4年間~約5年間、約4年間~約4.5年間、または約4.5年間~約5年間)であることができる。
【0266】
対象における多発性骨髄腫の効果的な処置は、対象における多発性骨髄腫の疾患重症度の低減、発生率の減少、ならびに/または1つもしくは複数の症状の数、頻度、重症度および/もしくは持続期間の1つもしくは複数の低減のうちの1つまたは複数を意味する。いくつかの場合には、既存対照または同一対象での過去の経験と比べて、対象において治療有効性を観察することができる。他の場合には、前臨床または臨床試験で、未処置のまたはプラセボ処置された対象の対照集団と比べて、処置された対象の集団において治療有効性を実証することができる。
【0267】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物は、2週間毎に1回の頻度で投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物は、1600mgの固定用量で週1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物は、1600mgの固定用量で2週間毎に1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物は、800mgの固定用量で週1回投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物は、800mgの固定用量で2週間毎に1回投与される。
【0268】
いくつかの態様では、多発性骨髄腫を有する対象を処置する方法であって、対象に、(i)B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量、および(ii)ニロガセスタットを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量、ならびに任意で(iii)デキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量を投与する工程を含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、多発性骨髄腫は、再発または難治性多発性骨髄腫(RRMM)である。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む。いくつかの態様では、抗体は、IgG1抗体である。
【0269】
いくつかの態様では、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、800mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の約1つ~2つの導入用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与され、続いて、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。いくつかの態様では、800mgの抗体またはその抗原結合断片の約1つ~2つの導入用量が、対象に、毎週の頻度で独立に投与され、続いて、1600mgの抗体またはその抗原結合断片の1つまたは複数の維持用量が、対象に、2週間毎の頻度で独立に投与される。
【0270】
いくつかの態様では、対象は、多発性骨髄腫に対する1つまたは複数の治療剤または処置を以前に投与されていた。以前に受けた1つまたは複数の多発性骨髄腫の治療剤または処置としては、プロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、対象は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、および抗CD38抗体のうちの少なくとも1つ以外のBCMA指向型骨髄腫療法を以前に受けているか、または前述のいずれも忍容できない。
【0271】
具体的には、プロテアソーム阻害剤は、その作用機序がプロテアソームを阻害することである作用物質である。例示的なプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブおよびイキサゾミブが挙げられるが、それらに限定されない。免疫調節薬(IMiD)は、免疫調節、抗血管新生、抗炎症および抗増殖効果を含む多面的な抗骨髄腫特性を保有するサリドマイド類似体である。免疫調節イミド薬(IMiD)は、「イミド」基を含有する免疫調節剤である。例示的なIMiDとしては、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、およびイベルドミド(CC-220, Celgene)が挙げられるが、それらに限定されない。例示的な抗CD38抗体としては、ダラツムマブおよびイサツキシマブが挙げられるが、それらに限定されない。
【0272】
いくつかの態様では、以前に投与された1つまたは複数の治療剤または処置は、多発性骨髄腫の処置において効果がなかった。いくつかの態様では、対象は、血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL、尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間、血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dL、および/または異常な血清免疫グロブリンカッパ対ラムダ遊離軽鎖比を含む、1つまたは複数の測定可能な疾患を有する。
【0273】
D. 投与の経路
薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか、またはデキサメタゾンを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか)の投与は、非経口であることができる。いくつかの態様では、薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか、またはデキサメタゾンを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか)の投与は、静脈内、皮下、動脈内、頭蓋内、鞘内、腹腔内、または筋肉内であることができる。投与はまた、腫瘍内に直接限局させることもできる。静脈内または皮下投与による体循環への投与。いくつかの態様では、薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか、またはデキサメタゾンを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか)の投与は、全身性である。いくつかの態様では、薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか、またはデキサメタゾンを含む本明細書に記載される例示的な薬学的組成物のいずれか)の全身投与は、静脈内投与である。
【0274】
静脈内投与は、例えば、段階的注入または単回ボーラス注射によって行うことができる。いくつかの態様では、段階的注入は、約20mg/時間~約500mg/時間(例えば、約20mg/時間~約450mg/時間、約20mg/時間~約400mg/時間、約20mg/時間~約350mg/時間、約20mg/時間~約300mg/時間、約20mg/時間~約250mg/時間、約20mg/時間~約200mg/時間、約20mg/時間~約180mg/時間、約20mg/時間~約160mg/時間、約20mg/時間~約140mg/時間、約20mg/時間~約120mg/時間、約20mg/時間~約100mg/時間、約20mg/時間~約80mg/時間、約20mg/時間~約60mg/時間、約20mg/時間~約50mg/時間、約20mg/時間~約40mg/時間、約40mg/時間~約500mg/時間、約40mg/時間~約450mg/時間、約40mg/時間~約400mg/時間、約40mg/時間~約350mg/時間、約40mg/時間~約300mg/時間、約40mg/時間~約250mg/時間、約40mg/時間~約200mg/時間、約40mg/時間~約180mg/時間、約40mg/時間~約160mg/時間、約40mg/時間~約140mg/時間、約40mg/時間~約120mg/時間、約40mg/時間~約100mg/時間、約40mg/時間~約80mg/時間、約40mg/時間~約60mg/時間、約40mg/時間~約50mg/時間、約50mg/時間~約500mg/時間、約50mg/時間~約450mg/時間、約50mg/時間~約400mg/時間、約50mg/時間~約350mg/時間、約50mg/時間~約300mg/時間、約50mg/時間~約250mg/時間、約50mg/時間~約200mg/時間、約50mg/時間~約180mg/時間、約50mg/時間~約160mg/時間、約50mg/時間~約140mg/時間、約50mg/時間~約120mg/時間、約50mg/時間~約100mg/時間、約50mg/時間~約80mg/時間、約50mg/時間~約60mg/時間、約60mg/時間~約500mg/時間、約60mg/時間~約450mg/時間、約60mg/時間~約400mg/時間、約60mg/時間~約350mg/時間、約60mg/時間~約300mg/時間、約60mg/時間~約250mg/時間、約60mg/時間~約200mg/時間、約60mg/時間~約180mg/時間、約60mg/時間~約160mg/時間、約60mg/時間~約140mg/時間、約60mg/時間~約120mg/時間、約60mg/時間~約100mg/時間、約60mg/時間~約80mg/時間、約80mg/時間~約500mg/時間、約80mg/時間~約450mg/時間、約80mg/時間~約400mg/時間、約80mg/時間~約350mg/時間、約80mg/時間~約300mg/時間、約80mg/時間~約250mg/時間、約80mg/時間~約200mg/時間、約80mg/時間~約180mg/時間、約80mg/時間~約160mg/時間、約80mg/時間~約140mg/時間、約80mg/時間~約120mg/時間、約80mg/時間~約100mg/時間、約100mg/時間~約500mg/時間、約100mg/時間~約450mg/時間、約100mg/時間~約400mg/時間、約100mg/時間~約350mg/時間、約100mg/時間~約300mg/時間、約100mg/時間~約250mg/時間、約100mg/時間~約200mg/時間、約100mg/時間~約180mg/時間、約100mg/時間~約160mg/時間、約100mg/時間~約140mg/時間、約100mg/時間~約120mg/時間、約120mg/時間~約500mg/時間、約120mg/時間~約450mg/時間、約120mg/時間~約400mg/時間、約120mg/時間~約350mg/時間、約120mg/時間~約300mg/時間、約120mg/時間~約250mg/時間、約120mg/時間~約200mg/時間、約120mg/時間~約180mg/時間、約120mg/時間~約160mg/時間、約120mg/時間~約140mg/時間、約140mg/時間~約500mg/時間、約140mg/時間~約450mg/時間、約140mg/時間~約400mg/時間、約140mg/時間~約350mg/時間、約140mg/時間~約300mg/時間、約140mg/時間~約250mg/時間、約140mg/時間~約200mg/時間、約140mg/時間~約180mg/時間、約140mg/時間~約160mg/時間、約160mg/時間~約500mg/時間、約160mg/時間~約450mg/時間、約160mg/時間~約400mg/時間、約160mg/時間~約350mg/時間、約160mg/時間~約300mg/時間、約160mg/時間~約250mg/時間、約160mg/時間~約200mg/時間、約160mg/時間~約180mg/時間、約180mg/時間~約500mg/時間、約180mg/時間~約450mg/時間、約180mg/時間~約400mg/時間、約180mg/時間~約350mg/時間、約180mg/時間~約300mg/時間、約180mg/時間~約250mg/時間、約180mg/時間~約200mg/時間、約200mg/時間~約500mg/時間、約200mg/時間~約450mg/時間、約200mg/時間~約400mg/時間、約200mg/時間~約350mg/時間、約200mg/時間~約300mg/時間、約200mg/時間~約250mg/時間、約250mg/時間~約500mg/時間、約250mg/時間~約450mg/時間、約250mg/時間~約400mg/時間、約250mg/時間~約350mg/時間、約250mg/時間~約300mg/時間、約300mg/時間~約500mg/時間、約300mg/時間~約450mg/時間、約300mg/時間~約400mg/時間、約300mg/時間~約350mg/時間、約350mg/時間~約500mg/時間、約350mg/時間~約450mg/時間、約350mg/時間~約400mg/時間、約400mg/時間~約500mg/時間、約400mg/時間~約450mg/時間、または約450mg/時間~約500mg/時間)の注入速度を使用して行われる。
【0275】
いくつかの態様では、段階的注入速度は、約10分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入速度は、約20分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入速度は、約30分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入速度は、約40分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入速度は、約50分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入速度は、約60分間毎に上昇させる。いくつかの態様では、段階的注入の間、注入速度は、約30分間毎に約2倍以内で上昇させる。
【0276】
いくつかの態様では、ニロガセスタットを含む薬学的組成物の投与は経口投与であることができる。そのような態様では、ニロガセスタットを含む薬学的組成物を、錠剤、カプセル、または水性懸濁剤として製剤化することができる。
【0277】
E. 薬物動態効果
いくつかの態様では、本明細書に記載される薬学的組成物の、本明細書に記載される方法のいずれかを使用した投与は、対象中の腫瘍細胞の表面に発現されるBCMAの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%に結合することができる、対象血清における、抗体またはその抗原結合断片の定常状態濃度をもたらす。
【0278】
ある特定の態様では、抗体または抗原結合断片は、抗体または抗原結合断片の半減期が少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15日であるような用量および注入速度の下で投与される。他の態様では、半減期は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間である。
【0279】
これらの方法のいくつかの態様は、約1μg/mL~約200μg/mL(例えば、約1μg/mL~約180μg/mL、約1μg/mL~約160μg/mL、約1μg/mL~約140μg/mL、約1μg/mL~約120μg/mL、約1μg/mL~約100μg/mL、約1μg/mL~約90μg/mL、約1μg/mL~約80μg/mL、約1μg/mL~約70μg/mL、約1μg/mL~約60μg/mL、約1μg/mL~約50μg/mL、約1μg/mL~約40μg/mL、約1μg/mL~約30μg/mL、約1μg/mL~約20μg/mL、約1μg/mL~約10μg/mL、約10μg/mL~約200μg/mL、約10μg/mL~約180μg/mL、約10μg/mL~約160μg/mL、約10μg/mL~約140μg/mL、約10μg/mL~約120μg/mL、約10μg/mL~約100μg/mL、約10μg/mL~約90μg/mL、約10μg/mL~約80μg/mL、約10μg/mL~約70μg/mL、約10μg/mL~約60μg/mL、約10μg/mL~約50μg/mL、約10μg/mL~約40μg/mL、約10μg/mL~約30μg/mL、約10μg/mL~約20μg/mL、約20μg/mL~約200μg/mL、約20μg/mL~約180μg/mL、約20μg/mL~約160μg/mL、約20μg/mL~約140μg/mL、約20μg/mL~約120μg/mL、約20μg/mL~約100μg/mL、約20μg/mL~約90μg/mL、約20μg/mL~約80μg/mL、約20μg/mL~約70μg/mL、約20μg/mL~約60μg/mL、約20μg/mL~約50μg/mL、約20μg/mL~約40μg/mL、約20μg/mL~約30μg/mL、約30μg/mL~約200μg/mL、約30μg/mL~約180μg/mL、約30μg/mL~約160μg/mL、約30μg/mL~約140μg/mL、約30μg/mL~約120μg/mL、約30μg/mL~約100μg/mL、約30μg/mL~約90μg/mL、約30μg/mL~約80μg/mL、約30μg/mL~約70μg/mL、約30μg/mL~約60μg/mL、約30μg/mL~約50μg/mL、約30μg/mL~約40μg/mL、約40μg/mL~約200μg/mL、約40μg/mL~約180μg/mL、約40μg/mL~約160μg/mL、約40μg/mL~約140μg/mL、約40μg/mL~約120μg/mL、約40μg/mL~約100μg/mL、約40μg/mL~約90μg/mL、約40μg/mL~約80μg/mL、約40μg/mL~約70μg/mL、約40μg/mL~約60μg/mL、約40μg/mL~約50μg/mL、約50μg/mL~約200μg/mL、約50μg/mL~約180μg/mL、約50μg/mL~約160μg/mL、約50μg/mL~約140μg/mL、約50μg/mL~約120μg/mL、約50μg/mL~約100μg/mL、約50μg/mL~約90μg/mL、約50μg/mL~約80μg/mL、約50μg/mL~約70μg/mL、約50μg/mL~約60μg/mL、約60μg/mL~約200μg/mL、約60μg/mL~約180μg/mL、約60μg/mL~約160μg/mL、約60μg/mL~約140μg/mL、約60μg/mL~約120μg/mL、約60μg/mL~約100μg/mL、約60μg/mL~約90μg/mL、約60μg/mL~約80μg/mL、約60μg/mL~約70μg/mL、約70μg/mL~約200μg/mL、約70μg/mL~約180μg/mL、約70μg/mL~約160μg/mL、約70μg/mL~約140μg/mL、約70μg/mL~約120μg/mL、約70μg/mL~約100μg/mL、約70μg/mL~約90μg/mL、約70μg/mL~約80μg/mL、約80μg/mL~約200μg/mL、約80μg/mL~約180μg/mL、約80μg/mL~約160μg/mL、約80μg/mL~約140μg/mL、約80μg/mL~約120μg/mL、約80μg/mL~約100μg/mL、約80μg/mL~約90μg/mL、約90μg/mL~約200μg/mL、約90μg/mL~約180μg/mL、約90μg/mL~約160μg/mL、約90μg/mL~約140μg/mL、約90μg/mL~約120μg/mL、約90μg/mL~約100μg/mL、約100μg/mL~約200μg/mL、約100μg/mL~約180μg/mL、約100μg/mL~約160μg/mL、約100μg/mL~約140μg/mL、約100μg/mL~約120μg/mL、約120μg/mL~約200μg/mL、約120μg/mL~約180μg/mL、約120μg/mL~約160μg/mL、約120μg/mL~約140μg/mL、約140μg/mL~約200μg/mL、約140μg/mL~約180μg/mL、約140μg/mL~約160μg/mL、約160μg/mL~約200μg/mL、約160μg/mL~約180μg/mL、または約180μg/mL~約200μg/mL)の、対象血清における抗体またはその抗原結合断片の定常状態濃度をもたらす(例えば、抗体または抗原結合断片の初回用量の投与後、約6時間~約1年間(例えば、約6時間~約11.5ヶ月間、約6時間~約11.0ヶ月間、約6時間~約10.5ヶ月間、約6時間~約10.0ヶ月間、約6時間~約9.5ヶ月間、約6時間~約9.0ヶ月間、約6時間~約8.5ヶ月間、約6時間~約8.0ヶ月間、約6時間~約7.5ヶ月間、約6時間~約7.0ヶ月間、約6時間~約6.5ヶ月間、約6時間~約6.0ヶ月間、約6時間~約5.5ヶ月間、約6時間~約5.0ヶ月間、約6時間~約4.5ヶ月間、約6時間~約4.0ヶ月間、約6時間~約3.5ヶ月間、約6時間~約3.0ヶ月間、約6時間~約2.5ヶ月間、約6時間~約2.0ヶ月間、約6時間~約1.5ヶ月間、約6時間~約5週間、約6時間~約4週間、約6時間~約3週間、約6時間~約2週間、約6時間~約1週間、約6時間~約5日、約6時間~約3日、約6時間~約1日、約6時間~約18時間、約6時間~約12時間、約12時間~約1年間、約12時間~約11.5ヶ月間、約12時間~約11.0ヶ月間、約12時間~約10.5ヶ月間、約12時間~約10.0ヶ月間、約12時間~約9.5ヶ月間、約12時間~約9.0ヶ月間、約12時間~約8.5ヶ月間、約12時間~約8.0ヶ月間、約12時間~約7.5ヶ月間、約12時間~約7.0ヶ月間、約12時間~約6.5ヶ月間、約12時間~約6.0ヶ月間、約12時間~約5.5ヶ月間、約12時間~約5.0ヶ月間、約12時間~約4.5ヶ月間、約12時間~約4.0ヶ月間、約12時間~約3.5ヶ月間、約12時間~約3.0ヶ月間、約12時間~約2.5ヶ月間、約12時間~約2.0ヶ月間、約12時間~約1.5ヶ月間、約12時間~約5週間、約12時間~約4週間、約12時間~約3週間、約12時間~約2週間、約12時間~約1週間、約12時間~約5日、約12時間~約3日、約12時間~約1日、約12時間~約18時間、約18時間~約1年間、約18時間~約11.5ヶ月間、約18時間~約11.0ヶ月間、約18時間~約10.5ヶ月間、約18時間~約10.0ヶ月間、約18時間~約9.5ヶ月間、約18時間~約9.0ヶ月間、約18時間~約8.5ヶ月間、約18時間~約8.0ヶ月間、約18時間~約7.5ヶ月間、約18時間~約7.0ヶ月間、約18時間~約6.5ヶ月間、約18時間~約6.0ヶ月間、約18時間~約5.5ヶ月間、約18時間~約5.0ヶ月間、約18時間~約4.5ヶ月間、約18時間~約4.0ヶ月間、約18時間~約3.5ヶ月間、約18時間~約3.0ヶ月間、約18時間~約2.5ヶ月間、約18時間~約2.0ヶ月間、約18時間~約1.5ヶ月間、約18時間~約5週間、約18時間~約4週間、約18時間~約3週間、約18時間~約2週間、約18時間~約1週間、約18時間~約5日、約18時間~約3日、約18時間~約1日、約1日~約1年間、約1日~約11.5ヶ月間、約1日~約11.0ヶ月間、約1日~約10.5ヶ月間、約1日~約10.0ヶ月間、約1日~約9.5ヶ月間、約1日~約9.0ヶ月間、約1日~約8.5ヶ月間、約1日~約8.0ヶ月間、約1日~約7.5ヶ月間、約1日~約7.0ヶ月間、約1日~約6.5ヶ月間、約1日~約6.0ヶ月間、約1日~約5.5ヶ月間、約1日~約5.0ヶ月間、約1日~約4.5ヶ月間、約1日~約4.0ヶ月間、約1日~約3.5ヶ月間、約1日~約3.0ヶ月間、約1日~約2.5ヶ月間、約1日~約2.0ヶ月間、約1日~約1.5ヶ月間、約1日~約5週間、約1日~約4週間、約1日~約3週間、約1日~約2週間、約1日~約1週間、約1日~約5日、約1日~約3日、約3日~約1年間、約3日~約11.5ヶ月間、約3日~約11.0ヶ月間、約3日~約10.5ヶ月間、約3日~約10.0ヶ月間、約3日~約9.5ヶ月間、約3日~約9.0ヶ月間、約3日~約8.5ヶ月間、約3日~約8.0ヶ月間、約3日~約7.5ヶ月間、約3日~約7.0ヶ月間、約3日~約6.5ヶ月間、約3日~約6.0ヶ月間、約3日~約5.5ヶ月間、約3日~約5.0ヶ月間、約3日~約4.5ヶ月間、約3日~約4.0ヶ月間、約3日~約3.5ヶ月間、約3日~約3.0ヶ月間、約3日~約2.5ヶ月間、約3日~約2.0ヶ月間、約3日~約1.5ヶ月間、約3日~約5週間、約3日~約4週間、約3日~約3週間、約3日~約2週間、約3日~約1週間、約3日~約5日、約5日~約1年間、約5日~約11.5ヶ月間、約5日~約11.0ヶ月間、約5日~約10.5ヶ月間、約5日~約10.0ヶ月間、約5日~約9.5ヶ月間、約5日~約9.0ヶ月間、約5日~約8.5ヶ月間、約5日~約8.0ヶ月間、約5日~約7.5ヶ月間、約5日~約7.0ヶ月間、約5日~約6.5ヶ月間、約5日~約6.0ヶ月間、約5日~約5.5ヶ月間、約5日~約5.0ヶ月間、約5日~約4.5ヶ月間、約5日~約4.0ヶ月間、約5日~約3.5ヶ月間、約5日~約3.0ヶ月間、約5日~約2.5ヶ月間、約5日~約2.0ヶ月間、約5日~約1.5ヶ月間、約5日~約5週間、約5日~約4週間、約5日~約3週間、約5日~約2週間、約5日~約1週間、約1週間~約1年間、約1週間~約11.5ヶ月間、約1週間~約11.0ヶ月間、約1週間~約10.5ヶ月間、約1週間~約10.0ヶ月間、約1週間~約9.5ヶ月間、約1週間~約9.0ヶ月間、約1週間~約8.5ヶ月間、約1週間~約8.0ヶ月間、約1週間~約7.5ヶ月間、約1週間~約7.0ヶ月間、約1週間~約6.5ヶ月間、約1週間~約6.0ヶ月間、約1週間~約5.5ヶ月間、約1週間~約5.0ヶ月間、約1週間~約4.5ヶ月間、約1週間~約4.0ヶ月間、約1週間~約3.5ヶ月間、約1週間~約3.0ヶ月間、約1週間~約2.5ヶ月間、約1週間~約2.0ヶ月間、約1週間~約1.5ヶ月間、約1週間~約5週間、約1週間~約4週間、約1週間~約3週間、約1週間~約2週間、約2週間~約1年間、約2週間~約11.5ヶ月間、約2週間~約11.0ヶ月間、約2週間~約10.5ヶ月間、約2週間~約10.0ヶ月間、約2週間~約9.5ヶ月間、約2週間~約9.0ヶ月間、約2週間~約8.5ヶ月間、約2週間~約8.0ヶ月間、約2週間~約7.5ヶ月間、約2週間~約7.0ヶ月間、約2週間~約6.5ヶ月間、約2週間~約6.0ヶ月間、約2週間~約5.5ヶ月間、約2週間~約5.0ヶ月間、約2週間~約4.5ヶ月間、約2週間~約4.0ヶ月間、約2週間~約3.5ヶ月間、約2週間~約3.0ヶ月間、約2週間~約2.5ヶ月間、約2週間~約2.0ヶ月間、約2週間~約1.5ヶ月間、約2週間~約5週間、約2週間~約4週間、約2週間~約3週間、約3週間~約1年間、約3週間~約11.5ヶ月間、約3週間~約11.0ヶ月間、約3週間~約10.5ヶ月間、約3週間~約10.0ヶ月間、約3週間~約9.5ヶ月間、約3週間~約9.0ヶ月間、約3週間~約8.5ヶ月間、約3週間~約8.0ヶ月間、約3週間~約7.5ヶ月間、約3週間~約7.0ヶ月間、約3週間~約6.5ヶ月間、約3週間~約6.0ヶ月間、約3週間~約5.5ヶ月間、約3週間~約5.0ヶ月間、約3週間~約4.5ヶ月間、約3週間~約4.0ヶ月間、約3週間~約3.5ヶ月間、約3週間~約3.0ヶ月間、約3週間~約2.5ヶ月間、約3週間~約2.0ヶ月間、約3週間~約1.5ヶ月間、約3週間~約5週間、約3週間~約4週間、約4週間~約1年間、約4週間~約11.5ヶ月間、約4週間~約11.0ヶ月間、約4週間~約10.5ヶ月間、約4週間~約10.0ヶ月間、約4週間~約9.5ヶ月間、約4週間~約9.0ヶ月間、約4週間~約8.5ヶ月間、約4週間~約8.0ヶ月間、約4週間~約7.5ヶ月間、約4週間~約7.0ヶ月間、約4週間~約6.5ヶ月間、約4週間~約6.0ヶ月間、約4週間~約5.5ヶ月間、約4週間~約5.0ヶ月間、約4週間~約4.5ヶ月間、約4週間~約4.0ヶ月間、約4週間~約3.5ヶ月間、約4週間~約3.0ヶ月間、約4週間~約2.5ヶ月間、約4週間~約2.0ヶ月間、約4週間~約1.5ヶ月間、約4週間~約5週間、約5週間~約1年間、約5週間~約11.5ヶ月間、約5週間~約11.0ヶ月間、約5週間~約10.5ヶ月間、約5週間~約10.0ヶ月間、約5週間~約9.5ヶ月間、約5週間~約9.0ヶ月間、約5週間~約8.5ヶ月間、約5週間~約8.0ヶ月間、約5週間~約7.5ヶ月間、約5週間~約7.0ヶ月間、約5週間~約6.5ヶ月間、約5週間~約6.0ヶ月間、約5週間~約5.5ヶ月間、約5週間~約5.0ヶ月間、約5週間~約4.5ヶ月間、約5週間~約4.0ヶ月間、約5週間~約3.5ヶ月間、約5週間~約3.0ヶ月間、約5週間~約2.5ヶ月間、約5週間~約2.0ヶ月間、約5週間~約1.5ヶ月間、
約1.5ヶ月間~約1年間、約1.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約6.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約6.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約5.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約5.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約4.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約4.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約3.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約3.0ヶ月間、約1.5ヶ月間~約2.5ヶ月間、約1.5ヶ月間~約2.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約1年間、約2.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約7.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約6.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約6.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約5.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約5.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約4.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約4.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約3.5ヶ月間、約2.0ヶ月間~約3.0ヶ月間、約2.0ヶ月間~約2.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約1年間、約2.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約6.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約6.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約5.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約5.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約4.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約4.0ヶ月間、約2.5ヶ月間~約3.5ヶ月間、約2.5ヶ月間~約3.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約1年間、約3.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約7.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約6.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約6.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約5.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約5.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約4.5ヶ月間、約3.0ヶ月間~約4.0ヶ月間、約3.0ヶ月間~約3.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約1年間、約3.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約6.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約6.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約5.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約5.0ヶ月間、約3.5ヶ月間~約4.5ヶ月間、約3.5ヶ月間~約4.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約1年間、約4.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約7.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約6.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約6.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約5.5ヶ月間、約4.0ヶ月間~約5.0ヶ月間、約4.0ヶ月間~約4.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約1年間、約4.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約6.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約6.0ヶ月間、約4.5ヶ月間~約5.5ヶ月間、約4.5ヶ月間~約5.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約1年間、約5.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約7.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約6.5ヶ月間、約5.0ヶ月間~約6.0ヶ月間、約5.0ヶ月間~約5.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約1年間、約5.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約5.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約5.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約5.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約5.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約5.5ヶ月間~約6.5ヶ月間、約5.5ヶ月間~約6.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約1年間、約6.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約6.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約6.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約6.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約6.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約6.0ヶ月間~約7.0ヶ月間、約6.0ヶ月間~約6.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約1年間、約6.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約6.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約6.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約6.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約6.5ヶ月間~約7.5ヶ月間、約6.5ヶ月間~約7.0ヶ月間、約7.0ヶ月間~約1年間、約7.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約7.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約7.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約7.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約7.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約7.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約7.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約7.0ヶ月間~約8.0ヶ月間、約7.0ヶ月間~約7.5ヶ月間、約7.5ヶ月間~約1年間、約7.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約7.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約7.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約7.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約7.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約7.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約7.5ヶ月間~約8.5ヶ月間、約7.5ヶ月間~約8.0ヶ月間、約8.0ヶ月間~約1年間、約8.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約8.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約8.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約8.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約8.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約8.0ヶ月間~約9.0ヶ月間、約8.0ヶ月間~約8.5ヶ月間、約8.5ヶ月間~約1年間、約8.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約8.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約8.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約8.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約8.5ヶ月間~約9.5ヶ月間、約8.5ヶ月間~約9.0ヶ月間、約9.0ヶ月間~約1年間、約9.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約9.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約9.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約9.0ヶ月間~約10.0ヶ月間、約9.0ヶ月間~約9.5ヶ月間、約9.5ヶ月間~約1年間、約9.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約9.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約9.5ヶ月間~約10.5ヶ月間、約9.5ヶ月間~約10.0ヶ月間、約10.0ヶ月間~約1年間、約10.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、約10.0ヶ月間~約11.0ヶ月間、約10.0ヶ月間~約10.5ヶ月間、約10.5ヶ月間~約1年間、約10.5ヶ月間~約11.5ヶ月間、約10.5ヶ月間~約11.0ヶ月間、約11.0ヶ月間~約1年間、約11.0ヶ月間~約11.5ヶ月間、または約11.5ヶ月間~約1年間))。
【0280】
これらの方法のいくつかの態様は、約50mg/dL未満、約45mg/dL未満、約40mg/dL未満、約35mg/dL未満、約30mg/dL未満、約25mg/dL未満、約20mg/dL未満、約18mg/dL未満、約16mg/dL未満、約14mg/dL未満、約12mg/dL未満、約10mg/dL未満、約8mg/dL未満、約6mg/dL未満、約4mg/dL未満、約2mg/dL未満、または約1mg/dL未満の、対象血清における遊離軽鎖(FLC)の定常状態濃度をもたらす(例えば、対象への抗体または抗原結合断片の初回用量およびニロガセスタットの初回用量の投与後、約6時間~約1年間、またはこの範囲の部分範囲のいずれか)。
【0281】
これらの方法のいくつかの態様は、約0.1mg/dL~約50mg/dL(例えば、約0.1mg/dL~約48mg/dL、約0.1mg/dL~約45mg/dL、約0.1mg/dL~約40mg/dL、約0.1mg/dL~約35mg/dL、約0.1mg/dL~約30mg/dL、約0.1mg/dL~約25mg/dL、約0.1mg/dL~約20mg/dL、約0.1mg/dL~約18mg/dL、約0.1mg/dL~約16mg/dL、約0.1mg/dL~約14mg/dL、約0.1mg/dL~約12mg/dL、約0.1mg/dL~約10mg/dL、約0.1mg/dL~約8mg/dL、約0.1mg/dL~約6mg/dL、約0.1mg/dL~約4mg/dL、約0.1mg/dL~約2mg/dL、約0.1mg/dL~約1.0mg/dL、約0.1mg/dL~約0.5mg/dL、約0.1mg/dL~約0.2mg/dL、約0.2mg/dL~約50mg/dL、約0.2mg/dL~約48mg/dL、約0.2mg/dL~約45mg/dL、約0.2mg/dL~約40mg/dL、約0.2mg/dL~約35mg/dL、約0.2mg/dL~約30mg/dL、約0.2mg/dL~約25mg/dL、約0.2mg/dL~約20mg/dL、約0.2mg/dL~約18mg/dL、約0.2mg/dL~約16mg/dL、約0.2mg/dL~約14mg/dL、約0.2mg/dL~約12mg/dL、約0.2mg/dL~約10mg/dL、約0.2mg/dL~約8mg/dL、約0.2mg/dL~約6mg/dL、約0.2mg/dL~約4mg/dL、約0.2mg/dL~約2mg/dL、約0.2mg/dL~約1.0mg/dL、約0.2mg/dL~約0.5mg/dL、約0.5mg/dL~約50mg/dL、約0.5mg/dL~約48mg/dL、約0.5mg/dL~約45mg/dL、約0.5mg/dL~約40mg/dL、約0.5mg/dL~約35mg/dL、約0.5mg/dL~約30mg/dL、約0.5mg/dL~約25mg/dL、約0.5mg/dL~約20mg/dL、約0.5mg/dL~約18mg/dL、約0.5mg/dL~約16mg/dL、約0.5mg/dL~約14mg/dL、約0.5mg/dL~約12mg/dL、約0.5mg/dL~約10mg/dL、約0.5mg/dL~約8mg/dL、約0.5mg/dL~約6mg/dL、約0.5mg/dL~約4mg/dL、約0.5mg/dL~約2mg/dL、約0.5mg/dL~約1.0mg/dL、約1.0mg/dL~約50mg/dL、約1.0mg/dL~約48mg/dL、約1.0mg/dL~約45mg/dL、約1.0mg/dL~約40mg/dL、約1.0mg/dL~約35mg/dL、約1.0mg/dL~約30mg/dL、約1.0mg/dL~約25mg/dL、約1.0mg/dL~約20mg/dL、約1.0mg/dL~約18mg/dL、約1.0mg/dL~約16mg/dL、約1.0mg/dL~約14mg/dL、約1.0mg/dL~約12mg/dL、約1.0mg/dL~約10mg/dL、約1.0mg/dL~約8mg/dL、約1.0mg/dL~約6mg/dL、約1.0mg/dL~約4mg/dL、約1.0mg/dL~約2mg/dL、約2mg/dL~約50mg/dL、約2mg/dL~約48mg/dL、約2mg/dL~約45mg/dL、約2mg/dL~約40mg/dL、約2mg/dL~約35mg/dL、約2mg/dL~約30mg/dL、約2mg/dL~約25mg/dL、約2mg/dL~約20mg/dL、約2mg/dL~約18mg/dL、約2mg/dL~約16mg/dL、約2mg/dL~約14mg/dL、約2mg/dL~約12mg/dL、約2mg/dL~約10mg/dL、約2mg/dL~約8mg/dL、約2mg/dL~約6mg/dL、約2mg/dL~約4mg/dL、約4mg/dL~約50mg/dL、約4mg/dL~約48mg/dL、約4mg/dL~約45mg/dL、約4mg/dL~約40mg/dL、約4mg/dL~約35mg/dL、約4mg/dL~約30mg/dL、約4mg/dL~約25mg/dL、約4mg/dL~約20mg/dL、約4mg/dL~約18mg/dL、約4mg/dL~約16mg/dL、約4mg/dL~約14mg/dL、約4mg/dL~約12mg/dL、約4mg/dL~約10mg/dL、約4mg/dL~約8mg/dL、約4mg/dL~約6mg/dL、約6mg/dL~約50mg/dL、約6mg/dL~約48mg/dL、約6mg/dL~約45mg/dL、約6mg/dL~約40mg/dL、約6mg/dL~約35mg/dL、約6mg/dL~約30mg/dL、約6mg/dL~約25mg/dL、約6mg/dL~約20mg/dL、約6mg/dL~約18mg/dL、約6mg/dL~約16mg/dL、約6mg/dL~約14mg/dL、約6mg/dL~約12mg/dL、約6mg/dL~約10mg/dL、約6mg/dL~約8mg/dL、約8mg/dL~約50mg/dL、約8mg/dL~約48mg/dL、約8mg/dL~約45mg/dL、約8mg/dL~約40mg/dL、約8mg/dL~約35mg/dL、約8mg/dL~約30mg/dL、約8mg/dL~約25mg/dL、約8mg/dL~約20mg/dL、約8mg/dL~約18mg/dL、約8mg/dL~約16mg/dL、約8mg/dL~約14mg/dL、約8mg/dL~約12mg/dL、約8mg/dL~約10mg/dL、約10mg/dL~約50mg/dL、約10mg/dL~約48mg/dL、約10mg/dL~約45mg/dL、約10mg/dL~約40mg/dL、約10mg/dL~約35mg/dL、約10mg/dL~約30mg/dL、約10mg/dL~約25mg/dL、約10mg/dL~約20mg/dL、約10mg/dL~約18mg/dL、約10mg/dL~約16mg/dL、約10mg/dL~約14mg/dL、約10mg/dL~約12mg/dL、約12mg/dL~約50mg/dL、約12mg/dL~約48mg/dL、約12mg/dL~約45mg/dL、約12mg/dL~約40mg/dL、約12mg/dL~約35mg/dL、約12mg/dL~約30mg/dL、約12mg/dL~約25mg/dL、約12mg/dL~約20mg/dL、約12mg/dL~約18mg/dL、約12mg/dL~約16mg/dL、約12mg/dL~約14mg/dL、約14mg/dL~約50mg/dL、約14mg/dL~約48mg/dL、約14mg/dL~約45mg/dL、約14mg/dL~約40mg/dL、約14mg/dL~約35mg/dL、約14mg/dL~約30mg/dL、約14mg/dL~約25mg/dL、約14mg/dL~約20mg/dL、約14mg/dL~約18mg/dL、約14mg/dL~約16mg/dL、約16mg/dL~約50mg/dL、約16mg/dL~約48mg/dL、約16mg/dL~約45mg/dL、約16mg/dL~約40mg/dL、約16mg/dL~約35mg/dL、約16mg/dL~約30mg/dL、約16mg/dL~約25mg/dL、約16mg/dL~約20mg/dL、約16mg/dL~約18mg/dL、約18mg/dL~約50mg/dL、約18mg/dL~約48mg/dL、約18mg/dL~約45mg/dL、約18mg/dL~約40mg/dL、約18mg/dL~約35mg/dL、約18mg/dL~約30mg/dL、約18mg/dL~約25mg/dL、約18mg/dL~約20mg/dL、約20mg/dL~約50mg/dL、約20mg/dL~約48mg/dL、約20mg/dL~約45mg/dL、約20mg/dL~約40mg/dL、約20mg/dL~約35mg/dL、約20mg/dL~約30mg/dL、約20mg/dL~約25mg/dL、約25mg/dL~約50mg/dL、約25mg/dL~約48mg/dL、約25mg/dL~約45mg/dL、約25mg/dL~約40mg/dL、約25mg/dL~約35mg/dL、約25mg/dL~約30mg/dL、約30mg/dL~約50mg/dL、約30mg/dL~約48mg/dL、約30mg/dL~約45mg/dL、約30mg/dL~約40mg/dL、約30mg/dL~約35mg/dL、約35mg/dL~約50mg/dL、約35mg/dL~約48mg/dL、約35mg/dL~約45mg/dL、約35mg/dL~約40mg/dL、約40mg/dL~約50mg/dL、約40mg/dL~約48mg/dL、約40mg/dL~約45mg/dL、約45mg/dL~約50mg/dL、約45mg/dL~約48mg/dL、または約48mg/dL~約50mg/dL)の、対象血清における遊離軽鎖(FLC)の定常状態濃度をもたらす(例えば、対象への抗体または抗原結合断片の初回用量およびニロガセスタットの初回用量の投与後、約6時間~約1年間、またはこの範囲の部分範囲のいずれか)。
【0282】
G. 治療効果
本明細書に記載される方法の治療効果は、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの発現レベルによって評価することができる。例示的なバイオマーカー評価には、血清遊離軽鎖のレベルの検査および改良型血清タンパク質電気泳動検査(SPEP)、末梢血イムノフェノタイピング、例えば、非限定的にNK細胞、単球、T細胞およびB細胞を特性評価することが含まれるフローサイトメトリー測定、循環可溶性BCMA(sBCMA)、増殖誘導リガンド(APRIL)およびB細胞活性化因子(BAFF)のレベルの評価、細胞および循環バイオマーカーのレトロスペクティブ分析、腫瘍組織の特性評価、骨髄イムノタイピング、腫瘍および非腫瘍細胞におけるRNAシーケンシングによって評価される腫瘍および腫瘍微小環境中の遺伝子発現プロファイルのベースラインと処置関連変化、ならびに骨髄血漿中の可溶性標的、リガンドおよび/またはサイトカイン/ケモカインのレベルの評価が含まれる。
【0283】
本明細書に記載される方法によって達成される治療効果はまた、例えば、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度および持続期間の増加、寿命の増加、疾病寛解、または疾患の苦痛による機能障害もしくは身体障害の防止も含むことができる。例えば、多発性骨髄腫、劇症型および/または薬剤耐性および/または難治性多発性骨髄腫の処置について、本明細書に記載される方法は、細胞成長または腫瘍成長を、未処置対象または異なる処置を受けている対象と比べて少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%阻害する。加えて、本明細書に記載される方法は、WHOまたはRECISTの腫瘍応答基準(Natl. Cancer. Inst. 91:523-8, 1999;およびCancer 47:207-14, 1981)による評価で、少なくとも病勢安定、部分奏効または完全奏効をもたらすことができる。いくつかの態様では、処置効果は、客観的奏効、客観的奏効率、完全奏効、完全奏効率、奏効期間、完全奏効期間、無増悪生存期間、および全生存期間に基づいて判定される。
【0284】
本明細書に記載される方法は、腫瘍サイズまたはがん負荷量(cancer burden)を減少させることができ、またはそれ以外には対象において症状を改善することができ、またはそれ以外には上で判定されるような部分的もしくは完全な病勢安定および/または部分もしくは完全奏効を支援することができる。
【0285】
本明細書に記載される薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片のいずれかを含む)のいずれかによる、任意で本明細書に記載される他の治療剤または処置のいずれかと併用した処置は、がん、とりわけ再発または難治性のがんを有する患者の中央無増悪生存期間または全生存期間を、同じ処置(例えば、化学療法)であるが本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物のいずれも投与しない場合と比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%増加させることができる。追加的または代替的に、本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物のいずれかの投与を含む処置(例えば、標準的な化学療法)は、腫瘍を有する患者の完全奏効率、部分奏効率または客観的奏効率(完全+部分)を、同じ処置(例えば、化学療法)であるが本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物のいずれも投与しない場合と比較して少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%増加させることができる。
【0286】
典型的には、臨床試験(例えば、第II相、第II/III相または第III相試験)において、標準療法単独(または+プラセボ)を受けている患者の対照群と比べた、標準療法+本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物のいずれかで処置された患者の中央無増悪生存期間および/または奏効率の前述の増加は、統計的に有意、例えば、p=0.05、0.01または0.001のレベルにある。完全および部分奏効率は、例えば、米国の国立がん研究センターおよび/または食品医薬品局によって列記または承認されているような、がんの臨床試験において一般的に使用される客観的基準によって決定される。
【0287】
患者は、2016 IMWG統一効果判定基準に基づいて、厳格な完全奏効(sCR)、完全奏効(CR)、非常に良好な部分奏効(VGPR)または部分奏効(PR)を達成する場合に、客観的奏効(OR)を有すると判定される。客観的奏効率(ORR)は、治験責任医師によるORを有する患者の割合として定義される。その疾患応答を2016 IMWG統一効果判定基準により評価できない患者は、ORRの計算について評価不能(Not Evaluable)としてスコア化される。ベースライン後応答評価を有していないまたは応答がIMWG基準によって評価不能である患者は、ORRの計算において不応答者としてカウントされる。客観的奏効(OR)は、画像検査、臨床検査評価もしくは身体検査;または治験責任医師による疾患関連症状におけるSDおよび臨床的効果によって評価することができる。
【0288】
本明細書に記載される方法のいずれかの一態様では、客観的奏効率(ORR)は、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の投与後、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である。
【0289】
患者は、2016 IMWG統一効果判定基準に基づいて、sCRまたはCRを達成する場合に、完全奏効(CR)を有すると判定される。CR率は、治験責任医師によるCRを有する患者の割合として定義される。その疾患応答をIMWG統一効果判定基準により評価できない患者は、CR率の計算について評価不能としてスコア化される。
【0290】
本明細書に記載される方法のいずれかの一態様では、完全奏効率(CRR)は、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の投与後、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である。
【0291】
ORの持続期間は、OR(sCR、CR、VGPR、またはPR)の最初の記録から増悪の最初の記録または何らかの原因による死亡のいずれか早い方までの時間として定義される。増悪は、腫瘍進行(血清、尿、または骨髄評価に基づく)および/または治験責任医師による臨床進行の客観的証拠を含む。奏効期間は、sCR、CR、VGPR、またはPRを達成している患者のサブグループについてのみ計算される。
【0292】
本明細書に記載される方法のいずれかの一態様では、処置に対する客観的奏効期間または完全奏効期間は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間である。
【0293】
無増悪生存期間(PFS)は、処置の開始から増悪の最初の記録または何らかの原因による死亡のいずれか早い方までの時間として定義される。増悪は、腫瘍進行(血清、尿または骨髄評価に基づく)および/または治験責任医師による臨床進行の客観的証拠を含む。PFSは、増悪を有さず解析時点で治験継続中であるかまたは腫瘍進行の確認前に治験から除かれた患者では、疾患進行(PD)がないことが確認されている最終疾患評価日に打ち切られる。PDの確認前に新たな抗腫瘍処置を開始している患者は、新たな処置の開始前に最終疾患評価時点で打ち切られる。初回用量後に腫瘍応答の評価を欠いている患者は、イベント時間が1日で打ち切られる。
【0294】
本明細書に記載される方法のいずれかの一態様では、対象は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の無増悪生存期間を示す。
【0295】
全生存期間(OS)は、任意の治験処置の開始から何らかの原因による死亡日までの時間として定義される。具体的には、
OS=死亡日-任意の治験処置の第1の投与日+1。
【0296】
本明細書に記載される方法のいずれかの一態様では、対象は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間の全生存期間を示す。
【0297】
H. 例示的な単剤療法および併用療法
ある特定の態様では、対象は、標準投薬レジメンに従って、BCMAに特異的に結合する抗体または抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物の用量を2週間毎に1回(q2wk)受ける。標準投薬処置のいくつかでは、各用量は、800mgの本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片を含有する。他の標準投薬処置では、対象に投与される各用量は、1600mgの本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片を含有する。
【0298】
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの態様では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片の強化投薬が行われる。ある特定の態様では、強化投薬は、療法の最初の2サイクル(すなわち、サイクル1およびサイクル2)の間に8用量の本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかの毎週の導入投薬(q1wk)を含む。患者が確定された増悪を経験していないと仮定して、対象に、サイクル3以降、維持期中にq2wkで投薬される本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかが投与される。維持期中の投薬は、典型的には、標準投薬レベル、すなわち、800mgまたは1600mgのいずれかの抗体または抗原結合断片での投薬である。
【0299】
したがって、いくつかの態様では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片の強化投薬は、800または1600mgの本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片を、サイクル1およびサイクル2の1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続サイクルの1日目および15日目に投与することを含む。
【0300】
いくつかの態様では、ニロガセスタットが、併用療法の一部として、標準または強化抗BCMA抗体またはその抗原結合断片レジメンと併用される。そのような併用処置のいくつかの態様では、ニロガセスタットは、100mg用量として投与され、1日2回投与される。したがって、例えば、いくつかの併用療法の態様は、ニロガセスタットが、抗体または抗原結合断片がq2wkで投与される本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片の標準投薬レジメンと組み合わせて投与される、標準投薬併用療法を含む。例えば、いくつかの標準投薬併用処置では、本明細書に記載される通りの抗BCMA抗体または抗原結合断片が、各28日サイクルの1日目および15日目に投与され(すなわち、標準投薬レジメンに従って)、ニロガセスタットが、各28日サイクルの各日に2回投与される。これらの標準投薬併用の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片の各用量は、800mg用量として投与され、ニロガセスタットの各用量は、100mg用量として投与される。標準投薬併用処置の他の態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、1600mg用量として投与され、ニロガセスタットの各用量は、100mg用量として投与される。
【0301】
いくつかの態様では、デキサメタゾンが、併用療法の一部として、標準または強化抗BCMA抗体またはその抗原結合断片レジメンおよびニロガセスタットと併用される。そのような併用処置のいくつかの態様では、デキサメタゾンは、40mg用量として投与され、週に1回(すなわち、q1wk)投与される。したがって、例えば、いくつかの併用療法の態様は、デキサメタゾンが、抗体または抗原結合断片がq2wkで投与されかつニロガセスタット(例えば、100mgのニロガセスタット)が各日に2回投与される本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片の標準投薬レジメンと組み合わせて投与される、標準投薬併用療法を含む。例えば、いくつかの標準投薬併用処置では、本明細書に記載される通りの抗BCMA抗体または抗原結合断片が、各28日サイクルの1日目および15日目に投与され(すなわち、標準投薬レジメンに従って)、ニロガセスタットが、100mg用量として各28日サイクルの各日に2回投与され、そして、デキサメタゾンが、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与される。これらの標準投薬併用の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片の各用量は、800mg用量として投与され、ニロガセスタットは、100mg用量として各28日サイクルの各日に2回投与され、そして、デキサメタゾンの各用量は、40mg用量として投与される。標準投薬併用処置の他の態様では、抗体または抗原結合断片の各用量は、1600mg用量として投与され、ニロガセスタットの各用量は、100mg用量として投与され、そして、デキサメタゾンの各用量は、40mg用量として投与される。
【0302】
併用療法の態様の他の例は、ニロガセスタットおよびデキサメタゾンが、抗体または抗原結合断片が8週間にわたってq1wkで投与された後にq2wkで投薬される本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片のいずれかの強化用量レジメンと組み合わせて投与される、強化投薬併用療法を含む。例えば、いくつかの強化投薬併用では、本明細書に記載される通りの抗BCMA抗体または抗原結合断片が、サイクル1および2の1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続サイクルの1日目および15日目に投与され(すなわち、強化投薬レジメンに従って)、ニロガセスタットが、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与され、そして、デキサメタゾンが、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与される。これらの強化投薬併用の態様のいくつかでは、抗体または抗原結合断片の各用量は、800mg用量として投与され、ニロガセスタットの各用量は、100mg用量として投与され、そして、デキサメタゾンの各用量は、40mg用量として投与される。これらの態様の他では、抗体または抗原結合断片の各用量は、1600mg用量として投与され、ニロガセスタットの各用量は、100mg用量として投与され、そして、デキサメタゾンの各用量は、40mg用量として投与される。
【0303】
例示的な併用療法のいずれか1つでは、抗BCMA抗体または抗原結合断片とデキサメタゾンが共に同日に投与される場合、デキサメタゾンは、SEA BCMA注入の1~3時間前に投与される。
【0304】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片が、対象に2週間毎に1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目および15日目)、デキサメタゾンが、毎週1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に)、そして、ニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。いくつかの態様では、1600mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、2週間毎に1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目および15日目)、40mgのデキサメタゾンが、毎週1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に)、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0305】
いくつかの態様では、本明細書に記載される抗BCMA抗体または抗原結合断片が、対象に、約8週間にわたって毎週1回、次いで、2週間毎に1回投与され(例えば、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続の28日サイクルの1日目および15日目に)、デキサメタゾンが、毎週1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に)、そして、ニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0306】
いくつかの態様では、1600mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、約8週間にわたって毎週1回、次いで、2週間毎に1回投与され(例えば、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続の28日サイクルの1日目および15日目に)、40mgのデキサメタゾンが、毎週1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に)、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0307】
いくつかの態様では、800mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、約8週間にわたって毎週1回、次いで、2週間毎に1回投与され(例えば、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続の28日サイクルの1日目および15日目に)、40mgのデキサメタゾンが、毎週1回投与され(例えば、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に)、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0308】
いくつかの態様では、800mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与され、かつ、1600mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目に投与され、40mgのデキサメタゾンが、対象に、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に投与され、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0309】
いくつかの態様では、400mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与され、かつ、800mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目に投与され、40mgのデキサメタゾンが、対象に、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に投与され、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0310】
いくつかの態様では、400mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、2回の28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与され、かつ、400mgの抗BCMA抗体(例えば、SEA-BCMA)が、対象に、後続の維持期の28日サイクルの1日目および15日目に投与され、40mgのデキサメタゾンが、対象に、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目の各日に投与され、そして、100mgのニロガセスタットが、対象に、各28日サイクルの1日目~28日目に毎日2回投与される。
【0311】
I. 種々の投薬レジメンおよび併用療法のための患者選択
全身療法を必要とする多発性骨髄腫(MM)の診断は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)2014基準に基づくことができる。測定可能な疾患は、以下の1つまたは複数によって定義することができる:
a)血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL;IgAまたはIgD骨髄腫患者では、血清IgAまたは血清IgD≧0.5g/dLが許容される
b)尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間
c)血清免疫グロブリンFLC≧10mg/dLかつ異常な血清免疫グロブリンカッパラムダFLC比
【0312】
いくつかの態様では、ECOGパフォーマンスステータススコア0または1が、本明細書に記載されるような処置を受ける前に必要である。
【0313】
いくつかの態様では、血液学的基準が、成長因子または血小板輸血サポートの非存在下で満たされる必要がある:
a)Modification of Diet in Renal Disease(MDRD)方程式による推算糸球体濾過量(eGFR)≧30mL/min/1.73m2
b)絶対好中球数≧1000/μL
c)血小板数≧75,000/μL。
【0314】
患者を種々の投薬レジメンまたは併用療法のために選択することができる。例えば、標準投薬(例えば、q2wk、各28日サイクルの1日目および15日目)をある特定の患者に投与することができる。いくつかの態様では、これらの患者は、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められる。いくつかの態様では、患者に対する患者の前療法ラインは、処置過程で少なくともプロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体を任意の順序で含んでいる必要がある。いくつかの態様では、対象は、ヒトBCMAを標的としたADC、CAR-T細胞療法および二重特異性抗体からなる群より選択される少なくとも1つのBCMA指向型骨髄腫療法を以前に受けていた。
【0315】
強化投薬(例えば、最初の2回の28日サイクルはq1wk、その後、後続の28日サイクルにおいてq2wk)またはデキサメタゾンとの併用療法をある特定の患者に投与することができる。いくつかの態様では、これらの患者は、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められる。いくつかの態様では、これらの患者は、少なくとも3種の前治療ラインの抗骨髄腫療法を受けている必要があり、以下のクラスの各々の少なくとも1つの薬剤に対して難治性である必要がある:PI、IMiD、および抗CD38抗体。いくつかの態様では、対象は、ADC、CAR-T細胞療法および二重特異性抗体からなる群より選択される少なくとも1つのBCMA指向型骨髄腫療法を以前に受けていた。デキサメタゾンとの併用療法が患者に投与される場合、本明細書に記載されるような抗体またはその抗原結合断片を、標準投薬スケジュールまたは強化投薬スケジュールのいずれかの下で投与することができる。
【0316】
いくつかの態様では、デキサメタゾンおよびIMiDとの併用療法をある特定の患者に投与することができる。いくつかの態様では、これらの患者は、レナリドミドおよびプロテオソーム阻害剤の少なくとも2回の連続サイクル(別々にまたは併用して与えられる)を含む少なくとも2種の前治療ラインの抗骨髄腫療法を受けている必要があり、それらの最後の処置中またはその終了後60日以内にIMWGに基づく増悪が確認されている必要がある。自家SCT(幹細胞移植)歴のある患者は、移植日がSEA-BCMA処置の開始の少なくとも12週間前であったなら適格とされる。
【0317】
アッセイ
本明細書に記載される方法によって処置される対象の身体状態は、当技術分野において公知の任意の好適なアッセイによって測定することができる。非限定的なアッセイとしては、免疫組織化学アッセイ、放射性イメージングアッセイ、インビボ画像検査、陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、超音波検査、光学イメージング、コンピュータ断層撮影、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、スロットブロット、競合結合アッセイ、蛍光イメージングアッセイ、ウエスタンブロット、FACSなどが挙げられる。
【0318】
いくつかの態様では、アッセイのために生体試料が対象から収集される。生体試料としては、血液、血清、尿、血漿、呼吸器、腸および尿生殖路の外分泌物、脳脊髄液、腹膜液、胸膜液、嚢胞液、気管支肺胞洗浄液、任意の他の身体の部分または身体の系の洗浄液、ならびに単離された細胞または組織を含む任意の器官の試料(この場合、細胞または組織は、限定されないが、肺、結腸、腎臓、膵臓、卵巣、前立腺、肝臓、皮膚、骨髄、リンパ節、乳房および/または血液組織から選択される器官から得ることができる);ふん便または組織試料、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。アッセイの遂行前に、試料は、任意で好適な希釈剤で希釈することができる。いくつかの態様では、試料から得られた細胞は、アッセイを行う前にインビトロで培養される。
【0319】
いくつかの態様では、対象血清における、抗BCMA抗体の定常状態濃度を測定することができる。
【0320】
患者血清中の遊離抗BCMA抗体を推定するための1つの例示的なインビトロ細胞結合能アッセイは、培養したMM1R細胞の懸濁液をペレット化し、次いで、処置の異なる時点に収集された対象の末梢血由来の血清にペレットを再懸濁することを伴う。室温で0.5時間インキュベーションした後、細胞を、洗浄し、蛍光色素にコンジュゲートされた本明細書に記載される飽和量の抗BCMA抗体の1つで染色する。暗所にて4℃で0.5時間インキュベーションした後、細胞を洗浄して固定する。染色した細胞をInvitrogen Attune NxTフローサイトメーターで解析する。FlowJo V10ソフトウェアを使用して、生存細胞をゲーティングし、中央蛍光強度(MFI)を記録する。GraphPad Prism 8を解析に使用する。
【0321】
BCMA発現およびそのリガンドと本明細書に記載されるような抗BCMA抗体による結合を測定する1つの例示的な方法は、ベースライン時および処置の後または途中に対象から骨髄穿刺液を収集し、次いで、収集から1日以内にフローサイトメトリーによって試料を検査することを伴う。MM細胞の検出は、細胞外バイオマーカー染色、例えば、CD138、CD38、CD45、CD56およびCD28染色、ならびに細胞内カッパおよびラムダ軽鎖染色を用いて行うことができる。BCMA発現のプロファイリングは、例えば、2つの抗BCMA抗体を用いて行うことができる:抗BCMA抗体への結合に利用可能なBCMAは、参照抗BCMA抗体(例えば、実施例に記載されるSEA-BCMA抗体などの本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の1つ)およびBCMAリガンド(APRILなど)と競合的様式でBCMAに結合する標識された抗BCMA抗体を使用して検出されるが、総細胞外BCMAは、参照抗体およびBCMAリガンドと競合することなくBCMAに結合する別様に標識された抗BCMA抗体を使用して検出される。MM細胞表面のBCMAに結合しているAPRILの検出を行うこともできる。各試料を3つのアリコートに分割する:1つのアリコートは、MMゲーティング抗原のみを使用し、抗BCMAまたは抗APRIL抗体なしで染色され(ゲーティング対照)、1つのアリコートは、MMゲーティング抗原および標識された両抗BCMA抗体で染色され、1つは、例えば、MMゲーティング抗原、APRIL、および総細胞外BCMAを検出する標識された抗BCMA抗体で染色する前に、スパイクBCMA(例えば、100μg/mLのスパイクBCMA)と37℃で2時間インキュベートされる。染色後、細胞を2%パラホルムアルデヒド中で洗浄して固定し、細胞をフローサイトメーターで解析する。
【0322】
キット
また、(a)BCMAに特異的に結合する本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片のいずれかを含む薬学的組成物(例えば、本明細書に記載される薬学的組成物のいずれか)の1つまたは複数の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26用量)と(b)本明細書に記載される方法のいずれか1つを実施するための説明書または指示書とを含む、キットが本明細書に提供される。いくつかの態様では、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO:1を含むCDR1、SEQ ID NO:2を含むCDR2、およびSEQ ID NO:3を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO:5を含むCDR1、SEQ ID NO:6を含むCDR2、およびSEQ ID NO:7を含むCDR3を含む軽鎖可変ドメインとを含む。本明細書に記載されるキットのいずれかのいくつかの態様では、キットはさらに、ニロガセスタットを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26用量)を含む。本明細書に記載されるキットのいずれかのいくつかの態様では、キットはさらに、デキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26用量)を含む。
【0323】
いくつかの態様では、BCMAに特異的に結合する本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片のいずれかおよび/またはデキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、注入装置(例えば、予圧注入装置)中に提供することができる。いくつかの態様では、BCMAに特異的に結合する本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片のいずれかおよび/またはデキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、薬学的に許容される緩衝液または溶液(例えば、食塩水またはリン酸緩衝食塩水)を使用して再構成できる凍結乾燥固体組成物として提供することができる。いくつかの態様では、BCMAに特異的に結合する本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片のいずれかおよび/またはデキサメタゾンを含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、液体組成物(例えば、静脈内投与を介して対象に投与することができる液体組成物)として提供することができる。
【0324】
いくつかの態様では、ニロガセスタット((S)-2-(((S)-6,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル)アミノ)-N-(1-(2-メチル-1-(ネオペンチルアミノ)プロパン-2-イル)-lH-イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド)(PF-03084014)を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、経口投与用に製剤化することができる(例えば、本明細書に記載されるまたは当技術分野において公知のニロガセスタットの薬学的に許容される塩形態のいずれか、例えば、ニロガセスタット臭化水素酸塩またはニロガセスタット二臭化水素酸塩)。いくつかの態様では、ニロガセスタットまたはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物の1つまたは複数の用量は、錠剤、カプセル剤、または水性懸濁剤として製剤化される。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる担体の非限定例としては、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、およびグリシンが挙げられる。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる崩壊剤の非限定例としては、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、メチルセルロース、アルギン酸、およびある種の複合ケイ酸塩が挙げられる。ニロガセスタットを含む薬学的組成物中に存在できる顆粒結合剤の非限定例としては、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、およびアカシアが挙げられる。ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの平滑剤が、しばしば錠剤化のために有用である。また、類似のタイプの固体組成物をゼラチンカプセル中に充填剤として用いてもよい。この関連での好ましい材料としては、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤が経口投与に所望される場合、有効成分を、水、エタノール、グリセリンおよびそれらの様々な同様の組み合わせなどの希釈剤と一緒に、様々な甘味剤または着香剤、着色物質または染料と、そして、所望される場合、乳化剤および/または懸濁化剤とも組み合わせてよい。
【実施例
【0325】
実施例1. 多発性骨髄腫の処置におけるSEA-BCMAの臨床試験
SEA-BCMAは、SEQ ID NO:13の重鎖アミノ酸配列およびSEQ ID NO:15の軽鎖アミノ酸配列を有する、非フコシル化モノクローナル抗BCMA抗体である。
【0326】
SEA-BCMAの重鎖(SEQ ID NO:13)
【0327】
SEA-BCMAの軽鎖(SEQ ID NO:15)
【0328】
SEA-BCMAは、DYYIH(SEQ ID NO:1)を含むCDR1、YINPNSGYTNYAQKFQG (SEQ ID NO:2)を含むCDR2、およびYMWERVTGFFDF(SEQ ID NO:3)を含むCDR3を含む重鎖可変領域と、LASEDISDDLA(SEQ ID NO:5)を含むCDR1、TTSSLQS(SEQ ID NO:6)を含むCDR2、およびQQTYKFPPT(SEQ ID NO:7)を含むCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む。SEA-BCMAは、SEQ ID NO:4を含む重鎖可変領域とSEQ ID NO:8を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0329】
疾患が再発したまたは標準療法に対して難治性であり、かつ利用可能な処置選択肢が残っていない患者集団において、SEA-BCMAを評価するための臨床試験が現在進行中であり、その初期データは、本明細書に記載される多発性骨髄腫を処置する方法が臨床的有益性をもたらすことを示している。
【0330】
SEA-BCMAの免疫特異性および抗腫瘍活性は、BCMA発現MMモデルにおいてインビトロとインビボの両方で実証されている。
【0331】
この治験は、RRMMを有する患者におけるSEA-BCMAの安全性および抗腫瘍活性を評価した。この治験の具体的な目標および対応するエンドポイントを以下にまとめる(表1)。
【0332】
(表1)目標および対応するエンドポイント
【0333】
治験デザインの概要
単剤療法用量漸増コホート
臨床試験の単剤療法用量漸増期をおよそ25名の患者で実施した。
【0334】
この治験への登録は、コホート毎に行った。複数のコホートを各用量レベルで処置し、1コホート当たり最大4名の患者を処置した。用量漸増およびその後のコホートサイズに関する決定は、各コホートの終了後に安全性評価委員会(SMC)と協議して行った。現コホート内の患者をDLT期間の継続期間全体にわたって観察した後、次の患者のコホートを登録した。加えて、用心のため、この治験の最初の2名の患者について、次の患者に投薬可能になる前に72時間の観察期間を置いた。用量レベル1を上回る用量レベルでは、最初の患者がSEA-BCMAのその初回用量を受けた後、その後の患者にその用量レベルで投薬する前に24時間の観察期間が必要とされた。最初のDLTが観察されるまで1用量レベル当たり少なくとも2名のDLT評価可能(DE)患者を処置し、次いで、より高いすべての用量まで漸増する前に1用量レベル当たり最低3名のDE患者が必要とされた。サイクル1中にDLTが評価不能と見なされた患者は交代した。MTDまたは最適用量を決定する前に推定MTDで最低6名のDE患者を観察した。MTDまたは最適用量は、全患者からの全評価用量にわたるデータに基づいて推定した。
【0335】
SMCと協議して任意の時点でより低い用量レベルへの漸減を行うこともできる。患者がSEA-BCMAに忍容性を示しかつ病勢安定(SD)またはそれ以上を達成する場合に、安全であると示される用量レベルまで患者内用量漸増を容認することもできる。
【0336】
患者は、病勢進行または許容できない毒性のいずれか早い方まで処置を続けた。
【0337】
SEA-BCMAは、最初に、表2に示す計画用量で、4週間サイクルにおいて2週間毎に1回(q2wk)投与された;4週間毎(q4wk)の投薬間隔を探索した。
【0338】
(表2)用量漸増スキーム
a 安全性評価委員会は、新たな臨床データに基づいて中間用量レベルの調査を勧告する場合がある。
【0339】
単剤療法拡大コホート
SEA-BCMAの安全性および抗腫瘍活性をさらに特徴付けるために、最大およそ40名の患者の拡大コホートを登録した。拡大コホートについての用量およびスケジュールは、用量漸増(試験した用量でMTDを超えることなく完了した)中に実証された累積安全性および活性に基づき、SMCと協議して決定した。
【0340】
単剤療法強化投薬
強化投薬は、導入期の間に週1回(q1wk)投薬された(療法の最初の2サイクルの間に8用量)SEA-BCMAの安全性および忍容性を評価する;8週間の導入期の終了後、確認された増悪をまだ経験していない患者は、次に、維持期の間にq2wkで投薬されるSEA-BCMAを受けた(サイクル3以降は、標準スケジュール単剤療法の推奨拡大用量で投薬される)。
【0341】
強化投薬は、強化投薬スケジュールで(サイクル1および2の1日目、8日目、15日目および22日目に、そして、後続サイクルの1日目および15日目に)投与される、SEA BCMA単剤療法の推奨拡大用量(1600mg)での安全性導入期(safety run-in)を含む。DLTは、最初の6名の患者で評価される。
【0342】
用量設定中に用量制限毒性(DLT)が評価不能と見なされた患者は、デキサメタゾンとの併用におけるSEA-BCMAの用量決定に関して交代させる。
【0343】
(表3)単剤療法強化投薬の用量レベル
【0344】
デキサメタゾン併用療法コホート
デキサメタゾンとの併用におけるSEA-BCMAの安全性および忍容性を特徴付けるために、最初に随意併用療法コホート毎におよそ20名の患者を登録する。
【0345】
併用療法コホートへの登録は、忍容可能なSEA-BCMA単剤療法用量およびスケジュールを特定してから開始する。
【0346】
随意コホート1では、SEA-BCMAを、各28日サイクルの1日目および15日目に投与する(標準投薬;1600mg)。デキサメタゾンを、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与する。
【0347】
随意コホート2では、SEA-BCMAを、サイクル1および2の1日目、8日目、15日目および22日目に800mg(推奨される単剤療法拡大用量を下回る一用量)で投与し(強化投薬)、後続サイクルの1日目および15日目に1600mgで投与する(推奨される単剤療法拡大用量)。デキサメタゾンは、各28日サイクルの1日目、8日目、15日目および22日目に投与する。
【0348】
この拡大コホートは、800mg SEA-BCMA強化投薬(用量レベル-1)での初期の3名対象安全性導入期(safety run-in)を含み、そして、忍容可能と見なされれば、1600mg SEA-BCMA強化投薬での6名対象導入期を続けた。最初の患者3名の中で2例以上の用量制限毒性(DLT)が発生したら、コホート2を中止する。最初の患者3名の中で1例のDLTが発生したら、コホートを患者6名に拡大させ、患者6名の中で2例未満のDLTがある場合にのみ増大させる。最初の患者3名の中でDLTが発生しない(0例)なら、用量を1600mg q1wkの2サイクルに、次いで、1600mg q2wkの後続サイクルに増大させ、下記に概説される6名対象安全性導入期規則を適用する(「用量制限毒性」のセクションを参照のこと)。
【0349】
デキサメタゾンを、各28日サイクルの1、8、15、および22日目に40mgの用量で静脈内(IV)注入またはPOとして投与する。SEA-BCMAを投与する日、デキサメタゾンは、SEA-BCMA注入の1~3時間前に投与される。
【0350】
ニロガセスタットおよびデキサメタゾン併用療法コホート
治験のニロガセスタットおよびデキサメタゾン併用療法部をおよそ40名の患者で実行する。このコホートは、SEA-BCMAと、100mgの経口(PO)ニロガセスタットの1日2回およびデキサメタゾン(IV)の標準的な40mg毎週投薬であり、SEA-BCMAは、強化投薬で8週間q1wkで投与され、その後、q2wkで投薬が続く。この拡大コホートは、6名対象導入期から、デキサメタゾン併用療法コホートのコホート2からの拡大に推奨されるSEA-BCMA用量で開始される。
【0351】
ニロガセスタットを、28日サイクルの各日に1日2回、100mgの用量でPOによって投与する。用量100mg BID後の定常状態のニロガセスタットのCminは、232ng/mLまたは471nMである。BMCA発現多発性骨髄腫およびリンパ腫細胞株のパネルを用いたインビトロ実験に基づき、用量100mg BIDは、ニロガセスタット濃度を、BCMAの切断を最大限阻害するのに必要なレベル以上に維持し、sBCMAの低減およびmbBCMAの増加を導くだろう。毎日の投薬により、より一貫したBCMAモジュレーションが可能となり得、これは他のGSIで実証されている。ニロガセスタットの毎日の投薬は、ガンマセクレターゼの継続した阻害のための十分な薬物曝露を提供し、持続的かつ迅速なmbBCMAの増加およびsBCMAレベルの低減を経時的にもたらす。提案された用量レベル100mg BIDで、ニロガセスタットは、固形腫瘍研究で使用される用量150mg BIDと少なくとも同等の忍容性の安全性プロファイルを有すると期待され、そのいくつかは、5年超の処置継続期間および追跡調査を有していた。
【0352】
デキサメタゾンを、各28日サイクルの1、8、15、および22日目に40mgの用量でIV注入として投与する。SEA-BCMAを投与する日、デキサメタゾンは、SEA-BCMA注入の1~3時間前に投与される。
【0353】
併用療法コホート安全性導入期
併用療法コホートは、SEA BCMA単剤療法の推奨用量およびスケジュールでの安全性導入期を含む。DLTは、各併用療法コホートに登録された最初の患者6名で評価される。最初の対象6名のうち0または1名がDLTを経験した場合、SMCの推奨により拡大コホートを最大20名まで患者の登録を進める。最初の対象6名で≧2例のDLTが発生したら、その併用に関してMTDを超えたと見なし、SEA-BCMAの用量を次のより低い用量レベルまで段階的に縮小する。最初の対象6名のうち0名または1名がより低い用量レベルでDLTを経験した場合、SMCの推奨により拡大コホートをこの用量レベルで最大20名まで対象の登録を進める。最初の対象6名においてより低い用量レベルで≧2例のDLTが発生したら、その併用に関してMTDを超えたと見なし、SMCは、さらなる段階的縮小を試験するかどうか、または併用コホートを中止するかどうかを判断する。
【0354】
用量設定中にDLTが評価不能と見なされた患者は、デキサメタゾンとの併用におけるSEA-BCMAの用量決定に関して交代させる。
【0355】
用量制限毒性(DLT)
DLT評価期間は、処置の初回サイクルとした。DLTは、米国国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)バージョン4.03に従って等級分けし、DLT評価期間中の以下の事象のいずれかとして定義した:
毒性が原因による7日超の処置の遅延
任意の有害事象(AE)≧グレード3(SMCによりSEA-BCMAとは明らかに無関係であると見なされない限り)、ただし以下のAEを除くものとし、DLTと見なされるためにはこれらの指定された基準を満たす必要がある:
・5日超持続するグレード4の好中球減少症
・血小板減少症≧グレード4、または臨床的に有意な出血を伴うグレード3の血小板減少症
・基礎病態とは無関係の貧血≧グレード4
・臨床的に管理が成功せず、7日以内に末期臓器障害なく回復することのない、任意のグレード≧3の腫瘍崩壊症候群(関連する検査値評価を含む)
・任意の≧グレード4の注入に伴う反応(IRR)、または輸注中断、輸注速度低下および/もしくは標準的な支援手段で24時間以内に≦グレード2まで回復しないグレード3のIRR。患者の≧20%(すなわち、最初の10名の患者のうち2名以上)でグレード3のIRRの場合、その後の患者はすべて、SMCの推奨による前投薬および/または輸注手法の変更を必要とする。前投薬を受けている患者では、あらゆる≧グレード3のIRRがDLTと見なされる。
・介入の有無にかかわらず、72時間以内に≦グレード1またはベースライングレードまで回復しない、任意のグレード≧3の無症候性の検査値異常
・任意の処置関連死
【0356】
停止基準
本治験は、以下のいずれかが起こった場合に停止した:
投薬の30日以内に基礎病態とは無関係の治験中毒性死の割合が10%を超える(当初、最初の20名の患者のうち2名以上)
基礎病態とは無関係のグレード4の非血液学的毒性の割合が25%を超える(当初、最初の20名の患者のうち5名以上)
標準処置で制御できない≧グレード4のアレルギー反応の割合が15%を超える(当初、最初の20名の患者のうち3名以上)
【0357】
停止基準は、本治験全体を通して治験依頼者によって継続的に監視された。
【0358】
治験デザインの考察および論理的根拠
SEA-BCMAの初期臨床開発は、臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できず、主治医が判断するSEA-BCMA処置候補であるRRMM患者での評価を対象とした。前治療は、少なくともプロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体を含んでいる必要がある。フロントラインおよび初回再発の標準治療(SOC)処置は、登録前、これらの患者において失敗すると予想された。BCMAは、MM患者において広く発現される腫瘍抗原であるので、BCMA発現に基づいた患者の初期選択は必要とされなかったが、標的とされる発現と成果との間の関係性をこの第1相試験において探索した。
【0359】
治験の始部は、SEA-BCMAのMTDおよび/または最適用量を推定するための用量漸増から構成された。用量漸増が完了し、薬物の安定性が実証されたら、標準的なq2wk投薬スケジュールでのSEA-BCMAの安全性および抗腫瘍活性をさらに評価するためにおよそ40名の患者の拡大コホートを登録した。この拡大コホートにより、SEA-BCMAの安全性、忍容性および活性に関する追加情報の収集が可能になった。この情報は、SEA-BCMAの推奨される単剤用量およびスケジュールを決定するための基準となった。維持療法は、MM患者において寛解を延長することが示されているので、患者は、病勢進行(PD)または許容できない毒性のいずれか早い方まで処置を継続することが許可された。加えて、患者がSEA-BCMAに忍容性を示し、SDまたはそれ以上の応答を達成した場合には、安全であると示される用量レベルまで患者内用量漸増が容認された。
【0360】
治験対象集団
患者はすべて、この治験に適格となるために、サイクル1の1日目の治験薬投与前(投薬の1日以内)に登録基準のすべてを満たした。
【0361】
再処置に適格となるために、患者はすべて、以下のセクションに概説している選択基準および除外基準を満たした。
【0362】
選択基準
1. 国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)2014基準(Kumar 2016)によって定義される全身療法を必要とする多発性骨髄腫(MM)の診断。
2. 対象は、再発性または難治性のMMを有している必要があり、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められ、かつ、主治医が判断するSEA-BCMA処置候補である必要がある。
【0363】
(a)用量漸増コホートおよび用量拡大コホートに登録される対象は、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められる。用量漸増試験に登録される患者に対する対象の前療法ラインは、処置過程で少なくともプロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調節薬(IMiD)および抗CD38抗体を任意の順序で含んでいる必要がある。PI、IMiDまたは抗CD38抗体に忍容性を示さなかった対象が許容される。
【0364】
(b)単剤療法強化投薬またはデキサメタゾン併用療法に登録される患者は、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められる。患者は、MMで臨床的有益性が得られることが知られている他の治療選択肢を利用できないことが求められる。患者は、少なくとも3種の前治療ラインの抗骨髄腫療法を受けている必要があり、以下のクラスの各々の少なくとも1つの薬剤に対して難治性である必要がある:PI、IMiD、および抗CD38抗体。
【0365】
(c)デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法コホートに登録される患者は、SEA-BCMAによる先行処置を除く先行BCMA指向型骨髄腫療法(例えば、BCMAを標的とするADC、CAR-T療法または二重特異性抗体療法)を受けている必要がある。ただし、先行BCMA標的療法の最終用量とこの治験のサイクル1の1日目との間に少なくとも6ヶ月が経過していること、そして、先行BCMA標的療法の任意の臨床的に有意な毒性から患者が回復していることを条件とする。
【0366】
以下の1つまたは複数によって定義される、測定可能な疾患:
a. 血清単クローン性パラプロテイン(Mタンパク)レベル≧0.5g/dL;IgAまたはIgD骨髄腫対象では、血清IgAまたは血清IgD≧0.5g/dLが許容される。
b. 尿Mタンパクレベル≧200mg/24時間
c. 血清免疫グロブリン遊離軽鎖≧10mg/dLかつ異常な血清免疫グロブリンカッパラムダ遊離軽鎖比
【0367】
年齢18歳以上。
【0368】
米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータススコアが0または1(例えば、利用可能なら、カルノフスキー・ランスキースケールを使用したパフォーマンスステータスの変換)。
【0369】
治験責任医師が判断する平均余命が>3ヶ月。
【0370】
以下のベースライン臨床検査値データ(血液学的基準が、成長因子または血小板輸血サポートの非存在下で満たされる必要がある):
a. Modified Diet in Renal Disease(MDRD)方程式による推算糸球体濾過量(eGFR)≧30mL/min/1.73 m2
b. 絶対好中球数(ANC)≧1000/μL
c. 血小板数≧75,000/μL
【0371】
妊娠可能な対象は、以下の条件下:
a. SEA-BCMAの初回用量の10~14日前以内と、SEA-BCMAの初回用量の開始前24時間に1回、血清または尿による妊娠反応検査(最小感度25mIU/mLまたは同等単位のベータヒト絨毛性ゴナドトロピン[β-hCG])結果が陰性である必要がある。偽陽性結果を有し、妊娠中でないと立証された対象は、参加適格者となる。
b. 治験中および任意の治験薬投与の最終用量後少なくとも6ヶ月間は、妊娠しないことに同意する必要がある。
c. インフォームドコンセントの時点から任意の治験薬投与の最終用量後6ヶ月間継続して、授乳または卵子提供しないことに同意する必要がある。
d. 妊娠に至る可能性のある性的活動がある場合、インフォームドコンセントの時点から治験中および任意の治験薬投与の最終用量後少なくとも6ヶ月間継続して、2つの非常に効果的な避妊法を着実に実行する必要がある。
【0372】
子どもの父親となる可能性がある患者は、以下の条件下:
a. インフォームドコンセントの時点から治験期間中および治験薬投与の最終用量後少なくとも6ヶ月間継続して、精子提供しないことに同意する必要がある。
b. 妊娠可能な人と妊娠に至る可能性のある性的活動がある場合、インフォームドコンセントの時点から治験中および任意の治験薬投与の最終用量後少なくとも6ヶ月間継続して、2つの非常に効果的な避妊法を着実に実行する必要がある。
c. 妊娠中または授乳中の人と性的活動がある場合、インフォームドコンセントの時点から治験中および任意の治験薬投与の最終用量後少なくとも6ヶ月間継続して、2つの避妊選択肢のうち1つを着実に実行する必要がある。
【0373】
さらに、対象は、書面によるインフォームドコンセントを提出する必要がある。
【0374】
除外基準
SEA-BCMAの初回用量の3年前以内に別の悪性腫瘍歴、または以前に診断された悪性腫瘍からの残存病変の任意の証拠。例外は、転移または死亡のリスクがほとんどない悪性腫瘍(例えば、5年全生存率≧90%)、例えば、適切に処置された子宮頸部上皮内がん、非黒色腫皮膚がん、限局性前立腺がん、非浸潤性乳管癌、またはステージIの子宮がんである。
【0375】
原発悪性腫瘍に関連する活動性の脳/髄膜疾患。原発悪性腫瘍に関連する脳/髄膜疾患歴のある対象は、前の中枢神経疾患が処置されているならば認められる。
【0376】
SEA-BCMAの初回用量の2週間前以内に任意の制御できないグレード3以上の(NCICTCAEバージョン4.03による)ウイルス、細菌または真菌感染。日常的な抗菌薬予防は容認される。
【0377】
表面抗原発現によるB型肝炎陽性。活動性C型肝炎感染(ポリメラーゼ連鎖反応によりまたはC型肝炎の抗ウイルス療法に対して最後の6ヶ月以内の陽性)。C型肝炎感染が処置されている対象は、12週間の持続的ウイルス陰性化が確認されていれば容認される。
【0378】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に陽性であることが既知。
【0379】
同種他家幹細胞移植(SCT)を以前に受けた対象。
【0380】
SEA-BCMAのその初回用量の6ヶ月前以内に、脳血管事象(脳卒中または一過性脳虚血発作)、不安定狭心症、心筋梗塞、またはニューヨーク心臓協会によるクラスIII~IVのうっ血性心不全(付録Fを参照のこと)と一致する心臓症状の既往歴。
【0381】
他の全身性の抗新生物薬または治験薬による現行療法。
【0382】
化学療法、放射線療法、生物製剤、治験薬、および/または免疫療法による他の抗腫瘍処置(SEA-BCMAの初回用量の4週間前または進行中なら2週間前に完了しておらず、処置に関連する臨床的に有意な毒性から回復していない)。CAR T細胞療法(SEA-BCMAの初回用量の8週間前に完了していない)。疾患の単一部位への緩和的放射線療法は、メディカルモニターの承認を受けて認められる。
【0383】
登録の14日以内の副腎皮質ステロイド(>10mgのプレドニゾロン当量/日)または他の免疫抑制薬治療のいずれかによる全身処置。吸入または局所ステロイドおよび副腎補充ステロイド用量≦10mgのプレドニゾロン当量/日は容認される。
【0384】
インフォームドコンセントの時点から治験薬投与の最終用量後6ヶ月まで授乳中、妊娠中、または妊娠を計画している対象。
【0385】
SEA BCMAまたはニロガセスタットの製剤中に含有される任意の賦形剤に対する既知の過敏症。
【0386】
形質細胞白血病(標準差動による>2.0×109個/Lの循環形質細胞)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器肥大、内分泌障害、単クローン性タンパク質、および皮膚の変化)、または臨床的に有意なアミロイドーシスを有する対象。
【0387】
中度または重度の肝障害であって、以下のいずれかによって示されるもの:
a. 血清総ビリルビン>1.5×基準値上限(ULN)。ジルベール病を有する対象では、総ビリルビン>3×ULN。
b. アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>3×ULN。
【0388】
治験責任医師の判断で対象を過度の危険にさらすまたはSEA-BCMAの安全性および毒性の適正な評価を妨げる、重大な併発状態または合併症。
【0389】
併用療法についてのみ:副腎皮質ステロイドに不耐性であることが既知。
【0390】
併用療法についてのみ:任意の制御不能な精神病。
【0391】
併用療法についてのみ:薬物不耐性または不十分な薬物吸収の素因となり得る胃腸疾患(例えば、経口薬を服用することができない、吸収に影響を与える既往手術(例えば、胃バイパス)、吸収不良症候群、および活動性消化性潰瘍)。
【0392】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法についてのみ:ニロガセスタットによる前処置またはガンマセクレターゼ阻害剤に不耐性であることが既知。
【0393】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法についてのみ:対象は、スクリーニング時に異常なQT間隔を有する(フリデリシア式による>470ms)。
【0394】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法についてのみ:対象は、先天的または後天的なQTc延長症候群歴を有する。
【0395】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法についてのみ:インフォームドコンセントの時点でクラスIaおよびクラスIII抗不整脈薬を含むQT/QTcF間隔を延長させることが既知の併用薬。QT/QTcF間隔を延長させ得る非不整脈薬は認められるが、ただし、参加者がトルサード・ド・ポアンツ(Torsades de Pointes)(TdP)の追加リスク因子を有していないことを条件とする。
【0396】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法についてのみ:CYP3A4の強力な誘導剤もしくは中程度から強力な阻害剤またはP糖タンパク質(P-gp)の強力な阻害剤もしくは誘導剤による現在進行中の治療を受けている対象。CYP3A4の強力な誘導剤もしくは中程度から強力な阻害剤および/またはP-gpの強力な誘導剤もしくは阻害剤は、登録の14日前からプロトコール治療の終わりまで認められない。しかしながら、安定用量でのCYP3A4誘導抗てんかん薬は認められる。
【0397】
治験処置の中止
患者の治験処置は、以下の理由のいずれかにより中止される場合がある:
病勢進行(PD)
AE
妊娠
治験責任医師による決断
患者による決断、非AE
治験依頼者による治験終了
その他、非AE。
【0398】
単剤療法では、SEA-BCMAを中止した患者は、治験処置の中止と見なされた。治験処置を中止する患者は、同意の撤回、死亡または治験終了のいずれか早い方まで追跡調査のために治験を継続する。
【0399】
併用療法では、SEA BCMAおよびデキサメタゾンを中止した患者は、治験処置の中止と見なされる。副腎皮質ステロイド療法を中止したデキサメタゾンを受けている患者は、メディカルモニターの承認を受けて単剤療法としてのSEA-BCMAを継続して受けてもよい。SEA-BCMAを中止した患者は、治験処置の中止と見なされる。
【0400】
デキサメタゾンおよびニロガセスタットとの併用療法では、SEA-BCMA、デキサメタゾンおよびニロガセスタットを中止した患者は、治験処置の中止と見なされる。副腎皮質ステロイド療法を中止したデキサメタゾンを受けている患者は、メディカルモニターの承認を受けてSEA-BCMAおよびニロガセスタットを継続して受けてもよい。ニロガセスタットを中止した患者は、メディカルモニターの承認を受けてSEA-BCMAおよびデキサメタゾンを継続して受けてもよい。SEA-BCMAを中止した患者は、治験処置の中止と見なされる。
【0401】
治験からの患者の脱落
任意の患者は、以下の理由のいずれかにより治験が中止される場合がある:
a)患者による同意の撤回;
b)再処置;
c)治験依頼者による治験終了;
d)追跡不能;
e)死亡;
f)その他。
【0402】
処置
SEA-BCMAは、BCMAに対して指向される非フコシル化モノクローナル抗体である。
【0403】
用量漸増中に割り当てられた用量レベルよりも高い用量でより大きな有益性を達成する可能性のある患者に対する患者内用量漸増ガイドラインは、本明細書に記載される。
【0404】
説明
SEA-BCMAは、無菌で、保存料無添加の、無色から明黄色で、透明からわずかに乳白色の、目視可能な粒子状物質を含まない溶液である。SEA-BCMAは、単回用量ガラスバイアルに入れて供給された。この薬品溶液は、静脈内(IV)投与用に、米国薬局方(USP)の滅菌0.9%塩化ナトリウム注射液または同等物中で希釈された。
【0405】
SEA-BCMA薬品には、公称含量が100mg/バイアルとラベルされていた。各バイアルは、110mgのSEA-BCMAを含有しており、使用の際にそのラベル量をバイアルから吸引することができる。SEA-BCMA薬品は、SEA-BCMA(20mg/mL)、ヒスチジン、アルギニン、トレハロース、およびポリソルベート80からなる。製品のpHは、およそ6.5であった。
【0406】
用量および投与
SEA-BCMAは、割り当てられた用量でIV注入によって投与する。SEA-BCMAは、静注または静脈内ボーラスとして投与しない。SEA-BCMAは、他の医薬品と混合しない。
【0407】
サイクル1の1日目に、クリニックにて、用量漸増の間、治験処置投与の完了後少なくとも6時間、患者を注意深く観察する。バイタルサインを収集する。安全性データの検討を行って、後続サイクルのための追加モニタリングを考慮する。サイクル1の1日目の治験処置投与の完了後の観察期間は、単剤療法用量拡大の間ならびに単剤療法強化投薬および併用療法コホートにおいて、用量漸増コホートのデータ検討後、遅発性の注入に伴う反応(IRR)の報告例がないものにおいて2時間まで短縮される。
【0408】
注入継続期間は、注入投与の方法およびSEA-BCMA用量に応じて変動させる。
【0409】
SEA-BCMA投与への最初のアプローチは、段階的注入である。段階的注入では、規定された最大注入速度に達するまで、注入速度を所定の時間間隔で上昇させる。SEA-BCMAの初回注入は、50mg/時間の速度で開始する。最初の30分間で良好な忍容性が示されるなら、忍容性を示す限り最大速度(400mg/時間)に達するまで速度を30分間毎に徐々に上昇させる(速度増加が2倍を超えないように)。後続注入では、注入速度を、より短い時間間隔でより急速に上昇させることもできる;例えば、最初の15分間後、忍容性を示す限り最大速度に達するまで速度を15分間毎に徐々に上昇させることもできる(速度増加が2倍を超えないように)。
【0410】
段階的注入による臨床治験の進行に伴い、最大速度を、累積安全性データおよび/またはSMCの推奨に基づいて上昇させても低下させてもよい。加えて、SMCにより推奨される場合、IRRを含む潜在的な安全性シグナルを管理するために、SEA-BCMA投与への代替アプローチを評価してもよい。これらには、以下の戦略の計画的な実施が含まれ得る:計画された注入継続期間の延長、固定継続期間注入(固定注入速度での投与)、分割用量投与、または前投薬の変更。
【0411】
固定継続期間注入
固定継続期間注入に関していくつかの基準が考慮される:
【0412】
固定継続期間注入が履行される場合、SEA-BCMA注入継続期間は、医師によって定義される。SEA-BCMA注入による臨床治験の進行に伴い、注入継続期間を、累積安全性データおよび/またはSMCの推奨に基づいて長くしても短くしてもよい。
【0413】
個々の患者において、患者が注入を忍容できないなら、注入継続期間を長くしてもよい;後続注入における注入継続期間も、メディカルモニターの承認を受けて治験責任医師の裁量により長くしてもよい。反対に、患者が連続注入でグレード1を超えるIRRを経験しないなら、注入継続期間をメディカルモニターの承認を受けて治験責任医師の裁量で短くしてもよく(すなわち、より早い速度で投与される)、その履行は、用量-コホート特異的であってもよい。
【0414】
固定注入速度が履行される場合、用量は、固定時間にわたって投与されるのではなく固定速度で投与される。
【0415】
例えば、50mg/時間の固定注入速度では、用量100mgが2時間にわたって注入されるだろう。固定注入速度での投与による臨床治験の進行に伴い、速度を、累積安全性データおよび/またはSMCの推奨に基づいて上昇させても低下させてもよい。
【0416】
個々の患者において、患者が注入速度を忍容できないなら、注入速度を、メディカルモニターの承認を受けて治験責任医師の裁量により後続注入において低下させてもよい。反対に、個々の患者が連続注入でグレード1を超えるIRRを経験しないなら、注入速度をメディカルモニターの承認を受けて治験責任医師の裁量で上昇させてもよい。
【0417】
分割用量投与
分割用量投与に関していくつかの基準が考慮される:
【0418】
分割用量投与が履行される場合、用量は、分割されて、一定期間内に別々に投与される。例えば、用量を2つの部に分割することもでき、その場合、用量の最初の10%をおよそ45分間かけて注入し、その後、患者が点滴用チェアに留まったままで30分間の観察期間を設ける。患者が初回SEA-BCMA注入に忍容性を示したと治験責任医師が判断したら、残りの90%をおよそ45分間かけて注入する。
【0419】
用量調節
患者単位で、DLTを含む毒性に対する投薬間隔の延長は、メディカルモニターによる承認を受けて可能とされる。サイクル1においてDLTを経験する患者は、毒性が適切に管理されたことにより臨床的有益性が実証される場合およびメディカルモニターからの承認がある場合を除き、SEA-BCMAによるさらなる処置を受けない。臨床的有益性の例としては、画像検査、臨床検査評価もしくは身体検査によって評価される客観的奏効(OR);または治験責任医師による疾患関連症状のSDおよび臨床的効果が挙げられる。臨床的有益性が実証されるなら、メディカルモニターとの議論の後、投薬間隔を50%~100%延長する。その決定のために、観察されたAEの種類および重症度の情報を考慮に入れる。最低の用量レベルで処置された患者について、投薬間隔を延長してもよいし、患者に対して処置を中止してもよい。
【0420】
計画された投薬日に患者が臨床的に有意な未回復のAEを有している場合、用量を最大7日間遅らせる。他の理由によるまたは>7日続く投薬遅延については、メディカルモニターと議論する;DLT期間中、患者は、毒性が適切に管理されたことにより臨床的有益性が実証される場合およびメディカルモニターからの承認がある場合を除き、SEA-BCMAによるさらなる処置を受けない。未回復のAEが原因の>7日の用量遅延を必要とする患者では、メディカルモニターとの議論の後、後続用量を減量するかまたは投薬間隔を50~100%延長する。投薬間隔の長さの2倍を超えて延長される用量遅延は、患者に対して治験処置の中止が必要である。
【0421】
2週間毎に1回(q2wk)の投薬において、15日目に患者が投薬を妨げる臨床的に有意な未回復のAEを有している場合、15日目の来院は≦7日遅延される。7日目に、患者が当該用量を受けることができなければ、サイクルの第2の用量を取りやめ、15日目の来院を省いて、22日目の来院が実施される。15日目の用量が≦7日遅延される場合、15~28日目に必要とされる治験評価は、用量遅延に従って同じ日数遅延され、次のサイクルの治験薬投与も少なくとも同じ日数遅延される。
【0422】
強化投薬の毎週の誘導サイクル1および2において、8、15または22日目に患者が投薬を妨げる臨床的に有意な未回復のAEを有していた場合、当該用量を≦3日遅らせてもよい。3日目に、患者が当該用量を受けることができなければ、SEA-BCMAの当該用量を取りやめ、対応する来院が省かれる;投薬および来院スケジュールは、翌週(例えば、15日目が省かれる場合は22日目)に再開する。しかし、8、15または22日目用量が≦3日遅延される場合、後続の同じサイクル内での治験評価は、用量遅延に従って同じ日数遅延され、次の用量の治験薬投与も少なくとも同じ日数遅延されるだろう。
【0423】
DLT期間(サイクル1)中、成長因子および輸血サポートは、医学的に必要でない限り思いとどまる;この期間にDLT以外の理由で成長因子(例えば、G-CSFまたはGM-CSF)または輸血(MM関連貧血のための赤血球輸血以外)サポートを受ける患者は、DLTについて評価されない場合がある。後続サイクルにおいて血球減少症の予防または治療のために成長因子サポートが考慮される(表4)。用量漸増中、グレード4の好中球減少症を有する患者は、DLTの評価の検討時点から5日間得られた鑑別を伴う追跡全血算(CBC)を有する。加えて、グレード3の電解質異常を有する患者は、DLTの評価の検討時点から72時間得られた追跡化学検査パネルを有する。血清化学検査および全血算(CBC)は、毒性に起因する用量遅延の間に週間スケジュールで最小限に収集される。
【0424】
表4は、治験処置関連毒性のために推奨される用量調節を記載する。
【0425】
(表4)SEA-BCMA関連毒性のために推奨される用量調節
a >7日の処置遅延は、メディカルモニターと議論すべきである
【0426】
患者がSEA-BCMAの少なくとも1サイクルに忍容性を示し、SDまたはそれ以上を達成する場合に、患者内用量漸増が容認される。用量漸増について現在進行中の用量レベルの1用量レベル下で(またはMTDが決定されていればMTDで)、追加の処置サイクルを投与してもよい。
【0427】
デキサメタゾン
用量および投与
デキサメタゾンは、各28日サイクルの1、8、15、および22日目に与えられる。デキサメタゾンは、40mgの用量でIV注入または経口的に(PO)投与される。ニロガセスタットおよびSEA-BCMAとの併用療法では、デキサメタゾンはIVのみで投与されるデキサメタゾンの用量は、≧75歳、またはBMI<18.5、またはデキサメタゾン40mgに不忍容であることが既知である患者では、20mgである。SEA-BCMAが投与される当日、デキサメタゾンは、SEA-BCMA注入の1~3時間前に投与される。
【0428】
用量調節
毒性による用量調節および支持療法を表5に列記する。
【0429】
(表5)デキサメタゾン関連毒性のための用量調節
a スクリーニング時に高いヘモグロビンA1c(HbA1c)(≧6.5%)または空腹時血糖(≧126mg/dL)を有する治験登録患者は、サイクル1の治験処置を開始する1週間前または1週間以内に糖管理のために適切なプロバイダーに委ねられる必要がある。
【0430】
ニロガセスタット
用量投与
ニロガセスタットは、各28日サイクルの1~28日目に用量100mg POでBID投与される。患者は、食事に関係なく大体12時間毎にBID用量を経口摂取しなければならない。患者がニロガセスタットの予定用量を忘れ、それが予定用量から6時間以内であれば、患者は、忘れた用量分を直ちに服用し、治験処置を通常の投与計画に従い再開すべきである。服用予定時刻から6時間以上経過しているなら、患者に、忘れた用量分を服用せず、治験処置を規定通り再開するよう指示しなければならない。患者は、忘れた用量分を「補う」ために2回分を一緒に摂取してはならない。1回分を服用後に時間を問わず患者が嘔吐した場合、患者に、嘔吐分を「補う」ために別の服用分を摂取せず、後続服用分を規定通り再開するよう指示しなければならない。患者が気付かずに1回分余計に摂取した場合、患者は、治験処置の次の予定用量を摂取してはならない。経鼻胃チューブまたは経皮胃瘻チューブを介したニロガセスタットの送達は認められない。錠剤は、水と一緒に丸ごと飲み込み、割ったり、噛んだりしてはいけない。1日1回(QD)の用量100mgについて、用量は、予定されていた忘れた用量分から12時間以内に服用してもよい。
【0431】
用量調節
ニロガセスタットの投薬は、表6および以下に記載のAEに対して、中断および/または減量される。
【0432】
患者がニロガセスタットに関連すると考えられる表6に記載のAEを経験した場合、その事象がグレード≦1またはベースラインに回復するまでニロガセスタットを維持し、次いで、ニロガセスタットを表6に記載の通り減量して再開する。
【0433】
ニロガセスタットを7日間維持した後もAEがグレード≦1またはベースラインに回復しない場合、ニロガセスタットは、治験依頼者と協議した後に限り再開させてもよい。
【0434】
減量時に同じグレード≧3のAEが再発し、AEがニロガセスタットと関連すると考えられる場合、治験依頼者と協議後に永久に中止してもよい。
【0435】
(表6)ニロガセスタット関連毒性のために推奨される用量調節
【0436】
50mg QDまでの2回目の減量は、治験依頼者のメディカルモニターと協議した後に容認され得る。ニロガセスタット関連毒性の追加管理を後述する:
【0437】
ニロガセスタットについての肝機能検査停止基準(Liver Chemistry stopping criteria):異常な肝機能に対するニロガセスタットの中止は、患者が図1に概説される状態の1つを満たすときまたはそれが患者にとって最善であると治験責任医師が考える場合に、治験責任医師により検討されるべきである。
【0438】
ニロガセスタット関連有害事象の管理
抗下痢、制吐療法
下痢、吐き気および嘔吐の一次予防は、最初のサイクルで容認される。後続サイクルでの一次予防は、治験責任医師の裁量による。下痢の事象は、ニロガセスタットを受けた患者において多く報告されている。ニロガセスタットに関連すると考えられる下痢を経験した患者は、ロペラミドまたは他の施設内標準治療で処置されるべきである。ロペラミドの推奨される初回用量は、4mgであり、軟便が出る度に2mgを下痢が制御されるまで続け、その後、個別の要件を満たすまで投与量を減量すべきである。ロペラミドは、主治医の医学的裁量に従って投薬されるべきである。患者はまた、必要に応じて、食事によるリン酸塩補充を含めた適切な水分と電解質の補給を受けるべきである。下痢がグレード≧3の下痢であり、最大限の医学的治療にもかかわらず≧3日持続する場合、ニロガセスタットは、下痢がグレード≦1またはベースラインに回復するまで維持され、次いで、用量100mg QDで再開されるべきである(表6)。治験処置を7日間維持した後も下痢がグレード≦1またはベースラインに回復しない場合、メディカルモニターと協議した後に限り100mgに減量して1日1回(QD)で治験処置を再開させてもよい。
【0439】
皮膚発疹
ニロガセスタットを受けた患者において皮膚発疹の事象が報告されている。
【0440】
非ざ瘡様発疹/皮疹
掻痒性皮疹/皮膚発疹および他の非ざ瘡様発疹は、CeraveもしくはEucerinなどの保湿剤または別の同等品で処置されるべきである。症状のある場合、低力価ステロイド外用薬、例えばベタメタゾン吉草酸エステルローション(0.05%)、デソニドクリーム(0.05%)、フルオシノロンアセトニド液(0.01%)、デキサメタゾンリン酸ナトリウムクリーム(0.1%)、ヒドロコルチゾン酢酸エステルクリーム(1%)、メチルプレドニゾロン酢酸エステルクリーム(0.25%)または同等物が使用されてもよい。
【0441】
ざ瘡様発疹
膿疱性皮疹には、ステロイドではなく、クリンダマイシン外用(0.1%)ゲルまたはローション適用BIDが最も有用である。重症例では、ドキシサイクリンまたはミノサイクリンなどの半合成経口テトラサイクリンも有用であり得るが、妊娠可能な女性では適切な予防措置が取られる。
【0442】
濾胞性嚢胞
濾胞性嚢胞は、毛包脂腺機能の維持を助けるガンマセクレターゼおよびNotchシグナル伝達経路の撹乱に関連し得る。この有害反応は、NCI(O'Sullivan Coyne, 2018)によって実施されたデスモイド患者でのニロガセスタット第2相治験で観察された。この事象が疑われる場合、適切な管理推奨のために皮膚科を受診することが推奨される。
【0443】
有害反応の管理
1. SEA-BCMA注入反応の管理
IRRは、SEA-BCMAなどのモノクローナル抗体療法の注入の間に起こり得る。注入は、アナフィラキシーが起きたらそれを管理するように適切に設備と人材を備えた場所で施行されるべきである。治験を通して、最適な患者ケアに対応するあらゆる支援的措置が施設内基準に従って講じられるべきである。支援的措置は、注入時間の延長および/またはIRRのための医薬の投与を含み得る。
【0444】
用量漸増中、IRRを管理するために追加的な緩和戦略が探索されてもよい。これらは、SMCの推奨を受けて実施されてもよく、限定されないが以下のいずれかまたはすべてを含み得る:
SEA-BCMAの投与の減速、中断、または他の判断
注入のための可能な前投薬または後投薬、例えば:
・抗ヒスタミン薬、例えば、ジフェンヒドラミン50mg IVまたは同等のものおよびファモチジン40mg IVまたは同等のもの
・解熱薬、例えば、アセトアミノフェン500~1,000mg PO
・制吐薬、例えば、オンダンセトロン
・IV輸液サポート、例えば、生理食塩水
・抗固縮薬(anti-rigor medication)、例えば、メペリジン
・昇圧剤
・副腎皮質ステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン100mg IVもしくは同等のものまたはメチルプレドニゾロン40mg IVもしくは同等のもの(デキサメタゾンを併用療法として受けていない患者)
【0445】
IRRの管理に関する推奨を表7に詳述する。IRRは、NCI-CTCAEバージョン4.03ガイドラインに従って等級分けされるべきである。
【0446】
(表7)注入に伴う反応の管理
NCI-CTCAEバージョン4.03による
【0447】
アナフィラキシーが起きたら、SEA-BCMAの投与を直ちにかつ永久に中止しなければならない。
【0448】
IRRのグレード3もしくは4のイベントのすべて(注入中もしくは注入後≦24時間以内に発生)または過敏性反応(発生は、注入後>24時間に起こる)は、SEA-BCMAとの関係性を問わず、治験依頼者にまたは委任された者に直ちに報告されなければならない。グレード4のイベントはすべて、重篤な有害事象(SAE)であり、24時間のSAE報告期間内に報告されるべきである。
【0449】
≧グレード3のIRRまたは遅延性過敏性反応を経験している患者は、注入/過敏性反応(IHR)による来院、ならびに評価のためおよび反応の作用機序解析用の血液試料の収集のためのIHR再院が必要となる。
【0450】
SEA-BCMAに必要とされる前投薬および後投薬
注入反応のためのルーチンな前投薬は、SEA-BCMAの初回用量の前に施行するべきである。しかしながら、IRRを経験した患者は、注入の少なくとも30分前に、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン50mg IVまたは同等のものおよびファモチジン40mg IVまたは同等のもの)、副腎皮質ステロイド(例えば、ヒドロコルチゾン100mg IVまたは同等のもの)、またはアセトアミノフェン(例えば、500~1,000mg PO)などの前投薬による後続処置を受ける。SEA-BCMA注入による臨床治験の進行に伴い、SMCにより推奨される場合に、治験処置の初回用量の前のルーチンな前投薬を開始してもよい。
【0451】
SEA-BCMAに後投薬は必要ない。
【0452】
強化投薬コホート、デキサメタゾン併用療法コホート、ならびにニロガセスタットおよびデキサメタゾン併用療法コホートでは、注入反応のためのルーチンな前投薬は、SMCまたはメディカルモニターによって禁忌または別途推奨されない限り、以下のレジメンによりSEA-BCMA注入前に投与される必要がある:
解熱薬+抗ヒスタミン薬:SEA BCMA注入のおよそ45~90分前に投与する(サイクル1およびサイクル2の間のすべての用量ですべての患者に必要とされる)
(1)アセトアミノフェン、経口、650~1000mg
(2)ジフェンヒドラミン、経口またはIV、25~50mg(または同等なH1遮断薬)
【0453】
サイクル1またはサイクル2の間にIRR(注入に伴う反応)を経験しない場合:サイクル3の1日目用量から開始して一方または両方の前投薬を省略してもよい。
【0454】
アセトアミノフェン+抗ヒスタミン薬にもかかわらずIRRが起こる場合
【0455】
症状に基づき支持療法により処置する。
【0456】
単剤療法患者(デキサメタゾンを受けていない)では、以下が追加される:
次のSEA-BCMA注入の1~3時間前に必要であれば、メチルプレドニゾロン、IV、100mg(または同等投与量の中間時間~長期作用型副腎皮質ステロイド)の前投薬。この注入がIRRなく忍容性を示す場合、メチルプレドニゾロン用量を60mg(または同等投与量の中間時間~長期作用型副腎皮質ステロイド)まで減量させて、後続用量前に経口またはIVのいずれかで投与してもよい。
【0457】
追加の前投薬(例えば、H2遮断薬またはロイコトリエン阻害剤)を考慮してもよい。
【0458】
併用患者(デキサメタゾンを受けている)では、以下が追加される:
すべての後続SEA-BCMA用量の45~90分前に必要であれば、H2遮断薬(ファモチジン40mg IVまたは同等のもの)の前投薬。
【0459】
追加の前投薬(例えば、ロイコトリエン阻害剤)を考慮してもよい。
【0460】
治験評価
スクリーニング/ベースライン評価
すべての選択基準および除外基準を満たした患者のみこの治験に登録する。評価は、患者から署名済みのインフォームドコンセントを得た後に開始する。
【0461】
患者の病歴は、顕著な既往歴、現在の状態、既往悪性腫瘍の任意の処置および先行処置に対する応答、ならびに任意の併用薬の徹底的な検討を含む。前治療ラインの数は、Rajkumarら(Rajkumar et al., Blood 126(7): 921-2, 2015)によって確立された基準を用いて決定される。簡単に述べると:
処置レジメンが何らかの理由で中止され、異なる処置レジメンが開始される場合、新たな治療ラインが考慮される。
新たな治療ラインは、既存の治療コースに対して何らかの理由で1つまたは複数の薬物の計画外の代用または追加が行われる場合にも開始されると考えられる。
>1のASCT(計画されたタンデムASCTの場合を除く)を受けている患者では、1回目に続く各移植は、新たな治療ラインと見なされるべきである。
誘導療法とそれに続く最初のASCTおよび維持療法などの複数のフェーズを有する計画された治療コースは、1ラインの療法と見なされる。
【0462】
疑わしいまたは既知の形質細胞腫の場合にのみ、スクリーニング中にベースライン形質細胞腫スキャンを実行する。処置の間、任意の時点で形質細胞腫評価を行い、PRまたはそれ以上の応答を確認するか、または臨床上必要であればPDを確認する。
【0463】
骨髄穿刺液(骨髄穿刺液クロットを含む)および生検がベースライン来院の一部として必要とされる。
【0464】
身体検査には、以下の身体部分/体組織の評価が含まれる:腹部、四肢、頭部、心臓、肺、頸部、および神経系。体重および身長も測定する;過去12ヶ月以内に得られる身長の測定値を利用してよい。
【0465】
血液および尿検査には、鑑別を伴うCBC、血清化学検査パネル、血清学(B型およびC型肝炎)、PT/PTT/INR、hBA1c(併用コホートの患者について)および検尿が含まれる。妊娠反応検査は、妊娠の可能な患者に対して実施される。検尿結果が異常である場合には顕微鏡による尿検査が必要である。UPC比算出のために随時尿で十分であるが;UPC>2の場合、UPC算出のために24時間尿の追加収集が必要とされる。
【0466】
薬力学バイオマーカー評価のために血液試料が収集される。
【0467】
応答/有効性評価
応答評価には、SPEP/免疫固定、UPEP/免疫固定(ベースライン尿Mタンパク≧200mg/24時間を有する患者において、またはVGPRもしくはそれ以上の評価のために)、SFLC、定量的免疫グロブリン、および画像検査による形質細胞腫評価(ベースライン時に、4サイクル毎に、および臨床上必要であれば追加時点に)が含まれる。これらの試料は、実施施設での評価のために収集される。加えて、IgG骨髄腫患者では、中央検査室において改良型SPEPを使用して血液が分析される。
【0468】
BM穿刺液クロックを含む骨髄穿刺液、および生検が、ベースライン来院の一部として、ならびにサイクル1の4日目(拡大コホートのみ、用量漸増中に観察されるまたは用量拡大中に新たに出現する活性に付随して)、サイクル2の22~28日目に、また血液および尿Mタンパク陰性の患者においてCRを確認するために必要とされる。単剤療法強化投薬および併用療法では、骨髄穿刺液および生検はまた、サイクル6において、またその後6サイクル毎にも必要とされる。骨髄穿刺液と生検の両試料は、臨床評価については実施施設で評価される(サイクル1の4日目の標本を除く)。加えて、これらの試料に対して中央施設でバイオマーカー分析が行われる。臨床試験中に任意の他の時点で収集された任意の追加の骨髄穿刺液および生検を、中央施設での評価のために提出してもよい。
【0469】
骨髄標本は、SEA-BCMAに対する応答/耐性の評価のために中央施設で検査され、限定されないが、BCMA発現の評価、免疫活性化、疾患リスクプロファイリング、遺伝子発現プロファイリング、および微小残存病変(MRD)評価を含むことができる。
【0470】
抗腫瘍活性の決定は、2016 IMWG基準(Kumar et al., Lancet Oncol 17(8): e328-46, 2016)に従ってなされた応答評価に基づき、治験責任医師による処置決定は、これらの評価に基づく。sCR、CR、VGPR、PR、SD、およびPDの臨床応答は、実施検査室(およびIgG MM患者では中央検査室による改良型SPEPの実行)、放射線学、および臨床評価に基づき評価毎に決定される。病勢進行は、IMWG 2016基準および/または治験責任医師による臨床的な増悪に基づく。すべてのIMWG応答は、確定された応答である。該当する場合は、免疫表現型CR、MRD状態および最小奏効の決定をIMWG 2016基準により行う。
【0471】
薬物動態および免疫原性評価
PKおよびATA評価のための血液および骨髄試料を収集する。認定済みのアッセイを使用して、SEA-BCMAの血清および骨髄中濃度およびATAの血清中濃度を測定する。残りのPK試料は、SEA-BCMA関連種の想定される解析のために保管する。アッセイには、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)アッセイに加え、さらなる特性評価が必要であれば他のアッセイも含まれる。
【0472】
認定済みの電気化学発光アッセイを使用してATAを評価する。
【0473】
バイオマーカー研究
バイオマーカー分析のための末梢血および骨髄試料を、以下のセクションに概説する時点で収集する。治験実施計画書に規定された腫瘍標本の収集物に加えて、治験責任医師の裁量で収集された骨髄標本を、中央施設でのバイオマーカー分析のために提出することもできる。骨髄収集物すべてについて、実施施設から、骨髄穿刺液ならびに骨髄生検標本および骨髄穿刺液クロット標本がホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックとして提供される。SOCのために取得された試料について、骨髄生検またはクロット用のFFPEブロックが入手できない場合は未染色スライドを提出してもよい。検査マニュアルに記載されている通り、試料を分析のために中央検査室に送る。
【0474】
BCMAの発現ならびにSEA-BCMAの活性に関連し得るかつ/または処置に応答して変化し得る関連バイオマーカーの発現について試料を評価する。腫瘍組織および末梢血の分析は、予後、応答または耐性に関連するマーカーを含むこともできる。末梢血免疫細胞サブセットの変化を、潜在的な薬力学および安全性マーカーとして測定する。
【0475】
エフェクター細胞の遺伝子プロファイリング
SEA-BCMAに対する応答に影響し得るFcγRIIおよびFcγRIIIの小ヌクレオチド多型(限定されないが、以下の多型の検査を含む)を決定する。
FCGRIIIA - 158V/F
FCGRIIA - 131H/R
【0476】
血清遊離軽鎖および改良型SPEP
カッパおよびラムダ遊離軽鎖を、抗腫瘍活性の代替マーカーとして患者血清中で定量する。
【0477】
低い血清MタンパクSPEPレベルを有するIgG骨髄腫患者について、リフレックス改良型SPEPアッセイを使用して、SEA-BCMAから妨害のない残留血清Mタンパクを評価する。
【0478】
末梢血イムノフェノタイピング
末梢血試料をフローサイトメトリーによる循環免疫細胞の評価のために収集する。循環免疫細胞サブセットの変化を、SEA-BCMA活性の潜在的な薬力学マーカーとして測定する。フローサイトメトリー測定には、非限定的にNK細胞、単球、T細胞およびB細胞を特性評価することが含まれる。
【0479】
血漿サイトカイン/ケモカイン
循環サイトカイン/ケモカインのレベルを、ELISAおよび/または多重サイトカイン/ケモカインアッセイによって評価してもよい。
【0480】
可溶性標的およびリガンド
循環可溶性BCMA(sBCMA)、APRILおよびBAFFのレベルを、ELISAまたは他の方法(例えば、LC-MSまたはフローサイトメトリー)によって評価してもよい。
【0481】
血漿バイオマーカーおよびPBMC
血漿およびPBMCを、SEA-BCMAに対する応答および/または耐性に関連する細胞および循環バイオマーカーのレトロスペクティブ分析のために収集する。
【0482】
腫瘍組織の特性評価
ベースライン時および処置中の骨髄穿刺液および生検を収集して、疾患関連免疫サブセットを評価し、腫瘍負荷を特徴付け、効果の深さを調査し、予後シグネチャおよび処置に対する応答を決定する。追加のタンパク質、遺伝子発現プロファイリング、ならびに骨髄腫疾患関連リスクマーカーについてのさらなる腫瘍の分子特性も、SEA-BCMAに対する応答または耐性を予測するバイオマーカーを特定するために評価してもよい。
【0483】
骨髄イムノフェノタイピング
腫瘍形質細胞上のBCMAの発現、ならびに骨髄中の免疫成分の存在および変化を、フローサイトメトリーおよび/または免疫組織化学検査によって評価してもよい。
【0484】
遺伝子発現プロファイリング/NGS/FISH
腫瘍および腫瘍微小環境中の遺伝子発現プロファイルのベースラインと処置関連変化を、骨髄穿刺液から精製した腫瘍(CD138陽性)および非腫瘍(CD138陰性)細胞のRNAシーケンシングによって評価して、予後疾患リスクシグネチャ、ならびにベースライン特性および応答または耐性と相関し得る処置中変化を決定してもよい。また、ベースライン時に収集される骨髄穿刺液から濃縮したCD138陽性形質細胞の細胞遺伝学的解析またはDNAシーケンシングを行い、SEA-BCMAに対する応答を予測し得るまたはそれに関連し得る遺伝子変化をさらに決定してもよい。
【0485】
MRD
SEA-BCMAの活性を理解するために、MRDアッセイ用の適応NGS(Martinez-Lopez et al., Blood 123(20): 3073-9, 2014)を用いて関連標本に対してMRD評価を行ってもよい。
【0486】
骨髄血漿
骨髄血漿を収集して、SEA-BCMAに対する応答に影響または相関し得る、可溶性標的、リガンドおよび/またはサイトカイン/ケモカインのレベルについて試験してもよい。
【0487】
有害事象
International Council for Harmonisation(ICH) E2A guideline Definitions and Standards for Expedited Reporting、および21 CFR 312.32, IND Safety Reportingに従って、AEは、医薬品が投与された患者または臨床試験対象者に生じた、必ずしも当該処置との因果関係が明らかではない、あらゆる好ましくない医療上の出来事である。
【0488】
一般に、異常な検査値は、臨床徴候もしくは症状に関連しない、介入を必要としない、SAEをもたらさない、または治験処置(SEA-BCMAおよび/またはデキサメタゾン)の治験終了または中断/中止をもたらさない限り、AEとして記録されるべきではない。検査値異常に起因するAEを記録する際、異常そのものではなく生じた医学的状態が記録されるべきである(例えば、「低ヘモグロビン」ではなく「貧血」を記録する)。
【0489】
重篤な有害事象
AEは、以下の基準の1つを満たす場合にSAEと分類された:
【0490】
有害事象重症度
AE重症度は、NCI-CTCAEバージョン4.03を使用して等級分けされる。
【0491】
AE重症度および重篤度は、独立に評価される。「重症度」は、AEの強度を特徴付ける。「重篤な」は、規則上の定義であり、治験依頼者への規則報告義務を定義するための指針としての役目を果たす。
【0492】
有害事象の治験処置との関係性
各AEの各治験処置(SEA-BCMAおよび/またはデキサメタゾン)との関係性は、治験責任医師により以下の基準を用いて評価する:
【0493】
データ解析法
試料サイズの決定
およそ305名の患者を本治験に登録する。この数は、下記に基づく。およそ65名の患者をSEA-BCMA単剤療法治験に登録した。この数は、およそ25名の患者が、用量漸増において評価され、およそ40名の患者が、SEA-BCMAの安全性および抗腫瘍活性をさらに定義するために拡大コホートにおいてMTDまたは最適用量で評価されるという想定に基づくものであった。
【0494】
様々な毒性シナリオにわたる各用量に割り当てられた患者の平均数を含め、本治験の用量漸増部の動作特性は、シミュレーションレポートに提示される。
【0495】
およそ40名の患者を、コホート1および2の各々を含め、併用療法治験に登録する。患者20名が各コホートにおいて最適用量で有効性評価が可能となった後に中間解析を実施して、コホートを患者40名までさらに拡大できるかどうかを判定する。
【0496】
拡大コホートに対して正式な仮説検定は計画されない。30% ORRと仮定すると、患者40名で95%の正確信頼区間(CI)は(17%、47%)であり、80%の正確CIは(20%、41%)である。
【0497】
強化投薬単剤療法および併用療法に対して正式な仮説は計画されない。観察されたORRが30%~50%と仮定すると、95%の正確な二項CIは表8に以下のようにまとめられる。
【0498】
(表8)95%の正確な二項CI
【0499】
客観的奏効率
患者は、2016 IMWG統一効果判定基準に基づいて、sCR、CR、VGPRまたはPRを達成する場合に、ORを有すると判定される。ORRは、治験責任医師によるORを有する患者の割合として定義される。その疾患応答を2016 IMWG統一効果判定基準により評価できなかった患者は、ORRの計算について評価不能としてスコア化される。ベースライン後応答評価を有していない、または応答がIMWG基準によって評価不能である患者は、ORRの計算において不応答者としてカウントされる。
【0500】
完全奏効率
患者は、2016 IMWG統一効果判定基準に基づいて、sCRまたはCRを達成する場合に、CRを有すると判定される。CR率は、治験責任医師によるCRを有する患者の割合として定義される。その疾患応答をIMWG統一効果判定基準により評価できない患者は、CR率の計算について評価不能としてスコア化される。
【0501】
客観的奏効期間
ORの持続期間は、OR(sCR、CR、VGPR、またはPR)の最初の確認から増悪の最初の確認または何らかの原因による死亡のいずれか早い方までの時間として定義される。増悪は、腫瘍進行(血清、尿または骨髄評価に基づく)および/または治験責任医師による臨床進行の客観的証拠を含む。奏効期間は、増悪を有さず解析時点で治験継続中であるかまたは腫瘍進行の確認前に治験から除かれた患者では、PDがないことが確認されている最終疾患評価日に打ち切られる。PDの確認前に新たな抗腫瘍処置を開始している患者は、新たな処置の開始前に最終疾患評価時点で打ち切られる。
【0502】
奏効期間は、sCR、CR、VGPRまたはPRを達成している患者のサブグループについてのみ計算される。
【0503】
完全奏効期間
CRの持続期間は、完全奏効(sCR、CR)の最初の確認から増悪の最初の確認または何らかの原因による死亡のいずれか早い方までの時間として定義される。増悪は、腫瘍進行(血清、尿または骨髄評価に基づく)および/または治験責任医師による臨床進行の客観的証拠を含む。CRの持続期間は、増悪を有さず解析時点で治験継続中であるかまたは腫瘍進行の確認前に治験から除かれた患者では、PDがないことが確認されている最終疾患評価日に打ち切られる。PDの確認前に新たな抗腫瘍処置を開始している患者は、新たな処置の開始前に最終疾患評価時点で打ち切られる。
【0504】
CRの持続期間は、sCRまたはCRを達成している患者のサブグループについてのみ計算される。
【0505】
無増悪生存期間
PFSは、任意の治験処置の開始から増悪の最初の確認または何らかの原因による死亡のいずれか早い方までの時間として定義される。増悪は、腫瘍進行(血清、尿または骨髄評価に基づく)および/または治験責任医師による臨床進行の客観的証拠を含む。PFSは、増悪を有さず解析時点で治験継続中であるかまたは腫瘍進行の確認前に治験から除かれた患者では、病勢進行(PD)がないことが確認されている最終疾患評価日に打ち切られる。PDの確認前に新たな抗腫瘍処置を開始している患者は、新たな処置の開始前に最終疾患評価時点で打ち切られる。初回用量後に腫瘍応答の評価を欠いている患者は、イベント時間が1日で打ち切られる。
【0506】
全生存期間
OSは、任意の治験処置の開始から何らかの原因による死亡日までの時間として定義される。具体的には:OS=死亡日-任意の治験処置の第1の投与日+1。
【0507】
追跡不能も含め最終接触日に生存していた患者のOSは、最終接触日に打ち切られる。患者が生存していることが分かった最終記録日が任意の治験処置の第1の投与日であった場合、生存期間は、任意の治験処置の第1の投与日に打ち切られるだろう(すなわち、OS持続期間は1日)。
【0508】
MRD陰性率
MRD陰性の比率は、VGPRまたはそれ以上を達成した患者間で報告される。
【0509】
有効性分析
すべての有効性分析は、全処置患者セットを使用して提示される。選択された有効性エンドポイントもまた、EE分析セットを使用して提示される。観察されたORRおよびCR率ならびに対応する95% CIが提示される。疾患応答を評価できなかった患者は、不応答者としてカウントされる。応答を達成する前に患者内用量漸増を受けた患者は、その初回用量で不応答者としてカウントされる。
【0510】
奏効期間、PFSおよびOSは、カプラン・マイヤー方法論を使用して推定され、カプラン・マイヤープロットが提供される。可能であれば中央値が計算される。また、95% CIも適宜計算される。
【0511】
薬物動態および免疫原性分析
SEA-BCMAのPKは、ノンコンパートメント解析によって評価される。データから可能であれば、以下のPKパラメーターが決定される:
曲線下面積
注入終了時の濃度(Ceoi)または最高観察濃度(Cmax
トラフ濃度(Ctrough
終末相または見かけの終末相半減期(t1/2
定常状態時の全身クリアランスおよび分布容積
蓄積比
【0512】
バイオマーカー分析
末梢血および骨髄穿刺液ならびに生検をバイオマーカー評価のために収集する。これらの試料を用いて行う評価には、限定されないが、骨髄腫細胞モニタリングおよびプロファイリング(BCMAの発現および免疫細胞集団の評価を含む)が含まれる。追加で、骨髄試料を分析して、遺伝子発現プロファイル、細胞遺伝学的異常、遺伝子変異ならびに他の腫瘍および腫瘍微小環境関連バイオマーカーを特定し、これらから、疾患リスクプロファイルを定義し、SEA-BCMAに対する応答を予測し、SEA-BCMAの作用機序を明らかにできる。選択された骨髄標本において、次世代シーケンシング(NGS)を使用してMRDを解析する。また、sFLC、サイトカイン/ケモカイン、可溶性BCMAおよび他の可溶性バイオマーカーを含む薬物活性のバイオマーカーの定量のために、血漿および血清も収集する。
【0513】
バイオマーカーおよび薬力学パラメーター(例えば、ベースライン値、ベースラインからの絶対的および相対的変化)の有効性、安全性およびPKパラメーターとの関係性を探索する。関心対象と確定される関係性および関連データをまとめる。
【0514】
実施例2. SEA-BCMAは、ガンマセクレターゼ阻害の存在下で増強された活性を示す
ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)は、BCMA切断を遮断し、したがって細胞表面のBCMA発現を増加させると示されている(Laurent SA, Hoffmann FS, Kuhn PH, et al. γ-Secretase directly sheds the survival receptor BCMA from plasma cells. Nat Commun. 2015;6:7333)。本発明者らは、ガンマセクレターゼ阻害が、多発性骨髄腫(MM)細胞上のSEA-BCMA活性を改善できると仮説を立てた。以下の実験に示すように、ニロガセスタット(SelleckChemから購入)またはDAPT(EMD Millipore)、またはいくつかの他のGSIによるMM細胞のインビトロ処理は、SEA-BCMA FcγRIII会合および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強する。これらのデータは、臨床でのSEA-BCMAとGSI阻害剤との併用が、より大きな抗骨髄腫活性を導くことができることを示唆している。ニロガセスタットはまた、BCMA NF-kBシグナル伝達も、おそらくは増加したBCMA発現により増加させる。SEA-BCMAは、MM細胞においてこの増加したBCMAシグナル伝達を遮断することができる。これらのデータをまとめると、SEA-BCMAによる増殖性細胞シグナル伝達の遮断が、臨床においてGSIの存在下であっても抗骨髄腫活性に寄与し得ることが示唆される。
【0515】
SEA-BCMAは、ガンマセクレターゼ阻害の存在下で増強されたFcγRIII活性化を示す
まず、SEA-BCMAの主な作用機序、すなわちADCC活性へのGSIの影響を試験するための実験を行った。SEA-BCMAを免疫エフェクターと併用したときのADCCを開始するFcγRIIIシグナル伝達の誘導を最初に調べた。
【0516】
NCI-H929またはMolp-8 MM標的細胞を、1μMのDAPTと共におよびそれなしで24時間インキュベートした。細胞は、DAPTとのインキュベーション後にフローサイトメトリーを使用したところ、増加したBCMA発現を示した(図2A~2B)。FcγRIIIシグナル伝達は、製造業者が説明するような代理アッセイ(Promega ADCC reporter bioassay cat# G9302)を使用して測定した。細胞を、抗体用量タイトレーション+/-GSIに37℃で30分間結合させた。次に、CD16A-Jurkatエフェクター細胞を6:1のエフェクター対標的細胞比で加えた。一晩インキュベーションした後、アッセイをBio-Gloで発色させ、Envisionプレートリーダーで相対発光量(RLU)を測定した。増加したFcγRIIIシグナル伝達がGSIの存在下で観察された(図2C~2D)。したがって、図2A~2Dに示すように、DAPT処理は、NCI-H929およびMolp-8細胞上で増加したBCMA発現および増加したFcγRIIIシグナル伝達を誘導することができる。SEA-BCMAは、フコシル化された抗BCMA抗体と比較して増強されたFcγRIII結合親和性および誘導されたシグナル伝達を示す非フコシル化抗体である。増強されたシグナル伝達は、SEA-BCMAの主な作用機序における最初の工程である。このシグナル伝達は、ADCCを通じて増加した抗MM細胞溶解につながり得る。これらのデータは、GSIがSEA-BCMA臨床活性を潜在的に改善することができることを示している。
【0517】
0.2μM ニロガセスタットGSIありまたはなしで24時間インキュベートした多発性骨髄腫細胞はまた、増加したBCMA発現を示した(図3A)。これは、正常ドナーPBMCから濃縮されたNKエフェクター細胞をニロガセスタットで処理した多発性骨髄腫細胞と組み合わせたときに、増加したADCCに変換された(図3B)。増加したADCCは、低レベルのBCMAを発現した多発性骨髄腫細胞、例えば、わずか2,000コピーのBCMAしか発現しなかったMOLP-8で、特に顕著であった。これらの前臨床データは、臨床試験におけるSEA-BCMAとニロガセスタットの併用を支持するものであった。
【0518】
SEA-BCMAは、ガンマセクレターゼ阻害の存在下で増強されたADCCを示す
増強されたFcγRIIIシグナル伝達がSEA-BCMAによるMM標的細胞の溶解増加につながるかどうかを判定した。Molp-8 MM標的細胞を、0.2μMのニロガセスタット(SelleckChemから購入)と共におよびそれなしで24時間インキュベートした。次いで、細胞を、Na2[51Cr]O4で標識し、SEA-BCMAのタイトレーション、またはアイソタイプ抗体対照に加えた。エフェクター細胞(正常ドナーPBMCから濃縮したNK細胞)を、エフェクター対標的細胞比10:1(50,000:5000)で加えた。ドナーNK細胞は、高い親和性FcγRIII V/V遺伝子型のものであった。抗体、NK細胞および標的細胞の組み合わせを、37℃で4時間ニロガセスタットと共におよびそれなしでインキュベートした。次いで、溶解した標的細胞の培養上清に放出された放射活性を測定し、特異的細胞溶解率を計算した。U266は、ニロガセスタットとのインキュベーション後にフローサイトメトリーを使用したところ、増加したBCMA発現を示した(図4A)。増加したADCCがGSIの存在下で観察された(図4B)。これは、SEA-BCMAの作用機序の主要なものであり、特異的で増強された抗MM溶解につながる。これは、SEA-BCMAをGSIと併用すると臨床で抗MM活性の改善につながると予想される。
【0519】
実施例3. SEA-BCMAは、ガンマセクレターゼ阻害によって誘導されるNF-κBシグナル伝達を部分的に遮断する
SEA-BCMAの第2の作用機序は、BCMAの増殖性細胞シグナル伝達を遮断することである。GSI処理からの増加したBCMAは、増加したBCMAシグナル伝達を誘導すると予想される。それゆえ、SEA-BCMAによるこの増強されたシグナル伝達の遮断を試験した。BCMA発現NCI-H929細胞を、0.2μMのニロガセスタット(SelleckChemから購入)と共におよびそれなしで16時間血清飢餓状態にした。次いで、細胞を、20μg/mLのSEA-BCMAありとなしの場合で結合させ、0.2μMのニロガセスタットの存在下または非存在下にて37℃で20分間、1μg/mlの組換えヒトAPRIL(R&D Systems)と共におよびそれなしでインキュベートした。核抽出物1μgを、ELISAによりNF-κB p65活性について2連でアッセイした(TransAM NFκB Chemi p65, Active Motif)。相対発光量(RLU)をプロットし、これは、GSI(ニロガセスタット)からの増加したNF-κBシグナル伝達が、SEA-BCMAによって部分的に遮断され得ることを示す(図5)。これらのデータは、SEA-BCMAが、臨床でMM増殖性シグナル伝達をGSIの存在下で継続して遮断できることを示唆している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【配列表】
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【国際調査報告】