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  • 特表-生分解性マイクロカプセル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】生分解性マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/16 20060101AFI20240912BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20240912BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20240912BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B01J13/16
C11D17/08
C11D17/06
C11D17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518679
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022044379
(87)【国際公開番号】W WO2023049260
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198609.6
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519139538
【氏名又は名称】インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514117483
【氏名又は名称】レンセラー ポリテクニック インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ガバード、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ウィーランド、ジュリー アン
(72)【発明者】
【氏名】レイ、ヤビン
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ、エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】クンゼル、クリスタル
(72)【発明者】
【氏名】グロス、リチャード アラン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、スー
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005DB02X
4G005DB16Y
4G005DB16Z
4G005DC42Y
4G005DC42Z
4G005DD25Y
4G005DD25Z
4G005DD32Y
4G005DD32Z
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA07
4H003AB19
4H003AB31
4H003BA09
4H003BA12
4H003BA17
4H003CA18
4H003DA01
4H003DA02
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA28
4H003EB13
4H003EB30
4H003EB42
4H003EC01
4H003EC02
4H003EE05
4H003FA09
4H003FA26
4H003FA43
(57)【要約】
本開示は、マイクロカプセルシェルがバイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含有する、生分解性コアシェルマイクロカプセル組成物に関する。本開示はまた、このような生分解性コアシェルマイクロカプセルを調製する方法にも関する。本開示はまた、このような生分解性コアシェルマイクロカプセルを含有する消費者製品にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)活性物質を含むマイクロカプセルコア;及び
(ii)前記マイクロカプセルコアを内包するマイクロカプセルシェル
を含む、コアシェルマイクロカプセル組成物であって、
前記マイクロカプセルシェルが、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含み、
前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくは前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記PEGが、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくは前記PEGが1個の酸化エチレン単位を有する、コアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項2】
前記ポリアミンが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項3】
前記ポリアミンが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記COSが、20,000Da以下の平均分子量を有する、請求項2に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項4】
前記ポリアミンが、HMDAとCOSの組み合わせ又はHMDAと炭酸グアニジンの組み合わせであり、前記HMDAとCOSの重量比が10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1又は10:1~2:1であり、前記HMDAと炭酸グアニジンの重量比が10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1又は10:1~2:1である、請求項3に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項5】
前記マイクロカプセルが、動的光散乱法による測定で5μm~100μm、好ましくは10μm~75μm、又はより好ましくは10μm~50μmの平均直径粒度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項6】
前記活性物質の総量が、前記コアシェルマイクロカプセル組成物の重量に基づいて5%~50%、好ましくは10%~50%、より好ましくは15%~30%の範囲であり、前記活性物質が、香料、香味料、化粧品活性剤、悪臭中和剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記活性物質が香油である、請求項1~5のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項7】
前記活性物質と前記バイオベースエポキシドとの重量比が50:1~1:1、好ましくは30:1~4:1である、請求項1~6のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項8】
前記マイクロカプセルシェルが生分解性であり、好ましくはOECD301F試験、OECD310試験、OECD302試験、OECD307試験、OECD308試験、OECD309試験、ISO17556試験、ISO14851試験、又はISO18830試験に従って生分解性であり、より好ましくは、前記マイクロカプセルシェルが、OECD301F試験に従って60日以内に、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%の生分解度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項9】
前記マイクロカプセルシェルが、OECD301F試験による少なくとも20%の生分解度によって証明されるように本質的に一次生分解性であるか、又はOECD301F試験による少なくとも60%の生分解度によって証明されるように最終的に生分解性であり、好ましくは、前記マイクロカプセル組成物が生分解性材料と非生分解性材料との配合物を含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物。
【請求項10】
前記消費者製品が、洗濯洗剤、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、タブレット洗濯洗剤、一槽式又は多槽式の単回用量洗剤、洗濯洗剤バー、洗濯洗剤クリーム、手洗い洗濯洗剤、布帛仕上げ剤又は柔軟剤、乾燥機シート、布帛リフレッシャー、液体又は固体の香りブースター、シャンプー、髪質改良剤、固形石鹸、シャワージェル、ボディウォッシュ、制汗剤、デオドラント、ボディスプレー、ボディミスト、ローション、キャンドル又は繊維製品であり、好ましくは前記消費者製品が、布帛仕上げ剤又は柔軟剤であり、好ましくは2~4のpHを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物を含む消費者製品。
【請求項11】
(a)活性物質をバイオベースエポキシドで乳化し、エマルションを形成するステップであって、前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくは前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記PEGが、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくは前記PEGが1個の酸化エチレン単位を有する、エマルションを形成するステップと;
(b)ポリアミンを前記エマルションに添加するステップであって、好ましくは前記ポリアミンが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記COSが20,000Da以下の平均分子量を有する、添加するステップと;
(c)前記エマルション中で界面重合を誘導するのに十分な条件を提供し、マイクロカプセルコアをカプセル化したマイクロカプセルシェルをそれぞれ有するコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを形成し、それによって請求項1~9のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物を得るステップと
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のコアシェルマイクロカプセル組成物を調製する方法。
【請求項12】
前記エマルションが乳化剤をさらに含み、好ましくは前記乳化剤が、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ソホロリピドブチルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリクオタニウム-11、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
界面重合を誘導するのに十分な条件が、24時間までの硬化を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コアシェルマイクロカプセルのシェルにポリマーを組み込んで前記コアシェルマイクロカプセルの生分解度を高めるステップを含む、前記コアシェルマイクロカプセルの生分解度を高めるための方法であって、
前記ポリマーがバイオベースエポキシドとポリアミンとで形成され、
前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくは前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記PEGが、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくは前記PEGが1個の酸化エチレン単位を有し、
好ましくは前記ポリアミンが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記COSが20,000Da以下の平均分子量を有し、
前記ポリマーがエマルション中の界面重合によって形成され、好ましくは前記エマルションが乳化剤を含み、好ましくは前記乳化剤が、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ソホロリピドブチルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリクオタニウム-11、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項15】
コアシェルマイクロカプセル組成物中のマイクロカプセルシェルの生分解度を高めるためのバイオベースエポキシドの使用であって、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーが、好ましくはバイオベースエポキシドとポリアミンとの界面重合によって前記マイクロカプセルシェルに組み込まれ、前記ポリマーを含まないマイクロカプセルシェルと比較して前記マイクロカプセルシェルの生分解度が高まり、
前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくは前記バイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記PEGが、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくは前記PEGが1個の酸化エチレン単位を有し、
好ましくは前記ポリアミンが、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは前記COSが20,000Da以下の平均分子量を有する、コアシェルマイクロカプセル組成物中のマイクロカプセルシェルの生分解度を高めるためのバイオベースエポキシドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロカプセルシェルがバイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含む、生分解性コアシェルマイクロカプセル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化は、コア材料を連続ポリマーフィルムでコーティングし、直径1~数百ミクロンの小さなカプセルを生成するプロセスである(Ozkan,et al.(2019)Food Chem.272:494-506;Bansode,et al.(2010)Intl.J.Pharma.Sci.Rev.Res.1(2):38-43)。理想的には、コア材料は周囲の環境(例えば、熱、酸素、水分、紫外線、他の材料との相互作用など)から保護され、望ましい条件で放出される(Nikafshar,et al.(2017)Materials 10(2):180)。マイクロカプセル化システムは、食品、接着剤、医薬品、化粧品、及び繊維製品などの多くの分野で幅広い関心を集めている(Fadini,et al.(2018)LWT 91:345-352)。マイクロカプセル化された香料及びエッセンシャルオイルは、しばしば化粧品及びパーソナルケア製品に着香剤として組み込まれる。また、それらは繊維製品に適用されて、セルフクリーニング、防臭、及び抗菌などの特性を備えた「機能性繊維」が調製される(Qiu,et al.(2020)Chem.Eng.J.384:123241)。
【0003】
揮発性香油を含有する、オレンジ油、ラベンダー油、ローズマリー油、セージ油、及びリモネン油は、カプセル内に長期間保持され、したがって洗濯洗剤溶液で洗浄した後でさえも、繊維製品上の香料の持続性が長くなることが報告されている。香水又は香油は、-OH、-NH、-C=O、-CHO、又は-COOHなどの異なる官能基を持つ様々な芳香化合物の複雑な混合物である。一般に、香料及び香水は少なくとも50%のトップノートとミドルノートで構成されている。香料業界が直面する問題の1つは、香料化合物、特に「トップ」ノートと「ハート」ノートは揮発性が高いため、カプセル化されていない場合、香料化合物によってもたらされる香りの利点が、比較的急速に(例えば、数時間以内に)蒸発し散逸することにある。
【0004】
その結果、豊富な異なるマイクロカプセル化方法が、上記の用途のために使用されてきた。これらの技術は、3つの主なカテゴリーに分類され得る:(1)物理的機械的プロセス(例えば、噴霧乾燥及び凍結乾燥);(2)物理化学的プロセス(例えば、単純なコアセルベーション及び複雑なコアセルベーション);及び(3)化学プロセス(例えば、界面重合及び原位置重合)。これらのマイクロカプセル化技術の中で、噴霧乾燥は製造プロセスが比較的単純でコストが低いため、油のカプセル化に最も頻繁に使用される。噴霧乾燥に関連する制限は、特に酸化の影響を受け易いことが知られている香料やエッセンシャルオイルの場合、噴霧中に使用される高温によって製品の酸化安定性が低くなることである。凍結乾燥は、材料の酸化安定性を高め得る低温脱水プロセスである;それでもなお、凍結乾燥カプセルの高い多孔性は、コア材料を周囲環境に露出し、放出特性の制御が制限される。
【0005】
コアセルベーションは、油マイクロカプセルを調製するための別の方法であり、ポリマーの均質な溶液が液液相分離を起こし、コア液滴を覆うポリマーに富む相が形成されるプロセスを必要とする。コアセルベーション技術は高いカプセル化効率をもたらすが、非共有イオン相互作用と相分離のみによって形成されるポリマーフィルムは、マイクロカプセル壁の強度を低下させる。
【0006】
界面重合及び原位置重合などの化学プロセスによるマイクロカプセル壁の形成は、高いカプセル化効率と、強力な壁の機械的強度の双方を提供し得る。界面重合は典型的には、油溶性成分と水溶性成分の間の反応を伴い、エマルション液滴サイズよって決まるポリマーマイクロカプセルが形成される。原位置重合によるマイクロカプセル化では、コア材料に反応物は含まれず、重合部位は2つの非混和相の界面ではなく、連続相と接触するカプセル壁に存在する。原位置重合によるマイクロカプセル化は、ペパーミント油、タイム油、ティーツリー油、香料、防虫剤、及び履物をはじめとするカプセルペイロードのために使用されている。さらに、イソシアネート基は求核官能基と容易に反応するので、界面重合は、主にポリ尿素などの様々なポリマーシェル内に広範囲な香油をマイクロカプセル化するために使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
界面重合と原位置重合はマイクロカプセルの調製のために広く使用されているが、現在の制限としては、次が挙げられる:(1)多量の残留溶媒;(2)カプセルの基礎的要素は、しばしば生分解性又は生体適合性でなく、一部(例えば、ホルムアルデヒド及びイソシアネート)は未反応形態で有毒であり、皮膚火傷、窒息、及びがんなどの深刻な健康問題を引き起こす可能性があり、作業員を危険に曝している。マイクロカプセルの製造業者と使用者には、グリーンケミストリーの原則に従ってマイクロカプセルを開発し、生分解性材料を使ってカプセル壁を構築し、バイオマスベースの炭素源に由来するカプセルに移行することへの圧力が高まっている。
【0008】
エポキシ樹脂は、典型的には、コーティング剤、接着剤、複合材料製造、航空宇宙産業、電子材料、及び生物医学システムを調製するために使用される。エポキシ樹脂の最も普遍的な成分は、硬化時に高性能の熱硬化性樹脂を形成するビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)である(Maiorana,et al.(2015)Biomacromolecules 16(3):1021-1031)。DGEBAは、アルカリ条件下でビスフェノールA(BPA)と大過剰のエピクロロヒドリンを反応させることによって工業的に合成される;しかしながら、エストロゲンと構造的に類似しているBPAは、生殖能力の低下、がん、糖尿病、肥満、心血管イベント、生殖障害などに関連付けられている内分泌撹乱物質であると考えられている。
【0009】
2013年以来、米国連邦医薬品局(FDA)は、哺乳瓶及び乳児用調製粉乳の包装におけるBPAの使用を禁止した。認識されたリスクは、配合物中のDGEBAを置き換えるバイオベースの安全なエポキシ樹脂を同定するための研究を活発化させた。フェノールとレブリン酸の縮合反応により、一連のジフェノール酸(DPA)エステルが開発された。レブリン酸は酸性条件下でのセルロース加水分解によって生成され、フェノールはリグニンの副産物として利用可能になると予想される。DPAは構造的にはBPAに類似しているが、エストロゲン受容体への相対的な結合親和性はBPAよりも1桁低いため、内分泌撹乱作用のリスクが低くなる。ジグリシジルエーテル修飾DPAエステル(DGEDPエステル)は、ジアミン硬化剤で硬化すると、同一条件下で架橋されたDGEBA樹脂と同等の機械的及び熱的特性を示すことが実証されている(Maiorana,et al.(2015)Biomacromolecules 16(3):1021-1031)。
【0010】
これまでのところ、エポキシ樹脂はマイクロカプセルの成分として一般的に使用されていない。例えば、欧州特許第1871948B1号明細書は、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリアミド、又はキトサンをベースにしたシェルを備えたマイクロカプセルを記載しており、ここでシェルは、繊維製品との化学結合のための反応性官能基を含み、前記反応性官能基は、シェルのアミノ基又はヒドロキシル基と、二官能性エポキシ基、ハロゲン置換アルキル基、ビニル基又は複素環式基とを反応させることによって導入される。しかしながら、欧州特許第1871948B1号明細書は、本開示によるバイオベースエポキシ、又はそれをマイクロカプセルに配合する方法は記載していない。
【0011】
したがって、香料業界では、環境に優しく及び/又は持続可能な香料組成物及び前記香料組成物を含む消費者製品を提供するために、生分解性が改善された送達システム、好ましくは反応物構造が生分解性シェルを与える送達システムに対する必要性がある。生分解性に加えて、送達システムはまた、送達システムからの香料漏出を最小限に抑えるために、ある程度の安定性も提供し、及び/又は好ましくは、様々な調整された放出タッチポイントで消費者に放出された時に望ましい香料の印象を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、とりわけ、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含むコアシェルマイクロカプセル組成物のシェルが、特にOECD301F試験で測定した場合に本質的に生分解性であるという発見に基づいている。さらに、本発明のコアシェルマイクロカプセル組成物は、物理的に解離したり分解したりすることなく、困難な塩基(例えば、攻撃的な界面活性剤システム)中での十分な安定性、及び/又は様々な消費者製品、特に布帛洗剤/仕上げ剤及び個人用/家庭用洗浄剤などの需要の高い分野への配合を可能にする適切な性能を有する。
【0013】
したがって、第1の態様によれば、本開示は、(i)活性物質を含むマイクロカプセルコア;及び(ii)マイクロカプセルコアを内包するマイクロカプセルシェルを含むコアシェルマイクロカプセル組成物を提供し、ここでマイクロカプセルシェルは、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含み、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくはバイオベースエポキシドが、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくはPEGは1個の酸化エチレン単位を有する。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルシェルはイソシアネートを含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態にでは、マイクロカプセルシェルは、自己縮合ポリイソシアネートを含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態にでは、マイクロカプセルシェルは、ポリイソシアネートを含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルシェルは、尿素官能基又はポリ尿素を含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルシェルは、ウレタン官能基又はポリウレタンを含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルシェルは、シラン(例えば、有機官能性シラン)及び/又は自己縮合シランを含まないか、又は実質的に含まない。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルシェルは、Si-O-Si官能基を含まないか、又は実質的に含まない。本明細書の用法では、「実質的に含まない」という用語は、重量基準で2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%、又は0.01%以下を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーは、マイクロカプセルシェル内に存在する唯一の又は単一の種類のポリマーである。当業者であれば、マイクロカプセルシェル内に未反応のポリアミンが残留している可能性もあることを理解するであろう。
【0014】
いくつかの態様では、ポリマーはバイオベースエポキシドとポリアミンとの界面重合によって形成される。いくつかの態様ではポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸のジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボヒドラジド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド及び/又はスベリン酸ジヒドラジドである。
【0015】
さらなる態様では、ポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはCOSは20,000Da以下の平均分子量を有する。好ましくは、ポリアミンは、HMDAとCOSの組み合わせ、又はHMDAと炭酸グアニジンの組み合わせであり、HMDAとCOSの重量比は10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1又は10:1~2:1であり、HMDAと炭酸グアニジンの重量比は10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1又は10:1~2:1である。
【0016】
特定の態様では、マイクロカプセルは、動的光散乱法による測定で、5μm~100μm、好ましくは10μm~75μm、より好ましくは10μm~50μmの平均直径粒度を有する。他の態様では、活性物質の総量は、コアシェルマイクロカプセル組成物の重量に基づいて、5%~50%、好ましくは10%~50%、又はより好ましくは15%~30%の範囲である。
【0017】
なおもその他の態様では、活性物質とバイオベースエポキシドの重量比は、50:1~1:1、好ましくは30:1~4:1である。好ましくは、活性物質は、香料、香味料、化粧品活性剤、悪臭中和剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、活性物質は香油である。望ましくは、マイクロカプセルシェルは生分解性であり、好ましくはOECD301F試験、OECD310試験、OECD302試験、OECD307試験、OECD308試験、OECD309試験、ISO17556試験、ISO14851試験、又はISO18830試験に従って生分解性であり、より好ましくは、マイクロカプセルシェルは、OECD301F試験に従って60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%の生分解度を有する。好ましくは、マイクロカプセルシェルは、OECD301F試験による生分解度が少なくとも20%であることによって証明されるように本質的に一次生分解性であるか、又はOECD301F試験による生分解度が少なくとも60%であることによって証明されるように最終的に生分解性である。このマイクロカプセルは、生分解性と安定性及び/又は性能のため、多くの消費者製品に使用され得る。
【0018】
したがって、別の態様によれば、本開示は、前述の態様のいずれか1つによる生分解性コアシェルマイクロカプセルを含む消費者製品に関し、ここで消費者製品は、洗濯洗剤、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、タブレット洗濯洗剤、一槽式又は多槽式の単回用量洗剤、洗濯洗剤バー、洗濯洗剤クリーム、手洗い洗濯洗剤、布帛仕上げ剤又は柔軟剤、乾燥機シート、布帛リフレッシャー、液体又は固体の香りブースター、シャンプー、髪質改良剤、固形石鹸、シャワージェル、ボディウォッシュ、制汗剤、デオドラント、ボディスプレー、ボディミスト、ローション、キャンドル又は繊維製品、好ましくは、2~4のpH、好ましくは2.5~3.5のpHを有する布帛仕上げ剤又は柔軟剤である。
【0019】
なおも別の態様では、本開示は、前述の態様のいずれか1つによるコアシェルマイクロカプセル組成物を調製する方法をさらに提供する。方法は、(a)活性物質をバイオベースエポキシドで乳化し、エマルションを形成するステップと;(b)ポリアミンをエマルションに添加するステップと;(c)エマルション中で界面重合を誘導するのに十分な条件を提供し、マイクロカプセルコアをカプセル化したマイクロカプセルシェルをそれぞれ有するコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを形成し、それによって先行する態様のいずれかに記載のコアシェルマイクロカプセル組成物を得るステップとを含み、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくはバイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくはPEGは1個の酸化エチレン単位を有し;好ましくはポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはCOSは20,000Da以下の平均分子量を有する。いくつかの態様では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸のジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボヒドラジド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド及び/又はスベリン酸ジヒドラジドである。いくつかの態様では、コアシェルマイクロカプセルを含むスラリーは、最大24時間硬化される。他の態様では、エマルションは乳化剤をさらに含み、好ましくは乳化剤は、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ソホロリピドブチルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリクオタニウム-11、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の態様では、マイクロカプセルシェルは生分解性であり、好ましくはOECD301F試験、OECD310試験、OECD302試験、OECD307試験、OECD308試験、OECD309試験、ISO17556試験、ISO14851試験、又はISO18830試験に従って生分解性であり、より好ましくは、マイクロカプセルシェルは、OECD301F試験に従って60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%の生分解度を有する。
【0020】
なおも別の態様では、本開示は、コアシェルマイクロカプセルの生分解度を高める方法をさらに提供する。方法は、コアシェルマイクロカプセルのシェルにポリマーを組み込んで、コアシェルマイクロカプセルの生分解度を高めるステップを含み、ポリマーはバイオベースエポキシドとポリアミンとで形成され、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくはバイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくはPEGは1個の酸化エチレン単位を有し;好ましくはポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはCOSは20,000Da以下の平均分子量を有し、ポリマーはエマルション中の界面重合によって形成され、好ましくはエマルションは乳化剤を含み、好ましくは乳化剤は、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ソホロリピドブチルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリクオタニウム-11、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
なおも別の態様では、本開示は、コアシェルマイクロカプセル組成物中のマイクロカプセルシェルの生分解度を高めるためのバイオベースエポキシドの使用を提供し、ここで、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーは、好ましくはバイオベースエポキシドとポリアミンとの界面重合によってマイクロカプセルシェルに組み込まれ、前記ポリマーを含まないマイクロカプセルシェルと比較してマイクロカプセルシェルの生分解度が高まり、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくはバイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくは、PEGは1個の酸化エチレン単位を有し、好ましくはポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはCOSは20,000Da以下の平均分子量を有する。
【0022】
さらなる態様では、本開示は、布帛を前記コアシェルマイクロカプセル組成物と接触させることによって、布帛に対する鮮度印象を改善するためのコアシェルマイクロカプセル組成物の使用を提供する。
【0023】
本書及び請求項で言及されている全ての部、百分率、及び比率は、別段の指示がない限り重量に基づく。
【0024】
本明細書に開示された値及び寸法は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。それに代えて、特に明記されない限り、このような各値は、記載された値とその値の周囲の機能的に同等な範囲の双方を意味することが意図される。例えば、「50%」として開示された値は、「約50%」を意味することが意図され、又は代替的に、例えば、その値の約±2%、±5%、±10%又は±15%を意味することが意図される。
【0025】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び/又は好ましい下限値の一覧のどちらかとして与えられている場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかにかかわらず、任意の範囲の上限値又は好ましい値と、任意の範囲の下限値又は好ましい値との任意の組から形成される全ての範囲を具体的に開示していることが理解されるべきであるる。本書で数値の範囲が記載されている場合、別段の記載がない限り、範囲はその範囲の端点、及び範囲内の全ての整数と分数を含むことが意図される。例えば、「1~10」の範囲が記載されている場合、記載されている範囲は、「1~8」、「3~10」、「2~7」、「1.5~6」、「3.4~7.8」、「1~2及び7~10」、「2~4及び6~9」、「1~3.6及び7.2~8.9」、「1~5及び10」、「2及び8~10」、「1.5~4及び8」などの範囲を含むと解釈されるべきである。
【0026】
本明細書では、組成物及び方法が、様々な構成成分又はステップを「含む」という観点から記載されている一方、特に明記されない限り、組成物及び方法は、様々な構成成分又はステップ「から本質的になり」又は「からなり」得る。
【0027】
本開示の1つ又は複数の態様の詳細は、以下の説明に記載されている。本明細書に記載する各態様及び実施形態は、実施形態又は態様の文脈から明示的に又は明確に除外されない限り、一緒に使用することができる。本開示のこれら及び他の特徴、目的、及び利点は、添付の特許請求の範囲と併せて詳細な説明及び図面から当業者には明らかであろう。
【0028】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に主張する特許請求の範囲で結ばれているが、本発明は、以下の添付図の説明からよりよく理解されると考えられる:
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示に記載の方法に従って調製されたカプセルのサンプルについて、OECD301F評価(O消費量を測定する生分解性試験)を通じた、最長54日後における、DGEDP-PEG1(ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG1)とHMDAを用いて調製された本開示の実施形態のカプセルの生分解特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
本明細書の用法では、請求項又は開示で使用される「a」及び「an」などの冠詞は、請求されているもの又は説明されているものの1つ又は複数を意味するものと理解される。
【0031】
本明細書の用法では、「バイオベース」という用語は、バイオマスから得られる原子又は分子、例えば、容易に再生可能な資源からの有機炭素を含有する材料から得られる原子又は分子を指す。このような炭素は、農産物、植物、動物、真菌、微生物、海洋、又は林業材料に由来し得る。本明細書の用法では、マイクロカプセルシェル及び/又はポリマー(例えば、バイオポリマー)などの材料に関して使用される「生分解性」という用語は、その材料が実際の又は認識される健康及び/又は環境上の懸念がなく、微生物及び/又は生物学的分解を受け得ることを意味する。生分解性とは、生物によって生物学的分解を受け、水、二酸化炭素、メタン、基本元素、及びバイオマスなどの物質を形成する能力を意味する。
【0032】
理想的には、マイクロカプセルシェル及び/又はポリマーが、OECD301F試験(O消費)、OECD310試験(易生分解性)、OECD302試験(固有生分解性)、OECD307試験(土壌刺激試験)、OECD308試験(堆積物刺激試験)、又はOECD309試験(水刺激試験)をはじめとする経済協力開発機構(OECD)の試験;又はISO 17556試験(固体刺激試験)、ISO 14851試験(淡水刺激試験)、又はISO 18830試験(海洋堆積物刺激試験)をはじめとする国際標準化機構(ISO)の試験に従って測定された生分解性を有する場合、マイクロカプセルシェル及び/又はポリマーは「生分解性」であるとみなされる。好ましくは、生分解性は、OECD試験法を用いて測定され、その際、試験サンプルは、本明細書の実施例のセクションに記載されているように、追加の洗浄プロトコルを受けた。その結果、生分解性を測定する前に洗浄することで、マイクロカプセルから溶解残留物(生分解性の測定値を人為的に高める可能性がある)が除去され、現在のプロトコルと比較してより正確な生分解性の測定が可能になる(例えば、”Quantification of Residual Perfume by Py-GC-MS in Fragrance Encapsulate Polymeric Materials Intended for Biodegradation Tests,”February 2020 Molecules 25(3):718.)。
【0033】
いくつかの態様では、OECD 301F試験に従って測定した場合に少なくとも20%又は40%の生分解性を有するマイクロカプセルシェル又はその中に含有されるポリマーは、「本質的に生分解性」、「本質的に一次生分解性」、又は「生分解性」であると見なされる。「本質的に生分解性」とは、生分解性のあらゆる試験において生分解の明確な証拠がある化学物質の分類を指す。「一次生分解」とは、生物学的作用によって物質の化学構造が変化し、その結果その物質の特定の特性が失われることを指す。他の態様では、OECD 301F試験に従って測定した場合に少なくとも60%の生分解性を有するマイクロカプセルシェル又はその中に含有されるポリマーは、「究極的生分解性」を有すると見なされる。「究極的生分解」とは、試験化合物が微生物によって完全に利用され、二酸化炭素、水、無機塩類、及び新しい微小細胞成分(バイオマス)が生成されるときに達成される分解レベルを指す。これらの生分解性の特性は、”Revised Introduction to the OECD Guidelines for Testing of Chemicals,Section 3,Part 1,dated 23 March 2006”に定められた限界値に対応する。
【0034】
本明細書の用法では、「カプセル」、「マイクロカプセル」、及び「コアシェルマイクロカプセル」という用語は同義的に使用され、明確に定義されたコア及び明確に定義されたエンベロープ又は壁を有する滑らかな表面を有する実質的に球状の構造を指す。
【0035】
本明細書の用法では、「エポキシド」という用語は、置換又は非置換オキシランを指す。
【0036】
本明細書において使用される用語本明細書の用法では、「g」、「mg」、及び「「μg」という用語は、それぞれ「グラム」、「ミリグラム」、及び「マイクログラム」を指す。「L」及び「mL」という用語は、それぞれ「リットル」及び「ミリリットル」を指す。
【0037】
本明細書の用法では、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)という用語は、非限定的であることが意図される。
【0038】
本明細書の用法では、「シェル」及び「壁」という用語は同義的に使用され、マイクロカプセルのコア材料を包むシェルを指す。
【0039】
「ジグリシジルエーテルジフェノールエステル」という用語は、本明細書の用法では、以下の構造式(I)によって表される化合物である:
【化1】
式中、Rは、以下の構造式(II)によって表されるアルキル基又はメチル基で末端がキャップされた酸化エチレン単位である:
【化2】
式中、nは1~10の整数である。
【0040】
Rがメチル基である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステルであり;Rがエチル基である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステルであり;Rがn-プロピル基である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステルであり;Rがn-ブチル基である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステルであり;Rがn-ペンチル基である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステルであり;Rが構造式(II)である場合、構造式(I)はジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEGである。
【0041】
生分解性コアシェルマイクロカプセル
本発明者らは、驚くべきことに、安定した生分解性コアシェルマイクロカプセルが、主にバイオベースの、安全な、生分解性の基礎的要素から、カプセル壁がコア油相を安定化させる界面重合によって調製され得ることを発見した。具体的には、少なくとも1つのバイオベースエポキシドがコア材料(香油)に組み込まれる一方、ポリアミンが水相に添加されてマイクロカプセル壁の界面重合が誘発される。マイクロカプセル化プロセス中に水中油型エマルションを安定化させながら界面重合をサポートするために、アラビアガム(GA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ソホロリピドブチルエステル(SLBE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリクオタニウム-11(PQ-11)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される乳化剤がエマルション中で使用され得る。
【0042】
本発明者らはまた、カプセルが過酷な条件下でも安定しており、消費者が組成物を受け入れるのに必要な十分な香油放出特性を示すことも発見した。有利なことに、本マイクロカプセルはイソシアネート又はメラミン-ホルムアルデヒドシステムの代替物を提供し、ヒトの健康と環境に貢献する。さらに、本開示のマイクロカプセル組成物送達システムは、広範囲の消費者用途、特に、布帛仕上げ剤及び洗濯洗剤などの布帛ケア用途での利用に適している。
【0043】
望ましくは、本開示のマイクロカプセルは生分解性である。特定の態様では、マイクロカプセルシェルは、OECD301F試験又は任意選択的にOECD310試験に従って、60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%の生分解度を有する。他の態様では、マイクロカプセルシェルは、OECD301F試験に従って28日間にわたって測定された生分解度が少なくとも20%、30%、又は40%であり、「本質的に生分解性」、「本質的に一次生分解性」、又は「生分解性」である。さらなる態様では、マイクロカプセルシェルは、60日間にわたってOECD301F試験に従って測定された生分解度が少なくとも60%であり、「究極的生分解性」を有すると考えられる。本発明者らは、マイクロカプセルシェルの生分解性が、部分的には壁に天然成分を使用することによって達成されると主張する。しかしながら、生分解性の可能性がある天然成分を一定の割合で組み込んでも、自動的に生分解性が高くなるわけではない。理論による拘束は望まないが、本発明者らは、生分解性が、バイオベースエポキシドの注意深い選択と、シェル内に存在するカプセル化に使用される成分との特異的反応に依存すると主張する。
【0044】
従来の合成マイクロカプセルは、生分解性でない。例えば、ポリ尿素ベースのマイクロカプセルは、最初にポリイソシアネートを油相に溶解し、次にポリアミン、高分子電解質、又はバイオポリマーを含含有する水相で油相を乳化し、それによって油水界面でのポリマーの反応を促進することによって調製される。意図される反応は界面重合である一方、共重合体/複合体を生成するための動力学的を制御することは困難である。この従来の方法で調製されたカプセルは、元々は界面重合を意図していた未反応物質の層でコーティングされたポリイソシアネートの自己縮合から形成されたポリ尿素の配合物を生成することが観察されている。このようなカプセルの問題は、たとえOECD301F又はOECD310試験に合格したとしても、シェルは、生分解性(すなわち、バイオベースエポキシド)と非生分解性材料(すなわち、自己縮合ポリイソシアネート)の配合物と見なされるため、例えば提案されているECHA法の下では、まだ「真に」生分解性ではない可能性があることである。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロカプセル組成物は、生分解性材料と非生分解性材料の配合物を含まない。本明細書の用法では、「配合物」という用語は、生分解性材料と非生分解性材料の重量比が100:1~1:100の混合物を意味する。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロカプセル組成物は、マイクロカプセル組成物の重量に基づいて、2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%又は0.01%以下の自己縮合ポリイソシアネートを含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロカプセル組成物は、マイクロカプセル組成物の重量に基づいて、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%、0.05%、0.02%又は0.01%以下の非生分解性材料を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロカプセル組成物は非生分解性材料を含まない。
【0045】
本発明によれば、マイクロカプセルのコアは少なくとも1つの活性物質を含む。他の態様では、マイクロカプセルのコアは、2つ以上の活性物質を含む。マイクロカプセルのコアに封入される活性物質は、好ましくは、香料、香味料、化粧品活性剤、悪臭中和剤、又はそれらの組み合わせである。特定の態様では、活性物質は香油である。適切な活性物質は、例えば、国際公開第2016/049456号パンフレット、38~50頁にさらに記載されている。いくつかの態様では、活性物質は、疎水性物質、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド油(NEOBEE(登録商標)油)又は白色鉱油であるコア改質剤と組み合わされてもよい。
【0046】
いくつかの態様では、活性物質の総量は、コアシェルマイクロカプセル組成物の重量の5%~50%の範囲である。好ましくは、活性物質の総量は、コアシェルマイクロカプセル組成物の重量の10%~50%、好ましくは15%~30%である。
【0047】
その他の態様では、活性物質とバイオベースエポキシドの重量比は、50:1~1:1、好ましくは30:1~4:1である。比率が高ければ、より高い香料装填量が可能になり、カプセルのコストが軽減される一方、比率が低ければ、より頑丈なカプセル壁が生成する。この比率は、アプリケーションの厳しさと、消費者の魅力とパフォーマンスのニーズを満たすために必要なコストによって決定され得る。
【0048】
本開示のマイクロカプセルの壁は、バイオベースエポキシドとポリアミンとで形成されたポリマーを含む。特定の態様では、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルである。特定の態様では、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルである。
【0049】
本開示の目的では、「PEG」とは、酸化エチレン反復単位からなるポリマーである「ポリエチレングリコール」を指す。「メトキシPEG」は、メトキシ及びヒドロキシル末端基と酸化エチレン反復単位を有するモノメトキシポリエチレングリコール(MeO-PEG)を意味する。本明細書の用法では、酸化エチレン反復単位の数は、個々の数(例えば、「PEG1」、「PEG2」、「PEG3」など)又は反復単位数の範囲(例えば、「PEG<sub>1~10<sub>」、「PEG<sub>3~10<sub>」、「PEG<sub>2~8<sub>」など)として示される。本明細書で使用される場合、「1~10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~10個の酸化エチレン単位」は、化合物が10個の酸化エチレン単位まで、1個の酸化エチレン単位、2個の酸化エチレン単位、3個の酸化エチレン単位などを有してもよいことを意味する。本開示の態様によれば、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルのPEGは、1~10個の酸化エチレン単位を有するPEG、すなわちPEG1~PEG10のいずれか1つである。好ましくは、ジグリシジルエーテルジフェノールエステルのPEGは、1個の酸化エチレン単位を有するPEG、すなわちPEG1である。いくつかの実施形態では、「ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG」中のPEGは、1~10個の酸化エチレン単位を有する(すなわち、PEG1~PEG10)。いくつかの実施形態では、「ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG」のPEGはPEG1である。
【0050】
本発明のマイクロカプセルの壁は、イソシアネート及び/又はポリイソシアネートの非存在下で、バイオベースエポキシドとポリアミンとの界面重合によって調製され得る。本明細書の用法では、界面重合とは、その中で2つの非混和相(一般に、油相と水相などの2種の液体)の界面で重合が起こり、界面に拘束されたポリマーが得られる、一種の段階成長重合を指す。
【0051】
ポリアミンとは、第一級アミン又は第二級アミンであるアミン官能基を2つ以上有する化合物、ポリマー、又は生体高分子(例えば、タンパク質及び多糖類)を指す。化合物又はポリマーは、ヒドロキシル、カルボキシレートなどのさらなる官能基を含有してもよい。理想的には、界面重合はポリアミンを使用して実行される。適切なポリアミンの例としては、エチレンジアミン(EDA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸のジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボヒドラジド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド及び/又はスベリン酸ジヒドラジドである。2つ以上のアミン官能基を有するバイオポリマーの例としては、キトサン、キトサンオリゴ糖、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、アミン機能化されたセルロース及びグアー、アミド化ペクチン、ゼラチン、エンドウ豆タンパク質、ホエータンパク質、米タンパク質、ポテトタンパク質、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
キトサンオリゴ糖(COS)は、キトサンのオリゴマーである。キトサンと同様、COSの化学構造はβ-1,4-結合した2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース(GlcNAc)と2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース(GlcN)からなる線状の二元共重合体である。COSは、節足動物及び昆虫の外骨格、及び真菌の細胞壁に良く見られるキチンの脱アセチル化と加水分解から調製され得る。好ましくは、本開示のマイクロカプセルシェルの調製に使用されるCOSは、20,000Da以下の平均分子量を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、バイオベースエポキシドは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)とCOSとの界面重合によって重合される。いくつかの実施形態では、バイオベースエポキシドは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)と炭酸グアニジンとの界面重合によって重合される。いくつかの実施形態では、HMDAとCOSの重量比は、10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1、又は10:1~2:1である。いくつかの実施形態では、HMDAと炭酸グアニジンの重量比は、10:1~1.5:1、好ましくは2:1~1.5:1、又は10:1~2:1である。
【0054】
特定の態様では、バイオベースエポキシドは、少なくとも1つの乳化剤又は界面活性剤の存在下でポリアミンとの界面重合によって重合される。市販の乳化剤としては、MORWET(登録商標)D425(アルキルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、Akzo Nobel,Fort Worth,TX)の商品名の下に販売されるスルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物;例えば、MOWIOL(登録商標)3-83(Air Products社)、又はSELVOL(登録商標)203(積水化学)など、MOWIOL(登録商標)の商品名の下に販売される部分加水分解ポリビニルアルコール;Ultalux FP、Ultalux FA、Ultalux AD、OKS-8089(Sourus社)などのポリビニルアルコール;PLURONIC(登録商標)、SYNPERONIC(登録商標)、又はPLURACARE(登録商標)素材(BASF社)の商品名の下に販売される酸化エチレン-酸化プロピレンブロック共重合体又はポロキサマー;FLEXAN(登録商標)II(Akzo Nobel社)の商品名の下に販売されるスルホン化ポリスチレン;ZEMAC(登録商標)(Vertellus Specialties Inc.)の商品名の下に販売されるエチレン-無水マレイン酸ポリマー;SALCARE(登録商標)SC60(BASF社)の商品名の下に販売されるアクリルアミドとアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとの共重合体;ポリクオタニウム11などのポリクオタニウムシリーズ;水溶性で食用に適し、安定剤として食品産業で使用される糖タンパク質と多糖類との天然由来の複合混合物であるアラビアガム;非イオン性の天然由来の低分子糖脂質で、油水エマルション、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びPQ-11界面活性剤系の優れた安定剤であることが証明されたソホロリピドブチルエステル(SLBE);及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の態様では乳化剤は、アラビアガム、ポリビニルアルコール、ソホロリピドブチルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリクオタニウム-11、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0055】
カプセル化方法
本明細書で実証されるように、ポリアミンとの界面重合によって重合されたバイオベースエポキシドは、強力に架橋されたエポキシ壁、低い粒子間凝集、及び高い香油カプセル化効率を備えたマイクロカプセルを生成する。したがって、本開示のマイクロカプセルは、油のカプセル化のためのイソシアネート及びホルムアルデヒドのアプローチの代替法を提供する。したがって、特定の態様では、マイクロカプセルシェルは、イソシアネート、ホルムアルデヒド、及び/又はイソシアネートとホルムアルデヒドとで形成されたポリマーを含まない。
【0056】
本発明はまた、従来の合成マイクロカプセル(例えば、メラミンホルムアルデヒド及びポリ尿素ベースのカプセル)と比較して、より優れた生分解性を有するコアシェルマイクロカプセル組成物を製造するための方法も提供する。一般に、本開示は、活性物質を少なくとも1つのバイオベースエポキシドで乳化させてエマルションを形成するステップと;ポリアミンをエマルションに添加するステップと;;エマルション中で界面重合を誘導するのに十分な条件を提供し、マイクロカプセルコアをカプセル化したマイクロカプセルシェルを有するコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを形成するステップとによって、コアシェルマイクロカプセル組成物を調製するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、エマルションは水中油型エマルションであり、スラリーは水性スラリーである。
【0057】
いくつかの態様では、本開示は、コアシェルマイクロカプセル組成物を調製するための方法を提供する。方法は、(a)活性物質を少なくとも1つのバイオベースエポキシドで乳化させてエマルションを形成するステップと;(b)ポリアミンをエマルションに添加するステップと;(c)エマルション中で界面重合を誘導するのに十分な条件を提供し、マイクロカプセルコアをカプセル化したマイクロカプセルシェルをそれぞれ有するコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを形成し、それによってコアシェルマイクロカプセル組成物を得るステップとを含み、少なくとも1つのバイオベースエポキシドはジグリシジルエーテルジフェノールエステルであり、好ましくは少なくとも1つのバイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノールメチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGであり、好ましくはPEGは1個の酸化エチレン単位を有し;好ましくはポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはCOSは20,000Da以下の平均分子量を有する。
【0058】
いくつかの態様では、少なくとも1つの乳化剤がエマルションの形成を助けるために使用され、つまり、エマルションは少なくとも1つの乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの乳化剤は、アラビアガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ソホロリピドブチルエステル(SLBE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリクオタニウム-11(PQ-11)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロカプセルは、200℃以下、好ましくは150℃以下、好ましくは90℃以下、又は好ましくは80℃以下の温度で調製される。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルは、25℃~90℃(例えば、75℃~85℃)の範囲の温度で、1時間~48時間(例えば、2時間~5時間、又は3時間~5時間)調製される。好ましくは、マイクロカプセルは約80℃の温度で約4時間調製される。より好ましくは、マイクロカプセルは約80℃の温度で最長24時間調製される。
【0060】
本開示のマイクロカプセルは、好ましくは、5μm~100μmの範囲、好ましくは10μm~75μmの範囲、又はより好ましくは10μm~50μmの範囲の平均直径粒度を有する。本開示の方法によって製造されるマイクロカプセルは、単一のマイクロカプセル(すなわち、凝集していない)であり、狭い、広い、又は多峰性のサイズ分布を有し得る。
【0061】
本開示のマイクロカプセルはバイオベースエポキシドを使用して調製されるという意味で、マイクロカプセルはイソシアネート又はメラミン-ホルムアルデヒドマイクロカプセルシステムの生分解性代替物を提供し、ヒトの健康と環境に貢献する。したがって、本開示の他の態様は、アシェルマイクロカプセル組成物中のマイクロカプセルシェルの生分解度を高めるためのバイオベースエポキシドの使用、及びアミン官能基を有するバイオポリマーを含むポリアミンとバイオベースエポキシドとの界面重合によって、少なくとも1つのバイオベースエポキシドをコアシェルマイクロカプセルのシェルに組み込むことによって、コアシェルマイクロカプセルの生分解性を高めるための方法を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、バイオベースエポキシドはジグリシジルエーテルジフェノールエステルである。いくつかの実施形態では、バイオベースエポキシドは、ジグリシジルエーテルジフェノール(DGEDP)メチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールエチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールプロピルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールブチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールペンチルエステル、ジグリシジルエーテルジフェノールメトキシPEG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、PEGは1~10個の酸化エチレン単位を有するPEGである。いくつかの実施形態では、PEGは1個の酸化エチレン単位を有する。いくつかの実施形態ではポリアミンは、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、ジヒドラジド、ジプロピレントリアミン(ノルスペルミジン)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、キトサンオリゴ糖(COS)、炭酸グアニジン、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、COS、ε-ポリ(L-リジン)、α-ポリ(L-リジン)、L-リジン含有ペプチド、L-リジン含有タンパク質、ゼラチン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、COSは20,000Da以下の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、界面重合は、少なくとも1つの乳化剤の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの乳化剤は、アラビアガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ソホロリピドブチルエステル(SLBE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリクオタニウム-11(PQ-11)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
補助コア材料。本発明はまた、活性物質に加えて、カプセル壁によってカプセル化されたコア内に溶剤、軟化剤、コア改質剤などの補助材料を組み込むことも提供する。他の補助材料としては、ナノスケールの固体粒子材料、高分子コア改質剤、溶解度改質剤、密度改質剤、安定剤、保湿剤、粘度改質剤、pH改質剤、又はそれらの組み合わせが挙げられる。これらの改質剤は、カプセルの壁又はコア内に存在してもよく、又は送達システム内のカプセルの外側に存在してもよい。好ましくは、それらはコア改質剤としてコア内にある。
【0064】
1つ又は複数の補助材料が、カプセルの重量に基づいて、0.01%~25%(例えば、0.5%~10%)の量で添加され得る。
【0065】
適切な補助材料の例としては、国際公開第2016/049456号パンフレット及び米国特許出願公開第2016/0158121号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0066】
沈着助剤。カプセル重量の0.01%~25%、より好ましくは5%~20%のカプセル沈着助剤を、コアシェルマイクロカプセル組成物に含めることができる。カプセル沈着助剤は、カプセルの調製中に添加し得て、又はカプセルの製造後に添加し得る。
【0067】
これらの沈着助剤は、布帛などの表面へのカプセルの沈着を助けるために使用される。これらとしては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性水溶性ポリマーが挙げられる。適切な沈着助剤としては、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-78、ポリクオタニウム-79、ポリクオタニウム-80、ポリクオタニウム-81、ポリクオタニウム-82、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-88、ポリクオタニウム-101、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミンとビニルホルムアミドとの共重合体、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体、メタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体、ポリエチレングリコールとテレフタレートから誘導される単位を含むポリマー、ポリエステル、ジカルボン酸とポリオールから誘導可能なポリマー、又はそれらの組み合わせが挙げられる。他の適切な沈着助剤としては国際公開第2016/049456号パンフレットの13~27頁に記載されているものが挙げられる。さらなる沈着助剤は、米国特許出願公開第2013/0330292号明細書、米国特許出願公開第2013/0337023号明細書、及び米国特許出願公開第2014/0017278号明細書に記載されている。
【0068】
レオロジー修飾剤。マイクロカプセル組成物に1つ又は複数のレオロジー改質剤又は粘度制御剤を添加して、組成物の所望の粘度を達成し、マイクロカプセルが組成物中に長期間分散されるようにし得る。いくつかの実施形態では、カプセルの調製中に、水相と油相の乳化前にレオロジー改質剤が添加され、典型的には、本開示の組成物中のマイクロカプセルのマイクロカプセルスラリー中及びマイクロカプセル壁の外側に均一に分散される。他の実施形態では、カプセルの調製中に、水相と油相の乳化後にレオロジー改質剤が添加される。適切なレオロジー改質剤としては、アクリレート共重合体、カチオン性アクリルアミド共重合体、多糖類、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
市販のアクリレート共重合体としては、ACULYN(登録商標)22(アクリレートとステアレス-20メタクリレートとの共重合体)、ACULYN(登録商標)28(アクリレートとベヘネス-25メタクリレートとの共重合体)、ACULYN(登録商標)33(アクリル酸とアクリレートとの共重合体)、ACULYN(登録商標)38(アクリレートとビニルネオデカノエートとのクロスポリマー)、及びACULYN(登録商標)88(アクリレートとステアレス-20メタクリレートとのクロスポリマー)など、ACULYN(登録商標)(Dow Chemical Company製)の商品名のものが挙げられる。特に有用なアクリレート共重合体は、アクリル酸とアクリレートコモノマーから乳化重合により合成されるアルカリ可溶性アニオン性アクリルポリマーエマルション(ASE)である、ACULYN(登録商標)33などのアニオン性アクリレート共重合体である。CARBOPOL(登録商標)の商品名の下に販売されるアクリレート共重合体もまた、本開示で使用するのに適している。例としては、CARBOPOL(登録商標)ETD2020ポリマー(アクリレートとC10~C30アルキルアクリレートとのクロスポリマー)、CARBOPOL(登録商標)ETD2691、及びCARBOPOL(登録商標)ETD2623(架橋アクリレート共重合体)がある。
【0070】
多糖類は、レオロジー改質剤として適した別のクラスの作用剤である。特定の態様では、レオロジー改質剤として有用な多糖類としては、デンプン;ペクチン;及びグアーガム、ローカストビーンガム、及びキサンタンガムなどの植物性ガム(例えば、CP Kelco,Atlanta,GAから市販されているKELTROL(登録商標)T(80メッシュ食品等級)という商品名で販売されるキサンタンガム)が挙げられる。好ましくは、少なくとも1つのレオロジー改質剤はキサンタンガムである。
【0071】
保存料。1つ又は複数の保存料をマイクロカプセル組成物に添加して、特定の期間にわたって微生物の損傷又は不注意な増殖を防ぎ、それによって貯蔵寿命を延長させ得る。保存料は、マイクロカプセルの組成に損傷を引き起こさない任意の有機防保存料であり得る。適切な水溶性保存料としては、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド、パラベン、プロパンジオール物質、イソチアゾリノン、第四級化合物、及び安息香酸塩が挙げられる。例としては、低分子量アルコール、デヒドロ酢酸、フェニル及びフェノキシ化合物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
市販の水溶性保存料の非限定的な例は、約77%の5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと23%の2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物である。さらなる抗菌性保存料としては、Rohm & Haas社の商品名KATHON(登録商標)CGの1.5%水溶液;Henkel社から商品名BRONIDOXL(登録商標)の下に市販される5-ブロモ;Inorex社から商品名BRONOPOL(登録商標)の下に市販される2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール;1,1’-ヘキサメチレンビス(5-(p-クロロフェニル)ビグアニド)と酢酸塩及びジグルコン酸塩などのその塩;Ronza社から商品名GLYDANT PLUS(登録商標)の下に市販される1,3-ビス(ヒドロキシ);グルタルアルデヒド;ICIポリアミノプロピルビグアニド;デヒドロ酢酸;及びPROXEL(登録商標)GXLの商品名の下に販売される1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが挙げられる。
【0073】
マイクロカプセル送達システム配合物
マイクロカプセル組成物は、消費者製品に使用するためのカプセル送達システム(例えば、マイクロカプセル組成物)に配合され得る。
【0074】
カプセル送達システムは、外部溶媒(例えば、水、エタノール、又はそれらの組み合わせ)に懸濁されたマイクロカプセルスラリーであり得て、カプセルは、カプセル送達システムの重量に基づいて、0.1%~80%(例えば、70~75%、40~55%、50~90%、1%~65%、及び5%~45%)のレベルで存在する。
【0075】
代案としては、又はそれに加えて、本開示に従って調製されたカプセル及びそのスラリーは、引き続いて後精製される。米国特許出願公開第2014/0017287号明細書を参照されたい。精製は、中性pHが得られるまでカプセルスラリーを水で洗浄することによって達成され得る。
【0076】
追加的な構成要素。カプセル送達システムは、任意選択的に、ポリマー支援送達組成物(米国特許第8,187,580号明細書を参照されたい)、繊維支援送達組成物(米国特許出願公開第2010/0305021号明細書)、シクロデキストリンホストゲスト複合体(米国特許第6,287,603号明細書及び米国特許第2002/0019369号明細書)、プロフレグランス(国際公開第2000/072816号パンフレット及び欧州特許第0922084号明細書)、又はそれらの組み合わせなど、1つ又は複数の他の送達システムを含有し得る。カプセル送達システムはまた、本開示の異なるカプセル、及びアミノプラスト、ハイドロゲル、ゾルゲル、ポリ尿素/ポリウレタンカプセル、及びメラミンホルムアルデヒドカプセルなどの他のカプセルをはじめとする、1つ又は複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ以上)の異なるカプセルを含有し得る。組み込まれ得るより例示的な送達システムは、コアセルベートカプセル(国際公開第2004/022221号パンフレットを参照されたい)及びシクロデキストリン送達システム(国際公開第2013/109798号パンフレット及び米国特許出願公開第2011/03085560号明細書を参照されたい)である。
【0077】
上で考察される任意の化合物、ポリマー、又は薬剤は、上に示す化合物、ポリマー、又は薬剤それ自体、又はその塩、前駆体、水和物、又は溶媒和物であり得る。
【0078】
特定の化合物、ポリマー、及び薬剤は1つ又は複数の立体中心を有し、そのそれぞれはR配置又はS配置、或いはそれらの組み合わせであり得る。さらに、一部の化合物、ポリマー、及び薬剤は、1つ又は複数の二重結合を保有し、各二重結合は、E(トランス)又はZ(シス)配置、或いはそれらの組み合わせで存在する。化合物、ポリマー、及び薬剤には、全ての可能な立体異性体、位置異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマー形態、並びにそれらの組み合わせが含まれる。したがって、本明細書で使用されるリジンには、L-リジン、D-リジン、L-リジン一塩酸塩、D-リジン一塩酸塩、リジン炭酸塩などが含まれる。同様に、アルギニンには、L-アルギニン、D-アルギニン、L-アルギニン一塩酸塩、D-アルギニン一塩酸塩、アルギニン炭酸塩、アルギニン一水和物などが含まれる。グアニジンには、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、及びそれらの水和物をはじめとする他のグアニジン塩が含まれる。オルニチンには、L-オルニチンとその塩/水和物(例えば、一塩酸塩)、及びD-オルニチンとその塩/水和物(例えば、一塩酸塩)が含まれる。
【0079】
応用
本開示の送達システムは、限定されることなく、洗濯洗剤、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、タブレット洗濯洗剤、洗濯洗剤バー、洗濯洗剤クリーム、手洗い洗濯洗剤、布帛仕上げ剤又は柔軟剤、布帛リフレッシャー、香りブースター、シャンプー、髪質改良剤、固形石鹸、シャワージェル、ボディウォッシュ、制汗剤、ボディスプレー、ボディミスト、ローション、キャンドル又は繊維製品における使用に適している。
【0080】
より具体的には、本開示のマイクロカプセルは、以下の製品に使用される:
【0081】
A)米国特許第6,335,315号明細書、米国特許第5,674,832号明細書、米国特許第5,759,990号明細書、米国特許第5,877,145号明細書、米国特許第5,574,179号明細書、米国特許第5,562,849号明細書、米国特許第5,545,350号明細書、米国特許第5,545,340号明細書、米国特許第5,411,671号明細書、米国特許第5,403,499号明細書、米国特許第5,288,417号明細書、米国特許第4,767,547号明細書、及び米国特許第4,424,134号明細書に記載されるものなどの、すすぎ仕上げ剤などの布帛ケア製品(布帛仕上げ活性剤を1~30重量%含有する)、布帛液体仕上げ剤(布帛仕上げ活性剤を1~30重量%含有する)タンブル乾燥機用シート、布帛リフレッシュ剤、布帛リフレッシュスプレー、アイロン液、布帛柔軟剤システム。
【0082】
液体布帛柔軟剤/消臭剤は、液体布帛柔軟剤/消臭剤の重量に基づいて1~30%(例えば、4%~20%、4%~10%、8%~15%)の濃度で存在する、少なくとも1つの布帛柔軟作用剤を含有する。活性物質と布帛柔軟作用剤の比率は、1:500~1:2(例えば、1:250~1:4、1:100~1:8)であり得る。一例として、布帛柔軟作用剤が布帛柔軟剤の重量に基づいて5%である場合、活性物質は0.01%~2.5%、好ましくは0.02%~1.25%、さらに好ましくは0.1%~0.63%である。別の例として、布帛柔軟作用剤が布帛柔軟剤の重量に基づいて20%である場合、活性物質は0.04%~10%、好ましくは0.08%~5%、さらに好ましくは0.4%~2.5%である。活性物質は、香料、悪臭中和剤又はそれらの組み合わせである。液体柔軟剤は、0.15%~15%(例えば、0.5%~10%、0.7%~5%、及び1%~3%)のカプセルを有し得る。これらのレベルでカプセルが含まれると、柔軟剤中の純粋油当量(NOE)は、0.05%~5%(例えば、0.15%~3.2%、0.25%~2%、及び0.3%~1%)になる。
【0083】
適切な柔軟作用剤としては、カチオン性界面活性剤が挙げられる。非限定的実施例は、アルキル化第四級アンモニウム化合物、環式又は環状の第四級アンモニウム化合物、芳香族第四級アンモニウム化合物、ジ四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム化合物、アミドアミン第四級アンモニウム化合物、エステル第四級アンモニウム化合物、又はそれらの組み合わせなどの第四級アンモニウム化合物(QAC)である。
【0084】
布帛柔軟製品には、
a)最終製品の粘度が、106s-1で5~300cps、好ましくは20~150cpsの範囲であること;
b)QACのレベルが、0.5~20重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは6~12重量%の柔軟化活性物質の範囲であること
によって特徴付けられるQACが含まれる。好ましい典型的なカチオン性布帛柔軟成分としては、水不溶性第四級アンモニウム布帛柔軟剤が挙げられ、最も一般的に使用されるのは、ジ長鎖アルキルアンモニウムクロリド又はメチルスルフェートである。好ましいカチオン性柔軟剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない:
a.第四級アンモニウム基と長鎖アルキル鎖の間に1つ又は複数のエステル結合を含有する、急速に生分解する第四級アンモニウム化合物(例えば、TEAエステルクワット、DEEDMAC、及びHEQ);
b.非エステル第四級アンモニウム化合物(例えば、ジタロウジメチルアンモニウムクロリド(DTDMAC);二水素化獣脂ジメチルアンモニウムクロリド;二水素化獣脂メチル硫酸ジメチルアンモニウム;ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド;ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド;ジパルミチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド;ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド;獣脂トリメチルアンモニウムクロリド;水素化獣脂トリメチルアンモニウムクロリド;C12~14アルキルヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロリド;C12~18アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド;ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド(DSOEDMAC);ジ(タロウオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド;ジタロウメチル硫酸イミダゾリニウム;メチル硫酸イミダゾリニウム1-(2-タロウイルアミドエチル)-2-タロウイル。
【0085】
本開示に従って使用するのに適した第四級アンモニウム化合物(QAC)の第1のグループは、式(I)で表される:
【化3】
式中、各Rは独立してC~C35アルキル基又はアルケニル基から選択され;Rは、C~Cアルキル、C~Cアルケニル又はC~Cヒドロキシアルキルグループを示し;Tは一般にO-CO(すなわち、その炭素原子を介してRに結合したエステル基)であるが、代案としてはCO-O(すなわち、その酸素原子を介してRに結合したエステル基)であってもよく;nは1~4から選択される数値であり、mは1、2、又は3から選択される数値であり;Xは、ハロゲン化物又はアルキル硫酸塩(例えば、塩化物又はメチル硫酸塩など)などのアニオン性対イオンである。式(I)のジエステル変異型(すなわち、m=2)が好ましく、典型的には、それらに結合しているモノエステル類似体及びトリエステル類似体を有する。
【0086】
特に好ましい作用剤は、メチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジエステル(別名「TEAエステルクワット」とも称される)を豊富に含む調製物である。市販品としては、Stepan社のSTEPANTEX(登録商標)UL85、Clariant社のPrapagen(商標)TQL、及び花王社のTetranyl(商標)AHT-1(いずれもメチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジ[硬化獣脂エステル])、花王のAT-1(メチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジ[獣脂エステル])及びL5/90(メチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジ[パームエステル])、及びEvonik社のREWOQUAT(登録商標)WE15(C10~C20及びC16~C18不飽和脂肪酸に由来する脂肪アシル残基を有するメチル硫酸トリエタノールアンモニウムのジエステル)が挙げられる。
【0087】
また、STEPANTEX(登録商標)VK90、STEPANTEX(登録商標)VT90、SP88(Stepan社)、Prapagen(商標)TQ(Clariant社)、DEHYQUART(登録商標)AU-57(Cognis社)、REWOQUAT(登録商標)WE18(Degussa社)、Tetranyl(商標)L190 P、Tetranyl(商標)L190SP、Tetranyl(商標)L190 S(全て花王)などの軟質第四級アンモニウム活性剤も適切である。
【0088】
本開示に従って使用するのに適したQACの第2のグループは、式(II)で表される: (R-N-[(CH-T-R (II)
式中、各R基は、C~Cアルキル、又はC~Cアルケニル基から独立して選択され;各R基は、C~C28アルキル基又はアルケニル基から独立して選択され;n、T、及びXは上記で定義した通りである。この第2のグループの好ましい材料としては、ビス(2タロウオイルオキシエチル)ジメチル塩化アンモニウム及びその硬化バージョンが挙げられる。
【0089】
本開示に従って使用するのに適したQACの第3のグループは、式(III)で表される:
【化4】
式中、各R基は、C~Cアルキル、ヒドロキシアルキル又はC~Cアルケニル基から独立して選択され;各R基は、C~C28アルキル基又はアルケニル基から独立して選択され;n、T、及びXは上記で定義した通りである。この第2のグループの好ましい材料としては、1,2ビス[タロウオイルオキシ]-3-トリメチルアンモニウムプロパンクロリド、1,2ビス[硬化タロウオイルオキシ]-3-トリメチルアンモニウムプロパンクロリド、1,2-ビス[オレオイルオキシ]-3-トリメチルアンモニウムプロパンクロリド、及び1,2ビス[ステアロイルオキシ]-3-トリメチルアンモニウムプロパンクロリドが挙げられる。このような材料は、米国特許第4,137,180号明細書(Lever Brothers)に記載されている。好ましくは、これらの材料は、対応するモノエステルも一定量を含む。
【0090】
非エステル第四級アンモニウム化合物は、式(IV)によって表される非エステル第四級アンモニウム物質であってもよい:
【化5】
式中、各R基は、C~Cアルキル、ヒドロキシアルキル又はC~Cアルケニル基から独立して選択され;各R基は、C~C28アルキル又はアルケニル基から独立して選択され;及びXは上記で定義した通りである。
【0091】
布帛仕上げ剤組成物は、任意選択的に、非カチオン性柔軟化物質を含有してもよく、これは好ましくは油性糖誘導体である。油性糖誘導体は、環状ポリオール(CPE)又は還元糖(RSE)の液体又は軟質固体誘導体であり、前記誘導体は、前記ポリオール又は前記糖中の35~100%のヒドロキシル基のエステル化又はエーテル化から得られる。誘導体は、C~C22アルキル鎖又はアルケニル鎖に独立して結合した2つ以上のエステル基又はエーテル基を有する。有利には、CPE又はRSEは、20℃で実質的な結晶性を有さない。そうではなく、本明細書で定義されるように、20℃で液体又は軟質固体状態であることが好ましい。本開示に従って使用するのに適した液体又は軟質固体(以下に定義される)のCPE又はRSEは、出発環状ポリオール又は還元糖のヒドロキシル基の35~100%が、CPE又はRSEが必要とされる液体又は軟質固体状態にあるように、化学基でエステル化又はエーテル化されることから生じる。これらの化学基は、典型的には、不飽和、分岐、又は混合鎖長を含有する。典型的には、CPE又はRSEは、3個以上、例えば3~8個、特に3~5個のエステル基又はエーテル基、或いはそれらの混合物を有する。CPE又はRSEのエステル基又はエーテル基の2つ以上が互いに独立してC~C22アルキル鎖又はアルケニル鎖に結合していることが好ましい。C~C22アルキル基又はアルケニル基は、分岐又は直鎖の炭素鎖であってもよい。
【0092】
共柔軟剤。共柔軟剤と脂肪族錯化剤とも称される共柔軟剤が、本開示の布帛仕上げ剤組成物で使用されてもよい。使用される場合、それらは典型的には、組成物の総重量に基づいて、0.1~20%、特に0.1~5%で存在する。好ましい共柔軟剤としては、脂肪アルコール、脂肪エステル、及び脂肪N-オキシドが挙げられる。用いられてもよい脂肪エステルとしては、グリセロールモノステアレートなどの脂肪モノエステル、国際公開第01/46361号パンフレット(ユニリーバ)で開示されているような脂肪糖エステルなどが挙げられる。
【0093】
本開示の組成物は、共活性剤を含んでもよい。特に適切な脂肪族錯化剤としては、脂肪族アルコール及び脂肪酸が挙げられる。これらのうち、脂肪アルコールが最も好ましい。理論により拘束されることなく、脂肪複合材料は、布帛仕上げ剤材料のモノエステル成分と複合体化することによって組成物の粘度プロファイルを改善し、それによって比較的高いレベルのジエステル及びトリエステル結合成分を有する組成物を提供すると考えられる。ジエステル及びトリエステル結合成分はより安定しており、モノエステル成分ほど初期粘度に悪影響を与えない。また、TEAをベースとする第四級アンモニウム材料を含む組成物に存在するモノエステル結合成分のレベルが高くなると、枯渇凝集によって組成物が不安定化する可能性があると考えられている。共活性物質を用いてモノエステル連結成分と複合化させることにより、枯渇凝集は著しく減少する。換言すれば、本開示で要求されるように、増加したレベルの共活性物質は、第四級アンモニウム材料のモノエステル連結成分を「中和」する。モノエステルと脂肪アルコールからのこの原位置ジエステル生成はまた、組成物の軟化も改善する。
【0094】
好ましい脂肪酸としては、硬化獣脂脂肪酸(Croda社からPRISTERENE(登録商標)という商品名で入手可能)が挙げられる。好ましい脂肪アルコールとしては、硬化獣脂アルコール(BASF社からSTENOL(登録商標及びHYDRENOL(登録商標)、Huntsman社からLAUREX(登録商標)CSという商標名で入手可能)が挙げられる。脂肪族錯化剤は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量%を超える量で存在してもよい。より好ましくは、脂肪成分は0.2~4%の量で存在してもよい。第四級アンモニウム布帛柔軟化物質のモノエステル成分と、脂肪族錯化剤との重量比は、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは4:1~1:4、最も好ましくは3:1~1:3、例えば2:1~1:2である。
【0095】
脂肪酸。布帛仕上げ剤組成物は、脂肪酸化合物をさらに含んでもよい。適切な脂肪酸としては、総炭素原子数が10~25個、好ましくは12~25個であり、脂肪部分が10~22個、好ましくは16~22個の炭素原子を含有するものが挙げられる。獣脂鎖の不飽和度は、対応する脂肪酸のヨウ素価(IV)によって測定され得て、この場合、好ましくは5~100の範囲、より好ましくは0~25の範囲であるべきである。本発明の水性布帛柔軟化組成物で使用するのに適した脂肪酸化合物の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ココナッツ脂肪酸、獣脂脂肪酸、部分水素化獣脂脂肪酸、及びそれらの混合物から選択される化合物が挙げられる。最も好ましい脂肪酸化合物は、ヨウ素価(IV)が18の獣脂脂肪酸である。脂肪酸が存在する場合、前記生分解性布帛柔軟作用剤と、前記脂肪酸化合物との重量比は、好ましくは25:1~6.5:1、より好ましくは20:1~10:1、最も好ましくは20:1~15:1である。
【0096】
レオロジー改質剤。組成物は、レオロジー改質剤をさらに含んでもよい。本開示の組成物で特に有用なレオロジー改質剤としては、国際公開第2010/078959号パンフレット(SNF S.A.S.)に記載されているものが挙げられる。これらは、少なくとも1つのカチオン性モノマーと、任意選択的に他の非イオン性及び/又はアニオン性モノマーとからなる、架橋された水膨潤性カチオン性共重合体である。このタイプの好ましいポリマーは、アクリルアミドとメタクリレートとの共重合体である。最も好ましいのは、アクリルアミドとトリメチルアミノエチルアクリレートクロリドとの共重合体である。組成物は、1つの架橋された水膨潤性カチオン性共重合体を含んでもよい。
【0097】
本開示の一実施形態では、組成物が、少なくとも2つの異なる架橋された水膨潤性カチオン性共重合体を含むことが好ましくあってもよい。好ましいポリマーは、欧州特許第2373773 B1号明細書の4頁に記載されている以下の方法などの適切な計量法による測定で、総ポリマー重量の25%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは15%未満の水溶性ポリマーと、ポリマーに対して500重量ppm~5000重量ppm、好ましくは750重量ppm~5000重量ppm、より好ましくは1000重量ppm~4500重量ppmの架橋剤濃度とを含む。適切なカチオン性モノマーは、以下のモノマー及び誘導体、並びにそれらの第四級塩又は酸性塩からなる群から選択される:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアリルアミン、メチルジアリルアミン、ジアルキルアミノアルキル-アクリレート及びメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド又は-メタクリルアミド。
【0098】
以下は、非イオン機能を果たすモノマーの非限定的一覧である:アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、ビニルアセテート、ビニルアルコール、アクリル酸エステル、及びアリルアルコール。
【0099】
以下は、アニオン機能を果たすモノマーの非限定的一覧である:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸;並びに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ATBS)などのスルホン酸又はホスホン酸機能を果たすモノマー。
【0100】
モノマーは、疎水性基を含有してもよい。以下は架橋剤の非限定的な一覧である。メチレンビスアクリルアミド(MBA)、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアクリルアミド、トリアリルアミン、シアノメチルアクリレート、ビニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート及びホルムアルデヒド、グリオキサール、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系化合物、又はエポキシド、又は架橋を可能にする専門家によく知られているその他のあらゆる手段。
【0101】
架橋率は、好ましくは、ポリマー又は異なる効率の架橋剤による同等の架橋に対して、重量で800~5000ppm(メチレンビスアクリルアミド基準)の範囲である。米国特許出願公開第2002/0132749号明細書に記載されているように、ポリマー鎖の長さと架橋密度を制御するために、重合混合物に連鎖移動剤(イソプロピルアルコール、次亜リン酸ナトリウム、メルカプトエタノールなど)を含めることによって、非線形性の程度をさらに制御し得る。本発明の組成物に使用されるポリマーの量は、全組成物の重量に基づいて、適切には0.001~0.5重量%、好ましくは0.005~0.4重量%、より好ましくは0.05~0.35重量%、最も好ましくは0.1~0.25重量%である。好ましいポリマーの一例は、SNF社からのFLOSOFT(登録商標)270LS及びSNF社からのFLOSOFT(登録商標)222である。
【0102】
シリコーン。本開示の組成物は、シリコーンベースの布帛柔軟作用剤をさらに含有してもよい。好ましくは布帛軟化シリコーンは、ポリジメチルシロキサンである。布帛軟化シリコーンとしては、1)ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はアルキル(又はアルコキシ)官能化シリコーンなどの非官能化シリコーン;2)アミノ基、フェニル基、ポリエーテル基、アクリレート基、水素化ケイ素基、カルボン酸基、四級化窒素基など、1つ又は複数の異なるタイプの官能基を有する官能化シリコーン又はコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切なシリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサン、より好ましくはアミノ官能化シリコーン;アニオン性シリコーン及びカルボキシル官能化シリコーンから選択されてもよい。例えば、Arristan 64(CHT社)又はWacker CT45E(Wacker社)などのアミノシリコーンが使用されてもよい。
【0103】
シリコーンエマルションに関して、粒度は、マイクロエマルション(<150nm)、標準エマルション(約200nm~約500nm)、及びマクロエマルション(約1ミクロン~約20ミクロン)をはじめとする、約1nm~約100ミクロン、好ましくは約10nm~約10ミクロンの範囲であり得る。
【0104】
非イオン性界面活性剤。組成物は、非イオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。典型的には、これらは組成物を安定化させる目的で含め得る。適切な非イオン性界面活性剤としては、酸化エチレンと脂肪アルコール、脂肪酸、及び脂肪アミンとの付加生成物が挙げられる。以下に説明する特定のタイプのアルコキシル化物質のいずれでも、非イオン性界面活性剤として使用され得る。適切な界面活性剤は、一般式(V)で表される実質的に水溶性の界面活性剤である:R-Y-(CO)z-CH-CH-OH(V)式中、Rは、第一級、第二級、及び分岐鎖アルキル及び/又はアシルヒドロカルビル基;第一級、第二級、及び分枝鎖アルケニルヒドロカルビル基;及び第一級、第二級、及び分岐鎖アルケニル置換フェノールヒドロカルビル基からなる群から選択され;ヒドロカルビル基は、8~約25個、好ましくは10~20個、例えば14~18個の炭素原子の鎖長を有する。エトキシル化非イオン性界面活性剤の一般式において、Yは典型的には:-O-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-又は-C(O)N(R)Rであり、式中、Rは上記式(V)の意味を有するか、又は水素であり得て;Ziは少なくとも約8、好ましくは少なくとも約10又は11である。
【0105】
好ましくは、非イオン性界面活性剤のHLBは、約7~約20、より好ましくは10~18、例えば12~16である。ココ鎖と20個のEO基をベースにしたGENAPOL(登録商標)C200(Clariant社)は、適切な非イオン性界面活性剤の例である。存在する場合、非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%の量で存在する。ココ鎖と25個のEO基をベースにしたLUTENSOL(登録商標)AT25(BASF社)は、適切な非イオン性界面活性剤の一例である。その他の適切な界面活性剤としては、Croda社のRENEX(登録商標)36(Trideceth-6);Dow Chemical Co.のTERGITOL(登録商標)15-S3;Thai Ethoxylate ltdのDihydrol LT7;BASF社のクレモフォール(登録商標)CO40;及びShell社のNEODOL(登録商標)91-8が挙げられる。
【0106】
カチオン性多糖類。組成物は、少なくとも1つのカチオン性多糖類をさらに含んでもよい。カチオン性多糖類は、多糖類、一般的には天然多糖類を化学的に修飾することによって得られ得る。このような修飾によって、多糖水骨格にカチオン性側鎖が導入され得る。カチオン性多糖類は以下に制限されない:カチオン性セルロース及びその誘導体、カチオン性デンプン及びその誘導体、カチオン性カロース及びその誘導体、カチオン性キシラン及びその誘導体、カチオン性マンナン及びその誘導体、カチオン性ガラクトマンナン及びその誘導体、例えばカチオン性グアー及びその誘導体など。適切なカチオン性セルロースとしては、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル、カチオン性セルロース共重合体、又は水溶性第四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロースが挙げられる。
【0107】
第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテルは、仏国特許第1,492,597号明細書に記載されており、特に、Dow社によって「JR」(JR400、JR125、JR30M)又は「LR」(LR400、LR30M)という名称の下に販売されるポリマーが挙げられる。これらのポリマーはまた、CTFA辞書で、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロース第四級アンモニウムとしても定義されている。適切なカチオン性セルロースとしては、Solvay社のLR3000 KCが挙げられる。カチオン性セルロース共重合体又は水溶性第四級アンモニウムモノマーをグラフトしたセルロースは、特に米国特許第4,131,576号明細書に記載されており、例えば、特にメタクリロイル-エチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩又はジメチルジアリルアンモニウム塩をグラフトしたヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0108】
この定義に相当する市販品は、より具体的には、Akzo Nobel社によってCELQUAT(登録商標)L 200及びCELQUAT(登録商標)H 100の下に販売される製品である。本開示に適したカチオン性デンプンとしては、POLYGELO(登録商標)(Sigma社のカチオン性デンプン)の下に販売される製品、SOFTGEL(登録商標)、AMYLOFAX(登録商標)、及びSOLVITOSE(登録商標)(Avebe社のカチオン性デンプン)、National Starch社のCATOの下に販売される製品が挙げられる。適切なカチオン性ガラクトマンナンとしては、フェヌグリークガム、コンニャクガム、タラガム、カシアガム、又はグアーガムに由来するものであり得る。
【0109】
本開示のカチオン性多糖は、100,000ダルトン~3,500,000ダルトン、好ましくは100,000ダルトン~1,500,000ダルトン、より好ましくは100,000ダルトン~1,000,000ダルトンの平均分子量(Mw)を有してもよい。
【0110】
本発明の布帛仕上げ剤組成物は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、0.01~2重量%のカチオン性多糖類を含む。より好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.025~1重量%のカチオン性多糖類である。最も好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.04~0.8重量%のカチオン性多糖類である。本出願の文脈では、カチオン性グアーなどのカチオン性多糖類の「置換度(DS)」という用語は、糖単位当たりに置換されたヒドロキシル基の平均数である。DSは特に、糖単位当たりのカルボキシメチル基の数を表してもよい。DSは滴定によって判定されてもよい。
【0111】
カチオン性多糖類のDSは、好ましくは0.01~1、より好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.05~0.2の範囲である。本出願の文脈にでは、カチオン性グアーなどのカチオン性多糖類の「電荷密度(CD)」とは、ポリマーを構成するモノマー単位上の正電荷の数と、前記モノマー単位の分子量との比を意味する。カチオン性グアーなどのカチオン性多糖類のCDは、好ましくは0.1~3(meq/gm)、より好ましくは0.1~2(meq/gm)、最も好ましくは0.1~1(meq/gm)の範囲である。非イオン性多糖類。布帛仕上げ剤組成物は、少なくとも1つの非イオン性多糖類をさらに含んでもよい。非イオン性多糖類は、変性非イオン性多糖類又は非変性非イオン性多糖類であり得る。変性非イオン性多糖類は、ヒドロキシアルキル化及び/又はエステル化を含んでもよい。本開示の文脈では非イオン性多糖類の修飾レベルは、単糖類単位のモル当たりのヒドロキシプロピル基などの置換基の平均モル数を意味する、モル置換度(MS)によって特徴付けられる。MSは、特に次の文献に基づいて、Zeisel-GC法によって判定され得る:Hodges,et al.(1979)Anal.Chem.51(13)。好ましくは、修飾非イオン性多糖のMSは0~3、より好ましくは0.1~3、最も好ましくは0.1~2の範囲である。
【0112】
本発明の非イオン性多糖類は、特に、グルカン、変性又は非変性デンプン(例えば、小麦、トウモロコシ、又は米などの穀物、エンドウ豆などの野菜、ジャガイモ又はキャッサバなどの塊茎に由来するものなど)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アラビノガラクタン、カラゲニン、寒天、アラビアガム、トラガカントガム、ガッチガム、カラヤガム、イナゴマメガム、グアーとその非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)などのガラクトマンナン、及びそれらの混合物から選択されてもよい。
【0113】
特に良く使用されるセルロースは、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。適切な非限定的例としては、Aqualon社によってKLUCEL(登録商標)EF、KLUCEL(登録商標)H、KLUCEL(登録商標)LHF、KLUCEL(登録商標)MF、及びKLUCEL(登録商標)Gの商品名の下に、及びAmerchol社によってCELLOSIZE(登録商標)ポリマーPCG-10の商品名の下に、及びAshland社によってHEC、HPMCK200、HPMCK35Mの商品名の下に販売される製品が挙げられる。
【0114】
本発明の布帛仕上げ剤組成物は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、0.01~2重量%の非イオン性多糖類を含む。より好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.025~1重量%の非イオン性多糖類である。最も好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.04~0.8重量%の非イオン性多糖類である。好ましくは、布帛仕上げ剤組成物は、カチオン性多糖類と非イオン性多糖類の合計重量を0.02~4重量%、より好ましくは0.05~2重量%、最も好ましくは0.08~1.6重量%含む。好ましくは、組成物中のカチオン性多糖類の重量と組成物中の非イオン性多糖類の重量との比は、1:10~10:1であり、より好ましくは1:3~3:1である。
【0115】
好ましい実施形態では、カチオン性多糖類及び非イオン性多糖類は、布帛仕上げ剤組成物への添加前に混合される。好ましくは、混合物は水中の懸濁液として調製される。好ましくは、組成物中の第四級アンモニウム化合物の重量と、組成物中のカチオン性多糖類及び非イオン性多糖類の合計重量との比は、100:1~2:1、より好ましくは30:1~5:1である。水。本開示の布帛仕上げ剤組成物は、水を含む。組成物は、洗濯プロセスで使用するのに適したすすぎ添加柔軟化組成物である。組成物は注ぎやすい液体である。液体組成物は、約2.0~約7、好ましくは約2~約4、より好ましくは約2.5~約3.5の範囲のpHを有する。組成物はまた、好ましくは塩酸、乳酸又は水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を含有してもよい。組成物は、好ましくは水相を含む即時使用可能な液体である。水相は、無機塩類又は短鎖(C~C)アルコールなどの水溶性種を含んでもよい。組成物は、好ましくは家庭用繊維製品の洗濯操作のすすぎサイクルで使用するためのものであり、それは例えばディスペンサー引き出しを介して、又はトップローディング式洗濯機の場合はドラム内に直接、未希釈の状態で洗濯機に添加されてもよい。この組成物はまた、家庭での手洗い洗濯操作で使用されてもよい。
【0116】
当業者に知られているように、布帛仕上げ剤組成物は、柔軟剤液の他の成分を含んでもよい。このような材料としては、次が挙げられる:消泡剤、香水及び香料(遊離油及びカプセル化された物質の双方)、昆虫忌避剤、遮光又は色相染料、保存料(例えば、殺菌剤)、pH緩衝剤、香水キャリア、ヒドロトロープ、再沈着防止剤、汚れ除去剤、高分子電解質、収縮防止剤、しわ防止剤、抗酸化剤、染料、着色剤、日焼け止め剤、防錆剤、ドレープ付与剤、帯電防止剤、金属イオン封鎖剤、及びアイロン助剤。本開示の布帛ケア組成物は、真珠光沢剤及び/又は不透明化剤を含有してもよい。好ましい金属イオン封鎖剤はHEDP(エチドロン酸又は1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸の略称)である。
【0117】
布帛仕上げ剤組成物は、典型的には、布帛柔軟作用剤を含む溶融物を水相と組み合わせることによって製造されてもよい。ポリマーは水相と混合されてもよく、又はそれは溶融物と水相を混合した後に組成物と混合されてもよい。好ましい調製方法は、以下の通りである:
1.水を約40~50℃、好ましくは45℃を超えて加熱する。
2.レオロジー改質剤を緩慢に、好ましくは約1分間かけて撹拌しながら水に添加する。
3.好ましくは1~10分間、十分に混合する。
4.消泡剤、封鎖剤、及び保存料などの任意の副原料を添加する。
5.柔軟活性剤と任意選択的脂肪アルコールとを一緒に溶解し、共溶融物を形成する。
6.加熱した水に共溶融物を添加する。
7.必要があれば、好ましいpHになるまで酸を添加する。
8.染料及び香水を添加する。
9.冷却する。
【0118】
代案としては、あまり好ましくはないが、酸をステップ4で添加してもよく、及び/又は副原料をステップ6の後に添加してもよい。香料マイクロカプセルは、プロセス内の任意の段階で添加し得る。共溶融の前に香料マイクロカプセルを添加することが好ましく、ステップ2の前に香料マイクロカプセルを添加することがより好ましい。しかしながら、香料マイクロカプセルは、受け取ったスラリーとして共溶融物を添加した後に添加するか、又は混合物を冷却する前にスラリーを水で希釈(1:1~10:1[水:スラリー])して添加することも可能である。混合物を受け取ったスラリーとして40℃以下に冷却した後、又はスラリーを水で希釈(1:1~10:1[水:スラリー])するか、又は香料マイクロカプセルスラリーと香油の分散液として。
【0119】
B)米国特許第6,069,122号明細書及び米国特許第5,990,065号明細書に記載されているものなどの液体食器用洗剤。
【0120】
C)米国特許第6,020,294号明細、米国特許第6,017,871号明細、米国特許第5,968,881号明細、米国特許第5,962,386号明細、米国特許第5,939,373号明細、米国特許第5,914,307号明細、米国特許第5,902,781号明細、米国特許第5,705,464号明細、米国特許第5,703,034号明細、米国特許第5,703,030号明細、米国特許第5,679,630号明細、米国特許第5,597,936号明細、米国特許第5,581,005号明細、米国特許第5,559,261号明細、米国特許第4,515,705号明細、米国特許第5,169,552、及び米国特許第4,714,562号明細に記載されているものなどの自動食器用洗剤。
【0121】
D)バケツで希釈できる洗浄剤をはじめとする多目的洗浄剤及びトイレ洗浄剤、浴室洗浄剤、トイレットペーパー、敷物脱臭剤、キャンドル(例えば香り付きキャンドル)、室内脱臭剤、床用洗浄剤、消毒剤、窓用洗浄剤、ゴミ袋/ゴミ箱用ライナー、空気消臭剤(例えば、室内脱臭剤、車用脱臭剤、スプレー、芳香油空気消臭剤、自動スプレー空気消臭剤、及び中和ジェルビーズ)、吸湿剤、家庭用器具(例えば、ペーパータオル及び使い捨てワイプ)、及び防虫ボール/トラップ/ケーキなど。
【0122】
E)パーソナルケア製品:化粧品又は医薬品。より具体的には、パーソナルクレンザー(例えば、固形石鹸、ボディウォッシュ、シャワージェル)、シャワー用コンディショナー、日焼け止め(例えば、スプレー、ローション、スティックなど)、昆虫忌避剤,手指除菌剤、抗炎症剤(例えば、香膏、軟膏、及びスプレー)、抗菌剤(例えば、軟膏及びクリームなど)、感覚剤、デオドラント、及び制汗剤(エアゾール、ポンプスプレー、ワックスベースをはじめとする)、ローション、ボディパウダー、フットパウダー、ボディミスト又はボディスプレー、シェービングクリーム及び男性用グルーミング製品、入浴剤、角質除去スクラブ。
【0123】
F)ヘアケア製品。より具体的には、シャンプー(液体及び乾燥粉末)、髪質改良剤(洗い流すタイプ、洗い流さないタイプ、クレンジングタイプ)、ヘアリンス、ヘアリフレッシュ剤、ヘア香水、縮毛矯正製品、ヘアスタイリング製品、毛髪固定剤及びスタイリング助剤、ヘアコーミングクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム、ヘアジェル、非エアゾールポンプスプレー、ヘアブリーチ、染料及び着色剤、パーマ剤、及びヘアワイプ。
【0124】
特定の態様では、本開示のコアシェルマイクロカプセル組成物は、布帛の鮮度印象を改善するのに有用である。したがって、特定の態様では、本開示のマイクロカプセルは、2~4のpH、好ましくは2.5~3.5のpHを有する布帛仕上げ剤又は柔軟剤に含まれる。
【0125】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに詳細に説明される。これ以上詳しく説明しなくても、当業者であれば、本明細書の記載に基づいて、本発明を最大限に利用できると考えられる。本明細書で引用される全ての出版物は、それらの全体が参照により援用される。
【0126】
試験方法
本明細書に記載され特許請求されている発明をより完全に理解するためには、以下に示すアッセイを使用する必要がある。
【0127】
試験方法1:エマルション液滴サイズとカプセルサイズの測定
平均マルション液滴サイズとカプセル直径は、Malvern Zetasizer ZSP(Worcestershire,U.K.)を用いて、173°の後方散乱角を使用して25℃で測定した。カプセルサイズはHMDAを添加し、80℃で4時間反応させた後に測定した。動的光散乱(DLS)は、粒子のブラウン運動を測定し、この動きを同等の流体力学的直径(z平均として報告される)と相関させる。DLS測定に先立って、エマルション又はカプセルスラリーを脱イオン水で100倍に希釈し、多重散乱の影響を避けた。脱イオン水を0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シリンジフィルターを通して濾過し、希釈前に25℃で予備平衡化した。測定は少なくとも3つのサンプルで実行した。
【0128】
試験方法2:マイクロカプセル化効率(EE)
遊離油の濃度は、カプセルに対して15分間のヘキサン抽出を行うことで測定した。ヘキサン洗浄液から抽出した表面油をGCで分析した。次に、純粋油を使用して作成した標準検量線から、遊離油の百分率を外挿した。
【0129】
試験方法3:反応後の残留モノマー濃度の測定
HMDA、DGEDP-メチルエステル、DGEDP-PEG1エステルの残留濃度をLC-MSを用いて測定した。DGEDP-メチル及びDGEDP-PEG1残留物については、カプセルをメタノールで処理し、カプセルコアから未反応のDGEPD-メチル及びDGEDP-PEG1を分析のために抽出した。
【0130】
試験方法4:布帛仕上げ剤又は液体洗濯洗剤性能評価における直接沈着
直接沈着性能評価のために、バイオベースエポキシドマイクロカプセルを、0.6%の純粋油当量(NOE)で、基剤(例えば、布帛仕上げ剤又は液体洗濯洗剤)に添加した。対照として、実験カプセルと一致するように、純粋香料又はメラミンホルムアルデヒドカプセルのどちらを、0.6%のNOEで基剤に添加した。サンプルを十分に混合した。香料サンプルを含有する基剤の0.125gのアリコートを、125gの水に添加した。この希釈溶液は、EUの洗濯機のすすぎ液で典型的に観察される濃度を代表するものであった。次に、5gのサンプル混合物を4インチx5インチのテリークロスの見本の両側にピペットで移し、合計10gの希釈カプセルサンプルを得た。その後、サンプルを室温で一晩風乾し、翌日、タオルをこすって香料を放出させることでデリバリーシステムを活性化した際に、香料から放出される総揮発性物質を検出するヘッドスペース分析を使用して評価した。採取したサンプルのヘッドスペースを他のサンプルと比較し、バイオベースエポキシド・カプセルの性能を評価した。
【0131】
試験方法5:完全な感覚性洗浄評価
完全な感覚性洗浄評価のために、バイオベースエポキシドマイクロカプセルを0.2%の純粋油当量で、(NOE)35gの基剤(液体洗濯洗剤)に添加した。対照として、同じNOEを有するサンプルもまた、純粋油を使用して調製した。サンプルを十分に混合し、欧州の洗濯機(Miele)で洗浄した。次に、サンプルを洗濯機から取り出し、一晩吊り干しした。サンプルは、訓練された審査員によって、何も活性化させない「プレ」、サンプルを半分に折り、手のひらの底部をタオルの上で左から右へしっかりと滑らせて滑らかにし、香料放出を嗅ぐ「スムース&フォールド」の3つの異なる段階で評価された。サンプルを折り畳み、再度匂いを嗅いでさらに評価してもよい。最後に、タオルを両手で持ち上げて激しく擦り、香料放出される兆候を嗅ぐ、「擦り付け後」を実施した。
【0132】
試験方法6:生分解性評価のためのサンプル調製
カプセルシェルの組成の明確且つ正確な把握を確実にするために、生分解性評価の前にカプセルを徹底的な洗浄プロセスの対象としてカプセルシェルを精製した。洗浄プロセスの目的は、カプセルシェルの一部ではない物質及び/又はカプセルシェルと密接に結合していない物質を除去することである。
【0133】
本開示の洗浄プロセス
本開示による好ましい洗浄プロセスは以下の通りである:
1.300グラムのカプセルスラリーを水で2回洗浄し、次に6000rpmで15分間遠心分離した(Sorvall LYNX 6000スーパースピード遠心分離機、1000g遠心分離ボトル、7808のG力)。香料カプセルは、ケーキの層を形成し、遠心分離後に最上層に沈殿した。
2.水層と沈殿層は、ペリスタティックポンプ(MASTERFLEX(登録商標)L/Sモデル77200-62)によって300rpmで排出した。
3.水洗いをさらに2回繰り返した。
4.湿ったカプセルケーキを収集し、凍結乾燥させて水分を除去した。
5.精製壁の残留香料が、ガスクロマトグラフィーによる測定で2%(w/w)未満になるまで、乾燥香料カプセルを65℃で複数回メタノール抽出した(300mLのメタノール中の50グラムの乾燥カプセル、BUCHI(登録商標)Universal Extractor E-800)。代案としては、上記の手順において、メタノールを酢酸エチルで置換し得る。この場合、抽出は77℃で実行する。
6.洗浄したカプセル壁を30℃で完全に乾燥するまで真空乾燥し、次に生分解性評価に使用した。
【0134】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供されるものであり、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形が可能であるため、本発明の限定として解釈されるべきではない。
【実施例
【0135】
実施例1:バイオベースエポキシドの材料と合成
材料。ジフェノール酸(>98%)とエピクロロヒドリン(>99%)はTCI Americaから購入し、受領されたまま使用した。メタノール、塩酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸マグネシウム、水酸化ナトリウム、過塩素酸溶液(酢酸中0.1N)、テトラエチルアンモニウム臭化物、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、2,3-ジクロロトルエン、1,6-ヘキサン-1,1,6,6-d-ジアミン、及び全ての溶媒(例えば、酢酸エチル、イソプロパノール、ジクロロメタン)は、Sigma-Aldrichから購入し、受領されたまま使用した。香油は、International Flavors & Fragrances,Inc.によって提供された。ポリビニルアルコール(PVA、17.1KDa)は、UltaluxFP(積水化学工業株式会社)の商品名の下に販売される。10重量%ポリビニルピロリドン(PVP)は、LUVISKOL(登録商標)K80(525.2KDa)(BASF)の商品名の下に販売される。10重量%ポリクオタニウム-11水溶液は、LUVIQUAT(登録商標)PQ11(123.1KDa)(BASF)の商品名の下に販売される。アラビアガム(GA、71.2KDa)は、Nexira社製である。香油は、80重量%の香料A油(疎水性香油)と、NEOBEE(登録商標)M-5の商標名で販売される20重量%カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドオ油を含有した。アルカリ性条件下におけるブタノールとの開環エステル転移反応によるラクトン性ソホロリピド(LSL)からのソホロリピドブチルエステル(SLBE)の調製は、既知の方法に従って調製した(Wang,et al.(2020)ACS Appl.Bio Mater.3(8):5136-5147)。SLBEのH及び13C NMRによるスペクトル特性評価、並びに質量スペクトル分析は、以前に発表されたものと一致した(Bisht,et al.(1999)J.Org.Chem. 64:780-789)。
【0136】
メチルジフェノレートエステルとエポキシ樹脂の合成。メチルジフェノレートエステル及び対応するジエポキシ樹脂(DGEDP-メチルエステル)の合成は、既知の方法に従って実行した(Maiorana,et al.(2015)Biomacromolecules 16(3):1021-1031)。簡潔に述べると、メチルジフェノレートエステルは、ジフェノール酸とメタノールを用いたフィッシャーエステル化によって調製した。得られた生成物は白色固体で、融点は135℃であった。次にアルカリ性条件下でメチルジフェノレートエステルとエピクロロヒドリン(15当量)とを反応させ、DGEDP-メチルエステルを調製した(スキーム1)。
【化6】
スキーム1
【0137】
90%の収率で得られた生成物は粘稠な淡黄色の液体であった。DGEDP-メチルエステルのエポキシド当量重量(EEW)の実験値は、ASTMD1652に従って判定した。要約すると、サンプル(0.4g)をジクロロメタンに溶解し、これにテトラエチルアンモニウム臭化物の酢酸溶液とクリスタルバイオレット(指示薬)を添加した。サンプルは、標準化された過塩素酸溶液(酢酸中0.1N)を使用して三重反復試験で滴定し、溶液の色が30秒以上青から緑に変わったときに終点と判定した。DGEDP-メチルエステルの実験的EEWは、216±8.5gと判定された。DGEDP-メチルエステルのH及び13C NMRによるスペクトル特性評価、並びに質量スペクトル分析は、以前に発表されたものと一致した(Maiorana,et al.(2015)Biomacromolecules 16(3):1021-1031)。
【0138】
実施例2:様々な乳化剤を使用したエポキシ樹脂マイクロカプセルの調製
エポキシ樹脂マイクロカプセルを調製するために、各界面活性剤を含有する水溶液を最初に調製した。PVA又はGAを脱イオン水に溶解し、0.5重量%~3.5重量%の濃度の界面活性剤溶液を調製した。PVAの溶解は、撹拌しながら30分間加熱(90℃)することによって達成した。PVP水溶液とPQ-11水溶液(どちらも10重量%)を脱イオン水で希釈し、質量比が1:1になるように組み合わせ、2成分の総濃度を0.5重量%から3.5重量%まで変化させた。SLBEは水溶性が限られているため、0.5重量%~1.5重量%の濃度で調製した。内相(油相)については、1重量%~4重量%のDGEDPメチルエステルを20重量%の香油(4:1重量%香料A:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド油)に60℃で分散させて、コア材料を調製した。選択した界面活性剤溶液と油相とを混合し、IKA T25剪断ホモジナイザーによって6500rpmで2分間混合して均質化し、o/wエマルションを形成した。第2のモノマーであるヘキサメチレンジアミン(HMDA)を脱イオン水に溶解してHMDA原液(40%w/w)を調製し、これをo/wエマルションに緩慢に添加して、最終濃度が0.75重量t%~1.25重量%HMDAになるようにした。全ての重量百分率(重量%)は、エマルションの総重量に基づく。界面重合は、穏やかに撹拌(500rpm)しながら、80℃で4時間行った。各成分の詳細な配合を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
実施例3:ポリアミンを使用したエポキシ樹脂マイクロカプセルの調製
カプセルはまた、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、分岐ポリエチレンイミン(BPEI)、尿素、炭酸グアニジン、又はキトサンオリゴ糖(COS)をはじめとする単一のポリアミンを使用して調製し得る。単一のポリアミンを含むマイクロカプセルを調製するために、アラビアガムを脱イオン水に溶解してアラビアガムの25%原液を調製した。アラビアガムは、アラビアガムの総濃度が全配合物の2.5重量%となるように、水相にさらに希釈した。香料のみから、又は香料と共溶媒(共溶媒はNEOBEE(登録商標)油又は白色鉱油を含む)との組み合わせから調製された香料コア。次に、DGEDP-Rを60℃のオーブンで10~20分間加熱し、DGEDP-Rを流動性にした。次に、熱いDGEDP-Rを油相に添加し、サンプルが均質になるまで混合して(撹拌しながら約5分)、即座にエマルションの調製に使用した。DGEDP-Rは、最終濃度が1~4%になるように添加した。
【0141】
エマルション溶液と油相とを混合し、IKA T25剪断ホモジナイザーによって6500rpmで3分間混合して均質化し、o/wエマルションを形成した。モノマーには、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、分岐ポリエチレンイミン(BPEI)、尿素、炭酸グアニジン、又はキトサンオリゴ糖(COS)が含まれた。ポリアミンモノマーを添加するために、モノマーを脱イオン水を使用して次の濃度(重量/重量%)に希釈した:HMDA40%、TETA60%、尿素25%、炭酸グアニジン20%、COS25%、及びBPEI30%。個々のポリアミン溶液は、全配合物中の最終濃度が0.5~2重量%のHMDAになるように、o/wエマルションに緩慢に添加した。全ての重量百分率は、エマルションの総重量に基づく。界面重合は、特に明記されない限り、穏やかに撹拌しながら(350~500rpm)、pH11、80℃で4時間実行した。場合によっては、反応をさらに完了させるために、80℃でさらに18時間の硬化を追加した。
【0142】
実施例4:ポリアミン及び/又はバイオポリマーの組み合わせを使用したエポキシ樹脂マイクロカプセルの調製
ポリアミンの組み合わせでマイクロカプセルを調製するために、以下の手順に従った。アラビアガムの25%原液は、アラビアガムを脱イオン水に溶解して調製した。アラビアガムは、アラビアガムの総濃度が最終エマルション配合物の2.5重量%となるように、水相にさらに希釈した。次に、香料と共溶媒(NEOBEE(登録商標)油)の混合物を使用して、香料コアを調製した。最終エマルション濃度中の香料とNEOBEE(登録商標)油の総重量%は、それぞれ16重量%と4重量%であった。次に、DGEDP-Rを60℃のオーブンで10~20分間加熱し、DGEDP-Rを流動性にした。次に、熱いDGEDP-Rを油相に添加し、サンプルが均質になるまで混合して(撹拌しながら約5分)、即座にエマルションの調製に使用した。DGEDP-Rは、最終濃度が2%になるように添加した。
【0143】
エマルション溶液と油相とを混合し、IKA T25剪断ホモジナイザーによって6500rpmで3分間混合して均質化し、o/wエマルションを形成した。エマルションを作成した後、2つの触媒のうちの1つを混合物に添加した。最終エマルション濃度が2%になるまでイミダゾールを20%原液としてエマルションに添加するか、最終エマルション濃度が0.05%になるまでDABCOを20%原液としてエマルションに添加した。エマルションは、2つの異なるポリアミンを添加することによってさらに反応させた。最初に添加されたポリアミンは、COS又は炭酸グアニジンのどちらかであった。COSを添加する場合、25%COS溶液を調製し、次に最終配合物中のCOS濃度が1%又は4%のどちらかになるまで、混合しながらエマルションに緩慢に添加する。炭酸グアニジンを添加する場合、20%炭酸グアニジン溶液を調製し、次に最終配合物中の炭酸グアニジン濃度が1%又は1.75%のどちらかになるまで、混合しながらエマルションに緩慢に添加する。
【0144】
次に、第2のポリアミンを2つの方法のどちらかで添加した。ある事例では、第2のポリアミンを第1のポリアミンの直後に添加し、次にエマルションを80℃で4時間、穏やかに撹拌(350~500rpm)しながら硬化させた。代案としては、第1のポリアミンをDGEDP-Rとエマルション中で80℃で2時間反応させた後に、第2のポリアミンを添加した。2時間の初期硬化後、第2のポリアミンをエマルションに添加し、混合しながらシステム全体を80℃でさらに2時間硬化させた。硬化中のエマルションのpHは、特に明記されない限り、硬化前に11に調整した。全ての重量百分率、エマルションの総重量に基づく。
【0145】
アミンとジヒドラジドの組み合わせでマイクロカプセルを調製するために、以下の手順に従った。アラビアガムの25%原液は、アラビアガムを脱イオン水に溶解して調製した。アラビアガムは、アラビアガムの総濃度が最終エマルション配合物の2.5重量%となるように、水相にさらに希釈した。次に、香料と共溶媒(NEOBEE(登録商標)油)の混合物を使用して、香料コアを調製した。最終エマルション濃度中の香料とNEOBEE(登録商標)油の総重量%は、それぞれ16%と4%であった。次に、DGEDP-Rを60℃のオーブンで10~20分間加熱し、DGEDP-Rを流動性にした。次に、熱いDGEDP-Rを油相に添加し、サンプルが均質になるまで混合して(撹拌しながら約5分)、即座にエマルションの調製に使用した。DGEDP-Rは、最終濃度が2~4%になるように添加した。エマルション溶液と油相とを混合し、IKA T25剪断ホモジナイザーによって6500rpmで3分間混合して均質化し、o/wエマルションを形成した。提供された実施例のポリアミンはトリエチレンテトラミン(TETA)を含み、焦点となるジヒドラジドはアジピン酸ジヒドラジドであった。ポリアミンモノマー及びジヒドラジドモノマーを添加するために、モノマーを脱イオン水を使用して次の濃度(重量/重量%)に希釈した:TETA60%、及びアジピン酸ジヒドラジド10%。個々のポリアミン溶液は、全配合物中の最終濃度が0.5~3.5重量%になるように、o/wエマルションに緩慢に添加した。全ての重量百分率は、エマルションの総重量に基づく。界面重合は、特に明記されない限り、穏やかに撹拌しながら(350~500rpm)、pH11、80℃で4時間実行した。場合によっては、反応をさらに完了させるために、80℃でさらに18時間の硬化を追加した。
【0146】
実施例5:触媒添加によるカプセルの調製
触媒を添加したDGEDP-RとCOSを含有するカプセルを調製するために、以下の手順に従った。アラビアガムの25%原液は、アラビアガムを脱イオン水に溶解して調製した。アラビアガムは、アラビアガムの総濃度が全配合物の2.5%となるように、水相にさらに希釈した。香料コアは、香料と共溶媒(NEOBEE(登録商標)油)をそれぞれ80/20の比率で混合して調製し、最終エマルションの総重量%は、16重量%の香料、及び4重量%のNEOBEE(登録商標)油であった。次に、DGEDP-Rを60℃のオーブンで10~20分間加熱し、DGEDP-Rを流動性にした。次に高温のDGEDP-Rを油相に添加し、サンプルが均質になるまで混合した(撹拌しながら約5分間)。DGEDP-Rは、エマルション中の最終濃度が2%になるように添加した。DGEDP-R架橋剤を含む油相は即座に使用して、マルションを調製した。水溶液と油相とを混合し、IKA T25剪断ホモジナイザーによって6500rpmで3分間混合して均質化し、o/wエマルションを形成した。
【0147】
第2のモノマーは、最初にCOSを脱イオン水中の25%原液に希釈し、次に原液をo/wエマルションに緩慢に添加して、全配合物中のCOSの最終濃度が1~6重量%になるようにすることで添加した。次に、混合しながらエマルションに触媒を添加した。触媒は、40%原液として添加されたイミダゾール、又は脱イオン水中の20%原液として添加されたDABCOのどちらかであった。NG触媒をエマルションに投入し、エマルション配合物中の最終重量が0.2~4%のイミダゾール又は0.5%のDABCOになるようにした。全ての重量百分率、エマルションの総重量に基づく。界面重合は、特に明記されない限り、穏やかに撹拌しながら(350~500rpm)、pH11、80℃で4時間実行した。
【0148】
実施例6:DGEDP-メチルエステル/HMDA比のカプセル化効率とカプセル形態に与える影響
本発明者らは、高レベルのDGEDP-R(1~4%)及びHMDA(0.5~1.75%)を使用すると、カプセル化効率が向上することを発見した。これをさらに一歩進めるために、HMDA濃度を1.25%以上に増加させた、2%DGEDP-メチルを含有するカプセルを調製した。表2は、カプセル化効率と形態の双方が、配合物に使用されたHMDAの濃度によって影響を受けることを示すデータを示す。DGEDPメチル架橋剤を用いて調製したカプセルは、HMDAレベルが1.75%であれば、最高のカプセル化効率で形成され、凝集はほとんど又は全くなかった。1.75%を超えると、カプセルが凝集体を形成し始め、基剤に適用した際のカプセル化システムの外観に影響を及ぼす。1.75%未満のHMDAレベルで調製したカプセルはカプセル化効率の低下を示し、これは性能にも悪影響を及ぼした(感覚性データは後述する)。DGEDP-PEG1(PEG1=メトキシエタノール)を用いて形成されたカプセルも、上記で説明したDGEDP-メチル(配合物中2%DGEDP-PEG1及び1.75%HMDA)で形成されたものと同様の条件を使用して成功裏にカプセル化され、DGEDP-メチルに対する高いカプセル化効率が得られた。この結果に基づいて、好ましい架橋剤としては、DGEDP-メチル及びDGEDP-PEG1が挙げられる。
【0149】
【表2】
【0150】
より低いDGEDP-Rレベルとより高いHMDAレベルを使用することで、反応の反変換率が改善されてDGEDP-Rの低い残留レベルをもたらし、これは消費者製品(例えば、液体洗濯洗剤)で安全に使用し得る。例えば、1.75%のHDMAと2%のDGEDP-メチル又はPEG1を用いて調製したカプセルは、最終製品ベース中に1ppm未満のバイオエポキシド架橋剤残留物をもたらした。
【0151】
実施例7:活性物質の共溶媒又はコア改質剤の選択
次に、共溶媒の種類と香料と共溶媒の比率を変化させてカプセルを調製し、70℃の配合物で調製したものと同様のカプセルを評価した。選択した共溶媒と標準的な香料成分とを組み合わせて共溶媒効果を評価し、DGEDP-メチル又はPEG1架橋剤のどちらか、HMDA、及び乳化剤としてのアラビアガムを使用した場合に形成されたカプセルの遊離油と外観の変化を評価した。
【0152】
結果(表3)は、疎水性共溶媒が、遊離油がより少ないカプセル(白色鉱油又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド油(NEOBEE(登録商標)の商品名の下に販売される、cLog p<10))を提供するのにより有益である一方、親水性がより高い共溶媒(クエン酸トリエチル、cLog p=1.2)は、遊離油がより多い脆弱なカプセルをもたらすことを示唆した。また、共溶媒に対する香料の比率が高いカプセルは、カプセルの凝集を緩和するのに役立ち、これは特にDGEDP-PEG1で調製したカプセルで顕著であった。
【0153】
【表3】
【0154】
実施例8:DGEDP-RとのCOS反応における触媒の効果
本発明者らは、キトサンオリゴ糖(COS)をDGEDP-PEGで架橋する際に、触媒を添加するとカプセル形成が改善され、遊離油が減少することを見いだした。イミダゾールを触媒として使用した結果を表4に列挙するが、DGEDP-RとCOSの反応は、イミダゾールを2%添加した場合に触媒として作用するようである。イミダゾールの量が少ないと(0.02%)、破損の原因になる。注目すべきことに、アラビアガムをPVP/PQ-11で置き換えると、遊離油の低減が改善された。しかしながら、PVP/PQ-11で調製したカプセルはあまり均質ではなく、凝集していた。
【0155】
【表4】
【0156】
実施例9:カプセル形成におけるポリアミンの組み合わせの効果
本発明者らはまた、HMDAとキトサンオリゴ糖(COS)又は炭酸グアニジンのどちらかとの組み合わせが、より少ない遊離油を提供することを見いだし、その結果は表5に要約される。本発明者らはまた、これが布帛仕上げ剤の性能につながり、香料放出が増加することも見いだした。
【0157】
【表5】
【0158】
実施例10:DGEDP-R/HMDAマイクロカプセルの性能評価
方法のセクションに記載されているように、完全な官能評価を使用して、DGEDP-R/HMDAカプセル(唯一のポリアミンとしてHMDAを使用して調製された)を液体洗濯洗剤中で評価した。カプセルの説明を表6に記載する。
【0159】
【表6】
【0160】
表6に示すカプセルを液体洗濯洗剤に投入し、丸洗い法で布地に塗布し、引き続いて、前、滑らかにして折り畳んだ状態、及び擦り付け後の性能を評価して、完全な官能性能データを取得した。官能評価の結果を表7に示す。
【0161】
【表7】
【0162】
2%DGEDP-Rと1.75%HMDAを含有するカプセルは、丸洗い液体洗濯洗剤の官能評価で良好な性能を示した。具体的には、架橋剤としてDGEDP-PEG1を含有するサンプル71Jと71Kを液体洗濯洗剤に添加し、手拭きタオル上の完全な官能評価で評価したところ、純粋なものよりも優れた利点を示し、市販のカプセルと同等の性能を示した(表7を参照されたい)。架橋剤としてDGEDP-メチルを含有するサンプル71Qと71Pを液体洗濯洗剤に添加し、手拭きタオル上の完全な官能評価で評価したところ、純粋なものよりも優れた利点を示し、市販のカプセルよりも優れた性能を示した(表7を参照されたい)。これらのレベルで使用された共溶媒は、これらの特定のカプセルのバリエーションの性能にあまり影響を与えないようであった。
【0163】
実施例11:COS/炭酸グアニジンマイクロカプセルを用いたDGEDP-R/HMDAの性能評価
DGEDP-RとHMDAをCOS又は炭酸グアニジンのどちらかと組み合わせて調製したカプセルを、方法セクションに記載されるプロトコルに従って決定した表面に直接沈着させ、ヘッドスペース測定を用いて評価した。カプセルの説明を表8に記載する。官能評価の結果を表9に示す。
【0164】
【表8】
【0165】
【表9】
【0166】
サンプル74X、75I、及び75Jを布帛仕上げ剤に添加して布地に直接塗布し、ヘッドスペースによって擦り付け後のバーストを評価したところ、純粋なものよりも優れた利点を示した。結果は、HMDAをCOS又は炭酸グアニジンのどちらかと組み合わせることで、カプセルの安定性が向上し、布帛仕上げ剤基剤中の香料の放出が増加することを示す(表9を参照されたい)。表6で試験したカプセルと同様に、これらのサンプルもまた液体洗濯洗剤で評価したときに、ベンチマークのメラミンホルムアルデヒドカプセル(データ未掲載)と一致する性能を提供した。
【0167】
実施例12:生分解性評価
試験方法6に記載されているプロセスに従って、乳化剤としての2.5%のアラビアガム、2%のDGEDP-PEG1、及び架橋剤としての1.75%のHMDAを使用して調製したカプセルを水洗し、結乾燥と溶媒抽出がそれに続いて香料を除去し、洗浄されたカプセル壁を得た。カプセルの生分解性は、OECD301Fに記載されているプロトコルに従って評価した。カプセルは、45日後に60%を超える生分解に達することが確認された(図1を参照されたい)。このデータは、本開示によって調製されたカプセルシステムの生分解性を実証する。
【0168】
実施例13:例示的な製造組成物
組成物Iは、本開示による微細香料組成物の一例である。これは、表10に記載された成分を、示された比率で混合することによって調製される。
【0169】
【表10】
【0170】
組成物IIは、本開示による布帛仕上げ剤組成物の一例である。これは、表11に記載された成分を、示された比率で混合することによって調製される。
【0171】
【表11】
【0172】
組成物IIIは、本開示による液体洗剤組成物の一例である。これは、表12に記載された成分を、示された比率で混合することによって調製される。
【0173】
【表12】
【0174】
組成物IVは、本開示による粉末洗剤組成物の一例である。これは、表13に記載された成分を、示された比率で混合することによって調製される。
【0175】
【表13】
【0176】
本明細書に開示された寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。それに代えて、特に明記されない限り、このような各寸法は、記載された値とその値の周囲の機能的に同等な範囲の双方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示されている寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0177】
相互参照又は関連する特許又は出願、及び本出願がその優先権又は利益を主張する特許出願又は特許をはじめとする、本明細書で引用される全ての文献は、明示的に除外又はその他の制限がない限り、その内容全体が参照により本明細書に援用される。いかなる文献の引用も、それが本明細書で開示又は請求される発明に関する先行技術であること、又は単独で、又はその他の参考文献とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示、示唆又は開示していることを認めるものではない。さらに、本文書における用語の意味又は定義が、参照により援用される文系における同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が効力を持つものとする。
【0178】
本開示の特定の実施形態を例示し説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を加え得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示の範囲内にある全てのこのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲内に網羅されることが意図される。
図1
【国際調査報告】