(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】再溶融膨張ポートを有するバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 49/00 20060101AFI20240912BHJP
F16K 41/10 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F16K49/00 B
F16K41/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518767
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022043352
(87)【国際公開番号】W WO2023048993
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523224589
【氏名又は名称】フローサーブ・プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLOWSERVE PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリッシュ・ポール・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン・マイケル・ピー.
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA31
3H066BA36
3H066DA11
(57)【要約】
【解決手段】溶融液体を制御するためのバルブは、溶融液体で充填されているバルブの内部容積と液体連通する膨張ポートを含む。膨張バルブは、バルブの解凍中に開き、溶融プロセス物質が溶融するときに内部容積から膨張ラインに膨張することを可能にすることができる。バルブの初期化中、不活性ガス源、圧力レギュレータ、および超音波遷移レベルセンサを使用して、膨張ライン内の所望の高さに液体/ガス界面を確立することができる。バルブはマルチゾーンヒータを含むことができ、第1のゾーンは膨張ポートに隣接しているため、解凍中、第1のゾーンが溶融した後、残りのゾーンは、各ゾーンが隣接するゾーンが溶融した後にのみ活性化されることを確実にする順序で順次活性化することが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムであって、
バルブであって、前記バルブの動作中に通常は前記プロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、
前記バルブに設けられている膨張ポートであって、前記内部プロセス液体容積と液体連通する膨張ポートと、
前記膨張ポートと流体連通する膨張ラインと、
前記膨張ラインを通る流体の流れを許可または遮断するように動作可能な膨張バルブと
を備える、バルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張バルブが開いているときにプロセス液体が前記膨張ラインから流れ込むことができる膨張容積を備える、バルブシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインとガス連通する加圧不活性ガス源を備える、バルブシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ライン内の不活性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータを備える、バルブシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブシステムであって、
前記膨張ラインは、前記膨張ラインの界面ゾーン内の液体/ガス界面レベルを検出することができる液体/ガス遷移センサを含む、バルブシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブシステムであって、
前記液体/ガス遷移センサは、超音波センサである、バルブシステム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のバルブシステムであって、さらに、
ガスコントローラであって、前記液体/ガス遷移センサによって前記ガスコントローラに提供される界面データに従って、前記界面ゾーン内の前記液体ガス界面レベルの高さを調節するように前記圧力レギュレータを制御するように構成されているガスコントローラを備える、バルブシステム。
【請求項8】
請求項3から7のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインに含まれ、前記膨張ライン内の前記不活性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサを備える、バルブシステム。
【請求項9】
請求項3から8のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインに含まれ、前記膨張ラインにおける前記不活性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサを備える、バルブシステム。
【請求項10】
請求項3から9のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ライン内の前記不活性ガスを加熱するように構成されているガスヒータを備える、バルブシステム。
【請求項11】
請求項3から10のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインから前記不活性ガスを排気するように構成されているガスベントを備える、バルブシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
熱コントローラによって制御されるバルブヒータを備える、バルブシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブシステムであって、
前記ヒータは、前記熱コントローラによって別々に制御することができる複数の加熱ゾーンに分割され、第1の前記加熱ゾーンは、前記膨張ポートに近接している、バルブシステム。
【請求項14】
バルブを通る溶融プロセス液体の流れを初期化する方法であって、
A)請求項4に記載のバルブシステムを設け、
B)前記膨張バルブを開き、
C)前記加圧不活性ガスで前記内部プロセス液体容積を充填し、
D)前記溶融プロセス液体を前記バルブに導入し、
E)前記溶融プロセス液体が前記内部プロセス液体容積を充填し、その中の前記不活性ガスを置換して前記膨張ラインに入るように前記圧力レギュレータを制御し、それにより液体/ガス界面が前記膨張ライン内の前記溶融プロセス液体と前記不活性ガスとの間に形成されるようにすること、
を備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、ガスヒータをさらに備え、前記方法は、ステップB)を実施する前に前記不活性ガスを加熱することをさらに備える、方法。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の方法であって、
ステップE)の後、前記膨張バルブを閉じることをさらに備える、方法。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、液体/ガス遷移センサをさらに備え、ステップE)は、前記液体/ガス遷移センサを使用して前記膨張ライン内の前記液体/ガス界面の高さを監視することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記方法は、ステップE)の後、前記膨張ライン内の指定の高さ範囲内に前記液体/ガス界面を維持するように前記圧力レギュレータを制御することをさらに備える、方法。
【請求項19】
溶融プロセス液体が冷却されてバルブ内で固体プロセス物質に固化した後、前記プロセス液体の流れを制御するように構成されている前記バルブを解凍する方法であって、
A)請求項13に記載のバルブを設け、
B)前記膨張バルブを開き、
C)前記第1のヒータゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、前記第1のヒータゾーンを活性化させ、
D)前記第1のヒータゾーンに隣接する次の前記ヒータゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、前記次のヒータゾーンを活性化させ、
E)前記複数の加熱ゾーンが3つ以上の加熱ゾーンを含む場合、前記バルブ内の前記プロセス物質のすべてが溶融するまでステップD)を繰り返し、前記加熱ゾーンの各々は、隣接する加熱ゾーンにおける前記プロセス物質が溶融した後にのみ活性化され、
F)前記バルブを通る前記溶融プロセス液体の前記流れを再確立すること
を備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、ガスヒータをさらに備え、前記方法は、ステップB)を実施する前に、不活性ガスを加熱し、前記膨張ライン内のプロセス物質が溶融するまで前記加熱された不活性ガスを前記膨張ラインに導入することをさらに備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【政府権益の声明】
【0001】
本発明の一部は、契約番号DE-NA0003525の下で政府の資金援助を伴ってなされたものであり、政府に一定の権利が存在する場合がある。
【関連出願】
【0002】
本出願は、2021年9月27日に出願された米国特許出願第17/485,676号の利益を主張し、上記の開示は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明は、バルブに関し、より詳細には、周囲温度で固体である溶融液体の流れを制御するために使用されるバルブに関する。
【背景技術】
【0004】
室温では固体である高温の溶融プロセス液体の流れを制御するために、いくつかのプロセスバルブが必要である。多くの場合、溶融プロセス液体が冷えて固化すると、その容積は減少し、プロセス物質が再溶融すると、その容積は再び膨張する。溶融塩化物塩は、そのような材料の一例であり、集光型太陽光発電(CSP)産業およびトリウムベースの原子力産業を含むいくつかの産業におけるプロセスにとって重要性が高まっている。
【0005】
例えばアップセット状態中、溶融プロセス液体がバルブ内で冷えて固化する、すなわち「凍結する」と、プロセス物質が溶融時に膨張する場合、凍結回復が困難になる場合がある。これは、バルブが加熱されると、特に材料がバルブ内で溶融する際にバルブの入口および出口で固体のままである場合、再溶融プロセス物質がバルブ内に必要な膨張のための空間を見つけられない可能性があるためである。その結果、バルブは、液体の膨張、再溶融によって構造的に損傷を受ける場合があり、それによりバルブが動作不能になることがある。バルブ設計が通常は溶融プロセス液体で充填される実質的な内部容積を含む場合、この危険性はさらに悪化する。
【0006】
たとえ外部バルブ漏れが最小量であっても許容できない重要なバルブ用途では、典型的には、ベローズシールバルブが使用される。溶融プロセス液体の場合、解凍プロセスは、(ベローズの内側または外側のいずれかにおいて)プロセス液体で充填される傾向がある大きな内部容積、およびベローズの固有の脆弱性に起因して、ベローズバルブにとって特に危険であり得る。
【0007】
図1の断面図を参照すると、ベローズシールバルブは、アコーディオン状のベローズ100を備える。ベローズ100の一端102は、バルブステム104に溶接されるか他の方法で取り付けられる。ベローズ100の他端106は、バルブボンネット109にクランプされるか他の方法で取り付けられる部品108に溶接される。バルブを動作させるとき、バルブステム104は、バルブシート112に対するバルブプラグ110の位置を制御するように線形バルブストロークで移動される。バルブストローク中、ベローズ100は、スライドするバルブステム104の線形運動に伴って圧縮または膨張する。
【0008】
ベローズ100は各端部102、106に静的シールを有し、バルブステム104の周囲はベローズ100によって覆われているため、金属障壁がバルブの内側のプロセス液体と外部大気との間に設けられ、バルブステム104における漏れを排除する。
図1の例では、プロセス液体はベローズ100の外側にあり、大気はベローズ100の内側にある。他のベローズバルブの場合、プロセス液体はベローズ100の内側にあり、大気はベローズ100の外側にある。ベローズバルブ(または他の溶融液体バルブ)は、必要に応じてバルブを解凍するために使用することができる、熱コントローラ118によって制御されるヒータ116をさらに含むことができる。
【0009】
通常はプロセス液体によって充填される実質的な内部容積が存在することは、ベローズバルブの設計にとって固有のものである。特に、プロセス液体は、一般に、ベローズ100の全長に沿ってその内面または外面のいずれかと接触する。金属ベローズ100は、バルブステム104が移動するにつれて屈曲するため、必然的に多少脆弱であり、膨張する解凍プロセス物質によって容易に損傷を受ける可能性がある。
【0010】
したがって、通常は溶融しているプロセス液体がバルブ内で凍結した後に再溶融する際の膨張に適応するように構成されているバルブ設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、通常は溶融しているプロセス液体がバルブ内で凍結した後に再溶融する際の膨張に適応するように構成されているバルブ設計を含む。実施形態では、バルブは、ベローズバルブである。本発明の実施形態は、膨張制御システム、および開示されたバルブを安全に解凍する方法をさらに含む。
【0012】
本発明によれば、バルブ設計は、膨張ラインと、通常はプロセス液体で充填されるバルブの内部プロセス液体容積との間の液体連通を可能にするプロセス液体膨張ポートを含む。バルブの通常の動作中、膨張ラインに設けられている膨張バルブを閉じることによって、プロセス液体は膨張ポートを通って流出することが防止される。プロセス物質の解凍中、例えばアップセット状態から回復するとき、膨張バルブは一時的に開かれ、それにより膨張経路が溶融プロセス物質に提供される。
【0013】
実施形態では、膨張制御システムは、窒素ガスなどの不活性ガスの源と、膨張ラインにおける不活性ガスの圧力を制御することができる圧力レギュレータとをさらに含む。開示された方法によれば、バルブが最初に稼働され、かつ溶融プロセス液体が膨張ラインに流れ始めるとき、不活性ガスを使用して膨張ラインを加圧し、それによりプロセス液体が膨張バルブに達するのを防止する。
【0014】
これらの実施形態のいくつかでは、不活性ガス圧力の調節は、バルブの動作中に継続される。他の実施形態では、適切な不活性ガス圧力が膨張ライン内で確立されると、膨張バルブが閉じられ、それにより一定量の不活性ガスがプロセス液体と接触したままとなり、液体/ガス境界が膨張ライン内に確立される。プロセス液体が通常の動作中、例えばプロセス液体の温度変動により膨張または収縮する場合、これは、膨張ライン内の液体/ガス境界をシフトさせることによって対応される。
【0015】
実施形態は、膨張ライン内の液体/ガス境界のレベルを検出することができる超音波センサなどの液体ガス遷移センサをさらに含み、不活性ガスの圧力が調節され、液体/ガス境界が膨張ライン内の所望の場所になるように調整される。
【0016】
実施形態では、バルブは、バルブを加熱し、それによって必要に応じて通常の動作中に液体としてバルブ内のプロセス物質を維持し、バルブを解凍する必要が生じた場合にはプロセス物質を再溶融するように構成されているヒータをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、ヒータは、バルブの内部プロセス液体容積の対応する部分を加熱するように構成されている別々に制御される加熱ゾーンに分割される。本発明の方法の実施形態によれば、膨張ポートに延びる加熱ゾーンが最初に加熱され、次に膨張ポートに近接するプロセス物質が溶融した後、隣接するゾーンが順次加熱され、それにより各場合において、プロセス物質は、隣接する既に溶融したゾーンに溶融する際に膨張することができる。その結果、バルブ内のプロセス物質の再溶融中におけるバルブへの損傷および過度の応力が回避される。
【0017】
以下の説明の多くは、バルブがベローズバルブであり、バルブ内のプロセス液体がベローズの外側と接触する例示的な実施形態を対象とする。しかし、当業者は、プロセス液体がベローズの内部を占めるベローズバルブを含み、またベローズバルブではないバルブを含む、溶融プロセス液体を制御する事実上あらゆるタイプのプロセスバルブに対して本発明の原理を容易に適応させることができるであろう。
【0018】
本発明の第1の一般的な態様は、溶融プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムである。バルブシステムは、バルブであって、バルブの動作中に通常はプロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、バルブに設けられている膨張ポートであって、内部プロセス液体容積と液体連通する膨張ポートと、
膨張ポートと流体連通する膨張ラインと、膨張ラインを通る流体の流れを許可または遮断するように動作可能な膨張バルブとを含む。
【0019】
実施形態は、膨張バルブが開いているときにプロセス液体が膨張ラインから流れ込むことができる膨張容積をさらに含む。
【0020】
上記の実施形態のいずれも、膨張ラインとガス連通する加圧不活性ガス源(pressurized inert gas source)をさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかは、膨張ライン内の不活性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、膨張ラインは、膨張ラインの界面ゾーン内の液体/ガス界面レベルを検出することができる液体/ガス遷移センサを含む。これらの実施形態のいくつかでは、液体/ガス遷移センサは、超音波センサである。そして、これらの実施形態のいずれも、ガスコントローラであって、液体/ガス遷移センサによってガスコントローラに提供される界面データに従って、界面ゾーン内の液体ガス界面レベルの高さを調節するように圧力レギュレータを制御するように構成されているガスコントローラをさらに含むことができる。
【0021】
上記の実施形態のいずれも、膨張ラインに含まれ、膨張ライン内の不活性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサをさらに含むことができる。
【0022】
上記の実施形態のいずれも、膨張ラインに含まれ、膨張ラインにおける不活性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサをさらに含むことができる。
【0023】
上記の実施形態のいずれも、膨張ライン内の不活性ガスを加熱するように構成されているガスヒータをさらに含むことができる。
【0024】
上記の実施形態のいずれも、膨張ラインから不活性ガスを排気するように構成されているガスベントをさらに含むことができる。
【0025】
上記の実施形態のいずれも、熱コントローラによって制御されるバルブヒータを備えることをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかでは、ヒータは、熱コントローラによって別々に制御することができる複数の加熱ゾーンに分割され、第1の加熱ゾーンは、膨張ポートに近接している。
【0026】
本発明の第2の一般的な態様は、バルブを通る溶融プロセス液体の流れを初期化する方法である。方法は、
A)第1の一般的な態様によるバルブシステムを設け、
B)膨張バルブを開き、
C)加圧不活性ガスで内部プロセス液体容積を充填し、
D)溶融プロセス液体をバルブに導入し、
E)溶融プロセス液体が内部プロセス液体容積を充填し、その中の不活性ガスを置換して膨張ラインに入るように圧力レギュレータを制御し、それにより液体/ガス界面が膨張ライン内の溶融プロセス液体と不活性ガスとの間に形成されるようにすること
を含む。
【0027】
実施形態では、バルブシステムは、ガスヒータをさらに備え、方法は、ステップB)を実施する前に不活性ガスを加熱することをさらに含む。
【0028】
上記の実施形態のいずれも、ステップE)の後、膨張バルブを閉じることをさらに含むことができる。
【0029】
上記の実施形態のいずれにおいても、バルブシステムは、液体/ガス遷移センサをさらに含むことができ、ステップE)は、液体/ガス遷移センサを使用して膨張ライン内の液体/ガス界面の高さを監視することを含む。これらの実施形態のいくつかでは、方法は、ステップE)の後、膨張ライン内の指定の高さ範囲内に液体/ガス界面を維持するように圧力レギュレータを制御することをさらに含む。
【0030】
本発明の第3の一般的な態様は、溶融プロセス液体が冷却されてバルブ内で固体プロセス物質に固化した後、プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブを解凍する方法である。方法は、
A)第2の一般的な態様によるバルブを設け、
B)膨張バルブを開き、
C)第1のヒータゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、第1のヒータゾーンを活性化させ、
D)第1のヒータゾーンに隣接する次のヒータゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、次のヒータゾーンを活性化させ、
E)複数の加熱ゾーンが3つ以上の加熱ゾーンを含む場合、バルブ内のプロセス物質のすべてが溶融するまでステップD)を繰り返すことであって、加熱ゾーンの各々は、隣接する加熱ゾーンにおけるプロセス物質が溶融した後にのみ活性化され、
F)バルブを通る溶融プロセス液体の流れを再確立すること
を含む。
【0031】
実施形態では、バルブシステムは、ガスヒータをさらに含み、方法は、ステップB)を実施する前に、不活性ガスを加熱し、膨張ライン内のプロセス物質が溶融するまで加熱された不活性ガスを膨張ラインに導入することをさらに含む。
【0032】
本明細書に記載の特徴および利点は包括的なものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点は、図面、明細書、および特許請求の範囲を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび指示を目的として選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、従来技術のベローズバルブの等尺断面図である。
【0034】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態の等尺断面図である。
【0035】
【
図3】
図3は、膨張制御システムに接続されて示される
図2のバルブの一部の拡大断面図であり、バルブは、一定の縮尺で描かれている。
【0036】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態において開示されたバルブを実装するための方法を示すフロー図である。
【0037】
【
図5】
図5は、バルブが複数の独立して制御される加熱ゾーンを含む、本発明の一実施形態におけるバルブの断面図である。
【0038】
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態における
図5のバルブを解凍する方法を示すフロー図であり、バルブは、一定の縮尺で描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、通常は溶融しているプロセス液体がバルブ内で凍結した後に再溶融する際の膨張に適応するように構成されているバルブ設計を含む。実施形態では、バルブは、ベローズバルブである。本発明の実施形態は、膨張制御システム、および開示されたバルブを安全に解凍する方法をさらに含む。
【0040】
図2を参照すると、本発明によれば、バルブ設計は、膨張ライン204と、通常はプロセス液体で充填されるバルブの内部プロセス液体容積202との間の液体連通を可能にするプロセス液体膨張ポート200を含む。バルブの通常の動作中、膨張バルブ206を閉じることによって、プロセス液体は膨張ポート200を通って流出することが防止される。プロセス物質の解凍中、例えばアップセット状態から回復するとき、膨張バルブ206は一時的に開かれ、それにより膨張容積が溶融プロセス物質に提供される。
図2の実施形態では、膨張バルブ206は、溶融プロセス液体との接触に耐えることができ、新たに溶融したプロセス液体を膨張容積208に運ぶことができる。
【0041】
図3を参照すると、実施形態では、膨張制御システムは、窒素ガスなどの不活性ガスの源300と、膨張ライン204における不活性ガスの圧力を制御することができる圧力レギュレータ302とをさらに含む。
図3の実施形態では、膨張ライン204は、ガスヒータ304およびガスベント306、ならびに温度センサ308および圧力センサ310をさらに含む。
【0042】
図4を参照すると、本発明の方法の実施形態では、溶融プロセス液体がバルブに導入される前に、不活性ガスが加熱され400、膨張バルブが開かれ402、それにより膨張ライン204およびバルブの内部におけるプロセス液体容積202が加熱された不活性ガスで加圧される404。次いで、溶融プロセス液体がバルブ406に導入され、不活性ガスの圧力は、プロセス液体がバルブ内のプロセス液体容積202を充填し、膨張ライン204に入り、膨張ライン204内に液体/ガス界面(
図5の500)を形成するように調節される。実施形態は、膨張ライン204内の液体/ガス境界500のレベルを検出することができる超音波センサなどの液体/ガス遷移センサ(
図5の502)をさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、不活性ガスの圧力が調節され408、液体/ガス境界500が膨張ライン204内の所望のレベル500になるように調整される。
【0043】
これらの実施形態のいくつかでは、不活性ガス圧力の調節408は、バルブの動作中に継続される410。他の実施形態では、適切な不活性ガス圧力が膨張ライン204内で確立されると、膨張バルブ206が閉じられ410、それにより一定量の不活性ガスがプロセス液体と接触したままになる。プロセス液体が通常の動作中、例えばプロセス液体の温度変動により膨張または収縮する場合、これは、膨張ライン204内の液体/ガス境界500をシフトさせることによって対応される。
【0044】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ヒータ116は、バルブの内部プロセス液体容積202の対応する部分を加熱するように構成されている複数の加熱ゾーン504~514に分割される。加熱ゾーン504~514は、熱コントローラ516によって別々に制御される。
【0045】
図6を参照すると、本発明のいくつかの方法の実施形態によれば、バルブを解凍するプロセスは、膨張バルブ206を開くこと600、および膨張ポート200に隣接する第1の加熱ゾーン504を加熱すること602から始まる。実施形態では、第1の加熱ゾーン504を加熱する602前に、ガスヒータ304を使用して不活性ガスを加熱し、続いて加熱された不活性ガスを使用して、膨張ライン204内で凍結している可能性のあるプロセス液体を溶融する。
【0046】
プロセス物質が第1の加熱ゾーン504内で溶融されると602、第1の加熱ゾーンに隣接する第2の加熱ゾーン506が、第2の加熱ゾーン506内のプロセス物質が溶融するまで加熱される604。このプロセスは継続され606、したがって隣接する加熱ゾーンが順次加熱され、それにより各場合において、溶融中のプロセス物質は、隣接する既に溶融した加熱ゾーンに膨張することができる。その結果、バルブ内のプロセス物質の再溶融中におけるバルブへの損傷および過度の応力が回避される。最後に、溶融プロセス液体の流れがバルブ内に再確立される608。
【0047】
本明細書に提示される図面および対応する説明の多くは、バルブがベローズバルブであり、バルブ内のプロセス液体がベローズの外側と接触している例示的な実施形態に言及している。しかし、当業者は、本発明の範囲がこれらの例示的な場合に限定されるものではなく、むしろ、プロセス液体がベローズの内部を占めるベローズバルブを含み、またベローズバルブではないバルブを含む、溶融プロセス液体を制御する事実上あらゆるタイプのプロセスバルブに及ぶことを直ちに理解するであろう。
【0048】
本発明の実施形態に関する前述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。この提出物のあらゆるページ、およびそのすべての内容は、どのような特徴付け、識別、または番号付けがされていても、本出願内の形式または配置に関係なく、あらゆる目的で本出願の実質的な部分と見なされる。本明細書は、網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図したものではない。本開示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0049】
本出願は限られた数の形態で示されているが、本発明の範囲はこれらの形態にのみ限定されるものではなく、様々な変更および修正が可能である。本明細書に提示される開示は、本発明の範囲内に含まれる特徴のすべての可能な組み合わせを明示的に開示していない。様々な実施形態に関して本明細書に開示された特徴は、一般に、本発明の範囲から逸脱することなく交換され、自己矛盾していない任意の組み合わせに組み合わせることが可能である。特に、以下の従属請求項に提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に不適合でない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数および任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムであって、
バルブであって、前記バルブの動作中に通常は前記プロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、
前記バルブに設けられている膨張ポートであって、前記内部プロセス液体容積と液体連通する膨張ポートと、
前記膨張ポートと流体連通する膨張ラインと、
前記膨張ラインを通る流体の流れを許可または遮断するように動作可能な膨張バルブと
を備える、バルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張バルブが開いているときにプロセス液体が前記膨張ラインから流れ込むことができる膨張容積を備える、バルブシステム。
【請求項3】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインとガス連通する加圧不活性ガス源を備える、バルブシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ライン内の不活性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータを備える、バルブシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブシステムであって、
前記膨張ラインは、前記膨張ラインの界面ゾーン内の液体/ガス界面レベルを検出することができる液体/ガス遷移センサを含む、バルブシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のバルブシステムであって、
前記液体/ガス遷移センサは、超音波センサである、バルブシステム。
【請求項7】
請求項
5に記載のバルブシステムであって、さらに、
ガスコントローラであって、前記液体/ガス遷移センサによって前記ガスコントローラに提供される界面データに従って、前記界面ゾーン内の前記液体ガス界面レベルの高さを調節するように前記圧力レギュレータを制御するように構成されているガスコントローラを備える、バルブシステム。
【請求項8】
請求項
3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインに含まれ、前記膨張ライン内の前記不活性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサを備える、バルブシステム。
【請求項9】
請求項
3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインに含まれ、前記膨張ラインにおける前記不活性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサを備える、バルブシステム。
【請求項10】
請求項
3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ライン内の前記不活性ガスを加熱するように構成されているガスヒータを備える、バルブシステム。
【請求項11】
請求項
3に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記膨張ラインから前記不活性ガスを排気するように構成されているガスベントを備える、バルブシステム。
【請求項12】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、さらに、
熱コントローラによって制御されるバルブヒータを備える、バルブシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブシステムであって、
前記ヒータは、前記熱コントローラによって別々に制御することができる複数の加熱ゾーンに分割され、第1の前記加熱ゾーンは、前記膨張ポートに近接している、バルブシステム。
【請求項14】
バルブを通る溶融プロセス液体の流れを初期化する方法であって、
A)請求項4に記載のバルブシステムを設け、
B)前記膨張バルブを開き、
C)前記加圧不活性ガスで前記内部プロセス液体容積を充填し、
D)前記溶融プロセス液体を前記バルブに導入し、
E)前記溶融プロセス液体が前記内部プロセス液体容積を充填し、その中の前記不活性ガスを置換して前記膨張ラインに入るように前記圧力レギュレータを制御し、それにより液体/ガス界面が前記膨張ライン内の前記溶融プロセス液体と前記不活性ガスとの間に形成されるようにすること、
を備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、ガスヒータをさらに備え、前記方法は、ステップB)を実施する前に前記不活性ガスを加熱することをさらに備える、方法。
【請求項16】
請求項
14に記載の方法であって、
ステップE)の後、前記膨張バルブを閉じることをさらに備える、方法。
【請求項17】
請求項
14に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、液体/ガス遷移センサをさらに備え、ステップE)は、前記液体/ガス遷移センサを使用して前記膨張ライン内の前記液体/ガス界面の高さを監視することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記方法は、ステップE)の後、前記膨張ライン内の指定の高さ範囲内に前記液体/ガス界面を維持するように前記圧力レギュレータを制御することをさらに備える、方法。
【請求項19】
溶融プロセス液体が冷却されてバルブ内で固体プロセス物質に固化した後、前記プロセス液体の流れを制御するように構成されている前記バルブを解凍する方法であって、
A)請求項13に記載のバルブを設け、
B)前記膨張バルブを開き、
C)前記第1の
加熱ゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、前記第1の
加熱ゾーンを活性化させ、
D)前記第1の
加熱ゾーンに隣接する次の前記
加熱ゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、前記次の
加熱ゾーンを活性化させ、
E)前記複数の加熱ゾーンが3つ以上の加熱ゾーンを含む場合、前記バルブ内の前記プロセス物質のすべてが溶融するまでステップD)を繰り返し、前記加熱ゾーンの各々は、隣接する加熱ゾーンにおける前記プロセス物質が溶融した後にのみ活性化され、
F)前記バルブを通る前記溶融プロセス液体の前記流れを再確立すること
を備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記バルブシステムは、ガスヒータをさらに備え、前記方法は、ステップB)を実施する前に、不活性ガスを加熱し、前記膨張ライン内のプロセス物質が溶融するまで前記加熱された不活性ガスを前記膨張ラインに導入することをさらに備える、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
上記の実施形態のいずれも、熱コントローラによって制御されるバルブヒータをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかでは、ヒータは、熱コントローラによって別々に制御することができる複数の加熱ゾーンに分割され、第1の加熱ゾーンは、膨張ポートに近接している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明の第3の一般的な態様は、溶融プロセス液体が冷却されてバルブ内で固体プロセス物質に固化した後、プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブを解凍する方法である。方法は、
A)第2の一般的な態様によるバルブを設け、
B)膨張バルブを開き、
C)第1の加熱ゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、第1の加熱ゾーンを活性化させ、
D)第1の加熱ゾーンに隣接する次の加熱ゾーン内の実質的にすべてのプロセス物質が溶融するまで、次の加熱ゾーンを活性化させ、
E)複数の加熱ゾーンが3つ以上の加熱ゾーンを含む場合、バルブ内のプロセス物質のすべてが溶融するまでステップD)を繰り返すことであって、加熱ゾーンの各々は、隣接する加熱ゾーンにおけるプロセス物質が溶融した後にのみ活性化され、
F)バルブを通る溶融プロセス液体の流れを再確立すること
を含む。
【国際調査報告】