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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】中性子捕捉療法システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61N5/10 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518819
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2022119798
(87)【国際公開番号】W WO2023045904
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202122331728.0
(32)【優先日】2021-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111128771.5
(32)【優先日】2021-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼渊豪
(72)【発明者】
【氏名】林峻霆
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC07
4C082AT03
(57)【要約】
本発明は、中性子捕捉療法システムを提供し、前記中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム発生部、ビーム輸送部及び中性子ビーム発生部を含み、前記中性子ビーム発生部は、ターゲットを含み、前記ターゲットは、前記荷電粒子ビーム発生部により発生した荷電粒子ビームと作用して中性子ビームを発生させ、前記中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム発生室及びターゲット交換室をさらに含み、前記荷電粒子ビーム発生室は、前記荷電粒子ビーム発生部及び前記ビーム輸送部を少なくとも部分的に収容し、前記ターゲット交換室は、前記ターゲットを取り付けるために用いられ、前記ビーム輸送部が前記ターゲット交換室を貫通し、前記ターゲット交換室は、ビーム輸送経路において前記荷電粒子ビーム発生部の後に形成され、前記荷電粒子ビーム発生室と異なる。ターゲットを取り付けるためにターゲット交換室を設置して、ターゲット交換室内の環境を設定できることにより、取り付け過程におけるターゲットの酸化又は窒化を回避し、操作しやすく、コストが低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム発生部、ビーム輸送部及び中性子ビーム発生部を含み、前記荷電粒子ビーム発生部は、荷電粒子ビームを発生させ、前記ビーム輸送部は、前記荷電粒子ビームを前記中性子ビーム発生部に輸送し、前記中性子ビーム発生部は、ターゲットを含み、前記ターゲットは、前記荷電粒子ビームと作用して中性子ビームを発生させる中性子捕捉療法システムであって、荷電粒子ビーム発生室及びターゲット交換室をさらに含み、前記荷電粒子ビーム発生室は、前記荷電粒子ビーム発生部及び前記ビーム輸送部を少なくとも部分的に収容し、前記ターゲット交換室は、前記ターゲットを取り付けるために用いられ、前記ビーム輸送部が前記ターゲット交換室を貫通し、前記ターゲット交換室は、ビーム輸送経路において前記荷電粒子ビーム発生部の後に形成され、前記荷電粒子ビーム発生室と異なることを特徴とする、中性子捕捉療法システム。
【請求項2】
前記ターゲットは、作用層を含み、前記作用層は、前記荷電粒子ビームと作用して前記中性子ビームを発生させ、前記作用層は、前記ターゲット交換室内に予め収容されることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項3】
前記作用層の材料は、Li、その合金又はその化合物であり、前記荷電粒子ビームは、陽子ビームであり、前記陽子ビームは、前記作用層とLi(p,n)Be核反応を行って前記中性子ビームを発生させることを特徴とする、請求項2に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項4】
前記ターゲット交換室内の環境について、大気圧での露点温度はTd≦-30℃であり、或いは、25℃での相対湿度はRH≦0.6%であることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項5】
前記ターゲットは、冷却通路を含み、前記中性子捕捉療法システムは、前記冷却通路に接続された第1の冷却管及び第2の冷却管をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項6】
前記中性子ビーム発生部は、ビーム整形体をさらに含み、前記ビーム整形体は、前記荷電粒子ビームがターゲットと作用して発生した中性子ビームのビーム品質を調整することができ、前記中性子捕捉療法システムは、照射室をさらに含み、被照射体は、前記照射室内に前記中性子ビームの照射による治療を受け、前記ビーム整形体は、前記照射室と前記荷電粒子ビーム発生室との仕切り壁内に少なくとも部分的に収容され、前記ターゲットは、ビーム整形体内に取り付けられ、前記ターゲット交換室は、前記荷電粒子ビーム発生室内に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項7】
前記荷電粒子ビーム発生室は、天井板及び床板を有し、前記ターゲット交換室は、前記仕切り壁と、前記天井板と、前記床板と、前記天井板と前記床板との間に設置されたカーテンとにより囲まれて形成された半密閉型の除湿領域であり、前記領域内に除湿機が設置され、或いは、前記ターゲット交換室は、天井部を含み、前記ターゲット交換室は、前記仕切り壁と、前記天井部と、前記床板と、前記天井部と前記床板との間に設置されたカーテンとにより囲まれて形成された半密閉型の除湿領域であり、前記領域内に除湿機が設置されることを特徴とする、請求項6に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項8】
前記カーテンは、複数枚あり、順次間隔なく配列され、前記カーテンは、中性子により照射された後の生成物が放射性を有さず、又は中性子により照射された後の生成物の放射能が低く、又は中性子により照射された後に生成された放射性同位体の半減期が短い材料を使用し、前記除湿機のハウジングは、中性子遮蔽材料を使用し、或いは、前記除湿機の外部に放射線シールドを設置することを特徴とする、請求項7に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項9】
前記ビーム輸送部は、長さが調節可能な輸送管を含み、前記ターゲットは、前記輸送管の端部に設置され、前記輸送管の前記ターゲットが設置された端部は、前記ターゲット交換室内に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項10】
前記ビーム輸送部は、第1の輸送管、第2の輸送管及び第3の輸送管を含み、前記第2の輸送管は、前記第1の輸送管及び第3輸送管にそれぞれ取り外し可能に接続され、前記ターゲットは、前記第1の輸送管の端部に設置され、前記第1の輸送管と、前記第2の輸送管の少なくとも一部とは、前記ターゲット交換室内に設置され、前記第2の輸送管又は第3の輸送管は、前記ターゲット交換室を貫通することを特徴とする、請求項9に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項11】
前記第3の輸送管には、ビーム調整装置が設置され、前記第1の輸送管には、検出装置が設置されることを特徴とする、請求項10に記載の中性子捕捉療法システム。
【請求項12】
粒子ビーム発生装置用のターゲットの取り付け方法であって、前記ターゲットは、粒子ビームを発生させる作用層を含み、前記粒子ビーム発生装置は、輸送管を含み、前記ターゲットは、前記輸送管の端部に取り付けられ、前記取り付け方法は、
前記作用層をターゲット交換室内に予め収容するステップと、
前記ターゲット交換室内で前記ターゲットを前記輸送管の端部に取り付けるステップと、
前記ターゲット交換室内で前記ターゲットを前記粒子ビーム発生装置に取り付けるステップとを含むことを特徴とする、粒子ビーム発生装置用のターゲットの取り付け方法。
【請求項13】
前記輸送管は、第1の輸送管及び第2の輸送管を含み、前記ターゲットは、前記第1の輸送管の端部に取り付けられ、前記第2の輸送管の長さは調節可能であり、前記ターゲット交換室内で前記第1の輸送管と前記第2の輸送管を接続し、かつ前記第2の輸送管の長さを調節することにより、前記ターゲットを前記粒子ビーム発生装置に取り付けることを特徴とする、請求項12に記載の取り付け方法。
【請求項14】
前記粒子ビーム発生装置は、ビーム整形体をさらに含み、前記ターゲットは、前記ビーム整形体内に設置され、前記ターゲットは、冷却通路を含み、前記粒子ビーム発生装置は、前記冷却通路に接続された第1の冷却管及び第2の冷却管をさらに含み、前記取り付け方法は、
前記ターゲット交換室内で前記第1の冷却管及び第2の冷却管を前記ターゲットの冷却通路に接続するステップと、
前記ターゲット交換室内で前記輸送管のターゲットが取り付けられた端部を前記ビーム整形体に挿入するステップと、
前記第1の冷却管及び第2の冷却管を外部の冷却源に接続するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の取り付け方法。
【請求項15】
前記ターゲット交換室内の環境について、大気圧での露点温度はTd≦-30℃であり、或いは、25℃での相対湿度はRH≦0.6%であることを特徴とする、請求項12に記載の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関し、特に中性子捕捉療法システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビームなどの放射線療法は、既にがん治療の主な手段の1つとなった。しかしながら、従来の光子又は電子療法は、放射線そのものの物理的条件の制限で腫瘍細胞を殺すとともに、ビーム経路上の数多くの正常組織に損傷を与え、また、腫瘍細胞の放射線に対する感受性の度合いが異なるため、従来の放射線療法では、放射線耐性の高い悪性腫瘍(例えば、多形神経膠芽腫(glioblastoma multiforme)、黒色腫(melanoma))に対する治療効果が高くない。
【0003】
腫瘍の周囲の正常組織への放射線損傷を軽減するために、化学療法(chemoherapy)における標的療法の概念が、放射線療法に用いられ、また、放射線耐性の高い腫瘍細胞に対し、現在では、陽子線治療、重粒子治療、中性子捕捉療法などの、生物学的効果比(relaive biological effeciveness、RBE)の高い放射線源が積極的に開発されている。中性子捕捉療法は、上記2つの概念を組み合わせたものであり、例えば、ホウ素中性子捕捉療法では、ホウ素含有薬剤が腫瘍細胞に特異的に集まり、高精度な中性子ビームの制御と合わせることで、従来の放射線と比べて、より良いがん治療オプションを提供する。
【0004】
加速器を用いる中性子捕捉療法システムでは、加速器により荷電粒子ビームを加速し、荷電粒子ビームは、ターゲットの原子核間クーロン斥力を克服するのに十分なエネルギーまで加速され、ターゲットと核反応を行って中性子を発生させるため、中性子を発生させる過程において、ターゲットは、ハイパワーの加速荷電粒子ビームの照射を受けて、温度が大幅に上昇することで、耐用年数が影響を受ける。中性子を安定的に発生させるためには、古いターゲットを新しいターゲットに取り替える必要があるが、ターゲットの作用層としてよく使用されるLiは、空気中で非常に酸化又は窒化されやすいため、ターゲットの効果を低下させ、作用層の外側に酸化防止層を設けると、コストを増加させ、一部の荷電粒子ビームのエネルギーを消費し、どのように酸化されない条件で新しいターゲットを取り付けるかは非常に重要であり、通常、グローブボックスを用いて不活性ガスで満たされた空間でLiの操作を行うが、ターゲットの取り付けにとって操作が難しく、コストが高い。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様に係る中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム発生部、ビーム輸送部及び中性子ビーム発生部を含み、前記荷電粒子ビーム発生部は、荷電粒子ビームを発生させ、前記ビーム輸送部は、前記荷電粒子ビームを前記中性子ビーム発生部に輸送し、前記中性子ビーム発生部は、ターゲットを含み、前記ターゲットは、前記荷電粒子ビームと作用して中性子ビームを発生させ、前記中性子捕捉療法システムは、荷電粒子ビーム発生室及びターゲット交換室をさらに含み、前記荷電粒子ビーム発生室は、前記荷電粒子ビーム発生部及び前記ビーム輸送部を少なくとも部分的に収容し、前記ターゲット交換室は、前記ターゲットを取り付けるために用いられ、前記ビーム輸送部が前記ターゲット交換室を貫通し、前記ターゲット交換室は、ビーム輸送経路において前記荷電粒子ビーム発生部の後に形成され、前記荷電粒子ビーム発生室と異なる。ターゲットを取り付けるためにターゲット交換室を設置して、ターゲット交換室内の環境を設定できることにより、取り付け過程におけるターゲットの酸化又は窒化を回避し、操作しやすく、コストが低い。
【0006】
好ましくは、前記ターゲットは、作用層を含み、前記作用層は、前記荷電粒子ビームと作用して前記中性子ビームを発生させ、前記作用層は、前記ターゲット交換室内に予め収容される。
【0007】
さらに、前記作用層の材料は、Li、その合金又はその化合物であり、前記荷電粒子ビームは、陽子ビームであり、前記陽子ビームは、前記作用層とLi(p,n)Be核反応を行って前記中性子ビームを発生させる。
【0008】
好ましくは、前記ターゲット交換室内の環境について、大気圧での露点温度はTd≦-30℃であり、或いは、25℃での相対湿度はRH≦0.6%である。
【0009】
好ましくは、前記ターゲットは、冷却通路を含み、前記粒子ビーム発生装置は、前記冷却通路に接続された第1の冷却管及び第2の冷却管をさらに含む。
【0010】
好ましくは、前記中性子ビーム発生部は、ビーム整形体をさらに含み、前記ビーム整形体は、前記荷電粒子ビームがターゲットと作用して発生した中性子ビームのビーム品質を調整することができ、前記中性子捕捉療法システムは、照射室をさらに含み、被照射体は、前記照射室内に前記中性子ビームの照射による治療を受け、前記ビーム整形体は、前記照射室と前記荷電粒子ビーム発生室との仕切り壁内に少なくとも部分的に収容され、前記ターゲットは、ビーム整形体内に取り付けられ、前記ターゲット交換室は、前記荷電粒子ビーム発生室内に設置される。
【0011】
さらに、前記荷電粒子ビーム発生室は、天井板及び床板を有し、前記ターゲット交換室は、前記仕切り壁と、前記天井板と、前記床板と、前記天井板と前記床板との間に設置されたカーテンとにより囲まれて形成された半密閉型の除湿領域であり、前記領域内に除湿機が設置され、或いは、前記ターゲット交換室は、天井部を含み、前記ターゲット交換室は、前記仕切り壁と、前記天井部と、前記床板と、前記天井部と前記床板との間に設置されたカーテンとにより囲まれて形成された半密閉型の除湿領域であり、前記領域内に除湿機が設置される。カーテンは、コストが低く、取り付けやすく、出し入れしやすく、除湿機を設置した後に乾燥環境の要件に達することもできる。
【0012】
さらに、前記カーテンは、複数枚あり、順次間隔なく配列され、前記カーテンは、中性子により照射された後の生成物が放射性を有さず、又は中性子により照射された後の生成物の放射能が低く、又は中性子により照射された後に生成された放射性同位体の半減期が短い材料を使用し、前記除湿機のハウジングは、中性子遮蔽材料を使用し、或いは、前記除湿機の外部に放射線シールドを設置する。
【0013】
好ましくは、前記ビーム輸送部は、長さが調節可能な輸送管を含み、前記ターゲットは、前記輸送管の端部に設置され、前記輸送管の前記ターゲットが設置された端部は、前記ターゲット交換室内に設置される。
【0014】
さらに、前記ビーム輸送部は、第1の輸送管、第2の輸送管及び第3の輸送管を含み、前記第2の輸送管は、前記第1の輸送管及び第3輸送管にそれぞれ取り外し可能に接続され、前記ターゲットは、前記第1の輸送管の端部に設置され、前記第1の輸送管と、前記第2の輸送管の少なくとも一部とは、前記ターゲット交換室内に設置され、前記第2の輸送管又は第3の輸送管は、前記ターゲット交換室を貫通する。
【0015】
さらに、前記第3の輸送管には、ビーム調整装置が設置され、前記第1の輸送管には、検出装置が設置される。
【0016】
本発明の第2の態様に係る粒子ビーム発生装置用のターゲットの取り付け方法において、前記ターゲットは、粒子ビームを発生させる作用層を含み、前記粒子ビーム発生装置は、輸送管を含み、前記ターゲットは、前記輸送管の端部に取り付けられ、前記取り付け方法は、前記作用層をターゲット交換室内に予め収容するステップと、前記ターゲット交換室内で前記ターゲットを前記輸送管の端部に取り付けるステップと、前記ターゲット交換室内で前記ターゲットを前記粒子ビーム発生装置に取り付けるステップとを含む。ターゲットを取り付けるためにターゲット交換室を設置して、ターゲット交換室内の環境を設定できることにより、取り付け過程におけるターゲットの酸化又は窒化を回避し、操作しやすく、コストが低い。
【0017】
好ましくは、前記輸送管は、第1の輸送管及び第2の輸送管を含み、前記ターゲットは、前記第1の輸送管の端部に取り付けられ、前記第2の輸送管の長さは調節可能であり、前記ターゲット交換室内で前記第1の輸送管と前記第2の輸送管を接続し、かつ前記第2の輸送管の長さを調節することにより、前記ターゲットを前記粒子ビーム発生装置に取り付ける。
【0018】
好ましくは、前記粒子ビーム発生装置は、ビーム整形体をさらに含み、前記ターゲットは、前記ビーム整形体内に設置され、前記ターゲットは、冷却通路を含み、前記粒子ビーム発生装置は、前記冷却通路に接続された第1の冷却管及び第2の冷却管をさらに含み、前記取り付け方法は、前記ターゲット交換室内で前記第1の冷却管及び第2の冷却管を前記ターゲットの冷却通路に接続するステップと、前記ターゲット交換室内で前記輸送管のターゲットが取り付けられた端部を前記ビーム整形体に挿入するステップと、前記第1の冷却管及び第2の冷却管を外部の冷却源に接続するステップとをさらに含む。
【0019】
好ましくは、前記ターゲット交換室内の環境について、大気圧での露点温度はTd≦-30℃であり、或いは、25℃での相対湿度はRH≦0.6%である。
【0020】
本発明に係る中性子捕捉療法システム及び粒子ビーム発生装置用のターゲットの取り付け方法において、ターゲットを取り付けるためにターゲット交換室を設置することにより、ターゲットの酸化を回避し、操作しやすく、コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例における中性子捕捉療法システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施例におけるターゲットの概略構成図である。
図3図1における荷電粒子ビーム発生室及びターゲット交換室の別の方向での概略図である。
図4】本発明の別の実施例における荷電粒子ビーム発生室及びターゲット交換室の概略図である。
図5】本発明の実施例におけるターゲット取り付け方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明することにより、当業者であれば、明細書の文字を参照して実施することができる。
【0023】
図1に示すように、好ましくは、本実施例における中性子捕捉療法システムは、ホウ素中性子捕捉療法システム100であり、ホウ素中性子捕捉療法システム100は、ホウ素中性子捕捉療法を利用してがん治療を行う装置である。ホウ素中性子捕捉療法は、ホウ素(B-10)を注射した被照射体200に対して中性子ビームNを照射して、がん治療を行い、被照射体200は、ホウ素(B-10)含有薬剤を服用するか又は注射された後、ホウ素含有薬剤が腫瘍細胞Mに選択的に集中し、続いてホウ素(B-10)含有薬剤が熱中性子に対して大きい捕捉断面積を有するという特性を利用して、10B(n,α)Li中性子捕捉及び核分裂反応により、He及びLiという2種類の重荷電粒子を発生させる。2種類の荷電粒子は、平均エネルギーが約2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear Energy Transfer、LET)及び短い飛程という特性を有し、α粒子の線エネルギー付与と飛程は、それぞれ150keV/μm、8μmであり、Li重荷電粒子の場合は、175keV/μm、5μmであり、2種類の粒子の総飛程は、約1つの細胞の大きさに相当するため、生体への放射線損傷を細胞レベルに抑え、正常組織に多くの損傷を与えることなく腫瘍細胞を局所的に殺すという目的を達成することができる。
【0024】
ホウ素中性子捕捉療法システム100は、中性子ビーム発生装置10及び治療台20を含み、中性子ビーム発生装置10は、荷電粒子ビーム発生部11、ビーム輸送部12及び中性子ビーム発生部13を含む。荷電粒子ビーム発生部11は、陽子ビームのような荷電粒子ビームPを発生させ、ビーム輸送部12は、荷電粒子ビームPを中性子ビーム発生部13に輸送し、中性子ビーム発生部13は、治療用中性子ビームNを発生させ、かつ治療台20上の被照射体200に照射する。
【0025】
荷電粒子ビーム発生部11は、イオン源111及び加速器112を含んでもよく、イオン源111は、H、陽子、重陽子などの荷電粒子を発生させ、加速器112は、イオン源111により発生した荷電粒子を加速して、所望のエネルギーを有する荷電粒子ビームP、例えば、陽子ビームを得る。
【0026】
中性子ビーム発生部13は、ターゲットT、ビーム整形体131及びコリメータ132を含んでもよく、加速器112により発生した荷電粒子ビームPは、ビーム輸送部12によりターゲットTに照射し、かつターゲットTと作用して中性子を発生させ、発生した中性子は、順次ビーム整形体131及びコリメータ132を通過して治療用中性子ビームNを形成し、治療台20上の被照射体200に照射する。好ましくは、ターゲットTは、金属ターゲットである。適切な核反応は、必要な中性子収率及びエネルギー、提供可能な加速荷電粒子のエネルギー及び電流の大きさ、金属ターゲットの物理的・化学的特性などにより選択され、よく検討されている核反応は、Li(p,n)Be及びBe(p,n)Bであり、これらの2種類の反応は、いずれも吸熱反応である。これらの2種類の核反応は、エネルギー閾値がそれぞれ1.881MeVと2.055MeVであり、ホウ素中性子捕捉療法の理想的な中性子源がkeVエネルギーレベルの熱外中性子であるため、理論的には、エネルギーが閾値よりわずかに高い陽子による金属リチウムターゲットへの衝撃で、比較的低いエネルギーの中性子を発生させることができ、あまり多くの減速処理を必要とせずに臨床適用が可能になるが、金属リチウム(Li)及び金属ベリリウム(Be)の2種類のターゲットと閾値エネルギーの陽子との作用断面が大きくないので、十分な中性子束を発生させるために、一般的に比較的高いエネルギーを持つ陽子で核反応を引き起こす。理想的なターゲットは、中性子収率が高く、発生した中性子のエネルギー分布が熱外中性子エネルギー領域(以下に詳細に説明する)に近く、強い透過性を有する放射線があまり多く発生せず、安全で、安価で、操作しやすく、かつ耐高温などの特性を有するが、実際には全ての要件を満たす核反応は見つからない。当業者に周知のように、ターゲットTは、Li、Be以外の金属材料で製造されてもよく、例えば、Ta又はW及びその合金、化合物などで形成される。加速器10は、線形加速器、サイクロトロン、シンクロトロン、シンクロサイクロトロンであってもよい。
【0027】
ビーム整形体131は、荷電粒子ビームPがターゲットTと作用して発生した中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリメータ132は、中性子ビームNを集束させるために使用されるので、中性子ビームNを治療中に高い標的性を有する。ビーム整形体131は、反射体1311、減速体1312、熱中性子吸収体1313、放射線遮蔽体1314及びビーム出口1315をさらに含み、荷電粒子ビームPがターゲットTと作用して発生した中性子のエネルギースペクトルが広いので、操作者又は被照射体への損傷を回避するために、治療ニーズを満たす熱外中性子の以外、できるだけ他の種類の中性子及び光子の含有量を減らす必要がある。それで、ターゲットTから出た中性子は、減速体1312を通してその中の高速中性子エネルギー(>40keV)を熱外中性子エネルギー領域(0.5eV~40keV)に調整し、かつできるだけ熱中性子(<0.5eV)を減らす必要があり、減速体312は、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい材料で製造され、本実施例において、減速体1312は、DO、AlF、Fluental、CaF、LiCO、MgF及びAlのうちの少なくとも1種で製造され、反射体1311は、減速体1312を囲んで、減速体1312を貫通して周りへ拡散した中性子を反射して中性子ビームNに戻ることで中性子の利用率を向上させ、中性子反射能力が高い材料で製造され、本実施例において、反射体1311は、Pb又はNiのうちの少なくとも1種で製造され、減速体1312の後部には、1つの熱中性子吸収体1313があり、熱中性子との作用断面が大きい材料で製造され、本実施例において、熱中性子吸収体1313は、Li-6で製造され、減速体1312を貫通した熱中性子を吸収して中性子ビームNにおける熱中性子の含有量を減らすために使用され、治療時に浅層正常組織に対して多すぎる線量を与えることを回避し、理解できるように、熱中性子吸収体は、減速体と一体であってもよく、減速体の材料にLi-6が含まれ、放射線遮蔽体1314は、ビーム出口1315以外の部分から漏れた中性子及び光子を遮蔽し、放射線遮蔽体1314の材料は、光子遮蔽材料と中性子遮蔽材料のうちの少なくとも1種を含み、本実施例において、放射線遮蔽体1314の材料は、光子遮蔽材料の鉛(Pb)と中性子遮蔽材料のポリエチレン(PE)を含む。理解できるように、ビーム整形体131は、他の構造であってもよく、治療に必要な熱外中性子ビームを得ればよい。コリメータ132は、ビーム出口1315の後部に設置され、コリメータ132から出た熱外中性子ビームは、被照射体200に照射され、浅層正常組織を経て熱中性子に減速されて腫瘍細胞Mに到着し、理解できるように、コリメータ132は、除去されてもよく、他の構造であってもよく、中性子ビームは、ビーム出口1315から出て被照射体200に直接的に照射される。本実施例において、被照射体200とビーム出口1315との間に、ビーム出口1315から出たビームの被照射体の正常組織への放射を遮蔽する放射線遮蔽装置30が設置され、理解できるように、放射線遮蔽装置30を設置しなくてもよい。ターゲットTは、ビーム輸送部12とビーム整形体131との間に設置され、ビーム輸送部12は、荷電粒子ビームPを加速又は輸送する輸送管Cを有し、本実施例において、高い品質の中性子ビームを得るために、輸送管Cは、荷電粒子ビームPの方向に沿ってビーム整形体131に挿入され、かつ順次反射体1311と減速体1312を貫通し、ターゲットTは、減速体1312内に設置され、かつ輸送管Cの端部に位置する。理解できるように、ターゲットは、他の設置方式があってもよい。
【0028】
ホウ素中性子捕捉療法システム100の全体は、コンクリート構造の建築物内に収容され、具体的には、ホウ素中性子捕捉療法システム100は、照射室101及び荷電粒子ビーム発生室102をさらに含み、治療台20上の被照射体200は、照射室101内に中性子ビームNの照射による治療を受け、荷電粒子ビーム発生室102は、荷電粒子ビーム発生部11及びビーム輸送部12を少なくとも部分的に収容し、ビーム整形体20は、照射室101と荷電粒子ビーム発生室102との仕切り壁103内に少なくとも部分的に収容される。
【0029】
以下、図2を参照しながら、ターゲットTの構造を詳細に説明する。
【0030】
ターゲットTは、作用層1301、発泡抑制層1302及び放熱層1303を含む。作用層1301は、荷電粒子ビームPと作用して中性子ビームを発生させ、中性子を発生させる過程において、ターゲットは、非常に高いエネルギーレベルの加速荷電粒子ビームPにより照射されるため、ターゲットの発泡及び温度上昇を引き起こして、ターゲットの耐用年数を減少させる。発泡抑制層1302は、荷電粒子ビームPの入射方向に沿って作用層1301の後に位置し、入射した荷電粒子ビームPによりターゲットTにおいて発生した水素を迅速に拡散して、水素の集中度を低下させるか又は水素を外部に放出し、入射した荷電粒子ビームPによる発泡を効果的に抑制することにより、ターゲットTの発泡による変形を回避するか又は減少させ、ターゲットの耐用年数を延長することができ、発泡抑制層1302は、発泡を抑制する材料、例えば200℃での水素拡散係数が10E-6cm/s以上の材料で製造され、一実施例において、発泡抑制層1302の材料は、Nb、Ta、Pd、V、それらの合金及び化合物のうちの少なくとも1種を含む。放熱層1303は、荷電粒子ビームPの入射方向に沿って発泡抑制層1303の後に位置し、ターゲットに蓄積された熱を伝導して冷却媒体により放出することにより、ターゲットの温度を低下させ、温度が高すぎることによるターゲットの変形を防止し、ターゲットの耐用年数を延長し、放熱層1303は、熱伝導性材料で製造され、一実施例において、放熱層1303の材料は、Cu、Fe、Al、それらの合金及び化合物のうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、発泡抑制層1302は、熱を伝導できるだけでなく発泡を抑制できる材料を使用してもよく、この場合、発泡抑制層1302と放熱層1303とは一体であってもよく、作用層1301に蓄積された熱を放熱層1303に直接かつ迅速に伝導するように熱伝導層を設置してもよい。放熱層1303は、円形、長方形又は他の形状の平板状などの様々な構造であってもよく、放熱層1303には、冷却媒体が流れる冷却通路CPが形成され、放熱層1303は、冷却入口IN(図示せず)及び冷却出口OUT(図示せず)をさらに有し、冷却通路CPは、冷却入口INと冷却出口OUTとを連通し、冷却媒体は、冷却入口INから入り、冷却通路CPを通過してから冷却出口OUTから出る。ターゲットTは、高エネルギーレベルの加速陽子ビームにより照射されて、温度が上昇し発熱し、放熱層は、熱を外部へ伝導し、冷却通路を流れる冷却媒体により熱を放出することにより、ターゲットTを冷却する。
【0031】
本実施例において、輸送管Cと反射体1311及び減速体1312との間に、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2が設置され、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2は、一端がそれぞれターゲットTの冷却入口INと冷却出口OUTに接続され、他端が外部の冷却源に接続される。冷却媒体は、脱イオン水であってもよく、導電率が極めて低く、高電圧環境での漏れ電流の発生及び中性子ビームの発生に対する干渉を防止し、理解できるように、第1の冷却管及び第2の冷却管は、他の形態でビーム整形体内に設置されてもよく、ターゲットがビーム整形体の外側に配置される場合、省略されてもよい。ターゲットTは、ターゲットを支持するか又は取り付けるための支持部(図示せず)をさらに含んでもよく、支持部は、さらに、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2の少なくとも一部を取り付けるために用いられてもよく、冷却入口IN及び冷却出口OUTは、支持部に設置されてもよく、支持部は、アルミニウム合金材料で製造されてもよく、中性子により活性化されたAlの放射性生成物は、半減期が短く、二次放射を減少させる。
【0032】
上記設置によりターゲットTの耐用年数をできるだけ延長するが、ターゲットTの耐用年数は依然として限られ、定期的又は損耗後に交換し、核反応が発生した後に耐用年数に達した、回収する必要があるターゲットを取り外して新しいターゲットを取り付ける必要があり、本願の実施例は、新しいターゲットの取り付けを説明することを目的とし、古いターゲットの取り外し及び回収を詳細に説明しない。本実施例において、作用層12の材料は、Li、その合金又はその化合物であり、Li金属は、化学的に非常に活性であるため、空気中で酸化又は窒化されやすく、新しいターゲットTを取り付けるためにターゲット交換室40を設置してもよく、ターゲット交換室40内の環境は、乾燥環境として設定されてもよく、Liについて、特定の乾燥環境で酸化・窒化されず、或いは、酸化・窒化速度が非常に遅く、一実施例において、乾燥環境について、大気圧での露点温度はTd≦-30℃であり、或いは、25℃での相対湿度はRH≦0.6%である。
【0033】
一実施例において、ターゲット交換室40は、ターゲットTを取り付けるために用いられ、ビーム輸送部12がターゲット交換室40を貫通し、ターゲット交換室40は、ビーム輸送経路において荷電粒子ビーム発生部11の後に形成され、荷電粒子ビーム発生室102と異なる。図3に示すように、ターゲット交換室40は、荷電粒子ビーム発生室102内に設置され、荷電粒子ビーム発生室102と仕切り壁103を共有し、荷電粒子ビーム発生室102は、天井板1021及び床板1022をさらに有し、本実施例において、ターゲット交換室40は、半密閉型の除湿領域であり、ここで、半密閉型の除湿領域は、形成された空間が完全に密閉されないが、除湿装置が起動された後に対応する空間内で使用要件に達した環境を形成することができることを意味する。ターゲット交換室40は、仕切り壁103と、天井板1021と、床板1022と、天井板1021と床板1022との間に設置されたカーテン41とにより囲まれて形成され、該領域内に除湿機42が設置され、カーテン41は、天井板1021に固定され、下向きに床板1022まで延び、カーテン41の地面方向に平行な断面は、[状、C字状などであってもよく、カーテン41は、複数枚あり、順次間隔なく配列されてもよく、コストが低く、取り付けやすく、出し入れしやすく、除湿機42を設置した後に乾燥環境の要件に達することもできる。理解できるように、カーテン41の材料は、PVCであり、中性子により照射された後の生成物は、放射性を有さず、又は放射能が非常に低く、発生した二次放射を減少させ、理解できるように、中性子により照射された後の生成物が放射性を有さず、又は中性子により照射された後の生成物の放射能が低く、又は中性子により照射された後に生成された放射性同位体の半減期が短い他の材料を使用してもよく、中性子捕捉療法の過程において発生した中性子が除湿機42に放射線損傷を与えることを回避するように、除湿機42のハウジングは、中性子遮蔽材料を使用してもよく、除湿機の外部に放射線シールドを設置してもよい。理解できるように、ターゲット交換室40は、天井板1021と、床板1022と、天井板1021と床板1022との間に設置されたカーテン41とのみにより囲まれて形成されてもよく、この場合、カーテン41の地面方向に平行な断面は、閉鎖されたリングであり、ターゲット交換室40は、天井板1021と、床板1022と、天井板1021と床板1022との間に配置されたカーテン41と、仕切り壁103に隣接する壁Wとにより囲まれて形成されてもよく、この場合、カーテン41の地面方向に平行な断面は、一字状又はL字状であってもよい。図4に示すように、ターゲット交換室40は、天井部43と、天井部43を支持する支持部(図示せず)とをさらに有してもよく、支持部は、天井部43を天井板1021又は床板1022又は荷電粒子ビーム発生室102の壁部に支持し、カーテン41は、天井部43の外縁に固定され、下向きに床板1022まで延び、ターゲット交換室40が天井部43、床板1022及びカーテン41により囲まれて形成され、或いは、ターゲット交換室40が天井部43、床板1022、カーテン41及び仕切り壁103により共に囲まれて形成され、この場合、ターゲット交換室40は、移動可能であってもよく、新しいターゲットを取り付ける時のみに所望の位置に移動する。ターゲット交換室40は、乾燥装置、浄化装置、ガス循環システムなどを備えた乾燥室であってもよく、荷電粒子ビーム発生室102内に設置されてもよく、荷電粒子ビーム発生室102を乾燥室として設置してもよい。
【0034】
輸送管Cは、ターゲットTの交換用の空間を提供するために、長さが調節可能であってもよく、輸送管Cは、内部が真空状態の中空管状であり、ビーム輸送部12は、第1の輸送管121、第2の輸送管122及び第3の輸送管123を含んでもよく、第2の輸送管122は、第1の輸送管121及び第3の輸送管123にそれぞれ取り外し可能に接続される。ターゲットTは、第1の輸送管121の端部に設置され、第1の輸送管121と共に取り外し可能であり、核反応が発生した後のターゲットTに大量の放射線が残留するため、人がそれに接触することをできるだけ回避する必要があり、例えば、制御機構は、第1の輸送管121が遮断された後にターゲットが自動的に取り出されて回収装置(図示せず)に入るように制御し、取り外し過程において、第1の輸送管121、第2の輸送管122及び第3の輸送管123は、真空状態を維持することができる。取り付け状態において、第1の輸送管121と、第2の輸送管122と、第3の輸送管123の一部とは、ターゲット交換室40内に設置され、第3の輸送管123は、ターゲット交換室40を貫通し、例えば、カーテン41に第3の輸送管123に対応する穴を設置し、理解できるように、第1の輸送管121と、第2の輸送管122の一部とは、ターゲット交換室40内に配置され、第2の輸送管122は、ターゲット交換室40を貫通し、第3の輸送管123は、ターゲット交換室40の外側に設置されるようにしてもよい。第2の輸送管122を第1の輸送管121及び第3の輸送管123からそれぞれ取り外して取り出すことにより、輸送管Cの全体の長さが変化し、これにより、端部にターゲットTを有する第1の輸送管121をビーム整形体131から取り出すための空間を提供する。理解できるように、輸送管Cの長さが調節可能であることを、他の設置、例えば伸縮管の使用により実現してもよい。第3の輸送管123には、ビーム調整装置が設置されてもよく、第1の輸送管又は第2の輸送管に設置されてターゲットTの交換時にビームに影響を与えるか又はビーム調整装置を損傷することを回避する。
【0035】
使用後のターゲットTを回収した後にターゲット交換室40内に新しいターゲットを取り付け、図5に示すように、ターゲットTの取り付けステップは、以下のとおりである。
【0036】
S10では、作用層1301をターゲット交換室40内に予め収容し、例えば、取り付け前に、作用層1301が設置された密閉されたターゲットTを貯蔵室(図示せず)から取り出してターゲット交換室40内に入れ、ターゲット交換室40内で開封し、
【0037】
S20では、ターゲット交換室40内でターゲットTを輸送管Cの端部に取り付け、例えば、支持部により第1の輸送管121の端部に取り付け、
【0038】
S30では、ターゲット交換室40内でターゲットTを所定の位置に取り付け、例えば、第1の輸送管121を輸送管Cの残りの部分に接続し、輸送管Cの残りの部分の長さを調節し、本実施例において、取り外された第2の輸送管122を第1の輸送管121と第3の輸送管123との間に接続する。
【0039】
本実施例において、ターゲットTは、ビーム整形体131に挿入され、輸送管Cとビーム整形体131との間に、ターゲットTの放熱層1303の冷却通路CPに接続された第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2が設置され、S20とS30との間にS40、S50及びS60をさらに含む。
【0040】
S40では、ターゲット交換室40内で第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2をターゲットTの冷却通路CPに接続し、
【0041】
S50では、ターゲット交換室40内で輸送管CのターゲットTが接続された端部をビーム整形体131に挿入し、
【0042】
S60では、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2を外部の冷却源に接続し、
【0043】
理解できるように、S60は、S30の後又はS40の後に実行されてもよく、S60は、ターゲット交換室40内で実行されてもよく、ターゲット交換室40の外で実行されてもよく、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2は、第1の輸送管121に固定されてもよく、ターゲット交換効率を向上させるために、第1の輸送管121とターゲットTは、一体的にパッケージされてもよく、ターゲットTと第1の輸送管121の全体をターゲット交換室40内に予め収容し、ターゲット交換室40内でそれを開封して第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2に接続し、第1の冷却管D1及び第2の冷却管D2は、少なくとも部分的に第1の輸送管121と一体的にパッケージされてもよく、第1の輸送管121には、ターゲット温度検出装置、中性子又はγ放射線検出装置などの検出装置が設置されてもよい。
【0044】
理解できるように、本発明は、ターゲット作用層が他の酸化し窒化しやすい材料である中性子ビーム発生装置又は他の粒子ビーム発生装置に適用されてもよく、他の医療及び非医療分野に適用されてもよい。
【0045】
以上に本発明の例示的な具体的な実施形態を説明して、当業者が本発明を理解することを容易にするが、明らかに、本発明は、具体的な実施形態の範囲に限定されず、当業者にとって、様々な変化が添付の特許請求の範囲で限定及び決定される本発明の精神及び範囲内にあれば、これらの変化が明らかで、いずれも本発明の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】