(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】まつ毛を伸長させるための方法
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240912BHJP
C09J 133/02 20060101ALI20240912BHJP
C09J 123/20 20060101ALI20240912BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A45D34/04 515A
C09J133/02
C09J123/20
C09J133/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518847
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 US2022045031
(87)【国際公開番号】W WO2023055796
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,インチャオ
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョー,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ビックフォード,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュンホワ
(72)【発明者】
【氏名】ギモント,アライン,オード
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040HB02
4J040HB08
4J040JA02
4J040JB09
4J040KA25
4J040MA14
4J040NA02
(57)【要約】
本方法を達成するためのキットとともに、まつ毛を伸長させるための方法が提供される。本方法は、(i)まつ毛に接着剤を塗布することと、(ii)接着剤を一定期間乾燥させることと、(iii)4本のブリストル/mm
2を上回るブリストル密度を有するマイクロブリストルブラシアプリケータを使用して、まつ毛の遠位部分に別々の個々の繊維を堆積させることと、を含み、各繊維は、30ミクロン超の直径及び4mm以下の長さを有し、各繊維は、マイクロブリストルブラシアプリケータによって静電的に保持される。次いで、まつ毛及び付着した繊維の一部又は全てにマスカラを塗布することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛を伸長させるための方法であって、
第1のアプリケータを使用して、まつ毛の遠位部分に水性又は油性接着剤を塗布することと、
前記水性又は油性接着剤を一定期間乾燥させることと、
第2のアプリケータを使用して、前記まつ毛の前記遠位部分に別々の個々の繊維を堆積させることと、を含み、前記第2のアプリケータが、4本のブリストル/mm
2を上回るブリストル密度を有するマイクロブリストルブラシアプリケータであり、前記別々の個々の繊維が、前記マイクロブリストルブラシアプリケータによって静電的に保持され、前記別々の個々の繊維が、30ミクロン超の直径を有する、方法。
【請求項2】
前記水性又は油性接着剤が、前記水性又は油性接着剤の40重量%~60重量%の総量で複数の溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性又は油性接着剤が、複数のコポリマーを更に含み、前記複数のコポリマーが、前記水性又は油性接着剤の40重量%~50重量%の総量で存在し、前記複数のコポリマーの各々が、(i)アクリル酸、メタクリル酸、若しくはそれらの単純なエステルのモノマー、(ii)水素化スチレンモノマー、又は(iii)それらの組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水性又は油性接着剤が、1重量%未満の増粘剤を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記別々の個々の繊維が、合成繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記合成繊維が、レーヨン又はナイロンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記別々の個体が、4mm以下の長さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記堆積された別々の個々の繊維の上にマスカラを塗布することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記一定期間が10秒未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロブリストルブラシの各ブリストルのブリストル径が、0.15mm~0.35mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロブリストルブラシの各ブリストルの長さが、1mm~3mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
キットであって、
水性又は油性接着剤を含む第1の組成物と、
まつ毛に前記第1の組成物を塗布するように構成された第1のアプリケータと、
それぞれが30ミクロン超の直径及び4mm以下の長さを有する、複数の別々の個々の繊維と、
前記まつ毛に前記別々の個々の繊維を静電的に堆積させるように構成された第2のアプリケータであって、4本のブリストル/mm
2を上回るブリストル密度を有するマイクロブリストルブラシアプリケータである、第2のアプリケータと、
任意選択的な使用説明書と、を含む、キット。
【請求項13】
前記第1のアプリケータが、第1の容器のキャップの一部として形成され、前記第1の容器が、前記第1の組成物を収容する、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記第2のアプリケータが、第2の容器のキャップの一部として形成され、前記第2の容器が、前記複数の別々の繊維を収容する、請求項12に記載のキット。
【請求項15】
マスカラを含む第2の組成物と、
前記別々の個々の繊維がまつ毛に堆積された後に、前記別々の個々の繊維上に前記第2の組成物を塗布するように構成された第3のアプリケータと、を更に含む、請求項12に記載のキット。
【請求項16】
前記第3のアプリケータが、第3の容器のキャップの一部として形成され、前記第3の容器が、前記第2の組成物を収容する、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
各ブリストルのブリストル径が、0.15mm~0.35mmであり、各ブリストルの長さが、1mm~3mmである、請求項12に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月29日に出願されたUS17/488,556、及び2021年12月16日に出願されたFR2113707に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、天然のまつ毛に繊維を添加するための美容処理方法、及び対応するアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
まつ毛エクステンション及び付けまつ毛は、天然のまつ毛の長さ、濃さ及び豊かさを増強するために使用される。
【0004】
まつ毛エクステンションを適用するいくつかの方法が実行され得る。主な方法は、エクステンションを形成する繊維を1つずつまつ毛の生え際に個々に接着し、それによって繊維が互いに付着するのを防ぐことである。まつ毛エクステンションは、約3~4週間持続し得る。
【0005】
まつ毛エクステンションの適用は、一般的に専門家を必要とし、非常に高価であり、通常1~2時間かかる。専門家によって適用されない場合、まつ毛エクステンションの適用は、通常、まつ毛エクステンションを扱うための複雑なツールを使用する必要がある。
【0006】
非専門的な適用の場合、一部の製品は、マスカラチューブ及び遊離繊維チューブを含む。そのような製品のほとんどの場合、(i)まつ毛にマスカラコートを塗布するステップ、(ii)マスカラが完全に乾く前に、まつ毛の先端に遊離繊維を迅速に塗布するステップ、そして(iii)次に、最終的な外観のために再びマスカラを塗布するステップ、の3つの塗布ステップが存在する。そのような製品には2つの欠点がある。第一に、それらは、細く、毛羽だった、白色の遊離繊維(具体的には、直径30μm未満の非常に細い繊維であり、飛び散りやすく、塗布時に消費者の目の周りに落ちる)を有する傾向がある。第二に、毛羽だった繊維は、後にマスカラが塗布されたときに容易に払い落される傾向がある。
【0007】
したがって、これらの欠点を回避する技術が有用であり、望ましい。
【発明の概要】
【0008】
開示される方法では、これらの欠点は、とりわけ、特定の特性を有するマイクロブリストルブラシを用いて、新しい、より太い繊維を静電的に塗布すること、及び最終ステップとして後にマスカラをブラシで塗ったときに繊維を固定するための最初のステップとして接着剤を使用することによって解決された。現行製品も以前に入手可能であった製品も、マイクロブリストルブラシを使用して塗布される接着剤及び個々の繊維をアイメイク製品に使用していない。
【0009】
まつ毛エクステンションの塗布によってまつ毛を伸長させるための、安価で簡単な方法が開示される。本方法は、一般に、(i)第1のアプリケータを使用して、まつ毛の遠位部分に水性又は油性接着剤を塗布するステップ、(ii)水性又は油性接着剤を一定期間(10秒未満等)乾燥させるステップ、及び(iii)第2のアプリケータを使用して、まつ毛の遠位部分に1つ以上の別々の個々の繊維を堆積させるステップ、の3つのステップを含む。重要なことに、第2のアプリケータは、4本のブリストル/mm2を上回るブリストル密度を有するマイクロブリストルブラシアプリケータであるべきであり、それぞれ別々の個々の繊維は、マイクロブリストルブラシアプリケータによって静電的にのみ保持されるべきであり、別々の個々の繊維は、30ミクロン超の直径及び4mm以下の長さを有するべきである。
【0010】
個々の繊維がまつ毛に堆積されると、次いで、マスカラを塗布するように構成された別のアプリケータを使用して、任意選択的にまつ毛及び個々の繊維の上にマスカラを塗布することができる。
【0011】
水性又は油性接着剤は、特定の有利な組成物を有し得る。いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、40重量%~60重量%の総量で存在する複数の溶媒を含む。水性又は油性接着剤は、複数のコポリマーを任意選択的に含んでもよいか、又は更に含んでもよく、複数のコポリマーは、組成物の40重量%~50重量%の総量で存在し、複数のコポリマーの各々は、(i)アクリル酸、メタクリル酸、若しくはそれらの単純なエステルのモノマー、(ii)水素化スチレンモノマー、又は(iii)それらの組み合わせを含む。水性又は油性接着剤は、3重量%未満の増粘剤を任意選択的に含んでもよいか、又は更に含んでもよい。
【0012】
有利には、それぞれ別々の個々の繊維は、レーヨン又はナイロン(例えば、ナイロン6)等の合成繊維を含む。
【0013】
開示される方法を達成するためのキットもまた開示される。キットは、(i)水性又は油性接着剤を含む第1の組成物と、(ii)まつ毛に第1の組成物を塗布するように構成された第1のアプリケータと、(iii)それぞれが30ミクロン超の直径及び4mm以下の長さを有する複数の別々の個々の繊維と、(iv)まつ毛に別々の個々の繊維を静電的に堆積させるように構成された第2のアプリケータ(マイクロブリストルブラシアプリケータ)であって、マイクロブリストルブラシアプリケータが4本のブリストル/mm2を上回るブリストル密度を有する、第2のアプリケータと、(v)任意選択的に、複数の別々の個々の繊維を収容するように構成された第2の容器であって、好ましくは、第2の容器は、単一の開口部を画定する壁を有し、第2のアプリケータは、単一の開口部を覆うように構成されている、第2の容器と、(vi)任意選択的な使用説明書と、を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。任意選択的に、第1のアプリケータは、第1の容器のキャップの一部として形成され、第1の容器(例えば、ガラス又はプラスチックボトルであり得る)は、キャップによって覆われた単一の開口部を有する内部容積を画定し、内部容積は第1の組成物を収容する。好ましくは、第1の容器は防水である。
【0014】
いくつかの実施形態では、キットは、マスカラを含む第2の組成物と、別々の個々の繊維がまつ毛に堆積された後に、まつ毛と別々の個々の繊維との組み合わせの少なくとも一部の上に第2の組成物を塗布するように構成された第3のアプリケータと、を任意選択的に含んでもよい。任意選択的に、第3のアプリケータは、第3の容器のキャップの一部として形成され、第3の容器(例えば、ガラス又はプラスチックボトルであり得る)は、キャップによって覆われた単一の開口部を有する内部容積を画定し、内部容積は第2の組成物を収容する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、その非限定的な例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むこと、及び図面を検討することによって、よりよく理解され得る。
【0016】
【
図1】本発明による方法の連続するステップを示すブロック図である。
【
図2】マイクロブリストルブラシアプリケータの斜視図である。
【
図3】まつ毛に繊維を堆積させるためにマイクロブリストルブラシアプリケータを使用する概略図である。
【
図4】本発明による化粧品アセンブリ(「キット」)の例を概略的に表す。
【
図5】個々の繊維を保持するために使用される容器の例を概略的に表し、マイクロブリストルブラシは、容器への開口部を閉じる又は覆うために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される場合、「[成分の]遊離」という用語は、特定された成分がその検出可能な限界未満の量でのみ存在することを意味し、好ましくは、組成物が特定された成分を0%含むことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「[成分を]実質的に含まない」という用語は、組成物が特定された成分を1%未満含むことを意味する。
【0019】
開示される方法の実施形態は、
図1を参照して最もよく説明され得る。
【0020】
図1に見られるように、開示される方法10の実施形態は、一般に、一連のステップを含む。
【0021】
第1のステップ20は、1本以上のまつ毛の遠位部分に水性又は油性接着剤(本明細書では接着剤と称されることもある)を塗布することを含む。
図3を簡単に参照すると、まつ毛80は、まぶた82から、目から離れて、遠位部分81に向かって外側に延在する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「水性接着剤」は、少なくとも1%の水を含む接着剤を指す。一般に、そのような組成物は、水溶性である複数の成分を含む。本明細書で使用される場合、「油性接着剤」は、1%未満の水を含む接着剤を指す。好ましくは、油性接着剤は、水及びシリコーンを含まない。
【0023】
開示される方法で使用される接着剤は、マスカラではない。開示される方法のいくつかの実施形態で使用される接着剤は、好ましくは、ワックスを実質的に含まないか、又は含まない。開示される方法のいくつかの実施形態で使用される接着剤は、好ましくは、顔料及び/又は着色剤を実質的に含まないか、又は含まない。開示される方法のいくつかの実施形態で使用される接着剤は、より好ましくは、ワックス、顔料、及び/又は着色剤を実質的に含まないか、又は含まない。
【0024】
開示される方法で使用される接着剤は、高いタックを有するであろう。本明細書で使用される場合、「タック」とは、基板への塗布後に物体に付着する組成物によって示される品質を指す。タックは、テクスチャアナライザを使用する等、それを評価するための当該技術分野で既知の任意の方法によって評価され得る。例えば、試料を基板に塗布し(例えば、1ミルのドローダウン)、乾燥させ(例えば、1分間)、ゴム製の円錐形プローブ(先端で18.3mm、高さが29mm、及び底部で25.4mm)等の物体によって接触させることができ、その後、物体からのプローブの除去に関連する力を測定し、タック(g)として報告することができる。そのような測定は、乾燥期間後の5分以内、例えば、3分~3.5分以内等に実施することができる。好ましくは、本発明の接着剤は、この方法によって決定される場合、45g超、好ましくは50g超、好ましくは70g超、好ましくは90g超、及び好ましくは100g超のタック性を有する。したがって、本発明の接着剤は、好ましくは、例えば、約45g~約110g、約50g~約110g、約70g~約120g、約90g~約115g等のそれらの間の全ての範囲及びサブ範囲を含む、約30g~約200g、好ましくは約50g~約150g、好ましくは約70g~約130gの範囲のタック性を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、例えば、American International Industriesによって商業化されたDUO(登録商標)まつ毛用接着剤、又は大東化成工業によって商業化されたアクリレート/エチルヘキシルアクリレートコポリマーであるDaitosol 5500GMと称されるものの中から選択されてもよい。
【0026】
他の水性又は油性接着剤を使用してもよい。例えば、様々な実施形態では、水性又は油性接着剤は、以下を含んでもよい。
(A)組成物の40重量%~60重量%の総量で複数の溶媒。いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、組成物の3重量%~8重量%の総量でエタノールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、組成物の40重量%~60重量%の総量で、水、エタノール、又はその両方を含んでもよい。
【0027】
(B)複数のコポリマーであって、複数のコポリマーが、組成物の40重量%~50重量%の量で存在し、複数のコポリマーの各々が、(i)アクリル酸、メタクリル酸、若しくはそれらの単純なエステルのモノマー、(ii)水素化スチレンモノマー、又は(iii)それらの組み合わせを含む、複数のコポリマー。
【0028】
(C)3重量%未満の増粘剤。
【0029】
いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、(A)及び(B)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、(A)及び(C)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水性又は油性接着剤は、(A)、(B)、及び(C)を含んでもよい。
【0030】
方法10の第2のステップは、水性又は油性接着剤が乾燥し始めることができるように、少なくとも短期間待つこと30を含む。時間は、一般に、利用される溶媒系に基づいており、時間tは、まつ毛上で接着剤が完全に乾燥するのに必要な時間よりも短くなければならない。そのような時間tは、t≦30秒、t≦25秒、t≦20秒、t≦15秒、t≦10秒、又はt≦5秒であり得る。いくつかの実施形態では、tは、少なくとも3秒である。例えば、3秒≦t≦30秒、3秒≦t≦20秒、又は3秒≦t≦10秒である。
【0031】
方法10の第3のステップは、少なくとも1つの繊維(任意選択的に、1つの繊維のみ)を第2のアプリケータ40に静電的に保持/付着することを含む。これは、一般に、アプリケータを繊維(複数可)と接触させることによって達成することができる。マイクロブリストルブラシアプリケータ及び繊維については、後に別途考察する。いくつかの実施形態では、本方法の次のステップに進む前に、1つの繊維が静電的に付着される。いくつかの実施形態では、本方法の次のステップに進む前に、複数の繊維が静電的に付着される。
【0032】
好ましくは、繊維は、単一の開口部を有するプラスチック容器内にある。マイクロブリストルブラシを容器から引き出すと、1つ以上の繊維がマイクロブリストルブラシのブリストルに静電的に引き寄せられる。いくつかの実施形態では、マイクロブリストルブラシは、より多くの繊維を引き付けるために、ブラシを容器から引き出しながらねじられてもよい。
【0033】
マイクロブリストルブラシアプリケータ
第2のアプリケータは、4本のブリストル/mm2を上回るブリストル密度を有するマイクロブリストルブラシアプリケータである。マイクロブリストルブラシアプリケータは、当該技術分野で一般に知られている。例えば、米国特許第8,201,566号及び同第10,681,973号は、マイクロブリストルブラシアプリケータの例を記載している。
【0034】
そのようなアプリケータの例は、
図2を参照すると見ることができる。
図2に見られるように、マイクロブリストルブラシアプリケータ70は、アプリケータの近位端73にハンドル部分75、及びアプリケータの遠位端74にブリストル部分76を含む。ブリストル部分76は、ハンドル部分75から遠位端74に向かって長手方向に距離Lだけ概ね延在する。
【0035】
ブリストル部分76は、1つ以上の高密度ゾーン77を含む。各高密度ゾーン77は、コア72から半径方向外側に突出する複数のブリストル78を含む。コアの長さLは、実施形態によって異なり得るが、概して、約10mm~約50mmである。コアは、プラスチックを含む様々な材料から形成されてもよく、いくつかの実施形態では、コアは非金属であってもよい。コアは、円形、八角形、自由形等の任意の断面形状を有し得る。
【0036】
各高密度ゾーンは、長手方向に延在する。ブリストルは、まつ毛に個々の繊維を効率的に移動させることを可能にする特定のブリストル密度基準に適合する。ブラシは、単一の高密度ゾーン又は複数の高密度ゾーンを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の高密度ゾーンは、ブラシ全体を実質的に構成し得る。例えば、
図2のブラシ70は、ブリストル部分76の長さLに等しい長さを有する単一の高密度ゾーン77を含む。
【0037】
各ブリストルは、一般に、任意選択的に比較的硬質である任意の熱可塑性材料、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、シリコーンゴム、ラテックスゴム、滑りが良い材料、ブチルゴム、エチレン-プロピレンターポリマーゴム(EPDM)、ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー、ポリエステル、ポリアミドポリエチレン、又はビニルエラストマー、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、酢酸エチルビニル(EVA)、ポリスチレン(PS)、SEBS、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオキシメチレン(POM):ポリウレタン(PU)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリアミド(PA)、又はポリメチルメタクリレート(PMMA)から形成され得る。セラミック、例えば、アルミナ系セラミック、樹脂、例えば、尿素ホルムアルデヒド型樹脂、場合によっては黒鉛で満たされた材料を使用することも可能である。特に、Teflon、Hytrel(登録商標)、Cariflex(登録商標)、Alixin(登録商標)、Santoprene(登録商標)、Pebax(登録商標)、Pollobas(登録商標)の商品名で知られる材料を使用することが可能であるが、このリストは限定的ではない。好ましくは、各ブリストルは、少なくとも1つの熱可塑性エラストマーから形成される。
【0038】
個々のブリストルの寸法は、実施形態によって異なり得る。特に、ブリストル長さ及びブリストル径は、ブラシの性能に大きな影響を与える可能性がある。本明細書で使用される場合、ブリストル長さは、コアの外面の下の任意の更なるブリストル長さを考慮に入れた長さではなく、コアの外面を超えて半径方向外側に突出するブリストルの露出した長さとして測定される。高密度ゾーンでは、約1mm~約3mmのブリストル長さ、例えば、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約2.0mm、約2.5mm、及び/又は約3mmのブリストル長さが、製剤を細い毛に塗布するのに好ましいことが判明している。
【0039】
ブリストル径は、ブリストルの外側端部と、基部の近くの、コア表面に近接したブリストルの端部との間の距離に沿って評価される。ブリストル径は、コア表面又はその近くのブリストルの基部にある任意のR加工部又は面取り部の後の、基部に最も近い位置で決定されるべきである。ブリストル径は、基部のすぐ上の、基部の近くで任意のR加工、面取り等を施したブリストルの部分における最大断面距離(ブリストルの断面形状に適した幅、直径等)である。ブリストル径は、約0.15mm~約0.35mm、例えば、約0.15mm、約0.175mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、及び約0.35mmであり得る。
【0040】
ブリストル密度は、まつ毛に繊維を静電的に移動させるように構成された高密度ゾーンの重要な変数である。ブリストル密度の重要な尺度は、コア表面積に対するブリストルの数である。効果的に繊維をまつ毛に静電的に移動させるために、高密度ゾーンは、コアの表面積(すなわち、ブリストル自体によって占有される表面積を考慮に入れない、公称コア表面積)の平方ミリメートル当たり少なくとも4本の全ブリストルの密度を有するべきであることが判明している。いくつかの実施形態では、ブリストル密度dBは、dB≧4本のブリストル/mm2、dB≧5本のブリストル/mm2、dB≧6本のブリストル/mm2である。
【0041】
繊維
開示される方法で使用するためのそれぞれ別々の個々の繊維は、少なくとも30ミクロンである公称外径Dを有するべきであるが、Dは30ミクロン超であることが好ましい。いくつかの実施形態では、D≧30μm、D>30μm、D>35μm、及びD>40μmである。
【0042】
開示される方法で使用するためのそれぞれ別々の繊維は、4mm以下の全長LFを有するべきである。いくつかの実施形態では、LF≦4mm、LF≦3.5mm、又はLF≦3mm、及びLF≧1mm、LF≧1.5mm、LF≧2mm、又はそれらの任意の組み合わせである。例えば、いくつかの実施形態では、2mm≦LF≦3.5mm、又は1mm≦LF≦4mmである。
【0043】
それぞれ別々の個々の繊維は、好ましくは、レーヨン又はナイロン(例えば、ナイロン6)等の合成繊維を含む。
【0044】
再び
図1を参照すると、一旦アプリケータが繊維を静電的に付着させると、方法10の第4のステップは、まつ毛の遠位部分に繊維50を堆積させることである。
【0045】
これを簡略化した概略図を
図3に見ることができる。そこでは、繊維90が、マイクロブリストルブラシアプリケータ70に(具体的には、アプリケータのコア72から延在するブリストル78に)静電的に付着される。好ましくは、繊維90の第1の端部91は、第2の端部92よりもマイクロブリストルブラシアプリケータ70のコア72に近い。好ましくは、繊維90の第1の端部91は、マイクロファイバーのブリストル内及び中にある。すなわち、第1の端部91は、マイクロブリストルブラシアプリケーション70の各ブリストル78の最外縁によって画定される空間の容積内にある。より好ましくは、繊維の全長の40%以下が、その空間の容積内にある(別の言い方をすれば、繊維の全長の60%が、その繊維が接触しているブリストルの最外端よりもコアから遠くにある。繊維の第2の端部92は、好ましくは、コア72から実質的に離れた方向に外側に延在して、第2の端部72を、まつ毛の遠位部分とより容易に接触する位置に配置する。
【0046】
繊維90が、乾燥中の接着剤組成物を有するまつ毛80の遠位部分81と接触するように、アプリケータ70を上昇させる。この時点で、アプリケータ70を、次いで、顔から離して移動させ、必要に応じて追加の繊維を塗布するために使用することができる。好ましくは、各繊維の大部分、好ましくは全てが、その繊維が貼付されたまつ毛の遠位部分を超えて延在するように、各繊維の端部(例えば、2つの端部のいずれかから離れた繊維の長さの25%以下である繊維の一部分)がまつ毛の遠位部分(例えば、最も遠位端から離れたまつ毛の長さの25%以下のまつ毛の一部分)に付着される。
【0047】
再び
図1を参照すると、方法10は、繊維(複数可)をブラシに付着させて、それらをまつ毛に堆積させることを複数回繰り返して含んでもよいことが分かる。しかしながら、所望の繊維が堆積されると、方法10は、任意選択的に、堆積された繊維の上にマスカラ60を塗布することを含んでもよい。
【0048】
マスカラ組成物は、当該技術分野において周知であり、そのような組成物は、水性又は無水であってもよく、一般に、顔料若しくは他の着色剤、並びに成膜剤、増粘剤、溶媒、及び/又は他の添加剤を含む。ここでは、任意の適切なマスカラが使用され得る。
【0049】
開示される方法は、
図4に示される、本発明によるアセンブリ100(「キット」とも称される)の助けを借りて実装されてもよい。
【0050】
アセンブリ100は、一般に、いくつかの構成要素を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0051】
第一に、アセンブリは、好ましくは第1の容器125の内部空洞内に収容される第1の組成物である、前述のような水性又は油性接着剤110を含む。容器は、好ましくは、ガラス又はポリマーで構成される。
【0052】
アセンブリ100はまた、ユーザがまつ毛の遠位部分に水性又は油性接着剤を塗布することを可能にするように構成された第1のアプリケータ120を含む。このようなアプリケータは当業者に既知である。
図4では、第1のアプリケータ120は、(例えば、マスカラブラシに類似した)小さなブリストルとして示されている。
【0053】
第1の容器125は、ねじ付きネック126と、ねじ付きネック126と協働することによって容器を閉じるためのキャップ121とを含み得る。任意選択的に、第1のアプリケータは、第1の容器125のキャップの一部として形成される。いくつかの実施形態では、キャップ121は、第1のアプリケータ120に取り付けられる。第1のアプリケータ120は、シャフト部分122(キャップ121に直接的又は間接的に取り付けられ得る)と、自由端に塗布要素123とを含んでもよい。この例では、拭き取り要素は、ネック126の内側にあり得る。塗布要素123は、好ましくは、本方法の第1のステップで使用されるために、拭き取り要素を通過する前に容器125内で接着剤組成物110に浸される。
【0054】
アセンブリ100はまた、第2のアプリケータ140を含む。第2のアプリケータは、ハンドル部分141及びブリストル部分142を有する、前述のようなマイクロブリストルブラシアプリケータである。
【0055】
アセンブリ100はまた、複数の繊維130を含み、これは別個の第2の容器135内に収容されてもよい(繊維を収容し、ユーザが容易にアクセスできるように構成された袋、小箱等)。
【0056】
複数の繊維130の各繊維131は、少なくとも30ミクロンである公称外径Dを有するべきであるが、Dは30ミクロン超であることが好ましい。いくつかの実施形態では、D≧30μm、D>30μm、D>35μm、及びD>40μmである。
【0057】
複数の繊維130の各繊維131は、4mm以下の全長LFを有するべきである。いくつかの実施形態では、LF≦4mm、LF≦3.5mm、又はLF≦3mm、及びLF≧1mm、LF≧1.5mm、LF≧2mm、又はそれらの任意の組み合わせである。例えば、いくつかの実施形態では、2mm≦LF≦3.5mm、又は1mm≦LF≦4mmである。
【0058】
複数の繊維130の各繊維131は、好ましくは、レーヨン又はナイロン(例えば、ナイロン6)等の合成繊維を含んでもよい。
【0059】
複数の繊維130は、1つ以上の色を有する繊維を含む。いくつかの実施形態では、各繊維131は、同じ色であってもよいか、又は1つ以上の他の繊維とは異なる色であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、繊維の一部分は1つの色であり、繊維の一部分は第2の色である。
【0060】
図5に見られるように、いくつかの好ましい実施形態では、第2の容器135は、外面136及び内面138を有する容器であり、内面は、容器の一端に単一の開口部137を有する容器内の内部空間容積を画定する。容器は、一般に、ポリマーで構成されるが、他の材料が使用されてもよい。容器は、不透明、半透明、又は透明であり得る。個々の繊維130は、容器の内部容積内にあり得、概してばらばらであり、内部容積内にランダムに堆積している。マイクロブリストルブラシ140は、容器135の内部容積に少なくとも部分的に挿入することができる。好ましくは、ブリストル部分142の一部のみ又は全てが容器の内部容積に挿入される。マイクロブリストルブラシ140は、好ましくは、キャップ部分143を含むハンドル部分141を有する。キャップ部分143は、好ましくは、容器を閉じるために、単一の開口部を有する容器135の端部と相互作用するように構成される。これは、キャップを容器135のねじ付き部分(図示せず)にねじ込んで、キャップ部分を容器の開放端の上又は中に圧嵌させることによって、又は2つの副構成要素を接続するためのいくつかの他の既知の技術によって行うことができる。
【0061】
アセンブリ100は、好ましくは第3の容器165の内部空洞内に収容される、第2の組成物150であるマスカラ組成物を任意選択的に含んでもよい。容器は、好ましくは、ガラス又はポリマーで構成される。
【0062】
アセンブリ100はまた、ユーザがマスカラ150を塗布することを可能にするように構成された第3のアプリケータ160を含む。このようなアプリケータは当業者に既知である。
図4では、第3のアプリケータ160は、第3のタイプのブラシアプリケータとして示されている。
【0063】
第3の容器165は、ねじ付きネック166と、ねじ付きネック166と協働することによって容器を閉じるためのキャップ161とを含み得る。任意選択的に、第3のアプリケータは、第3の容器165のキャップの一部として形成される。いくつかの実施形態では、キャップ161は、第3のアプリケータ160に取り付けられる。第1のアプリケータと同様に、第3のアプリケータ160は、シャフト部分と、自由端に塗布要素とを含んでもよい。本実施例では、拭き取り要素は、ネック166の内側に存在し得る。塗布要素は、好ましくは、本方法の最終ステップで使用されるために、拭き取り要素を通過する前に容器165内でマスカラ組成物150に浸される。
【実施例】
【0064】
以下は、開示される方法の一部として利用され得る水性及び油性接着剤の例である。
【0065】
油性接着剤の場合、A1構成成分を加熱して均一になるまで混合し、次いで室温に冷却し、A2構成成分を添加して混合する。
【表1】
【0066】
水性接着剤の場合、A1構成成分を順次添加し、室温で均一になるまで混合する。次いで、B2構成成分を添加して均一になるまで混合し、その後、B3構成成分を添加する。最後に、B4構成成分を添加し、均一になるまで混合する。
【表2】
【0067】
G1及びG2を使用して、概して記載される技術を用いて、様々な繊維をまつ毛に塗布したが、繊維の構成は変化させた。次いで、マスカラを塗布した後に、主観的なまつ毛の伸長について結果を評価した。以下の表はその結果を要約したものである。
【表3】
【0068】
見られるように、G1及びG2を使用すると、直径が約30μm超であり、繊維長が4mm未満である繊維のみが、まつ毛の伸長を示すことが分かった(繊維組成物1及び3)。試験した10の組み合わせのうち6つは、繊維が払い落される結果となり、繊維がまつ毛に適切に貼付されなかったことを示している。
【0069】
表3のレーヨン番号3を使用して、この方法を、第2のアプリケータの異なる組み合わせを使用して繰り返した。すなわち、4つの異なる構成のブリストル(高密度は>4本のブリストル/mm
2を指し、低密度は<4本のブリストル/mm
2を指す)を使用して、まつ毛に繊維を静電的に塗布した。マスカラを塗布した後の主題のまつ毛伸長結果を以下に要約する。
【表4】
【0070】
様々な繊維をまつ毛に塗布する場合、概して記載される技術を用いたが、繊維の構成は変化させた。次いで、マスカラを塗布した後に、主観的なまつ毛の伸長について結果を評価した。以下の表はその結果を要約したものである。
【0071】
当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を、認識するか、又はルーチン実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【国際調査報告】