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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ベローズを備えた開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01H33/662 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518862
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022071696
(87)【国際公開番号】W WO2023051976
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021210795.8
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】バーツ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ギア,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】グラスコウスキー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シャフトシュナイダー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シュティーラー,クリスチャン
(57)【要約】
本発明は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズ(12、22)を少なくとも1つ有する開閉装置(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズ(12、22)を少なくとも1つ有することを特徴とする開閉装置(100)。
【請求項2】
前記ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金が材料番号2.4856の合金である、請求項1に記載の開閉装置(100)。
【請求項3】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズ(12)を1つ備えた真空遮断バルブ(1)を1つ有し、
前記ベローズ(12)が前記真空遮断バルブ(1)の真空を前記真空遮断バルブ(1)の周囲圧力(20)に対して封止するために使用される、請求項1又は2に記載の開閉装置(100)。
【請求項4】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズ(22)を1つ備えたカプセル化されたハウジング(30)を1つ有し、
前記ベローズ(22)が前記カプセル化されたハウジング(30)内の流体(20)を大気圧下の外気に対して封止するために使用される、請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉装置(100)。
【請求項5】
前記カプセル化されたハウジング(30)が、少なくとも1つの前記真空遮断バルブ(1)を包囲している、請求項4に記載の開閉装置(100)。
【請求項6】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた少なくとも1つのベローズ(12、22)の開閉装置(100)内での使用。
【請求項7】
前記ベローズ(12)の1つが前記開閉装置(100)の真空遮断バルブ(1)の1つの真空を前記真空遮断バルブ(1)の周囲圧力(20)に対して封止するために使用される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ベローズ(12)が前記真空遮断バルブ(1)の可動接点ロッド(9)において使用される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記ベローズ(22)の1つが前記開閉装置(100)のカプセル化されたハウジング(30)内の流体を大気圧下の外気に対して封止するために使用される、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項10】
前記ベローズ(12)が前記開閉装置(100)の可動接点ロッド(9)で使用される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金が材料番号2.4856の合金である、請求項6から10のいずれか1項に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズを有する開閉装置、及び、開閉装置におけるそのようなベローズの使用に関する。
【0002】
真空遮断バルブは、低、中、高電圧開閉装置に使用される。真空遮断バルブ(=VSR)の場合、可動接点ロッドから真空遮断バルブの固定されたハウジングへの移行部は、通常、金属製のベローズにより真空気密又はガス気密状態で封止される。金属製ベローズの一端はここで真空遮断バルブのフランジに、他端は可動接触ロッドにろう付けされる。例えば、2019年6月13日付け特許文献1(Siemens AG)の図3には、このようなベローズ80が示されている。
【0003】
ベローズは通常、VSRの数千~数百万回の開閉サイクル用に設計されている。すなわち、ベローズの耐用年数は真空遮断バルブの耐用年数に影響を及ぼす。このような金属製のベローズはVSRの開閉サイクル、すなわち、両接点の継続的に行われる交互の開及び閉により老化し、このことはベローズの圧縮と伸張が交互に行われることを意味する。負荷変化時のベローズへの最大負荷は、この場合、特にベローズの両端部、又は、最後の波形部で発生する。
【0004】
例えば、接点ロッドのガイド不良、水平設置構造の場合の重力、及び、周囲圧力が上昇(1barから数barまで)したときの真空遮断バルブの運転によって生じるベローズへの横方向の力は、ベローズの横方向のたわみを招き、ベローズの耐用年数をさらに低下させる。
【0005】
ベローズの耐用年数を増加させる1つの可能性は、より厚い材料を使用することによってベローズを機械的に強化することである。しかしながら、より厚いベローズ材料の使用は、ベローズの必要な可撓性を減少させるので、利用範囲は限られている。より厚い材料の使用により減少したベローズの可撓性は波形部を増やすことによって少なくとも部分的に補償することはできるが、より長いベローズはVSRの構造的な長さをより大きくし、これは望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017222413A1号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第2019/197109A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の1つの課題は、ベローズを備えた改良された開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。この開閉装置は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズを少なくとも1つ有する。この開閉装置は、ここでは、特に、中電圧又は高電圧開閉装置とすることができる。この開閉装置は、ライブタンク式開閉装置、デッドタンク式開閉装置、又は、ガス絶縁開閉装置(=GIS)、特に1相又は3相GISとすることができる。
【0009】
上記課題の別の解決は、請求項6の特徴により実現される。ここでは、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた少なくとも1つのベローズが、1つの開閉装置内で使用される。この開閉装置は、ここでは、特に、中電圧又は高電圧開閉装置とすることができる。
【0010】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金、好ましくは材料番号2.4856/EN材料名NiCr22Mo9Nb/UNS N06625/Alloy 625を、開閉装置におけるベローズ材料として使用することにより、「座屈剛性」、すなわち、横方向変位に対する抵抗力、及び、ベローズの機械的耐用年数を増大することができる。その結果、例えば、可動接点ロッドの真空封止又はガス封止されたカバー貫通部のような、開閉装置における真空封止又はガス封止の用途に、従来のベローズの長さを超えないベローズを使用することができる。
【0011】
通常使用される設計パラメータ、例えば、波の数、波の形状、全体の波の直径、波の深さ(波の山と波の谷との間で測定される直径の差)、使用される材料、材料の肉厚、ベローズのガイド部、又、はベローズの長さ、もこの材料を使用するときに同様に使用することができる。この場合には、個々の設計パラメータの有効性は、異なるように重み付けられる/現れる。
【0012】
本発明の一態様は、開閉装置ベローズの材料として低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金を使用することである。本発明の好ましい一形態によれば、この目的のために材料番号2.4856/EN材料名NiCr22Mo9Nb/UNS N06625/合金625を有するニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金が用いられ、ここで、材料番号2.4856は、2=主材料群「非鉄重金属」、48=グレード番号、56=数字表示、(EN=欧州規格:UNS=金属及び合金の統一ナンバリングシステム)として構成される。例えば、材料番号2.4856の低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金はInconel(登録商標)の商品名で販売されている。
【0013】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金は、開閉装置に従来使用されているベローズ材料よりも著しく大きな疲労強度を有する。したがって、本発明は、開閉装置に従来用いられているベローズ材料、今日では一般にはステンレス鋼、特に材料番号1.4404のステンレス鋼である、とは根本的に異なる。この従来使用されているステンレス鋼材料が主材料群1「鋼」に属しているのに対して、本発明によりここで提案されている材料は主材料群2「非鉄重金属」に属している。
【0014】
本発明の1つの利点は、ベローズ又はそれを備えた開閉装置の可能な限り短い長さで、長い機械的耐用年数を達成するために特殊なベローズ材料を使用することにある。この利点は特に周囲圧力の増加時に(>1bar)に有効であり、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたこのベローズはすべての運転圧力で使用することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金を、開閉装置に、例えば、真空遮断バルブにおいて、及び/又は、カプセル化されたハウジングにおいて、使用することである。
【0016】
研究によれば、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金は、その特殊な機械的特性により、真空用途に、特に圧力差の大きい真空用途にも、非常に良好に適している。
【0017】
従属請求項には、本発明の有利な実施形態と展開形態が記載されている。ここで、本発明による装置は、従属する用途請求項に従って展開することもでき、逆もまた同様である。
【0018】
本発明による開閉装置の好ましい形態によれば、このニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金は、材料番号2.4856の合金である。
【0019】
本発明による開閉装置の好ましい一形態によれば、この開閉装置は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズを1つ備えた真空遮断バルブを1つ有し、このベローズは、真空遮断バルブの真空を真空遮断バルブの周囲圧力に対して封止するために使用される。この場合、このベローズは真空遮断バルブのスイッチングチャンバ内に突き出るだけでなく、真空遮断バルブのハウジングから外側に突き出ることもできる。例えば、約10-7バールの真空が真空遮断バルブのスイッチングチャンバの内部に、すなわち、このベローズの第1の側に存在することができ、このスイッチングチャンバの外側では、すなわち、このベローズの別の側では、流体(例えば、空気、又は、六フッ化硫黄のような不活性ガス)は大気圧下にあるか、又は、絶縁耐力を高めるために過圧状態にある。この過圧は、3から4バール、又は、10バールまでとすることさえ可能である。低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズは、これらの極限条件下であっても、従来使用されている材料よりも本質的に長い耐用年数を有する。
【0020】
本発明による開閉装置の好ましい一実施形態によれば、この開閉装置は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金からなるベローズを1つ備えたカプセル化されたハウジングを1つ有し、このベローズは、カプセル化されたハウジング内の流体を大気圧下の外気に対して封止するために使用される。カプセル化されたハウジング内の流体は、例えば、空気、又は、六フッ化硫黄などの不活性ガスとすることができる。ここで、このベローズは、カプセル化されたハウジングの内部に突き出るだけでなく、カプセル化されたハウジングから外側に突き出ることができる。例えば、カプセル化されたハウジングの内部、すなわち、このベローズの第1の側では流体は大気圧下、又は、最高で10バールの過圧下にあり、カプセル化されたハウジングの外部は、すなわち、このベローズの別の側は大気圧下にある。
【0021】
この場合、このカプセル化されたハウジングは1つ又は複数の真空遮断バルブを包囲することが可能である。この場合、そのカプセル化されたハウジングにも、1つ又は複数の真空遮断バルブにも、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたこれらのベローズを取り付けることができる。一実施形態では、このカプセル化されたハウジングは単一のVSRを包囲し、この場合、カプセル化されたハウジングもVSRもそれぞれ、1つのベローズを備えた単一の貫通部を有する。別の実施形態では、このカプセル化されたハウジングはN個のVSR(Nは自然数)、特に3個のVSRを包囲しており、この場合、このカプセル化されたハウジングは1つのベローズを備えたN個の貫通部を有し、これらのVSRは、それぞれ、1つのベローズを備えた単一の貫通部を有する。さらに別の実施形態では、このカプセル化されたハウジングはN個のVSR(Nは自然数)、特に3個のVSRを包囲し、この場合、このカプセル化されたハウジングは1つのベローズを備えた単一の貫通部を有し、その動きは、カプセル化されたハウジング内の1つの連結バーによってN個の可動接点ロッドに伝達され、この場合、これらのVSRはそれぞれ、1つのベローズを備えた単一の貫通部を有している。いずれの場合にも、これらのベローズは、カプセル化されたハウジング及び/又はVSRハウジングを通る貫通部の位置でハウジングから外側に突き出る、すなわち、ベローズの外側にそれぞれ外圧がかかり、ベローズの内側にそれぞれ内圧がかかる、又は、ハウジングの内側に突き出る、すなわち、ベローズの内側に外圧がかかり、ベローズの外側に内圧がかかるようにすることが可能である。
【0022】
本発明による使用の好ましい一実施形態によれば、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズが、開閉装置の真空遮断バルブの真空を真空遮断バルブの周囲圧力に対して封止するために使用される。この場合、このベローズを真空遮断バルブの可動接点ロッドに使用することが可能である。
【0023】
本発明による使用の好ましい一実施形態によれば、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた1つのベローズが、流体、例えば空気又は不活性ガスを大気圧下の外気に対して封止するために、開閉装置のカプセル化されたハウジング内で使用される。この場合、このベローズは開閉装置の可動接点ロッドで使用することが可能であり、例えば、このカプセル化されたハウジングは可動接点ロッドの支承部を有することができ、その支承部で開閉装置の両接点の開及び閉の動作がガイドされ、この支承部はこのベローズにより気密に封止することができる。
【0024】
好ましい一実施形態によれば、このニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金は、材料番号2.4856の合金である。
【0025】
以下、添付図面を用いて本発明を実施例により説明する。これらの図面はそれぞれ模式的であり、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】開閉装置のVSRの断面図
図2】1つのVSRと1つのカプセル化されたハウジングとを有する開閉装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、ハウジング5で囲まれたスイッチングチャンバ2を有する真空遮断バルブ1を示しており、そのスイッチングチャンバ2の中に固定接点3と可動接点4が配置されている。固定接点3は固定接点ロッド10の一端に配置され、この固定接点ロッド10は、固定接点ロッド10と第1のカバー7との、例えばろう付けによって真空封止されて、金属製の第1のカバー7を通って真空遮断バルブ1の外に突き出ている。可動接点4は可動接点ロッド9の一端に配置され、この可動接点ロッド9は、第2のカバー8に固定された支承部13によって変位可能にかつ回り止めされてガイドされて、第2のカバー8を通って真空遮断バルブ1の外に引き出されている。この可動接点ロッド9によって、閉動作時に可動接点4を固定接点3に接触させ、開動作時に固定接点3との間にギャップを設けることができる。カバー7、8は、それらの間に配置されている絶縁材料円筒6、これはセラミック材料で作ることができる、と共に、真空遮断バルブ1の真空封止ハウジング5を形成している。
【0028】
第2のカバー8を通る可動接点ロッド9の貫通部は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(材料番号2.4856)で作られた金属製のベローズ12によって真空封止状態に保持され、このベローズの第1の端部は、第2のカバー8のカバーベース16内に配置された円形の貫通孔17の内周部に接続され、その第2の端部は、ベローズキャップと呼ばれる可動接点ロッド9の突起カラー11に例えばろう付けによって接続されている。支承部13は、穴の開いたディスク形状の支承部フランジ14とこれに接続された管状のガイド部15とを含み、この管状のガイド部は支承部フランジ14に同心円状に取り付けられ、これに結合されている。この場合、この支承部13は1つの部品で作ることができる。支承部13はプラスチック材料で作ることができる。支承部フランジ14は、例えばネジ接続により、又は、支承部キャップにより、カバーベース16に中心合わせして固定されている。
【0029】
第2のカバー8を通る可動接点ロッド9の貫通部は、ベローズ12がVSR 1のハウジング5を通る貫通部の位置でハウジング5の内部に突き出るように、すなわち、VSR 1の外圧がベローズ12の内側にかかるように、及び、VSRの内圧(真空)がベローズの外側にかかるように、形成されている。代案として、VSR 1のハウジング5を通る貫通部の位置で、ベローズ12がハウジング5から外方に突き出る形態も可能である。
【0030】
図2は、いわゆるデッドタンク形式の開閉装置100を示す。図1による真空遮断バルブ1が、金属体として製造されたカプセル化されたハウジング30に対して電気的に絶縁して配置されている。駆動装置によって作動させることができる駆動ロッド24が、エンドプレート26を介して可動接点ロッド9に突き当たる。
【0031】
真空遮断バルブ1の内部、スイッチングチャンバ2内は真空となっている。カプセル化されたハウジング30の内部、すなわち、真空遮断バルブ1の外側でかつカプセル化されたハウジング30の内側にある中間空間20は、電気絶縁性流体、例えば、空気又は六フッ化硫黄で充填されており、中間空間20内のこの流体は、大気圧、又は、電気絶縁性流体の絶縁強度をさらに改善するように過圧とすることができる。カプセル化されたハウジング30の外側の外部空間200には周囲空気が存在し、すなわち、そこは大気圧である。
【0032】
排気されたスイッチングチャンバ2を、カプセル化されたハウジング30の好適には過圧下にある中間空間20に対して気密封止するために、可動接点ロッド9と真空遮断バルブ1のハウジング5との間に第1のベローズ12が配置されている。カプセル化されたハウジング30の好適には過圧下にある中間空間20を、大気圧下にある外部空間200に対して気密封止するために、第2のベローズ22が、可動接点ロッド9とカプセル化されたハウジング30との間に配置されている。この場合、金属製のベローズ12と22の両方は、本発明によれば、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(材料番号2.4856)で作られている。
【0033】
VSR 1のハウジング5を通る可動接点ロッド9の貫通部は、第1のベローズ12が、VSR 1のハウジング5を通る貫通部の位置においてハウジング5の内部空間2内に、すなわち、スイッチングチャンバ2内に突き出るように、すなわち、VSR 1の外圧(=中間空間20内の圧力)が第1のベローズ12の内側にかかり、VSRの内圧(=スイッチングチャンバ2内の真空)が第1のベローズ12の外側にかかるように、形成されている。代案として、VSR1のハウジング5を通る貫通部の位置において第1のベローズ12がハウジング5から外側へ向けて、すなわち、中間空間20内に突き出る形態も可能である。
【0034】
可動接点ロッド9のエンドピース26への接続部、すなわち、カプセル化されたハウジング30を通る駆動ロッド24の運動の貫通部は、第2のベローズ22が、カプセル化されたハウジング30を通る貫通部の位置において、カプセル化されたハウジング30から外側に向けて、すなわち、外部空間200に突き出るように形成されており、すなわち、カプセル化されたハウジング30の外圧(=大気圧下の周囲空気)が第2のベローズ22の外側にかかり、カプセル化されたハウジング30の内圧(=中間空間20の圧力)が第2のベローズ22の内側にかかるように、形成されている。代案として、カプセル化されたハウジング30を通る貫通部の位置において、第2のベローズ22がカプセル化されたハウジング30の内部空間に突き出る形態も可能である。
【0035】
図2は、スプリング式ベローズ(Federbaelge)12及び22の配置に焦点を当て、接点3及び4の電気的接触及びカプセル化されたハウジング30内での真空遮断バルブ1の固定についての詳細は省略している。なぜならば、デッドタンク式の電気開閉装置の電気的設計の実施形態は、当業者には公知であるからである。これについては、例えば、2019/10/17付けの特許文献2(Siemens AG)の関連する説明を参照されたい。
【0036】
さらなる実施形態では、金属製のベローズ12及び22は、デッドタンク式の開閉装置の場合と同様に碍子型の開閉装置又はGISにおいても使用することができる。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られたベローズ(12、22)を少なくとも1つ有することを特徴とする開閉装置(100)。
【請求項2】
前記ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金が材料番号2.4856の合金である、請求項1に記載の開閉装置(100)。
【請求項3】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた第1のベローズ(12)を1つ備えた真空遮断バルブ(1)を1つ有し、
前記第1のベローズ(12)が前記真空遮断バルブ(1)の真空を前記真空遮断バルブ(1)の周囲圧力(20)に対して封止するために使用される、請求項に記載の開閉装置(100)。
【請求項4】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた第2のベローズ(22)を1つ備えたカプセル化されたハウジング(30)を1つ有し、
前記第2のベローズ(22)が前記カプセル化されたハウジング(30)内の流体(20)を大気圧下の外気に対して封止するために使用される、請求項に記載の開閉装置(100)。
【請求項5】
前記カプセル化されたハウジング(30)が、少なくとも1つの真空遮断バルブ(1)を包囲している、請求項4に記載の開閉装置(100)。
【請求項6】
低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた少なくとも1つのベローズ(12、22)の開閉装置(100)内での使用。
【請求項7】
前記第1のベローズ(12)の1つが前記開閉装置(100)の真空遮断バルブ(1)の1つの真空を前記真空遮断バルブ(1)の周囲圧力(20)に対して封止するために使用される、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記第1のベローズ(12)が前記真空遮断バルブ(1)の可動接点ロッド(9)において使用される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記第2のベローズ(22)の1つが前記開閉装置(100)のカプセル化されたハウジング(30)内の流体を大気圧下の外気に対して封止するために使用される、請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記第2のベローズ(22)が前記開閉装置(100)の可動接点ロッド(9)で使用される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金が材料番号2.4856の合金である、請求項6から10のいずれか1項に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明による開閉装置の好ましい一形態によれば、この開閉装置は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた第1のベローズを1つ備えた真空遮断バルブを1つ有し、この第1のベローズは、真空遮断バルブの真空を真空遮断バルブの周囲圧力に対して封止するために使用される。この場合、この第1のベローズは真空遮断バルブのスイッチングチャンバ内に突き出るだけでなく、真空遮断バルブのハウジングから外側に突き出ることもできる。例えば、約10-7バールの真空が真空遮断バルブのスイッチングチャンバの内部に、すなわち、この第1のベローズの第1の側に存在することができ、このスイッチングチャンバの外側では、すなわち、この第1のベローズの別の側では、流体(例えば、空気、又は、六フッ化硫黄のような不活性ガス)は大気圧下にあるか、又は、絶縁耐力を高めるために過圧状態にある。この過圧は、3から4バール、又は、10バールまでとすることさえ可能である。低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた第1のベローズは、これらの極限条件下であっても、従来使用されている材料よりも本質的に長い耐用年数を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明による開閉装置の好ましい一実施形態によれば、この開閉装置は、低炭素ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金からなる第2のベローズを1つ備えたカプセル化されたハウジングを1つ有し、この第2のベローズは、カプセル化されたハウジング内の流体を大気圧下の外気に対して封止するために使用される。カプセル化されたハウジング内の流体は、例えば、空気、又は、六フッ化硫黄などの不活性ガスとすることができる。ここで、この第2のベローズは、カプセル化されたハウジングの内部に突き出るだけでなく、カプセル化されたハウジングから外側に突き出ることができる。例えば、カプセル化されたハウジングの内部、すなわち、この第2のベローズの第1の側では流体は大気圧下、又は、最高で10バールの過圧下にあり、カプセル化されたハウジングの外部は、すなわち、この第2のベローズの別の側は大気圧下にある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明による使用の好ましい一実施形態によれば、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた第1のベローズが、開閉装置の真空遮断バルブの真空を真空遮断バルブの周囲圧力に対して封止するために使用される。この場合、この第1のベローズを真空遮断バルブの可動接点ロッドに使用することが可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明による使用の好ましい一実施形態によれば、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で作られた1つの第2のベローズが、流体、例えば空気又は不活性ガスを大気圧下の外気に対して封止するために、開閉装置のカプセル化されたハウジング内で使用される。この場合、この第2のベローズは開閉装置の可動接点ロッドで使用することが可能であり、例えば、このカプセル化されたハウジングは可動接点ロッドの支承部を有することができ、その支承部で開閉装置の両接点の開及び閉の動作がガイドされ、この支承部はこの第2のベローズにより気密に封止することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
第2のカバー8を通る可動接点ロッド9の貫通部は、第1のベローズ12がVSR1のハウジング5を通る貫通部の位置でハウジング5の内部に突き出るように、すなわち、VSR1の外圧が第1のベローズ12の内側にかかるように、及び、VSRの内圧(真空)が第1のベローズの外側にかかるように、形成されている。代案として、VSR1のハウジング5を通る貫通部の位置で、第1のベローズ12がハウジング5から外方に突き出る形態も可能である。
【国際調査報告】