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特表2024-534630迅速挿入型中心静脈カテーテルの挿入アセンブリのための分割可能な封止モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテルの挿入アセンブリのための分割可能な封止モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/08 20060101AFI20240912BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M25/08 500
A61M25/01 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518895
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022044879
(87)【国際公開番号】W WO2023049505
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/249,009
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/271,043
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/290,056
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】スパタロ、ジョー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267BB04
4C267CC08
4C267GG02
(57)【要約】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)の挿入アセンブリのための分割可能な封止モジュール及びその方法が開示される。RICC挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを含むことができる。イントロデューサ針は、針ハブの遠位部分に結合された封止モジュールインサートの近位部分を含むことができる。カプラは、封止モジュールキャビティと、封止モジュールキャビティ内に配置された封止モジュールインサートの遠位部分とを含むカプラハウジングを含むことができる。封止モジュールキャビティ並びに封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分は、RICC挿入アセンブリの分割可能な封止モジュールを形成する。分割可能な封止モジュールは、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針及びその中に配置されたアクセスガイドワイヤの周りを別々に封止するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)挿入アセンブリであって、
カテーテルチューブ及びそれを通る一次ルーメンを含むRICCと、
イントロデューサ針であって、
長手方向針スロットを含む針シャフトと、
前記針シャフトの近位端部分の周りの針ハブと、
前記針ハブの遠位部分に結合された封止モジュールインサートの近位部分と、
を含むイントロデューサ針と、
前記RICCの前記一次ルーメン内に配置された近位部分と、前記針スロットを通して前記針シャフト内に配置された遠位部分とを含むアクセスガイドワイヤと、
前記RICCと前記イントロデューサ針とを互いに結合するカプラであって、前記カプラは、
封止モジュールキャビティを含むカプラハウジングと、
前記封止モジュールキャビティ内に配置された前記封止モジュールインサートの遠位部分であって、前記封止モジュールキャビティ並びに前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分は、前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分が前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、前記イントロデューサ針の近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを別々に封止するように構成された前記RICC挿入アセンブリの分割可能な封止モジュールを形成する、封止モジュールインサートの遠位部分と、
を含むカプラと、
を備える
迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC」)挿入アセンブリ。
【請求項2】
前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分の各部分は、エラストマーから形成される、請求項1に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項3】
前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分は、前記封止モジュールキャビティ内で組み合わされると、イントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路の両方を完成させる、請求項1又は請求項2に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項4】
前記イントロデューサ針通路の近位部分は、前記封止モジュールインサートの前記近位部分内に存在し、前記イントロデューサ針通路の遠位部分は、前記封止モジュールキャビティ内で組み合わされた前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分によって完成される、請求項3に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項5】
前記アクセスガイドワイヤ通路の全体は、前記封止モジュールキャビティ内で組み合わされた前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分によって完成される、請求項3又は請求項4に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項6】
前記アクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、前記イントロデューサ針通路の内側部分に接続し、それによって、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分が前記針スロットを通して前記針シャフト内に配置されることを可能にする、請求項3~5のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項7】
前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分が前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたとき、前記イントロデューサ針通路が前記イントロデューサ針の前記近位部分の周りを封止するように構成されており、かつ前記アクセスガイドワイヤ通路が前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを封止するように構成されている、請求項3~6のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項8】
前記イントロデューサ針通路は、前記イントロデューサ針通路の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフを含み、それにより、前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分が前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたとき、前記イントロデューサ針通路の近位端部分及び遠位端部分のみが前記イントロデューサ針の前記近位部分の周りを封止するように構成されている、請求項3~7のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項9】
前記アクセスガイドワイヤ通路は、前記アクセスガイドワイヤ通路の少なくとも近位部分に内部リリーフを含み、それにより、前記封止モジュールインサートの前記近位部分及び前記遠位部分が前記封止モジュールキャビティ内で圧縮されたとき、前記アクセスガイドワイヤ通路の近位端部分のみが前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分の周りを封止するように構成されている、請求項3~8のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項10】
前記封止モジュールインサートは、前記カプラハウジングによって前記封止モジュールキャビティ内で半径方向に圧縮される、請求項1~9のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項11】
前記封止モジュールインサートは、前記針ハブの前記遠位部分によって前記封止モジュールキャビティ内で軸線方向に圧縮され、前記封止モジュールキャビティ内の前記封止モジュールインサートの軸線方向圧縮は、次に、前記封止モジュールキャビティ内で前記封止モジュールインサートを半径方向に圧縮する、請求項1~9のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項12】
前記カプラハウジングは、前記カプラからの前記イントロデューサ針の引き抜きによって前記封止モジュールインサートの前記近位部分が前記封止モジュールキャビティから取り外された後に、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから脱出することを可能にするように構成された長手方向カプラハウジングスロットを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項13】
前記イントロデューサ針は、前記針シャフトの下に前記針スロットを封止する、前記針シャフトを覆うシースを更に含み、前記針スロットは、前記針シャフトの近位部分から遠位針先端部まで延びている、請求項1~12のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項14】
前記カプラは、前記分割可能な封止モジュール内に延びているブレードを含み、それにより、前記ブレードは、シース開口部の遠位端の下で前記針スロット内に配置され、前記ブレードは、前記イントロデューサ針が前記カプラから引き抜かれる際に前記針シャフトから前記シースを切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含み、それによって、前記アクセスガイドワイヤが前記針スロットを経由して前記針シャフトから脱出することを可能にする、請求項13に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項15】
前記ブレードは、前記カプラハウジング内にオーバーモールドされ、それによって前記ブレードを前記カプラハウジング内に一体化する、請求項14に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項16】
前記シースが分割可能である、請求項13に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項17】
前記シースは、前記シースを分割するように構成された前記シースにわたって長手方向に延びている、孔、スリット、又はそれらの組み合わせのパターンで穿孔されており、前記パターンは、前記シースによる前記針スロットの封止を維持するために前記針スロットからオフセットされている、請求項16に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項18】
前記シースは、前記シースを分割するように構成された、前記シースにわたって長手方向に延びている1つ以上の溝を含む、請求項16に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項19】
前記シースは、前記シースから引き離されたとき、前記シースを分割するように構成された前記シース内で長手方向に延びている埋め込まれた引張コードを含む、請求項16に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項20】
前記シースは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、及びポリテトラフルオロエチレンから選択されるポリマー材料から形成されている、請求項13~19のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項21】
前記カプラは、前記アクセスガイドワイヤの近位端部分の周りでアクセスガイドワイヤハブに接続するように構成されたコネクタを含むアクセスガイドワイヤ接続サイドアームを更に含み、前記針シャフト内に配置された前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分及び前記アクセスガイドワイヤ接続サイドアームの前記コネクタに接続された前記アクセスガイドワイヤハブは、少なくとも前記RICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、前記アクセスガイドワイヤに、その上に前記RICCが配置されるループを形成する、請求項1~20のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項22】
前記RICCの前記カテーテルチューブと前記RICCの遠位端から延びている前記アクセスガイドワイヤのカテーテル外部分との両方を覆う分割可能なケーシングを含むキーパーを更に備え、前記分割可能なケーシングは、展開されるまで前記カテーテルチューブ及び前記アクセスガイドワイヤの前記カテーテル外部分を無菌に保つように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項23】
前記キーパーは、前記分割可能なケーシングの近位端が取り付けられるカテーテルハブホルダを更に含み、前記カテーテルハブホルダが、前記RICCのカテーテルハブを前記カテーテルハブホルダ内に保持するように、かつ前記分割可能なケーシングを前記カテーテルチューブ及び前記アクセスガイドワイヤの前記カテーテル外部分の両方を覆って所定位置に保つように構成されている、請求項22に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項24】
前記カテーテルハブホルダは、前記カテーテルハブホルダの外周の少なくとも一部分の周りに周壁を含み、前記周壁が、前記カテーテルハブがエンジニアリングフィットによって嵌合する凹部を画定している、請求項23に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項25】
前記カプラは、一次チャネル及び二次チャネルを含む分割可能なケーシング保持サイドアームを更に含み、前記一次チャネルは、前記分割可能なケーシングをその中に摺動自在に保持するように構成されており、前記二次チャネルは、前記分割可能なケーシングから分割されて離れた前記アクセスガイドワイヤを、前記針スロットを通して前記カプラ及び前記針シャフト内に誘導するように構成されている、請求項22~24のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項26】
前記カプラは、前記アクセスガイドワイヤの近位端部分の周りのアクセスガイドワイヤハブに接続するように構成されたコネクタを含むアクセスガイドワイヤ接続サイドアームを更に含み、
前記針シャフト内に配置された前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分、前記分割可能なケーシング保持サイドアームの前記一次チャネル内に保持された前記分割可能なケーシングの遠位部分、及び前記アクセスガイドワイヤ接続サイドアームの前記コネクタに接続された前記アクセスガイドワイヤハブは、少なくとも前記RICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、前記アクセスガイドワイヤに、その上に前記RICCが配置されるループを形成する、請求項25に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項27】
前記RICCは、3つのカテーテルチューブルーメン、3つのカテーテルハブルーメン、及び3つの延長脚部ルーメンの流体接続された部分から形成される、前記一次ルーメン、二次ルーメン、及び三次ルーメンを含む、3つのルーメンのセットを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項28】
前記一次ルーメンは、前記カテーテルチューブの遠位端に一次ルーメン開口を有し、前記二次ルーメンは、カテーテルチューブの遠位部分の側面に二次ルーメン開口を有し、前記三次ルーメンは、前記二次ルーメン開口の近位の前記カテーテルチューブの前記遠位部分の側面に三次ルーメン開口を有する、請求項27に記載のRICC挿入アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、迅速挿入型中心静脈カテーテルの挿入アセンブリのための分割可能な封止モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
中心静脈カテーテル(「CVC:central venous catheter」)は一般的に、セルディンガー法によって患者に導入され、患者の血管系を通して前進させられる。セルディンガー法は、多くのステップ及び医療デバイス(例えば、針、メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ダイレータ、CVC等)を利用する。セルディンガー法は有効であるが、多くのステップに時間がかかり、多くの医療デバイスの取り扱いが厄介であるため、前述の両方が患者の外傷につながる可能性がある。加えて、セルディンガー法の間に交換する必要がある医療デバイスが多いことに起因して、接触汚染の可能性が比較的高い。したがって、CVC等のカテーテルを患者に導入し、患者の血管系を通してカテーテルを前進させることに関与するステップ及び医療デバイスの数を減らす必要がある。
【0003】
本明細書で開示されるのは、迅速挿入型中心静脈カテーテル(「RICC:rapidly insertable central catheter」)の挿入アセンブリ及び上記に対処する方法である。特に、本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリは、RICC挿入アセンブリの異なる構成要素をその中に封止するための分割可能な封止モジュールを含む。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、いくつかの実施形態において、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラと、を含むRICC挿入アセンブリが開示される。RICCは、カテーテルチューブと、それを通る一次ルーメンとを含む。イントロデューサ針は、針シャフトと、針シャフトの近位端部分の周りの針ハブと、針ハブの遠位部分に結合された封止モジュールインサートと、を含む。アクセスガイドワイヤは、RICCの一次ルーメン内に配置された近位部分と、針シャフトの長手方向針スロットを通して針シャフト内に配置された遠位部分とを含む。カプラは、封止モジュールキャビティと、封止モジュールキャビティ内に配置された封止モジュールインサートの遠位部分とを含むカプラハウジングを含む。封止モジュールキャビティ並びに封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分は、RICC挿入アセンブリの分割可能な封止モジュールを形成する。分割可能な封止モジュールは、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分の各部分は、エラストマーから形成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされると、イントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路の両方を完成させる。
【0007】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針通路の近位部分は、封止モジュールインサートの近位部分に存在する。加えて、イントロデューサ針通路の遠位部分は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされた封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分によって完成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ通路の全体は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされた封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分によって完成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、イントロデューサ針通路の内側部分に接続する。そのような接続は、アクセスガイドワイヤの遠位部分が、針スロットを通って針シャフト内に配置されることを可能にする。
【0010】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針通路は、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分の周りを封止するように構成されている。加えて、アクセスガイドワイヤ通路は、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを封止するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針通路は、イントロデューサ針通路の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフを含み、それにより、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたとき、イントロデューサ針通路の近位端部分及び遠位端部分のみがイントロデューサ針の近位部分の周りを封止するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ通路は、アクセスガイドワイヤ通路の少なくとも近位部分に内部リリーフを含み、それにより、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたとき、アクセスガイドワイヤ通路の近位端部分のみがアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを封止するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、封止モジュールインサートは、カプラハウジングによって封止モジュールキャビティ内で半径方向に圧縮される。
【0014】
いくつかの実施形態では、封止モジュールインサートは、針ハブの遠位部分によって、封止モジュールキャビティ内で軸線方向に圧縮される。封止モジュールキャビティ内での封止モジュールインサートの軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ内で封止モジュールインサートを半径方向に圧縮する。
【0015】
いくつかの実施形態では、カプラハウジングは、カプラからのイントロデューサ針の引き抜きによって、封止モジュールインサートの近位部分が封止モジュールキャビティから取り外された後に、アクセスガイドワイヤがカプラハウジングから脱出することを可能にするように構成された長手方向カプラハウジングスロットを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針は、針シャフトを覆うシースを更に含み、シースは、その下に針スロットを封止する。針スロットは、針シャフトの近位部分から遠位の針先端部まで延びている。
【0017】
いくつかの実施形態では、カプラは、分割可能な封止モジュール内に延びているブレードを含み、それにより、ブレードがシース開口部の遠位端の下の針スロット内に配置される。ブレードは、イントロデューサ針がカプラから引き抜かれる際に針シャフトからシースを切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む。針シャフトからシースを切り離すことにより、アクセスガイドワイヤが針スロットを経由して針シャフトから脱出することが可能になる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ブレードは、カプラハウジング内にオーバーモールドされ、それによってブレードをカプラハウジング内に一体化する。
【0019】
いくつかの実施形態では、シースは分割可能である。
【0020】
いくつかの実施形態では、シースは、シースを分割するように構成されたシースにわたって長手方向に延びている、孔、スリット、又はそれらの組み合わせのパターンで穿孔されている。パターンは、シースによる針スロットの封止を維持するために、針スロットからオフセットされている。
【0021】
いくつかの実施形態では、シースは、シースを分割するように構成された、シースにわたって長手方向に延びている1つ以上の溝を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、シースは、シースから引き離されたとき、シースを分割するように構成されたシース内で長手方向に延びている埋め込まれた引張コードを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、シースは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、及びポリテトラフルオロエチレンから選択されるポリマー材料から形成されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、カプラは、アクセスガイドワイヤ接続サイドアームを更に含む。アクセスガイドワイヤ接続サイドアームは、アクセスガイドワイヤの近位端部分の周りでアクセスガイドワイヤハブに接続するように構成されたコネクタを含む。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、針シャフト内に配置され、アクセスガイドワイヤハブは、アクセスガイドワイヤ接続サイドアームのコネクタに接続され、それによって、少なくともRICC挿入アセンブリの動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤに、その上にRICCが配置されるループを形成する。
【0025】
いくつかの実施形態では、RICC挿入アセンブリは、キーパーを更に含む。キーパーは、RICCのカテーテルチューブとRICCの遠位端から延びているアクセスガイドワイヤのカテーテル外部分の両方を覆う、分割可能なケーシングを含む。分割可能なケーシングは、展開されるまでカテーテルチューブ及びアクセスガイドワイヤのカテーテル外部分を無菌に保つように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態において、キーパーは、分割可能なケーシングの近位端が取り付けられるカテーテルハブホルダを更に含む。カテーテルハブホルダは、RICCのカテーテルハブをカテーテルハブホルダ内に保持するように、かつ分割可能なケーシングをカテーテルチューブ及びアクセスガイドワイヤのカテーテル外部分の両方を覆って所定位置に保つように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態において、カテーテルハブホルダは、カテーテルハブホルダの外周の少なくとも一部分の周りに周壁を含む。周壁は、カテーテルハブがエンジニアリングフィットによって嵌合する凹部を画定している。
【0028】
いくつかの実施形態では、カプラは、一次チャネル及び二次チャネルを含む分割可能なケーシング保持サイドアームを更に含む。一次チャネルは、その中に分割可能なケーシングを摺動自在に保持するように構成されている。二次チャネルは、分割可能なケーシングから分割されて離れたアクセスガイドワイヤを、針スロットを通して、カプラ及び針シャフト内に誘導するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態において、カプラは、アクセスガイドワイヤ接続サイドアームを更に含む。アクセスガイドワイヤ接続サイドアームは、アクセスガイドワイヤの近位端部分の周りでアクセスガイドワイヤハブに接続するように構成されたコネクタを含む。アクセスガイドワイヤの遠位部分は、針シャフト内に配置され、分割可能なケーシングの遠位部分は、分割可能なケーシング保持サイドアームの一次チャネル内に保持され、アクセスガイドワイヤハブは、アクセスガイドワイヤ接続サイドアームのコネクタに接続され、それによって、RICC挿入アセンブリの少なくとも動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤに、その上にRICCが配置されるループを形成する。
【0030】
いくつかの実施形態では、RICCは、一次ルーメン、二次ルーメン、及び三次ルーメンを含む3つのルーメンのセットを含む。3つのルーメンのセットは、3つのカテーテルチューブルーメンと、3つのカテーテルハブルーメンと、3つの延長脚部ルーメンとの、流体接続された部分から形成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、一次ルーメンは、カテーテルチューブの遠位端に一次ルーメン開口を有し、二次ルーメンは、カテーテルチューブの遠位部分の側面に二次ルーメン開口を有し、三次ルーメンは、二次ルーメン開口の近位のカテーテルチューブの遠位部分の側面に三次ルーメン開口を有する。
【0032】
また、本明細書では、RICCを患者の血管内腔に挿入するための方法が開示される。本方法は、いくつかの実施形態において、イントロデューサアセンブリ取得ステップと、針路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、RICC前進ステップと、を含む。挿入アセンブリ取得ステップは、任意選択的に、既にその動作準備完了状態にあるRICC挿入アセンブリを取得することを含む。RICC挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを含む。加えて、RICC挿入アセンブリは、カプラのカプラハウジングの少なくとも封止モジュールキャビティと、イントロデューサ針の針ハブの遠位部分に結合された封止モジュールインサートの近位部分と、封止モジュールキャビティ内に配置された封止モジュールインサートの遠位部分と、の間に形成された分割可能な封止モジュールを含む。分割可能な封止モジュールは、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを別々に封止する。針路確立ステップは、イントロデューサ針を用いて皮膚の領域から血管内腔への針路を確立することを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、分割可能な封止モジュール及びイントロデューサ針の針シャフトの長手方向針スロットの両方を通って、アクセスガイドワイヤの遠位部分を前進させることを含み、それにより、アクセスガイドワイヤの遠位端は、イントロデューサ針内で針シャフトの針先端部のすぐ近位の位置から血管内腔内へ前進させられる。RICC前進ステップは、RICCのカテーテルチューブをアクセスガイドワイヤ上で血管内腔内へ前進させることによって、RICCを血管内腔へ挿入することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされると、イントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路の両方を完成させる。
【0034】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針通路の近位部分は、封止モジュールインサートの近位部分に存在する。加えて、イントロデューサ針通路の遠位部分は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされた封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分によって完成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ通路の全体は、封止モジュールキャビティ内で組み合わされた封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分によって完成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ通路の遠位端は、イントロデューサ針通路の内側部分に接続する。そのような接続は、アクセスガイドワイヤの遠位部分が、針シャフトの長手方向針スロットを通って針シャフト内に配置されることを可能にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針通路は、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針の近位部分の周りを封止するように構成されている。加えて、アクセスガイドワイヤ通路は、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤの遠位部分の周りを封止するように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、本方法は、状態確認ステップを更に含む。状態確認ステップは、針路確立ステップの前に、RICC挿入アセンブリがその動作準備完了状態にあることを確認することを含む。このような確認は、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されて、それぞれ、イントロデューサ針及びアクセスガイドワイヤの周りにイントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路を封止することを確実にする。
【0039】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、RICCの遠位端から延びているアクセスガイドワイヤのカテーテル外部分をつまむことと、カプラの分割可能な封止モジュールを介してアクセスガイドワイヤを針シャフトの中に押し込むこと、とを含む。このようにしてアクセスガイドワイヤを前進させることで、アクセスガイドワイヤにその上にRICCが配置されるループを減少させる。ループは、針シャフト内に配置されたアクセスガイドワイヤの遠位部分と、カプラのアクセスガイドワイヤ接続サイドアームのコネクタに接続されたアクセスガイドワイヤのアクセスガイドワイヤハブと、によって形成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、RICCのカテーテルチューブ及びRICCの遠位端から延びているアクセスガイドワイヤのカテーテル外部分の両方の上の分割可能なケーシングをつまむことを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップはまた、分割可能なケーシングをつまみながら、分割可能なケーシングをカプラの分割可能なケーシング保持サイドアームの一次チャネルに押し込むことを含む。分割可能なケーシングを分割可能なケーシング保持サイドアームの一次チャネル内にこのようにつまんで押し込むことにより、アクセスガイドワイヤは分割可能なケーシングから分割可能なケーシング保持サイドアームの二次チャネル内へ、その後、カプラの分割可能な封止モジュールを介して針シャフトへと分割して離れる。
【0041】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤにその上にRICCが配置されるループを減少させることを含む。ループは、分割可能なケーシング保持サイドアームの一次チャネル内に保持された分割可能なケーシングと、カプラのアクセスガイドワイヤ接続サイドアームのコネクタに接続されたアクセスガイドワイヤのアクセスガイドワイヤハブと、によって形成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は、針引き抜きステップを更に含む。イントロデューサ針引き抜きステップは、RICC前進ステップの前に、アクセスガイドワイヤを血管内腔内に残したままで、イントロデューサ針をカプラから引き抜くことを含む。イントロデューサ針をカプラから引き抜くことによって、イントロデューサ針の針ハブが針ハブレセプタクルから取り外され、針ハブとともに、封止モジュールインサートの近位部分が封止モジュールキャビティから取り外され、それによって、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が互いから分割されて離れ、イントロデューサ針の近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位部分が開封され、アクセスガイドワイヤが分割可能な封止モジュールから脱出することが可能になる。
【0043】
いくつかの実施形態では、イントロデューサ針引き抜きステップは、イントロデューサ針の針スロット封止シースを針シャフトから切り離すことを含む。カプラは、分割可能な封止モジュール内に延びているブレードを含み、それにより、ブレードは、針シャフトからシースを切り離すための遠位向きのブレード縁部とともに、シースのシース開口部の遠位端の下の針スロット内に配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、針シャフトからシースを切り離すことは、アクセスガイドワイヤが針スロットを経由して針シャフトから脱出することを可能にする。
【0045】
いくつかの実施形態では、カプラハウジングの長手方向カプラハウジングスロットは、イントロデューサ針引き抜きステップの後、アクセスガイドワイヤがカプラハウジングから脱出することを可能にする。
【0046】
いくつかの実施形態において、針路確立ステップは、イントロデューサ針又はイントロデューサ針に流体的に接続されたシリンジ内に血液が逆流することを確実にし、それによって針路が血管内腔内に延びていることを確認することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本方法は、血液吸引ステップを更に含む。血液吸引ステップは、針路が血管内腔内に延びていることを確認するために、シリンジを用いて血液を吸引することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、本方法は、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップを更に含む。アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブを血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本方法は、操縦ガイドワイヤ前進ステップと、追加のRICC前進ステップと、操縦ガイドワイヤ引き抜きステップとを更に含む。操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICCの一次ルーメンを経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。別のRICC前進ステップは、カテーテルチューブを、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓の上大静脈(「SVC」)の下部1/3にまで血管内腔内に更に前進させることを含む。操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブを残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0050】
本明細書で提供される構想の、これらの特徴及び他の特徴は、そのような構想の特定の実施形態をより詳細に説明する、添付図面及び以下の説明を考慮することで、当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリを示す。
図2】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのカプラの斜視図を示す。
図3】いくつかの実施形態による、カプラの側面図を示す。
図4】いくつかの実施形態による、カプラ及びその分割可能な封止モジュールの長手方向断面を示す。
図5】いくつかの実施形態による、針ハブ、イントロデューサ針、並びに分割可能な封止モジュールの封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分の斜視図を示す。
図6】いくつかの実施形態による、針ハブ、並びに封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分の長手方向断面を示す。
図7】いくつかの実施形態による、2つの異なる状態における、分割可能な封止モジュールの長手方向断面を示す。
図8】いくつかの実施形態による、2つの異なる状態における、分割可能な封止モジュールの近位部分の横断面を示す。
図9】いくつかの実施形態による、カプラのカプラハウジングによって画定された分割可能な封止モジュールの封止モジュールキャビティ内の封止モジュールインサートの半径方向圧縮を示す。
図10】いくつかの実施形態による、針ハブによる封止モジュールキャビティ内の封止モジュールインサートの軸線方向圧縮による、封止モジュールキャビティ内の封止モジュールインサートの半径方向圧縮を示す図である。
図11】いくつかの実施形態による、封止モジュールインサートのイントロデューサ針通路及びアクセスガイドワイヤ通路内に内部リリーフを有する別の封止モジュールインサートの長手方向断面を示す。
図12】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の上面図を示す。
図13A】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の切断可能なシースを示す。
図13B】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の分割可能なシースを示す。
図13C】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の別の分割可能なシースを示す。
図13D】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の更に別の分割可能なシースを示す。
図14】いくつかの実施形態による、イントロデューサ針の針シャフトを示す。
図15】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのRICCを示す。
図16】いくつかの実施形態による、RICCのカテーテルチューブの遠位部分の詳細図を示す。
図17】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の横断方向断面を示す。
図18】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の別の横断方向断面を示す。
図19】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分の長手方向断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書で開示される特定の実施形態は、本明細書で提供される構想の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書で開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、任意選択で、本明細書で開示されるいくつかの他の実施形態のうちのいずれかの特徴と組み合わせるか、又はそれと置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0053】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、これらの用語は、本明細書で提供される構想の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1の、第2の、第3の等)は、概して、特徴又はステップの群における異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用されるものであり、連続性の限定又は数値的限定をもたらすものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。加えて、前述のいずれの特徴又はステップも、特に断らない限り、1つ以上の特徴又はステップを更に含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等のラベルは、便宜上使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を含意することを意図するものではない。代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないことを明確に示していない限り、複数形を含む。
【0054】
「近位」に関して、例えばカテーテルの、「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの部分を含む。同様に、例えばカテーテルの、「近位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えばカテーテルの、「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかし、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0055】
「遠位」に関して、例えばカテーテルの、「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの部分を含む。同様に、例えばカテーテルの、「遠位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えばカテーテルの、「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近く又は患者内にあることが意図されるカテーテルの端を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかし、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別様に示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0056】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0057】
セルディンガー法に関して上述したように、多くのステップに時間がかかり、多くの医療デバイスの取り扱いが厄介であるため、前述の両方が患者の外傷につながる可能性がある。加えて、セルディンガー法の間に交換する必要がある医療デバイスが多いことに起因して、接触汚染の可能性が比較的高い。したがって、CVC等のカテーテルを患者に導入し、患者の血管系を通してカテーテルを前進させることに関与するステップ及び医療デバイスの数を減らす必要がある。
【0058】
本明細書に開示されるのは、上記に対処するRICCの挿入アセンブリ及び方法である。特に、本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリは、RICC挿入アセンブリの異なる構成要素をその中に封止するための分割可能な封止モジュールを含む。例えば、RICC挿入アセンブリは、RICCと、イントロデューサ針と、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサ針を互いに結合するカプラとを含むことができる。イントロデューサ針は、針ハブの遠位部分に結合された封止モジュールインサートの近位部分を含むことができる。カプラは、封止モジュールキャビティと、封止モジュールキャビティ内に配置された封止モジュールインサートの遠位部分とを含むカプラハウジングを含むことができる。封止モジュールキャビティ並びに封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分は、RICC挿入アセンブリの分割可能な封止モジュールを形成する。分割可能な封止モジュールは、封止モジュールインサートの近位部分及び遠位部分が封止モジュールキャビティ内で圧縮されたときに、イントロデューサ針及びその中に配置されたアクセスガイドワイヤの周りを別々に封止するように構成され得る。
【0059】
本明細書で開示されるRICC挿入アセンブリ及び方法の前述の特徴並びに他の特徴は、RICC挿入アセンブリ及び方法の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。しかしながら、RICC挿入アセンブリのRICCは、本明細書に開示されるもののようなカテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得るカテーテルの1つのタイプにすぎないことを理解されたい。実際に、末梢挿入中心静脈カテーテル(「PICC(peripherally inserted central catheter)」)、透析カテーテル等もまた、本明細書に開示されるようなカテーテル挿入アセンブリ及び方法に組み込まれることができる。
【0060】
RICC挿入アセンブリ
図1は、いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリ100を示す。
【0061】
示されるように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサ針104と、アクセスガイドワイヤ106と、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてRICC102、イントロデューサ針104、及びアクセスガイドワイヤ106を一緒に結合するカプラ108とを含む。以下により詳細に記載されるように、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、カプラ108に結合され、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、イントロデューサ針104の針ルーメン158内に配置される。これは、RICC102がRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106に、その上にRICC102が配置されるループ110を形成し、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0062】
RICC挿入アセンブリ100は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてイントロデューサ針104に流体結合されたシリンジ112を更に含むことができる。以下に記載されるように、分割可能な封止モジュール196は、封止モジュールインサート198がRICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態において封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止する。特に、分割可能な封止モジュール196は、針シャフト144の針スロット150に対して開くシース142のシース開口部162を覆って封止する。分割可能な封止モジュール196の外側で、シース142は、針シャフト144の針スロット150を封止する。このような封止は、後述する方法の血液吸引ステップに従ってシリンジ112が血液を吸引することを可能にする。
【0063】
最後に、少なくともRICC102、イントロデューサ針104、アクセスガイドワイヤ106、カプラ108、及びシリンジ110から選択されたRICC挿入アセンブリ100の任意の構成要素、又は前述の構成要素から選択された構成要素の任意の部分は、その上又はその中に抗菌剤を含むことができる。一例では、RICC102のカテーテルチューブ114は、カテーテルチューブ114の反ルーメン側表面、カテーテルチューブ114のルーメン側表面、又は両方の上に抗菌性コーティングを含むことができる。別の例では、カテーテルチューブ114の押出前材料は、その中に混合された抗菌剤を含むことができ、それにより、抗菌剤がカテーテルチューブ114に組み込まれ、押出時に、抗菌剤がカテーテルチューブ114の反ルーメン側表面及びカテーテルチューブ114のルーメン側表面の両方を微生物汚染から保護する。
【0064】
図15は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のRICC102を示す。
【0065】
示されるように、RICC102は、カテーテルチューブ114と、カテーテルハブ116と、1つ以上の延長脚部118と、1つ以上の延長脚部コネクタ120とを含む。
【0066】
図16図19は、いくつかの実施形態による、RICC102のカテーテルチューブ114の様々な図を示す。
【0067】
カテーテルチューブ114は、カテーテルチューブ114の遠位部分の第1のセクション122と、第1のセクション122の近位にあるカテーテルチューブ114の遠位部分の第2のセクション124と、カテーテルチューブ114の第1のセクション122と第2のセクション124との間のテーパ状接合部126とを含む。
【0068】
カテーテルチューブ114の第1のセクション122は、接合部126の遠位にある第1のセクション122の遠位部分の外径から第1のセクション122の遠位端の外径まで比較的短いテーパを有するカテーテル先端部128を含む。カテーテル先端部128のテーパは、イントロデューサ針104によって確立された針路の周りにある組織を、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の遠位部分の外径まで即時に拡張するように構成されている。また、図19に最もよく示されるように、カテーテルチューブ114の第1のセクション122は、近位部分を含み、この近位部分は、接合部126の遠位部分の穴内に配置されており、かつ溶剤接合、接着剤接合、又は熱溶接等によってその穴に固定的に結合されている。
【0069】
カテーテルチューブ114の第2のセクション124は、第2のセクション124の遠位端から第2のセクション124の近位端までのその長さにわたって一定の外径を含む。カテーテルチューブ114の第2のセクション124の一定の直径は、カテーテルチューブ114の第1のセクション122及び接合部126による任意の拡張後の、針路及び標的血管系内に円滑な挿入のために構成されている。カテーテルチューブ114の第2のセクション124の遠位端は、平坦面を有し、この平坦面は、接合部126の平坦面近位端と同一平面上にあり、溶剤接合、接着剤接合、又は熱溶接等によってその近位端に固定的に結合されている。
【0070】
接合部126は、接合部126の近位端から接合部126の遠位端まで、その長さにわたってテーパを含む。接合部126のテーパは、針路の周りにある組織を、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の近位部分の外径からカテーテルチューブ114の第2のセクション124の外径まで、即時に拡張するように構成されている。接合部126の反ルーメン側表面は、カテーテルチューブ114が針路に挿入されるときに皮膚に引っ掛かる縁部を生じることなく、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の反ルーメン側表面からカテーテルチューブ114の第2のセクション124の反ルーメン側表面へ滑らかに移行する。縁部が最小限ないし無視できる程度であることに加えて、縁部は、カテーテルチューブ114を形成するポリマー材料のうち溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これにより、カテーテルチューブ114の第1のセクション122から接合部126への移行、及び接合部126からカテーテルチューブ114の第2のセクション124への移行が滑らかになる。特に、接合部126は、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の露出部分の長さにほぼ相当する長さ、又はカテーテルチューブ114の第1のセクション122の露出部分の長さと第2のセクション124の露出部分の長さとの間の長さを有する。このように、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の露出部分の長さは、接合部126の長さよりも短く、最大で接合部126の長さにほぼ相当する。
【0071】
カテーテルチューブ114の第1のセクション122は、第1のデュロメータを有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタン)から形成される。カテーテルチューブ114の第2のセクション124は、第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2のポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、別のポリウレタン、又はシリコーン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ114の第1のセクション122は、第1のデュロメータを有する第1のポリウレタンから形成することができ、カテーテルチューブ114の第2のセクション124は、第1のデュロメータよりも小さい第2のデュロメータを有する第2の異なるポリウレタン(例えば、同じ又は異なるジイソシアネート若しくはトリイソシアネートが、異なるジオール又はトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、同じ又は異なるジオール若しくはトリオールと反応したもの、同じジイソシアネート又はトリイソシアネートが、異なる条件下又は異なる添加物を有する同じジオール又はトリオールと反応したもの等)から形成することができる。実際、ポリウレタンは、室温では相対的に剛性であるが、生体内では体温でより可撓性になり得、これにより血管壁への刺激並びに静脈炎が低減されるという点で、カテーテルチューブ114に好都合である。ポリウレタンはまた、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低くなり得るという点でも好都合である。接合部126は、第1のデュロメータよりも小さく、かつ第2のデュロメータに比べて、大きいか、ほぼ等しいか、又は小さい第3のデュロメータを有する第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料(例えば、更に別のポリウレタン)から形成される。
【0072】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ、及び第3のポリマー材料の第3のデュロメータは、異なるスケールによるもの(例えば、タイプA又はタイプD)であってもよいことを理解されたい。この理解により、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ又は第3のポリマー材料の第3のデュロメータは、第2のデュロメータ又は第3のデュロメータが第1のデュロメータよりも小さい場合に、絶対値的には、第1のポリマー材料の第1のデュロメータよりも小さくない可能性がある。実際に、第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料の硬度は、やはり第1のポリマー材料の硬度よりも低い場合がある。それぞれ0~100の範囲である異なるスケールが、同様の硬度を有する材料の群における別々の材料を特徴付けるように設計されているためである。
【0073】
上述したカテーテルチューブ114の第1のセクション122、カテーテルチューブ114の第2のセクション124、及びカテーテルチューブ114の第1のセクション122と第2のセクション124との間の接合部126によれば、カテーテルチューブ114は、後述するイントロデューサ針104によって確立された針路内に挿入されたときに、カテーテルチューブ114の座屈を防止するのに十分なカラム強度を有する。また、別個の拡張器を用いて針路周りの組織又は血管系のいかなる血管も予め拡張することなく、患者の血管系を通してカテーテルチューブを前進させるときに、カテーテルチューブ114のカラム強度は、カテーテルチューブ114の座屈を防止するのにも十分である。
【0074】
カテーテルチューブ114は、カテーテルチューブ114を通って延びている1つ以上のカテーテルチューブルーメンを含む。しかしながら、通常、マルチルーメンRICC(例えば、2ルーメンRICC、3ルーメンRICC、4ルーメンRICC、5ルーメンRICC、6ルーメンRICC等)において、カテーテルチューブ114の近位端からカテーテルチューブ114の遠位端まで延びているカテーテルチューブルーメンは1つだけである。(図16図19を参照。)実際、カテーテルチューブ114の第1のセクション122は、図17及び図19に示されるように、通常、そこを通る単一のルーメンを含む。
【0075】
カテーテルハブ116は、カテーテルチューブ114の近位部分に結合される。カテーテルハブ116は、1つ以上のカテーテルチューブルーメンに数が対応する1つ以上のカテーテルハブルーメンを含む。1つ以上のカテーテルハブルーメンは、カテーテルハブ116の近位端からカテーテルハブ116の遠位端までカテーテルハブ116の全体を通って延びている。
【0076】
1つ以上の延長脚部118の各延長脚部が、その遠位部分によってカテーテルハブ116に結合されている。1つ以上の延長脚部118はそれぞれ、1つ以上の延長脚部ルーメンを含み、この延長脚部ルーメンの数は、1つ以上のカテーテルハブルーメンの数に対応する。1つ以上の延長脚部ルーメンの各延長脚部ルーメンは、延長脚部の近位端から延長脚部の遠位端まで延長脚部全体を通って延びている。
【0077】
1つ以上の延長脚部コネクタ120の各延長脚部コネクタは、1つ以上の延長脚部118のうちの1つの延長脚部の近位部分の上にある。例えば、1つ以上の延長脚部コネクタ120の各延長脚部コネクタは、1つ以上の延長脚部118のうちの1つの延長脚部の近位部分上のルアーコネクタとすることができる。そのような延長脚部コネクタを通して、対応する延長脚部及びその延長脚部ルーメンは、別の医療デバイス及びそのルーメンに接続されることができる。しかしながら、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態では、少なくとも1つの延長脚部コネクタ(たとえば、RICC102の一次ルーメン130の一部を含む延長脚部コネクタ)は、介入するアクセスガイドワイヤハブ218を介してカプラ108のアクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174に間接的に接続されて、その上のアクセスガイドワイヤ106及びRICC102にループ110を形成する。
【0078】
示されるように、RICC102は、3つのルーメンのセットを含む3ルーメンRICCである。しかしながら、RICC102は、上述したような3つのルーメンのセットに限定されない。3つのルーメンのセットは、3つのカテーテルチューブルーメン、3つのカテーテルハブルーメン、及び3つの延長脚部ルーメンの流体接続された部分から形成される、一次ルーメン130、二次ルーメン132、三次ルーメン134を含む。一次ルーメン130は、カテーテルチューブ114の第1のセクション122の遠位端に一次ルーメン開口136を有し、一次ルーメン開口136は、カテーテルチューブ114の遠位端及びRICC102の遠位端に対応する。二次ルーメン132は、カテーテルチューブ114の遠位部分の側面に二次ルーメン開口138を有する。三次ルーメン134は、二次ルーメン開口138の近位にあるカテーテルチューブ114の遠位部分の側面に三次ルーメン開口140を有する。
【0079】
図12は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のイントロデューサ針104の上面図を示す。図13A図13Dは、いくつかの実施形態による、イントロデューサ針104のシース142を示す。図14は、いくつかの実施形態による、イントロデューサ針104の針シャフト144を示す。
【0080】
示されるように、イントロデューサ針104は、針シャフト144と、針シャフト144を覆うシース142と、針シャフト144の近位端部分及びシース142の近位端部分の両方を覆うイントロデューサ針104の近位部分内の針ハブ146とを含む。加えて、イントロデューサ針104は、特に封止モジュールインサート198の近位部分200が針ハブ146に取り外し可能にではなく固定的に結合される場合、針ハブ146の遠位部分に結合された封止モジュールインサート198の近位部分200を含むと考えることができる。少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、針シャフト144及びシース142は、針ハブ146から、分割可能な封止モジュール196を通って、カプラハウジング172の遠位端から外に延びている。
【0081】
針シャフト144は、針シャフト144の遠位部分の針先端部148と、針シャフト144の近位部分から針先端部148まで延びている長手方向針スロット150とを含む。
【0082】
針先端部148は、先端部ベベル152と、先端部ベベル152の近位の一次ベベル154とを有するベベルを含む。先端部ベベル152の先端部ベベル角度は、一次ベベル154の一次ベベル角度よりも大きく、それにより、ベベルに針先端部148にわたって滑らかな移行をもたらす。したがって、そのような針先端部は、後述する方法の針路確立ステップに従って、皮膚の領域から患者の血管内腔内までの針路を確立するように構成されている。
【0083】
針スロット150は、針シャフト144の少なくとも近位部分から針先端部148まで延び、それによって、針シャフト144を通る針ルーメンとは対照的に、針シャフト144の長さの大部分に沿って針チャネル156を形成する。すなわち、針スロット150は、針シャフト144の近位端から針先端部148まで延びていることができ、それによって、針シャフト144の長さ全体に沿って針チャネル156を形成する。針スロット150は、アクセスガイドワイヤ106の外径に従って寸法決めされた幅を有し、これにより、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップが実行されるときに、アクセスガイドワイヤ106が、針シャフト144の近位部分から針先端部148まで通過することが可能になる。
【0084】
特に、針シャフト144は前述の針チャネル156を含むのに対して、イントロデューサ針104は針ルーメン158を含む。これは、針ルーメン158が、針シャフト144と、針シャフト144を覆うシース142との組み合わせからもたらされるためである。実際、針シャフト144を覆うシース142は、針チャネル156を封止して、イントロデューサ針104の針ルーメン158を形成し、後述する方法の血液吸引ステップに従ってシリンジ112が血液を吸引することを可能にする。
【0085】
シース142は、シース142の遠位部分のシース先端部160と、シース142の近位部分の側面にシース開口部162とを含む。
【0086】
シース先端部160は、シース142の遠位部分の外径からシース142の遠位端の外径までの比較的短いテーパを含み、後者は、針シャフト144の遠位部分の外径に相当する。テーパは、針先端部148の一次ベベル154の一次ベベル角度よりも小さいテーパ角度を有し、このテーパ角度は、針先端部148の先端部ベベル152の先端部ベベル角度よりも小さい。このようなテーパを含むシース先端部160は、後述する方法の針路確立ステップのために、針先端部148からシース本体への滑らかな移行を提供するように構成されている。
【0087】
シース開口部162は、針シャフト144の針スロット150に対して開いており、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部162を通過して針スロット150内に入ることを可能にする。したがって、シース開口部162は、針スロット150の幅にほぼ相当する幅を有し、針スロットは、アクセスガイドワイヤ106の直径に従ってサイズ決めされる。シース開口部162はまた、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部162を通過して針スロット150内に入ることを可能にすると同時に、分割可能な封止モジュール196のブレード212をシース開口部162の遠位端の下に収容するのに十分な長さを有する。特に、針シャフト144を覆うシース142は、シース開口部162の下を除いて、その下の針スロット150を封止する。しかしながら、分割可能な封止モジュール196は、針シャフト144及びシース142の近位部分をその中に封止することによって、シース開口部162によって露出される針スロット150を覆って封止し、それによって、シリンジ112が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0088】
シース142は、アクセスガイドワイヤ106が針スロット150を経由して針シャフト144から脱出することを可能にするために、針シャフト144からシース142をそれぞれ切り離すか又は分割して離すように構成された切断可能又は分割可能なシースであり得る。針シャフト144から切り離すように構成されている場合、シース142は、針シャフト144からシース142を切り離すことを容易にするポリウレタン等のポリマー材料から形成され得る。針シャフト144から分割されて離れるように構成されている場合、シース142は、シース142を分割して針シャフト144から離すことを容易にする、シース142を分割するための分割手段を含むことができる。
【0089】
シース142を分割するための分割手段は、シース142を分割して針シャフト144から離すことを容易にするシース142の1つ以上の弱化部分を含むことができる。実際、図13Bに示されるように、シース142は、シース142を分割して針シャフト144から離すために、シース142にわたって長手方向に延びている、孔、スリット、又はそれらの組み合わせのパターン228で穿孔され得る。特に、パターン228は、針スロット150からオフセットされており、それによって、孔、スリット、又はそれらの組み合わせのパターン228にかかわらず、針シャフト144及びその針スロット150を覆ってシース142によって提供される封止を維持する。あるいは、図13Cに示されるように、シース142は、シース142にわたって長手方向に延びている1つ以上の溝230を含むことができる。シース142は、1つ以上の溝230に沿って最も薄く、1つ以上の溝に沿ってシース142を分割して針シャフト144から離すことを可能にする。
【0090】
シース142を分割するための分割手段は、シース142内に長手方向に延びている埋め込まれた引張コード232を含むことができ、これは、シース142を分割して針シャフト144から離すことを容易にする。実際に、引張コード232は、引張コード232がシース142から引き離されるとき、シース142を分割するように構成されている。任意選択的に、引張コード232は、引張コード232をシース142から引き離すために引張コード232の近位端部分の上に引張タブ234を含む。引張コード232が引張タブ234を含むか否かにかかわらず、引張コード232の近位端部分は、シース142を分割して針シャフト144から離すために必要とされるときに、引張コード232をシース142からカプラハウジングスロット182に沿って引っ張るために、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてカプラ108から延びていることができる。
【0091】
シース142又はそのシース本体は、後述する方法の針路確立ステップに従って、患者の皮膚の領域から血管内腔へのイントロデューサ針104の滑らかで一貫した挿入を容易にするように構成されたポリマー材料から形成される。加えて、ポリマー材料は、後述する方法の血液吸引ステップが行われるとき、針シャフト144の針スロット150の中へのシース142の圧潰に耐えるのに十分なシース142の厚さにおける機械的特性を有する一方で、特に、針シャフト144からシース142を切断するための後述する方法の少なくともイントロデューサ針引き抜きステップに従って、針シャフト144からシース142を切断又は分割することも容易にする。そのようなポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)を含むことができるが、それらに限定されない。一例では、シース142がブレード212によって針シャフト144から切り離されるRICC挿入アセンブリ100の実施形態において、シース142はポリウレタンであり得る。別の例では、シース142が針シャフト144から分割されて離れるRICC挿入アセンブリ100の実施形態において、シース142は、PTFE又は更には延伸PTFE(「ePTFE」)であり得る。シース142が例えばePTFEである場合、シース142は、シース142を分割して針シャフト144から離すためのシース142の1つ以上の弱化部分を含む必要がない。なぜなら、ePTFE自体が、ePTFE内のポリマー鎖の長手方向配置のために、シース142を分割するための分割手段だからである。
【0092】
針ハブ146は、針ハブ146の遠位部分にアクセスガイドワイヤチャネル164と、針ハブ146の近位部分に針ハブコネクタ166とを含む。
【0093】
針ハブ146のアクセスガイドワイヤチャネル164は、アクセスガイドワイヤ106が針ハブ146の上を通過し、アクセスガイドワイヤ106を分割可能な封止モジュール196のアクセスガイドワイヤ通路206内に導くことを可能にするように構成されている。アクセスガイドワイヤチャネル164は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がアクセスガイドワイヤチャネル164内に位置するように開いている。有利には、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップに従って、イントロデューサ針104がRICC挿入アセンブリ100から引き抜かれるときに、開いたアクセスガイドワイヤチャネル164は、アクセスガイドワイヤ106が定位置に留まることを可能にする。
【0094】
特に、針ハブ146のアクセスガイドワイヤチャネル164は、針ハブ146の遠位部分に結合された封止モジュールインサート198の近位部分200のアクセスガイドワイヤチャネル168の中へ移行する。封止モジュールインサート198の近位部分200が封止モジュールインサート198の遠位部分202と組み合わされるとき、封止モジュールインサート198の近位部分200のアクセスガイドワイヤチャネル168は、封止モジュールインサート198の遠位部分202のアクセスガイドワイヤチャネルと結合して、分割可能な封止モジュール196のアクセスガイドワイヤ通路206を形成する。針ハブ146は、それに結合された封止モジュールインサート198の近位部分200を含み、それぞれ、カプラハウジング172の針ハブレセプタクル180及び封止モジュールキャビティ178内に取り外し可能に配置されるように構成されている。以下に説明するように、針ハブ146の遠位部分は、針ハブ146が針ハブレセプタクル180内に配置され、封止モジュールインサート198の近位部分200が封止モジュールキャビティ178内に配置されたときに、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200を軸線方向に圧縮する。封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200の軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202の両方を半径方向に圧縮する。
【0095】
針ハブコネクタ166は、針ハブ穴170と、針ハブコネクタ166の周りの任意選択の針ハブフランジ(図示せず)とを含む。
【0096】
針ハブコネクタ166の針ハブ穴170は、イントロデューサ針104をシリンジ112に流体接続するために、シリンジ112のシリンジ先端部をその中に受け入れるように構成されている。実際、針ハブ穴170は、その中にシリンジ先端部116を受け入れるように構成されたルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、そのシリンジ先端部は、ルアーテーパを用いて相補的に構成され得る。
【0097】
針ハブコネクタ166の針ハブフランジは、シリンジ112のシリンジ先端部の周りのねじ山付きカラーの雌ねじと螺合するように構成されている。シリンジ112のねじ山付きカラーは任意選択であるが、針ハブフランジは、有利には、両方が存在する場合、ねじ山付きカラーの雌ねじとのいわゆるルアーロック式接続を提供する。これにより、イントロデューサ針104とシリンジ112との不用意な分離に対する安全性が、別様のルアースリップ型接続によって提供される安全性よりも高くなる。
【0098】
図2図11は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のカプラ108の様々な図を示す。
【0099】
示されるように、カプラ108は、カプラハウジング172と、アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174と、任意選択的に、RICC挿入アセンブリ100がキーパー220も含む場合には、分割可能なケーシング保持サイドアーム176とを含む。
【0100】
カプラハウジング172は、封止モジュールキャビティ178と、封止モジュールキャビティ178の近位にある針ハブレセプタクル180と、カプラハウジング172の長さに沿って形成された長手方向のカプラハウジングスロット182とを含む。(図4を参照。図4は、封止モジュールキャビティ178内に配置された封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202を含む。図4はまた、針ハブレセプタクル180内に配置されたイントロデューサ針104の針ハブ146を含む。)特に、カプラハウジング172は、RICC挿入アセンブリ100を用いて、左利きによる静脈穿刺の場合には左手で、又は右利きによる静脈穿刺の場合には右手で、アンダーハンドで(例えば、ゆりかご状)又はオーバーハンドで快適に保持されるように構成された弾丸形状の本体に形成され得る。そのような静脈穿刺を更に容易にするために、カプラハウジング172の外部は、把持強化の隆起(例えば、横方向又は円周方向の隆起)、突出部、又は同等物を用いてテクスチャ加工されることができる。
【0101】
封止モジュールキャビティ178は、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202をその中に保持するように構成されている。実際には、封止モジュールキャビティ178は、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態の各状態において、その中に捕捉されているように配置された封止モジュールインサート198の少なくとも遠位部分202を含む。例えば、封止モジュールキャビティ178は、その遠位部分内にキャッチ184を含むことができ、キャッチ184は、封止モジュールキャビティ内の封止モジュールインサート198の遠位部分202の捕捉されている配置のために、封止モジュールインサート198の遠位部分202の突起186をその中に受け入れるように構成されている。封止モジュールキャビティ178はまた、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態又は1つ以上の動作状態等のRICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態のうちの少なくともいくつかの状態において、その中に配置された封止モジュールインサート198の近位部分200を含む。
【0102】
針ハブレセプタクル180は、その中にイントロデューサ針104の針ハブ146を保持するように構成されている。実際、針ハブレセプタクル180は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、その中に挿入された針ハブ146を含む。図示されていないが、カプラ108は、針ハブレセプタクル180の周りに、針ハブレセプタクル180内で針ハブ146をロックするように構成された針ハブロックを含むことができる。実際、針ハブロックの一対のロックボタン(例えば、ばね式ロックボタン)は、カプラハウジング172の互いに反対側の側面の間に分散され得、それにより、ロックボタンの各ロックボタンがカプラ108のそれぞれの側でカプラハウジング172を通って延びている。このようなロックボタンは、カプラ108からイントロデューサ針104を引き抜くためにロックボタンがカプラハウジング172内に押し込まれたときに、針ハブ146をロック解除するように構成することができる。ロックボタンをロック解除すると、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200を圧縮している、針ハブ146の遠位部分からの軸線方向圧縮を直ちに解放することができる。これにより、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202が、カプラ108からイントロデューサ針104を引き抜くために弛緩することを可能にする。これはまた、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいて、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれたとき、アクセスガイドワイヤ106の脱出のために、封止モジュールインサート198の近位部分及び遠位部分が分離されることを可能にする。
【0103】
カプラハウジング172の長さに沿って形成されたカプラハウジングスロット182は、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいて、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれた後に、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング172から脱出することを可能にするように構成されている。実際、イントロデューサ針104がイントロデューサ針引き抜きステップにおいてカプラ108から引き抜かれるとき、封止モジュールインサート198の近位部分200も封止モジュールキャビティ178から引き抜かれ、いったん封止モジュールインサート198の近位部分200が封止モジュールキャビティ178から取り外されると、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング172から脱出することを可能にする。
【0104】
アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174は、カプラ108又はそのカプラハウジング172から延びている。アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174は、アクセスガイドワイヤ106の近位端部分の周りでアクセスガイドワイヤハブ218に接続するように構成されたコネクタ188を含み、アクセスガイドワイヤハブ218は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、RICC102の近位端から延びている。RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態にある間、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は、針シャフト144内に配置され、アクセスガイドワイヤハブ218は、アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174のコネクタ188に接続され、それによって、アクセスガイドワイヤ106に、その上にRICC102が配置されるループ110を形成する。キーパー220及び分割可能なケーシング保持サイドアーム176の両方がRICC挿入アセンブリ100内に存在するとき、分割可能なケーシング222の遠位部分はまた、分割可能なケーシング保持サイドアーム176の一次チャネル190内に保持され、それによって、アクセスガイドワイヤ106に、その上にRICC102が配置されるループ110を更に形成する。
【0105】
存在する場合、分割可能なケーシング保持サイドアーム176は、アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174の反対側でカプラ108又はそのカプラハウジング172から延びている。分割可能なケーシング保持サイドアーム176は、一次チャネル190及び二次チャネル192を含む。一次チャネル190は、分割可能なケーシング222、又は分割可能なケーシング222及び少なくともアクセスガイドワイヤ106の長手方向複合材をその中に摺動自在に保持するように構成されている。二次チャネル192は、分割可能なケーシング222から分割されて離れたアクセスガイドワイヤ106を、カプラ108内に、その分割可能な封止モジュール196内に、及び針スロット150を経由してその中に封止された針シャフト144内に、誘導するように構成されている。一次チャネル190と二次チャネル192との間の分割可能なケーシング保持サイドアーム176の分岐点194は、分割可能なケーシング222及び少なくともその中のアクセスガイドワイヤ106の長手方向複合材がその中に押し込まれたときに、アクセスガイドワイヤ106を分割可能なケーシング222から分割して離れるように構成されている。
【0106】
図4図11は、いくつかの実施形態による、分割可能な封止モジュール196の様々な図を示す。
【0107】
RICC挿入アセンブリ100の分割可能な封止モジュール196は、カプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178と、その中に配置されたエラストマー系封止モジュールインサート198とを含み、封止モジュールインサート198は、本明細書においてそれぞれ、封止モジュールインサート198の近位部分200及び封止モジュールインサート198の遠位部分202と呼ばれる、捕捉されている近位部分200と取り外し可能な遠位部分202との間で分割される(特に、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202は、同じエラストマー(例えば、シリコーン)又は異なるエラストマーから形成され得る)。封止モジュールインサート198の近位部分200は、カプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内に配置されるか、又は他の方法で挿入されるように構成されており、封止モジュールインサート198の近位部分200は、封止モジュールインサート198の遠位部分202と結合して、分割可能な封止モジュール196を通る一対の通路を完成させる。前述の通路によって、分割可能な封止モジュール196は、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202が、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態(例えば、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態又は1つ以上の動作状態)において封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りを別々に封止するように構成されており、これにより、シリンジ112は、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することができる。
【0108】
封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202がカプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内で組み合わせられたときに完成される一対の通路は、イントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路206を含む。図7に示されるように、イントロデューサ針通路204の近位部分は、封止モジュールインサート198の近位部分200内に存在することができるが、イントロデューサ針通路204の遠位部分は、カプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内で組み合わせられたとき、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202によって完成される。図7に更に示されるように、アクセスガイドワイヤ通路206の全体は、カプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内で組み合わせられたとき、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202によって完成され得る。前述の通路を提供するために、封止モジュールインサート198の他の構成が可能であり、その構成は、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202の代替構成から封止モジュールインサート198の1つ以上の追加部分(例えば、内側部分)の包含に及ぶが、分割可能な封止モジュール196は、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の状態において封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202が封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、イントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路206によって、それぞれイントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。特に、封止モジュールインサート198の近位端及び遠位端の両方を通過するイントロデューサ針通路204とは対照的に、アクセスガイドワイヤ通路206の遠位端は、イントロデューサ針通路204の内側部分に接続し、それによって、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分が分割可能な封止モジュール196内に配置されていながら、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分が針シャフト144内に配置されることを可能にする。実際、アクセスガイドワイヤ通路206は、アクセスガイドワイヤ106を針ハブ146のアクセスガイドワイヤチャネル164からシース142のシース開口部162及びその下の針シャフト144の針スロット150の両方の中に導くように構成されており、それにより、アクセスガイドワイヤ106は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106の遠位端が針先端部148のすぐ近位にある状態で針シャフト144内に配置され得る。
【0109】
図11は、いくつかの実施形態による、封止モジュールインサート198のイントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路206内に内部リリーフ208及び210を有する封止モジュールインサート198の長手方向断面を示す。
【0110】
示されるように、封止モジュールインサート198の近位部分200と遠位部分202との間に形成されたイントロデューサ針通路204は、イントロデューサ針通路204の近位部分と遠位部分との間に内部リリーフ208を含むことができ、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいてカプラ108及びその分割可能な封止モジュール196から引き抜かれるときのイントロデューサ針104に対する摩擦を低減する。追加的に又は代替的に、アクセスガイドワイヤ通路206は、アクセスガイドワイヤ通路206の少なくとも近位部分に内部リリーフ210を含むことができ、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップにおいて、カプラ108及びその分割可能な封止モジュール196内に前進させられるときに、アクセスガイドワイヤ106に対する摩擦を低減する。イントロデューサ針通路204の近位部分と遠位部分との間の内部リリーフ208により、イントロデューサ針通路204の近位端及び遠位端を含むイントロデューサ針通路204の近位端部分及び遠位端部分のみが、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202がカプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分の周りを封止するように構成されている。アクセスガイドワイヤ通路206の近位部分内の内部リリーフ210により、アクセスガイドワイヤ通路206の近位端を含むアクセスガイドワイヤ通路206の近位端部分のみが、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202がカプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止するように構成されている。特に、内部リリーフ208及び210は、それぞれ、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106に対するイントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路206の摩擦をそれぞれ低減するように構成されているが、摩擦を低減するために、追加的又は代替的に、封止モジュールインサート198に潤滑剤を使用することができる。
【0111】
分割可能な封止モジュール196は、封止モジュールインサート198が封止モジュールキャビティ178内で圧縮されたときに、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを別々に封止するように構成されている。実際に、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202は、封止モジュールキャビティ178内で半径方向に圧縮されるか、又は封止モジュールキャビティ178内で軸方向及び半径方向の両方に圧縮されて、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りを封止し得る。前述による、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りの封止により、シリンジ112は、後述する方法の血液吸引ステップに従って、血液を吸引することができる。
【0112】
封止モジュールキャビティ178内での封止モジュールインサート198の半径方向圧縮の例では、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202は、図9に示されるように、カプラハウジング172自体によって封止モジュールキャビティ178内で半径方向に圧縮することができる。そのような実施形態を限定することなく、カプラハウジング172の2つの半体は、カプラハウジング172の2つの半体の間に形成されたカプラハウジングスロット182の反対側のヒンジによって二枚貝のように互いに結合され得る。カプラハウジングスロット182にわたる1つ以上のクランプは、カプラハウジング172の2つの半体を互いに保持し、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202を半径方向に圧縮するのに十分な圧力を加え、封止モジュールインサート198をイントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りを封止するために、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてクランプされ得る。1つ以上のクランプは、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の動作状態においてクランプ解除されて、半径方向圧縮を解放し、その後、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジングスロット182を通って脱出するために、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれることを可能にし得る。
【0113】
封止モジュールキャビティ178内での封止モジュールインサート198の半径方向及び軸線方向の両方の圧縮の例では、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202は、針ハブ146の遠位部分によって封止モジュールキャビティ178内で軸線方向及び半径方向の両方に圧縮され得る。針ハブ146の遠位部分は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態等において針ハブ146が針ハブレセプタクル180内に配置されたときに、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202を軸線方向に圧縮する。封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202の軸線方向圧縮は、次に、封止モジュールキャビティ178内の封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202を半径方向に圧縮し、それによって、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りで封止モジュールインサート198を封止する。針ハブ146は、RICC挿入アセンブリ100の1つ以上の動作状態において針ハブレセプタクルから取り外されて、軸線方向圧縮及び半径方向圧縮の両方を解放し、その後、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジングスロット182を通って脱出するために、イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれることを可能にし得る。
【0114】
カプラ108のカプラハウジング172は、分割可能な封止モジュール196のイントロデューサ針通路204内に延びているブレード212を更に含むことができる。ブレード212は、封止モジュールインサート198の遠位部分202にオーバーモールドすることができ、それによってブレード212をその中に一体化することができる。ブレード212又はそのブレード先端部214は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、シース開口部162の遠位端の下の針スロット150内に配置され得る。ブレード212は、後述する方法のイントロデューサ針引き抜きステップにおいて、イントロデューサ針104がイントロデューサ針通路204を通ってカプラ108から引き抜かれる際に、シース142を針シャフト144から切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部216を含む。イントロデューサ針104がカプラ108から引き抜かれる際にシース142を針シャフト144から切り離すことは、アクセスガイドワイヤ106が針スロット150を経由して針シャフト144から脱出することを可能にする。
【0115】
図1図4図9及び図10は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のアクセスガイドワイヤ106の様々な図を示す。
【0116】
アクセスガイドワイヤ106は、近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、遠位端を含むアクセスガイドワイヤ106の近位端部分の周りのアクセスガイドワイヤハブ218によって、アクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174に結合されている。加えて、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、RICC102の一次ルーメン130に沿って延びている。アクセスガイドワイヤ106の遠位部分はまた、RICC102の一次ルーメン130に沿って延びているが、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は更に、アクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分としてRICC102の遠位端から、アクセスガイドワイヤチャネル164によって針ハブ146の上の分割可能な封止モジュール196内へと延び、シース142のシース開口部162及び針シャフト144の針スロット150との両方を通って針シャフト144内に入り、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてイントロデューサ針104の針ルーメン158に沿って延びている。図1に示されるように、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、針ルーメン158内で針先端部148のすぐ近位に配置される。再び、アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態においてアクセスガイドワイヤ106にその上にRICC102が配置されるループ110を形成し、それによって、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0117】
アクセスガイドワイヤ106は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分にガイドワイヤ先端部を含むことができ、ガイドワイヤ先端部は、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成された「J」字形状をとる。そのようなガイドワイヤ先端部は、RICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において真っ直ぐな状態をとり、アクセスガイドワイヤ106が展開されるRICC挿入アセンブリ100の1つ以上の動作状態においてガイドワイヤ先端部が針先端部148を越えて前進させられる(例えば、血管内腔内に前進させられる)ときに湾曲状態をとる。
【0118】
アクセスガイドワイヤ106はまた、裸ワイヤ部分と、裸ワイヤ部分の遠位にあるか、裸ワイヤ部分の近位にあるか、又はその両方にある巻きワイヤ部分とを含むことができる。図示されていないが、存在する場合、裸ワイヤ部分は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、分割可能な封止モジュール196のアクセスガイドワイヤ通路206を通って遠位方向に延びており、それにより、分割可能な封止モジュール196がアクセスガイドワイヤ106の裸ワイヤ部分の周りに流体密封封止を形成する。特に、前述の裸ワイヤ部分は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106の平坦な巻き又は接地された巻き部分であってもよく、平坦な巻き部分は、丸線ワイヤの代わりにテープの巻線を含み、接地された巻き部分は、巻線を平坦にするように接地された丸線ワイヤの巻線を含む。
【0119】
図1は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のキーパー220を示す。
【0120】
示されるように、キーパー220は、分割可能なケーシング222と、分割可能なケーシング222の近位端が取り付けられるカテーテルハブホルダ224とを含むことができる。
【0121】
分割可能なケーシング222は、RICC挿入アセンブリ100において、カテーテルチューブ114とともに、アクセスガイドワイヤ106とともに、又はカテーテルチューブ114及びアクセスガイドワイヤ106の両方とともに、長手方向複合材を形成することができる。例えば、図1のRICC挿入アセンブリ100に関して、分割可能なケーシング222は、カテーテルハブホルダ224に最も近いRICC挿入アセンブリ100の部分においてカテーテルチューブ114及びアクセスガイドワイヤ106の両方の上にあり、したがって、そのカテーテルチューブ110及びアクセスガイドワイヤ106の両方とともに長手方向複合材を形成し、その部分において、アクセスガイドワイヤ106は、RICC102の一次ルーメン130内に配置されている。更に、図1のRICC挿入アセンブリ100に関して、分割可能なケーシング222は、カプラ108又はその分割可能なケーシング保持サイドアーム176に最も近いRICC挿入アセンブリ100の部分においてアクセスガイドワイヤ106のみの上にあり、したがって、そのアクセスガイドワイヤ106のみとともに長手方向複合材を形成し、その部分において、アクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分は、RICC102の遠位端から延びている。分割可能なケーシング222は、例えば、カプラ108の分割可能なケーシング保持サイドアーム176の分岐点194の上を摺動する際に、その長さに沿って分割するように構成されており、それにより、アクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分が最初に露出され、カテーテルチューブ114の遠位部分がその後露出される。このようにして、分割可能なケーシング222は、カテーテルチューブ114、及びアクセスガイドワイヤ106の少なくとも遠位部分を展開されるまで無菌に保つように構成されている。
【0122】
カテーテルハブホルダ224は、カテーテルハブ116をカテーテルハブホルダ224内に保持するように、かつ分割可能なケーシング222をカテーテルチューブ114及びアクセスガイドワイヤ106、特にアクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分を覆って、所定位置に保つように構成されている。カテーテルハブホルダ224は、カテーテルハブホルダ224の外周の少なくとも一部分(例えば、近位部分)の周りに周壁226を含む。周壁226は、カテーテルハブ116が工学的嵌め合い(例えば、ランニングフィット、スライディングフィット、若しくはロケーションフィット等のすきま嵌め、又は国際標準化機構[「ISO」]によって分類されるような同様のフィット及び固定フィット等の中間嵌め)によってその中に嵌合する凹部、並びに1つ以上の延長脚部118を通して延ばすための1つ以上の間隙を画定する。追加的又は代替的に、カテーテルハブホルダ224は、カテーテルハブ116の縫合ウィングに対応するウィングを含むことができる。そのようなウィングは、カテーテルハブ116の縫合ウィングの縫合ウィング孔に工学的嵌め合いによって挿入するように構成されたポストを含むことができる。
【0123】
方法
RICC挿入システム100の方法は、RICC102を患者の血管内腔内に挿入するための方法を含む。そのような方法は、挿入アセンブリ取得ステップ、状態確認ステップ、針路確立ステップ、血液吸引ステップ、アクセスガイドワイヤ前進ステップ、シース分割ステップ、イントロデューサ針引き抜きステップ、RICC前進ステップ、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップ、操縦ガイドワイヤ前進ステップ、別のRICC前進ステップ、及び操縦ガイドワイヤ引き抜きステップから選択される1つ以上のステップを含む。
【0124】
挿入アセンブリ取得ステップは、任意選択的に、既にその動作準備完了状態にあるRICC挿入アセンブリ100を取得することを含む。上述のように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサ針104と、アクセスガイドワイヤ106と、RICC102とイントロデューサ針104とを互いに結合するカプラ108とを含む。加えて、RICC挿入アセンブリ100は、少なくともカプラ108のカプラハウジング172の封止モジュールキャビティ178と、封止モジュールキャビティ178内に配置された封止モジュールインサート198の遠位部分202と、イントロデューサ針104の針ハブ146の遠位部分に結合された封止モジュールインサート198の近位部分200と、の間に形成された分割可能な封止モジュール196を含む。分割可能な封止モジュール196は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態において、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを別々に封止する。分割可能な封止モジュール196内で、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は、針スロット150を通って針シャフト144内に配置される。これは、アクセスガイドワイヤ通路206の遠位端と、封止モジュールインサート198内のイントロデューサ針通路204の内側部分との間の接続によって達成される。
【0125】
状態確認ステップは、針路確立ステップの前に、RICC挿入アセンブリ100がその動作準備完了状態にあることを確認することを含む。このような確認は、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202が封止モジュールキャビティ178内で圧縮されて、それぞれ、イントロデューサ針104及びアクセスガイドワイヤ106の周りのイントロデューサ針通路204及びアクセスガイドワイヤ通路206を封止することを確実にする。特に、RICC挿入アセンブリ100が、挿入アセンブリ取得ステップにおいてそれを取得したときに動作準備完了状態にない場合、RICC挿入アセンブリ100は、後続のステップのためにそれを動作準備完了状態にするように調整され得る。
【0126】
針路確立ステップは、イントロデューサ針104を用いて皮膚の領域から血管内腔への針路を確立することを含む。針路確立ステップはまた、血液が、イントロデューサ針104(例えば、イントロデューサ針104の針ハブ146)、イントロデューサ針104に流体接続されたシリンジ112(例えば、シリンジ先端部、シリンジ112のバレル、若しくはその両方)、又はイントロデューサ針104及びシリンジ112の両方の中に逆流することを確実にし、それによって、針路が血管管腔の中に延びていることを確認することを含むことができる。血液逆流を強化するために、針路を確立しながら、シリンジ112を用いてわずかな真空を引くことができる。
【0127】
血液吸引ステップは、イントロデューサ針引き抜きステップにおいてカプラ108からイントロデューサ針104を引き抜く前に、シリンジ112を用いて血液を吸引して、針路が血管内腔内に延びていることを確認することを含む。また、針シャフト144の上のシース142は、その下の針シャフト144の針スロット150を封止する。特に、シース142は、分割可能な封止モジュール196の外側で針スロット150を封止する。分割可能な封止モジュール196は、次に、シース142のシース開口部162を覆って封止し、シース開口部162は、アクセスガイドワイヤ106が、封止モジュールインサート198の近位部分200と遠位部分202との間に形成されたアクセスガイドワイヤ通路206から、針スロット150を経由して針シャフト144の中へ通過することを可能にする。分割可能な封止モジュール196はまた、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止する。このような封止により、血液吸引ステップにおいてシリンジ112が血液を吸引することが可能である。
【0128】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、分割可能な封止モジュール196及び針シャフト144の針スロット150の両方を通って、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分を前進させることを含み、それにより、アクセスガイドワイヤ106の遠位端がイントロデューサ針104内のその初期位置から血管内腔内に前進させられる。上記のように、RICC挿入アセンブリ100がRICC挿入アセンブリ100の動作準備完了状態にあるとき、アクセスガイドワイヤ106の遠位端の初期位置は、針先端部148のすぐ近位である。
【0129】
RICC挿入アセンブリ100が、RICC102のカテーテルチューブ114及びアクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分の両方の上にキーパー220及び分割可能なケーシング222を含まない場合、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、RICC102の遠位端から延びているアクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分をつまむことと、カプラ108の分割可能な封止モジュール196を介してアクセスガイドワイヤ106を針シャフト144内に押し込むこと、とを含む。このようにしてアクセスガイドワイヤ106を前進させることで、アクセスガイドワイヤ106にその上にRICC102が配置されるループ110を減少させる。上述したように、ループ110は、針シャフト144内に配置されたアクセスガイドワイヤ106の遠位部分と、カプラ108のアクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174のコネクタ188に接続されたアクセスガイドワイヤ106のアクセスガイドワイヤハブ218とによって形成される。
【0130】
RICC挿入アセンブリ100が、RICC102のカテーテルチューブ114及びアクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分の両方の上にキーパー220及び分割可能なケーシング222を含む場合、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、RICC102のカテーテルチューブ114及びRICC102の遠位端から延びているアクセスガイドワイヤ106のカテーテル外部分の両方の上の、分割可能なケーシング222をつまむことを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップはまた、分割可能なケーシング222をつまみながら、分割可能なケーシング222をカプラ108の分割可能なケーシング保持サイドアーム176の一次チャネル190内に押し込むことを含む。分割可能なケーシング222を分割可能なケーシング保持サイドアーム176の一次チャネル190内にこのようにつまんで押し込むことにより、アクセスガイドワイヤ106は、一次チャネル190と二次チャネル192との間の分割可能なケーシング保持サイドアーム176の分岐点194を越えて、分割可能なケーシング222から分割可能なケーシング保持サイドアーム176の二次チャネル192内へ、及びカプラ108の分割可能な封止モジュール196を介して針シャフト144内へと、分割して離れる。このようにしてアクセスガイドワイヤ106を前進させることで、アクセスガイドワイヤ106にそのループ110上にRICC102及び分割可能なケーシング222が配置されるループ110を減少させる。ループ110は、少なくとも、分割可能なケーシング保持サイドアーム176の一次チャネル190内に保持された分割可能なケーシング222と、カプラ108のアクセスガイドワイヤ接続サイドアーム174のコネクタ188に接続されたアクセスガイドワイヤ106のアクセスガイドワイヤハブ218とによって形成される。
【0131】
イントロデューサ針引き抜きステップは、RICC前進ステップの前に、イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くことを含み、それによりアクセスガイドワイヤ106を血管内腔内に残す。イントロデューサ針104をカプラ108から引き抜くことによって、イントロデューサ針104の針ハブ146を針ハブレセプタクル180から取り外し、針ハブ146とともに、封止モジュールインサート198の近位部分200を封止モジュールキャビティ178から取り外し、それによって、封止モジュールインサート198の近位部分200及び遠位部分202を互いから分割して離し、イントロデューサ針104の近位部分及びアクセスガイドワイヤ106の遠位部分を開封して、アクセスガイドワイヤ106が分割可能な封止モジュール196から脱出することを可能にする。
【0132】
イントロデューサ針引き抜きステップはまた、イントロデューサ針104の針スロット封止シース142を針シャフト144から切り離すことを含むことができる。上述したように、カプラ108のカプラハウジング172は、分割可能な封止モジュール196内に延びているブレード212を含むことができ、それにより、ブレード212は、シース142を針シャフト144から切り離すための遠位向きのブレード縁部216とともにシース142のシース開口部162の遠位端の下の針スロット150内に配置される。カプラハウジング172がブレード212を含まない場合、方法は、シース分割ステップを更に含むことができ、シース分割ステップは、上述のシース142を分割するための分割手段による、シース142を分割することを含む。針シャフト144からシース142を切り離すこと又は分割することは、アクセスガイドワイヤ106が針スロット150を経由して針シャフト144から脱出することを可能にする。加えて、カプラハウジング172のカプラハウジングスロット182は、カプラ108からイントロデューサ針104を引き抜いた後に、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング172から脱出することを可能にする。
【0133】
RICC前進ステップは、RICC102のカテーテルチューブ114をアクセスガイドワイヤ106の上で血管内腔内へ前進させることによって、RICC102を血管内腔内へ挿入することを含む。
【0134】
アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブ114を血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤ106を引き抜くことを含む。
【0135】
操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICC102の一次ルーメン130を経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させ、患者の心臓のSVCの下部1/3まで操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。
【0136】
別のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ114を、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓のSVCの下部1/3まで血管内腔内に更に前進させることを含む。
【0137】
操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブ114を残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0138】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される構想の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される構想の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】