(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】蒸留酒のフレーバーを変調するためのバニリルエーテルの使用
(51)【国際特許分類】
C12G 3/04 20190101AFI20240912BHJP
【FI】
C12G3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518915
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022044469
(87)【国際公開番号】W WO2023049308
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519321867
【氏名又は名称】フィルメニッヒ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Firmenich Incorporated
【住所又は居所原語表記】250 Plainsboro Road, Plainsboro, NJ 08536, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ アール. フォチング
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン ロヴォー
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LG02
4B115LH11
(57)【要約】
本開示は総じて、蒸留酒のフレーバーを変調するための特定のバニリルエーテルの使用に関する。いくつかの実施形態において、フレーバーの変調とは、蒸留酒の知覚される滑らかさの増強、蒸留酒の口当たりの増強、蒸留酒の渋味の低減、蒸留酒の知覚される灼熱効果の低減、蒸留酒の知覚される苦味の低減、またはそれらの任意の組み合わせを指す。本開示はまた、蒸留酒への特定のバニリルエーテルの導入を含む、蒸留酒のフレーバーを変調する関連の方法を提供する。本開示はまた、蒸留酒と特定のバニリルエーテルとを含む飲料組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留酒のフレーバーを変調するためのバニリルエーテル化合物の使用であって、前記バニリルエーテル化合物が、式(I)の化合物である、使用:
【化1】
[式中、
R
1は、メチルまたはエチルであり、
R
2は、C
1~8アルキルまたはC
3~8シクロアルキルであるか、あるいは
R
2は、-CH
2-(フェニル)であり、ここで、フェニル部分は、-OHおよび-OCH
3からなる群から独立して選択される置換基で1回または2回任意に置換されていてもよい]。
【請求項2】
R
1が、メチルである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
R
2が、C
1~8アルキルである、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
R
2が、エチルまたはブチルである、請求項3記載の使用。
【請求項5】
前記蒸留酒が、少なくとも20体積%のエタノールを含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
前記バニリルエーテル化合物の濃度が、前記蒸留酒の総重量に対して1ppm~100ppmの範囲である、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記蒸留酒が、コンジナーを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
蒸留酒とバニリルエーテル化合物とを含む飲料組成物であって、前記バニリルエーテル化合物が、式(I)の化合物である、飲料組成物:
【化2】
[式中、
R
1は、メチルまたはエチルであり、
R
2は、C
1~8アルキルまたはC
3~8シクロアルキルであり、
R
2は、-CH
2-(フェニル)であり、ここで、フェニル部分は、-OHおよび-OCH
3からなる群から独立して選択される置換基で1回または2回任意に置換されていてもよい]。
【請求項9】
R
1が、メチルである、請求項8記載の飲料組成物。
【請求項10】
R
2が、C
1~8アルキルである、請求項8または9記載の飲料組成物。
【請求項11】
R
2が、エチルまたはブチルである、請求項10記載の飲料組成物。
【請求項12】
前記蒸留酒が、少なくとも20体積%のエタノールを含む、請求項8から11までのいずれか1項記載の飲料組成物。
【請求項13】
前記バニリルエーテル化合物の濃度が、前記飲料組成物の総重量に対して1ppm~100ppmの範囲である、請求項8から12までのいずれか1項記載の飲料組成物。
【請求項14】
前記蒸留酒が、コンジナーを含む、請求項8から13までのいずれか1項記載の飲料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は総じて、蒸留酒のフレーバーを変調するための特定のバニリルエーテルの使用に関する。いくつかの実施形態において、フレーバーの変調とは、蒸留酒の知覚される滑らかさの増強、蒸留酒の口当たりの増強、蒸留酒の渋味の低減、蒸留酒の知覚される灼熱効果の低減、蒸留酒の知覚される苦味の低減、またはそれらの任意の組み合わせを指す。本開示はまた、蒸留酒への特定のバニリルエーテルの導入を含む、蒸留酒のフレーバーを変調する関連の方法を提供する。本開示はまた、蒸留酒と特定のバニリルエーテルとを含む飲料組成物を提供する。
【0002】
関連技術の説明
蒸留酒は、世界中で広く消費されている。このような飲料の製造の初期段階では、糖含有組成物を発酵させるが、そのアルコール濃度は、通常は約20体積%以下のエタノールであり、これを下回ることが多い。この糖含有組成物は、様々な各種供給源に由来することができる。典型的には、糖含有組成物は、ブドウ、リンゴ、ナシ、プラムなどのような果実、または大麦、小麦、ソバ、トウモロコシ、ライ麦などのような穀物、またはサトウキビ、テンサイ、ジャガイモ、ヤムイモ、サツマイモ、アガベなどのような他の糖含有植物に由来する。場合によっては、プロセスには果実や穀物のある程度の前処理を伴うこともある。例えば、多くのスコッチウイスキーの場合には、大麦麦芽をピート焚きオーブンで加熱して発芽プロセスを停止させる。これにより、ピートの煙から様々なフェノール系化合物が穀物に移行し、ある種のスコッチに独特のピートの香りの特徴が付与される。糖含有組成物を、一般的には様々な酵母株を用いて発酵させることで、エタノール含有組成物が得られる。得られるエタノール含有組成物は、糖分供給源中の糖分の密度や、高濃度のエタノールに対する酵母の耐性にもよるが、通常は約3体積%から約20体積%までの範囲のエタノール含有量を有する。
【0003】
蒸留プロセスは、濃縮プロセスである。エタノールは水よりも低い温度で沸騰するため(一般的な条件下では、100℃に対して78℃)、エタノール含有組成物をその両者の沸点の中間の温度に加熱することで、水からエタノールを蒸発させることができる。この目的のために、多種多様な蒸留装置が設計されている。得られる留出液は、はるかに高濃度のエタノールを含み、時には約95体積%のエタノールを含むこともある。蒸留に供される組成物は、ある種の天然物に由来するため、エタノール含有組成物中には他の様々な化合物が存在する。これらの中には植物中に存在するものがあり、また他のものは、そのような化合物から、糖分の発酵によるエタノール生成に使用される酵母によって生成される。これらの化合物の多くは、エタノールの沸点に近い沸点を有するため、蒸留プロセス中に留出液に移行する。場合によっては、これらの化合物が蒸留酒の味に好影響を与えることがある。しかし他の場合には、これらの化合物は味に悪影響を及ぼす。ある種の不快な味は、蒸留を何度も繰り返すことや、蒸留酒を木製の桶や樽で熟成させることで軽減できる。しかし、これらのプロセスにはコストがかかり、一般消費者には手の届かないところまで蒸留酒の価格を押し上げてしまう場合がある。さらに、蒸留酒に含まれるエタノールは、消費者によっては苦いと知覚することもある。
【0004】
したがって、蒸留酒の知覚される渋み、苦みまたは鋭さを低減し、より熟成された蒸留酒や高度に蒸留された蒸留酒のような味を有する蒸留酒を製造するための、より費用対効果の高い方法の開発が依然として求められている。
【0005】
概要
本開示は、ある種のバニリルエーテル誘導体を蒸留酒に少量添加すると、ある種の異味を低減することができ、熟成した蒸留酒により近い特徴を示す蒸留酒を得ることができるという発見に関するものである。
【0006】
第1の態様において、本開示は、蒸留酒のフレーバーを変調するためのバニリルエーテル化合物の使用であって、バニリルエーテル化合物が、式(I):
【化1】
[式中、
R
1は、メチルまたはエチルであり、
R
2は、C
1~8アルキルまたはC
3~8シクロアルキルである]の化合物である、使用を提供する。
【0007】
関連する態様において、本開示は、蒸留酒のフレーバーを変調する方法であって、該方法は、バニリルエーテル化合物を蒸留酒に、または蒸留酒を含む飲料組成物に導入することを含み、バニリルエーテル化合物は、上記で定義した式(I)の化合物である、方法を提供する。前述の態様のいくつかの実施形態において、フレーバーの変調は、以下のうちの1つ以上を含む:渋味の低減、苦味の低減またはマスキング、灼熱感の低減、知覚される鋭さの低減、口当たりの改善、および知覚される甘味の改善。いくつかの実施形態において、バニリルエーテルは、蒸留酒の総重量に対して0.1ppm~100ppm、または1ppm~50ppmの範囲の濃度で、蒸留酒に導入されるかまたは蒸留酒において使用される。
【0008】
第2の態様において、本開示は、蒸留エタノール組成物とバニリルエーテル化合物とを含む飲料組成物であって、バニリルエーテル化合物が、式(I):
【化2】
[式中、
R
1は、メチルまたはエチルであり、
R
2は、水素原子、C
1~8アルキルまたはC
3~8シクロアルキルである]の化合物である、飲料組成物を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテルは、蒸留酒の総重量に対して0.1ppm~100ppm、または1ppm~50ppmの範囲の濃度で蒸留酒に導入または使用される。いくつかの実施形態において、飲料組成物は、少なくとも20体積%のエタノールを含む。
【0010】
さらなる態様およびその実施形態は、以下の詳細な説明、図面、要約、および特許請求の範囲に記載されている。
【0011】
図面の簡単な説明
以下の図面は、本明細書に開示される組成物および方法の種々の実施形態を例示する目的で提供される。図面は、例示のみを目的として提供されており、何ら好ましい組成物や好ましい方法を記載することを意図するものではなく、また特許請求される発明の範囲に関して何ら限定の根拠として機能することを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本明細書でその使用について記載されるバニリルエーテル化合物の化学式を示す図であり、R
1は、メチルまたはエチルであり、R
2は、水素原子、アルキルまたはシクロアルキルである。
【0013】
詳細
以下の詳細な説明は、本明細書で提供される様々な態様および実施形態を示す。本明細書は、関連技術分野における当業者の観点から読まれるべきものである。したがって、そのような当業者に周知の情報は必ずしも含まれない。
【0014】
[定義]
以下の用語および語句は、本明細書において別段の定めがない限り、以下に示す意味を有する。本開示では、本明細書において明示的に定義されていない他の用語および語句が用いられる場合がある。そのような他の用語および語句は、当業者にとって本開示の文脈内で有するであろう意味を有する。場合によっては、用語または語句が単数形または複数形で定義されることがある。このような場合、単数形の用語は、明示的に別段の指示がない限り、その複数形の対応語を含む場合があり、その逆もまた同様であることが理解される。
【0015】
本明細書で使用される「Ca~Cb」または「Ca~b」(ここで、「a」および「b」は整数である)は、指定された基中の炭素原子の数を指す。すなわち、基は、「a」~「b」個の炭素原子を含むことができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」または「C1~4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、すなわち、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3および-C(CH3)3を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アルキル」とは、完全に飽和の(すなわち、二重結合も三重結合も含まない)直鎖または分岐炭化水素鎖を意味する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有する(本明細書において出現する場合は常に、「1~20」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などから20個の炭素原子までからなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」の用語の出現も対象とする)。アルキル基はまた、1~9個の炭素原子を有する中程度の大きさのアルキルであってよい。アルキル基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであってよい。アルキル基は、「C1~4アルキル」または同様の呼称で指定することができる。あくまで例として、「C1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子があること、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群から選択されることを示す。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別段の指示がない限り、「アルキル」という用語は、さらに置換されていない基を指す。
【0017】
本明細書において、「シクロアルキル」とは、環系骨格中に炭素原子のみを含む非芳香族飽和環式環または環系を意味する。シクロアルキル基は、「C3~8シクロアルキル」または同様の呼称で指定することができる。シクロアルキル環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、アダマンチル、およびスピロ[4.4]ノナニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別段の指示がない限り、「シクロアルキル」という用語は、さらに置換されていない基を指す。
【0018】
ある種の基の命名規則は、文脈に応じて1価の基または2価の基のいずれかを含むことができることが理解されるべきである。例えば、置換基が分子の残りの部分に対して2点の結合を必要とする場合、その置換基は2価の基であると理解される。例えば、アルキルとして特定される置換基で、2点の結合を必要とするものには、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-などの2価の基が挙げられる。
【0019】
置換基が2価の基(すなわち、分子の残りの部分に対して2点の結合を有する)として描かれている場合、別段の指示がない限り、置換基はいずれの方向的配置でも結合可能であることが理解されるべきである。したがって、例えば、-AE-または
【化3】
と描かれている置換基は、Aが分子の左端の結合点に結合するように方向づけられた置換基と、Aが分子の右端の結合点に結合するように方向づけられた置換基とを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の参照語を含む。例えば、「置換基(a substituent)」への言及は、単一の置換基だけでなく、2つ以上の置換基なども包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、または「含む(including)」は、より一般的な主題をさらに明確にする例を導入することを意味する。別段の明示的な指示がない限り、このような例は、本開示において例示される実施形態を理解するための補助としてのみ提供され、何ら限定を意味するものではない。また、これらの語句は、開示された実施形態に対して何ら優先性を示すものではない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」または「含む(comprised of)」は、オープングループを指し、そのグループが、明示的に記載されたメンバーに加えて、追加のメンバーを含み得ることを意味する。例えば、「Aを含む(comprises A)」という語句は、Aが存在しなければならないが、他のメンバーも存在し得ることを意味する。「含む(include)」、「有する(have)」、および「構成される(composed of)」という用語や、それらの文法的変形も同じ意味を有する。対照的に、「からなる(consist of)」、「からなる(consists of)」、または「からなる(consisting of)」は、クローズドグループを指す。例えば、「Aからなる(consists of A)」という語句は、Aのみが存在することを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「任意に(optionally)」とは、その後に説明される事象が発生してもしなくてもよいことを意味する。いくつかの実施形態において、任意の事象は発生しない。いくつかの他の実施形態において、任意の事象は1回以上発生する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「または(or)」は、その最も広範で合理的な解釈が与えられるべきものであり、どちらか一方の構成に限定されるものではない。したがって、「AまたはBを含む(comprising A or B)」という語句は、Aは存在し得るがBは存在し得ない、またはBは存在するがAは存在しない、またはAおよびBの双方が存在することを意味する。さらに、例えばAが、複数のメンバー、例えばA1およびA2を有し得るクラスを定める場合、そのクラスの1つ以上のメンバーが同時に存在し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「蒸留酒」という用語は、果実、穀物、アガベ、サトウキビなどのような天然供給源に由来する糖含有組成物を発酵させた生成物を蒸留することによって形成されるエタノール含有組成物を指す。任意の適切な蒸留プロセスを使用することができる。蒸留酒は、例えばオーク樽で熟成させることもできる。
【0026】
その他の用語は、本サブセクションに含まれていなくても、本説明書の他の部分で定義されている。
【0027】
[バニリルエーテル化合物]
本明細書に開示される使用、方法、組成物および生成物は、主にエタノール含有飲料組成物の文脈におけるバニリルエーテル化合物に関する。バニリルエーテル化合物は、式(I):
【化4】
[式中、
R
1は、メチルまたはエチルであり、
R
2は、水素原子、C
1~8アルキルまたはC
3~8シクロアルキルであるか、あるいはR
2は、-CH
2-(フェニル)であり、ここで、フェニル部分は、-OHおよび-OCH
3からなる群から独立して選択される置換基で1回または2回任意に置換されていてもよい]の化合物である。
【0028】
可変部R1は、上記の定義に従って任意の適切な値を有することができる。いくつかの実施形態において、R1はメチルである。いくつかの実施形態において、R1はエチルである。
【0029】
可変部R2は、上記の定義に従って任意の適切な値を有することができる。いくつかの実施形態において、R2は、C1~8アルキルである。いくつかのそのような実施形態において、R2は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、ブタン-2-イル、ペンタン-2-イル、ヘキサン-2-イル、イソブチル、2-メチルブチル、イソペンチルまたはペンタン-3-イルである。いくつかの実施形態において、R2は、エチルまたはブチルである。いくつかの実施形態において、R2は、エチルである。いくつかの他の実施形態において、R2は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどのC3~8シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R2は、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。いくつかの他の実施形態において、R2は、水素原子である。いくつかの他の実施形態において、R2は、-CH2-(フェニル)であり、ここで、フェニル部分は、-OHおよび-OCH3からなる群から独立して選択される置換基で1回または2回任意に置換されていてもよい。いくつかのそのような実施形態において、R2は、ベンジルである。いくつかの他のそのような実施形態において、R2は、-CH2-(フェニル)であり、ここで、フェニル部分は、-OHおよび-OCH3からなる群から独立して選択される少なくとも1つまたは2つの置換基で、3位または4位で置換されている。
【0030】
以下の表1は、特定の実施形態によるバニリルエーテル化合物の様々な例を示している。各化合物は、それ自体、バニリルエーテル化合物の別個の実施形態である。
【0031】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0032】
同位体は、記載されたバニリルエーテル化合物のいずれにも存在し得る。化合物構造において表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含み得る。例えば、化合物構造において、水素原子が化合物中に存在することが明示的に開示または理解される場合がある。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素)を含むがこれらに限定されない水素の任意の同位体であり得る。したがって、本明細書において、化合物への言及は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、すべての潜在的な同位体形態を包含する。
【0033】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、アミノ基もしくはカルボキシル基またはこれらに類似した基の存在により、酸塩または塩基塩を形成することができる。無機酸および有機酸を用いて、食用として許容される酸付加塩を形成することができる。塩を誘導できる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導できる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。無機塩基および有機塩基を用いて、食用として許容される塩を形成することができる。塩を誘導できる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む塩基が挙げられ、特に好ましいのは、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバニリルエーテル化合物を無機塩基で処理すると、この化合物から不安定な水素が失われ、Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+などの無機カチオンを含む塩の形態が得られる。塩を誘導できる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられ、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施形態において、塩は、食品または飲料製品のような摂取可能な組成物中に含めるのに適した塩である、食用として許容される塩である。
【0034】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、遊離(非塩)形態である。他の実施形態において、バニリルエーテル化合物は、上記の化合物のいずれかの食用として許容される塩である。
【0035】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、実質的に純粋な形態であるか、または以下に規定されるような配合物のいずれかで、結晶質固体として存在する。結晶質固体は、多形スクリーニングの技術分野において一般的に使用される技術に従って任意の適切な溶媒系における再結晶により得られる任意の多形などの、任意の適切な多形形態を有することができる。
【0036】
いくつかの他の実施形態において、バニリルエーテル化合物は、非晶質固体または半晶質固体として存在し、これは、該化合物が、規則的な結晶構造を欠くことを意味する。このような固体は、噴霧乾燥などの標準的な技術を用いて生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、溶媒和物として存在し、これは、1つ以上の溶媒分子(水分子など)が結晶構造に取り込まれた化合物の擬似形態である。任意の適切な溶媒または溶媒の組み合わせを使用することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、本開示は、バニリルエーテル化合物の水和物を提供する。このような溶媒和物は、多形および溶媒和物スクリーニングの分野において当業者が通常使用する技術など、任意の適切な手段によって生成することができる。
【0038】
いくつかの他の実施形態において、バニリルエーテル化合物は、1つ以上の他の化合物、例えば1つ以上の他の甘味料化合物との共結晶として存在する。バニリルエーテル化合物は、任意の適切な化合物と共結晶を形成することができる。このような適切な化合物の非限定的な例としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、アルロース、糖アルコール(エリスリトール、ソルビトール、キシリトールなど)、スクラロース、ステビオール配糖体(レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドMなど、天然ステビオシド化合物)、他のモグロシド(モグロシドV、イソモグロシドV、シアメノシドI、イソモグロシドIIIE、シアメノシドIの1,6-α異性体など)、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK、シクラメート、イヌリン、イソマルトおよびマルチトールが挙げられる。このような共結晶は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0363074号明細書に記載されているものなど、任意の適切な手段によって生成することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、乾燥粒子の形態である。このような乾燥粒子は、乾式造粒、湿式造粒などの当技術分野における標準的な技術によって形成することができる。このような粒子はまた、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;デンプン、セルロース系材料、およびアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;ゼラチン、グアーガム、アカシアなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなどの滑沢剤など、多数の賦形剤を含むことができる。典型的な食物材料など、食品および飲料製品に一般的に使用される他の賦形剤も含めることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、液体溶液または液体懸濁液の形態である。そのような組成物はまた、以下のものを含み得る:カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガムおよびアカシアガム;分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸から誘導される部分エステルとヘキシトールとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと脂肪酸から誘導される部分エステルとヘキシトール無水物との縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。このような組成物はまた、1つ以上の着色剤、1つ以上のフレーバー剤などを含むことができる。このような液体懸濁液および液体溶液は、液体担体を有する。総じて、液体担体は、水を含む。いくつかのそのような場合では、液体組成物は、水中油型または油中水型エマルションなどのエマルションである。さらに、場合によっては、水は極性が高すぎて、バニリルエーテル化合物を所望の濃度に溶解させることができないことがある。このような事例では、アルコール、グリコール、ポリオールなどの水混和性溶媒を溶媒に導入して、バニリルエーテル化合物の可溶化を促進することが望ましい場合がある。
【0041】
いくつかの実施形態において、バニリルエーテル化合物は、溶液の形態であり、すなわち、液体担体内に溶媒和されている。いくつかの実施形態において、液体担体は、水性担体である。このような溶液は、任意の適切な濃度に希釈することができる。
【0042】
[使用および方法]
特定の態様において、本開示は、蒸留酒のフレーバーを変調するための、上記の実施形態のいずれかによるバニリルエーテル化合物の使用を提供する。関連する態様において、本開示は、蒸留酒のフレーバーを変調する方法であって、該方法は、蒸留酒または蒸留酒を含む飲料組成物へのバニリルエーテル化合物の導入を含む、方法を提供する。
【0043】
総じて、バニリルエーテル化合物を蒸留酒と組み合わせて使用すると、蒸留酒またはそれから製造された飲料に、よりまろやかで鋭さの少ない味が付与されることにより、蒸留酒またはそれから製造された飲料の味が改善される。これは、蒸留酒が穀物アルコールの場合に特に当てはまる。穀物アルコールは、飲料全体のコストを下げるために、より精製された蒸留酒とブレンドされることが多い。バニリルエーテル化合物は、穀物アルコールのいくつかの不快な味を軽減し、それにより安価な飲料をより高価な飲料のような味にすることができる。他の事例では、バニリルエーテル化合物を含めることで、蒸留酒に必要な蒸留回数を減らすことができる。
【0044】
本明細書記載の使用および方法の一実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の渋味の低減を含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の苦味の低減またはマスキングを含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の灼熱感の低減を含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の鋭さの低減を含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の口当たりの増強を含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の知覚されるまろやかさの増強を含む。本明細書記載の使用および方法の別の実施形態において、蒸留酒のフレーバーの変調は、蒸留酒の知覚される甘味の増強を含む。
【0045】
バニリルエーテル化合物は、蒸留酒または得られる飲料において、任意の適切な濃度で使用することができる。いくつかの実施形態において、バニリルエーテルは、蒸留酒または飲料の総重量に対して0.01ppm~100ppm、0.1ppm~100ppm、または1ppm~50ppm、または2ppm~25ppmの範囲の濃度で、蒸留酒もしくは飲料に導入されるかまたは蒸留酒もしくは飲料において使用される。
【0046】
任意の適切な蒸留酒を使用することができる。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、1つ以上の果実の果汁を含む組成物を発酵させて得られる。使用できる果実のいくつかの非限定的な例としては、ブドウ、リンゴ、モモ、ネクタリン、ナシなどが挙げられる。いくつかの他の実施形態において、蒸留酒は、穀物中のデンプンが発酵可能な糖分に変換された酵素処理済みの穀物生成物を含む組成物を発酵させて得られる。使用できる穀物のいくつかの非限定的な例としては、大麦、小麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ジャガイモ、ヤマイモ、サツマイモなどが挙げられる。このような穀物由来の蒸留酒は、「グレーンスピリッツ」と称されることがある。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、グレーンスピリッツである。サトウキビ、テンサイ、アガベなどの他の糖含有材料も使用できる。
【0047】
蒸留酒は、常にある程度の水を含んでいる。蒸留が特に効率的であるいくつかの事例では、蒸留酒は、約5体積%の水しか含まない。一般的には、このパーセンテージは、はるかにより高い。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、蒸留後に水を加えて希釈される。
【0048】
一般的に、蒸留酒には、味や香りの化合物である「コンジナー」が含まれており、これらは蒸留プロセス中に発酵生成物から蒸留酒へと移行する。このような化合物は、様々な蒸留酒に特徴的な味や香りのプロファイルを提供する。場合によっては、これらのコンジナーは、心地よい味を付与する。例えば、ブランデーやグラッパのような飲料は、知覚される甘味を付与する特定のコンジナーが存在するため、特徴的な甘味を示すことがある。しかし、他のコンジナーは、未熟成のグレーンスピリッツに特徴的な鋭い味や渋味のような不快な味を付与する。蒸留酒は、しばしば木製の桶や樽で熟成されるが、その目的は、そうした不快なコンジナーの存在を(例えば化学反応や蒸発によって)低減すること、あるいは特定の不快なコンジナーの不快な味をマスクする化合物を桶や樽から導入することである。
【0049】
本明細書で使用される場合、「蒸留酒」という用語は、未熟成蒸留酒または熟成蒸留酒のいずれかを指すことができる。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、未熟成蒸留酒であり、これは、蒸留酒が、木製の桶や樽の中でいかなる期間の熟成もなされていないことを意味する。いくつかの他の実施形態において、蒸留酒は、熟成蒸留酒であり、例えば1年以下、または2年以下、または3年以下、または4年以下、または5年以下、または6年以下の期間にわたって木製の桶や樽の中で熟成されたものである。
【0050】
前述の使用および方法は、バニリルエーテル化合物を蒸留酒と共に使用すること、またはバニリルエーテル化合物を蒸留酒に導入することを含む。それらの蒸留酒にバニリルエーテル化合物を加えたもの自体は、例えば、蒸留酒のアルコール含量をより美味なレベル、例えば、少なくとも20体積%のアルコール、または少なくとも25体積%のアルコール、または少なくとも30体積%のアルコール、または少なくとも35体積%のアルコール、または少なくとも40体積%のアルコールに低下させるために水で若干希釈して、飲料組成物を形成することができる。しかし、このような飲料組成物は、以下に記載するような他の成分を含むことができる。
【0051】
[飲料組成物]
特定の態様において、本開示は、蒸留酒とバニリルエーテル化合物とを含む飲料組成物を提供する。
【0052】
任意の適切な蒸留酒を使用することができる。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、1つ以上の果実の果汁を含む組成物を発酵させて得られる。使用できる果実のいくつかの非限定的な例としては、ブドウ、リンゴ、モモ、ネクタリン、ナシなどが挙げられる。いくつかの他の実施形態において、蒸留酒は、穀物中のデンプンが発酵可能な糖分に変換された酵素処理済みの穀物生成物を含む組成物を発酵させて得られる。使用できる穀物のいくつかの非限定的な例としては、大麦、小麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ジャガイモ、ヤマイモ、サツマイモなどが挙げられる。このような穀物由来の蒸留酒は、「グレーンスピリッツ」と称されることがある。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、グレーンスピリッツである。サトウキビ、テンサイ、アガベなどの他の糖含有材料も使用できる。
【0053】
蒸留酒は、常にある程度の水を含んでいる。蒸留が特に効率的であるいくつかの事例では、蒸留酒は、約5体積%の水しか含まない。一般的には、このパーセンテージは、はるかにより高い。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、蒸留後に水を加えて希釈される。
【0054】
一般的に、蒸留酒には、味や香りの化合物である「コンジナー」が含まれており、これらは蒸留プロセス中に発酵生成物から蒸留酒へと移行する。このような化合物は、様々な蒸留酒に特徴的な味や香りのプロファイルを提供する。場合によっては、これらのコンジナーは、心地よい味を付与する。例えば、ブランデーやグラッパのような飲料は、知覚される甘味を付与する特定のコンジナーが存在するため、特徴的な甘味を示すことがある。しかし、他のコンジナーは、未熟成のグレーンスピリッツに特徴的な鋭い味や渋味のような不快な味を付与する。蒸留酒は、しばしば木製の桶や樽で熟成されるが、その目的は、そうした不快なコンジナーの存在を(例えば化学反応や蒸発によって)低減すること、あるいは特定の不快なコンジナーの不快な味をマスクする化合物を桶や樽から導入することである。
【0055】
本明細書で使用される場合、「蒸留酒」という用語は、未熟成蒸留酒または熟成蒸留酒のいずれかを指すことができる。いくつかの実施形態において、蒸留酒は、未熟成蒸留酒であり、これは、蒸留酒が、木製の桶や樽の中でいかなる期間の熟成もなされていないことを意味する。いくつかの他の実施形態において、蒸留酒は、熟成蒸留酒であり、例えば1年以下、または2年以下、または3年以下、または4年以下、または5年以下、または6年以下の期間にわたって木製の桶や樽の中で熟成されたものである。
【0056】
いくつかの実施形態において、蒸留酒を水で希釈して、蒸留酒のアルコール含量をより美味なレベル、例えば、少なくとも20体積%のアルコール、または少なくとも25体積%のアルコール、または少なくとも30体積%のアルコール、または少なくとも35体積%のアルコール、または少なくとも40体積%のアルコールに低下させることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、蒸留酒のブレンドを含む。例えば、飲料組成物は、未熟成蒸留酒と1つ以上の熟成蒸留酒とのブレンドを含むことができ、飲料組成物にバニリルエーテル化合物を含めることにより、不快な味を付与することなく未熟成蒸留酒を高濃度で使用することができる。
【0058】
飲料組成物は、バニリルエーテル化合物を任意の適切な濃度で含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、飲料組成物は、バニリルエーテル化合物を、飲料組成物の総重量に対して0.01ppm~100ppm、0.1ppm~100ppm、または1ppm~50ppm、または2ppm~25ppmの範囲の濃度で含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、1つ以上の苦味剤を含む。いくつかの実施形態において、苦味剤は、高強度甘味料、例えば、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、シクラメート、サッカリン、スクラロース、ステビオール配糖体(レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドM、レバウジオシドD、またはレバウジオシドEなど)、およびモグロシド(モグロシドIII、モグロシドIV、モグロシドV、シアメノシドI、イソモグロシドV、モグロシドIVE、イソモグロシドIV、モグロシドIIIE、11-オキソモグロシドV、シアメノシドIの1,6-α異性体など)である。
【0060】
いくつかの実施形態において、苦味剤は、塩化カリウムなどのカリウム塩であり、これは、ある種の低ナトリウム飲料またはゼロナトリウム飲料において、塩化ナトリウムの部分的または完全な代替品として使用されることが多い。
【0061】
いくつかの実施形態において、苦味剤は、カフェイン、キニーネ、緑茶、カテキン、ポリフェノール(ポリフェノール酸化防止剤など)、タンニン、グリーンロブスタコーヒー抽出物、グリーンコーヒー抽出物、メントールなどである。このような化合物は、各種天然食品、例えば茶およびコーヒー、ならびに加工食品、例えばインスタント茶、インスタントコーヒー、加工飲料などに一般的に含まれている。
【0062】
飲料組成物は、任意の適切な甘味料または甘味料の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、甘味料は、スクロース、フルクトース、グルコースなどの一般的な糖類甘味料、およびコーンシロップ(高フルクトースコーンシロップを含む)、または他の天然の果実供給源や野菜供給源由来のシロップや甘味料濃縮物などの天然糖を含む甘味料組成物である。いくつかの実施形態において、甘味料は、スクロース、フルクトース、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、甘味料は、スクロースである。いくつかの他の実施形態において、甘味料は、D-アロース、D-プシコース、L-リボース、D-タガトース、L-グルコース、L-フコース、L-アルビノース、D-ツラノース、およびD-ロイクロースを含む希少天然糖から選択される。いくつかの実施形態において、甘味料は、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリンなどの半合成「糖アルコール」甘味料から選択される。いくつかの実施形態において、甘味料は、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファム-K、シクラメート、スクラロース、およびアリテームなどの人工甘味料から選択される。いくつかの実施形態において、甘味料は、シクラミン酸、モグロシド、タガトース、マルトース、ガラクトース、マンノース、スクロース、フルクトース、ラクトース、アルロース、ネオテームおよび他のアスパルテーム誘導体、グルコース、D-トリプトファン、グリシン、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、水添グルコースシロップ(HGS)、水添デンプン加水分解物(HSH)、ステビオシド、レバウジオシドA、他の甘いステビアベースの配糖体、化学修飾ステビオール配糖体(グルコシル化ステビオール配糖体など)、モグロシド、化学修飾モグロシド(グルコシル化モグロシドなど)、カレラメ、および他のグアニジンベースの甘味料からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、甘味料は、本段落記載の2つ以上の甘味料の組み合わせである。いくつかの実施形態において、甘味料は、本明細書に開示される2つ、3つ、4つまたは5つの甘味料の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、甘味料は、糖であってよい。いくつかの実施形態において、甘味料は、1つ以上の糖と他の天然および人工甘味料との組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、甘味料は、糖である。いくつかの実施形態において、糖は、ショ糖である。いくつかの実施形態において、糖は、テンサイ糖である。いくつかの実施形態において、糖は、スクロース、フルクトース、グルコース、またはそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、糖は、スクロースであってよい。いくつかの実施形態において、糖は、フルクトースとグルコースとの組み合わせであってよい。
【0063】
甘味料には、例えば、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、高マルトースコーンシロップ、グルコースシロップ、スクラロースシロップ、水添グルコースシロップ(HGS)、水添デンプン加水分解物(HSH)、または他の天然の果実供給源や野菜供給源由来のシロップや甘味料濃縮物、またはポリオールなどの半合成「糖アルコール」甘味料のような、1つ以上の天然または合成炭水化物を含む甘味料組成物も含まれ得る。いくつかの実施形態におけるポリオールの非限定的な例としては、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール(グリセリン)、スレイトール、ガラクチトール、パラチノース、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、イソマルツロース、マルトデキストリンなど、および糖アルコール、または他の、味に悪影響を与えない還元可能な炭水化物またはその組み合わせが挙げられる。
【0064】
甘味料は、天然甘味料であっても合成甘味料であってもよく、これには、アガベイヌリン、アガベネクター、アガベシロップ、甘酒、ブラゼイン、玄米シロップ、ココナッツクリスタル、ココナッツシュガー、ココナッツシロップ、デーツシュガー、フルクタン(イヌリン繊維、フラクトオリゴ糖、またはオリゴフルクトースとも呼ばれる)、グリーンステビアパウダー、ステビアレバウディアナ、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドMおよび他の甘いステビア系配糖体、ステビオサイド、ステビオサイド抽出物、ハチミツ、エルサレムアーティチョークシロップ、リコリス根、ラカンカ(果実、粉末、または抽出物)、ルクマ(果実、粉末、または抽出物)、カエデ樹液(例えば、アセル・サッカルム(Acer saccharum)、アセル・ニグルム(Acer nigrum)、アセル・ルブルム(Acer rubrum)、アセル・サッカリナム(Acer saccharinum)、アセル・プラタノイデス(Acer platanoides)、アセル・ネグンド(Acer negundo)、アセル・マクロフィルム(Acer macrophyllum)、アセル・グランジデンタトゥム(Acer grandidentatum)、アセル・グラブラム(Acer glabrum)、アセル・モノ(Acer mono)から抽出した樹液を含む)、メープルシロップ、メープルシュガー、クルミ樹液(例えば、ジュグランス・シネレア(Juglans cinerea)、ジュグランス・ニグラ(Juglans nigra)、ジュグランス・アイラティフォリア(Juglans ailatifolia)、ジュグランス・レギア(Juglans regia)から抽出した樹液を含む)、カバノキ樹液(例えば、ベツラ・パピリフェラ(Betula papyrifera)、ベツラ・アレガニエンシス(Betula alleghaniensis)、ベツラ・レンタ(Betula lenta)、ベツラ・ニグラ(Betula nigra)、ベツラ・ポプリフォリア(Betula populifolia)、ベツラ・ペンドゥラ(Betula pendula)から抽出した樹液を含む)、スズカケノキ樹液(例えば、プラタナス・オシデンタリス(Platanus occidentalis)から抽出した樹液など)、アイアンウッド樹液(例えば、オストリア・バージニアナ(Ostrya virginiana)から抽出した樹液など)、マスコバド、糖蜜(例えば、ブラックストラップ糖蜜など)、糖蜜糖、モナチン、モネリン、ショ糖(天然糖、未精製ショ糖、またはスクロースとも呼ばれる)、パーム糖、パノチャ、ピロンチーロ、ラパデュラ、粗糖、米糖化液、モロコシ、モロコシシロップ、キャッサバシロップ(タピオカシロップとも呼ばれる)、タウマチン、ヤーコン根、モルトシロップ、大麦麦芽シロップ、大麦麦芽粉末、テンサイ糖、ショ糖、結晶質果汁の結晶、カラメル、カルビトール、イナゴマメシロップ、キャスター糖、水添デンプン加水分解物、缶果汁の加水分解物、加水分解デンプン、転化糖、アネトール、アラビノガラクタン、アロープ、シロップ、P-4000、アセスルファムカリウム(アセスルファムKまたはace-Kとも呼ばれる)、アリテーム(アクラーム(aclame)とも呼ばれる)、アドバンテーム、アスパルテーム、バイユノシド、ネオテーム、ベンズアミド誘導体、ベルナデーム(bernadame)、キャンデレル、カレラーム(carrelame)および他のグアニジンベースの甘味料、植物繊維、コーンシュガー、カップリングシュガー、クルクリン、シクラメート、シクロカリオシドI、デメララ、デキストラン、デキストリン、糖化性麦芽、ズルチン、スクロール、バルジン、ズルコシドA、ズルコシドB、エムリン、エノキソロン、マルトデキストリン、サッカリン、エストラゴール、エチルマルトール、グルシン、グルコン酸、グルコノラクトン、グルコサミン、グルコロン酸、グリセロール、グリシン、グリシフィリン(glycyphillin)、グリチルリチン、グリチルレチン酸モノグルクロニド、金色糖、黄色糖、ゴールドシロップ、グラニュー糖、アマチャヅル、ヘルナンドゥルシン、異性化液糖、ジャラブ、チコリ根食物繊維、キヌレニン誘導体(N’-ホルミルキヌレニン、N’-アセチルキヌレニン、6-クロロキヌレニンを含む)、ガラクチトール、リテッセ、リジケーン(ligicane)、リカシン、ルグズナム、グアニジン、ファレルナム、マビンリンI、マビンリンII、マルトール、マルチソルブ、マルトデキストリン、マルトトリオール、マンノサミン、ミラクリン、ミズアメ、モグロシド(例えば、モグロシドIV、モグロシドVおよびネオモグロシドを含む)、ムクロジオシド、ナノ糖、ナリンギンジヒドロカルコン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ニブシュガー、ニゲロオリゴ糖、ノルブ、オルジェーシロップ、オスラジン、ペクメズ、ペンタジン、ペリアンドリンI、ペリルアルデヒド、ペリラルチン、ペトフィラム(petphyllum)、フェニルアラニン、フロミソシドI、フロロジジン、フィロズルチン、ポリグリシトールシロップ、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、レビアナ、製糖シロップ、ラブシロップ(rub syrup)、ルブソシド、セリゲアイン(selligueain)A、シュグル(shugr)、シアメノシドI、ラカンカ(siraitia grosvenorii)、大豆オリゴ糖、スプレンダ、SRIオキシムV、ステビオール配糖体、ステビオールビオシド、ステビオシド、ストロジン1、2および4、スクロン酸(sucronic acid)、スクロノネート(sucrononate)、糖、スオサン、フロリジン、スーパーアスパルテーム、四糖、トレイトール、糖蜜、トリロブテイン(trilobtain)、トリプトファンおよび誘導体(6-トリフルオロメチルトリプトファン、6-クロロ-D-トリプトファン)、バニラシュガー、ボレミトール、カバノキシロップ、アスパルテーム-アセスルファム、アスグリン(assugrin)、ならびにそれらの任意の2つ以上の組み合わせまたはブレンドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
追加の甘味料には、前述のいずれか2つ以上の甘味料の組み合わせも含まれる。いくつかの実施形態において、甘味料は、本明細書に開示される2つ、3つ、4つまたは5つの甘味料の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、甘味料は、糖であってよい。いくつかの実施形態において、甘味料は、1つ以上の糖と他の天然および人工甘味料との組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、甘味料は、スクロース、フルクトース、キシリトール、エリスリトール、またはそれらの組み合わせなどの有カロリー甘味料である。いくつかの実施形態において、摂取可能な組成物は、ステビオール配糖体、グルコシル化ステビオール配糖体、またはレバウジオシドなどのステビア由来甘味料を含まないか(またはいくつかの実施形態において)実質的に含まない。
【0066】
飲料組成物は、特定の実施形態において、飲料製品に一般的に使用されるような任意の追加の成分または成分の組み合わせを含むことができ、これらに限定されるものではないが以下のものが挙げられる:
酸(例えば、クエン酸、リン酸、アスコルビン酸、硫酸ナトリウム、乳酸、または酒石酸)、
着色料(例えば、カラメル色素、赤色40号、黄色5号、黄色6号、青色1号、赤色3号、紫ニンジン、黒ニンジン汁、紫芋、野菜汁、果汁、ベータカロチン、ウコンクルクミン、または二酸化チタン)、
保存料(例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、メタ重硫酸ナトリウム、ソルビン酸、または安息香酸)、
酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、EDTAカルシウム二ナトリウム、α-トコフェロール、混合トコフェロール、ローズマリー抽出物、ブドウ種子抽出物、レスベラトロール、またはヘキサメタリン酸ナトリウム)、
ビタミン類または機能性成分(例えば、レスベラトロール、Co-Q10、ω-3脂肪酸、テアニン、塩化コリン(シトコリン)、ファイバーソル、イヌリン(チコリ根)、タウリン、パナックスジンセン抽出物、グアナナ抽出物、ショウガ抽出物、L-フェニルアラニン、L-カルニチン、L-酒石酸塩、D-グルコロノラクトン、イノシトール、バイオフラボノイド、エキナセア、ギンコビロバ、イェルバ・マテ、亜麻仁油、ガルシニアカンボジア果皮抽出物、白茶抽出物、リボース、ミルクシスル抽出物、ブドウ種子抽出物、ピロジキシン塩酸塩(ビタミンB6)、シアノオバラミン(ビタミンB12)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、ビオチン、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム(パントテン酸)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化クロム、ポリニコチン酸クロム、硫酸銅、葉酸、ピロリン酸第二鉄、鉄、乳酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウム、リン、ヨウ化カリウム、リン酸カリウム、リボフラビン、硫酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、チアミンモノニトレート、ビタミンD3、ビタミンAパルミテート、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、または硫酸亜鉛)、
起雲剤(例えば、エステルガン、臭素化植物油(BVO)、またはイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB))、
緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、または塩)、
フレーバー(例えば、プロピレングリコール、エチルアルコール、グリセリン、アラビアガム(アラビアゴム)、マルトデキストリン、変性コーンスターチ、デキストロース、天然フレーバー、天然フレーバーに他の天然フレーバーを加えたもの(天然フレーバーWONF)、天然および人工フレーバー、人工フレーバー、二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、またはリン酸三カルシウム)、または
デンプンおよび安定剤(例えば、ペクチン、キサンタンガム、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、ポリソルベート60、ポリソルベート80、中鎖トリグリセリド、セルロースゲル、セルロースガム、カゼインナトリウム、化工食物デンプン、アラビアガム(アラビアゴム)、イヌリン、またはカラギーナン)。
【0067】
飲料組成物は、任意の適切なpHを有することができる。いくつかの実施形態において、フレーバー変調化合物は、広範囲のpH下で、例えば低pHないし中性pH下で、甘味料の甘味を増強する。低pHおよび中性pHとしては、1.5~9.0、または2.5~8.5、3.0~8.0、3.5~7.5、および4.0~7のpHが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態において、本明細書に開示および記載される化合物は、個々にまたは組み合わせて、低~中性pH値の双方において、50μM、40μM、30μM、20μM、または10μMの化合物濃度で、味覚試験において一定濃度の甘味料の知覚される甘味を増強することができる。特定の実施形態において、本明細書に開示および記載される化合物の、個々でのまたは組み合わせによる、低pHにおける増強因子は、中性pHにおける化合物の増強因子と実質的に類似している。広範なpH下でのこのような一貫した甘味増強特性により、本明細書に開示および記載される化合物を、個々にまたは組み合わせて、多種多様な食品および飲料に幅広く使用することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、フレーバー剤を含む。任意の適切なフレーバー剤を使用することができる。いくつかの実施形態において、フレーバー剤は、植物、葉、花、果実などに由来する合成フレーバー油およびフレーバー芳香剤もしくは油、オレオレジンおよび抽出物、またはそれらの組み合わせを含む。フレーバー油の非限定的な例としては、スペアミント油、シナモン油、冬緑油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、ハッカ油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、シダーリーフ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メース、ビターアーモンド油、およびカシア油などが挙げられる。その他のフレーバーの非限定的な例としては、バニラなどの天然および合成果実フレーバー、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、ヤズ、スダチなどの柑橘系油、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、スイカ、アプリコット、バナナ、メロン、アプリコット、梅、チェリー、ラズベリー、ブラックベリー、トロピカルフルーツ、マンゴー、マンゴスチン、ザクロ、パパイヤなどの果実抽出物が挙げられる。その他の可能なフレーバーとしては、ミルクフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、クリームフレーバー、ヨーグルトフレーバー;バニラフレーバー;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、およびコーヒーフレーバーなどの茶やコーヒーのフレーバー;ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、およびハッカフレーバーなどのミントフレーバー;アサフェティダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、フェンネルフレーバー、オールスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カモミールフレーバー、マスタードフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、ペッパーフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、山椒フレーバー、シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、ホースラディッシュフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ローリエフレーバー、およびワサビフレーバーなどのスパイシーフレーバー;ワインフレーバー、ウィスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、およびリキュールフレーバーなどのアルコールフレーバー;フローラルフレーバー;およびオニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、キャベツフレーバー、ニンジンフレーバー、セロリフレーバー、マッシュルームフレーバー、およびトマトフレーバーなどの野菜フレーバーが挙げられる。これらのフレーバリング剤は、液体または固体の形態で使用することができ、個々にまたは混合して使用することができる。乳製品または乳製品類似製品の文脈において、最も一般的に使用されるフレーバー剤は、バニラ、フレンチバニラ、チョコレート、バナナ、レモン、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、アーモンド、ストロベリー、モカ、コーヒー、紅茶、チャイ、シナモン、キャラメル、クリーム、ブラウンシュガー、トフィー、ピーカン、バターピーカン、トフィー、アイリッシュクリーム、ホワイトチョコレート、ラズベリー、パンプキンパイスパイス、ペパーミントまたはそれらのいずれかの組み合わせなどのフレーバーを付与する薬剤である。
【0069】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、フレーバー剤にバニラフレーバーを付与するバニリンまたはバニリン類似体を含む。いくつかのさらなる実施形態において、摂取可能な組成物は、組成物にクリーミーなフレーバーを付与する1つ以上のラクトンを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、甘味増強剤を含む。本明細書に開示される摂取可能な組成物において、合成甘味増強剤、天然甘味増強剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な甘味増強剤を使用することができる。
【0071】
適切な合成甘味増強剤の例としては、N-(1-((4-アミノ-2,2-ジオキソ-1H-ベンゾ[c][1,2,6]チアジアジン-5-イル)オキシ)-2-メチルプロパン-2-イル)イソニコチンアミド、またはその食用として許容される塩、3-ヒドロキシ安息香酸、または米国特許第8,541,421号明細書;同第8,815,956号明細書;同第9,834,544号明細書;同第8,592,592号明細書;同第8,877,922号明細書;同第9,000,054号明細書;および同第9,000,051号明細書;ならびに米国特許出願公開第2017/0119032号明細書に記載されている化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
天然甘味増強剤の適切な例としては、ヘスペレチンジヒドロカルコン、ヘスペレチンジヒドロカルコン-4’-O’グルコシド、ネオヘスペレチンジヒドロカルコン、ブラゼイン、ヘスペリジン、フィロドゥルシン、ナリンゲニン、ナリンジン、フロレチン、グルコシル化ステビオール配糖体、(2R,3R)-3-アセトキシ-5,7,4’-トリヒドロキシフラバノン、(2R,3R)-3-アセトキシ-5,7,3’-トリヒドロキシ-4’-メトキシフラバノン、ルブソシド、タウマチン、モネリン、ミラクリン、グリチルリチンおよびその食品として許容される塩(モノアンモニウム塩など)、ナリンジンジヒドロカルコン、ミリセチン、ノビレチン、ポリメトキシフラボン、混合型メトキシおよびヒドロキシフラボン、ケルセチン、特定のアミノ酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「グルコシル化ステビオール配糖体」という用語は、天然のステビオール配糖体化合物を酵素的にグルコシル化した生成物を指す。グルコシル化は総じて、α-1,2結合、α-1,4結合、α-1.6結合、β-1,2結合、β-1,4結合、β-1,6結合などの配糖体結合により起こる。
【0073】
先行する実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、飲料組成物は、3-((4-アミノ-2,2-ジオキソ-1H-ベンゾ[c][1,2,6]チアジアジン-5-イル)オキシ)-2,2-ジメチル-N-プロピルプロパンアミド、N-(1-((4-アミノ-2,2-ジオキソ-1H-ベンゾ[c][1,2,6]-チアジアジン-5-イル)オキシ)-2-メチルプロパン-2-イル)イソニコチンアミドまたはその食用として許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、フレーバー変調組成物は、N-(1-((4-アミノ-2,2-ジオキソ-1H-ベンゾ[c][1,2,6]チアジアジン-5-イル)オキシ)-2-メチルプロパン-2-イル)イソニコチンアミドまたはその食用として許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、フレーバー変調組成物は、N-(1-((4-アミノ-2,2-ジオキソ-1H-ベンゾ[c][1,2,6]チアジアジン-5-イル)オキシ)-2-メチルプロパン-2-イル)イソニコチンアミドを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、飲料組成物は、1つ以上のうま味増強化合物を含む。このようなうま味増強化合物としては、天然由来の化合物または合成化合物、例えば米国特許第8,735,081号明細書;同第8,124,121号明細書;および同第8,968,708号明細書記載の任意の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、うま味増強化合物は、(2R,4R)-1,2,4-トリヒドロキシヘプタデカ-16-エン、(2R,4R)-1,2,4-トリヒドロキシヘプタデカ-16-イン、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態において、うま味増強化合物は、(3R,5S)-1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)デカン-3,5-ジオールジアセテートである。いくつかの実施形態において、うま味増強化合物は、N-(ヘプタン-4-イル)ベンゾ-[d][1,3]ジオキソール-5-カルボキサミドである。
【0075】
いくつかのさらなる実施形態において、飲料組成物は、1つ以上の清涼化作用増強化合物を含む。このような清涼化作用増強化合物としては、天然由来の化合物、例えば、メントールもしくはその類似体、または合成化合物、例えば、米国特許第9,394,287号明細書および同第10,421,727号明細書記載の任意の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非限定的な例としては、N-エチル-N-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(p-トリルオキシ)アセトアミド、N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チオフェン-2-イルメチル)-2-(p-トリルオキシ)アセトアミド、2-(4-フルオロフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チオフェン-2-イルメチル)アセトアミド、2-(2-ヒドロキシ-4-メチルフェノキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チオフェン-2-イルメチル)-アセトアミド、2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)オキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チオフェン-2-イルメチル)-アセトアミド、2-((2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)オキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チアゾール-5-イルメチル)-アセトアミド、2-((5-メトキシベンゾフラン-2-イル)オキシ)-N-(1H-ピラゾール-3-イル)-N-(チオフェン-2-イルメチル)-アセトアミド、(E/Z)-2-メチル-2-ブテナール、(E/Z)-2-イソプロピル-5-メチル-2-ヘキセナール、フロレチン、ナリンゲニン、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0076】
いくつかのさらなる実施形態において、飲料組成物は、1つ以上の苦味遮断または苦味マスキング化合物を含む。このような苦味遮断化合物または苦味マスキング化合物としては、天然由来の化合物または合成化合物、例えば、米国特許第8,076,491号明細書;同第8,445,692号明細書;および同第9,247,759号明細書記載の任意の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非限定的な例としては、3-(1-((3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル)-メチル)-1H-ピラゾール-4-イル)-1-(3-ヒドロキシベンジル)-イミダゾリジン-2,4-ジオン、4-(2,2,3-トリメチルシクロペンチル)酪酸、3β-ヒドロキシジヒドロコスツノリド、3β-ヒドロキシペレノリド、プロベネシド、サクラネチン、6-メトキシサクラネチン、ジャセオシジン、4’-フルオロ-6-メトキシフラボノン、6,3’-ジメトキシフラボノン、6-メトキシフラボノン、γ-アミノ酪酸、Nα,Nα-ビス(カルボメチル)-L-リジン、(+/-)アブシジン酸、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホモエリオジクチオール、ステルビン、エリオジクチオール、2,4,ジヒドロ安息香酸、ネオジオスミン、1-カルボキシメチル-5-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルピリジニウム、フラバン-3-スピロ-C-グリコシド、ポリ-γ-グルタミン酸、α,α-トレハロース、タウリン、(2)-ジンジャージオン、2,4,-ジヒドロキシ安息香酸、L-テアニン、エンテロジオール、ラリシレシノール、エンテロラクトン、マタイレシノール、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0077】
いくつかのさらなる実施形態において、摂取可能な組成物は、酸味の1つ以上の味覚修飾化合物を含む。
【0078】
いくつかのさらなる実施形態において、摂取可能な組成物は、1つ以上の口当たり変調化合物を含む。このような口当たり変調化合物としては、タンニン、セルロース系材料、竹粉などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
いくつかのさらなる実施形態において、摂取可能な組成物は、1つ以上のフレーバーマスキング化合物を含む。このようなフレーバーマスキング化合物としては、セルロース系材料、菌類から抽出された材料、植物から抽出された材料、クエン酸、炭酸(または炭酸塩)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
いくつかの実施形態において、飲料製品は、例えば、蒸留酒を含む炭酸飲料を形成するために二酸化炭素を含む。そのような飲料の非限定的な例は、ハードセルツァーである。
【実施例】
【0081】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例が含まれる。当然のことながら、実施例は本発明を具体的に限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求の範囲に包含されるこれらの実施例の変形形態は、当業者の通常の創作能力の範囲内であり、本明細書に記載され、特許請求される本発明の範囲に包含されると考えられる。読者は、本開示を読んだ当業者であれば、網羅的な実施例なしでも本発明を調製し、使用できることを認識するであろう。
【0082】
[実施例1 - グレーンニュートラルスピリッツ]
未熟成グレーンニュートラルスピリッツ(アルコール20体積%)の2つのサンプルを比較して官能試験を実施し、その際、一方のサンプルは、バニリルエーテル化合物を含んでおらず、もう一方のサンプルは、4-(エトキシメチル)-2-メトキシフェノール(バニリルエチルエーテル、VEE)を5ppmの濃度で含んでいた。味覚判定者に、2つのサンプルの違いを定性的に表現するよう求めた。結果を表2にまとめた。
【0083】
【0084】
[実施例2 - グレーンニュートラルスピリッツ]
未熟成グレーンニュートラルスピリッツ(アルコール20体積%)の2つのサンプルを比較して官能試験を実施し、その際、一方のサンプルは、バニリルエーテル化合物を含んでおらず、もう一方のサンプルは、4-(エトキシメチル)-2-メトキシフェノール(バニリルエチルエーテル、VEE)を25ppmの濃度で含んでいた。味覚判定者に、2つのサンプルの違いを定性的に表現するよう求めた。結果を表3にまとめた。
【0085】
【国際調査報告】