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特表2024-534656ホイール部分が調節可能な個人用移動車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ホイール部分が調節可能な個人用移動車両
(51)【国際特許分類】
   A63C 17/04 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A63C17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519348
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022077237
(87)【国際公開番号】W WO2023056340
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/261,935
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/263,438
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508152489
【氏名又は名称】レイザー ユーエスエイ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アリ ケルマニ
(72)【発明者】
【氏名】カイル マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム グリッグズ
(72)【発明者】
【氏名】イアン デスバーグ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ アルフェレズ
(57)【要約】
ホイールが調節可能な車両であって、この車両は、ライダーを支持するための支持構造と、ホイールを有するモジュラー型搬送部分と、モジュラー型搬送部分を、支持構造に対して、少なくとも2つの異なる位置で物理的に強固に固定する、取付具と、を有する。工具不要機構によって、ユーザがモジュラー型搬送部分を支持構造から解放し、他の位置に移動させることが可能になる。スケートボードのホイール位置を調節するシステムは、ホイール支持構造を含み、このホイール支持構造は、複数のホイール取付位置と、スケートボードのホイール及び基部を含むホイールアセンブリと、を有する。ホイールは基部に対して旋回し、かつ、基部はホイール支持構造に結合される。基部及びホイール支持構造は、基部の回転を防止するようにホイール支持構造に対して強固に結合され、基部は第1の取付位置に強固に維持される。解放構造によって、ユーザが基部を容易に緩め、それを第2の取付位置に位置変更することが可能になる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスターボードであって、
ユーザを支持するように構成されたデッキと、
フロントキャスターホイールと、
リアキャスターホイールと、
ホイールロックと、を備えており、
前記フロントキャスターホイール及び前記リアキャスターホイールのうち少なくとも一方は、第1の位置から第2の位置まで前記デッキに対して並進するように構成された、可動ホイールを備えており、かつ、
前記ホイールロックは、前記可動ホイールを前記第1の位置及び前記第2の位置で固定するように構成されている、キャスターボード。
【請求項2】
前記可動ホイールは、前記デッキ内のトラックに沿って並進するように構成されている、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項3】
前記キャスターボードは、前記可動ホイールを前記デッキから取り外すことを可能にするように構成されたアクセス領域をさらに備えている、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項4】
前記可動ホイールは、前記キャスターボードの長手方向軸に概ね平行な方向に並進するように構成されている、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項5】
前記ホイールロックは、前記可動ホイール上のラッチ及び前記デッキ内の複数の開口を含んでいる、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項6】
前記ホイールロックは、セットスクリューを備えている、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項7】
前記可動ホイールは、モータ駆動される、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項8】
前記フロントキャスターホイールは、前記可動ホイールである、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項9】
前記リアキャスターホイールは、前記可動ホイールである、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項10】
前記キャスターボードは、前記デッキの前部分及び後部分よりも幅が狭いネック部をさらに備えている、請求項1に記載のキャスターボード。
【請求項11】
調節可能なホイールを有する移動用の車両であって、
ライダーを支持するように構成された支持構造と、
前記ライダー及び前記支持構造を搬送するためのホイールを含む、少なくとも1つのモジュラー型搬送部分と、
前記支持構造内の少なくとも1つの取付具であって、前記取付具は、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分を、前記支持構造に対して、少なくとも2つの異なる位置に、物理的に固定するように構成されている、取付具と、
工具不要機構であって、ユーザが、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分を、前記支持構造に対する取付状態から解放し、前記少なくとも2つの異なる位置の間で移動させることができるように構成された、工具不要機構と、を備えている、車両。
【請求項12】
前記車両は、第2のホイールをさらに備えており、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分の、前記少なくとも2つの異なる位置の間での移動は、それと前記第2のホイールの間の距離を変化させる、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記第2のホイールは、前記支持構造に対して固定されている、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記支持構造はキャスターボードデッキを備えており、前記キャスターボードデッキは、2つの幅が広い部分であって、2つの足を支持するように構成され、かつ弾力性部分によって分離された、2つの幅が広い部分を有しており、前記支持構造内の前記取付具は、前記幅が広い部分のうち一方の下に配置されており、かつ、第2のホイールが、前記幅が広い部分の他方の下に配置されている、請求項11に記載の車両。
【請求項15】
前記取付具は、前記支持構造の一部を貫通する複数の穴を備えている、請求項11に記載の車両。
【請求項16】
前記取付具は、長手方向のトラックを備えており、かつ、前記モジュラー型搬送部分は、前記トラックの内部に密着して嵌合するように構成されたホイール基部を備えている、請求項11に記載の車両。
【請求項17】
前記取付具は、突出部をさらに含んでおり、前記突出部は、開口内へと延びて、前記モジュラー型搬送部分を長手方向の前記トラック内の特定の位置で固定する、請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記取付具は、協働して前記ホイール基部の回転を防止する、前記ホイール基部の縁壁及び長手方向の前記トラックの平行壁をさらに備えている、請求項16に記載の車両。
【請求項19】
前記ホイール基部は、転動軸を中心として転動するためのピボット軸を中心として枢動するためのキャスターホイールを支持する、請求項18に記載の車両。
【請求項20】
前記ホイール基部は、前記少なくとも2つの異なる位置のうち両方にあるとき、前記ホイールを、前記支持構造の主平面に対して非直角の角度で位置決めし、かつ、前記ホイールにセルフセンタリング付勢を提供する、請求項19に記載の車両。
【請求項21】
前記車両は、ホイール位置表示器をさらに備えており、前記ホイール位置表示器は、前記支持構造の上方から見え、かつライダーに対して前記モジュラー型搬送部分の現在位置を表示するように構成されている、請求項11に記載の車両。
【請求項22】
前記ホイール位置表示器は、前記支持構造内の視認用開口、及び前記モジュラー型搬送部分の一部を含む、請求項21に記載の車両。
【請求項23】
前記工具不要機構は、ホイールロックを備えており、前記ホイールロックは、弾力性突出部を有しており、前記弾力性突出部は、前記モジュラー型搬送部分を前記少なくとも2つの異なる位置の間で位置変更するときに、人間のユーザの手で工具を用いることなく変位させることができる、請求項11に記載の車両。
【請求項24】
スケートボードのホイールの位置を調節するためのシステムであって、前記システムは、
複数のホイール取付位置を有するホイール支持構造と、
スケートボードのホイール及び基部を含むホイールアセンブリであって、前記ホイールは、前記基部に対して旋回するように構成されており、かつ、前記基部は、前記ホイール支持構造に結合するように構成されている、ホイールアセンブリと、を備えており、
前記基部及び前記ホイール支持構造は、相補構造であって、前記基部の回転を防止するように前記ホイール支持構造に対して強固に結合し、かつ、前記基部を第1の取付位置に維持する、相補構造を備えており、
前記基部及び前記ホイール支持構造は、解放部分をさらに備えており、前記解放部分は、ユーザが、前記基部を前記ホイール支持構造の前記第1の取付位置から容易に緩めることができるように、かつ、前記基部を、前記ホイール支持構造の第2の取付位置に、前記基部が前記第2の取付位置に強固に維持されるように位置変更することができるように、構成されている、システム。
【請求項25】
前記ホイール支持構造は、少なくとも2つの鉛直方向の壁を有する、細長い開口を含んでおり、前記開口は、前記壁が前記基部内の対応する壁との接触を維持しながら、前記基部が前記開口内へとスライドできるようにする、サイズであり、それによって、前記基部の回転を防止するように前記ホイール支持構造に対して強固に結合する前記相補構造が形成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
少なくとも2つの鉛直方向の前記壁は、少なくとも2つの側部開口を有しており、かつ、前記基部は、少なくとも1つの弾力性突出部を有しており、前記弾力性突出部は、前記少なくとも2つの側部開口と協働して、前記基部を前記第1の取付位置に強固に維持する、相補構造を形成し、前記弾力性突出部はまた、前記解放部分も形成する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記システムは、スケートボードのデッキをさらに備えており、前記デッキは、少なくとも2つのホイールが使用時に前記デッキを支持するように設けられるように、前記ホイール支持構造をその裏面に配置するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記解放部分は、ユーザの指によって変位及びアンロックされることができる、少なくとも1つの弾力性タブロックを備えている、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
スケートボードを組立てるためのコンパクトなキットであって、前記キットは、
スケートボードデッキと、
複数のホイールベイを有する固定モジュールと、
前記複数のホイールベイの中に挿入されるように構成された基部を有する、少なくとも1つのホイールアセンブリと、
パッケージであって、前記スケートボードデッキ、前記固定モジュール、及び前記少なくとも1つのホイールアセンブリを概ね1つの平面内に配置してフラットパックを形成する、パッケージと、を備える、キット。
【請求項30】
前記キットは、ベイを有する第2の固定モジュールと、前記第2の固定モジュールの前記ベイ内に挿入されるように構成された基部を有する、第2のホイールアセンブリと、をさらに備えており、前記パッケージは、前記第2の固定モジュール及び前記第2のホイールアセンブリを概ね同じ前記平面内に配置して前記フラットパックを形成するように、さらに構成されている、請求項29に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本発明は、2021年9月30日に出願された米国仮特許出願第63/261935号及び2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/263438号に基づいており、同出願からの優先権の利益を主張する。さらに、本出願と共に提出された出願データシート中で国内外における優先権主張が特定されているすべての出願が、37 CFR 1.57に従って参照により本明細書に組み込まれる。上で列挙した各項目の内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれ、各々が有するすべての内容について、すべての目的のために、本明細書の一部を形成する。
【背景技術】
【0002】
個人用移動車両は、改良可能な側面を幾つも有している。例えば、ホイールの単純かつ安全な交換及び調節を可能にする装置への需要が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、個人用移動車両に関し、例えば、キャスターボード、スケートボード、スクーター、ドリフトカート、ゴーカート等に関する。特に、本開示は、ホイールが様々な位置に調節可能な車両に関する。これは、ホイールの位置及びスタンスをカスタマイズすることを可能にし、例えば、ユーザの個人的な好みに合わせること、異なるライディング特性を可能にすること、様々なトリックを容易にすること、摩耗したパーツの交換を行うこと、モータ駆動要素又はその他の改良された要素へのアップグレードを行うこと、及び/又はその他のことを、可能にする。
【0004】
幾つかの実施形態では、ホイール間長さが調節可能である。「ホイール間長さ」とは、フロントホイールとリアホイールの中心同士の間の、フロント-リア間距離をいう。幾つかの実施形態では、ホイール幅が調節可能である。「ホイール幅」とは、2つのフロントホイールの中心同士の間の、かつ/又は2つのリアホイールの中心同士の間の、左右間距離をいう。
【0005】
幾つかの実施形態では、キャスターボードが、ユーザを支持するように構成されたデッキと、フロントキャスターホイールと、リアキャスターホイールと、ホイールロックと、を備え得る。前記フロントキャスターホイール及び前記リアキャスターホイールのうち少なくとも一方は、第1の位置から第2の位置まで前記デッキに対して並進するように構成された、可動ホイールを備えている。前記ホイールロックは、前記可動ホイールを前記第1の位置及び前記第2の位置で固定するように構成され得る。
【0006】
幾つかの実施形態では、前記可動ホイールは、前記デッキ内のトラックに沿って並進するように構成され得る。幾つかの実施形態では、前記キャスターボードは、前記可動ホイールを前記デッキから取り外すことを可能にするように構成されたアクセス領域をさらに備え得る。幾つかの実施形態では、前記可動ホイールは、前記車両の長手方向軸に概ね平行な方向に並進するように構成されている。幾つかの実施形態では、前記ホイールロックは、前記可動ホイール上のラッチ及び前記デッキ内の複数の開口を含んでいる。前記ホイールロックは、セットスクリューを備え得る。前記可動ホイールは、モータ駆動され得る。前記フロントキャスターホイールは、前記可動ホイールであり得る。前記リアキャスターホイールは、前記可動ホイールであり得る。幾つかの実施形態では、前記キャスターボードは、前記デッキの前部分及び後部分よりも幅が狭いネック部をさらに備え得る。
【0007】
幾つかの実施形態では、ホイールが調節可能な移動用の車両が、ライダー(乗り手)を支持するように構成された支持構造と、前記ライダー及び前記支持構造を搬送するためのホイールを含む、少なくとも1つのモジュラー型搬送部分と、前記支持構造内の少なくとも1つの取付具であって、前記取付具は、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分を、前記支持構造に対して、少なくとも2つの異なる位置に、物理的にかつ/又は強固に固定するように構成されている、取付具と、かつ/又は、工具不要機構であって、ユーザが、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分を、前記支持構造に対する取付状態から解放し、前記少なくとも2つの異なる位置の間で移動させることができるように構成された、工具不要機構と、を備え得る。
【0008】
幾つかの実施形態では、前記車両は、第2のホイールをさらに備え得るのであり、この際、前記少なくとも1つのモジュラー型搬送部分の、前記少なくとも2つの異なる位置の間での移動は、それと前記第2のホイールの間の距離を変化させる。幾つかの実施形態では、前記第2のホイールは、前記支持構造に対して固定され得る。幾つかの実施形態では、前記支持構造はキャスターボードデッキを備えており、前記キャスターボードデッキは、2つの幅が広い部分であって、2つの足を支持するように構成され、かつ弾力性部分によって分離された、2つの幅が広い部分を有しており、前記支持構造内の前記取付具は、前記幅が広い部分のうち一方の下に配置されており、かつ、第2のホイールが、前記幅が広い部分の他方の下に配置されている。幾つかの実施形態では、前記取付具は、前記支持構造の一部を貫通する複数の穴を備えている。幾つかの実施形態では、前記取付具は、長手方向のトラックを備えており、かつ、前記モジュラー型搬送部分は、前記トラックの内部にぴったりと又はきつく嵌合するように構成されたホイール基部を備えている。幾つかの実施形態では、前記取付具は、突出部をさらに含んでおり、前記突出部は、開口内へと延びて、前記モジュラー型搬送部分を長手方向の前記トラック内の特定の位置で固定する。幾つかの実施形態では、前記取付具は、協働して前記ホイール基部の回転を防止する、前記ホイール基部の縁壁及び長手方向の前記トラックの平行壁をさらに備えている。幾つかの実施形態では、前記ホイール基部は、転動(roll)軸を中心として転動するためのピボット軸を中心として枢動(pivot)するためのキャスターホイールを支持する。幾つかの実施形態では、前記少なくとも2つの異なる位置のうち両方にあるとき、前記ホイール基部は、前記ホイールを、前記支持構造の主平面に対して非直角の角度で位置決めし、かつ、前記ホイールにセルフセンタリング付勢を提供する。幾つかの実施形態では、前記車両は、ホイール位置表示器をさらに備えており、前記ホイール位置表示器は、前記支持構造の上方から見え、かつライダーに対して前記モジュラー型搬送部分の現在位置を表示するように構成されている。幾つかの実施形態では、前記ホイール位置表示器は、前記支持構造内の視認用開口、及び前記モジュラー型搬送部分の一部を含む。幾つかの実施形態では、前記工具不要機構は、ホイールロックを備えており、前記ホイールロックは、弾力性突出部を有しており、前記弾力性突出部は、前記モジュラー型搬送部分を前記少なくとも2つの異なる位置の間で位置変更するときに、人間のユーザの手で工具を用いることなく変位させることができる。
【0009】
幾つかの実施形態では、スケートボード(又は他のタイプの個人用移動車両)のホイールの位置を調節するためのシステムであって、前記システムは、複数のホイール取付位置を有するホイール支持構造と、ホイール(例:スケートボードホイール)及び基部を含むホイールアセンブリであって、前記ホイールは、前記基部に対して旋回する(swivel)ように構成されており、かつ、前記基部は、前記ホイール支持構造に結合するように構成されている、ホイールアセンブリと、を備え得る。前記基部及び前記ホイール支持構造は、相補構造であって、前記基部の回転を防止するように前記ホイール支持構造に対して強固に結合し、かつ、前記基部を第1の取付位置に強固に維持する、相補構造を備え得る。前記基部及び前記ホイール支持構造は、解放部分をさらに備え得るのであって、その際、前記解放部分は、ユーザが、前記基部を前記ホイール支持構造の前記第1の取付位置から容易に緩めることができるように、かつ、前記基部を、前記ホイール支持構造の第2の取付位置に、前記基部が前記第2の取付位置に強固に維持されるように、位置変更することができるように、構成されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、前記ホイール支持構造は、少なくとも2つの鉛直方向の壁を有する、細長い開口を含んでおり、前記開口は、前記壁が前記基部内の対応する壁との接触を維持しながら、前記基部が前記開口内へとスライドできるようにする、サイズであり、それによって、前記基部の回転を防止するように前記ホイール支持構造に対して強固に結合する前記相補構造が形成される。幾つかの実施形態では、少なくとも2つの鉛直方向の前記壁は、少なくとも2つの側部開口を有しており、かつ、前記基部は、少なくとも1つの弾力性突出部を有しており、前記弾力性突出部は、前記少なくとも2つの側部開口と協働して、前記基部を前記第1の取付位置に強固に維持する、相補構造を形成し、前記弾力性突出部はまた、前記解放部分も形成する。幾つかの実施形態では、前記システムは、スケートボード又はキャスターボードのデッキをさらに備えており、前記デッキは、少なくとも2つのホイールが使用時に前記デッキを支持するように設けられるように、前記ホイール支持構造をその裏面に配置するように構成されている。幾つかの実施形態では、前記解放部分は、ユーザの指によって変位及びアンロックされることができる、少なくとも1つの弾力性タブロックを備えている。
【0011】
幾つかの実施形態では、スケートボード又はキャスターボードを組立てるためのコンパクトなキットであって、前記キットは、デッキと、複数のホイールベイ(wheel bay)を有する固定モジュールと、前記複数のホイールベイの中に挿入されるように構成された基部を有する、少なくとも1つのホイールアセンブリと、を備え得る。前記キットは、パッケージであって、前記デッキ、前記固定モジュール、及び前記少なくとも1つのホイールアセンブリを概ね同じ平面内に能率的に配置してフラットパックを形成する、パッケージを備え得る。幾つかの実施形態では、前記キットは、ベイを有する第2の固定モジュールと、前記第2の固定モジュールの前記ベイ内に挿入されるように構成された基部を有する、第2のホイールアセンブリと、をさらに備え得るのであって、その際、前記パッケージは、前記第2の固定モジュール及び前記第2のホイールアセンブリを概ね同じ前記平面内に配置して前記フラットパックを形成するように、さらに構成されている。
【0012】
上記の発明の概要及び後述する発明を実施する形態のいずれも、保護範囲を限定又は定義することを意図しない。保護範囲は請求項によって定義される。
【0013】
本明細書で開示される実施形態の、上記の特徴又は他の特徴は、実施形態の図面を参照しつつ、以下で記述される。図示された実施形態は、保護範囲を例示することを意図されているが、限定することは意図されていない。本開示の異なる実施形態の各種特徴は、組み合わせられ、本開示の一部であるさらなる実施形態を形成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、移動車両を概略的に示しており、該移動車両は、支持面と、1つ以上の接続可能かつ/又は調節可能な搬送部分であり得るモジュールと、を有する。
【0015】
図2A図2Aは、ホイール位置が調節可能なキャスターボードの一実施形態の前方上方からの斜視図を示している。
【0016】
図2B図2Bは、図2Aのキャスターボードの後方上方からの斜視図を示している。
【0017】
図3図3は、図2A及び2Bのキャスターボードの側面図を示している。
【0018】
図4図4は、図2A~3のキャスターボードの下面図を示している。
図5図5は、図2A~3のキャスターボードの下面図を示している。
【0019】
図6A図6Aは、ホイール位置が調節可能なキャスターボードの平面図を示している。
図6B図6Bは、ホイール位置が調節可能なキャスターボードの側面図を示している。
【0020】
図6C図6Cは、図6A及び6Bの文脈において、デッキがどのようにトラックを有し得るか、かつ取り外し可能なホイールカートリッジがどのようにそのトラックに係合し得るか、を示している。
【0021】
図7A図7Aは、トラックを有するキャスターボード及び関連付けられたホイールカートリッジを示している。
【0022】
図7B図7Bは、トラックの拡大図を示している。
図7C図7Cは、トラックに関連付けられるように構成されたホイールカートリッジの拡大図を示している。
【0023】
図8図8は、ホイール位置を調節するための穴を有するキャスターボードの前部分の概略的な下面図及び側面図を示している。
【0024】
図9図9は、ホイール位置表示器を有する、ホイール位置が調節可能なキャスターボードの前部分の概略的な平面図を示している。
【0025】
図10図10は、角度を有するキャスター又は方向性キャスター(direction-caster)の側面図を示している。
【0026】
図11A図11Aは、弾力的に結合された2つの部分を有するボード上に配置された、キャスターの下面図を示している。
図11B図11Bは、弾力的に結合された2つの部分を有するボード上に配置された、キャスターの下面図を示している。
【0027】
図12A図12Aは、単一部片の可撓性スケートボードの一実施形態を示している。
図12B図12Bは、単一部片の可撓性スケートボードの一実施形態を示している。
【0028】
図13図13は、ボードとホイールの接続部分の等角分解図を示している。
【0029】
図14A図14Aは、本明細書に記載のシステムの運動及び推進力を示している。
図14B図14Bは、本明細書に記載のシステムの運動及び推進力を示している。
図14C図14Cは、本明細書に記載のシステムの運動及び推進力を示している。
図14D図14Dは、本明細書に記載のシステムの運動及び推進力を示している。
図14E図14Eは、本明細書に記載のシステムの運動及び推進力を示している。
【0030】
図15図15は、セルフセンタリング型キャスター及び関連部分の部分的な斜視図を示している。
【0031】
図16図16は、本明細書に記載のモジュール及び関連部分が、例えば組立状態よりも厚みが薄い出荷パッケージ内に能率的に配置され得るやり方を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の好ましい実施形態及び実施例は以下で開示されるが、発明的な主題は、その開示された特定の実施形態を超え、他の代替的な実施形態及び/又は用途に、そしてそれらの変更及び等価物に、及んでいる。従って、添付の請求項の範囲は、以下で記述される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書で開示される方法又はプロセスにおいては、その方法又はプロセスの作用又は操作は、任意の適切な順番で実行されてよく、開示された特定の順番には必ずしも限定されない。ひいては、様々な操作が、特定の実施形態を理解するために有用たり得る形で、複数の別々の操作として記述され得る。もっとも、その記述の順番は、それらの操作が順番依存であることを示唆すると解釈されるべきではない。追加的には、本明細書で記述される構造、システム、及び/又は装置は、統合された構成要素又は別個の構成要素として具現化され得る。各種実施形態を比較する目的のために、それらの実施形態の特定の側面及び有利な点が記述される。そのような側面又は有利な点のすべてが、何らかの1つの特定の実施形態によって達成されるわけでは必ずしもない。従って、例えば、様々な実施形態が、以下のようなやり方で、即ち、本明細書で教示されている1つの有利な点又は有利な点の群を達成又は最適化するが、他の側面又は有利な点もまた本明細書における教示又は示唆のとおりに達成されるということは必ずしもないやり方で、実行され得る。
【0033】
本明細書は、多くの装置、構成要素、アセンブリ、及びサブアセンブリの、書面での説明及び例示を提供する。1つの例で説明及び/又は例示された任意の構造、材料、機能、方法、又はステップは、それ自体で用いられてもよいし、あるいは、他の例で説明及び/又は例示されるか又は本技術分野において用いられる任意の構造、材料、機能、方法、又はステップと一緒に、又はそれらの代わりに、用いられてもよい。本文書及び図面は、単に例を提供するのみであり、限定するもの又は排他的なものとして解釈されるべきではない。本出願で開示されるいかなる特徴も、決定的に必要又は不可欠であるとは考えられない。図中に描かれている構成要素の相対的なサイズ及び比率は、本明細書の開示内容を支持する部分を形成しているが、請求項における記載がない限りは、その請求項を限定するものと考えられるべきではない。
【0034】
交換、固定、結合解除、更新、及び/又は様々な位置への調節が可能なホイールを有する車両の様々な実施形態が、開示される。本開示は、キャスターボードの文脈で特定の実施形態を例示するが、これはその文脈における特定の有用性による。もっとも、本開示の主題は、他の多くの文脈(例:スクーター、スケートボード、カート、又は他の個人用移動車両)においても同様に使用することができ、図面に示された実施形態に限定されるものではない。本技術は、動力駆動されるか又は手動で運転される車両において実装可能なのである。
【0035】
図面を通じて、図示された要素の特定の形状及びサイズは、誇張されている場合があり、あるいは本開示の特定の実装から変化している場合がある。これは、本開示の特定の態様を伝達するためである。
【0036】
図1は、支持構造と、1つ以上の接続可能及び/又は調節可能な搬送部分であり得るモジュールと、を有する移動車両を概略的に示している。例えば、搬送装置1は、支持構造2及びモジュラー型搬送部分4及び6を備え得る。これらの部分は、それらの間に異なる分離部7を有し得る。双方向矢印8及び9によって示されているように、それらは、異なる位置で支持構造2に対して着脱可能であり得る。好ましくは、その取付は、工具を必要とせず、さらに、厳しいスケーティング環境下で適切に機能するように、ホイールを旋回及び回転させるための、安全、強固、かつ堅固な支持を提供する。
【実施例
【0037】
図2A~3は、図1の概略図と矛盾しない、ホイール位置が調節可能なキャスターボード10の異なる図を示している。図2Aの斜視図においては、フロントホイール14及びバックホイール16が示されている。デッキ12の切り欠き領域は、前部分及び後部分がユーザによって与えられた圧力下で互いに反対の方向に傾いた際に、捻転及び推進力を可能にすることができるが、その後、弾力性をもってニュートラル位置に戻る傾向がある。これは、部分的には、図3に示されている、傾斜したホイールの構成によって可能である。この構成では、ホイールアセンブリはウェッジ形状の基部を通じてデッキ12に接続しており、このことは以下でさらに論じられる。
【0038】
図4は、図2A~3の図と矛盾しない、各種位置に調節可能である1つ以上のホイールを有する車両の下面図を示している。図示されている車両は、上記されたようなキャスターボード10であるが、本技術は、他のタイプの車両においても実装可能である。キャスターボード10は、米国特許第7195259号明細書及び米国特許第7338056号明細書で開示された任意の特徴を備え得るのであって、それらの特許の各々は、その内容全体が参照によって明細書に組み込まれ、かつ、以下でより詳細に論じられる。
【0039】
キャスターボード10は、ライダーがその上に立つデッキ12を備え得る。そのようなキャスターボードは、デッキの前部分及び後部分よりも幅が狭いネック部分を備え得る。このネック部を枢動領域として用いることにより、前部分及び後部分は、互いに対して相対的に捻れ、車両に対しロコモーションを提供することができる。
【0040】
上記キャスターボードは、フロントホイール14及びリアホイール16を備え得る。幾つかの実施形態は、複数のフロントホイール及び/又は複数のリアホイールを有する。ホイール14、16のうち1つ以上は、以下のような、即ち、ホイールが、デッキに平行な第1の軸周りを転動することができる一方、ホイールを保持するフォーク部は、デッキを横切る向きの第2軸のまわりを旋回又はスピンすることができるような、キャスターホイールであり得る。ホイール14は基部14a及び回転部分14bを備え得る。ホイール14、16のうち1つ以上は、モータ駆動され得る。
【0041】
キャスターボード10のホイール14、16のうち1つ以上は、デッキ12に対して運動(例:並進)するように構成され得る。有利には、任意の可動ホイールは、キャスターボード10の使用の間には堅固かつ安全に配置されているが、ユーザによって迅速かつ容易に位置変更されることができる。例えば、図4及び5に示されている例においては、フロントホイール14はデッキ12に対してスライドし(又は直線的に位置変更され)、第1の位置から第2の位置へと至り得る。ホイール14の基部14aは、1つ以上のレール18に沿って、かつ/又はトラック20内をスライドできるか、又は位置変更され得る。幾つかの実施形態では、この可動ホイールは、車両の長手方向中心線Lに概ね平行な方向に運動させられ得る。これは、ホイール間長さ又はホイール間距離の調節を容易化し得る。ホイール間長さは、足の各々をホイールの一方の上に載せるような、ユーザの好ましいスタンス(脚の間の開き)に対応する、キャスターボードの性質であり得る。幾つかの実施形態では、可動ホイールは、車両の横(側面から側面の)軸に概ね平行かつそれに沿って運動し得る。これは、ホイール幅の調節を容易化し得る。幾つかの実施形態では、リアホイール16は、デッキ12に対してスライドし得る。特定の実施形態は、複数のフロントホイールを備えており、そのうち1つ以上は、デッキ12に対して運動する(例:並進する、又は、位置変更される)ように構成されている。幾つかの実施形態は、複数のリアホイールを有しており、そのうち1つ以上は、デッキ12に対して運動する(例:並進する、又は、位置変更される)ように構成されている。
【0042】
幾つかの実施形態では、ホイール14、16のうち1つ以上は、デッキから取り外し可能である。例えば、図4及び5に示された例においては、フロントホイール14は、アクセス領域22へとスライドさせられ得る。該ホイールは、アクセス領域22にあるとき、デッキから取り外すことができる。このことは、ユーザが摩耗したホイールを交換することを、又はホイールタイプ(例:材料の種類、ホイール幅、モータ駆動又は非モータ駆動)を変更することを、可能にし得る。ホイールを交換するこの能力によって、ライディング時間及び/又は性能を改善することが容易化され得る。例えば、ある実施形態では、ホイールは電力供給部(例:バッテリ)を備えており、ホイールを交換する能力は、ユーザが消費済の電力駆動ホイールをフレッシュな電力駆動ホイールに交換することを可能にする。このことは、例えば、電力供給部が消費されたホイールをアクセス領域へとスライドさせ、そのようなホイールを取り外し、その後、電力供給部が充電されているホイールをアクセス領域に取付け、そのようなホイールを(例えば、トラック20に沿って)車両上の所望の位置へと移動させることを、含み得る。
【0043】
様々な実施形態では、可動ホイール(複数可)は、ホイールロックを用いて、車両上の所望の位置で固定され得る。様々なホイールロックが考えられる。例えば、図4及び5に示されている実施形態においては、フロントホイールは、所望の位置までスライドさせられ、その位置にロックされ得る。そのようなスライド機構及びロック機構は、デッキ上のトラック20の下向きに延びる壁にある開口24、ホイール上のラッチ26(例:突出部、デタント)、又はホイールのための支持構造、を含み得る。代替的には、突出部が、トラック20からホイール内の開口又はホイールの支持構造(例:14a)の中へと延びる場合がある。ラッチ26は、開口24と係合されて(例えば、その中に受け入れられて)、ホイールを、トラック20及びデッキ12に対する所定の位置で固定することができる。ラッチ26は、開口24から係合解除されて(例えば、物理的干渉をしないようにされて)、ホイールがデッキ12に対して移動することを可能にすることができる。このことは、例えば、ユーザがラッチ26を押し込んで主体的にホイール14を移動させることによって、達成され得る。ラッチ26は、キャスターボード10にライドしたときにホイール14がデッキ12及びトラック20に対して安全に固定されているように、例えばばねによって、開口24との係合に向かって付勢され得る。ユーザは、ラッチ26を押し(例えば、内側に向かって、かつ/又は長手方向中心線Lに向かって)、ラッチ26を開口24から解放することができる。幾つかの実装では、ホイールロックは、ホイールを様々な位置で固定するためにデッキ内の穴に係合され得る、固定具(例:ボルト、ピン)を含んでいる。ある変形例では、該ホイールロックは、セットスクリュー、コッターピン等を含んでいる。
【0044】
図5に示されているように、キャスターボード10の裏面は、そのボードの軽量性を維持しつつ、構造的堅固性及び強度を与えるために、複数のリブを備え得る。従って、デッキ12は、有利には、成型プロセスでプラスチックから形成され得る。リブは、デッキ12の縁リップを、トラック20の下向きに延びた壁と接続させることができるが、該リブは、位置変更をしている間に、基部14a(及び、ラッチ26等の任意の凹んだ固定構造)がトラック20内でスライドすることを許容するように、トラック20を開放されたままに残すことができる。この図はまた、回転部分14bが基部14aに結合され、ホイール14を形成できるやり方を示してもいる。このようにして、ホイール14は、モジュラー型で取り外し可能かつ位置決め可能なユニットを形成し得る。ここで、ホイール14の少なくとも一部(例:回転部分14bを通過するアクスルを支持するフォーク構造)は、金属から形成され、基部14aの少なくとも一部はプラスチックから形成される。
【0045】
追加の例示的な実施形態〔0043〕。図6A~7Cは、様々な位置に調節可能な1つ以上のホイールを有する車両の追加的な実施形態(例:キャスターボード100)を示している。キャスターボード100は、上記のキャスターボード10の任意の特徴を有し得る。キャスターボード100は、ユーザがその上に立つことができるデッキ112を備え得る。図示されたデッキ112は小さなサーフボードの外見を有しているが、他の実装は他の形状を有している。
【0046】
キャスターボード100は、デッキ112の底面上にトラック120を有し得る。幾つかの実施形態では、トラック120は、例えばスロット、凹部、又は溝である、細長いチャネルを有している。トラック120は、キャスターボード100の長手方向線(例:中心線)に概ね平行であってよく、又はその上にあってもよい。トラック120は、デッキ112の底面に統合され得るのであって、例えばデッキ112と一緒に一元的に形成されている。幾つかの実施形態では、トラック120は、デッキに接続された別個の構成要素である。例えば、トラック120は、デッキの底部に固定されているか又は固定可能な、強固かつ堅固な(例えば、金属製の)チャネルを備え得る。図7Aに示されているように、デッキ112は、フロントトラック120a及びリアトラック120bに対応する前部分及び後部分を備え得る。トラック120は、複数の開口124を有し得るのであって、それらは、例えば、凹部又は貫通穴である。幾つかの変形例では、トラック120は、一連の分離した取付位置を備えている。開口124は、横方向に、かつ/又はデッキ112の側部に向かって、開口し得るのであって、ホイール基部140aから対応する突出部を受け入れるように構成され得る。代替的又は追加的には、トラックが、ホイール基部140a内の開口に対応する突出部を備え得る。代替的又は追加的には、図6Cに示されているように、トラック120及び基部140aの両方が開口を備え得るのであって、ボルト144、シャフト、コッターピン146等が、それらの開口を貫通して延在し、基部140aをデッキ112に対して所定の位置(例えば、トラック120内の)に固定することができる。
【0047】
キャスターボード100は、ホイールカートリッジ140を(幾つかの例では、さらに他のホイール160を)備え得る。例えば、図6Cに示されているように、ホイールカートリッジ140は、基部140aと、傾斜キャスターホイール等のキャスターホイール140bと、を備え得る。傾斜キャスターホイールは、図10に関連してさらに記述される。幾つかの実装では、キャスター角は調節可能であり、例えば、ホイールカートリッジ140を異なる角度で配置するか、又はタブ126を受け入れる異なる方向の開口を用いて、調節可能である。図7Aに示されているように、ある実装は、複数のホイールカートリッジ140を有している。例えば、フロントトラック120a及びリアトラック120bを有する幾つかの実施形態では、キャスターボード100は、対応するフロント及びリアホイールカートリッジを備え得る。ある実施形態では、複数のホイールカートリッジ140を、デッキ112の前方端部に有しており、かつ、/又は複数のホイールカートリッジ140を、デッキ112の後方端部に有している。
【0048】
ホイールカートリッジ140及びトラック120は、嵌合的に係合し得る。幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140がオス要素であり、トラック120はメス要素である。例えば、図示されている実施形態では、ホイールカートリッジ140が基部140aを備えており、トラック120は、少なくとも部分的には基部140aを受け入れるチャネルを備えている。幾つかの変形例では、ホイールカートリッジ140がメス要素であり、トラック120はオス要素である。例えば、トラック120がレールを含んでおり、ホイールカートリッジ140はそのレールを受け入れるチャネルを備えている場合がある。幾つかの実装では、ホイールカートリッジ140は単一の方向のみで、トラック120内に、又はそれに接して、取付けられ得る。ある変形例では、ホイールカートリッジ140は、複数の向きで、例えば前方傾斜方向及び逆傾斜方向で、トラック120内に取付けられ得る。
【0049】
ホイールカートリッジ140は、トラック120に対して位置変更可能であり得る。例えば、ホイールカートリッジ140は、(好ましくは、キャスターボードはライディングされていないときに、ユーザによって明確に並進させられた際にのみ)トラック120に沿ってスライド及び/又は並進するように構成され得る。幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140は、トラック120と係合されたままで、かつ/又は、ホイールカートリッジ140をトラック120から取り外す必要なくして、トラック120に沿って位置変更され得る。幾つかの変形例では、ホイールカートリッジ140はトラック120に対して単一の方向に、爪車で動く(ratchet)か、かつ/又は、スライドできる。キャスターボード100は、ホイールカートリッジ140の位置の調節を可能にし、かつ/又はホイールカートリッジ140をデッキ112に対する所定の位置で固定する、幾つもの機構を備え得る。これらについては、以下で論じる。
【0050】
幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140は、工具なしで、デッキに対して運動させられることができ、それに取付けられることができ、かつ/又はそれから取り外されることができる。例えば、幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140は、工具を必要とせず、解放され(例:緩められ)、移動させられ、かつ固定され(例:きつく締められ)得る。幾つかの実装は、ホイールカートリッジ140の位置の調節及び/又は固定のために、工具(例:スクリュードライバー、レンチ、又はその他のもの)を用いる。
【0051】
ホイールカートリッジ140は、ロック機構を備え得る。ロック機構は、ホイールカートリッジ140をトラック120に固定する(例:接続する、きつく締める、かつ/又は周りを締める(cinch))ように構成され得る。該ロック機構は、例えば、1つ以上の可撓性タブ、プッシュボタン、ピン、ボルト、スクリュー、クリップ、デタント等を含む。幾つかの実施形態では、該ロック機構は、クイックリリースクランプ等のクランプを1つ以上備えている。
【0052】
ある実装では、ロック機構は、嵌合タブ及び開口を備えている。例えば、図7C及び7Bに示されているように、ホイールカートリッジ140が1つ以上のオスタブ126を備え、かつトラック120は複数の開口124を備えている、という場合がある。開口124は、タブ126を受け入れることができ、それによって、ホイールカートリッジ140を所定の位置で固定しかつ/又はホイールカートリッジ140がトラック120に対して運動させられることを禁止又は防止する、物理的な干渉がもたらされる。
【0053】
幾つかの変形例では、ロック機構は、ラチェット型トラックシステムを備えている。例えば、トラック120が歯を備えており、かつホイールカートリッジ140が歯止め(pawl)を備えている、という場合がある。該歯止めは、トラック120に沿ったホイールカートリッジ140の移動は一方向にのみ許され、反対方向には実質的に許されないように、歯と係合し得る。トラック120に沿ったホイールカートリッジ140の移動は、可聴音を生成し得るのであって、それによって、ホイールカートリッジ140が位置変更されつつあるか又は一連の固定可能位置を通って移動させられつつあることへの気づきを、ユーザに与えることができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、ロック機構は、デッキ-ボルト間インタフェース又はデッキ式のボルトパターン(例えば、スノーボード又はスケートボード上にあるような)を備えている。ホイールカートリッジ140の一部を通って延びる1つ以上のボルトが、デッキ112内の対応する穴128に係合し、それを通過する場合がある。幾つかの実装では、穴128は、デッキ112の頂部側又は底面側から見ることができる。図8に示されているように、ある実装では、ボルトはデッキ112の頂部から取付けられる。幾つかの変形例では、ボルトは、図8にも示されているように、デッキ112の底部又は側部から取付けられる。
【0055】
ロック機構は、(例えば、ホイールカートリッジが所定の位置で固定されている状態に向かわせる)フェイルセーフ構成であり得る。ロック機構は、(例えば、ばねによって)付勢され、開口124のうち1つの中に係合され得る。ロック機構は、ロック機構を係合解除してホイールカートリッジ140を位置変更させるためにはユーザが力を適用しなければならないように、構成され得る。
【0056】
ホイールカートリッジ140は、トラック120から取り外し可能であり得る。このことによって、キャスターボード100をカスタマイズ及び/又は調節できるようになり、例えば、ユーザの環境、ユーザの好み、及び/又はライダーのスキルレベルに合わせることが可能になる。例えば、ユーザがより速いスピードを所望のときには、より硬いホイールを有する1つ以上のホイールカートリッジ140を取付ければよく、かつ/又は、ユーザがよりよい乗り心地を所望の時には、より柔らかいホイールを有する1つ以上のホイールカートリッジ140が取付けられ得る。他の例では、ユーザは、(例えば、より高い地上高が所望であるときの)より大きなホイール又はフォーク部と(例えば、地面に対してより低い位置でのライディング体験が所望であるときの)より小さなホイール又はフォーク部の間で交換を行うことができる。さらに、ユーザは、ホイールカートリッジ140を自身の好みとミックス又はマッチさせることができるのであって、例えば、ホイールカートリッジ140をより大きな径の第1のリアホイールとミックス又はマッチさせることができ、かつ、ホイールカートリッジ140をより小さな径のフロントホイールとミックス又はマッチさせることができる。
【0057】
取り外し可能なホイールカートリッジ140は、キャスターボード100のパッケージサイズを縮小することができる(例えば、箱のサイズを小さくすることができる、空間体積を小さくすることができる、等)。ある実施形態では、キャスターボード100は、ホイールカートリッジ140が取り外された状態で、平板状に梱包され得る。
【0058】
幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140は、複数のホイールを、例えば互いに隣り合った一対のホイールを、有している。このことにより、(例えば、新たなユーザがキャスターボードの乗り方を習う際の補助のために)ユーザが、キャスターボード100をより安定的にでき、かつ/又は容易にライドできる、という場合がある。ユーザのスキルが成長したときには、ユーザは複数のホイールを有するホイールカートリッジを、単一ホイールのホイールカートリッジに交換するとよい。幾つかの実施形態では、ホイールカートリッジ140は、1つのカートリッジ上に2つのキャスターホイールを備えている。あるホイールカートリッジ140は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの可動キャスターホイールを有し得る。そのような構成を可能にするために、複数のトラック120が用いられる場合がある。サイドトラック120が用いられ、2つのホイールが同期的に(例えば、デッキ112の中心線上ではなく)配置される場合がある。ユーザが、三輪構成を卒業し、例えば同じデッキ112を用いて二輪構成に移行するときのために、第3のトラック120を中心に配置することができる。
【0059】
図9に示されているように、ある実装では、キャスターボード100は、ライダーが1つ以上のホイールカートリッジ140の位置を見ることができるように構成された表示システムを備え得る。ユーザが自身の足をホイールの位置の上に配置したときには、キャスターボード100はより不安定になり得るので、このことは、キャスターボード100の操作において有益であり得る。ホイールカートリッジ140の位置の視覚的な表示を有することにより、ユーザはそれに従って自身の足を配置することができるのである。該表示システムは、ユーザがデッキ112を上方から見下ろすとき又はデッキ112上に立っているときにおいてさえも、ホイールカートリッジ140の位置をユーザに対して表示するように、構成され得る。
【0060】
幾つかの実施形態では、表示システムは、デッキ112内にある、透明又は半透明部分等の表示ストリップを含んでいる。該表示ストリップは、トラック120の位置に対応することができ、かつ/又はトラック120に概ね平行に延在し得る。表示システムは、ホイールカートリッジ140上にある、暗いマーク又は着色されたマーク等の表示ユニットを備え得る。ホイールカートリッジ140がデッキに取付けられているときには、表示ストリップを通して該表示ユニットを見ることが可能であり得る。
【0061】
幾つかの実施形態では、表示システムは、デッキ112内の対応する穴の中の固定具(例:ボルト)の位置を示している。例えば、上記穴は、どの穴にボルトが取付けられているかを、従ってホイールカートリッジ140の位置を、ユーザが見ることができるようにする、デッキ112内の貫通穴を含み得る。幾つかの実装では、穴は、例えば、デッキ112の頂部上にある、透明又は半透明プラスチック製の保護層で覆われている。幾つかの変形例では、穴の上端は、例えば透明エポキシを用いて閉鎖されている。
【0062】
(方向性キャスターを有するスケートボードの概要)
上記したように、米国特許第7195259号は、本明細書に組み込まれている。該特許は、スケートボードが、接続要素を備えたフロントボード及びリアボードを有し得るのであり、該接続要素はその2つのプレートを離隔された関係で相互接続することを、説明している。各ボードは、1つ以上の方向性キャスターを有し得るのであって、該方向性キャスターは、フロントボード及びリアボードのうち少なくとも一方のプレートの裏面に、弾性部材を含み得る接続要素を用いて以下のように取付けられる、即ち、該接続要素が、それが捻れ力又は屈曲力を受けているときには弾性的に捻られるか又は屈曲させられることができ、かつその力が除去されたときには元の形状を回復することができるように、取付けられる。フロントボードは、1つ以上の方向性キャスターを有し得るのであって、かつリアボードは1つ以上の固定ローラセットを有し得る。上記接続要素は、弾性材料を内部に有するツイストパイプである場合があり、又は、例えば図2A、2B、4、及び7Aに示されているように、ボードの幅が広い部分に弾力性を有して接続している、ボードの幅が狭い部分を備えている場合もある。接続要素は、ツイストパイプと、2つの弾性部材であって、該ツイストパイプの両側に、ツイストパイプに平行であるように設けられており、かつフロントボード及びリアボードにそれぞれの両端の各々で接続されている、2つの弾性部材と、を含み得る。
【0063】
米国特許第7195259号明細書を参照すると、スケートボードは、フロントボードと、リアボードと、離隔された関係のその2つのボードを相互接続する接続要素と、を有し得る。ここで、フロントボード及びリアボードのうち少なくとも一方は、フロントボード及びリアボードのプレート裏面上に取付けられた、1つ以上の方向性キャスタースケートブレードを有している。接続要素は、弾性部材を、以下のように、即ち、それが捻れ力又は屈曲力を受けているときには弾性的に捻られるか又は屈曲させられることができ、かつその力が除去されたときには元の形状を回復することができるように、備えている。
【0064】
図10は、例示的な方向性キャスターの拡大図を示しており、該方向性キャスターは、(他の図面で示されているもののように、プラットフォーム12、112等を含む場合もあればそれに取付けられている場合もある)プレート1011に取付けられたホイール支持部1034と、ホイール支持部1034に枢動可能に接続されたローラアーム1035と、アクスルのためのフォーク部を形成するように、ローラアーム1035の自由端部分に回転可能に接続された、ローラ1036と、を含んでいる。ホイール支持部1034は、ウェッジ形状を有しており、その結果、ホイール支持部1034とプレート1011の接触面と、ホイール支持部1034とローラアーム1035の延長方向の接面と、の間に鋭角θが形成される。
【0065】
この角度は、例えば、ライダーがスケートボード上で体を傾けたり(tip)揺らしたりする(sway)ことで前進運動を発生させるために、用いられ得る。スケートボードが方向性キャスターを有する場合においては(かつ、例えば米国特許第7195259号の図3aに示されているように)、ライダーがフロントボードをスケートボードの前進方向に対して右側に傾けた場合、フロント方向性キャスターのローラアーム1035は左側にターンし、ローラ1036は前進方向に対して右方向に転動し、ライダーは右方向にターンすることができる。代替的には(例えば、米国特許第7195259号の図3bに示されているように)、ライダーがリアボードを前進方向に対して右側に傾けた場合、リア方向性キャスターのローラアームは左側にターンし、該ローラは前進方向に対して右方向に転動し、その結果、リアボードは右側にターンするので、結果として、ライダーは左方向にターンすることができる。
【0066】
これらの2つの効果を組み合わせると(さらに、例えば、米国特許第7195259号の図3cに示されているように)、ライダーが前進方向に対してフロントボードを右側に、かつリアボードを左側に傾けたときには、ライダーは小さな回転半径で右方向にターンすることができる。加えて、ライダーが両方のボードを前進方向に対して同じ側に傾けた場合には、ライダーは、両方のボードが平行に前進する方向に前進することができる。
【0067】
例えば、米国特許第7195259号の図3dに図示されているように、駆動力を生み出すためのメカニクスが示される。そこでは、ライダーは前進方向に対して左方向への捻り運動を生み出している。ライダーが左方向に捻るにつれ、フロントボードは正のy方向に付勢されかつリアボードは負のy方向に付勢され、その結果、方向性キャスターは、ボードが受け取った付勢力の大きさに比例する、前進方向に対する転動角を生み出す。方向性キャスターのためのホイール支持部(例:1034)のウェッジ形状の特徴により、方向性キャスターの転動方向に力が生み出される。このように、この力の水平方向成分は、スケートボードを加速させる駆動力を生み出す。結果として、スケートボードが方向性キャスターを有している場合には、ライダーが地面を踏んで駆動力を生み出す必要はなく、代わりに、ライダーは、自身の足を移動させることなく、ただ自身の体を右及び左に捻る必要があるのみである。力の鉛直方向成分はモーメントを生み出し、その重力中心のまわりでスケートボードを回転させる。
【0068】
米国特許第7195259号明細書でさらに説明されているように、ばねを用いて、上記されたライダーの捻れ力に反してはたらく復元力を提供することができる。このことは、スケートボードへのライディング中に、ライダーが、フロントボード及びリアボードを左右に捻ってターンを行ったか又は駆動力を生み出したときに、ライダーがその復元力によって安全に自身のバランスを維持することを補助し得る。プレートの裏面上に取付けられる2つ以上の方向性キャスターは、プレートの長手方向軸に沿って整列させられるように、又は側面同士が平行に並んだ配置になるように、取付けられることができる。この長手方向構成又は平行構成においては、スケートボードは相対的に大きな回転半径を有することになるが、この構成では安全性及び安定性が向上され得る(三輪車と類似の構成である)。
【0069】
図11Aに見られるように、方向性キャスターがフロントボードに取付けられているが、ローラをローラアームの軸上で回転させることができない1つ以上の固定ローラセット1161がリアボードに採用されている、という場合がある。この構成では、スケートボードのターンは、フロントボードによって最もよくもたらされ得る。従って、安全性を考えると、このスケートボードは、より若年の子どもにとってより適切であり得る。
【0070】
図11Bでは、ツイストパイプ1140が、ばねを有して設けられてよく、かつ/又は、2つの可撓性ラバー製部材1165が、該ツイストパイプ1140に平行に配置されてもよい。2つの可撓性ラバー製部材1165は、その端のうち一方をフロントボードに、他方の端をリアボードに、各々接続され得る。ツイストパイプ1140が捻られたときには、ばねと同様の復元力を、これらの可撓性ラバー製部材1165によって得ることができる。
【0071】
上記の方向性キャスター、及び、それに関連する、連続した左右交互への一連の横方向への体の傾けから生じ得る推進力は、ボード又はプレートに接続する材料に、かつ接続されたホイール又は方向性キャスターに、大きな応力を発生させる場合がある。従って、ホイール又は方向性キャスターと、関連するスケートボード又は類似の装置との間に、強固かつ安全な接続を確立することが重要であり得る。上記の図は、この必要性に対処するための、頑丈な接続構造を示している。例えば、図7Cのホイールカートリッジ140は、正方形又は矩形の基部140aを有し得るのであって、この基部140aは、ホイールカートリッジ140が固定接続を維持し、(接続されたキャスターホイール140bが左右両方に捻れることができ、つまり設計通りに自由に回転できるときにおいてさえも)それ自体でトラック120から捻れたり緩んだりすることはないように、トラック120内に嵌合している。図4及び5と同様にして、ホイールロック(例:ラッチ126)、及び、基部14aとトラック20の間のぴったりとした又は密接な嵌合により、固定された非回転基部140aからキャスターホイール140bが自由に旋回できるように、基部140aを固定することができる。この固定接続によって、キャスターボード等のスケーティング装置の完全性を維持しつつ、上記の推進法を可能にすることができる。
【0072】
(キャスターボードの推進力、方向ベクトル、及び捻転)
米国特許第7195259号明細書及び第7388056号明細書で説明されているように、スケートボードは、離隔されておりかつ相互接続されている、フロントプラットフォーム及びリアプラットフォーム(例えば、幅が狭いネック部又はトーションバーを有するか、あるいはフロント及びリアプラットフォームを他方のプラットフォームに対して捻るか又は回転させることができるような他の要素を有している)を有し得る。しかしながら、米国特許第7388056号明細書でさらに説明されているように、単一部片プラットフォームが類似の原理及び運動を用いて推進力を与えられる場合もある。該特許は、捻り軸に沿って捻れ可能な材料から形成された単一部片のプラットフォームを有する可撓性スケートボードを開示しており、ここで、該材料は、ユーザの足を支持するために、一般的にはプラットフォームの各端に、捻り軸に沿った一対の足支持領域を備えるように形成される。足支持領域同士の間には中央セクションが設けられる。そのようなスケートボードは、転動のために取付けられた単一のキャスターホイールを各々有する、一対のキャスターアセンブリを有し得る。ここで、キャスターアセンブリは、各々が捻り軸と第1の鋭角を形成している概ね平行な一対の枢動軸のうち一方を中心とした操舵回転(steering rotation)のために、ユーザの足支持領域に各々取付けられている。プラットフォーム材料の中央セクションは、以下のように、即ち、ユーザが、足支持領域の第1の方向へ、そして第2の方向へ、と交互にプラットフォームを捻ることによって、キャスターホイールの転動のためのエネルギーを加えることができるようにすべく、足支持領域よりも十分に幅が狭くなるように構成され得る。
【0073】
米国特許第7388056号をさらに参照すると、材料の中央セクションは、キャスターアセンブリをそれらと関連する枢動軸を中心として互いに反対の方向に操舵する前に、ユーザに対するフィードバックを提供するために、ユーザによって適用された力に応じて捻り軸を中心として捻れることに対して十分に抵抗性であってよい。中央セクションは、以下のような鉛直支持部を含み得る、即ち、プラットフォーム上での快適なライディングのために、捻り軸を中心として屈曲することが実質的になく、ユーザを足支持領域上で支持するために、捻り軸に沿った屈曲に対する十分な抵抗性を提供する、鉛直支持部を含み得る。この鉛直支持部は、例えば、捻り軸に沿って走る中央セクションの各縁部に沿って走る側壁であり、その高さは、中央セクションの縁部に向かって減少し得る。中央セクションの捻りに対する抵抗性を向上させるために、側壁同士の間にインサートを取付可能であってもよい。
【0074】
米国特許第7388056号明細書をさらに参照すると、足支持領域は、捻り軸を中心とした捻りに対して、中央セクションよりも抵抗性が大きく、それは、ユーザの足の捻りによって生み出される応力を減少させるために十分なほどである。関連するピボット軸を中心とした操舵回転のための関連するキャスターアセンブリを支持するように、一対のキャスターアセンブリの各々とプラットフォームの間に取付けられたウェッジが、かつ/又は中空であるウェッジが、関連するピボット軸を中心とした操舵回転のための関連するキャスターアセンブリの各々に取付けるためのプラットフォーム内に、形成され得る。ねじ切りを有するロッドが、関連する中空ウェッジ内に取付けられたナットを用いて、キャスターアセンブリをプラットフォームに対して固定するように、用いられ得る。
【0075】
米国特許第7388056号明細書をさらに参照すると、引張ばね、圧縮ばね、又はねじりばねが、各キャスターアセンブリに、ホイールをその中で捻り軸に沿ってセンタリングするために、取付けられ得る。ねじりばねは、ピボット軸の周囲に、かつ/又は関連するホイールアセンブリ内に、取付けられ得る。プラットフォームは、ユーザがボードを捻るためにボードに対して適用した力が第1の範囲内であれば非可撓性スケートボードとして動作するように構成され得るのであって、かつ/又は、第1の範囲よりも大きな力については可撓性スケートボードとして動作するように構成され得る。
【0076】
米国特許第7388056号明細書をさらに参照すると、単一部片の可撓性スケートボード本体は、長軸を中心として捻れ可能な幅が狭いセクションを有する、単一部片のプラットフォームと、一対の操舵可能キャスターの各々のための取付部と、を有し得る。上記幅が狭いセクションは、ライダーが操舵可能キャスター上に立ったスタート点からボードを前方に運動させるために、長軸を中心として十分に捻れ可能である場合があり、かつ/又は、操舵可能キャスター上にライダーを支持するときに弓なりになることを防止するのに十分なほど剛性である場合もある。幅が狭いセクションは、操舵可能キャスターが取付けられたときにプラットフォームが非可撓性又は可撓性いずれかのスケートボードとして動作させられるように、十分な剛性を有し得る。プラットフォームの残り部分は、上記幅が狭いセクションよりも撓みにくくてよく、かつ、中空ウェッジは、可撓性プラットフォームに成型されていてもよい。操舵可能キャスターを長軸に沿ってセンタリングするように構成されたばねのために、取付点が設けられてもよい。
【0077】
図12A及び12Bは、米国特許第7388056号明細書の記載と矛盾しない、単一部片の可撓性スケートボードの一実施形態を示している。可撓性スケートボード1210は、好ましくは、単一部片で作製された、成型プラスチック製のプラットフォーム1212であり、これは、ユーザの足を、概ね平行なトレーリング軸を中心として枢動又は操舵回転するために取付けられた一対の方向性キャスターアセンブリの周囲で支持するための、足支持領域1214及び1216を備えている。各キャスターアセンブリ(例:1224、1226)は、足支持領域1214及び1216fの概ね下方に配置されたアクスルを中心とした転動のために取付けられた、単一のキャスターホイールを備えている。スケートボード1210は、一般的には、相対的に幅が広い前領域1218及び後領域1220を備えており、その各々が、足支持領域1214及び1216のうち一方を備えている。スケートボード1210はさらに、相対的に幅が狭い中央領域1222を備えている。幅が広い領域1218及び1220の、幅が狭い中央領域1222に対する比率は、好ましくは、約6対1のオーダーであり得る。ホイールアセンブリ1224及び1226は、足支持領域1214及び1216の概ね下方にある単一部片のプラットフォーム1212の下に取付けられる。本開示の原理及び構造的教示に従って、それらの取付位置は調節可能であるか、又はそれらは交換可能である。
【0078】
動作中、スケートボードのライダー又はユーザは、一般的には自身の足を単一部片のプラットフォーム1212の足支持領域1214及び1216上に配置し、従来通りの形で、即ち、一方の足をボード10から持ち上げて地面を押すことによって、従来通りの非可撓性スケートボードとしてスケートボード1210にライドするか又はそれを操作することができる。ユーザは、自身の体を回転させ、自身の体重及び/又は足の位置をシフトさせ、スケートボードの動きを制御することができる。例えば、ボード1210はまた、ボードの一方の側を地面に対して傾斜させることによって、従来通りの非可撓性スケートボードとして動作させられ、かつ操舵され得る。加えて、好ましい実施形態では、ボード1210は、以下の点において、即ち、前領域1218及び後領域1220を、上部プラットフォームの長軸又は捻り軸1228を概ね中心として、互いに対して捻るか又は回転させることによって、ユーザがスケートボード1210のロコモーションを発生、維持又は増加させることができる、という点において、可撓性スケートボードとしても動作させられ得る。
【0079】
軸1228を中心とした、プラットフォーム1212の異なる部分の相対的な回転は、角度であって、ライダーの体重がホイールアセンブリ1224及び1226の各々に対して適用される角度を変化させることができ、これによって、これらのホイールアセンブリがそれらの枢動軸を中心として旋回又は操舵される傾向が生み出され得る。この旋回又は操舵の傾向は、ライダーが、その転動アクスルを中心とした各キャスターホイールの転動運動にエネルギーを加えることに、及び/又は操舵することに、用いられ得る。
【0080】
単純な例としては、ユーザ又はライダーが足支持領域1216上における自身の(ボード1210の意図された運動方向に対して)後方の足部用位置を、概ね軸1215に沿うように、かつ地面に対して概ね平行になるように、維持しつつ、一方では、例えば、自身の前方の足の母指球を押し下げ、かつ/又はその足の踵を持ち上げつつも軸1213に概ね沿った自身の前方の足と支持領域1214の接触を維持していた場合には、ボード1210のフロントセクション1218は、リアセクション1220に対して、ボード1210のリア側から見て時計回りに捻れる傾向がある。この捻れによって、ボード1210の前方右側1230が一方向に傾き、ライダーの体重は、ホイールアセンブリ1224に対して、地面に対して直交する方向に適用されるのではなく、地面に対して鋭角で適用され、従って、ホイールアセンブリ1224及び1226の転動が開始させられ、例えばホイールの転動運動にエネルギーを加えることによって、それまでの転動運動が維持され、かつ/又はボード1210の運動速度が増加させられる。
【0081】
実践上、ライダーは、ボード1210のプラットフォーム1212の所望の捻れを、組み合わせて用いることが可能な複数のやり方で、例えば、自身の体を捻るか又は回転させて一方の足の爪先に圧力を適用しつつ他方の足の踵に圧力を適用することによって、足の位置を変えることによって、かつ/又は、その他の体重移動によって、引き起こすことができる。実質的なロコモーションを提供するためには、ライダーは、まず、軸1228を第1の方向に捻り、その後、自身の操作を逆転させ、プラットフォームを逆回転させてニュートラル位置を通過させ、その後、逆方向の捻り位置に至らせるとよい。さらに、前方に運動している間、ライダーは、同じタイプの運動を、しかし異なる角度で用いて、捻りを制御してボード1210の運動を操舵することができる。ライダーは、もちろん、両方の足に力を等しく適用し、実質的に折り曲げることなくボード1210を操作することもできる。
【0082】
幅が広いセクション1218及び1220は、軸1228を中心とした捻りに対して、幅が狭いセクション1222よりも大きな抵抗性を固有的に有しており、これは、捻られる部分の表面積がより大きいために剛性がより大きいことによる。即ち、幅が狭いセクション1222は、幅が広いセクション1218及び1220よりも幅が狭い。プラットフォーム1212の各種セクションの捻れに対する抵抗性はまた、部分的には、以下によっても制御され得る、即ち、プラットフォーム1212を形成するために用いられるプラスチック等の材料の選択によって、各種セクションの幅及び厚みによって、軸1228又は他の任意の軸に沿ったプラットフォーム1212の曲率(存在する場合)によって、かつ/又は、各種セクションの構造及び/又は断面形状によっても、制御され得る。
【0083】
次に、図12Bを参照すると、スケートボード1210は、側壁1262及び/又は他の構造を備え得る。側壁1262は、例えば、必要に応じてよりよい鉛直方向の支持を提供するために、中央領域1222の中央部分において、プラットフォーム1212の頂部面1258に直交する方向の高さを増加させられ得る。好ましい実施形態では、中央領域1222の側壁1262の高さは、ボード10の中心の相対的に高い部分から、領域1218及び1220が中央領域1222に出会う場所にはじまる相対的に短い部分に向かって、変化している。中央セクション1222における側壁の高さ「H」の、幅が広い領域1218及び1220の側壁の高さに対する割合は、好ましくは、約2対1のオーダーであり得る。
【0084】
図12Bに示されているように、ホイールアセンブリ1224及び1226は実質的に類似であり得る。(もっとも、本明細書の別の箇所で教示されているように、該アセンブリは異なっていてもよいし、一方又は両方が、独立して接続可能でありかつ/又は横方向及び/又は長手方向に並進可能である、という場合もある。)軸1234を中心として回転させるために、枢動アクスル1241(図13に見ることができる)をウェッジ1232内の適切な開口に挿入することによって、ホイールアセンブリ1224は、傾斜しているか又はウェッジ形状であるホイールアセンブリのセクション1232に取付けられ得る。ボード1210のハンドリング及び制御を改善するためには、プラットフォーム1212の平面に直交する直立位置に対する傾斜の、軸1234を中心としたホイールアセンブリ1224の回転は、好ましくは、例えば±約180度の範囲内に制限されているとよく、さらに好ましくは、±約160度の範囲内に制限されているとよい。例えば図15を参照しつつ示されかつ説明されるように、各方向性キャスターは、セルフセンタリング性を提供するために、即ち、ホイール1236の軸1228(図12Aに見ることができる)に沿った整列を維持するために、引張ばね、圧縮ばね、又はねじりばねを備え得る。
【0085】
図12Bをさらに参照すると、一対のウェッジ1232及び1248は、各々、ホイールアセンブリアクスルを旋回軸1234又は1250に沿って取付けるための穴を備え得る。ウェッジ1232及び1248は、プラットフォーム1212とは別個の部片として形成され、ユーザによって上記のようにプラットフォーム1212に接続されているという場合があり、例えば、ウェッジ1232及び1248の上面が、クリップ又はスナップイン配置を用いて、プラットフォーム1212の下面内に成型された適切な受け入れセクションによって捕捉されている場合がある。ウェッジ1232は、軸1234及び1250を傾けるように用いられ得る。キャスターは、これらの軸を中心として、旋回、枢動、又はターンすることができる。軸1234及び1250は、プラットフォーム1212の上面1258に対して角度T又はTを形成することができる。T及び/又はTに関して、1つの有用な角度は、約24度であり得る。
【0086】
図12Bをさらに参照すると、ホイールアセンブリ1224はホイール1236を備え得るのであって、ホイール1236は、回転のためにアクスル1240に取付けられており好ましくは軸受を有している、ハブ1238上に取付けられている。アクスル1240は、キャスターフレーム1242のフォーク部1296に取付けられている。軸受又は軸受面が、好ましくは、キャスターフレーム1242とウェッジ1232の間に挿入され得るか、又はキャスターフレーム1242及び/又はウェッジ1232上に形成され得る。さらに、この軸受又は軸受面は、最後方の幅が広いセクション1220内のウェッジ1248内の軸1250を横切るように取付けられた、ホイールアセンブリ1226内の軸受1246として図示されている。ホイールアセンブリ1224及び1226は、軸1234及び1250に沿って取付けられており、その各々が、プラットフォーム1212の上面と鋭角T又はTをそれぞれ形成している。好ましい実施形態では、T及びTは、実質的に等しくあり得る。足支持部1214の中心は、便利には、ホイールアセンブリ1224の軸1240の直上に配置され得るのであり、同様に、足支持部1216の中心も、ホイールアセンブリ1226のホイールの回転軸の上方に配置され得る。幾つかの実施形態では、ユーザは、ユーザの足とホイールアセンブリの間の整列を維持しつつより幅が広いか又は異なるスタンスを容易化するために、(例えば、本明細書に記載のようなトラック及びスナップイン構造を用いて)ホイールアセンブリを位置変更することができる。
【0087】
ボード1210のプラットフォーム1212は、概ね水平なレスト位置又はニュートラル位置にあり、例えば、ボード1210のプラットフォーム1212に捻れ力が何ら適用されていないときのニュートラル平面1217内にある。これは、例えば、ライダーがボード1210上に立っていないときか、又はニュートラル位置で立っているときに、起こる。ボード1210がニュートラル位置にあるとき、軸1234及び1250、角度T及びT、ならびにボード軸1228(図12Aに示されている)は、概ね、プラットフォーム1212の頂部のニュートラル平面1217に直交する同じ平面にあり、一方、軸1213及び1215はニュートラル平面1217内にある。上面1258は平坦でない場合があり、好ましい実施形態では、面1258の爪先側の端部又は前端部1260及び踵側の端部又は後端部1262は、図示のとおりわずかな上方への屈曲又はキックを有し得る。捻れ力がボード1210に適用されているとき、軸1234及び1250のうち1つ以上は、以下で図14A~14Eに関連してより詳細に述べられるように、鉛直面から出て運動する。
【0088】
次に、図13を参照すると、ボード1210の一実施形態のセクション1220の等角分解図が示されており、同図中では、傾斜ウェッジ1232はプラットフォーム1212とは別個の部片として形成され、それに取付けられている。ここでは、4つのスクリュー1264を用いた直接取付(プラットフォーム1212内の適切な位置にある穴1266を通るよう挿入され、傾斜ウェッジ1232内の穴1268に嵌合する)として描かれているものの、類似のウェッジ構造が、本開示の他の箇所で記載のトラック取付部分に組み込まれていてもよい。例えば、ウェッジ1232は、モジュラー型ホイールユニットの一部分のためであり得るのであって、(例えば、上記のトラック20及び120等、長手方向及び/又は横方向のトラックに沿った)1つ以上の位置で、プラットフォーム1212に対して取り外し可能でありつつもしっかりと接続可能であり得る。代替的には、スクリュー1264等の取付スクリューは、ウェッジ1232及び/又は関連付けられたホイールアセンブリ1226を複数の位置に配置することができる(例えば、図8及び13の教示を組み合わせて)ように、設けられ得る。
【0089】
ホイールアセンブリ1226のフレーム1242は、キャスター頂部1270、軸受キャップ、及び枢動アクスル1241を備え得るのであって、フレーム1242の頂部部分は、ウェッジ1232内の適した開口によって受け入れられるか又はその中に取付けられる。アクスル1240は、フレーム1242のフォーク部1296内に取付けられている。ホイール1236は、ハブ1238上に取付けられており、ハブ1238は、アクスル1240を中心とした回転のために、フレーム1242のフォーク構造の内部に取付けられている。フレーム1242は、ホイール1236の両側に及ぶ長さである。
【0090】
ウェッジ1232は、横断リブ1274等のプラットフォーム1212の底面の特徴を捕捉できるスロット1272の作用によって、プラットフォーム1212にさらに固定され得る。図示されているように、ウェッジ1232は、便利には、プラットフォーム1212に取付及び取り外し可能であり、このことにより、ウェッジ1232を、軸1234及び/又は他の特徴に対する異なる角度での整列を含む異なる構成を有し得る、他のウェッジに交換することが、可能になる。幾つかの実施形態では、図7Bのトラック120又は図6Cのトラック20等のトラック又は他の複数位置部分は、類似の横断リブを、ホイール基部14a及び/又はウェッジ1232を固定することを補助するような周期的間隔で、組み入れ得る。そのようなスロットとリブの連結は、ぐらつき、構造的故障、ユーザによるスムースな旋回操舵運動への干渉等に繋がる可能性があるホイール基部による望まぬ捻れの発生を防止することを、助け得る。従って、幾つかの実施形態は、横断リブ及びホイールロック(例:図4及び5のラッチ26)を備えている。これにより、構造的堅固性、及び、基部14aとトラック20等の周囲の構造の間のぴったりとした密接な嵌合が改良され得る。ひいては、このことは、固定された非回転基部14a(図4及び5を参照)から回転部分14bが自由に旋回できるように、基部14aを固定することを助けることができる。
【0091】
次に、図14A~14Eを参照すると、プラットフォーム1212の部分の運動のグラフ表現が示されている。ニュートラル平面1217が、スケートボード1210には何ら捻れ力が適用されていないときのプラットフォーム1212の頂部面1258を示す水平位置に、示されている。プラットフォーム1212の頂部面1258の中心線に沿った軸1228が、図面に垂直な方向であり、ニュートラル平面1217と同一平面であり、かつその中心であるように、示されている。軸1213は実線で描かれており、例えば、ユーザが足部用位置1214の左側を押し下げかつ/又は右側を持ち上げることによって、幅が広いセクション1218の左側が水平面又はニュートラル平面1217の下側へと下げられているときの、幅が広い前方セクション1218内の前側の足部用位置1214における、プラットフォーム1212の頂部面の断面の配置を示している。軸1215は、それを軸1213と区別する便宜のために、点線で描かれており、例えば、ユーザが後ろ側の足部用位置1216の右側を押し下げかつ/又は左側を持ち上げることによって、幅が広いセクション1220の右側が水平面又はニュートラル平面1217の下側へと下げられているときの、プラットフォーム1212の幅が広い後方セクション1220における後ろ側の足部用位置1216における、プラットフォーム1212の頂部面の断面の位置を示している。このように、図14Aは、ユーザが、幅が広いフロントセクション1218及びリアセクション1220を互いに反対の方向に捻って回転を最大化する操縦を完了したときの、プラットフォーム1212の幅が広いフロントセクション1218及びリアセクション1220の相対角度を示している。
【0092】
ホイールアセンブリ1224は、軸1234を中心として回転するように取付けられているように図示されている。フロントホイールアセンブリ1224の軸1234は、足部用位置1214の軸1213に直交したままである。同様にして、ホイールアセンブリ1226は、軸1250に沿って取付けられているように図示されている。リアホイールアセンブリ1226の軸1250は、足部用位置1216の軸1215に直交したままである。図示の容易化のため、ホイールアセンブリ1224及び1226は、軸1234及び1250を中心としたホイールアセンブリの回転なしの断面図で描かれている。
【0093】
図14Aに示された位置にあるホイールアセンブリ1224及び1226は、大方、ユーザのボード1210を捻る作用によって、鉛直位置から反対側同士の外側位置へと回転させられている。フロントホイールアセンブリ1224及びリアホイールアセンブリ1226は、それぞれの軸1234及び1250を中心として回転又は枢動することができる。ボード1210を捻っている間、ホイールアセンブリ1224及び1226はホイールの中心軸を中心として回転するが、これは、このような回転に要する力が、該ホイールアセンブリを滑らせて(skid)図示の位置に至らせるために必要とされる力よりも小さい限りにおいてである。この回転の方向はランダムではなく、軸1234及び1250とプラットフォーム1212の間に角度T及びTを確立する構造(例:図12のウェッジ1232と図4及び5のホイール基部14aの組み合わせ)によって、制御されている。
【0094】
図14Aに示される図は、軸1234及び1250がプラットフォーム1212の部分のうち1つに対して直角であるように、ボード1210の前部を見ている。例えば図12Bに示されているようなボード1210の側面図は、各ホイールアセンブリがプラットフォーム1212に対して鋭角のトレーリング角を有する軸を中心として枢動するように取付けられている様子を、示している。ホイールアセンブリの各ホイール軸を中心としたホイールの回転は、ボード1210の端部が互いに反対側の方向に捻られている際の、その軸1234又は1250を中心とした各ホイールアセンブリのわずかな回転と組み合わせられて、ボード1210の前方運動又はロコモーションを発生、維持、又は増加させる。これは、軸1234及び1250が、各ホイールアセンブリが、各軸が下方からボードを貫く点の後方にあるという、トレーリング構成にあるように、傾斜させられているからである。即ち、それを中心として各ホイールアセンブリがターンする、軸1234及び1250は、両方とも同じ方向に、好ましくは移動方向に対してトレーリング角(例:同じトレーリング角)を有するように、傾斜させられており、好ましくは平行であるか又はそれに近い。
【0095】
次に、図14Bを参照すると、軸1213及び1215が、図14Aに示されているのとは反対の位置に示されており、これは、ユーザが自身の足の回転を逆転させたことによるのであって、即ち、ボード1210のフロントセクション及びリアセクションを、図14Aに示されていた捻りを生じさせるための方向とは反対の方向に押し下げかつ/又は持ち上げることで、捻ることによる。もっとも、軸1234及び1250は、ボード1210の前方運動に対するトレーリング位置にあるので、ホイールの回転とホイールアセンブリの回転を組み合わせることにより、前方ロコモーションが加えられる。
【0096】
次に、図14Cを参照すると、実線は、図14A及び14Bに描かれたボード1210に捻り運動が起こっている間の、幅が広いセクション1218の前方左側縁部のポイント1274(図12A、13、及び14Aに示されている)の時間の関数としての捻り回転のグラフ表現である。ポイント1274は、軸1213がプラットフォーム1212の左側縁部と交差するポイントであると考えられてよい。ある瞬間では、例えばtでは、ポイント1274は回転がゼロである。前方の幅が広いセクション1218の左側がユーザによって適用された力によって下向きに回転させられている際、ポイント1274は最大の力がユーザによって適用されるまでは下向きに回転し、そしてポイント1274は、特定の時刻において、例えばtにおいて、最大下方回転点に達する。その後、ユーザによって前方セクション1218の左側に適用される下向きの力が減少するにつれて、ポイント1274の下向きの回転角度も減少し、特定の時刻において、例えばtにおいて、ポイント1274は、回転角度がゼロであるニュートラル回転位置に戻る。
【0097】
その後、ユーザによって、セクション1218の右側縁部に下向き圧力が適用され得るのであって、例えば、足部用位置1214内では左側のポイント1274に上方への捻り又は回転が生じさせられ、時刻tにおいて、力が最大に達し、従って回転が最大に達し、その後、時刻tにおいて回転がニュートラル又はゼロに達せられるまで、力は連続的に減少させられる。同様にして、図14Cの実線で示されているように、ユーザは、後方の幅が広いセクション1220に、以下のように反対方向の力を適用することができる、即ち、足部用位置1216の後方左側にあるポイント1276が、時刻tにおいてニュートラル位置から回転しはじめ、時刻tにおいて最大上方回転位置に達し、時刻tにおけるニュートラル状態を経て、時刻tにおいて最大下方回転位置に達し、その後、時刻tにおいてニュートラル状態に戻るように、反対方向の力を適用することができる。
【0098】
次に、図14Dを参照すると、特定の捻り角度を生じさせるためにユーザによって適用されなければならない力の量は、ユーザがボード1210について有する制御量と相関を有し得る。力と回転の間の関係が回転又は力の関数として変化することが所望である場合がある。例えば、復元力を必要としない広範な範囲の全体捻りを許容しつつ、「堅固な」ボードを達成するために、プラットフォーム1212の形状は、以下のように、即ち、一定の回転角度を過ぎた後にボードの各セクションを回転させ続けるために必要とされるさらなる力がユーザにとってかなり容易なものであるとしても、ニュートラル平面からボードを捻るために必要とされる力の量は、ユーザにとってかなり大きい(少なくとも、フィードバックとして感じられるほど十分に大きい)ように、構成され得る。さらに、さらなる安全装置及び制御装置として、最大回転を達成するために必要な追加的な力が大きく増加しているとユーザには感じられる場合がある。図14Dに示されているように、図14Cのグラフを作り出すために用いられたのと同じ力が時間の関数として適用されている場合も、ポイント1274及び1276の回転のグラフの形状は異なり得るのであって、ユーザに異なった感覚を提供することができる。
【0099】
次に、図14Eを参照すると、直前で論じられた概念を、所望の回転の関数としての、ユーザによって適用された力のグラフという観点から、見ることができる。スケートボードに所望の制御感覚は、回転に対する力の数学的関数として必ずしも容易に記載可能ではない。前方及び後方の幅が広い領域と中央の幅が狭い領域の間の特定の形状及び関係、ならびに、側壁、リブ、表面湾曲、及び他のファクターの特定の形状及びサイズを含む、プラットフォーム1212の幾つかの構成によって、ボードの挙動をユーザが感じる特定の形式が存在するだろう。即ち、好ましい実施形態では、ボードの感覚、特にユーザによるボードの見かけの(apparent)制御の感覚は、形状及び他のボード構成のパラメタに応じたものである。本明細書の単純化のために、1つの特定ボード構成が「線形の」感覚を有すると言われ得る。即ち、ユーザとそのボードの相互作用により、ユーザが、適用された力と達成された回転又は捻れの間には線形の関係が生じていると感じる場合がある。実践上、この感覚は非常に主観的なものであり、実際の数学的関係が線形ではない場合もあるものの、それでもやはり現実に即したものである。関連する例では、線1278は、プラットフォーム1212の第1の構成を有する、線形タイプ又は他のタイプのボードを表現し得る。
【0100】
プラットフォーム1212の反応、性能、及び構成は、例えば、軸28(図12Aを参照)に沿ったホイール同士の距離を増加又は減少させることによって、調節可能である。プラットフォーム1212が特定の構成である場合には、この距離を短くすることによって、結果、ユーザには緩んだ制御部であると認識される場合があり、一方、長くすることによって、制御部は大きくなるものの、回転半径もより大きくなり使いづらくなる場合もある。
【0101】
制御部の締め付けは、例えば上記のもののようなモジュラー型の位置変更可能なホイールアセンブリを、プラットフォーム1212の底部に接するように、又はそれに対して、強固かつ捻れ不能なやり方で固定することによって、向上又は維持され得る。トラック20又は120の側壁を設けること、及び、角度を有するウェッジ又はブロック形状のホイール基部(例:図5の14a又は図6Cの140又は図10の1034を参照)をそれらの側壁内にぴったりと又はきつく配置することによって、制御部を押さえつけること又は望まぬ緩みを回避することを補助することができる。ある程度の弾力性が所望である場合には、それは、ホイールの弾力性によって、かつ/又は、ホイールとホイール基部の間のジョイント部に関連する、弾力性を有する軸受によって、提供され得る。
【0102】
成型プロセスによって形成され、プラスチックの捻れ可能な材料から作製された、単一部片のプラットフォーム1212を使用する1つの有利な点は、ボードの所望の感覚又は制御が、その単一部片のプラットフォームのモールドの再構成によって達成されることができる点である。同様にして、調節可能なホイールアセンブリを使用する有利な点は、ユーザは、それにより、迅速かつ便利にボードの所望の間隔又は制御を調節することができる点である。所望の感覚を達成するために必要なホイールの間隔又は他の位置を(例えば、数学的正確さをもって)予測することは困難であり得るものの、ホイールアセンブリのうち1つ以上を動かすことによって、その間隔又は位置を繰り返し変更し、適切な感覚を伴う所望の構成を達成することが可能である。特に、適用された力と可撓性スケートボード1210によって達成される捻り又は回転の間の関係は、単に関連する幅、形状、及びプラットフォーム1212の構成の他の細部のみの関数ではなく、関連するホイールの位置の関数でもある。プラットフォーム1212(及び本明細書に記載の他の構成要素)は、成型されてよいし、あるいは可撓性PUタイプのエラストマ材料、ナイロン、又は他の剛性プラスチックから作製されてもよいし、例えば、可撓性及び感覚のさらなる制御のために、かつキャスターホイールアセンブリを取付及び固定するための適切な強度及び適当な剛性を提供するために、ファイバーを用いて強化されることもできる。
【0103】
次に、図15を参照すると、単一部片の可撓性ボード1210(図12A~13を参照)又はプラットフォーム1212のセルフセンタリングセクション(例:フロントセクション)の部分図が示されている。キャスターホイールアセンブリ1586は、ボード1210の前方の足支持部の裏面に形成された中空ウェッジ1588に取付けられている。貫通ボルト1592であって、この図においてはそのヘッド部のみを見ることができる、貫通ボルト1592が、ホイールアセンブリのステアリング軸受1594の内レース、軸受キャップ1595、及びウェッジ1588の下面を貫通するように配置され、かつナットで捕捉され得る。このナットは、本図では見ることができないが、ボード1210のプラットフォーム1212の頂部からウェッジ1588の中空部分にアクセス可能である。軸受1594の外レースは、キャスターホイールアセンブリ1586のフォーク部1596に貼付されており、該フォーク部1596は、軸受キャップ1595に対する回転のために軸受1594によって取付けられている。その結果、ホイールアセンブリ1586は、ボード1210の固定部分に関するピボット軸として機能する貫通ボルト1592の中心軸(図12Bにおいて回転軸1234又は1250として示されている)を中心として旋回又は回転することができる。アクスルボルト1598は、ホイール15104の回転のために軸受及びホイールアセンブリ15102を支持するように、フォーク部1596の後端部15100を貫通するように取付けられている。
【0104】
好ましい実施形態では、回転軸1234又は1250を中心とした、フォーク部1596の回転を、従ってキャスターホイールアセンブリ1586の回転を制御し、回転角度の関数としての枢動又はターンに対する抵抗性を追加するために、ばね作用装置が、キャスターホイールアセンブリとプラットフォームの(又は、それに固定されたキャスターアセンブリの一部の)固定部分1512の間に取付けられ得る。幾つかの実施形態では、例えば、キャスターホイールアセンブリは、セルフセンタリング性であり得る。キャスターホイールアセンブリ1586のセルフセンタリング態様は、例えばウィリー走行等のスタント中にボード1210から重量が取り除かれたときに、ホイール15104を長軸1228(図12Aに見ることができる)と整列させる傾向がある。ばね作用装置のセルフセンタリング機能がないと、ウィリー走行中にキャスターホイールアセンブリ1586がボルト1592を通る軸1234を中心としてスピンする傾向があり得るのであり、その結果、ホイール15104が地面と接触するウィリー走行の終了時に、キャスターホイールアセンブリがボード1210の移動方向に整列していない場合がある。キャスターホイールアセンブリ1586のセルフセンタリング機能は、特に、ホイール15104が地面と接触していない操縦及びスタント中に、ホイール15104を移動方向と整列させる傾向により、ボード1210の感覚及びハンドリングを向上させる。ばね作用装置は、ホイール15104が地面と接触しているときに、適用される力と結果生じるプラットフォーム1212の捻れの間の所望の関係に応じて、ロコモーション又はターン等の操縦に対して評価可能な抵抗性を付与するか又は付与しないように、構成され得る。
【0105】
図15に示されているように、キャスターホイールアセンブリ1586は、フォーク部1596(又は、ボルト1592の軸を中心として回転する、キャスターホイールアセンブリ1586の他の任意の部分)とプラットフォーム1122のフロントセクション1584(又はプラットフォーム1212の他の任意の固定部分)の間にコイルばね15106を追加することにより、セルフセンタリングされ得る。代替的には、セルフセンタリング効果を生じさせるために、ねじりばねが、軸受に、又は軸受及びホイールアセンブリ15102の他の箇所に、組み込まれ得る。それによって、例えば、ユーザの足の疲れを低減させることが補助される。内部ねじりばねは、本明細書に記載のホイールアセンブリを位置変更する際にばね15106等のコイルばねを接続する必要性を回避することができ、有用であり得る。
【0106】
図16に示されているように、スケートボードを組立てるためのコンパクトなキットが、スケートボードデッキ1612と、複数のホイールベイを有する固定モジュール1620と、複数のホイールベイ内に挿入するように構成された基部を有する少なくとも1つのホイールアセンブリ1614と、を備え得る。該キットは、スケートボードデッキ1612、固定モジュール1620、及び少なくとも1つのホイールアセンブリ1614を、概ね同じ平面内に能率的に配置してフラットパックを形成することができる、パッケージ1662を備え得る。このパッケージ1662は、組立てられたスケートボード1610の高さ1632よりも低い高さ1666を有し得る。概略的に図示されているように、キット又はシステムは、(例えば、第2の固定モジュール又は他の手段を用いて)デッキ1612に取付けることができる第2のホイールアセンブリをさらに備えることができる。パッケージ1662は、第2のホイールアセンブリ(及び/又は第2の固定モジュール)を、概ね同じ平面内に配置して、例えばフラットパックをパッケージ1662の一部として形成することができるように、構成され得る。モジュラー型の組立可能なスケートボードは、このようにして、サイズ及び形状に制約を有するコンテナ内への梱包における能率性を提供し得る。
【0107】
図16に示された構成及びアプローチに対しては、複数の代替案が存在する。例えば、出荷に先立って、固定ホイールがデッキ1612に固定されている場合がある。固定モジュール1620が、出荷に先立ってデッキに固定されている場合もあれば、それと統合されて形成されている場合もある(図4及び5に示されているように)。モジュール又は他の部品を密な「フラットパック」パッケージングで能率的に配置するための、様々な異なる梱包配置が可能なのである。
【0108】
(結論)
位置変更可能なホイールを有する様々な搬送装置及び車両(例:キャスターボード、スケートボード)の例示的な実施形態が開示されてきた。本開示は、特定の例示的な実施形態及び用途の観点から記述されたものではあるが、本明細書で述べられたすべての特徴及び有利な点を提供するわけではない実施形態及び用途を含めた、他の実施形態及び他の用途も、本開示の範囲内である。構成要素、要素、特徴、作用、又はステップは、記載とは異なった形で配置又は実行されることができ、かつ、構成要素、要素、特徴、作用、又はステップは、各種実施形態において、組み合わせられ、統合され、追加され、又は取り去られることができる。本明細書に記載の要素及び構成要素のすべての可能な組み合わせ及びサブコンビネーションが本開示に包含されることが、意図されている。いかなる単一の特徴又は特徴の群も、必要又は不可欠なものではない。
【0109】
幾つかの実施形態は、添付の図面に関連付けて記載されてきた。図面は縮尺どおりに描かれかつ/又は示されてはいるが、その縮尺は限定するものであるべきではない。というのも、図示されている以外の寸法及び比率が考えられ、それらは開示される発明の範囲内にあるからである。距離、角度等は単に例示的なものであり、図示された装置の実際の寸法及びレイアウトとの正確な関係を必ずしも有するわけではない。構成要素は、追加、除去、及び/又は再配置され得る。さらに、各種実施形態に関連する、任意の特定の特徴、態様、方法、性質、特徴、品質、属性、要素、又はそれらに類するものの、本明細書における開示内容は、本明細書において述べられた他のすべての実施形態において使用することができる。追加的には、本明細書に記載された任意の方法は、記載されたステップを実行するのに適した任意の装置を用いて実践され得る。
【0110】
要約すると、ホイール位置が調節可能なキャスターボードの各種実施形態及び実施例が開示されてきた。本開示を要約するという目的のために、本発明の特定の態様、有利な点、及び特徴が、本明細において開示されてきた。そのような有利な点のすべてが、本明細書に記載の発明のいずれかの特定の実施形態に従って達成されるわけではないことは、理解されたい。本開示は、開示された特定の実施形態及び実施例を超えて、他の代替的な実施形態及び/又は実施形態の他の用途に、ならびにそれらの特定の変更及び等価物に、及んでいる。
【0111】
「含む」、「含み」という単語及びそれらに類する単語は、本明細書及び請求項においては、文脈上明らかにそうでないことが要求されていない限り、排他的又は網羅的という意味とは対照的な、包含という意味即ち「備える」の意味で解釈されるべきであるが、これに限定されるわけではない。「結合される」という単語は、本明細書において一般的に用いられているように、直接接続され得るか、又は1つ以上の中間要素によって接続され得る、2つ以上の要素を指す。同様にして、「接続される」という語は、本明細書において一般的に用いられているように、直接接続され得るか、又は1つ以上の中間要素によって接続され得る、2つ以上の要素を指す。追加的には、「本明細書で」、「上記」、「下記」及び類似の意味の語は、本出願で使用される際には、本出願全体に言及するのであり、本出願の何か特定の部分に言及するのではない。上記の発明を実施するための形態における、単数又は複数の数を用いる単語は、文脈が許す限り、それぞれ複数又は単数の数を包含し得る。2つ以上の項目のリストに言及する際の「又は」という単語は、後に続く単語の解釈のすべてをカバーするのであり、即ち、リスト中のいずれか1つの項目、リスト中の項目のすべて、及び、リスト中の項目の任意の組み合わせ、をカバーする。
【0112】
さらに、本明細書で使用される条件付きの語は、中でも、例えば「できる」、「~し得る」、「~の場合がある」、「可能である」、「例:」、「例えば」、「~等」又はそれらに類する語は、特に明記されていない限り、又は使用文脈内で別様に理解されるものでない限り、一般的には、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を包含するが、他の実施形態はそれらを包含しないということを伝えることを意図されている。従って、そのような条件付きの語は、一般的には、そのような特徴、要素、及び/又は状態が、1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされることを意味するようには意図されておらず、また、1つ以上の実施形態が、作成者の入力又は働きかけの有無を、これらの特徴、要素、及び/又は状態が何らかの特定の実施形態に包含されているか又はそこで実施されるべきか否かを、決定するための論理を必ず含むように意図されてもいない。
【0113】
上記の発明を実施するための形態は、網羅的であることを意図したものではなく、本発明を上で開示されたまさにその形態に限定することを意図したものでもない。特定の実施形態及び実施例が例示目的で上記された一方、当業者には理解できるように、様々な等価な変更が、本発明の開示範囲内で可能である。
【0114】
本明細書の教示は、必ずしも上記されたものではない、他の装置、実施形態、及びシステムにも適用可能である。上記された各種実施形態の要素及び作用は、抽出され、細分され、かつ/又は組み合わせられ、さらなる実施形態を提供することができる。
【0115】
特定の実施形態が記述されてきた一方で、これらの実施形態は例として提示されたのみであり、本開示の範囲を限定することを意図されてはいない。実際、本明細書に記載された新規な方法及びシステムは、多数の他の形態で具現化され得るのであって、さらに、本明細書に記載された方法及びシステムの形態における様々な省略、代用、及び変更が、本開示の精神を逸脱することなく、行われ得るのである。添付の請求項及びそれらの等価物は、本開示の範囲及び精神の範囲に含まれるような、そのような形態又は変形をカバーすることを意図されている。
【0116】
本明細書を通じて、「幾つかの実施形態」又は「一実施形態」という記載は、実施形態に関連付けて記述された特定の部分、構造、又は特徴が、少なくとも幾つかの実施形態に含まれることを意味している。従って、本明細書を通じて様々な箇所に現れる「幾つかの実施形態では」又は「一実施形態では」というフレーズは、必ずしもすべて同じ実施形態を指すわけではなく、同じか又は異なる1つ以上の実施形態を指し得るのである。さらに、特定の部分、構造、又は特徴は、当業者には本開示から明らかであるように、1つ以上の実施形態で、任意の適切な形で組み合わせられ得る。
【0117】
本明細書で使用されているように、「含む」、「備える」、「有する」、及びそれらに類する語は、同義語であり、包含するようにオープンエンドの形式で使用され、追加の要素、特徴、作用、操作等を排除しない。また、「又は」という語は、(排他的な意味ではなく)包括する意味で使用されるので、例えば、列挙された要素を接続するために使用される際には、「又は」という語は、リスト中の1つの、複数の、又はすべての要素を意味する。
【0118】
「概ね」、「約」、及び「実質的には」という語は、本明細書で用いられる際には、記載された量に近い量を表し、その量は、依然として所望の機能を果たすか又は所望の結果を達成する量である。例えば、幾つかの実施形態では、文脈が指示できるように、「概ね」、「約」、及び「実質的には」という語は、記載された量の上下10%の範囲内の量を指し得る。「概ね」という語は、本明細書で用いられる際には、特定の値、量、又は特徴を主として含むか又はそれらに向かう傾向がある、値、量、又は特徴を表現する。一例としては、ある実施形態では、文脈が指示できるように、「概ね平行である」という語は、厳密な平行から20度以内の角度だけ逸脱しているものを指し得る。さらに、「概ね直交する」という語は、厳密な直交から20度以内の角度だけ逸脱しているものを指し得る。
【0119】
上記の実施形態の記述では、時として、開示を合理化し、様々な発明的側面のうち1つ以上の理解を補助する目的で、様々な特徴が、単一の実施形態、図、又はそれらの記述に一緒にまとめられていた。しかしながら、本開示のこの手法は、請求項がその請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものと解釈されるべきではない。むしろ、発明的側面は、上で開示された任意の単一の実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴の組み合わせの中に存在している。
【0120】
多数の出願、公報、及び外部文書が、参照により本明細書に組み込まれ得る。本明細書の本文における記載と、組み込まれた文書のいずれかにおける記載の間に矛盾又は齟齬が存在する場合には、本文中の記載を優先して解決されるものとする。
【0121】
特定の好ましい実施形態及び実施例を例示する文脈で述べたように、本開示は特定の記載された実施形態を超えて、他の代替的な実施形態及び/又は用途、ならびに明らかな変更及び等価物に及ぶことは、当業者には理解されるだろう。従って、以下の特許請求の範囲は、上記の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが、意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15
図16
【国際調査報告】