(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】抗B7-H3抗体及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20240912BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240912BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240912BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240912BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240912BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240912BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61K48/00
A61K31/7088
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519450
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2022122444
(87)【国際公開番号】W WO2023051663
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111158382.7
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520190861
【氏名又は名称】バイオ-テラ ソリュ-ションズ,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】スー フアフェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ユーティン
(72)【発明者】
【氏名】リャン ジンチャン
(72)【発明者】
【氏名】リャン シーデ
(72)【発明者】
【氏名】ユー ジン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】リー シェンフェン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA91X
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4B065CA44
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4C085CC23
4C086AA01
4C086AA02
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4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、抗B7-H3抗体及びその応用を提供し、本発明の抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、B7-H3に特異的に結合でき、高い親和力及び非常に強い内在化能を有し、腫瘍(がん及び良性腫瘍)の診断及び/又は治療に適用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体又は抗原結合断片であって、
B7-H3に特異的結合すると共に、
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、
(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3、
(d)配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、
(e)配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、
(f)配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3、のうちの1つ又は複数のアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする抗体又は抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2及び配列番号8に示されるVH CDR3を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号9~13の何れか一項に示されるVL CDR1、配列番号14~18の何れか一項に示されるVL CDR2及び配列番号19~23の何れか一項に示されるVL CDR3を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号9に示されるVL CDR1、配列番号14に示されるVL CDR2及び配列番号19に示されるVL CDR3を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号10に示されるVL CDR1、配列番号15に示されるVL CDR2及び配列番号20に示されるVL CDR3を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号11に示されるVL CDR1、配列番号16に示されるVL CDR2及び配列番号21に示されるVL CDR3を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号12に示されるVL CDR1、配列番号17に示されるVL CDR2及び配列番号22に示されるVL CDR3を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号13に示されるVL CDR1、配列番号18に示されるVL CDR2及び配列番号23に示されるVL CDR3を含む、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24、35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号24、35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号24、35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号25~29、39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号25~29、39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号25~29、39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項6】
抗体又は抗原結合断片であって、
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号28に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号35に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む、或いは
前記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする抗体又は抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体又は抗原結合断片は、IgGアイソタイプである、或いは、前記抗体又は抗原結合断片は、IgG1又はIgG4アイソタイプである、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体又は抗原結合断片は、重鎖定常領域及び/又は軽鎖定常領域を更に含み、前記重鎖定常領域は、配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
前記軽鎖定常領域は、配列番号34に示されるアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項9】
抗体であって、
前記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号25に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号26に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号27に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号28に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号29に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号35に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号40に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号37に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、或いは
前記抗体の重鎖は、配列番号38に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、前記抗体の軽鎖は、配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む、
ことを特徴とする抗体。
【請求項10】
生体材料であって、
請求項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片、又は請求項9に記載の抗体の一部又は全てをコードすることを特徴とするポリヌクレオチドである、或いは、
請求項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片、又は請求項9に記載の抗体の一部又は全てをコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現担体である、或いは、
請求項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片、又は請求項9に記載の抗体の一部又は全てをコードするポリヌクレオチドを含む細胞であることを特徴とする細胞である、
生体材料。
【請求項11】
医薬組成物であって、
請求項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片、請求項9に記載の抗体の一部又は全て或いは請求項10に記載の生体材料と、薬学的に許容される担体と、を含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項12】
疾患を診断及び/又は治療する薬物の製造における、請求項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗原結合断片、請求項9に記載の抗体の一部又は全て、請求項10に記載の生体材料或いは請求項11に記載の医薬組成物の応用であって、
或いは、前記疾患は、腫瘍、呼吸器疾患、皮膚と筋骨格疾患、泌尿生殖器疾患、神経系疾患及び消化器疾患から選ばれる、或いは、前記腫瘍は、良性腫瘍又はがんである、或いは、前記腫瘍は、血液腫瘍又は固形腫瘍である、或いは、前記腫瘍は、B7-H3発現陽性腫瘍である、或いは、前記腫瘍は、黒色腫、非小細胞肺がんなどの肺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、腎臓がん、去勢抵抗性前立腺がんなどの前立腺がん、乳がん、胃がん、肝細胞がんなどの肝臓がん、子宮頸がん、卵巣上皮がんなどの卵巣がん、小児脳幹神経膠腫などの神経膠腫、膵管がんなどの膵臓がん、白血病、中皮腫、扁平上皮がん、神経芽細胞腫、線維形成性小円形細胞腫、髄芽腫、髄膜腫、腹膜悪性腫瘍、肉腫、脳がん、中枢神経系腫瘍、脳転移腫から選ばれる、
応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学分野に属し、特に抗B7-H3抗体及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
B7-H3(B7 homolog 3 protein)は、CD276とも呼ばれ、B7リガンドファミリーのI型膜貫通糖タンパク質に属する。
【0003】
現在、B7-H3は、2Ig-B7-H3及び4Ig-B7-H3の2つの存在形態があることを見出している。2Ig-B7-H3はマウス及びヒトの細胞で発現され、細胞外IgV-IgC構造を有し、4Ig-B7-H3はヒト細胞でのみ発現され、タンデム反復のIgV-IgC-IgV-IgC構造からなる。ヒトB7-H3の主な存在形態は4IgB7-H3である。
【0004】
B7-H3は、正常組織における発現レベルが限られているが、頭頸部がん、腎臓がん、前立腺がん、肺がん、乳がん、胃がん及び肝臓がんを含むが、これらに限定されない、様々なヒト進行性固形腫瘍において、異常に高く発現されている。その過剰発現は通常、患者の比較的悪い予後及び比較的悪い臨床結果に関わっている。従って、B7-H3は、幾つかの腫瘍の診断マーカーであり、抗腫瘍薬開発の有効な標的とすることができると考えられている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、B7-H3に特異的に結合できる抗B7-H3抗体又は抗原結合断片を提供する。幾つかの実施形態において、上記抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、高い親和力及び強い内在化能を有する。
【0006】
幾つかの実施形態は、B7-H3に特異的結合すると共に、
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR1、
(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列、又は配列番号7に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR2、
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR3、
(d)配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR1、
(e)配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR2、
(f)配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR3、のうちの1つ又は複数のアミノ酸配列を含む、抗体又は抗原結合断片を提供する。
【0007】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、B7-H3に特異的結合すると共に、
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR1、及び
(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列、又は配列番号7に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR2、及び
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR3、を含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2及び配列番号8に示されるVH CDR3を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記抗体又はその抗原結合断片は、B7-H3に特異的結合すると共に、
(d)配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR1、及び
(e)配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR2、及び
(f)配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR3、を含む。
【0010】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号9に示されるVL CDR1、配列番号14に示されるVL CDR2及び配列番号19に示されるVL CDR3を含む。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号10に示されるVL CDR1、配列番号15に示されるVL CDR2及び配列番号20に示されるVL CDR3を含む。
【0012】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号11に示されるVL CDR1、配列番号16に示されるVL CDR2及び配列番号21に示されるVL CDR3を含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号12に示されるVL CDR1、配列番号17に示されるVL CDR2及び配列番号22に示されるVL CDR3を含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号13に示されるVL CDR1、配列番号18に示されるVL CDR2及び配列番号23に示されるVL CDR3を含む。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、B7-H3に特異的結合すると共に、
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列、又は配列番号6に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR1、及び
(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列、又は配列番号7に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR2、及び
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列、又は配列番号8に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVH CDR3、及び
(d)配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR1、及び
(e)配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR2、及び
(f)配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の部位における置換、欠失又は挿入を有するアミノ酸配列を含む、或いはそれらからなるVL CDR3、を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、B7-H3に特異的結合すると共に、
(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR1、及び
(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR2、及び
(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むVH CDR3、及び
(d)配列番号9~13の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR1、及び
(e)配列番号14~18の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR2、及び
(f)配列番号19~23の何れか一項に示されるアミノ酸配列を含むVL CDR3、を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号9に示されるVL CDR1、配列番号14に示されるVL CDR2及び配列番号19に示されるVL CDR3を含む。
【0019】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号10に示されるVL CDR1、配列番号15に示されるVL CDR2及び配列番号20に示されるVL CDR3を含む。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号11に示されるVL CDR1、配列番号16に示されるVL CDR2及び配列番号21に示されるVL CDR3を含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号12に示されるVL CDR1、配列番号17に示されるVL CDR2及び配列番号22に示されるVL CDR3を含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、配列番号6に示されるVH CDR1、配列番号7に示されるVH CDR2、配列番号8に示されるVH CDR3、配列番号13に示されるVL CDR1、配列番号18に示されるVL CDR2及び配列番号23に示されるVL CDR3を含む。
【0023】
【0024】
【0025】
幾つかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、重鎖定常領域、軽鎖定常領域、Fc領域又はその組み合わせを更に含む。幾つかの実施形態において、軽鎖定常領域は、κ又はλ鎖定常領域である。幾つかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、IgG、IgM、IgA、IgE又はIgDのうちの1つのアイソタイプである。幾つかの実施形態において、アイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4である。幾つかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。
【0026】
幾つかの実施形態において、Fcは、変異体Fc領域である。幾つかの実施形態において、親Fc領域と比べ、変異体Fc領域は、1つ又は複数の置換、欠失又は挿入などのアミノ酸修飾を有する。幾つかの実施形態において、親Fc領域の活性と比べ、Fc領域のアミノ酸修飾は、エフェクター機能の活性を変化させる。幾つかの実施形態において、変異体Fc領域は、変化した(即ち、増加又は減少した)抗体依存性細胞毒性(ADCC)、補体媒介性細胞毒性(CDC)、貪食作用、調節作用又は細胞結合を有する場合がある。幾つかの実施形態において、親Fc領域と比べ、Fc領域アミノ酸修飾は、FcγR(Fcγ受容体)に対する変異体Fc領域の親和力を変化させることができる。幾つかの実施形態において、上記Fc領域は、IgG1又はIgG4に由来する。幾つかの実施形態において、Fc領域突然変異は、N297A、L234A又はL235A(Eu番号付け)である。幾つかの実施形態において、Fc領域突然変異は、E345R又はS440Y(Eu番号付け)である。
【0027】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、scFV、Fab、Fab’又はF(ab)2である。幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。
【0028】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24及び35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号24及び35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号24及び35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号25~29及び39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号25~29及び39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号25~29及び39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0029】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列、又は配列番号24に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号24に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を含む。
【0031】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号28に示されるアミノ酸配列を含む。
【0034】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0036】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号35に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号39に示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号40に示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号37に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖可変領域は、配列番号38に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域は、配列番号41に示されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
【0042】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片の重鎖定常領域は、配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む、及び/又は
上記抗体又は抗原結合断片の軽鎖定常領域は、配列番号34に示されるアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%又は少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と比べ、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む。
【0043】
幾つかの実施形態は、B7-H3に特異的に結合する抗体を提供し、上記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号25に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0044】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号26に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0045】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号27に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号28に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0047】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号29に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0048】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号35に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号40に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号37に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号38に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号32に示されるアミノ酸配列の重鎖定常領域を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域及び配列番号34に示されるアミノ酸配列の軽鎖定常領域を含む。
【0053】
【0054】
幾つかの実施形態において、上記抗体の重鎖は、配列番号50に示されるアミノ酸配列を含み、上記抗体の軽鎖は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を含む。
【0055】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、多重特異的抗体又は抗原結合断片(例えば二重特異的抗体又は抗原結合断片)である。
【0056】
幾つかの実施形態において、上記抗体は、配列が同一である2つの重鎖及び配列が同一である2つの軽鎖を有する。幾つかの実施形態において、Fc領域は、ペアリングしてジスルフィド結合を形成する。
【0057】
幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片は、単離された抗体又は抗原結合断片である。
【0058】
本発明は、上記抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを更に提供する。幾つかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、上記ポリヌクレオチド配列は、配列番号49及び51に示される核酸配列から選ばれる。
【0059】
本発明は、上記ポリヌクレオチドを含む発現担体を更に提供する。幾つかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドを含む発現担体は、核酸断片、プラスミド、ファージ又はウィルスである。幾つかの実施形態において、上記発現担体は、単離された発現担体である。
【0060】
本発明は、上記ポリヌクレオチド又は発現担体を含む宿主細胞を更に提供する。幾つかの実施形態において、上記宿主細胞は、単離された宿主細胞である。幾つかの実施形態において、上記宿主細胞は、CHO細胞、HEK293細胞(例えばHEK293F細胞)、BHK細胞、Cos1細胞、Cos7細胞、CV1細胞又はマウスL細胞である。
【0061】
本発明は、上記抗体又は抗原結合断片或いは生体材料と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を更に提供する。
【0062】
本発明は、疾患を診断及び/又は治療する薬物の製造における、上記抗体又は抗原結合断片、上記生体材料或いは上記医薬組成物の応用を更に提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、疾患の診断及び/又は治療における、上記抗体又は抗原結合断片、上記生体材料或いは上記医薬組成物の応用を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、疾患を診断及び/又は治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の上記抗体又は抗原結合断片、上記生体材料或いは上記医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0063】
幾つかの実施形態において、上記薬物は、B7-H3活性を阻害する薬物である。幾つかの実施形態において、上記疾患は、腫瘍、呼吸器疾患、皮膚と筋骨格疾患、泌尿生殖器疾患、神経系疾患及び消化器疾患から選ばれる。幾つかの実施形態において、上記腫瘍は、良性腫瘍又はがんである。幾つかの実施形態において、上記腫瘍は、血液腫瘍又は固形腫瘍である。幾つかの実施形態において、上記疾患は、B7-H3発現陽性腫瘍を含む。幾つかの実施形態において、上記腫瘍は、黒色腫、肺がん(例えば、小細胞肺がん及び非小細胞肺がん)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん)、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫及び小児脳幹神経膠腫)、前立腺がん(例えば、去勢抵抗性前立腺がん)、膵臓がん(例えば、膵管がん)、頭頸部がん、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、子宮頸がん、腎臓がん、扁平上皮腫瘍、扁平上皮がん(例えば扁平上皮肺がん又は扁平上皮頭頸部がん)、結腸直腸がん、胃がん、肝臓がん、中皮腫、肛門がん、皮膚がん、外陰がん、神経芽細胞腫、線維形成性小円形細胞腫、髄芽腫、髄膜腫、腹膜悪性腫瘍、肉腫、脳がん、中枢神経系腫瘍、脳転移腫から選ばれる。
【0064】
本発明は、診断方法及び使用を更に提供する。幾つかの実施形態において、試料を上記抗体又は抗原結合断片と接触させることで、上記抗体又は抗原結合断片がB7-H3に結合し、且つその結合、即ち試料中のB7-H3の含有量を検出する、試料中のB7-H3発現を検出する方法を提供する。幾つかの実施形態において、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)を診断又は予後するための試薬キットの製造における、上記抗体又は抗原結合断片の応用を提供する。幾つかの実施形態において、上記抗体又は抗原結合断片を含む診断又は予後用の試薬キットを提供する。
【0065】
本発明は、抗B7-H3抗体又は抗原結合断片及びその応用を提供し、本発明の抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、B7-H3に特異的に結合でき、高い特異性、高い親和力及び非常に強い内在化能を有し、より優れる抗腫瘍活性及び効能を奏することが期待されるADC薬物の開発に適用でき、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)の診断及び予後にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】MDA-MB-468細胞に対するキメラ抗体の結合能力を示し、そのうち、H1L4は対照抗体M30-H1-L4である。
【
図2】Lag3-CHO細胞、VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞及びRaji細胞に対するキメラ抗体の結合能力を示す。
【
図3】hB7-H3-Fcに対するヒト化抗体の結合能力を示し、そのうち、H1L4は対照抗体M30-H1-L4を表す。
【
図4】MDA-MB-468細胞に対するヒト化抗体の結合能力を示し、そのうち、H1L4は対照抗体M30-H1-L4を表す。
【
図5】VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞及びLag3-CHO細胞に対するヒト化抗体の結合能力を示し、そのうち、H1L4は対照抗体M30-H1-L4を表す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0068】
定義
注意すべきであることは、「1種」の実体という用語は、1種又は複数種の当該実体を指し、例えば、「1種の抗体」は、1種又は複数種の抗体と理解されるべきであるため、「1種」(又は「1つ」)、「1種又は複数種」及び「少なくとも1種」という用語は、本明細書で互換的に使用されてもよい。
【0069】
本明細書で使用される「含む」又は「包含」という用語は、抗体、組成物又は方法などが、成分又はステップなどの列挙された要素を含むが、他のものを排除しないことを意味する。「基本的には...からなる」とは、抗体、組成物又は方法などが、組み合わせの特性に実質的に影響を与える他の要素を排除するが、抗体、組成物又は方法などに実質的に影響を与えない要素を排除しないことを意味する。「...からなる」とは、特に列挙されていない要素を排除することを意味する。
【0070】
「ポリペプチド」という用語は、単数の「ポリペプチド」及び複数の「ポリペプチド」を包含することを意図しており、且つ、アミド結合(ペプチド結合とも呼ばれる)によって線形的に結合したアミノ酸モノマーからなる分子を意味する。「ポリペプチド」という用語は、2つ又はそれ以上のアミノ酸の任意の単鎖又は複数の鎖を意味し、且つ、生成物の特定の長さに関与しない。従って、「ポリペプチド」の定義は、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、又は、2つ若しくは複数のアミノ酸鎖を示すための任意の他の用語を含み、且つ、「ポリペプチド」という用語は、上記何れか1つの用語の代わりに用いられ、又は上記何れか1つの用語と交互に用いられることができる。「ポリペプチド」という用語は、ポリペプチドの発現後に修飾された生成物も指し、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロッキング基による誘導化、タンパク質加水分解切断又は非天然存在アミノ酸による修飾を含むが、これらに限定されない。ポリペプチドは、天然の生物源に由来にするか、又は組換え技術によって産生され得るが、指定された核酸配列から翻訳される必要はなく、化学合成を含む任意の方法によって産生され得る。
【0071】
「アミノ酸」とは、α-アミノ酸のような、アミノ基とカルボキシル基を同時に含む有機化合物であり、そのまま又は前駆体の形態で核酸によりコードすることができる。単一のアミノ酸は、3つのヌクレオチド(いわゆるコドン又は塩基トリプレット)からなる核酸によってコードされる。各々のアミノ酸は、少なくとも1つのコドンによってコードされる。同じアミノ酸を異なるコドンによってコードすることは、「遺伝子コードの縮重性」と呼ばれる。アミノ酸は、天然アミノ酸と非天然アミノ酸とを含む。
【0072】
本明細書で使用されるように、20個の従来のアミノ酸及びその略語は、従来の用法に従う。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、非天然アミノ酸(α-、α-二置換アミノ酸など)、N-アルキルアミノ酸、乳酸及び他の特殊なアミノ酸は、本開示のポリペプチドに適する成分であってもよい。特殊なアミノ酸の例には、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸塩、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシル、σ-N-メチルアルギニン及び他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書で使用されるポリペプチドの表記法において、左手方向はアミノ末端方向であり、且つ右手方向はカルボキシ末端方向であり、標準的な用法と慣例と一致する。従来の(又は天然の)アミノ酸は、アラニン(3文字符号:Ala、1文字符号:A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン(Gln、Q)、グルタミン酸(Glu、E)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)及びバリン(Val、V)を含む。
【0073】
アミノ酸配列の同一性が少なくとも75%、例えば少なくとも80%、90%、95%又は99%などに維持されることを条件として、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列のわずかな変化は、何れも本開示に含まれる。幾つかの実施形態において、変化は保存的アミノ酸置換である。保存的アミノ酸置換は、その側鎖での関連するアミノ酸ファミリー内で発生する置換である。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、(1)アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩である酸性アミノ酸、(2)リジン、アルギニン、ヒスチジンである塩基性アミノ酸、(3)アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンである非極性アミノ酸、及び(4)グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである非荷電極性アミノ酸に大まか分類される。アミノ酸の他のファミリーには、(i)脂肪族-ヒドロキシルファミリーのセリン及びトレオニン、(ii)アミド含有ファミリーのアスパラギン及びグルタミン、(iii)脂肪族ファミリーのアラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン、並びに(iv)芳香族ファミリーのフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを含む。幾つかの実施形態において、保存的アミノ酸置換群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、及びアスパラギン-グルタミンである。例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシンの個別置換、グルタミン酸塩によるアスパラギン酸塩の置換、セリンによるトレオニンの置換、又は、特に当該置換が結合部位内のアミノ酸に関与しない場合、得られる分子の結合又は特性に重要な影響を与えずに構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の類似の置換を合理的に予測することができる。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすか否かは、ポリペプチド誘導体の比活性を測定することによって容易に決定することができる。抗体又は免疫グロブリン分子の断片又は類似体は、当業者によって容易に製造することができる。
【0074】
幾つかの実施形態において、アミノ酸置換は、(1)タンパク質の加水分解作用に対する感受性を低下させ、(2)酸化作用に対する感受性を低下させ、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和力を変更し、(4)結合親和力を変更し、(5)このような類似体の他の物理化学的又は機能的特性を付与又は改善するといった効果がある。類似体は、配列が天然に存在するペプチド配列と異なる様々な変異タンパク質を含むことができる。例えば、天然に存在する配列(好ましくは、分子間接触を形成するドメイン以外のポリペプチド部分)に、単一又は複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)を行うことができる。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特性を顕著に変化させてはならない(例えば、置換されたアミノ酸は、親配列に存在する螺旋構造を破壊するか、又は親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向があってはならない)。
【0075】
VL、VHの保存的アミノ酸置換のアミノ酸の数は、約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約8個、約9個、約10個、約11個、約13個、約14個、約15個の保存的アミノ酸置換、又はこれらの数値のうちの何れか2つの値の間の範囲(両端値を含む)又はそのうちの任意の値である。重鎖定常領域、軽鎖定常領域、重鎖又は軽鎖の保存的アミノ酸置換のアミノ酸の数は、約1個、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約8個、約9個、約10個、約11個、約13個、約14個、約15個、約18個、約19個、約22個、約24個、約25個、約29個、約31個、約35個、約38個、約41個、約45個の保存的アミノ酸置換、又はこれらの数値のうちの何れか2つの値の間の範囲(両端値を含む)又はそのうちの任意の値である。
【0076】
本発明において、細胞、核酸、ポリペプチド、抗体などに関して使用される、「単離された」DNA、RNA、ポリペプチド、抗体などの「単離された」という用語は、DNA又はRNAなど、細胞の自然環境の他の成分の1種又は複数種からそれぞれ単離された分子を指す。本発明で使用される「単離された」という用語は、組換えDNA技術により産生された場合には細胞材料、ウィルス材料若しくは細胞培地を実質的な含まない核酸又はペプチド、或いは、化学合成された場合は化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない核酸又はペプチドを更に指す。更に、「単離された核酸」は、天然状態で存在しない核酸断片を含み、且つ天然状態で存在することはないことを意味する。本発明において、「単離された」という用語は、他の細胞タンパク質又は組織から単離された細胞又はポリペプチドを意味するためにも用いられる。単離されたポリペプチドは、精製されたポリペプチド及び組換えポリペプチドを含むことを意味する。単離されたポリペプチド、抗体などは、一般的には、少なくとも1つの精製ステップによって製造される。幾つかの実施形態において、単離された核酸、ポリペプチド、抗体などの純度は、少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%、或いはこれらの数値の何れか2つの値の間の範囲(端点値)又はそのうちの任意の値である。
【0077】
「コード」という用語は、ポリヌクレオチドに適用される場合に、ポリペプチドを「コード」すると言われるポリヌクレオチドを指し、その天然状態にあるか、又は、当業者に公知の方法により操作される場合、転写及び/又は翻訳によって当該ポリペプチド及び/又はその断片を産生することができる。
【0078】
「組換え」という用語は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドに関するもので、天然に存在しないポリペプチド又はポリヌクレオチドの形態を指し、非限定的な実施例は、組み合わせにより通常存在していないポリヌクレオチド又はポリペプチドを産生することができる。
【0079】
「相同性」、「同一性」又は「類似性」とは、2つのペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性を指す。それぞれの配列におけるアラインメント可能な位置を比較することにより、相同性を特定することができる。比較された配列における位置が同じ塩基又はアミノ酸で占められている場合、分子は、当該位置上で相同又は同一である。配列間の相同性の程度は、配列の共有するマッチング位置又は相同位置の数からなる関数である。「少なくとも80%の同一性」は、約80%の同一性、約81%の同一性、約82%の同一性、約83%の同一性、約85%の同一性、約86%の同一性、約87%の同一性、約88%の同一性、約90%の同一性、約91%の同一性、約92%の同一性、約94%の同一性、約95%の同一性、約98%の同一性、約99%の同一性、或いはこれらの数値の何れか2つの値の間の範囲(端点値)又はそのうちの任意の値である。「少なくとも90%の同一性」は、約90%の同一性、約91%の同一性、約92%の同一性、約93%の同一性、約95%の同一性、約96%の同一性、約97%の同一性、約98%の同一性、約99%の同一性、或いはこれらの数値の何れか2つの値の間の範囲(端点値)又はそのうちの任意の値である。
【0080】
ポリヌクレオチドは、4つの塩基の特定の配列、即ち、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)からなり、或いは、ポリヌクレオチドがRNAである場合に、チミンはウラシル(U)に取り替えられる。「ポリヌクレオチド配列」は、ポリヌクレオチド分子の文字によって表すことができる。当該文字は、中央処理ユニットを有するコンピュータにおけるデータベースに入力され、生物情報学的応用、例えば、機能ゲノミクスと相同性検索に用いられることができることを示す。
【0081】
「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチドであるかリボヌクレオチド又はその類似体であるかに関わらず、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味する。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有してもよく、且つ、既知又は未知の任意の機能を実行することができる。非制限的なポリヌクレオチドの実施例は、遺伝子又は遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、EST又はSAGEラベル)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、dsRNA、siRNA、miRNA、組換えポリヌクレオチド、分岐したポリヌクレオチド、プラスミド、担体、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマーである。ポリヌクレオチドは、例えばメチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。当該修飾があると、ヌクレオチドの構造への修飾は、ポリヌクレオチドを組み立てる前でも後でも行うことができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。重合後に、標識成分との複合などによりポリヌクレオチドを更に修飾してもよい。この用語は、二重鎖と単鎖分子も指す。特に説明や要求のない限り、本開示の何れのポリヌクレオチドの実施例は、二重鎖形態、及び二重鎖形態を構成する知られている又は予測される2つの相補可能な単鎖形態のうちのそれぞれの形式を含む。
【0082】
核酸又はポリヌクレオチド配列(或いはポリペプチド又は抗体配列)が別の配列と特定の百分率(例えば90%、95%、98%又は99%)の「同一性又は配列同一性」を有することは、配列アラインメント時に、比較される2つの配列において当該百分率の塩基(又はアミノ酸)が同じであることを意味する。目視検査又は本分野で知られているソフトウェアプログラム、例えば、Ausubel et al.eds.(2007)がCurrent Protocols in Molecular Biologyに記載されたソフトウェアプログラムにより、当該アラインメント及び同一性百分率又は配列同一性を決定することができる。好ましくは、デフォルトパラメータを用いてアラインメントを行う。アラインメントプログラムの1つは、BLASTNとBLASTPなどのデフォルトパラメータを使用したBLASTであり、両方とも次のデフォルトパラメータが使用される:Geneticcode=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50sequences;sortby=HIGHSCORE;Databases=non-redundant;GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBankCDStranslations+SwissProtein+SPupdate+PIR。生物学的に同等のポリヌクレオチドは、上記に指定された百分率の同一性を有し、同一又は類似の生物学活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0083】
「抗体」、「抗原結合断片」とは、抗原を特異的に認識して結合するポリペプチド又はポリペプチド複合体を指す。抗体は、完全な抗体及びその任意の抗原結合断片又はその単鎖であってもよい。従って、「抗体」という用語は、分子中に、抗原に結合する生物学的活性を有する免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のタンパク質又はペプチドを含む。抗体と抗原結合断片は、重鎖又は軽鎖又はそのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、重鎖定常領域(CH)、軽鎖定常領域(CL)、フレーム領域(FR)又はその任意の部分、或いは結合タンパク質の少なくとも一部を含むが、これらに限定されない。CDR領域は、軽鎖可変領域のCDR領域(VL CDR1~3)及び重鎖可変領域のCDR領域(VH CDR1~3)を含む。抗体又は抗原結合断片は、1つ又は複数(例えば2つ)の抗原のポリペプチド又はポリペプチド複合体を特異的に認識して結合することができる。複数(例えば2つ)の抗原を特異的に認識して結合する抗体又は抗原結合断片は、多重特異的(例えば、二重特異的)抗体又は抗原結合断片と呼ばれてもよい。
【0084】
「抗体断片」又は「抗原結合断片」という用語は、抗体の一部を指し、本発明の抗体断片の構成形態は、単一特異的抗体断片におけるF(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、Fv、scFvなどと類似することができる。その構造に関わらず、抗体断片は、完全抗体で認識された同一の抗原に結合する。「抗体断片」という用語は、アプタマー、鏡像異性体及び2価抗体を含む。「抗原結合断片」という用語は、特定の抗原に結合して複合体を形成することによって抗体として機能する任意の合成又は遺伝子操作されたタンパク質を更に含む。
【0085】
「単鎖可変断片」又は「scFv」とは、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)の融合タンパク質である。幾つかの態様において、これらの領域は、約10個~約25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドに結合している。リンカーは、柔軟性を増加させるためにグリシンを豊富に含んでもよく、溶解性を増加させるためにセリン又はスレオニンを豊富に含んでもよく、且つ、VHのN末端とVLのC末端に結合してもよく、その逆でもよい。当該タンパク質には定常領域が除去され、リンカーが導入されたことにも関わらず、原始免疫グロブリンの特異性を保持している。ScFv分子は、例えば米国特許第5,892,019号に記載されているように、本分野で一般的に知られている。
【0086】
「抗体」という用語は、生化学的に区分可能な種々の広範な種類のポリペプチドを含む。当業者であれば、重鎖のクラスは、gamma、mu、alpha、delta又はepsilon(γ、μ、α、δ、ε)を含み、そのうち、更に幾つかのサブクラス(例えば、γ1~γ4)を含むことが理解される。当該鎖の性質は、抗体の「種類」がそれぞれIgG、IgM、IgA、IgG又はIgEであることを決定している。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5などの免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)は、既に十分に特徴づけられ、且つ付与された機能特異性も知られている。何れの免疫グロブリンの種類も、本発明に開示された請求範囲にある。幾つかの実施形態において、免疫グロブリン分子の種類はIgGである。2本の重鎖及び2本の軽鎖は、ジスルフィド結合により「Y」配置で連結され、そのうち、軽鎖は「Y」の口部から始まり、可変領域を通って連続して重鎖を取り囲む。
【0087】
本発明に開示された抗体、抗原結合断片又は誘導体は、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、完全ヒト、ヒト化、霊長類化、キメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合断片(例えば、クラスFab、クラスFab’及びクラスF(ab’)2)、クラス単鎖Fvs(scFv)を含むが、これらに限定されない。
【0088】
軽鎖は、kappa(κ)又はlambda(λ)に分けることができる。各重鎖は、κ又はλ軽鎖に結合することができる。一般的に、ハイブリドーマ、B細胞又は遺伝子工学的宿主細胞により免疫グロブリンを産生する時に、その軽鎖及び重鎖は共有結合を介して結合し、2本の重鎖の「尾」部は、共有ジスルフィド結合又は非共有結合を介して結合する。重鎖において、アミノ酸配列は、Y配置の分岐した末端のN末端から各本の鎖の底部のC末端まで延びている。免疫グロブリンのκ軽鎖可変領域はVκであり、免疫グロブリンのλ軽鎖可変領域はVλである。
【0089】
「定常の」及び「可変の」という用語は、機能に応じて使用される。軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)は、抗原認識及び特異性を決定する。軽鎖定常領域(CL)及び重鎖定常領域(CH)は、分泌、経胎盤移動、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的性質を付与する。慣例に従って、定常領域の番号は、抗体の抗原結合部位又はアミノ基末端から遠くなるにつれて増加する。N末端部分は可変領域であり、C末端部分は定常領域であり、CH3及びCLドメインは、実際には、それぞれ重鎖と軽鎖のカルボキシ末端を含む。
【0090】
天然に存在する抗体において、抗体が含水環境でその3次元配置を示すと仮定すると、それぞれの抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」又は「CDR」は、抗原結合ドメインが形成される短くて非連続的な、抗原に特異的に結合するアミノ酸配列である。抗原結合ドメインにおいて「フレームワーク」領域と呼ばれる残りの他のアミノ酸は、比較的小さい分子間可変性を示す。フレームワーク領域のほとんどはβ-折り畳み配座を採用し、CDRがそれに連結される環状構造を形成し、又は場合によっては、β折り畳み構造の一部を形成する。従って、フレーム領域は、ステントを形成することにより、鎖間の非共有相互作用でCDRを正確な方位に位置決めする。特定の位置にCDRを有する抗原結合ドメインは、抗原エピトープへの抗体の非共有結合を促進する抗原エピトープに相補的な表面を形成する。所定の重鎖又は軽鎖可変領域に対して、当業者は、既知の方法によってCDR及びフレームワーク領域を含むアミノ酸を同定することができる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「CDR」という用語は、抗体可変領域内の相補性決定領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域にはそれぞれ3つのCDRが存在し、各可変領域に対して、CDR1、CDR2及びCDR3(又は、具体的には、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)と命名される。同じ抗体の可変領域のCDRの境界は、異なる割り当てシステムに応じて、異なる場合がある。従って、本発明で定義された具体的なCDR配列で抗体を限定することに言及する場合、上記抗体の範囲は、可変領域配列が本発明のCDR配列を含むが、異なる方法の適用により、声明されたCDR境界が本発明で定義された具体的なCDR境界とは異なる抗体も包含する。Kabat及びChothiaによって定義されたCDRは、互いに比較する時のアミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、任意の定義を使用して抗体又はその変異体のCDRを指すことは何れも、本発明の範囲内である。特定のCDRを含む確実な残基番号は、CDRの配列及び大きさによって変化する。当業者は通常、抗体の可変領域のアミノ酸配列に基づいて、CDRに含まれる特定の残基を決定することができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」という用語は、可変領域からCDRを引いた残りの配列を指す。CDR配列の精確な限定は、異なるシステムによって決定することができるため、フレームワーク配列の意味に応じて異なる解釈を必要とする。6個のCDR(軽鎖のCDR1、CDR2及びCDR3並びに重鎖のCDR1、CDR2及びCDR3)は、軽鎖及び重鎖のフレームワーク領域を、各鎖の4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)に分割し、そのうち、CDR1はFR1とFR2との間に位置し、CDR2はFR2とFR3との間に位置し、CDR3はFR3とFR4との間に位置する。具体的なサブ領域がFR1、FR2、FR3又はFR4であることを指定しない場合、他の言及されたフレームワーク領域は、単一の天然に賛成される免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせたFRを表す。本明細書で使用される場合、FRは4つのサブ領域のうちの1つを表し、且つFRsはフレームワーク領域を構成する4つのサブ領域のうちの2つ又は2つ以上を表す。
【0093】
ヒト化抗体のフレームワーク領域及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要がなく、例えばドナー抗体CDR又は共有フレームワークは、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失によって突然変異誘発でき、それにより当該部位のCDR又はフレームワーク残基がドナー抗体又は共有フレームワークに対応しない。通常、少なくとも80%、少なくとも85%、より少なくとも90%又は少なくとも95%のヒト化抗体残基は、親FR及びCDR配列のそれらの残基に対応する。本明細書で使用される場合、「共有フレームワーク」という用語は、共有免疫グロブリン配列中のフレームワーク領域を指す。本明細書で使用される場合、「共有免疫グロブリン配列」という用語は、関連免疫グロブリン配列ファミリー内で最も頻繁に発生するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成される配列を指す。免疫グロブリンファミリーにおいて、共有配列中の各位置は、当該ファミリー内で当該位置に最も頻繁に発生するアミノ酸によって占められる。2つのアミノ酸が同等に頻繁に出現する場合、共有配列には何れか1つを含んでもよい。
【0094】
当該技術分野で使用及び/又は許容される用語が2つ又は複数の定義を有する場合、明示的に対立して指摘されない限り、本明細書で使用された用語の定義は、これらのすべての意味を含む。具体的な例は、「相補性決定領域」(「CDR」)という用語を使用して重鎖と軽鎖ポリペプチドの可変領域内に見出される非連続的な抗原結合部位を記述する。
【0095】
Kabatらはまた、任意の抗体の可変領域配列に適用される番号付けシステムを定義した。当業者は、配列自体以外の他の実験データとは無関係に当該「Kabat番号付け」システムを任意の可変領域配列に適用することができる。「Kabat番号付け」とは、Kabat et al.、U.S.Dept.of Health and Human Servicesが「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)において提案された番号付けシステムを指す。抗体は、EU又はChothia番号付けシステムを使用することもできる。
【0096】
本発明に開示された抗体は、魚類、鳥類及び哺乳動物を含むが、これらに限定されない任意の動物に由来してもよい。好ましくは、抗体は、ヒト由来、マウス由来、ロバ由来、ウサギ由来、ヤギ由来、ラクダ由来、ラマ由来、ウマ由来又はニワトリ由来の抗体である。他の実施形態において、可変領域は、軟骨魚綱(condricthoid)由来(例えば、サメ由来)であってもよい。
【0097】
「重鎖定常領域」は、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば上、中及び/又は下ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、又は変異体又は断片のうちの少なくとも1つを含む。抗体の重鎖定常領域は、異なる免疫グロブリン分子に由来してもよい。例えば、ポリペプチドの重鎖定常領域は、IgG1分子に由来するCH1構造ドメインとIgG3分子に由来するヒンジ領域とを含んでもよい。他の実施形態において、重鎖定常領域は、部分的にIgG1分子に由来するヒンジ領域と部分的にIgG3分子に由来するヒンジ領域とを含んでもよい。他の実施形態において、重鎖の一部は、部分的にIgG1分子に由来するキメラヒンジ領域と部分的にIgG4分子に由来するキメラヒンジ領域とを含んでもよい。
【0098】
「軽鎖定常領域」は、抗体軽鎖に由来する一部のアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖定常領域は、定常κドメイン又は定常λドメインのうちの少なくとも1つを含む。「軽鎖-重鎖対」とは、軽鎖のCLドメインと重鎖のCH1ドメインとの間のジスルフィド結合によって二量体を形成することができる軽鎖と重鎖の集合体を指す。
【0099】
「VHドメイン」は、免疫グロブリン重鎖のアミノ基末端可変ドメインを含む。「CH1ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の第1の定常領域を含む。CH2ドメインは、他のドメインと密接に対を形成するものではなく、完全な天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に、2つのN-で連結した分岐炭水化物鎖を挿入する。CH3ドメインは、CH2ドメインから開始して、IgG分子のC-末端まで伸長し、約108個の残基を含む。「ヒンジ領域」は、CH1ドメインとCH2ドメインとを連結する一部の重鎖領域を含む。上記ヒンジ領域は、約25個の残基を含み、且つ柔軟であることで、2つのN末端抗原結合領域を個別に移動させることができる。ヒンジ領域は、上部、中間及び下部ヒンジドメインという3つの異なるドメインに細分化されてもよい。
【0100】
「ジスルフィド結合」とは、2つの硫黄原子間に形成される共有結合を指す。システインのチオール基は、第2のチオール基と共にジスルフィド結合を形成するか、又は架橋することができる。天然に存在する大部分のIgG分子において、CH1とCL領域は、ジスルフィド結合によって結合される。
【0101】
「キメラ抗体」とは、その可変領域が第1の種から得られるか又は由来し、その定常領域(完全なもの、部分的なもの又は修飾されたものであってもよい)が第2の種に由来する任意の抗体を指す。幾つかの実施形態において、可変領域は非ヒト(例えばマウス又は霊長類動物)に由来し、定常領域はヒトに由来する。
【0102】
「特異的結合」とは、通常、抗体又は抗原結合断片がその抗原結合ドメイン及びエピトープを介して特定の抗原に相補的に結合し、比較的安定した複合体を形成することを指す。「特異的」は、抗体又は抗原結合断片が特定の抗原又はエピトープに結合する相対的親和力で表すことができる。例えば、抗体「A」が抗体「B」よりも同じ抗原に対してより高い相対的親和力を有する場合、抗体「A」が抗体「B」よりも当該抗原に対してより高い特異性を有すると考えられる。特異的結合は、平衡解離定数(KD)で示すことができ、KDが小さいほど、結合がより緊密であることを意味する。2つの分子が特異的結合であるか否かを決定する方法は、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー光干渉計測法などを含み、本分野でよく知られるものである。抗原aに「特異的に結合する」抗体は、抗原aとの平衡解離定数KDが約100nM以下、約10nM以下、約5nM以下の抗体を含む。
【0103】
「治療」とは、治療的処置及び予防的又は防止的処置を意味し、その目的は、疾患の進行などの望ましくない生理学的変化又は障害を予防、軽減、改善又は停止することであり、症状の緩和、疾患程度の軽減、疾患状態の安定化(即ち、悪化せず)、疾患進行の遅延又は緩和、疾患状態の改善、緩和、軽減又は消失(部分的又は完全)、治療を受けない場合に予想される生存期限の延長などの検出可能かどうかにかかわらない結果を含むが、これらに限定されない。治療を必要とする患者には、既に病状又は障害にかかった患者、病状又は障害にかかりやすい患者、又は当該病症又は障害の予防を必要とする患者、検出、診断プロセス及び/又は治療のために、本発明により開示される抗体又は医薬組成物を投与することから利益を得ることができる、又は利益が期待される患者が含まれる。
【0104】
「がん」という用語は、制御されない細胞増殖を典型的な特徴とする哺乳動物の生理状態を記述することを意味するか、又は意図する。がんの実例は、がん、リンパ腫、芽腫、肉腫及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない。このようながんのより具体的な実例は、神経膠芽腫、急性骨髄性白血病(AML)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、非小細胞肺がん、肺がん、結腸がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、乳がん(例えばトリプルネガティブ乳がん)、膵臓がん、扁平上皮腫瘍、扁平上皮がん(例えば扁平上皮肺がん又は扁平上皮頭頸部がん)、肛門がん、皮膚がん、並びに外陰がんを含む。
【0105】
「過剰発現」又は「過剰発現された」は、互換的に遺伝子を指してもよく、正常細胞と比べ、通常、がん細胞などの特定の細胞において検出可能なより高いレベルで転写又は翻訳される。過剰発現は、タンパク質又はRNAの過剰発現(増加した転写、転写後加工、翻訳、翻訳後加工、変化した安定性及び変化したタンパク質分解による)、及びタンパク質輸送モードの変化による局所的過剰発現(核局在化の増加)及び増強した機能活性、例えば、基質の酵素加水分解であってもよい。正常細胞又は比較細胞と比べ、過剰発現は、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上であってもよい。幾つかの実施例において、本発明の抗B7-H3抗体は、B7-H3を過剰発現する可能性のある固形腫瘍の治療に使用される。
【0106】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、治療(例えば、B7-H3関連障害の治療)の目的を達成するために、物質(例えば、抗B7-H3抗体)を送達することを意味する。投与方法は、非経口、経腸及び局所であってもよい。非経口投与は通常、注射によるものであり、且つ静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内の注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
【0107】
本明細書で使用される場合、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、病状(例えばがん)若しくはその1つ又は複数の症状の重症度及び/又は持続時間を低減又は改善すること、病状の進行を予防すること、病状の退縮を引き起こすこと、病状に関連する1つ又は複数の症状の再発、進行、発症又は進展を予防すること、病状を検出すること、或いは別の療法(例えば予防剤又は治療剤)の予防又は治療効果を増強又は改善することに十分な量とする、薬物、例えば抗体の量を指す。例えば、抗体の有効量は、腫瘍増殖を阻害する(例えば、腫瘍体積の増加を阻害する)こと、腫瘍増殖を減少させる(例えば、腫瘍体積を減少させる)こと、がん細胞の数を減らすこと、及び/又はがんに関連する1つ又は複数の症状をある程度緩和することができる。例えば、有効量は、無病生存(DFS)を改善すること、全生存率(OS)を改善すること、或いは再発の可能性を低減することができる。
【0108】
「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用され、診断、予後又は治療を必要とする、ヒト、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシなどを含むがこれらに限定されない、任意の哺乳動物を指す。幾つかの実施形態において、患者は、ヒト患者である。
【0109】
本明細書で使用される場合、「必要とする」という用語は、患者が特定の方法又は治療を必要とすることが同定されていることを指す。幾つかの実施例において、任意の診断方法によって識別することができる。本明細書に記載される任意の方法及び治療において、患者が必要とする可能性がある。
【0110】
本明細書で使用される「投与」という用語は、治療の目的(例えば、腫瘍の治療)を達成するために、物質を投与することを指す。
【0111】
本明細書で使用される「試薬」という用語は、化学化合物、化学化合物の混合物、生体高分子又は生体材料から製造した抽出物を意味する。
【0112】
「薬剤」又は「薬物」という用語は、患者に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘発することができる化合物又は組成物を指す。
【0113】
「約」は、当業者に容易に知られる対応する数値の通常の誤差範囲を指す。幾つかの実施形態において、本明細書で言及される「約」は、記載された数値及びその±10%、±5%又は±1%の範囲を指す。
【0114】
半数最大効果濃度である「EC50」(concentration for 50% of maximal effect、EC50)は、最大効果の50%を引き起こすことができる濃度を指す。
【0115】
本明細書で使用されるように、「標識」又は「標識された」という用語は、例えば、放射性標識アミノ酸、又は標識アビジン(例えば、蛍光標識を含有するか、又は光学的方法又は熱量測定法によって検出された酵素活性を有するストレプトアビジン)により検出可能なビオチン基部分に付着したポリペプチドを組み込むことにより、検出可能な標識を組み込むことを意味する。場合によっては、マーカー又は標識は、治療的なものであってもよい。ポリペプチドと糖タンパク質を標識する様々な方法は、当該分野で既知で且つ使用可能なものである。ポリペプチド用のマーカーの例としては、放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光マーカー(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素マーカー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ビオチニル基、二次レポーター遺伝子によって認識された所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、標識は、可能な立体障害を低減するために、様々な長さのスペーサーアームを介して結合される。
【0116】
「抗体薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語は、1つ又は複数の化学薬物に連結された結合タンパク質(例えば、抗体又は抗原結合断片)を指し、これは、任意選択的に治療剤又は細胞毒性剤であってもよい。好ましい実施例において、ADCは、抗体、薬物(例えば、細胞傷害性薬物)、及び薬物を抗体に付着又は結合させることができるリンカーを含む。ADCにおける小分子薬物に対する1つの抗体の結合数は、即ち、薬物抗体結合比(DAR)と呼ばれる抗体の薬物結合数である。幾つかの実施形態において、その値は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10から選ばれる。小分子薬物の平均結合数、即ち抗体の薬物平均結合数、又は平均薬物抗体結合比と称されるものを考慮する場合、その値は、約0~10、又は2~8から選ばれる。幾つかの実施形態において、薬物抗体結合比は約3~約6であり、別の実施例において、薬物抗体結合比は、約6~約8、又は約7~約8である。ADC中に含まれ得る薬物の非限定的な実例としては、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、免疫調節剤、遺伝子療法用担体、アルキル化剤、抗血管新生剤、代謝拮抗物質、ホウ素含有剤、化学保護剤、ホルモン、抗ホルモン剤、コルチコステロイド、光活性治療剤、オリゴヌクレオチド、放射性核種剤、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤(例えば、TEC-ファミリーキナーゼ阻害剤及びセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤)、及び放射線増感剤が挙げられる。
【0117】
「抗体薬物コンジュゲート」及び「ADC」という用語は、互換的に使用される。「抗B7-H3抗体薬物コンジュゲート」及び「抗B7-H3 ADC」という用語は、互換的に使用され、そのうち、抗体が1つ又は複数の化学薬物と結合する、B7-H3に特異的に結合する抗体を含むADCを指す。好ましい実施例において、抗B7-H3 ADCは、ヒトB7-H3(hB7-H3)に結合する。
【0118】
本明細書における他の化学用語は、当該技術分野における通常の使用に従って使用される。
【0119】
本明細書で引用された全ての出版物、特許及び特許出願は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
抗B7-H3抗体
本発明は、抗B7-H3抗体又は抗原結合断片を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、抗B7-H3マウス抗体又は抗原結合断片を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片を提供する。幾つかの実施形態において、本発明は、ヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片を提供する。
【0121】
本発明の抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、B7-H3との体外での結合、B7-H3を発現する細胞との結合、及び強い内在化能を含むが、これらに限定されない。
【0122】
幾つかの実施形態において、抗B7-H3抗体の抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合に連結するFv、scFv、単一ドメイン抗体又は二重抗体である。幾つかの実施形態において、抗B7-H3抗体は、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)である。
【0123】
幾つかの実施形態において、Fab、F(ab’)2及びFvなどの抗原結合断片は、完全なタンパク質の分解によって、例えばプロテアーゼ又は化学分解によって、製造することができる。(i)ペプシンで抗体分子を消化してF(ab’)2断片を得ること、(ii)F(ab’)2断片のジスルフィド結合を還元してFab断片を得ること、(iii)パパインと還元剤で抗体分子を処理してFab断片を生成すること、及び(iv)Fv断片を含むが、これらに限定されない。
【0124】
幾つかの実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域などの重鎖定常領域を含む。幾つかの実施形態において、抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG定常ドメイン、ヒトIgA定常ドメイン、ヒトIgE定常ドメイン、ヒトIgM定常ドメイン及びヒトIgD定常ドメインから選ばれる免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含む。幾つかの実施形態において、抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、IgG1重鎖定常領域、IgG2重鎖定常領域、IgG3重鎖定常領域又はIgG4重鎖定常領域を含む。幾つかの実施形態において、重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域又はIgG4重鎖定常領域である。幾つかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、κ軽鎖定常領域又はλ軽鎖定常領域などの軽鎖定常領域を含む。幾つかの実施形態において、抗体又は抗原結合断片は、κ軽鎖定常領域を含む。
【0125】
抗体のFc部分は、複数の重要なエフェクター機能(例えば、サイトカイン誘導、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、食作用、補体依存性細胞毒性(CDC)、抗体及び抗原-抗体複合体の半減期/クリアランス)を媒介する。幾つかの場合において、これらのエフェクター機能は、治療抗体にとって必要であるが、他の場合において、治療目的に応じて、不必要又は更に有害である可能性がある。幾つかのヒトIgGアイソタイプ、特にIgG1及びIgG3はそれぞれ、FcγRs及び補体C1qへの結合を介して、ADCC及びCDCを媒介する。新生したFc受容体(FcRn)は、抗体の循環半減期を決定する重要な成分である。更なる幾つかの実施形態において、抗体定常領域(例えば抗体のFc領域)における少なくとも1つのアミノ酸残基は、抗体のエフェクター機能を変更するように置換される。抗体エフェクター機能を変更するための、抗体のFc領域におけるアミノ酸残基の置換は、米国特許5,648,260及び5,624,821に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
幾つかの実施形態において、本発明は、1つ又は複数の機能性分子(例えば、別のペプチド又はタンパク質)に由来するか又はそれに連結される、標識された抗B7-H3抗体又は抗原結合断片を含む。例えば、標識された抗体は、本発明の抗体又は抗原結合断片を、1つ又は複数の他の分子実体に(化学結合、遺伝子融合、非共有結合、又は他の方法によって)機能的に連結することによって誘導され、当該1つ又は複数の他の分子実体は、別の抗体(例えば、二重特異的抗体又は二官能性抗体)、検出可能な試薬、薬物製剤、別の分子(ストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグなど)に対する抗体又は抗原結合断片の結合を媒介できるタンパク質若しくはペプチド、及び/又は、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、免疫調節剤、遺伝子治療用担体、アルキル化剤、抗血管新生剤、代謝拮抗剤、ホウ素含有剤、化学保護剤、ホルモン、抗ホルモン剤、コルチコステロイド、光活性治療剤、オリゴヌクレオチド、放射性核種剤、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、放射線増感剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる細胞毒性剤又は治療剤などである。
【0127】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片を、例えば、放射性標識アミノ酸の組込み、又は標識アビジン(例えば、蛍光標識を含有するか、或いは光学的方法若しくは熱量測定法によって検出された酵素活性を有するストレプトアビジン)により検出可能なビオチン部分のポリペプチドへの付着などによって、検出可能な試薬に連結する。場合によっては、マーカー又は標識は、治療的なものであってもよい。ポリペプチドと糖タンパク質を標識する様々な方法は、当該分野で既知で且つ使用可能なものである。ポリペプチド用のマーカーの例としては、放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光マーカー(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素マーカー(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ビオチニル基、二次レポーター遺伝子によって認識された所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、標識は、可能な立体障害を低減するために、様々な長さのスペーサーアームを介して結合される。
【0128】
更なる幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、試料中のB7-H3(例えばヒトB7-H3)又はその断片が存在するかどうかを検出するために用いられる。幾つかの実施形態において、抗体は、検出可能な試薬を含む。抗体は、ポリクローナル抗体、又はより好ましくはモノクローナル抗体である。完全な抗体又は抗原結合断片(例えばFab、scFv又はF(ab’)2)を使用してもよい。上記検出方法は、生体試料中の分析物mRNA、タンパク質又はゲノムDNAを体外及び体内で検出することに使用されてもよい。例えば、分析物mRNAの体外検出技術は、Norhternハイブリダイゼーション及びin situハイブリダイゼーションを含み、分析物タンパク質の体外検出技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、Westernブロット、免疫沈降及び免疫蛍光を含み、分析物ゲノムDNAの体外検出技術は、Southernハイブリダイゼーションを含む。また、分析物タンパク質の体内検出技術は、標識された抗分析物タンパク質抗体を患者の体内に導入することを含む。例えば、放射性標識で抗体を標識することができ、次に標準イメージング技術によって、当該放射性標識の患者体内での存在と位置を検出することができる。
【0129】
本明細書により開示される抗B7-H3抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。
【0130】
本発明により開示される抗体又は抗原結合断片の結合特異性は、免疫共沈降、放射免疫実験(RIA)、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー(Facs)又は酵素結合免疫吸着実験(ELISA)などの体外実験により、検出することができる。
【0131】
本発明は、本明細書に記載された抗B7-H3抗体と同じエピトープに結合する抗体を更に含む。例えば、本発明の抗体特異的結合は、ヒトB7-H3上の1つ又は複数のアミノ酸残基のエピトープを含む。
【0132】
以下、例示的なヒトB7-H3のアミノ酸配列、配列番号44を提供する(GenBank登録番号NP_001019907.1、参照により本明細書に組み込まれる)。シグナル配列(アミノ酸1-28)は下線で表される。
【0133】
配列番号44:
MLRRRGSPGMGVHVGAALGALWFCLTGALEVQVPEDPVVALVGTDATLCCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFAEGQDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYQGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSILRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHSSVTITPQRSPTGAVEVQVPEDPVVALVGTDATLRCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFTEGRDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYRGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSVLRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHGSVTITGQPMTFPPEALWVTVGLSVCLIALLVALAFVCWRKIKQSCEEENAGAEDQDGEGEGSKTALQPLKHSDSKEDDGQEIA
【0134】
1)抗B7-H3マウス抗体
本発明の例示的な抗B7-H3マウス抗体は、重鎖可変領域が、配列番号24に示されるアミノ酸配列、又は配列番号24に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、適切な配列同一性を有するこれらのアミノ酸配列は、少なくともCDRが変化しない。
【0135】
2)抗B7-H3キメラ抗体
幾つかの実施形態において、本発明は、抗B7-H3マウス抗体の可変領域がヒト免疫グロブリン定常領域に連結された抗B7-H3キメラ抗体を提供する。
【0136】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列、又は配列番号24に示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域を含む。幾つかの実施形態において、配列同一性を有するこれらのアミノ酸配列は、少なくともCDRが変化しない。
【0137】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号25~29の何れか一項に示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施形態において、配列同一性を有するこれらのアミノ酸配列は、少なくともCDRが変化しない。
【0138】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号25に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0139】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号9に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号14に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号19に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0140】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号26に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0141】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号10に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号15に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号20に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0142】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号27に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0143】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号11に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号16に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号21に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0144】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号28に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0145】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号12に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号17に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号22に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0146】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号24に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号29に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0147】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号13に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号18に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号23に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0148】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を更に含む。
【0149】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片は、配列番号34に示されるアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖定常領域を更に含む。
【0150】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の重鎖は、MEFGLSWVFLVAILKGVQC(配列番号45)又はMKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号46)などのシグナルペプチドを更に含む。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の軽鎖は、MDMRVLAQLLGLLLLCFPGARC(配列番号47)又はMVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号48)などのシグナルペプチドを更に含む。
【0151】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合する結合解離平衡定数(KD)は、約1μM又はより低い。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約1μM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約100nM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約10nM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約1nM~約0.1nMの間である。
【0152】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、hB7-H3-His(配列番号4に示される)に結合するKDは、約1μM又はより低い。幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3キメラ抗体又は抗原結合断片の、hB7-H3-His(配列番号4に示される)に結合するKDは、約1μM~約1pMの間であり、或いは、約100nM~約1pMの間であり、或いは、約10nM~約1pMの間であり、或いは、約1nM~約1pMの間であり、或いは、約1nM~約0.1nMの間であり、或いは、約0.5nM~約0.3nMの間である。
【0153】
本明細書により開示されるマウス抗体又はキメラ抗体は、ヒト化抗B7-H3抗体の産生に使用することができる。例えば、キメラ抗体M1がヒト化のために選択される。
【0154】
3)ヒト化抗B7-H3抗体
本明細書に記載の抗体は、ヒト化抗体を含む。これらの抗体は、治療される動物(例えばヒト)において有害な免疫応答を引き起こすことなく、動物(例えばヒト)に投与するのに適している。
【0155】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、(a)配列番号6に示されるアミノ酸配列のVH CDR1、(b)配列番号7に示されるアミノ酸配列のVH CDR2、及び(c)配列番号8に示されるアミノ酸配列のVH CDR3を含む重鎖可変領域と、(a)配列番号9に示されるアミノ酸配列のVL CDR1、(b)配列番号14に示されるアミノ酸配列のVL CDR2、及び(c)配列番号19に示されるアミノ酸配列のVL CDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0156】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、その重鎖可変領域が、配列番号35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号35~38の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は、その軽鎖可変領域が、配列番号39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列、又は配列番号39~41の何れか一項に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態において、配列同一性を有するこれらのアミノ酸配列は、少なくともCDRが変化しない。
【0157】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号35に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0158】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号39に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0159】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号36に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号40に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0160】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号37に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0161】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号38に示されるアミノ酸配列の重鎖可変領域及び配列番号41に示されるアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0162】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列、又は配列番号32若しくは33に示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を更に含む。
【0163】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片は、配列番号34に示されるアミノ酸配列、又は配列番号34に示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%の配列同一性、若しくは少なくとも90%の配列同一性、若しくは少なくとも95%の配列同一性、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するなど、適切な配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖定常領域を更に含む。
【0164】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の重鎖は、MEFGLSWVFLVAILKGVQC(配列番号45)又はMKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号46)などのシグナルペプチドを更に含む。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の軽鎖は、MDMRVLAQLLGLLLLCFPGARC(配列番号47)又はMVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号48)などのシグナルペプチドを更に含む。
【0165】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合する結合解離平衡定数(KD)は、約1μM又はより低い。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約1μM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約100nM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約10nM~約1pMの間である。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、B7-H3に結合するKDは、約1nM~約0.1nMの間である。
【0166】
幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、hB7-H3-His(配列番号4に示される)に結合するKDは、約1μM又はより低い。幾つかの実施形態において、本発明のヒト化抗B7-H3抗体又は抗原結合断片の、hB7-H3-His(配列番号4に示される)に結合するKDは、約1μM~約1pMの間であり、或いは、約100nM~約1pMの間であり、或いは、約10nM~約1pMの間であり、或いは、約1nM~約1pMの間であり、或いは、約1nM~約0.1nMの間であり、或いは、約0.5nM~約0.3nMの間である。
【0167】
治療方法
本発明の抗体又は抗原結合断片は、体内及び体外でB7-H3活性を中和することができる。従って、本発明の抗体又は抗原結合断片は、例えば、B7-H3を含有する細胞培養物において、ヒト患者又は本発明の抗体と交差反応するB7-H3を有する他の哺乳動物において、B7-H3活性を阻害するために使用できる。一実施例において、本発明は、B7-H3活性を阻害する方法であって、B7-H3を本発明の抗体と接触させることで、B7-H3活性を阻害することを含む、方法を提供する。例えば、B7-H3を含むか、又は含むと疑われる細胞培養物において、本発明の抗体又は抗原結合断片を培養物基に添加して、培養物中のB7-H3活性を阻害することができる。幾つかの実施形態において、B7-H3は、ヒトB7-H3、且つヒト患者である。
【0168】
幾つかの実施形態において、患者におけるB7-H3活性を低減する方法であって、上記患者はB7-H3活性が有害である疾患又は病状に罹患する患者に由来する、方法を提供する。本発明は、このような疾患又は病状に罹患する患者におけるB7-H3活性を低減するための方法であって、有効量の本発明の抗体又は抗原結合断片を患者に投与することで、患者におけるB7-H3活性を低減することを含む、方法を提供する。幾つかの実施形態において、B7-H3は、ヒトB7-H3、且つヒト患者である。或いは、患者は、本発明の抗体が結合できるB7-H3を発現する哺乳動物であってもよい。更に、患者は、B7-H3が導入された哺乳動物であってもよい(例えば、B7-H3の投与による、又はB7-H3遺伝子組換えの発現による)。本発明の抗体又は抗原結合断片を治療目的でヒト患者に投与することができる。更に、本発明の抗体又は抗原結合断片は、当該抗体が結合できるB7-H3を発現する非ヒト哺乳動物に投与することができる(獣医学目的のために、又はヒト疾患の動物モデルとして)。上記ヒト疾患の動物モデルは、本発明の抗体又は抗原結合断片の治療有効性(例えば、用量試験及び投与時間経過)を評価するために使用できる。
【0169】
幾つかの実施形態において、様々な種類の腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)などに関連する疾患を予防、治療又は改善するための方法であって、有効量の上記抗体又は抗原結合断片を患者に投与することを含む、方法を提供する。幾つかの実施形態において、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)などに関連する疾患の予防、治療又は改善における、上記抗体又は抗原結合断片の応用を提供する。幾つかの実施形態において、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)などに関連する疾患を予防、治療又は改善するための薬物の製造における、上記抗体又は抗原結合断片の応用を提供する。幾つかの実施形態において、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)は、B7-H3を発現する腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)である。幾つかの実施形態において、腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)は、B7-H3を過剰発現する腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)である。B7-H3を発現する腫瘍(例えば、B7-H3を過剰発現する腫瘍)を同定するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、免疫組織化学法によって、正常組織及び腫瘍組織におけるB7-H3の発現を検出する。
【0170】
幾つかの実施形態において、本発明は、B7-H3を治療標的とする関連疾患を治療する方法であって、B7-H3過剰発現に関連する任意の疾患又は病状を改善、緩和、阻害又は予防する方法に関し、患者の腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)を治療する方法、患者の腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)症状を緩和する方法、患者の腫瘍(良性腫瘍及びがんを含む)再発を回避する方法であって、有効量の本明細書に記載の任意の抗体又は抗原結合断片を患者に投与することを含む、方法の提供に関する。
【0171】
本発明により提供される抗体又は抗原結合断片及びそれを含む医薬組成物は、患者における異常B7-H3の発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連する疾患及び病状を診断、予後、監視、治療、緩和及び/又は予防するための治療剤として使用することができる。標準方法を使用することによって患者における異常B7-H3の発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連する疾患及び病状を同定する場合、本発明に開示された抗体又は抗原結合断片及びそれを含む医薬組成物を投与することができる。
【0172】
幾つかの実施形態において、本発明に記載の抗体又は抗原結合断片を用いて治療及び/又は予防するがんは、固形腫瘍、血液腫瘍及び転移性病変を含むが、これらに限定されない。がんの実例は、がん、芽腫、肉腫又は白血病を含むが、これらに限定されない。このようながんのより具体的な実例は、黒色腫、肺がん(例えば、小細胞肺がん及び非小細胞肺がん)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん)、神経膠腫(例えば、膠芽腫、小児脳幹神経膠腫)、前立腺がん(例えば、去勢抵抗性前立腺がん)、膵臓がん(例えば、膵管がん)、頭頸部がん、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、子宮頸がん、腎臓がん、扁平上皮腫瘍、扁平上皮がん(例えば扁平上皮肺がん又は扁平上皮頭頸部がん)、結腸直腸がん、胃がん、肝臓がん、中皮腫、肛門がん、皮膚がん、外陰がん、神経芽細胞腫、線維形成性小円形細胞腫、髄芽腫、髄膜腫、腹膜悪性腫瘍、肉腫、脳がん、中枢神経系腫瘍、脳転移腫を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片を、1つ又は複数の腫瘍(良性腫瘍又はがんを含む)に罹患した、B7-H3を過剰発現する患者に投与する。幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片を、固形腫瘍に罹患した、B7-H3を過剰発現する可能性がある患者に投与する。幾つかの実施形態において、扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、固形腫瘍(進行性固形腫瘍を含む)に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、前立腺がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、非小細胞肺がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、膠芽腫に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、結腸がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、頭頸部がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、腎臓がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、淡明細胞型腎細胞がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、神経膠腫に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、黒色腫に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、膵臓がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、胃がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、卵巣がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、結腸直腸がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、小細胞肺がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、下咽頭扁平上皮がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、神経芽細胞腫に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、乳がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、子宮内膜がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、尿路上皮細胞がんに罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。幾つかの実施形態において、急性骨髄性白血病(AML)に罹患した患者に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する。
【0173】
任意の特定の患者の具体的な用量及び治療レジメンは、使用される特定の抗体又は誘導体、患者の年齢と体重、一般的健康状態、性別と飲食、及び投与時間、排泄頻度、薬物の組み合わせ、並びに治療される特定の疾患の重症度を含む様々な要因によって決められる。当業者の範囲に含まれる医療関係者により、これらの要因を判断する。上記用量は、更に、治療すべき個体患者、投与経路、製剤種類、使用される化合物の特性、疾患の重症度及び所望の効果によって決められる。使用される用量は、本分野でよく知られている薬理学及び薬物動態学的原理によって決定することができる。幾つかの実施形態において、有効用量の範囲は、約0.01mg/kg~約100mg/kgであり、例えば1日1回又は月1回であってもよい。用量値は、軽減すべき病状の種類及び重症度に応じて変化可能であることに留意されたい。更に、任意の特定の患者にとって、特定の投与レジメンは、患者の必要性及び組成物を投与するか、又は組成物の投与を監督する者の専門的判断に従って、随時調整することができ、且つ本明細書に記載される用量範囲は、単に例示的であり、且つ要求される組成物の範囲又は実施を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0174】
抗体及び抗原結合断片の投与方法は、真皮内、筋肉、腹腔、静脈、皮下、鼻腔、脊髄硬膜外及び経口を含むが、これらに限定されない。医薬組成物は、任意の好都合な経路により投与されてもよく、例えば注入又はボーラス注射により投与され、上皮又は皮膚粘膜(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介して吸収されてもよく、且つ他の生物活性剤と共に投与されてもよい。従って、本発明の抗体を含む医薬組成物は、経口投与、直腸投与、非経口投与、大脳内投与、経膣投与、腹腔内投与、外用(例えば、粉末、軟膏、ドロップ剤又は経皮パッチ剤による)、口腔投与、又は噴霧投与が可能である。
【0175】
本発明に使用される「非経口」という用語は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下と関節内注射及び輸注を含む投与形態である。
【0176】
投与形態は、全身投与又は局所投与であってもよい。更に、脳室内注射及び髄腔内注射を含む任意の適当な経路により、本発明の抗体又は抗原結合断片を中枢神経系に導入する必要があり得るが、脳室内注射は、脳室内カテーテルを介してリザーバーのようなもの(Ommayaリザーバーであってもよい)に連結されることで、注射を補助することができる。肺部投与によってもよく、例えば、吸入器又は噴霧器を使用すること、及び霧化された製剤を使用することによってもよい。
【0177】
本発明の抗体又は抗原結合断片は、治療すべき領域に局所投与することができ、手術期間の局所注入、例えば、手術後の創傷被覆材と併用する局所応用により、注射により、カテーテルにより、坐剤又はインプラント体で実現されることができるが、これらの方式に限定されず、上記インプラントは、多孔質、無孔又はゲル状の材料であり、膜(例えば、シリコンゴム膜)又は繊維を含む。好ましくは、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与する場合、タンパク質を吸収しない材料を使用することに注意しなければならない。
【0178】
通常、疾患を治療するために体外検査を行う方法には、本発明に記載の抗体又は誘導体を投与し、そして許容可能な動物モデルにおいて所望の治療的又は予防的活性を体内検査し、最後にヒトに投与することが含まれる。好適な動物モデル(トランスジェニック動物を含む)は、当業者に知られているものである。例えば、本発明に記載の抗体、抗原結合断片の治療的使用を確認するための体外測定は、抗体による細胞株又は患者組織試料への影響を含む。抗体による細胞株及び/又は組織試料への作用は、当業者に知られている技術、例えば、本発明の他の部分で開示される技術により検出することができる。本発明の内容により、抗体又は抗原結合断片を投与するか否かを決定することに利用可能な体外測定実験は、体外細胞培養実験を含み、そのうち、患者組織試料は培養物において培養され、且つ抗体又は抗原結合断片に暴露されるか、又は他の方式により投与され、且つこのような抗体又は抗原結合断片による組織試料への影響を観察する。
【0179】
様々な既知の送達システムは、本発明の抗体又は抗原結合断片或いはそれをコードするポリヌクレオチドの投与、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、上記化合物を発現できる組換え細胞への封入、受容体媒介性エンドサイトーシス、逆転写ウィルス又は他の担体の一部としての核酸の構築などのために使用できる。
【0180】
併用療法
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、1種又は複数種の本発明の抗体又は抗原結合断片の投与及び1種又は複数種の他の治療剤又は方法との併用又は組み合わせ使用を含む、他の治療又は予防レジメンと組み合わせることができる。併用療法の場合、抗体又は抗原結合断片は、他の治療剤と同時に又は別々に投与することができる。別々に投与する場合、別の他の治療剤を投与する前又は後に、本発明の抗体又は抗原結合断片を投与することができる。
【0181】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片を患者に投与する場合、本明細書により開示される抗体分子又は医薬組成物と、1つ又は複数の他の療法、例えば治療様式及び/又は他の製剤(例えば治療剤)と、を患者に併用投与することもできる。
【0182】
このような組み合わせ療法は、同時投与(そのうち、2種類以上の製剤が同じ調製物又は別々の調製物に含まれる)及び別々の投与を包含し、この場合では、別の療法、例えば治療様式及び/又は治療剤の投与前、投与中、及び/又は投与後に本発明の抗体又は抗原結合断片を投与することができる。抗体分子及び/又は他の療法、例えば治療薬又は治療方法は、活動性疾患中又は緩和中又は活動性がより低い疾患中に投与することができる。抗体分子は、他の治療前、他の治療中、治療後又は疾患の緩和中に投与することができる。
【0183】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、治療剤と併用投与される。治療剤は、サイトカイン及び成長因子阻害剤、免疫阻害剤、抗炎症剤(例えば全身性抗炎症剤)、抗繊維化剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤及び/又は細胞毒性若しくは細胞成長阻害剤、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、免疫調節剤、遺伝子治療担体、アルキル化剤、抗血管新生剤、代謝拮抗物質、ホウ素含有剤、化学保護剤、ホルモン、抗ホルモン剤、コルチコステロイド、光活性治療剤、オリゴヌクレオチド、放射性核種剤、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤又は放射線増感剤を含むが、これらに限定されない。
【0184】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、抗がん剤又は抗腫瘍剤と併用投与される。「抗がん剤」及び「抗腫瘍剤」という用語は、悪性腫瘍の治療、例えばがん性増殖の阻害に使用される薬物を指す。例えば、乳がんは、エストロゲンによって刺激されることが多く、エストロゲンを不活性化する薬剤で治療することができる。類似的には、前立腺がんは、アンドロゲンを不活性化する薬物で治療することができる。抗がん剤の実例は、抗PD1抗体(例えば、ペリリズマブ)、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)、抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ)、ERK阻害剤、BRAF阻害剤(例えば、ダブラフェニブ)、オスチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、CDK9阻害剤(例えば、デナシリブ)、MCL-1阻害剤、テモゾロミド、Bcl-xL阻害剤、Bcl-2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)、イブルチニブ、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス)、PI3K阻害剤(例えば、ブパリキシブ)、デュベリズド、イデラリシド、AKT阻害剤、HER2阻害剤(例えば、ラパチニブ)、Herceptin、タキサン(例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノアルブミン結合パクリタキセル)、オーレスタチン含有ADC、PBD(例えば、ロビピツズマブテシリン)含有ADC、メイタンシノイド(例えば、TDM1)含有ADC、TRAILアゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ阻害剤、Panorex、リツキシマブ、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、イツモマブ、トシツモマブ、セツキシマブ、アバスチン及びハーセプチンを含むが、これらに限定されない。
【0185】
本発明の抗体又は抗原結合断片と併用投与できるサイトカインの実例は、1つ又は複数のIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、IL-21及びIL-31などを含むが、これらに限定されない。
【0186】
本発明の抗体又は抗原結合断片と併用投与できる他の治療剤の実例は、1つ又は複数の、吸入ステロイド、短時間作用型又は長時間作用型β-アゴニストなどのβ-アゴニスト、ロイコトリエン又はロイコトリエン受容体の拮抗薬、ADVAIRなどの組み合わせ薬物、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブ)などのIgE阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE4阻害剤)、キサンチン、抗コリン薬、クロモリンなどの肥満細胞安定剤、IL-4阻害剤、IL-5阻害剤、エオタキシン/CCR3阻害剤、ヒスタミン又はその受容体(H1、H2、H3及びH4を含む)の拮抗薬、及びプロスタグランジンD又はその受容体(DP1とCRTH2)の拮抗薬、抗PD1抗体(例えば、ペリリズマブ)、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)、抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ)、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ)、ERK阻害剤、BRAF阻害剤(例えば、ダブラフェニブ)、オスチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、CDK9阻害剤(例えば、デナシリブ)、MCL-1阻害剤、テモゾロミド、Bcl-xL阻害剤、Bcl-2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)、イブルチニブ、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス)、PI3K阻害剤(例えば、ブパリキシブ)、デュベリズド、イデラリシド、AKT阻害剤、HER2阻害剤(例えば、ラパチニブ)、Herceptin、タキサン(例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、ナノアルブミン結合パクリタキセル)、オーレスタチン含有ADC、PBD(例えば、ロビピツズマブテシリン)含有ADC、メイタンシノイド(例えば、TDM1)含有ADC、TRAILアゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、及びニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)阻害剤、TNF拮抗薬(例えば、TNF受容体の可溶性断片、例えばp55又はp75ヒトTNF受容体又はその誘導体、例えば75kD TNFR-IgG(75kD TNF受容体-IgG融合タンパク質、ENBREL))、TNF変換酵素阻害剤などのTNF酵素拮抗薬、ムスカリン受容体拮抗薬、TGF-β拮抗薬、インターフェロンγ、ピルフェニドン、レフルノミド若しくはシロリムス或いはそれらの類似体、例えばCCI-779などの化学治療剤、COX2及びcPLA2阻害剤、NSAID、免疫調節剤、p38阻害剤、TPL-2、MK-2及びNFkB阻害剤などを含むが、これらに限定されない。
【0187】
幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、免疫チェックポイント阻害剤と共に使用することができる。幾つかの実施形態において、本発明の抗体又は抗原結合断片は、放射性療法などの他の治療又は予防レジメンと併用投与される。
【0188】
医薬組成物
本明細書に記載の抗体又はその誘導体、断片、類似体、ホモローグを、投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。このような組成物の製造に関する原理及び考慮事項、並びに成分の選択に関するガイドは、当技術分野において公知である。
【0189】
このような組成物は通常、抗体又は抗原結合断片と、薬学的に許容される担体と、を含む。幾つかの実施形態において、使用された抗原結合断片は、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片である。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、且つ標的タンパク質配列に結合する能力を保持するペプチドである。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、抗がん剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を更に含む。
【0190】
幾つかの実施形態において、「薬学的に許容される」という用語は、政府の規制機関により承認された、又は他の一般に認められている薬局方に挙げられた動物用、特にヒト用の物質を指す。更に、「薬学的に許容される担体」は通常、任意の種類の無毒な固体、半固体又は液体充填剤、希釈剤、封入材料又は製剤添加物などを指す。
【0191】
「担体」という用語は、活性成分と共に患者へ投与可能な希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を指す。このような担体は、水と、石油、落花生油、大豆油、鉱油、ごま油などの動植物又は合成由来の油を含む油などの無菌液体であってもよい。医薬組成物が静脈内投与される場合、水は、好ましい担体である。生理食塩水溶液とグルコース水溶液とグリセリン溶液は、液体担体として用いられてもよく、特に注射用溶液に用いられる。好適な薬用賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセリン、プロピレン、エチレングリコール、水、エタノールなどを含む。必要に応じて、組成物は、湿潤剤又は乳化剤、若しくは酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩のようなpH緩衝剤を更に少量に含んでもよい。ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性調節剤も予測可能である。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態を採用してもよい。当該組成物は、従来の接着剤及びトリグリセリドなどの担体で坐剤として製造されてもよい。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含んでもよい。好適な薬物担体の実例は、E.W.MartinのRemington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて記載されており、ここで参照により本発明に組み込まれる。このような組成物は、臨床的有効用量の抗体又は抗原結合断片を含み、好ましくは精製された形態で、適当な数量の担体と組み合わせることにより、患者に適した投与形態を提供する。当該製剤は、投与モードに適用すべきである。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器又はガラスやプラスチックで作製される多用量のバイアルに封入されてもよい。
【0192】
幾つかの実施形態において、組成物は、従来のステップにより、医薬組成物(例えば、ヒトへの静脈内注射に適した医薬組成物)として製造される。静脈内投与用の組成物は、通常、滅菌などの透水性緩衝液における溶液である。組成物は、可溶化剤、及びリドカインのような局所麻酔薬を更に含んでもよく、これにより、注射部位の疼痛が緩和される。医薬組成物は、用量単位形態で調製され、投与しやすく、用量が均一である。本明細書で使用されるように、用量単位形態は、治療される患者に使用される、単位用量として適した物理的に分離可能な単位を指し、各単位は、計算により必要な薬物担体に結合して所望の治療効果を生み出す所定量の1種又は複数種の上記抗体を含む。一般的に、有効成分は、単位用量の形態で単独で供給され、又は混合して供給され、例えば、乾燥した凍結乾燥粉末又は無水濃縮物の形態で活性剤の量を指示可能な密封容器(例えば、アンプル又は小袋)に入れられる。注入で組成物を投与する場合に、医薬等級滅菌水又は生理食塩水を含有する点滴ボトルで組成物を分注してもよい。注射によって組成物が投与される場合、投与する前に有効成分を混合できるように、注射用の滅菌水又は生理食塩水のアンプルを使用してもよい。
【0193】
幾つかの実施形態において、体内投与に使用される医薬組成物は無菌である。これは、無菌ろ過膜でろ過することによって容易に実現することができる。
【0194】
医薬組成物は通常、その意図される投与経路と適合性がある。投与経路の例としては、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(即ち局所)、経粘膜及び直腸投与を含む。医薬組成物は、水、塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶剤などの注射用無菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、ヒスチジン塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの浸透圧調節剤、アルギニン、メチオニン、トレハロース、スクロース、ソルビトールなどの安定剤、トゥイーン20、トゥイーン80などの界面活性剤といった成分のうちの1種又は複数種を含むことができる。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムで調節することができる。医薬組成物は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラスやプラスチック製の多回用量バイアルに包装することができる。幾つかの実施形態において、注射用途に適した医薬組成物は、無菌水性溶液又は分散体及び無菌注射液又は分散体を即時に製造するための無菌粉末を含む。使用する際、組成物は無菌であり、且つ容易に注射できる程度に流動的でなければならない。それは、製造及び保管条件下で安定でなければならず、例えば細菌や真菌などの微生物の汚染作用を防止することができなければならない。注射用組成物の持続的な吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅延させる試薬を上記組成物に含めることによって達成することができる。
【0195】
経粘膜又は経皮投与の場合、浸透するバリアに適した浸透剤が製剤に使用される。このような浸透剤は通常、当該分野で一般的に知られており、例えば、経粘膜投与に使用される洗浄剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻剤又は坐剤を使用することによって実現することができる。経皮投与の場合、1種又は複数種の上記抗体は、当該分野で一般的に知られる膏剤、軟膏、ゲル又はクリームに製剤化することができる。
【0196】
上記医薬組成物は、容器又は分注器に入れ、投与説明書とともに包装することができる。
【0197】
本明細書に記載の医薬組成物はまた、治療を必要とする具体的な状況に応じて他の活性成分を含むことができ、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない補完的な活性を有するものである。幾つかの実施形態において、組成物は、細胞毒素試薬、サイトカイン、化学療法剤又は成長阻害剤など、その機能を強化する試薬を含むことができる。このような活性成分は、予期される目的に有効な量で適切に併用して存在する。
【0198】
本発明の組成物は、中性又は塩の形態に調製されてもよい。薬学的に許容される塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものとアニオンとで形成される塩と、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものとカチオンと形成される塩と、を含む。
【0199】
製造方法
抗B7-H3抗体は、例えば、膜結合型及び/又は可溶性B7-H3(例えば、ヒトB7-H3又はその免疫原性断片、誘導体若しくは変異体)で動物を免疫することで、産生することができる。或いは、例えば、ハイブリドーマ法を用いてモノクローナル抗体を製造することができる。ハイブリドーマ法では、リンパ球が免疫剤と特異的に結合する抗体を産生する又は産生可能になるように、通常、免疫剤でマウス、ハムスター又は他の適当な宿主動物を免疫する。或いは、リンパ球を体外で免疫することで、抗体を産生することができる。
【0200】
ハイブリドーマ法に使用される免疫剤は通常、タンパク質抗原、その断片、又はその融合タンパク質(例えば、アミノ酸配列が配列番号1に示されるhB7-H3-Fc)を含む。通常、ヒト細胞が求められる場合は、末梢血リンパ球が使用され、又は非ヒト哺乳動物供給源が求められる場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。その後、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて、リンパ球を不死化細胞株と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する。不死化細胞株は通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞株が使用される。ハイブリドーマ細胞は、適当な培地において培養することができ、当該培地は、未融合の不死化細胞の成長又は生存を阻害する1つ又は複数の物質を含むことが好ましい。例えば、親細胞にヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)が欠乏すると、ハイブリドーマの培地は通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミン(「HAT培地」)を含み、上記物質はHGPRT-欠陥の細胞の成長を防止するものである。
【0201】
モノクローナル抗体はまた、例えば、米国特許No.4,816,567に記載されるようなDNA組換え方法で製造することができる。本明細書に記載のモノクローナル抗体をコードするDNAは、通常の方法(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用すること)により、単離及び配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源として作用可能である。単離された後、DNAを発現担体に入れ、その後、免疫グロブリンを別に産生しないチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓293細胞(HEK293細胞)、サルCOS細胞、PER.NS0細胞、SP2/0細胞、YB2/0細胞、又は骨髄腫細胞のなどの宿主細胞にトランスフェクトすることで、組換え宿主細胞において合成されたモノクローナル抗体を得ることができる。DNAはまた、例えば、ヒトの重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列で相同マウス配列を置換することで(米国特許No.4,816,567を参照)、或いは免疫グロブリンのコード配列を非免疫グロブリンポリペプチドの全て又は一部のコード配列に共有結合することで、修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本明細書に記載の抗体の定常ドメインを置換し、又は本明細書に記載の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを置換し、キメラ二価抗体を生成することができる。
【0202】
単鎖Fv(scFv)は、単鎖ユニットの製造技術(米国特許4,694,778)を参照することができる。Fv領域の重鎖と軽鎖断片へのアミノ酸架橋によって単鎖ユニットを形成し、単鎖融合ペプチドを形成する。大腸菌において機能的なFv断片を組み立てる技術を使用できる。
【0203】
scFv及び抗体の製造に使用できる技術の実例は、米国特許4,946,778及び5,258,498に記載のものを含む。
【0204】
更に、米国特許5,658,570、5,693,780及び5,756,096には、組換え抗体を製造する別の効率的な方法が開示され、特に、当該技術は、サル可変領域及びヒト定常領域配列を含む霊長類抗体を産生することができ、各特許の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0205】
幾つかの実施形態において、抗体は、治療される動物(ヒトなど)において、有害な免疫応答を引き起こすことがない。幾つかの実施形態において、本発明により開示される抗体、抗原結合断片、又は誘導体は、その免疫原性を低減させるために、当該分野で認められている技術で修飾される。例えば、抗体は、ヒト化、霊長類化、脱免疫化されてもよく、又はキメラ抗体として製造されてもよい。これらの種類の抗体は非ヒト抗体、通常、マウス類又は霊長類抗体に由来し、親抗体の抗原結合特性を保持又は基本的に保持しているが、ヒトにおいて免疫原性が低い。これは、以下を含む複数の方法によって実現することができる。(a)非ヒト可変領域全体をヒト定常領域に移植してキメラ抗体を産生する。キメラ抗体を製造する方法は当該技術分野において公知であり、米国特許5,807,715、4,816,567及び4,816,397を参照し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。(b)1つ又は複数の非ヒト相補性決定領域(CDR)の少なくとも一部をヒトフレームワーク及び定常領域に移植し、重要なフレームワーク残基を保持するか又は保持しない、或いは(c)非ヒト可変領域全体を移植するが、ヒト様の部分で表面残基を置換することでそれらを「隠す」。通常、ヒトフレーム領域におけるフレーム残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基、抗原結合を改善可能な残基などで置換される。これらのフレーム置換は、当該技術分野における公知の方法で同定することができ、例えば、CDRとフレーム残基の相互作用をシミュレーションすることで、抗原結合に重要な役割を果たすフレーム残基が同定され、及び配列アラインメントによって特定の位置での異常なフレーム残基が同定される(米国特許5,585,089を参照し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。当該技術分野における公知の様々な技術を使用して抗体をヒト化することができ、例えば、CDR移植(EP239,400、WO91/09967、米国特許5,225,539、5,530,101及び5,585,089)、修復又は表面再構成(EP592,106、EP519,596)及び鎖の再構成(米国特許5,565,332)、その内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0206】
脱免疫化は、抗体の免疫原性の低減に用いることもできる。本発明において、「脱免疫化」という用語は、T細胞エピトープを修飾するために抗体を変化させることを含む(例えば、WO/9852976 A1及びWO/0034317 A2を参照)。例えば、開始抗体からの重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を分析し、各可変領域からのヒトT細胞エピトープ「マップ」を生成し、相補性決定領域(CDRs)及び配列内の他の重要な残基に対するエピトープの位置を示す。T細胞エピトープマップからの単一のT細胞エピトープを分析することにより、抗体活性を変えるリスクが低い選択可能なアミノ酸置換を同定する。アミノ酸置換の組み合わせを含む一連の選択可能な重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を設計し、続いてこれらの配列を一連の結合ポリペプチドに組み込む。その後、修飾された可変領域及びヒト定常領域を含む完全な重鎖と軽鎖の遺伝子を発現担体にクローンし、続いてプラスミドを細胞株に導入することで完全な抗体を産生する。その後、適当な生物化学及び生物学実験にて抗体を比較し、最適な抗体を同定する。
【0207】
抗体は、免疫グロブリン配列からの抗体ライブラリーを利用して行われるファージディスプレイ法を含む本分野で知られている種々の方法により、製造することができる。米国特許4,444,887及び4,716,111、並びにPCT公開文書WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735及びWO91/10741を参照することができ、各特許の全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
選択的エピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」として呼ばれる技術により製造することができる。この方法において、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)を使用して、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体のスクリーニングを誘導する(米国特許5,565,332を参照し、その内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる)。
【0209】
他の実施形態において、通常の方法(例えば、マウス抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用すること)により、所望のモノクローナル抗体をコードするDNAを単離し、配列決定することができる。単離され及びサブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの由来にすることができる。単離されると、DNAは、発現担体に置かれ、その後、原核又は真核宿主細胞(例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は他の免疫グロブリンを産生しない骨髄腫細胞)にトランスフェクトされることができる。単離又は合成されたDNAは、抗体の定常領域及び可変領域の配列を製造するために使用されてもよく、例えば、米国特許5,658,570に記載されているように、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、選択された細胞からRNAを抽出してcDNAに形質転換してから、Ig特異的プライマーを利用してPCR技術により増幅する。この目的に適用される適当なプローブは、米国特許5,658,570において言及されたこともある。
【0210】
更に、通常の組換えDNA技術により、本発明の抗体の1つ又は複数のCDRをフレーム領域に挿入し、例えば、ヒトフレーム領域に挿入することで、ヒト化非完全ヒト抗体を構築することができる。フレームワーク領域は、天然に存在するか、又は共通のフレームワーク領域、好ましくはヒトのフレームワーク領域である。幾つかのポリヌクレオチドは、フレーム領域とCDRとの組み合わせによって産生される標的抗原の少なくとも1つのエピトープに特異的に結合する抗体をコードすることができる。フレーム領域内で1つ又は複数のアミノ酸置換を行うことができ、抗体のその抗原への結合を改善できるアミノ酸置換を選択することができる。また、この方法で鎖間ジスルフィド結合の形成に関与する1つ又は複数の可変領域におけるシステイン残基の置換又は欠失を行うことにより、1つ又は複数の鎖間ジスルフィド結合が欠失した抗体分子を産生することができる。本分野の技術的範囲でポリヌクレオチドに対して行われた他の変更も、本発明に含まれる。
【0211】
抗体は、通常の組換えDNA技術により製造することができる。当業者に知られている技術により、抗体を製造する担体及び細胞株などを選択し、構築し、培養することができる。これらの技術は、様々な実験室マニュアルと主要な出版物に記載されている。
【0212】
幾つかの実施形態において、本発明の抗B7-H3抗体又は抗原結合断片に対してグリコシル化修飾を行う。例えば、脱グリコシル化抗体(即ち、グリコシル化が欠ける抗体)を製造することができる。グリコシル化を変更することによって、抗原に対する抗体の親和力を、例えば増加させる。このような修飾は、例えば、抗体配列内の1つ又は複数のグリコシル化部位を変更することによって完了することができる。例えば、1つ又は複数のアミノ酸置換を行うことで、1つ又は複数の可変領域グリコシル化部位を除去し、それによって当該部位のグリコシル化を除去する。このような脱グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和力を増加させることができる。このような方法は、PCT公開WO2003016466 A2並びに米国特許5,714,350及び6,350,861に更に詳細に記載され、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
更に、グリコシル化種類が改変された修飾抗B7-H3抗体又は抗原結合断片、例えば低フコシル化抗体又は増加したバイセクティングGlcNAc構造を有する抗体を製造することができる。これらの改変は、抗体のADCC能力を増加させることが証明されている。このような修飾は、例えば、グリコシル化機構が改変された宿主細胞において、抗体を発現することで実現することができる。グリコシル化機構が改変された細胞は、当該技術分野において記載されており、且つ本発明の組換え抗体として使用することによって、グリコシル化が改変された抗体の宿主細胞を産生する。例えば欧州特許番号EP 1,176,195、PCT公開WO03/035835、WO99/5434280を参照し、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0214】
本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)は、宿主細胞において抗体の重鎖及び軽鎖遺伝子を組換え発現することによって製造することができる。例えば、抗体をコードする重鎖及び軽鎖DNA断片を担持する1つ又は複数の組換え発現担体で宿主細胞をトランスフェクトし、それにより重鎖及び軽鎖が宿主細胞において発現され、発現された抗体は、宿主細胞を培養する培地に分泌されることができ、上記培地から抗体を回収することができる。「トランスフェクション」は、外来DNAを真核宿主細胞に導入するために一般的に使用される、エレクトロポレーション、リポトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-グルカノトランスフェクションなどの様々な技術を指す。抗体重鎖及び軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を発現担体に組み込み、担体を宿主細胞に導入するための標準的な組換えDNA方法は、当該分野において公知であり、例えば米国特許番号4,816,397に記載されている。抗体重鎖及び軽鎖を発現するDNAは、同じ担体又は異なる担体に組み込まれることができ、異なる担体に組み込まれる場合、抗体重鎖を発現する担体と抗体軽鎖を発現する担体は、適切な比率で宿主細胞をトランスフェクトすることができる。幾つかの実施形態において、抗体発現担体は、少なくとも1つのプロモーターエレメント、抗体コード配列、転写終了シグナル及びpolyA尾部を含む。他のエレメントは、エンハンサー、Kozak配列(配列番号53に示されるGCCACC)及び挿入配列の両側のRNAスプライシングのためのドナーとアクセプター部位を含むことができる。SV40の前期と後期プロモーター、RSV、HTLV1、HIVIなどのレトロウィルス由来の長い末端反復配列、及びサイトメガロウィルスの早期プロモーターによって、高効率な転写を得ることができ、アクチンプロモーターのような他の幾つかの細胞のプロモーターを適用することもできる。適切な発現担体は、pIRES1neo、pRetro-Off、pRetro-On、pLXSN、pLNCX、pcDNA3.1(+/-),pcDNA/Zeo(+/-)、pcDNA3.1/Hygro(+/-)、pSVL、pMSG、pRSVcat、pSV2dhfr、pBC12MI、pCS2又はpCHO1.0などを含むことができる。一般的に使用される哺乳動物細胞(宿主細胞)は、HEK293細胞(例えば、HEK293F細胞)、Cos1細胞、Cos7細胞、CV1細胞、マウスL細胞及びCHO細胞などを含む。
【0215】
本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)を発現するために、全長軽鎖及び重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写及び翻訳制御配列に操作可能に連結されるように、発現担体に挿入することができる。「操作可能に連結される」とは、抗体遺伝子が、担体内の転写及び翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するその予期される機能を発揮するように、担体内に連結されることを意味する。
【0216】
抗体(例えば、抗B7-H3抗体)遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片を担体上の相補的な制限部位に連結するか、又は制限部位が存在しない場合、平滑末に連結する)によって発現担体に挿入することができる。抗体関連軽鎖又は重鎖遺伝子配列を挿入する前に、発現担体は、抗体定常領域配列を既に担持していることができる。例えば、抗B7-H3抗体に関連するVH及びVL配列を全長抗体遺伝子に変換する方法の1つは、VHセグメントが担体内のCHセグメントに操作可能に連結され、且つVLセグメントが担体内のCLセグメントに操作可能に連結されるように、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を既にコードした発現担体にそれらをそれぞれ挿入することである。或いは、組換え発現担体は、宿主細胞による抗体重鎖及び軽鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。或いは、抗体重鎖及び軽鎖遺伝子を、シグナルペプチドが抗体重鎖及び軽鎖遺伝子のアミノ末端にフレーム内で連結されるように、宿主細胞による抗体重鎖及び軽鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードする担体にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(即ち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)、例えば、MEFGLSWVFLVAILKGVQC(配列番号45)、MKHLWFFLLLVAAPRWVLS(配列番号46)、MDMRVLAQLLGLLLLCFPGARC(配列番号47)又はMVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号48)であってもよい。
【0217】
抗体重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、組換え発現担体は、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持することもできる。調節配列は、抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。当業者は、調節配列の選択が、変換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存することができることを含む、発現担体の設計が認識される。哺乳動物宿主細胞の発現に使用される適切な調節配列は、哺乳動物細胞におけるハイレベルのタンパク質発現を指示するウィルスエレメント、例えば、サイトメガロウィルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウィルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウィルス(アデノウィルス主要進行型プロモーター(AdMLPなど))及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーを含む。ウィルス調節エレメント及びその配列に関する更なる説明は、例えば米国特許5,168,062、4,510,245及び4,968,615を参照する。
【0218】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、組換え発現担体は、別の配列、例えば、宿主細胞における担体の複製を調節する配列(例えば、複製始点)及び選択可能なマーカー遺伝子を担持することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、担体が導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許4,399,216、4,634,665及び5,179,017を参照)。例えば、通常、担体が導入された宿主細胞の、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン又はメトトレキサート)に対する耐性を付与するマーカー遺伝子を選択することができる。好適な選択可能なマーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を有するDHFR-宿主細胞において使用するため)、neo遺伝子(G418選択のため)及びGS遺伝子を含む。重鎖及び軽鎖の発現に関しては、標準的技術によって重鎖及び軽鎖をコードする発現担体を宿主細胞にトランスフェクトする。
【0219】
本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)は、真核宿主細胞において発現することができる。幾つかの実施形態において、抗体の発現は、哺乳動物宿主細胞などの真核細胞において行われる。本発明の抗体を発現するための例示的な宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)又はCHO細胞で修飾されたCHO-S、CHO-dhfr-、CHO/DG44又はExpiCHO、NSO骨髓瘤細胞、COS細胞、SP2細胞、CV1細胞、マウスL細胞、ヒト胎児腎臓細胞HEK293又はHEK293細胞で修飾されたHEK293T、HEK293F又はHEK293E細胞を含む。抗体鎖遺伝子をコードする組換え発現担体を宿主細胞に導入した後、抗体が宿主細胞で発現されるか又は抗体が培地に分泌される期間に、宿主細胞を培地で培養して抗体を産生する。標準的なタンパク質精製方法を用いて培地から抗体を回収することができる。
【0220】
本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)の組換え発現に関しては、抗体重鎖をコードする第1組換え発現担体及び抗体軽鎖をコードする第2組換え発現担体である、2つの組換え発現担体で宿主細胞をコトランスフェクトすることができる。2つの組換え発現担体は、同じ選択可能なマーカーを含んでもよく、又はそれらは別々の選択可能なマーカーをそれぞれ含んでもよい。代替可能的には、抗体重鎖及び軽鎖をコードする組換え発現担体で宿主細胞をトランスフェクトすることができる。
【0221】
本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)はまた、化学合成によって製造することができる。無細胞プラットフォームを用いて変異体抗体を生成することもできる。
【0222】
組換え発現によって産生された本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)は、免疫グロブリン分子を精製するための当該技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(イオン交換、アフィニティークロマトグラフィー及びフラクショナルカラムクロマトグラフィーなど)、遠心分離、示差溶解度、又はタンパク質を精製する任意の他の標準的技術によって、精製することができる。例えば、タンパク質A又はタンパク質Gによるアフィニティークロマトグラフィーは、主に免疫血清中のIgG画分を提供する。また、免疫グロブリンが標的する特異的抗原又はそのエピトープをカラムに固定して、免疫アフィニティークロマトグラフィーにより免疫特異的抗体を精製することができる。本発明の抗体(例えば、抗B7-H3抗体)は、当該技術分野において公知の異種ポリペプチド配列と融合して精製を促進することができる。免疫グロブリンの精製については、D.Wilkinsonの論文(The Scientist、The Scientist、Inc.、Philadelphia Pa.発行、第14巻、第8期(2000年4月17日)、25~28ページ)を参照することができる。
【0223】
更に、当業者に知られている標準的技術により、本発明の抗体をコードするヌクレオチド配列に、アミノ酸置換を引き起こす部位特異的突然変異及びPCR媒介性突然変異を含むが、これらに限定されない突然変異が導入されてもよい。変異体(誘導体を含む)は、元の重鎖可変領域VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3及び軽鎖可変領域VL CDR1、VL CDR2又はVL CDR3に対して50個よりも少ないアミノ酸の置換、40個よりも少ないアミノ酸の置換、30個よりも少ないアミノ酸の置換、25個よりも少ないアミノ酸の置換、20個よりも少ないアミノ酸の置換、15個よりも少ないアミノ酸の置換、10個よりも少ないアミノ酸の置換、5個よりも少ないアミノ酸の置換、4個よりも少ないアミノ酸の置換、3個よりも少ないアミノ酸の置換又は2個よりも少ないアミノ酸の置換をコードするものである。或いは、例えば、飽和突然変異によって、コード配列の全て又は一部に沿って突然変異を無作為に導入することができ、及び得られた突然変異体の生物学的活性をスクリーニングすることにより、活性が保持された突然変異体を同定することができる。
【0224】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0225】
幾つかの実施形態において、抗体V3重鎖をコードする遺伝子配列は配列番号49に示され、そのうち、下線部分はVH CDRをコードし、抗体V3の重鎖アミノ酸配列は配列番号50に示され、そのうち、下線部分はVH CDRである。
【0226】
配列番号49は以下の通りである:
GAGGTGCAGCTGGTGCAGAGCGGCGCCGAGGTGAAGAAGAGCGGCGAGTCCCTGAAGATCTCCTGTAAGGCTAGCGGCTATACCTTTACCGATTACGATATCAACTGGGTGCGGCAGATGCCTGGCAAGGGCCTGGAGTGGATCGGCTGGATCTTTCCCGGCGATGACACCACCAAGTACAACGAGAAGTTCAAGGGCCAGGTGACCCTGAGCGCTGATAAGTCCACCAACACCGCCTACATGCAGTGGTCCTCCCTGAAGGCCTCCGACACCGCCATGTATTATTGCGCCCGGTCCCCCAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGTACCCTGGTTACCGTTAGCAGCGCGAGCACCAAAGGCCCGAGCGTGTTTCCGCTGGCCCCGAGCAGCAAAAGCACCAGCGGTGGCACCGCAGCGCTGGGTTGCCTGGTGAAAGATTATTTCCCGGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA
【0227】
配列番号50は以下の通りである:
EVQLVQSGAEVKKSGESLKISCKASGYTFTDYDINWVRQMPGKGLEWIGWIFPGDDTTKYNEKFKGQVTLSADKSTNTAYMQWSSLKASDTAMYYCARSPSFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0228】
幾つかの実施形態において、抗体V3軽鎖をコードする遺伝子配列は配列番号51に示され、そのうち、下線部分はVL CDRをコードし、抗体V3の軽鎖アミノ酸配列は配列番号52に示され、そのうち、下線部分はVL CDRである。
【0229】
配列番号51は以下の通りである:
CAGATCGTGCTGACCCAGAGCCCCGGCACCCTGTCCCTGAGCCCTGGAGAGAGGGCCACCCTGAGCTGTAGCGCTAGCTCCACCATCGGCTTTATGTATTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCCAGGCCCCCCGGAGATGGATCTACGACACCAGCAAGCTGGCCAGCGGCGTGCCTGACAGGTTTTCCGGCAGCGGCTCCGGCACCGACTATACCCTGACCATCAGCAGGCTGGAGCCCGAGGATTTCGCCGTGTATTATTGCCACCAGCGGAGCAGCTATCCTACCTTTGGCCAGGGCACCAAGGTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT
【0230】
配列番号52は以下の通りである:
QIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCSASSTIGFMYWYQQKPGQAPRRWIYDTSKLASGVPDRFSGSGSGTDYTLTISRLEPEDFAVYYCHQRSSYPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【実施例】
【0231】
以下、具体的な実施例によって本発明の技術的解決手段について更に説明するが、具体的な実施例は本発明の保護範囲を限定するものではない。他の者が本発明の趣旨を基に行われる本質的でない修正や調整は依然として、本発明の保護範囲に属する。
【0232】
下記実施例に用いられる材料、試薬などは、特に説明しない限り、何れも商業的供給源又は既知の方法から入手することができる。
【0233】
VISTA-CHO細胞構築プロセス:VISTA(NCBI Reference Sequence:NP_071436.1)をコードする遺伝子配列を発現担体に挿入した後、CHO細胞を安定的にトランスフェクトし、VISTA-CHO細胞を得る。
【0234】
Tim3-CHO細胞構築プロセス:Tim3(NCBI Reference Sequence:NP_116171.3)をコードする遺伝子配列を発現担体に挿入した後、CHO細胞を安定的にトランスフェクトし、Tim3-CHO細胞を得る。
【0235】
Lag3-CHO細胞構築プロセス:Lag3(NCBI Reference Sequence:NP_002277.4)をコードする遺伝子配列を発現担体に挿入した後、CHO細胞を安定的にトランスフェクトし、Lag3-CHO細胞を得る。
【0236】
実施例1 抗原の製造
抗原hB7-H3-Fcの製造:抗原hB7-H3-Fc(抗原hB7-H3-Fcのアミノ酸配列は配列番号1に示され、ヒトB7-H3細胞外ドメイン(配列番号2に示される)のC-末端にIgG1のFc(配列番号3に示される)を付加して構築した)をコードする遺伝子配列を発現担体にクローニングした後、HEK293F細胞を一過的にトランスフェクトし、Protein Aアフィニティークロマトグラフィーにより精製された後、抗原hB7-H3-Fcを得た。
【0237】
抗原hB7-H3-His製造:抗原hB7-H3-His(抗原hB7-H3-Hisのアミノ酸配列は配列番号4に示され、ヒトB7-H3細胞外ドメイン(配列番号2に示される)のC-末端に10×HISタグ(配列番号5に示されるHHHHHHHHHH)を付加して構築した)をコードする遺伝子配列を発現担体にクローニングした後、HEK293F細胞を一過的にトランスフェクトし、ニッケルカラムにより精製された後、抗原hB7-H3-Hisを得た。
【0238】
抗原hB7-H3-Fcのアミノ酸配列:
MLRRRGSPGMGVHVGAALGALWFCLTGALEVQVPEDPVVALVGTDATLCCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFAEGQDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYQGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSILRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHSSVTITPQRSPTGAVEVQVPEDPVVALVGTDATLRCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFTEGRDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYRGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSVLRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHGSVTITGQPMTDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号1に示される)。
【0239】
ヒトB7-H3細胞外ドメインのアミノ酸配列:
MLRRRGSPGMGVHVGAALGALWFCLTGALEVQVPEDPVVALVGTDATLCCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFAEGQDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYQGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSILRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHSSVTITPQRSPTGAVEVQVPEDPVVALVGTDATLRCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFTEGRDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYRGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSVLRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHGSVTITGQPMT(配列番号2に示される)。
【0240】
IgG1のFcのアミノ酸配列:
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号3に示される)。
【0241】
抗原hB7-H3-Hisのアミノ酸配列:
MLRRRGSPGMGVHVGAALGALWFCLTGALEVQVPEDPVVALVGTDATLCCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFAEGQDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYQGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSILRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHSSVTITPQRSPTGAVEVQVPEDPVVALVGTDATLRCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFTEGRDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYRGYPEAEVFWQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSVLRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHGSVTITGQPMTHHHHHHHHHH(配列番号4に示される)。
【0242】
実施例2 キメラ抗体
マウス抗体のVH CDR、VL CDR、VH及びVLのアミノ酸配列は表1~3に示された。
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
キメラ抗体の組立方法は表4に示され、VHとCHが抗体の重鎖を構成し、VLとCLが抗体の軽鎖を構成し、「抗体」+抗体番号で表された。例えば、抗体M1の重鎖は、配列番号24に示されるVH及び配列番号32に示されるCHで構成され、抗体M1の軽鎖は、配列番号25に示されるVL及び配列番号34に示されるCLで構成された。対照抗体M30-H1-L4は、重鎖が配列番号30に示され、軽鎖が配列番号31に示された(表5を参照)。キメラ抗体のCDRは表6に示され、IgG定常領域のアミノ酸配列は表7に示された。
【0247】
抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子配列を発現担体にそれぞれクローニングし、組換え発現担体を得た後、HEK293F細胞を一過的にトランスフェクトし、培養後にProtein Aアフィニティークロマトグラフィーにより精製されて抗体を得て、配列決定後に目的の配列と一致した。
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
実施例3 キメラ抗体の親和力及び特異性
1、キメラ抗体親和力検証-1 Biacore
BiaCore T200(GE Healthcare)による検出:Protein Aチップ(GE Healthcare、Cas#29127556)により検出され、抗体を1×HBS-EP+(1×HBS-EP+の製造:HBS-EP+(10×)(GE Healthcare、cat#BR-1006-69)50mLを取り、超純水450mLを加えて均一に混合する)で5μg/mLに希釈し、10μL/minの流速で実験用流路(Fc2、Fc4)を通過させ、捕獲量が約235RUとなるように20秒(s)捕獲し、その後、流速を30μL/minに調整し、異なる濃度のhB7-H3-His希釈液(0nM、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、1×HBS-EP+による希釈)を注入し、同時に実験用流路(Fc2、Fc4)及び参照用流路(Fc1、Fc3)の表面を、結合時間180s、解離時間600sで通過させ、最後にGlycine pH1.5(GE Healthcare、cat#BR100354)でチップを60s再生した後、次の循環に進んだ。データ分析ソフトウェアEvaluation Software 3.1を用いて試験結果を分析し、試料の試験流路により収集されたセンシングシグナルに対して参照用流路、試料ブランクの二重控除を行い、動力学「1:1」モデルでフィッティングを行い、各試料のhB7-H3-Hisへの結合に関する動力学パラメータ(ka:結合速度、kd:解離速度、kD:結合解離平衡定数)を得た。
【0252】
【0253】
結果は、表8に示すように、抗体M1及びM2の両方は、hB7-H3-Hisに結合でき、抗体M1のhB7-H3-Hisに結合する親和力がより高かった。
【0254】
2、キメラ抗体親和力検証-2フローサイトメトリー
対数増殖期のMDA-MB-468細胞を採取し、1500rpmで5分間(min)遠心分離し、上清を除去し、1×PBSで再懸濁させ、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1回繰り返した。MDA-MB-468細胞を50μL/ウェル(20万個の細胞)でV型96ウェルプレートに加え、1500rpmで5min遠心分離し、PBSを廃棄した。100μL/ウェルで勾配希釈されたキメラ抗体(初期濃度100nM、3倍勾配希釈、溶媒1×PBS)を加え、細胞を再懸濁させ、氷上で1時間(h)インキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。100μL/ウェルでPE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Invitrogen、カタログ番号12-4998-82、1×PBSで1:500に希釈した)を加え、細胞を再懸濁させた。遮光し、氷上で30minインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。200μL/ウェルで1×PBSを加えて細胞再懸濁させた。cytoflexフローサイトメーター(Beckman)で検出された。結果は
図1に示された。
【0255】
3、キメラ抗体特異性検証-フローサイトメトリー
対数増殖期の細胞(Lag3-CHO細胞、VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞又はRaji細胞)を採取し、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1×PBSで再懸濁させ、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1回繰り返した。細胞を50μL/ウェル(50万個の細胞)でV型96ウェルプレートに加え、1500rpmで5min遠心分離し、PBSを廃棄した。100μL/ウェルで抗体M1(濃度100nM)を加え、細胞を再懸濁させた。氷上で1hインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。100μL/ウェルでPE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Invitrogen、カタログ番号12-4998-82、1×PBSで1:500に希釈した)を加え、細胞を再懸濁させた。遮光し、氷上で30minインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。200μL/ウェルで1×PBSを加えて細胞再懸濁させた。cytoflexフローサイトメーター(Beckman)で検出された。
【0256】
結果は、
図2に示すように、抗体M1がLag3-CHO細胞、VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞及びRaji細胞に結合しなかった。
【0257】
実施例4 ヒト化抗体
ヒト化抗体VH及びVLのアミノ酸配列は表9に示された。ヒト化抗体の組立方法は表10に示され、VHとCHが抗体の重鎖を構成し、VLとCLが抗体の軽鎖を構成し、「抗体」+抗体番号で表された。例えば、抗体V3の重鎖は、配列番号36に示されるVH及び配列番号32に示されるCHで構成され、抗体V3の軽鎖は、配列番号40に示されるVL及び配列番号34に示されるCLで構成された。対照抗体M30-H1-L4は、重鎖が配列番号30に示され、軽鎖が配列番号31に示された。対照抗体Trop2は、重鎖が配列番号42に示され、軽鎖が配列番号43に示された(表11を参照)。
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
抗体の重鎖及び軽鎖の遺伝子配列を発現担体にそれぞれクローニングし、組換え発現担体を得た後、HEK293F細胞を一過的にトランスフェクトし、培養後にProtein Aアフィニティークロマトグラフィーにより精製されてヒト化抗体を得て、配列決定後に目的の配列と一致した。
【0262】
実施例5 ヒト化抗体的親和力、内在化能及び特異性
1、ヒト化抗体親和力検証-1 ELISA
実験前日、標的抗原hB7-H3-Fcを1×PBSで2μg/mLに希釈した後、100μL/ウェルでELISAプレート(96ウェルプレート)に加え、4℃で一晩コーティングした。翌日、コーティング液を脱水し、洗浄液PBSTで2回洗浄し、叩いて乾燥させた後、200μL/ウェルでブロッキング液(1%のBSAを含有するPBST)を加え、37℃で2hブロッキングした。ブロッキング液を脱水し、洗浄液PBSTで2回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルで勾配希釈されたヒト化抗体(初期濃度300nM、3倍勾配希釈、溶媒1×PBS)を加え、37℃で1h反応させた。ヒト化抗体を脱水し、洗浄液PBSTで5回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルでHRP標識ヤギ抗ヒトのKappa軽鎖二次抗体(Invitrogen、カタログ番号A18853、1×PBSで1:2000に希釈した)を加え、37℃で1h反応させた。二次抗体を脱水し、洗浄液PBSTで8回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルでTMB発色液を加え、37℃で5min~10min反応させた。100μL/ウェルでELISA停止液を加え、15min以内に、マイクロプレートリーダーを用いて、波長450nmで吸光度値を読み取った。結果は
図3に示された。
【0263】
2、ヒト化抗体親和力検証-2フローサイトメトリー
対数増殖期のMDA-MB-468細胞を採取し、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1×PBSで再懸濁させ、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1回繰り返した。MDA-MB-468細胞を50μL/ウェル(20万個の細胞)でV型96ウェルプレートに加え、1500rpmで5min遠心分離し、PBSを廃棄した。100μL/ウェルで勾配希釈されたヒト化抗体(初期濃度100nM、3倍勾配希釈、溶媒1×PBS)を加え、細胞を再懸濁させた。氷上で1hインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。100μL/ウェルでPE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Invitrogen、カタログ番号12-4998-82、1×PBSで1:500に希釈した)を加え、細胞を再懸濁させた。遮光し、氷上で30minインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。200μL/ウェルで1×PBSを加えて細胞を再懸濁させた。cytoflexフローサイトメーター(Beckman)で検出された。結果は
図4に示された。
【0264】
3、フローサイトメトリーによるヒト化抗体内在化の検出
氷冷予冷した細胞洗浄液(2%のFBSを含有するPBS)を用いて30μg/mLのヒト化抗体を調製し、次いで体積比1:1で細胞(MDA-MB-468細胞又はN87細胞、50万個の細胞)と混合し(最終体積100μL)、均一に混合した後、1h氷浴した。4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を廃棄した。氷冷予冷した細胞洗浄液を用いて細胞を再懸濁させ、4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を除去し、2回繰り返した。氷冷予冷した細胞洗浄液200μLを加えて細胞を再懸濁させ、37℃で2hインキュベートし、細胞表面に結合する抗体を内在化し、次いで氷浴に移し、そして氷冷予冷した細胞洗浄液を加えて内在化を停止し、4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を廃棄し、PE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体の希釈液(Invitrogen、カタログ番号12-4998-82、氷冷予冷した細胞洗浄液:PE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体=500:1でPE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体の希釈液を調製した)100μLを加え、細胞を再懸濁させ、4℃で遮光して30minインキュベートし、4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を廃棄した。氷冷予冷した細胞洗浄液で細胞を再懸濁させ、4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を廃棄し、氷冷予冷した1×PBSで細胞を再懸濁させ、4℃、1200r/minで5min遠心分離し、上清を廃棄し、氷冷予冷した1×PBS 200μLを加えて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで平均蛍光強度を測定した。
【0265】
【0266】
4、ヒト化抗体特異性検証-フローサイトメトリー
対数増殖期の細胞(VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞又はLag3-CHO細胞)を採取し、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1×PBSで再懸濁させ、1500rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、1回繰り返した。細胞を50μL/ウェル(50万個の細胞)でV型96ウェルプレートに加え、1500rpmで5min遠心分離し、PBSを廃棄した。100μL/ウェルでヒト化抗体(濃度100nM、溶媒1×PBS)を加え、細胞を再懸濁させた。氷上で1hインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。100μL/ウェルでPE標識ヤギ抗ヒトIgG Fc二次抗体(Invitrogen、カタログ番号12-4998-82、1×PBSで1:500に希釈した)を加え、細胞を再懸濁させた。遮光し、氷上で30minインキュベートした。インキュベーション終了後、2000rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、200μL/ウェルの1×PBSで細胞を再懸濁させた後、再度遠心分離を行い、上清を除去し、2回繰り返した。200μL/ウェルで1×PBSを加えて細胞を再懸濁させた。cytoflexフローサイトメーター(Beckman)で検出された。
【0267】
検出結果は、
図5に示すように、抗体V1~V5が何れも、VISTA-CHO細胞、Tim3-CHO細胞又はLag3-CHO細胞に結合しなかった。
【0268】
5、ヒト化抗体の種属特異性
実験前日、標的抗原であるカニクイザルB7-H3(novoprotein CA61)、マウスB7-H3(SinoBiological、50973-M08H)及びhB7-H3-hisを1×PBSで2μg/mLに希釈した後、100μL/ウェルでELISAプレート(96ウェルプレート)に2行ずつ加え、4℃で一晩コーティングした。翌日、コーティング液を脱水し、洗浄液PBSTで2回洗浄し、叩いて乾燥させた後、200μL/ウェルでブロッキング液を加え、37℃で2hブロッキングした。ブロッキング液を脱水し、洗浄液PBSTで2回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルで勾配希釈された抗体V3(初期濃度2μg/mL、2倍勾配希釈)を加え、37℃で2h反応させた。抗体V3を脱水し、洗浄液PBSTで5回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルでanti-human kappa light Chains HRP(Sigma、A7164、1×PBSで1:10000に希釈した)を加え、37℃で1h反応させた。二次抗体を脱水し、洗浄液PBSTで8回洗浄し、叩いて乾燥させた後、100μL/ウェルでTMB発色液を加え、37℃で10min反応させた。100μL/ウェルで0.1MのH2SO4停止液を加え、15min以内に、マイクロプレートリーダーを用いて、波長450nmで吸光度値を読み取った。
【0269】
【0270】
表13から分かるように、抗体V3は、ヒト、カニクイザルB7-H3に結合でき、マウスB7-H3に結合しなかった。
【配列表】
【国際調査報告】