(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】集電体アセンブリを製造する設備及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/64 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01M4/64 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519661
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2023070395
(87)【国際公開番号】W WO2023134515
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202210040579.9
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】李克▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲シァォ▼松
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼志▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼毅
【テーマコード(参考)】
5H017
【Fターム(参考)】
5H017BB01
5H017BB06
5H017BB08
5H017BB19
5H017CC01
5H017DD06
5H017EE01
5H017EE07
(57)【要約】
本願の実施例は、ベース層と、その上に形成される金属層とを有する転写膜を提供するための第1フィーダー装置と、第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜を提供するための第2フィーダー装置と、前記第1表面にバインダを塗布してベースフィルムを得るための塗布装置と、前記金属層を前記ベースフィルムに移行させて前記集電体アセンブリを得るための移行装置と、含む集電体アセンブリを製造する設備及び方法を開示している。本願で提供される設備は、集電体アセンブリを製造するために使用でき、バインダにより金属層を転写膜からベースフィルムに移行させて、集電体アセンブリを製造して得、薄型の集電体アセンブリを効率よく製造でき、かつ移行過程はベースフィルムの物理化学的性質に影響を与えることなく、ベースフィルムの完全性及び安定性に寄与して、集電体アセンブリの機械的性能を向上している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、その上に形成される金属層とを有する転写膜を提供するための第1フィーダー装置と、
第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜を提供するための第2フィーダー装置と、
前記第1表面にバインダを塗布してベースフィルムを得るための塗布装置と、
前記金属層を前記ベースフィルムに移行させて前記集電体アセンブリを得るための移行装置と、を含む、
ことを特徴とする集電体アセンブリを製造する設備。
【請求項2】
前記ベース層は離型フィルムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記基底膜はポリマー薄膜である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記移行装置は機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させる、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の設備。
【請求項5】
前記移行装置は、
圧力ロールと、第1ロールとを含み、前記圧力ロールと前記第1ロールは前記転写膜と前記ベースフィルムをロールプレスして、前記金属層が前記ベースフィルムに移行される、
ことを特徴とする請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記移行装置は、
加熱ロールと、第2ロールとを含み、前記加熱ロールと前記第2ロールは前記転写膜と前記ベースフィルムを加熱でロールプレスして、前記金属層が前記ベースフィルムに移行される、
ことを特徴とする請求項4に記載の設備。
【請求項7】
前記第1フィーダー装置と前記第2フィーダー装置の構造は同様である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の設備。
【請求項8】
前記第1フィーダー装置は、
第1フィード方向に前記転写膜を輸送するための第1巻き戻しロールと、
前記移行装置を経過した後の前記転写膜を収集するための第1巻き取りロールと、
前記第1フィード方向に前記第1巻き戻しロールと前記第1巻き取りロールとの間に設けられる第1ガイドロールであって、その配置経路に従い前記転写膜が搬送されるように、前記転写膜を支持するための少なくとも一つの第1ガイドロールと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の設備。
【請求項9】
前記第2フィーダー装置は、
第2フィード方向に前記基底膜を輸送するための第2巻き戻しロールと、
前記集電体アセンブリを収集するための第2巻き取りロールと、
前記第2フィード方向に前記第2巻き戻しロールと前記第2巻き取りロールとの間に設けられる第2ガイドロールであって、その配置経路に従い前記基底膜又は前記集電体アセンブリが搬送されるように、前記基底膜又は前記集電体アセンブリを支持するための少なくとも一つの第2ガイドロールと、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の設備。
【請求項10】
前記設備は一体的な設備である、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の設備。
【請求項11】
ベース層と、その上に形成される金属層とを有する転写膜を提供することと、
第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜を提供することと、
前記第1表面にバインダを塗布してベースフィルムを得ることと、
前記金属層を前記ベースフィルムに移行させて前記集電体アセンブリを形成することと、を含む、
ことを特徴とする集電体アセンブリの製造方法。
【請求項12】
前記転写膜は前記ベース層に前記金属層を電気めっきすることにより得られる、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記転写膜は前記基層に前記金属層を蒸着することにより得られる、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ベース層は離型フィルムである、
ことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記基底膜はポリマー薄膜である、
ことを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記の前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、
機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む、
ことを特徴とする請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記の機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、
前記転写膜と前記ベースフィルムをロールプレスして前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記の前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、
前記転写膜と前記ベースフィルムを加熱でロールプレスして前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記の前記転写膜を提供することは、
第1フィーダー装置により前記転写膜を提供することを含む、
ことを特徴とする請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記の前記基底膜を提供することは、
第2フィーダー装置により前記基底膜を提供することを含む、
ことを特徴とする請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2022年1月14日に提出された、発明の名称が「集電体アセンブリを製造する設備及び方法」であり、出願番号が202210040579.9である中国特許出願の優先権及び権利を主張するものである。上記出願の全ての内容は参照により本明細書の開示内容の一部に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、より具体的には、集電体アセンブリを製造する設備及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年来、電池は水力、火力、風力及び太陽光発電所等のエネルギー貯蔵電源システム、及び電動工具、電動自転車、電動二輪自動車、電気自動車、軍事装備、エアロスペース等の複数の分野で広く用いられ、極めて大きな発展を遂げている。
【0004】
集電体は電池中の重要な部材として、同様に速やかな発展を遂げている。従来の集電体は通常銅箔又はアルミニウム箔である。しかし、銅箔又はアルミニウム箔の厚さは加工プロセスに制限されて、電子製品の益々薄型化、小型化の要求を満足できない。このため、より薄型の集電体をいかに効率よく製造するのかは、早急に解決しなければならない問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、薄型の集電体アセンブリを効率よく製造でき、かつ集電体アセンブリの品質向上に役立てる集電体アセンブリを製造する設備及び方法を提供する。
【0006】
第1態様によれば、ベース層と、その上に形成される金属層とを有する転写膜を提供するための第1フィーダー装置と、第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜を提供するための第2フィーダー装置と、前記第1表面にバインダを塗布してベースフィルムを得るための塗布装置と、前記金属層を前記ベースフィルムに移行させて前記集電体アセンブリを得るための移行装置と、を含む集電体アセンブリを製造する設備を提供する。
【0007】
本願の実施例では、転写膜の金属層の加工方式は金属箔と異なり、その厚さは圧延プロセスに制限されず、ベース層に非常に薄い金属層を形成できる。集電体アセンブリを製造する設備はバインダで接着されることにより、転写膜における金属層を剥離してベースフィルムに結合させ、ベースフィルム及び金属層で構成される、集電体を製造するために利用可能な集電体アセンブリを得る。一方、薄い金属層を有する集電体アセンブリを製造することにより、薄型集電体の製造の実現に寄与する。他方、バインダにより金属層を移行させることは、過程は速やかで簡単であり、集電体アセンブリの生産効率と、集電体アセンブリを製造する設備の生産能力とを向上することができ、かつ粘着過程はベースフィルムの物理化学的性質に破壊的な影響を与えることなく、集電体アセンブリの機械的性能が確保されている。
【0008】
幾つかの実施例では、前記ベース層は離型フィルムである。
【0009】
本願の実施例では、ベース層として離型フィルムを用いる。離型フィルムは滑らかな表面を有しており、かつ高温下で物理化学的性質が安定しており、その上に形成される金属層を移行させやすく、集電体アセンブリの生産効率及び製品の品質が向上する。
【0010】
幾つかの実施例では、前記基底膜はポリマー薄膜である。
【0011】
本願の実施例では、基底膜としてポリマー薄膜を用いる。ポリマー薄膜は薄型という特徴を有することで、製造された集電体アセンブリはより薄型となり、薄型集電体を製造しやすくなる。
【0012】
幾つかの実施例では、前記移行装置は機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させる。
【0013】
本願の実施例では、機械的剥離により金属層を移行させる。機械的剥離は常温で行い、高温のプロセスを避けることができ、ベースフィルムの機械的性能を効果的に確保して、集電体アセンブリの機械的性能を向上することができる。
【0014】
幾つかの実施例では、前記移行装置は化学的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させる。
【0015】
幾つかの実施例では、前記移行装置は、圧力ロールと、第1ロールとを含み、前記圧力ロールと前記第1ロールは前記転写膜と前記ベースフィルムをロールプレスして、前記金属層が前記ベースフィルムに移行される。
【0016】
本願の実施例では、圧力でロールプレスする方法では、転写膜とベースフィルムは密に接触し、ベースフィルムにおけるバインダは粘着力により金属層を転写膜から剥離させることができる。圧力でロールプレスする方法は金属層はより均一に剥離され、ベースフィルムとより密に結合することに寄与し、集電体アセンブリの機械的性能をさらに向上する。
【0017】
幾つかの実施例では、前記移行装置は、加熱ロールと、第2ロールとを含み、前記加熱ロールと前記第2ロールは前記転写膜と前記ベースフィルムを加熱でロールプレスして、前記金属層が前記ベースフィルムに移行される。
【0018】
本願の実施例では、加熱でロールプレスする方法では、転写膜とベースフィルムは密に接触し、ベースフィルムにおけるバインダは加熱と圧力の二重作用で粘着力により金属層を転写膜から剥離させる。圧力に加え、さらに加熱によりバインダの粘着性能が最適な状態にあることで、金属層の剥離はより完全になり、剥離過程はより効率的になる。
【0019】
幾つかの実施例では、前記第1フィーダー装置と前記第2フィーダー装置の構造は同様である。
【0020】
本願の実施例では、第1フィーダー装置と第2フィーダー装置は同様な構造を用いてもよく、例えば、全てロール・ツー・ロール構造を用いて、集電体アセンブリを製造する設備の集積が容易になる。
【0021】
幾つかの実施例では、前記第1フィーダー装置は、第1フィード方向に前記転写膜を輸送するための第1巻き戻しロールと、前記移行装置を経過した後の前記転写膜を収集するための第1巻き取りロールと、前記第1フィード方向に前記第1巻き戻しロールと前記第1巻き取りロールとの間に設けられる第1ガイドロールであって、その配置経路に従い前記転写膜が搬送されるように、前記転写膜を支持するための少なくとも一つの第1ガイドロールと、を含む。
【0022】
本願の実施例では、第1フィーダー装置はロール・ツー・ロールのフィーダー装置であり、継続的で効率よく転写膜を移行装置に搬送して集電体アセンブリを製造することができ、かつ第1巻き戻しロールと第1巻き取りロールの回転数又は方向を制御することにより、転写膜の運動状態を柔軟に制御し、集電体アセンブリの製造効率を向上することに役立てる。
【0023】
幾つかの実施例では、前記第2フィーダー装置は、第2フィード方向に前記基底膜を輸送するための第2巻き戻しロールと、前記集電体アセンブリを収集するための第2巻き取りロールと、前記第2フィード方向に前記第2巻き戻しロールと前記第2巻き取りロールとの間に設けられる第2ガイドロールであって、その配置経路に従い前記基底膜又は前記集電体アセンブリが搬送されるように、前記基底膜又は前記集電体アセンブリを支持するための少なくとも一つの第2ガイドロールと、を含む。
【0024】
本願の実施例では、第2フィーダー装置はロール・ツー・ロールのフィーダー装置であり、継続的で効率よく基底膜を塗布装置に搬送してベースフィルムを製造し、ベースフィルムを移行装置に搬送して集電体アセンブリを製造することができ、かつ第2巻き戻しロールと第2巻き取りロールの回転数又は方向を制御することにより、基底膜、ベースフィルム及び集電体アセンブリの運動状態を柔軟に制御し、集電体を製造する効率を向上することに役立てる。
【0025】
幾つかの実施例では、前記設備は一体的な設備である。
【0026】
本願の実施例では、集電体アセンブリを製造する設備は一体的な設備であり、各装置は設備に集積されることが可能であり、一つの設備により直接製造された集電体アセンブリを得ることができ、各装置間に材料を移行させる時間及び設備のコストが省かれ、集電体アセンブリの製造効率を向上することに役立つ。
【0027】
第2態様によれば、ベース層と、その上に形成される金属層とを有する転写膜を提供することと、第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜を提供することと、前記第1表面にバインダを塗布してベースフィルムを得ることと、前記金属層を前記ベースフィルムに移行させて前記集電体アセンブリを形成することと、を含む集電体アセンブリの製造方法を提供する。
【0028】
本願の実施例では、転写膜における薄い金属層をベースフィルムに移行させて集電体アセンブリを製造することにより、得られた集電体アセンブリは薄い金属層を有し、薄型の集電体の製造に用いられ得る。バインダにより金属層を転写膜から剥離させ、ベースフィルムに粘着すると、過程は簡単で速やかであり、集電体アセンブリの製造効率が向上し、集電体アセンブリの量産に寄与し、かつベースフィルムの物理化学的性質に不可逆的な影響を与えることなく、集電体アセンブリの機械的性能が確保されている。
【0029】
幾つかの実施例では、前記転写膜は前記ベース層に前記金属層を電気めっきすることにより得られる。
【0030】
本願の実施例では、ベース層において電気めっきすると、ベース層に厚さの薄い1層の金属層を速やかに形成することができ、かつ金属層の厚さは電気めっき時間等のパラメータに応じて制御することができる。
【0031】
幾つかの実施例では、前記転写膜は前記基層に前記金属層を蒸着することにより得られる。
【0032】
本願の実施例では、ベース層は高温下で良い安定性を有し、その物理化学的性能は蒸着時の高温から影響されず、ベース層に蒸着すると、ベース層に均一で厚さの薄い金属層を製造することができ、かつ金属層の厚さは蒸着時間等のパラメータに応じて制御することができる。
【0033】
幾つかの実施例では、前記ベース層は離型フィルムである。
【0034】
本願の実施例では、ベース層として離型フィルムを用いる。離型フィルムは滑らかな表面を有しており、かつ高温下で物理化学的性質が安定しており、その上に形成される金属層を移行させやすく、集電体アセンブリの生産効率及び製品の品質が向上する。
【0035】
幾つかの実施例では、前記基底膜はポリマー薄膜である。
【0036】
本願の実施例では、基底膜としてポリマー薄膜を用いる。ポリマー薄膜は薄型という特徴を有することで、製造された集電体アセンブリはより薄型となり、薄型集電体を製造しやすくなる。
【0037】
幾つかの実施例では、前記の前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む。
【0038】
本願の実施例では、機械的剥離により金属層を移行させる。常温で行い、高温のプロセスを避けることができ、ベースフィルムの機械的性能を効果的に確保して、集電体アセンブリの機械的性能を向上することができる。
【0039】
幾つかの実施例では、前記の機械的剥離により前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、前記転写膜と前記ベースフィルムをロールプレスして前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む。
【0040】
本願の実施例では、圧力でロールプレスする方法により、転写膜とベースフィルムは密に接触し、ベースフィルムにおけるバインダは粘着力により金属層を転写膜から剥離させることができる。圧力でロールプレスする方法は金属層はより均一に剥離され、ベースフィルムとより密に結合することに寄与し、集電体アセンブリの機械的性能をさらに向上する。
【0041】
幾つかの実施例では、前記の前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることは、前記転写膜と前記ベースフィルムを加熱でロールプレスして前記金属層を前記ベースフィルムに移行させることを含む。
【0042】
本願の実施例では、加熱でロールプレスする方法により、転写膜とベースフィルムは密に接触し、ベースフィルムにおけるバインダは加熱と圧力の二重作用で粘着力により金属層を転写膜から剥離させる。圧力に加え、さらに加熱によりバインダの粘着性能が最適な状態にあることで、金属層の剥離はより完全になり、剥離過程はより効率的になる。
【0043】
幾つかの実施例では、前記の前記転写膜を提供することは、第1フィーダー装置により前記転写膜を提供することを含む。
【0044】
幾つかの実施例では、前記の前記基底膜を提供することは、第2フィーダー装置により前記基底膜を提供することを含む。
【0045】
本願の実施例では、2つのフィーダー装置により転写膜と基底膜を提供することで、それぞれ転写膜と基底膜の運動状態を柔軟に制御して、集電体アセンブリを製造する柔軟性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本願の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に使用する必要のある図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は本願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働をすることなく、さらに添付図面に応じて他の図面を得ることができる。
【0047】
【
図3】本願に係る集電体アセンブリを製造する設備の概略構成図である。
【
図5】本願に係る集電体アセンブリを製造する方法の概略的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面及び実施例に基づき、本願の実施の態様をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本願の範囲を制限することに使用できず、即ち、本願は説明される実施例に制限されない。
【0049】
なお、本願の説明では、特に断らない限り、「複数」とは2つ以上を意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等により示される方位又は位置関係は、本願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成又は操作されることを指示又は暗示するものではない。従って、本願を制限するものと理解されるべきではない。これに加えて、用語「第1」、「第2」、「第3」等は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものと理解されるべきではない。「垂直」とは厳密な意味での垂直ではなく、許容誤差範囲にある。「平行」とは厳密な意味での平行ではなく、許容誤差範囲にある。
【0050】
以下の説明で現れる方位用語はすべて図面に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明では、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間仲介部材によって間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0051】
本願では、用語「及び/又は」は、関連対象を説明するための相関関係を説明するものに過ぎず、3種類の関係が存在できることを表す。例えば、A及び/又はBとは、Aが存在することと、A及びBが同時に存在することと、Bが存在することとの3つのケースを表すことができる。また、本願では、文字「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係にあることを表す。
【0052】
特に定義されない限り、本願で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願の属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同様である。本願で用いられる用語は、具体的な実施例の目的を説明するためのものに過ぎず、本願を制限することを意図しない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記の図面の説明中の用語「含む」、「有する」及びそれらのいかなる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面中の用語「第1」、「第2」等は、異なる対象を区別することを目的とし、特定の順番又は主従関係を説明するためのものではない。
【0053】
本願で言及されている「実施例」とは、実施例に基づき説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書中の各所に該フレーズが現れる場合、必ずしも全て同じ実施例を示すとは限らず、他の実施例と相互排他的な別個又は代替的な実施例でもない。本明細書で説明される実施例は他の実施例と組み合わせることができることは、業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0054】
実際の生産生活では、電池のより高いエネルギー密度及びより小さな質量密度をさらに求めるために、より薄型の集電体を作り出しなければならない。従来の銅箔、アルミニウム箔は通常圧延プロセスにより製造されるので、圧延プロセスに制限されて、その厚さは電池のより薄型の集電体に対する要求を満足できない。これにより多くの複合集電体が作り出されており、複合集電体中の重要構成要素にポリマー薄膜と、その上にある金属層とがあり、両者は集電体アセンブリを構成する。集電体アセンブリの製造では、通常高温蒸着により、ポリマー薄膜に金属を蒸着して薄い金属層を得る。しかし、重合体の特別な性質により、ポリマー薄膜の耐高温性能が悪く、蒸着過程でポリマー薄膜の機械的性能が極めて容易に損なわれて、複合集電体の全体的性能に影響する。
【0055】
これに鑑みて、本願は、薄型の集電体アセンブリを効率よく製造でき、かつ集電体の全体的性能の向上に役立てる集電体アセンブリを製造する設備及び方法を提供する。
【0056】
近年来、電池は主な動力設備として、電子設備、電動自転車、電動二輪自動車、電気自動車、軍事装備、エアロスペース等の複数の分野で広く用いられている。
【0057】
例えば、
図1に示すように、本願に係る車両1の概略構成図である。車両1は、燃料自動車、ガス燃料自動車又は新エネルギ自動車であってもく、新エネルギ自動車は、バッテリー式電気自動車、ハイブリッド車又はレンジエクステンダー式電気自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ11、コントローラ12及び電池10が設置されてもよい。コントローラ12は、電池10を制御してモータ11に給電させることに用いられる。例えば、車両1の底部又は車両の前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は車両1に給電することに用いられ得る。例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに使用されてもよい。例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源としてだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して車両1に駆動の動力を提供することもできる。
【0058】
本願では、電池とは、1つ又は複数の電池セルを含んで電気エネルギーを与える物理モジュールを意味する。例えば、本願で言及される電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は一般的に、1つ又は複数の電池セルを封止するための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響するのを避けることができる。
【0059】
電気使用の様々な需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、なかでも、複数の電池セル間は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。直並列接続とは、直列接続と並列接続を混合したものを指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。選択可能に、複数の電池セルはまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成してから、複数の電池モジュールはさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成してから、電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0060】
例えば、
図2に示すように、本願に係る電池10の概略構成図である。電池10は複数の電池セル20を含んでもよい。電池セル20の数は任意の数にされてもよい。大きな容量又はパワーを実現するために、複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。
【0061】
選択可能に、電池セル20はリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。幾つかの実施の態様では、電池セル20は単電池と呼ばれてもよい。
【0062】
電池セル20は、正極プレート、負極プレート及びセパレータで構成された電極アセンブリと、電解液と、を含む。電池セルは主に、金属イオンが正極プレートと負極プレートとの間を移動させることにより動作する。正極プレートは正極集電体と、正極集電体の表面にコーティングされる正極活物質層とを含む。正極活物質層でコーティングされていない集電体は、正極活物質層でコーティングされた集電体から突出し、正極活物質層でコーティングされていない集電体は正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例に挙げると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極プレートは、負極集電体と、負極集電体の表面にコーティングされる負極活物質層とを含む。負極活物質層でコーティングされていない集電体は、負極活物質層でコーティングされた負極集電体から突出し、負極活物質層でコーティングされていない集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素などであってもよい。溶断せずに大きな電流を通すことを確保するように、正極タブは複数であり、積み重ねられており、負極タブは複数であり、積み重ねられている。セパレータの材質は、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)又はポリエチレン(Polyethylene、PE)等であってもよい。これに加えて、電極アセンブリは、巻取構造であっても、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0063】
図3は本願で実施される集電体アセンブリ30を製造する設備300の概略構成図である。図示するように、設備300は、
【0064】
ベース層31と、その上に形成される金属層32とを有する転写膜3011を提供するための第1フィーダー装置301と、
【0065】
第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜3021を提供するための第2フィーダー装置302と、
【0066】
第1表面にバインダを塗布してベースフィルム3031を得るための塗布装置303と、
【0067】
金属層31をベースフィルム3031に移行させて集電体アセンブリ30を得るための移行装置304と、を含む。
【0068】
具体的には、転写膜3011は、ベース層31と、その上に形成される金属層32とからなり、ベース層31は安定した物理化学的性質を有しており、高温に耐える物質であり、その上に形成される金属層32は従来の金属箔と異なり、圧延プロセスに制限されないので、非常に薄く製造され得る。転写膜3011の上にある金属層32を用いて、バインダで粘着する方法により、金属層32をベースフィルム3031に移行させて集電体アセンブリ30を得、薄型の集電体の製造に用いられ得る。
【0069】
本実施例では、薄い金属層32を有する集電体アセンブリ30を製造することにより、薄型集電体の製造に寄与する。バインダにより金属層32を移行させることは、過程は速やかで簡単であり、集電体アセンブリ30の生産効率及び集電体アセンブリを製造する設備300の生産能力を向上することができる、かつベースフィルム3031の物理化学的性質に影響を与えることなく、集電体アセンブリ30の機械的性能が確保されている。
【0070】
以下、集電体アセンブリ30を製造する過程での各種の膜層を説明する。
【0071】
選択可能に、ベース層31は離型フィルムである。
【0072】
離型フィルムは、剥離フィルム、隔離フィルム、分離フィルム、粘着防止膜、離型フィルム、薄膜、プラスチック薄膜、テンティング膜、シリコンオイル膜、シリコンオイル紙、粘着防止膜、粘着防止紙、スリップ膜、剥離紙、離型紙、不織布膜とも言える。特定の材料と接触後、粘着性を生成せず、又は軽い粘着性を生成するある種の機能性膜層である。通常の場合、プラスチック薄膜の離型力を増加させるために、プラスチック薄膜にプラズマ処理、フッ素塗布処理をし、あるいは離型フィルムに安定した離型力を示させるようにケイ素離型剤を薄膜材質の表面層に塗布することができる。
【0073】
本願で説明される離型フィルムは、PE離型フィルム、PET離型フィルム、OPP離型フィルム、PC離型フィルム、PS隔離フィルム、PMMA離型フィルム、BOPP離型フィルム、PE剥離フィルム、プラスチック薄膜、TPX離型フィルム、PVC剥離フィルム、PTFE離型フィルム、PET離型フィルム、テフロン(登録商標)離型薄膜、複合型離型フィルム、ポリフェニレンエーテル剥離フィルム、ポリテトラフルオロエチレン隔離フィルム、ポリエチレン離型フィルム、複合離型フィルム(2種類又は2種類以上の材質が複合された離型フィルム)から選ばれる一つ又は複数である。
【0074】
集電体アセンブリ30を製造する過程では、まず、離型フィルムは高い熱安定性を有しており、通常100℃以上の高温に耐えられるので、その上に複数の物理化学的方法により薄い金属層を形成することができる。次に、離型フィルムは良い離型力を有することで、その上に形成される金属層と剥離しやすく、金属層を完全で効率的に移行させることに良い基礎を作る。
【0075】
なお、本願は離型フィルムを例に、ベース層31はさらに、表面が滑らかで高温に耐える他の膜層であってもよい。
【0076】
本実施例では、ベース層として離型フィルム31を用いる。離型フィルムは、滑らかな表面を有しており、高温に耐え、その上に金属層32を形成して離型フィルムの離型力により金属層32を移行させやすく、集電体アセンブリ30の生産効率及び製品の品質を向上させる。
【0077】
選択可能に、基底膜3021はポリマー薄膜である。
【0078】
ポリマー薄膜は高分子膜とも呼ばれ、有機高分子重合体を材料として構成された薄膜であり、薄型というメリットを有する。本願で説明されるポリマー薄膜における重合体は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアセチレン、シリコーンゴム、ポリホルムアルデヒド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレングリコール、ポリ窒化硫黄系高分子材料、ポリフェニル、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピリジン、セルロース、澱粉、蛋白質、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、それらの誘導体、架橋体及び共重合体から選ばれる一つ又は複数である。
【0079】
本実施例では、基底膜としてポリマー薄膜3021を用いる。ポリマー薄膜は薄型という特徴を有することで、製造された集電体アセンブリ30はより薄型となり、集電体の薄型化に寄与する。
【0080】
選択可能に、移行装置304は機械的剥離により金属層32をベースフィルム3031に移行させる。
【0081】
具体的には、移行装置304は機械的剥離法により、金属層32を移行させる。即ち、金属層32に機械力、例えば摩擦力、引張力等を加えることにより、金属層32をベース層31から剥離する方法である。
【0082】
本実施例では、機械的剥離により金属層32を移行させることは、常温で行い、高温のプロセスを避けることができ、ベースフィルム3031の機械的性能を効果的に確保して、集電体アセンブリ30の機械的性能を向上することができる。
【0083】
選択可能に、他の実施例では、移行装置304は化学的剥離により金属層32をベースフィルム3031に移行させる。
【0084】
化学的剥離は、化学反応又は金属層32のベースフィルム3031と異なる化学的性質により、金属層32をベース層31から剥離する方法である。
【0085】
引き続き
図3を参照する。以下、集電体アセンブリ30を製造する設備300の構造をさらに説明する。
【0086】
選択可能に、移行装置304は、圧力ロール3041と第1ロール3042とを含む。圧力ロール3041と第1ロール3042は転写膜3011とベースフィルム3031をロールプレスすることにより、金属層32がベースフィルム3031に移行される。
【0087】
具体的には、圧力ロール3041と第1ロール3042は、転写膜3011とベースフィルム3031のフィード経路において相対的に設置されて、転写膜3011とベースフィルム3031に対するロールプレスを形成できることにより、転写膜3011とベースフィルム3031は密に接触して、バインダと金属層32との間に引張力を形成させ、金属層32をベース層31から剥離する。なお、転写膜3011とベースフィルム3031をロールプレスする場合、転写膜3011の金属層32を有する一側と、ベースフィルム3031におけるバインダの塗布されている一側とが対向して設置されることで、金属層32はバインダと接触することができる。
【0088】
本実施例では、圧力でロールプレスする方法により、金属層32はより均一に剥離され、ベースフィルム3031とより密に結合することに寄与して、集電体アセンブリ30の機械的性能をさらに向上する。
【0089】
選択可能に、
図4に示すように、本願に係る実施例の別の移行装置304の概略構成図である。移行装置304は、加熱ロール3043と第2ロール3044とを含む。加熱ロール3043と第2ロール3044は転写膜3011とベースフィルム3031を加熱でロールプレスすることにより、金属層32がベースフィルム3031に移行される。
【0090】
具体的には、加熱ロール3043の表面に加熱層3043aを有しており、継続的に発熱してプリセット温度に達することができる。圧力でロールプレスする構造と同様に、加熱ロール3043と第2ロール3044は、転写膜3011とベースフィルム3031のフィード経路において相対的に設置されて、転写膜3011とベースフィルム3031に対するロールプレスを形成でき、加熱ロール3043がロールプレス領域を加熱する。転写膜3011とベースフィルム3031は密に接触すると同時に、該接触領域を加熱することで、バインダの粘着力はより強くなり、金属層に均一で安定した引張力を加えやすくなる。
【0091】
本実施例では、加熱でロールプレスする方法により、圧力に加え、さらに加熱によりバインダの粘着性能が最適な状態にあることができて、金属層32の剥離はより完全になり、剥離過程はより効率的になる。
【0092】
設備300には、2つのフィーダー装置、即ち、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302とを有する。なお、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302は同じ構造を用いてもよく、異なる構造を用いてもよい。
【0093】
好ましくは、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302の構造は同様である。
【0094】
具体的には、フィーダー装置の構造が同様であることは、フィーダー装置は、同じ原理、同じ主要部材によりフィードすることを指す。例えば、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302は全てロール・ツー・ロール構造によりフィードする。あるいは、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302は全て機械腕構造によりフィードする。
【0095】
本実施例では、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302は同じ構造を用いるので、フィーダーの一致性に有利であり、かつ設備300を集積及び製造しやすくなる。
【0096】
引き続き
図3を参照する。選択可能に、第1フィーダー装置301は、第1フィード方向に転写膜3011を輸送するための第1巻き戻しロール40と、移行装置304を経過した後の転写膜転写膜3011を収集するための第1巻き取りロール41と、第1フィード方向に第1巻き戻しロール40と第1巻き取りロール41との間に設けられる第1ガイドロール42であって、その配置経路に従い転写膜3011が搬送されるように、転写膜3011を支持するための少なくとも一つの第1ガイドロール42と、を含む。
【0097】
具体的には、第1巻き戻しロール40に、ロールに巻かれた転写膜3011を有し、第1巻き戻しロール40は回転して、移行装置304まで転写膜3011を継続して繰り出すことができる。第1巻き取りロール41は回転して、金属層32の剥離された転写膜3011を収集し、即ち、ベース層31、又はベース層31及びその上に僅かに残留した金属層32を収集することができる。第1ガイドロール42の数は加工の要求に応じて配置してもよい。第1巻き戻しロール40、第1巻き取りロール41及び第1ガイドロール42中の少なくとも1つは駆動ロールである。
【0098】
好ましくは、第1巻き戻しロール40と第1巻き取りロール41は全て駆動ロールである。
【0099】
本実施例では、第1フィーダー装置301はロール・ツー・ロールのフィーダー装置であり、継続的で効率よく転写膜3011を移行装置304に搬送して集電体アセンブリ30を製造することができ、かつ第1巻き戻しロール40、第1巻き取りロール41の回転数又は方向を制御することにより、転写膜301の運動状態を柔軟に制御し、集電体アセンブリ30を製造する効率及び柔軟性を向上することに役立てる。
【0100】
選択可能に、第2フィーダー装置302は、第2フィード方向に基底膜3021を輸送するための第2巻き戻しロール43と、集電体アセンブリ30を収集するための第2巻き取りロール44と、第2フィード方向に第2巻き戻しロール43と第2巻き取りロール44との間に設けられる第2ガイドロール45であって、その配置経路に従い基底膜3021又は集電体アセンブリ30が搬送されるように、基底膜3021又は集電体アセンブリ30を支持するための少なくとも一つの第2ガイドロール45と、を含む。
【0101】
具体的には、第2巻き戻しロール43に、ロールに巻かれた基底膜3021を有し、第2巻き戻しロール43は回転して、塗布装置303まで基底膜3021を継続して繰り出すことができ、基底膜3021は塗布装置303にバインダを塗布した後ベースフィルム3031を形成し、第2フィーダー装置302により移行装置304まで搬送される。第2巻き取りロール44は回転して、金属層32が結合されたベースフィルム3031、即ち、集電体アセンブリ30を収集することができる。第2ガイドロール45の数は加工の要求に応じて配置してもよい。第2巻き戻しロール43、第2巻き取りロール44及び第2ガイドロール45中の少なくとも1つは駆動ロールである。
【0102】
好ましくは、第2巻き戻しロール43と第2巻き取りロール44は全て駆動ロールである。
【0103】
本実施例では、第2フィーダー装置302はロール・ツー・ロールのフィーダー装置であり、継続的で効率よく基底膜3021を塗布装置303に搬送してベースフィルム3031を製造し、ベースフィルム3031を移行装置304に搬送して集電体アセンブリ30を製造することができ、かつ第2巻き戻しロール43、第2巻き取りロール44の回転数又は方向を制御することにより、基底膜3021、ベースフィルム3031及び集電体アセンブリ30の運動状態を柔軟に制御し、集電体アセンブリ30を製造する効率及び柔軟性を向上することに役立てる。
【0104】
上記第1フィーダー装置301、第2フィーダー装置302、塗布装置303及び移行装置304は分離された装置、部材であってもよく、設備300に組合せられ、同一設備における異なる機能モジュールであってもよい。
【0105】
好ましくは、設備300は一体的な設備である。
【0106】
集電体アセンブリ30を製造する設備300は一体的な設備であり、各装置は機能モジュールとして設備300に集積されることが可能であり、1つの設備300により直接製造された集電体アセンブリ30を得ることができ、各装置間に材料を移行させる時間及び設備のコストが省かれ、集電体アセンブリ30の製造効率を向上することに役立つ。
【0107】
以上、集電体アセンブリ30を製造する設備300を説明した。本願は、集電体アセンブリ30を製造する方法をさらに提供する。
図5に示すように、方法500は、
【0108】
ベース層31と、その上に形成される金属層32とを有する転写膜3011を提供するS501と、
【0109】
第1表面と、前記第1表面と対向する第2表面とを有する基底膜3021を提供するS502と、
【0110】
第1表面にバインダを塗布してベースフィルム3031を得るS503と、
【0111】
金属層32をベースフィルム3031に移行させて集電体アセンブリ30を形成するS504と、を含む。
【0112】
上記方法ステップは本願の実施例で説明される設備300により実行することができる。上記方法ステップ中の転写膜3011、基底膜3021の関連物理化学的性質及び例について、重複する説明はここで省略する。
【0113】
本実施例では、転写膜3011における薄い金属層32をベースフィルム3031に移行させて集電体アセンブリ30を製造することにより、得られた集電体アセンブリ30は薄い金属層及び軽い質量を有する。直接基底膜3021において金属層32を製造する方法に比べ、バインダにより金属層32を移行させる方法は基底膜3021の機械的性能が金属層32の製造過程で影響されず、集電体アセンブリ30の機械的性能が確保されている。また、該方法500の過程は簡単であり、複雑な設備がなくても実現でき、集電体アセンブリ30を速やかで大量に製造し、集電体アセンブリ30の製造効率を向上して、集電体アセンブリ30の量産に寄与することができる。
【0114】
以下、転写膜3011に金属層32を形成する幾つかの方法を説明する。
【0115】
選択可能に、転写膜3011はベース層31に金属層32を電気めっきすることにより得られる。電気めっきは電解の原理により、ある導電物質の表面に1層の薄層金属又は合金をめっきする過程である。金属又は導電性高分子材料等の導電材料をベース層31として選択する場合、電気めっきによりその表面に1層の金属層32を形成することができる。
【0116】
本実施例では、電気めっきによりベース層31の表面に金属層32を形成し、金属層32の厚さは薄く、かつ厚さは電気めっき時間等のパラメータに応じて制御して、集電体アセンブリ30の厚さを柔軟に制御することができる。
【0117】
選択可能に、転写膜3011はベース層31に金属層32を蒸着することにより得られる。蒸着は、真空蒸着とも呼ばれ、気相成長法に属するものであり、真空条件で、一定の加熱蒸発方式を用いてメッキ膜材料(フィルム材料とも言う)を蒸発させそれを気化させ、粒子が基材表面に飛び、凝集して成膜するプロセス方法である。上述した実施例で説明されるように、ベース層31は滑らかな表面及び高温に耐える性能を有しており、その表面に蒸着により1層の金属層32を形成することができる。
【0118】
本実施例では、ベース層31は高温下で良い安定性を有し、その物理化学的性能は蒸着時の高温から影響されず、ベース層31に蒸着により均一で厚さの薄い金属層32を得ることができ、かつ金属層32の厚さは蒸着時間等のパラメータに応じて制御して、集電体アセンブリ30の厚さを柔軟に制御することができる。
【0119】
選択可能に、転写膜3011はベース層31に金属層32をマグネトロンスパッタリングすることにより得られる。マグネトロンスパッタリングとは、物理気相成長の1種であり、磁界によりターゲット材料の表面にプラズマ及び電子を形成し、プラズマが基材に衝突する過程である。
【0120】
選択可能に、ベース層31は離型フィルムである。
【0121】
選択可能に、基底膜3021はポリマー薄膜である。
【0122】
上記離型フィルム、ポリマー薄膜の物理化学的性質及び例は、装置の実施例におけるものと一致しており、装置の実施例と対応する効果を有しており、簡潔のために、ここで重複する説明は省略する。
【0123】
選択可能に、S504において、機械的剥離により金属層32をベースフィルム3031に移行させる。
【0124】
例えば、転写膜3011とベースフィルム3031をロールプレスすることにより、金属層32がベースフィルム3031に移行される。あるいは、転写膜3011とベースフィルム3031を加熱でロールプレスすることにより、金属層32がベースフィルム3031に移行される。
【0125】
本願の実施例では、ロールプレス又は加熱によるロールプレスすることにより、転写膜3011とベースフィルム3031は密に接触し、金属層32が完全に剥離され、ベースフィルム3031と結合して集電体アセンブリ30を形成する。
【0126】
選択可能に、S504では、化学的剥離により金属層32をベースフィルム3031に移行させる。
【0127】
選択可能に、S501では、第1フィーダー装置301により前記転写膜を提供する。
【0128】
選択可能に、S502では、第2フィーダー装置302により前記基底膜を提供する。
【0129】
なお、第1フィーダー装置301と第2フィーダー装置302の構造は同じであってもよく、異なってもよい。
【0130】
本実施例では、2つのフィーダー装置により、それぞれ、転写膜3011と基底膜3031とを提供し、転写膜3011と基底膜3031の運動状態を柔軟に制御することができ、金属層とバインダとをより良く接触させやすく、製造された集電体アセンブリ30の品質を向上することに役立つ。
【0131】
上述したように、本願の実施例は、集電体アセンブリ30を製造する設備300及び方法500を提供している。該設備300により製造された集電体アセンブリ30は、薄型で、機械的性能が良いというメリットを有し、超薄型集電体を製造することに使用でき、かつ該設備300の生産効率が高く、集電体アセンブリ30を製造する生産能力を向上することに役立つ。該方法500により、薄型で、機械的性能が良い集電体アセンブリ30を製造することができ、かつ該方法500のステップは簡単で実現しやすく、継続的で効率よく集電体アセンブリ30を製造して、集電体の生産効率の向上に役立つことができる。
【0132】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、それに対して種々の改善を行うことができ、かつ等価物によりその中の部材を置き換えることができる。特に構造上の食い違いがない限り、各実施例で言及された各技術的特徴は何れも任意の方法で組合わせることができる。本願は明細書で開示される特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に入る全ての技術的手段を含んでいる。
【国際調査報告】