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特表2024-534675HSP90抗原性ペプチドを含む抗癌用ワクチン組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】HSP90抗原性ペプチドを含む抗癌用ワクチン組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240912BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240912BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/117 20100101ALI20240912BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240912BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240912BHJP
   C07K 14/30 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61K39/39
A61P15/00
A61P35/00
A61P37/04
A61K45/00
A61P43/00 111
C07K7/08 ZNA
C07K7/06
C12N15/117 Z
C07K14/47
C12N15/12
C07K14/195
C07K14/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519689
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 KR2022014566
(87)【国際公開番号】W WO2023055078
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128516
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521548308
【氏名又は名称】アストン エスシーアイ. インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524120620
【氏名又は名称】チャ ワクチン リサーチ インスティチュート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜 鎭鎬
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲ヒョ▼賢
(72)【発明者】
【氏名】鄭 憲
(72)【発明者】
【氏名】廉 晶善
(72)【発明者】
【氏名】安 秉▲チョル▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 銀貞
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA03
4C085BB11
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF13
4C085FF14
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA17
4H045BA50
4H045CA11
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、HSP90のエピトープである、配列番号1のペプチド、及び配列番号2のペプチドを含む抗癌用ワクチン組成物に係り、本発明によるワクチン組成物は、腫瘍細胞株移植動物モデルにおいて、深刻な副作用なしに、腫瘍の成長を効果的に抑制しうるので、癌を治療するか、あるいはその再発を予防するのに有用に使用されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチドと、
アジュバントとして、トル様受容体(TLR)2アゴニスト及びTLR3アゴニストと、を含む、抗癌用ワクチン組成物。
【請求項2】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上である、請求項1に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項3】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKである、請求項2に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項4】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C))である、請求項1に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項5】
前記Poly(I:C)は、その長さが、50ないし2,000bpである、請求項4に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸によって構成された群のうちから選択された1以上の核酸と、
アジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含む、抗癌用ワクチン組成物。
【請求項7】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上である、請求項6に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項8】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKである、請求項7に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項9】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C))である、請求項6に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項10】
前記Poly(I:C)は、その長さが、50ないし2,000bpである、請求項9に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項11】
前記ワクチン組成物は、対象体において、癌を治療し、かつ/あるいは再発を予防する、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項12】
前記対象体は、乳癌患者である、請求項11に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項13】
前記ワクチン組成物は、リポソームを含まない、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項14】
前記ワクチン組成物は、免疫調節剤、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上を追加して含む、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項15】
前記免疫抗癌剤は、CTLA-4、PD-1、LAG-3、TIM-3、TIGIT及びVISTAによって構成された群のうちから選択されたいずれか1以上に対する免疫チェックポイント抑制剤である、請求項14に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項16】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチドと、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストのアジュバントと、を個体に投与する段階を含むことを特徴とする、癌の予防、改善または治療の方法。
【請求項17】
癌の予防、改善または治療のための薬剤の製造に使用するための、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチドと、
TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストのアジュバントとの用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月29日付け韓国特許出願第10-2021-0128516号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、癌の治療及び再発防止のためのHSP90(Heat Shock Protein 90)抗原性ペプチドを含む抗癌用ワクチン組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、癌は、心臓疾患などと共に、人類の最大疾病のうち一つであり、大韓民国国民の死亡原因において1位であるが、まだ発病原因が明確に知られていない。癌を治療するために、手術療法、放射線療法及び化学療法のような多様な治療方法が考案され、癌の種類により、それぞれの治療方法を、単独または複合させて適用しているが、抗癌剤に対する耐性獲得などにより、完治されない患者が存在するだけではなく、場合によっては、転移及び再発率が高く、治療に困難が伴う。
【0004】
ワクチンは、身体が、有害な成分及び疾病にかかった細胞を認知して破壊するように、免疫系を訓練させることにより、疾患と争うことの一助とする。ワクチンは、大きく見て、2種類型、すなわち、予防用ワクチン及び治療用ワクチンに分類される。予防ワクチンは、伝統的なワクチンの形態であり、健康人に特定疾患の発生を予防するように提供される一方、免疫療法とも呼ばれる治療用ワクチンは、疾患があると診断された者に、疾患が成長して発展することを抑制するか、あるいは予防する方法として提供される。治療用ワクチンの代表的な形態は、抗癌用ワクチン(または、癌ワクチンと呼ばれたりもする)である。
【0005】
抗癌用ワクチンは、細胞毒性T細胞(cytotoxic T cell)を活性化させ、活性化されたT細胞が特定類型の癌細胞を認知し、それに対立して作用するか、あるいは癌細胞表面に存在する抗原と結合する抗体の生産を誘導するようにデザインされる。該抗癌用ワクチンの基本的な治療目標は、癌患者にすでに存在する癌組織の大きさを小さくしたり、癌患者の癌組織を、外科的手術または化学療法などで除去したりした後、再発を抑制するのである。
【0006】
これまでの数年間癌、治療のために、あるいは再発を防ぐために、ワクチン研究が広範囲になされたが、前立腺癌ワクチンであるシプリューセルT(sipuleucel-T(Provenge(R)))を除いては、まだ成果を収めたという事例が存在しない。そのような低い成功率については、特定類型の腫瘍細胞に抗原が特異的に発現されても、各個人によっては、低いレベルで抗原を発現するか、あるいは転移性腫瘍の場合、最初発生腫瘍と転移性腫瘍との間に、抗原プロファイルが変化され、腫瘍細胞の免疫回避メカニズムも、一部低い成功率の原因と説明されている。
【0007】
望ましいワクチン抗原は、腫瘍細胞において、排他的となったり、少なくとも増大されたレベルとなったりして発現されなければならない。HSP90(Heat Shock Protein 90)は、多くの癌腫において過発現するということが知られており、実際、HSP90の特定抗原性領域(エピトープ)にワクチン接種を行う場合、動物モデルで抗腫瘍効果を示すということが知られている。
【0008】
アジュバントは、ワクチン用組成物に、抗原と共に含まれる成分であり、抗原に反応する免疫反応を調節したり増強させたりする用途に開発されてきた。該アジュバントは、単独に投与されたときには、それ自体でもっては、免疫性を有していないが、抗原と共に投与される場合、抗原に対する免疫反応を増進させて持続させることができる。典型的なアジュバントの例は、カリウムミョウバン(potassium alum)、水酸化アルミニウム(aluminium hydroxide)のようなアルミニウム系の無機物、パラフィンオイルのようなオイル類、サポニン(saponin)の界面活性剤、フロインド補強剤(CFA/IFA:Freund's complete adjuvant/Freund's incomplete adjuvant)などがある。
【0009】
最近では、トル様受容体(TLR:toll-like receptor)が活性化される場合、先天性免疫系(innate immune system)が活性化されるということが知られることにより、前記TLRを活性化させるTLRアゴニスト(agonist)をアジュバントとして利用する試みがなされてきた。該TLRは、細胞膜通過受容体(transmembrane receptor)タンパク質であり、先天性免疫細胞(innate immune cell)において主に発現されると知られている。該TLRのサブタイプとして、TLR1、TLR2、TRL4、TLR5、TLR6は、細胞表面で発現し、TLR3、TLR7、TLR8、TLR9は、細胞内エンドソームの細胞膜(endosomal membrane)で発現すると知られている。
【0010】
最近、最適化された免疫反応を示すワクチン製造のために、抗原とアルミニウム基盤アジュバントとの最適化された組み合わせを導き出すための研究が試みられている。しかしながら、HSP90抗原性ペプチドを利用した癌ワクチンにおいて、最適化されたアジュバントについては、確認されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1501583号(公告日:2015.03.12.)
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-2098097号(公告日:2020.05.26.)
【特許文献3】大韓民国登録特許第10-2256267号(公告日:2021.05.26.)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】npj Vaccines 3, Article number: 51 (2018. 10. 10.)
【非特許文献2】Pharmaceutics 13, 142 (2021. 01. 21.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのために、本発明者らは、前記問題を解決すべく研究を行った結果、HSP90(Heat Shock Protein 90)抗原性ペプチド、及びアジュバントとして、トル様受容体(TLR)アゴニストを含む抗癌用ワクチン組成物が、癌細胞を移植した腫瘍マウスモデルにおいて、腫瘍成長を効果的に抑制しうることを確認し、本発明の完成に至った。
【0014】
本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドで構成された群のうちから選択された1以上のペプチドと、アジュバントとして、TLR2アゴニスト(agonist)及びTLR3アゴニストを含む抗癌用ワクチン組成物を提供することを目的とする。
【0015】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上のものでもある。
【0016】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKでもある。
【0017】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C):polyinosinic: polycytidylic acid)でもある。
【0018】
前記Poly(I:C)は、その長さが50ないし2,000bpでもある。
【0019】
前記抗癌用ワクチン組成物は、対象体において、癌を治療し、かつ/あるいは再発を予防するためのものでもある。
【0020】
前記対象体は、乳癌患者でもある。
【0021】
前記抗癌用ワクチン組成物は、リポソームを含まないものでもある。
【0022】
前記抗癌用ワクチン組成物は、免疫調節剤、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上を追加して含むものでもある。
【0023】
前記免疫抗癌剤は、CTLA-4、PD-1、LAG-3、TIM-3、TIGIT及びVISTAによって構成された群のうちから選択されたいずれか1以上に対する免疫チェックポイント抑制剤(immune checkpoint inhibitor)でもある。
【0024】
本発明は、1)配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸によって構成された群のうちから選択された1以上の核酸と、アジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含む、抗癌用ワクチン組成物を提供することを目的とする。
【0025】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上のものでもある。
【0026】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKでもある。
【0027】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C):polyinosinic: polycytidylic acid)でもある。
【0028】
前記Poly(I:C)は、その長さが50ないし2,000bpでもある。
【0029】
前記抗癌用ワクチン組成物は、対象体において、癌を治療し、かつ/あるいは再発を予防するためのものでもある。
【0030】
前記対象体は、乳癌患者でもある。
【0031】
前記抗癌用ワクチン組成物は、リポソームを含まないものでもある。
【0032】
前記抗癌用ワクチン組成物は、免疫調節剤、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上を追加して含むものでもある。
【0033】
前記免疫抗癌剤は、CTLA-4、PD-1、LAG-3、TIM-3、TIGIT及びVISTAによって構成された群のうちから選択されたいずれか1以上に対する免疫チェックポイント抑制剤でもある。
【0034】
本発明は、前記抗癌用ワクチン組成物を含む、癌治療用途または癌予防用途の薬学組成物を提供することを目的とする。
【0035】
本発明は、前記抗癌用ワクチン組成物を含む癌治療用キットを提供することを目的とする。
【0036】
本発明は、前記抗癌用ワクチン組成物、癌治療用または予防用の薬学組成物、またはそのキットを対象体に投与し、癌進行及び/または再発を抑制する方法を提供することを目的とする。
【0037】
本発明は、前記抗癌用ワクチン組成物、癌治療用または予防用の薬学組成物、またはそのキットを対象体に投与する段階を含むことを特徴とする、癌を予防、改善または治療する方法を提供することを目的とする。
【0038】
本発明は、癌の予防、改善または治療のための医薬品の製造において、前記抗癌用ワクチン組成物、癌治療用または予防用の薬学組成物、またはそのキットの用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
前記目的を達成するために、本発明は、HSP90(Heat Shock Protein 90)抗原性ペプチドであり、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチド;並びにアジュバントとして、トル様受容体(TLR)2アゴニスト(agonist)及びTLR3アゴニストを含む抗癌用ワクチン組成物を提供する。
【0040】
また、本発明は、HSP90抗原性ペプチドを暗号化する配列を含む核酸であり、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸によって構成された群のうちから選択された1以上の核酸;並びに及びアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含む抗癌用ワクチン組成物を提供する。
【0041】
また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチド;並びにTLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストのアジュバントを個体に投与する段階を含むことを特徴とする、癌の予防、改善または治療の方法を提供する。
【0042】
また、本発明は、癌の予防、改善または治療のための薬剤の製造に使用するための、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチド;並びにTLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストのアジュバントの用途を提供する。
【0043】
本発明の一具現例により、前記抗癌用ワクチン組成物は、HSP90抗原性ペプチドとして、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド;並びにアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含むものでもある。
【0044】
本発明の一具現例により、前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上でもある。
【0045】
本発明の一具現例により、前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C):polyinosinic: polycytidylic acid)でもある。
【0046】
本発明の一具現例によって、前記抗癌用ワクチン組成物は、リポソームを含まないのである。
【0047】
本発明の一具現例により、前記抗癌用ワクチン組成物は、対象体において、癌を治療するか、あるいはその再発を予防するのに使用されうる。
【0048】
本発明の一具現例により、前記癌は、固形癌でもある。
【0049】
本発明の一具現例により、前記癌は、乳癌でもある。
【0050】
本発明の一具現例により、前記癌患者群は、固形癌患者群でもある。
【0051】
本発明の一具現例により、前記癌患者群は、乳癌患者群でもある。
【0052】
本発明の一具現例により、前記抗癌用ワクチン組成物を利用(投与)し、癌患者を治療または予防する方法を提供する。
【発明の効果】
【0053】
本発明によるワクチン組成物は、HSP90抗原性ペプチド;並びにアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含む抗癌用ワクチン組成物であり、TLR4アゴニストのような他種類のTLRアゴニストをアジュバントとして使用する場合より、高い免疫原性を示し、癌細胞を移植した腫瘍マウスモデルにおいて、腫瘍成長を効果的に抑制することができ、癌の治療及び再発防止に有用に使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】HSP90抗原性ペプチドと、多様な種類のアジュバントと、を含むワクチン組成物のTh1免疫反応を分析した結果である。
図2】HSP90抗原性ペプチドと、多様な種類のアジュバントと、を含むワクチン組成物のTh2免疫反応を分析した結果である。
図3】HSP90抗原性ペプチドと、アジュバントして、多様なサブタイプのTLRアゴニストとを含むワクチン組成物の免疫原性を分析した結果である。
図4】HSP90抗原性ペプチドと、アジュバントとして、TLR2/3アゴニストと、を含むワクチン組成物の抗癌効果を分析した結果である。
図5】HSP90抗原性ペプチドと、アジュバントとして、TLR2/3アゴニストと、を含むワクチン組成物を腫瘍モデルマウスに投与したとき、実際の腫瘍サイズ及び脾臓(spleen)サイズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0056】
本開示内容を記述して請求するにおいて、以下の用語は、それとは異なって指定されない限り、以下に記述された定義によって使用される。
【0057】
本願において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特にそうではないとする記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むものでもあることを意味する。
【0058】
本願において、ある態様が、「~を含む」という用語と共に記述されても、「によって構成された」及び/または「本質的に~によって構成された」という観点から記述された他の類似態様も、また提供されるということが理解されなければならない。
【0059】
用語「治療する」及び用語「抗癌効果」は、本発明の組成物の投与により、癌疾患の症状が好転するか、あるいは良好に変更される全ての行為を意味し、具体的には、癌患者に、本発明の抗癌用ワクチン組成物を接種した後、患者を、放射線または物理的方法などによって検査したとき、腫瘍成長を防いだり、減少させたりする結果、または結果の徴候を意味するだけではなく、癌患者に対する手術を行ったり、抗癌剤を投与したりして癌組織を除去した後、患者に、本発明のワクチン組成物を接種した後、放射線または物理的方法などによって検査したとき、癌再発(recurrence/relapse)を防いだ結果、または結果の徴候を意味する。
【0060】
用語「患者」または用語「対象体」というのは、本発明のワクチン組成物の投与により、疾患が予防されたり治療されたりしうる病態、例えば、癌、具体的には、固形癌を病んでいるにしても、治療されているにしても、そのような病態にかかりやすいにしても、生きている有機体を称し、ヒトと動物とをいずれも含む。該対象体としては、哺乳動物(例えば、マウス、猿、馬、牛、豚、犬、猫など)を含むが、それらに限定されるものではなく、望ましくは、ヒトである。また、本発明における「患者」または「対象体」は、区分されずに、癌患者、固形癌患者、乳癌患者、またはHER2を発現する乳癌患者を含む。
【0061】
用語「投与すること」というのは、本発明が属する技術分野において公知された多様な方法と伝達システム都のうち、任意のものを使用し、ワクチン組成物を対象体に導入することを称する。例示的投与経路は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、またはその他非経口投与経路、例えば、注射または注入による投与経路を含む。本発明の明細書に使用された「投与」というのは、一般的に、注射による、皮下(subcutaneous)または皮内(intradermal)の投与方式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄腔内またはリンパ内への注射及び注入を含むが、それらに限定されるものではない。その他非経口経路は、局所、上皮または粘膜への投与経路、例えば、鼻内、膣、直腸または舌下への経路を含む。本明細書においては、対象体にワクチンを投与する行為である「ワクチン投与(vaccine injection)」、「処置(treatment)」及び「接種(vaccination)」は、区分されずに使用される。
【0062】
用語「抗原性ペプチド(antigenic peptide)」は、特定抗体によって認識される抗原結合部位のアミノ酸残基セット、あるいはT細胞におけるT細胞受容体(TCR:T cell receptor)、及び/または主要組織的合成複合体(MHC:major histocompatibility complex)受容体によって認識されるエピトープ(epitope)を意味する。
【0063】
本発明において用語「免疫抗癌剤」は、癌自体を攻撃する既存抗癌剤とは異なり、人工免疫タンパク質を体内に注入し、免疫体系を刺激することにより、免疫細胞が選択的に癌細胞のみを攻撃するように誘導する治療薬剤であり、癌細胞が獲得した免疫抑制または免疫回避メカニズムを克服するために、免疫体系の腫瘍認知能または破壊能を回復または強化させるメカニズムの抗癌剤である。前記免疫抗癌剤は、免疫チェックポイント抑制剤、免疫細胞治療剤及び免疫ウイルス治療剤を含むが、それらに制限されるものではない。
【0064】
本発明において、用語「免疫チェックポイント抑制剤」は、一部癌細胞が、体内免疫細胞であるT細胞の免疫チェックポイントを活用しながら、免疫を回避する場合、T細胞抑制に関与する免疫チェックポイントタンパク質(immune checkpoint protein)の活性化を遮断し、T細胞を活性化させ、癌細胞を攻撃する作用を行う免疫抗癌剤の一種であり、CTLA-4抑制剤、PD-1抑制剤、LAG-3抑制剤、TIM-3抑制剤、TIGIT抑制剤及びVISTA抑制剤を含むが、それらに制限されるものではない。また、前記免疫チェックポイント抑制剤は、拮抗剤でもり、拮抗剤抗体または小分子化合物でもある。
【0065】
熱衝撃タンパク質90(HSP90:Heat Shock Protein 90)は、細胞内で合成される全てのペプチド鎖が、完全な構造形成のために、タンパク質フォールディング、成熟及び立体形態安定化のために作用するシャペロン(chaperone)タンパク質の一種である。HSP90タンパク質または遺伝子の発現様相は、悪性腫瘍細胞(malignant cell)において、正常細胞に比べ、2~10倍ほど高く、HSP90は、癌細胞の生存及び成長に主な役割を行うのに予測され、効果的な薬物ターゲットとしてクローズアップされている。
【0066】
また、既存研究によっても、癌患者群の血清において、対照群(normal individual+陽性乳癌患者)に比べ、HSP90に対する自己抗体(auto-antibody)(抗HSP抗体)の濃度が高いということが報告されている(Lancet, 1995: 345, 126)。
【0067】
本発明の抗癌用ワクチン組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド(第1ペプチド)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド(第2ペプチド)によって構成された群のうちから選択された1以上のペプチド;並びにアジュバントとして、トル様受容体(TLR:toll-like receptor)2アゴニスト及びトル様受容体(TLR)3アゴニストを含むものでもある。
【0068】
一具現例によれば、前記抗癌用ワクチン組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド(第1ペプチド)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド(第2ペプチド);並びにアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含むものでもある。
【0069】
前記第1ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドでもあり、具体的には、配列番号1のアミノ酸配列によって構成されたペプチドでもある。また、前記第2ペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドでもあり、具体的には、配列番号2のアミノ酸配列によって構成されたペプチドでもある。
【0070】
本発明の配列番号1のアミノ酸配列によって表示されるペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列によって表示されるペプチドのHSP90抗原性ペプチドは、HSP90フルシーケンスを、5個のアルゴリズムプログラムを利用し、MHC class II対立遺伝子(allele)に、結合親和度(binding affinity)が良好であると予想される15-merペプチドシーケンス12個のうちから選定されたものである(大韓民国登録特許第10-2256267号)。
【0071】
本発明の明細書に記載された、「配列番号Xのアミノ酸配列によって表示されるペプチド」、「配列番号Xのアミノ酸配列によって構成されたペプチド」、及び「配列番号Xのペプチド」は、同じ意味として区分されずに使用される。
【0072】
本発明の一部実施例においては、配列番号1のアミノ酸配列によって表示されるペプチド(LYVRRVFIMDNCEEL)、及び配列番号2のアミノ酸配列によって表示されるペプチド(PyroGlu-SKILKVIRKNLVKK)は、それぞれ化学的に合成して使用されうる。
【0073】
本発明のワクチン組成物は、前記配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド(第1ペプチド)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド(第2ペプチド)を、それぞれ別個に分離したペプチドの形態で含むか、あるいは互いに直間接的に連結された形態で含むものでもある。前記第1ペプチド及び前記第2ペプチドが、互いに直間接的に連結された形態で含まれる場合、前記第2ペプチドは、第1ペプチドのN末端またはC末端に、直接、またはリンカを介して間接的に連結されうる。前記リンカは、前記ペプチドが抗癌ワクチン活性を示させる限り、特にそれに制限されるものではなく、例えば、1個ないし50個のアミノ酸によって構成されたものでもある。
【0074】
本明細書に開示されたワクチン組成物は、ペプチドワクチン、DNAワクチンまたはmRNAワクチンとして製造されうる。
【0075】
本発明の一実施例において、前記抗癌用ワクチン組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド(第1ペプチド)の暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド(第2ペプチド)の暗号化配列を含む核酸によって構成された群のうちから選択された1以上の核酸;並びにアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含むものでもある。
【0076】
一具現例によれば、前記抗癌用ワクチン組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド(第1ペプチド)の暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド(第2ペプチド)の暗号化配列を含む核酸;並びにアジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含むものでもある。
【0077】
前記第1ペプチドの暗号化配列を含む核酸は、第1核酸と命名することができ、前記第1核酸は、第1ペプチドの暗号化配列を含む核酸でもあり、具体的には、第1ペプチドの暗号化配列によって構成された核酸でもある。また、前記第2ペプチドの暗号化配列を含む核酸は、第2核酸と命名することができ、前記第2核酸は、第2ペプチドの暗号化配列を含む核酸でもあり、具体的には、第2ペプチドの暗号化配列によって構成された核酸でもある。
【0078】
前記核酸は、DNAまたはRNA(mRNA)でもある。
【0079】
本発明の一部実施例において、前記抗癌用ワクチン組成物が、DNAワクチンの形態に製造される場合、例えば、前記DNAワクチンは、プローモーター(promoter)、適切な転写制御要素及び翻訳制御要素、並びに本発明の配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸配列(第1核酸)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸配列(第2核酸)のうち1以上を有する1以上のDNA分子(例えば、プラスミド)を含むものでもあり、前記プラスミドは、さらには、増強(enhance)配列、例えば、発現レベル、細胞内標的化などを増強する配列を含むものでもある。
【0080】
また、前記DNAワクチンにおいて、第1核酸及び第2核酸は、それぞれ別個に分離されたプラスミドに含まれる形態であるか、あるいは互いに直間接的に連結され、1つのプラスミドに含まれる形態でもある。前記第1核酸及び前記第2核酸が互いに連結され、1つのプラスミドに含まれる形態である場合、前記第2核酸は、第1核酸の5’末端または3’末端に、直接、またはリンカを介して間接的に連結されうる。前記リンカは、前記核酸が暗号化するペプチドが、抗癌ワクチン活性を示させる限り、特にそれに制限されるものではなく、例えば、1個ないし150個のヌクレオチドによって構成されたものでもある。また、該第1核酸及び該第2核酸が1つのプラスミドに含まれる形態である場合、そこから翻訳される第1ペプチド及び第2ペプチドは、それぞれ別個の分離されたペプチドに翻訳されるか、あるいは該第1ペプチド及び該第2ペプチドが、互いに直間接的に連結された形態に翻訳されうる。
【0081】
本発明の一部実施例において、前記抗癌用ワクチン組成物が、mRNAワクチンの形態に製造される場合、例えば、前記mRNAワクチンは、本発明の配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸配列(第1核酸)、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸配列(第2核酸)のうち1以上を有する1以上のmRNA分子を含むものでもあり、前記mRNA分子は、5’キャップ(cap)、5’非翻訳部位(UTR:untranslated region)、3’非翻訳部位、及びポリ(A)テール(Poly(A) tail)によって構成された群のうちから選択された1以上を追加して含むものでもある。
【0082】
また、前記mRNAワクチンにおいて、第1核酸及び第2核酸は、それぞれ別個に分離されたmRNA分子に含まれる形態でもあり、互いに直間接的に連結され、1つのmRNA分子に含まれる形態でもある。前記第1核酸及び前記第2核酸が互いに連結され、1つのmRNA分子に含まれる形態である場合、前記第2核酸は、第1核酸の5’末端または3’末端に、直接、またはリンカを介して間接的に連結されうる。前記リンカは、前記核酸が暗号化するペプチドが、抗癌ワクチン活性を示させる限り、特にそれに制限されるものではなく、例えば、1個ないし150個のヌクレオチドによって構成されたものでもある。また、該第1核酸及び該第2核酸が1つのmRNA分子に含まれる形態である場合、そこから翻訳される第1ペプチド及び第2ペプチドは、それぞれ別個の分離されたペプチドに翻訳されるか、あるいは該第1ペプチド及び該第2ペプチドが互いに直間接的に連結された形態に翻訳されうる。
【0083】
本発明のワクチン組成物が、DNAワクチンまたはmRNAワクチンである場合、前記ワクチンは、A(アデニン(adenine))、T(チミン(thymine))、G(グアニン(guanine))、C(シトシン(cytosine))、U(ウリジン(uridine))、及び/またはそれらの変形された形態を含む核酸によって構成されたものでもある。例えば、前記変形された形態は、5-メチルシチジン(5mC)、N6-メチルアデノシン(m6A)、3,2’-O-ジメチルウリジン(m4U)、2-チオウリジン(s2U)、2’-フルオロウリジン、シュードウリジン、2’-O-メチルウリジン(Um)、2’-デオキシウリジン(2’dU)、4-チオウリジン(s4U)、5-メチルウリジン(m5U)、2’-O-メチルアデノシン(m6A)、N6,2’-O-ジメチルアデノシン(m6Am)、N6,N6,2’-O-トリメチルアデノシン(m62Am)、2’-O-メチルシチジン(Cm)、7-メチルグアノシン(m7G)、2’-O-メチルグアノシン(Gm)、N2,7-ジメチルグアノシン(m-2,7G)、N2,N2,7-トリメチルグアノシン(m-2,2,7G)及びN1-メチル-シュードウリジンによって構成された群のうちから選択された1以上を含むものでもある。
【0084】
本発明のワクチン組成物は、前述の抗原性ペプチド(配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチド)だけではなく、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含むアジュバント(大韓民国登録特許第10-1501583号)を含む。
【0085】
アジュバントは、一般的に、ワクチン抗原と組み合わせされたとき、抗原だけで誘導された免疫反応に比べ、ワクチン抗原に対する免疫反応を増大させる任意の化合物または物質である。アジュバントは、体液性免疫反応、細胞性免疫反応、またはそれら2つの免疫反応のレベルを上昇させる機能を行いながら、さらには、それら反応を持続させる機能を行う。
【0086】
一般的に使用されるアジュバントは、カリウムミョウバン(potassium alum)、水酸化アルミニウム(aluminium hydroxide)のようなアルミニウム系の無機物;パラフィンオイルのようなオイル類;サポニン(saponin)系の界面活性剤類;フロインド補強剤(Freund’s complete adjuvant/Freund’s incomplete adjuvant)などがあり、最近研究が進行中であるトル様受容体(TLR)を活性化させるリガンドであるTLRアゴニストが利用されている。
【0087】
TLR2アゴニストは、バクテリアとマイコプラズマとに由来するリポペプチド合成類似体であり、am3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのような多様なリポペプチド類似体が合成されている。また、前記リポペプチドの脂肪酸及びアミノ酸は、化学的に変形されうる。本発明においては、「TLR2アゴニスト」及び「TLR2L」は、区分されずに混用されて使用される。
【0088】
本発明の一実施例においては、ワクチン組成物に、前記TLR2アゴニストとして、Pam3Cys-SKKKKを含むが、それに制限されるものではない。
【0089】
TLR3アゴニストは、Poly(I:C)は、二本鎖RNAの合成類似体であり、試験管内(in vitro)または生体内(in vivo)の研究において、Th1免疫反応を誘導すると知られている。さらに、Poly(I:C)は、抗原提示細胞(APC:antigen presenting cell)である樹枝状細胞(DC:dendritic cell)を安定して成熟させると知られている。本発明においては、「TLR3アゴニスト」及び「TLR3L」は、区分されずに混用されて使用される。
【0090】
本発明の一実施例においては、ワクチン組成物に、前記TLR3アゴニストとして、その長さが50ないし2,000bpであるPoly(I:C)を含むが、それに制限されるものではない。
【0091】
従来の研究においては、リポペプチド(lipopeptide)由来のTLR2アゴニストとリポソームとを混合した後、TLR3アゴニストを混合したアジュバントが、Th1免疫反応を増進させるという結果が報告されている(大韓民国登録特許第10-2098097号)。
【0092】
リポソームは、リン脂質二重層のマトリックス形態を備えている細胞膜と最も類似している形態の単層または多層の脂質二重膜構造を有する。前記脂質は、陽イオン性、陰イオン性脂質または中性脂質でもある。一例として、前記脂質は、DOTAP(1, 2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane)、DOPE(1, 2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)、DDA(dimethyldioctadecylammonium)、DC-chol(3β-[N-(N', N'-dimethylaminoethane)-carbamoyl]cholesterol)、DOPG(1, 2-dioleoyl-sn-glycero-3-[phospho-rac-(1-glycerol)])、DPPC(1,2- dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine), DOPC(1, 2-dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)及び/またはコレステロールを含む。
【0093】
リポソームは、構造的特性として、親水性物質も疎水性物質もいずれも伝達するのに効果的であり、選択的に使用することができるという長所がある。従って、徐々に分解される間、徐々に薬物が放出されるので、ワクチンの薬物伝達体として利用されており、薬物量を減らすことができるという長所があるので、ワクチン組成物の製造時、必須な考慮事項のうち一つである。
【0094】
しかしながら、本発明のワクチン組成物は、前述のHSP90抗原性ペプチドに、アジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストをいずれも含む場合、TLR2アゴニスト(TLR2L)またはTLR3アゴニスト(TLR3L)を単独で含む場合よりも、さらに高レベルのTh1免疫反応が起こることを確認しただけではなく、驚くべきことに、アジュバントとして、リポソームをさらに含む場合、増大されたTh1免疫反応は、ほとんどなくなることを確認することができた。
【0095】
従って、従来のTLR2/3アゴニスト(TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニスト)、及びリポソームを混合してアジュバントとして使用する場合、TLR2/3アゴニストに比べ、免疫効果を増大させると知られていたが、本発明のワクチン組成物において、リポソームは、相乗効果ではなく、否定的な役割を行うということが分かる。
【0096】
その結果を勘案すれば、本発明の一実施例のワクチン組成物は、リポソームを含まないことが望ましい。
【0097】
本発明においては、「TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニスト」及び「TLR2/3L」は区分されずに混用されて使用される。
【0098】
一実施例によれば、本発明のHSP90抗原性ペプチドである配列番号1及び配列番号2のペプチドは、他種類のTLRアゴニストであるTLR4アゴニスト(TLR4)またはTLR7アゴニスト、及びTLR8アゴニスト(TLR7/8L)をアジュバントとして使用する場合、Th1免疫反応をほとんど誘導することができない一方、先に相乗効果を確認したTLR2アゴニスト及びTRL3アゴニスト(TLR2/3L)において、有意にTh1免疫反応を誘導することを確認した。そのような免疫反応は、マウス種とは関係ないと確認された。
【0099】
また、本発明のワクチン組成物は、腫瘍移植モデルにおいて、腫瘍の成長を効果的に抑制する結果を示した。そのような結果は、本発明のワクチン組成物を投与された対象体(マウス)内に移植された癌細胞に対する細胞毒性T細胞反応を誘導または維持し、移植された癌細胞の増殖を抑制したと見ることができる。
【0100】
従って、本発明のワクチン組成物は、腫瘍の成長または再発を効果的に抑制しうる抗癌用ワクチンとして使用されうる。
【0101】
本発明のワクチン組成物は、癌の成長または再発に対し、治療効果を誘導及び/または維持することが目的であるので、本発明においては、HSP90に対する細胞毒性T細胞反応を、誘導及び/または維持するのに適する任意のスケジュールでもって、本発明のワクチン組成物を患者に投与しうる。例えば、一次接種として、本明細書で記述されて例示されるようなワクチン組成物を、一定スケジュールで患者に投与した後、免疫を誘導及び/または維持するためにブースターを投与しうる。
【0102】
本発明の一部実施例において、ワクチン組成物は、1ヵ月当たり1回、2回、またはそれ以上の回数で患者に投与されうる。該ブースターは、接種スケジュールを終えた後、一定間隔で、例えば、1ヵ月間隔で、単回または複数回投与され、6ヵ月以上の期間を有し、単回または複数回投与されうる。本発明の一部実施例において、一次接種として、毎月1回ずつ、3回ワクチン組成物を投与し、6ヵ月後または1年後のような任意の期間経過後、さらなるブースターを接種しうる。
【0103】
このとき、ブースターは、一次接種時に使用されたワクチン組成物と同一の用量及び構成でもあり、用量及び/または構成が変更されもする。
【0104】
本発明の明細書に記載されたワクチン組成物は、HSP90抗原性ペプチド及びTLR2/3アゴニスト以外に、薬学的に許容される賦形剤(excipient)、担体、希釈剤、バッファ、安定剤(stabilizer)、保存剤、または本発明が属する技術分野において周知のその他物質を含むものでもある。しかしながら、別途にリポソームは、含まない。そのような物質は、非毒性であり、有効成分の薬学的活性を妨害しない。薬剤学的な担体または希釈制は、例えば、水溶液でもある。本発明のワクチン組成物に含まれうる担体または他物質は、投与経路(例えば、経口、静脈、皮膚または皮下、鼻、筋肉、皮内及び腹腔への投与)により、異なるように選択されうる。
【0105】
本発明のワクチン組成物は、1、またはそれ以上の「薬剤学的に許容される担体」を含むものでもある。それらは、典型的に、タンパク質、糖類(saccharides)、ポリ乳酸(polylactic acids)、ポリグリコール酸(polyglycolic acids)、ポリメリック(polymeric)アミノ酸、アミノ酸共重合体、スクロース(sucrose)、トレハロース(trehalose)などが属する。そのような担体は、本発明が属する技術分野に周知されている。ワクチン組成物は、また水、食塩水、グリセロールのような希釈剤を含むものでもある。また、湿潤剤または乳化剤、pHバッファ物質のような補助物質が存在しうる。無菌発熱源がないリン酸塩バッファ生理食塩水(PBS)、トロメタミン(トリス)が代表的な担体である。
【0106】
本発明のワクチン組成物には、免疫調節剤が追加して含まれうる。前記免疫調節剤として使用するのに適するサイトカインは、インターロイキン(interleukin)(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)、大食細胞コロニー刺激因子(M-CSF:macrophage colony stimulating factor)、腫瘍壊死因子(TNF:tumor necrosis factor)、顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF:granulocyte macrophage colony stimulating factor)などのうちから選択されうるが、それらに制限されるものではない。
【0107】
本発明のワクチン組成物は、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上の抗癌剤と併用投与しうる。本発明のワクチン組成物と併用投与されうる化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上の抗癌剤は、互に同時または時間差を置いて順次に投与され、適切な時間及び周期によって選択されうる。
【0108】
本発明において、化学抗癌剤は、細胞毒性抗癌剤、化学薬物抗癌剤とも呼ばれる。前記化学抗癌剤は、例えば、ゲムシタビン(gemcitabine)(ゲムシタビン注射)、シタラビン(cytarabine)、カルボプラチン(carboplatin)(パラプラチン)、シスプラチン(cisplatin)(プラチノール、プラチノール-AQ)、クリゾチニブ(crizotinib)(ザーコリ)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)(シトキクサン、ネオサール)、ドセタキセル(docetaxel)(タキソテール)、ドキソルビシン(doxorubicin)(アドリアマイシン)、エトポシド(etoposide)(ベフシド)、フルオロウラシル(5-FU:5-fluorouracil)、イリノテカン(irinotecan)(カンプトサール)、リポソームカプセル化されたドキソルビシン(ドキシル)、メトトレキサート(methotrexate)(フォーレックス、Maxate、アメトプテリン)、パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール、アブラキサン)、トポテカン(topotecan)(ハイカムチン)、トラベクチジン(trabectedin)(ヨンデリス)、ビンクリスチン(vincristine)(オンコビン、ビンカサールPFS)またはビンブラスチン(vinbrastine)(ベルバン)、カペシタビン(capecitabine)またはオキサリプラチン(oxaliplatin)などがあるが、それらに制限されるものではない。
【0109】
本発明において、標的抗癌剤は、小分子標的抗癌剤、抗体標的抗癌剤及び抗体・薬物結合物質であるADC(antibody-drug conjugate)のうちから選択されるものでもある。
【0110】
前記小分子標的抗癌剤は、トラメチニブ(trametinib)、ベムラフェニブ(vemurafenib)、アルペリシブ(alpelisib)、ダクトリシブ(dactolisib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、ラパチニブ(lapatinib)、スニチニブ(sunitinib)、ソラフェニブ(sorafenib)、クリゾチニブ(crizotinib)、ダブラフェニブ(dabrafenib)、トラスツズマブ(trastuzumab)、セツキシマブ(cetuximab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、トファシチニブ(tofacitinib)、イマチニブ(imatinib)及びボルテゾミブ(bortezomib)によってなる群のうちから選択される1以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0111】
前記抗体標的抗癌剤は、ムロモナブ-CD3アブシキシマブ(muromonab-CD3 abciximab)、リツキシマブ(rituximab)、ダクリズマブ(daclizumab)、パリビズマブ(palivizumab)、インフリキシマブ(infliximab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、エタネルセプト(etanercept)、バシリキシマブ(basiliximab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、アダリムマブ(adalimumab)、アレファセプト(alefacept)、オマリズマブ(omalizumab)、エファリズマブ(efalizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ナタリズマブ(natalizumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、エクリズマブ(eculizumab)、リロナセブト(rilonacept)、セルトリズマブ(certolizumab)、ロミプロスチム(romiplostim)、AMG-531、ゴリムマブ(golimumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ABT-874、ベラタセブト(belatacept)、ベリムマブ(belimumab)、アタシセブト(atacicept)、抗CD20抗体、カナキヌマブ(canakinumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、アトリズマブ(atlizumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ペルツズマブ(pertuzumab)、ヒュメックスCD20(HuMax CD20)、トレメルリムマブ(tremelimumab)、ティシルリムマブ(ticilimumab)、イピリムマブ(ipilimumab)、IDEC-114、イノツズマブ(inotuzumab)、アフリベルセプト(aflibercept)、ヒューマックス-CD4(HuMax-CD4)、テプリズマブ(teplizumab)、オテリキシズマブ(otelixizumab)、カツマキソマブ(catumaxomab)、抗EpCAM抗体IGN101(anti-EpCAM antibody IGN101)、アデカツムマブ(adecatumumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、ジヌツキシマブ(dinutuximab)、ジレンツキシマブ(girentuximab)、デノスマブ(denosumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、モタビズマブ(motavizumab)、エファングマブ(efumgumab)、ラキシバクマブ(raxibacumab)、LY2469298及びベルツズマブ(veltuzumab)によってなる群のうちから選択される1以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0112】
前記ADCは、ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumabozogamicin)、ブレンツキシマブベドチン(brentuximabvedotin)、トラスツズマブエムタンシン(trastuzumabemtansine)、イノツズマブオゾガマイシン(inotuzumabozogamicin)、ポラツズマブベドチン(polatuzumabvedotin)、エンホルツマブベドチン(enfortumabvedotin)、トラスツズマブデルクステカン(trastuzumabderuxtecan)、サシツズマブゴビテカン(sacituzumabgovitecan)、ベランタマブマフォドチン(belantamabmafodotin)、モキセツモマブパスドトックス(moxetumomabpasudotox)、ロンカスツキシマブテシリン(loncastuximabtesirine)及びチソツマブベドチン-tftv(tisotumabvedotin-tftv)によってなる群のうちから選択される1以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0113】
本発明において、前記免疫抗癌剤は、CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)、PD-1(programmed cell death protein 1)、PD-L1(programmed death-ligand 1)、LAG-3(lymphocyte activation gene-3)、TIM-3(T-cell immunoglobulin and mucin-domain containing-3)、TIGIT(T-cell immunoreptor with IG and ITIM domain)及びVISTA(V-domain Ig suppressor of T cell activation)によって構成された群のうちから選択されたいずれか一つに係わる免疫チェックポイント抑制剤(immune checkpoint inhibitor)でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0114】
本発明において、前記組成物は、抗癌補助剤を追加して含むものでもあり、さらに望ましくは、前記抗癌補助剤は、STING(stimulator of interferon gene)アゴニストでもあるが、それに制限されるものではない。
【0115】
本発明のワクチン組成物は、対象に免疫反応を誘導するか、あるいは治療、ワクチン接種(vaccinating)または免疫療法を提供する方法に使用するためのものでもあり、ワクチン組成物は、ワクチンまたは免疫治療組成物でもある。
【0116】
本発明において、前記癌は、固形癌でもある。
【0117】
本発明において、前記癌は、例えば、扁平細胞癌(squamous cell cancer)(例:上皮扁平細胞癌)、小型細胞肺癌、非小型細胞肺癌、肺癌、腹膜癌、結腸癌、胆道腫瘍、鼻咽喉癌、喉頭癌、気管支癌、口腔癌、骨肉腫、胆嚢癌、腎臓癌、白血病、膀胱癌、黒色腫、脳癌、神経膠腫、脳腫瘍、皮膚癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、骨髄癌、食道癌、大腸癌、胃癌、子宮頸部癌、前立腺癌、卵巣癌、頭頚部癌及び直腸癌によってなる群のうちから選択された1種以上であることを特徴とするものであるが、それらに限定されるものではない。
【0118】
本発明のワクチン組成物は、凍結乾燥されるか、あるいは水性形態(aqueous form)でもある。凍結乾燥されたワクチン組成物の場合、患者投与前、全ての成分を適切な水性媒質(aqueous medium)において再構成(reconstitution)する。水性形態のワクチン組成物は、水溶液または懸濁液でもある。そのような類型の液体製剤(liquid formulations)は、組成物を水性媒質において再構成する必要なしに包装された形態でもって、直接投与しうるので、注射に理想的である。ワクチン組成物は、バイアル(vials)でもって提供されるか、あるいは事前に充填された注射器でもって提供されうる。該注射器は、針と共に、または針なしに供給されうる。該注射器は、単一用量を含む一方、バイアルは、単一用量、または多数の(multiple)用量を含むものでもある。また、本発明のワクチン組成物は、マイクロニードルを利用して投与されうる。
【0119】
本発明のワクチン組成物は、多数の投与フォーマット(multiple dose format)に包装されるとき、抗菌剤(antimicrobial)を含むものでもある。該抗菌剤としては、2-フェノキシエタノール(2-phenoxyethanol)またはパラベン(parabens)(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン)などのうちから選択されうる。任意の保存剤は、望ましくは、低レベルで存在する。該保存剤は、外因性によって添加され、かつ/あるいは組成物を形成するために混合されるバルク抗原の成分でもある。
【0120】
本発明のワクチン組成物は、マニュアルなどを含むキット形態で提供されうる。
【0121】
本発明において、有効成分と結合されて使用された「治療学的で有効な量」という用語は、対象疾患を予防または治療するのに有効な量を意味し、本発明の組成物の治療的に有効な量は、さまざまな要素、例えば、投与方法、目的部位、患者の状態などによっても異なる。従って、人体に使用するとき、投与量は、安全性及び効率性を共に考慮し、適正量に決定されなければならない。動物実験を介して決定された有効量から、ヒトに使用される量を推定することも可能である。
【0122】
異なって示されない限り、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された全ての数は、言及されているにしても、言及されていないにしても、全ての場合、用語「約」によって修飾されうると理解されなければならない。また、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された精密な数値は、本開示内容のさらなる実施態様を形成すると理解されなければならない。実施例に開示された数値の正確性を保証するために努力を傾けた。しかしながら、測定された全ての数値は、内在的に、そのそれぞれの測定技法で実測された標準偏差から生成された特定誤差値を含むものでもある。
【0123】
以下、実施例を介し、本発明についてさらに詳細に説明する。それら実施例は、ただ本発明についてさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により、本発明の範囲が、それら実施例によって制限されるものではないということは、当業界で通常の知識を有する者において、自明であろう。
【実施例
【0124】
HSP90抗原性ペプチドの免疫原性測定、及び抗癌効果分析を行うための動物は、C57BL/6マウス(メス、7週齢)、FVBマウス(メス、6週齢)及びMMTVneu形質転換マウス(メス、6週齢)を、実験の目的によって選択し、それぞれの群当たり4匹ずつ使用した。
【0125】
実施例1の動物試験は、Cha医科学大学校実験動物運営委員会(IACUC(Institutional Animal Care and Use Committee)、承認番号:#200081)の承認下において、実施例2,3の動物実験は、高麗大学校実験動物運営委員会(IACUC、承認番号:KOREA-2019-129)の承認下において倫理的に実施した。
【0126】
実験において使用されたHSP90抗原性ペプチドの配列情報は、表1に記載されている。
【0127】
【表1】
【0128】
[実施例1]
HSP90のうちから選別された抗原性ペプチド(表1参照)、多様なアジュバント、及びリポソームによる効能を分析するために、表2及び表3の組成でもって、試験ワクチンを製造した。G6剤形とG7剤形との場合、リポソームを含んでいるために、薬物の放出速度が遅くなるので、抗原性ペプチドの量を20%に減らし、試験ワクチンを製造した。製造された試験ワクチンG1剤形ないしG7剤形は、C57BL/B6マウス(メス、7週齢)を使用し、各群当たり4匹ずつ免疫化させた。CFA/IFAは、フロインドアジュバント(Complete Freund’s adjuvant/Incomplete Freund’s adjuvant)を使用し、TLR2アゴニスト(TLR2L)としては、Pam3Cys-SKKKKリポポリペブチドを使用し、TLR3アゴニスト(TLR3L)としては、Poly(I:C)を使用した。リポソームは、陽イオン性リポソーム使用した。
【0129】
試験ワクチンは、既出願の登録特許第10-0900837号または第10-2098097に記述されているように、本発明の抗原性ペプチドを、Pam3Cys-SKKKK(G3)またはPoly(I:C)(G4)とそれぞれ常温で混ぜるか、あるいはPam3Cys-SKKKKとPoly(I:C)とを共に含むL-pampo剤形(G5、G6、G7)に製造した。TLR2アゴニスト及び/またはTLR3アゴニストを含むG3、G4、G5、G6、G7の試験ワクチンは、表2または表3の含量が、全体体積である200μlに含まれるように製造した。また、G3、G4、G5、G6、G7の試験ワクチンは、150mM NaClと10mMリン酸ナトリウムとが含まれ、pHは、7.0に合わされた水溶液状態の剤形に製造した。
【0130】
試験ワクチンは、各群当たり4匹ずつ、10日ごとに3回ずつ、皮下注射でもって各ワクチン剤形を接種し、最後の接種から10日後に犠牲にしたマウスの脾臓から、脾臓細胞(splenocytes)を分離した後、以前に公知されたDisisらの方法(J Clin Oncol. 2009 Oct 1; 27(28): 4685-92)により、配列番号1または配列番号2のHSP90抗原性ペプチド(刺激剤)によって刺激されたIFN-γまたはIL-10 ELISpot法を介し、それぞれのHSP90抗原性ペプチドに係わる特異的な反応を測定した。
【0131】
試験ワクチン接種後、ELISpot法で測定された脾臓細胞において、HSP90抗原性ペプチド特異的なIFN-γ生産量が増加した場合、Th1免疫反応が活性化されたと見なし、HSP90抗原性ペプチド特異的なIL-10生産量が増加した場合、Th2免疫反応が活性化されたと見なした。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
配列番号1及び2の各抗原性ペプチドを含むG1ないしG7の試験ワクチンに係わるELISpot結果は、図1及び図2に示されている。
【0135】
図1a)においては、配列番号1のHSP90抗原性ペプチドを抗原として使用する場合、G3剤形(TLR2アゴニスト単独含む)においては、Th1免疫反応をほとんど示しておらず、G4剤形(TLR3アゴニスト単独含む)においては、対照群であるCFA/IFAと類似した程度のHSP90特異的なTh1免疫反応を示した。しかしながら、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストをいずれも含むG5剤形において、G3剤形及びG4剤形に比べ、相乗効果(シナジー効果)を示すことを確認することができ、G5剤形にリポソームを追加する場合、HSP90特異的なTh1免疫反応が急激に低減される傾向を示した。TLR3アゴニストを、さらに多量で含むG7剤形の場合、HSP90特異的なTh1免疫反応が、G6剤形よりさらに低減される傾向を示した。
【0136】
配列番号2のHSP90抗原性ペプチドを抗原として使用する場合、アジュバントの種類、及びリポソーム含有いかんとはかかわらず、HSP90特異的なTh1免疫反応がほとんど観察されていない(図1b))。
【0137】
図2a)においては、配列番号1のHSP90抗原性ペプチドを使用する場合、G2剤形(CFA/IFA)の場合、Th2免疫反応が最も高く、TLR2アゴニスト及び/またはTLR3アゴニストを使用する場合、Th2免疫反応は、ほとんど観察されていない(G3~G5剤形)。しかしながら、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含みながら、リポソームを含む場合、それ自体でもって、Th2免疫反応性が増大する傾向は見られたが、統計的に有意ではなかった。
【0138】
配列番号2のHSP90抗原性ペプチドを使用する場合、Th1免疫反応よりは、Th2免疫反応様相を観察することができたが、各剤形間に、統計的に有意な結果を得ることができなかった(図2b))。
【0139】
まとめれば、本実験においては、配列番号1のHSP90抗原性ペプチドが、癌ワクチンとして要求される効果であるHSP90特異的なT細胞免疫反応を効果的に誘導することが分かり、このとき、アジュバントとして、TLR2アゴニスト、TRL3アゴニストの混合使用が、相乗効果(synergic effect)を有するということが分かる(G5剤形)。しかしながら、そのような相乗効果は、剤形にリポソームを添加する場合、完全に消える傾向を確認した。従って、HSP90抗原性ペプチドを含む抗癌用ワクチン組成物には、アジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含み、リポソームは、別途に含まないことが、HSP90特異的なT細胞免疫反応のためには、望ましい剤形であるということが分かる。
【0140】
[実施例2]
マウスモデルにおいて、多様なTLRアゴニストのアジュバントとしての活性を分析するために、配列番号1及び2のHSP90抗原性ペプチド混合物(以下、「HSP90ペプチド」または「HSP90peptide」とする)と、アジュバントとして使用されると知られているTLR4アゴニスト(TLR4L)、TLR2/3アゴニスト(TLR2アゴニストとTRL3アゴニストとの混合(TLR2/3L))、及びTLR7/8アゴニスト(TLR7アゴニストとTLR8アゴニストとの混合(TLR7/8L))を剤形化し、FVBマウス(メス、6週齢)に対し、各群当たり4匹ずつ、10日ごとに3回ずつ、皮下注射でもって各ワクチン剤形を接種し、最後の接種から10日後にマウスの脾臓細胞を分離した後、IFN-γ ELISpot法を利用し、HSP90特異的なT細胞反応を測定した。
【0141】
本実験で使用したCFA/IFAは、シグマ社から購入し、TLR4アゴニストは、Quratis社のGLA-SEを使用した。TLR2/3アゴニストは、Chaワクチン研究所で提供され、TLR7/8アゴニスト3M-052は、3M社から購入した。陰性対照群として使用したTTペプチドは、破傷風毒素(tetanus toxin)ペプチドであり、コンカナバリンAは、陽性対照群として使用した。ワクチン剤形に含まれる各成分の量として、CFA/IFAは、100μg、TLR2アゴニストは、125μg、TLR3アゴニストは、100μg、HSP90ペプチドは、配列番号1で表示されるペプチド、及び配列番号2で表示されるペプチドそれぞれ50μgずつ組み合わせた100μgを使用し、残量は、PBSでもって全体体積を200μlに調節した。
【0142】
図3に示されているように、HSP90抗原性ペプチドと、アジュバントとして、TLR4アゴニストまたはTLR7/8アゴニストと、を含む剤形は、いずれもHSP90特異T細胞反応を誘導することができなかった。HSP90抗原性ペプチドと、アジュバントとして、CFA/IFAと、を使用する場合、及びHSP90抗原性ペプチドと、アジュバントとして、TLR2/3アゴニストと、を使用する場合のいずれにおいても、HSP90特異T細胞反応を誘導したが、TLR2/3アゴニストを使用する場合、一般的に、抗癌ワクチンにおいて、強力な免疫反応を誘導すると知られているCFA/IFAよりも、2倍以上さらに高いHSP90特異T細胞反応を誘導した。それにより、TLR2/3アゴニストが、HSP90抗原性ペプチドにさらに適するアジュバントであることを確認した。
【0143】
従って、配列番号1及び2のHSP90抗原性ペプチドを免疫原性抗原として使用する場合、多様なTLRアゴニストにおいて、TLR2/3アゴニストが、特異的にHSP90特異T細胞反応を誘導するということを確認し、そのような結果は、HSP90抗原性ペプチドを免疫源にする場合、アジュバントとして、TLR2/3アゴニストを使用する場合、癌ワクチンにおいて、目的とする免疫原性特異的なT細胞反応が誘導されるであろうということを反映させる。
【0144】
[実施例3]
腫瘍移植モデルは、マウス乳癌細胞株をマウスに移植するモデルを使用した。腫瘍生成のためのマウス乳癌細胞株は、mouse mammary cancer cell-FVB/N-Tg (MMTVneu)-202Mulマウス由来HER-2過発現乳癌細胞株を使用し、前記乳癌細胞株を移植するマウスは、MMTVneu形質転換マウスのメス6週齢を使用した。
【0145】
各群当たり4匹ずつ、生理食塩水(PBS)とアジュバント(TLR2/3アゴニスト)との群(以下、「対照群」とする)、または配列番号1及び配列番号2のHSP90抗原性ペプチドと、アジュバント(TLR2/3アゴニスト)との群(以下、「試験群」とする)に分けた。10日ごとに、3回ずつ皮下注射を、対照群または試験群のワクチンを接種し、最後の接種から10日後、生理食塩水とマトリゲルとを1:1に混ぜたゲルにおいて、一匹当たり5X10個のマウス乳癌細胞株を、マウスわき腹に皮下注射し、腫瘍の成長を3~4日間隔で観察し、腫瘍の大きさを測定し、HSP90抗原性ペプチドワクチンの腫瘍形成を抑制する効果を確認した。ワクチン接種及び腫瘍細胞移植の同一期間の間、各マウスの体重は、対照群と試験群との間に差がなかった。
【0146】
癌細胞移植後35日になる日に各マウスを犠牲にし、癌組織及び脾臓を摘出し、大きさを測定した。
【0147】
図4に示されているように、試験群(HSP90抗原性ペプチドとTLR2/3アゴニストとのワクチン剤形投与群)のマウスは、対照群に比べ、統計学的に有意に腫瘍成長が抑制された。具体的には、対照群の平均平均腫瘍体積が、1,031±450mmである一方、試験群の平均腫瘍体積は、170±108mmであり、試験群の平均腫瘍体積は、対照群の17%に過ぎず、TLR2/3アゴニストワクチン剤形が、抗原特異的な腫瘍モデルにおいて、効果的に腫瘍生成を抑制しうるということを確認することができた。このとき、各群の体重差はなく、毒性反応による差ではないと確認した。
【0148】
このとき、犠牲にした対照群及び試験群から摘出した腫瘍及び脾臓の大きさは、図5に示されている。試験群は、対照群に比べ、脾臓の大きさが確実に肥大したおり、それにより、試験群において、免疫反応が活性化されたことを確認することができた。
【配列表フリーテキスト】
【0149】
1.配列番号1(HSP90全体配列におけるp485-499領域)
LYVRRVFIMDNCEEL
2.配列番号2(HSP90全体配列におけるp527-541領域)
XSKILKVIRKNLVKK(Xは、pyroglutamateである)
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024534675000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドによって構成された群のうちから選択された1以上のペプチドと、
アジュバントとして、トル様受容体(TLR)2アゴニスト及びTLR3アゴニストと、を含む、抗癌用ワクチン組成物。
【請求項2】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上である、請求項1に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項3】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKである、請求項2に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項4】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C))である、請求項1に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項5】
前記Poly(I:C)は、その長さが、50ないし2,000bpである、請求項4に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸、及び配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドの暗号化配列を含む核酸によって構成された群のうちから選択された1以上の核酸と、
アジュバントとして、TLR2アゴニスト及びTLR3アゴニストを含む、抗癌用ワクチン組成物。
【請求項7】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKK、PHC-SKKKK、Ole2PamCys-SKKKK、Pam2Cys-SKKKK、PamCys(Pam)-SKKKK、Ole2Cys-SKKKK、Myr2Cys-SKKKK、PamDhc-SKKKK、PamCSKKKK、Dhc-SKKKKのうちから選択される1以上である、請求項6に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項8】
前記TLR2アゴニストは、Pam3Cys-SKKKKである、請求項7に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項9】
前記TLR3アゴニストは、ポリイノシン酸・ポリシチジル酸(Poly(I:C))である、請求項6に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項10】
前記Poly(I:C)は、その長さが、50ないし2,000bpである、請求項9に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項11】
前記ワクチン組成物は、対象体において、癌を治療し、かつ/あるいは再発を予防する、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項12】
前記対象体は、乳癌患者である、請求項11に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項13】
前記ワクチン組成物は、リポソームを含まない、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項14】
前記ワクチン組成物は、免疫調節剤、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上を追加して含む、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項15】
前記免疫抗癌剤は、CTLA-4、PD-1、LAG-3、TIM-3、TIGIT及びVISTAによって構成された群のうちから選択されたいずれか1以上に対する免疫チェックポイント抑制剤である、請求項14に記載の抗癌用ワクチン組成物。
【請求項16】
癌の予防、改善または治療のための薬剤製造のためのものである、請求項1ないし10のうちいずれか1項のワクチン組成物の用途。
【国際調査報告】