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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20240912BHJP
   H01M 50/204 20210101ALN20240912BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519917
(86)(22)【出願日】2023-04-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 CN2023088166
(87)【国際公開番号】W WO2023207620
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】202210467669.6
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】胥恩東
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031EE04
5H040AA37
5H040AS07
5H040AY08
5H040LL04
5H040LL06
5H040NN00
5H040NN01
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池及び電力消費機器を提供する。該電池は、第1の方向に沿って配列される、隣接する第1の電池セル及び第2の電池セルを含む複数の電池セルと、第1の電池セルと第2の電池セルとの間に設置され、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層を含む断熱板と、を含む。本出願の実施例による技術案は、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、これによって電池の確実性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
第1の方向(x)に沿って配列される、隣接する第1の電池セル(21)及び第2の電池セル(22)を含む複数の電池セル(20)と、
前記第1の電池セル(21)と前記第2の電池セル(22)との間に設置される断熱板(101)であって、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層(1011)を含む断熱板(101)と、
を含む、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記高分子マトリックス複合繊維板は繊維強化樹脂複合板である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記断熱板(101)は、前記第1の電池セル(21)の第1の壁(211)と前記第2の電池セル(22)の第2の壁(221)との間に設置され、前記第1の壁(211)は、前記第1の電池セル(21)における表面積が最も大きく、且つ前記第2の電池セル(22)に最も近い壁であり、前記第2の壁(221)は、前記第2の電池セル(22)における表面積が最も大きく、且つ前記第1の電池セル(21)に最も近い壁である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記断熱板(101)は、前記第1の方向(x)に沿って配列される第2の断熱層(1012)と、2つの前記第1の断熱層(1011)と、を含み、前記第2の断熱層(1012)が2つの前記第1の断熱層(1011)の間に位置する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記第1の方向(x)に垂直である第2の方向(y)における2つの前記第1の断熱層(1011)の端部が接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記第2の方向(y)において、2つの前記第1の断熱層(1011)は端部以外の他の位置のうちの少なくとも1つの位置で接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の電池(10)。
【請求項7】
2つの前記第1の断熱層(1011)の接続位置は、前記第2の方向(y)において均一に分布する、ことを特徴とする請求項6に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1は、0.2mm~5mmである、ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(1011)のサイズL1は3mmである、ことを特徴とする請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1と前記電池セルのエネルギーQは、2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たす、ことを特徴とする請求項8に記載の電池。
【請求項11】
L1/Qは8×10-3mm/Whである、ことを特徴とする請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記第1の方向(x)における前記第2の断熱層(1012)のサイズL2と前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1は、0.2≦L2/L1≦0.6を満たす、ことを特徴とする請求項8に記載の電池(10)。
【請求項13】
前記第1の方向(x)における前記第1の断熱層(1011)のサイズL3は1mmであり、前記第1の方向(x)における前記第2の断熱層(1012)のサイズL2は1mmである、ことを特徴とする請求項12に記載の電池(10)。
【請求項14】
前記第2の断熱層(1012)はエアロゲルブランケットである、ことを特徴とする請求項4~13のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項15】
前記第2の断熱層(1012)はエアサンドイッチである、ことを特徴とする請求項4~13のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項16】
前記第1の断熱層(1011)は、複数層の繊維強化樹脂層を含み、前記繊維強化樹脂層は繊維材料と樹脂材料とが複合して形成される、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項17】
前記樹脂材料は、シリカエアロゲル変性樹脂または耐高温難燃性樹脂である、ことを特徴とする請求項16に記載の電池(10)。
【請求項18】
前記繊維材料は、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、石英繊維、ハイシリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、ムライト繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維、ブルーサイト繊維、アタパルジャイト繊維、ボロン繊維、カーボンナノチューブ繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などの繊維のうちの少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項16又は17に記載の電池(10)。
【請求項19】
前記繊維材料はセラミック繊維材料である、ことを特徴とする請求項16~18のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項20】
前記セラミック繊維材料は酸化ケイ素またはアルミナである、ことを特徴とする請求項19に記載の電池(10)。
【請求項21】
電力消費機器であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の電池(10)を含み、前記電池(10)は、電気エネルギーを提供するためのものである、ことを特徴とする電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年04月29日に提出された、名称が「電池及び電力消費機器」である中国特許出願202210467669.6の優先権を主張し、該出願の内容の全ては引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0003】
省エネと排出削減は、自動車産業の持続可能な発展のカギである。このような場合、電動車両は、その省エネと環境保護の優位性のため、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電動車両にとって、電池技術は、その発展に関わる重要な要素である。
【0004】
電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、電池の熱暴走の問題も無視できない問題となっている。電池の熱暴走の拡散は、安全上の大きなリスクをもたらす。したがって、どのように電池内の熱暴走拡散のリスクを低減するかは、電池技術において早急に解決すべき技術問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施例は、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、それによって電池の確実性を向上させることができる電池及び電力消費機器を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、電池を提供し、該電池は、第1の方向に沿って配列される、隣接する第1の電池セル及び第2の電池セルを含む複数の電池セルと、前記第1の電池セルと前記第2の電池セルとの間に設置され、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層を含む断熱板と、を含む。
【0007】
本出願の実施例では、第1の電池セルと第2の電池セルとの間に断熱板が設置されており、電池内の一部の電池セルが熱暴走した場合、この断熱板は熱暴走した電池セルが隣接する電池セルに熱を伝達するリスクを低減し、これによって電池内の熱暴走拡散のリスクを低減することができる。従来技術では、常にエアロゲルブランケットまたは構造的強度を有さない他のプレートを断熱板として用いられるが、エアロゲルブランケットや構造的強度を有さない他のプレートは、電池セルの間に押圧されると変形し、厚さが薄くなり、その断熱効果も大きく低下する。本出願の解決手段における断熱板は、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層を含み、高分子マトリックス複合繊維板は、耐高温、高強度の硬質保護プレートであり、高温でも変形しにくく、電池セルの間に設置されることで、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、それによって電池の確実性を向上させることができる。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記高分子マトリックス複合繊維板は繊維強化樹脂複合板である。
【0009】
高分子材料中の樹脂をマトリックスとして、繊維強化樹脂複合板を保護板として製造すると、他の高分子材料マトリックスに比べて、繊維強化樹脂複合板の耐高温性能が良く、より高い強度を有し、変形しにくくなる。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記断熱板は、前記第1の電池セルの第1の壁と前記第2の電池セルの第2の壁との間に設置され、前記第1の壁は、前記第1の電池セルにおける表面積が最も大きく、且つ前記第2の電池セルに最も近い壁であり、前記第2の壁は、前記第2の電池セルにおける表面積が最も大きく、且つ前記第1の電池セルに最も近い壁である。
【0011】
断熱板は、隣接する2つの電池セルの最も表面積が大きい壁の間に設置されることで、断熱板は電池セルの熱暴走がより広範囲に拡散することを阻止し、電池内の熱暴走拡散のリスクを低減するのにさらに有利である。
【0012】
1つの可能な実施形態では、前記断熱板は、前記第1の方向に沿って配列される第2の断熱層と、2つの前記第1の断熱層と、を含み、前記第2の断熱層は2つの前記第1の断熱層の間に位置する。
【0013】
第1の断熱層は、繊維強化樹脂複合板であり、強度が高く、高温で変形せず、破損しないなどの利点があり、第2の断熱層を2つの第1の断熱層の間に設置し、「サンドイッチ」構造を形成することで、第1の断熱層は、第2の断熱層を電池セルにより押圧変形されないように保護することができ、第2の断熱層が断熱の役割をよりよく果たすようにし、断熱板が電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向に垂直である第2の方向における2つの前記第1の断熱層の端部が接続される。
【0015】
2つの第1の断熱層の端部は接続され、第2の断熱層を2つの第1の断熱層の間にパッケージングし、第2の断熱層が電池セルにより押圧変形されないように保護する。また、2つの第1の断熱層の端部が接続されており、外部の第1の断熱層の構造的強度が向上する。
【0016】
1つの可能な実施形態では、前記第2の方向において、2つの前記第1の断熱層は、端部以外の他の位置のうちの少なくとも1つの位置で接続される。
【0017】
2つの第1の断熱層の間は複数の位置で接続されており、第1の断熱層の構造的強度が向上し、2つの第1の断熱層の間に置かれる第2の断熱層に対してより良い支持役割を果たし、第2の断熱層が電池セルにより押圧変形されないようにする。
【0018】
1つの可能な実施形態では、2つの前記第1の断熱層の接続位置は、前記第2の方向に均一に分布する。
【0019】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向における前記断熱板のサイズL1は、0.2mm~5mmである。
【0020】
第1の方向における断熱板のサイズL1が小さすぎる場合、断熱板の断熱効果が低く、また断熱板の強度が小さく、両側の電池セルによって押圧されて変形しやすく、断熱効果を低下させる。第1の方向における断熱板のサイズL1が大きすぎる場合、電池内の過剰な空間を占有し、電池のエネルギー密度を低下する。したがって、第1の方向における断熱板のサイズL1は0.2mm~5mmであるように設定し、断熱板の強度が高く、断熱効果が高いことを保証するとともに、電池に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0021】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向における前記断熱板のサイズL1は3mmである。
【0022】
第1の方向における断熱板のサイズL1は3mmであるように設定し、断熱板に高い強度を持たせ、押圧されて変形しにくく、高温でも変形せず、断熱効果が高く、電池の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減できるとともに、電池内の過剰な空間を占有することがなく、電池に高いエネルギー密度を持たせることを保証することができる。
【0023】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向における前記断熱板のサイズL1と前記電池セルのエネルギーQは、2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たす。
【0024】
第1の方向における断熱板のサイズL1と電池セルのエネルギーQとの比が小さすぎる場合、つまり、電池セルの単位エネルギーあたりに対応する断熱板の第1の方向におけるサイズL1が小さすぎる場合、断熱板の断熱効果が低い。電池セルのエネルギーQが一定である場合、L1/Qが大きいほど、すなわちL1が大きいほど、電池内の過剰な空間を占有し、電池のエネルギー密度を低下する。したがって、第1の方向における断熱板のサイズL1と電池セルのエネルギーQとの比は2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たすように設定し、断熱板の断熱効果が高いことを保証するとともに、電池に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0025】
1つの可能な実施形態では、L1/Qは8×10-3mm/Whである。
【0026】
第1の方向における断熱板のサイズL1と電池セルのエネルギーQとの比は8×10-3mm/Whであるように設定し、断熱板に高い断熱効果があるようにし、電池の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減できるとともに、電池内の過剰な空間を占有することがなく、電池に高いエネルギー密度を持たせることを保証することができる。
【0027】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向における前記第2の断熱層のサイズL2と前記第1の方向における前記断熱板のサイズL1とは、0.2≦L2/L1≦0.6を満たす。
【0028】
L2がL1よりもはるかに小さい場合、つまり、L2/L1が小さすぎる場合、第2の断熱層は第1の断熱層よりも薄いため、第2の断熱層が発揮する断熱効果は弱くなる。L2/L1が大きすぎる場合、第2の断熱層が第1の断熱層よりも厚くなり、つまり、第2の断熱層が断熱板の大部分を占めるため、断熱板の強度が低くなり、電池セルによって押圧されて変形しやすくなり、断熱効果に影響を与えるため、0.2≦L2/L1≦0.6に設定されることで、断熱板の断熱効果を保証し、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0029】
1つの可能な実施形態では、前記第1の方向における前記第1の断熱層のサイズL3は1mmであり、前記第1の方向における前記第2の断熱層のサイズL2は1mmである。
【0030】
このように、1つの第1の断熱層と2つの第2の断熱層とが組み立てられて形成される断熱板の第1の方向における全体的なサイズは3mmであり、断熱板の高い強度を確保し、変形しにくく、優れた断熱効果を保証する一方、断熱板が電池内の過剰な空間を占有することがなく、電池に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0031】
1つの可能な実施形態では、前記第2の断熱層はエアロゲルブランケットである。
【0032】
エアロゲルブランケットは、軽量で、裁断しやすく、密度が小さく、無機防火性を有し、全体的に疎水性を有し、環境に優しいなどの特性があり、エアロゲルブランケットの断熱効果は従来の断熱材の2~5倍である。
【0033】
1つの可能な実施形態では、前記第2の断熱層はエアサンドイッチである。
【0034】
この場合、2つの第1の断熱層の間にキャビティが形成され、この構造の断熱板は、一定の構造的強度を有し、押圧に対して変形しにくく、かつ高熱によって変形しにくいだけでなく、一定の断熱効果もあり、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0035】
1つの可能な実施形態では、前記第1の断熱層は、複数層の繊維強化樹脂層を含み、前記繊維強化樹脂層は繊維材料と樹脂材料とが複合して形成される。
【0036】
繊維強化樹脂複合材料は、軽量、高強度、高剛性、耐高温性という特性を有しており、複数層の繊維強化樹脂層が第1の断熱層を形成するため、第1の断熱層が高強度及び耐高温の特性を有し、これによって断熱板が電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減又は阻止することを保証する。
【0037】
1つの可能な実施形態では、前記樹脂材料は、シリカエアロゲル変性樹脂または耐高温難燃性樹脂である。
【0038】
シリカエアロゲル変性樹脂は低熱伝導率の特性を有し、耐高温難燃性樹脂は耐高温、低熱伝導率の特性を有し、一般的な樹脂材料に比べて、シリカエアロゲル変性樹脂及び耐高温難燃性樹脂は繊維材料と複合して、より優れた耐高温、高強度の特性を有する繊維強化樹脂複合材料を形成し、繊維強化樹脂複合材料で形成される第1の断熱層は電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0039】
1つの可能な実施形態では、前記繊維材料は、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、石英繊維、ハイシリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、ムライト繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維、ブルーサイト繊維、アタパルジャイト繊維、ボロン繊維、カーボンナノチューブ繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などの繊維のうちの少なくとも1つである。
【0040】
1つの可能な実施形態では、前記繊維材料はセラミック繊維材料である。
【0041】
セラミック繊維材料は、他の繊維材料に比べてより優れた耐高温の性能を有し、セラミック繊維材料と樹脂材料を複合して形成された材料は、より優れた耐高温及び高強度の特性を有し、この複合材料で形成された第1の断熱層は、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0042】
1つの可能な実施形態では、前記セラミック繊維材料は酸化ケイ素またはアルミナである。
【0043】
酸化ケイ素またはアルミナを用いたセラミック繊維材料と樹脂材料を複合して製造された第1の断熱層は、その耐高温性能が最も優れている。
【0044】
第2の態様によれば、電力消費機器を提供し、前記電力消費機器は、前記第1の態様又は第1の態様におけるいずれかの可能な実現形態における電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するためのものである。
【0045】
本出願の実施例の技術案では、隣接する第1の電池セルと第2の電池セルとの間に断熱板が設置されており、電池内の一部の電池セルが熱暴走した場合、この断熱板は熱暴走した電池セルが隣接する電池セルに熱を伝達するリスクを低減し、それによって電池内の熱暴走拡散のリスクを低減することができる。従来技術では、常にエアロゲルブランケットまたは構造的強度を有さない他のプレートを断熱板として用いられるが、エアロゲルブランケットや構造的強度を有さない他のプレートは、電池セルの間に押圧されると変形し、厚さが薄くなり、その断熱効果も大きく低下する。本出願の解決手段における断熱板は、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層を含み、高分子マトリックス複合繊維板は、耐高温、高強度の硬質保護プレートであり、高温でも変形しにくく、電池セルの間に設置されることで、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、これによって電池の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、明らかなことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の一実施例による車両の構造概略図である。
図2】本出願の一実施例による電池の分解構造概略図である。
図3】本出願の一実施例による電池セルの分解構造概略図である。
図4】本出願の一実施例による電池の分解構造概略図である。
図5】本出願の一実施例による電池の部分的構造概略図である。
図6】本出願の一実施例による電池セル及び断熱板の断面図である。
図7】本出願の一実施例による電池セル及び断熱板の断面図である。
図8】本出願の一実施例による断熱板の分解構造概略図である。
図9】本出願の一実施例による断熱板の分解構造概略図である。
図10】本出願の一実施例による電池セル及び断熱板の断面図である。
図11】本出願の一実施例による電池セル及び断熱板の断面図である。
図12】本出願の一実施例による繊維強化樹脂層の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面と実施例を結び付けながら本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細な説明及び図面は、本出願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本出願の範囲を限定するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限定されない。
【0048】
本出願の記述において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、2つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。「垂直」は、厳密な意味での垂直ではないが、誤差の許容範囲内である。「平行」は、厳密な意味での平行ではないが、誤差の許容範囲内である。
【0049】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示される方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0050】
本出願の実施例において、同一の符号は同一の構成要素を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の構成要素に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本出願の実施例における各部材の厚さ、長さ・幅などのサイズ、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ・幅などのサイズは、例示的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0051】
本出願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体、又はその他の形状などをなしてもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池セルは、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池セル、四角形電池セルとパウチ電池セルの3つの種類に分けられ、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0052】
本出願の実施例で言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本出願に言及される電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池は、一般的には、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0053】
電池セルは電極アセンブリと電解液とを含み、電極アセンブリは正極板、負極板及びセパレータによって構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することで作動する。正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗覆されており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗覆された正極集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗覆されており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極活物質層が塗覆された負極集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層される。セパレータの材質は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)又はポリエチレン(polyethylene、PE)などであってもよい。また、電極アセンブリは、捲回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0054】
様々な電力需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよい。ここで、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。任意選択的に、複数の電池セルをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは直接的に電池を構成してもよいし、又は、まず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。電池はさらに電力消費機器に設置され、電力消費機器のために電気エネルギーを提供する。
【0055】
現在、市場情勢の発展の観点から、動力電池の応用は益々拡大している。動力電池は、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電源システムに応用されるのみならず、電動自転車、電動バイク、電気自動車などの電動交通ツール、軍事用装備、航空宇宙飛行などの多くの分野で広く応用される。動力電池応用分野の継続的な拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0056】
電池技術の発展において、電池の性能の向上に加えて、電池の熱暴走の問題も無視できない問題となっている。電池の使用過程において、電池の熱暴走のリスクは極めて高く、熱暴走の拡散は安全上の大きなリスクをもたらすため、どのように電池内の熱暴走拡散のリスクを低減するかは、当業者の注目の焦点となっている。
【0057】
これに鑑みて、本出願の実施例は技術案を提供し、隣接する第1の電池セルと第2の電池セルとの間に断熱板が設置されており、電池中の一部の電池セルが熱暴走した場合、この断熱板は熱暴走した電池セルが隣接する電池セルに熱を伝達するリスクを低減し、それによって電池内の熱暴走拡散のリスクを低減することができる。本出願の解決手段における断熱板は、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層を含み、高分子マトリックス複合繊維板は、耐高温、高強度の硬質保護プレートであり、高温でも変形しにくく、電池セルの間に設置されることで、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、これによって電池の確実性を向上させることができる。
【0058】
本出願の実施例で説明された技術案はいずれも電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、携帯型デバイス、ノートパソコン、電動スクーター、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙機などに適用でき、例えば、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0059】
理解すべきこととして、本出願の実施例で説明された技術案は、上記で記述された機器のみに適用できるというわけではなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例では、電動車両を例にして説明する。
【0060】
例えば、図1に示すように、本出願の一実施例による車両1の構造概略図である。車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は、電池10がモータ40に給電するように制御するためのものである。例えば、車両1の底部又は前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は、車両1への給電に用いることができる。例えば、電池10を車両1の操作電源として、車両1の電気回路システムに用いることができ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の作動電力需要に用いることができる。本出願の別の実施例では、電池10は、車両1の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0061】
様々な電力消費の需要を満たすために、電池10は複数の電池セルを含んでもよい。例えば、図2に示すように、本出願の一実施例による電池10の構造概略図である。電池10は、複数の電池セル20を含んでもよい。電池10は筐体11をさらに含んでもよく、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体11内に収容される。例えば、複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせた後に、筐体11内に置かれる。
【0062】
任意選択的に、電池10は他の構造をさらに含んでもよいが、ここでは説明を省略する。例えば、この電池10は、複数の電池セル20同士の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するためのバスバー部品をさらに含んでもよい。具体的には、バスバー部品は、電池セル20の電極端子に接続されることで電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部品は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定されることができる。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに導電機構により筐体を貫通して引き出すことができる。任意選択的に、導電機構は、バスバー部品に属してもよい。
【0063】
様々な電力需要に応じて、電池セル20の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20を直列接続、並列接続又は直並列接続することにより、大きい容量又は電力を実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い場合があり、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ化して設置し、各グループの電池セル20で電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールに含まれる電池セル20の数は限定されず、需要に応じて設置すればよい。電池は、複数の電池モジュールを含んでもよく、これら電池モジュールは、直列、並列又は直並列に接続することができる。
【0064】
図3に示すように、本出願の一実施例による電池セル20の構造概略図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22と、ケース211と、カバープレート212とを含む。ケース211とカバープレート212は、ハウジング又は電池ボックス21を形成する。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれ、ここで、直方体型の電池セル20に対し、ケース211の壁は、底壁と四つの側壁を含む。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に基づいて決定され、例えば、ケース211は、中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、ケース211における1つの面は、1つ又は複数の電極アセンブリ22をケース211内に置くことが可能になるように、開口を有する。例えば、ケース211が中空の直方体又は立方体である場合、ケース211における1つの平面が開口面であり、即ち該平面は壁体を有しておらず、ケース211の内外を連通させる。ケース211が中空の円筒体である場合、ケース211の端面が開口面であり、即ち該端面は壁体を有しておらず、ケース211の内外を連通させる。カバープレート212は開口を覆い、且つケース211に接続されることによって、電極アセンブリ22を置くための密閉キャビティを形成する。ケース211内には、電解質、例えば、電解液が充填される。
【0065】
該電池セル20は、2つの電極端子214をさらに含んでもよく、2つの電極端子214はカバープレート212上に設置されてもよい。カバープレート212は、一般的には平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平板表面上に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ正電極端子214aと負電極端子214bである。各電極端子214に対応してそれぞれ1つの接続部材23(又は集電部材と呼ぶ)が設置され、、これはカバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置し、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するためのものである。
【0066】
図3に示すように、各電極アセンブリ22は、第1のタブ221a及び第2のタブ222aを有する。第1のタブ221aと第2のタブ222aとは、極性が逆である。例えば、第1のタブ221aが正極タブである場合、第2のタブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1のタブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2のタブ222aはもう1つの接続部材23を介してもう1つの電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bはもう一つの接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0067】
該電池セル20において、実際の使用上の需要に応じて、電極アセンブリ22は1つ又は複数設置されてもよいが、図3に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極アセンブリ22が設置される。
【0068】
電池セル20上に、放圧機構213がさらに設置されてもよい。放圧機構213は、電池セル20の内圧又は温度が閾値に達した時に作動して内圧又は温度を逃がすためのものである。
【0069】
放圧機構213はいかなる可能な放圧構造であってもよく、本出願の実施例ではこれについて限定しない。例えば、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融できるように構成される感温性放圧機構であってもよく、及び/又は、放圧機構213は、放圧機構213を設けた電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂できるように構成される感圧性放圧機構であってもよい。
【0070】
図4は、本出願の一実施例による電池10の構造概略図を示す。図4に示すように、電池10は、第1の方向xに沿って配列される、隣接する第1の電池セル21と第2の電池セル22を含む複数の電池セル20を含み、電池10は、第1の電池セル21と第2の電池セル22との間に設置される断熱板101をさらに含む。ここで、断熱板101は高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層1011を含む。
【0071】
高分子マトリックス複合繊維板は、高分子材料をマトリックスとし、繊維を強化体として複合して作られるものであり、耐高温、高強度、変形しにくいなどの利点がある。
【0072】
第1の電池セル21と第2の電池セル22との間には断熱板101が設置されており、電池10中の一部の電池セル20が熱暴走した場合、この断熱板101は熱暴走した電池セル20が隣接する電池セル20に熱を伝達するリスクを低減し、それによって熱暴走拡散のリスクを低減することができる。この断熱板101は高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層1011を含み、高分子マトリックス複合繊維板は、電池セル20の間に設置され、電池10内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減し、それによって電池10の確実性を向上させることができる。
【0073】
任意選択的に、本出願の実施例では、高分子マトリックス複合繊維板は繊維強化樹脂複合板である。
【0074】
繊維強化樹脂複合板は、1500℃の高温に耐えられるとともに、押圧された時にプレートが破砕せず、100MPaの応力にも耐えられることができ、熱伝導率が0.2W/(K・m)~1W/(K・m)であり、高強度、耐高温断熱プレートである。
【0075】
高分子材料中の樹脂をマトリックスとして、繊維強化樹脂複合板を保護板として製造すると、他の高分子材料マトリックスに比べて、繊維強化樹脂複合板の耐高温性能が良く、より高い強度を有し、変形しにくくなる。
【0076】
本出願の実施例では、図5に示すように、断熱板101は、第1の電池セル21の第1の壁211と第2の電池セル22の第2の壁221との間に設置され、第1の壁211は、第1の電池セル21における表面積が最も大きい壁であり、第2の壁221は、第2の電池セル22における表面積が最も大きい壁である。
【0077】
断熱板101は、隣接する2つの電池セル20の最も表面積が大きい壁の間に設置されることで、断熱板101は、電池セル20の熱暴走がより広範囲に拡散することを阻止し、電池10内の熱暴走拡散のリスクを低減するのにさらに有利である。
【0078】
断熱板101は、隣接する2つの電池セル20の他の壁の間にさらに設置されてよく、1つの電池セル20の周囲に隣接する電池セル20があれば、その4つの側壁のいずれにも側壁に対向する断熱板101が設置されてよく、電池10内の電池セル20の配列状況や空間需要に応じて設置されてよく、本出願は、これに対して限定しないことを理解されたい。
【0079】
本出願の実施例では、図6に示すように、断熱板101は、第1の方向xに沿って配列される第2の断熱層1012と、2つの第1の断熱層1011とを含み、第2の断熱層1012が2つの第1の断熱層1011の間に位置する。
【0080】
第1の断熱層1011は、繊維強化樹脂複合板であり、強度が高く、高温で変形せず、破損しないなどの利点があり、第2の断熱層1012を2つの第1の断熱層1011の間に設置し、「サンドイッチ」構造を形成することで、第1の断熱層1011は、第2の断熱層1012が電池セル20により押圧変形されないように保護することができ、第2の断熱層1012が断熱の役割をよりよく果たすようにし、断熱板101が電池10内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0081】
任意選択的に、本出願の実施例では、図7の(a)に示すように、第1の方向xに垂直である第2の方向yにおける2つの第1の断熱層1011の端部が接続されており、図7の(a)に例示的な方向のみを示すが、第2の方向yはこれに限定されるものではない。
【0082】
2つの第1の断熱層1011の端部は接続され、第2の断熱層1012を2つの第1の断熱層1011の間にパッケージングし、第2の断熱層1012が電池セル20により押圧変形されないように保護する。また、2つの第1の断熱層1011の端部が接続されており、外部の第1の断熱層1011の構造的強度が向上する。
【0083】
任意選択的に、本出願の実施例では、図7の(b)に示すように、第2の方向yにおいて、2つの第1の断熱層1011は、端部以外の他の位置のうちの少なくとも1つの位置で接続される。
【0084】
本出願の実施例では、第1の方向xと第2の方向yに垂直である第3の方向において、2つの第1の断熱層1011は、端部以外の他の位置でも接続することができ、少なくとも1つの位置で接続されることを理解されたい。
【0085】
2つの第1の断熱層1011の間は複数の位置で接続されており、第1の断熱層1011の構造的強度が向上し、2つの第1の断熱層1011の間に置かれる第2の断熱層1012に対してより良い支持役割を果たし、第2の断熱層1012が電池セル20により押圧変形されないようにする。
【0086】
任意選択的に、本出願の実施例では、引き続き図7の(b)を参照すると、2つの第1の断熱層1011の接続位置は、第2の方向yに均一に分布する。
【0087】
任意選択的に、本出願の実施例では、第3の方向zにおける2つの第1の断熱層1011の端部が接続される。
【0088】
具体的には、図8に示すように、第1の断熱層は、周囲が凸で中央部位が凹んだ構造であり、2つの第1の断熱層1011は第2の方向yにおける端部が接続されており、また、第3の方向zにおける2つの断熱層1011の端部も接続される。つまり、2つの第1の断熱層1011の4つの端部がそれぞれ接続されて、密閉されたキャビティを形成する。第2の断熱層1012をこのキャビティ内に置かれ、つまり、第2の断熱層1012が第1の断熱層1011によって完全に包まれて外界から遮断され、第2の断熱層1012が押圧されることをより効果的に回避することができる。
【0089】
任意選択的に、本出願の実施例では、図9に示すように、第3の方向zにおける端部が接続される2つの第1の断熱層1011と、2つの第1の断熱層1011の間に位置する1つの第2の断熱層1012とが第2の方向yに沿って配列される。
【0090】
具体的には、2つの第1の断熱層1011は、第2の方向yに沿って配列されており、2つの第1の断熱層1011は第3の方向zにおける端部が接続されることで、2つの第1の断熱層1011は囲んで「口」の形状を形成し、第2の断熱層1012は、2つの第1の断熱層1011の間に位置し、つまり第2の断熱層1012は、第2の方向y及び第3の方向zの両方において2つの第1の断熱層1011によって囲まれ、この場合、電池セル20が第1の断熱層1011と第2の断熱層1012を押圧する時に、第1の断熱層1011の強度が高く、変形しにくく、第1の方向xにおけるそのサイズが基本的に変わらないため、隣接する2つの電池セル20が中間の第2の断熱層1012に近づきにくくなり、それによって第2の断熱層1012を押圧することがなく、第2の断熱層1012が断熱の役割を効果的に果たすことを保証する。
【0091】
任意選択的に、本出願の実施例では、2つの第1の断熱層1011は一体成形されて「口」形状の構造を形成してもよいし、本出願は、これに対して限定しない。
【0092】
任意選択的に、本出願の実施例では、図10に示すように、第3の方向zにおいて、2つの第1の断熱層1011は端部以外の他の位置のうちの少なくとも1つの位置で接続される。
【0093】
第2の方向yにおいて、2つの第1の断熱層1011は、端部以外の他の位置でも接続することができ、少なくとも1つの位置で接続されることを理解されたい。
【0094】
2つの第1の断熱層1011の間は複数の位置で接続されており、第1の断熱層1011の構造的強度が向上し、2つの第1の断熱層1011の間に置かれる第2の断熱層1012に対してより良い支持役割を果たし、第2の断熱層1012が電池セル20により押圧変形されないようにする。
【0095】
任意選択的に、本出願の実施例では、2つの第1の断熱層1011の接続位置は、第3の方向zにおいて均一に分布する。あるいは、2つの第1の断熱層1011の接続位置は、第2の方向yにおいて均一に分布する。
【0096】
本出願の実施例では、図6図7及び図9~11に示すように、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1は、0.2mm~5mmである。図11に示すように、断熱板101が第1の断熱層1011のみを含む場合、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1は、即ち第1の方向xにおける第1の断熱層1011のサイズL3である。
【0097】
第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1が小さすぎる場合、断熱板101の断熱効果が低く、且つ断熱板101の強度が小さく、両側の電池セル20によって押圧されて変形しやすく、断熱効果を低下させる。第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1が大きすぎる場合、電池10内の過剰な空間を占有し、電池10のエネルギー密度が低下する。したがって、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1は0.2mm~5mmであるように設定し、断熱板101の強度が大きく、断熱効果が高いことを保証するとともに、電池10に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0098】
任意選択的に、本出願の実施例では、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1は3mmである。
【0099】
第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1は3mmであるように設定し、断熱板101に高い強度を持たせ、押圧されて変形しにくく、高温でも変形せず、断熱効果が高く、電池10の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減できるとともに、電池10内の過剰な空間を占有することがなく、電池10に高いエネルギー密度を持たせることを保証することができる。
【0100】
本出願の実施例では、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1と電池セル20のエネルギーQとは、2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たす。
【0101】
電池セルのエネルギーは、電池セルに蓄えられるエネルギーの大きさを指し、電池セルの性能を評価する重要な性能指標の1つである。
【0102】
第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1と電池セル20のエネルギーQとの比が小さすぎる場合、つまり、電池セル20の単位エネルギーあたりに対応する第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1が小さすぎる場合、断熱板101の断熱効果が低い。電池セル20のエネルギーQが一定である場合、L1/Qが大きいほど、すなわちL1が大きいほど、電池10内の過剰な空間を占有し、電池10のエネルギー密度を低下する。したがって、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1と電池セル20のエネルギーQとの比は2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たすように設定し、断熱板101の断熱効果が高いことを保証するとともに、電池10に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0103】
任意選択的に、本出願の実施例では、L1/Qは8×10-3mm/Whである。
【0104】
第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1と電池セル20のエネルギーQとの比は8×10-3mm/Whであるように設定し、断熱板101に高い断熱効果があるようにし、電池10の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減できるとともに、電池10内の過剰な空間を占有することがなく、電池10に高いエネルギー密度を持たせることを保証することができる。
【0105】
本出願の実施例では、第1の方向xにおける第2の断熱層1012のサイズL2と、第1の方向xにおける断熱板101のサイズL1とは、0.2≦L2/L1≦0.6を満たす。
【0106】
L2がL1よりもはるかに小さい場合、つまり、L2/L1が小さすぎる場合、第2の断熱層1012は第1の断熱層1011よりも薄いため、第2の断熱層1012が発揮する断熱効果は弱くなる。L2/L1が大きすぎる場合、第2の断熱層1012が第1の断熱層1011よりも厚くなり、つまり、第2の断熱層1012が断熱板101の大部分を占めるため、断熱板101の強度が低くなり、電池セル20によって押圧されて変形しやすくなり、断熱効果に影響を与えるため、0.2≦L2/L1≦0.6に設定されることで、断熱板101の断熱効果を保証し、電池10内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0107】
任意選択的に、本出願の実施例では、図6及び図7に示すように、第1の方向xにおける第1の断熱層1011のサイズL3は1mmであり、第1の方向xにおける第2の断熱層1012のサイズL2は、1mmである。
【0108】
このように、1つの第1の断熱層1011と2つの第2の断熱層1012とが組み立てられ形成される断熱板101の第1の方向xにおける全体的なサイズは3mmであり、断熱板101の高い強度、変形しにくく、優れた断熱効果を保証する一方、断熱板101が電池10内の過剰な空間を占有することがなく、電池10に高いエネルギー密度を持たせることを保証する。
【0109】
任意選択的に、本出願の実施例では、第2の断熱層1012はエアロゲルブランケットである。
【0110】
エアロゲルブランケットは、軽量であり、裁断しやすく、密度が小さく、無機防火性を有し、全体的に疎水性を有し、環境に優しいなどの特性があり、エアロゲルブランケットの断熱効果は従来の断熱材の2~5倍である。
【0111】
任意選択的に、本出願の実施例では、第2の断熱層1012はエアサンドイッチである。
【0112】
この場合、2つの第1の断熱層1011の間にキャビティが形成され、このような構造の断熱板101は、一定の構造的強度を有し、押圧されて変形しにくく、高熱で変形しにくいだけでなく、一定の断熱効果もあり、電池10内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0113】
任意選択的に、本出願の実施例では、第1の断熱層1011は、複数層の繊維強化樹脂層1013を含み、繊維強化樹脂層1013は繊維材料と樹脂材料とが複合して形成される。
【0114】
繊維材料と樹脂材料との複合過程は、本出願ではこれについて何ら限定しない。例えば、図12に示すように、単繊維材料層1013aを樹脂材料スラリーに浸漬して、樹脂材料スラリーを単繊維材料層1013aの繊維空隙1013bに十分に浸透させた後、60℃~120℃の温度条件で3~30分間ベーキングして繊維強化樹脂層1013を製造することができる。1~20層目の繊維強化樹脂層1013を積層し、0.1~10Mpaの圧力条件下で、100℃~200℃の温度条件下でホットプレス成形して第1の断熱層1011を作製する。
【0115】
本出願は、同様に樹脂材料スラリーの製造方法について何ら限定するものではない。例えば、本出願の実施例では、樹脂材料スラリーは、水性弾性塗料、樹脂材料、難燃剤、分散剤、カップリング剤、シリカ粉末、短繊維を(35-55):(15-34):(15-20):(1-3):(0.5-3):(1-3):(0.5-3)の質量比で構成することができる。
【0116】
本出願の実施例における繊維強化樹脂材料は、色が暗褐色で、良好な耐酸性、力学的性能、耐熱性を有する材料であり、非常に高い温度においてもその構造的完全性とサイズの安定性を維持することができ、防食工学、接着剤、難燃剤などに広く応用される。
【0117】
繊維強化樹脂複合材料は、軽量、高強度、高剛性、耐高温性という特性を有しており、複数層の繊維強化樹脂層が第1の断熱層1011を形成するため、第1の断熱層1011が高強度及び耐高温の特性を有し、それによって断熱板101が電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することを保証する。
【0118】
任意選択的に、本出願の実施例では、樹脂材料は、シリカエアロゲル変性樹脂または耐高温難燃性樹脂である。
【0119】
シリカエアロゲル変性樹脂は低熱伝導率の特性を有し、耐高温難燃性樹脂は耐高温、低熱伝導率の特性を有し、一般的な樹脂材料に比べて、シリカエアロゲル変性樹脂と耐高温難燃性樹脂は繊維材料と複合して、より優れた耐高温、高強度の特性を有する繊維強化樹脂複合材料を形成し、繊維強化樹脂複合材料で形成される第1の断熱層1011は電池10の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0120】
任意選択的に、本出願の実施例では、繊維材料はセラミック繊維材料である。
【0121】
具体的には、繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、石英繊維、ハイシリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、ムライト繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維、ブルーサイト繊維などの繊維のうちの1つであってもよい。セラミック繊維は、複数の種繊維材料の中で耐高温の性能が比較的に優れている。
【0122】
セラミック繊維材料は、他の繊維材料に比べてより優れた耐高温の性能を有し、セラミック繊維材料と樹脂材料とが複合して形成された材料は、より優れた耐高温と高強度の特性を有し、この複合材料で形成された第1の断熱層は、電池内の熱暴走拡散のリスクを効果的に低減することができる。
【0123】
任意選択的に、本出願の実施例では、セラミック繊維材料は酸化ケイ素またはアルミナである。
【0124】
酸化ケイ素またはアルミナを用いたセラミック繊維材料と樹脂材料とが複合して製造された第1の断熱層は、その耐高温性能が最も優れている。
【0125】
本出願の実施例は、電力消費機器をさらに提供し、該電力消費機器は、上記実施例における電池10を含んでもよい。任意選択的に、該電力消費機器は、車両1、船舶又は宇宙機などであってもよいが、本出願の実施例ではこれについて限定しない。
【0126】
以下では、本出願の実施例を説明する。以下に記述される実施例は、例示的なもので、本出願を解釈するためのものにすぎず、本出願に対する制限と理解されるべきではない。実施例において具体的な技術又は条件が明記されていない場合、当技術分野の文献に記述される技術若しくは条件、又は製品取扱説明書に従って行う。
【0127】
GB/T 1447-2005繊維強化プラスチックの引張性能試験方法の試験規格で、繊維強化樹脂材料で製造された第1の断熱層に対して引張性能試験を行い、試験結果を表1に示す。GB/T 5258-2008繊維強化プラスチックの面内圧縮性能試験方法の試験規格で、第1の断熱層に対して圧縮性能試験を行い、試験結果を表2に示す。GB/T 1449-2005繊維強化プラスチックの曲げ性能試験方法の試験規格で、第1の断熱層に対して曲げ性能試験を行い、試験の結果を表3に示す。GB/T 30969-2014ポリマーマトリックス複合材料の短梁せん断強度試験方法の試験規格で、第1の断熱層に対して短梁せん断性能試験を行い、試験結果を表4に示す。GB/T 1843-2008プラスチック片持ち梁の衝撃強度の測定の試験規格で、第1の断熱層に対して衝撃性能試験を行い、試験結果を表5に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
【表5】
【0133】
また、厚さが3mmである第1の断熱層に対して硬度試験を行った試験結果は、ショアD硬度が87であり、バーコル硬度が46である。
【0134】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えてもよい。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴を任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれるすべての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(10)であって、
第1の方向(x)に沿って配列される、隣接する第1の電池セル(21)及び第2の電池セル(22)を含む複数の電池セル(20)と、
前記第1の電池セル(21)と前記第2の電池セル(22)との間に設置される断熱板(101)であって、高分子マトリックス複合繊維板である第1の断熱層(1011)を含む断熱板(101)と、
を含む、ことを特徴とする電池(10)。
【請求項2】
前記高分子マトリックス複合繊維板は繊維強化樹脂複合板である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記断熱板(101)は、前記第1の電池セル(21)の第1の壁(211)と前記第2の電池セル(22)の第2の壁(221)との間に設置され、前記第1の壁(211)は、前記第1の電池セル(21)における表面積が最も大きく、且つ前記第2の電池セル(22)に最も近い壁であり、前記第2の壁(221)は、前記第2の電池セル(22)における表面積が最も大きく、且つ前記第1の電池セル(21)に最も近い壁である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記断熱板(101)は、前記第1の方向(x)に沿って配列される第2の断熱層(1012)と、2つの前記第1の断熱層(1011)と、を含み、前記第2の断熱層(1012)が2つの前記第1の断熱層(1011)の間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池(10)。
【請求項5】
前記第1の方向(x)に垂直である第2の方向(y)における2つの前記第1の断熱層(1011)の端部が接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記第2の方向(y)において、2つの前記第1の断熱層(1011)は端部以外の他の位置のうちの少なくとも1つの位置で接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の電池(10)。
【請求項7】
2つの前記第1の断熱層(1011)の接続位置は、前記第2の方向(y)において均一に分布する、ことを特徴とする請求項6に記載の電池(10)。
【請求項8】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1は、0.2mm~5mmである、ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項9】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(1011)のサイズL1は3mmである、ことを特徴とする請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1と前記電池セルのエネルギーQは、2×10-3mm/Wh≦L1/Q≦10-2mm/Whを満たす、ことを特徴とする請求項8に記載の電池。
【請求項11】
L1/Qは8×10-3mm/Whである、ことを特徴とする請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記第1の方向(x)における前記第2の断熱層(1012)のサイズL2と前記第1の方向(x)における前記断熱板(101)のサイズL1は、0.2≦L2/L1≦0.6を満たす、ことを特徴とする請求項8に記載の電池(10)。
【請求項13】
前記第1の方向(x)における前記第1の断熱層(1011)のサイズL3は1mmであり、前記第1の方向(x)における前記第2の断熱層(1012)のサイズL2は1mmである、ことを特徴とする請求項12に記載の電池(10)。
【請求項14】
前記第2の断熱層(1012)はエアロゲルブランケットである、ことを特徴とする請求項4~のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項15】
前記第2の断熱層(1012)はエアサンドイッチである、ことを特徴とする請求項4~のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項16】
前記第1の断熱層(1011)は、複数層の繊維強化樹脂層を含み、前記繊維強化樹脂層は繊維材料と樹脂材料とが複合して形成される、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項17】
前記樹脂材料は、シリカエアロゲル変性樹脂または耐高温難燃性樹脂である、ことを特徴とする請求項16に記載の電池(10)。
【請求項18】
前記繊維材料は、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、石英繊維、ハイシリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、ムライト繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、アルミナ繊維、窒化ホウ素繊維、玄武岩繊維、ブルーサイト繊維、アタパルジャイト繊維、ボロン繊維、カーボンナノチューブ繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維のうちの少なくとも1つの繊維である、ことを特徴とする請求項16に記載の電池(10)。
【請求項19】
前記繊維材料はセラミック繊維材料である、ことを特徴とする請求項16に記載の電池(10)。
【請求項20】
前記セラミック繊維材料は酸化ケイ素またはアルミナである、ことを特徴とする請求項19に記載の電池(10)。
【請求項21】
電力消費機器であって、請求項1~のいずれか一項に記載の電池(10)を含み、前記電池(10)は、電気エネルギーを提供するためのものである、ことを特徴とする電力消費機器。
【国際調査報告】