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特表2024-534683流量を可変制御し、詰まりのない一定の内径を有する流量制御スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】流量を可変制御し、詰まりのない一定の内径を有する流量制御スイッチ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240912BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M1/00 150
A61M1/00 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520015
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022075365
(87)【国際公開番号】W WO2023057179
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/251,817
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガンダーソン リチャード チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD01
4C077EE04
4C077JJ05
4C077JJ08
4C077JJ16
4C077JJ28
4C077KK27
4C160EE21
4C160MM36
(57)【要約】
血栓除去デバイス10は、止血バルブY字型コネクタ12を含む。この止血バルブY字型コネクタ12は、関連する吸引カテーテル2に回転可能に接続する遠位端14と、遠位端を、止血バルブで終端する第1の分岐部18、及び、関連する吸引ポンプ8の関連する真空チューブ4に接続する第2の分岐部22に接続するY字型コネクタ16とを含む。調整可能なバルブ26は、止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は関連する真空チューブとインラインで接続する。調整可能なバルブは、関連する吸引ポンプによって引き込まれた流体の流量を調整し、且つ、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関連する吸引カテーテルに回転可能に接続する遠位端と、前記遠位端を、止血バルブで終端する第1の分岐部、及び、関連する吸引ポンプの関連する真空チューブに接続する第2の分岐部に接続するY字型コネクタとを含む、止血バルブY字型コネクタと、
前記止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は前記関連する真空チューブとインラインで接続する調整可能なバルブであって、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整し、且つ、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有している、調整可能なバルブと
を含む、血栓除去デバイス。
【請求項2】
前記調整可能なバルブは、
バルブルーメンと、
前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整する制御装置と
を含む、請求項1に記載の血栓除去デバイス。
【請求項3】
前記制御装置は、前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整する押しボタンを含む、請求項2に記載の血栓除去デバイス。
【請求項4】
前記制御装置は、前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整するロータリー式ディスクを含む、請求項2に記載の血栓除去デバイス。
【請求項5】
前記ロータリー式ディスクは、前記バルブルーメンの前記調整可能な閉塞を提供する複数の異なるサイズの開口部を含む、請求項4に記載の血栓除去デバイス。
【請求項6】
前記調整可能なバルブは、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を、前記バルブルーメンを画定するチューブを圧縮することによって調整しない、請求項2から5のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項7】
前記調整可能なバルブは、前記止血バルブY字型コネクタに組み込まれている、請求項1から6のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項8】
前記止血バルブY字型コネクタの前記遠位端は、前記止血バルブY字型コネクタに対して前記関連する吸引カテーテルを回転させるように動作可能なカテーテル回転制御部を含み、
前記調整可能なバルブは、前記止血バルブY字型コネクタの前記遠位端に組み込まれている、
請求項7に記載の血栓除去デバイス。
【請求項9】
前記調整可能なバルブは、前記関連する真空チューブとインラインで接続する、請求項1から7のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項10】
前記吸引ポンプを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項11】
関連する吸引カテーテルに回転可能に接続する遠位端と、前記遠位端を、止血バルブで終端する第1の分岐部、及び、関連する吸引ポンプの関連する真空チューブに接続する第2の分岐部に接続するY字型コネクタとを含む、止血バルブY字型コネクタと、
前記止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は前記関連する真空チューブとインラインで接続する調整可能なバルブと
を含む、血栓除去デバイスであって、
前記調整可能なバルブは、
バルブルーメンと、
前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整する制御装置と
を含み、
前記調整可能なバルブは、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整し、且つ、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有する、血栓除去デバイス。
【請求項12】
前記制御装置は、前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整する押しボタンを含む、請求項11に記載の血栓除去デバイス。
【請求項13】
前記制御装置は、前記バルブルーメンを調整可能に閉塞して、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整するロータリー式ディスクを含む、請求項11に記載の血栓除去デバイス。
【請求項14】
前記ロータリー式ディスクは、前記バルブルーメンの前記調整可能な閉塞を提供する複数の異なるサイズの開口部を含む、請求項13に記載の血栓除去デバイス。
【請求項15】
前記調整可能なバルブは、前記関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を、前記バルブルーメンを画定するチューブを圧縮することによって調整しない、請求項11から14のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項16】
前記調整可能なバルブは、前記止血バルブY字型コネクタに組み込まれている、請求項11から15のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項17】
前記止血バルブY字型コネクタの前記遠位端は、前記止血バルブY字型コネクタに対して前記関連する吸引カテーテルを回転させるように動作可能なカテーテル回転制御部を含み、
前記調整可能なバルブは、前記止血バルブY字型コネクタの前記遠位端に組み込まれている、
請求項16に記載の血栓除去デバイス。
【請求項18】
前記調整可能なバルブは、前記関連する真空チューブとインラインで接続する、請求項11から17のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項19】
前記吸引ポンプを更に含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の血栓除去デバイス。
【請求項20】
カテーテルを患者の治療部位の隣に配置するステップと、
前記カテーテルに接続されている止血バルブY字型コネクタを操作して、前記カテーテルの先端を前記治療部位の血管の周囲で半径方向に動かすステップと、
前記止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は吸引ポンプを前記止血バルブY字型コネクタに接続する関連する真空チューブとインラインで接続する調整可能なバルブを操作して、前記カテーテルを介した物質の吸引を開始するステップと、
吸引された物質が血栓物質から血液に移行したときに、前記調整可能なバルブを調整して、吸引を吸引物質の低いが非ゼロの流量に調整するステップと、
を含む、血栓除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 以下は、概して、カテーテル技術、吸引カテーテル技術、血栓除去技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 血管療法(血栓除去、アテローム切除など)デバイスは、疾患のある血管(動脈、静脈など)の内部から組織又は物質を除去する又は変異させる医療機器である。特に、直接吸引による機械的血栓除去は、血栓の有効な治療法である。このような手順では、吸引カテーテルの先端を血栓の部位で展開し、吸引を適用して血栓を引き出す。印加された真空は、血液損失を最小限に抑えながら、血栓物質を優先的に除去するように制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 吸引カテーテルには、通常、吸引の印加下でカテーテルを通る液体、固体、及び気体の流量を制御するクランプ(ローラークランプやピンチクランプなど)が含まれている。しかし、このようなクランプは、吸引チューブを圧縮又は圧搾するため、流量制御の精度が悪い。更に、クランプのロック及びロック解除は難しくて厄介であり、流量制御の遅延を延長させる場合がある。
【0004】
[0004] 更に、血栓除去手順には、機械的吸引が含まれる場合がある。このような手順では、真空ポンプや流体収集システムが使用され、流体収集システムは、吸引チューブによってカテーテルに接続されている。このようなシステムには、内部にシリコーンチューブを有する流量制御スイッチが含まれ、これは、チューブを閉じるためにピンチされる。スイッチ内には多くのレッジや直径変化があり、これらは吸引する血栓の引っかかり点となって吸引チューブを閉塞させる可能性がある。
【0005】
[0005] 以下に、これらの問題及び他の問題を解決するための特定の改良点について開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血栓除去デバイスは、止血バルブY字型コネクタを含み、この止血バルブY字型コネクタは、関連する吸引カテーテルに回転可能に接続する遠位端と、遠位端を、止血バルブで終端する第1の分岐部、及び、関連する吸引ポンプの関連する真空チューブに接続する第2の分岐部に接続するY字型コネクタとを含む。調整可能なバルブは、止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は関連する真空チューブとインラインで接続する。調整可能なバルブは、関連する吸引ポンプによって引き込まれた流体の流量を調整し、且つ、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有している。
【0007】
[0007] 本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血栓除去デバイスは、止血バルブY字型コネクタを含み、この止血バルブY字型コネクタは、関連する吸引カテーテルに回転可能に接続する遠位端と、遠位端を、止血バルブで終端する第1の分岐部、及び、関連する吸引ポンプの関連する真空チューブに接続する第2の分岐部に接続するY字型コネクタとを含む。調整可能なバルブは、止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は関連する真空チューブとインラインで接続する。調節可能なバルブは、バルブルーメンと、バルブルーメンを調整可能に閉塞して、関連する吸引ポンプによって引き込まれる流体の流量を調整する制御装置とを含む。調整可能なバルブは、関連する吸引ポンプによって引き込まれた流体の流量を調整し、且つ、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有している。
【0008】
[0008] 本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、血栓除去方法は、カテーテルを患者の治療部位の隣に配置するステップと、カテーテルに接続されている止血バルブY字型コネクタを操作して、カテーテルの先端を治療部位の血管の周囲で半径方向に動かすステップと、止血バルブY字型コネクタに組み込まれているか、又は吸引ポンプを前記止血バルブY字型コネクタに接続する関連する真空チューブとインラインで接続する調整可能なバルブを操作して、カテーテルを介した物質の吸引を開始するステップと、吸引された物質が血栓物質から血液に移行したときに、調整可能なバルブを調整して、吸引を吸引物質の低いが非ゼロの流量に調整するステップとを含む。
【0009】
[0009] 1つの利点は、吸引チューブにインライン接続されるか、又は吸引カテーテルと結合するように血栓除去デバイスの止血バルブY字型コネクタに含まれる、調整可能なバルブが提供されることにある。
【0010】
[0010] 別の利点は、吸引チューブを通る流量の正確な制御を可能にする調整可能なバルブが、吸引チューブ又はこのような血栓除去デバイスの止血バルブY字型コネクタに提供されることにある。
【0011】
[0011] 別の利点は、簡単にロック及びロック解除できる調整可能なバルブが、吸引チューブ又は血栓切除デバイスの止血バルブY字型コネクタに提供されることにある。
【0012】
[0012] 別の利点は、一定の内径を有する調整可能なバルブが提供されることにある。
【0013】
[0013] 所与の実施形態は、上記の利点のいずれも提供しない、上記の利点のうちの1つ、2つ以上、又はすべてを提供することができ、及び/又は、本開示を読んで理解した上で、当業者には明らかになる他の利点を提供することもある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0014] 本開示は、様々な構成要素及び構成要素の配置、並びに、様々なステップ及びステップの配置の形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定していると解釈されるべきではない。
【0015】
図1】[0015] 図1は、本開示による血栓除去装置を図示する。
図2】[0016] 図2は、図1の装置の構成要素を示す。
図3】[0016] 図3は、図1の装置の構成要素を示す。
図4】[0016] 図4は、図1の装置の構成要素を示す。
図5】[0017] 図5は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図6】[0017] 図6は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図7】[0017] 図7は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図8】[0018] 図8は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図9】[0019] 図9は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図10】[0019] 図10は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図11】[0019] 図11は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図12】[0019] 図12は、図1の血栓除去デバイスの別の実施形態を示す。
図13】[0020] 図13は、図1の装置を使用して血栓除去方法を行う方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0021] 吸引カテーテルと併用される典型的な血栓除去デバイス又はアセンブリでは、小型のバッテリ駆動ポンプを使用して、血管系内に挿入された吸引カテーテルの先端にある血栓に吸引を印加して、血栓物質を廃棄容器に入れる。血栓除去デバイスは、カテーテル回転ノブを持つ近位(患者側の)端と、カテーテルを締めてその端を封止する止血バルブを持つ近位端と反対側の遠位端と、ポンプがY字型コネクタを介して止血バルブY字型コネクタ内のカテーテル内腔と接続する当該Y字型コネクタとを含む止血バルブY字型コネクタを含む。
【0017】
[0022] 血栓除去の手順中、吸引される血液を、多くても数百ミリリットル(mL)、より好ましくはこれよりもはるかに少ない量に制限しながら、血栓の吸引除去を最大化するために、印加された真空を正確に制御することが望まれる。一般的な市販の吸引カテーテルでは、オペレータには2つの吸引制御がある。つまり、ポンプのオン/オフスイッチと、止血バルブY字型コネクタとポンプの間につながるチューブ上のインラインピンチバルブである。通常は両手操作が必要である。一方の手でカテーテルを押し込んで血栓と係合させ、また、カテーテル回転ノブを操作してカテーテルの先端を血管内腔の周囲で半径方向にスイープさせ、もう一方の手でインラインピンチバルブを操作する。オペレータは、ピンチバルブを開いて、カテーテルの先端を回転させながら血栓物質を吸引し、血液を廃棄容器に流れ込み始めさせ、次に、ピンチバルブを閉じて、吸引を停止し、カテーテルを更に奥に押し、そしてピンチバルブを開き、血栓物質又は血液を吸引しているかどうかを観察し、血栓除去が完了するまでこの一連の手順を繰り返す。蛍光透視イメージングガイダンスを使用してもよいが、オペレータは通常、送出された物質の観察に大きく依存して、任意の所与の時間に吸引によって血栓物質又は血液が除去されているかどうかを評価する。
【0018】
[0023] 本明細書に開示するいくつかの実施形態では、インラインピンチバルブは、連続又はマルチステップ調整可能なバルブに置き換えられる。一般に、調整可能なバルブアセンブリには、バルブルーメンと、バルブルーメンの可変閉塞を提供するプッシュ式又はロータリー式制御部とが含まれている。調整可能なバルブアセンブリは、連続的な調整を提供するか、又は、例えば、ロータリー式制御部を回転させることでバルブルーメンと選択的に位置合わせできる異なるサイズの複数の開口部を有するロータリー式ディスクによって、複数の流量設定を提供する。調整可能なバルブアセンブリには、封止用のOリングが含まれていてもよい。これは、好ましくは、調整可能なバルブアセンブリ内に妨害物が蓄積しないように、均一内径を有するように設計されている。
【0019】
[0024] いくつかの実施形態では、調整可能なバルブアセンブリは、Y字型アダプタとポンプとの間に延在しているチューブ上にインラインで配置される。この場合、バルブアセンブリにはインラインで接続するための注入及び排出チューブ継手が含まれ、バルブルーメンはこれらのチューブ継手間に延在している。この設計では、調整可能なバルブアセンブリは従来のピンチバルブの直接の代替品であるが、機能が向上している。
【0020】
[0025] 他の実施形態では、調整可能なバルブアセンブリを、好ましくはカテーテル回転ノブと共に近位(患者側の)端に又はその近くに設置されている止血バルブY字型コネクタに組み込むことができる。この配置により、片手操作が可能になる。オペレータは、片手でカテーテルの回転ノブと調整可能なバルブアセンブリのロータリー式ノブの両方を操作しながら、必要に応じてカテーテルを押し込むことができる。
【0021】
[0026] 改良された吸引カテーテルの片手操作は次のとおりである。片手でカテーテルを押し込んで血栓と係合させ、また、カテーテル回転ノブを操作してカテーテル先端を血管内腔の周囲で半径方向にスイープさせる。同じ手で調整可能なバルブアセンブリを開いて吸引を開始して、吸引された血栓物質が吸引された血液に移行し始める。この時点で、片手で調整可能なバルブアセンブリのプッシュ式又はロータリー式制御部を使用して吸引を調整し、同時にカテーテルを動かしながら(場合によっては回転させながら)、より多くの血栓物質を探し、吸引された物質(ここではスロットルによる調整のためにゆっくりと流れる)を観察し、カテーテルの先端が血栓物質と係合するのを検出する。カテーテルの先端の位置を変更する際に、減少されるが、非ゼロの量の吸引を行うことで、オペレータは、血栓物質又は血液が吸引されているかどうかについて正のフィードバックを得られると同時に、吸引を減らすことで血液損失が減る。
【0022】
[0027] 図1を参照して、例示的な血管治療(即ち、血栓除去又はアテローム切除)装置1が図示されている。図1に示すように、装置1には、吸引カテーテル2と、血栓除去処置中に患者(図示せず)から組織又は流体(血栓、血液など)を受け取るための真空チューブ4とが含まれている。組織又は流体は、吸引カテーテル2から真空チューブ4を通って収集容器6に移動する。吸引は、オン/オフスイッチ9を含むポンプ8(吸引ポンプなど)を介して真空チューブ4を通じて提供される。装置1には、T字型コネクタ7を介して真空チューブ4に接続されるブースター注射器5も含まれていてもよい。装置1のこれらの各構成要素は、透明なポリマー樹脂材料で作られて、装置1内の血栓をユーザに対して視覚化できる。
【0023】
[0028] 血栓除去デバイス1には、止血バルブY字型コネクタ12を有する血栓除去デバイス10も含まれている。次に、単独で止血バルブY字型コネクタ12の拡大図を示す図2を参照して、また、引き続き図1を参照して、止血バルブY字型コネクタ12には、吸引カテーテル2と回転可能に接続する遠位端14と、Y字型コネクタ16とが含まれている。Y字型コネクタ16には、遠位端14を止血バルブ20に接続する第1の分岐部18と、真空チューブ4に接続する第2の分岐部22とが含まれている。いくつかの実施形態では、止血バルブY字型コネクタ12の遠位端14には、止血バルブY字型コネクタ12に対して吸引カテーテル2(図1にのみ図示)を回転させるように動作可能なカテーテル回転制御部24が含まれている。
【0024】
[0029] 血栓除去デバイス10には、調整可能なバルブ26も含まれている。図1及び図2に示す実施形態では、調整可能なバルブ26は、止血バルブY字型コネクタ12(例えば、遠位端14)に組み込まれている。他の実施形態では、調整可能なバルブ26は真空チューブ4とインラインで接続する。調整可能なバルブ26は、吸引ポンプ8によって引き込まれた流体の流量を調整するように構成されており、ゼロ流量の閉位置、最大流量の最大開位置、及びゼロ流量と最大流量との中間の流量の少なくとも1つの中間位置を有している。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの中間位置は、ゼロ流量から最大流量まで連続的に広がる中間位置の連続体からなる。
【0025】
[0030] 図3及び図4は、調整可能なバルブ26の例を示している。流体の流量を調整するために、調整可能なバルブ26には、バルブルーメン30を画定するハウジング28と、バルブルーメン30を調整可能に閉塞して、吸引ポンプ8によって引き込まれる流体の流量を調整する制御装置32とが含まれている。有利には、調整可能なバルブ26は、吸引ポンプ8によって引き込まれる流体の流量を、バルブルーメン30を画定するチューブを圧縮することによって調整しないことである。真空チューブ4を圧縮すると、再現性の低い流量制御が得られ、時間の経過と共に弱くなり、最終的には圧縮領域でチューブが破裂する可能性がある。
【0026】
[0031] 図3は、バルブルーメン30を調整可能に閉塞して、吸引ポンプ8によって引き込まれる流体の流量を調整する、押しボタン(又はプランジャ)32としての制御装置32の例を示している。オペレータは、親指などを使用して押しボタン32を下に押して、バルブルーメン30の直径を制御できる。いくつかの実施例では、押しボタン32を1つ以上のOリング34を介してハウジング28に固定できる。
【0027】
[0032] 図4は、バルブルーメン30を調整可能に閉塞して、吸引ポンプ8によって引き込まれる流体の流量を調整する、ロータリー式ディスク32としての制御装置32の例を示している。図4に示すように、ロータリーディスク32には、真空チューブ4の直径と実質的に一致する直径を有する開口部36が含まれている(図4の差し込み図Aに示す)。オペレータは、親指などを使用してロータリー式ディスク32を回転させて、バルブルーメン30に対応する開口部36のオフセットを制御して、バルブルーメン30を部分的又は完全に閉塞し、これにより、ゼロ流量(ルーメンが完全に塞がれるまで開口部36がオフセットされるとき)と、最大流量(開口部36がバルブルーメン30と正確に位置合わせされているとき)との間で連続的に調整可能な流量制御が提供される。いくつかの変形実施形態では、ロータリー式ディスク32に、バルブルーメン30の段階的に調整可能な閉塞を提供する異なるサイズの開口部36を複数含めることができる。
【0028】
[0033] 図5から図7は、血栓除去デバイス10の別の実施形態の部分的に分解した斜視図を示している。図5に示すように、カテーテル回転制御部24は、調整可能なバルブ26が組み込まれた流量制御レバー24を含む。流量制御レバー24/調整可能なバルブ26の部品は、止血バルブY字型コネクタ12の遠位端14に、大型のOリング42、小型のOリング44、エンドキャップ46、及びねじ48を介して固定されている。図5は、止血バルブY字型コネクタ12の遠位端14に配設された回転式オスルアーコネクタ50も示している。止血バルブY字型コネクタ12の反対側の近位端52には、Y字型コネクタ16が含まれており、第1の分岐部18が、封止部58を有する圧縮キャップを含む止血バルブ20で終端し、第2の分岐部22が、吸引ポート60で終端している。吸引ポート60は、真空チューブ4に結合できるルアー継手を含んでいてもよい。
【0029】
[0034] 図6及び図7は、側面断面図によって流量制御バルブ26の動作を示している。流量制御レバー43が「前方」位置にある場合(図6に示す。流量制御レバー43は真空チューブ4に向かって配設されている)、流量制御レバー43に接続されている閉塞リング60が「全開」状態に移行する。この状態では、閉塞リング60はバルブルーメン30を塞がないため、吸引はポンプ8から真空ライン4を通って治療部位に流れ、血栓を吸引できる。一方、図7では、流量制御レバー43が「後方」位置にある(つまり、止血バルブY字型コネクタ12の上で、真空ライン4から離れている)ことを示している。図7に示すように、この場合、調整可能なバルブ26は「閉」状態になる。この状態では、閉塞リング60は回転してバルブルーメン30を完全に閉塞し、これにより、真空ライン4を介した吸引を防止する。前方位置と後方位置とを切り替えるには、ユーザは親指を使用して流量制御レバー43の前方への動きを制御できる。更に、図6の「全開」位置と図7の「全閉」位置との中間にある流量制御レバー43の位置では、流量は、閉塞リング60がバルブルーメン30を部分的に閉塞することによって、図6の全開流量と図7のゼロ流量との間の中間流量になる。したがって、流量は、流量制御レバー43を徐々に前方に動かすことで、閉と全開との間で連続的に調整できる。
【0030】
[0035] 図8は、流量制御レバー43を使用しているが、流れを閉塞するための異なる設計を有する調整可能なバルブ26の別の実施形態を示している。流量制御レバー43には、くさび形の開口部62(より一般的には、流量制御特徴62)があり、これは、バルブルーメン30と位置合わせされてゼロ流量と全開流量との間の流量のより段階的な制御を可能にする三日月の形状をしている。特に、くさび形の開口部62は、完全に閉じた位置に近づくと次第に細くなるため、低流量範囲でより正確な制御を提供する。これは、オペレータが、吸引カテーテルの先端を血栓物質と係合させるように動かしながら血液を吸引する場合に便利である。
【0031】
[0036] 図9図12は、更にいくつかの例示的な実施形態を示している。図9は、図5の実施形態と似た配置を示しており、例えば、止血バルブY字型コネクタ12の一端に分解図で示しているカテーテル回転ノブ24及びその内部装置50と、他端に止血バルブ20を備えたY字型コネクタ16とが含まれている。Y字型コネクタ16のほう1つの分岐部が吸引ポート22に接続されている。しかし、図5図7に示す流量制御レバー43の前方への動きとは対照的に、図9の実施形態では、流量制御ダイヤル63を左右に動かして、調整可能なバルブ26を通る流量を調整できる。図10図12は、それぞれ異なる流量制御特徴を持つ流量制御ダイヤル63の3つの実施形態を示している。
【0032】
[0037] 図10の実施形態は、図8の流量制御特徴と同じ三日月のくさび形の開口部62を有し、図8の実施例の動作と同様に動作するが、ダイヤル63は、図8の実施形態にあるように流量制御レバー43ではなく、手動制御部として機能する。
【0033】
[0038] 図11は、流量制御特徴として別のくさび形の開口72の例を示している。くさび形の開口部72は非対称で、完全に閉じた状態と完全に開いた状態との間で動くようにダイヤル63のより大きな回転を提供し、したがって、流量のより細かい制御を提供する。特に、図10の実施形態と図11の実施形態の両方は、連続的な流量制御を提供する。つまり、ゼロ流量から最大流量に増加する流量を持つ中間位置の連続体がある。
【0034】
[0039] 図10及び図11の実施形態とは異なり、図12の実施形態は、ゼロ流量と最大流量との中間に、離散数の中間流量を提供する。具体的には、図12のダイヤル63には、ダイヤル63が回転するにつれてバルブルーメン30と連続的に位置合わせされる4つの別個の異なる開口部82が含まれている。これにより、5つの位置:完全に閉じた位置(バルブルーメン30に位置合わせされた穴はない)、バルブルーメン30に位置合わせされた連続的に直径が大きくなる開口部に対応する流量が連続的に増える3つの中間流量位置、及び、バルブルーメン30に位置合わせされた最大直径の開口部に対応する完全に開いた位置(この完全に開いた位置を図12に具体的に示している)が提供される。いくつかの実施形態では、ダイヤル63には、ダイヤル30の動きを5つの離散位置にロックするためのデテント(図示せず)などが含まれていてもよい。
【0035】
[0040] 血栓除去デバイス10を使用して、患者に血栓切除方法100を実施できる。図13を参照し、また、図1図4を引き続き参照して、血栓除去方法100の例示的な実施形態がフローチャートとして図示されている。ステップ102では、カテーテル2を患者の治療部位(血栓など)の隣に配置する。ステップ104では、カテーテル2に接続されている止血バルブY字型コネクタ12をユーザが操作して、カテーテル2の先端を治療部位の血管の周囲で半径方向に動かす。ステップ106では、調整可能なバルブ26を操作して、真空チューブ4を介してポンプ8によって提供される吸引による、カテーテル2を介した物質(血栓など)の吸引を開始する。ステップ108では、吸引された物質が血栓物質から血液に移行したときに、調整可能なバルブ26を調整して、吸引を吸引物質の低いが非ゼロの流量に調整する。
【0036】
[0041] 本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されている。前の詳細な記述を読み、理解した者は、修正及び変更を想到するであろう。模範的な実施形態は、添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内である限り、そのようなすべての修正及び変更を含むものと解釈されることを意図している。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】