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特表2024-534692サンプルの表面の曲率を測定するための機器及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】サンプルの表面の曲率を測定するための機器及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/255 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01B11/255 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520852
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022078272
(87)【国際公開番号】W WO2023062020
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】2110739
(32)【優先日】2021-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507354600
【氏名又は名称】リベル
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ルソー ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】ギュイヨー ジャン‐ルイ
(72)【発明者】
【氏名】アルヌール アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA46
2F065BB01
2F065CC19
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065GG03
2F065GG07
2F065GG24
2F065HH06
2F065HH12
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR06
2F065UU01
(57)【要約】
本発明は、サンプル(8)の表面の曲率を測定するための機器であって、光源(1)及びマスク(2)を含み、光源(1)は、マスク(2)を照明して、サンプル(8)の表面に入射する光ビーム(10)を生成し、且つサンプルによって反射される光ビーム(20)を形成する、機器に関する。本発明によれば、マスク(2)は、透明な背景と、所定の位置に配置された不透明パターン(14)とを含み、マスクの不透明パターン(14)は、透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有し、機器は、サンプル(8)での反射によってマスクの画像(32)を形成するのに適した撮像システム(5)及びカメラ(6)、サンプルの表面での反射によるマスクの画像(32)を処理して、それからサンプル(8)の曲率半径を推定するのに適した画像処理システムを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(8)の表面曲率を測定するための機器であって、光源(1)と、前記光源(1)と前記サンプル(8)の表面との間に配置されたマスク(2)とを含み、前記光源(1)は、前記マスク(2)を照明して、前記マスクを透過させることにより、前記サンプル(8)の前記表面に入射する光ビーム(10)を生成し、且つ前記サンプルによって反射される光ビーム(20)を形成するのに適している、機器において、前記マスク(2)は、透明な背景と、マスク表面上の所定の位置に配置された不透明パターン(14)とを有し、前記マスクの前記不透明パターン(14)は、前記透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有し、前記機器は、撮像システム(5)及びカメラ(6)であって、前記反射光ビームの少なくとも一部分(21)を受け取り、且つ前記サンプル(8)での反射によって前記マスクの画像(32)を形成するのに適した撮像システム(5)及びカメラ(6)、前記サンプル表面での反射による前記マスクの前記画像(32)を処理し、前記画像(32)中の前記パターンのそれぞれの位置を計算し、且つ前記マスクの前記パターン(14)の前記所定の位置を、前記画像(32)中の前記パターン(34)の前記計算された位置と比較して、それから前記サンプル(8)の少なくとも1つの表面曲率半径を推定するのに適した画像処理システムを含むことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記マスク(2)の前記不透明パターン(14)は、マスク表面積の15%、10%、5%又は1%未満の総表面積を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記マスクパターン(14)は、2次元の周期的マトリックスとして配置される、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
光学ビームスプリッタ(4)及び分光計(7)を更に含み、前記光学ビームスプリッタ(4)は、前記反射光ビーム(20)を受け取り、及び前記反射ビームの一部分(21)を前記撮像システム(5)に向かって、且つ前記反射光ビームの他の部分(22)を前記分光計(7)に向かって伝送するように配置され、前記分光計(7)は、前記反射光ビームの前記他の部分(22)のパワーを測定するのに適している、請求項1~3の何れか一項に記載の機器。
【請求項5】
前記光学ビームスプリッタ(4)は、50-50、40-60、30-70、10-90又は20-80の光学パワー分布を有するプレート型ビームスプリッタを含む、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記サンプルによって散乱された光ビーム(23)のパワーを測定するように配置された他のセンサ(17)と、散乱光測定値から前記サンプル(8)の表面粗さの測定値を抽出するのに適した信号処理システムとを含む、請求項1~5の何れか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記分光計によって検出される前記反射ビームのパワー測定値を受け取り、且つそれから前記サンプルの分光反射率を推定するのに適した信号処理システムを含む、請求項4又は5に記載の機器。
【請求項8】
前記光源(1)は、ハロゲンランプ又は発光ダイオードの中から選択される単一光源を含む、請求項1~7の何れか一項に記載の機器。
【請求項9】
in situで測定するための、請求項1~8の何れか一項に記載の機器の、処理装置(3)と組み合わせた使用。
【請求項10】
サンプル(8)の表面曲率を測定する方法であって、光源(1)を使用して、前記光源と前記サンプル(8)の表面との間に位置するマスク(2)を照明して、前記マスクを透過させることにより、前記サンプル(8)の前記表面に入射する光ビーム(10)を生成し、且つ前記サンプルによって反射される光ビーム(20)を形成するステップであって、前記マスク(2)は、透明な背景と、前記マスクの表面上の所定の位置に配置された不透明パターン(14)とを含み、前記マスクの前記不透明パターン(14)は、前記透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有する、ステップ、前記反射光ビーム(20)の少なくとも一部分(21)を受け取るステップ、撮像システム(5)及びカメラ(6)を、前記反射ビームの前記部分(21)を受け取り、且つ前記サンプル(8)の前記表面での反射によって前記マスクの画像(32)を形成するように設置するステップ、前記サンプルの前記表面上の反射による前記マスク画像(32)を処理して、前記画像中の前記パターンのそれぞれの位置を計算するステップ、前記マスクパターン(14)の前記所定の位置を、前記画像(32)中の前記パターン(34)の前記計算された位置と比較して、それから前記サンプル(8)の少なくとも1つの表面曲率半径を推定するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの光学表面特性を測定するための機器の技術分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、サンプルの光学表面特性を測定するための機器であって、光源と、光源とサンプル表面との間に位置するマスクとを含み、光源は、マスクを照明して、マスクを透過させることにより、サンプル表面に入射する光ビームを生成し、且つサンプルによって散乱及び/又は透過される反射光ビームを形成するのに適している、機器に関する。
【0003】
特に、本発明は、蒸着、エッチング又は熱処理等の表面処理プロセス後の金属、半導体、特にシリコン、セラミック又はフラットスクリーンウェハの表面の非破壊試験に用途を見出す。
【背景技術】
【0004】
上述の分野では、ガラス、金属、セラミック又は半導体板状基板は、一般に、1cm~数mの表面積の円形、正方形又は長方形の表面について、0.1ミリメートル~数ミリメートルの薄い厚さを有する。表面処理は、基板内に引張り又は圧縮による機械的応力を誘導し、基板の反り変形を生じさせやすい。基板内に誘導されたこのような反り変形は、球面又は円柱面であり得る。生じた湾曲は、処理された表面に対して凹状又は凸状であり得る。このような変形の曲率半径は、非常に大きいことがあり得、且つ同じ処理チャンバ内で同時に処理された同じバッチ内でも基板ごとに異なり得る。表面処理は、表面粗さの増大も生じさせ得る。基板又はサンプル表面のこのような劣化は、非破壊的に、好ましくは処理中にin situで検出し、定量化することが重要である。
【0005】
サンプルの表面の反射によって形成される画像の変形を測定することが知られている。文献仏国特許第3066816号明細書は、反射面の曲率を測定する光学装置を記載しており、これは、光点で構成される幾何学的照明パターン、カメラ及び検出された画像中の光点間の距離の変化を検出するための画像解析装置を含む。文献米国特許第9070590号明細書は、サンプルによって反射された像の大きさの倍率の変化を測定して、それからサンプルの曲率半径の測定値を推定するための機器を記載している。文献中国特許第214374270号明細書は、構造化光を用いる4Dハイパスペクトルトポグラフィを記載している。
【0006】
サンプルの表面粗さ及び/又は吸光を測定するために、他の測定機器を使用することができる。例えば、文献米国特許出願公開第2012/327414号明細書は、表面粗さを測定するため、特にLEDの製造を制御するための装置を記載している。しかしながら、各測定機器は、一般に、in situで使用するための少なくとも1つの光学アクセス経路、例えばポートホールを必要とする。これらの測定機器の幾つかを同時に使用することは、工業用蒸着、エッチング又は熱処理リアクタで利用可能な光学アクセスの数が極めて限られているために難しい。実際、ポートホールは、処理の空間的均一性の障害となり得る。工業用リアクタの光学アクセスの数は、構造上、一般に1、2又は3つに限定される。
【0007】
しかしながら、サンプルの曲率、粗さ及び/又は吸光等の幾つかのパラメータを同時にin situで測定することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サンプルの影響を受けやすい曲率及び少なくとも1つの他の光学表面特性、例えば反射、吸光及び/又は散乱を同時に測定するための測定機器及び方法を提案することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の上述の欠点を是正するために、本発明は、サンプルの表面曲率を測定するための機器を提案し、この機器は、光源と、光源とサンプル表面との間に位置するマスクとを含み、光源は、マスクを照明して、マスクを透過させることにより、サンプルの表面に入射する光ビームを生成し、且つサンプルによって反射される光ビームを形成するのに適している。
【0010】
より詳細には、本発明によれば、サンプルの表面曲率を測定するための機器が提案され、マスクは、透明な背景と、マスクの表面上の所定の位置に配置された不透明パターンとを有し、不透明パターンは、透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有し、機器は、撮像システム及びカメラであって、反射光ビームの少なくとも一部分を受け取り、且つサンプルでの反射によってマスクの画像を形成するのに適した撮像システム及びカメラ、サンプル表面での反射によるマスクの画像を処理し、前記画像中のパターンのそれぞれの位置を計算し、且つマスクのパターンの所定の位置を、画像中のパターンの計算された位置と比較して、それからサンプルの少なくとも1つの表面曲率半径を推定するのに適した画像処理システムを含む。
【0011】
マスクの高い透過率(少なくとも50%、好ましくは90%超)により、より強い光パワーの反射光ビームを得ることが可能である。同じ入射光ビームは、サンプル上での散乱により、他の光源又は照明ポートホールを使用せずに検出可能な光パワーを有する散乱光ビームを生成する。最後に、幾つかの半導体サンプルの場合、入射光ビームは、部分的にサンプルを透過し、その後、反射されて再びサンプルを透過する。サンプルを透過した後の光ビームの分光解析により、サンプルの吸光閾値を特定し、それからバンドエッジ温度測定法によってサンプルの温度を推定することを可能にし得る。
【0012】
有利には、マスクの不透明パターンは、マスク表面積の15%、10%、5%、更に好ましくは1%未満の総表面積を有する。
【0013】
本発明によるサンプル表面の曲率及び反射率を測定するための機器の他の非限定的で有利な特徴は、個別に又は技術的に可能なあらゆる組合せにより、以下のとおりである:
マスクの不透明パターンの相対表面積は、マスク表面積の1%未満である。
マスクパターンは、2次元の周期的マトリックスとして配置される。
パターンは、グリッド、円、円盤、同心楕円(プラシドディスク)、単連結多角形又は単連結閉領域の形状を有する。
機器は、光学ビームスプリッタ及び分光計を更に含み、光学ビームスプリッタは、反射光ビームを受け取り、及び反射ビームの一部分を撮像システムに向かって、且つ反射光ビームの他の部分を分光計に向かって伝送するように配置され、分光計は、反射光ビームの他の部分のパワーを測定するのに適している。
光学ビームスプリッタは、50-50、40-60、30-70、10-90又は20-80の光学パワー分布を有するプレート型ビームスプリッタを含む。
機器は、サンプルによって散乱された光ビームのパワーを測定するように配置された他のセンサと、散乱光測定値からサンプルの表面粗さの測定値を抽出するのに適した信号処理システムとを含む。
機器は、分光計によって検出される反射ビームのパワー測定値を受け取り、且つそれからサンプルの分光反射率を推定するのに適した信号処理システムを含む。
光源は、例えば、ハロゲンランプ又は発光ダイオード(LED)の中から選択される白光の単一光源を含む。
【0014】
本発明は、in situで測定するための、実施形態の1つによる機器の、例えば蒸着、エッチング及び/又は熱処理のための処理装置と組み合わせた使用も提案する。
【0015】
本発明は、サンプルの表面曲率を測定する方法も提案し、この方法は、光源を使用して、光源とサンプルの表面との間に位置するマスクを照明して、マスクを透過させることにより、サンプルの表面に入射する光ビームを生成し、且つサンプルによって反射される光ビームを形成するステップであって、マスクは、透明な背景と、マスクの表面上の所定の位置に配置された不透明パターンとを含み、マスクの不透明パターンは、透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有する、ステップ、反射光ビームの少なくとも一部分を受け取るステップ、撮像システム及びカメラを、反射ビームのその部分を受け取り、且つサンプルの表面での反射によってマスクの画像を形成するように設置するステップ、サンプルの表面上の反射によるマスク画像を処理して、前記画像中のパターンのそれぞれの位置を計算するステップ、マスクパターンの所定の位置を、画像中のパターンの計算された位置と比較して、それからサンプルの表面の少なくとも1つの曲率半径を推定するステップを含む。
【0016】
明らかに、本発明の様々な特徴、代替形態及び実施形態は、これらが矛盾しないか又は相互に対して排他的でない限り、様々な組合せに従って相互に関連付けられ得る。
【0017】
更に、本発明の各種の他の特徴は、本発明の非限定的な実施形態を例示する図面を参照して行われる付属の説明文から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による、サンプル表面の曲率及び反射率を測定するための機器の図である。
図2】例示的実施形態による、不透明パターンを含むマスクの画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの図では、異なる代替形態に共通する構造的及び/又は機能的要素は、同じ参照番号を有し得る。
【0020】
図1は、サンプル8の表面の曲率及び反射率を測定するための機器を示す。サンプル8は、ここでは、例えばガラスプレート又は半導体、例えばシリコンプレートである。より詳細には、考慮されるサンプルは、平坦であると仮定される。サンプル8の厚さは、一般に、0.1ミリメートル~数ミリメートルである。サンプル8は、一般に、1cm~数mの表面積を有する円形、正方形又は長方形の表面を有する。
【0021】
図1に示される例では、サンプル8は、処理装置のチャンバ3内に設置される。チャンバ3は、ここでは、光学入力ポート11及び光学出力ポート12を有する。任意選択により、チャンバ3は、他の光学ポート13を含む。
【0022】
処理装置は、例えば、マイクロリソグラフィで使用される装置のように、サンプル表面上に薄層を蒸着するか又はサンプル表面をエッチングするのに適している。チャンバ3は、例えば、真空蒸着チャンバである。他の使用例では、処理装置は、サンプルを熱処理する、例えば熱アニーリングを実行するのに適している。
【0023】
代替形態として、機器は、ex situでも使用され得る。この場合、入射又は反射光ビームの光路上に入力/出力ポートはない。本開示の機器は、レンズ又はミラー等の光学コンポーネントの表面曲率半径を測定し、且つ表面粗さを同時に測定するためにも使用され得る。
【0024】
測定機器は、光源1、マスク2、光学ビームスプリッタ4、分光計7、撮像システム5及びカメラ6並びに信号処理システムを含むプロセッサ30を含む。
【0025】
光源1は、光源光ビームを発することができる。有利には、光源1は、白光光源である。本明細書では、白光光源は、300~2000nmの複数の波長の光ビームを発する光源を意味する。例えば、光源は、ハロゲン電球、リフレクタ及び光学系を含む。代替形態として、光源は、発光ダイオード(LED)を含む。光源光ビームは、マスク2を照明する。
【0026】
曲率半径及び反射率の少なくとも2つの同時測定に同じ光源が使用されるが、光源1は、例えば、LEDの場合には1W、ハロゲンランプの場合には少なくとも30Wの限定的なパワーを有する。
【0027】
マスク2は、光源1と、解析されるサンプルの表面との間に配置される。図1に示される例では、光源1及びマスク2は、チャンバ3の外に配置され、マスク2は、光源1と、チャンバ3の光学入力ポート11との間に設置される。より詳細には、マスク2は、透明な背景と、マスク2の表面上の所定の位置に配置された複数の不透明パターン14とを含む。マスクは、例えば、ガラス、ポリカーボネート又はプレキシガラス製の厚さ0.5~数ミリメートルの支持体の上に製作される。マスクの不透明パターン14の表面積は、マスク2の照明表面積の10%未満である。不透明パターン14は、有利には、2次元の周期的マトリックスに沿って空間的に分散される。不透明パターンの形状は、例えば、十字、円盤、正方形又は幾何学的であるか否かを問わないあらゆる所定の形状である。非限定的な例として、マスク2は、5mmメッシュの正方形のグリッドに沿って分散されたN=9個の不透明パターンを含み、各パターンは、直径0.5mmの黒い円盤である。この例では、不透明パターンの総表面積は、マスク2の表面積の0.35%である。マスク2は、例えば、直径25.4mmの表面積を有する。
【0028】
マスク2を照明する光ビームは、マスク2を透過することにより、サンプル8の表面に入射する光ビーム10を形成する。図1の例では、入射光ビーム10は、光学入力ポート11を通してチャンバ内に伝送される。不透明パターンの相対表面積が小さいことにより、光源1のパワーを増大させることなく、サンプル上で強力な入射光ビーム11を得ることができる。入射光ビーム10は、有利には、サンプル表面上でコリメートされ、受光ユニットで最大の光を受け取ることができる。代替形態として、入射光ビーム10は、サンプルの表面上に合焦される。
【0029】
サンプル8の表面の法線9に対する入射光ビーム10の入射角をアルファで示す。有利には、入射光ビーム10は、コリメートされる。サンプル8の表面での反射により、反射光ビーム20が得られる。反射光ビーム20は、入射点でサンプル8の表面の法線9に対して-アルファの対称角を形成する。反射光ビーム20は、光学出力ポート12を介してチャンバ3の外に伝送される。
【0030】
光学ビームスプリッタ4は、チャンバ3の外部の反射光ビーム20の経路上に配置される。光学ビームスプリッタ4は、反射光ビーム20を2つの部分に空間的に分離し、すなわち、反射ビーム1つの部分21は、撮像システム5及びカメラに向けられ、反射光ビームの他の部分22は、分光計7に向けられる。有利には、光学ビームスプリッタ4は、50-50スプリッタであり、それにより、反射ビームの2つの部分は、同じパワーを有する。代替形態として、光学ビームスプリッタ4は、40-60スプリッタ又は光パワーの20%がカメラに向けられ、光パワーの80%が分光計7に向けられる20-80スプリッタである。例えば、光学ビームスプリッタ4は、薄膜プレート型セパレータ若しくはキューブスプリッタ又は偏光スプリッタである。
【0031】
撮像システム5は、例えば、カメラ6の対物レンズを含む。撮像システム5及びカメラ6は、反射光の部分21を受け取るように配置される。より正確には、カメラ6のフォーカス調整は、サンプル8の表面ではなく、マスク2の不透明パターン14に対して行われる。そのようにして、撮像システム5及びカメラ6は、サンプル8での反射によってマスク2の鮮明な画像32を形成するように調整される。
【0032】
カメラ6は、サンプル8での反射によってマスク2の画像32を記録する。サンプルが平坦である、すなわちそれが無限の曲率を有する場合、画像32中のパターン34の位置は、マスク2のパターンの位置の線形変換に対応する。しかしながら、サンプル8が曲率を有する場合、画像中のパターンの位置は、サンプルの曲率半径の関数として変更される。円柱面曲率の場合、パターンマトリックスが円柱状変形の軸と整合すると、画像32中のパターン34の位置は、空間の1つの方向のみに沿って変更される。球面曲率の場合、画像32中のパターン34の位置は、2つの横方向に沿って変更される。
【0033】
画像32は、特別に適応された画像処理システムであるプロセッサ30に転送される。画像処理システムは、画像32中の各パターン34の位置を特定するのに適している。例えば、処理システムは、光点の画像間の距離の変化を計算するための、仏国特許第3066816号明細書に記載の処理システムと同じ方法において、隣接するパターン間の距離の変化を計算する。
【0034】
図2に示される例では、画像中のパターン34の形状は、楕円形である。ここで使用されるマスクのパターンは、円盤型を有し、パターンの全てが同じ直径を有し、パターンは、正方形グリッドに沿って配置される。画像32は、透明な背景を有するため、パターンは、コントラストを有し、それによりパターン34の位置及び/又は形状を高い正確さで特定することができる。これは、サンプルの反り変形を、この反りが非常に大きい曲率半径、例えば100km以上を有していても検出することを可能にする。
【0035】
分光計7は、反射光ビームの他の部分22を受け取る。分光計7は、鏡面反射した光ビームの他の部分22のパワーを波長に応じて測定するように構成される。例えば、分光計は、300nm~2000nmの波長範囲で動作する。サンプルの反射率は、反射光のパワーと入射光のパワーとの比と等しく、この測定から推定される。マスクの透過率が90%より高く、光学ビームスプリッタが反射光ビームのかなりの部分を透過させるため、分光計によって検出される反射光ビームのパワーは、鏡面反射率を正確に測定することを可能にするのに十分に高いレベルを有する。全ての分光範囲にわたる波長の関数に応じた反射ビームのパワーが1つの分光計7のみで測定される。
【0036】
したがって、この機器により、非常に高い感度での大きい曲率に関するサンプルの曲率半径と、高い正確さでのサンプルの表面鏡面反射率との同時測定が可能になる。この機器は、わずかな入力/出力ポートのみを必要とする。入射角が非ゼロである場合、サンプル8の表面の法線9に関して対称に配置された2つの入力/出力ポート11、13があればよい。特に有利には、曲率測定及び反射測定は、1つの単一光源1を使用して行われる。この構成により、処理チャンバにできるだけ近く、2つの異なる機器と比較して製造コストがより低い非常にコンパクトな機器を得ることができる。
【0037】
選択肢として、他のセンサ17がチャンバの他の光学ポート13の反対側に配置される。この他の光学ポート13により、サンプル8の表面で散乱した光を受け取ることが可能になる。図1に示される例では、他の光学ポート13は、サンプルの正面のサンプル8の表面の法線9上に設置される。他のセンサ17は、鏡面反射外において特定の立体角で散乱した光ビームを受け取る。このようにして、依然として単一光源1により、3つの同時測定値、すなわちサンプルの表面の同じ被照明領域の曲率半径、鏡面反射率及び拡散率が得られる。測定は、リアルタイムで高い周波数(最大100Hz)において実行され得る。
【0038】
散乱光強度測定値は、プロセッサ30に伝送される。信号処理システムにより、表面粗さの相対変化を測定することができる。サンプルの表面粗さの相対変化の測定は、ナノメートルのオーダの感度及び/又は正確さで得られる。
【0039】
代替形態として、反射率による曲率の測定は、直角入射で行われる。この場合、光源及び受光側(カメラ及び分光計)は、ポート13に他のプレート型ビームスプリッタと共に取り付けられる。粗さ測定は、したがって、例えば他の光学ポート11又は12に取り付けられる。
【0040】
当然のことながら、付属の特許請求の範囲内で本発明に対する他の様々な改良形態がなされ得る。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(8)の表面曲率を測定するための機器であって、光源(1)と、前記光源(1)と前記サンプル(8)の表面との間に配置されたマスク(2)とを含み、前記光源(1)は、前記マスク(2)を照明して、前記マスクを透過させることにより、前記サンプル(8)の前記表面に入射する光ビーム(10)を生成し、且つ前記サンプルによって反射される光ビーム(20)を形成するのに適している、機器において、前記マスク(2)は、透明な背景と、マスク表面上の所定の位置に配置された不透明パターン(14)とを有し、前記マスクの前記不透明パターン(14)は、前記透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有し、前記機器は、撮像システム(5)及びカメラ(6)であって、前記反射光ビームの少なくとも一部分(21)を受け取り、且つ前記サンプル(8)での反射によって前記マスクの画像(32)を形成するのに適した撮像システム(5)及びカメラ(6)、前記サンプル表面での反射による前記マスクの前記画像(32)を処理し、前記画像(32)中の前記パターンのそれぞれの位置を計算し、且つ前記マスクの前記パターン(14)の前記所定の位置を、前記画像(32)中の前記パターン(34)の前記計算された位置と比較して、それから前記サンプル(8)の少なくとも1つの表面曲率半径を推定するのに適した画像処理システムを含むことを特徴とする機器。
【請求項2】
前記マスク(2)の前記不透明パターン(14)は、マスク表面積の15%、10%、5%又は1%未満の総表面積を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記マスクパターン(14)は、2次元の周期的マトリックスとして配置される、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項4】
光学ビームスプリッタ(4)及び分光計(7)を更に含み、前記光学ビームスプリッタ(4)は、前記反射光ビーム(20)を受け取り、及び前記反射ビームの一部分(21)を前記撮像システム(5)に向かって、且つ前記反射光ビームの他の部分(22)を前記分光計(7)に向かって伝送するように配置され、前記分光計(7)は、前記反射光ビームの前記他の部分(22)のパワーを測定するのに適している、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項5】
前記光学ビームスプリッタ(4)は、50-50、40-60、30-70、10-90又は20-80の光学パワー分布を有するプレート型ビームスプリッタを含む、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記サンプルによって散乱された光ビーム(23)のパワーを測定するように配置された他のセンサ(17)と、散乱光測定値から前記サンプル(8)の表面粗さの測定値を抽出するのに適した信号処理システムとを含む、請求項1又は2の何れか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記分光計によって検出される前記反射ビームのパワー測定値を受け取り、且つそれから前記サンプルの分光反射率を推定するのに適した信号処理システムを含む、請求項4に記載の機器。
【請求項8】
前記光源(1)は、ハロゲンランプ又は発光ダイオードの中から選択される単一光源を含む、請求項1又は2に記載の機器。
【請求項9】
in situで測定するための、請求項1又は2に記載の機器の、処理装置(3)と組み合わせた使用。
【請求項10】
サンプル(8)の表面曲率を測定する方法であって、光源(1)を使用して、前記光源と前記サンプル(8)の表面との間に位置するマスク(2)を照明して、前記マスクを透過させることにより、前記サンプル(8)の前記表面に入射する光ビーム(10)を生成し、且つ前記サンプルによって反射される光ビーム(20)を形成するステップであって、前記マスク(2)は、透明な背景と、前記マスクの表面上の所定の位置に配置された不透明パターン(14)とを含み、前記マスクの前記不透明パターン(14)は、前記透明な背景の表面積よりも小さい総表面積を有する、ステップ、前記反射光ビーム(20)の少なくとも一部分(21)を受け取るステップ、撮像システム(5)及びカメラ(6)を、前記反射ビームの前記部分(21)を受け取り、且つ前記サンプル(8)の前記表面での反射によって前記マスクの画像(32)を形成するように設置するステップ、前記サンプルの前記表面上の反射による前記マスク画像(32)を処理して、前記画像中の前記パターンのそれぞれの位置を計算するステップ、前記マスクパターン(14)の前記所定の位置を、前記画像(32)中の前記パターン(34)の前記計算された位置と比較して、それから前記サンプル(8)の少なくとも1つの表面曲率半径を推定するステップを含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
マスク2を照明する光ビームは、マスク2を透過することにより、サンプル8の表面に入射する光ビーム10を形成する。図1の例では、入射光ビーム10は、光学入力ポート11を通してチャンバ内に伝送される。不透明パターンの相対表面積が小さいことにより、光源1のパワーを増大させることなく、サンプル上で強力な入射光ビーム10を得ることができる。入射光ビーム10は、有利には、サンプル表面上でコリメートされ、受光ユニットで最大の光を受け取ることができる。代替形態として、入射光ビーム10は、サンプルの表面上に合焦される。
【国際調査報告】