(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】マルチラインエッチング基板の生成
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537797
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041546
(87)【国際公開番号】W WO2023028244
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H197JA15
2H197JA17
(57)【要約】
微細加工方法は、ターゲット層上に第1のレリーフパターンを提供することであって、上記第1のレリーフパターンは、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含む、ことと、上記第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することであって、上記第2のレジストが、上記第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有する、ことと、上記溶解性変更剤を上記第2のレジストへと拡散させて、上記第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、上記第2のレジストを現像して、上記溶解性が変更された領域が溶解されて上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間にギャップを提供し、そこで、上記ターゲット層の一部が露出されることと、充填材料で上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間の上記ギャップを充填することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット層上に第1のレリーフパターンを提供することであって、上記第1のレリーフパターンが、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含む、ことと、
上記第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、
上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積して、上記第2のレジストが上記第1のレリーフパターンと接触した状態となるようにすることであって、上記第2のレジストが、上記第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有する、ことと、
上記溶解性変更剤を上記第2のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、上記第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、上記第2のレジストの上記溶解性が変更された領域が、上記第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、
上記第2のレジストを現像して、上記溶解性が変更された領域が溶解されて上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間にギャップを提供し、そこで、上記ターゲット層の一部が露出されることと、
充填材料で上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間の上記ギャップを充填することと
を含む微細加工方法。
【請求項2】
ターゲット層上に第1のレリーフパターンを提供することであって、上記第1のレリーフパターンが、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含む、ことと、
上記第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、
上記溶解性変更剤を上記第1のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、上記第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、
上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積して、上記第2のレジストが上記第1のレリーフパターンと接触した状態となるようにすることであって、上記第2のレジストが、上記第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有する、ことと、
上記第1のレジストを現像して、上記溶解性が変更された領域が溶解されて上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間にギャップを提供し、そこで、上記ターゲット層の一部が露出されることと、
充填材料で上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間の上記ギャップを充填することと
を含む微細加工方法。
【請求項3】
上記ターゲット層が、基板の上の中間層である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間の上記ギャップを充填する前に、上記第1のレリーフパターン及び上記第2のレジストによって画定されたパターンを上記ターゲット層に転写することと、
上記充填材料で上記ターゲット層の上記ギャップを充填することと
を更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記第1のレリーフパターンが、各フィーチャ間のギャップによって分離された各フィーチャを含み、上記フィーチャが上記第1のレジストを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
上記第2のレジストが、上記第1のレリーフパターンの上記ギャップを充填する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
上記充填材料が、ポリシリコン、二酸化ケイ素及びタングステンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
上記第1のレリーフパターンを除去することと、
上記第2のレジスト及び上記充填材料によって画定されたパターンを上記ターゲット層に転写することと、
第2の充填材料で上記ターゲット層を充填することと
を更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
上記ターゲット層より上の材料を除去することを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記第2のレジストを除去することと、
上記第1のレジスト及び上記充填材料によって画定されたパターンを上記ターゲット層に転写することと、
第2の充填材料で上記ターゲット層を充填することと
を更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
上記第1のレジストが、酸化金属ナノ粒子を含む有機金属を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
上記第2のレジストがシリコン系レジストを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記第1のレジストが、アクリレート、メタクリレート、p-ヒドロキシスチレン、スチレン、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマー単位を含むポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
上記第2のレジストが、酸化金属ナノ粒子を含む有機金属を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記第2のレジストがシリコン系レジストを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネートピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
上記酸がフッ素を含まない、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
上記溶解性変更剤が、(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸;スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;及びこれらの組合せを含む、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項23】
上記溶解性変更剤が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸、スルホンアミド、シラノール、フルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含むモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項24】
上記第1のレリーフパターンを上記溶解性変更剤でコーティングした直後に、上記溶解性変更剤を上記第1のレリーフパターンへと拡散させることを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項25】
上記溶解性変更剤を上記第1のレリーフパターンへと拡散させることは、ベークを実施することによって達成される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、フォトレジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後、フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。
【0002】
マルチパターニングは、複数のリソグラフィ工程を使用して最終パターンを作成することを説明する用語である。各種形態でのマルチパターニングによって、高度な半導体デバイスの製造が可能となる。パターニングは、典型的には2つの基本的な工程を含む。第1の工程は、リソグラフィを使用して、マスクベースの露光を用いた後に可溶性領域を現像することでパターンを作成することを含む。第2の工程は、方向性エッチング又は異方性エッチングによってパターンを下層材料に転写することを含む。これら2つの工程は合わせて、デバイスのパターニングと称され得る。
【0003】
高度のデバイスを作製するためには、いくつかのパターニング工程が使用され得る。例えば、あるエリアを何らかの形態のマルチパターニングでパターニングし、次いでカットマスクを使用してある領域間で切断してもよい。いくつかのアクティブエリアは、各種領域をつなぐパターンで「ブリッジされ」得る。高度のパターン構造は、5~6回の露光を用いて作製され得るが、これらは理想的には相互作用しない。例えば、ブリッジは、異なる領域の分離を破壊すべきではない。かかる高度のパターニングを達成するために、精巧な複数工程のパターニングプロセスが開発されている。典型的なマルチパターニングスキームは複雑で高価であり、パターニングプロセスの各工程で切り替えるのが困難である。これらの工程の簡素化は、より良好なスループット、時間、そして最終的にはシュリンク能力を提供することで有益となるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0005】
一態様では、本明細書で開示される実施形態は、ターゲット層上に第1のレリーフパターンを提供することであって、第1のレリーフパターンが、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含む、ことと、第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積して、第2のレジストが第1のレリーフパターンと接触した状態となるようにすることであって、第2のレジストが、第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有する、ことと、溶解性変更剤を第2のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、第2のレジストの溶解性が変更された領域が第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、第2のレジストを現像して、溶解性が変更された領域が溶解されて第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間にギャップを提供し、そこで、ターゲット層の一部が露出されることと、充填材料で第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間のギャップを充填することとを含む微細加工方法に関する。
【0006】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、ターゲット層上に第1のレリーフパターンを提供することであって、第1のレリーフパターンが、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含む、ことと、第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、溶解性変更剤を第1のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積して、第2のレジストが第1のレリーフパターンと接触した状態となるようにすることであって、第2のレジストが、第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有する、ことと、第1のレジストを現像して、溶解性が変更された領域が溶解されて第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間にギャップを提供し、そこで、ターゲット層の一部が露出されることと、充填材料で第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間のギャップを充填することとを含む微細加工方法に関する。
【0007】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係るマルチライン層の概略図である。
【0009】
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態に係るパターニングされたマルチライン層の概略図である。
【0010】
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0011】
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4F】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【0012】
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0013】
【
図6A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図6B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図6C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図6D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
基板のマルチパターニングでは、初期パターン形成は、ターゲット層に正確に配置することができるパターンを生成すべきである。初期パターンは、様々な異なる層を使用して形成され得る。様々な異なる層は、最終基板又は構造に各層が選択的に形成され得るように十分異なっているべきである。各層の選択的形成は、マルチライン層又は多色層などの技術を使用して達成され得る。マルチライン層は、2種又は3種の異なる交互材料の平面又は層である。これらの材料のそれぞれは、その他の材料をエッチングすることなく、エッチングすることができるように選択され得る。選択的エッチングを達成するかかる技術は、通常は完全ではないが、十分である。例えば、ある材料を完全にエッチングしつつ、その他の材料を部分的にしかエッチングしなくてもよく、それによって、下層のマスキングが依然として提供される。
【0015】
好ましいマルチライン層は、「ABC」レイアウトである。この層は、3種の異なる材料(A、B及びC)を有し、それらが、典型的にはABCBAの順で、材料A及びCが繰り返される前に間に3本のラインを有すると同時に、材料Bが1つおきの位置に現れるように交互に並んでいる。
図1は、ABCパターンによる例示的なマルチライン層を示す。
【0016】
かかるマルチライン層では、材料A又は材料Cは独立してエッチングされ得るが、これによって最新デバイスのためのより複雑なパターンの形成が可能となる。更には、マルチライン層はマスクされ、開口を作成し得る。かかる開口は、必要とされるよりも幅が広くなり得るが、マルチライン層中の異種材料は異なるエッチング耐性を有するため、エッチングマスクを使用するエッチングは更に限定され得る。例えば、望まれるものよりも幅が広いC上の比較的大きなパターンを使用することで、Cの方向性エッチングによって、A及びBが現れる開口が作成されない。このように、バッファゾーンが本質的に提供される。ABCパターンを有することで、複雑なパターンを作製するためのリソグラフィ及びエッチング要件が劇的に簡素化される。
【0017】
図2は、最終パターンにおける精密な断線(材料Cでは必ずしも必要ではない)及び精密な交差が形成される例を示す。C領域がなければ、必要とされる完全性は、従来のツールの解像能力を超える。したがって、従来のマルチパターニングは、保護、複合パターン及び局所パターンに依存している。これは、材料によっては、気相エッチングは異種材料間での選択性が低いことから、必要とされる場合がある。設計によっては、A/C及びBといった2つのパターンのみが必要とされる。これは、A及びCが同一の材料であるか、あるいは本質的に同様のエッチング特性を有し得ることを意味する。A/Cスキームによって、ある程度のカット(断線A又はC)及びブリッジ(断線B)パターンが可能となる。
【0018】
マルチライン層はパターニングにおいて有用であるものの、欠点の1つは、ABCパターンを作成するための加工時間及び費用である。従来、このパターンは、無機材料又は比較的硬質な材料を使用して作成される。例えば、レジストマスクは、ライン又はマンドレル(材料A)をエッチングし作成するために使用され得る。次いで、レジストは、基板から取り除かれ、その後、典型的には化学気相成長法(chemical vapor deposition、CVD)又は原子層堆積法(atomic layer deposition、ALD)を使用して、コンフォーマル堆積が実行され得る。次いで、スペーサエッチングプロセスが実行され得る。スペーサエッチングプロセスは、水平面からコンフォーマル材料を方向性エッチングし、側壁の堆積(材料B)を残し得る。次いで、側壁スペーサ(材料C)間の開口を充填する充填材料を堆積し得る。充填材料のオーバーバーデンは、制御されたエッチング又は化学的機械研磨によって除去し得る。このため、かかるマルチライン層の作成には、スキャナ/ステッパ、コータデベロッパ(トラックツール)、堆積チャンバ、エッチングチャンバ及びCMPツールが含まれる。したがって、かかるパターニングのコスト及び時間は比較的高い。
【0019】
本開示は、一般的に、半導体基板をマルチパターニングする方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。1つ以上の実施形態では、上記方法は、従来の方法で使用されるハードマスク材料ではなく、レジスト材料からマルチライン層を形成することを含む。したがって、1つ以上の実施形態の方法は、主にトラックツールを使用して、高度のリソグラフィ技術に適用され得る。本明細書に開示されたレジストベースのマルチライン層によって、時間とコストを抑えてサブ解像度パターンを得ることが可能となり得る。
【0020】
1つ以上の実施形態では、方法は、典型的なポリマーパターンを、エッチングに依存しない材料で適合するABC又はABエッチングパターンに変換することを含む。方法は、ネガ型スペーサフロー(アンチスペーサフロー)を使用することを含むが、これによって、効果的なカット及びブリッジパターン形成が可能となり得る。特定の実施形態では、間に空間を有する2つのポリマーを含むパターンを有するアンチスペーサフローが、ABCパターニングされたマルチライン層を提供するために形成され使用される。かかる実施形態に係る方法300は、
図3に示され、
図3を参照して考察される。
【0021】
ネガ型スペーサ又はアンチスペーサフローでは、
図3のブロック302に示されるように、レジストの初期パターンが基板上に提供される。本明細書では、レジストの初期パターンは、初期レリーフパターンとも称され得る。1つ以上の実施形態では、1つ以上の中間層が、初期レリーフパターンと下層のターゲット層との間に配置され得る。好適な中間層には、とりわけ、ハードマスク層及び下層反射防止膜(bottom antireflective coating layer、BARC)が含まれる。ターゲット層は、パターンを受けるために当技術分野で使用されるものなどの好適な層であり得る。初期レリーフパターンは、第1のエッチング選択性を有する第1のレジストを含み得る。次いで、ブロック304では、化学物質暴露材料又は拡散剤がパターニングされたレジスト上に堆積される。本明細書では、「拡散剤」及び「溶解性変更剤」という用語は、第1のレジスト又は第2のレジストへと拡散させ、それらの溶解性を変更する薬剤を説明するために互換的に使用され得る。拡散剤の堆積については、拡散剤(例えば、酸)は、第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。次に、ブロック306では、第2のレジスト又は溶解性変更可能なポリマーが、第1のレジストによって画定された開口を充填するために基板上に堆積される。第2のレジストは、第1のレジストの第1のエッチング選択性とは異なる第2のエッチング選択性を有し得る。すなわち、両方の材料をエッチングするいくつかのエッチング液(エッチング化学的組合せ)が存在するものの、第1のレジスト又は第2のレジストを、他方のレジストをエッチングすることなく、エッチングする他のエッチング液が存在する。よりエッチング耐性があるレジストは、パターニング目標又は設計に基づいて選択することができ、そのためカスタマイズすることが可能である。ブロック308では、第2のレジスト又はポリマーへの拡散が開始される。拡散は、熱によって活性化され得る。溶解性変更剤は、化学線放射への暴露時に溶解性変更剤を生成する感光性化合物を含み得る。第2のレジストへの拡散量は、プロセスの時間及び温度によってナノメートルスケールで精密に制御され得る。かかる制御によって、従来のリソグラフィ解像度よりもはるかに小さなフィーチャ寸法が可能となり得る。例えば、193nmのリソグラフィツールによって、193nm以上の幅を有するフィーチャを楽に印刷することができる。いくつかの光学的トリックを使用して、約80nmまでラインを印刷することができる。ただし、酸拡散は、数ナノメートル以内に制御され得る。
【0022】
酸拡散後には第1のレジストと第2のレジストとの間の領域が可溶となり、化学物質を現像することによって除去され得る。ブロック310では、可溶性領域(第2のレジストの溶解性が変更された領域とも称される)が、特定の現像化学物質を使用して現像されて、第1のレジスト周囲に空間(ネガ型スペーサ又はアンチスペーサ)を作成し得る。次いで、第1のレジスト及び第2のレジストの異なるエッチング選択性又はエッチング耐性に依拠することによって、基板は、方法300のブロック310において、複雑なパターンで選択的にエッチングされ得る。このパターニングタイプの結果が、レジスト、又は狭ギャップが各レジストを分離している2つの異なるレジストである。高い選択性パターンを作成するために、第2のレジストは、第1のレジストとは著しく異なる組成を有し得る。最後に、ブロック312では、ギャップは充填材料で充填されて、ABCパターニングされたマルチライン層を提供する。
【0023】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図4A~
図4Eに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。コーティングされた基板は、最初にターゲット層でコーティングされ得る。
図4Aは、第1のレリーフパターンを含むターゲット層を示す。
図4Bは、溶解性変更剤でコーティングされた第1のレリーフパターンを含むターゲット層を示す。
図4Cでは、第2のレジストが、基板及び第1のレリーフパターン上に積層される。
図4Dは、溶解性変更剤が第2のレジストへと拡散された後のコーティングされた基板を示す。最後に、
図4Eは、第2のレジストが現像されて第2のレジストと第1のレリーフパターンとの間にトレンチが形成された後のコーティングされた基板を示す。最後に、
図4Fは、ABCパターニングされたマルチライン層を提供するように第2のレジストと第1のレリーフパターンとの間のトレンチが充填材料で充填されているターゲット層を示す。
図3の方法及び
図4A~
図4Fに示されたコーティングされた基板は、以下で詳細に考察される。
【0024】
方法300のブロック302では、第1のレリーフパターンが提供される。
図4Aは、ターゲット層402上の第1のレリーフパターン404の一例を示す。ターゲット層は、パターンを受け得る基板又は任意の他の好適な層であり得る。
図4Aに示されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップで分離された各フィーチャを含み得る。ターゲット層の一部は、第1のレリーフパターンのギャップが存在することで露出され得る。第1のレリーフパターンのフィーチャは、第1のレジスト403から作製され得る。第1のレジストはフォトレジストであり得る。一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態のポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変更し得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0025】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R1は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基はともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R2は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、R3は、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2はR3とともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0026】
ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができる。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0027】
別の実施形態では、ポリマーは、高分子材料に化学的に結合され得るシリコン含有単位を含むポリマーであり得る。好ましい実施形態では、シリコン含有単位はケイ素-酸素結合を含む。かかるポリマーを含むレジストは、本明細書では「シリコン系レジスト」と称され得る。シリコン含有レジストの例は、米国特許第5,985,524号、同6,444,408号,同6,670,093号,同6,596,830号、並びにSchaedeliらによる“Bilayer Resist Approach for 193 nm Lithography”,Proc.SPIE,Vol.2724,pp.344-354,1996、及びKesselらによる“Novel Silicon-Containing Resists for EUV and 193 nm Lithography”,Proc.SPIE,Vol.3678,pp.214-220,1999に開示されている。
【0028】
1つ以上の実施形態の第1のレジストは、金属酸化物の化学反応に基づいた有機金属系又は金属系レジストであり、放射線感受性配位子を利用して化学線放射によりパターニングを可能にする金属オキソ/ヒドロキソ組成物が挙げられる。あるクラスの放射線系レジストは、放射線感受性安定化配位子としてペルオキソ配位子を使用する。ペルオキソ系金属オキソ-ヒドロキソ化合物は、例えば、「Patterned Inorganic Layers,Radiation Based Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題するStowersらに対する米国特許第9,176,377号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載される。関連するレジスト化合物は、「Metal Peroxo Compounds With Organic Co-ligands for Electron Beam,Deep UV and Extreme UV Resist Applications」と題するBassらに対する米国特許出願公開第2013/0224652号(参照により本明細書に組み入れられる)に考察される。効果的なタイプのレジストが、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions」と題するMeyersらに対する米国特許第9,310,684号、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題するMeyersらに対する米国特許出願公開第2016/0116839号、及び「Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,and Patterning」と題する米国特許出願シリアル番号15/291,738(それらのすべてが参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるようにアルキル配位子を用いて開発されている。スズ組成物がこれらの文献に例示されており、本明細書に提示したデータはスズ系レジストに焦点を当てているが、本明細書に記載のエッジビード除去溶液は、後述する他の金属系レジストに有効であると見込まれる。
【0029】
特に関心を集めるスズ系レジストについて、これらのレジストは、式RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x[式中、0<z≦2及び0<(z+x)≦4であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である]で表される有機金属組成物の化学反応に基づいている。ただし、オキソ/ヒドロキソ配位子の少なくとも一部は、式RnSnX4-n[式中、n=1又は2であり、Xは、加水分解性M-X結合を有する配位子である]で表される組成物に基づいたその場での加水分解に基づき、堆積後に形成され得ることが分かった。一般に、好適な加水分解性配位子(RSnX3のX)には、アルキニドRC≡C、アルコキシドRO-、アジドN3-、カルボキシレートRCOO-、ハライド及びジアルキルアミドが含まれ得る。そのため、いくつかの実施形態では、オキソ-ヒドロキソ組成物のすべて又は一部は、Sn-X組成物又はその混合物で置換され得る。R-Sn結合は一般的に、放射線感受性であり、レジストの放射線処理が可能である面の基礎となる。ただし、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x組成物の一部は、MO((m/2)-l/2)(OH)xで置換され得る(式中、0<z≦2、0<(z+w)≦4、m=Mm+の形式価数、0≦l≦m、y/z=(0.05~0.6)、M=M’又はSnであり、M’は、周期表の2~16族である非スズ金属であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である)。したがって、エッジビードリンス中に処理されるレジストは、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x、R’nSnX4-n及び/又はMO((m/2)-l/2)(OH)xの選択されたブレンドを含み得るが、一般的にはこの組成物のかなりの割合がアルキル-スズ結合を含む。他のレジスト組成物としては、例えば、ジブチルスズジアセテートなど、金属カルボキシレート結合を有する組成物(例えば、アセテート、プロパノエート、ブタノエート、ベンゾエートなどの配位子)が挙げられる。
【0030】
上で言及した金属オキソ/ヒドロキソ系又はカルボキシレート系レジストが特に望ましいが、いくつかの実施形態では、いくつかの他の高性能レジストが好適である場合がある。詳細に述べると、他の金属系レジストとしては、テンプレート、充填材料及びバッファハードマスクに対する高いエッチング選択性を有するものが挙げられる。これらには、金属酸化物ナノ粒子レジスト(例えば、Jiang,Jing;Chakrabarty,Souvik;Yu,Mufei;et al.,“Metal Oxide Nanoparticle Resists for EUV Patterning”,Journal Of Photopolymer Science And Technology 27(5),663-666 2014(参照により本明細書に組み入れられる))、又は他の金属含有レジスト(A Platinum-Fullerene Complex for Patterning Metal Containing Nanostructures,D.X.Yang,A.Frommhold,D.S.He,Z.Y.Li,R.E.Palmer,M.A.Lebedeva,T.W.Chamberlain,A.N.Khlobystov,A.P.G.Robinson,Proc SPIE Advanced Lithography,2014(参照により本明細書に組み入れられる))などのレジストが含まれ得る。他の金属系レジストは、「Film-Forming Composition,Method for Pattern Formation,and Three-Dimensional Mold」と題するYamashitaらに対する米国特許出願公開第2009/0155546号、及び「Method of Making Electronic Materials」と題するMaloneyらに対する米国特許第6,566,276号(その両方が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0031】
第1のレジストがフォトレジストである実施形態では、第1のレジストは光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光開始剤、ラジカル光重合用の光開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な公知の化合物から選択することができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0032】
好適な光酸としては、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートが挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合光酸発生剤は、Hashimotoらに対する米国特許第8,431,325号(37欄、11~47行目及び41~91欄)に更に記載される。他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に記載されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基などのスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0033】
レジスト組成物は、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得るか、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用される場合、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上述したようなスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含む。
【0034】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、第1のエッチング選択性を有し得て、その結果、別のレジストよりもいくらか容易にエッチングされ得る。レジストのエッチングは典型的には、エッチング化学反応が層を構成する特定の材料に依存するという反応性イオンエッチングなどの異方性ドライエッチングによって行われる。材料のエッチングプロセス速度又はエッチング速度は、材料及びエッチング液の組成並びに様々なプロセス条件に依存している。例えば、有機組成物は、酸素プラズマを用いて高速でエッチングすることができるが、フッ素含有エッチング液を使用したエッチングに耐性がある。シリコン含有組成物は、シリコン含量が増加するにつれ、酸素プラズマに対するエッチング耐性が増加し得る。高シリコンポリマーは一般的に、酸素プラズマ反応性イオンエッチングに対する耐性が高いが、フッ素含有エッチング液を用いてエッチングすることができる。金属は同様に、金属含有レジストに対して異なるエッチング選択性を付与する。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1のレジストはエッチング耐性向上剤を含む。好適なエッチング耐性向上剤を含むことによって、上述したように、エッチングに対する第1のレジストの耐性が高まり得る。
【0036】
第1のレリーフパターンは、第1のレジストをターゲット層上へと積層し、第1のレジストを現像することによって形成され得る。第1のレジストは、化学線放射への暴露に続く第1のレジスト現像剤でのリンスなど、当技術分野で知られている手順に従って現像され得る。現像されたレジストに形状又はレリーフパターンを付与するために、マスクを使用して化学線放射からレジストの一部を遮断し得る。化学線放射が適用された後、レジストの未暴露部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。その後、第1のレジスト現像剤でのリンスによって、未暴露部分又は暴露部分のいずれかが溶解する。現像剤でのリンス後にレジストの未暴露部分が残存している場合に提供されるレリーフパターンは、ポジトーン現像レジストである。対照的に、現像剤でのリンス後にレジストの暴露部分が残存している場合に提供されるレリーフパターンは、ネガトーン現像レジストである。
【0037】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されないポリマーを含み得る。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでのポリマーの架橋が生じ、ポリマーを現像剤に不溶性にする。次いで、未暴露のため未架橋のエリアは、適当な現像剤を使用して除去されて、レリーフパターンを形成することができる。ネガ型レジストはまた、有機金属系又は金属系レジストであり得る。
【0038】
他の実施形態では、第1のレジストはネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。NTDレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、NTDの第1のレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤で暴露エリアを現像する代わりに、第1のレリーフパターンは、有機溶媒を含む第1のレジスト現像剤で第1のレジストをリンスすることで提供され得る。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、ネガ型対NTD)は、第1のレリーフパターンに適用されたその後の化学反応に影響を及ぼし得る。
【0039】
前述されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップによって分離された各フィーチャを含み得る。1つ以上の実施形態では、第1のレリーフパターンのフィーチャは、約300Å~約3000Åの厚さを有し得る。各フィーチャを分離するギャップは、基板の一部を露出されたままにし得る。
【0040】
方法300のブロック304では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でコーティングされる。ブロック304によるコーティングされた基板を
図4Bに示す。溶解性変更剤405は、第1のレリーフパターン404上の薄いコーティングとして示されている。溶解性変更剤コーティングの厚さは、特に限定されておらず、望ましいラインカット幅に基づいて変更され得る。溶解性変更剤は、ベークによって第1のレジストに吸収される材料であり得るが、本明細書のいくつかの例では「吸収材料」と称され得る。溶解性変更剤を第1のレジストへと吸収又は拡散させるプロセスを以下に詳細に説明する。
【0041】
溶解性変更剤の組成は、第1のレジスト及び第2のレジストのトーンに依存し得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱で活性化する任意の化学物質であり得る。例えば、第2のレジストが化学増幅レジストを含む場合、溶解性変更剤は、酸又は熱酸発生剤(thermal acid generator、TAG)を含み得る。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマーの酸分解性基の結合を分解させて、適用される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるのに十分であるべきである。酸又はTAGは典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0042】
好ましい酸としては、非芳香族酸又は芳香族酸を含む有機酸が挙げられ、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0043】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0044】
【0045】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0046】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0047】
【0048】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して、0~4の整数であり、c+dが4以下であり、eおよびfは、独立して、0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0049】
溶解性変更剤に含まれ得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0050】
【0051】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して、0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0052】
【0053】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して、0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0054】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0055】
【0056】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して、0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して、0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0057】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0058】
【0059】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0060】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。好適なフッ素置換を有する遊離酸は芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
【0062】
【0063】
好適なTAGとしては、上述したように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0064】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0065】
【0066】
式中、RSO3
-はTAGアニオンであり、X+はTAGカチオン、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0067】
(BH)+ (I)
【0068】
これは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えば、ピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、窒素含有複素環基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基などで任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0069】
塩基Bは典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」という用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(底を10とする)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃又は90℃未満の沸点を有する。
【0070】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)+としては、NH4
+、CF2HNH2
+、CF3CH2NH3
+、(CH3)3NH+、(C2H5)3NH+、(CH3)2(C2H5)NH+及び以下のものが挙げられる。
【0071】
【0072】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0073】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸;トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤;又はこれらの組合せであり得る。溶解性変更剤由来の酸は、第1のレジストから第2のレジストへと拡散して、第1のレジストに隣接する層の第2のレジストポリマーを脱保護して、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの塩基性現像剤に可溶な状態にする。
【0074】
代替的には、第2のレジストは、溶解性変更剤が塩基又は塩基発生剤を含む場合には、NTDレジストと同様に処理され得る。この場合、第2のレジストは、酸又は酸発生剤を含むように処方される。溶解性変更剤由来の塩基は、第1のレジストから第2のレジストへと拡散して、第1のレジストに隣接する領域の酸をクエンチし、それによってNBAなどの有機溶媒によってその領域が現像されることが可能となる。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンは、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドを含み得るか、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン;ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド;又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、1~約8個の炭素原子、好ましくは1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0075】
好適な塩基発生剤は熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せなどの官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0076】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は溶媒を含む。上述したように、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収される。したがって、溶媒は、第1のフォトレジストを溶解しない限り、第1のレリーフパターンへの吸収を促進し得る任意の好適な溶媒であり得る。溶媒は典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0077】
溶解性変更剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-C9一価アルコールなどのアルコール;2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール;イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;並びにこれらの溶媒のうち1種以上を含む混合物が挙げられる。
【0078】
吸収材料に含まれる溶媒は、第1のレジストの組成及びトーンに依存し得る。ArFレジストに典型的であるように第1のレジストが(メタ)アクリレートポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像される場合、溶媒系は、好ましくは1つ以上の極性有機溶媒を含む。例えば、PTDの第1のフォトレジストに吸収されることが意図される溶解性変更剤は、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol、MIBC)などの極性溶媒を含み得る。溶解性変更剤はまた、共溶媒として、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せなどの脂肪族炭化水素、エステル及びエーテルを含み得る。特定の実施形態では、溶媒は、MIBC及び共溶媒を含む。かかる実施形態では、MIBCは、溶媒総体積に基づいて60~99%の範囲の量で溶媒中に含まれ得る。したがって、共溶媒は、溶媒総体積に基づいて1~40%の範囲の量で含まれ得る。
【0079】
KrF及びEUVフォトレジストに典型的であるように第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像される場合、溶媒系は、好ましくは1つ以上の非極性有機溶媒を含む。「非極性有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の総非極性有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の総非極性有機溶媒を含むことを意味している。非極性有機溶媒は典型的には、溶媒系に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒系中に存在する。
【0080】
好適な非極性溶媒としては、例えば、エーテル、炭化水素及びこれらの組合せが挙げられるが、エーテルが好ましい。好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが挙げられ、6~16個の総炭素数を有するものが特に好ましい。好適なアルキルモノエーテルとしては、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、酸化ピネン、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが挙げられるが、ジイソアミルエーテルが好ましい。好適な芳香族モノエーテルとしては、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが挙げられるが、アニソールが好ましい。好適な脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びペルフルオロヘプタンなどのフッ素化化合物が挙げられる。好適な芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、溶媒系は、1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定の組成物では、アルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、組成物の固形成分に対して向上した溶解性を提供し得る。好適なアルコール溶媒としては、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-9一価アルコール;並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-9フッ素化ジオールが挙げられる。アルコール溶媒は、好ましくはC4-9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。好適なエステル溶媒としては、例えば、4~10の総炭素数を有するアルキルエステルが挙げられ、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートが挙げられる。1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、溶媒系で使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0082】
溶媒系はまた、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテルのうちの1つ以上などから選択される1つ以上の追加の溶媒を含むことができる。かかる追加の溶媒は、使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0083】
第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成される場合、特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量で1つ以上のモノエーテル溶媒、並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量で1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を含む。溶媒系は典型的には、オーバーコート組成物に基づいて90~99重量%、好ましくは95~99重量%の量でオーバーコート組成物中に存在する。
【0084】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストはNTDレジストであり、溶媒は非極性有機溶媒である。好適な非極性有機溶媒としては、n-ブチルアセテート、2-ヘプタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターン上にコーティングされる。適切に第1のレリーフパターンをコーティングするために、溶解性変更剤はマトリックスポリマーを含み得る。マトリックスポリマーによって、望ましい厚さを有する層の形態で組成物をレジストパターン上にコーティングすることが可能になる。このことは、第1のレジスト表面と相互作用するのに十分な含量の溶解性変更剤を確実に存在させるのに役立つ。当技術分野で一般に使用される任意のマトリックスポリマーが、溶解性変更材料中に含まれ得る。マトリックスポリマーは、第1のレジストを溶解しない溶媒中で良好な溶解性を有するべきである。マトリックスポリマーは、イソプロピル(メタ)アクリレート及びn-ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアミン、ビニルアセタール、無水マレイン酸、マレイミド、ノルボルネン並びにこれらの組合せなど、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するものなどから選択される1つ以上のモノマーから形成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸及びスルホンアミドなどの酸基、シラノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール[-C(CF3)2OH]などのフルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せなどから選択される1つ以上の官能基を含む。ポリマーは、ホモポリマー、又は2個、3個、4個以上の異なる繰り返し単位などの複数の異なる繰り返し単位を有するコポリマーであり得る。一態様では、ポリマーの繰り返し単位は、(メタ)アクリレートモノマーからすべて形成されるか、芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成されるか、又は(メタ)アクリレートモノマー及び芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成される。ポリマーが1種類より多い繰り返し単位を含む場合、典型的にはランダムコポリマーの形態をとる。特定の実施形態では、マトリックスポリマーは、t-ブチルアクリレート(t-butyl acrylate、TBA)/p-ヒドロキシスチレン(p-hydroxystyrene、PHS)コポリマー、ブチルアクリレート(butyl acrylate、BA)/PHSコポリマー、TBA/メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)コポリマー、BA/MAAコポリマー、PHS/メタクリレート(methacrylate、MA)コポリマー、及びこれらの組合せであり得る。
【0086】
溶解性変更剤組成物は典型的には、単一ポリマーを含むが、任意選択的には1つ以上の追加のポリマーを含むことができる。組成物中のポリマーの含量は、例えば層の目標の厚さに依存し、より厚い層が望ましいときには、より高いポリマー含量が使用される。ポリマーは典型的には、溶解性変更剤組成物の全固形分に基づいて80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%、又は95~99重量%の量でパターン溶解性変更剤組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は典型的には、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する。
【0087】
溶解性変更剤組成物において使用するのに好適なポリマーは、市販されており、かつ/又は当業者によって容易に作製され得る。例えば、ポリマーは、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解させ、そこにラジカル重合開始剤を添加し、熱重合を行ってポリマーを形成することによって合成され得る。ポリマーの重合に使用することができる好適な有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。好適な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0088】
マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、当技術分野で知られている方法に従って第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。典型的には、マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、スピンコーティングによって第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。溶解性剤の固形含量は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤の望ましい厚さの膜を提供するように調整され得る。例えば、溶解性変更剤溶液の固形含量は、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピン可能である時間に基づいて望ましい膜厚を提供するように調整することができる。組成物の典型的な厚さは、約200Å~約1500Åである。
【0089】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、前述されるように、活性物質(すなわち、酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤)、溶媒及びマトリックスポリマーを含む。かかる溶解性変更剤の典型的な処方は、溶解性変更剤の総重量に基づいて約1重量%~約10重量%の固形分及び約90重量%~約99重量%の溶媒を含み得るが、この固形分は活性物質及びマトリックスポリマーを含む。固形含量内では、活性物質は、約1重量%~約5重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0090】
溶解性変更剤は、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、溶解性変更剤中に含まれ得る。界面活性剤は、特に第1のレジストの各フィーチャ間の薄いギャップを充填する必要がある場合に、コーティング品質の一助となるように溶解性変更剤中に含まれ得る。当技術分野で知られている任意の好適な界面活性剤が、溶解性変更剤中に含まれ得る。
【0091】
上記のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンへと拡散されて、吸収材料として第1のレジストに含まれる。第1のレリーフパターンへの溶解性変更剤の拡散は、ベークなどの熱前処理を行うことによって達成され得る。ベークはソフトベークであり得る。ソフトベークの温度及び時間は、第1のレジストの個性及び第1のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。典型的には、ソフトベークは、約50℃~約150℃の範囲の温度で約30秒~約90秒間実施され得る。
【0092】
第1のレジストへの拡散後、有効な溶解性変更材料を一切含まないコーティング層が第1のレジスト上に残存し得る。1つ以上の実施形態では、コーティング層は、リンスによって除去され得る。リンスは、コーティング層を溶解するが、第1のレジストは溶解しない溶媒でコーティングされた基板をリンスすることによって達成され得る。リンスは、任意の好適な方法を使用して、例えば、溶媒を充填した浴中に基板を一定時間浸すこと(ディップ法)、表面張力の作用により基板表面上で溶媒を持ち上げ、これを一定時間静置することで、コーティング層を溶解させること(パドル法)、基板表面上に溶媒を噴霧すること(噴霧法)、又は一定速度で溶媒噴出ノズルを走査しながら、一定速度で回転する基板上に溶媒を連続噴出させること(ダイナミックディスペンス法)によって実施され得る。
【0093】
方法300のブロック306では、第2のレジスト又は溶解性変更可能なポリマーが、基板上に堆積される。第1のレリーフパターン404、溶解性変更剤405及び第2のレジスト406で積層されたコーティングされた基板を
図4Cに示す。第2のレジストは、第1のレリーフパターンのギャップを充填し、第1のレリーフパターン又は溶解性変更剤と接触した状態になるように基板上に堆積され得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、基板、第1のレリーフパターン及び溶解性変更剤を完全に覆う。第2のレジストは、例えばスピンオン堆積又は気相処理など、当技術分野で知られている任意の好適な方法に従って基板上に堆積され得る。
【0094】
好適な第2のレジスト組成物は、第1のレジスト組成物に関して上に列挙したものを含む。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、前述されるようなポリマーを含む。第2のレジストは、第1のレジストとは異なり得る。例えば、第1のレジストが有機系レジストである場合、第2のレジストは金属系又はシリコン系であり得る。同様に、第1のレジストが金属系レジストである場合、第2のレジストはシリコン系であり得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは第2のエッチング選択性を有し得て、その結果、第1のレジストよりもいくらか容易にエッチングされ得る。いくつかの実施形態では、第2のレジストはエッチング耐性向上剤を含まない。
【0095】
第2のレジストに含まれるポリマーは、約2,000g/mol~約20,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、約2,000g/mol、約2,500g/mol、約3,000g/mol、約3,500g/mol、約4,000g/mol及び約5,000g/molのうちの1つの下限から約5,000g/mol、約7,500g/mol、約10,000g/mol、約12,500g/mol、約15,000g/mol、約17,500g/mol及び約20,000g/molのうちの1つの上限までの範囲のMw(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)を有するポリマーを含み得る。かかるMwを有するポリマーは、特に溶解速度などの望ましい溶解特性を呈し得る。
【0096】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストは塩基を含む。かかる実施形態では、塩基は、第2のレジストの総重量に基づいて0.01重量%~1.0重量%の範囲の量で第2のレジストに含まれ得る。好適な塩基には、塩基溶解性変更剤に関して上に列挙されたものが含まれる。
【0097】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、第1のレジスト組成物に関して上に列挙されたものから選択される光酸を含む。
【0098】
溶解性変更剤が塩基又は塩基発生剤を含み、第1のレジストがNTDレジストと同様に処理され得る実施形態では、第2のレジストは酸及び/又は酸発生剤を含む。酸又は酸発生剤は、溶解性変更剤に含まれる酸又は酸発生剤に関して前述される通りであり得る。
【0099】
方法300のブロック308では、溶解性変更剤は第2のレジストへと拡散される。1つ以上の実施形態では、第2のレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの独自性及び第2のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、50℃~160℃の範囲の温度及び約30秒~約90秒の範囲の時間を含み得る。
【0100】
1つ以上の実施形態では、ベーク後、溶解性が変更された領域は、第2のレジストの縁部の周囲に存在する。溶解性変更剤の拡散量は、溶解性が変更された領域の厚さに対応し得る。いくつかの実施形態では、溶解性が変更された領域は、約5nm~約60nmの厚さを有するように第2のレジストへと延在する。例えば、溶解性が変更された領域の厚さは、5nm、10nm、15nm、20nm及び25nmのうちの1つの下限から40nm、45nm、50nm、55nm及び60nmのうちの1つの上限までの範囲であり得る(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域の厚さは、基板に切り込まれる望ましいライン幅に対応し得る。
【0101】
溶解性が変更された領域を含むコーティングされた基板を
図4Dを示す。
図4Dに示されるように、コーティングされた基板はターゲット層402を含む。基板は前述される通りである。第1のレジスト203から構成される第1のレリーフパターン404は、ターゲット層402の上にある。第1のレリーフパターン404は、溶解性変更剤でコーティングされる。第2のレジスト406は、第1のレリーフパターン及び基板上にコーティングされる。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト406は、基板402及び第1のレリーフパターン404を完全に覆う。第2のレジストの溶解性が変更された領域408は、第1のレリーフパターンに隣接して示されている。
【0102】
溶解性が変更された領域は、溶解性変更剤に暴露されなかった第2のレジストの領域とは異なる溶解性を有し得る。このように、第2のレジストの溶解性が変更された領域及び未暴露領域は、異なるレジスト現像剤に可溶であり得る。
【0103】
方法300のブロック310では、堆積された第2のレジスト層は、第2のレジストの未暴露領域が残存するように特定の現像剤を使用して現像され得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変更された領域は、まず化学線放射に暴露され、次いで特定の現像剤に暴露されることによって現像される。他の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変更された領域は、特定の現像剤にのみ暴露される。特定の現像剤は、第2のレジストのトーンに依存し得る。例えば、溶解性変更剤が酸又は酸発生剤である場合、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、溶解性変更剤が塩基又は塩基発生剤を含む場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの有機溶媒であり得る。
【0104】
溶解性が変更された領域の厚さは、基板に切り込まれるパターンの望ましいライン幅に対応し得る。
図4Eは、本開示の実施形態に従って現像されたコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト406は、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間にある溶解性が変更された領域を溶解するように現像される。したがって、溶解性が変更された領域の溶解によって、第1のレリーフパターン404と第2のレジスト406との間にトレンチ410が形成され得るが、そこで、ターゲット層402が露出される。いくつかの実施形態では、エッチングがこの段階で実施されて、トレンチ410のパターンをターゲット層402へと転写し得る。
【0105】
ブロック312では、方法300は、第2のレジストと第1のレリーフパターンとの間に形成されたギャップを充填材料で充填することを含む。好適な充填材料は、例示的な例をほんの数例挙げると、ポリシリコン、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)及びこれらの様々な合金、積層体又は他の組合せ、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO2))、ドープされたシリコンの酸化物、フッ素化されたシリコンの酸化物、炭素ドープされたシリコンの酸化物、シリコンの窒化物(例えば、窒化ケイ素(SiN))、シリコンの炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、シリコンの炭窒化物(例えば、SiCN)、アルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al2O3))、チタンの酸化物(例えば、酸化チタン(TiO2))、ジルコニウムの酸化物(例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2))、ハフニウムの酸化物(例えば、酸化ハフニウム(HfO2))、シリコン反射防止膜、スピンオン金属ハードマスク、当技術分野で知られている様々な低k誘電体材料、及びこれらの組合せであり得る。充填材料は、スピンコーティングなどの液相技術、又は化学気相成長法、原子層堆積法、分子層堆積法などの気相技術を使用して塗布され得る。1つ以上の実施形態では、充填材料は、第3のエッチング選択性を有し得て、その結果、第1のレジスト及び第2のレジストよりもいくらか容易にエッチングされ得る。
【0106】
次いで、化学的機械平坦化を用いて任意のオーバーバーデンを除去して、ABCパターニングされたマルチライン層を提供し得る。
図4Fは、例示的なABCパターニングされたマルチライン層を示す。
図4Fでは、ターゲット層402は、第1のレジスト403、第2のレジスト406及び充填材料412でコーティングされ、その結果、充填材料は1つおきの位置に存在し、第1のレジスト及び第2のレジストは充填材料間の空間を交互に占める。
【0107】
方法300は、可能である一実施形態を表すが、本発明の範囲を限定しようと意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は、例えば溶解性変更剤が第2のレジストではなく第1のレジストへと拡散される方法など、様々な代替的方法を包含し得る。かかる代替実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法300を参照して前述した通りであり得る。
【0108】
上述のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は第1のレジストへと拡散される。かかる実施形態では、方法は、最初に第1のレジストの第1のレリーフパターンを形成することと、次いで第1のレジストを溶解性変更剤でコーティングすることとを含み得る。この時点で、溶解性変更剤は、第1のレジストへと所定の距離だけ拡散されて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。溶解性変更剤の拡散は、かかる方法の異なる時点で異なる成分へと起こり得るが、溶解性変更剤の拡散は、方法300では上述したように実施され得る。溶解性変更剤が第1のレジストへと拡散された後、第2のレジストが基板上に堆積され得る。次いで、本方法は、方法300に従って継続され得る。
【0109】
更に、方法300は、ABCマルチラインパターンが第1のレジスト、第2のレジスト及び充填材料を含むことで終了するが、代替方法は、ある材料を選択的に除去し、置換材料で置き換えることによって継続され得る。当業者によって理解されるように、第1のレジスト、第2のレジスト及び充填材料のいずれかが、ターゲット現像剤、リンス又は他の方法によって除去され、好適な置換材料で置き換えられ得る。好適な置換材料は、第1及び第2のレジスト並びに充填材料よりもエッチング選択性が高いか又は低い第4のエッチング選択性を有する異なるレジスト又は充填材料であり得る。
【0110】
1つ以上の実施形態では、処理は、ABパターニングされた多層ラインを使用して継続され得る。いくつかの実施形態では、追加の処理は、方法300の様々な工程を繰り返して、ABCパターニングされた多層ラインを提供することを含み得る。
【0111】
本開示によるABCパターニングされたマルチライン層を提供する別の方法500を
図5に示す。方法500のそれぞれの時点におけるコーティングされた基板の概略図を
図6A~
図6Dに示す。方法500において、ブロック502では、ABパターニングされたマルチライン層が、再び
図3を参照して、方法300に従ってターゲット層上に提供される。当業者によって理解されるように、方法300で使用される構成要素及び方法は、方法300を参照して説明されたように方法500に適用され得る。
図6Aでは、ABパターニングされたマルチライン層の下にある中間ターゲット層を有するコーティングされた基板を示す。
【0112】
ブロック504では、第1のレジストが除去され得る。第1のレジストは、当技術分野で公知の技術に従って除去され得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、リンス、ウェットケミカルエッチング又はドライエッチングプロセスを実施することによって除去される。
図6Bに示されるように、第1のレジストの除去によって、第2のレジスト及び充填材料によって画定され、充填材料間にトレンチを含み、そこで、ターゲット層が露出されるパターンが提供され得る。次いで、方法500のブロック506では、
図6Cに示されるように、第2のレジスト及び充填材料によって画定されたパターンは、トレンチが下層のターゲット層に形成されるように下層のターゲット層に転写される。最後に、ブロック508では、下層のターゲット層のトレンチは第2の充填材料で充填されて、ABCパターニングされたマルチライン層を提供する。例示的なABCパターニングされたマルチライン層を
図6Dに示す。
【0113】
当業者によって理解されるように、方法500は、第1のレジストを除去して、第2のレジスト及び充填材料によって画定されたレリーフパターンを提供することを含むが、代替的な実施形態は、第2のレジストを除去して、第1のレジスト及び充填材料によって画定されたレリーフパターンを提供することを含み得る。かかる実施形態では、第2のレジストの除去後、方法は、方法500にて上述したように進められ得る。
【0114】
1つ以上の実施形態では、充填材料での充填後、第1のレジスト及び第2のレジストは除去され、置換材料で置き換えられる。置換材料は、本明細書に記載の充填材料から選択される材料であり得る。置換材料の任意のオーバーバーデンは、充填材料の上部までエッチング又は平坦化されて、連続パターニングのためにマルチライン層を完成することができる。
【0115】
1つ以上の実施形態の方法及びシステムは、化学的プロセス及び拡散特性の両方に依拠して、入力した化学反応自体に制御機能を加える固有の能力及びかかる化学反応を測定するプロセスを提供する。
【0116】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】