(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】二重特異性抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20240912BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240912BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240912BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240912BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240912BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240912BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240912BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240912BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240912BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240912BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240912BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K16/24
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/08
A61P35/00
A61P37/02
A61K39/395 T
A61K39/395 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542232
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2022122367
(87)【国際公開番号】W WO2023051656
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111162303.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519311260
【氏名又は名称】▲貝▼▲達▼▲薬▼▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BETTA PHARMACEUTICALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲ウェン▼新
(72)【発明者】
【氏名】房 雪菲
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲徳▼雨
(72)【発明者】
【氏名】胥 階英
(72)【発明者】
【氏名】丁 列明
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE01
4C085GG01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
二重特異性抗体及びその使用を提供する。提供される二重特異性抗体は、特異的にTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と単一に又は同時に結合することができ、また、PD-L1と特異的に結合することもできる。提供される二重特異性抗体は、抗原との高い親和性、特異性を示し、腫瘍殺傷効果を有するため、腫瘍の治療に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分は軽鎖可変領域をさらに含み、前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項2】
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有することを特徴とする請求項1に記載の二重特異性抗体。
【請求項3】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、
HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、
HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、
HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、
LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、
LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、
LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3配列及び前記LCDR1、LCDR2、LCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項4】
前記第1抗原結合部分が、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、1%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
【請求項5】
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする請求項4に記載の二重特異性抗体。
【請求項6】
前記第2抗原結合部分が、単一ドメイン抗体であり、
前記二重特異性抗体は、リンカーによってIgG型抗体及び第2抗原結合部分がそれぞれ接続された構造であり、ただし、IgG型抗体は第1抗原結合部分を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
【請求項7】
前記第2抗原結合部分が、
(a)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR1と、
(b)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR2と、
(c)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR3とを含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
【請求項8】
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有し、又は
(2)配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有し、又は
(3)配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有し、又は
(4)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有することを特徴とする請求項7に記載の二重特異性抗体。
【請求項9】
前記第2抗原結合部分がフレームワーク領域をさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含み、
(1)FR1は、配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列、又は配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(2)FR2は、配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列、又は配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(3)FR3は、配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列、又は配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列と比べて、1つ、2つ、3つ若しくは4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(4)FR4は、配列番号73で示される配列、又は配列番号73で示される配列と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれることを特徴とする請求項7又は8に記載の二重特異性抗体。
【請求項10】
前記第2抗原部分がフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域FRは、
(1)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号72で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(2)配列番号74で示されるFR1配列、配列番号75で示されるFR2配列、配列番号76で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(3)配列番号77で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(4)配列番号80で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(5)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号81で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、から選ばれることを特徴とする請求項7又は8に記載の二重特異性抗体。
【請求項11】
前記第2抗原結合部分が、
(a)配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列、
(b) (a)と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であるアミノ酸配列から選ばれることを特徴とする請求項7又は8に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分はGARP、TGF-β及び/又はGAPR-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、ただし、
(a)前記CDR1は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(b)前記CDR2は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(c)前記CDR3は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項13】
前記第2抗原結合部分が、
(1)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有し、又は
(2)配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有し、又は
(3)配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有し、又は
(4)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有することを特徴とする請求項12に記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
前記第2抗原結合部分がフレームワーク領域をさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含み、
(1)FR1は、配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列、又は配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(2)FR2は、配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列、又は配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(3)FR3は、配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列、又は配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列と比べて、1つ、2つ、3つ若しくは4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(4)FR4は、配列番号73で示される配列、又は配列番号73で示される配列と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれることを特徴とする請求項12又は13に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
前記第2抗原部分がフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域FRは、それぞれ、以下を含み、
(1)FR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号72で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(2)FR1は配列番号74で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号75で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号76で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(3)FR1は配列番号77で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(4)FR1は配列番号80で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(5)FR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号81で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であることを特徴とする請求項12又は13に記載の二重特異性抗体。
【請求項16】
前記第2抗原結合部分が、
(a)配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列、
(b) (a)と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であるアミノ酸配列から選ばれることを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
【請求項17】
前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインVL及びFc領域とIgG型構造を形成し、
前記第2抗原結合部分はリンカーによって前記IgG型構造に接続されることを特徴とする請求項12~16のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
【請求項18】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含み、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
前記CDR1は配列番号60又は63又は66で示される配列を含み、
前記CDR2は配列番号61又は64又は67で示される配列を含み、
前記CDR3は配列番号62又は65又は68又は69で示される配列を含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列並びに前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項19】
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有し、
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号62で示されるアミノ酸配列であり、又は
(2)CDR1が配列番号63で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号64で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号65で示されるアミノ酸配列であり、又は
(3)CDR1が配列番号66で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号67で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号68で示されるアミノ酸配列であり、又は
(4)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号69で示されるアミノ酸配列であり、
前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインVL及びFc領域とIgG型構造を形成し、前記第2抗原結合部分はリンカーによってIgG型構造に接続されることを特徴とする請求項18に記載の二重特異性抗体。
【請求項20】
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含み、
前記第2抗原結合部分が、
配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項19に記載の二重特異性抗体。
【請求項21】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項22】
前記第2抗原結合部分が、
配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含むことを特徴とする請求項21に記載の二重特異性抗体。
【請求項23】
TGF-β、GARP及び/又はGARP-TGF-β複合体と特異的に結合する第1抗原結合部分と、PD-L1と特異的に結合する第2抗原結合部分とを含み、
重鎖第1定常ドメインCH1と軽鎖定常ドメインCLとをさらに含み、前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインCLとそれぞれ共有結合され、
Fc領域をさらに含み、前記Fc領域はヒンジ領域によって重鎖第1定常ドメインCH1に接続され、前記第2抗原結合部分はリンカーによってFc領域に及び/又は軽鎖定常ドメインCLに接続されることを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項24】
(i)前記第2抗原結合部分がリンカーによって前記Fc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続されたもの、
(ii)前記第2抗原結合部分がリンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)に接続されたもの、
(iii)前記第2抗原結合部分の少なくとも一部が第1リンカーによってFc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続され、少なくとも一部が第2リンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)に接続されたものから少なくとも1種選ばれることを特徴とする請求項23に記載の二重特異性抗体。
【請求項25】
少なくとも、下記の特性、即ち、
(a)PD-L1と特異的に結合すること、
(b)糖タンパク質A反復優勢配列(GARP)と特異的に結合すること、
(c)GARP-TGF-β複合体と特異的に結合すること、
(d)TGF-βと特異的に結合すること、
(e)制御性T細胞の免疫抑制機能に対する阻害活性を有すること、
(f)抗腫瘍活性を有すること
の1つを有することを特徴とする請求項23に記載の二重特異性抗体。
【請求項26】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項27】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有することを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項28】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、
HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、
HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、
HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、
LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、
LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、
LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含むことを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項29】
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含むことを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項30】
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする請求項26~29のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項31】
配列番号36で示される重鎖可変領域及び配列番号48で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号37で示される重鎖可変領域及び配列番号49で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号38で示される重鎖可変領域及び配列番号50で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号39で示される重鎖可変領域及び配列番号51で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号40で示される重鎖可変領域及び配列番号52で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号41で示される重鎖可変領域及び配列番号53で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号42で示される重鎖可変領域及び配列番号54で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号43で示される重鎖可変領域及び配列番号55で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号44で示される重鎖可変領域及び配列番号56で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号45で示される重鎖可変領域及び配列番号57で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号46で示される重鎖可変領域及び配列番号58で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号47で示される重鎖可変領域及び配列番号59で示される軽鎖可変領域から選ばれることを特徴とする請求項26~30のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項32】
Fc領域をさらに含むことを特徴とする請求項26~31のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項33】
請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードし又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項34】
請求項33に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする構築物。
【請求項35】
請求項33に記載のポリヌクレオチド又は請求項34に記載の構築物を含有することを特徴とする宿主細胞。
【請求項36】
請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項37】
請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
前記二重特異性抗体又は前記モノクローナル抗体若しくは抗原結合断片に接続された機能性小分子とを含むことを特徴とする抗体複合体。
【請求項38】
請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を含むことを特徴とするキット。
【請求項39】
請求項35に記載の宿主細胞を培養することと、
培養物から二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を回収することとを含むことを特徴とする請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を生産し又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を生産する方法。
【請求項40】
必要とする被験者に有効量の請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片、又は請求項36に記載の医薬組成物、又は請求項37に記載の抗体複合体を投与することを含むことを特徴とする疾患を予防及び/又は治療する方法。
【請求項41】
前記疾患は、がん又は自己免疫疾患から選ばれることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
薬物又はキット又は抗体複合体の製造における請求項1~25のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項26~32のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の用途。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年9月30日に提出された、出願番号が202111162303.Xである中国特許出願の優先権を主張し、それは全体として又はその一部が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、バイオ医薬品の分野に関し、具体的には、二重特異性抗体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
トランスフォーミング増殖因子-β(Transforming growth factor-β、TGF-β)は、TGF-βスーパーファミリーのメンバーとして、様々な免疫細胞、例えば、制御性T細胞(regulatory T cells、Tregs)、DC細胞、CD3+T細胞、M2マクロファージなどで発現され、細胞の増殖及び分化を制御する。腫瘍微小環境では、免疫細胞の活性が一般的に環境中のTGF-βに影響を受けるため、免疫抑制が示される。TGF-βの発揮する効力及び多様性により、ファミリーのメンバーのうち、TGF-β1、β2、β3などのアイソフォームは不活性な潜在型として産生され、しかも厳密に制御される細胞外活性化ステップがないとその受容体と結合する能力は得られない(Cold Spring Harb.Perspect.Biol.2016;8(a022103),Cytokine Growth Factor Rev.2013;24:355-372)。TGF-β1は、免疫細胞、例えば、Tregsによって発現される主なアイソフォームである。Treg細胞は、活性TGF-βを産生して免疫抑制効果を媒介することによって、自己免疫疾患などの発生を防止するのである。しかし、悪性腫瘍は、当該メカニズムを利用して大量のTGF-βを放出し、がん細胞を迅速に分裂させると同時に、Treg細胞に頼ってがん細胞に対する他の免疫細胞の殺傷効果を阻害する。
【0004】
糖タンパク質A反復優勢配列(glycoprotein A repetitions predominant、GARP)は、潜在型トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)と結合するI型膜貫通細胞表面受容体であり、主にTreg、B細胞の表面及び血小板で活性化され、ヒトの乳腺、肺及び結腸の腫瘍で高発現される。GARPは、潜在型TGF-β(latency associated peptide、LAP、潜在関連ペプチド)と複合体を形成することができ(Proc Natl Acad Sci USA.2009;106(32):13445-50)、膜の潜在型TGF-βと結合する能力を制御し、αVβ8インテグリン又はαVβ6インテグリンと結合して、細胞の表面からTGF-βを放出させてそれを活性化させることができる。
【0005】
GARPの高発現は腫瘍の増殖に必要なTGF-βの活性化及び貯蔵を提供し、Tregの抑制性表現型を向上させTregの媒介する末梢性免疫寛容を維持することに鑑みて、GARP阻害剤は腫瘍治療で徐々に頭角を現している。GARPを標的とする抗体の開発も早く進められており、例えば、初めて臨床で使用されているGARP阻害剤ARGX-115は、GARPを標的とし、活性TGF-βの放出及びTregの免疫抑制活性を阻害することによって、がん細胞の免疫応答を再活性化し、疾患の進行を抑制する。第一三共によって開発されたDS-1055(GARPに対して設計されたモノクローナル抗体)の方も、再発/難治性の末期又は転移性頭頸部がん、胃がん及び食道がんに関する臨床試験が行われている。
【0006】
二重特異性抗体(Bispecific antibody、BsAb)は、2つの抗原又はエピトープと同時に特異的に結合することのできる抗体である。1960年にNisonoff氏及び共同研究者が初めてBsAbの概念を初めて打ち出して以来、二重特異性抗体は、遺伝子組み換え抗体技術が徐々に成熟するのにつれて、早く発展されてきている。BsAbは複数の抗原又はエピトープを標的とすることができるため、モノクローナル抗体よりも多くの優位性を示しており、しかもモノクローナル抗体併用療法を上回る効果を徐々に示すようになる。例えば、特異的免疫エフェクター細胞を近くの腫瘍細胞にリダイレクトして、腫瘍の殺傷を向上させることができ、また、2つの異なる細胞表面抗原の相互作用によって結合の特異性を高めることができ、また、単一の抗体の併用よりも、開発コストを低減させ、臨床試験を減らすことができる。今や二重特異性抗体は、抗体工学分野で研究のホットスポットとなっており、腫瘍治療や自己免疫疾患などの分野で幅広く使用される見込みがある。中国国内と海外の複数の製薬会社が、異なる標的に対して二重特異性抗体の研究を行っている。
【0007】
しかし、二重特異性抗体は、2つ又はそれ以上の実体の相互作用に関わるため、モノクローナル抗体よりも複雑なものである。異なる標的に対する二重特異性抗体の開発にはさらに改善する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本願は、二重特異性抗体及び疾患の治療におけるその用途を提供する。本願は、GARP、TGF-β及び/又はGARP-TGF-β複合体を標的とすることによって活性TGF-βの放出及びTregの免疫抑制機能を阻害し、これによってがん細胞の免疫応答を再活性化し、疾患の進行を抑制する。また、提供される二重特異性抗体は、PD-L1と特異的に結合することができ、PD-1/PD-L1耐性の場合に抗腫瘍活性を向上させることができる。
【0009】
本願の第1態様は、二重特異性抗体を提供し、前記二重特異性抗体は第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、前記第1抗原結合部分は軽鎖可変領域をさらに含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られる。
【0010】
提供される二重特異性抗体は第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を有し、第1抗原結合部分は、特異的にGARP、TGF-β又はGARP-TGF-β複合体のうちの1種、2種又は3種を標的とし、免疫細胞の応答を活性化することができ、第2抗原結合部分は、特異的にPD-L1を標的とし、PD-1/PD-L1シグナル伝達経路を遮断し、免疫抑制を解除し、体の免疫殺傷能力を回復させることができる。提供される二重特異性抗体は優れた腫瘍治療効果を示していることが確認された。
【0011】
本願の第2態様は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3配列及び前記LCDR1、LCDR2、LCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られる。
【0012】
本願の第3態様は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原結合部分はGARP、TGFβ及び/又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、ただし、
(a)前記CDR1は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(b)前記CDR2は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(c)前記CDR3は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られる。
【0013】
本願の第4態様は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含み、前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記CDR1は配列番号60又は63又は66で示される配列を含み、前記CDR2は配列番号61又は64又は67で示される配列を含み、前記CDR3は配列番号62又は65又は68又は69で示される配列を含む。
【0014】
本願の第5態様は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、前記第1抗原結合部分は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができる。
【0015】
本願の第6態様は、二重特異性抗体を提供し、当該二重特異性抗体はTGFβ、GARP及び/又はGARP-TGFβ複合体と特異的に結合する第1抗原結合部分と、PD-L1と特異的に結合する第2抗原結合部分とを含み、当該二重特異性抗体は重鎖第1定常ドメインCH1と軽鎖定常ドメインCLとをさらに含み、前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインCLとそれぞれ共有結合され、当該二重特異性抗体はFc領域をさらに含み、前記Fc領域はヒンジ領域によって重鎖第1定常ドメインCH1に接続され、前記第2抗原結合部分はリンカーによってFc領域と及び/又は軽鎖定常ドメインCLと共有結合される。
【0016】
本願の第7態様は、重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供し、前記重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。
【0017】
本願の第8態様は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供し、ただし、(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有する。
【0018】
本願の第9態様は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供し、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含む。
【0019】
本願の第10態様は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供する。
【0020】
本願の第11態様は、上記の第1態様~第6態様のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードし、又は第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
本願の第12態様は、上記の第11態様に記載のポリヌクレオチドを含む構築物を提供する。
【0022】
本願の第13態様は、上記の第11態様に記載のポリヌクレオチド又は第12態様に記載の構築物を含有する宿主細胞を提供する。
【0023】
本願の第14態様は、上記の第1態様~第6態様のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0024】
本願の第15態様は、上記の第1態様~第6態様のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片に接続された機能性小分子とを含む抗体複合体を提供する。
【0025】
本願の第16態様は、上記の第1態様~第6態様のいずれかの実施例に記載の二重特異性抗体、又は第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を含むキットを提供する。
【0026】
本願の第17態様は、第13態様に記載の宿主細胞を培養することと、培養物から二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を回収することとを含む上記の二重特異性抗体を生産し又は上記のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を生産する方法を提供する。
【0027】
本願の第18態様は、必要とする被験者に有効量の上記の第1態様~第6態様のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は上記の第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片、又は第14態様に記載の医薬組成物、又は第15態様に記載の抗体複合体を投与することを含む疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0028】
本願の第19態様は、薬物若しくはキットの製造又は抗体複合体の製造における上記の第1態様~第6態様のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は上記の第7態様~第10態様のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本願の実施例によって提供される二重特異性抗体の構造模式図である。
【
図2】
図2は、本願の実施例によって提供される二重特異性抗体の構造模式図である。
【
図3】
図3は、本願の実施例によって提供される二重特異性抗体の構造模式図である。
【
図4】
図4は、本願の実施例によって提供される二重特異性抗体の構造模式図である。
【
図5】
図5は、本願の実施例によって提供されるFACSを利用して検出したGARP-TGF-β複合体に対する抗体の結合活性の結果である。
【
図6】
図6は、TGF-βに対する本願の実施例によって提供される抗体の結合活性の結果である。
【
図7】
図7は、TGF-βに対する本願の実施例によって提供される抗体の中和活性の結果である。
【
図8】
図8は、動物モデルにおける本願の実施例によって提供される抗体の有効性試験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、具体例を挙げて本願の技術的解決手段を詳細に説明する。また、当業者が理解しやすくなるよう、本願のいくつかの用語について解釈及び説明する。なお、これらの解釈及び説明は、当業者が理解しやすくするためのもので、本願の保護範囲に対する制限と見なすべきではない。
【0031】
用語「二重特異性抗体」は、少なくとも2種の異なる生体分子のエピトープと特異的に結合する抗原結合部分を含むもので、また区別するために、それぞれ、「第1抗原結合部分」「第2抗原結合部分」と呼ぶ。以下、「第1抗原結合部分」及び「第2抗原結合部分」についても解釈及び説明する。特に説明がない限り、列挙された二重特異性抗体で抗原と結合する順序に制限はない。当然ながら、異なる生体分子と特異的に結合する時に、二重特異性抗体は当該特定の生体分子の1つ以上のエピトープと結合する可能性がある。
【0032】
本明細書で、用語「抗体」は、無傷抗体の形態又は抗体の抗原結合断片を含むがそれらに限定されない様々な構造の天然抗体及び人工抗体をカバーし、抗原結合部位を含むタンパク質又はポリペプチドを指すと最も広い意味で使用される。
【0033】
本明細書で、「無傷抗体」又は「完全抗体」などはどちらも同じ意味であり、ジスルフィド結合によって互いに接続された少なくとも2つの重鎖(H)及び2つの軽鎖(L)を含むタンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(略記VH)及び重鎖定常領域(略記CH)からなる。重鎖定常領域は重鎖第1定常ドメイン(CH1)、重鎖第2定常ドメイン(CH2)及び重鎖第3定常ドメイン(CH3)を含む。各軽鎖は軽鎖可変領域(略記VL)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、即ち、軽鎖定常ドメイン(CL)である。VH及びVL領域は、さらに相補性決定領域(超可変領域又は高度可変領域とも呼ばれ、略記はCDRである)に分けられ、間には保存的なフレームワーク領域(FR)が挿入されている。VH及びVLのそれぞれは、アミノ末端(N末端)からカルボキシ末端(C末端)まで配列FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4として配置される3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖可変領域のCDRは、重鎖のアミノ酸配列のアミノ末端から、それぞれ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3と呼ばれ、軽鎖可変領域のCDRは、軽鎖のアミノ酸配列のアミノ末端から、それぞれ、LCDR1、LCDR2及びLCDR3と呼ばれる。
【0034】
「抗原結合断片」、又は「抗原結合部分」(例えば、第1抗原結合部分、第2抗原結合部分)とは、全長抗体の一部を含み、一般的に抗原と結合する可変ドメイン又は可変領域を含むものを指す。用語「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖に対する抗原の結合に関わるドメインを指す。上記で言及されたように、無傷抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域は、一般的に、各ドメインが4つの保存的なフレームワーク領域及び3つの高度可変領域を含むと類似する構成を有する。抗原結合断片又は抗原結合部分の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、二重特異性Fab’及びFv断片、直線状抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体などであってもよい。無傷抗体をパパインで消化して産生された2つの完全に同じ抗原結合断片は、Fab断片と呼ばれ、それぞれ、重鎖及び軽鎖可変領域と軽鎖定常ドメイン及び重鎖第1定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’断片は、重鎖第1定常ドメインCH1のカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステインを含む少数の残基が付加されているためFab断片と異なる。無傷抗体をペプシンで消化してF(ab’)2断片が得られる。F(ab’)2断片はジスルフィド結合によって接続された2つの抗原結合部分F(ab)を有し、F(ab’)2断片は2価抗体である。一本鎖抗体は、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が約10~25個のアミノ酸からなる柔軟な短いペプチド鎖によって接続された融合タンパク質である。単一ドメイン抗体は、1つのモノマーの可変領域からなる抗体断片である。単一ドメイン抗体は、一般的にラクダ科動物抗体又はサメ科動物抗体の重鎖の可変領域に由来するため、一般にナノボディと呼ばれる。
【0035】
例えば、ナノボディは、重鎖CDR領域だけを含有し、完全な機能を有する最小の抗原結合断片である。ナノボディは、3つのCDR領域(CDR1~CDR3)及び4つのフレームワーク領域FR(FR1~FR4)を含む。フレームワーク領域FR1、フレームワーク領域FR2、フレームワーク領域FR3及びフレームワーク領域FR4は、それぞれ、相補性決定領域CDR1、相補性決定領域CDR2及び相補性決定領域CDR3によって隔てられる。
【0036】
用語「及び/又は」は、2つ又は複数のオプションをつなげて使用される場合に、オプションのうちのいずれか1つ又はオプションのうちの2つ若しくはそれ以上を意味すると理解される。
【0037】
用語「含み」又は「含む」とは、言及される要素又はステップを含むが、他の要素又はステップは除外しないことを意味する。当然ながら、特に説明がない限り、含み又は含むは、言及される要素又はステップからなるものをもカバーしている。例えば、特定の具体的な配列の抗体可変領域を含むと言及される場合に、当該具体的な配列からなる抗体可変領域をカバーすることも意図される。
【0038】
本明細書で言及される「親和性」又は「結合親和性」は、抗原と抗体又は抗原結合断片上の結合部位との間の強度及び/又は安定性を反映すると当分野の一般的な意味で理解される。
【0039】
特定の抗原又はエピトープ「に特異的に結合する」若しくは「と特異的に結合する」「と結合する」、「特異的に…を標的とする」、又は特定の抗原若しくはエピトープに対して「特異性を有する」若しくは「結合できる」とは、非特異性相互作用と区別され、このような特異的な結合は当分野でよく用いられるいくつかの方法で測定してもよい。抗体の抗原と結合する能力は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)又は当業者に熟知されている他の技術によって計測してもよい。例えば、フローサイトメーター測定によって、抗原を担持した細胞を検出し、細胞の陽性率指標を測定することによって標識抗体に対する被測抗体の競合的結合の状況を検出してもよい。細胞表面の抗原の空間構造が体内に存在する形態により近いため、当該方法を利用するのは実際の状況をより反映することができる。本願の具体的な実施形態によれば、提供される抗体は、100nM以下、50nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.1nM以下、0.05nM以下のEC50値を有する。また、表面プラズモン共鳴技術(SPR)又はバイオレイヤー干渉法(BLI)によって抗原に対する抗体の結合活性を測定してもよい。
【0040】
本明細書で提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片であれ、二重特異性抗体であれ、ポリヌクレオチドであれ、一般的には単離可能なもの又は組み換えられたものである。「単離可能な」とは、ポリペプチド又はタンパク質を発現する細胞又は細胞培養物から同定し、且つ単離及び/又は回収することができることを指す。一般的に、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって作製される。「単離された抗体」とは、実質的に異なる抗原を有しないものを指す。「組換え」とは、遺伝子組換え技術を利用して外因性宿主細胞で抗体を産生できることを意味する。
【0041】
「ヒト化」抗体とは、一般的に、非ヒト種に由来する抗原結合部分と、ヒトの免疫グロブリン分子の部分構造及び配列とからなる抗体を指す。例えば、ヒト化抗体で、CDR以外の抗体全体は、ヒトに由来するポリヌクレオチドによってコードされ、抗原結合活性が保持されているとともに、免疫原性は低減される。
【0042】
本明細書で示される第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分のCDR配列は、既存のスキームに基づいて分析して得られるもので、例えば、第1抗原結合部分のCDR配列、及び、第2抗原結合部分のCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られる。また、Kabat(例えば、U.S.Dept.of Health and Human Servies,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”(1983)を参照)、Chothia(例えば、J.Mol.Biol.196:901-917(1987)を参照)などのスキームによって得てもよい。当業者が知っていることだろうが、定義方法の差異によってできた差異化CDRも、本願の保護範囲に含まれる。
【0043】
「二重特異性抗体」
本願は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、第1抗原結合部分、第2抗原結合部分は、それぞれ、異なる標的抗原を標的とする。本明細書で、第1抗原結合部分は、特異的にTGFβ、GARP及びGARP-TGF-β複合体のうちの1つ、2つ又は3つを標的とすることができ、第2抗原結合部分は、特異的にPD-L1を標的とする。第1抗原結合部分は、特異的にTGFβを標的とする場合であれ、GARPを標的とする場合であれ、又はGARP-TGFβ複合体を標的とする場合であれ、又はこの三者のうちの2つ又は3つを標的とする場合であれ、いずれも、TGF-βに対する制御を直接又は間接的に実現し、がん細胞の免疫応答を活性化し、疾患の進行を抑制することができる。なお、本明細書で使用される用語「第1」「第2」は、記述の目的で使用されるもので、相対的な重要性を指示若しくは暗示し又は対象技術特徴の数を暗黙的に示すものと捉えることができず、順序を表すものでもない。用語「第1抗原結合部分」「第2抗原結合部分」とは、それぞれ、異なる標的抗原と結合することのできる部分を意味し、無傷抗体であってもよいし、無傷抗体の一部であってもよく、例えば、重鎖可変領域、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体(ScFv)、又は単一ドメイン抗体(sdAb)などである。
【0044】
本願は、二重特異性抗体を提供し、当該二重特異性抗体はTGF-β、GARP及び/又はGARP-TGF-β複合体と特異的に結合する第1抗原結合部分と、PD-L1と特異的に結合する第2抗原結合部分とを含み、当該二重特異性抗体は重鎖第1定常ドメインCH1と軽鎖定常ドメインCLとをさらに含み、前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインCLとそれぞれ共有結合され、当該二重特異性抗体はFc領域をさらに含み、前記Fc領域はヒンジ領域によって重鎖第1定常ドメインCH1に接続され、前記第2抗原結合部分はリンカーによってFc領域と及び/又は軽鎖定常ドメインCLと共有結合される。形成されたIgG型構造は、言及された重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列の他に、他の配列として哺乳動物に由来する天然配列(例えば、ヒトに由来する天然配列であってもよい)が用いられてもよい。具体的な実施形態で、重鎖第1定常ドメイン、重鎖第2定常ドメイン及び重鎖第3定常ドメインによって形成された配列は、配列番号92に示すとおりである。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号92)
【0045】
具体的な実施形態で、軽鎖定常ドメインの配列は、配列番号93に示すとおりである。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号93)
【0046】
提供される二重特異性抗体で、Fc領域配列に制限はなく、天然由来のFc領域であってもよいし、例えば、ヒトに由来するFc領域であり、改変されたFc領域であってもよい。改変されたFc領域は、変異の起きたFc領域であってもよく、例えば、抗体のADCCエフェクター機能を制御するよう、Fc領域のいくつかの部位に変異を起こしてもよい。
【0047】
提供される二重特異性抗体は、少なくとも、下記の特性、即ち、(a)PD-L1と特異的に結合すること、(b)糖タンパク質A反復優勢配列(GARP)と特異的に結合すること、(c)GARP-TGF-β複合体と特異的に結合すること、(d)TGF-βと特異的に結合すること、(e)免疫細胞に対する活性制御機能を有し、制御性T細胞の免疫抑制機能に対する阻害活性を有するなどを含むがそれらに限定されないこと、(f)抗腫瘍活性を有すること、の1つを有する。
【0048】
本願で提供される二重特異性抗体は、TGF-β、GARP及び/又はGARP-TGF-β複合体と特異的に結合する活性、及び、PD-L1と特異的に結合する活性を同時に示す。TGF-βレポーター遺伝子アッセイ、Treg放出TGF-β中和試験などの検出方法によって、二重特異性抗体は、GARP-TGF-β1複合体と結合することもできれば、微小環境に放出されたTGF-β1の差別化分子を捕捉することもできるということが決定した。また、提供される二重特異性抗体は、PD-L1と特異的に結合して、PD-1/PD-L1及びTGF-βシグナル伝達経路を同時に遮断することによって、免疫抑制を解除し、PD-L1(PD-1)軸とTGF-β軸経路の間に存在し得る補完効果を避け、体の免疫能力を倍単位で回復させ、相乗的な殺傷効果を果たすことができる。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態で、
図1及び
図2に示すように、前記第2抗原結合部分は、リンカーによってFc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続される。なお、提供されている図面には、ジスルフィド結合が特に描かれてない。
図1は、第2抗原結合部分が、それぞれ、Fc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続されていることを示す。第2抗原結合部分は、場合によってTrap構造、ナノボディ、一本鎖抗体として設定されてもよいし、又はPD-L1と結合できる他の融合タンパク質であってもよい。具体的な実施形態によれば、第2抗原結合部分は抗PD-L1ナノボディであってもよい。Fc領域のC末端にナノボディが接続された場合に、同じナノボディが接続されてもよいし、異なるナノボディがそれぞれ接続されてもよい。また、場合によってFcのいずれか1つのC末端だけにナノボディが接続されてもよい。
図2は、Fc領域のC末端にそれぞれ2つの第2抗原結合部分が接続されていることを示す。具体的な実施形態によれば、FcのC末端にそれぞれ2つのPD-L1ナノボディが接続されている。同様に、Fc領域のC末端にそれぞれ同じナノボディが接続されてもよいし、異なるナノボディが接続されてもよい。また、Fc領域のC末端にそれぞれ接続されたナノボディの数は同じでもよいし(例えば、2つ又はそれ以上であってもよい)、異なってもよい(例えば、2つ又はそれ以上であってもよい)。Fc領域のいずれか1つのカルボキシ末端を例とすると、接続された2つ又はそれ以上のナノボディは同じでもよいし異なってもよい。抗PD-L1ナノボディは、開示又は市販されているナノボディであってもよいし、抗体ライブラリーのスクリーニングによって得られてもよい。例えば、出願番号が202110903293.4である中国特許出願には、アルパカ免疫により抗PD-L1ナノボディライブラリーを得て、スクリーニング及び同定をして、親和性及び特異的結合及び腫瘍殺傷効果が良好なナノボディを得ると記載されている。ここで、場合によって、出願番号がPCT/CN2022/110423である国際特許出願書面(優先権出願番号202110903293.4)に記載されている内容が全体として又はその一部が本明細書に組み込まれる。具体的な実施形態によれば、FcのC末端にはそれぞれ1つの一本鎖抗体が接続されてもよい。PD-L1一本鎖抗体は、開示又は市販されている一本鎖抗体であってもよい。FcのC末端に接続された一本鎖抗体は、同じでもよいし異なってもよく、Fcのいずれか1つのC末端だけに一本鎖抗体が接続されてもよい。
【0050】
少なくともいくつかの実施形態で、前記第2抗原結合部分はリンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)に接続される。少なくともいくつかの具体的な実施形態で、
図3に示すように、前記第2抗原結合部分は、それぞれ、リンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端に接続される。第2抗原結合部分は、場合によって、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、又は他の形態の融合タンパク質などが選択されてもよい。軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端に接続された第2抗原結合部分は同じでもよいし、異なってもよく、又は軽鎖定常ドメインのいずれか1つのカルボキシ末端に第2抗原結合部分が接続される。いくつかの具体的な実施形態で、軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)にそれぞれ2つの抗PD-L1ナノボディが接続される。同様に、場合によって、軽鎖定常ドメインのC末端にも、それぞれ、1つの抗PD-L1ナノボディが接続され又は2つの以上の抗PD-L1ナノボディなどが接続されてもよい。軽鎖定常ドメインのいずれか1つのカルボキシ末端を例とすると、それに接続された抗PD-L1ナノボディの数は同じでもよいし、異なってもよい。
【0051】
少なくともいくつかの実施形態で、
図4に示すように、前記第2抗原結合部分は、第1リンカーによってFc領域のC末端に接続され、第2リンカーによって軽鎖定常ドメインのC末端に接続される。同様に、Fc領域のC末端に接続された第2抗原結合部分又は軽鎖定常ドメインに接続された第2抗原結合部分は同じでもよいし、異なってもよい。第2抗原結合部分は、場合によって、Trap構造、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、又は他の形態の融合タンパク質が選択されてもよい。第1リンカーと第2リンカーは同じでもよいし、異なってもよい。
【0052】
本明細書で、使用可能なリンカーは、当分野でよく用いられるリンカーであり、いくつかのオリゴペプチド又はポリペプチドであってもよい。これらのオリゴペプチド又はポリペプチドは、柔軟性を提供することのできるいかなるアミノ酸配列であってもよい。リンカーは、次からなる群、GS、SG、GGS、GSG、SGG、GGG、GGGS、SGGG、GGGGS、GGGGGSGS、GGGGSGS、GGGGSGGS、GGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGSなどを含むがそれらに限定されない。
【0053】
提供される二重特異性抗体は、TGF-β、GARP又はGARP-TGFβ複合体と結合し、及びPD-L1と結合することによって、がん細胞の免疫応答を活性化し、疾患の進行を抑制する。
【0054】
本願は、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、第1抗原結合部分は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含み、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができる。示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列のCDR配列は、上記で言及されたように、古典的なKabat CDRスキーム、IMGTスキーム、Chothiaスキームなどと抗体配列の分析方法が異なるため、CDR配列に若干差異がある。分析で得た異なるCDR配列が、全て本願の保護範囲に含まれる。
【0055】
本願は、また、第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含む二重特異性抗体を提供し、第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。
【0056】
いくつかの実施形態で、前記第1抗原結合部分は軽鎖可変領域をさらに含んでもよく、前記軽鎖可変領域は、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。
【0057】
各配列は、次に示すとおりである。言及される二重特異性抗体の第1抗原結合部分又は第2抗原結合部分は、異なる標的抗原を標的とすることができるものであえあれば、場合によって無傷抗体又はその一部の断片だけが選択されてもよい。第1抗原結合部分又は第2抗原結合部分は、重鎖可変領域、Fab、Fab’、F(ab’)
2、一本鎖抗体(ScFv)、又は単一ドメイン抗体(sdAb)などだけであってもよい。
【0058】
提供される二重特異性抗体の第1抗原結合部分は、GARP、TGFβ、又はGARP-TGFβ複合体と結合することができ、又はこの三者のうちの2種又は3種と特異的に結合することができる。また、PD-L1と結合し、PD-1/PD-L1経路を遮断して、腫瘍細胞に対する免疫細胞の殺傷効果を向上させることができる。
【0059】
いくつかの具体的な実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有する。いくつかの実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有する。いくつかの実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有する。示されるHCDR配列及びLCDR配列は、二重特異性抗体の第1抗原結合部分として、標的抗原と特異的に結合する。
【0060】
いくつかの実施形態で、提供される二重特異性抗体は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域、及び、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域のうちの少なくとも1種を含む。ただし、配列番号42、43、44、45、46及び47は、それぞれ、ヒト化重鎖可変領域配列である。配列番号54、55、56、57、58及び59は、それぞれ、ヒト化軽鎖可変領域配列である。示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列は、二重特異性抗体の第1抗原結合部分として、標的抗原と特異的に結合する。第1抗原結合部分の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の配列は、ヒト化を経て、免疫原性が低減され、しかも標的抗原(例えば、GARP、TGFβ、及び/又はGARP-TGFβ複合体)との結合活性が保持されている。当分野でよく用いられる方法(例えば、相補性決定領域移植法)によってヒト化抗体配列を得ることができる。いくつかの実施形態で、提供されるヒト化抗体配列にはCDR領域配列が保持されており、フレームワーク領域配列はヒトに由来するフレームワーク領域配列に置き換えられる。ヒトに由来するフレームワーク領域配列は、公開されているヒト由来配列によって得られる。例えば、データベース比較及びコンピュータ相同モデリングによって、相同性最大のヒトのFR領域鋳型を見つけ出し、総合的に検討してFR領域の回復変異の要否及び回復変異の重要な残基を決定して、高親和性のヒト化抗体を得る。これらの配列は、一般に、よく用いられるデータベースに、例えば、PDBタンパク質構造データベース、IMGT、Genebankなどのデータベースに記載されている。
【0061】
本明細書で言及される「配列同一性」とは、アミノ酸又はヌクレオチド配列を1つずつ比較して、配列がどれくらい同じなのかを指す。配列同一性の比の決定は、当分野で知られている様々な方式で実現できる。例えば、一般利用が可能なソフトウェア、例えば、BLAST、ALIGN、BLAST-2などを使用して得てもよい。いくつかの具体的な実施形態で、配列同一性は、保存的なアミノ酸の置換によるものである。「保存的なアミノ酸の置換」とは、類似する生理学的及び化学的特性の側鎖を有する異なるアミノ酸残基で別のアミノ酸残基を置き換えることを指す。例えば、疎水性側鎖を有するアミノ酸残基同士(例えば、Met、Ala、Val、Leu、Ile)で保存的なアミノ酸の置換を起こしてもよく、中性の親水性側鎖を有する残基同士(例えば、Cys、Ser、Thr、Asn、Gln)で保存的なアミノ酸の置換を起こしてもよく、酸性側鎖を有する残基同士(例えば、Asp、Glu)で保存的なアミノ酸の置換を起こしてもよく、塩基性側鎖を有するアミノ酸同士(例えば、His、Lys、Arg)で保存的なアミノ酸の置換を起こしてもよく、又は芳香族側鎖を有する残基同士(例えば、Trp、Tyr、Phe)で保存的なアミノ酸の置換を行ってもよい。当分野で知られるように、保存的なアミノ酸の置換は、一般的に、タンパク質の立体構造の顕著な変化を引き起こさないため、タンパク質の生物学的活性が保持できる。言及される保存的なアミノ酸の置換は、1つの保存的なアミノ酸の置換、2つの保存的なアミノ酸の置換、3つの保存的なアミノ酸の置換、4つの保存的なアミノ酸の置換、5つの保存的なアミノ酸の置換、6つの保存的なアミノ酸の置換、7つの保存的なアミノ酸の置換、8つの保存的なアミノ酸の置換、9つの保存的なアミノ酸の置換又は10の保存的なアミノ酸の置換などであってもよい。本明細書で用いられるアミノ酸の名称は、当分野で通用する標準的な1文字又は3文字コードで表記される。
【0062】
【0063】
いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号36で示される重鎖可変領域及び配列番号48で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、前記第1抗原結合部分は配列番号37で示される重鎖可変領域及び配列番号49で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号38で示される重鎖可変領域及び配列番号50で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号39で示される重鎖可変領域及び配列番号51で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号40で示される重鎖可変領域及び配列番号52で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号41で示される重鎖可変領域及び配列番号53で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号42で示される重鎖可変領域及び配列番号54で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号43で示される重鎖可変領域及び配列番号55で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号44で示される重鎖可変領域及び配列番号56で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号45で示される重鎖可変領域及び配列番号57で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号46で示される重鎖可変領域及び配列番号58で示される軽鎖可変領域を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号47で示される重鎖可変領域及び配列番号59で示される軽鎖可変領域を含む。
【0064】
第2抗原結合部分は、特異的にPD-L1を標的とすることができる。上記で言及されるように、第2抗原結合部分は、特異的にPD-L1を標的とすることができるものでさえあれば、その形態に制限はない。例えば、無傷抗体であってもよいし、無傷抗体の一部であってもよく、重鎖可変領域、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体又はナノボディなどを含むがそれらに限定されない。第2抗原結合部分は、場合によって、抗体ライブラリーのスクリーニングによって得られてもよいし、市販又は開示されている抗体配列であってもよい。いくつかの具体的な実施形態で、前記第2抗原結合部分は単一ドメイン抗体である。いくつかの好ましい実施形態で、形成された二重特異性抗体の構造は、リンカーによってIgG型抗体と第2抗原結合部分が接続された構造であり、IgG型抗体は第1抗原結合部分を含む。第1抗原結合部分がFcとIgG型抗体を形成し、第2抗原結合部分がリンカーによってIgG型抗体に接続されることで、二重特異性抗体構造は形成される。
【0065】
いくつかの具体的な実施形態で、提供される第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記CDR1は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、CDR2は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、CDR3は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。
【0066】
いくつかの具体的な実施形態で、前記第2抗原結合部分は配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、前記第2抗原結合部分は配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、前記第2抗原結合部分は配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有する。いくつかの具体的な実施形態で、第2抗原結合部分は配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有する。示されるCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列は、フレームワーク領域FRと単一ドメイン抗体を形成できる。フレームワーク領域FR配列は特に制限がなく、ネズミに由来するものであってもよいし、ヒトに由来するものであってもよいし、又は一部がネズミに由来し、一部がヒトに由来するものであってもよい。
【0067】
本願は、また、二重特異性抗体を提供し、前記二重特異性抗体は第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分はGARP、TGF-β及び/又はGARP-TGF-β複合体と特異的に結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と特異的に結合することができる。いくつかの具体的な実施形態で、第2抗原結合部分は抗PD-L1ナノボディである。
【0068】
いくつかの実施形態で、第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、ただし、CDR1は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、CDR2は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、CDR3は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。本願の具体的な実施形態によれば、言及されるアミノ酸の置換、欠失又は付加は、保存的なアミノ酸の置換によるものであってもよいし、異なるスキームでCDR領域を表示する時の差異によるものであってもよい。異なるスキームを利用してCDR領域を表示する場合には、表示されたCDR領域配列に差異があり、これらの差異も本願の保護範囲に含まれるべきであるということは当業者に知られているはずである。
【0069】
いくつかの具体的な実施形態で、前記第2抗原結合部分は次のものを有する。(1)CDR1は配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2は配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3は配列番号62で示されるアミノ酸配列であり、又は(2)CDR1は配列番号63で示されるアミノ酸配列であり、CDR2は配列番号64で示されるアミノ酸配列であり、CDR3は配列番号65で示されるアミノ酸配列であり、又は(3)CDR1は配列番号66で示されるアミノ酸配列であり、CDR2は配列番号67で示されるアミノ酸配列であり、CDR3は配列番号68で示されるアミノ酸配列であり、又は(4)CDR1は配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2は配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3は配列番号69で示されるアミノ酸配列である。
【0070】
少なくともいくつかの実施形態で、前記第2抗原結合部分はフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含む。(1)FR1は、配列番号70、配列番号74、配列番号77、配列番号80、又は配列番号70、74、77若しくは80と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、(2)FR2は、配列番号71、配列番号75、配列番号78、又は配列番号71、75若しくは78と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、(3)FR3は、配列番号72、配列番号76、配列番号79、配列番号81、又は配列番号72、76、79若しくは81と比べて、1つ、2つ、3つ又は4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、(4)FR4は、配列番号73、又は配列番号73と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれる。
【0071】
いくつかの具体的な実施形態で、前記フレームワーク領域に含まれるFR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号72で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列である。いくつかの具体的な実施形態で、前記フレームワーク領域に含まれるFR1は配列番号74で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号75で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号76で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列である。いくつかの具体的な実施形態で、前記フレームワーク領域に含まれるFR1は配列番号77で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列である。いくつかの具体的な実施形態で、前記フレームワーク領域に含まれるFR1は配列番号80で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列である。いくつかの具体的な実施形態で、前記フレームワーク領域に含まれるFR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号81で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列である。
【0072】
いくつかの実施形態で、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列から選ばれる。いくつかの実施形態で、前記第2抗原結合部分は、配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上である。提供される配列番号88、89、90、91又は92で示されるアミノ酸配列はヒト化後の抗体配列である。提供されるヒト化配列は、低い免疫原性を有し、且つ標的タンパク質との高い親和性を有する。
【0073】
本願は、また、二重特異性抗体を提供し、前記二重特異性抗体は第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP及び/又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができる。
【0074】
いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含み、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含む。第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記CDR1は配列番号60又は63又は66で示される配列を含み、前記CDR2は配列番号61又は64又は67で示される配列を含み、前記CDR3は配列番号62又は65又は68又は69で示される配列を含む。
【0075】
いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号36で示される重鎖可変領域と、配列番号48で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号37で示される重鎖可変領域と、配列番号49で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号38で示される重鎖可変領域と配列番号50で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号39で示される重鎖可変領域と配列番号51で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号40で示される重鎖可変領域と配列番号52で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号41で示される重鎖可変領域と配列番号53で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号42で示される重鎖可変領域と配列番号54で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号43で示される重鎖可変領域と配列番号55で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号44で示される重鎖可変領域と配列番号56で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号45で示される重鎖可変領域と配列番号57で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号46で示される重鎖可変領域と配列番号58で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、第1抗原結合部分は配列番号47で示される重鎖可変領域と配列番号59で示される軽鎖可変領域とを含み、前記第2抗原結合部分は配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示される配列を含む。
【0076】
「モノクローナル抗体又は抗原結合断片」
本願は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供する。
【0077】
本願は、また、重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供し、前記重鎖可変領域は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。いくつかの実施形態で、HCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する提供される配列は、異なるデータベースでCDR配列を計算する時の差異によるものであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は軽鎖可変領域をさらに含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含む。
【0079】
本願は、また、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片を提供し、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含む。
【0080】
いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含む。いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体は、配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含む。
【0081】
いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41で示される配列と少なくとも、80%、85%、90%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、配列番号42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、85%、90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0082】
いくつかの具体的な実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号36で示される重鎖可変領域と配列番号48で示される軽鎖可変領域とを含むm212抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号37で示される重鎖可変領域と配列番号49で示される軽鎖可変領域とを含むm305抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号38で示される重鎖可変領域と配列番号50で示される軽鎖可変領域とを含むm107抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号39で示される重鎖可変領域と配列番号51で示される軽鎖可変領域とを含むm202抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号40で示される重鎖可変領域と配列番号52で示される軽鎖可変領域とを含むm301抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号41で示される重鎖可変領域と配列番号53で示される軽鎖可変領域とを含むm109抗体である。示される抗体は、GARP/TGFβ複合体との特異的結合、例えば、哺乳動物のヒトGARP/TGFβ複合体又はカニクイザルGARP/TGFβ複合体などとの強い特異的結合活性を示す。示される抗体は、GARP又はTGFβとの特異的結合を示し、例えば、ヒト、カニクイザルなどのGARP又はTGFβとの強い特異的結合を示す。
【0083】
提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、ヒト化改変を経たものであってもよい。ヒト化により、抗体又は抗原結合断片の免疫原性が低減されるとともに、標的抗原との結合活性は保持される。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号42で示される重鎖可変領域と配列番号54で示される軽鎖可変領域とを含むm212-hu抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号43で示される重鎖可変領域と配列番号55で示される軽鎖可変領域とを含むm305-hu抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号44で示される重鎖可変領域と配列番号56で示される軽鎖可変領域とを含むm107-hu抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号45で示される重鎖可変領域と配列番号57で示される軽鎖可変領域とを含むm202-hu抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号46で示される重鎖可変領域と配列番号58で示される軽鎖可変領域とを含むm301-hu抗体である。いくつかの実施形態で、提供されるモノクローナル抗体又は抗原結合断片は、配列番号47で示される重鎖可変領域と配列番号59で示される軽鎖可変領域とを含むm109-hu抗体である。
【0084】
「ポリヌクレオチド」
本願は、また、前記二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。言及されるポリヌクレオチドは、単離可能なもので、DNA、RNA又はcDNAなどを含むがそれらに限定されない。当分野の通常の方法を用いて、二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチド配列を得てもよい。
【0085】
「構築物」
本願で言及される抗体を作製するために、抗体をコードするポリヌクレオチド配列を複製可能な発現ベクターに挿入し、宿主細胞又は無細胞発現系で発現させてもよい。本願は、また、上記のポリヌクレオチドを含む構築物を提供する。構築物を得るために、インビトロ組換えDNA技術、DNA合成技術、インビボ組換え技術などを含む当分野でよく用いられる様々な方法を利用することができ、例えば、ポリヌクレオチドを発現ベクターのマルチクローニングサイトに挿入して構築物を形成させてもよい。構築物は、場合によって、プロモーター、ターミネーター、マーカー遺伝子などの様々な作動因子を含有してもよく、これらの作動因子がポリヌクレオチドに作動可能に接続される。プロモーターは、一般的に、転写を開始するシグナルを提供するためのものであり、プロモーターは、場合によって、ラクトースオペロン(Lac)、Trpプロモーター、Tacプロモーター、ファージのPL及びPRプロモーターが選択されてもよく、ターミネーターを転写する過程で転写を停止させるシグナルは提供され、構築物上のマーカー遺伝子は、よくスクリーニングのために用いられる。当然ながら、場合によって、タンパク質の発現を向上させるエンハンサーがあってもよい。発現ベクターには特に制限がなく、市販されているいくつかの発現ベクターであってもよいし、場合によって人為的に改変された発現ベクター、例えば、プラスミド、ファージ、ウイルスなどであってもよい。ウイルスは、植物細胞ウイルス、哺乳動物細胞ウイルスなどであってもよい。構築物は、インビトロで抗体又はタンパク質を発現することもできれば、細胞に導入されて抗体又はタンパク質を発現することもできる。
【0086】
「宿主細胞」
本願は、また、上記のポリヌクレオチド又は上記の構築物を含有する宿主細胞を提供する。ポリヌクレオチド又は構築物による抗体又はタンパク質の発現に適する細胞のいずれも宿主細胞としてよい。宿主細胞は、原核細胞、例えば、細菌細胞であってもよいし、真核細胞、例えば、酵母細胞、哺乳動物細胞などであってもよい。よく用いられる宿主細胞は、酵母細胞、CHO、HEK-293細胞、COS細胞、ショウジョウバエS2又はSf9なる昆虫細胞であってもよい。当分野でよく用いられる方法、例えば、マイクロインジェクション法、電気穿孔法、化学的なトランスフェクション、ウイルス媒介性形質転換などを利用して、ポリヌクレオチド又は構築物を含有する宿主細胞を得ることができる。
【0087】
「医薬組成物」
本願は、また、上記の第1態様のいずれかの前記二重特異性抗体、又は上記のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0088】
言及される薬学的に許容される担体は、使用された用量又は濃度では被験者において許容される。薬学的に許容される担体は、緩衝剤又は塩、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸塩、トリス(Tris);糖質、例えば、トレハロース、ポリソルビトール、スクロース、マンニトール;界面活性剤、例えば、ポリソルベート;防腐剤、例えば、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;アミノ酸、例えば、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシンなどを含むがそれらに限定されない。当分野でよく用いられる方法によって無菌の医薬製剤を得ることができ、例えば、無菌膜濾過の方法で得る。当業者は、場合によって、医薬組成物に対して異なる薬学的に許容される担体を選択して、異なる剤形、例えば、凍結乾燥剤形、注射剤などの様々な剤形として製造してもよい。製造された異なる薬物剤形は、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、経鼻、経口、経直腸、局所、吸入、経皮などを含むがそれらに限定されない、適切な投与経路のいずれかで被験者に投与するように製剤化されたものであってもよい。
【0089】
「抗体複合体」
本願は、また、抗体複合体を提供し、前記抗体複合体は、前記二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、前記二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片に接続された機能性小分子又はプロテアーゼとを含む。言及される機能性小分子は、開発が済んだ又は開発が始まらない小分子薬であってもよく、小分子薬は、二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と化学的カップリングすることによって、抗腫瘍薬の治療効果を向上させるとともに、有害事象を減らすことができる。また、リンカーによって毒素、化学療法薬、光増感剤などの小分子を言及される抗体にカップリングさせてもよい。当然ながら、抗体をprotac分子などにカップリングさせることによって、抗体Protac複合体を得てもよく、例えば、リンカーによって抗体とプロテアーゼを標的とするリガンド(例えば、E3リガーゼリガンド)を接続させることによって、標的タンパク質を細胞内のE3ユビキチンリガーゼに近づけて、ユビキチン-プロテアソーム経路を利用して標的タンパク質を特異的に分解する。
【0090】
「キット」
本願は、また、キットを提供し、前記キットは、上記の二重特異性抗体又は上記のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を含む。キットは、場合によって、容器、緩衝試薬、対照、例えば、陽性対照及び陰性対照を含んでもよい。当業者は、場合によって、これを適宜選択してもよい。これに応じて、キットは、当業者が操作及び使用できるよう、使用説明書を含んでもよい。
【0091】
「抗体の生産方法」
本願は、また、上記の宿主細胞を培養することと、培養物から二重特異性抗体を回収することとを含む上記の二重特異性抗体の生産方法を提供する。
【0092】
本願は、また、上記の宿主細胞を培養することと、培養物からモノクローナル抗体又は抗原結合断片を回収することとを含むモノクローナル抗体又は抗原結合断片の生産方法を提供する。
【0093】
培養物から回収された二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を精製して実質的に純粋な生成物を得ることができる。「実質的に純粋な」とは、二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の純度が95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、あるいは99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は以上に達していることを指す。
【0094】
「疾患を予防及び/又は治療する方法」
また、本願は、必要とする被験者に有効量の上記の二重特異性抗体、又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を投与することを含む疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0095】
言及される「治療有効量」は、疾患の症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度及び持続時間の増加を起こし、疾患によって引き起こされる痛みを低減又は防止することができる。「予防有効量」は、一般的に治療有効量を下回る。二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片で治療した後、抗体治療を受けていない被験者と比べると、被験者の体内細胞の抑制率は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、あるいは90%以上又は95%以上に達する。言及される被験者は、動物であってもよいし、ヒトであってもよい。例えば、哺乳動物であってもよく、ウシ、ヤギ、マウス、ウマなどを含む。
【0096】
提供される二重特異性抗体又はモノクローナル抗体又はその抗原結合断片で治療することのできる疾患は、がん、自己免疫疾患を含むがそれらに限定されない。いくつかの実施形態で、本願で提供される方法は、TGF-β関連疾患、GARP関連疾患を治療するために用いられてもよいし、PD-1/PD-L1関連疾患を治療するために用いられてもよい。TGF-β関連疾患は、炎症性疾患、慢性感染症、がん、線維症、心血管疾患、脳血管疾患、神経変性疾患などを含むがそれらに限定されない。いくつかの実施形態で、言及されるがんは、肺がん、結腸がん、腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、多形膠芽腫、卵巣がん、膵臓がん、乳がん、黒色腫、肝がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、血液がんなどを含むがそれらに限定されない。
【0097】
本願は、また、薬物又はキットの製造における二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の用途を提供する。前記薬物は、がんを治療するために用いられる。提供される二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を使用して、様々な疾患を治療するための薬物を製造することができる。免疫診断試薬として使用されるキットを製造するために用いられてもよい。
【0098】
以下、実施例を踏まえて本願の技術的解決手段を詳細に説明する。なお、これらの実施例は、当業者が理解しやすくするためのもので、本願の保護範囲に対する制限と見なすべきではない。以下、本願の実施例を詳細に記述し、記述される実施例は例示的なもので、本願を解釈するためのものであり、本願に対する制限と捉えることができない。第2抗原結合部分に由来するPD-L1結合部分、配列の作製及び取得方式は、出願番号がPCT/CN2022/110423である国際特許出願書面(優先権出願番号が202110903293.4である中国特許出願書面)に記載されている。場合によって、出願番号がPCT/CN2022/110423である国際特許出願(優先権出願番号202110903293.4)に記載の内容は全体として又はその一部が本願に組み込まれる。PD-L1ナノボディからアルパカ免疫により抗PD-L1ナノボディライブラリーを得て、スクリーニング及び同定をして、候補ナノボディを得る。ヒトに由来するPD-L1タンパク質細胞外ドメイン配列及びヒト免疫グロブリンFc領域配列によって構成された融合タンパク質及びフロイントアジュバントを混合し、乳化し、健康的なアルパカを免疫し、B細胞を刺激して抗原特異的なナノボディを発現させる。次にアルパカから採血し、リンパ球を単離し、Trizol法を用いてトータルRNAを抽出し、逆転写によりcDNAを得て、逆転写されたcDNAからPCR増幅でVHH抗体遺伝子断片を得る。VHH遺伝子断片及び酵母ディスプレイ用ベクターを酵母のコンピテントセルに同時電気的形質転換し、酵母相同リコンビナーゼで断片をベクターに接続させて完全なプラスミドを形成し、挿入率が高く多様性に優れた酵母形質転換体ライブラリーを確立し、栄養要求性培地で安定的な継代を保つ。抗体を発現する酵母細胞と標的タンパク質抗原が富化された磁気ビーズを共インキュベートし、複数回の富化培養後、フローサイトメーターで磁気ビーズ富化生成物を同定し、選別する。複数ラウンドのスクリーニングを経て、5つの高発現陽性クローンがスクリーニングされ、それぞれ、抗体A~抗体Eと命名する。抗体Aのアミノ酸配列は配列番号82で示され、抗体Bのアミノ酸配列は配列番号83で示され、抗体Cのアミノ酸配列は配列番号84で示され、抗体Dのアミノ酸配列は配列番号85で示され、抗体Eのアミノ酸配列は配列番号86で示される。ヒト化を経た抗体は、アミノ酸配列が配列番号87で示される抗体Ahu、アミノ酸配列が配列番号88で示される抗体Bhu、アミノ酸配列が配列番号89で示される抗体Chu、アミノ酸配列が配列番号90で示される抗体D1hu、アミノ酸配列が配列番号91で示される抗体D2huである。
【0099】
これらの抗体及びヒト化後の抗体は、FACS及びELISA試験によって、hPD-L1、カニクイザルPD-L1と高い結合活性を有することが確認された。また、PD-1/PD-L1に対する遮断活性及びCD80/PD-L1に対する遮断活性が示される。
【0100】
例えば、FACSによってヒトに由来するPD-L1に対する抗体の結合活性を検出した。試験手順は次のとおりであった。フローサイトメーターを用いて異なる抗体の抗原に対する親和性を検出した。PD-L1抗原を内因的に発現するMDA-MB-231細胞を1×105個/ウェルで96ウェルプレートに加えた。次に異なる濃度のサンプルを加え、4℃で30分間インキュベートした。次に、細胞の表面に結合した抗体を検出するために、蛍光標識したヤギ抗ヒトIgG二次抗体(メーカー:Abcam)を加えた。幾何学的値を利用して抗体-抗原結合用量反応曲線を生成し、ソフトウェアGraphpad Prism v6.0を利用して4パラメーター曲線をプロットして、抗体の抗原と結合するEC50結果を決定した。試験結果が、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D及び抗体EのEC50値は、それぞれ、0.089nM、0.031nM、0.042nM、0.039nM、0.053nMであり、陽性対照(アテゾリズマブ、0.059nM)と似ており、高い結合活性を示すということを示した。類似する方法を用いてヒト化抗体の結合活性を測定し、抗体Ahu、抗体Bhu、抗体Chu、抗体D1hu及び抗体D2huのEC50値は、それぞれ、0.051nM、0.18nM、0.025M、0.18nM、0.29nMであった。
【0101】
また、例えば、FACSによってPD-1/PD-L1に対する抗体の遮断活性を測定した。試験手順は次のとおりであった。フローサイトメトリーに基づく方法を用いて、PD-1とそのリガンドPD-L1に対する抗体の遮断作用を検出した。PD-1を過剰発現する293T-PD-1細胞株(メーカー:康源博創生物科技(北京)有限公司)を蘇生させ、細胞を1×105個/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングし、異なる濃度の抗体希釈液(初期濃度200nM、4倍希釈)及びPD-L1-ビオチン(Biotin)希釈液(2μg/mL、50μL/ウェル)を混合し、室温で30分間インキュベートした。次に、混合液を100μL/ウェルで細胞に加えて、均一に混合し、4℃で60分間インキュベートし、次にFACS緩衝液(2%のFBSを含むPBS)で洗浄し、1200rpmで4分間遠心分離して、上清を捨てた。100μL/ウェルでPE標識したストレプトアビジンを加えて、暗所で30分間インキュベートし、インキュベーションの終了後にFACS緩衝液で洗浄した。120μLのFACS緩衝液を加えて細胞を再懸濁させ、装置で検出した。FSC/SSCに基づいて生細胞をゲーティングし、その平均蛍光値を計測した。幾何学的値で抗体-抗原遮断反応曲線を生成し、ソフトウェアGraphpad Prism v6.0を利用して4パラメーター曲線をプロットして、IC50値を決定した。試験結果が、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D及び抗体EのIC50値は、それぞれ、1.024nM、2.077nM、1.678nM、2.103nM、2.536nMであり、いずれも抗体は抗原とそのリガンドの結合を遮断できるということを示した。類似する方法を用いてヒト化抗体の遮断活性を測定し、抗体Ahu、抗体Bhu、抗体Chu、抗体D1hu及び抗体D2huのIC50値は、それぞれ、4.0nM、3.4nM、1.0nM、2.6nM、12nMであった。
【0102】
FACSによってCD-80/PD-L1に対する抗体の遮断活性を測定した。試験手順は次のとおりであった。フローサイトメトリーに基づく方法を用いて、PD-L1とCD-80に対する抗体の遮断作用を検出した。PD-L1を過剰発現する293T-PD-L1細胞株(メーカー:康源博創生物科技(北京)有限公司)を蘇生させ、細胞を1×105/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングし、異なる濃度の抗体希釈液(初期濃度200nM、4倍希釈)を細胞に加えて、4℃で60分間インキュベートした。インキュベーションの終了後にFACS緩衝液で洗浄し、1200rpmで4分間遠心分離して、上清を捨てた。次に100μL/ウェルでhuman-CD80-mFc(2μg/mL)を加えて、4℃の暗所で30分間インキュベートした。インキュベーションの終了後にFACS緩衝液で洗浄した。各ウェルに100μLの1:200希釈の蛍光標識したヤギ抗マウス二次抗体(メーカー:Abcam)を加えて、4℃の暗所で30分間インキュベートした。インキュベーションの終了後にFACS緩衝液で洗浄し、フローサイトメーターで検出した。その平均蛍光値を計測した。幾何学的値で抗体-抗原遮断反応曲線を生成し、ソフトウェアGraphpad Prism v6.0を利用して4パラメーター曲線をプロットして、IC50値を決定した。試験結果が、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D及び抗体EのIC50値は、それぞれ、3.954nM、3.355nM、4.146nM、4.757nM、2.979nMであり、いずれも抗体は抗原とそのリガンドの結合を遮断できるということを示した。類似する方法でヒト化抗体の遮断活性を測定し、抗体Ahu、抗体Bhu、抗体Chu及び抗体D1huのIC50値は、それぞれ、約1.8nM、約1.7nM、約3.2nM、約1.5nMであった。
【0103】
実施例1:モノクローナル抗体の作製及び取得
ハイブリドーマによってスクリーニングすることでモノクローナル抗体を得た。ヒト抗原(GARP、TGF-β及びGARP-TGF-β複合体)を利用してマウスを免疫することで、マウスの体内に特異性抗体を産生させた。マウス骨髄腫細胞とマウス脾臓細胞を融合させ、融合後の細胞でプレーティングした。次にHAT選択培地を加えてスクリーニングし、骨髄腫細胞は生存できず、脾臓細胞の生存時間も非常に短かった。最終的に、リンパ球と融合した骨髄腫細胞だけが生存し、即ち、ハイブリドーマ細胞がスクリーニングされた。
【0104】
次にクローナル細胞を限界希釈する方法で特定の抗体を産生できるハイブリドーマ細胞を選択した。ハイブリドーマ細胞を複数倍希釈して、マルチウェル細胞培養プレートに接種し、各ウェルの細胞が1個以下であるように培養増殖し、クローンが所定の大きさに成長したら、ELISA法を利用して各ウェルの上清で細胞によって分泌された抗体を検出し、特定の抗原(GARP、TGF-β、及び/又はGARP-TGF-β複合体)と結合できる培養ウェルが陽性ウェルであり、モノクローナル細胞を得るまで、引き続き希釈した。
【0105】
上記の方法でスクリーニングして、100個以上の陽性クローンが得られ、それらから差別化スクリーニングで活性の高いクローンを得た。最終的に15の候補クローンが選択されて配列決定し、そのうち6つのクローンが選択された。次に哺乳動物細胞株を利用して前記異なる抗体を発現させて精製し、純度が少なくとも90%以上である異なる抗体を得て、それぞれ、m212抗体、m305抗体、m107抗体、m202抗体、m301抗体及びm109抗体と命名した。
【0106】
(実施例2)
実施例2では、GARP、GARP-TGF-β複合体に対する抗体の結合活性をテストした。GARP、TGF-βを発現するプラスミドを293細胞株に同時に導入して、GARP-TGFβ複合体を過剰発現する293-GARP/TGFβ安定導入細胞株を構築した。
【0107】
293-GARP/TGFβ細胞を100μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、細胞濃度は1~2×10
6個/mLであった。FACS緩衝液(即ち、2%のFBSを含むPBS溶液)で洗浄し、次に100μL/ウェルで異なる被測抗体を加えて(それぞれ、m212抗体、m305抗体、m107抗体、m202抗体、m301抗体、m109抗体であった。抗体初期濃度200nM、4倍勾配希釈)、4℃で30分間インキュベートした。緩衝液で洗浄し、蛍光標識したヤギ抗ヒト二次抗体(メーカー:Abcam)を加えて、4℃で30分間インキュベートした。緩衝液を使用して洗浄し、緩衝液を加えて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで蛍光シグナルを検出した。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測サンプルのEC
50値を算出し、次の表1及び
図5に示すとおりであった。
【表1】
【0108】
表1及び
図5の結果から分かるように、m212抗体、m305抗体、m107抗体、m202抗体、m301抗体及びm109抗体は、いずれも、GARP-TGF-β複合体と結合することができる。
【0109】
GARPを発現するプラスミドをCHO-K1細胞株に導入して、GARPを過剰発現するCHO-K1-GARP細胞株を構築した。CHO-K1-GARP細胞を100μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、細胞濃度は1~2×10
6個/mLであった。FACS緩衝液(即ち、2%のFBSを含むPBS溶液)で洗浄し、次に100μL/ウェルで異なる被測抗体を加えて(それぞれ、m212抗体、m305抗体、m107抗体を例とした。抗体初期濃度200nM、4倍勾配希釈)、4℃で30分間インキュベートした。緩衝液で洗浄し、蛍光標識したヤギ抗ヒト二次抗体(メーカー:Abcam)を加えて、4℃で30分間インキュベートした。緩衝液を使用して洗浄し、緩衝液を加えて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで蛍光シグナルを検出した。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測サンプルのEC
50値を算出し、次の表2に示すとおりであった。
【表2】
【0110】
表2から分かるように、m212抗体、m305抗体、m107抗体は、いずれも、GARPタンパク質と特異的に結合することができる。
【0111】
(実施例3)
実施例3では、TGF-βに対する抗体の結合活性を同定した。ヒトトランスフォーミング増殖因子β1(hTGF-β1、メーカー:ACRO)を使用して細胞培養プレートをコーティングし、100ng/ウェルで、4℃で一晩インキュベートした。次にPBSTを使用して洗浄し、各ウェルに200μLのBSAを加えて、37℃で1時間ブロックした。PBSTを使用して洗浄し、100μL/ウェルで異なる濃度の被測抗体を加えて(それぞれ、m107抗体、m202抗体、m301抗体、m109抗体を例とした。各抗体の初期濃度31.25nM、4倍勾配希釈)、37℃で2時間インキュベートした。PBSTを使用して洗浄し、100μL/ウェルでヤギ抗ヒト二次抗体を加えて(1%のBSAで1:10000希釈、メーカー:Jackson)、37℃で1時間インキュベートした。PBSTを使用して洗浄し、100μLのTMB発色溶液を加えて10~15分間発色させた後、50μLの2Mの硫酸を加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダーでOD450値を読み取り、データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測抗体のEC
50値を算出し、次の表3及び
図6に示すとおりであった。
【表3】
【0112】
試験結果が、m107抗体、m202抗体、m301抗体、m109抗体は、いずれも、TGF-βと特異的に結合することができるということを示した。
【0113】
実施例4:TGF-β分泌中和試験
抗CD3抗体は、TCR複合体と結合し、Tリンパ球を活性化し、Tリンパ球によるTGF-βの分泌を媒介することができ、抗CD28抗体は、抗CD3抗体と相乗的にインビトロでTリンパ球を活性化及び増幅させることができる。抗CD3及び抗CD28抗体を使用すると、相乗的に免疫細胞を刺激して活性化させることができる。
【0114】
濃度が1μg/mLである抗CD3抗体及び抗CD28抗体(メーカー:Biolegend)を調製し、100μL/ウェルで96ウェルプレートに加えて、4℃で一晩コーティングした。次に100μL/ウェルでTreg細胞を加えた(細胞濃度5×10
5個/mL)。100μL/ウェルで異なる濃度の被測抗体を加えて(それぞれ、266nM、66nM)、インキュベーターに入れて96時間培養した。最後にTGF-β ELISA検出キット(メーカー:BD)を用いて上清中のTGF-βの含有量を検出した。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0で分析して試験結果を得て、試験結果は
図7に示すとおりであった。
【0115】
図7から分かるように、m202抗体、m301抗体、m109抗体及びm107抗体を例とすると、これらの抗体は、いずれも、Treg細胞によって産生されたTGF-βを阻害又は中和することができる。
【0116】
(実施例5)
相補性決定領域移植法(CDR-Grafting method)を用いてヒト化抗体を得て、抗体及び鋳型のアミノ酸配列を一律FR領域及びCDR領域に分け、次にCDR領域を鋳型のFR領域に移植することによって、抗体の特異性を決めるCDR領域とヒトに由来する抗体のフレームワーク領域を互いに組み合わせて、ヒト化の目的を達成する。また、抗体の親和性の低下を避けるために、コンピュータ・シミュレーションなどの技術で重要なアミノ酸残基部位を算出し、回復変異の方法を利用してヒト化抗体の親和性を確保した。設計すると、m212ヒト化後の抗体番号はm212-huであり、m305ヒト化後の抗体番号はm305-huであり、m107ヒト化後の抗体番号はm107-huであり、m202ヒト化後の抗体番号はm202-huであり、m301ヒト化後の抗体番号はm301-huであり、109ヒト化後の抗体番号はm109-huであった。次にこれらのヒト化抗体に対してそれぞれ活性を検出した。
【0117】
293-GARP/TGFβ細胞株及びCHO-K1-GARP細胞株をそれぞれ100μL/ウェルで96ウェル細胞プレートに加え、ただし細胞濃度は1~2×10
6個/mLであった。FACS緩衝液(2%のFBS)を使用して洗浄した。次に100μL/ウェルで異なる濃度の被測抗体を加えて(初期濃度200nM、4~5倍勾配希釈)、4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液を使用して洗浄し、蛍光標識したヤギ抗ヒト二次抗体を加えて、4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液を使用して洗浄し、150~200μLのFACS緩衝液を加えて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで蛍光シグナルを検出した。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測サンプルのEC
50値を算出し、次の表4及び表5に示すとおりであった。
【表4】
【0118】
上記の抗体を例とすると、ヒト化を経た抗体は、GARP-TGF-β複合体との強い特異的結合活性を示す。
【表5】
【0119】
試験結果が、上記の抗体を例とすると、GARPタンパク質との強い結合活性を示すということを示した。
【0120】
hTGF-β1(メーカー:ACRO)を使用してELISA用マイクロプレートをコーティングし、100ng/ウェルで、4℃で一晩インキュベートした。次にPBSTを使用して洗浄し、各ウェルに200μLのBSAを加えて、37℃で1時間ブロックした。PBSTを使用して洗浄し、100μL/ウェルで異なる濃度の被測抗体を加えて(初期濃度31.25nM、1%のBSAで4倍勾配希釈)、37℃で2時間インキュベートした。PBSTを使用して洗浄し、次に100μL/ウェルでヤギ抗ヒト二次抗体を加えて(1:10000、1%のBSAで希釈)、37℃で1時間インキュベートした。PBSTを使用して洗浄し、100μLのTMB発色溶液を加えて10~15分間発色させ、50μLの2Mの硫酸を加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダーでOD450値を読み取り、データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測抗体のEC
50値を算出し、次の表6に示すとおりであった。
【表6】
【0121】
試験結果が、上記の抗体を例とすると、ヒト化を経た抗体も、TGF-βとの特異的結合活性を示すということを示した。また、実施例4で言及された方法を参照してTGF-βに対するヒト化後抗体の中和活性を検出し、結果が、各抗体は、いずれも、TGF-βと特異的に結合し、TGF-βを中和することができるということを示した。
【0122】
(実施例6)
当実施例では、主に、抗ヒトGARP又は抗GARP-TGF-β複合体抗体及び抗PD-L1抗体に対して遺伝子工学改変を行って、抗GARP及びPD-L1又は抗TGF-β、GARP-TGF-β複合体及びPD-L1を発現する二重特異性抗体を構築することを記述した。二重特異性抗体を命名する時は、mで始まるモノクローナル抗体と区別するためにbで始まり、二重特異性抗体は(G
4S)
4リンカーによって接続されている。
図1に示すように、接続させる過程で、抗PD-L1ナノボディとIgG型構造の重鎖第3定常ドメインを接続させ、命名する時は2つの抗原結合部分をHでつなげ(区切りを示す)、2つの抗原結合部分は以前の番号を保持した。例えば、「b212-hu-H-D2hu」で表す二重特異性抗体は、m212-huの抗体配列及び抗PD-L1ナノボディD2huの抗体配列を接続させて完成したものであり、且つ、ナノボディがIgG型構造の重鎖第3定常ドメインに接続される。ナノボディとIgG型構造の重鎖第3定常ドメインを接続させる時に、ナノボディ部分を1つの番号だけで表す場合に、カルボキシ末端に接続された1つだけのナノボディは同じであり、且つ重鎖第3定常ドメインの2つの対称なカルボキシ末端に接続された1つのナノボディは同じであることを示し、接続されたナノボディが異なる場合は、接続された全てのナノボディの番号を示さなければならない。例えば、「b301-H-Bhu-D2hu」で表す二重特異性抗体は、m301-huの抗体配列と抗PD-L1ナノボディBhu及びD2huの抗体配列を接続させて完成したものであり、Bhu、D2huは、それぞれ、IgG型構造の重鎖第3定常ドメインのカルボキシ末端に接続される。
【0123】
図3に示すように、接続させる過程で、抗PD-L1ナノボディをIgG型構造の軽鎖定常ドメインにそれぞれ接続させ(軽鎖定常ドメインのC末端にそれぞれ1つの抗PD-L1ナノボディを接続させていることで
図3と異なる)、命名する時は2つの抗原結合部分をLでつなげた(区切りを示す)。
図2に示すように、接続させる過程で、IgG型構造の重鎖定常ドメインのカルボキシ末端にそれぞれ2つの抗PD-L1ナノボディを対称に接続させてもよく、重鎖定常ドメインのいずれか1つのカルボキシ末端を例とすると、それに接続させた2つのナノボディが異なる場合は、命名する時は2つのナノボディを「-」でつなげ、接続させた2つのナノボディをそれぞれナノボディの番号で示し、接続させた2つのナノボディを(G
4S)
3でつなげてもよい。
【0124】
次にCHO-S細胞への一過性トランスフェクションにより二重特異性抗体タンパク質を生産し、上清を回収してプロテインAアフィニティーカラムで前記抗体を精製し、精製抗体の純度をHPLC及びSDS-PAGEで測定し、二重特異性抗体の純度は90%以上であった。
【0125】
実施例7:二重特異性抗体の結合活性
293-GARP/TGFβ細胞株、CHO-K1-GARP細胞株及びMC38-hPD-L1(メーカー:康源博創生物科技(北京)有限公司)細胞株を培養し、細胞濃度を1~2×10
6個/mLに調整し、100μL/ウェルで96ウェル細胞プレートに加えた。次に100μL/ウェルで異なる濃度の被測抗体を加えて(初期濃度200nM、4~5倍勾配希釈)、4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液を使用して洗浄し、蛍光標識したヤギ抗ヒト二次抗体を加えて、4℃で30分間インキュベートした。FACS緩衝液を使用して洗浄し、150~200μLのFACSバッファーを加えて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで蛍光シグナルを検出した。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測抗体のEC
50値を算出し、次の表7~表9に示すとおりである。
【表7】
【表8】
【表9】
【0126】
実施例8:TGFβレポーター遺伝子遮断活性
293F-GAPR/TGFβ/αvβ6細胞を培養し、細胞を(細胞密度0.6×10
6個/mL)50μL/ウェルで細胞培養プレートに加え、引き続き293-SBE-Luciferase細胞(細胞密度1.8×10
6個/mL)を50μL/ウェルで細胞培養プレートに加えた。次に異なる濃度の被測抗体(初期濃度400nM又は133.33nM、3倍勾配希釈)を100μL/ウェルで細胞培養プレートに加え、均一に混合した後にインキュベーターに入れて18~24時間培養した。各ウェルに100μLのルシフェラーゼ基質ONE-Glo(商標) Luciferase Assay systemを加えて、暗所で5分間インキュベートし、次にマイクロプレートリーダーで発光シグナル値を読み取った。データ処理ソフトウェアGraphpad Prism 6.0を用いて被測サンプルのIC
50値を算出し、次の表10に示すとおりであった。
【表10】
【0127】
上記の二重特異性抗体を例として結果から分かるように、上記の二重特異性抗体はTGF-βに対する遮断活性を示している。
【0128】
実施例9:PD-L1抗体レポーター遺伝子遮断系
実施例9では、レポーター遺伝子アッセイによってPD-L1/PD-1経路に対する抗体の遮断作用を研究した。当該試験は、2種の細胞株を用いて行った。Jurkat-PD1-CD3ζ-NFAT-Luc2細胞株(メーカー:康源博創生物技術(北京)有限公司)は、Jurkat細胞でPD-1 ECD及びCD3ζからなる融合タンパク質を安定発現し、また、NF-AT駆動型ルシフェラーゼレポーター遺伝子が挿入されている。293T-hPD-L1細胞(メーカー:康源博創生物技術(北京)有限公司)は、ヒトPD-L1を発現する293T細胞であった。2種の細胞を共培養する場合に、PD-1/PD-L1相互作用が第1シグナルとなり、細胞内のCD3ζ鎖が第2シグナルとなって内部に活性化シグナルを伝達し、NFAT駆動型ルシフェラーゼレポーター遺伝子が発現されて、蛍光が発せられる。PD-L1抗体を加える場合に、PD-1/PD-L1の結合が遮断され、活性化シグナルの伝達が阻害され、ルシフェラーゼレポーター遺伝子は発現できない。
【0129】
293T-hPD-L1細胞を2×10
4個/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングし、引き続きJurkat-PD1-CD3ζ-NFAT-Luc2エフェクター細胞を2×10
4/ウェルで96ウェルプレートに加え、次に異なる濃度の被測抗体を加えて(初期濃度60μg/mL、4倍勾配希釈)、37℃で18~24時間インキュベートした。各ウェルに100μLのルシフェラーゼ基質ONE-Glo(商標) Luciferase Assay system検出試薬を加えて、暗所で5分間インキュベートし、マイクロプレートリーダーで96ウェルプレートの蛍光シグナルを読み取った。相対蛍光値をy軸、抗体サンプルの濃度をx軸として、4パラメーター曲線をプロットした。ソフトウェアGraphPad Prism 6.0を用いて当該曲線を分析して二重特異性抗体のIC
50値を得て、次の表11に示した。示される抗体を例とすると、モノクローナル抗体はPD-L1遮断活性を示さず、二重特異性抗体はPD-L1遮断活性を示す。また、実施例5の方法を参照し、これらの抗体はTGF-β中和活性をも示す。
【表11】
【0130】
実施例10:インビボ活性評価
MC38-hPD-L1KL#3細胞を構築し、当該細胞からネズミに由来するPD-L1がノックアウトされ、また、ヒトPD-L1遺伝子が挿入されている。試験では、MC-38-hPD-L1 KL#3細胞を、C57BL/6-hGARP遺伝子組換え雌マウス(メーカー:集萃薬康)の右肩甲骨に皮下接種し、1匹の接種量は0.1mLであり、細胞密度は1×10
6/匹であり、腫瘍体積が75~100mm
3に達していると、表12に示すとおりに、マウスを群分けした。試験マウスを5群に分け、1群が6匹であり、週2回で4回腹腔内投与した。投与後に3~4日おきにマウスの体重及び腫瘍体積を計測した。
【表12】
【0131】
動物試験の結果は
図8に示され、結果が、示される抗体は、いずれも抗腫瘍効果を示すことを示し、腫瘍の大きさ及び体積が抑制され、例えば、腫瘍増殖抑制率(TGI)結果は45~60%であった。また、二重特異性抗体の抗腫瘍効果は、モノクローナル抗体よりも明らかに優れており、腫瘍増殖抑制率は75%以上に達している。
【0132】
本願の記述で、「複数」の意味は、特に明確で具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどである。
【0133】
本明細書の記述で、用語「一実施例」「いくつかの実施例」「例」「具体例」又は「いくつかの例」などが使用された記述は、当該実施例又は例で記述された具体的な特徴、構造、材料又は特色が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれるということを意味する。本明細書で、上記の用語が使用された例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例が対象になるとは限らない。また、記述された具体的な特徴、構造、材料又は特色は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例で適切な方式で組み合わせてもよい。また、互いに矛盾がない限り、当業者は本明細書で記述された異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を組み合わせてもよい。
【0134】
上記で本願の実施例を示しそれを記述しているが、上記の実施例は例示的なものに過ぎず、本願に対する制限と捉えることができず、当業者は、本願の範囲内で上記の実施例に変更、補正、置換及び変形を行ってもよいということを理解されたい。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分は軽鎖可変領域をさらに含み、前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とし、
好ましくは、
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有することを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項2】
前記第1抗原結合部分が、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、1%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とし、
好ましくは、
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする請求項1に記載の二重特異性抗体。
【請求項3】
前記第2抗原結合部分が、単一ドメイン抗体であり、
前記二重特異性抗体は、リンカーによってIgG型抗体及び第2抗原結合部分がそれぞれ接続された構造であり、ただし、IgG型抗体は第1抗原結合部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の二重特異性抗体。
【請求項4】
前記第2抗原結合部分が、
(a)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR1と、
(b)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR2と、
(c)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR3とを含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とし、
好ましくは、
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有し、又は
(2)配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有し、又は
(3)配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有し、又は
(4)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有することを特徴とする請求項1に記載の二重特異性抗体。
【請求項5】
前記第2抗原結合部分がフレームワーク領域をさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含み、
(1)FR1は、配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列、又は配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(2)FR2は、配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列、又は配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(3)FR3は、配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列、又は配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列と比べて、1つ、2つ、3つ若しくは4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(4)FR4は、配列番号73で示される配列、又は配列番号73で示される配列と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれることを特徴とし、
好ましくは、
前記第2抗原部分がフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域FRは、
(1)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号72で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(2)配列番号74で示されるFR1配列、配列番号75で示されるFR2配列、配列番号76で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(3)配列番号77で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(4)配列番号80で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(5)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号81で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、から選ばれることを特徴とし、
さらに好ましくは、
前記第2抗原結合部分が、
(a)配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列、
(b) (a)と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であるアミノ酸配列から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の二重特異性抗体。
【請求項6】
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含み、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
前記CDR1は配列番号60又は63又は66で示される配列を含み、
前記CDR2は配列番号61又は64又は67で示される配列を含み、
前記CDR3は配列番号62又は65又は68又は69で示される配列を含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列並びに前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とし、
好ましくは、
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有し、
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号62で示されるアミノ酸配列であり、又は
(2)CDR1が配列番号63で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号64で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号65で示されるアミノ酸配列であり、又は
(3)CDR1が配列番号66で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号67で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号68で示されるアミノ酸配列であり、又は
(4)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号69で示されるアミノ酸配列であり、
前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインVL及びFc領域とIgG型構造を形成し、前記第2抗原結合部分はリンカーによってIgG型構造に接続されることを特徴とし、
さらに好ましくは、
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含み、
前記第2抗原結合部分が、
配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする二重特異性抗体。
【請求項7】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とし、
好ましくは、
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有することを特徴とし、
好ましくは、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とし、
さらに好ましくは、
配列番号36で示される重鎖可変領域及び配列番号48で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号37で示される重鎖可変領域及び配列番号49で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号38で示される重鎖可変領域及び配列番号50で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号39で示される重鎖可変領域及び配列番号51で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号40で示される重鎖可変領域及び配列番号52で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号41で示される重鎖可変領域及び配列番号53で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号42で示される重鎖可変領域及び配列番号54で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号43で示される重鎖可変領域及び配列番号55で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号44で示される重鎖可変領域及び配列番号56で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号45で示される重鎖可変領域及び配列番号57で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号46で示される重鎖可変領域及び配列番号58で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号47で示される重鎖可変領域及び配列番号59で示される軽鎖可変領域から選ばれることを特徴とし、
場合により、
Fc領域をさらに含むことを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードし又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする構築物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードし又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含む構築物を含有することを特徴とする宿主細胞。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項12】
がん又は自己免疫疾患を予防及び/又は治療するための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
前記二重特異性抗体又は前記モノクローナル抗体若しくは抗原結合断片に接続された機能性小分子とを含むことを特徴とする抗体複合体。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を含むことを特徴とするキット。
【請求項15】
請求項10に記載の宿主細胞を培養することと、
培養物から二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を回収することとを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を生産し又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を生産する方法。
【請求項16】
抗体複合体の製造における請求項1~6のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は請求項7に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
本明細書で、使用可能なリンカーは、当分野でよく用いられるリンカーであり、いくつかのオリゴペプチド又はポリペプチドであってもよい。これらのオリゴペプチド又はポリペプチドは、柔軟性を提供することのできるいかなるアミノ酸配列であってもよい。リンカーは、次からなる群、GS、SG、GGS、GSG、SGG、GGG、GGGS(配列番号94)、SGGG(配列番号95)、GGGGS(配列番号96)、GGGGGSGS(配列番号97)、GGGGSGS(配列番号98)、GGGGSGGS(配列番号99)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号100)、GGGGSGGGGS(配列番号101)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号102)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号103)、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGS(配列番号104)などを含むがそれらに限定されない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
上記で本願の実施例を示しそれを記述しているが、上記の実施例は例示的なものに過ぎず、本願に対する制限と捉えることができず、当業者は、本願の範囲内で上記の実施例に変更、補正、置換及び変形を行ってもよいということを理解されたい。
本開示は、例えば、以下に関する。
[1]
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分は軽鎖可変領域をさらに含み、前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
[2]
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列、又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を有することを特徴とする前記[1]に記載の二重特異性抗体。
[3]
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、
HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、
HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、
HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、
LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、
LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、
LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3配列及び前記LCDR1、LCDR2、LCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
[4]
前記第1抗原結合部分が、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、1%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
[5]
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする前記[4]に記載の二重特異性抗体。
[6]
前記第2抗原結合部分が、単一ドメイン抗体であり、
前記二重特異性抗体は、リンカーによってIgG型抗体及び第2抗原結合部分がそれぞれ接続された構造であり、ただし、IgG型抗体は第1抗原結合部分を含むことを特徴とする前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
[7]
前記第2抗原結合部分が、
(a)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR1と、
(b)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR2と、
(c)次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含むCDR3とを含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
[8]
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有し、又は
(2)配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有し、又は
(3)配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有し、又は
(4)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有することを特徴とする前記[7]に記載の二重特異性抗体。
[9]
前記第2抗原結合部分がフレームワーク領域をさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含み、
(1)FR1は、配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列、又は配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(2)FR2は、配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列、又は配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(3)FR3は、配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列、又は配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列と比べて、1つ、2つ、3つ若しくは4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(4)FR4は、配列番号73で示される配列、又は配列番号73で示される配列と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれることを特徴とする前記[7]又は[8]に記載の二重特異性抗体。
[10]
前記第2抗原部分がフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域FRは、
(1)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号72で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(2)配列番号74で示されるFR1配列、配列番号75で示されるFR2配列、配列番号76で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(3)配列番号77で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(4)配列番号80で示されるFR1配列、配列番号78で示されるFR2配列、配列番号79で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、又は
(5)配列番号70で示されるFR1配列、配列番号71で示されるFR2配列、配列番号81で示されるFR3配列及び配列番号73で示されるFR4配列、から選ばれることを特徴とする前記[7]又は[8]に記載の二重特異性抗体。
[11]
前記第2抗原結合部分が、
(a)配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列、
(b) (a)と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であるアミノ酸配列から選ばれることを特徴とする前記[7]又は[8]に記載の二重特異性抗体。
[12]
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分はGARP、TGF-β及び/又はGAPR-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、ただし、
(a)前記CDR1は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号60、63及び66、又は配列番号60、63及び66と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(b)前記CDR2は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号61、64及び67、又は配列番号61、64及び67と比べて、1つ若しくは2つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
(c)前記CDR3は、次の群から選ばれる配列、即ち、配列番号62、65、68及び69、又は配列番号62、65、68及び69と比べて、1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列を含み、
前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
[13]
前記第2抗原結合部分が、
(1)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号62で示されるCDR3配列を有し、又は
(2)配列番号63で示されるCDR1配列、配列番号64で示されるCDR2配列及び配列番号65で示されるCDR3配列を有し、又は
(3)配列番号66で示されるCDR1配列、配列番号67で示されるCDR2配列及び配列番号68で示されるCDR3配列を有し、又は
(4)配列番号60で示されるCDR1配列、配列番号61で示されるCDR2配列及び配列番号69で示されるCDR3配列を有することを特徴とする前記[12]に記載の二重特異性抗体。
[14]
前記第2抗原結合部分がフレームワーク領域をさらに含み、前記フレームワーク領域はFR1、FR2、FR3及びFR4を含み、前記FR1、FR2、FR3、FR4は、それぞれ、次に示すアミノ酸配列を含み、
(1)FR1は、配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列、又は配列番号70若しくは74若しくは77若しくは80で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(2)FR2は、配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列、又は配列番号71若しくは75若しくは78で示される配列と比べて、1つ、2つ若しくは3つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(3)FR3は、配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列、又は配列番号72若しくは76若しくは79若しくは81で示される配列と比べて、1つ、2つ、3つ若しくは4つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれ、
(4)FR4は、配列番号73で示される配列、又は配列番号73で示される配列と比べて、1つ若しくは2つの保存的なアミノ酸の置換を有する配列から選ばれることを特徴とする前記[12]又は[13]に記載の二重特異性抗体。
[15]
前記第2抗原部分がフレームワーク領域FRをさらに含み、前記フレームワーク領域FRは、それぞれ、以下を含み、
(1)FR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号72で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(2)FR1は配列番号74で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号75で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号76で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(3)FR1は配列番号77で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(4)FR1は配列番号80で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号78で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号79で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であり、又は
(5)FR1は配列番号70で示されるアミノ酸配列であり、FR2は配列番号71で示されるアミノ酸配列であり、FR3は配列番号81で示されるアミノ酸配列であり、FR4は配列番号73で示されるアミノ酸配列であることを特徴とする前記[12]又は[13]に記載の二重特異性抗体。
[16]
前記第2抗原結合部分が、
(a)配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列、
(b) (a)と比べて、配列同一性が85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であるアミノ酸配列から選ばれることを特徴とする前記[12]~[15]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
[17]
前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインVL及びFc領域とIgG型構造を形成し、
前記第2抗原結合部分はリンカーによって前記IgG型構造に接続されることを特徴とする前記[12]~[16]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
[18]
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができ、
前記第1抗原結合部分は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を含み、
前記軽鎖可変領域は、
配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を含み、
又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を含み、
前記第2抗原結合部分はCDR1、CDR2及びCDR3を含み、
前記CDR1は配列番号60又は63又は66で示される配列を含み、
前記CDR2は配列番号61又は64又は67で示される配列を含み、
前記CDR3は配列番号62又は65又は68又は69で示される配列を含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列並びに前記CDR1、CDR2及びCDR3配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とする二重特異性抗体。
[19]
前記第1抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有し、
前記第2抗原結合部分が、以下から選ばれ、
(1)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号62で示されるアミノ酸配列であり、又は
(2)CDR1が配列番号63で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号64で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号65で示されるアミノ酸配列であり、又は
(3)CDR1が配列番号66で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号67で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号68で示されるアミノ酸配列であり、又は
(4)CDR1が配列番号60で示されるアミノ酸配列であり、CDR2が配列番号61で示されるアミノ酸配列であり、CDR3が配列番号69で示されるアミノ酸配列であり、
前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインVL及びFc領域とIgG型構造を形成し、前記第2抗原結合部分はリンカーによってIgG型構造に接続されることを特徴とする前記[18]に記載の二重特異性抗体。
[20]
前記第1抗原結合部分が、
(1)配列番号36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40若しくは41で示される重鎖可変領域と、配列番号48若しくは49若しくは50若しくは51若しくは52若しくは53で示される軽鎖可変領域と、又は
(2)配列番号42若しくは43若しくは44若しくは45若しくは46若しくは47で示される重鎖可変領域と、配列番号54若しくは55若しくは56若しくは57若しくは58若しくは59で示される軽鎖可変領域とを含み、
前記第2抗原結合部分が、
配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする前記[19]に記載の二重特異性抗体。
[21]
第1抗原結合部分及び第2抗原結合部分を含み、
前記第1抗原結合部分は、
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含み、
前記第1抗原結合部分はTGF-β、GARP又はGARP-TGF-β複合体と結合することができ、前記第2抗原結合部分はPD-L1と結合することができることを特徴とする二重特異性抗体。
[22]
前記第2抗原結合部分が、
配列番号82又は83又は84又は85又は86又は87又は88又は89又は90又は91で示されるアミノ酸のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含むことを特徴とする前記[21]に記載の二重特異性抗体。
[23]
TGF-β、GARP及び/又はGARP-TGF-β複合体と特異的に結合する第1抗原結合部分と、PD-L1と特異的に結合する第2抗原結合部分とを含み、
重鎖第1定常ドメインCH1と軽鎖定常ドメインCLとをさらに含み、前記第1抗原結合部分は、重鎖第1定常ドメインCH1、軽鎖定常ドメインCLとそれぞれ共有結合され、
Fc領域をさらに含み、前記Fc領域はヒンジ領域によって重鎖第1定常ドメインCH1に接続され、前記第2抗原結合部分はリンカーによってFc領域に及び/又は軽鎖定常ドメインCLに接続されることを特徴とする二重特異性抗体。
[24]
(i)前記第2抗原結合部分がリンカーによって前記Fc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続されたもの、
(ii)前記第2抗原結合部分がリンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)に接続されたもの、
(iii)前記第2抗原結合部分の少なくとも一部が第1リンカーによってFc領域のカルボキシ末端(C末端)に接続され、少なくとも一部が第2リンカーによって軽鎖定常ドメインのカルボキシ末端(C末端)に接続されたものから少なくとも1種選ばれることを特徴とする前記[23]に記載の二重特異性抗体。
[25]
少なくとも、下記の特性、即ち、
(a)PD-L1と特異的に結合すること、
(b)糖タンパク質A反復優勢配列(GARP)と特異的に結合すること、
(c)GARP-TGF-β複合体と特異的に結合すること、
(d)TGF-βと特異的に結合すること、
(e)制御性T細胞の免疫抑制機能に対する阻害活性を有すること、
(f)抗腫瘍活性を有すること
の1つを有することを特徴とする前記[23]に記載の二重特異性抗体。
[26]
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列、又は配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列、又は配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列、又は配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列、又は配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列、又は配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列、又は配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列、又は配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列、又は配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列、又は配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列、又は配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列と、配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列、又は配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列に対して1つ、2つ若しくは3つのアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有する配列とを含み、
前記HCDR配列及び前記LCDR配列はIMGTスキームに基づいて得られることを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[27]
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ただし、
(1)配列番号1、2及び3で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号19、20及び21で示されるLCDR配列を有し、又は
(2)配列番号4、5及び6で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号22、23及び24で示されるLCDR配列を有し、又は
(3)配列番号7、8及び9で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号25、20及び26で示されるLCDR配列を有し、又は
(4)配列番号10、11及び12で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号27、28及び29で示されるLCDR配列を有し、又は
(5)配列番号13、14及び15で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号30、31及び32で示されるLCDR配列を有し、又は
(6)配列番号16、17及び18で示されるHCDR配列を有し、そして配列番号33、34及び35で示されるLCDR配列を有することを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[28]
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は相補性決定領域HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域は相補性決定領域LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、ただし、
HCDR1は配列番号1又は4又は7又は10又は13又は16で示される配列を含み、
HCDR2は配列番号2又は5又は8又は11又は14又は17で示される配列を含み、
HCDR3は配列番号3又は6又は9又は12又は15又は18で示される配列を含み、
LCDR1は配列番号19又は22又は25又は27又は30又は33で示される配列を含み、
LCDR2は配列番号20又は23又は28又は31又は34で示される配列を含み、
LCDR3は配列番号21又は24又は26又は29又は32又は35で示される配列を含むことを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[29]
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3配列と、配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2及びLCDR3配列とを含むことを特徴とするモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[30]
配列番号36又は37又は38又は39又は40又は41又は42又は43又は44又は45又は46又は47で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖可変領域と、
配列番号48又は49又は50又は51又は52又は53又は54又は55又は56又は57又は58又は59で示される配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域とを含むことを特徴とする前記[26]~[29]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[31]
配列番号36で示される重鎖可変領域及び配列番号48で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号37で示される重鎖可変領域及び配列番号49で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号38で示される重鎖可変領域及び配列番号50で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号39で示される重鎖可変領域及び配列番号51で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号40で示される重鎖可変領域及び配列番号52で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号41で示される重鎖可変領域及び配列番号53で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号42で示される重鎖可変領域及び配列番号54で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号43で示される重鎖可変領域及び配列番号55で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号44で示される重鎖可変領域及び配列番号56で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号45で示される重鎖可変領域及び配列番号57で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号46で示される重鎖可変領域及び配列番号58で示される軽鎖可変領域、又は
配列番号47で示される重鎖可変領域及び配列番号59で示される軽鎖可変領域から選ばれることを特徴とする前記[26]~[30]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[32]
Fc領域をさらに含むことを特徴とする前記[26]~[31]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又は抗原結合断片。
[33]
前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードし又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
[34]
前記[33]に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする構築物。
[35]
前記[33]に記載のポリヌクレオチド又は前記[34]に記載の構築物を含有することを特徴とする宿主細胞。
[36]
前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする医薬組成物。
[37]
前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片と、
前記二重特異性抗体又は前記モノクローナル抗体若しくは抗原結合断片に接続された機能性小分子とを含むことを特徴とする抗体複合体。
[38]
前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を含むことを特徴とするキット。
[39]
前記[35]に記載の宿主細胞を培養することと、
培養物から二重特異性抗体又はモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を回収することとを含むことを特徴とする前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を生産し又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片を生産する方法。
[40]
必要とする被験者に有効量の前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片、又は前記[36]に記載の医薬組成物、又は前記[37]に記載の抗体複合体を投与することを含むことを特徴とする疾患を予防及び/又は治療する方法。
[41]
前記疾患は、がん又は自己免疫疾患から選ばれることを特徴とする前記[40]に記載の方法。
[42]
薬物又はキット又は抗体複合体の製造における前記[1]~[25]のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、又は前記[26]~[32]のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体若しくは抗原結合断片の用途。
【国際調査報告】