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特表2024-534711セグメント化された電気フィードスルー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-24
(54)【発明の名称】セグメント化された電気フィードスルー
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20240913BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01R9/16 101
F01N3/20 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506939
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022070404
(87)【国際公開番号】W WO2023011926
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021208621.7
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブリュック
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン アーラース
【テーマコード(参考)】
3G091
5E086
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB14
3G091BA02
3G091CA03
3G091HB01
5E086PP02
5E086PP16
5E086PP39
5E086QQ15
(57)【要約】
セグメント化された電気フィードスルー。本発明は、コンタクト部分(2,15)および絶縁部分(3)を備える、ハウジングを貫通して加熱導体を電気的に接触接続するための、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)であって、絶縁部分(3)は、電気導体(6,12,17,20)と、絶縁手段(7)と、外側スリーブ(8)とを有しており、電気導体(6,12,17,20)および絶縁手段(7)は外側スリーブ(8)内に配置されており、電気導体(6,12,17,20)は、絶縁手段(7)により、外側スリーブ(8)と電気的に絶縁されており、電気導体(6,12,17,20)にはコンタクト部分(2,15)が第1端面において結合されており、電気導体(6,12,17,20)は、第1端面とは反対側のその第2端面において加熱導体に接続可能であり、コンタクト部分(2,15)と絶縁部分(3)とは、接合プロセスを用いて堅固に互いに接続されている異なる2つの要素から形成されている、電気フィードスルーに関する。本発明はさらに、セグメント化された電気フィードスルーを製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト部分(2,15)および絶縁部分(3)を備える、ハウジングを貫通して加熱導体を電気的に接触接続するための、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)であって、
前記絶縁部分(3)は、電気導体(6,12,17,20)と、絶縁手段(7)と、外側スリーブ(8)とを有しており、前記電気導体(6,12,17,20)および前記絶縁手段(7)は前記外側スリーブ(8)内に配置されており、前記電気導体(6,12,17,20)は、前記絶縁手段(7)により、前記外側スリーブ(8)と電気的に絶縁されており、前記電気導体(6,12,17,20)には前記コンタクト部分(2,15)が第1端面において結合されており、前記電気導体(6,12,17,20)は、前記第1端面とは反対側のその第2端面において加熱導体に接続可能である、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)において、
前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とは、接合プロセスを用いて堅固に互いに接続されている異なる2つの要素から形成されていることを特徴とする、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項2】
前記コンタクト部分(2,15)は、円錐形部分(4)および円筒形部分(5,16,22)を有しており、前記円筒形部分(5,16,22)は、前記絶縁部分(3)との境界面を形成していることを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項3】
前記絶縁部分(3)は複合材料から形成されており、前記複合材料は、内部に位置する電気導体(6,12,17,20)であって、スリーブ状に配置された電気的な絶縁材料(7)によって周方向に取り囲まれている電気導体(6,12,17,20)を有しており、内部に位置する前記電気導体(6,12,17,20)および前記電気的な絶縁材料(7)は、金属製の外側スリーブ(8)によって囲まれていることを特徴とする、請求項1または2記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項4】
前記絶縁部分(3)は、第1端面および第2端面を有しており、前記第1端面は、前記電気フィードスルー(1,10,14)の前記コンタクト部分(2)との境界面を形成し、前記第2端面は、前記加熱導体および/または接続部分(11)との境界面を形成することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項5】
前記フィードスルー(10)は、前記絶縁部分(3)の前記第2端面に配置されておりかつ前記絶縁部分(3)の前記電気導体(12)に堅固に接続されている接続部分(11)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のセグメント化された電気フィードスルー(10)。
【請求項6】
前記電気導体(6)と、前記絶縁手段(7)と、前記外側スリーブ(8)とは、同じ軸線方向延在長さを有しており、前記要素の端部領域は互いに面一に終端していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のセグメント化された電気フィードスルー(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)を製造する方法であって、接合プロセスを用いて前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを堅固に互いに接続する方法において、前記絶縁部分(3)の前記第1端面において前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを堅固に互いに接続することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記コンタクト部分(2,15)が、前記絶縁部分(3)の前記電気導体(6,12,17,20)だけと導電的に接触接続するような仕方で、前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを互いに位置合わせすることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
堅固な前記接続を形成するための前記接合プロセスを実施する前に、固定手段(9,13,18,19,21)を用いて前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを互いに固定することを特徴とする、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
円錐形領域(4)を備えた前記コンタクト部分(2,15)を下方に向かってタイトな型(9,13)にはめ込み、円筒形領域(5,16,22)に配置された前記境界面にまずろうを被覆し、次いで前記第1端面によって前記コンタクト部分(2,15)に前記絶縁部分(3)を載置して、前記コンタクト部分(2,15)が前記電気導体(6,12,17,20)だけと導電的に接触接続するようにし、引き続いて、挿入した部分とろう層と共に前記型(9,13)をろう接プロセスにかけることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記第2端面にろうを被覆した後、かつ前記型(13)を、挿入した前記部分と共に前記ろう接プロセスにかける前に、前記絶縁部分(3)の前記第2端面に前記接続部分(11)を載置することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクト部分および絶縁部分を備える、ハウジングを貫通して加熱導体を電気的に接触接続するための、セグメント化された電気フィードスルーであって、絶縁部分は、電気導体と、絶縁手段と、外側スリーブとを有しており、電気導体および絶縁手段は、外側スリーブ内に配置されており、電気導体は、絶縁手段により、外側スリーブと電気的に絶縁されており、電気導体には、コンタクト部分が第1端面において結合されており、電気導体は、第1端面とは反対側のその第2端面において加熱導体に接続可能である、電気フィードスルーに関する。本発明はさらに、電気フィードスルーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の下流の排気ガス区間における排気ガス、または排気ガス区間を流れる排気ガスを加熱するために、今日では通例、電気加熱素子が使用される。この際に追求される目標は、その値以上になれば排気ガスに連行される有害物質の効果的な変換を行うことができる温度閾値に、より迅速に到達することである。これが必要であるのは、排気ガス後処理に使用される、排気ガス区間に組み込まれた触媒コンバータの触媒活性表面が、最低温度、いわゆるライトオフ温度以上になってはじめて、それぞれの有害物質の十分な変換が可能になるためである。
【0003】
従来技術における公知の解決手段には、いわゆる加熱触媒コンバータが必要であり、これらの加熱触媒コンバータは、電圧源と接続された金属構造体を有するか、またはオーム抵抗を利用して加熱可能な、金属被覆されたセラミック構造体を有している。
【0004】
加熱可能な構造体の電気的な接触接続のためには、少なくとも1箇所において、排気ガス区間の、または排気ガス区間に配置された触媒コンバータのハウジングを通して電気導体を差し込まなければならない。この際に確実に行わなければならないのは、フィードスルーが気密であり、さらにハウジングと電気導体との間に電気的な絶縁が得られることと、十分な耐久性が保証されていることとである。電気導体は、通例、例えば金属ボルト等のような中実の固体材料から形成されている。
【0005】
独国特許発明第102012110098号明細書には、自動車における電気的な排気ガス加熱装置の電力供給のための電気フィードスルーを製造する方法が開示されている。このフィードスルーは、電気導体が内部空間を貫通する外管を有している。電気導体は、外管の端面の少なくとも1つにおいて外管から突出している。電気導体は、外管の内部空間において絶縁材料によって取り囲まれている。ここで、このフィードスルーは、圧縮ロッド材料を所定の長さに切断することにより形成され、機械加工プロセスにより、外管として機能する部分と、絶縁材料として機能する部分とのそれぞれの領域が取り除かれ、これにより、電気導体が外管から外へ所望のように突出する、所望の長さの電気フィードスルーが形成される。
【0006】
従来技術において公知の、電気フィードスルーを製造する方法における欠点は特に、使用される圧縮ロッド材料が多層構造を有するため、これが極めて高価であることである。さらに、電気導体を利用可能にし、また電気フィードスルーを所定の長さに切断するための機械加工により、ロッド材料の約2/3もの大部分が、利用されることなく機械加工によって破壊され、ひいては浪費されてしまう。これにより、製造プロセスは特に手間を要してしまい、また高価になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、少なくとも同等に良好な技術的特性を備えた、セグメント化された電気フィードスルーと、電気フィードスルーの容易でありかつコスト的に有利な製造を可能とする適切な製造方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電気フィードスルーについての課題は、請求項1の特徴的構成を備えた電気フィードスルーによって解決される。
【0009】
本発明の一実施例は、コンタクト部分および絶縁部分を備える、ハウジングを貫通して加熱導体を電気的に接触接続するための、セグメント化された電気フィードスルーであって、絶縁部分は、電気導体と、絶縁手段と、外側スリーブとを有しており、電気導体および絶縁手段は、外側スリーブ内に配置されており、電気導体は、絶縁手段により、外側スリーブと電気的に絶縁されており、電気導体には、コンタクト部分が第1端面において結合されており、電気導体は、第1端面とは反対側のその第2端面において加熱導体に接続可能であり、コンタクト部分と絶縁部分とは、接合プロセスを用いて、堅固に互いに接合されている異なる2つの要素から形成されている、電気フィードスルーに関する。
【0010】
電気フィードスルーは、排気ガス管路または触媒コンバータのハウジングを通して電気導体を案内するために使用される。この際、フィードスルーは、排気ガスが漏れ出てしまうことがないように、発生する温度に耐え、かつ気密でなければならない。この際、短絡が生じてしまうことがないように、電気導体は電気的に絶縁されてハウジングから案内されるべきである。
【0011】
通例、電気フィードスルーは、ハウジングの外面に通電導体に通じる接続箇所を有している。通例、この接続箇所は、フィードスルーの電気導体の部分であるねじ山付きボルトによって形成される。通電導体はそこで、適切なプラグを用いてフィードスルーの電気導体にねじ留めされる。
【0012】
コンタクト部分は、一方では通電導体との接続を生じさせることができる部分であり、他方では絶縁部分の電気導体との接続を作製することができる部分である。
【0013】
コンタクト部分はこのために、好ましくは、雄ねじ山を有する円錐領域を有している。この雄ねじ山には、通電導体のプラグをねじ留めして持続的に固定することができる。この領域の円錐形の構成は、セルフセンタリング作用により、プラグの取り付けの際に役立つ。
【0014】
コンタクト部分は、堅固な接合プロセスにより、特にろう接または溶接により、絶縁領域の電気導体に接続されている。
【0015】
絶縁部分それ自体は、中央に円筒形の電気導体を有する複合材料であって、絶縁材料によって取り囲まれている複合材料から形成されており、この絶縁材料により、電気導体は金属製の外側スリーブから絶縁されている。好ましい一実施形態では、異なる3つの領域は、同じ軸線方向延在長さを有しており、これにより、用途に適した長さで、適切なロッド材料から絶縁部分を切り取ることができる。したがって、機械加工による切り屑または材料損失が最大限に回避される。
【0016】
電気導体は好ましくは、例えば2.4869のような鋼から形成される。電気導体およびコンタクト部分の選択された材料は、同じであっても異なっていてもよく、いずれの場合も、耐酸化性および比電気抵抗は同等または類似しているとよい。絶縁部は、例えば酸化物セラミックから形成されている。外側スリーブも同様に鋼材料から形成可能である。
【0017】
外側スリーブおよび電気導体の材料は同じであってもよいが、必須ではない。
【0018】
代替的な一実施形態では、電気導体は、やや、好ましくは数ミリメートルだけ、軸線方向において片側が絶縁材料および/または外側スリーブを越えて突出するように構成されていてよい。これは、機械加工プロセスによって達成可能であり、この際には特に、機械加工によって外側スリーブおよび絶縁材料の可能な限りに少ない材料が削り取られることに注意が向けられる。したがって、電気導体の突出は、数ミリメートルに制限される。
【0019】
電気導体の突出部は好ましくは、組付け状態において、内部に配置された加熱導体を向いている、絶縁部分の側に配置されている。この非対称的な設計により、コンタクト部分に対する絶縁部分の一意の位置合わせを設定することもでき、これにより、組付けが簡略化され、組付け誤りが回避される。
【0020】
特に有利であるのは、コンタクト部分が、円錐形部分および円筒形部分を有しており、この際に円筒形部分により、絶縁部分との境界面が形成される場合である。
【0021】
コンタクト部分の円筒形部分は特に有利である。というのは、電気導体は、絶縁部分において通例、同様に円筒形の断面を有しているからである。これにより、絶縁部分へのコンタクト部分の結合を特に容易に実現することができる。好ましくは、円筒形部分は、電気導体と同心に位置合わせされる。円筒形部分は好ましくは、電気導体と同じ直径を有することができる。特に好ましい代替的な一実施形態では、円筒形部分は、電気導体よりもわずかに小さな直径を有することも可能であり、これにより組付けが容易になり、また円筒形部分が絶縁材料に接触接続せず、とりわけ外側スリーブと導電的に接触接続しないことが保証される。
【0022】
円錐形部分は好ましくは、プラグのねじ留めを可能な限りに容易に実現することができるように形成することができる。好ましくは、円錐形部分および円筒形部分は共通の中心軸線を有している。しかしながら、代替的な実施形態では、円錐形部分は、例えば円筒形部分の中心軸線に対して所定の角度で置かれていてもよい。
【0023】
絶縁部分が複合材料から形成される場合も有利であり、この複合材料は、内部に位置する電気導体であって、スリーブ状に配置された電気絶縁材料によって周方向に取り囲まれている電気導体を有しており、内部に位置する電気導体および電気的な絶縁材料は、金属製の外側スリーブによって囲まれている。
【0024】
このような複合材料は、容易にかつ大規模に作製可能である。複合材料の所定の長さでの切断は、材料のわずかな切り屑で容易な切離しプロセスによって行うことができる。電気導体、絶縁層および外側スリーブの厚さは、選択された材料と同様に容易に変えることができる。
【0025】
好ましい一実施例は、絶縁部分が第1端面および第2端面を有しており、第1端面が、電気フィードスルーのコンタクト部分との境界面を形成し、第2端面が、加熱導体および/または接続部分との境界面を形成することを特徴とする。
【0026】
絶縁部分は、電流の流れ方向にコンタクト部分に続いており、通電されるべき加熱導体は、絶縁部分に続いている。絶縁部分、より正確には絶縁部分内の電気導体は、このために、1つにはコンタクト部分を、さらには通電されるべき加熱導体を結合することができる2つの端面を有している。絶縁部分は好ましくは、ロッド材料から形成されるため、これらの端面は好ましくは互いに平行にかつ互いに対向して位置している。
【0027】
また好ましいのは、フィードスルーが、絶縁部分の第2端面に配置されておりかつ絶縁部分の電気導体に堅固に接続されている接続部分を有している場合である。
【0028】
付加的な接続部分は特に、ディスク形要素または円筒形要素によって形成されており、この要素は、コンタクト部分とは反対側を向いた、絶縁部分の端面に被着可能である。この接続部分により、絶縁部分から加熱導体までの間隔が増大する。このことは特に、電気導体が絶縁材料および外側スリーブを越えて突出しない場合に有利である。接続部分を形成するこの要素は、より容易に加熱導体に接続することができるようにするために、加熱導体の方を向いた側に特別な成形部を有していてもよい。例えば、構造化された表面、または所定の角度で置かれた表面、または湾曲した表面が考えられる。好ましくは、絶縁部分とは反対側を向いた、接続部分の面は、接触接続すべき加熱導体の形状に適合される。
【0029】
有利であるのはさらに、電気導体と、絶縁手段と、外側スリーブとが、同じ軸線方向延在長さを有しており、これらの要素の端部領域が互いに面一に終端している場合である。このことは、絶縁部分の容易かつ材質に適合した作製に特に有利である。
【0030】
方法についての上記の課題は、請求項7の特徴的構成を備えた方法によって解決される。
【0031】
本発明の一実施例は、セグメント化された電気フィードスルーを製造する方法であって、接合プロセスを用いてコンタクト部分と絶縁部分とを堅固に互いに接続し、絶縁部分の第1端面においてコンタクト部分と絶縁部分とを堅固に互いに接続する方法に関する。
【0032】
本発明による方法の特別な利点は、外側スリーブにおいて、電気導体を案内しようとするハウジングに接続される絶縁部分が、特に容易にかつ材質に適合して作製できることである。使用される複合材料は高価であり、またそれ以外には機械加工のために必要なステップには長い準備時間ひいては作製時間が必要であるため、容易に組み立てられかつ迅速に作製可能な絶縁部分を使用することは、特に有利である。
【0033】
完全に機能する電気フィードスルーを達成するために必要であるのは、プラグ用の接続箇所を作製し、絶縁部分の他方の側において加熱導体の結合を可能にすることである。セグメント化して実施することによって特に、電気フィードスルーの個々の部分のコスト的に有利でありかつ容易な作製が可能になる。接合プロセス、例えば特にろう接により、安定かつ堅固に個々の部分を電気フィードスルーに組み合わせることができる。
【0034】
特に、ろう接は有利な接合プロセスである。というのは、触媒コンバータ用のハニカム体を作製するにはいずれにせよ、ろう付け炉においてろう接プロセスが行われるからであり、電気フィードスルーの複数の部分は、容易に一緒に接続可能である。
【0035】
有利であるのはさらに、コンタクト部分が、絶縁部分の電気導体だけと導電的に接触接続するような仕方で、コンタクト部分と絶縁部分とを互いに位置合わせする場合である。特に好ましくは、電気導体とコンタクト部分とは、互いに同心に位置合わせされる。
【0036】
有利であるのはさらに、堅固な接続を形成するための接合プロセスを実施する前に、固定手段を用いてコンタクト部分と絶縁部分を互いに固定する場合である。
【0037】
固定手段は、例えば、あらかじめ設定された位置決めを互いに達成するために、要素がはめ込まれるスリーブであってよい。型とも称することができるこのようなスリーブは、例えば、グラファイトまたはセラミックから、またはセラミック被覆された金属によって形成されてよい。スリーブは好ましくは、損傷することなくろう接プロセスに持ち堪え、またろう接プロセスの後、要素の容易な取外しを可能にするように組み立てられている。
【0038】
個々の要素は代替的には、ねじ山、つまり雌ねじ山および雄ねじ山を互いに有していてよく、これによってこれらの要素は、接触箇所においてろう接を行うことが可能であり、かつ互いにねじ締結可能である。
【0039】
要素は代替的に、適合部材が挿入される孔を有していてよく、これによってこれらの要素は、互いに対して一意に位置決め可能である。適合部材は、ろう接プロセスの後、孔にとどまって、電気導体の一部になる。
【0040】
別の代替的な実施形態は、要素相互のタイトな圧入であってよい。ここでも、要素間の後のコンタクト面にそれぞれ1つのろうが被着され、このろうは、その後のろう接プロセスにおいて要素間の接続を形成する。
【0041】
特に、要素間、特に電気導体とコンタクト部分との間および電気導体と接続部分との間のコンタクト面は、これが設けられている場合、ろう接の際に生じた材料結合接合に加えて、形状結合接合が達成されるように後続加工可能である。このために、特にピン接続部、構造化された表面、互いに係合する要素、または突出部および段部を設けることができ、これらによって形状結合が形成される。
【0042】
円錐形領域を備えたコンタクト部分を下方に向かってタイトな型にはめ込む場合も有利であり、円筒形領域に配置された境界面にまずろうを被覆して、次いで第1端面によって絶縁部分をコンタクト部分に載置して、コンタクト部分が電気導体だけと導電的に接触接続するようにし、引き続いて、挿入した部分およびはんだろう層と共に型をろう接プロセスにかける。
【0043】
ろう接過程は好ましくは、触媒コンバータの金属製のハニカム体のろう付けのためにも使用されるろう付け炉内で行われる。これにより、ろう接プロセスを並行して行うことができるため、プロセスエコノミーが得られる。
【0044】
この型には、電気フィードスルーを形成する要素が相前後して装着され、この際には要素間のそれぞれ計画されたコンタクト面にろうが被着される。型に固定され、対応してろう接が行われた要素は最終的に、対応する炉において必要な温度へと加熱され、これにより、ろうが溶融されて、堅固な接続が形成される。
【0045】
電気導体および使用されるろうは好ましくは、ニッケルベースを有している。特に、電気導体を形成するボルトは好ましくは、主にニッケルから作製される。
【0046】
好ましくはさらに、第2端面にろうを被覆した後、かつはめ込んだ部分と共に型をろう接プロセスにかける前に、絶縁部分の第2端面に接続部分を載置する場合である。
【0047】
絶縁部分、特に電気導体の設計に応じて、電気的な短絡を阻止することを目的として、加熱導体と外側スリーブとの間に十分な間隔を形成するために接続部分を設ける必要がある。これに対応して、装置全体をろう接プロセスにかける前に、電気導体と接続部分との間のコンタクト箇所も同様にろう接が行われる。
【0048】
本発明の有利な発展形態は、従属請求項および以下の図面の説明に記載されている。
【0049】
以下では、図面を参照し、実施例に基づいて本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】電気導体が、軸線方向において片側で絶縁材料および外側スリーブを越えて突出している、セグメント化された電気フィードスルーを示す断面図である。
図2】電気導体が、絶縁材料および外側スリーブと同じ軸線方向延在長さを有する、代替的に形成された、セグメント化された電気フィードスルーを示す断面図であって、図示しない加熱導体との結合点として使用される接続部分が電気導体に結合されている。
図3】絶縁部分とコンタクト部分との間に付加的に形状結合接合部が設けられている、代替的に形成された、セグメント化された電気フィードスルーを示す断面図である。
図4】絶縁部分とコンタクト部分との間に、異なる接続部が設けられている、代替的に形成された別の、セグメント化された電気フィードスルーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1には、セグメント化された電気フィードスルー1が示されている。フィードスルー1は、コンタクト部分2と絶縁部分3とから形成されている。コンタクト部分2は円錐形部分4を有しており、この円錐形部分4は雄ねじ山を有していてよく、これにより、対応するプラグ(図示せず)をコンタクト部分2にねじ留めすることができる。コンタクト部分2はさらに円筒形部分5を有しており、この円筒形部分5は円錐形部分4に続いており、絶縁部分3の電気導体6とのコンタクト箇所を形成している。
【0052】
コンタクト部分は好ましくは、高い耐酸化性および低い比電気抵抗を特徴とする良好な導電性材料から形成されている。好ましい材料は、例えば鋼2.4869である。
【0053】
コンタクト部分2には絶縁部分3が続いている。図1に見て取れるように、絶縁部分3は、電気導体6と、絶縁材料7と、外側スリーブ8とから形成されている。電気導体6は好ましくは、円筒形部分5よりもやや大きな直径を有している。図1に示した実施例では、円筒形部分は7.5ミリメートルの直径を有しているのに対し、電気導体6は8ミリメートルの直径を有している。寸法は例示的であるが、この寸法により、好ましい寸法比の感覚が得られる。
【0054】
電気導体6は、図1の実施例では、絶縁材料7および外側スリーブ8よりも長い軸線方向延在長さを有している。これにより、電気導体6の突出部が得られ、これにより、図示されていない加熱導体の結合が容易になる。
【0055】
電気導体6の突出部は、例えば、外側スリーブ8および絶縁材料7を機械加工で削り取ることによって得ることができる。
【0056】
図1にはさらに、ろう接プロセス前に、セグメント化された電気フィードスルーの個々の要素を互いに正しく位置決めするために使用される型9が示されている。型9は、このために、個々の要素に適合された凹部を有しており、この凹部により、要素相互の一意の位置決めが強制的に行われる。
【0057】
図2には、セグメント化された電気フィードスルー10の代替的な一実施例が示されている。図1と同じ要素は、同じ参照符号を有している。
【0058】
図1とは異なり、電気フィードスルー10は付加的に接続部分11を有しており、この接続部分11は、コンタクト部分とは反対側を向いた端面において電気導体12に結合されている。電気導体12は、図2の実施例では、絶縁材料7および外側スリーブ8を越えて突出していない。それにもかかわらず、外側スリーブ8に対して、図示しない加熱導体が十分に離隔されていることを保証するために、円筒形に形成された接続部分11が電気導体12に結合される。これも同様に、コンタクト箇所のはんだ付けと、その後のろう付けとによって行われる。接続部分11も、コンタクト部分3と同様に、電気導体12よりも小さい直径を有している。
【0059】
型13は、接続部分11も残りの要素に対して一意に位置決めされ、またろう接プロセスのために固定されるように拡張されている。
【0060】
図3には、代替的に形成された、セグメント化された電気フィードスルー14が示されている。外側スリーブ8および絶縁材料7は、図1のように形成されている。コンタクト部分15は、電気導体17との境界面を形成する円筒形部分16に凹部18を有している。凹部18は、中央に配置されている。電気導体17は、凹部18に対応するピン19を有している。組付けの際にピン19は凹部18に差し込まれ、これにより、形状結合接合が形成され、したがって少なくとも、半径方向における相対運動が阻止される。
【0061】
ピン19が、凹部18とプレス嵌めまたは締まり嵌めを形成している場合、2つの要素が互いに押圧されるとき、すなわち、ピン19が凹部18に圧入されるとき、軸線方向における固定を形成することもできる。
【0062】
図4には、電気導体20とコンタクト部分の円筒形部分22との間の接続の代替的な実施形態が示されている。ここでは、電気導体20は、半径方向外側の周面に複数のピン21、または完全にもしくは部分的に周りを取り巻く縁部を有している。このようにして電気導体20に形成された収容部には、円筒形部分を差し込むことができ、これによって少なくとも、半径方向における固定が保証されるか、または、プレス嵌めが行われる場合には付加的に、軸線方向における固定も達成される。
【0063】
個々の実施例の異なる特徴は、互いに組み合わせることもできる。
【0064】
図1および図4の実施例は特に、限定的な性質を有するものではなく、本発明の着想を明らかにするために使用されている。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト部分(2,15)および絶縁部分(3)を備える、ハウジングを貫通して加熱導体を電気的に接触接続するための、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)であって、
前記絶縁部分(3)は、電気導体(6,12,17,20)と、絶縁手段(7)と、外側スリーブ(8)とを有しており、前記電気導体(6,12,17,20)および前記絶縁手段(7)は前記外側スリーブ(8)内に配置されており、前記電気導体(6,12,17,20)は、前記絶縁手段(7)により、前記外側スリーブ(8)と電気的に絶縁されており、前記電気導体(6,12,17,20)には前記コンタクト部分(2,15)が第1端面において結合されており、前記電気導体(6,12,17,20)は、前記第1端面とは反対側のその第2端面において加熱導体に接続可能である、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)において、
前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とは、接合プロセスを用いて堅固に互いに接続されている異なる2つの要素から形成されていることを特徴とする、セグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項2】
前記コンタクト部分(2,15)は、円錐形部分(4)および円筒形部分(5,16,22)を有しており、前記円筒形部分(5,16,22)は、前記絶縁部分(3)との境界面を形成していることを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項3】
前記絶縁部分(3)は複合材料から形成されており、前記複合材料は、内部に位置する電気導体(6,12,17,20)であって、スリーブ状に配置された電気的な絶縁材料(7)によって周方向に取り囲まれている電気導体(6,12,17,20)を有しており、内部に位置する前記電気導体(6,12,17,20)および前記電気的な絶縁材料(7)は、金属製の外側スリーブ(8)によって囲まれていることを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項4】
前記絶縁部分(3)は、第1端面および第2端面を有しており、前記第1端面は、前記電気フィードスルー(1,10,14)の前記コンタクト部分(2)との境界面を形成し、前記第2端面は、前記加熱導体および/または接続部分(11)との境界面を形成することを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)。
【請求項5】
前記フィードスルー(10)は、前記絶縁部分(3)の前記第2端面に配置されておりかつ前記絶縁部分(3)の前記電気導体(12)に堅固に接続されている接続部分(11)を有することを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(10)。
【請求項6】
前記電気導体(6)と、前記絶縁手段(7)と、前記外側スリーブ(8)とは、同じ軸線方向延在長さを有しており、前記要素の端部領域は互いに面一に終端していることを特徴とする、請求項1記載のセグメント化された電気フィードスルー(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のセグメント化された電気フィードスルー(1,10,14)を製造する方法であって、接合プロセスを用いて前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを堅固に互いに接続する方法において、前記絶縁部分(3)の前記第1端面において前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを堅固に互いに接続することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記コンタクト部分(2,15)が、前記絶縁部分(3)の前記電気導体(6,12,17,20)だけと導電的に接触接続するような仕方で、前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを互いに位置合わせすることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
堅固な前記接続を形成するための前記接合プロセスを実施する前に、固定手段(9,13,18,19,21)を用いて前記コンタクト部分(2,15)と前記絶縁部分(3)とを互いに固定することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項10】
円錐形領域(4)を備えた前記コンタクト部分(2,15)を下方に向かってタイトな型(9,13)にはめ込み、円筒形領域(5,16,22)に配置された前記境界面にまずろうを被覆し、次いで前記第1端面によって前記コンタクト部分(2,15)に前記絶縁部分(3)を載置して、前記コンタクト部分(2,15)が前記電気導体(6,12,17,20)だけと導電的に接触接続するようにし、引き続いて、挿入した部分とろう層と共に前記型(9,13)をろう接プロセスにかけることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記第2端面にろうを被覆した後、かつ前記型(13)を、挿入した前記部分と共に前記ろう接プロセスにかける前に、前記絶縁部分(3)の前記第2端面に前記接続部分(11)を載置することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【国際調査報告】