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特表2024-534717中等症から重症のアトピー性皮膚炎の処置のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-24
(54)【発明の名称】中等症から重症のアトピー性皮膚炎の処置のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240912BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20240912BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C07K16/28
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61P37/00
A61P37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518854
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 SG2022050694
(87)【国際公開番号】W WO2023048651
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10202110688T
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202110690S
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202110730R
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202112085U
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202201722U
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】PCT/SG2022/050102
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】PCT/SG2022/050103
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】63/323,961
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10202205222Q
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202250837V
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10202250923N
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】17/929,824
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/929,874
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375,736
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/376,663
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-positive-data-conclusively(令和3年9月27日) 2.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-kol-event-series-discuss-atopic(令和3年10月18日) 3.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-scientific-collaboration-dr-emma(令和3年10月22日) 4.https://clinicaltrials.gov/study/NCT05158023(令和3年12月15日) 5.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-present-additional-data-aslan004-proof(令和4年1月11日) 6.「Interim analysis results from a proof-of-concept study for ASLAN004 in adult moderate-to-severe atopic dermatitis: a double blind, randomized,placebo-controlled study」 (2022 Winter Clinical dermatology conference)(令和4年1月15日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 7.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-initiates-phase-2b-study-aslan004(令和4年1月21日) 8.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-late-breaker-presentation-data(令和4年3月28日) 9.「Eblasakimab, a human IL-13Rα1 monoclonal antibody, in adult patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: a randomized, double-blinded,placebo-controlled, proof of concept study」 (2022 American Academy of Dermatology Annual Meeting)(令和4年3月28日) 10.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-acceptance-late-breaking-0(令和4年5月10日) 11.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-initiates-scientific-collaboration(令和4年6月7日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 12.「New insights into neuronal itch mechanisms by targeting IL-13Rα1 with eblasakimab」(令和4年8月1日) 13.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-presents-new-data-eblasakimab-multiple(令和4年9月7日) 14.「Eblasakimab, a monoclonal antibody targeting IL-13R alpha-1, reduces serum biomarkers that are associated with atopy and correlated with disease severity, in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis」 (31st European academy of dermatology and venereology (EADV) congress 2022)(令和4年9月7日) 15.「Eblasakimab improves itch and sleep loss in adult patients with moderate-to-severe atopic dermatitis in a randomized, double-blinded,placebo-controlled, Phase 1 study」 ( EADV congress 2022 )(令和4年9月7日) 16.「Eblaskaimab improves multiple disease measures in adult patients with moderate-to-severe atopic dermatitis in a randomized, double-blinded,placebo-controlled, Phase 1 study」 ( EADV congress 2022 )(令和4年9月7日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 17.「Eblasakimab, a monoclonal antibody targeting IL-13R alpha-1, reduces serum biomarkers that are associated with atopy and correlated with disease severity, in patients with moderate-to-severe atopic dermatitis」 (EADV congress 2022)(令和4年9月7日) 18.「Eblasakimab improves itch and sleep loss in adult patients with moderate-to-severe atopic dermatitis in a randomized, double-blinded,placebo-controlled, Phase 1 study」 ( EADV congress 2022 )(令和4年9月7日) 19.「Eblaskaimab improves multiple disease measures in adult patients with moderate-to-severe atopic dermatitis in a randomized, double-blinded,placebo-controlled, Phase 1 study」 ( EADV congress 2022 )(令和4年9月7日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 20.「New insights into neuronal itch mechanisms by targeting IL-13Rα1 with eblasakimab」 (Cell Symposia - The Neuro-immune axis conference 2022)(令和4年9月11日) 21.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-announces-acceptance-two-late-breaking(令和4年9月13日) 22.https://ir.aslanpharma.com/news-releases/news-release-details/aslan-pharmaceuticals-commences-clinical-program-study(令和4年9月14日) 23.「ASLAN 2022 R&D Day」(令和4年9月15日)
(71)【出願人】
【識別番号】523323538
【氏名又は名称】アスラン ファーマシューティカルズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ワード,アリソン
(72)【発明者】
【氏名】セビクバス,フェルダ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヴェルカ,カレン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、例えば疾患修飾を刺激するために、デュピルマブでの先行処置を受けた患者集団をはじめとするアトピー性皮膚炎(病変性アトピー性皮膚炎など)の患者を処置するための、抗IL-13Rα1抗体(エブラサキマブなど)またはその結合断片およびそれを含む医薬配合物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による中等症、重症または非常に重症のアトピー性皮膚炎(特に、制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)の処置における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片であって、前記疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とする、抗体またはその抗原結合断片。
(請求項1A)
中等症アトピー性皮膚炎、重症または非常に重症度のアトピー性皮膚炎を有する患者への、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片の200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による処置の方法であって、前記疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記アトピー性皮膚炎が、病変性である、いずれか前記請求項に記載の使用または方法のための抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体または断片が、デュピルマブを過去に受けたことがある患者、例えば、デュピルマブで副作用を有した患者に投与される、いずれか前記請求項に記載の使用または方法のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記IL-13Rα1が、デュピルマブに比較して、低減された副作用および/または改善された有効性を有する、いずれか前記請求項に記載の使用または方法のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記ベースラインTARCレベルが、少なくとも1,115pg/ml、例えば、1,115pg/ml~4,300pg/mlの範囲内または4,300pg/mlを超える、いずれか前記請求項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または方法。
【請求項6】
前記ベースラインSTAT6が、正常値を超える、いずれか前記請求項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または方法。
【請求項7】
前記患者が、中等症から非常に重症のアトピー性皮膚炎である3以上、例えば3(中等症アトピー性皮膚炎)、4(重症アトピー性皮膚炎)または5(非常に重症のアトピー性皮膚炎)のベースラインIGAスコアを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または方法。
【請求項8】
前記ベースラインIgEレベルが、少なくとも150KU/L、例えば、10,000kU/L+/-2,000などの1000、1500、2,000、2,500、3,000、3500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,50KU/Lのレベルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または方法。
【請求項9】
前記1種または複数のパラメータ(例えば、前記パラメータの2種以上またはすべて)が、投薬前に測定されている、いずれか前記請求項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記患者が、処置を開始する前に1つまたは複数(例えば、すべての)パラメータを有すると同定されている、(例えば、前記所望の患者集団と同様に同定されている)、いずれか前記請求項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項11】
前記アトピー性皮膚炎が、中等症であり、例えば16~21.0の範囲内のスコアを有する、いずれか前記請求項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記アトピー性皮膚炎が、例えば21.1~50.0の範囲内などの21.1以上のEASIスコアを有する、重症、または、例えば50.1~72.0の範囲内のスコアを有する、非常に重症である、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約2週間後(15日目など)に存在する、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約4週後(29日目など)に存在する、請求項1~13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約6週後(43日目など)に存在する、請求項1~14のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約8週後(57日目など)に存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記処置が、皮下に施される、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記用量が、200mgである、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
前記用量が、例えば、400mgなどの350~450mgの範囲内であり、前記患者集団の80%が、約29日目および/または57日目にEASI50を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記用量が、600mgである、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその結合断片。
【請求項21】
EASIスコアの低減が、例えば、約15日目に、-25~-60%(例えば、-40~-59%などの-39~-59%、特に、-47、-48、-49、-50、-51、-52、-53、-54、-55、-56、-57、-58または-59%)の範囲内である、いずれか前記請求項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
EASIスコアの前記低減が、
a.特に約29日目で、50~-100%(例えば、-55~-97%)、および/または
b.特に約43日目で、-60~-100%(例えば、-70~-97%)、および/または
c.特に約57日目で、-65~-100%(例えば、-90~-100%などの-70~-100%、特に91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%)
の範囲内である、請求項32~35のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記患者集団の90%が、約57日目にEASI50を有する、請求項32~37のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
前記処置サイクルが、600mgの初回用量と、続く400mgの3週ごとの用量を含み、例えば前記処置サイクルが、2回反復され、即ち、2つの処置サイクルが、8週継続し、特に、1日目:600mg、およそ8日目:400mg、およそ15日目:400mg、およそ22日目:400mg、およそ29日目:600mg、およそ36日目:400mg、およそ43日目:400mg、およびおよそ50日目:400mgが、投与される、請求項1~38のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項25】
疾患修飾が、4日目までに起こり、ここで1日目が、前記抗体またはその結合断片の初回投与であり、例えば前記疾患修飾が、EASIスコアの低減であり、前記低減が、-10~55%の範囲内のベースラインからのパーセンテージである(特に、-40~-100%の範囲内の前記疾患修飾が、1日目の初回投与後の約57日目までに実現され、例えば最大疾患修飾が、約57日目までに実現される)、などである、請求項1~39のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば疾患修飾を刺激するために、デュピルマブでの先行処置を受けた患者集団をはじめとするアトピー性皮膚炎(病変性アトピー性皮膚炎など)の患者を処置するための、抗IL-13Rα1抗体またはその結合断片、およびそれを含む医薬配合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
IL-13の活性を阻害するための1つの可能な方法は、例えばIL-13Rα1に特異的な抗体などのIL-13に特異的な抗体を使用することにより、受容体IL-13RへのIL-13の結合を妨害することである。IL-13Rα1への効果的な抗体アンタゴニストは、IL-13の結合を妨害して、IL-4RαおよびIL-13Rα1のヘテロダイマー化を防止することもできる。そのような抗体は、I型受容体を通したIL-4シグナル伝達を利用せずにII型受容体を通したIL-13およびIL-4の両方のシグナル伝達を阻害することが可能である。I型受容体を通したシグナル伝達は、Th2細胞が分化する免疫反応の誘導期において肝要である。T細胞は、IL-13Rα1を発現しないため、II型受容体は、Th2分化に役割を果たさない。このためIL-13Rα1抗体は、全体的なTh1/Th2バランスに影響を及ぼさないはずである。II型IL-4/IL-13受容体を通したシグナル伝達は、アレルギー性炎症が確定する間の免疫応答のエフェクター-A段階(effector-A-stage)では重大である。したがってII型受容体の遮断は、喘息、アトピー性皮膚炎および他のIL-13R介在性の病気などのアレルギー型疾患の症状の多くに有益な効果を有するはずであり、それゆえ、効果的な疾患修飾剤になるはずである。
【0003】
IL-13Rα1に対する抗体(モノクローナルおよびポリクローナルの両方)が、当該技術分野で記載されており、例えば、WO97/15663号、WO03/80675号;WO03/46009号;WO06/072564号;Gauchat et al, 1998 Eur. J. Immunol. 28:4286-4298;Gauchat et al, 2000 Eur. J. Immunol. 30:3157-3164;Clement et al, 1997 Cytokine 9(11) :959 (Meeting Abstract);Ogata et al, 1998 J. Biol. Chem. 273:9864-9871;Graber et al, 1998 Eur. J. Immunol. 28:4286-4298;C. Vermot-Desroches et al, 2000 Tissue Antigens 5(Supp.l):52-53(Meeting Abstract);Poudrier et al, 2000 Eur. J. Immunol. 30:3157-3164;Akaiwa et al, 2001 Cytokine 13:75-84;Cancino-Diaz et al, 2002 J. Invest. Dermatol. 119:1114-1120;およびKrause et al, 2006 MoI. Immunol. 43:1799-1807を参照されたい。
【0004】
1つの特に有望な抗IL-13Rα1抗体が、抗体10G5-6としてWO2008/060813号に記載されている。セリンからプロリンへの変異(S241Pカバットナンバリング)を安定化するヒンジを有するIgG4としての10G5-6が、エブラサキマブとして知られる。
【0005】
エブラサキマブは、ヒトIL-13Rα1に高親和性で結合することが示されている(例えば、Kdが、500pMであり得る)。エブラサキマブは、受容体IL-13Rα1へのIL-13の結合を阻害することを通してIL-13機能と効果的に拮抗すること、ならびにNHDF細胞におけるIL-13およびIL-4誘導性エオタキシン放出と、NHDF細胞におけるIL-13およびIL-4誘導性STAT6リン酸化と、血中または末梢血単核細胞中のTARCのIL-13刺激性放出と、を阻害することが示された。
【0006】
アトピー性皮膚炎は、大きな痛みを伴い、意気消沈させ、心理的損傷のある疾患であり得る。この疾患を評価する一方法は、EASIスコアである。このスコアは、0~72の範囲内である。幾つかの例において、この疾患の中等症から重症の形態は、外用薬により充分に制御されない。加えて、一部の患者は、利用可能な外用薬の使用を推奨され得ない。デュピクセント(デュピルマブ)は、アトピー性皮膚炎の処置の認可を受けたインターロイキン-4受容体アルファ(IL-4Rα)の抗体阻害剤である。
【0007】
幾つかの例では、デュピルマブを処方された患者が、有害な副作用、症状の不充分な制御および/または投薬の問題などの1つまたは複数の理由で、処置を停止する。これにより、中等症から重症のアトピー性皮膚炎(topic dermatitis)を有する一部の患者は、適切な処置を有さない状態のままである。
【0008】
中等症アトピー性皮膚炎は一般に、7.1~21.0の範囲内のスコアを有する。
【0009】
重症アトピー性皮膚炎は、21.1以上のスコアを有する。時には重症アトピー性皮膚炎は、重症疾患と非常に重症の疾患に分別され、これらの群は、それぞれ21.1~50の範囲、および50.1~72.0の範囲を有する。
【0010】
本発明者らは、臨床試験を実施し、全範囲のアトピー性皮膚炎患者が、IL-13Rα1と結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片での処置から利益を受け得ることを確定しており、少なくとも16のベースラインEASIスコアを有する患者および/または病変性アトピー性の真皮を有する患者が、その処置から最大の利益を受け得るようである。
【0011】
本発明は、新しい患者集団、例えば、デュピルマブでの前処置を受けた患者および/または病変性アトピー性皮膚炎の患者を提供する。幾つかの例において、該患者集団を定義するために、ベースラインEASIスコアをベースラインIgE、TARCおよびSTAT6などの1種または複数の他のマーカと組み合わせることが、有用である。驚くべきことに、これらの患者は、本開示による処置で最大の改善を示す。幾つかの実施形態において、その処置は、疾患修飾性である。健常個体のTARCの正常レベルは通常、450pg/mlまでである。
【0012】
興味深いこととして、本発明者らはまた、IL-13Rアルファ1が病変性アトピー性皮膚炎で上方制御されるため、病変性アトピー性皮膚炎の患者が、エブラサキマブなどの抗IL-13抗体での処置から特別に利益を受け得ることを確定した(例えば、独立した態様として、または中等症/重症アトピー性皮膚炎の実施形態として)。
【0013】
病変性および非病変性アトピー性皮膚炎は、患者の異なる下位集団である。非病変性ADは、T細胞の増殖をはじめとする免疫異常を有する。それは、疾患の程度および重症度により大部分が決定される可変性免疫表現型を有する。正常な皮膚に比較して非病変性アトピー性の皮膚で、水和の減少および脂質合成の障害が見出される。同じく、非病変性アトピー性皮膚炎では異常な上皮増殖があり、ロリクリン(LOR)、インボルクリン(IVL)、およびFLGをはじめとする最終分化タンパク質の発現変化に関連して、増殖マーカ(ケラチン16)の発現が増加する。加えて、健常志願者の皮膚に比較して非病変性アトピー性皮膚炎の皮膚で、炎症性T細胞の浸潤増加が実証されている。一実施形態において、非病変性アトピー性皮膚炎は、病変の非存在を特徴とする。
【0014】
慢性AD患者の病変性皮膚は、病変性AD皮膚における高炎症性遺伝子に多くの差異を有すると共に、角化膜および表皮分化複合体を形成する最終分化遺伝子の発現に広範囲の変化を有する。最も簡単な形態では、病変性ADは、病変を特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
開示の概要
1.200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による中等症、重症または非常に重症のアトピー性皮膚炎(特に、制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)の処置における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片であって、該疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とする、抗体またはその抗原結合断片。
【0016】
1A.中等症アトピー性皮膚炎、重症または非常に重症度のアトピー性皮膚炎を有する患者への、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片の200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による処置の方法であって、該疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とする、方法。
【0017】
1B.200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による中等症、重症または非常に重症のアトピー性皮膚炎(特に、制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)の処置のための薬剤の製造における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片であって、該疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とする、抗体またはその抗原結合断片。
【0018】
1C.200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による病変性アトピー性皮膚炎(特に、制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)の処置における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片。
【0019】
2.アトピー性皮膚炎が、病変性である、段落1、1Aまたは1Bによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0020】
3.患者が、デュピルマブで過去に処置されたことがある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0021】
4.ベースラインTARCレベルが、少なくとも701pg/ml、例えば800~52,000pg/ml(800、900、1,000、1500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、30,000、31,000、32,000、33,000、34,000、35,000、36,000、37,000、38,000、39,000、40,000、41,000、42,000、43,000、44,000、45,000、46,000、47,000、48,000、49,000、50,000、51,000または52,000pg/mlなど)、特に、少なくとも1,115pg/ml、例えば、1,115pg/ml~4,300pg/mlの範囲内または4,300pg/mlを超える、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0022】
5.ベースラインSTAT6が、正常値を超える、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0023】
6.患者が、中等症から非常に重症のアトピー性皮膚炎である3以上、例えば3(中等症アトピー性皮膚炎)、4(重症アトピー性皮膚炎)または5(非常に重症のアトピー性皮膚炎)のベースラインIGAスコアを有する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0024】
7.ベースラインIgEレベル(例えば、確定/測定された)が、少なくとも130kU/L、例えば、150kU/L、150~20,000など、より具体的には130、150、200、300、400、500、600、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2,000、2,500、3,000、3500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000kU/L、特に10,000kU/L+/-2,000などのレベルである、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0025】
8.パラメータの1種または複数(例えば、パラメータの2種以上またはすべて)が、投薬開始前に測定されており、特に患者が、処置前に関連する/適切な集団として同定されている、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0026】
9.患者が、処置を開始する前に1つまたは複数(例えば、パラメータのすべて)を有すると同定されている、即ち、特に患者が、唯一の臨床観察および/またはEASIスコア以外のデータに基づいて中等症から重症の皮膚炎の集団にいると確定されている、任意の前記段落による抗体もしくは抗原結合断片、方法、または使用。
【0027】
10.アトピー性皮膚炎が、中等症であり、例えば16~21.0の範囲内のEASIスコアを有する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0028】
11.アトピー性皮膚炎が、中等症であり、TARCスコアが、少なくとも2,056+/-290pg/mlである、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0029】
12.アトピー性皮膚炎が、中等症であり、IgEスコアが、少なくとも130IU/L(130~6,800IU/L、より具体的には130~479IU/Lの範囲内など)である、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0030】
13.アトピー性皮膚炎が、重症であり、例えば21.1~50.0などの21.1以上のEASIスコアを有する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0031】
14.アトピー性皮膚炎が、重症であり、TARCスコアが、少なくとも4,812+/-490pg/mlである、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0032】
15.アトピー性皮膚炎が、重症であり、IgEスコアが、少なくとも480IU/L(480~15,100IU/Lの範囲内など)である、段落1、1A、1B~11、13または14の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0033】
16.アトピー性皮膚炎が、非常に重症であり、例えば50.1~72.0の範囲内のスコアを有する、段落1、1A、1B~11、または13~15の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0034】
17.EASIスコアにおけるベースラインからの低減、例えば少なくとも15%の低減が、初回用量の投与から約2週間後(15日目など)に存在する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0035】
18.EASIスコアにおけるベースラインからの低減が、15~60%(例えば、約15日目で)、例えば特に約15日目で、25~60%(39~59%、特に40~59、より具体的には47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58または59%など)の範囲内である、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0036】
19.EASIスコアにおけるベースラインからの低減が、特に約29日目で、50~100%(例えば、55~97%)の範囲内である、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0037】
20.EASIスコアの低減が、-40~-85%の範囲内である(例えば、約29日目に)、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0038】
21.EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約4週後(29日目など)に存在する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0039】
22.EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約6週後(43日目など)に存在する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0040】
23.EASIスコアにおけるベースラインからの低減が、特に約43日目で、60~100%(例えば、70~97%)の範囲内である、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片。
【0041】
24.EASIスコアの低減が、-25~-85%の範囲内である(例えば、約43または57日目に)、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片。
【0042】
25.EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約8週後(57日目など)に存在する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0043】
26.EASIスコアにおけるベースラインからの低減が、より具体的には約57日目に、65~100%(例えば、90~100%などの70~100%、特に91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%)の範囲内である、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0044】
27.患者集団の80%が、約29日目および/または57日目にEASI50スコア以下を有し、特に、そこで少なくとも350mg(400mgなど)の投薬が、利用された、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0045】
28.患者集団の90%が、約57日目にEASI50スコア以下を有し、特に、そこで少なくとも550mg(600mgなど)の投薬が、利用された、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0046】
29.ベースラインからの約20~60%の低減など、57日目までにIgEにおけるベースラインからの少なくとも20%の低減がある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0047】
30.例えば約15日目までに、TARCにおけるベースラインからの少なくとも50%の低減がある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0048】
31.例えば約36日目までに、TARCにおけるベースラインからの少なくとも60%の低減がある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0049】
32.例えば約50日目までに、TARCにおけるベースラインからの少なくとも70%の低減がある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0050】
33.例えば約57日目までに、TARCにおけるベースラインからの少なくとも80%の低減がある、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0051】
34.処置が、静脈内に施される、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0052】
35.処置が、皮下に施される、段落1、1A、1B、1C~33の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0053】
36.複数の用量が、1つの処置サイクルで投与される(例えば、処置サイクルが、8週などの4~8週である)、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0054】
37.複数の処置サイクルが施され、例えば2、3、4またはより多くの処置サイクルが、施される、段落36による抗体もしくはその結合断片、方法または使用。
【0055】
38.処置サイクルまたは複数の処置サイクル、および疾患修飾に続いて、維持療法が、施され、例えば同じ用量が少ない頻度で(例えば毎月、4週ごと、5週ごと、6週ごと、7週ごと、8週ごとなど)投与される、またはより低用量(200mgなど)が同じ頻度もしくは少ない頻度で(約毎週、2週ごと、約3週ごと、または約4週ごとなど)投与される、段落36または37による抗体もしくはその結合断片、方法または使用。
【0056】
39.前記抗体またはその結合断片が、およそ毎週投与される(特に、処置サイクル(1サイクルなど)、特に8週のサイクルにおいて)、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0057】
40.前記抗体またはその結合断片が、およそ2週ごとに1回投与される(特に、処置サイクル(1サイクルなど)、特に8週のサイクルにおいて)、段落1、1A、1B、1C~38の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法または使用。
【0058】
41.前記抗体またはその結合断片が、およそ3週ごとに1回投与される(特に、処置サイクル(1サイクルなど)、特に8週のサイクルにおいて)、段落1、1A、1B、1C~38の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法または使用。
【0059】
42.前記抗体またはその結合断片が、およそ4週ごとに1回(例えば、毎月)投与される(特に、単一処置サイクル、特に8週のサイクルにおいて)、段落1、1A、1B、1C~38の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法または使用。
【0060】
43.負荷用量(例えば、400、500、600、700、800または900mgなどの400~900mgの範囲)が、処置サイクルにおける更なる用量の投与前に用いられる、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0061】
44.処置が、負荷用量を含まない、段落1、1A、1B、1C~42の任意の1つによる抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0062】
45.用量が、200mgである、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0063】
46.用量が、400mgなどの350~450mgの範囲内である、段落1、1A、1B、1C~44の任意の1つによる抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0064】
47.用量が、600mgである、段落1、1A、1B、1C~44の任意の1つによる抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0065】
48.処置サイクルが、600mgの初回用量と、続く400mgの3週ごとの用量を含み、例えば処置サイクルは、2回反復され、即ち、2つの処置サイクルが、8週継続し(負荷用量を用いる、または用いない、即ち、初回用量が、サイクル内の他の用量と同じである)、特に:
1日目600mg、およそ8日目400mg、およそ15日目400mg、およそ22日目400mg、およそ29日目600mg、およそ36日目400mg、およそ43日目400mg、およびおよそ50日目400mgが、投与される、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0066】
49.疾患修飾が、4日目までに行われ、1日目が、抗体またはその結合断片の初回投与である、任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0067】
50.疾患修飾が、
a.EASIスコアにおけるベースラインからの低減であり、例えば該低減は、ベースラインからのパーセンテージであり、例えば低減は、10~55%の範囲内である;および/または
b.例えば本明細書の他の箇所に記載された、TARCにおけるベースラインからの低減である;および/または
c.例えば本明細書の他の箇所に記載された、IgEにおけるベースラインからの低減である、
任意の前記段落による抗体もしくはその結合断片、方法、または使用。
【0068】
51.-40~-100%の範囲内の疾患修飾が、1日目の初回投与後の約57日目まで実現され、例えば最大疾患修飾が、約57日目まで実現される、任意の前記段落による抗体またはその結合断片。
【0069】
52.抗体または結合断片が、エピトープFFYQ(例えば、SEQ ID NO:51で示されるVHと、SEQ ID NO:53で示されるVLと、を有する抗体と同じエピトープ)に結合する、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0070】
53.抗IL-13R抗体が、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むVH CDR1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むVH CDR2と、SEQ ID NO:10で表されるアミノ酸配列を含むVH CDR3と、を含む、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0071】
54.抗IL-13R抗体が、SEQ ID NO:51で示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVHドメインを含む、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0072】
55.抗IL-13R抗体が、SEQ ID NO:31で表されるアミノ酸配列を含むVL CDR1と、SEQ ID NO:32で表されるアミノ酸配列を含むVL CDR2と、SEQ ID NO:45で表されるアミノ酸配列を含むVL CDR3と、を含む、任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0073】
56.抗IL-13R抗体が、SEQ ID NO:53で示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVLドメインを含む、前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0074】
57.抗体が、
10~140mg/mlの抗体または結合断片と;
50mM~150mMのアルギニン(例えば、100mMなどの50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145または150mMのアルギニン)と;
15~25mMのヒスチジン緩衝剤、例えば20mMなどの15、16、17、18、19、20、21、22、23、24および25mMのヒスチジン緩衝剤と;
0.02%w/vなどの0.01~0.03%の非イオン性界面活性剤と、
を含む医薬配合物として提供され、
該配合物のpHが、5.5~7.5、例えば6.2~7.2(6.5~7.0、特に6.4~6.9などの6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2などの)の範囲内である、
任意の前記段落による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0075】
58.配合物のモル浸透圧濃度が、350~550mOsmo/kgの範囲内、例えば、405~435mOsmo/kgなどの350、355、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、515、520、525、530、535、540、545、550である、段落57による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0076】
59.50~200mMの糖、例えば180mMなどの50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200mMの糖をさらに含む、段落57または58による抗体もしくはその抗原結合断片、方法、または使用。
【0077】
60.pHが、6.5である、段落57~59のいずれか1つによる使用のための抗体または抗原結合断片。
【0078】
61.配合物が、NaClを含まない、段落57~60のいずれか1つによる使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【0079】
62.配合物が、50~150mMのNaCl、例えば、62.5または140mMなどの50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150mMのNaClを含む、段落57~61のいずれか1つによる使用のための抗体もしくはその抗原結合断片。
【0080】
63.目の副作用の発生率が、目の処置のためのデュピルマブの治療的用量での処置に比較して低減される、アトピー性皮膚炎の処置のための薬剤の製造のための、段落1~58のいずれか1つによる、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤になる、抗体または抗原結合断片の使用。
【課題を解決するための手段】
【0081】
一実施形態において、中等症から重症のアトピー性皮膚炎(重症ADなど)が、病変性アトピー性皮膚炎である。
【0082】
同じく、本明細書に開示された抗体もしくはその抗原結合断片、または医薬配合物を投与することを含む、本開示によりアトピー性皮膚炎(例えば、中等症から重症のアトピー性皮膚炎、特に制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)のために患者を処置する方法が、提供される。
【0083】
本明細書で用いられる制御が困難であることは、既存の認可された薬剤、例えば外用薬、経口薬、および/またはデュピルマブなどの生物学的製剤(特に、外用薬またはデュピルマブ)による制御が困難であることを指す。
【0084】
結果はさらに、エブラサキマブがデュピルマブに比較して同等の、または幾つかの例ではより高い有効性を有することを示唆し、したがって特に過去にデュピルマブを投与されたことがある患者への、アトピー性皮膚炎の処置および管理のための代替治療としてのアブラサキマブ(ablasakimab)の潜在性を実証している。
【0085】
したがって一実施形態において、患者が、制御が困難な症状を有した場合、および/またはデュピルマブで処置された場合に有害な副作用を有した場合の、患者集団の処置が提供され、即ちその患者集団は、デュピルマブで過去の処置を受けた患者、特にデュピルマブで不能であった患者である。
【0086】
さらなる態様において、本開示によるアトピー性皮膚炎の処置のための薬剤の製造における使用のための、本明細書に開示された抗体もしくは抗原結合断片または医薬配合物の使用が、提供される。
【0087】
一実施形態において、本開示による処置での/処置後の治験責任医師による全般的評価(IGA)、例えば0、1または2(それぞれ、炎症兆候がない、ほぼ消失および軽症疾患)の評価の低減が、提供される。特に、0または1のIGAスコアが、提供される。
【0088】
一実施形態において、本開示による抗体、その抗原結合断片、または配合物と、さらなる薬剤と、を含む併用療法が、用いられる。
【0089】
一実施形態において、さらなる薬剤は、アトピー性皮膚炎の処置用、例えば外用ステロイド、経口ステロイド、および/または抗ヒスタミン薬である。驚くべきことに、本開示による抗IL-13Rα1抗体またはその結合断片での処置後の疾患修飾は、TARCの低減に密接に従い、実際にはTARC低減およびEASI低減は、本開示による処置において密接に相関する。
【0090】
本明細書で用いられる疾患修飾は、疾患状態の改善、特にEASIスコアの低減に関する。一実施形態において、この低減は、処置が停止された後でも少なくとも一定期間、維持される。
【0091】
本明細書で用いられるベースラインは、本開示による処置が開始する前のレベルを指す。一般にベースラインは、測定および/または記録される。
【0092】
本明細書で用いられる負荷用量は、処置サイクルにおける「正常用量」より高い用量を指す。次回の用量が投与された場合に、必要とする組織のレベルが最小限の所定レベルで、またはそのレベルより高く維持されるように、負荷用量は通常、患者の身体に薬物を負荷するために用いられる。
【0093】
本明細書で用いられる「約・・・日」は、およそ・・・日目、例えば+/-1、2、3、4、5、6または7日間の投与を意味する。処置サイクルの早期用量は、指定された日の近く、例えば+/-1日に投与される必要があり得る。後期用量は、より自由範囲、即ち+/-7日まで許容されてもよい。
【0094】
本明細書で用いられるアトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症を指し、乾燥した/痒い皮膚および赤い発疹を包含する。
【0095】
中等症から重症のアトピー性皮膚炎は、本明細書で定義されたパラメータのすべてなどの1つまたは複数により定義される。
【0096】
重症アトピー性皮膚炎は、非常に重症のアトピー性皮膚炎を包含する。非常に重症のアトピー性皮膚炎は、アトピー性皮膚炎の部分集合である。
【0097】
本明細書で用いられる治験責任医師による全般的評価(IGA)は、アトピー性皮膚炎の評価のためのツールを指す。それは、患者の症状の重症度に応じて0~5ポイントスケールを使用する。
【表1】
【0098】
本明細書で用いられるインターロイキン-13受容体(IL-13R)は、インターロイキン-13に結合するI型サイトカイン受容体である。それは、それぞれIL13Rα1およびIL4Rによりコードされた2つのサブユニットからなる。これら2種の遺伝子は、タンパク質IL-13Rα1およびIL-4Rαをコードする。これらは、IL-13Rα1鎖に結合するIL-13と共にダイマーを形成し、IL-4Rαは、これらの相互作用を安定化させる。IL-4Rサブユニットの存在により、IL-13Rは、IL-4シグナル伝達を起こすこともできる。両方の例で、これは、ヤヌスキナーゼ(JAK)/シグナル伝達物質および転写活性化因子(STAT)経路の活性化を介して起こり、STAT6のリン酸化をもたらす。ヒトIL-13Rα1は、ユニプロット番号P3597を有する。
【0099】
過去にIL-13RおよびIL-13Rαと呼ばれていたIL-13Rα2は、IL-13に結合することが可能な別の受容体である。しかしIL-13Rα1と対照的に、このタンパク質は、高い親和性でIL-13に結合するが、それは、IL-4には結合しない。ヒトIL-13Rα2は、ユニプロット番号Q14627を有する。
【0100】
一実施形態において、CDRH1は、アミノ酸配列GYSFTSYWIG(SEQ ID NO:1)を含む。一実施形態において、CDRH2は、アミノ酸配列VIYPGDSYTR(SEQ ID NO:2)を含む。
【0101】
一実施形態において、CDRH3は、式:
SEQ ID NO:3 XProAsnTrpGlyXAspX
(Xは、Phe、Met、Gln、LeuまたはValを表し、
は、SerまたはAlaを表し、
は、Phe、Leu、AlaまたはMetを表し、
は、Tyr、Gln、Lys、Arg、Trp、His、Ala、Thr、Ser、AsnまたはGlyを表す)を含む。
【0102】
一実施形態において、本開示の配合物中で用いられるIL13-R1α1抗体または結合断片は、SEQ ID NO:4~30を含む配列から独立して選択されるCDRH3を含む。
【表2】
【0103】
一実施形態において、本開示で用いられる抗IL-13R抗体または結合断片は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むVH CRD1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むVH CRD2と、SEQ ID NO:3で表されるアミノ酸配列を含むVH CRD3と、を含む。
【0104】
一実施形態において、本開示で用いられる抗IL-13R抗体または結合断片は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCRDH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCRHD2と、SEQ ID NO:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、を含む。
【0105】
一実施形態において、本開示で用いられる抗IL-13R抗体または結合断片は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCRDH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCRHD2と、SEQ ID NO:10で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、を含む。
【0106】
一実施形態において、CDRL1は、RASQSISSSYLA SEQ ID NO:31を含むアミノ酸配列である。
【0107】
一実施形態において、CDRL2は、GASSRAT SEQ ID NO:32を含むアミノ酸配列である。一実施形態において、CDL3は、式:
SEQ ID NO:33 GlnX
(Xは、Gln、Arg、Met、Ser、ThrまたはValを表し、
は、TyrまたはValを表し、
は、Glu、Ala、GlyまたはSerを表し、
は、Thr、AlaまたはSerを表す)を含む。
【0108】
一実施形態において、本開示の配合物中で用いられるIL-13Rα1抗体は、SEQ ID NO:34~47を含む配列から独立して選択されるCDRL3を含む。
【表3】
【0109】
一実施形態において、本開示において用いられる抗IL-13Rα抗体または結合断片は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むCDRL2と、SEQ ID NO:33で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0110】
一実施形態において、本開示の抗IL-13Rα抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:84を含むVL CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:85を含むVL CDR2と、SEQ ID NO:34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47で表されるアミノ酸配列を含むVL CDR3と、を含む。
【0111】
一実施形態において、本開示の抗IL-13Rα抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むCDRL2と、SEQ ID NO:45で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0112】
一実施形態において、本開示の抗IL-13R抗体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCDRH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCDRH2と、SEQ ID NO:3で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32含むCDRL2と、SEQ ID NO:33で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0113】
一実施形態において、本開示の抗IL-13R抗体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCDRH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCDRH2と、SEQ ID NO:3または10で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むCDRL2と、SEQ ID NO:34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0114】
一実施形態において、本開示の抗IL-13R抗体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCDRH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCDRH2と、SEQ ID NO:3または10で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むCDRL2と、SEQ ID NO:45で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0115】
一実施形態において、本開示の抗IL-13R抗体は、SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を含むCDRH1と、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含むCDRH2と、SEQ ID NO:10で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むCDRL1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むCDRL2と、SEQ ID NO:45で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3と、を含む。
【0116】
一実施形態において、VH領域は、
SEQ ID NO:48
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARFPNWGSFDYWGQGTLVTVSS、
SEQ ID NO:49
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSFDYWGQGTLVTVSS、
SEQ ID NO:50
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRMPNWGSLDHWGQGTLVTVSS、
SEQ ID NO:51
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSS、
またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列
を含む配列から独立して選択される。
【0117】
一実施形態において、VLは、
SEQ ID NO:52
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYETFGQGTKVEI
SEQ ID NO:53
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYASFGQGTKVEI
SEQ ID NO:54
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYEAFGQGTKVEI
SEQ ID NO:55(空の配列(null sequence))
またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列
を含む配列から独立して選択される( 翻訳後修飾で欠失されたK)。
【0118】
一実施形態において、VH配列は、SEQ ID NO:48(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54またはSEQ ID NO:55(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0119】
一実施形態において、VH配列は、SEQ ID NO:49(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54またはSEQ ID NO:55(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0120】
一実施形態において、VH配列は、SEQ ID NO:50(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54またはSEQ ID NO:55(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0121】
一実施形態において、VH配列は、SEQ ID NO:51(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:54またはSEQ ID NO:55(またはそれらの任意のつと少なくとも95%同一の配列)である。
【0122】
一実施形態において、VL配列は、SEQ ID NO:52(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50またはSEQ ID NO:51(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0123】
一実施形態において、VL配列は、SEQ ID NO:53(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50またはSEQ ID NO:51(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0124】
一実施形態において、VL配列は、SEQ ID NO:54(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50またはSEQ ID NO:51(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0125】
一実施形態において、VL配列は、SEQ ID NO:55(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VH配列は、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:50またはSEQ ID NO:51(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)である。
【0126】
一実施形態において、VH配列は、SEQ ID NO:51(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、VL配列は、SEQ ID NO:53(またはそれと少なくとも95%同一の配列)である。
【0127】
本明細書で用いられる可変領域は、CDRと、適切なフレームワークと、を含む抗体鎖の中の領域を指す。
【0128】
一実施形態において、重鎖は、
SEQ ID NO:56
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
SEQ ID NO:57
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
SEQ ID NO:58
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCVRMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASIKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
SEQ ID NO:59
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
SEQ ID NO:60
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASIKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
SEQ ID NO:61
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTSYWIGWVRQMPGKGLEWMGVIYPGDSYTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARMPNWGSLDHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVTSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列
から独立して選択される配列を含む( 翻訳後修飾で欠失されたK)。
【0129】
一実施形態において、軽鎖は、
SEQ ID NO:62
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYASFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC、
SEQ ID NO:63
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYEAFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC、
SEQ ID NO:64
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYETFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC、
またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列
から独立して選択される。
【0130】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:56、57、58、59、60および61(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択され、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0131】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:56(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0132】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:57(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0133】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:58(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0134】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:59(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0135】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:60(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0136】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:61(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62、63および64(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)から独立して選択される。
【0137】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:59または61(またはそれらの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)で示される配列を有する。
【0138】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:59(またはそれと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)で示される配列を有する。
【0139】
一実施形態において、重鎖は、SEQ ID NO:61(またはそれの任意の1つと少なくとも95%同一の配列)であり、軽鎖は、SEQ ID NO:62(またはそれと少なくとも95%同一の配列)で示される配列を有する。
【0140】
本明細書で用いられる「から誘導された」は、用いられる配列または用いられる配列と非常に類似した配列が抗体の軽鎖または重鎖などの元の遺伝子材料から得られた、という事実を指す。
【0141】
本明細書で用いられる「少なくとも95%同一の」は、全長にわたり96、97、98または99%同一などの参照配列と95%以上同一であるアミノ酸配列を指すものとする。ソフトウェアプログラムを用いて同一性パーセンテージを計算することができる。
【0142】
本明細書のタンパク質、抗体またはアミノ酸配列の任意の議論が、製造および/または貯蔵の間に生成されたタンパク質、抗体またはアミノ酸配列の任意のバリアントを含むことが理解されよう。例えば、製造または貯蔵の間、抗体は、脱アミノ化され得る(例えば、アスパラギンまたはグルタミン残基で)および/または改変された糖化を有し得る、および/またはピログルタミン酸塩に変換されたグルタミン残基を有し得る、および/または除去もしくは「クリップ」されたN末端もしくはC末端残基を有し得る(コードされた抗体のC末端リジン残基が、製造工程の間に除去されることが多い)、および/または不完全に処理されたシグナル配列の一部もしくはすべてを有し得て、結果として、抗体の末端を保持し得る。特定のアミノ酸配列またはその結合断片を含む抗体が、言及された配列もしくはコードされた配列および/またはその言及された配列もしくはコードされた配列のバリアント、あるいはそれらの結合断片の異種混合物であってもよいことが、理解される。
【0143】
一実施形態において、本開示は、C-末端リジンが切断されている、本明細書に明確に開示された配列に及ぶ。
【0144】
一実施形態において、本開示の配合物中で用いられる抗体またはその結合断片は、ヒト化されている。
【0145】
本明細書で用いられるヒト化された(CDRグラフト抗体を含む)は、非ヒト種からの1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域と、を有する分子を指す(例えば、米国特許第5,585,089号;WO91/09967号参照)。それが全CDRではなくむしろCDRの特異性決定残基を移行させることのみを必要とし得ることが、認識されよう(例えば、Kashmiri et al., 2005, Methods, 36, 25-34参照)。ヒト化抗体は、場合により、CDRが誘導された非ヒト種に由来する1つまたは複数のフレームワーク残基をさらに含んでもよい。レビューとして、Vaughan et al, Nature Biotechnology, 16, 535-539, 1998を参照されたい。
【0146】
CDRまたは特異性決定残基が、グラフトされた場合、マウス、霊長類およびヒトフレームワーク領域をはじめとするCDRが誘導されたドナー抗体の分類/型への関連を有する任意の適切なアクセプター可変領域のフレームワーク配列が、用いられてもよい。本発明で用いられ得るヒトフレームワークの例は、KOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAYおよびPOM(Kabat et al.,)である。例えばKOLおよびNEWMが、重鎖に用いられ得て、REIが、軽鎖に用いられ得て、EU、LAYおよびPOMが、重鎖と軽鎖の両方に用いられ得る。あるいはヒト生殖細胞配列が、用いられてもよく、これらは、http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/で入手される。
【0147】
本発明で用いられるヒト化抗体において、アクセプター重鎖および軽鎖は、必ずしも同じ抗体に由来する必要はなく、所望なら、異なる鎖に由来するフレームワーク領域を有する複合体鎖を含んでもよい。
【0148】
フレームワーク領域は、厳密にアクセプター抗体の配列と同じ配列を有する必要はない。例えば異常な残基が、アクセプター鎖分類または型により多く生じる残基に変換されてもよい。あるいは、アクセプターフレームワーク領域内の選択された残基が、ドナー抗体内の同じ位置で見出される残基に対応するように、該残基が変換されてもよい(Reichmann et al., 1998, Nature, 332, 323-324参照)。そのような変換は、ドナー抗体の親和性を回復するのに必要な最小限にとどめなければならない。変更される必要があり得るアクセプターフレームワーク領域内の残基を選択するためのプロトコルは、WO91/09967号に表される。
【0149】
一実施形態において、本開示の抗IL13R抗体は、完全にヒトであり、特に可変ドメインの1つまたは複数は、完全にヒトである。
【0150】
完全にヒトの分子は、重鎖および軽鎖の両方の可変領域および定常領域(存在するならば)がヒト起源のすべてであり、またはヒト起源の配列と実質的に同一であり、必ずしも同じ抗体からの配列ではないものである。完全にヒトの抗体の例としては、例えば先に記載されたファージディスプレイ法により、生成された抗体、およびネズミ免疫グロブリン可変領域遺伝子、および場合により定常領域遺伝子がヒトの同等物により置換されているマウスにより生成された抗体を挙げることができ、一般には、欧州特許第0546073号、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,770,429号、欧州特許第0438474号および欧州特許第0463151号に記載されるとおりである。
【0151】
本明細書で用いられる定常領域は、重鎖内の2つの可変ドメイン、例えば非同族可変ドメインの間に位置する定常領域部分を指すものとする。したがって、本明細書に開示された抗IL13R抗体は、天然由来の定常ドメインまたは天然由来ドメインの誘導体などの1つまたは複数の定常領域を含んでもよい。本明細書で用いられる天然由来ドメインの誘導体は、天然由来配列内の1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸が、例えば不適切な特性を排除しながらドメインの特徴的形状(複数可)が保持されることによるなど、ドメインの特性を最適化するために、置換または欠失されていることを指すものとする。
【0152】
所望なら、本発明における使用のための抗体は、1つまたは複数のエフェクター分子(複数可)にコンジュゲートされてもよい。エフェクター分子が単一のエフェクター分子、または本発明の抗体に付着され得る単一分子を形成するように連結された2つ以上のそのような分子を含んでもよいことが理解されよう。エフェクター分子に連結された抗体断片を得ることが望ましい場合、これは、抗体断片が直接またはカップリング剤を介する、のどちらかでエフェクター分子に連結される標準の化学的または組換えDNA手順により調製されてもよい。そのようなエフェクター分子を抗体にコンジュゲートするための技術は、当該技術分野で周知である(Hellstrom et al., Controlled Drug Delivery, 2nd Ed., Robinson et al., eds., 1987, pp. 623-53;Thorpe et al., 1982, Immunol. Rev., 62:119-58、およびDubowchik et al., 1999, Pharmacology and Therapeutics, 83, 67-123参照)。特別な化学的手順としては、例えば、WO93/06231号、WO92/22583号、WO89/00195号、WO89/01476号およびWO03031581号に記載されるものが挙げられる。あるいはエフェクター分子が、タンパク質またはポリペプチドである場合、連結が、例えばWO86/01533号および欧州特許第0392745号に記載されるとおり、組換えDNA手順を用いて実現されてもよい。
【0153】
本明細書で用いられるエフェクター分子という用語は、例えば生物活性タンパク質、例えば酵素、他の抗体または抗体断片、合成または天然由来ポリマー、核酸およびその断片、例えばDNA、RNAおよびその断片、放射性核種、特に放射性ヨウ素、放射性同位体、キレート化金属、ナノ粒子、ならびに蛍光化合物またはNMRもしくはESR分光法により検出され得る化合物などのレポータ群を包含する。
【0154】
他のエフェクター分子は、例えば診断に、有用な検出可能物質を含んでもよい。検出可能物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射線核種、ポジトロン放出金属(ポジトロン放出断層撮影での使用のため)、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。一般に、診断薬としての使用のために抗体にコンジュゲートされ得る金属イオンに関する米国特許第4,741,900号を参照されたい。適切な酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族としては、ストレプトアビジン、アビジンおよびビオチンが挙げられ;適切な蛍光材料としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドおよびフィコエリトリンが挙げられ;適切な発光材料としては、ルミノールが挙げられ;適切な生物発光材料としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ;適切な放射性核種としては、125I、131I、111Inおよび99Tcが挙げられる。
【0155】
別の例において、エフェクター分子は、インビボで抗体の半減期を増加させてもよく、および/または抗体の免疫原性を低減してもよく、および/または免疫系への上皮バリアを通した抗体の送達を増加させてもよい。この型の適切なエフェクター分子の例としては、WO05/117984号に記載されたものなどの、ポリマー、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、またはアルブミン結合化合物が挙げられる。エフェクター分子が、ポリマーである場合、それは一般に、合成または天然由来ポリマー、例えば場合により置換された直鎖または分枝鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレン、もしくはポリオキシアルキレンポリマー、または分枝状もしくは非分枝状多糖、例えばホモまたはヘテロ多糖類でもよい。
【0156】
上述の合成ポリマー上に存在し得る具体的な場合による置換基としては、1つまたは複数のヒドロキシ、メチルまたはメトキシ基が挙げられる。
【0157】
合成ポリマーの具体的例としては、場合により置換された直鎖または分枝鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)、またはそれらの誘導体、特に、メトキシポリ(エチレングリコール)などの場合により置換されたポリ(エチレングリコール)、またはその誘導体が挙げられる。
【0158】
具体的な天然由来ポリマーとしては、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0159】
本明細書で用いられる「誘導体」は、反応性誘導体、例えば、マレイミドおよび同様のものなどのチオール選択型反応性基を包含するものとする。反応性基は、直接またはリンカーセグメントを通してポリマーに連結されてもよい。そのような基の残基が幾つかの例において生成物の一部を抗体断片とポリマーの間の連結基として形成することは、認識されよう。
【0160】
適切なポリマーとしては、特に、約15000Da~約40000Daの範囲内の分子量を有する、ポリ(エチレングリコール)または特にメトキシポリ(エチレングリコール)またはその誘導体などのポリアルキレンポリマーが挙げられる。
【0161】
一例において、本発明における使用のための抗体は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)部分に付着される。1つの特別な例において、抗体は、抗体断片であり、PEG分子は、抗体断片内に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖または末端アミノ酸官能基、例えば任意の遊離アミノ、イミノ、チオール、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を通して付着されてもよい。そのようなアミノ酸は、抗体断片の中で天然由来であってもよい、または組換えDNA法を利用して断片中に遺伝子操作されてもよい(例えば、米国特許第5,219,996号;米国特許第5,667,425号;WO98/25971号、WO2008/038024号参照)。一例において、本発明の抗体分子は、修飾Fab断片であり、その修飾は、エフェクター分子の付着を可能にするための重鎖のC-末端への1つまたは複数のアミノ酸の付加である。適切には、付加されたアミノ酸は、エフェクター分子が付着され得る1つまたは複数のシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を形成する。複数の部位が、2つ以上のPEG分子を付着させるのに用いられ得る。
【0162】
一実施形態において、本明細書の配合物は、別の治療と併用で投与される。
【0163】
本明細書で用いられる「併用で」は、抗IL13R抗体が別の治療の前に、別の治療と同時に投与される例を包含するものとする。
【0164】
本明細書で用いられる治療は、疾患を安定化させて、および/または疾患を寛解に向かわせて、特に用量制限副作用を誘起することなく、再発が起こる可能性または類似の可能性を低くすることをはじめとする、疾患の症状または状態の改善を指す。例えば、治療により利益が実現されることを条件に、副作用および毒性が忍容される場合には、適切な治療的用量は一般に、治療効果と忍容される毒性とのバランスである。
【0165】
独立した態様において、例えば本明細書に詳述されたとおり、結膜炎の発生率が最小化される、200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による、アトピー性皮膚炎(中等症、重症または非常に重症のアトピー性皮膚炎、特に制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎)の処置における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片が、提供される。
【0166】
結膜炎は、アトピー性皮膚炎のための生物学的処置の副作用であり得る。有利には、そのような副作用は、本開示による治療で最小化され、特にそのような副作用は、エブラサキマブ処置で観察されなかった。
【0167】
一実施形態において、本開示による配合物(エブラサキマブを含む配合物など)は、例えば処置サイクルにおいて、または維持療法として、毎月投与される。
【0168】
本明細書の文脈において「含むこと」は、「包含すること」と解釈されるべきである。特定の特色/要素を含む本発明の実施形態はまた、関連の要素/特色「からなる」または「から本質的になる」代わりの実施形態に及ぶものとする。技術的に適切ならば、本発明の実施形態は、組み合わせられてもよい。
【0169】
特許および特許出願などの技術的参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
本明細書に具体的および明白に列挙された任意の実施形態が、単独、または1つもしくは複数のさらなる実施形態と組み合わせ、のどちらかで免責条項の基準を形成してもよい。
【0171】
この明細書の背景部分は、関連の技術的情報を含有し、修正のための基準として用いられてもよい。
【0172】
本明細書の事項索引の見出しは、文書を段落に分別するために用いられ、本明細書で提供された開示の意味を解釈するために用いられるものとしない。
【0173】
本発明はさらに、例示のみとする以下の実施例に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0174】
図1A】最大の解析対象集団の患者人口統計を示す。
図1B】最大の解析対象集団のベースライン疾患特性を示す。
図1C】有効性について評価可能なデータのベースライン特性を示す。
図2A】57日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図2B】57日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図2C】57日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図3A】29日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図3B】29日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図4A】経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図4B】経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図5A】個々の患者の経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。
図5B】個々の患者の経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。200mg
図5C】個々の患者の経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。400mg
図5D】個々の患者の経時的なEASIスコアにおけるベースラインからの変化率%を示す。600mg
図6A】mITTにおける57日目感度分析を示す。
図6B】mITTにおける感度分析を示す(200、400および600mg)。
図6C】mITTにおける分析を示す(低用量および高用量)。
図7A】57日目のEASI50、EASI75およびEASI90を示す。
図7B】57日目のEASI50を示す(200、400および600mg)。
図7C】57日目のEASI50を示す(低および高用量)。
図7D】57日目のEASI75を示す(200、400および600mg)。
図7E】57日目のEASI75を示す(低および高用量)。
図7F】57日目のEASI90を示す(200、400および600mg)。
図7G】57日目のEASI90を示す(低および高用量)。
図8A】経時的なEASI50の低減率%を示す。
図8B】経時的なEASI75の低減率%を示す。
図8C】経時的なEASI90の低減率%を示す。
図9】Mittにおける感度分析を示す。
図10A】要約表における57日目のIGAスコア0または1の患者の割合を示す。
図10B】57日目のIGAスコア0または1の患者の割合を示す。
図10C】IGAスコア0または1の患者の割合を示す。
図11】患者のベースラインTARCおよびIgEを示す。
図12A】ベースラインTARCからの平均変化率%を示す(200mgおよび400mg)。
図12B】ベースラインTARCからの平均変化率%を示す(400mgおよびプラセボ)。
図12C】個々の患者についてのベースラインTARCからの変化率%を示す。
図13A】ベースラインからのIgE変化率%を示す(200mgおよび400mg)。
図13B】ベースラインからの平均IgE変化率%を示す(200mgおよび400mg)。
図13C】個々の患者3名のベースラインからのIgE変化率%を示す。
図13D】200mgについての個々の患者4名のベースラインからのIgE変化率%を示す。
図13E】400mgについての個々の患者6名のベースラインからのIgE変化率%を示す。
図14】エブラサキマブ暴露量、平均EASIスコア、平均TARCレベルおよび平均IgEレベルを示す。
図15】エブラサキマブ有効性 vs デュピルマブ有効性を示す。
図16】IgEデュピルマブにおけるベースラインからの変化率%中央値を示す。
図17】週1回デュピルマブ300mg投与についてのベースラインからの変化率%を示す。
図18】健常皮膚、非病変性アトピー性皮膚炎および病変性アトピー性皮膚炎におけるIL-13Rα1発現の染色強度を示す。
図19】健常(ealthy)皮膚、非病変性アトピー性皮膚炎および病変性アトピー性皮膚炎についての肥満細胞および好酸球でのIL-13Rα1発現の染色を示す。
図20】I型およびII型IL-13受容体への遺伝子発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0175】
実施例
実施例1
試験プロトコル(初期MADエスカレーション)
エブラサキマブ(本明細書ではSEQ ID NO:51、53および59)の用量漸増コホートに登録された患者:200mg、400mg、600mg。ASLAN低用量=エブラサキマブ200mg、ASLAN高用量=エブラサキマブ400mg+エブラサキマブ600mg。
【0176】
患者の詳細は、図1に示される。最初に用量が、週1回与えられた(QW)。各コホート内で、患者は、3:1比のエブラサキマブ:プラセボに無作為化された。
【0177】
結果
表1は、57日目(8週間)のEASIスコアにおけるベースラインの変化率%を示す。
【表4】
【0178】
表2は、29日目(4週間)のEASIスコアにおけるベースラインの変化率%を示す。
【表5】
【0179】
表3は、57日目のmITT(修正された治療意図)対象集団における感度分析を示す。
【表6】
【0180】
表4は、57日目にEASI50、EASI75およびEASI90を実現した患者の割合の概要を示す。
【表7】
【0181】
結果から、エブラサキマブがプラセボに比較してEASIスコアの有意な改善をもたらすことが示される。特に8週目には、治療的用量(400mgおよび600mgコホート)でのベースラインからのEASIの平均低減が、プラセボの患者での42%(n=5)に比較して74%(n=9)であった。
o プラセボでの40%に対比してEASI-50で、89%が実現された;
o プラセボでの0%に対比してEASI-75で、67%が実現された;
o プラセボでの0%に対比してEASI-90で、56%が実現された。
【0182】
結果からさらに、エブラサキマブがデュピルマブに比較して同等の、または幾つかの例ではより高い有効性を有することが示唆され、したがってアトピー性皮膚炎の処置および管理のための代替治療としてのエブラサキマブの潜在性が実証される。
【0183】
実施例2
有効性評価可能データセットとしてプロトコルで定義されたすべての場所で少なくとも29日の投薬を完了した患者32名において、8週目のEASIにおけるベースラインからの平均低減が、プラセボの患者の44%(n=13)に比較して73%(n=19)であった(p=0.007)。有害事象および処置関連性有害事象を有した患者の割合は、処置およびプラセボ群で類似していた。拡大コホートにおいて、結膜炎の発生はなかった。
【表8】
【0184】
エブラサキマブは、湿疹面積重症度指数(EASI)におけるベースラインからの変化率%の一次有効性エンドポイントにおいてプラセボに対比して統計学的に有意な改善(p<0.025)を実現し、同じく他の重要な有効性エンドポイント:EASI-50、EASI-75、ピーク純度および患者向け湿疹評価スコア(POEM)においても有意な改善(p<0.05)を示した。
【0185】
盲検解除の前のデータモニタリング委員会との会議に続いて、試験に登録された患者全員がTARCなどのバイオマーカおよび患者の医療歴に基づいて中等症から重症のAD患者の非定型的と思われた1箇所の試験場所を除外するために、改正ITT集団(RITT、n=29)が定義された。中等症から重症のADにおいて他の公表された試験とより同等であるRITT集団において、エブラサキマブはまた、EASIでのベースラインからの変化率%においてプラセボに対比して統計学的に有意な改善(p<0.025)を実現し、ITT集団に対比して重要な有効性エンドポイントでプラセボより大きな改善を示した。
【0186】
実施例3
アトピー性皮膚炎患者が、皮下送達されたエブラサキマブの安全性、忍容性および薬物動態の多施設無作為化二重盲検プラセボ対照反復投与用量漸増試験に登録された。皮膚の痒みなどの「症状」を有する患者は、医院に存在し得るが、この根本的原因は、多数の病態であり得る。中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者についての臨床試験で提示されたTARCレベルの範囲は、214pg/ml~約22,600pg/mlであった。中等症から重症のアトピー性皮膚炎の関連基準を有すると決定された患者におけるベースラインIgEレベルは、434pg/ml~19,175pg/mlの範囲内であった。
【0187】
実施例4
IHCが、AD患者14名および対応対照(HC)10名の病変性(L)および非病変性(NL)の皮膚で実施された。ADにおけるIL-13Rα1の分布と、それの肥満細胞および好酸球への関連性を決定するために、皮膚試料がIL-13Rα1、トリプターゼおよび主要塩基性タンパク質について染色された。単球細胞株であるU937細胞は、I型およびII型受容体の両方を発現するため、該細胞が、それら両方の受容体の機能を評価するために用いられた。細胞が、II型を遮断するためにエブラサキマブ(抗IL-13R?1)と共に、I型を遮断するために抗共通γ鎖と共に、そしてI型およびII型受容体の両方を遮断するために抗IL4R?と共に、インキュベートされた。24時間インキュベーションの後に、細胞がビヒクルまたはIL-4+IL-13の混合物で刺激され、RNA配列決定に供された。IHCデータは、ImageJを用いて定量された。差次的発現解析が、R言語用DESeq2パッケージを用いてRNA配列決定データで実行された。IHCは、HCに比較してL(P<0.001)およびNL(P=0.045)ADの皮膚でのIL-13Rα1染色の増加を示した。肥満細胞の平均IL-13Rα1染色強度は、HCに比較してL(P=0.034)およびNL(p=0.031)AD試料で増加された。好酸球の平均IL-13Rα1染色強度もまた、HCに比較してL(p=0.024)およびNL(P=0.046)AD皮膚で増加された。抗共通γ鎖抗体でのI型受容体遮断は、MMP9などの遺伝子の上方制御をもたらした(P<0.001)。エブラサキマブでのII型受容体遮断は、XBP1(P<0.001)およびCXCL8(P=0.046)などの遺伝子の抑制をもたらした。図20は、抗鎖抗体(anti-chain antibody)を用いたI型受容体遮断で差次的に発現された遺伝子を示す。B)エブラサキマブを用いたII型受容体遮断で差次的に発現された遺伝子。
【0188】
概要
IL-13Rα1発現は、HCに比較してLおよびNL AD皮膚の両方で増加される。
肥満細胞IL-13Rα1発現は、HCに比較してLおよびNL AD皮膚で増加される。
好酸球IL-13Rα1発現が、HCに比較してLおよびNL AD皮膚で増加される。
I型受容体とII型受容体の間に、シグナル伝達の差が存在する。
図1A
図1B
図1C
図2-1】
図2-2】
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2024534717000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
200mg~600mg(400~600mgなど)の範囲内の用量を含む処置サイクルの非経口投与による、外用薬、経口薬、および/または生物学的製剤(特に、外用薬またはデュピルマブ)をはじめとする既存の認可された薬剤による制御が困難な中等症から重症のアトピー性皮膚炎の処置における使用のための、IL-13Rα1に結合することにより前記受容体を通したシグナル伝達の阻害剤となる抗体またはその抗原結合断片であって、前記疾患のベースラインが、16以上(17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72など)のEASIスコアを特徴とし;前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO:51で示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVHドメインと、SEQ ID NO:53で示されるアミノ酸配列またはそれと少なくとも95%同一の配列を含むVLドメインと、を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記アトピー性皮膚炎が、病変性である、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体もしくはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体または断片が、デュピルマブを過去に受けたことがある患者、例えば、デュピルマブで副作用を有した患者に投与される、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記IL-13Rα1が、デュピルマブに比較して、低減された副作用および/または改善された有効性を有する、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記ベースラインTARCレベルが、少なくとも1,115pg/ml、例えば、1,115pg/ml~4,300pg/mlの範囲内または4,300pg/mlを超える、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記ベースラインSTAT6が、正常値を超える、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記患者が、中等症から非常に重症のアトピー性皮膚炎である3以上、例えば3(中等症アトピー性皮膚炎)、4(重症アトピー性皮膚炎)または5(非常に重症のアトピー性皮膚炎)のベースラインIGAスコアを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記ベースラインIgEレベルが、少なくとも150KU/L、例えば、10,000kU/L+/-2,000などの1000、1500、2,000、2,500、3,000、3500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,50KU/Lのレベルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記1種または複数のパラメータ(例えば、前記パラメータの2種以上またはすべて)が、投薬前に測定されている、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記患者が、処置を開始する前に1つまたは複数(例えば、すべての)パラメータを有すると同定されている、(例えば、前記所望の患者集団と同様に同定されている)、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体または抗原結合断片。
【請求項11】
前記アトピー性皮膚炎が、中等症であり、例えば16~21.0の範囲内のスコアを有する、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記アトピー性皮膚炎が、例えば21.1~50.0の範囲内などの21.1以上のEASIスコアを有する、重症、または、例えば50.1~72.0の範囲内のスコアを有する、非常に重症である、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約2週間後(15日目など)に存在する、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約4週後(29日目など)に存在する、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約6週後(43日目など)に存在する、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
EASIスコアの低減が、初回用量の投与から約8週後(57日目など)に存在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
前記処置が、皮下に施される、請求項1~16のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記用量が、200mgである、請求項1~17のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
前記用量が、例えば、400mgなどの350~450mgの範囲内であり、前記患者集団の80%が、約29日目および/または57日目にEASI50を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記用量が、600mgである、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその結合断片。
【請求項21】
EASIスコアの低減が、例えば、約15日目に、-25~-60%(例えば、-40~-59%などの-39~-59%、特に、-47、-48、-49、-50、-51、-52、-53、-54、-55、-56、-57、-58または-59%)の範囲内である、いずれか前記請求項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
EASIスコアの前記低減が、
a.特に約29日目で、50~-100%(例えば、-55~-97%)、および/または
b.特に約43日目で、-60~-100%(例えば、-70~-97%)、および/または
c.特に約57日目で、-65~-100%(例えば、-90~-100%などの-70~-100%、特に91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%)
の範囲内である、請求項13~21のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記患者集団の90%が、約57日目にEASI50を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
前記処置サイクルが、600mgの初回用量と、続く400mgの3週ごとの用量を含み、例えば前記処置サイクルが、2回反復され、即ち、2つの処置サイクルが、8週継続し、特に、1日目:600mg、およそ8日目:400mg、およそ15日目:400mg、およそ22日目:400mg、およそ29日目:600mg、およそ36日目:400mg、およそ43日目:400mg、およびおよそ50日目:400mgが、投与される、請求項1~23のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
疾患修飾が、4日目までに起こり、ここで1日目が、前記抗体またはその結合断片の初回投与であり、例えば前記疾患修飾が、EASIスコアの低減であり、前記低減が、-10~55%の範囲内のベースラインからのパーセンテージである(特に、-40~-100%の範囲内の前記疾患修飾が、1日目の初回投与後の約57日目までに実現され、例えば最大疾患修飾が、約57日目までに実現される)、などである、請求項1~24のいずれか1項に記載の使用のための抗体またはその抗原結合断片。
【国際調査報告】