(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-25
(54)【発明の名称】細胞外小胞を処理及び分析するための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/02 20060101AFI20240917BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240917BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20240917BHJP
【FI】
C12N1/02
C12Q1/02
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514086
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022077134
(87)【国際公開番号】W WO2023056272
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078778
【氏名又は名称】カプスゲル イタリー エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】CAPSUGEL ITALY S.R.L.
(71)【出願人】
【識別番号】524078789
【氏名又は名称】エクソソミクス エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】EXOSOMICS SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゾッコ, ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】クリスキュオリ, マッティア
(72)【発明者】
【氏名】パッサラックア, イラリア
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ08
4B063QR48
4B063QR66
4B063QS17
4B063QS40
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AB10
4B065AC14
4B065BA30
4B065BD15
4B065BD17
4B065BD18
4B065BD39
4B065BD50
4B065CA60
(57)【要約】
本開示は、蛍光染色色素又は抗体と接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、細胞外小胞を処理するための方法を提供する。遠心分離フィルタを利用することによって、細胞外小胞の1つ以上の特徴の分析の前に、過剰の染色色素又は抗体を容易に除去することができる。方法は、細胞外小胞の高い濃度を維持しながら、迅速かつ単純な処理及び分析を提供する。
【選択図】
図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外小胞を処理するための方法であって、
a.生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度を決定することと、
c.前記細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記接触させた細胞外小胞を、200~750kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、前記標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞が精製されない、方法。
【請求項2】
前記濃縮することが、前記生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンジェンシャルフローフィルタが、約100kD~約500kDの分子量カットオフを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞外小胞を、前記蛍光染色色素6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞外小胞を、前記蛍光染色色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記細胞外小胞を、前記抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、請求項1~3又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生体液中の細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
細胞外小胞の前記濃度が、cにおける前記接触させることの前に、少なくとも1×10
10個の細胞外小胞/mLであると決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記接触させた細胞外小胞を、前記遠心分離フィルタに少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間通す、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
細胞外小胞を分析するための方法であって、
a.タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度を決定することと、
c.前記細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記接触させた細胞外小胞を300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、前記標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、
g.前記回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法。
【請求項14】
前記細胞外小胞を、前記蛍光染色色素6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)と接触させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞外小胞を、前記蛍光染色色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞外小胞を、前記抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、請求項13又は15に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記調整培地中の細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
細胞外小胞の前記濃度が、cにおける前記接触させることの前に、少なくとも1×10
10個の細胞外小胞/mLであると決定される、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、前記細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記接触させた細胞外小胞を、前記遠心分離フィルタに少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間通す、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
細胞外小胞を処理するための方法であって、
a.生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度が少なくとも5×10
10個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、
c.前記細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞が精製されない、方法。
【請求項25】
前記細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞外小胞を、1×10
8~1×10
9個の抗体粒子と接触させる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞外小胞を前記抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地であり、前記濃縮することが、前記生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
細胞外小胞を分析するための方法であって、
a.タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度が少なくとも5×10
10個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、
c.前記細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、
g.前記回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法。
【請求項32】
前記細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞外小胞を、1×10
8~1×10
9個の抗体粒子と接触させる、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞外小胞を前記抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、前記細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、請求項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
細胞外小胞を処理するための方法であって、
a.生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度が少なくとも5×10
10個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、
c.前記細胞外小胞を、RNA特異的色素と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞が精製されない、方法。
【請求項40】
前記細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞外小胞を、前記RNA特異的色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項39~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地であり、前記濃縮することが、前記生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
細胞外小胞を分析するための方法であって、
a.タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、
b.前記細胞外小胞の濃度が少なくとも5×10
10個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、
c.前記細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させることと、
d.前記接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、
e.前記標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、
f.前記標識された細胞外小胞集団を回収することと、
g.前記回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、
cにおける前記接触させることの前に、前記細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法。
【請求項46】
前記細胞外小胞を、前記緑色蛍光RNA染色剤又は前記赤色蛍光RNA染色剤と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
細胞外小胞の前記濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、前記細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、請求項45~49のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月29日出願の米国仮特許出願第63/249,705号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、蛍光染色色素又は抗体と接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、細胞外小胞を処理するための方法を提供する。遠心分離フィルタを利用することによって、細胞外小胞の1つ以上の特徴の分析の前に、過剰の染色色素又は抗体を容易に除去することができる。方法は、細胞外小胞の高い濃度を維持しながら、迅速かつ単純な処理及び分析を提供する。
【背景技術】
【0003】
様々ながん及び他の状態のために、エクソソーム又は細胞外小胞を使用する用途及び治療の研究は、継続的に発展している。タンパク質、脂質、及び核酸(siRNA及びアンチセンス核酸を含む)を含む様々なカーゴを送達するこれらの50~150nmの細胞由来の小胞の能力は、様々な異なる細胞型への送達のためにそれらを利用することへの関心をもたらしている。
【0004】
生成細胞集団及び関連するデブリから細胞外小胞を単離及び分析するために、様々な方法が開発されている。しかしながら、これらの従来のアプローチは、多くの場合、細胞外小胞の損失を生じるか、又は試料を顕著に希釈し、これが、一貫性がないか又は欠陥のある分析をもたらし得る。
【0005】
必要とされるのは、望ましくない希釈を伴わずに、細胞外小胞分離及び分析を提供する単純で迅速なプロセスである。本発明は、そのようなプロセスを提供する。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度を決定することと、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして標識された細胞外小胞集団を生成することと、接触させた細胞外小胞を、200~750kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0007】
更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度を決定することと、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして標識された細胞外小胞集団を生成することと、接触させた細胞外小胞を、300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0008】
追加の実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0009】
なお更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0010】
更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞をRNA特異的色素と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0011】
追加の実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1-1】サイズ排除クロマトグラフィー及び濾過後のEVからの色素除去を示す。
【
図2】蛍光色素除去のための異なる分子量カットオフフィルタの比較を示す。
【
図3A】EVサイズ分布に対するNanoSep300K濾過の効果を示す。
【
図3B】EVサイズ分布に対するNanoSep300K濾過の効果を示す。
【
図4A】濾過及びサイズ排除クロマトグラフィーを介して過剰の抗体EVを除去することによる、抗テトラスパニン抗体(CD9、CD63、及びCD81)を含む、精製されたEVの染色を示す。
【
図4B】濾過によって過剰の抗体を除去した、抗テトラスパニン抗体(CD9、CD63、及びCD81)を含む調整培地及びプロセス中の試料の染色を示す。
【
図4C】濾過によって過剰の抗体を除去した、抗テトラスパニン抗体(CD9、CD63、及びCD81)を含む調整培地及びプロセス中の試料の染色を示す。
【
図6A】抗体標識の確認に対する希釈の効果を示す。
【
図6B】抗体標識の確認に対する希釈の効果を示す。
【
図7A】抗体標識及びEVサイズに対する希釈方法の効果を示す。
【
図7B】MSC由来及びHEK-293293由来の培養物からの調整培地を用いた抗体標識における希釈方法の効果を示す。
【
図7C】MSC由来及びHEK-293293由来の培養物からの調整培地を用いた抗体標識における希釈方法の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「a」又は「an」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む」という用語とともに使用される場合、「1つ」を意味してもよいが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は1を超える」の意味とも一致してもよい。
【0014】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、該値を決定するために使用される方法/デバイスについての誤差の固有の変動を含むことを示すために使用される。典型的には、この用語は、状況に応じて、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、若しくは20%、又は1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、若しくは20%未満の変動を含むことを意味する。
【0015】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されるか又はその代替物が互いに排他的でない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「含む(comprising)」(及び含む(comprising)の任意の形態、例えば、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(及び有する(having)の任意の形態、例えば、「有する(have)」及び「有する(has)」)、「含む(including)」(及び含む(including)の任意の形態、例えば、「含む(includes)」及び「含む(include)」)、又は「含む(containing)」(及び含む(containing)の任意の形態、例えば、「含む(contains)」及び「含む(contain)」)という文言は、包括的又はオープンエンドであり、追加の、記載されていない、エレメント又は方法ステップを除外しない。
【0017】
実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法である。「細胞外小胞」(EV)及び「エクソソーム」という用語は、本明細書で互換的に使用され、細胞活性化又はストレス下のいずれかで細胞から生成される、サブミクロンサイズ又はナノメートルサイズの膜小胞を指す。EVは、その親細胞のから核酸、タンパク質、及び脂質を運び、アンチセンスRNA、マイクロRNA(miRNA)、又はsiRNAを含む所望の核酸を運ぶように操作され得る。好適には、EVは、約30nm~約200nm程度のサイズである。
【0018】
本明細書に記載の処理方法は、1つ以上の細胞型を介するそれらの産生に続いて、EVを生体液から分離するために使用される。本明細書で使用される場合、「生体液」は、好適には、EVの産生に使用される細胞、細胞デブリ、緩衝液、細胞成長培地などを含む溶液を指す。
【0019】
実施形態では、EVを処理するための方法は、生体液中で細胞外小胞を濃縮すること、すなわち、生体液中に存在するEVを濃縮することを含む。EVを濃縮する方法は、例えば、EVを1つ以上のタンジェンシャルフローフィルタに通して、EVを濃縮する(すなわち、試料中のEVの数を維持しながら、流体体積を減少させる)ことを含む。1つ以上のタンジェンシャルフローフィルタを介してEVを濃縮する前に、EVは、約10分間300×g、続いて約20分間1200×g、続いて約30分間10,000×gなどの1つ以上の遠心分離ステップを通じて処理され得る。追加の遠心分離ステップも使用され得る。加えて、遠心分離の速度及び持続時間は、例えば、約5~20分間約200×g~500×g、続いて約10~30分間約800×g~1500×g、続いて約20~40分間約7,000×g~15,000×gまで改変させてもよい。
【0020】
本明細書に記載されるように、EVの濃縮は、好適には、1つ以上のタンジェンシャルフローフィルタを使用して行われる。クロスフロー濾過としても知られるタンジェンシャルフロー濾過は、供給物流、入口流、又はインプット流体流は、膜面に対して平行に通りながら一部分が通過し、膜から出る(透過物流れ)一方で、残り(残留物流れ)は、膜内を通り、インプットへと戻されるように再循環され、濃縮され、最終的に貯蔵又は更なる処理のために通され得る、濾過システム又はプロセスである。タンジェンシャルフローフィルタは、好適には、溶液が供給される(単一の繊維が使用され得るが)一連の中空繊維膜で構成される。残留物流れは、中空繊維内を流れ、繊維膜内側の溶液内にEVが保持される一方で、過剰の体積は、繊維膜を通過して透過物流れへと出る。これによって、全試料の体積が低減され、EV試料の濃縮が生じる(体積当たりのEVの数が増加する)。タンジェンシャルフローフィルタで使用するための例示的な材料としては、限定されないが、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アクリロニトリル)、及びポリ(二フッ化ビニリデン)、セルロースエステル、及びポリ(スルホン)を含む、ポリマーが挙げられる。例示的なタンジェンシャルフローフィルタとしてはMICROKROS(登録商標)及びMIDIKROS(登録商標)フィルタを含む、SPECTRUM LABS(登録商標)又はREPLIGEN(登録商標)から入手可能なもの、並びにそれらの改変版が挙げられる。実施形態では、タンジェンシャルフローフィルタの材料は、約100kD(100キロダルトン)~約750kDの分子量カットオフ、より好適には、約100kD~約500kDの分子量カットオフ、約200kD~約400kDの分子量カットオフ、又は100kD、200kD、300kD、400kD、若しくは500kDの分子量カットオフを有する修飾ポリ(エーテルスルホン)(MPES)フィルタである。
【0021】
処理する方法は、細胞外小胞の濃度を決定することを更に含む。細胞外小胞の濃度を決定するための様々な方法が当該技術分野で既知であり、例えば、動的光散乱、ナノ粒子分析のためのフローサイトメトリー(ナノスケールフローサイトメトリー)(例えば、NanoFCM(Nottingham,UK)、及びナノ粒子追跡分析(Nanosight Instruments、Malvern Instruments、ViewSizer、Horiba)などが挙げられる。
【0022】
本明細書に記載されるように、好適には、細胞外小胞の濃度は、処理方法を継続する前に、少なくとも約0.5×1010個の細胞外小胞/mLであると決定される。より好適には、細胞外小胞の濃度は、処理方法を継続する前に、少なくとも1×1010個の細胞外小胞/mL、より好適には、少なくとも0.8×1010、少なくとも0.9×1010、少なくとも1.1×1010、少なくとも1.2×1010、少なくとも1.3×1010、少なくとも1.4×1010、又は少なくとも1.5×1010であると決定される。本明細書に記載されるように、少なくとも約1×1010のEVの濃度を達成することによって、プロセスの標識付け、清浄化/分離/洗浄要素の残り、及びEVの最終分析は、再現可能に、かつ全体的に廃棄を低減して行うことができることが決定されている。
【0023】
本明細書に記載されるように、方法は、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることを更に含む。次いで、接触させたEVをインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成する。好適な実施形態では、EVの膜を透過し、1つ以上のEV内分子を染色する蛍光染色色素と、EVを接触させる。例えば、蛍光染色色素は、スクシンイミジル基を介して、EV内分子、特に細胞内リジン残基及び他のアミン源に結合する色素である、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5(6)-CFDA-SE)(CFSE)であり得る。EVの標識付けに使用することができる蛍光染色色素を含む追加の色素としては、例えば、ExoBrite(商標)EV膜染色剤(Biotium、Fremont,CA)、ExoGlow(商標)EV染色剤(System Biosciences、Palo Alto,CA)、並びにPKH67(Sigma Aldrich)などの膜色素が挙げられる。RNAを染色する色素も利用することができる。例えば、SYTO(商標)RNASelect(商標)及びQuant-iT(商標)RiboGreen(商標)などのRNA染色色素。また、追加の色素が当該技術分野で知られており、記載の方法でも同様に使用することができる。
【0024】
好適には、細胞外小胞を、蛍光染色色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする。例えば、EVは、約30分間~約2時間、又は約30分間~約1.5時間、又は約45分間~約1.5時間、又は約1時間~約1.5時間、又は約1.5時間、約35℃~40℃、又は約37℃の温度で、蛍光染色色素と接触させることができる。
【0025】
EVが抗体で標識される方法において、1つ以上の抗体は、特定の細胞外小胞表面マーカに対して選択され得る。それは、EVの表面にあると予想されるか、又は所望のカーゴ(例えば、タンパク質など)を含有するEVの表面にあることが望ましい表面マーカである。例示的な実施形態では、抗体は、抗テトラスパニン抗体、すなわち、EVの表面上のテトラスパニン糖タンパク質に結合する抗体である。テトラスパニンは、複数のパートナータンパク質と、及び互いに横方向に相互作用して、いわゆるTEM(テトラスパニン濃縮マイクロドメイン)を形成する、小さい膜タンパク質(200~350個のアミノ酸)である。例示的な抗体としては、限定されないが、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び抗IgG1抗体が挙げられる。追加の抗体としては、抗CD151抗体、抗CD82抗体、抗CD53抗体、抗CD37抗体などを挙げることができる。好適には、EVは、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び抗IgG1抗体の組み合わせなどの、そのような抗体の組み合わせで標識される。例えば、(CD9+CD63、CD9+CD81、CD81+CD63)及びトリプル(CD9+CD81+CD63)の組み合わせが使用され得る。
【0026】
好適には、細胞外小胞を、抗体(複数可)と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする。例えば、EVは、約30分間~約2時間、又は約30分間~約1.5時間、又は約45分間~約1.5時間、又は約1時間~約1.5時間、又は約1時間、約35℃~40℃、又は約37℃の温度で、抗体と接触させることができる。
【0027】
標識付けに続いて、(標識されたEV並びに標識されていないEVの両方を含む)細胞外小胞を、200~750kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離する。次いで、標識された細胞外小胞集団が回収される。
【0028】
本明細書に記載されるように、標識された細胞外小胞集団を、約200~750kDの分子量のカットオフを有するポリエーテルスルホンフィルタに通すことによって、標識されたEVは、EVを顕著に損失することなく、かつEVを顕著に希釈することなく、非常に多くの数で回収されることが、驚くべきことに見出された。好適な実施形態では、接触させた(色素又は抗体で標識された)細胞外小胞を、少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間遠心分離フィルタに通す。好適には、ポリエーテルスルホンフィルタの分子量カットオフは、約200~500kD、約200~400kD、又は200kD、300kD、400kD、若しくは500kDである。例示的な300kDの分子量カットオフフィルタは、PALL(登録商標)Corporation(Port Washington,NY)からのOMEGA(登録商標)300Kポリエーテルスルホン膜を備えたNANOSEP(登録商標)遠心分離フィルタである。
【0029】
本明細書に記載されるように、EVを標識するために、蛍光色素又は抗体と接触させることの前に、細胞外小胞を精製する必要がないことが、驚くべきことに見出された。従来、EVは、標識付けの前に、細胞成長培地溶液から精製されなければならなかった。しかしながら、本明細書に記載されるように、精製することなく、EVを(例えば、遠心分離又はタンジェンシャルフロー濾過、又はそれらの組み合わせを介して)単純に濃縮することによって、標識し、次いで後に精製、回収、及び分析することができるEV試料がもたらされ、分析のために高濃度のEVが生じ、EV特徴の再現可能な分析結果が提供されることが決定された。本明細書で使用される場合、「細胞外小胞を精製する」という用語は、調整培地に存在する細胞構成成分、デブリなどをEVから分離し、精製されたEVを生じさせる、サイズ排除クロマトグラフィーカラム又は他の濾材の使用を指す。本明細書に記載されるように、本方法は、精製されたEVの使用を必要としないので、そのようなステップ及びカラムは、本明細書に記載の処理及び分析方法から具体的に除外され、実施形態では具体的に除外しない。
【0030】
当技術分野で既知であるように、様々な細胞を使用して、細胞外小胞を産生することができる。例示的な実施形態では、EVは、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞(HEK-293細胞を含む)、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される。EVを調製するために使用することができる追加の細胞としては、限定されないが、胚性幹細胞由来の心血管前駆細胞、内皮前駆細胞、未成熟樹状細胞(DC)などが挙げられる。更なる実施形態では、EVは、様々ながん細胞株を含む、様々な疾患細胞株から産生することができる。そのような実施形態では、本明細書に記載の方法は、がん細胞などの様々な細胞型から排泄される、EVに存在する疾患特徴を分析するのに有用である。
【0031】
例示的な実施形態では、EVを含有する生体液は、調整培地である。本明細書で使用される場合、「調整培地」又は「複数の調整培地」は、1つ以上の成長因子で調整されている細胞成長培地を指し、その構成成分は、細胞によって分泌されたものであり、細胞デブリ(例えば、脂質、タンパク質、及びタンパク質凝集体、核酸など)を含み得るが、完全なそのままの細胞は含まない。例示的な実施形態では、調整培地は、HEK-293、HT-29、又はMSCの細胞成長培地を含むが、好適には無血清である。
【0032】
好適には、細胞及びその産生物EVは、本明細書に記載の処理する方法で使用する前に、バイオリアクターで産生される。細胞は、限定されないが、撹拌タンク、エアリフト、繊維、マイクロファイバー、中空繊維、セラミックマトリックス、流動床、固定床、及び/又は噴流床(spouted bed)バイオリアクターを含む、任意の好適なバイオリアクター(本明細書では反応器とも呼ばれる)で調製することができる。本明細書で使用される場合、「バイオリアクター」は、発酵器若しくは発酵ユニット、又は任意の他の反応容器を含み得、「バイオリアクター」及び「反応器」という用語は、「発酵器」と互換的に使用される。発酵器又は発酵という用語は、微生物培養物及び哺乳動物培養物の両方を指す。例えば、いくつかの態様では、例示的なバイオリアクターユニットは、栄養素及び/又は炭素源の供給、好適なガス(例えば、酸素)の注入、発酵又は細胞培養培地の入口及び出口の流れ、気相及び液相の分離、温度の維持、酸素及びCO2レベルの維持、pHレベルの維持、撹拌(agitation)(例えば、撹拌(stirring))、及び/又は洗浄/滅菌のうちの1つ以上、又は全てを行うことができる。発酵ユニット等の例示的な反応器ユニットは、ユニット内に複数の反応器を含んでもよく、例えば、ユニットは、各ユニット内に1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、若しくは100個、又はそれ以上のバイオリアクターを有してもよく、かつ/あるいは施設は、施設内に単一又は複数の反応器を有する複数のユニットを含んでもよい。様々な実施形態では、バイオリアクターは、バッチ、半供給バッチ、供給バッチ、灌流、及び/又は連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適な反応器直径が使用され得る。実施形態では、バイオリアクターは、約100mL~約50,000Lの体積を有し得る。非限定的な例には、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、及び/又は50,000リットルの体積が含まれる。更に、好適な反応器は、マルチユース、シングルユース、ディスポーザブル、又は非ディスポーザブルであり得、ステンレス鋼(例えば、316L又は任意の他の好適なステンレス鋼)並びにインコネル、プラスチック、及び/又はガラス等の金属合金を含む任意の好適な材料で形成することができる。
【0033】
更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法である。例示的な実施形態では、そのような方法は、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度を決定することと、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして標識された細胞外小胞集団を生成することと、接触させた細胞外小胞を、300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含む。本明細書に記載されるように、好適には、細胞外小胞は、色素又は抗体と接触させることの前に、サイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない。
【0034】
本明細書に記載の分析の方法は、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上の決定を可能にする。例えば、様々な蛍光顕微鏡技術、液体クロマトグラフィー技術、質量分析法、NMR分光法、マイクロ流体抵抗パルスセンシング(MRPS)などを含む、フローサイトメータの使用以外の他の分析技術も使用することができる。本明細書に記載の分析の方法は、好適には、産生中のEVの品質管理チェックのための製造プロセスの一部として使用され得る。そのような方法は、方法が所望のEVを産生しているかどうかを迅速かつ容易に決定することを可能にするので、更なる製造を継続するか、又は必要に応じて修正するか、又は望ましくないEV若しくはEV特徴に起因して停止させることができる。
【0035】
本明細書に記載されるように、例示的な実施形態では、細胞外小胞を、蛍光染色色素6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)と接触させ、好適には、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする。
【0036】
EVを抗体と接触させる実施形態では、好適には、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体のうちの1つ以上が利用される。好適には、細胞外小胞を、抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする。
【0037】
EVを調製するために、様々な細胞集団が利用され得る。本明細書に記載されるように、好適には、EVは、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される。そのような実施形態では、調整培地は、それぞれ、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む。
【0038】
好適には、調整培地中の細胞外小胞の濃度は、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定され、好適には、蛍光色素又は抗体で標識する前に、少なくとも1×1010個の細胞外小胞/mLである。例示的な実施形態では、細胞外小胞は、EVの濃度を決定する前に、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される。
【0039】
本明細書に記載されるように、分析のためにEVの高い濃度を維持しながら、かつ濾過プロセス中に顕著な数のEVを損失することなく、少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間、接触させた細胞外小胞を(300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む)遠心分離フィルタに通して、EVを分離することができることが驚くべきことに見出された。
【0040】
なお更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含む、方法である。本明細書に記載されるように、細胞外小胞は、接触させることの前に精製されない。
【0041】
そのような実施形態では、少なくとも5×1010である細胞外小胞の濃度を確立し、次いでEVを少なくとも1:300倍で希釈することによって、分析のための標識されたEVを回収するために、抗体によるEVの標識に続いて濾過を必要としないことが決定された。
【0042】
本明細書に記載されるように、そのような方法は、生体液中で細胞外小胞を濃縮することを含む。EVを濃縮する方法は、本明細書に記載されており、例えば、EVを遠心分離すること、並びにEVを1つ以上のタンジェンシャルフローフィルタに通してEVを濃縮することを含む。好適には、EVを、約100kD(100キロダルトン)~約400kDの分子量カットオフ、より好適には約300kDの分子量カットオフを有する修飾ポリ(エーテルスルホン)(MPES)フィルタであるタンジェンシャルフローフィルタに通す。
【0043】
細胞外小胞の濃度を決定するための方法が本明細書に記載されており、好適な実施形態では、EV濃度は、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される。EV濃度は、好適には、少なくとも約1×1010個のEV/mL、より好適には、少なくとも約2×1010個のEV/mL、少なくとも約3×1010個のEV/mL、少なくとも約4×1010個のEV/mL、少なくとも約5×1010個のEV/mL、少なくとも約6×1010個のEV/mL、少なくとも約7×1010個のEV/mL、少なくとも約8×1010個のEV/mL、少なくとも約9×1010個のEV/mL、又は少なくとも約10×1010個のEV/mLである。
【0044】
少なくとも約5×1010個のEV/mLのEVの濃度が達成されたら、EVを、EV細胞表面マーカに対する抗体と接触させることができる。全体にわたって記載されるように、抗体は、好適には、抗テトラスパニン抗体であり、例示的な抗体としては、限定されないが、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び抗IgG1抗体が挙げられる。
【0045】
抗体によって接触させるEVの数は、好適には、約1×107~1×1010個のEV、より好適には、約1×108~1×109個のEVであるか、又は他の実施形態では、約1×108個、約2×108個、約3×108個、約4×108個、約5×108個、約6×108個、約7×108個、約8×108個、約9×108個、若しくは約1×109個のEVを、抗体と接触させる。抗体をEVに接触させるための条件は、当該技術分野で既知であり、好適なものとしては、抗体及びEVSを、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間、好適には、約35℃~42℃又は約37℃の温度で少なくとも40分間、少なくとも50分間、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、又は少なくとも2時間インキュベートすることが挙げられる。実施形態では、インキュベーションは、撹拌インキュベーター内で、例えば、約1,200~1,500rpm、又は約1,400rpmの回転速度で行われる。
【0046】
本明細書に記載されるように、EVの回収及び潜在的な分析の前に、抗体でEVを標識するためのインキュベーションに続いて、EVは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの好適な緩衝液を使用して、少なくとも約1:200(体積:体積)まで好適に希釈される。更なる実施形態では、EVは、EVの更なる分析の前に、少なくとも約1:250、1:300、1:350、1:400、1:450。1:500、1:550、1:600、1:650、1:700、1:750、1:800、1:850、1:900、1:950、又は少なくとも約1:1000(体積:体積)まで希釈される。
【0047】
全体を通して記載されるように、EVを産生するために様々な細胞型が利用され得、好適な実施形態では、細胞外小胞は、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される。そのような実施形態では、生体液は、好適には、HEK-293又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地である。
【0048】
なお更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0049】
抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体を含む、EVを標識することにおける使用のための例示的な抗体が、全体にわたって記載されている。好適には、細胞外小胞を、1×108~1×109個の抗体粒子と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする。
【0050】
実施形態では、細胞外小胞は、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生され、好適には、調整培地は、HEK-293又はMSC細胞の成長培地を含み、細胞外小胞は、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される。ナノ粒子分析のためのフローサイトメータの使用を含む、細胞外小胞の濃度を決定する方法が、本明細書に記載されている。
【0051】
標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定するための分析を含む、回収されたEVを分析する様々な方法が、本明細書に記載されている。
【0052】
なお更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞をRNA特異的色素と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、cにおける接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0053】
実施形態では、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させる。好適には、RNA染色剤としては、例えば、SYTO(商標)RNASelect(商標)及びQuant-iT(商標)RiboGreen(商標)(ThermoFisher、Waltham,MA)が挙げられる。例示的な実施形態では、細胞外小胞を、RNA特異的色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする。
【0054】
本明細書に記載されるように、好適には、細胞外小胞は、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される。実施形態では、細胞外小胞の濃度は、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される。本明細書に記載されるように、好適には、生体液は、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地であり、濃縮することが、生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む。
【0055】
更なる実施形態では、本明細書で提供されるのは、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、cにおける接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0056】
好適には、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤(本明細書に記載の例示的な染色剤)と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする。好適には、細胞外小胞は、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される。実施形態では、細胞外小胞の濃度は、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される。好適には、調整培地は、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される。
【0057】
本明細書に記載されるように、好適には、回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、例えば、製造プロセスの品質管理ステップの一部として、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する。
【実施例】
【0058】
実施例1:NanoSep濾過を使用する分析のための蛍光及び抗体標識並びに細胞外小胞の処理
材料及び方法
【表1】
【表2】
この手順は、NanoFCMからのNanoAnalyzerNanoAnalyzerによる更なる下流分析のための、CFSEによる粒子の定量化及び染色、又は抗テトラスパニン抗体による標識、続いて濾過について説明している。
【0059】
MSC及びHEK-293細胞から産生された細胞外小胞を含有する調整培地を、5×1010(好適には、1×1011個の粒子/mL)超に達するように、MicroKros300Kタンジェンシャルフローフィルタで濃縮した。EVの濃度は、NanoFCMからのNanoAnalyzerを使用して決定した。
【0060】
また、比較のために、製造業者の指示に従って、Izon(Izon SEC qEV10 35nm、カタログ番号qEV10/35nm)カラムを使用することによるサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、EVをMSC及びHEK-293細胞から精製した。
【表3】
【0061】
475μlの試料*+of CFSE200μM(最大10μl)
染色反応物をボルテックスし、暗所での振盪条件下、37℃のサーモミキサで1時間インキュベートする。
【0062】
インキュベーションの後、製造業者の指示に従って、300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材(NANOSEP(登録商標)300k)を含む遠心分離フィルタに通して濾過することによって、過剰のCFSEを除去し、プールされた画分をNanoAnalyzer(NanoFCM)で測定する。比較のために、第2の試料をサイズ除外カラムに通して濾過した。最良の濾材を決定するために、結果に示される追加の分離フィルタも調べた。
【表4】
【0063】
NanoAnalyzerで試料を測定して、粒子濃度が>4E+9であることを確認する。染色前の例示的な希釈。
MSCからのEV:1~300
HEK-293からのEV:1~500
【0064】
以下のように反応チューブを準備する。
単一染色Ab:9μlの試料+1μlのAb*
染色されていない対照:9μlの試料+1μlのPBS1×
Abミックス:1μlの各Ab*+7~9μlの試料(最大10μl)
*必要な場合中間希釈剤、すなわちアイソタイプAbを調製する
染色反応物をボルテックスし、暗所での振盪下、37℃のサーモミキサで1時間インキュベートする、
インキュベーション時間が終了したら、試料を少なくとも1:300に希釈し(又は必要な場合、より高い希釈を適用)、NanoAnalyzerで測定する。
結果及び考察
【0065】
図1-1及び
図1-2のA~Hは、サイズ排除クロマトグラフィー(
図1-1のA~D)及びNanoSep濾過(
図1-2のE~H)を使用する、色素除去の結果を示している。示されるように、両方の方法は、同等の染色効率及び過剰の蛍光色素の除去を提供したが、濾過に基づく方法は、SECに基づく方法と比較して、分離の時間を顕著に低減し、EV濃度の全体的な増加を提供した。
【0066】
図2は、標識されたEVからCFSE色素を除去することについての、異なる分子量カットオフ(300K、100K、及び50K)フィルタを比較している結果を示す。
図2はまた、(標識付けの前にサイズ排除クロマトグラフィーカラムに通して濾過した)精製したEVに対して、精製されていない濃縮したEV(濃縮上清)を使用した濾過結果を比較した。示されるように、300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材(NANOSEP(登録商標)300k)は、調整培地(濃縮上清)並びに精製したEVの両方から過剰のCFSEを除去することについて、最良の結果を示した。NanoSep100Kフィルタは、精製したEVから蛍光色素を効果的に除去したが、調整培地からは除去しなかった。
【0067】
また、NanoSep300KフィルタがEVのサイズ分布を改変しないことを確認するための実験を行った。SEC精製したEVのサイズを測定し(
図3A)、次いで、NANOSEP(登録商標)300Kフィルタに通し、再び測定した(
図3B)。示されるように、EVの中央サイズ及び平均サイズは、顕著に変動しなかった。
【0068】
図4Aは、従来のSEC方法と比較した、NANOSEP(登録商標)300Kフィルタを使用したEVからの過剰の抗体の効果的な除去を示している。前述のように、3つの抗体全てについて、EVの標識付け%は、両方の濾過方法を使用して同等であり、NanoSep300K濾過が、依然としてEVの高い濃度を維持しながら、過剰の抗体を除去するための効果的な方式であることを実証している。
図4B~4Cは、抗テトラスパニン抗体(CD9、CD63、及びCD81)によるEVの染色を示しており、HEK-293細胞(
図4B)及びMSC(
図4C)細胞培養物の調整培地及びプロセス中試料から過剰の標識抗体が効果的に除去されている。特に、方法は、そのままの調整培地(CM)、並びにDNAse処理後(DNased)、清澄後(CLAR)、0.2μmカットオフフィルタによるバイオバーデン濾過後(BB0.2)、タンジェンシャルフロー濾過前1(TFF1-インプット)、体積低減後(TFF1-vol red)、高塩洗浄後(TFF1-高塩)、ダイアフィルトレーション洗浄後(TFF1-DFC)、ダイアフィルトレーション洗浄した0.45μmカットオフによる濾過後(TFF1-DFC F45)、陰イオン交換クロマトグラフィー前(CHRインプット)、陰イオン交換クロマトグラフィー通過(CHR-FT)、陰イオン交換クロマトグラフィー洗浄(CHR-W)、陰イオン交換クロマトグラフィー画分(CHR-FX及びピーク)、陰イオン交換クロマトグラフィー高塩洗浄(CHR-高塩)、タンジェンシャルフロー濾過前2(TFF2-インプット)、脱塩洗浄後(TFF2-脱塩)、及び0.2μmカットオフフィルタによる最終滅菌濾過後を含む、EV精製プロセスのあらゆるステップからの試料に適用可能であった。
図5A~5Fは、効果的かつ偏りのない抗体結合を決定するための手段として粒径分布を使用した場合の、同様の結果を示している。
【0069】
実施例2:濾過を伴わない、分析のための細胞外小胞の抗体標識及び処理
EVを含むMSC及びHEK-293細胞からの調整培地を、タンジェンシャルフロー濾過(300kDタンジェンシャルフローフィルタ)を使用して濃縮した。抗体標識プロセスを開始する前に、NanoFCMを使用して、ナノ粒子濃度を5×1010個のEV/mL超と決定した。
【0070】
約2×108~1×109個の抗体粒子で抗CD9、抗CD63、及び抗CD81抗体を添加し、約1400rpmで撹拌しながら37℃で1時間インキュベートした。
【0071】
試料を適切な緩衝液で1:300超まで希釈し、次いで抗体標識についてNanoFCMで分析した。
図6A~6Bは、抗体標識を測定するときに、1:300超の希釈倍数を使用することが、依然として許容可能な蛍光閾値を可能にしたことを示している。
【0072】
分析前に濾過を使用しなかったことによって、濾過中に同じものからEVを除去する懸念が排除された。
【0073】
図7Aは、従来のSEC濾過方法に対する、本明細書に記載の抗体染色及び分析のための希釈方法の比較を示している。示されるように、分析前に1:1000に希釈することによって、SEC濾過を介して達成されるものと同等の標識効率が生じた。
【0074】
図7Bは、MSC培養物からの濃縮された(150×)調整培地を利用した、本明細書に記載の抗体染色及び分析のための希釈方法の結果を示している。分析前の1:1000希釈によって、許容可能な閾値(<200)及び事象数(>2000)で、染色%、中央サイズ及び平均サイズ(nm)の効率的な標識付けが生じた。
図7Cは、HEK-293細胞培養物から濃縮した(30×)調整培地からの結果を示している。分析前の1:1000希釈によって、許容可能な閾値(<200)及び事象数(>2000)で、染色%、中央サイズ及び平均サイズ(nm)の効率的な標識付けが生じた。
【0075】
実施例3:濾過を伴わない、分析のための細胞外小胞のRNA染色及び処理
EVを含むMSC及びHEK-293細胞からの調整培地を、タンジェンシャルフロー濾過(300kDタンジェンシャルフローフィルタ)を使用して濃縮した。RNA染色プロセスを開始する前に、NanoAnalyzer(NanoFCM)を使用して、ナノ粒子濃度を5×1010個のEV/mL超と決定した。
【0076】
SYTO(商標)RNASelect(商標)(Syto、Thermo Fisher Scientific)及びQuant-iT(商標)RiboGreen(登録商標)(RiboGreen、Thermo Fisher Scientific)をそれぞれ25μMで添加し、1:50に希釈した。Syto及びRiboGreenについては、両方とも37℃の振盪下で試料をそれぞれ20分間及び30分間インキュベートし、光から保護した。試料を適切な緩衝液で1:300超まで希釈し、次いで抗体標識についてNanoFCMで分析した。第2の試料をNanoSep300Kフィルタに通して、希釈に対して色素の濾過を比較した。
【0077】
図8Aは、RiboGreen及びSytoの両方が、エクソソーム参照試料(ExoRef)を効果的に標識することを示している。全てのグラフ(8A~8C)では、QuantT-iT miRNAをRNA標識のための対照として示している。
【0078】
図8Bは、HEK-293細胞から調製したEVが、RiboGreen及びSytoの両方で効果的に標識され、希釈の使用によって、Nanosep濾過と比較すると、ほぼ同じの決定された標識効率が生じることを示している。
【0079】
図8Cは、MSC細胞から調製したEVが、RiboGreen及びSytoの両方で効果的に標識され、希釈の使用によって、Nanosep濾過と比較すると、ほぼ同じの決定された標識効率が生じることを示している。
【0080】
これらの結果は、希釈が、RNA染色剤で標識されたEVを特徴評価するために効果的に使用することができること、及び分析前に非結合蛍光RNA染色剤を分離するために濾過が必要ではないことを実証している。これは驚くべき予想外の結果であり、全体にわたって記載されているように、分析のためのEVを調製するための迅速かつ簡単な方法を提供する。
【0081】
EVが精製されていない調整培地中のEVについて、本明細書で提供される実験データに基づいて、同様の結果が予想され得る。これらの方法は、過剰のRNA色素を濾過するためのタンジェンシャルフロー濾過(300kDのタンジェンシャルフローフィルタ)の使用、並びに過剰の色素を除去するための希釈方法を含む。調整培地中でのEVに翻訳すると、両方の方法は、精製されたEVで提供されるものと同様の結果をもたらすことが予想される。
【0082】
例示的な実施形態
実施形態1は、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度を決定することと、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして標識された細胞外小胞集団を生成することと、接触させた細胞外小胞を、200~750kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0083】
実施形態2は、濃縮することが、生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、実施形態1に記載の方法を含む。
【0084】
実施形態3は、タンジェンシャルフローフィルタが、約100kD~約500kDの分子量カットオフを有する、実施形態2に記載の方法を含む。
【0085】
実施形態4は、細胞外小胞を、蛍光染色色素6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)と接触させる、実施形態1に記載の方法を含む。
【0086】
実施形態5は、細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、実施形態1に記載の方法を含む。
【0087】
実施形態6は、細胞外小胞を、蛍光染色色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする、実施形態1~4のいずれかに記載の方法を含む。
【0088】
実施形態7は、細胞外小胞を、抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、方法実施形態1~3又は実施形態5を含む。
【0089】
実施形態8は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態1~7のいずれかに記載の方法を含む。
【0090】
実施形態9は、生体液中の細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態1~8のいずれかに記載の方法を含む。
【0091】
実施形態10は、細胞外小胞の濃度が、接触させることの前に、少なくとも1×1010個の細胞外小胞/mLであると決定される、実施形態1~9のいずれかに記載の方法を含む。
【0092】
実施形態11は、生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地である、実施形態1~10のいずれかに記載の方法を含む。
【0093】
実施形態12は、接触させた細胞外小胞を、遠心分離フィルタに少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間通す、実施形態1~11のいずれかに記載の方法を含む。
【0094】
実施形態13は、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度を決定することと、細胞外小胞を、蛍光染色色素又は細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして標識された細胞外小胞集団を生成することと、接触させた細胞外小胞を、300kDの分子量カットオフのポリエーテルスルホン濾材を含む遠心分離フィルタに通して、標識された細胞外小胞集団を過剰の蛍光染色色素又は過剰の抗体から分離することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0095】
実施形態14は、細胞外小胞を、蛍光染色色素6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)と接触させる、実施形態13に記載の方法を含む。
【0096】
実施形態15は、細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、実施形態13に記載の方法を含む。
【0097】
実施形態16は、細胞外小胞を、蛍光染色色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも1時間インキュベートする、実施形態13又は実施形態14に記載の方法を含む。
【0098】
実施形態17は、細胞外小胞を、抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、実施形態13又は実施形態15に記載の方法を含む。
【0099】
実施形態18は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態13~17のいずれかに記載の方法を含む。
【0100】
実施形態19は、調整培地中の細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態13~18のいずれかに記載の方法を含む。
【0101】
実施形態20は、細胞外小胞の濃度が、cにおける接触させることの前に、少なくとも1×1010個の細胞外小胞/mLであると決定される、実施形態13~19のいずれかに記載の方法を含む。
【0102】
実施形態21は、調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、実施形態13~20のいずれかに記載の方法を含む。
【0103】
実施形態22は、接触させた細胞外小胞を、遠心分離フィルタに少なくとも10,000×gの遠心力で少なくとも10分間通す、実施形態13~21のいずれかに記載の方法を含む。
【0104】
実施形態23は、回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、実施形態13~22のいずれかに記載の方法を含む。
【0105】
実施形態24は、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0106】
実施形態25は、細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、実施形態24に記載の方法を含む。
【0107】
実施形態26は、1×108~1×109個の細胞外小胞を、抗体粒子と接触させる、実施形態24又は実施形態25に記載の方法を含む。
【0108】
実施形態27は、細胞外小胞を、抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、実施形態24~26のいずれかに記載の方法を含む。
【0109】
実施形態28は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態24~27のいずれかに記載の方法を含む。
【0110】
実施形態29は、細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態24~28のいずれかに記載の方法を含む。
【0111】
実施形態30は、生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地であり、濃縮することが、生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、実施形態24~29のいずれかに記載の方法を含む。
【0112】
実施形態31は、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、細胞外小胞表面マーカに対する抗体と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0113】
実施形態32は、細胞外小胞を、抗CD9抗体、抗CD63抗体、抗CD81抗体、及び/又は抗IgG1抗体と接触させる、実施形態31に記載の方法を含む。
【0114】
実施形態33は、細胞外小胞を、1×108~1×109個の抗体粒子と接触させる、実施形態31又は実施形態32に記載の方法を含む。
【0115】
実施形態34は、細胞外小胞を、抗体と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも30分間インキュベートする、実施形態31~33のいずれかに記載の方法を含む。
【0116】
実施形態35は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態31~34のいずれかに記載の方法を含む。
【0117】
実施形態36は、細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態31~35のいずれかに記載の方法を含む。
【0118】
実施形態37は、調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、実施形態31~36のいずれかに記載の方法を含む。
【0119】
実施形態38は、回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、実施形態31~37のいずれかに記載の方法を含む。
【0120】
実施形態39は、細胞外小胞を処理するための方法であって、生体液中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞をRNA特異的色素と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞が精製されない、方法である。
【0121】
実施形態40は、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させる、実施形態39に記載の方法を含む。
【0122】
実施形態41は、細胞外小胞を、RNA特異的色素と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする、実施形態39又は40に記載の方法を含む。
【0123】
実施形態42は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態39~41のいずれかに記載の方法を含む。
【0124】
実施形態43は、細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態39~42のいずれかに記載の方法を含む。
【0125】
実施形態44は、生体液が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含む調整培地であり、濃縮することが、生体液をタンジェンシャルフローフィルタに通すことを含む、実施形態39~43のいずれかに記載の方法を含む。
【0126】
実施形態45は、細胞外小胞を分析するための方法であって、タンジェンシャルフローフィルタを用いて、調整培地中で細胞外小胞を濃縮することと、細胞外小胞の濃度が少なくとも5×1010個の細胞外小胞/mLであることを決定することと、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させることと、接触させた細胞外小胞をインキュベートして、標識された細胞外小胞集団を生成することと、標識された細胞外小胞集団を少なくとも1:300倍で希釈することと、標識された細胞外小胞集団を回収することと、回収され、標識された細胞外小胞集団を、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して分析することと、を含み、接触させることの前に、細胞外小胞がサイズ排除クロマトグラフィーを介して精製されない、方法である。
【0127】
実施形態46は、細胞外小胞を、緑色蛍光RNA染色剤又は赤色蛍光RNA染色剤と接触させ、約30℃~40℃の温度で少なくとも20分間インキュベートする、実施形態45に記載の方法を含む。
【0128】
実施形態47は、細胞外小胞が、ヒト胚性腎臓(HEK-293)細胞、ヒト白人結腸腺がんHT-29細胞、又は間葉系幹細胞(MSC)から産生される、実施形態45又は46に記載の方法を含む。
【0129】
実施形態48は、細胞外小胞の濃度が、ナノ粒子分析のためのフローサイトメータを使用して決定される、実施形態45~47のいずれかに記載の方法を含む。
【0130】
実施形態49は、調整培地が、HEK-293、HT-29、又はMSC細胞の成長培地を含み、細胞外小胞が、bにおいて、300kDの分子量カットオフのタンジェンシャルフローフィルタを使用して濃縮される、実施形態45~48のいずれかに記載の方法を含む。
【0131】
実施形態50は、回収され、標識された細胞外小胞集団を分析して、標識効率、細胞外小胞数、細胞外小胞濃度、及び細胞外小胞サイズのうちの1つ以上を決定する、実施形態45~49のいずれかに記載の方法を含む。
【0132】
本明細書では特定の実施形態を例示及び記載しているが、特許請求の範囲は、記載及び図示される部分の特定の形態又はアレンジメントに限定されるべきではないことが理解されるべきである。本明細書では、例示的な実施形態が開示され、特定の用語が用いられるが、それらは、限定の目的ではなく、一般的かつ説明的な意味でのみ使用される。上記の教示に照らして、実施形態の修正及び変形が可能である。したがって、実施形態は、具体的に記載される以外の方法で実施され得ると理解されるべきである。
【0133】
本明細書中に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されるのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】