(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-25
(54)【発明の名称】流体製品投与アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240917BHJP
【FI】
A61M11/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518856
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 FR2022051798
(87)【国際公開番号】W WO2023047067
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】デシャン,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】エスピノーサ,ディエーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブロンデル,マチルド
(72)【発明者】
【氏名】レブラ,ナウファル
(57)【要約】
流体製品投与アセンブリは、タンク(10)と、タンク(10)内を摺動するピストン(20)と、タンク(10)に取り付けられ、流体製品をタンク(10)内に吸引するサンプリング針と、タンク(10)上でサンプリング針(30)の周りに組み付けられ、流体製品をスプレーするための、取り外し可能なスプレーヘッド(40)と、を備え、スプレーヘッド(40)は、投与口(41)の上流側に配置されたインサート(50)を含み、タンク(10)上に組み付けられたとき、輸送位置と使用位置との間で軸方向に移動可能であり、さらに、スプレーヘッド(40)がその輸送位置に組み付けられるとき、および/またはその使用位置に移動させられるときに、スプレーヘッド(40)を案内するためのガイド手段(111;39)と、スプレーヘッド(40)をその輸送位置に保持するための第1のロック手段(112;46、119)と、スプレーヘッド(40)をその使用位置に保持するための第2のロック手段(113;48、119)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品投与アセンブリであって、
流体製品を収容するタンク(10)と、
前記タンク(10)に取り付けられ、投与される流体製品を前記タンク(10)内に吸引するサンプリング針(30)と、
前記タンク(10)上で、前記サンプリング針(30)の周りに組み付けられ、前記タンク(10)の外に投与される前記流体製品をスプレーするための、取り外し可能なスプレーヘッド(40)と、
を備え、
前記タンク(10)は、当該タンク(10)内を摺動するピストン(20)を備え、
前記スプレーヘッド(40)は、投与口(41)と、当該投与口(41)の上流側に配置されたインサート(50)とを含み、前記タンク(10)上に組み付けられたとき、輸送位置と使用位置との間で軸方向に移動可能であり、
前記流体製品投与アセンブリは、さらに、
前記スプレーヘッド(40)がその輸送位置に組み付けられるとき、および/またはその使用位置に移動させられるときに、前記スプレーヘッド(40)を案内するためのガイド手段(111;39)と、
前記スプレーヘッド(40)をその輸送位置に保持するための第1のロック手段(112;46、119)と、
前記スプレーヘッド(40)をその使用位置に保持するための第2のロック手段(113;48、119)と、
を備えることを特徴とする流体製品投与アセンブリ。
【請求項2】
前記サンプリング針(30)は、排出口(32)が設けられた針部(35)を備え、前記針部(35)は、大径の第1の部分(33)と、小径の第2の部分(34)とを備え、
前記第2の部分(34)は、前記排出口(32)を含む先端部を形成し、
前記インサート(50)は、前記スプレーヘッド(40)が前記タンク(10)上に組み付けられるときに、前記先端部を受け入れる受入スリーブ(59)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項3】
前記輸送位置において、小径の前記第2の部分(34)によって形成された前記先端部は、前記受入スリーブ(59)内に、前記先端部の外面と前記受入スリーブの内面との間に空間を有して配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項4】
前記使用位置において、大径の前記第1の部分(33)は、前記受入スリーブ(59)と密着、特に密封接触している
ことを特徴とする請求項2または3に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項5】
前記使用位置において、小径の前記第2の部分(34)は、前記受入スリーブ(59)と密接している
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項6】
前記スプレーヘッド(40)は、半径方向内側に延出された少なくとも1つの内部プロファイル(45)を備え、
前記タンク(10)は、前記タンク(10)の外周面上において、半径方向外側に延在し、軸方向にオフセットされた位置に配されている第2と第3の外部プロファイル(112、113)を備え、
前記少なくとも1つの内部プロファイル(45)は、前記第2の外部プロファイル(112)と係合して、前記輸送位置を規定する前記第1のロック手段を形成し、前記第3の外部プロファイル(113)と係合して、前記使用位置を規定する前記第2のロック手段を形成する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項7】
前記スプレーヘッド(40)には、その周囲にわたって分布する複数の、好ましくは3つの前記内部プロファイル(45)が設けられ、
前記タンク(10)の前記第2および第3の外部プロファイル(112、113)は、それぞれ周縁リブの形態で形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項8】
前記タンク(10)は、半径方向外側に延在し、前記第2の外部プロファイル(112)に対して軸方向上方にオフセットされた位置に配され、前記スプレーヘッド(40)と係合して、前記ガイド手段を形成する第1の外部プロファイル(111)を備える
ことを特徴とする請求項6または7に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項9】
前記サンプリング針(30)は、前記スプレーヘッド(40)と係合して、前記ガイド手段を形成する半径方向外壁(39)を備える
ことを特徴とする請求項6または7に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項10】
前記タンク(10)は、半径方向に突出するラグ(119)を備え、
前記スプレーヘッド(40)は、軸方向下端部(43)において径方向に対向する各位置から軸方向上方に延びる第1および第2の切り欠き(46、48)を備え、
前記第2の切り欠き(48)は、前記第1の切り欠き(46)よりも大きく、
前記第1のロック手段は、前記ラグ(119)が前記第1の切り欠き(46)と係合することによって形成され、
前記第2のロック手段は、前記ラグ(119)が前記第2の切り欠き(48)と係合することによって形成される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項11】
前記各切り欠き(46、48)は、前記ラグ(119)がスナップ止めされる、それぞれのクリッピングゾーン(47、49)で終端している
ことを特徴とする請求項10に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項12】
前記タンク(10)および/または前記ピストン(20)は、前記タンク(10)内に収容されている投与されるべき流体製品を、当該流体製品投与アセンブリの数回の連続的な作動の間にスプレーされることを意図した少なくとも2つの用量に分けるための用量分割手段(15、17;25)を備える
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項13】
前記用量分割手段は、前記タンク(10)に設けられた溝部(15)内を摺動する前記ピストン(20)のラグ(25)を含み、
前記溝部には、流体製品の1回目の用量を投与した後に前記ラグ(25)をブロックするための肩部(17)が設けられている
ことを特徴とする請求項12に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項14】
前記タンク(10)および/または前記ピストン(20)は、投与される前記流体製品のスプレーを可能にするために、少なくとも1つの所定の大きさの力の適用を必要とするエネルギー蓄積手段(18、19)を備える
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項15】
前記エネルギー蓄積手段(18、19)は、前記ピストンの前記ラグ(25)と係合する少なくとも1つのボトルネックまたはボスを備え、
前記ラグ(25)は、少なくとも前記所定の力が前記ピストン(20)に加えられたときに、前記エネルギー蓄積手段を越えて通過することができる
ことを特徴とする請求項13および14に記載の流体製品投与アセンブリ。
【請求項16】
前記ラグ(25)は、作動前には、前記エネルギー蓄積手段(18、19)から軸方向にオフセットされた位置にあり、作動ストロークの開始時には、前記ピストン(20)は、空気および/またはデッドボリュームのパージを実行する
ことを特徴とする請求項15に記載の流体製品投与アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品投与アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
流体製品投与装置はよく知られている。これらは一般に、タンク、投与手段、および投与ヘッドから構成される。投与ヘッドは、例えば鼻腔タイプのスプレーヘッドとすることができる。これらのスプレーヘッドは、一般に、2つの部分、すなわちヘッドを形成する本体と、ノズルを形成する部分、すなわち流体製品を投与する際に渦巻きを起こさせることによってスプレーを形成する部分とからなる。
【0003】
外部ノズルの場合、小さなスリーブが本体の下流端に外側から挿入され、それによってスプレープロファイルが規定される。
【0004】
いわゆる内部ノズルの場合、ヘッド内部に挿入されたインサートが本体の端壁と係合して、スプレープロファイルが規定される。
【0005】
いずれの場合も、スプレープロファイルは一般に、ヘッドの底壁、外部ノズルを形成するスリーブ、または内部ノズルを形成するインサートのいずれかに形成される複数、特に3つの非放射状チャネルを備えている。
【0006】
一般に、スプレーヘッドは、ポンプのピストンロッドまたはバルブに組み付けられ、ポンプまたはバルブから投与された流体製品を投与口に導く。
【0007】
しかし、注射針を通して注射するのではなく、注射器型タンクの出口に直接スプレーヘッドを配置して、注射器の内容物を噴霧することも提案されている。国際公開第2000/071263号には、このような配置が記載されている。
【0008】
繰り返しになるが、これらのスプレーヘッドはやはり2つ以上の部品を組み合わせて作られている。これにより、特に、これらのシリンジを吸引モードで使用することができなくなる。特に、スプレーヘッドを備えた注射器では、注射器の典型的な吸引モード、例えばサンプリングタンクから流体製品を吸引することはできない。
【0009】
さらに、針付きの注射器では、流体製品の投与の際にスプレーを行えない。
【0010】
国際公開第2015/104511号には、タンクとサンプリング針が形成された一体型部品からなり、最初に粉末を溶媒と混合して流体製品を構成し、次に、サンプリング針の周囲に組み付けられたスプレーヘッドを介して、1回または2回に分けて鼻腔スプレーの形態でその混合物を噴霧する流体製品投与アセンブリが記載されている。
【0011】
このアセンブリには欠点がある。つまり、サンプリング針の先端が、スプレーヘッドが組み付けられていない状態では保護されないか、組み付けられたスプレーヘッド内で応力を受けるかのいずれかになる。いずれの場合も、使用前の輸送時、特にアセンブリが落下した場合に損傷する危険がある。
【0012】
さらに、針付きのタンクの一体型の構成は複雑になる可能性があり、同じ材料を使用しなければならず、必ずしも望ましとはいえない。
【0013】
米国特許第5547131号、米国特許第11065392号、米国特許出願公開第2005/098172号、欧州特許第2939700号には、先行技術の他の装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2000/071263号
【特許文献2】国際公開第2015/104511号
【特許文献3】米国特許第5547131号明細書
【特許文献4】米国特許第11065392号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/098172号明細書
【特許文献6】欧州特許第2939700号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の欠点を再現することがない流体製品投与アセンブリを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は特に、使用前、特に輸送や保管の際に針の先端の完全性を保証する流体製品投与アセンブリを提供することを目的とする。
【0017】
本発明はまた、特にタンクとサンプリング針を製造するための材料を最適化することができる流体製品投与アセンブリを提供することを目的とする。
【0018】
本発明はまた、製造および組立が簡単で安価であり、吸引モードでも投与モードでも動作可能な流体製品投与アセンブリを提供することを目的とする。
【0019】
本発明はまた、正確かつ再現性のあるスプレーを達成することを可能にする流体製品投与アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明に係る流体製品投与アセンブリは、流体製品を収容するタンクと、前記タンクに取り付けられ、投与される流体製品を前記タンク内に吸引するサンプリング針と、前記タンク上で、前記サンプリング針の周りに組み付けられ、前記タンクの外に投与される前記流体製品をスプレーするための、取り外し可能なスプレーヘッドと、を備え、前記タンクは、当該タンク内を摺動するピストンを備え、前記スプレーヘッドは、投与口と、当該投与口の上流側に配置されたインサートとを含み、前記タンク上に組み付けられたとき、輸送位置と使用位置との間で軸方向に移動可能であり、前記流体製品投与アセンブリは、さらに、前記スプレーヘッドがその輸送位置に組み付けられるとき、および/またはその使用位置に移動させられるときに、前記スプレーヘッドを案内するためのガイド手段と、前記スプレーヘッドをその輸送位置に保持するための第1のロック手段と、前記スプレーヘッドをその使用位置に保持するための第2のロック手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
有利には、前記サンプリング針は、排出口が設けられた針部を備え、前記針部は、大径の第1の部分と、小径の第2の部分とを備え、前記第2の部分は、前記排出口を含む先端部を形成し、前記インサートは、前記スプレーヘッドが前記タンク上に組み付けられるときに、前記先端部を受け入れる受入スリーブを備えるとしても良い。
【0022】
有利には、前記輸送位置において、小径の前記第2の部分によって形成された前記先端部は、前記受入スリーブ内に、前記先端部の外面と前記受入スリーブの内面との間に空間を有して配置されているとしても良い。
【0023】
有利には、前記使用位置において、大径の前記第1の部分は、前記受入スリーブと密着、特に密封接触しているとしても良い。
【0024】
有利には、前記使用位置において、小径の前記第2の部分は、前記受入スリーブと密接しているとしても良い。
【0025】
有利な実施形態によれば、前記スプレーヘッドは、半径方向内側に延出された少なくとも1つの内部プロファイルを備え、前記タンクは、前記タンクの外周面上において、半径方向外側に延在し、軸方向にオフセットされた位置に配されている第2と第3の外部プロファイルを備え、前記少なくとも1つの内部プロファイルは、前記第2の外部プロファイルと係合して、前記輸送位置を規定する前記第1のロック手段を形成し、前記第3の外部プロファイルと係合して、前記使用位置を規定する前記第2のロック手段を形成するとしても良い。
【0026】
有利には、前記スプレーヘッドには、その周囲にわたって分布する複数の、好ましくは3つの前記内部プロファイルが設けられ、前記タンクの前記第2および第3の外部プロファイルは、それぞれ周縁リブの形態で形成されているとしても良い。
【0027】
有利には、前記タンクは、半径方向外側に延在し、前記第2の外部プロファイルに対して軸方向上方にオフセットされた位置に配され、前記スプレーヘッドと係合して、前記ガイド手段を形成する第1の外部プロファイルを備えるとしても良い。
【0028】
変形例としては、前記サンプリング針は、前記スプレーヘッドと係合して、前記ガイド手段を形成する半径方向外壁を備えるとしても良い。
【0029】
他の有利な実施形態によれば、前記タンクは、半径方向に突出するラグを備え、前記スプレーヘッドは、軸方向下端部において径方向に対向する各位置から軸方向上方に延びる第1および第2の切り欠きを備え、前記第2の切り欠きは、前記第1の切り欠きよりも大きく、前記第1のロック手段は、前記ラグが前記第1の切り欠きと係合することによって形成され、前記第2のロック手段は、前記ラグが前記第2の切り欠きと係合することによって形成されるとしても良い。
【0030】
有利には、前記各切り欠きは、前記ラグがスナップ止めされる、それぞれのクリッピングゾーンで終端しているとしても良い。
【0031】
有利には、前記タンクおよび/または前記ピストンは、前記タンク内に収容されている投与されるべき流体製品を、当該流体製品投与アセンブリの数回の連続的な作動の間にスプレーされることを意図した少なくとも2つの用量に分けるための用量分割手段を備えるとしても良い。
【0032】
有利には、前記用量分割手段は、前記タンクに設けられた溝部内を摺動する前記ピストンのラグを含み、前記溝部には、流体製品の1回目の用量を投与した後に前記ラグをブロックするための肩部が設けられているとしても良い。
【0033】
有利には、前記タンクおよび/または前記ピストンは、投与される前記流体製品のスプレーを可能にするために、少なくとも1つの所定の大きさの力の適用を必要とするエネルギー蓄積手段を備えるとしても良い。
【0034】
有利には、前記エネルギー蓄積手段は、前記ピストンの前記ラグと係合する少なくとも1つのボトルネックまたはボスを備え、前記ラグは、少なくとも前記所定の力が前記ピストンに加えられたときに、前記エネルギー蓄積手段を越えて通過することができるとしても良い。
【0035】
有利には、前記ラグは、作動前には、前記エネルギー蓄積手段から軸方向にオフセットされた位置にあり、作動ストロークの開始時には、前記ピストンは、空気および/またはデッドボリュームのパージを実行するとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の特徴、利点および他の事項は、非限定的な例として以下に示す詳細な説明および添付の図面を参照することにより、さらに明らかになる。
【
図1】第1の有利な実施形態に係る投与アセンブリの概略断面図であり、スプレーヘッドが輸送位置に組み付けられている様子を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係るスプレーヘッドの詳細断面図である。
【
図4】
図3に示す切断線A-Aに沿ったスプレーヘッドの水平断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係るサンプリング針の概略斜視図である。
【
図7】第1の実施形態に係るタンクの概略斜視図である。
【
図9】スプレーヘッドが輸送位置に位置している投与アセンブリの概略図である。
【
図10】サンプリング段階の、スプレーヘッドを除いた投与アセンブリを示す図である。
【
図11】1回目の用量を投与する前における投与アセンブリを示す図である。
【
図12】1回目の用量を投与した後、2回目の用量を投与する前における投与アセンブリを示す図である。
【
図13】2回目の用量を投与した後における投与アセンブリを示す図である。
【
図14】第2の実施形態に係るサンプリング針の概略斜視図である。
【
図15】第2の実施形態に係る投与アセンブリの概略断面図であり、スプレーヘッドが輸送位置に組み付けられている様子を示す図である。
【
図16】第3の実施形態に係るタンクの概略斜視図である。
【
図17】第3の実施形態に係るスプレーヘッドの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
流体製品投与アセンブリは、シリンジタイプのタンク10とピストン20とを備える。ピストン20は、タンク10内において、
図11に示される後退位置と、
図1、
図2、
図9、
図10、
図13、
図15に示される押圧位置との間を摺動する。
【0038】
タンク10には、サンプリング針30が取り付けられ、サンプリング針30の上には、投与口41を備えたスプレーヘッド40が着脱自在に組み付けられる。スプレーヘッド40は、投与口41の上流側に配置された中空のインサート50を含む。
【0039】
サンプリング段階では、スプレーヘッド40を取り外してサンプリング針30を露出させ、このサンプリング針30を、流体製品を含む容器に挿入して、サンプリング針40を通じてタンク10内にその流体製品を吸い込むことができる。
【0040】
このサンプリング段階の後、スプレーヘッド40がサンプリング針30の周りの元の位置に戻される。これにより、タンク10内に含まれる流体製品を例えば点鼻スプレーのようなスプレーの形態で投与することが可能になる。
【0041】
本発明によれば、取外し可能なスプレーヘッド40は、タンク10に組み付けられると、輸送位置と使用位置との間で軸方向に移動可能である。
【0042】
ピストン20は、ピストンロッド21と一体のピストン要素22を備える。ピストンロッド21は、投与時にユーザーによって、特にピストンロッド21のエンドカラー23が手動で押し込まれることによって作動する。
【0043】
ピストン要素22は、例えばプラスチック材料の成形によってピストンロッド21と一体に形成することができ、あるいは、例えばオーバーモールドによってピストンロッド21に取り付けられる別個の要素として形成することができる。この場合、ピストン要素22は、ピストンロッド21とは異なる材料のものとすることができる。
【0044】
タンク10は、投与される流体製品を受け入れる上部11と、ピストンロッド21と係合する下部12とから構成されている。有利には、タンク10の上部11と下部12との間に、指受け部を形成する半径方向フランジ13が設けられる。
【0045】
タンク10の上部11には、サンプリング針30が例えばねじ止めまたはスナップ止めによって取り付けられる端部110が設けられている。この端部110は、
図1、
図2および
図7に示すように外径を小さくすることができる。
【0046】
タンク10の下部12には、少なくとも1つの溝部15が設けられ、各溝部15は、ピストンロッド21のラグ25と係合する。このラグ25は、半径方向外向きに突出しており、当該投与アセンブリが作動するとき、対応する溝部15内で摺動する。有利には、直径方向に対向する位置に配された2つの溝部15と、直径方向に対向する位置に配された2つのラグ25とを設けることができる。
【0047】
溝部15は、用量分割手段を形成する肩部17を備えることができる。この場合、溝部15は、肩部17の位置から横方向にオフセットしてさらに上に延びる上部溝部分16によって軸方向に延長される。
【0048】
したがって、投与すべき流体製品をスプレーするためにピストン20が作動すると、ピストン20のラグ25は、溝部15の第1の部分内で軸方向に摺動し、溝部15の肩部17に当たって停止する。タンク10内におけるピストン20の作動ストロークが肩部17でカットされることで、1回目の用量が定義される。
【0049】
ユーザーは、例えば、2回目の用量をスプレーするには、ピストン20をわずかに回転させて、ラグ25を第2の溝部分16に向かわせなければならない。当然のことながら、本発明は単回投与装置にも適用され、この場合、投与される流体製品のすべてが1回分の用量としてスプレーされる。また、2回分以上の用量を含む装置、例えば3回分や4回分の用量を含む装置にも適用できる。
【0050】
有利には、溝部15は、例えばボトルネック18、19のようなエネルギー蓄積手段を有し、このエネルギー蓄積手段は、それぞれの作動ストロークの開始時にラグ25と係合して、ユーザーがピストン20に対して少なくともエネルギー蓄積手段によって発生される抵抗に打ち勝つのに十分な力を及ぼすことを課すことができる。
【0051】
この力に達すると、ラグ25がエネルギー蓄積手段を越えて通過し、このときユーザーの手に蓄積されていたエネルギーが突然解放され、これにより作動ストローク、または2回分の用量の例では作動ハーフストロークが完全に達成されることが保証される。
【0052】
もちろん、これらのエネルギー蓄積手段は、任意の適切な方法で製造することができ、ボトルネック18、19は、有利な実施形態の一例に過ぎない。例えば、溝部15、16内のボスまたは破断可能なブリッジが考えられる。
【0053】
用量分割手段の他の変形例としては、例えば、ピストンに十分な力が加えられたときに変形する弾性変形可能な部分をピストンまたはタンクのいずれかに形成することが考えられる。この場合、用量分割手段は同時にエネルギー蓄積手段を構成することができる。他の変形も考慮することができる。
【0054】
図示された例では、サンプリング針30は、排出口32を備えた針部35を備える。
【0055】
サンプリング針30には、タンク10、特にその端部110に、例えばねじ止め、スナップ止め、またはその他の適切な取り付け手段によってサンプリング針30を取り付けるための取付部31が設けられている。針部35は、有利には、取付部31に接続された、より大きな直径の第1の部分33と、排出口32を備える先端部を形成する、より小さな直径の第2の部分34とを備える。
【0056】
スプレーヘッド40は、投与口41を含む底壁を備えた中空の本体42を備える。スプレーヘッド40は、投与口41の上流に、サンプリング針30に適合されるインサート50を含む。
【0057】
このインサート50は、有利にはスプレーヘッド40の上部スリーブ44に挿入される。インサート50は、有利には、流体製品がインサート50の内側から外側へ通過することを可能にする1つまたは複数の側部通路55を備える。したがって、インサート50の軸方向上端壁51が閉じられ、インサート50の軸方向上端壁51の外面は、スプレーヘッド40の底壁とともに、例えば旋回流路52とスプレーチャンバ53とを含むスプレープロファイルを形成することができる。
【0058】
このスプレープロファイルにより、流体製品がスプレーヘッド40を通じて投与されるときに、良好なスプレーを生成することが可能になる。
【0059】
スプレープロファイルは、インサートの上端壁51の外面上に形成することができる。変形例では、スプレープロファイルをスプレーヘッド40の上記底壁に設けることができ、その場合、インサートの上端壁51の外面を平滑にすることができる。
【0060】
好ましくは、スプレーヘッド40およびインサート50は、それぞれプラスチック材料の成形によって製造される。有利には、スプレーヘッド40とインサート50によって形成されるユニットは、国際公開第2021/094683A1号明細書に記載されているように製造される。
【0061】
インサート50の、上端壁51とは軸方向の反対側には、スプレーヘッド40がタンク10上に組み付けられるときにサンプリング針30の先端部を受け入れるための受入スリーブ59が設けられている。
【0062】
図1に示されるように輸送位置では、針部35における小径の第2の部分34によって形成される針の先端部は、有利にはインサート50の受入スリーブ59の内側に配置されるが、先端部34の外面と受入スリーブ59の内面との間には空間が介在している。
【0063】
したがって、この輸送位置では、サンプリング針30の先端部34は、インサート50によって半径方向の応力をかけられることがなく、インサート50の受入スリーブ59によって保護されていることになる。これにより、例えば輸送中にこのアセンブリが誤って落下した場合、落下に伴う衝撃によってスプレーヘッド40がタンク10に対して応力を受けても、先端部34が損傷するおそれがない。
【0064】
図2に示されるように、スプレーヘッド40がその使用位置まで軸方向に移動されると、針部35は、有利には、大径の第1の部分33が受入スリーブ59と密着し密封接触するまで、受入スリーブ59内にさらに入り込む。
【0065】
有利には、受入スリーブ59の径が投与口41の方向に向かうに伴って減少している。これにより、使用位置において、針部35の第2の部分34よって形成された先端部が受入スリーブ59の内壁に密接することが可能である。
【0066】
本発明によれば、このアセンブリは、スプレーヘッド40がその輸送位置に組み付けられるとき、および/または、その使用位置に移動させられるときに、スプレーヘッド40を案内するためのガイド手段と、スプレーヘッド40をその輸送位置に保持するための第1のロック手段と、スプレーヘッド40をその使用位置に保持するための第2のロック手段とを備える。
図1~
図13は、第1の有利な実施形態を示している。
【0067】
この第1の実施形態では、タンク10の上部11に、スプレーヘッド40と係合する第1の外部プロファイル111、第2の外部プロファイル112および第3の外部プロファイル113が設けられている。第1~第3の外部プロファイル111~113は、それぞれが半径方向外側に延在し、かつ、上部11の外周面上において軸方向にオフセットされた位置に配されている。以下でさらに詳しく説明する。
【0068】
外部プロファイル111、112、113のそれぞれは、例えば、リブの形態で周囲にわたって延びる1つの単一プロファイルから構成することができる。変形例としては、それぞれの外部プロファイルごとに、周方向に分布する複数の突起を1つのプロファイルとして考慮することもできる。
【0069】
スプレーヘッド40の軸方向下端部43は、半径方向内側に延出された少なくとも1つの内部プロファイル45を備える。有利には、複数、例えば3つまたは4つの内部プロファイル45が軸方向下端部43の周方向に分布しているとすることができる。変形例では、一周全体にわたって延びる単一の内部プロファイルが可能である。
【0070】
この少なくとも1つの内部プロファイル45は、スプレーヘッド40が第1の外部プロファイル111、第2の外部プロファイル112および/または第3の外部プロファイル113を有するタンク10上に組み付けられるときに係合する。
【0071】
したがって、スプレーヘッド40がタンク10上に組み付けられるとき、少なくとも1つの内部プロファイル45が最初に第1の外部プロファイル111を通過し、これが主にガイドとして、またタンク10に対するスプレーヘッド40の軸方向の位置合わせとして機能する。このように第1の実施形態では、ガイド手段は、第1の外部プロファイル111によって形成される。
【0072】
図1に示されるように輸送および保管の場合、少なくとも1つの内部プロファイル45は、第2の外部プロファイル112の上を通過するが、第3の外部プロファイル113の上を通過しない。したがって、第1の実施形態では、第1のロック手段は、第2の外部プロファイル112によって形成される。
【0073】
そして、タンク10の内容物をスプレーするために装置を使用しなければならない場合にのみ、少なくとも1つの内部プロファイル45が第3の外部プロファイル113の上を通過してそこにスナップ止めされる。したがって、第1の実施形態では、第2のロック手段は、第3の外部プロファイル113によって形成される。
【0074】
図1~
図13に示される例において、
図4では、スプレーヘッド40の周方向に3つの内部プロファイル45が分布している構成を見てとることができる。この場合、
図10に示されるようにタンク10の第1、第2および第3の外部プロファイル111、112、113は、それぞれ周縁リブによって形成される。
【0075】
有利には、投与アセンブリを構成する各部品は、その特性を最適化するように適合された特定の材料で作ることができる。したがって、例えばスプレーヘッド40は、タンク10の外部プロファイル111、112、113にスナップ止めできるように、ポリプロピレンのように硬質であるがわずかに柔軟性を有する材料で作ることができる。
【0076】
同様に、インサート50は、スプレーヘッド40とサンプリング針30の両方を密閉できるように、ポリプロピレンなどの硬質であるがわずかに柔軟性を有する材料で作ることができる。
【0077】
タンク10は、タンク内の流体製品を見ることができるように硬質材料で十分に半透明とすることができるが、しかし、使用位置において限られた力でスプレーヘッド40に嵌め込めるように、ポリプロピレンのようなわずかな柔軟性を有するとすることができる。
【0078】
有利には、スプレーヘッド40、インサート50およびタンク10は、同一の材料、好ましくはポリプロピレンで作られている。
【0079】
サンプリング針30は、有利には、例えばCOC、COP、PTCA、PBTまたはPCからなる部材を効果的に突き刺すことを可能にするために、成形時には十分に流動性を有し、冷却後には硬くて壊れにくい材料で作られている。
【0080】
ピストン20は、高密度ポリエチレンのような、剛性のある材質かつ滑らかで摺動性のある表面状態を有しながらも、若干の柔軟性を有する材料で作られており、過度な力を発生させることなくタンク10とのシールを確保することができる。剛性と柔軟性の折り合いは、タンク10内へのピストン20の組み立てと各作動時の効果的なエネルギー蓄積のためにも重要である。
【0081】
図9~
図13は、上述したような第1の実施形態に係る投与アセンブリを使用する段階を部分的に示している。
【0082】
図9に示されるように使用前、スプレーヘッド40は、その保管および輸送位置に、サンプリング針30上に取り外し可能に予め組み立てられており、サンプリング針30の先端部は、インサート50の受入スリーブ59内で保護されている間、応力を受けない。
【0083】
したがって、ユーザーは、
図10に示すようにスプレーヘッド40を取り外してサンプリング段階を実行し、次にスプレーヘッド40を使用位置に戻してスプレーを実行することができる。
【0084】
サンプリングは、従来、ピストン20を針部35から離れる方向にタンク10内で摺動させることにより、サンプリングタンクからタンク10内に流体を吸引することにより行われている。オプションとして、複数の異なる流体を複数の異なるサンプリングタンクから吸引し、スプレー前にタンク10で混合することができる。
【0085】
こうしてスプレーヘッド40は、
図11に示される使用位置に位置するようにサンプリング針30の周りに再び組み付けられる。その後、投与される流体製品がスプレーヘッド40を通じてスプレーされ得る。
【0086】
有利には、第1および/または第2の用量の投与の前に、パージ、例えば空気パージおよび/またはデッドボリュームパージを実行することができる。
図11のように静止状態では、ピストンロッドのラグ25は、ボトルネック18から軸方向にオフセットされている。作動ストロークの開始時、ピストンロッドのラグ25がボトルネック18に接触してエネルギーの蓄積が可能になるまで、ピストン20の軸方向の動きによりこのパージを実行することが可能になる。
【0087】
図12は、1回目の用量を投与した後のアセンブリを示し、
図13は、2回目の用量を投与した後のアセンブリを示す。
【0088】
図14および
図15は、第2の実施形態を示しており、第2の実施形態は、ガイド手段のみが上述の第1の実施形態と異なっている。
【0089】
この第2の実施形態では、タンク上の第1の外部プロファイル111はもはや存在せず、サンプリング針30は、半径方向外壁39を有し、この半径方向外壁39は、スプレーヘッド40が軸方向に移動されるときに、スプレーヘッド40の内周面と係合して、スプレーヘッド40の移動の案内を行う。
【0090】
【0091】
第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、ガイド手段は、サンプリング針30の外壁39によって形成されている。第2の実施形態との違いは、第1および第2のロック手段である。
【0092】
第3の実施形態では、タンク10は、その上部11に、半径方向外側に突出するラグ119を備える。スプレーヘッド40には、軸方向下端部43において径方向に対向する各位置からそれぞれ軸方向上方に延びる2つの切り欠き46、48が設けられている。第2の切り欠き48は、第1の切り欠き46よりも軸方向長さが大きい。有利には、各切り欠き46、48は、タンク10のラグ119をスナップ止めすることができるクリッピングゾーン47、49が延出方向の終端になっている。
【0093】
したがって、輸送位置では、ラグ119が第1の切り欠き46のクリッピングゾーン47で留められる。
【0094】
ユーザーがこのアセンブリを使用したいとき、特にサンプリング段階では、輸送位置にあるスプレーヘッド40がタンク10から取り外される。
【0095】
次に、サンプリング段階の後であり、タンク10内の流体製品の用量を投与するためにこのアセンブリを使用する前に、スプレーヘッド40が実装される。このとき、タンクのラグ119が第2の切り欠き48に入り、使用位置においてクリッピングゾーン49で留められる。ガイド手段、第1のロック手段および第2のロック手段については、他の変形例も考えられる。
【0096】
本発明を、そのいくつかの有利な実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から離れることなく、それにいくつかの有用な変更を加えることができることが理解される。
【国際調査報告】