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特表2024-534731液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法
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  • 特表-液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
F17C3/04 A
F17C3/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575210
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 KR2022011981
(87)【国際公開番号】W WO2024029654
(87)【国際公開日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2022-0095458
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515282809
【氏名又は名称】コリア ガス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジ フン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ヘ チョル
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ウン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジン ヨン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB04
3E172BD02
3E172DA02
3E172DA03
3E172DA10
3E172DA13
3E172KA02
3E172KA03
3E172KA19
(57)【要約】
本発明は、大容量の水素を液化状態で貯蔵する貯蔵設備又は液化水素を貯蔵及び運送する運送手段に適用され得る液化水素貯蔵タンクに対して、液化水素の蒸発ガス発生量を制御することができ、液化水素貯蔵タンクの圧力を低く維持できるシステム及び方法に関する。本発明に係る液化水素貯蔵タンクは、内部に液化水素を貯蔵する貯蔵容器であって、液化水素が貯蔵される下部空間と、気体が貯蔵される上部空間とを含み、前記上部空間又は上部空間と下部空間にわたって設置され、前記上部空間を介して下部空間に熱エネルギーが流入することを防止するための熱流入防止手段;をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液化水素を貯蔵する貯蔵容器であって、液化水素が貯蔵される下部空間と、気体が貯蔵される上部空間と、を含み、
前記上部空間又は上部空間と下部空間にわたって設置され、前記上部空間を介して下部空間に熱エネルギーが流入することを防止するための熱流入防止手段;をさらに含む、液化水素貯蔵タンク。
【請求項2】
前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクの液化水素の最大水位に固定設置される、請求項1に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項3】
前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表面に当接していたり、少なくとも一部が液化水素に浸っており、液化水素の水位によって流動的に位置が変化する、請求項1に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項4】
前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表面との間にガス層を含み、液化水素の表面と離隔した位置に設置される、請求項1に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項5】
前記熱流入防止手段は、
前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素に浮遊したり、表面に当接するように設置される浮遊体;及び
前記上部空間又は前記下部空間の表面を冷却させる上部熱交換器;のうちいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項6】
前記浮遊体は、
前記液化水素より密度が低く、それ自体で浮力を有する断熱素材である、請求項5に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項7】
前記浮遊体は、
本体;及び
前記本体の内部に充填されるパウダー形態の断熱素材;を含む、請求項5に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項8】
前記浮遊体は一つ以上設けられる、請求項5に記載の液化水素貯蔵タンク。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項の液化水素貯蔵タンクの温度制御方法において、
前記上部空間を冷却させ、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表層を固体化させ、液化水素の気化反応を抑制する、液化水素貯蔵タンクの温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量の水素を液化状態で貯蔵する貯蔵設備又は液化水素を貯蔵して運送する運送手段に適用され得る液化水素貯蔵タンクに関し、より詳細には、液化水素の蒸発ガス発生量を制御することができ、液化水素貯蔵タンクの圧力を低く維持できる液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の運送は、内陸での運送と海上での運送とに大きく区分することができる。内陸での運送としては、パイプライン又は貯蔵設備が含まれた専用車両及び鉄道などを用いた運送が可能であり、海上での運送としては、貯蔵設備が含まれた船舶などの浮遊体を用いた運送が可能である。
【0003】
近年まで、水素は、200bar以上に圧縮して特殊容器に貯蔵し、運送を通じて小規模供給及び活用を行ってきたが、炭素税などの環境にやさしいエネルギーの活用が浮き彫りになることによって大容量・長距離移送のための技術が必要である。特に、効率的な運送のためには、気体状態の水素を冷却及び加圧することによって液化させて得た液体状態の水素を貯蔵及び運送することを考慮しなければならない。
【0004】
液体状態の水素は、気体状態の水素を極低温状態(大気圧を基準にして約-253℃)で冷却させて得ることができ、極低温用特殊断熱貯蔵タンクに貯蔵することによって液体状態で運送することができる。
【0005】
液化水素(liquefied hydrogen)は、気体状態であるときよりも体積が約1/865に減少するので、同一の圧力で気体水素に比べて865倍の体積エネルギー密度を有している。このように水素を液体状態で貯蔵すると、気体状態の水素を高圧で貯蔵する場合に比べて高密度貯蔵が可能であり、貯蔵タンクの安全性の面でも有利であることはもちろん、貯蔵費用を減少させることができ、爆発の危険性が低いという長所がある。
【0006】
既存の液化ガス貯蔵技術は、LNG(Liquefied Natural Gas)やLPG(Liquefied Petroleum Gas)などを対象としている。常用化された液化ガス貯蔵技術のうちLNGの液化温度は、大気圧を基準にして約-163℃であって、既存の貯蔵技術を水素に適用するためには、水素の液化温度(或いは沸騰点)が遥かに低いので、貯蔵圧力が高くならざるを得ない。よって、既存の貯蔵技術を水素に適用するためには、断熱厚さを数倍から数十倍増加させなければならない。
【0007】
また、商用されているLNGと類似する断熱技術で液化水素を貯蔵する場合、三重点温度を基準にして、貯蔵タンクの設計圧力は3bar以上の高圧になる。すなわち、液化水素の貯蔵圧力が高くなるにつれて、貯蔵タンクの内壁の厚さが増加せざるを得なく、内壁の厚さが建設及び検査基準を超えてしまうので、実現が不可能になる。
【0008】
したがって、大量の液化水素を貯蔵及び運送するのにおいて、貯蔵圧力を低下させ、既存の液化ガス貯蔵技術で断熱及びエネルギー効率を改善する技術が非常に重要である。
【0009】
一方、液化ガスを貯蔵及び運送するにおいて、蒸発ガスの処理は必須的であり、LNGの蒸発ガスを処理する多様な方法が提示されており、また、実際に適用されている。
【0010】
ところが、LNGは、約0.36bar、約-163℃で安定状態が維持される一方で、液化水素は、LNGより約90℃低い-253℃で貯蔵され、LNGの貯蔵圧力である0.36barの数倍に達する2bar乃至6bar区間で貯蔵される。また、液化水素は、オルト-パラ(ortho-para)転換反応によって蒸発ガスが不規則に発生するという特性を有するので、実際にLNGの蒸発ガス処理技術を液化水素の蒸発ガスに適用するのにも限界を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、上述した問題を解決するためのものであって、液化水素を貯蔵、運送及び荷役するにおいて、大容量の液化水素貯蔵タンクを低圧に維持できるように温度を制御できる方法を提供する。
【0012】
また、水素は、オルト-パラ転換反応によって不規則に発生する蒸発ガスの発生量を制御し、液化水素貯蔵タンクの圧力を低く維持することができ、貯蔵タンクの大型化を実現できる液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
ここで、本発明が解決しようとする技術的課題及び目的は、上述した技術的課題及び目的に限定されなく、他の技術的課題及び目的は、下記の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するための本発明の一側面によると、内部に液化水素を貯蔵する貯蔵容器として、液化水素が貯蔵される下部空間と、気体が貯蔵される上部空間とを含み、前記上部空間又は上部空間と下部空間にわたって設置され、前記上部空間を介して下部空間に熱エネルギーが流入することを防止するための熱流入防止手段;をさらに含む、液化水素貯蔵タンクが提供される。
【0015】
好ましくは、前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクの液化水素の最大水位に固定設置されてもよい。
【0016】
好ましくは、前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表面に当接していたり、少なくとも一部が液化水素に浸っており、液化水素の水位によって流動的に位置が変化してもよい。
【0017】
好ましくは、前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表面との間にガス層を含み、液化水素の表面と離隔した位置に設置されてもよい。
【0018】
好ましくは、前記熱流入防止手段は、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素に浮遊したり、表面に当接するように設置される浮遊体;及び前記上部空間又は前記下部空間の表面を冷却させる上部熱交換器;のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0019】
好ましくは、前記浮遊体は、前記液化水素より密度が低いので、それ自体で浮力を有する断熱素材であってもよい。
【0020】
好ましくは、前記浮遊体は、本体;及び前記本体の内部に充填されるパウダー形態の断熱素材;を含むことができる。
【0021】
好ましくは、前記浮遊体は一つ以上設けられてもよい。
【0022】
上述した目的を達成するための本発明の他の一側面によると、前記液化水素貯蔵タンクの温度制御方法において、前記上部空間を冷却させ、前記液化水素貯蔵タンクに貯蔵された液化水素の表層を固体化させることによって液化水素の気化反応を抑制する、液化水素貯蔵タンクの温度制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る液化水素貯蔵タンク及び液化水素貯蔵タンクの温度制御方法 、貯蔵タンクの内部を冷却させ、液化水素の一部を固体化させ、安定した状態で液化水素を貯蔵することによって、液化水素の貯蔵圧力を常圧水準に維持することができる。
【0024】
また、液化水素の一部を固体化させることによって、液体状態の水素から極低温の冷熱及び気化潜熱をさらに得ることができる。
【0025】
また、液化水素の運転圧力が低くなるので、貯蔵タンクの内壁の厚さが減少し、液化水素貯蔵タンクの大型化を実現することができる。
【0026】
液化水素貯蔵タンクと燃料電池とを連係し、液化水素蒸発ガスを燃料電池の燃料として使用するにおいて、外部温度と経過時間によって蒸発ガスの発生量が異なるという問題が既存していたが、本発明によると、液化水素貯蔵タンクの内部温度を制御することによって、不規則に発生していた水素蒸発ガスの発生量を一定に調節することができ、燃料電池に水素燃料を安定的に供給することができ、その結果、電力を安定的に生産して供給することができる。
【0027】
また、極低温の液化ガスを海上運送するときは、波高によるスロッシング(sloshing)が発生するようになり、貯蔵タンクの損傷を誘発するが、本発明によると、液化水素の一部を粘度の高い固体に相変化させることによってスロッシングに有利に対応することができ、運送の安全性を確保することができる。
【0028】
また、大量の超低温状態の液化水素を安定的に長期貯蔵するためには、液化水素貯蔵タンクの断熱も重要であるが、効率的に冷熱を活用する工程が必要である。本発明によると、低温タンクと高温タンクとの間で液化水素の冷熱を最大限活用しながら蒸発ガスの発生量を制御することによって安定的に電力を生産し、生産された電力を液化水素の冷却に活用するなどの全体的な制御工程の効率性を高め、液化水素を超低温液体状態で長期間維持及び貯蔵できるようにする。
【0029】
また、エネルギー効率の高い蒸発ガス制御技術を液化水素の貯蔵及び運送中に適用できることはもちろん、液化水素の荷役が実施される液化水素供給基地及び引受基地などのターミナルでも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施例に係る液化水素貯蔵タンクを簡略に示した図である
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の好ましい実施例を例示する添付の図面、及び添付の図面に基づいた内容を参照しなければならない。
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例の構成及び作用を詳細に説明する。ここで、各図面の各構成要素に対して参照符号を付すにおいて、同一の構成要素に限っては、他の図面上に表示されたとしても、可能な限り同一の符号で表記されたことに留意しなければならない。また、下記の実施例は、多くの他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0033】
後述する本発明の一実施例に係る液化水素貯蔵タンク、液化水素蒸発ガス制御システム及び方法、並びに液化水素供給システム及び方法は、陸上(onshore)はもちろん、海上(offshore)の貯蔵設備及び運送手段に全て適用され得る。
【0034】
以下、本発明の一実施例は、海上に適用されることを基準にして説明し、液化水素貯蔵タンクが設けられる運送手段が船舶であることを例に挙げて説明する。また、本発明の一実施例は、海上に適用されることを基準にして説明し、液化水素を受け取る需要先が陸上の液化水素貯蔵基地であることを例に挙げて説明する。
【0035】
本発明の一実施例を説明するにおいて、船舶は、液化水素を貯蔵する貯蔵設備が設けられた船舶であって、液化水素運搬船などの自己推進能力を有する船舶を始めとして、FPSO(Floating Production Storage Offloading)、FSRU(Floating Storage Regasification Unit)のように推進能力は有さないが、海上に浮遊している海上構造物を含むことができる。ただし、後述する各実施例において、船舶が液化水素運搬船であることを例に挙げて説明する。
【0036】
以下、図1を参照して、本発明の一実施例に係る液化水素貯蔵タンク、液化水素蒸発ガス制御システム及び方法を説明する。
【0037】
図1を参考にすると、本発明の一実施例に係る液化水素貯蔵タンク100は、内部に液化水素を貯蔵できる貯蔵容器であって、内部空間は、液化水素が貯蔵される下部空間(liquid space)と、その上に密度の低い気体が貯蔵される上部空間(vapor space)とを含む。
【0038】
また、本実施例に係る液化水素貯蔵タンク100の上部空間、又は上部空間と下部空間との界面には、液化水素貯蔵タンク100の下部空間に貯蔵された液化水素の表層又は上部空間の温度を制御するための熱流入防止手段が備えられる。
【0039】
下部空間と上部空間は、物理的に分離される空間ではなく、内部空間に貯蔵される液化水素の水位(liquid level)によって、内部空間で下部空間が占める体積と上部空間が占める体積とが流動的に変わる。また、貯蔵タンク100の内部空間に液化水素が船積みされるときから荷役されるまで、時間及び温度変化によっても上部空間と下部空間が占める体積が流動的に変わり得る。一方、上部空間と下部空間の体積差は相対的なものであって、上部空間の体積が増加すると下部空間の体積が減少し得る。
【0040】
本実施例の熱流入防止手段は、貯蔵タンク100の液化水素の最大貯蔵量の高さに固定されていたり、又は液化水素の水位によって流動的にその位置が変化してもよい。
【0041】
また、熱流入防止手段は、貯蔵された液化水素の表面に当接していたり、下端の一部分のみが液化水素に浸っているように備えられてもよい。
【0042】
また、熱流入防止手段は、貯蔵された液化水素の表面との間に一部のガス層を含み、液化水素の表面と離隔した状態で上部空間に設置されてもよい。
【0043】
本実施例の熱流入防止手段は、貯蔵された液化水素の表面に浮遊したり、貯蔵された液化水素の上部表面に当接するように設置される浮遊体(floating plate)110、及び、浮遊体110より低い位置に設けられ、内部空間内で相対的に密度が低く、温度が高い上部空間の温度を調節するための上部熱交換器120のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0044】
本実施例の浮遊体110は、貯蔵タンク100に貯蔵された液化水素の表面に浮遊できると共に、断熱機能を有する素材であって、外部から内部空間の上部に流入する外部からの熱侵入を液化水素の表層で遮断することができる。
【0045】
本実施例において、浮遊体110を構成する断熱素材は、ポリウレタンフォーム(PUF;polyurethane Foam)及び中空ガラス(glass bubble)を含む群から選ばれるいずれか1種以上の物質であってもよい。
【0046】
浮遊体110は、液化水素より密度が低く、それ自体で浮力を有する素材であってもよい。また、浮遊体110は、本体、及び本体の内部に充填されるパウダー形態の断熱素材を含むことによって、浮力効果を確保することもできる。
【0047】
また、本実施例において、浮遊体110は一つ以上設けられてもよい。浮遊体110を複数個備える場合、液化水素の極低温による浮遊体110の低温収縮や、貯蔵タンク100が運送手段によって運搬される場合、流動によって浮遊体110が損傷するという問題を防止することができる。
【0048】
本実施例の上部熱交換器120は、太陽熱などの貯蔵タンク100の上部を介した外部からの熱侵入などを一部遮断し、流入した熱が貯蔵された液化水素の表層で熱交換することを抑制するために、上部空間を冷却させる。
【0049】
上部熱交換器120は、浮遊体110の下部に設置され、浮遊体110と連結された構造であってもよい。上部熱交換器120を用いて貯蔵タンク100の上部空間又は液化水素の表層を冷却させることによって効果的に蒸発ガスの発生を制御することができ、向上した冷却効率を得ることができる。
【0050】
上部熱交換器120は、チューブタイプ又はプレートタイプの熱交換器であってもよい。
【0051】
本実施例によると、上部熱交換器120は、液化水素を冷却させるための冷媒を供給する冷却機(図示せず)と連結されてもよい。
【0052】
本実施例において、冷媒はヘリウムであってもよく、冷凍機は、約4.5K乃至21Kのヘリウムを上部熱交換器120に供給することができる。
【0053】
以下、上述した本発明の一実施例に係る液化水素貯蔵タンク100において、貯蔵タンク100の内部温度及び液化水素の蒸発ガス発生を制御する方法を説明する。
【0054】
本実施例の液化水素貯蔵タンク100は、100m以上の大容量貯蔵タンクであって、少なくとも2台以上備えられる。
【0055】
また、本実施例の貯蔵タンク100の運転圧力は、0.1bar乃至6barであってもよく、好ましくは3bar以下、さらに好ましくは1bar以下又は常圧に維持され得る。
【0056】
本実施例の貯蔵タンク100の上部空間は、熱流入防止手段によって、液化水素が固体及び液体の混合状態で存在する温度範囲、約13K乃至21K、20K以下、又は13K乃至14Kに維持され得る。
【0057】
この温度範囲で、液化水素は、少なくとも一部が液体状態であるときより密度の高い固体状態で存在し、液体と固体の混合状態、好ましくはスラリー状態で存在するようになる。
【0058】
液化水素は、密度が1K当たり約1kg/mずつ変化するが、液化水素の温度が14Kであるときの密度は約77kg/mで、液化水素の温度が21Kであるときの密度は77kg/mである。
【0059】
また、本実施例の貯蔵タンク100の上部空間は、熱流入防止手段によって、液化水素の三重点温度に維持され得る。
【0060】
このように貯蔵タンク100に貯蔵された液化水素の一部、特に液化水素の表面をスラリー化することによって、液化水素が蒸発しようとする反応性を抑制させ、安定的に水素が液体状態を維持しながら貯蔵できるようにする目的で実施される。
【0061】
液化水素の一部が固体化されはじめると、液化水素のオルト-パラ転換反応が抑制されることによって、液化水素が気体に相変化すること、及び気化の拡散を防止して安定化させる。上部熱交換器120によって貯蔵タンク100に貯蔵された液化水素の一部、特に液化水素の表面層がスラリー状態で存在し得る。
【0062】
上部熱交換器120は、貯蔵タンク100に貯蔵された液化水素のうち一部、具体的には、上部熱交換器120が配置される周辺の液化水素を固体化させる。本実施例の上部熱交換器120は、貯蔵タンク100に貯蔵された液化水素の反応性が基準値より増加するとき、又は特定温度以下で選択的に稼動することもできる。
【0063】
本実施例によると、液化水素を固体状態に相変化させる固体化装置である上部熱交換器120が大型タンクである本実施例の貯蔵タンク100内部の上部空間に設けられ、液化水素を固体化させ、貯蔵された液化水素を全体でなく部分的に固体化させ、部分的に冷熱をさらに多く保有している固体状態で水素を貯蔵することによって保有潜熱を最大化し、安定的に水素を貯蔵することができる。
【0064】
本発明は、前記実施例に限定されなく、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様に修正又は変形して実施可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0065】
100 液化水素貯蔵タンク
【0066】
110 浮遊体
【0067】
120 上部熱交換器
図1
【国際調査報告】