(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】消耗物品用の加熱要素、及び関連する消耗品キット、ベイピングセット及びエアロゾルを生成するための方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240918BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240918BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240918BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500401
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074292
(87)【国際公開番号】W WO2023031318
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘダーチェット, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マクエボイ, ジャッコ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB21
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、消耗物品(12)用の加熱要素(14)に関し、この消耗物品(12)は、気化性材料を貯蔵する貯蔵部分(22)を含み、加熱要素(14)は、消耗物品(12)の貯蔵部分(22)の少なくとも部分的に周りに係合位置で係合するように構成された要素ボディ(24)を含み、要素ボディ(24)は、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に少なくとも部分的に着脱可能に受け入れられるように構成されている。要素ボディ(24)は、熱吸収/放出材料(32)を含み、この熱吸収/放出材料(32)は、-要素ボディ(24)がエネルギー供給空洞内にこの消耗物品(12)と共に受け入れられているときに実行される予熱段階中に熱を吸収し、-ベイピング段階中に、要素ボディ(24)が消耗物品(12)との係合位置にある間に、吸収した熱を放出する、ことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗物品(12)用の加熱要素(14)であって、前記消耗物品(12)は気化性材料を貯蔵する貯蔵部分(22)を含み、前記加熱要素(14)は、前記消耗物品(12)と、前記消耗物品(12)の前記貯蔵部分(22)の少なくとも部分的に周囲での係合位置で係合し、且つ係合解除されるように構成された要素ボディ(24)を含み、
前記要素ボディ(24)は、外部エネルギー供給装置(42)のエネルギー供給空洞(52)内に少なくとも部分的に着脱可能に受け入れられるように更に構成されており、
前記要素ボディ(24)は、熱吸収/放出材料(32)を含み、前記熱吸収/放出材料(32)は、
-前記要素ボディ(24)が前記消耗物品(12)と係合し、前記外部エネルギー供給装置(42)の前記エネルギー供給空洞(52)内にこの消耗物品(12)と共に前記係合位置にある状態で受け入れられているときに実行される予熱段階中には、熱を吸収し、
-トリガーイベントが発生すると実行されるベイピング段階中には、前記要素ボディ(24)が前記消耗物品(12)との前記係合位置にある間に、前記吸収した熱を前記貯蔵部分(22)に、更に前記気化性材料に放出する、ことができ、
前記要素ボディ(24)は、前記外部エネルギー供給装置(42)との誘導相互作用により熱を生成することができる少なくとも1つのサセプタを含むヒーター(31)を更に含む、加熱要素(14)。
【請求項2】
前記熱吸収/放出材料(32)は、相変化中に熱を吸収/放出することができる相変化材料(PCM)であり、
好ましくは、前記相変化材料(PCM)は、前記予熱段階中に融解し、前記ベイピング段階中に固化するように選択され、
有利には、前記相変化材料(PCM)は、塩、塩の共融混合物、又は塩水和物を含む、請求項1に記載の加熱要素(14)。
【請求項3】
前記ヒーター(31)は、
-前記予熱段階中に、熱を生成し、この熱を前記熱吸収/放出材料(32)に伝達し、且つ/又は、
-前記ベイピング段階中に、前記熱吸収/放出材料(32)から前記気化性材料へ熱を伝達する、ことができる、請求項1又は2に記載の加熱要素(14)。
【請求項4】
前記ヒーター(31)は、前記要素ボディ(24)が前記消耗物品(12)との前記係合位置にあるときに、前記消耗物品(12)の前記貯蔵部分(22)の少なくとも部分的に周囲に配置されるか、且つ/又は、前記消耗物品(12)の前記貯蔵部分(22)を貫通するように、設計されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項5】
前記ヒーター(31)は、前記要素ボディ(24)が前記消耗物品(12)との前記係合位置にあるときに、前記消耗物品(12)の前記貯蔵部分(22)と前記熱吸収/放出材料(32)との間に介在するように設計されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項6】
前記ヒーター(31)は、前記熱吸収/放出材料(32)と混合された又は前記熱吸収/放出材料(32)の中に埋め込まれた複数のサセプタを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項7】
前記要素ボディ(24)は、前記要素ボディ(24)が前記消耗物品との前記係合位置にあるときに、前記消耗物品(12)の前記貯蔵部分を貫通するように設計された突出部材を更に備え、
前記突出部材は、ヒーター(31)、及び/又は前記熱吸収/放出材料(32)の少なくとも一部分を含み、
好ましくは、前記ヒーター(31)はサセプタを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項8】
前記要素ボディ(24)は、断熱体(33)であって、前記熱吸収/放出材料(32)の少なくとも部分的に周囲に配置され、且つ/又は前記貯蔵部分(22)の少なくとも部分的に周囲に配置されるように構成された、断熱体(33)を更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項9】
前記要素ボディ(24)は、物品軸(X)に沿ってスライドさせることにより前記消耗物品(12)と係合することができるリング又はカップを形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項10】
前記要素ボディ(24)が前記消耗物品(12)と係合しているときに、前記要素ボディ(24)を前記消耗物品(12)上で固定するように設計された固定手段を更に備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項11】
前記トリガーイベントは、前記貯蔵部分(22)内の前記気化性材料の所定の温度を達成すること、所定の時間遅延が満了すること、前記消耗物品(12)の近傍で所定の圧力を達成すること、又は、電源からの所定のエネルギー量を消費すること、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の加熱要素(14)。
【請求項12】
消耗品キット(10、110、210)であって、
-気化性材料を貯蔵する貯蔵部分(22、122、222)を備える消耗物品(12、112、212)と、
-熱吸収/放出材料を含む加熱要素(14、114、214)であって、前記熱吸収/放出材料は、
-前記消耗品キット(10、110、210)が外部エネルギー供給装置(42)のエネルギー供給空洞(52)内に受け入れられているときに実行される予熱段階中には熱を吸収し、
-トリガーイベントが発生すると実行されるベイピング段階中には、前記吸収した熱を前記貯蔵部分(22、122、222)に、更に前記気化性材料に放出する、ことができる、加熱要素(14、114、214)と、
を含む消耗品キット(10、110、210)。
【請求項13】
ベイピングセットであって、
-エネルギー供給空洞(52)を備える外部エネルギー供給装置(42)と、
-請求項12に記載の消耗品キット(10、110、210)と、
を含むベイピングセット。
【請求項14】
請求項12に記載の消耗品キット(10、110、210)からエアロゾルを生成するための方法であって、
-前記消耗品キット(10、110、210)を外部エネルギー供給装置(42)と係合させると、前記消耗品キット(10、110、210)の加熱要素(14、114、214)を加熱することにより予熱段階を実行するステップと、
-トリガーイベントが発生すると、前記加熱要素(14、114、214)によって前記気化性材料を加熱することにより、ベイピング段階を実行するステップと、
を有する、エアロゾルを生成するための方法。
【請求項15】
-前記ベイピング段階の後に前記消耗品キット(10、110、210)を前記外部エネルギー供給装置(42)と係合させると、前記加熱要素(14、114、214)を再度加熱するための再充填段階を実行するステップ、を更に有する、請求項14に記載のエアロゾルを生成するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば従来の紙巻きタバコのような従来のタバコ物品と比較すると消費者の健康に対する危険性が低減した、例えばタバコ物品のような消耗物品の加熱要素に関する。
【0002】
本発明は、消耗物品、消耗品キット、ベイピングセット、及びそのような加熱要素に関連してエアロゾルを生成するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
近年、(気化器又はエアロゾル生成装置としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急速に成長している。エアロゾル生成物質を加熱又は加温して、使用者が吸入するエアロゾルを生成する様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0004】
従来の紙巻きタバコと実質的に同じサイズの炭素ベースの加熱源を備えたエアロゾル生成消耗物品が提案されてきた。炭素源は、紙巻きタバコのように点火され、隣接して配置された気化可能基材を加熱する。これらの消耗物品には、従来の紙巻きタバコと同じ位小さく、ベイピングする際に扱いが容易であるという利点があった。しかしながら、固体の破片又は部分(例えば、炭)を燃やすと、消耗品の残りの部分から分離し、それによって消費者が火傷をする危険性が生じる傾向があった。従って、これらの消耗物品は、これまでのところ商業的に大きな成功を収めなかった。
【0005】
もう1つの最近のタイプの、一般に入手可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル生成装置又はいわゆる加熱非燃焼式装置(即ちHNB装置)である。このタイプの装置は、エアロゾル生成基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル生成基材を燃やしたり又は燃焼させたりすることなく、エアロゾル生成基材をこの範囲内の温度まで加熱することにより、蒸気が発生し、蒸気は、通常、冷却及び凝縮して、装置の使用者が吸入するためのエアロゾルを形成する。
【0006】
このタイプの幾つかの装置は、従来の紙巻きタバコの外部形状に似ていることがある例えば細長い形状をした消耗物品と共に動作することがある。そのような消耗物品は、基材部分及びマウスピース部分を含んでもよい。基材部分は、一般にエアロゾル生成基材を含み、装置の内部に受け入れられて加熱システムによって加熱されるように設計される。マウスピース部分は、装置から突き出ることがあり、使用者の唇及び/又は口と協働するように設計される。しかしながら、一部の使用者にとっては、このタイプの装置は、ベイピング中に装置を握ることになり、従来の紙巻きタバコと同じように扱うことができないという点で、従来の紙巻きタバコの体験とは異なっている。
【0007】
他の装置は、従来の紙巻きタバコの形状により近い細長い形状を有することがある。しかしながら、基材を加熱し、数回の連続するパフの間蒸発を適切に制御するのに必要な組み込まれる技術(例えば、電池、ヒーター、プリント回路基板)のせいで、これらの装置は、従来の紙巻きタバコよりも大幅に大きなままであり、従って、従来の紙巻きタバコに比べて異なるユーザ体験をもたらす。従って、ベイピング中に消費者がこれらの装置を常に扱う必要性を考慮すると、これらの装置によって常習的な喫煙者に与えられる消費者体験は、従来の紙巻きタバコのものとは異なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、従来の紙巻きタバコと同様の取り扱い体験を提供しながらも、リスクを低減したタバコ消費を確実にするための、消耗物品用の加熱要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、消耗物品用の加熱要素に関し、この消耗物品は、気化性材料を貯蔵する貯蔵部分を含み、加熱要素は、消耗物品の貯蔵部分の少なくとも部分的に周りに係合位置で係合するように構成された要素ボディを含み、要素ボディは、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に少なくとも部分的に着脱可能に受け入れられるように構成されており、
要素ボディは、熱吸収/放出材料を含み、この熱吸収/放出材料は、
-要素ボディが消耗物品と係合し、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内にこの消耗物品と共に係合位置にある状態で受け入れられているときに実行される予熱段階中には、熱を吸収し、
-トリガーイベントが発生すると実行されるベイピング段階中には、要素ボディが消耗物品との係合位置にある間に、吸収した熱を貯蔵部分に、更に気化性材料に放出する、ことができる。
【0010】
これらの特徴によれば、消耗物品と係合した加熱要素は、従来の紙巻きタバコにより近いユーザ体験を与えることができる。特に、本発明による加熱要素と共に使用される消耗物品は、従来の紙巻きタバコと同様のサイズ及び/又は形状をしていてもよく、使用者は、従来の紙巻きタバコに似た態様で、加熱要素と共に消耗物品を容易に扱う体験をすることができながらも、従来の紙巻きタバコと比べて健康上の有害な危険性を低減することができる。
【0011】
本発明による加熱要素は、簡単に使用することができる。予熱段階では、要素ボディは消耗物品と係合し、それら両方がエネルギー供給空洞内に受け入れられ、要素ボディの熱吸収/放出材料が外部エネルギー供給装置によって直接的に又は間接的に生成された熱を吸収することができる。ベイピング段階では、要素ボディは係合した消耗物品と共にエネルギー供給空洞から取り外され、従って、従来の紙巻きタバコのように使用者が扱うことができる。このベイピング段階中には、熱吸収/放出材料によって吸収された熱が貯蔵部分に放出され、従って、気化性材料は、燃焼することなく、十分な時間の間十分に加熱されてエアロゾルを生成することができる。完全なベイピングセッションを提供するために、エアロゾルは、少なくとも最小数の連続的なパフ(例えば、10回若しくは11回のパフ)の間、又は、少なくとも最小の時間(例えば、180秒若しくは300秒)の間生成されることが好ましい。熱吸収/放出材料に関しては、任意のタイプの熱エネルギー貯蔵(TES)材料を使用することができる。特定の実施形態では、熱吸収/放出材料は、相変化材料又はセラミックを含む。熱の吸収/放出は、熱的現象又は熱化学的現象によって行われることがある。この後者の場合には、少なくとも、予熱段階及びベイピング段階のうちの一方の間に、化学反応が生じることがある。
【0012】
従って、本発明による加熱要素は着脱可能である。
【0013】
本明細書中で用いる場合、「気化性材料」又は「エアロゾル形成前駆体」又は「エアロゾル材料」という用語は、液体、固体、ゲル、ムース、発泡体、又は他の物質のうちの1つ以上を指してもよい。気化性材料は、加熱されて以下で規定するようなエアロゾルが形成されてもよい。気化性材料は、ニコチン、カフェイン又は他の有効成分のうちの1つ以上を含んでもよい。有効成分は、液体であり得る担体によって運ばれてもよい。担体は、ポリオールなどのエアロゾル形成剤を含んでもよい。実施形態によっては、エアロゾル形成剤は、プロピレングリコール、1、3-ブタンジオール、及びグリセリンなどの多価アルコール、グリセロールモノ-、ジ-、又はトリアセテートなどの多価アルコールのエステル、及び/又は、モノ-、ジ-、若しくはポリ-カルボン酸、クエン酸トリエチル(TEC)、若しくはトリアセチンの脂肪族エステル、のうちの1種以上を含む。好ましい担体は、プロピレングリコール及び/又はグリセリンであってもよい。担体は、一般に約350℃以下の温度で加熱されると蒸発する。香料も含まれてもよい。香料とは、所望の味又は香りを生み出すために使用されうる物質を指す。それらの物質には、天然に存在する香料材料、植物、植物からの抽出物、合成して得られた香料物質、又はそれらの組み合わせ、が含まれてもよい。香料には、例えば、エチルバニリン(バニラ)、メントール、ベリー、酢酸イソアミル(バナナ油)、オイゲノール、清涼剤(例えば、ユーカリプトール、WS-5、若しくはWS-3)又は類似物が含まれてもよい。固体エアロゾル形成物質は、加工されたたばこ材料、波形シート、又は再構成たばこ(RTB)の向きが揃えられた細片若しくは断片、を含むロッド状であってもよい。
【0014】
本明細書中で用いる場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上として、前駆体の懸濁液を含んでいてもよい。前述の懸濁液は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又は蒸気を含んでいてもよい。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0015】
本明細書で用いる場合、「予熱段階」という用語は、熱吸収/放出材料を加熱するために使用される段階を指してもよい。言い換えると、予熱段階中に、熱は熱吸収/放出材料によって吸収される。有利にも、予熱段階は、熱吸収/放出材料が最大熱容量に従って熱を吸収するまで実行される。実施形態によっては、予熱段階は、エアロゾルを生成できるように気化性材料を予熱するために実行されてもよい。有利にも、予熱段階中に、加熱要素は消耗物品と係合し、それら両方が、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に受け入れられる。実施形態によっては、予熱段階中に、消耗物品のみがエネルギー供給空洞内に受け入れられる。予熱段階は、トリガーイベントが発生するまで実行されることがある。トリガーイベントには、貯蔵部分内の気化性材料の所定の温度の達成、又は所定の時間遅延の満了、又は消耗物品の近傍での所定の圧力の達成、又は電源からの所定のエネルギー量の消費、のうちの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0016】
本明細書で用いる場合、「ベイピング段階」という用語は、気化性材料がエアロゾルを生成することができる、少なくとも1つの予熱段階の後に実行される段階を指してもよい。特に、ベイピング段階は、少なくとも2つの動作モードに従って実行されることがある。装置外モードでは、加熱要素は消耗物品と係合しており、それら両方がエネルギー供給空洞から取り出されている。例えば、加熱要素を消耗物品と一緒に、例えば従来の紙巻きタバコのように、使用者が扱うことができる。この動作モードでは、熱吸収材料によって吸収された熱が貯蔵部分に放出されて、気化性材料が加熱される。装置内モードでは、消耗物品は、加熱要素の有無に関わらず、エネルギー供給空洞内に受け入れられる。このモードでは、気化性材料は、熱吸収/放出材料によって、及び/又はヒーターによって加熱されてエアロゾルが生成される。両方のモードに従って、ベイピング段階中に、使用者は、パフを行って消耗物品の内部に空気流を生成してもよく、又は、消耗物品はパフを行うことなく保たれてもよい。この最後の場合は、従来の紙巻きタバコの喫煙中のように、使用者がパフを行う合間の小休止に相当してもよい。
【0017】
外部エネルギー供給装置は携帯型とすることができ、消耗物品が蒸気を生成するために使用されていないときに、使用者が消耗物品と一緒に持ち運ぶことができる。外部エネルギー供給装置は、当技術分野で知られているHNB装置などのエアロゾル生成装置に似た装置によって形成することができる。特に、この外部エネルギー供給装置は、そのようなエアロゾル生成装置と同様に、電池、及びヒーター又は以降では熱発生器と呼ばれる任意の他の熱誘導要素を備えることができる。そのような熱発生器は、加熱要素を加熱するように、又は予熱段階中に加熱を引き起こすように適合させることができる。実施形態によっては、外部エネルギー供給装置は、HNB装置のように、それ自体でエアロゾル生成装置を形成することができ、この装置は、加熱要素無しで、直接的に消耗物品と共に使用することができる。
【0018】
消耗物品との係合位置にある加熱要素の要素ボディは、その総体積の少なくとも50%に従って、有利には少なくとも75%に従って、好ましくは総体積の少なくとも90%に従って、エネルギー供給空洞内に受け入れられるように適合されていてもよい。本発明の好ましい実施形態では、要素ボディは、エネルギー供給空洞の内部に完全に受け入れられるように適合されている。
【0019】
消耗物品は、1回の使用又は複数回の使用にむけて設計されていることがある。第1の場合には、消耗物品は、使用後に廃棄されるか又はリサイクルされることがある。第2の場合には、数回のベイピングセッションに渡って消耗物品を持ちこたえさせることが可能である。消耗物品は、例えばHNB装置で用いるための、当技術分野で知られている紙巻きタバコによって形成されてもよい。
【0020】
加熱要素は、特に、異なる消耗物品と共に、再利用可能であってもよい。例えば、消耗物品のエアロゾル生成能力が使い果たされると、加熱要素を消耗物品から取り外し、別の消耗物品と共に再利用することができる。この場合には、ベイピングの前に新たな予熱段階が必要であり得る。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、前述の熱吸収/放出材料は、相変化中に熱を吸収/放出することができる相変化材料(PCM)である。
【0022】
相変化材料(PCM)を使用すると、本発明の特別な利点を提示することができる、というのも、このタイプの材料は、高い熱貯蔵容量を有するからである。従って、これらの貯蔵容量を使用して、予熱段階中により多くの量の熱を貯蔵し、ベイピングセッションの持続時間全体を通じて、この量の熱を放出することができる。従って、ベイピングセッション全体を通じて、気化性材料を均一に加熱することができる。更に、相変化材料は、潜熱貯蔵材料であり、このことは、これらの材料の異なる相転移(固体-液体又は液体-気体)が等温で発生することを意味する。言い換えると、相転移中に、材料の温度を変化させることなく、より長い期間に渡って熱を吸収又は放出することができる。これらの期間を使用して、一定の温度で、熱を吸収するための予熱段階、及び熱を放出して気化性材料を気化させるためのベイピング段階を実行することができる。更に、相変化材料を適切な態様で選択することにより、予熱段階及びベイピング段階の各々の持続時間を調節することが可能である。特に、相変化材料を、その相転移の持続時間に応じて選択することができる。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、前述の相変化材料(PCM)は、予熱段階中に融解し、ベイピング段階中に固化するように選択される。
【0024】
これらの特徴のおかげで、相変化材料の特定の固体-液体相転移が使用される。液体-気体相転移に比べると、固体-液体相転移は、通常の状態(通常の大気圧、周囲温度、等)で、係合した消耗物品と共に加熱要素を動作させながら、より容易に実施することができる。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、前述の相変化材料(PCM)には、塩、塩の共融混合物、又は塩水和物などの、無機PCMが含まれる。
【0026】
このタイプの相変化材料は、本発明の文脈では特に有用である、というのも、それらの材料の相転移温度(例えば、融解温度のような)は、150℃~450℃の間、有利には200℃~400℃の間に含まれるからである。この温度範囲は、気化性材料を燃焼させることなく気化させるのに特に適している。更に、このタイプの相変化材料は、他の相変化材料に比べて、より大きな熱貯蔵容量を有する。更に、このタイプの相変化材料は安価で、豊富にあり、且つ不燃性である。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、固体間PCMを含む。例えば、そのような材料は、結晶、半結晶、又は非晶質の構造から別の固体構造へ変化することができ、利用可能な潜熱がより低い。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、パラフィンワックスなどの有機PCMである。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、別のPCM(例えば無機)又は金属と混合された有機PCMである。例えば、比較的に動作温度が低いパラフィンワックスの場合、塩又は金属などの他の材料(Mg-Znなど)が、混合されていることがある。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、熱吸収/放出材料は更に添加剤を含み、この添加剤は、液体の形態をした相変化材料(PCM)と相互作用して、融解温度と比べて、ベイピング段階中の固化温度を変えることができる。
【0031】
これらの特徴を使用して、添加剤は、相変化材料の融解温度がその固化温度とは異なることを確実にすることができる。融解温度を、例えば、固化温度よりも、少なくともわずかに、低くすることができる。従って、相変化材料は、その吸収の温度よりも高い温度で、潜熱を放出することができる。固化温度は、気化性材料を気化させるように適合させることができ、一方、融解温度は、気化性材料を予熱するようにだけ適合させることができる。従って、予熱段階中の気化性材料の望ましくない気化を回避することが可能である。添加剤は、ベイピング段階中に相変化材料の少なくとも幾つかの特性を変更する化学反応を実行するように適合された化学成分であり得る。相変化材料(PCM)が塩又は塩の共融混合物を含む場合、そのような化学反応は、例えば、これらの塩の濃度、又はそれらの性質、又は混合物の組成を変更することができる。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、要素ボディはヒーターを更に備え、このヒーターは、
-予熱段階中に、熱を生成し、この熱を熱吸収/放出材料に伝達し、且つ/又は、
-ベイピング段階中に、熱吸収/放出材料から気化性材料へ熱を伝達する、ことができ、
好ましくは、ヒーターは、外部エネルギー供給装置との誘導相互作用により熱を生成することができる少なくとも1つのサセプタを含む。
【0033】
可能なモードでは、ヒーターは、外部エネルギー供給装置との誘導相互作用により熱を生成することができる少なくとも1つのサセプタを含む。
【0034】
これらの特徴のおかげで、例えば磁気コイルを備える外部エネルギー供給装置との誘導相互作用により、加熱要素内部のサセプタによって熱を生成することができる。従って、外部エネルギー供給装置から加熱要素への熱伝達は必要ない。サセプタは、磁場の内部に置かれると渦電流を生成する任意の適切な材料から作製することができる。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、ヒーターは、要素ボディが消耗物品との係合位置にあるときに、消耗物品の貯蔵部分の少なくとも部分的に周囲に配置されるか、且つ/又は、消耗物品の貯蔵部分を貫通するように、設計されている。
【0036】
例えば、サセプタは、貯蔵部分の周囲全体に配置されるように設計されていることがある。他の例によれば、サセプタは、貯蔵部分の周囲の一部分にのみ配置される。更に、幾つかの例によれば、サセプタは、貯蔵部分を貫通するようにのみ設計されている。この場合、サセプタは、例えばブレードを含むことができる。幾つかの他の例では、サセプタは、少なくとも2つの部分を備え、一方の部分は、貯蔵部分を貫通するように適合され、他方の部分は、貯蔵部分の少なくとも部分的に周囲に配置されるように設計されている。
【0037】
これらの特徴のおかげで、予熱段階中に、サセプタによって生成された熱を貯蔵部分に効率的に伝達することができる。ベイピング段階中に、熱吸収/放出材料によって貯蔵された熱を、貯蔵部分に効率的に伝達して、気化性材料を気化させることができる。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、ヒーターは、要素ボディが消耗物品との係合位置にあるときに、消耗物品の貯蔵部分と熱吸収/放出材料との間に介在するように、設計されている。
【0039】
これらの特徴のおかげで、加熱要素内部のサセプタの最適な位置を実現することができる。この位置により、予熱段階中に、サセプタから貯蔵部分と熱吸収/放出材料とに同時に熱を伝達することが可能になる。更に、ベイピング段階中に、熱吸収/放出材料から貯蔵部分に熱を効率的に伝達することができる。従って、熱損失を最小限に抑えることができる。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、ヒーターは、熱吸収/放出材料と混合された又はその内部に埋め込まれた複数のサセプタを含む。サセプタは、様々な形態、例えば、粒子、顆粒、ビーズ、シート、細片、ワイヤ、リング、及びそれらの組み合わせ、などを取ってもよい。
【0041】
これらの特徴のおかげで、熱吸収/放出材料に熱を均一に伝達することができる。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、要素ボディは、要素ボディが消耗物品との係合位置にあるときに、消耗物品の貯蔵部分を貫通するように設計された突出部材を更に備え、
突出部材は、ヒーター、及び/又は前述の熱吸収/放出材料の少なくとも一部分を含み、
好ましくは、ヒーターはサセプタを含む。
【0043】
これらの特徴のおかげで、ベイピング段階中に、貯蔵部分を内部で加熱することができる。これにより、熱吸収/放出材料から気化性材料へのより優れた熱伝達が確実になる。突出部材は、加熱要素を消耗物品と係合させると貯蔵部分を貫通するブレードによって形成されることがある。本発明の有利な実施形態によれば、突出部材は、ヒーターと熱吸収/放出材料の両方を備える。この最後の実施形態によれば、ヒーターと熱吸収/放出材料の両方とも、熱損失を最小限に抑える消耗物品の貯蔵部分の内部に受け入れられる。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、要素ボディは、断熱体であって、熱吸収/放出材料の少なくとも部分的に周囲に配置され、且つ/又は貯蔵部分の少なくとも部分的に周囲に配置されるように構成された、断熱体を更に備える。
【0045】
これらの特徴のおかげで、断熱体は、ベイピング段階中に、消耗物品の外部への熱損失を低減できる。更に、ベイピング段階中に、断熱体により、使用者が、加熱要素と係合した消耗物品を火傷することなく扱うことが可能になる。
【0046】
例えば、断熱体は、熱吸収/放出材料を外部から隔離するように、要素ボディの外部表面を形成することができる。従って、熱を損失させることなく貯蔵部分に伝達して気化性材料を加熱することができる。実施形態によっては、断熱体は、熱吸収/放出材料と接触して、且つ/又は貯蔵部分と接触して配置することができる。
【0047】
断熱体は、例えば、紙、発泡体、又はハニカム、のような任意の適切な材料から作製することができる。
【0048】
幾つかの他の実施形態によれば、断熱体は、エーロゲル断熱層によって形成されることがある。この層は、熱吸収/放出材料の少なくとも部分的に周囲に配置された支持層上にエーロゲルをスプレー又はコーティングすることによって形成されることがある。支持層は、熱放出/吸収材料の境界を定める壁によって又は包装体によって、形成されることがある。エーロゲルは、主に空気を(エーロゲルの総体積の97%を達成することができる濃度で)含む多孔質構造を呈する。エーロゲル断熱層には、非常に薄くて軽く、使用者には殆ど見えないながらも、効率的な断熱を確実にするという特別な利点がある。他の実施形態によれば、断熱体は、空気を捕捉するように適合された任意の他の耐熱多孔質構造、例えばハニカム紙若しくはクレープ紙、又はスーパーウール紙などのセラミック紙、などによって形成されることがある。
【0049】
更に他の実施形態によれば、断熱体は、上記で規定したような相変化材料(PCM)から形成されることがある。この実施形態は、断熱体が、熱吸収/放出材料を少なくとも部分的に覆うように設計されている場合に、特に有利である。従って、PCM断熱体は、シールドのような、熱要素の外部層を形成することができる。PCM断熱体は、使用者が、ベイピングセッション中に加熱要素と係合した物品を使用しているときに、使用者にとって安全であるように、例えば60℃を下回る温度であるように適合されていることがある。更に他の実施形態によれば、断熱体は、上記で規定したようなエーロゲルとPCM材料との混合物を含むことができる。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、要素ボディは、物品軸に沿ってスライドさせることにより消耗物品と係合することができるリング又はカップを形成する。
【0051】
これらの特徴のおかげで、加熱要素を、貯蔵部分と密着させながら、消耗物品と簡単に係合させることができる。例えば、加熱要素を消耗物品に沿ってスライドさせることができる。加熱要素がリングによって形成される場合、使用者が、貯蔵部分を基準にしたリングの位置を調節することができる。例えば、使用者が、ベイピング段階中に生成されるエアロゾルの量を減らしたいと思う場合、使用者は、単にリングを消耗物品のフィルタ部分に向けてスライドさせることができる。更に、ベイピング段階中に、例えば、貯蔵部分の異なる部分を加熱するために、貯蔵部分を基準にしたリングの位置を連続的に調節することができる。加熱要素がカップによって形成される場合、消耗物品の対応する端部が、カップの底壁に当接することができる。従って、カップを、消耗物品の貯蔵部分を基準にして正確に位置決めすることができる。更に、この場合には、カップと貯蔵部分との接触面が増えるので、貯蔵部分のより均一な加熱を達成することができる。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、加熱要素は、要素ボディが消耗物品と係合しているときに、要素ボディを消耗物品上で固定するように設計された固定手段を更に備える。
【0053】
固定手段を使用すると、貯蔵部分を基準にして加熱要素を所望の位置に固定することが可能になる。一例によれば、この位置は、使用者によって選択される。従って、使用者は、この位置を達成するために固定手段を動かす(例えば、消耗物品に沿ってスライドさせることによる)ことができる。別の例によれば、この位置は、例えば、貯蔵部分へのより優れた熱伝達を確実にするために、予め決められている。この場合、この位置は、例えば、消耗物品上に印付けされていることがあり、使用者は、固定手段をこの位置に置くか又はこの位置で固定手段を作動させる。
【0054】
固定手段は、例えば、消耗物品の周囲に延在し、作動中に消耗物品をわずかに圧縮するように設計されることがある。従って、加熱要素を所望の位置に保持することができる。別の実施形態によれば、固定手段は、加熱要素から突き出ており、例えば、消耗物品を貫通して消耗物品に対して固定されるように構成された針又はブレードを形成する。
【0055】
代替の実施形態では、固定手段は設けられない。この場合、加熱要素は、例えば摩擦によって消耗物品との係合位置に保持されることがある。この目的のために、加熱要素は、例えば消耗物品をわずかに圧縮してもよい。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、加熱要素は、熱吸収/放出材料がエアロゾルを生成する能力を示すことができるインジケータを更に備える。そのようなインジケータは、熱吸収/放出材料又は少なくともその近傍ゾーンの温度に敏感であってもよい。例えば、インジケータは、体積又は色などの特性が温度と共に変化するワックスのような感熱性の材料を含むことができる。インジケータは、少なくとも2つの状態、即ち、1つは、エアロゾルを生成するのに適した状態、もう1つは、エアロゾルを生成するのに適していない状態、を示すことができる。他の実施形態によれば、1つ又は複数の中間状態も可能である。
【0057】
本発明は、消耗品キットにも関し、この消耗品キットは、
-1つ又は複数の消耗物品、
-その消耗物品又は各消耗物品と係合するように設計された、上記で規定したような加熱要素、を含む。
【0058】
或いは、本発明は消耗品キットにも関し、この消耗品キットは、
-気化性材料を貯蔵する貯蔵部分を備える消耗物品、
-熱吸収/放出材料を含む加熱要素であって、この熱吸収/放出材料は、
-この消耗品キットが外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に受け入れられているときに実行される予熱段階中に熱を吸収し、
-トリガーイベントが発生すると実行されるベイピング段階中に、吸収された熱を貯蔵部分に、更に気化性材料に放出する、ことができる、加熱要素、を含む。
【0059】
本発明は、ベイピングセットにも関し、このベイピングセットは、
-エネルギー供給空洞を備える外部エネルギー供給装置、
-消耗物品、
-上記で規定したような加熱要素であって、消耗物品との係合位置にあるように設計され、予熱段階を実行するために外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に、この消耗物品と共に係合位置にある状態で受け入れられる、加熱要素、を含む。
【0060】
或いは、本発明はベイピングセットに関し、このベイピングセットは、
-エネルギー供給空洞を備える外部エネルギー供給装置、
-上記で規定されるような消耗品キット、を含む。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、外部エネルギー供給装置は、エアロゾルを生成するために、消耗物品が加熱要素の有又は無に関わらずエネルギー供給空洞内に受け入れられているときに消耗物品を加熱するように構成された少なくとも1つの熱発生器を備える。
【0062】
本発明は、気化性材料を含む消耗品キットからエアロゾルを生成するための方法にも関し、この方法は、以下のステップ、即ち、
-消耗品キットを外部エネルギー供給装置と係合させると、消耗品キットの加熱要素を加熱することにより予熱段階を実行するステップ、
-トリガーイベントが発生すると、加熱要素によって気化性材料を加熱することにより、ベイピング段階を実行するステップ、を含む。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、この方法は、以下のステップ、即ち、
-ベイピング段階の後に消耗品キットを外部エネルギー供給装置と係合させると、加熱要素を再度加熱するための再充填段階を実行するステップ、を含む。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、ベイピング段階及び再充填段階の各々の持続時間は、従来の紙巻きタバコの喫煙者の習慣にあわせて適合されている。
【0065】
本発明は、消耗物品にも関し、この消耗物品は、
-気化性材料を貯蔵する貯蔵部分、
-消耗物品が外部エネルギー供給装置と係合しているときに実行される予熱段階中に熱を吸収し、消耗物品が外部エネルギー供給装置から取り外されているときに実行されるベイピング段階中に、吸収した熱を貯蔵部分に、更に気化性材料に放出する、ことができる熱吸収/放出材料を含む加熱部分、を含む。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、加熱部分は、消耗物品が外部エネルギー供給装置と係合しているときに、この外部エネルギー供給装置によって形成されるエネルギー供給空洞内に受け入れられるように構成される。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、前述の熱吸収/放出材料は、相変化中に熱を吸収及び放出することができる相変化材料(PCM)である。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、前述の相変化材料(PCM)には、塩、塩の共融混合物、又は塩水和物などの、無機PCMが含まれる。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、固体間PCMを含む。例えば、そのような材料は、結晶、半結晶、又は非晶質の構造から別の固体構造へ変化することができ、利用可能な潜熱がより低い。
【0070】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、パラフィンワックスなどの有機PCMである。
【0071】
幾つかの実施形態によれば、相変化材料(PCM)は、別のPCM(例えば無機)又は金属と混合された有機PCMである。例えば、比較的に動作温度が低いパラフィンワックスの場合、塩又は金属などの他の材料(Mg-Znなど)が、混合されていることがある。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、加熱部分は更に添加剤を含み、この添加剤は、液体の形態をした相変化材料(PCM)と相互作用して、融解温度と比べて、ベイピング段階中の固化温度を変えることができる。
【0073】
幾つかの実施形態によれば、加熱部分は少なくとも1つの熱伝達要素を更に含み、この少なくとも1つの熱伝達要素は、予熱段階中に、外部エネルギー供給装置によって生成された熱を熱吸収/放出材料に伝達するように構成され、且つ/又は、ベイピング段階中に、熱を熱吸収/放出材料からエアロゾル気化性材料に伝達するように構成される。
【0074】
その結果、適切なヒーターによって、外部エネルギー供給装置から熱吸収/放出材料に、且つ/又は熱吸収/放出材料から気化性材料に、熱をより容易に伝達することができる。熱伝達要素を、例えば、熱吸収/放出材料に組み込んで、熱伝達を容易にすることができる。熱伝達要素は、例えば、熱吸収/放出材料内の箔、グリッド、メッシュ、又は粒子、を形成する金属から作製することができる。更に、熱伝達要素は、ベイピング段階中の、熱吸収/放出材料から気化性材料への熱伝達を容易にすることができる。
【0075】
幾つかの実施形態によれば、加熱部分は、複数の加熱要素によって形成され、各加熱要素は、外部エネルギー供給装置と磁気相互作用すると熱を生成し、この熱を熱吸収/放出材料に伝達することができるサセプタを含むか又は形成する。サセプタは、熱吸収/放出材料と接触して配置されてもよい。
【0076】
これらの特徴のおかげで、例えば磁気コイルを備える外部エネルギー供給装置と磁気相互作用すると、サセプタが熱を生成することができる。従って、外部エネルギー供給装置から消耗物品への熱伝達は必要ない。サセプタは、磁場の内部に置かれると渦電流を生成する任意の適切な材料から作製することができる。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、サセプタは、熱吸収/放出材料から形成されるコーティング層によってコーティングされる。
【0078】
これらの特徴のおかげで、サセプタと熱吸収/放出材料との間の効率的な熱伝達を確実にすることができる。
【0079】
幾つかの実施形態によれば、加熱部分は、サセプタが気化性材料と混合されるように、貯蔵部分と一体化される。
【0080】
これらの特徴のおかげで、熱吸収/放出材料から気化性材料への効率的な熱伝達を確実にすることができる。
【0081】
幾つかの実施形態によれば、消耗物品は、消耗物品がエアロゾルを生成するために使用されている間の、消耗物品の外部への熱損失を低減するために、少なくともベイピング段階中に、加熱部分及び/又は貯蔵部分の少なくとも部分的に周囲に配置される断熱体を更に含む。例えば、断熱体は、消耗物品の外部に面する加熱部分及び/又は貯蔵部分の該当部分の周囲にのみ配置することができる。従って、熱を損失させることなく貯蔵部分に伝達して気化性材料を加熱することができる。
【0082】
断熱体は、例えば紙又は発泡体のような任意の適切な材料から作製することができる。
【0083】
幾つかの他の実施形態によれば、断熱体は、エーロゲル断熱層によって形成されることがある。
【0084】
更に他の実施形態によれば、断熱体は、上記で規定したような相変化材料(PCM)から形成されることがある。
【0085】
更に、少なくとも、予熱段階中に外部エネルギー供給装置からの直接的な熱伝達により加熱部分が加熱される実施形態では、断熱体は、少なくとも部分的に取り外し可能であり、加熱部分への熱伝達を可能にすることができる。例えば、断熱体は、加熱部分を覆わない休息位置と加熱部分を部分的に覆う断熱位置との間で物品軸に沿ってスライド可能な断熱スリーブ又はリングを含むことができる。休息位置では、断熱体は、例えば、物品のフィルタ/冷却部分の少なくとも部分的に周囲にあることができる。予熱段階中、断熱体は休息位置にあり、ベイピング段階中、断熱体は断熱位置にある。
【0086】
実施形態によっては、物品軸に沿ってスライドする代わりに、断熱体は半円筒形の形状をしており、物品軸に対して回転式に取り付けられることがある。例えば、加熱部分も半円筒形の形状をしており、加熱部分は、断熱体の休息位置では(即ち、予熱段階中は)覆われておらず、断熱体の断熱位置では(即ち、ベイピング段階中は)覆われていることがある。休息位置と断熱位置との間の切り替えは、断熱体を180°回転させることにより行われることがある。
【0087】
実施形態によっては、断熱体は、消耗物品を外部エネルギー供給装置から取り出すと、自動的に休息位置から断熱位置へスライド又は回転するように構成されることがある。例えば、断熱体は、消耗物品が装置から取り出される間に、装置の駆動部材により移動されてもよい。熱が(例えば、更にコイルとの磁気相互作用に応じて少なくとも1つのサセプタによって)加熱部分内部で生成される実施形態では、消耗物品は、加熱部分の少なくとも部分的に周囲に固定して配置された断熱体を更に備えることができる。断熱体は、例えば、包装体によって形成されることがある。
【0088】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】本発明の第1の実施形態による消耗品キットの概略図であり、消耗品キットは、消耗物品及び加熱要素を含み、加熱要素は取り外された位置にある。
【
図2】加熱要素が係合位置にある場合の
図1の消耗品キットの概略図である。
【
図3】加熱要素がカップを形成する場合の
図1の加熱要素の異なる複数の例の概略図である。
【
図4】加熱要素がリングを形成する場合の
図1の加熱要素の異なる複数の例の概略図である。
【
図5】
図1の加熱要素内で使用される熱吸収/放出材料の相転移を示すグラフである。
【
図6】本発明によるベイピングセットの一例の概略図であり、ベイピングセットには、
図1の消耗品キット及びエネルギー供給装置が含まれる。
【
図7】本発明によるベイピングセットの別の例の概略図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態による消耗品キットの概略図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態による消耗品キットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明の第1の実施形態
本発明の第1の実施形態による消耗品キット10を
図1に示す。この図によれば、消耗品キット10は、消耗物品12と、加熱要素14であって、消耗物品12からは分離され、
図2に示すように消耗物品12と係合することができる加熱要素14と、を含む。
【0091】
図1の例では、消耗物品12は、加熱要素14から取り外された位置にある。消耗物品12は、物品軸Xに従って延在し、概ね円筒形の形状をしている。この円筒形の形状は、その長さに沿った断面は円形である。有利にも、本発明によれば、消耗物品12は、従来の紙巻きタバコ又はHNB物品(加熱非燃焼式物品)と実質的に等しい形状及び/又は寸法を有する。しかしながら、幾つかの代替の実施形態では、消耗物品は、従来の紙巻きタバコ以外の使いやすい形状、例えば、平行六面体タイプ、丸石タイプの形状などをしていてもよい。消耗物品12はまた、使用者が扱ったり消費したりする態様を邪魔することなく、従来の紙巻きタバコよりも大きなサイズ(例えば、長手方向に又は円周方向に)のものであってもよい。
【0092】
有利にも、本発明によれば、消耗物品12は、従来の紙巻きタバコであるか、又は既知のHNB物品である。
【0093】
図1を参照すると、消耗物品12は、フィルタ/冷却部分21及び貯蔵部分22を備える。これらの部分は、紙、アルミニウム箔、又はそれらの組み合わせ、を含む共通の包装体(図示せず)によって一緒に組み立てられることがある。
図1の例では、フィルタ/冷却部分21は、物品軸Xに従って延在し、貯蔵部分22に隣接している。貯蔵部分22も、物品軸Xに沿って延在し、例えば、フィルタ/冷却部分21よりもわずかに長いことがある。別の例によれば、貯蔵部分22は、フィルタ/冷却部分21と長さが同じであるか、又はこのフィルタ/冷却部分21よりも短い。
【0094】
フィルタ/冷却部分21は、使用者の口/唇と接触するように設計された消耗物品12の口端部を形成する。この部分21は、更に加熱に応じて貯蔵部分22によって形成されたエアロゾルをフィルタリング及び/又は冷却するように設計されたフィルタ及び/又は冷却セグメントを含む。例えば、フィルタ/冷却部分21は、物品の口端部にフィルタセグメントを含み、フィルタセグメントと貯蔵部分22との間に管状要素(例えば、紙の管)を含んでもよい。実施形態によっては、フィルタ/冷却部分21は設けられない。この場合、例えば、貯蔵部分22が物品12の口端部を形成することができる。この場合、交換可能なフィルタ/冷却マウスピースを使用することができ、これは、消耗物品12に接続することができる。
【0095】
貯蔵部分22は、上記で規定したような気化性材料を含む。
【0096】
加熱要素14は、要素ボディ24であって、要素軸Yに沿って延び、消耗物品12を少なくとも部分的に受け入れるように適合された収容空洞26を形成する、要素ボディ24を含む。収容空洞26は、例えば、要素軸Yに従って延びる。
【0097】
特に、
図1及び
図2の例によれば、収容空洞26は、
図2に示すように、貯蔵部分22全体を収容するように適合されている。この
図2の例では、加熱要素14は、物品軸Xと要素軸Yとがそれらの間で一致するように、貯蔵部分22全体が収容空洞26に収容される係合位置にある。有利にも、貯蔵部分22の長さは、収容空洞26の長さと実質的に等しい。
【0098】
収容空洞26の断面形状は、例えば、消耗物品12の断面形状に対応する。この場合、加熱要素14は、例えば、消耗物品12の貯蔵部分22を基準にして所望の位置に要素ボディ24を固定するように設計された固定手段(図示せず)を更に備えてもよい。一例によれば、固定手段は、収容空洞26の内側部分に半径方向に突出して摩擦により加熱要素14を固定するように設計された突出表面を含む。別の例によれば、固定手段は、収容空洞26から突き出て、消耗物品12を貫通し、消耗物品12を係合位置に固定するように設計された針又はブレードを含む。
【0099】
別の例によれば、固定手段は設けられない。この場合、収容空洞の断面は、消耗物品12の断面よりもわずかに小さくなっていることがあり、それにより、消耗物品12を圧縮し、消耗物品12を収容空洞26内に固定する。
【0100】
再び
図1を参照すると、要素ボディ24は、ヒーター31、熱吸収/放出材料32、及び断熱体33を備える。実施形態によっては、要素ボディ24は、インジケータ(図示せず)であって、例えば、要素ボディ24の表面上に配置され、エアロゾルを生成するための熱吸収/放出材料32の能力を示すことができる、インジケータを更に備えることができる。
【0101】
図1の例では、ヒーター31は、収容空洞26の内側壁を少なくとも部分的に形成し、消耗物品22の貯蔵部分22と接触するように設計されている。ヒーター31は、以下で更に詳細に説明するように、加熱要素14が外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に消耗物品12と一緒に受け入れられているときに、熱吸収/放出材料32及び貯蔵部分22を同時に加熱するように設計されている。本発明の一実施形態によれば、ヒーター31は、外部エネルギー供給装置の電源に接続されるように設計された抵抗要素である。別の実施形態によれば、ヒーター31は、金属又はグラフェンのような熱伝導性材料から形成され、外部エネルギー供給装置内に配置された抵抗要素からの熱伝達により加熱される。本発明の好ましい実施形態によれば、ヒーター31は、磁場の中に置かれると熱を生成することができるサセプタである。以下で更に詳細に説明するように、磁場は、例えば、外部エネルギー供給装置によって生成することができる。更に、この場合、ヒーター31を形成するサセプタは、ベイピング段階中に、熱吸収/放出材料32から貯蔵部分22への熱伝達を確実にすることもできる。
図1の例では、ヒーター31は、要素軸Yに沿って配置され、この軸Y及び収容空洞26の周囲に延在する、複数のリングによって形成されている。
【0102】
断熱体33は、要素ボディ24の外側壁を少なくとも部分的に形成する。従って、
図1の例では、熱吸収/放出材料32の少なくとも一部分が、ヒーター31と断熱体33との間に含まれる。断熱体33は、エーロゲル及び/又は相変化材料(PCM)から形成されることがある。断熱体33は、(例えば、複数の重なり合う層として)巻かれて、管として封止されることがあるか、或いは、断熱体33は、管として形成されることがある。場合によっては、断熱体33は、支持層の上にスプレーされるか又はコーティングされることがある。支持層は、(例えば、複数の重なり合う層として)巻かれて、管として封止されることがあるか、或いは、支持層は、管として形成されることがある。実施形態によっては、断熱体33は、加熱要素14の外部デザインを規定する、且つ/又は断熱体33を外部の衝撃から保護する、外側層によって、コーティングされてもよい。
【0103】
図1の例では、要素ボディ24は、横方向に収容空洞26の境界をつける底壁35を備えるカップである。従って、消耗物品12を収容空洞26に挿入すると、消耗物品12の口端部とは反対側の端部が、底壁35と当接することができる。従って、消耗物品12を、収容空洞26内部に正確に受け入れることができる。しかしながら、他の例が可能であり、収容空洞26は、消耗物品を空洞内の所定位置で停止させるための特定の位置決め構造、例えばストッパーを備えることができる。
【0104】
図1の例では、底壁35は、断熱体33によって形成されている。しかしながら、他の例も可能である。
図3の例Bでは、底壁35は、熱吸収/放出材料32によって形成される内側層と、断熱体33によって形成される外側層と、を含む。
【0105】
前述したように、
図1及び
図2の例では、要素ボディ24は、消耗物品12の貯蔵部分22全体を受け入れるように適合されている。この場合、加熱要素14は、細長い形状をしている。同様に、
図3の例Bの加熱要素14も、細長い形状をしている。しかしながら、他の実施形態によれば、加熱要素14は短い形状をしていてもよい。この場合、収容空洞26は、消耗物品12の貯蔵部分22の一部分のみを受け入れるように適合されている。
図3に示すように、例A、C、D、及びEによる加熱要素14は、例Bと比べると短い形状をしている。
【0106】
要素ボディ24内部のヒーター31、熱吸収/放出材料32、及び断熱体33の他のそれぞれの配置及び/又は形状も可能である。
【0107】
図3の例Aでは、ヒーター31は、半径方向に収容空洞26の境界をつける唯一のリングによって形成されている。
【0108】
図3の例Cでは、収容空洞26は、熱吸収/放出材料32によって境界をつけられており、ヒーター31は、ブレードのような突出部材であって、底壁35から突き出ており、消耗物品12の貯蔵部分22を貫通するように設計された、突出部材を呈する。この場合には、底壁35も、例えば2つの層、即ち、断熱体33によって形成される1つの層と、熱吸収/放出材料32によって形成されるもう1つの層と、を有する。
【0109】
図3の例Dでは、ヒーター31は、半径方向に収容空洞26の境界をつける唯一のリングによって形成されており、断熱体33と接触している。この例では、熱吸収/放出材料32は、ブレードのような突出部材に含まれており、この突出部材は、底壁35から突き出ており、消耗物品12の貯蔵部分22を貫通するように設計されている。突出部材は、金属のような熱伝導性材料からできていることがある。この最後の例では、底壁35は、断熱体33によって形成されている。例A、B、及びCでは、断熱体33は、熱吸収/放出材料32と直接的に接触している。例Dでは、断熱体33は、ヒーター31及び貯蔵部分22と直接的に接触している。
【0110】
例Eでは、熱吸収/放出材料32及びヒーター31は、ブレードのような突出部材に一体化されており、この突出部材は、底壁35から突き出ており、消耗物品12の貯蔵部分22を貫通するように設計されている。突出部材は、金属のような熱伝導性材料からできていることがある。この例によれば、ヒーター31は、例えば熱吸収/放出材料32と混合された1つ又は複数のサセプタを含む。例Dと同様に、例Eの底壁35は断熱体33によって形成されている。更に、この例Eでは、断熱体33は、貯蔵部分22を取り囲み、貯蔵部分22と直接的に接触している。従って、同じ例Eにおいて、断熱体33は、要素31及び32についても、直接的に接触することなく取り囲むことが明らかである。
【0111】
当然ながら、加熱要素14の上記の例の任意の他の組み合わせも可能である。更に、加熱要素14は、底壁35無しで設けられ、従って、カップの代わりにリングを形成することもできる。
【0112】
図4は、そのようなリングの例A及びBを示しており、それらの断熱体、熱吸収/放出材料、及びヒーターの配置は、
図3の例A及びBとそれぞれ同様である。この場合、収容空洞26は、貫通孔を呈する。更に、実施形態によっては、ヒーター31は、熱吸収/放出材料32と混合された又はその内部に埋め込まれた複数のサセプタを含むことができる。
【0113】
熱吸収/放出材料32は、熱エネルギー貯蔵(TES)材料である。以下に説明するこの材料の様々な例に応じて、熱吸収/放出材料32をケーシング内に含めることができる。ケーシングは、密封されているか、又は、この材料の体積膨張を補償するように少なくとも1つの開口部を備えていることがある。実施形態によっては、ケーシングは、熱吸収/放出材料32との間の熱伝達を容易にする熱伝達要素を形成することができる。他の実施形態によれば、熱伝達要素はケーシングの内部に配置され、例えば、ヒーター31と接触するように設計された箔、グリッド、メッシュ、又は粒子を形成する。熱伝達要素は、例えばアルミニウムのような金属又はグラフェンで作製することができる。
【0114】
本発明の好ましい実施形態によれば、熱吸収/放出材料32は、相変化材料(PCM)であり、これは、相の変化中に、特に固体-液体の相変化中に、熱を吸収/放出することができる。
図5に示すように、そのような材料は、固相である初期温度T
1から融解温度Tmまで、次いで、液相への完全な相転移まで等温で、次いで、液相である融解温度Tmから温度T
2に達するまで加熱されている間に熱を吸収することができる。温度T
2は、融解温度Tmと等しいか又はこれよりわずかに高いことがある。相変化中に等温で吸収される熱は、潜熱に相当する。従って、予熱段階は、材料の温度を増加させることなくより多くの熱を吸収するように、固体-液体相変化全体を含むことができる。
【0115】
熱吸収/放出材料32を冷却している間、
図5に示したのと実質的に同じプロファイルに従って熱を放出することができる。特に、熱吸収/放出材料は、温度T
2から固化温度Tsまで、次いで固相に完全に相転移するまで等温で、次いで固化温度Tsから温度T
1に達するまで冷却されている間に、熱を放出することができる。前述の場合と同様に、相変化中に等温で放出される熱は、潜熱に相当する。この熱は、貯蔵部分22を均一に加熱するためにベイピング段階中に特に有用である。従って、固化段階の持続時間を、ベイピングセッションの全体的な持続時間に適合させることができる。
【0116】
図5の例では、融解温度Tmは、固化温度Tsと実質的に一致する。しかしながら、実施形態によっては、これらの温度は異なっていてもよい。特に、固化温度Tsは、融解温度Tmよりも少なくともわずかに高いことがある。これは、添加剤を熱吸収/放出材料32に加えることにより、実現することができる。この添加剤は、例えば濃度などの、特性のうちの少なくとも幾つかを変更するように、液相である相変化材料と相互作用することができる。この相互作用は、添加剤と相変化材料との間の少なくとも1つの化学反応を含むことができる。
【0117】
本発明の好ましい実施形態では、相変化材料は、塩又は塩の共融混合物、例えば塩水和物MxNyH2Oを含む。そのような材料の相転移温度(例えば、融解温度)は、150℃~450℃の間、有利には200℃~400℃の間に含まれる。この温度範囲は、気化性材料を燃焼させることなく気化させるのに適している。更に、固化温度Tsを変更するために添加剤が使用される場合、この添加剤は、塩の濃度、又は塩の性質、又は混合物中の塩の割合を変化させることができる。
【0118】
外部エネルギー供給装置42の一例が、
図6に示されている。この例の外部エネルギー供給装置42は、細長い形状をした加熱要素14と共に動作するように特に適合されている。
【0119】
図6の例では、以下では装置42と呼ばれる外部エネルギー供給装置42は、例えば、HNB装置などのエアロゾル生成装置に似た携帯型装置である。特に、装置42は、加熱要素14が係合位置にあるときに、加熱要素14を消耗物品12、特に消耗物品12の貯蔵部分22と一緒に受け入れるように構成されたエネルギー供給空洞52を規定するハウジング51を備える。実施形態によっては、空洞52は、加熱要素14無しに消耗物品のみを受け入れるように更に適合されることがある。両方の場合において、装置42は、既知のHNB装置、即ち、消耗物品12が加熱要素14の有無に関わらずエネルギー供給空洞52内に受け入れられるとエアロゾルを生成する装置、として消耗物品12と共に動作することができる。
【0120】
ハウジング51は、様々な機能を保証する装置42の様々な内部コンポーネントを含む。例えば、ハウジング51は、ヒーター31上で熱を生成するための熱発生器55、熱発生器55の動作を制御するためのコントローラ56、並びに熱発生器55及びコントローラ56に電力を供給するための電池57を含む。
【0121】
電池57は、例えば、外部供給源により提供される電源を用いて充電され所定の電圧の直流電流を供給するように設計された既知の電池である。電池57は、電池充電器であって、電池57を外部供給源に接続することができ、この目的のために(例えばmini-USB又はUSB-Cコネクタのような)電力コネクタ、又は無線充電コネクタを備える、電池充電器に関連付けられていることがある。電池充電器はまた、外部供給源から電池57に送出される電力を、例えば所定の充電プロファイルに従って、制御することができる。そのような充電プロファイルは、例えば、その充電レベルに応じて、電池の充電電圧を規定することができる。幾つかの代替の実施形態では、電池57の代わりに、ハウジング51は、例えばワイヤによって装置42を外部電源に接続する電源コネクタのみを含むことがある。この場合、装置42は、この外部電源に接続されているときにのみ動作することができる。
【0122】
コントローラ56は、電池57による又は代替の実施形態では外部電源による給電を制御することにより、熱発生器55の動作を制御するように構成されている。この目的のために、コントローラ56は、例えば所定の加熱プロファイルを適用して熱発生器55の動作を制御することができる。実施形態によっては、加熱プロファイルは、消耗物品12の性質に応じて選択されてもよい。例えば、消耗物品12を加熱要素14と共に使用して装置42の外でエアロゾルを生成する場合(即ち、装置外モード)、この物品12の予熱段階のみを確実にする特定の加熱プロファイルが使用されることがある。この加熱プロファイルは、消耗物品12の予熱段階を確実にするために、所定の時間間隔の間のみ、熱発生器55に電力を供給することを含むことがある。より一般的には、加熱プロファイルは、所定のトリガーイベントが発生するまで、熱発生器55に電力を供給することを含むことがある。このイベントには、例えば、上記で説明したような所定の時間遅延の満了、又は消耗物品12の近傍での所定の温度若しくは圧力の達成、又は熱発生器55による所定のエネルギー量の消費、が含まれる。この温度又は圧力は、この近傍に、特に、加熱空洞内に、又は加熱空洞に隣接して、又は加熱要素上に、配置されたセンサによって決定されることがある。両方の場合において、加熱プロファイルは、熱発生器55の最大電力容量に従って、消耗物品12の予熱段階中に、熱発生器55に電力を供給すること含んでもよい。消耗物品12を加熱要素14の有無に関わらず使用して、装置42のエネルギー供給空洞52内に受け入れられている間にエアロゾルを生成する場合(装置内モード)、加熱プロファイルは、ベイピング段階、即ち、物品が使用者によって使用されている間に物品を加熱すること、も確実にすることができる。
【0123】
加熱要素14のヒーター31の異なる実施形態に応じて、熱発生器55は、ヒーター31に電力を供給するように設計された一対の電力接点、ヒーター31に熱を伝達するように設計された抵抗要素、及び/又は、ヒーター31の周りに磁場を生成するように設計された磁気要素、を含むことができる。ヒーター31がサセプタを含む本発明の好ましい実施形態では、熱発生器55は、磁気コイルのような磁気要素を含む。
図6の例では、熱発生器55は、エネルギー供給空洞52の長さ全体に沿って延びる磁気コイルによって形成されている。従って、この例では、熱発生器55は、貯蔵部分22及び熱吸収/放出材料32を同時に加熱するヒーター31の全長に従って磁場を生成するように適合されている。
【0124】
図7は、外部エネルギー供給装置42の別の例を示す。この例の外部エネルギー供給装置42は、短い形状をした加熱要素14と共に動作するように特に適合されている。
【0125】
この例と
図6の例との主な違いは、熱発生器55の構成態様にある。特に、この場合、磁気コイルなどの熱発生器55は、加熱要素14のみと向き合うように配置される。従って、この例では、熱発生器55は、エネルギー供給空洞52の一部分のみに従って延在する。この部分の長さは、例えば、加熱要素14の長さと実質的に等しい。
【0126】
図7の例では、装置42は、加熱要素14の収容空洞26から延びる、消耗物品12の貯蔵部分22の部分を加熱するように配置された、二次ヒーター65を更に備える。言い換えると、二次ヒーター65は、加熱要素14のヒーター31によって加熱されない貯蔵部分22の部分を加熱するように配置されている。二次ヒーター65は、例えば、エネルギー供給空洞52の内側壁を少なくとも部分的に形成する、薄膜などの抵抗要素を含む。例えば、二次ヒーター65は、加熱要素14のヒーター31によって加熱されない貯蔵部分22の部分と向き合うように又は接触するように配置されることがある。従って、この例では、熱発生器55及び二次ヒーター65は、エネルギー供給空洞52に沿って連続的に延びる。更に、この例によれば、コントローラ56は、二次ヒーター65の動作を更に制御するように適合されている。このヒーター65は、熱発生器55と同じ加熱プロファイルに従って、又は、例えば気化性材料の性質に基づいて選択される特別な加熱プロファイルに従って、制御されることがある。更に、二次ヒーター65用の加熱プロファイルは、貯蔵部分22の内部のより良好な熱分布並びに気化性材料の最適な温度を確実にするように選択されてもよく、これにより、例えば、予熱段階中のエアロゾルの生成が回避され、ベイピング段階中のエアロゾルの生成が最適化される。例えば、二次ヒーター65は、気化温度よりわずかに低い温度まで気化性材料を予熱するように制御されてもよい。
【0127】
消耗品キット10を使用してエアロゾルを生成するための方法について、以下で説明する。最初に、キット10は装置42から取り出されており、消耗物品12は、加熱要素14とは係合されていないと考えられる。キット10を使用しようと意図する場合、使用者は、消耗物品12を加熱要素14と係合させ、両方の要素を装置42に挿入する。次いで、使用者は、装置42の動作を始動させる。或いは、装置42の動作は、キット10を挿入すると自動的に始動される。
【0128】
次いで、予熱段階が実行される。この予熱段階中、コントローラ56は、対応する加熱プロファイルに従って、熱発生器55に給電し、最後には二次ヒーター65に給電する。熱発生器55は、加熱要素14のヒーター31により熱を生成する。ヒーター31によって生成された熱は、熱吸収/放出材料に伝達される。相変化材料の場合には、熱は、液相に完全に相転移するまで伝達される。予熱段階の終了は、トリガーイベントに相当し、例えば、適切な視覚的インジケータ及び/又は音インジケータを使用してコントローラ56によって示される。予熱段階は、例えば、少なくとも10秒、有利には少なくとも15秒継続することがある。例えば、予熱段階は、約60~600秒継続する。
【0129】
予熱段階中、熱発生器55及び/又は二次ヒーター65は、貯蔵部分22内の気化性材料を加熱して、その温度を、貯蔵部分22が装置42から取り出されるとすぐに蒸気が生成される点まで増加させるように構成されてもよい。その結果、熱吸収/放出材料を使用して、エアロゾル材料を気化温度範囲に維持して、ベイピングセッション全体に渡って気化を持続させる。
【0130】
二次ヒーター65は、特に予熱段階において気化性材料を加熱するように制御されてもよい。上述のように、二次ヒーター65の構成及び制御は、熱発生器55のものとは異なっていてもよい。
【0131】
次いで、使用者は、装置42から加熱要素14を備えた消耗物品12を取り出す。このとき、加熱要素14を備えた消耗物品12は、装置42からは独立してベイピング段階で使用される準備ができている。言い換えると、加熱要素14を備えた消耗物品12は、従来の紙巻きタバコのように使用することができる。ベイピング段階中、熱吸収/放出材料32によって蓄えられた熱が、貯蔵部分22に放出される。これにより、エアロゾルを生成する気化性材料が加熱される。ベイピング段階は、放出される熱が気化性材料を加熱するのに十分である限り継続する。例えば、相変化材料の場合、ベイピング段階は、完全に固化するまで継続することができる。
【0132】
上述した例では、消耗品キット10を使用して、キットが装置42から取り出されたモード、即ち装置外モードでベイピングすることが可能である。しかしながら、上述のように、装置42、特に熱発生器55及び/又は二次ヒーター65は、加熱要素14の有無に関わらず物品が装置42に係合されたままである間に、気化性材料を加熱して消耗物品12のベイピングを可能にするように構成されてもよい。この構成は、装置内での物品の係合に対応するベイピングモード(即ち、装置内モード)に対応してもよい。このモードは、特に、消耗物品12が(加熱要素14の有無に関わらず)装置42内に係合されている場合にプログラムされていてもよく、このモードは、使用者によるオーダーへの応答としてコマンドによって又は自動的に選択的に作動される。コマンドは、ベイピングモードを装置外ベイピングモードと装置内ベイピングモードとの間で入れ代えるように構成されたスイッチであってもよい。あるモードから別のモードへの作動は、消耗物品12が加熱要素14と共に挿入されているか否かに関わらず、自動認識システムによってトリガーされてもよい。
【0133】
そのようなシステムは、光学式(例えば、バーコード)、磁気式、電気式、機械式などの、当技術分野で知られている任意の適切な認識システムであってもよい。選択されたモードの作動は、使用者による装置42上のボタンの作動によって、又は、例えば、携帯電話のアプリを介したリモート接続コマンドによって、トリガーされてもよい。場合によっては、装置外モードは、消耗物品12が加熱要素14と共に装置42に挿入された場合に自動的に作動されることがあり、装置内モードは、消耗物品12が加熱要素14無しで装置42に挿入された場合に自動的に作動されることがある。第1の場合では、使用者は、例えば消耗物品12が加熱要素14と共に装置42に挿入されたとしても、装置内モードに切り替える可能性があり得る。
【0134】
実施形態によっては、装置内及び装置外ベイピングモードを、同じベイピングセッションで使用することができる。例えば、この場合、使用者は、装置外モードを使用してベイピングセッションを開始することができる。消耗品キット10が装置42の外部で使用されている間に、エアロゾル生成能力が使い果たされた場合、使用者は消耗品キット10を装置42に挿入し、装置内モードを使用してベイピングセッションを継続することができる。次いで、加熱要素14が十分に加熱されると、使用者は、消耗品キット10を取り出し、装置外モードを使用してベイピングセッションを継続することができる。
【0135】
実施形態によっては、エネルギー供給装置42は、装置外モードで使用される場合、再充填段階を実行するように更に構成されることがある。特に、これらの実施形態によれば、エネルギー供給装置42及び特にコントローラ56は、一旦ベイピング段階が終了し、ベイピングセッションを継続するために加熱要素14を再充填する必要が生じると、再充填段階を実行するように構成される。幾つかの例によれば、再充填段階は、予熱段階と同様にコントローラ56によって実行されることがある。再充填段階の場合の終了も、上記で説明したようなトリガーイベントに相当する。幾つかの他の例によれば、再充填段階は、熱吸収/放出材料が周囲温度よりも高い温度から加熱されることを確実にする特定の加熱プロファイルを使用して、コントローラ56によって実行されることがある。従って、これらの加熱プロファイルは、予熱段階中に使用される加熱プロファイルとは異なっていてもよい。予熱段階と同様に、再充填段階の終了は、例えば、適切な視覚的インジケータ及び/又は音インジケータを使用してコントローラ56によって示すことができる。場合によっては、再充填段階の持続時間は、加熱要素14に接触して又は加熱要素14の近傍に配置された温度センサを使用することにより、調節されることがある。
【0136】
更に、エネルギー供給装置42は、エネルギー供給空洞52から/への消耗品キット10の取り出し及び/又は挿入を容易にすることができる形状を規定してもよい。例えば、エネルギー供給装置42は、平らな形状を形成することができる。この場合、エネルギー供給空洞52は、半円筒形の形状をしていることがあり、装置42の外側表面上に形成されることがある。従って、エネルギー供給装置42は、従来の紙巻きタバコの喫煙者にとって慣れ親しんだ古典的な灰皿を模倣することができる。
【0137】
ベイピング段階及び再充填段階の各々の持続時間は、従来の紙巻きタバコの喫煙者の習慣に適合させることができる。例えば、ベイピング段階の持続時間は、使用者が行う数回の連続的なパフ、例えば2回又は3回のパフに対応することができる。別の例によれば、ベイピング段階の持続時間は、1回のパフに対応することができる。再充填段階の持続時間は、一般的に、喫煙者が従来の紙巻きタバコから灰を取り除くのに使用される持続時間、特に、一部の使用者が従来の紙巻きタバコを灰皿に接触させたままにするのに使用される持続時間、に対応することがある。そのような持続時間は、1秒~60秒の間、有利には2秒~30秒の間、好ましくは3秒~20秒の間に含まれることがある。場合によっては、この持続時間は、使用者によって適合されるか、又は、例えば機械学習技術を使用して、使用者の習慣に基づいて装置42のコントローラ56によって学習されることがある。場合によっては、使用者は、例えば、クイックベイピングプロファイル、リラックスベイピングプロファイルなどを含む複数のベイピングプロファイルの中からベイピングプロファイルを選択することができる。このベイピングプロファイルの各々は、加熱段階及び再充填段階の持続時間を規定する。場合によっては、この持続時間は一定ではなく、ベイピングセッションの瞬間に基づいて変化することがある。
【0138】
上記で説明したような予熱段階及び/又は再充填段階の持続時間を適合させるために、コントローラ56は、対応する加熱プロファイルを適合させることができる。例えば、再充填段階の持続時間を延長する必要がある場合、コントローラ56は、対応する加熱プロファイルを変更して電力供給を増加させることができる。従って、対応するトリガーイベント(例えば、所定の温度の達成のような)は、再充填段階の所望の持続時間の終了時に発生してもよい。
【0139】
本発明の第2の実施形態
本発明の第2の実施形態による消耗品キット110を
図8に示す。この図によれば、消耗品キット110は、消耗物品112と、本発明の第2の実施形態による消耗物品112と一体化された加熱要素114と、を含む。特に、この実施形態によれば、加熱要素114は、以下で更に詳細に説明される消耗物品112の加熱部分123を形成する。
【0140】
消耗物品112は、物品軸Xに従って延在し、概ね円筒形の形状をしている。この円筒形の形状は、各断面において円を形成することができる。有利にも、以前の実施形態と同様に、消耗物品112は、従来の紙巻きタバコのものと実質的に等しい形状及び/又は寸法を有する。しかしながら、幾つかの代替の実施形態では、消耗物品112は、従来の紙巻きタバコ以外の使いやすい形状、例えば、平行六面体タイプ、丸石タイプの形状などをしていてもよい。消耗物品112はまた、使用者が扱ったり消費したりする態様を邪魔することなく、従来の紙巻きタバコよりも大きなサイズ(例えば、長手方向に又は円周方向に)のものであってもよい。
【0141】
消耗物品112は、フィルタ/冷却部分121と、気化性材料を含む貯蔵部分122と、上述した加熱部分123と、を含む。これらの部分は、紙、アルミニウム箔、又はそれらの組み合わせ、を含む共通の包装体124によって一緒に組み立てられることがある。
図8の例では、フィルタ/冷却部分121は、物品軸Xに従って延在し、貯蔵部分及び加熱部分122、123の両方に隣接している。この場合、貯蔵部分及び加熱部分122、123の各々は、物品軸Xに従って物品112の中心を通過する中心面の異なる側に、物品軸Xに従って延在する。言い換えると、この場合、貯蔵部分及び加熱部分122、123の各々は、断面において半円を形成する。別の例(図示せず)によれば、加熱部分123は、貯蔵部分122の周囲に延在する。従って、各断面において、加熱部分123は、貯蔵部分122の同心円の周りの環状部分を形成することができる。更に別の例によれば、貯蔵部分122は、加熱部分123の周囲に配置される。
図8の例では、加熱部分123は、貯蔵部分122の軸方向全長に従って延在する。更に別の実施形態(図示せず)によれば、部分121、122、及び123は、物品軸Xに従って連続的に延在し、貯蔵部分122はフィルタ/冷却部分121と加熱部分123との間に配置される。当然ながら、消耗物品112内部の他の部分構成も依然として可能である。一実施形態では、2つ以上の加熱部分が消耗品内に存在し、互いから離れていてもよい。例えば、それらの加熱部分は、長手方向に及び/又は円周方向に離れていてもよい。
【0142】
フィルタ/冷却部分121は、以前の実施形態に関連して説明したフィルタ/冷却部分21と同様である。
【0143】
加熱部分123は、キット110が外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に受け入れられているとき(即ち、動作の予熱段階)に、熱を吸収し、キット110が空洞の外にあるとき(動作のベイピング段階)に熱を放出して貯蔵部分122を加熱するように設計されている。この目的のために、加熱部分123は、以前の実施形態に関連して詳細に説明したように、熱エネルギー貯蔵(TES)材料である熱吸収/放出材料を含む。以下に説明するこの材料の様々な例に応じて、熱吸収/放出材料をケーシング内に含めることができる。ケーシングは、密封されているか、又は、この材料の体積膨張を補償するように少なくとも1つの開口部を備えていることがある。実施形態によっては、ケーシングは、空洞から熱吸収/放出材料への熱伝達を容易にする熱伝達要素を形成することができる。他の実施形態によれば、熱伝達要素はケーシングの内部に配置され、例えば、空洞の少なくとも1つの壁と接触するように設計された箔、グリッド、メッシュ、又は粒子を形成する。熱伝達要素は、例えばアルミニウムのような金属から作製することができる。
【0144】
図8の例では、消耗物品112は、休息位置と断熱位置との間で移動可能な断熱体(図示せず)も含むことができる。断熱体は、断熱位置では、加熱部分123を覆うように設計され、休息位置では、加熱部分123を覆わないように設計される。例えば、休息位置では、断熱体は、フィルタ/冷却部分121及び/又は貯蔵部分122を覆うことができる。断熱体は、休息位置と断熱位置との間を物品軸Xに沿ってスライド可能な断熱スリーブ又はリングを含むことができる。別の例によれば、断熱体は、半円筒形状をしていることがあり、休息位置と断熱位置との間で物品軸Xを基準にして回転可能に取り付けられていることがある。
【0145】
断熱体は、エーロゲル及び/又は相変化材料(PCM)から形成されることがある。場合によっては、断熱体は、支持層の上にスプレーされるか又はコーティングされることがある。
【0146】
貯蔵部分122が加熱部分123の周囲に配置され、外部ヒーターの少なくとも一部分が加熱部分123内部に貫通する例では、断熱体は、例えば、エーロゲル及び/又は相変化材料(PCM)を含む固定の外部層を形成することがある。この場合、共通の包装体124によって支持層が形成されることがある。
【0147】
上述のように、予熱段階を実行するために、消耗品キット110は、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に受け入れられるように設計されている。そのような空洞及びそのような装置は、例えば、
図6に図示され、この
図6を参照して説明されたものと同様である。この場合、熱発生器55は、加熱部分123と接触するようにエネルギー供給空洞内に配置されることがある抵抗性ヒーターを含むことができる。例えば、この抵抗性ヒーターは、加熱部分123と接触するように空洞の片側にのみ延在することがある。別の実施形態によれば、抵抗性ヒーターは、更に貯蔵部分122と接触するように空洞の両側に延在する。実施形態によっては、熱発生器55は、加熱部分123を貫通するように構成された加熱ブレードを備えることができる。
【0148】
第2の実施形態による消耗品キット110を使用してエアロゾルを生成するための方法は、第1の実施形態に関連して説明した方法と同様である。対照的に、この最後については、第2の実施形態による消耗品キット110は、既に組み立てられて提供される。従って、加熱要素114を消耗物品112と係合させる必要はない。従って、消耗品キット110を、予熱段階を実行するためにエネルギー供給空洞内に直接的に挿入することができ、次いで、装置外モードに従ってベイピング段階を実行するために空洞から取り出すか、又は、装置内モードに従ってベイピング段階を実行するために、空洞内に維持することができる。装置外モードでは、上記で説明したような再充填段階も実行することができる。
【0149】
本発明の第3の実施形態
本発明の第3の実施形態による消耗品キット210を
図9に示す。この図によれば、消耗品キット210は、消耗物品212と、消耗物品212の加熱部分223を形成する複数の加熱要素214と、を含む。
【0150】
特に、
図9に示すように、消耗物品212は、フィルタ/冷却部分221、貯蔵部分222、及び上述した加熱部分223を含む。これらの部分は、共通の包装体224によって一緒に組み立てられていることがある。
図9の例では、加熱部分223は、貯蔵部分222と一体化されている。このことは、加熱部分223の内容物が、以前の実施形態のように貯蔵部分と横に並んで置かれるのではなく、貯蔵部分222の内容物と混合され又は貯蔵部分222の内容物の中に埋め込まれ、以下で説明するように、熱が複数の方向から気化性材料に分配される、ことを意味する。他の例(図示せず)によれば、貯蔵部分及び加熱部分222、223は、任意の他の適切な態様で配置されることがある。
【0151】
第3の実施形態の幾つかの例によれば、消耗物品212は、貯蔵部分222の周囲に配置された断熱体を更に備えることができる。この断熱体は、固定されていることがあり、例えば、共通の包装体224の少なくとも一部分によって形成されることがある。以前の場合のように、断熱体は、エーロゲル及び/又は相変化材料(PCM)から形成されることがある。断熱体は、例えば、共通の包装体224によって形成される支持層上にスプレーされるか又はコーティングされることがある。
【0152】
フィルタ/冷却部分221は、上記で説明したフィルタ/冷却部分21、121と同様である。以前の場合と同様に、貯蔵部分222は気化性材料を含む。
【0153】
第3の実施形態によれば、各加熱要素214は、磁場の中に置かれると熱を生成することができるサセプタを含むか又はサセプタを形成する。加熱要素214は、貯蔵部分222内部に混在している。
【0154】
各加熱要素214は、予熱段階中(即ち、貯蔵部分222がエネルギー供給空洞内に受け入れられているとき)サセプタによって生成された熱を吸収し、ベイピング段階中(即ち、消耗品キット210が空洞から取り出されているとき)この熱を放出して気化性材料を加熱する、ことができる熱吸収/放出材料を更に含む。熱吸収/放出材料は、以前の実施形態に関連して説明したものと同様であり得る。特に、以前の場合と同様に、熱吸収/放出材料は、相変化材料(PCM)を含むことがあり、場合によっては、上記で説明したように添加剤を含むことがある。
【0155】
図9の例では、サセプタは、例えば、気化性材料と混合されたボール、ディスク、又はリングによって形成される。更に、サセプタは、熱吸収/放出材料から形成されるコーティング層によってコーティングされる。熱吸収/放出材料が相を変化させる間、対応するサセプタの近くにコーティング層を保持するために、サセプタの周りに保持構造が更に設けられることがある。
【0156】
上述のように、予熱段階を実行するために、消耗品キット210は、外部エネルギー供給装置のエネルギー供給空洞内に受け入れられるように設計されている。そのような空洞及びそのような装置は、例えば、
図6に図示され、この
図6を参照して説明されたものと同様である。この場合、熱発生器55は、エネルギー供給空洞52の周囲に配置された磁気コイルを含むことができる。
【0157】
第2の実施形態による消耗品キット210を使用してエアロゾルを生成するための方法は、以前の実施形態に関連して説明した方法と同様である。第2の実施形態と同様に、第3の実施形態による消耗品キット210は、既に組み立てられて提供される。従って、加熱要素214を消耗物品212と係合させる必要はない。従って、消耗品キット210を、予熱段階を実行するためにエネルギー供給空洞内に直接的に挿入することができ、次いで、装置外モードに従ってベイピング段階を実行するために空洞から取り出すか、又は、装置内モードに従ってベイピング段階を実行するために、空洞内に維持することができる。装置外モードでは、上記で説明したような再充填段階も実行することができる。特に、予熱段階中、貯蔵部分22は、エネルギー供給空洞内に受け入れられ、加熱要素214内に含まれるサセプタが熱を生成し、この熱は熱吸収/放出材料によって吸収される。予熱段階は、熱吸収/放出材料がその相を液相に変化させるまで実行されることがある。装置外モードでのベイピング段階中、消耗品キット210は装置から取り外されている。気化性材料は、熱吸収/放出材料が完全に固化するまで、熱吸収/放出材料から放出された熱によって加熱される。
【国際調査報告】