(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/30 20060101AFI20240918BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K38/30
A61P25/00
A61P25/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502707
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2022142411
(87)【国際公開番号】W WO2023138320
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210074291.3
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521235017
【氏名又は名称】シャンハイ メンタル ヘルス センター (シャンハイ サイコロジカル カウンセリング トレーニング センター)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MENTAL HEALTH CENTER (SHANGHAI PSYCHOLOGICAL COUNSELLING TRAINING CENTER)
【住所又は居所原語表記】600 Wan Ping Nan Road, Xuhui District Shanghai 200030 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002251
【氏名又は名称】弁理士法人眞久特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,インダン
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084DB58
4C084DC50
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA181
4C084ZA182
(57)【要約】
【要約】
本発明は、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用に関する。IGFBP2介入は、髄鞘形成量レベルを著しく増強し、且つストレス脱髄によって引き起こされる精神症状を改善できる。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用。
【請求項2】
髄鞘形成量レベルの増強用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用を特徴とする請求項1に記載の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月21日の中国発明特許出願の202210074291.3号の優先権を主張し、これらの全ては、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬技術の分野に関し、特に、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用に関する。
【背景技術】
【0003】
髄鞘は、神経細胞軸索の外側を包む膜であり、言い換えれば、髄鞘は、数万個の細胞と髄鞘細胞膜から構成されるものである。髄鞘は、ニューロンの軸索から別のニューロンの軸索への神経電気インパルスの伝導を防ぐという絶縁の役割を果たす。脱髄は、髄鞘の形成後に生じる髄鞘の損傷を指す。脱髄性疾患は、病因と臨床症状が異なるが、類似した特徴を有する後天性疾患であり、それの特徴的な病理学的変化は、神経線維の髄鞘が脱離したが、神経細胞が比較的に整え続けることである。神経インパルスの正常な伝導は、軸索周囲にある髄鞘の絶縁特性に依存するため、髄鞘の機能障害又は髄鞘の変化は、学習及び適応行動を損なう可能性がある。研究データによると、生涯過程全般においては、髄鞘の小さな変化でさえ、認知と行動に関与する回路と系統におけるメカニズムに影響を与える可能性がある。髄鞘の機能は、以前に想定されていたよりも広い可能性がある:機能不全又は不適応な髄鞘形成量レベルは、神経変性病及び精神神経疾患の原因となる可能性がある。これらの疾患は、これまでニューロンに基づくものと考えられてきた。
【0004】
多くのヒトと動物についての研究によると、中枢神経系の特定の脳領域における白質脱髄は、精神疾患の重要な病態生理学的特徴である可能性がある。白質は、分散型脳システムをつなぐ重要な神経基質として機能する。神経画像研究は、ストレスにさらされたヒト白質の異常な微細構造を明らかにする。報告によると、白質脱髄の変化は、ストレスの不適応及び回復力と関連する。その上、不安障害患者からの証拠は、前頭葉前部皮質に関係した経路の白質脱髄が特性不安スコアと逆相関することを強く明らかにする。その上、mPFC中の髄鞘の脱離は、不安様及び抑鬱様の行動を伴う様々な動物のストレスモデルにおいても観察されていた。我々の推測によると、髄鞘損傷が速やか且つ有効的に修復されると、不安や抑鬱や認知障害などの精神障害を発症するリスクは減少するようになる。
【0005】
インスリン成長因子結合タンパク質2(IGFBP2)は、IGF結合タンパク質の6つの主要メンバーの1つとして自己分泌と傍分泌を備える成長因子である。研究によると、IGFBP2は脳の成長と発育だけでなく、ニューロンの可塑性の調節や空間学習と記憶の調節や情報処理等の高級な認知機能にも関与する。更に、IGFBP2は中枢系に広く存在し、発育中の脳で高度に発現され、初代星状膠細胞とニューロンで分泌される。IGFBP2は、末梢における濃度が低く、分子量が36kDであり、そして血液脳関門(blood-brain barrier,BBB)を通過することができる。しかし、IGFBP2が脱髄後の精神障害を治療できることを証明する研究はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服し、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用という技術的解決策を具体的に提供する。
【0008】
好ましくは、髄鞘形成量レベルの増強用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用。ここで、髄鞘形成量レベルの増強は、髄鞘形成の状態と髄鞘形成量レベルという両方面に関する。
【0009】
或いは、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用に関する。
【0010】
好ましくは、神経脱髄疾患(脱髄疾患)は不安鬱病と認識機能障害とを含む。
【0011】
本発明は、神経脱髄疾患の治療用薬物を調製するためのインシュリン様成長因子結合タンパク質2の応用の評価方法を提供し、当該方法は次のステップを含む。
S1:脱髄モデルを構築する。
S2:評価基準を選択する。
S3:IGFBP2の介入効果を評価する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】
図1aは、薬物脱髄モデリング及びIGFBP2介入のフローチャートを示す。
【
図1b】
図1bは、ストレス脱髄モデリング及びIGFBP2介入のフローチャートを示す。
【
図2a】
図2aは、薬物脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図2b】
図2bは、薬物脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図3a】
図3aは、ストレス脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図3b】
図3bは、ストレス脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図3c】
図3cは、ストレス脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図3d】
図3dは、ストレス脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図3e】
図3eは、ストレス脱髄により動物の髄鞘形成量レベルに対するIGFBP2介入の効果を検証することを示す。
【
図4a】
図4aは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図4b】
図4bは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図4c】
図4cは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図4d】
図4dは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図4e】
図4eは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図4f】
図4fは、薬物脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5a】
図5aは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5b】
図5bは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5c】
図5cは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5d】
図5dは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5e】
図5eは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5f】
図5fは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5g】
図5gは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【
図5h】
図5hは、ストレス脱髄により動物のストレス脱髄後習性に対するIGFBP2介入の影響を検証することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の技術的内容をより明確に記述でき、神経脱髄疾患の治療におけるIGFBP2の役割を検証するためには、次に具体的な実施例と組み合わせて更なる説明を行う。
【実施例】
【0014】
脱髄の起こるSDラットのモデルを構築する。
【0015】
SDラットは、水と食物を自由に獲得できる12時間の明暗調律環境において飼養されている。全部の習性検出は動物の明暗調律環境において行われる。
【0016】
薬物で脱髄を行う。
【0017】
まず、SDラットは、モデリングを行うために用いられ、イソフルラン(R510-22、RWD China、4~5%誘導、1~2%維持)で麻酔を誘導する。深麻酔後、実験群には、次の立体的な座標により33型注射器針(Hamilton)で外科的な方法を通して注射を行い、ここで1μLの1%溶血性レシチン(LPC、Sigma-Aldrich)を生理食塩水に溶解して注射液を得るが、対照群には前記溶血性レシチンを同量の生理食塩水に溶解して注射液も得る。注射液をmPFCの両側にある+2.7mm、大泉門の中央側にある0.4mm、及び背側-硬膜面の以下にある3.3mmの位置に注射する。リゾレシチンの体積は1μLであり、片側の注射時間は15分間である。注射後、針を5分間放置して液体を完全に吸収させる。Z軸ノブをゆっくりと調節し、針を引き上げる。皮膚を縫合して脳局注を完了する。
【0018】
ストレスモードで脱髄を行う。
【0019】
ストレスモードは、長期予測不可能な慢性ストレス(CUMS)を利用し、即ち様々なストレスモードで5週間に亘る慢性ストレスを毎日に1回行う。具体的なストレスモードを表1に示す。
【0020】
【0021】
IGFBP2介入
薬物で脱髄を行ったラットに対してIGFBP2介入を行う。LPC注射手術の4日後に脱髄が完了してIGFBP2介入を行う。手術の8日後に習性検出を行う。実験手順を
図1aに示す。
【0022】
ストレスモードで脱髄を行ったラットに対してIGFBP2介入を行う。ストレス終了の1日目に、IGFBP2介入を行う。2日目に、習性検出を行う。実験手順を
図1bに示す。
【0023】
IGFBP2の介入効果を評価する
まず、免疫組織化学的分析と電子顕微鏡実験を通して髄鞘の形態を観察し、IGCBP2が薬物やストレスによる脱髄現象を逆転させるかどうかを調べる。
免疫組織化学的実験:ラットを単独の解剖板に固定し、先ず1xPBSで灌流を行い、次に4%パラホルムアルデヒド(PFA)で灌流を行い、その後4℃でラットを一晩4%PFAに固定する。次に、脳組織が50mLチューブの底に完全に沈むまで、30%スクロースで脱水を行う。OCT包埋後、脳を-80℃の冷凍庫に保管する。凍結ミクロトームでは30μmの冠状切片を切り取る。mPFC領域切片は、PBSでそれぞれ5分間毎に3回洗浄され、4%ヤギ血清及び0.1%Triton X-100を含むPBSにおいて室温で1時間密閉培養を行い、続いて二次抗体とするMBP抗体(1:500)を培養し4°Cで一晩置く。PBSと0.1%Triton X-100(PBST)においては室温で5回洗浄を行い、5分間に亙り、室温で蛍光二次抗体とする1:1000により希釈されたAlexa Fluor 488ヤギ抗ウサギ抗体を培養し、続いて暗室でPBSTにおいて5回洗浄を行い、毎回に5分間を亙る。切片はDAPIで対比染色され、切片密封を行う。すべての画像は共焦点顕微鏡(オリンパス)で得られ、且つFuji(NIMH、Bethesda MD、USA)で分析を行う。
【0024】
電子顕微鏡実験:当該実験は、髄鞘の厚さ、及びmPFC領域中のシナプス後濃密体(PSD)の厚さと長さを測定することを目的とする。1mm3領域を含めるようにmPFC脳領域を切り整える。超ミクロトーム(Leica EM UC7)において切片を60nmで切り取り、続いて酢酸ウラニルとクエン酸鉛で染色を行う。透過型電子顕微鏡(Tecnai G2 SpiritBiotwin)では各ラットの画像を収集する。軸索の直径を有髄神経線維全体の直径で割ることによりは、G比を確定する。FUJI(NIMH、Bethesda MD、USA)は、軸索口径、髄鞘線維の直径及びPSDの厚さと長さを測定するために用いられる。
【0025】
図2a及び2bに示されたように、IGFBP2の介入効果は、脱髄後、免疫組織化学的分析を通して観察される。
図2a及び2bは、mPFC脳領域における髄鞘形成量レベルを示し、髄鞘形成量レベルは、薬物で脱髄を行った後、MBPの発現が著しく減少するとともに著しく減少し、IGFBP2介入後、著しく増加する。二元配置分散分析によると、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。
【0026】
図3a~3eに示されたように、ストレスで脱髄を行った後、電子顕微鏡実験の結果は、ストレスが脱髄の原因となり、IGFBP2介入後に髄鞘形成を改善することを示す。免疫蛍光実験の結果は、ストレスがMBPの蛍光強度の著しい減少の原因となり、IGFBP2介入が蛍光強度を回復させることを示す。ここで、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表し、*は対照群vsストレス群を表し、#は対照群vs IGFBP2介入群を表す。
【0027】
上記実験データは、IGFBP2介入が髄鞘形成を明らかに改善し、脱髄疾患における髄鞘形成量レベルを高めることを検証する。
【0028】
更に、行動実験では、IGFBP2介入による脱髄疾患の精神症状の改善を観察する。
【0029】
習性検出は、脱髄後の精神症状に対するIGFBP2の介入効果を検証するのに用いられる。全部の習性検出は、ラットを明時間中で実施される。習性検出の前に、ラットは習性検出室に入れられて2時間適応する。各実験中、次のラットへの臭いの影響を避けるように毎度実験の完了したラットを70%アルコールで拭く。習性検出の前は、少なくとも4日間適応するように数分間ラットを毎日扱う。習性検出は、抑鬱様行動の評価のための糖水偏好実験、尾懸垂実験及び強制水泳実験、不安様行動の評価のための広所実験及び高架十字迷路実験、及び認知行動の評価のための新物識別実験及びBarnes迷路実験を採用する。
【0030】
糖水偏好実験:実験動物は2日前に2本の瓶に適応し、一本の瓶には飲料水があり、他の本の瓶には1%庶糖がある。検知は3日目に行い、検知前に動物に対して飲料水供給を6時間断ち切り、ここで糖水偏好値%=糖水消費量/(糖水消費量+水消費量)×100がある。
【0031】
広所実験:実験動物を50cm x 50cmの箱に入れ、10分間録画し、動物が中央区域で止まった時間を計算する。
【0032】
高架十字迷路実験:ラットは、中央個室から開放アームに向かってクロス迷路に入れられ、それぞれラットが開放アームに入った回数と止まった時間、及びラットが閉合アームに入った回数と止まった時間を5分間記録する。
【0033】
水迷路実験:ラットは4日間の訓練を受け、ラットが壇を見つけた時間を記録し、最終日に動物が目的象限に居る時間を記録する。
【0034】
薬物で脱髄を行った実験動物に対して、
図4a~4dは広所実験の結果を示し、
図4e及び4fは高架十字迷路実験の結果を示し、ここで実験動物が開放アームに止まった時間の比率は、開放アームでの滞在時間/(開放アームでの滞在時間+閉合アームでの滞在時間)である。二元配置分散分析によると、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。
【0035】
広所実験の結果は、脱髄群(LPC群)の動物の中央区域での滞在時間が対照群よりも著しく低くなるが、IGFBP2介入後、脱髄群(IGFBP2介入群)の動物の中央区域での滞在時間が著しく高くなることを示す。
【0036】
高架十字迷路実験の結果は、脱髄群(LPC群)の動物の開放アームでの滞在時間が対照群よりも著しく低くなるが、IGFBP2介入が脱髄群(IGFBP2介入群)の動物の開放アームでの滞在時間を著しく増やすことを示す。
【0037】
ストレスで脱髄を行った実験動物に対して、ストレスは、mPFC脳領域の脱髄の原因となり、
図5a~5cは広所実験の結果を示し、
図5d及び5eは高架十字迷路実験の結果を示し、ここで実験動物が開放アームに止まった時間の比率は、開放アームでの滞在時間/(開放アームでの滞在時間+閉合アームでの滞在時間)であり、
図5fは糖水偏好実験の結果を示し、ここで動物の糖水偏好比率=糖水消費量/(糖水消費量+水消費量)があり、
図5g及び5hは、水迷路実験の結果を示し、ここで訓練中動物が壇を見つけた時間がある。二元配置分散分析によると、***はP<0.001を表し、**はP<0.001を表し、*はP<0.05を表す。
【0038】
広所実験の結果は、IGFBP2の介入が対照群の動物の中央区域での滞在時間に影響しないことを示す。ストレス群の動物の中央区域での滞在時間は、対照群よりも著しく低くなるが、IGFBP2介入後、ストレス群の動物の中央区域での滞在時間は著しく高(P<0.001)くなる。
【0039】
高架十字迷路実験の結果は、ストレス群の動物の開放アームでの滞在時間が対照群よりも著しく低くなることを示す。IGFBP2介入は、対照群の動物の開放アームでの滞在時間に影響しない。しかし、IGFBP2介入は、ストレス群の動物の開放アームでの滞在時間を著しく増やす。
【0040】
糖水偏好実験の結果は、ストレス群の動物の糖水偏好値が対照群よりも著しく低くなり、顕著な無快感行動を示す。IGFBP2介入は、対照群の動物の糖水偏好値に影響しないが、ストレス群の動物の糖水偏好値を著しく増やす。
【0041】
水迷路実験の結果は、ストレス群の動物が訓練中壇を見つけるのにより多くの時間を費やすが、IGFBP2介入後、ストレス群の動物が壇を見つける時間を著しく短縮することを示す。
【0042】
広所実験と高架十字迷路実験の結果は、IGFBP2が脱髄によって引き起こされる不安様行動を有効的に改善できることを示す。糖水偏好実験の結果は、IGFBP2介入が脱髄によって引き起こされる抑鬱様行動を有効的に改善できることを示す。水迷路実験の結果は、IGFBP2介入が脱髄によって引き起こされる認知機能障害を有効的に改善できることを示す。
【0043】
要約すると、IGFBP2介入が髄鞘形成量レベルを著しく増強し、且つストレス脱髄によって引き起こされる精神症状を改善できることは検証される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本明細書において、本発明はそれの特定の実施例を参照して説明される。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正と変換を依然として行われることは明らかである。したがって、本明細書は制限的ではなく例示的と見なされる。
【国際調査報告】