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特表2024-534751コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/32 20060101AFI20240918BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240918BHJP
   B05B 12/10 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01N33/32
C09D201/00
B05B12/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503512
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2022069771
(87)【国際公開番号】W WO2023001691
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186614.0
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】カンティム,トマス
【テーマコード(参考)】
4F035
4J038
【Fターム(参考)】
4F035AA03
4F035BB02
4F035BB13
4F035BB15
4F035BB16
4F035BB22
4F035BB32
4J038KA08
4J038PA06
4J038PB07
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】
概して、本明細書にはコーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法とシステムに関し記載されている。より特定的には、本明細書には、コーティング組成物の塗布の間、センサデータ、及び調整されたコーティング層の表面特性データを取得し、及び上記データを予め定義された値、特に予め定義されたパラメータ及び/又は公差と比較することによって、混合処方などのコーティング組成物の修正された、又は新しい提示の品質パラメータを決定する構成に関して記載されている。更に、本明細書には、本発明の方法を、品質の基準及び少なくとも1つのコーティン魏組成物の修正した又は新しい提示を含むデータベースに従って、コーティング組成物の修正された、又は新しい提示をスクリーニングする方法するために使用であって、上記修正された、又は新しい提示は、本発明の方法を使用して提供される方法に関して記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法であって、前記方法は、以下の工程:
(i)コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供する工程;
(ii)提供された修正された又は新しい提示からコーティング組成物を調製する工程;
(iii)工程(ii)で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットを備えるスプレーガンを用いて、基材の少なくとも一部に手動で塗布することにより、基材の少なくとも一部にコーティング層を生成し、この一方で、センサユニットでセンサデータを取得する工程、
(iv)任意選択で、工程(iii)で取得されたセンサデータに基づいて、コーティング組成物の手動塗布中に信号ユニットを介してユーザにフィードバックを提供する工程、
(v)任意に工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)を繰り返す工程;
(vi)工程(iii)で取得されたセンサデータの少なくとも一部を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(vii)工程(iii)で生成された少なくとも一つのコーティング層の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(viii)
-工程(vi)で提供されるセンサデータ、及び
-工程(vii)で提供される表面特性データ、
に基づいて、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示の少なくとも1つの品質パラメータを、コンピュータプロセッサを使用して決定する工程、
(ix)前記通信インターフェースを介して、工程(viii)で決定された少なくとも1つの品質パラメータを提供する工程、及び
(x)前記提示の品質が工程(viii)において許容可能であると決定された場合に、少なくとも1つのデータベースに前記通信インターフェースを介してコーティング組成物の提示を提供する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コーティング組成物の修正された又は新しい提示の提供は、修正されたもしくは新しい混合処方又は修正されたもしくは新しいレシピ、特に修正されたもしくは新しい混合処方の提供を含んで良いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサユニットは、少なくとも1つのセンサを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、距離センサ、方位センサ、加速度センサ、LiDARセンサ、圧力センサ、塗料流量センサ、温度センサ、湿度センサ及びこれらの組み合わせ、特に方位センサ及び加速度センサから、又は方位センサ、加速度センサ及び距離センサから選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(iii)で取得されたセンサデータは、スプレーガンと基材との距離に関するデータ、基材に対するスプレーガンの向きに関するデータ、スプレーガンの移動に関するデータ、基材の輪郭に関するデータ、圧縮空気の圧力に関するデータ、コーティング組成物の流れに関するデータ、温度データ、湿度データ及びこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(iv)においてスプレーガンによるコーティング組成物の手動塗布中にユーザにフィードバックを提供することは、
-工程(iii)で取得したセンサデータを、通信インターフェースを介して前記スプレーガンの処理ユニットに提供し、
-前記処理ユニットを使用して、提供されたセンサデータを処理し、提供されたデータが、予め定義された値、特に少なくとも1つの予め定義されたパラメータ及び/又は許容誤差の内側に存在するのか、又は外側に存在するのかを決定し、
-処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を、信号ユニットを使用してユーザに提供すること、
を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(vii)において表面特性データを提供することは、工程(iii)において適用された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを決定すること、及び決定された表面特性データを通信インターフェースを介して前記コンピュータプロセッサに提供することを含むことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(viii)における、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質を決定することは、
-少なくとも1つの予め定義された適用値、特に少なくとも1つの予め定義された適用パラメータ及び/又は公差、及び少なくとも1つの予め定義された表面特性値、特に少なくとも1つの予め定義された表面特性パラメータ及び/又は公差を、コンピュータプロセッサへ通信インターフェースを介して提供すること、及び
-工程(vi)で提供されるセンサデータが、少なくとも1つの予め定義された適用値の範囲内にあるかどうか、及び工程(vii)で提供される表面特性データが、少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内にあるかどうかを、コンピュータプロセッサを使用して決定すること、
を含むことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記品質パラメータは、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の受容性を示す分類部であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(vi)で提供されるセンサデータが少なくとも1つの予め定義された適用値内にある場合、及び工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内である場合、特に予め定義された適用特性及び表面特性の値のセット内である場合、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質が許容されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(x)工程(vi)で提供されるセンサデータをコンピュータプロセッサで分析する工程、及び/又は
(xi)任意に、工程(vi)で提供されたセンサーデータ及び/又は工程(vii)で提供された表面特性データが予め定義された値の範囲外である場合、通信インターフェースを介して推奨事項を提供する工程、及び/又は
(xii)工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された値の外側にある場合に、更なる提示を生成する工程、
を更に含むことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するためのシステムであって、
a)コーティング組成物の少なくとも1つの修正された又は新しい提示を提供するための手段;
b)コーティング組成物を基材に手動で塗布するためのスプレーガンであって、スプレーガンの動作中にセンサデータを取得するためのセンサユニットと、取得したセンサデータを処理するための処理ユニットと、任意選択で、処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を提供する信号ユニットとを備えるスプレーガンと、
c)少なくとも1つの通信インターフェースと、
d)提供されたコーティング処方物の提示から製造された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを提供する手段;
e)コーティング組成物の提供された修正された、又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
品質基準によるコーティング組成物の提示をスクリーニングするための請求項1から11の何れか1項に記載の方法の使用。
【請求項14】
a)コーティング組成物の修正した、又は新しい提示、及び
b)品質パラメータ、
を含み、ここで品質パラメータは、請求項1から11の何れか1項に記載の方法に従って決定されるシステム。
【請求項15】
コーティング組成物の少なくとも1つの修正された、又は新しい提示を含むデータベースであって、前記コーティング組成物の修正された、又は新しい提示は、請求項1から11の何れか1項に記載の方法に従ってデータベースに提供されることを特徴とするデータベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載される局面はコーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法及びシステムに関する。より特定的には、本明細書に記載される局面は、コーティング組成物の塗布中のセンサデータならびにコーティング組成物から調製されたコーティング層の表面特性データを取得し、上記取得したデータを予め定義された値特に予め定義されたパラメータ及び/又は交差と比較することによって、コーティング組成物の修正された、又は新しい提示、例えば混合処方又はレシピの品質パラメータを決定するための方法及びシステムに関する。
【0002】
更に、本明細書に記載される局面は、品質基準に従ってコーティング組成物の修正した又は新しい提示をスクリーニングするための本発明の方法の使用、ならびにコーティング組成物の少なくとも1つの修正された又は新し提示を含むデータベースの使用に関し、ここで該修正した、又は新しい提示は、本発明方法を用いてデータベースに提供される。
【背景技術】
【0003】
車両、特に自動車、オートバイ、トラックのボディなどの陸上車両は、通常、車両の外観を向上させ、腐食、引っかき傷、欠け、紫外線、酸性雨、その他の環境条件からの保護を提供する複数のコーティング層で処理されている。自動車やトラック用のベースコート層とクリアコート層を含むマルチコート塗装システムは、過去20年間にわたり一般的に使用されてきた。
【0004】
これらのマルチコート塗装システムの製造には、一般に、自動車ボディなどの金属基材に電気泳動で電気コート材料を堆積させ、塗布された電気コート材料を硬化させることが含まれる。金属基材は、電気コート材料の堆積(蒸着)前に種々の前処理を受けることが可能であり、これは例えば、リン酸塩コーティング、より詳細にはリン酸亜鉛コーティングなどの公知の化成コーティングを施すことにより行われてもよい。その後、フィラー又はプライマー表面材料を硬化した電着コートに塗布し、硬化させることが可能である。このような層が存在する場合、色及び/又は効果顔料を含む少なくとも1つのベースコート材料が上記硬化した層に適用される。しかしながら、少なくとも1種のベースコート材料を硬化した電気コート層に直接塗布することも可能である。プラスチック基材の場合、基材への多層コーティングの接着性を高めるために、ベースコート材料の塗布前にプライマー材料を塗布してもよい。このようにして製造された少なくとも1つのベースコートフィルム又は最上層のベースコートフィルムは、その後、個別の硬化なしにクリアコート材料でコーティングされる。次に、クリアコートフィルムと存在するすべてのベースコートフィルムを一緒に硬化させる(いわゆる2コート1ベーク(2C1B)又は3コート1ベーク(3C1B)法)。
【0005】
このようなマルチコート塗装システムで剥離、変色、引っかき傷(スクラッチ)などのフィルム欠陥が発生した場合、通常は修理して車両の元の外観を復元させる。このようなフィルムの欠陥がOEM仕上げ直後に発生した場合、いわゆるOEM自動車補修でOEM製造現場で直接修理される。このような欠陥が後に発生した場合、これらは通常、いわゆる「自動車補修」で車両修理ショップで修理される。再仕上げプロセスは、エッジツーエッジ修理、ブレンドインプロセス、及びスポット修理として大別される。エッジツーエッジ修理は、補修される多層コーティングの部分が比較的大きい場合に実行され、通常、多層コーティングの損傷部分を除去し、領域全体を再仕上げすることを含む。スポット修復は、補修される多層コーティングの部分が小さい場合、又は補修される多層コーティングの部分の位置が目立つ位置にない場合に行われる。
【0006】
エリア全体の補修(再仕上げ)には、通常、クリーニングとサンディングが含まれ、及び必要に応じて、損傷したエリアを埋めることが含まれる。次いで、必要に応じて更なる前処理の後に、損傷領域及び隣接領域が、通常、適切なベースコート(下塗り)材料などの不透明なコーティング剤でコーティングされる。このようにして製造されたコーティング層を乾燥させた後、コーティング層及び隣接領域は、通常、クリアコート組成物でコーティングされ、次いで、以前に塗布されたコーティング層(複数可)と共に乾燥される。一般に、スポット修理には、修復されるスポットのサンディング、不透明なコーティング材料による表面の塗装、塗布されたコーティング材料の乾燥、塗布されたコーティング材料のサンディング、及びクリアコート材料の塗布が含まれる。修復された領域又はスポットの色の不一致を減らすために、修復は領域又はスポット自体を超えて「ブレンド」される。これは、修復された領域又はスポットから遠ざかりつつ、適用されたコーティング層の塗膜構築を減らす方法である。従って、色は、領域又はスポットの(正しくない)色から、残りの領域の(正しい)色に徐々に変化する。この変化が十分に緩やかである場合、人間の視覚は不一致を知覚しない。今日、車両の補修に課せられる要求は非常に高い。従って、視覚的及び技術的には、仕上げした結果は、ベークした元の仕上げに匹敵しなければならず、すなわち、修理された領域が観察者に区別できないように、修理の色が車両の他の部分の色と一致しなければならない。更に、修復された多層コーティングの機械的特性は、元の仕上げの機械的特性に匹敵する必要がある。
【0007】
再仕上げ後に同様の視覚的外観及び機械的特性を達成するために、元の仕上げに使用されるコーティング組成物は、損傷領域の修復に使用される可能性がある。しかしながら、このことの欠点は、多くの場合、修理のためには塗料は少量しか必要としないことがしばしば有り、コーティング組成物が12ヶ月を超える貯蔵では安定しないことである。これは、有効期限を過ぎた未使用のコーティング組成物を処分する必要があるため、大量の廃棄物をもたらす。更なる欠点は、OEM生産ラインで使用される各色合いを保管する必要があり、大容量の保管が必要になることである。
【0008】
これらの問題を解決するために、個々のコーティング組成物が、それぞれの修復工程に必要な量で製造される。この目的のために、混合系が自動車の補修部門で使用されている。これらの混合系は通常、無顔料成分、多数の異なる着色色付基剤、及びレオロジー制御のための1つ以上の有機及び/又は無機増粘剤を含む成分を含む。混合系から各コーティング組成物を製造することには、すべての色合いを個別に在庫する必要が無いため、流通コストと倉庫保管コストが削減されるという長所がある。更に、所望の色合いを必要量で調製することができるので、廃棄物が最小限に抑えられる。
【0009】
予め定義された色を有するコーティング組成物は、混合系の上記成分を規定量で混合することによって前述の成分から調製される。予め定義された色を達成するために必要な各成分の量は、いわゆる混合処方によって記載される。これらの混合処方は、一般に、色の再現性を確保するために標準的な適用パラメータを使用して補修コーティング組成物の製造業者によって開発され、データベースを介して修理工場(ショップ)などの顧客に提供される。データベースは、コンピュータデータベースであってもよいし、カラーチップのライブラリであってもよい。カラーチップはカラーコーティングされたパネルであり、これは色の調製に使用される混合処方を含む利用可能な色を表す。
【0010】
再仕上げ工程(補修工程)に適している混合処方を特定するために、多くの方法が従来技術で知られている。典型的な方法は、塗装面の色特性を測定する装置(例えば、分光光度計)を使用し、その測定値を混合処方に関連するコンピュータデータベースにアーカイブ(記録保管)されたものと照合する。次に、適切な混合処方のリストがフィニッシャー(仕上工)に表示され、そこから適切なものが選択可能である。別の伝統的なアプローチは、すべての色のカラーチップのライブラリと、カラーチップの色の利用可能な代替又はバリアントを提供することであった。フィニッシャーは、このライブラリからベストマッチ混合処方を選択して良い。次に、選択した混合処方を使用して塗料を調製し、これをテストパネルに手動で塗布し、硬化させて、車両の元の多層コーティングの色と比較する。多層コーティングの色は一般に車両ごとに、あるいは車両の部分ごとに異なるため、既存の混合処方から製造された補修塗料は、与えられたカラーコード内で十分に色がマッチしないことがよくある。フィニッシャーは、少量の色合い(着色染料)を追加すること、つまり既存の混合処方を調整することによって、塗料の色を調整しなければならず、ここで多くの場合、フィニッシャーは許容できるマッチに近づくために数回の繰り返しを行う必要が有る。この時間のかかる工程をすべての修理工場で繰り返す必要が有るが、この理由は、ある修理工場によって開発された適合される混合処方は通常、一般的にアクセス可能なデータベースを介して他の修理工場に提供されないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、これらの適合した混合処方を、例えばコンピュータデータベースを介して他の修理工場に提供して、カラーマッチング工程に関連する時間と労力を削減することが望ましい。適合された混合処方に従って調製されたコーティング材料から得られる色は、コーティング材料の塗布中に使用されるパラメータに大きく依存するので、上記適合混合処方は、一定の品質を有していなければならず、すなわち、適合した混合処方から得られる最もマッチングする(一致する)色は、標準的な適用パラメータを使用して製造されなければならない。この品質により、適合した混合処方の色を他の修理店の塗布者が確実に再現可能になる。適合された混合処方の要求される品質は、通常、得られたコーティング配合を適用することによって、データベースの提供者などの第三者によってテストされ、このテストは、標準的な適用パラメータを使用して、上述した混合処方から得られたコーティング処方物をテストパネル塗布し、上記コーティング組成物を硬化させ、及び得られたコーティング層の色を、適合された混合処方を開発した修理工場によって得られた色と比較することによって行われる。この工程は、データベースにアーカイブする前に、適合した各混合処方の品質を手動で確認する必要があるため、時間がかかり、非効率的である。
【0012】
従って、修理工場で直接使用でき、この混合処方から調製されたコーティング組成物が標準的な適用パラメータを使用して塗布されたときに所望の視覚的印象を提供するコーティング層をもたらすなど、適合された混合処方が予め定義された品質基準を満たすかどうかを判断できる、従って、品質基準に従って適合した混合処方を効率的にスクリーニングし、基準を満たす適合混合処方を、例えばコンピュータデータベースを介して他の修理工場の塗布者に提供することが可能な効率的な方法とシステムを提供することが望ましい。
【0013】
定義
「コーティング組成物の提示」は、コンピュータ可読形態又は紙上の読み取り可能な形態等の可読形態におけるコーティング組成物の提示を表して良い。特に、組成物の提示(representation)は、例えば混合処方又はレシピなどのコーティング組成物の調製を概説する指示であっても良い。混合処方又はレシピは、コーティング組成物を調製するために必要な成分、量及び任意選択で製造パラメータ、例えば温度、攪拌時間などに関する情報を含んで良い。
【0014】
「使用者(ユーザー)」は、修理工場で雇用されているフィニッシャーなど、スプレーガンを操作する人を表す。
【0015】
「通信インターフェース」は、転送又は交換又は信号又はデータなどの通信を確立するためのソフトウェア及び/又はハードウェアインターフェースを表して良い。ソフトウェアインターフェイスは、例えば関数呼び出し、APIであって良い。通信インターフェースは、トランシーバ及び/又はレシーバを含んで良い。通信は、イーサネットなどの有線であってもよいし、無線であってもよい。通信インターフェースは、1つ以上の通信プロトコルをサポートするか又はそれに基づいてもよい。通信プロトコルは、無線プロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)、又はWiFi、又はHTTP(複数可)もしくはTCP/PIなどの短距離通信プロトコル、又はセルラーもしくはモバイルネットワークなどの長距離通信プロトコル、例えば、第2世代セルラーネットワーク(「2G」)、3G、4G、ロングタームエボリューション(「LTE」)、又は5Gであり得る。代替的に、又はそれに加えて、通信インターフェースは、所有者の短距離又は長距離プロトコルに基づくものであってもよい。通信インターフェースは、任意の1つ以上の標準及び/又は所有者のプロトコルをサポートして良い。
【0016】
「コンピュータプロセッサ」とは、コンピュータ又はシステムの基本動作を実行するように構成された任意の論理回路を指し、及び/又は、一般に、計算又は論理動作を実行するように構成されたデバイスを指す。特に、処理手段、又はコンピュータプロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成され得る。一例として、処理手段又はコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの算術論理ユニット(「ALU」)、少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、例えば数学コプロセッサ又は数値コプロセッサ、複数の演算論理ユニット(「ALU」)、複数のレジスタ、特にALUにオペランドを供給し、演算の結果を格納するために構成されたレジスタ、及びL1及びL2キャッシュメモリなどのメモリを含んでも良い。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサであっても良い。特定には、処理手段、又はコンピュータプロセッサは、中央処理装置(「CPU」)を備えてもよいし、又は含み得る。処理手段又はコンピュータプロセッサは、(「CISC」)複合命令セットコンピューティングマイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(「RISC」)マイクロプロセッサ、超長命令ワード(「VLIW」)マイクロプロセッサ、又は他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであって良い。処理手段はまた、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、複素プログラマブルロジックデバイス(「CPLD」)、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、ネットワークプロセッサなどの1つ以上の特殊目的の処理デバイスであってもよい。本明細書に記載される方法、システム及びデバイスは、DSP内、マイクロコントローラ内、又は他の任意のサイドプロセッサ内のソフトウェア、又はASIC、CPLD、又はFPGA内のハードウェア回路として実装されて良い。処理手段又はプロセッサという用語は、複数のコンピュータシステム(例えば、クラウドコンピューティング)にまたがって配置される処理デバイスの分散システムなどの1つ以上の処理デバイスを表すこともでき、別段の定めがない限り、単一のデバイスに限定されないことを理解されたい。
【0017】
「車両識別データ」は、上記データに基づいて車両を識別するために用いることができるデータを表す。このようなデータには、車両識別番号(VIN)、VINの一部、車両の製造業者、車両の製造業者工場サイト、車両のメーカー、モデル又はモデルイヤー、塗装カラーコード、車両の生産順序、又はそれらの組み合わせが含まれて良い。
【0018】
「目視検査」とは、色、外観、光沢など、製造されたコーティング層又は製造された多層コーティングの表面特性データを決定するために、仕上げ業者などの人による表面の検査を表す。
【0019】
本明細書で使用される「外観」は、表面のスペクトル的及び幾何学的側面がその照明及び観察環境と統合されている知覚を表す。一般に、外観には、特にさまざまな視野角から、及び/又はさまざまな照明角度から見た場合に、効果顔料、輝き、又は表面の他の視覚効果によって引き起こされる粗さなどの視覚的テクスチャ(質感)が含まれる。
【0020】
「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造を搬送又は格納するための物理的及び他のコンピュータ可読媒体を表して良い。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は特殊目的のコンピュータシステムによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造を格納する物理記憶媒体を含んで良い。物理記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、ソリッドステートドライブ(「SSD」)、フラッシュメモリ、相変化メモリ(「PCM」)、光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、又はその他の磁気記憶装置などのコンピュータハードウェア、又は本発明の開示した機能を実行する、汎用又は特殊目的のコンピュータシステムによってアクセス及び実行できる、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形式でプログラムコードを保存(格納)するために使用できる、その他のハードウェア記憶装置が含まれる。
【0021】
「データベース」は、検索及び取得することができる関連情報の集合を表しても良い。データベースは、検索可能な電子数値、英数字又はテキスト文書、検索可能なファイル、又は一般的に知られているデータベースなど、紙又はデジタル形式で存在可能である。データベースは、検索及び取得可能なコンピュータ可読記憶媒体に存在する電子文書、写真、画像、図表、データ、又は図面のセットとすることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
要約
上記の問題に説得力をもって対処するために、以下が提案されている:
コーティング組成物の提示(representation)の品質パラメータを決定するための方法であって、上記方法は、以下の工程:
(i)コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供する工程、
(ii)提供された提示からコーティング組成物を調製する工程、
(iii)工程(ii)で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットを備えるスプレーガンを用いて、基材の少なくとも一部に手動で塗布することにより、基材の少なくとも一部にコーティング層を生成し、この一方で、センサユニットでセンサデータを取得する工程、
(iv)任意選択で、工程(iii)で取得されたセンサデータに基づいて、コーティング組成物の手動塗布中に信号ユニットを介してユーザにフィードバックを提供する工程、
(v)任意に工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)を繰り返す工程、
(vi)工程(iii)で取得されたセンサデータの少なくとも一部を通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(vii)工程(iii)で生成された少なくとも一つのコーティング層の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(viii)
-工程(vi)で提供されるセンサデータ、及び
-工程(vii)で提供される表面特性データ、
に基づいて、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示の少なくとも1つの品質パラメータを、コンピュータプロセッサを使用して決定する工程、
(ix)上記通信インターフェースを介して、工程(viii)で決定された少なくとも1つの品質パラメータを提供する工程、及び
(x)上記提示の品質が工程(viii)において許容可能であると決定された場合に、少なくとも1つのデータベースに上記通信インターフェースを介してコーティング組成物の提示を提供する工程、
を含む、方法。
【0023】
提案された手法は、標準的な適用パラメータを用いて、その提示が所望の視覚的印象をもたらすか否かを判定する必要性を低減することにより、混合処方又はレシピ等の化学組成の提示の品質を得るまでの時間を大幅に短縮する。更に、提案された方法は、標準アプリケーションパラメータの下で定義された色を提供するなど、少なくとも1つの品質基準に従って、新しく開発された混合処方やレシピなどの新しく開発された提示をスクリーニングするために使用でき、従って、基準が満たされているかどうかを判断するために必要な広範な実験を行うことなく、適切な提示を選択することが可能である。更に、本発明の方法は、標準のアプリケーションパラメータを使用して定義された外観をもたらすなど、所定の品質基準を満たす、修正された又は新しい混合処方又は修正された又は新しいレシピなどの化学組成の修正された又は新しい提示を提供することを可能にする。これにより、他の修理工場のユーザーに上記の修正された又は新しい提示へのアクセスを提供することができ、従って利用可能な提示の数を増やし、各修理工場の各ユーザーによる適切な提示を開発するために必要な時間を短縮する。
【0024】
更に開示されているものは、
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するためのシステムであって、
-コーティング組成物の少なくとも1つの修正された又は新しい提示を提供するための手段;
-コーティング組成物を基材に手動で塗布するためのスプレーガンであって、スプレーガンの動作中にセンサデータを取得するセンサユニットと、取得したセンサデータを処理する処理ユニットと、任意選択で、処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を提供する信号ユニットとを備えるスプレーガンと、
-少なくとも1つの通信インターフェースと、
-提供されたコーティング配合物の提示から製造された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを提供する手段;
-コーティング組成物の提供された修正された、又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段、
を含むシステム、である。
【0025】
本開示は、本明細書に開示される方法及びシステムに同様に適用される。従って、方法とシステムの間には区別がない。本発明の方法に関連して開示される全ての特徴は、本明細書に開示されるシステムに等しく適用可能である。
【0026】
更に開示されるのは、品質基準に従ってコーティング組成物の修正された、又は新しい提示をスクリーニングするための本発明の方法の使用である。品質基準は、上述のようにコーティング組成物の提供された修正された、又は新しい提示の受容性を示す分類部であっても良い。これにより、修正した、又は新しい混合処方などのコーティング組成物の修正した、又は新しく開発した提示を、再仕上げプロセスにおけるそれらの適合性に関してスクリーニングすることが可能である。従って、所定の提示から調製されたコーティング組成物を標準的な適用パラメータの下でテストパネルに塗布し、及びこのようにして製造されたコーティング層が視覚的印象のマッチングに関して所望の品質を満たすかどうかを決定することによる、混合処方又はレシピなどのコーティング組成物の修正した又は新しく開発した提示の品質の時間のかかる決定は、ことはもはや必要ではない。
【0027】
本発明の方法は、品質パラメータがアプリケーションパラメータに関して十分に高い品質が使用されることを保証し、従って所望の表面(単一)特性/(複数)特性を信頼高く提供するので、取得されたセンサデータを用いてアプリケーションロボットを訓練するためにも使用されて良い。
【0028】
更に開示されるのは、コーティング組成物の修正した又は新しい提示と、品質パラメータとを含むシステムであって、上記品質パラメータは、ここに開示された方法に従って決定されるシステムである。
【0029】
更に開示されるのは、コーティング組成物の少なくとも1つの修正した又は新しい提示を含むデータベースであって、ここでコーティング組成物の修正された又は新しい提示は、そこに開示された方法に従ってデータベースに提供される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の形態
工程(i):
本発明方法の工程(i)では、コーティング組成物の修正された又は新しい提示が提供される。修正された提示を提供することは、提供された存在する提示に記載されている少なくとも1つのパラメータ、例えば、量、比率、製造パラメータ、例えば混合時間、攪拌速度などを変更することを含んで良い。「存在する提示」は、例えば紙上又はコンピュータ可読媒体上、例えばファイル又はデータベース上に既に提供された提示を表す。存在する提示は、例えば紙又はカラーチップ上の物理的形態で存在しても良く、又は例えば、蒸気提示をコンピュータ可読媒体、特にデータベース上に格納することによって、デジタル形態で存在しても良い。特に好ましくは、存在する提示データベースに保存される。データベースが紙などの物理的な形式で存在する場合、データベースには内容物のテーブル(目次)が含まれていても良く、内容物のテーブルを使用して存在する提示を取得可能である。
【0031】
一例では、存在する提示は、例えば通信インターフェースを介してVINを提供することによって車両識別データを使用し、提供された車両識別データに基づいて存在する提示を取得し、及び上記取得した提示を提供することによって、提供されて良い。
【0032】
別の例では、存在する手字を提供することは、表面特性データを提供すること、提供されたデータに基づいて存在する提示を取得すること、及び上記得られた提示を提供することを含んで良い。表面特性データは、分光光度計、デジタルカメラ、光沢計などの適切な測定装置を用いて、損傷していない部位に欠陥部位を有する被覆基材の色、外観、光沢などを測定することによって得ることができる。表面性状データは、通信インターフェースを介してデータベースへ提供されても良い。
【0033】
存在する提示は、提供された車両識別又は表面特性データに基づいて、上記提示のデータベースを検索することによって取得されて良い。データベースは、混合処方やレシピなどの存在する提示に関連付けられた車両識別データ又は表面特性データを含む。通信インターフェースは、GUIを有するディスプレイを含んでも良く、これはユーザーによって、VINを入力するか、又は提供された表面特性データを表示し、及び入力されたVINに基づいてデータベースから取得された存在する提示を提供、すなわち表示するために使用可能であり、又は提供された表面特性データをユーザーに表示するために使用可能である。データベースから検索された存在する提示は、関連する基準に従って分類されてもよく、及び上記基準及び任意選択で更なるコメントと共にユーザに表示されてもよい。
【0034】
代替的な態様では、工程(i)で提示を提供することは、コーティング組成物の新しい提示を提供することを含んでも良い。新しい提示を提供することは、存在す提示を基礎として使用せずに、量、比率、生産パラメータなどのパラメータを定義することを含んでも良い。新しい提示の開発は、アプリケーション又はツールを使用して実行されてもよい。一例では、アプリケーションn又はツールは、開発された提示が開発をサポートするために所望の表面特性を提供するかどうかを予測できるシミュレーション又は予測関数を備えてもよい。別の例では、アプリケーション又はツールは、表面特性データなどの提供されたデータに基づいて、新たに開発された混合処方を提供することが可能である。このようなアプリケーション又はツールは、この技術分野において一般的に公知であり、混合系(ミキサーシステム)の適切な量及び構成要素を選択するための訓練されたニューラルネットワークの使用を含んでも良い。
【0035】
コーティング組成物の修正された又は新しい提示は、コンピュータ可読媒体上又は紙上、特にコンピュータファイル又はデータベースなどのコンピュータ可読媒体上に保存されても良い。コーティング組成物の修正された又は新しい提示をコンピュータ可読媒体上に保存することは、上記保存された表現の容易な検索を可能にする。
【0036】
コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供することは、修正されたもしくは新しい混合処方又は修正されたもしくは新しいレシピを提供することを含んでも良い。特に好ましくは、修正された又は新しい混合処方が提供される。混合処方又はレシピには、化学名、ロット番号、商品名などの成分に関する情報、それらの量又は比率、及び必要に応じて、これらの成分からコーティング組成物を製造するために必要な温度、攪拌時間などの製造パラメータが含まれる。
【0037】
工程(ii):
コーティング組成物は、ステップ(i)で提供される修正された、又は新しい提示に従って、特に、上記修正された、又は新しい提示に列挙された量/比率、例えば修正された、又は新しい混合処方又は修正された、又は新しいレシピに従って、容器の内容物又は原材料などの各成分を混合することによって調製される。容器は、着色ベース、無着色ベース、薄め液ベース、又は自動車の補修に一般的に使用される硬化剤組成物を含んでも良い。補修混合システムで使用される着色ベースは、少なくとも1つのバインダーに分散されているカラー顔料及び/又はエフェクト顔料などの少なくとも1つの顔料を含有する。補修混合システムで使用される無着色ベースは、少なくとも1つのバインダーを含み、好ましくは顔料を含まない、すなわち好ましくは無着色ベースの全質量に基づいて0重量%の顔料を含有する。無着色ベースのバインダーは、着色ベースに存在する同じバインダーであってもよく、異なるバインダーであってもよい。再仕上混合系で使用される薄め液ベースは、溶媒中に少なくとも1つのレオロジー剤を含み、及びコーティング組成物の粘度を制御するために使用される。再仕上混合系で使用される硬化剤組成物は、非着色ベース及び/又は着色ベースに存在する少なくとも1つのバインダーと反応し、上記硬化剤を非着色ベース及び/又は着色ベース、及び任意選択で薄め液ベースと混合することから調製されたコーティング組成物の適用の後に硬化塗膜を形成する少なくとも1つの架橋剤を含有する。着色ベース、無着色ベース、還元剤ベース(基剤)及び硬化剤ベースは、溶剤系又は水性組成物であり得る。好適な着色ベース(基剤)、無着色ベース、薄め液ベース及び硬化剤組成物は、例えば、DE 4110520A1、国際公開第2021/018594 A1及び国際公開第2,021/018595 A1に開示されている。ベースコート組成物などの顔料塗料組成物は、着色ベース、無着色ベース及び場合により薄め液ベースを、混合処方などの提示で与えられる比率で混合することによって調製される。クリアコート組成物は、無着色ベース、硬化剤組成物及び場合により薄め液ベース(reducer base)を、混合処方などの提示で与えられる比率で混合することによって調製されても良い。
【0038】
ある態様では、調製されたコーティング組成物は、液体コーティング組成物又は粉体コーティング組成物である。特に好ましい場合、調製されたコーティング組成物は、液体コーティング組成物である。液体コーティング組成物は、顔料及び結合剤(バインダー)などのコーティング材料の不揮発分の担体として溶剤を含有する。液体コーティング組成物は、透明な液体又は分散液であり得る。溶媒は、有機溶媒及び/又は水であり得る。対照的に、粉体コーティング組成物は無溶剤であるか、又は残留量でのみ溶剤を含む。
【0039】
工程(iii)
工程(iii)では、工程(ii)で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で少なくとも1つの信号ユニットを含むスプレーガンを用いて基材の少なくとも一部に手動で塗布することにより、基材の少なくとも一部にコーティング層が生成される。コーティング組成物の手動による塗布の間、センサデータが、スプレーガンのセンサユニットを使用して取得される。ロボットを用いた自動塗布とは対照的に、ユーザが操作するスプレーガンを用いて基材にコーティング組成物を手動で塗布することは、手動塗布の再現性が著しく低く、塗布の品質が当該塗布を行うユーザの技能に大きく依存するため、エラーが発生しやすい。本発明の方法は、手動での適用(塗布)中に取得された適用パラメータを予め定義された閾値と比較することによって適用の品質をチェックする可能性を提供し、任意の工程(iv)に関連して説明されるようにスプレーガンの誤った取り扱いを修正することを可能にする。更に、本発明の方法は、手動での適用中に獲得された適用パラメータ、ならびに得られたコーティング層の外観を予め定義された閾値と比較することによって、修正された提示又は新しい提示の品質を決定することを可能にし(工程(viii)を参照)、他のユーザー、例えば補修者又は修理工場に許容可能な品質を有する修正された又は新しい提示へのアクセスを、データベースを介して提供する。
【0040】
ある態様において、基材は、金属基材、プラスチック基材、金属及びプラスチック部品を含む基材、少なくとも1つのコーティング層を含む金属又はプラスチック基材、又は欠陥部位を有する少なくとも1つのコーティング層を含む金属もしくはプラスチック基材、特に欠陥部位を有する少なくとも1つのコーティング層を含む金属又はプラスチック基材から選択される。適切な金属基材は、鋼、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛及びマグネシウム基材、ならびに鋼、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛及びマグネシウムの合金からなる基材を含むか、又はそれらからなる群から選択される。好適なプラスチック基材は、基本的に、(i)極性プラスチック、例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド及びこれらのプラスチックのブレンド、(ii)ポリウレタンRIM、SMC、BMC等の合成樹脂及び(iii)ゴム含有量が高いポリエチレン及びポリプロピレンタイプのポリオレフィン基材、例えばPP-EPDM及び表面活性化ポリオレフィン基材を含むか、これらから成る基材である。プラスチックは更に、特に炭素繊維及び/又は金属繊維を使用して繊維強化されてもよい。少なくとも1つのコーティング層を含む金属又はプラスチック基材は、以下のコーティング層のうちの少なくとも1つを含む金属又はプラスチック基材から選択することができる:電気コート層、プライマー層、プライマー-サーフェーサー層、ベースコート層、クリアコート層。コーティング層は、乾燥又は硬化させることができる。乾燥は通常、硬化に先行し、より低い温度及び/又はより短い期間で行われる。乾燥したコーティング層は依然として柔らかく粘着性であるが、硬化コーティング層はもはや柔らかくも粘着性もなく、硬化条件にさらされても、基材上の硬度又は接着性などのその特性に更なる大きな変化を受けない。欠陥部位を有する少なくとも1つのコーティング層を含む金属又はプラスチック基材は、少なくとも1つのコーティング層を既に有する基材、好ましくは硬化多層コーティングを表し、剥離、変色、引っかき傷などの少なくとも1つのフィルム欠陥を有する。
【0041】
一例では、基材は、自動車、トラック、及びトラクターを含む(これらに限定されない)自動車車両であり得る。基材は任意の形状を有することができるが、通常、自動車、又はボディ、ボンネット、ドア、フェンダー、バンパー及び/又はトリムなどの自動車ボディコンポーネントの形態である。別の例では、基材はテストパネルであってもよい。このようなテストパネルは、製造されたコーティング材料から生じる視覚的印象を、自動車の損傷していない部位でのコーティングの視覚的印象と一致させるために使用することができる。
【0042】
ある局面において、工程(iii)で生成されるコーティング層は、着色(pigmented)されたコーティング層又はクリアコート層である。本発明の文脈における「着色されたコーティング層」は、少なくとも1つの顔料及び/又は染料を含むコーティング層を意味する。顔料は、着色顔料及び/又は効果顔料から選択することができる。顔料化(着色された)コーティング層は、ベースコート層であってもよい。「ベースコート層」は、自動車の補修において一般的に使用される色付与中間コーティング層を表しても良く、通常は不透明であり、すなわち下にある基材を完全に隠す。ベースコート層の調製に用いるベースコート材は、ベタカラー(ストレートシェード)又はエフェクトカラーコーティングとして配合することができる。「効果カラーコーティング」は一般に、少なくとも1つの効果顔料、及び任意選択で、所望の色及び効果を与える他の着色顔料又は階級を含有する。「ストレートシェード」又は「ソリッドカラーコーティング」は、主に着色顔料を含み、目に見えるフロップ又はツートンカラーのメタリック効果を示さない。本発明の文脈における「クリアコート層」は、透明又は半透明のコーティング層、すなわち下層のコーティング層を完全には隠さないコーティング層を示す。クリアコート層は通常、多層コーティングの最上層であり、下にあるコーティング層を環境の影響から保護する。クリアコート層は、完全に透明であってもよく、すなわちいかなる着色顔料、着色染料又は充填剤、も含まなくてもよく、半透明及び非着色であってもよく、すなわち艶消し剤を含んでもよく、又は半透明かつ着色されていてもとく、すなわち少量の着色顔料又は着色染料を含有してもよい。
【0043】
ある態様では、工程(iii)で手動で操作されるスプレーガンは、空気圧式又は静電式スプレーガン、特に空気圧式スプレーガンである。自動車の再仕上げに使用される好適な空気圧式又は静電式スプレーガンは、この技術分野の当業者に公知である。このようなスプレーガンは典型的には、スプレーノズルを有する本体を備える。本体に接続されるのは、基材に塗布されるコーティング組成物を含むリザーバ及び圧縮空気又は圧縮空気などのコーティング組成物を基材に塗布する電気と組み合わせた手段である。リザーバは単品であってもよいし、スプレーガンが別々のリザーバと圧縮空気供給手段とを備えるように構成されてもよい。
【0044】
ある態様において、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットは、単一のユニットとして構成されてもよい。単一ユニットは、例えばアダプター、ネジなどの適切な取付け手段を用いてスプレーガンの本体に取り付けられる。「単一ユニット」は、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットを含むユニットを表して良く、すなわちこれらが互いに物理的に取り付けられているユニットを表して良い。代替的な態様では、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットのうちの少なくとも1つが、別個のユニットとして構成されてもよい。「別個のユニット」とは、センサーユニット、プロセッシングユニット、信号ユニットなど、他のユニットに物理的に取り付けられていないが、他のユニットとは別にスプレーガン本体に取り付けられているユニットを表しても良い。一例では、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットは、それぞれ別個のユニットとして構成されてもよい。別の例では、センサユニットは、別個のユニットとして構成されてもよい。更に別の例では、処理ユニットは、別個のユニットとして構成されてもよい。更に別の例では、信号ユニットは、別個のユニットとして構成されてもよい。
【0045】
ある態様において、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニット又は単一ユニットは、スプレーガンに恒久的に取り付けられていてもよく、又は着脱可能であってもよい。取り外し可能なユニット、特に取り外し可能な単一ユニットは、必要に応じて異なるスプレーガンに取り付けることができるため、柔軟性が高く、恒久的に取り付けられたユニットを必要とするスプレーガンの数を最小限に抑えることができる。特に好ましい場合、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニット又は単一ユニットは、様々な製造業者のスプレーガンに取り付けることができる着脱可能なユニットである。
【0046】
ある一態様において、センサユニットは、少なくとも1つのセンサを含んでも良い。このセンサは、距離センサ、方位センサ、加速度センサ、LiDARセンサ、圧力センサ、塗料流量センサ、温度センサ、湿度センサ及びこれらの組み合わせから選択することが可能である。距離センサーは、基材からのスプレーガンの距離を決定するために動作可能である。方位センサは、基材に対するスプレーガンの向きを決定するように動作可能である。好適な方位センサには、回転センサ、位置センサ、ジャイロスコープセンサ、傾斜計及びこれらの組み合わせが含まれる。スプレーガンが基材上を移動する間、加速度センサは、そのような移動の方向、速度、及び加速度特性を決定するように動作可能である。LiDARセンサーは、基材の輪郭を決定するために動作可能である。圧力センサーは圧縮空気の圧力を決定するために動作可能であり、塗料流量センサーはスプレーガンを使用して塗布されるコーティング組成物の流量を決定するために動作可能である。温度及び湿度センサは、コーティング組成物が基材に塗布される部屋の温度及び湿度を決定するために動作可能である。適切な距離センサには、超音波センサ、LiDARセンサ、レーダーセンサ又はそれらの組み合わせが含まれる。特に好ましい場合、センサユニットは、前述のセンサのうちの少なくとも2つ、特に方位センサと加速度センサの組み合わせ、又は方位センサと加速度センサ及び距離センサの組み合わせを含む。
【0047】
ある態様において、スプレーガンの処理ユニットは、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを備えてもよい。マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサとは、プロセッサと周辺機能を含む半導体チップを表す。多くの場合、作業メモリとプログラムメモリも部分的又は完全に同じチップ上に位置する。スプレーガン内の処理ユニットは後述するように、スプレーガンの動作中にスプレーガンの使用者にフィードバックを提供するために使用される。
【0048】
ある態様において、信号ユニットは、少なくとも1つの光学的及び/又は音響的及び/又は触覚的信号を提供して良い。光信号は、光を含んで良い。音響信号には音が含んでも良い。触覚信号には振動が含んでも良い。
【0049】
ある態様において、コーティング組成物の手動塗布中に工程(iii)で取得されるセンサデータは、スプレーガンと基材との距離に関するデータ、基材に対するスプレーガンの向きに関するデータ、スプレーガンの移動に関するデータ、基材の輪郭に関するデータ、 圧縮空気の圧力に関するデータ、コーティング組成物の流れに関するデータ、温度データ、湿度データ及びこれらの組み合わせから選択してもよい。特に好ましくは、前述のデータの少なくとも2つの異なるタイプが工程(iii)において取得される。
【0050】
任意選択の工程(iv):
任意の工程(iv)において、スプレーガンによるコーティング組成物の手動塗布中に、フィードバックがユーザに提供される。
【0051】
ある態様では、スプレーガンによるコーティング組成物の手動塗布中にユーザにフィードバックを提供することは、以下の工程を含んで良い:
-工程(iii)で取得したセンサデータを通信インターフェースを介して上記スプレーガンの処理ユニットに提供し、
-上記処理ユニットを使用して、提供されたセンサデータを処理し、提供されたデータが、予め定義された値、特に少なくとも1つの予め定義されたパラメータ及び/又は許容誤差の内側に存在するのか、又は外側に存在するのかを決定し、
-処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を、信号ユニットを使用してユーザに提供すること。
【0052】
スプレーガンの動作中、特に上述の工程(iii)の実行中、すなわちコーティング組成物の適用中にユーザにフィードバックを提供することは、結果として得られるコーティング層の望ましくない光学的外観をもたらし得る適用エラーを回避することを可能にする。
【0053】
少なくとも1つの予め定義された値は、距離値、配向値、移動値、圧力値、塗料流量値、温度値、湿度値、又はそれらの組み合わせから選択されても良い。これらの値には、数値又は数値の範囲を含めることが可能である。これらの値は、スプレーガンの操作前に、通信インターフェースを介して処理ユニットに提供されて良い。通信インターフェースは、上述の値を入力するか、又はデータベースから上記公差をインポートするオプションをユーザに提供するユーザインターフェース(例えばGUI)をユーザに提示するディスプレイを備えても良い。ユーザインタフェースは、ウェブページを介して、又はクライアントマシン上で動作する専用アプリケーションを介して提示されて良い。処理されたセンサデータに応答して、すなわち提供されたセンサデータが少なくとも1つの予め定義された値の範囲内にあるか否かを決定することに応答して、上記信号ユニットは、少なくとも1つの信号ユニットをユーザに提供する。提供される信号は、光信号、音響信号、触覚信号又はそれらの組み合わせから選択されて良い。好適な光信号には、光が含まれる。好適な音響信号としては、音が含まれる。好適な触覚信号としては、振動が含まれる。スプレーガンが予め定義された値内、予め定義された値の境界上、又は予め定義された値の外側で操作されているかどうかをユーザーに示すために、異なる種類の信号、例えば異なる光の色、異なる音又は異なる振動強度を使用して良い。これは、スプレーガンが正しく操作されているか否かについてのリアルタイムのフィードバックをユーザが得るので、コーティング組成物の塗布中のユーザのリアルタイムのガイダンスを可能にする。処理のエラーは即座に修正できるため、アプロケーションが予め定義された標準適用値を確実に満たすことができる。
【0054】
工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)は、着色ベースコート組成物及びクリアコート組成物などの複数の塗料組成物を基材に塗布する場合には、複数回繰り返してもよい。工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)が少なくとも1回繰り返される場合、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示は、上述のように修正された提示又は新しい提示である。従って、工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)が例えば2回実行される場合、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示は、修正された又は新しい提示であり、工程(i)で提供される他の提示は既存の提示又は修正された/新しい提示であっても良い。一例では、コーティング組成物は、ウェットオンウェットで、すなわち、後続のコーティング組成物を適用する前に最初のコーティング組成物を硬化させることなく塗布しても良い。この場合、塗布されたコーティング組成物は、その後のコーティング組成物を塗布する前に乾燥されてもよく、塗布された全てのコーティング組成物は、最後に一緒に硬化される。別の例では、各コーティング組成物は、更なるコーティング組成物を適用する前に完全に硬化されて良い。
【0055】
工程(vi):
工程(vi)において、工程(iii)で取得されたセンサデータの少なくとも一部は、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される。特に好ましくは、工程(iii)で取得された全てのセンサデータは、工程(vi)においてコンピュータプロセッサに提供される。ある一態様において、通信インターフェースは、Bluetooth又はWiFiを含んで良い。更なる態様では、コンピュータプロセッサは、携帯電話、スマートフォン又はタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、又はコンピュータキオスクなどのモバイル通信装置に含まれて良い。
【0056】
工程(vii):
工程(vii)では、工程(iii)で製造された少なくとも1つのコーティング層の表面性状データが、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される。工程(iii)が数回繰り返される場合、表面特性データは好ましくは、最後のコーティング層が塗布及び硬化された後、すなわち所望の多層コーティングが得られた後に提供される。
【0057】
ある態様では、表面特性データの提供は、工程(iii)において適用される少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを決定することと、決定された表面特性データを通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供することを含んで良い。表面特性データは、目視検査によって、又は測定装置で表面特性を測定することによって決定されて良い。目視検査は、製造されたコーティング層の色、外観、光沢などを周囲のコーティング層と目視で比較することを含んで良い。得られた結果、例えば視覚的一致(マッチ)又は視覚的不一致(ノンマッチ)は、次いで、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供されて良い。通信インターフェースは、得られた目視検査結果を入力するオプションをユーザに提供するユーザインターフェース(例えばGUI)をユーザに提示するディスプレイを備えてもよい。測定装置を用いて表面特性を測定することは、多角度又は球状配置色測定装置、分光光度計、デジタルカメラ又は任意の他の適切な装置を使用することを含んで良い。上記測定装置は、上記通信インターフェースを介して上記測定データを上記コンピュータプロセッサに提供することができるように、通信インターフェースを介して前記コンピュータプロセッサに接続されてもよい。通信インターフェースは、BluetoothやWiFiなどのワイヤレスでも、イーサネット、USBケーブルなどの有線でもよい。
【0058】
ある態様において、ステップ(vii)で提供される表面特性データは、色データ、外観データ、光沢データ、厚さデータ、粗さデータ、硬度データ及びそれらの組み合わせ、特に色データ及び/又は外観データから選択されて良い。色データは、色空間データ、反射率データ又は他の適切な色属性を含んで良い。色空間データの 1 つの例は、L で定義され、Lは光度を表し、aは赤/緑の外観を表し、bは黄色/青の外観を表す。色空間データの別の例は、L、C、 h で定義され、Lは明度を表し、Cは彩度を表し、h は色相を表す。
【0059】
工程(viii):
工程(viii)において、工程(i)で提供される、修正又はされた新しい混合処方などのコーティング組成物の修正された又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータが、工程(vi)で提供されるセンサデータ及び工程(vii)で提供される表面特性データに基づいてコンピュータプロセッサで決定される。ある一態様では、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質を決定することは、少なくとも1つの予め定義された適用値、特に少なくとも1つの予め定義された適用パラメータ及び/又は公差、ならびに少なくとも1つの予め定義された表面特性値、特に少なくとも1つの予め定義された表面特性パラメータ及び/又は公差をコンピュータプロセッサに提供することを含んで良く、及び工程(vi)で提供されたセンサデータが少なくとも1つの予め定義された適用値内に存在する場合、及び工程(vii)で提供された表面特性データが少なくとも1つの予め定義された表面特性値内に存在するかどうかをコンピュータプロセッサを使用して決定することを含んで良い。
【0060】
通信インターフェースは好ましくは、上述の値を入力するか、又はデータベースなどのコンピュータ可読媒体から上記値をインポートするオプションをユーザに提供するユーザインターフェース(例えばGUI)をユーザに提供するディスプレイを備える。ユーザインタフェースは、ウェブページを介して、又はクライアントマシン上で動作する専用アプリケーションを介して提供されて良い。予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を提供することは、存在する提示を提供すること、提供された提示に基づいて予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を取得すること、及び取得した予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を提供することを含んでも良い。存在する(既存の)の提示は、工程(i)で修正された提示を提供するための基礎として使用される提示に対応するか、又は工程(i)で提供される提示に対応する。予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を取得する工程は、提供された提示に基づいてデータベースから前記値を取得することを含んで良い。データベースには、予め定義された適用値や予め定義済された表面特性値に関連付けられている存在する提示が含まれている。
【0061】
予め定義された値には、工程(vi)及び(vii)で提供されるデータの数値又は数値の範囲が含まれて良い。少なくとも1つの予め定義された適用値は、距離公差、配向公差、移動公差、圧力公差、流量公差、温度公差、湿度公差、又はそれらの組み合わせから選択され得る。予め定義された表面特性値は、予め定義された色差、予め定義された外観差、予め定義された光沢差、予め定義された厚さ差、予め定義された粗さ差、予め定義された硬度差、及びそれらの組み合わせを含んでも良い。適切な色許容差は、ΔL、ΔC、Δh、又はΔL、Δa、Δb、を含む。これらの許容範囲を決定するための計算は、当技術分野で知られているような任意の適切な数学的計算を使用して達成されて良い。
【0062】
ある一態様において、品質パラメータは、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい表提示の許容性(受容性)を示す分類部(classifier)である。許容性は、前述の予め定義されたアプリケーション及び表面特性値から導き出されても良い。修正されたもしくは新しい混合処方又は修正されたもしくは新しいレシピなどのコーティング組成物の修正された又は新しい提示の品質は、工程(vi)で提供されるセンサデータが少なくとも1つの前述の適用値内にある場合、及び工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの前述の表面特性値の範囲内にある場合に許容されても良い。特に好ましくは、予め定義されたアプリケーション(適用)特性と表面特性の値のセットを使用して、品質パラメータが決定される。満たされる必要がある品質パラメータに依存して、上記セットは1次元又は多次元であって良い。製造されたコーティング層の許容可能な表面特性のために満たされる必要がある値は、前述のようにユーザによって定義されて良い。予め定義された適用値は、サードパーティ、たとえば補修の製造元によって定義さても良く、及び上記値が格納されているデータベースを使用して、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供されても良い。上記値は、コーティング組成物を調製するために使用された、修正に使用される存在する混合処方、市販製品名、レシピ番号、レシピ名など、存在する提示に関する情報を使用して取得することが可能である。
【0063】
工程(ix):
工程(ix)では、コーティング組成物の修正された又は新しい提示の決定された少なくとも1つの品質パラメータが、通信インターフェースを介して提供される。上記少なくとも1つのパラメータを提供することは、ディスプレイを含む通信インターフェースを介して、上記決定された前記少なくとも1つの品質パラメータをユーザに表示することを含んでも良い。ディスプレイは、GUIを含んでもよい。決定された品質パラメータを表示することに加えて、上記品質パラメータの決定に使用される予め定義された値、ならびに取得されたセンサデータ及び提供された表面特性データがユーザに表示されてもよい。上記の情報を表示することは、ユーザーの快適さを高めるために、予め定義された値の範囲外のデータを強調表示することを含んでも良い。
【0064】
工程(x):
工程(x)において、コーティング組成物の修正された、又は新しい提示は、上記修正された又は新しい提示の品質が工程(viii)において許容可能であると判断された場合、通信インターフェースを介して少なくとも1つのデータベースに提供される。
【0065】
工程(x)において、提供された修正された、又は新しい提示の品質が許容可能であると判断された場合に、少なくとも1つのデータベースに通信インターフェースを介してコーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供することは、上記データベースに上記修正した又は新しい提示を入力又はインポートすることを含んでも良い。データベースは、コーティング組成物の少なくとも1つの提示を既に含んでいてもよい。特に好ましくは、データベースはすでに混合処方などのさまざまな提示を含んでいる。データベースは、存在する(既存の)提示を提供するために使用されたのと同じデータベースであってもよく、ここで上記データベースは、工程(i)に提供される修正された提示を生成するために使用されたものである。一例では、入力又はインポートは、グラフィカルインターフェースを含むディスプレイを介して、行われても良く、これらは修正した又は新しい提示、例えば修正した又は新しい混合処方又は修正した又は新しいレシピを(任意に取得した表面特性データ及び更なる情報、例えば車両識別データと組み合わせて)データベースに入力することによって、又はコンピュータ可読媒体、例えばファイル又はデータベースから修正した又は新しい提示をインポートすることによって行われる。別の例ではユーザは、修正された又は新しい提示を、提示の決定された品質及び任意選択で、取得したセンサ及び表面特性データ及び車両識別データと共に、データベースの提供者に転送してもよく、次いでデータベースの提供者は、提供されたデータを入力又はインポートしてもよい。新しい又は修正された提示の入力又はインポートが、加えられた提示に関する通知をデータベースの他のユーザーに送信する結果になっても良い。工程(vi)で提供されるセンサデータが、前述のように少なくとも1つの予め定義された適用値内にある場合、及び工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内にある場合、コーティング組成物の修正された又は新しい提示の品質は許容可能である。
【0066】
提案された方法は、データベースを介して、修理工場などの他のユーザに、予め定義された品質を有する混合処方やレシピなどの修正された又は新しい提示を提供することを可能にする。修正された又は新しい提示の品質はコーティング層の製造直後に決定されるため、第三者による修正された又は新しい提示の時間のかかる品質チェックは不要であり、従って修正された又は新しい提示を他のユーザーに効率的かつ迅速に提供することが可能である。
【0067】
更なる工程:
一態様では、上記工程は更に、
(xi)工程(vi)で提供されるセンサデータをコンピュータプロセッサで分析する工程、及び/又は
(xii)任意に、工程(vi)で提供されたセンサーデータ及び/又は工程(vii)で提供された表面特性データが予め定義された値の範囲外である場合、通信インターフェースを介して推奨事項を提供する工程、及び/又は
(xiii)工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された値の外側にある場合に、更なる提示を生成する工程、
を含んでも良い。
【0068】
ある一態様では、提供されたセンサデータをコンピュータプロセッサで分析する工程(xi)は、提供されたセンサデータの少なくとも一部を、提供されたセンサデータに関連付けられた少なくとも1つの予め定義された値と比較することを含む。この工程は、スプレーガンの操作中(すなわち工程(ii)の間)又はコーティング組成物の塗布の完了後に実施しても良い。分析の結果は、棒グラフなどのグラフィカル表現を使用してGUIを介してユーザに表示されてもよい。分析がリアルタイムで実行される場合(すなわち、ステップ(ii)の噴霧中)、グラフィック表現はリアルタイムで更新され、噴霧工程中のユーザーガイダンスを増加させることが可能である。一例では、提供されたセンサデータの分析は、スプレーガンによるコーティング組成物の塗布中のユーザの動き、特に移動パターンを分析することを含んで良く、及び任意選択で、通信インターフェースを介して、特にディスプレイを含む通信インターフェースを介して、分析の結果をユーザに提供することを含んで良い。動きは、距離及び/又は位置及び/又は加速度センサによって取得されたデータを、予め定義された距離及び/又は位置及び/又は加速度値と比較することによって分析されて良い。上記データはまた、ユーザの動きを予め定義された動きと比較し、及び偏差を描写することによって、画像を介してスプレーガンの操作中のユーザの動きを描写するために使用されて良い。これは、分析がリアルタイムで行われ、スプレーガンの操作中に分析がユーザーに表示される場合に特に有用であって良く、この理由は、予め定義された動きからの偏差が予め定義された値の外にある場合に、ユーザーが動きを修正できるためである。別の例では、センサデータの分析は、工程(iii)で取得された温度及び/又は湿度及び/又は圧力及び/又は塗料フローデータを予め定義された値と比較すること、及び任意選択で、通信インターフェースを介して、特にディスプレイを含む通信インターフェースを介して、ユーザに分析の結果を表示することを含んで良い。表示されたデータは、修復されるべき基材の少なくとも一部にコーティング組成物を適用する前に、コーティング組成物をテストパネルに塗布し、及び取得されたデータが予め定義された値の範囲内にあるかどうかをチェックすることによって設定を訂正するために使用されて良い。
【0069】
工程(xi)を更に含む提案された方法は、自動車の再仕上げ中に、最適な視覚的結果、特に最適なカラーマッチング結果を達成するために、混合処方などの修正された又は新しい提示から調製されたコーティング材料の適用を分析及び最適化することを可能にする。望ましくない光学結果の場合、すなわち再仕上げされた表面部品と元の表面部品の色が一致しない場合、分析は適用パラメータの迅速かつ直感的な概要を提供し、及び望ましくない光学結果が再仕上げのために選択された不適切な修正された又は新しい提示によるものか、又はアプリケーションパラメータが予め定義された公差外にあるためかを簡単かつ迅速に評価することが可能である。望ましくない光学的結果が不適切な修正された又は新しい提示に起因する場合、上記修正された又は新しい提示は、前述のように更に修正されてもよく、及び本明細書に開示される工程は、上記更なる修正された提示を使用して繰り返されてもよい。
【0070】
工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが予め定義された値の範囲外である場合、通信インターフェースを介して工程(xii)で推奨事項を表示することは、ディスプレイを使用して推奨事項をユーザに提示することを含んで良い。推奨事項は、データベースなどのコンピュータ可読媒体に保存することができる。一例では、コンピュータプロセッサは、推奨を含むデータベースにアクセスしてもよく、及びプロセッサへの通信インターフェースを介して提供される工程(viii)における決定の結果に基づいて、それぞれの推奨を検索してもよい。前記検索された推奨は、次いで通信インターフェースを介してユーザに表示されてもよい。一例では、推奨は、「コーティング材料の塗布中のスプレーガンの距離はOKではない。より良い結果を得るために、正しい距離を使用してスプレープロセスを繰り返して下さい。」などのテキストメッセージの形態とすることが可能である。別の例では、推奨事項は、バー、ターゲットサークルなどのグラフィック表現の形式であって良く、許容値又は許容範囲と組み合わせて分析の結果を示しても良い。ユーザーの快適性を高めるために、テキストメッセージが表示されても良い。ユーザーは、許容できるパラメータ範囲/値、及び許容できるパラメータ範囲/値に関する自身のパフォーマンスに簡単にアクセスできるため、グラフィック提示の使用が好ましいものであって良い。
【0071】
工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが工程(xiii)で予め定義された値の範囲外である場合、更なるデジタル表現を生成することは、欧州特許出願番号EP 20213635.4に記載されている方法を使用して、提供された修正された又は新しい提示及び決定された表面特性データに基づいて更なる提示を計算することを含んでも良い。簡潔的に説明すると、この方法は以下の工程を含む、
-任意選択で工程(i)の修正された、又は新しい提示及び工程(vii)の表面特性データを通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
-通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサにコーティング層のターゲットカラーを提供する工程、
-任意選択で、コンピュータを使し、通信インターフェースを介して、工程(i)で提供される提示に関連する個々の色成分の特定の光学データを、データベースから読み出す工程、
-通信インターフェースを介して、コンピュータプロセッサに、数値的方法及び物理的モデルを提供する工程であって、数値的方法は、初期適用適応パラメータ(initial application adaption parameter)の与えられたセットから出発して、与えられた費用関数を最小限にすることによって、適用適応パラメータを最適化するように構成されており、与えられた費用関数は、特に与えられた表面特性データと与えられた提示の予測された表面特性データの間の色の差異として選択され、及び物理的モデルは、入力パラメータとして、与えられた提示に関する色処方を使用して、及び個々の色成分の得らえた特定の光学データ及び最適化の過程で得らえた対応する事前の適用適応パラメータを使用して、与えられた提示の色を予測するように構成されている工程、
-与えられた数値的方法及び物理モデルを用いて、与えられた提示の再帰的に予測された色と、与えられた表面特性データと比較することによって、与えられたコスト関数が与えられた閾値未満になるまで、コンピュータプロセッサで適用適応パラメータを計算する工程、及び
-通信インターフェースを介して、修正された提示を提供する工程。
【0072】
この方法は、本発明の方法の工程(viii)を実行するために使用されるコンピュータプロセッサによって実行されるか、又は工程(viii)を実行するプロセッサとは別の更なるコンピュータプロセッサによって実行されて良い。後者の場合、工程(i)の修正された、又は新しい提示及び表面特性データは、通信インターフェースを介して更なるコンピュータプロセッサに提供される必要がある。更なるコンピュータプロセッサは、ローカルコンピューティングデバイス又はクラウド環境に配置されたコンピューティングデバイスなどの更なるコンピューティングデバイス内に配置されて良い。
【0073】
個々の色成分の特定の光学データは、工程(i)で提供される提示に基づいて、データベースからコンピュータプロセッサを使用して検索されて良い。この目的のために、データベースは、コーティング組成物の提示と相互に関連する個々の色成分の特定の光学データを含む。この工程は一般に任意のものであり、及び個々の色成分の特定の光学データが工程(i)で提供されるデジタル提示にまだ含まれていない場合にのみ実行される。個々の色成分の特定の光学データは、それぞれ既知の参照色配合及び既知の測定参照色を有する既知の参照塗料コーティングに基づいて決定され、ここで参照塗料コーティングは、それぞれ参照塗料塗布工程を使用して基材上に塗布される。
【0074】
コンピュータプロセッサに、通信インターフェースを介してターゲットカラーを提供することは、工程(i)で提供される提示に関連付けられたターゲットカラーを、提供されたデジタル提示に基づいてデータベースから取り出すことを含んで良い。データベースは、コーティング層のそれぞれの提示と相互に関連するターゲットカラーを含む。
【0075】
各適用適応パラメータは、層厚適応、効果フレーク方位分布の適応、単色成分のエフェクティビティの適応、効果色成分のエフェクティビティの適応、又はそれらの組み合わせなど、多数の異なる適応尺度(複数形)の適応尺度に割り当てられて良い。
【0076】
塗装色処方計算アルゴリズムは、適用適応パラメータを計算するコンピュータプロセッサ上に実装されてもよく、又は、更なるコンピュータプロセッサ上に実装されてもよい。塗装色処方計算アルゴリズムが更なるコンピュータプロセッサ上に実装される場合、計算された適用適応パラメータ、個々の色成分ならびにターゲット色の特定の光学データは、通信インターフェースを介して更なるコンピュータプロセッサに提供される。塗装色処方計算アルゴリズムは、数値的手法と物理モデルによって実現される。数値的方法は、与えられた初期色定式化から出発して、与えられたコスト関数を最小化することによって、ターゲット色に関連して事前色処方の個々の色成分の濃度を最適化するように構成され、ここで与えられたコスト関数は特に、受け取ったターゲット色と事前の色処方の予測した色との間の色距離として選択され、 及び上記物理モデルは、上記事前の色処方に用いられる個々の色成分の濃度、個々の色成分の特定の光学データ、及び計算された適用適応パラメータを入力パラメータとして用いて上記事前の色配合の色を予測するように構成され、ここで色成分の最適化された濃度が、事前の色処方の再帰的に予測された色とターゲット色を比較することによって計算され、これは与えられたコスト関数が与えられた閾値未満になるまで行われる。
【0077】
通信インターフェースを介して計算された修正した提示を提供することは、グラフィカルユーザインターフェースを介して、修正された色の処方又は混合処方などの修正された提示を表示することを含んで良い。次いで、ユーザは、表示された情報を使用して、表示された情報に基づいて修正されたコーティング組成物を調製してもよく、及び「彼」又は「彼女」の個人的な適用パラメータ、すなわち工程(iii)で取得されたセンサデータを使用して、修正したコーティング組成物を基材に適用してもよい。計算された修正した提示は、工程(iii)で取得されたセンサデータと相互関連されてもよく、及びデータベースに格納されてもよい。これにより、再度必要になった場合に変更された提示をすばやく取得でき、再計算が不要になる。
【0078】
工程(xiii)は、従って、混合処方などの修正された又は新しい提示を個人的な適用パラメータに適合させることを可能にし、すなわち噴霧器は、所望の光学的結果を得るために標準的な適用パラメータを使用することを強制されないが、混合処方などの修正された又は新しい提示を適合させるために本発明の方法を、その人の個人的なアプリケーションパラメータに使用することが可能である。これにより、標準的な適用パラメータへの噴霧器の適応が不要になり、従って効率的な再仕上げプロセスが可能になる。その理由は、噴霧器は、コーティング組成物を慣用のものとして適用可能であり、及び許容可能な光学的結果を得るために、標準のパラメータに固執する必要がないからである。
【0079】
本発明のシステムの実施形態:
ある一態様では、コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供するための手段は、存在する(既存の)提示を含む少なくとも1つのデータベースを含む。存在する提示は次いで、上述のように修正される。代替的な態様では、コーティング組成物の新しい提示を提供するための手段は、混合処方又はレシピなどの新しい提示を開発するために使用することが可能なアプリケーション又はツールを提供することを含んでも良い。一つの例では、アプリケーション又はツールは、開発された提示が開発をサポートするために所望の表面特性を提供するかどうかを予測できるシミュレーション又は予測機能を含んでも良い。別の例では、アプリケーション又はツールは、表面特性データ、以前に獲得されたセンサデータなどの提供されたデータに基づいて、新たに開発された混合処方を提供することが可能である。このようなアプリケーション又はツールは、この技術分野において一般的に公知であり、及び訓練されたニューラルネットワークの使用を含んでも良い。これにより、仕上げ施行者の作業方法に混合処方を適合させることが可能になり、従って標準的な適用パラメータを達成するために、仕上げ施行者の作業方法を適用してその人が費やす時間が短縮される。
【0080】
ある一態様において、少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを提供するための手段は、色及び/又は輝き及び/又は質感(すなわち粗さ又は粒状性)を測定するための測定装置、光沢測定装置、表面粗さ測定装置、表面硬度測定装置又はこれらの組み合わせを含んでも良い。他の態様では、少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを提供する手段は、ディスプレイ、特にグラフィカルユーザインターフェースを備えるディスプレイを備えてもよい。これは、表面特性データが目視検査によって提供され、及び得られたデータがディスプレイに入力される場合、特にディスプレイに含まれるGUIを使用して入力される場合に好ましいものであって良い。
【0081】
ある一態様において、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、命令を格納するメモリとを備える処理モジュールを含んで良く、ここで上記処理モジュールによって実行されると、これは以下の工程を実施するシステムを構成する;
-上記センサ取得センサデータの少なくとも一部を前記通信インターフェースを介して上記コンピュータプロセッサに提供する工程、
-少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを通信インターフェースを介して上記コンピュータプロセッサに提供する工程、
-提供されたセンサデータ及び提供された表面特性データに基づいて、少なくとも1つの修正された又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータをコンピュータプロセッサを用いて決定する工程、及び
-通信インターフェースを介して、少なくとも1つの決定された品質パラメータを提供する工程。
【0082】
処理モジュールは、例えば少なくとも1つの通信インターフェースを介してデータを受信することができる、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を含み得る。
【0083】
本発明のいくつかの態様では、本方法及び/又はシステムは、ユーザに取得されたセンサデータ及び決定された提示の品質を視覚化及び分析することを可能にするユーザインターフェース及びワークフローを提供する。システムは、ユーザにユーザインターフェース(例えばGUI)を提示するコンピューティングデバイスを含み得る。ユーザインタフェースは、ウェブページを介して、又はクライアントマシン上で動作する専用アプリケーションを介して提供され得る。
【0084】
システムアーキテクチャ(構造)は、ネットワークを介してクライアントマシンに接続されたサーバマシンを含んでも良い。クライアントマシンは、以前に開示したように、少なくとも1つの品質管理パラメータを決定するための手段の実施形態であってもよい。ネットワークは、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベートネットワーク又はワイドエリアネットワーク(WAN))、又はそれらの組み合わせであって良い。クライアントマシンは、クライアントマシンのハードウェアとソフトウェアを管理するオペレーティングシステムを実行しても良い。ブラウザはクライアントマシン上で実行されても良い。ブラウザは、ウェブサーバーによって提供されるコンテンツにアクセスできるウェブブラウザであってもよい。ブラウザは、ウェブページリクエスト、検索クエリ、及び/又はその他のコマンドをウェブサーバーに発行しても良い。更に、ウェブサーバーと通信するように設計されたアプリケーションが、一部のクライアントマシンで実行されても良い。
【0085】
更なる実施形態又は態様が、以下の番号付き条項に記載される:
【0086】
『実施形態1』
コーティング組成物の提示(representation)の品質パラメータを決定するための方法であって、前記方法は、以下の工程:
(i)コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供する工程;
(ii)提供された提示からコーティング組成物を調製する工程;
(iii)工程(ii)で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットを備えるスプレーガンを用いて、基材の少なくとも一部に手動で塗布することにより、基材の少なくとも一部にコーティング層を生成し、この一方で、センサユニットでセンサデータを取得する工程、
(iv)任意選択で、工程(iii)で取得されたセンサデータに基づいて、コーティング組成物の手動塗布中に信号ユニットを介してユーザにフィードバックを提供する工程、
(v)任意に工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)を繰り返す工程;
(vi)工程(iii)で取得されたセンサデータの少なくとも一部を通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(vii)工程(iii)で生成された少なくとも一つのコーティング層の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(viii)
-工程(vi)で提供されるセンサデータ、及び
-工程(vii)で提供される表面特性データ、
に基づいて、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示の少なくとも1つの品質パラメータを、コンピュータプロセッサを使用して決定する工程、
(ix)上記通信インターフェースを介して、工程(viii)で決定された少なくとも1つの品質パラメータを提供する工程、及び
(x)上記提示の品質が工程(viii)において許容可能であると決定された場合に、少なくとも1つのデータベースに上記通信インターフェースを介してコーティング組成物の提示を提供する工程、
を含む、方法。
【0087】
『実施形態2』
修正した提示を提供することは、存在する提示に記載された少なくとも1つのパラメータを変更することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0088】
『実施形態3』
存在する提示が物理的形式又はデジタル形式、特にデジタル形式で存在する、実施形態2に記載の方法。
【0089】
『実施形態4』
上記物理形式が、紙又はカラーチップを含む、実施形態3に記載の方法。
【0090】
『実施形態5』
上記デジタル形式が、コンピュータ可読媒体、特にデータベースを含む実施形態3又は4に記載の方法。
【0091】
『実施形態6』
存在する(既存の)提示を提供することは、車両識別又は表面特性データを提供すること、提供された車両識別又は表面特性データに基づいて存在する提示を取得すること、及び上記取得した提示を提供することを含む、実施形態1~5の何れか1つに記載の方法。
【0092】
『実施形態7』
存在する提示を取得する工程は、提供された車両識別又は表面特性データに基づいて上記提示のためのデータベースを検索することとして更に定義される、実施形態6に記載の方法。
【0093】
『実施形態8』
新しい提示を提供することは、存在する提示を基礎として使用せずに、パラメータを定義することを含む、実施形態1~7の何れか1つに記載の方法。
【0094】
『実施形態9』
コーティング組成物の修正した又は新しい提示を提供することは、修正した又は新しい混合処方又は修正した又は新しいレシピ、特に修正した又は新しい混合処方を提供することを含んで良い、実施形態1~8の何れか1つに記載の方法。
【0095】
『実施形態10』
工程(i)で提供される修正した又は新しい提示に従って成分を混合することによって、コーティング組成物が工程(ii)で調製される、実施形態1~9の何れか1つに記載の方法。
【0096】
『実施形態11』
構成要素(component)が容器又は原材料の内容物、特に容器の内容物である、実施形態10に記載の方法。
【0097】
『実施形態12』
容器の内容物が着色ベース、無着色ベース、レデューサーベース又は硬化剤組成物から選択される、実施形態10又は11に記載の方法。
【0098】
『実施形態13』
調製されたコーティング組成物が、液体コーティング組成物又は粉体コーティング組成物、特に液体コーティング組成物である、実施形態1~12の何れか1つに記載の方法。
【0099】
『実施形態14』
上記基材が、金属基材、プラスチック基材、金属及びプラスチック部分を含む基材、少なくとも1つのコーティング層を含む金属もしくはプラスチック基材、又は欠陥部位を有する少なくとも1つのコーティング層を含む金属もしくはプラスチック基材、特に欠陥部位を有する少なくとも1つのコーティング層を含む金属もしくはプラスチック基材から選択される、実施形態1~13の何れか1つに記載の方法。
【0100】
『実施形態15』
工程(iii)で生成されるコーティング層が、着色コーティング層又はクリアコート層である、実施形態1~14の何れか1つに記載の方法。
【0101】
『実施形態16』
上記スプレーガンが空気圧式又は静電式スプレーガン、特に空気圧式スプレーガンである、実施形態1~15の何れか1つに記載の方法。
【0102】
『実施形態17』
上記センサユニット、上記処理ユニット及び任意に前記信号ユニットが単一のユニットとして構成されている、実施形態1~16の何れか1つに記載の方法。
【0103】
『実施形態18』
上記センサユニット、上記処理ユニット及び任意選択で上記信号ユニットのうちの少なくとも1つが別個のユニットとして構成されている、実施形態1~16の何れか1つに記載の方法。
【0104】
『実施形態19』
上記センサユニット、上記処理ユニット及び任意選択で上記信号ユニット又は上記単一ユニットは、スプレーガンに恒久的に取り付けられているか、又は着脱可能であり、特に着脱可能である、実施形態1~18の何れか1つに記載の方法。
【0105】
『実施形態20』
上記センサユニットが少なくとも1つのセンサを含む、実施形態1~19の何れか1つに記載の方法。
【0106】
『実施形態21』
少なくとも1つのセンサが、距離センサ、方位センサ、加速度センサ、LiDARセンサ、圧力センサ、塗料流量センサ、温度センサ、湿度センサ及びこれらの組み合わせ、特に方位センサ及び加速度センサから、又は方位センサ、加速度センサ及び距離センサから選択される、実施形態20に記載の方法。
【0107】
『実施形態22』
距離センサが超音波センサ、LiDARセンサ、レーダーセンサ又はそれらの組み合わせから選択される実施形態21に記載の方法。
【0108】
『実施形態23』
上記スプレーガンの処理ユニットがマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを備える、実施形態1~22の何れか1つに記載の方法。
【0109】
『実施形態24』
信号ユニットが少なくとも1つの光学的及び/又は音響的及び/又は触覚信号を提供する、実施形態1~23の何れか1つに記載の方法。
【0110】
『実施形態25』
工程(iii)で取得されたセンサデータは、スプレーガンと基材との距離に関するデータ、基材に対するスプレーガンの向きに関するデータ、スプレーガンの移動に関するデータ、基材の輪郭に関するデータ、圧縮空気の圧力に関するデータ、コーティング組成物の流れに関するデータ、温度データ、湿度データ及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態1~24の何れか1つに記載の方法。
【0111】
『実施形態26』
工程(iv)においてスプレーガンによるコーティング組成物の手動塗布中にユーザにフィードバックを提供することは、
-工程(iii)で取得したセンサデータを通信インターフェースを介して上記スプレーガンの処理ユニットに提供し、
-上記処理ユニットを使用して、提供されたセンサデータを処理し、提供されたデータが、予め定義された値、特に少なくとも1つの予め定義されたパラメータ及び/又は許容誤差の内側に存在するのか、又は外側に存在するのかを決定し、
-処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を、信号ユニットを使用してユーザに提供すること、
を含む、実施形態1~25の何れか1つに記載の方法。
【0112】
『実施形態27』
上記少なくとも1つの予め定義された値が、距離値、方位値、移動値、圧力値、流量値、温度値、湿度値及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態26に記載の方法。
【0113】
『実施形態28』
前記少なくとも1つの信号が、光信号、音響信号、触覚信号又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態26又は27に記載の方法。
【0114】
『実施形態29』
上記工程(vi)の通信インターフェースは、Bluetooth又はWiFを含む、実施形態1~28の何れか1つに記載の方法。
【0115】
『実施形態30』
上記センサデータは、工程(vi)で、上記通信インターフェースを介して移動通信装置、パーソナルコンピュータ、ラップトップ又はコンピュータキオスクに提供される、実施形態1~29の何れか1つに記載の方法。
【0116】
『実施形態31』
工程(vii)において表面特性データを提供することは、工程(iii)において適用された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを決定することと、決定された表面特性データを通信インターフェースを介して前記コンピュータプロセッサに提供することとを含む、実施形態1~30の何れか1つに記載の方法。
【0117】
『実施形態32』
上記表面特性データは、目視検査によって、又は測定装置を用いて表面特性を測定することによって決定される、実施形態31に記載の方法。
【0118】
『実施形態33』
表面特性データが、色データ、外観データ、光沢データ、厚さデータ、粗さデータ、硬度データ及びそれらの組み合わせ、特に色データ及び/又は外観データから選択される、実施形態1~32の何れか1つに記載の方法。
【0119】
『実施形態34』
工程(viii)における、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質を決定することは、
-少なくとも1つの予め定義された適用値、特に少なくとも1つの予め定義された適用パラメータ及び/又は公差、及び少なくとも1つの予め定義された表面特性値、特に少なくとも1つの予め定義された表面特性パラメータ及び/又は公差を、コンピュータプロセッサへ通信インターフェースを介して提供すること、及び
-工程(vi)で提供されるセンサデータが、少なくとも1つの予め定義された適用値の範囲内にあるかどうか、及び工程(vii)で提供される表面特性データが、少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内にあるかどうかをコンピュータプロセッサを使用して判断すること、
を含む、実施形態1~33の何れか1つに記載の方法。
【0120】
『実施形態35』
予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を提供することは、存在する提示を提供すること、予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を提供された提示に基づいて取得すること、及び取得した予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を提供することを含む、実施形態34に記載の方法。
【0121】
『実施形態36』
予め定義された適用値及び/又は予め定義された表面特性値を取得する工程は、提供された提示に基づいてデータベースから上記値を検索する工程を含む、実施形態35に記載の方法。
【0122】
『実施形態37』
上記予め定義された値は、工程(vi)及び(vii)で提供されるデータについての数値又は数値の範囲を含む、実施形態34~36の何れか1つに記載の方法。
【0123】
『実施形態38』
少なくとも1つの予め定義された適用値が、距離公差、配向公差、移動公差、圧力公差、流量公差、温度公差、湿度公差又はそれらの組み合わせから選択される、実施形態34~37の何れか1つに記載の方法。
【0124】
『実施形態39』
少なくとも1つの予め定義された表面特性値は、予め定義された色差、予め定義された外観差、予め定義された光沢差、予め定義された厚さ差、予め定義された粗さ差、予め定義された硬度差、及びそれらの組み合わせを含む、実施形態34~38の何れか1つに記載の方法。
【0125】
『実施形態40』
上記品質パラメータは、提供された修正された、又は新しい提示の受容性を示す分類部である、実施形態1~39の何れか1つに記載の方法。
【0126】
『実施形態41』
工程(vi)で提供されるセンサデータが少なくとも1つの予め定義された適用値内にある場合、及び工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内である場合、特に予め定義された適用特性及び表面特性の値のセット内である場合、コーティング組成物の提供された提示の品質が許容される、実施形態40に記載の方法。
【0127】
『実施形態42』
前記工程(vii)及び/又は(viii)における通信インターフェースは、ディスプレイを含み、好ましくはグラフィカルユーザインタフェースを有するディスプレイである、実施形態1~41の何れか1つに記載の方法。
【0128】
『実施形態43』
(xi)工程(vi)で提供されるセンサデータをコンピュータプロセッサで分析する工程、及び/又は
(xii)任意に、工程(vi)で提供されたセンサーデータ及び/又は工程(vii)で提供された表面特性データが予め定義された値の範囲外である場合、通信インターフェースを介して推奨事項を提供する工程、及び/又は
(xii)工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された値の外側にある場合に、更なる提示を生成する工程、
を更に含む、実施形態1~42の何れか1つに記載の方法。
【0129】
『実施形態44』
提供されたセンサデータを分析することは、スプレーガンを使用したコーティング組成物の塗布中のユーザの動き、特に動きのパターンを分析することを含み、及び任意選択で、通信インターフェースを介して、特にディスプレイを含む通信インターフェースを介して、分析の結果をユーザに提供する、実施形態43に記載の方法。
【0130】
『実施形態45』
提供されたセンサーデータの分析には、温度及び/又は湿度及び/又は圧力及び/又は塗料フローデータの分析が含まれ、及び任意に、通信インターフェースを介して、特にディスプレイを含む通信インターフェースを介して、分析の結果をユーザーに提供することが含まれる、実施形態43に記載の方法。
【0131】
『実施形態46』
工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された値の外側である場合に更なる提示を生成することが、
-任意選択で、工程(i)の修正された又は新しい提示、及び工程(vii)の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供することを含み、
-コーティング層の目標色を、コンピュータプロセッサに通信インタフェースを介して提供すること、
-任意選択で、工程(i)で提供される提示に関連する個々の色成分の特定の光学データを、データベースから通信インタフェースを介してコンピュータプロセッサで取得すること、
-通信インタフェースを介して上記コンピュータプロセッサに数値的方法及び物理モデルを提供することであって、 上記数値的方法は、初期適用適応パラメータの所与のセットから出発して、所与のコスト関数を最小化することによって適用適応パラメータを最適化するように構成され、上記所与のコスト関数は、提供された表面特性データと上記提供された提示の予測された表面特性データとの間の色差として特に選択され、及び上記物理モデルは、入力パラメータとして提供された提示、及び最適化の過程で生じる、取得した個々の色成分の特定の光学データ及びそれぞれの事前の適用適応パラメータに関して、色処方を使用することによって上記提供された提示の色を予測するように構成されていること、
-提供された数値的方法及び物理的モデルを使用して、コンピュータプロセッサで、与えられた提示の再帰的に予測された色を、与えられた表面特性データと比較することによって、与えられたコスト関数が与えられた閾値未満になるまで適用適応パラメータを計算すること、
-目標塗料コーティングが基材上に塗布された場合に、工程(iii)で取得されたセンサデータを使用して、与えられた目標色(ターゲットカラー)及び計算された適用適応パラメータを塗料色処方計算アルゴリズム用の入力パラメータとして使用して、目標塗料コーティング用の目標色処方として、個々の色成分の最適化された濃度を有する修正された提示を計算すること、
-更なる提示を通信インターフェイスを介して提供すること、
を含む、実施形態43~45の何れか1つに記載の方法。
【0132】
『実施形態47』
工程(x)において、通信インターフェースを介してコーティング組成物の修正した又は新しい提示を少なくとも1つのデータベースに提供することは、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい手字をデータベースに入力又はインポートすることを含む、実施形態1~46の何れか1つに記載の方法。
【0133】
『実施形態48』
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するためのシステムであって、
a)コーティング組成物の少なくとも1つの修正された又は新しい提示を提供するための手段;
b)コーティング組成物を基材に手動で塗布するためのスプレーガンであって、スプレーガンの動作中にセンサデータを取得するためのセンサユニットと、取得したセンサデータを処理する処理ユニットと、任意選択で、処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を提供するための信号ユニットとを備えるスプレーガンと、
c)少なくとも1つの通信インターフェースと、
d)提供されたコーティング配合物の提示から製造された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを提供する手段;
e)コーティング組成物の提供された修正された、又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段、
を含む、システム。
【0134】
『実施形態49』
コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供するための手段は、少なくとも1つのデータベースを含み、特に存在する(既存の)提示を含む、実施形態48に記載のシステム。
【0135】
『実施形態50』
少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを提供する手段は、色及び/又は輝き及び/又は質感を測定する測定装置、光沢測定装置、表面粗さ測定装置、表面硬度測定装置又はそれらの組み合わせ又はディスプレイを含む、実施形態48又は49に記載のシステム。
【0136】
『実施形態51』
上記コーティング組成物の適合された提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、命令を格納するメモリとを備える処理モジュールを含み、前記処理モジュールによって実行される場合、以下の工程;
-上記通信インターフェースを介して、上記センサ取得センサデータの少なくとも一部を上記コンピュータプロセッサに提供する工程;
-少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを通信インターフェースを介して上記コンピュータプロセッサに提供する工程;
-提供されたセンサデータ及び提供された表面特性データに基づいて、少なくとも1つの修正された、又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを、コンピュータプロセッサを使用して決定する工程;及び
-通信インターフェースを介して、少なくとも1つの決定された品質パラメータを提供する工程、
を行うシステムを構成する、実施形態48~50の何れか1つに記載のシステム。
【0137】
『実施形態52』
品質基準に従ってコーティング組成物の修正した又は新しい提示をスクリーニングするために、実施形態1~47の何れか1つに記載の方法を使用する方法。
【0138】
『実施形態53』
a)コーティング組成物の修正された又は新しい提示、及び
b)品質パラメータ、
を含み、品質パラメータは、実施形態1~47項のいずれか1つの方法に従って決定される、システム。
【0139】
『実施形態54』
コーティング組成物の少なくとも1つの修正された、又は新しい提示を含むデータベースであって、上記コーティング組成物の修正された、又は新しい提示が、実施形態1~47のいずれか1つの方法に従ってデータベースに提供される、データベース。
【図面の簡単な説明】
【0140】
本発明のこれらの及び他の特徴は、本発明の例示的な実施形態の以下の説明においてより十分に説明される。特定の要素又は動作の論考を容易に識別するために、参照番号の最上位桁は、その要素が最初に導入された図の番号を示している。以下のものは、図の説明である:
図1図1は、本発明の方法で使用されるセンサユニット、処理ユニット及び信号ユニットを含むスプレーガンを示す。
図2a図2aは、混合処方など、コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法のブロック図である。
図2b図2bは、本発明の方法の好ましい実施形態のブロック図である。
図3図3は、本発明によるシステムを示す。
【詳細な説明】
【0141】
以下に記載される詳細な説明は、本発明の構成の様々な態様の説明として意図されており、本発明の構成が実施されて良い唯一の構成を表すことを意図するものではない。添付図面は本明細書に組み込まれ、及び発明の詳細な説明の一部を構成する。発明の詳細な説明には、発明の構成を完全に理解することを目的とした特定の詳細説明が含まれている。しかしながら、本発明の構成がこれらの特定の詳細なしに実施されて良いことは当業者には明らかである。
【0142】
図1は、コーティング組成物を基材に手動で塗布するために動作可能なスプレーガン100の概略図を描いている。この例では、スプレーガン100は、液体コーティング組成物を基材に塗布するために作動可能に空気圧式スプレーガンである。別の例では、スプレーガン100は、静電スプレーガンであってもよい。更に別の例では、コーティング組成物は、粉体コーティング組成物であってもよい。スプレーガン100は、スプレーノズル104を有する本体102を備える。本体に接続されるのは、トリガー106、コーティング組成物を含むリザーバ(貯留部)108、及びコーティング組成物を基材に送達する手段110である。この例では、リザーバ108は、簡素化のために単一の品目として示されている。別の例では、スプレーガン100は典型的には、別個のリザーバ108.1~108.nを備えるように構成されて良く、及びコーティング組成物を送達する手段110.1~110.nが、貯留部108.1~108.nに存在する。この例では、手段110は圧縮空気である。別の例では、手段110は、圧縮空気と電気との組合せである。トリガー106が修理工場の塗装者などのオペレータによって押されると、リザー108に存在するコーティング組成物が手段110によって基材に塗布される。スプレーガン100は、センサユニット112と、処理ユニット114と、信号ユニット116とを更に備える。この例では、処理ユニット114はマイクロプロセッサである。この例では、センサユニット112、処理ユニット114及び信号ユニット116は、スプレーガン100の本体102に取り付けられる単一のユニットとして構成されている。他の例では、処理ユニット114及び/又は信号ユニット116は、センサユニット112とは別にスプレーガン100の本体102に取り付けられてもよい。
【0143】
図2aは、コーティング組成物の提示の品質を決定する発明方法200の非限定的な第1実施形態を表している。この例では、補修ベースコート組成物及び補修クリアコート組成物が調製され、続いてサンディング及び必要に応じて欠陥領域の更なる前処理後に、自動車の多層コーティングの欠陥領域に塗布される。
【0144】
ブロック202では、ルーチン201は、ユーザが、補修ベースコート組成物のための新しい混合処方などの新しい混合処方を開発することを希望するか否かを決定する。この目的のために、ルーチン201は、ユーザに適切な選択をするように促すメニューをディスプレイデバイスのGUI上に表示して良い。ディスプレイデバイス(表示装置)は、コンピュータプロセッサを備えるパーソナルコンピュータに接続されてもよく、又は、コンピュータプロセッサを備えるスマートフォン、タブレット又はラップトップなどのモバイルデバイスに含まれてもよい。ユーザが新しい混合処方の開発を所望する場合、ルーチン201は、開発でユーザをサポートする推奨を画面上に表示してもよく、又は後で説明するように、新しい混合処方を開発するように設計されたアプリケーション又はツールを開始してもよい。次いで、方法200は、後述するブロック214に進む。ユーザが新しい混合処方を開発することを所望しない場合には、ルーチン201はブロック204に進む。
【0145】
ブロック204ではユーザは、色及び/又は外観、VIN、カラーコード、再仕上げベースコート組成物を調製するために使用される混合処方など、多層コーティングの特性を提供する必要がある。この目的のために、ルーチン201は、補修ベースコート組成物の存在するの混合処方を検索するために利用可能なオプションを含むディスプレイデバイスのGUI上に、メニューを表示し得る。ユーザ選択に応じて、ルーチン201は、ブロック206に関連して説明されるように、混合処方を取り出すために必要なデータ入力プロセスを通してユーザを導く更なるメニューを表示しても良い。多層コーティングの色及び/又は外観は、市販の分光光度計で損傷のない部位での自動車の多層コーティングの色及び/又は外観を測定することによって、又は多層コーティングに関連する色値を入力することによって提供されても良い。取得したデータは、分光光度計又はコンピュータプロセッサによって処理されてもよい。処理されたデータ又は取得された生データは、USBケーブル又は無線通信インターフェースなどの通信インターフェースを介して、コンピュータープロセッサに提供される。カラーコードは、カラーチップ(色片)と損傷のない多層コーティングを視覚的に比較し、ベストマッチングするカラーチップに関連付けられたカラーコードを入力することによって取得することが可能である。ブロック206では、ブロック204で提供される特性は、インターネットなどの通信インターフェースを介してコンピュータに接続されたデータベースから適切な存在する混合処方を検索するために使用される。データベースには、色及び/又は外観、VIN、カラーコード、クリアコート/ベースコートをマッチングさせるための混合処方、又はそれらの組み合わせなどの特性に関連付けられた存在する混合処方が含まれている。一例では、ブロック202~208の最初の実行において提供された補修ベースコート組成物の特性に基づいて、データベースからブロック202~208を繰り返す際に、補修クリアコート組成物が選択される。この目的のために、ルーチン201は、ブロック208において選択された混合処方を使用して、選択された混合処方に基づいてデータベースから適切な補修(再仕上げ)クリアコート組成物を取り出して良い。別の例では、ルーチン201は、利用可能な補修クリアコート組成物のリストを表示装置のスクリーン上に表示しても良い。
【0146】
ブロック208では、ユーザは、ブロック206で検索された存在する混合処方から適切な混合処方を選択し、及び選択された混合処方が表示装置の画面に表示される。選択された混合処方を表示することは、ブロック206で検索された混合処方に基づいてデータベースから検索されても良い更なるデータ、例えばコメント、ランキング、価格などを表示することを含んでも良い。
【0147】
ブロック210では、ルーチン201は、ユーザが選択された混合処方を修正することを所望するか否かを決定する。この目的のために、ルーチン201は、適切な選択を行うようユーザに促すメニューをディスプレイデバイスのGUI上に表示しても良い。ユーザが選択された混合処方を修正することを所望する場合、方法200はブロック212に進む。そうでない場合、方法200はブロック216に進む。
【0148】
ブロック212ではユーザは、混合処方に列挙された着色ベース、無着色ベース及びレデューサー(希釈剤)ベースの重量比を所望に応じて変更することによって、選択された混合処方を修正する。一例では、存在する提示の修正は、テストパネルを準備し、テストパネルの視覚的外観を損傷のない部位におけるコーティングの視覚的外観と比較した後に実行されて良い。修正した混合処方は、例えば通信インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ又はモバイル装置のプロセッサに提供されて良い。これは後で説明するように、ブロック216において自動計量装置が使用される場合に有益であって良い。
【0149】
ブロック214ではユーザは、新しい混合処方を開発する。これには、存在する混合処方を基礎として使用せずに、量、比率、生産パラメータなどのパラメータを定義することが含まれて良い。新しい混合処方の開発は、アプリケーション又はツールを使用して実行されて良い。一例では、アプリケーション又はツールは、開発された混合処方が開発をサポートするために所望の表面特性を提供するかどうかを予測できるシミュレーション又は予測機能を備えても良い。別の例では、アプリケーション又はツールは、表面特性データなどの提供されたデータに基づいて、新たに開発された混合処方を提供することができる。新たに開発された混合処方は、アプリケーション又はツールが、パーソナルコンピュータ又はモバイルデバイス上で作動しない場合には、例えば通信インターフェースを介してパーソナルコンピュータ又はモバイルデバイスのプロセッサに提供されても良い。これは、以下で説明するように、ブロック216において自動計量装置が使用される場合に有益であって良い。
【0150】
ブロック216では、補修ベースコート組成物は、ブロック208で選択された混合処方又はブロック212で調製された修正した混合処方又はブロック214で新たに開発された混合処方から、着色ベース、無着色ベース及びレデューサーベースを選択/修正した/新しく開発した混合処方に列挙された量で混合し、得られたコーティング組成物を攪拌することによって調製される。混合は、混合処方をデジタル形式で自動計量装置に転送することによって実行しても良く、自動計量装置は、転送されたデータに基づいて計量操作を実行し、任意に更なる品質管理チェックのために計量操作の結果を保存して良い。この目的のために計量装置は、通信インターフェースを介して上述のコンピュータプロセッサに接続される。
【0151】
ブロック218において、ルーチン201は、ブロック216で調製されたコーティング組成物の塗布中に、ユーザがスプレーガンのセンサユニットからフィードバックを受取ることを所望するか否かを決定する。この目的のために、ルーチン201は、適切な選択を行うようユーザに促すメニューをディスプレイデバイスのGUI上に表示し得る。ルーチン201が、ユーザが塗布工程中にフィードバックを受け取ることを所望すると判断した場合、ルーチン201は、ブロック222に進む。そうでない場合、方法200はブロック220に進む。
【0152】
ブロック220では、ブロック216で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び信号ユニットを備えるスプレーガンで、センサユニットでセンサデータを取得しながら、欠陥部位に手動で塗布することにより、多層コーティングの欠陥部位にコーティング層が作製される。塗布されたコーティング層は、その後乾燥及び/又は硬化される。コーティング組成物を基材に手動で塗布するための、及びブロック220での使用に適しているスプレーガンが例えば、図1に説明される。コーティング組成物の手動塗布中、センサデータがスプレーガンのセンサユニットで取得される。コーティング組成物の手動塗布中に獲得されたセンサデータは、ブロック232に関して説明されるように、獲得されたセンサデータを更なるコンピュータプロセッサに提供する前に、処理ユニットの内部保存箇所(storage)に保存されて良い。
【0153】
ブロック222において、ルーチン201は、スプレーガンの処理ユニットにBluetooth又はWiFiなどの通信インターフェースを介して予め定義された適用値をスプレーガンの処理ユニットに提供する。この例では、次の値が提供された:距離値、すなわちスプレーガンと基材との距離の許容誤差、及び配向値、すなわち基材に対するスプレーガンの配向の許容誤差、移動値及び圧力値、すなわち圧縮空気の圧力に対する許容誤差、 フロー値、すなわちベースコート組成物のフローに対する許容値、温度値及び湿度値である。別の例では、前述の値の少なくとも1つが、ルーチン201によって処理ユニットに提供される。一例では、ルーチン201によって処理ユニットに提供された値は、ブロック208において選択された混合処方に基づいてデータベースからルーチン201によって検索される。これは、選択又は修正された混合処方が、ブロック216においてコーティング組成物を調製するために使用される場合に好ましいものであっても良い。別の例では、ユーザは、適切な適用値を入力してもよく、又は利用可能な適用値のリストから適切な適用値を選択してもよい。ルーチン201は、ユーザ入力を検出し、ユーザ入力をそれぞれの適用値に変換し、及び通信インターフェースを介してスプレーガンの処理ユニットに値を提供する。ルーチン201は、後にブロック240に関連して説明されるような、後の使用のために、検索又は変換された値をデバイスの内部メモリに保存するようにプログラムされても良い。
【0154】
ブロック224では、ブロック220に関連して説明したように、ブロック216で調製されたコーティング組成物をスプレーガンで塗布することにより、多層コーティングの欠陥部位にコーティング層が手動で生成される。
【0155】
ブロック226では、スプレーガンの処理ユニットのプロセッサは、ブロック224で取得されたセンサデータが、ブロック222で提供される少なくとも1つの適用値の外部にあるか否かを判定する。取得されたセンサデータが少なくとも1つの提供された適用値の外側にある場合、ブロック228が実行される。そうでない場合、方法200はブロック230に進む。
【0156】
ブロック228では、処理ユニットがブロック226で行われた決定に応答して、信号ユニットを制御する。上記信号ユニットは、前記処理ユニットによる制御に応答して、例えば上記光信号の色を変化させ、及び/又は上記音響信号の音を変化させ、及び/又は上記触覚信号の強度を変化させることによって、少なくとも1つの信号を提供する。これは、ブロック224においてコーティング組成物を手動で塗布するために使用される適用条件が予め定義された適用値内にあるかどうかをユーザにフィードバックを提供することを可能にし、従ってコーティング組成物が標準的な適用条件下で適用されることを確実にし、それぞれの混合処方に関連する非標準的な適用条件の使用による色の不一致を防止する。適用条件に関するフィードバックをリアルタイムでユーザに提供するために、ブロック224~228は、好ましくは同時に実行される。「同時に」とは、センサユニットがセンサデータを取得し、処理ユニットがセンサデータを処理し(すなわち、取得されたデータが提供された予め定義された適用値の内又は外にあるかどうかを判断する)、及び処理結果に基づいて信号ユニットを制御するのにかかる時間を指す。
【0157】
ブロック230では、ルーチン201は、ユーザが更なるコーティング組成物を塗布するおことを所望するか否かを決定する。この場合、ルーチン201はブロック202に進み、そうでなければルーチン201はブロック232に進む。
【0158】
ブロック232では、ブロック220及び/又は224で獲得されたセンサデータが、通信インターフェースを介して少なくとも1つのコンピュータプロセッサに提供される。センサデータは、ブロック220又は224におけるベースコート組成物の塗布中に得られるセンサデータと、ブロック220又は224を繰り返す際の基材へのクリアコート組成物の塗布中に得られるセンサデータを含む。この例では、コンピュータプロセッサは、ブロック202に関連して記載したパーソナルコンピュータ、ラップトップ、又はスマートフォン又はタブレットなどのモバイル通信デバイスに含まれる。別の例では、センサデータは、ルーチン201によって検索され、及び通信インターフェースを介してクラウド環境に提供される。検索されたセンサデータは、表示装置の画面に表示されてもよい。
【0159】
ブロック234では、ルーチン201は、準備されたコーティング層の表面特性データを検索し、検索したデータをコンピュータプロセッサに提供する。この例では、表面特性データは、ブロック220又は224において適用されたクリアコート層が硬化した後に、ルーチン201によって検索される。この目的のために、調製した多層コーティングの色及び/又は外観及び/又は光沢をマルチアングル分光光度計及び/又は光沢計で測定することにより、色データ及び/又は外観データ及び/又は光沢データが得られる。分光光度計及び/又は光沢計はそれぞれ、通信インターフェースを介して少なくとも1つのプロセッサに接続され、及び取得又は前処理されたデータがルーチン201によって検索され、そして上記通信インターフェースを介して少なくとも1つのプロセッサに提供される。通信インターフェースは、Bluetooth又はWiFiなどの無線とすることも、例えばUSBケーブル又はイーサネットを使用して有線とすることも可能である。
【0160】
ブロック236ではルーチン201は、品質パラメータが、ブロック220又は224において適用されるコーティング組成物に関連する各混合処方について決定されるべきか否かを決定する。ルーチン201は、ブロック220又は224が1回だけ実行される場合、すなわち1つのコーティング組成物のみが基材に適用される場合に、ブロック240に自動的に進むようにプログラムされてもよい。少なくとも2つのコーティング組成物が続いて塗布(適用)された場合、すなわちブロック220又は224が少なくとも2回繰り返された場合、ルーチン201は、ユーザに適切な選択を行うように促すメニューを表示デバイスのGUI上に表示しても良い。ルーチン201が、ユーザが選択された混合処方の品質パラメータを取得することを所望すると判断した場合、ルーチン201はブロック238に進む。そうでない場合、ルーチン201は、後述するブロック240に進む。
【0161】
ブロック238ではルーチン201は、ブロック216で使用される混合処方のリストから混合処方(複数可)を選択することに関連するユーザ入力を検出する。この目的のために、ルーチン201は、ブロック216において使用される全ての混合処方を含む表示デバイスのGUI上にリストを表示してもよく、及びユーザによってなされた選択を検出してもよい。ルーチン201は、次いで、ブロック240に進む。
【0162】
ブロック240ではルーチン201は、予め定義された表面特性値及び任意選択で予め定義された適用値を検索し、及び検索された値をプロセッサに提供する。予め定義された適用値は、ブロック222が実行されなかった場合、又はブロック222で検索された適用値がデバイスの内部メモリに保存されなかった場合、検索すれば十分である。一例では値は、ブロック208において選択された混合処方に基づいて、又は利用可能な混合処方のリストからユーザによって選択された混合処方に基づいて、少なくとも1つのデータベースからルーチン201によって検索される。別の例では値は、手動入力又はファイルからのインポートによって、GUIを介してユーザによって提供される。
【0163】
ブロック242では、各混合処方又は選択された各混合処方の品質パラメータが、ブロック220又は224に提供されるセンサデータ及びブロック234に提供される表面特性データに基づいてプロセッサによって決定される。品質パラメータは、ブロック210で修正された、又はブロック214で新たに開発された混合処方の受容性を示す分類部である。品質パラメータは、ブロック220又は224で提供されるセンサデータが予め定義された適用値の範囲内にあり、及びブロック234で提供される表面特性データが予め定義された表面特性値の範囲内にあるか否かを決定することによって得られる。予め定義された適用値には、距離値、方向値、移動値、圧力値、流量値、温度値、湿度値、又はそれらの任意の組み合わせが含まれても良い。この例では、予め定義された適用値には、距離値、方向値、及び移動値が含まれる。値は、ベースコート組成物及びクリアコート組成物の適用について同じであってもよく、又は異なっていてもよい。この例では、予め定義された表面特性値は、ΔL、ΔC、Δh、又はΔL、Δa、Δb、などのような予め定義された色公差、予め定義された外観値、予め定義された光沢値、及びそれらの組み合わせである。
【0164】
ブロック244では、ブロック240で決定された品質パラメータが通信インターフェースを介して、ルーチン201によって提供され、及びディスプレイ装置のスクリーンに表示される。この例では、品質パラメータは、修正された又は新しく開発された混合処方の許容性を示す分類部(classifier)である。一例では、分類部は「適切な品質」又は「不適切な品質」とすることができる。この例では、提供されたセンサーデータ、表面特性データ、及び決定に使用される予め定義された値もユーザーに表示される。別の例では、決定された品質パラメータのみが表示される。一例では、表示されたデータは、予め定義された値からの偏差を視覚化するために色付けされてもよい。
【0165】
ブロック246において、ルーチン201は、混合処方(複数を含む)の品質が許容可能であるかどうか、すなわち、取得されたセンサデータが予め定義された適用値の範囲内にあるかどうか、及び決定された表面特性データが予め定義された表面特性値の範囲内にあるかどうかを決定する。この目的のために、ルーチン201は、ブロック242の結果をチェックし、及び修正された/新しい混合処方の品質がOKである場合にはブロック248に進む。 そうでなければ、ルーチン201は、後述するブロック254に進む。
【0166】
ブロック248では、ブロック210において生成された修正した混合処方又はブロック214で開発された新しい混合処方が、通信インターフェースを介して少なくとも1つのデータベースに対して提供される。データベースは、カラー値、VINなどの更なる情報に関連して、存在する提示、特に存在する混合処方をすでに含んでいる。この例では、修正した/新しい混合処方は、手動入力によって、又はコンピュータ可読媒体に保存されている提示をインポートすることによってデータベースに提供される。混合処方とは別に、ブロック234で提供される表面特性データ、コメントなどの更なるデータもデータベースに提供されてもよく、及び提供された修正された/新しい混合処方と組み合わせて保存される。ユーザーは、手動入力又はインポート後に、修正された提示又は新しい提示がデータベースに提供されたことを示す通知を受け取っても良い。
【0167】
図2bは、コーティング組成物の提示の品質を決定する本発明の方法200’の第2の非限定的な実施形態を表している。この例では、補修ベースコート組成物及び補修クリアコート組成物が調製され、及び続いて、サンディング及び任意に欠陥領域の更なる前処理を行った後に、自動車の多層コーティングの欠陥領域に塗布される。
【0168】
本発明の方法200’は、図2aに関して既に記載したブロック202~248を含む。更に、方法200’は、以下に記載するようにブロック250~260を含む。方法200’は、図2aのブロック232に提供されるセンサデータを、ユーザーが分析することを所望する場合、又はユーザが、図2aのブロック216においてコーティング組成物を調製するために用いられる混合処方よりも視覚的外観の点でより良好な一致を提供する、自分の「個人的適用パラメータ」(すなわち、取得されたセンサデータ)に基づいて修正された混合処方を生成することを所望する場合に実行されて良い。
【0169】
ブロック250ではルーチン201’が、提供されたセンサデータを分析するか否かを決定する。この目的のために、ルーチン201’は、ユーザに適切な選択をするように促すメニューを表示装置のGUI上に表示しても良い。ルーチン201’が、ユーザが取得したセンサデータを分析したいと判断した場合、ルーチン201’はブロック252に進む。そうでなければ、ルーチン201’は、後述するブロック254に進む。
【0170】
ブロック252では、図2aのブロック232に提供されるセンサデータは、コンピュータプロセッサを使用して分析される。プロセッサは、パーソナルコンピュータ又はラップトップ、モバイル通信デバイス又はクラウドアプリケーションに含まれても良い。データがプロセッサにとってまだ利用可能でない場合、ルーチン201’は、それぞれのデータ保管媒体からデータを取得し、及びプロセッサにデータを提供する。プロセッサは、距離センサ、方位センサ及び移動センサから収集されたデータを分析し、及び分析の結果は、通信インターフェースを介して、好ましくはGUIを含むディスプレイを介してユーザに表示される。一例では、表示される分析は、ユーザの快適性を高めるためにグラフィカルに表示される動作パターンを含む。更なる例では、表示された分析は、任意の偏差を視覚化するための標準的な動作パターンを更に含む。標準動作パターンは、図2aのブロック222又は240で検索された予め定義された適用値を使用して生成することができる。更に別の例では、表示される分析は、許容範囲/値及び決定されたセンサデータ/表面特性データを示す棒グラフなどのグラフィック提示を含む。
【0171】
ブロック254ではルーチン201’は、少なくとも1つの推奨を表示デバイスのスクリーンに表示するか否かを決定する。この目的のためにルーチン201’は、ブロック246又は242の結果をチェックしても良く、又は適切な選択を行うようにユーザに促すGUIを表示してもよく、及び少なくとも1つの推奨が表示される場合にはブロック256に進む。そうでない場合、ルーチン201’は後述するブロック258に進む。
【0172】
ブロック256では、ルーチン201’は、表示(ディスプレイ)デバイスのスクリーン上に少なくとも1つの推奨を表示する。ルーチン201’は、図2aのブロック242で実施された決定の結果に基づいて、データベースから推奨を検索し、及び検索された推奨をプロセッサに提供しても良い。一例では、推奨は「コーティング材料の塗布中のスプレーガンの距離はOKではありません。より良い結果を得るために正しい距離を使用してスプレー工程を繰り返して下さい。」などのテキストメッセージの形態であっても良い。別の例では、推奨は、グラフィカル提示の形式であってもよい。
【0173】
ブロック258では、ルーチン201’は、所望の表面特性が得られるように、ユーザが、図2aのブロック214において展開された混合処方を修正することを所望するか否か、又は図2のブロック210において生成された修正した混合処方を修正することを希望するか否かを決定する。この目的のために、ルーチン201’は、ユーザに適切な選択をするように促すメニューを表示装置のGUI上に表示しても良い。ルーチン201’が、ユーザが混合処方を修正することを所望すると判断した場合、ルーチン201’はブロック260に進む。そうでない場合、ルーチン201’は、方法200’を終了するか、又は図2aのブロック202に進む。
【0174】
ブロック260では、図2aのブロック232に提供されるセンサデータ及び/又は図2aのブロック234に提供される表面特性データが、少なくとも1つの予め定義された値の外側にある場合、すなわち図2aのブロック214で展開された混合処方の品質、又は図2aのブロック210で修正された混合処方の品質が許容できないと判断された場合、更なる修正した混合処方が生成される。ブロック260で、修正された混合処方を決定するために、以下の方法が使用される:
-任意選択で、図2aのブロック210又は214の混合処方及び図2aのブロック234の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
-コーティング層の目標色を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
-任意選択で、図2aのブロック210又は214の混合処方に関連する個々の色成分の特定の光学データを、データベースから、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサで検索する工程、
-通信インターフェースを介して数値的方法及び物理モデルをコンピュータプロセッサに提供する工程であって、数値的方法は、初期適用適応パラメータの与えられたセットから出発して、与えられた費用関数を最小限にすることによって、適用適応パラメータを最適化するように構成されており、与えられた費用関数は、特に与えられた表面特性データと図2aのブロック214又は210の混合処方の予測された表面特性データの間の色の差異として選択され、及び物理的モデルは、入力パラメータとして、図2aのブロック214又は210の混合処方に関連する色処方及び個々の色成分の検索された特定の光学データ及びそれぞれの最適化の過程で得らえた、事前の適用適応パラメータを使用することによって図2aのブロック214又は210の混合処方の色を予測するように構成されている工程、
-コンピュータプロセッサを使用して、与えられた数値的方法及び物理モデルを用いて、図2aのブロック214又は210の混合処方の再帰的に予測された色を、与えられた表面特性データと、与えられたコスト関数が与えられた閾値未満になるまで比較することによって、
適用適応パラメータを計算する工程、
図2aのブロック222又は224で検索されたセンサデータを使用して、ターゲットカラーコーティングが基材上に適用される場合、与えられたターゲットカラー(目標色)及び計算された適用適応パラメータを、ペイントカラー処方計算アルゴリズム用の入力パラメータとして使用して、目標ペイントコーティング用の目標カラー処方としての、個々の色成分の最適化された濃度を有する修正された提示を計算する工程、及び
-通信インターフェースを介して、修正された提示を提供する工程。
【0175】
この例では、修正された混合処方の生成は、更なるコンピュータプロセッサ、すなわち、図2aのブロック242を実行するコンピュータプロセッサとは別個のコンピュータプロセッサ上で実行される。これらのコンピュータプロセッサは、据え置き型コンピューティングデバイス上又はクラウド環境上に配置されても良い。図2aのブロック210又は214の混合処方ならびに図2aのブロック234で提供される表面特性データは、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供される。この例では、ターゲットカラーに関するデータが、図2aのブロック204において決定される。別の例では、ターゲットカラーは、図2aのブロック208において選択された混合処方に基づいて、データベースからコンピュータプロセッサによって検索される。
【0176】
この例では、個々の色成分の特定の光学データは、図2aのブロック214又は210の混合処方に基づいて、プロセッサ(複数可)でデータベースから検索される。別の例では、このデータは、内部ストレージなどのデータ記憶媒体に保存される。
【0177】
先に説明した適用適応パラメータの計算に使用される数値的方法及び物理モデル、ならびに前述のペイントカラー処方計算アルゴリズムは、コンピュータプロセッサ上に実装されるか、又はデータベースから検索される。この例では、算出された修正された提示が表示装置の画面に表示され、ユーザは表示された情報に基づいて修正されたコーティング組成物を調製することができる。計算された修正された提示は、図2aのブロック220又は224において取得されたセンサデータと相互関連されてもよく、及びデータベースに保存されてもよい。
【0178】
図4は、コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するためのシステム436の例を示しており、システム436は以下のもの:
コーティング組成物402の少なくとも1つの提示を提供するための手段;
上記コーティング組成物を基材に手動で塗布するスプレーガン404であって、該スプレーガン404は、スプレーガの操作の間、センサーデータを取得するためのセンサーユニット406と、取得したセンサデータを処理する処理ユニット408と、処理されたセンサデータに応じて少なくとも1つの信号を提供する信号部410とを備えるスプレーガン404;通信インターフェース412、414、416、418、420、422、424;製造された少なくとも1つのコーティング層426の表面特性データを提供する手段;コンピュータプロセッサ428及び命令を保管するメモリ430、
を含んでおり、及び
プロセッサによって実行される場合には、システムは以下の工程:
-センサ取得センサデータの少なくとも一部を通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程;
-少なくとも1つの製造されたコーティング層の表面特性データを、通信インターフェースを介して上記コンピュータプロセッサに提供する工程;
-提供されたセンサデータ及び提供された表面特性データに基づいて、少なくとも1つの提示の少なくとも1つの品質パラメータをコンピュータプロセッサを使用して決定する工程;及び
-上記通信インターフェースを介して、上記少なくとも1つの決定された品質パラメータを提供する工程、
を行うように構成されている。
【0179】
この例では、システムは入力/出力デバイス432を更に備える。この例では、コーティング組成物の存在する(既存の)提示がデータベース402に保存される。存在する提示は、補修ベースコートとクリアコート組成物を調製するための混合処方である。データベースは、通信インターフェース412を介して入出力装置430と接続されている。ユーザは、データベース402から入力/出力デバイス430を介してベースコート組成物を調製するための存在する提示を検索し、例えば混合処方に列挙された成分の質量比を変更することによって、この提示を修正する。修正された混合処方は、コンピュータ可読記憶媒体上にユーザによって保管される。記憶媒体は、入力/出力デバイスのメモリ、又は通信インターフェースを介して入力/出力装置に接続されたデータベース又はクラウドアプリケーションであることが可能である。コーティング組成物は、修正された混合処方から調製され、及びセンサユニット406でセンサデータを取得しながら、スプレーガン404で基板上に手動で塗布される。この例では、取得したセンサデータを通信インターフェース414を介してスプレーガンの処理ユニット408に提供することにより、コーティング組成物の手動塗布中にユーザにフィードバックが提供される。処理ユニット408は、取得されたセンサデータが予め定義された値の範囲内にあるか否かを判定し、及び制御信号ユニット410は、処理ユニットによる制御に応答して光学、音響又は触覚信号を提供する。予め定義された値は、コーティング組成物を基材に塗布する前に、通信インターフェース416を介して入力/出力デバイス432によって処理ユニット408に提供される。コーティング組成物の手動塗布中に取得されたセンサデータは、通信インターフェース418を介してプロセッサ428に提供される。この例では、表面特性データ426を提供するための手段は、多角度分光光度計及び/又は光沢計を含む。マルチアングル分光光度計及び/又は光沢計は、通信インターフェース420を介してコンピュータプロセッサ428に接続される。入力/出力デバイス432は、通信インターフェース422を介してプロセッサ428に適用値及び表面特性値を提供するために使用される。適用値及び表面特性値は、通信インターフェース424を介して入力/出力デバイス432に接続されるデータベース434に格納される。コンピュータプロセッサ428を使用して、品質パラメータ、この例では色及び/又は外観及び/又は光沢などの所望の表面特性を達成することに関する修正された提示の適合性が、通信インターフェース418を介して提供されるセンサデータ、通信インターフェース420を介して提供される表面特性データ、及び通信インターフェース424を介してデータベース434から提供される値に基づいて決定される。この例では、決定された品質パラメータは、通信インターフェース422を介して入力/出力デバイス432に提供される。適合された提示の品質が許容可能である場合、適合された提示は、入力/出力デバイス432及び通信インターフェース412を介してデータベース402に提供される。
図1
図2a1
図2a2
図2a3
図2b
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するための方法であって、前記方法は、以下の工程:
(i)コーティング組成物の修正された又は新しい提示を提供する工程;
(ii)提供された修正された又は新しい提示からコーティング組成物を調製する工程;
(iii)工程(ii)で調製したコーティング組成物を、センサユニット、処理ユニット及び任意選択で信号ユニットを備えるスプレーガンを用いて、基材の少なくとも一部に手動で塗布することにより、基材の少なくとも一部にコーティング層を生成し、この一方で、センサユニットでセンサデータを取得する工程、
(iv)任意選択で、工程(iii)で取得されたセンサデータに基づいて、コーティング組成物の手動塗布中に信号ユニットを介してユーザにフィードバックを提供する工程、
(v)任意に工程(i)~(iii)又は工程(i)~(iv)を繰り返す工程;
(vi)工程(iii)で取得されたセンサデータの少なくとも一部を、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(vii)工程(iii)で生成された少なくとも一つのコーティング層の表面特性データを、通信インターフェースを介してコンピュータプロセッサに提供する工程、
(viii)
-工程(vi)で提供されるセンサデータ、及び
-工程(vii)で提供される表面特性データ、
に基づいて、工程(i)で提供される少なくとも1つの提示の少なくとも1つの品質パラメータを、コンピュータプロセッサを使用して決定する工程、
(ix)前記通信インターフェースを介して、工程(viii)で決定された少なくとも1つの品質パラメータを提供する工程、及び
(x)前記提示の品質が工程(viii)において許容可能であると決定された場合に、少なくとも1つのデータベースに前記通信インターフェースを介してコーティング組成物の提示を提供する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コーティング組成物の修正された又は新しい提示の提供は、修正されたもしくは新しい混合処方又は修正されたもしくは新しいレシピ、特に修正されたもしくは新しい混合処方の提供を含んで良いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサユニットは、少なくとも1つのセンサを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、距離センサ、方位センサ、加速度センサ、LiDARセンサ、圧力センサ、塗料流量センサ、温度センサ、湿度センサ及びこれらの組み合わせ、特に方位センサ及び加速度センサから、又は方位センサ、加速度センサ及び距離センサから選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(iii)で取得されたセンサデータは、スプレーガンと基材との距離に関するデータ、基材に対するスプレーガンの向きに関するデータ、スプレーガンの移動に関するデータ、基材の輪郭に関するデータ、圧縮空気の圧力に関するデータ、コーティング組成物の流れに関するデータ、温度データ、湿度データ及びこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(iv)においてスプレーガンによるコーティング組成物の手動塗布中にユーザにフィードバックを提供することは、
-工程(iii)で取得したセンサデータを、通信インターフェースを介して前記スプレーガンの処理ユニットに提供し、
-前記処理ユニットを使用して、提供されたセンサデータを処理し、提供されたデータが、少なくとも1つの予め定義された値、特に少なくとも1つの予め定義されたパラメータ及び/又は公差の内側に存在するのか、又は外側に存在するのかを決定し、
-処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を、信号ユニットを使用してユーザに提供すること、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(vii)において表面特性データを提供することは、工程(iii)において適用された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを決定すること、及び決定された表面特性データを通信インターフェースを介して前記コンピュータプロセッサに提供することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(viii)における、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質を決定することは、
-少なくとも1つの予め定義された適用値、特に少なくとも1つの予め定義された適用パラメータ及び/又は公差、及び少なくとも1つの予め定義された表面特性値、特に少なくとも1つの予め定義された表面特性パラメータ及び/又は公差を、コンピュータプロセッサへ通信インターフェースを介して提供すること、及び
-工程(vi)で提供されるセンサデータが、少なくとも1つの予め定義された適用値の範囲内にあるかどうか、及び工程(vii)で提供される表面特性データが、少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内にあるかどうかを、コンピュータプロセッサを使用して決定すること、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記品質パラメータは、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の受容性を示す分類部であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(vi)で提供されるセンサデータが少なくとも1つの予め定義された適用値内にある場合、及び工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された表面特性値の範囲内である場合、特に予め定義された適用特性及び表面特性の値のセット内である場合、コーティング組成物の提供された修正された又は新しい提示の品質が許容されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(x)工程(vi)で提供されるセンサデータをコンピュータプロセッサで分析する工程、及び/又は
(xi)任意に、工程(vi)で提供されたセンサーデータ及び/又は工程(vii)で提供された表面特性データが予め定義された値の範囲外である場合、通信インターフェースを介して推奨事項を提供する工程、及び/又は
(xii)工程(vi)で提供されるセンサデータ及び/又は工程(vii)で提供される表面特性データが少なくとも1つの予め定義された値の外側にある場合に、更なる提示を生成する工程、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
コーティング組成物の提示の品質パラメータを決定するためのシステムであって、
a)コーティング組成物の少なくとも1つの修正された又は新しい提示を提供するための手段
b)コーティング組成物を基材に手動で塗布するためのスプレーガンであって、スプレーガンの動作中にセンサデータを取得するためのセンサユニットと、取得したセンサデータを処理するための処理ユニットと、任意選択で、処理されたセンサデータに応答して少なくとも1つの信号を提供する信号ユニットとを備えるスプレーガンと
c)少なくとも1つの通信インターフェースと
d)提供されたコーティング処方物の提示から製造された少なくとも1つのコーティング層の表面特性データを提供する手段;
e)コーティング組成物の提供された修正された、又は新しい提示の少なくとも1つの品質パラメータを決定する手段と;
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
品質基準によるコーティング組成物の提示をスクリーニングするための請求項1に記載の方法の使用。
【請求項14】
a)コーティング組成物の修正された、又は新しい提示、及び
b)品質パラメータ、
を含み、ここで品質パラメータは、請求項1に記載の方法に従って決定されるシステム。
【請求項15】
コーティング組成物の少なくとも1つの修正された、又は新しい提示を含むデータベースであって、前記コーティング組成物の修正された、又は新しい提示は、請求項1に記載の方法に従ってデータベースに提供されることを特徴とするデータベース。
【国際調査報告】