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特表2024-534768海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20240918BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20240918BHJP
   B63G 8/14 20060101ALN20240918BHJP
   B63G 8/38 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
G01V3/08 F
B63C11/48 D
B63G8/14
B63G8/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024508459
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 NO2022050205
(87)【国際公開番号】W WO2023033656
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】20211043
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524052859
【氏名又は名称】アルジェオ ロボティクス エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マットソン,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】リム,アンナ
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB05
2G105CC04
2G105DD02
2G105EE02
2G105GG03
2G105LL07
(57)【要約】
海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムであって、船体を有するソースAUV及びレシーバAUVを備え、ソースAUVは、ソースAUVの船体に搭載された制御電気双極子源と、ソースAUVの船体内に搭載された第1の磁力計と、を含み、レシーバAUVは、第1及び第2の受信電極と、AUVの船体内に搭載された第2の磁力計と、レシーバAUV内にホストされた測定電子機器と、を含み、第1及び第2の磁力計は、磁場を測定するように構成され、第1及び第2の受信電極は、電磁エネルギが制御電気双極子源から送信されるとき、AUVに対して水平方向及び垂直方向の電場を測定するように構成され、システムは更に、ソースAUV及びレシーバAUVにおいて、ソースAUV内にホストされ、船体を通じてケーブルで2つの電極板に接続され、電気双極子源を動作させるように適合されたソース電子機器を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムであって、
船体(2a)を有する少なくとも1つのソース自律型水中航走体(AUV)(2)及び船体(3a)を有する少なくとも1つのレシーバ自律型水中航走体(AUV)(3)を備え、
前記ソースAUV(2)は、前記ソースAUV(2)の前記船体に搭載された少なくとも1つの制御電気双極子源と、前記ソースAUV(2)の前記船体(2a)内に搭載された少なくとも1つの第1の磁力計(7a)と、を含み、
前記レシーバAUV(3)は、少なくとも1つの第1の受信電極(9)と、少なくとも1つの第2の受信電極(10)と、前記AUV(3)の前記船体内に搭載された少なくとも1つの第2の磁力計(7b)と、前記レシーバAUV(3)内にホストされた測定電子機器(8b)と、を含み、
前記第1及び前記第2の磁力計(7a、7b)は、前記磁場を測定するように構成され、
前記第1及び前記第2の受信電極(9、10)は、電磁エネルギが前記制御電気双極子源から送信されるとき、前記AUV(3)に対して水平方向(x方向)及び前記AUV(3)に対して垂直方向(z方向)の電場を測定するように構成され、
前記システムは更に、
前記ソースAUV(2)内にホストされ、前記船体を通じてケーブルで前記2つの電極板(4a、4b)に接続され、前記電気双極子源を動作させるように適合されたソース電子機器と、
前記ソースAUV(2)及び前記レシーバAUV(3)において、前記電気双極子源、第1及び第2のレシーバ、ソース、測定電子機器、及び磁力計に電力を供給する電池と、
前記ソースAUV(2)及び前記レシーバAUV(3)において、前記受信電極(9、10)と前記第1及び前記第2の磁力計(7a、7b)とを動作させるように適合された測定電子機器(8a、8b)と、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記制御電気双極子源は、前記ソースAUV(2)の前記船体の外側に搭載された少なくとも2つの金属電極板(4a、4b)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のレシーバは、前記AUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、前記x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極(9a、9b)を備え、
前記第2のレシーバは、前記AUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、前記z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極(10a、10b)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の磁力計(7a、7b)は、三軸及び/又は全磁場磁力計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御電気双極子源は、1~100Hzの間の前記周波数範囲で動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記第1(7a)及び第2の磁力計(7b)と第1(9)及び第2の受信電極(10)からの測定値を使用して、前記導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項1から5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、船体を有する前記ソースAUV及び前記レシーバAUVの両方として作用する少なくとも1つの自律型水中航走体(AUV)(2’)を備え、
これは、前記AUVの前記船体上に搭載された制御電気双極子源と、前記AUVの前記船体内に搭載された磁力計(7c)と、受信電極(9a’、9b’、10a’、10b’)と、前記AUV(2’)内にホストされた測定電子機器(8c)と、を含み、
前記磁力計は、前記磁場を測定するように構成され、
前記受信電極は、電磁エネルギが前記制御電気双極子源から送信されるとき、前記AUVに対して水平方向及び前記AUVに対して垂直方向の電場を測定するように構成される、請求項1から6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法であって、
少なくとも1つの制御電気双極子源を備えた船体(2a)を有するソースAUV(2)から電磁エネルギを送信するステップと、
レシーバAUV(3)の船体(3a)に搭載された、少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2のレシーバ(9、10)で電場を測定するステップであって、前記第1のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、x方向において互いに離間している少なくとも1つの第1の一対の受信電極(9a、9b)を備え、前記第2のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、z方向において互いに離間している少なくとも1つの第2の一対の受信電極(10a、10b)を備えるステップと、
前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)内に搭載された少なくとも1つの第1の磁力計(7a)で磁場を測定するステップであって、前記ソースAUV及び前記レシーバAUVが測線(1)に沿って移動するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記第1の一対の受信電極及び前記第2の一対の受信電極は、前記制御電気双極子源に対して30~50メートルのオフセットを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記制御電気双極子源によって送信される前記電磁エネルギは、1~100Hzの間の離散周波数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記制御電気双極子源は、15秒間の出力シーケンスを有する、請求項8又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ソースAUV及び前記レシーバAUVは、海底から30メートル上にある、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記測定された電場及び磁場を、訓練された畳み込みニューラルネットワークに供給することによって、前記導電体の導電率構造を取得する、請求項8から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記導電体は、熱水噴出場及び/又は、フェロマンガンクラスト、海底塊状硫化物、及び多金属団塊などの海洋鉱物鉱床である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の磁力計(7a、7b)と第1及び第2の受信電極(9、10)からの測定値を使用して、前記導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステム、及び海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法に関する。より具体的には、本開示は、請求項1及び請求項10の導入部に規定される通り、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステム、及び海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁気学的方法は、1873年にマクスウェルによって記述された物理学に基づいており、電場及び磁場が媒体を通じて伝播し、互いに変化したり、生成したりする方法が示されている。地球物理学者は、それ以来、これらの物理法則及びその数学的結果を使用して、地下の調査を行ってきた。しかしながら、非常に長い間、地球物理学的電磁気法は、海底又はその下の対象地物からソース及びレシーバを分離する水域を通る有用な量の電磁場の浸透に影響を及ぼす、導電性の高い海水のフィルタリング効果に関連する課題と、海洋作業の高いコストとにより、主に陸地上で使用されてきた。これらの課題は、沖合の石油及びガス産業の移行に伴って克服され、海洋電磁石の急速な発展の背後にある主要な原動力となった。最新のEMシステムは、海水環境において強力な電源が展開される場合、地下の抵抗率変動によって引き起こされる弱い電磁場の変化を測定するために必要な、低ノイズレベル、高精度、及び精度性能を有する。アクティブ電磁源を用いた一般的に使用される方法は、制御源電磁探査法(CSEM)と呼ばれる。石油及びガスの用途において、CSEMは、比較的大きく深い地下の標的に対処する。CSEMの分野において、堆積物及び岩石層の抵抗率構造を特徴付けることを目的とした、海洋環境における大規模な測定に適用されるいくつかの研究論文が執筆され公開されている。
【0003】
EM法の他の一般的な海洋適用例、例えば不発令(UXO)の識別又はパイプライン追跡は、逆に、非常に小さいサイズ(センチメートルから数メートル)の浅い近表面標的に焦点を当て、主に磁気センサ又は様々な種類の電極センサを使用した受動的EM測定を展開する。電磁場はまた、陸上の地表及びその下の導電性領域を発見するために、鉱物探査において使用される。海洋鉱物が発生しやすい沖合の深海環境において、一般的な探査方法論には、水中車両に搭載された磁力計又は受動的電場センサを組み合わせた様々な高周波ソナーの使用が含まれる。電磁センサは、鉱床から、いわゆる自己電位効果を測定する。
【0004】
従来技術のいくつかの例として、水域下の地下地層を電磁測量するための改良された方法及び装置を開示する米国特許第4,617,518A号が挙げられる。電気双極子電流源は、水域の水面に実質的に平行であり、水面と底面との間の距離の約1/4未満の距離で水域の底面から離隔されている水域の測量船から牽引される。好ましくは、複数の正弦成分を含む交流電流がソースに流される。電気双極子検出器のアレイは、測量船から電流源と実質的に同一線上に牽引される。各電気双極子検出器のアレイは、水中を伝播するソース電流の正弦成分の周波数に等しい電磁放射の波長の整数倍に実質的に等しい距離で、電流源から分離される。勾配検出器アレイはまた、電流源の中点から横方向に離間した位置、又はその下方の位置で、測量船によって牽引される。また、制御可能な計器ポッドに搭載された三軸磁場センサのアレイは、電流源の側面にある地震探査船によって牽引される。磁場及び電場データの周波数領域及び時間領域の測定値を取得し、分析して、水域で覆われた底面地層内において、炭化水素又はその他の鉱床、又はそれらの存在によって変化した領域を検出することを可能にする。
【0005】
米国特許第7737698B2号は、ハウジングが水域を牽引されるときに乱流を最小限に抑え、牽引方向以外の任意の方向におけるハウジングの動きを最小限に抑えるように配置されたハウジングを含む、海洋電磁探査システム用検出器を開示する。ハウジングは、それに関連付けられた電場及び磁場感知要素のうちの少なくとも一方を含む。
【0006】
米国特許第9459368B2号は、それぞれが水域に展開可能なセンサケーブル及びソースケーブル、及び記録システムを含む、電磁探査取得システムを開示する。センサケーブルには電磁センサが搭載される。ソースケーブルには電磁アンテナが搭載される。記録システムは、ソース電流発生器、電流センサ、及び取得コントローラを含む。ソース電流発生器は、ソースケーブルに電力を供給して、アンテナから電磁場を放出する。電流センサは、ソース電流発生器に結合される。取得コントローラは、選択された時間において、電磁センサ及び電流センサを同期して照合する。
【0007】
米国特許第10871590B2号は、複数のソース位置のそれぞれの周囲の所定の感度領域内のEMデータに関連付けられた電場を決定すること、所定の感度領域内のそれぞれの複数のEM電気抵抗率データセルのそれぞれについて、地下地層を示す地下抵抗率EMモデルのための電場を反復的に反転すること、及び反復反転の結果を記憶することを含む電磁(EM)反転を開示する。ヤコビアン行列を含む線形方程式系が、反復反転に基づいて生成され、線形方程式系は記憶され、線形方程式系は、反復反転の各反復で解かれて、収束基準が満たされるまで、地下抵抗率EMモデルを更新する。更新された地下抵抗率EMモデルに基づく抵抗率マップを生成することができる。
【0008】
米国特許第8990019B2号は、水域下のバックグラウンド材料に埋め込まれた対象領域の特性を判定する装置及び方法を開示する。一実施形態によると、抵抗率のバックグラウンドが判定される。また、対象領域に起因する電気双極子の特性が判定される。次に、電気双極子及び抵抗率のバックグラウンドの特性を使用して、対象領域の抵抗が計算される。他の実施形態、態様、及び特徴も開示される。
【0009】
米国特許出願公開第2021094660A1号は、第1の構造に搭載された複数の電極によって水中環境で検出された電場に関する電場データを受信すること、及び第1の構造に搭載された少なくとも1つのセンサからセンサデータを受信することを含む方法を開示する。センサデータは、第2の構造の感知された位置に関連する。方法は、センサデータに基づいて、水中環境における第1の構造に対する第2の構造の位置に関する情報を含む位置データを判定すること、及び電場データ及び位置データに基づき、第2の構造の1つ以上の特性を判定することを含む。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によると、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムが提供され、システムは、船体を有する少なくとも1つのソース自律型水中航走体及び船体を有する少なくとも1つのレシーバ自律型水中航走体を備え、ソースAUVは、ソースAUVの船体に搭載された制御電気双極子源と、ソースAUVの船体内に搭載された第1の磁力計と、を含み、レシーバAUVは、第1の受信電極と、第2の受信電極と、AUVの船体内に搭載された第2の磁力計と、レシーバAUV内にホストされた測定電子機器と、を含み、第1及び第2の磁力計は、磁場を測定するように構成され、第1及び第2の受信電極は、電磁エネルギが制御電気双極子源から送信されるとき、AUVに対して水平方向及びAUVに対して垂直方向の電場を測定するように構成される。
【0011】
一態様の更なる実施形態によると、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムが提供され、システムは、船体を有するソースAUV及びレシーバAUVの両方として作用する少なくとも1つの自律型水中航走体を備え、これは、AUVの船体上に搭載された制御電気双極子源と、AUVの船体内に搭載された磁力計と、受信電極と、AUV内にホストされた測定電子機器と、を含み、磁力計は、磁場を測定するように構成され、受信電極は、電磁エネルギが制御電気双極子源から送信されるとき、AUVに対して水平方向及びAUVに対して垂直方向の電場を測定するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態によると、制御電気双極子源は、ソースAUVの船体の外側に搭載された少なくとも2つの金属電極板を備える。
【0013】
いくつかの実施形態によると、第1のレシーバは、AUVの船体に搭載され、x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極を備え、第2のレシーバは、AUVの船体に搭載され、z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極を備える。
【0014】
いくつかの実施形態によると、第1及び第2の磁力計は、三軸及び/又は全磁場磁力計である。
【0015】
いくつかの実施形態によると、ソースAUVは、ソースAUV内にホストされ、船体を通じてケーブルで2つの電極板に接続され、電気双極子源を動作させるように適合されたソース電子機器を更に備える。
【0016】
いくつかの実施形態によると、ソースAUV及びレシーバAUVは、受信電極及び第1及び第2の磁力計を動作させるように適合された測定電子機器を更に備える。
【0017】
いくつかの実施形態によると、ソースAUV及びレシーバAUVは、電気双極子源、第1及び第2のレシーバ、ソース、測定電子機器、及び磁力計に電力を供給する電池を更に備える。
【0018】
いくつかの実施形態によると、制御電気双極子源は、1~100Hzの間の周波数範囲で動作する。
【0019】
いくつかの実施形態によると、システムは、第1及び第2の磁力計と第1及び第2の受信電極とからの測定値を使用して、導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える。
【0020】
第2の態様によると、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法が提供され、方法は、制御電気双極子源を備えた船体を有するソースAUVから電磁エネルギを送信するステップと、レシーバAUVの船体に搭載された第1及び第2の受信電極で電場を測定するステップと、ソースAUVの船体内に搭載された第1の磁力計及びレシーバAUVの船体内に搭載された第2の磁力計で磁場を測定するステップであって、ソースAUV及びレシーバAUVが測線に沿って移動するステップと、を含む。移動パターンは、あらかじめ決められたパターンで規定されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態によると、方法は、レシーバAUVの船体に搭載され、x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極と、レシーバAUVの船体に搭載され、z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極と、を備える第2のレシーバを含む。
【0022】
いくつかの実施形態によると、第1の一対の受信電極及び第2の一対の受信電極は、制御電気双極子源に対して30~50メートルのオフセットを有する。
【0023】
いくつかの実施形態によると、制御電気双極子源によって送信される電磁エネルギは、1~10Hzの間の離散周波数を含む。
【0024】
いくつかの実施形態によると、制御電気双極子源は、15秒間の出力シーケンスを有する。
【0025】
いくつかの実施形態によると、ソースAUV及びレシーバAUVは、海底から30メートル上にある。
【0026】
いくつかの実施形態によると、測定された電場及び磁場を、訓練された畳み込みニューラルネットワークに供給することによって、導電体の導電率構造を取得する。
【0027】
いくつかの実施形態によると、導電体は、熱水噴出場及び/又はフェロマンガンクラスト、海底塊状硫化物、及び多金属団塊などの海洋鉱物鉱床である。
【0028】
いくつかの実施形態によると、方法は、第1及び第2の磁力計と第1及び第2の受信電極からの測定値を使用して、導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える。
【0029】
第2の態様の効果及び特徴は、第1の態様に関連して上述したものとかなりの程度類似している。第1の態様に関連して言及された実施形態は、第2の態様と大部分互換性がある。
【0030】
本開示は、以下に述べる詳細な説明によって明らかとなる。詳細な説明及び具体的な例では、本開示の好適な実施形態を例示のみで開示する。当業者は、詳細な説明のガイダンスから、本開示の範囲内で変更及び修正がなされ得ることを理解する。
【0031】
したがって、本明細書に開示される開示は、記載のデバイス又は記載の方法が変動し得るため、そのようなデバイスの特定の構成部品又はそのような方法のステップに限定されるものでないことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、限定を意図するものでないことも理解されるべきである。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、文脈によってそうでない旨の明示がない限り、同要素が1つ以上存在することを意味するものと意図される。したがって、例えば、「a unit」「the unit」と言及した場合、いくつかのデバイスなどを包含し得る。更に、「comprising(備える)」、「including(含む)」、「containing(含有する)」という単語、及び類似の用語選択は、その他の要素又はステップを除外するものでない。
【0032】
定義
水平、垂直、及びx方向、y方向、及びz方向という用語は、従来の水平、垂直、x方向、y方向、及びz方向の直交環境によって拘束されるべきではなく、3D環境における任意の様々な異なる方向を表すものとして理解されるべきであり、非直交方向も含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の特徴及び効果は、本開示の例としての実施形態の例示的且つ非限定的である詳細な説明を、添付の図面とともに参照することにより、更に完全に理解される。
【0034】
図1a】2つの自律型水中航走体を使用する電磁データ取得システムの概念図を示す。
図1b】単一の自律型水中航走体を使用する電磁データ取得システムの概念図を示す。
図2a】データ取得モデルジオメトリの垂直断面を示す。
図2b】データ取得モデルジオメトリの水平断面を示す。
図3a】電場x成分のインラインオフセット及び感度に対する周波数のプロットを示す。
図3b】電場z成分のインラインオフセット及び感度に対する周波数のプロットを示す。
図3c】磁気y成分のインラインオフセット及び感度に対する周波数のプロットを示す。
図4a-4b】代表的な周波数3Hzにおける電場x成分及び電場z成分の大きさに対するインラインオフセットのグラフを示す。
図4c】代表的な周波数3Hzにおける磁場y成分の大きさに対するインラインオフセットのグラフを示す。
図5a-5c】周波数3Hz及び50メートルのオフセットにおける、電場x成分と電場z成分及び磁場y成分の大きさに対するソース/レシーバ中点位置のグラフを示す。
図6a-6c】周波数3Hz及び30メートルのオフセットにおける、電場x成分と電場z成分及び磁場y成分の大きさに対するソース/レシーバ中点位置のグラフを示す。
図7a-7c】周波数3Hz及び3メートルのオフセットにおける、電場x成分と電場z成分及び磁場y成分の大きさに対するソース/レシーバ中点位置のグラフを示す。
図8a-8b】ノイズを付加した場合及びノイズを付加しない場合の50メートルのオフセットにおける、電場z成分の大きさをグレースケールで示す。
図9a-9b】ノイズを付加した場合及びノイズを付加しない場合の3メートルのオフセットにおける、磁場y成分の大きさをグレースケールで示す。
図10】複数対の受信電極を有する単一の自律型水中航走体を使用する電磁データ取得システムの概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以降、添付の図面を参照して本開示について説明するが、図中には、本開示の好適な例としての実施形態が示されている。しかしながら、本開示は、他の形で実装されてもよく、本明細書に開示の実施形態に限定されるものとして理解されてはならない。本開示の実施形態は、当業者に開示の範囲を完全に伝えるべく提供される。
【0036】
図1aは、自律型水中航走体(以下、AUVと称する)を使用する電磁データ取得システムを示す。システムは、少なくとも1つのソースAUV2及び、少なくとも1つのレシーバAUV3を含む。ソースAUV2は、ソースAUV2の船体に搭載された少なくとも2つの金属電極板4a及び4bを含む制御電気双極子源を備える。本実施形態では制御電気双極子源は、船体の外側及び船体の底部に搭載される。
【0037】
システムは、本実施形態ではソースAUV2内に位置するソース電子機器5を更に含む。ソース電子機器5は、船体を通じてケーブル(図示せず)で2つの電極板4a及び4bに接続され、制御電気双極子源を動作させるように適合される。ソース電子機器5は、例えば12時間の測定に十分な容量を有する電池6で、AUV2の船体内に電力を供給してもよい。
【0038】
システムは、磁場を測定するように構成された第1及び第2の磁力計7a、7bを更に含む。第1及び第2の磁力計7a、7bのうちの一方又は両方は、三軸及び/又は全磁場磁力計であってもよい。第1の磁力計7aは、ソースAUV2に、本実施形態ではソースAUV2の船体内に搭載される。第2の磁力計7bは、受信したAUV3に、本実施形態ではAUV3の船体内に搭載される。
【0039】
レシーバAUV3は、第1の一対の受信電極9a及び9bを更に備え、本実施形態ではこれらはAUV3の船体の外側に搭載される。第1の一対の受信電極9a、9bは、x方向において互いに離間される。レシーバAUV3には、第2の一対の受信電極10a、10bも設けられ、本実施形態ではこれらはAUV3の船体の外側に搭載される。第2の一対の受信電極10a、10bは、x方向に対して垂直なz方向において互いに離間される。第1及び第2の一対の受信電極9a、9b、10a、10bは、適切な信号形状がソースAUV2の金属電極板4a及び4bから送信されたとき、それぞれ、x方向及びz方向の結果として得られる電場を測定するように適合される。
【0040】
受信したAUV3には、測定電子機器8bも設けられ、本実施形態ではこれはレシーバAUV3内に位置する。測定電子機器8a及び8bは、受信電極9a、9b、10a、10bと第1及び第2の磁力計7a及び7bを動作させるように適合される。測定電子機器8aは、その間の相互給電を回避するために、ソース電子機器5からガルバニック絶縁される。測定電子機器8a、8bは、受信電極及び磁力計に十分なダイナミックレンジ及び増幅を得るために、適した増幅器を備えた24ビットADコンバータを含んでもよい。
【0041】
実施例は、一対の2つの電極板4a及び4b、第1及び第2の磁気計7a、7b、及び2つの方向の電場を測定する2対の受信電極9a、9b、10a、10bに接続された1つのソース電子機器5を示しているが、本開示はまた、測定におけるより多くの冗長性と、全電場のより正確な推定とを提供するために、任意の方向に2つ以上の電極対の板4a’及び4b’、磁力計対7c’、7c’’、7c’’’、電極対9a’、9b’、10a’、10b’、9a’’、9b’’、10a’’、10b’’を実装することが理解されるべきである。後者は、図10に例示されており、観察者に面する側に2つの水平電極対及び2つの垂直対が見られる。対応する追加の対は、船体の反対側に設けられてもよい。例えば9a’と9b’’で構成される対の対角線パターンで、又は任意のパターンで、対を接続することもできる。
【0042】
図1aは、2つの金属電極板のみを含むソースAUV2を示しているが、ソースAUV2は3つ以上の金属電極を備えてもよく、レシーバAUV3は追加の受信電極及び磁力計を備えてもよい。
【0043】
電磁データを取得するとき、ソースAUV2及びレシーバAUV3は、関心領域をカバーする好適に規定された測線1に沿って移動動作し、インライン構成で動作するように設定されてもよい。
【0044】
測線1は、受信電極9a、9b、10a、10bに関して上述したx方向に平行であるため、第1の一対の受信電極9a、9bは、測線1に平行な(インライン方向の)電場を測定する。レシーバAUV3は、AUV3が測線1に沿って移動するとき、第2の一対の受信電極10a、10bに関して上述した通りz方向が一般的に垂直であるように構成されるため、第2の一対の受信電極は、電場の垂直成分を測定する。システムは、第1及び第2の磁力計7a、7bと第1及び第2の受信電極9、10からの測定値を使用して、関心領域における導電体の導電率マップ/構造を生成するように構成されたプロセッサを更に備え得る。
【0045】
関心領域は、多金属団塊、フェロマンガンクラスト、及び海底塊状硫化物(SMS)又は熱水噴出場などの海洋鉱物鉱床のある領域であってもよい。ソース信号は、1~10Hzの間の離散周波数を含み、積分時間は、少なくとも15秒に設定されてもよい。これにより、両方のAUVが海底から30mの高さにあるとき、レシーバAUV3がソースAUV2の後方30~50mの範囲内にあるとき、AUVが測線1に沿って移動しているとき、十分な感度と信号対ノイズ比が確保される。AUV2のソース4a、4bは、海底に向かって電磁エネルギを送信し、レシーバAUV3上の受信電極9、10は、関心領域の電場成分を記録し、ソースAUV2及びレシーバAUV3上の磁力計7a、7bは、関心領域の磁場を記録する。
【0046】
データ(ゼロオフセット)を取得するためにソースAUV2だけを利用することもできるが、その場合は磁力計7aからのデータのみである。しかしながら、このような測定構成は、導電性領域の画定を劣化させる。ソースAUV2が受信電極9a及び9bを備える場合、ソース及びレシーバの間に十分なオフセットがないため、深さの浸透は低減される。2つのAUV構成は、導電性の画定処理を強化、すなわちSMS鉱床などのより大きな物体の結果における曖昧さを低減するために好ましい。
【0047】
しかしながら、本開示によると、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムも提供され、システムは上記のソースAUV及びレシーバAUVの両方として作用する少なくとも1つの自律型水中航走体を含む。したがって、図1bに示す単一のAUVは、AUV2’の船体上に搭載された制御電気双極子源と、AUV7cの船体内に搭載された磁力計と、受信電極9a’、9b’、10a’、10b’と、AUV2’内にホストされた測定電子機器8cと、を含む、船体を有し、磁力計7cは、磁場を測定するように構成され、受信電極9a’、9b’、10a’、10b’は、電磁エネルギが制御電気双極子源4a’、4b’から送信されるとき、AUVに対して水平方向及びAUVに対して垂直方向の電場を測定するように構成される。
【0048】
多金属クラスト又は多金属団塊などの薄い本体について、図1bに示す単一のAUV構成が、深さにおける感度を向上させるために好ましい。導電性領域の画定手順は、様々な詳細のデータ反転からなり得る。例えば、迅速で近似的な結果を得るために、非常にラフな導電率構造を、限定されたデータセットで反転させ得る。より詳細な構造は、より大きなデータセットの逆変換を通じて推定できる。例えば3D構造は、いくつかの平行測線1からのデータを共同的に反転することによって取得できる。
【0049】
本発明の実現可能性を試験するために、単純な層状媒体にホストされる海底塊状硫化物(SMS)鉱床を代表する簡略化された海洋環境の3Dジオメトリにおいて、様々な電磁源及びレシーバの構成が数値的にモデル化された。図2は、それぞれのモデルジオメトリの垂直断面及び水平断面を示す。モデリングにおいて、AUVは、レシーバAUV3がソースAUV2の後方30~50mのオフセット範囲内にある測線1に沿って移動し、両方のAUVは海底11の上方30mにある。関心領域は、導電率σが3S/mである深さ3000mの海水層12からなる。海底11の下方には、0.5S/mの導電率σを有する厚さ300mの岩層13が続く。0.05S/mの半無限層14が、両方の層12及び13の下にある。この場合、空気も、最上部の半無限層15として表されるが、導電率はゼロである。
【0050】
SMS鉱床の簡略化されたバージョンをモデル化するために、複素導電率σが5+i*2S/mの均質ボックス16を、図2aの海底11下に配置する。水平方向の範囲は150×150m、厚さは20mである。図2bは均質導電体16を示す。
【0051】
測線1は、海底11の上方30mの水柱内に配置され、導電率ボックス16より上方の中心に配置される。ソース及びレシーバの位置は、測線1を左から右に横切る矢印で示される。
【0052】
モデリングでは、500Amのソース強度が使用される。電極板4a、4bは、100Aのソース電流を意味する5mの間隔を有する。この電流を駆動するために必要な標準電圧は24Vである。したがって、ソース効果は2400Wであり、ソースを12時間稼働するには約30kWhの電池容量が必要となる。
【0053】
最良の感度に適した電磁周波数及びオフセットの調査は、1~100Hzの範囲の周波数が一部の電磁場成分の導電体に許容可能な感度を提供することが実証された。図3は、これを非ゼロ電磁場成分に対するパーセント単位の相対感度でプロットして示されている。感度は、導電体16がバックグラウンド環境に追加されたときの電磁場の変化である。次に、この変化を導電体16を含まない電磁場で正規化し、100を乗じて、図3aから図3cの相対変化をパーセントで得る。図3aは電気x成分を示し、図3bは電気z成分を示し、図3cは磁気y成分を示す。図3cにおいて、約80m付近のオフセットに対して、磁気y成分の感度が非常に高い領域があることが分かる。しかしながら、以下の分析で見られるように、フィールド自体が信号対ノイズ比を下回り、高感度領域を除外する。実際には、信号対ノイズ比は、有効な感度領域であるために十分である必要がある。
【0054】
非ゼロフィールド成分に対する代表的な周波数3Hzにおけるオフセット依存性を図4aから図4cに示す。これらの図において、測線に沿ったソース位置はx=80mである。導電体16が存在する場合に生じる磁場(図4c)及び電場(図4aから図4b)はX印(×)でプロットされ、導電体16が存在しない場合のフィールドは白丸(○)でプロットされる。代表的なノイズ値は、電場に対しては黒丸(●)で、磁場に対してはプラス記号(+)でプロットされる。以下、図5から図7において同一の符号を使用する。
【0055】
図4aから図4cに表示される結果に基づいて、インラインのEx成分は、石油及びガスの用途における抵抗体の検出とは対照的に、導電体の検出には有用でないと結論付けることができる。ここで、導電体の場合、磁場(この場合、By成分)はもちろん電場の垂直方向のEz成分に対して感度が良好である。この挙動は、図5から図7においても見られる。
【0056】
また、図4aから図4cにおいて、Ez成分及びBy成分の両方が、3Hzでの0~300mのオフセット範囲全体に対して良好な感度を有することも分かる。しかしながら50~60mを超えるオフセットを有する磁場に対しては、信号対ノイズ比が低すぎる。したがって500Amのソース強度では、0~50mの間のオフセットが最も適切である。より強力なソースでは、より大きなオフセット範囲を達成することができる。しかしながら、電池サイズが同じである場合、電池からのエネルギ消費がより高くなるため、調査の持続期間により短い制限が課される。
【0057】
図5から図7は、それぞれ50メートル、30メートル、及び3メートルの3つの固定オフセットにおける周波数3Hzでの非ゼロフィールド成分を示す。Ez及びByの感度は、3つの全ての場合において十分である。しかしながら、Byフィールドの信号対ノイズ比は、図5cに示す50mのオフセットでは低すぎる。図7cに示すように、Byフィールドの最良の信号対ノイズ比は最短のオフセット(3m)で得られる。実際、感度はこのオフセットで最も高い。電場成分については、状況が逆である。図5bに示すように、最も好適なオフセットは、50mである。そのオフセットにおけるEx/Ezの比率が最も小さいことが理由である。
【0058】
モデル化されたデータに現実的なホワイトノイズを付加することによる効果と感度を更に実証するために、y=0の測線に12本の測線を加えた。図8及び図9に示す水平の点線として視覚化されている13本の平行線は、z=2970mでy=-150m~y=150mに対してx=-150m~x=170mのソース位置を有する測定グリッドにわたる電磁場を計算するために使用される。図4から図7に示すノイズ線によると、ホワイトノイズは平均値を有する。平均値の2倍の標準偏差を使用して、測線に沿ったノイズの変動をシミュレートする。次に、各ソース点に対して生成されたノイズが、モデル化された電場及び磁場にそれぞれ付加される。図8から図9は、それぞれ、オフセット50m及び3mに対する電気Ez成分及び磁気By成分の大きさを示す。周波数は、前と同様に3Hzである。オフセットの選択は、図4から図7に示すモデリング結果に基づく。これらの結果に基づき、これらの成分に対する最適なオフセットが選択される。
【0059】
図8から図9において、導電体の水平方向の範囲は、選択されたフィールド成分の大きさを検査することによってのみ決定され得ることが明確に分かる。ノイズの付加は、水平方向の範囲の推定にわずかな影響を与える。これは、好適の測定構成に電磁場を直接的に使用することによって、画定の一部を実際に実行できることを示唆している。しかしながら、導電体のより詳細な特性推定にはデータ反転などが必要である。
【0060】
本開示の第1態様は、船体2aを有する少なくとも1つのソース自律型水中航走体AUV及び船体3aを有する少なくとも1つのレシーバ自律型水中航走体3を備え、ソースAUV2は、ソースAUV2の船体に搭載された制御電気双極子源と、ソースAUV2の船体2a内に搭載された第1の磁力計7aと、を含み、レシーバAUV3は、第1の受信電極9と、第2の受信電極10と、AUV3の船体内に搭載された第2の磁力計7bと、レシーバAUV3内にホストされた測定電子機器8bと、を含み、第1及び第2の磁力計7a、7bは、磁場を測定するように構成され、第1及び第2の受信電極9、10は、電磁エネルギが制御電気双極子源から送信されるとき、AUV3に対して水平方向(x方向)及びAUV3に対して垂直方向(z方向)の電場を測定するように構成される、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムを示す。
【0061】
制御電気双極子源は、ソースAUV2の船体の外側に搭載された少なくとも2つの金属電極板4a及び4bを備える。
【0062】
第1のレシーバは、AUV3の船体3aに搭載され、x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極9a、9bを備え、第2のレシーバは、AUV3の船体3aに搭載され、z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極10a、10bを備える。
【0063】
第1及び第2の磁力計7a、7bは、三軸及び/又は全磁場磁力計である。
【0064】
ソースAUV2は、ソースAUV2内にホストされ、船体を通じてケーブルで2つの電極板4a、4bに接続され、電気双極子源を動作させるように適合されたソース電子機器5を更に備える。
【0065】
ソースAUV2及びレシーバAUV3は、受信電極9、10と第1及び第2の磁力計7a、7bとを動作させるように適合された測定電子機器8a、8bを更に備える。
【0066】
ソースAUV2及びレシーバAUV3は、電気双極子源、第1及び第2のレシーバ、ソース、測定電子機器、及び磁力計に電力を供給する電池を更に備える。
【0067】
制御電気双極子源は、1~10Hzの周波数範囲で動作する。
【0068】
システムは、第1及び第2の磁力計7a、7bと第1及び第2の受信電極9、10からの測定値を使用して、導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える。
【0069】
本開示の第2の態様は、海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法を示し、方法は、制御電気双極子源を備えた船体2aを有するソースAUV2から電磁エネルギを送信するステップと、レシーバAUV3の船体3aに搭載された第1及び第2の受信電極9、10で電場を測定するステップと、ソースAUV2の船体2a内に搭載された第1の磁力計7a及びレシーバAUV3の船体3a内に搭載された第2の磁力計7bで磁場を測定するステップであって、ソースAUV及びレシーバAUVが測線1に沿って移動するステップと、を含む。
【0070】
第1のレシーバは、レシーバAUV3の船体3aに搭載され、x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極9a、9bを備え、第2のレシーバは、レシーバAUV3の船体3aに搭載され、z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極10a、10bを備える。
【0071】
第1の一対の受信電極及び第2の一対の受信電極は、制御電気双極子源に対して30~50メートルのオフセットを有する。
【0072】
制御電気双極子源によって送信される電磁エネルギは、1~10Hzの間の離散周波数を含む。
【0073】
制御電気双極子源は、15秒間の出力シーケンスを有する。
【0074】
ソースAUV及びレシーバAUVは、海底から30メートル上にある。
【0075】
測定された電場及び磁場を、訓練された畳み込みニューラルネットワークに供給することによって、導電体の導電率構造を取得する。
【0076】
導電体は、熱水噴出場及び/又は、フェロマンガンクラスト及び海底塊状硫化物などの海洋鉱物鉱床である。
【0077】
方法は、第1の7a及び第2の磁力計7bと第1の9及び第2の受信電極10からの測定値を使用して、導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える。
【0078】
当業者は、本開示が上述の好適な実施形態に限定されないことを理解する。
図1A
図1B
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定するためのシステムであって、
船体(2a)を有する少なくとも1つのソース自律型水中航走体(AUV)(2)及び船体(3a)を有する少なくとも1つのレシーバ自律型水中航走体(AUV)(3)を備え、
前記ソースAUV(2)は、前記ソースAUV(2)の前記船体に搭載された少なくとも1つの制御電気双極子源と、前記ソースAUV(2)の前記船体(2a)内に搭載された少なくとも1つの第1の磁力計(7a)と、を含み、
前記レシーバAUV(3)は、少なくとも1つの第1の一対の受信電極(9a、9b)と、少なくとも1つの第2の一対の受信電極(10a、10b)と、前記レシーバAUV(3)の前記船体内に搭載された少なくとも1つの第2の磁力計(7b)と、前記レシーバAUV(3)内にホストされた測定電子機器(8b)と、を含み、
少なくとも1つの前記制御電気双極子源は、前記ソースAUV(2)の前記船体の外側に搭載された少なくとも2つの金属電極板(4a、4b)を含み、
前記第1及び前記第2の磁力計(7a、7b)は、前記磁場を測定するように構成され、
前記第1及び前記第2の一対の受信電極(9a、9b、10a、10b)は、電磁エネルギが前記制御電気双極子源から送信されるとき、前記レシーバAUV(3)に対して水平方向(x方向)及び前記レシーバAUV(3)に対して垂直方向(z方向)の電場を測定するように構成され、
前記第1の一対の受信電極と前記第2の一対の受信電極は、前記制御電気双極子源に対して3~50メートルのオフセットを有し、
前記システムは更に、
前記ソースAUV(2)内にホストされ、前記船体を通じてケーブルで前記2つの電極板(4a、4b)に接続され、前記電気双極子源を動作させるように適合されたソース電子機器と、
前記ソースAUV(2)及び前記レシーバAUV(3)において、前記電気双極子源、第1及び第2のレシーバ、ソース、測定電子機器、及び磁力計に電力を供給する電池と、
前記ソースAUV(2)及び前記レシーバAUV(3)において、前記受信電極対(9a、9b、10a、10b)と前記第1及び第2の磁力計(7a、7b)とを動作させるように適合された測定電子機器(8a、8b)と、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第1のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、前記x方向において互いに離間された第1の一対の受信電極(9a、9b)を備え、
前記第2のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、前記z方向において互いに離間された第2の一対の受信電極(10a、10b)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の磁力計(7a、7b)は、三軸及び/又は全磁場磁力計である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御電気双極子源は、1~100Hzの間の前記周波数範囲で動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記第1(7a)及び第2の磁力計(7b)と第1(9a、9b)及び第2の一対の受信電極(10a、10b)からの測定値を使用して、前記導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項1からの何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、船体を有する前記ソースAUV及び前記レシーバAUVの両方として作用する少なくとも1つの自律型水中航走体(AUV)(2’)を備え、
これは、前記AUVの前記船体上に搭載された制御電気双極子源と、前記AUVの前記船体内に搭載された磁力計(7c)と、受信電極(9a’、9b’、10a’、10b’)と、前記AUV(2’)内にホストされた測定電子機器(8c)と、を含み、
前記磁力計は、磁場を測定するように構成され、
前記受信電極は、電磁エネルギが前記制御電気双極子源から送信されるとき、前記AUVに対して水平方向及び前記AUVに対して垂直方向の電場を測定するように構成される、請求項1からの何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
海底及び/又はその下に位置する導電体を検出及び画定する方法であって、
少なくとも1つの制御電気双極子源を備えた船体(2a)を有するソースAUV(2)から電磁エネルギを送信するステップと、
レシーバAUV(3)の船体(3a)に搭載された、少なくとも1つの第1及び少なくとも1つの第2のレシーバ(9、10)で電場を測定するステップであって、前記第1のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、x方向において互いに離間している少なくとも1つの第1の一対の受信電極(9a、9b)を備え、前記第2のレシーバは、前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)に搭載され、z方向において互いに離間している少なくとも1つの第2の一対の受信電極(10a、10b)を備え、前記第1の一対の受信電極及び前記第2の一対の受信電極は、前記制御電気双極子源に対して3~50メートルのオフセットを有するステップと、
前記ソースAUV(2)の前記船体(2a)内に搭載された少なくとも1つの第1の磁力計(7a)及び前記レシーバAUV(3)の前記船体(3a)内に搭載された少なくとも1つの第の磁力計(7)で磁場を測定するステップであって、前記ソースAUV及び前記レシーバAUVが測線(1)に沿って移動するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記制御電気双極子源によって送信される前記電磁エネルギは、1~100Hzの間の離散周波数を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記制御電気双極子源は、15秒間の出力シーケンスを有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記ソースAUV及び前記レシーバAUVは、海底から30メートル上にある、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記測定された電場及び磁場を、訓練された畳み込みニューラルネットワークに供給することによって、前記導電体の導電率構造を取得する、請求項7から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記導電体は、熱水噴出場及び/又は、フェロマンガンクラスト、海底塊状硫化物、及び多金属団塊などの海洋鉱物鉱床である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1(7a)及び前記第2の磁力計(7)と第1(9a、9b)及び第2の一対の受信電極(10a、10)からの測定値を使用して、前記導電体の導電率構造を作成するように構成されたプロセッサを更に含む、請求項に記載の方法。
【国際調査報告】