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特表2024-534778複合構造、ハウジング付き体積補償装置および製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】複合構造、ハウジング付き体積補償装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 23/08 20060101AFI20240918BHJP
   E04C 3/34 20060101ALI20240918BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B28B23/08
E04C3/34
E04B1/30 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508803
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2022000116
(87)【国際公開番号】W WO2023019869
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】202110945484.7
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110945535.6
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055746
【氏名又は名称】王 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】王 哲
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FF17
2E163GA06
(57)【要約】
ハウジング付き体積補償装置(3)は、支持ハウジング(32)と圧力供給装置(31)とを備え、前記支持ハウジング(32)に中空部が形成され、前記中空部と支持ハウジング(32)の外部領域との間に接続通路(3201)が形成されており、前記圧力供給装置(31)が前記中空部に設置される。複合構造は、部分Aと、部分Bと、部分Cとを含み、部分Aは、中空部が形成されており、部分Bは、流体固体変換材料であり、部分Cは、1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置(3)であり、部分Bおよび部分Cが前記中空部に位置する。材料Bが流動可能な状態にある場合、ハウジング付き体積補償装置(3)が部分Bにおける圧力を供給し、維持する。部分Bである材料が固体状態にある場合、複合構造の受ける外力により部分Bにおける圧縮応力が大きくなると、ハウジング付き体積補償装置(3)における支持ハウジング(32)の外面が耐えられる、周辺の媒体の圧縮応力は、圧力供給装置(31)による圧縮応力よりもはるかに大きい。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力供給装置と支持ハウジングとを備え、
前記支持ハウジングに中空部が形成され、前記中空部と前記支持ハウジングの外部の周辺領域との間に接続通路が形成されており、
前記圧力供給装置が前記中空部に設置され、
前記圧力供給装置は、それに接触する媒体に圧力を供給するように構成される
ハウジング付き体積補償装置。
【請求項2】
前記支持ハウジングが管であり、
(1)前記管の管壁に孔が設けられ、管の両端がいずれも塞がれ、前記管壁における孔が支持ハウジングの中空部と支持ハウジングの周辺の外部領域とを接続する接続通路として使用されること、
(2)前記管の管壁に孔が設けられ、管の両端のうち少なくとも一端が塞がれないこと、
(3)前記管の管壁に孔が設けられなく、管の両端のうち少なくとも一端が塞がれなく、管の塞がれない端の管孔が支持ハウジングの中空部と支持ハウジングの周辺の外部領域とを接続する通路として使用されること、
の特徴の(1)~(3)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の前記ハウジング付き体積補償装置。
【請求項3】
前記支持ハウジングは、孔が設けられたハウジングである
ことを請求項1に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項4】
前記圧力供給装置は、加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置から選択されるものであり、
(1)前記加圧装置は、その外面と、それに接触する媒体との圧力を変えまたは維持するように構成され、
(2)前記エネルギー貯蔵装置は、下記の特徴を有し、
エネルギー貯蔵装置の外面の受ける圧力が大きくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを吸収し、および/または、外面の受ける圧力が小さくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを放出し、
(3)前記加圧エネルギー貯蔵装置は、下記の第1特徴および第2特徴を有し、
前記第1特徴は、加圧エネルギー貯蔵装置が、その外面と、それに接触する媒体との圧力を変えまたは維持するように構成され、
前記第2特徴は、他の影響要因が一定である条件下で、加圧エネルギー貯蔵装置の外面の受ける圧力が大きくなるとき、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなり、加圧エネルギー貯蔵装置がエネルギーを吸収し、および/または、外面の受ける圧力が小さくなるとき、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなり、加圧エネルギー貯蔵装置がエネルギーを放出する
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項5】
(1)前記加圧装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグ、加圧液体バッグ、自己膨張装置から選択されるものであり、
(2)前記エネルギー貯蔵装置は、ガスバッグ、気液バッグ、エネルギー貯蔵液体バッグ、中実弾性体エネルギー貯蔵装置、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置から選択されるものであり、
(3)前記加圧エネルギー貯蔵装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグ、加圧エネルギー貯蔵液体バッグ、自己膨張装置から選択されるものであり、
好ましくは、前記自己膨張装置は、甲型自己膨張装置であり、好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置であり、好ましくは、前記甲1型自己膨張装置は、甲1a型自己膨張装置および甲1b型自己膨張装置の少なくとも一方であり、
好ましくは、前記自己膨張装置は、乙型自己膨張装置である
ことを特徴とする請求項4に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項6】
加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用されるガスバッグは、普通ガスバッグ、上限ガスバッグ、下限ガスバッグおよび二重限界ガスバッグから選択されるものであり、
加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用される気液バッグは、普通気液バッグ、上限気液バッグ、下限気液バッグおよび二重限界気液バッグから選択されるものであり、
加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用される液体バッグは、普通液体バッグ、上限液体バッグ、下限液体バッグおよび二重限界液体バッグから選択されるものであり、好ましくは、前記液体バッグに、液圧源と接続される管路が設置され、好ましくは、前記液体バッグに液圧源およびアキュムレータと接続される管路が設置される
ことを特徴とする請求項5に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項7】
前記圧力供給装置は、甲型自己膨張装置および乙型自己膨張装置から選択されるものであり、好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置である
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項8】
前記支持ハウジングの内壁と圧力供給装置の外面との間の隙間に流体固体変換材料が充填され、および/または、
前記支持ハウジングの外部の周辺領域に前記流体固体変換材料が存在する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項9】
(1)前記流体固体変換材料が流動可能な状態にある場合、前記流体固体変換材料が前記接続通路内を流れることが可能であること、および
(2)前記流体固体変換材料が固体状態にある場合、前記流体固体変換材料と前記支持ハウジングとにより複合ハウジングが形成され、前記複合ハウジングが、支持ハウジングと、その周辺の特定の範囲内の固まった流体固体変換材料とを含み、前記複合ハウジングがその周辺の媒体の圧力に耐えられること、
の特徴の(1)~(2)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置を製造する
ことを特徴とするハウジング付き体積補償装置の製造方法。
【請求項11】
ハウジング付き体積補償装置を使用して周辺の媒体に圧力を供給する方法であって、
(1)前記ハウジング付き体積補償装置が請求項1~9のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置を使用し、
(2)前記ハウジング付き体積補償装置を使用して圧力を供給する過程において、前記支持ハウジングおよび前記圧力供給装置のほか、流体固体変換材料も必要であり、
前記流体固体変換材料が流体状態から固体状態に変化可能な材料であり、
(3)前記ハウジング付き体積補償装置の前記支持ハウジング、前記圧力供給装置および前記流体固体変換材料の空間的関係は、下記の特徴を有し、
支持ハウジングの内壁と圧力供給装置の外面との間の少なくとも一部の隙間に流体固体変換材料が存在し、および/または、
少なくとも支持ハウジングの外部の周辺領域の一部に流体固体変換材料が存在し、
(4)流体固体変換材料が流動可能な状態にある場合、
a.支持ハウジングの外部の流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が大きくなるとき、前記流体固体変換材料が前記接続通路を介して前記支持ハウジングで囲まれた中空部に流入し、中空部における圧力供給装置を押して圧力供給装置の見かけ体積を小さくし、支持ハウジングの外部および接続通路の少なくとも一方における流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が小さくなるとき、前記中空部における圧力供給装置の見かけ体積が大きくなり、前記流体固体変換材料を前記支持ハウジングの外部へ流れるようにすし、および/または、
b.圧力供給装置の見かけ体積が大きくなる場合、圧力供給装置により支持ハウジングの中空部における流体固体変換材料を押して前記接続通路を介して支持ハウジングから流出させ、圧力供給装置の見かけ体積が小さくなる場合、支持ハウジングの外部の周辺の流体固体変換材料が周辺の媒体の圧力を受けると、流体固体変換材料が前記接続通路を介して支持ハウジングの中空部に流入し、
(5)流体固体変換材料が固体状態にある場合、
前記流体固体変換材料と前記支持ハウジングとにより複合ハウジングが形成され、複合ハウジングが全体として外部媒体からの圧力に抵抗し、前記支持ハウジングが、固まった流体固体変換材料によるその外面に作用する圧力に耐えられる
ことを特徴とするハウジング付き体積補償装置を使用して周辺の媒体に圧力を供給する方法。
【請求項12】
部分Aと、部分Bと、部分Cとを含み、
部分Aは、中空部が形成されており、固体であり、
部分Bは、流体固体変換材料であり、前記流体固体変換材料が流動可能な状態から固体状態に変化可能な材料であり、
部分Cは、1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置であり、前記ハウジング付き体積補償装置が請求項1~9のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置であり、各ハウジング付き体積補償装置は、支持ハウジングと圧力供給装置とを備え、
前記ハウジング付き体積補償装置および前記部分Bである材料が部分Aで囲まれた中空部に位置する
複合構造部材。
【請求項13】
前記部分Aには1つの中空部が形成され、または、前記部分Aには、2つ以上の中空部が形成され、
前記部分Aには、2つ以上の中空部が形成された場合、前記中空部は、
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態である媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味すること、
(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味すること、
の特徴の(1)および(2)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項14】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、(1)セメント系材料、(2)セメント系材料と高分子材料との混合物、(3)それ自体で硬化可能な高分子材料、および(4)高分子材料と固体粉末および固体顆粒の少なくとも一方との混合物の4種類から選択されるものであり、
前記セメント系材料は、セメントモルタル、反応性粉体コンクリート、普通強度コンクリート、高強度コンクリート、超高強度コンクリートを含み、
セメント系材料と高分子材料との混合物において、前記セメント系材料におけるセメントが水和に関与する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項15】
前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置し、各種の部分Bである材料が流体固体変換材料である
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項16】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有し、
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
(ii)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである
ことを特徴とする請求項15に記載の複合構造部材。
【請求項17】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たし、対応する材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有し、
(i)前記第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受け、
(ii)前記第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける
ことを特徴とする請求項15に記載の複合構造部材。
【請求項18】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、すべての部分Bである材料が固まったあと、前記部材は、
(1)前記中空部における一部、複数の部分またはすべての部分Bである材料において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在すること、
(2)前記中空部における一部、複数の部分または全部の部分Aの内壁と部分Bである材料との接触面において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在すること、
(3)前記中空部において、前記支持ハウジングの外面と前記部分Bである材料との接触面において、圧縮応力が存在すること、
の3つの特徴のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項19】
前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、簡素化加圧装置がさらに存在し、前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項20】
(1)前記複合構造部材は、その1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において軸線を有し、且つ、
(2)前記軸線は、
(i)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が直線であること、
(ii)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が曲線であること、
(iii)前記部材の全部の軸線において、少なくとも1セグメントの軸線が直線であり、かつ少なくとも1セグメントの軸線が曲線であること、
の特徴の(i)~(iii)のうちの少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項21】
前記複合構造部材の1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において、
前記複合構造部材の横断面の外郭線により形成されるパターン、および/または前記部分Aで囲まれた前記中空部の横断面の外郭線により形成されるパターンは、下記の特徴を有し、
前記パターンは、直線および曲線の少なくとも一方により形成されるパターンであり、
好ましくは、前記パターンが外側に凸のものであり、好ましくは、前記パターンが外側に凸の多角形であり、好ましくは、前記パターンが外側に凸の曲線パターンであり、好ましくは、前記パターンが円形または楕円形であり、好ましくは、前記パターンが角丸多角形である
ことを特徴とする請求項12または20に記載の複合構造部材。
【請求項22】
前記複合構造部材は、
(1)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、その形状およびサイズのそれぞれが同じであること、
(2)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、形状が似ており、サイズが異なること、
(3)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、横断面の形状が似ていなくサイズが異なる箇所が長手方向において少なくとも2つあること、
の特徴の(1)~(3)のうちの1つを有する
ことを特徴とする請求項12または21に記載の複合構造部材。
【請求項23】
前記複合構造部材は、軸線が直線であり、中空部1つだけ有する柱状の圧縮部材であり、あるいは、前記複合構造部材は、軸線がアーチ状の曲線であり、中空部1つだけ有する圧縮部材である
ことを特徴とする請求項12または20~22のいずれか1項に記載の複合構造部材。
【請求項24】
前記ハウジング付き体積補償装置は、
(1)前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれは、任意の段階の部分Bである材料の体積弾性係数および体積変形係数よりもはるかに小さく、前記任意の段階は、全過程における任意の段階を指し、前記全過程は、前記材料が流動可能な状態から最終強度に達した固定状態になる過程を指すこと、
(2)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された前記複合ハウジングは、見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれが前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数よりもはるかに大きいこと、
(3)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(4)前記支持ハウジングの、孔が設けられない箇所の外面が耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(5)前記支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた円形鋼管であり、前記圧力供給装置が長い管状のバッグタイプエネルギー貯蔵装置である場合、外面に同じ径方向圧力を加えると、管壁に孔が設けられない部分の鋼管の径方向変位増分を外径で割った値は、バッグタイプ圧力供給装置の径方向変位増分を外径で割った値よりもはるかに小さいこと、
の特徴の(1)~(5)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の複合構造部材。
【請求項25】
中空部が形成れた部分Aを得るステップ(1)と、
1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置を前記部分Aで囲まれた中空部に設置しまたは固定するステップ(2)と、
前記中空部に部分Bである材料を充填するステップ(3)と、
中空部における部分Bである材料に圧力を加えるステップ(4)と、を含み、
製造過程においてステップ(2)およびステップ(3)は、そのの順序による影響を受けなく、
前記部分Bである材料は、流体固体変換材料であり、
前記ハウジング付き体積補償装置が請求項1~9のいずれか1項に記載のハウジング付き体積補償装置であり、各ハウジング付き体積補償装置は、圧力供給装置と支持ハウジングとを備え、前記圧力供給装置が支持ハウジングの中空部内に設置される
複合構造部材の製造方法。
【請求項26】
前記複合構造部材の部分Aには、1つまたは複数の中空部が形成されており、
前記中空部の数が2つ以上である場合、前記中空部は、
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態である媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味すること、および、
(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味すること、
の特徴の(1)~(2)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
適切な時期に、前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に流体固体変換材料を充填し、
好ましくは、ハウジング付き体積補償装置を部分Aで囲まれた中空部に設置する前、流動可能な状態にある流体固体変換材料を少なくとも前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に充填し、および/または、
部分Aで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填するとき、または部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に圧力を加えるとき、前記支持ハウジングの外面の近くの周辺領域における部分Bである材料が支持ハウジングにおける通路を介して前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に入る
ことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項28】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置する
ことを特徴とする請求項25または26に記載の製造方法。
【請求項29】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有し、
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
(ii)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである
ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たし、対応する材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有し、
(i)前記第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受け、
(ii)前記第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける
ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項31】
前記ハウジング付き体積補償装置は、
(1)前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれは、任意の段階の部分Bである材料の体積弾性係数および体積変形係数よりもはるかに小さく、前記任意の段階は、全過程における任意の段階を指し、前記全過程は、前記材料が流動可能な状態から最終強度に達した固定状態になる過程を指すこと、
(2)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された前記複合ハウジングは、見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれが前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数よりもはるかに大きいこと、
(3)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(4)前記支持ハウジングの、孔が設けられない箇所の外面が耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(5)前記支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた円形鋼管であり、前記圧力供給装置が長い管状のバッグタイプエネルギー貯蔵装置である場合、外面に同じ径方向圧力を加えると、管壁に孔が設けられない部分の鋼管の径方向変位増分を外径で割った値は、バッグタイプ圧力供給装置の径方向変位増分を外径で割った値よりはるかに小さいこと、
の特徴の(1)~(5)の少なくとも1つを有する
ことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項32】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記複合構造部材に簡素化加圧装置がさらに設置され、該簡素化加圧装置が部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料の圧縮応力を変えたり維持したりするように構成され、
前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものであり、簡素化加圧装置には支持ハウジングが含まれていない
ことを特徴とする請求項25または28に記載の製造方法。
【請求項33】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記簡素化加圧装置と前記ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置とを併用することにより部分Bである材料の圧力を変えたり維持したりし、
前記併用の特徴として、少なくともある時間帯に前記圧力供給装置と前記簡素化加圧装置とを同時に使用し、および/または、少なくともある時間帯に前記圧力供給装置と前記簡素化加圧装置とを交互に使用する
ことを特徴とする請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、部分Bである材料は、1種だけ含まれ、この場合、M=1であり、
前記複合構造部材に下記の特徴を有する横断面を有する一部の部材が少なくとも1つ存在し、
(1)前記複合構造部材の軸線が直線である場合、
(i)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が1つだけ設置されるとき、前記ハウジング付き体積補償装置が中空部の横断面の幾何学的中心に設置され、あるいは、
(ii)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が2つ以上設置されるとき、前記ハウジング付き体積補償装置の位置する箇所は、中空部の横断面の幾何学的中心に関して対称となるように設置され、または特定の直線に関して対称となるように設置され、
(2)前記部材の軸線が1つの平面に位置する曲線である場合、
(i)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が1つだけ設置されるとき、
前記ハウジング付き体積補償装置が中空部の横断面の幾何学的中心に設置され、あるいは、前記ハウジング付き体積補償装置の位置として、前記中空部の横断面の幾何学的中心からずれたが、軸線の位置する平面に位置し、あるいは、
(ii)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が2つ以上設置されるとき、前記ハウジング付き体積補償装置が前記軸線の位置する平面に関して線対称となるように設置される
ことを特徴とする請求項25または28~30のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項35】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の特徴(I)、特徴(II)および特徴(III)を有し、
前記特徴(I)は、前記部分Aで囲まれた中空部において、BおよびBの2種の部分Bである材料が含まれ、この場合、M=2であり、材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置し、
前記特徴(II)は、少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置は、その外面のすべてまたはほとんどが材料Bに接触し、
前記特徴(III)は、前記材料Bおよび材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の3つの特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものであり、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(3)前記第3特徴
前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴の少なくとも1つを有し、
(i)材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が圧縮応力を受け、
(ii)前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記材料Bが固まったあと、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、および/または、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、
(iv)前記材料Bおよび材料Bがそれぞれ固まったあと、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、および/または、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける
ことを特徴とする請求項25または28~30のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項36】
製造方法であって、
前記部分Aで囲まれた中空部において、B、BおよびBの3種の部分Bである材料が含まれ、この場合、M=3であり、材料B、材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置し、
前記製造方法は、下記の特徴イ、特徴ロ、特徴ハの3つの特徴の少なくとも1つを有し、
(一)前記特徴イ
少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が材料Bに接触し、前記材料Bが流動可能な状態にある場合、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の体積が収縮すると、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置の押動によりそれに接触する材料Bを支持ハウジングの孔から流出させ、これによって、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の収縮により減少した体積を補償し、
(二)前記特徴ロ
前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の3つの特徴のうちの1つを有し、
(1)第1特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、
(2)第2特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、
(3)第3特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、
(三)前記特徴ハ
前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の特徴の少なくとも1つを有し、
(i)材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力を受け、
(ii)前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記材料Bが固まったあと、前記材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、
(iv)前記材料B、材料Bおよび材料Bがすべて固まったあと、材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける
ことを特徴とする請求項25または28~30のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築、橋梁、治水などの分野に属し、具体的に、複合構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管コンクリート複合構造(鋼管とコンクリートとを結合してなる構造物)におけるコンクリートは収縮することがある。この場合、コンクリートと鋼管の内壁との剥離が生じ、両方の相乗効果に影響を与え、このため、複合構造の力学的特性が劣化する。
従来の文献において、この問題を解決する方法は2種ある。1つの方法として、コンクリート材料の収縮特性を変え、収縮量をできる限り減らし、または材料を膨らませる。このような方法は、高強度コンクリートまたは超高強度コンクリートに適しない。このような方法は本発明と関係がないため、その説明を省略する。
もう1つの方法として、鋼管にコンクリートを充填して圧力を加える。圧力を加える方法は、以下の3つある。
【0003】
1つ目の加圧方法として、複合構造の鋼管端部の近くに、鋼管コンクリートの鋼管の外部の加圧装置と接続される1つの細い管を取り付け、加圧装置により細い管の内部のコンクリートに圧力を加え、コンクリートの強度が十分になったあと、コンクリートが入っている細い管を切断する。
【0004】
コンクリートが流動状態にある場合、鋼管の内部のコンクリートが収縮すると、加圧装置は、細い管におけるコンクリートを鋼管の内部に圧送し、コンクリートの収縮により減少した体積を補償する。しかしながら、コンクリートが固まる場合、鋼管内のコンクリートが収縮することもある。この場合、コンクリートがほとんど流動できないため、細い管におけるコンクリートが鋼管の内部に進入してコンクリートの収縮により減少した体積を補償することができなくなる。この際に、コンクリートの側面に作用する鋼管の圧力が低下し、鋼管内面からのコンクリートの剥離を招くことさえある。
【0005】
2つ目の加圧方法として、鋼管コンクリートの両端からその内のコンクリートに圧力を加える。この方法は、大きくイとロの2種に分けられる。
【0006】
方法イ
複合構造の鋼管が2つあり、一方が太く他方が細く、太い鋼管が細い鋼管の外側に外挿れる。鋼管内に対するコンクリートの充填が完了したあと、外挿により2つの鋼管を合わせ、プレス機を利用して軸方向に沿ってそれらに対して圧力を加える。これによって、2つの鋼管が軸方向に沿って相対的にスライドし、鋼管内のコンクリートに圧力が加えられる。圧力が要求を満たしたあと、相対移動ができないように2つの鋼管を接続する。しかしながら、この方法にも欠点がある。コンクリートが固まる前でも固まったあとでも体積の収縮が発生する。2つの鋼管が固定されたあと、コンクリートがさらに収縮することがあり、コンクリートが収縮するとき鋼管の接線方向引張ひずみがともに小さくなり、鋼管でコンクリートの側面に作用する圧力がともに小さくなり、鋼管内面からのコンクリートの剥離さえある。
【0007】
方法ロ
鋼管の両端にピストンが設置されており、ピストンが鋼管の内部において軸方向に沿って移動することが可能である。鋼管の内部のコンクリートの押しは、加圧装置で2つのピストンを押すことにより行われ、ピストンが互いに接近するように移動することにより、鋼管におけるコンクリートを押す。コンクリートがある程度の強度に達するまでピストンに加える圧力を維持する。この方法の問題として、鋼管のアスペクト比(長さと直径の比率)が比較的大きい場合、この方法の技術的効果があまりよくない。例えば、アスペクト比を7(実際の応用においてこの値を超える場合が多い)にした場合、コンクリートを鋼管に充填したあと、コンクリートの強度が十分になるまで両端のピストンに一定の力を加えた。しかしながら、コンクリートが固まってもある程度の強度を有しても、収縮することがある。このとき、コンクリートの強度、およびコンクリートと鋼管の内壁との結着力および摩擦力により、ピストンの圧力が相殺されたり低下したりし、鋼管の長手方向において中部のコンクリートの軸方向圧縮応力がその両端の軸方向圧縮応力よりも小さくなる。アスペクト比が大きいほど、鋼管の中部のコンクリートの軸方向圧縮応力が小さくなる。長手方向において中部のコンクリートの径方向圧縮応力がコンクリートの収縮に従って小さくなり、鋼管の直径が比較的大きい場合、鋼管からのコンクリートの脱離さえ発生する。
また、方法ロの場合、施工時に大型設備が必要となるので、占めるスペースが大きいという欠点もある。
【0008】
3種目の加圧方法として、密封した鋼管コンクリートの内部に圧力維持装置、例えばゴム棒、ガスバッグなどを設置するとともにコンクリートに予圧を加える。このような装置の利点として、コンクリートが流動可能な状態にある場合、収縮が発生すると、圧力維持装置が膨張し、鋼管の中空部における収縮により増加したスペースを補償する。これによって、コンクリートの圧縮応力の低下幅を要求される範囲に収めることができる。コンクリートが固まっても、圧力維持装置の外面とコンクリートとの間に依然として圧縮応力が存在する。しかしながら、このような構造は、ゴム棒、ガスバッグなどがコンクリートにおける脆弱部分となり、鋼管コンクリート柱の全体としての負荷能力を損なうという欠点がある。例えば、圧力維持装置が円柱状ガスバッグである場合、その軸線が柱の軸線に対して平行である。鋼管コンクリート柱に絶え間なく増加し続けている軸方向圧力を加えるとき、鋼管の内部のコンクリートは、圧力維持装置から離間した領域において、その最大垂直応力(Normal stress)方向と柱の軸方向方向とが平行であり、最小主応力と中間主応力とが等しいとともにいずれも柱軸線に垂直である。これに対して、圧力維持装置の表面に接触したコンクリートは、最大主応力方向が依然として柱軸線方向であり、最小主応力方向が圧力維持装置の表面の法線方向となり、中間主応力方向が接線方向となる。強度基準によれば、最小主応力が小さくなると、材料の破壊に対応する最大主応力が下げられる。ガスバッグによる接触圧が鋼管の内壁のコンクリートに対する圧縮応力よりも小さいので、ガスバッグの近くのコンクリートは、他の領域のコンクリートよりも、耐える可能かな柱軸線方向に平行な圧縮応力が小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
セメントが凝結、硬化する過程において、化学的収縮が発生し、つまり、水和後の絶対容積が、水和前の、水と水和に関与する他の各種の成分との体積の合計よりも小さくなる。鋼管コンクリート複合構造において、鋼管の内部のコンクリートの体積収縮で、コンクリートと鋼管の内壁との不十分な接触が多くなり、鋼管の内壁からのコンクリートの剥離を招くことさえあり、この場合、鋼管とコンクリートとの相乗効果をよく発揮することができなくなる。高強度コンクリート、超高強度コンクリートおよび反応性粉体コンクリートは、セメントおよび活性混合材が比較的多く、硬化過程において体積の収縮量がより多いので、鋼管との相乗効果がより大きく劣化する。
【0010】
セメント硬化体の強度がセメント硬化体における空隙に関係し、空隙が小さいほど強度が高くなる。セメントが凝結、硬化する過程において、セメントを十分に収縮したり圧縮させたりして、セメント硬化体における空隙を低下させ、セメント硬化体の強度を向上させることができる。セメントモルタルおよびコンクリートの強度がいずれもそれらにおけるセメント硬化体の強度に関係し、セメント硬化体の強度が高いほど、対応する材料の強度が高くなる。
【0011】
反応性粉体コンクリートは、基材がセメント、シリカフューム、石英粉などと水との混合物であり、水和後の生成物が従来のセメント硬化体の成分と異なるが、強度も空隙率に関係し、空隙が少ないほど、強度が高くなる。
セメント硬化体、セメントモルタル、コンクリート、反応性粉体コンクリートは、軸方向強度がそれぞれの側方向圧縮応力に関係し、側方向圧縮応力が大きいほど、強度が高くなる。
【0012】
鋼管コンクリート柱を例として解決しようとする技術的問題を説明する。鋼管コンクリートは、鋼管の両端が閉じられ、鋼管の中空部に圧力維持装置が設置され、鋼管の中空部にコンクリートが充填されたものする。コンクリートがまだ流動可能な状態である場合、人為的に加えられる予圧縮応力を受ける。
(1)本発明が解決しようとする第1の技術問題は、鋼管コンクリートにおけるコンクリートの一軸強度および三軸強度を向上させて、鋼管コンクリート柱の全体としての負荷能力を向上させることである。
(2)本発明が解決しようとする第2の技術問題は、圧力維持方法および圧力維持装置を発明して下記の2つの目的を実現する。
a.コンクリートが流動可能な状態である場合、鋼管におけるコンクリートの圧縮応力が大体安定に保たれ、または、要求される範囲内に変化する。
b.コンクリートが最終強度になりまたは最終強度に近い場合、鋼管コンクリートが軸方向荷重を受けるとき、圧力維持装置が十分の径方向抵抗を提供して周辺のコンクリートの、圧力維持装置の占める領域への膨らみを防止し、膨らみに起因した、周辺のコンクリートの軸方向での負荷能力の低下を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(一)ハウジング付き体積補償装置
ハウジング付き体積補償装置は、圧力供給装置と支持ハウジングとを備え、前記支持ハウジングに中空部が形成され、前記中空部と前記支持ハウジングの外部の周辺領域との間に接続通路が形成されており、前記圧力供給装置が前記中空部に設置され、前記圧力供給装置は、それに接触する媒体に圧力を供給するように構成される。
さらに、前記支持ハウジングが管であり、
(1)前記管の管壁に孔が設けられ、管の両端がいずれも塞がれ、前記管壁における孔が支持ハウジングの中空部と支持ハウジングの周辺の外部領域とを接続する接続通路として使用されること、
(2)前記管の管壁に孔が設けられ、管の両端のうち少なくとも一端が塞がれないこと、
(3)前記管の管壁に孔が設けられなく、管の両端のうち少なくとも一端が塞がれなく、管の塞がれない端の管孔が支持ハウジングの中空部と支持ハウジングの周辺の外部領域とを接続する通路として使用されること、
の特徴の(1)~(3)の少なくとも1つを有する。
【0014】
さらに、前記管的横断面形状が外側に凸のものであり、好ましくは、前記横断面外郭線により形成されるパターンは、円形または楕円形である。
【0015】
さらに、前記支持ハウジングは、孔が設けられたハウジングである。
【0016】
さらに、孔が設けられた前記ハウジングは、下記の特徴のうちの1つを有する。
(1)前記ハウジングは、球状ハウジングおよび楕円体状ハウジングから選択されるものである。
(2)前記ハウジングにおける少なくとも一部のハウジングは、球状ハウジングの一部、楕円体状ハウジングの一部、または円柱状ハウジングである。
さらに、前記支持ハウジングにおける孔の形状は、円形、楕円形、矩形、角の丸い矩形、ある程度の長さを有する隙間から選択されるものである。
【0017】
さらに、前記圧力供給装置は、加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置から選択されるものであり、
(1)前記加圧装置は、その外面と、それに接触する媒体との圧力を変えまたは維持するように構成され、
(2)前記エネルギー貯蔵装置は、下記の特徴を有し、
エネルギー貯蔵装置の外面の受ける圧力が大きくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを吸収し、および/または、外面の受ける圧力が小さくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを放出し、
(3)前記加圧エネルギー貯蔵装置は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも一方を有し、
前記第1特徴は、加圧エネルギー貯蔵装置が、その外面と、それに接触する媒体との圧力を変えまたは維持するように構成され、
前記第2特徴は、他の影響要因が一定である条件下で、加圧エネルギー貯蔵装置の外面の受ける圧力が大きくなるとき、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなり、加圧エネルギー貯蔵装置がエネルギーを吸収し、および/または、外面の受ける圧力が小さくなるとき、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなり、加圧エネルギー貯蔵装置がエネルギーを放出する。
【0018】
さらに、(1)前記加圧装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグ、加圧液体バッグ、自己膨張装置から選択されるものであり、
(2)前記エネルギー貯蔵装置は、ガスバッグ、気液バッグ、エネルギー貯蔵液体バッグ、中実弾性体エネルギー貯蔵装置、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置から選択されるものであり、
(3)前記加圧エネルギー貯蔵装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグ、加圧エネルギー貯蔵液体バッグ、自己膨張装置から選択されるものであり、
好ましくは、前記自己膨張装置は、甲型自己膨張装置であり、好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置であり、好ましくは、前記甲1型自己膨張装置は、甲1a型自己膨張装置および甲1b型自己膨張装置の少なくとも一方であり、
好ましくは、前記自己膨張装置は、乙型自己膨張装置である。
【0019】
さらに、加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用されるガスバッグは、普通ガスバッグ、上限ガスバッグ、下限ガスバッグおよび二重限界ガスバッグから選択されるものであり、
加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用される気液バッグは、普通気液バッグ、上限気液バッグ、下限気液バッグおよび二重限界気液バッグから選択されるものであり、
加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置として使用される液体バッグは、普通液体バッグ、上限液体バッグ、下限液体バッグおよび二重限界液体バッグから選択されるものであり、好ましくは、前記液体バッグに、液圧源と接続される管路が設置され、好ましくは、前記液体バッグに液圧源およびアキュムレータと接続される管路が設置される。
【0020】
さらに、前記圧力供給装置は、甲型自己膨張装置および乙型自己膨張装置から選択されるものであり、好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置である。
【0021】
さらに、前記圧力供給装置は、長尺状のものであり、軟質管路と管路の両端の封止装置とを備え、両端の封止装置と軟質管路とが接続されている。
【0022】
好ましくは、前記軟質管路の材料が少なくとも周方向において曲げることができ、曲げ剛性が0に近く、好ましくは、前記軟質管路の材料の、管路の周方向の伸長ひずみが所定値δ未満であり、好ましくは、前記軟質管路の材料の、管路の周方向の伸長ひずみが所定値δ超であり、好ましくは、前記δが5%以下である。
【0023】
さらに、前記圧力供給装置は、バッグタイプ圧力供給装置であり、バッグタイプエネルギー貯蔵装置、バッグタイプ加圧装置およびバッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置を含む。
【0024】
好ましくは、前記バッグタイプエネルギー貯蔵装置、バッグタイプ加圧装置およびバッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置におけるバッグは、長尺状のものであり、軟質管路と管路の両端の封止装置とを備え、両端の封止装置と軟質管路とが接続されている。
【0025】
さらに、前記支持ハウジングの内壁と圧力供給装置の外面との間の隙間に流体固体変換材料が充填され、および/または、
前記支持ハウジングの外部の周辺領域に前記流体固体変換材料が存在する。
【0026】
さらに、前記装置は、
(1)前記流体固体変換材料が流動可能な状態にある場合、前記流体固体変換材料が前記接続通路内を流れることが可能であること、および
(2)前記流体固体変換材料が固体状態にある場合、前記流体固体変換材料と前記支持ハウジングとにより複合ハウジングが形成され、前記複合ハウジングが、支持ハウジングと、その周辺の特定の範囲内の固まった流体固体変換材料とを含み、前記複合ハウジングがその周辺の媒体の圧力に耐えられること、
の特徴の(1)~(2)の少なくとも1つを有する。
【0027】
(二)ハウジング付き体積補償装置の製造方法
ハウジング付き体積補償装置の製造方法は、部分(一)に記載のハウジング付き体積補償装置を製造する。
【0028】
(三)ハウジング付き体積補償装置を使用して周辺の媒体に圧力を供給する方法
ハウジング付き体積補償装置を使用して周辺の媒体に圧力を供給する方法は、
(1)前記ハウジング付き体積補償装置が部分(一)に記載のハウジング付き体積補償装置を使用し、
(2)前記ハウジング付き体積補償装置を使用して圧力を供給する過程において、前記支持ハウジングおよび前記圧力供給装置のほか、流体固体変換材料も必要であり、
前記流体固体変換材料が流体状態から固体状態に変化可能な材料であり、
(3)前記ハウジング付き体積補償装置の前記支持ハウジング、前記圧力供給装置および前記流体固体変換材料の空間的関係は、下記の特徴を有し、
支持ハウジングの内壁と圧力供給装置の外面との間の少なくとも一部の隙間に流体固体変換材料が存在し、および/または、
少なくとも支持ハウジングの外部の周辺領域の一部に流体固体変換材料が存在し、
(4)流体固体変換材料が流動可能な状態にある場合、
a.支持ハウジングの外部の流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が大きくなるとき、前記流体固体変換材料が前記接続通路を介して前記支持ハウジングで囲まれた中空部に流入し、中空部における圧力供給装置を押して圧力供給装置の見かけ体積を小さくし、支持ハウジングの外部および接続通路の少なくとも一方における流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が小さくなるとき、前記中空部における圧力供給装置の見かけ体積が大きくなり、前記流体固体変換材料を前記支持ハウジングの外部へ流れるようにし、および/または、
b.圧力供給装置の見かけ体積が大きくなる場合、圧力供給装置により支持ハウジングの中空部における流体固体変換材料を押して前記接続通路を介して支持ハウジングを流出させ、圧力供給装置の見かけ体積が小さくなる場合、支持ハウジングの外部の周辺の流体固体変換材料が周辺の媒体の圧力を受けると、流体固体変換材料が前記接続通路を介して支持ハウジングの中空部に流入し、
(5)流体固体変換材料が固体状態にある場合、
前記流体固体変換材料と前記支持ハウジングとにより複合ハウジングが形成され、複合ハウジングが全体として外部媒体からの圧力に抵抗し、前記支持ハウジングが、固まった流体固体変換材料によるその外面に作用する圧力に耐えられる。
【0029】
(四)複合構造部材
複合構造部材は、部分Aと、部分Bと、部分Cとを含み、
部分Aは、中空部が形成されており、固体であり、
部分Bは、流体固体変換材料であり、前記流体固体変換材料が流動可能な状態から固体状態に変化可能な材料であり、
部分Cは、1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置であり、前記ハウジング付き体積補償装置が部分(一)に記載のハウジング付き体積補償装置であり、各ハウジング付き体積補償装置は、支持ハウジングと圧力供給装置とを備え、
前記ハウジング付き体積補償装置および前記部分Bである材料が部分Aで囲まれた中空部に位置する。
【0030】
さらに、前記部分Aには中空部が形成され、または、前記部分Aには、2つ以上の中空部が形成され、
前記部分Aには、2つ以上の中空部が形成された場合、前記中空部は、
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態である媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味すること、
(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味すること、
の特徴の(1)および(2)の少なくとも1つを有する。
【0031】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の4種類から選択される。
(1)セメント系材料
前記セメント系材料は、セメントモルタル、反応性粉体コンクリート、普通強度コンクリート、高強度コンクリート、超高強度コンクリートを含む。
(2)セメント系材料と高分子材料との混合物
前記セメント系材料におけるセメントが水和に関与する。
好ましくは、前記高分子材料は、高分子エマルジョンである。
好ましくは、前記高分子材料は、それ自体で硬化可能な高分子材料であり、好ましくは、前記それ自体で硬化可能な高分子材料がエポキシ樹脂である。
(3)それ自体で硬化可能な高分子材料
好ましくは、それ自体で硬化可能な上記高分子材料は、エポキシ樹脂を含む。
(4)高分子材料と、固体粉末および固体顆粒の少なくとも一方との混合物
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体粉末との混合物である。
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体顆粒との混合物である。
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と、固体粉末と、固体顆粒との混合物である。
好ましくは、前記固体粉末は、金属粉末または無機非金属材料粉末である。前記固体顆粒は、金属顆粒または無機非金属材料顆粒である。
好ましくは、前記無機非金属材料粉末および前記無機非金属材料顆粒は、それぞれ石粉および石である。
【0032】
さらに、前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置し、各種の部分Bである材料が流体固体変換材料である。
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有し、
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
(ii)前記B材料の流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである。
【0033】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たし、対応するB材料は、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有し、
(i)前記第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受け、
(ii)前記第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
好ましくは、M=1である場合、前記i=1であり、前記BがBであり、前記すべての部分Bである材料が材料Bである。
【0034】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、すべての部分Bである材料が固まったあと、前記部材は、下記の特徴の少なくとも1つを有する。
(1)前記中空部における一部、複数の部分またはすべての部分Bである材料において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在する。
(2)前記中空部における一部、複数の部分または全部の部分Aの内壁と部分Bである材料との接触面において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在する。
(3)前記中空部において、前記支持ハウジングの外面と前記部分Bである材料との接触面において、圧縮応力が存在する。
【0035】
さらに、前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、簡素化加圧装置がさらに存在し、前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである。
【0036】
さらに、(1)前記複合構造部材は、その1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において軸線を有し、且つ、
(2)前記軸線は、
(i)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が直線であること、
(ii)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が曲線であること、
(iii)前記部材の全部の軸線において、少なくとも1セグメントの軸線が直線であり、かつ少なくとも1セグメントの軸線が曲線であること、
の特徴の(i)~(iii)の少なくとも1つを有する。
【0037】
さらに、前記複合構造部材の1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において、
前記複合構造部材の横断面の外郭線により形成されるパターン、および/または前記部分Aで囲まれた前記中空部の横断面の外郭線により形成されるパターンは、下記の特徴を有し、
前記パターンは、直線および曲線の少なくとも一方により形成されるパターンであり、
好ましくは、前記パターンが外側に凸のものであり、好ましくは、前記パターンが外側に凸の多角形であり、好ましくは、前記パターンが外側に凸の曲線パターンであり、好ましくは、前記パターンが円形または楕円形であり、好ましくは、前記パターンが角丸多角形である。
【0038】
さらに、前記複合構造部材は、
(1)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、その形状およびサイズのそれぞれが同じであること、
(2)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、形状が似ており、サイズが異なること、
(3)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、横断面の形状が似ていなく、サイズが異なる箇所が長手方向において少なくとも2つあること、
の特徴の(1)~(3)のうちの1つを有する。
さらに、前記複合構造部材は、軸線が直線であり、中空部1つだけ有する柱状の圧縮部材であり、あるいは、前記複合構造部材は、軸線がアーチ状の曲線であり、中空部1つだけ有する圧縮部材である。
【0039】
さらに、前記ハウジング付き体積補償装置は、
(1)前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれは、任意の段階の部分Bである材料の体積弾性係数および体積変形係数よりもはるかに小さく、前記任意の段階は、全過程における任意の段階を指し、前記全過程は、前記材料が流動可能な状態から最終強度に達した固定状態になる過程を指すこと、
(2)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された前記複合ハウジングは、見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれが前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数よりもはるかに大きいこと、
(3)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(4)前記支持ハウジングの、孔が設けられない箇所の外面が耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(5)前記支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた円形鋼管であり、前記圧力供給装置が長い管状のバッグタイプエネルギー貯蔵装置である場合、外面に同じ径方向圧力を加えると、管壁に孔が設けられない部分の鋼管の径方向変位増分を外径で割った値は、バッグタイプ圧力供給装置の径方向変位増分を外径で割った値よりもはるかに小さいこと、
の特徴の(1)~(5)の少なくとも1つを有する。
【0040】
(五)複合構造部材の製造方法
複合構造の製造方法は、
中空部が形成れた部分Aを得るステップ(1)と、
1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置を前記部分Aで囲まれた中空部に設置しまたは固定するステップ(2)と、
前記中空部に部分Bである材料を充填するステップ(3)と、
中空部における部分Bである材料に圧力を加えるステップ(4)と、を含み、
製造過程においてステップ(2)および(3)は、その順序による影響を受けなく、
前記部分Bである材料は、流体固体変換材料であり、
前記ハウジング付き体積補償装置が部分(一)に記載のハウジング付き体積補償装置であり、各ハウジング付き体積補償装置は、圧力供給装置と支持ハウジングとを備え、前記圧力供給装置が支持ハウジングの中空部内に設置される。
【0041】
さらに、前記複合構造部材の部分Aには、1つまたは複数の中空部が形成されており、
前記中空部の数が2つ以上である場合、前記中空部は、
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態である媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味すること、および、
(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味すること、
の特徴の(1)~(2)の少なくとも1つを有する。
さらに、適切な時期に、前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に流体固体変換材料を充填し、
好ましくは、ハウジング付き体積補償装置を部分Aで囲まれた中空部に設置する前、流動可能な状態にある流体固体変換材料を少なくとも前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に充填し、および/または、
部分Aで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填するとき、または部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に圧力を加えるとき、前記支持ハウジングの外面の近くの周辺領域における部分Bである材料が支持ハウジングにおける通路を介して前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に入る。
【0042】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の4種類から選択される。
(1)セメント系材料
好ましくは、前記セメント系材料は、セメントモルタル、反応性粉体コンクリート、普通強度コンクリート、高強度コンクリート、超高強度コンクリートを含む。
(2)セメント系材料と高分子材料との混合物
セメントが水和に関与する。
好ましくは、前記高分子材料は、高分子エマルジョンである。
好ましくは、前記高分子材料は、それ自体で硬化可能な高分子材料であり、エポキシ樹脂を含む。
(3)それ自体で硬化可能な高分子材料
好ましくは、それ自体で硬化可能な上記高分子材料は、エポキシ樹脂を含む。
(4)高分子材料と固体粉末および固体顆粒の少なくとも一方との混合物
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体粉末との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体顆粒との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と、固体粉末と、固体顆粒との混合物である。
好ましくは、前記固体粉末は、金属粉末または無機非金属材料粉末である。前記固体顆粒は、金属顆粒または無機非金属材料顆粒である。好ましくは、前記無機非金属材料粉末および前記無機非金属材料顆粒は、それぞれ石粉および石(小石)である。
【0043】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置する。
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有し、
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
(ii)前記B材料の流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである。
【0044】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たし、対応する材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有し、
(i)前記第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受け、
(ii)前記第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
【0045】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が設置され、前記支持ハウジングの外面に接触する部分Bである材料が流動可能な状態にある場合、前記変換構造部材は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくとも一方を有する。
(1)前記第1特徴
(i)前記支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の部分Bである材料の体積が小さくなり、または該領域における一部の部分Bである材料が該領域から流出し、または他の装置または材料が該領域において占めるスペースが空いており、または部分Aで囲まれた中空部の容積が増加すると、前記支持ハウジングの中空部内の圧力供給装置の体積が膨張して、前記支持ハウジングの中空部内の部分Bである材料を、接続通路を介して支持ハウジングの外部の周辺領域に流れるようにする。
(ii)前記支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の部分Bである材料の体積が大きくなり、または該領域における部分Bである材料の占めるスペースが空いており、または前記支持ハウジングの中空部内の圧力供給装置の見かけ体積が小さくされると、前記部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料を、接続通路を介して支持ハウジングの外部の周辺領域に流れるようにする。
(2)前記第2特徴
(i)支持ハウジングの中空部における圧力供給装置の圧力が変化すると、支持ハウジングの中空部における部分Bである材料が、前記接続通路を介して、圧力の変化を支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の部分Bである材料に伝達し、
支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の部分Bである材料の圧力が変化すると、このような変化を支持ハウジングの中空部における圧力供給装置の外面に伝達することができ、
および/または、
(ii)支持ハウジングの中空部における圧力供給装置の体積が膨張すると、支持ハウジングの中空部における部分Bである材料が、前記接続通路を介して、支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の領域に流入し、
支持ハウジングの中空部における圧力供給装置の体積が収縮し、かつ支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との部分Bである材料に圧縮応力が存在すると、前記支持ハウジングの外面と部分Aの内壁との間の部分Bである材料が接続通路を介して支持ハウジングの中空部に進入する。
【0046】
さらに、前記ハウジング付き体積補償装置は、
(1)前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれは、任意の段階の部分Bである材料の体積弾性係数および体積変形係数よりもはるかに小さく、前記任意の段階は、全過程における任意の段階を指し、前記全過程は、前記材料が流動可能な状態から最終強度に達した固定状態になる過程を指すこと、
(2)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された前記複合ハウジングは、見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれが前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数よりもはるかに大きいこと、
(3)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(4)前記支持ハウジングの、孔が設けられない箇所の外面が耐えられる、周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きいこと、
(5)前記支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた円形鋼管であり、前記圧力供給装置が長い管状のバッグタイプエネルギー貯蔵装置である場合、外面に同じ径方向圧力を加えると、管壁に孔が設けられない部分の鋼管の径方向変位増分を外径で割った値は、バッグタイプ圧力供給装置の径方向変位増分を外径で割った値よりはるかに小さいこと、
の特徴の(1)~(5)の少なくとも1つを有する。
【0047】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記複合構造部材に簡素化加圧装置がさらに設置され、該簡素化加圧装置が部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料の圧縮応力を変えたり維持したりするように構成され、
前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものであり、簡素化加圧装置には支持ハウジングが含まれていない。
【0048】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記簡素化加圧装置と前記ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置とを併用することにより部分Bである材料の圧力を変えたり維持したりし、
前記併用の特徴として、少なくともある時間帯に前記圧力供給装置と前記簡素化加圧装置とを同時に使用し、および/または少なくともある時間帯に前記圧力供給装置と前記簡素化加圧装置とを交互に使用する。
【0049】
さらに、前記複合構造部材は、軸線が直線である圧縮部材であり、または軸線がアーチ状の曲線である圧縮部材である。
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する材料Bと材料Bとが隣接し、両者の関係が下記の特徴のうちの1つを有する。
(1)前記材料Bの前記材料Bに面する側の任意の境界面が、隔離装置だけに接触し、前記材料Bに接触しない。
(2)前記材料Bの前記材料Bに面する側の境界面のうち、一部の材料Bの境界面が隔離装置に接触し材料Bに接触しなく、他の一部の材料Bの境界面が材料Bに直接接触する。
(3)前記材料Bの前記材料Bに面する側の任意の境界面が材料Bに直接接触する。
好ましくは、柱として使用される複合構造部材において、隔離装置が薄鉄板製円筒であり、材料Bが円筒の内側に存在し、材料Bが円筒の外側に存在する。好ましくは、円筒の上端および下端の両端が塞がれ、上端に材料入り口が設けられており、材料Bの任意の境界面が材料Bに直接接触しない。好ましくは、円筒の上端が塞がれなく、材料Bの上端と材料Bの上端部とが直接接触する。
【0050】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、部分Bである材料は、1種だけ含まれ、この場合、M=1であり、
前記複合構造部材に下記の特徴を有する横断面を有する一部の部材が少なくとも1つ存在し、
(1)前記複合構造部材の軸線が直線である場合、
(i)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が1つだけ設置されるとき、前記装置が中空部の横断面の幾何学的中心に設置され、あるいは、
(ii)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が2つ以上設置される場合、前記ハウジング付き体積補償装置の位置する箇所は、中空部の横断面の幾何学的中心に関して対称となるように設置され、または特定の直線に関して対称となるように設置され、
(2)前記部材の軸線が1つの平面に位置する曲線である場合、
(i)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が1つだけ設置される場合、
前記ハウジング付き体積補償装置が中空部の横断面の幾何学的中心に設置され、あるいは、前記ハウジング付き体積補償装置の位置として、前記中空部の横断面の幾何学的中心からずれたが、軸線の位置する平面に位置し、あるいは、
(ii)前記部分Aで囲まれた中空部に前記ハウジング付き体積補償装置が2つ以上設置されるとき、前記ハウジング付き体積補償装置が前記軸線の位置する平面に関して線対称となるように設置される。
【0051】
さらに、部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、下記の特徴(I)、特徴(II)および特徴(III)を有し、
前記特徴(I)は、前記部分Aで囲まれた中空部において、BおよびBの2種の部分Bである材料が含まれ、この場合、M=2であり、材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置し、
前記特徴(II)は、少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置は、その外面のすべてまたはほとんどが材料Bに接触し、
前記特徴(III)は、前記材料Bおよび材料Bは、少なくとも下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の3つの特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記第1特徴
前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、あるいは、
前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものであり、
(2)前記第2特徴
少なくとも1つの時間帯が存在し、該時間帯に、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高く、
(3)前記第3特徴
前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴の少なくとも1つを有し、
(i)材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が圧縮応力を受け、
(ii)前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記材料Bが固まったあと、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、および/または、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、
(iv)前記材料Bおよび材料Bがそれぞれ固まったあと、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、および/または、前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
さらに、前記部分Aで囲まれた中空部において、B、BおよびBの3種の部分Bである材料が含まれ、この場合、M=3であり、材料B、材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置し、
前記方法は、下記の特徴イ、特徴ロ、特徴ハの3つの特徴の少なくとも1つを有し、
(一)前記特徴イ
少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が材料Bに接触し、前記材料Bが流動可能な状態にある場合、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の体積が収縮すると、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置の押動によりそれに接触する材料Bを支持ハウジングの孔から流出させ、これによって、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の収縮により減少した体積を補償し、
(二)前記特徴ロ
前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の3つの特徴のうちの1つを有し、
(1)第1特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、
(2)第2特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、
(3)第3特徴
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、および/または、
b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早く、
(三)前記特徴ハ
前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の特徴の少なくとも1つを有し、
(i)材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、前記材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力を受け、
(ii)前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力または予圧縮応力を受け、
(iii)前記材料Bが固まったあと、前記材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受け、
(iv)前記材料B、材料Bおよび材料Bがすべて固まったあと、材料B、材料Bおよび材料Bのうち少なくとも1種の材料が圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
【0052】
(六)バッグタイプ圧力供給装置
上限バッグは、下記の特徴を有する。
バッグ壁の内面および外面のそれぞれに流体だけが接触し、かつ内部圧力が外部圧力より高い場合、
内外圧力差が特定の臨界値未満であると、上限バッグの見かけ体積が内外圧力差の増加につれて顕著に増加する。
内外圧力差が特定の臨界値超であると、上限バッグの見かけ体積および外部形状が、比較的安定であり、圧力差の増加につれて顕著に変化しない。
【0053】
さらに、前記上限バッグは、下記の特徴の少なくとも1つを有する。
(1)前記上限バッグは、形状の変化により体積の変化を実現するものである。
好ましくは、前記バッグ壁の材料は、曲げることができるが、引張変形がわずかである材料である。好ましくは、前記バッグ壁の材料の製造方法は、高強度繊維織物に硬化可能なゴムなどの非通気性材料を塗布する。
(2)前記上限バッグは、普通バッグの外面に拘束カバーで包まれ、拘束カバーが高強度繊維で製造され、普通バッグが拘束カバーに密着するまで膨張したとき、拘束カバーがバッグ壁の膨張を制限する。前記高強度繊維の引張破断伸度が所定値δ未満であり、あるいは、応用において所定の引張荷重範囲内に、前記高強度繊維の伸度が所定値δ未満である。
【0054】
好ましくは、前記繊維伸度δが5%未満である。好ましくは、前記δが10%未満である。前記δが15%未満である。前記δが20%未満である。
前記普通バッグは、形状変化およびサイズ変化の少なくとも一方により見かけ体積の変化を実現することができる。
【0055】
好ましくは、前記普通バッグが破裂する前、見かけ体積が内外圧力差の増加につれて顕著に増加し、内外圧力差臨界値がない。好ましくは、普通バッグは、ゴムバッグである。
下限バッグは、下記の特徴を有する。
内外圧力差が負の値である場合、バッグの形状および/または見かけ体積は、要求される形状および体積である。前記内外圧力差は、バッグ内の流体の圧力とバッグ外の流体の圧力との差である。
【0056】
さらに、下限バッグの内部に特定の形状の支持物が設置され、支持物の形状により外部の高い圧力の作用下でのバッグ壁の最終形状が決定される。
好ましくは、前記支持物の形状は、三つ葉形状、四つ葉形状、ダンベル形状、円形などを含む。
【0057】
好ましくは、前記支持物は、三つ葉形状の鋼管、四つ葉形状の鋼管、ダンベル形状の鋼管、円形鋼管で製造され、鋼管の壁に小さな孔が分布し、ガスが小さな孔を通過することができる。好ましくは、小さな孔の直径が0.1~1mmである。バッグ壁が押されて鋼管の外面に接触するとき、ガスバッグにおけるガス、または気液バッグにおけるガスおよび液体が鋼管の内部に押し込まれる。
【0058】
好ましくは、前記鋼管の両端に表面が滑らかである封止装置が設置され、これによって、バッグ壁の破壊を防止することができる。
【0059】
好ましくは、前記下限バッグは、バッグ壁の材料の接線方向の伸長量がとても小さく、内部にダンベル形状の支持物、三つ葉形状の支持物、四つ葉形状の支持物が設置され、バッグの断面の周長が支持物の断面の周長よりも少し大きくまたは支持物の断面の周長に等しい。
【0060】
この場合、前記下限バッグは、実際に二重限界バッグである。
好ましくは、前記バッグ壁の材料の接線方向の伸長能力がとても高く(例えば、ゴム)、支持物は、ダンベル形状、三つ葉形状、四つ葉形状(図8)のほか、円形、三角形、正方形などの形状を使用してもよい。
【0061】
二重限界バッグは、下記の2つの特徴を有する。
(1)バッグ壁の内面および外面のそれぞれに流体だけが接触し、かつ内部圧力が外部圧力より高い場合、
内外圧力差が特定の臨界値未満であると、上限バッグの見かけ体積が内外圧力差の増加につれて顕著に増加する。
【0062】
内外圧力差が特定の臨界値超であると、上限バッグの見かけ体積および外部形状が、比較的安定であり、圧力差の増加につれて顕著に変化しない。
(2)内外圧力差が負の値である場合、ガスバッグの形状および/または見かけ体積は、要求される形状および体積である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】ハウジング付き体積補償装置の横断面図である。
図2】ハウジング付き体積補償装置の縦断面図である。
図3】長尺状圧力供給装置を備えた継ぎ合せ型ハウジング付き体積補償装置を示す図面である。
図4】球状圧力供給装置を備えた継ぎ合せ型ハウジング付き体積補償装置を示す図面である。
図5】脆性ハウジングの断面形状を示す図面である。
図6】化学反応自己膨張装置の模式図である。
図7】化学反応自己膨張装置の模式図である。
図8】下限バッグにおける支持物の横断面形状を示す図面である。
図9】下限バッグが下限まで押された状態を示す図面である。
図10】下限バッグのバッグ壁が完全に展開された状態を示す図面である。
図11】ハウジング付き体積補償装置の仕事原理を示す図面である。
図12】1種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図13】材料とハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図14】1種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図15】1種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材におけるハウジング付き体積補償装置の縦断面図である。
図16】1種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図17】1種の材料Bと6つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図18】1種の材料Bと6つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図19】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図20】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図21】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図22】2種の材料Bと2つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図23】2種の材料Bと2つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図24】2種の材料Bと2つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。である。
図25】2種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦平面図である。
図26】2種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図27】2種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図28】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリートアーチ状圧縮部材の縦平面図である。
図29】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリートアーチ状圧縮部材の横断面図である。
図30】2種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリートアーチ状圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図31】3種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図32】3種の材料Bと1つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図33】3種の材料Bと2つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図34】3種の材料Bと2つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の部分拡大図である。
図35】3種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の縦断面図である。
図36】3種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面図である。
図37】3種の材料Bと4つのハウジング付き体積補償装置とを含む鋼管コンクリート圧縮部材の横断面の半断面図である。
図38】部分Aとした、3つの中空部を有する鋼管の横断面図である。
図39】3つの支柱を含むラチスを示す図面である。
図40】3つの支柱を含むラチスを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
(一)ハウジング付き体積補償装置
ハウジング付き体積補償装置は、圧力供給装置と支持ハウジングとを備える。前記支持ハウジング内に中空部が形成されており、前記中空部と前記支持ハウジングの外部の周辺領域との間に接続通路が形成されている。前記圧力供給装置が前記中空部に設置される。前記圧力供給装置は、それに接触する媒体に圧力を供給するように構成される。
【0065】
図1図4を例として説明する。これらの図面は、説明するためのものにすぎず、発明内容を限定するものではない。図1は、図2図4の断面図である。図1は、図2図3および図4のそれぞれとの組み合わせにより3つの態様を示す。
【0066】
図1および図2に示すように、支持ハウジングが鋼管32であり、管壁に孔3201が形成されている。管の一端が(外側に凸のハウジング)であり、管の他端がネジ付きプラグ3202によって塞がれている。プラグ3202が管32に着脱可能に設置される。支持ハウジング32の中空部に圧力供給装置31が取り付けられる。取付時、プラグ側から圧力供給装置31を管に入れ、そしてプラグ3202をねじ込む。
【0067】
図3に示すように、支持ハウジングは、上部分321と、下部分322と、接続スリーブ323とを含む。上部分321および下部分322は、分離可能であり、接続スリーブ323により接続可能である。支持ハウジングを上部分および下部分の2つに分けることは、圧力供給装置31を支持ハウジングの中空部に設置するためである。支持ハウジングは、上部分に孔3211が形成されており、下部分に孔3221が形成されている。
図1および図4に示すように、支持ハウジングが図3に示すものと同じであり、圧力供給装置は、球状ガスバッグ、球状気液バッグおよび中実の弾性球体の少なくとも1種をいくつか含むものである。
【0068】
図1図2に示す管壁における孔3201が上記の接続通路である。図3および図4に示す孔3211および孔3221も接続通路である。
【0069】
支持ハウジングの好ましい形態
好ましくは、支持ハウジングは、管と、外凸ハウジングとを含む。
【0070】
支持ハウジングの管の好ましい形態
前記管の管壁に孔が設けられなく、前記管に少なくとも一端が塞がれない。
前記管の管壁に孔が設けられ、前記管の両端がいずれも塞がれる。
前記管の管壁に孔が設けられ、前記管の両端のうち少なくとも一端が塞がれない。
好ましくは、前記管は、横断面の外郭線が外側に凸のものであり、周辺の均一な法線方向圧力に耐えるのに適する。好ましくは、前記管の横断面の外郭線が円形または楕円形である。
【0071】
支持ハウジングが管である場合、管壁に孔が設けられるか否かにも関わらず、管の少なくとも一端が塞がれない限り、管の塞がれない端で管壁の内面により形成される管孔は、管の中空部と管外部の周辺領域とを接続する接続通路であり、この通路の横断面が管の中空部の横断面と同じである。
【0072】
外凸ハウジングの好ましい形態
前記支持ハウジングの外凸ハウジングは、球状ハウジングまたは楕円体状ハウジングであり、前記ハウジングに孔が形成されている。
【0073】
支持ハウジングの材料
前記管および外凸ハウジングの製造材料は、金属、複合材料、高分子材料である。
好ましくは、前記管および前記外凸ハウジングの製造材料は、構造用鋼である。
【0074】
圧力供給装置
圧力供給装置は、加圧装置、エネルギー貯蔵装置および加圧エネルギー貯蔵装置から選択されるものである。
【0075】
エネルギー貯蔵装置
前記エネルギー貯蔵装置は、下記の特徴を有する。
エネルギー貯蔵装置の外面の受ける圧力が大きくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを吸収し、および/または、外面の受ける圧力が小さくなるとき、エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなり、エネルギー貯蔵装置がエネルギーを放出する。
【0076】
前記エネルギー貯蔵装置は、ガスバッグ、気液バッグ、エネルギー貯蔵液体バッグ、中実弾性体エネルギー貯蔵装置、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置から選択されるものである。
【0077】
エネルギー貯蔵液体バッグ
前記エネルギー貯蔵液体バッグの特徴として、液体バッグが管路を介してアキュムレータと接続され、液体バッグにおける液の圧力が大きくなるとき、液がアキュムレータに押し込まれ、液体バッグにおける液の圧力が小さくなるとき、アキュムレータにおける液がアキュムレータから流出する。
【0078】
ガスバッグ
前記ガスバッグの特徴として、バッグ内に圧縮ガスが充填される。
【0079】
気液バッグ
前記気液バッグの特徴として、バッグ内に液化ガスが充填され、バッグ内の媒体は、一部が気体であり、他の一部が液体である。
【0080】
加圧装置
前記加圧装置の特徴として、その外面と、それに接触する媒体との間の圧力を変えたり維持したりするように構成される。
前記加圧装置は、加圧ガスバッグ、加圧液体バッグ、加圧気液バッグ、自己膨張装置から選択される。
【0081】
好ましくは、前記自己膨張装置は、甲型自己膨張装置である。好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置である。好ましくは、前記甲1型自己膨張装置は、甲1a型自己膨張装置および甲1b型自己膨張装置の少なくとも一方である。
好ましくは、前記自己膨張装置は、乙型自己膨張装置である。
【0082】
加圧ガスバッグ
前記加圧ガスバッグが管路を介して気圧源と接続され、気圧源により管路およびガスバッグにおけるガスの圧力を調整することができる。好ましくは、前記気圧源はエアポンプである。エアポンプが停止するとき、加圧ガスバッグがエネルギー貯蔵装置となる。
【0083】
加圧液体バッグ
前記加圧液体バッグが管路を介して液圧源と接続され、液圧源により管路および液体バッグにおける液の圧力を調整することができる。好ましくは、加圧液体バッグの管路にアキュムレータがさらに接続される。アキュムレータの容積がとても小さい場合、アキュムレータが圧力を安定にする役割のみを果たす。このとき、加圧液体バッグが依然として加圧液体バッグと見なすことができる。アキュムレータの容積が比較的大きい場合、加圧液体バッグが加圧エネルギー貯蔵液体バッグとなる。
【0084】
加圧気液バッグ
前記加圧気液バッグが管路を介して気圧源および液圧源の少なくとも一方と接続され、気圧源および液圧源の少なくとも一方により管路および気液バッグにおけるガスの圧力および液の圧力の少なくとも一方を調整することができる。
【0085】
加圧エネルギー貯蔵装置
前記加圧エネルギー貯蔵装置は、下記の第1特徴および第2特徴を有する。
前記第1特徴として、加圧エネルギー貯蔵装置は、その外面と、それに接触する媒体との間の圧力を変えたり維持したりするように構成される。
前記第2特徴として、他の影響要因が一定である条件下で、周辺の流動可能な媒体の圧力が大きくなる場合、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が小さくなる。および/または、周辺の流動可能な媒体の圧力が小さくなる場合、加圧エネルギー貯蔵装置の見かけ体積が大きくなる。
【0086】
前記加圧エネルギー貯蔵装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグ、加圧エネルギー貯蔵液体バッグ、甲型自己膨張装置および乙型自己膨張装置から選択される。
【0087】
好ましくは、前記甲型自己膨張装置は、甲1型自己膨張装置である。好ましくは、前記甲1型自己膨張装置は、甲1a型自己膨張装置および甲1b型自己膨張装置の少なくとも一方である。加圧ガスバッグおよび加圧気液バッグは、それらにおけるガスが圧縮可能であり、エネルギー貯蔵の機能を有するため、加圧エネルギー貯蔵装置と見なすことができる。
【0088】
加圧エネルギー貯蔵液体バッグ
前記加圧液体バッグの特徴として、液体バッグは、管路を介して液圧源と接続されるだけでなく、アキュムレータとも接続される。液圧源により管路における液の圧力を調整することができる。アキュムレータがエネルギーを貯蔵、放出し、液の圧力を安定にする。
【0089】
流体固体変換圧力供給装置
流体固体変換圧力供給装置の特徴として、(1)前記圧力供給装置の内部に流体媒体が存在し、該媒体は、圧力供給装置が発生する圧力の主な源であり、(2)前記流体媒体は、時間の経過とともに、流体から固体に変換する。
好ましくは、前記流体固体変換圧力供給装置は、エネルギー貯蔵液体バッグ、加圧液体バッグまたは加圧エネルギー貯蔵液体バッグであり、バッグにおける流体媒体が流体固体変換材料である。
【0090】
バッグタイプ圧力供給装置
前記バッグタイプ装置は、バッグタイプ加圧装置、バッグタイプエネルギー貯蔵装置およびバッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置を含む。
バッグタイプ加圧装置は、加圧ガスバッグ、加圧液体バッグおよび加圧気液バッグを含む。
【0091】
バッグタイプエネルギー貯蔵装置は、ガスバッグ、気液バッグおよびエネルギー貯蔵液体バッグを含む。
バッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置は、加圧ガスバッグ、加圧気液バッグおよび加圧エネルギー貯蔵液体バッグを含む。
【0092】
好ましいバッグタイプ装置
バッグの変形特徴に基づいて、前記バッグタイプ圧力供給装置は、普通バッグ、上限バッグ、下限バッグおよび二重限界バッグに分けられる。
前記普通バッグは、普通ガスバッグ、普通気液バッグおよび普通液体バッグを含む。前記上限バッグは、上限ガスバッグ、上限気液バッグおよび上限液体バッグを含む。前記下限バッグは、下限ガスバッグ、下限気液バッグおよび下限液体バッグを含む。前記二重限界バッグは、二重限界ガスバッグ、二重限界気液バッグおよび二重限界液体バッグを含む。
【0093】
普通バッグ
前記普通バッグは、形状変化およびサイズ変化の少なくとも一方により見かけ体積の変化を実現することができる。
【0094】
好ましくは、前記普通バッグのバッグ壁は、曲げ変形および引張変形が生じやすい材料で製造される。好ましくは、前記普通バッグのバッグ壁の材料は、ゴムである。
【0095】
前記普通ガスバッグ、普通気液バッグおよび普通液体バッグのそれぞれのバッグ壁は、曲げ変形および引張変形が発生しやすい材料で製造される。好ましくは、前記普通ガスバッグ、普通気液バッグおよび普通液体バッグのそれぞれのバッグ壁の材料は、ゴムである。
エネルギー貯蔵装置として使用される普通ガスバッグ、普通気液バッグ
エネルギー貯蔵装置が普通ガスバッグまたは普通気液バッグである場合、好ましい案の1つとして、普通ガスバッグまたは普通気液バッグが支持ハウジングの中空部に設置されたときのみ、ガスバッグまたは気液バッグをガス充填により所定の圧力値まで膨張させる。気圧が所定値になったとき、ガスバッグまたは気液バッグの外壁と前記支持ハウジングの内壁とが密着し、両方の間に接触圧縮応力が存在し、ガスバッグまたは気液バッグにおける気圧がガスバッグまたは気液バッグの外面と支持ハウジングの内面との間の垂直応力(Normal stress、正応力)とほぼ等しい。好ましくは、支持ハウジングの内壁の孔に、バッグ壁が孔に押し込まれることを防止する遮蔽用物が設置される。好ましくは、前記遮蔽用物は、シート状物品である。好ましくは、遮蔽用物は、プラスチックシートである。
【0096】
上限バッグ
前記上限バッグは、下記の特徴を有する。バッグ壁の内面および外面のそれぞれに流体のみが接触し、かつ内部圧力が外部圧力より高い場合、内外圧力差が特定の臨界値未満であると、上限バッグの見かけ体積が内外圧力差の増加につれて顕著に増加し、内外圧力差が特定の臨界値超であると、上限バッグの見かけ体積および外部形状が、比較的安定であり、圧力差の増加につれて顕著に変化しない。
【0097】
好ましくは、前記上限バッグは、形状の変化により体積の変化を実現するものである。好ましくは、前記バッグ壁の材料は、曲げることができるが、引張変形がわずかである材料である。好ましくは、前記バッグ壁の材料の製造は、高強度繊維織物に硬化可能なゴムなどの非通気性材料を塗布することによって行われる。
【0098】
好ましくは、前記上限バッグは、普通バッグの外面を拘束カバーで包むことで形成され、拘束カバーが高強度繊維で製造される。普通バッグが拘束カバーに密着するまで膨張したとき、拘束カバーがバッグ壁の膨張を制限する。内部の流体の圧力がさらに増加すると、バッグ壁および拘束カバーがともにバッグ内の流体の圧力に抵抗し、バッグの膨張量が制限される。
【0099】
好ましくは、前記上限バッグは、上限ガスバッグまたは上限気液バッグである。好ましくは、上限バッグは、その体積の上限になったとき、支持ハウジングの中空部への設置に適した形状およびサイズになる。
【0100】
好ましくは、前記支持ハウジングの中空部に気圧が要求を満たす1つの上限ガスバッグまたは上限気液バッグが設置される。
好ましくは、前記支持ハウジングの中空部に気圧が要求を満たす複数の上限ガスバッグまたは上限気液バッグが設置される。
【0101】
好ましくは、図1図3に示すように、前記支持ハウジングは、円形断面を有する管であり、管の内部にエネルギー貯蔵装置として1つの円管状上限ガスバッグまたは円管状上限気液バッグが設置される。前記上限ガスバッグ31または上限気液バッグ31の長さが支持ハウジングの長さよりも小さく(図2)、ガスバッグ31または気液バッグ31は、上限体積になったとき、横断面の外径が管の内径よりも少し小さい。
好ましくは、管の内部に複数の円管状上限ガスバッグまたは上限気液バッグが設置され、ガスバッグまたは気液バッグの長さの合計が支持ハウジングよりも小さい。
【0102】
図4に示すように、好ましくは、前記支持ハウジングは、直径が比較的大きい管であり、前記管の内部に複数の球状上限ガスバッグまたは球状上限気液バッグが設置される。好ましくは、前記管の両端のうち少なくとも一端が塞がれない。好ましくは、前記管の両端が塞がれる。
好ましくは、体積の上限になったとき、前記球状上限ガスバッグまたは上限気液バッグの直径が支持ハウジングの内径よりも少し小さい。好ましくは、体積の上限になったとき、前記球状上限ガスバッグまたは上限気液バッグの直径と管の内径との比は、0.5~0.7、または0.7~0.95である。
好ましくは、前記支持ハウジングは、球状ハウジングまたは楕円体状ハウジングであり、前記ハウジングの中空部に1つまたは複数の球状上限ガスバッグまたは上限気液バッグが設置される。
【0103】
下限バッグ
下限バッグは、下記の特徴を有する。内外圧力差が負の値である場合、バッグの形状および/または見かけ体積は、要求される形状および体積になる。前記内外圧力差は、バッグ内の流体の圧力とバッグ外の流体の圧力との差(バッグ内の流体の圧力-バッグ外の流体の圧力)である。
【0104】
好ましくは、下限バッグの内部に特定の形状の支持物が設置され、支持物の形状により外部の高い圧力の作用下でのバッグ壁の最終形状が決定される。図8に示すように、好ましくは、前記支持物の形状は、三つ葉形状、四つ葉形状、ダンベル形状、円形などを含む。好ましくは、前記支持物は、三つ葉形状の鋼管、四つ葉形状の鋼管、ダンベル形状の鋼管、円形鋼管で製造され、鋼管の壁に小さな孔が形成され、ガスが小さな孔を通過することができる。好ましくは、小さな孔の直径が0.1~1mmである。バッグ壁が押されて鋼管の外面に接触したとき、ガスバッグにおけるガス、または気液バッグにおけるガスおよび液が鋼管の内部に押し込まれる。鋼管の両端に表面が滑らかである封止装置が設置され、これによって、バッグ壁の破壊を防止することができる。
【0105】
好ましくは、前記下限バッグは、バッグ壁の材料の接線方向伸長量がとても小さく、内部にダンベル形状の支持物、三つ葉形状の支持物、四つ葉形状の支持物が設置され(図8に示す)、バッグの断面の周長が支持物の断面の周長よりも少し大きくまたは支持物の断面の周長に等しい。この場合、前記下限バッグは、実際に二重限界バッグである。
好ましくは、前記バッグ壁の材料の接線方向伸長能力がとても高く(例えば、ゴム)、支持物は、ダンベル形状、三つ葉形状、四つ葉形状(図8)のほか、円形、三角形、正方形などの形状になってもよい。
【0106】
図9および図10は、三つ葉形状の支持物がバッグ内部に入れた状態の模式図である。このとき、周辺のバッグ壁の外面における静圧によりバッグ壁312が支持物311の表面に密着するように押され、バッグ壁312の形状が支持物311の形状と同じである(図9)。図10に示すように、バッグ内の流体の圧力が周辺の静圧よりも大きい場合、下限バッグが膨張し、バッグ壁が完全に展開されたあと、断面が円形に近くなる。
二重限界ガスバッグ
前記ハウジング付き体積補償装置において、前記圧力供給装置は、二重限界ガスバッグである。
【0107】
二重限界ガスバッグは、上限ガスバッグおよび下限ガスバッグのそれぞれの特徴を兼ね、すなわち、下記の特徴を有する。
(1)バッグ壁の内面および外面のそれぞれに流体のみが接触する条件下で、圧力差が特定の臨界値超である場合、上限バッグの見かけ体積および外部形状が、比較的安定であり、圧力差の増加につれて顕著に変化しない。前記圧力差は、バッグ内の流体の圧力とバッグ外の流体の圧力との差(バッグ内の流体の圧力-バッグ外の流体の圧力)である。
(2)圧力差が負の値である場合、ガスバッグの形状および/または見かけ体積は、要求される形状および体積となる。
【0108】
長尺状一体型バッグ
内部が流体で満たされているとき、バッグの形状が長尺状になる。バッグの材料の全部またはほとんどが同一種であり、バッグの各部分の間に明らかな断面がない。好ましくは、前記長尺状一体型バッグは、ゴムバッグである。
長尺状組み合わせバッグ
長尺状組み合わせバッグは、軟質管路と両端の封止装置とを備え、軟質管路と両端の封止装置とが接続されている。
【0109】
好ましくは、前記軟質管路の材料が少なくとも周方向において曲げることができるものであり、曲げ剛性が0に近い。前記軟質管路の材料の、管路の周方向の伸長ひずみが所定値δ未満である。好ましくは、前記軟質管路の材料の、管路の周方向の伸長ひずみが所定値δ超である。好ましくは、前記δが5%以下である。
好ましくは、前記軟質管路は、周方向において伸長可能なゴム管、軟質PVC管である。好ましくは、軟質管路は、壁の薄い金属管であり、壁厚がプルタブ缶の側壁の厚さに近い。好ましくは、バッグ内に流体が充填される前、バッグの横断面の形状が三つ葉形状、四つ葉形状である。
【0110】
中実弾性体エネルギー貯蔵装置
前記ハウジング付き体積補償装置において、前記圧力供給装置は、中実弾性体エネルギー貯蔵装置である。
前記中実弾性体エネルギー貯蔵装置は、中実弾性体であり、前記弾性体の材料がゴム、ポリウレタンなどの弾性変形量がとても大きい材料である。
弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置
前記ハウジング付き体積補償装置において、前記圧力供給装置は、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置である。
弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置の特徴として、弾性材料でハウジングが製造され、ハウジングにより囲んで密閉した中空部が形成される。周辺の液の圧力を受けると、ハウジングの少なくとも一部の領域が曲げ変形する。このようなハウジングは、主に曲げ変形によりエネルギーを貯蔵する。
【0111】
自己膨張装置
前記自己膨張装置は、見かけ体積が膨張可能な装置であり、または一定条件で見かけ体積が膨張可能な装置である。
【0112】
甲型自己膨張装置
甲型自己膨張装置は、外被とガス発生装置とを含む。外被は、透過性がないまたはほとんど透過性がない材料で製造され、見かけ体積が変化可能な密閉装置であり、または外観形状および見かけ体積が変化可能な密閉装置である。上記の透過性がないというのは、圧力を伴ったガスおよび液の少なくとも一方が外被を通して出てくることがないことを意味する。ある所定条件を満たしたとき、ガス発生装置がガスを発生させ、前記ガスが内部から外被を押し、これによって自己膨張装置の見かけ体積が増加する。
好ましくは、前記甲型自己膨張装置の外被は、高分子材料で製造された密閉装置であり、完全に膨らんだあと、形状が管状、球状または楕円体状になる。好ましくは、前記高分子材料は、ゴムである。
好ましくは、前記甲型自己膨張装置の外被は、両端が塞がれる非円形断面の壁の薄い金属管であり、内壁が圧力によって押されると、壁の薄い管に形状変化が生じ、見かけ体積が増加する。
【0113】
甲1型自己膨張装置
甲1型自己膨張装置内のガス発生装置に少なくとも2種の材料を含み、前記2種の材料は、通常互いに影響しないが、特定の条件を満たした場合、互いに混合して化学反応が起こり、ガスが生成する。ガスにより外被が膨張する。
好ましくは、ガス発生装置の受ける圧力が所定値(予め設定された値)になったとき、2種の材料が混合してガスを発生する。好ましくは、前記2種の材料は、それぞれ炭酸水素ナトリウムと、水素イオン含有の液である。好ましくは、ガスの圧力を所定値付近に維持するように、自己膨張装置に安全弁が取り付けられる。ガスの圧力が安全弁の圧力所定値を超える場合、ガスが弁口から排出され、ガスの圧力が所定値未満の場合、安全弁が閉じる。
好ましくは、ガスを発生する上記の2種の材料は、それぞれ水およびポリウレタングラウト液である。
【0114】
甲1a型自己膨張装置―カプセル状に近似する脆性装置
甲1a型自己膨張装置は、その外被で囲まれた密閉空間に化学成分aが含まれ、脆性ハウジングに化学成分bが含まれ、化学成分aと化学成分bとが混合するとガスが生成する。自己膨張装置を押せば、該装置の自己膨張が開始できる。膨張のメカニズムは、自己膨張装置の外被を押すとき、外被がその内部の脆性ハウジングを押して破らせ、これによって、化学成分aと化学成分bとが混合してガスが生成し、ガスにより外被を膨張させる。
好ましくは、脆性ハウジングは、脆性材料で製造され、両端が閉じられた非円形断面の管313である。図5に示すように、さらに、ガラス管の断面は、楕円形、矩形、または矩形と2つの半円形との組み合わせである。好ましくは、前記脆性材料は、脆性高分子材料またはガラスである。好ましくは、前記脆性高分子材料は、脆性プラスチックである。
【0115】
図6に示すように、好ましくは、自己膨張装置の外被は、両端が閉じられたゴム管310であり、その内部に化学成分a(312)が含まれ、また両端が閉じられた断面矩形のガラス管313が設置され、ガラス管内に充填される液が化学成分b(314)のものである。ゴム管が周辺の静水圧により押されたとき、ゴム管がその内部のガラス管313を押して破らせ、これによってガラス管313における液体の化学成分a(314)が流出して成分b(312)と反応してガスが生成する。さらに、成分aが炭酸ナトリウムであり、成分bが塩酸である。好ましくは、成分aがポリウレタングラウト液であり、成分bが水であり、両者を混合して発泡させて体積膨張が生じ、生成物が硬化したあとある程度の強度を有する。
【0116】
好ましくは、化学成分aおよび化学成分bの質量が生産すべきガスの質量に基づいて決定され、前記ガスの質量が環境温度、ガスの体積およびガスの圧力に基づいて決定される。
好ましくは、自己膨張装置に安全弁が設置され、ガスの圧力が所定値を超えた場合、一部のガスを排出し、これによって圧力を所定値以下にする。
【0117】
甲1b型自己膨張装置―カプセル状に近似する脆性装置
甲1b型自己膨張装置は、その密閉空間に第1密閉装置および第2密閉装置の2つの密閉装置が設置され、第1密閉装置および第2密閉装置のハウジングがいずれも脆性ハウジングであり、第1密閉装置の内部に1種の化学成分aが含まれ、第2密閉装置の内部に他の化学成分bが含まれ、成分aと成分bとが混合するとガスが生成することができる。第1密閉装置および第2密閉装置は、外被310により押されると先後に破れ、それらにおける成分aが成分bと混合してガスが生成し、ガスの膨張により自己膨張装置を膨張させ、その見かけ体積が増加する。
【0118】
図7に示すように、好ましくは、自己膨張装置は、両端が閉じられたPVC管310である。PVC管310の内部に、両端が閉じられた断面矩形の2つの脆性プラスチック管、すなわち脆性プラスチック管311および脆性プラスチック管313が設置される。脆性プラスチック管311の内部に化学成分aを含有する液312が充填され、脆性プラスチック管313の内部に化学成分bを含有する液3214が充填される。脆性プラスチック管が自己膨張装置の外被により押されたとき、圧力が特定の数値になった場合、脆性プラスチック管3211および3213が先後または同時に破れる。2つの脆性プラスチック管における液314および312が流出し、混合して化学反応し、生成したガスによりゴム管を内部から外へ膨張させる。
好ましくは、成分aが炭酸ナトリウム溶液であり、成分bが塩酸である。
好ましくは、成分aがポリウレタングラウト液であり、成分bが水であり、両者が混合して発泡し、体積膨張が生じ、生成物が硬化したあとある程度の強度を有する。
【0119】
乙型自己膨張装置―記憶合金系装置
前記乙型自己膨張装置は、形状記憶合金で製造され、または使用する材料に形状記憶合金が含まれる。
温度が変化すると記憶合金の形状が変化し、これによって、自己膨張装置の体積が変化する。
【0120】
温度がT1範囲にある場合、自己膨張装置の外面で囲まれた体積が最小または最小に近い。温度がT2範囲にある場合、装置の見かけの体積が最大または最大に近い。複合構造の内部温度がT1温度範囲内にないが、T2温度範囲内にある。
部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に対して圧力を加える前、記憶合金製自己膨張装置がT1温度範囲内にあり、記憶合金製自己膨張装置が部分Aで囲まれた中空部に設置されたあと、温度がT2温度範囲内にあるため、装置は、見かけの体積が膨張して部分Bである材料を押す。
よく使われる1種の自己膨張装置は、形状記憶合金で製造され、両端が閉じられた管である。温度がT2範囲内になると、管壁の横断面形状が変化し、外面で囲まれた体積が膨張してセメント含有材料に対して圧力を加える。管壁の横断面形状が変化するとき、横断面において少なくとも一部の管壁が曲げられる。管壁が曲げられるときに大量の弾性エネルギーを蓄えるので、このような装置もエネルギー貯蔵の機能を有する。
他の1種の自己膨張装置は、軟質材料および記憶合金で製造され、記憶合金の形状が変化するとき、軟質材料も変形し、これによって、自己膨張装置の外面で囲まれた体積を変化させる。
【0121】
(二)ハウジング付き体積補償装置の製造方法
ハウジング付き体積補償装置の製造方法を利用してハウジング付き体積補償装置を製造する。
ハウジング付き体積補償装置の製造方法は、支持ハウジングを製造することと、圧力供給装置を製造することとを含む。
好ましくは、圧力供給装置を支持ハウジングの中空部に取り付ける。
【0122】
(三)ハウジング付き体積補償装置を利用して周辺の媒体に圧力を供給する方法
ハウジング付き体積補償装置を利用して周辺の媒体に圧力を供給する方法は、下記の特徴を有する。
(1)圧力を供給する過程において前記ハウジング付き体積補償装置を利用する。
(2)前記ハウジング付き体積補償装置を利用して圧力を供給する過程において、前記支持ハウジングおよび前記圧力供給装置のほか、流体固体変換材料も必要である。
(3)前記ハウジング付き体積補償装置の前記支持ハウジング、前記圧力供給装置および流体固体変換材料は、下記の関係を有する。
支持ハウジングの内壁と圧力供給装置の外面との間に前記流体固体変換材料が存在し、および/または、支持ハウジングの外部の周辺領域において、少なくとも一部の領域に前記流体固体変換材料が存在する。
(4)流体固体変換材料が流動可能な状態にある場合、前記装置は、下記の第1特徴および第2特徴の少なくも一方を有する。
前記第1特徴は、支持ハウジングの外部の流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が大きくなる場合、前記流体固体変換材料が前記通路を介して前記支持ハウジングで囲まれた中空部に入って、中空部における圧力供給装置を押して圧力供給装置の見かけ体積を小さくし、および/または、支持ハウジングの外部または通路における流体固体変換材料の受ける、外部媒体からの圧力が小さくなる場合、前記中空部における圧力供給装置の見かけ体積が大きくなり、前記流体固体変換材料を前記支持ハウジングの外部へ流れるようにする。
前記第2特徴は、支持ハウジングの内部の圧力供給装置の見かけ体積が大きくなる場合、支持ハウジングの内部における流体固体変換材料が前記通路を介して支持ハウジングの外部へ流れ、支持ハウジングの内部の圧力供給装置の見かけ体積が小さくなり、かつ支持ハウジングの外部における流体固体変換材料が周辺の媒体により押される場合、支持ハウジングの外部または通路における流体固体変換材料が、前記通路を介して支持ハウジングの内部へ流れる。
(4)流体固体変換材料が固体状態にある場合、前記流体固体変換材料と前記支持ハウジングとにより複合ハウジングが形成され、複合ハウジングが全体として外部媒体からの圧力に抵抗する。
図11を例として説明する。これらの図面は、説明するためのものにすぎず、発明内容を限定するものではない。
図11に示すように、支持ハウジング32に孔321が形成されており、圧力供給装置31が支持ハウジング32で囲まれた中空部に設置される。圧力供給装置の外面と支持ハウジングの内壁との間に流体固体変換材料331が存在し、通路321に流体固体変換材料332が存在し、支持ハウジング32の外部の周辺領域内に流体固体変換材料333が存在する。上記の異なる領域における流体固体変換材料331、332および333は、同一種の材料である。好ましくは、前記流体固体変換材料が支持ハウジング32の外面全体の周りに存在する。好ましくは、前記支持ハウジングの一部の外面のみが前記流体固体変換材料に接触する。
【0123】
(四)複合構造部材
複合構造は、部分Aと、部分Bと、部分Cとを含む。部分Aは、内部に中空部が形成されており、固体材料で製造される。部分Bは、流体固体変換材料で構成され、前記流体固体変換材料が流動可能な状態から固体状態に変化できる材料である。部分Cは、1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置であり、各ハウジング付き体積補償装置は、支持ハウジングと圧力供給装置とを備え、前記圧力供給装置が前記支持ハウジングの中空部に設置される。前記ハウジング付き体積補償装置および部分Bである材料は、部分Aで囲まれた中空部に存在する。
前記圧力供給装置の外面と支持ハウジングの内面との間の隙間および支持ハウジングの外部の周辺領域の少なくとも一方に流体固体変換材料が存在する。好ましくは、前記流体固体変換材料は、部分Bである材料と同一種の材料であり、または部分Bである材料のうちの一部と同一種の材料である。
部分Aの好ましい形態
前記部分Aは、内部に中空部が形成される。
前記部分Aは、内部に2つ以上の中空部が形成され、前記中空部は、下記の特徴を有する。
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態にある媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味し、および/または、(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味する。
好ましくは、前記部分Aは、管と、その両端の封止装置とを備える。好ましくは、少なくとも一端の前記封止装置の横断面が前記管の横断面よりも大きい。好ましくは、少なくとも一端の封止装置の位置する横断面の外郭線により形成されるパターンは、前記管の横断面の外郭線により形成されるパターンと同じである。好ましくは、前記管は、鋼管またはFRP管である。
好ましくは、前記部分Aは、球状ハウジングまたは楕円体状ハウジングである。
例を挙げて説明する。図38に示すように、3つの中空部を有する鋼管において中空部2.2がそれぞれ中空部2.1および中空部2.3と隣接し、中空部2.1と2.2とが連通しており、両者の間の隔板12.2に孔12.2.1が形成されており、中空部22と2.3とが隔離されている。図39および図40に示すように、3つの支柱を有するラチスにおいて支柱12.1、支柱12.2および支柱12.3のそれぞれの中空部が互いに隔離されており、各中空部にコンクリートが充填された。補強管と支柱とが連通していない。
部分Bである材料の成分
前記部分Bである材料は、流体固体変換材料であり、前記流体固体変換材料は、下記の材料から選択されるが、これらに限定されない。
(1)セメント系材料
好ましくは、前記セメント系材料は、セメントモルタル、反応性粉体コンクリート(RPC)、普通強度コンクリート(NHSC)、高強度コンクリート(HSC)および超高強度コンクリート(UHSC)を含む。
(2)セメント系材料と高分子材料との混合物であり、セメントが水和に関与する。
好ましくは、前記高分子材料は、高分子エマルジョンである。
好ましくは、前記高分子材料は、それ自体で硬化可能な高分子材料であり、エポキシ樹脂を含む。
(3)それ自体で硬化可能な高分子材料
好ましくは、それ自体で硬化可能な上記高分子材料は、エポキシ樹脂を含む。
(4)高分子材料と固体粉末および固体顆粒の少なくとも一方との混合物
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体粉末との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体顆粒との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と、固体粉末と、固体顆粒との混合物である。
好ましくは、前記固体粉末は、金属粉末または無機非金属材料粉末である。前記固体顆粒は、金属顆粒または無機非金属材料顆粒である。好ましくは、前記無機非金属材料粉末および前記無機非金属材料顆粒は、それぞれ石粉および石(小石)である。
M種の材料B
前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置し、各種の部分Bである材料が流体固体変換材料である。
【0124】
力学的特性
少なくとも部分Aで囲まれた1つの中空部において、前記部分Bである材料は、少なくとも下記の第1特徴および第2特徴の1つを有する。
(1)第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在する。上記時間帯において、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高い。
(2)第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たす。対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有する。
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものであり、あるいは、(ii)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである。
【0125】
材料Bが受ける圧縮応力
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たす。対応する材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有する。
(i)第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受ける。
(ii)第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受ける。
(iii)第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
材料Bがすべて固まったあとの部材における応力
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、すべての部分Bである材料が固まったあと、(1)前記中空部における一部、複数の部分またはすべての部分Bである材料において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在し、および/または、(2)前記中空部における一部、複数の部分または部分Aの全部の内壁と部分Bである材料との接触面において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在し、(3)前記中空部において、前記支持ハウジングの外面と前記部分Bである材料との接触面において、圧縮応力が存在する。
簡素化加圧装置
少なくとも前記部分Aで囲まれた1つの中空部において、簡素化加圧装置がさらに存在し、該装置は、部分Aで囲まれた中空部における材料Bの圧縮応力を変えおよび/または維持するように構成される。
【0126】
前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路(加圧管路内に媒体が充填される)、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである。
前記加圧ピストンは、表面が滑らかであり、固体材料製ロッド部材であり、部分Aにおけるピストン孔を通して部分Aで囲まれた中空部に挿入され、加圧ピストンとピストン孔との間を密封するように構成される。また、加圧ピストンは、その長手方向に沿って移動し、部分Bである材料の占めるスペースを占用することにより圧力を大きくし、および/または占用したスペースを譲ることにより圧力を小さくするように構成される。
前記媒体を有する加圧管路は、外部の圧力源と部分Aで囲まれた中空部とに接続される管路であり、管路における媒体が流動可能な状態にある部分Bである材料である。圧力源により圧力を加えるとき、管路における部分Bである材料が部分Aで囲まれた中空部に入る。
【0127】
前記凝結遅延加圧液体バッグは、液体バッグが部分Aで囲まれた中空部に設置され、液体バッグに充填されるものが凝結遅延流体固体変換材料であり、凝結遅延流体固体変換材料の固まりの開始時刻が加圧の終了時刻よりも遅いものである。
【0128】
部材の形状
前記部材は、下記の特徴を有する。
(1)前記複合構造部材の1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において、前記部材が軸線を有する。
また、(2)前記軸線は、少なくとも下記の特徴の1つを有する。
(i)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が直線である。
(ii)前記部材の全部の軸線において、1セグメント、複数のセグメントまたは全部の軸線が曲線である。
(iii)前記部材の全部の軸線において、少なくとも1セグメントの軸線が直線であり、かつ少なくとも1セグメントの軸線が曲線である。
前記複合構造部材の1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において、前記部材の横断面の外郭線により形成されるパターンは、直線および曲線の少なくとも一方により形成されるパターンである。好ましくは、前記パターンが外側に凸のものである。好ましくは、前記パターンが外側に凸の多角形である。好ましくは、前記パターンが外側に凸の曲線パターンである。好ましくは、前記パターンが円形または楕円形である。好ましくは、前記パターンが角丸多角形である。
前記複合構造部材の1セグメント、複数のセグメントまたはすべての長さ範囲において、前記部分Aで囲まれた中空部では、少なくとも1つの中空部の横断面の外郭線により形成されるパターンは、直線および曲線の少なくとも一方により形成されるパターンである。好ましくは、前記パターンが外側に凸のものである。好ましくは、前記パターンが外側に凸の多角形である。好ましくは、前記パターンが外側に凸の曲線パターンである。好ましくは、前記パターンが円形または楕円形である。好ましくは、前記パターンが角丸多角形である。
【0129】
前記複合構造部材は、下記の特徴の1つを有する。
(1)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、その形状およびサイズのそれぞれが同じである。
(2)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、長手方向の異なる箇所の横断面は、その形状が似ており、サイズが異なる。
(3)少なくとも前記複合構造部材の長さ範囲の一部において、横断面の形状が似ていなく、サイズが異なる箇所が長手方向において少なくとも2箇所ある。
好ましくは、前記複合構造部材は、軸線が直線であり、中空部1つだけ有する柱状の圧縮部材である。好ましくは、前記複合構造部材は、軸線がアーチ状の曲線であり、中空部1つだけ有する圧縮部材であり、前記アーチ状の圧縮部材の横断面の形状およびサイズが長手方向において変化しない。
【0130】
隔離装置
少なくとも部分Aで囲まれた1つの中空部において、少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、対応する材料Bと材料Bとが隣接し、両者の関係が下記の特徴の1つを有する。
(1)前記材料Bの前記材料Bに面する側の任意の境界面が、隔離装置だけに接触し、前記材料Bに接触しない。
(2)前記材料Bの前記材料Bに面する側の境界面のうち、一部の材料Bの境界面が隔離装置に接触し材料Bに接触しなく、他の一部の材料Bの境界面が材料Bに直接接触する。
(3)前記材料Bの前記材料Bに面する側の任意の境界面が材料Bに直接接触する。
好ましくは、柱として使用される複合構造部材において、隔離装置が薄鉄板製の円筒状のものであり、材料Bが円筒の内側に存在し、材料Bが円筒の外側に存在する。好ましくは、円筒の上端および下端の両端が塞がれ、上端に材料入り口が設けられており、材料Bの任意の境界面が材料Bに直接接触しない。好ましくは、円筒の上端が塞がれなく、材料Bの上端と材料Bの上端部とが直接接触する。
【0131】
(五)複合構造部材の製造方法
複合構造の製造方法は、部分Aを得、1つまたは複数のハウジング付き体積補償装置を前記部分Aで囲まれた中空部に設置し、前記中空部に部分Bである材料を充填し、中空部における部分Bである材料に圧力を加える。
前記部分Bである材料は、流体固体変換材料であり、部分Aで囲まれた中空部に充填されるとき、少なくとも一部の部分Bである材料が流動可能な状態にある。
前記ハウジング付き体積補償装置は、圧力供給装置と支持ハウジングとを備える。適切な時期に、前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に流体固体変換材料を充填する。
好ましくは、ハウジング付き体積補償装置を部分Aで囲まれた中空部に設置する前、流動可能な状態にある流体固体変換材料を少なくとも前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に充填し、および/または、部分Aで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填するとき、または部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に圧力を加えるとき、前記支持ハウジングの外面の近くの周辺領域における部分Bである材料が支持ハウジングにおける通路を介して前記圧力供給装置の外面と前記支持ハウジングの内面との間の隙間に入る。
【0132】
部分Aの好ましい形態
前記部分Aは、中空部が形成される。
前記部分Aは、2つ以上の中空部が形成され、前記中空部は、少なくとも1つの下記の特徴を有する。
(1)少なくとも2つの中空部が互いに連通しており、前記連通とは、2つの中空部の間に接続通路が存在し、流動可能な状態にある媒体が1つの中空部から他の中空部に入ることができることを意味する。
(2)少なくとも2つの中空部が互いに隔離されており、前記隔離とは、2つの中空部の間に接続通路が存在しないことを意味する。
部分Bである材料の種類
複合構造の製造方法において、前記部分Bである材料の種類は、大きく下記の4種類を含む。
(1)セメント系材料
好ましくは、前記セメント系材料は、セメントモルタル、反応性粉体コンクリート(RPC)、普通強度コンクリート(NHSC)、高強度コンクリート(HSC)および超高強度コンクリート(UHSC)を含む。
(2)セメント系材料と高分子材料との混合物であり、セメントが水和に関与する。
好ましくは、前記高分子材料は、高分子エマルジョンである。
好ましくは、前記高分子材料は、それ自体が硬化可能な高分子材料であり、エポキシ樹脂を含む。
(3)それ自体が硬化可能な高分子材料
好ましくは、それ自体が硬化可能な上記高分子材料は、エポキシ樹脂を含む。
(4)高分子材料と固体粉末および固体顆粒の少なくとも一方との混合物
好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体粉末との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と固体顆粒との混合物である。好ましくは、前記部分Bである材料は、高分子材料と、固体粉末と、固体顆粒との混合物である。
好ましくは、前記固体粉末は、金属粉末または無機非金属材料粉末である。前記固体顆粒は、金属顆粒または無機非金属材料顆粒である。好ましくは、前記無機非金属材料粉末および前記無機非金属材料顆粒は、それぞれ石粉および石である。
M種の部分Bである材料の力学的特性
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、それぞれ材料B、B…B、Bi+1…BのM種の前記部分Bである材料が含まれ、M種の前記部分Bである材料がそれぞれ異なる領域に位置する。
【0133】
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、前記部分Bである材料は、少なくとも下記の第1特徴および第2特徴の1つを有する。
(1)第1特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たし、前記iおよびjに対応する少なくとも1つの時間帯が存在する。上記時間帯において、材料Bに対して、材料Bの流動性が比較的高い。
(2)第2特徴
少なくとも1つのiおよび1つのjが存在し、ただし、1≦i≦M、1≦j≦M、i≠jを満たす。対応する前記材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有する。
(i)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものであり、あるいは、(ii)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである。
材料Bが受ける圧力
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、少なくとも1つのiが存在し、ただし、1≦i≦Mを満たす。対応する材料Bは、下記の第1特徴、第2特徴、第3特徴の少なくとも1つを有する。
(i)第1特徴
材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力を受ける。
(ii)第2特徴
前記材料Bが流動可能な状態から固体状態になる固まる過程において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯または全段階内に、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料Bが圧縮応力または予圧縮応力を受ける。
(iii)第3特徴
前記材料Bが固まったあと、すべての部分Bである材料のうち少なくとも前記材料B圧縮応力、予圧縮応力または残留予圧縮応力を受ける。
材料Bがすべて固まったあとの部材における応力
部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、すべての部分Bである材料が固まったあと、(1)前記中空部における一部、複数の部分またはすべての部分Bである材料において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在し、および/または、(2)前記中空部における一部、複数の部分または部分Aの全部の内壁と部分Bである材料との接触面において、圧縮応力、予圧縮応力または残余予圧縮応力が存在し、(3)前記中空部において、前記支持ハウジングの外面と前記部分Bである材料との接触面において、圧縮応力が存在する。
【0134】
M種の材料Bを有するときの好ましい体積補償方法
前記部分Aで囲まれた中空部において、前記ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジングの内部および支持ハウジングの外部の周辺領域の少なくとも一方に材料Bが存在し、1≦i≦M-1を満たすとき、材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、任意の1種の材料B材料の流動可能な状態の終了時刻以降のものである。
前記部分Aで囲まれた中空部における前記材料Bは、下記の特徴を有する。
(1)iが1≦i≦Mであり、任意の1つの材料Bが流動可能な状態にあり、かつ材料の内部に圧縮応力が存在する場合、(2)iが1≦i≦M-1であり、M-1種の材料Bの総体積が収縮するようにした場合、
ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が膨張して、前記支持ハウジングにおける材料Bを、前記孔を介して流出させ、これによって、部分Aで囲まれた中空部の、材料Bの収縮により変化した体積を補償する。
隔離装置および好ましい材料
【0135】
好ましくは、異なる部分Bである材料の間に隔離装置が設置される。
好ましくは、前記隔離装置は、透過性を有しない材料で製造され、これによって、異なる部分Bである材料の成分の混合を防止することができる。好ましくは、前記隔離装置の材料は、部分Bである材料との比較的よい接着特性を有し、これによって、部分Bである材料と隔離装置との、界面でのせん断耐力が低すぎることに起因して、部材の負荷能力を損なうことを防止する。好ましくは、隔離装置を製造する材料は、薄い金属板である。
好ましくは、前記隔離装置は、要求を満たす透過性を有し、これによって、異なる部分Bである材料が隔離装置の材料に進入して隔離層と比較的よく接着することができる。好ましくは、前記隔離装置の材料は、網状材料である。好ましくは、前記網状材料は、金属網である。好ましくは、前記金属網が固定フレームに取り付けられ、前記固定フレームが部分Aで囲まれた中空部に取り付けられる。
好ましくは、前記隔離装置は、変形することができ、これによって、それで囲まれた領域の体積が変化することができる。
材料Bの好ましい案1 M=1
前記部分Aで囲まれた中空部において、前記部分Bである材料は、1種だけ含まれ、すなわちM=1である。図12図14に示すように、好ましくは、前記部分Aで囲まれた中空部においてハウジング付き体積補償装置が1つだけ設置される。好ましくは、前記部分Aで囲まれた中空部において複数のハウジング付き体積補償装置が設置される。図17および図18に示すように、好ましくは、前記ハウジング付き体積補償装置の位置として、部分Aの中空部の横断面の幾何学的中心に関して対称となるように設置される。好ましくは、前記ハウジング付き体積補償装置の位置として、特定の直線に関して対称となるように設置される。
【0136】
好ましくは、前記部分Bである材料は、セメントモルタルであり、好ましくは、前記部分Bである材料は、反応性粉体コンクリートである。
材料Bの好ましい案2 M=2
前記部分Aで囲まれた中空部において、BおよびBの2種の材料Bが含まれ、この場合、M=2である。材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置する。少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が材料Bに接触し、または少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置の周りに材料Bが充填された。
前記材料Bが流動可能な状態にある場合、材料Bの体積が収縮すると、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置の押動によりそれに接触する材料Bを支持ハウジングの孔から流出させ、これによって、材料Bの収縮により変化した体積を補償する。
【0137】
前記材料Bおよび材料Bは、下記の2つの特徴の1つを有する。(1)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものである。(2)前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻以降のものである。
好ましくは、前記材料Bは、凝結遅延モルタル、反応性粉体コンクリートまたは凝結遅延エポキシ樹脂である。好ましくは、前記材料Bは、コンクリートである。好ましくは、前記材料Bは、材料Bと粗骨材との混合物である。
【0138】
案2のいくつかの好ましい構造は、図19図30に示されている。
材料Bの好ましい案3 M=3
前記部分Aで囲まれた中空部において、B、BおよびBの3種の材料Bが含まれ、この場合、M=3である。材料B、材料Bおよび材料Bがそれぞれ異なる領域に位置する。少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が材料Bに接触し、または少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置の周りに材料Bが存在する。
前記材料Bが流動可能な状態にある場合、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の体積が収縮すると、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置の押動によりそれに接触する材料Bを支持ハウジングの孔から流出させ、これによって、材料Bおよび材料Bの少なくとも一方の収縮により減少した体積を補償する。
【0139】
好ましくは、前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の3つの特徴の1つを有する。
(1)特徴1
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものである。
(2)特徴2
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅いものである。
(3)特徴3
a.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものであり、および/または、b.前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの流動可能な状態の終了時刻以降、且つ材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも早いものである。
好ましくは、前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、および/または、前記材料Bの流動可能な状態の終了時刻は、材料Bの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅いものである。
好ましい案3のいくつかの好ましい構造は、図31図37に示されている。
【0140】
支持ハウジングの負荷能力の限界および剛性
複合構造の製造方法において、前記支持ハウジングの負荷能力の限界は、下記の要求を満たす。複合構造が負荷能力の限界状態にある場合、支持ハウジングが耐えられる周辺の媒体の最大圧縮応力が、支持ハウジングの外壁に作用する周辺の媒体の圧力以上である。
鋼管コンクリートの軸方向圧縮部材を例として説明する。複合構造の部分Aを断面が円形である鋼管にし、支持ハウジングを管壁に孔が設けられた円形鋼管にした。複合構造が軸方の圧力によって破壊すると、構造全体に軸方向圧縮および径方向膨張が発生する。部分Aで囲まれた中空部における材料Bが径方向において膨らみ、これは、構造全体が外へ膨らむことの主な要因となっている。部分Aが軸方向の圧縮、接線方向の引張のため降伏状態になる。このような破壊状態で、支持ハウジングの径方向負荷能力または径方向剛性の不足に起因して支持ハウジングの周りの固まった流体固体変換材料が脆弱領域になることを防止しなければならない。したがって、支持ハウジングとしての鋼管の外面の受ける最大径方向圧縮応力が、複合構造が破壊するときの材料Bの径方向圧縮応力と同じであると考えられる。したがって、前記材料Bの最大径方向圧縮応力は、部分Aの降伏時または複合構造が負荷能力の限界に至ったときの部分Aの内面の受ける径方向圧縮応力に近似すると考えられる。
【0141】
等価方法を利用して支持ハウジングの径方向負荷能力を確定する。
支持ハウジングの管壁における孔が比較的小さい場合、支持ハウジングとしての鋼管を管壁に孔が設けられない鋼管と等価なものとみなす。等価の方法として、管壁に孔が設けられた鋼管の一部をとり、その径方向負荷能力を算出し、そして長手方向における異なる位置の径方向負荷能力の平均を求める。等価と見なす管壁に孔が設けられない鋼管は、長さ、外径および平均径方向負荷能力のそれそれが管壁に孔が設けられた鋼管と同じである。
他の等価方法として、支持ハウジングの周りの特定の半径範囲内の固まった流体固体変換材料と、管壁に孔が設けられた支持ハウジングとを組み合わせて、複合ハウジングと呼ばれる新しい構造にし、該複合ハウジングの径方向負荷能力を算出する。好ましくは、複合ハウジングの範囲を決定するとき、鋼管の中空部における流体固体変換材料も複合ハウジングの一部と見なされる。
【0142】
複合ハウジングが耐えられる最大圧縮応力およびそれが有する最大径方向剛性は、支持ハウジングの中空部における圧力供給装置の外面が耐えられる最大圧力および圧力供給装置が有する最大剛性よりもはるかに大きい。ここで、上記の剛性は、装置の外面に作用する径方向の圧力増大量を、該圧力増大による径方向の変位で割ったあと、該装置の外径で割ったものである。
【0143】
複合ハウジングの負荷能力および剛性
部分Aで囲まれた中空部における前記ハウジング付き体積補償装置は、少なくとも下記の特徴の1つを有する。
(1)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された前記複合ハウジングは、見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれが前記圧力供給装置よりもはるかに大きい。
(2)前記流体固体変換材料が固まって所定強度になったあと、流体固体変換材料と支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが耐えられる周辺の媒体の最大圧力は、圧力供給装置が単独で作動するときに圧力供給装置により周辺の媒体に供給する圧力よりもはるかに大きい。
【0144】
また、前記圧力供給装置の見かけ体積弾性係数および見かけ体積変形係数のそれぞれは、任意の段階の部分Bである材料の体積弾性係数および体積変形係数よりもはるかに小さい。前記任意の段階は、全過程における任意の段階を指し、前記全過程は、前記材料が流動可能な状態から最終強度に達した固定状態になる過程を指す。
簡素化加圧装置およびその取付
前記部分Aで囲まれた少なくとも1つの中空部において、簡素化加圧装置がさらに存在し、前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである。
【0145】
前記簡素化加圧装置は、Aで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填する前またはAで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填したあと取り付けられる。簡素化加圧装置が凝結遅延加圧液体バッグである場合、Aで囲まれた中空部に部分Bである材料を充填する前、前記液体バッグを前記中空部に取り付ける必要がある。簡素化加圧装置が加圧ピストン、または媒体を有する加圧管路である場合、部分Bである材料を充填して封止板を取り付けたあと加圧ピストンまたは加圧管路を取り付ける。
【0146】
加圧方法
前記加圧は、媒体に変化する圧力を加え、および/または媒体に一定または略一定の圧力を加えることを含む
好ましい加圧案1
前記部分Aで囲まれた前記中空部において、少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置が設置され、該装置における圧力供給装置が加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置である。支持ハウジングと圧力供給装置との間、および前記ハウジング付き体積補償装置の支持装置の周りに材料Bが充填された。
前記材料Bが流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置を使用して前記材料Bに圧力を加える。
前記材料Bの流動可能な状態が終了し、その強度が所定値(予め設定された値)になる前の間、加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置により前記材料Bに加える圧縮応力を、一定にしまたは所定の範囲に変動するようにする。前記強度の所定値は、前記材料Bの強度が所定値未満である場合、圧力供給装置の圧力を変えると、圧力供給装置の圧力の変化により支持ハウジングの孔の近くの材料Bの応力場が変化し、そして、この変化により、支持ハウジングの孔の近くの材料Bの破壊または長期強度の低下を招くことを指す。
前記材料Bの強度が所定値(設定値)になったあと、加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置により前記材料Bに加える圧縮応力が制限されない。前記強度の所定値は、前記強度が所定値になったとき、材料Bと支持ハウジングとにより形成された複合ハウジングが、周辺の媒体的圧力に抵抗できるほど十分の負荷能力を有し、加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置により加えた圧力を抜いたあと、応力場の変化により、支持ハウジングの孔の近くの材料Bの長期強度が下げられたり、そこにある材料Bが損壊されたりすることがないことを指す。
【0147】
好ましい加圧案2
前記部分Aで囲まれた前記中空部において、少なくとも第1ハウジング付き体積補償装置および第2ハウジング付き体積補償装置が設置される。前記第1ハウジング付き体積補償装置において、圧力供給装置が加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置である。前記第2ハウジング付き体積補償装置において、圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置または加圧エネルギー貯蔵装置である。前記第1ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジングの内壁と圧力供給装置との間、および第1ハウジング付き体積補償装置の周りの領域に材料Bが充填された。前記第2ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジングの内壁と圧力供給装置との間、および第2ハウジング付き体積補償装置の周りの領域に材料Bが充填された。
【0148】
加圧方法は、下記の通りである。
1.材料Bおよび材料Bがそれぞれ流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、(1)第2ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置を選択する場合、第1ハウジング付き体積補償装置における加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置を使用して材料Bに圧力を加える。
(2)第2ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が加圧エネルギー貯蔵装置を選択する場合、第1ハウジング付き体積補償装置における加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置を使用して材料Bに圧力を加え、および/または第2ハウジング付き体積補償装置における加圧エネルギー貯蔵装置を使用して材料Bに圧力を加える。
好ましくは、前記1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、部分Aで囲まれた中空部に1つの領域が存在し、該領域における部分Bである材料がすべて流動可能な状態にあり、前記第1ハウジング付き体積補償装置および第2ハウジング付き体積補償装置も該領域に位置する。
2.前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が、流動可能な状態が終了し、且つ強度が所定値になる前の段階にあり、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、(1)第2ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置を選択する場合、好ましくは、第1ハウジング付き体積補償装置における加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置により材料Bに加える圧縮応力を一定にしまたは所定範囲内に変動するようにし、(2)第2ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が加圧エネルギー貯蔵装置を選択する場合、好ましくは、第1ハウジング付き体積補償装置における加圧装置または加圧エネルギー貯蔵装置により材料Bに加える圧縮応力が一定にしまたは所定範囲内に変動するようにし、好ましくは、第2ハウジング付き体積補償装置における加圧エネルギー貯蔵装置により材料Bに加える圧縮応力を一定にしまたは所定範囲内に変動するようにする。
3.好ましくは、前記材料Bの強度が所定値になったあと、第1ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置により材料Bに加える圧力を制限しなくまたはそれを抜く。
好ましくは、前記材料Bの強度が所定値になったあと、第2ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置により前記材料Bに加える圧縮応力を制限しなくまたはそれを抜く。
【0149】
好ましい加圧案3
前記部分Aで囲まれた中空部において、簡素化加圧装置がさらに存在する。前記加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである。
前記部分Aで囲まれた前記中空部において、少なくとも1つのハウジング付き体積補償装置と少なくとも1つの簡素化加圧装置が設置される。前記ハウジング付き体積補償装置において、圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置または加圧エネルギー貯蔵装置である。前記ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジングの内壁と圧力供給装置との間、および支持ハウジングの周りの領域に材料Bが充填された。前記簡素化加圧装置の周りの領域にB材料が充填された。
【0150】
加圧方法は、下記の通りである。
1.前記材料Bおよび材料Bがそれぞれ流動可能な状態にある段階において、そのうちの1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、(1)ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置を選択する場合、簡素化加圧装置を使用して材料Bに圧力を加え、(2)ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が加圧エネルギー貯蔵装置を選択する場合、前記加圧エネルギー貯蔵装置を使用して材料Bに圧力を加え、および/または簡素化加圧装置を使用して材料Bに圧力を加える。
好ましくは、前記1つの時間帯、複数の時間帯またはすべての時間帯に、部分Aで囲まれた中空部に1つの領域が存在し、該領域における部分Bである材料がすべて流動可能な状態にあり、前記ハウジング付き体積補償装置および前記簡素化加圧装置も該領域に位置する。
2.前記材料Bおよび材料Bの少なくとも一方が、流動可能な状態が終了し、且つ強度が所定値になる前の段階にあるとき、(1)好ましくは、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置を選択する場合、簡素化加圧装置により材料Bに加える圧力を一定にし、または前記部分Aで囲まれた中空部において簡素化加圧装置の占める体積を略一定にし、(2)好ましくは、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が加圧エネルギー貯蔵装置を選択する場合、前記加圧エネルギー貯蔵装置により材料Bに加える圧力を一定にしまたは所定範囲内に変動するようにし、また、簡素化加圧装置により材料Bに加える圧力を一定にし、または前記部分Aで囲まれた中空部において簡素化加圧装置の占める体積を略一定にする。
3.好ましくは、前記材料Bの強度が所定値になったあと、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置により材料Bに加える圧力を制限しなくまたはそれを抜く。
好ましくは、前記材料Bの強度が所定値になったあと、簡素化加圧装置により前記材料Bに加える圧縮応力を制限しなくまたはそれを抜く。
実施例
【0151】
実施例1
図12図14に示すように、鋼管コンクリート複合構造は、軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。フランジ111が鋼管12の上端に溶接され、下封止板が鋼管12の下端に溶接される。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板におけるボルト孔1101と下封止板におけるボルト孔1111とが位置が合わせるように設けられる。上封止板に施工孔1102および排気孔1103が設けられている。
鋼管の中空部において、軸線位置に1つのハウジング付き体積補償装置が取り付けられる。中空部のその他の領域に反応性粉体コンクリート(RPCと略称)が充填された。図1および図3に示すように、ハウジング付き体積補償装置は、孔が設けられた鋼管の内部に円管状ガスバッグを配置したものである。支持ハウジングは、軸線方向において耐えられる圧力が最大値に達するように、支持ハウジングの上部分の端面と下部分の端面とが密着する。
【0152】
施工方法
(1)部分Aを製造する。
(2)ハウジング付き体積補償装置を組み立てる。
好ましくは、ガスバッグは、普通ガスバッグである。支持ハウジングの内部においてプラスチックシートを管壁に貼り付け、プラスチックシートにより管壁における円形孔を遮蔽する。ガスバッグを支持ハウジングの中空部に入れ、接続スリーブにより支持ハウジングの上部分321と下部分322とを接続する。好ましくは、支持ハウジングと接続スリーブとがねじ接続により接続される。好ましくは、支持ハウジングと接続スリーブとが接着により接続される。ガスバッグを膨張させ、気圧が8MPaになったときに膨張を停止する。
(3)ハウジング付き体積補償装置を鋼管の内部の軸線位置に固定し、中空部にRPCを充填する。約フランジの高さに達した時点で充填を終了する。
(4)上封止板110をフランジ111に取り付ける。
(5)加圧管路を取り付け、RPCをさらに充填する。加圧管路の一端が上封止板の円形孔1102に接続され、加圧管路の他端が加圧装置に接続され、加圧管路に弁が設置される。加圧装置は、加圧管路を介して中空部にRPCをさらに充填する。充填過程において、中空部におけるガスが排気孔1103から排出される。中空部が満たされたあと、プラグにより排気孔1103を封止する。前記加圧装置として、グラウトポンプ、コンクリートポンプまたは他の加圧装置を選択することができる。
(6)中空部における材料Bに圧力を加える。
加圧装置により管路におけるRPCをさらに押す。加圧方式として、2つ案がある。
a.連続加圧
部分Aで囲まれた中空部におけるRPCの圧力がガスバッグにおける気圧(8MPa)を超えるとき、ガスバッグの見かけ体積が小さくなっており、RPCの圧力が所定値(12MPa)になったとき、加圧を終了し、管路における弁を閉じ、加圧装置を取り外す。
b.間欠的加圧
RPCの圧力が所定の圧力上限値(12MPa)になったとき、加圧を一時停止し、圧力が所定の圧力下限値(10MPa)まで低下したとき、加圧装置を起動してさらに加圧を行う。このように繰り返す。材料Bの流動可能な状態が終了する前、間欠的加圧を停止し、弁を閉じ、加圧装置を取り外す。
(7)後処理
管路における材料が所定強度になったあと、施工管路を取り外す。その方法の1つとして、根元から施工管路を切断(鋸断)する。
セメントの水和により化学的収縮が発生し、固まる前および固まった後、RPCの体積が収縮する。ハウジング付き体積補償装置を使用しなく連続加圧方式により加圧を行うとき、RPCの体積が収縮すると、RPCの圧力が低下し、ひいてはなくなることがある。ハウジング付き体積補償装置を使用しく間欠的加圧方式により加圧を行うと、材料Bが流動可能な状態にある場合の体積収縮に起因した圧力の低下を解消することができるが、材料Bが固まったあとに体積収縮に起因した圧力の低下を解消することができない。これは、固まった後、細長い管路における材料Bがほどんど流動することができないためのである。ハウジング付き体積補償装置が取り付けられた場合、この装置の長さが中空部の長さとほぼ等しいので、ほとんどすべての横断面において、該装置によりRPCの圧力を維持するようになる。これによって、RPCが固まる過程、特に強度の比較的低い段階において、該装置により材料Bを変形させ、これよって、圧力低下を最小限に抑え、要求される範囲に抑えることができる。
【0153】
連続加圧案は、横断面が比較的小さく、および/または、材料Bの体積収縮率が比較的小さい場合に適用する。この条件で、1つのハウジング付き体積補償装置により圧力を維持すれば、材料Bが最終強度になったあと、保持される予圧縮応力を依然として所定値に維持することができる。この案の技術的効果は、適用条件を満たす場合、施工方法が簡単で、使用する装置が簡単である。
間欠的加圧案は、材料Bが固まる前に体積収縮率が比較的大きく、固まったあと体積収縮率がとても小さい場合に適用する。
本実施例において、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置がエネルギー貯蔵装置であり、エネルギー貯蔵装置がガスバッグである。
【0154】
技術的効果の分析
複合構造の横断面が比較的小さくおよび/または材料Bの収縮率が比較的低い場合、実施例1の案を適用する。この場合、技術的効果は、施工が簡単で、施工時間が短く、使用する設備の数が少なく、そして、中空部における材料Bが固まる過程および固まったあとに圧縮応力を有することを保証することができ、収縮に起因した部分Aの内壁からの材料Bの剥離を防止することができる。
【0155】
実施例2
図15および図16に示すように、複合構造は、鋼管の内部にRPCを充填したものであり、圧縮部材として使用される。図16に示すように、部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。フランジ111が鋼管12の上端に溶接され、下封止板13が鋼管12の下端に溶接される。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板におけるボルト孔1101と下封止板におけるボルト孔1111とが位置が合わせるように設けられ、上封止板に材料入り孔1102および中心孔1103が設けられている。
ハウジング付き体積補償装置は、図15に示されている。孔が設けられた鋼管32に圧力供給装置31が設置され、前記圧力供給装置がバッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置でる。好ましくは、前記バッグタイプ加圧装置が加圧ガスバッグを選択し、前記ガスバッグが管路3101を介して気圧源と接続される。好ましくは、前記加圧エネルギー貯蔵装置が加圧エネルギー貯蔵液体バッグであり、前記液体バッグが加圧管路3101を介して液圧源およびアキュムレータと接続される。孔が設けられた鋼管の上端にプラグ3202が取り付けられ、プラグに円形孔3203が設けられている。加圧管路3101が円形孔3203を通し、円形孔の孔壁と加圧管路との間に隙間が設けられている。前記隙間は、ガスの排出のためのものである。孔が設けられた鋼管の内部にRPCを充填するとき、部分Bである材料が支持ハウジングの孔3201を介して支持ハウジングの内部に進入し、このとき、孔が設けられた鋼管32の内部的ガスを排出する必要がある。
図8図10に示すように、好ましい案として、ハウジング付き体積補償装置に使用される圧力供給装置は、下限ガスバッグまたは下限液体バッグであり、バッグ内の支持物の形状が三つ葉形状である。
【0156】
施工ステップは、下記の通りである。
(1)部分Aの製造
(2)ハウジング付き体積補償装置の取り付け
ハウジング付き体積補償装置における孔が設けられた鋼管32を鋼管12の軸線位置に固定し、下限ガスバッグまたは下限液体バッグを孔が設けられた鋼管32の中空部に置き、そして孔が設けられたプラグ3202を孔が設けられた鋼管32に取り付け、加圧管路3101がプラグの円形孔3203を通すようにする。
(3)RPCの充填
鋼管12の中空部に流動可能な状態にあるRPC材料を充填し、充填しながら加振機により鋼管12を振動させ、または充填しながら棒形振動機によりRPCを振動させることにより、RPCを、孔が設けられた鋼管32における円形孔3201を介して孔が設けられた鋼管の内部に進入させ、孔が設けられた鋼管の内部のガスを上部孔3201および上端孔3203における隙間から排出させる。フランジの高さまで充填したとき、充填を一時停止する。
(4)上封止板1101の取り付け
上封止板の中心孔に加圧管路3101を通し、そしてボルトにより上封止板とフランジとを接続し、加圧管路3101と中心孔壁との間の隙間を封止する。封止方法として、孔が設けられたプラグにより封止する。プラグの円形孔の直径がガス充填管の外径よりも略大きく、プラグ孔にシールリングを設置するための溝が設けられている。プラグを取り付ける前にシールリングを溝に入れ、そしてプラグを取り付ける。
(5)RPCの充填
細い管を介して鋼管12の中空部における残りのスペースにRPCをさらに充填する。細い管の外径が材料入り孔1102の直径よりも小さく、細い管と材料入り孔1102との隙間が鋼管12の中空部におけるガスの排出のためのものである。鋼管12の中空部が満されたあと、プラグにより材料入り孔1102を封止する。
(6)加圧
加圧方法は、2つある。
1番目は、エアポンプを使用して加圧管路に圧縮空気を圧送し、圧力が所定値になったあと、圧力を一定にしまたは要求される範囲に変動するようにする。
所定圧力が比較的小さい場合、例えば所定圧力が5~10MPaである場合、ガスによる加圧がより適切である。
2番目は、液圧ポンプを使用して加圧管路に液体を圧送し、圧力が所定値になったあと、圧力を一定にしまたは要求される範囲に変動するようにする。好ましくは、加圧管路にアキュムレータが取り付けられる。
所定圧力が比較的大きい場合、例えば、所定圧力が20MPa、30MPa、40MPaまたは70MPaである場合、液体による加圧がより適切である。
(7)後処理
RPCの強度が所定値以上になったとき、加圧ポンプおよび加圧管路を取り外す。好ましくは、前記強度の所定値は、立方体圧縮強度が30MPa~60MPaである。
技術的効果の分析
バッグタイプ加圧エネルギー貯蔵装置を使用する場合、外部圧力源を使用して圧力を制御するため、ガスバッグまたは液体バッグの体積が大きく変化しても、バッグ内の流体の圧力が一定にされ、または要求される範囲に維持される。
【0157】
実施例3
図17および図18に示すように、鋼管コンクリート複合構造は、軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。フランジ111が鋼管12の上端に溶接され、下封止板が鋼管12の下端に溶接される。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板におけるボルト孔1101と下封止板におけるボルト孔1111とが位置が合わせるように設けられ、上封止板に施工孔1102および排気孔1103が設けられている。実施例1における圧縮部材に対して、この実施例における鋼管の直径がより大きい。
鋼管の中空部において、6つのハウジング付き体積補償装置が取り付けられ、中空部のその他の領域に反応性粉体コンクリート(RPCと略称)が充填された。ハウジング付き体積補償装置は、孔が設けられた鋼管の内部に円管状気液バッグを配置したものであり、構成が図1および図2に示されている。
実行方法が実施例1と類似する。
【0158】
技術的効果の分析
ハウジング付き体積補償装置の数が比較的多く、多くの箇所に分散されているため、部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料が収縮するとき、ハウジング付き体積補償装置により各領域における体積収縮を比較的均一に補償し、材料Bの応力の空間的な分布の変動が比較的小さくなる。
【0159】
実施例4
図19図21に示すように、鋼管コンクリート複合構造は、軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板におけるボルト孔1101と下封止板におけるボルト孔1111とが位置が合わせるように設けられ、上封止板に施工孔1102および1103が設けられている。
鋼管12の中空部に2つのC字形隔離装置41および42が設置される。C字形隔離装置41および42は、高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低く、これらにより中空部が領域211、212および22の3つの領域に分けられる。領域211および212のそれぞれにUHSCが充填され、領域22に凝結遅延RPCが充填され、RPCの流動可能な状態の終了時刻がUHSCの体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。ハウジング付き体積補償装置3は、鋼管12の軸線位置に設置され、領域22内に位置し、周りにRPCが充填された。ハウジング付き体積補償装置の長さが鋼管12の中空部の高さよりも少し小さい。
【0160】
ハウジング付き体積補償装置は、横断面が図21に示されており、その縦方向の構造が図2に示されている。支持ハウジングは、孔が設けられた鋼管32であり、鋼管に円心に対して対称である2列の孔321が設けられている。圧力供給装置31は、上限ガスバッグまたは上限気液バッグである。鋼管32の中空部の内側領域321、孔領域322および鋼管32の周りの領域323のそれぞれに凝結遅延RPCが充填された。
【0161】
施工方法は、下記の通りである。
(1)複合構造の部分Aの製造
(2)ハウジング付き体積補償装置の組み立て
ハウジング付き体積補償装置の上限ガスバッグまたは上限気液バッグにガスまたは液化ガスを充填し、上限ガスバッグまたは上限気液バッグを孔が設けられた鋼管32に入れ、プラグ3202を取り付け、プラグと鋼管とをねじ接続により接続する。
(3)ハウジング付き体積補償装置およびC字形隔離装置の取り付け
ハウジング付き体積補償装置31を鋼管12の軸線位置に固定し、2つのC字形隔離装置41および42を取り付ける。「C」字の端部が鋼管12の内壁と密着することができるように、製造された隔離装置の「C」字の両端の距離を取付後の距離よりも大きくする。取付時、隔離装置に予圧を加える。容易に予圧を加えるように、2つのC字形隔離装置の間に複数の支持ブロックが設置される。好ましくは、C字形隔離装置の「C」字の2つの端部をテープで鋼管12の内壁に貼り付け、貼り付けたあとテープにシワが生じないようにする。好ましくは、領域211および212内にUHSCを充填するための2つの袋が設置され、袋の周長がそれが位置する領域211または212の周長以上である。これによって、袋がUHSCで満たされると、UHSCがC字形隔離装置と鋼管12との内壁との間に進入することを防止することができる。
好ましくは、C字形隔離装置の「C」字の2つの端部においていくつかの箇所を選択して溶接によりこれらの箇所を鋼管12の内壁に溶接する。
(4)部分Bである材料の充填
同期に領域211および212にUHSCを充填し、領域22にRPCを充填する。充填過程において加振機を利用してハウジング付き体積補償装置における、孔が設けられた鋼管32を振動させることにより、RPCを該鋼管に十分に進入させ、且つ鋼管32の内部のガスを排出させる。部分Bである材料がフランジの高さに達した時点で、充填を一時停止する。
(5)上封止板および加圧管の取り付け
上封止板を取り付け、そして加圧管を施工孔1103に取り付ける。
(6)部分Bである材料の充填
施工孔1103に取り付けられる加圧管を介して中空部にRPCをさらに充填する。充填過程においてガスが施工孔1102から排出される。中空部が満たされたあと、プラグにより施工孔1102を封止する。
(7)加圧
加圧管を加圧装置に接続し、加圧装置を利用して加圧管における凝結遅延RPCを押す。圧力が所定値になったとき、加圧を一時停止しまたは停止する。加圧方法は、連続加圧および間欠的加圧の2種ある。間欠的加圧を利用する場合、凝結遅延RPCの流動可能な状態が終了する前に加圧を終了し、加圧管路における弁を閉じ、加圧装置を取り外す。
(8)後処理
UHSCおよび凝結遅延RPCのそれぞれの強度が所定値以上になったあと、加圧管を取り外す。
【0162】
他の好ましい案
この実施例における案は、大きい断面または超大きい断面の複合構造に適する。好ましくは、領域211と鋼管12との界面、および領域212と鋼管12との界面で凝結遅延摩擦低減層が敷設される。このように処理すれば、大きい断面または超大きい断面の複合構造においてUHSCの体積収縮に起因した、鋼管の内壁に近接した箇所での接線方向のせん断応力の発生を防止できる。この場合、2つの領域におけるUHSCは、いずれも横方向の各方向の圧縮応力がほぼ等しい応力状態にあり、この応力状態がUHSCの軸方向負荷能力の向上に最も役立つ。
好ましくは、上限ガスバッグの代わりに、加圧管路を有する加圧ガスバッグまたは加圧エネルギー貯蔵液体バッグを使用する。鋼管12の中空部においてUHSCおよび凝結遅延RPCを充填したあと、施工孔1102および1103に対して密封処理を行う。そして、加圧管路を介してガスバッグまたは液体バッグに流体を充填して、ガスバッグまたは液体バッグに対して内部から圧力を加える。この場合、先に凝結遅延RPCに圧力を加え、さらに凝結遅延RPCにより圧力をUHSCに伝達する。外部圧力源が流体をガスバッグまたは液体バッグに継続的に充填することができるため、ガスバッグまたは液体バッグの体積がどれほど膨張しても、バッグ内の圧力を、要求される範囲に維持することができる。複合構造の横断面がとても大きい場合、この案のメリットがより明らかである。
【0163】
技術的効果の分析
このような技術案の利点は、大きい横断面または超大きい横断面の複合構造に適する。領域211および212におけるUHSCが収縮するとき、隔離装置の境界に、凝結遅延RPCにより隔離装置を領域211および212に移動させることができる。また、領域211および212の収縮変形に起因してUHSCと鋼管12との間に隙間が生じるとき、凝結遅延RPCが隙間に進入してUHSCの応力状態を静水圧状態にしまた静水圧状態に近い状態にすることができる。固まる過程においてこのような応力状態を有すれば、UHSCの最終強度の向上に寄与でき、最終強度になりまたは最終強度に近い場合、UHSCがこのような応力状態にあれば、複合構造の軸方向圧縮負荷能力の向上に寄与できる。
【0164】
実施例5
図22図24に示すように、複合構造は、鋼管コンクリート軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板に材料入り孔1102およびピストン孔1103が設けられている。
鋼管12の中空部において隔離装置41および42により中空部が領域211、212および領域22に分けられる。領域22の横方向の両端にハウジング付き体積補償装置が取り付けられ、上封止板の中心に加圧ピストン5が取り付けられる。前記加圧ピストンが簡素化加圧装置である。
ハウジング付き体積補償装置は、図24に示すように、その高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低く、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置が二重限界気液バッグである。
【0165】
隔離装置41および42は、横断面からみれば閉じたものであり、それで囲まれた領域がキドニー形状である。このような形状のメリットとして、周長が変化しなくても、それで囲まれた領域の面積が容易に変更される。隔離装置の高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低い。領域211および212にUHSCが充填され、領域22に凝結遅延RPCが充填され、凝結遅延RPCの流動可能な状態の終了時刻がUHSC体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。
【0166】
材料Bを充填するとき、先に同期に領域211および212にUHSCを充填し、UHSCが充填されたあと、隔離装置41および42が内部で押圧され、元の凹んだ箇所で先に外へ膨らみ、これによって、領域22を狭くする。この現象は、期待されることである。好ましい案の1つとして、まず2つの隔離装置の間にいくつかの支持ブロックを設置してそれらを少なくとも1つの隔離装置に固定し、そしてUHSCを充填する。隔離装置が膨らんだとき、2つの隔離装置が支持ブロックを介して押し合い、これによって、隔離装置と鋼管12との間に圧縮応力が生じ、隔離装置を要求される位置に固定することができる。隔離装置を固定する他の方法として、隔離装置と鋼管12との接触箇所にいくつかの溶接点を設置することにより、隔離装置を鋼管12に溶接する。
【0167】
UHSCを充填するとともに、RPCを領域22に充填するが、UHSCの高さをRPCの高さよりも高くし、両者の高さの差を要求される範囲にする。充填されたUHSCの高さが鋼管12における中空部の高さに近い時点にUHSCの充填を停止するが、2種の材料Bの高さがほぼ等しくなるまでRPCの充填を続ける。
この実施例における加圧装置が加圧ピストン5であり、加圧ピストン5とピストン孔1103との間に密封装置が設置される。好ましくは、前記密封装置がシールリングである。加圧ピストンは、鋼管12の中空部におけるスペースを占用することにより領域22におけるRPCの圧力を大きくし、RPCにより圧力を領域211および212におけるUHSCに伝達するとともに、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置を押すように構成される。
【0168】
施工ステップは、下記の通りである。
(1)充填前の作業
部分Aを製造する。隔離装置41、42を製造する。ハウジング付き体積補償装置3を組み立てる。ハウジング付き体積補償装置3を鋼管12の中空部に固定し、隔離装置41および42を取り付ける。
(2)部分Bである材料の充填
領域211および212にUHSCを充填し、領域22にRPCを充填し、UHSCのRPCよりも高い部分の差を所定範囲にする。UHSCの高さが鋼管12の中空部の高さに近いとき、UHSCの充填を停止するが、RPCの高さとUHSCの高さとがほぼ等しくなるまでRPCの充填を続ける。
(3)加圧前の準備
封止板を取り付ける。材料入り孔1102を介して中空部に凝結遅延RPCを充填過程において、ピストン孔1103からガスを排出できる状態を保つ。中空部が満たされたあと、まずプラグにより材料入り孔1102を封止し、そしてシールリングをピストン孔1103の内部の溝に取り付け、さらに加圧ピストンを取り付ける。
(4)加圧
加圧手段として、変位加圧または荷重加圧を選択する。
荷重加圧方法として、アクチュエータを使用して加圧ピストンの外端に漸次増加する荷重を加え、荷重が所定値になったあと、荷重を一定にする。
変位加圧方法として、連続変位加圧または間欠的変位加圧を利用することが可能である。
1つの変位加圧周期において、ジャッキにより加圧ピストンを押して中空部に移動させるとともに、加圧ピストンに加えた荷重を測定し、圧縮応力が所定値になったあと加圧ピストンを、動かなくなるようにする。荷重をピストンの断面積で割った値がRPC内部の圧縮応力に相当する。
連続変位加圧は、1つの加圧周期が終わったとき、加圧ピストンを、永久に動かなくなるようにすることを指す。
間欠的変位加圧は、複数の加圧周期により構成される。第i回の加圧周期のあと、UHSCおよびRPCのそれぞれの体積が収縮し、一定時間が経過したら、中空部における材料Bの圧縮応力がさらに低下する。圧力が所定値未満であるとき、次の加圧周期を開始する。加圧周期を繰り返すことができる。特定の時刻以降、加圧ピストンをさらに動かなくなるようにする。前記特定の時刻は、RPCの流動可能な状態が終了する前の時刻である。
(5)後処理
UHSCおよびRPCのそれぞれの強度が所定値以上になったあと、露出した加圧ピストンを切断する。
技術的効果の分析
このような案は、大きい横断面の複合構造に適する。加圧ピストンとハウジング付き体積補償装置とを併用する場合、間欠的変位加圧方式を使用する。荷重加圧に対して、間欠的変位加圧の利点は、簡単な設備で圧力を一定に維持することができる。荷重加圧の場合、必要となる荷重設備が比較的複雑である。
固まる前および固まった後に、一定の静水圧を受ける状態があるため、領域211および212におけるUHSC材料の最終強度が十分に向上した。最終強度になりまたは最終強度に近い場合、領域211および212におけるUHSCが依然として静水圧状態にありまたは静水圧状態に近い。このような状態で、複合構造に軸方向荷重を加えるとき、複合構造の負荷能力が他の状態の負荷能力よりも高い。他の状態の1つは、領域211および212における横方向の応力が各方向において大きさが異なる状態である。
【0169】
実施例6
図25図27に示すように、複合構造は、鋼管コンクリート軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板に加圧孔1103およびピストン孔1102が設けられている。
図26に示すように、鋼管12の中空部に1つの円筒状隔離装置4が設置され、該円筒状隔離装置4により鋼管12の中空部の横断面が円筒内部領域および円筒外部領域に分けられる。円筒内部領域に粗骨材を含むUHSC材料21が充填され、円筒外部領域に凝結遅延エポキシモルタル22が充填された。凝結遅延エポキシモルタルが凝結遅延エポキシ樹脂と石英粉との混合物である。凝結遅延エポキシモルタルの流動可能な状態の終了時刻が、UHSC材料21の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。凝結遅延エポキシモルタル22の位置する領域に4つのハウジング付き体積補償装置3が取り付けられる。4つのハウジング付き体積補償装置に近いところ、隔離装置4に、凹んだ弧状部が設けられ、該弧状部は、ハウジング付き体積補償装置の設置スペースとして用いられるとともに、領域21と領域22との面積変化を調整することに用いられる。ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置は、上限ガスバッグ、上限気液バッグ、上限液体バッグ、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置の1つである。
ハウジング付き体積補償装置の近くの構造が図27に示されている。支持ハウジングの外側の材料223、支持ハウジングの孔における材料222および支持ハウジングの中空部における材料221は、同一種の流体固体変換材料、すなわち凝結遅延エポキシモルタル22である。
【0170】
施工ステップは、下記の通りである。
(1)部分Aの製造
ハウジング付き体積補償装置を組み立る。ハウジング付き体積補償装置を鋼管12の中空部に固定し、隔離装置を取り付けて固定する。
(2)材料Bの充填
円筒4の内部にUHSC材料21を充填し、円筒4と鋼管12との間の隙間に凝結遅延エポキシモルタル22を充填する。凝結遅延エポキシモルタルの比重がコンクリートの比重よりも小さいため、充填過程において凝結遅延エポキシモルタル22の高さを高強度コンクリート21の高さよりも高くする。好ましくは、コンクリートが押すことで円筒4が膨らみすぎることを防止するため、円筒4と鋼管12との間にいくつかの支持ブロックが設置されてもよい。2種の材料がいずれもフランジの高さにほぼ等しく充填されたとき、充填を一時停止する。
(3)上封止板110の取り付け、加圧管路の取り付け
加圧管路を加圧孔1103に取り付ける。
(4)材料Bの充填
加圧孔1103を介して鋼管の中空部における上端の隙間に凝結遅延エポキシモルタルをさらに充填する。ガスを排出するように、充填過程において排気孔1102を開放状態に保つ。上端の隙間を充填するとき、凝結遅延エポキシモルタルの代わりにRPCを使用してもよい。RPCの強度および弾性係数がとても高いため、鋼管との併用により適し、部材の軸方向圧力を分担することができる。
(5)加圧
加圧管路を介して鋼管12の中空部におけるUHSC、凝結遅延エポキシモルタルまたはRPCに圧縮応力を加える。圧縮応力が所定値になったあと、加圧を停止する。加圧方法は、連続方式であってもよく、間欠的方式であってもい。
好ましい代替案
好ましくは、複合構造の横断面が比較的大きい場合、部分Aの下封止板の内壁に凝結遅延摩擦低減層が設置される。このようにすれば、UHSCが固まったあと収縮するときに下封止板とUHSCとの間のせん断応力の発生を防止することができる。このようなせん断応力は、近くのUHSCの内部の横方向引張応力の発生を招く虞がある。
【0171】
技術的効果の分析
この案は、下記のことを保証することができる。(1)材料22が流動可能な状態にある限りに、材料21が流動可能な状態にあっても固体状態にあっても、材料21が静水圧状態にある。(2)材料22が固体になったあと、横方向の任意の方向において材料21の受ける圧縮応力が等しくなる。材料21がこのように力を受けると、材料の強度を向上させることができる。材料21が最終強度になりまたは最終強度に近い場合に、上記の応力状態であれば、複合構造の軸方向圧縮負荷能力の向上に寄与できる。
【0172】
実施例7
アーチ状圧縮部材が図28図30に示されている。隔離装置4により鋼管の横断面が2つの領域に分けられ、面積の比較的大きい領域にコンクリート21が充填され、面積のの比較的小さい領域に凝結遅延RPCが充填された。ハウジング付き体積補償装置3は、凝結遅延RPCの位置する領域に設置される。横断面は、点対称のものではないが、線対称のものである。非対称による負荷能力の低下を防止するため、設計時に横断面の対称軸の位置する平面と部材の軸線の位置する平面とが一致するように設計される。
ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた円形鋼管であり、鋼管の上端が封止されない。支持ハウジングとしての鋼管の外面の周りおよび上端の周りに凝結遅延PRC材料22が充填され、鋼管12の上端の内側における1層の凝結遅延RPC材料221と鋼管の周りの凝結遅延RPC材料22とが連通しており、鋼管12の上端の凝結遅延RPC材料221を押すとき、圧力が凝結遅延RPC材料22のすべての領域に伝達される。凝結遅延RPC材料22および221は、同一種の材料である。
施工方法が実施例5と類似する。
【0173】
技術的効果の分析
この案の適用範囲が広く、横断面が大きいか小さいか、コンクリート21が流動可能な状態にあるか固体状態にあるかにも関わらず、凝結遅延RPC材料22が流動可能な状態にある場合、コンクリート21の各箇所の応力状態が静水圧状態でありまたは静水圧状態に近くなる。凝結遅延RPC材料22が固体状態にある場合、コンクリート21の各箇所の応力状態も静水圧状態に近くなる。材料22および材料21が最終強度になりまたは最終強度に近い場合、材料21の各点の応力状態は、異なる径方向の垂直応力(Normal stress、正応力)がほぼ等しくなる。この案は、コンクリート21の強度の向上、および複合構造の軸方向圧縮負荷能力の向上に寄与できる。
【0174】
実施例8
図31および図32に示すように、複合構造は、鋼管コンクリート圧縮部材である。鋼管の内部の内部に2つの円筒状の隔離装置が設置され、隔離装置42が隔離装置41で囲まれた領域内に位置し、ハウジング付き体積補償装置が隔離装置41で囲まれた領域内に位置する。隔離装置の高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低い。図32に示すように、鋼管と隔離装置41との間にUHSC材料21が充填され、隔離装置41と42との間に凝結遅延UHSC材料22が充填され、隔離装置42で囲まれた領域に凝結遅延RPC材料23が充填された。本実施例による複合構造の部分Aの構造の形状は、図12および図13のそれぞれにおける部分Aと全く同じである。
好ましくは、(1)凝結遅延UHSC材料22の流動可能な状態の終了時刻は、UHSC材料21の流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、凝結遅延RPC材料23の流動可能な状態の終了時刻は、凝結遅延UHSC材料22の流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、あるいは、(2)凝結遅延UHSC材料22の流動可能な状態の終了時刻は、UHSC材料21の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、凝結遅延RPC材料23の流動可能な状態の終了時刻は、凝結遅延UHSC材料22流動可能な状態終了時刻よりも遅く、あるいは、(3)凝結遅延UHSC材料22の流動可能な状態の終了時刻は、UHSC材料21の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、凝結遅延RPC材料23の流動可能な状態の終了時刻は、凝結遅延UHSC材料22の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。
【0175】
施工方法は、下記の通りである。
(1)部分Aを製造する。ハウジング付き体積補償装置を組み立てる。隔離装置41、42およびハウジング付き体積補償装置3を鋼管12の中空部に取り付ける。
(2)隔離装置42で囲まれた領域に凝結遅延RPC材料23を充填し、隔離装置42と41との間の領域に凝結遅延UHSC材料22を充填し、隔離装置41と鋼管12との間にUHSC材料21を充填する。充填過程において凝結遅延RPC材料23の高さを凝結遅延UHSC材料22の高さよりも高くし、凝結遅延UHSC材料22の高さをUHSC材料21の高さよりも高くする。このような充填方式によれば、充填材料による隔離装置のつぶれを防止することができる。
材料23の高さがフランジの位置に達したとき、該材料の充填を停止するが、材料22の充填を続ける。材料22がフランジの位置に達したとき、該材料の充填を停止するが、材料21の充填を続ける。材料21がフランジの高さになったとき、該材料の充填を停止する。
(3)上封止板を取り付け、加圧管路を上封止板の加圧孔1103に接続し、加圧管路を介して鋼管の残りのスペースに材料23を充填する。鋼管の中空部が満たされたあと、プラグにより排気孔112を封止する。
(4)加圧装置を使用して加圧管路における材料23に圧力を加え、材料23を押すことで中空部におけるハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置に圧力を加えてその体積を小さくする。鋼管12の中空部における材料Bの圧力が所定値になったあと、圧力の加えを停止し、加圧管路における弁を閉じる。加圧方法は、連続加圧方式を使用してもよく、間欠的加圧を使用してもよい。
【0176】
技術的効果の分析
流動可能な状態から強度が所定グレードになる過程において、セメント系材料の体積が常に収縮する。前期に収縮が速く、後期に収縮が遅くなる。材料の流動可能な状態が終了したあとの長時間内に、材料の強度が時間経過とともに増加している。各種の強度で、セメント系材料にクリープ現象が発生することができる。応力状態が同じである場合、材料の強度が低いほど、クリープ速度が高くなる。セメント系材料が低強度段階で発生したクリープは、最終強度にほとんど負の影響を与えない。
下記の2つの制限条件で実施例9の技術的効果を説明する。
(1)材料22の流動可能な状態の終了時刻は、材料21の流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、材料23の流動可能な状態の終了時刻は、材料22の流動可能な状態の終了時刻よりも遅い。
(2)ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置は、圧力が所定値になったあと、この圧力を常に一定に維持する。この条件下で、材料が流動可能な状態にある限り、空間的に材料における各点が同じ静水圧状態にあり、かつ応力状態が時間経過とともに変化しない。
説明の便宜上、材料21、材料22の位置する領域を、厚肉を有する円筒と見なし、ハウジング付き体積補償装置の支持ハウジング32と隔離装置42との間の領域も、厚肉を有する円筒と見なす。材料の番号に基づいて、厚肉を有するこの3つの円筒をそれぞれ円筒21、円筒22および円筒23と称する。
比較例を設け、実施例9の技術的効果を説明する。
【0177】
比較例
実施例9における材料22の代わりに材料21を使用し、隔離装置41をなしにする。円筒21と円筒22とを組み合わせて1つの円筒にし、該円筒の厚さが元の2つの円筒の厚さの合計である。組み合わせた円筒を円筒2122と称する。
まず、本実施例の第1の状況を分析する。第1の状況は、材料21が固まり、材料22および材料23がそれぞれまだ流動可能な状態にある状況である。
固まった後の材料21でも体積が収縮し、収縮により、円筒21の外壁と鋼管の内壁との間の圧縮応力が低下する。材料22および23がそれぞれ流動可能な状態にある場合、円筒21の内壁(隔離装置41の近く)における径方向圧縮応力が、ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置31による圧縮応力に等しく、この圧力が時間経過とともに変化しない。したがって、円筒21の内壁における径方向圧縮応力が外壁(鋼管の近く)における径方向圧縮応力よりも大きく、この2つの箇所の径方向圧縮応力の差が、円筒21の径方向における厚さの増加とともに大きくなり、径方向における厚さの減少とともに小さくなる。
【0178】
そして、本実施例の第2の状況を分析する。第2の状況は、材料21および22が固まり、材料23がまだ流動可能な状態にある状況である。
材料22が流動性を失ったとき、材料21の体積収縮の転換点が出現し、転換点以降、材料21の体積収縮の速度がとても遅く、収縮した体積の総量もとても少ない。分析を簡単にするため、転換点以降に発生した材料21の体積収縮を無視にする。
材料21の体積がさらに収縮しなくなったとき、第2の状況での円筒22に対する分析は、第1の状況での円筒21に対する分析方法と全く同じである。
さらに、比較例を分析する。比較例において、円筒2122の厚さが円筒21と円筒22との厚さの合計となり、円筒21および22の材料が同時に固まり、つまり同時に流動可能な状態の終了時刻に達し、同時に体積収縮の転換点に達する。比較例における圧力供給装置による圧力と実施例9における圧力供給装置による圧力とが同じである場合、比較例における円筒2122の内壁と外壁との間の径方向の圧力差は、実施例9における円筒22の内壁と円筒21の外壁との間の径方向の圧力差よりもはるかに大きくなる。
明らかに、実施例9における鋼管の内壁における径方向圧縮応力が、比較例における鋼管の内壁における径方向圧縮応力よりも大きい。複合構造の断面積がとても大きい場合、実施例9の技術的効果がより明らかである。なお、実施例9において、鋼管の内部のセメント系材料の円筒の数を増やすことができる。円筒の数の増加が下記の2つの条件を満たす場合、円筒の追加ごとに、圧力供給装置による圧縮応力と鋼管の内壁に作用する圧縮応力との差を小さくすることができる。前記2つの条件として、(1)任意の1つの隔離装置について、隔離装置の内側の円筒材料の流動可能な状態の終了時刻が、その外側の円筒材料の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、(2)各円筒の厚さが小さくなる。
【0179】
実施例9
複合構造は、等断面の鋼管内に材料Bを充填した圧縮部材である。部分Aは、実施例5における部分A(図22を参照)、または実施例6における部分A(図25を参照)を使用する。横断面は、図33および図34に示されており、図34が部分拡大図である。前記鋼管12の中空部内に略円筒状の隔離装置41が設置され、該隔離装置41で囲まれた領域内にRPC材料21が充填され、前記隔離装置41の高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低い。隔離装置41と鋼管12との間に、高さが鋼管12の中空部の高さよりも少し低い2つのΩ形の隔離装置42が設置される。各前記Ω形の隔離装置42と鋼管12の内壁とで囲まれた領域内に、1つのハウジング付き体積補償装置3が設置され、凝結遅延エポキシモルタル23が充填された。隔離装置41と、2つのΩ形の隔離装置42と、鋼管12とで囲まれた2つの領域に凝結遅延RPC材料22が充填された。
凝結遅延RPC材料22の流動可能な状態の終了時刻は、RPC材料21の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅く、凝結遅延エポキシモルタル23の流動可能な状態の終了時刻は、凝結遅延RPC材料22の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。
前記ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置は、ガスバッグ、気液バッグ、弾性的ハウジングエネルギー貯蔵装置または加圧エネルギー貯蔵液体バッグから選択されるものである。
【0180】
施工方法は、下記の通りである。
(1)充填前の作業
複合構造の部分Aを製造する。2つのハウジング付き体積補償装置を鋼管12の内部に固定し、2つのΩ形の隔離装置42を鋼管12の内部に設置し、テープにより隔離装置42を鋼管の管壁に固定し、隔離装置41を鋼管12の中空部に設置する。
(2)材料Bの充填、上封止板の取り付け
隔離装置41で囲まれた領域にRPC材料21を充填し、隔離装置41と、隔離装置42と、鋼管とで囲まれた2つの領域に凝結遅延RPC材料22を充填し、隔離装置42と鋼管とで囲まれた領域に凝結遅延エポキシモルタル23を充填する。充填した材料の高さがフランジの近くに達したとき、充填を停止し、上封止板を取り付ける。満たされるまで、さらに部分Aで囲まれた中空部における残りのスペースに凝結遅延RPC材料22を充填する。
(3)加圧装置の取り付け、材料Bへの加圧
加圧方法は、連続加圧または間欠的加圧を使用する。
技術的効果の分析
比較例を設け、本実施例を比較例と比較することにより本実施例の技術的効果を説明する。
比較例では、本実施例において凝結遅延エポキシモルタル23が使用されなく、エポキシモルタルの位置する領域において凝結遅延RPC材料22を使用する。以下、比較例の欠点を分析する。流動可能な状態の後期において、凝結遅延RPC材料22が支持ハウジングの孔から流出できるようにするには、支持ハウジングの内部と外部との圧縮応力の差を比較的大きくする必要がある。また、この段階においてRPC材料21および凝結遅延RPC材料22の収縮がまだ発生するため、鋼管12の内壁と支持ハウジングの外面との間に位置するすべての材料Bの内部の圧縮応力がさらに下げられてしまう。
本実施例による案において、RPC材料22が流動可能な状態の後期にあるとき、流動性が劣化するが、ハウジング付き体積補償装置は、凝結遅延エポキシモルタル23を押してその収縮によるスペースを補償することができる。材料21および材料22が固まったあとに収縮した量が比較的大きくて材料22と鋼管との間に隙間が生じても、凝結遅延エポキシモルタル23が該隙間に進入することができる。これによって、材料21および材料22の収縮に起因した圧力低下の幅を下げることができる。
また、エポキシ樹脂のコストが凝結遅延RPCのコストよりもはるかに高いため、凝結遅延RPC材料22の占めるすべてのスペースにおいて凝結遅延エポキシモルタルを使用するとコストが比較的高くなる。ハウジング付き体積補償装置の近くにのみエポキシモルタルを使用する場合、複合構造の全体コストの削減に寄与できる。
【0181】
実施例10
図35~37に示すように、鋼管コンクリート複合構造は、軸方向圧縮部材である。部分Aは、上封止板110と、フランジ111と、鋼管12と、下封止板13とを含む。フランジ111が鋼管12の上端に溶接され、下封止板が鋼管12の下端に溶接される。上封止板とフランジとがボルトにより接続され、上封止板におけるボルト孔1101と下封止板におけるボルト孔1111とが位置が合わせるように設けられ、上封止板に材料入り孔1103、排気孔1102および加圧孔1104が設けられている。
図35~37に示すように、鋼管の中空部において、中心から周辺に向かって順に材料B21、材料B22および材料B23が充填された。材料B21と材料B22との間に隔離装置41が設置され、材料B22と材料B23との間に隔離装置42が設置され、上封止板における加圧孔1104の位置が材料B22の位置する領域と対向する(図37を参照)。前記隔離装置41および42は、それぞれ薄い鉄板製のものであり、隔離装置41が波形の筒であり、隔離装置42が4つの凹部を有する筒である。前記隔離装置41および42は、下端と下封止板との間にほとんど隙間がなく、上端と上封止板との間に5mm~30mmの隙間が設けられている。横方向および縦方向の少なくとも一方での動きを防止するように、前記隔離装置41および42のそれぞれに下封止板13と接続するためのいくつかの固定箇所が設けられる。好ましくは、隔離装置の固定箇所を3つ~6つ設ける。この場合、隔離装置の固定箇所以外の箇所の横方向の変形に影響を与えることなく、隔離装置の位置を固定することができる。
前記材料Bは、凝結遅延高分子材料と固体顆粒との混合物であり、前記材料Bは、凝結遅延RPCであり、前記B材料は、UHSC(超高強度コンクリート)材料である。
【0182】
前記材料B、材料Bおよび材料Bは、下記の特徴を有する。
(1)材料B22の流動可能な状態の終了時刻は、B材料21の流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、好ましくは、材料B22の流動可能な状態の終了時刻は、材料B21の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。
(2)材料B23の流動可能な状態の終了時刻は、材料B22の流動可能な状態の終了時刻よりも遅く、好ましくは、材料B23の流動可能な状態の終了時刻は、材料B22の体積収縮の転換点の開始時刻よりも遅い。
製造工程は、下記の通りである。
(1)部分Aを製造する。
(2)ハウジング付き体積補償装置を用意する。
二重限界限ガスバッグを前記ハウジング付き体積補償装置における圧力供給装置として使用し、気圧が所定値になるまで上限ガスバッグにガスを充填する。
4つのハウジング付き体積補償装置を部分Aで囲まれた中空部における所定位置に取り付ける。
(3)隔離装置41および42を下封止板13に固定する。
(4)中空部に材料B21、材料B22および材料B23を同時または交互に充填する。充填過程において、充填する材料により隔離装置が横方向に変形しすぎるように押されることを防止するため、3種の材料の高さを特定の範囲に制限する。充填過程において棒形振動機を使用して材料B21、材料B22を振動させることにより、その中の気泡を除去する。加振機を使用して鋼管12を振動させることにより、材料B23の流動性を向上させ、これによって、材料B23がより容易にハウジング付き体積補償装置における支持ハウジングの管壁の孔を介してガスバッグと支持ハウジングの内壁との間の隙間に流れることができるとともに、材料B23の内部の気泡および空隙の除去に寄与できる。
(5)材料B21が隔離装置41の上端に近いとき、材料B21の充填を停止する。材料B21の上面に薄い鉄板製のカバー411が設置され、カバーが隔離装置の中空部に進入するようにする。前記カバーは、隔離装置41で囲まれた中空部に適合するような形状およびサイズを有する。カバー411の役割は、材料Bと材料Bまたは材料Bとの接触面が大きすぎることを防止し、異なる材料Bの大面積での接触に起因した、材料の流動可能な状態の持続時間の変化を防止することである。
(6)材料B23の上面が隔離装置42の上端に近くまたは達するまで、材料B23を充填する。このステップがステップ(5)の前に実行されてもよい。
(7)上封止板110を取り付け、加圧管路の一端を上封止板110の加圧孔1104に取り付け、加圧管路の他端を加圧ポンプに接続する。前記加圧ポンプが凝結遅延RPCを管路に圧送して圧力を加えることができる。
上封止板110の加圧孔1104に取り付けられた、凝結遅延RPCを有する加圧管路は、簡素化加圧装置である。
(8)加圧孔1104に取り付けられた加圧管路を介して、部分Aで囲まれた中空部に凝結遅延RPC材料を注入し、注入過程において、空気を孔1102および1103の少なくとも一方から排出させる。継続的に注入し、凝結遅延RPCを孔1102および1103の少なくとも一方からある程度流出させ、これによって部分Aで囲まれた中空部におけるガスを排出する。
(9)プラグにより孔1102および1103のそれぞれを封止する。
(10)圧力が所定値になるまで、加圧ポンプを使用して加圧孔1104に接続される加圧管路を介して部分Aで囲まれた中空部に凝結遅延RPC材料をさらに圧送して圧力を大きくする。
(11)圧力を維持するには、下記の2種の方法の1つを選択する。
(i)継続的加圧方法
圧力が所定値になったとき、圧力を一定にする。前記一定の圧力の値の確定方法として、ハウジング付き体積補償装置における二重限界ガスバッグの圧力を上限値と下限値との間にし、ガスバッグの周辺の媒体の圧力が変化するときにガスバッグが膨張したり収縮したりすることができる。
(ii)間欠的加圧方法
加圧ポンプを使用して部分Aで囲まれた中空部に材料Bを注入し、圧力が所定値になったとき、加圧管路における弁を閉じ、これによって、部分Aで囲まれた中空部における材料B、材料Bおよび材料Bが前記中空部に対して出入りすることができない。
部分Aで囲まれた中空部における材料Bまたは材料Bの圧力をモニタリングし、圧力が所定値未満であるとき、加圧ポンプを使用して向部分Aで囲まれた中空部に材料B22を圧送し、材料B22の圧力が所定値になったとき、加圧管路における弁を再度閉じ、このように複数回繰り返す。
継続的加圧方法および間欠的加圧方法のいずれもの場合でも、材料Bの流動可能な状態が終了する前に加圧管路における弁を閉じ、加圧ポンプを取り外して、材料Bが加圧ポンプに固まることを防止する必要がある。
技術的効果の分析
この実施例は、複合構造部材の横断面がとても大きい場合に適する。
例えば、鋼管12の内径が3メートル、隔離装置41の内接円の直径が2.5メートルであり、隔離装置41の外接円の直径が2.6メートルであり、隔離装置42の直径が2.9メートルである。
【0183】
比較例の部材を製造する。比較例の部材には材料Bとして材料BおよびBの2種のみが使用され、すなわち、実施例において、隔離装置41をなしにし、材料Bの代わりに材料Bを使用し、隔離装置42を依然として使用する。部分Aで囲まれた中空部の上端に材料Bが充填された。比較例の部材との比較に基づいて、下記の分析を行う。
材料Bは、凝結遅延高分子材料と固体顆粒との混合物であり、その利点は、流動可能な状態の持続時間の調整可能な範囲が比較的広く、流動性の経時変化が比較的小さい。その欠点は、コストが比較的高く、弾性係数および三軸強度がRPC材料よりも小さい。本実施例の案を使用する場合、部分Aで囲まれた中空部の上端部に材料B(RPC)が充填され、材料Bを充填する場合に対してコストを削減するだけでなく、部材の負荷能力の向上に寄与できる。
【0184】
本実施例の案を使用する場合、加圧管路の弁を閉じる前、材料Bおよび材料Bの収縮により生じた隙間が加圧ポンプにより圧送された材料Bにより補償され、この部分の隙間が、部分Aで囲まれた中空部における材料B、材料Bおよび材料Bがいずれも最も強い強度になる前に生じた隙間の合計の大部分を占める。明らかに、この時間帯に、材料Bおよび材料Bの収縮量が材料Bにより補償されなく、材料Bの使用量を大幅に低減させ、コストを削減することができる。
弁を閉じたあとのみ、材料Bの収縮により生じた隙間が、4つのハウジング付き体積補償装置における、ガスバッグにより押し出される材料Bにより充填されるので、ガスバッグの体積変形量に対する要求も低下した。
【0185】
用語の説明
少なくとも
「下記の特徴の少なくとも1つを有する」は、下記の特徴の1つ、下記の特徴の2つ以上、または下記の特徴のすべてを有することを意味する。
「領域Zの少なくとも一部の領域において」は、領域Zにおける1つの領域、複数の領域、または領域Z全体におけることを意味する。
「全過程における少なくとも1つの時間帯において」は、1つの時間帯、複数の時間帯、または全過程におけることを意味する。
複数
本明細書において、「複数」は、2つ以上を意味する。
簡素化加圧装置
簡素化加圧装置の特徴として、部材の部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に圧力を加えることができるが、該装置に支持ハウジングを含めていない。
好ましくは、前記簡素化加圧装置は、加圧ピストン、媒体を有する加圧管路、凝結遅延加圧液体バッグから選択されるものである。
加圧装置および簡素化加圧装置
本発明において2つの加圧装置を有し、1つは、支持ハウジングにおける圧力供給装置を加圧装置として選択するときの「加圧装置」であり、このとき、加圧装置が依然として加圧装置と称され、他の1つは、簡素化加圧装置である。
加圧ピストン
前記加圧ピストンは、表面が滑らかであり、固体材料製ロッド部材であり、部分Aにおけるピストン孔を通して部分Aで囲まれた中空部に挿入され、加圧ピストンとピストン孔との間を密封処理するように構成される。また、加圧ピストンは、その長手方向に沿って移動し、部分Bである材料の占めるスペースを占用することにより圧力を大きくし、および/または占用したスペースを譲ることにより圧力を小さくするように構成される。
加圧管路
前記加圧管路は、外部の圧力源と部分Aで囲まれた中空部とに接続される管路であり、管路が流動可能な状態である部分Bである材料で満たされる。圧力源により圧力を加えるとき、管路における部分Bである材料が部分Aで囲まれた中空部に入る。
凝結遅延加圧液体バッグ
前記凝結遅延加圧液体バッグの特徴として、(1)液体バッグが部分Aで囲まれた中空部に設置され、(2)液体バッグにおける材料が凝結遅延流体固体変換材料であり、前記凝結遅延流体固体変換材料の固まりの開始時刻が加圧の終了時刻よりも遅い。
簡素化加圧装置を利用して加圧を行う方法
【0186】
本発明に係る加圧方法は、少なくとも下記のことを含む。
(1)バッグタイプ加圧装置を使用して圧力を加える。
(2)加圧ピストンを使用して圧力を加える。
前記加圧ピストンは、表面が滑らかな柱状体であり、占用する、部分Aで囲まれた中空部におけるスペースを増加させたり減少させたりすることにより、前記中空部における流動可能な状態である材料Bの圧力を大きくしたり小さくしたりするように構成される。
(3)管路を介して直接中空部に流動可能な状態にある流体固体変換材料を注入する。
予圧縮応力
予圧縮応力は、ある時刻の前に部分Bである材料を押すことにより複合構造の部分Aで囲まれた中空部における部分Bである材料に加えた応力である。
例えば、細い管を使用して中空部における部分Bである材料を中空部の外部の加圧装置と接続し、管が部分Bに使用する材料で満たされた。管における材料が固まって強度が十分になるまで、加圧装置により管における材料に一定の圧力を加える。そして、部分Aの外面の外部の管を取り外す。明らかに、部分Aの中空部における材料Bが依然として前に加えた圧力を受け、この圧力が予圧縮応力である。圧力の作用で、材料Bに体積収縮を引き起こすクリープ現象が発生するおそれがあるため、中空部の内部の部分Bの特定の箇所で、予圧縮応力が時間経過とともに小さくなることがある。この部分Bにおいて、予圧縮応力の分布も時間経過とともに変化することがある。
【0187】
残留予圧縮応力
残留予圧縮応力は、材料B1および材料B2がそれぞれ固まっても、材料B1および/又は材料B2が収縮し、このとき、材料における元の予圧縮応力が小さくなり、小さくなったあとに残った予圧縮応力が前記残留予圧縮応力であることを意味する。
流体固体変換材料
流体固体変換材料は、流動可能な状態から固体状態に変化できる材料である。
本発明に係る材料Bは、いずれも流体固体変換材料である。
流動性
材料が流動性を有することは、材料が下記の特徴の少なくとも1つを有することを意味する。
(1)静水圧の有無にも関わらず、静的せん断強度を持たない。ほとんど静的せん断強度を持たないとは、凝固可能な材料の最終の静的せん断強度に対して、当該時点での静的せん断強度が、最終強度の数万分の1から十数分の1であり、とても小さいことを意味する。
(2)材料が静的一軸圧縮強度を持たない。ほとんど静的一軸圧縮強度を持たないとは、凝固可能な材料の最終の静的一軸圧縮強度に対して、当該時点での静的圧縮強度が、最終強度の数万分の1から十数分の1であり、とても小さいことを意味する。
(3)任意のとても小さなせん断力を受けると、時間経過とともに継続的に変形する。前記とても小さなせん断力とは、せん断力を加えるとき、せん断力がただ、凝固可能な材料の最終の静的せん断強度の数万分の1から十数分の1であることを意味する。
流動可能な状態
材料は、流動性を有する場合、流動可能な状態である。
比較的高い流動性
ある時点で、第1材料および第2材料がいずれも同じ応力を受け、該応力が時間経過とともに変化しなくかつ偏差応力テンソル(deviatoric tensor of stress)がゼロではなく、第1材料の偏差ひずみ速度が第2材料の偏差ひずみ速度より速い場合、第1材料は、第2材料に対して流動性が比較的高いと見なされる。
【0188】
凝固(固まる)
本発明において、凝固とは、材料が、静的または準静的せん断強度がゼロまたはほぼゼロの状態から、静的または準静的せん断強度をもつ状態になる過程を意味する。
静的または準静的せん断強度がほぼゼロであることとは、凝固可能な材料の最終の静的せん断強度に対して、当該時点での静的せん断強度が、最終強度の数万分の1から十数分の1であり、とても小さいことを意味する。
凝固は、セメントペースト、セメントモルタル、コンクリート、反応性粉体コンクリートなどの凝結硬化過程、高分子材料が流動可能な状態から固体になる過程を含むが、これらに限定されない。
凝固過程において、材料のクリープ特性が漸次変化し、粘性係数が漸次大きくなる。
【0189】
凝結遅延摩耗低減材料
該材料は、下記の特徴の1つを有する。
(1)調製できたあと、所定の時間内に、静的せん断強度は、ゼロまたはほぼゼロになり、凝結遅延摩耗低減材料の最終の静的せん断強度の数万分の1から十数分の1である。
(2)特定の時間を過ぎたら、材材料の凝集力および内部摩擦角が増加し、漸次に最終値に近づいていき、凝結遅延摩耗低減材料とそれに接触する固体の表面との結着力および摩擦係数が増加し、漸次に最終値に近づいていく。
【0190】
凝結遅延摩耗低減層
凝結遅延摩耗低減層は、凝結遅延摩耗低減材料で製造された層状材料であり、中空部における材料Bと部分Aの内面との間に設置される。
凝結遅延摩耗低減層の製造方法として、以下のいくつかの方法を含む。
(1)凝結遅延材料を、透水性を有する織編物に塗布する。
(2)凝結遅延材料を、透水性を有しない薄膜の片面または両面に塗布し、部分Aの内面と接触する薄膜の表面に凝結遅延摩耗低減材料を塗布しなければなりません。
(3)部分Aの内面の特定の領域に凝結遅延摩耗低減材料を塗布し、そして凝結遅延摩耗低減材料に透水性を有する織編物、または透水性を有しない薄膜を貼り付ける。
凝結遅延摩耗低減層が流動性を失った時刻は、必ず中空部における材料Bが固まり始める時刻よりも遅く、好ましくは、材料Bの収縮の転換点の開始時刻よりも遅くし、これによって、材料Bの、部分Aの内壁に面する面におけるせん断応力を弱めたり、除去したりする。凝結遅延摩耗低減層が設けられない場合、部分Bである材料が固まっても体積が収縮するため、材料Bと部分Aの内壁との界面にせん断応力が存在し、このせん断応力のため、材料Bの内部の圧縮応力の分布が不均一になり、ひいては材料Bの内部に引張応力が生じる虞がある。
【0191】
装置の見かけ体積
装置の見かけ体積は、該装置の外面で囲まれた体積である。
上記の定義に基づいて、圧力供給装置が見かけ体積を有する。
装置の見かけ体積弾性係数
装置の周辺が静的流体で満たされ、装置の外面に流体圧力pが作用し、圧力pに増分Δpが生じると、対応して該装置の見かけ体積に増分ΔVが生じるようにした場合、下記のように表す。
【0192】
【数1】
上記の定義に基づいて、圧力供給装置が見かけ体積弾性係数を有する。
見かけ体積変形係数
見かけ体積変形係数は、下記の式で表される。
【0193】
【数2】
支持ハウジングの孔が設けられない部分の剛性
支持ハウジングは管壁に孔が設けられた鋼管である場合を例として説明する。
支持ハウジングは、管壁に孔が設けられた鋼管であり、管壁に孔が設けられない部分をとる。この部分の鋼管の外面の径方向剛性は、上記孔が設けられない部分の1種の剛性であり、無論、この部分の鋼管の軸方向剛性も1種の剛性である。本発明では、特に断りがない限り、支持ハウジングの剛性が径方向剛性または法線方向剛性である。
【0194】
体積収縮の転換点
体積収縮の転換点が収縮の転換点と略称される。
セメント系材料(攪拌して凝固していないもの)を密閉環境に置き、次の2つの段階を経る。
(1)第1段階において、材料が受ける圧力が少なくとも最初の時期に変化し、この段階で温度が変化してもしなくてもよい。
(2)第2段階において、温度および圧力を一定にし、体積ひずみと時間の関係を示す曲線を記録する。
第2段階において、体積ひずみと時間の関係を示す曲線に下記の特徴を有する点がある場合、該点が収縮の転換点である。
該点の特徴として、曲線の曲率がこの点で最大となり、この点以降の体積ひずみ速度は、この前の第2段階の平均速度よりもはるかに小さく、ただこの前の速度の数十分の1から数分の1であり、ひいてはそれよりも小さくなる。通常の水セメント比または水結合材比の範囲に、収縮の転換点が現れたとき、材料が既にある程度の静的せん断強度をもつ。
第2段階において、体積ひずみと時間の関係を示す曲線に転換点がない場合、第2段階の開始時間が遅すぎることを示し、第1段階の時間を短縮すれば、第2段階の曲線に転換点を現れさせることが可能である。第2段階が開始するとき材料がまだ流動可能な状態にあると、必ず転換点が見つかる。第2段階の開始時に材料がある程度の静的せん断強度を持っても、強度が十分に高くなければ、依然として転換点が見つかる。
【0195】
柱状体
柱状体の特徴は、軸線が直線であり、横断面が同じである。
角丸角柱体
角丸角柱体の特徴は、角柱体の横断面が角丸多角形のものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図32
図33
図34
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図37
図38
図39
図40
【国際調査報告】