(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】歯肉疾患検査
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240918BHJP
A61C 19/04 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G16H10/00
A61C19/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508936
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022072409
(87)【国際公開番号】W WO2023020904
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】コーイマン ヘルベン
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス ジオニージオ マサンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ルメイリー アミール フセイン
【テーマコード(参考)】
4C052
5L099
【Fターム(参考)】
4C052NN02
4C052NN12
4C052NN16
5L099AA03
(57)【要約】
歯肉疾患検査を支援するためのシステムは、診断中の対象者の歯肉の検査中に検査されるべき口腔領域の指示を提供する。過去の検査データが、対象者の集合に関して使用される。このデータを使用して、検査されるべき第1の口腔領域が決定され、過去の検査データと、検査中の以前に検査された口腔領域の測定値とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域がさらに決定される。このようにして、検査されるべき口腔領域の順序が、できるだけ少ない測定の後に診断を得る(陽性診断が行われる場合)ことにより、できるだけ迅速に検査を行うことを目的として、システムによって決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯肉疾患検査を支援するためのシステムであって、
診断中の対象者の歯肉の検査中に検査されるべき口腔領域を示すための出力と、
対象者の集合に関して検査された口腔領域及び関連する検査測定値を特定する過去の検査データを受け取るための第1の入力と、
示された口腔領域の検査結果を受け取るための第2の入力と、
プロセッサとを含む、システムであって、
前記プロセッサが、
検査されるべき第1の口腔領域を前記過去の検査データに基づいて決定し、
これまでの前記検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の前記検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすかどうかを決定し、
前記過去の検査データと、これまでの前記検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の前記検査とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域を決定する、システム。
【請求項2】
患者メタデータを受け取るための第3の入力をさらに含み、前記プロセッサが、検査されるべき前記口腔領域を決定する際に、前記患者メタデータを考慮に入れる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記過去の検査データが、患者メタデータをさらに含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検査が、歯周プロービングである、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記検査が、撮像処置である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
これまでに示され測定された前記口腔領域の前記検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすか、又は
十分な口腔領域が検査されており、その結果、歯肉疾患を示す前記測定基準がもはや満たされない
場合に前記検査の終了を示す、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記過去の検査データの統計分析に基づいて、検査されるべき第1の口腔領域及び任意の次の口腔領域を決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記統計分析は、各検査口腔領域が陽性歯肉疾患診断に含まれる確率を特定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
検査されるべき前記口腔領域を示す実時間ガイダンスを提供するためのディスプレイをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記過去の検査データを格納するデータベースをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者の口腔内走査データを受け取るための第4の入力をさらに含み、前記プロセッサが、検査されるべき前記口腔領域を決定する際に、前記患者口腔内走査データを考慮に入れる、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
各口腔領域が、前記口の一部分、個々の歯、又は個々の歯部位を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコード手段は、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、
検査された口腔領域及び関連する検査測定値を特定する対象者の集合に関する過去の検査データを使用して、検査されるべき第1の口腔領域を決定するステップと、
検査されるべき前記第1の口腔領域の指示を出力として提供するステップと、
示された口腔領域の検査結果を受け取るステップと、
これまでの前記検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすかどうかを決定するステップと、
これまでに示された前記口腔領域の前記検査が前記測定基準を満たしていない場合、前記過去の検査データと、これまでの前記検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の前記検査とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域を決定するステップと
を有する方法を実施する、コンピュータプログラム。
【請求項14】
前記方法は、
これまでに示され測定された前記口腔領域の前記検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすか、又は
十分な口腔領域が検査されており、その結果、歯肉疾患を示す前記測定基準がもはや満たされない
場合に前記検査の終了を示すステップを有する、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記方法が、前記過去の検査データの統計分析に基づいて、検査されるべき第1の口腔領域及び任意の次の口腔領域を決定するステップを有する、請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周炎検査などの歯肉疾患検査を支援するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯周炎は、米国の成人人口の約半分が冒されていると報告されている慢性歯肉疾患であるが、いまだ、冒されている人の半数超が、歯科医によってそのように診断されていない。主な理由は、スクリーニングプロセスが、多くの時間を要し、痛みを伴い、歯科医しか行うことができないことである。
【0003】
歯科医は、一般に、患者が必要とする正しい介入を決定するために、いわゆる「全口歯周検査」(FMPE)を実行する。その手順は、28個の歯(親知らずは除外される)について1つの歯につき4つ又は6つの部位をプロービングすることを含み、プロービングされる部位は112個又は168個に達する。
【0004】
歯周検査中に、各歯は個別に診断される。目盛付き歯周プローブ(例えば、3、6、8、及び11mmのマーキングを有する)でプロービングするために、0.25N(25g)のわずかな力が加えられる。プローブの先端(直径0.5mm)は、歯の軸に沿って歯肉溝の中に優しく挿入される。プロービング深さは、プロービングのマーキングから読み取られる。
【0005】
FMPEは、疾患を有することが分かっている患者に対してのみ妥当である。患者がFMPEの候補であるかどうかを決定するために、歯科医は、多くの場合、選択した数の部位をプロービングする部分的口検査(Partial-Mouth Examination)を実行する。1993年に、米国歯学会(ADA)は、FMPEを必要とする患者を特定するための迅速で再現可能な方法として、歯周スクリーニング及び記録(PSR)システムを導入した。PSRは、歯肉疾患を表すために数値コード、すなわち、歯肉炎コード0~2、歯周炎コード3~4を使用する。
【0006】
PSRシステムでは、専用プローブ(「PSRプローブ」)が、六区分(sextant)内の各部位をプロービングするために使用されるが、六区分内で測定された最も大きいポケット深さのみが記録される。各測定値は、特別に定義された閾値を使用して、数値コードのうちの1つに関連づけられる。FMPEに対するPSRの主な利点は、より単純なプローブが使用され、歯科医が6つの数値を記録するだけでよいことである。
【0007】
一般に、歯科医は、六区分内の少数の部位を測定し、測定値が正常限界内にあると感じたとき停止する。この手法は、極めて一般的であり、患者の健康を正確に評価できないことが多い。
【0008】
軽度及び中等度の歯周炎は、すべての歯周症例の81%を占めるが、それにもかかわらず、ほとんど場合、そのように診断されないことは注目に値する。重度の患者がより高い割合で診断されているという事実は、既に手遅れになったときに診断される可能性が高くなっていることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
歯肉疾患をできるだけ効率的に診断する、特に、長引く検査からの患者の不快感を低減する信頼性の高いやり方が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【0011】
本発明の一態様による例によれば、歯肉疾患検査を支援するためのシステムが提供され、このシステムは、
診断中の対象者の歯肉の検査中に検査されるべき口腔領域を示すための出力と、
検査された口腔領域及び関連する検査測定値を特定する、対象者の集合に関する過去の検査データを受け取るための第1の入力と、
示された口腔領域の検査結果を受け取るための第2の入力と、
プロセッサとを含み、プロセッサが、
検査されるべき第1の口腔領域を過去の検査データに基づいて決定し、
これまでの検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすかどうかを決定し、
過去の検査データと、これまでの検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の検査とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域を決定するように適合される。
【0012】
本発明は、歯肉の健康状態に関する過去の検査データのデータベースを動的に使用することによって、診断を確立するための最も迅速な経路を保証にするシステム及びソフトウェア実施方法を提供する。データベースは、一般に、口の一部分、個々の歯、又はさらに個々の歯部位の詳細情報を含む。したがって、各口腔領域は、口の一部分、個々の歯、又は個々の歯部位を含む。
【0013】
このシステムは、専門の歯科診療に適用可能であり、加えて自己診断のために消費者に適用可能である。
【0014】
歯科医診療では、実時間ガイダンスが、疾患スクリーニングプロセスに与えられ、現在の標準と比較して、必要とされる時間が著しく減少する。消費者適用では、この方法は、歯周自己スクリーニングのための診断ツール(例えば、口腔内画像の撮影に基づくツール)を使用する際に、患者を最適にガイドするために使用される。
【0015】
このシステムは、歯周検査に伴う時間及び労力を最小にする。スピーディな診断に至るために、例えば、システムのユーザが次にどの口腔領域を評価する必要があるかを示すことによって、実時間ガイダンスが与えられる。これは、例えば、前の部位から取得された測定値に基づいて実時間で検査領域を推奨する確率的アルゴリズムによって動的に行われる。
【0016】
検査のための次の口腔領域を決定するために、現在実行されている検査に関する以前に検査された口腔領域の測定値を使用することにより、より個人向けのシーケンスが提供される。例えば、歯肉疾患(例えば、歯周炎)は、一般に、口内の特定の領域にある程度局在する。すべての人々にわたって、ポケット深さ及び出血は、通常、遠臼歯部位及び下前内側部位においてより悪くなる。それにもかかわらず、この局在化は、個人間で異なる。したがって、患者を検査するとき、この方法は、基本的に、過去のデータベース内の類似した患者を見つけようとし、そこから、最も可能性の高い最悪の状態の部位が決定される。
【0017】
このシステムは、患者のメタデータを受け取るための第3の入力をさらに含み、プロセッサは、検査されるべき口腔領域を決定する際に、患者メタデータを考慮に入れる。これにより、喫煙、年齢、などの特定の要因を考慮に入れることが可能になる。過去の検査データは、好ましくは、患者のメタデータをさらに含み、その結果、診断されている対象者は、過去のデータとより良く照合される。
【0018】
検査は、歯周プロービング(歯科医による)、X線撮像(歯科医による)、又は可視光撮像(消費者による)である。
【0019】
このプロセッサは、
これまでに示され測定された口腔領域の検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすか、又は
十分な口腔領域が検査されており、その結果、歯肉疾患を示す測定基準がもはや満たされない
場合に検査の終了を示すように適合される。
【0020】
したがって、陽性診断が与えられるとすぐに、又は十分な口腔領域が検査されており、陽性診断がもはやあり得ないとき、すなわち、これまでに検査された口腔領域の測定結果、及び検査されていない口腔領域のあり得る測定結果を考慮すれば、歯肉疾患の基準がもはや満たされないとき、検査は終了する。それにより、検査時間は最小に保たれる。
【0021】
プロセッサは、過去の検査データの統計分析に基づいて、検査されるべき第1の口腔領域及び検査されるべき任意の次の口腔領域を決定するように適合される。例えば、統計分析は、各検査口腔領域が陽性歯肉疾患診断に含まれる確率を特定する。これは、短時間検査の可能性を高める(歯肉疾患が特定される場合)。
【0022】
このシステムは、検査されるべき口腔領域を示す実時間ガイダンスを提供するためのディスプレイをさらに含む。
【0023】
このシステムは、過去の検査データを格納するデータベースを含む。代替として、システムは、リモートデータベースにアクセスしてもよい。
【0024】
第4の入力は、患者の口腔内走査データを受け取るために用意され、プロセッサは、検査されるべき口腔領域を決定する際に、患者口腔内走査データを考慮に入れる、
【0025】
このようにして、現在の患者の走査データとデータベース内の患者の走査データの比較が、検査されるべき(例えば、プロービングによって)次の推奨口腔領域を決定する際に使用される。
【0026】
本発明は、コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムをさらに提供し、コンピュータプログラムコード手段は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、
検査された口腔領域及び関連する検査測定値を特定する、対象者の集合に関する過去の検査データを使用して、検査されるべき第1の口腔領域を決定するステップと、
検査されるべき第1の口腔領域の指示を出力として提供するステップと、
示された口腔領域の検査結果を受け取るステップと、
これまでの検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすかどうかを決定するステップと、
これまでに示された口腔領域の検査が測定基準を満たしていない場合、過去の検査データと、これまでの検査中に示された1つ又は複数の口腔領域の検査とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域を決定するステップとを有する方法を実施するように適合される。
【0027】
したがって、プログラムは、短時間検査プロセスをもたらす可能性が最も高い順序で口腔領域を検査するようにユーザをガイドする。
【0028】
この方法は、
これまでに示され測定された口腔領域の検査が、歯肉疾患を示す測定基準を満たすか、又は
十分な口腔領域が検査されており、その結果、歯肉疾患を示す測定基準がもはや満たされない
場合に検査の終了を示すステップを有する。
【0029】
検査されるべき第1の口腔領域及び任意の次の口腔領域の決定は、例えば、過去の検査データの統計分析に基づく。
【0030】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、実施形態を参照して解明される。
【0031】
本発明をよりよく理解するために、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、次に、単なる例として、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】単一の歯に対する6つのプロービング部位の集合の一例を示す図である。
【
図2】全口歯周検査(FMPE)では、すべての歯(親知らずを除く)がプロービングされ、プローブデータの完全なセットが得られることを示す図である。
【
図3】歯周スクリーニング及び記録(PSR)では、6つの六区分が定義されることを示す図である。
【
図4】歯周炎が歯科医によって診断される可能性を重症度のレベルに応じて示す図である。
【
図5】歯肉疾患検査を支援するための方法を示す図である。
【
図6】ユーザインタフェースの一部として使用される可能な画像の一例を示す図である。
【
図7】過去の検査データから導き出された統計データの一例を示す図である。
【
図8】歯肉疾患検査を支援するためのシステムを示す図である。
【
図9】
図8に示されたプロセッサの機能を実行するために使用されるコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明が、図を参照して説明される。
【0034】
詳細な説明及び具体的な例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示すものであるが、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるようになるであろう。図は、単に概略であり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、同じ参照番号が図の全体を通して使用されることも理解されたい。
【0035】
本発明は、診断中の対象者の歯肉の検査中に検査されるべき口腔領域の指示を提供する、歯肉疾患検査を支援するためのシステムを提供する。対象者の集合に関した過去の検査データが使用される。このデータを使用して、検査されるべき第1の口腔領域が決定され、過去の検査データと、さらに、検査中の以前に検査された口腔領域の測定値とに基づいて、検査されるべき次の口腔領域がさらに決定される。このようにして、できるだけ少ない測定の後に診断を得る(陽性診断が行われる場合)ことにより、できるだけ迅速に検査を行うため、検査されるべき口腔領域の順序がシステムによって決定される。
【0036】
本発明は、プローブを使用する歯周検査に適用され、又は撮像に基づく検査に適用される。
【0037】
本発明は、一般に、歯肉疾患の評価に関し、歯周炎及び歯肉炎がその例である。歯周炎と歯肉炎の両方は、一般に、プロービングを用いて評価される。本発明は、歯周炎評価にとって特に興味深いものである。
【0038】
歯周炎の程度(すなわち、健全、軽度歯周炎、中等度歯周炎、重度歯周炎)について、通常、プロービングポケット深さ及び付着喪失に関する基準が適用される。いくつかの定義は、プロービング時の出血(すなわち、プロービング時に部位が出血するか否か)に関する基準をさらに含む。歯肉炎については、一般に、プロービング時の出血に関連する基準のみが使用される、すなわち、ポケット深さ及び/又は付着喪失は歯肉炎診断に関連しない。
【0039】
ポケット深さ(PC)及び臨床的付着喪失(CAL)に基づく歯周炎定義の一例は、米国歯周病学会(AAP)及び疾病管理予防センター(CDC)によって使用されるものである。
重度歯周炎:
(PC≧5を有する少なくとも1つの部位)AND(少なくとも1つの部位にCAL≧6を有する少なくとも2つの歯)
中程度歯周炎:
[NOT重度]AND
[(PC≧5を有する少なくとも1つの部位をもつ少なくとも2つの歯)OR
(CAL≧4を有する少なくとも1つの部位をもつ少なくとも2つの歯)]
軽度歯周炎:
[NOT重度 AND NOT中等度]AND
[{PC≧5を有する1つの部位}OR
{((PC≧4を有する少なくとも1つの部位をもつ少なくとも2つの歯)AND(CAL≧3を有する少なくとも2つの部位)}]
健全
NOT重度 AND NOT中等度 AND NOT軽度
【0040】
重症度の尺度を生成するためにプロービング深さ、出血、及び他の要因を解釈する他のやり方も当然可能である。
【0041】
まず、歯周プローブ測定の使用への本発明の適用が説明される。
【0042】
図1は、単一の歯に対する6つのプロービング部位10の集合の一例を示す。一般に、歯周検査は、歯ごとに6つのすべて部位で順番にプローブ測定を行うことを含む。
【0043】
図2は、全口歯周検査(FMPE)では、すべての歯(親知らずを除く)がプロービングされ、プローブデータの完全な集合が得られることを示す。これは、例えば168個のプローブ測定を含む。
【0044】
図3は、歯周スクリーニング及び記録(PSR)では、6つの六区分30がS1~S6(一部は5個の歯を有し、一部は6個の歯を有する)で定義され、各六区分において最も深い部位のみが記録されることを示す。
【0045】
PSRでは、すべての部位、すなわち、すべての歯において歯ごとに6つの部位が依然としてプロービングされる。FMPEとの違いは、測定の記録の範囲(及びその結果として、使用される歯肉疾患基準)であり、PSRでは、六区分ごとに最悪の部位のみが記録されるが、FMPEでは、すべての部位が記録される。したがって、PSRの場合に労力が少ないのは、記録が少ないためである。
【0046】
図4は、歯周炎が歯科医によって診断される一般的な可能性を重症度のレベルに応じて示す。
【0047】
y軸は、x軸に沿った重症度の異なるレベルについて、正しい陽性診断の可能性のパーセンテージを示す。それは、信頼性の高い診断が、一般に、状態が既に重度になったときにのみ行われることを示している。それゆえに、ユーザの不快感を最小限に抑えることができるより信頼性の高い診断ツールが必要とされる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態よる歯肉疾患検査を支援するための方法を示す。
【0049】
ステップ50において、歯肉疾患検査を支援するためのシステムのプロセッサ上で動作するソフトウェアによって、検査されるべき最初の口腔領域が決定される。この最初の領域は、検査のための開始口腔領域の推奨としてシステムによって出力される。歯周プロービングシステムでは、これは、プロービングされるべき歯部位を示す。しかしながら、この口腔領域は、歯全体、又は口のより大きい全体の領域でさえあり得る。
【0050】
推奨は、本質的に、特定の診断基準が与えられると、特定の領域が診断に至る可能性がどれくらいあるかに基づく。
【0051】
プロセッサ上で実行される選択アルゴリズムが、この目的のために使用され、選択アルゴリズムは、プロービングデータ及び対象者の集合のメタデータ(年齢、性別、病状、影響因子、など)と、診断中の対象者の対応するメタデータと、選ばれた歯肉疾患診断基準とを含む十分に代表的なデータセットを入力として採用する。
【0052】
このようにして、対象者の集合に関する過去の検査データが、選択アルゴリズムによって受け取られる。過去の検査データは、過去に検査された口腔領域、及び関連する検査測定値、例えば、歯周プローブの例ではプロービング深さ測定値を特定する。
【0053】
次いで、測定が、ステップ52において、システムのユーザ(例えば、歯科医)によって、選択された推奨部位で行われる。測定結果は、プロセッサに提供される。
【0054】
ステップ54において、これまでの測定値(すなわち、最新の測定及び以前の測定での測定プローブデータ)が、歯肉疾患基準を満たすかどうかが決定される。基準が満たされている場合、ステップ56において、テストされている歯肉疾患は陽性診断である。
【0055】
歯肉疾患基準が満たされていない場合、ステップ58において、陽性診断を除外するために、十分な部位が測定されたかどうかがチェックされる。これは、一般には、すべての部位が測定されていることを必要としない。例えば、これは、これまでに検査された口腔領域の測定結果、及び検査されていない口腔領域のあり得る測定結果を考慮すれば、歯肉疾患の基準がもはや満たされない場合に当てはまる。それにより、検査時間は最小に保たれる。十分な部位が測定された場合、ステップ60において、診断は健全であり、歯肉疾患(指定されたタイプの)は検出されない。
【0056】
したがって、テストされる部位の数は、使用される基準と、測定結果自体とに依存する。実際には、例えば、特定の程度の歯周炎について、できるだけ迅速に陽性転帰を決定することが望ましい。例えば、任意の形式の歯周炎か健全かを探る場合、上述で論じた基準を使用することができる。この場合、1つの部位のみの測定値が必要とされる、すなわち、PC≧5を有する部位は、既に、(少なくとも)軽度歯周炎を示している。同じように、どの部位もこの条件を満たしておらず、診断結果が健全であるという結論に達するには、すべての部位がプロービングされる必要がある。
【0057】
陽性診断がまだ除外されない場合、この方法はステップ50に戻り、再度選択アルゴリズムを使用して、次の部位が選択される。このアルゴリズムは、ここでは、入力として、過去のデータセット及び診断中の対象者のメタデータを採用する(前述のように)が、既に完了した診断中の対象者の測定されたプロービングデータも採用する。
【0058】
次のプロービング部位の選択を行うために現在の検査の測定されたプロービングデータを使用することによって、最も可能性の高い最も悪い状態の部位を特定し、それらの部位を、陽性診断の最も可能性の高い部位を最初にして、順番に評価することを目的に、順序がパーソナライズされる。測定されたプロービングデータの現在測定されたパターンを過去のデータと比較して、データベース内の類似した患者を特定し、陽性診断のための次に最も可能性の高い部位をより正確に特定する。このように、アルゴリズムは、次の推奨を前の測定値に基づいており、その結果、すべての新しい測定値は、アルゴリズムが推奨する順序を変更する。
【0059】
確定診断が達せられると、患者のプロービングデータ及びメタデータが、検査データのデータベースに追加され、その結果、参照データベースは、サイズが経時的に大きくなる。過去のデータベースを実時間で更新することによって、システムは、アルゴリズムを作り出すために使用されたベースデータセットでは十分に表されない可能性がある個人から受け取ったデータから利益を得る。
【0060】
図6は、ユーザインタフェースの一部として使用される可能な画像の一例を示す。それはすべての歯を示す。既に検査された歯60が、色などによる1つの形態で示されており、次に検査されるべき歯62が、円で囲まれるなどの別の形態で示されている。個々の歯が特定される(図示のように)か、又は個々の歯部位が特定されるか、又は、そうでなければ、より一般的な口腔領域(撮像のための)が示される。
【0061】
したがって、システムは、検査されるべき口腔領域を示す実時間ガイダンスを提供するためにディスプレイを使用する。
【0062】
検査されるべき口腔領域(すなわち、最初の領域、次いで、陽性診断が行われていない限りは後続の領域)を推奨するために使用されるアルゴリズムは、既知の統計的方法に基づく。これらは、例えば、条件付き確率を考慮に入れる(単純)ベイジアン分類を含む。
【0063】
アルゴリズムの最も単純な形態は、各歯部位が、診断される歯肉疾患、例えば歯周炎のすべての陽性診断にどれくらいの頻度で含まれるかに従って、各歯部位をスコアリングする関数である。次いで、最も高いスコアの歯部位が、開始部位として選択される。
【0064】
図7は、過去の検査データから導き出された統計データの一例である。
【0065】
x軸は、六区分1に存在する24個の歯部位のコードを示す。六区分1は、5個の歯を有する(歯が欠損していない対象者では)が、第三大臼歯は調べられず、4×6=24個の測定値を与える。番号02~05は、第三大臼歯を除く左上大臼歯を示す。
【0066】
y軸は、各歯部位が陽性歯周炎診断に含まれた回数のランキングを示す。
【0067】
さらに、各部位に割り当てられた確率に重みを加えてもよい。重みは、喫煙などの特定の部位のポケット深さに影響を与えることが分かっているパラメータ又はメタデータから導き出される。
【0068】
歯科医は、例えば、(選択された年齢群の)非喫煙患者の正面六区分では深いポケットが稀であるので、この重み関数の結果として、主として喫煙する患者に対して正面六区分の部位をプロービングすることが推奨される。原則として、ポケット深さに影響を与えることが分かっている患者に関するデータが、部位のランキングに使用される重みの計算に使用される。
【0069】
別のアルゴリズムは、過去のデータに基づいて、六区分内の最も高いポケット深さを有する部位を探索する。これは、特に、上述のPSR方法に関連しており、PSR方法は、ポケット深さ測定のみに基づき、六区分ごとに最も大きいポケット深さのみに注意する。
【0070】
測定すべき第1の部位並びに測定すべき後続の部位の選択は、過去のデータに基づく。そのデータ内で、診断されている個人により類似している集合内の対象者の測定結果はまた、より重く重み付けされる。それにより、患者メタデータは、統計分析の一部として使用される。
【0071】
例として、次の部位選択のためのアルゴリズムが、次に、診断中の対象者と、過去のデータベース内の患者との間の類似性に基づいて、より詳細に概説される。
【0072】
(i)次の部位の選択のために、最初に、過去のデータベース内の対象者と、診断されている対象者との間の比較が、測定されたプロービングデータ及び(オプションとして)メタデータ(例えば、性別、年齢、喫煙)に関して行われる。開始部位の選択では、診断されている対象者のプロービングデータはまだ測定されていない。その場合、メタデータのみに基づく比較が行われる。
【0073】
この比較のために、距離メトリックDiが、データセット内の各対象者iに対して、その対象者と、診断されている対象者との間の考慮される(メタ)データの類似性/差異に基づいて計算される。
【0074】
診断された個人の値f
s
k及びデータセット内の対象者のf
i
kを有するK個の特徴量がある(ここで、k=1…K)場合、距離メトリックは、例えば、L2ノルムとして計算される。
【数1】
【0075】
特徴量ごとの値の範囲が考慮され、及び/又は距離の計算の際に特定の特徴量にはより強く重み付けされる代替の式が使用されてもよく、例えば、
【数2】
であり、ここで、w
kは、特徴量f
kごとの事前決定された重み付け係数である。
【0076】
カテゴリ特徴(例えば、喫煙あり/なし)については、数値特徴値fkへの変換が行われる(例えば、0=喫煙なし、1=喫煙あり)。
【0077】
この方法においてメタデータが考慮されず、開始部位が選択されている場合(診断される対象者のプロービングデータがまだ利用可能でない場合)、比較すべき特徴がまだ存在しないことに留意されたい。その場合、距離メトリックは、データセット内のすべての対象者に対して等しく(例えば、0の値に)設定される。
【0078】
(ii)次に、診断されている対象者のまだ測定されていない各部位jについて、スコアが決定される。これは、例えば、以下の式の
【数3】
によって行われる。
【0079】
これは、過去のデータベース内の各個人iについて、各部位sj(診断されている対象者ではまだ測定されていない)が調べられ、その部位について、ポケット深さPDが、その対象者の最大ポケット深さPDmax,iに等しいかどうかがチェックされることを意味する。そうである場合、1の値がその部位に割り当てられる。
【0080】
これは、過去のデータベース内のすべてのN個の対象者について実行され、その結果、すべての個人のスコアが合計される。しかしながら、その際に、重みW(Di)が考慮される。この重みは、以前に決定された距離メトリックDiに依存するので、対象者iごとに変わる。関数W(Di)は、一般に、距離Diが小さいほど重みWが大きくなるように選ばれる。このようにして、診断されている対象者により類似している過去のデータベース内の対象者には、次の部位選択の際により強く重み付けされる。
【0081】
(iii)次いで、測定されるべき次の部位が、単純に、最も高いスコアを有する部位として決定される。
【数4】
【0082】
(iv)測定された部位がまだ診断に至らない場合、測定されるべき次の部位は、ステップ(i)から再度開始して、再度決定される。今や、追加の特徴量、すなわち、ちょうど測定された部位のポケット深さが利用可能になったので、距離メトリックが再計算される。その後、ステップ(ii)において、スコアリングが、現在残っている未測定の部位について、再計算された距離メトリックを考慮して再計算される。次いで、次の部位が、ステップ(iii)において、最も高いスコアをもつ部位として選択される。
【0083】
PSR基準を使用する場合、六区分内の部位は、その六区分内で特定のポケット深さをもつ部位が既に見いだされていれば、さらに測定される必要がないことに留意されたい。アルゴリズムは、そのような場合、まだ完了していない六区分からのみ次の部位を選択可能であるように適合される。
【0084】
図8は、歯肉疾患検査を支援するためのシステム80を示す。システムは、歯周プローブ(又は以下で説明されるような撮像デバイス)などの検査デバイス82と、プロセッサ84とを含む。
【0085】
プロセッサは、検査された口腔領域及び関連する検査測定値を特定する、対象者の集合に関する過去の検査データ「(過去のデータ」)を受け取るための第1の入力84bを有する。このデータは、過去のデータベース86に由来する。過去のデータデータベースはまた、対象者の集合のメタデータを含む。
【0086】
第2の入力84cは、検査デバイスから測定値を受け取り、その結果、プロセッサは、これまでの測定値が陽性診断の基準を満たしたことを意味しているかどうかを決定する。
【0087】
対象者メタデータ(「対象者データ」)、例えば、年齢、性別、及び関連する医学若しくは他の状態、又は関連する情報などがまた、第3の入力84dとして提供される。第4の入力84eは、歯肉疾患診断を行う際に適用されるべき基準(「歯肉疾患基準」)を示す。
【0088】
出力84aは、ディスプレイデバイス88を駆動するために使用される。出力は、診断中の対象者の歯の検査中に検査されるべき口腔領域を示す。
【0089】
プロセッサ84は、上述で説明したように検査されるべき最初の口腔領域及び後続の口腔領域を決定する。
【0090】
追加の歯周関連データが、スクリーニング方法に含まれてもよい。例えば、プロービング手順が開始される前に、口腔内スキャナ(IOS)データが、患者について取得される。これは、例えば構造化光を使用して歯の3Dマップを創り出すために可視光撮像を使用する。次いで、現在の患者のIOSデータと過去のデータベース内の患者のIOSデータとの比較が、追加として、検査されるべき領域を選択するためのアルゴリズムによって使用される。
【0091】
上述の例は、歯周プローブの使用に基づく。しかしながら、歯周ポケットプロービングの代わりのX線撮像での部位推奨方法が、代わりに、使用されてもよい。
【0092】
次いで、検査されるべき第1の推奨口腔領域が、X線画像を記録するために使用され、次いで、X線画像は、所望の診断をテストするために画像分析によって分析される。この場合もまた、推奨部位は、診断を提供する見込みが最も高い。この記録されたX線に基づいて歯周診断を行うことができない場合、メタデータ及び以前に記録されたX線をデータベースと比較することに基づいて、次の場所が推奨される。そのとき、検査されるべき口腔領域は、プローブの場合におけるような歯部位ではなく、個々の歯又はより大きい領域である。
【0093】
別の実施態様は、消費者による自己スクリーニングに基づく。例えば、消費者が操作できるデバイスが、口内の特定の場所で口腔内画像を撮影し(可視光を使用して)、歯周診断は、画像の分析に基づく。本発明は、この場合もまた、画像を撮影するための最初の口内の場所の推奨を提供するために使用される。推奨された場所は、この場合もまた、確定診断を与える見込みが最も高い。
【0094】
上記の年齢、性別、及び喫煙習慣に加えて、メタデータは、センサ対応の歯ブラシシステムを介して得られた歯磨きデータを含む。この歯磨きデータには、例えば、異なる口セグメントの適用範囲、並びに異なる口セグメントにおける圧力及び磨き動作が含まれる。
【0095】
最初の推奨部位で記録された画像が診断を与えない場合、診断を与える可能性が最も高い次の部位が推奨される。これは、同じメタデータ及び歯磨きデータ、並びに以前に記録された画像に基づく。
【0096】
上述の例のように、手順を完了した後、消費者又は患者から得られたデータは、過去のデータベースに追加される。
【0097】
したがって、本発明は、歯周病スクリーニングのための専門家向け並びに消費者向けの製品及びサービスにとって重要である。
【0098】
上述で論じたように、システムは、データ処理を実行するためにプロセッサを利用する。プロセッサは、必要とされる様々な機能を実行するためにソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて非常に多くのやり方で実現される。プロセッサは、一般に、必要とされる機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサを利用する。プロセッサは、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するための1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路との組合せとして実現される。
【0099】
さらなる例として、
図9は、上述で示されたプロセッサの機能を実行するために使用されるコンピュータ90の一例を示す。システム機能ブロックは、単一コンピュータ上で実行されてもよく、いくつかのコンピュータ及び場所(例えば、インターネット介して接続される)にわたって分散されてもよいことを理解されたい。
【0100】
コンピュータ90は、限定はしないが、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パームデバイス、サーバ、ストレージ、などを含む。一般に、ハードウェアアーキテクチャに関して、コンピュータ90は、ローカルインタフェース(図示せず)を介して通信可能に結合される、1つ又は複数のプロセッサ91、メモリ92、及び1つ又は複数のI/Oデバイス97を含む。ローカルインタフェースは、例えば、限定はしないが、当技術分野で知られているような1つ又は複数のバス又は他の有線若しくは無線接続である。ローカルインタフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信器などの追加の要素を有する。さらに、ローカルインタフェースは、前記の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、及び/又はデータ接続を含む。
【0101】
プロセッサ91は、メモリ92に格納されているソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスである。プロセッサ91は、実質的に、任意のカスタムメイド又は市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はコンピュータ90に関連するいくつかのプロセッサ間の補助プロセッサであり、プロセッサ91は、半導体ベースマイクロプロセッサ(マイクロチップの形態の)又はマイクロプロセッサである。
【0102】
メモリ92は、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、などのようなランダムアクセスメモリ(RAM))、及び不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電子消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセット、又は同種のもの、など)の一方又は組合せを含む。その上、メモリ92は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプのストレージ媒体を組み込むことができる。メモリ92は、分散アーキテクチャを有することができ、様々な構成要素は、互いに遠隔に位置づけられるが、プロセッサ91によってアクセスされることに留意されたい。
【0103】
メモリ92内のソフトウェアは、1つ又は複数の別個のプログラムを含み、プログラムの各々は、論理機能を実施するための実行可能命令の順序付きリストを含む。メモリ92内のソフトウェアは、例示的な実施形態による、適切なオペレーティングシステム(O/S)95、コンパイラ94、ソースコード93、及び1つ又は複数のアプリケーション96を含む。図示のように、アプリケーション96は、例示的な実施形態の機能及び動作を実施するための多数の機能コンポーネントを含む。コンピュータ90のアプリケーション96は、例示的な実施形態による、様々なアプリケーション、計算ユニット、論理、機能ユニット、プロセス、オペレーション、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表すが、アプリケーション96は、限定であることを意味しない。
【0104】
オペレーティングシステム95は、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。例示的な実施形態を実施するためのアプリケーション96は、すべての市販のオペレーティングシステムに適用可能であることが発明者らによって意図されている。
【0105】
アプリケーション96は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行されるべき命令のセットを含む他のエンティティである。ソースプログラムの場合、プログラムは、通常、O/S95に関連して適切に動作するように、メモリ92内に含まれることも含まれないこともあるコンパイラ(コンパイラ94など)、アセンブラ、インタプリンタ、又は同種のものを介して翻訳される。さらに、アプリケーション96は、データ及びメソッドのクラスを有するオブジェクト指向プログラミング言語、又はルーチン、サブルーチン、及び/又は関数を有するプロシージャプログラミング言語、例えば、限定はしないが、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript、FORTRAN、COBOL、Perl、Java、ADA、NET、などとして書かれる。
【0106】
I/Oデバイス97は、例えば、限定はしないが、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロホン、カメラ、などのような入力デバイスを含む。さらに、I/Oデバイス97は、出力デバイス、例えば、限定はしないが、プリンタ、ディスプレイ、などをさらに含む。最後に、I/Oデバイス97は、入力と出力の両方を通信するデバイス、例えば、限定はしないが、NIC又は変調器/復調器(リモートデバイス、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするための)、無線周波数(RF)又は他のトランシーバ、電話インタフェース、ブリッジ、ルータ、などをさらに含む。I/Oデバイス97は、インターネット又はイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するための構成要素をさらに含む。
【0107】
コンピュータ90が、PC、ワークステーション、インテリジェントデバイス、又は同種のものである場合、メモリ92内のソフトウェアは、基本入出力システム(BIOS)(簡単にするために省略されている)をさらに含むことができる。BIOSは、始動時にハードウェアを初期化及びテストし、O/S95を始動し、ハードウェアデバイス間のデータ転送をサポートする必須のソフトウェアルーチンのセットである。BIOSは、あるタイプの読み出し専用メモリ、例えば、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、又は同種のものなどに格納され、その結果、BIOSは、コンピュータ90が起動されると実行される。
【0108】
コンピュータ90が動作しているとき、プロセッサ91は、メモリ92内に格納されたソフトウェアを実行し、メモリ92との間でデータを通信し、一般に、ソフトウェアに従ってコンピュータ90の動作を全体的に制御するように構成される。アプリケーション96及びO/S95は、プロセッサ91によって全体的に又は部分的に読み出され、多分、プロセッサ91内にバッファされ、次いで、実行される。
【0109】
アプリケーション96がソフトウェアで実装される場合、アプリケーション96は、任意のコンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するために、事実上任意のコンピュータ可読媒体に格納されることに留意されたい。本明細書の文脈において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するためのコンピュータプログラムを含む又は格納する電子、磁気、光学、又は他の物理デバイス又は手段である。
【0110】
アプリケーション96は、命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチし、命令を実行する、コンピュータベースシステム、プロセッサ内蔵システム、又は他のシステムなどの命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれに関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体において具現化される。本明細書の文脈において、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれに関連して使用するためのプログラムを格納、通信、伝搬、又は輸送する任意の手段である。コンピュータ可読媒体は、例えば、限定はしないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、又は伝搬媒体である。
【0111】
開示された実施形態への変更は、特許請求される本発明を実践する際に、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から当業者によって理解され達成される。特許請求の範囲において、「備える、含む、有する」という単語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形の要素は、複数を排除しない。
【0112】
特定の手段が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを示していない。
【0113】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に供給されるか又は他のハードウェアの一部として供給される光学ストレージ媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納/分散されてもよいが、さらに、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介してなど、他の形態で分散されてもよい。 (オプション)
【0114】
「ように適合される」という用語が、特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「ように適合される」という用語は、「ように構成される」という用語と等価であることが意図されていることに留意されたい。
【0115】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】