(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】TLR受容体を発現する改変された免疫細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20240918BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240918BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240918BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240918BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240918BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/861 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/869 20060101ALN20240918BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/62 Z
A61K35/17
A61P35/00
C12N15/13
C12N15/12
C12N15/86 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 Z
C12N15/869 Z
C12N15/867 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509014
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2022113170
(87)【国際公開番号】W WO2023020558
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/113239
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122129
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/133061
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/112578
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524009059
【氏名又は名称】レジェンド バイオテック アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】シュ ヤンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チンリン
(72)【発明者】
【氏名】トゥ ジョンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤーフェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー シュウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン シャオフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
(57)【要約】
本出願は、TLR受容体を発現する改変された免疫細胞を提供する。改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)をさらに含む。本出願は、改変された免疫細胞を癌の治療に使用する方法及び薬学的組成物も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変された免疫細胞であって、
a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び
b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド
を含み、
ここで、前記第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、前記第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び前記第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する、
改変された免疫細胞。
【請求項2】
前記第1の標的結合ドメイン及び前記第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する、請求項1に記載の改変された免疫細胞。
【請求項3】
前記多量体標的分子のサブユニットは同じである、請求項2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項4】
前記多量体標的分子のサブユニットは異なっている、請求項2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項5】
前記第1の標的結合ドメイン及び前記第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する、請求項1又は2に記載の改変された免疫細胞。
【請求項6】
前記第1の標的結合ドメイン及び前記第2の結合ドメインは、前記標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する、請求項5に記載の改変された免疫細胞。
【請求項7】
前記第1の標的結合ドメインと前記第2の標的結合ドメインは同じである、請求項1~3及び5~6のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項8】
前記第1の標的結合ドメイン及び前記第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する、請求項5に記載の改変された免疫細胞。
【請求項9】
前記第1のTLR膜貫通ドメイン及び前記第1のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する、請求項1~8のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項10】
前記第2のTLR膜貫通ドメイン及び前記第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する、請求項1~9のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項11】
前記第1のTLR膜貫通ドメインと前記第2のTLR膜貫通ドメインは同じである、請求項1~10のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項12】
前記第1のTLRシグナル伝達ドメインと前記第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じである、請求項1~11のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項13】
前記第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来する、請求項11又は請求項12に記載の改変された免疫細胞。
【請求項14】
前記第1のTLR膜貫通ドメインと前記第2のTLR膜貫通ドメインは異なっている、請求項1~10のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項15】
前記第1のTLRシグナル伝達ドメインと前記第2のTLRシグナル伝達ドメインは異なっている、請求項1~11及び14のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項16】
前記第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来する、請求項14又は請求項15に記載の改変された免疫細胞。
【請求項17】
前記第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来する、請求項14又は請求項15に記載の改変された免疫細胞。
【請求項18】
前記第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する、請求項14~17のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項19】
前記第1の標的結合ドメイン及び/又は前記第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である、請求項1~18のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項20】
前記第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである、請求項19に記載の改変された免疫細胞。
【請求項21】
前記scFv又はsdAbは、CD33、CLL1、CD123、CD19、CD20、CD22、BCMA、GPRC5D及びGPC3に特異的に結合する、請求項20に記載の改変された免疫細胞。
【請求項22】
前記標的分子は免疫チェックポイントタンパク質である、請求項5~18のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項23】
前記標的分子は、PD-1、CD70、CD27、SIRPα及びTIGITからなる群から選択される、請求項22に記載の改変された免疫細胞。
【請求項24】
前記標的分子は、免疫細胞上に発現する天然タンパク質である、請求項5~18のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項25】
前記標的分子はNKG2Dである、請求項24に記載の改変された免疫細胞。
【請求項26】
前記標的分子はNKG2Dの全長配列である、請求項24又は25に記載の改変された免疫細胞。
【請求項27】
前記標的分子は突然変異NKG2Dである、請求項24又は25に記載の改変された免疫細胞。
【請求項28】
前記突然変異NKG2Dは、短縮された配列及び/又はアミノ酸の置換、突然変異、付加及び/又は欠失を含む、請求項27に記載の改変された免疫細胞。
【請求項29】
前記標的分子は、NKG2Dの細胞外抗原結合ドメインである、請求項24又は25に記載の改変された免疫細胞。
【請求項30】
細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項31】
NK細胞である、請求項30に記載の改変された免疫細胞。
【請求項32】
細胞傷害性T細胞である、請求項30に記載の改変された免疫細胞。
【請求項33】
操作された受容体を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項34】
前記操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項33に記載の改変された免疫細胞。
【請求項35】
前記操作された受容体は、改変されたT細胞受容体(TCR)である、請求項33に記載の改変された免疫細胞。
【請求項36】
前記操作された受容体はT細胞抗原カプラ(T-cell antigen coupler)(TAC)受容体である、請求項33に記載の改変された免疫細胞。
【請求項37】
前記操作された受容体は、前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項38】
前記操作された受容体は、前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む、請求項37に記載の改変された免疫細胞。
【請求項39】
前記操作された受容体は、CD19、CLL1、BCMA及びGPC3のうちのいずれかを特異的に認識する細胞外ドメインを含む、請求項33~38のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項40】
前記操作された受容体は、SEQ ID NO:1、3、57~60、61~65、71~73のうちのいずれか一つのアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、又はSEQ ID NO:1、3、57~60、61~65、71~73のうちのいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項39に記載の改変された免疫細胞。
【請求項41】
前記第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、前記第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項42】
前記第1のポリペプチドと前記第2のポリペプチドは同じであり、且つここで、前記改変された免疫細胞は、前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドをコードする第1の核酸を含む、請求項1~3、5~7、9~13及び19~32のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項43】
前記操作された受容体をコードする第3の核酸を含む、請求項33~42のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項44】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている、請求項41~43のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項45】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結されている、請求項41又は43に記載の改変された免疫細胞。
【請求項46】
前記第1の核酸及び前記第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている、請求項43~45のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項47】
前記第1の核酸及び前記第3の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結されている、請求項43~45のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項48】
前記第1の核酸、前記第2の核酸、及び前記第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている、請求項43、44及び46のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項49】
前記第1の標的結合ドメイン及び前記第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する、請求項19~21のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項50】
(1)前記第1の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識し、且つ前記第2の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識する、又は、
(2)前記第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ前記第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する、
請求項8~48のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項51】
前記第1のポリペプチドは第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は前記第2のポリペプチドは第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインをさらに含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項52】
前記第1の細胞内ドメインと前記第2の細胞内ドメインは同じである、請求項51に記載の改変された免疫細胞。
【請求項53】
前記第1の細胞内ドメインと前記第2の細胞内ドメインは異なっている、請求項51に記載の改変された免疫細胞。
【請求項54】
前記第1のサイトカイン受容体及び/又は前記第2のサイトカイン受容体は、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される、請求項51~53のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項55】
前記第1のサイトカイン受容体の前記第1の細胞内ドメイン及び/又は前記第2のサイトカイン受容体の前記第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む、請求項51~53のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項56】
前記第1のサイトカイン受容体の前記第1の細胞内ドメインのC末端は前記第1のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合しており、且つ/又は前記第2のサイトカイン受容体の前記第2の細胞内ドメインのC末端は前記第2のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している、請求項51~55のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項57】
前記第1のサイトカイン受容体の前記第1の細胞内ドメインのN末端は前記TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合しており、且つ/又は前記第2のサイトカイン受容体の前記第2の細胞内ドメインのN末端は前記TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している、請求項51~55のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞。
【請求項58】
請求項1~57のいずれか一項に記載の改変された免疫細胞を産生する方法であって、前記第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、任意で、前記第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを、前駆体免疫細胞に導入することを含む、方法。
【請求項59】
前記前駆体免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、NK細胞、NK-T細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記前駆体免疫細胞は、操作された受容体を含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
操作された受容体をコードする第3の核酸を前記前駆体免疫細胞に導入することをさらに含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項62】
前記操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、改変されたT細胞受容体(TCR)又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の核酸、前記第2の核酸及び/又は前記第3の核酸は同一のベクター上にある、請求項58~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記ベクターはウイルスベクターである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター及びそれらの派生物からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の核酸、前記第2の核酸及び/又は前記第3の核酸を含む免疫細胞を単離又は濃縮することをさらに含む、請求項58~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
請求項58~66のいずれか一項に記載の方法によって産生された、改変された免疫細胞。
【請求項68】
請求項1~57及び67に記載の改変された免疫細胞及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項69】
個体の疾患を治療する方法であって、有効量の請求項68に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項70】
前記疾患は癌である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記個体はヒトである、請求項69又は70に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月18日に提出された国際出願第PCT/CN2021/113239号、2021年9月30日に提出された国際出願第PCT/CN2021/122129号、2021年11月25日に提出された国際出願第PCT/CN2021/133061号及び2022年8月15日に提出された国際出願第PCT/CN2022/112578号の優先権を主張し、それらの内容を全体として参照により本明細書に組み込む。
【0002】
ASCIIテキストファイルによる配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルで提出された内容は、その全体として参照により本明細書に組み込まれる。つまりコンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:P11234-PCT.220817.Sequence listing.xml、記録日:2022年8月17日、サイズ:117KB)。
【0003】
分野
本出願は、TLR受容体を発現する改変された免疫細胞、及びそれを癌のような疾患又は病症の治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、すでに、操作されたT細胞受容体を産生することによって免疫応答を誘発するように改変された細胞である。例えば、CAR-T細胞は、癌療法を改善するために、癌細胞をより有効に認識するように設計され得る。CAR-T療法が成功したが、これらの方法は、インビボT細胞拡大及び疲弊が悪いという問題を抱えているため、血液悪性腫瘍(例えば、急性骨髄性白血病)に罹患している患者の臨床寛解の持続性の低下をもたらすことが多い。効率的な細胞ベースの癌免疫療法が依然として必要とされている。
【0005】
NKG2Dは、膜貫通タンパク質であり、C型レクチン様受容体のNKG2ファミリーに属する。ヒトにおいて、それはNK細胞、γδT細胞及びCD8+ αβT細胞により発現される。NKG2Dリガンドは、MIC及びRAET1/ULBPファミリーからの誘導自己タンパク質であり、正常な細胞の表面上には全く存在しないか又は低いレベルで存在するが、感染、形質転換、老化、ストレス細胞によって過剰発現される(Zingoni,Aら,2018,Front Immunol.9:476(非特許文献1))。
【0006】
Toll様受容体(TLR)は、侵入した病原体を検出し、先天性及び適応性免疫応答を活性化するパターン認識受容体である。TLRは、T細胞における有効な共刺激分子として機能し、活性化されたT細胞(例えば、記憶CD4+及びCD8+ T細胞)の細胞表面上に発現する。そのため、T細胞におけるTLRの活性化は、T細胞受容体(TCR)シグナルにより誘導されたT細胞活性化、機能及び生存を直接増強した(Gelman,AEら,2004,172(10):6065-6073(非特許文献2))。免疫系におけるそれらの重要な役割を考慮して、TLR活性化は免疫応答を増強するために用いられてきた。逆に、TLR活性化の阻害剤は、自己免疫及び他の望ましくない免疫応答を減少させることができる(Lu,H,2014,Front. in Immunol. 5:83(非特許文献3))。研究によると、T細胞のような、CARを発現する操作された免疫細胞は、toll/インターロイキン-1(IL-1)受容体(TIR)ドメインで武装化することによって、増強された抗腫瘍活性を提供することができる。例えば、Manavalan,Bら,2011,Front. Physiol. 2:41(非特許文献4)を参照されたい。
【0007】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許、特許出願及び開示された特許出願の開示内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zingoni,Aら,2018,Front Immunol.9:476
【非特許文献2】Gelman,AEら,2004,172(10):6065-6073
【非特許文献3】Lu,H,2014,Front. in Immunol. 5:83
【非特許文献4】Manavalan,Bら,2011,Front. Physiol. 2:41
【発明の概要】
【0009】
本出願は、TLR受容体を発現する改変された免疫細胞、及びそれを癌のような疾患又は病症の治療に使用する方法を提供する。
【0010】
本出願の一局面において、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含む、改変された免疫細胞を提供し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。
【0011】
改変された免疫細胞によるいくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。
【0012】
本出願の別の局面において、改変された免疫細胞による改変された免疫細胞を提供し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは上記同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する。
【0013】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する。
【0014】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、scFv又はsdAbは、CD33、CLL1、CD123、CD19、CD20、CD22、BCMA、GPRC5D及びGPC3に特異的に結合する。
【0015】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、標的分子は免疫チェックポイントタンパク質である。いくつかの態様において、標的分子は、PD-1、CD70、CD27、SIRPα及びTIGITからなる群から選択される。
【0016】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、標的分子は、免疫細胞上に発現する天然タンパク質である。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dである。いくつかの態様において、標的分子は突然変異NKG2Dである。いくつかの態様において、突然変異NKG2Dは、短縮された配列及び/又はアミノ酸の置換、突然変異、付加及び/又は欠失を含む。
【0017】
いくつかの態様において、標的分子は、NKG2Dの細胞外抗原結合ドメインである。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dの全長配列である。
【0018】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はNK細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は細胞傷害性T細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体を含む。いくつかの態様において、操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様において、操作された受容体は、改変されたT細胞受容体(TCR)である。いくつかの態様において、操作された受容体はT細胞抗原カプラ(T-cell antigen coupler)(TAC)受容体である。
【0019】
本出願の別の局面において、上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによる改変された免疫細胞を提供し、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CD19、CLL1、BCMA及びGPC3のうちのいずれかを特異的に認識する細胞外ドメインを含む。
【0020】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、改変された免疫細胞は、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを含む。
【0021】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じであり、且つ改変された免疫細胞は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドをコードする第1の核酸を含む。
【0022】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体をコードする第3の核酸を含む。いくつかの態様において、第1の核酸及び第2の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている。いくつかの態様において、第1の核酸及び第2の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結されている。いくつかの態様において、第1の核酸及び第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている。いくつかの態様において、第1の核酸及び第3の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結されている。いくつかの態様において、第1の核酸、第2の核酸、及び第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結されている。
【0023】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD33のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、BCMAのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、GPRC5Dのサブユニットを特異的に認識する。
【0024】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ第2のポリペプチドは第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第1の細胞内ドメインと第2の細胞内ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の細胞内ドメインと第2の細胞内ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体は、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体は、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメイン及び第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのC末端は、第1のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのC末端は、第2のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのC末端は、第1のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合し、且つ、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのC末端は、第2のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合し、且つ、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。
【0025】
本出願の一局面において、改変された免疫細胞を産生する方法を提供し、該方法は、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、任意で、第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを、前駆体免疫細胞に導入する。
【0026】
上記産生方法のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、前駆体免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、NK細胞、NK-T細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞は、操作された受容体を含む。いくつかの態様において、該産生方法は、操作された受容体をコードする第3の核酸を前駆体免疫細胞に導入することをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、改変されたT細胞受容体(TCR)又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。
【0027】
上記産生方法のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、第1の核酸、第2の核酸及び/又は第3の核酸は同一のベクター上にある。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター及びそれらの派生物からなる群から選択される。
【0028】
上記産生方法のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、該方法は、第1の核酸、第2の核酸及び/又は第3の核酸を含む免疫細胞を単離又は濃縮することをさらに含む。
【0029】
上記産生方法のうちのいずれか一つによる方法によって産生された、改変された免疫細胞をさらに提供する。
【0030】
上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによる改変された免疫細胞及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0031】
本出願の別の局面において、個体の疾患を治療する方法を提供し、該方法は、有効量の上記薬学的組成物のうちのいずれか一つによる薬学的組成物を該個体に投与することを含む。いくつかの態様において、該疾患は癌である。いくつかの態様において、該個体はヒトである。
【0032】
改変された免疫細胞のうちのいずれか一つを含む組成物、用途、キット及び製品をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】抗CD19-CARと抗CD20 TLRポリペプチドとを含むCAR融合コンストラクト(CD19-co-CD20 CAR、SEQ ID NO:1)のバイシストロン発現設計を示した図である。CAR骨格の配列は、N末端からC末端までの以下のパターンに従う:シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD19 scFv(SEQ ID NO:6)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分、及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)。CD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインは、N末端からC末端に向かって以下を含む誘導性共刺激分子に、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介して連結されている:シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD20 scFv(SEQ ID NO:11)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)、及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)(SEQ ID NO:13)。
【
図2】CD19 BM CAR-T細胞、及びTLR4により武装化されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性作用を示した図である。特に、
図2は、CD19 BM CAR-T及びCD19-co-CD20 CAR T細胞がRaji標的細胞の溶解をインビトロで投与量依存的に誘導することを示している。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図3】Raji標的細胞と共培養された、CD19 BM CAR-T細胞、及びTLR4により武装化されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロIFNγサイトカインセクションを示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図4】Raji標的細胞と共培養された、CD19 BM CAR-T細胞、及びTLR4により武装化されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロTNFαサイトカインセクションを示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図5】Raji標的細胞による反復腫瘍刺激アッセイにおける、CD19 BM CAR-T細胞、及びTLR4により武装化されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロ殺傷効果を示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「UNT」)を対照として使用した。
【
図6】Raji標的細胞と共にインキュベートした後の、CD19 BM CAR-T細胞、及びTLR4により武装化されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロ増殖(例えば、拡大倍率)を示した図である。
【
図7】抗CLL1-CARと抗CD33 TLRポリペプチドとを含むCAR融合コンストラクト(CLL1-co-CD33 CAR、SEQ ID NO:3及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T、SEQ ID NO:71)のバイシストロン発現設計を示した図である。
【
図8】CLL1 BM CAR-T細胞、TLR2及びTLR1により武装化されたCLL1-co-CD33 CAR-T細胞、並びにTLR4により武装化されたCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性作用を示した図である。特に、
図8は、CLL1 BM CAR-T、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞がU937標的細胞の溶解をインビトロで投与量依存的に誘導することを示している。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図9】U937標的細胞と共培養された、CLL1 BM CAR-T細胞、TLR2及びTLR1により武装化されたCLL1-co-CD33 CAR-T細胞、並びにTLR4により武装化されたCLL1-co-CD33-2 CAR-TのインビトロIFNγサイトカインセクションを示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図10】U937標的細胞と共培養された、CLL1 BM CAR-T細胞、TLR2及びTLR1により武装化されたCLL1-co-CD33 CAR-T細胞、並びにTLR4により武装化されたCLL1-co-CD33-2 CAR-TのインビトロTNFαサイトカインセクションを示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「unT」)を対照として使用した。
【
図11】U937標的細胞による反復腫瘍刺激アッセイにおける、CLL1 BM CAR-T細胞、TLR2及びTLR1により武装化されたCLL1-co-CD33 CAR-T細胞、並びにTLR4により武装化されたCLL1-co-CD33-2 CAR-Tのインビトロ殺傷効果を示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「UNT」)を対照として使用した。
【
図12】U937標的細胞と共にインキュベートした後の、CLL1 BM CAR-T細胞、TLR2及びTLR1により武装化されたCLL1-co-CD33 CAR-T細胞、並びにTLR4により武装化されたCLL1-co-CD33-2 CAR-Tのインビトロ増殖(例えば、拡大倍率)を示した図である。
【
図13】U937-Luc異種移植マウスモデルにおける、例示的CLL1-co-CD33 CAR αβT及びCLL1-co-CD33 CAR γδT治療のインビボ有効性研究を示した概略図である。
【
図14】U937-Luc異種移植マウスモデルにおける、CLL1-co-CD33 CAR αβT細胞のインビボ有効性を示した図である。
【
図15】U937-Luc異種移植マウスモデルにおける、CLL1-co-CD33 CAR γδT細胞及びCLL1-co-CD33-2 CAR γδT細胞のインビボ有効性を示した図である。
【
図16A】
図16A~16Bは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLRキメラ受容体により武装化されたCAR又はTCRの例示的コンストラクトを示した図である。
図16Aは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLRキメラ受容体により武装化されたCARの概略図を示す。
図16Bは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLRキメラ受容体により武装化されたTCRの概略図を示す。
【
図17A】
図17A~17Bは、NKG2Dリガンドを標的とする結合ドメイン、TLR膜貫通ドメイン、及び細胞内エフェクタードメインを含むキメラ受容体により武装化されたCAR又はTCRの例示的コンストラクトを示した図である。
図17Aは、NKG2Dリガンドを標的とする結合ドメイン、TLR膜貫通ドメイン、及び細胞内エフェクタードメインを含むキメラ受容体により武装化されたCARの概略図を示す。
図17Bは、NKG2Dリガンドを標的とする結合ドメイン、TLR膜貫通ドメイン、及び細胞内エフェクタードメインを含むキメラ受容体により武装化されたTCRの概略図を示す。
【
図18】
図18A~18Bは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLR4キメラ受容体により武装化されたCAR又はTCRの例示的コンストラクトを示した図である。
図18Aは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLR4キメラ受容体により武装化された第2世代CARを示す。
図18Bは、NKG2D又は突然変異NKG2D TLR4キメラ受容体により武装化されたTCRを示す。
【
図19】Huh7標的細胞による反復腫瘍刺激アッセイにおける、NKG2D-TLR4又はNKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR-T及び抗GPC3 CAR-T細胞のインビトロ殺傷効果を示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「UNT」)を対照として使用した。
【
図20】Huh7標的細胞と共にインキュベートした後の、NKG2D-TLR4又はNKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR-T及び抗GPC3 CAR-T細胞のインビトロ増殖を示した図である。
【
図21】Huh7標的細胞と共培養された、NKG2D-TLR4又はNKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR-T及び抗GPC3 CAR-T細胞のインビトロIFNγサイトカインセクションを示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「UNT」)を対照として使用した。
【
図22】Raji標的細胞による反復腫瘍刺激アッセイにおける、NKG2D-TLR4又はNKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗CD19 CAR-T及び抗CD19 CAR-T細胞のインビトロ殺傷効果を示した図である。この実験では、形質導入されていないT細胞(即ち、「UNT」)を対照として使用した。
【
図23】Raji標的細胞と共にインキュベートした後の、NKG2D-TLR4又はNKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗CD19 CAR-T及び抗CD19 CAR-T細胞のインビトロ増殖を示した図である。
【
図24】Huh7異種移植モデルにおける、NKG2D-CD8-TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR-T細胞及び抗GPC3 CAR-T細胞のインビボ有効性を示した図である。
【
図25】タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:61)又は単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:62)、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD8 CAR(SEQ ID NO:63)、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR(SEQ ID NO:64)に加えて、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR(SEQ ID NO:65)、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR(SEQ ID NO:72)、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD28 CAR(SEQ ID NO:73)を含むCAR融合コンストラクトのバイシストロン発現設計を示した図である。
【
図26】TLR4細胞内シグナル伝達により武装化された抗BCMA-CAR-γδT及び抗BCMA-co-抗BCMA-γδT細胞のインビトロ細胞傷害性作用を示した図である。この実験では、形質導入されていないγδT細胞(即ち、「Un-γδT」)を対照として使用した。
【
図27】BCMA陽性NCI-H929標的腫瘍細胞と共培養される、TLR4細胞内シグナル伝達により武装化された抗BCMA-CAR-γδT及び抗BCMA-co-抗BCMA-γδT細胞のインビトロIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFサイトカイン分泌を示した図である。この実験では、形質導入されていないγδT細胞(即ち、「Un-γδT」)を対照として使用した。
【
図28】BCMA陽性NCI-H929標的腫瘍細胞による反復腫瘍刺激アッセイにおける、タンデム抗BCMA-CAR-γδT、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA-CAR γδT、単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR γδT、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD8 CAR γδT、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR γδT、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CAR γδT及びタンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR-γδT細胞のインビトロ殺傷効果及び持続性を示した図である。この実験では、形質導入されていないγδT細胞(即ち、「Un-γδT」)を対照として使用した。
【
図29】TLR4細胞内シグナル伝達により武装化されたタンデム抗BCMA-CAR-γδT及びタンデム抗BCMA-co-抗BCMA-γδT細胞の同種異系環境での持続性を示した図であり、ここで、γδT細胞、同種異系PBMC及びBCMA陽性NCI-H929標的腫瘍細胞は1:60:1の比で共インキュベートされる。
【
図30】BCMA陽性RPMI-8226腫瘍負荷異種移植モデルにおける、TLR4細胞内シグナル伝達により武装化されたタンデム抗BCMA-CAR-γδT、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA-γδT細胞及びタンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8-γδT細胞のインビボ殺傷効果及び持続性を示した図である。この実験では、形質導入されていないγδT細胞(即ち、「Un-γδT」)及びビヒクルHBSSを対照として使用した。
【
図31A】
図31A~31Bは、BCMA陽性RPMI-8226腫瘍負荷異種移植モデルにおける、体重変化、ならびに、TLR4細胞内シグナル伝達により武装化されたタンデム抗BCMA-CAR-γδT及びタンデム抗BCMA-co-抗BCMA-γδT細胞のIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFサイトカイン分泌を示した図である。この実験では、形質導入されていないγδT細胞(即ち、「Un-γδT」)及びビヒクルHBSSを対照として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
本出願は、Toll様受容体(TLR)共刺激分子(例えば、TLRポリペプチド)を含む改変された免疫細胞、及びそれを癌の治療に使用する方法を提供する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、第1のTLRポリペプチド及び第2のTLRポリペプチドを含有するTLRベースの多量体を含み、前記ポリペプチドを発現しない改変された免疫細胞に比べて、これらの改変された免疫細胞は、有効で持続的な腫瘍溶解活性及び改善された疲弊特性を有する。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドは、i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含み、且つ第2のTLRポリペプチドは、i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む。第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はT細胞である。
【0035】
いくつかの態様において、改変された細胞は、関心のある標的抗原を特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)をさらに発現する。本明細書に記載のTLRポリペプチドは、CAR-T細胞の増殖を増加させ、抗腫瘍活性を増強する。
【0036】
TLRポリペプチドにおけるTLRシグナル伝達の活性化は、標的依存的であり、且つ二量体化又は多量体化されたTLRポリペプチド、及びTLRポリペプチドが対応する標的分子に結合した後のTLRシグナル伝達部分の形成によって開始される。本出願は、TLRシグナル伝達部分の形成を誘導するための複数の戦略を提供する。第1の戦略では、第1のポリペプチドの第1の標的結合ドメイン及び第2のポリペプチドの第2の結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。標的結合ドメインがその相同標的サブユニットに結合する場合、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達部分を形成する。第2の戦略では、第1のポリペプチドの第1の標的結合ドメイン及び第2のポリペプチドの第2の結合ドメインは、標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する。標的結合ドメインがその相同標的分子に結合する場合、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達部分を形成する。第3の戦略では、免疫細胞が、細胞外ドメインを含有する操作された受容体を含む場合、細胞外ドメイン及び第1又は第2の標的結合ドメインは、同一の標的分子上の異なる非重複標的側にそれぞれ結合する。理論に束縛されるものではないが、操作された受容体の細胞外ドメインが標的分子に結合する場合、操作された受容体の周囲には免疫シナプスが形成されると考えられる。第1及び第2のポリペプチドは、同じ免疫シナプスに動員され、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインが、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達部分を形成することを可能にする。別の戦略では、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、同じモノマー標的分子(例えば、同じ標的部位にある)にそれぞれ結合し、且つ第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインと標的分子との結合は、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインが、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達部分を形成することを可能にする。
【0037】
そのため、本出願の一局面において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体、改変されたT細胞受容体又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。
【0038】
本出願の別の局面において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、改変されたT細胞受容体又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。
【0039】
本出願の別の局面において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその断片)と、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体(例えば、CAR)を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。
【0040】
さらに、改変された免疫細胞を含む組成物(例えば、薬学的組成物)、キット及び製品、並びに本明細書に記載の改変された免疫細胞で疾患又は病症(例えば、癌)を治療する方法は提供される。
【0041】
I.定義
本明細書に使用されるように、「治療(treatment又はtreating)」は、有益又は所望の結果(臨床結果を含む)を得るための方法である。本開示の目的のために、有益又は所望の臨床結果は、疾患によって引き起こされる一つ又は複数の症状を軽減すること、疾患の程度を減少させること、疾患を安定させること(例えば、疾患の悪化を予防又は遅延させること)、疾患の拡散(例えば、転移)を予防又は遅延させること、疾患の再発を予防又は遅延させること、疾患の進行を遅延させるか又は緩めること、疾患の状態を改善すること、疾患の緩和(一部又は全部)を提供し、疾患の治療に必要な一つ又は複数の他の薬物の投与量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、及び/又は生存期間を延長することのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。「治療」は、疾患(例えば、癌)の病理的結果を減少させることをさらにカバーする。本出願の方法は、これらの治療の局面のうちのいずれか一つ又は複数を考慮する。
【0042】
「予防(prevent)」及び「予防(prevented、preventing)」などの類似用語は、疾患又は病症(例えば、癌)の再発の可能性を予防、阻害又は低下させるための方法を表す。それは、疾患もしくは病症の再発を遅延させるか又は疾患もしくは病症の症状の再発を遅延させることをさらに指す。本明細書で使用されるように、「予防(prevention)」及び類似用語は、疾患又は病症の再発前に疾患又は病症の強度、作用を低下させ、症状及び/又は負荷を減少させることをさらに含む。
【0043】
本明細書で使用されるように、癌の進行を「遅延」させるとは、疾患の進行を遅らせ、阻害し、減速させ、延ばし、安定させ及び/又は遅くすることを指す。このような遅延は、疾患の歴史及び/又は治療される個体に応じて、異なる時間長を有してもよい。該方法を用いない場合に比べて、癌の進行を「遅延」させる方法は、所与の時間範囲内で疾患進行の確率を低減し、及び/又は所与の時間範囲内で疾患の程度を低減する方法である。このような比較は、通常、統計学的に有意な数の個体を使用した臨床試験に基づく。癌の進行は、標準的な方法を用いて検出することができ、これらの標準的な方法は、コンピュータ体軸断層撮影(CATスキャン)、磁気共鳴画像法(MRI)、腹部超音波検査、凝固検査、動脈造影法又は生検を含むが、それらに限らない。進行は、最初に検出不能であり得る癌の進行を指してもよく、且つ発生、再発及び発作を含む。
【0044】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、特定の障害、病症又は疾患を治療して、例えば、その一つ又は複数の症状を改善、軽減、減少及び/又は遅延させるのに十分な薬剤又は薬剤の組み合わせの量を指す。癌については、有効量は、腫瘍の縮小を引き起こし、及び/又は腫瘍の増殖速度を低下させる(例えば、腫瘍成長を阻害する)か又は他の望ましくない細胞増殖を予防又は遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの態様において、有効量は、疾患の進行を遅延させるのに十分な量である。いくつかの態様において、有効量は、再発を予防又は遅延させるのに十分な量である。有効量は、一回又は複数回の投与で投与され得る。薬物又は組成物の有効量は、(i)癌細胞の数を減少させ、(ii)腫瘍サイズを小さくし、(iii)周囲の臓器への癌細胞の浸潤をある程度阻害し、減速させ、緩め、且つ好ましくは阻止し、(iv)腫瘍の転移を阻害し(即ち、ある程度減速させ、且つ好ましくは阻止し)、(v)腫瘍成長を阻害し、(vi)腫瘍の発生及び/又は再発を予防又は遅延させ、及び/又は(vii)癌に関連する一つ又は複数の症状をある程度緩和することができる。
【0045】
本明細書で使用されるように、「個体」又は「被験体」は、哺乳動物を指し、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯動物又は霊長類動物を含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、該個体はヒトである。
【0046】
「単離された」核酸は、その天然環境の成分から単離された核酸分子を指す。単離した核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる該核酸分子を含むが、該核酸分子は、染色体外又はその天然染色体位置と異なる染色体位置に存在する。
【0047】
本明細書に使用されるように、「ベクター」という用語は、それに連結される別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。該用語は、自己複製核酸構造とするベクター、及びベクターが導入された宿主細胞ゲノムに組み込まれたベクターを含む。いくつかのベクターは、それに操作可能に連結される核酸の発現を誘導することができる。このようなベクターは、本明細書において、「発現ベクター」と呼ばれる。
【0048】
本明細書で使用されるように、「トランスフェクトした」又は「形質転換した」又は「形質導入した」という用語は、異種核酸を宿主細胞に転移又は導入するプロセスを指す。「トランスフェクトした」又は「形質転換した」又は「形質導入した」細胞は、既に異種核酸でトランスフェクト、形質転換又は形質導入した細胞である。この細胞は、初代標的細胞及びその子孫を含む。
【0049】
本明細書によって同定されるポリペプチド配列に関わる「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」を、配列のアラインメント(任意の保存的置換を配列同一性の一部とする)の後、候補配列における、比較されるポリペプチドにおけるアミノ酸残基と同じであるアミノ酸残基のパーセントと定義する。アミノ酸配列同一性パーセントを確定するという目的のために、当分野の技術における種々の方法により、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)又はMUSCLEソフトウェアのような公衆に取得可能なコンピュータソフトウェアを用いてアラインメントを実現してもよい。当業者は、比較される配列の全長範囲内に最大整列を実現させる任意のアルゴリズムを含み、測定整列に用いられる適当なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的のために、配列比較コンピュータプログラムMUSCLEを用いて、アミノ酸配列同一性%の値を生成する(Edgar,R.C.,Nucleic Acids Research 32(5):1792-1797,2004、Edgar,R.C.,BMC Bioinformatics 5(1):113,2004)。
【0050】
本明細書で使用されるように、「キメラ抗原受容体」又は「CAR」は、一つ又は複数の抗原をT細胞のような細胞に特異的に移植する遺伝子操作された受容体を指す。CARは、「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」又は「キメラ免疫受容体」とも呼ばれる。いくつかの態様において、CARは、腫瘍抗原に対して特異性を有する抗体の細胞外可変ドメイン、及びT細胞又は他の受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一つ又は複数の共刺激ドメインを含む。「CAR-T」は、CARを発現するT細胞を指す。本明細書で使用されるように、「CLL1 CAR」は、CLL1を特異的に認識するCARを指し、「CD19 CAR」は、CD19を特異的に認識するCARを指し、「GPC3 CAR」は、GPC3を特異的に認識するCARを指し、且つ「BCMA CAR」は、BCMAを特異的に認識するCARを指す。
【0051】
本明細書で使用されるように、「T細胞受容体」又は「TCR」は、細胞外抗原結合ドメインを含む内因性又は改変されたT細胞受容体を指し、該細胞外抗原結合ドメインは、MHC分子に結合する特異性抗原ペプチドに結合する。いくつかの態様において、TCRは、TCRαポリペプチド鎖とTCRβポリペプチド鎖とを含む。いくつかの態様において、TCRは、TCRγポリペプチド鎖とTCRδポリペプチド鎖とを含む。いくつかの態様において、TCRは腫瘍抗原に特異的に結合する。「TCR-T」は、組換えTCRを発現するT細胞を指す。
【0052】
本明細書で使用されるように、「T細胞抗原カプラ受容体」又は「TAC受容体」は、特異性抗原に結合する細胞外抗原結合ドメイン、T細胞受容体(TCR)結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び共受容体分子の細胞内ドメインを含む操作された受容体を指す。TAC受容体は、TAC受容体を発現するT細胞の内因性TCRを特定して、標的細胞に対する抗原特異性T細胞応答を誘発する。
【0053】
本明細書において、「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、且つ様々な抗体構造をカバーし、これらの抗体構造は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を含むが、それらに限らず、それらが所望の抗原結合活性を示せばよい。抗体という用語は、抗原に結合できる断片、例えば、Fv、単鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’及び(Fab’)2を含むが、それらに限らない。抗体という用語は、従来の四鎖抗体及び単一ドメイン抗体、例えば、重鎖のみを有する抗体又はその断片、例えば、VHHを含む。
【0054】
本明細書で使用されるように、「結合」、「特異的に結合」又は「……に対して特異性を有する」という用語は、測定と再現が可能である相互作用を指し、例えば、標的と抗体との結合であり、これは、ヘテロ分子(生体分子を含む)群が存在する時の標的の存在を決定する。例えば、標的(エピトープであってもよい)に結合又は特異的に結合する抗体は、この標的に結合する抗体であり、その親和性、アビディティ(avidity)、レディー及び/又は持続時間は、他の標的との結合よりも優れている。一態様において、抗体と関係のない標的との結合程度は、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)によって測定される抗体と標的との結合の約10%より小さい。いくつかの態様において、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。いくつかの態様において、抗体は、異なる種からのタンパク質の中で保存されているタンパク質エピトープに特異的に結合する。別の態様において、特異的結合は、排他的結合を含んでもよいが、これに限定しない。
【0055】
「細胞」という用語は、初代標的細胞及びその子孫を含む。
【0056】
理解すべきこととして、本明細書に記載の本開示の態様は、態様「からなる」及び/又は「から本質的になる」を含む。
【0057】
本明細書において、「約」値又はパラメータに対する言及は、該値又はパラメータ自体に対する変化を含む(且つ記述する)。例えば、「約X」に関する記述は、「X」の記述を含む。
【0058】
本明細書で使用されるように、「ではない」値又はパラメータに対する言及は、通常、「異なる」値又はパラメータを意味し且つ記述する。例えば、X型癌を治療するための方法ではないことは、該方法がX型と異なる癌の治療に用いられることを意味する。
【0059】
本明細に用いられる「約X~Y」という用語は、「約Xから約Y」と同じ意味を有する。
【0060】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「一つ/種(a/an)」及び「これら/該(the)」は、文脈が他の状況を明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0061】
理解すべきこととして、明確にするために、個別の態様の文脈で説明された本開示のいくつかの特徴は、単一の態様において組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔さのために、単一の態様の文脈で説明された本開示の異なる特徴は、単独で、又は任意の適切な部分的組み合わせで提供されてもよい。本明細書に記載の改変された免疫細胞及び治療方法に関する態様の全ての組み合わせは、いずれも本出願に明確に包含され、且つ各組み合わせが個別で明確に開示されているように、本明細書に開示されている。なお、このような変数を説明する態様において列挙される改変された免疫細胞の全ての部分的組み合わせも、いずれも本出願に明確に包含され、且つタンパク質のこのような各部分的組み合わせが本明細書において個別で明確に開示されているように、本明細書に開示されている。
【0062】
II.改変された免疫細胞
本出願の一局面において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む改変された免疫細胞を提供し、ここで、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、TLRシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチド(例えば、TLR共刺激ポリペプチド)をコードする。いくつかの態様において、TLRポリペプチドがそれらの対応する標的に結合したら、第1及び第2のポリペプチドのTLRシグナル伝達ドメインは、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達部分を形成し、ここで、TLRシグナル伝達部分は、TLRシグナル伝達を誘導することによって、強い抗腫瘍効果をもたらす。第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0063】
いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、第1及び第2のTLRポリペプチドを含む改変された免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)シグナルにより誘導された、増加したT細胞活性化、機能及び/又は生存を有する。いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞により、腫瘍細胞殺傷効果の増加を誘導する。いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチド誘導は、腫瘍細胞殺傷効果の増加を誘導し、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、12倍、14倍、16倍、20倍、25倍、30倍、40倍又はそれ以上のうちのいずれか一つ増加する。いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞に持続的有効性を付与し、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍又はそれ以上のうちのいずれか一つ増加する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、TLRポリペプチドを含む改変された免疫細胞に比べて、個体に投与される場合に、低下したインビボ毒性を有する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、TLRポリペプチドを含む改変された免疫細胞に比べて、個体に投与される場合にインビボ疲弊を減少させる。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは共刺激分子である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0064】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインは異なるTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは異なるTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインは異なっている。いくつかの態様において、該一つ又は複数のTLR分子は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8及びTLR9、例えば、TLR1、TLR2、TLR4又はTLR6からなる群から選択される。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、且つここで、第1のTLR膜貫通ドメイン、第1のTLRシグナル伝達ドメイン、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0066】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、ここで、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、且つここで、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来し、又はここで、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来し、且つここで、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0067】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、ここで、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来し、且つここで、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、又はここで、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、且つここで、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0068】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、CD33、CLL1、CD123、CD19、CD20、CD22、BCMA、GPRC5D、NKG2D又はGPC3に特異的に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドの標的分子は、免疫チェックポイントタンパク質である。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドの標的分子は、PD-1、CD70、CD27、SIRPα及びTIGITからなる群から選択される。上記改変された免疫細胞のうちのいずれか一つによるいくつかの態様において、標的分子は、免疫細胞上に発現する天然タンパク質である。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dである。いくつかの態様において、標的分子は突然変異NKG2Dである。いくつかの態様において、突然変異NKG2Dは、短縮された配列及び/又はアミノ酸の置換、突然変異、付加及び/又は欠失を含む。いくつかの態様において、標的分子は、NKG2Dの細胞外抗原結合ドメインである。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dの全長配列である。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0069】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD33のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、BCMAのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、NKG2Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、GPRC5Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、NKG2Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体をさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CD19、CLL1、BCMA又はGPC3のうちのいずれかを特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CAR、例えば、CD19 CAR、CLL1 CAR、GPC3 CAR又はBCMA CAR(例えば、単一BCMA CAR又はタンデムBCMA CAR)である。いくつかの態様において、操作された受容体は操作されたTCRである。いくつかの態様において、操作された受容体はTAC受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0070】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD33のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、BCMAのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、NKG2Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、GPRC5Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、NKG2Dのサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体をさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CAR、例えば、CD19 CAR、CLL1 CAR、GPC3 CAR又はBCMA CAR(例えば、単一BCMA CAR又はタンデムBCMA CAR)である。いくつかの態様において、操作された受容体は操作されたTCRである。いくつかの態様において、操作された受容体はTAC受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0071】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、NKG2Dの細胞外NKG2D結合ドメインである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD20に特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD33のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、GPRC5Dに特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、BCMAに特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは異なっている。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0072】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR2膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR2シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR1膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR1シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR2シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR1シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0073】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D細胞外ドメイン(ECD)、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0075】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0076】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0077】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0078】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、NKG2Dの細胞外NKG2D結合ドメインである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、GPRC5Dに特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、BCMAに特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD33に特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体をさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CAR、例えば、CD19 CAR、CLL1 CAR、GPC3 CAR又はBCMA CAR(例えば、単一BCMA CAR又はタンデムBCMA CAR)である。いくつかの態様において、操作された受容体は操作されたTCRである。いくつかの態様において、操作された受容体はTAC受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0080】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、NKG2Dの細胞外NKG2D結合ドメインである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD20に特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、GPRC5Dに特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、BCMAに特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD33に特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは異なっている。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR2膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR2シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR1膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR1シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR2シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR1シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0082】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0083】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0084】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0085】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0086】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0087】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0088】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチドと同じである標的分子(第2のポリペプチドの標的分子と異なっている)を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、第2のポリペプチドと同じである標的分子(第1のポリペプチドの標的分子と異なっている)を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、CD20のサブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、CAR、例えば、CD19 CAR、CLL1 CAR、GPC3 CAR又はBCMA CARである。いくつかの態様において、操作された受容体は操作されたTCRである。いくつかの態様において、操作された受容体はTAC受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0089】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、NKG2Dの細胞外NKG2D結合ドメインである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD20に特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、GPRC5Dに特異的に結合するscFvである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、BCMAに特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインはそれぞれ、CD33に特異的に結合するsdAbである。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは異なっている。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0090】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR2膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR2シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR1膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR1シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR2シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR1シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメインはscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインは、抗体部分又はその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインはCD33のVサブユニットを特異的に認識し、且つ第2の標的結合ドメインはCD33のC2サブユニットを特異的に認識する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0091】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0092】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0093】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0094】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0095】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0096】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞(例えば、T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含み、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0097】
いくつかの態様において、CARを発現する免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、CARは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメイン(例えば、単一BCMA CAR又はタンデムBCMA CAR)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0098】
いくつかの態様において、TCRを発現する免疫細胞(例えば、TCR-T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、TCRは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、TCRは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、TCRは、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメイン(例えば、単一BCMA TCR又はタンデムBCMA TCR)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0099】
いくつかの態様において、TACを発現する免疫細胞(例えば、TAC-T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは異なっている。いくつかの態様において、多量体標的分子のサブユニットは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、TACは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、TACは、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、TACは、CD19、CLL1、GPC3及びBCMAのうちのいずれか一つを特異的に認識する細胞外ドメイン(例えば、単一BCMA TAC又はタンデムBCMA TAC)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0100】
いくつかの態様において、CARを発現する免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその抗原結合断片)と、ii)第1のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその抗原結合断片)と、ii)第2のTLR4膜貫通ドメインと、iii)第2のTLR4シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLR4シグナル伝達ドメイン及び第2のTLR4シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLR4シグナル伝達を誘導できるTLR4シグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、シグナルペプチド(例えば、リーダー配列)をさらに含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じである。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CD19 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)を発現する。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗GPC3 CARを発現する。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトは、抗CD19 CAR及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0101】
いくつかの態様において、CARを発現する免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を提供し、それは、a)i)第1の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその抗原結合断片)と、ii)TLR2膜貫通ドメインと、iii)第1のTLR2シグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメイン(例えば、抗体部分又はその抗原結合断片)と、ii)TLR1膜貫通ドメインと、iii)TLR1シグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、TLR1シグナル伝達ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドは、シグナルペプチド(例えば、リーダー配列)をさらに含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1 CARを発現する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1/CD33デュアルCARを発現する。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、抗CD33 VドメインsdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLRの細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0102】
免疫細胞
改変された免疫細胞は、様々な細胞型及び細胞供給源に由来し得る。本明細書では、任意の哺乳動物種からの細胞が考慮され、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、サル及びヒトを含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はヒト細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞とレシピエント個体は同種異系である(即ち、同じ種に由来するが、ドナーが異なっている)。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は自家由来である(即ち、ドナーとレシピエントは同じである)。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は同質遺伝子である(即ち、ドナーとレシピエントは、異なる個体であるが、一卵性双生児である)。
【0103】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、初代細胞に由来する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、個体から単離された初代細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、個体から単離された初代細胞から増殖(例えば、増殖及び/又は分化)する。いくつかの態様において、初代細胞は造血系細胞である。いくつかの態様において、初代細胞は胸腺から得られる。いくつかの態様において、初代細胞はリンパ又はリンパ節(例えば、腫瘍流入領域リンパ節)から得られる。いくつかの態様において、初代細胞は脾臓から得られる。いくつかの態様において、初代細胞は骨髄から得られる。いくつかの態様において、初代細胞は血液、例えば、末梢血から得られる。いくつかの態様において、初代細胞は末梢血単核細胞(PBMC)である。いくつかの態様において、初代細胞は血漿に由来する。いくつかの態様において、初代細胞は腫瘍に由来する。いくつかの態様において、初代細胞は粘膜免疫系から得られる。いくつかの態様において、初代細胞は生検試料から得られる。
【0104】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は細胞株に由来する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は商用細胞株から得られる。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、個体から単離された初代細胞から確立された細胞株である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞株から増殖(例えば、増殖及び/又は分化)する。いくつかの態様において、細胞株は非不死化(mortal)細胞株である。いくつかの態様において、細胞株は不死化細胞株である。いくつかの態様において、細胞株は、腫瘍細胞株、例えば、白血病又はリンパ腫細胞株である。いくつかの態様において、細胞株は、PBMCに由来する細胞株である。いくつかの態様において、細胞株は幹細胞株である。いくつかの態様において、細胞株は、HEK293-6E細胞、NK-92細胞及びJurkat細胞からなる群から選択される。
【0105】
本出願に用いられ得る例示的な免疫細胞は、樹状細胞(未熟樹状細胞と成熟樹状細胞とを含む)、Tリンパ球(例えば、初期T細胞、エフェクターT細胞、記憶T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、Treg細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及びリンフォカインが活性化されたキラー(LAK)細胞)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。免疫細胞サブグループは、当分野の既知の一つ又は複数の細胞表面マーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD11c、CD123、CD56、CD34、CD14、CD33など)の存在又は非存在によって定義され得る。薬学的組成物が複数の改変された免疫細胞を含む場合、これらの改変された免疫細胞は、免疫細胞型の特定のサブグループ、免疫細胞型のサブグループの組み合わせ、又は二つもしくはそれ以上の免疫細胞型の組み合わせであってもよい。いくつかの態様において、免疫細胞は、均一な細胞集団に存在する。いくつかの態様において、免疫細胞は、免疫細胞における、増強されたヘテロ細胞集団に存在する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はリンパ球である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はリンパ球ではない。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、養子免疫療法に適する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はPBMCである。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、PBMCに由来する免疫細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はT細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はCD4+ T細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はCD8+ T細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はB細胞である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はNK細胞である。
【0106】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は幹細胞に由来する。いくつかの態様において、幹細胞は全能性幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は多能性幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は単能性幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は前駆細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は胚性幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は造血幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は間葉系幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は人工多能性幹細胞(iPSC)である。
【0107】
改変された免疫細胞は、任意の数(例えば、1、2、3、4、5、10、50、100、1000又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の異種核酸配列(第1及び第2の核酸配列を含む)を含んでもよい。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、シングルコピー第1及び/又は第2の異種核酸配列を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、マルチコピー第1及び/又は第2の異種核酸配列を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、少なくとも一つの別の異種核酸配列、例えば、サイトカイン、ケモカインのような免疫調節剤及び/又は免疫チェックポイント阻害剤をコードする異種核酸配列をさらに含む。
【0108】
本明細書に記載の一つ又は複数の異種核酸配列を含む一つ又は複数の核酸は、改変された免疫細胞に瞬間的又は安定的に組み込まれてもよい。いくつかの態様において、一つ又は複数の核酸は、改変された免疫細胞において瞬間的に発現する。例えば、一つ又は複数の核酸は、染色体外アレイの形態で、改変された免疫細胞の細胞核に存在することができる。一つ又は複数の核酸は、当分野の既知の任意のトランスフェクション又は形質導入方法(ウイルス又は非ウイルス方法を含む)を用いて、改変された免疫細胞に導入され得る。例示的非ウイルストランスフェクション方法は、リン酸カルシウム、デンドリマー、リポソーム、又はカチオン性ポリマー(例えば、DEAE-デキストラン又はポリエチレンイミン)の使用のような化学物質ベースのトランスフェクション、エレクトロポレーション、細胞スクイージング、ソノポレーション、光学的トランスフェクション、インペールフェクション、プロトプラスト融合、流体力学的送達又はトランスポゾンのような非化学的方法、遺伝子銃、マグネトフェクション又は磁石補助トランスフェクション、パーティクルボンバードメントの使用のような粒子ベースの方法、及びヌクレオフェクションのような混合方法を含むが、それらに限らない。
【0109】
いくつかの態様において、一つ又は複数の異種核酸配列は、改変された免疫細胞のゲノムに存在する。例えば、一つ又は複数の異種核酸配列を含む一つ又は複数の核酸は、当分野の既知の任意の方法により、改変された免疫細胞のゲノムに組み込まれ得、これらの方法は、部位特異性リコンビナーゼ又はインテグラーゼ、トランスポザーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN(登録商標))、CRISPR/Cas9及びジンクフィンガーヌクレアーゼの使用のようなウイルス媒介性組み込み、ランダム組み込み、相同組換え方法及び部位特異的組み込み方法を含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、一つ又は複数の異種核酸配列を、改変された免疫細胞ゲノムの特別に設計された遺伝子座に組み込む。いくつかの態様において、一つ又は複数の異種核酸配列を、改変された免疫細胞ゲノムの組み込みホットポイントに組み込む。いくつかの態様において、異種核酸(配列)を、改変された免疫細胞ゲノムのランダム遺伝子座に組み込む。単一の改変された免疫細胞に一つ又は複数のマルチコピー異種核酸配列が存在する場合、異種核酸配列を、改変された免疫細胞ゲノムの複数の遺伝子座に組み込んでもよい。
【0110】
TLRポリペプチド
本明細書に記載の改変された免疫細胞は、toll様受容体(TLR)ポリペプチド(例えば、第1のTLRポリペプチド及び第2のTLRポリペプチド、本明細書において、それぞれ第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドとも呼ばれる)を発現する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、少なくとも一つのTLRポリペプチドを発現する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、二つのTLRポリペプチドを発現する。本出願は、TLRポリペプチド及びその組成物をさらに提供する。いくつかの態様において、本明細書によるTLRポリペプチドは、抗原刺激後にTLRシグナル伝達を誘導することによって強い共刺激抗腫瘍効果を提供する。
【0111】
TLRポリペプチドはTLR分子に由来する。TLRは、I型膜貫通糖タンパク質であり、その特徴が、ロイシンリッチ反復配列(LRR)を含有する細胞外ドメインが存在することであり、該細胞外ドメインがリガンド認識の媒介を担う。細胞外ドメインの後には、単一膜貫通ヘリックス及び細胞内Toll様/インターロイキン-1(IL-1)受容体(TIR)ドメインが続いている。いくつかの態様において、TIRドメインは、下流シグナル伝達を担う(例えば、TLRシグナル伝達を誘導する)。TLRのドメイン及び機能は当分野に周知のものである。例えば、Jinら,2008 29(2):182-91を参照されたい。
【0112】
いくつかの態様において、これらのTLR分子は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9及びTLR10である。いくつかの態様において、TLRポリペプチドはTLR1に由来する。いくつかの態様において、TLRポリペプチドはTLR2に由来する。いくつかの態様において、TLRポリペプチドはTLR4に由来する。いくつかの態様において、TLRポリペプチドはTLR6に由来する。
【0113】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら二量体化し、その結果、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインが会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、ホモ二量体(例えば、二つの同じTLR分子の二量体化)を形成する。ホモ二量体は、TLR3、TLR4、TLR5又はTLR9に由来するTLRポリペプチドと形成され得る。いくつかの態様において、第1及び第2のTLRポリペプチドは、それぞれTLR3膜貫通ドメイン及びTLR3シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1及び第2のTLRポリペプチドは、それぞれTLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1及び第2のTLRポリペプチドは、それぞれTLR5膜貫通ドメイン及びTLR5シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1及び第2のTLRポリペプチドは、それぞれTLR9膜貫通ドメイン及びTLR9シグナル伝達ドメインを含む。
【0114】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、ヘテロ二量体(例えば、二つの異なるTLRポリペプチドの二量体化)を形成する。ヘテロ二量体は、TLR1/TLR2、TLR1/TLR4、TLR2/TLR6、TLR2/TLR10又はTLR4/TLR5からのTLRポリペプチドと形成され得る。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドはTLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含み、又は第1のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドはTLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメインを含み、又は第1のTLRポリペプチドはTLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR6膜貫通ドメイン及びTLR6シグナル伝達ドメインを含み又は第1のTLRポリペプチドはTLR6膜貫通ドメイン及びTLR6シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR10膜貫通ドメイン及びTLR10シグナル伝達ドメインを含み、又は第1のTLRポリペプチドはTLR10膜貫通ドメイン及びTLR10シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドはTLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR5膜貫通ドメイン及びTLR5シグナル伝達ドメインを含み、又は第1のTLRポリペプチドはTLR5膜貫通ドメイン及びTLR5シグナル伝達ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドはTLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメインを含む。
【0115】
例示的TLR分子は、以下の表1にリストされている。
【0116】
【0117】
いくつかの態様において、前記TLR受容体ドメインを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞により、標的細胞に対する細胞傷害性の増加、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、2倍、4倍、6倍又はそれ以上のうちのいずれか一つの増加を誘導する。いくつかの態様において、前記TLR受容体ドメインを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLR受容体ドメインは、改変された免疫細胞により、標的細胞に対する細胞傷害性の増加、例えば、約6倍以下、4倍以下、2倍以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、又はそれ以下のうちのいずれか一つの増加を誘導する。いくつかの態様において、細胞傷害性は、乳酸脱水素酵素(LDH)細胞傷害性アッセイ及び/又は標的腫瘍細胞との共培養アッセイによって測定される。いくつかの態様において、細胞傷害性及び腫瘍細胞殺傷能力は、細胞ベースのアッセイにおいて測定される。いくつかの態様において、細胞傷害性及び腫瘍細胞殺傷能力はインビボで測定される。
【0118】
いくつかの態様において、前記TLR受容体ドメインを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞により、炎症性サイトカイン分泌レベルの低下、例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、12倍、14倍、16倍、18倍、20倍、30倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍又はそれ以上のうちのいずれか一つの低下を誘導する。いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞により、炎症性サイトカイン分泌レベルの低下、例えば、約1000倍以下、500倍以下、200倍以下、100倍以下、50倍以下、30倍以下、20倍以下、18倍以下、16倍以下、14倍以下、12倍以下、10倍以下、8倍以下、6倍以下、4倍以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下又はそれ以下のうちのいずれか一つの低下を誘導する。いくつかの態様において、前記TLRポリペプチドを含まない改変された免疫細胞に比べて、TLRポリペプチドは、改変された免疫細胞により、炎症性サイトカイン分泌レベルの低下、例えば、約10%~50%、2~1000倍、2~50倍、50~100倍、100~1000倍、50~500倍、10~100倍、10~50倍又は50~200倍のうちのいずれか一つ内の低下を誘導する。例示的な炎症性サイトカインは、例えば、IFN-γ、TNF-α及びGM-CSFを含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、炎症性サイトカインの分泌レベルは、血清免疫アッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、化学発光免疫アッセイ(CIA)又はフローサイトメトリー)において測定される。いくつかの態様において、炎症性サイトカイン分泌レベルは、細胞ベースのアッセイにおいて測定される。いくつかの態様において、炎症性サイトカイン分泌レベルはインビボで測定される。
【0119】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは共刺激分子である。いくつかの態様において、TLRポリペプチド共刺激分子は誘導性共刺激分子であり、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは、互いに会合することによって、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。
【0120】
いくつかの態様において、誘導性共刺激分子は、自己切断ペプチド(例えば、P2A)を介して、操作された受容体(例えば、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つ)に連結される。いくつかの態様において、操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、膜貫通ドメインとシグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、共刺激分子であり、且つTLR膜貫通ドメインとTLRシグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、シグナル伝達ドメインは、細胞内ドメイン、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインである。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、(a)標的結合ドメインと、(b)膜貫通ドメインと、(c)シグナル伝達ドメイン(例えば、細胞内シグナル伝達ドメイン)とを含む。任意選択的に、TLRポリペプチドは、シグナル伝達ペプチドをさらに含む。
【0121】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRdシグナル伝達ドメインと直接又は間接的に融合している膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、標的結合ドメイン(例えば、第1の標的結合ドメイン及び/又は第2の標的結合ドメイン)と直接又は間接的に融合している膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、標的結合ドメイン及びTLRシグナル伝達ドメインと同時に直接又は間接的に融合している膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR分子からのTLR膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、TLR分子は、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9及びTLR10からなる群から選択される。いくつかの態様において、TLR膜貫通ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、TLR膜貫通ドメインはTLR2に由来する。いくつかの態様において、TLR膜貫通ドメインはTLR4に由来する。いくつかの態様において、TLR膜貫通ドメインはTLR6に由来する。
【0122】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1の標的結合ドメインと、第1のTLR膜貫通ドメインと、第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、第2の標的結合ドメインと、第2のTLR膜貫通ドメインと、第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む。
【0123】
いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び第1のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9及びTLR10からなる群に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR4及びTLR6からなる群に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来する。
【0124】
いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じTLR分子に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第2のTLRシグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9及びTLR10からなる群に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第2のTLRシグナル伝達ドメインは、TLR1、TLR2、TLR4及びTLR6に由来する。いくつかの態様において、第2のTLR膜貫通ドメイン及び/又は第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来する。
【0125】
いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR1に由来し、且つ第2のTLR膜貫通ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR2に由来し、且つ第2のTLR膜貫通ドメインはTLR2に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR4に由来し、且つ第2のTLR膜貫通ドメインはTLR4に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR6に由来し、且つ第2のTLR膜貫通ドメインはTLR6に由来する。
【0126】
いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来する。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR4に由来する。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR6に由来する。
【0127】
いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインと第2のTLR膜貫通ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR2に由来し、且つ第2のTLR膜貫通ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する。いくつかの態様において、第1のTLR膜貫通ドメインはTLR2に由来し、第1のTLRシグナル伝達ドメインはTLR2に由来し、第2のTLR膜貫通ドメインはTLR1に由来し、且つ第2のTLRシグナル伝達ドメインはTLR1に由来する。
【0128】
いくつかの態様において、本明細書に記載のTLRポリペプチドは標的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、標的結合ドメインは受容体又はリガンドに由来するものではない。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはTGFβに由来するものではない。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはTGFβではない。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはTGFβ細胞外ドメインを含まない。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、TGFβの細胞外TGFβ結合ドメイン(例えば、TGFβR1及び/又はTGFβR2)を含まない。いくつかの態様において、標的結合ドメインは、TGFβR1の細胞外TGFβ結合ドメインを含まない。いくつかの態様において、標的結合ドメインは、TGFβR2の細胞外TGFβ結合ドメインを含まない。いくつかの態様において、標的結合ドメインは細胞外TGFβ結合ドメインではない。いくつかの態様において、標的結合ドメインはTGFβR2の細胞外TGFβ結合ドメインではない。いくつかの態様において、標的結合ドメインはTGFβRlの細胞外TGFβ結合ドメインではない。いくつかの態様において、TLRポリペプチド(例えば、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチド)は、WO 2018/094244 A1に記述されるキメラTGFβ受容体CTBRシグナルコンバーターではなく、該文献が全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
いくつかの態様において、本明細書による改変された免疫細胞は、第1及び第2のTLRポリペプチドを含み、ここで、第1のTLRポリペプチドは第1の標的結合ドメインを含み、且つ第2のTLRポリペプチドは第2の標的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメインと第2の標的結合ドメインは異なっている。
【0130】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドの標的結合ドメインは、抗体又は抗体断片、例えば、scFv、Fv、Fab、(Fab’)2、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はVHHドメインである。いくつかの態様において、該ポリペプチドは、標的分子の受容体のリガンド又は細胞外部分である。いくつかの態様において、標的分子は腫瘍抗原である。いくつかの態様において、TLRポリペプチドの標的結合ドメインは、単一腫瘍抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD19、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、CD20、CD22、CD33、CLL1、CD38、CEA、EGFR(例えば、EGFRvIII)、GD2、HER2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1、及び臨床的に重要な他の腫瘍抗原、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、NKG2D、GPRC5D、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、AFP、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD70、CD123、CEA、EGFR(例えばEGFRvIII)、GD2、GPC-2、GPC3、CLDN18.2、HER2、LILRB4、IL-13Rα2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1、NKG2D、CLL1、TGFaRII、TGFbRII、CCR5、CXCR4、CCR4、HPV関連抗原及びEBV関連抗原(例えば、LMP1又はLMP2)からなる群から選択される標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、標的結合ドメインは、CD33、CLL1、CD123、CD19、CD20、CD22、BCMA、NKG2D、GPRC5D又はGPC3に特異的に結合する。
【0131】
いくつかの態様において、標的分子は免疫チェックポイントタンパク質である。いくつかの態様において、標的分子は、PD-1、CD70、CD27、SIRPα及びTIGITからなる群から選択される。
【0132】
いくつかの態様において、標的分子は、免疫細胞上に発現する天然タンパク質である。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dである。いくつかの態様において、標的分子は突然変異NKG2Dである。いくつかの態様において、突然変異NKG2Dは、短縮された配列及び/又はアミノ酸の置換、突然変異、付加及び/又は欠失を含む。いくつかの態様において、標的分子は、NKG2Dの細胞外抗原結合ドメインである(本明細書において「NKG2D ECD」とも呼ばれる)。いくつかの態様において、標的分子はNKG2Dの全長配列である。いくつかの態様において、NKG2Dは、SEQ ID NO:54と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドはSEQ ID NO:54を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、NKG2DのECD全長配列の81~216位置におけるアミノ酸(SEQ ID NO:54)を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、SEQ ID NO:51と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドはSEQ ID NO:51を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、NKG2DのECD全長配列の89~216位置におけるアミノ酸(SEQ ID NO:54)を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、SEQ ID NO:52と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドはSEQ ID NO:52を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、NKG2DのECD全長配列の98~216位置におけるアミノ酸(SEQ ID NO:54)を含む。いくつかの態様において、NKG2Dは、SEQ ID NO:53と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドはSEQ ID NO:53を含む。
【0133】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、シグナルペプチドをさらに含み、該シグナルペプチドは、TLRポリペプチドを細胞(例えば、ER)の分泌経路に標的化し、宿主細胞の脂質二重層へのTLRポリペプチドの組み込み及び固着を可能にする。本明細書に記載のTLRポリペプチドに適し、天然に存在するタンパク質のシグナル配列又は天然に存在しない合成のシグナル配列を含むシグナルペプチドは、当業者には明らかであろう。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、CD8α、GM-CSF受容体α、IL-3、及びIgG1重鎖からなる群から選択される分子からのものである。いくつかの態様において、シグナルペプチドはCD8αからのものである。
【0134】
TLRポリペプチドは、異なるドメインの間に位置する一つ又は複数のペプチドリンカーを含んでもよい。例えば、標的結合ドメイン及びTLR膜貫通ドメイン及び/又はTLR膜貫通ドメイン及びTLRシグナル伝達ドメインは、ペプチド結合又はペプチドリンカーを介して互いに融合していることができる。異なるドメインを連結するペプチドリンカーは、同じであってもよく、又は異なってもよい。各ペプチドリンカーは、個別に最適化され得る。ペプチドリンカーは、任意の適切な長さを有してもよい。いくつかの態様において、ペプチドリンカーの長さは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50個又はそれ以上のアミノ酸のうちのいずれか一つである。いくつかの態様において、ペプチドリンカーの長さは、約50、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5個又はそれ以下のアミノ酸のうちのいずれか一つ以下である。いくつかの態様において、ペプチドリンカーの長さは、約1個のアミノ酸~約10個のアミノ酸、約1個のアミノ酸~約20個のアミノ酸、約1個のアミノ酸~約30個のアミノ酸、約5個のアミノ酸~約15個のアミノ酸、約10個のアミノ酸~約25個のアミノ酸、約5個のアミノ酸~約30個のアミノ酸、約10個のアミノ酸~約30個のアミノ酸、約30個のアミノ酸~約50個のアミノ酸、又は約1個のアミノ酸~約50個のアミノ酸のうちのいずれか一つである。
【0135】
ペプチドリンカーは、天然に存在する配列又は天然に存在しない配列を有してもよい。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、柔軟なリンカーである。例示的柔軟なリンカーは、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n(SEQ ID NO:27)、(GSGGS)n(SEQ ID NO:28)及び(GGGS)n(SEQ ID NO:29)を含み、ここで、nは少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー及び当分野の既知の他の柔軟リンカーを含む。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、SEQ ID NO:25又は26のアミノ酸配列を有する。
【0136】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR1膜貫通ドメインとTLR1シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR2膜貫通ドメインとTLR2シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインとTLR4シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR6膜貫通ドメインとTLR6シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、シグナルペプチド(例えば、リーダー配列)をさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、サイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。
【0137】
いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、標的結合ドメインは、NKG2D、CD33、CLL1、CD123、CD19、CD20、CD22、BCMA、GPRC5D又はGPC3に特異的に結合するscFv又はsdAbである。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、CD33に特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、CD33のVドメインに特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR2膜貫通ドメインと、誘導されたTLR2シグナル伝達ドメインと、CD33のVドメインに特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、CD33のC2ドメインに特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR1膜貫通ドメインと、誘導されたTLR1シグナル伝達ドメインと、CD33のC2ドメインに特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、CD20に特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインと、誘導されたTLR4シグナル伝達ドメインと、CD20に特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、CD33に特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインと、誘導されたTLR4シグナル伝達ドメインと、CD33に特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、NKG2Dに特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインと、誘導されたTLR4シグナル伝達ドメインと、NKG2Dに特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、BCMAに特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインと、誘導されたTLR4シグナル伝達ドメインと、BCMAに特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、同じTLR分子に由来する膜貫通ドメイン及びシグナル伝達ドメインを含むTLRポリペプチドは、GPRC5Dに特異的に結合する標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLR4膜貫通ドメインと、誘導されたTLR4シグナル伝達ドメインと、GPRC5Dに特異的に結合する標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、シグナルペプチド(例えば、リーダー配列)をさらに含む。
【0138】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、サイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、一つ又は複数のサイトカイン受容体の二つ又はそれ以上の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのC末端は、TLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのC末端は、TLRドメインのN末端と直接的に融合している。いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのC末端は、例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチドリンカー)又は別のドメインを介して、TLRドメインのN末端と間接的に融合している。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、i)標的結合ドメインと、ii)サイトカイン受容体の細胞内ドメインと、iii)TLR膜貫通ドメインと、iv)TLRシグナル伝達ドメインとを含む。
【0139】
いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と直接的に融合している。いくつかの態様において、サイトカイン受容体の細胞内ドメインのN末端は、例えば、リンカー(例えば、柔軟なペプチドリンカー)又は別のドメインを介して、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と間接的に融合している。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、i)標的結合ドメインと、ii)TLR膜貫通ドメインと、iii)TLRシグナル伝達ドメインと、iv)サイトカイン受容体の細胞内ドメインとを含む。
【0140】
いくつかの態様において、サイトカイン受容体由来の細胞内ドメインは、改善されたTLRシグナル伝達(例えば、抗腫瘍作用)を一つ又は複数のTLRポリペプチドに付与する。いくつかの態様において、サイトカイン受容体由来の細胞内ドメインは、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、サイトカイン受容体由来の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。
【0141】
本明細書に記載の改変された免疫細胞は、第1のTLRポリペプチドと第2のTLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、第1のTLRポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインをさらに含み、且つ第2のポリペプチドは第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインと第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは同じである。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインと第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは異なっている。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体は、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体は、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体と第2のサイトカイン受容体はそれぞれ、GM-CSF受容体、IL-18受容体、IL-21受容体、IL-15受容体及びIL-23受容体からなる群から選択される。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメイン及び第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのC末端は、第1のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのC末端は、第2のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのC末端は、第1のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合し、且つ、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのC末端は、第2のTLRシグナル伝達ドメインのN末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。いくつかの態様において、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。いくつかの態様において、第1のサイトカイン受容体の第1の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合し、且つ、第2のサイトカイン受容体の第2の細胞内ドメインのN末端は、TLRシグナル伝達ドメインのC末端と融合している。
【0142】
いくつかの態様において、本明細書に記載のTLRポリペプチドは、改変された免疫細胞に含まれている。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR分子及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CD19 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0143】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR分子及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CD19 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0144】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR分子及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗GPC3 CARを発現する。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0145】
いくつかの態様において、本明細書に記載のTLRポリペプチドは、改変された免疫細胞に含まれている。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR分子及び抗CD33 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0146】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR分子(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR分子(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0147】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1 CARを発現する。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、抗CLL1/CD33デュアルCARを発現する。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、抗CD33 VドメインsdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドコーディング配列は、推定された上流開始コドンの一部又は全部の配列を欠いている。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、TLRシグナル伝達の誘導に影響を与えないように、第1のTLRシグナル伝達ドメインと第2のTLRシグナル伝達ドメインとの間にTLRシグナル伝達部分の会合を形成することに影響を与えることなく、いくつかのアミノ酸突然変異を含んでもよい。
【0148】
本明細書に記載のTLRドメイン(例えば、TLR膜貫通ドメイン及び/又はTLRシグナル伝達ドメイン)のうちのいずれかのバリアントも本開示の範囲内であり、それによりTLRドメインは免疫細胞の免疫応答を調節することができる。いくつかの態様において、野生型対照物に比べて、共刺激シグナル伝達ドメインは、10個まで(例えば、1、2、3、4、5又は8個)のアミノ酸残基変化を含む。一つ又は複数のアミノ酸変化を含むこのようなTLRドメインは、バリアントと呼ばれてもよい。突然変異を含まない共刺激シグナル伝達ドメインに比べて、TLRシグナル伝達ドメインのアミノ酸残基の突然変異は、シグナル形質導入の増加及び免疫応答に対する刺激の増強をもたらすことができる。突然変異を含まない共刺激シグナル伝達ドメインに比べて、TLRシグナル伝達ドメインのアミノ酸残基の突然変異は、シグナル形質導入の減少及び免疫応答に対する刺激の低下をもたらすことができる。
【0149】
いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、本明細書に記載のTLRドメイン(例えば、TLR膜貫通ドメイン及び/又はTLRシグナル伝達ドメイン)のアミノ酸配列バリアントを含む。いくつかの態様において、TLRポリペプチドは、本明細書に記載のTLR分子(例えば、TLR分子のTLR膜貫通ドメイン及び/又はTLRシグナル伝達ドメイン)のアミノ酸配列バリアントを含む。例えば、TLRポリペプチドの生物学的特性を調節することが望ましい場合がある。そのTLR分子(例えば、そのTLR分子の膜貫通ドメイン及び/又はシグナル伝達ドメイン)のアミノ酸配列バリアントは、TLR分子をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入すること又はペプチド合成によって調製され得る。このような改変は、例えば、TLR分子のアミノ酸配列内の残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせを行うことによって最終的なコンストラクトを得ることができ、その条件として、最終的なコンストラクトは、所望の特徴、例えば、TLR結合及び/又は炎症誘発活性を有する。
【0150】
いくつかの態様において、本明細書に記載のTLR分子のうちのいずれか一つの配列に比べて、TLR分子は、一つ又は複数(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20個のアミノ酸又はそれ以上)の保存的置換を含む。いくつかの態様において、TLR分子は、本明細書に記載のTLR分子のうちのいずれか一つの配列と少なくとも約80%の配列同一性、例えば、少なくとも約85%、87%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性のうちのいずれか一つを有する。本明細書に記載のTLRポリペプチドと同様に、改変TLR分子を含むTLRポリペプチドバリアントは、類似する抗腫瘍活性及び低い毒性を有する。
【0151】
保存的置換は以下の表Aに示されている。
【0152】
(表A)保存的置換
アミノ酸は、共通の側鎖特性に応じて異なるクラスに分類することができる。
a.疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
b.中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
c.酸性:Asp、Glu、
d.塩基性:His、Lys、Arg、
e.鎖配向に影響する残基:Gly、Pro、
f.芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスにおける一つのメンバーを別のクラスに交換する必要がある。
【0153】
当業者であれば、変異誘発、ポリメラーゼ連鎖反応、相同組換え又は当業者に周知の任意の他の遺伝子工学技術を含む任意の適切な方法を用いて、目的遺伝子において突然変異を発生させ得ることを認識することであろう。突然変異は、単一ヌクレオチド(例えば、DNA配列内の単一ヌクレオチド塩基の除去、付加又は置換に関する点突然変異)に関してもよく、又は大量のヌクレオチドの挿入又は欠失に関してもよい。突然変異は、DNA複製のような忠実度の誤りなどの事象で自発的に発生し得るか、又は化学的もしくは物理的変異誘発剤に曝露した後に誘導され得る。また、部位特異的突然変異は、当業者によく知られる特定標的化方法を用いて行われ得る。
【0154】
Cunningham及びWells(1989)Science,244:1081-1085に記載のように、変異誘発の標的となり得るポリペプチドの残基又は領域を同定するための有用な方法は「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法において、標的残基の残基又は残基群(例えば、荷電残基、例えば、arg、asp、his、lys及びglu)を同定し、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)で置換することによって、ポリペプチド試薬とその標的(例えば、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメイン)との相互作用が影響を受けるか否かを確定する。アミノ酸の位置に別の置換を導入することで、初期置換に対する機能的感受性を実証することができる。バリアントは、所望の特性を含むか否かを確定するためにスクリーニングされてもよい。
【0155】
アミノ酸配列の挿入は、長さが一つの残基から百個又はそれ以上の残基を含むポリペプチドの範囲内にあるアミノ末端及び/又はカルボキシ末端の融合と、単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入とを含む。
【0156】
いくつかの態様において、ペプチドタグ(通常、入手可能な抗血清又は化合物により認識され得るショートペプチド配列である)は、TLRポリペプチドのその後の発現及び輸送のために含まれてもよい。様々なタグペプチドは、本明細書に記載のTLRポリペプチドに用いられてもよいが、PKタグ、FLAGオクタペプチド、MYCタグ、HISタグ(通常、4~10個のヒスチジン残基のセグメントである)及びe-タグ(US 6,686,152)に限定されるものではない。複数のタグが使用される場合、一つ又は複数のタグペプチドは、独立して、タンパク質のN末端、そのC末端、内部又はこれらの位置のうちのいずれか一つに位置してもよい。タグペプチドは、抗タグ抗体を用いて、免疫検出アッセイにより検出され得る。
【0157】
操作された受容体
上記任意の改変された免疫細胞は、操作された受容体をさらに発現することができる。例示的な操作された受容体は、CAR、操作されたTCR及びTAC受容体を含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、操作された受容体は、抗原(例えば、腫瘍抗原)に特異的に結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR共受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、プロモーター(例えば、構成型プロモーター又は誘導性プロモーター)に操作可能に連結されている第3の核酸によりコードされる。いくつかの態様において、タンパク質を細胞膜に挿入すると共に細胞をマイクロ流体システム(例えば、CELL SQUEEZE(登録商標))に通すことによって、改変された免疫細胞に操作された受容体を導入する(例えば、米国特許出願公開番号20140287509を参照されたい)。操作された受容体は、例えば、改変された免疫細胞を標的化し、シグナルを形質導入し、及び/又は改変された免疫細胞の細胞傷害性を増強することによって、改変された免疫細胞の機能を増強することができる。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、CAR、TCR又はTAC受容体を発現しない。
【0158】
いくつかの態様において、操作された受容体は、少なくとも一つの腫瘍抗原を標的化する一つ又は複数の特異的結合ドメイン、及び一つ又は複数の細胞内エフェクタードメイン、例えば、一つ又は複数の一次細胞内シグナル伝達ドメイン及び/又は共刺激ドメインを含む。
【0159】
いくつかの態様において、操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。多くのキメラ抗原受容体は、当分野の既知のものであり、本出願の改変された免疫細胞に適用され得る。CARは、例えば、抗体分子の抗原結合断片又は抗体可変ドメインを使用することによって、任意の細胞表面マーカーに対して特異性を有するように構築されてもよい。本明細書は、CARを産生する任意の方法を使用してもよい。例えば、US 6,410,319、US 7,446,191、US 7,514,537、US 9765342 B2、WO 2002/077029、WO 2015/142675、US 2010/065818、US 2010/025177、US 2007/059298、WO 2017025038 A1及びBerger C.ら,J. Clinical Investigation 118:1 294-308(2008)を参照されたく、これらの文献を参照により組み込む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はCAR-T細胞である。
【0160】
本出願のCARは、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、該細胞外ドメインは、少なくとも一つの腫瘍抗原に特異的に結合する少なくとも一つ標的化ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞(例えば、CAR-T細胞)の免疫エフェクター機能を促進するシグナルを産生する。「免疫エフェクター機能又は免疫エフェクター応答」は、例えば、免疫エフェクター細胞の、標的細胞の免疫攻撃を増強又は促進する機能又は応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能又は応答は、標的細胞を殺傷するか又はその生育もしくは増殖を阻害するT又はNK細胞の特性を指す。免疫エフェクター機能の例としては、例えば、CAR-T細胞において、細胞溶解活性(例えば、抗体依存性細胞傷害性、又はADCC)及びヘルパー活性(例えば、サイトカインの分泌)が挙げられる。いくつかの態様において、CARは、免疫エフェクター機能が低下した細胞内シグナル伝達ドメインを有する。いくつかの態様において、全長及び野生型CD3ζと、任意で一つ又は複数の共刺激ドメインとを有するCARに比べて、該CARは、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%又はそれ以下のうちのいずれか一つ以下の免疫エフェクター機能(例えば、標的細胞に対する細胞溶解機能)を有する細胞内シグナル伝達ドメインを有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞の増殖及び/又は生存を促進するシグナルを産生する。いくつかの態様において、CARは、CD28、CD137、CD3、CD27、CD40、ICOS、GITR及びOX40のシグナル伝達ドメインから選択される一つ又は複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。天然に存在する分子のシグナル伝達ドメインは、分子又はその断片もしくは派生物の細胞内(即ち細胞質)部分全体又は天然の細胞内シグナル伝達ドメイン全体を含んでもよい。
【0161】
いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「一次細胞内シグナル伝達ドメイン」は、刺激的に作用して免疫エフェクターを機能するように誘導する細胞質シグナル伝達配列を指す。いくつかの態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMと呼ばれるシグナル伝達モチーフを含有する。いくつかの態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、一般的なFcRγ(FCER1G)、FcRβ(FcεRib)、CD79a、CD79b、FcγRIIa、DAP10及びDAP 12からなる群から選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、一次細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、一般的なFcRγ(FCER1G)、FcRβ(FcεRib)、CD79a、CD79b、FcγRIIa、DAP10及びDAP 12からなる群から選択されるタンパク質の非機能的又は低下したシグナル伝達ドメインを含む。非機能的又は低下したシグナル伝達ドメインは、一つ又は複数の免疫エフェクター機能(例えば、細胞溶解活性又はヘルパー活性であり、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を含む)を低下させるか又は除去する点突然変異、挿入又は欠失を有する突然変異シグナル伝達ドメインであってもよい。いくつかの態様において、CARは、非機能的又は低下したCD3ζ(即ち、CD3ζ又はCD3z)シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。同じコンストラクトを有するが、野生型一次細胞内シグナル伝達ドメインを有するCARに比べて、低下した一次細胞内シグナル伝達ドメインは、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%又はそれ以下のうちのいずれか一つ以下の免疫エフェクター機能(例えば、標的細胞に対する細胞溶解機能)を誘導することができる。
【0162】
いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一つ又は複数の(例えば、1、2、3個又はそれ以上のうちのいずれか一つ)共刺激ドメインを含む。「共刺激ドメイン」は、共刺激分子の細胞内部分であってもよい。「共刺激分子」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞)における相同結合パートナーを指し、それは、共刺激リガンドに特異的に結合することによって、免疫細胞の共刺激応答、例えば、限定されないが、増殖及び生存を媒介する。共刺激分子は、抗原受容体又はそのリガンド以外の、有効な免疫応答に役立つ細胞表面分子を指す。共刺激分子は、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)及び活性化NK細胞受容体というタンパク質ファミリーとして表され得る。共刺激分子は、MHC クラスI分子、BTLA及びTollリガンド受容体、並びにOX40、CD27、CD28、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)及び4-1BB(CD137)を含むが、それらに限らない。このような共刺激分子の別の例としては、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TGFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CDIOO(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、及びCD83に特異的に結合するリガンドが挙げられる。
【0163】
いくつかの態様において、CARは、単一の共刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、二つ又はそれ以上の共刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、機能的一次細胞内シグナル伝達ドメインと、一つ又は複数の共刺激ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、機能的一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を含まない。いくつかの態様において、CARは、一つ又は複数の共刺激ドメインからなるか又は本質的になる細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、非機能的又は低下した一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、突然変異CD3ζ)及び一つ又は複数の共刺激ドメインからなるか又は本質的になる細胞内シグナル伝達ドメインを含む。標的化ドメインが腫瘍抗原と結合した後、CARの共刺激ドメインは、シグナルを形質導入することによって、CARを有する操作された免疫細胞(例えば、T細胞)の増殖、生存及び分化を増強し、活性化誘導細胞死を阻害することができる。いくつかの態様において、該一つ又は複数の共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4-1BB(即ちCD137)、OX40、CD30、CD40、CD3、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83に特異的に結合するリガンドからなる群から選択される一つ又は複数の分子に由来する。
【0164】
いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28に由来する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインと、CD28の共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、本出願のキメラ受容体における細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BB(即ちCD137)に由来する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインと、4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。
【0165】
いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28の共刺激シグナル伝達ドメインと、4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインと、CD28の共刺激シグナル伝達ドメインと、4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、CD28の共刺激シグナル伝達ドメインと、4-1BBの共刺激シグナル伝達ドメインと、CD3ζの細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。
【0166】
いくつかの態様において、CARの標的化ドメインは、抗体又は抗体断片、例えば、scFv、Fv、Fab、(Fab’)2、単一ドメイン抗体(sdAb)、又はVHHドメインである。いくつかの態様において、CARの標的化ドメインは、腫瘍抗原の受容体に特異的に結合するリガンド又は細胞外部分である。いくつかの態様において、CARの一つ又は複数の標的化ドメインは、単一腫瘍抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、CARは、二つ又はそれ以上の腫瘍抗原に結合する標的化ドメインを有する二重特異性又は多重特異性CARである。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD19、NKG2D、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、CD20、CD22、CD33、CD38、CEA、EGFR(例えば、EGFRvIII)、GD2、HER2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1、及び臨床的に重要な他の腫瘍抗原、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、CARは、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、AFP、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD70、CD123、CEA、EGFR(例えば、EGFRvIII)、GD2、GPC-2、GPC3、CLDN18.2、HER2、LILRB4、IL-13Rα2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1、NKG2D、CLL1、TGFaRII、TGFbRII、CCR5、CXCR4、CCR4、HPV関連抗原及びEBV関連抗原(例えば、LMP1又はLMP2)からなる群から選択される標的抗原に特異的に結合する。
【0167】
いくつかの態様において、CARは抗CD19 CARである。様々な抗原結合ドメイン配列は、CARの標的化ドメインとして用いられ得る。例えば、WO 2012/079000を参照されたく、この文献をその全体として本明細書に組み込む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CD19 scFvは、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD19 CARは、SEQ ID NO:2を含む。
【0168】
いくつかの態様において、抗CD19 CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR分子及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。
【0169】
いくつかの態様において、抗CD19 CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR分子及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。
【0170】
いくつかの態様において、CARは抗CLL1 CARである。様々な抗原結合ドメイン配列は、CARの標的化ドメインとして用いられ得る。例えば、WO 2012/079000を参照されたく、この文献をその全体として本明細書に組み込む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1 sdAbは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、SEQ ID NO:4を含む。
【0171】
いくつかの態様において、CARは抗CLL1/CD33デュアルCARである。様々な抗原結合ドメイン配列は、CARの標的化ドメインとして用いられ得る。例えば、WO 2012/079000を参照されたく、この文献をその全体として本明細書に組み込む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、抗CD33 VドメインsdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗CLL1 sdAbは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD33 VドメインsdAbは、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CLL1/CD33デュアルCARは、SEQ ID NO:43を含む。
【0172】
いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通ドメイン及びTLR4シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR4の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはそれぞれ、SEQ ID NO:40と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、それぞれSEQ ID NO:40を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。
【0173】
いくつかの態様において、抗CLL1 CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン及びTLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)を含み、且つ第2のポリペプチドは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、SEQ ID NO:41を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第2のポリペプチドは、SEQ ID NO:42を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0174】
いくつかの態様において、CARは抗GPC3 CARである。様々な抗原結合ドメイン配列は、CARの標的化ドメインとして用いられ得る。例えば、その全体を本明細書に組み込んだものとするWO2012/079000を参照されたい。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗GPC3 scFvは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、SEQ ID NO:56を含む。
【0175】
いくつかの態様において、抗GPC3 CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。
【0176】
いくつかの態様において、CARは、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)である。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、単一の抗BCMA CARである。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、タンデム抗BCMA CARである。様々な抗原結合ドメイン配列は、CARの標的化ドメインとして用いられ得る。例えば、その全体を本明細書に組み込んだものとするWO 2012/079000を参照されたい。いくつかの態様において、単一抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、単一抗BCMA sdAbは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、単一抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、単一抗BCMA CARは、SEQ ID NO:67を含む。いくつかの態様において、タンデム抗BCMA CARは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、タンデム抗BCMA sdAbは、SEQ ID NO:44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、タンデム抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、タンデム抗BCMA CARは、SEQ ID NO:66を含む。
【0177】
いくつかの態様において、抗BCMA CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。
【0178】
いくつかの態様において、抗BCMA CARは、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)の一部であり、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。
【0179】
いくつかの態様において、CARの膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα、β又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFl)、CD160、CD19、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-7Ra、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TGFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(触覚)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CDIOO(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D及び/又はNKG2Cの膜貫通ドメインから選択される膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CARの膜貫通ドメインは、CD4、CD3、CD8α又はCD28膜貫通ドメインである。いくつかの態様において、CARの膜貫通ドメインは、CD8αの膜貫通ドメインを含む。
【0180】
いくつかの態様において、細胞外ドメインは、ヒンジ領域を介して膜貫通ドメインに連結されている。一態様において、ヒンジ領域は、CD8αのヒンジ領域を含む。
【0181】
いくつかの態様において、CARは、シグナルペプチド、例えば、CD8αSPを含む。
【0182】
いくつかの態様において、操作された受容体は、改変されたT細胞受容体である。いくつかの態様において、操作されたTCRは、腫瘍抗原に対して特異性を有する。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD19、CLL1、GPC3、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、VEGFR2、MAGE-A3、CD20、CD22、CD33、CD38、CEA、EGFR(例えば、EGFRvIII)、GD2、HER2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1及び臨床的に重要な他の腫瘍抗原からなる群から選択される。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、腫瘍細胞の細胞内タンパク質に由来する。例えば、NY-ESO-1癌-精巣抗原、p53腫瘍阻害抗原、黒色腫(例えば、MARTI、gp100)、白血病(例えば、WT1、マイナー組織適合抗原)及び乳癌(例えば、HER2、NY-BR1)における腫瘍抗原に対するTCRを含む、腫瘍抗原(腫瘍関連抗原を含む)に対して特異性を有する多くのTCRが記述されている。当分野の既知の任意のTCRは本出願に用いられ得る。いくつかの態様において、TCRは、腫瘍抗原に対して、増強された親和性を有する。例えば、US 5830755及びKesselsらImmunotherapy through TCR gene transfer. Nat. Immunol. 2,957-961(2001)において、例示的なTCR及びこれらのTCRを免疫細胞に導入するための方法が記述されている。いくつかの態様において、改変された免疫細胞はTCR-T細胞である。
【0183】
TCR受容体複合体は、可変TCR受容体α及びβ鎖(γδT細胞の場合に、γ及びδ鎖である)並びに三つの二量体シグナル伝達モジュールCD3δ/ε、CD3γ/ε及びCD247(T細胞表面糖タンパク質CD3ζ鎖)ζ/ζ又はζ/ηから形成された8量体複合体である。各サブユニットの膜貫通ドメインにおけるイオン化可能な残基は、複合体を一緒に保持する相互作用の極性ネットワークを形成する。TCR複合体は、T細胞におけるシグナル伝達カスケードを活性化する機能を有する。
【0184】
いくつかの態様において、操作された受容体は、一つ又は複数のT細胞受容体(TCR)融合タンパク質(TFP)を含む、操作されたTCRである。例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS 20170166622 A1において例示的なTFPが記述されている。いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットの細胞外ドメインを含み、該細胞外ドメインは、TCRα鎖、TCRβ鎖、CD3εTCRサブユニット、CD3γTCRサブユニット、CD3δTCRサブユニット、それらの機能的断片、及び、少なくとも1個だが20個は超えない改変を有するそれらのアミノ酸配列からなる群から選択されるタンパク質の細胞外ドメイン又はその部分を含む。いくつかの態様において、TFPは、膜貫通ドメインを含み、該膜貫通ドメインは、TCRα鎖、TCRβ鎖、CD3εTCRサブユニット、CD3γTCRサブユニット、CD3δTCRサブユニット、その機能的断片、及び、少なくとも1個だが20個は超えない改変を有するそれらのアミノ酸配列からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、TFPは、膜貫通ドメインを含み、該膜貫通ドメインは、TCRα鎖、TCRβ鎖、TCRζ鎖、CD3εTCRサブユニット、CD3γTCRサブユニット、CD3δTCRサブユニット、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD28、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、それらの機能的断片、及び、少なくとも1個だが20個は超えない改変を有するそれらのアミノ酸配列からなる群から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインを含む。
【0185】
いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットと抗原結合ドメインとを含み、該TCRサブユニットは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部と、含有CD3εの細胞内シグナル伝達ドメインからの刺激ドメインを含有するTCR細胞内ドメインとを含み、ここで、該TCRサブユニットは、該抗原結合ドメインに操作可能に連結され、且つここで、T細胞で発現するとき、該TFPはTCRに組み込む。
【0186】
いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットと抗原結合ドメインとを含み、該TCRサブユニットは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部と、含有CD3γの細胞内シグナル伝達ドメインからの刺激ドメインを含有するTCR細胞内ドメインとを含み、ここで、該TCRサブユニットは、該抗原結合ドメインに操作可能に連結され、且つここで、T細胞で発現するとき、該TFPはTCRに組み込む。
【0187】
いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットと抗原結合ドメインとを含み、該TCRサブユニットは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部と、含有CD3δの細胞内シグナル伝達ドメインからの刺激ドメインを含有するTCR細胞内ドメインとを含み、ここで、該TCRサブユニットは、該抗原結合ドメインに操作可能に連結され、且つここで、T細胞で発現するとき、該TFPはTCRに組み込む。
【0188】
いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットと抗原結合ドメインとを含み、該TCRサブユニットは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部と、TCRαの細胞内シグナル伝達ドメインからの刺激ドメインを含有するTCR細胞内ドメインとを含み、ここで、該TCRサブユニットは、該抗原結合ドメインに操作可能に連結され、且つここで、T細胞で発現するとき、該TFPはTCRに組み込む。
【0189】
いくつかの態様において、TFPは、TCRサブユニットと抗原結合ドメインとを含み、該TCRサブユニットは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部と、TCRβの細胞内シグナル伝達ドメインからの刺激ドメインを含有するTCR細胞内ドメインとを含み、ここで、該TCRサブユニットは、該抗原結合ドメインに操作可能に連結され、且つここで、T細胞で発現するとき、該TFPはTCRに組み込む。
【0190】
いくつかの態様において、操作された受容体はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるUS 20160368964 A1において例示的なTAC受容体が記述されている。いくつかの態様において、TACは、標的化ドメインと、TCR複合体に関連するタンパク質に特異的に結合するTCR結合ドメインと、T細胞受容体シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、標的化ドメインは、腫瘍抗原に特異的に結合する抗体断片、例えば、scFv又はVHHである。いくつかの態様において、標的化ドメインは、設計されたアンキリン反復配列(DARPin)ポリペプチドである。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD19、GPC3、CLL1、BCMA、NY-ESO-1、VEGFR2、MAGE-A3、VEGFR2、MAGE-A3、CD20、CD22、CD33、CD38、CEA、EGFR(例えば、EGFRvIII)、GD2、HER2、IGF1R、メソテリン、PSMA、ROR1、WT1及び臨床的に重要な他の腫瘍抗原からなる群から選択される。いくつかの態様において、TCR複合体に関連するタンパク質は、CD3、例えば、CD3εである。いくつかの態様において、TCR結合ドメインは、単鎖抗体、例えば、scFv又はVHHである。いくつかの態様において、TCR結合ドメインはUCHT1に由来する。いくつかの態様において、TAC受容体は、細胞質ドメインと膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、T細胞受容体シグナル伝達ドメインは、TCR共受容体に由来する細胞質ドメインを含む。例示的なTCR共受容体は、CD4、CD8、CD28、CD45、CD4、CD5、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154を含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、TAC受容体は、膜貫通ドメインと、CD4に由来する細胞質ドメインとを含む。いくつかの態様において、TAC受容体は、膜貫通ドメインと、CD8(例えば、CD8α)に由来する細胞質ドメインとを含む。
【0191】
T細胞共受容体は、膜タンパク質としてT細胞上に発現する。それらは、TCR:ペプチド:MHC複合体の安定性を提供し、シグナル形質導入を促進することができる。T細胞共受容体の二つのサブタイプCD4及びCD8は、特定のMHCタイプに対して強い特異性を示す。CD4共受容体はTCR:MHC II複合体のみを安定化することができる一方、CD8共受容体はTCR:MHC I複合体のみを安定化することができる。CD4及びCD8の異なるT細胞型上の差次的発現は、T細胞の機能的サブグループの違いをもたらす。CD8+T細胞は細胞傷害性T細胞である。
【0192】
CD4は、免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞、単球、マクロファージ及び樹状細胞)の表面上に発現する糖タンパク質である。CD4は、細胞外細胞表面に曝露する四つの免疫グロブリンドメイン(D1~D4)を有する。CD4は、その短い細胞質/細胞内尾部に特定のアミノ酸配列を含有し、それは、CD4尾部がチロシンキナーゼLckを動員し、該チロシンキナーゼLckと相互作用することを可能にする。TCR複合体及びCD4がそれぞれMHC II分子の異なる領域に結合する場合、TCR複合体とCD4との間の緊密な接近は、CD4の細胞質尾部に結合するLckが、CD3の細胞質ドメインにおける免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)に対してチロシンリン酸化を行うことによって、TCRによって生成されたシグナルを増幅させることを可能にする。
【0193】
CD8は、二本のα鎖からなるホモ二量体(一般的ではない)又は一本のα鎖及び一本のβ鎖からなるヘテロ二量体(一般的)の糖タンパク質であり、それらは、それぞれ、細いストーク(thin stalk)を介して膜に連結される免疫グロブリン可変(IgV)様細胞外ドメイン及び細胞内尾部を含む。CD8は、主に細胞傷害性T細胞の表面上に発現するが、ナチュラルキラー細胞、皮質胸腺細胞及び樹状細胞上にも見出され得る。CD8細胞質尾部は、Lckと相互作用し、TCRがその特異性抗原に結合すると、TCR複合体の細胞質CD3及びζ鎖をリン酸化する。細胞質CD3及びζ鎖におけるチロシンリン酸化は、リン酸化カスケードを誘発し、最終的には、遺伝子転写をもたらす。
【0194】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、一つよりも多い操作された受容体、例えば、CAR、TCR、TAC受容体の任意の組み合わせに発現する。
【0195】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞により発現される操作された受容体(例えば、CAR、TCR又はTAC)は、一つ又は複数の腫瘍抗原を標的化する。腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞媒介性免疫応答の腫瘍細胞により産生されたタンパク質である。本開示の標的化抗原の選択は、治療される癌の特定のタイプに依存する。例示的な腫瘍抗原は、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、α-フェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、甲状腺グロブリン、RAGE-1、MN-CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸管カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、前立腺酵素、前立腺特異抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-la、p53、CLL1、BCMA、GPC3、CD19、プロスタグランジン、PSMA、HER2/neu、サバイビン及びテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2(ephrinB2)、CD22、インスリン様成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体及びメソテリンを含む。
【0196】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する一つ又は複数の抗原癌エピトープである。悪性腫瘍は、免疫攻撃として用いられ得る標的抗原の多くのタンパク質を発現する。これらの分子は、組織特異性抗原、例えば、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ及びgp100、並びに前立腺癌における前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)及び前立腺特異抗原(PSA)を含むが、それらに限らない。他の標的分子は、癌遺伝子HER2/Neu/ErbB-2のような形質転換に関連する分子群に属する。別のグループの標的抗原は、癌胎児性抗原(CEA)のような癌胎児性抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異性イディオタイプ免疫グロブリンは、個体腫瘍に特有の真の腫瘍特異性免疫グロブリン抗原を構成する。B細胞分化抗原(例えば、CD19、CD20及びCD37)は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補物である。
【0197】
いくつかの態様において、腫瘍抗原は、腫瘍特異性抗原(TSA)又は腫瘍関連抗原(TAA)である。TSAは、腫瘍細胞に特有のものであり、且つ体内の他の細胞には存在しない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有のものではなく、逆に抗原に対する免疫寛容状態を誘導できない条件下で正常な細胞で発現することもできる。腫瘍での抗原の発現は、免疫系による抗原に対する応答を可能にする条件下で発生し得る。TAAは、免疫系が未熟で応答不能な胚発生中に正常な細胞で発現する抗原であり得るか、又は正常細胞で通常極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞ではるかに高いレベルで発現する抗原であり得る。
【0198】
TSA又はTAA抗原の非限定的例としては、MART-1/MelanA(MART-I)、gp 100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2のような分化抗原、及びMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、pl5のような腫瘍特異性多重系統抗原、CEAのような過剰発現の胎児性抗原、p53、Ras、HER2/neuのような過剰発現の癌遺伝子及び突然変異的した腫瘍抑制遺伝子、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RARのような染色体転座により産生された独特の腫瘍抗原、並びにエプスタイン-バールウイルス抗原EBVA及びヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6とE7のようなウイルス抗原が挙げられる。タンパク質に基づく他の大抗原は、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、pl85erbB2、pl80erbB-3、c-met、nm-23HI、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、β-カテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、α-フェトプロテイン、β-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS 1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP及びTPSを含む。
【0199】
核酸
本明細書に記載の改変された免疫細胞は、本明細書に記載のTLRポリペプチド(例えば、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチド)及び/又は操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする一つ又は複数の異種核酸配列を含む。
【0200】
いくつかの態様において、単離された核酸を提供し、それは、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、TLRポリペプチド)のうちのいずれか一つをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様において、単離された核酸を提供し、それは、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様において、核酸はDNAである。いくつかの態様において、核酸はRNAである。いくつかの態様において、核酸は線状である。いくつかの態様において、核酸は環状である。
【0201】
第1のポリペプチド、第2のポリペプチドをコードする核酸配列及び/又は操作された受容体をコードする核酸は、一つ又は複数の調節配列に操作可能に連結され得る。コーディング配列の転写及び/又は翻訳を制御する例示的な調節配列は、当分野の既知のものであり、且つプロモーターと、転写の適切な開始、調節及び/又は終結(例えば、ポリA転写終結配列)、mRNA転移(例えば、核局在化シグナル配列)、プロセシング(例えば、スプライシングシグナル)、安定性(例えば、イントロン並びにノンコーディング5’及び3’配列)、翻訳(例えば、開始Met、トリプレットリーダー配列、IRESリボソーム結合部位、シグナルペプチドなど)のための別のエレメントと、挿入物をウイルスベクターに導入するための挿入部位とを含んでもよいが、それらに限らない。いくつかの態様において、調節配列は、プロモーター、転写エンハンサー、及び/又はTLRポリペプチド及び/又は操作された受容体の正確な発現を可能にする配列である。
【0202】
「調節配列」又は「制御配列」という用語は、それに操作可能に連結されるコーディング配列の発現に影響を与えるDNA配列を指す。このような調節配列の性質は宿主生物によって異なる。原核生物において、調節配列は、通常、プロモーターと、リボソーム結合部位と、ターミネーターとを含む。真核生物において、調節配列は、プロモーター、ターミネーター、及び場合によってはエンハンサー、トランス活性化因子又は転写因子を含む。
【0203】
「操作可能に連結される」という用語は、並列を指し、ここで、前記成分は、それらが意図された方法で機能することを可能にする関係にある。コーディング配列に「操作可能に連結される」調節配列は、このような方式で連結することによって、調節配列に適応する条件でコーディング配列の発現を完了する。
【0204】
本明細書で使用されるように、「プロモーター」又は「プロモーター領域」は、それに操作可能に連結されるDNA又はRNAの転写を制御するDNA又はRNAセグメントを指す。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼ認識、結合及び転写開始に関する特定の配列を含む。なお、プロモーターは、RNAポリメラーゼの認識、結合及び転写開始活性(即ち、一つ又は複数の転写因子の結合)を調節する配列を含む。これらの配列は、シスに作用してもよく、又はトランス作用因子に応答してもよい。プロモーターは、調節の性質に応じて、構成型プロモーター又は調節型プロモーターであり得る。調節型プロモーターは、誘導的であってもよく、又は環境に応答(例えば、pH、嫌気性条件、浸透圧調節剤、温度、光又は細胞密度などの誘因に応答)してもよい。多くのこのようなプロモーター配列は当分野の既知のものである。例えば、米国特許第4,980,285号、5,631,150号、5,707,928号、5,759,828号、5,888,783号、5,919,670号及びSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。
【0205】
いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする核酸配列は、第1のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第2のポリペプチドをコードする核酸配列は、第2のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドは同じであり、且つ第1の核酸は第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを同時にコードする。いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする核酸配列、及び第2のポリペプチドをコードする核酸配列は、同一のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする核酸配列、及び第2のポリペプチドをコードする核酸配列は、個別のプロモーターに操作可能に連結される。
【0206】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体をコードする第3の核酸を含む。いくつかの態様において、第1の核酸及び第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の核酸及び第3の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第2の核酸及び第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第2の核酸及び第3の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の核酸、第2の核酸、及び第3の核酸は、同一のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の核酸、第2の核酸、及び第3の核酸は、個別のプロモーターに操作可能に連結される。
【0207】
いくつかの態様において、プロモーターは内因性プロモーターである。例えば、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする核酸は、当分野の既知の任意の方法(例えば、CRISPR/Cas9法)を用いて、内因性プロモーター下流の改変された免疫細胞のゲノムにノックインされ得る。いくつかの態様において、内因性プロモーターは、β-アクチンのような豊富なタンパク質のプロモーターである。いくつかの態様において、内因性プロモーターは、誘導性プロモーターであり、例えば、改変された免疫細胞の内因性活性化シグナルにより誘導され得る。いくつかの態様において、ここで、改変された免疫細胞はT細胞であり、プロモーターはT細胞活性化依存性プロモーター(例えば、IL-2プロモーター、NFATプロモーター又はNFκBプロモーター)である。いくつかの態様において、プロモーターは異種プロモーターである。
【0208】
哺乳動物細胞における遺伝子発現のために様々なプロモーターが探索されており、且つ本出願では、当分野に既知のプロモーターのいずれも使用し得る。プロモーターは、構成型プロモーター又は調節型プロモーター、例えば、誘導性プロモーターに大別され得る。いくつかの態様において、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする異種核酸配列は、構成型プロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする異種核酸配列は、誘導性プロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第3の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。
【0209】
いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第3の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第2の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の構成型プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは、操作された受容体をコードする核酸配列に操作可能に連結され、第1の構成型プロモーターは、第2のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結され、且つ第2の構成型プロモーターは、第1のポリペプチドをコードする核酸配列に操作可能に連結される。
【0210】
いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーターは第1の誘導条件により誘導され得、第2の誘導性プロモーターは第2の誘導条件により誘導され得、且つ第3の誘導性プロモーターは第3の誘導条件により誘導され得る。いくつかの態様において、第1の誘導条件と第2の誘導条件は同じである。いくつかの態様において、第1の誘導条件と第3の誘導条件は同じである。いくつかの態様において、第2の誘導条件と第3の誘導条件は同じである。いくつかの態様において、第1の誘導条件、第2の誘導条件及び第3の誘導条件はいずれも同じである。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーター及び第2の誘導性プロモーターは同時に誘導される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーター及び第3の誘導性プロモーターは同時に誘導される。いくつかの態様において、第2の誘導性プロモーター及び第3の誘導性プロモーターは同時に誘導される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーター、第2の誘導性プロモーター及び第3の誘導性プロモーターは同時に誘導される。いくつかの態様において、第1の誘導性プロモーター、第2の誘導性プロモーター及び第3の誘導性プロモーターを順に誘導し、例えば、第2の誘導性プロモーターの前に第1の誘導性プロモーターを誘導し、且つ第3の誘導性プロモーターの前に第2の誘導性プロモーターを誘導し、第2の誘導性プロモーターの後に第1の誘導性プロモーターを誘発し、且つ第3の誘導性プロモーターの前に第2の誘導性プロモーターを誘導し、又は第2の誘導性プロモーターの後に第1の誘導性プロモーターを誘導し、且つ第3の誘導性プロモーターの後に第2の誘導性プロモーターを誘導する。
【0211】
構成型プロモーターは、異種遺伝子(トランスジェニックとも呼ばれる)の宿主細胞での構成的発現を可能にする。本明細書で考慮される例示的な構成型プロモーターは、サイトメガロウイルスウイルス(CMV)プロモーター、ヒト伸長因子-1α(hEF1α)、ユビキチンCプロモーター(UbiC)、ホスホグリセロキナーゼプロモーター(PGK)、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)及びCMV初期エンハンサーにカップリングされるニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)を含むが、それらに限らない。このような構成型プロモーターのトランスジェニック発現ドライブに対する効率は、多くの研究において広く比較されている。いくつかの態様において、プロモーターはhEF1αプロモーターである。
【0212】
いくつかの態様において、プロモーターは誘導性プロモーターである。誘導性プロモーターは、調節型プロモーターのクラスに属する。誘導性プロモーターは、一つ又は複数の条件、例えば、物理的条件、改変された免疫細胞の微小環境もしくは改変された免疫細胞の生理学的状態、誘導物(即ち、誘導剤)又はそれらの組み合わせにより誘導され得る。いくつかの態様において、誘導条件は、改変された免疫細胞及び/又は薬学的組成物を受けた被験体における内因性遺伝子の発現を誘導しない。いくつかの態様において、誘導条件は、誘導物、放射線(例えば、電離放射線、光)、温度(例えば、熱)、酸化還元状態、腫瘍環境及び改変された免疫細胞の活性化状態からなる群から選択される。
【0213】
いくつかの態様において、プロモーターは、誘導物により誘導され得る。いくつかの態様において、誘導物は、小分子、例えば、化学化合物である。いくつかの態様において、小分子は、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アルコール、金属又はステロイドからなる群から選択される。化学的誘導されるプロモーターは最も広く探索された。このようなプロモーターは、その転写活性が、小分子化学物質(例えば、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、アルコール、ステロイド、金属及び他の化合物)の存在又は不存在により調節されるプロモーターを含む。リバーステトラサイクリン調節性トランス活性化因子(rtTA)及びテトラサイクリン応答エレメントプロモーター(TRE)を有するドキシサイクリン誘導性システムは、現在最も成熟したシステムである。テトラサイクリン応答プロモーターによる真核細胞における遺伝子発現に対する厳密な制御はWO 9429442において記述されている。テトラサイクリン調節される転写調節剤はWO 9601313に開示されている。また、Tet技術(例えば、Tet-Onシステム)は、例えば、TetSystems.comのウェブサイトに記述されている。任意の既知の化学調節のプロモーターは、本出願の治療タンパク質の発現を駆動することに用いられ得る。
【0214】
いくつかの態様において、誘導物は、増殖因子、ホルモン又は細胞表面受容体のリガンドのようなポリペプチド、例えば、腫瘍抗原に特異的に結合するポリペプチドである。いくつかの態様において、該ポリペプチドは、改変された免疫細胞により発現される。いくつかの態様において、該ポリペプチドは、異種核酸における核酸によりコードされる。多くのポリペプチド誘導物は、当分野の既知のものであり、且つ本出願に適用され得る。例えば、エクジソン受容体ベースの遺伝子スイッチ、プロゲステロン受容体ベースの遺伝子スイッチ及びエストロゲン受容体ベースの遺伝子スイッチは、ステロイド受容体由来のトランス活性化因子を使用した遺伝子スイッチに属する(WO 9637609及びWO 9738117など)。
【0215】
いくつかの態様において、誘導物は、低分子成分及び一つ又は複数のポリペプチドを同時に含む。例えば、ポリペプチド二量体化に依存する誘導性プロモーターは、当分野の既知のものであり、且つ本出願に適用され得る。1993に開発された一番目の低分子CIDシステムは、FK1012(薬物FK506の誘導体)を用いて、FKBPのホモ二量体化を誘導する。類似している戦略により、Wuらは、Rapalog/FKPB-FRB*及びジベレリン(Gibberelline)/GID1-GAI二量体化依存性遺伝子スイッチを用いて、CAR-T細胞をオンスイッチ(ON-switch)方式で滴定可能にすることに成功した(C.-Y. Wuら,Science 350,aab4077(2015))。他の二量体化依存性スイッチシステムは、クーママイシン/GyrB-GyrB(Nature 383(6596):178-81)とHaXS/Snap-tag-HaloTag(Chemistry and Biology 20(4):549-57)とを含む。
【0216】
いくつかの態様において、プロモーターは、光誘導性プロモーターであり、且つ誘導条件が光である。哺乳動物細胞において遺伝子発現を調節するための光誘導性プロモーターも当分野に周知のものである(例えば、Science 332,1565-1568(2011)、Nat. Methods 9,266-269(2012)、Nature 500:472-476(2013)、Nature Neuroscience 18:1202-1212(2015)を参照されたい)。このような遺伝子調節システムは、(1)DNA結合又は(2)転写活性化ドメインの動員からDNA結合タンパク質の調節という2つのクラスに大別され得る。例えば、哺乳動物細胞において、メラノプシンに基づく合成哺乳動物青色光制御性転写システムを開発し試験し、該システムは、青色光(480nm)に応答して細胞内のカルシウム増加を誘発することによって、カルシニューリンにより媒介されたNFATの動員をもたらす。最近、Motta-Menaらは、天然に存在するEL222転写因子から開発された、ヒト細胞株及びゼブラフィッシュ胚において転写開始に対する高レベルの青色光感受性制御を付与する新規誘導性遺伝子発現システムを記述した(Nat. Chem. Biol. 10(3):196-202(2014))。また、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の光受容体であるフィトクロムB(PhyB)とフィトクロム相互作用因子6(PIF6)との赤色光誘導性相互作用を利用して、赤色光誘発性遺伝子発現調節を行う。なお、紫外線B(UVB)誘導性遺伝子発現システムを開発し、哺乳動物細胞における標的遺伝子転写に有効であることを明らかにした(Gene and Cell Therapy:Therapeutic Mechanisms and Strategies,第25章,第4版,CRC Press,2015年1月20日)。本明細書に記載の任意の光誘導性プロモーターは、本出願の治療タンパク質の発現を駆動することに用いられ得る。
【0217】
いくつかの態様において、プロモーターは、光誘導性分子と光との組み合わせにより誘導される光誘導性プロモーターである。例えば、化学誘導物における光切断可能なフォトケージド基(photocaged group)は、照射又は他の手段によって除去されない限り、誘導物を不活性のままにする。このような光誘導性分子は、低分子化合物、オリゴヌクレオチド及びタンパク質を含む。例えば、ケージドエクジソン、lacオペロンと共に使用されるケージドIPTG、リボザイム媒介性遺伝子発現のためのケージドトヨカマイシン、Tet-オンシステムと共に使用されるケージドドキシサイクリン及び光媒介性FKBP/FRB二量体化のためのケージドRapalogは既に開発された(例えば、Curr Opin Chem Biol. 16(3-4):292-299(2012)を参照されたい)。
【0218】
いくつかの態様において、プロモーターは、放射線誘導性プロモーターであり、且つ誘導条件が、電離放射線のような放射線である。放射線誘導性プロモーターは、当分野の既知のものであり、トランスジェニック発現を制御するために用いられる。遺伝子発現の変化は細胞照射後に発生する。例えば、「最初期遺伝子(immediate early gene)」と呼ばれる遺伝子群は、電離放射線後に迅速に反応することができる。例示的な最初期遺伝子は、Erg-1、p21/WAF-1、GADD45α、t-PA、c-Fos、c-Jun、NF-κB及びAP1を含むが、それらに限らない。最初期遺伝子は、そのプロモーター領域に放射線応答配列を含む。共有配列CC(A/T)6GGは、Erg-1プロモーターに見出され、且つ血清応答エレメント又はCArGエレメントと呼ばれる。放射線誘導性プロモーターとトランスジェニックとの組み合わせは、鋭意研究され、効率的な治療上の利点を有することが証明されている。例えば、Cancer Biol Ther. 6(7):1005-12(2007)及びGene and Cell Therapy:Therapeutic Mechanisms and Strategies,第25章,第4版,CRC Press,2015年1月20日を参照されたい。
【0219】
いくつかの態様において、プロモーターは、熱誘導性プロモーターであり、且つ誘導条件が熱である。当分野では、トランスジェニック発現を駆動する熱誘導性プロモーターは広く研究されている。Hsp90、Hsp70、Hsp60、Hsp40、Hsp10などを含む熱ショック又はストレスタンパク質(HSP)は、熱又は他の物理的及び化学的ストレス下で細胞を保護する上で重要な役割を果たしている。前臨床研究において、熱誘導性プロモーターをいくつか試み、熱ショックタンパク質(HSP)プロモーター並びに増殖停止及びDNA損傷(GADD)153プロモーターを含む。1985年に初めて記述されたヒトhsp70B遺伝子のプロモーターは、最も効率的な熱誘導性プロモーターの一つであると思われる。Huangらは、hsp70B-EGFP、hsp70B-TNFα及びhsp70B-IL12コーディング配列の導入後、腫瘍細胞が熱処理後に極めて高いトランスジェニック発現を発現するが、熱処理なしではトランスジェニックの発現が検出されていないことを報告した。IL12トランスジェニック加熱処理されたマウス群において、インビボでの腫瘍成長は有意に遅延した(Cancer Res. 60:3435(2000))。別の科学者グループは、HSV-tk自殺遺伝子をhsp70Bプロモーターと連結し、マウス乳癌を有するヌードマウスで該システムを試験する。熱処理されていない対照に比べて、その腫瘍にhsp70B-HSVtkコーディング配列を投与し、熱処理を行ったマウスは、腫瘍の消退及び有意な生存率を示す(Hum. Gene Ther.11:2453(2000))。当分野の既知の別の熱誘導性プロモーターは、例えばGene and Cell Therapy:Therapeutic Mechanisms and Strategies,第25章,第4版,CRC Press,2015年1月20日から見出すことができる。本明細書で論じられる任意の誘導性プロモーターは、本出願の治療タンパク質の発現を駆動することに用いられ得る。
【0220】
いくつかの態様において、プロモーターは、酸化還元状態から誘導され得る。酸化還元状態から誘導され得る例示的プロモーターは、誘導性プロモーターと低酸素誘導性プロモーターとを含む。例えば、Post DEらは、HIF活性腫瘍細胞におけるトランスジェニック発現を特異的で強力に誘導する低酸素誘導性因子(HIF)応答プロモーターを開発した(Gene Ther. 8:1801-1807(2001)、Cancer Res. 67:6872-6881(2007))。
【0221】
いくつかの態様において、プロモーターは、改変された免疫細胞の生理学的状態(例えば、内因性活性化シグナル)により誘導され得る。いくつかの態様において、ここで、改変された免疫細胞はT細胞であり、プロモーターはT細胞活性化依存性プロモーターであり、改変されたT細胞の内因性活性化シグナルにより誘導され得る。いくつかの態様において、改変されたT細胞は、誘導物(例えば、ホルボールミリステートアセテート(PMA)、イオノマイシン又は植物レクチン)により活性化される。いくつかの態様において、改変されたT細胞は、操作された受容体(例えば、CAR、TCR又はTAC)により腫瘍細胞における腫瘍抗原を認識することによって活性化される。いくつかの態様において、T細胞活性化依存性プロモーターはIL-2プロモーターである。いくつかの態様において、T細胞活性化依存性プロモーターはNFATプロモーターである。いくつかの態様において、T細胞活性化依存性プロモーターはNFκBプロモーターである。
【0222】
本明細書に記載の一つ又は複数の異種核酸配列は、異種遺伝子発現カセットに存在し得、該異種遺伝子発現カセットは、一つ又は複数のタンパク質コーディング配列と、任意で一つ又は複数のプロモーターとを含む。いくつかの態様において、異種遺伝子発現カセットは、単一のタンパク質コーディング配列を含む。いくつかの態様において、異種遺伝子発現カセットは、単一のプロモーターにより駆動される二つ又はそれ以上のタンパク質コーディング配列(即ち、ポリシストロニック)を含む。いくつかの態様において、異種遺伝子発現カセットは、一つ又は複数の調節配列(例えば、5’UTR、3’UTR、エンハンサー配列、IRES、転写終結配列)、組換え部位、一つ又は複数の選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子、レポーター遺伝子など)、シグナル配列又はそれらの組み合わせをさらに含む。
【0223】
いくつかの態様において、本明細書に記載の第1のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする核酸のうちのいずれか一つを含むベクターを提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載の第1のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第1の核酸配列と、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする第2の核酸配列とを含むベクターを提供する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2Aペプチド)をコードする第3の核酸配列を介して、操作された受容体をコードする第2の核酸配列と融合している。いくつかの態様において、P2A配列は、GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(SEQ ID NO:24)である。いくつかの態様において、第1のベクターと第2のベクターとを含む組成物を提供し、該第1のベクターは、本明細書に記載の第1のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第1の核酸配列を含み、該第2のベクターは、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする第2の核酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR(例えば、CD19 CAR又はCLL1 CAR)をコードする第1の核酸配列と第1のポリペプチドをコードする第2の核酸配列とを含むベクターを提供し、ここで、該第1の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A)をコードする第3の核酸配列を介して、該第2の核酸配列と融合している。いくつかの態様において、ベクターは、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0224】
いくつかの態様において、本明細書に記載の第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする核酸のうちのいずれか一つを含むベクターを提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載の第1のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第1の核酸配列と、本明細書に記載の第2のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第2の核酸配列と、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする第3の核酸配列とを含むベクターを提供する。いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2Aペプチド)をコードする第4の核酸配列を介して、操作された受容体をコードする第2の核酸配列と融合している。いくつかの態様において、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A、T2A、E2A又はF2Aペプチド)をコードする第5の核酸配列を介して、第2のポリペプチドをコードする第3の核酸配列とさらに融合している。いくつかの態様において、P2A配列は、GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(SEQ ID NO:24)である。いくつかの態様において、第1のベクターと、第2のベクターと、第3のベクターとを含む組成物を提供し、該第1のベクターは、本明細書に記載の第1のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第1の核酸配列を含み、該第2のベクターは、本明細書に記載の第2のポリペプチドのうちのいずれか一つをコードする第2の核酸配列を含み、該第3のベクターは、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする第3の核酸配列を含む。いくつかの態様において、ベクターを提供し、それは、CAR(例えば、CD19 CAR又はCLL1 CAR)をコードする第1の核酸配列と、第1のポリペプチドをコードする第2の核酸配列と、第2のポリペプチドをコードする第3の核酸配列とを含み、ここで、第1の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A)をコードする第4の核酸配列を介して、第2の核酸配列と融合し、且つここで、第2の核酸配列は、自己切断可能なリンカー(例えば、P2A)をコードする第5の核酸配列を介して、第3の核酸配列と融合している。いくつかの態様において、ベクターは、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
【0225】
「ベクター」は、物質組成物であり、単離された核酸を含み、単離された核酸を細胞内部に送達することに用いられ得る。当分野の既知の多くのベクターは、線状ポリヌクレオチド、イオン又は両親媒化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含むが、それらに限らない。通常、適切なベクターは、少なくとも一つの生物において機能する複製始点、プロモーター配列、都合のいい制限エンドヌクレアーゼ部位及び一つ又は複数の選択可能なマーカーを含有する。「ベクター」という用語は、核酸の細胞への転移を促進する非プラスミド及び非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどを含むと解釈されるべきである。
【0226】
いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、牛痘ベクター、単純ヘルペスウイルスベクター及びその派生物を含むが、それらに限らない。ウイルスベクター技術は、当分野に周知のものであり、且つ例えば、Sambrookら(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)並びに他のウイルス学及び分子生物学的マニュアルに記載されている。
【0227】
哺乳動物細胞に遺伝子を移入するための多くのウイルスベースのシステムが開発されている。例えば、逆転写ウイルスは遺伝子送達システムのために便利なプラットフォームを提供する。当分野の既知の技術を用いて異種核酸をベクターに挿入し、逆転写ウイルス粒子にパッケージングすることができる。そして、組換えウイルスを単離し、改変された免疫細胞にそれをインビトロ又はエクスビボ送達することができる。多くの逆転写ウイルス系は、当分野に既知のものである。いくつかの態様において、アデノウイルスベクターを用いる。いくつかの態様において、レンチウイルスベクターを用いる。いくつかの態様において、自己不活性化型レンチウイルスベクターを用いる。例えば、自己不活性化型レンチウイルスベクターは、当分野の既知のプロトコルでパッケージされ得る。当分野の既知の方法を用いて、得られたレンチウイルスベクターを哺乳動物細胞(例えば、ヒトT細胞)の形質導入に用いられてもよい。
【0228】
いくつかの態様において、ベクターは、非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)又はエピソーム発現ベクターである。
【0229】
いくつかの態様において、ベクターは発現ベクターである。「発現ベクター」は、選択された宿主を形質転換し、選択された宿主におけるコーディング配列の発現を提供するために使用され得るコンストラクトである。発現ベクターは、例えば、クローニングベクター、バイナリーベクター又は組み込みベクターであってもよい。発現は、好ましくは、核酸分子を翻訳可能なmRNAに転写することを含む。真核細胞に発現する調節エレメントが当業者に周知のものであることを確保する。真核細胞の場合に、それらは、通常、転写開始を確保するプロモーターと、任意で、転写終結及び転写物安定性を確保するポリAシグナルとを含む。真核宿主細胞における発現を可能にする調節エレメントの例としては、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモーター、又は哺乳動物及び他の動物細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus))、CMV-エンハンサー、SV40-エンハンサーもしくはグロビンイントロンが挙げられる。なお、使用される発現系に応じて、ポリペプチドを細胞区画に誘導するか又は媒質に分泌することができるシグナルペプチド(例えば、リーダー配列)を前記核酸配列のコーディング配列に付加してもよく、且つこれらのシグナルペプチドは当分野に周知のものである。適切な段階で、一つ又は複数のシグナルペプチドを翻訳、開始及び終結配列とアッセンブリし、且つ好ましくは、翻訳タンパク質又はその一部の分泌をペリプラズム空間又は細胞外媒質におけるシグナルペプチドに誘導することができる。任意選択的に、核酸配列は融合タンパク質をコードすることができ、該融合タンパク質は、所望の特性(例えば、発現の組換え生成物の安定化又は精製の簡略化)を付与するN末端同定ペプチドを含む。適切な発現ベクターは、当分野の既知のものであり、例えば、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pEF-Neo、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、pEF-DHFR及びpEF-ADA(Raumら,Cancer Immunol Immunother(2001)50(3),141-150)又はpSPORT1(GIBCO BRL)である。
【0230】
調製方法
本出願は、本明細書に記載の改変された免疫細胞のうちのいずれか一つを調製する方法をさらに提供する。
【0231】
いくつかの態様において、改変された免疫細胞を産生する方法を提供し、該方法は、第1のポリペプチドをコードする第1の核酸と、任意で、第2のポリペプチドをコードする第2の核酸とを、前駆体免疫細胞に導入する。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK-T細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞は細胞傷害性T細胞である。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞はγδT細胞である。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞は、腫瘍浸潤T細胞又はDC活性化されたT細胞である。いくつかの態様において、前駆体免疫細胞は、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つを含む。いくつかの態様において、該方法は、本明細書に記載の操作された受容体のうちのいずれか一つをコードする第3の核酸を前駆体免疫細胞に導入することをさらに含む。
【0232】
いくつかの態様において、操作された受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの態様において、操作された受容体は、改変されたT細胞受容体(TCR)である。いくつかの態様において、操作された受容体はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、第1の核酸配列と、任意選択的な第2の核酸配列と、第3の核酸配列とは、同一のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の核酸配列と、任意選択的な第2の核酸配列と、第3の核酸配列とは、個別のプロモーターに操作可能に連結される。いくつかの態様において、第1の核酸及び任意選択的な第2の核酸、ならびに/又は第3の核酸配列は、同一のベクター上にある。いくつかの態様において、第1の核酸及び任意選択的な第2の核酸、ならびに/又は第3の核酸配列は、個別のベクター上にある。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの態様において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター及びそれらの派生物からなる群から選択される。いくつかの態様において、ベクターは非ウイルスベクターである。いくつかの態様において、ベクターはエピソーム発現ベクターである。いくつかの態様において、該方法は、第1の核酸配列及び/又は第2の核酸配列を含む免疫細胞を単離又は濃縮することをさらに含む。いくつかの態様において、該方法は、少なくとも一つの薬学的に許容される担体と共に、改変された免疫細胞を製剤化することをさらに含む。
【0233】
いくつかの態様において、本明細書に記載の核酸又はベクターのうちのいずれか一つを含む単離された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体をコードする核酸又はベクターの発現又はクローニングに用いられ得る。適切な宿主細胞は、原核細胞、真菌細胞、酵母細胞又は高等真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)を含んでもよいが、それらに限らない。いくつかの態様において、宿主細胞は、第1のポリペプチドをコードする第1のベクターと、第2のポリペプチドをコードする第2のベクターと、第3のポリペプチド(例えば、操作された受容体)をコードする第3のベクターとを含む。いくつかの態様において、宿主細胞は、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び第3のポリペプチドをコードする単離された核酸を含有する単一ベクターを含む。
【0234】
前駆体免疫細胞は、当分野の既知の様々な方法で調製され得る。例えば、初代免疫細胞(例えば、T細胞)は、様々な供給源から得ることができ、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織及び腫瘍を含む。いくつかの態様において、当分野の既知の様々な技術(例えば、FICOLL(商標)単離)を用いて、個体から採取した血液単位から免疫細胞(例えば、T細胞)を得ることができる。いくつかの態様において、個体の循環血液からの細胞はアフェレーシス(apheresis)によって入手される。アフェレーシス生成物は、典型的に、リンパ球を含み、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球及び血小板を含む。いくつかの態様において、アフェレーシスにより採取された細胞を洗浄して血漿部分を除去し、細胞を適切な緩衝液又は培地において後続の処理ステップに用いてもよい。いくつかの態様において、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は二価カチオン(例えば、カルシウム及びマグネシウム)が欠ける洗浄溶液で細胞を洗浄する。当業者であれば容易に理解できるように、洗浄ステップは、例えば、メーカーの指示に従って半自動化「フロースルー(flow-through)」遠心機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter CytoMate又はHaemonetics Cell Saver 5)を使用するような当業者に周知の方法によって完了され得る。洗浄後、例えば、Ca2+なし、Mg2+なしのPBS、PlasmaLyte A又は緩衝液を含むかもしくは含まない他の生理食塩水のような様々な生体適合性緩衝液に細胞を再懸濁してもよい。代替的に、アフェレーシスサンプルの望ましくない成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁してもよい。
【0235】
いくつかの態様において、例えば、PERCOLL(商標)勾配遠心分離又は向流遠心エルトリエーションによって赤血球を溶解させ、単球を消費して、末梢血リンパ球から初代T細胞を単離する。ポジティブ又はネガティブ選択技術によって、CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA及びCD45RO細胞のような、T細胞の特定のサブグループをさらに単離することができる。例えば、一態様において、T細胞は、所望のT細胞に対してポジティブ選択を行うのに十分な時間にわたって、抗CD3/抗CD28(即ち、3×28)コンジュゲーションビーズ、例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tと共にインキュベートすることによって単離される。
【0236】
いくつかの態様において、T細胞集団は、ネガティブ選択された細胞に特有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせを用いて、ネガティブ選択によってさらに濃縮され得る。例えば、一つの方法は、ネガティブ磁気免疫付着又はフローサイトメトリーによって細胞選別及び/又は選択を行うことに関し、該方法は、ネガティブ選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体の混合物を用いる。例えば、ネガティブ選択によってCD4+細胞を濃縮させるために、モノクローナル抗体混合物は、通常、CD14、CD20、CD1lb、CD16、HLA-DR及びCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様において、通常CD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+及びFoxP3+を発現する調節T細胞を濃縮させるか又はポジティブ選択することが望ましい場合がある。代替的に、いくつかの態様において、抗C25コンジュゲーションビーズ又は他の類似している選択方法によってT調節細胞を消費する。
【0237】
ベクター又は核酸を宿主細胞(例えば、前駆体免疫細胞)に導入する方法は、当分野の既知のものである。ベクター又は核酸は、物理的、化学的又は生物学的方法によって宿主細胞に移入され得る。
【0238】
一つ又は複数のベクター又は一つ又は複数の核酸を宿主細胞に導入するための物理的方法としては、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、パーティクルボンバードメント、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが挙げられる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞の産生方法は、当分野において周知である。例えば、Sambrookら(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New Yorkを参照されたい。いくつかの態様において、エレクトロポレーションによってベクターを細胞に導入する。
【0239】
一つ又は複数のベクター又は一つ又は複数の核酸を宿主細胞に導入するための生物学的方法は、DNA及びRNAベクターを使用することを含む。ウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えば、ヒトの細胞に挿入するための最も広く使用されている方法となっている。
【0240】
一つ又は複数のベクター又は一つ又は複数の核酸を宿主細胞に導入するための化学的方法は、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散系と、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル及びリポソームを含む脂質ベースの系とを含む。インビトロ送達ビヒクルとしての例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0241】
いくつかの態様において、形質導入又はトランスフェクトされた前駆体免疫細胞を、一つ又は複数の異種核酸を導入した後にエキソビボで増殖させる。いくつかの態様において、形質導入又はトランスフェクトされた前駆体免疫細胞を培養して、少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間又は14日間のいずれかにわたって増殖させる。いくつかの態様において、形質導入又はトランスフェクトされた前駆体免疫細胞を培養して、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間又は14日間のいずれか以下にわたって増殖させる。いくつかの態様において、形質導入又はトランスフェクトされた前駆体免疫細胞は、改変された免疫細胞を選択するために、さらに評価又はスクリーニングされる。
【0242】
レポーター遺伝子は、トランスフェクト可能な細胞の同定及び調節配列の機能の評価に用いられ得る。通常、レポーター遺伝子は、受容体生物又は組織に不存在しないか又は発現しない遺伝子であり、該レポーター遺伝子はポリペプチドをコードし、該ポリペプチドの発現は、いくつかの容易に検出可能な特性(例えば、酵素活性)によって表される。レポーター遺伝子の発現は、DNAが受容体細胞に導入された後の適切な時間に検出される。適切なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子を含んでもよい(例えば、Ui-TeiらFEBS Letters 479:79-82(2000))。
【0243】
前駆体免疫細胞に一つ又は複数の異種核酸が存在することを確認するための他の方法は、例えば、DNAブロット法及びRNAブロット法、RT-PCR及びPCRのような当業者に周知の分子生物学的アッセイと、免疫学方法(例えば、ELISA及びウエスタンブロット)によって特定のペプチドの有無を検出する生物化学的アッセイとを含む。
【0244】
III.治療方法
本出願の一局面は、個体の疾患又は病症(例えば、癌)を治療する方法に関し、これらの方法は、有効量の本明細書に記載の改変された免疫細胞のうちのいずれか一つを該個体に投与することを含む。本出願は、改変された免疫細胞を考慮し、それは、単独で投与されるか、又は別の療法と任意に組み合わせて投与されてもよく、且つ少なくともいくつかの局面では、薬学的に許容される担体又は賦形剤と共に投与される。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、投与前に、当分野に周知の適切な薬物担体及び賦形剤と組み合わせてもよい。
【0245】
いくつかの態様において、個体(例えば、ヒト)における癌(例えば、固形癌)を治療する方法を提供し、該方法は、該個体に有効量の薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物は、改変された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)と薬学的に許容される担体とを含み、ここで、改変された免疫細胞は、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、多量体標的分子のサブユニットにそれぞれ結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合する。いくつかの態様において、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは、標的分子上の同じ標的部位にそれぞれ結合する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、CARとTLRポリペプチド(例えば、CARと融合している二つ又はそれ以上のTLRポリペプチド)とを含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、単一抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、タンデム抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。
いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0246】
いくつかの態様において、個体(例えば、ヒト)における癌(例えば、固形癌)を治療する方法を提供し、該方法は、該個体に有効量の薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物は、改変された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)と薬学的に許容される担体とを含み、ここで、改変された免疫細胞は、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、及び、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチドを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の結合ドメインは同じ標的分子に結合し、且つここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインは、単一標的分子上の異なる非重複標的部位にそれぞれ結合し、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体をさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、CARとTLRポリペプチド(例えば、CARと融合している二つ又はそれ以上のTLRポリペプチド)とを含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。
いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、単一抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、タンデム抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。
いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0247】
いくつかの態様において、個体(例えば、ヒト)における癌(例えば、固形癌)を治療する方法を提供し、該方法は、該個体に有効量の薬学的組成物を投与することを含み、該薬学的組成物は、改変された免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)と薬学的に許容される担体とを含み、ここで、改変された免疫細胞は、a)i)第1の標的結合ドメインと、ii)第1のTLR膜貫通ドメインと、iii)第1のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第1のポリペプチド、b)i)第2の標的結合ドメインと、ii)第2のTLR膜貫通ドメインと、iii)第2のTLRシグナル伝達ドメインとを含む第2のポリペプチド、及び、c)操作された受容体を含み、ここで、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子を特異的に認識する細胞外ドメインを含み、ここで、第1の標的結合ドメイン及び第2の標的結合ドメインがそれらの対応する標的に結合したら、第1のTLRシグナル伝達ドメイン及び第2のTLRシグナル伝達ドメインは互いに会合して、TLRシグナル伝達を誘導できるTLRシグナル伝達部分を形成する。いくつかの態様において、操作された受容体は、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドと同じである標的分子上の非重複標的部位を特異的に認識する細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、操作された受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、操作されたTCR又はT細胞抗原カプラ(TAC)受容体である。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、CARとTLRポリペプチド(例えば、CARと融合している二つ又はそれ以上のTLRポリペプチド)とを含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗CD20 TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD20 scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:1を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CD19 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:59を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CD19 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:60を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗GPC3 CAR及び抗NKG2D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:57を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗GPC3 scFv、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗NKG2D ECD、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:58を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗BCMA TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、単一抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:62を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:63を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、単一抗BCMA sdAb、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:64を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、タンデム抗BCMA CARと抗BCMA TLRポリペプチドとを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:61を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗BCMA CAR(例えば、単一抗BCMA CAR又はタンデム抗BCMA CAR)及び抗GPRC5D TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:65を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD8αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:72を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、タンデム抗BCMA sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗GPRC5D scFv、CD28αヒンジドメイン、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:73を含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、CAR系(例えば、CAR融合コンストラクト)を含み、ここで、CAR融合コンストラクトが、抗CLL1 CAR及び抗CD33(例えば、抗CD33 Vドメイン及び/又は抗CD33 C2ドメイン)TLRポリペプチドを含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD8αヒンジドメイン、CD8α膜貫通(TM)ドメイン、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 sdAb、TLR4膜貫通(TM)領域及びTLR4の細胞質部分(例えば、TLR4一次細胞内シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:71を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、N末端からC末端に向かって、シグナルペプチド、抗CLL1 sdAb、CD28αヒンジドメイン、CD28α膜貫通(TM)ドメイン、CD28共刺激シグナル伝達ドメインの細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 VドメインsdAb、TLR2膜貫通ドメイン、TLR2シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR2の細胞質部分)、P2A切断部位、シグナルペプチド、抗CD33 C2ドメインsdAb、TLR1膜貫通ドメイン及びTLR1シグナル伝達ドメイン(例えば、TLR1の細胞質部分)を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上のうちのいずれか一つ)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CAR融合コンストラクトは、SEQ ID NO:3を含む。いくつかの態様において、第1のポリペプチドは、第1のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含み、且つ/又は第2のポリペプチドは、第2のサイトカイン受容体の細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、改変された免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK細胞、iNK-T細胞、NK-T様細胞、αβT細胞及びγδT細胞からなる群から選択される。
【0248】
いくつかの態様において、癌を治療する方法は、(1)癌細胞の殺傷、(2)癌細胞増殖の阻害、(3)末梢T細胞の再分布の誘導、(4)腫瘍における免疫応答の誘導、(5)腫瘍サイズの低減、(6)癌を有する個体の一つ又は複数の症状の軽減、(7)腫瘍転移の阻害、(8)生存の延長、(9)癌の進行までの時間の延長、(10)癌再発の可能性の予防、阻害又は低下(11)個体の生活の質の改善、(12)腫瘍におけるT細胞浸潤の促進及び(13)既存の腫瘍転移(例えば、リンパ節への転移)の発生率又は負荷の低減のうちの一つ又は複数の生物学的活性を有する。いくつかの態様において、該方法は、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又はそれ以上のうちのいずれか一つの腫瘍細胞死亡率を実現する。いくつかの態様において、該方法は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%又は100%のうちのいずれか一つを含む)の腫瘍サイズを減少させる。いくつかの態様において、該方法は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、30%、40%、60%、70%、80%、90%又は100%のうちのいずれか一つを含む)の転移を阻害する。いくつかの態様において、該方法は、個体の生存を少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24ヶ月又はそれ以上のうちのいずれか一つ延長させる。いくつかの態様において、該方法は、癌の進行までの時間を少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24ヶ月又はそれ以上のうちのいずれか一つ延長させる。
【0249】
本明細書に記載の方法は、固形癌及び液体癌の両方を含む様々な癌の治療に用いられ得る。これらの方法は、初期癌、非転移性癌、原発性癌、進行癌、局所進行癌、転移性癌又は寛解癌を含む全ての段階の癌に適用され得る。本明細書に記載の方法は、補助治療又は新規な補助治療において、第1の療法、第2の療法、第3の療法又は当分野の既知の他のタイプの癌療法(例えば、化学療法、手術、ホルモン療法、放射線、遺伝子療法、免疫療法(例えば、T細胞療法)、骨髄移植、幹細胞移植、標的療法、凍結療法、超音波療法、光線力学療法、ラジオ波焼灼など)との組み合わせ療法として用いられてもよい(即ち、該方法は、一次療法/標的療法の前に行われ得る)。いくつかの態様において、該方法は、以前に治療された個体を治療するためのものである。いくつかの態様において、癌は以前の療法に難治性である。いくつかの態様において、該方法は、以前に治療されていない個体を治療するためのものである。
【0250】
いくつかの態様において、該個体は、低い腫瘍負荷を有する。固形腫瘍の腫瘍負荷は、固形腫瘍(RECIST)1.1ガイドラインにおける応答評価基準に基づいて測定され得る。Eisenhauer EAら,European Journal of Cancer 45(2009)228-247を参照されたい。例えば、治療ベースラインでの測定可能な腫瘍の腫瘍負荷は、(1)腫瘍病変(例えば、CTスキャン、臨床検査のノギス測定及び/又は胸部X線による)及び(2)悪性リンパ節に基づいて評価され得る。例えば、固形癌の腫瘍負荷は、5つの標的病変(1臓器につき2つまで)の直径の和として定量化され得る。液体癌の腫瘍負荷は、放射線科医によって評価されるCheson 2007基準に基づいて、最大6つの指数病変の生成物直径の和として測定され得る。Cheson BDら,J. Clin. Oncol.,2007;25(5):579-586を参照されたい。いくつかの態様において、低い腫瘍負荷を有する個体の腫瘍負荷は、約4×103、3×103、2×103、1×103、5×102、2×102、1×102又はそれ以下のmm2のうちのいずれか一つ以下である。
【0251】
いくつかの態様において、該個体は、治療を受けた後にグレード3又はグレード4の有害な副作用を経験していない。有害事象の分類は、有害事象共通用語規準v3.0(CTCAE)に基づいて行われる。いくつかの態様において、該個体は、治療を受けた後にサイトカインストームを経験していない。
【0252】
本明細書に記載の方法において投与される、改変された免疫細胞の有効量は、例えば、治療される癌の具体的なタイプ及び段階、投与経路、第1のポリペプチド、第2のポリペプチド及び/又は操作された受容体の活性などのような多くの要因に依存する。適切な投与量プロトコルは、臨床的要因に基づいて医師によって確定され得、これらの臨床的要因は、患者の体型、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時期及び経路、一般的な健康状態、並びに同時に投与される他の薬物を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物の該有効量は、毒理学的効果(即ち、臨床的に許容される毒性レベルより高い効果)を誘導するレベルより低く、又は薬学的組成物を個体に投与する時に、潜在的な副作用を制御又は寛容できるレベルにある。いくつかの態様において、薬学的組成物の有効量は、約105~約1010個の改変された免疫細胞を含む。
【0253】
いくつかの態様において、薬学的組成物を一回投与(例えば、ボーラス注入)する。いくつかの態様において、薬学的組成物を複数回(例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上のうちのいずれか一つ)投与する。複数回投与の場合、それらは、同じ又は異なる経路で行われ得、且つ同じ部位又は代替部位で行われ得る。薬学的組成物は、毎日から年に1回のような適切な頻度で投与され得る。患者の疾患徴候をモニタリングし、それに応じて治療を調整することによって、医学分野の当業者は、特定の患者に対する最適な投与量及び治療プロトコルを容易に確定することができる。
【0254】
いくつかの態様において、治療される個体は哺乳動物である。哺乳動物の例は、ヒト、サル、ラット、マウス、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシなどを含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、該個体はヒトである。
【0255】
薬学的組成物
本出願は、本明細書に記載の改変された免疫細胞のうちのいずれか一つ及び任意選択的な薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物をさらに提供する。
【0256】
本出願者の薬学的組成物は、任意の数の改変された免疫細胞を含んでもよい。いくつかの態様において、薬学的組成物は、改変された免疫細胞のシングルコピーを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、改変された免疫細胞の少なくとも約1、10、100、1000、104、105、106、107、108又はそれ以上のコピーのうちのいずれか一つを含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、単一のタイプの改変された免疫細胞を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、少なくとも二つのタイプの改変された免疫細胞を含み、ここで、異なるタイプの改変された免疫細胞は、その細胞供給源、細胞型、発現するキメラ受容体及び/又はプロモーターなどによって区別される。
【0257】
本明細書で使用されるように、「担体」は、使用される投与量及び濃度下でそれに曝露する細胞又は個体に対して無毒性である薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤を含む。生理学的に許容される担体は、通常、pH緩衝水溶液である。適切な薬物担体の例は、当分野に周知のものであり、且つリン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水エマルジョンのようなエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、無菌溶液などを含む。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、用いられる投与量及び濃度下でレシピエントに対して無毒性である。
【0258】
このような担体を含む薬学的組成物は、周知の一般的な方法によって製剤化され得る。溶媒又は希釈剤は、好ましくは、等張、低張又は弱高張性であり、且つ相対的に低いイオン強度を有する。代表的な例としては、滅菌水、生理食塩水(例えば、塩化ナトリウム)、リンゲル液、グルコース、トレハロース又はサッカロース溶液、ハンクス溶液(Hank’s solution)及び他の生理学的に平衡化した食塩水溶液が挙げられる(例えば、最新版のRemington:The Science and Practice of Pharmacy,A. Gennaro,Lippincott,Williams&Wilkinsを参照されたい)。
【0259】
本明細書に記載の薬学的組成物は、任意の適切な経路を経て投与され得る。いくつかの態様において、薬学的組成物を非経口、経皮(真皮に入る)、腔内、動脈内(動脈に入る)、筋肉内(筋肉に入る)、髄腔内又は静脈内投与する。いくつかの態様において、薬学的組成物を皮下(皮膚の下で)投与する。いくつかの態様において、薬学的組成物を静脈内投与する。いくつかの態様において、薬学的組成物を注入又は注射によって個体に投与する。いくつかの態様において、薬学的組成物を標的部位に直接投与し、例えば、微粒子銃によって内部もしくは外部標的部位に送達するか又はカテーテルによって動脈における部位に投与する。いくつかの態様において、薬学的組成物を局所(例えば、腫瘍内)投与する。投与は、一般的なシリンジ及び針、又は被験体における一つ又は複数の活性化剤の送達を促進又は改善することができる当分野で入手可能な任意の化合物又は装置を使用してもよい。
【0260】
非経口投与のための製剤は、滅菌水溶液又は非水溶液、懸濁液及びエマルジョンを含む。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。水性担体は、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は食塩水及び緩衝媒体を含む懸濁液を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル液又は不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、液体及び栄養素補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)などを含む。防腐剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。なお、本開示の薬学的組成物は、例えば、好ましくはヒト起源の血清アルブミン又は免疫グロブリンのようなタンパク質担体を含んでもよい。当分野では、凍結、液体形態又は凍結乾燥形態の様々なウイルス製剤(例えば、WO 98/02522、WO 01/66137、WO 03/053463、WO 2007/056847及びWO 2008/114021など)を得ることができる。固体(例えば、乾燥粉末固体又は凍結乾燥固体)組成物は、真空乾燥及び凍結乾燥に関する方法により得られ得る(例えば、WO 2014/053571を参照されたい)。本開示の薬学的組成物は、本明細書に記載の改変された免疫細胞の他に、薬学的組成物の意図される使用に応じて、他の生物学的活性化剤を含んでもよいと考えられる。
【0261】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、ヒトで使用するために適切に緩衝される。適切な緩衝液は、リン酸塩緩衝液(例えば、PBS)、炭酸水素塩緩衝液及び/又は生理学的又は弱塩基性pH(例えば、約pH7~約pH9)を維持できるTris緩衝液を含むが、それらに限らない。いくつかの態様において、薬学的組成物はまた、適切な張力調整剤(例えば、グリセロール)を添加することによって血液と等張化することができる。
【0262】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、単回使用バイアル(例えば、密封された単回使用バイアル)に収容されている。いくつかの態様において、薬学的組成物は、複数回使用バイアルに収容されている。いくつかの態様において、薬学的組成物は、バルク状態で容器に収容されている。
【0263】
いくつかの態様において、薬学的組成物は、個体に投与するための特定の規格を満たさなければならない。例えば、米国食品医薬品局は、既に細胞ベースの免疫治療製品の規格を確立するための管理ガイドラインを発表し、21 CFR 610及び21 CFR 610.13を含む。薬学的組成物の外観、特性、純度、安全性及び/又は有効性を評価する方法は当分野の既知のものである。いくつかの態様において、薬学的組成物は、アレルギー作用を引き起こし得る外来タンパク質、例えば、細胞培養に使用される、改変された免疫細胞以外の動物起源のタンパク質を実質的に含まない。いくつかの態様において、「実質的に含まない」とは、薬学的組成物の総体積又は重量の約10%、5%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、1ppm又はそれ以下のうちのいずれか一つより小さいことを指す。いくつかの態様において、薬学的組成物は、GMPレベルワークショップ(GMP-level workshop)で調製される。いくつかの態様において、非経口投与の場合、薬学的組成物は、約5EU/kg体重/時間未満のエンドトキシンを含む。いくつかの態様において、静脈内投与の場合、薬学的組成物における少なくとも約70%の改変された免疫細胞は生きている。いくつかの態様において、米国薬局方(USP)に記載の14日間の直接接種試験方法を用いて評価する場合、薬学的組成物は、「増殖なし」の結果を有する。いくつかの態様において、薬学的組成物を投与する前、改変された免疫細胞と薬学的に許容される賦形剤の両方を含む試料は、最終的な採取の約48~72時間前に(又は培養物の最後の再供給(re-feeding)と同時に)滅菌試験のために取り出されるべきである。いくつかの態様において、薬学的組成物は、マイコプラズマ汚染を含まない。いくつかの態様において、薬学的組成物は、検出可能な微生物薬剤を含まない。いくつかの態様において、薬学的組成物は、HIV I型、HIV II型、HBV、HCV、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型、及びヒトTリンパ球向性ウイルスIIのような感染症病原を含まない。
【0264】
IV.キット及び製品
本明細書に記載の改変された免疫細胞のうちのいずれか一つ又は組成物(例えば、薬学的組成物)を含むキット、単位投与量及び製品をさらに提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載の薬学的組成物のうちのいずれか一つを含有するキットを提供し、且つ好ましくは、その取扱説明書を提供した。いくつかの態様において、改変された免疫細胞の他に、キットは、第2の癌療法、例えば、化学療法、ホルモン療法及び/又は免疫療法をさらに含む。一つ又は複数のキットは、個体の特定の癌に合わせてカスタマイズすることができ、個体に対する対応する第2の癌療法を含む。
【0265】
キットは、改変された免疫細胞の増殖又は誘導を可能にするために、容器、試薬、培地、誘導物、サイトカイン、緩衝液、抗体などのような一つ又は複数の別の構成要素を含んでもよい。キットは、薬学的組成物を腫瘍部位に局所投与(例えば、腫瘍内注射)する装置をさらに含んでもよい。
【0266】
本出願のキットは、適切な包装内にある。適切な包装は、バイアル、ボルト、缶、フレキシブル包装(例えば、密封されたポリエステルフィルム又はプラスチック袋)などを含むが、それらに限らない。キットは、緩衝液及び説明的情報のような他の構成部分を任意に提供することができる。そのため、本出願は製品をさらに提供し、それは、バイアル(例えば、密封されたバイアル)、ボトル、ジャー、フレキシブル包装などを含む。キットのいくつかの構成要素は、水性媒体又は凍結乾燥の形式で包装されてもよい。
【0267】
該製品は、容器、及び該容器にあるか又は該容器に関連するラベルもしくは包装インサートを含んでもよい。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどを含む。容器は、様々な材料(例えば、ガラス又はプラスチック)により形成され得る。通常、容器は、本明細書に記載の疾患又は病症(例えば、癌)を有効に治療する組成物を収容し、且つ無菌の入り口を有してもよい(例えば、容器は、静脈内溶液バッグ、又は皮下注射針によって穿刺可能なストッパを有するバイアルであってもよい)。ラベル又は包装インサートは、組成物が個体の特定の病態の治療に使用されることを指示する。ラベル又は包装インサートは、組成物を個体に投与するための説明書をさらに含む。ラベルは、再構成及び/又は使用に関する指図を指示し得る。薬学的組成物を収容する容器は、複数回使用のバイアルであってもよく、それは、再構築製剤の反復投与(例えば、2~6回の投与)を可能にする。包装インサートは、通常治療製品の商業用パッケージに含まれる説明書を指し、これらの説明書には、このような治療製品の使用の適応症、使用法、投与量、投与、禁忌及び/又は警告に関する情報が含まれる。付加的に、製品は、第2の容器をさらに含んでもよく、該容器は、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的及びユーザの観点から望ましい他の材料を含んでもよい。
【0268】
キット又は製品は、複数の単位投与量の薬学的組成物及び取扱説明書を含んでもよく、それは、薬局(例えば、院内薬局及び調剤薬局)での貯蔵及び使用に十分な量で包装される。
【実施例】
【0269】
以下の実施例は、本開示の例に過ぎないため、本開示を少しも限定するものと見なされるべきではない。以下の実施例と詳細な記述は、説明として提供されるものであり、限定として提供されるものではない。
【0270】
実施例1:外因的に導入されたCD19及びCD20 toll様受容体(TLR)ドメインを発現するCAR-T細胞の調製
この実施例は、外因的に導入されたtoll様受容体(TLR)ドメインを発現する例示的な武装化CAR-T細胞の構築を示す。特に、この実施例は、CD19及び/又はCD20を発現するCAR-T細胞の構築を示す。
【0271】
1.1 キメラ抗原受容体(CAR)の構築
CD19-co-CD20 CAR(SEQ ID NO:1)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD19 scFv(SEQ ID NO:6)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。また、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD20 scFv(SEQ ID NO:11)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。このコンストラクトは
図1に示されている。CAR骨格及び共刺激分子は、レンチウイルスベクター(例えば、第2世代レンチウイルスベクター)にクローニングされ、インビトロ転写のために構成型hEF1αプロモーターの下流にかつ操作可能に連結される。Blood(2006)108(12):3890-3897に例示されるように、一過性レトロウイルス上清を産生した。
【0272】
シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD19 scFv(SEQ ID NO:6)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含む、4-1BBを共刺激ドメインとして含む第2のCD19 CAR骨格(「CD19 BM CAR」)を上記のように調製し、比較分析のために使用した。
【0273】
1.2 CAR-T細胞の構築
ウイルス調製
pCMV-ΔR-8.47とpMD2.Gとを含むレンチウイルス包装プラスミド混合物は、Addgeneから購入され、且つポリエチレンイミンとの予め最適化された比で適切なCARコードプラスミドと混合した。HEK293細胞をレンチウイルスとCARコンストラクトとの混合物でトランスフェクトし、且つ一晩培養した。一晩培養した後、上清を収集した。上清を遠心分離して細胞破片をさらに除去し、0.45μm PESフィルターによって濾過した。ウイルス粒子を沈澱させ、且つ予冷されたDPBSで洗浄した。ウイルスを等分し、-80℃で直ちに保存し、且つフローサイトメトリーアッセイを用いてsupT1細胞株の形質導入効率を測定することによってウイルス力価を確定した。
【0274】
T細胞のウイルス形質導入
アフェレーシスにより健常なドナーから白血球を収集した。FICOLL-PAQUE(商標)PLUS培地を用いて末梢血単核球(PBMC)を分離し、且つPan T細胞単離キット(Miltenyi)を用いてPMBCからヒトT細胞を精製した。その後、精製されたT細胞をヒトT細胞活性化/拡大キット(Miltenyi)で48時間プレ活性化した。プレ活性化後、T細胞を拡大させるように、抗CD3/CD28 MACSiBead(商標)粒子を1:2のビーズ対細胞比で添加した。
【0275】
8μg/mLのポリブレンの存在下で、プレ活性化されたT細胞をレンチウイルスで形質導入した。6ウェルの組織培養用プレートにおいて、細胞を、4×106個のT細胞/ウェルで、37℃で約48時間培養した。形質導入された細胞を遠心分離し、上清を除去し、沈澱した細胞を、培養のために300IU/mlのIL-2が補充された新鮮な培地中に0.5×106個の細胞/mLで再懸濁した。細胞濃度を、2~3日ごとに0.5×106個の細胞/mLに調節した。
【0276】
Lタンパク質及びウサギ抗sdAbをCAR培養細胞と混合することによって、T細胞上のCAR発現を検出し、細胞表面scFv及びsdAbをそれぞれ検出した。
【0277】
実施例2:CD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性評価
この実施例は、CD19-co-CD20 CAR-T細胞のインビトロ抗腫瘍活性を示す。
【0278】
2.1 乳酸脱水素酵素(LDH)の細胞傷害性
操作されたT細胞(例えば、CD19 BM CAR-T及びCD19-co-CD20 CAR-T細胞)の抗腫瘍活性をインビトロで迅速に評価するために、細胞傷害性について乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイを行った。形質導入後の5日目又は9日目に、CD19-co-CD20 CAR形質導入T細胞(SEQ ID NO:1)を回収し、1:1、1:0.3のE/T比(エフェクター:CAR-T/標的比)で標的細胞(CD19及びCD20を発現するBLL腫瘍Raji細胞)とそれぞれ20時間インキュベートした。CD19 BM CAR-T細胞(SEQ ID NO:2)を陽性対照として、同じロットからの形質導入されていないT細胞(「UnT」)を陰性対照として用いた。製造業者によるマニュアル(Roche)に従ってアッセイを行った。
【0279】
以下の式でインビトロ細胞傷害性を計算した([LDH]
E+T:E/T共インキュベートから放出されたLDH、[LDH]
E:エフェクターのみから放出されたLDH、[LDH]
max:Triton X-100で処理した標的細胞から放出されたLDH、[LDH]
min:処理されていない標的細胞から放出されたLDH)。
【0280】
試験された全てのCARコンストラクト(例えば、CD19-co-CD20 CAR-T、CD19 BM CAR-T及びUnT細胞)は、いずれもヒトT細胞に有効に形質導入し、CAR発現率が25%~60%である。形質導入された細胞は、同じロットの実験において、形質導入されていないT細胞に比べて、細胞増殖及び生存能力が影響されなかった。
図2に示すように、CD19 BM CAR-T及びCD19-co-CD20 CAR-T細胞は、標的細胞の溶解をインビトロで投与量依存的に誘導した。なお、低いE/T比下で、CD19-co-CD20 CAR-T細胞は、CD19 BM CAR-Tよりも高い、標的細胞に対する細胞傷害性を示した。
【0281】
2.2 均一時間分解蛍光(HTRF)によるサイトカイン分泌
エフェクターT細胞活性化及び増殖の別の尺度は、IFNγ及びTNFαのようなエフェクターサイトカインの産生である。インビトロ細胞傷害性アッセイからの上清を収集して、CARにより誘導されたサイトカインの放出を評価し、且つ製造業者によるマニュアルに従ってIFN-γの均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を行った。
【0282】
CAR-T細胞(例えば、CD19 BM CAR-T、CD19-co-CD20 CAR-T及び形質導入されていない「unT」CAR-T細胞)をRaji標的細胞と共培養した。24h後に、培養上清を収集して、IFNγ及びTNFαの放出をT細胞活性化の尺度として評価した。
図3及び4に示すように、標的細胞と共培養されたCD19-co-CD20 CAR-T細胞は、有意量のTNFα及びIFNγを分泌した。さらに、TNFαの分泌レベルは、陽性対照CD19 BM CAR-T細胞より高かった。
【0283】
2.3 長期的な共培養アッセイ
CD19-co-CD20 CAR-T細胞の長期的な殺傷効果を評価するために、インビボでの動的殺傷プロセスを模擬するための長期的な共培養アッセイを行った。外因性サイトカイン(例えば、IL-2)の非存在下で、形質導入された(例えば、CD19 BM CAR-T又はCD19-co-CD20 CAR-T)又は形質導入されていない(例えば、unT)T細胞(1×105個/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて1:4のE:T比でRaji標的細胞(4×105個/ウェル)と共培養した。2又は3日間共培養した後、これらの細胞の一部を回収し、CD3を染色した。CD3及びCARシグナルによってCAR-T細胞を同定した。連続共培養アッセイのために、残っているT細胞をその後、新鮮なRaji標的細胞を用いて同じE:T比で再チャレンジした。腫瘍細胞がウェル体積を超えて成長する(outgrow)まで、共培養を行った。各時点のT細胞増殖率は、該時点のT細胞数をT細胞の初期数で割ることにより計算した。
【0284】
様々なCAR-T細胞の、反復腫瘍刺激アッセイでの殺傷効果は
図5に示されている。CD19 BM CAR-T細胞は5ラウンドの腫瘍刺激後に疲弊した(例えば、CD3%により測定されたように、さらなる標的腫瘍細胞を殺傷することができなかった)が、CD19-co-CD20 CAR-T細胞は、7ラウンドの腫瘍刺激まで、標的腫瘍細胞を殺傷し続けた。さらに、CD19-co-CD20 CAR-T細胞はインビトロで、増殖し、CD19 BM CAR-T細胞よりも優れた長期的な拡大を示した(
図6)。これらの結果は、TLR4シグナル伝達の活性化が、CAR-T細胞を疲弊に対して耐性にし、標的腫瘍細胞をインビトロで殺傷する能力を増強し、それにより、このクラスの治療剤の進歩に対する主要な障害を解決することを示した。
【0285】
実施例3:外因的に導入されたCLL1及びCD33 toll様受容体(TLR)ドメインを発現するCAR-T細胞の調製
この実施例は、外因的に導入されたtoll様受容体(TLR)ドメインを発現する例示的な武装化CAR-T細胞の構築を示す。特に、この実施例は、CLL1及び/又はCD33を発現するCAR-T細胞の構築を示す。
【0286】
3.1 キメラ抗原受容体(CAR)の構築
この実施例は、二種類のCARコンストラクトを含む。第1のCARコンストラクトをCLL1-co-CD33 CAR(SEQ ID NO:3)と命名した、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CLL1 sdAb(SEQ ID NO:14)、CD28αヒンジドメイン(SEQ ID NO:15)、CD28膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:16)、CD28分子(SEQ ID NO:17)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。また、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD33 VドメインsdAb(SEQ ID NO:21)、TLR2膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:22)及びTLR2の細胞質部分(SEQ ID NO:23)をN末端からC末端に向かって含む第1の誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD33 C2ドメインsdAb(SEQ ID NO:18)、TLR1膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:19)及びTLR1の細胞質部分(SEQ ID NO:20)をN末端からC末端に向かって含む第2の誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介して第1の誘導性共刺激分子に連結した。このコンストラクトは
図7に示されている。
【0287】
第2のCARコンストラクトをCLL1-co-CD33-2 CAR(SEQ ID NO:71)と命名した、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CLL1 sdAb(SEQ ID NO:14)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)分子(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD33 sdAb(SEQ ID NO:21)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。このコンストラクトは
図7に示されている。
【0288】
CAR骨格及び共刺激分子は、レンチウイルスベクター(例えば、第2世代レンチウイルスベクター)にクローニングされ、インビトロ転写のために構成型hEF1αプロモーターの下流にかつ操作可能に連結された。Blood(2006)108(12):3890-3897に例示されるように、一過性レトロウイルス上清を産生した。
【0289】
さらに、比較分析のために、抗CLL1ベンチマークCAR(CLL1 BM CAR)をコードするコンストラクトを上記のように調製した(SEQ ID NO:4)。
【0290】
さらに、比較分析のために、抗CLL1/CD33デュアルCAR(CLL1/CD33デュアルCAR)をコードするコンストラクトを上記のように調製した(SEQ ID NO:43)。
【0291】
3.2 T細胞のウイルス調製及び形質導入
レンチウイルスを実施例1に記載のように調製した。実施例1に記述されている方法に従って、T細胞リンパ球を収集し、レンチウイルスで形質導入した。
【0292】
実施例4:CLL1-co-CD33 CAR-T細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイ
この実施例は、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞のインビトロ抗腫瘍活性を示す。
【0293】
4.1 乳酸脱水素酵素(LDH)の細胞傷害性
実施例2.1に記載のように、24h培養した後に、LDHアッセイを行って、細胞傷害性を測定した。CLL1及びCD33を発現するAML細胞株U937を標的細胞として用いた。
図8に示すように、CLL1 BM CAR-T細胞、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞は、U937標的細胞に対して同等なインビトロ細胞傷害性を示した。
【0294】
4.2 均一時間分解蛍光(HTRF)によるサイトカイン分泌
インビトロ細胞傷害性アッセイからの上清を収集して、CARにより誘導されたサイトカインの放出を評価し、且つ製造業者によるマニュアル及び実施例2.2に従ってIFN-γの均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を行った。
【0295】
CAR-T細胞(例えば、CLL1 BM CAR-T細胞、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T並びに形質導入されていない「unT」CAR-T細胞)をU937標的細胞と共培養した。24h後に、培養上清を収集して、IFNγ及びTNFαの放出をT細胞活性化の尺度として評価した。
図9及び10に示すように、標的細胞と共培養されたCLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞は、有意量のTNFα及びIFNγを分泌した。さらに、TNFα及びIFNγの分泌レベルは、いずれも陽性対照CLL1 BM CAR-T細胞より高かった。
【0296】
4.3 長期的な共培養アッセイ
CLL1-co-CD33 CAR-T細胞の長期的な殺傷効果を評価するために、長期的な共培養アッセイを行って、インビボでの動的殺傷プロセスを模擬した。外因性サイトカイン(例えば、IL-2)の非存在下で、形質導入された(例えば、CLL1 BM CAR-T、CLL1-co-CD33 CAR-T又はCLL1-co-CD33-2 CAR-T)又は形質導入されていない(例えば、unT)T細胞(1×105個/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて1:4のE:T比でU937標的細胞(4×105個/ウェル)と共培養した。2又は3日間共培養した後、これらの細胞の一部を回収し、CD3を染色した。CD3及びCARシグナルによってCAR-T細胞を同定した。連続共培養アッセイのために、残っているT細胞をその後、新鮮なU937標的細胞を用いて同じE:T比で再チャレンジした。腫瘍細胞がウェル体積を超えて成長するまで、共培養を行った。各時点のT細胞増殖率は、該時点のT細胞数をT細胞の初期数で割ることにより計算した。
【0297】
様々なCAR-T細胞の、反復腫瘍刺激アッセイでの殺傷効果は
図11に示されている。CLL1 BM CAR-T細胞は再チャレンジしてから15日後に標的腫瘍細胞を殺傷することができないが、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞は、腫瘍刺激の20日目まで標的腫瘍細胞を殺傷し続けた。さらに、CLL1-co-CD33 CAR-T及びCLL1-co-CD33-2 CAR-T細胞はインビトロで、増殖し、CLL1 BM CAR-T細胞よりも優れた長期的な拡大を示した(
図12)。これらの結果は、キメラTLRが、有効な共刺激シグナルを提供し、CARシグナル伝達との関連において、T細胞の生存を増強し、T細胞の増殖を増加させ得ることを示した。
【0298】
実施例5:CLL1-co-CD33 CAR-Tインビボマウスモデルの評価
図13に示されるプロトコルにより、U937-Luc異種移植マウスモデルにおいて、武装化されたTLR CAR-T細胞の抗腫瘍活性をインビボで評価した。0日目に、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子発現を有する2×10
6個のU937-Luc細胞をNOD/SCID IL-2RγCnull(NSG)マウスに皮下移植した。腫瘍接種後、生物発光イメージング(BLI)を毎週又は二週間ごとに行って、モデルの発症をモニタリングした。BLI光子数及び動物体重に基づいて動物をランダムにグループ分けした。ランダムにグループ分けした後、単一投与量のCAR-T細胞又はUnT細胞を静脈内注入した。BLIイメージングを毎週行って、腫瘍成長を記録した。生物発光イメージング(BLI)は、CLL1 BM CAR T及びCLL1/CD33デュアルCAR T細胞に比べて、TLRにより武装化されたCAR T細胞が注入されたマウスにおいて腫瘍負荷が低下したことを示した(
図14)。一貫して、CLL1 BM CAR及びCLL1/CD33デュアルCAR T細胞に比べて、TLRにより武装化されたCAR T細胞で処理したマウスにおいて、CAR T細胞の末梢血単核球(PBMC)におけるパーセントは有意に高かった(
図14)。そのため、U937-GL細胞をインビボで殺傷する際、CLL1 BM又はCLL1/CD33デュアルCAR T細胞よりもCLL1-co-CD33 CAR-Tの方が強力であった。
【0299】
実施例6:CLL1-co-CD33 CAR-γδTの評価
γδT(γδT)リンパ球は、主に胸腺で発達し、V(D)J組換えによりそのγδT細胞受容体を産生し、且つ癌細胞に対する細胞傷害性を含む迅速な機能のために準備された。γδT細胞の別の潜在的な優位性は、αβT細胞とは異なりMHCに限定されないことであり、そのため、CARトランスジェニックを発現する操作された同種異系ドナー起源のγδT細胞を、理論上、既製の汎用品として使用することができるが、このような使用は免疫機能が非常に低い患者に限定される。そのため、本発明者らはまた、TLRにより武装化されたCAR(例えば、CLL1-co-CD33及びCLL1-co-CD33-2)がγδTを改変する効果を評価した。
【0300】
実施例5に記載のように、U937-Luc異種移植マウスモデルにおいて、CLL1-co-CD33 CAR γδT細胞のインビボ有効性を評価した。
図15に示すように、全てのマウスにおいて、CLL1-co-CD33 CAR γδTで処理したマウスは持続的なU937腫瘍除去を示した。しかしながら、CLL1 BM CAR及びCLL1/CD33デュアルCAR γδT群は、いずれも腫瘍再発を経験した。一貫して、CLL1 BM CAR及びCLL1/CD33デュアルCAR γδT細胞に比べて、CLL1-co-CD33又はCLL1-co-CD33-2 CAR γδT細胞で処理したマウスにおいて、CAR γδT細胞の末梢血単核球(PBMC)におけるパーセントは有意に高かった。
【0301】
実施例7:外因的に導入されたGPC3及びNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体を発現するCAR γδT細胞の調製
この実施例は、外因的に導入されたNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体を発現する例示的な武装化CAR γδT細胞の構築を示す。特に、この実施例は、GPC3を発現するCAR γδT細胞の構築を示す。
【0302】
7.1 キメラ抗原受容体(CAR)の構築
抗GPC3武装化NKG2D TLR4キメラ受容体(SEQ ID NO:57)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗GPC3 scFv(SEQ ID NO:55)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB分子(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、NKG2D ECD(SEQ ID NO:51)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含むNKG2D TLR4キメラ受容体の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0303】
抗GPC3武装化NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体(SEQ ID NO:58)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗GPC3 scFv(SEQ ID NO:55)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB分子(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、NKG2D ECD(SEQ ID NO:51)、CD8αヒンジ(SEQ ID NO:7)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含むNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。このコンストラクトは
図16Aに示されている。
【0304】
CAR骨格及びNKG2D TLR4/ NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体は、レンチウイルスベクター(例えば、第2世代レンチウイルスベクター)にクローニングされ、インビトロ転写のために構成型hEF1αプロモーターの下流にかつ操作可能に連結される。Blood(2006)108(12):3890-3897に例示されるように、一過性レトロウイルス上清を産生した。
【0305】
さらに、比較分析のために、抗GPC3 CAR(GPC3 CAR)をコードするコンストラクトを上記のように調製した(SEQ ID NO:56)。
【0306】
7.2 ウイルス調製
レンチウイルスを実施例1に記載のように調製した。
【0307】
7.3 γδT細胞の形質導入
PBMCに5μMゾレドロン酸塩及び1000IU/mLのIL-2を添加することによってγδT細胞を調製し、1000IU/mLのIL-2が補充された培地を定期的に交換して9日間培養した。代替的に、PBMC又は臍帯血(UCB)からγδT細胞を単離し、そして抗γδTCR抗体及び抗CD3(OKT3)で刺激し、その後、1:2の比で、K562ベースの人工抗原提示細胞(aAPC)と共に少なくとも10日間インキュベートした。密度遠心分離法(lymphoprep)により、白血球除去材料からPBMCを単離し、凍結保存した。PBMCを蘇生させ、IL-2(1000IU/ml)及び5%ヒトAB血清が補充された細胞培地AIM-Vにおいて、ゾレドロン酸(5μΜ)で活性化し、且つ加湿室(37℃、5%CO2)に保存した。活性化の48時間後、MOI 5で、5pg/mlポリブレンを伴って、実施例1の系をコードするレンチウイルスベクターで細胞を形質導入した。翌日にこのような形質導入手順を繰り返した後、形質導入の翌日に、IL-2(1000IU/ml)を含有する新鮮な培地を補充した。加湿室において、IL-2(1000IU/ml)が補充されたAIM-V中で細胞を培養し、さらに拡大させるために、培地のpHに応じて培地を定期的に交換した。形質導入の10日後、細胞を回収し、細胞の総数、純度及び形質導入効率を確定した。将来の応用又は凍結保存の前に、陰性TCRγ/δ+ T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)で細胞をさらに濃縮した。
【0308】
実施例8:NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイ
この実施例は、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞のインビトロ抗腫瘍活性を示す。
【0309】
8.1 長期的な共培養アッセイ
CAR γδT細胞の長期的な殺傷効果を評価するために、本発明者らは、インビボでの動的殺傷プロセスを模擬する長期的な共培養アッセイを行った。外因性サイトカイン(IL-2)の非存在下で、形質導入された又は形質導入されていないT細胞(1×105個/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて1:1のE:T比で腫瘍細胞株(Huh7細胞、1×105個/ウェル)と共培養した。2又は3日間共培養した後、これらの細胞の一部を回収し、CD3を染色した。連続共培養アッセイのために、残っているT細胞をその後、新鮮なHuh7細胞を用いて同じE:T比で再チャレンジした。腫瘍細胞が超えて成長するまで、共培養を行った。各時点のT細胞増殖率は、該時点のT細胞数を前の時点のT細胞数で割ることにより計算した。
【0310】
FACS検出による長期的な共培養アッセイの代表的な結果は
図19に示されている。同じ実験からの計算されたT細胞増殖は
図20に示されている。データによると、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞は、抗GPC3 CAR γδT細胞よりも優れた細胞傷害性及びインビトロ増殖を有する。
【0311】
8.2 HTRFにより検出されたIFN-γ分泌
エフェクターT細胞活性化及び増殖の別の尺度は、IFN-γのようなエフェクターサイトカインの産生である。CARにより誘導されたサイトカインの放出を評価するために、ラウンド1~ラウンド3のインビトロ細胞傷害性アッセイからの上清を収集した。製造業者によるマニュアルに従って、IFN-γのHTRFアッセイ(Cisbio、カタログ番号62HIFNGPEH)を行った。
【0312】
対応するサイトカインの放出結果は
図21に示されている。二種類の抗GPC3 γδ CAR T細胞は、いずれもHuh7細胞に対する有効な殺傷活性を示し、Huh7細胞に応答してIFN-γを放出した。NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化されたCAR T細胞は、ヌードCAR T細胞よりも高いレベルのIFN-γ分泌を示した。
【0313】
実施例9:外因的に導入されたCD19及びNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体を発現するCAR αβT細胞の調製
この実施例は、外因的に導入されたNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体を発現する例示的な武装化CAR αβT細胞の構築を示す。特に、この実施例は、CD19を発現するCAR αβT細胞の構築を示す。
【0314】
9.1 キメラ抗原受容体(CAR)の構築
抗CD19武装化NKG2D TLR4キメラ受容体(SEQ ID NO:59)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD19 scFv(SEQ ID NO:6)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB分子(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、NKG2D ECD(SEQ ID NO:51)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含むNKG2D TLR4キメラ受容体の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0315】
抗CD19武装化NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体(SEQ ID NO:60)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗CD19 scFv(SEQ ID NO:6)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB分子(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、NKG2D ECD(SEQ ID NO:51)、CD8αヒンジ(SEQ ID NO:7)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含むNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。このコンストラクトは
図16Aに示されている。
【0316】
CAR骨格及びNKG2D TLR4/ NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体は、レンチウイルスベクター(例えば、第2世代レンチウイルスベクター)にクローニングされ、インビトロ転写のために構成型hEF1αプロモーターの下流にかつ操作可能に連結される。Blood(2006)108(12):3890-3897に例示されるように、一過性レトロウイルス上清を産生した。
【0317】
さらに、比較分析のために、抗CD19 CAR(CD19 BM CAR)をコードするコンストラクトを上記のように調製した(SEQ ID NO:2)。
【0318】
9.2 T細胞のウイルス調製及び形質導入
レンチウイルスを実施例1に記載のように調製した。実施例1に記述されている方法に従って、T細胞リンパ球を収集し、レンチウイルスで形質導入した。
【0319】
実施例10:NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗CD19 CAR αβT細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイ
この実施例は、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗CD19 CAR αβT細胞のインビトロ抗腫瘍活性を示す。
【0320】
長期的な共培養アッセイ
CAR αβT細胞の長期的な殺傷効果を評価するために、本発明者らは長期的な共培養アッセイを行った。外因性サイトカイン(IL-2)の非存在下で、形質導入された又は形質導入されていないT細胞(1×105個/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて1:1のE:T比で腫瘍細胞株(Raji細胞、1×105個/ウェル)と共培養した。2又は3日間共培養した後、これらの細胞の一部を回収し、CD3を染色した。
【0321】
連続共培養アッセイのために、残っているT細胞をその後、新鮮なRaji細胞を用いて同じE:T比で再チャレンジした。腫瘍細胞が超えて成長するまで、共培養を行った。各時点のT細胞増殖率は、該時点のT細胞数を前の時点のT細胞数で割ることにより計算した。
【0322】
FACS検出による長期的な共培養アッセイの代表的な結果は
図22に示されている。同じ実験からの計算されたT細胞増殖は
図23に示されている。データによると、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体の武装化は、抗CD19 CAR αβT細胞の細胞傷害性及び増殖を向上させた。
【0323】
実施例11:NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞のインビボ有効性評価
この実施例は、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞のインビボ抗腫瘍活性を示す。
【0324】
Huh7異種移植モデルにおいて、例示的な抗GPC3 CAR-γδT細胞のインビボ抗腫瘍活性を評価した。簡単に言えば、0日目に、300万(3×106)個のHuh7細胞をNOD/SCID IL-2RγC null(NSG)マウスに皮下移植した。腫瘍接種後の10日目に、マウスを以下のように処理した:1×106個の武装化されたCAR-γδT又はモックT細胞又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を静脈内注射した。腫瘍サイズをノギスで週2回測定し、式V=1/2(長さ×幅2)で腫瘍容積を計算した。対照マウスの平均腫瘍負荷が2,000mm3に達したら、マウスを安楽死させた。
【0325】
Huh7異種移植モデルにおいて、抗GPC3 CAR γδT細胞又はNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化された抗GPC3 CAR γδT細胞の抗腫瘍効果の結果は
図24に示されている。武装化されていないCAR-γδT細胞は、NKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化されたCAR-γδT細胞と共に腫瘍成長を阻害した。具体的には、武装化されていないCAR-γδT細胞で処理したマウスは、腫瘍フリー(tumor free)に達したが、ゆっくりと拒絶反応を起こし、それに対してNKG2D CD8 TLR4キメラ受容体により武装化されたCAR-γδT細胞で処理したマウスは、腫瘍フリーに達し、実験観察が終わるまで健常かつ腫瘍フリーを維持した。
【0326】
実施例12:タンデム、単一抗BCMA sdAb又は抗GPRC5D scFvを有する、外因的に導入されたtoll様受容体4(TLR4)細胞内ドメインを発現するCAR-T細胞の調製
この実施例は、外因的に導入されたtoll様受容体(TLR)ドメインを発現する例示的な武装化CAR-T細胞の構築を示す。特に、この実施例は、タンデム、単一sdAb又は抗GPRC5D scFvを有する抗BCMA CAR-T細胞の構築を示す。
【0327】
12.1 キメラ抗原受容体(CAR)の構築
タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:61)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む、誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0328】
単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:62)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:68)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:69)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0329】
単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD8 CAR(SEQ ID NO:63)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:68)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:69)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、Pd2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0330】
単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR(SEQ ID NO:64)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:68)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:69)、CD28ヒンジドメイン(SEQ ID NO:15)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0331】
タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR(SEQ ID NO:65)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗GPRC5D scFv(SEQ ID NO:70)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0332】
タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR(SEQ ID NO:72)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗GPRC5D scFv(SEQ ID NO:70)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0333】
タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD28 CAR(SEQ ID NO:73)を構築するために、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB(CD137)共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)の細胞質部分及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含むCAR骨格ポリペプチドをコードするCAR骨格配列を、コドン最適化して化学的合成した。さらに、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、抗GPRC5D scFv(SEQ ID NO:70)、CD28ヒンジドメイン(SEQ ID NO:15)、TLR4膜貫通(TM)領域(SEQ ID NO:12)及びTLR4の細胞質部分(SEQ ID NO:13)をN末端からC末端に向かって含む誘導性共刺激分子の配列を、コドン最適化して化学的合成し、P2A切断部位(SEQ ID NO:24)を介してCAR骨格配列に連結した。
【0334】
CAR骨格及び共刺激分子は、レンチウイルスベクター(例えば、第2世代レンチウイルスベクター)にクローニングされ、インビトロ転写のために構成型hEF1αプロモーターの下流にかつ操作可能に連結された。Blood(2006)108(12):3890-3897に例示されるように、一過性レトロウイルス上清を産生した。
【0335】
それぞれ、タンデム抗BCMA CAR(SEQ ID NO:66)及び単一抗BCMA CAR(SEQ ID NO:67)は、シグナルペプチド(SEQ ID NO:5)、タンデム抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:44)又は第1の単一抗BCMA sdAb(SEQ ID NO:68)、CD8αヒンジドメイン(SEQ ID NO:7)、CD8α膜貫通(TM)ドメイン(SEQ ID NO:8)、4-1BB共刺激シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:9)及びCD3ζ一次細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:10)をN末端からC末端に向かって含んで構築され、上記のように調製され、比較分析のために使用された。
【0336】
12.2 CAR-T細胞の構築
ウイルス調製
レンチウイルスを実施例1に記載のように調製した。
【0337】
γδT細胞の活性化
PBMCに5μMゾレドロン酸塩及び1000IU/mLのIL-2を添加することによってγδT細胞を調製し、1000IU/mLのIL-2が補充された培地を定期的に交換して14日間培養した。代替的に、PBMC又は臍帯血(UCB)からγδT細胞を単離し、そして抗γδTCR抗体及び抗CD3(OKT3)で刺激し、その後、1:2の比で、K562ベースの人工抗原提示細胞(aAPC)と共に少なくとも10日間インキュベートした。
【0338】
密度遠心分離法(lymphoprep)により、白血球除去材料からPBMCを単離し、凍結保存した。PBMCを蘇生させ、IL-2(1000IU/ml)及び5%ヒトAB血清が補充された細胞培地AIM-Vにおいて、ゾレドロン酸(5μΜ)で活性化し、且つ加湿室(37℃、5%CO2)に保存した。活性化の48時間後、MOI 2で、5pg/mlポリブレンを伴って、この実施例の系をコードするレンチウイルスベクターで細胞を形質導入した。加湿室において、IL-2(1000IU/ml)が補充されたAIM-V中で細胞を培養し、さらに拡大させるために、培地のpHに応じて培地を定期的に交換した。形質導入の10日後、細胞を回収し、細胞の総数、純度及び形質導入効率を確定した。将来の応用又は凍結保存の前に、陰性TCRγ/δ+ T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)で細胞をさらに濃縮した。
【0339】
T細胞のウイルス形質導入
アフェレーシスにより健常なドナーから白血球を収集した。FICOLL-PAQUE(商標)PLUS培地を用いて末梢血単核球(PBMC)を分離し、且つPan T細胞単離キット(Miltenyi)を用いてPMBCからヒトT細胞を精製した。その後、精製されたT細胞をヒトT細胞活性化/拡大キット(Miltenyi)で48時間プレ活性化した。プレ活性化後、T細胞を拡大させるように、抗CD3/CD28 MACSiBead(商標)粒子を1:2のビーズ対細胞比で添加した。
【0340】
8μg/mLのポリブレンの存在下で、プレ活性化されたT細胞をレンチウイルスで形質導入した。6ウェルの組織培養用プレートにおいて、細胞を、4×106個のT細胞/ウェルで、37℃で約48時間培養した。形質導入された細胞を遠心分離し、上清を除去し、沈澱した細胞を、培養のために300IU/mlのIL-2が補充された新鮮な培地中に0.5×106個の細胞/mLで再懸濁した。細胞濃度を、2~3日ごとに0.5×106個の細胞/mLに調節した。
【0341】
ウサギ抗sdAb及びCAR培養細胞によって、T細胞上のCAR発現を検出して、細胞表面sdAbを検出した。
【0342】
実施例13:インビトロ細胞傷害性
この実施例は、抗BCMA-co-抗BCMA CAR-T細胞のインビトロ抗腫瘍活性を示した。
【0343】
13.1 乳酸脱水素酵素(LDH)の細胞傷害性
操作されたT細胞(例えば、抗BCMA CAR-γδT及び抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞)の抗腫瘍活性をインビトロで迅速に評価するために、細胞傷害性について乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイを行った。形質導入後の7日目に、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:61)及び単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR(SEQ ID NO:62)により形質導入されたγδT細胞を回収し、それぞれ0.25:1、0.125:1、0.0625:1、0.03125:1及び0:1のE/T比(エフェクター:CAR-T/標的比)で標的細胞(BCMAを発現するNCI-H929又はRPMI-8226腫瘍細胞)と共に20時間インキュベートした。タンデム抗BCMA CAR(SEQ ID NO:66)及び単一抗BCMA CAR(SEQ ID NO:67)により形質導入されたγδT細胞を陽性対照として、同じロットからの形質導入されていないγδT細胞(「Un-γδT」)を陰性対照として用いた。製造業者によるマニュアル(Roche)に従ってアッセイを行った。
【0344】
以下の式でインビトロ細胞傷害性を計算した([LDH]
E+T:E/T共インキュベートから放出されたLDH、[LDH]
E:エフェクターのみから放出されたLDH、[LDH]
max:Triton X-100で処理した標的細胞から放出されたLDH、[LDH]
min:処理されていない標的細胞から放出されたLDH)。
【0345】
試験された全てのCARコンストラクトは、いずれもヒトγδT細胞に有効に形質導入し、CAR発現率が25%~80%である。形質導入された細胞は、同じロットの実験において、形質導入されていないT細胞に比べて、細胞増殖及び生存能力が影響されなかった。
図26に示すように、対照のタンデム又は単一CAR-γδT及びタンデム又は単一抗BCMA-co-抗BCMA-CAR-γδT細胞は、試験されたNCI-H929及びRPMI-8226腫瘍細胞に対して、いずれも標的細胞の溶解をインビトロで投与量依存的に誘導した。なお、タンデム及び単一の設計に対して、抗BCMA-co-抗BCMA-CAR-γδT細胞は、抗BCMA CAR-γδTよりも高い、標的細胞に対する細胞傷害性を示した。
【0346】
13.2 均一時間分解蛍光(HTRF)によるサイトカイン分泌
エフェクターγδT細胞活性化の別の尺度は、IFN-γ、TNF-α及びGM-CSFのようなエフェクターサイトカインの産生である。インビトロ細胞傷害性アッセイからの上清を収集して、CARにより誘導されたサイトカインの放出を評価し、且つ製造業者によるマニュアルに従ってIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFの均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を行った。
【0347】
CAR-γδT細胞(例えば、単一/タンデム抗BCMA CAR-γδT及び単一/タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞並びに形質導入されていないγδT細胞)を、NCI-H929又はRPMI-8226標的細胞と共培養した。20h後に、培養上清を収集して、IFN-γ、TNF-α及びGM-CSFの放出をγδT細胞活性化の尺度として評価した。
図27に示すように、標的腫瘍細胞と共培養された単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞及びタンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞は、単一及びタンデムsdAb設計の抗BCMA-CAR-γδT細胞と類似して、有意量のIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFを分泌した。これは、抗BCMA-co-CARの添加が、CAR媒介性抗腫瘍細胞傷害性に影響を及ぼさないことを示した。最も可能性の高いこととして、TLR4シグナル伝達は、標的結合後のCAR-γδT細胞の持続性の増強に役立つ。この仮説を試験するために、これらの細胞を、以下に記載の長期的な共培養アッセイに供した。
【0348】
13.3 長期的な共培養アッセイ
抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT及び抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR-γδT細胞の長期的な殺傷効果及び持続性を評価するために、長期的な共培養アッセイを行ってインビボでの動的殺傷プロセスを模擬した。外因性サイトカイン(例えば、IL-2)の非存在下で、形質導入された(例えば、タンデム抗BCMA CAR-γδT、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD8 CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR-γδT細胞及びタンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR-γδT細胞)又は形質導入されていない(例えば、Un-γδT)T細胞(1×105個/ウェル)を、24ウェルプレートにおいて1:3のE:T比でNCI-H929標的細胞(4×105個/ウェル)と共培養した。2又は3日間共培養した後、これらの細胞の一部を回収し、CD3を染色した。CD3及びCARシグナルによってCAR-γδT細胞を同定した。連続共培養アッセイのために、残っているγδT細胞をその後、新鮮なNCI-H929標的細胞を用いて同じE:T比で再チャレンジした。腫瘍細胞がウェル体積を超えて成長するまで、共培養を行った。各時点のγδT細胞増殖率は、該時点のγδT細胞数をγδT細胞の初期数で割ることにより計算した。
【0349】
様々なCAR-T細胞の、反復腫瘍刺激アッセイでの殺傷効果は
図28に示されている。タンデム抗BCMA CAR-γδT細胞は4ラウンドの腫瘍刺激後に疲弊した(例えば、CD3%により測定されたように、さらなる標的腫瘍細胞を殺傷させることができなかった)が、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD8 CAR-γδT細胞、単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR-γδT細胞、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR-γδT細胞及びタンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR-γδT細胞は、8ラウンドの腫瘍刺激まで、標的腫瘍細胞を殺傷し続けた。さらに、本発明者らは、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR-γδT細胞がインビトロで、増殖し、タンデム抗BCMA CAR-γδT細胞よりも優れた長期的な持続性を示すことを発見した。さらに、8ラウンドの反復刺激後、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D CAR-γδT細胞、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR-γδT細胞及び単一抗BCMA-co-抗BCMA-CD28 CAR-γδT細胞は、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞よりもはるかに良好な増殖を示した(
図28)。
【0350】
以上のように、これらの結果は、TLR4シグナル伝達の活性化が、CAR-T細胞を疲弊に対して耐性にし、標的腫瘍細胞をインビトロで殺傷する能力を増強し、それにより、このクラスの治療剤の進歩に対する主要な障害を解決することを示す。具体的には、本発明者らは、タンデム又は単一抗BCMA sdAbにより誘発されたTLR4シグナル伝達が、CAR-γδT細胞の抗腫瘍細胞傷害性及び持続性の増強において、同様に良好な効果を有することを証明した。なお、細胞傷害性及び持続性は、抗GPRC5D scFv又は異なるヒンジ設計(CD28が挙げられるが、それに限定されない)によりさらに改善され得る。
【0351】
実施例14:同種異系環境におけるインビトロ持続性
この実施例は、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-T細胞の、同種異系環境におけるインビトロ持続性を示した。
【0352】
14.1 三方向性混合リンパ球反応(MLR)アッセイ
タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞の、同種異系細胞治療の「既製の」製品としての可能性を試験するために、本発明者らは、同一の系においてCAR-γδT、HCI-H929腫瘍細胞と同種異系PBMC(自己PBMCを対照として用いた)との共培養を用いて三方向性MLRアッセイを行うことによってインビトロ同種異系環境を模擬した。具体的には、これらの細胞をγδT:PBMC:腫瘍=1:60:1の比で共培養し、初期γδT細胞の数は1ウェルあたり4×10
5個の細胞である。共培養の3、6及び9日後に、γδT細胞の数を記録して、同種異系PBMCの存在下での増殖を確定した。他方、9日目に、αβT及びNK細胞の数を記録して、同種異系性質を有するこれらの主なエフェクター細胞がγδT細胞の刺激を受けたか否かを確定した。
図29に示すように、同種異系PBMCの存在下で、タンデム抗BCMA CAR-γδT細胞に比べて、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδTはより高い増殖レベルを示した。他方、対照のタンデム抗BCMA CAR-γδT細胞に比べて、この系における、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞の同種異系αβT及びNK細胞の増殖は、はるかに少ないことが非常に明らかである。
【0353】
そのため、本発明者らは、リガンドにより誘導されたTLR4シグナル伝達を備えるタンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞が、同種異系細胞の存在下でも優れた持続性を示すため、「既製の」同種異系細胞治療剤の利用可能な候補であることを証明した。
【0354】
実施例15:インビボ有効性及び安全性
この実施例は、例示的なタンデム抗BCMA CAR-T細胞及びタンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-T細胞の、同種異系環境におけるインビボ有効性及び安全性を示した。
【0355】
15.1 RPMI-8226異種移植モデルにおけるインビボ有効性及び安全性
RPMI-8226異種移植モデルにおいて、例示的なタンデム抗BCMA CAR-Tの抗腫瘍活性に対してインビボ評価を行った。簡単に言えば、0日目に、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定的に発現する100万(1×106)個のRPMI-8226細胞をNOD/SCID IL-2RγCnull(NSG)マウスに皮下/静脈内移植した。腫瘍接種後の14日目に、マウスを以下のように処理した:1×106個の武装化されたCAR-γδTもしくはモックT細胞又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を静脈内注射した。腫瘍進行を生物発光イメージング(BLI)により週1回モニタリングした。なお、血液から採取した血漿をFACS分析することによってT細胞増殖をモニタリングした。
【0356】
傷害性評価のために、臨床症状を毎日観察するとともに、毎週、動物の体重及び腫瘍-Luc細胞により誘発された蛍光強度を測定した。マウスのヒト化サイトカインプロファイル(IFN-γ、TNF-α及びGM-CSF)を検出するために、血液(0.2mL)を毎週採取した。
【0357】
低腫瘍負荷及びマウスあたり1MのCAR-γδT細胞投与量の1番目の実験において、本発明者らは、タンデム抗BCMA CAR-γδT及びタンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞がいずれも腫瘍成長を阻害できることを発見した。しかしながら、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδTは、タンデム抗BCMA CAR-γδT細胞よりも優れた抗腫瘍活性を示すことが明らかであり、その理由は、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞で処理したマウスのみが腫瘍フリーを維持し、別の実験群が実験の終わり頃に再発したことである(
図30)。なお、マウス血液のFACS分析からの薬物動態学的結果は、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT群の末梢血におけるCAR-γδT細胞の拡大が、タンデム抗BCMA CAR-γδT群よりはるかに高いことを示し、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT細胞のより優れたインビボ有効性をさらに証明した(
図30)。
【0358】
高い初期腫瘍負荷及びマウスあたり0.3MのCAR-γδT細胞の低い投与量を伴う別の実験では、本発明者らは、タンデム抗BCMA-co-抗GPRC5D-CD8 CAR-γδT細胞が、依然として多発性骨髄腫の腫瘍細胞を分化させ得ることを発見し、これによりBCMA及びGPRC5Dの二重標的化の実現可能性及び異なるヒンジ設計(CD8が挙げられるが、それに限定されない)の潜在的有用性を確立した(
図30)。
【0359】
なお、全ての試験群間で有意な体重変化は見られなかった。なお、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδTで処理したマウス末梢血におけるIFN-γ、TNF-α及びGM-CSFレベルは、タンデム抗BCMA CAR-γδTで処理したマウスに類似している。これらの発見は、インビトロ共培養アッセイで得られた観察結果に相当する(
図31A及びB)。これらの結果は、タンデム抗BCMA-co-抗BCMA CAR-γδT療法がインビボで安全であることを示した。
【0360】
要するに、本発明者らは、インビボ多発性骨髄腫モデルにおいて、抗BCMAにより誘発されたTLR4シグナル伝達を備える抗BCMA CAR-γδT細胞が、安全であり、且つ単純な第2世代抗BCMA CAR-γδTよりも有効であったことを確定した。
【0361】
【配列表】
【国際調査報告】