(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】生物活性高分子をカプセル封入したリオトロピック液晶ナノシステム
(51)【国際特許分類】
A61K 38/46 20060101AFI20240918BHJP
A61K 38/38 20060101ALI20240918BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20240918BHJP
A61K 38/23 20060101ALI20240918BHJP
A61K 38/31 20060101ALI20240918BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240918BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K38/46
A61K38/38
A61K38/28
A61K38/23
A61K38/31
A61K38/22
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/18
A61K9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024509016
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 GR2022000040
(87)【国際公開番号】W WO2023026067
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521258429
【氏名又は名称】ユニファーマ クレオン ツェティス ファーマスーティカル ラボラトリーズ エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノス,デメッツォス
(72)【発明者】
【氏名】アステリオス,ピスパス
(72)【発明者】
【氏名】マリア,コントレシ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB21
4C076BB25
4C076CC16
4C076CC30
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD52
4C076EE23
4C076FF68
4C084AA01
4C084BA08
4C084BA23
4C084BA26
4C084DB11
4C084DB31
4C084DB34
4C084DB37
4C084DC22
4C084MA05
4C084MA41
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA65
4C084NA10
(57)【要約】
本発明は、モノオレイン酸グリセロール、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、化学式Η(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、2≦a≦150及び15≦b≦70)の両親媒性ブロックコポリマー、ならびにペプチド結合を有する生物活性高分子を含む、リオトロピック液晶の形態の物理化学的に安定なコロイド系の組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノオレイン酸グリセリン、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、化学式Η(OCH
2CH
2)
a(OCH(CH
3)CH
2)
b(OCH
2CH
2)
aOHを有する両親媒性ブロックコポリマー、及び、ペプチド結合を有する生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物であって、
前記両親媒性ブロックコポリマーの化学式中のa及びbが、2≦a≦150及び15≦b≦70であるリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物。
【請求項2】
前記C6からC12の脂肪酸の塩がオクタン酸、デカン酸、又は、ドデカン酸のアルカリ塩から選ばれ、その誘導体は8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のアルカリ塩から、好ましくはオクタン酸及び8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩から、より好ましくは8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩から、選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化学式Η(OCH
2CH
2)
a(OCH(CH
3)CH
2)
b(OCH
2CH
2)
aOHを有し、該化学式中のa及びbが、2≦a≦150及び15≦b≦70である前記両親媒性ブロックコポリマーが、
好ましくは、60≦a≦150及び25≦b≦70のものから、より好ましくは、95≦a≦105及び55≦b≦70のものから、選ばれるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ペプチド結合を有する生物活性高分子が酵素、タンパク質及びホルモンから、好ましくはリゾチーム、ウシ血清アルブミン、インスリン、カルシトニン、オクトレオチド、リラグルチド、セマグルチド、及びデュラグルチドから選ばれるものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物のモノオレイン酸グリセリンの濃度が、10mg/mLから100mg/mL、好ましくは20mg/mLから80mg/mL、より好ましくは20mg/mLであることを特徴とする請求項請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
最終組成物において、モノオレイン酸グリセリンの、前記芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、及び、前記両親媒性ブロックコポリマーに対する重量比を20:A:Bとしたとき、1≦A≦10及び1≦B≦10であり、好ましくは2≦A≦4及び3≦B≦7であり、より好ましくは20:2:5又は20:4:5であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
最終組成物中での前記ペプチド結合を有する生物活性高分子の濃度が、0.01mg/mLから10.0mg/mL、好ましくは0.1mg/mLから5.0mg/mLであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
最終組成物において、モノオレイン酸グリセリンの、前記芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、前記両親媒性ブロックコポリマー、及び、ペプチド結合を有する生物活性高分子に対する重量比を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦B≦10及び0.01≦C≦10であり、好ましくは2≦A≦4、3≦B≦7、0.1≦C≦5であり、より好ましくは20:2:5:0.5、20:2:5:1又は20:4:5:0.5又は20:4:5:1であることを特徴とする請求項請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
経口、鼻内、皮下、腹腔内、静脈又は局所投与用として、好ましくは経口投与用として、薬学的に許容される賦形剤を用いて製剤化されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の説明】
【0001】
本発明は、両親媒性脂質、中鎖脂肪酸又はその誘導体の塩、安定剤としてのコポリマー、及び、ペプチド結合を含む生物活性高分子を含み、リオトロピック液晶の形態で物理化学的に安定なナノ構造コロイド系の組成物に関する。
【0002】
ペプチド、タンパク質、酵素を含む生物活性高分子の経口投与は、研究者の間で継続的に関心が高まっており、また今日では著しい成長と市場シェアの拡大を見せている。この分野は大きく進歩したにもかかわらず、これらの高分子の製薬形態の安定性や、場合によっては1%にも満たない生物学的利用能に関して、克服すべき重要な懸案事項がいまだにある。腸溶性コーティング、促進剤の利用、活性物質の化学的修復といった新しい技術の開発は、すでに上記の問題の大部分に取り組んでいる。近年、薬学的に活性な物質のカプセル封入、及び、それらの腸管や上皮を経由した放出に適した新たなナノ粒子が提案されている。
【0003】
リオトロピック液晶は、固体と液体の中間の物質状態を表し、両親媒性分子の水に対しての分散と自己組織化によって形成される。両親媒性分子は、その明確に異なる構造部分(親水性-疎水性、極性-非極性)が異なる性質を示し、その化学的性質、濃度及び溶媒媒質にその形態が大きく依存する超分子構造に自己組織化される。リオトロピック液晶の形態に重要な役割を果たし、溶媒媒体に直接関係するその他の要因は、温度、pH、及びイオン強度である。
【0004】
自己組織化された両親媒性分子で観察される最も重要なメソフェーズとしては、単層、二層、ミセル、立方晶、六方晶、双連結型キュービック液晶の相が挙げられる。科学界は、立方及び六角の非二層メソフェーズに特に注目している。なぜなら、これらはナノ粒子化されたリオトロピック液晶分散液を形成することができ、広範な医薬品有効成分を送達するためのナノキャリアとしての使用に適しているからである。これらのメソフェーズには、その内部形態(短距離秩序)の広範な組織化によって制御された放出ができるなど大きな利点がある。
【0005】
モノオレイン酸グリセリン(GMO)は、両親媒性で極性のある不飽和モノグリセリンであり、乳化剤として広く使用され、また米国食品医薬品局(FDA)では安全な不活性物質とされている。GMOの両親媒性の特徴は、分子の頭部に親水性のグリセリン部位があり、分子の尾部に疎水性の炭化水素部位があることに起因し、そのため、特徴的で熱力学的に安定な液晶構造を形成する水性媒体の中で自己組織化する。適切に選択された界面活性剤が存在すれば、GMOの水溶液中での特性はさらに影響を受け、薬物の封入に理想的な立方や六角など様々な超分子構造の安定化が可能となる。しかし、これらの構造は、親水性グリセリンからの疎水性炭化水素鎖を切断するGMOのエステル結合の加水分解により、さらには炭化水素鎖の二重結合の酸化により、長期間の物理化学的安定性はない。
【0006】
両親媒性ポリマーは、乳化安定剤としてだけでなく粘度調整剤としても使われ、いくつもの医薬品形態で広く使用されている別の種類の分子である。両親媒性ポリマーは、他のすべての両親媒性分子と同様に、分散媒体に応じて様々な特徴的構造に自己組織化される。この類の特別なカテゴリーの一つとして、両親媒性のトリブロックコポリマー類があり、これらは非常に複雑だが、同時に、様々な用途で特に有用な様々な形態で形成される。ポロキサマーとしても知られるトリブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキサイド)-b-ポリ(プロピレンオキサイド)-b-ポリ(エチレンオキサイド)(PEO-b-PPO-b-PEO)は、水性媒体中で立方晶のGMO構造を安定化することが報告されている(M. Chountoulesi, et al: Physicochemical and morphological studies. International Journal of Pharmaceutics 2018, 550, 57-70)。
【0007】
中鎖脂肪酸、特に脂肪族脂質鎖中に6から12個の炭素原子を有する脂肪酸及びその誘導体は、ある種の経口投与される医薬物質の生物学的利用能を高める浸透促進剤として一般的に使用されている。デカン酸ナトリウム塩(C10)と8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩(サルカプロザートナトリウム-SNAC)は、この類の2つの特徴的な候補を代表するものであり、多数の臨床研究がこの方向でのこれらの物質の安全性と安定性を報告している(Twarog, C.; et al. Intestinal Permeation enhancers for Oral Delivery of Macromolecules: Pharmaceutics 2019, 11, 78)。
【0008】
デカン酸が水性媒体中でGMOメソフェーズの自己組織化に及ぼす影響は、すでに報告されている(N. Tran et al. Nanostructure and cytotoxicity of self-assembled monoolein-capric acid lyotropic liquid crystalline nanoparticles RSC Adv., 2015, 5, 26785-26795)。別の報告は、難水溶性活性物質シンバスタチンのドラッグデリバリーシステムの可能性として、GMO/ポリ(エチレンオキサイド)-b-ポリ(プロピレンオキサイド)-b-ポリ(エチレンオキサイド)キュービックナノ粒子について言及している(J. Lai, et al. Glyceryl Monooleate/Poloxamer 407 Cubic Nanoparticles as Oral Drug Delivery Systems: I. In Vitro Evaluation and Enhanced Oral Bioavailability of the Poorly Water-Soluble Drug Simvastatin AAPS Pharm Sci Tech, 2009, 10, 960)。
【0009】
インスリンは、膵臓のβ細胞によって産生されるペプチドホルモンである。インスリンは体内での炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝において支配的な役割を果たし、最も重要なのは血糖値の調節である。インスリン欠乏は糖尿病の原因である。SNACでコーティングされたインスリンミクロスフェアは、酵素分解から薬物を保護すると同時に、消化管からの透過性を高めるために開発された(R. Qi and Q. N. Ping, Gastrointestinal absorption enhancement of insulin by administration of enteric microspheres and SNAC to rats. J. Microencapsulation, 2004 (21) 37-45)。別の報告は、エタノールとプロピレングリコールの混合物中でGMOと非イオン性コポリマーPluronic F-127 (ポロキサマー 407)によって安定化されたインスリンナノキュービクルに言及している(H. Chung, et al. Self-assembled “nanocubicle” as a carrier for peroral insulin delivery. Diabetologia 2002 (45) 448-451)。最近の文献では、キトサン被覆ナノ粒子、PLGA-インスリンナノ粒子、デキストラン-インスリンナノ粒子、及び、固体脂質-インスリンナノ粒子と関連付けたインスリン送達のために、いくつかのナノキャリア製剤が報告されている(Sharma et al. Nanoparticle based insulin delivery system: the next generation efficient therapy for Type 1 diabetes J Nanobiotechnol 2015 (13), 74 (13 pages))。
【0010】
文献EP2331072は、タンパク質、吸収促進剤及びプロテアーゼ阻害剤を含む経口組成物に言及している。
【0011】
本発明は、モノオレイン酸グリセリン、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、化学式Η(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、2≦a≦150及び15≦b≦70)の両親媒性ブロックコポリマー、及び、ペプチド結合を有する生物活性高分子を含み、リオトロピック液晶の形態で物理化学的に安定なコロイド系の組成物に関する。
【0012】
驚くべきことに、本発明のリオトロピック液晶ナノ粒子は、ナノコンパートメント化された内部構造を呈し、その構造は、一貫性はあるものの、同時に非常に緩やかであるため、異なる構造及び異なる分子量のペプチド結合を有する様々な生物活性高分子を、全体としてそれらの物理化学的特性に影響を与えることなく、カプセル封入する高い柔軟性を持たせられることがわかった。
【0013】
さらに、驚くべきことに、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を送達するリオトロピック液晶の形態である本発明の自己組織化したナノ粒子は、ペプチド結合を有する生物活性高分子をカプセル封入した後の内部構造組織化に関係なく、サイズ、サイズ分布及びζ電位の点で経時的に安定なコロイドナノシステムを形成することがわかった。
【0014】
さらに、リオトロピック液晶の形態で、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を運ぶ本発明の自己組織化されたナノ粒子は、模擬胃液(pH=1.6)及び模擬腸液(pH=6.5)いずれの中で、時間が経過しても物理化学的に安定なコロイド状のナノシステムを維持するものである。
【0015】
本発明において、ペプチド結合を有する生物活性高分子がカプセル封入された自己組織化されたナノ粒子の平均直径は、50nmから900nmの範囲、好ましくは100nmから500nm、より好ましくは100nmから300nmである。
【0016】
本発明において、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のモノオレイン酸グリセリンの濃度は、10mg/mLから100mg/mLの範囲、好ましくは20mg/mLから80mg/mLの範囲、より好ましくは20mg/mLである。
【0017】
本発明において、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用される中鎖脂肪酸の塩は、芳香族置換基を有し、その脂肪族鎖の中に6から12個の炭素原子を有する脂肪酸又はその誘導体のアルカリ塩の中から選択される。
【0018】
本発明において、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用されるC6からC12の脂肪酸の塩は、オクタン酸、デカン酸又はドデカン酸のアルカリ塩の中から選択され、また、その誘導体は、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のアルカリ塩の中から選択される。
【0019】
好ましい実施形態の一つでは、本発明のリオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用される、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体の塩が、オクタン酸のナトリウム塩である。
【0020】
好ましい実施形態の一つでは、本発明のリオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用される、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体の塩が、デカン酸のナトリウム塩である。
【0021】
好ましい実施形態の一つでは、本発明のリオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用される、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩が、ドデカン酸のナトリウム塩である。
【0022】
好ましい実施形態の一つでは、本発明のリオトロピック液晶ナノ粒子の開発に使用される、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩が、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩である。
【0023】
本発明では、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは、化学式Η(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOHを有し、この式中、2≦a≦150及び15≦b≦70であるが、60≦a≦150及び≦25≦b≦70であるものの中から選択されることが好ましく、95≦a≦105及び≦55≦b≦70であるものの中から選択されるのがより好ましい。
【0024】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは化学式Η(OCH2CH2)80(OCH(CH3)CH2)27(OCH2CH2)80OHを有する。
【0025】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは化学式Η(OCH2CH2)64(OCH(CH3)CH2)37(OCH2CH2)64OHを有する。
【0026】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは化学式Η(OCH2CH2)141(OCH(CH3)CH2)44(OCH2CH2)141OHを有する。
【0027】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは化学式Η(OCH2CH2)101(OCH(CH3)CH2)56(OCH2CH2)101OHを有する。
【0028】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の開発のための両親媒性ブロックコポリマーは化学式Η(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHを有する。
【0029】
本発明では、最終組成物中のミリリットル(mL)あたり、モノオレイン酸グリセリンの、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩及び両親媒性ブロックコポリマーに対する重量比(ミリグラム(mg)単位)を20:A:Bとしたとき、1≦A≦10及び1≦B≦10で、好ましくは2≦A≦4及び3≦B≦7である。
【0030】
好ましい実施形態の一つでは、モノオレイン酸グリセリンの、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩及び両親媒性ブロックコポリマーに対する重量比(最終組成物中のミリリットル(mL)あたり、ミリグラム(mg)単位)が20:2:5である。
【0031】
好ましい実施形態の一つでは、モノオレイン酸グリセリンの、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩及び両親媒性ブロックコポリマーに対する重量比(最終組成物中のミリリットル(mL)あたり、ミリグラム(mg)単位)が、20:4:5である。
【0032】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、及びコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)からなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:2:5である。
【0033】
より好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、及びコポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHからなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:2:5である。
【0034】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)からなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:4:5である。
【0035】
より好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHからなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:4:5である。
【0036】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOHからなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:2:5である。
【0037】
より好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶性ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHからなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:2:5である。
【0038】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶性ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)からなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:4:5である。
【0039】
より好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物中のリオトロピック液晶性ナノ粒子が、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、及び、コポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHからなり、最終組成物溶液1mL当たりの重量比が20:4:5である。
【0040】
本発明では、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子は、酵素、タンパク質及びホルモンの中から選択される。
【0041】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、リゾチーム酵素である。
【0042】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、ウシ血清アルブミンタンパク質(BSA)である。
【0043】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、インスリンホルモンである。
【0044】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、カルシトニンホルモンである。
【0045】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、オクタペプチドオクトレオチドである。
【0046】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子が、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)類似体で、好ましくはリラグルチド、セマグルチド又はデュラグルチドである。
【0047】
本発明では、リオトロピック液晶ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子の濃度は、最終組成物中0.01mg/mLから10.0mg/mL、好ましくは最終組成物中0.1mg/mLから5.0mg/mLである。
【0048】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶性ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子の濃度は、0.5mg/mLである。
【0049】
好ましい実施形態の一つでは、リオトロピック液晶性ナノ粒子の組成物中のペプチド結合を有する生物活性高分子の濃度は、1.0mg/mLである。
【0050】
本発明では、モノオレイン酸グリセリンの、芳香族置換基を有するC6からC12の脂肪酸又はその誘導体からなる塩、両親媒性ブロックコポリマー、及び、ペプチド結合を有する生物活性高分子に対する重量比(最終組成物中)を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10及び0.01≦C≦10で、好ましくは2≦Α≦4、3≦Β≦7及び0.1≦C≦5で、より好ましくは、20:2:5:0.5、20:2:5:1、20:4:5:0.5又は20:4:5:1である。
【0051】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、インスリンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0052】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、インスリンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:4:5:1.0である。
【0053】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、インスリンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0054】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、インスリンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:4:5:1.0である。
【0055】
モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OH、及び、インスリンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である本発明の組成物は、重量パーセント99%以上の予想外に高いインスリン封入率を示し、模擬した胃及び腸の環境条件下で著しく改善された物理化学的安定性を示すことが分かった。
【0056】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0057】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:1.0である。
【0058】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0059】
モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OH、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である本発明の組成物は、模擬した胃及び腸の環境条件下で著しく改善された物理化学的安定性を示すことが分かった。
【0060】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:1.0である。
【0061】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リゾチームからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0062】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リゾチームからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:1.0である。
【0063】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リゾチームからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5である。
【0064】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リゾチームからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比が20:2:5:1.0である。
【0065】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、オクトレオチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:0.5としたとき、1≦A≦10及び1≦Β≦10である。
【0066】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、オクトレオチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:0.5としたとき、1≦A≦10及び1≦Β≦10である。
【0067】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、GLP-1類似体からなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10及び0.01≦C≦10で、好ましくは2≦Α≦4、3≦Β≦7及び0.5≦C≦6である。
【0068】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、GLP-1類似体からなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10及び0.01≦C≦10で、好ましくは2≦Α≦4、3≦Β≦7及び0.5≦C≦6である。
【0069】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リラグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:6としたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10である。
【0070】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、リラグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:6としたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10である。
【0071】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、セマグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:1としたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10である。
【0072】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、セマグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:1としたとき、1≦A≦10及び1≦Β≦10である。
【0073】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、デュラグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10及び0.5≦C≦5である。
【0074】
好ましい実施形態の一つでは、本発明の組成物は、モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、ブロックコポリマーΗ(OCH2CH2)a(OCH(CH3)CH2)b(OCH2CH2)aOH(式中、95≦a≦105及び55≦b≦70)、及び、デュラグルチドからなり、最終組成物溶液1mLあたりの重量比を20:A:B:Cとしたとき、1≦A≦10、1≦Β≦10及び0.5≦C≦5である。
【0075】
本発明では、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、経口、鼻内、皮下、腹腔内、静脈又は局所投与用として好適になるために薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化される。
【0076】
好ましい実施形態の一つでは、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、経口投与用として好適になるために薬学的に許容される賦形剤とともに製剤化される。
【0077】
好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、経口投与向けに、所望の環境下での徐放性を付与できるpH応答性ポリマーでさらにコーティングされてもよい。
【0078】
好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、経口投与向けに、pH依存の放出を行うために好適な合成アクリル及びメタクリルポリマーでコーティングされてもよい。
【0079】
経口投与向けの好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、pH値が5.5を超える十二指腸内を標的とした放出のために、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー(1:1)でコーティングされる。
【0080】
経口投与向けの好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、pH値が6.0を超える小腸の媒質内を標的とした放出のために、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)でコーティングされる。
【0081】
経口投与向けの好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、pH値が7.0を超える小腸内を標的とした放出のために、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:2)でコーティングされる。
【0082】
経口投与向けの好ましい実施形態の一つとして、ペプチド結合を有しカプセル封入された生物活性高分子を具備するリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物は、高浸透性アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-メタクリル酸塩化トリメチルアミノエチルコポリマー(1:2:0.2)でコーティングされる。
【0083】
リオトロピック液晶ナノシステムへの生物活性高分子の封入は、総タンパク質の比色検出及び定量化のためにBCAタンパク質アッセイを用いて評価され、検討されたすべてのナノシステムに対して85%以上の封入効率を示している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
本発明は、以下の例示的で非限定的な実施例、
図1及び
図2を用いてさらに説明される。
【
図1】(a)は空のナノキャリア、 (b)及び(c)は実施例1のインスリンを封入したリオトロピック液晶ナノシステムの低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)画像を示す。
【
図2】実施例2のウシ血清アルブミンをカプセル封入したリオトロピック液晶ナノシステムの低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)画像を示す。
【実施例】
【0085】
[実施例1]
モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、コポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OH及びインスリンからなり、最終組成物1mLあたりの重量比が20:2:5:0.5のリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物
【0086】
20mg/mLモノオレイン酸グリセリン水溶液(精製水)を穏やかな加熱下(50℃)で調製する。モノオレイン酸グリセリンの溶液中に、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩の水溶液、次いでコポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHの水溶液、次いでインスリンの水溶液を、最終組成物中の成分の重量比が1mL当たり20:2:5:0.5mgになるように加える。この混合物を50℃で5分間加熱した後、バスソニケーターの中で、乳白色の分散液が形成されるまで超音波処理し、さらに、1分間の休止を挟んで、プローブソニケーターを用いた1分間の超音波処理サイクル(振幅70、サイクル0,7)を2回行った。得られた分散液を30分間アニールさせる。最終分散液は不透明な白色で、室温で保存される。
【0087】
実施例1の組成物中のナノ粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ分布(多分散性指数-PDI)を表す平均流体力学的直径(Dh)は、動的光散乱法(DLS)によって決定される。ナノ粒子のζ電位は、電気泳動光散乱法(ELS)によって決定される。調製直後のナノ粒子の物理化学的及び形態学的な特性が、表1にまとめられている。
【0088】
【表1】
[表1]実施例1の組成物の平均流体力学的直径(D
h)、多分散性指数(PDI)及びζ電位
【0089】
本発明のナノ粒子のコロイド懸濁液は、その粒径及び粒径分布の両方において、時間が経過に対して顕著な物理化学的安定性を示している。
【0090】
実施例1の組成物の形態が検討され、低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)を用いて定性的に評価された。カプセル封入されたインスリンを含まない空のナノシステム(
図1a)では、穴のあいた多孔質様の不規則な内部構造体が泡状の外部小胞に包まれており、二重コンパートメントナノ構造の、特徴が繰り返される液晶特有の形態が観察された。全体としての形態はドーナツ状に近い形態で、変調された液晶メソフェーズを示しており、それは従来技術で初めて現れたものであった。このユニークな形態は、また、多孔性の核膜に囲まれた核を内部に持つ細胞に似ている。実施例1の空のナノ構造体は、160から900nmのサイズと3から4nmの膜厚を示した。多くの小胞が分散した構造の存在は、物質の「コーティング」層形成、規則正しいナノ粒子の被覆、それらの水溶液中での分散の保持支援によって、液晶ナノ粒子のさらなる安定化に寄与する。泡状の外部小胞は、内部の不規則にナノコンパートメント化されたコアを保護する役割を果たす。
【0091】
インスリンを取り込むと(
図1b及び
図1c)、より高いレベルの内部組織化が得られた。インスリンを封入したリオトロピック液晶ナノ粒子は、内部組織化のレベルが低い液晶ナノ粒子とともに、規則正しく秩序ある内部構造を持ち閉じられたナノ粒子を示した(
図1b)。これらの周期性の低い不規則な構造は、「スポンジ」のような構造(L3メソフェーズ)と類似性があり、交差する薄膜で構築された外層と、長距離秩序も周期性がないきわめて無秩序な内部を持つ見かけ上高密度の内部コアで構成されている。インスリンを封入した実施例1のナノ構造体は、40から220nmのサイズを有し、さらに、内部構造を持たずサイズが15から330nmの小さな球状小胞の優勢な集まりと共存している。インスリンが封入されたリオトロピック液晶ナノ構造体は、多数の内部交差層で孔のあいた多孔質様の構造体、及び、極めて無秩序な内部を持ち見かけ上密な内部コアとも共存している(
図1c)。その総サイズは130から550nmの範囲にあり、膜厚は3から4nmである。
【0092】
[実施例2]
モノオレイン酸グリセリン、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩、コポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OH、及び、ウシ血清アルブミンからなり、最終組成物1mLあたり重量比が20:2:5:0.5のリオトロピック液晶ナノ粒子の形態の組成物
【0093】
20mg/mLモノオレイン酸グリセリン水溶液(精製水)を穏やかな加熱下(50℃)で調製する。最終組成物中の成分の重量比が1mL当たり20:2:5:0.5mg及び20:2:5:1.0mgとなる新たな2つのナノシステムを調製するために、モノオレイン酸グリセリンの溶液中に、8-((2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ)オクタン酸のナトリウム塩の水溶液、次いでコポリマーΗ(OCH2CH2)98(OCH(CH3)CH2)67(OCH2CH2)98OHの水溶液、次いでウシ血清アルブミンの水溶液を加えた。この混合物を50℃で5分間加熱した後、バスソニケーターの中で、乳白色の分散液が形成されるまで超音波処理し、さらに、1分間の休止を挟んで、プローブソニケーターを用いた1分間の超音波処理サイクル(振幅70、サイクル0,7)を2回行った。得られた分散液を30分間アニールさせる。最終分散液は不透明な白色で、室温で保存される。
【0094】
実施例2の組成物中のナノ粒子の粒子サイズ及び粒子サイズ分布(多分散性指数-PDI)を表す平均流体力学的直径(Dh)は、動的光散乱法(DLS)によって決定される。ナノ粒子のζ電位は、電気泳動光散乱法(ELS)によって決定される。調製直後のナノ粒子の物理化学的及び形態学的特性が表2にまとめられている。
【0095】
【表2】
[表2]実施例2の組成物の平均流体力学的直径(D
h)、多分散指数(PDI)、及びζ電位
【0096】
本発明のナノ粒子のコロイド懸濁液は、その粒径及び粒径分布の両方において、時間経過に対して顕著な物理化学的安定性を示している。
【0097】
実施例2の組成物の形態が検討され、低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)を用いて定性的に評価された。ウシ血清アルブミンの存在下(
図2)では、対応する空のナノシステム(
図1a)と比較して、形態学的な挙動に有意な違いは観察されなかった。簡潔に説明すると、外部小胞に包まれ、内側が穴のあいた不規則な多孔質様の内部構造を伴う、特徴的な二重コンパートメントナノ構造が、再び示されている(
図2a)。内部に不規則な構造体を含む小胞は、200から800nmのサイズと3から4nmの膜厚を示した一方、空の小胞の集まりはサイズが10から600nmで、膜厚が3から4nmであった(
図2b)。
【国際調査報告】